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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-18
(54)【発明の名称】化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20230810BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230810BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230810BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230810BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230810BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
C07D487/04 140
C07D487/04 CSP
A61K31/519
A61P37/06
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P25/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505950
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(85)【翻訳文提出日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 EP2021071185
(87)【国際公開番号】W WO2022023433
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】2011812.1
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514073617
【氏名又は名称】ザ プロボースト,フェローズ,ファンデーション スカラーズ,アンド ジ アザー メンバーズ オブ ボード,オブ ザ カレッジ オブ ザ ホーリー アンド アンディバイデッド トリニティ オブ クイーン エリザベス ニア ダブリン
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】コノン,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】フィアロン,ウルスラ
(72)【発明者】
【氏名】ケリー,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】サザン,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB04
4C050CC08
4C050EE03
4C050FF02
4C050GG03
4C050GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA96
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB15
(57)【要約】
本発明は、式(I):

(式中、
Yは、C又はNから選択され;
XはOであり;
結合aは、単結合又は二重結合であり;
aが単結合の場合、xは1であり、aが二重結合の場合、xは0であり;
は、水素及びメチルから選択され;
(存在する場合)は、水素及びメチルから選択され;
は、水素、(1-6C)アルキル及び(1-6C)アルキル-フェニルから選択され、
ここで、前記フェニルは、ヒドロキシ、(1-6C)アルコキシ、(1-6C)アルキル及びハロ(例えば、クロロ及びフルオロ)からそれぞれ独立して選択される1つ以上(例えば、1から3個)の置換基により任意選択的に置換される)
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化17】

(式中、
Yは、C又はNから選択され;
Xは、Oであり;
結合aは、単結合又は二重結合であり;
aが単結合の場合、xは1であり、そしてaが二重結合の場合、xは0であり;
は、水素及びメチルから選択され;
(存在する場合)は、水素及びメチルから選択され;
は、水素、(1-6C)アルキル及び(1-6C)アルキル-フェニルから選択され、ここで、前記フェニルは、ヒドロキシ、(1-6C)アルコキシ、(1-6C)アルキル及びハロ(例えば、クロロ及びフルオロ)からそれぞれ独立して選択される1つ以上(例えば、1から3個)の置換基により任意選択的に置換される)
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物。
【請求項2】
請求項1記載の、式(I)(式中、Yは、Nである)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物)。
【請求項3】
請求項1又は2記載の、式(I)(式中、Rは、水素である)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の、式(I)(式中、aは、二重結合であり、そしてxは、0である)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項記載の、式(I)(式中、aは、単結合であり、そしてxは、1である)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物。
【請求項6】
請求項5記載の、式(I)(式中、Rは、水素である)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の、式(I)(式中、Rは、水素、(1-3C)アルキル、及び(1-4C)アルキル-フェニルから選択され、ここで、前記フェニルは、ヒドロキシ、(1-6C)アルコキシ、(1-6C)アルキル及びハロ(例えば、クロロ及びフルオロ)からそれぞれ独立して選択される1つ以上(例えば、1から3個)の置換基により任意選択的に置換される)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項記載の、式(I)(式中、Rは、水素、メチル及び(1-2C)アルキル-フェニルから選択され、ここで、前記フェニルは、ヒドロキシ、(1-6C)アルコキシ、(1-6C)アルキル及びハロ(例えば、クロロ及びフルオロ)からそれぞれ独立して選択される1つ以上(例えば、1から3個)の置換基により任意選択的に置換される)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載の、下記:
2-アミノ-5-((フェネトキシアミノ)メチル)-3,7-ジヒドロ-4H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オン;
2-アミノ-4-オキソ-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-メチルオキシム;
2-アミノ-5-(((ベンジルオキシ)アミノ)メチル)-3,7-ジヒドロ-4H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オン;及び
2-アミノ-4-オキソ-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド オキシム
から選択される、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物。
【請求項10】
医薬としての使用のための、請求項1から9のいずれか1項記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物。
【請求項11】
キューイン-tRNAリボシルトランスフェラーゼ経路の基質により媒介されることが可能な、疾患又は症状の処置における使用のための、請求項1から9のいずれか1項記載の、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物。
【請求項12】
自己免疫疾患の処置における使用のための、請求項1から9のいずれか1項記載の、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物。
【請求項13】
多発性硬化症又は関節リウマチの処置における使用のための、請求項1から9のいずれか1項記載の、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物。
【請求項14】
神経変性疾患又は炎症性疾患又は症状の処置における使用のための、請求項1から9のいずれか1項記載の、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物。
【請求項15】
請求項1から9のいずれか1項記載の、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物、及び薬学的に許容され得る担体又は賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項16】
請求項1から9のいずれか1項記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物、及び追加の治療剤を含む医薬製品。
【請求項17】
追加の治療剤が自己免疫疾患の処置のための医薬を含む、請求項16記載の医薬製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化合物、及び多発性硬化症及び関節リウマチなどの自己免疫疾患、並びにパーキンソン病及びアルツハイマー病などの神経変性の病態を含む、キューイン-tRNAリボシルトランスフェラーゼ経路(TGT経路としても知られる)により媒介される病態の処置におけるそれらの使用に関する。本発明はまた、新規な化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
TGT経路はまた、キューインtRNAリボシルトランスフェラーゼ(QTRT)酵素経路としても知られ、2009年の出版物(Boland et al., J. Biol. Chem. 2009. 3;284(27):18218-27)で初めて解明された。自己免疫疾患におけるT細胞のように異常な速度で増殖する細胞は、キューイン欠損(Fergus et al., Nutrients 2015, 7(4):2897-2929)であることがわかっている。
【0003】
TGT経路は、疾患のための処置を提供するために利用されている。国際公開公報第2016/050804号及び国際公開公報第2016/050806号にはそれぞれ、自己免疫疾患、特に多発性硬化症(MS)、関節リウマチ(RA)、過敏性腸疾患(IBD)及び糖尿病の処置に使用するのに適したTGT経路を介して作用するキューイン模倣化合物が記載されている。
【0004】
本発明は、TGT経路により媒介される疾患の処置における使用のための新たな化合物を提供する。
【0005】
具体的な自己免疫疾患に対する新しい処置方法が強く求められている。現在、ほとんどの自己免疫疾患は、治癒不能ではなく、既存の処置方法はその病状を改善することに焦点を当てている。MS、RA、円形脱毛症、IBD及び糖尿病などの自己免疫疾患は、さまざまな病状を示す消耗性疾患である。現在、自己免疫疾患の治療法はなく、ある範囲の薬物を用いて処置されるこれらの疾患に関連する広範な病状に対する処置のみが存在する。使用されている薬物の多くは中程度の効果しかなく、そして患者にとって忍容し難いような副作用を及ぼす可能性がある。それゆえ、自己免疫疾患の処置のための新たな薬物療法が非常に望まれている。
【0006】
例えば、MSは、疲労、かすみ目、認知障害、及び痙縮を含む広範な病状を引き起こす自己免疫疾患である。多くの患者は不可逆的な運動障害を発症し、そして患者の50%は発症から15年以内に補助なしで歩行できなくなる。現在のところ、MSの治療法は知られていないが、MSの病状を処置するための薬剤は存在する。そのような医薬の例は、フィンゴリモド、テリフルノミド、フマル酸ジメチル(テシフデラ)、オクレリズマブ、シポニモド、クラドリビン及びランダムポリマー酢酸グラチラマーを含む。これらの薬剤は、疾患の発症及び/又は重症化の再発率及び寛解率を変化させるように作用するが、疾患の進行を逆転させることはなく、そして多数の有害な副作用と関連している。進行性MSなどのいくつかのサブクラスのMSでは、ごく一部の患者のみが既存の薬剤から何らかの利益を得ている。
【0007】
RAは、関節の痛み及びこわばり、疲労、高熱、発汗及並びに食欲不振を含む、幅広い病状を引き起こすもう1つの自己免疫疾患である。MSと同様に、現在、RAのための治療法は知られておらず、そして患者は、関節の炎症などの疾患の病状を緩和して損傷を最小限に抑える薬物により処置されている。典型的には、メトトレキサート、レフルノミド、ヒドロキシクロロキン及びスルファサラジンなどの疾患修飾療法が施される。
【0008】
メトトレキサートの一般的な副作用は、気分の悪さ、食欲不振、口内炎、下痢、頭痛及び脱毛を含む。メトトレキサートにより処置された患者はまた、肝臓及び血液細胞の損傷を調べるために定期的な血液検査が必要とされ、そして肺の損傷を調べるためにX線検査を必要とし得る。
【0009】
エタネルセプト及びインフリキシマブのような生物学的処置は、RAに対するより新たな処置の形態である。これらの処置により、患者は、重篤な感染症関連の副作用に苦しむ可能性がある。
【0010】
JAK阻害剤は、新たなクラスのRA薬物であり、そしてトファシチニブ及びバリシチニブを含む。
【0011】
医学的に重要な要求のもう1つの領域は、アルツハイマー病及びパーキンソン病などの兆候に特に求められる処置を有する神経変性である。
【0012】
従って、MS及びRAのような自己免疫疾患並びに神経変性疾患に対して、効果的で忍容性の高い処置を提供する要求が存在する。
【発明の概要】
【0013】
それ以外で、本発明の目的の一つは、特に、MS及び/又はRAのような自己免疫疾患の処置などの、TGT経路により媒介される病態の処置に有用な化合物を提供することである。
【0014】
本発明は、式(I):
【化1】

