(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-18
(54)【発明の名称】炭化水素油のためのUSYおよびベータゼオライトを含有する水素化分解触媒、並びに水素化分解触媒で炭化水素油を水素化分解する方法
(51)【国際特許分類】
B01J 29/80 20060101AFI20230810BHJP
C10G 47/16 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
B01J29/80 Z
C10G47/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503172
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(85)【翻訳文提出日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 US2020058208
(87)【国際公開番号】W WO2022025957
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316017181
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Saudi Arabian Oil Company
(71)【出願人】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301041531
【氏名又は名称】一般財団法人JCCP国際石油・ガス・持続可能エネルギー協力機関
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】コセオグル,オマール レファ
(72)【発明者】
【氏名】ホジキンズ,ロバート ピーター
(72)【発明者】
【氏名】渡部 光徳
(72)【発明者】
【氏名】内田 浩司
【テーマコード(参考)】
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA14
4G169BA01C
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BC31A
4G169BC32A
4G169BC33A
4G169BC50A
4G169BC50B
4G169BC51A
4G169BC51B
4G169BC58A
4G169BC59A
4G169BC59B
4G169BC60A
4G169BC66A
4G169BC67A
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BC70A
4G169BC71A
4G169BC72A
4G169BC73A
4G169BC74A
4G169BC75A
4G169CC05
4G169DA05
4G169EC03Y
4G169EC04Y
4G169EC06Y
4G169EC07Y
4G169EC21Y
4G169EC28
4G169FA01
4G169FB05
4G169FC08
4G169ZA05A
4G169ZA05B
4G169ZA19A
4G169ZA19B
4G169ZA33A
4G169ZA33B
4G169ZC03
4G169ZC04
4G169ZD04
4G169ZD05
4G169ZE03
4G169ZF02B
4G169ZF07A
4G169ZF07B
4H129AA02
4H129CA08
4H129DA21
4H129KA12
4H129KB03
4H129KB05
4H129KC05X
4H129KC05Y
4H129KC07X
4H129KC07Y
4H129KC15X
4H129KC15Y
4H129KC18X
4H129KC20X
4H129KC20Y
4H129KC33Y
4H129KD10X
4H129KD10Y
4H129KD14X
4H129KD15X
4H129KD15Y
4H129KD16X
4H129KD18X
4H129KD19X
4H129KD19Y
4H129KD20X
4H129KD21X
4H129KD22X
4H129KD24X
4H129KD24Y
4H129KD25X
4H129KD26X
4H129KD27X
4H129KD28X
4H129KD44X
4H129NA21
4H129NA22
4H129NA23
4H129NA37
(57)【要約】
本開示の1つ以上の実施の形態にしたがって、触媒組成物は、触媒担体およびその触媒担体上に配置された少なくとも1種類の水素化金属成分を含む。この触媒担体は、チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類のUSYゼオライトおよびこれもチタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類のベータゼオライトを含む。水素化分解プロセスにそのような触媒を使用する方法も開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒組成物であって、
触媒担体、および
前記触媒担体上に配置された少なくとも1種類の水素化金属成分、
を含み、
前記触媒担体は、
チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類の超安定Y型ゼオライト(TiZr-USYゼオライト)、および
チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類のベータゼオライト(TiZr-ベータゼオライト)、
を含む、触媒組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトおよび前記少なくとも1種類のTiZr-ベータゼオライトの各々が、酸化物基準で計算して、0.1質量%から5質量%のジルコニウムおよび0.1質量%から5質量%のチタンで独立して置換されている、請求項1記載の触媒組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種類の水素化金属成分が、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金、およびその2つ以上の組合せからなる群より選択される、請求項1または2記載の触媒組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトが、2.43nmから2.45nmの結晶格子定数を有する、請求項1から3いずれか1項記載の触媒組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトが、10から100のSiO
2対Al
2O
3のモル比を有する、請求項1から4いずれか1項記載の触媒組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種類の水素化金属成分が、前記触媒組成物の0.01質量%から40質量%を構成する、請求項1から5いずれか1項記載の触媒組成物。
【請求項7】
前記触媒担体が、該担体の全ゼオライト含有量に基づいて、70質量%から99質量%のTiZr-USYゼオライトを含む、請求項1から6いずれか1項記載の触媒組成物。
【請求項8】
前記触媒担体が、該担体の全ゼオライト含有量に基づいて、1質量%から30質量%のTiZr-ベータゼオライトを含む、請求項1から7いずれか1項記載の触媒組成物。
【請求項9】
前記触媒担体が、合計で1質量%から80質量%のTiZr-USYゼオライトとTiZr-ベータゼオライトを含む、請求項1から8いずれか1項記載の触媒組成物。
【請求項10】
炭化水素油を水素化分解する方法であって、
炭化水素油流を水素化分解するために、反応器内で少なくとも1種類の炭化水素油流を少なくとも1種類の水素化分解触媒組成物および水素と接触させる工程、
を含み、
前記水素化分解触媒組成物は、
触媒担体、および
前記触媒担体上に配置された少なくとも1種類の水素化金属成分、
を含み、
前記触媒担体は、
チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類の超安定Y型ゼオライト(TiZr-USYゼオライト)、および
チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類のベータゼオライト(TiZr-ベータゼオライト)、
を含む、方法。
【請求項11】
