(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-21
(54)【発明の名称】フリンジモアレと光モアレ効果を使用した位置ずれ計測
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503423
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(85)【翻訳文提出日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 US2021042451
(87)【国際公開番号】W WO2022020402
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェラー ヨエル
(72)【発明者】
【氏名】ギノフカー マーク
(72)【発明者】
【氏名】グレビッチ エフゲニー
(72)【発明者】
【氏名】レビンスキ ウラディミール
(72)【発明者】
【氏名】スヴィッツァー アレキサンダー
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA07
2F065AA20
2F065BB02
2F065FF06
2F065FF48
2F065GG21
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL33
2F065LL42
2F065LL53
2F065LL55
2F065LL59
2F065MM03
2F065MM04
2F065PP12
2F065TT02
(57)【要約】
計測システム及び計測方法が開示される。計測システムは、照明サブシステム、収集サブシステム、検出器、及びコントローラを含む。コントローラは、サンプル上のオーバレイターゲットの画像を受け取り、測定方向に沿う2つのワーキングゾーン間の見かけのオーバレイを画像に基づいて決定し、2つのサンプル層間のオーバレイを、見かけのオーバレイをモアレ利得で除算することによって計算し、モアレ干渉を補償するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングシステムであって、
オーバレイターゲットを少なくとも1つの照明ローブを用いて照射するように構成された照明サブシステムであって、前記オーバレイターゲットが少なくとも第1のワーキングゾーン及び第2のワーキングゾーンを、測定方向に沿うオーバレイ測定のために含んでおり、ここで少なくとも前記第1のワーキングゾーンが2つのサンプル層上に前記測定方向に沿って重なり合う周期構造から形成されたモアレパターンを含み、前記2つのサンプル層上の前記周期構造の周期が異なる、照明サブシステム、
前記第1のワーキングゾーンによる前記少なくとも1つの照明ローブの各々の回折に関連するゼロ次回折及び1つのモアレ回折次数を収集するように構成された収集サブシステムであって、前記第2のワーキングゾーンによる前記少なくとも1つの照明ローブの各々の回折に関連するゼロ次回折及び1つの追加の回折次数を収集するように更に構成される、収集サブシステム、及び、
前記オーバレイターゲットの画像を、前記収集サブシステムによって収集された光を使用して生成するように構成された検出器、
を含む、イメージングシステムと、
前記イメージングシステムに結合されるように構成されたコントローラであって、プログラム命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含み、プログラム命令が前記1つ以上のプロセッサに、
前記オーバレイターゲットの前記画像を受け取らせ、ここで前記画像内の前記第1のワーキングゾーンの見かけの周期はモアレ干渉に基づいており、
前記第1のワーキングゾーンと前記第2のワーキングゾーンの間で前記測定方向に沿った見かけのオーバレイを、前記画像に基づいて決定させ、そして、
前記2つのサンプル層の間のオーバレイを、モアレ利得で前記見かけのオーバレイを除算することによって計算させて、モアレ干渉を補償させる、
コントローラと、
を備える、計測システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの照明ローブは、前記オーバレイターゲットに対して約90°の角度で前記オーバレイターゲットを照射するように構成される、請求項1に記載の計測システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの照明ローブは、前記第1のワーキングゾーン又は前記第2のワーキングゾーンの少なくとも1つの中心部分又はその近くで前記オーバレイターゲットを照射するように構成される、請求項2に記載の計測システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの照明ローブは、2つの照明ローブを前記オーバレイターゲットに対して2つの斜照射角で含む、請求項1に記載の計測システム。
【請求項5】
前記照明サブシステムは、前記オーバレイターゲットを前記2つの照明ローブを用いて同時に照射する、請求項4に記載の計測システム。
【請求項6】
前記照明サブシステムは、前記オーバレイターゲットを前記2つの照明ローブを用いて順次照射する、請求項4に記載の計測システム。
【請求項7】
前記2つの照明ローブは前記測定方向に沿って向けられる、請求項4に記載の計測システム。
【請求項8】
前記2つの照明ローブは、前記測定方向に対して非ゼロ角度に向けられる、請求項4に記載の計測システム。
【請求項9】
前記収集サブシステムは、前記オーバレイターゲットの第1の画像を、前記第1のワーキングゾーンによる前記少なくとも1つの照明ローブのそれぞれの回折に関連する前記ゼロ次回折と1つのモアレ回折次数に基づいて生成し、前記オーバレイターゲットの第2の画像を、前記第2のワーキングゾーンによる前記少なくとも1つの照明ローブのそれぞれの回折に関連する前記ゼロ次回折と1つの追加の回折次数に基づいて生成し、ここで前記コントローラは更に、前記第1の画像及び前記第2の画像に関連付けられた見かけのオーバレイを平均することによって前記見かけのオーバレイを決定するように構成される、請求項1に記載の計測システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの照明ローブは、2つの照明ローブを前記オーバレイターゲットに対して2つの斜照射角で含む、請求項9に記載の計測システム。
【請求項11】
前記照明サブシステムは、前記オーバレイターゲットを前記2つの照明ローブを用いて同時に照射し、ここで前記収集サブシステムは、前記第1の画像及び前記第2の画像を、前記第1のワーキングゾーンに関連する収集された光を前記第2のワーキングゾーンに関連する収集された光から分離することによって同時に生成する、請求項10に記載の計測システム。
【請求項12】
前記照明サブシステムは、前記オーバレイターゲットを前記2つの照明ローブを用いて順次照射する、請求項10に記載の計測システム。
【請求項13】
前記第1のワーキングゾーンの前記モアレパターンは、第1のモアレパターンであり、前記第2のワーキングゾーンは、前記2つのサンプル層上の前記測定方向に沿って重なり合う周期構造から形成される第2のモアレパターンを含み、前記第2のワーキングゾーンにおける前記2つのサンプル層上の前記周期構造の周期は異なり、前記第2のモアレパターンは前記第1のモアレパターンとは異なる、請求項1に記載の計測システム。
【請求項14】
計測方法であって、
サンプル上のオーバレイターゲットの画像を、少なくとも1つの照明ローブを用いた前記オーバレイターゲットの照射に基づき受け取ることであって、前記オーバレイターゲットは、少なくとも第1のワーキングゾーンと第2のワーキングゾーンを測定方向に沿ったオーバレイ測定のために含み、ここで少なくとも前記第1のワーキングゾーンは、2つのサンプル層上の前記測定方向に沿って重なり合う周期構造から形成されるモアレパターンを含み、前記2つのサンプル層上の前記周期構造の周期が異っており、
ここで前記画像は、前記第1のワーキングゾーンによる前記少なくとも1つの照明ローブのそれぞれの回折に関連するゼロ次回折と1つのモアレ回折次数に基づいており、前記画像は更に、前記第2のワーキングゾーンによる前記少なくとも1つの照明ローブのそれぞれの回折に関連するゼロ次回折と1つの追加の回折次数に基づいており、前記画像における前記第1のワーキングゾーンの見かけの周期は、モアレ干渉に基づいており、
前記第1のワーキングゾーンと前記第2のワーキングゾーンの間で前記測定方向に沿った見かけのオーバレイを、前記画像に基づいて決定すること、及び、
前記2つのサンプル層間のオーバレイを、モアレ利得で前記見かけのオーバレイを除算することによって計算し、前記モアレ干渉を補償すること、
を含む、計測方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの照明ローブは、前記オーバレイターゲットに対して約90°の角度で前記オーバレイターゲットを照射するように構成される、請求項14に記載の計測方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの照明ローブは、前記第1のワーキングゾーン又は前記第2のワーキングゾーンの少なくとも1つの中心部分又はその近くで前記オーバレイターゲットを照射するように構成される、請求項15に記載の計測方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの照明ローブは、2つの照明ローブを前記オーバレイターゲットに対して2つの斜照射角で含む、請求項14に記載の計測方法。
【請求項18】
計測システムであって、
イメージングシステムが、
