(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-21
(54)【発明の名称】白内障除去のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/008 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
A61F9/008 120D
A61F9/008 120Z
A61F9/008 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500340
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 IB2021056563
(87)【国際公開番号】W WO2022023882
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド トー
(72)【発明者】
【氏名】ブラント ギレン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ハンター ペッティト
(72)【発明者】
【氏名】マルコス エイチ.ザモラノ
(72)【発明者】
【氏名】キース ワタナベ
(72)【発明者】
【氏名】ラメシュ サランガパニ
(72)【発明者】
【氏名】シンチャン バッタチャリア
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ ウェザービー
(57)【要約】
眼からの白内障の除去を支援するシステムと方法は、眼の術前データを取得することを含み、術前データは眼の水晶体に関連付けられるイメージングデータを含み、水晶体に関連付けられるイメージングデータに基づいて水晶体密度マップを特定することと、水晶体密度マップに基づいてレーザ水晶体核分割処置のためのレーザ水晶体核分割パターンを生成することと、を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の水晶体を除去することに関して使用される方法において、
前記眼の術前データを取得するステップであって、前記術前データは前記眼の前記水晶体に関連付けられるイメージングデータを含むステップと、
前記水晶体に関連付けられる前記イメージングデータに基づいて水晶体密度マップを特定するステップと、
前記水晶体密度マップに基づいてレーザ水晶体核分割処置のためのレーザ水晶体核分割パターンを生成するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記水晶体密度マップを特定するステップは、前記イメージングデータの複数のピクセルの各々又は複数のボクセルの各々の強度を分析するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水晶体密度マップに基づいて白内障の種類を特定するステップを更に含み、前記レーザ水晶体核分割パターンを生成するステップは更に前記白内障の種類に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レーザ水晶体核分割処置を実行するために使用されるレーザ装置の1つ以上の装置設定を生成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の装置設定は、レーザの周波数、レーザのパワー、レーザの速度、又はレーザの種類を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
生成された前記レーザ水晶体核分割パターンは、前記水晶体核分割線の位置と向き、前記水晶体核分割線間の距離、前記水晶体核分割線に沿ったレーザ処理スポット間の分離距離、曲線の使用、螺旋若しくは不規則パターンの使用、前記水晶体核分割線の各々に沿った切開深さ、又は各パターン線の中心軸に関する入射角のうちの少なくとも1つを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記生成するステップは、前記レーザ水晶体核分割パターンに関連付けられる水晶体核分割線の全長、前記レーザ水晶体核分割処置の総時間、又は前記レーザ水晶体核分割処置に使用されるレーザエネルギ総量のうちの少なくとも1つを生成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記生成するステップは、前記レーザ水晶体核分割処置に関連付けられる吸引時間を最適化するステップ、前記レーザ水晶体核分割処置のために消費されるレーザエネルギ総量を最適化するステップ、レーザスポットの数を最適化するステップ、前記レーザ水晶体核分割線の全長を最適化するステップ、超音波水晶体乳化吸引に必要な時間を最適化するステップ、超音波水晶体乳化吸引に必要な超音波エネルギ総量を最適化するステップ、前記水晶体を吸引するのに必要な時間を最適化するステップ、吸引に必要な流体の量を最適化することのうちの少なくとも1つに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記水晶体が破砕されている間に収集される術中データを取得するステップと、
前記術中データに基づいて前記レーザ水晶体核分割パターンを調整するステップと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記生成するステップは、予測される術後調査スコアを過去の術後調査スコアに基づいて最大化することに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記生成するステップは、前記水晶体に関連付けられる、超音波エネルギ付与の対象となる1つ以上の対応する標的の1つ以上の位置を識別するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記生成するステップは、前記1つ以上の対応する標的の各々のための1つ以上の超音波水晶体乳化吸引装置設定を生成するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の超音波水晶体乳化吸引装置設定は、超音波装置の周波数、又は前記超音波装置のパワーレベル、超音波付与時間、適用する流体の流量及び/若しくは体積、又は適用される流体の圧力のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
眼の水晶体を除去することに関して使用される眼科システムにおいて、
実行可能命令を含む少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリとデータ通信し、前記命令を実行して前記眼科システムに、
前記眼の術前データを取得させ、前記術前データは前記眼の前記水晶体に関連付けられるイメージングデータを含み、
前記水晶体に関連付けられる前記イメージングデータに基づいて水晶体密度マップを特定させ、
前記水晶体密度マップに基づいてレーザ水晶体核分割処置のためのレーザ水晶体核分割パターンを生成させる
ように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
を含む眼科システム。
【請求項15】
前記眼科システムに前記水晶体密度マップを特定させるように構成された前記プロセッサは、前記眼科システムに、前記イメージングデータの複数のピクセルの各々又は複数のボクセルの各々の強度を分析させるように構成された前記プロセッサを含む、請求項14に記載の眼科システム。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記眼科システムに前記水晶体密度マップに基づいて白内障の種類を特定させるように更に構成され、
前記レーザ水晶体核分割パターンを生成するように構成されたプロセッサは、前記白内障の種類に更に基づく、
請求項14に記載の眼科システム。
【請求項17】
眼科システムにより実行されると、前記眼科システムに方法を実行させる命令がその上に記憶された非一時的コンピュータ可読媒体において、前記方法は、
前記眼の術前データを取得するステップであって、前記術前データは前記眼の前記水晶体に関連付けられるイメージングデータを含む、取得するステップと、
前記水晶体に関連付けられる前記イメージングデータに基づいて水晶体密度マップを特定するステップと、
前記水晶体密度マップに基づいてレーザ水晶体核分割処置のためのレーザ水晶体核分割パターンを生成するステップと、
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記水晶体密度マップを特定するステップは、前記イメージングデータの複数のピクセルの各々又は複数のボクセルの各々の強度を分析するステップを含む、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記方法は、前記水晶体密度マップに基づいて白内障の種類を特定するステップを更に含み、前記レーザ水晶体核分割パターンを生成するステップは前記白内障の種類に更に基づく、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼から白内障を除去するためのシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
白内障手術では、眼の自然な水晶体を取り除き、ほとんどの場合、その自然な水晶体を人工の眼内レンズ(IOL)と交換する。典型的に、自然の水晶体を取り除くことは超音波水晶体乳化吸引術を含み、これは超音波ハンドピースを使って患者の自然の水晶体を乳化させ、乳化した水晶体物質を眼から吸引する外科的行為である。場合により、患者と外科医はレーザ手術を選択するが、これはレーザ(例えば、フェムトセカンドレーザ)を使って水晶体嚢に切開創を作る、白内障水晶体の分割と軟化を行う、輪部減張切開(LRI:limbal relaxing incisions)を行う、乱視矯正角膜切開術(AK:astigmatic keratotomy)を行う、等を含む。
【0003】
最適な術後の視力結果を得るために、良好な術前の手術計画が重要である。重要な術前計画上の決定のいくつかには、レーザ、超音波水晶体乳化吸引及び/若しくは、IOL挿入前に眼から白内障を除去するために使用される機器の適切なパターン及び/又は設定の選択が含まれる。処置の複雑さと、レーザ、超音波水晶体乳化吸引及び/若しくはその他の機器の考え得るパターン及び/又は設定の変動性から、内視鏡除去術の計画と施行は困難であり得る。それに加えて、患者の違い(例えば、健康歴の要素等)、眼の違い、白内障水晶体の違い(例えば、形状、密度等)、及び/又はその他の違いによる変動性が、白内障除去の計画と施行を一層複雑にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の技術のいくつかの実施形態は、眼に関する、水晶体に関連付けられるイメージングデータを含む術前データを取得し、水晶体に関係するイメージングデータに基づいて水晶体密度マップを特定し、水晶体密度マップに基づいてレーザによる水晶体核分割のためのレーザ水晶体核分割パターンを生成するためのシステム、コンピュータ可読媒体、及び方法を含む。