前記反応器が、300℃から500℃の温度で作動する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記炭化水素油が、375℃から833℃の沸点を有する、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
前記水素が、3.5MPaから35MPaの圧力で前記反応器に添加される、請求項10から12いずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記反応器が、500Nm
3/m
3から2500Nm
3/m
3の水素/油比を有する、請求項10から13いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記反応器が、0.1毎時から10毎時の液空間速度を有する、請求項10から14いずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その全ての内容がここに引用される、2020年7月28日に出願された米国特許出願第16/940635号に優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示の実施の形態は、広く、炭化水素油の水素化分解に関し、より詳しくは、炭化水素油を水素化分解するための触媒組成物およびそのような触媒組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の水素化分解ユニットにおいて370℃から520℃の範囲で沸騰し、残留物水素化分解ユニットにおいて520℃以上で沸騰する様々な炭化水素供給物を処理するために、数多くの石油精製所において、水素化分解プロセスが商業的に使用されている。一般に、水素化分解プロセスは、炭化水素供給物の分子を、平均揮発性および経済的価値がより高く、より小さい、すなわち、より軽い分子に分割する。それに加え、水素化分解プロセスは、典型的に、水素対炭素比を増加させ、有機硫黄化合物と有機窒素化合物を除去することによって、炭化水素原料の品質を改善する。水素化分解触媒が、水素化分解プロセス技術の重要な特徴である。
【0004】
水素化分解において2種類の触媒:前処理触媒と分解触媒が使用される。前処理触媒は、重質炭化水素油から、硫黄や窒素などの汚染物質を除去するように設計されている。分解触媒は、低付加価値の重分子を価値の高い輸送燃料に分割するように設計されている。分解触媒は、典型的に、水素化のための活性相金属、結合剤としての非晶質担体、および分解成分としてのゼオライトからなる。活性相金属としては、典型的に、ニッケル、モリブデン、およびタングステンが挙げられる。例示のゼオライトに、超安定Y型ゼオライト(USYゼオライト)がある。分解活性を増加させ、低温流動性を改善するために、ベータゼオライトが触媒マトリクスに添加されることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より効果的な水素化分解触媒組成物が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも1種類の骨格置換超安定Y型(以後、「USY」)ゼオライトおよび少なくとも1種類の骨格置換ベータゼオライトを含む触媒組成物が、水素化分解プロセスの有効性を大幅に向上させる可能性があることが見出された。
【0007】
1つの実施の形態によれば、触媒組成物は、触媒担体およびその触媒担体上に配置された少なくとも1種類の水素化金属成分を含む。この触媒担体は、チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類のUSYゼオライトおよびこれもチタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類のベータゼオライトを含む。
【0008】
1つの実施の形態によれば、炭化水素油を水素化分解する方法は、炭化水素油流を水素化分解するために、反応器内で少なくとも1種類の炭化水素油流を少なくとも1種類の水素化分解触媒組成物および水素と接触させる工程を含む。この水素化分解触媒組成物は、触媒担体およびその触媒担体上に配置された少なくとも1種類の水素化金属成分を含む。この触媒担体は、チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類のUSYゼオライトおよびこれもチタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類のベータゼオライトを含む。
【0009】
ここに記載された実施の形態の追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者に容易に明白となるか、またはその詳細な説明および以下に提供される特許請求の範囲を含む、ここに記載された実施の形態を実施することによって、認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の特別な実施の形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と共に読まれたときに、最もよく理解することができる。
【
図1】現在記載されている1つ以上の実施の形態による、非置換ベータゼオライトおよびTiZr-ベータゼオライトのUV-visスペクトル
【
図2】現在記載されている1つ以上の実施の形態による、非置換ベータゼオライトおよびTiZr-ベータゼオライトの細孔体積対孔径のグラフ
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態において、触媒組成物は、触媒担体およびその触媒担体上に配置された少なくとも1種類の水素化金属成分を含む。この触媒担体は、チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類のUSYゼオライト(以後、「TiZr-USYゼオライト」)およびこれもチタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類のベータゼオライト(以後、「TiZr-ベータゼオライト」)を含む。これから、前記方法の実施の形態をより詳しく説明する。
【0012】
ここに用いられているように、「炭化水素油」または「炭化水素原料」という用語は、ほとんどが炭化水素化合物の混合物からなる油性液体を称する。炭化水素油は、原油、合成原油、ビチューメン、オイルサンド、シェールオイル、または石油から得られる精製油を含むことがある。「精製油」という用語は、以下に限られないが、真空軽油(VGO)、溶剤脱歴プロセスから得られた脱アスファルト油(DAO)、脱金属油(DMO)、コーカープロセスから得られた軽質および/または重質コーカー軽油、流動接触分解(FCC)プロセスから得られた循環油、およびビスブレーキングプロセスから得られた軽油を含む。
【0013】
ここに用いられているように、「炭化水素」という用語は、完全に炭素原子と水素原子からなる化合物を称する。
【0014】
ここに用いられているように、「結晶格子定数」という用語は、結晶格子内の単位格子の物理的寸法を称する。結晶格子定数は、その全ての内容がここに引用される、「Standard Test Method for Determination of the Unit Cell Dimension of a Faujasite-Type Zeolite」と題するASTM D3942-03により決定することができる。ゼオライトベータは、正方晶系を有する。正方晶系を有する結晶は、その内の2つの長さが等しい、3つの互いに直交する軸を有する。結晶構造は、その最も単純な繰り返し単位、3つの平行移動により規定される単位格子a、bおよびc、並びに3つの角度α、βおよびγで定義することができる。構造における格子点(空間における同一点)を通る格子面を称することが大抵、都合良い。3つの軸(x、y、z)におけるこれらの格子面の切片の逆数が、ミラー指数(h、k、l)として知られており、三次元の格子面を記述するものである。回折の記載に特に関連する、隣接する格子面の間の間隔は、dhklと指定される。正方晶の場合、格子パラメータには、
a=b≠c
α=β=γ=90°
があり、式中、aは、Åで表されるhに関する単位格子寸法であり、bは、Åで表されるkに関する単位格子寸法であり、cは、Åで表されるlに関する単位格子寸法である。ベータゼオライトの結晶格子定数は、以下の等式:
【0015】
【0016】
