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特表2023-535576eEF1A2の遺伝子治療ベクターおよびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-18
(54)【発明の名称】eEF1A2の遺伝子治療ベクターおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/864 20060101AFI20230810BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230810BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20230810BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20230810BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230810BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230810BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20230810BHJP
   A61K 38/18 20060101ALN20230810BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
A61K48/00
A61K35/76
A61P25/08
A61P25/00
A61P21/00
C12N15/12 ZNA
A61K38/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504517
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(85)【翻訳文提出日】2023-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2021070455
(87)【国際公開番号】W WO2022018171
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】63/055,775
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521047960
【氏名又は名称】ユーシーエル ビジネス エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】UCL Business Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ワディントン サイモン ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】カルダ ラジヴィンダー
(72)【発明者】
【氏名】ハルツォク クリストファー ディーン
(72)【発明者】
【氏名】エング ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】サクラメント チェスター
(72)【発明者】
【氏名】ショルジ ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】リックス デイビッド
【テーマコード(参考)】
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA13
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084CA18
4C084DB52
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA061
4C084ZA062
4C084ZA941
4C084ZA942
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA08
4C087CA12
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA02
4C087ZA06
4C087ZA94
(57)【要約】
本明細書では、eEF1A2タンパク質またはその機能的バリアントを発現するためのベクターとして組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンを使用した、神経疾患のための遺伝子治療が提供される。rAAVビリオンは、ニューロン特異的プロモーター、例えば、ヒトシナプシン1(hSYN)プロモーターを使用してもよい。キャプシドは、AAV9キャプシドまたはその機能的バリアントであってもよい。他のプロモーターまたはキャプシドを使用してもよい。さらに、rAAVビリオンの大脳内および/または静脈内などによる治療方法、ならびにその他の組成物および方法が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャプシドおよびベクターゲノムを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンであって、前記ベクターゲノムが、プロモーターに作動可能に連結されたeEF1A2タンパク質またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列を含む、前記組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオン。
【請求項2】
前記プロモーターが、ニューロン特異的プロモーターである、請求項1に記載のrAAVビリオン。
【請求項3】
前記プロモーターが、汎神経細胞プロモーターである、請求項1または請求項2に記載のrAAVビリオン。
【請求項4】
前記プロモーターが、シナプシン1プロモーターである、請求項1~3のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項5】
前記シナプシン1プロモーターが、ヒトシナプシン1(hSYN)プロモーターである、請求項4に記載のrAAVビリオン。
【請求項6】
前記hSYNプロモーターが、配列番号3と少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含む、請求項5に記載のrAAVビリオン。
【請求項7】
前記hSYNプロモーターが、配列番号3と少なくとも95%または少なくとも99%の同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含む、請求項6に記載のrAAVビリオン。
【請求項8】
前記hSYNプロモーターが、配列番号3のポリヌクレオチド配列を含む、請求項7に記載のrAAVビリオン。
【請求項9】
前記プロモーターが、eSYNプロモーターである、請求項1~3のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項10】
前記eSYNプロモーターが、配列番号64と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または100%の同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含む、請求項9に記載のrAAVビリオン。
【請求項11】
前記eEF1A2タンパク質をコードする前記ポリヌクレオチド配列が、配列番号2と少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の同一性を共有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項12】
前記eEF1A2タンパク質をコードする前記ポリヌクレオチド配列が、配列番号2と少なくとも95%または少なくとも99%の同一性を共有する、請求項11に記載のrAAVビリオン。
【請求項13】
前記eEF1A2タンパク質をコードする前記ポリヌクレオチド配列が、配列番号2のポリヌクレオチド配列を含む、請求項12に記載のrAAVビリオン。
【請求項14】
前記eEF1A2タンパク質が、配列番号1と少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の同一性を共有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項15】
前記eEF1A2タンパク質が、配列番号1と少なくとも95%または少なくとも99%の同一性を共有する、請求項14に記載のrAAVビリオン。
【請求項16】
前記eEF1A2タンパク質が、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む、請求項15に記載のrAAVビリオン。
【請求項17】
前記プロモーターが、シナプシン1プロモーターである、請求項15に記載のrAAVビリオン。
【請求項18】
前記シナプシン1プロモーターが、ヒトシナプシン1(hSYN)プロモーターである、請求項17に記載のrAAVビリオン。
【請求項19】
前記hSYNプロモーターが、配列番号3と少なくとも95%の同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含む、請求項18に記載のrAAVビリオン。
【請求項20】
前記プロモーターが、構成的プロモーターである、請求項1または11~15のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項21】
前記プロモーターが、CAGプロモーターであり、任意選択的に、前記CAGプロモーターが、配列番号14と少なくとも95%の同一性を共有する、請求項1、11~15、または20のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項22】
前記プロモーターが、CMVプロモーターであり、任意選択的に、前記CMVプロモーターが、配列番号16または17と少なくとも95%同一の配列を含む、請求項1、11~15、または20のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項23】
前記ベクターゲノムが、ポリアデニル化(ポリA)部位を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項24】
前記ポリA配列が、bGHポリアデニル化部位である、請求項23に記載のrAAVビリオン。
【請求項25】
前記bGHポリアデニル化部位が、配列番号53と少なくとも95%の同一性を共有する、請求項24に記載のrAAVビリオン。
【請求項26】
前記ポリA配列が、hGHポリアデニル化部位である、請求項23に記載のrAAVビリオン。
【請求項27】
前記hGHポリアデニル化部位が、配列番号54と少なくとも95%の同一性を共有する、請求項26に記載のrAAVビリオン。
【請求項28】
前記ベクターゲノムが、WPRE(x)エレメントを含む、請求項1~27のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項29】
前記WPRE(x)エレメントが、配列番号42と少なくとも95%の同一性を共有する、請求項28に記載のrAAVビリオン。
【請求項30】
前記WPRE(x)エレメントが、配列番号41または配列番号43と少なくとも95%の同一性を共有する、請求項28に記載のrAAVビリオン。
【請求項31】
前記ベクターゲノムが、コザック配列を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項32】
前記コザック配列が、配列番号10である、請求項31に記載のrAAVビリオン。
【請求項33】
前記ベクターゲノムが、配列番号32~40の一つまたは複数と少なくとも95%の同一性を共有する5’非翻訳領域(UTR)を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項34】
前記ベクターゲノムが、配列番号41~49の一つまたは複数と少なくとも95%の同一性を共有する3’非翻訳領域(UTR)を含む、請求項1~33のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項35】
前記ベクターゲノムが、配列番号19または配列番号20と少なくとも95%同一の配列を有する5’逆位末端反復(ITR)を含む、請求項1~34のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項36】
前記ベクターゲノムが、配列番号21または配列番号63と少なくとも95%同一の配列を有する3’逆位末端反復(ITR)を含む、請求項1~35のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項37】
前記CAGプロモーターが、配列番号14と少なくとも95%の同一性を共有する、請求項21に記載のrAAVビリオン。
【請求項38】
前記キャプシドが、AAV9キャプシドまたはその機能的バリアントである、請求項1~36のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項39】
前記キャプシドが、配列番号15と少なくとも98%、99%、または100%の同一性を共有する、請求項1~38のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項40】
前記ベクターゲノムが、発現カセットを含み、前記発現カセットが、5’から3’の順序で、
a.HuBAプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、およびpAグロビン-Oc;
b.CMVプロモーター、TPL-eMLPエンハンサー、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、およびpAグロビン-Oc;
c.Synプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、3’UTR(グロビン)およびpAGH-Bt;
d.CBAプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、およびpAGH-Bt;
e.EF1αプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、およびpAグロビン-Oc;
f.HuBAプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、およびpAGH-Bt;
g.Synプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、3’UTR(グロビン)およびpAGH-Hs;
h.CaMKIIaプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、およびpAGH-Hs;
i.CMVプロモーター、TPL-eMLPエンハンサー、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、およびpAGH-Hs;
j.HuBAプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、およびpAGH-Hs;
k.CMVプロモーター、TPL/eMLPエンハンサー、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR (グロビン)、およびpAGH-Bt;
l.EF1αプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、およびpAGH-Bt;
m.Synプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、およびpAグロビン-Oc;
n.CaMKIIaプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、およびpAグロビン-Oc;
o.CBAプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、3’UTR(グロビン)およびpAGH-Hs;
p.CBAプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、3’UTR(グロビン)、およびpAグロビン-Oc;
q.CaMKIIaプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、およびpAGH-Bt;
r.EF1αプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、およびpAGH-Hs;
s.CMVプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、およびpAGH-Hs;
t.CMVプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、およびpAGH-Hs;
u.hSYNプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、およびpAGH-Bt;
v.hSYNプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、およびpAGH-Hs;
w.hSYNプロモーター、コザック、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、およびpAGH-Hs;
x.CAGプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、およびpAGH-Hs;
y.CAGプロモーター、コザック、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、およびpAGH-Hs;
z.hSYNプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、およびpAGH-Bt;
aa.hSYNプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、およびpAGH-Hs;
bb.hSYNプロモーター、コザック、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、およびpAGH-Hs;
cc.CAGプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、およびpAGH-Hs;または
dd.CAGプロモーター、コザック、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、およびpAGH-Hs
を含む、請求項1~39のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項41】
前記ベクターゲノムが、配列番号55~58または配列番号65~68のいずれか一つと少なくとも90%、95%、99%、または100%の同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含むか、前記ポリヌクレオチド配列から本質的になるか、または前記ポリヌクレオチド配列からなる、請求項1~40のいずれか一項に記載のrAAVビリオン。
【請求項42】
その必要のある対象において神経疾患または障害を治療および/または予防する方法であって、請求項1~41のいずれか一項に記載のrAAVビリオンを前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項43】
前記対象が、EEF1A2遺伝子に一つまたは複数の変異を有するか、または有する疑いがある、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記神経疾患または障害が、てんかんを含む、請求項42または請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記神経疾患または障害が、知的障害を含む、請求項42~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記神経疾患または障害が、自閉症を含む、請求項42~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記投与する工程が、脳室内投与を含む、請求項42~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記投与する工程が、静脈内投与を含む、請求項42~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記投与する工程が、脳室内投与および静脈内投与の両方を同時または順次含む、請求項42~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記対象が哺乳動物である、請求項42~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
未処置の対照対象と比較して、前記対象における神経学的パフォーマンスの低下を防止する、請求項42~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記方法が、筋力および/または運動技能を改善し、任意選択的に筋力および/または運動技能が、インバーテッドグリッド試験またはロータロッド試験を使用して評価される、請求項24~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
その必要のある対象の脳内でeEF1A2を発現させる方法であって、請求項1~41のいずれか一項に記載のrAAVビリオンを前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項54】