(式中、
YはC又はNから選択され;
XはOであり;
結合aは、単結合又は二重結合であり;
aが単結合の場合、xは、1であり、そしてaが二重結合の場合、xは、0であり;
は水素及びメチルから選択され;
(存在する場合)は、水素及びメチルから選択され;
は、水素、(1-6C)アルキル及び(1-6C)アルキル-フェニルから選択され、ここで、前記フェニルは、ヒドロキシ、(1-6C)アルコキシ、(1-6C)アルキル及びハロ(例えば、クロロ及びフルオロ)からそれぞれ独立して選択される1つ以上(例えば、1~3個)の置換基により任意選択的に置換される)
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供する。
【0015】
本発明はまた、医薬としての使用のための、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩若しくは溶媒和物を提供する。
【0016】
本発明はまた、キューイン-tRNAリボシルトランスフェラーゼ経路により媒介される疾患又は症状の処置における使用のための、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供する。
【0017】
本発明はまた、自己免疫疾患の処置における使用のための、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供する。
【0018】
本発明はまた、神経変性疾患の処置における使用のための、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供する。
【0019】
本発明はまた、炎症性疾患の処置における使用のための、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供する。
【0020】
本発明はまた、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物、及び薬学的に許容され得る担体又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0021】
本発明はまた、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物、及び追加の治療剤を含む医薬製品を提供する。
【0022】
本発明はまた、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を含む医薬組成物を含有する容器、及び医薬製品、及び自己免疫疾患、神経変性疾患又は炎症性疾患の処置における前記医薬組成物の使用に係る説明書を含む、容器に入った医薬製品を提供する。
本発明の詳細な説明
【0023】
本発明は、添付の特許請求の範囲に述べる、新規な化合物、医薬、医薬組成物及び医薬製品としての前記化合物の使用を提供する。本発明の他の特徴は、前記従属請求項及びそれに続く説明から明らかになるであろう。
【0024】
別段の記載がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用される以下の用語は、下記の意味を有する。
【0025】
用語「含んでいる」又は「含む」は、特定の成分を含むが、他の成分の存在を排除しないことを意味する。用語「実質的に、~からなっている」」又は「実質的に、~からなる」は、特定の成分を含み、前記成分を提供するために使用される方法の結果として存在する避け得ない材料及び本発明の技術的効果を達成する以外の目的で加えられる成分である不純物として存在する材料以外の、他の成分を含まないことを意味する。用語「~からなっている」又は「~からなる」は、特定の成分を含むが、他の成分は含まないことを意味する。
【0026】
文脈に応じて、適切な場合はいつでも、用語「含む」又は「含んでいる」の使用は、「実質的に、~からなる」又は「実質的に、~からなっている」という意味を含むとも解釈され得、そして「~からなる」又は「~からなっている」という意味を含むとも解釈され得る。
【0027】
本明細書に述べる任意選択的な特徴は、個別に、又は適切な場合は互いに組み合わせて、そして具体的には添付の特許請求の範囲に述べる組み合わせで使用され得る。本明細書に述べるとき、本発明の各態様又は例示的な実施態様に関する任意選択的な特徴は、適切な場合、本発明の他のすべての態様又は例示的な実施態様にも適用可能である。つまり、本明細書を理解する当業者は、本発明の各態様又は例示的な実施態に関する任意選択的な特徴を、様々な態様及び例示的な実施態様との間で互換的及び組み合わせ可能であると考えるべきである。
【0028】
「処置する」又は「処置」への言及は、疾患又は症状の確立された病状の緩和と同様に、予防も含む。したがって、疾患又は症状を「処置する」又は疾患又は症状の「処置」は、(1)前記疾患又はその症状に苦しんでいるか又はかかりやすくなっている可能性があるが、まだ経験していないか又はその臨床症状若しくはその亜臨床症状を発現していない、ヒトにおいて発症する疾患又は症状の臨床症状の出現を予防する又は遅延させること、(2)前記疾患又は症状を抑制すること、すなわち、前記疾患又は症状の進行、又はその再発(維持処置の場合)又はその少なくとも1つの臨床症状若しくは亜臨床症状を停止、軽減又は遅延させること、あるいは(3)前記疾患を緩和又は減衰させること、すなわち、前記疾患若しくは症状、又はその臨床症若しくは亜臨床症状の少なくとも1つの回帰を引き起こすことを含む。
【0029】
「治療上有効な量」は、ある疾患を処置するために哺乳類に投与したとき、前記疾患に対するそのような処置を有効にするのに十分な量の化合物を意味する。前記「治療上有効な量」は、前記化合物、前記疾患及びその重症度、投与方法、及び処置される哺乳類の年齢、体重などにより異なる。
【0030】
用語「(1-6C)アルキル」は、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐の炭化水素鎖、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル及びn-ヘキシルを指す。同様に、「(1-3C)アルキル」は、1、2又は3個の炭素原子を含有するそのような基を指す。
【0031】
用語「(1-6C)アルコキシ」は、-O-アルキル基を指し、ここでアルキルは、上記で定義されたとおりである。(1-6C)アルコキシは、1から6個の炭素原子を有するアルキル基を含む。(1-6C)アルコキシ基の非限定的な例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、/iso-プロポキシ、2-メチル-1-プロポキシ、2-メチル-2-プロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert/-ブトキシ、n-ペントキシ及びn-ヘキソキシを含む。
【0032】
用語「ハロ」は、周期表の第17族であるハロゲンの一つを指す。具体的には、前記用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードを指す。好ましくは、前記用語は、フルオロ又はクロロを指す。
【0033】
ある部分が置換される場合、化学的に可能で、かつ原子価要件と一致する部分上のいずれかの点で置換され得る。前記部分は、1つ以上の置換基、例えば、1、2又は3個の置換基で置換され得、任意選択的に1つの基に1又は2個の置換基が存在する。2つ以上の置換基がある場合、前記置換基は同じか又は異なり得る。
【0034】
置換基は、化学的に可能である位置にのみ存在し、当業者は化学的に可能な置換を(実験的又は理論的に)過度の努力なしに決定することができる。
【0035】
成句「本発明の化合物」は、これ等の化合物、すなわち、本明細書に開示される、式(I)の化合物、一般的及び具体的の両方並びに薬学的に許容され得るその塩又は溶媒和物を意味する。
【0036】
化合物
本発明は、式(I):
【化2】

(式中、
Yは、C又はNから選択され;
Xは、Oであり;
結合aは、単結合又は二重結合であり;
aが単結合の場合、xは、1であり、そしてaが二重結合の場合、xは、0であり;
は、水素及びメチルから選択され;
(存在する場合)は、水素及びメチルから選択され;
は、水素、(1-6C)アルキル及び(1-6C)アルキル-フェニルから選択され、ここで、前記フェニルは、ヒドロキシ、(1-6C)アルコキシ、(1-6C)アルキル及びハロ(例えば、クロロ及びフルオロ)からそれぞれ独立して選択される1つ以上の(例えば、1から3個)置換基により任意選択的に置換される。)
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供する。
【0037】
本明細書において、単結合を表す結合a(かつxは、1である)に対する参照を行うとき、結果として得られる構造は、以下の式(IA):
【化3】

(式中、Y、X、R、R及びRは、本明細書で定義される通りである。)
で表されるとおりである。
【0038】
本明細書において、二重結合を表す結合a(かつxは、0である)に対する参照を行うとき、結果として得られる構造は、以下の式(IB):
【化4】

