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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-18
(54)【発明の名称】膨張式容器
(51)【国際特許分類】
   B63B 7/08 20200101AFI20230810BHJP
   B63B 35/44 20060101ALI20230810BHJP
   B63B 35/00 20200101ALI20230810BHJP
【FI】
B63B7/08 A
B63B35/44 Z
B63B35/00 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505954
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(85)【翻訳文提出日】2023-03-22
(86)【国際出願番号】 GB2021051919
(87)【国際公開番号】W WO2022023722
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】2011626.5
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523029445
【氏名又は名称】タグドック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】カー, シェーン
(57)【要約】
膨張式容器が提供され、本容器は、内部と、第1の端部と、第2の端部とを有する、密封された可撓性膜と、膜の内部に延在し、膜の第1の端部における第1の取着点において膜に、かつ膜の第2の端部における第2の取着点において膜に取着される、剛性伸長部材とを含む。本容器は、例えば、浮乾ドックアセンブリにおける使途を見出す。本発明の第1の側面は、内部と、第1の端部と、第2の端部とを有する、密封された可撓性膜と、膜の内部に延在し、膜の第1の端部における第1の取着点において膜に、かつ膜の第2の端部における第2の取着点において膜に取着される、剛性伸長部材と、を備える、膨張式容器を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張式容器であって、
内部と、第1の端部と、第2の端部とを有する密封される可撓性膜と、
前記膜の前記内部に延在し、前記膜の前記第1の端部における第1の取着点において前記膜に取着され、かつ前記膜の前記第2の端部における第2の取着点において前記膜に取着される剛性伸長部材と
を備える、膨張式容器。
【請求項2】
前記剛性伸長部材は、前記剛性伸長部材の第1の端部に位置するかまたはそれに隣接する第1の取着部材によって、前記第1の取着点において、前記膜に取着される、請求項1に記載の膨張式容器。
【請求項3】
前記剛性伸長部材は、前記剛性伸長部材の第2の端部に位置するかまたはそれに隣接する第2の取着部材によって、前記第2の取着点において、前記膜に取着される、請求項1または請求項2のいずれかに記載の膨張式容器。
【請求項4】
前記第1の取着部材および/または前記第2の取着部材は、プレート、カラー、またはフランジを備える、請求項2または請求項3のいずれかに記載の膨張式容器。
【請求項5】
前記膜は、前記第1の取着点および/または前記第2の取着点の領域において、補強材によって補強される、前記請求項のいずれかに記載の膨張式容器。
【請求項6】
前記補強材の一方または両方が、前記膜の内側または外側上に配置される補強部材を備える、請求項5に記載の膨張式容器。
【請求項7】
前記補強部材の一方または両方が、補強環を備える、請求項6に記載の膨張式容器。
【請求項8】
前記剛性伸長部材のうちの1つまたはそれを上回る部分は、前記膜を通して、かつその外側に延在する、前記請求項のいずれかに記載の膨張式容器。
【請求項9】
前記剛性伸長部材の端部は、前記第1の取着点および/または前記第2の取着点において、前記膜を通して延在する、請求項8に記載の膨張式容器。
【請求項10】
前記膨張式容器を外部構造物に接続するための第1および第2の取着点のうちの一方または両方に位置する1つまたはそれを上回るコネクタをさらに備える、前記請求項のいずれかに記載の膨張式容器。
【請求項11】
前記剛性伸長部材の少なくとも一部分は、中空である、前記請求項のいずれかに記載の膨張式容器。
【請求項12】
前記剛性伸長部材は、管を備える、前記請求項のいずれかに記載の膨張式容器。
【請求項13】
前記剛性伸長部材は、流体ポートをさらに備え、前記剛性伸長部材は、前記流体ポートと前記可撓性膜の内部との間を通過するために、流体のための流体導管を備える、前記請求項に記載の膨張式容器。
【請求項14】
前記剛性伸長部材内に提供される圧力逃し弁をさらに備える、前記請求項のいずれかに記載の膨張式容器。
【請求項15】
前記剛性伸長部材は、前記剛性伸長部材から、前記第1および/または第2の取着点を越えて、流体を放出するための1つまたはそれを上回る排水管をさらに備える、前記請求項のいずれかに記載の膨張式容器。
【請求項16】
前記請求項のいずれかに記載の少なくとも1つの膨張式容器を備える、浮遊アセンブリ。
【請求項17】
浮遊アセンブリであって、前記アセンブリは、
第1のフレームアセンブリと、
第2のフレームアセンブと、
前記第1のフレームアセンブリと前記第2のフレームアセンブリとの間に延在し、それらを接続する複数の支持部材と、
前記第1のフレームアセンブリと前記第2のフレームアセンブリとの間に配置される、請求項1-15のいずれかに記載の複数の膨張式容器と
を備える、浮遊アセンブリ。
【請求項18】
膨張式容器はそれぞれ、前記膨張式容器の浮力を前記第1のフレームアセンブリに伝達するための第1の取着点において前記第1のフレームアセンブリに接続され、かつ/または前記膨張式容器の浮力を前記第2のフレームアセンブリに伝達するための第2の取着点において前記第2のフレームアセンブリに接続される、請求項17に記載の浮遊アセンブリ。
【請求項19】
浮遊デッキアセンブリであって、
請求項17および18のいずれかに記載の浮遊アセンブリと、
前記第1のフレームアセンブリに接続されるデッキを形成する1つまたはそれを上回るデッキパネルと
を備える、浮遊デッキアセンブリ。
【請求項20】
浮遊デッキユニットであって、
請求項1-15のいずれかに記載の膨張式容器と、
前記膨張式容器の前記第1の取着点に接続されるデッキパネルと
を備える、浮遊デッキユニット。
【請求項21】
請求項20に記載の2つまたはそれを上回る浮遊デッキユニットを備える、浮遊デッキアセンブリ。
【請求項22】
請求項19または請求項21のいずれかに記載の浮遊デッキアセンブリを備える、浮乾ドック。
【請求項23】
容器または構造物を水から引き上げるための方法であって、前記方法は、
請求項22に記載の浮乾ドックを提供するステップと、
引き上げられるべき前記容器または構造物の下方に、前記浮乾ドックを沈めるステップと、