前記方法が、前脳においてより高い発現を引き起こし、任意選択的に、前記発現が、hSYNプロモーター、コザック配列、eEF1A2導入遺伝子、および/またはヒトグロブリンポリアデニル化配列(hGH)を含むベクターゲノムを含む参照ベクターと比較される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記方法が、皮質においてより高い発現を引き起こし、任意選択的に、前記発現が、hSYNプロモーター、コザック配列、eEF1A2導入遺伝子、および/またはヒトグロブリンポリアデニル化配列(hGH)を含むベクターゲノムを含む参照ベクターと比較される、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記rAAVビリオンの前記ベクターゲノムが、コザック配列を含まない、請求項53~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記rAAVビリオンの前記ベクターゲノムが、ヒトグロブリンポリアデニル化配列(hGH)を含まない、請求項53~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記rAAVビリオンの前記ベクターゲノムが、ウシグロブリンポリアデニル化配列(bGH)を含む、請求項53~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記対象が、EEF1A2遺伝子に一つまたは複数の変異を有するか、または有する疑いがある、請求項53~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記対象が、神経疾患または障害に罹患しているか、またはそのリスクがある、請求項53~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記神経疾患または障害が、てんかんを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記神経疾患または障害が、知的障害を含む、請求項60または請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記神経疾患または障害が、自閉症を含む、請求項60~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記投与する工程が、脳室内投与を含む、請求項53~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記投与する工程が、静脈内投与を含む、請求項53~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記投与する工程が、脳室内投与および静脈内投与の両方を同時または順次含む、請求項53~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記対象が哺乳動物である、請求項53~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
未処置の対照対象と比較して、前記対象における神経学的パフォーマンスの低下を防止する、請求項53~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記方法が、筋力および/または運動技能を改善し、任意選択的に筋力および/または運動技能が、インバーテッドグリッド試験またはロータロッド試験を使用して評価される、請求項53~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
請求項1~41のいずれか一項に記載のrAAVビリオンを含む、医薬組成物。
【請求項71】
請求項1~41のいずれか一項に記載のrAAVビリオンと、使用説明書とを含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月23日に出願された米国仮特許出願第63/055,775号の優先利益を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表に関する記述
本出願に関連する配列表は、紙のコピーの代わりにテキスト形式で提供され、参照により本明細書中に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名前は、ROPA_019_02WO_ST25.txtである。テキストファイルは約101キロバイトで、2021年7月20日に作成され、EFS-Webを介して電子的に提出されている。
【背景技術】
【0003】
背景
EEF1A2遺伝子は、タンパク質合成、アポトーシスの抑制、およびアクチン機能と細胞骨格構造の調節に関与するタンパク質である真核生物伸長因子1、アルファ-2(eEF1A2)をコードする。マウスおよびヒトのオルソログは、463アミノ酸位置のうちの462で同一性を共有する。EEF1A2は、卵巣癌で過剰発現するため、潜在的な発癌遺伝子である。卵巣癌に関する研究では、EEF1A2をコードするレンチウイルスベクターを実験的に使用して、不死化卵巣表面上皮(IOSE)細胞を形質導入し、それによって、eEF1A2が非腫瘍形成性の前駆細胞における腫瘍形成を促進することを実証した。Sun et al.Int J Cancer.123(8):1761-176(2008)(非特許文献1)。
【0004】
EEF1A2は、中枢神経系(CNS)、ならびに心臓および筋肉において高度に発現する。マウスでのEef1a2の完全喪失は、運動神経変性を引き起こす。これは、遺伝子型がwstと称される、「廃棄物」と呼ばれる表現型である。Davies et al.Sci Rep.7:46019(2017)(非特許文献2)。ヒトEEF1A2遺伝子の点変異は、最近、てんかん、知的障害、および/または自閉症を様々に引き起こすことが実証されている。Cao et al.Human Molecular Genetics.26(18):3545-3552(2017)(非特許文献3);Lam et al.Mol Genet Genomic Med.4(4):465-74(2016)(非特許文献4);Nakajima et al.Clin Genet.87(4):356-61(2015)(非特許文献5)。
【0005】
細菌人工染色体(BAC)上に野生型Eef1a2を担持するトランスジェニックマウスを用いた実験により、野生型Eefl1a2が、発生中に存在する場合、wst遺伝子型を補完することが確認された。Newbury et al.J.Bio.Chem.282:2891-50(2007)(非特許文献6)。
【0006】
EEF1A2関連疾患は稀である。EEF1A2に変異があると特定されたのは、世界中で約100人のみである。疾患の病因は未だ十分に理解されていない。したがって、野生型EEF1A2の出生後発現による疾患表現型の救済が達成されるか否かは不明である。さらに、CNSへの遺伝子治療の送達は困難かつ予測不可能である。
【0007】
EEF1A2関連疾患に対する治療についての満たされていないニーズがある。本明細書中で提供する遺伝子治療によってこのニーズに対処する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Sun et al.Int J Cancer.123(8):1761-176(2008)
【非特許文献2】Davies et al.Sci Rep.7:46019(2017)
【非特許文献3】Cao et al.Human Molecular Genetics.26(18):3545-3552(2017)
【非特許文献4】Lam et al.Mol Genet Genomic Med.4(4):465-74(2016)
【非特許文献5】Nakajima et al.Clin Genet.87(4):356-61(2015)
【非特許文献6】Newbury et al.J.Bio.Chem.282:2891-50(2007)
【発明の概要】
【0009】
概要
本発明は、概して、eEF1A2をコードするポリヌクレオチドまたはその機能的バリアントのアデノ随伴ウイルス(AAV)ベースの送達を用いた神経疾患または障害のための遺伝子治療に関する。
【0010】
一態様では、本開示は、キャプシドおよびベクターゲノムを含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンを提供し、当該ベクターゲノムは、プロモーターに作動可能に連結されたeEF1A2タンパク質またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列を含む。プロモーターは、ニューロン特異的プロモーター、例えば、ヒトシナプシン1(hSYN)プロモーターであってもよい。キャプシドは、AAV9キャプシドまたはその機能的バリアントであってもよい。他のプロモーターまたはキャプシドを使用してもよい。
【0011】
別の態様では、本開示は、本開示のrAAVビリオンまたはその医薬組成物を、対象に投与することを含む、その必要のある対象において神経疾患または障害を治療および/または予防する方法を提供する。rAAVビリオンは、大脳内および/または静脈内に投与され得る。
【0012】
別の態様では、本開示は、本開示のrAAVビリオンまたはその医薬組成物を、対象に投与することを含む、その必要のある対象の脳でeEF1A2を発現させる方法を提供する。rAAVビリオンは、大脳内および/または静脈内に投与され得る。
【0013】
さらなる態様では、本開示は、ポリヌクレオチド(例えば、ベクターゲノム)、医薬組成物、キット、および他の組成物および方法を提供する。
【0014】
様々な他の態様および実施形態が、続く詳細な説明において開示されている。本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、疾患に関連する点変異を示すeEF1A2のドメイン図を示す。
図2図2は、ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。
図3図3は、ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。
図4図4は、ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。
図5図5は、ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。
図6図6は、ベクターゲノムの非限定的な例のベクター図を示す。
図7図7は、AAV9-hSyn-eEF1A2-2A-eGFPまたは対照を、新生児の大脳内(IC)または静脈内(IV)に注射した後のマウスの免疫蛍光顕微鏡写真を示す。スケールバー、300μm。
図8A図8Aは、AAV9-hSyn-eEF1A2-2A-eGFPまたは対照を、新生児の大脳内(IC)または静脈内(IV)に注射した後のマウスの免疫組織化学的分析を示す。
図8B図8Bは、同じスライドの拡大図を示す。スケールバー、300μm。
図9-1】図9Aは、未処置のwst/wst(ヌル)マウスの生存を、大脳内(IC)、静脈内(IV)、または両方の組み合わせ(IC+IV)で処置したマウスと比較して示す。図9Bは、未処置のwst/wst(ヌル)マウスの体重減少を、大脳内(IC)、静脈内(IV)、または両方の組み合わせ(IC+IV)で処置したマウスと比較して示す。図9Cは、未処置のwst/wst(ヌル)マウスのロータロッド試験を、大脳内(IC)、静脈内(IV)、または両方の組み合わせ(IC+IV)で処置したマウスと比較して示す。図9Dは、未処置のwst/wst(ヌル)マウスのインバーテッドグリッド試験を、大脳内(IC)、静脈内(IV)、または両方の組み合わせ(IC+IV)で処置したマウスと比較して示す。
図9-2】図9Eは、未処置のwst/wst(ヌル)マウスのeEF1A2発現を、大脳内(IC)、静脈内(IV)、または両方の組み合わせ(IC+IV)で処置したマウスと比較して示す。スケールバー、125μm。図9Fは、未処置のwst/wst(ヌル)マウスのeEF1A2発現を、大脳内(IC)、静脈内(IV)、または両方の組み合わせ(IC+IV)で処置したマウスと比較して示す。
図10-1】図10A図10Kは、図2(「V1」)、図3(「V2」)、図4 (「V3」)および図6(「V4」)に示すベクターゲノムを含む、AAV9ベクターを、2e1011vg/動物で投与した場合の比較を示す。図10Aは、V1、V2、V3、およびV4遺伝子治療で処置された、FBS処置野生型、wst/wst、脳室内処置wst/wst動物のカプラン・マイヤー生存プロットを示す。図10Bは、マウスの体重を示す(データ平均±S.E.M.)。動物は、出生後35日まで毎日、その後は、定時犠牲点P60または人道的エンドポイントの15%体重減少まで毎週計量された。図10Cは、P15日目のインバーテッドグリッドによる筋力評価を示す。図10Dは、P15日目のロータロッドによる筋力評価を示す。
図10-2】図10A図10Kは、図2(「V1」)、図3(「V2」)、図4 (「V3」)および図6(「V4」)に示すベクターゲノムを含む、AAV9ベクターを、2e1011vg/動物で投与した場合の比較を示す。図10Eは、P23日目のインバーテッドグリッドによる筋力評価を示す。図10Fは、P23日目のロータロッドによる筋力評価を示す。
図10-3】図10A図10Kは、図2(「V1」)、図3(「V2」)、図4 (「V3」)および図6(「V4」)に示すベクターゲノムを含む、AAV9ベクターを、2e1011vg/動物で投与した場合の比較を示す。図10Gは、野生型FBS(製剤緩衝液)を生理学的基準として用いたフリーフローティング免疫組織化学による、脳全体にわたるeEF1A2の代表的な免疫染色を示す(群当たりn=4~5、スケールバー250μm)。図10Hは、eEF1A2を共発現するニューロン(NeuNマーカー)の皮質脳領域における代表的な免疫組織蛍光を示す(群当たりn=4.5、200μm)。
図10-4】図10A図10Kは、図2(「V1」)、図3(「V2」)、図4 (「V3」)および図6(「V4」)に示すベクターゲノムを含む、AAV9ベクターを、2e1011vg/動物で投与した場合の比較を示す。図10Iは、脳におけるeEF1A2の代表的な免疫ブロットを示し、定量化は、V4ベクターと比較して、中脳、小脳、および後脳領域でより高い発現を有するすべての遺伝子治療ベクターで達成された脳全体のeEF1A2発現を示す(データ平均±S.E.M、二元配置分散分析)。図10Jは、前脳におけるヒトeEF1A2転写物発現のqPCRを示し、V1ベクターで最も高いmRNA発現を示す(データ平均±S.E.M、二元配置分散分析)。図10Kは、皮質におけるヒトeEF1A2皮質発現のqPCRを示し、V1ベクターで最も高いmRNA発現を示す(データ平均±S.E.M、二元配置分散分析)。
図11A図11Aは、FBS処置野生型、FBS処置D252H/+、ノックアウト(D252H-/-)、脳室内V3遺伝子治療処置D252H-/-(野生型FBSn=12、D252H/+FBSn=5、D252H-/-FBSn=4および2x1011vg/仔、V3処置n=5)のカプラン・マイヤー生存プロットを示す。
図11B図11Bは、経時的な体重を示す(データ平均、±S.E.M.、一元配置分散分析、およびダネットの多重比較)。
図11C図11Cは、ロータロッドによる運動評価を示す(データ平均±S.E.M.、二元配置分散分析、およびダネットの多重比較)。
図12-1】図12Aは、V3高用量(2×1011vg/仔、n=5)を受けているDel22ex3、V3低用量(2×1010vg/仔、n=5)を受けているDel22ex3、製剤緩衝液を受けているDel22ex3対照(n=3)、および製剤緩衝液を受けている野生型対照(n=6)のカプラン・マイヤー生存プロットを示す。図12Bは、経時的な体重を示す(データ平均±S.E.M.)。図12Cは、握力測定による運動評価を示すP22-25(データ平均±S.E.M)。図12Dは、P23での握力測定を示す(データ平均±S.E.M.、二元配置分散分析、およびテューキーの多重比較)。
図12-2】図12Eは、ロータロッドによる運動評価を示すP22-25(データ平均±S.E.M)。図12Fは、P24でのロータロッドデータを示す(データ平均±S.E.M.、二元配置分散分析、およびテューキーの多重比較)。図12Gは、P21-25の神経学的スコアを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
定義
セクション見出しは、組織目的のみを目的としており、記述された主題を特定の態様または実施形態に限定するものとして解釈されるべきではない。
【0017】
別途定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が関連する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中に記載するものと類似または同等の方法および材料を本発明の実施において使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。本明細書に記載されたすべての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、その全体が参照により明示的に組み込まれる。矛盾する場合は、定義を含めて本明細書が優先される。また、本明細書中に記載する材料、方法、および実施例は、例証に過ぎず、限定することを意図するものではない。
【0018】
本明細書中に記載する全ての刊行物および特許は、各々の個々の刊行物または特許が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、それらの全体が参照により本明細書中に組み込まれる。矛盾する場合は、本明細書の任意の定義を含めて本出願が優先される。しかし、本明細書中で引用される任意の参照文献、記事、刊行物、特許、特許公開、および特許出願の言及は、それらが有効な先行技術を構成する、または世界の任意の国で共通の一般知識の一部を形成するという承認、または任意の形態の提案とされるものではなく、またそのように解釈されるべきではない。
【0019】
本記載では、別段の示唆がない限り、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比範囲、または整数範囲は、列挙された範囲内の任意の整数の値、および適切な場合にはその分数(例えば、整数の十分の一および百分の一など)を含むと理解されるべきである。用語「約」は、数字または数の直前にある場合、その数字または数がプラスまたはマイナス10%の範囲であることを意味する。本明細書で使用される場合、用語「a」および「an」は、別段の示唆がない限り、列挙された構成要素のうちの「一つまたは複数」を指すことが理解されるべきである。代替物(例、「または」)の使用は、代替物のいずれか一方、両方、またはそれらの任意の組み合わせのいずれかを意味すると理解されるべきである。用語「および/または」は、選択肢の一方または両方を意味すると理解されるべきである。本明細書中で使用される場合、用語「含む(include)」および「含む(comprise)」は同義で使用される。
【0020】
本明細書中で使用される場合、用語「同一性」および「同一である」は、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列に関して、例えばBLASTアルゴリズムにより生成されたアライメントなどの、その「クエリー」配列と「対象」配列とのアライメントにおける、正確に一致している残基のパーセンテージを指す。同一性は、特に明記しない限り、対象配列の全長にわたって計算される。したがって、クエリー配列が、対象配列と整列しているときに、対象配列中の残基の少なくともx%(切り捨て)が、クエリー配列中の対応する残基と完全に一致するように整列される場合、クエリー配列は、対象配列と「少なくともx%の同一性を共有する」。対象配列が可変位置(例、Xで示される残基)を有する場合、クエリー配列中の任意の残基へのアライメントは、一致としてカウントされる。
【0021】
本明細書中で使用される場合、「AAVベクター」または「rAAVベクター」は、AAV末端反復配列(ITR)が隣接する一つまたは複数の目的のポリヌクレオチド(または導入遺伝子)を含む組換えベクターを指す。そのようなAAVベクターは、repおよびcap遺伝子産物をコードし発現するプラスミドでトランスフェクトされた宿主細胞中に存在する場合に、複製され、感染性ウイルス粒子中にパッケージングすることができる。あるいは、AAVベクターは、rep遺伝子およびcap遺伝子を発現するように安定的に操作された宿主細胞を使用して、感染性粒子中にパッケージングすることができる。
【0022】
本明細書中で使用される場合、「AAVビリオン」または「AAVウイルス粒子」または「AAVベクター粒子」は、少なくとも一つのAAVキャプシドタンパク質およびキャプシド化ポリヌクレオチドAAVベクターで構成されるウイルス粒子を指す。本明細書中で使用される場合、粒子が、異種ポリヌクレオチド(即ち、哺乳動物細胞に送達される導入遺伝子などの野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド)を含む場合、通常、これは、「AAVベクター粒子」または単に「AAVベクター」と呼ばれる。このように、AAVベクター粒子の産生は、ベクターがAAVベクター粒子内に含まれるため、必然的にAAVベクターの産生を含む。
【0023】
本明細書中で使用される場合、「プロモーター」は、真核細胞においてポリヌクレオチドからのRNA転写の開始を促進することが可能なポリヌクレオチド配列を指す。
【0024】
本明細書中で使用される場合、「ベクターゲノム」は、ベクター(例、rAAVビリオン)によりパッケージングされたポリヌクレオチド配列を指し、隣接配列(AAV中、逆位末端反復)を含む。用語「発現カセット」および「ポリヌクレオチドカセット」は、隣接ITR 配列間のベクターゲノムの部分を指す。「発現カセット」は、ベクターゲノムが、発現を駆動するエレメント(例、プロモーター)に作動可能に連結された遺伝子産物をコードする少なくとも一つの遺伝子を含むことを意味する。
【0025】
本明細書中で使用される場合、用語「必要としている患者」または「必要としている対象」は、本明細書中に開示する組換え遺伝子治療ベクターまたは遺伝子編集システムを用いた治療または寛解に適している疾患、障害、または状態のリスクのあるまたは罹患している患者または対象を指す。必要とする患者または対象は、例えば、中枢神経系に関連する障害と診断された患者または対象であってもよい。対象は、EEF1A2遺伝子内の突然変異、またはEEF1A2遺伝子のすべてもしくは一部の欠失、または遺伝子調節配列を有してもよく、これらはeEF1A2タンパク質の異常な発現を引き起こす。「対象」および「患者」は、本明細書中では互換的に使用される。本明細書中に記載する方法により治療される対象は、成人または子供であってよい。対象は年齢において広範であり得る。
【0026】
本明細書中で使用される場合、用語「バリアント」または「機能的バリアント」は、互換的に、親タンパク質の一つまたは複数の所望の活性を保持する親タンパク質と比較して、一つまたは複数のアミノ酸置換、挿入、または欠失を有するタンパク質を指す。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「遺伝的破壊」は、遺伝子における機能の部分的または完全な喪失あるいは異常な活性を意味する。例えば、対象は、対象の少なくとも一部の細胞(例、神経細胞)において、eEF1A2タンパク質の発現を減少させる、またはeEF1A2タンパク質の喪失もしくは異常機能をもたらす、EEF1A2遺伝子における発現または機能における遺伝的破壊を被り得る。
【0028】
本明細書中で使用される場合、「治療する」は、疾患または障害の一つまたは複数の症状を寛解させることを指す。用語「予防する」は、疾患もしくは障害の一つまたは複数の症状の発症を遅延もしくは中断すること、またはeEF1A2関連神経疾患もしくは障害の進行を遅らせることを指す。
【0029】
EEF1A2タンパク質またはポリヌクレオチド
本開示は、伸長因子1-アルファ2(eEF1A2)タンパク質に関連する組成物および使用方法を企図する。図1に例証されるEEF1A2における様々な変異は、てんかん、知的障害、および/または自閉症を含む神経学的障害と関連することが知られている。遺伝性変異およびデノボ変異の両方が観察されている。一部の症例では、ヘテロ接合性ミスセンス変異が、疾患を起こすのに十分である。
【0030】
eEF1A2のポリペプチド配列は以下の通りである。
MGKEKTHINIVVIGHVDSGKSTTTGHLIYKCGGIDKRTIEKFEKEAAEMGKGSFKYAWVLDKLKAERERGITIDISLWKFETTKYYITIIDAPGHRDFIKNMITGTSQADCAVLIVAAGVGEFEAGISKNGQTREHALLAYTLGVKQLIVGVNKMDSTEPAYSEKRYDEIVKEVSAYIKKIGYNPATVPFVPISGWHGDNMLEPSPNMPWFKGWKVERKEGNASGVSLLEALDTILPPTRPTDKPLRLPLQDVYKIGGIGTVPVGRVETGILRPGMVVTFAPVNITTEVKSVEMHHEALSEALPGDNVGFNVKNVSVKDIRRGNVCGDSKSDPPQEAAQFTSQVIILNHPGQISAGYSPVIDCHTAHIACKFAELKEKIDRRSGKKLEDNPKSLKSGDAAIVEMVPGKPMCVESFSQYPPLGRFAVRDMRQTVAVGVIKNVEKKSGGAGKVTKSAQKAQKAGK(配列番号1)。