(式中、Y、X、R及びRは本明細書で定義されたとおりである。)である。aが二重結合を表す式IBの化合物において、前記化合物は、2つの幾何異性体、すなわち、オキシム基の存在により、E-及びZ-配置を有する異性体として存在し得る。前記一般式(I)は、幾何異性体の混合物、及び分離した個々の幾何異性体の両方を包含する。
【0039】
前記基Rが(1-6C)アルキル-フェニルを表す場合、前記基は、アルキル基を介して酸素に結合して、基 -0-[(1-6C)アルキル]フェニルを形成する。
【0040】
本発明の化合物は、1つ以上のキラル中心を含有することができ、一般式(I)は、ラセミ体及び、分離した、個々のエナンチオマー形態の両方を包含する。
【0041】
本発明の化合物は、TGT酵素の基質であり、そして処置として増強された有効性により他のキューイン模倣化合物に対して識別される。典型的には、本発明の化合物は、他のキューイン模倣化合物よりもより強力であり、より好ましい薬物動態プロファイル、より良好なバイオアベイラビリティ、忍容性、及び/又は安定性を有し、及び/又は他のキューイン模倣化合物よりも製剤化及び/又は製造がより容易である。
【0042】
適切には、式(I)において、Yは、Nである。
【0043】
適切には、式(I)において、Rは、水素である。
【0044】
適切には、式(I)において、Yは、Nである。
【0045】
適切には、式(I)において、Yは、Nであり、かつRは、水素である。
【0046】
適切には、式(I)において、aは、二重結合であり、かつxは、0である。
【0047】
適切には、式(I)において、aは単結合であり、かつxは、1である。適切には、xが1の場合、Rは、水素である。
【0048】
適切には、式(I)において、フェニルが置換されていない場合、Rは、水素、(1-6C)アルキル及び(1-6C)アルキル-フェニルから選択される。
【0049】
適切には、式(I)において、Yは、Nであり、そしてRは、水素、(1-6C)アルキル及び(1-6C)アルキル-フェニルから選択され、ここで、前記フェニルは、ヒドロキシ、(1-6C)アルコキシ、(1-6C)アルキル及びハロ(例えば、クロロ及びフルオロ)からそれぞれ独立に選択された1つ以上の(例えば、1から3個)置換基により任意選択的に置換される。
【0050】
適切には、式(I)において、Yは、Nであり、そしてRは、水素、(1-6C)アルキル及び(1-6C)アルキル-フェニルから選択され、ここで、前記フェニルは置換されていない。
【0051】
適切には、式(I)において、Rは、水素、(1-3C)アルキル及び(1-4C)アルキル-フェニルから選択され、ここで、前記フェニルは、ヒドロキシ、(1-6C)アルコキシ、(1-6C)アルキル及びハロ(例えば、クロロ及びフルオロ)からそれぞれ独立して選択される1つ以上の(例えば、1から3個)置換基により任意選択的に置換される。
【0052】
適切には、式(I)において、Rは、水素、(1-3C)アルキル及び(1-4C)アルキル-フェニルから選択され、ここで、前記フェニルは、置換されていない。
【0053】
適切には、式(I)において、Yは、Nであり、そしてRは、水素、(1-3C)アルキル及び(1-4C)アルキル-フェニルから選択され、ここで、前記フェニルは、ヒドロキシ、(1-6C)アルコキシ、(1-6C)アルキル及びハロ(例えば、クロロ及びフルオロ)からそれぞれ独立して選択された1つ以上の(例えば、1から3個)置換基により任意選択的に置換される。
【0054】
適切には、式(I)において、Yは、Nであり、Rは、水素、(1-3C)アルキル及び(1-4C)アルキル-フェニルから選択され、ここで、前記フェニルは置換されていない。
【0055】
適切には、式(I)において、Rは、水素、CH及び(1-2C)アルキル-フェニルから選択され、ここで、前記フェニルは、ヒドロキシ、(1-6C)アルコキシ、(1-6C)アルキル及びハロ(例えば、クロロ及びフルオロ)からそれぞれ独立して選択された1つ以上の(例えば、1から3個)置換基により任意選択的に置換される。
【0056】
適切には、式(I)において、Rは、水素、CH及び(1-2C)アルキル-フェニルから選択され、ここで、前記フェニルは置換されていない。
【0057】
適切には、式(I)において、Yは、Nであり、Rは水素、CH及び(1-2C)アルキル-フェニルから選択され、ここで、前記フェニルは、ヒドロキシ、(1-6C)アルコキシ、(1-6C)アルキル及びハロ(例えば、クロロ及びフルオロ)からそれぞれ独立して選択された1つ以上の(例えば、1から3個)置換基により任意選択的に置換される。
【0058】
適切には、式(I)において、Yは、Nであり、Rは、水素、CH及び(1-2C)アルキル-フェニルから選択され、ここで、前記フェニルは置換されていない。
【0059】
本発明はまた、以下:
2-アミノ-5-((フェネトキシアミノ)メチル)-3,7-ジヒドロ-4H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オン;
2-アミノ-4-オキソ-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-メチルオキシム;
2-アミノ-5-(((ベンジルオキシ)アミノ)メチル)-3,7-ジヒドロ-4H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オン;及び
2-アミノ-4-オキソ-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド オキシム、
から選択される式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供する。
【0060】
適切には、これらの化合物は、HCl塩として得られる。
【0061】
式(I)の化合物の適切な薬学的に許容され得る塩は、例えば、塩酸、クエン酸、酒石酸及びフマル酸(特に塩酸)との酸付加塩などの酸付加塩である。酸付加塩は、例えば、式(I)の化合物の適切な酸(例えば、塩酸、クエン酸、酒石酸及びフマル酸)との従来の方法を用いた反応により得られ得る。
【0062】
あるいは、薬学的に許容され得る塩は、本発明の化合物の1つの塩を、適切な酸又は塩基との反応により、又は適切なイオン交換カラムを用いて別の塩に変換することにより形成され得る。
【0063】
典型的には、薬学的に許容され得る塩の調製は、溶液中で行われる。得られた塩は、沈殿してろ過により収集されるか、又は溶媒の蒸発により回収され得る。
【0064】
式(I)の化合物は、例えば医薬として使用される場合、生理的条件下で、その場で塩を形成し得る。
【0065】
式(I)の化合物は、例えば水和型のように、溶媒和型又は非溶媒和型で存在し得ること理解すべきである。本発明は、薬学的に許容され得るすべての溶媒和型、特にそれらが疾患の処置に有用であるようにキューイン-tRNAリボシルトランスフェラーゼ経路に効果を示す溶媒和型を包含する。
【0066】
本明細書で定義される式(I)の化合物の特定のものが、1つ以上の不斉炭素原子の効力により光学活性型又はラセミ型で存在し得る限りにおいて、本発明は、そのようないずれかの光学活性型又はラセミ型、特に疾患の処置に有用であるようにキューイン-tRNAリボシルトランスフェラーゼ経路に効果を示す光学活性型又はラセミ型をその定義内に含むことを理解すべきである。
【0067】
本発明は、式(I)の化合物のすべての互変異性型、特に疾患の処置に有用であるようにキューイン-tRNAリボシルトランスフェラーゼ経路に効果を示す互変異性型に関することを理解すべきである。
【0068】
本発明は、式(I)の化合物のすべての異性体、特に疾患の処置に有用であるようにキューイン-tRNAリボシルトランスフェラーゼ経路に効果を示す異性体型に関することを理解すべきである。
【0069】
本発明は、式(I)の化合物のすべての幾何学的型、特に疾患の処置に有用であるようにキューイン-tRNAリボシルトランスフェラーゼ経路に効果を示す幾何学的型に関することを理解すべきである。
【0070】
本発明は、同位体的に標識された(すなわち放射性標識された)式(I)の化合物に関することを理解すべきである。そのような化合物では、1つ以上の原子が、自然界で通常見いだされる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子に置き換えられる。本発明の化合物に含めることができる放射性ヌクレオチドの例は、H(重水素を表す「D」とも書かれる)、H(トリチウムを表す「T」とも書かれる)、11C、13C、14C、15O,17O,18O、18Fなどを含む。使用される特定の放射性ヌクレオチドは、放射性標識された化合物の特定の用途に依存する。
【0071】
本発明のいくつかの化合物は、1つ以上のキラル中心及びを含み得、したがって立体異性体として存在し得る。立体異性体は、クロマトグラフィー又は分別晶析などの従来の技術を用いて分離され得る。エナンチオマーは、ラセミ体の分離、例えば、分別結晶化、分解能又はHPLCにより分離することができる。ジアステレオマーは、ジアステレオマーの様々な物理的性質の効力により、例えば、分別晶析、HPLC又はフラッシュクロマトグラフィーにより分離され得る。あるいは、特定の立体異性体は、ラセミ化若しくはエピマー化を引き起こさない条件下でのキラル出発物質からのキラル合成によるか、キラル試薬を用いた誘導体化によるか又は不斉触媒合成により調製され得る。特定の立体異性体を単離する場合、他の立体異性体を実質的に含まない状態(例えば、他の立体異性体を重量比で、10%未満、特に5%未満など、20%未満を含有する)で適切に単離される。
【0072】
式(I)の化合物は、多型性を示し得、そして本発明は、そのような全ての形態、特に自己免疫疾患の処置に有用であるようにキューイン-tRNAリボシルトランスフェラーゼ経路に効果を示す形態を包含することを理解すべきである。
【0073】
式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物は、化学的に関連する化合物の調製に適用可能であることが知られているいずれかの方法により調製され得る。そのような方法は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を調製するために使用される場合、本発明のさらなる特徴として提供され、そして別段の記載がない限り、X、Y、R、R、R、a及びxが、上記で定義された意味を有する以下の代表的な異なる方法によって例示される。必要な出発物質は、商業的に入手可能であるか、又は有機化学者の技術範囲内の有機化学の標準的な手順により、(例えば、以下の代表的なプロセス及び付随する実施例と合わせて記載されるように)調製され得る。
【0074】
例えば、式(I)の化合物は、スキーム1:
【化5】

