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特表2023-535649光検出および距離測定のためのビーム変位装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-18
(54)【発明の名称】光検出および距離測定のためのビーム変位装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20230810BHJP
【FI】
G01S7/481 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515009
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 US2021048924
(87)【国際公開番号】W WO2022051543
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】63/074,834
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/074,837
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/463,860
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520437397
【氏名又は名称】アワーズ テクノロジー リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】マイケルズ・アンドルー・スタイル
(72)【発明者】
【氏名】リン・セン
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084BA37
5J084BB14
5J084BB28
5J084BB34
5J084CA08
5J084DA01
(57)【要約】
LIDARシステムは、送信機、受信ピクセル、回転ミラー、およびビーム変位装置を含む。送信機は、送信ビームを放出するように構成される。受信ピクセルは、リターンビームを受信するように構成される。回転ミラーは、送信ビームをターゲットに向け、リターンビームを受信ピクセルに向けるように構成される。ビーム変位装置は、受信ピクセルと回転ミラーとの間に配置される。ビーム変位装置は、送信機と受信ピクセルとの間の間隔を補償するためにリターンビームに変位を導入するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信ビームを放出するように構成される送信機と、
リターンビームを受信するように構成される受信ピクセルと、
前記送信ビームをターゲットに向け、前記リターンビームを前記受信ピクセルに向けるように構成される回転ミラーと、
前記受信ピクセルと前記回転ミラーとの間に配置され、前記送信機と前記受信ピクセルとの間の間隔を補償するために前記リターンビームに変位を導入するように構成されるビーム変位装置と、を含む
LIDARシステム。
【請求項2】
前記ビーム変位装置は、前記回転ミラーから反射される送信ビームとリターンビームとの間の反射角度の差を補償するように構成される
請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項3】
前記ビーム変位装置は、複屈折材料を含むビーム変位エレメントを含み、
前記送信ビームは、前記送信ビームが前記ビーム変位エレメントに出会うときに第1偏光配向を有し、
前記複屈折材料は、前記送信ビームの前記第1偏光配向に直交する前記リターンビームの第2偏光配向に前記変位を導入する
請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項4】
前記ビーム変位装置は、前記送信機と前記ビーム変位エレメントとの間に配置されるビーム回転子を含み、
前記ビーム回転子は、前記送信ビームの送信偏光が前記ビーム変位エレメントの光軸に垂直になるように前記送信ビームの送信偏光を回転させるように構成される
請求項3に記載のLIDARシステム。
【請求項5】
前記ビーム回転子は、スイッチャブル(Switchable)ビーム回転子であり、
前記回転ミラーは、正規動作(Regular Operation)中に第1方向および第2反対方向に回転するように構成され、
前記スイッチャブルビーム回転子は、前記回転ミラーが前記第1方向に回転するときに第1遅延値で駆動され、前記回転ミラーが前記第2反対方向に回転するときに第2遅延値で駆動される
請求項4に記載のLIDARシステム。
【請求項6】
前記第1遅延値は、0度であり、
前記第2遅延値は、90度である
請求項5に記載のLIDARシステム。
【請求項7】
前記ビーム変位装置は、前記ビーム変位エレメントと前記回転ミラーとの間に配置される波長板を含む
請求項4に記載のLIDARシステム。
【請求項8】
前記波長板は、1/4波長板である
請求項7に記載のLIDARシステム。
【請求項9】
前記ビーム変位装置は、前記ビーム変位エレメントと前記回転ミラーとの間に配置されるレンズを含み、
前記レンズは、前記送信ビームをコリメート(Collimate)するように構成される
請求項4に記載のLIDARシステム。
【請求項10】
前記ビーム変位装置は、前記送信機および前記受信ピクセルを非同軸(Non-Coaxial)にするように構成される
請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項11】
前記リターンビームは、ターゲットから反射される前記送信ビームである
請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項12】
前記送信ビームは、近赤外線波長を有し、
前記リターンビームは、前記近赤外線波長を有する
請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項13】
前記受信ピクセルの出力に応答して自律車両を制御するように構成される1つ以上のプロセッサをさらに含む
請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載のLIDARシステムを含む
自律車両制御システム。
【請求項15】
請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載のLIDARシステムを含む
自律車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本出願は、2020年9月4日付で出願された米国仮出願第63/074,834号と2020年9月4日付で出願された米国仮出願第63/074,837号についての優先権を主張する2021年9月1日付で出願された米国特許出願第17/463,860号についての優先権を主張する。米国特許出願第17/463,860号、第63/074,834号および第63/074,837号は、本明細書に参照として含まれる。
【0002】
本開示は、一般に光学に関するものであって、特に光検出および距離測定(Light Detection and Ranging、LIDAR)に関する。
【背景技術】
【0003】
FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)LIDARは、周波数変調されコリメートされた光ビームをターゲットに向けてオブジェクトの距離と速度を直接測定する。ターゲットの距離および速度情報は、FMCW LIDAR信号から得られる。LIDAR信号の精度を高める設計および技術が好ましい。
【0004】
自動車産業は、現在、特定の状況で車両を制御するための自律機能(Autonomous Feature)を開発している。SAE国際規格J3016によると、レベル0(自律なし)からレベル5(あらゆる条件で運転者入力なしで操作できる車両)まで、6レベルの自律性の範囲がある。自律機能を有する車両は、車両が走行する環境を感知するためにセンサーを用いる。センサーからデータを取得して処理することは、車両が環境を通じて走行できるようにする。自律車両は、その環境を感知するための1つ以上のFMCW LIDAR装置を含み得る。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、送信機、受信ピクセル、回転ミラー、およびビーム変位装置を含むLIDARシステムを含む。送信機は、送信ビームを放出するように構成される。受信ピクセルは、リターンビームを受信するように構成される。回転ミラーは、送信ビームをターゲットに向け、リターンビームを受信ピクセルに向けるように構成される。ビーム変位装置は、受信ピクセルと回転ミラーとの間に配置される。ビーム変位装置は、送信機と受信ピクセルとの間の間隔を補償するためにリターンビームに変位を導入するように構成される。
【0006】
一実施形態において、ビーム変位装置は、回転ミラーから反射される送信ビームとリターンビームとの間の反射角度の差を補償するように構成される。
【0007】
一実施形態において、ビーム変位装置は、複屈折材料を含むビーム変位エレメントを含み、送信ビームは、送信ビームがビーム変位エレメントに出会うときに第1偏光配向(Polarization Orientation)を有する。複屈折材料は、送信ビームの第1偏光配向に直交するリターンビームの第2偏光配向に変位を導入する。
【0008】