【0031】
一部の実施形態では、eEF1A2タンパク質は、配列番号:1)と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリペプチド配列を含む。
【0032】
一部の実施形態では、本開示は、キャプシドおよびベクターゲノムを含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンを提供し、ベクターゲノムは、プロモーターに作動可能に連結されたeEF1A2タンパク質またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、本開示は、キャプシドおよびベクターゲノムを含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ビリオンを提供し、ベクターゲノムは、プロモーターに作動可能に連結されたeEF1A2タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む。eEF1A2タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、以下と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含み得る。
ATGGGCAAGGAGAAGACCCACATCAACATCGTGGTCATCGGCCACGTGGACTCCGGAAAGTCCACCACCACGGGCCACCTCATCTACAAATGCGGAGGTATTGACAAAAGGACCATTGAGAAGTTCGAGAAGGAGGCGGCTGAGATGGGGAAGGGATCCTTCAAGTATGCCTGGGTGCTGGACAAGCTGAAGGCGGAGCGTGAGCGCGGCATCACCATCGACATCTCCCTCTGGAAGTTCGAGACCACCAAGTACTACATCACCATCATCGATGCCCCCGGCCACCGCGACTTCATCAAGAACATGATCACGGGTACATCCCAGGCGGACTGCGCAGTGCTGATCGTGGCGGCGGGCGTGGGCGAGTTCGAGGCGGGCATCTCCAAGAATGGGCAGACGCGGGAGCATGCCCTGCTGGCCTACACGCTGGGTGTGAAGCAGCTCATCGTGGGCGTGAACAAAATGGACTCCACAGAGCCGGCCTACAGCGAGAAGCGCTACGACGAGATCGTCAAGGAAGTCAGCGCCTACATCAAGAAGATCGGCTACAACCCGGCCACCGTGCCCTTTGTGCCCATCTCCGGCTGGCACGGTGACAACATGCTGGAGCCCTCCCCCAACATGCCGTGGTTCAAGGGCTGGAAGGTGGAGCGTAAGGAGGGCAACGCAAGCGGCGTGTCCCTGCTGGAGGCCCTGGACACCATCCTGCCCCCCACGCGCCCCACGGACAAGCCCCTGCGCCTGCCGCTGCAGGACGTGTACAAGATTGGCGGCATTGGCACGGTGCCCGTGGGCCGGGTGGAGACCGGCATCCTGCGGCCGGGCATGGTGGTGACCTTTGCGCCAGTGAACATCACCACTGAGGTGAAGTCAGTGGAGATGCACCACGAGGCTCTGAGCGAAGCTCTGCCCGGCGACAACGTCGGCTTCAATGTGAAGAACGTGTCGGTGAAGGACATCCGGCGGGGCAACGTGTGTGGGGACAGCAAGTCTGACCCGCCGCAGGAGGCTGCTCAGTTCACCTCCCAGGTCATCATCCTGAACCACCCGGGGCAGATTAGCGCCGGCTACTCCCCGGTCATCGACTGCCACACAGCCCACATCGCCTGCAAGTTTGCGGAGCTGAAGGAGAAGATTGACCGGCGCTCTGGCAAGAAGCTGGAGGACAACCCCAAGTCCCTGAAGTCTGGAGACGCGGCCATCGTGGAGATGGTGCCGGGAAAGCCCATGTGTGTGGAGAGCTTCTCCCAGTACCCGCCTCTCGGCCGCTTCGCCGTGCGCGACATGAGGCAGACGGTGGCCGTAGGCGTCATCAAGAACGTGGAGAAGAAGAGCGGCGGCGCCGGCAAGGTCACCAAGTCGGCGCAGAAGGCGCAGAAGGCGGGCAAG(配列番号2)。
【0033】
eEF1A2タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列は、コドン最適化されてもよい。
【0034】
eEF1A2タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、以下と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含み得る。
ATGGGTAAAGAAAAAACACATATTAATATAGTAGTAATCGGTCATGTTGACTCTGGAAAATCTACTACTACAGGACATTTGATTTATAAATGTGGAGGAATTGATAAAAGAACAATAGAAAAATTTGAAAAAGAAGCTGCTGAAATGGGTAAAGGTAGTTTTAAATATGCTTGGGTTTTGGATAAATTGAAAGCTGAAAGAGAAAGAGGAATTACAATTGATATTTCTTTGTGGAAATTTGAAACTACAAAATATTATATAACAATAATAGATGCTCCTGGACATAGAGATTTTATTAAAAATATGATTACAGGAACTTCTCAAGCAGATTGTGCTGTTTTGATAGTAGCAGCAGGAGTTGGTGAATTCGAAGCAGGCATTTCTAAAAATGGACAAACTAGAGAACATGCTTTGTTGGCTTATACATTGGGCGTAAAACAATTGATTGTAGGAGTTAATAAAATGGATTCTACTGAACCTGCATATTCTGAAAAAAGATATGATGAAATAGTAAAAGAAGTTTCTGCTTATATTAAAAAAATTGGTTATAATCCTGCTACAGTTCCATTTGTTCCTATTTCTGGATGGCATGGAGATAATATGTTGGAACCTAGTCCTAATATGCCTTGGTTTAAAGGATGGAAAGTTGAAAGGAAAGAAGGAAATGCATCAGGAGTCTCCTTGTTGGAAGCTTTGGATACAATCTTGCCTCCAACAAGACCTACAGATAAACCTTTGAGATTGCCTCTTCAAGATGTATATAAAATAGGAGGAATAGGAACAGTGCCAGTTGGAAGAGTAGAAACAGGTATATTGAGACCTGGAATGGTTGTAACATTTGCACCAGTTAATATAACTACTGAAGTAAAATCTGTTGAAATGCATCATGAAGCTTTGTCTGAAGCTCTTCCTGGAGATAATGTAGGATTTAATGTTAAAAATGTAAGTGTAAAAGATATAAGAAGAGGAAATGTATGTGGTGATAGTAAATCAGATCCACCTCAAGAAGCAGCTCAATTTACATCACAAGTAATAATATTGAATCATCCTGGACAAATTTCTGCAGGATATTCACCAGTAATAGATTGTCATACAGCACATATAGCTTGTAAATTTGCTGAATTGAAAGAAAAAATTGATAGAAGAAGTGGAAAAAAACTTGAAGATAATCCTAAATCATTGAAATCAGGAGATGCAGCTATTGTAGAAATGGTACCTGGAAAACCAATGTGTGTAGAATCTTTTTCTCAATATCCACCTCTCGGAAGATTTGCTGTTAGAGATATGAGACAAACAGTTGCAGTAGGAGTTATTAAAAATGTAGAAAAAAAAAGCGGAGGTGCAGGAAAGGTTACAAAATCCGCACAAAAAGCTCAAAAAGCTGGTAAATAA(配列番号4)。
【0035】
eEF1A2タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、以下と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含み得る。
ATGGGCAAAGAAAAAACACATATAAACATTGTCGTTATCGGACACGTTGATTCTGGTAAAAGTACAACAACCGGTCACTTGATATACAAATGCGGGGGTATAGACAAACGCACTATTGAAAAGTTCGAGAAAGAAGCTGCGGAGATGGGCAAAGGCTCATTCAAGTACGCGTGGGTACTCGATAAGTTGAAAGCTGAACGCGAGAGGGGAATCACCATAGACATCTCACTTTGGAAATTCGAGACAACCAAGTATTACATAACTATTATAGATGCCCCAGGCCACAGGGATTTCATTAAAAATATGATAACCGGCACATCTCAAGCCGATTGCGCCGTACTCATCGTCGCCGCTGGTGTGGGTGAGTTCGAGGCAGGTATTTCTAAAAATGGCCAGACACGCGAACATGCTCTTCTGGCTTATACACTCGGGGTTAAACAGCTCATAGTAGGAGTGAATAAGATGGACTCCACTGAACCCGCCTATTCAGAGAAGCGCTATGACGAAATTGTAAAGGAGGTCTCAGCATATATTAAAAAAATTGGCTATAACCCAGCCACGGTGCCATTCGTCCCGATTAGTGGATGGCATGGTGACAATATGCTGGAACCAAGTCCCAATATGCCTTGGTTTAAGGGTTGGAAAGTAGAGCGGAAAGAGGGTAATGCTTCCGGCGTGTCATTGCTGGAGGCGCTTGACACGATACTCCCACCCACAAGGCCAACTGATAAGCCACTCCGATTGCCCTTGCAGGACGTGTACAAGATTGGGGGAATTGGGACTGTGCCCGTCGGGCGCGTGGAGACGGGCATCCTCAGACCTGGGATGGTAGTCACTTTTGCCCCCGTCAACATAACGACTGAAGTTAAATCAGTGGAAATGCATCACGAAGCTTTGAGTGAGGCGCTTCCCGGAGATAACGTTGGATTTAATGTCAAAAATGTCTCCGTTAAAGATATAAGAAGAGGAAACGTCTGCGGTGACTCAAAGTCAGACCCACCACAGGAGGCTGCTCAATTTACGAGTCAAGTAATAATTCTGAATCACCCTGGGCAAATAAGTGCGGGATACTCTCCAGTCATCGATTGTCACACCGCCCATATTGCATGTAAGTTCGCAGAACTTAAGGAAAAGATCGACCGAAGAAGCGGAAAAAAATTGGAAGATAATCCGAAAAGTTTGAAAAGCGGTGACGCGGCGATTGTAGAGATGGTCCCTGGCAAACCGATGTGTGTGGAGTCTTTCAGTCAATATCCACCACTCGGTCGCTTTGCCGTGCGGGATATGCGACAGACCGTTGCTGTCGGCGTAATAAAAAACGTCGAAAAAAAGAGCGGTGGGGCTGGAAAAGTTACAAAATCCGCTCAAAAGGCACAGAAGGCGGGCAAGTGA(配列番号5)。
【0036】
eEF1A2タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、以下と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含み得る。
ATGGGTAAAGAAAAGACCCACATTAACATAGTAGTAATCGGTCATGTTGACTCTGGGAAAAGCACTACTACCGGACATTTGATCTATAAATGTGGGGGCATCGACAAAAGAACGATAGAGAAGTTTGAGAAGGAGGCGGCGGAGATGGGTAAAGGTAGTTTTAAGTACGCTTGGGTTTTGGACAAATTGAAAGCCGAGCGCGAGCGCGGCATTACCATTGACATTTCTCTCTGGAAATTCGAAACTACGAAGTATTATATAACAATAATAGACGCCCCCGGCCATCGGGACTTTATTAAAAACATGATTACAGGAACTAGCCAAGCAGATTGTGCTGTGCTGATAGTAGCGGCAGGGGTCGGGGAGTTCGAAGCAGGCATCTCTAAAAATGGACAAACTCGAGAGCACGCCTTGTTGGCTTATACCTTGGGCGTAAAGCAGCTGATCGTAGGAGTTAATAAAATGGATTCCACTGAACCCGCATATAGCGAAAAGCGATATGACGAAATAGTAAAGGAAGTCTCAGCTTATATCAAGAAAATCGGTTACAATCCTGCGACGGTTCCATTCGTTCCTATCTCCGGGTGGCACGGCGATAATATGCTTGAGCCCAGTCCCAATATGCCCTGGTTCAAGGGGTGGAAGGTTGAGAGGAAGGAAGGCAATGCATCAGGCGTCAGCTTGTTGGAAGCTCTCGACACCATCCTGCCGCCCACGAGGCCCACAGACAAACCGTTGCGACTGCCTCTTCAAGATGTATACAAAATAGGCGGGATAGGAACCGTGCCGGTTGGACGAGTAGAGACGGGTATACTGCGGCCCGGAATGGTCGTGACGTTTGCACCCGTGAATATAACTACTGAGGTGAAGAGCGTCGAGATGCACCATGAAGCGCTGAGTGAAGCTCTCCCTGGCGATAACGTAGGGTTCAACGTGAAAAACGTAAGTGTAAAGGATATAAGGCGCGGAAATGTATGTGGTGACAGTAAAAGCGACCCGCCGCAAGAGGCGGCGCAATTCACATCACAGGTAATAATATTGAATCACCCCGGCCAAATTTCCGCAGGCTACTCACCAGTCATAGATTGCCACACCGCCCACATAGCTTGTAAGTTCGCTGAGTTGAAAGAGAAGATTGATAGACGAAGTGGGAAGAAACTTGAAGACAATCCGAAGTCCCTGAAGTCCGGTGACGCAGCGATTGTAGAAATGGTACCGGGCAAGCCAATGTGTGTAGAGTCTTTCAGCCAGTACCCACCACTGGGGCGGTTCGCGGTGCGAGACATGAGGCAAACGGTTGCGGTCGGCGTCATTAAAAATGTCGAAAAAAAGAGTGGCGGTGCAGGTAAGGTCACAAAAAGCGCACAAAAGGCCCAGAAAGCCGGTAAGTGA(配列番号6)。
【0037】
eEF1A2タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、以下と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含み得る。
ATGGGAAAGGAAAAAACTCACATAAACATTGTCGTCATCGGTCACGTAGACAGTGGCAAATCAACGACCACTGGACATCTCATCTATAAGTGTGGCGGTATTGACAAACGCACTATCGAGAAATTCGAAAAGGAGGCTGCTGAGATGGGCAAAGGCTCTTTCAAGTACGCATGGGTCCTGGATAAGCTGAAAGCGGAGCGAGAGAGAGGGATCACCATCGATATATCTCTGTGGAAATTTGAAACCACCAAGTACTACATCACAATTATTGATGCCCCAGGTCATAGGGATTTTATCAAGAACATGATCACCGGGACAAGCCAAGCCGACTGCGCAGTTCTCATAGTGGCGGCTGGAGTAGGGGAGTTTGAAGCAGGGATATCTAAGAATGGACAGACCCGCGAGCACGCCTTGCTGGCCTACACCCTGGGAGTGAAGCAGCTCATAGTTGGCGTCAATAAGATGGACAGCACCGAACCCGCCTACAGTGAGAAGAGGTATGACGAGATTGTGAAGGAGGTTTCTGCTTACATTAAAAAGATTGGCTATAACCCAGCTACTGTCCCATTCGTTCCAATCAGCGGCTGGCACGGTGATAACATGCTGGAGCCTAGTCCCAACATGCCGTGGTTCAAGGGGTGGAAGGTTGAACGCAAGGAGGGGAATGCCTCAGGCGTTTCCCTGCTGGAGGCCCTCGATACAATACTCCCCCCGACCCGGCCTACAGATAAACCGCTGCGACTGCCTCTTCAGGACGTGTATAAAATCGGGGGAATCGGCACAGTGCCCGTGGGCAGGGTAGAGACTGGCATCTTGCGGCCTGGAATGGTAGTCACCTTTGCCCCGGTTAATATCACAACGGAGGTGAAATCTGTGGAGATGCATCACGAAGCACTGAGCGAGGCTCTGCCTGGTGACAACGTGGGATTTAACGTCAAAAACGTGTCAGTCAAGGACATCCGCCGCGGTAACGTTTGCGGAGATTCTAAGTCCGATCCCCCCCAGGAGGCAGCCCAATTTACCTCCCAAGTGATCATTCTGAATCACCCAGGCCAAATTTCCGCCGGGTATTCCCCTGTGATTGACTGTCACACAGCACACATCGCATGCAAATTCGCCGAACTCAAGGAGAAAATTGATCGGAGAAGCGGTAAAAAACTGGAGGACAACCCAAAGTCCCTCAAGTCTGGGGATGCCGCCATCGTGGAGATGGTACCAGGCAAACCTATGTGCGTGGAAAGTTTTAGCCAGTACCCTCCACTGGGTCGCTTTGCTGTTCGGGATATGCGGCAGACAGTAGCGGTTGGGGTCATAAAAAACGTCGAGAAAAAGAGCGGAGGAGCTGGGAAAGTTACCAAATCCGCACAGAAGGCACAAAAAGCCGGAAAATGA(配列番号7)。
【0038】
eEF1A2タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、以下と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含み得る。
ATGGGCAAAGAGAAAACACATATTAACATTGTTGTTATCGGGCACGTTGATAGCGGCAAGTCCACTACCACTGGCCATCTGATTTACAAGTGCGGCGGAATCGATAAACGAACTATTGAAAAGTTCGAAAAAGAAGCCGCCGAGATGGGAAAGGGCTCCTTTAAATACGCTTGGGTCCTCGATAAACTCAAAGCAGAACGGGAGAGAGGAATCACCATCGATATATCCTTGTGGAAGTTCGAAACTACAAAATATTACATTACCATCATTGATGCGCCTGGGCACCGCGACTTCATTAAGAACATGATTACTGGCACCTCTCAAGCCGACTGCGCAGTGTTGATCGTAGCCGCAGGCGTCGGGGAGTTCGAAGCTGGGATCAGCAAGAACGGGCAGACTAGGGAACACGCTCTGCTCGCATATACTCTTGGCGTGAAACAGTTGATCGTTGGCGTGAACAAGATGGATTCAACTGAGCCTGCCTATTCTGAGAAACGATACGACGAGATTGTGAAAGAGGTTTCAGCTTACATCAAGAAAATTGGGTATAATCCCGCAACAGTTCCCTTCGTGCCCATCTCTGGGTGGCACGGCGACAACATGCTCGAACCATCCCCAAATATGCCATGGTTCAAGGGATGGAAGGTGGAGCGCAAAGAAGGCAACGCCTCCGGAGTGTCTCTGCTCGAGGCCCTGGACACCATTCTGCCCCCAACACGACCCACTGATAAGCCTCTGAGACTGCCACTGCAAGACGTTTACAAAATTGGGGGAATTGGAACCGTGCCTGTGGGTCGGGTGGAAACCGGAATCCTCAGACCCGGCATGGTGGTCACCTTCGCACCAGTGAATATAACGACAGAGGTCAAATCTGTGGAGATGCACCATGAGGCATTGAGCGAGGCACTCCCAGGAGACAACGTGGGTTTCAACGTGAAAAATGTCTCAGTTAAGGACATCCGACGCGGCAACGTGTGCGGAGATAGCAAATCTGACCCCCCCCAGGAGGCCGCTCAATTCACAAGTCAGGTTATCATCCTTAATCACCCTGGCCAAATATCTGCAGGCTACAGCCCCGTGATCGATTGTCACACAGCTCATATCGCCTGTAAATTTGCTGAACTCAAAGAAAAGATTGACCGCAGATCAGGAAAAAAGCTGGAGGACAACCCTAAAAGTCTGAAGTCCGGCGACGCTGCCATCGTGGAGATGGTCCCTGGGAAACCCATGTGCGTGGAGTCCTTTTCTCAGTACCCCCCTCTGGGACGATTCGCCGTGCGCGACATGAGACAGACTGTCGCCGTGGGCGTCATTAAAAATGTGGAAAAAAAATCAGGAGGTGCAGGGAAAGTGACAAAGAGTGCCCAGAAAGCACAGAAGGCTGGCAAGTGA(配列番号8)。
【0039】
任意選択的に、ベクターゲノムをコードするポリヌクレオチド配列は、GCCACCATGG(配列番号10)を含むがこれに限定されないコザック配列を含んでもよい。コザック配列は、eEF1A2タンパク質またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列と重複してもよい。例えば、ベクターゲノムは、以下と少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列(コザック下線あり)を含んでもよい。