オーバレイターゲットを少なくとも1つの照明ローブを用いて照射するように構成された照明サブシステムであって、前記オーバレイターゲットが少なくとも第1のワーキングゾーン及び第2のワーキングゾーンを、測定方向に沿うオーバレイ測定のために含んでおり、ここで少なくとも前記第1のワーキングゾーンが2つのサンプル層上に前記測定方向に沿って重なり合う周期構造から形成されたモアレパターンを含み、前記2つのサンプル層は第1のサンプル層及び第2のサンプル層を含み、前記2つのサンプル層上の前記周期構造の周期が異なる、照明サブシステム、
前記第1のワーキングゾーンに関連する前記2つのサンプル層のそれぞれから1次回折を収集するように構成された収集サブシステムであって、前記第2のワーキングゾーンに関連する前記2つのサンプル層のそれぞれから1次回折を収集するように更に構成される、収集サブシステム、及び、
前記オーバレイターゲットの画像を、前記収集サブシステムによって収集された光を使用して生成するように構成された検出器、
を含む、イメージングシステムと、
前記イメージングシステムに結合されるように構成されたコントローラであって、プログラム命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含み、プログラム命令が前記1つ以上のプロセッサに、
前記オーバレイターゲットの前記画像を受け取らせ、ここで前記画像内の前記第1のワーキングゾーンの見かけの周期は、前記検出器でのモアレ干渉に基づき、
前記画像をフィルタリングさせて前記モアレ干渉を分離させ、
前記第1のワーキングゾーンと前記第2のワーキングゾーンの間で前記測定方向に沿った見かけのオーバレイを、前記画像に基づいて決定させ、そして、
前記2つのサンプル層の間のオーバレイを、モアレ利得で前記見かけのオーバレイを除算することによって計算させて、前記モアレ干渉を補償させる、
コントローラと、
を備える、計測システム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの照明ローブは、前記オーバレイターゲットに対して約90°の角度で前記オーバレイターゲットを照射するように構成される、請求項18に記載の計測システム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの照明ローブは、前記第1のワーキングゾーン又は前記第2のワーキングゾーンの少なくとも1つの中心部分又はその近くで前記オーバレイターゲットを照射するように構成される、請求項19に記載の計測システム。
【請求項21】
前記収集サブシステムは、1つ以上のブロッカを含み、前記第1のワーキングゾーン又は前記第2のワーキングゾーンのうちの少なくとも1つからのゼロ次回折をブロックする、請求項18に記載の計測システム。
【請求項22】
前記収集サブシステムの開口数は、前記照明サブシステムの開口数よりも小さく、前記第1のワーキングゾーン又は前記第2ワーキングゾーンの少なくとも1つからのゼロ次回折の収集を防止する、請求項18に記載の計測システム。
【請求項23】
前記少なくとも1つの照明ローブは、2つの照明ローブを前記オーバレイターゲットに対して2つの斜照射角で含む、請求項18に記載の計測システム。
【請求項24】
前記照明サブシステムは、前記オーバレイターゲットを前記2つの照明ローブを用いて同時に照射する、請求項23に記載の計測システム。
【請求項25】
前記照明サブシステムは、前記オーバレイターゲットを前記2つの照明ローブを用いて順次照射する、請求項23に記載の計測システム。
【請求項26】
前記2つの照明ローブは前記測定方向に沿って向けられる、請求項23に記載の計測システム。
【請求項27】
前記2つの照明ローブは、前記測定方向に対して非ゼロ角度に向けられる、請求項23に記載の計測システム。
【請求項28】
前記収集サブシステムは、前記オーバレイターゲットの第1の画像を、前記第1のワーキングゾーンに関連付けられた前記2つのサンプル層のそれぞれからの前記1次回折に基づいて生成し、前記オーバレイターゲットの第2の画像を、前記第2のワーキングゾーンに関連付けられた前記2つのサンプル層のそれぞれからの前記1次回折に基づいて生成し、前記コントローラは、前記見かけのオーバレイを、前記第1の画像及び前記第2の画像に関連付けられた見かけのオーバレイを平均することによって決定するように更に構成される、請求項18に記載の計測システム。
【請求項29】
前記少なくとも1つの照明ローブは、2つの照明ローブを前記オーバレイターゲットに対して2つの斜照射角で含む、請求項18に記載の計測システム。
【請求項30】
前記照明サブシステムは、前記オーバレイターゲットを前記2つの照明ローブを用いて同時に照射し、ここで前記収集サブシステムは、前記第1の画像及び前記第2の画像を、前記第1のワーキングゾーンに関連する収集された光を前記第2のワーキングゾーンに関連する収集された光から分離することによって同時に生成する、請求項29に記載の計測システム。
【請求項31】
前記照明サブシステムは、前記オーバレイターゲットを前記2つの照明ローブを用いて順次照射する、請求項30に記載の計測システム。
【請求項32】
計測方法であって、
サンプル上のオーバレイターゲットの画像を、少なくとも1つの照明ローブを用いた前記オーバレイターゲットの照射に基づき受け取ることであって、前記オーバレイターゲットは、少なくとも第1のワーキングゾーンと第2のワーキングゾーンを測定方向に沿ったオーバレイ測定のために含み、ここで少なくとも前記第1のワーキングゾーンは、2つのサンプル層上の前記測定方向に沿って重なり合う周期構造から形成されるモアレパターンを含み、前記2つのサンプル層上の前記周期構造の周期が異なっており、
ここで前記画像は、前記第1のワーキングゾーンに関連する前記2つのサンプル層のそれぞれからの1次回折に基づいており、前記画像は、前記第2のワーキングゾーンに関連する前記2つのサンプル層のそれぞれからの1次回折に更に基づいており、前記画像における前記第1のワーキングゾーンの見かけの周期は、モアレ干渉に基づいており、
前記第1のワーキングゾーンと前記第2のワーキングゾーンの間で前記測定方向に沿った見かけのオーバレイを、前記画像に基づいて決定すること、及び、
前記2つのサンプル層間のオーバレイを、モアレ利得で前記見かけのオーバレイを除算することによって計算し、前記モアレ干渉を補償すること、
を含む、計測方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つの照明ローブは、前記オーバレイターゲットに対して約90°の角度で前記オーバレイターゲットを照射するように構成される、請求項32に記載の計測方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つの照明ローブは、前記第1のワーキングゾーン又は前記第2のワーキングゾーンの少なくとも1つの中心部分又はその近くで前記オーバレイターゲットを照射するように構成される、請求項33に記載の計測方法。
【請求項35】
前記少なくとも1つの照明ローブは、2つの照明ローブを2つの斜照射角で含む、請求項32に記載の計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、イメージングオーバレイ計測に関し、特に、モアレ要素を有するイメージングオーバレイターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
オーバレイ計測に対する設計ルールの縮小と仕様のより高い要求により、オーバレイ計測方法の感度と堅牢性に対する要求が高まっている。オーバレイ計測は、通常、関心のある複数のサンプル層に作製されたフィーチャを有する専用の計測ターゲットを作製することによって実行される。したがって、作製された計測ターゲットの分析は、関心のあるサンプル層の間のオーバレイ誤差(例えば、相対位置合わせ誤差)の測定値を提供し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0219930号
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0279630号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多種多様なオーバレイ計測ターゲットの設計が提案されているが、計測ターゲットの設計、及び作製された計測ターゲットを正確かつ効率的に分析するための測定方法を改善する必要性が継続的に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
計測システムが、本開示の1つ以上の例示的な実施形態に従って開示される。1つの例示的な実施形態では、計測システムはイメージングシステムを含む。別の例示的な実施形態では、イメージングシステムは、(1)オーバレイターゲットを少なくとも1つの照明ローブを用いて、オーバレイターゲットに対して斜照射角で照射するように構成された照明サブシステムであって、オーバレイターゲットが少なくとも第1のワーキングゾーン及び第2のワーキングゾーンを、測定方向に沿うオーバレイ測定のために含んでおり、少なくとも第1のワーキングゾーンが2つのサンプル層上の測定方向に沿って重なり合う周期構造から形成されたモアレパターンを含み、2つのサンプル層上の周期構造の周期が異なる、照明サブシステム、(2)第1のワーキングゾーンによる少なくとも1つの照明ローブの各々の回折に関連するゼロ次回折及び1つのモアレ回折次数を収集するように構成された収集サブシステムであって、第2のワーキングゾーンによる少なくとも1つの照明ローブの各々の回折に関連するゼロ次回折及び1つの追加の回折次数を収集するように更に構成される、収集サブシステム、及び、(3)オーバレイターゲットの画像を、収集サブシステムによって収集された光を使用して生成するように構成された検出器を含む。別の例示的な実施形態では、計測システムは、イメージングシステムに結合されるように構成されたコントローラを備え、コントローラは、プログラム命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含み、プログラム命令は1つ以上のプロセッサに、(a)サンプル上のオーバレイターゲットの画像を受け取らせ、ここで画像内の第1のワーキングゾーンの見かけの周期は、モアレ干渉に基づき、(b)第1のワーキングゾーンと第2のワーキングゾーンとの間の、測定方向に沿った見かけのオーバレイを、画像に基づいて決定させ、そして(c)2つのサンプル層の間のオーバレイを、モアレ利得で見かけのオーバレイを除算することによって計算させて、モアレ干渉を補償させる。