を使用して、正方晶単位格子に基づいて決定され、式中、a、b、c、h、k、およびlは、先に定義されたものであり、dは、Åで表される既定の面に特異的な面間間隔である。
【0017】
ここに用いられているように、「比表面積」という用語は、単位質量当たりのゼオライトまたは触媒の全表面積を称する。比表面積は、その全ての内容がここに引用される、「Standard Test Method for Surface Area of Catalysts and Catalyst Carriers」と題するASTM D3663-03によって決定することができる。あるいは、比表面積は、ブルナウアー・エメット・テラー(「BET」)モデルを使用して決定してもよい。あるいは、比表面積は、その全ての内容がここに引用される、「Standard Test Method for Determining Micropore Volume and Zeolite Area of a Catalyst」と題するASTM D4365-19によって決定しても差し支えない。
【0018】
ここに用いられているように、「水素/油比」または「水素対油比」という用語は、供給物の体積に対する反応器を循環する水素の体積流量の標準的尺度を称する。水素/油比は、標準流量計を使用して、水素ガス流の流量と炭化水素供給物の流量を比較することによって、決定してもよい。
【0019】
ここに用いられているように、「液空間速度」または「LHSV」という用語は、触媒体積または質量に対する炭化水素供給物の液体流速の比を称する。
【0020】
1つの態様において、触媒組成物は、触媒担体および少なくとも1種類の水素化金属成分を含むことがある。実施の形態において、触媒組成物は、60質量%から99.99質量%の担体を含むことがある。例えば、触媒組成物は、65質量%から95質量%、60質量%から90質量%、65質量%から85質量%、またさらには70質量%から80質量%の担体を含むことがある。触媒組成物は、ここに記載されたそのような範囲の下限のいずれかから、ここに記載されたそのような範囲の上限のいずれかまでで形成された範囲の量で担体を含んでもよいことを理解すべきである。実施の形態において、触媒組成物は、0.01質量%から40質量%の水素化金属成分を含むことがある。例えば、触媒組成物は、1質量%から40質量%、5質量%から35質量%、10質量%から30質量%、またさらには15質量%から25質量%の水素化金属成分を含むことがある。触媒組成物は、ここに記載されたそのような範囲の下限のいずれかから、ここに記載されたそのような範囲の上限のいずれかまでで形成された範囲の量で水素化金属成分を含んでもよいことを理解すべきである。どの特定の理論でも束縛する意図はないが、触媒組成物中の水素化成分の量が、担体の量に対して多すぎると、触媒上の水素化金属の分散が最適ではなくなると考えられる。例えば、触媒組成物が40質量%超の水素化成分を含む場合、水素化金属は、担体上で凝集するかもしれない。
【0021】
触媒担体は、少なくとも1種類のUSYゼオライトおよび少なくとも1種類のベータゼオライトを含むことがある。ゼオライトの各タイプは、チタンとジルコニウムで置換された骨格を有することがある。実施の形態において、骨格置換は、ゼオライトに脱アルミニウムが行われ、続いて、Tiおよび/またはZrなどの遷移金属が挿入される、事後修飾プロセスによって行うことができる。その結果、チタンとジルコニウムで骨格置換されたゼオライトは、非置換ゼオライトと比べて、シリカ対アルミナ比(以後、「SAR」)が大きくなるであろう。どの特定の理論でも束縛する意図はないが、この事後修飾によりメソ多孔性が生じ、これにより、ゼオライトに、細孔内により大きい分子を受け入れる能力が与えられると考えられる。ここに用いられているように、「メソ多孔性」という用語は、ゼオライトが、2nmから50nmの直径を有する複数の細孔を含有することを意味する。また、メソ多孔性は、中位強度の酸部位の数を増やし、一方で、強酸部位の数を減らして、触媒表面上の水素化金属の分散を向上させると考えられる。
【0022】
実施の形態において、USYかベータいずれかのゼオライトの事後修飾は、以下のプロセスによって行われることがある。ゼオライトを、固体ゼオライトに対する液体の質量比が5から15になるように、懸濁液に入れることができる。懸濁液が2未満のpHを有するように、懸濁液に無機酸または有機酸を添加することができる。この酸性懸濁液に少なくとも1種類のジルコニウム化合物および少なくとも1種類のチタン化合物を加え、次いで、混合し、中和して、事後修飾触媒を確保する。チタンとジルコニウムで置換されたUSYゼオライト骨格を調製する例示のプロセスが、その全ての内容がここに引用される、米国特許第10293332号明細書に記載されている。チタンとジルコニウムで置換されたベータゼオライト骨格を調製する例示のプロセスが、その全ての内容がここに引用される、2019年10月1日に出願された米国特許出願第16/589719号明細書に記載されている。
【0023】
骨格置換は、例えば、紫外可視近赤外分光光度法(UV-Vis-NIRまたはUV-vis)、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)、または核磁気共鳴分光法(NMR)によって、モニタすることができる。例えば、ジルコニウム原子は、約200から約220nmの範囲でTiZr-ベータゼオライトのUV-visスペクトルに特徴的影響を生じることが公知である。
【0024】
実施の形態において、USYゼオライトおよびベータゼオライトは、両方の場合で酸化物基準で計算して、0.1質量%から5質量%のジルコニウムおよび0.1質量%から5質量%のチタンで独立して置換することができる。例えば、USYゼオライトおよびベータゼオライトは、0.5質量%から4.5質量%のジルコニウムおよび0.5質量%から4.5質量%のチタン、1質量%から4質量%のジルコニウムおよび1質量%から4質量%のチタン、1.5質量%から3.5質量%のジルコニウムおよび1.5質量%から3.5質量%のチタン、およびさらに2質量%から3質量%のジルコニウムおよび2質量%から3質量%のチタンで独立して置換することができる。ここに記載されたジルコニウム置換のどの量を、ここに記載されたチタン置換のどの量と共に使用しても差し支えないことを理解すべきである。さらに、ジルコニウムまたはチタンのいずれの置換の範囲も、ここに記載されたそのような置換の下限のいずれかと、ここに記載されたそのような置換の上限のいずれかにより形成されてもよいことを理解すべきである。
【0025】
どの特定の理論でも束縛する意図はないが、0.1質量%未満の量でジルコニウム化合物および/またはチタン化合物を添加しても、ゼオライトの固体酸特性を改善できないと考えられる。逆に、5質量%を超える量でジルコニウム化合物および/またはチタン化合物を添加しても、ゼオライトの活性はさらに改善されず、結果として得られる触媒の費用が余計に増加するであろう。
【0026】
実施の形態において、TiZr-USYゼオライトは、2.43nmから2.45nmの結晶格子定数を有することがある。例えば、このTiZr-USYゼオライトの結晶格子定数は、2.431nmから2.449nm、2.432nmから2.448nm、2.433nmから2.447nm、2.434nmから2.446nm、2.435nmから2.445nm、2.436nmから2.444nm、2.437nmから2.443nm、2.438nmから2.442nm、またさらには2.439nmから2.441nmであることがある。TiZr-USYゼオライトの結晶格子定数は、ここに記載されたそのような結晶格子定数の下限のいずれか1つから、ここに記載されたそのような結晶格子定数の上限のいずれか1つまでで形成された範囲にあってよいことを理解すべきである。TiZr-ベータゼオライトは、a=1.26nmから1.27nm、b=1.26nmから1.27nm、およびc=26.2nmから26.5nm、またはa=1.263nmから1.267nm、b=1.263nmから1.263nm、およびc=26.3nmから26.4nmの結晶格子定数を有することがある。TiZr-ベータゼオライトの結晶格子定数は、ここに記載されたそのような結晶格子定数の下限のいずれか1つから、ここに記載されたそのような結晶格子定数の上限のいずれか1つまでで形成される範囲内にあってよいことを理解すべきである。
【0027】