【0005】
本明細書には、システム内で実行される命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体の実施形態も記載され、命令は、システムにより実行されると、上述の方法を遂行する。
【0006】
本明細書には、システムの実施形態も記載され、システムのためのソフトウェアは上述の方法を実行するようにプログラムされる。
【0007】
本明細書には、上述の方法を実行する手段をシステムの実施形態も記載されている。
【0008】
本技術、本技術の特徴、及び本技術の利点をより完全に理解するために、添付の図面と併せて、以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態による眼手術のための例示的システムの略図である。
【
図2A】
図2Aは、いくつかの実施形態による白内障を除去する方法の略図を示す。
【
図2B】
図2Bは、いくつかの実施形態による白内障を除去する方法の略図を示す。
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態による、眼及び眼の特徴の図である。
【
図4A-4B】
図4A-4Bは、いくつかの実施形態による処理システムの図である。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による、多層ニューラルネットワークの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面において、同一符号を有する要素は、同一又は類似の機能を有する。
【0011】
発明の態様、実施形態、実装形態、又はモジュールを示すこの説明及び添付の図面は、限定するものとして解釈されるべきではなく、特許請求の範囲が、保護された発明を定義する。この説明及び特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な機械的、構成的、構造的、電気的、及び動作上の変更を行ってもよい。場合によっては、本発明をあいまいにしないために、周知の回路、構造、又は技術は、図示又は詳細に説明されていない。2つ以上の図の類似の番号は、同一又は類似の要素を表す。
【0012】
この説明において、本開示と一致するいくつかの実施形態を説明する特定の詳細が示されている。実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が示されている。しかしながら、これらの具体的詳細の一部又は全部なしにいくつかの実施形態が実施されてもよいことは、当業者には明らかであろう。本明細書に開示された特定の実施形態は、限定的でなく、例示的であるように意図される。当業者であれば、本明細書に具体的に説明されないが、この開示の範囲及び精神の範囲内にある他の要素を実現してもよい。加えて、不必要な繰り返しを避けるために、一実施形態に関連して図示されて説明された1つ以上の特徴は、特に別途説明しない限り、又は1つ以上の特徴によって実施形態が機能しなくなる場合を除いて、他の実施形態に組み込まれてもよい。
【0013】
システム、方法、予測モデル、最適化された手術計画等についてより詳しく論じる前に、本願の技術が解決する技術的課題を簡単に述べる。前述のように、白内障手術は、眼の自然の水晶体を取り除き、自然の水晶体を人工眼内レンズ(IOL:artificial intraocular lens)と交換することを含む。典型的に、自然の水晶体の取り除きは超音波水晶体乳化吸引法を含み、これは超音波ハンドピースを使って患者の自然の水晶体を乳化させ、乳化した水晶体物質を眼から吸引する外科的行為である。場合により、患者と外科医はレーザ手術を選択するが、これはレーザ(例えば、フェムトセカンドレーザ)を使って水晶体嚢に切開創を作る、白内障水晶体の分割と軟化を行う、輪部減張切開(LRI)を行う、乱視矯正角膜切開術(AK)を行う、等を含む。
【0014】
レーザ手術を行う際に、患者には、眼の上に設置して、眼に吸引力をかけてレーザとのアラインメントを保持する患者アダプタが装着される。場合により、レーザ手術の計画における目標の1つは、患者の眼を吸引している時間を短縮することである。場合により、他の目標は、眼の各部分に送達されるレーザエネルギの量を減らす(例えば、最適と言えない手術結果につながる可能性のある、レーザエネルギの好ましからざる副作用である気泡の発生を低減又は排除する)ことである。また、外科医には、超音波水晶体乳化吸引及び水晶体物質の吸引のための好ましいパターンがあることが多い。例えば、外科医は、特定の繰返し可能なパイスライスパターンで超音波水晶体乳化吸引及び水晶体物質吸引を完遂する訓練を受けているかもしれない。外科医は、最初のパイスライスを乳化させてそこから水晶体物質を取り除き、水晶体の次のパイスライスへと移動することを繰り返して、確実に各領域が十分に乳化し、吸引されるようにする方法に慣れている可能性がある。
【0015】
吸引する時間とレーザエネルギの総量を最小化することに加えて、特定の実施形態では、レーザスポットの数を最小にし、レーザパターンラインの全長を最小にし、超音波水晶体乳化吸引術の所要時間を最小にし、超音波水晶体乳化吸引に必要な超音波エネルギの総量を最小にし、水晶体吸引に必要な時間を最小にし、吸引に必要な流体の量、及び/又は後でより詳しく記すような他の様々な最適化基準及び外科医の選好を最小にすることが有利であり得る。
【0016】
しかしながら、既存の眼科システム(例えば、眼科手術及び/又は診断システム)は、白内障手術の準備中又は術中にこれらのパラメータを自動的に最適化するように構成されておらず、その結果、レーザエネルギ、超音波エネルギ等のリソース、手術システム及びコンソールの計算及びメモリリソース、吸引に必要な流体の量等の利用が不十分である。
【0017】
したがって、本明細書に記載の特定の実施形態は、患者に関する術前診断画像及び/又はその他のデータを取得し、例えば自動的に、術前データに基づいて推奨される水晶体核分割パターン、推奨されるレーザ設定、推奨される超音波水晶体乳化吸引術の設定を提供することにより、既存の眼科システムに関連する技術的課題に対する技術的解決策を提供する。推奨は、前述のパラメータを最適化し、それによってリソースの効率化だけでなく、より満足できる患者の転帰をもたらすように構成され得る。
【0018】
例えば、ある患者の片眼の術前画像は、その患者の眼(両眼の場合もある)の水晶体密度マップを作るために使用できる。すると、訓練された予測モデル(例えば、過去の患者データ、過去の吸引時間メトリクス、過去のレーザエネルギメトリクス、認定されている手術結果メトリクス等に基づいて訓練)は、このレンズ密度マップを入力として使用し、当該の患者の手術結果を最適化するための水晶体核分割パターン、レーザ設定、超音波水晶体乳化吸引術の設定等を推奨し得る。特に、本願の技術のいくつかの実施形態において、推奨される水晶体核分割パターンは、外科医の通常使用する繰返し可能パターン(例えば、パイスライスパターン)に適合させることができる。それに加えて、本願の技術により提供される手術計画は、どのスライスをレーザエネルギで処理すべきか、各スライス専用のレーザエネルギをどれだけにすべきか、各スライスの各領域にどれだけの超音波パワーを送達すべきか(例えば、推奨されたレーザエネルギ量が特定のスライスに送達された後に必要な超音波パワーの予測に基づく)、その他に関する推奨を含むことができる。他のいくつかの場合には、最適化された手術計画で、水晶体密度マップ並びに、外科医により選択された、及び/又は予測モデルにより推奨された各種の手術最適化基準(例えば、吸引時間の短縮、総レーザエネルギの削減、総超音波パワーの削減等)に基づいてカスタム化された水晶体核分割パターン及び装置設定を推奨できる。
【0019】
白内障手術の計画策定は典型的に、術後に所望の屈折力の結果(互換的に屈折力目標とも呼ばれる)を実現することを目指してIOLパワーを選択することも含む。本明細書に記載の特定の実施形態は、外科医が最適なIOLパワーのIOLを選択するのを支援するためのシステムと手法を提供する。例えば、本明細書に記載の特定の実施形態は、患者の片眼(両眼の場合もある)から術前及び/又は術中測定値を取得し、例えばIOLパワーのある組合せの各々の術後の自覚等価球面度数(MRSE:manifest refraction in spherical equivalent)を推定することを含む。すると、術後MRSEを使用して、外科医は屈折力目標に最も近い推定術後MRSEが得られることになるIOLパワーを選択し得る。これらの手法の例は、“OPHTHALMIC IMAGING SYSTEM FOR INTRAOCULAR LENS POSITION AND POWER SELECTION”を開示する米国特許出願第62/697,367号明細書及び“SYSTEMS AND METHODS FOR INTRAOCULAR LENS SELECTION USING EMMETROPIA ZONE PREDICTION”を開示する米国特許出願第16/171,515号明細書により詳しく記載されており、両出願の全体を参照により本願に援用する。
【0020】
上述の例と考察を念頭に、
図1~6は、本願の技術のいくつかの実施形態による白内障除去を支援するためのシステムと方法に関するより多くの詳細事項を提供する。
【0021】
図1は、いくつかの実施形態による眼手術のためのシステム100を示す。システム100は、1つ以上の診断訓練データソース110に連結されたIOL選択及び処置計画プラットフォーム105(以下、「ISPプラットフォーム105」)を含む。いくつかの例において、ネットワーク115は1つ以上のスイッチング措置、ルータ、ローカルリアネットワーク(例えば、イーサネット)、ワイドエリアネットワーク(例えば、インタネット)、及び/又はその他を含み得る。診断訓練データソース110の各々は、眼科手術の現場、眼科クリニック、医科大学、電子カルテ(EMR:electronic medical records)レポジトリ、及び/又はその他により提供されるデータベース、データレポジトリ、及び/又はその他であり得る。診断訓練データソース110の各々はISPプラットフォーム105に、患者の術前及び術後の眼の多次元画像及び/又は測定値、手術計画データ、手術コンソールパラメータログ、手術合併症ログ、患者治療歴、患者人口統計データ、挿入されるIOLに関する情報、患者の選好(例えば、夜間に車を運転できること、裸眼で読書ができること等)、及び/又はその他のうちの1つ以上の形態の訓練データを提供し得る。ISPプラットフォーム105は訓練データを1つ以上のデータベース155に保存し得て、これは訓練データを匿名化、暗号化、及び/又はそれ以外の方法で保護するように構成され得る。