【0006】
別の例示的な実施形態では、少なくとも1つの照明ローブは、2つの照明ローブをオーバレイターゲットに対して2つの斜照射角で含む。
【0007】
別の例示的な実施形態では、照明サブシステムは、オーバレイターゲットを2つの照明ローブを用いて同時に照射する。
【0008】
別の例示的な実施形態では、照明サブシステムは、オーバレイターゲットを2つの照明ローブを用いて順次照射する。
【0009】
別の例示的な実施形態では、2つの照明ローブは測定方向に沿って向けられる。
【0010】
別の例示的な実施形態では、2つの照明ローブは、測定方向に対して非ゼロ角度に向けられる。
【0011】
別の例示的な実施形態では、収集サブシステムは、オーバレイターゲットの第1の画像を、第1のワーキングゾーンによる少なくとも1つの照明ローブのそれぞれの回折に関連するゼロ次回折と1つのモアレ回折次数に基づいて生成し、ここで収集サブシステムは、オーバレイターゲットの第2の画像を、第2のワーキングゾーンによる少なくとも1つの照明ローブのそれぞれの回折に関連するゼロ次回折と1つの追加の回折次数に基づいて生成し、ここでコントローラは更に、第1の画像及び第2の画像に関連付けられた見かけのオーバレイを平均することによって見かけのオーバレイを決定するように構成される。
【0012】
別の例示的な実施形態では、少なくとも1つの照明ローブは、2つの照明ローブをオーバレイターゲットに対して2つの斜照射角で含む。
【0013】
別の例示的な実施形態では、照明サブシステムは、オーバレイターゲットを2つの照明ローブで同時に照射し、ここで収集サブシステムは、第1の画像及び第2の画像を、第1のワーキングゾーンに関連する収集された光を第2のワーキングゾーンに関連する収集された光から分離することによって同時に生成する。
【0014】
別の例示的な実施形態では、照明サブシステムは、オーバレイターゲットを2つの照明ローブを用いて順次照射する。
【0015】
別の例示的な実施形態では、第1のワーキングゾーンのモアレパターンは、第1のモアレパターンであり、ここで第2のワーキングゾーンは、2つのサンプル層上の測定方向に沿って重なり合う周期構造から形成される第2のモアレパターンを含み、ここで第2のワーキングゾーンにおける2つのサンプル層上の周期構造の周期は異なり、第2のモアレパターンは第1のモアレパターンとは異なる。
【0016】
計測方法は、本開示の1つ以上の例示的な実施形態に従って開示される。1つの例示的な実施形態では、計測方法は、サンプル上のオーバレイターゲットの画像を、オーバレイターゲットに対して少なくとも1つの照明ローブを斜照射角で用いたオーバレイターゲットの照射に基づき受け取ることを含み、オーバレイターゲットは、少なくとも第1のワーキングゾーンと第2のワーキングゾーンを測定方向に沿ったオーバレイ測定のために含み、ここで少なくとも第1のワーキングゾーンは、2つのサンプル層上の測定方向に沿って重なり合う周期構造から形成されるモアレパターンを含み、2つのサンプル層上の周期構造の周期は異なり、画像は、第1のワーキングゾーンによる少なくとも1つの照明ローブのそれぞれの回折に関連するゼロ次回折と1つのモアレ回折次数に基づき、画像は更に、第2のワーキングゾーンによる少なくとも1つの照明ローブのそれぞれの回折に関連するゼロ次回折と1つの追加の回折次数に基づき、画像における第1のワーキングゾーンの見かけの周期は、モアレ干渉に基づく。別の例示的な実施形態では、計測方法は、第1のワーキングゾーンと第2のワーキングゾーンとの間の測定方向に沿う見かけのオーバレイを、画像に基づき決定することを含む。別の例示的な実施形態では、計測方法は、2つのサンプル層間のオーバレイを、モアレ利得で見かけのオーバレイを除算することによって計算し、モアレ干渉を補償することを含む。
【0017】
別の例示的な実施形態では、少なくとも1つの照明ローブは、2つの照明ローブを、オーバレイターゲットに対する2つの斜照射角で含む。
【0018】
計測システムが、本開示の1つ以上の例示的な実施形態に従って開示される。1つの例示的な実施形態では、計測システムはイメージングシステムを含む。別の例示的な実施形態では、イメージングシステムは、(1)オーバレイターゲットを少なくとも1つの照明ローブを用いて、オーバレイターゲットに対して斜照射角で照射するように構成された照明サブシステムであって、オーバレイターゲットが少なくとも第1のワーキングゾーン及び第2のワーキングゾーンを、測定方向に沿うオーバレイ測定のために含んでおり、少なくとも第1のワーキングゾーンが2つのサンプル層上の測定方向に沿って重なり合う周期構造から形成されたモアレパターンを含み、2つのサンプル層は第1のサンプル層及び第2のサンプル層を含み、2つのサンプル層上の周期構造の周期が異なる、照明サブシステム、(2)第1のワーキングゾーンに関連する2つのサンプル層のそれぞれから1次回折を収集するように構成された収集サブシステムであって、第2のワーキングゾーンに関連する2つのサンプル層のそれぞれから1次回折を収集するように更に構成される、収集サブシステム、及び、(3)オーバレイターゲットの画像を、収集サブシステムによって収集された光を使用して生成するように構成された検出器を含む。別の例示的な実施形態では、計測システムは、イメージングシステムに結合されるように構成されたコントローラを含み、コントローラは、プログラム命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含み、プログラム命令は1つ以上のプロセッサに、(a)サンプル上のオーバレイターゲットの画像を受け取らせ、ここで画像内の第1のワーキングゾーンの見かけの周期は、検出器でのモアレ干渉に基づき、(b)画像をフィルタリングさせてモアレ干渉を分離させ、(c)第1のワーキングゾーンと第2のワーキングゾーンとの間の測定方向に沿った見かけのオーバレイを、画像に基づいて決定させ、そして(d)2つのサンプル層の間のオーバレイを、モアレ利得で見かけのオーバレイを除算することによって計算させて、モアレ干渉を補償させる。
【0019】
別の例示的な実施形態では、収集サブシステムは、1つ以上のブロッカを含み、第1のワーキングゾーン又は第2のワーキングゾーンのうちの少なくとも1つからのゼロ次回折をブロックする。
【0020】
別の例示的な実施形態では、収集サブシステムの開口数は、照明サブシステムの開口数よりも小さく、第1のワーキングゾーン又は第2ワーキングゾーンの少なくとも1つからのゼロ次回折の収集を防止する。
【0021】
別の例示的な実施形態では、少なくとも1つの照明ローブは、2つの照明ローブをオーバレイターゲットに対して2つの斜照射角で含む。
【0022】
別の例示的な実施形態では、照明サブシステムは、オーバレイターゲットを2つの照明ローブを用いて同時に照射する。
【0023】
別の例示的な実施形態では、照明サブシステムは、オーバレイターゲットを2つの照明ローブを用いて順次照射する。
【0024】
別の例示的な実施形態では、2つの照明ローブは、測定方向に沿って向けられる。
【0025】
別の例示的な実施形態では、2つの照明ローブは、測定方向に対して非ゼロ角度に向けられる。
【0026】
別の例示的な実施形態では、収集サブシステムは、オーバレイターゲットの第1の画像を、第1のワーキングゾーンに関連付けられた2つのサンプル層のそれぞれからの1次回折に基づいて生成し、ここで収集サブシステムは、オーバレイターゲットの第2の画像を、第2のワーキングゾーンに関連付けられた2つのサンプル層のそれぞれからの1次回折に基づいて生成し、コントローラは、見かけのオーバレイを、第1の画像及び第2の画像に関連付けられた見かけのオーバレイを平均することによって決定するように更に構成される。
【0027】
別の例示的な実施形態では、少なくとも1つの照明ローブは、2つの照明ローブをオーバレイターゲットに対して2つの斜照射角で含む。
【0028】
別の例示的な実施形態では、照明サブシステムは、オーバレイターゲットを2つの照明ローブを用いて同時に照射し、収集サブシステムは、第1の画像と第2の画像を、第1のワーキングゾーンに関連する収集された光を第2のワーキングゾーンに関連する収集された光から分離することによって同時に生成する。
【0029】
別の例示的な実施形態では、照明サブシステムは、オーバレイターゲットを2つの照明ローブを用いて順次照射する。
【0030】