に従ったプロセスにより調製され得る。
式中、PGは適切なアミン保護基を表す。スキーム1において、式(II)の化合物は、工程(i)で適切なアミン保護基と反応させて、式(III)の化合物を提供する。工程(ii)において、式(IV)の化合物は、式(III)の化合物から適切な還元及び加水分解工程(いずれかの順序で)により調製される。還元が加水分解に先行する場合、工程(ii)で使用するのに適した還元剤は、DiBALである。工程(iii)において、式(V)の化合物は、式(IV)の化合物のアミノ化により調製される。工程(iv)において、aが二重結合を表している式(I)の化合物は、適切な手段で保護基を除去することにより調製され、又はaが単結合を表している式(I)の化合物は、適切な還元剤(例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウム)を用いて二重結合の還元を行い、その後、適切な手段による保護基の除去によって調製される。適切な保護基が、必要に応じて式(II)、(III)、(IV)及び(V)の化合物の他の置換基に使用され得る。
【0075】
保護基の使用及び脱保護の方法は有機化学者によく知られており、そして当業者は、容易に適切なアミン保護基を選択することができるであろう。適切なアミン保護基の一例は、トリフェニルメチル(トリチル)である。適切なヒドロキシル保護基の一例は、tert-ブチル(ジメチル)シリルである。
【0076】
上記の方法から形成された本発明の得られた化合物は、当技術分野でよく知られた技術を用いて単離及び精製され得る。
【0077】
本発明の化合物は、単結晶形又は結晶形の混合物で存在し得るか、又は非晶形で有り得る。したがって、医薬用途を意図した本発明の化合物は、結晶形又は非晶の形の生成物で投与され得る。
【0078】
医薬用途
本発明は、医薬としての使用のための、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供する。
【0079】
本発明はまた、キューイン-tRNAリボシルトランスフェラーゼ経路の基質により媒介されることが可能な疾患又は症状の処置に使用するための、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供する。
【0080】
また、本発明は、キューイン-tRNAリボシルトランスフェラーゼ経路の基質により媒介されることが可能な疾患又は症状の処置のための医薬の製造における、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物の使用を提供する。
【0081】
本発明はまた、そのような処置を必要とする温血動物におけるキューイン-tRNAリボシルトランスフェラーゼ経路の基質により媒介されることが可能な疾患又は症状を処置するための方法を提供し、この方法は、治療上有効な量の本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を前記温血動物に投与することを含む。
【0082】
本発明の化合物は、キューインtRNA-リボシルトランスフェラーゼ1、及びQTRT2又はQv1とも呼ばれるパートナータンパク質QTRTD1(queuine tRNA transglycosylase domain containing 1)として知られる2つのタンパク質から成り立つ酵素複合体である、TGT(tRNAグアニントランスグリコシラーゼ)の基質である。
【0083】
この酵素は、天然物の「キューイン」を、体内のすべての細胞においてtRNAasp、tRNAasn、tRNAhis、及びtRNAtyrに挿入することが知られている。自己免疫疾患におけるT細胞のように、異常な速度で増殖している細胞は、キューイン欠損であることがわかっている(Fergus et al., Nutrients 2015, 7(4):2897-2929)。tRNAは、タンパク質の翻訳に不可欠である。タンパク質翻訳における問題点は、自己免疫疾患、炎症性疾患及び神経変性疾患と強く関連している。TGT酵素の基質であるキューイン模倣体は、もっぱらキューインと同様にtRNAに挿入され、そしてキューインと同様にtRNA上の同じ位置にのみ挿入される。それらは、自己免疫疾患の処置において、T細胞と生来の免疫機序の両方を介して作用し、併用効果を伴ってサイトカインのレベルを正常化することが示されている。さらに、キューインの欠乏は、増加した解糖作用及びミトコンドリア機能の低下と関連することが示されており、それ自体が、炎症及び神経変性障害に関連するマーカーである(Hayes et al., Nutrients 2020 12(3))。
【0084】
理論に縛られることなく、このタンパク質翻訳及びタンパク質フォールディングへの影響(非折畳み応答を含む)は、アルツハイマー病などの病態におけるタンパク質の凝集における影響も有すると考えられている。さらに、細胞代謝及びミトコンドリア機能への影響は、アルツハイマー病などの病態に影響を及ぼす可能性があると考えられている。
【0085】
本発明は、自己免疫疾患の処置に使用するための、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供する。
【0086】
本発明はまた、自己免疫疾患の処置のための医薬の製造における、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物の使用を提供する。
【0087】
本発明はまた、そのような処置を必要とする温血動物における自己免疫疾患を処置するための方法を提供し、その方法は、治療上有効な量の本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を前記温血動物に投与することを含む。
【0088】
本発明は、神経変性疾患の処置に使用するための、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供する。
【0089】
本発明はまた、神経変性疾患の処置のための医薬の製造における、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物の使用を提供する。
【0090】
本発明はまた、そのような処置を必要とする温血動物における神経変性疾患を処置するための方法を提供し、その方法は、治療上有効な量の本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を、前記温血動物に投与することを含む。
【0091】
本発明は、炎症性疾患の処置に使用するための、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供する。
【0092】
本発明はまた、炎症性疾患の処置のための医薬の製造における、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物の使用を提供する。
【0093】
本発明はまた、そのような処置を必要とする温血動物における炎症性疾患を処置するための方法を提供し、その方法は、治療上有効な量の本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を前記温血動物に投与することを含む。
【0094】
自己免疫疾患は、以下:
アカラシア、アジソン病、成人スティル病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性血管浮腫、自己免疫性自律神経失調症、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性蕁麻疹、軸索及び神経ニューロパチー(AMAN)、バロ病、ベーチェット病、良性粘膜類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病(CD)、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)、チャーグ・ストラウス症候群(CSS)又は好酸球性肉芽腫症(EGPA)、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、先天性心ブロック、コクサッキー心筋炎、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デービック病(視神経脊髄炎)、円板状ループス、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎(EoE)、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、本態性混合性クリオグロブリン血症、エバンス症候群、線維筋痛症性歯槽炎、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発血管炎性肉芽腫症、バセドウ病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(HSP)、妊娠ヘルペス又は妊娠性類天疱瘡(PG) 化膿性汗腺炎(HS)(反対型ざ瘡)、低ガンマグロブリン血症、IgA腎症、lgG4関連硬化性疾患、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、封入体筋炎(IBM)、間質性膀胱炎(IC)、若年性関節炎、若年性糖尿病(1型糖尿病)、若年性筋炎(JM)、川崎病、ランバート・イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、膠原性結膜炎、線状IgA病(LAD)、狼瘡、慢性ライム病、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、混合性結合組織病(MCTD)、モーレン角膜潰瘍、ムッハ・ハーベルマン病、多巣性運動ニューロパチー(CIDP)又はMMNCB、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、新生児ループス、視神経脊髄炎、好中球減少症、眼瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、回帰性リウマチ(PR)、PANDAS、傍腫瘍性小脳変性症(PCD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、ParryRomberg症候群、毛様体扁平部炎(周辺性ぶどう膜炎)、パーソナージュ・ターナー症候群、天疱瘡、末梢性ニューロパチー、静脈周囲脳脊髄炎、悪性貧血(PA)、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、多腺性症候群I型、II型、III型、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、プロゲステロン皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎、赤芽球ろう(PRCA)、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応関節炎反射交感神経ジストロフィー、再発性多発軟骨炎、レストレスレッグス症候群(RLS)、後腹膜線維症、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精子及び精巣自己免疫全身硬直症候群(SPS)、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、スザック症候群、交感神経性眼炎(SO)、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、血小板減少性紫斑病(TTP)、トローザ・ハント症候群(THS)、横断性脊髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎(UC)、未分化結合組織病(UCTD)、ぶどう膜炎、血管炎、白斑、フォークト・小柳・原田病、を含む。
【0095】
具体的には、自己免疫疾患は、T細胞により媒介される。
【0096】
処置され得る自己免疫疾患の好ましい例は、MS、RA、円形脱毛症、視神経炎、IBD、乾癬及び糖尿病を含む。また、移植での使用、及び免疫拒絶を抱える生物学的薬物との同時投与も含む。適切な神経変性疾患は、認知症、ハンティンドン病、アルツハイマー病、パーキンソン病及び筋萎縮性側索硬化症に加えてうつ病及び統合失調症などの潜在的な自己免疫的構成要素を有するものを含む。適切な炎症性疾患は、サイトカイン応答により引き起こされる病態、又はサイトカインストームを含む。
【0097】
本発明はまた、MSの処置における使用のための、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供する。
【0098】
本発明はまた、MSの処置のための医薬の製造における、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物の使用を提供する。
【0099】
本発明はまた、そのような処置を必要とする患者においてMSを処置するための方法を提供し、この方法は、治療上有効な量の本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を前記患者に投与することを含む。
【0100】
適切なMSの形態は、再発性寛解型(RRMS)、二次進行型(SPMS)、一次進行型(PPMS)及び進行性再発型MS(PPMS)を含む。
【0101】
本発明はまた、RAの処置における使用のための、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供する。
【0102】
本発明はまた、RAの処置のための医薬の製造における、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物の使用を提供する。
【0103】
本発明はまた、そのような処置を必要とする温血動物においてRAを処置するための方法を提供し、その方法は、治療上有効な量の本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を前記温血動物に投与することを含む。
【0104】
本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物は、単独療法として投与され得るか、又は追加の治療剤と組み合わせて投与され得る。追加の治療剤(複数可)は、式(I)の化合物と同時に、別々に又は順次投与され得る。
【0105】
本発明は、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物、及び追加の治療剤を含む医薬製品を提供する。
【0106】
さらに、本発明は、自己免疫疾患の処置における使用のための、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供し、ここで、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物は、追加の治療剤と、同時に、別々に、又は順次投与される。
【0107】
さらに、本発明は、神経変性疾患の処置おける使用のための、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供し、ここで、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物は、追加の治療剤と同時に、別々に、又は順次投与される。
【0108】
さらに、本発明は、炎症性疾患の処置における使用のための、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物を提供し、ここで、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物は、追加の治療薬と同時に、別々に、又は順次投与される。
【0109】
さらに、本発明は、MSの処置における使用のための、他の適切な薬剤と組み合わせた本発明の化合物に関する。
【0110】
さらに、本発明は、RAの処置における使用のための、他の適切な薬剤と組み合わせた本発明の化合物に関する。
【0111】
一般的に、MSに罹患している患者は、追加の治療剤を同時投与される。重症度の発作に苦しんでいる患者のために、メチルプレドニゾロンなどのコルチコステロイドの静脈内投与、又は血漿交換療法などの手法が、いずれかの処置と同時に投与され得る。
【0112】
MSによって引き起こされる神経細胞の損傷の影響は、患者に対して多様な形態の損傷をもたらす。神経の損傷は、痛み、膀胱の制御の困難、及びその他の多くの問題を引き起こす可能性がある。このため、MSに罹患した患者のMS損傷の影響を処置するために追加の医薬がしばしば処方される。適切な同時投与薬剤は、以下:
膀胱に関する問題に対しては、
・ボツリヌス毒素(Botox)
・デスモプレシン(Desmospray、Desmotabs)
・オキシブチニン(Ditropan、Lyrinel)
・トルテロジン(Detrusitol)
うつ病に対しては、
・アミトリプチリン(Triptafen)
・フルオキセチン(Prozac)
・イミプラミン(Tofranil)
・パロキセチン(Seroxat)
勃起障害に対しては、
・アルプロスタジル(Caverject、MUSE、ViridalDuo)
・クエン酸シルデナフィル(Viagra)
・タダラフィル(Cialis)
・バルデナフィル(Levitra)
疲労に対しては、
・アマンタジン(Lysovir、Symmetrel)
・モダフィニル(Provigil)
視神経炎に対しては、
・ステロイド
痛みに対しては、
・アミトリプチリン(Triptafen)
・カルバマゼピン(Tegretol)
・ガバペンチン(Neurontin)
・イブプロフェン
・イミプラミン(Tofranil)
・ラモトリギン(Lamictal)
・フェニトイン(Epanutim)
・プレガバリン(Lyrica)
歩行に関する問題に対しては、
・ファンプリジン(Fampyra)
偽延髄作用に関しては
・ヌデクスタ
痙縮及び痙攣に関しては、
・バクロフェン(Lioresal)
・ボツリヌス毒素(Botox)
・カルバマゼピン(Tegretol)
・クロナゼパム(Rivotril)
・ダントロレン(Dantrium)
・ジアゼパム(Valium)
・ガバペンチン(Neurontin)
・フェノール
・テトラヒドロカンナビノール及びカンナビジオール(Sativex)
・チザニジン(Zanaflex)
振戦に対しては、
・クロナゼパム(Rivotril)
・視床切開
三叉神経痛に対しては、
・カルバマゼピン(Tegretol)
・ガバペンチン(Neurontin)
・オクスカルバゼピン(Trileptal)
・フェニトイン(Epanutim)
・プレガバリン(Lyrica)
を含む。
【0113】
一般的に、他の治療剤は、MSに罹患した患者に投与される。そのような他の医薬は、医師及び治療に熟練したその他の人々によく知られている。
【0114】
組成
本発明は、本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物、及び薬学的に許容され得る担体又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0115】
本発明の組成物は、経口投与(例えば、錠剤、トローチ、硬質又は軟質のカプセル、水性又は油性の懸濁液、乳剤、分散性の粉末又は顆粒、シロップ又はエリキシル剤として)、局所用途(例えば、クリーム、軟膏、ゲル、水溶液若しくは油性溶液又は懸濁液として)、吸入による投与(例えば、微粉末又は液体エアロゾル)、送気における投与(例えば、微粉末)、又は非経口投与(例えば、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与用の滅菌水溶液若しくは油性溶液又は直腸投与用の坐薬など)に適した形態で存在し得る。
【0116】
適切には、前記医薬組成物は、経口投与、特に錠剤の形態で存在する。
【0117】
本発明の組成物は、当技術分野で知られている通常の医薬品の担体又は賦形剤を使用する通常の手順により得られ得る。したがって、経口用の組成物は、例えば、1つ以上の着色剤、甘味剤、香料及び/又は保存剤を含み得る。
【0118】
本発明の化合物の送達に適した医薬品組成物及びその調製のための方法は、当業者には容易に明らかである。そのような組成物及びその調製のための方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 19th Edition (Mack Publishing Company, 1995)に記載されている。
【0119】
本発明の化合物は、経口で投与され得る。経口投与は、前記化合物が消化管に入るように嚥下を含み得るか、又は前記化合物が口から直接血流に入る、口腔又は舌下投与を用い得る。経口投与に適した製剤は、錠剤、微粒子、液体又は粉末を含むカプセル剤、トローチ剤(液体充填剤を含む)、噛み薬、多重粒子及びナノ微粒子、ゲル、固溶体、リポソーム、フィルム、胚珠、スプレー及び液体製剤などの固形製剤を含む。
【0120】
液体製剤は、懸濁液、溶液、シロップ及びエリキシル剤を含む。そのような製剤は、ソフトカプセル又はハードカプセルにおける充填剤として用いられ得、そして典型的には、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、又は適切な油状物、及び1つ以上の乳化剤及び/又は懸濁剤を含む。液体製剤はまた、例えば、サシェから固体を再構成することによっても調製され得る。
【0121】
本発明の化合物はまた、Expert Opinion in Therapeutic Patents, 11 (6), 981-986, by Liang and Chen (2001)に記載されているような、急速溶解、急速崩壊させる投薬剤形にも使用され得る。
【0122】
錠剤の投薬剤形の場合、用量に応じて、前記薬物は、投薬剤形の1重量%から80重量%、より典型的には投薬剤形の5重量%から60重量%を構成し得る。前記薬物に加えて、錠剤は通常崩壊剤を含む。崩壊剤の例は、デンプン糖化ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルローカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶セルロース、低級アルキル-置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、α化デンプン及びアルギン酸ナトリウムを含む。一般的に、崩壊剤は1重量%から25重量%を含む。本発明の一実施態様では、崩壊剤は、投薬剤形の5重量%から20重量%で構成される。結合剤は、一般的に錠剤の製剤に凝集特性を付与するために使用される。適切な結合剤は、微結晶セルロース、ゼラチン、糖類、ポリエチレングリコール、天然及び合成ガム、ポリビニルピロリドン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。錠剤はまた、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、微結晶セルロース、デンプン及び二塩基性リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤を含み得る。錠剤はまた、任意選択的に、ラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベート80などの界面活性剤、並びに二酸化ケイ素及びタルクなどの滑剤も含み得る。存在する場合、界面活性剤は、錠剤の0.2重量%から5重量%を構成し得、そして滑剤は、錠剤の0.2重量%から1重量%を構成し得る。一般的に、錠剤はまた、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物などの潤滑剤も含む。一般的に、潤滑剤は、0.25重量%から10重量%を構成する。本発明の一実施態様では、潤滑剤は、錠剤の0.5重量%から3重量%を構成する。他の可能な成分は、酸化防止剤、着色料、香料、保存料及び矯味剤味を含む。
【0123】
例示的な錠剤は、最大約80%の薬物、約10重量%から約90重量%の結合剤、約0重量%から約85重量%の希釈剤、約2重量%から約10重量%の崩壊剤、及び約0.25重量%から約10重量%の潤滑剤を含む。
【0124】
錠剤の混合物は、直接又はローラーにより圧縮して錠剤を形成し得る。あるいは、錠剤の混合物又は混合物の一部は、錠剤化の前に、湿式、乾式、若しくは溶融造粒、溶融凝固され得るか、又は押出成形され得る。最終的な製剤は、1つ以上の層を含み得、そしてコーティングされるか、又は非コーティング化され得、カプセル化される可能性もある。錠剤の製剤は、Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Vol. 1 , by H. Lieberman and L. Lachman (Marcel Dekker, New York, 1980)で議論されている。
【0125】
ヒト又は動物用の摂取可能な経口フィルムは、典型的には、迅速に溶解するか又は粘膜付着性であり得る柔軟な水溶性又は水膨潤性の薄膜の投薬剤形であり、そして典型的には、本発明の化合物、フィルム形成性ポリマー、結合剤、溶媒、保湿剤、可塑剤、安定剤又は乳化剤、粘度調節剤及び溶媒を含む。前記製剤のいくつかの成分は、複数の機能を果たし得る。前記フィルム形成性ポリマーは、天然の多糖類、タンパク質、又は合成の親水コロイド類から選択され得、そして典型的には0.01から99重量%の範囲、より典型的には30から80重量%の範囲で存在する。その他の成分としては、酸化防止剤、着色剤、香料及び香味促進剤、防腐剤、唾液刺激剤、清涼剤、共溶媒(油状物を含む)、緩和剤(emollients)、膨張剤、消泡剤、界面活性剤及び矯味剤が挙げられる。本発明によるフィルムは、典型的には、剥離可能な支持体又は紙の上に塗布された薄い水性膜の蒸発乾燥により調製される。これは、乾燥オーブン又はトンネル、典型的には複合コータ乾燥機、又は凍結乾燥又は真空引きにより行い得る。
【0126】
経口投与用のための固形製剤は、即時放出及び/又は調節放出されるように製剤化され得る。調節放出は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出及びプログラム放出を含む。本発明の目的に適した調節放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散系並びに浸透性及び被覆粒子などの他の適切な放出技術の詳細は、Pharmaceutical Technology On-line, 25(2), 1-14, by Verma et al (2001)に見出される。制御放出を達成するためのチューインガムの使用は、国際公開公報第A-00/35298号に記載されている。
【0127】
本発明の化合物はまた、血流、筋肉、又は内臓に直接投与され得る。そのような非経口投与は、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、及び皮下投与を含む。非経口投与に適した装置は、ニードル(マイクロニードルを含む)インジェクター、ニードルフリーインジェクター及び注入技術を含む。
【0128】
本発明の化合物はまた、皮膚又は粘膜に局所的に投与、すなわち、皮膚的に又は経皮的に投与され得る。
【0129】
本発明の化合物はまた、典型的には、乾燥粉末の形態で(単独で、例えば乳糖との乾燥混合物として、又は、例えばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合した混合成分粒子として)、加圧された容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、微細なミストを生成するために電気流体力学を用いるアトマイザー)、又は噴霧器からなるエアロゾルスプレーのような乾燥粉末吸入器から、1,1,1,2-テトラフルオロエタン又は1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンのような適切な高圧ガスを使用するか又は使用しないで、あるいは点鼻液として、鼻腔内に又は吸入により投与され得る。鼻腔内の使用の場合、前記粉末は、例えば、キトサン又はシクロデキストリンのような生体接着剤を含み得る。鼻腔内の使用の場合、前記粉末は、例えば、キトサン又はシクロデキストリンのような生体接着剤を含み得る。
【0130】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、又は噴霧器は、例えば、エタノール、水性エタノール、又は化合物の分散、可溶化、若しくは放出を延長するための別の適切な剤、溶媒としての高圧ガス、及びソルビタントリオレアート、オレイン酸、若しくはオリゴ乳酸などの任意選択的な界面活性剤を含む、本発明の化合物の溶液又は懸濁液を含有する。
【0131】
乾燥粉末又は懸濁製剤の使用の前に、前記薬剤は、吸入による送達に適したサイズ(典型的には5ミクロン未満)に微粉化する。これは、スパイラルジェットミリング、流体ベッドジェットミリング、ナノ粒子を形成するための超臨界流体処理、高圧均質化、又は噴霧乾燥などのいずれかの適切な細かく粉砕する方法により達成され得る。
【0132】
吸入器又は送気器に使用するためのカプセル(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースから作られる)、ブリスター及びカートリッジは、本発明の化合物の粉末混合物、ラクトース又はデンプンなどの適切な粉末ベース、及びl-ロイシン、マンニトール、又はステアリン酸マグネシウムのような性能調節剤の粉末混合物を含有するように製剤化され得る。ラクトースは無水であるか、又は一水和物の形であり得、好ましくは後者で有り得る。他の適切な賦形剤は、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、ショ糖及びトレハロースを含む。
【0133】
微細なミストを生成するために電気流体力学を用いるアトマイザーで使用するための適切な溶液製剤は、作動あたり1μgから20mgの本発明の化合物を含有し得、前記作動容積は1μLから100μLまで変え得る。典型的な製剤は、本発明の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール及び塩化ナトリウムを含み得る。プロピレングリコールの代わりに使用できる別の溶媒は、グリセロール及びポリエチレングリコールを含む。
【0134】
メントール及びl-メントールなどの適切な香料、又はサッカリン及びサッカリンナトリウムなどの適切な甘味料は、鼻腔内投与を意図する本発明のこれらの製剤に加えられ得る。鼻腔内投与のための製剤は、例えばPGLAを使用して、即時放出及び/又は調節放出になるように製剤化され得る。修正放出は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出及びプログラム放出を含む。
【0135】
本発明の化合物はまた、典型的には、等張で、pH調整した、滅菌食塩水中に微粉化した懸濁液又は溶液の滴剤の形で、眼又は耳に直接投与され得る。
【0136】
本発明の化合物は、上記の投与方式のいずれかを用いる場合、それらの溶解性、溶解速度、味、バイオアベイラビリティ及び/又は安定性を改善するために、シクロデキストリン及びその適切な誘導体又はポリエチレングリコール含有ポリマーのような可溶性高分子の実在物と組み合わせることができる。例えば、薬物-シクロデキストリン複合体は、ほとんどの投薬剤形及び投与経路に対して一般的に有用であることがわかっている。包接複合物と非包接複合物の両方が使用され得る。薬物との直接複合体形成の代わりとして、前記シクロデキストリンは、補助添加剤として、すなわち、担体、希釈剤、又は可溶化剤として使用され得る。これらの目的で最も一般的に使用されるのは、α-、β-、及びγ-シクロデキストリンであり、その例は国際特許公報の国際公開公報第A-91/11172号、国際公開公報第A-94/02518号及び国際公開公報第A-98/55148号に見出される。
【0137】
単一の投薬剤形を製造するための、担体又は賦形剤と組み合わせられる有効成分(すなわち、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩又は溶媒和物)の量は、処置される患者及び具体的な投与経路によって変化する。例えば、ヒトへの経口投与を意図する組成物は、例えば、全組成物の重量比で約5から約96%の範囲で変化し得る適切かつ好都合な量の担体又は賦形剤を混合した、0.5から500mgの有効成分を一般的に含有する。
【0138】
本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩若しくは溶媒和物の治療又は予防目的の用量の大きさは、疾患の性質及び重症度、患者の年齢及び性別、並びに投与の経路に応じて、医学で周知の原則に従って、自然に変化する。1日の投与量の例の一つは、例えば、体重1Kgあたり0.5mgから50mgであり得る。
【0139】
本発明の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩若しくは溶媒和物は、ヒトなどの温血動物において分解されて、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩若しくは溶媒和物を放出する化合物を意味する、プロドラッグの形で投与され得る。
【実施例
【0140】
ここで、本発明は、別段の記載がない限り、以下の非限定的な実施例により例示される:
(i)温度は、摂氏(℃)で与えられ;操作は、室温又は周囲温度で、すなわち18℃から25℃の範囲の温度で実施された;
(ii)最終生成物は、十分なプロトン及び炭素核磁気共鳴(NMR)スペクトル及び/又は質量スペクトルデータを有した;
(iii)収率は、例示のためにのみで与えられており、必ずしも入念なプロセス開発により得られるものではなく;より多くの材料が必要な場合は調製が繰り返された;
(iv)所与の場合、NMRデータは、主な診断用プロトンに対するδ値の形式であり、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)に対する百万分率(ppm)で与えられ、別段の指示がない限り、溶媒としてペルデゥテリオ ジメチルスルホキシド(DMSO-d)を使用して400MHzで測定され;以下の略語が使用されている:s、一重項;d、二重項;t、三重項;q、四重項;m、多重項;b、ブロード;
(v)化学記号は通常の意味を有する;SI単位と記号が使用される。
【0141】
2-クロロ-3-オキソプロパンニトリル
【化6】