どの特定の理論でも束縛する意図はないが、2.43nm未満のTiZr-USYゼオライトの結晶格子定数は、最終的に形成される水素化分解触媒の活性を低下させるであろうと考えられる。そのような低下は、ゼオライトの骨格構造における高いSiO2/Al2O3モル比および炭化水素を分解するための活性部位の機能を果たす固体酸部位の数が少ないことの結果であると考えられる。反対に、2.45nmを超えるTiZr-USYゼオライトの結晶格子定数は、TiZr-USYゼオライトの低い耐熱性のために、水素化分解反応中にTiZr-USYゼオライトの結晶構造を破壊することがある。TiZr-USYゼオライトの結晶構造が破壊されると、最終的に形成される水素化分解触媒組成物の活性が低下するであろう。どの特定の理論でも束縛する意図はないが、TiZr-ベータゼオライトについて先に記載された最大結晶格子定数を上回ると、またTiZr-ベータゼオライトについて先に記載された最小結晶格子定数を下回ると、同様の影響を観察されるであろうと考えられる。
【0028】
実施の形態において、TiZr-USYゼオライトは、600m2/gから900m2/gの比表面積を有することがある。例えば、TiZr-USYゼオライトの比表面積は、610m2/gから890m2/g、620m2/gから880m2/g、630m2/gから870m2/g、640m2/gから860m2/g、650m2/gから850m2/g、660m2/gから840m2/g、670m2/gから830m2/g、680m2/gから820m2/g、690m2/gから810m2/g、700m2/gから800m2/g、710m2/gから790m2/g、720m2/gから780m2/g、730m2/gから770m2/g、またさらには740m2/gから760m2/gであることがある。TiZr-USYゼオライトの比表面積は、ここに記載されたそのような比表面積の下限のいずれか1つから、ここに記載されたそのような比表面積の上限のいずれか1つまでで形成された範囲内にあってよいことを理解すべきである。TiZr-ベータゼオライトは、400m2/gから800m2/gの比表面積を有することがある。例えば、TiZr-ベータゼオライトの比表面積は、410m2/gから790m2/g、420m2/gから780m2/g、430m2/gから770m2/g、440m2/gから760m2/g、450m2/gから750m2/g、460m2/gから740m2/g、470m2/gから730m2/g、480m2/gから720m2/g、490m2/gから710m2/g、500m2/gから700m2/g、510m2/gから690m2/g、520m2/gから680m2/g、530m2/gから670m2/g、540m2/gから660m2/g、550m2/gから650m2/g、560m2/gから640m2/g、570m2/gから630m2/g、580m2/gから620m2/g、またさらには590m2/gから610m2/gであることがある。TiZr-ベータゼオライトの比表面積は、ここに記載されたそのような比表面積の下限のいずれか1つから、ここに記載されたそのような比表面積の上限のいずれか1つまでで形成された範囲内にあってよいことを理解すべきである。
【0029】
どの特定の理論でも束縛する意図はないが、600m2/g未満のTiZr-USYゼオライトの比表面積および/または未満のTiZr-ベータゼオライトの比表面積は、利用できる固体酸部位の数が減少し、それによって、結果として得られる水素化分解触媒組成物の触媒活性が不十分なレベルまで低下するであろうと考えられる。
【0030】
実施の形態において、TiZr-USYゼオライトおよびTiZr-ベータゼオライトを含む触媒組成物は、200m2/gから450m2/gの比表面積を有することがある。例えば、TiZr-USYゼオライトおよびTiZr-ベータゼオライトを含む触媒組成物の比表面積は、210m2/gから440m2/g、220m2/gから430m2/g、230m2/gから420m2/g、240m2/gから410m2/g、250m2/gから400m2/g、260m2/gから390m2/g、270m2/gから380m2/g、280m2/gから370m2/g、290m2/gから360m2/g、300m2/gから350m2/g、310m2/gから340m2/g、またさらには320m2/gから330m2/gであることがある。TiZr-USYゼオライトおよびTiZr-ベータゼオライトを含む触媒組成物の比表面積は、ここに記載されたそのような比表面積の下限のいずれか1つから、ここに記載されたそのような比表面積の上限のいずれか1つまでで形成された範囲内にあってよいことを理解すべきである。どの特定の理論でも束縛する意図はないが、水素化分解速度は、比表面積が200m2/g未満である場合に低下し、中間蒸留物の収量が低下すると考えられる。しかしながら、比表面積が450m2/gを上回ると、水素化分解速度が速くなりすぎることがあり、生成物の選択性が望ましくないほど変わることがある。
【0031】
実施の形態において、TiZr-USYゼオライトは、10から100のSiO2対Al2O3のモル比を有することがある。例えば、TiZr-USYゼオライトは、11から99、12から98、13から97、14から96、15から95、16から94、17から93、18から92、19から91、20から90、21から89、22から88、23から87、24から86、25から85、26から84、27から83、28から82、29から81、30から80、31から79、32から78、33から77、34から76、35から75、36から74、37から73、38から72、39から71、40から70、41から69、42から68、43から67、44から66、45から65、46から64、47から63、48から62、49から61、50から60、51から59、52から58、53から57、またさらには54から56のSiO2対Al2O3のモル比を有することがある。TiZr-USYゼオライトのSiO2対Al2O3のモル比は、ここに記載されたそのような比の下限のいずれか1つから、ここに記載されたそのような比の上限のいずれか1つまでで形成される範囲内にあってよいことを理解すべきである。
【0032】
実施の形態において、TiZr-ベータゼオライトは、10から200のSiO2対Al2O3のモル比を有することがある。例えば、TiZr-ベータゼオライトは、15から195、20から190、25から185、20から180、25から175、30から170、35から165、40から160、45から155、50から150、55から145、60から140、65から135、70から130、75から125、80から120、85から115、90から110、またさらには95から105のSiO2対Al2O3のモル比を有することがある。TiZr-ベータゼオライトのSiO2対Al2O3のモル比は、ここに記載されたそのような比の下限のいずれか1つから、ここに記載されたそのような比の上限のいずれか1つまでで形成される範囲内にあってよいことを理解すべきである。
【0033】
実施の形態において、TiZr-USYゼオライトおよびTiZr-ベータゼオライトを含む触媒組成物は、600Å以下の直径を有する複数の細孔を含むことがある。600Å以下の直径を有するこれらの細孔は、0.4ml/gから0.75ml/gの体積を有する。例えば、細孔体積は、0.41ml/gから0.74ml/g、0.42ml/gから0.73ml/g、0.43ml/gから0.72ml/g、0.44ml/gから0.71ml/g、0.45ml/gから0.7ml/g、0.46ml/gから0.69ml/g、0.47ml/gから0.68ml/g、0.48ml/gから0.67ml/g、0.49ml/gから0.66ml/g、0.5ml/gから0.65ml/g、0.51ml/gから0.64ml/g、0.52ml/gから0.63ml/g、0.53ml/gから0.62ml/g、0.54ml/gから0.61ml/g、0.55ml/gから0.6ml/g、0.56ml/gから0.59ml/g、またさらには0.57ml/gから0.58ml/gの範囲にあることがある。600Å以下の直径を有する、TiZr-USYゼオライトおよびTiZr-ベータゼオライトを含む触媒組成物の細孔の細孔体積は、ここに記載されたそのような細孔体積の下限のいずれか1つから、ここに記載されたそのような細孔体積の上限のいずれか1つまでで形成される範囲内にあってよいことを理解すべきである。
【0034】
どの特定の理論でも束縛する意図はないが、細孔体積が0.40ml/g未満である場合、比表面積は減少すると考えられる。その結果、水素化分解触媒の活性と中間蒸留物の収量が減少する。反対に、細孔体積が0.75ml/gを超えると、比表面積は増加する。その結果、水素化分解速度と生成物の選択性が、不都合に変化することがある。