計測方法は、本開示の1つ以上の例示的な実施形態に従って開示される。1つの例示的な実施形態では、計測方法は、サンプル上のオーバレイターゲットの画像を、オーバレイターゲットに対して少なくとも1つの照明ローブを斜照射角で用いたオーバレイターゲットの照射に基づき受け取ることを含み、オーバレイターゲットは、少なくとも第1のワーキングゾーンと第2のワーキングゾーンを測定方向に沿ったオーバレイ測定のために含み、ここで少なくとも第1のワーキングゾーンが2つのサンプル層上の測定方向に沿って重なり合う周期構造から形成されたモアレパターンを含み、2つのサンプル層上の周期構造の周期は異なり、画像は、第1のワーキングゾーンに関連する2つのサンプル層のそれぞれからの1次回折に基づき、画像は、第2のワーキングゾーンに関連する2つのサンプル層のそれぞれからの1次回折に更に基づき、画像における第1のワーキングゾーンの見かけの周期は、モアレ干渉に基づく。別の例示的な実施形態では、計測方法は、第1のワーキングゾーンと第2のワーキングゾーンとの間の測定方向に沿う見かけのオーバレイを、画像に基づき決定することを含む。別の例示的な実施形態では、2つのサンプル層間のオーバレイを、モアレ利得で見かけのオーバレイを除算することによって計算し、モアレ干渉を補償することを含む。
【0031】
別の例示的な実施形態では、少なくとも1つの照明ローブは、2つの照明ローブを、オーバレイターゲットに対して2つの斜照射角で含む。
【0032】
前述の一般的な説明と以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される本発明を必ずしも限定するものではないことを理解されたい。明細書に援用され、その一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、一般的な説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本開示の多くの利点は、添付の図面を参照することにより、当業者によってよりよく理解されるであろう。
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、計測システムのブロック図である。
【
図2A】本開示の1つ以上の実施形態による、複数の回転対称ワーキングゾーン内の格子オーバ格子(grating-over-grating)構造に基づくモアレパターンを有する計測ターゲットの上面ブロック図である。
【
図2B】本開示の1つ以上の実施形態による、
図2Aのモアレパターンにおける多層格子構造の概念図である。
【
図2C】本開示の1つ以上の実施形態による、2つの直交方向に沿った測定のための
図2A及び
図2Bに基づく計測ターゲットの上面図である。
【
図3】本開示の1つ以上の実施形態による、二重散乱モアレ効果を使用してオーバレイを計算する方法を示す流れ図である。
【
図4】本開示の1つ以上の実施形態による、二重散乱モアレ効果を示す概念図である。
【
図5】本開示の1つ以上の実施形態による、二重散乱モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のためのワンステップの中心から外れた構成を示す。
【
図6】本開示の1つ以上の実施形態による、二重散乱モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のためのワンステップの中心から外れた構成を示す。
【
図7】本開示の1つ以上の実施形態による、二重散乱モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のためのワンステップの中心から外れた構成を示す。
【
図8A】本開示の1つ以上の実施形態による、二重散乱モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。
【
図8B】本開示の1つ以上の実施形態による、二重散乱モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。
【
図9A】本開示の1つ以上の実施形態による、二重散乱モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。
【
図9B】本開示の1つ以上の実施形態による、二重散乱モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。
【
図10】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用してオーバレイを計算する方法を示す流れ図である。
【
図11】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を示す概念図である。
【
図12】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のためのワンステップの中心構成を示す。
【
図13A】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。
【
図13B】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。
【
図14A】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。
【
図14B】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。
【
図15A】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。
【
図15B】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。
【
図16A】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。
【
図16B】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。
【
図17A】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。
【
図17B】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。
【
図18A】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。
【
図18B】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。
【
図19】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用するサンプル照射及び収集のためのワンステップの中心から外れた構成を示す。
【
図20】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用するサンプル照射及び収集のためのワンステップの中心から外れた構成を示す。
【
図21】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用するサンプル照射及び収集のためのワンステップの中心から外れた構成を示す。
【
図22】本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のためのワンステップの中心構成を示す。
【
図23A】本開示の1つ以上の実施形態による、オーバレイを測定する方法で実行されるステップを示す流れ図である。
【
図23B】本開示の1つ以上の実施形態による、ワーキンググループの対称軸を決定する方法を示す流れ図である。
【
図24A】本開示の1つ以上の実施形態による、方法の適用を示す追加のマーキングを有する
図2Cの計測ターゲットの上面図である。
【
図24B】本開示の1つ以上の実施形態による、対称軸が重なり合っておらず、オーバレイ誤差が存在する場合を示す
図24Aの上面図である。
【
図25】本開示の1つ以上の実施形態による、第1のモアレパターンの2つのインスタンスを含む第1のワーキングゾーンと、第2のモアレパターンの2つのインスタンスを含む第2のワーキングゾーンとを含む計測ターゲットの上面図である。
【
図26A】本開示の1つ以上の実施形態による、第1のモアレパターンの2つのインスタンスを含む第1のワーキングゾーンと、第2のモアレパターンの単一のインスタンスを含む第2のワーキングゾーンとを含む計測ターゲットの上面図である。
【
図26B】本開示の1つ以上の実施形態による、方法の適用を示す追加のマーキングを有する
図26Aの計測ターゲットの上面図である。
【
図27】本開示の1つ以上の実施形態による、モアレインボックス計測ターゲットの上面図であり、第1のワーキングゾーンはモアレパターンの単一のインスタンスを含み、第2のワーキングゾーンはモアレパターンを取り囲む非周期的な単層構造を含む。
【
図28A】本開示の1つ以上の実施形態による、複数の層にわたる格子オーバ格子構造に基づくモアレパターンを有する3層計測ターゲットの上面ブロック図である。
【
図28B】本開示の1つ以上の実施形態による、
図28Aのモアレパターンにおける多層格子構造の概念図である。
【
図28C】本開示の1つ以上の実施形態による、2つの直交方向に沿った測定のための
図28A及び
図28Bに基づく計測ターゲットの平面図である。
【
図29A】本開示の1つ以上の実施形態による、トリプルモアレ計測ターゲットの上面ブロック図である。
【
図29B】本開示の1つ以上の実施形態による、
図29Aのモアレパターンにおける多層格子構造の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここで、添付の図面に示されている、開示された主題を詳細に参照する。本開示は、特定の実施形態及びその特定の特徴に関して、具体的に示し説明している。本明細書に記載された実施形態は、限定ではなく例示と見なされる。本明細書で使用される場合、「左」、「右」、「上部」、「底部」、「上に」、「下に」、「上方」、「上方向」、「下方」、「下へ」及び「下方向」などの方向を示す用語は、説明を目的として相対位置を提供することを意図しており、絶対基準系を指示することを意図していない。形態及び詳細における様々な変更及び修正は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく行い得ることは、当業者には容易に明らかであろう。