前記引き上げられるべき容器または構造物の下方の前記浮乾ドックを操縦するステップと、
前記浮乾ドック、および前記引き上げられるべき容器または構造物を引き上げるステップと
を含む、方法。
【請求項24】
前記引き上げられるべき容器または構造物の下方に、前記浮乾ドックを沈めるために、前記膨張式容器のうちの1つまたはそれを上回るものを萎ませるステップと、
前記浮乾ドック、および前記引き上げられるべき容器または構造物を引き上げるために、前記膨張式容器のうちの1つまたはそれを上回るものを膨らませるステップと
をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
構造物の荷重試験を行うための方法であって、前記方法は、
試験されるべき前記構造物上に、請求項1-15のいずれかに記載の膨張式容器を配置するステップと、
液体を用いて、前記膨張式容器を膨らませるステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張式容器に関する。膨張式容器は、例えば、浮遊デッキアセンブリ等の浮遊アセンブリにおける使途を見出す。本発明による浮遊アセンブリは、浮乾ドックとして採用されることができる。本発明による膨張式容器は、水袋としての代替使途を見出す。
【背景技術】
【0002】
第GB783407 A号(特許文献1)および第US2795257 A号(特許文献2)は、先行技術による、液体のための折り畳み可能コンテナを開示している。
【0003】
第WO99/27330 A1号(特許文献3)は、先行技術による、荷重体からコンテナを懸吊するための懸吊手段を用いた、液体充填コンテナの形態における荷重体作成装置を開示している。
【0004】
浮遊デッキアセンブリは、公知であり、以前は、広範な用途において使用されてきた。例えば、デッキを支持する空気袋は、河川や沼地に橋を架けるために、またはボートを係留するためのポンツーンとして、長年にわたって使用されてきた。
【0005】
さらに最近では、浮遊デッキアセンブリは、浮乾ドックとしての使用が見出されている。
【0006】
第GB2570453 A号(特許文献4)は、先行技術による、浮遊デッキアセンブリを開示している。デッキアセンブリは、第1の支持アセンブリと、デッキと、第1の支持アセンブリとデッキとの間に延在し、それらを接続する、複数の支持部材と、第1の支持アセンブリとデッキとの間に配置される、複数の膨張式容器とを含む。
【0007】
第GB2570453 A号に開示されるアセンブリはまた、容器または他の浮遊構造物を水中から引き上げるステップと、容器を水中に戻すステップとを含む、浮乾ドックとしても使用され得る。使用時、膨張式容器は、デッキアセンブリが、水中の容器の下方に沈下されることを可能にするために、あるレベルまで膨らまされる。特に、アセンブリが浮いている状態の場合、膨張式容器のうちの1つを上回るものが、デッキを水面下で適切な深さに存在させるために、アセンブリを沈下させるために要求される量だけ、部分的または全体的に萎まされる。アセンブリは、次いで、引き上げられるべき容器または構造物の真下で操縦される、または容器または構造物が、デッキアセンブリのデッキにわたって操縦される。膨張式容器は、次いで、膨らまされ、容器の外殻が、デッキと接触するまで、デッキアセンブリを引き上げる。膨張式容器を継続的に膨らませることは、容器を水中から引き上げる。逆の手順が、容器を水中に戻すために追従される。
【0008】
好適な膨張式容器は、当技術分野において公知であり、市販されている。好適な膨張式容器は、膨張式袋を含む。1つの好ましい膨張式容器は、Unique Groupから入手可能である、円筒形のSeaflex(登録商標)膨張式袋の部類である。
【0009】
先行技術による膨張式袋は、典型的には、袋の反対端部における、膜内の取着点間に延在する、可撓性内部接続環索を伴う材料の可撓性膜を含む。袋が膨らまされるとき、内部接続環索は、取着点間に引張力を提供し、容器が、内圧下で拡張しないように防止する。このように、内部接続環索は、膨らまされるとき、容器の形態を維持することに役立つ。
【0010】
先行技術による膨張式袋は、水体内に沈下される、または部分的に沈下される構造物に接続されることができる。本接続は、使用時、袋の底部に位置付けられる、取着点のうちの1つにおいて、可撓性膜の外部表面上に位置する、シャックルを介して行われる。
【0011】
内部接続環索は、使用時、略垂直に配向される。膨張式袋の浮力は、内部接続環索内の張力を介して、袋の底部に位置付けられる、シャックルに伝達され、シャックルに接続される、沈下構造物、または部分的沈下構造物に上昇力を提供する。
【0012】
しかしながら、先行技術による膨張式袋が、デッキを含む構造物の一部分が、水面から飛び出すように設計される、浮遊デッキアセンブリに浮力を提供するために使用されるとき、これは、特定の課題をもたらす。特に、膨張式袋は、膨らまされるとき、デッキを水面の上に上昇させるために要求される、浮力を提供することが不可能であろうため、それらは、デッキの上方に接続されることができない。これは、支持アセンブリとデッキとの間に延在する、複数の支持部材を介してデッキに接続される、付加的な支持アセンブリの含有を余儀なくし、膨張式袋は、デッキが水面から飛び出すときでさえ、全体的または部分的に沈下されたままの状態でそれに接続され得る。膨張式袋は、支持アセンブリとデッキとの間に配置され、使用時、袋の底部に位置付けられる、シャックルを介して、それぞれ支持アセンブリに接続される。膨らませられた袋のそれぞれの浮力上昇力は、内部接続環索内の張力として、シャックルを介して、支持アセンブリに伝達される。支持アセンブリは、ひいては、複数の支持部材を介して、浮力上昇力をデッキに伝達する。先行技術による浮遊デッキアセンブリの支持アセンブリは、したがって、各膨張式袋の浮力上昇力、ならびにデッキおよび支持部材の重量に耐えるために十分に強固である必要がある。
【0013】
必要な強度および剛性を達成するために、先行技術による浮遊デッキアセンブリにおいて使用される、支持アセンブリは、重くかつ深い喫水を有する。第GB2570453 A号で説明されるもの等の浮遊デッキアセンブリの重量および喫水を低減させることは、有利であり、それによって、より浅い水の中で動作し、より大きい、および/またはより重い容器に適応させることができる。
【0014】
したがって、浮遊デッキアセンブリ等の浮遊アセンブリにおいて使用するための改良された膨張式袋に対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】英国特許出願広告第783407号明細書
【特許文献2】米国特許第2795257号明細書
【特許文献3】国際公開第99/27330号
【特許文献4】英国特許出願公開第2570453号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
故に、本発明の第1の側面は、
内部と、第1の端部と、第2の端部とを有する、密封された可撓性膜と、