【0035】
実施の形態において、担体は、担体の全ゼオライト含有量に基づいて、70質量%から99質量%のTiZr-USYゼオライトおよび1質量%から30質量%のTiZr-ベータゼオライトを含むことがある。例えば、担体は、71質量%から98質量%、72質量%から97質量%、73質量%から96質量%、74質量%から95質量%、75質量%から94質量%、76質量%から93質量%、77質量%から92質量%、78質量%から91質量%、79質量%から90質量%、80質量%から89質量%、81質量%から88質量%、82質量%から87質量%、83質量%から86質量%、またさらには84質量%から85質量%のTiZr-USYゼオライトを含むことがある。さらなる例として、担体は、2質量%から29質量%、3質量%から28質量%、4質量%から27質量%、5質量%から26質量%、6質量%から25質量%、7質量%から24質量%、8質量%から23質量%、9質量%から22質量%、10質量%から21質量%、11質量%から20質量%、12質量%から19質量%、13質量%から18質量%、14質量%から17質量%、またさらには15質量%から16質量%のTiZr-ベータゼオライトを含むことがある。ここに記載されたどの量のTiZr-USYゼオライトを、ここに記載されたどの量のTiZr-ベータゼオライトと共に使用しても差し支えないことを理解すべきである。さらに、TiZr-USYゼオライトまたはTiZr-ベータゼオライトのいずれの範囲も、ここに記載されたそのようなゼオライト含有量の下限のいずれかから、ここに記載されたそのようなゼオライト含有量の上限のいずれかまでで形成されてもよいことを理解すべきである。
【0036】
実施の形態において、水素化金属成分は、2020年4月現在の国際純正・応用化学連合により番号が付けられた、元素の周期表の第6族および第8~11族の1つ以上の金属を含むことがある。例えば、水素化金属成分としては、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、および金の内の1つ以上を含むことがある。
【0037】
実施の形態において、触媒組成物は、他の添加剤を含むことがある。例えば、この触媒組成物は、上述したゼオライトに加え、1種類以上の無機酸化物を含むことがある。この無機酸化物は、造粒剤または結合剤の機能を果たすことがある。例示の無機酸化物としては、以下に限られないが、アルミナ、シリカ、チタニア、シリカ-アルミナ、アルミナ-チタニア、アルミナ-ジルコニア、アルミナ-ボリア、リン-アルミナ、シリカ-アルミナ-ボリア、リン-アルミナ-ボリア、リン-アルミナ-シリカ、シリカ-アルミナ-チタニア、およびシリカ-アルミナ-ジルコニアが挙げられる。
【0038】
実施の形態において、1種類以上の無機酸化物は、担体の一成分を構成することがある。実施の形態において、存在する骨格置換ゼオライトは、担体の1質量%から80質量%、10質量%から75質量%、20質量%から70質量%、またさらには30質量%から60質量%を構成することがある。実施の形態において、無機酸化物の含有量は、担体の98質量%から20質量%、90質量%から25質量%、80質量%から30質量%、またさらには70質量%から40質量%を占めることがある。骨格置換ゼオライトは、ここに記載されたそのような濃度の下限のいずれか1つから、ここに記載されたそのような濃度の上限のいずれか1つまでで形成される範囲内で存在してもよいことを理解すべきである。さらに、無機酸化物は、ここに記載されたそのような濃度の下限のいずれか1つから、ここに記載されたそのような濃度の上限のいずれか1つまでで形成される範囲内で存在してもよいことを理解すべきである。どの特定の理論でも束縛する意図はないが、触媒の機械的強度は、結合剤の量が20質量%を下回ると、減少するであろうし、触媒の分解能力は、ゼオライトの含有量が2質量%を下回ると、減少するであろうと考えられる。
【0039】
別の態様において、炭化水素油を水素化分解する方法は、炭化水素油流を水素化分解するために、反応器内で、少なくとも1種類の炭化水素油流を少なくとも1種類の水素化分解触媒組成物および水素と接触させる工程を含む。水素化分解触媒は、上述したようなものであってよい。すなわち、水素化分解触媒は、触媒担体およびその触媒担体上に配置された少なくとも1種類の水素化金属成分を含むことがある。この触媒担体は、少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトおよび少なくとも1種類のTiZr-ベータゼオライトを含むことがある。
【0040】
この反応器は、300℃から500℃の温度範囲内で作動することがある。例えば、反応器は、310℃から490℃、320℃から480℃、330℃から470℃、340℃から460℃、350℃から450℃、360℃から440℃、370℃から430℃、380℃から420℃、390℃から410℃、またさらには395℃から405℃の温度範囲内で作動することがある。反応器が、ここに記載されたそのような温度の下限のいずれか1つから、ここに記載されたそのような温度の上限のいずれか1つまでで形成される温度範囲内で作動することがあることを理解すべきである。
【0041】
炭化水素油は、375℃から833℃の沸点を有することがある。例えば、炭化水素油は、400℃から800℃、450℃から750℃、500℃から700℃、550℃から650℃、またさらには575℃から625℃の沸点を有することがある。炭化水素油が、ここに記載されたそのような温度の下限のいずれか1つから、ここに記載されたそのような温度の上限のいずれか1つまでで形成される温度範囲内の沸点を有してもよいことを理解すべきである。
【0042】
水素化分解プロセス中に飽和炭化水素を生成するために、水素が使用されることがある。水素は、3.5MPaから35MPaの圧力で反応器に添加されることがある。例えば、水素は、4MPaから34.5MPa、4.5MPaから34MPa、5MPaから33.5MPa、5.5MPaから33MPa、6MPaから32.5MPa、6.5MPaから32MPa、7MPaから31.5MPa、7.5MPaから31MPa、8MPaから30.5MPa、8.5MPaから30MPa、9MPaから29.5MPa、9.5MPaから29MPa、10MPaから28.5MPa、10.5MPaから28MPa、11MPaから27.5MPa、11.5MPaから27MPa、12MPaから26.5MPa、12.5MPaから26MPa、13MPaから25.5MPa、13.5MPaから25MPa、14MPaから24.5MPa、14.5MPaから24MPa、15MPaから23.5MPa、15.5MPaから23MPa、16MPaから22.5MPa、16.5MPaから22MPa、17MPaから21.5MPa、17.5MPaから21MPa、18MPaから20.5MPa、18.5MPaから20MPa、またさらには19MPaから19.5MPaの圧力で反応器に添加されることがある。水素が、ここに記載されたそのような圧力の下限のいずれか1つから、ここに記載されたそのような圧力の上限のいずれか1つまでで形成される圧力の範囲内で反応器に添加されてもよいことを理解すべきである。どの特定の理論でも束縛する意図はないが、プロセス性能は、それより低い水素圧力では著しく低下すると考えられる。反対に、高い水素圧力を使用するプロセスには、プロセスの費用を著しく増加させるであろう専用設備が必要になると考えられる。
【0043】
水素供給物および炭化水素油供給物は、反応器内の水素/油比が、500標準立方メートル(normal cubic meters)毎立方メートル(以後、「Nm3/m3」)から2500Nm3/m3であるように調製されることがある。ここで、標準立方メートルは、標準温度と圧力(0℃および0.1MPa)での立方メートルの体積と定義される。例えば、水素/油比は、550Nm3/m3から2450Nm3/m3、600Nm3/m3から2400Nm3/m3、650Nm3/m3から2350Nm3/m3、700Nm3/m3から2300Nm3/m3、750Nm3/m3から2250Nm3/m3、800Nm3/m3から2200Nm3/m3、850Nm3/m3から2150Nm3/m3、900Nm3/m3から2100Nm3/m3、950Nm3/m3から2050Nm3/m3、1000Nm3/m3から2000Nm3/m3、1050Nm3/m3から1950Nm3/m3、1100Nm3/m3から1900Nm3/m3、1150Nm3/m3から1850Nm3/m3、1200Nm3/m3から1800Nm3/m3、1250Nm3/m3から1750Nm3/m3、1300Nm3/m3から1700Nm3/m3、1250Nm3/m3から1650Nm3/m3、1300Nm3/m3から1500Nm3/m3、またさらには1350Nm3/m3から1450Nm3/m3であることがある。水素/油比が、ここに記載されたそのような比の下限のいずれか1つから、ここに記載されたそのような比の上限のいずれか1つまでで形成される比の範囲内にあってもよいことを理解すべきである。どの特定の理論でも束縛する意図はないが、プロセス性能は、それより低い水素/油比では著しく低下すると考えられる。反対に、高い水素/油比を使用するプロセスには、プロセスの費用を著しく増加させ、システム内のガスホールドアップを増加させ、それによって、プロセス性能を低下させるであろう専用設備が必要になると考えられる。