【0035】
現在、様々な主要な技術がオーバレイ測定のために使用されており、イメージング、スキャトロメトリ、及び走査型電子顕微鏡(SEM)が挙げられる。イメージングに使用される主な光学アーキテクチャは、中心的に照射された通常のイメージングである。オーバレイ計測に従来のイメージング技術を使用することには、いくつかの欠点があり、(1)イメージングシステムの焦点依存性による制限された感度、(2)焦点選択に応じた振幅の不正確さ、及び(3)測定マップ内の格子のピッチを制限する対物レンズの開口数(NA)が挙げられる。
【0036】
本開示は、イメージングオーバレイ測定技術に関し、それは収集カメラ又は別の収集デバイスをフィールド平面に配置して、サンプル上のオーバレイターゲットの画像を取り込むことを必要とする。特に、本開示は、モアレ格子オーバ格子効果を使用してオーバレイを測定することに関する。本開示は、二重散乱モアレ効果(例えば、ゼロ次回折及び少なくとも1つのモアレ回折次数を収集すること)を用いてオーバレイを測定する方法と、単一散乱光モアレ効果(単一散乱効果間の干渉によりカメラに現れるモアレ効果、例えば、1次回折を収集し、画像をフィルタリングしてモアレ干渉を分離すること)を用いてオーバレイを測定する方法を提供する。本開示の照射及び収集システムは、(a)モアレ効果が測定可能である、(b)他の効果が測定に干渉しない、(c)精度が最大化される、(d)測定可能性が最大化される、(e)設計の単純さが強調される、という点において有利である。
【0037】
二重散乱モアレ効果に関して、光学スキームを、2つの回折次数のみが任意の所与の時点で干渉するように設計することで、コントラストが改善され、振幅の不正確さが除去される。ゼロ次回折を使用する場合は常に、ゼロ次回折は基準ビームで置き換えられ得て、また通常のイメージングの代わりに、干渉計測ソリューションを(不安定性などのその問題と、強度制御などのその利益を用いて)生成し得る。単一散乱光モアレ効果に関して、ゼロ次及びモアレ縞を除去することによって、コントラストが改善され、振幅の不正確さが除去される。
【0038】
図1は、サンプルの画像を生成するように構成された計測システムを示す。
図2A~
図2Cは、1つ以上の回転対称ワーキングゾーンにおける格子オーバ格子構造に基づくモアレパターンを有するオーバレイターゲットの計測を示す。
図3~
図9Bは、二重散乱モアレ効果を使用してサンプルのオーバレイを計算することを示す。
図10~
図22は、単一散乱光モアレ効果を使用してサンプルのオーバレイを計算することを示す。
図23A~
図23Bは、ワーキングゾーンの対称性を利用することによってオーバレイを計算する方法を示す流れ図である。
図24A~
図26Bは、2つのワーキングゾーンにモアレパターンを有する計測ターゲットを使用したオーバレイを示す。
図27~
図28Cは、1つのワーキングゾーンにモアレパターンを有し、第2のワーキングゾーンに単層構造(例えば、格子オーバ格子構造ではない)を有する計測ターゲットを使用するオーバレイを示す。
図29A及び
図29Bは、2つのワーキングゾーンにモアレパターンを有する3つ以上の層を備える計測ターゲットを使用するオーバレイを示し、1つの層は参照層として機能する。
【0039】
計測ターゲット上のモアレパターンは、異なる周期を有する異なるサンプル層上の格子構造から形成された格子オーバ格子構造を含み得る。この開示の目的のために、「格子」又は「格子構造」は、任意の周期構造又は一連の要素を記述し得て、要素には、限定するものではないが、ライン/スペースパターンが含まれる。モアレパターンの画像は、モアレ縞をモアレピッチで含み、モアレピッチは異なるサンプル層上の格子間の空間変動性の重なり合いに関連付けられる。通常、モアレピッチはいずれの格子構造よりも長ピッチであり、格子構造のピッチ間の差異に関連する。例えば、モアレピッチ(pM)は、
pM=(p1・p2)/(p1-p2) (1)
として特徴付けることができ、ここでp1は第1の層上の第1の格子構造の周期、p2は第2の層上の第2の格子構造の周期である。
【0040】
本明細書では、モアレパターンを含む計測ターゲットは、敏感なオーバレイ測定を容易にし得ると考えられる。特に、モアレパターン内の別の格子に対するある格子の、周期的な方向に沿った物理的シフト(例えば、サンプル上の2つのサンプル層の相対シフトに関連するオーバレイ誤差)は、測定方向に沿うモアレ縞の対応する横方向シフトをもたらす。更に、モアレ縞のシフトの大きさは、通常、物理的シフトの大きさよりも大きい。特に、モアレ縞のシフトの大きさは、基準系に依存する条件付モアレファクタによって、物理的シフト(例えば、オーバレイ誤差)に比例する。引き続き上記の例によれば、第1の層に対する第2の層のシフトによって、公称位置(例えば、オーバレイ誤差なし)からのモアレ縞のシフトは、
M=p1/(p1-p2) (2)
の条件付モアレファクタ(M)によってもたらされる。しかし、本開示の文脈において「第1の層」、「第2の層」、「第3の層」などの参照は、単に様々なサンプル層を区別することを意図しており、サンプル上の層の物理的順序を示すものではない。したがって、「第1の層」がサンプル上で「第2の層」の上方にあっても下方にあってもよい。
【0041】
これに関して、オーバレイ測定は、モアレ縞のシフトを計測ターゲット上の関連付けられた格子構造の周期的な方向に沿って測定し、その値をモアレ利得により調整することによって実行され得て、モアレ利得は計測ターゲットの特定の設計と行われる特定の測定とに依存する。例えば、モアレ縞のシフトを、別の構造又は別の一組のモアレ縞に対して測定することが望ましく、それは単一のモアレ縞のシフトの絶対測定が、一部のターゲット設計に対して困難、非現実的、又は不可能となる場合があるためである。オーバレイ計測におけるモアレパターンの使用は、2008年10月21日に発行された米国特許第7,440,105号、2008年3月25日に発行された米国特許第7,349,105号、及び2018年7月5日に公開された米国特許出願公開第2018/0188663号に記載されており、それらのすべては全体が本明細書に援用される。
【0042】
本明細書において、計測ターゲットの要素を対称構成に配置することで、対称性の利用に基づく要素の相対位置の決定が容易になり得ることが認識される。例えば、オーバレイ計測ターゲットは、第1のサンプル層上の要素の対称中心が第2のサンプル層上の要素の対称中心と重なるように形成され得る。したがって、作製された計測ターゲットの第2の層に対する第1の層の要素の対称中心間の差は、オーバレイ誤差に起因する場合がある。オーバレイ計測ターゲット (例えば、先進イメージング計測(AIM)ターゲット) における対称性の利用は、2006年6月27日に発行された米国特許第7,068,833号、2005年7月26日に発行された米国特許第6,921,916号、及び2007年2月13日に発行された米国特許第7,177,457号に記載されており、これらはすべて参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0043】
本開示の実施形態は、対称分布で配置された1つ以上のモアレパターンを伴う少なくとも1つのワーキングゾーンを有するオーバレイ計測ターゲットを対象とし得る。例えば、ワーキングゾーン内のモアレパターンは、鏡面対称分布又は回転対称分布(例えば、90°回転対称分布、180°回転対称分布など)で分布することができる。これに関して、モアレパターンの利点と計測ターゲットにおける対称性の利点を組み合わせて一緒に利用することで、正確で堅牢なオーバレイ計測を容易にし得る。
【0044】
本明細書において、モアレパターンの1つ以上のインスタンスを含むワーキンググループに対する物理的なオーバレイ誤差の影響は、本明細書で前述したように、モアレ縞のシフトに基づいて対称中心をシフトする可能性があることが認識される。したがって、対称中心に基づくオーバレイの任意の測定は、モアレ利得係数に基づいて調整される必要がある。本明細書では、モアレ利得係数がオーバレイ計測ターゲット内の要素の特定の配置に依存する可能性があることが更に認識される。
【0045】
図1は、本開示の1つ以上の実施形態による、計測システム100のブロック図である。計測システム100は、当技術分野で周知の任意の方法を使用して、サンプル102の1枚以上の画像を少なくとも1つの検出器104上で生成し得る。
【0046】
1つの実施形態では、計測システム100は、照明源106を含み、照明ビーム108を生成する。照明ビーム108は、1つ以上の選択された波長の光を含み得て、限定するものではないが、真空紫外放射(VUV)、深紫外放射(DUV)、紫外(UV)放射、可視放射、又は赤外(IR)放射が含まれる。照明源106は、任意の範囲の選択された波長を含む照明ビーム108を更に生成し得る。別の実施形態では、照明源106は、スペクトル調節可能な照明源を含み、調節可能なスペクトルを有する照明ビーム108を生成し得る。
【0047】
照明源106は、任意の時間プロファイルを有する照明ビーム108を更に生成し得る。例えば、照明源106は、連続照明ビーム108、パルス照明ビーム108、又は変調照明ビーム108を生成し得る。加えて、照明ビーム108は、照明源106から、自由空間伝播又は導波光(例えば、光ファイバ、ライトパイプなど)を介して伝送され得る。いくつかの実施形態では、照明ビーム108はインコヒーレント光を含んでもよい。別の実施形態では、照明ビーム108はコヒーレント光を含み得る。