一実施形態において、ビーム変位装置は、送信機とビーム変位エレメントとの間に配置されるビーム回転子を含み、ビーム回転子は、送信ビームの送信偏光がビーム変位エレメントの光軸に垂直になるように、送信ビームの送信偏光を回転させるように構成される。
【0009】
一実施形態において、ビーム回転子は、スイッチャブル(Switchable)ビーム回転子であり、回転ミラーは、正規動作(Regular Operation)中に第1方向および第2反対方向に回転するように構成される。スイッチャブルビーム回転子は、回転ミラーが第1方向に回転するときに第1遅延(Retardation)値で駆動され、回転ミラーが第2反対方向に回転するときに第2遅延値で駆動されることができる。
【0010】
一実施形態において、第1遅延値は、0度であり、第2遅延値は、90度である。
【0011】
一実施形態において、ビーム変位装置は、ビーム変位エレメントと回転ミラーとの間に配置される波長板を含む。
【0012】
一実施形態において、波長板は、1/4波長板である。
【0013】
一実施形態において、ビーム変位装置は、ビーム変位エレメントと回転ミラーとの間に配置されるレンズを含み、レンズは、送信ビームをコリメート(Collimate)するように構成される。
【0014】
一実施形態において、ビーム変位装置は、送信機および受信ピクセルを非同軸(Non-Coaxial)にするように構成される。
【0015】
一実施形態において、リターンビームは、ターゲットから反射する送信ビームである。
【0016】
一実施形態において、送信ビームは、近赤外線波長を有し、リターンビームは、近赤外線波長を有する。
【0017】
本開示の実施形態は、LIDAR装置を含む光検出および距離測定(Light Detection and Ranging、LIDAR)およびLIDAR装置の受信ピクセルの出力に応答して自律車両を制御するように構成される1つ以上のプロセッサを含む自律車両用の自律車両制御システムを含む。LIDAR装置は、送信機、受信ピクセル、回転ミラー、およびビーム変位装置を含む。送信機は、送信ビームを放出するように構成される。受信ピクセルは、リターンビームを受信するように構成される。回転ミラーは、送信ビームをターゲットに向け、リターンビームを受信ピクセルに向けるように構成される。ビーム変位装置は、送信機と受信ピクセルとの間の間隔を補償するためにリターンビームに変位を導入するように構成される。
【0018】
一実施形態において、ビーム変位装置は、回転ミラーから反射される送信ビームとリターンビームとの間の反射角度の差を補償するように構成される。
【0019】
一実施形態において、ビーム変位装置は、複屈折材料を含むビーム変位エレメントを含み、送信ビームは、送信ビームがビーム変位エレメントに出会うときに第1偏光配向を有する。複屈折材料は、送信ビームの第1偏光配向に直交するリターンビームの第2偏光配向に変位を導入する。
【0020】
一実施形態において、ビーム変位装置は、送信機とビーム変位エレメントとの間に配置されるビーム回転子を含み、ビーム回転子は、送信ビームの送信偏光がビーム変位エレメントの光軸に垂直になるように、送信ビームの送信偏光を回転させるように構成される。
【0021】
一実施形態において、ビーム回転子は、スイッチャブルビーム回転子であり、回転ミラーは、正規動作中に第1方向および第2反対方向に回転するように構成される。スイッチャブルビーム回転子は、回転ミラーが第1方向に回転するときに第1遅延値で駆動され、回転ミラーが第2反対方向に回転するときに第2遅延値で駆動される。
【0022】
本開示の実施形態は、送信機、受信ピクセル、回転ミラー、およびビーム変位装置を含む自律車両、および赤外線リターンビームに応答して自律車両を制御するように構成される制御システムを含む。送信機は、赤外線送信ビームを放出するように構成される。受信ピクセルは、赤外線リターンビームを受信するように構成される。回転ミラーは、赤外線送信ビームをターゲットに向け、赤外線リターンビームを受信ピクセルに向けるように構成される。ビーム変位装置は、受信ピクセルと回転ミラーとの間の光路に沿って配置され、ビーム変位装置は、送信機と受信ピクセルとの間の間隔を補償するために赤外線リターンビームに変位を導入するように構成され、回転ミラーから反射される赤外線送信ビームと赤外線リターンビームとの間の反射角度の差を補償するために変位を導入するように構成される。
【0023】
一実施形態において、ビーム変位装置は、複屈折材料を含むビーム変位エレメントを含み、赤外線送信ビームは、赤外線送信ビームがビーム変位エレメントに出会うときに第1偏光配向を有する。複屈折材料は、赤外線送信ビームの第1偏光配向に直交する赤外線リターンビームの第2偏光配向に変位を導入する。
【0024】
一実施形態において、ビーム変位装置は、送信機とビーム変位エレメントとの間に配置されるビーム回転子を含み、ビーム回転子は、赤外線送信ビームの送信偏光がビーム変位エレメントの光軸に垂直になるように、赤外線送信ビームの送信偏光を回転させるように構成される。
【0025】
本開示の実施形態は、第1受信光カプラ、第2受信光カプラ、第1光ミキサ、第2光ミキサ、および光スイッチを含むLIDARシステムを含む。第1光ミキサは、第1受信光カプラから第1受信信号を受信するように構成される。第2光ミキサは、第2受信光カプラから第2受信信号を受信するように構成される。光スイッチは、第1光ミキサと第2光ミキサとの間で発振器光信号をスイッチングするように構成される。第1光ミキサは、発振器光信号および第1受信信号の受信に応答して第1電気信号を生成するように構成される。第2光ミキサは、発振器光信号および第2受信信号の受信に応答して第2電気信号を生成するように構成される。
【0026】
一実施形態において、LIDARシステムは、光スイッチが発振器光信号を第1光ミキサに提供するためにスイッチングされるときに、第1方向に回転するように構成された回転ミラーをさらに含む。回転ミラーは、光スイッチが発振器光信号を第2光ミキサに提供するためにスイッチングされるときに、第2方向に回転するように構成され得る。第1方向は、第2方向とは反対であり得る。
【0027】
一実施形態において、LIDARシステムは、光スイッチが発振器光信号を第1光ミキサに提供するためにスイッチングされるときに、第1光ミキサから第1電気信号を受信するように構成される処理ロジックをさらに含む。処理ロジックは、また、光スイッチが発振器光信号を第2光ミキサに提供するためにスイッチングされるときに、第2光ミキサから第2電気信号を受信するように構成される。
【0028】
一実施形態において、回転ミラーは、回転ミラーが第1方向に回転するときに、リターンビームを第1受信光カプラに向けるように構成される。回転ミラーは、また、回転ミラーが第2方向に回転するときに、リターンビームを第2受信光カプラに向けるように構成される。
【0029】
一実施形態において、LIDARシステムは、第1受信光カプラと第2受信光カプラとの間に配置される送信光カプラをさらに含む。
【0030】
一実施形態において、第1受信光カプラは、送信光カプラに直交し、第2受信光カプラは、送信光カプラに直交する。
【0031】
一実施形態において、送信光カプラは、第1偏光配向を有する送信ビームを放出するように構成され、第1受信光カプラは、第1偏光配向に直交する第2偏光配向を受信するように構成される。第2受信光カプラは、また、第2偏光配向を受信するように構成される。
【0032】
一実施形態において、LIDARシステムは、レーザ光を受信するように構成されるスプリッタをさらに含み、スプリッタは、レーザ光の第1パーセンテージを送信光カプラに提供するように構成される。スプリッタは、光スイッチにレーザ光の第2パーセンテージを提供するように構成される。
【0033】
一実施形態において、レーザ光は、赤外線波長を有する。
【0034】
本開示の実施形態は、LIDAR(Light Detection and Ranging)装置を動作させる方法を含む。方法は、回転ミラーが第1方向に回転するときに、第1光ミキサに発振器光信号を提供するように光スイッチを駆動するステップと、第1光ミキサが発振器光信号を受信している間に、第1光ミキサによって生成された第1信号をサンプリングするステップと、回転ミラーが第1方向とは反対の第2方向に回転するとき、発振器光信号を第2光ミキサに提供するように光スイッチを駆動するステップと、第2光ミキサが発振器光信号を受信している間に、第2光ミキサによって生成された第2信号をサンプリングするステップと、を含む。
【0035】
一実施形態において、第1信号は、発振器光信号および第1受信光カプラによって生成された第1受信信号に応答して生成される。第2信号は、発振器光信号および第2受信光カプラによって生成された第2受信信号に応答して生成される。
【0036】
一実施形態において、回転ミラーは、リターンビームを第1受信光カプラに向けるように構成され、回転ミラーは、リターンビームを第2受信光カプラに向けるように構成される。
【0037】
一実施形態において、回転ミラーは、送信ビームを送信光カプラからターゲットに向けるようにさらに構成され、リターンビームは、ターゲットから反射される送信ビームである。
【0038】
一実施形態において、送信光カプラは、第1受信光カプラと第2受信光カプラとの間に配置される。
【0039】