アルゴン陽圧下の乾燥した丸底フラスコ中で、NaOMe(7.14g、0.13mol)の乾燥THF(9mL)懸濁液を-5℃に冷却した。ギ酸メチル(9mL、0.15mol)を注射器で1分かけて滴下し、-5℃で20分間撹拌を続けた。次にクロロアセトニトリル(8.33mL、0.13mol)を、滴下漏斗を介して45分かけて滴下した。混合物は、白色から黄色に変化し、-5℃でさらに2時間攪拌し、その時点で反応混合物はオレンジ色であった。浴を取り外し、反応物を室温まで放温した。反応混合物のアリコートを1滴の濃縮HClで処理し、TCLで分析して、100%EtOAcで溶出させ、Rf=0.45の所望の生成物の存在を示した。混合物を0℃に冷却し、濃縮HCl(12mL)を滴加し、その間に反応混合物は桜赤色になった。得られた懸濁液をセライトのパッドを通してろ過し、ろ液が無色になるまでセライトをEtOAcで洗浄した。収集したろ液を40℃以下の温度の水浴で減圧濃縮して、クロロ(ホルミル)アセトニトリルを黒色の油状物として定量的収率で与え、これをさらに精製することなく使用した。
【0142】
2-アミノ-4-オキソ-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリル
【化7】