【0044】
反応器内の炭化水素供給物の液空間速度(以後、「LHSV」)は、0.1毎時から10毎時であることがある。例えば、液空間速度は、0.5毎時から9.5毎時、1毎時から9毎時、1.5毎時から8.5毎時、2毎時から8毎時、2.5毎時から7.5毎時、3毎時から7毎時、3.5毎時から6.5毎時、4毎時から6毎時、またさらには4.5毎時から5.5毎時であることがある。LHSVが、ここに記載されたLHSVの下限のいずれか1つから、ここに記載されたLHSVの上限のいずれか1つまでで形成される範囲内にあってよいことを理解すべきである。
【0045】
先に述べたように、水素化分解する方法は、1つ以上の反応器内で行われることがある。フロー式反応器がこのプロセスによく適しているが、ここに記載された主題はそのように限定されるものではない。例示のフロー式反応器としては、以下に限られないが、撹拌槽型反応器、沸騰床反応器、バッフル付きスラリー槽(baffled slurry tank)、固定床反応器、回転式管型反応器、スラリー床反応器、およびこれらの2つ以上の組合せが挙げられる。
【0046】
ある態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、触媒組成物は、触媒担体およびその触媒担体上に配置された少なくとも1種類の水素化金属成分を含む。この触媒担体は、チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類のUSYゼオライト(TiZr-USYゼオライト)およびこれもチタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類のベータゼオライト(TiZr-ベータゼオライト)を含む。
【0047】
第2の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトおよび少なくとも1種類のTiZr-ベータゼオライトの各々は、酸化物基準で計算して、0.1質量%から5質量%のジルコニウム原子および0.1質量%から5質量%のチタンで独立して置換されている。
【0048】
第3の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、少なくとも1種類の水素化金属成分は、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金、およびその2つ以上の組合せからなる群より選択される。
【0049】
第4の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトは、2.43nmから2.45nmの結晶格子定数を有する。
【0050】
第5の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトは、600m2/gから900m2/gの比表面積を有する。
【0051】
第6の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトおよび少なくとも1種類のTiZr-ベータゼオライトを含む触媒組成物は、200m2/gから450m2/gの比表面積を有する。
【0052】
第7の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトは、10から100のSiO2対Al2O3のモル比を有する。
【0053】
第8の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトおよび少なくとも1種類のTiZr-ベータゼオライトを含む触媒組成物は、600Å以下の直径を有する複数の細孔を含み、その細孔は、0.4ml/gから0.75ml/gの体積を有する。
【0054】
第9の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、少なくとも1種類の水素化金属成分は、触媒組成物の0.01質量%から40質量%を構成する。
【0055】
第10の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、少なくとも1種類のTiZr-ベータゼオライトは、a=1.26nmから1.27nm、b=1.26nmから1.27nm、およびc=26.2nmから26.5nmの結晶格子定数を有する。
【0056】
第11の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、少なくとも1種類のTiZr-ベータゼオライトは、400m2/gから800m2/gの比表面積を有する。
【0057】
第12の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、少なくとも1種類のTiZr-ベータゼオライトは、10から200のSiO2対Al2O3のモル比を有する。
【0058】
第13の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、触媒担体は、担体の全ゼオライト含有量に基づいて、70質量%から99質量%のTiZr-USYゼオライトを含む。
【0059】
第14の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、触媒担体は、担体の全ゼオライト含有量に基づいて、1質量%から30質量%のTiZr-ベータゼオライトを含む。
【0060】
第15の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、触媒担体は、合計で1質量%から80質量%のTiZr-USYゼオライトとTiZr-ベータゼオライトを含む。
【0061】
第16の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、炭化水素油を水素化分解する方法は、炭化水素油流を水素化分解するために、反応器内で少なくとも1種類の炭化水素油流を少なくとも1種類の水素化分解触媒組成物および水素と接触させる工程を含む。この水素化分解触媒組成物は、触媒担体およびその触媒担体上に配置された少なくとも1種類の水素化金属成分を含む。この触媒担体は、少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトおよび少なくとも1種類のTiZr-ベータゼオライトを含む。
【0062】
第17の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、反応器は、300℃から500℃の温度で作動する。
【0063】
第18の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、炭化水素油は、375℃から833℃の沸点を有する。
【0064】
第19の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、水素は、3.5MPaから35MPaの圧力で反応器に添加される。
【0065】
第20の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、反応器は、500Nm3/m3から2500Nm3/m3の水素/油比を有する。
【0066】
第21の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、反応器は、0.1毎時から10毎時の液空間速度を有する。
【0067】