一実施形態において、送信光カプラは、第1偏光配向を有する送信ビームを放出するように構成され、第1受信光カプラは、第1偏光配向に直交する第2偏光配向を受信するように構成される。第2受信光カプラは、また、第2偏光配向を受信するように構成される。
【0040】
一実施形態において、発振器光信号は、赤外線波長を有し、第1受信信号および第2受信信号は、赤外線波長を有する。
【0041】
本開示の実施形態は、LIDAR(Light Detection and Ranging)装置およびLIDAR装置によって生成された第1電気信号および第2電気信号に応答して自律車両を制御するように構成された1つ以上のプロセッサを含む自律車両用の自律車両制御システムを含む。LIDAR装置は、第1受信光カプラ、第2受信光カプラ、第1光ミキサ、第2光ミキサ、および光スイッチを含む。第1光ミキサは、第1受信光カプラから第1受信信号を受信するように構成される。第2光ミキサは、第2受信光カプラから第2受信信号を受信するように構成される。光スイッチは、第1光ミキサと第2光ミキサとの間で発振器光信号をスイッチングするように構成される。第1光ミキサは、発振器光信号および第1受信信号の受信に応答して第1電気信号を生成するように構成される。第2光ミキサは、発振器光信号および第2受信信号の受信に応答して第2電気信号を生成するように構成される。
【0042】
一実施形態において、LIDAR装置は、光スイッチが発振器光信号を第1光ミキサに提供するためにスイッチングされるときに、第1方向に回転するように構成された回転ミラーをさらに含む。回転ミラーは、光スイッチが発振器光信号を第2光ミキサに供給するためにスイッチングされるときに、第2方向に回転するように構成される。第1方向は第2方向とは反対である。
【0043】
一実施形態において、LIDAR装置は、光スイッチが発振器光信号を第1光ミキサに提供するためにスイッチングされるときに、第1光ミキサから第1電気信号を受信するように構成される処理ロジックをさらに含む。処理ロジックは、また、光スイッチが発振器光信号を第2光ミキサに提供するためにスイッチングされるときに、第2光ミキサから第2電気信号を受信するように構成される。
【0044】
一実施形態において、回転ミラーは、リターンビームを第1受信光カプラに向けるように構成され、回転ミラーは、リターンビームを第2受信光カプラに向けるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の非限定的かつ非包括的な実施形態は、以下の図面を参照して説明され、ここで特に明示されない限り、同様の参照番号は、様々な図面全体にわったて同様の部分を指す。
【0046】
図1】本開示の実施形態によって非同軸送信機および受信機を具現するためにビーム変位装置を用いる固体状態(Solid State)FMCW LIDARシステムのハイブリッドシリコン/III-Vフォトニクス(Photonics)具現を示す。
【0047】
図2】本開示の実施形態によって非同軸送信機および受信機を具現するためにビーム変位装置を用いる固体状態FMCW LIDARシステムのハイブリッドシリコン/SiO具現を示す。
【0048】
図3】本開示の実施形態によって例示的なビーム変位装置を示す。
【0049】
図4】本開示の実施形態によってスイッチャブルビーム回転子を含む例示的なビーム変位装置を示す。
【0050】
図5a】本開示の実施形態によって例示的なセンサーアレイを含む自律車両を示す。
【0051】
図5b】本開示の実施形態によって例示的なセンサーアレイを含む自律車両の平面図を示す。
【0052】
図5c】本開示の実施形態によってセンサー、ドライブトレイン(Drivetrain)、および制御システムを含む例示的な車両制御システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
LIDARのためのビーム変位(Beam Displacement)の具現が説明される。以下の説明においては、具現についての完全な理解を提供するためにいくつかの詳細が提示される。しかし、関連技術分野の技術者は、本明細書に説明されている技術が1つ以上の特定の詳細を除いて、または他の方法、構成要素または材料などを用いて行われ得ることを認識するであろう。他の場合において、周知の構造、材料または動作は、特定の態様を曖昧にすることを防止するために詳細に表示または説明されていない。
【0054】
本明細書全体にわたって「1つの実施形態」または「実施形態」についての言及は、実施形態に関して説明されている特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたって、様々な位置での「1つの実施形態において」または「実施形態において」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。また、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態で任意の適切な方法で結合され得る。
【0055】
本明細書全体にわたって、いくつかの技術用語が使用される。これらの用語は、本明細書で具体的に定義されていないか、または使用文脈が明確に別段の意味を持たない限り、その用語が由来した技術分野における一般的な意味を取るべきである。本開示の目的のために、「自律車両」という用語は、SAE国際規格J3016の自律性レベルで自律機能を有する車両を含む。
【0056】
本開示の態様において、可視光線は、約380nm~700nmの波長範囲を有すると定義されることができる。非可視光は、紫外線光、赤外線光などの可視光線領域外の波長を有する光として定義されることができる。約700nm~1mmの波長範囲を有する赤外線光は、近赤外線光を含む。本開示の態様において、近赤外線光は、約700nm~1.6μmの波長範囲を有すると定義されることができる。
【0057】
本開示の態様において、「透明」という用語は、90%より大きい光透過率を有すると定義されることができる。一部の実施形態において、「透明」という用語は、可視光線の90%より大きい透過率を有する物質として定義されることができる。
【0058】
FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)LIDARは、周波数変調されコリメートされた光ビームをオブジェクトに向け、オブジェクトの距離と速度を直接測定する。オブジェクトから反射される光は、タップバージョン(Tapped Version)のビームと結合される。結果として得られるビートトーン(Beat Tone)の周波数は、ドップラーシフトが修正されると、LIDARシステムからオブジェクトまでの距離に比例し、2番目の測定が必要になる場合がある。同時に実行または実行されない可能性がある両方の測定は、距離と速度の両方の情報を提供する。
【0059】
FMCW LIDARは、向上した生産性(Manufacturability)と性能のために、集積フォトニクス(Integrated Photonics)を活用できる。集積フォトニックシステムは、一般にミクロン規模の導波装置(Waveguiding Device)を使用して単一の光モードを操作する。
【0060】
LIDARシステムは、出ていく光をターゲットに向かって操向し、ターゲットから受信した光を受信機に反射させる1つ以上の連続移動ミラーを含み得る。LIDARからターゲットまで移動して戻ってくる光の走行時間(Transit Time)により、ミラーの連続的な動きは、受信された光を数ミクロンサイズのトランシーバから遠ざかるようにする。この「ビームウォークオフ(Beam Walkoff)」効果は、システム性能の低下につながる可能性がある。
【0061】
FMCW LIDAR動作は、典型的には、光源電力を「局部発振器(Local Oscillator、LO)」コンポーネントと「信号」コンポーネントに分割することを伴う。FMCW LIDARの簡単な統合具現は、送信機と受信機を同じ位置に配置することを含む。しかし、この場合は、受信光電力がLO/信号スプリッタを再び通過しなければならないため、さらなる損失が発生する可能性がある。性能を向上させるために、このスプリッタが光システムにさらなる損失を加えないように送信機と受信機を分離することが好ましいことがある。このような実施形態において、送信機と受信機は、非同軸(Non-Coaxial)であり、互いに離隔している。
【0062】
本開示の実施形態において、LIDARシステムは、非同軸送信機および受信ピクセル、回転ミラー、および送信機と受信ピクセルとの間の間隔を補償するためにリターンビームに変位を導入するように構成されるビーム変位装置を含む。ビーム変位装置は、また、回転ミラーから反射される送信ビームとリターンビームとの間の反射角度の差を補償するように構成され得る。ビーム変位装置は、リターンビームを受信ピクセルに向けるようにリターンビームの特定の偏光配向に変位を導入する複屈折材料を含むビーム変位エレメントを含み得る。送信ビームとリターンビーム(ターゲットから反射/散乱する送信ビーム)は、近赤外線波長を有し得る。
【0063】
一実施形態において、ビーム変位装置は、送信ビーム(送信機によって放出される)の送信偏光を回転させるビーム回転子を含む。一実施形態において、ビーム回転子は、スイッチャブルビーム回転子(例えば、スイッチャブル波長板)である。スイッチャブルビーム回転子は、回転ミラーが第1方向(例えば、時計回り)に回転するとき、第1遅延値(例えば、0度)に駆動され、回転ミラーが第2反対方向(例えば、反時計回り)に回転するとき、第2遅延値(例えば、90度)に駆動できる。