【0022】
ISPプラットフォーム105は予測エンジン120を含み、これは受け取った訓練データを処理し、訓練データに対する生データ分析を実行し、1つ以上の機械学習モデル(互換的に予測モデルとも呼ばれる)を訓練し、繰返し最適化し得る。訓練された機械学習モデルは、外科手技(例えば、白内障除去、IOL挿入、及び/又はその他)の計画と施行を支援するために使用され得る。例えば、患者の術前測定値に基づいて、予測エンジン120は、外科手技のための推奨されるパターン及び/又は装置設定や、例えばIOLパワーのある組合せの各々に関する推定される術後MRSEを含むカスタマイズされ、最適化された手術計画を生成し得る。本明細書において、推奨されるパターン及び装置設定は、推奨される水晶体核分割パターン、推奨されるレーザ設定、推奨される超音波水晶体乳化吸引設定、どのスライスをレーザエネルギで処理すべきか、各スライス専用のレーザエネルギをどれだけにすべきか、各スライスの各領域にどれだけの超音波パワーを送達すべきか(例えば、推奨されたレーザエネルギ量が特定のスライスに送達された後に必要な超音波パワーの予測に基づく)に関する推奨を含み得ることに留意されたい。
【0023】
いくつかの例において、機械学習モデル(例えば、1つ以上のニューラルネットワーク)は、少なくとも一部に、1つ以上の診断訓練データソース110から得た術前測定値及びそれに対応する術中測定値並びに/又は術後結果に基づいて訓練される。一例として、眼科専門医は手術結果を定量化するように努めることができる。例えば、ある患者集団についての手術パラメータ並びに術前、術中、及び術後診断を幅広く収集でき、患者に対して術後満足度調査を行うことができる。この調査結果を使って、将来の処置のための設定、手技、資材を最適化するように機械学習モデルを訓練するための計算モデルを訓練することができる。この手法の例は、“SELECTION OF INTRAOCULAR LENS BASED ON PREDICTED SUBJECTIVE OUTCOME SCORE”と題する米国仮特許出願第63/032195号明細書により詳しく記載されており、同仮出願の全体を引用によって本願に援用する。
【0024】
ISPプラットフォーム105は更に、眼科プラクティス125の中の1つ以上の装置にネットワーク115を介して連結される。その1つ以上の装置には、1つ以上の診断装置130が含まれる。1つ以上の診断装置130は、患者135の眼の1つ以上の多次元画像及び/又はその他の測定値を取得するために使用される。1つ以上の診断装置130は、眼の解剖学的構造の多次元画像及び/又は測定を取得するための様々な装置、例えば光干渉断層撮影法(OCT)装置、回転カメラ(例えば、シャインプルーフカメラ)、磁気共鳴画像撮影(MRI)装置、角膜測定計、眼球計、光学バイオメータ、3次元立体デジタル顕微鏡(NGENUITY(登録商標)3D Visualization System(Alcon Inc.、スイス等)、あらゆる種類の術中光学測定装置、例えば術中収差計、及び/又はその他のあらゆる種類の光学測定/イメージング装置のうちの何れでもあり得る。OCT装置の例は、“Process for Optical Coherence Tomography and Apparatus for Optical Coherence Tomography”を開示する米国特許第9,618,322号明細書及び出願公開“Optical Coherence Tomography Cross View Image”を開示する米国特許出願公開第2018/0104100号明細書により詳しく記載されており、両文献の全体を引用により本願に援用する。術中収差計の一例は、Ora(商標)with Verifeye(商標)(Alcon Inc.、スイス)であり、これは部分的に、本願と同じ所有者の“Integrated Surgical Microscope and Wavefront Sensor”を開示する米国特許第7,883,505号明細書及び“Real-Time Surgical Reference Indicium Apparatus and Methods for Astigmatism Correction“を開示する米国特許第8,784,443号明細書により詳しく記載されており、両特許を引用により本願に援用する。
【0025】
眼科プラクティス125はまた、1つ以上の診断装置130から、患者135の多次元画像及び/又は測定値を取得し、これらをISPプラットフォーム105に送信するための1つ以上のコンピューティング装置140も含み得る。1つ以上のコンピューティング装置140は、独立型コンピュータ、タブレット及び/又はその他のスマートデバイス、手術コンソール、1つ以上の診断装置130に組み込まれたコンピューティング装置、及び/又はその他のうちの1つ以上であり得る。
【0026】
ISPプラットフォーム105は患者135に関するデータ(例えば、測定値、画像等)を受信し得て、それがすると予測エンジン120によって患者のためにカスタマイズされ、最適化された手術計画の生成に利用され、このようにして患者のための白内障手術の計画と施行を支援する。例えば、前述のように、予測エンジン120は白内障手術のための推奨された水晶体核分割パターン及び/又は装置設定を生成し得る。予測エンジン120は更に、異なるIOLパワーの術後MRSE推定値をユーザに提供することにより、ユーザがIOLを選択するのを支援し得る。したがって、上述の異なる種類の出力を提供することにより、予測エンジン120は術後の患者の転帰を改善するのに役立つ。それに加えて、システム100等の眼科システムを、推奨される水晶体核分割パターン及び/又は装置設定のほか、例えば推奨される水晶体核分割パターン及び装置設定に基づいて外科医が手術を行うことができるようにするための標的及び/又はフィードバックを自動的に提供するように構成することによって、眼科手術の技術的分野だけでなく、眼科手術システム及びコンソール(例えば、手術装置150)を含む眼科システムも改良される。
【0027】
眼科プラクティス125はまた、眼に対する1つ以上の処置、例えば白内障除去、IOL挿入、及び/又はその他を実行するための1つ以上の手術装置150も含み得る。1つ以上の手術装置150は、白内障の事前水晶体核分割のためのレーザシステムを含み得て、これは例えば本願と同じ所有者の“Photodisruptive Laser Fragmentation of Tissue”と題する米国特許第9,427,356号明細書及び“Imaging-Controlled Laser Surgical System”と題する米国特許第9,622,913号明細書により詳しく記載されているレーザシステムであり、両特許の全体を引用により本願に援用する。1つ以上の手術装置150は、超音波と流体工学を利用して水晶体を更に破砕し、眼から白内障を除去する超音波水晶体乳化吸引装置を更に含み得て、これは例えば本願と同じ所有者の“Systems and Methods for Small Bore Aspiration”を開示する米国特許第8,939,927号明細書により詳しく記載されている超音波水晶体乳化吸引システムであり、同特許の全体を引用により本願に援用する。1つ以上の手術装置150はまた手術コンソールとも呼ばれ得て、これにはレーザシステム、超音波水晶体乳化吸引装置、及び/又は追加の眼科処置を行うための他のコンポーネントが組み込まれる。
【0028】
いくつかの例において、ISPプラットフォーム120は、患者のためのカスタム化され、最適化された手術計画を1つ以上の手術装置150に提供する。カスタム化され、最適化された手術計画は、レーザ水晶体核分割処置に関する推奨(例えば、
図2のプロセス215に関して更に説明する)のほか、超音波水晶体乳化吸引術に関する推奨(例えば、
図2のプロセス220に関して更に説明する)、及びその他の推奨を含み得る。レーザ水晶体核分割及び超音波水晶体乳化吸引に関する推奨に基づいて、1つ以上の手術装置150は、外科処置中に設定、パターン、標的、及び/又はフィードバック(例えば、音声、光、及び/又は触覚フィードバック)を(自動的に、又は外科医の確認に応答して)提供するように構成され得る。
【0029】
一例として、これらのレーザ水晶体核分割及び超音波水晶体乳化吸引に関する推奨には、各処置中に使用されることになる推奨される装置設定が含まれ得る。特定の実施形態において、ISPプラットフォーム150から推奨される装置設定を受信した後、手術装置150は、ユーザ、例えば外科医がこの推奨された装置設定を確認した後にそれ自体を再構成し得る。他の例では、ISPプラットフォーム150から推奨される装置設定を受信した後、特定の実施形態において、手術装置150は、推奨された装置設定に基づいてそれ自体を再構成し得る。推奨された装置設定で手術装置150を構成すると、手術装置150はその後、外科医により、対応する患者に対して手術を行うために推奨された装置設定で操作され得る。
【0030】
それに加えて、特定の実施形態において、手術装置150は更に、外科医がレーザ水晶体核分割及び超音波水晶体乳化吸引に関する推奨(例えば、レーザ水晶体核分割パターン等)に従うのを助けるため、又は外科医による手術装置150の使用がレーザ水晶体核分割及び超音波水晶体乳化吸引に関する推奨と確実に一致するようにするのを助けるための標的及び/又はフィードバックを提供し得る。例えば、手術装置150は外科医が確実に推奨されたレーザ水晶体核分割線に沿って分割するのを助けるために、手術装置150のディスプレイ(又は、接続されたディスプレイ、例えばコンピューティング装置140)上で視覚的インディケータを使用し得る。他の例では、外科医が確実に必要以上のレーザパワーを付与することがないように、又は推奨されたレーザパワーを必要以上に長時間付与することがないようにするのを助けるためにフィードバックが使用され得る。
【0031】
いくつかの例において、術中データは手術装置150、診断装置130等から収集され得て、手術処置中の1つ以上の手術装置150からの追跡及び/若しくは記録された術中設定、パラメータ、メトリクス、並びに/又はその他、処置中の眼に関連する画像及び測定値等を含み得る。特定の実施形態において、白内障手術の過程で収集される術中データは、手術中に撮影された手術動画のほか、外科的処置中に機器(例えば、手術装置150、又は関係するあらゆるコンソール)から各種のセンサI/Oパラメータを捕捉する装置ログファイルを含み得るか、又はそれらから導出され得る。手術動画は、機器(例えば、手術装置150、又は関係するあらゆるコンソール)に関連付けられるイメージング及びカメラ装置により撮影され、コンピュータビジョンアルゴリズム及び技術を使って分析できる。