第22の態様によれば、単独または任意の他の態様との組合せのいずれかで、反応器は、撹拌槽型反応器、沸騰床反応器、バッフル付きスラリー槽、固定床反応器、回転式管型反応器、スラリー床反応器、およびこれらの2つ以上の組合せからなる群より選択されるフロー式反応器を含む。
【実施例】
【0068】
上述した実施の形態を使用して、例示の触媒組成物を、以下のように、調製し、特徴付けた。
【0069】
骨格置換ゼオライトの合成および特徴付け
TiZr-USYゼオライトを、その全ての内容がここに引用される、米国特許第10293332号明細書に記載されているように調製した。
【0070】
TiZr-ベータゼオライトを、その全ての内容がここに引用される、2019年10月1日に出願された米国特許出願第16/589719号明細書に記載されているように調製した。手短に言えば、ベータゼオライトに、40℃で硫酸による酸処理を施した。酸懸濁ベータゼオライトに、硫酸チタンおよび硫酸ジルコニウムを加えて、それぞれ、1質量%のTiO
2および1質量%のZrO
2を生じた。得られた材料を、4時間に亘り撹拌した後、60℃の水で洗浄して、残留硫酸塩を除去した。JASCO V-679を使用したUV-Vis分析を行って、TiZr-ベータゼオライトを特徴付けた。
図1において非置換ベータゼオライトに対する200nm辺りのピークで示されるように、ベータゼオライト骨格中にチタンがうまく挿入された。さらに、TiZr-ベータゼオライトは、
図2の10nmの領域におけるピークの孔径で示されるように、酸処理に施された後にメソ多孔性を示し、この孔径は、非置換ベータゼオライトには存在しなかった。
【0071】
TiZr-ベータゼオライトを分析して、比表面積(SA)およびシリカ対アルミナ比(SAR)を決定し、存在したTiO2およびZrO2の濃度も決定した。非置換ベータゼオライトについても、SAおよびSARを決定した。SAは、上述したように決定することができる。定量的組成分析は、X線蛍光分光法(XRF)により決定し、そのXRFデータから、モル基準で、SARを導いた。これらの分析の結果が、表1に示されている。
【0072】
【0073】
触媒組成物の配合
5質量%のTiZr-ベータゼオライト、25質量%のTiZr-USYゼオライト、および70質量%のアルミナのみの結合剤を使用して、触媒組成物1を配合した。30質量%のTiZr-USYゼオライトおよび70質量%のアルミナのみの結合剤を使用して、触媒組成物2を配合した。この組み合わされたTiZr-USYゼオライトと結合剤を、「担体」と称する。触媒組成物の成分の濃度を規定する目的のために、触媒組成物1と触媒組成物2の両方について、ニッケルとモリブデンを含む水素化成分は、担体の成分として計算した。この水素化成分は、最終的な触媒組成物(触媒+金属)に関する濃度を与えるために、担体濃度に加えられている。例えば、100kgの担体および32kgの水素化成分を含有する触媒組成物は、全触媒組成物の24質量%で水素化成分を有することになるであろう。
【0074】
表2には、触媒組成物1と触媒組成物2の組成分析が与えられている。比表面積および細孔体積は、以下のように決定した。吸着測定装置(例えば、Quantachrome Instruments Corp.により製造されている全自動気体吸着装置「AUTOSORB-1」)を使用して、0.02から0.05gの試料(ゼオライトまたは触媒組成物)に5時間に亘り室温で脱気処理を行った。液体窒素温度下で吸脱着等温曲線を測定して、多点法のBET方程式を使用して、質量当たりの比表面積を計算した。さらに、BJH法により、窒素吸着等温曲線から細孔分布および細孔体積(孔径:600Å以下)を計算した。圧縮嵩密度を以下のように決定してもよい。試料を1時間に亘り500℃で予めか焼した。次に、試料をデシケーター内で冷却した。体積シリンダーに100gの乾燥試料を装填し、これを軽く叩いて詰めた。試料の体積から、圧縮嵩密度を、その体積で除算された試料の質量として計算した。
【0075】
【0076】
パイロットプラント水素化分解プロセス
真空軽油(VGO)供給物に関する水素化分解プロセスに、触媒組成物1と触媒組成物2の両方を使用した。VGOは、0.923g/cm3の密度、2.51質量%の硫黄含有量、および960ppmの窒素含有量を有していた。ナフサ分画は、C5カットポイントからの分画、すなわち、約32℃から145℃までの分画であると考えた。灯油分画は、145℃から260℃の分画であると考えた。軽油分画は、260℃から360℃の分画であると考えた。中間蒸留物分画は、145℃から360℃の分画であると考えた。未変換の底部分画は、360℃を上回る任意の分画であると考えた。
【0077】
水素化分解プロセスについて、パイロットプラントに100mlの市販の前処理触媒を装填し、続いて、100mlの触媒組成物1または触媒組成物2のいずれかを装填した。パイロットプラントに、水素を1000Nm3/m3の水素/油比で、13.5MPaの分圧で加えた。反応を、昇温の間に冷却を行わずに、連続して、360℃、375℃、390℃、および405℃で行った。
【0078】
表3には、50質量%の変換が観察された温度で表された、触媒組成物1および触媒組成物2の触媒活性の尺度が与えられている。また、表3には、各触媒組成物を使用して得られた様々な蒸留物の質量%も与えられている。
【0079】
【0080】
これらの結果は、全ての他の変数がかなり似ている場合、5質量%のTiZr-ベータゼオライトを含んだ触媒組成物1が、TiZr-USYゼオライトのみを含む触媒組成物2が、同じレベルの変換を達成した温度より2.3℃低い温度で50%の変換を達成したことを示している。それに加え、触媒組成物1は、中間蒸留物を消費して、0.3質量%多いC1~C4ガスおよび1.5質量%多いナフサを生じた。
【0081】
本開示の構成要素が、特定の方法で、特定の性質を具現化するために、または特定の方法で機能するために、「動作可能」または「十分」であるという本開示における記述は、目的の使途の記述とは対照的に、構造的記述であることに留意されたい。より具体的には、構成要素が「動作可能」または「十分」である方法に関する本開示の言及は、構成要素の既存の物理的状態を示し、それゆえ、構成要素の構造的特徴の明確な記述として解釈されるべきである。
【0082】
本開示の主題を詳細に、特定の実施の形態を参照して説明してきたが、本開示に開示された様々な詳細は、これらの詳細は、本開示に記載された様々な実施の形態の必須の構成要素である要素に関連することを暗示するものと解釈されるべきではないことに留意されたい。さらに、以下に限られないが、付随の特許請求の範囲に定義された実施の形態を含む本発明の範囲から逸脱せずに、改変および変更が可能であることが明らかであろう。
【0083】
名詞は、特に明記のない限り、複数の対象を含む。
【0084】
本開示を通じて、範囲が提供されている。範囲によって包含される各離散値もまた、包含されることが想定される。さらに、明白に開示された範囲に包含される各離散値によって形成され得る範囲も、同様に想定される。
【0085】
本開示および添付の特許請求の範囲で使用されるように、「構成する」、「有する」および「含む」という用語、並びにそれらの全ての文法的変形の各々は、追加の要素または工程を除外しない、開放的で非限定的な意味を有する意図がある。
【0086】
本開示で使用されるように、「第1」および「第2」などの用語は、任意に割り当てられ、単に2つ以上の場合または構成要素を区別することを意図している。「第1」および「第2」という単語は、他の目的を果たさず、構成要素の名称や説明の一部ではなく、また、構成要素の相対的な場所、位置、または順序を必ずしも定義するものではないことを理解すべきである。さらに、「第1」および「第2」という用語の単なる使用は、任意の「第3」の構成要素が存在することを必要としないが、その可能性は本開示の範囲内で考えられることを理解すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
本開示で使用されるように、「第1」および「第2」などの用語は、任意に割り当てられ、単に2つ以上の場合または構成要素を区別することを意図している。「第1」および「第2」という単語は、他の目的を果たさず、構成要素の名称や説明の一部ではなく、また、構成要素の相対的な場所、位置、または順序を必ずしも定義するものではないことを理解すべきである。さらに、「第1」および「第2」という用語の単なる使用は、任意の「第3」の構成要素が存在することを必要としないが、その可能性は本開示の範囲内で考えられることを理解すべきである。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