膜の内部に延在し、膜の第1の端部における第1の取着点において膜に、かつ膜の第2の端部における第2の取着点において膜に取着される、剛性伸長部材と、
を備える、膨張式容器を提供する。
【0017】
本発明の膨張式容器は、密封された可撓性膜を備える。膜は、その中に内部を有する。密封された可撓性膜は、全ての側面上で密閉され、略気密および/または水密内部を画定する。
【0018】
可撓性膜は、任意の好適な材料から形成されてもよい。好適な材料は、当技術分野において公知であり、市販されている。膜は、容器が使用されているとき、膜の内部と外部との間に生じる、圧力差に耐えるために十分強固である材料から形成されるべきである。好適な材料は、限定ではないが、ポリマー材料、例えば、ポリエステルを含む。材料は、好ましくは、例えば、ポリ塩化ビニルまたはポリウレタンを用いてコーティングされる。適切な材料の一実施例は、耐久性UV安定化PVCまたはポリウレタンコーティングを用いてコーティングされる、High Tensile Trevira Polyester基布である。
【0019】
材料は、多孔質であってもよい。より好ましくは、材料は、無孔質である。
【0020】
使用時、可撓性膜の内部は、容器を膨らませるために、流体を用いて充填される。流体は、ガス、ガスの混合物、液体、液体の混合物、または1つまたはそれを上回るガスと、1つまたはそれを上回る液体との混合物であってもよい。好ましい実施形態では、流体は、空気である。代替実施形態では、流体は、水である。
【0021】
容器が、膨らまされるとき、密封された可撓性膜が、任意の好適な形状を呈し得る。例えば、膜は、膨らまされるとき、球形、卵形、立方体形、または不規則な形状であり得る。容器は、膨らまされるとき、第1の端部から第2の端部までの長さに沿って、一定の断面積を有し得る。これは、容器が、部分的に沈下され、水面に対して相対的に上昇または下降するとき、一定の水線面積を提供するように配列され得るという利点を有する。代替として、容器の断面積は、第1の端部から第2の端部までの長さに沿って変動し得る。例えば、膨らまされるとき、容器は、第1の端部から第2の端部までの長さの一部または全てに沿って、テーパ状にされてもよい。
【0022】
好ましい実施形態では、膜は、膨らまされるとき、略円筒形状を呈する。円筒の端部は、容器がその作動圧力まで膨らまされるとき、略平坦であってもよい、または丸みを帯びていてもよい。膜が、膨らまされるときに略円筒形状を呈する場合、第1および第2の取着点は、好ましくは、円筒状膜の個別の第1および第2の端部に位置する。
【0023】
容器が、膨らまされるとき、密封された可撓性膜は、内部容積を画定する。完全に膨らまされたときの可撓性膜の最大内部容積は、膜の形状および寸法に依存するであろう。容器の最大内部容積は、容器の意図される使途または働きに従って変動し得る。例えば、水中での使用が、浮力を提供することが意図される容器の場合では、内部の容積は、容器によって変位されることになる水の量、したがって、提供されることになる浮力によって判定されるであろう。
【0024】
一般的には、可撓性膜の最大内部容積は、1m3~250m3であり、好ましくは、5m3~100m3であり、さらに好ましくは、10m3~25m3である。
【0025】
可撓性膜の材料は、任意の好適な厚さを有してもよい。例えば、膜の厚さは、膜を形成するために使用される材料、膨張式容器の寸法、および使用時に含有しなければならない流体の体積に基づいて選択され得る。代替として、または加えて、膜の厚さは、膨らまされるときに耐えなければならない最大圧力に基づいて選択されてもよい。
【0026】
可撓性膜の厚さは、容器の外面全体を横断して均一であり得る。代替として、可撓性膜の厚さは不均一であってもよい。特に、膜は、例えば、分裂または引裂に抵抗するために、補強を提供するために、応力点において、より厚くあってもよい。例えば、膜は、第1および第2の取着点において、より厚くあってよい。膜が、膨らまされるときに立方体等の角および/または縁を有する形状を呈する場合、膜は、該角および/または縁において、より厚くあってもよい。膜はまた、摩耗または摩滅を受け得る、外面の領域において、より厚くあってもよい。
【0027】
より厚い厚さは、例えば、可撓性膜を形成する材料の1つまたはそれを上回る層を積層することによって達成され得る。
【0028】
本発明の容器は、伸長部材をさらに備える。伸長部材は、剛性であり、容器の第1の端部と第2の端部との間に延在する。剛性伸長部材は、容器が膨らまされるとき、構造的役割を果たす。
【0029】
特に、剛性伸長部材は、第1の取着点と第2の取着点との間に拘止力を提供し、膨張式容器の第1および第2の端部の相対的移動を拘止する。本拘止力は、引張力または圧縮力であり得る。
【0030】
例えば、剛性伸長部材は、容器が膨らまされるとき、膨張式容器の第1および第2の端部が、外方向に湾曲する、または内圧に起因して拡張されないように防止する。そうする際に、剛体伸長部材は、張力下に置かれる。
【0031】
剛性伸長部材はまた、剛性であることによって、圧縮力、特に、第1または第2の端部の一方から第1および第2の端部の他方に向かって作用する力に対する抵抗も提供し、それによって、第1および第2の取着点において、またはその近傍で印加される外力の作用下で、容器が変形されないように防止する。そうする際に、剛体伸長部材は、圧縮状態に置かれる。
【0032】
剛性伸長部材は、任意の好適な材料から形成されてもよい。剛性伸長部材の材料は、好ましくは、使用時、剛性伸長部材によって被られ得る、最大引張力および圧縮力に耐えるように選択される。剛性伸長部材を形成するための好適な材料は、金属、金属合金、ポリマー、または複合材料を含む。好ましい実施形態では、剛性伸長部材は、金属から形成され、鋼鉄が、1つの好ましい材料である。
【0033】
剛性伸長部材は、円形または多角形等の任意の好適な断面形状を有してもよい。1つの好ましい実施形態では、剛性伸長部材は、断面において円形である。剛性伸長部材は、好ましくは、その長さに沿って、均一な断面積を有する。
【0034】
剛性伸長部材は、中実であってもよいが、しかしながら、好ましくは、剛体伸長部材の少なくとも一部分は、中空である。特に好ましい実施形態では、剛性伸長部材は、管を備える。
【0035】
剛性伸長部材は、任意の好適な長さであってもよい。剛体伸長部材の長さは、概して、第1の端部から第2の端部までの容器の長さを判定する。一般的には、剛性伸長部材は、長さ0.5m~15m、好ましくは、長さ1m~10m、さらに好ましくは、長さ2m~3mである。
【0036】
剛性伸長部材は、その端部において、膜の第1および第2の端部のそれぞれの取着点における膜に取着される。剛性伸長部材は、任意の好適な取着手段によって、第1および第2の取着点における可撓性膜に取着されてもよい。1つの好ましい実施形態では、剛性伸長部材は、プレート、カラー、またはフランジ等の1つまたはそれを上回る取着部材によって、第1および第2の取着点における可撓性膜に取着されてもよい。特に、剛性伸長部材は、一方または両方の端部において、プレート、カラー、またはフランジを具備してもよい。
【0037】
一実施形態では、剛性伸長部材は、剛性伸長部材の第1の端部に位置する、またはそれに隣接する、第1の取着部材によって、第1の取着点における膜に取着されてもよい。第1の取着部材は、剛性伸長部材に取外可能に接続されてもよい。より好ましくは、第1の取着部材は、例えば、溶接によって等、剛性伸長部材に接合されることによって、剛性伸長部材に恒久的に接続される、または伸長剛性部材と一体化して形成される。
【0038】
第1の取着部材は、第1の端部の第1の取着点において、剛性伸長部材を膜に接続するために使用される。膜は、任意の適切な手段によって、剛性伸長部材の第1の取着部材に取着されてもよい。本取着手段は、剛性伸長部材が、容器の正常な作動圧力において、膜から取り外されることにならないように防止するために好適である。好適な取着手段は、好適な接着剤を用いる等の接合、スタッドまたはボルト等のねじ接続、およびリベット締めを含む。
【0039】
膜は、第1の取着点の領域において、補強材によって補強されてもよい。補強材は、膜の増加された厚さの領域を含んでもよい。
【0040】
1つの好ましい実施形態では、補強材は、膜の内側または外側に配置される、第1の補強部材を備える。1つの好ましい実施形態では、第1の補強部材は、膜の外側に配置される。第1の補強部材は、補強プレートまたは補強環の形態であってもよい。1つの好ましい実施形態では、第1の補強部材は、補強環である。
【0041】
第1の補強部材は、任意の好適な材料から形成されてもよい。第1の補強部材は、剛性伸長部材と同一の材料、または異なる材料から形成されもよい。好適な材料は、金属、金属合金、ポリマー、または複合材料を含む。好ましい実施形態では、第1の補強部材は、鋼鉄から形成される。
【0042】
第1の取着点の領域における可撓性膜の材料は、好ましくは、剛性部材の部分の間、例えば、第1の取着部材と補強部材との間に配置される。特に、第1の補強部材は、第1の取着部材に固着され、それによって、第1の取着点における可撓性膜の材料が、補強部材と第1の取着部材との間に挟持され、剛性伸長部材の第1の端部を膜に取着する。
【0043】
第1の補強部材は、任意の好適な手段によって、膜および/または第1の取着部材に取着されてもよい。可撓性膜の材料は、第1の補強部材を第1の取着部材に固着するために使用される、複数の固定具を受容するために、第1の取着点における複数の孔を具備してもよい。好適な固定具は、限定ではないが、スタッドまたはボルト等のねじ部材、およびリベットを含む。
【0044】
剛性伸長部材は、上記に説明されるものに類似する様式で、剛性伸長部材の第2の端部に位置する、またはそれに隣接する第2の取着部材によって、第2の取着点における膜に取着されてもよい。
【0045】
上記に議論されるように、第1の取着部材および/または第2の取着部材は、プレート、カラー、またはフランジを備えてもよい。
【0046】
同様に、膜は、第2の取着点の領域における補強によって、補強されてもよい。補強材は、膜の増加された厚さの領域を含んでもよい。
【0047】
1つの好ましい実施形態では、補強材は、上記に説明される、第1の補強部材に類似する様式で、第2の取着点における膜に取着するために、膜の内側または外側上に配置される、第2の補強部材を備える。第2の補強部材は、補強プレートまたは補強環の形態であってもよい。1つの好ましい実施形態では、第2の補強部材は、補強環である。
【0048】
剛性伸長部材は、可撓性膜内に完全に収容されてもよい。代替として、剛性伸長部材の1つまたはそれを上回る部分は、可撓性膜を通して、かつその外側に延在してもよい。いくつかの好ましい実施形態では、剛性伸長部材の端部部分は、第1の取着点および/または第2の取着点における可撓性膜を通して延在する。
【0049】
例えば、一実施形態では、剛性伸長部材の第1の端部は、第1の取着部材と、第1の取着点における可撓性膜の材料と、第1の補強部材とを通して延在してもよい。
【0050】
同様に、剛性伸長部材の第2の端部は、第2の取着部材と、第2の取着点における可撓性膜の材料と、第2の補強部材とを通して延在してもよい。
【0051】
可撓性膜内に延在する剛性伸長部材を伴う、容器の提供は、本発明による膨張式容器が、外部の物体または構造物に浮力を提供するために使用されるとき、有意な利点を有する。
【0052】
特に、本発明による、膨張式容器内に含まれる、剛性伸長部材は、典型的には、使用時、略垂直に配向される。容器が、全体的または部分的に沈下されるとき、剛性伸長部材は、膨張式容器の浮力の結果として生成される力を、膜の第1および第2の端部における第1および第2の取着点の一方または両方に伝達することができる。
【0053】
具体的には、例えば、第1の取着点が、容器の上部に位置付けられている状態で、剛性伸長部材が、略垂直に配向されるとき、使用時、膨張式容器の浮力は、剛性伸長部材を介して、第1の取着点に伝達される。したがって、容器の浮力が、第1の取着点に接続される物体または構造物の重量に対して押し付けられるにつれて、剛性伸長部材は、圧縮力を受ける。
【0054】
同様に、剛性伸長部材が、例えば、第2の取着点が、容器の底部に位置付けられている状態で、略垂直に配向されるとき、使用時、膨張式容器の浮力は、剛性伸長部材を介して、第2の取着点に伝達される。したがって、容器の浮力が、第2の取着点に接続される物体または構造物の重量に対して引っ張られるにつれて、剛性伸長部材は、引張力を受ける。
【0055】
したがって、本発明による膨張式容器内への剛性伸長部材の含有は、膨張式容器が、第1および第2の取着点の一方または両方を介して、浮力上昇力を外部構造物に伝達することを可能にする。これは、膨張式容器が、先行技術の膨張式袋によって可能にされない様々な構成において、外部構造物に接続されることを可能にするため、特に、有益である。
【0056】
例えば、膨張式容器は、使用時、容器の上部に位置付けられる、第1または第2の取着点のうちの1つにおいて、外部構造物に接続され、容器の略上方に位置付けられる構造物に、浮力上昇力を提供することができる。代替として、膨張式容器は、使用時、容器の底部に位置付けられる、第1または第2の取着点のうちの1つにおいて、外部構造物に接続され、容器の略下方に位置付けられる構造物に浮力上昇力を提供することができる。
【0057】
膨張式容器は、第1および第2の取着点の両方において、外部構造物に接続されてもよい。これは、両方の取着点を介して、同時に、容器の浮力を伝達するというさらなる利点を有し、したがって、第1および第2の取着点のそれぞれを通して伝達される、浮力上昇力の大きさを低減させる。これは、ひいては、取着点において、またはその近傍で、可撓性膜の故障のリスクを低減させる。
【0058】
本発明による膨張式容器は、膜のいずれかの端部において、物体または構造物に接続されてもよく、本接続は、剛性伸長部材の個別の端部に直接または間接的に行われる。一実施形態では、膨張式容器は、膨張式容器を外部構造物に接続するために、第1および第2取着点の一方または両方に位置する、1つまたはそれを上回るコネクタを含む。1つまたはそれを上回るコネクタは、容器を物体または構造物に恒久的または取外可能に接続するために、任意の好適な構成要素を含んでもよい。1つまたはそれを上回るコネクタは、物体または構造物に接続するためのコネクタフランジを備えてもよい。
【0059】
一実施形態では、剛性伸長部材は、上記に説明されるように、その第1の端部において、第1の取着点および膜を通して延在し、コネクタフランジは、膜の外側にある、第1の取着点を越えて延在する、剛性伸長部材の第1の端部の一部分上に位置する。コネクタフランジは、例えば、ボルト等の解放可能な締結具、またはコネクタフランジ内の孔を通して挿入される、リベット等の恒久的な締結具を使用して、膨張式容器を物体または構造物に固設するために使用され得る。
【0060】
一実施形態において、コネクタは、開口コネクタ管を備える。コネクタ管は、膜の外側に延在する、剛性伸長部材の端部部分によって提供されてもよい。代替として、コネクタ管は、例えば、1つまたはそれを上回るフランジを経由して、剛性伸長部材に直接または間接的に接続されてもよい。使用時、コネクタ管の開口端部部分は、物体または構造物上に提供される、対応する栓と係合してもよく、これは、物体または構造物に対して相対的に、容器を位置決めする役割を果たし、コネクタ管が、例えば、1つまたはそれを上回るボルト、ピン、または同等物によって、栓に接続されることを可能にする。
【0061】
コネクタは、接続されるとき、膨張式容器と物体または構造物との間の小さな相対的移動に適応するために、緩衝材を備えてもよい。緩衝材は、天然もしくは合成ゴム、または他の弾性ポリマー等の弾性材料から形成されてもよい。緩衝材は、任意の好適な形態を有してもよい。例えば、緩衝材は、Oリングであってもよい。
【0062】
容器は、一方の端部のみにおいて、1つまたはそれを上回るコネクタを具備してもよい。代替として、容器は、各端部において、1つまたはそれを上回るコネクタを具備してもよい。
【0063】
好ましい実施形態では、コネクタは、架張されたワイヤに接続するための1つまたはそれを上回る係留具を備える。
【0064】
本発明による膨張式容器は、好ましくは、流体ポートを具備する。流体ポートは、流体ポートを介して、可撓性膜の中へ、またはそこから外へ流体を圧送することによって、容器を膨らませる、または萎ませるために使用され得る。例えば、流体ポートは、使用時、膜の内部に流体を提供する、またはそれから流体を除去するために、多岐管を介して、圧縮器および/またはポンプに接続されてもよい。
【0065】
流体ポートは、可撓性膜内に位置してもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、剛性伸長部材はさらに、流体ポートを備え、剛性伸長部材は、流体が、流体ポートと膜の内部との間を通過するための流体導管を備える。一実施形態では、剛性伸長部材の少なくとも一部分は、中空であり、中空部分は、流体の流動のための導管を提供する。1つの好ましい実施形態では、剛性伸長部材は、管を備え、管は、流体の流動のための導管を提供し、流体が、膜の内部に流入する、またはそれから流出することを可能にするために、その中に1つまたはそれを上回る開口部を有する。剛体伸長部材の第1および第2の端部の一方または両方は、流体ポートを具備してもよい。
【0066】
膨張式容器は、好ましくは、容器内の過剰な流体圧力が、放出されることを可能にするために、圧力逃しシステムを具備する。容器内の過剰な流体圧力は、容器が、水柱を通して上昇するにつれて、過膨張、周囲温度の変化、または静水圧の低減によって引き起こされ得る。好ましくは、圧力逃しシステムは、吹出弁等の圧力逃し弁を含む。好適な弁は、当技術分野において公知であり、市販されている。
【0067】
圧力逃し弁は、可撓性膜内に提供されてもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、圧力逃し弁は、剛性伸長部材内に提供される。例えば、圧力逃し弁は、剛性伸長部材の第1および/または第2の端部内に位置してもよい。本配列において、剛性伸長部材は、膜の内部から圧力逃し弁に流体を取り込むための導管を備える。本導管は、容器の内部への流体の供給、またはそこからの流体の除去のために、上記に議論されるものと同一の導管であってもよい。代替として、剛性伸長部材は、別個の圧力逃し導管を具備してもよい。
【0068】
剛性伸長部材内への流体ポートおよび/または圧力逃し弁の含有は、先行技術の膨張式袋のように、可撓性膜内でそのような構成要素を位置決めするための必要性を低減または排除する。これは、可撓性膜の複雑性を低減する。これは、可撓性膜を製造するプロセスを簡略化するだけではなく、膜を通した流体ポートおよび/または圧力逃し弁の挿入によって作成される、構造上の脆弱点において、漏出が形成される尤度も低減する。
【0069】
剛性伸長部材はさらに、第1および/または第2の取着点および膜を越えて、剛性伸長部材から流体を放出するための1つまたはそれを上回る排水管をさらに備えてもよい。特に、1つまたはそれを上回る排水管は、使用時、膨張式容器の底部に位置してもよい。流体は、したがって、膨張式容器の底部から1つまたはそれを上回る排水管を通して、剛性伸長部材から放出され得る。放出された流体は、膨張式容器の真下の海、河川、または湖底からの堆積物を取り除くために使用され得る。これは、膨張式容器の下方の水深を増加させ、膨張式容器が沈下され得る深さを増加させることができる。
【0070】
本発明による膨張式容器は、浮遊デッキアセンブリ等の浮遊アセンブリにおいて特定の使途を見出す。
【0071】
故に、本発明のさらなる側面は、本明細書内で先に説明されるような少なくとも1つの膨張式容器を備える、浮遊アセンブリを提供する。
【0072】
さらなる側面では、本発明は、浮遊アセンブリを提供し、本アセンブリは、
第1のフレームアセンブリと、
第2のフレームアセンブと、
第1のフレームアセンブリと第2のフレームアセンブリとの間に延在し、それらを接続する、複数の支持部材と、
第1のフレームアセンブリと第2のフレームアセンブリとの間に配置される、本発明の第1の側面による、複数の膨張式容器と、
を備える。
【0073】
一般的には、第1のフレームアセンブリは、使用時、複数の膨張式容器の上方に位置する一方、第2のフレームアセンブリは、使用時、複数の膨張式容器の下方に位置する。
【0074】
各膨張式容器は、膨張式容器の浮力を第1のフレームアセンブリに伝達するための第1取着点において、第1のフレームアセンブリに接続される、および/または膨張式容器の浮力を第2のフレームアセンブリに伝達するための第2取着点において、第2のフレームアセンブリに接続されてもよい。
【0075】
好ましくは、各膨張式容器は、第1および第2のフレームアセンブリの両方に接続され、それによって、使用時、各容器の浮力は、剛性伸長部材内の圧縮によって、第1のフレームアセンブリに伝達され、剛性伸長部材内の張力によって、第2のフレームアセンブリに伝達される。
【0076】
これは、複数の膨張式容器の浮力が、第1および第2のフレームアセンブリの両方にわたって広がるため、有利であり、したがって、第1および第2のフレームアセンブリのうちの任意の1つに対する荷重要件を低減させる。
【0077】
本発明による浮遊アセンブリは、浮遊デッキアセンブリにおいて採用され得、浮遊デッキアセンブリはさらに、第1のフレームアセンブリに接続されるデッキを形成する、1つまたはそれを上回るデッキパネルを備える。
【0078】
使用時、各膨張式容器の浮力の全てまたはその一部を、膨張式容器の上方に位置する第1のフレームアセンブリに直接伝達する能力は、先行技術の浮遊デッキアセンブリのように、各膨張式容器の複合浮力全体から生じる力、ならびにデッキおよび支持部材の重量に耐えることが可能な膨張式容器の下方に、支持アセンブリを含める必要性を低減または排除する。したがって、浮遊デッキアセンブリの総重量および喫水は、本発明による膨張式容器を採用することによって、低減されることができる。これは、本発明による浮遊デッキアセンブリが、浮乾ドックとして採用されるとき、特に有利である。
【0079】
さらなる側面では、本発明は、本明細書内で先に説明されるような浮遊デッキアセンブリを備える、浮乾ドックを提供する。
【0080】
浮乾ドックとして使用されるとき、デッキアセンブリが、水中の容器または構造物の下方に沈下されることを可能にするために、膨張式容器の1つまたはそれを上回るものは、あるレベルまで、全体的または部分的に萎ませられてもよい。特に、1つまたはそれを上回る容器は、好ましくは、浮遊デッキアセンブリを水面下の適切な深さまで沈めるために要求される量だけ萎ませられる。アセンブリは、次いで、引き上げられるべき容器または構造物の真下で操縦される、または容器または構造物が、デッキアセンブリのデッキにわたって操縦される。膨張式容器は、次いで、膨らまされ、容器の外殻が、デッキと接触するまで、浮遊デッキアセンブリを引き上げる。膨張式容器を継続的に膨らませることは、容器を水から引き上げる。逆の手順が、容器を水に戻すために追従される。
【0081】
したがって、本発明のさらなる側面は、容器または構造物を水から引き上げるための方法を提供し、本方法は、
本明細書内で先に説明されるような浮乾ドックを提供するステップと、
引き上げられるべき容器または構造物の下方に、浮乾ドックを沈めるステップと、
引き上げられるべき容器または構造物の下方の浮乾ドックを操縦するステップと、
浮乾ドック、および引き上げられるべき容器または構造物を引き上げるステップと、
を含む。
【0082】
本方法はさらに、以下のステップ、すなわち、
引き上げられるべき容器または構造物の下方に、浮乾ドックを沈めるために、膨張式容器のうちの1つまたはそれを上回るものを萎ませるステップと、
浮乾ドック、および引き上げられるべき容器または構造物を引き上げるために、膨張式容器のうちの1つまたはそれを上回るものを膨らませるステップと、
を含んでもよい。
【0083】
本発明による膨張式容器を採用する、浮遊デッキアセンブリの低減された喫水は、より大きな容器に適応するために、より深い深さまで沈めることを可能にする、または先行技術のアセンブリより浅い水中における使用を可能にする。
【0084】
加えて、本発明による膨張式容器を採用する、浮遊デッキアセンブリの低減された重量は、同一の総浮力を伴う、膨張式袋を採用する、先行技術のアセンブリと比較されるとき、より重い容器を上昇させることを可能にする。
【0085】
特に好ましい実施形態では、各膨張式容器の浮力上昇力は、剛性伸長部材内の圧縮力によって、使用時、膨張式容器の上方に位置付けられる、アセンブリおよび/またはデッキに完全に伝達される。
【0086】
そのような実施形態では、使用時、各膨張式容器の底部において位置付けられる、第2の取着点を、膨張式容器の下方のアセンブリの一部分に接続し、膨張式容器を安定させることが、依然として好ましくあり得る。しかしながら、本接続は、好ましくは、アセンブリにいかなる実質的上昇力も伝達しない。本接続は、例えば、1つまたはそれを上回る架張されたワイヤによって、もたらされてもよい。
【0087】
本発明の膨張式容器は、浮遊デッキが、ごく少数または最小限の構造上の構成要素を使用して提供されることを可能にする。本発明のさらに好ましい側面では、第1および第2のフレームアセンブリ、ならびに上記に説明される浮遊アセンブリの複数の支持部材は、完全に省略されてもよい。
【0088】
故に、さらなる側面では、本発明は、本明細書内で先に説明されるような膨張式容器と、
膨張式容器の第1の取着点に接続される、デッキパネルと、
を備える、浮遊デッキユニットを提供する。
【0089】
本発明による2つまたはそれを上回る浮遊デッキユニットは、モジュール式配列で、ともにつながれ、浮遊デッキアセンブリを形成することができる。
【0090】
故に、本発明のさらなる側面は、2つまたはそれを上回る浮遊デッキユニットを備える、浮遊デッキアセンブリを提供する。
【0091】
浮遊デッキアセンブリは、浮乾ドック内で採用されてもよい。
【0092】
モジュール式配列の一実施形態では、各膨張式容器の第1の取着点は、個別のデッキパネルに接続され、各膨張式容器の第2の取着点は、1つまたはそれを上回る隣接する膨張式容器の第2の取着点につながれ、浮遊デッキアセンブリを形成する。つなぎ綱は、剛性または可撓性であってもよい。
【0093】
本発明による膨張式容器は、浮遊デッキアセンブリにおいて使途を見出す一方、代替用途においてもまた有意な利点を有する。
【0094】
一実施形態では、本発明による膨張式容器は、液体を含む、流体のためのコンテナとして利用されることができる。一用途では、容器は、水袋としての使途を見出す。水袋は、一般的に、橋、歩道、ポンツーン、および他の耐荷重構造物の荷重試験を行うために、建設およびエンジニアリング業界において使用される。これは、以前は、構造上の補強を伴わない、大きな可撓性袋を使用して達成されていた。これらの袋は、したがって、その中に含有される水の重量下で弛み、それによって、その高さに対して相対的に大きな表面積を占有する。さらに、先行技術による水袋は、支援されず、分割されない状態で、大量の水を含有することが可能である、厚くかつ重い膜材料を使用して、製造されなければならない。
【0095】
本発明による膨張式容器は、構造物の荷重試験を行うための改良された水袋として、利用されることができる。特に、本発明による膨張式容器が、水または他の液体で充填されるとき、それらは、水中で使用されるときの浮力に起因する内圧とほぼ同等である、重力に起因する内圧を被る。
【0096】
しかしながら、本発明による膨張式容器は、先行技術による水袋のように弛むのではなく、剛性伸長部材の圧縮強度に起因して、その構造を維持する。したがって、膨張式容器によって占有される表面積は、その高さと比較して小さい。これは、より重い重量の水が、単位面積あたりで荷重されることを可能にし、それによって、試験荷重容量を増加させる。
【0097】
剛性伸長膜の含有は、先行技術の水袋と比較されるとき、より薄くかつより軽い可撓性膜材料の使用を可能にする。特に、剛性伸長部材は、膨張式容器が、液体で充填されるとき、付加的な構造上の支持を提供し、それによって、先行技術の水袋と比較されるとき、可撓性膜の耐荷重要件を低減する。
【0098】
故に、本発明のさらなる側面は、構造物の荷重試験を行うための方法を提供し、本方法は、
試験されるべき構造物上に、本明細書内で先に説明されるような膨張式容器を配置するステップと、
液体を用いて、膨張式容器を膨らませるステップと、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0099】
本発明の実施形態は、ここで、付随の図面を参照しながら、一例としてのみ説明されるであろう。
【0100】
図1図1は、先行技術の膨張式袋の断面図である。
【0101】
図2図2は、本発明の一実施形態による膨張式容器の斜視図であり、上方および片側から視認される。
【0102】
図3図3は、図2の膨張式容器の斜視図であり、下方および片側から視認される。
【0103】
図4図4は、分解された状態での図2の容器の構成要素の分解図である。
【0104】
図5図5は、図2の容器の第1の取着点の拡大斜視図である。
【0105】
図6図6は、図2の容器の剛性伸長部材の第1の端部の一部分の拡大斜視図である。
【0106】
図7図7は、図2の膨張式容器の第2の端部の一部分の拡大斜視図である。
【0107】
図8図8は、本発明による複数の膨張式容器を含む、浮遊デッキアセンブリの斜視図である。
【0108】
図9図9は、図8の浮遊デッキアセンブリの接続部の拡大図である。
【0109】
図10図10は、本発明の一実施形態による、浮遊デッキユニットの斜視図である。
【0110】
図11図11は、本発明の浮遊デッキアセンブリのなおもさらなる実施形態の斜視図である。
【0111】
図12図12は、本発明の浮乾ドックアセンブリの斜視図である。
【0112】
図13図13は、橋の上に配置される、本発明による複数の膨張式容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0113】
図1は、概して、10において示される、先行技術による膨張式袋の断面図である。膨張式袋は、可撓性膜20を含む。可撓性膜は、内部22および外部24を画定するために密封される。
【0114】
可撓性内部接続環索が、膨張式袋の反対端部において、膜20内の第1の取着点26と第2の取着点28との間で、可撓性膜20の内部に延在する。可撓性内部接続環索30は、容器が、膨らまされるとき、第1の取着点および第2の取着点26、28の間で引張力Tを受ける。第1の取着点と第2の取着点との間の接続環索の張力は、膨らまされるとき、容器が、内圧下で拡張しないように防止する。
【0115】
第1のシャックル32が、第1の取着点26において、可撓性内部接続環索30に接続される。第2のシャックル34が、第2の取着点28において、可撓性内部接続環索30に接続される。シャックル32、34は、膨張式袋を、沈下外部構造物または部分的沈下外部構造物に接続するために使用されることができる。
【0116】
可撓性内部接続環索30は、使用時、略垂直に配向される。膨張式袋10が、沈下されると、可撓性内部接続環索30内の張力は、使用時、膨張式容器の浮力Bの結果として生成される力を、容器の底部に位置する第2の取着点28において、第2のシャックル34に伝達する。膨張式袋の浮力Bは、したがって、使用時、第2のシャックル34に接続される、沈下外部構造物を引っ張り、上昇させるために使用されることができる。
【0117】
図2に目を向けると、概して、110として示される、本発明の一実施形態による膨張式容器の上方および片側からの斜視図が示されている。容器110は、図3では、下方および片側からの斜視図に示される。容器110の構成要素は、図4に示される。
【0118】
膨張式容器110は、可撓性膜120を含む。可撓性膜は、内部122および外部124を画定するために密封される。
【0119】
剛性伸長部材130が、可撓性膜120の内部に延在する。剛性伸長部材は、膜の個別の第1の端部および第2の端部において、第1の取着点126と第2の取着点128との間に延在する。
【0120】
剛性伸長部材130は、中空かつ略円筒状の管である。剛性伸長部材130は、鋼鉄から形成される。しかしながら、使用時、膨張式容器110のサイズ、およびそれが耐えなければならない力の大きさに応じて、広範な代替材料が、採用され得る。
【0121】
剛性伸長部材は、容器110が膨らまされるとき、第1および第2の取着点126、128の間に引張力Tを受ける。第1の取着点と第2の取着点との間の剛性伸長部材の張力は、膨らまされるとき、容器が、内圧下で拡張しないように防止するための拘止力を提供する。
【0122】
剛性伸長部材はまた、第1および第2の取着点126、128において、またはその近傍で印加される圧縮力Cも受け得る。剛性伸長部材内の圧縮に対する抵抗は、したがって、膨張式容器が、使用時、圧縮に耐えることを可能にする、拘止力を提供する。これは、外力を受けるとき、容器が、変形されないように防止する。
【0123】
剛性伸長部材130は、使用時、略垂直に配向される。膨張式容器110が、沈下されるとき、剛性伸長部材130内の張力は、使用時、容器の底部に位置する第2の取着点128に、膨張式容器の浮力Bを伝達する。膨張式容器の浮力Bは、したがって、使用時、第2の取着点128に接続される、沈下外部構造物を引っ張り、上昇させるために利用されることができる。
【0124】
さらに、膨張式容器110が、沈下されるとき、剛性伸長部材130内の圧縮抵抗力は、使用時、容器の上部に位置する第1の取着点126に、膨張式容器の浮力Bを伝達する。膨張式容器の浮力Bは、したがって、使用時、第1の取着点128に接続される、沈下外部構造物を押し上げ、上昇させるために利用されることができる。
【0125】
ここで、図4および5を参照されたい。剛性伸長部材130は、第1の取着点126における膜120への取着のために、剛性伸長部材の第1の端部部分に位置する第1のフランジ132を備える、第1の取着部材を含む。第1のフランジ132は、剛体部材130の端部から離間される。第1のフランジは、溶接によって、剛性伸長部材に固定される。
【0126】
容器は、膜の第1の取着点126において、ボルト(図示せず)等の複数の固定具を使用して、第1のフランジ132に取着するために、第1の補強環134を具備する。膨張式容器110が、完全に組み立てられるとき、図2および3に示されるように、第1の取着点126における可撓性膜120の材料は、第1のフランジ132と第1の補強環134との間に位置する。特に、第1の補強環134は、第1のフランジ132に固着され、それによって、可撓性膜120の中間部分が、第1の補強環と第1のフランジとの間に挟持され、水封止を形成する。図4に見られ得るように、可撓性膜120は、第1の補強環134を第1のフランジ132に取着するために使用される、複数の固定具を受容するための第1の複数の孔140を含む。
【0127】
膨張式容器が、完全に組み立てられるとき、図2に示されるように、剛性伸長部材130の一部分は、図5にさらに詳細に見られ得るように、第1の取着点126において、膜内の開口142を通して延在する。特に、剛性伸長部材は、膜の外面を越えて突出するために、第1のフランジ132と、可撓性膜120と、第1の補強環134とを通して延在する。
【0128】
随意のシャックル154が、図5に示されるように、剛性伸長部材130の端部に接続される。これらのシャックルは、膨張式容器を操縦する際に支援するために、膨張式容器を外部構造物に、またはクレーン等の昇降デバイスに接続するために使用されることができる。
【0129】
再度、図4を参照すると、剛性伸長部材130は、第2の取着点における膜120への取着のために、剛性伸長部材の第2の端部に位置する第2のフランジ136を備える、第2の取着部材128を含む。第2のフランジは、溶接によって、剛性伸長部材の端部に固定される。容器は、第2取着点128において、ボルト(図示せず)等の複数の固定具を使用して、第2フランジ136に取着するために、第2補強環138を備える。膨張式容器が、完全に組み立てられるとき、図2および3に示されるように、第2の取着点128における可撓性膜120の材料の一部分は、第2フランジ136と第2補強環138との間に位置する。特に、第2補強環138は、第2フランジ134に固着され、それによって、可撓性膜120の部分が、第2の補強環と第2のフランジとの間に挟持され、水封止を形成する。図4に見られるように、可撓性膜120は、第2の補強環を第2のフランジに取着するために使用される、複数の固定具を受容するために、第2の取着点おいて、第2の複数の孔144を含む。
【0130】
図3および7に示される、シャックル164等の1つまたはそれを上回るコネクタは、第2の補強環138を物体または構造物に接続するために使用され得る。代替実施形態では、剛性伸長部材の第2の端部における構成要素は、図5に示されるものに類似する様式で、第1の端部に関して上記に説明されるように配列され、剛性伸長部材の第2の端部の一部分を、膜120を通して、かつ膜の表面を越えて延在させてもよい。
【0131】
図5および6に目を向けると、第1の流体ポート150が、剛性伸長部材130の第1の端部において、第1の隔壁152内に位置する。第1の流体ポート150は、圧縮器またはポンプ多岐管に接続するためのカムロック接続金具150aとともに示される。剛性伸長部材はさらに、図6に見られ得るように、膜120の内部に開口する、第2の流体ポート156を具備する。剛性伸長部材130の内部は、第1の流体ポート150と、第2の流体ポート156と、可撓性膜の内部との間に流体導管を形成し、これを通して、流体は、可撓性膜の内部から送出または抽出され、要求に応じて、膨張式容器110を膨らませる、および萎ませることができる。
【0132】
図7を参照すると、可撓性膜の外部から視認されるときの図3の膨張式容器の第2の取着点128の拡大斜視図が示されている。剛性伸長部材の第2の端部は、第2の隔壁162によって密閉され、流体封止を提供する。圧力逃し弁160は、第2の隔壁162内に位置する。剛性伸長部材130の内部は、可撓性膜の内部と、それを通して過剰な流体圧力が放出され得る圧力逃し弁との間に流体導管を形成する。
【0133】
図8は、浮遊アセンブリ、具体的には、本発明による複数の膨張式容器110を含む、浮遊デッキアセンブリ200の斜視図である。浮遊アセンブリは、第1のフレームアセンブリ210と、第2のフレームアセンブリ220とを含む。第1のフレームアセンブリ210は、複数の単位セルを画定する格子を形成するために相互接続される、複数の第1のフレーム部材212を含む。第1のフレームアセンブリ210はさらに、複数のデッキパネル214を含む。各デッキパネルは、フレーム部材212の格子の単位セル内に位置する。第2のフレーム部材220は、複数の第2フレーム部材222を含む。複数の支持部材230は、第1のフレームアセンブリ210と第2のフレームアセンブリ220との間に延在し、それらを接続する。
【0134】
本発明による複数の膨張式容器110は、使用時、第1のフレームアセンブリ210と第2のフレームアセンブリ220との間に配置される。各膨張式容器110は、その第1の取着点126において、第1のフレームアセンブリに接続される。特に、各膨張式容器の第1の取着点は、下記にさらに詳細に説明されるであろうように、接続部240において、個別のデッキパネル214に接続される。
【0135】
図9は、デッキパネル214内の接続部240の拡大斜視図である。本接続部は、容器110の第1の補強環134を位置決めするためのデッキパネル内の開口242を含む。第1の流体ポート150を含む、剛性伸長部材の第1の端部に位置する付加的構成要素は、開口242を介して、視認可能かつアクセス可能である。
【0136】
複数の接続プレート244は、開口242内に放射状に延在する。各接続プレートは、第1の取着点において、第1のフランジと、可撓性膜と、第1の補強環とを通して延在する、複数のボルト246のうちの1つを受容するための開口を具備する。ボルト246はそれぞれ、ナット248を用いて固着される。
【0137】
膨張式容器の浮力は、接続部240において、デッキパネル214に伝達される。
【0138】
図10は、本発明のさらなる実施形態による浮遊デッキユニット300を示す。浮遊デッキユニット300は、図2に示されるように、膨張式容器110を備える。デッキパネル310は、図9に示され、上記に説明されるものに類似する様式で、容器110の第1の端部に搭載される。デッキパネル310は、膨張式容器が、完全に収縮されているときでさえ、わずかに浮力を維持する、封止されたボックス構造である。これは、膨張式容器の剛性伸長部材が、使用時、垂直に配向される場合でも、ユニットが、直立したままの状態でいることに役立つ。
【0139】
図11は、複数の図10に示されるような浮遊デッキユニット300を示し、モジュール式配列でともにつながれ、浮遊デッキアセンブリ400を形成する。各膨張式容器の可撓性膜が、収縮された状態で示されている。各デッキユニット300は、接続部材410によって、それぞれの隣接するアセンブリにつながれる。接続部材は、棒、竿、または管等の剛性であってもよく、ケーブル等の可撓性であってもよい。
【0140】
図12を参照すると、概して、500として示される、浮乾ドックアセンブリが示されている。浮乾ドックアセンブリは、図11に示されるような浮遊デッキアセンブリ400を備え、船510の真下に位置付けられる。
【0141】
最後に、図13は、本発明による複数の膨張式容器110を示し、橋600の上に反転されて、配置されている。膨張式容器は、橋の荷重試験を行うために、液体、例えば、水で充填される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】