【0032】
すると、追跡及び/又は記録された術中設定、パターン、及び/又はメトリクスは様々な方法で使用され得る。例えば、追跡及び/又は記録された術中設定、パターン、及び/又はメトリクスは、リアルタイムで、1つ以上の訓練されたモデル(例えば、
図2のプロセス240~245に関して後述する第五の1つ以上のモデル)への入力として使用されて、調整されたレーザ水晶体核分割及び超音波水晶体乳化吸引に関する推奨が提供され得る。このような例において、外科的処置中に患者の眼に関するリアルタイムの状態をモニタすることにより、術中データを生成でき、それを使ってレーザ水晶体核分割及び超音波水晶体乳化吸引に関する推奨のダイナミックな更新を提供できる。
【0033】
追跡及び/又は記録された術中設定、パターン、及び/又はメトリクスはまた、患者135に対して行われる外科的処置からの情報を、将来の外科的処置の計画において使用するために組み込むように、予測エンジン120により使用される機械学習モデル(例えば、プロセス215及び220に関連して説明する第一及び第二のモデルセット)を繰り返し訓練及び/又は更新する中で使用されるためにISPプラットフォーム105に送信され得る。いくつかの場合に、追跡及び/又は記録された術中設定、パターン、及び/又はメトリクスはERMデータベース、クラウドベースの記憶レポジトリ等の中に非構造型又は構造型データとして保存される。
【0034】
各患者について(例えば術中に)記録され得る例示的な設定、パラメータ、メトリクスには、レーザ水晶体核分割パラメータ及びメトリクス(例えば、レーザ水晶体核分割線の位置、レーザ水晶体分割線間の距離(可変的であり得る)、レーザ水晶体核分割線に沿ったレーザ治療スポット間の分離距離、曲線の使用(例えば、等密度線を追跡するため)、螺旋若しくはその他のパターンの使用、各レーザ水晶体核分割線に沿った切開深さ、各水晶体核分割線のための(例えば、中心軸480に関する)入射角、吸引総時間、又はレーザ水晶体核分割パターンの特徴を示し得るその他のパラメータが含まれる。各患者について記録され得る例示的な設定、パラメータ、メトリクスはまた、レーザ装置設定(例えば、レーザの周波数、レーザのパワーレベル、レーザ水晶体核分割線に沿ったレーザ速度、レーザの種類)も含み得る。各患者について記録され得る例示的な設定、パラメータ、メトリクスはまた、レーザカットの全長(例えば、レーザ水晶体核分割線の全長、レーザ水晶体核分割のための総時間、消費されたレーザエネルギの総量、及び/又はその他)も含み得る。
【0035】
各患者について(例えば術中に)記録され得る例示的な設定、パラメータ、メトリクスはまた、超音波水晶体乳化吸引に関するパラメータ及びメトリクス(例えば、眼の白内障及び/又は水晶体内の、超音波切開及び/又は水晶体核分割エネルギ及び/又は乳化が行われる1つ以上の標的の位置、超音波水晶体乳化吸引の総時間、超音波エネルギの総量、適用される流体の総体積、レーザスポットの総数、超音波水晶体乳化吸引のために消費される超音波エネルギ総量、水晶体球委任使用される時間の長さ、吸引に使用される流体の量等)も含み得る。各患者について記録され得る例示的な設定、パラメータ、メトリクスはまた、超音波水晶体乳化吸引装置設定(例えば、超音波の周波数、超音波のパワーレベル、超音波の付与時間、適用される流体の流量及び/又は体積、適用される流体の圧力)も含み得る。
【0036】
1つ以上の診断装置130は更に、患者135の術後測定値を患者が白内障除去及び選択されたIOLを用いたIOL挿入を受けた後に取得するために使用され得る。1つ以上のコンピューティング装置140はすると、後でより詳しく説明するように、患者135の術後多次元画像及び/又は測定値並びに選択されたIOLを、将来の患者に使用するために患者135に関連する術後情報を組み込むように予測エンジン120が使用するモデルを繰り返し訓練及び/又は更新するISPプラットフォーム105に送信し得る。
【0037】
手術計画により提供される推奨は、1つ以上のコンピューティング装置140及び/又はその他のコンピューティング装置、ディスプレイ、手術コンソール、及び/又はその他上に表示され得る。追加的に、ISPプラットフォーム105及び/又は1つ以上のコンピューティング装置140は、後でより詳しく説明するように、測定値の中で患者135の体内の様々な特徴を域別し得る。更に、ISPプラットフォーム105及び/又は1つ以上のコンピューティング装置140は、手術計画策定プロセスを更に支援するために、外科医又はその他のユーザに対して表示されるように、患者の体内構造、処置計画、及び/又は測定された特徴を識別、ハイライト、及び/又はそれ以外の方法で描写するグラフィカル要素を創出し得る。ISPプラットフォーム105及び/又は1つ以上のコンピューティング装置140は、測定値をグラフィカル要素で補足し得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、ISPプラットフォーム105は、1つ以上の手術装置150のための推奨されるパターンと設定及び/又は推定術後MRSEを使用する最適化された手術計画を策定し、それを眼科プラクティス125に提供する手術プランナ160を更に含み得る。いくつかの実施形態において、システム100は独立型の手術プランナ170を更に含み得て、及び/又は眼科プラクティス125は1つ以上のコンピューティング装置140上に手術プランナモジュール180を更に含み得て、これらについては後で更に詳しく述べる。
【0039】
上述され、ここで更に強調されているように、
図1は、特許請求の範囲を不当に制限するべきではない単なる例に過ぎない。当業者であれば、多くの変形、代替、及び修正を認識するであろう。いくつかの実施形態によれば、ISPプラットフォーム105及び/又はその1つ以上のコンポーネント、例えばデータベース155、予測エンジン120、及び/又は手術プランナ160は、眼科プラクティス125のうちの1つ以上の装置に組み込まれ得る。いくつかの例において、1つ以上のコンピューティング装置140はISPプラットフォーム105、データベース155、予測エンジン120、及び/又は手術プランナ160をホストし得る。いくつかの実施例では、手術プランナ160は、手術プランナ180と組み合わされてもよい。
【0040】
ISPプラットフォーム105、1つ以上の診断装置130のうちの少なくとも1つ、1つ以上のコンピューティング装置140のうちの少なくとも1つ、1つ以上の手術装置150のうちの少なくとも1つの集合は、本明細書に記載の実施形態の1つ以上を実現するように機能する眼科手術システムと呼ばれ得る点に留意されたい。
【0041】
図2A~2Bは、いくつかの実施形態による白内障を除去する方法200の図を示す。方法200のプロセス205~265のうちの1つ以上は、少なくとも一部に、非一時的有形機械可読媒体上に記憶された実行可能なコードの形態で実装され得て、これは、1つ以上のプロセッサ(例えば、予測エンジン120、ISPプラットフォーム105、1つ以上の診断装置130、1つ以上のコンピューティング装置140、1つ以上の手術装置150、及び/又は手術プランナ160、170、及び/若しくは180のうちの1つ以上のプロセッサ)により実行されると、1つ以上のプロセッサにプロセス205~265のうちの1つ以上を実行させ得る。いくつかの実施形態によれば、プロセス240はプロセス235と同時に行われ得る。いくつかの実施形態によれば、プロセス215はプロセス210の前及び/又はプロセス210と同時に行われ得る。更に、シーケンス
図200は、図示されたステップの各々又はそれだけを実行しなくてはならないわけではなく、示されているステップを何れかの特定の順序で実行することに限定されない。
【0042】
プロセス205で、患者の術前情報が取得される。いくつかの実施形態によれば、患者の術前情報は、患者、白内障を除去する方の眼、白内障、及び/又はその他に関する情報を含み得る。例えば、特定の実施形態において、術前情報は眼の1つ以上の術前画像(イメージングデータとも呼ばれる)及び/又は1つ以上の術前測定値を含む。いくつかの例において、1つ以上の術前画像は診断装置、例えば1つ以上の診断装置130(例えば、OCT装置、回転(例えばシャインプルーフ)カメラ、MRI装置、3次元立体デジタル顕微鏡(NGENUITY(登録商標)3D Visualization System(Alcon Inc.、スイス)及び/又はその他)を使って取得される眼の1つ以上の術前画像から抽出され得る。いくつかの例において、1つ以上の術前画像は過去に取得され、データベース(例えば、データベース155)、ISPプラットフォーム105及び/又は眼科プラクティス125内の保持記憶、及び/又はその他から読み出され得る。
【0043】
特定の実施形態において、眼の1つ以上の術前測定値は1つ以上の術前画像から特定され得る。特定の実施形態において、術前測定値の1つ以上は、1つ以上の測定装置、例えば1つ以上の診断装置130を使って特定され得る。眼の術前測定値について、本明細書ではいくつかの実施形態により、眼300の略図である
図3に関して説明されている。
図3に示されるように、眼300は、角膜310、前眼房320、及び水晶体330を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、眼300の対象となる1つの測定値は、角膜310の白から白までの直径である。いくつかの実施例では、角膜310の白から白までの直径は、光学バイオメータを使用して測定することができる。いくつかの例において、角膜310の白から白までの直径は、眼300の1つ以上の術前画像を分析することによって特定され得る。いくつかの例において、1つ以上の術前画像を分析して、前眼房320の鼻角及び側頭角、それぞれ340及び350を識別し得る。いくつかの例において、前眼房320の鼻角340と側頭角350は1つ以上の術前画像から、(1)前眼房320を示す構造を識別し(例えば、1つ以上の辺縁検出及び/又は領域検出アルゴリズムを使用)、(2)前眼房320の側頭又は鼻方向への延長部に向かって位置する前眼房320の辺縁部の鋭角に留意することにより特定され得る。いったん特定されると、鼻角340と側頭角350との間の距離を測定して、角膜310の白から白までの直径を判定することができ、これは鼻角340と側頭角350との間の線360の長さに対応する。
【0045】
いくつかの実施形態では、眼300の対象となる1つの測定値は、角膜310の前面の平均角膜測定値又は真円度である。いくつかの例において、角膜310の平均角膜測定値は、眼300の1つ以上の術前画像及び/又はその他を使って測定され得る。いくつかの例において、角膜310の平均角膜測定値は、急勾配角膜測定と浅部角膜測定による測定値の平均に基づき得る。いくつかの実施例では、角膜310の平均角膜測定値は、437.5を平均角膜測定値で割った、角膜310の曲率半径(rc)として表され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、眼300からの対象となる1つの測定値は、眼300の中心軸380に沿って角膜310の前面から網膜まで測定された眼300の軸長370である。いくつかの実施例では、軸長370は、眼300の1つ以上の画像、眼の生体測定値などを使用して判定され得る。
【0047】
特定の実施形態において、患者の眼の1つ以上の術前画像に加えて、患者の治療歴もまた術前情報の一部として取得され得る。いくつかの例において、患者の治療歴は眼に直接関係しない、患者の、関連性のある1つ以上の生理学的測定値を含み得て、これは例えば年齢、身長、体重、肥満度指数、遺伝的体質、人種、民族性、性別、血圧、その他の人口と佑医的及び健康関連の情報、及び/又はその他である。いくつかの例において、患者の治療歴は、喫煙歴、糖尿病、心臓病、その他の基礎疾患、過去の手術、及びその他を含む、関連性のある1つ以上のリスク要因、並びに/又はこれらのリスク要因のうちの1つ以上に関する家族歴を更に含み得る。
【0048】
プロセス210で、眼の水晶体密度マップは、患者の術前情報(例えば、1つ以上の術前画像)に基づいて特定される。いくつかの例において、1つ以上の画像の中の各ピクセル及び/又はボクセルの強度は、1つ以上の画像により捕捉された眼の水晶体の対応する部分の密度を特定するために使用され得る。これらの技術の例は、本願と同じ所有者の“Adjusting Laser Energy in Accordance with Optical Densityを開示する米国特許第10,314,747号明細書及び“Diagnosis System and Diagnosis Method”を開示する米国特許第10,433,722号明細書により詳しく記載されており、両特許の全体を引用により本願に援用する。特定の実施形態において、白内障の種類(例えば、核、後嚢、前嚢白内障)が水晶体密度マップに基づいて特定される。
【0049】
プロセス215で、レーザ水晶体核分割処置のための1つ以上の推奨が特定される。特定の実施形態において、レーザ水晶体核分割処置のための1つ以上の推奨は、プロセス205で得られた術前情報及び/又はプロセス210で特定された水晶体密度マップ(白内障の種類に関する情報を含む)に基づいて特定される。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の推奨は、眼の白内障及び/又は水晶体全体を通じてレーザ、例えばフェムトセカンドレーザで追跡すべきレーザ水晶体核分割パターンの推奨を含み得る。レーザ水晶体核分割パターンは、レーザにより追跡すべきレーザ水晶体核分割線のパターンとも呼ばれる。いくつかの例において、レーザ水晶体核分割パターンに関する推奨は以下のうちの1つ以上を含み得る:
・レーザ水晶体核分割線の位置と向き
例えば、水平、垂直、斜め
・レーザ水晶体核分割線間の距離(可変的であり得る)
・レーザ水晶体核分割戦に沿ったレーザ処理スポット間の分離距離
・曲線の使用(例えば、等密度線を追跡するため)
・螺旋又はその他のパターンの使用
・各水晶体核分割線に沿った切開の深さ
・各水晶体核分割線の(例えば中心軸480に関する)入射角
・レーザ水晶体核分割パターンの1つ以上の特徴に関係するその他のパラメータ
【0050】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の推奨は、レーザ水晶体核分割線に沿った1つ以上の制御点でのレーザ装置の1つ以上の装置設定を含み得る。いくつかの例では、設定は以下の1つ以上を含み得る:
・レーザの周波数
・レーザのパワーレベル
・レーザ水晶体核分割線に沿ったレーザ速度
・レーザの種類
【0051】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の推奨はレーザ水晶体核分割処置のための1つ以上の推定を含み得る。いくつかの例において、1つ以上の推定は、レーザカットの全長(例えば、レーザ水晶体核分割パターンの全長、レーザ水晶体核分割の総時間、レーザエネルギ総量、及び/又はその他)のうちの1つ以上を含み得る。
【0052】
いくつかの例では、第一の1つ以上のモデル、例えば予測エンジン120の機械学習モデルのうちの1つ以上は、水晶体核分割線のバターン、1つ以上の設定、及び/又は1つ以上の推定を水晶体密度マップ及び/又は術前情報の何れかの組合せに基づいて特定するために使用され得る。いくつかの例では、診断訓練データソース110により提供される、前述したような、過去の患者に関連する訓練データを使って第一の1つ以上のモデルを訓練するために各種の学習アルゴリズムが使用され得る。例えば、教師付き、教師なし、又はその他の種類の機械学習アルゴリズムを使って第一の1つ以上のモデルを訓練し得る。いくつかの例では、第一の1つ以上のモデルは各々、訓練データを使って訓練されたニューラルネットワーク(例えば、リカレントニューラルネットワーク)を含み得る。
【0053】
特定の実施形態において、第一の1つ以上のモデルは、術後手術結果の指標となる術後調査スコアがなるべく高くなるような水晶体核分割線のパラメータ、設定、及び/又は推定を特定するように訓練され得る。術後調査スコアをなるべく高くするために、第一の1つ以上のモデルは、吸引時間、レーザエネルギ総量、レーザスポットの数、レーザパターン線の全長、超音波水晶体乳化吸引術に必要な時間、超音波水晶体乳化吸引術に必要な超音波エネルギの総量、水晶体を吸引するのに必要な時間、吸引に必要な流体の量等の特徴を最適化し、それについて訓練され得る。
【0054】
プロセス220で、超音波水晶体乳化吸引のための1つ以上の推奨が特定される。特定の実施形態において、超音波水晶体乳化吸引処置のための1つ以上の推奨は、水晶体密度マップ(白内障の種類に関する情報を含む)及び/又はプロセス215で提供されたレーザ処置のための推奨に基づいて特定される。いくつかの実施形態によれば、1つ以上の推奨は、眼の白内障及び/又は水晶体の中の、超音波切開及び/又は水晶体核分割エネルギ及び/又は乳化流体を付与すべき1つ以上の標的の位置に関する1つ以上の推奨を含み得る。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の推奨は標的の各々における超音波水晶体乳化吸引術のための1つ以上の設定を含み得る。いくつかの例では、1つ以上の設定は以下のうちの1つ以上を含み得る:
・超音波の周波数
・超音波のパワーレベル
・超音波付与時間
・適用する流体の流量及び/又は体積
・適用される流体の圧力
【0056】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上の推奨は超音波水晶体乳化吸引術に関する1つ以上の推定を含み得る。いくつかの例では、1つ以上の推定は、超音波水晶体乳化吸引の総時間、超音波エネルギの総量、適用される流体の総量、及び/又はその他を含み得る。
【0057】
いくつかの例において、第二の1つ以上のモデル、例えば予測エンジン120の機械学習モデルのうち1つ以上は、水晶体密度マップ及び/又は術前情報の何れかの組合せ、及び/又はプロセス215で提供されたレーザ処置に関する推奨に基づいて超音波水晶体乳化吸引の標的、1つ以上の設定、及び/又は1つ以上の推定を特定するために使用され得る。いくつかの例において、診断訓練データソース110により提供される、前述したような、過去の患者に関連する訓練データを使って第二の1つ以上のモデルを訓練するために各種の学習アルゴリズムが使用され得る。例えば、教師付き、教師なし、又はその他の種類の機械学習アルゴリズムを使って第二の1つ以上のモデルを訓練し得る。いくつかの例では、第二の1つ以上のモデルは各々、訓練データを使って訓練されたニューラルネットワーク(例えば、リカレントニューラルネットワーク)を含み得る。
【0058】
特定の実施形態において、第二の1つ以上のモデルは、術後手術結果の指標となる術後調査スコアがなるべく高くなるような超音波水晶体乳化吸引の標的、設定、及び/又は推定を特定するように訓練され得る。術後調査スコアをなるべく高くするために、第一の1つ以上のモデルは、吸引時間、レーザエネルギ総量、レーザスポットの数、レーザパターン線の全長、超音波水晶体乳化吸引術に必要な時間、超音波水晶体乳化吸引術に必要な超音波エネルギの総量、水晶体を吸引するのに必要な時間、吸引に必要な流体の量等の特徴を最適化し、それについて訓練され得る。
【0059】
プロセス225で、白内障除去処置の計画が策定される。いくつかの例では、プロセス215及び/若しくは220からの推奨及び/又はプロセス205中に得られた術前情報は手術プランナ、例えば手術プランナ160、170、及び/又は180のうちの1つ以上に提供され得る。いくつかの例では、手術プランナは、プロセス210及び/若しくは215からの推奨及び/又は術前情報を含む手術計画を外科医に対して表示するユーザインターフェースを含み得る。例えば、手術プランナは、それぞれプロセス210及び215中に特定されたレーザ水晶体核分割パターンの線及び/又は標的を、眼及び/又は白内障の1つ以上の画像(例えば、プロセス205中に取得)の上に重ねて表示し得る。いくつかの例において、ユーザインターフェースは更に、プロセス210及び/又は215中に生成された設定及び/又は推定の何れかを表示し得る。いくつかの例では、設定はユーザがレーザ水晶体核分割線及び/又は標的上にマウスを動かし、及び/又はそこでクリックすると表示され得る。いくつかの例では、ユーザインターフェースにより、ユーザはレーザ水晶体核分割線及び/若しくは標的の位置を変更し、並びに/又は設定の何れかを変更でき得る。
【0060】
いくつかの例において、手術プランナは、例えばプロセス215及び/又は220の一部を繰り返すことによって、レーザ水晶体核分割線、標的、及び/又は設定に対する変化に基づいて推奨、設定、及び推定の何れかを特定し直し得る。特定の実施形態において、第三の1つ以上のモデル、例えば予測エンジン120の機械学習モデルの1つ以上は、レーザ水晶体核分割線、標的、及び/又は設定の変更に基づいて推奨、設定、及び推定を特定し直すために使用され得る。換言すれば、第三の1つ以上のモデルは、入力として変更済みのレーザ水晶体核分割線、標的、及び/又は設定を受け入れて、入力に基づいてレーザ水晶体核分割線、標的、及び/又は設定を出力するように訓練され得る。
【0061】
前述のように、外科医は超音波水晶体乳化吸引及び水晶体体物質の吸引のための選好パターンを有し得る。例えば、外科医は、特定の繰返し可能なパイスライスパターンで超音波水晶体乳化吸引及び水晶体物質の吸引を完遂するように訓練されているかもしれない。外科医は、第一のパイスライスを乳化させて、そこから水晶体物質を除去し、水晶体の次のスライスへと移動して確実に各領域が適切に乳化、吸引されるようにすることに慣れている可能性がある。したがって、手術プランナ160、170、及び/又は180のうちの1つ以上は、外科医又はその他の眼科専門医が、外科医が通常利用する繰返し可能なパターン(例えば、パイスライスパターン)に適合する事前に生成された、又はカスタムメイドの超音波水晶体乳化吸引パターン及び推奨される水晶体核分割パターンを選択するための選択肢を含むことができる。
【0062】
推奨される水晶体核分割パターンに加えて、本願の技術は、どのスライスをレーザエネルギで処理すべきか、各スライスに専用のレーザエネルギをどれだけにすべきか、各スライスの各領域にどれだけの超音波パワーを送達すべきか(例えば、推奨されたレーザエネルギの量が特定のスライスに送達された後に必要な予測超音波パワーに基づく)等に関する推奨を含むことができる。例えば、いくつかの場合に、レンズのプレコンディショニングのためのレーザエネルギ総量のほか、所望の超音波水晶体乳化吸引パターン(例えば、パイスライス)を指定できる。レーザエネルギ総量は、外科医又はその他の医療従事者によって選択でき、又は予測エンジン120により処理された過去のデータに基づく推奨値とすることができる。例えば、予測エンジン120は、気泡生成削減閾値及び/又は気泡生成によるマイナスの手術結果の排除の定量化に基づいて、レーザエネルギ総量を推奨できる。手術プランナ160、170、及び/又は180のうちの1つ以上は、明示された水晶体核分割パターン、選択された、及び/若しくは推奨されたレーザエネルギ総量、及び/又は水晶体密度マップを使って、最適な超音波水晶体乳化吸引のために水晶体のうち最もそれを必要とする領域のプレコンディショニングを行うために、レーザエネルギの効率を最適化するように白内障の様々な領域にどれだけのレーザエネルギを付与すべきかを推奨することができる。
【0063】
他のいくつかの場合には(選好による超音波水晶体乳化吸引及び吸引パターンがないこともある)、最適化された手術計画は、前述のように、水晶体密度マップ並びに、外科医により選択される、及び/又は予測エンジン120により推奨される各種の手術最適化基準(例えば、吸引時間の短縮、レーザエネルギ総量の削減等)に基づいて、カスタム化された水晶体核分割パターン及び装置設定を推奨できる。1つ以上の手術プランナ160、170、及び/又は180は、(選好による超音波水晶体乳化吸引パターンがなくても)最適な超音波水晶体乳化吸引のために水晶体のうちの最もそれを必要とする領域のプレコンディショニングを行うために、カスタム化された水晶体核分割パターン及び最適化基準を使用することを推奨できる。
【0064】
プロセス230で、術後MRSEが、例えばあるIOLパワーの組合せの各々について、プロセス205中に得られた術前情報に基づいて推定される。プロセス250は、プロセス210の前又は後に行われ得る点に留意されたい。特定の実施形態において、術後MRSEは、市販されている複数のIOLパワーの各々について、患者の術前測定値及び/又は画像(患者の眼軸長、角膜曲率、前房深度、角膜の白から白までの直径、水晶体の厚さ、有効なレンズ位置(それ自体がこれらの術前測定値のうちの1つ以上に基づいて計算される)等を含む)に基づいて推定され得る。このような実施形態では、外科医は、IOLパワーのどれが所望の屈折力の結果に最も近い術後MRSEをもたらと推定されるかを確かめることができる。他の特定の実施形態において、術後MRSEは、外科医が選択した特定のIOLパワーについて推定され得る。このような実施形態において、推定された術後MRSEが所望の屈折率の結果に最も近いと推定された場合、外科医は、選択されたIOLパワーが患者にとって満足できる屈折力の結果をもたらす可能性が高いと判断し得る。
【0065】
術後MRSEの推定において、あるIOLパワーをどのように使用するかの例は、本願と同じ所有者の2018年10月26日に出願された、“Systems and Methods for Intraocular Lens Selection”と題する米国特許出願第16/171,515号明細書及び2020年1月17日に出願された、“Systems and Methods for Intraocular Lens Selection Using Emmetropia Zone Prediction”と題する米国特許出願第16/746,231号明細書及び2019年1月4日に出願された、“Systems and Methods for Intraocular Lens Selection”と題する米国特許出願第16/239,771号明細書により詳しく記載されており、これらの特許のすべての全体を引用により本願に援用する。術後MRSEはディオプトリ(D)で示される。いくつかの例では、第四の1つ以上のモデル、予測エンジン120のモデルのうちの1つ以上は、例えば特定の患者にとっての、例えばIOLパワーのある組合せの各々に関する術後MRSEを推定するために使用され得る。特定の実施形態において、第四の1つ以上のモデルは、過去の患者術前情報(例えば、術前画像及び/又は測定値、患者病歴等)及び術後結果に基づいて訓練され得る。例えば、IOLパワー計算の種類に応じて、第四の1つ以上のモデルを訓練するために使用される例示的な術前測定値は、患者の眼軸長、角膜曲率、前房深度、角膜の白から白までの直径、水晶体の厚さ、有効なレンズ位置(それ自体がこれらの術前測定値のうちの1つ以上に基づいて計算される)等のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの例において、診断訓練データソース110により提供される、前述のような、前述の過去の患者に関連する訓練データを使って第四の1つ以上のモデルを訓練するために、各種の学習アルゴリズムが使用され得る。例えば、教師付き、教師なし、又は他の種類の機械学習アルゴリズムが第四の1つ以上のモデルを訓練するために使用され得る。いくつかの例において、第四の1つ以上のモデルは各々、過去の患者の眼及び/又は白内障除去からのデータを使って訓練されるニューラルネットワーク(例えば、リカレントニューラルネットワーク)を含み得る。
【0066】
プロセス235で、白内障除去処置が行われる。いくつかの例において、白内障除去処置はプロセス220で提供された最適化された手術計画にしたがって行われる。いくつかの例において、レーザは、プロセス215により推奨された、対応する1つ以上の設定を使って水晶体核分割パターンを辿るために使用され得る。いくつかの例において、レーザ水晶体核分割が外科医により主導される場合、手術計画は前述のように、外科医がレーザを誘導するのを助けるための音声、視覚、及び/又は触覚フィードバックを提供するために使用され得る。レーザ及びレーザシステムの例は、本願と同じ所有者の“Photodisruptive Laser Fragmentation of Tissue”を開示する米国特許第9,427,356号明細書及び“Imaging-Controlled Laser Surgical System”を開示する米国特許第9,622,913号明細書により詳しく記載されており、両特許の全体を引用により本願に援用する。いくつかの例において、超音波水晶体乳化吸引装置は、標的に超音波エネルギを付与し、その後適用された流体を使って白内障及び/又は水晶体の破砕片を除去するために使用され得る。いくつかの例において、超音波水晶体乳化吸引が外科医により主導される場合、手術計画は、外科甥が超音波水晶体乳化吸引装置を誘導するのを助けるための音響、視覚、及び/又は触覚フィードバックを提供するために使用され得る。
【0067】
任意選択的プロセス240で、術中データが収集される。特定の実施形態において、術中データは白内障除去処置に使用される設定、パラメータ、及び/又はメトリクスを指す。プロセス240はプロセス235と同時に行われ得て、それによってプロセス235中に白内障除去処置が行われているときに、1つ以上の設定、パラメータ、及びメトリクスが追跡され、記録される。
【0068】
特定の実施形態において、白内障手術の過程で収集される術中データは、手術中に撮影される手術動画のほか、外科的処置中に機器(例えば、手術装置150、又は関連する何れかのコンソール)からの各種のセンサ入力/出力パラメータを捕捉する装置ログファイルを含み、又はそこから導出され得る。手術動画は、機器(例えば、手術装置150、又は関係する何れかのコンソール)に関連するイメージング及びカメラ装置により撮影し、コンピュータビジョンアルゴリズム及び技術を使って分析できる。収集される術中データは、本明細書に記載のモデルの入力及び出力に関係する何れのデータポイント又はメトリクスも含み得る。例えば、術中データは、時間スタンプ付きの眼関連情報、例えば処置の施行中の眼の何れかの局面(例えば、組織、水晶体、その他の構成要素等)の変化、処置(例えば、レーザ水晶体核分割及び/又は超音波水晶体乳化吸引)中に収集される時間スタンプ付きの設定、パラメータ、メトリクスを含み得る。
【0069】
各患者について記録される例示的な設定、パラメータ、メトリクスは、レーザ水晶体核分割パラメータ及びメトリクス(例えば、レーザ水晶体核分割線の位置と向き、レーザ水晶体核分割線間の距離(可変的であり得る)、レーザ水晶体核分割線に沿ったレーザ処理スポット間の分離距離、曲線の使用(例えば、等密度線を追跡するため)、螺旋若しくはその他のパターンの使用、各レーザ水晶体核分割線に沿った切開深さ、各水晶体核分割線の(例えば、中心軸480に関する)入射角、吸引総時間、又はレーザ水晶体核分割パターンの特徴を示し得るその他のパラメータを含む。各患者について記録され得る例示的な設定、パラメータ、メトリクスはまた、レーザ装置設定(例えば、レーザの周波数、レーザのパワーレベル、レーザ水晶体核分割戦に沿ったレーザの速度、レーザの種類)も含み得る。各患者について記録され得る例示的な設定、パラメータ、メトリクスはまた、レーザカットの全長(例えば、レーザ水晶体核分割パターンの線の全長、レーザ水晶体核分割の総時間、消費されるレーザエネルギ総量、及び/又はその他)も含み得る。
【0070】
各患者について記録され得る例示的な設定、パラメータ、メトリクスはまた、超音波水晶体乳化吸引術に関するパラメータとメトリクス(例えば、眼の白内障及び/又は水晶体の中の、超音波切開及び/又は水晶体核分割エネルギ及び/又は乳化が行われる1つ以上の標的の位置、超音波水晶体乳化吸引の総時間、超音波エネルギ総量、適用される流体の総量、レーザスポットの総数、超音波水晶体乳化吸引に消費される超音波エネルギ総量、水晶体吸引に使われる時間の長さ、吸引に使用される流体の量等)も含み得る。各患者について記録され得る例示的な設定、パラメータ、メトリクスはまた、超音波水晶体乳化吸引装置設定(例えば、超音波の周波数、超音波のパワーレベル、超音波付与時間、適用される流体の流量及び/又は体積、適用される流体の圧力)も含み得る。
【0071】
特定の実施形態において、術中データは1つ以上の術中画像及び/又は測定値を含み得る。1つ以上の術中画像及び/又は測定値は、処置が行われているときの、水晶体が完全に除去される前の眼の画像及び/又は測定値を含み得る。1つ以上の術中画像及び/又は測定値はまた、無水晶体眼の術中画像及び/又は測定値も含み得る。例えば、術中光学測定装置130(例えば、Ora(商標)with Verifeye(商標)(Alcon Inc.、スイス)は眼の術中測定値を提供するために使用され、これには角膜曲率、眼軸長、角膜の色から白までの直径等のうちの1つ以上を含む。
【0072】
任意選択的プロセス245で、レーザ水晶体核分割処置の推奨及び/又は超音波水晶体乳化吸引処置の推奨は、任意選択的プロセス240で収集された術中データに基づいて調整される。プロセス245は、プロセス235及び240と同時に行われ得る。例えば、術中データは、調整された推奨を提供するための第五の1つ以上のモデルに入力として提供される。プロセス215及び220により提供される推奨を調整することは、収集された術中データによりこのような推奨が最適と言えないものになり得るため、有利であり得る。例えば、特定のケースにおいて、眼に関連付けられる術中画像は、術前にはわからなかった、及び又は完全に正確とはかぎらないデータポイントを提供し得る。それに加えて、プロセス215及び220により提供される推奨は、患者の眼に予想外の方法で影響を与え得る。また、外科医はプロセス215及び220により提供される推奨の一部に完全には従わないかも入れず、それによってプロセス215及び220により提供される推奨のそれ以外の部分が最適できなく、又は無益となり得る。したがって、第五の1つ以上のモデルは、処置中に連続的及び定期的に時間スタンプ付き術中データを入力として受け入れ、調整済み又は更新されたレーザ水晶体核分割処置に関する推奨及び/又は超音波水晶体乳化吸引処置に関する推奨を提供し得る。
【0073】
第五の1つ以上のモデルは、1つ以上の強化学習モデルを含み得る。強化学習(RL:reinforcement learning)は、実世界の状況の変化に応答し、累積報酬の概念を最大にするための行動をとることができる知的エージェントを設計することが係わる機械学習の分野である。知的エージェントは、(A)方策と(B)方策を更新するためのアルゴリズム(例えば、強化学習アルゴリズム)を含む。方策とは、ある状態観察集合(すなわち、それが眼及び使用される手術装置に関係する環境の状態)に関してとるべき行動(すなわち、処置中に使用されるパラメータ、設定、メトリクスの点ででの推奨を提供すべきか)を決定するモデル(例えば、深層ニューラルネットワーク又はより単純な教師付き学習モデルの場合がある)である。換言すれば、方策は、状態観察を取り込んで、それらを行動にマッピングするエージェントの脳である。RLアルゴリズムは方策を、方策が最善の行動とるように正しくマッピングされていないかもしれないか、又は環境(例えば、前述の術中データから得られる全てのデータポイントにより定義される)が変化して、マッピングが最適でなくなるかもしれないときに更新する。RLアルゴリズムは、とられた行動、環境からの観察、及び後述の報酬関数により特定される集められた報酬の量に基づいて方策を変える。したがって、RLアルゴリズムを使用して、アルゴリズムはそれが環境と相互作用するときにその方策を修正し、それによって、結果的に、何れの状態でも長期的に最大の報酬に対応する最も有利な行動を常にとる。
【0074】
プロセス250で、術後MRSEは、例えばあるIOLパワーの組合せの各々について、プロセス245中に得た術中情報に基づいて推定される。特定の実施形態において、術後MRSEは例えば市販されている複数のIOLパワーの各々について推定され得る。このような実施形態において、外科医はIOLパワーのどれが、所望の屈折力の結果に最も近い術後MRSEをもたらすと推定されるかを確認でき得る。他の特定の実施形態において、術後MRSEは外科医により選択された特定のIOLパワーについて推定され得る。このような実施形態では、推定された術後MRSEが所望の屈折力の結果に最も近い場合、外科医は、選択されたIOLパワーが患者にとって満足できる屈折力の結果をもたらす可能性が高いことを特定し得る。
【0075】
特定の実施形態において、1つ以上の術後MRSEは、患者について、軸長、角膜曲率、前房深度、角膜の白から白までの直径、水晶体の厚さ、有効なレンズ位置のうちの1つ以上を含む患者の無水晶体測定値に基づいて術中に推定される。いくつかの例において、プロセス250で患者の術中測定値に基づいて計算された1つ以上の術後MRSEは、プロセス230での患者の術前測定値に基づいて計算された1つ以上の術後MRSEとは異なり得る。このような例では、外科医はIOLパワーを、患者の術中測定値を使って計算された1つ以上の術後MRSEに基づいて選択し、それ以前に選択されたIOLパワーを無視し得る。したがって、Ora(商標)with Verifeye(商標)(Alcon Inc.、スイス)等の装置を使用して術中測定を実行することは、最適なIOLパワーが確実に使用され、満足できる屈折力の結果が得られるようにするために有利である。
【0076】
特定の実施形態において、第六の1つ以上のモデルは、過去の患者術中情報及び術後結果に基づいて訓練され得る。いくつかの例において、診断訓練データソース110により提供される、前述のような、過去の患者に関連付けられる訓練データを使って第六の1つ以上のモデルを訓練するために、各種の学習アルゴリズムが使用され得る。例えば、教師付き、教師なし、又はその他の種類の機械学習アルゴリズムは、第六の1つ以上のモデルを訓練するために使用され得る。いくつかの例では、第六の1つ以上のモデルは各々、過去の患者の眼及び/又は白内障除去からのデータを使って訓練されるニューラルネットワーク(例えば、リカレントニューラルネットワーク)を含み得る。
【0077】
プロセス255で、分割され、除去された水晶体と置き換えるための、選択されたIOLパワーのIOLを挿入するためにレンズ挿入処置が行われる。
【0078】
任意選択的プロセス260で、眼の1つ以上の術後測定値が得られ、及び/又は術後満足度スコアが記録される。いくつかの例において、1つ以上の術後測定値は、プロセス255中にIOLを挿入した後の実際の術後MRSE及び/又はその他を含み得る。いくつかの例において、実際の術後MRSEは術後眼の1つ以上の画像、術後眼の1つ以上の生理学的及び/若しくは光学的測定値、及び/又はその他に基づいて特定され得る。
【0079】
プロセス265で、方法200により使用される第一、第二、第三、第四、第五、及び/又は第六のモデル群が更新される。いくつかの例において、プロセス205中に特定された術前情報、プロセス210で特定された水晶体密度マップ、プロセス240中に記録された設定、パラメータ、及びメトリクス、プロセス245中に取得された1つ以上の術中測定値、プロセス260中に取得された1つ以上の術後測定値、並びに/又はその他が、第一、第二、第三、第四、第五、及び/又は第六のモデル群の何れについても追加の訓練データとして使用され得る。いくつかの実施例では、追加の訓練データは、データソース110などのデータソースに追加することができる。いくつかの実施例では、更新には、最小二乗適合の更新、ニューラルネットワークへのフィードバック(例えば、逆伝播を使用して)などのうちの1つ以上を含み得る。
【0080】
図4A及び
図4Bは、いくつかの実施形態による処理システムの図である。
図4A及び4Bには2つの実施形態を示しているが、当業者であればまた、他のシステムの実施形態も可能であることを容易に理解するであろう。いくつかの実施形態によれば、
図4A及び/又は4Bの処理システムは、IOL選択及び処置計画プラットフォーム105、眼科プラクティス125、予測エンジン120、1つ以上の診断装置130、1つ以上のコンピューティング装置140、手術プランナ160、170、及び/若しくは180の何れか、並びに/又はその他のうちの1つ以上に含まれ得るコンピューティングシステムを表す。
【0081】
図4Aは、システム400の構成要素がバス405を用いて互いに電気通信しているコンピューティングシステム400を示している。システム400は、プロセッサ410と、読み出し専用メモリ(ROM)420、ランダムアクセスメモリ(RAM)425等の形態のメモリ(例えば、PROM、EPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、及び/又は他のメモリチップ若しくはカートリッジ)を含む様々なシステム構成要素をプロセッサ410に結合するシステムバス405と、を含む。システム400は更に、プロセッサ410に直接接続されるか、近接しているか、又はプロセッサ410の一部として統合されている、高速メモリのキャッシュ412を含んでいてもよい。システム400は、ROM 420、RAM 425、及び/又は1つ以上の記憶装置430内に保存されたデータに、プロセッサ410による高速アクセスのためにキャッシュ412を通じてアクセスし得る。いくつかの例では、キャッシュ412は、プロセッサ410がキャッシュ412に過去に保存されたメモリ415、ROM 420、RAM 425、及び/又は1つ以上の記憶装置430からのデータにアクセスする際の遅延を回避するパフォーマンスの向上を提供し得る。いくつかの実施例において、1つ以上の記憶装置430は、1つ以上のソフトウェアモジュール(例えば、ソフトウェアモジュール432、434、436等)を記憶する。ソフトウェアモジュール432、434、及び/又は436は、方法200及び/又は300のプロセスなどの様々なアクションを実行するために、プロセッサ410を制御し、及び/又は制御するように構成されてもよい。また、システム400は1つのプロセッサ410のみを示しているが、プロセッサ410は、1つ以上の中央処理装置(CPU)、マルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、テンソル処理ユニット(TPU)等を代表してもよいことが理解されよう。いくつかの実施例において、システム400は、スタンドアロンサブシステムとして、及び/又はコンピューティング装置に追加されたボードとして、若しくは仮想マシンとして実装されてもよい。
【0082】
ユーザがシステム400と対話するのを可能にするために、システム400は、1つ以上の通信インターフェース440及び/又は1つ以上の入出力(I/O)装置445を含む。いくつかの実施例において、1つ以上の通信インターフェース440は、1つ以上のネットワーク及び/又は通信バス規格に従って通信を提供するために、1つ以上のネットワークインターフェース、ネットワークインターフェースカード等を含んでいてもよい。いくつかの実施例において、1つ以上の通信インターフェース440は、ネットワーク115等のネットワークを介してシステム400と通信するためのインターフェースを含んでいてもよい。いくつかの実施例において、1つ以上のI/O装置445には、1つ以上のユーザインターフェース装置(例えば、キーボード、ポインティング/選択装置(例えば、マウス、タッチパッド、スクロールホイール、トラックボール、タッチスクリーン等)、オーディオ装置(例えば、マイクロフォン及び/又はスピーカ)、センサ、アクチュエータ、表示デバイス等)を含んでいてもよい。
【0083】
1つ以上の記憶デバイス430のそれぞれは、ハードディスク、光学媒体、ソリッドステートドライブ等によって提供されるもののような、非一時的及び不揮発性記憶デバイスを含んでいてもよい。いくつかの実施例において、1つ以上の記憶デバイス430のそれぞれは、システム400(例えば、ローカル記憶デバイス)と同じ場所に配置され、及び/又はシステム400(例えば、クラウド記憶デバイス)から離れて配置され得る。
【0084】
図4Bは、本明細書に記載される方法(例えば、方法200及び/又は300)のいずれかを実行する際に使用され得るチップセットアーキテクチャに基づくコンピューティングシステム450を示している。システム450は、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は1つ以上のCPU、マルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP、FPGA、ASIC、GPU、TPU等の他の計算を実行してもよい、任意の数の物理的及び/又は論理的に個別のリソースを代表するプロセッサ455を含んでいてもよい。示されるように、プロセッサ455は、1つ以上のCPU、マルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP、FPGA、ASIC、GPU、TPU、コプロセッサ、コーダ-デコーダ(CODEC)等も含み得る、1つ以上のチップセット460によって支援される。示されるように、1つ以上のチップセット460は、1つ以上のI/O装置465、1つ以上の記憶デバイス470、メモリ475、ブリッジ480、及び/又は1つ以上の通信インターフェース490のうちの1つ以上と共に、プロセッサ455とインターフェースする。いくつかの実施例において、1つ以上のI/O装置465、1つ以上の記憶デバイス470、メモリ、及び/又は1つ以上の通信インターフェース490は、
図4A及びシステム400の同様に名付けられた対応物に対応してもよい。
【0085】
いくつかの実施例において、ブリッジ480は、1つ以上のキーボード、ポインティング/選択装置(例えば、マウス、タッチパッド、スクロールホイール、トラックボール、タッチスクリーン等)、オーディオ装置(例えば、マイク及び/又はスピーカ)、表示デバイス等の、システム450に1つ以上のユーザインターフェース(UI)構成要素へのアクセスを提供するための追加のインターフェースを提供してもよい。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、システム400及び/又は460は、方法200及び/又は300のプロセスの実行の際にユーザ(例えば、外科医及び/又は他の医療関係者)を支援するのに適したグラフィックユーザインターフェース(GUI)を提供してもよい。GUIは、編集可能な手術計画、実行すべき次の行動に関する命令、注釈付き及び/又は注釈なしの体内構造図、例えば眼の術前及び/若しくは術後画像(例えば、
図4に示されるもの)、入力のリクエスト、及び/又はその他の描写を含み得る。いくつかの実施例では、GUIは、解剖学的構造などのトゥルーカラー画像及び/又はフォルスカラー画像を表示し得る。
【0087】
図5は、いくつかの実施形態による多層ニューラルネットワーク500の図である。いくつかの実施形態において、ニューラルネットワーク500は、第一、第二、第三、第四、第五、及び第六のモデル群のほか、本明細書に記載の他の何れかのモデル(例えば、方法200に関する、予測エンジン120により使用されるもの)の各々を実装するために使用されるニューラルネットワークを表す。ニューラルネットワーク500は、入力層520を用いて入力データ510を処理する。いくつかの例では、入力データ510は1つ以上のモデルに提供される入力データ(例えば、訓練データソース110により提供されるデータ)及び/又は、例えば1つ以上のモデルを訓練するために使用される、例えばプロセス265での更新中に1つ以上のモデルに提供される訓練データに対応し得る。入力層520は、スケーリング、範囲制限等によって入力データ510を調整するために用いられる複数のニューロンを含む。入力層520の各ニューロンは、隠れ層531の入力に供給される出力を生成する。隠れ層531は、入力層520からの出力を処理する複数のニューロンを含む。いくつかの実施例において、隠れ層531のニューロンのそれぞれが出力を生成し、次いでその出力が、隠れ層539で終わる1つ以上の追加の隠れ層を介して伝播される。隠れ層539は、以前の隠れ層からの出力を処理する複数のニューロンを含む。隠れ層539の出力は、出力層540に供給される。出力層540は、スケーリング、範囲制限等によって隠れ層539からの出力を調整するために用いられる1つ以上のニューロンを含む。ニューラルネットワーク500のアーキテクチャは代表的なものに過ぎず、1つの隠れ層のみを有するニューラルネットワーク、入力層及び/又は出力層なしのニューラルネットワーク、リカレント層を有するニューラルネットワーク等を含む、他のアーキテクチャが可能であることを理解すべきである。
【0088】
いくつかの実施例では、入力層520、隠れ層531~539、及び/又は出力層540のそれぞれは、1つ以上のニューロンを含む。いくつかの実施例では、入力層520、隠れ層531~539、及び/又は出力層540のそれぞれは、同じ数又は異なる数のニューロンを含み得る。いくつかの実施例において、ニューロンのそれぞれは、式1に示されるように、その入力xの組合せ(例えば、訓練可能な重み行列Wを使用した加重和)を取り、任意選択の訓練可能なバイアスbを加え、活性化関数fを適用して、出力aを生成する。いくつかの実施例において、活性化関数fは、線形活性化関数、上限及び/又は下限を有する活性化関数、対数シグモイド関数、双曲線タンジェント関数、整流線形単位関数等であってもよい。いくつかの実施例において、ニューロンのそれぞれは、同じ又は異なる活性化関数を有してもよい。
a=f(Wx+b) 式 1
【0089】
いくつかの例では、ニューラルネットワーク500は(例えば、プロセス265中に)教師付きアルゴリズムを使って訓練され得て、その場合、訓練データの組合せは入力データとグラウンドトゥルース(例えば、期待される)出力データの組合せを含む。入力データ510用の入力データを用いて生成されたニューラルネットワーク500の出力と、グラウンドトゥルース出力データと比較したニューラルネットワーク500によって生成された出力データ550との差。生成された出力データ550とグラウンドトゥルース出力データとの間の差は、次いで、ニューラルネットワーク500にフィードバックされて、様々な訓練可能な重み及びバイアスを補正してもよい。いくつかの実施例において、確率的勾配降下アルゴリズム等を使用する逆伝播技術を用いて、その差をフィードバックしてもよい。いくつかの実施例において、訓練データの組合せの多数のセットが、全体的な損失関数(例えば、各訓練の組合せの差に基づく平均二乗誤差)が許容レベルに収束するまで、ニューラルネットワーク500に複数回提示されてもよい。
【0090】
上述のように、第一、第二、第三、第四、第五、及び第六のモデル群の一部として使用され得るニューラルネットワークの一例は、リカレントニューラルネットワーク(RNN)でありうる。RNNは時間データから学習できる1つのタイプのニューラルネットワークである。RNNは、時間情報を保存できる内部状態を通じて接続された複数のニューラルネットワークを有する。このようなRNNモデルを訓練するプロセスは、そのモデルを訓練するために過去の患者からの訓練データセットを設定すること(訓練データセットは患者の術前、術中、及び術後情報の組合せを含み得る)、良好な術後結果(例えば、最大の術後調査スコア)を提供するように「関心対象の全ての関連する手術パラメータを最適化した損失関数」を公式化することによって成功基準を設定すること、バックプロパゲーション及びその他の最適化技術を適用して「手術タスクを客観化し」、術中でーたから「最適パラメータ設定」を学習しうる、1種のRNNである長短期記憶(LSTM:Long Short Term Memory)モデルをカスタム化し、使用することが含まれ得る。
【0091】
上述の実施形態による方法は、非一時的で有形の機械読取可能媒体に記憶される実行可能命令として実装されてもよい。実行可能命令は、1つ以上のプロセッサ(例えば、プロセッサ510及び/又はプロセス555)によって実行されると、1つ以上のプロセッサに、方法200及び/又は300のプロセスのうちの1つ以上を実行させることができる。方法200及び/又は300のプロセスを含み得る機械可読媒体のいくつかの一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、任意の他のメモリチップ若しくはカートリッジ、及び/又はプロセッサ若しくはコンピュータが読み取るように適合されている任意の他の媒体である。
【0092】
これらの開示による方法を実装する装置は、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含むことができ、且つ様々なフォームファクタのいずれかを取ってもよい。かかるフォームファクタの典型的な例としては、ラップトップ、スマートフォン、スモールフォームファクタのパーソナルコンピュータ、携帯情報端末等が挙げられる。本明細書で記載されている機能性の一部はまた、周辺機器及び/又はアドインカードで具体化されてもよい。かかる機能性はまた、更なる例として、単一の装置において実行される異なるチップ又は異なるプロセスの中から回路基板上に実装されてもよい。
【0093】
例示的な実施形態が示され、説明されてきたが、前述の開示では広範囲の修正、変更、及び置換が想定されており、場合によっては、実施形態のいくつかの特徴は、他の特徴の対応する使用なしに利用されてもよい。当業者であれば、多くの変形、代替、及び修正を認識するであろう。従って、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきであり、特許請求の範囲は、本明細書に開示される実施形態の範囲と一致する方法で広く解釈されることが適切である。
【国際調査報告】