触媒組成物であって、
触媒担体、および
前記触媒担体上に配置された少なくとも1種類の水素化金属成分、
を含み、
前記触媒担体は、
チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類の超安定Y型ゼオライト(TiZr-USYゼオライト)、および
チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類のベータゼオライト(TiZr-ベータゼオライト)、
を含む、触媒組成物。
実施形態2
前記少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトおよび前記少なくとも1種類のTiZr-ベータゼオライトの各々が、酸化物基準で計算して、0.1質量%から5質量%のジルコニウムおよび0.1質量%から5質量%のチタンで独立して置換されている、実施形態1に記載の触媒組成物。
実施形態3
前記少なくとも1種類の水素化金属成分が、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金、およびその2つ以上の組合せからなる群より選択される、実施形態1または2に記載の触媒組成物。
実施形態4
前記少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトが、2.43nmから2.45nmの結晶格子定数を有する、実施形態1から3いずれか1つに記載の触媒組成物。
実施形態5
前記少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトが、10から100のSiO
2
対Al
2
O
3
のモル比を有する、実施形態1から4いずれか1つに記載の触媒組成物。
実施形態6
前記少なくとも1種類の水素化金属成分が、前記触媒組成物の0.01質量%から40質量%を構成する、実施形態1から5いずれか1つに記載の触媒組成物。
実施形態7
前記触媒担体が、該担体の全ゼオライト含有量に基づいて、70質量%から99質量%のTiZr-USYゼオライトを含む、実施形態1から6いずれか1つに記載の触媒組成物。
実施形態8
前記触媒担体が、該担体の全ゼオライト含有量に基づいて、1質量%から30質量%のTiZr-ベータゼオライトを含む、実施形態1から7いずれか1つに記載の触媒組成物。
実施形態9
前記触媒担体が、合計で1質量%から80質量%のTiZr-USYゼオライトとTiZr-ベータゼオライトを含む、実施形態1から8いずれか1つに記載の触媒組成物。
実施形態10
炭化水素油を水素化分解する方法であって、
炭化水素油流を水素化分解するために、反応器内で少なくとも1種類の炭化水素油流を少なくとも1種類の水素化分解触媒組成物および水素と接触させる工程、
を含み、
前記水素化分解触媒組成物は、
触媒担体、および
前記触媒担体上に配置された少なくとも1種類の水素化金属成分、
を含み、
前記触媒担体は、
チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類の超安定Y型ゼオライト(TiZr-USYゼオライト)、および
チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類のベータゼオライト(TiZr-ベータゼオライト)、
を含む、方法。
実施形態11
前記反応器が、300℃から500℃の温度で作動する、実施形態10に記載の方法。
実施形態12
前記炭化水素油が、375℃から833℃の沸点を有する、実施形態10または11に記載の方法。
実施形態13
前記水素が、3.5MPaから35MPaの圧力で前記反応器に添加される、実施形態10から12いずれか1つに記載の方法。
実施形態14
前記反応器が、500Nm
3
/m
3
から2500Nm
3
/m
3
の水素/油比を有する、実施形態10から13いずれか1つに記載の方法。
実施形態15
前記反応器が、0.1毎時から10毎時の液空間速度を有する、実施形態10から14いずれか1つに記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒組成物であって、
触媒担体、および
前記触媒担体上に配置された少なくとも1種類の水素化金属成分、
を含み、
前記触媒担体は、
チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類の超安定Y型ゼオライト(TiZr-USYゼオライト)、および
チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類のベータゼオライト(TiZr-ベータゼオライト)、
を含む、触媒組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトおよび前記少なくとも1種類のTiZr-ベータゼオライトの各々が、酸化物基準で計算して、0.1質量%から5質量%のジルコニウムおよび0.1質量%から5質量%のチタンで独立して置換されている、請求項1記載の触媒組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種類の水素化金属成分が、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金、およびその2つ以上の組合せからなる群より選択される、
請求項1記載の触媒組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトが、2.43nmから2.45nmの結晶格子定数を有する、請求項1から3いずれか1項記載の触媒組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種類のTiZr-USYゼオライトが、10から100のSiO
2対Al
2O
3のモル比を有する、請求項1から
3いずれか1項記載の触媒組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種類の水素化金属成分が、前記触媒組成物の0.01質量%から40質量%を構成する、請求項1から
3いずれか1項記載の触媒組成物。
【請求項7】
前記触媒担体が、該担体の全ゼオライト含有量に基づいて、70質量%から99質量%のTiZr-USYゼオライトを含む、請求項1から
3いずれか1項記載の触媒組成物。
【請求項8】
前記触媒担体が、該担体の全ゼオライト含有量に基づいて、1質量%から30質量%のTiZr-ベータゼオライトを含む、請求項1から
3いずれか1項記載の触媒組成物。
【請求項9】
前記触媒担体が、合計で1質量%から80質量%のTiZr-USYゼオライトとTiZr-ベータゼオライトを含む、請求項1から
3いずれか1項記載の触媒組成物。
【請求項10】
炭化水素油を水素化分解する方法であって、
炭化水素油流を水素化分解するために、反応器内で少なくとも1種類の炭化水素油流を少なくとも1種類の水素化分解触媒組成物および水素と接触させる工程、
を含み、
前記水素化分解触媒組成物は、
触媒担体、および
前記触媒担体上に配置された少なくとも1種類の水素化金属成分、
を含み、
前記触媒担体は、
チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類の超安定Y型ゼオライト(TiZr-USYゼオライト)、および
チタンとジルコニウムで置換された骨格を有する少なくとも1種類のベータゼオライト(TiZr-ベータゼオライト)、
を含む、方法。
【請求項11】
前記反応器が、300℃から500℃の温度で作動する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記炭化水素油が、375℃から833℃の沸点を有する、
請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記水素が、3.5MPaから35MPaの圧力で前記反応器に添加される、請求項10から12いずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記反応器が、500Nm
3/m
3から2500Nm
3/m
3の水素/油比を有する、請求項10から
12いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記反応器が、0.1毎時から10毎時の液空間速度を有する、請求項10から
12いずれか1項記載の方法。
【国際調査報告】