【0064】
本開示の一部の態様において、ハイブリッドシリコン/III-Vまたはハイブリッドシリコン/SiOプラットフォームを含むLIDARアプリケーションにおけるビームウォークオフを補正するための装置が説明される。光は、複屈折材料を通過する偏光Aを有する送信機アレイから放出され得る。光が複屈折材料を通過すると、ビームは、複屈折の結果として光源に対してオフセットされる。前記光は、LIDARシステムを出てシステムからわずかに離れた拡散表面で反射される。拡散表面から反射した光は、任意の偏光を有し得る。放出された偏光Aに直交する偏光の光は、放出された光と比較してビームに異なる変位を導入する複屈折材料を通じて再び伝搬する。前記ビームは、送信機に直交する偏光で光を受信するシリコンチップに位置するコヒーレントピクセルアレイを照らす。LIDARシステムでビームウォークオフを緩和する特定の送信および受信オフセットのセットを選択するために複屈折材料および形状を選択できる。非同軸送信機および受信機を具現する特定の送信および受信オフセットのセットを選択するために複屈折材料および形状を選択することもできる。これらおよび他の実施形態は、図1図5cに関連してより詳細に説明される。
【0065】
図1は、本開示の実施形態によって非同軸送信機および受信機を具現するためにビーム変位装置111を用いる固体状態(Solid State)FMCW LIDARシステムのハイブリッドシリコン/III-Vフォトニクス(Photonics)具現を示す。図1は、光アセンブリ101の平面図とアセンブリ102の側面図を示す。レーザ103は、システムに光電力を提供する。レーザ103は、固体状態であり得、シリコンチップ12と一緒にパッケージ化されてもよく、シリコンチップ102の外部にパッケージ化されてもよい。レーザ103によって放出される光179は、電力のX%を下部電力に分割し、電力のY%(一般に、X>>Y)を上部ポートに分割する1×2スプリッタ104を通過する。下部ポートを出て結合された光は、各チャネルの光パワーを増幅させるMチャネル半導体光増幅器(SOA)106/107のM個の出力導波管136の間に電力を均等に分割する1×Mスプリッタ105にルーティングされる。図1は、Mが整数4の場合、複数の導波管136A、136B、136C、136D(総称して導波管136と呼ぶ)を示すが、Mは、任意の整数であり得る。SOA106/107は、シリコンチップ102の凹状ポケット(Recessed Pocket)181にパッケージ化される。増幅後、光は、SOA106/107の端部で結合されて出て、例えば、ウェットエッチング(Wet Etching)を使用してシリコンチップ102に形成された角度のある(Angled)ミラー109/110から反射される。光の反射ビーム(ミラー109/110によって反射される)は、ビーム変位装置111を介して伝搬する送信ビーム108であって、シリコンチップ102から遠くに垂直に伝搬される。ミラー109/110は、SOA106/107が配置されるシリコンチップ102の凹状ポケット181の角度のある側壁に形成され得る。ビーム変位装置111は、角度のある側壁上のミラー110から反射される送信ビーム108を受信するためにシリコンチップ102の凹状ポケット181に部分的に突出(Overhang)できる。
【0066】
ビーム変位装置111を介して伝搬した後、送信ビーム108は、環境に伝搬され、ターゲットから反射され、リターンビーム112としてビーム変位装置111を介して戻る。前記リターンビーム112は、M個のシリコンフォトニックコヒーレントピクセル113のアレイにリターンビームを供給するM個の受信格子カプラ114/115のうちの1つに集束する。図1は、複数の格子カプラ114A、114B、114C、114D(総称して格子カプラ114と呼ばれる)が示されているが、より多いか、またはより少ない格子カプラ114を複数に含み得る。図1は、複数のコヒーレントピクセル116A、116B、116C、116D(総称してコヒーレントピクセル116と呼ばれる)が示されているが、より多いか、またはより少ないコヒーレントピクセル116を複数に含み得る。光は、各コヒーレントピクセル116にルーティングされ、LO光フィールドと結合される。
【0067】
LO光フィールドは、スプリッタ104の上部ポートを出る光電力から得られる。一部の実施形態において、前記LO光フィールドは、独自の変調を有する別々のレーザ源から出られる。前記光は、SOA106と同様の方法でパッケージ化されるか、またはチップの外部にパッケージ化されることができる第2光増幅器117にルーティングされる。前記増幅された光は、M個のコヒーレントピクセル116の間にLOフィールドを均等に分配する1×Mスプリッタ118にルーティングされる。
【0068】
各コヒーレントピクセル116は、受信光フィールド(それぞれの格子カプラに入射するリターンビーム112によって生成される)をLOフィールドと混合し、結果として得られるビート信号をFMCW LIDARシステムによって読み取られる電気信号119に変換する。図1は、複数の電気信号119A、119B、119C、119D(総称して電気信号119と呼ばれる)が示されているが、より多いか、またはより少ない電気信号119をM個のコヒーレントピクセル116に対応する複数に含み得る。
【0069】
図2は、本開示の実施形態によって非同軸送信機および受信機を具現するためにビーム変位装置213を用いる固体状態FMCW LIDARシステムのハイブリッドシリコン/SiO具現を示す。図2は、光アセンブリ201の平面図およびアセンブリ202の側面図を示す。レーザ203は、システムに光電力を提供する。レーザ203は、固体状態であり得、シリコンチップ202と一緒にパッケージ化されてもよく、チップの外部にパッケージ化されてもよい。レーザ203によって放出される光279は、光増幅器204を通過した後、電力のX%を下部電力に分割し、電力のY%(一般に、X>>Y)を上部ポートに分割する1×2スプリッタ205を通過する。光増幅器204と1×2スプリッタ205の両方は、シリコンチップアセンブリ202とともにパッケージ化された個別のファイバコンポーネント(Discrete Fiber Components)または固体状態コンポーネント(Solid State Components)であり得る。下部ポートを出る光は、1×Mスプリッタ208およびM個の自由空間エッジカプラ209を含むガラス平面光波回路(Glass Planar Lightwave Circuit、PLC)にルーティングされる。図2の例において、Mは、整数4であり、4つの自由空間エッジカプラ209A、209B、209C、209Dを総称して自由空間エッジカプラ209と呼ぶ。
【0070】
PLC206のエッジカプラ209を出る光は、例えば、ウェットエッチングを使用してシリコンチップに形成された角度のある(Angled)ミラー211/212から反射される。光の反射ビーム(ミラー211/212によって反射される)は、ビーム変位装置213を介して伝搬される送信ビーム210であって、シリコンチップ202から遠くに垂直に伝搬される。
【0071】
ビーム変位装置213を介して伝搬した後、送信ビーム210は、環境に伝搬し、ターゲットから反射し、リターンビーム214としてビーム変位装置213を介して戻る。前記リターンビーム214は、M個のシリコンフォトニックコヒーレントピクセル215のアレイにリターンビームを供給するM個の受信格子カプラ216/217のうちの1つに集束する。図2は、複数の格子カプラ216A、216B、216C、216D(総称して格子カプラ216と呼ばれる)が示されているが、より多いか、またはより少ない格子カプラ216を複数に含み得る。図2は、複数のコヒーレントピクセル218A、218B、218C、218D(総称してコヒーレントピクセル218と呼ばれる)が示されているが、より多いか、またはより少ないコヒーレントピクセル218を複数に含み得る。光は、各コヒーレントピクセル218にルーティングされ、LO光フィールドと結合される。
【0072】
LO光フィールドは、スプリッタ205の上部ポートを出る光電力から得られる。前記光は、M個のコヒーレントピクセル218の間にLOフィールドを均等に分配するシリコンフォトニック1×Mスプリッタ119にルーティングされる。
【0073】
各コヒーレントピクセル218は、受信光フィールド(それぞれの格子カプラに入射するリターンビーム215によって生成される)をLOフィールドと混合し、結果として得られたビート信号をFMCW LIDARシステムによって読み取られる電気信号220に変換する。図2は、複数の電気信号220A、220B、220C、220D(総称して電気信号220と呼ばれる)が示されているが、より多いか、またはより少ない電気信号119をM個のコヒーレントピクセル116に対応する複数に含み得る。
【0074】
図3は、本開示の実施形態によって例示的なビーム変位装置333を示す。例示的なビーム変位装置333は、例えば、ビーム変位装置111または213として使用できる。図3は、FMCW LIDARで非同軸送信機および受信機を具現し、ビームウォークオフを補正するためのビーム変位装置の動作を示す。ビーム変位装置333の動作は、送信経路301および受信経路314について説明できる。
【0075】