【0048】
別の実施形態では、照明源106は、照明ビーム108をサンプル102に、照明経路110を介して向ける。照明経路110は、1つ以上のレンズ112あるいは追加の照明光学部品114を含み得て、それらは照明ビーム108を修正及び/又は調整するのに適する。例えば、1つ以上の照明光学部品114は、限定するものではないが、1つ以上の偏光子、1つ以上のフィルタ、1つ以上のビームスプリッタ、1つ以上のディフューザ、1つ以上のホモジナイザ、1つ以上のアポダイザ、1つ以上ビーム整形器、又は1つ以上シャッタ(例えば、機械シャッタ、電気光学シャッタ、音響光学シャッタなど)を含み得る。別の例として、1つ以上の照明光学部品114は、サンプル102上への照射の角度を制御するための開口絞り、及び/又はサンプル102上への照射の空間的範囲を制御するための視野絞りを含み得る。1つの例では、照明経路110は、対物レンズ116の後方焦点面に対して共役な平面に置かれた開口絞りを含み、サンプルのテレセントリック照射を行い得る。別の実施形態では、計測システム100は、対物レンズ116を含み、サンプル102上に照明ビーム108を合焦させる。
【0049】
別の実施形態では、サンプル102はサンプルステージ118上に配置される。サンプルステージ118は、計測システム100内でのサンプル102の位置決めに適切な任意のデバイスを有し得る。例えば、サンプルステージ118は、直線並進ステージ、回転ステージ、ティップ/ティルトステージなどの任意の組み合せを有してもよい。
【0050】
別の実施形態では、検出器104は、サンプル102から発出される放射(例えば、サンプル光120)を、集光経路122を介して取り込むように構成される。例えば、集光経路122は、限定するものではないが、集光レンズ(例えば、
図1に示される対物レンズ116)、又は1つ以上の追加の集光経路レンズ124を含み得る。これに関して、検出器104は、サンプル102から(例えば、鏡面反射、拡散反射などを介して)反射又は散乱された放射、あるいはサンプル102によって生成された放射(例えば、照明ビーム108の吸収に関連付けられるルミネッセンスなど)を、受け取ることができる。
【0051】
集光経路122は、任意の数の集光用光学部品126を更に含み、対物レンズ116により集められた照射を方向付け、及び/又は修正し得て、限定するものではないが、1つ以上の集光経路レンズ124、1つ以上のフィルタ、1つ以上のポラライザ、1つ以上のビームブロックが含まれる。加えて、集光経路122は、検出器104上に撮像されたサンプルの空間的範囲を制御する視野絞り、又はサンプルからの照射の角度範囲を制御する開口絞りを更に含み、それを用いて検出器104上に画像を生成し得る。別の実施形態では、集光経路122は、光学素子である対物レンズ116の後方焦点面に対して共役な平面に置かれた開口絞りを含み、サンプルのテレセントリックイメージングを行う。
【0052】
検出器104は、サンプル102から受け取った照射を測定するのに適した、当技術分野で周知の任意の種類の光学的検出器を含み得る。例えば、検出器104は、静止サンプル102の1枚以上の画像を(例えば、静的動作モードにおいて)生成するのに適したセンサを含み得て、限定するものではないが、電荷結合デバイス(CCD)、相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサ、光電子増倍管(PMT)アレイ、又はアバランシェフォトダイオード(APD)アレイが挙げられる。更に、検出器104は、ピクセル当たり2つ以上のタップを有するマルチタップセンサを含み得て、限定するものではないが、マルチタップCMOSセンサが挙げられる。この場合、マルチタップ画素内の電荷は、その画素に対する1つ以上の駆動信号に基づき、露出ウィンドウ中に選択された任意のタップに向けられ得る。従って、マルチタップ画素のアレイを含むマルチタップセンサは、それぞれ関連画素の相異なるタップに関する複数枚の画像を、単一の読み出しフェーズ中に生成し得る。更に、本開示の目的上、マルチタップセンサのタップは、関連画素に接続された出力タップを指す場合がある。この場合、マルチタップセンサの各タップを(例えば、読み出しフェーズにおいて)読み出すことで、個別画像を生成し得る。
【0053】
別の例として、検出器104は、動作中(例えば、走査動作モード)のサンプル102の1枚以上の画像を生成するのに適したセンサを含み得る。例えば、検出器104は、画素行を含むラインセンサを含み得る。ここで、計測システム100は、サンプル102を、その画素行に対して垂直な走査方向に、計測視野を通して並進させること、並びに連続露出ウィンドウ中にラインセンサを連続クロッキングすることにより、一度に1行、連続画像(例えば、ストリップ画像)を生成し得る。
【0054】
別の例によれば、検出器104は、複数本の画素行と読み出し行を有するTDIセンサを含み得る。TDIセンサは、ラインセンサと同様に動作し得るが、クロッキング信号が電荷を画素行から次の画素行へと、電荷が読み出し行に達するまで順次動かし、そこで画像の行が生成される、ということは異なっている。電荷転送(例えば、クロッキング信号に基づく)をサンプルの走査方向に沿った運動と同期させることによって、電荷が画素行にわたって蓄積し続け、ラインセンサに比べて相対的に高い信号対雑音比を提供し得る。
【0055】
別の実施形態では、検出器104は、サンプル102から発出される放射の波長を識別するのに適した分光検出器を含み得る。別の実施形態では、計測システム100は、複数の検出器104(例えば、1つ以上のビームスプリッタによって生成される複数のビーム経路に関連付けられる)を含み、計測システム100によって複数の計測測定を容易にし得る。例えば、計測システム100は、静的モードイメージングに適した1つ以上の検出器104と、走査モードイメージングに適した1つ以上の検出器104とを含み得る。別の実施形態では、計測システム100は、静的及び走査イメージングモードの両方に適した1つ以上の検出器104を含んでもよい。
【0056】
1つの実施形態では、
図1に示すように、計測システム100は、ビームスプリッタ128を含み、ビームスプリッタ128は、対物レンズ116が照明ビーム108をサンプル102へ方向付けて、同時にサンプル102から発出される放射を集めることができるように配向される。
【0057】
別の実施形態では、サンプル102への照明ビーム108の入射角は調整可能である。例えば、ビームスプリッタ128及び対物レンズ116を通る照明ビーム108の経路は、サンプル102への照明ビーム108の入射角を制御するために調整され得る。これ関して、照明ビーム108は、ビームスプリッタ128及び対物レンズ116を通る公称経路を有し、その結果、照明ビーム108はサンプル102に対して直交入射角を有する。別の例として、サンプル102への照明ビーム108の入射角は、ビームスプリッタ128への照明ビーム108の位置及び/又は角度を(例えば、回転式ミラー、空間光変調器、自由形状照明源などによって)修正することによって制御され得る。別の実施形態では、照明源106は、1つ以上の照明ビーム108をある角度(例えば視射角、45°など)でサンプル102に向ける。
【0058】
別の実施形態では、計測システム100はコントローラ130を含む。別の実施形態では、コントローラ130は、1つ以上のプロセッサ132を含み、それは記憶媒体134上に維持されたプログラム命令を実行するように構成される。この場合、コントローラ130の1つ以上のプロセッサ132は、本開示を通じて説明される様々なプロセスステップのいずれかを実行し得る。更に、コントローラ130は、限定するものではないが、検出器104からのサンプル102の画像を含むデータを受け取るように構成され得る。
【0059】
コントローラ130の1つ以上のプロセッサ132は、当技術分野で周知の任意の処理要素を含み得る。この意味で、1つ以上のプロセッサ132は、アルゴリズム及び/又は命令を実行するように構成された任意のマイクロプロセッサタイプのデバイスを含み得る。1つの実施形態では、1つ以上のプロセッサ132は、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、並列プロセッサ、又はプログラムを実行するように構成された任意の他のコンピュータシステム(例えば、ネットワーク化されたコンピュータ)から構成され得て、プログラムは本開示を通じて説明されるように、計測システム100を動作するように構成される。「プロセッサ」という用語は、非一時的記憶媒体134からのプログラム命令を実行する1つ以上の処理要素を有する任意のデバイスを包含するように広く定義され得ることが更に認識される。更に、本開示を通じて説明されるステップは、単一のコントローラ130によって、又は代替的に、複数のコントローラによって実行され得る。加えて、コントローラ130は、共通ハウジング又は複数のハウジング内に収容された1つ以上のコントローラを含み得る。このようにして、任意のコントローラ又はコントローラの組み合わせは、計測システム100への統合に適したモジュールとして個別にパッケージ化されてもよい。更に、コントローラ130は、検出器104から受信したデータを分析し、そのデータを計測システム100内又は計測システム100の外部の追加の構成要素に伝送し得る。
【0060】