gccaccATGGGCAAGGAGAAGACCCACATCAACATCGTGGTCATCGGCCACGTGGACTCCGGAAAGTCCACCACCACGGGCCACCTCATCTACAAATGCGGAGGTATTGACAAAAGGACCATTGAGAAGTTCGAGAAGGAGGCGGCTGAGATGGGGAAGGGATCCTTCAAGTATGCCTGGGTGCTGGACAAGCTGAAGGCGGAGCGTGAGCGCGGCATCACCATCGACATCTCCCTCTGGAAGTTCGAGACCACCAAGTACTACATCACCATCATCGATGCCCCCGGCCACCGCGACTTCATCAAGAACATGATCACGGGTACATCCCAGGCGGACTGCGCAGTGCTGATCGTGGCGGCGGGCGTGGGCGAGTTCGAGGCGGGCATCTCCAAGAATGGGCAGACGCGGGAGCATGCCCTGCTGGCCTACACGCTGGGTGTGAAGCAGCTCATCGTGGGCGTGAACAAAATGGACTCCACAGAGCCGGCCTACAGCGAGAAGCGCTACGACGAGATCGTCAAGGAAGTCAGCGCCTACATCAAGAAGATCGGCTACAACCCGGCCACCGTGCCCTTTGTGCCCATCTCCGGCTGGCACGGTGACAACATGCTGGAGCCCTCCCCCAACATGCCGTGGTTCAAGGGCTGGAAGGTGGAGCGTAAGGAGGGCAACGCAAGCGGCGTGTCCCTGCTGGAGGCCCTGGACACCATCCTGCCCCCCACGCGCCCCACGGACAAGCCCCTGCGCCTGCCGCTGCAGGACGTGTACAAGATTGGCGGCATTGGCACGGTGCCCGTGGGCCGGGTGGAGACCGGCATCCTGCGGCCGGGCATGGTGGTGACCTTTGCGCCAGTGAACATCACCACTGAGGTGAAGTCAGTGGAGATGCACCACGAGGCTCTGAGCGAAGCTCTGCCCGGCGACAACGTCGGCTTCAATGTGAAGAACGTGTCGGTGAAGGACATCCGGCGGGGCAACGTGTGTGGGGACAGCAAGTCTGACCCGCCGCAGGAGGCTGCTCAGTTCACCTCCCAGGTCATCATCCTGAACCACCCGGGGCAGATTAGCGCCGGCTACTCCCCGGTCATCGACTGCCACACAGCCCACATCGCCTGCAAGTTTGCGGAGCTGAAGGAGAAGATTGACCGGCGCTCTGGCAAGAAGCTGGAGGACAACCCCAAGTCCCTGAAGTCTGGAGACGCGGCCATCGTGGAGATGGTGCCGGGAAAGCCCATGTGTGTGGAGAGCTTCTCCCAGTACCCGCCTCTCGGCCGCTTCGCCGTGCGCGACATGAGGCAGACGGTGGCCGTAGGCGTCATCAAGAACGTGGAGAAGAAGAGCGGCGGCGCCGGCAAGGTCACCAAGTCGGCGCAGAAGGCGCAGAAGGCGGGCAAG(配列番号9)。
【0040】
一部の実施形態では、コザック配列は、以下のうちのいずれか一つを含むまたはからなる代替コザック配列である。
(gcc)gccRccAUGG(配列番号11);
AGNNAUGN;
ANNAUGG;
ACCAUGG;
GACACCAUGG(配列番号12)。
【0041】
一部の実施形態では、ベクターゲノムは、コザック配列を含まない。
【0042】
ベクターゲノム
本開示のAAVビリオンは、ベクターゲノムを含む。ベクターゲノムは、発現カセット(またはポリヌクレオチド配列の発現を要求しない遺伝子編集用途のためのポリヌクレオチドカセット)を含んでもよい。任意の適切な逆位末端反復(ITR)を使用してもよい。ITRは、キャプシドと同じ血清型由来であってもよく、または異なる血清型由来であってもよい(例えば、AAV2 ITRが使用され得る)。
【0043】
一部の実施形態では、5’ITRは、以下と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
CCTGCAGGCAGCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCT(配列番号18)
【0044】
一部の実施形態では、5’ITRは、以下と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
GCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCTTGTAGTTAATGATTAACCCGCCATGCTACTTATCTACGTA(配列番号19)
【0045】
一部の実施形態では、5’ITRは、以下と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
CTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCTTGTAGTTAATGATTAACCCGCCATGCTACTTATCTACGTA(配列番号20)
【0046】
一部の実施形態では、3’ITRは、以下と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
AGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGCTGCCTGCAGG(配列番号21)
【0047】
一部の実施形態では、3’ITRは、以下と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
TACGTAGATAAGTAGCATGGCGGGTTAATCATTAACTACAAGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGC(配列番号63)
【0048】
一部の実施形態では、ベクターゲノムは、例えば、以下と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である一つまたは複数のフィラー(filler)配列を含む。
GCGGCAATTCAGTCGATAACTATAACGGTCCTAAGGTAGCGATTTAAATACGCGCTCTCTTAAGGTAGCCCCGGGACGCGTCAATTGACTACAAACCGAGTATCTGCAGAGGGCCCTGCGTATG(配列番号22);
CTTCTGAGGCGGAAAGAACCAGATCCTCTCTTAAGGTAGCATCGAGATTTAAATTAGGGATAACAGGGTAATGGCGCGGGCCGC(配列番号23);または
GTTACCCAGGCTGGAGTGCAGTGGCACATTTCTGCTCACTGCAACCTCCTCCTCCCTGGGTTC(配列番号24)。
【0049】
プロモーター
一部の実施形態では、eEF1A2タンパク質またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列は、プロモーターに作動可能に連結される。
【0050】
本開示は、様々なプロモーターの使用を企図する。本開示の実施形態で有用なプロモーターとしては、限定されないが、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、またはCMVエンハンサーと、ニワトリベータ-アクチンプロモーターおよびウサギベータ-グロビン遺伝子の一部(CAG)とから構成されるプロモーター配列が挙げられる。一部の場合では、プロモーターは合成プロモーターであってもよい。例示的な合成プロモーターが、Schlabach et al.PNAS USA 107(6):2538-43(2010)により提供されている。一部の実施形態では、プロモーターは、以下と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
ACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTCGAGGTGAGCCCCACGTTCTGCTTCACTCTCCCCATCTCCCCCCCCTCCCCACCCCCAATTTTGTATTTATTTATTTTTTAATTATTTTGTGCAGCGATGGGGGCGGGGGGGGGGGGGGCGCGCGCCAGGCGGGGCGGGGCGGGGCGAGGGGCGGGGCGGGGCGAGGCGGAGAGGTGCGGCGGCAGCCAATCAGAGCGGCGCGCTCCGAAAGTTTCCTTTTATGGCGAGGCGGCGGCGGCGGCGGCCCTATAAAAAGCGAAGCGCGCGGCGGGCGG(配列番号14)
【0051】
一部の実施形態では、eEF1A2タンパク質、またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列は、誘導性プロモーターに作動可能に連結される。誘導性プロモーターは、薬剤の添加もしくは蓄積に応答して、または薬剤の除去、分解、もしくは希釈に応答して、ポリヌクレオチド配列を転写的に発現させる、または転写的に発現させないように構成され得る。薬剤は薬物であってもよい。薬剤は、テトラサイクリンまたはその誘導体の一つであってもよく、これには限定されないが、ドキシサイクリンが含まれる。一部の場合では、誘導性プロモーターは、tet-onプロモーター、tet-offプロモーター、化学的に調節されたプロモーター、物理的に調節されたプロモーター(即ち、光の存在もしくは非存在に、または低温もしくは高温に応答するプロモーター)である。誘導性プロモーターには、重金属イオン誘導性プロモーター(マウス乳腺腫瘍ウイルス(mMTV)プロモーターまたは様々な成長ホルモンプロモーターなど)、およびT7 RNAポリメラーゼの存在下で活性なT7ファージ由来のプロモーターが含まれる。誘導性プロモーターのこのリストは非限定的である。
【0052】
場合によっては、プロモーターは、非神経細胞よりもニューロンで発現を駆動することができるプロモーターなどの組織特異的プロモーターである。一部の実施形態では、組織特異的プロモーターは、hSYN1(ヒトシナプシン)、INA(アルファインターネキシン)、NES(ネスチン)、TH(チロシンヒドロキシラーゼ)、FOXA2(フォークヘッドボックスA2)、CaMKII(カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼII)、およびNSE(ニューロン特異的エノラーゼ)を含むがこれに限定されない、任意の様々なニューロン特異的プロモーターから選択される。場合によっては、プロモーターはユビキタスプロモーターである。「ユビキタスプロモーター」は、実験条件または臨床条件下で組織特異的ではないプロモーターを指す。一部の場合では、ユビキタスプロモーターは、CMV、CAG、UBC、PGK、EF1-アルファ、GAPDH、SV40、HBV、ニワトリベータ-アクチン、およびヒトベータ-アクチンプロモーターのいずれか一つである。
【0053】
一部の実施形態では、プロモーター配列は、表3から選択される。一部の実施形態では、プロモーターは、配列番号3、14、16~17、および25~30と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0054】
【表3】
【0055】
好ましい実施形態では、ベクターゲノムは、配列番号3と、少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0056】
プロモーターのさらなる例示的な例は、シミアンウイルス40由来のSV40後期プロモーター、バキュロウイルス多面体エンハンサー/プロモーターエレメント、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV tk)、サイトメガロウイルス(CMV)由来の最初期プロモーター、およびLTRエレメントを含む様々なレトロウイルスプロモーターである。多種多様な他のプロモーターが公知であり、当技術分野において一般的に利用可能であり、多くのそのようなプロモーターの配列は、GenBankデータベースなどの配列データベースにおいて利用可能である。
【0057】
他の調節エレメント
一部の場合では、本開示のベクターは、エンハンサー、イントロン、ポリAシグナル、2Aペプチドコード配列、WPRE(ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント)、およびHPRE(B型肝炎転写後調節エレメント)からなる群から選択される一つまたは複数の調節エレメントをさらに含む。
【0058】
一部の実施形態では、ベクターはCMVエンハンサーを含む。
【0059】
特定の実施形態では、ベクターは、一つまたは複数のエンハンサーを含む。特定の実施形態では、エンハンサーは、CMVエンハンサー配列、GAPDHエンハンサー配列、β-アクチンエンハンサー配列、またはEF1-αエンハンサー配列である。前述の配列は、当技術分野において公知である。例えば、CMV最初期(IE)エンハンサーの配列は、以下のとおりである。
ACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCA(配列番号31)
【0060】
特定の実施形態では、ベクターは、一つまたは複数のイントロンを含む。特定の実施形態では、イントロンは、ウサギグロビンイントロン配列、ニワトリβ-アクチンイントロン配列、合成イントロン配列、またはEF1-αイントロン配列である。
【0061】
特定の実施形態では、ベクターはポリA配列を含む。特定の実施形態では、ポリA配列は、ウサギグロビンポリA配列、ヒト成長ホルモンポリA配列、ウシ成長ホルモンポリA配列、PGKポリA配列、SV40ポリA配列、またはTKポリA配列である。一部の実施形態では、ポリAシグナルは、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル(bGHpA)であってもよい。
【0062】
特定の実施形態では、ベクターは、一つまたは複数の転写物安定化エレメントを含む。特定の実施形態では、転写物安定化エレメントは、WPRE配列、HPRE配列、足場付着領域、3’UTR、または5’UTRである。特定の実施形態では、ベクターは、5’UTRおよび3’UTRの両方を含む。
【0063】
一部の実施形態では、ベクターは、表4から選択される5’非翻訳領域(UTR)を含む。一部の実施形態では、ベクターゲノムは、配列番号32~40のいずれか一つと少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0064】
【表4】
【0065】
一部の実施形態では、ベクターは、表5から選択される3’非翻訳領域を含む。一部の実施形態では、ベクターゲノムは、配列番号41~49のいずれか一つと少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0066】
【表5】
【0067】
一部の実施形態では、ベクターは、表6から選択されるポリアデニル化(ポリA)シグナルを含む。一部の実施形態では、ポリAシグナルは、配列番号50~54のいずれか一つと少なくとも75%、80%、85%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。
【0068】
【表6】
【0069】
例示的ベクターゲノムは、配列番号55~58または65~68として提供される図2~5に示される。一部の実施形態では、ベクターゲノムは、配列番号55~58または65~68のいずれか一つと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含む、それから本質的になる、またはそれからなり、場合により、小文字のITR配列を伴うまたは伴わない。コード配列は下線付きである。代替ベクターゲノム配列は、配列番号65~68として提供される。

V1-ベクターゲノム-3,144bp(図2)(配列番号55)
cctgcaggcagctgcgcgctcgctcgctcactgaggccgcccgggcaaagcccgggcgtcgggcgacctttggtcgcccggcctcagtgagcgagcgagcgcgcagagagggagtggccaactccatcactaggggttcctGCGGCAATTCAGTCGATAACTATAACGGTCCTAAGGTAGCGATTTAAATACGCGCTCTCTTAAGGTAGCCCCGGGACGCGTCAATTGACTACAAACCGAGTATCTGCAGAGGGCCCTGCGTATGAGTGCAAGTGGGTTTTAGGACCAGGATGAGGCGGGGTGGGGGTGCCTACCTGACGACCGACCCCGACCCACTGGACAAGCACCCAACCCCCATTCCCCAAATTGCGCATCCCCTATCAGAGAGGGGGAGGGGAAACAGGATGCGGCGAGGCGCGTGCGCACTGCCAGCTTCAGCACCGCGGACAGTGCCTTCGCCCCCGCCTGGCGGCGCGCGCCACCGCCGCCTCAGCACTGAAGGCGCGCTGACGTCACTCGCCGGTCCCCCGCAAACTCCCCTTCCCGGCCACCTTGGTCGCGTCCGCGCCGCCGCCGGCCCAGCCGGACCGCACCACGCGAGGCGCGAGATAGGGGGGCACGGGCGCGACCATCTGCGCTGCGGCGCCGGCGACTCAGCGCTGCCTCAGTCTGCGGTGGGCAGCGGAGGAGTCGTGTCGTGCCTGAGAGCGCAGATGGGCAAGGAGAAGACCCACATCAACATCGTGGTCATCGGCCACGTGGACTCCGGAAAGTCCACCACCACGGGCCACCTCATCTACAAATGCGGAGGTATTGACAAAAGGACCATTGAGAAGTTCGAGAAGGAGGCGGCTGAGATGGGGAAGGGATCCTTCAAGTATGCCTGGGTGCTGGACAAGCTGAAGGCGGAGCGTGAGCGCGGCATCACCATCGACATCTCCCTCTGGAAGTTCGAGACCACCAAGTACTACATCACCATCATCGATGCCCCCGGCCACCGCGACTTCATCAAGAACATGATCACGGGTACATCCCAGGCGGACTGCGCAGTGCTGATCGTGGCGGCGGGCGTGGGCGAGTTCGAGGCGGGCATCTCCAAGAATGGGCAGACGCGGGAGCATGCCCTGCTGGCCTACACGCTGGGTGTGAAGCAGCTCATCGTGGGCGTGAACAAAATGGACTCCACAGAGCCGGCCTACAGCGAGAAGCGCTACGACGAGATCGTCAAGGAAGTCAGCGCCTACATCAAGAAGATCGGCTACAACCCGGCCACCGTGCCCTTTGTGCCCATCTCCGGCTGGCACGGTGACAACATGCTGGAGCCCTCCCCCAACATGCCGTGGTTCAAGGGCTGGAAGGTGGAGCGTAAGGAGGGCAACGCAAGCGGCGTGTCCCTGCTGGAGGCCCTGGACACCATCCTGCCCCCCACGCGCCCCACGGACAAGCCCCTGCGCCTGCCGCTGCAGGACGTGTACAAGATTGGCGGCATTGGCACGGTGCCCGTGGGCCGGGTGGAGACCGGCATCCTGCGGCCGGGCATGGTGGTGACCTTTGCGCCAGTGAACATCACCACTGAGGTGAAGTCAGTGGAGATGCACCACGAGGCTCTGAGCGAAGCTCTGCCCGGCGACAACGTCGGCTTCAATGTGAAGAACGTGTCGGTGAAGGACATCCGGCGGGGCAACGTGTGTGGGGACAGCAAGTCTGACCCGCCGCAGGAGGCTGCTCAGTTCACCTCCCAGGTCATCATCCTGAACCACCCGGGGCAGATTAGCGCCGGCTACTCCCCGGTCATCGACTGCCACACAGCCCACATCGCCTGCAAGTTTGCGGAGCTGAAGGAGAAGATTGACCGGCGCTCTGGCAAGAAGCTGGAGGACAACCCCAAGTCCCTGAAGTCTGGAGACGCGGCCATCGTGGAGATGGTGCCGGGAAAGCCCATGTGTGTGGAGAGCTTCTCCCAGTACCCGCCTCTCGGCCGCTTCGCCGTGCGCGACATGAGGCAGACGGTGGCCGTAGGCGTCATCAAGAACGTGGAGAAGAAGAGCGGCGGCGCCGGCAAGGTCACCAAGTCGGCGCAGAAGGCGCAGAAGGCGGGCAAGTGAAATCAACCTCTGGATTACAAAATTTGTGAAAGATTGACTGGTATTCTTAACTATGTTGCTCCTTTTACGCTATGTGGATACGCTGCTTTAATGCCTTTGTATCATGCTATTGCTTCCCGTATGGCTTTCATTTTCTCCTCCTTGTATAAATCCTGGTTGCTGTCTCTTTATGAGGAGTTGTGGCCCGTTGTCAGGCAACGTGGCGTGGTGTGCACTGTGTTTGCTGACGCAACCCCCACTGGTTGGGGCATTGCCACCACCTGTCAGCTCCTTTCCGGGACTTTCGCTTTCCCCCTCCCTATTGCCACGGCGGAACTCATCGCCGCCTGCCTTGCCCGCTGCTGGACAGGGGCTCGGCTGTTGGGCACTGACAATTCCGTGGTGTTGTCGGGGAAATCATCGTCCTTTCCTTGGCTGCTCGCCTGTGTTGCCACCTGGATTCTGCGCGGGACGTCCTTCTGCTACGTCCCTTCGGCCCTCAATCCAGCGGACCTTCCTTCCCGCGGCCTGCTGCCGGCTCTGCGGCCTCTTCCGCGTCTTCGCCTTCGCCCTCAGACGAGTCGGATCTCCCTTTGGGCCGCCTCCCCGCCTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCATTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAATAGCAGGCATGCTGGGGATGCGGTGGGCTCTATGGCTTCTGAGGCGGAAAGAACCAGATCCTCTCTTAAGGTAGCATCGAGATTTAAATTAGGGATAACAGGGTAATGGCGCGGGCCGCaggaacccctagtgatggagttggccactccctctctgcgcgctcgctcgctcactgaggccgggcgaccaaaggtcgcccgacgcccgggctttgcccgggcggcctcagtgagcgagcgagcgcgcagctgcctgcagg

V2-ベクターゲノム-3,035bp(図3)(配列番号56)
gcgcgctcgctcgctcactgaggccgcccgggcaaagcccgggcgtcgggcgacctttggtcgcccggcctcagtgagcgagcgagcgcgcagagagggagtggccaactccatcactaggggttccttgtagttaatgattaacccgccatgctacttatctacgtaAGTGCAAGTGGGTTTTAGGACCAGGATGAGGCGGGGTGGGGGTGCCTACCTGACGACCGACCCCGACCCACTGGACAAGCACCCAACCCCCATTCCCCAAATTGCGCATCCCCTATCAGAGAGGGGGAGGGGAAACAGGATGCGGCGAGGCGCGTGCGCACTGCCAGCTTCAGCACCGCGGACAGTGCCTTCGCCCCCGCCTGGCGGCGCGCGCCACCGCCGCCTCAGCACTGAAGGCGCGCTGACGTCACTCGCCGGTCCCCCGCAAACTCCCCTTCCCGGCCACCTTGGTCGCGTCCGCGCCGCCGCCGGCCCAGCCGGACCGCACCACGCGAGGCGCGAGATAGGGGGGCACGGGCGCGACCATCTGCGCTGCGGCGCCGGCGACTCAGCGCTGCCTCAGTCTGCGGTGGGCAGCGGAGGAGTCGTGTCGTGCCTGAGAGCGCAGGCCACCATGGGCAAGGAGAAGACCCACATCAACATCGTGGTCATCGGCCACGTGGACTCCGGAAAGTCCACCACCACGGGCCACCTCATCTACAAATGCGGAGGTATTGACAAAAGGACCATTGAGAAGTTCGAGAAGGAGGCGGCTGAGATGGGGAAGGGATCCTTCAAGTATGCCTGGGTGCTGGACAAGCTGAAGGCGGAGCGTGAGCGCGGCATCACCATCGACATCTCCCTCTGGAAGTTCGAGACCACCAAGTACTACATCACCATCATCGATGCCCCCGGCCACCGCGACTTCATCAAGAACATGATCACGGGTACATCCCAGGCGGACTGCGCAGTGCTGATCGTGGCGGCGGGCGTGGGCGAGTTCGAGGCGGGCATCTCCAAGAATGGGCAGACGCGGGAGCATGCCCTGCTGGCCTACACGCTGGGTGTGAAGCAGCTCATCGTGGGCGTGAACAAAATGGACTCCACAGAGCCGGCCTACAGCGAGAAGCGCTACGACGAGATCGTCAAGGAAGTCAGCGCCTACATCAAGAAGATCGGCTACAACCCGGCCACCGTGCCCTTTGTGCCCATCTCCGGCTGGCACGGTGACAACATGCTGGAGCCCTCCCCCAACATGCCGTGGTTCAAGGGCTGGAAGGTGGAGCGTAAGGAGGGCAACGCAAGCGGCGTGTCCCTGCTGGAGGCCCTGGACACCATCCTGCCCCCCACGCGCCCCACGGACAAGCCCCTGCGCCTGCCGCTGCAGGACGTGTACAAGATTGGCGGCATTGGCACGGTGCCCGTGGGCCGGGTGGAGACCGGCATCCTGCGGCCGGGCATGGTGGTGACCTTTGCGCCAGTGAACATCACCACTGAGGTGAAGTCAGTGGAGATGCACCACGAGGCTCTGAGCGAAGCTCTGCCCGGCGACAACGTCGGCTTCAATGTGAAGAACGTGTCGGTGAAGGACATCCGGCGGGGCAACGTGTGTGGGGACAGCAAGTCTGACCCGCCGCAGGAGGCTGCTCAGTTCACCTCCCAGGTCATCATCCTGAACCACCCGGGGCAGATTAGCGCCGGCTACTCCCCGGTCATCGACTGCCACACAGCCCACATCGCCTGCAAGTTTGCGGAGCTGAAGGAGAAGATTGACCGGCGCTCTGGCAAGAAGCTGGAGGACAACCCCAAGTCCCTGAAGTCTGGAGACGCGGCCATCGTGGAGATGGTGCCGGGAAAGCCCATGTGTGTGGAGAGCTTCTCCCAGTACCCGCCTCTCGGCCGCTTCGCCGTGCGCGACATGAGGCAGACGGTGGCCGTAGGCGTCATCAAGAACGTGGAGAAGAAGAGCGGCGGCGCCGGCAAGGTCACCAAGTCGGCGCAGAAGGCGCAGAAGGCGGGCAAGTGATCAACCTCTGGATTACAAAATTTGTGAAAGATTGACTGGTATTCTTAACTATGTTGCTCCTTTTACGCTATGTGGATACGCTGCTTTAATGCCTTTGTATCATGCTATTGCTTCCCGTATGGCTTTCATTTTCTCCTCCTTGTATAAATCCTGGTTGCTGTCTCTTTATGAGGAGTTGTGGCCCGTTGTCAGGCAACGTGGCGTGGTGTGCACTGTGTTTGCTGACGCAACCCCCACTGGTTGGGGCATTGCCACCACCTGTCAGCTCCTTTCCGGGACTTTCGCTTTCCCCCTCCCTATTGCCACGGCGGAACTCATCGCCGCCTGCCTTGCCCGCTGCTGGACAGGGGCTCGGCTGTTGGGCACTGACAATTCCGTGGTGTTGTCGGGGAAATCATCGTCCTTTCCTTGGCTGCTCGCCTGTGTTGCCACCTGGATTCTGCGCGGGACGTCCTTCTGCTACGTCCCTTCGGCCCTCAATCCAGCGGACCTTCCTTCCCGCGGCCTGCTGCCGGCTCTGCGGCCTCTTCCGCGTCTTCGCCTTCGCCCTCAGACGAGTCGGATCTCCCTTTGGGCCGCCTCCCCGCACTGCCCGGGTGGCATCCCTGTGACCCCTCCCCAGTGCCTCTCCTGGCCCTGGAAGTTGCCACTCCAGTGCCCACCAGCCTTGTCCTAATAAAATTAAGTTGCATCATTTTGTCTGACTAGGTGTCCTTCTATAATATTATGGGGTGGAGGGGGGTGGTATGGAGCAAGGGGCCCAAGTTGGGAAGAAACCTGTAGGGCCTGCGTTACCCAGGCTGGAGTGCAGTGGCACATTTCTGCTCACTGCAACCTCCTCCTCCCTGGGTTCtacgtagataagtagcatggcgggttaatcattaactacaaggaacccctagtgatggagttggccactccctctctgcgcgctcgctcgctcactgaggccgggcgaccaaaggtcgcccgacgcccgggctttgcccgggcggcctcagtgagcgagcgagcgcgc

V3-ベクターゲノム-3,263bp(図4)(配列番号57)
gcgcgctcgctcgctcactgaggccgcccgggcaaagcccgggcgtcgggcgacctttggtcgcccggcctcagtgagcgagcgagcgcgcagagagggagtggccaactccatcactaggggttccttgtagttaatgattaacccgccatgctacttatctacgtaAGTGCAAGTGGGTTTTAGGACCAGGATGAGGCGGGGTGGGGGTGCCTACCTGACGACCGACCCCGACCCACTGGACAAGCACCCAACCCCCATTCCCCAAATTGCGCATCCCCTATCAGAGAGGGGGAGGGGAAACAGGATGCGGCGAGGCGCGTGCGCACTGCCAGCTTCAGCACCGCGGACAGTGCCTTCGCCCCCGCCTGGCGGCGCGCGCCACCGCCGCCTCAGCACTGAAGGCGCGCTGACGTCACTCGCCGGTCCCCCGCAAACTCCCCTTCCCGGCCACCTTGGTCGCGTCCGCGCCGCCGCCGGCCCAGCCGGACCGCACCACGCGAGGCGCGAGATAGGGGGGCACGGGCGCGACCATCTGCGCTGCGGCGCCGGCGACTCAGCGCTGCCTCAGTCTGCGGTGGGCAGCGGAGGAGTCGTGTCGTGCCTGAGAGCGCAGAGTCTGCGGTGGGCAGCGGAGGAGTCGTGTCGTGCCTGAGAGCGCAGCTGTGCTCCTGGGCACCGCGCAGTCCGCCCCCGCGGCTCCTGGCCAGACCACCCCTAGGACCCCCTGCCCCAAGTCGCAGCCACCATGGGCAAGGAGAAGACCCACATCAACATCGTGGTCATCGGCCACGTGGACTCCGGAAAGTCCACCACCACGGGCCACCTCATCTACAAATGCGGAGGTATTGACAAAAGGACCATTGAGAAGTTCGAGAAGGAGGCGGCTGAGATGGGGAAGGGATCCTTCAAGTATGCCTGGGTGCTGGACAAGCTGAAGGCGGAGCGTGAGCGCGGCATCACCATCGACATCTCCCTCTGGAAGTTCGAGACCACCAAGTACTACATCACCATCATCGATGCCCCCGGCCACCGCGACTTCATCAAGAACATGATCACGGGTACATCCCAGGCGGACTGCGCAGTGCTGATCGTGGCGGCGGGCGTGGGCGAGTTCGAGGCGGGCATCTCCAAGAATGGGCAGACGCGGGAGCATGCCCTGCTGGCCTACACGCTGGGTGTGAAGCAGCTCATCGTGGGCGTGAACAAAATGGACTCCACAGAGCCGGCCTACAGCGAGAAGCGCTACGACGAGATCGTCAAGGAAGTCAGCGCCTACATCAAGAAGATCGGCTACAACCCGGCCACCGTGCCCTTTGTGCCCATCTCCGGCTGGCACGGTGACAACATGCTGGAGCCCTCCCCCAACATGCCGTGGTTCAAGGGCTGGAAGGTGGAGCGTAAGGAGGGCAACGCAAGCGGCGTGTCCCTGCTGGAGGCCCTGGACACCATCCTGCCCCCCACGCGCCCCACGGACAAGCCCCTGCGCCTGCCGCTGCAGGACGTGTACAAGATTGGCGGCATTGGCACGGTGCCCGTGGGCCGGGTGGAGACCGGCATCCTGCGGCCGGGCATGGTGGTGACCTTTGCGCCAGTGAACATCACCACTGAGGTGAAGTCAGTGGAGATGCACCACGAGGCTCTGAGCGAAGCTCTGCCCGGCGACAACGTCGGCTTCAATGTGAAGAACGTGTCGGTGAAGGACATCCGGCGGGGCAACGTGTGTGGGGACAGCAAGTCTGACCCGCCGCAGGAGGCTGCTCAGTTCACCTCCCAGGTCATCATCCTGAACCACCCGGGGCAGATTAGCGCCGGCTACTCCCCGGTCATCGACTGCCACACAGCCCACATCGCCTGCAAGTTTGCGGAGCTGAAGGAGAAGATTGACCGGCGCTCTGGCAAGAAGCTGGAGGACAACCCCAAGTCCCTGAAGTCTGGAGACGCGGCCATCGTGGAGATGGTGCCGGGAAAGCCCATGTGTGTGGAGAGCTTCTCCCAGTACCCGCCTCTCGGCCGCTTCGCCGTGCGCGACATGAGGCAGACGGTGGCCGTAGGCGTCATCAAGAACGTGGAGAAGAAGAGCGGCGGCGCCGGCAAGGTCACCAAGTCGGCGCAGAAGGCGCAGAAGGCGGGCAAGTGATCAACCTCTGGATTACAAAATTTGTGAAAGATTGACTGGTATTCTTAACTATGTTGCTCCTTTTACGCTATGTGGATACGCTGCTTTAATGCCTTTGTATCATGCTATTGCTTCCCGTATGGCTTTCATTTTCTCCTCCTTGTATAAATCCTGGTTGCTGTCTCTTTATGAGGAGTTGTGGCCCGTTGTCAGGCAACGTGGCGTGGTGTGCACTGTGTTTGCTGACGCAACCCCCACTGGTTGGGGCATTGCCACCACCTGTCAGCTCCTTTCCGGGACTTTCGCTTTCCCCCTCCCTATTGCCACGGCGGAACTCATCGCCGCCTGCCTTGCCCGCTGCTGGACAGGGGCTCGGCTGTTGGGCACTGACAATTCCGTGGTGTTGTCGGGGAAATCATCGTCCTTTCCTTGGCTGCTCGCCTGTGTTGCCACCTGGATTCTGCGCGGGACGTCCTTCTGCTACGTCCCTTCGGCCCTCAATCCAGCGGACCTTCCTTCCCGCGGCCTGCTGCCGGCTCTGCGGCCTCTTCCGCGTCTTCGCCTTCGCCCTCAGACGAGTCGGATCTCCCTTTGGGCCGCCTCCCCGCAGCTGGAGCCTCGGTAGCCGTTCCTCCTGCCCGCTGGGCCTCCCAACGGGCCCTCCTCCCCTCCTTGCACCGGCCCTTCCTGGTCTTTGAATAAATTCATTGCCTGCCCGGGTGGCATCCCTGTGACCCCTCCCCAGTGCCTCTCCTGGCCCTGGAAGTTGCCACTCCAGTGCCCACCAGCCTTGTCCTAATAAAATTAAGTTGCATCATTTTGTCTGACTAGGTGTCCTTCTATAATATTATGGGGTGGAGGGGGGTGGTATGGAGCAAGGGGCCCAAGTTGGGAAGAAACCTGTAGGGCCTGCGTTACCCAGGCTGGAGTGCAGTGGCACATTTCTGCTCACTGCAACCTCCTCCTCCCTGGGTTCtacgtagataagtagcatggcgggttaatcattaactacaaggaacccctagtgatggagttggccactccctctctgcgcgctcgctcgctcactgaggccgggcgaccaaaggtcgcccgacgcccgggctttgcccgggcggcctcagtgagcgagcgagcgcgc

V4-ベクターゲノム-4,299bp(図5)(配列番号58)
gcgcgctcgctcgctcactgaggccgcccgggcaaagcccgggcgtcgggcgacctttggtcgcccggcctcagtgagcgagcgagcgcgcagagagggagtggccaactccatcactaggggttccttgtagttaatgattaacccgccatgctacttatctacgtaCTCTGGAGACGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTCGAGGTGAGCCCCACGTTCTGCTTCACTCTCCCCATCTCCCCCCCCTCCCCACCCCCAATTTTGTATTTATTTATTTTTTAATTATTTTGTGCAGCGATGGGGGCGGGGGGGGGGGGGGCGCGCGCCAGGCGGGGCGGGGCGGGGCGAGGGGCGGGGCGGGGCGAGGCGGAGAGGTGCGGCGGCAGCCAATCAGAGCGGCGCGCTCCGAAAGTTTCCTTTTATGGCGAGGCGGCGGCGGCGGCGGCCCTATAAAAAGCGAAGCGCGCGGCGGGCGGGAGTCGCTGCGCGCTGCCTTCGCCCCGTGCCCCGCTCCGCCGCCGCCTCGCGCCGCCCGCCCCGGCTCTGACTGACCGCGTTACTCCCACAGGTGAGCGGGCGGGACGGCCCTTCTCCTCCGGGCTGTAATTAGCGCTTGGTTTAATGACGGCTTGTTTCTTTTCTGTGGCTGCGTGAAAGCCTTGAGGGGCTCCGGGAGGGCCCTTTGTGCGGGGGGAGCGGCTCGGGGGGTGCGTGCGTGTGTGTGTGCGTGGGGAGCGCCGCGTGCGGCTCCGCGCTGCCCGGCGGCTGTGAGCGCTGCGGGCGCGGCGCGGGGCTTTGTGCGCTCCGCAGTGTGCGCGAGGGGAGCGCGGCCGGGGGCGGTGCCCCGCGGTGCGGGGGGGGCTGCGAGGGGAACAAAGGCTGCGTGCGGGGTGTGTGCGTGGGGGGGTGAGCAGGGGGTGTGGGCGCGTCGGTCGGGCTGCAACCCCCCCTGCACCCCCCTCCCCGAGTTGCTGAGCACGGCCCGGCTTCGGGTGCGGGGCTCCGTACGGGGCGTGGCGCGGGGCTCGCCGTGCCGGGCGGGGGGTGGCGGCAGGTGGGGGTGCCGGGCGGGGCGGGGCCGCCTCGGGCCGGGGAGGGCTCGGGGGAGGGGCGCGGCGGCCCCCGGAGCGCCGGCGGCTGTCGAGGCGCGGCGAGCCGCAGCCATTGCCTTTTATGGTAATCGTGCGAGAGGGCGCAGGGACTTCCTTTGTCCCAAATCTGTGCGGAGCCGAAATCTGGGAGGCGCCGCCGCACCCCCTCTAGCGGGCGCGGGGCGAAGCGGTGCGGCGCCGGCAGGAAGGAAATGGGCGGGGAGGGCCTTCGTGCGTCGCCGCGCCGCCGTCCCCTTCTCCCTCTCCAGCCTCGGGGCTGTCCGCGGGGGGACGGCTGCCTTCGGGGGGGACGGGGCAGGGCGGGGTTCGGCTTCTGGCGTGTGACCGGCGGCTCTAGAGCCTCTGCTAACCATGTTCATGCCTTCTTCTTTTTCCTACAGCGCCACCATGGGCAAGGAGAAGACCCACATCAACATCGTGGTCATCGGCCACGTGGACTCCGGAAAGTCCACCACCACGGGCCACCTCATCTACAAATGCGGAGGTATTGACAAAAGGACCATTGAGAAGTTCGAGAAGGAGGCGGCTGAGATGGGGAAGGGATCCTTCAAGTATGCCTGGGTGCTGGACAAGCTGAAGGCGGAGCGTGAGCGCGGCATCACCATCGACATCTCCCTCTGGAAGTTCGAGACCACCAAGTACTACATCACCATCATCGATGCCCCCGGCCACCGCGACTTCATCAAGAACATGATCACGGGTACATCCCAGGCGGACTGCGCAGTGCTGATCGTGGCGGCGGGCGTGGGCGAGTTCGAGGCGGGCATCTCCAAGAATGGGCAGACGCGGGAGCATGCCCTGCTGGCCTACACGCTGGGTGTGAAGCAGCTCATCGTGGGCGTGAACAAAATGGACTCCACAGAGCCGGCCTACAGCGAGAAGCGCTACGACGAGATCGTCAAGGAAGTCAGCGCCTACATCAAGAAGATCGGCTACAACCCGGCCACCGTGCCCTTTGTGCCCATCTCCGGCTGGCACGGTGACAACATGCTGGAGCCCTCCCCCAACATGCCGTGGTTCAAGGGCTGGAAGGTGGAGCGTAAGGAGGGCAACGCAAGCGGCGTGTCCCTGCTGGAGGCCCTGGACACCATCCTGCCCCCCACGCGCCCCACGGACAAGCCCCTGCGCCTGCCGCTGCAGGACGTGTACAAGATTGGCGGCATTGGCACGGTGCCCGTGGGCCGGGTGGAGACCGGCATCCTGCGGCCGGGCATGGTGGTGACCTTTGCGCCAGTGAACATCACCACTGAGGTGAAGTCAGTGGAGATGCACCACGAGGCTCTGAGCGAAGCTCTGCCCGGCGACAACGTCGGCTTCAATGTGAAGAACGTGTCGGTGAAGGACATCCGGCGGGGCAACGTGTGTGGGGACAGCAAGTCTGACCCGCCGCAGGAGGCTGCTCAGTTCACCTCCCAGGTCATCATCCTGAACCACCCGGGGCAGATTAGCGCCGGCTACTCCCCGGTCATCGACTGCCACACAGCCCACATCGCCTGCAAGTTTGCGGAGCTGAAGGAGAAGATTGACCGGCGCTCTGGCAAGAAGCTGGAGGACAACCCCAAGTCCCTGAAGTCTGGAGACGCGGCCATCGTGGAGATGGTGCCGGGAAAGCCCATGTGTGTGGAGAGCTTCTCCCAGTACCCGCCTCTCGGCCGCTTCGCCGTGCGCGACATGAGGCAGACGGTGGCCGTAGGCGTCATCAAGAACGTGGAGAAGAAGAGCGGCGGCGCCGGCAAGGTCACCAAGTCGGCGCAGAAGGCGCAGAAGGCGGGCAAGTGATCAACCTCTGGATTACAAAATTTGTGAAAGATTGACTGGTATTCTTAACTATGTTGCTCCTTTTACGCTATGTGGATACGCTGCTTTAATGCCTTTGTATCATGCTATTGCTTCCCGTATGGCTTTCATTTTCTCCTCCTTGTATAAATCCTGGTTGCTGTCTCTTTATGAGGAGTTGTGGCCCGTTGTCAGGCAACGTGGCGTGGTGTGCACTGTGTTTGCTGACGCAACCCCCACTGGTTGGGGCATTGCCACCACCTGTCAGCTCCTTTCCGGGACTTTCGCTTTCCCCCTCCCTATTGCCACGGCGGAACTCATCGCCGCCTGCCTTGCCCGCTGCTGGACAGGGGCTCGGCTGTTGGGCACTGACAATTCCGTGGTGTTGTCGGGGAAATCATCGTCCTTTCCTTGGCTGCTCGCCTGTGTTGCCACCTGGATTCTGCGCGGGACGTCCTTCTGCTACGTCCCTTCGGCCCTCAATCCAGCGGACCTTCCTTCCCGCGGCCTGCTGCCGGCTCTGCGGCCTCTTCCGCGTCTTCGCCTTCGCCCTCAGACGAGTCGGATCTCCCTTTGGGCCGCCTCCCCGCAGCTGGAGCCTCGGTAGCCGTTCCTCCTGCCCGCTGGGCCTCCCAACGGGCCCTCCTCCCCTCCTTGCACCGGCCCTTCCTGGTCTTTGAATAAATTCATTGCCTGCCCGGGTGGCATCCCTGTGACCCCTCCCCAGTGCCTCTCCTGGCCCTGGAAGTTGCCACTCCAGTGCCCACCAGCCTTGTCCTAATAAAATTAAGTTGCATCATTTTGTCTGACTAGGTGTCCTTCTATAATATTATGGGGTGGAGGGGGGTGGTATGGAGCAAGGGGCCCAAGTTGGGAAGAAACCTGTAGGGCCTGCGTTACCCAGGCTGGAGTGCAGTGGCACATTTCTGCTCACTGCAACCTCCTCCTCCCTGGGTTCtacgtagataagtagcatggcgggttaatcattaactacaaggaacccctagtgatggagttggccactccctctctgcgcgctcgctcgctcactgaggccgggcgaccaaaggtcgcccgacgcccgggctttgcccgggcggcctcagtgagcgagcgagcgcgc
【0070】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、HuBAプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、およびpAグロビン-Ocを含む。
【0071】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、TPL-eMLPエンハンサー、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、およびpAグロビン-Ocを含む。
【0072】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、Synプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、3’UTR(グロビン)、およびpAGH-Btを含む。
【0073】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CBAプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、およびpAGH-Btを含む。
【0074】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、EF1αプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、およびpAグロビン-Ocを含む。
【0075】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、HuBAプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、およびpAGH-Btを含む。
【0076】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、Synプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、3’UTR(グロビン)、およびpAGH-Hsを含む。
【0077】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CaMKIIaプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、およびpAGH-Hsを含む。
【0078】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、TPL-eMLPエンハンサー、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、およびpAGH-Hsを含む。
【0079】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、HuBAプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、およびpAGH-Hsを含む。
【0080】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、TPL/eMLPエンハンサー、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、およびpAGH-Btを含む。
【0081】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、EF1αプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(r)、およびpAGH-Btを含む。
【0082】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、Synプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、およびpAグロビン-Ocを含む。
【0083】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CaMKIIaプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、およびpAグロビン-Ocを含む。
【0084】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CBAプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、3’UTR(グロビン)、およびpAGH-Hsを含む。
【0085】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CBAプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、3’UTR(グロビン)、およびpAグロビン-Ocを含む。
【0086】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CaMKIIaプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、およびpAGH-Btを含む。
【0087】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、EF1αプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、およびpAGH-Hsを含む。
【0088】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、R2V17、3’UTR(グロビン)、およびpAGH-Hsを含む。
【0089】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CMVプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、およびpAGH-Hsを含む。
【0090】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、hSYNプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、およびpAGH-Btを含む。
【0091】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、hSYNプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、およびpAGH-Hsを含む。
【0092】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、hSYNプロモーター、コザック、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、およびpAGH-Hsを含む。
【0093】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CAGプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、およびpAGH-Hsを含む。
【0094】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CAGプロモーター、コザック、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、およびpAGH-Hsを含む。
【0095】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、hSYNプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、WPRE(x)、およびpAGH-Btを含む。
【0096】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、hSYNプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、およびpAGH-Hsを含む。
【0097】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、hSYNプロモーター、コザック、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、およびpAGH-Hsを含む。
【0098】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CAGプロモーター、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、およびpAGH-Hsを含む。
【0099】
一実施形態では、発現カセットは、5’から3’の順序で、CAGプロモーター、コザック、eEF1A2またはその機能的バリアントをコードするポリヌクレオチド配列、およびpAGH-Hsを含む。
【0100】
アデノ随伴ウイルスベクター
アデノ随伴ウイルス(AAV)は複製欠損パルボウイルスであり、その一本鎖DNAゲノムは約4.7kbの長さであり、二つの145ヌクレオチド逆位末端反復(ITR)を含む。AAVには複数の公知のバリアントがあり、抗原エピトープにより分類される場合、血清型と呼ばれることもある。AAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列は公知である。例えば、AAV-1の全ゲノムは、GenBank登録番号NC_002077で提供され、AAV-2の全ゲノムは、GenBank登録番号NC_001401およびSrivastava et al.,J.Virol.,45:555-564(1983)で提供され、AAV-3の全ゲノムは、GenBank登録番号NC_1829で提供され、AAV-4の全ゲノムは、GenBank登録番号NC_001829で提供され、AAV-5のゲノムは、GenBank登録番号AF085716で提供され、AAV-6の全ゲノムは、GenBank登録番号NC_00 1862で提供され、AAV-7およびAAV-8ゲノムの少なくとも一部は、それぞれGenBank登録番号AX753246およびAX753249で提供され、AAV-9のゲノムは、Gao et al.,J.Virol.,78:6381-6388(2004)で提供され、AAV-10のゲノムはMol.Ther.,13(1):67-76(2006)で提供され、AAV-11ゲノムはVirology,330(2):375-383(2004)で提供される。AAVrh.74ゲノムの配列は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,434,928号で提供されている。ウイルスDNA複製(rep)、キャプシド形成/パッケージング、および宿主細胞染色体組込みを導くシス作用配列は、AAV ITR内に含まれる。三つのAAVプロモーター(それらの相対マップ位置からp5、p19、およびp40と命名)は、rep遺伝子およびcap遺伝子をコードする二つのAAV内部オープンリーディングフレームの発現を駆動する。単一のAAVイントロン(ヌクレオチド2107および2227)のディファレンシャルスプライシング(differential splicing)と連動して二つのrepプロモーター(p5およびp19)は、rep遺伝子から四つのrepタンパク質(rep78、rep68、rep52、およびrep40)を産生する。Repタンパク質は、ウイルスゲノムの複製を最終的に担う複数の酵素特性を持つ。cap遺伝子は、p40プロモーターから発現され、それは、三つのキャプシドタンパク質VP1,VP2、およびVP3をコードする。選択的スプライシングおよび非コンセンサス翻訳開始部位は、三つの関連するキャプシドタンパク質の産生に関与する。単一のコンセンサスポリアデニル化部位は、AAVゲノムのマップ位置95に位置付けられる。AAVのライフサイクルと遺伝学は、Muzyczka,Current Topics in Microbiology and Immunology,158:97-129(1992)で概説されている。
【0101】
AAVは、例えば、遺伝子治療において外来DNAを細胞に送達するためのベクターとして魅力的となる独自の特色を持つ。培養中の細胞のAAV感染は非細胞変性であり、ヒトおよび他の動物の自然感染は無症状および無症候性である。さらに、AAVは多くの哺乳動物細胞に感染し、インビボで多くの異なる組織を標的化する可能性を許容する。さらに、AAVはゆっくりと分裂する細胞と分裂しない細胞に形質導入し、転写的に活性な核エピソーム(染色体外エレメント)として、これらの細胞の生存期間にわたり本質的に存続することができる。AAVプロウイルスゲノムは、プラスミド中でクローン化DNAとして挿入され、これによって組換えゲノムの構築が実現可能となる。さらに、AAV複製およびゲノムのキャプシド化を指示するシグナルは、AAVゲノムのITR内に含まれているため、ゲノムの内部約4.3kbの一部または全部(複製および構造キャプシドタンパク質、rep-capをコードする)は、外来DNAで置換されてもよい。AAVベクターを生成するために、repタンパク質およびcapタンパク質をトランスで提供してもよい。AAVの別の重要な特色は、AAVが極度に安定した強力なウイルスであることである。アデノウイルスの不活化に使用される条件(56°~65℃で数時間)に容易に耐え、AAVの低温保存の重要性を軽減する。AAVは凍結乾燥することもできる。最後に、AAV感染細胞は重複感染に耐性がない。
【0102】
rAAVゲノム中のAAV DNAは、組換えウイルスが誘導され得る任意のAAVバリアントまたは血清型由来であってもよく、AAVバリアントまたは血清型には、AAV-1、 AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、およびAAVrh10が含まれるが、これらに限定されない。シュードタイプ化されたrAAVの産生は、例えば、国際特許公開第01/83692号に開示されている。他の型のrAAVバリアント、例えば、キャプシド変異を伴うrAAVなども企図されている。例えば、Marsic et al.,Molecular Therapy,22(11):1900-1909(2014)を参照のこと。様々なAAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列が、当技術分野において公知である。
【0103】
場合によっては、rAAVは自己相補的なゲノムを含む。本明細書で定義されるように、「自己相補的」または「二本鎖」ゲノムを含むrAAVは、McCarty et al.に記載されるように、rAAVのコード領域が分子内二本鎖DNA鋳型を形成するように構成されるように操作されたrAAVを指す。自己相補的な組換えアデノ随伴ウイルス(scAAV)ベクターは、DNA合成とは独立した効率的な形質導入を促進する。Gene Therapy.8(16):1248-54(2001)。本開示は、感染(形質導入のような)時に、rAAVゲノムの第二の鎖の細胞介在性合成を待つのではなく、scAAVの二つの相補的な半分が、すぐに複製および転写ができる一つの二重鎖DNA(dsDNA)ユニットを形成するので、場合によっては、自己相補的ゲノムを含むrAAVの使用を企図する。rAAVにおいて見出される完全コード容量(4.7~6kb)の代わりに、自己相補的ゲノムを含むrAAVは、その量の約半分(およそ2.4kb)だけを保持することが理解されよう。
【0104】
他の場合では、rAAVベクターは一本鎖ゲノムを含む。本明細書中で定義されるように、「単一標準」ゲノムは、自己相補的ではないゲノムを指す。大半の場合では、非組換えAAVは一本鎖DNAゲノムを有する。rAAVは、細胞の効率的な形質導入を達成するためにscAAVであるべきといういくつかの指標があった。本開示は、しかし、rAAVベクターの他の遺伝子改変が、標的細胞において最適な遺伝子転写を得るために有益であり得るという理解から、自己相補的ゲノムではなく、一本鎖ゲノムを有するかもしれないrAAVベクターを企図している。一部の場合では、本開示は、マウス眼の前眼部への効率的な遺伝子導入を達成することが可能な一本鎖rAAVベクターに関する。Wang et al.Single stranded adeno-associated virus achieves efficient gene transfer to anterior segment in the mouse eye.PLoS ONE 12(8):e0182473(2017)を参照のこと。
【0105】
一部の場合では、rAAVベクターは、血清型AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAVrh10、またはAAVrh74である。シュードタイプ化されたrAAVの産生は、例えば、国際特許公開第01/83692号に開示されている。他の型のrAAVバリアント、例えば、キャプシド変異を伴うrAAVなども企図されている。例えば、Marsic et al.,Molecular Therapy,22(11):1900-1909(2014)を参照のこと。一部の場合では、rAAVベクターは血清型AAV9である。一部の実施形態では、当該rAAVベクターは、血清型AAV9であり、一本鎖ゲノムを含む。一部の実施形態では、当該rAAVベクターは、血清型AAV9であり、自己相補的ゲノムを含む。一部の実施形態では、rAAVベクターは、AAV2の逆位末端反復(ITR)配列を含む。一部の実施形態では、rAAVベクターはAAV2ゲノムを含み、その結果、rAAVベクターはAAV-2/9ベクター、AAV-2/6ベクター、またはAAV-2/8ベクターである。
【0106】
最も良く知られているAAVに対する完全長配列およびキャプシド遺伝子の配列は、米国特許第8,524,446号に提供され、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0107】
AAVベクターは、野生型AAV配列を含んでよく、またはそれらは野生型AAV配列に対する一つまたは複数の改変を含んでもよい。特定の実施形態では、AAVベクターは、キャプシドタンパク質、例えば、VP1、VP2および/またはVP3内に、一つまたは複数のアミノ酸改変、例えば、置換、欠失、または挿入を含む。特定の実施形態では、改変は、AAVベクターが対象に提供される場合、低下した免疫原性を提供する。
【0108】
rAAVのキャプシドタンパク質は、rAAVがニューロン、またはより具体的にはドパミン作動性ニューロンなどの対象の特定標的組織に標的化されるように改変されてもよい。例えば、Albert et al.AAV Vector-Mediated Gene Delivery to Substantia Nigra Dopamine Neurons:Implications for Gene Therapy and Disease Models.Genes.2017年2月8日を参照のこと。また、米国特許第6,180,613号および米国特許公開第US20120082650A1号も参照のこと。その両方の開示は参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、rAAVは対象の黒質に直接注射される。
【0109】
一部の実施形態では、rAAVビリオンは、AAV2 rAAVビリオンである。キャプシドの多くは、AAV2キャプシドまたはその機能的バリアントである。一部の実施形態では、AAV2キャプシドは、例えば、以下などの参照AAV2キャプシドと少なくとも98%、99%、または100%の同一性を共有する。
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGNRQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号59)
【0110】
一部の実施形態では、rAAVビリオンは、AAV9 rAAVビリオンである。キャプシドの多くは、AAV9キャプシドまたはその機能的バリアントである。一部の実施形態では、AAV9キャプシドは、例えば、以下などの参照AAV9キャプシドと少なくとも98%、99%、または100%の同一性を共有する。
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWALKPGAPQPKANQQHQDNARGLVLPGYKYLGPGNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRLLEPLGLVEEAAKTAPGKKRPVEQSPQEPDSSAGIGKSGAQPAKKRLNFGQTGDTESVPDPQPIGEPPAAPSGVGSLTMASGGGAPVADNNEGADGVGSSSGNWHCDSQWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISNSTSGGSSNDNAYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTDNNGVKTIANNLTSTVQVFTDSDYQLPYVLGSAHEGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNDGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFQFSYEFENVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSKTINGSGQNQQTLKFSVAGPSNMAVQGRNYIPGPSYRQQRVSTTVTQNNNSEFAWPGASSWALNGRNSLMNPGPAMASHKEGEDRFFPLSGSLIFGKQGTGRDNVDADKVMITNEEEIKTTNPVATESYGQVATNHQSAQAQAQTGWVQNQGILPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGMKHPPPQILIKNTPVPADPPTAFNKDKLNSFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYYKSNNVEFAVNTEGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号15)
【0111】
一部の実施形態では、rAAVビリオンは、AAV-PHP.B rAAVビリオンまたはその好中球性バリアントであり、例えば、国際特許公開第2015/038958A1号および国際特許公開第2017/100671A1号において開示されているものなどであるが、これらに限定されない。例えば、AAVキャプシドは、配列TLAVPFK(配列番号61)またはKFPVALT(配列番号62)からの少なくとも4つの連続アミノ酸を含んでもよく、例えば、AAV9のアミノ酸588および589をコードする配列の間に挿入される。
【0112】
キャプシドの多くは、AAV-PHP.Bキャプシドまたはその機能的バリアントである。一部の実施形態では、AAV-PHP.Bキャプシドは、例えば、以下などの参照AAV-PHP.Bキャプシドと少なくとも98%、99%、または100%の同一性を共有する。
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWALKPGAPQPKANQQHQDNARGLVLPGYKYLGPGNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRLLEPLGLVEEAAKTAPGKKRPVEQSPQEPDSSAGIGKSGAQPAKKRLNFGQTGDTESVPDPQPIGEPPAAPSGVGSLTMASGGGAPVADNNEGADGVGSSSGNWHCDSQWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISNSTSGGSSNDNAYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTDNNGVKTIANNLTSTVQVFTDSDYQLPYVLGSAHEGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNDGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFQFSYEFENVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTINGSGQNQQTLKFSVAGPSNMAVQGRNYIPGPSYRQQRVSTTVTQNNNSEFAWPGASSWALNGRNSLMNPGPAMASHKEGEDRFFPLSGSLIFGKQGTGRDNVDADKVMITNEEEIKTTNPVATESYGQVATNHQSAQTLAVPFKAQAQTGWVQNQGILPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGMKHPPPQILIKNTPVPADPPTAFNKDKLNSFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYYKSNNVEFAVNTEGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号60)
【0113】
本開示のrAAVビリオンに使用される更なるAAVキャプシドには、国際特許公開第2009/012176A2号および国際特許公開第2015/168666A2号において開示されているものが含まれる。
【0114】
医薬組成物およびキット
一態様では、本開示は、本開示のrAAVビリオンと、一つまたは複数の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤と、を含む医薬組成物を提供する。
【0115】
例えば、注射による投与の目的のために、様々な溶液、例えば滅菌水溶液などを用いることができる。このような水溶液は、所望により緩衝されてもよく、液体希釈剤は、生理食塩水またはグルコースによって最初に等張することができる。遊離酸(DNAは酸性リン酸基を含有する)または薬理学的に許容可能な塩としてのrAAVの溶液は、0.001%または0.01%の例えばPluronic(商標)F-68などの界面活性剤と好適に混合された水中で調製することができる。rAAVの分散体は、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびその混合物、ならびに油中で調製されてもよい。通常の保存および使用の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐための防腐剤を含有する。この関連で、用いられる滅菌水性媒体は全て、当業者に周知の標準技術により容易に取得可能である。
【0116】
注射可能な使用に適した医薬品形態としては、これらに限定されないが、滅菌水溶液または分散液、ならびに滅菌注射溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。いずれの場合も、形態は滅菌されており、容易に注射可能な(syringability)程度に流動的でなければならない。製造および保管の条件下で安定であり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されていなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散体の場合に必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含めることが好ましい。注射用組成物の長期間の吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらされ得る。
【0117】
滅菌注射溶液は、必要に応じて、上で列挙された様々な他の成分と、適した溶媒中に必要な量のrAAVを組み込み、それに続く濾過滅菌により調製され得る。一般的に、分散剤は、滅菌された活性成分を、基本的な分散媒体および上記で列挙されたものから必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌された注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥技術であり、活性成分に加えて、事前に滅菌濾過された溶液からの任意の追加の所望の成分の粉末が得られる。
【0118】
別の態様では、本開示は、本開示のrAAVビリオンと、使用説明書と、含む、キットを含む。
【0119】
使用方法
ある態様において、本開示は、細胞においてeEF1A2活性を増加させる方法を提供し、この方法は、細胞を本開示のrAAVと接触させることを含む。別の態様では、本開示は、対象におけるeEF1A2活性を増加させる方法を提供し、この方法は、本開示のrAAVに投与することを含む。一部の実施形態では、細胞および/または対象は、eEF1A2の発現レベルおよび/または活性が欠損しており、および/またはeEF1A2における機能喪失突然変異を含む。細胞は、ニューロン、例えば、ドパミン作動性ニューロンであってもよい。
【0120】
一部の実施形態では、本方法は、細胞培養および/またはインビボでのニューロンの生存を促進する。
【0121】
治療方法
別の態様では、本開示は、疾患または障害の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法を提供し、この方法は、有効量の本開示のrAAVビリオンを対象に投与することを含む。一部の実施形態では、疾患または障害は、神経疾患または障害である。一部の実施形態では、対象は、eEF1A2発現または機能における遺伝的破壊を被る。一部の実施形態では、疾患または障害は、eEF1A2欠損症および/またはeEF1A2-関連神経疾患(OMIM番号617309、616393、616409)表現型スペクトル、例えば、知的障害、精神遅滞、てんかん性脳症および自閉症スペクトル障害である。
【0122】
AAVを介したeEF1A2タンパク質のCNSへの送達は、寿命を延長し、神経変性を予防し、神経行動学的欠損、変性てんかん性運動障害性脳症、てんかん、およびジストニアを予防または減弱させる可能性がある。
【0123】
併用治療も本発明により企図される。本発明の方法の標準的な医学的治療(例えば、コルチコステロイドまたは局所的減圧薬)との組み合わせが、新規の療法との組み合わせと同様に、具体的に企図される。場合によっては、対象は、本明細書に記載されるrAAVの投与に対する免疫反応を防止または低減するためにステロイドで治療され得る。
【0124】
治療有効量のrAAVベクター、例えば、脳室内(ICV)または大槽内(ICM)注射は、脳重量で、約1e12vg/kg~約5e12vg/kg、または約1e13vg/kg~約5e13vg/kg、または約1e14vg/kg~約5e14vg/kg、または約1e15vg/kg~約5e15vg/kgのrAAVの用量である。または静脈内送達用量は、体重で1213-1e14vg/kgの範囲である。本発明はまた、これらの範囲のrAAVベクターを含む組成物を含む。
【0125】
例えば、特定の実施形態では、治療有効量のrAAVベクターは、約1e10vg、約2e10vg、約3e10vg、約4e10vg、約5e10vg、約6e10vg、約7e10vg、約8e10vg、約9e10vg、約1e12vg、約2e12vg、約3e12vg、約4e12vg、または約5e12vgの用量である。本発明はまた、これらの用量のrAAVベクターを含む組成物を含む。
【0126】
一部の実施形態では、例えば、ICV注射が行われる場合、治療有効量のrAAVベクターは、1e10vg/半球~1e13vg/半球の範囲、または約1e10vg/半球、約1e11vg/半球、約1e12vg/半球、または約1e13vg/半球の用量である。一部の実施形態では、例えば、ICM注射が行われる場合、治療有効量のrAAVベクターは、合計1e10vg~合計1e14vgの範囲、または合計約1e10vg、合計約1e11vg、合計約1e12vg、合計約1e13vg、または合計約1e14vgの用量である。
【0127】
一部の実施形態では、治療用組成物は、注入された治療用組成物の体積当たり、約1e9、1e10、または1e11を超えるrAAVベクターのゲノムを含む。実施形態の場合では、治療用組成物は、1mL当たりおよそ1e10、1e11、1e12、または1e13を超えるrAAVベクターのゲノムを含む。ある特定の実施形態では、治療用組成物は、1mL当たり約1e14、1e13または1e12未満のrAAVベクターのゲノムを含む。
【0128】
患者の機能改善、臨床的有益性または有効性の証拠は、発作頻度(ミオクローヌス性および全身性強直間代発作)の減少、UK-WHO小児頭囲、身長および体重パーセンタイルチャートを使用した脳の成長および体の成長などの代替マーカーの分析によって評価され得る。小児発作一覧表や投薬記録など、標準的な疾患評価尺度を使用して、認知、運動、発話、言語機能を測定する。ピーボディ発達運動尺度2(PDMS-2)およびベイリー乳幼児発達尺度3を含む認知・発達評価を、子供の障害のレベルに応じて適用する。粗大運動機能測定(GFMF-88)、小児障害評価表(PEDI)。これらの尺度、あるいは類似の尺度、ならびに患者の申告によるQOLに関する成果として、3段階評価(平均持続時間の減少、変化なし、増加)のCaregiver Global Impression of Change in Seizure Duration(CGICSD)、Pediatric Quality of Life Inventory(PedsQL(商標))およびVineland Adaptive Behavior Scales-2nd などが疾患の構成要素の改善を実証し得る。ベースラインおよび治療後の脳磁気共鳴画像は、ミエリン化および脳容積の改善を示すことがある。心筋症、大動脈欠損症、および心室中隔欠損症を含む、常染色体優性EEF1A2-関連神経発達障害を有する患者では、心臓欠陥が観察されている(Kaneko et al.,2021,Carvill et al.,2020; McLachlan et al.,2019)。EEF1A2のホモ接合型バリアントは、全体的な発達遅延、てんかん、発育不全、拡張型心筋症、および早期死亡を伴う単一血統で特定された(Cao et al.,2017)。心臓状態の測定は、ベースラインの心電図および心エコー図を通してモニタリングされ得る。
【0129】
臨床的有益性は、寿命の延長、正常な神経発達のマイルストーンの達成、てんかん発作活動(ミオクローヌス性、間代性、全身性強直間代性、および/またはてんかん性痙攣を含む)の頻度または大きさの減少、舞踏病アテトーゼ、ジストニア、および/または運動失調症などの筋緊張低下または運動障害の改善、またはこれらの発症の欠如として観察され得る。神経保護効果および/または神経回復効果の証拠は、発達全体にわたるミエリン化の程度、脳梁の厚さ、および皮質および/または小脳萎縮の程度を特徴付けることによって、磁気共鳴撮像法(MRI)で明らかであり得る。脳波(EEG)活動の有益な変化は、多焦点放電および/または全般的なスパイク活動の減少によって明らかであろう。
【0130】
一部の実施形態では、例えば、静脈内投与が行われる場合、治療的に有効なrAAVベクターの量は、対象の総体重で約1e12vg/kg~1e14vg/kgの範囲の用量である。例えば、特定の実施形態では、治療有効量のrAAVベクターは、約1e12vg/kg、約2e12vg/kg、約3e12vg/kg、約4e12vg/kg、約5e12vg/kg、約6e12vg/kg、約7e12vg/kg、約8e12vg/kg、約9e12vg/kg、約1e13vg/kg、約2e13vg/kg、約3e13vg/kg、約4e13vg/kg、5e13vg/kg、約6e13vg/kg、約7e13vg/kg、約8e13vg/kg、約9e13vg/kg、または約1e14vgの用量である。心臓の有益性の証拠には、心エコー図での安定した心機能が含まれ得る。
【0131】
組成物の投与
組成物の有効用量の投与は、限定されないが、全身的、局所的、直接注射、静脈内、脳内、脳脊髄内、くも膜下腔内、大槽内、被殻内、海馬内、黄斑内、線条体内(被殻および/または尾状核)、皮質内、または脳室内投与を含む、当技術分野の標準的な経路によるものであってよい。場合によっては、投与は、静脈内、脳内、脳脊髄、くも膜下腔内、大槽内、被殻内、海馬内、線条体内(被殻および/または尾状核)、または脳室内注射を含む。投与は、トレンデレンブルク傾斜を伴う、または伴わないくも膜下腔内注射によって行われてもよい。
【0132】
一部の実施形態では、本開示は、有効用量の本発明のrAAVおよび組成物の局所投与および全身投与を提供する。例えば、全身投与は、全身が影響を受けるように、循環系中への投与であり得る。全身投与は、注射、注入、または移植を通じた親(parental)投与を含む。
【0133】
特に、本発明のrAAVの投与は、rAAV組換えベクターを動物の標的組織に輸送する任意の物理的方法を使用することによって達成され得る。投与には、以下に限定されないが、中枢神経系(CNS)または脳脊髄液(CSF)への注射、および/または脳への直接の注射が含まれる。
【0134】
一部の実施形態では、本開示の方法は、脳室内、大槽内、くも膜下腔内、または脳実質内の送達を含む。注入は、注入ポンプを使用して、専用カニューレ、カテーテル、シリンジ/針を使用して行われてもよい。任意選択的に、注射部位の標的化は、MRIガイドイメージングを用いて達成されてもよい。投与は、有効量のrAAVビリオン、またはrAAVビリオンを含む医薬組成物のCNSへの送達を含み得る。これらは、例えば、片側脳室内注入法、両側脳室内注入法、トレンデレンブルク傾斜手順を伴う大槽内(intracisternal magna)注入、またはトレンデレンブルク傾斜処置を伴わない大槽内注入、トレンデレンブルク傾斜処置を伴うくも膜下腔内注入、またはトレンデレンブルク傾斜処置を伴わないくも膜下腔内注入を介して達成され得る。本開示の組成物は、さらに静脈内投与されてもよい。
【0135】
CNSへの直接送達には、脳室内、片側または両側、特定の神経細胞領域、あるいは神経細胞標的を含むより一般的な脳領域を標的とすることが考えられる。個々の患者の脳室内空間、脳領域および/または神経標的の選択、ならびにその後のAAVの術中送達は、多数の撮像技術(MRI、CT、MRIマージと組み合わせたCT)を使用して、任意の数のソフトウェア計画プログラム(例えば、Stealth System、Clearpoint Neuronavigation System、Brainlab、Neuroinspireなど)を採用することによって達成することができる。脳室内空間または脳領域の標的化および送達には、標準的な定位固定フレーム(Leksell、CRW)の使用が関与するか、または術中MRIの有無に関わらず、フレームレスアプローチを使用することができる。AAVの実際の送達は、AAVベクターの吸着を防止するために、材料で被覆した内側ルーメンを有する、または有さない針またはカニューレを通した注射による場合がある(例えば、Smartflowカニューレ、MRI Interventionsカニューレ)。送達デバイスは、シリンジを、事前にプログラムされた注入速度および容量を有する自動注入またはマイクロ注入ポンプとインターフェイスで接続する。シリンジ/針の組み合わせ、または針のみは、定位固定フレームと直接インターフェイスで接続されてもよい。注入は、一定の流量、または対流性強化送達による変動速度を含み得る。
【実施例
【0136】
実施例1:プロモーターの選択
ニューロンにおけるeEF1A2の発現を回復させるプロモーターを選択するために、野生型新生児マウスにおける生体内分布試験を実施した。ヒトシナプシン(hSYN)プロモーターは、表1に示すように、他のすべての候補プロモーターと比較して、神経系対する優れた選択性および強力なニューロン発現を示した。驚くべきことに、hSYNプロモーターは、試験されたeSYNおよび他のプロモーターよりも高いニューロン選択性を示した。
【0137】
【表6】
【0138】
実施例2:EEF1A2ノックアウトマウスモデルのAAV9遺伝子治療レスキュー
EEF1A2遺伝子の変異に影響を受けた対象(例えば、子供)のための新しい治療方法を開発した。真核生物翻訳伸長因子1アルファ2(eEF1A2)は、アミノアシル転写RNAをタンパク質合成のためにリボソームに送達するために不可欠である。EEF1A2遺伝子の変異は、重度の知的障害、自閉症、およびてんかんと関連している。現在有効な治療法はない。EEF1A2ノックアウトマウスモデル(消耗(wasted)マウス)は、十分に特徴解析されている。消耗(wst/wst)マウスは、離乳後に歩行障害および振戦を呈し、その後、23日齢までに麻痺および運動ニューロンの変性が見られるようになった。このマウスモデルを使用して、発明者らは、遺伝子治療によりタンパク質の機能を回復できるかどうかを試験した。ヒトEEF1A2 cDNA(hSyn-eEF1A2)の発現を駆動するために、汎ニューロンプロモーターであるヒトシナプシンを使用してアデノ随伴ウイルス9(AAV9)を設計した。インビボで構築物の発現を追跡するために、eGFPマーカー遺伝子が含まれていた。免疫蛍光法(図7)は、AAV9-hSyn-eEF1A2-T2A-eGFPの新生児ICまたはIV注射後の神経細胞標的化を明らかにした。免疫組織化学染色(図8)は、rAAV(eEF1A2-2A-eGFPまたはeGFPマーカー単独の両方について)の単回注射から両方の投与経路後にCNSにおける広範な導入遺伝子発現を確認した。
【0139】
遺伝子治療ベクターは、消耗(wst/wst)マウスの治療に有効であることが証明された。Eef1a2-/-ノックアウトマウス(wst/wst)は、ICを注射するとほとんどが生存し(3/4)、ICおよびIVの両方を注射するとすべてが生存した(図9A)。未処置マウスは、P23で死亡した。ICまたはIC/IVマウスは、同様にWTマウスと比較して体重減少を示さなかったのに対し、未処置の対照マウスは、P23で死亡につながる体重減少を呈した(図9B)。ロータロッドおよびインバーテッドグリッド分析では、処置後のパフォーマンスの低下は見られなかった(図9Cおよび図9D)。結果は、二元配置分散分析およびダネットの多重比較検定のいずれによっても有意であった。
【0140】
eEF1A2発現は、野生型、IC、および併用治療において脳全体にわたって観察された(図9Eおよび図9F)。eEF1A2発現は、野生型、IC、および併用治療群の脊髄組織に存在した。しかし、発現は、未処置の消耗群およびIV処置群(F)では存在しなかった。
【0141】
実施例3:EEF1A2D252H、またはEEF1A2G70S、またはEEF1A2E122KマウスモデルのAAV9遺伝子治療レスキュー
図2図5および図6に示すベクター設計の有効性、ならびに様々なコドン最適化を比較して、優れた有効性を有するベクターを識別する。実験は、ヒトに見られる三つの変異(D252H、G70Sおよび/またはE122K)および/または重度の神経変性表現型(Del.22.ex3)を有するマウスモデルを再現するマウスモデルで実施される。実験は、eEF1A2をコードするAAVベクターが生存、体重減少、および行動表現型を救うことができることを確認するために、新生児マウス、および成体までの後期発達段階の両方で実施される。神経行動検査に対する有益な効果の評価には、回転シリンダ(ロータロッド)でのパフォーマンス、吊り下げられたワイヤ表面にしがみつく能力(ワイヤーハング試験)、フットフォールト試験、インバーテッドグリッド行動、握力、および通常の探索活動または異常行動(例えば、「痙攣行動」)の観察を含む、オープンフィールドでの行動が含まれる。AAV9-eEF1A2を注射したマウスの神経行動機能を評価するために、未処置の対照と比較して、後肢の握り、歩行、脊柱後弯症、および棚に沿って歩く能力の分析を含む、一連の検査で集合的な神経スコアを取得することができる。寿命が延長されたDel.22.ex3(または異常なEEGを有する他のマウス系統)マウスにおける発作の頻度および脳波(EEG)の変化は、CNSにおける異常な電気活動を軽減する有益な効果を明らかにする。生化学的および組織学的解析により、eEF1A2発現レベルおよびCNS内の分布に対するベクター設計の優れた有効性が確認されている。組織分析には、ウェスタンブロットおよびELISAによる新鮮な組織、および免疫標識によるCNSの固定切片におけるmRNA、DNA、ベクターコピー数、および導入遺伝子タンパク質発現の検出が含まれる。
【0142】
実施例4:EEF1A2欠乏のWST/WSTマウスモデルにおける、中枢神経系へのヒトEEF1A2タンパク質のAAV9を介した送達の効果
eEF1A2関連障害の代表的なモデルは、EEf1A2遺伝子の第一のエクソンおよびすべてのプロモーター要素の自然欠失が、eEF1A2ヌル(wst/wst)をもたらす、消耗マウスモデルである。未処置の動物では、wst/wstマウスの31%がP20-22の間に死亡し、生き残ったwst/wstマウスは、体重の減弱、振戦、それに続いて体重減少を示し、残りはすべて24日目までに死亡した。未処置の動物は、握力の低下およびロータロッドのパフォーマンスの低下も示す可能性があり、最も長く生き延びた動物では、振戦、進行性麻痺、および体重減少が見られる。我々のwst/wstコロニーの動物は、より深刻で、より急性に衰弱し、より早期に死亡しているように見える。P23にインバーテッドグリッド潜時が低下することによって、握力障害を観察した。wst/wst動物がP24までしか生存しなかったため、wst/wstを野生型動物と有意に区別するためのロータロッドパフォーマンスの低下は観察されていない。
【0143】
材料および方法
動物福祉
すべての動物実験は、英国内務省および1986年の動物(科学的手順)法に準拠し、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの倫理審査委員会のガイドラインの範囲内で実施された。本試験で使用するwst/wst eEF1A2ヌルマウスモデルは、以前に説明した(Chambers D et al.PNAS 95:4463-8(1998))。ヘテロ接合マウスを時間交配させて、混合遺伝子型同腹仔を生成した。仔をプライマー(プライマーEEF1A2 Mut F 5’ACCAGTGGTTTCACCTGCTC 3’,EEF1A2 Common R 5’CACTGTGGGGGCTCTGGTTT 3’,EEF1A2 WT F 5’CAGAGCTTCACTCAGTCTG 3’)を使用してP0で遺伝子型を決定した。
【0144】
AAV9-eEF1A2ベクターまたは対照物質の投与は、P0で新生児ホモ接合体wst/wstまたはWT同腹仔に対する両側脳室内注射により行われ、動物は、人道的エンドポイント(体重減少≧15%)または時限犠牲点P60まで追跡された。脳室内注射は、前述したようにP0-1マウスの側脳室に向けられた(Newbery HJ,et al.J Neuropathol Exp Neurol 64:295-303(2005))。33ゲージ針(ハミルトン)を、注射部位に垂直に深さ3mmまで挿入し、5μlのベクターを5秒かけて側脳室に投与した。仔は速やかに雌親に戻された。群サイズは、遺伝子治療を行ったwst/wstマウスが6、7腹から対照の同腹仔が14~16であった。
【0145】
行動研究
マウスは定期的に計量され、一般的な健康状態の変化および人道的エンドポイントを満たすことについて評価された。ロータロッドの行動試験、およびインバーテッドグリッド試験をP23で実施した。すべての行動試験は、動物治療群に対して盲検化された研究者によって実施された。マウスを、4~40r.p.m.の連続加速下で、最大5分間、ロータロッド(Harvard Apparatus(登録商標))上に置いた。マウスがロッドから落ちた時間を、各試験日に各動物について3回の試行(落下までの潜時)で記録した。インバーテッドグリッド試験は、30cmの高さの透明なプラスチックの箱の上に置いたステンレス鋼グリッド(41×25cm)上にマウスを置くことが含まれた。インバーテッドグリッドから落ちる潜時を最大5分で記録した。試験の各日にマウス当たり3回、インバーテッドグリッド試験を繰り返した。
【0146】
マウス組織の組織学的および免疫組織化学的解析
マウスを、PBSを使用した終末経心腔的灌流によって殺処分した。収集された組織(脳および内臓器官)を半分にし、異なる処理技術を可能にした。免疫組織化学に使用した脳を、4%PFAに48時間、後固定し、30%スクロース溶液に移し、切片化まで4で凍結保護した。脳を、凍結ミクロトーム(ThermoFisher(登録商標)HM430)に、厚さ40μmで、いずれかの冠状面に取り付けた。全脳免疫組織化学のために240μm間隔で選択された脳切片を用いて、フリーフローティング免疫組織化学ベースの分析を実施した。簡潔に述べると、フリーフローティング切片を、15%の正常ヤギ血清(Vector Laboratories(登録商標))-0.1%トリトン-X(TBS-T)(Sigma(登録商標))を含むトリス緩衝生理食塩水で、室温で1時間ブロックし、10%の正常ヤギ血清-TBS-T中の一次抗体ウサギeEF1A2(Proteintech(登録商標))で、4℃で一晩、インキュベートした。翌日、切片をそれぞれ種特異的二次抗体(Vector Laboratories(登録商標))と共に、室温で1時間インキュベートし、TBSで洗浄した後、ベクタステインアビジン-ビオチン溶液(Vector Laboratories(登録商標))と共にインキュベートする。反応を、3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)(Sigma(登録商標))で可視化した。DAB反応を、氷冷1xTBSを使用して停止し、切片を洗浄して、二重コーティングされたゼラチン化ガラススライドに取り付けた。取り付けられた切片を風乾し、100%エタノールで10分間、脱水溶液(Histoclear(商標)、National Diagnostics(登録商標))で30分間脱水した後、カバースリップ用の封入剤(DPX、VWR International(登録商標))で被覆した。
【0147】
免疫蛍光法では、脳切片を15%のヤギ血清で30分間ブロックし、次いで、10%の正常なヤギ血清TBS-T 0.3%で希釈した一次抗体(ウサギeEF1A2 1:1000 Proteintech(登録商標)およびマウスNeuN 1:1000 Milipore)と共に4℃で一晩インキュベートした。 切片を1xTBSで洗浄し、10%の正常なヤギ血清で希釈したAlexa 488およびAlexa 594(すべてInvitrogen(登録商標))で標識したそれぞれの種特異的二次抗体と共に、室温で2時間インキュベートした。NV4eiをDAPI(Sigma Aldrich(登録商標))で2分間染色した。脳切片を、二重コーティングされたスライド上に取り付け、Fluromount G(商標)(Thermofisher Scientific(登録商標))を使用してカバースリップした。
【0148】
光顕微鏡および蛍光イメージングは、ライカDFC420カメラシステムにリンクされたライカDM 4000を使用して実施された。共焦点画像を、ライカTCS SP5 AOBS共焦点顕微鏡を使用して捕捉した。Image Jソフトウェア(国立衛生研究所)を用いて画像を分析した。
【0149】
イムノブロット
Qiagen(登録商標)組織ライザーを使用して、プロテアーゼ阻害剤(Roche(登録商標))を補充した氷冷0.32Mのスクロース中でマウス脳組織からタンパク質を抽出し、4度で15分間遠心分離した。タンパク質濃度は、Pierce BCA Protein Assay Kit(Thermo Scientific(登録商標))で測定した。10μgのタンパク質を、ジチオスレイトール(DTT)を含むLaemmli緩衝液(Bio-Rad Laboratories(登録商標))で変性させた。タンパク質を、Mini-PROTEAN TGX(商標)Stain Free Gels(Bio-Rad Laboratories(登録商標))で分離し、Trans-Blot Turbo Transfer膜(Bio-Rad Laboratories(登録商標))に移した。Biorad(登録商標)ブロッキング緩衝液で室温で1時間ブロッキングした後、膜を一次抗体ウサギeEF1A2(Proteintech(登録商標)、1:1000)およびマウスGAPDH(Ab Cam(登録商標)、1:10,000)と共に4℃で一晩インキュベートした。次いで、膜を、二次的StarBright(商標)Blue 520ヤギ抗ウサギIgG(1:3000)およびStarBright(商標)Blue700ヤギ抗マウスIgG(1:3000)と共にインキュベートした。 免疫反応性タンパク質は、Chemidoc MP(Bio-Rad Laboratories(登録商標))を用いて可視化した。ロードされたサンプルn=4~5生物学的複製
【0150】
qRT-PCR mRNA転写物発現解析
RNAを、製造業者の指示に従って、RNeasy(商標)miniキット(Qiagen(登録商標))で抽出した脳ホモジネート(前脳、皮質n=4~5生物学的複製/群)から抽出し、Omega Fluostar(商標)で定量化した。混入DNAを、DNAse I精製キット(NEB(登録商標))を使用して全RNA(1μg)から除去した後、High-Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Bioscience(登録商標))を用いて逆転写を行った。次いで、10ngのDNAまたは合成cDNAを使用して、マルチプレックスhEEF1A2およびmGAPDH RT-qPCR(eEF1A2__Fwd1:ATCGTGGGCGTGAACAAA、eEF1A2_Rev1:GGTTGTAGCCGATCTTCTTGAT、eEF1A2_Probe:ATCGTCAAGGAAGTCAGCGCCTACおよび マウスGAPDH For:ACGGCAAATTCAACGGCAC、Rev:TAGTGGGGTCTCGCTCCTGG、Probe:TTGTCATCAACGGGAAGCCCATCAをLuna Taqman(商標)mastermix(NEB(登録商標))と共にQuantstudio(商標)Real-Time PCR System(Applied Biosystems(登録商標))で実施した。GAPDHを内因性対照として使用し、相対的倍率変化を計算した。
【0151】
統計解析
GraphPad Prism(商標)バージョン8を使用して、各実験に合わせてカスタマイズされた統計解析を実施した。インビボ実験設計およびサンプルサイズは、NC3Rガイダンスおよび出力計算を使用して設計した。動物実験のほとんどの解析については、一元配置または二元配置分散分析を、ボンフェローニまたはテューキーの多重比較のいずれかを用いて実施した。
【0152】
結果
図10A図10Kは、図2(「V1」;配列番号55)、図3(「V2」;配列番号56)、図4(「V3」;配列番号57)および図6(「V4」、配列番号58)に示すベクターゲノムを含む、AAV9ベクターを2e1011vg/動物で投与した場合の比較を示す。
【0153】
図10A V1、V2、V3、およびV4遺伝子治療で処置されたFBS処置野生型、wst/wst、脳室内処置wst/wst動物のカプラン・マイヤー生存プロット(2x1011vg/仔、全遺伝子治療処置群n=6、野生型FBSn=14、wst/wst FBS=17。遺伝子治療処置を受けた動物はすべて、有意な延命を示した(平均延命V1=4.4日、p=0.001、V2=3.8日 p=0.0014、V3 10.7日 p<0.0001、V4=4.4日 p=0.001 Logrank Mantel-Cox検定)。図10B マウス動物の体重(データ平均±S.E.M.)を、生後35日まで毎日、その後、時限犠牲点P60または人道的エンドポイントの15%体重減少まで毎週計量した。図10C図10D図10E、および図10F インバーテッドグリッド試験およびロータロッドによる筋力評価(群当たりn=4~7、各動物は15日および23日齢で3回試験した)。これらの試験では、ロータロッドのwst/wstおよび野生型FBS対照群間で有意差は観察されなかった。wst/wst FBS動物では、野生型と比較して、P23で有意な握力の低下が観察され、これらの行動結果に遺伝子治療ベクターの効果は見られなかった(データ平均±S.E.M.、二元配置分散分析)。図10G 野生型FBSを生理学的参照としたフリーフローティング免疫組織化学法による、脳全体のeEF1A2の代表的な免疫染色(群当たりn=4~5、スケールバー250μm) V1-4を注射したすべてのwst/wst動物は、脳全体でeEF1A2を発現し、V3で最も濃い染色および最も高い発現が観察された。図10H eEF1A2を共発現するニューロン(NeuNマーカー)の皮質脳領域における代表的な免疫組織蛍光(群当たりn=4.5、200μm)。すべてが、野生型と比較して高い発現を伴うニューロン発現プロファイルを示す。蛍光強度によって観察された最も高い発現は、すべての皮質層を通して発現を示すV3であった。すべての画像は、一定の画像設定で取り込まれた。V2およびV4では、皮質層4および5でより離散的な発現が観察された。図10I 脳全体でeEF1A2発現を示す、定量化を伴う脳におけるeEF1A2の代表的な免疫ブロットは、V4ベクターと比較して、中脳、小脳、および後脳領域においてより高い発現を有する、すべての遺伝子治療ベクターで達成された(データ平均±S.E.M、二元配置分散分析)。図10J V1ベクターで最も高いmRNA発現を示す、前脳におけるヒトeEF1A2転写物発現に対するqPCR(データ平均±S.E.M、二元配置分散分析)。図10K V1ベクターで最も高いmRNA発現を示す、前脳におけるヒトeEF1A2皮質発現に対するqPCR(データ平均±S.E.M、二元配置分散分析)。
【0154】
結論
これらの実験は、四つのベクターすべてが、EEF1A2遺伝子にホモ接合性ヌル変異を有するマウスモデル(マウスではwstと呼ばれる)において、eEF1A2の発現を回復できることを実証する。驚くべきことに、ベクターV1、V2、およびV3は、wst/wstマウスの生存を、P23を超えて、効果的かつ有意に延長することができる。(図10A)。さらに、実験は、脳、特に前脳(図10J)および皮質(図10K)におけるeEF1A2導入遺伝子の発現が、V1、V2またはV4よりもV3において大きいことを予想外に示している。理論に拘束されるものではないが、5’UTR(配列番号34)および/または3’UTR(配列番号48)を含むことは、予想に反して、遺伝子発現を治療的に増加させ、生存を延長するようである。
【0155】
実施例5:EEF1A2疾患のD252Hマウスモデルにおける、中枢神経系へのヒトEEF1A2タンパク質のAAV9を介した送達の効果
組織特異的翻訳伸長因子eEF1A2をコードするEEF1A2におけるヘテロ接合性デノボ変異は、しばしば重度のてんかんおよび知的障害を含む、神経発達障害を引き起こすことが示されている。約50種類のミスセンス変異が特定されているが、明らかな機能喪失変異は存在しない。しかし、大きなヘテロ接合性欠失は、生命に適合することが知られている。ミスセンスD252H変異を引き起こす疾患を担持するノックインeEF1A2マウスモデルは、同じ遺伝的背景を持つヌルホモ接合体よりも深刻な影響を受け、体重の減弱、神経スコアの増加、およびP23までの死亡を示す。ミスセンス変異に対してヘテロ接合性のマウスは、行動異常は示さないが、一過性の握力障害を伴う体格および運動機能において性特異的欠損を有する。del22ex3ヌルマウスモデルと並んで、このD252H新規マウスの表現型解析は、D252H変異を支持し、機能獲得をもたらす(Davies,Faith CJ,et al.Human Molecular Genetics(2020))。本実施例は、ヘテロ接合性およびホモ接合性のD252Hマウスの両方における遺伝子治療研究について説明する。
【0156】
材料および方法
処置マウスおよび未処置マウスの生存および体重は、発症過程にわたってモニタリングされた。行動試験も、P18-24日齢の間に実施された。
【0157】
動物福祉
すべての動物実験は、英国内務省および1986年の動物(科学的手順)法に準拠し、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの倫理審査委員会のガイドラインの範囲内で実施された。ヘテロ接合性D252H eEF1A2ノックインマウスを時間交配させて、混合遺伝子型同腹仔を生成した。仔は、プライマー5”-3”AGGCTACCCCTTAGGCAGGT,TGAACAAATGGTAGGTGGGAGGを使用して、P0で遺伝子型決定した。PCR増幅後、試料をHin1II(Thermo Fisher)による制限消化にかけた。
【0158】
試験物質および対照物質の投与
新生児ホモ接合性ノックインマウス(D252H-/-)に対し、5μLのV3ベクターまたは製剤緩衝液(FB)物品の投与を、1.8×1011vg/仔の用量で片側脳室内注射により達成した。試験物質またはFB対照物質を、以下によって説明された注入部位座標を用いて、33ゲージのハミルトン針(Fisher Scientific(登録商標)、Loughborough、UK)を介して、野生型およびヘテロ接合体D252Hに投与した。Kim et al.Kim,J.Y.et al.J Vis Exp 91:51863 (2014)。ラムダ縫合は、新生仔において識別可能であり、意図される注射部位は、ラムダ縫合から眼球への2/5、矢状縫合から約0.8mm~1mm外側、ラムダとブレグマの中間の位置である。注射後、仔は雌親に戻された。
【0159】
体重
個々の動物の体重をP1-P32から収集し、その後毎週収集した。15%以上の体重減少は、安楽死の人道的エンドポイントに達する。
【0160】
行動試験
すべての行動試験アッセイは、動物治療群に対して盲検化された研究者によって実施された。ロータロッド試験:P18-24からロータロッド訓練/試験を実施した。マウスを、4~40r.p.m.の連続加速度で、最大2分間、ロータロッド(Harvard Apparatus)上に置いた。マウスがロッドから落ちた時間を、各試験日に各動物について3回の試行(落下までの潜時)で記録した。インバーテッドグリッド試験:インバーテッドグリッド試験は、30cmの高さの透明なプラスチックの箱の上に置くステンレス鋼グリッド(41×25cm)上にマウスを置くことが含まれる。インバーテッドグリッドから落ちる潜時を最大2分で記録する。試験の各日に、マウス当たり3回、インバーテッドグリッド試験を繰り返す。
【0161】
結果
図11A図11Cは、未処理のD252H-/-マウスの表現型を示す。図11A:FBS処置野生型、ノックアウト(D252H-/-)、脳室内V3遺伝子治療処置D252H-/-(2x1011vg/仔、V3処置=2、V4処置=1、野生型FBSn=5、D252H-/-FBS=3のカプラン・マイヤー生存プロット。図11B マウスの体重(データ平均±S.E.M.)。図11C ロータロッドによる運動評価(データ平均±S.E.M.、二元配置分散分析、およびダネットの多重比較)。
【0162】
結論
これらの実験は、V3を有するD252H-/-マウスにおけるeEF1A2のAAV9を介した発現が、未処置のD252H-/-対照と比較して生存率を高め得ることを示す。さらに、D252H-/-ホモ接合性マウスでは、ロータロッドのパフォーマンスは一貫して低いものの、D252H-/- V3処置マウスでは経時的に一貫して改善傾向が観察される。アプリオリに定義された長期安全性/忍容性試験では、D252H/+ヘテロ接合性マウスにおけるV3の脳室内投与後のeEF1A2の過剰発現は、生存または機能的転帰測定に有害な影響を与えるようには見えない。ホモ接合性およびヘテロ接合性のD252Hマウスの両方で進行中の解析は、このeEF1A2欠損モデルにおけるAAV9を介したeEF1A2過剰発現の長期的な影響をさらに特徴付ける。
【0163】
実施例6:EEF1A2疾患のDEL22EX3マウスモデルにおける、中枢神経系へのヒトEEF1A2タンパク質のAAV9を介した送達の効果
CRISPR/Cas9生成されたDel.22.ex.3 eEF1A2マウスモデルを生成して、eEF1A2発現をノックアウトした(Davies,Faith CJ,et al.Human Molecular Genetics 2020)。CRISPR/Cas9変異誘導から生成されたEef1a2のエクソン3内の22塩基対の欠失は、ヌル変異をもたらした。これらのDel22ex3マウスは、発症後(約21~25日)、早期発症の運動ニューロン変性と麻痺に加え、致命的なてんかん発作という臨床的に相対する症状に苦しみ、あまり長く生存できない重度の表現型を呈する。本実施例は、ホモ接合性Del22ex3 eEF1A2ヌルマウスにおける遺伝子治療研究を記述するものである。
【0164】
材料および方法
処置されたマウスおよび未処置マウスの生存および体重を、発達過程にわたって監視した。行動試験も、P21-25日齢のクリティカルウィンドウの間で実施された。
【0165】
動物福祉
すべての動物実験は、英国内務省および1986年の動物(科学的手順)法に準拠し、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの倫理審査委員会のガイドラインの範囲内で実施された。ヘテロ接合性Del22ex3マウスを時間交配させて、混合遺伝子型の同腹仔を生成した。仔をプライマー5”-3”5’-TGAGTTGTGCCTCTACCCTT-3’ および5’-TACAGGCACATCCCAGGTGT-3’を使用してP0で遺伝子型決定した。
【0166】
試験物質および対照物質の投与
V3ベクターまたは製剤緩衝液(FBS)10μL(各半球5μL、両側)の脳室内注射を、2×1011vg/仔(V3高用量)または2×1010vg/仔(V3低用量)の用量で、新生児ホモ接合性Del22ex3マウス(Del22ex3)に投与した。対照としての製剤緩衝液(FBS、5μL、両側)を、野生型およびホモ接合性Del22ex3マウスに33ゲージのハミルトン針(Fisher Scientific(登録商標),Loughborough,UK)を介して、以下に描写された注射部位座標を用いて投与した。Kim et al.Kim,J.Y.et al.J Vis Exp 91:51863 (2014)。ラムダ縫合は、新生仔において識別可能であり、意図される注射部位は、ラムダ縫合から眼球への2/5、矢状縫合から約0.8mm~1mm外側、ラムダとブレグマの中間の位置である。注射後、仔は雌親に戻された。
【0167】
体重
個々の動物の体重をP1-P30は毎日収集し、その後毎週収集した。15%以上の体重減少を、安楽死に対する人道的エンドポイントの基準として使用した。
【0168】
行動試験
P21-25日目(P21は訓練日とみなされる)に、ロータロッドの訓練および試験が行われた。すべての行動アッセイは、動物治療群に対して盲検化された研究者によって実施された。マウスを、4~40 r.p.m.の連続加速度で、最大2分間、ロータロッド(Harvard Apparatus)上に置いた。マウスがロッドから落ちた時間を、各試験日に各動物について3回の試行(落下までの潜時)で記録した。
【0169】
握力メーター(Bioseb(登録商標))を使用して、P21-25の間の肢筋力を測定した(P21は訓練日とみなされる)。すべての四肢または前肢の握力を三回測定し、各試験の間に1分間の休憩を入れ、マウスが休ませるようにした。各試験では、マウスを尾の付け根で保持し、前肢または四肢すべてで掴むまでグリッド上に降ろした。
【0170】
神経スコア
レッジ試験:各マウスを、空のケージの棚に配置し、自由に探索させた。マウスがケージの端に沿って歩き、その中に着地するのを観察し、それに応じて採点した:0=自信をもった歩き方と良い着地、1=歩行中につまずきとぐらつき、2=つまずきとぐらつき、棚から滑るが持ち直す、3=棚に沿って歩くことができない
【0171】
後肢の掴み試験:マウスの尾の付け根近くを掴み、10秒間空中に吊るした。後肢の位置を観察し、以下のように採点した:0=後肢は一貫して腹部から外側を向いている、1=後肢を身体側にわずかに引き寄せる動作が吊るされた時間の50%以上、2=後肢を腹部の方へ下向きにしているのが吊るされた時間の50%以上、3=後肢を完全に引き寄せて腹部に触れているのが吊るされた時間の50%以上。
【0172】
歩行試験:動物を平らな表面上に置き、その頭部が治験責任医師とは反対に向け、歩行する様子を後方から観察し、行動を以下のように採点した:0=マウスは正常に動く、体重は全肢で支持される、腹部は地面に触れない、両方の後肢が均等に参加している、1=軽度の振戦が観察される、骨盤のわずかな隆起またはわずかなぐらつきが認められる、2=重度の振戦、骨盤の隆起または顕著なぐらつき、3=動きがばらばら、骨盤の隆起および重度のぐらつきを伴うつまずき。マウスは全く動かない場合もある。
【0173】
脊柱後弯症検査:マウスを平坦な表面上に置き、歩行中に側面から観察し、以下のように採点した:0=歩きながら脊椎を簡単にまっすぐにできる、1=軽度の脊柱後弯症(脊椎の湾曲)だが、歩行時、ほとんどまっすぐにできる、2=脊椎を完全にまっすぐにできず、軽度だが持続的な脊柱後弯症を維持する、3=歩行時または座位時に、顕著な脊柱後弯症を維持する。
【0174】
握力測定:肢の筋力は、握力計(Bioseb(登録商標))を使用して、P21-25齢で測定され、また、P30齢およびP60齢で測定される。前肢の握力を三回測定し、各試験の間に1分間の休憩を入れ、マウスが休ませるようにする。各試験では、マウスを尾の付け根で保持し、前肢で掴むまでグリッド上に降ろす。
【0175】
結果
図12A V3高用量(2×1011vg/仔 n=5)を受けているDel22ex3マウス、V3低用量(2×1010vg/仔 n=5)を受けているDel22ex3マウス、製剤緩衝液(n=3)を受けているDel22ex3対照、および製剤緩衝液(n=6)を受けている野生型対照のカプラン・マイヤー生存プロット。図12B 経時的なマウスの体重(データ平均±S.E.M.)。図12C P22-25での握力測定による運動評価(データ平均±S.E.M)
図12D P23での握力測定。(データ平均±S.E.M.、二元配置分散分析、およびテューキーの多重比較)。図12E P22-25でのロータロッドによる運動評価(データ平均±S.E.M)
図12F P24でのロータロッド(データ平均±S.E.M.、二元配置分散分析、およびテューキーの多重比較)。
図12G P21-25の神経学的スコア。
【0176】
結論
この実験は、V3を有するホモ接合性Del22ex3マウスにおけるeEF1A2のAAV9を介した発現による用量関連の利益を実証する。治療効果は、生後36日目(これまでの最終評価時点)までの生存年齢の延長、体重増加、握力およびロータロッドによって測定される筋力および運動行動、ならびに神経学的スコアの正常な悪化の改善によって示される。V3高用量処置動物では、最大でも生後25日目までしか生存しない未治療のホモ接合性Del22ex3対照と比較して、より長期の生後36日目までの生存が観察される。また、V3低用量群では、対照と比較して、生存期間も生後28日目まで延長される。V3高用量群では、野生型同腹仔対照に匹敵する体重増加がある。握力測定は、未処置の対照では筋力の低下を示し、野生型動物では年齢の増加と共に握力の増加を示す。V3高用量処置動物では、未処置の対照と比較して、P22-25まで持続する握力増加が見られる。生後23日目に、V3高用量処置マウスは、野生型同腹仔と同等に、有意に強い握力測定(p=0.0046)を示す。V3低用量では効果は認められない。ロータロッド落下の潜時は、未処置およびV3低用量と比較して、生後22~25日目のV3高用量で持続的なパフォーマンスを示し、両方とも年齢と共に低下の傾向を示す。生後24日目に、V3高用量処置動物は、未処置と比較して、有意に高いロータロッドパフォーマンスを示し(p=0.0016)、野生型同腹仔と同等である。V3低用量群には効果は認められない。AAV9-eEF1A2の有益性に関する追加の証拠は、V3処置動物の神経学的スコアに見出すことができる。Del22.ex3未処理対照の神経スコアは、P21-25の年齢と共に増加し、神経行動学的低下と一致する。これは、V3高用量処置動物が、生後21~25日に野生型同腹仔と同等であるため、観察されない。また、V3低用量群でも、少なくともP24まで、Del22ex3未処理動物と比較して、持続的に低い神経スコアが観察される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9-1】
図9-2】
図10-1】
図10-2】
図10-3】
図10-4】
図11A
図11B
図11C
図12-1】
図12-2】
【配列表】
2023535576000001.app
【国際調査報告】