送信経路301において、送信機302は、特定の偏光を有する送信ビーム303を放出する。送信ビーム303は、例えば、レーザ103/203によって生成されるレーザ光179/279であり得る。送信ビーム303は、赤外線光であり得る。一部の実施形態において、送信ビーム303は、近赤外線光である。一部の実施形態において、送信機302の図示された位置は、ミラー110または212と同じ位置にあり得る。図3の例において、送信ビーム303の送信偏光は、45度であるが、この初期偏光は、異なる実施形態で異なり得る。送信ビーム303は、ビーム変位エレメント306の光軸に垂直になるように、送信ビーム305として図示された送信偏光を回転させる選択的(Optional)なビーム回転子304を介して伝搬される。選択的なビーム回転子304は、半波長板(Half Wave Plate)または他の異方性結晶(Anisotropic Crystal)を使用して具現できる。図3において、ビーム変位エレメント306は、コヒーレントピクセル302と回転ミラー311との間に配置される。
【0076】
ビーム変位エレメント306を介して伝搬された後、送信ビーム307は、元の軸に沿って伝搬され、その偏光は、変わらない(送信ビーム305の例と比較するとき)。図3において、送信ビーム307は、ビーム変位エレメント306と回転ミラー311との間に配置されたレンズ308に入る。レンズ308は、光をコリメートして望む方向に操向することができる。レンズ308は、1つ以上のバルク光学レンズエレメント、マイクロレンズ、または薄い回折格子を使用して具現できる。レンズ308を介して伝搬された後、光は、ビーム変位エレメント306と回転ミラー311との間に配置された選択的な波長板309を介して伝搬されることができる。波長板309は、入射光の偏光軸を45度移動させるように構成された1/4波長板であり得る。したがって、入射線形偏光された光は、波長板309によって円形偏光された光に変換されることができる。同様に、入射円形偏光された光は、波長板309によって線形偏光された光に変換されることができる。波長板309は、例えば、石英、有機材料シート、または液晶などの複屈折材料から形成され得る。
【0077】
図示の実施形態において、前記円形偏光された送信ビーム310は、回転ミラー311で反射される。回転ミラー311は、特定の方向381(例えば、図3における反時計回り381)に回転する連続回転ミラーであり得る。回転ミラー311は、LIDARシステムまたは装置の環境で送信ビーム310をターゲット313に向けるように構成される。回転ミラー311は、また、受信経路314でリターンビームを1つ以上の受信ピクセル328に向けるように構成される。
【0078】
ターゲットに衝突した後、送信ビームは、図3の受信経路314に示されるように、リターンビーム316として戻る。すなわち、リターンビーム316は、ターゲット313から反射/散乱する送信ビーム312である。したがって、リターンビーム316は、送信ビーム312と同じ波長を有し得る。
【0079】
ターゲット313から反射/散乱するリターンビーム316は、回転ミラー311に再び伝搬される。光がターゲット313に伝搬され、再び戻るのにかかる時間の間、回転ミラー311は、方向381にわずかに回転する。その結果、リターンビーム316の光は、リターンビーム318によって示されるように、送信経路301に沿って伝搬される光について小さい角度(反射角度差393)で回転ミラー311から反射される。リターンビーム318は、受信ピクセル328と回転ミラー311との間に配置されたビーム変位装置333に伝搬される。ビーム変位装置333は、送信機302と受信ピクセル328との間の間隔391を補償するためにリターンビームに変位D2395を導入するように構成される。図3において、ビーム変位装置333は、また、回転ミラー311から反射される送信ビーム310とリターンビーム318との間の反射角度差393を補償するように構成される。
【0080】
この光は、1/4波長板309を再び通過する。ターゲット表面が入射偏光を維持すると、1/4波長板309を出るリターンビームは、送信方向にレンズを離れる偏光に垂直な線形偏光をもたらす。ターゲットが偏光をランダム化すると、1/4波長板309を出るリターンビームの偏光は、送信偏光と垂直偏光の両方を含む。この光は、レンズ308を再び通過する。ミラー角度の小さな変化(反射角度差393)により、リターンビームは、小さな角度でレンズ308に入り、これは送信経路に対してレンズの下のリターンビーム321の位置での小さいオフセット、または「ビームウォークオフ」322に変換される。このリターンビームの偏光配向323のコンポーネントは、ビーム変位エレメント306の光軸上に非ゼロの投影を有する。これにより、ビーム変位エレメント306を介して伝搬されるとき、リターンビームを固定された変位量395だけ変位させる。ビーム変位エレメント306パラメータ(例えば、材料、厚さ、光軸配向)は、指定された距離でターゲットについてのビームウォークオフを除去(または少なくとも調整)する変位寸法D2395を生成するように選択できる。すなわち、ビーム変位エレメント306は、ミラーから反射される送信ビーム310とリターンビーム318との間の反射角度差393を補償するように構成され得る。また、ビーム変位エレメント306は、送信機302と受信ピクセル328との間の間隔391を補償する変位寸法D2395を生成するように構成され得る。
【0081】
一部の実施形態において、ビーム変位エレメント306は、複屈折材料を含む。一部の実施形態において、複屈折材料は、LiNO(Lithium Nitrate)であり得る。一部の実施形態において、複屈折材料は、YVO(Yttrium Orthovanadate)であり得る。一部の実施形態において、ビーム変位エレメント306は、複屈折材料を含まない。図3において、送信ビーム305は、送信ビーム305がビーム変位エレメント306に出会うときに第1偏光配向を有し、リターンビーム323は、送信ビーム305の第1偏光配向に直交する第2偏光配向を有する。ビーム変位エレメント306の複屈折材料は、第1偏光配向ではなく第2偏光配向に変位寸法D2395を導入するように選択/構成され得る。
【0082】
一部の実施形態において、ビーム変位エレメント306を通過した後に、リターンビーム325は、送信ビーム305と同様の軸(送信ビーム305の軸にほぼ平行である可能性がある)に沿って伝搬されるが、送信ビーム305の送信偏光に対して垂直偏光を有する。一部の実施形態において、リターンビーム325の軸と送信ビーム305の軸との間の間隔は、送信機302と受信ピクセル328との間の間隔391とほぼ同じである。一部の実施形態において、ビーム変位エレメント306を通過した後に、リターンビーム325は、送信ビームと同じ軸に沿って伝搬されるが、送信ビーム305の送信偏光に対して垂直偏光を有する。リターンビーム325は、選択的なビーム回転子304(送信機302とビーム変位エレメント306との間に配置される)を介して伝搬され、選択的なビーム回転子304は、送信ビーム303に直交する偏光配向を有するリターンビーム327を生成するために、望む量だけ偏光を回転する。受信ピクセル328は、リターンビーム327を受信するように構成される。
【0083】
図4は、本開示の実施形態によってスイッチャブルビーム回転子404を含む例示的なビーム変位装置433を示す。スイッチャブルビーム回転子404は、電気信号405に応答してビーム変位方向を変更するように構成される。スイッチャブルビーム回転子404は、液晶を含むスイッチャブル半波長板であり得る。
【0084】
図4において、401-404および406-429の動作(Behavior)は、スイッチャブルビーム回転子404が電気信号405を使用して制御できることを除いて601-628と同一または類似している。スイッチャブルビーム回転子404は、回転ミラーが第1方向(例えば、方向481)に回転するときに第1遅延値(例えば、0度)に駆動され、回転ミラーが第2反対方向(例えば、方向482)に回転するときに第2遅延値(例えば、90度)に駆動できる。したがって、送信ビーム406の偏光配向は、動的に90度変化し、ビームを異なる方向に変位させることができる。これは、回転ミラー412が通常の動作(ウォークオフ方向を逆にする)中に時計回り(例えば、方向482)および反時計回り(例えば、方向481)の両方で回転する場合に有用である。
【0085】
図5aは、本開示の態様によって図1図4のLIDAR設計を含み得る例示的な自律車両500を示す。図示された自律車両500は、自律車両500の動作を制御する目的で自律車両の外部環境の1つ以上のオブジェクトをキャプチャし、キャプチャされた1つ以上のオブジェクトに関連するセンサーデータを生成するように構成されたセンサーアレイを含む。図5aは、センサー533A、533B、533C、533Dおよび533Eを示す。図5bは、センサー533A、533B、533C、533Dおよび533Eに加えて、センサー533F、533G、533Hおよび533Iを含む自律車両500の平面図を示す。任意のセンサー533A、533B、533C、533D、533E、533F、533G、533Hおよび/または533Iは、図1図4の設計を含むLIDAR装置を含み得る。図5cは、自律車両500のための例示的なシステム599のブロック図を示す。例えば、自律車両500は、エネルギーソース506によって電力の供給を受け、ドライブトレイン508に電力を提供できる原動機504を含むパワートレイン502を含み得る。自律車両500は、方向制御512、パワートレイン制御514、およびブレーキ制御516を含む制御システム510をさらに含み得る。自律車両500は、人および/または貨物を輸送することができ、様々な異なる環境で走行することができる車両を含む多くの異なる車両として具現できる。前述のコンポーネント502~516は、これらのコンポーネントが使用される車両のタイプによって広範囲に変化する可能性があることを理解するであろう。