記憶媒体134は、関連する1つ以上のプロセッサ132によって実行可能なプログラム命令を格納するのに適した、当技術分野で周知の任意の記憶媒体を含み得る。例えば、記憶媒体134は非一時的記憶媒体を含み得る。別の例として、記憶媒体134は、限定するものではないが、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光メモリデバイス(例えば、ディスク)、磁気テープ、固体ドライブなどを含み得る。記憶媒体134は、1つ以上のプロセッサ132を有する共通のコントローラハウジングに収容され得ることに更に留意されたい。1つの実施形態では、記憶媒体134は、1つ以上のプロセッサ132及びコントローラ130の物理的位置に対して離れて配置され得る。例えば、コントローラ130の1つ以上のプロセッサ132は、ネットワーク(例えば、インターネット、イントラネットなど)を介してアクセス可能なリモートメモリ(例えば、サーバ)にアクセスし得る。したがって、上記の説明は、本発明に対する限定としてではなく、単なる例示として解釈されるべきである。
【0061】
別の実施形態では、コントローラ130は、計測システム100の1つ以上の要素に通信可能に結合される。これに関して、コントローラ130は、計測システム100の任意の構成要素からのデータを送信及び/又は受信し得る。更に、コントローラ130は、関連する構成要素に対して1つ以上の駆動信号を生成することによって、計測システム100の任意の構成要素を指示又は制御し得る。例えば、コントローラ130は、検出器104に通信可能に結合されて、検出器104から1枚以上の画像を受け取り得る。
【0062】
更に、コントローラ130は、検出器104に1つ以上の駆動信号を供給し、本明細書に記載の任意の検出技術を実行し得る。別の例によれば、コントローラ130は、任意の構成要素の組み合わせに通信可能に結合され、画像に関する光学構成、限定するものではないが、照明源106、照明用光学部品114、集光用光学部品126、検出器104などを制御し得る。
【0063】
図2Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、格子オーバ格子構造に基づくモアレパターンを複数の回転対称ワーキングゾーンに有する計測ターゲット202の上面ブロック図である。
図2Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、
図2Aのモアレパターンにおける多層格子構造の概念図である。
【0064】
1つの実施形態では、計測ターゲット202は、第1のワーキングゾーン204を含み、それは第1のワーキングゾーン204が回転対称であるように配置された第1のモアレパターン206の2つのインスタンスから形成される。別の実施形態では、計測ターゲット202は、第2のワーキングゾーン208を含み、それは第2のワーキングゾーン208が回転対称であるように配置された第2のモアレパターン210の2つのインスタンスから形成される。本開示の文脈において、ワーキングゾーンは、一緒に分析されることが意図された一群のフィーチャである。例えば、オーバレイ測定は、あるワーキングゾーンの特性を別のワーキングゾーンと比較することによって実行され得る。
【0065】
一般的な意味で、計測ターゲット202の様々なワーキングゾーンの回転対称の中心は独立していてもよい。しかし、計測ターゲット202を、ワーキングゾーンの一部又は全部の対称中心が(選択された公差内で)、オーバレイ誤差がない場合に一致するように設計することが望ましい場合がある。このターゲット設計は、測定システム(例えば、計測システム100)とウェハ軸との間の回転ミスアライメントによって生じる可能性がある誤差を最小限に抑え得る。1つの実施形態では、同じ方向(例えば、X方向オーバレイ測定)のワーキングゾーンは、同じ対称中心を有する。更に、異なる方向に沿ったオーバレイ測定に関連するワーキングゾーンの対称中心は、必須ではないが、一致してもよい。
【0066】
図2Aのように、オーバレイ誤差のない状況では、第1のワーキングゾーン204及び第2のワーキングゾーン208は、対称中心212を中心に180°回転して対称である。
【0067】
図2Aの計測ターゲット202は、先進イメージング計測(AIM)ターゲットと同様の回転対称特性を有し得て、それは2006年6月27日に発行された米国特許第7,068,833号、2005年7月26日に発行された米国特許第6,921,916号、及び2007年2月13日に発行された米国特許第7,177,457号に一般的に記載されている。しかし、通常のAIMターゲット内の各ワーキングゾーンは単層内にフィーチャを含むが、計測ターゲット202の少なくとも1つのワーキングゾーン(例えば、第1のワーキングゾーン204及び第2のワーキングゾーン208)は、格子構造から形成されるモアレパターンを関心のある複数の層に含む。
図2Bに示されるように、第1のモアレパターン206は、第1の層(層A)にピッチQを有する第1の格子構造214と、第2の層(層B)にピッチPを有する第2の格子構造216とから形成され、ここでP≠Qである。更に、第2のモアレパターン210は、第1の層(層A)にピッチTを有する第3の格子構造218と、第2の層(層B)にピッチSを有する第4の格子構造220とから形成され、ここでS≠Tである。一般的な意味では、P、Q、S、及びTの値は、独立して変更され得て、
図2A及び
図2Bは、一般的なモアレAIMターゲットを表す。
【0068】
式(1)及び(2)に関して本明細書において前述したように、第1のワーキングゾーン204は、次のモアレピッチ(pM1)を有し、
pM1=QP/(Q-P) (3)
そして、第2のワーキングゾーン208は、次のモアレピッチ(pM2)を有する。
pM2=ST/(S-T) (4)
【0069】
第1のワーキングゾーン204は、次の条件付きモアレファクタ(M1)を有し、
M1=P/(P-Q) (5)
層Bに対する層Aのミスアライメントに関連付けられ、そして、第2のワーキングゾーン208は、次の条件付きモアレファクタ(M2)を有し、
M2=S/(S-T) (6)
層Bに対する層Aのシフトと関連付けられる。同様に、層Aに対する層Bのシフトにより、M1=Q/(Q-P)及びM2=T/(T-S)となる。
【0070】
1つの実施形態では、第1のモアレパターン206及び/又は第2のモアレパターン210は、それぞれの格子が完全に重なり合う格子オーバ格子構造を含む。例えば、第1のモアレパターン206の第1の格子構造214及び第2の格子構造216は、サンプル102上で完全に重なり合うことができる。同様に、第2のモアレパターン210の第3の格子構造218及び第4の格子構造220は、サンプル102上で完全に重なり合うことができる。この場合、計測ターゲット202のサイズは最小化されて、サンプル102上のスペースを効率的に利用し得る。
【0071】
本明細書において、隣接するモアレパターンを含む計測ターゲット202は、クロストークを生じやすいと考えられる。更に、クロストークの酷さは、限定するものではないが、スタックの厚さ、材料特性、格子設計、又は測定システム(例えば、計測システム100)の条件を含む、いくつかのファクタに依存する可能性がある。いくつかの実施形態では、計測ターゲット202は、ワーキングゾーン間の除外ゾーン、又は異なるワーキングゾーンに関連付けられたモアレパターンを含み、クロストークを選択された公差内に低減し得る。例えば、第1のモアレパターン206及び第2のモアレパターン210のインスタンスは、十分な大きさの除外ゾーン222によって分離され、対応するモアレ縞間のクロストークを指定の公差内に軽減し得る。いくつかの実施形態では、除外ゾーン222は、0.25~0.5ミクロン以上の範囲である。
【0072】
除外ゾーン222は、空所であってもよく、又はいくつかの設計ルールによって要求され得るサブ解像度補助フィーチャで満たされていてもよい。1つの実施形態では、除外ゾーン222は、測定方向(ここではX方向)に直交する向きのサブ解像度補助フィーチャで満たされる。一般的な意味では、各ワーキングゾーンが回転対称である限り、各ワーキングゾーン内の要素(モアレパターンを含む)は、選択された公差内までクロストークを軽減するのに適した任意の2D分布に配置され得る。
【0073】
更に、
図2Aには、単一方向(例えば、X方向)に沿った測定に関連するワーキングゾーンを示すが、追加の方向(例えば、Y方向)に沿った測定に関連する計測ターゲット202のターゲット及び方法は、本開示の趣旨及び範囲内にある。1つの実施形態では、計測ターゲット202は、Y方向に沿った測定に適した第3のワーキングゾーン224及び第4のワーキングゾーン226を含む。更に、第3のワーキングゾーン224及び/又は第4のワーキングゾーン226内のフィーチャは、オーバレイ測定に適した任意のフィーチャを有してもよく、また必須ではないが、1つ以上のモアレパターンを含んでもよい。別の実施形態では、図示しないが、計測ターゲット202は、複数方向(例えば、X方向及びY方向)に周期的フィーチャを含む2Dモアレパターンを有するワーキングゾーンを含む。この場合、2Dモアレパターンは、モアレ縞を複数の次元に沿って同時に示す場合があり、したがって、複数の方向における同時オーバレイ測定に適し得る。
【0074】
図2Cは、本開示の1つ以上の実施形態による、2つの直交方向に沿う測定のための、
図2A及び
図2Bに基づく計測ターゲット202の上面図である。特に、
図2Cに示される計測ターゲット202は、P=T及びQ=Sである一例を表す。更に、
図2Cは、X方向又はY方向のいずれにもオーバレイ誤差がない状況を示す。この場合、第1のワーキングゾーン204の対称軸と第2のワーキングゾーン208の対称軸は、X方向及びY方向の両方に沿って重なり合う(例えば、第1のワーキングゾーン204の対称軸と第2のワーキングゾーン208の対称軸が重なり合う)。
【0075】
しかし、
図2C及び関連する説明は、単に例示を目的として提供されており、限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0076】
