(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-18
(54)【発明の名称】DNA分子の組成物、その作製方法、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20230810BHJP
C12N 15/35 20060101ALI20230810BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230810BHJP
C12N 15/55 20060101ALI20230810BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20230810BHJP
C12N 15/10 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12N15/35
C12N15/63 Z
C12N15/55
C12N15/88 Z
C12N15/10 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505969
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(85)【翻訳文提出日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 EP2021070884
(87)【国際公開番号】W WO2022023284
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523029526
【氏名又は名称】アンジャリウム バイオサイエンシズ エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル デ ビーア
(72)【発明者】
【氏名】モニーク マウラー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ラバニヤ クナリンガム
(72)【発明者】
【氏名】マルチェロ クレリシ
(57)【要約】
本明細書で提供されるのは、逆方向反復、発現カセット、及びニッキングエンドヌクレアーゼ用の1つ以上の制限部位を含む二本鎖DNA分子、その使用の方法、並びにその作製方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1の逆方向反復であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1の逆方向反復;
b.発現カセット;及び
c.第2の逆方向反復であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【請求項2】
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1の逆方向反復であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1の逆方向反復;
b.発現カセット;及び
c.第2の逆方向反復であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【請求項3】
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1の逆方向反復であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1の逆方向反復;
b.発現カセット;及び
c.第2の逆方向反復であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【請求項4】
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1の逆方向反復であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1の逆方向反復;
b.発現カセット;及び
c.第2の逆方向反復であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【請求項5】
前記二本鎖DNA分子が、単離DNA分子である、請求項1~4のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項6】
ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位が全て、同一のニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位である、請求項1~5のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項7】
前記第1及び第2の逆方向反復が、同一である、請求項1~5のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項8】
前記第1の及び/又は前記第2の逆方向反復が、パルボウイルスのITRである、請求項1~5のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項9】
前記第1の及び/又は前記第2の逆方向反復が、パルボウイルスの改変ITRである、請求項1~5のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項10】
前記パルボウイルスが、ディペンドパルボウイルス、ボカパルボウイルス、エリスロパルボウイルス、プロトパルボウイルス、又はテトラパルボウイルスである、請求項8又は9記載の二本鎖DNA分子。
【請求項11】
前記改変ITRのヌクレオチド配列が、前記パルボウイルスの前記ITRと少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は少なくとも99%同一である、請求項9記載の二本鎖DNA分子。
【請求項12】
a.第1のニックが、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
b.第2のニックが、該第1の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
c.第3のニックが、前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;かつ/又は
d.第4のニックが、該第2の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
該第1のニック及び該第4のニックが、前記トップ鎖上に生じる2つのニックであり、該第1のニックが、該トップ鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第4のニックが、該トップ鎖の3’末端に近い方のニックであり、かつ
該第2のニック及び該第3のニックが、前記ボトム鎖上に生じる2つのニックであり、該第3のニックが、該ボトム鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第2のニックが、該ボトム鎖の3’末端に近い方のニックである、
請求項1又は5記載の二本鎖DNA分子。
【請求項13】
a.第1のニックが、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
b.第2のニックが、該第1の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
c.第3のニックが、前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;かつ/又は
d.第4のニックが、該第2の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
該第1のニック及び該第4のニックが、前記トップ鎖上に生じる2つのニックであり、該第1のニックが、該トップ鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第4のニックが、該トップ鎖の3’末端に近い方のニックであり、かつ
該第2のニック及び該第3のニックが、前記ボトム鎖上に生じる2つのニックであり、該第3のニックが、該ボトム鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第2のニックが、該ボトム鎖の3’末端に近い方のニックである、
請求項2又は5記載の二本鎖DNA分子。
【請求項14】
a.第1のニックが、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
b.第2のニックが、該第1の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
c.第3のニックが、前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;かつ/又は
d.第4のニックが、該第2の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
該第1のニック及び該第4のニックが、前記トップ鎖上に生じる2つのニックであり、該第1のニックが、該トップ鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第4のニックが、該トップ鎖の3’末端に近い方のニックであり、かつ
該第2のニック及び該第3のニックが、前記ボトム鎖上に生じる2つのニックであり、該第3のニックが、該ボトム鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第2のニックが、該ボトム鎖の3’末端に近い方のニックである、
請求項3又は5記載の二本鎖DNA分子。
【請求項15】
a.第1のニックが、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
b.第2のニックが、該第1の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
c.第3のニックが、前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;かつ/又は
d.第4のニックが、該第2の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
該第1のニック及び該第4のニックが、前記トップ鎖上に生じる2つのニックであり、該第1のニックが、該トップ鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第4のニックが、該トップ鎖の3’末端に近い方のニックであり、かつ
該第2のニック及び該第3のニックが、前記ボトム鎖上に生じる2つのニックであり、該第3のニックが、該ボトム鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第2のニックが、該ボトム鎖の3’末端に近い方のニックである、
請求項4又は5記載の二本鎖DNA分子。
【請求項16】
前記第1のニック、前記第2のニック、前記第3のニック、及び/又は前記第4のニックが、前記逆方向反復の内部にある、請求項12~15のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項17】
前記第1のニック、前記第2のニック、前記第3のニック、及び/又は前記第4のニックが、前記逆方向反復の外部にある、請求項12~15のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項18】
前記二本鎖DNA分子が、プラスミドである、請求項1~17のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項19】
前記プラスミドが、細菌の複製起点をさらに含む、請求項18記載の二本鎖DNA分子。
【請求項20】
前記プラスミドが、前記第1の逆方向反復に対して5’でありかつ前記第2の逆方向反復に対して3’である領域に制限酵素部位をさらに含み、
該制限酵素部位が、該第1の逆方向反復、該第2の逆方向反復、及び該第1の逆方向反復と該第2の逆方向反復との間の領域のいずれの中にも存在しない、請求項18記載の二本鎖DNA分子。
【請求項21】
前記制限酵素での切断が、前記第1の逆方向反復及び/又は前記第2の逆方向反復のアニーリングに好適な条件下で検出可能なレベルでアニーリングしない一本鎖オーバーハングをもたらす、請求項20記載の二本鎖DNA分子。
【請求項22】
前記プラスミドが、前記制限酵素をコードするオープンリーディングフレームをさらに含む、請求項20記載の二本鎖DNA分子。
【請求項23】
前記制限酵素の発現が、誘導性プロモーターの制御下にある、請求項22記載の二本鎖DNA分子。
【請求項24】
前記プラスミドが、前記第1の逆方向反復に対して5’でありかつ前記第2の逆方向反復に対して3’である領域に、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第5及び第6の制限部位をさらに含み、
ニッキングエンドヌクレアーゼ用の該第5及び第6の制限部位が:
a.向かい合う鎖上にあり;かつ
b.切断の一本鎖オーバーハングが該第1の逆方向反復及び/又は該第2の逆方向反復のアニーリングに好適な条件下で検出可能なレベルで分子間又は分子内アニーリングしないような、該切断を前記二本鎖DNA分子内に生じさせる、
請求項18記載の二本鎖DNA分子。
【請求項25】
前記第5及び第6のニックが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド離れている、請求項24記載の二本鎖DNA分子。
【請求項26】
ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位がすべて、同一のニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列である、請求項24記載の二本鎖DNA分子。
【請求項27】
前記ニッキングエンドヌクレアーゼ部位のうちの1つ以上が、内在性ニッキングエンドヌクレアーゼの標的配列である、請求項1~26のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項28】
前記プラスミドが、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、第4、第5、及び/又は第6の制限部位を認識するニッキングエンドヌクレアーゼをコードするオープンリーディングフレームをさらに含む、請求項24~27のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項29】
前記ニッキングエンドヌクレアーゼの発現が、誘導性プロモーターの制御下にある、請求項28記載の二本鎖DNA分子。
【請求項30】
ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び/又は第4の制限部位を認識する前記ニッキングエンドヌクレアーゼが、Nt.BsmAI;Nt.BtsCI;N.ALwl;N.BstNBI;N.BspD6I;Nb.Mva1269I;Nb.BsrDI;Nt.BtsI;Nt.BsaI;Nt.Bpu10I;Nt.BsmBI;Nb.BbvCI;Nt.BbvCI;又はNt.BspQIである、請求項1~29のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項31】
ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第5及び第6の制限部位を認識する前記ニッキングエンドヌクレアーゼが、Nt.BsmAI;Nt.BtsCI;N.ALwl;N.BstNBI;N.BspD6I;Nb.Mva1269I;Nb.BsrDI;Nt.BtsI;Nt.BsaI;Nt.Bpu10I;Nt.BsmBI;Nb.BbvCI;Nt.BbvCI;又はNt.BspQIである、請求項24記載の二本鎖DNA分子。
【請求項32】
前記発現カセットが、転写単位に作動的に連結されたプロモーターを含む、請求項1~31のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項33】
前記転写単位が、オープンリーディングフレームを含む、請求項32記載の二本鎖DNA分子。
【請求項34】
前記発現カセットが、転写後制御因子をさらに含む、請求項32又は33記載の二本鎖DNA分子。
【請求項35】
前記発現カセットが、ポリアデニル化及び終止シグナルをさらに含む、請求項32又は33記載の二本鎖DNA分子。
【請求項36】
前記発現カセットの大きさが、少なくとも4kb、少なくとも4.5kb、少なくとも5kb、少なくとも5.5kb、少なくとも6kb、少なくとも6.5kb、少なくとも7kb、少なくとも7.5kb、少なくとも8kb、少なくとも8.5kb、少なくとも9kb、少なくとも9.5kb、又は少なくとも10kbである、請求項32~35のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項37】
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1のヘアピン化逆方向反復;
b.ボトム鎖のニック;
c.発現カセット;
d.該ボトム鎖のニック;及び
e.第2のヘアピン化逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【請求項38】
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1のヘアピン化逆方向反復;
b.該トップ鎖のニック;
c.発現カセット;
d.該トップ鎖のニック;及び
e.第2のヘアピン化逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【請求項39】
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1のヘアピン化逆方向反復;
b.ボトム鎖のニック;
c.発現カセット;
d.該トップ鎖のニック;及び
e.第2のヘアピン化逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【請求項40】
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1のヘアピン化逆方向反復;
b.該トップ鎖のニック;
c.発現カセット;
d.ボトム鎖のニック;及び
e.第2のヘアピン化逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【請求項41】
単離DNA分子である、請求項37~40のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項42】
前記第1の及び/又は前記第2の逆方向反復が、パルボウイルスのITRである、請求項37~41のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項43】
前記第1及び第2の逆方向反復が、同一である、請求項37~41のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項44】
前記第1の及び/又は前記第2の逆方向反復が、パルボウイルスの改変ITRである、請求項37~41のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項45】
前記パルボウイルスが、ディペンドパルボウイルス、ボカパルボウイルス、エリスロパルボウイルス、プロトパルボウイルス、又はテトラパルボウイルスである、請求項42又は44記載の二本鎖DNA分子。
【請求項46】
前記改変ITRのヌクレオチド配列が、前記パルボウイルスの前記ITRと少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は少なくとも99%同一である、請求項45記載の二本鎖DNA分子。
【請求項47】
前記発現カセットが、転写単位に作動的に連結されたプロモーターを含む、請求項37~46のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項48】
前記転写単位が、オープンリーディングフレームを含む、請求項47記載の二本鎖DNA分子。
【請求項49】
前記発現カセットが、転写後制御因子をさらに含む、請求項47又は48記載の二本鎖DNA分子。
【請求項50】
前記発現カセットが、ポリアデニル化及び終止シグナルをさらに含む、請求項47又は48記載の二本鎖DNA分子。
【請求項51】
前記発現カセットの大きさが、少なくとも4kb、少なくとも4.5kb、少なくとも5kb、少なくとも5.5kb、少なくとも6kb、少なくとも6.5kb、少なくとも7kb、少なくとも7.5kb、少なくとも8kb、少なくとも8.5kb、少なくとも9kb、少なくとも9.5kb、又は少なくとも10kbである、請求項37~50のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項52】
エキソヌクレアーゼから保護されている、請求項37~51のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子であって、任意に、該エキソヌクレアーゼが、RecBCDエキソヌクレアーゼである、前記二本鎖DNA分子。
【請求項53】
少なくとも1つの複製関連タンパク質結合配列(「RABS」)を欠く、請求項1~52のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項54】
複製関連タンパク質(「RAP」)コード配列を欠く、請求項1~53のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項55】
ウイルスカプシドタンパク質コード配列を欠く、請求項1~54のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項56】
前記第1の逆方向反復が、少なくとも1つのRABSを欠く、請求項1~55のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項57】
前記第2の逆方向反復が、少なくとも1つのRABSを欠く、請求項1~56のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項58】
前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対と前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対との間のDNA配列が、少なくとも1つのRABSを欠く、請求項1~57のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項59】
前記第1の逆方向反復が、少なくとも1つのRABSを欠き、かつ前記第2の逆方向反復が、少なくとも1つのRABSを欠く、請求項1~58のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項60】
末端分離部位(TRS)を欠く、請求項1~59のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項61】
前記第1の逆方向反復が、TRSを欠く、請求項1~60のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項62】
前記第2の逆方向反復が、TRSを欠く、請求項1~61のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項63】
前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対と前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対との間のDNA配列が、TRSを欠く、請求項1~62のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項64】
前記第1の逆方向反復が、TRSを欠き、かつ前記第2の逆方向反復が、TRSを欠く、請求項1~63のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子。
【請求項65】
請求項53及び56~64のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子であって、ホストに投与された場合の該二本鎖DNA分子の可動化リスクが、前記少なくとも1つのRABSを有しかつ/又は前記TRSを有する対照DNA分子よりも100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、又は50%低い、前記二本鎖DNA分子。
【請求項66】
TRSを欠く、請求項53及び56~64のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子であって、ホストに投与された場合の該二本鎖DNA分子の可動化リスクが、該TRSを有する対照DNA分子よりも100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、又は50%低い、前記二本鎖DNA分子。
【請求項67】
少なくとも1つのRABSを欠き、かつTRSを欠く、請求項53及び56~64のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子であって、
ホストに投与された場合の前記二本鎖DNA分子の可動化リスクが、該少なくとも1つのRABS及び該TRSを有する対照DNA分子よりも100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、又は50%低い、前記二本鎖DNA分子。
【請求項68】
請求項5~67のいずれか1項記載の単離二本鎖DNA分子であって、該二本鎖DNA分子の断片を含まない、前記単離二本鎖DNA分子。
【請求項69】
請求項5~68のいずれか1項記載の単離二本鎖DNA分子であって、該二本鎖DNA分子の断片が、該単離二本鎖DNA分子の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%を超えない、前記単離二本鎖DNA分子。
【請求項70】
請求項5~69のいずれか1項記載の単離二本鎖DNA分子であって、該二本鎖DNA分子の断片ではない核酸夾雑物を含まない、前記単離二本鎖DNA分子。
【請求項71】
前記二本鎖DNA分子の断片ではない前記核酸夾雑物が、前記単離二本鎖DNA分子の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%未満である、請求項5~70のいずれか1項記載の単離二本鎖DNA分子。
【請求項72】
バキュロウイルスのDNAを含まない、請求項5~71のいずれか1項記載の単離二本鎖DNA分子。
【請求項73】
バキュロウイルスのDNAが、前記単離二本鎖DNA分子の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%未満である、請求項5~72のいずれか1項記載の単離二本鎖DNA分子。
【請求項74】
請求項37~73のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子を含む、送達ビヒクル。
【請求項75】
ハイブリドソーム、リポソーム、又は脂質ナノ粒子を含む、請求項74記載の送達ビヒクル。
【請求項76】
ヘアピン末端DNA分子を調製するための方法であって:
a.請求項1~35のいずれか1項記載の二本鎖DNA分子を含むホスト細胞を、該二本鎖DNA分子の増幅をもたらす条件下で培養すること;
b.該二本鎖DNA分子を該ホスト細胞から放出させること;
c.該二本鎖DNA分子を、前記4つの制限部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;
d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;
e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程dの結果として得られるDNA断片の両側にヘアピン化逆方向反復を生成させること
を含む、前記方法。
【請求項77】
ヘアピン末端DNAを調製するための方法であって:
a.請求項20記載の二本鎖DNA分子を含むホスト細胞を、該二本鎖DNA分子の増幅をもたらす条件下で培養すること;
b.該二本鎖DNA分子を該ホスト細胞から放出させること;
c.該二本鎖DNA分子を、前記4つの制限部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;
d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;
e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程dの結果として得られるDNA断片の両側にヘアピン化逆方向反復を生成させること;
f.該二本鎖DNA分子又は工程dの結果として得られる断片を、前記制限酵素とインキュベートすること、及びそれによって該二本鎖DNA分子又は該二本鎖DNA分子の断片を切断すること;並びに
g.該二本鎖DNA分子の該断片を、エキソヌクレアーゼとインキュベートし、それにより工程eの結果として得られる断片を除く該二本鎖DNA分子の該断片を消化すること
を含む、前記方法。
【請求項78】
ヘアピン末端DNAを調製するための方法であって:
a.請求項24記載の二本鎖DNA分子を含むホスト細胞を、該二本鎖DNA分子の増幅をもたらす条件下で培養すること;
b.該二本鎖DNA分子を該ホスト細胞から放出させること;
c.該二本鎖DNA分子を、前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;
d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;
e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程dの結果として得られるDNA断片の両側にヘアピン化逆方向反復を生成させること;
f.該二本鎖DNA分子又は工程dの結果として得られる断片を、前記第5及び第6の制限部位を認識して該二本鎖DNA分子における切断をもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;並びに
g.該二本鎖DNA分子の該断片をエキソヌクレアーゼとインキュベートし、それにより工程eの結果として得られる断片を除く該二本鎖DNA分子の該断片を消化すること
を含む、前記方法。
【請求項79】
リガーゼを用いて前記ニックを修復して、環状DNAを生成させることをさらに含む、請求項76、77、又は78記載の方法。
【請求項80】
前記工程が、請求項にそれらが出現する順番で行われる、請求項76~79のいずれか1項記載の方法。
【請求項81】
前記ヘアピン末端DNAが、2つのヘアピン末端からなる、請求項76~80のいずれか1項記載の方法。
【請求項82】
前記ヘアピン末端DNAが、ウイルスゲノムである、請求項76~81のいずれか1項記載の方法。
【請求項83】
前記ウイルスゲノムが、パルボウイルスゲノムである、請求項82記載の方法。
【請求項84】
前記パルボウイルスが、ディペンドパルボウイルス、ボカパルボウイルス、エリスロパルボウイルス、プロトパルボウイルス、又はテトラパルボウイルスである、請求項83記載の方法。
【請求項85】
前記DNA分子が:
a.任意の機能的RABSを欠き;かつ/又は
b.任意の機能的TRSを欠き;かつ/又は
c.P5 AAVプロモーター活性を欠くか、又は(少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、又は少なくとも99.9%)低下したP5 AAVプロモーター活性を有し;かつ/又は
d.ウイルス複製に必要とされる任意の他のエレメントを欠く、
請求項1~73のいずれか1項記載のDNA分子、請求項74もしくは75記載の送達ビヒクル、又は請求項76~83のいずれか1項記載の方法。
【請求項86】
請求項85記載のDNA分子であって、
a.該DNA分子内の任意のRABSが、欠失しているかもしくは機能的に不活性となるよう変異しており;かつ/又は
b.該DNA分子内の任意のTRSが、欠失しているかもしくは機能的に不活性となるよう変異しており;かつ/又は
c.任意のP5 AAVプロモーターが、欠失しているかもしくは機能的に不活性となるよう変異しており;かつ/又は
d.該DNA分子内のウイルス複製に必要とされる任意の他のエレメントが、欠失しているか、もしくは機能的に不活性となるよう変異している、
前記DNA分子。
【請求項87】
前記欠失が、前記RABS及び/又はTRS及び/又は任意のP5 AAVプロモーター及び/又は複製に必要とされる任意の他のエレメントのみの欠失であるが、ステム/ループ構造全体は欠失させない、請求項86記載のDNA分子。
【請求項88】
請求項85~87のいずれか1項記載のDNA分子であって、細胞を、該DNA分子の前記ITRの誘導元の野生型ウイルス及びヘルパーウイルスにも感染させた場合に、該DNA分子が、該細胞内で検出できるほど複製されないか、又はそのようなアッセイにおいて、該DNA分子の能力が、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、又は少なくとも99.9%低下している、前記DNA分子。
【請求項89】
請求項88記載のDNA分子であって、該DNA分子が、アデノ随伴ウイルスに由来し、かつ前記野生型ウイルスが、同一のアデノ随伴ウイルスである、前記DNA分子。
【請求項90】
前記アデノ随伴ウイルスが、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、又はAAV9である、請求項89記載のDNA分子。
【請求項91】
前記発現カセットのトップ鎖の5’末端が、前記逆方向反復の3’トップ鎖末端から約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、約100ヌクレオチド、100ヌクレオチド超、少なくとも150ヌクレオチド、少なくとも200ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、又は少なくとも400ヌクレオチド離れている、請求項1~73のいずれか1項記載のDNA分子、請求項74もしくは75記載の送達ビヒクル、又は請求項76~83のいずれか1項記載の方法。
【請求項92】
前記発現カセットのトップ鎖の3’末端が、前記逆方向反復の5’トップ鎖末端から約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、約100ヌクレオチド、100ヌクレオチド超、少なくとも150ヌクレオチド、少なくとも200ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、又は少なくとも400ヌクレオチド離れている、請求項1~73のいずれか1項記載のDNA分子、請求項74もしくは75記載の送達ビヒクル、又は請求項76~83のいずれか1項記載の方法。
【請求項93】
1つ、2つ、3つ、又は全てのニック(前記ニッキングエンドヌクレアーゼ消化の結果として得られるニックなど)が、ライゲーションされている、請求項37~73のいずれか1項記載のDNA分子、請求項74もしくは75記載の送達ビヒクル、又は請求項76~83のいずれか1項記載の方法。
【請求項94】
前記ボトム鎖が、前記発現カセット内のオープンリーディングフレームに対して、アンチセンス配向である、請求項1、5~37、及び40~73のいずれか1項記載のDNA分子。
【請求項95】
前記トップ鎖が、前記発現カセット内のオープンリーディングフレームに対してアンチセンス配向である、請求項2、5~36、38、及び40~73のいずれか1項記載のDNA分子。
【請求項96】
前記DNA分子が、請求項94又は95記載のDNA分子である、請求項77~84のいずれか1項記載の方法。
【請求項97】
請求項77~84及び96のいずれか1項記載の方法の結果として得られるDNA分子。
【請求項98】
前記DNA分子が:
a.任意の転写活性を欠く第1の逆方向反復を含み;かつ/又は
b.任意の転写活性を欠く第2の逆方向反復を含み;かつ/又は
c.(iii)P5 AAVプロモーター活性を欠くか、又は(少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、又は少なくとも99.9%)低下したP5 AAVプロモーター活性を有する、
請求項1~73のいずれか1項記載のDNA分子、請求項74もしくは75記載の送達ビヒクル、又は請求項76~83のいずれか1項記載の方法。
【請求項99】
前記DNA分子が:
a.転写活性を欠く第1の逆方向反復を含み;かつ/又は
b.転写活性を欠く第2の逆方向反復を含み;かつ/又は
c.転写活性な該逆方向反復内の任意の他のエレメントを欠く、
請求項1~73のいずれか1項記載のDNA分子、請求項74もしくは75記載の送達ビヒクル、又は請求項76~83のいずれか1項記載の方法。
【請求項100】
前記DNA分子において:
a.前記第1の逆方向反復内の任意のCpGモチーフが、欠失しているか、もしくは転写不活性となるよう変異しており;かつ/又は
b.前記第2の逆方向反復内の任意のCpGモチーフが、欠失しているか、もしくは転写不活性となるよう変異しており;かつ/又は
c.該逆方向反復内の転写活性に必要とされる任意の他のエレメントが、欠失しているか、もしくは機能的に不活性となるよう変異している、
請求項1~73のいずれか1項記載のDNA分子、請求項74もしくは75記載の送達ビヒクル、又は請求項76~83のいずれか1項記載の方法。
【請求項101】
前記DNA分子において:
a.前記第1の逆方向反復内の任意のCpGモチーフが、欠失しているか、又はトール様受容体9結合を減少させるように変異しており;かつ/又は
b.前記第2の逆方向反復内の任意のCpGモチーフが、欠失しているか、もしくはトール様受容体9結合を減少させるように変異しており;かつ/又は
c.該逆方向反復内のトール様受容体9結合に必要とされる任意の他のエレメントが、欠失しているか、もしくは機能的に不活性となるよう変異している、
請求項1~73のいずれか1項記載のDNA分子、請求項74もしくは75記載の送達ビヒクル、又は請求項76~83のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、それぞれがその全体として引用により本明細書中に組み込まれている、2020年7月27日に出願された米国シリアル番号第63/057,179号、及び2021年1月20日に出願された米国シリアル番号第63/139,486号の優先権の利益を主張する。
【0002】
(電子的に提出された配列表に対する言及)
本出願は、2021年7月26日に作成され134キロバイトのサイズを有する「14497-005-228_Seqlisting.txt」と名付けられたテキストファイルとして本出願と共に提出される配列表を引用により組み込む。
【0003】
(1.分野)
本明細書で提供されるのは、逆方向反復、発現カセット、及びニッキングエンドヌクレアーゼ用の1つ以上の制限部位を含む二本鎖DNA分子、その使用の方法、並びにその作製方法である。
【背景技術】
【0004】
(2.背景)
遺伝子療法は、遺伝子を標的細胞内に導入して疾患を治療又は予防することを目的とする。活性な遺伝子産物を有する転写カセット(導入遺伝子と呼ばれることもある)を供給することによって、遺伝子療法の実施が、臨床転帰を改善することができる。これは、該遺伝子産物が、有益な機能効果の獲得、有害な機能効果の喪失、又は別の結果をもたらすことができるためであり、例えば、がんを患う患者では、腫瘍溶解効果を有し得る。患者の標的細胞における修正遺伝子の送達及び発現は、ウイルスによらない送達(例えば、リポソームによるもの)又は操作されたウイルス及びウイルス遺伝子送達ベクターの使用を含むウイルスによる送達方法などの多くの方法で実施することができる。ウイルス粒子としても知られる利用可能なウイルス由来ベクター(例えば、組換えレトロウイルス、組換えレンチウイルス、組換えアデノウイルスなど)のうち、AAV系が、遺伝子療法における多才なベクターとして普及してきている。
【0005】
しかしながら、遺伝子送達ベクターとしてウイルス粒子を使用することには重大な欠点がいくつかある。重大な欠点の一つは、転写カセットをウイルス粒子中にパッケージングするのにウイルスのライフサイクル及びウイルスタンパク質に依存するとういことである。その結果、ウイルスベクターの使用は、導入遺伝子のサイズ(例えば、AAVでは150,000Da未満のタンパク質コード能力)の点又は効率的な複製及びパッケージングを確実とするために、発現カセットを不安定化してしまうことがある特定のウイルス配列(例えば、Rep結合エレメント)が存在する必要があるという点で制限がある。従って、大きな導入遺伝子(例えば、150,000Daよりも大きなタンパク質をコードする導入遺伝子、又は約4.7Kbよりも長い導入遺伝子)を送達するには、2つ以上のウイルス粒子が必要とされることがある。2つ以上のAAV構築体の使用は、AAVゲノムの再活性化のリスクを増加させる可能性がある。さらに、ウイルスのRep又は非構造タンパク質1結合エレメントの使用は、患者におけるベクター可動化(vector mobilization)のリスクを増加させる可能性がある。
【0006】
第2の欠点は、遺伝子療法に使用されるウイルス粒子が、多くの場合、人口の一部がその生涯のうちに曝露されたことのある野生型ウイルスに由来していることである。これらの患者は、Snyder, Richard O.、及びPhilippe Moullierの文献、「アデノ随伴ウイルス:方法及びプロトコール(Adeno-associated virus : methods and protocols)」、Totowa、NJ: Humana Press、2011においてさらに記載されているように、遺伝子療法の有効性を損なってしまう可能性がある中和抗体を有していることが分かっている。残りの血清陰性患者に関しては、ウイルスベクターのカプシドが、多くの場合、免疫原性であり、初期用量が十分ではなかったり、療法が徐々に無効化したりする場合には、患者へのウイルスベクター療法の再実施の妨げとなる。
【0007】
従って、ウイルス粒子の代替物としての非ウイルス性のカプシド不含AAVベースの遺伝子療法、特に、大きな導入遺伝子の送達を必要とする療法に対する未だ満たされない需要が存在する。また、より高い細胞核内での安定性を付与して、環状プラスミドDNAと比較して延長された発現を可能とするカプシド不含AAVベクターに対する需要も存在する。さらに、ウイルス複製機構(例えば、AAV Rep遺伝子)をコードするプラスミドやDNA配列を共存させることなく、ホスト細胞においてこれらのカプシド不含ベクターを製造する方法に対する未だ満たされない需要が存在する。これは、これらのウイルスタンパク質、又はこれをコードするウイルスDNA配列が、カプシド不含ウイルスベクターの単離DNAに混入する可能性があるためである。さらに、向上した製造性及び/又は発現性を有する組換えDNAベクターに対する重要な未だ満たされない需要が依然として存在している。また、DNAベースのベクターに対する未だ満たされない需要も存在する。抗ウイルス性の(例えば、ウイルスカプシド、トール様受容体活性化など)免疫応答を誘発せず、有効性の喪失(例えば、中和抗体を原因とするもの)や導入遺伝子発現細胞の喪失を伴わない反復投与を可能にする。
【発明の概要】
【0008】
(3.概要)
一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1の逆方向反復であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1の逆方向反復;
b.発現カセット;及び
c.第2の逆方向反復であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子である。
【0009】
本態様のある実施態様において、
a.第1のニックが、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
b.第2のニックが、該第1の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
c.第3のニックが、前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;かつ/又は
d.第4のニックが、該第2の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
該第1のニック及び該第4のニックは、前記トップ鎖上に生じる2つのニックであり、該第1のニックは、該トップ鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第4のニックは、該トップ鎖の3’末端に近い方のニックであり、かつ
該第2のニック及び該第3のニックは、前記ボトム鎖上に生じる2つのニックであり、該第3のニックは、該ボトム鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第2のニックは、該ボトム鎖の3’末端に近い方のニックである。
【0010】
一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1の逆方向反復であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1の逆方向反復;
b.発現カセット;及び
c.第2の逆方向反復であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子である。
【0011】
本態様のある実施態様において、
a.第1のニックが、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
b.第2のニックが、該第1の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
c.第3のニックが、前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;かつ/又は
d.第4のニックが、該第2の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
該第1のニック及び該第4のニックは、前記トップ鎖上に生じる2つのニックであり、該第1のニックは、該トップ鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第4のニックは、該トップ鎖の3’末端に近い方のニックであり、かつ
該第2のニック及び該第3のニックは、前記ボトム鎖上に生じる2つのニックであり、該第3のニックは、該ボトム鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第2のニックは、該ボトム鎖の3’末端に近い方のニックである。
【0012】
一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1の逆方向反復であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1の逆方向反復;
b.発現カセット;及び
c.第2の逆方向反復であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子である。
【0013】
本態様のある実施態様において,
a.第1のニックが、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
b.第2のニックが、該第1の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
c.第3のニックが、前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;かつ/又は
d.第4のニックが、該第2の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
該第1のニック及び該第4のニックは、前記トップ鎖上に生じる2つのニックであり、該第1のニックは、該トップ鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第4のニックは、該トップ鎖の3’末端に近い方のニックであり、かつ
該第2のニック及び該第3のニックは、前記ボトム鎖上に生じる2つのニックであり、該第3のニックは、該ボトム鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第2のニックは、該ボトム鎖の3’末端に近い方のニックである。
【0014】
一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1の逆方向反復であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1の逆方向反復;
b.発現カセット;及び
c.第2の逆方向反復であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子である。
【0015】
本態様のある実施態様において,
a.第1のニックが、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
b.第2のニックが、該第1の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
c.第3のニックが、前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;かつ/又は
d.第4のニックが、該第2の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
該第1のニック及び該第4のニックは、前記トップ鎖上に生じる2つのニックであり、該第1のニックは、該トップ鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第4のニックは、該トップ鎖の3’末端に近い方のニックであり、かつ
該第2のニック及び該第3のニックは、前記ボトム鎖上に生じる2つのニックであり、該第3のニックは、該ボトム鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第2のニックは、該ボトム鎖の3’末端に近い方のニックである。
【0016】
ある実施態様において、前記第1のニック、前記第2のニック、前記第3のニック、及び/又は前記第4のニックは、前記逆方向反復の内部にある。ある実施態様において、前記第1のニック、前記第2のニック、前記第3のニック、及び/又は前記第4のニックは、前記逆方向反復の外部にある。
【0017】
ある実施態様において、前記二本鎖DNA分子は、単離DNA分子である。
【0018】
ある実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位は全て、同一のニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位である。
【0019】
ある実施態様において、前記第1及び第2の逆方向反復は、同一である。ある実施態様において、前記第1の及び/又は前記第2の逆方向反復は、パルボウイルスのITRである。ある実施態様において、前記第1の及び/又は前記第2の逆方向反復は、パルボウイルスの改変ITRである。具体的な実施態様において、前記パルボウイルスは、ディペンドパルボウイルス、ボカパルボウイルス、エリスロパルボウイルス、プロトパルボウイルス、又はテトラパルボウイルスである。具体的な実施態様において、前記改変ITRのヌクレオチド配列は、前記パルボウイルスの前記ITRと少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は少なくとも99%同一である。
【0020】
ある実施態様において、前記二本鎖DNA分子は、プラスミドである。
【0021】
具体的な実施態様において、前記プラスミドは、細菌の複製起点をさらに含む。
【0022】
具体的な実施態様において、前記プラスミドは、前記第1の逆方向反復に対して5’かつ前記第2の逆方向反復に対して3’の領域に制限酵素部位をさらに含み、該制限酵素部位は、該第1の逆方向反復、該第2の逆方向反復、及び該第1の逆方向反復と該第2の逆方向反復との間の領域のいずれの中にも存在しない。具体的な実施態様において、前記制限酵素での切断は、前記第1の逆方向反復及び/又は前記第2の逆方向反復のアニーリングに好適な条件下で検出可能なレベルでアニーリングしない一本鎖オーバーハングをもたらす。具体的な実施態様において、前記プラスミドは、前記制限酵素をコードするオープンリーディングフレームをさらに含む。具体的な実施態様において、前記制限酵素の発現は、誘導性プロモーターの制御下にある。
【0023】
一態様において、本明細書で提供されるのは、ヘアピン末端DNAを調製するための方法であって:
a.前の段落に記載した二本鎖DNA分子を含むホスト細胞を、該二本鎖DNA分子の増幅をもたらす条件下で培養すること;
b.該二本鎖DNA分子を該ホスト細胞から放出させること;
c.該二本鎖DNA分子を、前記4つの制限部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;
d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;
e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程77.dの結果として得られるDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;
f.該二本鎖DNA分子又は工程77.dの結果として得られる断片を、該制限酵素とインキュベートすること、及びそれによって該二本鎖DNA分子又は該二本鎖DNA分子の断片を切断すること;並びに
g.該二本鎖DNA分子の該断片をエキソヌクレアーゼとインキュベートし、それにより、工程77.eの結果として得られる断片を除く前記二本鎖DNA分子の前記断片を消化すること
を含む、前記方法である。
【0024】
具体的な実施態様において、前記プラスミドは、前記第1の逆方向反復に対して5’でありかつ前記第2の逆方向反復に対して3’である領域にニッキングエンドヌクレアーゼ用の第5及び第6の制限部位をさらに含み、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の該第5及び第6の制限部位が:a.向かい合う鎖上にあり;かつb.切断の一本鎖オーバーハングが該第1の逆方向反復及び/又は該第2の逆方向反復のアニーリングに好適な条件下で検出可能なレベルで分子間又は分子アニーリングしないような、該切断を前記二本鎖DNA分子内に生じさせる。具体的な実施態様において、前記第5及び第6のニックは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド離れている。具体的な実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位はすべて、同一のニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列である。特定の実施態様において、前記プラスミドは、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、第4、第5、及び/又は第6の制限部位を認識するニッキングエンドヌクレアーゼをコードするオープンリーディングフレームをさらに含む。具体的な実施態様において、前記ニッキングエンドヌクレアーゼの発現は、誘導性プロモーターの制御下にある。ある実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第5及び第6の制限部位を認識する前記ニッキングエンドヌクレアーゼは、Nt.BsmAI;Nt.BtsCI;N.ALwl;N.BstNBI;N.BspD6I;Nb.Mva1269I;Nb.BsrDI;Nt.BtsI;Nt.BsaI;Nt.Bpu10I;Nt.BsmBI;Nb.BbvCI;Nt.BbvCI;又はNt.BspQIである。
【0025】
一態様において、本明細書で提供されるのは、ヘアピン末端DNAを調製するための方法であって:
a.前の段落に記載した二本鎖DNA分子を含むホスト細胞を、該二本鎖DNA分子の増幅をもたらす条件下で培養すること;
b.該二本鎖DNA分子を該ホスト細胞から放出させること;
c.該二本鎖DNA分子を、前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;
d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;
e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程78.dの結果として得られるDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;
f.該二本鎖DNA分子又は工程78.dの結果として得られる断片を、該二本鎖DNA分子における切断をもたらす前記第5及び第6の制限部位を認識する1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;並びに
g.該二本鎖DNA分子の該断片をエキソヌクレアーゼとインキュベートし、それにより、工程78.eの結果として得られる断片を除く前記二本鎖DNA分子の前記断片を消化すること
を含む、前記方法である。
【0026】
ある実施態様において、前記ニッキングエンドヌクレアーゼ部位のうちの1つ以上は、内在性ニッキングエンドヌクレアーゼの標的配列である。
【0027】
ある実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び/又は第4の制限部位を認識する前記ニッキングエンドヌクレアーゼは、Nt.BsmAI;Nt.BtsCI;N.ALwl;N.BstNBI;N.BspD6I;Nb.Mva1269I;Nb.BsrDI;Nt.BtsI;Nt.BsaI;Nt.Bpu10I;Nt.BsmBI;Nb.BbvCI;Nt.BbvCI;又はNt.BspQIである。
【0028】
さまざまな実施態様において、前記発現カセットは、転写単位に作動的に連結されたプロモーターを含む。ある実施態様において、前記転写単位は、オープンリーディングフレームを含む。ある実施態様において、前記発現カセットは、転写後制御因子をさらに含む。ある実施態様において、前記発現カセットは、ポリアデニル化及び終止シグナルをさらに含む。ある実施態様において、前記発現カセットの大きさは、少なくとも4kb、少なくとも4.5kb、少なくとも5kb、少なくとも5.5kb、少なくとも6kb、少なくとも6.5kb、少なくとも7kb、少なくとも7.5kb、少なくとも8kb、少なくとも8.5kb、少なくとも9kb、少なくとも9.5kb、又は少なくとも10kbである。
【0029】
一態様において、本明細書で提供されるのは、ヘアピン末端DNA分子を調製するための方法であって:
a.上述の二本鎖DNA分子を含むホスト細胞を、該二本鎖DNA分子の増幅をもたらす条件下で培養すること;
b.該二本鎖DNA分子を該ホスト細胞から放出させること;
c.該二本鎖DNA分子を、前記4つの制限部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;
d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;
e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程dの結果として得られるDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させることを含む、前記方法である。
【0030】
本明細書に記載されるヘアピン末端DNA分子を調製するための方法のある実施態様において、該方法は:h.リガーゼを用いて前記ニックを修復して、環状DNAを生成させることをさらに含む。
【0031】
本明細書に記載されるヘアピン末端DNA分子を調製するための方法のある実施態様において、前記工程は、該実施態様にそれらが出現する順番で行われる。
【0032】
本明細書に記載されるヘアピン末端DNA分子を調製するための方法のある実施態様において、前記ヘアピン末端DNAは、2つのヘアピン末端からなる。
【0033】
本明細書に記載されるヘアピン末端DNA分子を調製するための方法のある実施態様において、前記ヘアピン末端DNAは、ウイルスゲノムである。具体的な実施態様において、前記ウイルスゲノムが、パルボウイルスゲノムである。具体的な実施態様において、前記パルボウイルスは、ディペンドパルボウイルス、ボカパルボウイルス、エリスロパルボウイルス、プロトパルボウイルス、又はテトラパルボウイルスである。
【0034】
一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1のヘアピン化逆方向反復;
b.ボトム鎖のニック;
c.発現カセット;
d.該ボトム鎖のニック;及び
e.第2のヘアピン化逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子である。
【0035】
一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1のヘアピン化逆方向反復;
b.該トップ鎖のニック;
c.発現カセット;
d.該トップ鎖のニック;及び
e.第2のヘアピン化逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子である。
【0036】
一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1のヘアピン化逆方向反復;
b.ボトム鎖のニック;
c.発現カセット;
d.該トップ鎖のニック;及び
e.第2のヘアピン化逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子である。
【0037】
一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1のヘアピン化逆方向反復;
b.該トップ鎖のニック;
c.発現カセット;
d.ボトム鎖のニック;及び
e.第2のヘアピン化逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子である。
【0038】
ある実施態様において、前記二本鎖DNA分子は、単離DNA分子である。
【0039】
ある実施態様において、前記第1の及び/又は前記第2の逆方向反復は、パルボウイルスのITRである。ある実施態様において、前記第1及び第2の逆方向反復は、同一である。ある実施態様において、前記第1の及び/又は前記第2の逆方向反復は、パルボウイルスの改変ITRである。具体的な実施態様において、前記パルボウイルスは、ディペンドパルボウイルス、ボカパルボウイルス、エリスロパルボウイルス、プロトパルボウイルス、又はテトラパルボウイルスである。具体的な実施態様において、前記改変ITRのヌクレオチド配列が、前記パルボウイルスの前記ITRと少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は少なくとも99%同一である。
【0040】
さまざまな実施態様において、前記発現カセットは、転写単位に作動的に連結されたプロモーターを含む。ある実施態様において、前記転写単位は、オープンリーディングフレームを含む。ある実施態様において、前記発現カセットは、転写後制御因子をさらに含む。ある実施態様において、前記発現カセットは、ポリアデニル化及び終止シグナルをさらに含む。ある実施態様において、前記発現カセットの大きさは、少なくとも4kb、少なくとも4.5kb、少なくとも5kb、少なくとも5.5kb、少なくとも6kb、少なくとも6.5kb、少なくとも7kb、少なくとも7.5kb、少なくとも8kb、少なくとも8.5kb、少なくとも9kb、少なくとも9.5kb、又は少なくとも10kbである。
【0041】
ある実施態様において、前記二本鎖DNA分子は、エキソヌクレアーゼから保護されている。具体的な実施態様において、前記エキソヌクレアーゼは、RecBCDエキソヌクレアーゼである。
【0042】
ある実施態様において、前記二本鎖DNA分子は、少なくとも1つの複製関連タンパク質結合配列(「RABS」)を欠く。ある実施態様において、前記二本鎖DNA分子は、複製関連タンパク質(「RAP」)コード配列を欠く。ある実施態様において、前記二本鎖DNA分子は、ウイルスカプシドタンパク質コード配列を欠く。具体的な実施態様において、前記第1の逆方向反復は、少なくとも1つのRABSを欠く。具体的な実施態様において、前記第2の逆方向反復は、少なくとも1つのRABSを欠く。具体的な実施態様において、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対と前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対との間のDNA配列は、少なくとも1つのRABSを欠く。具体的な実施態様において、前記第1の逆方向反復は、少なくとも1つのRABSを欠き、かつ前記第2の逆方向反復は、少なくとも1つのRABSを欠く。
【0043】
ある実施態様において、前記二本鎖DNA分子は、末端分離部位(TRS)を欠く。具体的な実施態様において、前記第1の逆方向反復は、TRSを欠く。具体的な実施態様において、前記第2の逆方向反復は、TRSを欠く。具体的な実施態様において、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対と前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対との間のDNA配列は、TRSを欠く。具体的な実施態様において、前記第1の逆方向反復は、TRSを欠き、かつ前記第2の逆方向反復は、TRSを欠く。
【0044】
ある実施態様において、ホストに投与された場合の前記二本鎖DNA分子の可動化リスクは、前記少なくとも1つのRABSを有しかつ/又は前記TRSを有する対照DNA分子よりも100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、又は50%低い。
【0045】
前記二本鎖DNA分子が、TRSを欠くある実施態様において、ホストに投与された場合の前記二本鎖DNA分子の可動化リスクは、前記TRSを有する対照DNA分子よりも100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、又は50%低い。
【0046】
前記二本鎖DNA分子が、少なくとも1つのRABSを欠き、かつTRSを欠くある実施態様において、ホストに投与された場合の前記二本鎖DNA分子の可動化リスクは、該少なくとも1つのRABS及び該TRSを有する対照DNA分子よりも100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、又は50%低い。
【0047】
一態様において、本明細書で提供されるのは、単離された本明細書に記載される二本鎖DNA分子であって、該二本鎖DNA分子の断片を含まない、前記単離二本鎖DNA分子である。
【0048】
一態様において、本明細書で提供されるのは、単離二本鎖DNA分子であって、該二本鎖DNA分子の断片が、該単離二本鎖DNA分子の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%を超えない、前記離された二本鎖DNA分子である。
【0049】
一態様において、本明細書で提供されるのは、単離二本鎖DNA分子であって、該二本鎖DNA分子の断片ではない核酸夾雑物を含まない、前記単離二本鎖DNA分子である。
【0050】
一態様において、本明細書で提供されるのは、単離二本鎖DNA分子であって、該二本鎖DNA分子の断片ではない核酸夾雑物が、該単離二本鎖DNA分子の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%未満である、前記単離二本鎖DNA分子である。
【0051】
一態様において、本明細書で提供されるのは、単離二本鎖DNA分子であって、バキュロウイルスのDNAを含まない、前記単離二本鎖DNA分子である。
【0052】
一態様において、本明細書で提供されるのは、単離二本鎖DNA分子であって、前記バキュロウイルスのDNAが、該単離二本鎖DNA分子の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%未満である、前記単離二本鎖DNA分子である。
【0053】
一態様において、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載される二本鎖DNA分子を含む送達ビヒクルである。ある実施態様において、該送達ビヒクルは、ハイブリドソーム、リポソーム、又は脂質ナノ粒子を含む。
【0054】
(3.1 例示的な実施態様セット1)
(実施態様1)
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1の逆方向反復であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1の逆方向反復;
b.発現カセット;及び
c.第2の逆方向反復であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【0055】
(実施態様2)
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1の逆方向反復であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1の逆方向反復;
b.発現カセット;及び
c.第2の逆方向反復であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【0056】
(実施態様3)
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1の逆方向反復であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1の逆方向反復;
b.発現カセット;及び
c.第2の逆方向反復であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【0057】
(実施態様4)
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1の逆方向反復であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1の逆方向反復;
b.発現カセット;及び
c.第2の逆方向反復であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【0058】
(実施態様5)
前記二本鎖DNA分子が、単離DNA分子である、実施態様1~4のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0059】
(実施態様6)
ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位が全て、同一のニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位である、実施態様1~5のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0060】
(実施態様7)
前記第1及び第2の逆方向反復が、同一である、実施態様1~5のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0061】
(実施態様8)
前記第1の及び/又は前記第2の逆方向反復が、パルボウイルスのITRである、実施態様1~5のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0062】
(実施態様9)
前記第1の及び/又は前記第2の逆方向反復が、パルボウイルスの改変ITRである、実施態様1~5のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0063】
(実施態様10)
前記パルボウイルスが、ディペンドパルボウイルス、ボカパルボウイルス、エリスロパルボウイルス、プロトパルボウイルス、又はテトラパルボウイルスである、実施態様8又は9記載の二本鎖DNA分子。
【0064】
(実施態様11)
前記改変ITRのヌクレオチド配列が、前記パルボウイルスの前記ITRと少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は少なくとも99%同一である、実施態様9記載の二本鎖DNA分子。
【0065】
(実施態様12)
a.第1のニックが、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
b.第2のニックが、該第1の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
c.第3のニックが、前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;かつ/又は
d.第4のニックが、該第2の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
該第1のニック及び該第4のニックが、前記トップ鎖上に生じる2つのニックであり、該第1のニックが、該トップ鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第4のニックが、該トップ鎖の3’末端に近い方のニックであり、かつ
該第2のニック及び該第3のニックが、前記ボトム鎖上に生じる2つのニックであり、該第3のニックが、該ボトム鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第2のニックが、該ボトム鎖の3’末端に近い方のニックである、
実施態様1又は5記載の二本鎖DNA分子。
【0066】
(実施態様13)
a.第1のニックが、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
b.第2のニックが、該第1の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
c.第3のニックが、前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;かつ/又は
d.第4のニックが、該第2の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
該第1のニック及び該第4のニックが、前記トップ鎖上に生じる2つのニックであり、該第1のニックが、該トップ鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第4のニックが、該トップ鎖の3’末端に近い方のニックであり、かつ
該第2のニック及び該第3のニックが、前記ボトム鎖上に生じる2つのニックであり、該第3のニックが、該ボトム鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第2のニックが、該ボトム鎖の3’末端に近い方のニックである、
実施態様2又は5記載の二本鎖DNA分子。
【0067】
(実施態様14)
a.第1のニックが、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
b.第2のニックが、該第1の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
c.第3のニックが、前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;かつ/又は
d.第4のニックが、該第2の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
該第1のニック及び該第4のニックが、前記トップ鎖上に生じる2つのニックであり、該第1のニックが、該トップ鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第4のニックが、該トップ鎖の3’末端に近い方のニックであり、かつ
該第2のニック及び該第3のニックが、前記ボトム鎖上に生じる2つのニックであり、該第3のニックが、該ボトム鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第2のニックが、該ボトム鎖の3’末端に近い方のニックである、
実施態様3又は5記載の二本鎖DNA分子。
【0068】
(実施態様15)
a.第1のニックが、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
b.第2のニックが、該第1の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
c.第3のニックが、前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;かつ/又は
d.第4のニックが、該第2の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
該第1のニック及び該第4のニックが、前記トップ鎖上に生じる2つのニックであり、該第1のニックが、該トップ鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第4のニックが、該トップ鎖の3’末端に近い方のニックであり、かつ
該第2のニック及び該第3のニックが、前記ボトム鎖上に生じる2つのニックであり、該第3のニックが、該ボトム鎖の5’末端に近い方のニックであり、かつ該第2のニックが、該ボトム鎖の3’末端に近い方のニックである、
実施態様4又は5記載の二本鎖DNA分子。
【0069】
(実施態様16)
前記第1のニック、前記第2のニック、前記第3のニック、及び/又は前記第4のニックが、前記逆方向反復の内部にある、実施態様12~15のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0070】
(実施態様17)
前記第1のニック、前記第2のニック、前記第3のニック、及び/又は前記第4のニックが、前記逆方向反復の外部にある、実施態様12~15のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0071】
(実施態様18)
プラスミドである、実施態様1~17のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0072】
(実施態様19)
前記プラスミドが、細菌の複製起点をさらに含む、実施態様18記載の二本鎖DNA分子。
【0073】
(実施態様20)
前記プラスミドが、前記第1の逆方向反復に対して5’かつ前記第2の逆方向反復に対して3’の領域に制限酵素部位をさらに含み、該制限酵素部位が、該第1の逆方向反復、該第2の逆方向反復、及び該第1の逆方向反復と該第2の逆方向反復との間の領域のいずれの中にも存在しない、実施態様18記載の二本鎖DNA分子。
【0074】
(実施態様21)
前記制限酵素での切断が、前記第1の逆方向反復及び/又は前記第2の逆方向反復のアニーリングに好適な条件下で検出可能なレベルでアニーリングしない一本鎖オーバーハングをもたらす、実施態様20記載の二本鎖DNA分子。
【0075】
(実施態様22)
前記プラスミドが、前記制限酵素をコードするオープンリーディングフレームをさらに含む、実施態様20記載の二本鎖DNA分子。
【0076】
(実施態様23)
前記制限酵素の発現が、誘導性プロモーターの制御下にある、実施態様22記載の二本鎖DNA分子。
【0077】
(実施態様24)
前記プラスミドが、前記第1の逆方向反復に対して5’でありかつ前記第2の逆方向反復に対して3’である領域にニッキングエンドヌクレアーゼ用の第5及び第6の制限部位をさらに含み、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の該第5及び第6の制限部位が:
a.向かい合う鎖上にあり;かつ
b.切断の一本鎖オーバーハングが該第1の逆方向反復及び/又は該第2の逆方向反復のアニーリングに好適な条件下で検出可能なレベルで分子間又は分子アニーリングしないような、該切断を前記二本鎖DNA分子内に生じさせる、
実施態様18記載の二本鎖DNA分子。
【0078】
(実施態様25)
前記第5及び第6のニックが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド離れている、実施態様24記載の二本鎖DNA分子。
【0079】
(実施態様26)
ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位がすべて、同一のニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列である、実施態様24記載の二本鎖DNA分子。
【0080】
(実施態様27)
前記ニッキングエンドヌクレアーゼ部位のうちの1つ以上が、内在性ニッキングエンドヌクレアーゼの標的配列である、実施態様1~26のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0081】
(実施態様28)
前記プラスミドが、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、第4、第5、及び/又は第6の制限部位を認識するニッキングエンドヌクレアーゼをコードするオープンリーディングフレームをさらに含む、実施態様24~27のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0082】
(実施態様29)
前記ニッキングエンドヌクレアーゼの発現が、誘導性プロモーターの制御下にある、実施態様28記載の二本鎖DNA分子。
【0083】
(実施態様30)
ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び/又は第4の制限部位を認識する前記ニッキングエンドヌクレアーゼが、Nt.BsmAI;Nt.BtsCI;N.ALwl;N.BstNBI;N.BspD6I;Nb.Mva1269I;Nb.BsrDI;Nt.BtsI;Nt.BsaI;Nt.Bpu10I;Nt.BsmBI;Nb.BbvCI;Nt.BbvCI;又はNt.BspQIである、実施態様1~29のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0084】
(実施態様31)
ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第5及び第6の制限部位を認識する前記ニッキングエンドヌクレアーゼが、Nt.BsmAI;Nt.BtsCI;N.ALwl;N.BstNBI;N.BspD6I;Nb.Mva1269I;Nb.BsrDI;Nt.BtsI;Nt.BsaI;Nt.Bpu10I;Nt.BsmBI;Nb.BbvCI;Nt.BbvCI;又はNt.BspQIである、実施態様24記載の二本鎖DNA分子。
【0085】
(実施態様32)
前記発現カセットが、転写単位に作動的に連結されたプロモーターを含む、実施態様1~31のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0086】
(実施態様33)
前記転写単位が、オープンリーディングフレームを含む、実施態様32記載の二本鎖DNA分子。
【0087】
(実施態様34)
前記発現カセットが、転写後制御因子をさらに含む、実施態様32又は33記載の二本鎖DNA分子。
【0088】
(実施態様35)
前記発現カセットが、ポリアデニル化及び終止シグナルをさらに含む、実施態様32又は33記載の二本鎖DNA分子。
【0089】
(実施態様36)
前記発現カセットの大きさが、少なくとも4kb、少なくとも4.5kb、少なくとも5kb、少なくとも5.5kb、少なくとも6kb、少なくとも6.5kb、少なくとも7kb、少なくとも7.5kb、少なくとも8kb、少なくとも8.5kb、少なくとも9kb、少なくとも9.5kb、又は少なくとも10kbである、実施態様32~35のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0090】
(実施態様37)
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1のヘアピン化逆方向反復;
b.ボトム鎖のニック;
c.発現カセット;
d.該ボトム鎖のニック;及び
e.第2のヘアピン化逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【0091】
(実施態様38)
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1のヘアピン化逆方向反復;
b.該トップ鎖のニック;
c.発現カセット;
d.該トップ鎖のニック;及び
e.第2のヘアピン化逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【0092】
(実施態様39)
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1のヘアピン化逆方向反復;
b.ボトム鎖のニック;
c.発現カセット;
d.該トップ鎖のニック;及び
e.第2のヘアピン化逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【0093】
(実施態様40)
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1のヘアピン化逆方向反復;
b.該トップ鎖のニック;
c.発現カセット;
d.ボトム鎖のニック;及び
e.第2のヘアピン化逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【0094】
(実施態様41)
単離DNA分子である、実施態様37~40のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0095】
(実施態様42)
前記第1の及び/又は前記第2の逆方向反復が、パルボウイルスのITRである、実施態様37~41のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0096】
(実施態様43)
前記第1及び第2の逆方向反復が、同一である、実施態様37~41のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0097】
(実施態様44)
前記第1の及び/又は前記第2の逆方向反復が、パルボウイルスの改変ITRである、実施態様37~41のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0098】
(実施態様45)
前記パルボウイルスが、ディペンドパルボウイルス、ボカパルボウイルス、エリスロパルボウイルス、プロトパルボウイルス、又はテトラパルボウイルスである、実施態様42又は44記載の二本鎖DNA分子。
【0099】
(実施態様46)
前記改変ITRのヌクレオチド配列が、前記パルボウイルスの前記ITRと少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は少なくとも99%同一である、実施態様45記載の二本鎖DNA分子。
【0100】
(実施態様47)
前記発現カセットが、転写単位に作動的に連結されたプロモーターを含む、実施態様37~46のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0101】
(実施態様48)
前記転写単位が、オープンリーディングフレームを含む、実施態様47記載の二本鎖DNA分子。
【0102】
(実施態様49)
前記発現カセットが、転写後制御因子をさらに含む、実施態様47又は48記載の二本鎖DNA分子。
【0103】
(実施態様50)
前記発現カセットが、ポリアデニル化及び終止シグナルをさらに含む、実施態様47又は48記載の二本鎖DNA分子。
【0104】
(実施態様51)
前記発現カセットの大きさが、少なくとも4kb、少なくとも4.5kb、少なくとも5kb、少なくとも5.5kb、少なくとも6kb、少なくとも6.5kb、少なくとも7kb、少なくとも7.5kb、少なくとも8kb、少なくとも8.5kb、少なくとも9kb、少なくとも9.5kb、又は少なくとも10kbである、実施態様37~50のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0105】
(実施態様52)
エキソヌクレアーゼから保護されている、実施態様37~51のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0106】
(実施態様53)
前記エキソヌクレアーゼが、RecBCDエキソヌクレアーゼである、実施態様52記載の二本鎖DNA分子。
【0107】
(実施態様54)
前記二本鎖DNA分子が、少なくとも1つの複製関連タンパク質結合配列(「RABS」)を欠く、実施態様1~53のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0108】
(実施態様55)
前記二本鎖DNA分子が、複製関連タンパク質(「RAP」)コード配列を欠く、実施態様1~54のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0109】
(実施態様56)
前記二本鎖DNA分子が、ウイルスカプシドタンパク質コード配列を欠く、実施態様1~55のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0110】
(実施態様57)
前記第1の逆方向反復が、少なくとも1つのRABSを欠く、実施態様1~56のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0111】
(実施態様58)
前記第2の逆方向反復が、少なくとも1つのRABSを欠く、実施態様1~57のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0112】
(実施態様59)
前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対と前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対との間のDNA配列が、少なくとも1つのRABSを欠く、実施態様1~58のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0113】
(実施態様60)
前記第1の逆方向反復が、少なくとも1つのRABSを欠き、かつ前記第2の逆方向反復が、少なくとも1つのRABSを欠く、実施態様1~59のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0114】
(実施態様61)
前記二本鎖DNA分子が、末端分離部位(TRS)を欠く、実施態様1~60のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0115】
(実施態様62)
前記第1の逆方向反復が、TRSを欠く、実施態様1~61のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0116】
(実施態様63)
前記第2の逆方向反復が、TRSを欠く、実施態様1~62のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0117】
(実施態様64)
前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対と前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対との間のDNA配列が、TRSを欠く、実施態様1~63のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0118】
(実施態様65)
前記第1の逆方向反復が、TRSを欠き、かつ前記第2の逆方向反復が、TRSを欠く、実施態様1~64のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0119】
(実施態様66)
ホストに投与された場合の前記二本鎖DNA分子の可動化リスクが、前記少なくとも1つのRABSを有しかつ/又は前記TRSを有する対照DNA分子よりも100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、又は50%低い、実施態様53及び56~64のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0120】
(実施態様67)
TRSを欠き、ホストに投与された場合の前記二本鎖DNA分子の可動化リスクが、前記TRSを有する対照DNA分子よりも100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、又は50%低い、実施態様53及び56~64のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0121】
(実施態様68)
少なくとも1つのRABSを欠き、かつTRSを欠き、ホストに投与された場合の前記二本鎖DNA分子の可動化リスクが、該少なくとも1つのRABS及び該TRSを有する対照DNA分子よりも100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、又は50%低い、実施態様53及び56~64のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0122】
(実施態様69)
前記二本鎖DNA分子の断片を含まない、実施態様5~67のいずれか1つ記載の単離二本鎖DNA分子。
【0123】
(実施態様70)
前記二本鎖DNA分子の断片が、前記単離二本鎖DNA分子の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%を超えない、実施態様5~68のいずれか1つ記載の単離二本鎖DNA分子。
【0124】
(実施態様71)
前記二本鎖DNA分子の断片ではない核酸夾雑物を含まない、実施態様5~69のいずれか1つ記載の単離二本鎖DNA分子。
【0125】
(実施態様72)
前記二本鎖DNA分子の断片ではない核酸夾雑物が、前記単離二本鎖DNA分子の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%未満である、実施態様5~70のいずれか1つ記載の単離二本鎖DNA分子。
【0126】
(実施態様73)
バキュロウイルスのDNAを含まない、実施態様5~71のいずれか1つ記載の単離二本鎖DNA分子。
【0127】
(実施態様74)
前記バキュロウイルスのDNAが、前記単離二本鎖DNA分子の1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%未満である、実施態様5~72のいずれか1つ記載の単離二本鎖DNA分子。
【0128】
(実施態様75)
実施態様37~73のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子を含む送達ビヒクル。
【0129】
(実施態様76)
ハイブリドソーム、リポソーム、又は脂質ナノ粒子を含む、実施態様74記載の送達ビヒクル。
【0130】
(実施態様77)
ヘアピン末端DNA分子を調製するための方法であって:
a.実施態様1~35のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子を含むホスト細胞を、該二本鎖DNA分子の増幅をもたらす条件下で培養すること;
b.該二本鎖DNA分子を該ホスト細胞から放出させること;
c.該二本鎖DNA分子を、前記4つの制限部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;
d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;
e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程76.dの結果として得られるDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること
を含む前記方法。
【0131】
(実施態様78)
ヘアピン末端DNAを調製するための方法であって:
a.実施態様20記載の二本鎖DNA分子を含むホスト細胞を、該二本鎖DNA分子の増幅をもたらす条件下で培養すること;
b.該二本鎖DNA分子を該ホスト細胞から放出させること;
c.該二本鎖DNA分子を、前記4つの制限部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;
d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;
e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程77.dの結果として得られるDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;
f.該二本鎖DNA分子又は工程77.dの結果として得られる断片を、該制限酵素とインキュベートすること、及びそれによって該二本鎖DNA分子又は該二本鎖DNA分子の断片を切断すること;並びに
g.該二本鎖DNA分子の該断片をエキソヌクレアーゼとインキュベートし、それにより、工程77.eの結果として得られる断片を除く前記二本鎖DNA分子の前記断片を消化すること
を含む、前記方法。
【0132】
(実施態様79)
ヘアピン末端DNAを調製するための方法であって:
a.実施態様24記載の二本鎖DNA分子を含むホスト細胞を、該二本鎖DNA分子の増幅をもたらす条件下で培養すること;
b.該二本鎖DNA分子を該ホスト細胞から放出させること;
c.該二本鎖DNA分子を、前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;
d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;
e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程78.dの結果として得られるDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;
f.該二本鎖DNA分子又は工程78.dの結果として得られる断片を、該二本鎖DNA分子における切断をもたらす前記第5及び第6の制限部位を認識する1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;並びに
g.該二本鎖DNA分子の該断片をエキソヌクレアーゼとインキュベートし、それにより、工程78.eの結果として得られる断片を除く前記二本鎖DNA分子の前記断片を消化すること
を含む、前記方法。
【0133】
(実施態様80)
h.リガーゼを用いて前記ニックを修復して、環状DNAを生成させることをさらに含む、実施態様76、77、又は78記載の方法。
【0134】
(実施態様81)
前記工程が、該実施態様にそれらが出現する順番で行われる、実施態様76~79のいずれか1つ記載の方法。
【0135】
(実施態様82)
前記ヘアピン末端DNAが、2つのヘアピン末端からなる、実施態様76~80のいずれか1つ記載の方法。
【0136】
(実施態様83)
前記ヘアピン末端DNAが、ウイルスゲノムである、実施態様76~81のいずれか1つ記載の方法。
【0137】
(実施態様84)
前記ウイルスゲノムが、パルボウイルスゲノムである、実施態様82記載の方法。
【0138】
(実施態様85)
前記パルボウイルスが、ディペンドパルボウイルス、ボカパルボウイルス、エリスロパルボウイルス、プロトパルボウイルス、又はテトラパルボウイルスである、実施態様83記載の方法。
【0139】
(3.2 例示的な実施態様セット2)
(実施態様1)
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1の逆方向反復であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1の逆方向反復;
b.発現カセット;及び
c.第2の逆方向反復であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【0140】
(実施態様2)
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1の逆方向反復であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1の逆方向反復;
b.発現カセット;及び
c.第2の逆方向反復であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復.
を含む二本鎖DNA分子。
【0141】
(実施態様3)
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1の逆方向反復であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1の逆方向反復;
b.発現カセット;及び
c.第2の逆方向反復であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復.
を含む二本鎖DNA分子。
【0142】
(実施態様4)
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1の逆方向反復であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1の逆方向反復;
b.発現カセット;及び
c.第2の逆方向反復であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【0143】
(実施態様5)
単離DNA分子である、実施態様1~4のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0144】
(実施態様6)
ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位が全て、同一のニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位である、実施態様1~5のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0145】
(実施態様7)
前記第1及び第2の逆方向反復が、同一である、実施態様1~5のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0146】
(実施態様8)
前記第1の及び/又は前記第2の逆方向反復が、パルボウイルスのITRである、実施態様1~5のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0147】
(実施態様9)
前記第1の及び/又は前記第2の逆方向反復が、パルボウイルスの改変ITRである、実施態様1~5のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0148】
(実施態様10)
前記パルボウイルスが、ディペンドパルボウイルス、ボカパルボウイルス、エリスロパルボウイルス、プロトパルボウイルス、又はテトラパルボウイルスである、実施態様8又は9記載のDNA分子。
【0149】
(実施態様11)
前記改変ITRのヌクレオチド配列が、前記パルボウイルスの前記ITRと少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は少なくとも99%同一である、実施態様9記載のDNA分子。
【0150】
(実施態様12)
a.第1のニックが、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
b.第2のニックが、該第1の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
c.第3のニックが、前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;かつ/又は
d.第4のニックが、該第2の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にある、実施態様1又は5記載のDNA分子。
【0151】
(実施態様13)
a.第1のニックが、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
b.第2のニックが、該第1の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
c.第3のニックが、前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;かつ/又は
d.第4のニックが、該第2の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にある、
実施態様2又は5記載のDNA分子。
【0152】
(実施態様14)
a.第1のニックが、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
b.第2のニックが、該第1の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
c.第3のニックが、前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;かつ/又は
d.第4のニックが、該第2の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にある、
実施態様3又は5記載のDNA分子。
【0153】
(実施態様15)
a.第1のニックが、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
b.第2のニックが、該第1の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;
c.第3のニックが、前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にあり;かつ/又は
d.第4のニックが、該第2の逆方向反復の該ITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド以内にある、
実施態様4又は5記載のDNA分子。
【0154】
(実施態様16)
前記ニックが、前記逆方向反復の内部にある、実施態様12~15のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0155】
(実施態様17)
前記ニックが、前記逆方向反復の外部にある、実施態様12~15のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0156】
(実施態様18)
プラスミドである、実施態様1~17のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0157】
(実施態様19)
前記プラスミドが、細菌の複製起点をさらに含む、実施態様18記載のDNA分子。
【0158】
(実施態様20)
前記プラスミドが、前記第1の逆方向反復に対して5’かつ前記第2の逆方向反復に対して3’の領域に制限酵素部位をさらに含み、
該制限酵素部位が、該第1の逆方向反復、該第2の逆方向反復、及び該第1の逆方向反復と該第2の逆方向反復との間の領域のいずれの中にも存在しない、
実施態様18記載のDNA分子。
【0159】
(実施態様21)
前記制限酵素での切断が、前記第1の逆方向反復及び/又は前記第2の逆方向反復のアニーリングに好適な条件下で検出可能なレベルでアニーリングしない一本鎖オーバーハングをもたらす、実施態様20記載のDNA分子。
【0160】
(実施態様22)
前記プラスミドが、前記制限酵素をコードするオープンリーディングフレームをさらに含む、実施態様20記載のDNA分子。
【0161】
(実施態様23)
前記制限酵素の発現が、誘導性プロモーターの制御下にある、実施態様22記載のDNA分子。
【0162】
(実施態様24)
前記プラスミドが、前記第1の逆方向反復に対して5’でありかつ前記第2の逆方向反復に対して3’である領域にニッキングエンドヌクレアーゼ用の第5及び第6の制限部位をさらに含み、
ニッキングエンドヌクレアーゼ用の該第5及び第6の制限部位が:
a.向かい合う鎖上にあり;かつ
b.切断の一本鎖オーバーハングが該第1の逆方向反復及び/又は該第2の逆方向反復のアニーリングに好適な条件下で検出可能なレベルで分子間又は分子アニーリングしないような、該切断を前記二本鎖DNA分子内に生じさせる、
実施態様18記載のDNA分子。
【0163】
(実施態様25)
前記第5及び第6のニックが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド離れている、実施態様24記載のDNA分子。
【0164】
(実施態様26)
ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位がすべて、同一のニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列である、実施態様24記載のDNA分子。
【0165】
(実施態様27)
前記ニッキングエンドヌクレアーゼ部位のうちの1つ以上が、内在性ニッキングエンドヌクレアーゼの標的配列である、実施態様1~26のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0166】
(実施態様28)
前記プラスミドが、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、第4、第5、及び/又は第6の制限部位を認識するニッキングエンドヌクレアーゼをコードするオープンリーディングフレームをさらに含む、実施態様24~27のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0167】
(実施態様29)
前記ニッキングエンドヌクレアーゼの発現が、誘導性プロモーターの制御下にある、実施態様28記載のDNA分子。
【0168】
(実施態様30)
ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び/又は第4の制限部位を認識する前記ニッキングエンドヌクレアーゼが、Nt.BsmAI;Nt.BtsCI;N.ALwl;N.BstNBI;N.BspD6I;Nb.Mva1269I;Nb.BsrDI;Nt.BtsI;Nt.BsaI;Nt.Bpu10I;Nt.BsmBI;Nb.BbvCI;Nt.BbvCI;又はNt.BspQIである、実施態様1~29のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0169】
(実施態様31)
ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第5及び第6の制限部位を認識する前記ニッキングエンドヌクレアーゼが、Nt.BsmAI;Nt.BtsCI;N.ALwl;N.BstNBI;N.BspD6I;Nb.Mva1269I;Nb.BsrDI;Nt.BtsI;Nt.BsaI;Nt.Bpu10I;Nt.BsmBI;Nb.BbvCI;Nt.BbvCI;又はNt.BspQIである、実施態様24記載のDNA分子。
【0170】
(実施態様32)
前記発現カセットが、転写単位に作動的に連結されたプロモーターを含む、実施態様1~26のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0171】
(実施態様33)
前記転写単位が、オープンリーディングフレームを含む、実施態様32記載のDNA分子。
【0172】
(実施態様34)
前記発現カセットが、転写後制御因子をさらに含む、実施態様32又は33記載のDNA分子。
【0173】
(実施態様35)
前記発現カセットが、ポリアデニル化及び終止シグナルをさらに含む、実施態様32又は33記載のDNA分子。
【0174】
(実施態様36)
前記発現カセットの大きさが、少なくとも4kb、少なくとも4.5kb、少なくとも5kb、少なくとも5.5kb、少なくとも6kb、少なくとも6.5kb、少なくとも7kb、少なくとも7.5kb、少なくとも8kb、少なくとも8.5kb、少なくとも9kb、少なくとも9.5kb、又は少なくとも10kbである、実施態様32~35のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0175】
(実施態様37)
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1のヘアピン化逆方向反復;
b.ボトム鎖のニック;
c.発現カセット;
d.該ボトム鎖のニック;及び
e.第2のヘアピン化逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【0176】
(実施態様38)
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1のヘアピン化逆方向反復;
b.該トップ鎖のニック;
c.発現カセット;
d.該トップ鎖のニック;及び
e.第2のヘアピン化逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【0177】
(実施態様39)
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1のヘアピン化逆方向反復;
b.ボトム鎖のニック;
c.発現カセット;
d.該トップ鎖のニック;及び
e.第2のヘアピン化逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【0178】
(実施態様40)
トップ鎖の5’から3’方向に:
a.第1のヘアピン化逆方向反復;
b.該トップ鎖のニック;
c.発現カセット;
d.ボトム鎖のニック;及び
e.第2のヘアピン化逆方向反復
を含む二本鎖DNA分子。
【0179】
(実施態様41)
単離DNA分子である、実施態様37~40のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0180】
(実施態様42)
前記第1の及び/又は前記第2の逆方向反復が、パルボウイルスのITRである、実施態様37~41のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0181】
(実施態様43)
前記第1及び第2の逆方向反復が、同一である、実施態様37~41のいずれか1つ記載の二本鎖DNA分子。
【0182】
(実施態様44)
前記第1の及び/又は前記第2の逆方向反復が、パルボウイルスの改変ITRである、実施態様37~41のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0183】
(実施態様45)
前記パルボウイルスが、ディペンドパルボウイルス、ボカパルボウイルス、エリスロパルボウイルス、プロトパルボウイルス、又はテトラパルボウイルスである、実施態様42又は44記載のDNA分子。
【0184】
(実施態様46)
前記改変ITRのヌクレオチド配列が、前記パルボウイルスの前記ITRと少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は少なくとも99%同一である、実施態様45記載のDNA分子。
【0185】
(実施態様47)
前記発現カセットが、転写単位に作動的に連結されたプロモーターを含む、実施態様37~46のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0186】
(実施態様48)
前記転写単位が、オープンリーディングフレームを含む、実施態様47記載のDNA分子。
【0187】
(実施態様49)
前記発現カセットが、転写後制御因子をさらに含む、実施態様47又は48記載のDNA分子。
【0188】
(実施態様50)
前記発現カセットが、ポリアデニル化及び終止シグナルをさらに含む、実施態様47又は48記載のDNA分子。
【0189】
(実施態様51)
前記発現カセットの大きさが、少なくとも4kb、少なくとも4.5kb、少なくとも5kb、少なくとも5.5kb、少なくとも6kb、少なくとも6.5kb、少なくとも7kb、少なくとも7.5kb、少なくとも8kb、少なくとも8.5kb、少なくとも9kb、少なくとも9.5kb、又は少なくとも10kbである、実施態様37~50のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0190】
(実施態様52)
エキソヌクレアーゼから保護されている、実施態様37~51のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0191】
(実施態様53)
前記エキソヌクレアーゼが、RecBCDエキソヌクレアーゼである、実施態様52記載のDNA分子。
【0192】
(実施態様54)
複製(Rep)タンパク質結合部位を欠く、実施態様1~53のいずれか1つ記載のDNA分子。
【0193】
(実施態様55)
実施態様37~51のいずれか1つ記載のDNA分子を含む送達ビヒクル。
【0194】
(実施態様56)
ヒドリドソーム(hydridosome)、リポソーム、又は脂質ナノ粒子を含む、実施態様55記載の送達ビヒクル。
【0195】
(実施態様57)
ヘアピン末端DNA分子を調製するための方法であって:
a.実施態様1~35のいずれか1つ記載のDNA分子を含むホスト細胞を、該DNA分子の増幅をもたらす条件下で培養すること;
b.該DNA分子を該ホスト細胞から放出させること;
c.該DNA分子を、前記4つの制限部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;
d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;
e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程dの結果として得られるDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること
を含む前記方法。
【0196】
(実施態様58)
ヘアピン末端DNAを調製するための方法であって:
a.実施態様20記載のプラスミドを含むホスト細胞を、該プラスミドの増幅をもたらす条件下で培養すること;
b.該プラスミドを、該ホスト細胞から放出させること;
c.前記DNA分子を、前記4つの制限部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;
d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;
e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程dの結果として得られるDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;
f.該プラスミド又は工程dの結果として得られる断片を、前記制限酵素とインキュベートすること、及びそれによって、該プラスミド又は該プラスミドの断片を切断すること;並びに
g.該プラスミドの該断片をエキソヌクレアーゼとインキュベートし、それによって、工程eの結果として得られる断片を除く該プラスミドの該断片を消化すること
を含む、前記方法。
【0197】
(実施態様59)
ヘアピン末端DNAを調製するための方法であって:
a.実施態様24記載のプラスミドを含むホスト細胞を、該プラスミドの増幅をもたらす条件下で培養すること;
b.該プラスミドを、該ホスト細胞から放出させること;
c.前記DNA分子を、前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;
d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;
e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程dの結果として得られるDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;
f.該プラスミド又は工程dの結果として得られる断片を、該二本鎖DNA分子における切断をもたらす前記第5及び第6の制限部位を認識する1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;並びに
g.該プラスミドの該断片をエキソヌクレアーゼとインキュベートし、それによって、工程eの結果として得られる断片を除く該プラスミドの該断片を消化すること
を含む、前記方法。
【0198】
(実施態様60)
h.リガーゼを用いて前記ニックを修復して、環状DNAを生成させることをさらに含む、実施態様57、58、又は59記載の方法。
【0199】
(実施態様61)
前記工程が、該実施態様にそれらが出現する順番で行われる、実施態様57~60のいずれか1つ記載の方法。
【0200】
(実施態様62)
前記ヘアピン末端DNAが、2つのヘアピン末端からなる、実施態様57~61のいずれか1つ記載の方法。
【0201】
(実施態様63)
前記ヘアピン末端DNAが、ウイルスゲノムである、実施態様57~62のいずれか1つ記載の方法。
【0202】
(実施態様64)
前記ウイルスゲノムが、パルボウイルスゲノムである、実施態様63記載の方法。
【0203】
(実施態様65)
前記パルボウイルスが、ディペンドパルボウイルス、ボカパルボウイルス、エリスロパルボウイルス、プロトパルボウイルス、又はテトラパルボウイルスである、実施態様64記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0204】
(4. 図面の簡単な説明)
【
図1】
図1は、さまざまな例示的なヘアピンの構造及び該ヘアピンの構造的要素を表す。
【0205】
【
図2】
図2A及び
図2Bは、例示的な鎖コンホメーション及びオーバーハング内部の分子内力、並びに鎖の間の分子間力を示す線状相互作用プロット(linear interaction plot)を表し、
図2Cは、期待されるアニーリングされた
図2A及び
図2Bの構造を表す。
【0206】
【
図3】
図3は、ヘアピンのさまざまな例示的な配置、及びさまざまな制限部位の位置、並びにヘアピンの主ステム(primary stem)におけるII型ニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位を表す。
【0207】
【
図4】
図4は、さまざまな例示的なヘアピンの構造並びにヒトミトコンドリアDNA OriL及びOriL由来ITRの構造的要素を表す。
【0208】
【
図5】
図5は、例示的なアプタマー及びアプタマーITRのヘアピンの構造を表す。
【0209】
【
図6】
図6は、構築体1及び実施例1に記載される方法の工程を行った後の構築体1由来のDNA産物の視覚化を表す。
【0210】
【
図7】
図7は、構築体2及び実施例1に記載される方法の工程を行った後の構築体1由来のDNA産物の視覚化を表す。
【0211】
【0212】
【0213】
【
図10】
図10は、さまざまなDNAベクター量からのルシフェラーゼの発現レベルを表す。細胞に対して、ハイブリドソーム又は脂質ナノ粒子のいずれかを含む種々の濃度のDNAベクターでトランスフェクションを行った。ルシフェラーゼ活性は、トランスフェクションの48時間後に決定された。
【0214】
【
図11】
図11A~
図11Dは、セクション6.5に記載される分裂細胞及び非分裂細胞におけるルシフェラーゼ発現を表す(実施例5 分裂細胞及び非分裂細胞における発現)。
図11A及び
図11Bは、分裂細胞(11A)及び非分裂細胞(11B)における非分泌型Turboluc(構築体1)の発現を表す。非分泌型Turboluc(構築体1)の場合、分裂細胞におけるルシフェラーゼ活性は、第2日にピークとなり、非分裂細胞では、発現は増加し続ける。
図11C及び
図11Dは、非分裂細胞(11C)及び分裂細胞(11D)における分泌型Turboluc(構築体2)の発現を表す。分泌型Turboluc(構築体2)の場合、ルシフェラーゼ活性は、分裂細胞では第2日にピークとなり、非分裂細胞では発現は増加し、その後、9日間安定なままである。直接の比較として、構築体2をコードする等モル量の完全な環状プラスミドも、トランスフェクションさせた。
図11C及び
図11Dに示されるように、一般に、低いルシフェラーゼ活性が記録され、フォールディングされたITRを有する精製構築体2の核送達の向上を示している。
【0215】
【
図12】
図12は、ヘアピンをコードするプラスミドの新規合成のためのベクター構築方針を表す。
【0216】
【
図13】
図13は、AAV1に由来するITRの配列アラインメントを、種々のニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位用の認識部位を生じさせる配列改変を強調して表す。
【0217】
【
図14】
図14は、AAV2に由来するITRの配列アラインメントを、種々のニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位用の認識部位を生じさせる配列改変を強調して表す。
【0218】
【
図15】
図15は、AAV3に由来するITRの配列アラインメントを、種々のニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位用の認識部位を生じさせる配列改変を強調して表す。
【0219】
【
図16】
図16は、AAV4左に由来するITRの配列アラインメントを、種々のニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位用の認識部位を生じさせる配列改変を強調して表す。
【0220】
【
図17】
図17は、AAV4右に由来するITRの配列アラインメントを、種々のニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位用の認識部位を生じさせる配列改変を強調して表す。
【0221】
【
図18】
図18は、AAV5に由来するITRの配列アラインメントを、種々のニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位用の認識部位を生じさせる配列改変を強調して表す。
【0222】
【
図19】
図19は、AAV7左に由来するITRの配列アラインメントを、種々のニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位用の認識部位を生じさせる配列改変を強調して表す。
【0223】
【
図20】
図20A及び
図20Bは、ライゲーションされた構築体及びライゲーションされていない構築体、並びに元のプラスミドをそれぞれカプセル化するハイブリドソームを用いてトランスフェクションを行った非分裂肝細胞におけるDNA構築体のライゲーション及び対応するルシフェラーゼ発現の成功を示すアガロースゲルを表す。
【0224】
【
図21】
図21は、LNP又はハイブリドソーム内にカプセル化された分泌型ルシフェラーゼをコードする等モル量のヘアピン末端DNA分子を用いてトランスフェクションを行った非分裂細胞によるルシフェラーゼの経時的な発現を表す。
【0225】
【
図22】
図22は、実施例9に記載されるような脂質ナノ粒子、ハイブリドソーム、及びjetprimeによって送達されるCreリコンビナーゼをコードするヘアピン末端DNAの72時間のトランスフェクション後のRFP陽性カラースイッチHEK293細胞の百分率を表す。
【0226】
【
図23】
図23A及び
図23Bは、RBEを図に示される対応する配列に置き換えた変異体と比較した、野生型AAV RBE有する右及び左のITRを含むプラスミドからのヘアピン末端DNAの形成の成功を示すアガロースゲルを表す。対応するITR配列を用いてトランスフェクションを行った非分裂肝細胞におけるルシフェラーゼ発現を、
図23Bに示す
【0227】
【
図24】
図24A及び
図24Bは、さらなる例示的なクローニング方法(
図24A)及び得られたプラスミドのマップ(
図24B)を示す。このプラスミドから、実施例11に記載されているような方法の工程を行うことによって本明細書で開示されるようなヘアピン化逆方向反復DNA分子を調製することができる。本例では、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の6つの制限部位が、左のITRに対して5’でありかつ右のITRに対して3’である領域に配置されている。
【0228】
【
図25】
図25A及び
図25Bは、アガロースゲル上の
図24Bに示されるプラスミドから出発したニッキング、変性/アニーリング、及びエキソヌクレアーゼ消化による産物、及びトランスフェクションを行った該産物の発光読み取り値を示して視覚化する。
【0229】
【
図26】
図26A及び
図26Bは、アガロースゲル上の実施例13に記載されるOriL由来のITRを有する構築体のニッキング、変性/アニーリング、及びエキソヌクレアーゼ消化による産物、及びHek293細胞の上清中の分泌型TurboLucの発光読み取り値を示して視覚化する。
【発明を実施するための形態】
【0230】
(5. 詳細な説明)
本明細書で提供されるのは、ヘアピン末端DNA分子を作製する方法である。また、本明細書で提供されるのは、例えば、ヘアピン末端DNA分子を遺伝子療法に使用することなどのヘアピン末端DNA分子を使用する方法である。ヘアピン末端DNA分子を作製するさまざまな方法が、下記セクション5.2にさらに記載される。ヘアピン末端DNA分子を使用するさまざまな方法が、下記セクション5.7に記載される。これらの方法で作製されるヘアピン末端DNAが、下記セクション5.4に示され、これは、それぞれが以下にさらに記載される両末端のヘアピン化逆方向反復、及び発現カセットを含む。いくつかの実施態様において、ヘアピン末端DNAは、後述のセクション5.4でさらに示されるような1つ又は2つのニックも含む。ヘアピン、ヘアピン化逆方向反復、及びヘアピン化末端が、下記セクション5.4に記載され;ヘアピン化末端を形成する逆方向反復が、下記セクション5.3.1に記載され;ニック、ニッキングエンドヌクレアーゼ、及びニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位が、下記セクション5.3.2及び5.4に記載され;発現カセットが、下記セクション5.3.3及び5.4に記載され;かつヘアピン末端DNA分子の機能的性質が、下記セクション5.5に記載される。従って、本開示は、ヘアピン末端DNA分子、その作製方法、そのための使用方法を、本明細書で提供される要素の任意の組合せ又は順列と共に提供する。
【0231】
また、本明細書で提供されるのは、前記ヘアピン末端DNA分子を作製する方法で用いられる親DNA分子であって、それぞれが以下でさらに記載される2つの逆方向反復、2つ以上のニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位、及び発現カセットを含む、前記親DNA分子である。ニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位は、ニッキングエンドヌクレアーゼによるニッキング及び変性を行うと、逆方向反復配列を有する一本鎖オーバーハングが生成し、次いでこれがアニーリングの際にフォールディングしてヘアピンを形成するように配置されている(各工程は、セクション5.2に記載されるようなものである)。逆方向反復は、下記セクション5.3.1に記載され;ニック、ニッキングエンドヌクレアーゼ、及びニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位は、下記セクション5.3.2に記載され;発現カセットは、下記セクション5.3.3に記載される。従って、本開示は、作製方法で用いられる親DNA分子を、本明細書で提供される要素の任意の組合せ又は順列と共に提供する。
【0232】
(5.1定義)
本明細書で使用される、DNA分子に関連して用いられる場合の「単離された」という用語は、言及されたDNA分子が、その天然、自然、又は合成環境においてみられる少なくとも1つの成分を含まないことを意味することが意図される。この用語は、その天然、自然、又は合成環境でみられる一部又は全ての他の成分から取り出されたDNA分子を含む。DNA分子の天然、自然、又は合成環境の成分は、天然、自然、又は合成環境におけるものであって、当該環境におけるDNA分子の複製及び維持に必要とされるか、用いられるか、又はその他の点で役割を果たすものを何であれ含む。また、DNA分子の天然、自然、又は合成環境の成分としては、例えば、細胞、壊死組織片、細胞小器官、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、多糖類、言及されるDNA分子以外の核酸、塩、細胞培養のための栄養素、及び/又はDNA合成に使用される化学物質も挙げられる。本開示のDNA分子を、これらの成分の全てもしくは該DNA分子が単離され、合成的に製造され、天然に産生され、又は組換えにより製造されたその天然、自然、又は合成環境の任意の他の成分を部分的に、完全に、又は実質的に含まないものとすることができる。単離DNA分子の具体例としては、一部分だけ純粋なDNA分子及び実質的に純粋なDNA分子が挙げられる。
【0233】
本明細書で使用される場合、「送達ビヒクル」という用語は、1種以上の薬剤を、該送達されるべき薬剤を含むもしくは含まない細胞、組織、又は対象に、特に、ヒト対象に投与又は送達するのに使用することができる物質を意味する。送達ビヒクルは、細胞の特定のサブセット又は特定の種類に薬剤を優先的に送達し得る。送達ビヒクルによって達成される選択的又は優先的な送達は、ビヒクルの性質によって、又は送達ビヒクルにコンジュゲートされた部位、送達ビヒクルと結合した部位、もしくは送達ビヒクルに含有される部位によって達成することができる。この部位は、特定のサブセットの細胞に特異的に又は優先的に結合する。また、送達ビヒクルは、送達されるべき薬剤のインビボ半減期、該送達ビヒクルを用いない送達と比較した薬剤の送達の効率、及び/又は送達されるべき薬剤のバイオアベイラビリティを増加させることができる。送達ビヒクルの非限定的な例は、ハイブリドソーム、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマーソーム、天然/合成脂質の混合物、膜もしくは脂質抽出物、エキソソーム、ウイルス粒子、タンパク質もしくはタンパク質複合体、ペプチド、及び/又は多糖類である。
【0234】
本明細書において「A及び/又はB」などの句で用いられる「及び/又は」という用語は、A及びB双方;A又はB;A(単独);並びにB(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、及び/又はC」などの句で用いられる「及び/又は」という用語は、以下の実施態様:A、B、及びC;A、B、又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);並びにC(単独)のそれぞれを包含することが意図される。
【0235】
(5.2 ヘアピン末端DNA分子を作製する方法)
一態様において、本明細書で提供されるのは、ヘアピン末端DNA分子を調製するための方法であって:a.セクション5.3に記載されるDNA分子を含むホスト細胞を、該DNA分子の増幅をもたらす条件下で培養すること;b.該DNA分子を該ホスト細胞から放出させること;c.該DNA分子を、前記4つの制限部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程dの結果として得られるDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させることを含む、前記方法である。
【0236】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、ヘアピン末端DNAを調製するための方法であって:a.セクション5.3.5記載のプラスミドを含むホスト細胞を、該プラスミドの増幅をもたらす条件下で培養すること;b.該プラスミドを、該ホスト細胞から放出させること;c.前記DNA分子を、前記4つの制限部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程dの結果として得られるDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;f.該プラスミド又は工程dの結果として得られる断片を、前記制限酵素とインキュベートすること、及びそれによって、該プラスミド又は該プラスミドの断片を切断すること;並びにg.該プラスミドの該断片をエキソヌクレアーゼとインキュベートし、それによって、工程eの結果として得られる断片を除く該プラスミドの該断片を消化することを含む、前記方法である。
【0237】
さらなる態様において、本明細書で提供されるのは、ヘアピン末端DNAを調製するための方法であって:a.セクション3.1の実施態様24に記載されるDNA分子を含むホスト細胞を、前記プラスミドの増幅をもたらす条件下で培養すること;b.該プラスミドを、該ホスト細胞から放出させること;c.該DNA分子を、前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程dの結果として得られるDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;f.該プラスミド又は工程dの結果として得られる断片を、該二本鎖DNA分子における切断をもたらす前記第5及び第6の制限部位を認識する1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること;並びにg.該プラスミドの該断片をエキソヌクレアーゼとインキュベートし、それによって、工程eの結果として得られる断片を除く該プラスミドの該断片を消化することを含む、前記方法である。
【0238】
一態様において、本明細書で提供されるのは、ヘアピン末端DNA分子を調製するための方法であって:a.セクション5.3に記載されるDNA分子を含むホスト細胞を、該DNA分子の増幅をもたらす条件下で培養すること;b.該DNA分子を該ホスト細胞から放出させること;c.該DNA分子を、ガイド核酸用の前記4つの標的部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のプログラム可能なニッキング酵素とインキュベートすること;d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程dの結果として得られるDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させることを含む、前記方法である。
【0239】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、ヘアピン末端DNAを調製するための方法であって:a.5.3.5記載のプラスミドを含むホスト細胞を、該プラスミドの増幅をもたらす条件下で培養すること;b.該プラスミドを、該ホスト細胞から放出させること;c.前記DNA分子を、ガイド核酸用の前記4つの標的部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のプログラム可能なニッキング酵素とインキュベートすること;d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程dの結果として得られるDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;f.該プラスミド又は工程dの結果として得られる断片を、前記制限酵素とインキュベートすること、及びそれによって、該プラスミド又は該プラスミドの断片を切断すること;並びにg.該プラスミドの該断片をエキソヌクレアーゼとインキュベートし、それによって、工程eの結果として得られる断片を除く該プラスミドの該断片を消化することを含む、前記方法である。
【0240】
さらなる態様において、本明細書で提供されるのは、ヘアピン末端DNAを調製するための方法であって:a.セクション3.1の実施態様24に記載されるDNA分子を含むホスト細胞を、前記プラスミドの増幅をもたらす条件下で培養すること;b.該プラスミドを、該ホスト細胞から放出させること;c.該DNA分子を、ガイド核酸用の第1、第2、第3、及び第4の標的部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のプログラム可能なニッキング酵素とインキュベートすること;d.変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;e.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって工程dの結果として得られるDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;f.該プラスミド又は工程dの結果として得られる断片を、前記ガイド核酸用の第5及び第6の標的部位を認識して該二本鎖DNA分子における切断をもたらすプログラム可能なニッキング酵素とインキュベートすること;並びにg.該プラスミドの該断片をエキソヌクレアーゼとインキュベートし、それによって、工程eの結果として得られる断片を除く該プラスミドの該断片を消化することを含む、前記方法である。別の実施態様において、本段落の工程fを、工程f:該プラスミド又は工程dの結果として得られる断片を、該二本鎖DNA分子における切断をもたらす前記2つの制限部位を認識する1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすることに置き換えることができる。
【0241】
ある実施態様において、逆方向反復に隣接する発現カセットを含むDNA分子(セクション5.3に記載)を、前の段落において工程a及びbで提供されるように、該DNA分子又はプラスミドを含むホスト細胞を培養すること、及び該DNA分子又はプラスミドを該ホスト細胞から放出させることによって提供することができる。あるいは、そのようなDNA分子は、無細胞系で又は無細胞系及びホスト細胞ベースの系の組合せで合成することができる。例えば、さまざまなサイズ及び配列のDNA断片及びプラスミドの化学合成が知られており、本技術分野において広く用いられている;断片を化学的に合成し、次いで、本技術分野において公知の任意の手段でライゲーションするか、又はホスト細胞内で組み替えることができる。別の実施態様において、DNA分子又はプラスミドを、インビトロ複製によって提供することができる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅を含むさまざまな方法を、インビトロ複製に使用することができる。例えば、その全体が引用により本明細書に組み込まれるMichael Green及びJoseph Sambrookの文献「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」、第4版、ISBN 978-1-936113-42-2 (2012)に記載されているように、さまざまなサイズのDNA断片又はプラスミドを複製するためのPCR方法が、本技術分野において周知でありかつ広く用いられている。いくつかの実施態様において、インビトロ複製の方法は、等温DNA増幅とすることができる。いくつかの実施態様において、工程a及び工程bを、DNA分子を化学合成又はPCRによって準備する工程で置き換えることができる。別の実施態様において、工程a、b、c、及びdを、DNA分子を化学合成で準備することで置き換えることができる。
【0242】
一態様において、本明細書で提供される方法を、発現カセットを含むヘアピン末端DNA分子を調製するのに用いることができ、それによって、該方法は、a.セクション5.3に記載される二本鎖DNA分子を準備すること;b.該DNA分子を、該二本鎖DNA分子のニッキングをもたらす条件で、少なくとも1種のニッキング酵素とインキュベートし、それによって、少なくとも2つの化学量論的なDNA断片を生じさせること;c.該DNA断片を変性させること;d.該DNA断片をアニーリングすることであって、それによって、少なくとも1つのDNA断片が、前記発現カセット及び分子内でアニーリングさせることができる一本鎖DNAオーバーハングを含む、前記アニーリングすること、及びそれによって、該DNAの両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;e.該DNA断片を少なくとも1つのエキソヌクレアーゼとインキュベートし、それによって、工程dの結果として得られる発現カセットを含むヘアピン末端断片を除く工程bの化学量論的なDNA断片を消化することを含む。具体的な実施態様において、本段落における方法の工程bは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又はそれを超える化学量論的断片を生じさせる。さらなる実施態様において、本段落における方法の工程bは、少なくとも2つの化学量論的なDNA断片を生じさせ、それによって、発現カセットを含むDNA断片は、工程aで準備したDNA分子と化学量論的に等価となる。いくつかの実施態様において、本段落における工程eの結果として得られる発現カセットを含む消化抵抗性ヘアピン末端断片は、工程aで準備したDNA分子と比較してほぼ化学量論的に(stochiometrically)等価とすることができる。
【0243】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法を、発現カセットを含むヘアピン末端DNA分子を調製するのに用いることができ、それによって、該方法は:a.セクション5.3に記載される二本鎖DNA分子を準備すること;b.該DNA分子を、該二本鎖DNA分子のニッキングをもたらす条件で、少なくとも1種のニッキング酵素とインキュベートし、それによって、少なくとも2つの化学量論的なDNA断片を生じさせること;c.該DNA断片を一本鎖DNAへと変性させること;d.発現カセットを含むDNA断片のセンス及びアンチセンス鎖をアニーリングすることであって、それによって、該センス及び/又はアンチセンス鎖を、分子内でアニーリングさせることができる一本鎖DNAオーバーハングを含む、前記アニーリング、及びそれによって、該発現カセットを含むDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;e.該DNA断片を、少なくとも1つのエキソヌクレアーゼとインキュベートし、それによって、工程dの結果として得られる発現カセットを含むヘアピン末端断片を除く工程bの化学量論的なDNA断片を消化することを含む。
【0244】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法を、発現カセットを含むヘアピン末端DNA分子を調製するのに用いることができ、それによって、該方法は:a.セクション5.3に記載される二本鎖DNA分子を準備すること;b.該DNA分子を、該二本鎖DNA分子のニッキングをもたらす条件で、少なくとも1種のニッキング酵素とインキュベートすること;c.該二本鎖DNAを へと変性させ、それによって、少なくとも2つの化学量論的なDNA断片を生じさせること;d.該DNA断片をアニーリングすることであって、それによって、少なくとも1つのDNA断片が、前記発現カセット及び分子内でアニーリングさせることができる一本鎖DNAオーバーハングを含む、前記アニーリングすること、及びそれによって、該DNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させることを含む。
【0245】
さらなる態様において、本明細書で提供される方法を、ヘアピン末端DNA分子を調製するのに用いることができ、ここで、該方法は、それに対して(i)ニッキング酵素、(ii)変性剤(例えば、塩基)、(iii)アニーリング剤(例えば、酸)、及び(iv)エキソヌクレアーゼが順次添加される、水性緩衝液中のセクション5.3に記載される二本鎖DNA分子が入った少なくとも1つのポット(例えば、容器(container)、うつわ(vessel)、ウェル、チューブ、プレート、又は他の入れ物(receptacle))を含む。ワンポット反応として本明細書で提供される方法を行うことができるために、少なくとも、方法の工程(i)~(iv)の間に中間体、夾雑物(例えば、酵素)、又はDNA消化副生成物(すなわちヌクレオチド、オリゴヌクレオチド(oligo)、もしくは一本鎖DNA断片)を精製することを必要とせずに、ヘアピン末端DNA分子を製造する該方法を完結させることができ、それによって、費用及び製造失敗のリスクの観点から好ましい方法を提供する(例えば、精製によるロスを最小化すること、必要な出発材料を減少させること、プロセス変数のより厳しい管理などによる)ことができるという点でさらなる利点が提供されるであろう。
【0246】
さらなる実施態様において、本明細書で提供される方法を、ヘアピン末端DNA分子を製造するのに使用することができ、ここで、該方法は、セクション5.3に記載される二本鎖DNA分子及び少なくとも1種のニッキング酵素が入った1つのポット(例えば、容器、うつわ、ウェル、チューブ、プレート、又は他の入れ物)を、該二本鎖DNA分子のニッキングをもたらす条件で準備すること、b.(例えば、温度、pH、又はバッファー組成を変化させることによって)該DNAを変性させかつアニーリングすること、c.中間体を(例えば、工程aと工程cとの間に)精製することを必要とすることなくエキソヌクレアーゼを添加することを含む。具体的な実施態様において、本段落の方法のポットは;工程aにおいて、少なくとも1種の二本鎖DNA分子(例えば、プラスミド又はその誘導体)、少なくとも1種のニッキング酵素、及び水性緩衝液を含み、工程cにおいて、少なくとも1種のヘアピン末端DNA、少なくとも1種のニッキング酵素、少なくとも1種のエキソヌクレアーゼ、及びDNA消化産物(例えば、dNMP、ジヌクレオチド、及び/又は短いオリゴヌクレオチド)を含む水性緩衝液を含む。
【0247】
さらなる実施態様において、本明細書で提供される方法を、ヘアピン末端DNA分子を製造するのに使用することができ、それによって、該方法は:a.セクション5.3に記載される二本鎖DNA分子及び少なくとも1種のニッキング酵素を、少なくとも1つのポット(例えば、容器、うつわ、ウェル、チューブ、プレート、又は他の入れ物)内に該二本鎖DNA分子のニッキングをもたらす条件下で準備すること、b.該DNA分子を変性させること、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること;c.該一本鎖DNAオーバーハングを分子内アニーリングさせること、及びそれによって、工程bの結果として得られるDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;d.該ポットにエキソヌクレアーゼを添加し、それによって、工程cの結果として得られる断片を除く工程bにおけるDNA分子のDNA断片を消化することを含む。
【0248】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法を、発現カセットを含むヘアピン末端DNA分子を調製するのに用いることができ、それによって、該方法は:a.セクション5.3に記載される二本鎖DNA分子及び少なくとも1種のニッキング酵素を、少なくとも1つのポット(例えば、容器、うつわ、ウェル、チューブ、プレート、又は他の入れ物)内に該二本鎖DNA分子のニッキングをもたらす条件下で準備し、それによって、少なくとも2つの化学量論的なDNA断片を生じさせること、b.該DNA断片を変性させること;c.該DNA断片をアニーリングすることであって、それによって、少なくとも1つのDNA断片が、分子内でアニーリングさせることができる一本鎖DNAオーバーハングを含む、前記アニーリングすること、及びそれによって、該発現カセットを含むDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;d.該ポットに、少なくとも1つのエキソヌクレアーゼを添加し、それによって、工程cの結果として得られる発現カセットを含むヘアピン末端DNA断片を除く工程aのDNA断片を消化することを含む。さらなる実施態様において、本段落の方法の工程aは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又はそれを超える化学量論的断片を生じさせる。
【0249】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法を、発現カセットを含むヘアピン末端DNA分子を調製するのに用いることができ、それによって、該方法は:a.セクション5.3に記載される二本鎖DNA分子を、少なくとも1つのポット(例えば、容器、うつわ、ウェル、チューブ、プレート、又は他の入れ物)内に準備すること、b.該ポットに少なくとも1種のニッキング酵素を、該二本鎖DNA分子のニッキングをもたらす条件で添加し、それによって、少なくとも2つの化学量論的なDNA断片を生じさせること、c.該DNA断片を変性させること;d.該DNA断片をアニーリングすることであって、それによって、少なくとも1つのDNA断片が、分子内でアニーリングさせることができる一本鎖DNAオーバーハングを含む、前記アニーリングすること、及びそれによって、該発現カセットを含むDNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;e.少なくとも1つのエキソヌクレアーゼを該ポットに添加し、それによって、工程dの結果として得られる発現カセットを含むヘアピン末端断片を除く工程bの化学量論的なDNA断片を消化することを含む。具体的な実施態様において、本段落の方法のポットは、工程aで、1種のDNA分子を含み、かつ工程bで、工程aにおけるDNA分子と比較して少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又はそれを超える化学量論的断片を含み、それによって、発現カセットを含む断片は、工程aで準備したDNA分子と化学量論的に等価となる。具体的な実施態様において、本段落における方法の工程bでのポットは、工程aにおけるDNA分子と比較して少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又はそれを超える化学量論的断片を含み、それによって、発現カセットを含む断片は、工程aで準備したDNA分子と化学量論的に等価となる。非限定的な例において、本段落における方法の工程bでのポットは、3つの化学量論的なDNA断片;(i)発現カセットを欠く断片2つ及び該発現カセットを含む断片1つを含み、それによって、該発現カセットを含む断片は、工程aで準備されるDNA分子と化学量論的に等価となる。さらに具体的な実施態様において、本段落の方法の工程eでのポットは、工程aで準備したDNA分子と比較して、化学量論的に等価な量の消化抵抗性ヘアピン末端DNA分子を含む。具体的な実施態様において、本段落の方法の工程eでのポットは、多くとも、工程aで準備したDNA分子と比較して化学量論的に等価な量の消化抵抗性ヘアピン末端DNA分子を含む。いくつかの実施態様において、本段落の方法の工程eでのポットは、多くとも、工程aで準備したDNA分子と比較して化学量論的に等価な量の消化抵抗性ヘアピン末端DNA分子を含み、それによって、DNA分子の総質量は、およそ発現カセットを含むヘアピン末端DNA分子中に存在するヌクレオチドを工程aで準備されるDNA分子中に存在するヌクロチド(nuclotide)で除した比の分だけ減少する。具体的な実施態様において、本段落の方法の工程eでのポットは、工程aで準備したDNA分子の発現カセットと比較して化学量論的に等価な量の消化抵抗性ヘアピン末端DNA分子を含む。
【0250】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法を、発現カセットを含むヘアピン末端DNA分子を調製するのに用いることができ、それによって、該方法は:a.セクション5.3に記載されるDNA分子を含むホスト細胞を、該DNA分子の増幅をもたらす条件下で培養すること;b.該DNA分子を該ホスト細胞から放出させること;c.該DNA分子を、少なくとも1つのポット(例えば、容器、うつわ、ウェル、チューブ、プレート、又は他の入れ物)に添加すること;d.該ポットに少なくとも1種のニッキング酵素を、該二本鎖DNA分子のニッキングをもたらす条件で添加し、それによって、少なくとも2つの化学量論的DNA断片を生じさせること;e.該DNA断片を変性させること;f.該DNA断片をアニーリングすることであって、それによって、少なくとも1つのDNA断片が、前記発現カセット及び分子内でアニーリングさせることができる一本鎖DNAオーバーハングを含む、前記アニーリングすること、及びそれによって、該DNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;g.少なくとも1つのエキソヌクレアーゼを該ポットに添加し、それによって、工程fの結果として得られる発現カセットを含むヘアピン末端断片を除く工程fの化学量論的なDNA断片を消化することを含む。具体的な実施態様において、本段落の方法の工程gでのポットは、工程cで準備されるDNA分子と比較して化学量論的に等価な量の消化抵抗性ヘアピン末端DNA分子を含む。
【0251】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法を、発現カセットを含むヘアピン末端DNA分子を調製するのに用いることができ、それによって、該方法は:a.セクション5.3.5に記載されるプラスミドを含むホスト細胞を、該プラスミドの増幅をもたらす条件下で培養すること;b.該プラスミドを、該ホスト細胞から放出させること;c.該プラスミドを、少なくとも1つのポット(例えば、容器、うつわ、ウェル、チューブ、プレート、又は他の入れ物)に添加すること;d.該ポットに少なくとも1種のニッキング酵素を該プラスミドのニッキングをもたらす条件で添加し、それによって、少なくとも2つの化学量論的DNA断片を生じさせること;e.該DNA断片を変性させること;f.該DNA断片をアニーリングすることであって、それによって、少なくとも1つのDNA断片が、前記発現カセット及び分子内でアニーリングさせることができる一本鎖DNAオーバーハングを含む、前記アニーリングすること、及びそれによって、該DNA断片の両末端にヘアピン化逆方向反復を生成させること;g.少なくとも1つのエキソヌクレアーゼを該ポットに添加し、それによって、工程fの結果として得られる発現カセットを含むヘアピン末端断片を除く工程fの化学量論的なDNA断片を消化することを含む。具体的な実施態様において、本段落の方法の工程gでのポットは、工程cで準備されるプラスミドと比較して化学量論的に等価な量の消化抵抗性ヘアピン末端DNA分子を含む。
【0252】
方法の工程の順番が、例示的な目的の方法に列挙される。ある実施態様において、方法の工程は、本明細書に記載されているそれらが現れる順番で行われる。いくつかの実施態様において、方法の工程は、本明細書に記載されているそれらが現れる順番とは異なる順番で行うことができる。具体的には、いくつかの実施態様において、ヘアピン末端DNA分子を作製する方法の工程は、それらが出現した順番で、又はaからe又はaからgの本明細書に記載されるようなアルファベット順に列挙された順番で行うことができる。あるいは、ヘアピン末端DNA分子を作製する方法の工程は、本明細書に記載されるそれらが出現する順番ではなく行うことができる。一実施態様において、ホスト細胞が、1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼを天然に発現するか、それを発現するように操作されているか、別な方法でそれを含有している場合には、工程c(DNA分子を、前記4つの制限部位を認識して4つのニックをもたらす1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること)を、工程b(プラスミドを、ホスト細胞から放出させること)の前に行うことができる。別の実施態様において、工程f(該プラスミド又は工程dの結果として得られる断片を、前記制限酵素とインキュベートすること、又は該プラスミド又は工程dの結果として得られる断片を、1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること)は、工程d(変性を行うこと、及びそれによって、前記発現カセットを含みかつ前記2つの一本鎖DNAオーバーハングと隣接しているDNA断片を生成させること)の前、又は工程c(DNA分子を、1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること)の前に行うことができる。さらに、1つ以上の工程を組み合わせて、別々の工程の全ての作用を行う1つの工程とすることができる。ある実施態様において、工程a(ホスト細胞を培養すること)は、該ホスト細胞が、1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼを天然に発現するか、それを発現するように操作されているか、別な方法でそれを含有している場合には、工程c(DNA分子を、1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること)と組み合わせることができる。別の実施態様において、工程f(プラスミド又は工程dの結果として得られる断片を、制限酵素とインキュベートすること、又はプラスミド又は工程dの結果として得られる断片を、1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること)は、工程f及びcに記載されるニッキングエンドヌクレアーゼ又は制限酵素と一緒にインキュベートし、それにより工程c(DNA分子を、1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートすること)と組み合わせることができる。従って、本開示は、工程を、最新技術に応じてさまざまな組合せ及び順列で行うことができることを規定する。
【0253】
本明細書で提供される方法に対して、本方法の全ての工程の前、本方法の全ての工程の後、又は本方法の工程のいずれかの間に、付加的な工程を追加することができる。一実施態様において、本明細書で提供される方法は、工程hリガーゼを用いて前記ニックを修復して、環状DNAを生成させることをさらに含む。別の実施態様において、リガーゼを用いて前記ニックを修復して、環状DNAを生成させる工程hが、本明細書に記載される方法の他の工程の全ての後に行われる。
【0254】
セクション5.3.1及び5.4で以下にさらに記載されるように、DNA分子の末端に形成されるヘアピンは、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位の間のオーバーハングの性質によって決定される。従って、セクション5.3.1及び5.4に従いニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位の間のオーバーハングの配列及び構造的な性質を含む性質を設計することによって、本方法を使用して、1つ、2つ、又はそれを超えるヘアピン化末端を製造することができる。一実施態様において、方法は、1つのヘアピン末端を含むヘアピン末端DNAを製造する。別の実施態様において、方法は、1つのヘアピン末端からなるヘアピン末端DNAを製造する。さらに別の実施態様において、方法は、2つのヘアピン末端を含むヘアピン末端DNAを製造する。さらなる実施態様において、方法は、2つのヘアピン末端からなるヘアピン末端DNAを製造する。
【0255】
本明細書で提供される方法を、人工の配列、天然のDNA配列、又は天然のDNA配列及び人工の配列の双方を有する配列を含むDNA分子を製造するのに使用することができる。一実施態様において、方法は、人工の配列を含むヘアピン末端DNA分子を製造する。別の実施態様において、方法は、天然の配列を含むヘアピン末端DNA分子を製造する。さらに別の実施態様において、方法は、天然の配列及び人工の配列の双方を含むヘアピン末端DNA分子を製造する。ある実施態様において、方法は、ウイルスの逆方向末端反復(ITR)を含むヘアピン末端DNA分子を製造する。さらに別の実施態様において、方法は、RABSを欠くヘアピン化逆方向反復を含むヘアピン末端DNA分子を製造する。さらに別の実施態様において、方法は、2つのヘアピン化末端反復を含むヘアピン末端DNA分子であって、双方のヘアピン化逆方向反復が、RABSを欠く、前記ヘアピン末端DNA分子を製造する。別の実施態様において、方法は、2つのヘアピン化逆方向反復を含むヘアピン末端DNA分子であって、双方のヘアピン化逆方向反復が、TRSを欠く、前記ヘアピン末端DNA分子を製造する。さらなる実施態様において、方法は、2つのヘアピン化逆方向反復を含むヘアピン末端DNA分子であって、双方のヘアピン化逆方向反復が、RABS及びTRSを欠く、前記ヘアピン末端DNA分子を製造する。別の実施態様において、方法は、2つのヘアピン化逆方向反復を含むヘアピン末端DNA分子であって、双方のヘアピン化逆方向反復が、プロモーター活性(例えば、P5プロモーター活性)及び転写活性(例えば、転写開始点[TSS])を欠く、前記ヘアピン末端DNA分子を製造する。別の実施態様において、方法は、2つのヘアピン化逆方向反復を含むヘアピン末端DNA分子であって、双方のヘアピン化逆方向反復が、RABS、プロモーター活性(例えば、P5プロモーター活性)、転写活性(例えば、転写開始点[TSS])、及びTRSを欠く、前記ヘアピン末端DNA分子を製造する。さらに別の実施態様において、方法は、2つのヘアピン化逆方向反復を含むヘアピン末端DNA分子であって、双方のヘアピン化逆方向反復が、RABSを欠く、前記ヘアピン末端DNA分子を製造する。さらなる実施態様において、方法は、ウイルスゲノムを含むヘアピン末端DNA分子を製造する。いくつかの実施態様において、ウイルスゲノムは、1つ以上の非ウイルス性の遺伝子を発現カセット内に含む操作されたウイルスゲノムである。ある実施態様において、ウイルスゲノムは、1つ以上のウイルス遺伝子がノックアウトされている操作されたウイルスゲノムである。いくつかの特定の実施態様において、ウイルスゲノムは、複製関連タンパク質(「RAP」、すなわち、Rep又はNS1)遺伝子、カプシド(Cap)遺伝子、又はRAP遺伝子及びCap遺伝子の双方がノックアウトされている操作されたウイルスゲノムである。別の実施態様において、前記ウイルスゲノムは、パルボウイルスゲノムである。さらに別の実施態様において、前記パルボウイルスは、ディペンドパルボウイルス、ボカパルボウイルス、エリスロパルボウイルス、プロトパルボウイルス、又はテトラパルボウイルスである。
【0256】
本明細書で提供されるさまざまな方法で行われる工程が、以下でさらに詳細に説明される。ホスト細胞及び該ホスト細胞の培養の実施態様が、セクション5.2.1に記載され;DNA分子をホスト細胞から放出させる工程についての実施態様が、セクション5.2.2に記載され;DNA分子を変性させる工程についての実施態様が、セクション5.2.3に記載され;アニーリングする工程についての実施態様が、セクション5.2.5に記載され;DNA分子をニッキングエンドヌクレアーゼ又は制限酵素とインキュベートする工程についての実施態様が、セクション5.2.4に記載され;エキソヌクレアーゼとインキュベートする工程についての実施態様が、セクション5.2.6に記載され;かつライゲーションの工程についての実施態様が、セクション5.2.7に記載される。従って、本開示は、本明細書に記載される工程のさまざまな実施態様の順列及び組合せを含む方法を提供する。
【0257】
(5.2.1 ホスト細胞及び該ホスト細胞の培養)
本開示は、さまざまなホスト細胞を培養して、前記DNA分子を増幅させることができることを規定する。本明細書で提供される方法における使用のためのホスト細胞は、真核生物ホスト細胞、原核生物ホスト細胞、又は組換えDNA分子を複製又は増幅する能力がある任意の形質転換可能な生物とすることができる。いくつかの実施態様において、ホスト細胞は、微生物ホスト細胞とすることができる。さらなる実施態様において、ホスト細胞は、細菌、酵母、真菌、又はDNA分子を複製もしくは増幅するのに適用可能な種々の他の微生物細胞のいずれかから選択されるホスト微生物細胞とすることができる。細菌のホスト細胞は、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、アナエロビオスピリルム・スクシニシプロデュセンス(Anaerobiospirillum succiniciproducens)、アクチノバチルス・スクシノゲネス(Actinobacillus succinogenes)、マンヘミア・スクシニシプロデュセンス(Mannheimia succiniciproducens)、リゾビウム・エトリ(Rhizobium etli)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、及びシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)から選択されるいずれかの種のものとすることができる。酵母又は真菌ホスト細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クリベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、クリベロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、クロコウジカビ(Aspergillus niger)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、リゾプス・アリズス(Rhizopus arrhizus)、リゾブス・オリゼ(Rhizobus oryzae)などから選択されるいずれかの種のものとすることができる。大腸菌は、よく特徴が明らかとされた微生物細胞であり、分子クローニングに広く用いられているために特に有用なホスト細胞である。他の特に有用なホスト細胞としては、サッカロマイセス・セレビシエなどの酵母が挙げられる。本技術分野において公知の任意の適当な微生物ホスト細胞を使用して、DNA分子を増幅することができることが理解される。
【0258】
同様に、本明細書で提供される方法における使用のための真核生物ホスト細胞は、本技術分野において知られかつ用いられる組換えDNA分子を複製又は増幅することができる任意の真核生物細胞とすることができる。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法における使用のためのホスト細胞は、哺乳動物ホスト細胞とすることができる。さらなる実施態様において、ホスト細胞は、ヒト又は非ヒト哺乳動物ホスト細胞とすることができる。別の実施態様において、ホスト細胞は、昆虫ホスト細胞とすることができる。いくつかの広く用いられている非ヒト哺乳動物ホスト細胞としては、CHO、マウス骨髄腫細胞株(例えば、NS0、SP2/0)、ラット骨髄腫細胞株(例えば、YB2/0)、及びBHKが挙げられる。いくつかの広く用いられているヒトホスト細胞としては、HEK293及びその誘導株、HT-1080、PER.C6、及びHuh-7が挙げられる。ある実施態様において、ホスト細胞は、HeLa、NIH3T3、Jurkat、HEK293、COS、CHO、Saos、SF9、SF21、High 5、NS0、SP2/0、PC12、YB2/0、BHK、HT-1080、PER.C6、及びHuh-7からなる群から選択される。
【0259】
ホスト細胞は、各ホスト細胞が本技術分野において公知であり培養されているために、培養可能である。異なるホスト細胞についての培養条件及び培養培地は、本技術分野において知られておりかつ実践されているように異なることがある。例えば、細菌の又は他の微生物のホスト細胞は、37℃で、最高で300rpmの攪拌速度で、かつ強制曝気を伴い又は伴わずに培養することができる。一部の昆虫ホスト細胞は、一般に、25~30℃で、攪拌せずに又は最高で150rpmの攪拌速度で、かつ強制曝気を伴い又は伴わずに最適に培養することができる。一部の哺乳動物ホスト細胞は、37℃で、攪拌せずに又は最高で150rpmの攪拌速度で、かつ強制曝気を伴い又は伴わずに最適に培養することができる。さらに、さまざまなホスト細胞を培養するための条件は、本技術分野において知られておりかつ実践されているように、さまざまな条件下でホスト細胞の増殖曲線を調査することによって決定することができる。いくつかの広く用いられているホスト細胞の培養培地及び培養条件は、その全体が引用により本明細書に組み込まれる、Michael Green及びJoseph Sambrookの文献「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」、第4版、ISBN 978-1-936113-42-2 (2012)に記載されている。
【0260】
(5.2.2 DNA分子をホスト細胞から放出させること)
DNA分子は、本技術分野において知られておりかつ実践されているようなさまざまなやり方でホスト細胞から放出させることができる。例えば、DNA分子は、ホスト細胞を物理的に、機械的に、酵素的に、化学的に、又は物理的、機械的、酵素的、及び化学的作用の組合せによって分解することによって放出させることができる。いくつかの実施態様において、DNA分子は、細胞を細胞溶解試薬の溶液にさらすことによってホスト細胞から放出させることができる。細胞溶解試薬は、トリトン、SDS、Tween、NP-40、及び/又はCHAPSなどの界面活性剤を含む。別の実施態様において、DNA分子は、ホスト細胞をモル浸透圧濃度の差にさらすこと、例えば、ホスト細胞を低張液にさらすことによってホスト細胞から放出させることができる。別の実施態様において、DNA分子は、ホスト細胞を高pH又は低pHの溶液にさらすことによってホスト細胞から放出させることができる。ある実施態様において、DNA分子は、ホスト細胞に対して酵素処理、例えば、リゾチームによる処理を行うことによってホスト細胞から放出させることができる。いくつかのさらなる実施態様において、DNA分子は、ホスト細胞を界面活性剤、モル浸透圧濃度の圧力、高pHもしくは低pH、及び/又は酵素(例えば、リゾチーム)の任意の組合せにさらすことによってホスト細胞から放出させることができる。
【0261】
あるいは、DNA分子は、物理的な力をホスト細胞に対して働かせることによってホスト細胞から放出させることができる。一実施態様において、DNA分子は、力をホスト細胞に、例えば、ワーリングブレンダー及びポリトロンを用いて直接的にかけることによってホスト細胞から放出させることができる。ワーリングブレンダーは、高速回転する刃を利用して、細胞を破壊し、ポリトロンは、回転する刃が入ったシャフトの中組織を引き込む。別の実施態様において、DNA分子は、剪断応力又は剪断力をホスト細胞にかけることによってホスト細胞から放出させることができる。さまざまなホモジナイザーを使用して、ホスト細胞を狭い空間に強制的に通し、それによって細胞膜を剪断することができる。いくつかの実施態様において、DNA分子は、液体ベースの均質化によってホスト細胞から放出させることができる。特定の一実施態様において、DNA分子は、Dounceホモジナイザーを用いてホスト細胞から放出させることができる。別の具体的な実施態様において、DNA分子は、Potter-Elvehjemホモジナイザーを用いてホスト細胞から放出させることができる。さらに別の具体的な実施態様において、DNA分子は、フレンチプレスを用いてホスト細胞から放出させることができる。DNA分子をホスト細胞から放出させる他の物理的な力としては、手動粉砕、例えば、乳鉢及び乳棒を用いるものが挙げられる。手動粉砕においては、ホスト細胞は多くの場合、例えば、液体窒素中で凍結され、次いで、乳鉢及び乳棒を用いて粉砕され、そのプロセスの間に、細胞壁のセルロース及び他の多糖類の引っ張り強度によって、ホスト細胞が破壊される。
【0262】
さらに、DNA分子は、細胞に対して凍結及び解凍サイクルを行うことによって、ホスト細胞から放出させることができる。いくつかの実施態様において、何回かのそのような凍結及び解凍サイクルにわたってホスト細胞の懸濁剤を凍結させ、次いで解凍させる。いくつかの実施態様において、DNA分子は、凍結及び解凍サイクルを1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20回ホスト細胞に対して行うことによってホスト細胞から放出させることができる。
【0263】
DNA分子をホスト細胞から放出させるための上述の各方法は、相互に排他的ではない。従って、本開示は、DNA分子を、このセクション5.2.2で提供されるDNA放出方法の任意の組合せによってホスト細胞から放出させることができることを規定する。
【0264】
(5.2.3 DNA分子を変性させること)
DNA分子は、本技術分野において知られておりかつ実践されているさまざまなやり方で変性させることができる。DNA分子を変性させる工程は、二本鎖DNA(dsDNA)からDNA分子を分離して一本鎖DNA(ssDNA)とすることができる。2本のDNA鎖を分離するにあたり、DNAが巻き戻され、該2本の鎖を一緒に保っている水素結合が弱まり、最後に、分かれるまで温度を上昇させることができる。二本鎖DNAを一本鎖へと分かれさせるプロセスは、DNA変性(DNA denaturation)又はDNA変性(DNA denaturing)として知られる。
【0265】
いくつかの実施態様において、DNA分子を変性させる工程は、該DNA分子の他のセグメント(複数可)をdsDNAとして保ったままで、前記dsDNA分子の1つ以上のセグメントの2本のDNA鎖を分離させることができる。いくつかの実施態様において、DNA分子を変性させる工程は、前記dsDNA分子の1つ以上のセグメントの全てのDNA鎖をssDNA鎖へと分離させることができる。いくつかのさらなる実施態様において、DNA分子を変性させる工程は、該DNA分子(例えば、セクション5.3に記載されるDNA分子)のその他の部分をdsDNAとして保ったままで、該DNAのトップ及びボトム鎖上のニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位の間のセグメントにおける前記dsDNAをssDNAへと分離させることができ、それによって、該第1及び第2の制限部位の間にオーバーハングを生成させる。ある実施態様において、DNA分子を変性させる工程は、該DNA分子(例えば、セクション5.3に記載されるDNA分子)のその他の部分をdsDNAとして保ったままで、該DNAのトップ及びボトム鎖上のニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位の間のセグメントにおいて前記dsDNAをssDNAへと分離させることができ、それによって、該第3及び第4の制限部位の間にオーバーハングを生成させることができる。別の実施態様において、DNA分子を変性させる工程は、該DNA分子(例えば、セクション5.3に記載されるDNA分子)のその他の部分をdsDNAとして保ったままで、該DNAのトップ及びボトム鎖上のニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位の間のセグメント及び第3及び第4の制限部位の間のセグメントにおいて前記dsDNAをssDNAへと分離させることができ、それによって、(1)該DNA分子を2つの娘DNA分子へと分解し、かつ(2)該第1及び第2の制限部位の間にオーバーハングを1つ及び該第3及び第4の制限部位の間にオーバーハングを1つ生成させる。一実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位の間のオーバーハングは、トップ鎖5’オーバーハングとすることができる。別の実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位の間のオーバーハングは、ボトム鎖3’オーバーハングとすることができる。さらに別の実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位の間のオーバーハングは、トップ鎖3’オーバーハングとすることができる。さらなる実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位の間のオーバーハングは、ボトム鎖5’オーバーハングとすることができる。いくつかの実施態様において、DNA分子を変性させる工程は、該DNA分子を本明細書で提供される実施態様の任意の組合せで分離させることができる。
【0266】
オーバーハングは、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の各制限部位の間の距離に応じて長さが異なっていてもよい。一実施態様において、オーバーハングは、長さ及び/又は配列が同一であってもよい。別の実施態様において、オーバーハングは、長さ及び/又は配列が異なっていてもよい。いくつかの実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、長さを少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65、少なくとも66、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70、少なくとも71、少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77、少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、少なくとも81、少なくとも82、少なくとも83、少なくとも84、少なくとも85、少なくとも86、少なくとも87、少なくとも88、少なくとも89、少なくとも90、少なくとも91、少なくとも92、少なくとも93、少なくとも94、少なくとも95、少なくとも96、少なくとも97、少なくとも98、少なくとも99、又は少なくとも100ヌクレオチドとすることができる。別の実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、長さを約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、約100、又はそれを超えるヌクレオチドとすることができる。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、長さを少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65、少なくとも66、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70、少なくとも71、少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77、少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、少なくとも81、少なくとも82、少なくとも83、少なくとも84、少なくとも85、少なくとも86、少なくとも87、少なくとも88、少なくとも89、少なくとも90、少なくとも91、少なくとも92、少なくとも93、少なくとも94、少なくとも95、少なくとも96、少なくとも97、少なくとも98、少なくとも99、又は少なくとも100ヌクレオチドとすることができる。さらなる実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、長さを約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、約100、又はそれを超えるヌクレオチドとすることができる。さらに別の実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、長さを少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65、少なくとも66、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70、少なくとも71、少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77、少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、少なくとも81、少なくとも82、少なくとも83、少なくとも84、少なくとも85、少なくとも86、少なくとも87、少なくとも88、少なくとも89、少なくとも90、少なくとも91、少なくとも92、少なくとも93、少なくとも94、少なくとも95、少なくとも96、少なくとも97、少なくとも98、少なくとも99、又は少なくとも100ヌクレオチドとすることができる。別の実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、長さを約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、約100、又はそれを超えるヌクレオチドとすることができる。いくつかの実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、長さを少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65、少なくとも66、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70、少なくとも71、少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77、少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、少なくとも81、少なくとも82、少なくとも83、少なくとも84、少なくとも85、少なくとも86、少なくとも87、少なくとも88、少なくとも89、少なくとも90、少なくとも91、少なくとも92、少なくとも93、少なくとも94、少なくとも95、少なくとも96、少なくとも97、少なくとも98、少なくとも99、又は少なくとも100ヌクレオチドとすることができる。別の実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、長さを約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、約100、又はそれを超えるヌクレオチドとすることができる。
【0267】
本技術分野において知られておりかつ実践されているように、DNA分子は、熱によって、該DNA分子の環境におけるpHを変化させることによって、塩濃度を上昇させることによって、又はこれらおよび他の公知手段の任意の組合せによって変性させることができる。本開示は、前記DNA分子を、該DNA分子のその他の部分をdsDNAとして保ったままで、該DNAのトップ及びボトム鎖上の第1及び第2の制限部位の間のセグメント及び/又は第3及び第4の制限部位の間のセグメントにおいて前記dsDNAをssDNAへと選択的に分離させる変性条件を用いることによって前記方法で変性させることができることを規定する。いくつかの実施態様において、変性は、前記dsDNAをssDNAへと完全に分離させる。そのようなdsDNAのssDNAへの選択的な分離は、変性条件及び/又は該DNA分子を該変性条件にさらす時間を制御することによって行うことができる。一実施態様において、DNA分子は、少なくとも70℃、少なくとも71℃、少なくとも72℃、少なくとも73℃、少なくとも74℃、少なくとも75℃、少なくとも76℃、少なくとも77℃、少なくとも78℃、少なくとも79℃、少なくとも80℃、少なくとも81℃、少なくとも82℃、少なくとも83℃、少なくとも84℃、少なくとも85℃、少なくとも86℃、少なくとも87℃、少なくとも88℃、少なくとも89℃、少なくとも90℃、少なくとも91℃、少なくとも92℃、少なくとも93℃、少なくとも94℃、又は少なくとも95℃の温度で変性する。別の実施態様において、DNA分子は、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、約75℃、約76℃、約77℃、約78℃、約79℃、約80℃、約81℃、約82℃、約83℃、約84℃、約85℃、約86℃、約87℃、約88℃、約89℃、約90℃、約91℃、約92℃、約93℃、約94℃、又は約95℃の温度で変性する。特定の一実施態様において、DNA分子は、約90℃の温度で変性する。
【0268】
熱による変性の他に、本明細書で提供されるDNA分子の一部又は全ては、グアニジン、ホルムアミド、サリチル酸ナトリウム、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコール、及び尿素などのさまざまな化学薬品の添加による変性プロセスを受けることができる。これらの化学的変性剤は、水素結合のドナー及びアクセプターに関して既存の窒素塩基対と競争することによって融解温度を低下させ、等温変性を可能とする。いくつかの実施態様において、化学薬品は、室温で変性を誘導することができる。いくつかの特定の実施態様において、アルカリ性薬剤(例えば、NaOH)を使用して、pHを変化させ水素結合に寄与しているプロトンを除去することによってDNAを変性させることができる。別の実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子を化学的に変性させることは、熱によって誘導される変性と比較して、DNAの安定性に関してより穏やかな処置とすることができる。別の実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子を化学的に変性及び再生させること(例えば、pHを変化させること)は、加熱によってよりも速くすることができる。いくつかの実施態様において、本開示のDNAは、細菌中で複製させかつニッキングすることができ、かつ細菌からの放出(例えば、アルカリ溶解工程)の期間内に同時に変性させることができる。
【0269】
一実施態様において、DNA分子は、少なくとも10、少なくとも10.1、少なくとも10.2、少なくとも10.3、少なくとも10.4、少なくとも10.5、少なくとも10.6、少なくとも10.7、少なくとも10.8、少なくとも10.9、少なくとも11、少なくとも11.1、少なくとも11.2、少なくとも11.3、少なくとも11.4、少なくとも11.5、少なくとも11.6、少なくとも11.7、少なくとも11.8、少なくとも11.9、少なくとも12、少なくとも12.1、少なくとも12.2、少なくとも12.3、少なくとも12.4、少なくとも12.5、少なくとも13、少なくとも13.5、又は少なくとも14のpHで変性する。別の実施態様において、DNA分子は、約10、約10.1、約10.2、約10.3、約10.4、約10.5、約10.6、約10.7、約10.8、約10.9、約11、約11.1、約11.2、約11.3、約11.4、約11.5、約11.6、約11.7、約11.8、約11.9、約12、約12.1、約12.2、約12.3、約12.4、約12.5、約13、約13.5、又は約14のpHで変性する。さらに別の実施態様において、DNA分子は、少なくとも1M、少なくとも1.5M、少なくとも2M、少なくとも2.5M、少なくとも3M、少なくとも3.5M、又は少なくとも4Mの塩の塩濃度で変性する。さらなる実施態様において、DNA分子は、約1M、約1.5M、約2M、約2.5M、約3M、約3.5M、又は約4Mの塩の塩濃度で変性する。ある実施態様において、DNA分子は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20分間変性条件にさらされる。別の実施態様において、DNA分子は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、又は約20分間変性条件にさらされる。いくつかの実施態様において、DNA分子は、本明細書で提供される変性条件及び変性期間の任意の組合せによって変性させることができる。
【0270】
DNA分子のその他の部分をdsDNAとして保ったままで、該DNAのトップ及びボトム鎖上の第1及び第2の制限部位の間のセグメント及び第3及び第4の制限部位の間のセグメントを選択的に変性させる方法の工程のために、変性条件を決定することができる。そのような選択的変性条件は、選択的に変性されるべきDNAセグメントの性質に応じて決定することができる。DNA二重らせんの安定性は、DNAセグメントの長さ及びG/C含量の百分率と相関する。本開示は、選択的変性条件を、選択的に変性されるべきDNAセグメントの配列又は結果として得られるオーバーハングの配列によって決定することができることを規定する。例えば、選択的変性のための温度は、選択的に変性されるべきDNA配列について、Tm=2℃×A-T対の数+4℃×G-C対の数としておおまかに決定することができる。また、例えば、全てが全体として引用により本明細書に組み込まれるFreier SMらの文献、Proc Natl Acad Sci、83、9373-9377 (1986); Breslauer KJらの文献Proc Natl Acad Sci、83、3746-3750 (1986); Panjkovich,A.及びMelo,F.の文献、Bioinformatics 21:711-722 (2005); Panjkovich,A.らの文献、Nucleic Acids Res 33:W570-W572 (2005)に記載されているような、他のより厳密なTmの計算が本技術分野において知られており用いられている。
【0271】
前記オーバーハングは、さまざまなDNA配列を含むことができる。一実施態様において、オーバーハングは、逆方向反復又はその断片(例えば、逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含む。別の実施態様において、オーバーハングは、ウイルスの逆方向反復又はその断片(例えば、ウイルスの逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含む。さらに別の実施態様において、オーバーハングは、セクション5.3.1、5.3.2、5.3.3、及び5.4に記載される配列のいずれかの実施態様を含むか又はこれからなる。さらなる実施態様において、オーバーハングは、セクション5.3.1及び5.4に記載される配列のいずれか1つを含むか又はこれからなる。いくつかの実施態様において、オーバーハングは、セクション5.3.4に記載される1つ以上のウイルス複製関連配列(例えば、RABS、RBE、又はTRS)を含まない。いくつかの実施態様において、オーバーハングは、セクション5.3.4に記載される1つ以上の転写活性関連配列(例えば、TSS又はCpGモチーフ)を含まない。
【0272】
(5.2.4 DNA分子を1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼ又は制限酵素とインキュベートすること)
本開示は、セクション3及び5.2に記載したように、DNA分子を、1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼ又は制限酵素とインキュベートするための1つ以上の方法の工程を提供する。理論にとらわれるものではないが、ニッキングエンドヌクレアーゼは、該DNA分子内のニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位を認識し、dsDNAの一方の鎖上でのみ該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位の内部又は外部のいずれかの部位で切断を行い(例えば、1本のDNA鎖のホスホジエステル結合を加水分解し)、それによって、該dsDNA内にニックを生成させる。一方で、制限酵素は、該制限酵素用の制限部位を認識し、dsDNAの双方の鎖を切断し、それによって、特定の制限部位で又はその近くでDNA分子を切断する。
【0273】
本明細書で提供される組成物及び方法のさまざまな実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼは、メチル化依存性、メチル化感受性、又はメチル化不感受性であってもよい。本技術分野において知られており実践されているさまざまなニッキングエンドヌクレアーゼが、本明細書で提示される。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される組成物及び方法のためのニッキングエンドヌクレアーゼは、Nb.Bsml、Nb.BbvCI、Nb.BsrDI、Nb.Btsl、Nt.BbvCI、Nt.Alwl、Nt.CviPII、Nt.BsmAI、Nt.Alwl、及びNt.BstNBIなどの5-メチルシトシン依存性ではない天然に存在するニッキングエンドヌクレアーゼであってもよい。本明細書で提供される組成物及び方法のためのニッキングエンドヌクレアーゼは、IIs型制限酵素(例えば、Alwl、BpulOI、BbvCI、Bsal、BsmBI、BsmAI、Bsml、BspOJ、mlyl、Mval269l、及びSaplなど)から工学的に作り出すこともでき、ニッキングエンドヌクレアーゼを作製する方法は、引例に、例えば、全てが全体として引用により本明細書に組み込まれるUS 7,081,358; US 7,011,966; US 7,943,303; US 7,820,424、WO201804514に記載されている。
【0274】
あるいは、ニッキングエンドヌクレアーゼの代わりに、プログラム可能なニッキング酵素を、本明細書で提供される組成物及び方法に使用することができる。そのようなプログラム可能なニッキング酵素には、例えば、Cas9又はその機能的等価物(パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)アルゴノート(PfAgo)又はCpflなど)が含まれる。Cas9は、2つの触媒ドメインRuvC及びHNHを含む。これらのドメインのうちの1つを不活性化すると、本明細書で提供される方法及び組成物用のニッキングエンドヌクレアーゼを置き換えることができるプログラム可能なニッキング酵素を生じさせることとなる。Cas9において、RuvCドメインは、位置D10でのアミノ酸置換(例えば、D10A)によって不活性化することができ、HNHドメインは、H840でのアミノ酸置換(例えば、H840A)によって不活性化することができ、又は他のCas9に等価なタンパク質におけるこれらのアミノ酸に対応する位置でのアミノ酸置換によって不活性化することができる。そのようなプログラム可能なニッキング酵素は、2つの成分:標的DNAを切断するニッキング酵素(例えば、D10A Cas9ニッキング酵素又はそのバリアントもしくはオルソログ)、及び該ニッキング酵素を該標的DNA内の特定の部位に向けて標的化又はプログラムするガイド核酸、例えば、ガイドDNA又はRNA(gDNA又はgRNA)を含むアルゴノート又はII型CRISPR/Casエンドヌクレアーゼとすることもできる(例えば、その全体が引用により本明細書に組み込まれるHsuらの文献: Nature Biotechnology 2013 31: 827-832を参照されたい)。プログラム可能なニッキング酵素は、DNA結合タンパク質(例えば、制限エンドヌクレアーゼ、転写因子、ジンクフィンガー、又はDNAにランダムではない位置で結合する別のドメイン)のDNA結合ドメインなどの部位特異的なDNA結合ドメイン(ターゲティングドメイン)を、ニッキングエンドヌクレアーゼと融合させ、それが、特定のランダムではない部位に対して作用するようにするとによって作製することもできる。前述したものから明らかであるように、プログラム可能なニッキング酵素によるプログラム可能な切断は、ニッキング酵素内の又はそれに融合されたターゲティングドメイン、又はターゲティングドメイン又はガイド分子を変化させることによってプログラム可能な部位である特定のランダムではない部位にニッキング酵素を向かわせるガイド分子(gDNA又はgRNA)に起因する。そのようなプログラム可能なニッキング酵素は、引例、例えば、全体として引用により本明細書に組み込まれるUS7,081,358及びWO2010021692Aに記載されている。
【0275】
適当なガイド核酸(例えば、gDNA又はgRNA)配列及びガイド核酸に適している標的部位は、本技術分野において知られており広く利用されている。ガイド核酸(例えば、gDNA又はgRNA)は、対象となる標的DNA領域を認識し、かつ編集のためにプログラム可能なニッキング酵素(例えば、Casヌクレアーゼ)をそこへ向かわせる特定の核酸(例えば、gDNA又はgRNA)配列である。ガイド核酸(例えば、gDNA又はgRNA)は、多くの場合、2つの部分:標的DNAに相補的な15~20ヌクレオチド配列であるターゲティング核酸、及びプログラム可能なニッキング酵素(例えば、Casヌクレアーゼ)のために結合スキャフォールドとして働くスキャフォールド核酸で構成される。ガイド核酸に適している標的部位は、2つの要素:プログラム可能なニッキング酵素内のターゲティング核酸に相補的な配列及び隣接するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を有していなければならない。PAMは、プログラム可能なニッキング酵素(例えば、Casヌクレアーゼ)に対して結合シグナルとして働く。さまざまなPAMが、例えば、双方ともが全体として引用により本明細書に組み込まれるDaniel Gleditzschらの文献、RNA Biol. 16(4): 504-517 (2019年4月); Ryan T. Leenayらの文献、Mol Cell. 62(1): 137-147 (2016年4月7日)に記載されているように、本技術分野において知られており、性質が明らかとされており、利用されている。AAV2 ITRの主ステム配列を標的とする例示的なgRNA及びgDNA配列は、表1に挙げるようなものを含む。
(表1: 例示的なニッキングエンドヌクレアーゼ及びそれらの対応する制限部位)
【表1】
【0276】
本技術分野において知られておりかつ用いられているさまざまなニッキングエンドヌクレアーゼを、本明細書で提供される方法に使用することができる。本方法における使用のためのニッキングエンドヌクレアーゼの実施態様として提供されるニッキングエンドヌクレアーゼの例示的なリスト及び該ニッキングエンドヌクレアーゼの一部についての対応する制限部位が、www.rebase.neb.com/cgi-bin/azlist?nickで利用可能でありその全体が引用により本明細書に組み込まれる制限酵素データベース(The Restriction Enzyme Database)(本技術分野において、REBASEとして知られている)に記載されている。一実施態様において、第1、第2、第3、及び/又は第4の制限部位を認識するニッキングエンドヌクレアーゼは全て、同一のニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列に対するものである。別の実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位は、該4つの部位を2つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ標的配列に割り当てるのに考えられる全ての組合せ(例えば、第1の制限部位を第1のニッキングエンドヌクレアーゼ用にかつ残りの制限部位を第2のニッキングエンドヌクレアーゼ用に、第1及び第2の制限部位を第1のニッキングエンドヌクレアーゼ用に及び残りの制限部位を第2のニッキングエンドヌクレアーゼ用になど)を含む2つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列である。さらに別の実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位は、該4つの部位を3つの異なるエンドヌクレアーゼ標的配列に割り当てるのに考えられる全ての組合せを含む3つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列である。さらなる実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位は、4つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列である。いくつかの実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼは、表2に挙げられているものから選択されるいずれか1つとすることができる。
(表2: 例示的なニッキングエンドヌクレアーゼ及びそれらの対応する制限部位)
【表2】
【0277】
ニッキングされたDNA分子の所望の百分率を達成するための温度、塩濃度、pH、緩衝試薬、ある種の界面活性剤の有無、及びインキュベーション期間を含む、さまざまなニッキングエンドヌクレアーゼがdsDNAの一方の鎖を切断する条件が、本明細書で提示されるさまざまなニッキングエンドヌクレアーゼに対して知られている。これらの条件は、ニッキングエンドヌクレアーゼのさまざまな供給業者のウエブサイト又はカタログから、例えば、New England BioLabsから容易に入手可能である。本開示は、前記DNA分子を1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートする工程が、本技術分野において知られておりかつ実践されているインキュベーション条件に従って行われることを規定する。いくつかの実施態様において、前記DNA分子を1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼとインキュベートする工程は、本技術分野において公知の方法によって最適化されたインキュベーション条件によるものである。
【0278】
本技術分野において知られておりかつ用いられているさまざまな制限酵素を、本明細書で提供される方法に使用することができる。本方法における使用のための制限酵素の実施態様として提供される制限酵素の例示的なリスト及び該制限酵素用の対応する制限部位が、neb.com/products/restriction-endonucleasesで入手可能でありその全体が引用により本明細書に組み込まれるNew England Biolabsのカタログに記載されている。ニッキングされたDNA分子の所望の百分率を達成するための温度、塩濃度、pH、緩衝試薬、ある種の界面活性剤の有無、及びインキュベーション期間を含む、さまざまな制限酵素がdsDNAを切断する条件が、本明細書で提供されるさまざまな制限酵素に対して知られている。これらの条件は、制限酵素のさまざまな供給業者、例えば、New England BioLabsのウエブサイト又はカタログから容易に入手可能である。本開示は、前記DNA分子を前記制限酵素とインキュベートする工程が、本技術分野において知られておりかつ実践されているインキュベーション条件に従って行われることを規定する。
【0279】
(5.2.5 アニーリング)
本明細書で提供される方法におけるアニーリングする工程を行って、前記ssDNAオーバーハングを分子内で選択的にアニーリングさせ、それによって、上述の変性させる工程(セクション5.2.3)で得られた前記DNA断片(例えば、セクション5.3及び5.4のもの)の一方の末端にヘアピン化逆方向反復を生成させる。ある実施態様において、本明細書で提供される方法におけるアニーリングする工程を行って、前記ssDNAオーバーハングを分子内で選択的にアニーリングさせ、それによって、上述の変性させる工程(セクション5.2.3)で得られたDNA断片(例えば、セクション5.3及び5.4のもの)の2つの末端上にヘアピン化逆方向反復を生成させる。理論にとらわれたりその他の点で理論に限定されたりするものではないが、ssDNAオーバーハングのそのような選択的分子内アニーリングは、ssDNAオーバーハング内の分子内相補的配列が、該ssDNAオーバーハングの分子内アニーリングを、該ssDNAオーバーハングの分子間アニーリングと比較して熱力学的にかつ/又は速度論的に有利なものとするという理由で達成される。
【0280】
理論にとらわれたりその他の点で理論に限定されたりするものではないが、オーバーハングの特定の長さ及び/又は配列が、ssDNAオーバーハングの分子内アニーリングを、該ssDNAオーバーハングの分子間アニーリングと比較して熱力学的にかつ/又は速度論的に有利なものとすることができることが認識される。例えば、オーバーハング内部の分子内力及び鎖の間の分子間力並びに結果として生じる構造を示す線状相互作用プロットを、
図2A~
図Cに示す。ssDNAオーバーハングのアニーリングの熱力学及び動力学は、様々な因子の中でも特にエンタルピー(ΔH)及びエントロピー(ΔS)によって決定される。本発明者らは、自由なssDNAオーバーハングから分子内アニーリングしたオーバーハングへの運動の自由度の減少が、自由なssDNAオーバーハングから分子間アニーリングしたオーバーハングへの運動の自由度の減少よりも少ないために、分子内アニーリングにおけるエントロピー減少が、分子内アニーリングにおけるエントロピー減少よりも小さいことを認識している。一方で、分子内アニーリングしたオーバーハングにおける相補的ヌクレオチド対の数が、分子間アニーリングしたオーバーハングにおける相補的ヌクレオチド対の数よりも少ない(従って、ワトソン・クリック及びフーグスティーン型水素結合が少ない)ために、分子内アニーリングにおけるエンタルピー増加が、分子内アニーリングにおけるエンタルピー増加よりも少ない可能性がある。本開示は、ssDNAオーバーハングを、オーバーハングの分子内アニーリングの自由エネルギー増加(ΔG=ΔH-TΔS)が、分子間アニーリングのそれよりも大きくなり、それによって、分子内アニーリングが分子間アニーリングと比較して熱力学的に有利となるような特定の長さ、相補的ヌクレオチド対の数、及びG-C対及びA-T対の百分率を有するように設計することができることを規定する。本発明者らはさらに、ssDNAオーバーハング内のヌクレオチドが、分子運動の際に別のssDNAオーバーハングのヌクレオチドと接触する確率よりも高い相互接触確率を有しているために、ssDNAオーバーハングの分子内アニーリングの反応速度が、分子間アニーリングのそれよりも高い可能性があることを認識している。本開示は、分子内アニーリングが、分子間アニーリングと比較して熱力学的に不利である場合であっても、ssDNAオーバーハングの分子内アニーリングの優れた反応速度が、分子間アニーリングしたオーバーハングよりも優先的に分子内アニーリングしたオーバーハングの形成をもたらすことができることを規定する。
【0281】
アニーリング工程は、分子間アニーリングよりも分子内アニーリングに有利に働くさまざまな温度で行うことができる。一実施態様において、ssDNAオーバーハングは、少なくとも15℃、少なくとも16℃、少なくとも17℃、少なくとも18℃、少なくとも19℃、少なくとも20℃、少なくとも21℃、少なくとも22℃、少なくとも23℃、少なくとも24℃、少なくとも25℃、少なくとも26℃、少なくとも27℃、少なくとも28℃、少なくとも29℃、少なくとも30℃、少なくとも31℃、少なくとも32℃、少なくとも33℃、少なくとも34℃、少なくとも35℃、少なくとも36℃、少なくとも37℃、少なくとも38℃、少なくとも39℃、少なくとも40℃、少なくとも41℃、少なくとも42℃、少なくとも43℃、少なくとも44℃、少なくとも45℃、少なくとも46℃、少なくとも47℃、少なくとも48℃、少なくとも49℃、少なくとも50℃、少なくとも51℃、少なくとも52℃、少なくとも53℃、少なくとも54℃、少なくとも55℃、少なくとも56℃、少なくとも57℃、少なくとも58℃、少なくとも59℃、又は少なくとも60℃の温度でアニーリングされる。別の実施態様において、ssDNAオーバーハングは、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、又は約60℃の温度でアニーリングされる。特定の一実施態様において、ssDNAオーバーハングは、少なくとも25℃の温度でアニーリングされる。別の具体的な実施態様において、ssDNAオーバーハングは、約25℃の温度でアニーリングされる。さらに別の具体的な実施態様において、ssDNAオーバーハングは、室温でアニーリングされる。
【0282】
さらに、アニーリング工程を、分子間アニーリングよりも分子内アニーリングに有利に働くさまざまな時間行うことができる。ある実施態様において、ssDNAオーバーハングは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、又は少なくとも40分アニーリングされる。別の実施態様において、ssDNAオーバーハングは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、又は約40分アニーリングされる。特定の一実施態様において、ssDNAオーバーハングは、少なくとも20分アニーリングされる。別の具体的な実施態様において、ssDNAオーバーハングは、約20分アニーリングされる。
【0283】
いくつかの実施態様において、アニーリングは、温度を、計算されるセンス及びアンチセンス配列の対の融解温度を下回る温度に下げることにより達成し得る。融解温度は、具体的なヌクレオチド塩基含量及び用いられている溶液の特性、例えば、塩濃度に依存する。任意の配列と溶液との組合せの融解温度が、本技術分野において知られておりかつ実践されているように容易に計算される。
【0284】
いくつかの実施態様において、アニーリングは、変性用化学薬品の量を減らしてセンス及びアンチセンス配列の対の間の相互作用を可能とすることによって等温で達成することができる。DNA配列を変性させるのに必要とされる変性用化学薬品の最小濃度は、具体的なヌクレオチド塩基含量及び用いられている溶液の特性、例えば、温度又は塩濃度に依存する場合がある。任意の配列と溶液との組合せについて変性を招かない化学的変性剤の濃度は、本技術分野において知られておりかつ実践されているように容易に特定される。化学的変性剤の濃度は、本技術分野において知られておりかつ実践されているように容易に変更することもできる。例えば、尿素の量を、透析又は接線流濾過によって低下させることができ、又はpHを、酸又は塩基の添加によって変化させることができる。
【0285】
分子内アニーリングのためのアニーリング温度及びアニーリング時間は、ssDNAオーバーハングの長さ、相補的ヌクレオチド対の数、及びG-C及びA-T対の百分率、及びssDNAオーバーハングの配列(相補的ヌクレオチド対の配置)と相関している。ある実施態様において、本明細書で提供される方法に提供されるssDNAオーバーハングは、セクション5.2.3に記載されるように、長さが任意の数のヌクレオチドを含む。ある実施態様において、本明細書で提供される方法に提供されるssDNAオーバーハングは、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、又は少なくとも50対の分子内相補的ヌクレオチド対を含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法に提供されるssDNAオーバーハングは、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、又は約50対の分子内相補的ヌクレオチド対を含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法に提供されるssDNAオーバーハングは、分子内相補的ヌクレオチド対のうち、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、又は少なくとも90%のG-C対を含む。ある実施態様において、本明細書で提供される方法に提供されるssDNAオーバーハングは、分子内相補的ヌクレオチド対のうち、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、又は約90%のG-C対を含む。
【0286】
さらに、本発明者らは、オーバーハングの濃度と相関するものであるDNA分子の濃度が、オーバーハングの分子内アニーリング及び分子間アニーリングの平衡及び動力学に影響を及ぼすことがあることを認識している。理論にとらわれたりその他の点で理論に限定されたりするものではないが、オーバーハングの濃度が高すぎる場合には、オーバーハングの間の分子間接触の確率が増加し、その場合には、上述のような低い濃度でみられる分子間接触に対する分子内接触の速度論的な優位性が低下する。
【0287】
上述のように、いくつかの実施態様において、分子内相互作用が速い速度で生じることがあり、分子間相互作用が、遅い速度で生じる。いくつかの実施態様において、3つ又はそれを超える分子(例えば、3つの異なる鎖)が関与する塩基対相互作用が、最も低い速度で生じる。いくつかの実施態様において、分子間相互作用に対する分子内相互作用の速度論的比率(kinetic rate)は、各分子の濃度に支配される。いくつかの実施態様において、DNA鎖の濃度が低いほど、分子内相互作用が速度論的に速く、又は分子内力が大きい。
【0288】
個別に見ると、IR又はITRの各相補的ドメインを形成する絶対自由エネルギーは、異なることがあり、鎖が変性状態からアニーリングされた状態へと遷移するときにより早期に局所的にフォールディングすることがあるIR又はITRの領域をもたらす。局所的にフォールディングされたドメイン(例えば、本セクション(セクション5.3.1)のどこか別の所及びセクション5.4に記載されているようなAAV2 ITRにおけるような中央のヘアピン又は分岐ヘアピン)の存在は、他の鎖との対形成に利用可能な塩基の量を減少させることができ、従って、分子間アニーリング又はハイブリダイゼーションの可能性を低下させ、平衡を分子間アニーリングから分子内アニーリング又はITR形成へとシフトさせることができる。
【0289】
従って、本開示は、アニーリング工程を、分子間アニーリングよりも分子内アニーリングに有利に働くさまざまな濃度で行うことができることを規定する。いくつかの実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、16以下、17以下、18以下、19以下、20以下、21以下、22以下、23以下、24以下、25以下、26以下、27以下、28以下、29以下、30以下、31以下、32以下、33以下、34以下、35以下、36以下、37以下、38以下、39以下、40以下、41以下、42以下、43以下、44以下、45以下、46以下、47以下、48以下、49以下、50以下、55以下、60以下、65以下、70以下、75以下、80以下、85以下、90以下、95以下、100以下、110以下、120以下、130以下、140以下、150以下、160以下、170以下、180以下、190以下、200以下、210以下、220以下、230以下、240以下、250以下、260以下、270以下、280以下、290以下、300以下、325以下、350以下、375以下、400以下、425以下、450以下、475以下、500以下、550以下、600以下、650以下、700以下、750以下、800以下、850以下、900以下、950以下、1000以下のng/μl濃度でアニーリングされる。ある実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、約230、約240、約250、約260、約270、約280、約290、約300、約325、約350、約375、約400、約425、約450、約475、約500、約550、約600、約650、約700、約750、約800、約850、約900、約950、約1000ng/μlの濃度でアニーリングされる。
【0290】
同様に、本開示は、アニーリング工程を、分子間アニーリングよりも分子内アニーリングに有利に働くさまざまなモル濃度で行うことができることを規定する。いくつかの実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、16以下、17以下、18以下、19以下、20以下、21以下、22以下、23以下、24以下、25以下、26以下、27以下、28以下、29以下、30以下、31以下、32以下、33以下、34以下、35以下、36以下、37以下、38以下、39以下、40以下、41以下、42以下、43以下、44以下、45以下、46以下、47以下、48以下、49以下、50以下、55以下、60以下、65以下、70以下、75以下、80以下、85以下、90以下、95以下、100以下、110以下、120以下、130以下、140以下、150以下、160以下、170以下、180以下、190以下、200以下、210以下、220以下、230以下、240以下、250以下、260以下、270以下、280以下、290以下、300以下、325以下、350以下、375以下、400以下、425以下、450以下、475以下、500以下、550以下、600以下、650以下、700以下、750以下、800以下、850以下、900以下、950以下、1000以下のnM濃度でアニーリングされる。ある実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、約230、約240、約250、約260、約270、約280、約290、約300、約325、約350、約375、約400、約425、約450、約475、約500、約550、約600、約650、約700、約750、約800、約850、約900、約950、約1000nMの濃度でアニーリングされる。いくつかのさらなる実施態様において、ssDNAオーバーハングは、1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、16以下、17以下、18以下、19以下、20以下のμM濃度でアニーリングされる。さらに別の実施態様において、ssDNAオーバーハングは、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20μMの濃度でアニーリングされる。特定の一実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約10nMの濃度でアニーリングされる。別の具体的な実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約20nMの濃度でアニーリングされる。さらに別の具体的な実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約30nMの濃度でアニーリングされる。さらに具体的な実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約40nMの濃度でアニーリングされる。さらに別の特定の実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約50nMの濃度でアニーリングされる。別の具体的な実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約60nMの濃度でアニーリングされる。特定の一実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約10ng/μlの濃度でアニーリングされる。別の具体的な実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約20ng/μlの濃度でアニーリングされる。さらに別の具体的な実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約30ng/μlの濃度でアニーリングされる。さらに具体的な実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約40ng/μlの濃度でアニーリングされる。特定の一実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約50ng/μlの濃度でアニーリングされる。別の具体的な実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約60ng/μlの濃度でアニーリングされる。さらに別の具体的な実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約70ng/μlの濃度でアニーリングされる。特定の一実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約80ng/μlの濃度でアニーリングされる。別の具体的な実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約90ng/μlの濃度でアニーリングされる。さらに別の具体的な実施態様において、ssDNAオーバーハングは、前記DNA分子について約100ng/μlの濃度でアニーリングされる。
【0291】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法に提供されるssDNAオーバーハングは、表3に挙げられる任意の配列を含む。
(表3: ssDNAオーバーハングの配列及びアニーリング後の対応する構造)
【表3】
【0292】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子の構造は、2、3、4、5、10、又は20サイクルの変性/再生(例えば、セクション5.2.3に記載される変性及び本セクション(セクション5.2.5)に記載される再アニーリング)後に同一である。DNA構造は、エネルギー最小の又はその付近の構造のアンサンブル(総体)によって記述することができる。ある実施態様において、アンサンブルDNA構造は、2、3、4、5、10、又は20サイクルの変性/再生後に同一である。一実施態様において、本明細書で提供されるITR又はIRから形成されるフォールディングされたヘアピン構造は、2、3、4、5、10、又は20サイクルの変性/再生後に同一である。別の実施態様において、フォールディングされたヘアピンのアンサンブル構造は、2、3、4、5、10、又は20サイクルの変性/再生後に同一である。
【0293】
(5.2.6 エキソヌクレアーゼとインキュベートすること)
本開示は、セクション3に記載されているようなエキソヌクレアーゼとインキュベートする工程を提供する。エキソヌクレアーゼは、DNA分子の末端(エキソ)からヌクレオチドを切断する。エキソヌクレアーゼは、5’から3’方向に、3’から5’方向に、又は双方向にヌクレオチドを切断することができる。ある実施態様において、本明細書で提供される方法における使用のためのエキソヌクレアーゼは、配列特異性を示さずにヌクレオチドを切断する。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法における使用のためのエキソヌクレアーゼは、前記第5及び第6の制限部位を認識し切断する1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼによって又はセクション3で提供されるプラスミド又は該プラスミドの断片を切断する制限酵素によって生成された末端を含むDNA断片を消化する。
【0294】
本技術分野において知られておりかつ用いられているさまざまなエキソヌクレアーゼを、本明細書で提供される方法に使用することができる。本方法における使用のための制限酵素の実施態様として提供されるエキソヌクレアーゼの例示的なリストが、neb.com/products/dna-modifying-enzymes-and-cloning-technologies/nucleasesで入手可能でありかつその全体が引用により本明細書に組み込まれるNew England Biolabsのカタログに記載されている。所望の消化の百分率を達成するための温度、塩濃度、pH、緩衝試薬、ある種の界面活性剤の有無、及びインキュベーション期間を含む、さまざまなエキソヌクレアーゼがDNA分子を消化する条件が、本明細書で提供されるさまざまなエキソヌクレアーゼに対して知られている。これらの条件は、制限酵素のさまざまな供給業者、例えば、New England BioLabsのウエブサイト又はカタログから容易に入手可能である。本開示は、前記DNA分子を前記制限酵素とインキュベートする工程が、本技術分野において知られておりかつ実践されているインキュベーション条件に従って行われることを規定する。
【0295】
エキソヌクレアーゼをインキュベートする工程は、ヘアピン末端DNA分子をインタクトなままで残しつつ、1つ以上の末端を有するDNA分子を選択的に消化する。セクション5.2.5及び5.4の記載から明らかであるように、ヘアピン末端DNA分子は、0個、1個、2個、又はそれを超えるニックを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法における使用のためのエキソヌクレアーゼは、環状ssDNA/dsDNA分子又は1つ以上のニックを含むが末端は含まないDNA分子をインタクトなままで残しつつ、1つ以上の末端を有するDNA分子を選択的に消化するエキソヌクレアーゼとすることができる。一実施態様において、本明細書で提供される方法における使用のためのエキソヌクレアーゼを、エキソヌクレアーゼV(RecBCD)とすることができる。一実施態様において、本明細書で提供される方法における使用のためのエキソヌクレアーゼを、エキソヌクレアーゼVIII又は切断型エキソヌクレアーゼVIIIとすることができる。エキソヌクレアーゼV(RecBCD)、エキソヌクレアーゼVIII、及び切断型エキソヌクレアーゼVIIIは、本段落で記載する選択性を含む。ある実施態様において、本明細書で提供される方法における使用のためのエキソヌクレアーゼは、1つ以上のニックから開始してDNA分子の直鎖状セグメントを選択的に消化するが、フォールディングされたヘアピンを通って進行することはできず、消化を該ヘアピンで終了させ、ssDNAをあとに残すエキソヌクレアーゼとすることができる。ある実施態様において、1つ以上のニック及び/又は二本鎖切断を開始させるために用いるエキソヌクレアーゼは、T7エキソヌクレアーゼとすることができる。他の適当なエキソヌクレアーゼも、例えば、New England BioLabsを含む、エキソヌクレアーゼのさまざまな供給業者のウエブサイトやカタログに記載されているように、本技術分野において知られて用いられており、本明細書で提示される。
【0296】
いくつかの実施態様において、エキソヌクレアーゼ処理後に、本開示のDNA分子は、原核生物の骨格配列を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、骨格は、2つのITRの間の発現カセットを包含する配列の一部ではないプラスミド配列を意味する。いくつかの実施態様において、骨格は、2つのITRの間の発現カセットを包含する配列の一部ではないベクター配列を意味する。いくつかの実施態様において、本開示の単離DNA分子は、元のプラスミドの原核生物骨格配列を100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、又は90%含まない。
【0297】
(5.2.7 リガーゼを用いてニックを修復すること)
本開示は、セクション3に記載されるリガーゼを用いて前記ニックを修復する任意選択工程を提供する。DNAリガーゼは、1つ以上の新たな共有結合を形成することによってDNA分子の2つの末端の連結を触媒する。例えば、よく使用されるT4 DNAリガーゼは、DNA内の並置された5'リン酸末端及び3'ヒドロキシル末端間のホスホジエステル結合の形成を触媒する。リガーゼによって触媒されて2つのDNA分子を繋ぐ新たな共有結合の形成は、「ライゲーション」と呼ばれる。ある実施態様において、本明細書で提供される方法における使用のためのDNAリガーゼは、配列特異性を示さずにヌクレオチドをライゲーションする。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法における使用のためのDNAリガーゼは、セクション5.4に記載されるDNA分子の1つのニックにおいて2つの末端をライゲーションし、それによって、該1つのニックを修復する。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法における使用のためのDNAリガーゼは、セクション5.4に記載されるDNA分子の2つのニックにおいてそれぞれの2つの末端の対をライゲーションし、それによって、該2つのニックを修復する。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法における使用のためのDNAリガーゼは、セクション5.4に記載されるDNA分子の全てのニックにおいてそれぞれの2つの末端の対をライゲーションし、それによって、該DNA分子の全てのニックを修復する。セクション5.4に記載されるDNA分子が、セクション5.4に記載されるDNA分子の全てのニックが修復された後に環状DNAを形成する場合には。セクション5.4に記載されるように、いくつかの実施態様において、セクション5.4に記載されるDNA分子は、2つのニックからなる。ある実施態様において、セクション5.4に記載されるDNA分子は、2つのニックを含む。別の実施態様において、セクション5.4に記載されるDNA分子は、1つのニックからなる。さらに別の実施態様において、セクション5.4に記載されるDNA分子は、1つのニックを含む。
【0298】
いくつかの実施態様において、リガーゼを用いて前記ニックを修復する工程は、本技術分野において知られておりかつ実践されているインキュベーション条件によって行うことができる。
【0299】
本技術分野において知られておりかつ用いられているさまざまなリガーゼを、本明細書で提供される方法に使用することができる。本方法における使用のためのリガーゼの実施態様として提供されるリガーゼの例示的なリストが、neb.com/products/dna-modifying-enzymes-and-cloning-technologies/dna-ligases/dna-ligasesで入手可能でありかつその全体が引用により本明細書に組み込まれるNew England Biolabsのカタログに記載されている。所望の消化の百分率を達成するための温度、塩濃度、pH、緩衝試薬、ある種の界面活性剤の有無、及びインキュベーション期間を含む、さまざまなリガーゼがDNA分子を消化する条件が、本明細書で提示されるさまざまなリガーゼに対して知られている。これらの条件は、制限酵素のさまざまな供給業者、例えば、New England BioLabsのウエブサイト又はカタログから容易に入手可能である。ライゲーション条件も、ライゲーションされるべき2つのDNA末端の運動の自由度と相関している。例えば、両末端が共通のDNA鎖にアニーリングすることによって、2つのDNA末端を互いの近くに連れてくることができるか、又は2つのDNA末端が、互いの近くに来る確率が高い場合には、ライゲーションを強化することができる。一実施態様において、本セクション(セクション5.2.7)で提供される方法の工程は、リガーゼを用いてニックを修復し、環状DNAを生成させ、ここで、セクション5.4に記載されるDNA分子のいずれかのニックにおける2つのDNA末端は、共通のDNA鎖にアニーリングしている。いくつかの実施態様において、リガーゼを用いて前記ニックを修復する工程が、本技術分野において知られておりかつ実践されているインキュベーション条件に従って行われる。
【0300】
ある実施態様において、本セクション5.2で提供される方法を使用して、本明細書に記載されるヘアピン末端DNA分子を大スケール、高収率、及び/又は高純度で作製することができる。ある実施態様において、大スケール、高収率、及び/又は高純度は、単一の反応容器内で達成することができる。ある実施態様において、大スケールは、少なくとも1mg、10mg、100mg、1g、10g、100g、1kg、又は少なくとも10kgである。ある実施態様において、高収率は、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は少なくとも99%の収率である(インプットとして使用されるプラスミドコピーの数と生成物としてのヘアピン末端DNA分子の数とを比較する)。ある実施態様において、高純度は、本明細書で提供される方法の結果としての生成物としてのヘアピン末端DNA分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、又は少なくとも99%の純度である。
【0301】
(5.3 本方法で用いられるDNA分子)
本開示は、上記セクション3に記載される本明細書で提供される方法における使用のためのDNA分子のさまざまな態様及び実施態様を提供する。一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0302】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されるもの)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載されるか又は
図2A及び
図2Cに示される)、前記第2の逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0303】
さらに別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復、を含む二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0304】
さらなる態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載されるか又は
図2B及び
図2Cに示される)、前記第2の逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0305】
一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1及び第2の標的部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第3及び第4の標的部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復、を含む二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0306】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されるもの)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1及び第2の標的部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第3及び第4の標的部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載されるか又は
図2A及び
図2Cに示される)、前記第2の逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0307】
さらに別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1及び第2の標的部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第3及び第4の標的部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0308】
さらなる態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されるもの)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1及び第2の標的部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第3及び第4の標的部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載されるか又は
図2B及び
図2Cに示される)、前記第2の逆方向反復、を含む二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。一実施態様において、本段落及び直前の3つの段落におけるプログラム可能なニッキング酵素用の第1、第2、第3、及び第4の標的部位は全て、同一である。別の実施態様において、本段落及び直前の3つの段落におけるプログラム可能なニッキング酵素用の第1、第2、第3、及び第4の標的部位のうちの3つが、同一である。さらに別の実施態様において、本段落及び直前の3つの段落におけるプログラム可能なニッキング酵素用の第1、第2、第3、及び第4の標的部位のうちの2つが、同一である。さらなる実施態様において、本段落及び直前の3つの段落におけるプログラム可能なニッキング酵素用の第1、第2、第3、及び第4の標的部位は全て異なる。
【0309】
本明細書で提供されるDNA分子は、セクション3及び本セクション(セクション5.3)の上述の段落に記載されているように、さまざまな特徴を含み、又はさまざまな実施態様を有しており、これらの特徴及び実施態様は、以下のさまざまなサブセクションにさらに記載される。即ち、第1の逆方向反復及び/又は第2の逆方向反復を含む逆方向反復についての実施態様が、セクション5.3.1に記載され、制限酵素、ニッキングエンドヌクレアーゼ、及びそれらのそれぞれの制限部位についての実施態様が、セクション5.3.2及び5.2.4に記載され、プログラム可能なニッキング酵素及びその標的部位についての実施態様が、セクション5.2.4に記載され、発現カセットについての実施態様が、セクション5.3.3に記載され、プラスミド及びベクターについての実施態様が、セクション5.3.5に記載され、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位を4つ未満含むDNA分子についての実施態様が、セクション5.3.6に記載される。従って、本開示は、DNA分子のさまざまな実施態様の任意の順列及び組合せを含むDNA分子、並びに本明細書に記載されるDNA分子の特徴の実施態様を提供する。さらなる実施態様において、ITR、発現カセット、ニッキングエンドヌクレアーゼ又は制限酵素用の制限部位、並びにプログラム可能なニッキング酵素及びその標的部位の配置は、セクション5.2.3、5.2.4、5.2.5、5.3.1、5.3.2、5.3.3、5.3.6、及び5.4に記載されているように任意の配置とすることができる。
【0310】
一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1のウイルス複製欠損性逆方向反復(例えば、セクション5.3.1及びセクション5.3.4に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、5.3.2、及び5.3.4に記載)、前記第1のウイルス複製欠損性逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載);及びiii)第2のウイルス複製欠損性逆方向反復(例えば、セクション5.3.1及びセクション5.3.4に記載)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2のウイルス複製欠損性逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1のウイルス複製欠損性逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2のウイルス複製欠損性逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1のウイルス複製欠損性逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2のウイルス複製欠損性逆方向反復を含む。
【0311】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1のウイルス複製欠損性逆方向反復(例えば、セクション5.3.1及び5.3.4に記載)であって、ニッキングが、をもたらすように a セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1のウイルス複製欠損性逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載);及びiii)第2のウイルス複製欠損性逆方向反復(例えば、セクション5.3.1及びセクション5.3.4に記載)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載されるか又は
図2A及び
図2Cに示される)、前記第2のウイルス複製欠損性逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1のウイルス複製欠損性逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2のウイルス複製欠損性逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1のウイルス複製欠損性逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2のウイルス複製欠損性逆方向反復を含む。
【0312】
さらに別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1のウイルス複製欠損性逆方向反復(例えば、セクション5.3.1及び5.3.4に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1のウイルス複製欠損性逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載);及びiii)第2のウイルス複製欠損性逆方向反復(例えば、セクション5.3.1及び5.3.4に記載)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2のウイルス複製欠損性逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1のウイルス複製欠損性逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2のウイルス複製欠損性逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1のウイルス複製欠損性逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2のウイルス複製欠損性逆方向反復を含む。
【0313】
さらなる態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1のウイルス複製欠損性逆方向反復(例えば、セクション5.3.1及び5.3.4に記載)であって、ニッキングが、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載されるボトム鎖)をもたらすようにニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第1のウイルス複製欠損性逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載);及びiii)第2のウイルス複製欠損性逆方向反復(例えば、セクション5.3.1及びセクション5.3.4に記載)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載されるか又は
図2B及び
図2Cに示される)、前記第2のウイルス複製欠損性逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1のウイルス複製欠損性逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2のウイルス複製欠損性逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1のウイルス複製欠損性逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2のウイルス複製欠損性逆方向反復を含む。
【0314】
本明細書で提供されるDNA分子は、その自然なままの環境にあるDNA分子又は単離DNA分子とすることができる。ある実施態様において、DNA分子は、その自然なままの環境にあるDNA分子である。いくつかの実施態様において、DNA分子は、単離DNA分子である。一実施態様において、単離DNA分子は、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%純度のDNA分子とすることができる。別の実施態様において、単離DNA分子は、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%純度のDNA分子とすることができる。純度の観点での本明細書で提供される単離DNA分子の他の実施態様が、セクション5.3.7でさらに記載され、それは、本段落で提供される実施態様との任意の適当な組合せで組み合わせることができる。
【0315】
DNA分子は、完全に工学的に作製(例えば、合成により製造又は組換えにより製造)できるために、セクション3及び本セクション5.3のものを含む本明細書で提供されるDNA分子は、セクション5.3.4でさらに記載されるように特定の配列や特徴を欠くこともある。
【0316】
(5.3.1 逆方向反復)
セクション3及び本セクション(セクション5.3.1)で提供されるITR又はIRは、例えば、セクション3、5.2.3、5.2.4、及び5.2.5に記載される方法の工程を行うと、セクション5.4で提供されるヘアピン末端DNA分子内にヘアピン化ITRを形成することができる。従って、いくつかの実施態様において、セクション3及び本セクション(セクション5.3.1)で提供されるITR又はIRは、セクション3及びセクション5.4で提供される任意のIR又はITRの実施態様及び本セクション(セクション5.3.1)で提供される追加の実施態様を、任意の組合せで含むことができる。
【0317】
細胞中のDNAの大部分は、大部分の官能基を隔離しかつ構造的多様性及び機能的多様性を制限するワトソン・クリック塩基対形成で結合した2本の鎖を含む。その機能が遺伝情報を保管することである分子にとっては望ましい性質ではあるが、一本鎖ウイルスは、直鎖状一本鎖DNA(ssDNA)の分子内相互作用を利用して別の層の機能的複雑性を追加する二次構造を形成するように進化している。主要な寄与因子の1つは、これらのssDNAウイルスゲノムが、自らの上に折り返されてヘアピンを形成する1本のストランドのみで構成されることである。
【0318】
一本鎖DNA分子の二次構造は、初めのDNA配列に基づく、構成ヌクレオチドの間に形成される相補的な塩基対形成のパターンを表現するものとすることができる。4種の文字(各ヌクレオチド種につき1つ)の連続として表わされる配列は、一般に、熱力学的相互作用によって支配される最低の自由エネルギーを伴って異なる二次構造を形成すると考えられているヌクレオチドからなる一本鎖である。
【0319】
「逆方向反復」又は「IR」は、回文配列領域を含む一本鎖核酸配列を意味する。この回文構造領域は、ヌクレオチドの配列と、その反転相補配列(reverse complement)、すなわち、以下でさらに説明されるような「回文配列」を、以下でさらに説明される同一の鎖上に含む。塩基間の疎水性スタッキング引力が無効とされる状態にあることを意味する変性状態では、IR核酸配列は、ランダムコイル状態で存在する(例えば、高温、化学薬品の存在、高pHでなど)。条件が、より生理学的なものとなるにつれて、該IRは、フォールディングして最も外側の領域が塩基対形成によって非共有結合的に一緒に保持される二次構造を形成することができる。いくつかの実施態様において、IRは、ITRとすることができる。ある実施態様において、IRは、ITRを含む。いくつかの実施態様において、IRは、ヘアピン化逆方向反復とすることができる。ある実施態様において、逆方向反復は、それ自身の上にフォールディングされると、DNA鎖がフォールディングして同一の鎖の別のセクションと塩基対を形成する場合に一本鎖DNAの対不形成ループが形成されるヘアピンループ(別名:ステムループ)を形成することができる。フォールディングされると、逆方向反復は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のそのようなヘアピンループ構造を含むことができる。
【0320】
「逆方向末端反復」、「末端反復」、「TR」、又は「ITR」は、一本鎖DNA分子の末端又はその近くにある逆方向反復領域、dsDNA分子の一本鎖オーバーハングに又はその内部にある逆方向反復を意味する。ITRは、該ITRにおける回文配列の結果としてそれ自体の上にフォールディングすることができる。一実施態様において、ITRは、ssDNAの一方の末端に又はその近くにある。別の実施態様において、ITRは、dsDNAの一方の末端に又はその近くにある。さらに別の実施態様において、2つのITRはそれぞれ、ssDNAの2つのそれぞれの末端に又はその近くにある。さらなる実施態様において、2つのITRはそれぞれ、dsDNAの2つのそれぞれの末端に又はその近くにある。いくつかの実施態様において、ssDNA又はdsDNAの非ITR部分は、該ITRに対して異種のものである。ある実施態様において、ssDNA又はdsDNAの非ITR部分は、ITRに対して相同のものである。塩基間の疎水性スタッキング引力が無効とされる状態にあることを意味する変性状態では、ITRを含む核酸配列は、ランダムコイル状態で存在する(例えば、高温、化学薬品の存在、高pHでなど)。いくつかの実施態様において、条件が、セクション5.2.5に記載されるアニーリングにより適したものとなるにつれて、ITRが、それ自体の上にフォールディングして、dsDNAの異種非ITR部分をインタクトなままとしつつ、塩基対形成によって非共有結合的に一緒に保持される構造を形成することができるか、又はssDNA分子の異種非ITR部分が、該異種DNA分子の反転相補配列を含む第2のssDNA分子とハイブリッド形成することができる。結果として得られる2本のハイブリッド形成したDNA鎖の複合体は、3つの別個の領域、すなわち、順番に、第2のフォールディングされた一本鎖ITRに共有結合的に連結された二本鎖DNA領域に共有結合的に連結された第1のフォールディングされた一本鎖ITRを含む。ある実施態様において、ITR配列は、セクション3、5.2.4、及び5.3.2に記載されるニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位のうちの1つを起点とし、dsDNAの前の最後の塩基を終点とすることができる。一実施態様において、直鎖状二本鎖DNA分子とは対照的に、DNA分子の両末端でトップ及びボトム鎖の5’及び3’末端に存在するITRは、内側にフォールディングして互いに向かい合うことができ(例えば、3'が5'に、5'が3'に、又は逆もまた同様である)、従って、核酸二本鎖の両側の自由な5’又は3’末端を露出させることはない。ITRが、それ自体の上にフォールディングする場合、いくつかの実施態様においては、フォールディングされたITR内のdsDNAを、DNA分子の非ITR部分のdsDNAの直ぐ隣として、dsDNAと隣接するニックを生成させることができ、又は別の実施態様において、フォールディングされたITR内のdsDNAを、DNA分子の非ITR部分のdsDNAからヌクレオチド1つ以上離して、dsDNAと隣接する「ssDNAギャップ」を生成させることができる。非ITR DNA配列の両側に位置する2つのITRは、「ITR対」と称される。いくつかの実施態様において、ITRが、フォールディングされた状態をとる場合、それは、エキソヌクレアーゼ消化(例えば、エキソヌクレアーゼV)に対して、例えば、37℃で1時間を超える期間抵抗性となる。
【0321】
フォールディングしてその二次構造をとるITRの末端塩基と、DNAハイブリッド化二本鎖の末端塩基の間の境界は、ニック又はssDNAギャップの両側に位置する塩基対の間のスタックキング相互作用(例えば、同軸スタッキング)によってさらに安定化することができ、これらの相互作用は、配列依存性がある。ニックに類似の構造の場合には、2つのコンホメーションの間の平衡が、存在することもあり、ここで、第1のコンホメーションは、ニックの両側に位置する塩基対の間のスタッキングが保存されているインタクトな二重らせんのそれに非常に近く、もう一方のコンホメーションは、ニック部位でのスタッキングの完全な喪失に対応し、従って、DNAにねじれを誘導する。ニッキングされた分子は、ポリアクリルアミド及びアガロースゲル電気泳動の間に、同じサイズのインタクトな分子よりも幾分遅く移動することが知られている。ある場合には、この遅延は、より高い温度で強化される。ニックのスタッキングされた/直鎖状のコンホメーションとスタッキングされていない/曲げられたコンホメーションの間の迅速な平衡化が、ゲル電気泳動の間のDNA分子の移動度に直接影響を及ぼす、ニックを有するDNA分子に特徴的な特異な遅延をもたらすと考えられる。
【0322】
理論にとらわれるものではないが、細胞タンパク質は、平行な5’及び3’末端を二本鎖切断として認識することができ、これらに結合してプロセシングすることができ、このことが、細胞内のDNAの運命に有害な影響を及ぼすことがあると考えられる。従って、ITRは、セクション3及び5.4並びに本セクション(セクション5.3.1)で提供されるようなITRを有する発現カセットの早期の望まれない分解を、その2つの末端のうちの一方又は双方において防止することができる。
【0323】
ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位を向かい合う鎖上かつ逆方向反復の近くに配置すること、及びそれに続く該逆方向反復のボトム鎖からのトップ鎖の分離によって、結果として得られるオーバーハングは、それ自体の上に折り返されて、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位を少なくとも1つ含む二本鎖末端を形成することができる。いくつかの実施態様において、フォールディングされたITRは、ウイルスITRの二次構造コンホメーションに類似している。一実施態様において、ITRは、ボトム鎖の5’末端及び3’末端の双方に位置する(例えば、左のITR及び右のITR)。別の実施態様において、ITRは、トップ鎖の5’末端及び3’末端の双方に位置する。さらに別の実施態様において、一方のITRが、トップ鎖の5’末端に位置し、かつ他方のITRが、ボトム鎖の反対側の末端に位置する(例えば、左のITRがトップ鎖上の5’末端、右のITRがボトム鎖の5’末端)。さらに別の実施態様において、一方のITRが、トップ鎖の3’末端に位置し、他方のITRが、ボトム鎖の3’末端に位置する。
【0324】
いくつかの態様において、本開示は、回文配列を含むDNA分子を提供する。「回文配列」又は「パリンドローム」は、折り返されて分子内アニーリングに有利に働く条件下で自己相補的な領域においてdsDNAの区間を形成することができる自己相補的なDNA配列である。いくつかの実施態様において、回文配列は、順方向に読み取られた場合に相補鎖上で逆方向に読み取られた場合と同一となる連続したポリヌクレオチドの区間を含む。一実施態様において、回文配列は、順方向に読み取られた場合に相補鎖上で逆方向に読み取られた場合と同一となるポリヌクレオチドの区間であって、非回文構造のポリヌクレオチドの区間1つ以上によって中断されている、そのような区間を含む。別の実施態様において、回文配列は、順方向に読み取られた場合に相補鎖上で逆方向に読み取られた場合と50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一となるポリヌクレオチドの区間を含む。さらに別の実施態様において、回文配列は、順方向に読み取られた場合に相補鎖上で逆方向に読み取られた場合と50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一となるポリヌクレオチドの区間であって、非回文構造のポリヌクレオチドの区間1つ以上によって中断されている、そのような区間を含む。1つ以上の回文配列をコードするssDNAは、それ自体の上に折り返されて、二次構造(例えば、ヘアピンループ、又は三方向接合部(three-way junction))を備える二本鎖塩基対を形成することができる。
【0325】
例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.2.5に記載されているような適当な条件下で、本セクション(セクション5.3.1)で提供されるIR又はITRは、フォールディングして、ステム、主ステム、ループ、転換点(turning point)、バルジ、分岐、分岐ループ、内部ループ、及び/又はセクション5.4に記載される構造的な特徴の任意の組合せ又は順列を含む、本セクション(セクション5.3.1)及びセクション5.4に記載されるようなヘアピン構造を形成することができる。
【0326】
一実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のIR又はITRは、1つ以上の回文配列を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるIR又はITRは、主ステムドメインを形成することに加えて、分岐ヘアピン構造を形成することができる回文配列又はドメインを含む。いくつかの実施態様において、IR又はITRは、任意の数の分岐ヘアピンを形成することができる回文配列を含む。具体的なある実施態様において、IR又はITRは、1~30個の分岐ヘアピン、又は1~30のうちの任意の部分範囲の個数の分岐ヘアピンを形成することができる回文配列を含む。いくつかの特定の実施態様において、IR又はITRは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個の分岐ヘアピンを形成することができる回文配列を含む。いくつかの実施態様において、IR又はITRは、三方向接合ドメイン(T形)をもたらす2つの分岐ヘアピン構造を形成することができる配列を含む。いくつかの実施態様において、IR又はITRは、4方向接合ドメイン(又は十字形の構造)をもたらす3つの分岐ヘアピン構造を形成することができる配列を含む。いくつかの実施態様において、IR又はITRは、非T形ヘアピン構造、例えば、U形ヘアピン構造を形成することができる配列を含む。いくつかの実施態様において、IR又はITRは、一連のバルジ及び塩基対ミスマッチを含む中断されたU形ヘアピン構造を形成することができる配列を含む。いくつかの実施態様において、分岐ヘアピンは全て、同じ長さのステム及び/又はループを有する。いくつかの実施態様において、一方の分岐ヘアピンは、他方の分岐ヘアピンよりも小さい(例えば、切断されている)。ヘアピン構造のいくつかの例示的な実施態様及びヘアピン構造の構造的要素を、
図1に示す。
【0327】
「ヘアピン閉鎖塩基対(hairpin closing base pair)」は、対不形成ループ配列に続く最初の塩基対を意味する。特定のステムループ配列は、好ましい閉鎖塩基対(例えば、AAV2 ITRにおけるGC)を有する。一実施態様において、ステムループ配列は、閉鎖塩基対としてG-C対を含む。別の実施態様において、ステムループ配列は、閉鎖塩基対としてC-G対を含む。
【0328】
「ITR閉鎖塩基対」は、フォールディングされたITR内で塩基対を形成する最初及び最後のヌクレオチドを意味する。末端塩基対は、通常、DNA分子の非ITR配列(例えば、発現カセット)に最も近い主ステムドメインのヌクレオチドの対である。ITR閉鎖塩基対は、任意の種類(例えば、CG、AT、GC、又はTA)とすることができる。一実施態様において、ITR閉鎖塩基対は、G-C塩基対である。別の実施態様において、ITR閉鎖塩基対は、A-T塩基対である。さらに別の実施態様において、ITR閉鎖塩基対は、C-G塩基対である。さらなる実施態様において、ITR閉鎖塩基対は、T-A塩基対である。
【0329】
本開示は、DNA二次構造が、本技術分野において知られておりかつ実践されているように計算的に予測できることを規定する。DNA二次構造は、いくつかの方法:スクイグルプロット(squiggle plot)、グラフ表示法(graph representation)、ドット-ブラケット表記法、環状プロット、円弧図、マウンテンプロット、ドットプロットなどで表すことができる。環状プロットでは、骨格が、丸によって表され、塩基対が、丸の内部に円弧によって表される。円弧図では、DNA骨格が、直線として描かれ、各塩基対のヌクレオチドが、円弧によって連結される。環状及び円弧プロットは双方とも、二次構造の類似性及び相違の特定を可能にする。
【0330】
DNA二次構造予測のための多くの方法のうちの1つは、最隣接モデルを用いており、DNA構造に関連する総自由エネルギーを最小化する。最小自由エネルギーは、塩基対スタッキング、ヘアピン、バルジ、内部ループ、及び多分岐ループからの個々のエネルギー寄与を合計することによって推定される。これらの要素のエネルギー寄与は、配列及び長さに依存性があり、実験的に決定されている。配列のステムループ及びサブステムへの分離は、例えば、構造をグラフプロットとして示すことによって図示することができる。線状相互作用プロットでは、各残基が、横軸上に表され、半楕円形の線が、互いに対を成す塩基を結ぶ(例えば、
図2A及び
図B)。
【0331】
いくつかの実施態様において、ITRは、細胞の核における核酸分子の長期残存を促進する。いくつかの実施態様において、ITRは、細胞の核における核酸分子の永続的な残存を(例えば、該細胞の全寿命にわたって)促進する。いくつかの実施態様において、ITRは、細胞の核における核酸分子の安定性を高める。いくつかの実施態様において、ITRは、細胞の核における核酸分子の分解を阻害又は防止する。
【0332】
ある実施態様において、IR又はITRは、任意のウイルスITRを含むことができる。別の実施態様において、IR又はITRは、反復の最も外側の頂点又は転換点で5’又は3’末端を露出させないパリンドロームヘアピン構造を形成することができる合成の回文配列を含むことができる。
【0333】
いくつかの実施態様において、ITR閉鎖塩基対の一方のヌクレオチドからITR閉鎖塩基対の他方のヌクレオチドまで広がる一本鎖ITR配列は、生理的条件下で-10kcal/mol~-100 kcal/molの範囲のアンフォールディングのギブズ自由エネルギー(ΔG)を有する。一実施態様において、前述の文にいうアンフォールディングのギブズ自由エネルギー(ΔG)(kcal/mol)は、-10以下(≦-10を意味し、例えば、-20、-30などを含む)、-11以下、-12以下、-13以下、-14以下、-15以下、-16以下、-17以下、-18以下、-19以下、-20以下、-21以下、-22以下、-23以下、-24以下、-25以下、-26以下、-27以下、-28以下、-29以下、-30以下、-31以下、-32以下、-33以下、-34以下、-35以下、-36以下、-37以下、-38以下、-39以下、-40以下、-41以下、-42以下、-43以下、-44以下、-45以下、-46以下、-47以下、-48以下、-49以下、-50以下、-51以下、-52以下、-53以下、-54以下、-55以下、-56以下、-57以下、-58以下、-59以下、-60以下、-61以下、-62以下、-63以下、-64以下、-65以下、-66以下、-67以下、-68以下、-69以下、-70以下、-71以下、-72以下、-73以下、-74以下、-75以下、-76以下、-77以下、-78以下、-79以下、-80以下、-81以下、-82以下、-83以下、-84以下、-85以下、-86以下、-87以下、-88以下、-89以下、-90以下、-91以下、-92以下、-93以下、-94以下、-95以下、-96以下、-97以下、-98以下、-99以下、又は-100以下である。別の実施態様において、前述の文にいうアンフォールディングのギブズ自由エネルギー(ΔG)(kcal/mol)は、約-10(≦-10を意味し、例えば、-20、-30などを含む)、約-11、約-12、約-13、約-14、約-15、約-16、約-17、約-18、約-19、約-20、約-21、約-22、約-23、約-24、約-25、約-26、約-27、約-28、約-29、約-30、約-31、約-32、約-33、約-34、約-35、約-36、約-37、約-38、約-39、約-40、約-41、約-42、約-43、約-44、約-45、約-46、約-47、約-48、約-49、約-50、約-51、約-52、約-53、約-54、約-55、約-56、約-57、約-58、約-59、約-60、約-61、約-62、約-63、約-64、約-65、約-66、約-67、約-68、約-69、約-70、約-71、約-72、約-73、約-74、約-75、約-76、約-77、約-78、約-79、約-80、約-81、約-82、約-83、約-84、約-85、約-86、約-87、約-88、約-89、約-90、約-91、約-92、約-93、約-94、約-95、約-96、約-97、約-98、約-99、又は約-100である。いくつかの実施態様において、ITR閉鎖塩基対の一方のヌクレオチドからITR閉鎖塩基対の他方のヌクレオチドまでひろがるITR配列は、生理的条件下で、-26kcal/mol~-95kcal/molの範囲のアンフォールディングのギブズ自由エネルギー(ΔG)を有する。いくつかの実施態様において、ITR閉鎖塩基対の一方のヌクレオチドからITR閉鎖塩基対の他方のヌクレオチドまでひろがるITR配列は、生理的条件下での該ITR配列についてのアンフォールディングのギブズ自由エネルギー(ΔG)の全てに寄与する。
【0334】
いくつかの実施態様において、フォールディングされた状態では、一本鎖IR又はITRは、約50%~98%の総合ワトソン・クリック自己相補性(overall Watson-Crick self-complementarity)を有する。一実施態様において、フォールディングされた状態では、一本鎖IR又はITRは、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%の総合ワトソン・クリック自己相補性を有する。別の実施態様において、フォールディングされた状態では、一本鎖IR又はITRは、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の総合ワトソン・クリック自己相補性を有する。いくつかの実施態様において、フォールディングされた状態では、IR又はITRは、約60%~98%の総合ワトソン・クリック相補性を有する。いくつかの実施態様において、一本鎖IR又はITRは、約60~95%の総GC含量を有する。ある実施態様において、一本鎖IR又はITRは、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、又は少なくとも95%の総GC含量を有する。別の実施態様において、一本鎖IR又はITRは、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、又は約95%の総GC含量を有する。いくつかの実施態様において、一本鎖IRは、約60~91%の総GC含量を有する。
【0335】
表4は、例示的なITRのフォールディング自由エネルギー、GC含量、相補性の百分率、長さを一覧表示し、表5は、表4のITRの配列を一覧表示する。
(表4:例示的なITRのフォールディング自由エネルギー、GC含量、相補性の百分率、長さ)
【表4】
(表5: 表4のITRの配列)
【表5】
【0336】
本明細書で提供される方法及び組成物用のDNA分子は、さまざまな起源のIR又はITRを含むことができる。一実施態様において、DNA分子内のIR又はITRは、ウイルスITRである。「ウイルスITR」は、任意のウイルスの末端反復又は少なくとも1つの最低限必要な複製起点及びパリンドロームヘアピン構造を含む領域を含む合成配列を含む。一実施態様において、ウイルスITRは、パルボウイルス科に由来する。別の実施態様において、パルボウイルス科由来のウイルスITRは、少なくとも1つのウイルス複製関連タンパク質結合配列(「RABS」)を含む「最低限必要な複製起点」を含む。RABSは、パルボウイルス科の遺伝子Rep及び/又はNS1によってコードされるウイルスDNA複製関連タンパク質(「RAP」)又はそのアイソフォームが結合することができるDNA配列を意味する。いくつかの実施態様において、RABSは、Rep結合配列(「RBS」)である。いくつかの実施態様において、RABSは、Rep結合配列(「RBS」)を含み、Repは、ITR内部の2つのエレメントに結合することができる。これは、ITRのステム構造内のヌクレオチド配列(すなわち、ウイルス核酸分子の複製のためにRepタンパク質によって認識されるヌクレオチド配列)に結合することができる。そのようなRBSは、RBE(Rep結合エレメント)とも称される。また、Repは、ITR内部で内部ヘアピンの単一の先端を含む小さいパリンドロームを形成するヌクレオチド配列に結合することもでき、それによって、RepとITRとの間の結合を安定化する。そのようなRBSは、RBE’とも称される。別の実施態様において、パルボウイルス科由来のウイルスITRは、複製関連ウイルスタンパク質NS1が結合することができるNS1結合エレメント(「NSBE」)を含むRABSを含む。別の実施態様において、RABSは、複製関連ウイルスタンパク質NS1が結合することができるNS1結合エレメント(「NSBE」)である。いくつかの実施態様において、ウイルスITRは、パルボウイルス科由来であり、かつウイルスDNA複製関連タンパク質NS1及び/又はRepが、TRSにおいて配列内に内ヌクレオチド鎖分解性の(endonucleolytic)切れ目を入れることができる末端分離部位(「TRS」)を含む。さらに別の実施態様において、ウイルスITRは、少なくとも1つのRBS又はNSBE及び少なくとも1つのTRSを含む。ウイルス又は組換えRAP(すなわちRep又はNS1)ベースのウイルスゲノムの製造との関連で、ITRは、複製及びウイルスのパッケージングを媒介する。本発明者らによって予期せず発見され、本明細書で提供されるように、ウイルスITRに類似のITRを有する二本鎖の直鎖DNAベクターを、Rep又はNS1タンパク質を必要とすることなく、その結果、DNA複製をRABS又はTRS配列に依存せずに製造することができる。従って、RABS及びTRSは、任意に、本明細書で開示されるヌクレオチド配列内にコードすることができるが、必須ではなく、ITRの設計に関する柔軟性を提供する。一実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のITRは、少なくとも1つのRABS(例えば、1つのRABS、2つのRABS、又は3つ以上のRABS)を含まない。別の実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のITRは、任意のRABSを含まない。別の実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のITRは、少なくとも1つのRBSを含まない。別の実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のITRは、任意のRBSを含まない。別の実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のITRは、RBEを含まない。別の実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のITRは、RBE’を含まない。別の実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のITRは、RBE及びRBE’を含まない。別の実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のITRは、NSBEを含まない。さらに別の実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のITRは、TRSを含まない。さらなる実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のITRは、少なくとも1つのRABS(例えば、1つのRABS、2つのRABS、又は3つ以上のRABS)を含まず、かつTRSを含まない。さらなる実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のITRは、任意のRABSを含まず、かつTRSを含まない。さらなる実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のITRは、RBS(すなわち、RBE及び/もしくはRBE’)、TRS、又はRBS(すなわち、RBE及び/もしくはRBE’)並びにTRSの双方を含む。さらなる実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のITRは、NBSE、TRS、又はNBSE及びTRSの双方を含む。
【0337】
「ITR対」は、単一のDNA分子内の2つのITRを意味する。いくつかの実施態様において、ITR対における2つのITRは双方とも、その全長の全てにわたり逆相補配列を有する野生型ウイルスITR(例えば、AAV2 ITR)に由来する。ITRは、それが、標準的な天然に存在する配列から逸脱するヌクレオチドを1つ以上有しているとしても、その変化が、配列の性質及び総合的な三次元構造に影響を及ぼさない限りは、野生型配列と考えることができる。本開示は、いくつかの実施態様において、1つ以上のヌクレオチドの挿入、欠失、又は置換が、ウイルスITRの総合的な三次元構造を変化させることなくニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位を生じさせることができることを規定する。いくつかの態様において、逸脱するヌクレオチドは、保存的な配列変化を意味する。ある実施態様において、本明細書で提供されるITRの配列は、(例えば、BLASTをデフォルトの設定で用いて測定して)標準配列に対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有することができ、また、3D構造が、幾何学的空間において同一の形状となるように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位を有する。別の実施態様において、本明細書で提供されるITRの配列は、(例えば、BLASTをデフォルトの設定で用いて測定して)標準配列に対して約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%の配列同一性を有することができ、また、3D構造が、幾何学的空間において同一の形状となるようにニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位を有する。
【0338】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のDNA分子は、1組のwt-ITRを含む。具体的なある実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のDNA分子は、表6に示される群から選択される1組のwt-ITRを含む。表6は、AAV血清型1(AAV1)、AAV血清型2(AAV2)、AAV血清型3(AAV3)、AAV血清型4(AAV4)、AAV血清型5(AAV5)、AAV血清型6(AAV6)、AAV血清型7(AAV7)、AAV血清型8(AAV8)、AAV血清型9(AAV9)、AAV血清型10(AAV10)、AAV血清型11(AAV11)、又はAAV血清型12(AAV12);AAVrh8、AAVrhlO、AAV-DJ、及びAAV-DJ8ゲノム(例えば、NCBI: NC 002077; NC 001401 ; NC001729; NC001829; NC006152; NC 006260; NC 006261)、温血動物(トリAAV(AAAV)、ウシAAV(BAAV)、イヌ、ウマ、及びヒツジのAAV)由来のITR、B19パルボウイルス(GenBankアクセッションNo: NC 000883)、マウス由来の微小ウイルス(MVM)(GenBankアクセッションNo. NC 001510);ガチョウ:ガチョウパルボウイルス(GenBankアクセッションNo. NC 001701);ヘビ:ヘビパルボウイルス1(GenBankアクセッションNo. NC 006148)由来のITRを含む、同一の血清型もしくは異なる血清型、又は別のパルボウイルス由来の例示的なITRを示す。
(表6: 例示的なITR配列)
【表6】
【0339】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のDNA分子は、パルボウイルスのゲノムの全体又は一部を含む。パルボウイルスのゲノムは、直鎖状で、サイズが3.9~6.3kbであり、コード領域は、異なる(ヘテロテロメア、例えば、HBoV)又は同一(ホモテロメア、例えば、AAV2)のいずれかの、フォールディングしてヘアピン様構造となることができる末端反復で挟まれている。一実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のDNA分子は、該DNA分子の2つの末端に2つの異なるITRを含む。別の実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のDNA分子は、該DNA分子の2つの末端に2つの同一のITRを含む。さらに別の実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のDNA分子は、該DNA分子の2つの末端に2つのHBoV ITRに対応する2つの異なるITRを含む。さらなる実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のDNA分子は、該DNA分子の2つの末端にAAV2 ITRに対応する2つの同一のITRを含む。
【0340】
ある実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子内のITRは、AAV ITRとすることができる。別の実施態様において、ITRは、非AAV ITRとすることができる。一実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子内のITRは、AAV ITR又は非AAV TRから誘導することができる。いくつかの特定の実施態様において、ITRは、パルボウイルス及びディペンドウイルス(例えば、イヌパルボウイルス、ウシパルボウイルス、マウスパルボウイルス、ブタパルボウイルス、ヒトパルボウイルスB-19)を包含するパルボウイルス科のいずれか1つから誘導することができる。別の具体的な実施態様において、ITRは、SV40複製の起点として働くSV40ヘアピンから誘導することができる。パルボウイルス科のウイルスは、2つの亜科:脊椎動物に感染するパルボウイルス亜科(Parvovirinae)及び無脊椎動物に感染するデンソウイルス亜科(Densovirinae)からなる。従って、一実施態様において、ITRは、パルボウイルス亜科のいずれか1つから誘導することができる。別の実施態様において、ITRは、デンソウイルス亜科のいずれか1つから誘導することができる。
【0341】
T形のAAV ITRと比較すると、ヒトエリスロウイルスB19は、フォールディングして少数の対不形成ヌクレオチドを有する長い直鎖状二本鎖となり、一連の小さいが高度に保存されたミスマッチバルジを生じさせることができる、不完全なパリンドロームで終わるITRを有する。いくつかの実施態様において、任意のパルボウイルスのITRを、本明細書で提供されるDNA分子用のITR(例えば、野生型又は改変型ITR)として用いることができ、又は任意のパルボウイルスのITRが、改変及びその時の本明細書で提供されるDNA分子内への組み入れのためのテンプレートITRとして作用することができる。いくつかの特定の実施態様において、DNA分子のITRが誘導されるパルボウイルスは、ディペンドウイルス、エリスロパルボウイルス、又はボカパルボウイルスである。別の具体的な実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子のITRは、AAV、B19、又はHBoVから誘導される。ある実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子用に選択されるAAV ITRの血清型は、該血清型の組織向性に基づくことができる。AAV2は、広い組織向性を有し、AAV1は、ニューロン及び骨格筋を優先的に標的とし、AAV5は、ニューロン、網膜色素上皮細胞、及び視細胞を優先的に標的とする。AAV6は、骨格筋及び肺を優先的に標的とする。AAV8は、肝臓、骨格筋、心臓、及び膵臓組織を優先的に標的とする。AAV9は、肝臓、骨格、及び肺組織を優先的に標的とする。一実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子のITR又は改変ITRは、AAV2 ITRに基づくものである。一実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子のITR又は改変ITRは、AAV1 ITRに基づくものである。一実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子のITR又は改変ITRは、AAV5 ITRに基づくものである。一実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子のITR又は改変ITRは、AAV6 ITRに基づくものである。一実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子のITR又は改変ITRは、AAV8 ITRに基づくものである。一実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子のITR又は改変ITRは、AAV9 ITRに基づくものである。
【0342】
一実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のDNA分子は、1つ以上の非AAV ITRを含む。さらなる実施態様において、そのような非AAV ITRは、哺乳動物のゲノムにみられるヘアピン配列から誘導することができる。特定の一実施態様において、そのような非AAV ITRは、ステムループ構造をとり、ミトコンドリアDNAのDNA合成を開始させるのに関与するOriLヘアピン配列
【化1】
(その全体が引用により本明細書に組み込まれるFusteらの文献、Molecular Cell、37、67-78、1月15日、2010年を参照されたい)、を含むミトコンドリアのゲノムにみられるヘアピン配列から誘導することができる。別の具体的な実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のDNA分子は、2つの自己相補的回文構造領域とヘアピンの双方の頂点の12ヌクレオチドループを有するT接合部を形成するように鏡写しとされた、OriL配列から誘導されたITRを含む。一実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のDNA分子は、OriLヘアピンループ及びそれに続く対不形成バルジ及びGCリッチステムを維持している、OriL配列から誘導されるITRを含む。ミトコンドリアOriLから誘導されるITRのいくつかの例示的な実施態様を、
図2に示す。
【0343】
一実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のDNA分子は、アプタマーから誘導される1つ以上の非AAV ITRを含む。ウイルスITRと同様に、アプタマーは、フォールディングして三次元的構造を形成し、かつ生物学的標的を高い親和性及び高い特異性で認識する能力を有するssDNAで構成される。DNAアプタマーは、指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化(SELEX)によって作製することができる。例えば、一部のアプタマーが、ヒト細胞の核を標的とすることができることが既に示されている(その全体が引用により本明細書に組み込まれる、Shenらの文献、ACS Sens. 2019, 4, 6, 1612-1618を参照されたい)。一実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のDNA分子は、核ターゲティングアプタマーITR又はその誘導体を含み、ここで、該アプタマーは、核タンパク質に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、アプタマーITRは、フォールディングして、ヘアピン及び内部ループ、さらにバルジ及びステム領域などを含むことができる二次構造を形成する。から誘導されるアプタマー又はITRのいくつかの例示的な実施態様を、
図3に示す。
【0344】
いくつかの特定の実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のDNA分子は、1つ以上のAAV2 ITR、ヒトエリスロウイルスB19 ITR、ガチョウパルボウイルスのITR、及び/又はそれらの誘導体を任意の組合せで含む。別の具体的な実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のDNA分子は、AAV2 ITR、ヒトエリスロウイルスB19 ITR、ガチョウパルボウイルスのITR、及びそれらの誘導体から選択される2つのITRを、任意の組合せで含む。いくつかの特定の実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物用のDNA分子は、1つ以上のAAV2 ITR、ヒトエリスロウイルスB19 ITR、ガチョウパルボウイルスのITR、及び/又はそれらの誘導体を、任意の組合せで含み、ここで、該ITRは、それらのITRの回文構造領域が、発現カセットを基準として5’及び3’ ITR方向性の直接の、反対の、又は任意の考えられる組合せであるかどうかにかかわらず、機能的であるままである(その全体が引用により本明細書に組み込まれるWO2019143885に記載されている)。
【0345】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子内の改変されたIR又はITRは、本セクション(セクション5.3.1)に記載されるようなヘアピン二次構造形成を可能とするさまざまな回文配列に加えて、5’-GAGTC-3’などのエンドヌクレアーゼ用の制限部位を含む合成IR配列である。
【0346】
ある実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子内のIR又はITRは、本セクション(セクション5.3.1)に記載されるIR又はITR配列との配列相同性をさまざまに有するIR又はITRとすることができる。別の実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子内のIR又はITRは、本セクション(セクション5.3.1)に記載されるさまざまなITRの起源の公知のIR又はITR配列(例えば、ウイルスITR、ミトコンドリアITR、アプタマーなどの人工の又は合成ITRなど)との配列相同性をさまざまに有するIR又はITRとすることができる。一実施態様において、本段落で提供されるそのような相同性は、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の相同性とすることができる。別の実施態様において、本段落で提供されるそのような相同性は、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%の相同性とすることができる。
【0347】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子内のIR又はITRは、本セクション(セクション5.3.1)に記載されるいずれか1つ以上の特徴を、さまざまな順列及び組合せで含むことができる。
【0348】
(5.3.2 制限酵素、ニッキングエンドヌクレアーゼ、及びそれらそれぞれの制限部位;プログラム可能なニッキング酵素及びそれらの標的部位)
セクション5.2.4に記載されるニッキングエンドヌクレアーゼ、制限酵素、及び/又はそれらの制限部位のさまざまな実施態様が、本明細書で提供されるDNA分子に対して提供される。いくつかの実施態様において、セクション3及び本セクション(セクション5.3)に記載されるようなDNA分子に対して提供されるニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位は全て、同一のニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列とすることができる。いくつかの実施態様において、セクション3及び本セクション(セクション5.3)に記載されるようなDNA分子に対して提供されるニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位は、4つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列とすることができる。別の実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位は、該4つの部位を2つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ標的配列に割り当てるのに考えられる全ての組合せ(例えば、第1の制限部位を第1のニッキングエンドヌクレアーゼ用に、かつ残りの制限部位を、第2のニッキングエンドヌクレアーゼ用に、第1及び第2の制限部位を、第1のニッキングエンドヌクレアーゼ用に、かつ残りの制限部位を、第2のニッキングエンドヌクレアーゼ用になど)を含む、2つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列である。ある実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位は、該4つの部位を3つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ標的配列に割り当てるのに考えられる全ての組合せを含む、3つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列である。いくつかの実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ及び該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位は、表2を含むセクション5.2.4に記載されているものから選択されるいずれか1つとすることができる。さらなる実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位のそれぞれは、表2を含むセクション5.2.4に記載されるものから選択される任意のニッキングエンドヌクレアーゼ用の部位とすることができる。
【0349】
表7~表16は、ニッキングエンドヌクレアーゼ種によってグループ分けされた、同一のニッキングエンドヌクレアーゼ用の2つの逆平行認識部位を内部に有する例示的な改変AAV ITR配列を示す。ITRの改変配列並びにAAV1、AAV2、AAV3、AAV4左、AAV4右、AAV5、及びAAV7の野生型の対応アラインメントを、
図13~
図19に示す。
(表7: ニッキングエンドヌクレアーゼNb.BvCI用の逆平行認識部位を内部に有する例示的なAAV由来ITR)
【表7】
(表8: ニッキングエンドヌクレアーゼNb.BsmI用の逆平行認識部位を内部に有する例示的なAAV由来のITR)
【表8】
(表9: ニッキングエンドヌクレアーゼNb.BsrDI用の逆平行認識部位を内部に有する例示的なAAV由来のITR)
【表9】
(表10: ニッキングエンドヌクレアーゼNb.BssSi用の逆平行認識部位を内部に有する例示的なAAV由来のITR)
【表10】
(表11: ニッキングエンドヌクレアーゼNb.BtsI用の逆平行認識部位を内部に有する例示的なAAV由来のITR)
【表11】
(表12: ニッキングエンドヌクレアーゼNt.AlwI用の逆平行認識部位を内部に有する例示的なAAV由来のITR)
【表12】
(表13: ニッキングエンドヌクレアーゼNt.BbvCI用の逆平行認識部位を内部に有する例示的なAAV由来のITR)
【表13】
(表14: ニッキングエンドヌクレアーゼNt.BsmAI用の逆平行認識部位を内部に有する例示的なAAV由来のITR)
【表14】
(表15: ニッキングエンドヌクレアーゼNt.BspQI用の逆平行認識部位を内部に有する例示的なAAV由来のITR)
【表15】
(表16: ニッキングエンドヌクレアーゼNt.BstNBI用の逆平行認識部位を内部に有する例示的なAAV由来のITR)
【表16】
(表17: ニッキング酵素標的の反転相補配列)
【表17】
【0350】
ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1、第2、第3、及び第4の制限部位は、さまざまな構成で配置することができる。いくつかの実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位は、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65、少なくとも66、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70、少なくとも71、少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77、少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、少なくとも81、少なくとも82、少なくとも83、少なくとも84、少なくとも85、少なくとも86、少なくとも87、少なくとも88、少なくとも89、少なくとも90、少なくとも91、少なくとも92、少なくとも93、少なくとも94、少なくとも95、少なくとも96、少なくとも97、少なくとも98、少なくとも99、少なくとも100、少なくとも105、少なくとも110、少なくとも115、少なくとも120、少なくとも125、少なくとも130、少なくとも135、少なくとも140、少なくとも145、少なくとも150、少なくとも155、少なくとも160、少なくとも165、少なくとも170、少なくとも175、少なくとも180、少なくとも185、少なくとも190、少なくとも195、又は少なくとも200ヌクレオチド離れている。別の実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位は、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、約180、約185、約190、約195、又は約200ヌクレオチド離れている。
【0351】
同様に、ある実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位は、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65、少なくとも66、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70、少なくとも71、少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77、少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、少なくとも81、少なくとも82、少なくとも83、少なくとも84、少なくとも85、少なくとも86、少なくとも87、少なくとも88、少なくとも89、少なくとも90、少なくとも91、少なくとも92、少なくとも93、少なくとも94、少なくとも95、少なくとも96、少なくとも97、少なくとも98、少なくとも99、少なくとも100、少なくとも105、少なくとも110、少なくとも115、少なくとも120、少なくとも125、少なくとも130、少なくとも135、少なくとも140、少なくとも145、少なくとも150、少なくとも155、少なくとも160、少なくとも165、少なくとも170、少なくとも175、少なくとも180、少なくとも185、少なくとも190、少なくとも195、又は少なくとも200ヌクレオチド離れている。さらなる実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位は、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、約180、約185、約190、約195、又は約200ヌクレオチド離れている。
【0352】
本開示は、セクション3、5.2(5.2.3を含む)、及び5.3(5.3.1を含む)に記載されるオーバーハングが、ニッキングエンドヌクレアーゼによる第1及び第2の制限部位でのニッキング及びセクション3及び5.2(5.2.3を含む)に記載される変性の結果であり得ることを規定する。従って、いくつかの実施態様において、第1及び第2の制限部位でのニッキングの結果として生じるオーバーハングは、本セクション(セクション5.3.2)の前の段落に記載される該第1及び第2の制限部位が離間する(ヌクレオチドの数での)長さと同一の長さとすることができる。ニッキングエンドヌクレアーゼは、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位の内側又は外側でDNAを切断することができるために、ある実施態様において、第1及び第2の制限部位でのニッキングの結果として生じるオーバーハングは、該第1及び第2の制限部位が離間する長さよりも少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、又は少なくとも30ヌクレオチドだけ長い又は短いことがある。別の実施態様において、該第1及び第2の制限部位でのニッキングの結果として生じるオーバーハングは、該第1及び第2の制限部位が離間する長さよりも約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、又は約30ヌクレオチドだけ長い又は短いことがある。
【0353】
同様に、本開示は、セクション3、5.2(5.2.3を含む)、及び5.3(5.3.1を含む)に記載されるオーバーハングが、ニッキングエンドヌクレアーゼによる第3及び第4の制限部位でのニッキング及びセクション3及び5.2(5.2.3を含む)に記載される変性の結果であり得ることを規定する。従って、いくつかの実施態様において、第3及び第4の制限部位でのニッキングの結果として生じるオーバーハングは、本セクション(セクション5.3.2)の前の段落に記載される該第3及び第4の制限部位が離間する(ヌクレオチドの数での)長さと同一の長さとすることができる。ニッキングエンドヌクレアーゼは、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位の内側又は外側でDNAを切断することができるために、ある実施態様において、第3及び第4の制限部位でのニッキングの結果として生じるオーバーハングは、該第3及び第4の制限部位が離間する長さよりも少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、又は少なくとも30ヌクレオチドだけ長い又は短いことがある。別の実施態様において、第3及び第4の制限部位でのニッキングの結果として生じるオーバーハングは、該第3及び第4の制限部位が離間する長さよりも約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、又は約30ヌクレオチドだけ長い又は短いことがある。
【0354】
セクション3及び5.4及び本セクション(セクション5.3)の記載から明らかであるように、本明細書で提供されるDNA分子は、発現カセットを含む。いくつかの実施態様において、発現カセットは、一方の末端のニッキングエンドヌクレアーゼ(複数可)用の第1及び第2の制限部位と他方の末端のニッキングエンドヌクレアーゼ(複数可)用の第3及び第4の制限部位の間に位置する。別の実施態様において、発現カセットは、セクション5.2.3に記載される2つのDNAオーバーハングを提供する変性工程を含む、セクション3及び5.2に記載される方法の工程a~dを行うことによって製造されるDNA分子のdsDNAセグメントの内部に位置する。ある実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1、第2、第3、及び第4の制限部位は、本段落に記載されるdsDNAセグメントの長さが、少なくとも0.2kb、少なくとも0.3kb、少なくとも0.4kb、少なくとも0.5kb、少なくとも0.6、少なくともkb、少なくとも0.7kb、少なくとも0.8kb、少なくとも0.9kb、少なくとも1kb、少なくとも1.5kb、少なくとも2kb、少なくとも2.5kb、少なくとも3kb、少なくとも3.5kb、少なくとも4kb、少なくとも4.5kb、少なくとも5kb、少なくとも5.5kb、少なくとも6kb、少なくとも6.5kb、少なくとも7kb、少なくとも7.5kb、少なくとも8kb、少なくとも8.5kb、少なくとも9kb、少なくとも9.5kb、又は少なくとも10kbとなるように配置されている。別の実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1、第2、第3、及び第4の制限部位は、本段落に記載されるdsDNAセグメントの長さが、約0.2kb、約0.3kb、約0.4kb、約0.5kb、約0.6、約kb、約0.7kb、約0.8kb、約0.9kb、約1kb、約1.5kb、約2kb、約2.5kb、約3kb、約3.5kb、約4kb、約4.5kb、約5kb、約5.5kb、約6kb、約6.5kb、約7kb、約7.5kb、約8kb、約8.5kb、約9kb、約9.5kb、又は約10kbとなるように配置されている。
【0355】
セクション5.2.4に記載されるように、ニッキングエンドヌクレアーゼとのインキュベーションは、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位に対応する第1のニック、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第2の制限部位に対応する第2のニック、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3の制限部位に対応する第3のニック、及び/又はニッキングエンドヌクレアーゼ用の第4の制限部位に対応する第4のニックをもたらすものである。本開示は、第1、第2、第3、及び/又は第4のニックが、逆方向反復に対してさまざまな位置に存在し得ることを規定する。一実施態様において、第1のニックは、第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50ヌクレオチド以内にある。別の実施態様において、第1のニックは、第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50ヌクレオチド以内にある。さらに別の実施態様において、第2のニックは、第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50ヌクレオチド以内にある。さらなる実施態様において、第2のニックは、第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50ヌクレオチド以内にある。一実施態様において、第3のニックは、第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50ヌクレオチド以内にある。別の実施態様において、第3のニックは、第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50ヌクレオチド以内にある。さらに別の実施態様において、第4のニックは、第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の5’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50ヌクレオチド以内にある。さらなる実施態様において、第4のニックは、第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対の3’ヌクレオチドから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50ヌクレオチド以内にある。いくつかの実施態様において、第1、第2、第3、及び第4のニックのいずれか又は任意の組合せは、逆方向反復の内側にある。ある実施態様において、第1、第2、第3、及び第4のニックのいずれか又は任意の組合せは、逆方向反復の外側にある。いくつかの追加の実施態様において、第1、第2、第3、及び第4のニックは、それら自体の間で、それらのいずれかと逆方向反復との間で、及び/又はそれらのいずれかと本セクション(セクション5.3.2)に記載される発現カセットとの間で、任意の組合せ又は順列で、任意の相対的な位置を有し得る。いくつかのさらなる実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位は、それら自体の間で、それらのいずれかと逆方向反復との間で、及び/又はそれらのいずれかと本セクション(セクション5.3.2)に記載される発現カセットとの間で、任意の組合せ又は順列で、任意の相対的な位置をとり得る。
【0356】
(5.3.3 発現カセット)
セクション3及び5.4及び本セクション(セクション5.3)の記載から明らかであるように、本明細書で提供されるDNA分子は、発現カセットを含む。「発現カセット」は、細胞装置にRNA又はタンパク質を産生するように指示する配列又は他の情報を含有する核酸分子又は核酸分子の一部である。いくつかの実施態様において、発現カセットは、プロモーター配列を含む。ある実施態様において、発現カセットは、転写単位を含む。いくつかのさらに別の実施態様において、発現カセットは、転写単位に作動的に連結されたプロモーターを含む。一実施態様において、前記転写単位は、オープンリーディングフレーム(ORF)を含む。本明細書で提供される方法及び組成物とともに用いられるORFの実施態様が、本セクション(セクション5.3.3)の最終段落でさらに記載される。発現カセットは、細胞装置にRNA及びタンパク質を産生するよう指示する特徴をさらに含むことができる。一実施態様において、発現カセットは、転写後制御因子を含む。別の実施態様において、前記発現カセットは、ポリアデニル化及び/又は終止シグナルをさらに含む。さらに別の実施態様において、発現カセットは、調整を行うこと(ORFの発現を促進する、阻害する、及び/又はオン/オフすること)が本技術分野において知られておりかつそのために用いられている調節エレメントを含む。そのような調節エレメントとしては、例えば、5’非翻訳領域(UTR)、3’-UTR、又は5’UTR及び3’UTRの双方が挙げられる。いくつかのさらなる実施態様において、発現カセットは、本セクション(セクション5.3.3)で提供されるいずれか1つ以上の特徴を任意の組合せ又は順列で含む。
【0357】
発現カセットは、タンパク質コード配列をそのORF(センス鎖)に含むことができる。あるいは、発現カセットは、タンパク質をコードするORFの相補的配列(アンチセンス鎖)並びに細胞装置にセンス鎖DNA/RNA及び対応するタンパク質を産生させるための調節成分及び/又は他のシグナルを含むことができる。いくつかの実施態様において、発現カセットは、イントロンを有しないタンパク質配列を含む。別の実施態様において、発現カセットは、転写及びスプライシングされると除去されるイントロンを有するタンパク質配列を含む。発現カセットは、さまざまな数のORF又は転写単位も含むことができる。一実施態様において、発現カセットは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のORFを含む。別の実施態様において、発現カセットは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の転写単位を含む。
【0358】
発現カセットは、1つ以上の転写制御因子、1つ以上の転写後制御因子、又は1つ以上の転写制御因子及び1つ以上の転写後制御因子の双方も含むことができる。そのような調節エレメントは、複製(replication)、倍化(duplication)、転写、スプライシング、翻訳、安定性、及び/又は核酸又はその誘導体のうちの1つ(例えば、mRNA)のホスト細胞又は生物内への輸送を含む、核酸分子の機能的調節を可能とする、それに寄与する、又はそれを調節する任意の配列である。そのような調節エレメントとしては、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、翻訳終止コドン、リボソーム結合エレメント、転写ターミネーター、選択マーカー、複製起点などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0359】
いくつかの実施態様において、発現カセットは、エンハンサーを含む。本開示を考慮して、当業者に公知の任意のエンハンサー配列を使用することができる。いくつかの実施態様において、エンハンサー配列は、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、又はCMV、HA、RSV、又はEBVのうちの1つなどのウイルスのエンハンサーとすることができる。具体的なある実施態様において、エンハンサーは、ウッドチャックHBV転写後制御因子(WPRE)、ヒトアポリポタンパク質A1前駆体(ApoAI)から誘導されるイントロン/エクソン配列、ヒトT細胞白血病ウイルスタイプ1(HTLV-1)末端反復配列(LTR)の非翻訳R-U5ドメイン、スプライシングエンハンサー、合成ウサギβ-グロビンイントロン、AAVのP5プロモーター、又はそれらの任意の組み合わせとすることができる。
【0360】
上述のように、発現カセットは、対象となるタンパク質の発現を制御するプロモーターを含むことができる。プロモーターは、作動可能に連結されたヌクレオチド配列の転写を開始させる任意のヌクレオチド配列を含む。プロモーターは、構成的、誘導性、又は抑制性(repressible)のものとすることができる。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌性、植物、昆虫、及び動物を含む供給源から誘導することができる。プロモーターは、相同プロモーター(例えば、同一の遺伝源から誘導されるもの)又は異種プロモーター(例えば、異なる遺伝源から誘導されるもの)とすることができる。いくつかの実施態様において、プロモーターは、サルウイルス40(SV40)由来のプロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、例えば、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)末端反復配列(LTR)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、例えば、CMV最初期プロモーター(CMV-IE)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)プロモーター、又はラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターとすることができる。別の実施態様において、プロモーターは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、又はヒトメタロチオネイン(metalothionein)などのヒト遺伝子由来のプロモーターとすることができる。さらなる実施態様において、プロモーターは、天然又は合成の、筋肉又は皮膚特異的プロモーターなどの組織特異的プロモーターとすることもできる。
【0361】
上述のように、発現カセットは、ポリアデニル化、終止シグナル、又はポリアデニル化及び終止シグナルの双方を含むことができる。本開示を考慮して当業者に公知の任意のポリアデニル化シグナルを使用することができる。いくつかの実施態様において、ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、AAV2ポリアデニル化シグナル(bp 4411-4466、NC_001401)、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子由来のポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、又はヒトβ-グロビンポリアデニル化シグナルとすることができる。
【0362】
発現カセットは、さまざまな長さの1つ以上のORFを収容するさまざまなサイズを有することができる。ある実施態様において、発現カセットのサイズは、少なくとも0.2kb、少なくとも0.3kb、少なくとも0.4kb、少なくとも0.5kb、少なくとも0.6、少なくともkb、少なくとも0.7kb、少なくとも0.8kb、少なくとも0.9kb、少なくとも1kb、少なくとも1.5kb、少なくとも2kb、少なくとも2.5kb、少なくとも3kb、少なくとも3.5kb、少なくとも4kb、少なくとも4.5kb、少なくとも5kb、少なくとも5.5kb、少なくとも6kb、少なくとも6.5kb、少なくとも7kb、少なくとも7.5kb、少なくとも8kb、少なくとも8.5kb、少なくとも9kb、少なくとも9.5kb、少なくとも10kb、少なくとも15kb、少なくとも20kb、少なくとも25kb、少なくとも30kb、少なくとも35kb、少なくとも40kb、少なくとも45kb、少なくとも50kb、少なくとも55kb、少なくとも60kb、少なくとも65kb、少なくとも70kb、少なくとも75kb、又は少なくとも80kbである。特定の一実施態様において、発現カセットは、少なくとも4.5kbである。別の具体的な実施態様において、発現カセットは、少なくとも4.6kbである。さらに別の具体的な実施態様において、発現カセットは、少なくとも4.7kbである。さらに具体的な実施態様において、発現カセットは、少なくとも4.8kbである。特定の一実施態様において、発現カセットは、少なくとも4.9kbである。別の具体的な実施態様において、発現カセットは、少なくとも5kbである。別の実施態様において、前記発現カセットの大きさは、約0.2kb、約0.3kb、約0.4kb、約0.5kb、約0.6、約kb、約0.7kb、約0.8kb、約0.9kb、約1kb、約1.5kb、約2kb、約2.5kb、約3kb、約3.5kb、約4kb、約4.5kb、約5kb、約5.5kb、約6kb、約6.5kb、約7kb、約7.5kb、約8kb、約8.5kb、約9kb、約9.5kb、約10kb、約15kb、約20kb、約25kb、約30kb、約35kb、約40kb、約45kb、約50kb、約55kb、約60kb、約65kb、約70kb、約75kb、又は約80kbである。特定の一実施態様において、発現カセットは、約4.5kbである。別の具体的な実施態様において、発現カセットは、約4.6kbである。さらに別の具体的な実施態様において、発現カセットは、約4.7kbである。さらに具体的な実施態様において、発現カセットは、約4.8kbである。特定の一実施態様において、発現カセットは、約4.9kbである。別の具体的な実施態様において、発現カセットは、約5kbである。発現カセットは、さまざまな数の対象となる遺伝子(「導入遺伝子」)も含むことができる。一実施態様において、発現カセットは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の導入遺伝子を含む。いくつかの特定の実施態様において、発現カセットは、1つの導入遺伝子を含む。いくつかの実施態様において、導入遺伝子は、組換え遺伝子である。いくつかのさらなる実施態様において、導入遺伝子は、cDNA配列を含む(例えば、導入遺伝子中にイントロンなし)。
【0363】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子は、カプシド形成したAAVベクターのサイズ制限を有さず、従って、大型の発現カセットの送達を可能として、効率的な導入遺伝子を提供する。ある実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子は、任意の天然のAAVゲノムのサイズと同じ又はそれよりも大きいサイズの発現カセットを含む。
【0364】
発現カセットは、逆方向反復に対してさまざまな位置を占めることができる。いくつかの実施態様において、発現カセットは、逆方向反復から少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65、少なくとも66、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70、少なくとも71、少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77、少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、少なくとも81、少なくとも82、少なくとも83、少なくとも84、少なくとも85、少なくとも86、少なくとも87、少なくとも88、少なくとも89、少なくとも90、少なくとも91、少なくとも92、少なくとも93、少なくとも94、少なくとも95、少なくとも96、少なくとも97、少なくとも98、少なくとも99、又は少なくとも100ヌクレオチド離れている。ある実施態様において、発現カセットは、逆方向反復から少なくとも0.2kb、少なくとも0.3kb、少なくとも0.4kb、少なくとも0.5kb、少なくとも0.6、少なくとも0.7kb、少なくとも0.8kb、少なくとも0.9kb、少なくとも1kb、少なくとも1.5kb、又は少なくとも2kb離れている。別の実施態様において、発現カセットは、逆方向反復から約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、又は約100ヌクレオチド離れている。さらなる実施態様において、発現カセットは、逆方向反復から約0.2kb、約0.3kb、約0.4kb、約0.5kb、約0.6、約0.7kb、約0.8kb、約0.9kb、約1kb、約1.5kb、又は約2kb離れている。一実施態様において、本段落の逆方向反復は、セクション3及び5.3(5.3.1を含む)に記載される第1の逆方向反復である。別の実施態様において、本段落の逆方向反復は、セクション3及び5.3(5.3.1を含む)に記載される第2の逆方向反復である。さらに別の実施態様において、本段落の逆方向反復は、セクション3及び5.3(5.3.1を含む)に記載される第1及び第2の逆方向反復の双方である。
【0365】
一態様において、本明細書で提供されるのは、センス鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されるもの)であって、該第1の逆方向反復のアンチセンス鎖からセンス鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むセンス鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)センス発現カセット;及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第2の逆方向反復のアンチセンス鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むセンス鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。
【0366】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、センス鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されるもの)であって、該第1の逆方向反復のアンチセンス鎖からセンス鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むアンチセンス鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)センス発現カセット;及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第2の逆方向反復のアンチセンスからセンスが分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むアンチセンス鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている、前記第2の逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。
【0367】
さらに別の態様において、本明細書で提供されるのは、センス鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されるもの)であって、該第1の逆方向反復のアンチセンス鎖からセンス鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むセンス鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)センス発現カセット;及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第2の逆方向反復の該センス鎖がアンチセンス鎖から分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むアンチセンス鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。
【0368】
さらなる態様において、本明細書で提供されるのは、センス鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されるもの)であって、該第1の逆方向反復のアンチセンス鎖からセンス鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復を含むアンチセンス鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)センス発現カセット;及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第2の逆方向反復の該センス鎖がアンチセンス鎖から分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復を含むセンス鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3及び第4の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載されるか又は
図2B及び
図2Cに示される)、前記第2の逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。
【0369】
一態様において、本明細書で提供されるのは、センス鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されるもの)であって、該第1の逆方向反復のアンチセンス鎖からセンス鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第1の逆方向反復を含むセンス鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1及び第2の標的部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)センス発現カセット;及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第2の逆方向反復のアンチセンスからセンスが分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第2の逆方向反復を含むセンス鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第3及び第4の標的部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。
【0370】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、センス鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されるもの)であって、該第1の逆方向反復のアンチセンス鎖からセンス鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第1の逆方向反復を含むアンチセンス鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1及び第2の標的部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)センス発現カセット;及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第2の逆方向反復の該センス鎖がアンチセンス鎖から分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第2の逆方向反復を含むアンチセンス鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第3及び第4の標的部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。
【0371】
さらに別の態様において、本明細書で提供されるのは、センス鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されるもの)であって、該第1の逆方向反復のアンチセンス鎖からセンス鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第1の逆方向反復を含むセンス鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1及び第2の標的部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)センス発現カセット;及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第2の逆方向反復の該センス鎖がアンチセンス鎖から分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第2の逆方向反復を含むアンチセンス鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第3及び第4の標的部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。
【0372】
さらなる態様において、本明細書で提供されるのは、センス鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されるもの)であって、該第1の逆方向反復のアンチセンス鎖からセンス鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第1の逆方向反復を含むアンチセンス鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1及び第2の標的部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)センス発現カセット;及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第2の逆方向反復の該センス鎖がアンチセンス鎖から分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第2の逆方向反復を含むセンス鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第3及び第4の標的部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載されるか又は
図2B及び
図2Cに示される)、前記第2の逆方向反復を含む二本鎖DNA分子である。
【0373】
発現カセットは、1つ以上の転写制御因子、1つ以上の転写後制御因子、又は1つ以上の転写制御因子及び1つ以上の転写後制御因子の双方も含むことができる。そのような調節エレメントは、複製、倍化、転写、スプライシング、翻訳、安定性、及び/又は核酸又はその誘導体のうちの1つ(例えば、mRNA)のホスト細胞又は生物内への輸送を含む、核酸分子の機能的調節を可能とする、それに寄与する、又はそれを調節する任意の配列である。そのような調節エレメントとしては、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、翻訳終止コドン、リボソーム結合エレメント、転写ターミネーター、選択マーカー、及び/又は複製起点が挙げられるが、これらに限定されない。
【0374】
発現カセットは、さまざまな長さの1つ以上のORFを収容するさまざまなサイズを有することができる。ある実施態様において、発現カセットのサイズは、少なくとも少なくとも2kb、少なくとも2.5kb、少なくとも3kb、少なくとも3.5kb、少なくとも4kb、少なくとも4.5kb、少なくとも5kb、少なくとも5.5kb、少なくとも6kb、少なくとも6.5kb、少なくとも7kb、少なくとも7.5kb、少なくとも8kb、少なくとも8.5kb、少なくとも9kb、少なくとも9.5kb、少なくとも10kb、少なくとも15kb、少なくとも20kb、少なくとも25kb、少なくとも30kb、少なくとも35kb、少なくとも40kb、少なくとも45kb、少なくとも50kb、少なくとも55kb、少なくとも60kb、少なくとも65kb、少なくとも70kb、少なくとも75kb、又は少なくとも80kbである。特定の一実施態様において、発現カセットは、少なくとも7.5kbである。別の具体的な実施態様において、発現カセットは、少なくとも7.6kbである。さらに別の具体的な実施態様において、発現カセットは、少なくとも7.7kbである。さらに具体的な実施態様において、発現カセットは、少なくとも7.8kbである。特定の一実施態様において、発現カセットは、少なくとも7.9kbである。別の具体的な実施態様において、発現カセットは、少なくとも8kbである。別の実施態様において、前記発現カセットの大きさは、およそ約2kb、約2.5kb、約3kb、約3.5kb、約4kb、約4.5kb、約5kb、約5.5kb、約6kb、約6.5kb、約7kb、約7.5kb、約8kb、約8.5kb、約9kb、約9.5kb、約10kb、約15kb、約20kb、約25kb、約30kb、約35kb、約40kb、約45kb、約50kb、約55kb、約60kb、約65kb、約70kb、約75kb、又は約80kbである。特定の一実施態様において、発現カセットは、約7.5kbである。別の具体的な実施態様において、発現カセットは、約7.6kbである。さらに別の具体的な実施態様において、発現カセットは、約7.7kbである。さらに具体的な実施態様において、発現カセットは、約7.8kbである。特定の一実施態様において、発現カセットは、約7.9kbである。別の具体的な実施態様において、発現カセットは、約8kbである。発現カセットは、さまざまな数の対象となる遺伝子(「導入遺伝子」)も含むことができる。一実施態様において、発現カセットは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の導入遺伝子を含む。いくつかの特定の実施態様において、発現カセットは、1つの導入遺伝子を含む。いくつかの実施態様において、導入遺伝子は、組換え遺伝子である。いくつかのさらなる実施態様において、導入遺伝子は、cDNA配列を含む(例えば、導入遺伝子中にイントロンなし)。
【0375】
さらに、発現カセットは、少なくとも4000ヌクレオチド、少なくとも5000ヌクレオチド、少なくとも10,000ヌクレオチド、少なくとも20,000ヌクレオチド、少なくとも30,000ヌクレオチド、少なくとも40,000ヌクレオチド、又は少なくとも50,000ヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施態様において、発現カセットは、約4000~約10,000ヌクレオチド、約10,000~約50,000ヌクレオチド、又は50,000ヌクレオチド超のうちの任意の範囲のヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施態様において、発現カセットは、長さが約500~約50,000ヌクレオチドの範囲の導入遺伝子を含むことができる。いくつかの実施態様において、発現カセットは、長さが約500~約75,000ヌクレオチドの範囲の導入遺伝子を含むことができる。いくつかの実施態様において、発現カセットは、長さが約500~約10,000ヌクレオチドの範囲の導入遺伝子を含むことができる。いくつかの実施態様において、発現カセットは、長さが約1000~約10,000ヌクレオチドの範囲の導入遺伝子を含むことができる。いくつかの実施態様において、発現カセットは、長さが約500~約5,000ヌクレオチドの範囲の導入遺伝子を含むことができる。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子は、カプシド形成したAAVベクターのサイズ制限を有さず、従って、大型の発現カセットの送達を可能として、効率的な導入遺伝子を提供する。ある実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子は、任意の天然のAAVゲノムのサイズと同じ又はそれよりも大きいサイズの発現カセットを含む。
【0376】
発現カセットは、逆方向反復に対してさまざまな位置を占めることができる。いくつかの実施態様において、発現カセットは、逆方向反復から少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65、少なくとも66、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70、少なくとも71、少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77、少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、少なくとも81、少なくとも82、少なくとも83、少なくとも84、少なくとも85、少なくとも86、少なくとも87、少なくとも88、少なくとも89、少なくとも90、少なくとも91、少なくとも92、少なくとも93、少なくとも94、少なくとも95、少なくとも96、少なくとも97、少なくとも98、少なくとも99、又は少なくとも100ヌクレオチド離れている。ある実施態様において、発現カセットは、逆方向反復から少なくとも0.2kb、少なくとも0.3kb、少なくとも0.4kb、少なくとも0.5kb、少なくとも0.6、少なくともkb、少なくとも0.7kb、少なくとも0.8kb、少なくとも0.9kb、少なくとも1kb、少なくとも1.5kb、又は少なくとも2kb離れている。別の実施態様において、発現カセットは、逆方向反復から約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、又は約100ヌクレオチド離れている。さらなる実施態様において、発現カセットは、逆方向反復から約0.2kb、約0.3kb、約0.4kb、約0.5kb、約0.6、約kb、約0.7kb、約0.8kb、約0.9kb、約1kb、約1.5kb、又は約2kb離れている。一実施態様において、本段落の逆方向反復は、セクション3及び5.3(5.3.1を含む)に記載される第1の逆方向反復である。別の実施態様において、本段落の逆方向反復は、セクション3及び5.3(5.3.1を含む)に記載される第2の逆方向反復である。さらに別の実施態様において、本段落の逆方向反復は、セクション3及び5.3(5.3.1を含む)に記載される第1及び第2の逆方向反復の双方である。
【0377】
本セクション(セクション5.3.3)において上述の通り、発現カセットは、1つ以上のORFを含むことができる。一実施態様において、ORFは、ヒト遺伝子のORFであって、該ヒト遺伝子における遺伝子変異が、疾患を引き起こすことが知られている、前記ORFである。別の実施態様において、ORFは、ヒト遺伝子のORFであって、該ヒト遺伝子における遺伝子変異が、遺伝性疾患を引き起こすことが知られている、前記ORFである。さらに別の実施態様において、ORFは、治療用タンパク質をコードする。さらなる実施態様において、ORFは、酵素をコードする。ある実施態様において、ORFは、代謝酵素をコードする。いくつかの実施態様において、ORFは、酵素をコードし、ここで、該酵素は、ヒトにおいて欠陥のある酵素の機能を置き換え又は補完する。一実施態様において、ORFは、抗体をコードする。別の実施態様において、ORFは、治療用抗体をコードする。さらなる実施態様において、ORFは、サイトカインをコードする。さらに別の実施態様において、ORFは、RNAをコードする。一実施態様において、ORFは、調節性RNAをコードする。別の実施態様において、ORFは、アンチセンスRNAをコードする。さらに別の実施態様において、ORFは、siRNAをコードする。さらなる実施態様において、ORFは、shRNAをコードする。一実施態様において、ORFは、miRNAをコードする。別の実施態様において、ORFは、piRNA(PIWI相互作用RNA)をコードする。いくつかの実施態様において、発現カセットは、本セクション(セクション5.3.3)に記載されるいずれか1つ以上の特徴を、さまざまな順列及び組合せで含む。
【0378】
ニッキングエンドヌクレアーゼ及び/又はニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位を用いて本セクション(セクション5.3.3)に記載されたさまざまな実施態様はさらに、ニッキングエンドヌクレアーゼをプログラム可能なニッキング酵素で置き換え、制限部位をプログラム可能なニッキング酵素用の標的部位で置き換えて提供される。本段落及び本セクション(セクション5.3.3)のためのプログラム可能なニッキング酵素及びその標的部位は、セクション5.2.4で提供されている。
【0379】
(5.3.4 本明細書で提供されるDNA分子には存在しないウイルスDNA配列の特徴)
セクション3、5.2、5.3.1、5.3.2、5.3.3、5.3.5、5.3.6、及び5.4にさらに記載されているように、提供されるDNA分子は、合成的に又は組換えでのいずれかで、特定の配列エレメントや特徴を有して又は有さずに製造することができる。従って、ある適当かつ所望の配列の特徴又はエレメントを、本明細書で提供されるDNA分子に含めることができ、本明細書で提供されるDNA分子から排除することもできる。配列の特徴又はエレメントを含む又は含まないそのようなDNA分子を作製するための対応する方法も、5.2の方法を5.3のDNA分子と共に適用することによって記載されるように本明細書で提供され、これによって、5.4に記載されるさまざまなDNA分子を製造することができる。
【0380】
セクション3、5.3.1、5.5、及び6に記載されるように、本明細書で提供されるDNA分子から排除することができるそのようなDNA配列のエレメント又は特徴は、パルボウイルス科遺伝子Rep又はNS1によってコードされるウイルスDNA複製関連タンパク質(「RAP」)又はそのアイソフォームが結合することができるDNA配列を意味する、ウイルス複製関連タンパク質結合配列(「RABS」)であってもよい。いくつかの実施態様において、RABSは、Rep結合配列(「RBS」)である。Repは、ITR内部の2つのエレメントに結合することができる。これは、ITRのステム構造内のヌクレオチド配列(すなわち、ウイルス核酸分子の複製のためにRepタンパク質によって認識されるヌクレオチド配列)に結合することができる。そのようなRBSは、RBE(Rep結合エレメント)とも称される。また、Repは、ITR内部に内部ヘアピンの単一の先端を含む小さいパリンドロームを形成し、それによって、RepとITRとの間の結合を安定化するヌクレオチド配列に結合することもできる。そのようなRBSは、RBE’とも称される。別の実施態様において、RABSは、複製関連ウイルスタンパク質NS1が結合することができるNS1結合エレメント(「NSBE」)である。いくつかの実施態様において、Repは、ITRのステム構造内ヌクレオチド配列(すなわち、(ウイルス核酸分子の複製のために)Rep又はNS1タンパク質によって認識されるヌクレオチド配列)及び/又はRep及び/又はNS1タンパク質と該ヌクレオチド配列との間の特異的な相互作用の部位に結合することができる。RABSは、5ヌクレオチド~300ヌクレオチドの配列とすることができる。本セクション5.3.4で提供されるものを含む本明細書で提供されるDNA分子のいくつかの実施態様において、RABSは、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも105、少なくとも110、少なくとも115、少なくとも120、少なくとも125、少なくとも130、少なくとも135、少なくとも140、少なくとも145、少なくとも150、少なくとも155、少なくとも160、少なくとも165、少なくとも170、少なくとも175、少なくとも180、少なくとも185、少なくとも190、少なくとも195、少なくとも200、少なくとも205、少なくとも210、少なくとも215、少なくとも220、少なくとも225、少なくとも230、少なくとも235、少なくとも240、少なくとも245、少なくとも250、少なくとも255、少なくとも260、少なくとも265、少なくとも270、少なくとも275、少なくとも280、少なくとも285、少なくとも290、少なくとも295、少なくとも300、少なくとも305、少なくとも310、少なくとも315、少なくとも320、少なくとも325、少なくとも330、少なくとも335、少なくとも340、少なくとも345、少なくとも350、少なくとも355、少なくとも360、少なくとも365、少なくとも370、少なくとも375、少なくとも380、少なくとも385、少なくとも390、少なくとも395、又は少なくとも400ヌクレオチドの配列とすることができる。いくつかの他の実施態様において、RABSは、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、約180、約185、約190、約195、約200、約205、約210、約215、約220、約225、約230、約235、約240、約245、約250、約255、約260、約265、約270、約275、約280、約285、約290、約295、約300、約305、約310、約315、約320、約325、約330、約335、約340、約345、約350、約355、約360、約365、約370、約375、約380、約385、約390、約395、又は約400ヌクレオチドの配列とすることができる。いくつかのさらなる実施態様において、本段落に記載されるRABSを欠くDNA分子の任意の実施態様を、セクション3、5.2、5.3、5.4、及び6で提供されるものを含む本明細書で提供される任意の方法又はDNA分子と組み合わせることができる。
【0381】
あるいは、セクション3、5.2、5.3、5.4、及び6のものを含む本明細書で提供されるDNA分子は、RABSがもはや、Repタンパク質又はNS1タンパク質用の認識及び/又は結合部位として働くことができなくなるように、変異、挿入、及び/又は欠失(部分的な欠失又はトランケーションを含む)を用いて該DNA分子内に存在するRABS配列を機能的に不活性化させることによって機能的RABSを欠いていてもよい。従って、セクション3、5.2、5.3、5.4、及び6のものを含む本明細書で提供されるDNA分子のいくつかの実施態様において、DNA分子は、機能的に不活性化されたRABSを含む。そのような機能的不活性化は、Rep又はNS1タンパク質と機能的に不活性化されたRABSを含むDNA分子との間の結合と、Rep又はNS1タンパク質と野生型(wt)RBS又はNSBE配列を含む参照分子(例えば、wt RBS又はwt NSBE配列を有する以外は同一であるDNA分子)との間の結合を測定し比較することによって評価することができる。そのような結合は、分子生物学の分野で知られており用いられている任意の結合測定、例えば、双方ともその全体が引用によりここに組み込まれるMatthew J. Guille及びG. Geoff Knealeの文献、Molecular Biotechnology 8:35-52 (1997); Bipasha Deyらの文献、Mol Cell Biochem. 2012 Jun;365(1-2):279-99にさらに記載されるような、クロマチン免疫沈降(ChIP)アッセイ、DNA電気泳動移動度シフト解析(EMSA)、DNAプルダウンアッセイ、又はマイクロプレート捕獲・検出アッセイによって決定することができる。一実施態様において、RAPと該DNA分子内の機能的に不活性化されたRABSとの間の結合は、該RAPと参照DNA分子(例えば、野生型RBS又はNSBE配列を有する以外は同一のDNA分子)内の野生型RBS又はNSBEとの間の結合と比較して多くとも0.001%、多くとも0.01%、多くとも0.1%、多くとも1%、多くとも1.5%、多くとも2%、多くとも2.5%、多くとも3%、多くとも3.5、多くとも4%、多くとも4.5%、多くとも5%、多くとも5.5%、多くとも6%、多くとも6.5%、多くとも7%、多くとも7.5%、多くとも8%、多くとも8.5%、多くとも9%、多くとも9.5%、又は多くとも10%である。別の実施態様において、RAPと該DNA分子内の機能的に不活性化されたRABSとの間の結合は、該RAPと参照DNA分子(例えば、wt RBS又はNSBE配列を有する以外は同一のDNA分子)内の野生型RABSとの間の結合と比較して、約0.001%、約0.01%、約0.1%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、又は約10%である。さらに別の実施態様において、RAPと該DNA分子内の機能的に不活性化されたRABSとの間の結合は、該RAPと参照DNA分子(例えば、wt RBS又はNSBE配列を有する以外は同一のDNA分子)内の野生型RABSとの間の結合と比較して、0.001%、0.01%、0.1%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、又は10%である。
【0382】
さらに、セクション3、5.2、5.3、5.4、及び6のものを含む本明細書で提供されるDNA分子は、RAP又はウイルスカプシドコード配列がもはや、Repタンパク質、NS1タンパク質、又はウイルスカプシドタンパク質を機能的に発現できなくなるように、変異、挿入、及び/又は欠失(部分的な欠失又はトランケーションを含む)を用いて該DNA分子内に存在するRepタンパク質、NS1、又はウイルスカプシドコード配列を機能的に不活性化することによって、機能的RAP又はウイルスカプシドコード配列を欠いていてもよい。そのような機能的に不活性化させる変異、挿入、又は欠失は、例えば、Repタンパク質、NS1タンパク質、又はウイルスカプシドコード配列のオープンリーディングフレームをシフトさせる変異、挿入、及び/もしくは欠失を用いること、開始コドンを除去する変異、挿入、及び/もしくは欠失を用いることによって、プロモーター又は転写開始点を除去する変異、挿入、及び/もしくは欠失を用いること、RNAポリメラーゼ結合部位を除去する変異、挿入、及び/もしくは欠失を用いること、リボソーム認識又は結合部位を除去する変異、挿入、及び/もしくは欠失を用いること、又は本分野で知られておりかつ用いられる他の手段によって達成することができる。
【0383】
一実施態様において、DNA分子は、変異によって不活性化されたRBSを含む。一実施態様において、DNA分子は、RBSにおける1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、10、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40個のヌクレオチドの変異によって不活性化されたRBSを含む。別の実施態様において、DNA分子は、RBSにおけるヌクレオチドのうちの1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、10%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、又は40%の変異によって不活性化されたRBSを含む。さらなる実施態様において、DNA分子は、RBSにおける1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、10、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40個のヌクレオチドの欠失によって不活性化されたRBSを含む。さらに別の実施態様において、DNA分子は、RBSにおけるヌクレオチドのうちの1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、10%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、又は40%の欠失によって不活性化されたRBSを含む。いくつかの実施態様において、前述の文の欠失は、内部欠失、5’末端からの欠失、又は3’末端からの欠失である。いくつかの実施態様において、本段落の欠失は、内部欠失、5’末端からの欠失、及び/又は3’末端からの欠失の任意の組合せとすることができる。ある実施態様において、DNA分子は、RBS配列全体の欠失によって不活性化されたRBSを含む。いくつかの追加の実施態様において、DNA分子は、RBS配列の部分的な欠失によって不活性化されたRBSを含む。
【0384】
一実施態様において、DNA分子は、変異によって不活性化されたNBSEを含む。一実施態様において、DNA分子は、NSBEにおける1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、10、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40個のヌクレオチドの変異によって不活性化されたNSBEを含む。別の実施態様において、DNA分子は、NSBEにおけるヌクレオチドのうちの1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、10%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、又は40%の変異によって不活性化されたNSBEを含む。さらなる実施態様において、DNA分子は、NSBEにおける1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、10、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は個の40ヌクレオチドの欠失によって不活性化されたNSBEを含む。さらに別の実施態様において、DNA分子は、NSBEにおけるヌクレオチドのうちの1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、10%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、又は40%の欠失によって不活性化されたNSBEを含む。いくつかの実施態様において、前述の文の欠失は、内部欠失、5’末端からの欠失、又は3’末端からの欠失である。いくつかの実施態様において、本段落の欠失は、内部欠失、5’末端からの欠失、及び/又は3’末端からの欠失の任意の組合せとすることができる。ある実施態様において、DNA分子は、NSBE配列全体の欠失によって不活性化されたNSBEを含む。いくつかの追加の実施態様において、DNA分子は、NSBE配列の部分的な欠失によって不活性化されたNSBEを含む。
【0385】
同様に、DNA配列のエレメント又は特徴を、本明細書(セクション5.3及び5.4など)で提供されるDNA分子の任意の特定の領域又は本明細書(セクション5.2など)で提供される方法で用いられるDNA分子の任意の特定の領域に含めること又はそれらから排除することができる。一実施態様において、DNA分子は、Repタンパク質コード配列を欠く。一実施態様において、DNA分子は、NS1タンパク質コード配列を欠く。別の実施態様において、DNA分子は、ウイルスカプシドタンパク質コード配列を欠く。いくつかの実施態様において、発現カセットは、Repタンパク質コード配列を欠く。いくつかの実施態様において、発現カセットは、NS1タンパク質コード配列を欠く。ある実施態様において、発現カセットは、ウイルスカプシドタンパク質コード配列を欠く。さらなる実施態様において、DNA分子は、RABSを欠く。さらに別の実施態様において、第1の逆方向反復は、RABSを欠く。一実施態様において、第2の逆方向反復は、RABSを欠く。別の実施態様において、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対と前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対との間のDNA配列は、RABSを欠く。RABSを欠くことは、1つのRABSを欠くこと、2つのRABSを欠くこと、3つ以上のRABを欠くこと、又は全てのRABSを欠くことであり得る。一実施態様において、DNA分子は、機能的に不活性化されたRepタンパク質コード配列を含む。一実施態様において、DNA分子は、機能的に不活性化されたRepタンパク質コード配列を含む。一実施態様において、DNA分子は、機能的に不活性化されたNS1タンパク質認識配列を含む。一実施態様において、DNA分子は、機能的に不活性化されたNS1タンパク質コード配列を含む。別の実施態様において、DNA分子は、機能的に不活性化されたウイルスカプシドタンパク質コード配列を含む。いくつかの実施態様において、発現カセットは、機能的に不活性化されたRepタンパク質コード配列を含む。いくつかの実施態様において、発現カセットは、機能的に不活性化されたNS1タンパク質コード配列を含む。ある実施態様において、発現カセットは、機能的に不活性化されたウイルスカプシドタンパク質コード配列を含む。さらなる実施態様において、DNA分子は、機能的に不活性化されたRABSを含む。さらに別の実施態様において、第1の逆方向反復は、機能的に不活性化されたRABSを含む。一実施態様において、第2の逆方向反復は、機能的に不活性化されたRABSを含む。別の実施態様において、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対と前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対との間のDNA配列は、機能的に不活性化されたRABSを含む。1つ、2つ、もしくはそれを超えるRABS又は全てのRABSを、機能的に不活性化することができることが想定される。
【0386】
さらに、本明細書(セクション5.3及び5.4など)で提供されるDNA分子の任意の特定の領域又は本明細書(セクション5.2など)で提供される方法で用いられるDNA分子の任意の特定の領域の任意の組合せから、 DNA配列のエレメント又は特徴を機能的に不活性化させることができる。一実施態様において、第1の逆方向反復は、機能的に不活性化されたRABSを含み、かつ第2の逆方向反復は、機能的に不活性化されたRABSを含む。別の実施態様において、第1の逆方向反復は、機能的に不活性化されたRABSを含み、該第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対と前記第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対との間のDNA配列は、機能的に不活性化されたRABSを含む。さらなる実施態様において、第2の逆方向反復は、機能的に不活性化されたRABSを含み、前記第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対と該第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対との間のDNA配列は、機能的に不活性化されたRABSを含む。さらに別の実施態様において、第1の逆方向反復は、機能的に不活性化されたRABSを含み、第2の逆方向反復は、機能的に不活性化されたRABSを含み、かつ該第1の逆方向反復のITR閉鎖塩基対と該第2の逆方向反復のITR閉鎖塩基対との間のDNA配列は、機能的に不活性化されたRABSを含む。1つ、2つ、もしくはそれを超えるRABS又は全てのRABSを、機能的に不活性化することができることが想定される。
【0387】
セクション3、5.3.1、5.5、及び6に記載されているように、本明細書で提供されるDNA分子から排除することができるそのようなDNA配列のエレメント又は特徴は、末端分離部位(「TRS」)とすることができる。TRSは、RAPによって(ウイルス核酸分子の複製のために)認識され、かつRAPタンパク質のエンドヌクレアーゼ活性による鎖特異的切断の部位である、DNA分子の逆方向反復内のヌクレオチド配列を意味する。また、TRSは、RAPとヌクレオチド配列との間の特異的な相互作用の部位でもある。RAPタンパク質のエンドヌクレアーゼ活性による特異的切断の保存部位のヌクレオチド配列は、分子生物学の分野で知られており用いられているDNAニッキングアッセイ、例えば、双方ともその全体が引用によりここに組み込まれるXu Pらの文献 2019. Antimicrob Agents Chemother 63:e01879-18.; US20190203229A;にさらに記載されるようなゲル電気泳動(gel electrophoreris)、フルオロフォアベースのインビトロニッキングアッセイ、放射活性インビトロニッキングアッセイによって決定することができる。いくつかの実施態様において、TRSは、Repタンパク質(ウイルス核酸分子の複製のために)によって認識され、かつRepタンパク質のエンドヌクレアーゼ活性による鎖特異的ニッキングの部位である、DNA分子の逆方向反復内のヌクレオチド配列とすることができる。TRSは、Repタンパク質のエンドヌクレアーゼ活性による特異的切断の部位とすることもできる。一実施態様において、TRSは、NS1タンパク質によって(ウイルス核酸分子の複製のために)認識され、かつNS1タンパク質のエンドヌクレアーゼ活性による鎖特異的ニッキングの部位である、DNA分子の逆方向反復内のヌクレオチド配列とすることができる。別の実施態様において、TRSは、NS1タンパク質とヌクレオチド配列との間の特異的な相互作用の部位も含むことができる。TRSは、5ヌクレオチド~300ヌクレオチドの配列とすることができる。本セクション5.3.4で提供されるものを含む本明細書で提供される方法のいくつかの実施態様において、TRSは、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも105、少なくとも110、少なくとも115、少なくとも120、少なくとも125、少なくとも130、少なくとも135、少なくとも140、少なくとも145、少なくとも150、少なくとも155、少なくとも160、少なくとも165、少なくとも170、少なくとも175、少なくとも180、少なくとも185、少なくとも190、少なくとも195、少なくとも200、少なくとも205、少なくとも210、少なくとも215、少なくとも220、少なくとも225、少なくとも230、少なくとも235、少なくとも240、少なくとも245、少なくとも250、少なくとも255、少なくとも260、少なくとも265、少なくとも270、少なくとも275、少なくとも280、少なくとも285、少なくとも290、少なくとも295、少なくとも300、少なくとも305、少なくとも310、少なくとも315、少なくとも320、少なくとも325、少なくとも330、少なくとも335、少なくとも340、少なくとも345、少なくとも350、少なくとも355、少なくとも360、少なくとも365、少なくとも370、少なくとも375、少なくとも380、少なくとも385、少なくとも390、少なくとも395、又は少なくとも400ヌクレオチドの配列とすることができる。いくつかの他の実施態様において、TRSは、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、約180、約185、約190、約195、約200、約205、約210、約215、約220、約225、約230、約235、約240、約245、約250、約255、約260、約265、約270、約275、約280、約285、約290、約295、約300、約305、約310、約315、約320、約325、約330、約335、約340、約345、約350、約355、約360、約365、約370、約375、約380、約385、約390、約395、又は約400ヌクレオチドの配列とすることができる。いくつかのさらなる実施態様において、本段落に記載されるTRSの任意の実施態様を、セクション3、5.2、5.3、5.4、及び6で提供されるものを含む、本明細書で提供される任意の方法又はDNA分子と組み合わせることができる。
【0388】
あるいは、セクション3、5.2、5.3、5.4、及び6のものを含む本明細書で提供されるDNA分子は、TRSがもはや、RAP(すなわち、Rep及びNS1)用の認識及び/又は結合部位として働くことができなくなるように、変異、挿入、及び/又は欠失(部分的な欠失又はトランケーションを含む)を用いて該DNA分子内に存在するTRS配列を機能的に不活性化することによって、機能的TRSを欠いていてもよい。従って、セクション3、5.2、5.3、5.4、及び6のものを含む本明細書で提供されるDNA分子のいくつかの実施態様において、DNA分子は、機能的に不活性化されたTRSを含む。そのような機能的不活性化は、RAP(すなわち、Rep及びNS1)と機能的に不活性化されたTRSを含むDNA分子との間の結合と、RAPと野生型(wt)TRS配列(例えば、wt TRS配列を有している以外は同一のDNA分子)を含む参照分子との間の結合を測定し比較することによって評価することができる。そのような結合は、分子生物学の分野で知られており用いられている任意の結合測定、例えば、双方ともその全体が引用によりここに組み込まれる、Matthew J. Guille及びG. Geoff Knealeの文献、Molecular Biotechnology 8:35-52 (1997); Bipasha Deyらの文献、Mol Cell Biochem. 2012 Jun;365(1-2):279-99にさらに記載されるような、クロマチン免疫沈降(ChIP)アッセイ、DNA 電気泳動移動度シフト解析(EMSA)、DNAプルダウンアッセイ、又はマイクロプレート捕獲・検出アッセイによって決定することができる。一実施態様において、RAP(すなわち、Rep及びNS1)とDNA分子内の機能的に不活性化されたTRSとの間の結合は、RAP(すなわち、Rep及びNS1)と参照DNA分子(例えば、wt TRS配列を有している以外は同一のDNA分子)内の野生型TRSとの間の結合と比較して、多くとも0.001%、多くとも0.01%、多くとも0.1%、多くとも1%、多くとも1.5%、多くとも2%、多くとも2.5%、多くとも3%、多くとも3.5、多くとも4%、多くとも4.5%、多くとも5%、多くとも5.5%、多くとも6%、多くとも6.5%、多くとも7%、多くとも7.5%、多くとも8%、多くとも8.5%、多くとも9%、多くとも9.5%、又は多くとも10%である。別の実施態様において、RAP(すなわち、Rep及びNS1)とDNA分子内の機能的に不活性化されたTRSとの間の結合は、RAP(すなわち、Rep及びNS1)と参照DNA分子(例えば、wt TRS配列を有している以外は同一のDNA分子)内の野生型TRSとの間の結合と比較して、約0.001%、約0.01%、約0.1%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、又は約10%である。さらに別の実施態様において、RAP(すなわち、Rep及びNS1)とDNA分子内の機能的に不活性化されたTRSとの間の結合は、RAP(すなわち、Rep及びNS1)と参照DNA分子(例えば、wt TRS配列を有している以外は同一のDNA分子)内の野生型TRSとの間の結合と比較して、0.001%、0.01%、0.1%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、又は10%である。
【0389】
一実施態様において、DNA分子は、変異によって不活性化されたTRSを含む。一実施態様において、DNA分子は、TRSにおける1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、10、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40個のヌクレオチドの変異によって不活性化されたTRSを含む。別の実施態様において、DNA分子は、TRSにおけるヌクレオチドのうちの1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、10%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、又は40%の変異によって不活性化されたTRSを含む。さらなる実施態様において、DNA分子は、TRSにおける1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、10、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は個の40ヌクレオチドの欠失によって不活性化されたTRSを含む。さらに別の実施態様において、DNA分子は、TRSにおけるヌクレオチドのうちの1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、10%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、又は40%の欠失によって不活性化されたTRSを含む。いくつかの実施態様において、前述の文の欠失は、内部欠失、5’末端からの欠失、又は3’末端からの欠失である。いくつかの実施態様において、本段落の欠失は、内部欠失、5’末端からの欠失、及び/又は3’末端からの欠失の任意の組合せとすることができる。ある実施態様において、DNA分子は、TRS配列全体の欠失によって不活性化されたTRSを含む。いくつかの追加の実施態様において、DNA分子は、TRS配列の部分的な欠失によって不活性化されたTRSを含む。
【0390】
同様に、DNA配列のエレメント又は特徴を、本明細書(セクション5.3及び5.4など)で提供されるDNA分子の任意の特定の領域又は本明細書(セクション5.2など)で提供される方法で用いられるDNA分子の任意の特定の領域に含めること又はそれらから排除することができる。一実施態様において、DNA分子は、RSを欠く。さらに別の実施態様において、前記第1の逆方向反復は、TRSを欠く。別の実施態様において、前記第2の逆方向反復は、TRSを欠く。さらなる実施態様において、前記第1の逆方向反復は、TRSを欠き、かつ前記第2の逆方向反復は、TRSを欠く。
【0391】
あるいは、TRS配列のエレメント又は特徴を、本明細書(セクション5.3及び5.4など)で提供されるDNA分子の任意の特定の領域又は本明細書(セクション5.2など)で提供される方法で用いられるDNA分子の任意の特定の領域から機能的に不活性化させることができる。一実施態様において、DNA分子は、機能的に不活性化されたTRSを含む。さらに別の実施態様において、第1の逆方向反復は、機能的に不活性化されたTRSを含む。別の実施態様において、第2の逆方向反復は、機能的に不活性化されたTRSを含む。さらなる実施態様において、第1の逆方向反復は、機能的に不活性化されたTRSを含み、かつ第2の逆方向反復は、機能的に不活性化されたTRSを含む。いくつかの特定の実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子内で排除された又は機能的に不活性化されたRABSは、以下の表に一覧表示されているRABS配列のうちの任意のもの、又は任意の数の任意の組合せ、又は全てとすることができる。
(表18: 例示的なRAP)
【表18】
【0392】
RBS配列を欠くDNA分子のための末端反復のさらなる非限定的な例を、
図3並びに対応する配列番号:3、4、5、8、9、及び10に例示する。いくつかの特定の実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子内の排除された又は機能的に不活性化されたRABSは、以下の表に一覧表示されるRABS配列のうちの任意のもの、又は任意の数の任意の組合せ、又は全てとすることができる。
【表19】
【0393】
特定の一実施態様において、DNA分子は、前の段落の表に記載されるRAPのうちのいずれか1つ、又は任意の数の任意の組合せ、又は全てのコード配列を欠く。別の具体的な実施態様において、DNA分子は、前の段落の表に記載されるRAPのうちのいずれか1つ、又は任意の数の任意の組合せ、又は全てをコードする機能的に不活性化された配列を含む。別の具体的な実施態様において、DNA分子は、前の段落の表に記載されるRAPのうちのいずれか1つ、又は任意の数の任意の組合せ、又は全てをコードする機能的に不活性化された配列を含む。
【0394】
別の具体的な実施態様において、DNA分子は、機能的に不活性化された、前の段落の表に記載されるRAPのうちのいずれか1つ、又は任意の数の任意の組合せ、又は全て用の認識配列を含む。特定の一実施態様において、ヘアピン化逆方向反復の一方又は双方が、RAPS認識配列:
【化2】
を欠く。
【0395】
DNA分子に含まれ得るヘアピン化逆方向反復のさらなる非網羅的な例は、実施例10で例示される少なくとも1つ又は任意のRBS配列を欠く。
【0396】
別の具体的な実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子内の排除された又は機能的に不活性化されたTRSは、以下の表に一覧表示されるTRS配列のうちの任意のもの、又は任意の数の任意の組合せ、又は全てとすることができる。
(表19: 例示的なRAP)
【表20】
【0397】
本明細書で提供される方法が、ウイルス複製工程を必要とせず、かつ本明細書で提供されるDNA分子が、ウイルスのライフサイクルにおいて産生又は複製される必要がないために、本明細書で提供されるDNA分子が、本セクション(セクション5.3.4)で提供される配列又は特徴を含む、さまざまなDNA配列又は特徴を欠いていてもよいことを本開示は規定し、かつ本開示の読者はそのことを理解するであろう。本セクション5.3.4で提供されるようなRABS及び/又はTRSを欠くDNA分子並びに機能的に不活性化されたRABS及び/又は機能的に不活性化されたTRSを含むDNA分子は、DNA分子が、患者に投与された場合に。可動化又は複製のリスクがないか、又はそのようなRABS及び/又はTRS配列を含むDNA分子と比較した場合に顕著に低いという点で大きな利点を少なくとも提供する。可動化のリスク又は可動化リスクは、複製欠損DNA分子が、該DNA分子を投与されたホストにおいてウイルス粒子を複製又は産生するように復帰してしまうリスクを意味する。そのような可動化リスクは、該DNA分子を投与されたホストと同一のホストに感染したウイルスにより発現されるウイルスタンパク質(例えば、Repタンパク質、NS1タンパク質、又はウイルスカプシドタンパク質)の存在に起因することがある。可動化リスクは、例えば、Liujiang Songの文献、Hum Gene Ther、2020年8月;31(19-20):1054-1067(その全体は引用により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、複製欠損ウイルスゲノムを遺伝子療法ベクターとして用いることに関する著しい安全性への懸念をもたらす。そのようなRABS及び/又はTRSを欠くDNA分子は、他のヘルパーウイルスが同一のホスト内に存在してRAPを提供した場合であっても、ウイルスのRAPが複製を開始させるための結合部位を有しないであろう。理論にとらわれるものではないが、存在複製開始は、ヘルペスウイルス科、アデノウイルス、及びパピローマウイルス由来のウイルスを挙げることができる、「ヘルパーウイルス」と称される補助ウイルスによるホストの共感染によって提供されるヘルパー因子を必要とするであろうと考えられる。
【0398】
従って、本セクション5.3.4のものを含む本明細書で提供されるDNA分子のいくつかの実施態様において、RABSを含まずかつ/又はTRSを含まないDNA分子は、RABSを含みかつ/又はTRSを含むDNA分子と比較した場合に、より低い対象又は患者への投与後の可動化リスクを有する。本セクション5.3.4のものを含む本明細書で提供されるDNA分子のある実施態様において、機能的に不活性化されたRABS及び/又は機能的に不活性化されたTRSを含むDNA分子は、RABSを含みかつ/又はTRSを含むDNA分子と比較した場合に、より低い対象又は患者への投与後の可動化リスクを有する。そのような可動化リスクの低下は、(Pm-Po)/Pm(式中、Pmは、RAPが(例えば、同一のホストにおけるRAPを含む何らかのウイルスの感染又はRAPの操作された発現を原因として)存在する場合にRABSを含む対照DNA分子から産生されるウイルス粒子の数であり;Poは、対照DNA分子に用いられるのと同一のホストにおいて同程度の条件下で、本明細書で提供されるRABSを欠くか又は機能的に不活性化された を含むDNA分子から産生されるウイルス粒子の数である)として決定することができる。あるいは、そのような可動化リスクの低下は、(Pm-Po)/Pm(式中、Pmは、RAPが(例えば、同一のホストにおけるRAPを含む何らかのウイルスの感染又はRAPの操作された発現を原因として)存在する場合にTRSを含む対照DNA分子から産生されるウイルス粒子の数であり;Poは、対照DNA分子に用いられるのと同一のホストにおいて同程度の条件下で、本明細書で提供されるTRSを欠くか又は機能的に不活性化されたTRSを含むDNA分子から産生されるウイルス粒子の数である)として決定することができるさらに、そのような可動化リスクの低下は、(Pm-Po)/Pm(式中、Pmは、RAPが(例えば、同一のホストにおけるRepタンパク質もしくはNS1タンパク質を含む何らかのウイルスの感染又はRepタンパク質もしくはNS1タンパク質の操作された発現を原因として)存在する場合のRABSを含みかつTRSを含む対照DNA分子から産生されるウイルス粒子の数であり;Poは、対照DNA分子に用いられるのと同一のホストにおいて同程度の条件下で、本明細書で提供される(i)RABSを欠くか又は機能的に不活性化されたRABSを含み、かつ(ii)TRSを欠くか又は機能的に不活性化されたTRSを含むDNA分子から産生されるウイルス粒子の数である)として決定することができる。Liujiang Songの文献、Hum Gene Ther、2020年10月;31(19-20):1054-1067(その全体は引用により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、産生される粒子数を決定するために用いられるホストは、細胞、動物(例えば、マウス、ハムスター、ラット、イヌ、ウサギ、モルモット、及び他の適当な哺乳動物)、又はヒトとすることができる。それぞれが本段落に記載されているとおりであるPm及びPoを、可動化の絶対的又は相対的なレベルを決定するのにも使用することができることを本開示はさらに規定し、そのことを本開示を読んだ当業者は理解するであろう。簡単に述べると、そのようなアッセイにおいて、DNA分子を、ホスト細胞(例えば、HEK293細胞)内にトランスフェクションさせるか、又はDNA分子を含むウイルス粒子に感染させることによってホスト細胞内に形質導入する。ホスト細胞を、Repタンパク質、NS1タンパク質を用いてさらにトランスフェクションさせるか、又はRepタンパク質又はNS1タンパク質を発現する別のウイルス(例えば、野生型ウイルス)に共感染させる。次いで、ホスト細胞を培養して、ウイルス粒子を産生及び放出させる。次いで、48~72時間(例えば、65時間)の培養後に、ビリオンを、ホスト細胞及び培養培地の双方を集めることによって回収する。ウイルス粒子の力価(Pm及びPoの代理)を、その全体が引用により組み込まれるSongらの文献、Cytotherapy 2013;15:986-998に記載されているように、非カプシド形成DNAを除去するベンゾナーゼ処理後のプローブベースの定量的PCR(qPCR)分析によって決定することができる。そのようなアッセイの例示的な実施は、その全体が引用により本明細書に組み込まれる、Liujiang Songの文献、Hum Gene Ther、2020年10月;31(19-20):1054-1067に提供されている。
【0399】
可動化リスクの低下及び可動化リスクレベルの決定に基づき、本セクション5.3.4におけるものを含む本明細書で提供されるDNA分子のいくつかの実施態様において、ホストに投与された場合のDNA分子の可動化リスクは、対照RABSを含みかつ/又はTRSを含むDNA分子よりも100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、60%、59%、58%、57%、56%、55%、54%、53%、52%、51%、50%、49%、48%、47%、46%、45%、44%、43%、42%、41%、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、又は20%低い。ある実施態様において、ホストに投与された場合のDNA分子の可動化リスクは、対照RABSを含みかつ/又はTRSを含むDNA分子よりも少なくとも99%、少なくとも98%、少なくとも97%、少なくとも96%、少なくとも95%、少なくとも94%、少なくとも93%、少なくとも92%、少なくとも91%、少なくとも90%、少なくとも89%、少なくとも88%、少なくとも87%、少なくとも86%、少なくとも85%、少なくとも84%、少なくとも83%、少なくとも82%、少なくとも81%、少なくとも80%、少なくとも79%、少なくとも78%、少なくとも77%、少なくとも76%、少なくとも75%、少なくとも74%、少なくとも73%、少なくとも72%、少なくとも71%、少なくとも70%、少なくとも69%、少なくとも68%、少なくとも67%、少なくとも66%、少なくとも65%、少なくとも64%、少なくとも63%、少なくとも62%、少なくとも61%、少なくとも60%、少なくとも59%、少なくとも58%、少なくとも57%、少なくとも56%、少なくとも55%、少なくとも54%、少なくとも53%、少なくとも52%、少なくとも51%、少なくとも50%、少なくとも49%、少なくとも48%、少なくとも47%、少なくとも46%、少なくとも45%、少なくとも44%、少なくとも43%、少なくとも42%、少なくとも41%、少なくとも40%、少なくとも39%、少なくとも38%、少なくとも37%、少なくとも36%、少なくとも35%、少なくとも34%、少なくとも33%、少なくとも32%、少なくとも31%、少なくとも30%、少なくとも29%、少なくとも28%、少なくとも27%、少なくとも26%、少なくとも25%、少なくとも24%、少なくとも23%、少なくとも22%、少なくとも21%、又は少なくとも20%低い。別の実施態様において、ホストに投与された場合のDNA分子の可動化リスクは、対照RABSを含みかつ/又はTRSを含むDNA分子よりも約100%、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%、約90%、約89%、約88%、約87%、約86%、約85%、約84%、約83%、約82%、約81%、約80%、約79%、約78%、約77%、約76%、約75%、約74%、約73%、約72%、約71%、約70%、約69%、約68%、約67%、約66%、約65%、約64%、約63%、約62%、約61%、約60%、約59%、約58%、約57%、約56%、約55%、約54%、約53%、約52%、約51%、約50%、約49%、約48%、約47%、約46%、約45%、約44%、約43%、約42%、約41%、約40%、約39%、約38%、約37%、約36%、約35%、約34%、約33%、約32%、約31%、約30%、約29%、約28%、約27%、約26%、約25%、約24%、約23%、約22%、約21%、又は約20%低い。
【0400】
あるいは、一実施態様において、本セクション5.3.4におけるものを含む本明細書で提供されるDNA分子は、(例えば、本セクション5.3.4で提供されるPoの測定に基づいて)検出可能な可動化をもたらさない。別の実施態様において、本セクション5.3.4におけるものを含む本明細書で提供されるDNA分子は、参照DNA分子(例えば、野生型RABSを含みかつ/又は野生型TRS配列と含むことを除き同一のDNA分子)がもたらす可動化の0.0001%以下、0.001%以下、0.01%以下、0.1%以下、1%以下、1.5%以下、2%以下、2.5%以下、3%以下、3.5以下、4%以下、4.5%以下、5%以下、5.5%以下、6%以下、6.5%以下、7%以下、7.5%以下、8%以下、8.5%以下、9%以下、9.5%以下、又は10%以下の可動化をもたらす。さらなる実施態様において、本セクション5.3.4におけるものを含む本明細書で提供されるDNA分子は、参照DNA分子(例えば、野生型RABSを含みかつ/又は野生型TRS配列と含むことを除き同一のDNA分子)がもたらす可動化の約0.0001%、約0.001%、約0.01%、約0.1%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、又は約10%の可動化をもたらす。さらに別の実施態様において、本セクション5.3.4におけるものを含む本明細書で提供されるDNA分子は、参照DNA分子(例えば、野生型RABSを含みかつ/又は野生型TRS配列と含むことを除き同一のDNA分子)がもたらす可動化の0.0001%、0.001%、0.01%、0.1%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、又は10%の可動化をもたらす。そのような可動化の百分率は、前の段落(前の2つの段落を含む)にさらに記載されているように決定されたPm及びPoを用いることによって決定することができる。
【0401】
ある実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子(例えば、本セクション5.3.4のもの)は、機能的に不活性化されたRABS及び/又は機能的に不活性化されたTRSを有するITRを含む。ある実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子は、RABS及び/又はTRSを欠くITRを含む。ある実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子は、機能的RABS及び/又は機能的TRSを含むDNA分子と比較した場合に、より低い対象又は患者への投与後の可動化リスクを有する。機能的に不活性化されたRABS及び/又は機能的に不活性化されたTRSを有するITRは、互換的に「ウイルス複製欠損性逆方向反復」又は「ウイルス複製欠損性逆方向末端反復」と呼ばれる。
【0402】
ある実施態様において、本明細書で提供される方法は、いずれのRABSも必要としない。ある実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子は、ウイルスのライフサイクルにおいて産生及び/又は複製される必要がない。当業者は、本明細書で提供されるDNA分子が、例えば、本セクション5.3.4に記載される配列又は特徴を備える、従来からRABS及び/又はウイルスによる産生又は複製に関連があるとされている追加の特徴を欠いていてもよいことを理解するであろう。ある実施態様において、RBSを欠くDNA分子及び/又は本明細書で提供される機能的に不活性化されたRBSを含むDNA分子(例えば、セクション5.3.4におけるもの)は、少なくとも、DNA分子の末端反復配列が、ひとたびホスト細胞に入ると、内在性プロモーター及び/又は転写活性(例えば、RBSとホモログ配列を共有するP5 AAVプロモーター)を全く有しないか、又はそれが野生型ウイルスITR配列を含むDNA分子と比較して低下している場合があるという点でさらなる利点を提供する。転写活性又は内在性プロモーター活性は、ヘアピン末端DNA分子の、フォールディングされたヘアピンオーバーハング配列(例えば、これらの配列が、1つ以上の転写開始点(TSS)を含む場合)から出発する導入遺伝子発現を促進する能力を意味する。そのような転写活性は、DNA分子を投与されたホストと同一のホストに感染したウイルスにより発現されるウイルスタンパク質(例えば、Repタンパク質又はNS1タンパク質)の存在又はホスト細胞において発現される内在性転写因子の結合に起因することがある。TSS及びプロモーター配列又はその断片(例えば、P5プロモーター)の存在は、治療的応用において意図される導入遺伝子発現又はプロモーター選択とは無関係の導入遺伝子発現カセットに対する影響を混乱させることがあり、ここで、適切な調節エレメント(例えば、組織特異的なプロモーター)による(例えば、組織特異的な)導入遺伝子発現の厳密な制御が、非常に望ましい。いくつかの実施態様において、ヘアピン末端DNA分子のフォールディングされたヘアピンオーバーハングDNA配列から生じる転写活性及び/又は内在性プロモーター活性の存在又はレベル(「ITR転写活性」と呼ばれる)は、ORFの上流にcis-調節エレメント(例えば、セクション5.3.3に記載されるプロモーター)を(例えば、5.3.3に記載されるような発現カセットのプロモーター配列を欠失させる又は不活性化させることによって)欠く本明細書で提供されるヘアピン末端DNA分子による、そのような配列のホスト細胞における導入遺伝子発現を促進する能力を測定すること(例えば、リポート遺伝子発現を検出すること、mRNA転写産物のqPCR、ウエスタンブロットなど)によって決定することができる。
【0403】
さらなる実施態様において、ITR転写活性は、組織特異的なcis-調節エレメント(例えば、セクション5.3.3に記載される組織特異的なプロモーター)を含む発現カセットを含むヘアピン末端DNA分子の、該組織には由来しないホスト細胞における導入遺伝子発現を促進する残留能力を測定することによって(例えば、リポート遺伝子発現を検出すること、mRNA転写産物のqPCR、ウエスタンブロットなどによって)決定することができる。
【0404】
低下したITR転写活性及びITR転写活性レベルの決定に基づいて、本セクション5.3.4におけるものを含む本明細書で提供されるDNA分子のいくつかの実施態様において、ホストに投与された場合のDNA分子のITR転写活性は、野生型ウイルスITR及び/又はRABSを含む対照DNA分子よりも、100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、60%、59%、58%、57%、56%、55%、54%、53%、52%、51%、50%、49%、48%、47%、46%、45%、44%、43%、42%、41%、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、又は20%低い。ある実施態様において、ホストに投与された場合のDNA分子のITR転写活性は、RABSを含みかつ/又は野生型ウイルスITRを含む対照DNA分子よりも少なくとも99%、少なくとも98%、少なくとも97%、少なくとも96%、少なくとも95%、少なくとも94%、少なくとも93%、少なくとも92%、少なくとも91%、少なくとも90%、少なくとも89%、少なくとも88%、少なくとも87%、少なくとも86%、少なくとも85%、少なくとも84%、少なくとも83%、少なくとも82%、少なくとも81%、少なくとも80%、少なくとも79%、少なくとも78%、少なくとも77%、少なくとも76%、少なくとも75%、少なくとも74%、少なくとも73%、少なくとも72%、少なくとも71%、少なくとも70%、少なくとも69%、少なくとも68%、少なくとも67%、少なくとも66%、少なくとも65%、少なくとも64%、少なくとも63%、少なくとも62%、少なくとも61%、少なくとも60%、少なくとも59%、少なくとも58%、少なくとも57%、少なくとも56%、少なくとも55%、少なくとも54%、少なくとも53%、少なくとも52%、少なくとも51%、少なくとも50%、少なくとも49%、少なくとも48%、少なくとも47%、少なくとも46%、少なくとも45%、少なくとも44%、少なくとも43%、少なくとも42%、少なくとも41%、少なくとも40%、少なくとも39%、少なくとも38%、少なくとも37%、少なくとも36%、少なくとも35%、少なくとも34%、少なくとも33%、少なくとも32%、少なくとも31%、少なくとも30%、少なくとも29%、少なくとも28%、少なくとも27%、少なくとも26%、少なくとも25%、少なくとも24%、少なくとも23%、少なくとも22%、少なくとも21%、又は少なくとも20%低い。別の実施態様において、ホストに投与された場合のDNA分子のITR転写活性は、RABSを含みかつ/又は野生型ウイルスITRを含む対照DNA分子よりも約100%、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%、約90%、約89%、約88%、約87%、約86%、約85%、約84%、約83%、約82%、約81%、約80%、約79%、約78%、約77%、約76%、約75%、約74%、約73%、約72%、約71%、約70%、約69%、約68%、約67%、約66%、約65%、約64%、約63%、約62%、約61%、約60%、約59%、約58%、約57%、約56%、約55%、約54%、約53%、約52%、約51%、約50%、約49%、約48%、約47%、約46%、約45%、約44%、約43%、約42%、約41%、約40%、約39%、約38%、約37%、約36%、約35%、約34%、約33%、約32%、約31%、約30%、約29%、約28%、約27%、約26%、約25%、約24%、約23%、約22%、約21%、又は約20%低い。
【0405】
ある実施態様において、本セクション5.3.4におけるものを含む本明細書で提供されるDNA分子は、(例えば、本セクション5.3.4の導入遺伝子発現方法の測定に基づいて)検出可能なITR転写活性をもたらさない。別の実施態様において、本セクション5.3.4におけるものを含む本明細書で提供されるDNA分子は、参照DNA分子(例えば、野生型RABSを有すること及び/又は野生型のITR配列を有すること以外は同一のDNA分子)がもたらすITR転写活性の0.0001%以下、0.001%以下、0.01%以下、0.1%以下、1%以下、1.5%以下、2%以下、2.5%以下、3%以下、3.5以下、4%以下、4.5%以下、5%以下、5.5%以下、6%以下、6.5%以下、7%以下、7.5%以下、8%以下、8.5%以下、9%以下、9.5%以下、又は10%以下のITR転写活性をもたらす。さらなる実施態様において、本セクション5.3.4におけるものを含む本明細書で提供されるDNA分子は、参照DNA分子(例えば、野生型RABSを有すること及び/又は野生型のITR配列を有すること以外は同一のDNA分子)がもたらすITR転写活性の約0.0001%、約0.001%、約0.01%、約0.1%、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、又は約10%のITR転写活性をもたらす。さらに別の実施態様において、本セクション5.3.4におけるものを含む本明細書で提供されるDNA分子は、参照DNA分子(例えば、野生型RABSを有すること及び/又は野生型のITR配列を有すること以外は同一のDNA分子)がもたらす可動化ITR転写活性の0.0001%、0.001%、0.01%、0.1%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、又は10%のITR転写活性をもたらす。そのようなITR転写活性の百分率は、前の段落(前の2つの段落を含む)にさらに記載されているように、決定される導入遺伝子発現を用いて決定することができる。
【0406】
本セクション5.3.4の記載から明らかであるように、本明細書で提供されるDNA分子において排除されるDNA配列又は特徴は、本明細書(セクション3、5.2、及び6を含む)で提供される方法のいずれか、本明細書(セクション3、5.3、及び6を含む)で提供されるDNA分子のいずれか、及び本明細書(セクション3、5.4、及び6を含む)で提供されるヘアピン末端DNA分子のいずれかと任意のやり方で組み合わせることができ、本明細書(セクション3、5.5、及び6を含む)で提供されるDNA分子の機能的性質に寄与する。
【0407】
(5.3.5 プラスミドなどのベクター)
本開示は、DNA分子が、さまざまな形態のものであり得ることを規定する。一実施態様において、本明細書における方法及び組成物のために提供されるDNA分子は、ベクターである。ベクターは、ホスト細胞内で複製及び/又は発現させることができる核酸分子である。当業者に公知の任意のベクターが、本明細書で提供される。いくつかの実施態様において、ベクターは、プラスミド、ウイルスベクター、コスミド、及び人工染色体(例えば、細菌人工染色体又は酵母人工染色体)とすることができる。特定の一実施態様において、ベクターは、プラスミドである。記載から明らかであるように、DNA分子が、ベクター(プラスミドを含む)の形態である場合、該ベクターは、セクション3及び本セクション(セクション5.3)に記載されているものを含む、DNA分子について本明細書に記載される全ての特徴を備えるであろう。
【0408】
いくつかの実施態様において、本セクション(セクション5.3.5)で提供されるベクターは、例えば、セクション5.2で提供される方法の工程を行うことによって、セクション3及び5.4で提供されるDNA分子の製造に使用することができる。従って、本セクション(セクション5.3.5)で提供されるベクターは、(1)、セクション5.3.1及び5.4に記載されているようなヘアピンを形成することができるIR又はITR、5.3.3に記載されているような発現カセット、及びセクション5.3.2、5.2.4、及び5.3.6に記載されているようなニッキングエンドヌクレアーゼ又は制限酵素用の制限部位を含む、セクション3及び5.4で提供されるDNA分子の特徴を含み、かつ/又は(2)セクション5.3.4に記載されるようなRABS及び/又はTRS配列を欠く。従って、本開示は、本セクション(セクション5.3.5)で提供されるベクターが、(1)セクション5.3.1及び5.4に記載されているようなヘアピンを形成することができるIR又はITR、5.3.3に記載されているような発現カセット、セクション5.3.2、5.2.4、及び5.3.6に記載されているようなニッキングエンドヌクレアーゼ又は制限酵素用の制限部位、及び本セクション(セクション5.3.5)で提供されるベクターについての追加の特徴の実施態様の任意の組合せを含むことができ、かつ/又は(2)セクション5.3.4に記載されるようなRABS及び/又はTRS配列を欠くことを規定する。いくつかの実施態様において、ベクターは、作動的に連結された成分として、転写の方向に少なくとも以下のもの:(1)5’ ITR配列;(2)cis-調節エレメント、例えば、プロモーター、誘導性プロモーター、調節性スイッチ、エンハンサーなどを含む発現カセット;及び(3)3’ IR配列を提供する公知の技術を用いて構築することができる。いくつかの実施態様において、発現カセットは、ITRに隣接しており、外来性の配列を導入するためのクローニングサイトを含む。
【0409】
具体的には、一実施態様において、DNA分子は、プラスミドである。プラスミドは、該プラスミド内のDNA分子を複製する又は発現させるためのベクターとして本技術分野において広く知られておりかつ用いられている。プラスミドは、多くの場合、適当なホスト細胞内で自律複製することができる二本鎖及び/又は環状DNA分子を意味する。ある実施態様において、セクション5.2に記載される方法のために提供されるプラスミドは、制限酵素による消化によって直鎖化することができ、かつ/又は直鎖状の形態で存在することができる。本明細書に記載される方法及び組成物のために提供されるプラスミドは、さまざまな供給業者から入手可能なでありかつ/又はその全体が引用により本明細書に組み込まれるMichael Green及びJoseph Sambrookの文献、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、第4版、ISBN 978-1-936113-42-2 (2012)において記載されているような、周知のホスト細胞(原核生物及び真核生物ホスト細胞の双方を含む)における使用のための商業的に入手可能なプラスミドを含む。ある実施態様において、前記プラスミドは、マルチクローニングサイトをさらに含む。いくつかの実施態様において、前記プラスミドは、例えば、抗生物質耐性遺伝子とすることができる選択マーカーをさらに含む。いくつかの実施態様において、前記プラスミドは、複製起点(ORI)をさらに含む。ORIは、そこで複製が開始され、ホスト細胞の内部でプラスミドが複製するのを可能とする配列である。ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物のために提供されるORIは、細菌の複製起点とすることができる。ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物のために提供されるORIは、真核生物の複製起点とすることができる。ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物のために提供されるORIは、ウイルスの複製起点とすることができる。いくつかの特定の実施態様において、ORIは、pBR322、F1、ColE1、pMB1、pUC、pSC101、R6K、15A、EBV ORI、又はSV40 ORIとすることができる。
【0410】
本セクション(セクション5.3.5)に記載されるプラスミドは、他の特徴をさらに含むことができる。いくつかの実施態様において、前記プラスミドは、前記第1の逆方向反復に対して5’でありかつ前記第2の逆方向反復に対して3’である領域に制限酵素部位(例えば、セクション5.2.4及び5.3.2に記載されるような制限酵素部位)をさらに含み、ここで、該制限酵素部位は、該第1の逆方向反復、該第2の逆方向反復、及び該第1の逆方向反復と該第2の逆方向反復との間の領域のいずれの中にも存在しない。ある実施態様において、本段落に記載される制限部位における制限酵素での切断は、前記第1の逆方向反復及び/又は前記第2の逆方向反復のアニーリングに好適な条件(例えば、セクション5.2.5に記載されているような条件)下では検出可能なレベルでアニーリングしない一本鎖オーバーハングをもたらす。いくつかの他の実施態様において、前記プラスミドは、本段落に記載される制限部位を認識し切断する制限酵素をコードするオープンリーディングフレームをさらに含む。ある実施態様において、制限酵素部位及び対応する制限酵素は、セクション5.2.4及び5.3.2に記載されている制限酵素部位のいずれか1つ及びその対応する制限酵素とすることができる。さらなる実施態様において、本段落に記載される制限酵素の発現は、プロモーターの制御下にある。いくつかの実施態様において、本段落に記載されるプロモーターは、セクション5.3.3で上述した任意のプロモーターとすることができる。別の実施態様において、記載されたプロモーターは、誘導性プロモーターである。ある実施態様において、誘導性プロモーターは、化学的に誘導性のプロモーターである。さらなる実施態様において、誘導性プロモーターは、その全体が引用により本明細書に組み込まれるJanina Klugeらの文献、Applied Microbiology and Biotechnology、102: 6357-6372 (2018)に記載されているような:テトラサイクリンON(Tet-On)プロモーター、負の誘導性pLacプロモーター、alcA、amyB、bli-3、bphA、catR、cbhl、cre1、exylA、gas、glaA、gla1、mir1、niiA、qa-2、Smxyl、tcu-1、thiA、vvd、xyl1、xyl1、xylP、xyn1、及びZeaRからなる群から選択されるいずれか1つである。
【0411】
同様に、ある実施態様において、プラスミドは、第1の逆方向反復に対して5’でありかつ第2の逆方向反復に対して3’である領域にニッキングエンドヌクレアーゼ用の第5及び第6の制限部位(例えば、セクション5.2.4及び5.3.2に記載されているようなニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位)をさらに含むことができ、ここで、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の該第5及び第6の制限部位は:a.)向かい合う鎖上にあり;かつb.)切断の一本鎖オーバーハングが記第1の逆方向反復及び/又は前記第2の逆方向反復のアニーリングに好適な条件(例えば、セクション5.2.5に記載されているような条件)下で検出可能なレベルで分子間又は分子内アニーリングしないような、該切断を前記二本鎖DNA分子内に生じさせる。セクション5.2.4の記載から明らかであるように、ニッキングエンドヌクレアーゼとのインキュベーションは、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第5の制限部位に対応する第5のニック及び該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第6の制限部位に対応する第6のニックをもたらすものである。本開示は、該第5及び第6のニックが、それらの間でさまざまな相対的な位置をとることができることを規定する。一実施態様において、前記第5及び第6のニックは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド離れている。いくつかの実施態様において、第5及び第6のニックの間のssDNAオーバーハングが、前記第1の逆方向反復及び/又は前記第2の逆方向反復のアニーリングに好適な条件下で検出可能なレベルで分子間又は分子内アニーリングしないために、第5及び第6のニックの結果として生じるssDNAオーバーハングは、セクション5.2.3及び5.3.2に記載されるssDNAオーバーハングよりも低い融解温度を有する。ある実施態様において、第5及び第6のニックの結果として生じるssDNAオーバーハングは、セクション5.2.3及び5.3.2に記載されるssDNAオーバーハングよりも短い。別の実施態様において、第5及び第6のニックの結果として生じるssDNAオーバーハングは、セクション5.2.3及び5.3.2に記載されるssDNAオーバーハングよりも低いG-C含量百分率を有する。いくつかの特定の実施態様において、第5及び第6のニックの結果として生じるssDNAオーバーハングは、長さが0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチドである。別の具体的な実施態様において、第5及び第6のニックの結果として生じるssDNAオーバーハングは、セクション5.2.3及び5.3.2に記載されるssDNAオーバーハングよりも少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも105、少なくとも110、少なくとも115、少なくとも120、少なくとも125、少なくとも130、少なくとも135、少なくとも140、少なくとも145、少なくとも150、少なくとも155、少なくとも160、少なくとも165、少なくとも170、少なくとも175、又は少なくとも180ヌクレオチド短い。いくつかの特定の実施態様において、第5及び第6のニックの結果として生じるssDNAオーバーハングは、セクション5.2.3及び5.3.2に記載されるssDNAオーバーハングよりも約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約155、約160、約165、約170、約175、又は約180ヌクレオチド短い。
【0412】
ある実施態様において、プラスミドは、第1の逆方向反復に対して5’でありかつ第2の逆方向反復に対して3’である領域に、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19個、又はそれを超えるニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位(例えば、セクション5.2.4及び5.3.2に記載されているようなニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位)をさらに含むことができ、ここで、該追加のニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位は:a.)向かい合う鎖上にあってもよく;かつb.)切断の一本鎖オーバーハングが該第1の逆方向反復及び/又は該第2の逆方向反復のアニーリングに好適な条件(例えば、セクション5.2.5に記載されているような条件)下で検出可能なレベルで分子間又は分子内アニーリングしないような、該切断を前記二本鎖DNA分子内に生じさせる。ある実施態様において、前記第1の逆方向反復に対して5’でありかつ前記第2の逆方向反復に対して3’である領域のニックは、それらの間でさまざまな相対的な位置を有し得る。一実施態様において、前記第1の逆方向反復に対して5’でありかつ前記第2の逆方向反復に対して3’である領域のニックは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド離れている。いくつかの実施態様において、前記第1の逆方向反復に対して5’でありかつ前記第2の逆方向反復に対して3’である領域の各ニックの間のssDNAオーバーハングが、該第1の逆方向反復及び/又は該第2の逆方向反復のアニーリングに好適な条件下で検出可能なレベルで分子間又は分子内アニーリングしないために、前記第1の逆方向反復に対して5’でありかつ前記第2の逆方向反復に対して3’である領域のニックから生ずるssDNAオーバーハングは、セクション5.2.3及び5.3.2に記載されるssDNAオーバーハングよりも低い融解温度を有する。ある実施態様において、前記第1の逆方向反復に対して5’でありかつ前記第2の逆方向反復に対して3’である領域のニックから生ずるssDNAオーバーハングは、セクション5.2.3及び5.3.2に記載されるssDNAオーバーハングよりも短い。別の実施態様において、前記第1の逆方向反復に対して5’でありかつ前記第2の逆方向反復に対して3’である領域のニックから生ずるssDNAオーバーハングは、セクション5.2.3及び5.3.2に記載されるssDNAオーバーハングよりも低いG-C含量百分率を有する。いくつかの特定の実施態様において、前記第1の逆方向反復に対して5’でありかつ前記第2の逆方向反復に対して3’である領域のニックから生ずるssDNAオーバーハングは、長さが0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチドである。
【0413】
セクション5.2.4及び5.3.2で上述した通り、さまざまな実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び第4の制限部位は、同一又は異なるニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列とすることができる。同様に、ある実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の該第5及び第6の制限部位は、同一又は異なるニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列とすることができる。いくつかの実施態様において、セクション3及び5.2.4並びに本セクション5.3に記載されているようなDNA分子に対して提供されるニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位は、全てを同一のニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列用とすることができる。あるいは、別の実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位は、該6つの部位を2つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ標的配列に割り当てるのに考えられる全ての組合せ(例えば、第1の制限部位を第1のニッキングエンドヌクレアーゼにかつ残りを第2のニッキングエンドヌクレアーゼに、第1及び第2の制限部位を第1のニッキングエンドヌクレアーゼにかつ残りを第2のニッキングエンドヌクレアーゼになど)を含む、2つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列である。さらに、ある実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位は、該6つの部位を3つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ標的配列に割り当てるのに考えられる全ての組合せを含む、3つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列である。さらに、いくつかの実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位は、該6つの部位を4つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ標的配列に割り当てるのに考えられる全ての組合せを含む、4つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列である。さらに、いくつかの実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位は、該6つの部位を5つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ標的配列に割り当てるのに考えられる全ての組合せを含む、5つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列である。さらに、いくつかの実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位は、6つの異なるニッキングエンドヌクレアーゼ用の標的配列である。
【0414】
いくつかの実施態様において、前の段落に記載した前記ニッキングエンドヌクレアーゼ部位のうちの1つ以上は、内在性ニッキングエンドヌクレアーゼの標的配列である。いくつかの特定の実施態様において、前記プラスミドは、前の段落を含む本セクション(セクション5.3.5)に記載されるニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位のうちの1つ以上を認識するニッキングエンドヌクレアーゼをコードするORFをさらに含む。特定の一実施態様において、前記プラスミドは、前の段落を含む本セクション(セクション5.3.5)に記載されるニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位のうちの2つ以上を認識する2つのニッキングエンドヌクレアーゼをコードする2つのORFをさらに含む。別の具体的な実施態様において、前記プラスミドは、前の段落を含む本セクション(セクション5.3.5)に記載されるニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位のうちの3つ以上を認識する3つのニッキングエンドヌクレアーゼをコードする3つのORFをさらに含む。さらに別の具体的な実施態様において、前記プラスミドは、前の段落を含む本セクション(セクション5.3.5)に記載されるニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位のうちの4つ以上を認識する4つのニッキングエンドヌクレアーゼをコードする4つのORFをさらに含む。さらに別の具体的な実施態様において、前記プラスミドは、前の段落を含む本セクション(セクション5.3.5)に記載されるニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位のうちの4つ以上を認識する4つのニッキングエンドヌクレアーゼをコードする4つのORFをさらに含む。さらに具体的な実施態様において、前記プラスミドは、前の段落を含む本セクション(セクション5.3.5)に記載されるニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位のうちの5つ以上を認識する5つのニッキングエンドヌクレアーゼをコードする5つのORFをさらに含む。特定の一実施態様において、前記プラスミドは、それぞれが前の段落を含む本セクション(セクション5.3.5)に記載されるニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の制限部位を認識する6つのニッキングエンドヌクレアーゼをコードする6つのORFをさらに含む。ある実施態様において、本段落に記載される1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼの発現は、プロモーターの制御下にある。いくつかの実施態様において、本段落に記載される1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼの発現は、プロモーターの制御下にある。いくつかの実施態様において、本段落に記載される1種以上のニッキングエンドヌクレアーゼの発現は、誘導性プロモーターの制御下にある。いくつかの特定の実施態様において、前記誘導性プロモーターは、本セクション(セクション5.3.5)で上述した任意の誘導性プロモーターとすることができる。
【0415】
いくつかの実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び/又は第4の制限部位を認識する前記ニッキングエンドヌクレアーゼは、セクション3、5.2.4、及び5.3.2に記載したいずれか1つとすることができる。ある特定の実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第1、第2、第3、及び/又は第4の制限部位を認識する前記ニッキングエンドヌクレアーゼは、Nt.BsmAI;Nt.BtsCI;N.ALwl;N.BstNBI;N.BspD6I;Nb.Mva1269I;Nb.BsrDI;Nt.BtsI;Nt.BsaI;Nt.Bpu10I;Nt.BsmBI;Nb.BbvCI;Nt.BbvCI;又はNt.BspQIである。いくつかの実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第5及び第6の制限部位を認識する前記ニッキングエンドヌクレアーゼは、セクション3、5.2.4、及び5.3.2に記載したいずれか1つとすることができる。ある特定の実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の前記第5及び第6の制限部位を認識する前記ニッキングエンドヌクレアーゼは、Nt.BsmAI;Nt.BtsCI;N.ALwl;N.BstNBI;N.BspD6I;Nb.Mva1269I;Nb.BsrDI;Nt.BtsI;Nt.BsaI;Nt.Bpu10I;Nt.BsmBI;Nb.BbvCI;Nt.BbvCI;又はNt.BspQIである。
【0416】
さらに、いくつかの実施態様において、本セクション(セクション5.3.5)で提供されるプラスミドは、細菌培養物でのプラスミドの製造における使用のための選択可能マーカー又は選択マーカーを含むことができる。一実施態様において、選択マーカーは、3’ ITR配列の下流(例えば、3’)に挿入することができる。別の実施態様において、選択マーカーは、5’ IR配列の上流(例えば、5’)に挿入することができる。本セクション(セクション5.3.5)で提供されるプラスミドは、安定な発現細胞株の作製における使用のために、各IRの間に選択可能マーカー又は選択マーカーも含むことができる。一実施態様において、選択マーカーは、3’ ITR配列の上流(例えば、5’)に挿入することができる。別の実施態様において、選択マーカーは、5’ ITR配列の下流(例えば、3’)に挿入することができる。適切な選択マーカーの実施態様としては、薬物耐性を付与するものが挙げられる。ある実施態様において、選択マーカーは、ブラストサイジンS耐性遺伝子、カナマイシン、ジェネテシンなどとすることができる。具体的な実施態様において、薬物選択マーカーは、コラムフェニコール(choramphenicol)耐性遺伝子である。いくつかの実施態様において、プラスミドは、選択マーカーをコードするORFをさらに含むことができる。ある実施態様において、選択マーカーは、抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの特定の実施態様において、選択マーカーは:カナマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、アンピシリン、カルベニシリン、ブレオマイシン、エリスロマイシン、ポリミキシンb、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ブラストサイジン、g418/ジェネテシン、ハイグロマイシンB、ピューロマイシン、及びゼオシンからなる群から選択される選択試薬に対する耐性を提供するものである。
【0417】
さらなる実施態様において、本セクション(セクション5.3.5)のプラスミドは、セクション5.3の見出しと5.3.1との間の段落に記載されるDNA分子のコピーを1つ以上含むことができる。特定の一実施態様において、本セクション(セクション5.3.5)のプラスミドは、セクション5.3の見出しと5.3.1との間の段落に記載されるDNA分子のコピーを1つ含むことができる。別の具体的な実施態様において、本セクション(セクション5.3.5)のプラスミドは、セクション5.3の見出しと5.3.1との間の段落に記載されるDNA分子のコピーを2つ含むことができる。さらに別の具体的な実施態様において、本セクション(セクション5.3.5)のプラスミドは、セクション5.3の見出しと5.3.1との間の段落に記載されるDNA分子のコピーを1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個含むことができる。
【0418】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物のためのDNA分子(例えば、セクション3及び本セクション(セクション5.3)で提供されるようなもの)は、直鎖状非環状DNA分子とすることができる。
【0419】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物のためのベクターは、本セクション(セクション5.3.5)に記載されるいずれか1つ以上の特徴を、さまざまな順列及び組合せで含む。ある実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物のためのプラスミドは、本セクション(セクション5.3.5)に記載されるいずれか1つ以上の特徴を備える。ある実施態様において、本明細書で提供される方法及び組成物のためのプラスミドは、本セクション(セクション5.3.5)に記載されるいずれか1つ以上の特徴を、さまざまな順列及び組合せで含む。
【0420】
ニッキングエンドヌクレアーゼ及び/又はニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位を用いて本セクション(セクション5.3.5)に記載されるさまざまな実施態様は、さらに、ニッキングエンドヌクレアーゼをプログラム可能なニッキング酵素で置き換え、かつ制限部位をプログラム可能なニッキング酵素用の標的部位で置き換えて提供される。本段落及び本セクション(セクション5.3.3)のためのプログラム可能なニッキング酵素及びそれらの標的部位は、セクション5.2.4で提供されている。
【0421】
(5.3.6 ニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位を4つ未満有するDNA分子及びプログラム可能なニッキング酵素用の標的部位を4つ未満有するDNA分子)
追加の一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキング及び制限酵素での切断が、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第1の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載されている)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第2の制限部位及び制限酵素用の第2の制限部位が、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキング及び制限酵素での切断が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、向かい合う末端にかつ該第2の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載されている)、前記第2の逆方向反復を含み、該制限酵素用の第1の制限部位が、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位よりも発現カセットに対して遠位でありかつ該制限酵素用の第2の制限部位が、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第2の制限部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0422】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキング及び制限酵素での切断が、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第1の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載されている)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキング及び制限酵素での切断が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第2の制限部位及び制限酵素用の第2の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第2の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載されている)、前記第2の逆方向反復を含み、該制限酵素用の第1の制限部位が、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位よりも発現カセットに対して遠位であり、かつ該制限酵素用の第2の制限部位が、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第2の制限部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0423】
さらに別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキング及び制限酵素での切断が、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第1の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載されている)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキング及び制限酵素での切断が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第2の制限部位及び制限酵素用の第2の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第2の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載されている)、前記第2の逆方向反復を含み、該制限酵素用の第1の制限部位が、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位よりも発現カセットに対して遠位であり、かつ該制限酵素用の第2の制限部位が、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第2の制限部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0424】
さらなる態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキング及び制限酵素での切断が、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第1の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載されている)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキング及び制限酵素での切断が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第2の制限部位及び制限酵素用の第2の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第2の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、該制限酵素用の第1の制限部位が、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位よりも発現カセットに対して遠位であり、かつ該制限酵素用の第2の制限部位が、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第2の制限部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0425】
さらに、一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキング及び制限酵素での切断が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3の制限部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第2の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、該制限酵素用の第1の制限部位が、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3の制限部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0426】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキング及び制限酵素での切断が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3の制限部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第2の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、該制限酵素用の第1の制限部位が、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3の制限部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0427】
さらに別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキング及び制限酵素での切断が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3の制限部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第2の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、該制限酵素用の第1の制限部位が、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3の制限部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0428】
さらなる態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキング及び制限酵素での切断が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3の制限部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第2の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、該制限酵素用の第1の制限部位が、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第3の制限部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0429】
さらに、一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキング及び制限酵素での切断が、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第1の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第2及び第3の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、該制限酵素用の第1の制限部位が、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0430】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキング及び制限酵素での切断が、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第1の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第2及び第3の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、該制限酵素用の第1の制限部位が、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0431】
さらに別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキング及び制限酵素での切断が、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第1の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第2及び第3の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、該制限酵素用の第1の制限部位が、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0432】
さらなる態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキング及び制限酵素での切断が、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第1の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、ニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第2及び第3の制限部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、該制限酵素用の第1の制限部位が、該ニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1の制限部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0433】
追加の一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキング及び制限酵素での切断が、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1の標的部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第1の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキング及び制限酵素での切断が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第2の標的部位及び制限酵素用の第2の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第2の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、制限酵素用の該第1の制限部位が、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の該第1の標的部位よりも発現カセットに対して遠位であり、かつ制限酵素用の該第2の制限部位が、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の該第2の標的部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0434】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキング及び制限酵素での切断が、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1の標的部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第1の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキング及び制限酵素での切断が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第2の標的部位及び制限酵素用の第2の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第2の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、制限酵素用の該第1の制限部位が、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の該第1の標的部位よりも発現カセットに対して遠位であり、かつ制限酵素用の該第2の制限部位が、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の該第2の標的部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0435】
さらに別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキング及び制限酵素での切断が、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1の標的部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第1の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキング及び制限酵素での切断が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第2の標的部位及び制限酵素用の第2の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第2の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、制限酵素用の該第1の制限部位が、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の該第1の標的部位よりも発現カセットに対して遠位であり、かつ制限酵素用の該第2の制限部位が、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の該第2の標的部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0436】
さらなる態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキング及び制限酵素での切断が、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1の標的部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第1の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキング及び制限酵素での切断が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第2の標的部位及び制限酵素用の第2の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第2の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、制限酵素用の該第1の制限部位が、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の該第1の標的部位よりも発現カセットに対して遠位であり、かつ制限酵素用の該第2の制限部位が、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の該第2の標的部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0437】
さらに、一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすようにプログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1及び第2の標的部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキング及び制限酵素での切断が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のための該ガイド核酸用の該第3の標的部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第2の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、制限酵素用の該第1の制限部位が、プログラム可能なニッキング酵素のための該ガイド核酸用の該第3の標的部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0438】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1及び第2の標的部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキング及び制限酵素での切断が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第3の標的部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第2の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、制限酵素用の該第1の制限部位が、プログラム可能なニッキング酵素のための該ガイド核酸用の該第3の標的部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0439】
さらに別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1及び第2の標的部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキング及び制限酵素での切断が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第3の標的部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第2の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、制限酵素用の該第1の制限部位が、プログラム可能なニッキング酵素のための該ガイド核酸用の該第3の標的部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0440】
さらなる態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1及び第2の標的部位が、該第1の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキング及び制限酵素での切断が、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第3の標的部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第2の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、制限酵素用の該第1の制限部位が、プログラム可能なニッキング酵素のための該ガイド核酸用の該第3の標的部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0441】
さらに、一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキング及び制限酵素での切断が、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1の標的部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第1の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第2及び第3の標的部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、制限酵素用の該第1の制限部位が、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の該第1の標的部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0442】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキング及び制限酵素での切断が、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1の標的部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第1の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第2及び第3の標的部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、制限酵素用の該第1の制限部位が、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の該第1の標的部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0443】
さらに別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキング及び制限酵素での切断が、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1の標的部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第1の逆方向反復の近くに配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖5’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第2及び第3の標的部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、制限酵素用の該第1の制限部位が、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の該第1の標的部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖5’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつボトム鎖5’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0444】
さらなる態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:i)第1の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載)であって、該第1の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると(、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキング及び制限酵素での切断が、該第1の逆方向反復又はその断片(例えば、該第1の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むボトム鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第1の標的部位及び制限酵素用の第1の制限部位が、向かい合う末端にかつ該第1の逆方向反復の近くに配置されている例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第1の逆方向反復;ii)発現カセット(例えば、セクション5.3.3に記載されている);及びiii)第2の逆方向反復(例えば、セクション5.3.1に記載されている)であって、該第2の逆方向反復のボトム鎖からトップ鎖が分離すると、プログラム可能なニッキング酵素によるニッキングが、該第2の逆方向反復又はその断片(例えば、該第2の逆方向反復の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を含むトップ鎖3’オーバーハングをもたらすように、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の第2及び第3の標的部位が、該第2の逆方向反復の近くの向かい合う鎖上に配置されている(例えば、セクション5.2.3、5.2.4、及び5.3.2に記載)、前記第2の逆方向反復を含み、制限酵素用の該第1の制限部位が、プログラム可能なニッキング酵素のためのガイド核酸用の該第1の標的部位よりも発現カセットに対して遠位である、二本鎖DNA分子である。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含む。ある実施態様において、トップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。ある実施態様において、ボトム鎖3’オーバーハングは、前記第1の逆方向反復を含み、かつトップ鎖3’オーバーハングは、前記第2の逆方向反復を含む。
【0445】
本セクション(セクション5.3.6)で提供されるDNA分子は、本セクション(セクション5.3.6)に記載されるように、さまざまな特徴を備えるか、又はさまざまな実施態様を有する。該特徴及び実施態様は、以下のさまざまなサブセクションでさらに記載される。即ち、第1の逆方向反復及び/又は第2の逆方向反復を含む逆方向反復についての実施態様が、セクション5.3.1に記載され、制限酵素、ニッキングエンドヌクレアーゼ、及びそれらのそれぞれの制限部位についての実施態様が、セクション5.3.2に記載され、プログラム可能なニッキング酵素及びそれらの標的部位についての実施態様が、セクション5.2.4に記載され、発現カセットについての実施態様が、セクション5.3.3に記載され、プラスミド及びベクターについての実施態様が、セクション5.3.5に記載される、従って、本開示は、本明細書に記載されるDNA分子のさまざまな実施態様及びDNA分子の特徴の実施態様の任意の順列及び組合せを含むDNA分子を提供する。
【0446】
ニッキングエンドヌクレアーゼを用いて本セクション(セクション5.3.6)に記載されるさまざまな実施態様は、プログラム可能なニッキング酵素と交換可能であり、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位は、プログラム可能なニッキング酵素用の標的部位と交換可能である。従って、1つ以上のニッキングエンドヌクレアーゼの要素をプログラム可能なニッキング酵素と置き換えること及び/又は1つ以上のニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位の要素をプログラム可能なニッキング酵素用の標的部位と置き換えることによってもたらされる任意の組合せの追加の実施態様が、本セクション(セクション5.3.6)において本明細書で提供される。本段落及び本セクション(セクション5.3.3)のためのプログラム可能なニッキング酵素及びそれらの標的部位は、セクション5.2.4で提供されている。
【0447】
(5.3.7 単離DNA分子)
本明細書で提供される方法及びDNA分子の利点の1つは、本方法で製造され本明細書で提供される単離DNA分子の純度である。これは、本明細書で提供されるDNA分子が、エキソヌクレアーゼ又は他のDNA消化酵素に対して抵抗性があり、従って、セクション5.2.6に記載されているように、そのようなエキソヌクレアーゼ又はDNA消化酵素で処理して、そのような処理に影響を受けやすいDNA夾雑物を除去することができるためである。セクション5.3の見出しとセクション5.3.1の見出しとの間の段落で既に記載されているように、セクション3、5.2、5.3、5.4、及び6などで本明細書で提供されるDNA分子は、さまざまな純度の単離DNA分子とすることができる。さらに、セクション3、5.2、5.3、5.4、及び6などにおいて本明細書で提供されるDNA分子を、ある種の一般的なDNA夾雑物を含まない、ある種の特定のDNA夾雑物を含まない、又はある種の一般的なDNA夾雑物及びある種の特定のDNA夾雑物の双方を含まないものとすることができることを本開示は規定し、また、当業者はそのことを理解するであろう。
【0448】
従って、一実施態様において、単離DNA分子は、該DNA分子の断片を含まない。別の実施態様において、単離DNA分子は、該DNA分子の断片ではない核酸夾雑物を含まない。さらなる実施態様において、単離DNA分子は、バキュロウイルスのDNAを含まない。一実施態様において、単離DNA分子は、該DNA分子の断片を含まず、かつ該DNA分子の断片ではない核酸夾雑物を含まない。別の実施態様において、単離DNA分子は、該DNA分子の断片を含まず、かつバキュロウイルスのDNAを含まない。さらなる実施態様において、単離DNA分子は、バキュロウイルスのDNAを含まず、かつ該DNA分子の断片ではない核酸夾雑物を含まない。さらに別の実施態様において、単離DNA分子は、該DNA分子の断片を含まず、バキュロウイルスのDNAを含まず、かつ該DNA分子の断片ではない核酸夾雑物を含まない。
【0449】
具体的には、一実施態様において、前記DNA分子の断片は、前記単離DNA分子の1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下、10%以下、11%以下、12%以下、13%以下、14%以下、15%以下、16%以下、17%以下、18%以下、19%以下、20%以下、21%以下、22%以下、23%以下、24%以下、25%以下、26%以下、27%以下、28%以下、29%以下、30%以下、31%以下、32%以下、33%以下、34%以下、35%以下、36%以下、37%以下、38%以下、39%以下、40%以下、41%以下、42%以下、43%以下、44%以下、45%以下、46%以下、47%以下、48%以下、49%以下、又は50%以下である。別の実施態様において、前記DNA分子の断片は、前記単離DNA分子の1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、10%未満、11%未満、12%未満、13%未満、14%未満、15%未満、16%未満、17%未満、18%未満、19%未満、20%未満、21%未満、22%未満、23%未満、24%未満、25%未満、26%未満、27%未満、28%未満、29%未満、30%未満、31%未満、32%未満、33%未満、34%未満、35%未満、36%未満、37%未満、38%未満、39%未満、40%未満、41%未満、42%未満、43%未満、44%未満、45%未満、46%未満、47%未満、48%未満、49%未満、又は50%未満である。さらに別の実施態様において、前記DNA分子の断片は、前記単離DNA分子の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、又は約50%である。
【0450】
さらに、一実施態様において、前記DNA分子の断片ではない核酸夾雑物は、前記単離DNA分子の1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下、10%以下、11%以下、12%以下、13%以下、14%以下、15%以下、16%以下、17%以下、18%以下、19%以下、20%以下、21%以下、22%以下、23%以下、24%以下、25%以下、26%以下、27%以下、28%以下、29%以下、30%以下、31%以下、32%以下、33%以下、34%以下、35%以下、36%以下、37%以下、38%以下、39%以下、40%以下、41%以下、42%以下、43%以下、44%以下、45%以下、46%以下、47%以下、48%以下、49%以下、又は50%以下である。別の実施態様において、前記DNA分子の断片ではない核酸夾雑物は、前記単離DNA分子の1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、10%未満、11%未満、12%未満、13%未満、14%未満、15%未満、16%未満、17%未満、18%未満、19%未満、20%未満、21%未満、22%未満、23%未満、24%未満、25%未満、26%未満、27%未満、28%未満、29%未満、30%未満、31%未満、32%未満、33%未満、34%未満、35%未満、36%未満、37%未満、38%未満、39%未満、40%未満、41%未満、42%未満、43%未満、44%未満、45%未満、46%未満、47%未満、48%未満、49%未満、又は50%未満である。さらに別の実施態様において、前記DNA分子の断片ではない核酸夾雑物は、前記単離DNA分子の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、又は約50%である。
【0451】
加えて、一実施態様において、前記バキュロウイルスのDNAは、前記単離DNA分子の1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下、10%以下、11%以下、12%以下、13%以下、14%以下、15%以下、16%以下、17%以下、18%以下、19%以下、20%以下、21%以下、22%以下、23%以下、24%以下、25%以下、26%以下、27%以下、28%以下、29%以下、30%以下、31%以下、32%以下、33%以下、34%以下、35%以下、36%以下、37%以下、38%以下、39%以下、40%以下、41%以下、42%以下、43%以下、44%以下、45%以下、46%以下、47%以下、48%以下、49%以下、又は50%以下である。別の実施態様において、前記バキュロウイルスのDNAは、前記単離DNA分子の1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、10%未満、11%未満、12%未満、13%未満、14%未満、15%未満、16%未満、17%未満、18%未満、19%未満、20%未満、21%未満、22%未満、23%未満、24%未満、25%未満、26%未満、27%未満、28%未満、29%未満、30%未満、31%未満、32%未満、33%未満、34%未満、35%未満、36%未満、37%未満、38%未満、39%未満、40%未満、41%未満、42%未満、43%未満、44%未満、45%未満、46%未満、47%未満、48%未満、49%未満、又は50%未満である。さらに別の実施態様において、前記バキュロウイルスのDNAは、前記単離DNA分子の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、又は約50%である。
【0452】
本セクション5.3.7の前の段落に記載されているような特定の夾雑物(例えば、前記DNA分子の断片、該DNA分子の断片ではない核酸夾雑物、及び/又はバキュロウイルスのDNA)に関する純度がさまざまである本明細書で提供される単離DNA分子のさまざまな実施態様は、相互に排他的ではなく、従って、本セクション5.3.7の前の段落のリストに提供される任意の実施態様を選択して組み合わせることによってさまざまな組合せで組み合わせることができる。さらに、本セクション5.3.7で提供される単離DNA分子及びセクション5.3の見出しとセクション5.3.1の見出しとの間の段落のものを、そこに記載されるリストに提供されている任意の適当な実施態様を選択して組み合わせることによってさまざまな組合せで組み合わせることもできる。
【0453】
(5.3.8 ウイルス粒子内にパッケージングされたDNA分子)
セクション3、5.2、5.3、5.4、及び6のものを含む本明細書で提供されるDNA分子は、ウイルス粒子内にパッケージングすることができる。そのようなウイルス粒子は、双方ともその全体が引用により本明細書に組み込まれるGrieger JCらの文献、Nat Protoc 2006;1:1412-1428;及びLiujiang Songの文献、Hum Gene Ther、2020年10月;31(19-20):1054-1067に記載されているように、前記DNA分子を適当なホスト細胞(例えば、HEK 293)内にトランスフェクションさせること、及びホスト細胞にウイルスのパッケージングに必要な他の分子(例えば、ウイルスカプシド(Cap)タンパク質)を共トランスフェクションさせることによってパッケージングすることができる。本明細書で提供される方法及びDNA分子の利点の1つは、製造されウイルス粒子内にパッケージングされた場合の本明細書で提供されるDNA分子の純度である。これは、セクション5.3.7で提供されるようなさまざまな純度の単離DNA分子を、ホスト細胞内にトランスフェクションさせる、かつ/又はウイルス粒子内にパッケージングし、それによって、パッケージングされたウイルス粒子内にさまざまな純度を有するDNA分子提供することができるためである。従って、セクション3、5.2、5.3、5.4、及び6などで本明細書で提供されるDNA分子を、そのようなDNA分子がウイルス粒子内にパッケージングされた場合に、ある種の一般的なDNA夾雑物を含まないか、ある種の特定のDNA夾雑物を含まないか、又はある種の一般的なDNA夾雑物及びある種の特定のDNA夾雑物の双方を含まないものとすることができることを本開示は規定し、かつ当業者はそのことを理解するであろう。
【0454】
従って、一実施態様において、ウイルス粒子内にパッケージングされたDNA分子は、該DNA分子の断片を含まない。別の実施態様において、ウイルス粒子内にパッケージングされたDNA分子は、該DNA分子の断片ではない核酸夾雑物を含まない。さらなる実施態様において、ウイルス粒子内にパッケージングされたDNA分子は、バキュロウイルスのDNAを含まない。一実施態様において、ウイルス粒子内にパッケージングされたDNA分子は、該DNA分子の断片を含まず、かつ該DNA分子の断片ではない核酸夾雑物を含まない。別の実施態様において、ウイルス粒子内にパッケージングされたDNA分子は、該DNA分子の断片を含まず、かつバキュロウイルスのDNAを含まない。さらなる実施態様において、ウイルス粒子内にパッケージングされたDNA分子は、バキュロウイルスのDNAを含まず、かつ該DNA分子の断片ではない核酸夾雑物を含まない。さらに別の実施態様において、ウイルス粒子内にパッケージングされたDNA分子は、該DNA分子の断片を含まず、バキュロウイルスのDNAを含まず、かつ該DNA分子の断片ではない核酸夾雑物を含まない。
【0455】
具体的には、一実施態様において、前記DNA分子の断片は、ウイルス粒子内にパッケージングされた該DNA分子の1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下、10%以下、11%以下、12%以下、13%以下、14%以下、15%以下、16%以下、17%以下、18%以下、19%以下、20%以下、21%以下、22%以下、23%以下、24%以下、25%以下、26%以下、27%以下、28%以下、29%以下、30%以下、31%以下、32%以下、33%以下、34%以下、35%以下、36%以下、37%以下、38%以下、39%以下、40%以下、41%以下、42%以下、43%以下、44%以下、45%以下、46%以下、47%以下、48%以下、49%以下、又は50%以下である。別の実施態様において、前記DNA分子の断片は、ウイルス粒子内にパッケージングされた該DNA分子の1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、10%未満、11%未満、12%未満、13%未満、14%未満、15%未満、16%未満、17%未満、18%未満、19%未満、20%未満、21%未満、22%未満、23%未満、24%未満、25%未満、26%未満、27%未満、28%未満、29%未満、30%未満、31%未満、32%未満、33%未満、34%未満、35%未満、36%未満、37%未満、38%未満、39%未満、40%未満、41%未満、42%未満、43%未満、44%未満、45%未満、46%未満、47%未満、48%未満、49%未満、又は50%未満である。さらに別の実施態様において、前記DNA分子の断片は、ウイルス粒子内にパッケージングされた該DNA分子の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、又は約50%である。
【0456】
さらに、一実施態様において、前記DNA分子の断片ではない核酸夾雑物は、ウイルス粒子内にパッケージングされた該DNA分子の1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下、10%以下、11%以下、12%以下、13%以下、14%以下、15%以下、16%以下、17%以下、18%以下、19%以下、20%以下、21%以下、22%以下、23%以下、24%以下、25%以下、26%以下、27%以下、28%以下、29%以下、30%以下、31%以下、32%以下、33%以下、34%以下、35%以下、36%以下、37%以下、38%以下、39%以下、40%以下、41%以下、42%以下、43%以下、44%以下、45%以下、46%以下、47%以下、48%以下、49%以下、又は50%以下である。別の実施態様において、前記DNA分子の断片ではない核酸夾雑物は、ウイルス粒子内にパッケージングされた該DNA分子の1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、10%未満、11%未満、12%未満、13%未満、14%未満、15%未満、16%未満、17%未満、18%未満、19%未満、20%未満、21%未満、22%未満、23%未満、24%未満、25%未満、26%未満、27%未満、28%未満、29%未満、30%未満、31%未満、32%未満、33%未満、34%未満、35%未満、36%未満、37%未満、38%未満、39%未満、40%未満、41%未満、42%未満、43%未満、44%未満、45%未満、46%未満、47%未満、48%未満、49%未満、又は50%未満である。さらに別の実施態様において、前記DNA分子の断片ではない核酸夾雑物は、ウイルス粒子内にパッケージングされた該DNA分子の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、又は約50%である。
【0457】
加えて、一実施態様において、前記バキュロウイルスのDNAは、ウイルス粒子内にパッケージングされた前記DNA分子の1%以下、2%以下、3%以下、4%以下、5%以下、6%以下、7%以下、8%以下、9%以下、10%以下、11%以下、12%以下、13%以下、14%以下、15%以下、16%以下、17%以下、18%以下、19%以下、20%以下、21%以下、22%以下、23%以下、24%以下、25%以下、26%以下、27%以下、28%以下、29%以下、30%以下、31%以下、32%以下、33%以下、34%以下、35%以下、36%以下、37%以下、38%以下、39%以下、40%以下、41%以下、42%以下、43%以下、44%以下、45%以下、46%以下、47%以下、48%以下、49%以下、又は50%以下である。別の実施態様において、前記バキュロウイルスのDNAは、ウイルス粒子内にパッケージングされた前記DNA分子の1%未満、2%未満、3%未満、4%未満、5%未満、6%未満、7%未満、8%未満、9%未満、10%未満、11%未満、12%未満、13%未満、14%未満、15%未満、16%未満、17%未満、18%未満、19%未満、20%未満、21%未満、22%未満、23%未満、24%未満、25%未満、26%未満、27%未満、28%未満、29%未満、30%未満、31%未満、32%未満、33%未満、34%未満、35%未満、36%未満、37%未満、38%未満、39%未満、40%未満、41%未満、42%未満、43%未満、44%未満、45%未満、46%未満、47%未満、48%未満、49%未満、又は50%未満である。さらに別の実施態様において、前記バキュロウイルスのDNAは、ウイルス粒子内にパッケージングされた前記DNA分子の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、又は約50%である。
【0458】
本開示は、本セクション5.3.8に記載するさまざまな夾雑物を、本分野で知られており実践されているさまざまな方法によって、例えば、次世代シークエンシング(NGS)によって又はPCRによって検出し決定することができることを規定する。
【0459】
本セクション5.3.8の前の段落に記載されているような特定の夾雑物(例えば、前記DNA分子の断片、該DNA分子の断片ではない核酸夾雑物、及び/又はバキュロウイルスのDNA)に関する純度がさまざまである本明細書で提供されるウイルス粒子内にパッケージングされたDNA分子のさまざまな実施態様は、相互に排他的ではなく、従って、本セクション5.3.8の前の段落のリストで提供される任意の実施態様を選択し組み合わせることによってさまざまな組合せで組み合わせることができる。さらに、本セクション5.3.8で提供されるウイルス粒子内にパッケージングされたDNA分子及びセクション5.3の見出しとセクション5.3.1の見出しとの間の段落のものを、そこに記載されるリストに提供されている任意の適当な実施態様を選択して組み合わせることによってさまざまな組合せで組み合わせることもできる。
【0460】
(5.4 ヘアピン末端DNA分子)
本開示は、本セクション(セクション5.4)のヘアピン末端DNA分子が、セクション5.3で提供されるDNA分子に対して、セクション5.2(セクション5.2.3、5.2.4、及び5.2.5を含む)に記載される方法の工程を行うことによって製造することができることを規定する。従って、本セクション(セクション5.4)のヘアピン末端DNA分子は、(1)セクション5.3.1及び本セクション(セクション5.4)に記載されているようなヘアピンを形成することができるIR又はITR、セクション5.3.1及び本セクション(セクション5.4)に記載されているようなIR又はITRの特定の配列、起源、及び素性、5.3.3に記載されているような発現カセット、セクション5.3.2、5.2.4、及び5.3.6に記載されているようなニッキングエンドヌクレアーゼ又は制限酵素用の制限部位、及びセクション5.2.4に記載されるようなプログラム可能なニッキング酵素用の標的部位を含む、セクション3及び5.3で提供されるDNA分子のさまざまな特徴を備えることができ、かつ/又は(2)セクション5.3.4に記載されるようなRABS及び/又はTRS配列を欠く。従って、本開示は、本セクション(セクション5.4)のヘアピン末端DNA分子が、(1)セクション5.3.1及び本セクション(セクション5.4)に記載されているようなヘアピンを形成することができるIR又はITR、5.3.3に記載されているような発現カセット、セクション5.3.2、5.2.4、及び5.3.6に記載されているようなニッキングエンドヌクレアーゼ又は制限酵素用の制限部位、セクション5.2.4に記載されるようなプログラム可能なニッキング酵素用の標的部位、及び本セクション(セクション5.4)で提供されるベクターの追加の特徴の実施態様の任意の組合せを含むことができ、かつ/又は(2)セクション5.3.4に記載されるようなRABS及び/又はTRS配列を欠くことを規定する。
【0461】
記載から明らかであるように、本セクション(セクション5.4)で提供されるヘアピン末端DNA分子内のITR又はヘアピン化ITRを、上でセクション3及び5.3.1に提供されるITR又はIRから、例えば、セクション3、5.2.3、5.2.4、及び5.2.5に記載される方法の工程を行って形成することができる。従って、いくつかの実施態様において、本セクション(セクション5.4)で提供されるヘアピン末端DNA分子内の2つのITR又は2つのヘアピン化ITRは、セクション3及び5.3.1で提供される任意のIR又はITRの実施態様及び本セクション(セクション5.4)で提供される追加の実施態様を、任意の組合せで含むことができる。
【0462】
一態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:a.)第1のヘアピン化逆方向反復(例えば、セクション5.3.1及び本セクション(セクション5.4)に記載のもの);b.)ボトム鎖のニック(例えば、セクション5.2.4及び5.3.2並びに本セクション(セクション5.4)に記載のもの);c.)発現カセット(例えば、5.3.3及び本セクション(セクション5.4)に記載のもの);d.)ボトム鎖のニック(例えば、セクション5.2.4及び5.3.2並びに本セクション(セクション5.4)に記載のもの);及びe.)第2のヘアピン化逆方向反復(例えば、セクション5.3.1及び本セクション(セクション5.4)に記載のもの)を含む二本鎖DNA分子である。
【0463】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:a.)第1のヘアピン化逆方向反復(例えば、セクション5.3.1及び本セクション(セクション5.4)に記載のもの);b.)該トップ鎖のニック(例えば、セクション5.2.4及び5.3.2並びに本セクション(セクション5.4)に記載のもの);c.)発現カセット(例えば、5.3.3及び本セクション(セクション5.4)に記載のもの);d.)該トップ鎖のニック(例えば、セクション5.2.4及び5.3.2並びに本セクション(セクション5.4)に記載のもの);及びe.)第2のヘアピン化逆方向反復(例えば、セクション5.3.1及び本セクション(セクション5.4)に記載のもの)を含む二本鎖DNA分子である。
【0464】
さらに別の態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:a.)第1のヘアピン化逆方向反復(例えば、セクション5.3.1及び本セクション(セクション5.4)に記載のもの);b.)ボトム鎖のニック(例えば、セクション5.2.4及び5.3.2並びに本セクション(セクション5.4)に記載のもの);c.)発現カセット(例えば、5.3.3及び本セクション(セクション5.4)に記載のもの);d.)該トップ鎖のニック(例えば、セクション5.2.4及び5.3.2並びに本セクション(セクション5.4)に記載のもの);及びe.)第2のヘアピン化逆方向反復(例えば、セクション5.3.1及び本セクション(セクション5.4)に記載のもの)を含む二本鎖DNA分子である。
【0465】
さらなる態様において、本明細書で提供されるのは、トップ鎖の5’から3’方向に:a.)第1のヘアピン化逆方向反復(例えば、セクション5.3.1及び本セクション(セクション5.4)に記載のもの);b.)該トップ鎖のニック(例えば、セクション5.2.4及び5.3.2並びに本セクション(セクション5.4)に記載のもの);c.)発現カセット(例えば、5.3.3及び本セクション(セクション5.4)に記載のもの);d.)ボトム鎖のニック(例えば、セクション5.2.4及び5.3.2並びに本セクション(セクション5.4)に記載のもの);及びe.)第2のヘアピン化逆方向反復(例えば、セクション5.3.1及び本セクション(セクション5.4)に記載のもの)を含む二本鎖DNA分子である。
【0466】
二次構造は、塩基対スタッキング、ステム、ヘアピン、バルジ、内部ループ、及び多分岐ループを含むコンホメーション(例えば、ドメイン)に基づいて形成される。IRのドメインレベルでの記述が、具体的なヌクレオチド配列よりもむしろドメインの観点から鎖及び形成される複合体を表す。配列レベルでは、各ドメインが、特定のヌクレオチド配列又はモチーフに割り当てられ、その相補配列の配列が、Watson-Crick塩基対形成によって決定される。これは、G-Tゆらぎ塩基対を含む相補的なヌクレオチドの全てのペアの間の結合の全範囲にわたる。結合した(例えば、塩基対形成した)及び結合していないドメインの全セットが、単分子の複合体を形成し、かつさまざまな二次構造を示す。いくつかの実施態様において、ヘアピンは、塩基対をなすステム及び対不形成塩基の小ループを有することができる。ある実施態様において、ポリヌクレオチド配列において織り交ぜられた非回文構造のポリヌクレオチドセクションの存在は、バルジとして知られる対不形成ヌクレオチドに繋がることがある。バルジは、1つ以上のヌクレオチドを有することができ、かつそれらの場所:トップ鎖(バルジ)、双方のストランド(内部ループ)、又は接合部に応じて種々の種類に分類することができる。これらの塩基対の集合が、DNAの二次構造を構成し、これは、その三次元的構造に見出される。
【0467】
本明細書で提供されるDNA分子用のドメインレベルでの説明も提供して、具体的なヌクレオチド配列よりはむしろドメインの観点から複数のストランド及びそれらの複合体を述べる。いくつかの実施態様において、相互作用性一本鎖DNA鎖のドメイン(例えば、配列モチーフ)は、他のDNA鎖と相互作用することができる一本鎖レベルで特定の二次構造を示すことができ、ある場合には、第1の鎖が、第2の鎖上の相補的ドメインに結合して二本鎖を形成する場合にハイブリッド形成した構造をとることができる。新たな複合体を生じさせる異なるDNA鎖の相互作用又は二次構造の変化を、「反応」とみることができる。追加の単分子及び二分子反応も、配列レベルで可能である。不出来な配列設計が、1つ以上の本明細書で提供されるDNA分子を含む系の意図される反応と干渉する配列レベルの構造又は相互作用(例えば、発現カセット内の相補性(complimentary)の複数のドメイン)を招くことがある。望ましくない相互作用は、設計によって回避することができる、信頼できる予測可能な二次構造形成をもたらす。
【0468】
本開示は、DNAの二次構造に繋がる根底にある力が、熱力学的法則の根底にある疎水性相互作用に支配されること、及び全体的なコンホメーションが、物理化学的条件に影響を受けることがあることを規定する。平衡状態を決定する因子の例示的なリストとしては、溶媒の種類、化学薬品の密集度、塩濃度、pH、及び温度が挙げられる。実験に関する文献から導かれる自由エネルギー変化パラメーターお予備エンタルピー変化パラメーターが、コンホメーション安定性の予測を可能にするものの、IR配列から形成されるヘアピンの総合的な三次元構造は、統計力学では通常のことであるが、1つのコンホメーションのみではなく分子のコンホメーションの総体に対応する。物理的又は化学的な条件(例えば、塩、pH、又は温度)が変化する(permutated)に従って、主たるコンホメーションは変化することができる。
【0469】
「ステムドメイン」又は「ステム」は、ワトソン・クリック塩基対を形成するものであるオーバーハング鎖の自己相補的なヌクレオチド配列を意味する。ステムは、主に、DNA対の2つの逆平行区間の間に形成されるワトソン・クリック塩基対を含み、右巻きのらせんとすることができる。一実施態様において、ステムは、回文配列内に自己相補的なDNA配列の区間を含む。
【0470】
「主ステムドメイン」又は「主ステム」は、DNA分子の発現カセット又は非ITR配列に最も近いITRの自己相補的な又は反転相補的なヌクレオチド配列の一部を意味する。一実施態様において、主ステムドメインは、本明細書で提供されるDNA分子の末端を形成し、各ITRと隣接している非ITR配列に共有結合的に連結された回文配列の自己相補的な区間である。主ステムは、IR配列の始め及び終わりの双方を包含する。ある実施態様において、主ステムは、長さが1から100bp以上にわたる。主ステム領域の長さは、変性/再生動力学に対する効果を有する。いくつかの特定の実施態様において、主ステム領域は、熱安定性を確保するために少なくとも約4及び25ヌクレオチドを有する。別の具体的な実施態様において、主ステム領域は、熱安定性を確保するために約4及び25ヌクレオチドを有する。一方で、逆方向反復ドメインは、生理的条件でおおよその3次元構造を維持するのに十分な任意の長さのものであり得る。
【0471】
「ループ」又は「ループドメイン」は、転換点ではなくかつステム内にはないIR又はITRにおける対不形成ヌクレオチドの領域を意味する。いくつかの実施態様において、ループドメインは、IR構造の頂点にみつかる。ループドメインは、DNA鎖の局所的な方向性を、元のステムの2本の逆平行鎖をもたらすように反転させる領域として役立ち得る。立体的反発のために、ある実施態様において、ループは、DNAヘアピンにターンを作る最低で2つのヌクレオチドを含む。別の実施態様において、ループは、ヌクレオチドを4つ以上含む。さらに別の実施態様において、ループは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、又は少なくとも30ヌクレオチドを含む。いくつかのさらなる実施態様において、ループは、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、又は約30ヌクレオチドを含む。ループは、ステムの自己相補的配列に続くものであり、さらなるヌクレオチドをステムドメインへと接続するように働く。いくつかの実施態様において、ループは、ループ配列内の他のヌクレオチド又はITR他のエレメントと連続した二本鎖構造を形成しないオリゴヌクレオチドの配列を含む(例えば、ループは、可撓性の一本鎖形態のままである)。一実施態様において、ループ配列内の他のヌクレオチドと二本鎖を形成しないループ配列は、一連の同一の塩基(例えば、AAAAAAAA、CCCCCCCC、GGGGGGG、又はTTTTTTTT)である。一実施態様において、ループは、2~30ヌクレオチドを含有する。さらなる実施態様において、ループドメインは、2~15ヌクレオチドを含有する。なおさらなる実施態様において、ループは、ヌクレオチドの混合物を含む。
【0472】
本明細書で使用される、「ヘアピン」という用語は、IR又はITR配列から形成される、任意のDNA構造及び二次又は三次構造を含む全体的なDNA構造を意味する。本明細書で使用される、「ヘアピン化」DNA分子は、1つ以上のヘアピンが、DNA分子内に形成されている、DNA分子を意味する。一実施態様において、ヘアピンは、相補的なステム及びループを含む。最も単純な形態のヘアピンは、相補的なステム及びループからなる。ステム及びループを包含する構造は、「ステムループ(stem-loop)」又は「ステムループ(stem loop)」又は「SL」と呼ばれる。別の実施態様において、ヘアピンは、相補的なステム及びループからなる。「分岐ヘアピン」は、分岐構造を形成する複数のステムループを有するヘアピンのサブセットを意味する(例えば、
図1に示されるように)。ヘアピンを形成した後のIR又はITRを、ヘアピン化ITR又はIRと呼ぶこともできる。「ヘアピン末端」DNA分子は、DNA分子の一方の末端にヘアピンを形成しているか、又はDNA分子の2つの末端のそれぞれにヘアピンを形成しているDNA分子を意味する。
【0473】
「転換点」又は「頂点」は、ITRの空間的な末端での対不形成ヌクレオチドの領域を意味する。転換点は、DNA鎖の全体的な方向性を、元のステムの2本の逆平行鎖をもたらすように反転させる領域として働く。また、転換点は、IR又はITR配列が、逆方向となるか又は逆相補的となる点を示す。
【0474】
いくつかの実施態様において、主ステムドメインに続くITRの一部は、規則的な二本鎖DNAとは対照的に、それ自体の上にフォールディングする場合に、ゆらぎ及びミスマッチを含む非ワトソン・クリックベースの構造的要素並びにバルジ及び内部ループなどの構造的な欠陥又は不完全性を形成することができるヌクレオチド配列をコードすることができる(例えば、
図1を参照されたい)。「バルジ」は、一方の鎖に対不形成ヌクレオチドを1つ以上含み、「内部ループ」は、トップ鎖及びボトム鎖の双方に対不形成ヌクレオチドを1つ以上含む。対称的な内部ループは、らせんをねじれさせたり折り曲げたりできるバルジ及び非対称の内部ループよりも、らせんをゆがめる傾向が低い。いくつかの実施態様において、ステム内の対不形成ヌクレオチドは、追加の熱力学的安定性及び機能的多様性に役立つ、標準的な水素結合及びスタッキングなどの多様な構造的相互作用で結合することができる。理論にとらわれるものではないが、IRステム及びループの構造的な多様性が、複雑な二次構造及び機能的多様性に繋がると考えられる。
【0475】
いくつかの実施態様において、ヘアピン末端DNA分子のヘアピンは、主ステムを含む。一実施態様において、ヘアピン末端DNA分子のヘアピンは、1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50個のステムを含む。別の実施態様において、ヘアピン末端DNA分子のヘアピンは、1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50個のループを含む。さらに別の実施態様において、ヘアピン末端DNA分子のヘアピンは、1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50個の内部ループを含む。さらなる実施態様において、ヘアピン末端DNA分子のヘアピンは、1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50個のバルジを含む。一実施態様において、ヘアピン末端DNA分子のヘアピンは、1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50個の分岐ヘアピンを含む。別の実施態様において、ヘアピン末端DNA分子のヘアピンは、1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50個の頂点を含む。さらなる実施態様において、ヘアピン末端DNA分子のヘアピンは、任意の数のステム、分岐ヘアピン、ループ、バルジ、頂点、及び/又は内部ループを、任意の組合せで含む。
【0476】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子内のヘアピン構造は、対称なオーバーハングによって形成される。対称なオーバーハングを得るためには、改変された5’位置(複数可)が改変された3’位置(複数可)と塩基対(複数可)を形成することができるように、5’ステム領域での改変は、ステム領域内の対応する位置でのコグネート3’改変を必要とする。対称なオーバーハングを形成させるそのような改変は、出願の時点の最新技術と組み合わせて本開示に記載されているように行うことができる。例えば、wt AAV2 ITRに関して、位置23でのAの挿入によってBstNBIニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位を作製することは、位置105でのTの挿入を必要とする(例えば、配列番号:162)。
【0477】
いくつかの実施態様において、ヘアピン化ITR対由来の5’及び3’ヘアピン化ITRは、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の逆平行制限部位を内部に有するように異なる反転相補的なヌクレオチド配列を有することができる(例えば、ニッキングが、ボトム鎖5’オーバーハングをもたらすような5’ ITR及びニッキングが、ボトム鎖3’オーバーハングをもたらすような3’ ITR)が、双方のITRが同一の全体的な3D形状をもたらす変異を有するような方式で同一の三次元的空間的構造を依然として有する。
【0478】
いくつかの実施態様において、本明細書における使用のためのヘアピン化ITRは、以下:主ステムドメイン、ステム、分岐ヘアピン、ループ、バルジ、又は内部ループから選択される領域のうちのいずれか1つ以上において少なくとも1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50ヌクレオチドの改変(例えば、欠失、置換、又は付加)を含むことができる。特定の一実施態様において、右のヘアピン化ITR内のヌクレオチドを、AからG、C、もしくはTへ置換したり、欠失させたり、1つ以上のヌクレオチドを付加したりすることができ;左のヘアピン化ITR内のヌクレオチドを、TからG、C、又はAへと変更したり、欠失させたり、1つ以上のヌクレオチドを付加したりすることができる。
【0479】
いくつかの実施態様において、本明細書における使用のためのヘアピン化ITRは、CpGモチーフの存在を置き換えるか又は枯渇させて、それによって;(i)そのような改変ヘアピン化ITRのトール様ファミリーの受容体(TLR)(例えば、TLR9)への結合を、ウイルスの野生型ITRと比較して減少させ又は無くし、かつ/又は(ii)転写活性なCpGアイランドを除去することによってITR転写活性を減少させ又は低下させるために、以下:主ステムドメイン、ステム、分岐ヘアピン、ループ、バルジ、又は内部ループから選択される領域のうちのいずれか1つ以上において少なくとも1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50ヌクレオチドの改変(例えば、欠失、置換、又は付加)を含むことができる。転写活性なCpGアイランドは、通常、Gardiner-Garden M、Frommer Mの文献「脊椎動物ゲノムにおけるCpGアイランド(CpG Islands in vertebrate genomes)」. J Mol Biol 1987;196:261-282に記載されているように、C+G比が50%を超え観察されるCpG ジヌクレオチドの期待されるCpGジヌクレオチドに対する比が60%以上である配列として定義される。特定の一実施態様において、右のヘアピン化ITR内のヌクレオチドは、G又はCからA又はTへの置換を受けることや、欠失させることや、CとGとの間やGとCとの間への1つ以上のヌクレオチドの付加を受けることができ;左のヘアピン化ITR内のヌクレオチドは、C又はGからT又はAへの変化を受けることや、欠失させることや、CとGとの間やGとCとの間への1つ以上のヌクレオチドの付加を受けることができる。特定の一実施態様において、ヘアピン化ITRは、
【化3】
のCpG枯渇配列を含む。
【0480】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子のヘアピン化ITRは、主ステムであって、主ステムドメインがより短くなり、かつより低いフォールディングの自由エネルギーを有するように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40個又はそれを超える相補的な塩基対が、主ステムドメインの各々から除去されている、前記主ステムを含むことができる。簡単に述べると、そのような実施態様においては、主ステムドメインのその部分の塩基が除去される場合には、主ステムドメイン内の相補的な塩基対も除去され、それによって、主ステムドメイン全体を短くする。
【0481】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子のヘアピン化ITRは、主ステムであって、主ステムドメインがより長くなり、より高いフォールディングの自由エネルギーを有するように、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40個又はそれを超える相補的な塩基対が、主ステムドメインの各々から導入されている、前記主ステムを含むことができる。簡単に述べると、そのような実施態様においては、塩基が主ステムドメインのその部分に導入される場合、主ステムドメイン内の相補的な塩基対も導入され、それによって、主ステムドメイン全体を長くする。
【0482】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子のヘアピン化ITRは、主ステムであって、主ステムドメインが、よりG/Cリッチとなり、かつより高いフォールディングの自由エネルギーを有するように、主ステムドメインの各々の、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40個又はそれを超える相補的な塩基対が、A又はTからG又はCへと置換されている、前記主ステムを含むことができる。簡単に述べると、そのような実施態様においては、主ステムドメインのその部分で塩基が置換される場合(例えば、TからG)、主ステムドメイン内の相補的な塩基対も置換される(例えば、AからC)、それによって、主ステムドメイン全体におけるG/C含量を増加させる。
【0483】
さらなる実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子のヘアピン化ITRは、主ステムであって、主ステムドメインの各々由来の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40個又はそれを超える相補的な塩基対が、該主ステムドメインが、より少ないCpGモチーフを含むか又は全くCpGモチーフを含まず、かつウイルスITRよりも低いTLR9結合傾向、及び/又は参照DNA(例えば、CpGモチーフを含む非改変主ステム配列を有すること以外は同一のDNA分子)と比較してより少ない転写活性なCpGアイランドを有するように、G又はCからA又はTへ置換されているか、又は欠失しているか、又はCとGとの間やGとCとの間で1つ以上のヌクレオチドの付加を受けている、前記主ステムを含むことができる。
【0484】
さらに別の実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子のヘアピン化ITRは、主ステムであって、主ステムドメインの各々由来の、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40個又はそれを超える相補的な塩基対が、RAP(例えば、Rep)が、もはや該主ステムドメインに効率的に結合できなくなるように、G又はCからA又はTへ置換されている、前記主ステムを含むことができる。
【0485】
さらに別の実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子のヘアピン化ITRは、主ステムであって、主ステムドメインの各々由来の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40個又はそれを超える相補的な塩基対が、RAP(例えば、Rep又はNS1)が、もはや該主ステムドメインに効率的に結合できなくなるように、該主ステムドメインが、よりG/Cリッチとなり、かつより高いフォールディングの自由エネルギーを有するように、A又はTからG又はCへと置換されている、前記主ステムを含むことができる。
【0486】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子内のヘアピン化ITR配列は、全wt ITR配列を依然としてベクター内に存在させながら、全長WTウイルスITR配列と比較して1~40ヌクレオチドの欠失を有することができる。例えば、AAV2 ITRなどの対称のITRにおいては、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位はそれぞれ、頂点から25塩基離れており、オーバーハングのニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位の後の部分は、それが、セクション5.2.3及び5.2.4に記載されているようなニッキングエンドヌクレアーゼ(又はニッキングエンドヌクレアーゼ及び制限酵素)とのインキュベーション及び変性後にDNA分子から除去されるものであるために、wt IR配列である必要はない。ある実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子内のヘアピン化ITR配列は、全wt ITR配列を依然としてベクター内に存在させながら、全長WTウイルスITR配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50ヌクレオチドの欠失を有することができる。
【0487】
いくつかの実施態様において、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位は、ITRステム領域内に存在する単離ヌクレオチド配列の予測融解温度に基づいて選択される。いくつかの実施態様において、予測される融解温度は、40~95℃である。さらなる実施態様は、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位及びについてのものであり、融解温度を考慮した実施態様が、上記セクション5.2.3、5.2.4、5.2.5、及び5.3.2に記載されている。
【0488】
一実施態様において、温度を約4℃に維持した場合にヘアピンが生じるように、本明細書で提供されるDNA分子内のヘアピン化ITRのステム領域を包含するヌクレオチド配列の長さ及びGC含量が、欠失、挿入、及び/又は置換によってさらに改変される。例えば、構造的要素のヌクレオチド配列を、ウイルスITRの野生型配列と比較して、改変することができる。一実施態様において、ステムの長さ及びGC含量は、温度を約10℃以上で全ITRの融解温度よりも低い温度に維持した場合にヘアピンが生じるように設計される。ヘアピンの融解温度は、GC含量、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位と主ステムに最も近い接合部(例えば、
図1の4番)との間の距離、又は配列ミスマッチもしくはループを変化させることによって設計することができ、その結果、融解温度は、ヘアピン化ITRが50℃超でもフォールディングされたままとなることを可能とし、安定な保管を確保するのに十分に高くなる。ステムの実際の最適な長さは、ITRの配列及びITRの分岐、ループ、及びアームなどのマイクロドメインに応じて異なり得るものであり、これは、最新技術との組合せで本開示に従い決定することができる。
【0489】
いくつかの実施態様において、ヘアピン化ITRのステム領域は、クラスIIニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位(例えば、5’の下流のNNNN)をコードする。いくつかの実施態様において、ステム領域は、クラスIIニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位を含まない。
【0490】
いくつかの実施態様において、ヘアピン化ITRのステム領域は、クラスIニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位をコードする。いくつかの実施態様において、ヘアピン化ITRのステム領域は、クラスIII、IV、又はVニッキングエンドヌクレアーゼ用の制限部位をコードする。
図4は、ヘアピンの主ステム内のエンドヌクレアーゼ用の制限部位のさまざまな例示的な配置を表す。
【0491】
いくつかの実施態様において、ヘアピン末端DNA分子内の発現カセットは、セクション5.3.3に記載した任意の発現カセットの実施態様とすることができる。ある実施態様において、ヘアピン末端DNA分子内のITRは、セクション5.3.1に記載した任意のIR又はITRの実施態様とすることができる。さらなる実施態様において、ITR、発現カセット、及びニッキングエンドヌクレアーゼ又は制限酵素用の制限部位の間の配置は、セクション5.2.3、5.2.4、5.2.5、5.3.1、5.3.2、5.3.3、及び5.3.6に記載した任意の配置とすることができる。
【0492】
いくつかの実施態様において、ヘアピン末端DNAは、3’ ITR及び5’ ITRに共有結合的に連結されたトップ鎖を含み、該ITRがフォールディングされると、発現カセットが、2つのニック(第1及び第2のニック)の間に存在するように、ボトム鎖が、該ボトム鎖の両末端で該第1のニックと該第2のニックと隣接し、ここで、該第1のニックは、トップ鎖5’ ITRヘアピンの結果として、該ボトム鎖の3’末端と該トップ鎖の並置された5’末端との間に形成され、かつ該第2のニックは、トップ鎖3’ ITRヘアピンの結果として該ボトム鎖の5’末端と該トップ鎖の並置された3’末端との間に形成される。
【0493】
いくつかの実施態様において、ヘアピン末端DNAは、3’ ITR及び5’ ITRに共有結合的に連結されたボトム鎖を含み、該ITRがフォールディングされると、発現カセットが、2つのニック(第1のニック及び第2のニック)の間に存在するように、トップ鎖が、該トップ鎖の両末端で該第1のニックと該第2のニックと隣接し、ここで、該第1のニックは、ボトム鎖3’ ITRヘアピンの結果として該トップ鎖の5’末端と該ボトム鎖の並置された3’末端の間に形成され、かつ該第2のニックは、ボトム鎖3’ ITRヘアピンの結果として該トップ鎖の3’末端と該ボトム鎖の並置された5’末端との間に形成される。
【0494】
いくつかの実施態様において、ヘアピン末端DNAは、5’ ITRに共有結合的に連結されたトップ鎖及び5’ ITRに共有結合的に連結されたボトム鎖を含み、該ITRがフォールディングされると、第1のニックが、トップ鎖5’ ITRヘアピンの結果としてボトム鎖の3’末端と該トップ鎖の並置された5’末端との間でボトム鎖に隣接して形成され、かつ第2のニックが、ボトム鎖5’ ITRヘアピンの結果として該トップ鎖の3’末端と該ボトム鎖の並置された5’末端との間で該トップ鎖に隣接して形成され、発現カセットが、該第1及び第2のニックと隣接するようになっている。
【0495】
いくつかの実施態様において、ヘアピン末端DNAは、3’ ITRに共有結合的に連結されたトップ鎖及び3’ ITRに共有結合的に連結されたボトム鎖を含み、該ITRがフォールディングされると、第1のニックが、ボトム鎖3’ ITRヘアピンの結果として該トップ鎖の5’末端と該ボトム鎖の並置された3’末端との間で該トップ鎖に隣接して形成され、かつ第2のニックが、トップ鎖3’ ITRヘアピンの結果として該ボトム鎖の5’末端と該トップ鎖の並置された3’末端との間でボトム鎖に隣接して形成され、発現カセットが、該第1及び第2のニックと隣接するようになっている。
【0496】
いくつかの実施態様において、本セクション(セクション5.4)及び前4つの段落に記載したような2つのニックを含むヘアピン末端DNAをライゲーションして、ニックの両側に位置する2つのヌクレオチドの間に共有結合を形成させることによって該ニックを修復することができる。いくつかの実施態様において、本セクション(セクション5.45.4)及び前の4つの段落に記載した2つのニックのうちの一方を、変性させたときに、前記DNA分子が直鎖状一本鎖DNA分子となるように、ライゲーションして修復することができる。いくつかの実施態様において、本セクション(セクション5.4)及び前の4つの段落に記載した2つのニックを、変性させたときに、前記DNA分子が環状一本鎖DNA分子となるように、ライゲーションして修復することができる。
【0497】
いくつかの実施態様において、ヘアピン末端DNA分子内の2つの両側に位置するITR対は、同一のDNA配列を含む。いくつかの実施態様において、ヘアピン末端DNA分子内の2つの両側に位置するITR対は、異なるDNA配列を含む。いくつかの実施態様において、ヘアピン末端DNA分子内のITRのうちの一方が、同一のヘアピン末端DNA分子内の他方のITRと比較して、欠失、挿入、及び/又は置換によって改変されている。別の実施態様において、ヘアピン末端DNA分子内の第1のITR及び第2のITRは双方とも、例えば、欠失、挿入、及び/又は置換によって改変されている。さらに別の実施態様において、ヘアピン末端DNA分子内の第1のITR及び第2のITRは、異なるDNA配列を含み、かつ双方とも改変されている。さらなる実施態様において、ヘアピン末端DNA分子内の第1のITR及び第2のITRは、異なるDNA配列を含み、かつ双方とも改変されており、ここで、該2つのITRに対する改変は、異なったものである。なおさらなる実施態様において、ヘアピン末端DNA分子内の第1のITR及び第2のITRは、異なるDNA配列を含み、かつ双方とも改変されており、ここで、該2つのITRに対する改変は、同一である。一実施態様において、ヘアピン末端DNA分子内の第1のITR及び第2のITRは、同一のDNA配列を含み、かつ双方とも改変されており、ここで、該2つのITRに対する改変は、異なったものである。一実施態様において、ヘアピン末端DNA分子内の第1のITR及び第2のITRは、同一のDNA配列を含み、かつ双方とも改変されており、ここで、該2つのITRに対する改変は、同一である。一実施態様において、ヘアピン末端DNA内の第1のITR及び第2のITRは双方とも、改変ITRであり、かつ該2つの改変ITRは、同一ではない。いくつかの実施態様において、ヘアピン末端DNA分子は、非対称である2つのITRを含み、ここで、この非対称性は、他方のITRには反映されていない一方のITRにおける任意の変化の結果とすることができる。ある実施態様において、ヘアピン末端DNA分子は、非対称である2つのITRを含み、ここで、該ITRは、何らかの点で互いに異なる。ある実施態様において、欠失、挿入、及び/又は置換を含む本段落で提供される改変は、本セクション(セクション5.4)で上述した任意のそのような改変とすることができる。
【0498】
一態様において、本明細書で提供されるヘアピン末端DNA分子は、5'から3'の方向に:第1のIR、対象となるヌクレオチド配列、及び第2のIRを含む。一実施態様において、対象となるヌクレオチド配列は、例えば、セクション5.3.3で本明細書に記載されるような発現カセットを含む。ある実施態様において、セクション3及び本セクション(セクション5.4)でのものを含む本明細書で提供されるヘアピン末端DNA分子は、発現カセットを含み、ここで、該発現カセットは、セクション3及び5.3.3に記載したいずれかの実施態様とすることができる。
【0499】
ヘアピン末端DNA分子は、dsDNAとssDNAとの組合せを含むことができる。いくつかの実施態様において、本セクション(セクション5.4)で提供されるヘアピン末端DNA分子の特定の部分は、dsDNAである。いくつかの実施態様において、本セクション(セクション5.4)で提供されるヘアピン末端DNA分子のdsDNA部分は、前記発現カセット、前記ITRのステム領域、又は双方を含む。いくつかの実施態様において、本セクション(セクション5.4)で提供されるヘアピン末端DNA分子の特定の部分は、ssDNAである。さらなる実施態様において、本セクション(セクション5.4)で提供されるヘアピン末端DNA分子のdsDNA部分 一実施態様において、本セクション(セクション5.4)で提供されるヘアピン末端DNA分子のdsDNA部分は、該ヘアピン末端DNA分子の90%超を占める。別の実施態様において、本セクション(セクション5.4)で提供されるヘアピン末端DNA分子のdsDNA部分は、該ヘアピン末端DNA分子の少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%を占める。別の実施態様において、本セクション(セクション5.4)で提供されるヘアピン末端DNA分子のdsDNA部分は、該ヘアピン末端DNA分子の約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%を占める。
【0500】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるヘアピン末端DNA分子は、細胞の核に対して効率的に標的化されるか又は輸送されることができる。一実施態様において、本明細書で提供されるヘアピン末端DNA分子は、ITRに形成されるアプタマーと核タンパク質との間の結合によって、細胞の核に対して効率的に標的化されるか又は輸送されることができる。別の実施態様において、本明細書で提供されるヘアピン末端DNA分子は、核における該ヘアピン末端DNA分子の存在量が、細胞質における存在量よりも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%高くなるように、細胞の核に対して効率的に標的化されるか又は輸送されることができる。さらに別の実施態様において、本明細書で提供されるヘアピン末端DNA分子は、核における該ヘアピン末端DNA分子の存在量が、細胞質における存在量よりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30倍高くなるように、細胞の核に対して効率的に標的化されるか又は輸送されることができる。
【0501】
セクション(セクション5.4)におけるものを含む本明細書で提供されるヘアピン末端DNA分子のさまざまな実施態様において、該ヘアピン末端DNA分子は、セクション5.3.4に記載されるようなRABS及び/又はTRS配列を欠く。セクション(セクション5.4)におけるものを含む本明細書で提供されるヘアピン末端DNA分子の他の実施態様において、該ヘアピン末端DNA分子は、セクション5.3.4に記載したようなDNA配列、エレメント、又は特徴のいずれか又は任意の組合せを欠く。
【0502】
いくつかの追加の実施態様において、セクション(セクション5.4)におけるものを含む本明細書で提供されるヘアピン末端DNA分子の実施態様、該ヘアピン末端DNA分子は、セクション5.3.7に記載したような、純度に関するいずれかの実施態様における単離されたヘアピン末端DNA分子とすることができる。
【0503】
(5.5 ヘアピン末端DNA分子の機能的性質)
いくつかの実施態様において、ITRは、細胞の核における核酸分子の長期残存を促進する。いくつかの実施態様において、ITRは、細胞の核における核酸分子の永続的な残存を促進する(例えば、該細胞の全寿命の間)。いくつかの実施態様において、ITRは、細胞の核における核酸分子の安定性を促進する。いくつかの実施態様において、ITRは、細胞の核における核酸分子の分解を阻害又は防止する。
【0504】
いくつかの実施態様において、ITRが、フォールディングされた状態と取る場合、それは、エキソヌクレアーゼ消化(例えば、エキソヌクレアーゼV)に対して、例えば、37℃で1時間以上抵抗性を示す。一実施態様において、ヘアピン末端DNA分子は、エキソヌクレアーゼ消化(例えば、エキソヌクレアーゼVによる消化)に対して抵抗性を示す。別の実施態様において、ヘアピン末端DNA分子は、エキソヌクレアーゼ消化(例えば、エキソヌクレアーゼVによる消化)に対して、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、又はそれを超える時間抵抗性を示す。さらに別の実施態様において、ヘアピン末端DNA分子は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、又は約10時間、エキソヌクレアーゼ消化(例えば、エキソヌクレアーゼVによる消化)に対して抵抗性を示す。
【0505】
本発明者らによって予期せず見出され、本明細書で提供されるように、ウイルスITRに類似するITRを有する二本鎖直鎖DNAベクターを、RAPを必要とすることなく、かつその結果、ゲノム複製のためのRABSやTRS配列とは独立して製造することができる。従って、RABS及びTRSは、本明細書で開示されるヌクレオチド配列内に任意にコードすることができるが、欠かせないものではなく、ITRの設計に関する柔軟性を提供する。一実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子は、RABSを含まないITRを含む。別の実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子は、TRSを含まないITRを含む。さらに別の実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子は、RABSもTRSも含まないITRを含む。さらなる実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子は、RABS、TRS、又はRABS及びTRSの双方を含むITRを含む。
【0506】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるヘアピン末端DNA分子は、ホスト細胞内で安定である。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるヘアピン末端DNA分子は、長期培養の間ホスト細胞内で安定である。
【0507】
ある実施態様において、本明細書で提供されるヘアピン末端DNA分子は、ホスト細胞に効率的に送達することができる。
【0508】
本明細書で提供されるDNA分子は、単に上述のエキソヌクレアーゼ消化耐性についてだけでなく、その構造に関しても優れた安定性を有する。一実施態様において、DNA分子の構造は、室温で1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月の保管後に同じままである。別の実施態様において、DNA分子のアンサンブル構造は、室温で1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月の保管後に同じままである。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子の構造は、2、3、4、5、10、又は20サイクルの変性/再生後に同一である。(例えば、セクション5.2.3に記載されているような変性及びセクション5.2.5に記載されているような再アニーリング)。DNA構造は、エネルギー最小の又はその付近の構造の総体によって記述することができる。ある実施態様において、アンサンブルDNA構造は、2、3、4、5、10、又は20サイクルの変性/再生後に同一である。一実施態様において、本明細書で提供されるITR又はIRから形成されるフォールディングされたヘアピン構造は、2、3、4、5、10、又は20サイクルの変性/再生後に同一である。別の実施態様において、フォールディングされたヘアピンのアンサンブル構造は、2、3、4、5、10、又は20サイクルの変性/再生後に同一である。
【0509】
(5.6 ヘアピン末端DNA分子を含む送達ビヒクル)
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるヘアピン末端DNA分子を、その全体が引用により本明細書に組み込まれる、米国薬局方N10,561,610に記載されているようなハイブリドソームによって送達することができる。別の実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子を、ハイブリドソームによって送達することができる。
【0510】
ある実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子を、脂質ナノ粒子などの脂質粒子によって送達することができる。別の実施態様において、本明細書で提供されるヘアピン末端DNA分子を、脂質ナノ粒子によって送達することができる。いくつかの実施態様において、脂質ナノ粒子は、イオン化可能脂質、非カチオン性脂質(例えば、リン脂質)、ステロール(例えば、コレステロール)、及びペグ化脂質から選択されるいずれか1つ以上の脂質を含む。一実施態様において、脂質粒子は、イオン化可能脂質、非カチオン性脂質(例えば、リン脂質)、ステロール(例えば、コレステロール)、及びペグ化脂質から選択されるいずれか1つ以上の脂質を含み、ここで、脂質のモル比は、イオン化可能脂質については20~70モルパーセント又は40~60モルパーセントの範囲であり、非カチオン性脂質のモルパーセントは、0~30又は0~15の範囲であり、ステロールのモルパーセントは、20~70又は30~50の範囲であり、ペグ化脂質のモルパーセントは、1~6又は2~5の範囲である。別の実施態様において、脂質粒子は、イオン化可能脂質、非カチオン性脂質(例えば、リン脂質)、ステロール(例えば、コレステロール)、及びペグ化脂質から選択されるいずれか1つ以上の脂質を含み、ここで、脂質のモル比は、イオン化可能脂質については、40~60モルパーセントの範囲であり、非カチオン性脂質のモルパーセントは、0~15の範囲であり、ステロールのモルパーセントは、30~50の範囲であり、ペグ化脂質のモルパーセントは、2~5の範囲である。さらに別の実施態様において、脂質粒子は、イオン化可能脂質、非カチオン性脂質(例えば、リン脂質)、ステロール(例えば、コレステロール)、及びペグ化脂質から選択されるいずれか1つ以上の脂質を含み、ここで、脂質のモル比は、イオン化可能脂質については20~70モルパーセントの範囲であり、非カチオン性脂質のモルパーセントは、0~30の範囲であり、ステロールのモルパーセントは、20~70の範囲であり、ペグ化脂質のモルパーセントは、1~6の範囲である。
【0511】
本開示は、イオン化可能脂質を、低いpHで核酸カーゴを濃縮すること及び膜結合及び膜融合を推進することに使用採用することができることを規定する。そのようなイオン化可能脂質は、本明細書で提供されるDNA分子の組成物及び該DNA分子のための方法用の送達ビヒクルの一部として用いることができる。いくつかの実施態様において、イオン化可能脂質は、正電荷を持つか又は酸性条件下、例えば、6.5以下のpHでプロトン化される少なくとも1つのアミノ基を含む脂質である。いくつかの実施態様において、イオン化可能脂質は、該脂質が、生理学的なpH(例えば、pH 7.4)以下のpHで正電荷を持つ、かつ第2のpH、例えば、生理学的なpH以上で中性となるように、少なくとも1つのプロトン化可能な又は脱プロトン化可能な基を有する。ことが当業者により理解されるであろう。pHの関数としてのプロトンの付加又は除去が、平衡過程であること、及び電荷を持つ又は中性の脂質への言及が、主たる種の性質を意味し、脂質の全てが電荷を持つ又は中性の形態で存在することを必要としない。一般に、イオン化可能脂質は、約4~約7の範囲にプロトン化可能な基のpKaを有する。
【0512】
さらなる例示的なイオン化可能脂質は、全てが全体として引用により本明細書に組み込まれる、PCT特許公報W02015/095340、WO2015/199952、W02018/011633、WO2017/049245、WO2015/061467、WO2012/040184、WO2012/000104、WO2015/074085、W02016/081029、WO2017/004143、WO2017/075531、WO2017/117528、WO2011/022460、WO2013/148541、WO2013/116126、WO2011/153120、WO2012/044638、WO2012/054365、WO2011/090965、W02013/016058、W02012/162210、W02008/042973、WO2010/129709、W02010/144740、WO2012/099755、WO2013/049328、WO2013/086322、WO2013/086373、WO2011/071860、W02009/132131、W02010/048536、W02010/088537、WO2010/054401、W02010/054406、W02010/054405、WO2010/054384、W02012/016184、W02009/086558、W02010/042877、WO2011/000106、WO2011/000107、W02005/120152、WO2011/141705、WO2013/126803、W02006/007712、WO2011/038160、WO2005/121348、WO2011/066651、W02009/127060、WO2011/141704、W02006/069782、WO2012/031043、WO2013/006825、WO2013/033563、W02013/089151、WO2017/099823、WO2015/095346、及びWO2013/086354に記載されている。
【0513】
いくつかの特定の実施態様において、イオン化可能脂質は、MC3(6Z,9Z,28Z,3 lZ)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,3 l-テトラエン-l9-イル-4-(ジメチルアミノ) ブタノエート(DLin-MC3-DMA又はMC3)である。
【0514】
いくつかの特定の実施態様において、イオン化可能脂質は、MC3(6Z,9Z,28Z,3 lZ)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,3 l-テトラエン-l9-イル-4-(ジメチルアミノ) ブタノエート(DLin-MC3-DMA又はMC3)である。
【0515】
いくつかの特定の実施態様において、イオン化可能脂質は、(((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル) ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)である。
【0516】
いくつかの特定の実施態様において、イオン化可能脂質は、9-ヘプタデカニル 8-{(2-ヒドロキシエチル)[6-オキソ-6-(ウンデカイルオキシ)ヘキシル]アミノ}オクタノエートである。
【0517】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子をカプセル化する脂質ナノ粒子は、ジステアロイル-ホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイル-ホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイル-ホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイル-ホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイル-ホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)及びジオレオイル-ホスファチジル-lエタノールアミン、ジパルミトイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホ-エタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-trans PE、1-ステアリオイル(stearioyl)-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、及び1,2-ジエライドイル-sn-グリセロ-3-ホホエタノールアミン(phophoethanolamine)(transDOPE)からなる群から選択される1種以上の脂質を含む。
【0518】
本明細書で提供される送達ビヒクルは、場合によってはトランスフェクションと呼ばれる、本明細書で提供されるDNA分子を細胞に送達するためのものを含む。さらなる有用なトランスフェクション方法としては、脂質媒介性トランスフェクション、カチオン性ポリマー媒介性トランスフェクション、又はリン酸カルシウム沈殿が挙げられるが、これらに限定されない。本技術分野において周知なトランスフェクション試薬が本明細書で提供され、TurboFectトランスフェクション試薬(Thermo Fisher Scientific)、Pro-Ject試薬(Thermo Fisher Scientific)、TRANSPASS(商標) Pタンパク質トランスフェクション試薬(New England Biolabs)、CHARIOT(商標)タンパク質送達試薬(Active Motif)、PROTEOJUICE(商標)タンパク質トランスフェクション試薬(EMD Millipore)、293fectin、LIPOFECT AMINE(商標) 2000、LIPOFECT AMINE(商標) 3000 (Thermo Fisher Scientific)、LIPOFECT AMINE(商標)(Thermo Fisher Scientific)、LIPOFECTIN(商標)(Thermo Fisher Scientific)、DMRIE-C、CELLFECTIN(商標)(Thermo Fisher Scientific)、OLIGOFECT AMINE(商標)(Thermo Fisher Scientific)、LIPOFECT ACE(商標)、FUGENE(商標)(Roche、Basel, Switzerland)、FUGENE(商標) HD (Roche)、TRANSFECT AM(商標)(Transfectam、Promega、Madison、Wis.)、TFX-10(商標)(Promega)、TFX-20(商標)(Promega)、TFX-50(商標)(Promega)、TRANSFECTIN(商標)(BioRad、Hercules、Calif.)、SILENTFECT(商標)(Bio-Rad)、Effectene(商標)(Qiagen、Valencia、Calif.)、DC-chol(Avanti Polar Lipids)、GENEPORTER(商標)(Gene Therapy Systems、San Diego、Calif.)、DHARMAFECT 1(商標)(Dharmacon、Lafayette、Colo.)、DHARMAFECT 2(商標) (Dharmacon)、DHARMAFECT 3(商標)(Dharmacon)、DHARMAFECT 4(商標)(Dharmacon)、ESCORT(商標) III (Sigma、St. Louis、Mo.)、及びESCORT(商標) IV (Sigma Chemical社)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0519】
ある場合には、化学的送達系を使用して、例えば、カチオン性トランスフェクション試薬を用いることによって、本明細書で提供されるDNA分子を送達することができ、これには、カチオン性リポソーム/ミセル又はカチオン性ポリマーを生成するポリカチオン性化学薬品による負の電荷を持つ核酸のコンパクションが含まれる。本送達方法に使用されるカチオン性脂質としては、これらに限定されないが、一価カチオン性脂質、多価カチオン性脂質、含グアニジン化合物、コレステロール誘導体化合物、カチオン性ポリマー、(例えば、ポリ(エチレンイミン)、ポリ-L-リシン、プロタミン、他のカチオン性ポリマー)、及び脂質-ポリマーハイブリッドが挙げられる。
【0520】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子は、標的細胞内へのDNAの侵入が容易となるように、機械的、電気的、超音波、流体力学的、又はレーザーベースのエネルギーをかけて細胞膜に一過性の貫通を作ることによって送達される。例えば、細胞をサイズ制限された通路に押し込んで通すことによって又は本技術分野において公知の他の手段によって、細胞膜を一過性に破壊することによって本明細書で提供されるDNA分子を送達することができる。
【0521】
本開示は、本明細書で提供されるDNA分子を、医薬組成物として調製することができることを規定する。そのような組成物が、必然的に、1つ以上の活性な成分及び、ほとんどの場合、医薬として許容し得る賦形剤を含むことが理解されるであろう。
【0522】
本開示による医薬組成物中の活性成分(例えば、対象への移入又は移植のための本明細書で提供されるDNA分子又は本明細書で提供されるDNA分子を含む細胞)、医薬として許容し得る賦形剤、及び/又は任意の追加の成分の相対量は、治療中の対象の素性、大きさ、及び/又は状態に応じて、及びさらに組成物が投与される経路に応じて異なり得る。例えば、組成物は、0.1%~99%(w/w)の活性成分を含み得る。一例として、組成物は、0.1%~100%、例えば、0.5~50%、1~30%、5~80%、少なくとも80%(w/w)の活性成分を含み得る。
【0523】
本開示の製剤は、限定するものではないが、生理食塩水、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマー、ペプチド、タンパク質、本明細書で提供されるDNA分子を含む細胞(例えば、対象への移入又は移植のためのもの)、及びそれらの組合せ含むことができる。いくつかの実施態様において、製剤は、エキソソーム、細胞外ベシクル、ハイブリドソーム、及びフソソームを含むことができる。
【0524】
内在性の核酸を含有していてもよいウイルス粒子、エキソソーム、又はハイブリドソームの場合には、DNA分子の定量を、製剤に含有される用量の尺度として用いてもよい。本技術分野において公知の任意の方法を、本明細書で提供される組成物のDNA分子数を決定するのに使用することができる。DNA分子数タイトレーションを行うための一つの方法は、以下の通りである:先ず、ヘアピン末端DNAを含むウイルス粒子、エキソソーム、又はハイブリドソーム組成物の試料を、DNaseで処理し、製造プロセス由来の不純物であるホストDNAを除去する。次いで、DNase抵抗性の粒子に対して熱処理を行って、カプシドからゲノムを放出させる。次いで、放出されたゲノムを、ウイルスゲノムの特定の領域(例えば、ポリAシグナル)を標的とするプライマー/プローブセットを用いるリアルタイムPCRによって定量化する。ゲノムコピー数を決定するための別の適当な方法は、定量PCR(qPCR)、特に、最適化qPCR又はデジタルドロップレットPCRである。
【0525】
本明細書に記載される医薬組成物の製剤は、薬理学の分野において公知の又は今後開発される任意の方法で調製され得る。本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、少なくとも1つの活性成分及び任意に1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤を含む組成物を意味する。
【0526】
一般に、そのような調製方法は、活性成分を、賦形剤及び/又は1つ以上の他の副原料と一緒にする工程を含む。本明細書で使用される、「活性成分」という句は、一般に、本明細書で提供されるDNA分子又は本明細書で提供されるDNA分子を含む細胞もしくは物質のいずれかを意味する。
【0527】
本明細書に記載されるDNA分子及び医薬組成物の製剤は、薬理学の分野において公知の又は今後開発される任意の方法によって調製され得る。一般的に、そのような調製方法は、活性成分を、賦形剤及び/又は1つ以上の他の副原料と一緒にし、その後、必要であればかつ/又は望ましければ、生成物を所望の単回又は複数回用量単位に分割、成形、及び/又は包装する工程を含む。
【0528】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される製剤は、疾患の治療のための発現カセット内のORFの発現に十分なDNA分子又は活性成分を含有していてもよい。
【0529】
いくつかの実施態様において、本開示のDNA分子は、AAV Rep78などのウイルスタンパク質を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、本開示の単離DNA分子は、ウイルスタンパク質を100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、又は90%含まない。
【0530】
本開示のDNA分子は、(1)安定性を増加させる;(2)細胞トランスフェクション又は形質導入を増加させる;(3)活性成分の持続放出又は遅延放出を可能とする;(4)生体内分布を変化させる(例えば、DNA分子を含むDNA分子又は活性成分を、特定の組織又は細胞型に対して標的化する);(5)発現カセット内のORFの翻訳を増加させる;(6)発現カセットのORFによってコードされるタンパク質の放出プロファイルを変化させる、及び/又は(7)発現カセットのORFの調節可能な発現を可能にする1つ以上の賦形剤又は希釈剤を用いて製剤化することができる。
【0531】
いくつかの実施態様において、医薬として許容し得る賦形剤は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の純度であり得る。いくつかの実施態様において、賦形剤は、ヒトへの及び獣医学的用途への使用に関して承認されている。いくつかの実施態様において、賦形剤は、米国食品医薬品局によって承認されていてもよい。いくつかの実施態様において、賦形剤は、医薬グレードのものであってもよい。いくつかの実施態様において、賦形剤は、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方、及び/又は国際薬局方(the International Pharmacopoeia)の基準を満たしていてもよい。
【0532】
本明細書で使用される賦形剤としては、所望の特定の剤形に適したありとあらゆる溶媒、分散媒、希釈剤、又は他の液体ビヒクル、分散又は懸濁助剤、界面活性剤、等張化剤、増粘又は乳化剤、防腐剤などが挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物を製剤化するためのさまざまな賦形剤該組成物を調製するための技術は、本技術分野において公知である(引用によりその全体が本明細書に組み込まれるA. R. Gennaroの文献「レミントン:薬学の科学と実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)」、第21版、Lippincott, Williams & Wilkins, Baltimore, MD, 2006を参照されたい)。賦形剤媒体が、何らかの望ましくない生物学的作用をもたらすことや、有害な様式で該医薬組成物の任意の他の成分とその他の点で相互作用することなどによって、物質又はその誘導体と不適合である場合を除き、慣用の賦形剤媒体の使用が、本開示の範囲内で想定され得る。
【0533】
例示的な希釈剤としては、本技術分野において知られておりかつ用いられているものが挙げられる(A. R. Gennaroの文献「レミントン:薬学の科学と実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)」、第21版、Lippincott, Williams & Wilkins, Baltimore, MD, 2006を参照されたい)。
【0534】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子用の医薬組成物は、少なくとも1つの不活性成分を含むことができる。本明細書で使用される場合、「不活性成分」という用語は、製剤に含まれる医薬組成物の活性成分の活性に寄与しない1種以上の薬剤を意味する。いくつかの実施態様において、本開示の製剤において用いられる不活性成分の全てもしくは一部を、米国食品医薬品局(FDA)によって承認されておりかつ本技術分野で用いられるそのようなもののいずれかとすることができ、又は該不活性成分のいずれも、米国食品医薬品局(FDA)によって承認されておりかつ本技術分野で用いられるそのようなもののいずれかとしないこともできる。
【0535】
(5.7 使用する方法)
本開示は、本明細書で提供されるDNA分子を使用して、発現のために発現カセット内のORF又は導入遺伝子を細胞に送達することができることを規定する。セクション5.3.3に記載されているようなORF又は導入遺伝子を、効率的に送達することができる。本開示は、本明細書で提供されるDNA分子を使用して、発現カセット内のORF又は導入遺伝子をヒト対象に送達することができることを規定する。セクション5.3.3に記載されているような任意のORF又は導入遺伝子を、効率的に送達することができる。
【0536】
特定の一実施態様において、発現のために目的遺伝子を細胞に送達する方法は:本明細書で提供されるDNA分子を該細胞内にトランスフェクションさせることを含む。ある実施態様において、細胞は、ヒト細胞である。別の実施態様において、細胞は、ヒト初代細胞である。さらに別の実施態様において、細胞は、初代ヒト血液細胞である。一実施態様において、セクション5.6に記載した任意の送達ビヒクルによって、DNA分子を細胞内にトランスフェクションさせることができる。
【0537】
別の具体的な実施態様において、発現のために目的遺伝子をヒト対象を送達する方法は: 本明細書で提供されるDNA分子を細胞内にトランスフェクションさせること、及び該細胞をヒト対象に投与することを含む。ある実施態様において、細胞は、ヒト細胞である。別の実施態様において、細胞は、ヒト初代細胞である。さらに別の実施態様において、細胞は、初代ヒト血液細胞である。一実施態様において、セクション5.6に記載した任意の送達ビヒクルによって、DNA分子を細胞内にトランスフェクションさせることができる。
【0538】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子は、前の3つの段落に記載されているように、発現カセット内の疾患を治す遺伝子を細胞又はヒト対象内に送達することによって、遺伝子療法に使用することができる。
【0539】
ある実施態様において、本明細書で提供されるDNA分子を使用して、本技術分野で知られているトランスフェクションすることが難しい細胞をトランスフェクションすることができる。トランスフェクションすることが難しいことが知られているそのような細胞としては、活発に分裂していない細胞が挙げられる。いくつかの実施態様において、そのような細胞は、例えば、ヒト初代血液細胞、ヒト初代肝細胞、ヒト初代ニューロン、ヒト初代筋肉細胞、ヒト初代心筋細胞などのヒト初代細胞であり得る。
【0540】
(5.7.1 ホスト細胞)
本明細書で使用される場合、「ホスト細胞」という用語は、本開示の核酸構築体又はヘアピン末端発現ベクターを用いる形質転換、トランスフェクション、形質導入などを受けやすい任意の細胞型を含む。
【0541】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示されるヘアピン末端ベクターは、発現カセットを対象ホスト細胞内に送達する。いくつかの実施態様において、対象ホスト細胞は、例えば、血液細胞、幹細胞、造血細胞、CD34+細胞、肝細胞、がん細胞、血管細胞、筋肉細胞、膵臓細胞、神経細胞、眼部もしくは網膜細胞、上皮もしくは内皮細胞、樹状細胞、線維芽細胞などのヒトホスト細胞、又は、限定するものではないが、肝(hepatic)(すなわち、肝臓(liver))細胞、肺細胞、心細胞、膵臓細胞、腸細胞、横隔膜細胞、腎(renal)(すなわち、腎臓(kidney))細胞、神経細胞、血液細胞、骨髄細胞などの哺乳動物起源の任意の他の細胞、又は遺伝子療法が想定される対象の任意の1種以上の選択された組織である。一態様において、対象ホスト細胞は、ヒトホスト細胞である。
【0542】
また、本開示は、本明細書で開示されるようなヘアピン末端ベクターを含む上で言及したようなホスト細胞に関する。従って、当業者には自明であるように、目的に応じて複数のホスト細胞を用いることができる。本明細書で開示されるような発現カセットを含む発現用ヘアピン末端ベクターは、ドナー配列が染色体組み込み体として維持されるようにホスト細胞内に導入することができる。ホスト細胞という用語は、複製の間に生じる変異のために親細胞と同一ではない親細胞の任意の子孫を包含する。ホスト細胞の選択は、ドナー配列及びその起源に大きく依存し得る。
【0543】
また、ホスト細胞は、哺乳動物、昆虫、植物、又は真菌細胞などの真核生物細胞であってもよい。一実施態様において、ホスト細胞は、ヒト細胞(例えば、初代細胞、幹細胞、又は不死化細胞株)である。いくつかの実施態様において、ホスト細胞は、本明細書で開示されるような発現カセットのエクスビボでの発現のためのヘアピン末端ベクターを投与され、次いで、遺伝子療法イベントの後に対象に送達されることができる。ホスト細胞は、任意の細胞型、例えば、体細胞もしくは幹細胞、人工多能性幹細胞、又は血液細胞、例えば、T細胞もしくはB細胞、又は骨髄細胞とすることができる。ある実施態様において、ホスト細胞は、同種異系の細胞である。いくつかの実施態様において、遺伝子改変ホスト細胞、例えば、骨髄幹細胞、例えば、CD34+細胞、又は人工多能性幹細胞を、治療用タンパク質の発現のために患者に戻す移植を行うことができる。
【0544】
(5.7.2 ヘアピン末端DNA分子を用いる成功した遺伝子発現に関する試験)
本技術分野において周知のアッセイを使用して、インビトロモデル及びインビボモデルの双方でのヘアピン末端DNA分子による発現カセットの遺伝子送達の効率を試験することができる。いくつかの実施態様において、ヘアピン末端DNAによってコードされるタンパク質の発現レベルを、該タンパク質のmRNA及びタンパク質レベルを測定すること(例えば、逆転写PCR、ウエスタンブロット分析、及び酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA))によって当業者によって評価することができる。一実施態様において、DNAは、発現カセットの発現を、例えば、蛍光顕微鏡法又は発光プレートリーダーによりレポーターの発現を調査することによって評価するのに使用することができるレポーターを含む。インビボでの応用については、タンパク質機能アッセイを使用して、所与の転写産物の機能性を試験して、遺伝子発現が成功裏に生じているかどうかを決定することができる。当業者は、インビトロ又はインビボでのヘアピン末端DNA分子による転写産物の機能性を測定するための最高の試験を決定することができるであろう。
【0545】
本明細書においては、細胞又は対象内でのヘアピン末端DNAからの遺伝子発現の効果が、少なくとも0.5ヶ月、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも2年、少なくとも5年、少なくとも10年、少なくとも20年持続し得るか、又は永続的であり得ることが想定される。
【0546】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヘアピン末端DNA分子は、ホスト細胞のためにコドン最適化することができる。本明細書で使用される場合、「コドン最適化された」又は「コドン最適化」という用語は、対象となる脊椎動物、例えば、マウス又はヒト(例えば、ヒト化)の細胞における強化された発現のために、天然配列(例えば、原核生物の配列)の少なくとも1つ、2つ以上、又は有意な数のコドンを、該脊椎動物の遺伝子においてより頻繁に又は最も頻繁に用いられるコドンで置き換えることによって、核酸配列を改変するプロセスを意味する。さまざまな種が、特定のアミノ酸のあるコドンに関して特定の偏りを示す。典型的には、コドン最適化は、元の翻訳されるタンパク質のアミノ酸配列を変化させない。最適化コドンは、例えば、AptagenのGene Forge(登録商標)コドン最適化及びカスタム遺伝子合成プラットフォーム(Aptagen社)又は別の公に利用可能なデータベースを用いて決定することができる。
【0547】
本明細書で引用される全ての特許出願、刊行物(特許及び特許出願、科学文献、又は任意の他の刊行物)、特許、GenBank引用及び他のデータベース引用、ウェブページ上の開示、商用のカタログ、並びに他の引例は、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0548】
(6. 実施例)
いくつかの実施態様を説明してきた。それでもやはり、本セクション(すなわち、セクション6)のさまざまな実施例が、説明の目的のためだけに本明細書の特定の実施態様を記載しており、請求項又は本開示に記載される範囲を限定しないことが理解されるであろう。さまざまな変更を、本明細書で提供されることの趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。
【0549】
(6.1 実施例1-ベクターをコードするプラスミドの製造)
ベクターをコードする核酸配列を、インシリコで設計した。構築体1は、左の逆方向反復、ミニヒトPGKプロモーター、TurboLuc ORF、SV40ポリ(a)、及び右の逆方向反復
【化4】
をコードし、5’トップ鎖及び3’ボトム鎖上にITRオーバーハングをもたらすように、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の4つの制限部位が配置されている。構築体2は、改変された左のITR、ヒトPGKプロモーター、分泌型TurboLuc ORF、SV40ポリ(a)、右のITR、及び該右のITRの115塩基対下流のニッキングエンドヌクレアーゼ用の二重制限部位
【化5】
をコードする。商用のDNA合成供給業者によって、構築体1及び2を合成し、pUC57骨格内にクローニングした(それぞれ、プラスミド1及びプラスミド2)。
【0550】
プラスミド1及び2を形質転換し、次いで、NEB安定又はMDS-42菌株内で1晩増幅させ、それに続き、市販のプラスミド単離キット(Nucleobond Xtra Maxi Plus EF (Macherey Nagel))を用いてプラスミド単離を行い、ヌクレアーゼを含まない水に溶解させた。
【0551】
(構築体1について)
構築体1上にニックを誘導するために、ニッキングエンドヌクレアーゼNt.BstNBI(6.2U/μg DNA)を、1×Neb3.1バッファー中の単離された構築体1に添加し、55℃で1時間インキュベートした。次いで、プラスミド骨格からITRに隣接する導入遺伝子を解離させるために、ニッキングされたプラスミドを含有する反応混合物を、加熱振盪機上で10分間90℃に加熱し、次いで、混合物を室温まで30分放冷して、一本鎖オーバーハング末端でのITRフォールディングを可能とした。次いで、反応混合物に、制限酵素PvuII及びRecBCDエキソヌクレアーゼV(それぞれ、ニッキングされたプラスミドの1マイクログラムあたり0.157U及び0.625U)の双方、並びにアデノシン三リン酸(1mMの終濃度)を追加した。次いで、反応混合物を、振盪機に37℃で120分載せて、制限酵素に骨格断片を切断させ、エキソヌクレアーゼに骨格断片を消化させた。一般に、エキソヌクレアーゼは、ヘアピン末端で保護されている直鎖状断片を消化しない。最後に、反応混合物を、Takara NucleoSpin Gel及びPCRクリーンアップキットを用いて精製し、残っているITRに隣接するベクターを、製造業者の説明書に従って溶出させた。
【0552】
(構築体2について)
ニックを誘導し構築体2を直鎖化させるために、ニッキングエンドヌクレアーゼNt.BstNBI(0.62U/μg DNA)を、1×Neb3.1バッファー中の単離された構築体2に添加し、55℃で120分インキュベートした。次いで、ITRに隣接する導入遺伝子をプラスミド骨格から解離させるために、ニッキングされた構築体2を含有する反応混合物を、サーモサイクラー上で95℃に3分間加熱し、それに続き、サーモサイクラー内で0.05℃/sの勾配で40℃まで冷却した。次いで、反応混合物に、エキソヌクレアーゼV(DNAの1マイクログラムあたり2.5U)及びアデノシン三リン酸(1mMの終濃度)を追加した。次いで、反応混合物を、振盪機に37℃で120分載せて、制限酵素に骨格断片を切断させ、エキソヌクレアーゼに骨格断片を消化させた。一般に、エキソヌクレアーゼは、ヘアピン末端で保護されている直鎖状断片を消化しない。最後に、反応混合物を、Takara NucleoSpin Gel及びPCRクリーンアップキットを用いて精製し、残っているITRに隣接するベクターを、製造業者の説明書に従って溶出させた。
【0553】
ニッキングし、変性/再生しかつ消化抵抗性のDNA産物を、非変性アガロースゲル電気泳動によって可視化した。
【0554】
構築体1の場合、アガロースゲル(
図6)は、レーン3にニッキングされたプラスミド、レーン4に変性/再生DNA産物、及びレーン8に消化抵抗性ベクターの単一のバンドを示す。フォールディングされたITRの形成をさらに検証するために、該プラスミド及び変性/再生DNA産物を、該ベクターのミニPGKプロモーター領域に単一の切断部位を有する制限酵素SpeIで消化した。
図6にみられるように、SpeI消化は、該ベクターを切断し、レーン5の下の方のバンドのシフトを引き起こし、かつエキソヌクレアーゼVで処理すると、該ベクター断片は消化される一方、フォールディングされたアンチセンスITRによって消化から保護されている骨格は残っている。変性/再生DNAを、骨格内に2つの切断部位がある制限酵素PvuIIで消化する場合には、その反対であり、エキソヌクレアーゼV処理後に、所望の生成物のみが残る(レーン8)。さらに、構築体1出発材料は、SpeI又はPvuIIで直鎖化し、SpeIの場合には直鎖状DNA鎖を、PvuIIでは2つの断片を放出した。まとめると、このことは、それぞれが、向かい合う鎖上に配置されたニッキングエンドヌクレアーゼ用の第1及び第2の制限部位をさらに含む2つの逆方向反復と隣接している発現カセットを含む二本鎖DNA分子が、DNAのニッキング及びそれに続く変性/再生によって形成されることを示した。そのようなヘアピン末端DNA分子の形成が、エキソヌクレアーゼV消化に対して抵抗性であることがさらに示された。
【0555】
3’ ITRの下流にニッキングエンドヌクレアーゼ用の近接二重制限部位を含有する構築体2の場合、ニッキングエンドヌクレアーゼBstNBIで処理すると、環状プラスミドの直鎖化が生じる。
図7にみられるように、アガロースゲルは、レーン2に直鎖化されたDNAを示す。変性/再生後は、DNA産物がレーン3にみられ、RecBCDエキソヌクレアーゼVでの消化後には、消化抵抗性ベクターの単一のバンドが、レーン5にみられる。フォールディングされたITRの形成及びプラスミドの直鎖化をさらに検証するために、再生/変性DNA産物を、骨格内に2つの切断部位があるPvuIIで消化した。エキソヌクレアーゼV消化後に、追加のバンドは検出されなかった。このことは、ニッキングエンドヌクレアーゼ用の近接二重制限部位を5’ ITRの上流又は3’ ITRの下流に組み込むことで、逆方向反復部分をニッキングしつつ、同時に、骨格を断片化することができ、制限部位による骨格のさらなる消化をもう用いられなくすることを示す。
【0556】
(6.2 実施例2 DNA構築体の変性/再生の繰り返し)
DNA構築体のフォールディングの安定性を評価するために、ニッキングされた構築体1及び対応するヘアピン化ベクターに対して、複数のサイクルの変性及びアニーリングを行った。第1の工程において、100ngの総DNAを、NEBバッファー3.1中で1μMのSybr Green I色素と共にインキュベートし、384ウェルPCRプレート内に移した。プレートをシールし、Sybr Green蛍光を、Quantstudio 5リアルタイムPCR装置で行われた何回かの70~98℃の加熱サイクルの間連続的にモニタリングした。ベクターについては(製造の間の加熱サイクルに加えて)3回の加熱サイクル後に、ニッキングされた構築体については4回のサイクル後に、試料を、非変性アガロースゲル電気泳動によって可視化した。
図8Aにみられるように、レーン2ではベクターについて1つのバンドが存在しており、また、ライン3では、ベクター及び骨格に対応するバンドが見られた。加えて、
図8B及び
図8Cの融解曲線は、各サイクルの間全体にわたって非常に類似したままである別個の融解フィンガープリントを示す。
【0557】
(6.3 実施例3 ベクターの等温形成)
熱エネルギーによってベクターをニッキングされたプラスミドから解離させることに加えて、化学的変性剤を用いる等温変性の可能性を試験した。具体的には、実施例1のニッキングされた構築体を解離させる変性剤として作用するNaOHの能力を試験した。先ず、ニッキングされた構築体(100ngの総DNA)を、1M NaOHで対応するpH値に前もって調整されたNEBバッファー3.1中の0.2μMのSYBRグリーンI色素と混合した。蛍光シグナルを、対応するpH値でプレートリーダーを用いて検出した。
図9Bにみられるように、pHが上昇するにつれて、バックグラウンド調整された蛍光は低下し、変性DNAの分率の増加を示している。次いで、変性DNAのpHを、HClでpH 7.9に戻し、試料をアガロース電気泳動ゲルに載せた。
図9Aにみられるように、10.3を超えるpHでは、DNA構築体は解離して、対応するベクターのバンドを含む期待されるバンドを形成した。同一のバンドが、熱エネルギーを用いる再生/変性後にみられる。
【0558】
(6.4 実施例4 LNP及びハイブリドソームのトランスフェクション)
脂質ナノ粒子を、Nanoassemblr(商標)マイクロ流体システム(Precision NanoSystems)において製造業者の説明書に従って調製した。所望の処方に応じて、前もって形成されるベシクルの手法のものと類似の、適切なモル比(例えば、40:40:18:2)のイオン化可能な脂質(例えば、MC3)、双性イオン脂質(例えば、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルグリセロホスホコリン(DOPC)、膜の完全性を提供する成分(例えば、ステロール、例えば、コレステロールなど)、及びコンジュゲートした脂質分子(例えば、PEG-脂質、例えば、平均PEG分子量が2000のl-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(「PEG-DMG」)など)からなるエタノール溶液を10mMの総脂質濃度で調製した。さらに、DNA対脂質のwt/wt比が約14であるDNA水溶液を、pH 4.0の25mMの酢酸バッファー中に調製した。製造の総体積に応じて、1ml及び3mlのシリンジを用いて、12ml/分の総流速の入口での流れを生じさせた。各処方について、DNA水溶液を、エタノール-脂質溶液と3:1の流速比(Aq:Et)で室温で混合した。次いで、生成物をPBSに対し透析して、残留エタノールを除去するとともにpHを7.4まで上昇させる。
【0559】
エキソソーム製造については、その全体が引用により本明細書に組み込まれるNordinらの文献、「分子生物学の方法(Methods in Molecular Biology)」、vol 1953. Humana Press、New York、NY (2019)に記載されているように、撹拌されたバイオリアクター内で灌流モードで細胞を増殖させ、エキソソームの単離を、接線流濾過及びそれに続くCaptocore 700液体クロマトグラフィーによって行った。
【0560】
ヒト胎児由来腎細胞(HEK-293T)を、10% FCSを追加したDMEM中で培養した。細胞を、37℃で5% CO2-腐植土化した(humified)インキュベーター内で増殖させた。ルシフェラーゼ発現を試験するために、細胞(2×104/ウェル)を、96ウェルプレート内に播種し、TurbolucをコードするDNAベクターを100ng、10ng、及び1ng(0.37pmol、0.031pmol、0.001pmol、及び0.001pmol)用いて48時間トランスフェクションを行った。US15/112,180に概略が示されているように、トランスフェクションは、エキソソームを脂質ナノ粒子と融合させることによって作製したハイブリドソームを用いて媒介させた。比較として、細胞に対してさらに、脂質ナノ粒子を用いてトランスフェクションを行った。
【0561】
ルシフェラーゼ発現レベルを、トランスフェクションの48時間後にNanoLight TechnologyのGluc Glow Assayキットを用いて決定した。トランスフェクションを行った細胞が入ったウェル内の培地のうちの150μlを除去し(50μlの培地はウェルに残した)、50μlの細胞溶解バッファー中のセレンテラジン(NanoLight Technology)を50μMのセレンテラジン終濃度で添加した。次いで、細胞を、暗所で振盪させながら、室温で5分間インキュベートした。ルシフェラーゼ基質を含有する細胞溶解液を、白色の96ウェルプレート(BRAND)内に移した。ルシフェラーゼ活性を、SynergyMXプレートリーダー(BioTek)を用いて発光を測定することによって決定し、
図10に示した。
【0562】
(6.5 実施例5 分裂細胞及び非分裂細胞における発現)
構築体を、2つのITRと隣接する発現カセット内にTurbolucレポーター遺伝子をコードするオープンリーディングフレームを含むように作製した。経時的な該ベクターからのTurbolucの発現を、各細胞培養液中でのルシフェラーゼ活性に基づいて決定し、該ルシフェラーゼ活性が、該ベクターからの遺伝子発現の結果として生じることを確認した。
【0563】
詳細には、ヒト胎児由来腎細胞(HEK-293T)を、DMEM(10% FCS、1% pen/strep)及び2mMの安定グルタミン中で培養した。照射マウス胎仔線維芽細胞(C57BL/6、Thermo Fisher)を、DMEM(10% FCS、1% pen/strep)、2mMの安定グルタミン、及び1mMのピルビン酸ナトリウム中で培養した。細胞を、37℃で5% CO
2-腐植土化したインキュベーター内で増殖させた。細胞(6×10
4/ウェル)を、0.1%ゼラチン溶液でコーティングされた96ウェルプレート内に播種し、100ng(0.13pmol)の実施例1のフォールディングされたITR DNAベクター1を用いてトランスフェクションを行った。トランスフェクションは、JetPrime(PolyPlus)トランスフェクション試薬を用いて製造業者の説明書に従って行った。培養培地を、トランスフェクションの3日後に交換した。ルシフェラーゼ発現レベルを、Gluc Glowアッセイキット(NanoLight Technology)を用いて、トランスフェクションの1日後から始めて、トランスフェクション後の様々な日に決定した。トランスフェクションを行った細胞が入ったウェル内の培地を、リン酸緩衝生理食塩水(50μl)と置き換え、50μlの細胞溶解バッファー中のセレンテラジン(NanoLight Technology)を、50μMのセレンテラジン終濃度で添加した。次いで、細胞を、暗所で振盪させながら、室温で5分間インキュベートした。ルシフェラーゼ基質を含有する細胞溶解液を、白色の96ウェルプレート内に移した。分泌型Turbolucをコードする構築体2については、50ulの試料上清を、様々な日に除去し、完全培地を交換した。上清試料を、50μMの終濃度のセレンテラジンと2分間インキュベートした。ルシフェラーゼ活性を、SynergyMXプレートリーダー(BioTek)を用いて発光を測定することによって決定した。バックグラウンドの分析については、未処理細胞からの生物発光を、上で述べたプロトコールに従って測定した。
図11A及び
図11Bにみられるように、非分泌型Turbolucを発現する構築体1の場合、ルシフェラーゼ活性は、分裂細胞では第2日にピークとなり、非分裂細胞では、発現は増加し続ける。
図11C及び
図11Dにみられるように、分泌型Turbolucをコードする構築体2の場合、ルシフェラーゼ活性は、分裂細胞では第2日にピークとなり、非分裂細胞では、発現は増加し、その後、9日間にわたり安定なままである。直接の比較として、等モル量の構築体2をコードする完全な環状プラスミドもトランスフェクションさせたところ、
図11C及び
図11Dにみられるように、一般に、低下したルシフェラーゼ活性が記録され、フォールディングされたITRを有する精製構築体2の核送達の向上が示された。
【0564】
(6.6 実施例6 ITRを含有するDNAプラスミドの構造)
商用のDNA合成供給業者によってルーチンに提供されるオリゴヌクレオチドの新規無細胞合成は、オーダーメードベクター及びベクターライブラリーの迅速かつ経済的な製造を可能とする。しかしながら、長い逆方向反復を含有する配列の新規合成は、特に、(発現カセットの両側に位置する左のITR及び右のITRの場合のように)類似の逆方向反復の複数のセクションが存在する場合に障害となることがある。従って、ITR含有プラスミドの組み立てを可能とする戦略が考案された。多くのウイルスITRは、概ねそれらの各ITRの中間に制限酵素部位を含有し(すなわち、B19V ITRにおけるBssHII又はAAV2 ITRにおけるBsaHI)、人工のITRを、中央の制限部位を伴うように設計することができる。構築体の製造可能性を増加させるために、ITR配列を、ITR特異的制限酵素部位の近くで分割し(すなわち、左のITRは、スプリットL1及びスプリットL2であり、右のITRは、R1及びR2に分割される)、別々に生産される。
図12に示されるように、一方がスプリットITR R2をコードし、他方がスプリットITR L2をコードし、マルチクローニングサイトと抗生物質耐性カセット又は複製起点のいずれかとを一緒に有する2つの第1の遺伝子断片を作製することによって、新規遺伝子断片を組み立ててライゲーションして、増幅のために形質転換された環状プラスミドを作製する。スプリットITRの残りの半分(それぞれ、R1及びL1)と抗生物質耐性カセット及び複製起点とを含有する第3の遺伝子断片を合成する。次いで、スプリットITR R2及びL2並びに連結されたマルチクローニングサイトをコードする工程1の結果として得られるプラスミドと、第3の断片との双方を、ITR特異的な制限酵素(すなわち、HBoV ITRにおけるBssHII又はAAV2 ITRにおけるBsaHI)で消化することができ、次いで、瘢痕を残さずに環状化して、ITR及びマルチクローニングサイトの双方を含有するプラスミドを形成させる。次いで、オーダーメードの発現カセットを、マルチクローニングサイトでベクター内にクローニングすることができる。
【0565】
(6.7 実施例7 ライゲーションした及びライゲーションされていない構築体の長期発現)
構築体3は、5’トップ鎖及び3’ボトム鎖上にITRオーバーハングをもたらすように配置されたニッキングエンドヌクレアーゼ用の4つの制限部位を有する構築体である。構築体3は、改変された左のITR、切断型SFFVプロモーター、マウスカッパIgGリーダー、TurboLuc ORF、bGHポリ(A)シグナル(a)、右のITR、及び該右のITRの115塩基対下流のニッキングエンドヌクレアーゼ用の二重制限部位
【化6】
をコードする。構築体3を、実施例1の構築体2のための方法と同一の方法によって製造した。ゲル及びPCRクリーンアップキットによる精製後に、精製されたベクターを、製造業者の説明書に従いT4リガーゼ及びT4ライゲーションバッファーと混合し、25℃で2時間インキュベートした。完全なライゲーションを確認するために、ライゲーションされた構築体の試料のpHを、100mMのトリス-HCl(pH 8.8)で調整し、T5エキソヌクレアーゼを、混合物に添加し、次いで、それを1時間37℃でインキュベートした。さらに、ライゲーションされた構築体の試料の水への希釈並びにそれに続くホルムアミド及びローディング色素の添加によってライゲーションを確認した。この混合物を、65℃で5分間インキュベートし、次いで、アガロースゲルにローディングされるまで氷上に保った。ライゲーション工程後に、ライゲーションされた構築体を、ゲル及びPCRクリーンアップキットを用いて再精製した。
【0566】
ライゲーションを確認するために、結果を、アガロースゲルを用いて分析した。アガロースゲル(
図20A)は、レーン2に精製構築体、レーン3にライゲーション後のリガーゼと構築体の混合物、レーン4にT5エキソヌクレアーゼ処理された前もってライゲーションされた構築体、レーン5にホルムアミドで変性された前もってライゲーションされた構築体、及びレーン6に結果として得られる再精製されたライゲーションされた構築体を示す。アガロースゲルの半分のうちの2つ目は、ライゲーションバッファー中のライゲーションされていない構築体(レーン7)、T5エキソヌクレアーゼ処理(レーン8)、ホルムアミド変性(レーン9)、及び再精製(レーン10)を示す。
【0567】
それに続き、精製されたライゲーションされた構築体、ライゲーションされていない構築体、及び環状の親プラスミドを、実施例4に概略が示されているように、LNP及びハイブリドソーム内にローディングした。ライゲーションされた構築体、ライゲーションされていない構築体、又は親環状プラスミドをカプセル化するハイブリドソームでの非分裂HepRG細胞のトランスフェクション後の分泌型TurboLucの発現を、経時的にモニタリングした(
図20B)。環状プラスミドでのトランスフェクション由来の発現が、急速に減少したのに対し、ライゲーションされた構築体及びライゲーションされていない構築体は、経時的に安定なままであった。驚くべきことに、ライゲーションされていない構築体からの発現が、ライゲーションされた構築体でのトランスフェクションでみられるレベルよりも高いレベルで観察された。
【0568】
(6.8 実施例8 LNP及びハイブリドソームでのトランスフェクション後の長期発現)
2つのITRと隣接する発現カセット内にTurbolucレポーター遺伝子をコードするオープンリーディングフレームを含むように構築体を作製した。該ベクターからの分泌型Turbolucの経時的な発現を、ルシフェラーゼ活性に基づいて決定した。
【0569】
詳細には、分化した非分裂HepRG細胞を、HepaRG(商標)維持/代謝培地中で維持し、実施例7に概略が示されているように以前に調製されたLNP及びハイブリドソームを用いてトランスフェクションを行った。発現の持続期間を分析するために、実施例7に記載されているように、ルシフェラーゼ発現レベルを、非分裂細胞(
図21A)について様々な時点で決定した。ルシフェラーゼ活性は、SynergyMXプレートリーダー(BioTek)を用いて発光を測定することによって決定した。バックグラウンドの分析については、未処理細胞からの生物発光を、上記実施例1に記載したプロトコールに従い測定した。FIG.21Aにみられるように、分泌型Turbolucをコードする構築体を用いてトランスフェクションを行った非分裂細胞については、ルシフェラーゼ活性は、2ヶ月間にわたって安定なままである。
【0570】
(6.9 実施例9 ヘアピン末端DNAをコードするCreでのトランスフェクション)
左のITR、ニッキング部位を取り除くように改変されたEF1aプロモーター、CreリコンビナーゼORF、bGHポリ(A)シグナル(a)、右のITR、及び該右のITRの115塩基対下流のニッキングエンドヌクレアーゼ用の二重制限部位をコードする構築体をインシリコで設計した。該構築体を、合成してpUCミニ骨格内にクローニングするように注文した。ヘアピン末端DNAを、実施例1と同様に環状プラスミドから製造し、それに続き、精製DNA分子を、実施例4に概略が示されているように、LNP及びハイブリドソーム内にローディングした。トランスフェクションされた細胞の百分率を、単クローン的に増殖させたHEK293-loxP-GFP-RFP(GenTarget)安定な細胞株を用いてモニタリングした。トランスフェクションが成功したら、Creリコンビナーゼタンパク質を、細胞内で発現させ、ヌクレアーゼに入れ、loxPが導入された(floxed)GFP-stopを切除して、該細胞をGFP陽性からRFP陽性へと切換える。該ベクターを、陽性対照として働くJetPrimeでトランスフェクションさせた。HEK293-loxP-GFP-RFP細胞を、96ウェルプレート内にプレーティングし、4種の異なる用量のDNAでトランスフェクションさせた。72時間後、細胞をトリプシン処理し、RFP発現に関してフローサイトメトリーによって分析した。
図22にみられるように、最高用量では、ハイブリドソームは、>85%の細胞に成功裏にトランスフェクションされたが、LNP及び陽性対照であるJetPrimeは、該細胞集団の不十分なトランスフェクション効率を示した。
【0571】
(6.10 実施例10 RABS置換)
プロセス及びトランスフェクション効率に対するAAV RBEの効果を調査するために、右のITR、pUC ori、アンピシリン耐性、及び左のITRをコードする新規DNA骨格を設計し合成するとともに、商用の供給業者によって、カナマイシン耐性ベクター内にクローニングした。ベクターを消化し、合成された断片を、カナマイシン骨格から切除し、ゲル抽出によって単離した。次いで、合成された骨格断片を精製し、分泌型TurboLucをコードする実施例7の発現カセットを、合成された骨格とライゲーションして、該プラスミドを環状化させた。発現カセットの間の以下に示す左及び右のITRをコードする5つの骨格を、製造しStabl3細菌内で増幅させた。次いで、該プラスミドを、Nt.BstNBIでニッキングし、実施例1に記載されているように、ヘアピン末端DNAを製造した。ヘアピン末端DNAの製造を、
図23に示されるようにアガロースゲルを行うことによって確認した。ゲルは、生成物に関しても収率に関しても顕著な差を示さない。次に、HepRG細胞を、JetPrimeを製造業者の説明書に従って用いて50ngの精製ヘアピン末端DNAでトランスフェクションさせ、分泌型TurboLucのレベルを、実施例7に記載されているように数日においてモニタリングした。
【表21】
【0572】
(6.11 実施例11 二重ニッキング部位を有するヘアピン末端DNAの製造)
DNA断片を、(i)右のITRとpUC oriの間、(ii)該pUC oriとアンピシリン耐性との間、及び(iii)該アンピシリン耐性と左のITRとの間に二重ニッキング部位を含有するように新規に設計し合成するとともに、商用の供給業者によって、カナマイシン耐性ベクター内にクローニングした。次いで、実施例10と同様に、ITR及び骨格断片を切除し、ゲル精製し、
図24Bに示されるようにホタルルシフェラーゼ発現カセットとライゲーションさせた(対応する配列を下に記す)。該プラスミドを、増幅させ、0.5mgのプラスミドを、ニッキングバッファー中500ng/ulのNt.BspQI酵素NEB(40ul)でニッキングし、1時間37℃でインキュベートした。次いで、ニッキングされたプラスミドを、33mMのNaOHの添加によって変性させ、それに続き、41.6mMのトリスpH 7.2を用いてアニーリングさせた。次いで、アニーリングさせたDNA断片を、エキソヌクレアーゼVで消化した。各工程の試料を、アガロースゲルにローディングしたところ、
図25Aにみられるように、ニッキング後に、プラスミドは、3つの期待される断片(A、B、及びC)に分割されており、それらは全て、二本鎖の末端を有している。変性及びアニーリングを行うと、Aバンドはさらに、僅かに下のA1バンド、及びA2/A3と呼ばれる新たな薄いバンドに断片化される。これは、
図25Aに示されるような生成物からのオーバーハングの放出に対応する。消化後、バンドA1のみが、消化に対して抵抗性を示す。次いで、消化抵抗性ヘアピン末端DNAを、実施例1に記載されているように精製し、HEK293T細胞を、JetPrimeを製造業者の説明書に従って用いてトランスフェクションさせた。48時間後、ルシフェラーゼ発現を、
図25Bに示されるように、Steady-Glo発光アッセイを用いてSynergyMXプレートリーダー(BioTek)で記録した。
【化7】
【0573】
(6.12 実施例12 ヘテロテロメアHBOV由来のITRを有するヘアピン化逆方向反復DNA)
DNA断片を、(i)右のHBOV由来ITRとpUC oriとの間、(ii)該pUC oriとアンピシリン耐性との間、及び(iii)該アンピシリン耐性と左のHBOV由来ITRとの間に二重ニッキング部位を含有するように新規に設計し合成するとともに、商用の供給業者によってカナマイシン耐性ベクター内にクローニングさせた。次いで、実施例10と同様に、ITR及び骨格断片を切除し、ゲル精製し、ホタルルシフェラーゼ発現カセット断片とライゲーションさせ、これまでの実施例に記載されているように環状化させた。プラスミドを増幅させ、0.5mgのプラスミドを、Nt.BspQI酵素NEB(40ul)をニッキングバッファー中に500ng/ulで用いてニッキングし、37℃で1時間インキュベートする。次いで、ニッキングされたプラスミドを、33mMのNaOHの添加によって変性させてオーバーハングを放出させ、それに続き、41.6mMのトリスpH 7.2を用いて該オーバーハングのアニーリングを行う。次いで、アニーリングさせたDNA断片を、RecBDCで消化する。各工程の試料を、アガロースゲル上で可視化させて、ベクターの生成を確認する。
【0574】
【0575】
(6.13 実施例13 OriL由来のITRの製造及びトランスフェクション)
それぞれがNt.BspQIニッキング部位に隣接する、ヒトOriL配列に由来する左及び右の逆方向反復(配列番号29、及び
図4)を含むプラスミドを設計した。発現カセットは、ミニヒトPGKプロモーター、分泌型TurboLuc ORF、SV40ポリ(a)を含んでいた。該プラスミドを、NEB安定菌株内で形質転換させ、次いで1晩増幅させた。それに続き、市販のプラスミド単離キット(Nucleobond Xtra Maxi Plus EF (Macherey Nagel))を用いてプラスミド単離を行い、ヌクレアーゼを含まない水に溶解させた。
【0576】
プラスミドを、実施例1に記載されているように、ニッキングエンドヌクレアーゼNt.BstNBI(6.2U/μg DNA)を用いてニッキングした。次いで、プラスミド骨格からOriL由来のITRに隣接する導入遺伝子を解離させるために、ニッキングされたプラスミドを含有する反応混合物を、加熱振盪機上で3分間92℃に加熱し、次いで、混合物を、室温まで30分放冷して、一本鎖オーバーハング末端でのITRフォールディングを可能とした。次いで、反応混合物を、実施例1に記載されているように、制限酵素PvuII及びRecBCDの双方で消化した。最後に、反応混合物を、Takara NucleoSpin Gel及びPCRクリーンアップキットを用いて精製し、残っているITRに隣接するベクターを、製造業者の説明書に従って溶出させた。種々の製造工程の試料を、アガロースゲル上に可視化させた(
図26)。消化抵抗性ベクターの単一のバンドが、レーン5に存在する。レーン4の3番目のバンドは、加熱振盪機における不完全な変性を示しており、ニッキングされたプラスミドが反応混合物に残っている。PvuII及びRecBCDを添加すると、ニッキングされたプラスミドは、成功裏に消化されて消失する一方で、ヘアピン末端DNAは、残っていた。HEK293細胞に、JetPrimeを製造業者のプロトコールに従って用いて精製構築体をトランスフェクションさせた。上清中のルシフェラーゼ発現レベルを、NanoLight TechnologyのGluc Glowアッセイキットを用いてトランスフェクションの48時間後に決定した。
【0577】
前述のことから、特定の実施態様を、説明の目的のために本明細書に記載してきたが、さまざまな変更を、本明細書で提供されることの趣旨及び範囲から逸脱することなく行い得ることが認識されるであろう。上で言及した引例は全て、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】