【0086】
例えば、以下で説明する実施形態は、自動車、バン、トラック、またはバスなどの車輪付き陸上車両に焦点を合わせる。このような実施形態において、原動機504は、(その中でも)1つ以上の電気モータおよび/または内燃機関を含み得る。エネルギーソースは、例えば、燃料システム(例えば、ガソリン、ディーゼル、水素を提供)、バッテリーシステム、ソーラーパネルまたは他の再生エネルギーソースおよび/または燃料電池システムを含み得る。ドライブトレイン508は、原動機504の出力を車両運動に変換するのに適したトランスミッションおよび/または任意の他の機械駆動コンポーネントとともにホイールおよび/またはタイヤを含み得るだけでなく、自律車両500を制御可能に停止または減速するように構成される1つ以上のブレーキおよび自律車両500の軌跡を制御するのに適した方向またはステアリングコンポーネント(例えば、自律車両500の1つ以上のホイールが車両の縦軸に対するホイールの回転平面の角度を変更するために、一般に垂直軸を中心に旋回することを可能にするラックおよびピニオンステアリング接続装置)を含み得る。一部の実施形態において、パワートレインとエネルギーソースの組み合わせが使用できる(例えば、電気/ガスハイブリッド車両の場合)。一部の実施形態において、複数の電気モータ(例えば、個々の車輪または車軸専用)を原動機として使用できる。
【0087】
方向制御512は、自律車両500が望む軌跡に沿うことができるように、方向またはステアリングコンポーネントからフィードバックを制御かつ受信するための1つ以上のアクチュエーターおよび/またはセンサーを含み得る。パワートレイン制御514は、パワートレイン502の出力を制御するように構成され得るが、例えば、原動機504の出力電力を制御し、ドライブトレイン508の変速機ギアを制御することによって、自律車両500の速度および/または方向を制御できる。ブレーキ制御516は、自律車両500を減速または停止させる1つ以上のブレーキ、例えば、車両のホイールに結合されたディスクまたはドラムブレーキを制御するように構成され得る。
【0088】
オフロード車両、オールテレーン(All-Terrain)またはトラック車両、または建設装備を含むが、これらに限定されない他の車両タイプは、必然的に、本開示の利点を有する通常の技術者であれば理解する他のパワートレイン、ドライブトレイン、エネルギーソース、方向制御、パワートレイン制御、およびブレーキ制御を活用する。また、一部の実施形態において、一部のコンポーネントは結合され得るが、例えば、車両の方向制御は、主に1つ以上の原動機の出力を変更することによって処理できる。したがって、本明細書に開示された実施形態は、車輪付き陸上自律車両で本明細書に説明された技術の特定の用途に限定されない。
【0089】
図示の実施形態において、自律車両500についての自律制御は、車両制御システム520で具現され、これは、処理ロジック522内の1つ以上のプロセッサおよび1つ以上のメモリ524を含み得、処理ロジック522は、メモリ524に格納されたプログラムコード(例えば、命令526)を実行するように構成される。処理ロジック522は、例えば、グラフィック処理装置(GPU)および/または中央処理装置(CPU)を含み得る。車両制御システム520は、リターンビーム(例えば、リターンビーム316または417)に応答して、または信号119および120に応答して自律車両500のパワートレイン502を制御するように構成され得る。車両制御システム520は、複数のLIDARピクセルからの出力に応答して自律車両500のパワートレイン502を制御するように構成され得る。
【0090】
センサー533A~533Iは、自律車両の動作を制御するのに使用するために自律車両の周辺環境からデータを収集するのに適した様々なセンサーを含み得る。例えば、センサー533A~533Iは、RADARユニット534、LIDARユニット536、3Dポジショニングセンサー538、例えば、GPS、GLONASS、BeiDou、Galileo、またはCompassなどの衛星航法システムを含み得る。図1図4のLIDAR設計は、LIDARユニット536に含まれ得る。LIDARユニット536は、例えば、自律車両500の周囲に分散した複数のLIDARセンサーを含み得る。一部の実施形態において、3Dポジショニングセンサー538は、衛星信号を用いて地球上の車両の位置を決定し得る。センサー533A~533Iは、選択的に1つ以上の超音波センサー、1つ以上のカメラ540、および/または慣性測定ユニット(IMU)542を含み得る。一部の実施形態において、カメラ540は、モノグラフィックカメラまたはステレオグラフィックカメラであり得、静止画および/またはビデオ画像を記録することができる。カメラ540は、自律車両500の外部環境にある1つ以上のオブジェクトのイメージをキャプチャするように構成されたCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサーを含み得る。IMU542は、3つの方向で自律車両500の線形および回転運動を検出できるマルチジャイロスコープおよび加速度計を含み得る。ホイールエンコーダなどの1つ以上のエンコーダ(図示せず)は、自律車両500の1つ以上のホイールの回転をモニタリングするために使用できる。
【0091】
センサー533A~533Iの出力は、位置推定(Localization)サブシステム552、軌跡サブシステム556、知覚サブシステム554、および制御システムインターフェース558を含む制御サブシステム550に提供され得る。位置推定サブシステム552は、周辺環境内で、そして一般的に特定の地理的領域内で自律車両500の位置および(また、時々「姿勢」とも呼ばれる)方向を決定するように構成され得る。自律車両の位置は、ラベル付き自律車両データ生成の一部として、同じ環境にある追加車両の位置と比較できる。知覚サブシステム554は、自律車両500を囲む環境内のオブジェクトを検出、追跡、分類および/または決定するように構成され得る。軌跡サブシステム556は、特定のタイムフレームにわたって希望する目的地が与えられた自律車両500についての軌跡だけでなく、環境内で静止および移動するオブジェクトの軌跡を生成するように構成され得る。一部の実施形態による機械学習モデルは、車両軌跡を生成するために活用できる。制御システムインターフェース558は、自律車両500の軌跡を実施するために制御システム510と通信するように構成される。一部の実施形態において、機械学習モデルは、計画された軌跡を実施するために自律車両を制御するために活用できる。
【0092】
図5cに示される車両制御システム520についてのコンポーネントの集合は、本質的に単なる例示であることが理解されるであろう。個々のセンサーは、一部の実施形態においては省略され得る。一部の実施形態において、図5cに示される異なるタイプのセンサーが自律車両を囲む環境で冗長的におよび/または異なる領域をカバーするために使用できる。一部の実施形態において、制御サブシステムの異なるタイプおよび/または組み合わせが使用できる。また、サブシステム552~558は、処理ロジック522およびメモリ524とは別のものとして示されているが、一部の実施形態において、サブシステム552~558の機能のうちの一部または全部は、メモリ524に常駐し、処理ロジック522によって行われる命令526などのプログラムコードで具現でき、これらのサブシステム552~558は、場合によっては、同じプロセッサおよび/またはメモリを使用して具現できることが理解されるであろう。一部の実施形態において、サブシステムは、様々な専用回路ロジック、様々なプロセッサ、様々なFPGA(Field Programmable Gate Array)、様々なASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、様々なリアルタイムコントローラなどで具現でき、前述したように、複数のサブシステムが回路、プロセッサ、センサー、および/または他のコンポーネントを活用できる。また、車両制御システム520の様々なコンポーネントは、様々な方法でネットワーク化することができる。
【0093】
一部の実施形態において、自律車両500は、また、自律車両500のための冗長またはバックアップ制御システムとして使用できる2次車両制御システム(図示せず)を含み得る。一部の実施形態において、2次車両制御システムは、特定イベントに応答して自律車両500を操作できる。2次車両制御システムは、1次車両制御システム520で検出された特定イベントに応答して制限された機能のみを有し得る。また他の実施形態において、2次車両制御システムは、省略され得る。
【0094】