1つの実施形態では、計測ターゲット202は、X方向に沿う測定のための第1のモアレパターン206の2つのインスタンスを有する第1のワーキングゾーン204、第2のモアレパターン210の2つのインスタンスを有する第2のワーキングゾーン208、Y方向に沿って測定するための第1のモアレパターン206の2つのインスタンスを有する第3のワーキングゾーン224、及び、垂直方向に沿う計測用の第2のモアレパターン210の2つのインスタンスを有する第4のワーキングゾーン226を含む。この場合、第3のワーキングゾーン224及び第4のワーキングゾーン226は、第1のワーキングゾーン204及び第2のワーキングゾーン208を、それぞれ回転させたバージョンである。
【0077】
図3は、本開示の1つ以上の実施形態による、二重散乱モアレ効果を使用してオーバレイを測定するための方法300を示す流れ図である。例えば、本方法300を適用して、オーバレイターゲット、例えば、限定するものではないが、
図2A~
図2C、及び
図24A~
図29Bに示される計測ターゲットと、それらの関連するワーキングゾーン(例えば、計測ターゲット202と、ワーキングゾーン204及び208)に基づきオーバレイを測定し得る。出願人は、計測システム100の文脈において本明細書で前述した実施形態及び実現テクノロジは、方法300にまで及ぶように解釈されるべきであることに留意している。しかし、方法300は、計測システム100のアーキテクチャに限定されないことを更に留意されたい。更に、方法300を適用して、1つ以上の測定方向に沿ってオーバレイを測定し得る。
【0078】
1つの実施形態では、方法300は、サンプル上のオーバレイターゲット(例えば、計測ターゲット202)を2つの斜照射角で2つの照明ローブを用いて照射するステップ310を含む。オーバレイターゲットは、測定方向に沿ったオーバレイ測定のための少なくとも第1のワーキングゾーン及び第2のワーキングゾーン(例えば、ワーキングゾーン204及び208)を含み得る。第1のワーキングゾーンは、2つのサンプル層上の測定方向に沿って重なり合う周期構造(例えば、格子構造214及び216)から形成されるモアレパターン(例えば、モアレパターン206)を含み得て、ここで2つのサンプル層上の周期構造の周期は異なる。
【0079】
別の実施形態では、方法300は、照射に基づいて画像を受け取るステップ320を含む。画像は、第1のワーキングゾーン(例えば、ワーキングゾーン204)による2つの照明ローブのそれぞれの回折に関連するゼロ次回折及び1つのモアレ回折次数に基づき得て、また第2のワーキングゾーン(例えば、ワーキングゾーン208)による2つの照明ローブのそれぞれの回折に関連するゼロ次回折及び1つの追加の回折次数に基づき得る。画像内の第1のワーキングゾーンの見かけの周期は、モアレ干渉に基づく場合がある。
【0080】
別の実施形態では、方法300は、第1のワーキングゾーンと第2のワーキングゾーンとの間の測定方向に沿う見かけのオーバレイを画像に基づき決定するステップ330を含む。この決定は、例えば、
図23A及び
図23Bに関して説明した方法2300及び2312によって実行され得る(例えば、対称中心間の差を見つける)が、ステップ330はこれに限定されず、ワーキングゾーン間の位置ずれを計算する任意の方法が使用され得る。見かけのオーバレイは、2つのサンプル層の間の物理的なオーバレイ誤差と等しくないことに留意されたい。むしろ、見かけのオーバレイは、第1のワーキングゾーンと第2のワーキングゾーンとの間のモアレ縞の相対的シフトに対応する。したがって、測定方向に沿ったサンプル層の間の物理的なオーバレイ誤差は、測定方向に直交する対称軸間の差をモアレ利得で除算することによって決定され得る。
【0081】
別の実施形態では、方法300は、見かけのオーバレイをモアレ利得で除算することによって2つのサンプル層の間のオーバレイを計算し、モアレ干渉を補償するステップ340を含む。この計算は、例えば、
図23Aに関して説明した方法2300のステップ2322によってなされ得るが、ステップ340はこれに限定されない。
【0082】
図4は、ワーキングゾーン204(
図2A~
図2Cに示す)での2つのサンプル層214と216との間の二重散乱モアレ効果を示す概念図である。光ビーム(例えば、照明ビーム108)は、1つのモアレ回折次数(+M)が収集システム(例えば、検出器104)によって収集され得るように、サンプル層214及び216を照射し得る。光ビームは、インコヒーレント光を含んでもよい。光ビームの入射角は、回折次数の少なくとも1つ(光が上部格子から回折する場合に1次又は-1次、あるいは光が底部格子から回折する場合に1次又は-1次のいずれか)が、2つのサンプル層214及び216のスタック内を伝播するように構成され得る。この効果は、サンプル層214及び216に限定されず、例えば、
図2Bのサンプル層218と220との間、
図28Bのサンプル層806と808との間、
図29Bのサンプル層914と916との間などで生じ得ることに留意されたい。
【0083】
図5~
図9Bは、二重散乱モアレ効果を使用したサンプル照射(例えば、照射又は入射瞳における)及び収集(例えば、集光又は射出瞳における)のための様々な構成を示す。照射されるサンプルは、例えば、ワーキングゾーン204のサンプル層214及び216であり得る。追加のサンプル層(例えば、ワーキングゾーン208のサンプル層218及び220)は、同時に、又は別々に照射され得る。1つの測定方向(例えば、X方向)が1度に測定されてもよく、又は2つの測定方向(例えば、X及びY方向)が測定されてもよい。計測ターゲットのピッチ、照明及び集光経路の開口数、照明の配置、及びサンプル光の波長を構成することによって、適切な回折次数が集光経路によって収集され、オーバレイ測定のための画像が生成され得る。
【0084】
図5は、二重散乱モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のためのワンステップの中心から外れた構成を示す。照明ローブ501及び502は、サンプル(例えば、サンプル層214及び216、及び/又は、サンプル層218及び220など)を照射することができ、モアレ回折次数(+M及び-M)とゼロ次回折(0)が、収集システムにより収集され得る。この実施形態では、モアレ回折次数及びゼロ次回折は、リトロー型照明構成であってもよい。リトロー型照明は、米国特許出願公開第2020/0132446号に記載されている (
図1などを参照)。リトロー型照明構成では、モアレ回折次数の1つ(例えば、+M)は、照明ローブ(例えば、照明ローブ501)の方向に対して180°で回折され得て、別のモアレ回折次数(例えば、-M)は、他の照明ローブ(例えば、照明ローブ502)の方向に対して180°で回折され得る。加えて、モアレ回折次数のそれぞれは、モアレ回折次数の他方に対して鏡面対称であり得て、ゼロ回折次数のそれぞれは、ゼロ回折次数の他方に対して鏡面対称であり得る。リトロー型照明構成の利点には、焦点の独立性と精度の向上を含み得る。本開示はこれに限定するものではなく、他の照明構成(例えば、回折次数の非対称配置)も可能であることに留意されたい。リトロー型照明構成が使用される場合、オーバレイ測定とコントラストの両方は焦点位置に対して鈍感であり得る。リトロー型照明構成が使用されていない場合、コントラストのみが焦点位置に対して鈍感である場合がある。
【0085】
図6は、二重散乱モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための代替のワンステップの中心から外れた構成を示す。照明ローブ501及び502は、サンプル(例えば、サンプル層214及び216、及び/又は、サンプル層218及び220など)を照射することができ、モアレ回折次数(+M及び-M)とゼロ次回折(0)が、収集システムにより収集され得る。照明ローブ501及び502の位置を移動させることによって、上部及び底部格子の1次回折及び-1次回折は収集からブロックされ、一方でモアレ次数(+M及び-M)とゼロ次回折(0)が依然として収集され得て、したがって、モアレターゲットの設計と測定モードが拡張される。加えて、同じ構成は、X及びY方向に同時に使用されてもよい(例えば、X及びY方向が同じ設計を有する場合)。
【0086】
図7は、二重散乱モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のためのワンステップの中心から外れた構成を示す。照明ローブ501及び502は、サンプル(例えば、サンプル層214及び216、及び/又は、サンプル層218及び220など)を照射することができ、モアレ回折次数(+M及び-M)とゼロ次回折(0)が、収集システムにより収集され得る。この構成では、収集は、プリズムを使用して多数の領域(例えば、収集領域513及び517)に分割され得る。2つのビームが撮像に使用されるため、1次と-1次のモアレ次数の振幅の非対称性は不正確さを示唆するものではなく、測定のコントラストは焦点位置に対する感度が低い場合がある(例えば、合焦システムに関する要件が低くなる)。オーバレイ計算のために2つの異なる画像(一方は収集領域513から、他方は収集領域517から)を使用することにより、画像間の差は、測定中に追加のメトリックとして使用され得て、したがって、将来の測定における精度と安定性の向上が可能になる。
【0087】
図8A~
図8Bは、二重散乱モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。この実施形態では、サンプル(例えば、サンプル層214及び216、及び/又はサンプル層218及び220など)は、(最初に照明ローブ501によって、その後で照明ローブ502によって)順次照射され得る。
図8Aでは、照明ローブ501は、サンプルを照射し得て、モアレ回折次数(-M)とