(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-21
(54)【発明の名称】電力出力の安定化
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20230814BHJP
G01S 7/484 20060101ALI20230814BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S7/484
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501578
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 US2021040876
(87)【国際公開番号】W WO2022015571
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】シュロイニング,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ウォズニアック,キャロリン
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA01
2F112CA05
2F112CA12
2F112DA02
2F112DA06
2F112DA08
2F112DA15
2F112DA25
2F112DA32
2F112EA05
2F112GA01
5J084AA05
5J084AB01
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA06
5J084BA20
5J084BA48
5J084BB07
5J084BB13
5J084BB26
5J084BB28
5J084BB34
5J084CA03
5J084DA07
5J084EA40
(57)【要約】
本開示は、ライダーセンサと関連付けられた送信機モジュール、車両、及び方法に関する。例示的な送信機モジュールは、発光体ダイと、発光体ダイに結合された複数の発光体デバイスと、を含み得る。複数の発光体デバイスの各発光体は、それぞれの発光体表面から光を放出するように構成される。送信機モジュールはまた、複数の発光体デバイスに光学的に結合され、軸に沿って配設された円柱レンズを含む。発光体ダイは、複数の発光体デバイスのそれぞれの発光体表面が軸に対して非ゼロのヨー角を形成するように配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機モジュールであって、
発光体ダイと、
前記発光体ダイに結合された複数の発光体デバイスであって、前記複数の発光体デバイスの各発光体は、それぞれの発光体表面から光を放出するように構成されている、複数の発光体デバイスと、
前記複数の発光体デバイスに光学的に結合され、軸に沿って配設された円柱レンズであって、前記発光体ダイは、前記複数の発光体デバイスの前記それぞれの発光体表面が前記軸に対して非ゼロのヨー角を形成するように配置されている、円柱レンズと、を備える、送信機モジュール。
【請求項2】
前記非ゼロのヨー角は、0.25度~3度である、請求項1に記載の送信機モジュール。
【請求項3】
複数の光導波路を更に備え、前記複数の光導波路の各光導波路は、前記円柱レンズによって前記複数の発光体デバイスのうちの少なくとも1つのそれぞれの発光体デバイスに光学的に結合されている、請求項1に記載の送信機モジュール。
【請求項4】
基板及びスペーサを更に備え、前記スペーサ、前記円柱レンズ、及び前記複数の光導波路は、前記基板に直接結合されている、請求項3に記載の送信機モジュール。
【請求項5】
前記複数の光導波路の各光導波路は、前記基板の表面に実質的に平行な方向に沿って全内部反射によって光を誘導するように構成されている、請求項4に記載の送信機モジュール。
【請求項6】
前記軸は、前記基板の表面に平行である、請求項4に記載の送信機モジュール。
【請求項7】
前記スペーサは、光ファイバを備える、請求項4に記載の送信機モジュール。
【請求項8】
発光体基板を更に備え、前記発光体ダイは、前記発光体基板に結合されている、請求項1に記載の送信機モジュール。
【請求項9】
前記複数の発光体デバイスは、前記発光体ダイに各々結合されている4~10個の発光体デバイスを備える、請求項1に記載の送信機モジュール。
【請求項10】
前記円柱レンズは、前記発光体デバイスから放出された光のための高速軸コリメーションレンズとして構成された光ファイバを備える、請求項1に記載の送信機モジュール。
【請求項11】
前記円柱レンズの表面は、反射防止コーティングでコーティングされている、請求項10に記載の送信機モジュール。
【請求項12】
前記複数の発光体デバイスの各発光体デバイスは、赤外光を放出するように構成されたレーザバーを備える、請求項1に記載の送信機モジュール。
【請求項13】
前記赤外光は、約905ナノメートルの波長を有する光を含む、請求項12に記載の送信機モジュール。
【請求項14】
各々が複数の発光体デバイスを有する複数の更なる発光体ダイを更に備える、請求項1に記載の送信機モジュール。
【請求項15】
方法であって、
複数の発光体デバイスを備える発光体ダイを提供することであって、前記複数の発光体デバイスの各発光体は、それぞれの発光体表面から光を放出するように構成されていることと、
基板と、前記基板に結合され、軸に沿って配設された円柱レンズと、スペーサと、複数の光導波路と、を提供することと、
前記複数の発光体デバイスの前記それぞれの発光体表面が前記軸に対して非ゼロのヨー角を形成するように、前記発光体ダイを前記基板及び前記スペーサに結合することであって、前記複数の光導波路の各光導波路は、前記円柱レンズによって前記複数の発光体デバイスのうちの少なくとも1つの発光体デバイスに光学的に結合されることと、を含む、方法。
【請求項16】
前記発光体ダイを前記基板及び前記スペーサに結合することは、ピックアンドプレースツールを使用して、1つ以上の基準特徴に基づいて前記発光体ダイを前記基板に対して位置決めすることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記円柱レンズを反射防止コーティングでコーティングすることを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記円柱レンズをコーティングすることは、前記円柱レンズを反射防止コーティングでコーティングすることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記発光体ダイは、発光体基板に結合され、前記発光体ダイを前記基板及び前記スペーサに結合することは、前記基板又は前記発光体基板のうちの少なくとも1つに硬化性接着材料を塗布することと、前記軸に対して前記非ゼロのヨー角で前記複数の発光体デバイスの前記それぞれの発光体表面を固定するように前記接着材料を硬化させることと、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記発光体ダイを前記基板及び前記スペーサに結合することは、コンピュータビジョン技法を使用して前記発光体ダイを位置決めすることを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年7月14日に出願された米国特許出願第16/928,621号の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
従来の光検出及び測距(Light Detection and Ranging、lidar:ライダー)システムは、光パルスを環境内に放出するために、発光送信機(例えば、レーザダイオード)を利用し得る。環境内の物体と相互作用する(例えば、そこから反射する)放出された光パルスは、ライダーシステムの受信機(例えば、光検出器)によって受信することができる。環境内の物体に関する距離情報は、光パルスが放出される最初の時間と、反射された光パルスが受信される後続の時間との間の時間差に基づいて決定することができる。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、概して、環境に関する情報を取得するように構成され得る光検出及び測距(ライダー)システムに関する。そのようなライダーデバイスは、自律及び半自律自動車、トラック、オートバイ、並びにそれらのそれぞれの環境内でナビゲート及び移動することができる他のタイプの車両などの車両において実装され得る。
【0004】
第1の態様では、送信機モジュールが提供される。送信機モジュールは、発光体ダイと、発光体ダイに結合された複数の発光体デバイスと、を含む。複数の発光体デバイスの各発光体は、それぞれの発光体表面から光を放出するように構成される。送信機モジュールはまた、複数の発光体デバイスに光学的に結合され、軸に沿って配設された円柱レンズを含む。発光体ダイは、複数の発光体デバイスのそれぞれの発光体表面が軸に対して非ゼロのヨー角を形成するように配置される。
【0005】
第2の態様では、方法が提供される。本方法は、複数の発光体デバイスを含む発光体ダイを提供することを含む。複数の発光体デバイスの各発光体は、それぞれの発光体表面から光を放出するように構成される。本方法はまた、基板と、基板に結合され、軸に沿って配設される円柱レンズと、スペーサと、複数の光導波路と、を提供することを含む。本方法は、複数の発光体デバイスのそれぞれの発光体表面が軸に対して非ゼロのヨー角を形成するように、発光体ダイを基板及びスペーサに結合することを更に含む。複数の光導波路の各光導波路は、円柱レンズによって、複数の発光体デバイスのうちの少なくとも1つの発光体デバイスに光学的に結合される。
【0006】
他の態様、実施形態、及び実装形態は、添付の図面に適切な場合を参照して、以下の詳細な説明を読むことによって、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】例示的な実施形態による、送信機モジュールを例解する。
【
図2A】例示的な実施形態による、
図1の送信機モジュールの一部分を例解する。
【
図2B】例示的な実施形態による、
図1の送信機モジュールの一部分を例解する。
【
図2C】例示的な実施形態による、
図1の送信機モジュールの一部分を例解する。
【
図2D】例示的な実施形態による、
図1の送信機モジュールの一部分を例解する。
【
図3A】例示的な実施形態による、
図1の送信機モジュールの構成を例解する。
【
図3B】例示的な実施形態による、
図1の送信機モジュールの構成を例解する。
【
図3C】例示的な実施形態による、
図1の送信機モジュールの構成を例解する。
【
図4A】例示的な実施形態による、ヨー角に対するパワー変動のグラフを例解する。
【
図4B】例示的な実施形態による、ヨー角に対する正規化されたエタロンパワーのグラフを例解する。
【
図4C】例示的な実施形態による、ヨー角に対する正規化されたエタロンパワーのグラフを例解する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
例示的な方法、デバイス、及びシステムが本明細書において説明されている。「例示的な」及び「例示の」という文言は、本明細書では「例、実例、又は例解として機能する」を意味するために使用されると理解されたい。本明細書において「例示的な」又は「例示の」として本明細書において説明される任意の実施形態又は特徴は、必ずしも他の実施形態又は特徴よりも好ましいか、又は有利であると解釈されるべきではない。本明細書に提示される主題の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を行うことができる。
【0009】
したがって、本明細書において説明される例示的な実施形態は、限定することを意味するものではない。本開示の態様は、本明細書において概して説明され、図において例解されるように、多種多様な異なる構成で配設、置換、組み合わせ、分離、及び設計することができ、それらの全てが本明細書に企図される。
【0010】
更に、文脈が別途示唆しない限り、図の各々に例解される特徴は、互いに組み合わせて使用され得る。したがって、図は、一般に、1つ以上の全体的な実施形態の構成要素の態様として見られ、全ての例解された特徴が各実施形態に必要というわけではないことを理解するべきである。
【0011】
I.概要
ライダーシステムの送信機(transmitter、TX)モジュールは、光源基板上に配設された1つ以上の光源(例えば、レーザバー)を含み得る。光源は、高速軸コリメーション(fast axis collimation、FAC)レンズ等の光学要素に向かって光(例えば、光パルス)を放出するように配置され得る。FACレンズと相互作用する光は、1つ以上の導光要素(例えば、光導波路)に光学的に結合され得る。
【0012】
そのようなシナリオでは、光後方反射及び他の影響は、TXモジュールによって出力される電力及び/又はスペクトル波長における非決定論的変動につながり得る。例えば、レーザパルスパワーは、50%を超えて変動する可能性があり、レーザパルススペクトル中心は、パルスごとに5nm(905nmのうち)以上変動する可能性がある。いくつかのシナリオでは、変動は、温度、湿度、物理的衝撃、及び/又は振動などの環境要因に基づく可能性がある。他のシナリオでは、他の現象が光パルスの特性の変動を引き起こす可能性がある。そのようなスプリアス変動は、補償することが困難である可能性があり、及び/又は物体距離及び/又は物体反射率の不正確な決定につながる可能性がある。例えば、ライダーシステムが自律車両で使用される場合、そのような変動の補償並びに/又は物体距離及び/若しくは反射率の決定は、全体的なコスト、複雑さ、及び/又は性能に対してより広い影響を与える可能性がある。
【0013】
本明細書において説明される例示的な実施形態は、パルス電力の変動を低減することによってTXモジュールの性能を改善し、レーザパルスのスペクトル中心をより厳密に制御し得る。いくつかの実施形態では、方法及びシステムは、高速軸コリメーションレンズに対してレーザダイを傾斜させることを含み得る。そのような実施形態では、レーザダイを傾斜させることは、それをヨー方向に(例えば、基板の主表面に垂直な軸の周りに)回転させることを含み得る。
【0014】
追加的に又は代替的に、いくつかの実施形態は、送信機モジュールの光学要素のうちの1つ以上を光学コーティングでコーティングすることを含み得る。例えば、高速軸コリメーションレンズは、円筒形光ファイバの周りに均一な厚さの反射防止コーティングを有する単層又は多層コーティングでコーティングされ得る。いくつかの実施形態では、コーティングの目的は、円筒形光ファイバの表面からの反射光の量を低減させることである。
【0015】
II.例示的な送信機モジュール
図1は、例示的な実施形態による、送信機モジュール100を例解する。いくつかの実施形態では、送信機モジュール100は、ライダーシステムの要素を形成し得る。しかしながら、送信機モジュール100は、他の状況においても同様に利用され得ることが理解されるであろう。
【0016】
送信機モジュール100は、発光体ダイ110を含む。
【0017】
送信機モジュール100はまた、発光体ダイ110に結合され得る複数の発光体デバイス112を含む。複数の発光体デバイス112の各発光体は、それぞれの発光体表面114から光を放出するように構成される。
【0018】
送信機モジュール100は、複数の発光体デバイス112に光学的に結合され、軸134に沿って配設された円柱レンズ130を更に含む。そのようなシナリオでは、発光体ダイ110は、複数の発光体デバイス112のそれぞれの発光体表面が軸134に対して非ゼロのヨー角140を形成するように配置され得る。
【0019】
様々な実施形態では、円柱レンズ130は、発光体デバイス112から放出された光のための高速軸コリメーションレンズとして構成された光ファイバレンズを含む。
【0020】
非ゼロのヨー角140は、0度以外の任意の角度であり得る。例えば、非ゼロのヨー角140は、0.25度~3度であり得る。他の非ゼロのヨー角が可能であり、企図されることが理解されるであろう。また、負の角度値が可能であり、企図されることが理解されるであろう。
【0021】
様々な実施形態では、送信機モジュール100は、複数の光導波路150を更に含み得る。複数の光導波路150の各光導波路は、円柱レンズ130によって複数の発光体デバイス112の少なくとも1つのそれぞれの発光体デバイスに光学的に結合され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、送信機モジュール100は、基板160及びスペーサ164を更に含み得る。そのようなシナリオでは、スペーサ164、円柱レンズ130、及び複数の光導波路150は、基板160に直接結合され得る。
【0023】
様々な実施形態では、複数の光導波路150の各光導波路は、基板160の表面に実質的に平行な方向に沿って全内部反射によって光を誘導するように構成され得る。そのようなシナリオでは、軸134は、基板160の表面に平行であり得る。
【0024】
追加的に又は代替的に、スペーサ164は、光ファイバスペーサを含み得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、送信機モジュール100は、発光体基板120を更に含み得る。そのようなシナリオでは、発光体ダイ110は、発光体基板120に結合され得る。
【0026】
例示的な実施形態では、複数の発光体デバイス112は、発光体ダイ110に各々結合されている4~10個の発光体デバイスを含み得る。
【0027】
様々な実施形態では、円柱レンズ130の表面は、コーティング132でコーティングされ得る。例えば、コーティング132は、単層又は多層の反射防止コーティングであり得る。
【0028】
複数の発光体デバイス112の各発光体デバイスは、赤外光を放出するように構成されたレーザバーを含み得る。そのようなシナリオでは、赤外光は、約905ナノメートル(例えば、900~910ナノメートル)の波長を有する光を含み得る。他の赤外波長(例えば、700ナノメートル~1ミリメートル)を有する光を放出するように構成された発光体デバイスが可能であり、企図されることが理解されよう。
【0029】
いくつかの実施形態では、送信機モジュール100は、各々がそれぞれの複数の発光体デバイスを有する複数の更なる発光体ダイを更に含み得る。そのようなシナリオでは、送信機モジュール100は、合計10~20個の発光体ダイを含み得る。
【0030】
図2A~
図2Dは、1つ以上の例示的な実施形態による、
図1の送信機モジュール100の様々な部分を例解する。
【0031】
図2Aは、例示的な実施形態による、
図1の送信機モジュール100の一部分200のいくつかの図を例解する。部分200は、発光体基板120の表面に沿って配設された発光体ダイ110を含む。いくつかの実施形態では、発光体ダイ110は、複数の並列な発光体デバイス(例えば、レーザダイ)112a~112fを含み得、それらの各々は、それぞれの発光体表面114a~114fから光を放出するように構成され得る。
【0032】
図2Aは明確さのために簡略化されており、例えば、電気接点、ドライバ回路、ワイヤボンドなどの特徴は意図的に省略され得ることが理解されよう。
【0033】
図2Bは、例示的な実施形態による、
図1の送信機モジュール100の一部分220のいくつかの図を例解する。部分220は、基板160の装着表面に沿って配置されている円柱レンズ130及びスペーサ164を含む。
図2Bに例解されるように、円柱レンズ130及びスペーサ164は、複数の基準特徴222a、222b、224a、224b、226a、及び226bによって所望の位置に位置決め及び/又は維持され得る。いくつかの例では、基準特徴222a、222b、224a、224b、226a、及び226bは、SU-8などのフォトレジスト又は別のタイプのフォトパターン化可能材料から形成され得る。
図2Bの要素は必ずしも一定の縮尺で例解されておらず、基準特徴は、基板160の装着表面に対して光導波路150a~150fと同様の高さを有し得ることが理解されよう。
図2Bは、発光体デバイス112a~112fを円柱レンズ130に垂直方向に(例えば、y軸に沿って)位置合わせする方法を提供するものとしてスペーサ164を例解しているが、送信機モジュール100の様々な要素を位置合わせする他の方式が存在することが理解されよう。
【0034】
図2Cは、例示的な実施形態による、
図1の送信機モジュール100の一部分230の上面図を例解する。部分230は、基板120に対して下向きである発光体ダイ110を有する反転された発光体基板160を含み得る。そのようなシナリオでは、発光体デバイス自体などの発光体ダイ110の少なくとも一部分は、スペーサ164と直接接触し得る。更に、いくつかの実施形態では、発光体基板120の少なくとも一部分は、基板160と直接接触し得る。
【0035】
図2Dは、例示的な実施形態による、
図1の送信機モジュール100の一部分240の側面図を例解する。上で説明されるように、発光体基板120は、発光体ダイ110が基板160に対して下向きになるように配向され得る。更に、発光体ダイ110の少なくとも一部分は、スペーサ164と直接接触し得る。そのようなシナリオでは、発光体ダイ110は、基板160の基板基準平面162に対してピッチ角166を形成し得る。
図2Dに例解されるように、基板基準平面162は、x-z平面に平行であり得る。
【0036】
図3Aは、例示的な実施形態による、
図1の送信機モジュール100の構成300を例解する。いくつかの実施形態では、構成300は、スペーサ164、円柱レンズ130、及び/又は光導波路150a~150fを含む、送信機モジュール100の1つ以上の他の構造に対して「反時計回り」に回転された発光体基板120及び発光体ダイ110を含み得る。例えば、発光体基板120及び/又は発光体ダイ110は、円柱レンズ130の軸134に対して非ゼロのヨー角140で配置され得る。
図3Aに例解されるように、非ゼロのヨー角140は、軸134に平行な軸302と、エミッタ表面114に沿って延在し得る軸304との間に形成され得る。
【0037】
図3Bは、例示的な実施形態による、
図1の送信機モジュール100の構成320を例解する。
図3Bに例解されるように、構成320は、スペーサ164、円柱レンズ130、及び/又は光導波路150a~150fを含む、送信機モジュール100の他の要素に対して「時計回り」に回転された発光体基板120を含み得る。そのようなシナリオでは、発光体基板120及び/又は発光体ダイ110は、円柱レンズ130の軸134に対してヨー角140で配置され得る。
図3Aに例解されるように、非ゼロのヨー角140は、軸134に平行な軸302と、エミッタ表面114に沿って延在し得る軸304との間に形成され得る。
【0038】
図3A及び
図3Bに例解されるように、非ゼロのヨー角140は、正又は負であり得、-5度~+5度、-2度~+2度、-1度~+1度、又は別の角度範囲であり得る。
【0039】
図3Cは、例示的な実施形態による、
図1の送信機モジュール100の構成330を例解する。構成330は、複数の発光体基板120a、120b、及び120cと、それぞれの発光体ダイ110a、110b、及び110cと、を含む。
図3Cに例解されるように、各発光体ダイのそれぞれの発光体デバイスは、それぞれの光導波路150a~150rと概ね位置合わせされ得る。
【0040】
そのようなシナリオでは、例解されるように、各発光体基板は、例えば、円柱レンズ130に対して、同様のヨー角で回転され得る。いくつかの実施形態では、それぞれの発光体基板、ひいては対応する発光体ダイは、本開示の範囲内で、互いに異なるヨー角で配置され得ることが理解されよう。すなわち、発光体基板120a及び発光体ダイ110aは、+1.0度のヨー角で配置され得、一方で、発光体基板120b及び発光体ダイ110bは、+0.8度のヨー角で配置され得る。他のヨー角差、範囲、及び/又は変動が可能であり、企図される。
【0041】
図4Aは、例示的な実施形態による、ヨー角に対するパワー変動のグラフ400を例解する。グラフ400は、-1.0度~+1.0度まで変化するヨー角において光検出器によって受信される正規化されたパワーの量を例解する。
【0042】
図4Bは、例示的な実施形態による、ヨー角に対する正規化エタロンパワーのグラフ420を例解する。グラフ420は、ヨー角を-1.0度~+1.0度まで変化させている間に光検出器によって受信される正規化されたエタロンパワーを例解する。
図4Bに例解されるように、非ゼロのヨー角は、送信パワー量のより低い変動を提供することができる。送信パワーの変動を低減することによって、送信機モジュール及び/又は全体的なライダーシステム性能が改善され得る。例えば、ライダー動作の種々な態様、数ある例の中でもとりわけ、範囲を決定する際の不確実性の低減、物体反射率の決定の改善、高反射物体の影響の低減等は、開示された送信機モジュールを利用することによって、改善され得る。
【0043】
図4Cは、例示的な実施形態による、ヨー角に対する正規化されたエタロンパワーのグラフ430を例解する。グラフ430は、ヨー角を0度~+2.0度まで変化させている間に光検出器によって受信された正規化されたエタロンパワーを例解する。
【0044】
III.例示的な車両
図5A、
図5B、
図5C、
図5D、及び
図5Eは、例示的な実施形態による車両500を例解する。いくつかの実施形態では、車両500は、半自律型車両又は完全自律型車両であり得る。
図5A、
図5B、
図5C、
図5D、及び
図5Eは、自動車(例えば、乗用バン)であるような車両500を例解しているが、車両500は、センサ及びその環境に関する他の情報を使用してその環境内をナビゲートすることができる、別のタイプの自律型車両、ロボット、又はドローンを含み得ることが理解されよう。
【0045】
車両500は、1つ以上のセンサシステム502、504、506、508、及び510を含み得る。いくつかの実施形態では、センサシステム502、504、506、508、及び510は、
図1に関連して例解及び説明されるように、送信機モジュール100を含み得る。言い換えれば、本明細書の他の場所において説明される送信機モジュール及びライダーシステムは、車両500に結合され得、及び/又は車両500の様々な動作と併せて利用され得る。一例として、本明細書において説明される送信機モジュール100及び/又はライダーシステムは、車両500の自動運転又は他のタイプのナビゲーション、計画、知覚、及び/又はマッピング動作で利用され得る。
【0046】
1つ以上のセンサシステム502、504、506、508、及び510が車両500上の特定の位置に例解されているが、より多くの又はより少ないセンサシステムが車両500とともに利用され得ることが理解されよう。更に、そのようなセンサシステムの位置は、
図5A、
図5B、
図5C、
図5D、及び
図5Eに例解されるセンサシステムの場所と比較して、調整、修正、又は他の方法で変更され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、センサシステム502、504、506、508、及び510は、所与の平面(例えば、x-y平面)に対してある範囲の角度にわたって配設される、及び/又は車両500の環境内の異なる方向に向かって光を放出するように配設される、複数の発光体デバイスを含み得る。例えば、センサシステム502、504、506、508、及び510のうちの1つ以上は、車両500の周りの環境を光パルスで照明するように、所与の平面に垂直な軸(例えば、z軸)を中心に回転するように構成され得る。反射光パルスの様々な態様(例えば、飛行経過時間、偏光、強度等)を検出することに基づいて、環境に関する情報が判定され得る。
【0048】
例示的な実施形態では、センサシステム502、504、506、508、及び510は、車両500の環境内の物理的物体に関連し得るそれぞれの点群情報を提供するように構成され得る。車両500及びセンサシステム502、504、506、508、及び510は、特定の特徴を含むものとして例解されているが、他のタイプのセンサシステムが本開示の範囲内で企図されることが理解されよう。
【0049】
単一又は複数の発光体デバイスを有するライダーシステムも企図される。例えば、1つ以上のレーザダイオードによって放出された光パルスは、システムの環境を中心に制御可能に方向付けられ得る。光パルスの放出角度は、例えば、機械的走査ミラー及び/又は回転モータなどの走査デバイスによって調整され得る。例えば、走査デバイスは、所与の軸を中心に往復運動で回転し、及び/又は垂直軸を中心に回転し得る。別の実施形態では、発光デバイスは、光パルスをスピンプリズムミラーに向かって放出し得、これは、各光パルスと相互作用するときのプリズムミラーの角度に基づいて、光パルスを環境に放出させ得る。追加的に又は代替的に、走査光学系及び/又は他のタイプの電気光学機械デバイスが、環境の周りの光パルスを走査することが可能である。
図5A~
図5Eは、車両500に取り付けられた様々なライダーセンサを例解しているが、車両500は他のタイプのセンサを組み込み得ると理解されよう。
【0050】
IV.例示的な方法
図6は、例示的な実施形態による、方法600を例解する。方法600は、本明細書で明示的に例解されるか又はさもなければ開示されるステップ又はブロックよりも少ない又は多いステップ又はブロックを含み得ることが理解されよう。更に、方法600のそれぞれのステップ又はブロックは、任意の順序で実行され得、各ステップ又はブロックは、1回以上実行され得る。いくつかの実施形態では、方法600のブロック又はステップの一部又は全部は、それぞれ、
図1及び
図5A~
図5Eに関連して例解及び説明されるような送信機モジュール100及び/又は車両500の要素に関連し得る。例えば、方法600は、送信機モジュール100の少なくとも一部分及び/又はライダーデバイスの一部分を製造する方法を説明し得る。
【0051】
ブロック602は、発光体ダイ(例えば、発光体ダイ110)を提供することを含む。いくつかの実施形態では、発光体ダイは、複数の発光体デバイス(例えば、発光体デバイス112)を含み得る。様々な実施形態では、複数の発光体デバイスの各発光体は、それぞれの発光体表面(例えば、発光体表面114)から光を放出するように構成され得る。
【0052】
ブロック604は、基板(例えば、基板160)を提供することを含む。加えて、円柱レンズ(例えば、円柱レンズ130)が提供され得る。円柱レンズは、基板に結合され得、軸(例えば、軸134)に沿って配設され得る。ブロック604は、追加的に又は代替的に、スペーサ(例えば、スペーサ164)及び複数の光導波路(例えば、光導波路150)を提供することを含み得る。
【0053】
ブロック606は、複数の発光体デバイスのそれぞれの発光体表面が軸に対して非ゼロのヨー角(例えば、非ゼロのヨー角140)を形成するように、発光体ダイを基板及びスペーサに結合することを含み得る。いくつかの実施形態では、複数の光導波路の各光導波路は、円柱レンズによって、複数の発光体デバイスのうちの少なくとも1つの発光体デバイスに光学的に結合され得る。
【0054】
様々な実施形態では、発光体ダイを基板及びスペーサに結合することは、例えば、ピックアンドプレースツールを使用して、1つ以上の基準特徴に基づいて発光体ダイを基板に対して位置決めすることを含み得る。一例として、基準特徴は、基板、発光体ダイ、又は別の表面上のフォトレジストに形成され得る。追加的に又は代替的に、基準特徴は、基板、発光体ダイ、又は別の表面のうちの1つ以上の上に存在するエッチングされた構造によって形成され得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、発光体ダイは、発光体基板(例えば、発光体基板120)に結合され得る。そのようなシナリオでは、発光体ダイを基板及びスペーサに結合することは、硬化可能な接着材料(例えば、熱硬化性エポキシ)を基板又は発光体基板のうちの少なくとも1つに塗布することを含み得る。そのようなシナリオでは、方法600は、軸に対してヨー角で複数の発光体デバイスのそれぞれの発光体表面を固定するように、接着材料を硬化させることを含み得る。
【0056】
追加的に又は代替的に、発光体ダイを基板及びスペーサに結合することは、コンピュータビジョン技法を使用して発光体ダイを位置決めすることを含み得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、方法600は、円柱レンズを単層又は多層の反射防止コーティング(例えば、コーティング132)でコーティングすることを含み得る。いくつかの実施形態では、コーティング132は、電子ビーム堆積又は他の薄膜堆積技法によって塗布され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、システム及び方法は、光学システム(例えば、ライダーシステム)におけるパワー変動を低減することを含み得る。例えば、方法は、高速軸コリメーションレンズに対してある角度(例えば、ヨー方向)で発光体ダイを位置決めすること、又はその位置を調整することを含み得る。そのようなシナリオでは、発光体ダイの位置決めは、1回、周期的に、及び/又は動的に実行され得る。
【0059】
図に示される特定の配設は、限定的であるとみなされるべきではない。他の実施形態は、所与の図に示される各要素をより多く又はより少なく含み得ることを理解されたい。更に、例解された要素のいくつかは、組み合わされるか、又は省略され得る。また更に、例解的な実施形態は、図に例解されていない要素を含み得る。
【0060】
情報の処理を表すステップ又はブロックは、本明細書において説明される方法又は技術の特定の論理機能を実施するように構成することができる回路に対応することができる。代替的に又は追加的に、情報の処理を表すステップ又はブロックは、モジュール、セグメント、又はプログラムコードの一部分(関連データを含む)に対応することができる。プログラムコードは、方法又は技術において特定の論理機能又はアクションを実装するためのプロセッサによって実行可能な1つ以上の命令を含むことができる。プログラムコード及び/又は関連データは、ディスク、ハードドライブ、又は他の記憶媒体を含む記憶デバイスなどの任意のタイプのコンピュータ可読媒体に記憶することができる。
【0061】
コンピュータ可読媒体はまた、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、及びランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)のような短期間データを記憶するコンピュータ可読媒体などの非一時的なコンピュータ可読媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体はまた、より長期間プログラムコード及び/又はデータを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体を含むことができる。したがって、コンピュータ可読媒体は、例えば、読み出し専用メモリ(read only memory、ROM)、光学又は磁気ディスク、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(compact-disc read only memory、CD-ROM)のような、二次又は永続的な長期記憶ストレージを含み得る。コンピュータ可読媒体はまた、任意の他の揮発性又は不揮発性記憶システムとすることができる。コンピュータ可読媒体は、例えば、コンピュータ可読記憶媒体、又は有形記憶デバイスとみなすことができる。
【0062】
様々な例及び実施形態が開示されてきたが、他の例及び実施形態が、当業者には明らかであろう。様々な開示された例及び実施形態は、例解の目的のためのものであり、限定することを意図するものではなく、真の範囲は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【国際調査報告】