2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(3.00g、24mmol)を酢酸ナトリウム(6.4g、76mmol)のミリポア水(90mL)溶液に加え、50℃で1時間撹拌した。50℃のまま粗クロロ(ホルミル)アセトニトリル(S2)(3.00g、32mmol)のmQ水(44mL)溶液を滴下漏斗で滴下し、その間に反応物がベージュ色に変わり、50℃で18時間加熱を続け、その後100℃に3時間加熱した。反応混合物を室温まで放冷し、ろ過により固体を取り出した。固体をEtOH中に懸濁し、5M KOH水溶液を固体が溶解するまで加えた。木炭を溶液に加え、混合物を30分間撹拌した後、ろ過により固体を取り出した。ろ液のpHを濃HCl水溶液を用いてpH=6に調整し、その間に沈殿が形成され、ろ過により収集した。固体から最終的な微量の水を除去するために、それをトルエン/メタノール 1/1の混合物に溶解し、その後減圧で濃縮した。得られた固体をPで乾燥させ、所望の化合物(1.68g、9.6mmol、収率40%)をベージュ色の固体として与えた。mp:250℃超(デコンプ)であった。
δH(400 MHz, DMSO-d6): 6.49 (2H, bs, NH2), 7.59 (1 H, s), 10.78 (1 H, bs), 11.90 (1 H, bs)
HRMS(m/z-ES):実測値:174.0420([M-H]O;理論値:174.0421)
【0143】
4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリル
【化8】

アルゴン雰囲気下の乾燥した丸底フラスコ中に、トリチルクロリド(1.20g、4.28mmol)を2-アミノ-4,7-ジヒドロ-4-オキソ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリル(0.50g、2.85mmol)の乾燥ピリジン(29mL)溶液に加えた。反応混合物を90℃で48時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮した後、シリカゲルに吸収させ、ジクロロメタン/MeOHを、MeOH 2%から開始して10%に上昇するグラディエントで溶出させる、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。所望の化合物を褐色の固体(0.63g、1.5mmol、収率53%)として得た。
mp:196~198℃。
δH(400 MHz, DMSO-d6): 7.13-7.26 (15H, m), 7.37 (1 H, s), 7.57 (1 H, bs), 10.67 (1 H, bs), 11.74(1 H, bs, NH)
HRMS(m/z-ES):実測値:418.1665([M+H]26265OO;理論値:418.1662)
【0144】
4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド
【化9】

ヘキサメチルジシラザン(HMDS)(6mmol、1.3mL)を、乾燥トルエン(8mL)が入った丸底フラスコに4,7-ジヒドロ-4-オキソ-2-[(トリフェニルメチル)アミノ]-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボニトリル(1.30g、3mmol)と硫酸アンモニウム(397mg、0.3mmol)との混合物を入れたものの中に加えた。還流冷却器を取り付け、フラスコを一晩還流温度で加熱した。混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。アルゴンの陽圧下で、粗反応混合物を乾燥ジクロロメタン(8mL)中に可溶化し、-78℃に冷却した。この温度で水素化ジイソブチルアルミニウム(DiBAL-H)(4.5mL、ジクロロメタン中 1M、4.5mmol)を滴下した。2時間後、薄層クロマトグラフィー(TLC)(酢酸エチル(EtOAc) 100%)による分析の結果、出発物質の一部が残っていることを示した。そこで、さらに水素化ジイソブチルアルミニウム(DiBAL-H)溶液 2mLを滴加した。1時間後、反応が完了し、水/酢酸(9/1、3.5mL)の混合物を-78℃で加え、反応混合物をゆっくりと室温まで放温した。酢酸エチル/水(1/1、300mL)の混合物を反応混合物に加え、室温で2時間撹拌を続けた。層を分離し、有機層をブラインで洗浄し、水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機画分を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過して減圧で濃縮した。粗反応生成物を、酢酸エチルで溶出させるシリカゲルのパッドを通してろ過し、黄色の固体(1.01g、2.38mmol、収率76%)を与えた。
mp:250℃超(デコンプ)。
δH (400 MHz, DMSO-d6): 7.15-7.29 (16H, m), 7.54 (1 H, bs, NH), 9.99 (1 H, s), 10.64 (1 H, bs),11.81 (1 H, bs, NH)
HRMS(m/z-ES):実測値:443.1478([M+Na]2620Na0;理論値:443.1478)
【0145】
4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-フェネチルオキシム:
【化10】

4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド(300mg、0.72mmol)及びO-(2-フェニルエチル)ヒドロキシルアミン(107mg、0.78mmol)のMeOH(5cm)溶液を調製した。ヘラ先1杯のNaS0を加え、得られた懸濁液を室温で20時間撹拌した後、真空中で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(7:3 ヘキサン/酢酸エチル)により精製して、4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-フェネチルオキシムを白色粉末(150mg、収率39%)として生成した、mp:188~191℃。
δH(400 MHz, DMSO-d6): 2.89 (2H, t, 36.9), 4.16 (2H, t, J 6.9), 6.83 (1H, s), 7.17-7.29 (20H, m), 7.44(1H, s), 8.29 (1H, s), 10.45 (1H, bs), 11.24 (1H, bs)
δC(100 MHz, DMSO-d6): 35.3, 35.4, 70.5, 74.0, 99.1 , 110.4, 115.4, 126.5, 127.0, 128.1 , 128.7, 129.3, 139.1 , 143.7, 145.3, 150.3, 159.0
HRMS(m/z)-APCl):実測値:540.2393([M+H]30;理論値:540.2394)
max(フイルム)/cm-1:1630、1676、2105、2927、3398、3676
【0146】
実施例1
2-アミノ-5-((フェネトオキシアミノ)メチル)-3,7-ジヒドロ-4H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オン
【化11】

4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4、7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-フェネチルオキシム(130mg、0.25mmol)のCHCl(5cm)溶液にNaCNBH(32mg、0.51mmol)を加えた。メタノール溶解性HCl(1.25M)を滴加してpHを約3に調整した。得られた溶液を室温で3時間撹拌し、pHが3に維持されるように注意した。さらに必要に応じてメタノール可溶性HClを加えた。次いで反応混合物をHO(15cm)で希釈し、CHClで抽出した(3×10cm)。合わせた有機抽出物を乾燥(MgSO)し、真空中で濃縮した後、ジオキサン中の1M HClに取り込み、室温で1時間撹拌した。生成物の沈殿を真空ろ過により単離し、EtOで洗浄して、2-アミノ-5-((フェネトキシアミノ)メチル)-3,7-ジヒドロ-4H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オンのHCl塩を白色粉末(35mg、収率50%)として生成した。250℃(デコンプ)。
δH(400 MHz, DMSO-d6): 2.90 (2H, t, J 6.6), 4.28 (2H, t, J 6.6), 4.43 (2H, s), 6.44 (2H, bs), 6.79 (1 H, d, J 2.2), 7.17-7.27 (5H, m), 10.97 (1 H, bs), 11.30 (1 H, bs)
δC(100 MHz, DMSO-d6): 35.4, 35.6, 66.8, 98.9, 111.4, 117.2, 125.2, 128.2, 129.2, 129.9, 148.3, 125.7, 160.0
HRMS(m/z-APCI):実測値:300.1462([M+H]1518;理論値:300.1455)
max(フイルム)/cm-1:1670、2531、3024、3261
【0147】
4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-メチルオキシム:
【化12】

O-(2-フェニルエチル)ヒドロキシルアミンの代わりにメトキシルアミンヒドロクロリド(94.0mg、0.78mmol)とトリエチルアミン(156μL、0.78cmの場合)を使用した点を除いて、上記の4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-フェニルオキシムと同じ手順で4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-メチルオキシムを調製した。粗反応生成物をフラッシュクロマトグラフィー(7:3 ヘキサン/酢酸エチル)で精製して、白色粉末として4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-メチルオキシム(137mg、収率42%)を単一の異性体として生成した。mp:186~190℃。
δH(400 MHz, DMSO-d6): 3.74 (3H, s), 6.81 (1 H, d, J 2.3), 7.17-7.21 (4H, m), 7.22-7.29 (1 H, m),7.45 (1 H, s), 8.29 (1 H, s), 10.44 (1 H, bs), 11 .26 (1 H, bs)
δC(100 MHz, DMSO-d6): 61 .4, 70.5, 99.1 , 110.3, 115.3, 127.0, 128.1 , 129.1 , 143.6, 145.3, 150.3, 150.5, 159.0
max(フィルム)/cm-1:1066、1250、1552、1611、1654、3663
【0148】
実施例2
2-アミノ-4-オキソ-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-メチルオキシム
【化13】

化合物4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-メチルオキシムを1M HClのジオキサン(9当量)に溶解し、溶液を室温で一晩撹拌し、その間に生成物の沈殿が生成した。生成物を真空ろ過を介して単離し、CHClで洗浄して、E/Z異性体の分離不可能な混合物を97:3の比率で含有する白色の粉末として2-アミノ-4-オキソ-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-メチルオキシムの塩酸塩(10mg、16%)を生成した。mp:250℃超(デコンプ)。
δH(400 MHz, DMSO-d6): 3.87 (1 H, s), 6.18 (2H, bs), 7.38 (1 H, s), 7.84 (1 H, s), 10.46 (1 H, bs), 11.47 (1 H, bs)
δC(100 MHz, DMSO-d6): 41.0, 97.8, 109.0, 123.0, 139.4, 150.6, 153.4, 159.5
max(フィルム)/cm-1:1053、1593、1672、2854、3132
【0149】
4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-ベンジルオキシム:
【化14】

O-ベンジルヒドロキシルアミンをO-(2-フェニルエチル)ヒドロキシルアミンの代わりに使用した点を除いて、上記の4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-フェネチルオキシムと同じ手順で4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-ベンジルオキシムを調製し、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(7:3 ヘキサン/酢酸エチル)により精製して、E/Z異性体の9:1の混合物である白色の粉末として、4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-ベンジルオキシム(120mg、32%)を生成した。mp:186~189℃。
δH(400 MHz, DMSO-d6):
多量の異性体 - 5.02 (2H, bs), 6.81 (1 H, d, J 1.7), 7.17-7.35 (20H, m), 7.45 (1 H, s), 8.36 (1 H, s), 10.44 (1 H, bs), 11 .27 (1 H, bs)
少量の異性体 - 5.13 (s), 7.17-7.35 (m), 7.48 (s), 7.84 (s), 10.51 (bs), 11 .37 (bs)
δC(100 MHz, DMSO-d6):
多量の異性体 - 70.5, 75.3, 99.1 , 110.3, 115.5, 127.0, 127.1 , 128.0, 128.1 , 128.5, 128.7, 129.1 , 138.4, 144.1 , 145.3, 150.3, 150.5, 159.0
少量の異性体 - 70.6, 75.8, 98.5, 109.0, 127.0, 128.0, 128.7, 128.9, 138.7, 140.0, 145.3, 149.7, 150.8, 159.2 (全てのピークは芳香族の領域と重なるために視認できなかった)
HRMS(m/z-APCl):実測値:526.2232([M+H]3328;理論値:526.2237)
max(フィルム)/cm-1:1656、2230、2902、297、3662
【0150】
実施例3
2-アミノ-5-(((ベンジルオキシ)アミノ)メチル)-3,7-ジヒドロ-4H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オン
【化15】

4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-ベンジルオキシム(50mg、0.18mmol)のCHCl(5cm)溶液にNaCNBH(23mg、0.36mmol)を加えた。メタノール可溶性HCl(1.25M)を滴加して、pHを約3に調整した。得られた溶液を室温で3時間撹拌し、pHが3に維持されるように注意した。さらにメタノール可溶性HClを必要に応じて加えた。次いで反応混合物をHO(15cm)で希釈し、CHCIで抽出した(3×10cm)。合わせた有機抽出物を乾燥(MgSO)し、真空中で濃縮した後、1Mのメタノール可溶性HClに取り込み、室温で1時間撹拌した。生成物の沈殿を真空ろ過により単離し、EtOで洗浄して、白色粉末として、2-アミノ-5-(((ベンジルオキシ)アミノ)メチル)-3,7-ジヒドロ-4H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-オンの塩酸塩(11mg、収率12%)を生成した。mp:250℃超(デコンプ)。
δH(400 MHz, DMSO-d6): 4.32 (2H, s), 5.01 (2H, s), 6.34 (2H, bs), 6.79 (1H, s), 7.35-7.36 (5H, m), 10.86 (1 H, bs), 11.24 (1 H, bs)
δC(100 MHz, DMSO-d6): 44.6, 75.1 , 99.0, 107.1 , 128.4, 129.0, 129.7, 130.3, 134.0, 146.5, 152.6, 159.4
HRMS(m/z-APCl):実測値:286.1299([M+H]1416;理論値:286.1292)
max(フイルム)/cm-1:1604、1672、2764、2971
【0151】
実施例4
2-アミノ-4-オキソ-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒドオキシム:
【化16】

ヒドロキシルアミンヒドロクロリドとトリエチルアミンを0-(2-フェニルエチル)ヒドロキシルアミンの代わりに使用した点以外は、上記の2-アミノ-4-オキソ-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド O-フェネチルオキシムと同じ手順で、4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒドから2-アミノ-4-オキソ-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド オキシムを調製した。ジオキサン中の1M HClを使用する以外は、上記の実施例1に記載したのと同じ一般的な手順を用いて、化合物4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド オキシムを脱保護し、92:8のE/Z異性体の分離不可能な混合物を含有する白色粉末(34mg、39%)として、2-アミノ-4-オキソ-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド オキシムの塩酸塩を生成した。mp:250℃超(デコンプ)。
δH(400 MHz, DMSO-d6):
多量の異性体 - 7.54 (1 H, d, J 2.4), 7.84 (1 H, s), 11.00 (1 H, bs), 11.67 (1 H, bs)
少量の異性体 - 7.16 (d, J 2.2), 8.37 (s), 11.81 (bs)
δC(100 MHz, DMSO-d6):
多量の異性体 - 102.7, 114.6, 129.2, 142.9, 143.0, 156.9,
162.7
少量の異性体 - 102.5, 115.9, 127.9, 146.2, 146.3, 157.6,
163.5
HRMS(m/z-APCl):実測値:192.0525([M-H];理論値:192.0527)
max(フイルム)/cm-1:1578、1671、2625、2971、3088、3676
【0152】
別の手順として、2-アミノ-4-オキソ-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド オキシムを、4-オキソ-2-(トリチルアミノ)-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒド(150mg)を、O-(tert-ブチルジメチルシリル)ヒドロキシルアミン(60mg)及び微量の無水硫酸ナトリウムのメタノール(3mL)で処理することにより調製した。95分間撹拌した後、揮発性物質を除去し、粗反応混合物を酢酸エチルに溶解し、その後10%の炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。合わせた有機画分を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧で揮発性物質を除去した。精製は、30%酢酸エチル/ヘキサンで溶出させる、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーで行い、予想されるオキシム(120mg)を与えた。脱保護は、保護されたオキシム(100mg)の1,4-ジオキサン(1.5mL)とメタノール(0.5mL)の冷却した(0℃)溶液を、4M HClのジオキサン(0.5mL)で処理することにより達成した。5分後に冷却浴を除去し、反応混合物をさらに90分間撹拌した。得られた沈殿物をろ過により取り出し、エーテルで3回洗浄して、上記の多量の異性体に有利な99:1の比率のE/Z異性体の分離不可能な混合物を含有する白色粉末として、2-アミノ-4-オキソ-4,7-ジヒドロ-3H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-カルボアルデヒ ドオキシムの塩酸塩(35mg)を生成した。
δH(400 MHz, DMSO-d6):多量の異性体- 7.54 (1 H, d, J 2.4), 7.84 (1 H, s), 11.00 (1 H, bs), 11.67 (1 H, bs)
【0153】
実施例の化合物を以下の生物学的アッセイで試験した:
実施例の化合物がキューイン-tRNAリボシルトランスフェラーゼ酵素複合体の基質であることを確認するために試験した。
キューイン-tRNAリボシルトランスフェラーゼ酵素複合体の基質として作用することが可能な化合物は、以下に記載される置換(displacement)アッセイの使用により特定され得る。
【0154】
[8-14C]グアニン標識されたtRNA(tRNA)の生成
表1に列記された順に成分を加えた。反応物に8-[14C]グアニン溶液を加える前に、[8-14C]グアニンが0.01M HCl水溶液中に供給されるように、溶液を等容量(vol/vol)0.01M NaOHで中和した。インビトロで合成されたヒトチロシルtRNAは、以前に述べたように(Alqasem et al., 2020)、超純粋なヌクレアーゼを含まない水中でT7転写により調製した。N末端ポリヒスチジンタグを含有する組換えヒトQTRT1酵素及びC末端TEV-Strep-Tag(商標登録)IIタグを含有するヒトQTRT2は、以前に述べたように(Alqasem et al., 2020)、BL21(DE3)tgt::Km細胞中で産生された。
【表1】
【0155】
反応物を37℃で1時間インキュベートした。等量(500μL)の酸フェノール:クロロホルム(5:1;pH4.5)を加えて反応混合物を抽出し、16,000×gで5分間遠心分離した。上部の水相を新しい1.5mLチューブに移した。アンチコドンのループの第三の位置に[8-14C]グアニンで放射性標識したtRNAを0.1容量(50μL)の3M 酢酸ナトリウム(水溶液)と2容量のエタノール(1mL)を加えて沈殿させ、-20℃で一晩インキュベートした。翌朝、tRNAを4℃で20分間16,000×gでの遠心分離によりペレット化した。ペレットを1mLの氷冷した70% エタノールで、ペレットを崩すことなく洗浄した。tRNAペレットを30μLのヌクレアーゼを含まない水に再懸濁し、その濃度をA260で分光光度法により測定した。
【0156】
置換アッセイ
各反応は3回の反復で構成されており、37℃で30分間インキュベートした。反応の各成分を表2に示す順で加え、最後にtRNAを加えて反応を開始させた。「化合物」とは、調査中の本発明の化合物を指す。
【0157】
【表2】

30分後、反応を2.5mLの氷冷10% トリクロロ酢酸(TCA)と混合することによりクエンチし、1時間氷の上に置いてtRNAを沈殿させた。RNA沈殿物は、GF/C 2.4cmガラス繊維フィルターディスク(ミリポア高分子真空フィルターマニホールドに据え付ける)上で真空ろ過を用いて収集した。各ディスクは40mLの氷冷5% TCAで洗浄した。フィルターは作りたての氷冷95% エタノール5mLで洗浄することにより真空乾燥した。真空マニホールドを取りはずし、フィルターを回収し、再び室温で乾燥した後、10mLのEcoscintAを含有するとシンチレーションバイアルに入れて、放射能レベルをシンチレーション測定により測定した。
【0158】
このアッセイでは、キューイン-tRNAリボシルトランスフェラーゼ酵素複合体の天然基質である、キューイン塩基:50μMによる最大の置換率は、[14C]グアニンの98%超である。バックグラウンドの置換値は2%以下である。したがって、5%以上の置換がTGTの陽性基質であると考えられる。
【0159】
本発明のすべての化合物は、5%以上の置換率を有することを示し、したがってTGT酵素複合体の基質であることを示した。
【0160】
疾患の処置における本発明の化合物の有効性を実証するために、化合物を様々な疾患モデルでアッセイし、そしてヒト患者からのサンプルで試験した。
【0161】
滑膜線維芽細胞アッセイ
ヒト関節リウマチサンプルにおける前記化合物を評価するために、以下のプロトコルを採用した:
初代の線維芽細胞の単離:5%CO2で加湿した空気中、37℃で4時間、RPMI-1640(Gibco-BRL, Paisley, UK)中のコラゲナーゼ1型(Worthington Biochemical, Freehold, NJ, USA) 1mg/mLを用いて、RA滑膜生検を消化した。分離した細胞を、継代前に、RPMI1640、FCS(Gibco-BRL) 10%、HEPES(Gibco-BRL) 1mmol/Lの10mL、ペニシリン(100単位/mL;Bioscience)、ストレプトマイシン(100単位/mL;Bioscience)、及びファンギゾン(0.25μg/mL;Bioscience)中でコンフルエンスまで増殖した。細胞は、3~8継代の間使用した。
n=3のRASFCで化合物(200PM)を試験した
【0162】
RASFCを48ウェルプレート中で80%のコンフルエント率まで増殖した。RASFCは、各化合物 200μmの存在下でTNF(10ng/mL)で処理した。24時間後に培地を交換し、新鮮な培地及び化合物を加えた。細胞上清を72時間の時点で収集した。DMSOで処理した細胞をビヒクルの対照として用いた(赤色の点線はDMSOの対照を表す)。
【0163】
IL-6ELISA:炎症誘発性サイトカインIL6のレベルを、製造業者の条件に応じた特異的なELISA(R&D systems, UK)により、培養したRASFC上清中で測定した。
【0164】
このアッセイは、免疫系の活性化の指標としてIL6の産生を測定する:RAの病状の緩和の観点からすると、この値が低いほど良い。本発明の全ての化合物は、無処理を表すDMSOビヒクルと比較して効果を示した。さらに、本発明の化合物は、JAK-STAT阻害剤であるトファシチニブ(Xeljanz, Pfizer)と同等又はそれ以上の活性を示した。具体的な実施例の化合物の結果を以下に示す。
【表3】
【0165】
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)
多発性硬化症におけるこれらの化合物の有効性を実証するために、前記分子をMSのゴールドスタンダードである「EAE」モデルで試験した。インビボでのこれらの化合物の可能性を評価するために、マウスにおいて、新規化学成分(NCE)を用いる処置の前に慢性の一相性症状のEAE疾患を誘導した。EAE疾患は、50%の完全型フロイントアジュバント(CFA;4mg/mLの加熱不活化結核菌を含有する50%のCFA及び50%の不完全型フロイントアジュバント(Chondrex))中に100μgのMOG33-55ペプチド(Genscript)を含有する200μLの乳剤を皮下(s.c.)注射することにより、8~10週齢の雌マウス(C57BL/6)に誘導した。同日、マウスに200ngの百日咳毒素((財)化学及血清療法研究所、日本)を腹腔内(i.p.)投与し、そして2日後に再度投与した。
【0166】
疾患の重症度を24時間ごとに記録し、そしてスコアを以下のように帰属した:0-正常;1-弛緩した尾;2-障害/ふらつき歩行;3-完全な後肢の筋力低下;4-後肢と前肢の麻痺;5-瀕死状態/死亡。プロトコルは、スコアリング方法を含む、実験的アレルギー性脳脊髄炎の能動的誘導のためのNature Protocols:Stromnes IM, Goverman JM (2006) Active induction of experimental allergic encephalomyelitis. Nat Protoc. 1(4):1810-9に基づいている。
【0167】
臨床スコアが1.5から2の間に達すると、動物に、対照としての200μLのPBSか、又は4mMの濃度で200μL容量の実施例のキューイン模倣化合物を腹腔内(i.p.)に毎日、合計7日間投与した。
【0168】
予想通り、対照の動物は実験期間を通して、一貫した病気の悪化を示した。対照的に、実施例の化合物を用いて処置した罹患した動物は、疾患重症度の短時間の上昇の後、徐々に回復した。
【0169】
本出願に関連して本明細書と同時に又はそれ以前に提出され、本明細書と共に公衆の縦覧に供されるすべての論文及び文書に注意を払い、かかるすべての書類及び文書の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0170】
本明細書(いずれの付随する特許請求の範囲及び図面をも含む)に開示されたすべての特徴、及び/又はそのように開示されたいかなる方法又はプロセスのすべてのステップも、かかる特徴及び/又はステップの少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせ得る。
【0171】
本明細書に開示されたそれぞれの特徴(いずれの付随する特許請求の範囲及び図面をも含む)は、明示的に別段の記載がない限り、同一、同等又は類似の目的を果たす代替的な特徴に置き換え得る。したがって、明示的に別段の明確な記載がない限り、開示されたそれぞれの特徴は、同等又は類似の特徴の一般的な一連の一例にすぎない。
【0172】
本発明は、前述の実施態様の詳細に限定されない。本発明は、本明細書に開示された特徴(いずれの付随する請求項及び図面をも含む)の新規な1つ又は新規な組み合わせ、又はそのように開示されたいずれの方法又はプロセスの、新規な1つ又は新規な組み合わせに及ぶものである。
【国際調査報告】