一部の実施形態において、ソフトウェア、ハードウェア、回路ロジック、センサー、およびネットワークの様々な組み合わせを含む異なるアーキテクチャが図5cに示される様々なコンポーネントを具現するために使用できる。それぞれのプロセッサは、例えば、マイクロプロセッサとして具現でき、それぞれのメモリは、メインストレージだけでなく、メモリの任意の補助レベル、例えば、キャッシュメモリ、不揮発性またはバックアップメモリ(例えば、プログラマブルまたはフラッシュメモリ)、またはリードオンリーメモリを表すことができる。また、それぞれのメモリは、例えば、大容量格納装置または他のコンピュータコントローラに格納されているような仮想メモリとして使用される任意の格納容量だけでなく、自律車両500の他の場所に物理的に位置したメモリストレージ、例えば、プロセッサの任意のキャッシュメモリを含むものと見なすことができる。図5cに示される処理ロジック522、または完全に別個の処理ロジックは、自律制御の目的以外に自律車両500で追加の機能を実施するために、例えば、エンターテインメントシステムを制御したり、ドア、照明、または便宜機能を操作するために使用できる。
【0095】
また、追加の格納のために、自律車両500は、また、1つ以上の大容量格納装置、例えば、リムーバブルディスクドライブ、ハードディスクドライブ、直接アクセス格納装置(「DASD」)、光ドライブ(例えば、CDドライブ、DVDドライブ)、SSD(Solid State Storage Drive)、ネットワーク接続ストレージ、ストレージエリアネットワーク、および/またはテープドライブなどを含み得る。また、自律車両500は、自律車両500が乗客から複数の入力を受信し、乗客のための出力を生成するためのユーザーインターフェース564、例えば、1つ以上のディスプレイ、タッチスクリーン、音声および/またはジェスチャーインターフェース、ボタン、およびその他の触覚コントロールを含み得る。一部の実施形態において、乗客からの入力は、他のコンピュータまたは電子装置を介して、例えば、モバイル装置のアプリを介して、またはウェブインターフェースを介して受信され得る。
【0096】
一部の実施形態において、自律車両500は、1つ以上のネットワーク570(例えば、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、無線ネットワーク、および/またはインターネットなど)と通信するのに適している1つ以上のネットワークインターフェース、例えば、ネットワークインターフェース562を含み得、これにより、例えば、自律車両500が自律制御に使用するために環境およびその他のデータを受信するためのクラウドサービスなどの中央サービスを含む他のコンピュータおよび電子装置との情報通信を可能にすることができる。一部の実施形態において、1つ以上のセンサー533A~533Iによって収集されたデータは、追加処理のためにネットワーク570を介してコンピューティングシステム572にアップロードされることができる。このような実施形態において、タイムスタンプは、アップロード前に車両データの各インスタンスに関連付けることができる。
【0097】
本明細書に開示される様々な追加のコントローラおよびサブシステムだけでなく、図5cに示される処理ロジック522は、一般に、オペレーティングシステムの制御下で動作かつ実行されるか、そうでなければ以下に詳細に説明される様々なコンピュータソフトウェアアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、またはデータ構造に依存する。また、様々なアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、またはモジュールは、ネットワーク570を介して、例えば、分散、クラウドベース、またはクライアント-サーバコンピューティング環境で自律車両500に結合された他のコンピュータの1つ以上のプロセッサで行い得、これにより、コンピュータプログラムの機能を実施するために必要な処理がネットワークを介して複数のコンピュータおよび/またはサービスに割り当てられる。
【0098】
本明細書に記載されている様々な実施形態を具現するために実行されるルーチンは、オペレーティングシステムの一部または特定のアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、または命令シーケンス、またはそのサブセットの一部として具現されているかどうかにかかわらず、ここで「プログラムコード」 と呼ばれる。プログラムコードは、一般に、様々なメモリおよび格納装置に常駐する1つ以上の命令を含み、1つ以上のプロセッサによって読み取りおよび実行されるとき、本開示の様々な態様を具現するステップまたは要素を実行するために必要なステップを実行する。また、実施形態は、完全に機能するコンピュータおよびシステムの文脈で説明されており、今後もそうであろうが、本明細書に記載されている様々な実施形態は、様々な形態のプログラム製品として配布されることができ、実施形態が実際に配布を実行するために使用される特定のタイプのコンピュータ読み取り可能な媒体に関係なく具現できることが理解されるであろう。コンピュータ読み取り可能な媒体の例としては、揮発性および不揮発性メモリデバイス、フロッピーおよび他のリムーバブルディスク、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、磁気テープおよび光ディスク(例えば、CD-ROM、DVD)のようなタイプの非一時的な媒体を含む。
【0099】
また、以下で説明される様々なプログラムコードは、特定の実施形態で具現されるアプリケーションに基づいて識別できる。しかし、以下の任意の特定のプログラム命名法は、単に便宜のために使用されたものであり、したがって、本発明は、このような命名法によって識別および/または暗示された任意の特定アプリケーションでのみ使用するように制限されてはならないことを理解するべきである。また、コンピュータプログラムがルーチン、手順、方法、モジュール、オブジェクトなどで構成できる一般的に無限の数の方式とプログラム機能が通常のコンピュータ(例えば、オペレーティングシステム、ライブラリ、API、アプリケーション、アプレット)内に常駐する様々なソフトウェア層の間に割り当てられる様々な方式を考慮するとき、本開示は、本明細書に記載のプログラム機能の特定の組織および割り当てに限定されないことを理解するべきである。
【0100】
本開示の利点を有する当業者は、図5cに示される例示的な環境が本明細書に開示された実施形態を制限することを意図していないことを認識するであろう。実際、当業者は、本明細書に開示された実施形態の範囲から逸脱することなく、他の代替ハードウェアおよび/またはソフトウェア環境を使用できることを認識するであろう。
【0101】
本明細書において、「処理ロジック」(例えば、処理ロジック522)という用語は、本明細書に開示されている動作を実行するための1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、マルチコアプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、および/またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)を含み得る。一部の実施形態において、メモリ(図示せず)は、演算を実行および/またはデータを格納するための命令を格納するために処理ロジックに統合される。また、処理ロジックは、本開示の実施形態に係る動作を実行するためのアナログまたはデジタル回路を含み得る。
【0102】
本明細書で説明する「メモリ」または「複数のメモリ」は、1つ以上の揮発性または不揮発性メモリアーキテクチャを含み得る。「メモリ」または「複数のメモリ」は、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報格納のための任意の方法または技術で具現された取り外し可能および取り外し不可能媒体であり得る。メモリ技術の例においては、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、CD-ROM、DVD、高精細マルチメディア/データ格納ディスクまたはその他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク格納装置、またはコンピューティング装置によってアクセスを可能にするように情報を格納するために使用できるその他の非送信媒体を含み得る。
【0103】
ネットワークは、ピアツーピアネットワーク、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどのパブリックネットワーク、プライベートネットワーク、セルラーネットワーク、無線ネットワーク、有線ネットワーク、有無線組み合わせのネットワーク、および衛星ネットワークなどの任意のネットワークまたはネットワークシステムを含むが、これらに 限定されない。
【0104】
通信チャネルは、IEEE802.11プロトコル、SPI(Serial Peripheral Interface)、IC(Inter-Integrated Circuit)、USB(Universal Serial Port)、CAN(Controller Area Network)、セルラーデータプロトコル(例えば、3G、4G、LTE、5G)、光通信ネットワーク、インターネットサービスプロバイダ(ISP)、ピアツーピアネットワーク、LAN、WAN、パブリックネットワーク(例えば、「インターネット」)、プライベートネットワーク、衛星ネットワークまたは他のものを用いる1つ以上の有線または無線通信を含むか、またはこれらによってルーティングされることができる。
【0105】
コンピューティング装置は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、ファブレット、スマートフォン、フィーチャーホン、サーバコンピュータなどを含み得る。サーバコンピュータは、データセンターに遠隔に位置するか、またはローカルに格納できる。
【0106】
前述したプロセスは、コンピュータソフトウェアおよびハードウェアの側面で説明される。説明された技術は、機械によって実行されるときに、機械が説明された動作を行うようにする有形または非一時的な機械(例えば、コンピュータ)可読格納媒体内に具現された機械実行可能命令を構成し得る。また、プロセスは、特定用途向け集積回路(「ASIC」)などのハードウェア内に具現できる。
【0107】
有形の非一時的な機械可読格納媒体は、機械(例えば、コンピュータ、ネットワーク装置、PDA、製造ツール、1つ以上のプロセッサセットを有する任意の装置など)によってアクセス可能な形態の情報を提供(例えば、格納)するための任意のメカニズムを含み得る。例えば、機械可読格納媒体は、記録可能/記録不可能媒体(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、磁気ディスク格納媒体、光格納媒体、フラッシュメモリ装置など)を含む。
【0108】
要約書に説明されたものを含め、本開示の例示された実施形態についての前述の説明は、完全なものとして、または開示された正確な形態として本発明を限定することを意図していない。本発明の特定の実施形態および例示が例示的な目的で本明細書に説明されているが、関連技術分野の技術者が認識するように、本発明の範囲内で様々な修正が可能である。
【0109】
このような本発明の修正は、前述の詳細な説明に照らして行われ得る。以下の特許請求の範囲で使用される用語は、本発明を明細書に開示された特定の実施形態に限定するものと解釈されてはならない。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって完全に決定されるべきであり、これは特許請求の範囲の解釈の確立された原則に従って解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
【手続補正書】
【提出日】2023-07-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンチップを含むLIDARシステムにおいて、
前記シリコンチップは、
送信ビームを放出するように構成される送信機と、
格子カプラを含み、前記格子カプラを介してリターンビームを受信するように構成される受信ピクセルと、
前記送信ビームをオブジェクトに向け、前記リターンビームを前記受信ピクセルに向けるように構成される回転ミラーと、
前記受信ピクセルと前記回転ミラーとの間に配置され、前記送信機と前記受信ピクセルとの間の間隔を補償するために前記リターンビームに変位を導入するように構成され、スイッチャブル(Switchable)ビーム回転子を含むビーム変位装置と、
前記送信ビームを前記送信機から前記ビーム変位装置に向けるように構成される固定されたミラーと、
を含むLIDARシステム。
【請求項2】
前記ビーム変位装置は、前記回転ミラーから反射される送信ビームとリターンビームとの間の反射角度の差を補償するように構成される、
請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項3】
前記ビーム変位装置は、複屈折材料を含むビーム変位エレメントを含み
記複屈折材料は、前記送信ビームの第1偏光配向に基づいて定義される前記リターンビームの第2偏光配向に前記変位を導入する、
請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項4】
前記スイッチャブルビーム回転子は、前記送信機と前記ビーム変位エレメントとの間に配置され、
前記スイッチャブルビーム回転子は、前記送信ビームの送信偏光を回転させるように構成される、
請求項3に記載のLIDARシステム。
【請求項5】
記回転ミラーは、正規動作(Regular Operation)中に第1方向または第2反対方向に選択的に(Alternatively)回転するように構成される、
請求項4に記載のLIDARシステム。
【請求項6】
前記ビーム変位装置は、前記ビーム変位エレメントと前記回転ミラーとの間に配置される波長板を含む、
請求項4に記載のLIDARシステム。
【請求項7】
前記波長板は、1/4波長板である、
請求項6に記載のLIDARシステム。
【請求項8】
前記ビーム変位装置は、前記ビーム変位エレメントと前記回転ミラーとの間に配置されるレンズを含み、
前記レンズは、前記送信ビームをコリメート(Collimate)するように構成される、
請求項4に記載のLIDARシステム。
【請求項9】
前記リターンビームは、前記オブジェクトから反射される前記送信ビームである、
請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項10】
自律車両のための自律車両制御システムにおいて、
LIDAR装置と、
受信ピクセルの出力に応答して前記自律車両を制御するように構成される1つ以上のプロセッサと、
を含み、
前記LIDAR装置は、
シリコンチップと、
送信ビームをオブジェクトに向け、リターンビームを受信ピクセルに向けるように構成される回転ミラーと、
送信機と受信ピクセルとの間の間隔を補償するために前記リターンビームに変位を導入するように構成され、スイッチャブル(Switchable)ビーム回転子を含むビーム変位装置と、
を含み、
前記シリコンチップは、
送信ビームを放出するように構成される送信機と、
格子カプラを含み、前記格子カプラを介してリターンビームを受信するように構成される受信ピクセルと、
前記送信ビームを受信し、方向を変えるように(Redirect)構成される固定されたミラーと、
を含み、
前記固定されたミラーは、前記送信機からの前記送信ビームを前記シリコンチップから前記ビーム変位装置に向けるように構成される、
自律車両制御システム。
【請求項11】
前記ビーム変位装置は、前記回転ミラーから反射される送信ビームとリターンビームとの間の反射角度の差を補償するように構成される、
請求項10に記載の自律車両制御システム。
【請求項12】
前記ビーム変位装置は、複屈折材料を含むビーム変位エレメントを含み、
前記複屈折材料は、前記送信ビームの第1偏光配向に基づいて定義される前記リターンビームの第2偏光配向に前記変位を導入する、
請求項10に記載の自律車両制御システム。
【請求項13】
前記スイッチャブルビーム回転子は、前記送信機と前記ビーム変位エレメントとの間に配置され、前記送信ビームの送信偏光を回転させるように構成される、
請求項12に記載の自律車両制御システム。
【請求項14】
前記回転ミラーは、正規動作(Regular Operation)中に第1方向または第2反対方向に選択的に(Alternatively)回転するように構成される、
請求項13に記載の自律車両制御システム。
【請求項15】
自律車両において、
少なくとも1つのシリコンチップと、
赤外線送信ビームをオブジェクトに向け、赤外線リターンビームを受信ピクセルに向けるように構成される回転ミラーと、
受信ピクセルと回転ミラーとの間で光路に沿って配置され、送信機と受信ピクセルとの間の間隔を補償するために前記赤外線リターンビームに変位を導入し、回転ミラーから反射される赤外線送信ビームと赤外線リターンビームとの間の反射角度の差を補償するために前記変位を導入するように構成され、スイッチャブルビーム回転子を含むビーム変位装置と、
前記赤外線リターンビームに応答して前記自律車両を制御するように構成される制御システムと、
を含み、
前記少なくとも1つのシリコンチップは、
赤外線送信ビームを放出するように構成される送信機と、
赤外線リターンビームを受信するように構成される受信ピクセルと、
前記赤外線送信ビームを受信し、方向を変えるように(Redirect)構成される少なくとも1つの固定されたミラーと、
を含み、
前記受信ピクセルのうちの少なくとも1つは、格子カプラを含み、前記格子カプラを介して前記赤外線リターンビームのうちの少なくとも1つを受信するように構成され、
前記少なくとも1つの固定されたミラーは、前記送信機からの前記赤外線送信ビームを前記少なくとも1つのシリコンチップから前記ビーム変位装置に向けるように構成される、
自律車両。
【請求項16】
前記ビーム変位装置は、複屈折材料を含むビーム変位エレメントを含み、
前記複屈折材料は、前記赤外線送信ビームの第1偏光配向に基づいて定義される前記赤外線リターンビームの第2偏光配向に前記変位を導入する、
請求項15に記載の自律車両。
【請求項17】
前記スイッチャブルビーム回転子は、前記送信機と前記ビーム変位エレメントとの間に配置され、前記赤外線送信ビームの送信偏光を回転させるように構成される、
請求項16に記載の自律車両。
【請求項18】
前記送信機は、少なくとも1つのエッジカプラを含み、
前記固定されたミラーは、前記少なくとも1つのエッジカプラから前記送信ビームを受信するように構成され、前記送信ビームが前記シリコンチップの表面から垂直に向かうように角度のある、
請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項19】
前記スイッチャブルビーム回転子は、前記回転ミラーの回転方向に基づいて前記送信ビームの偏光配向を変更するように構成される、
請求項1に記載のLIDARシステム。
【国際調査報告】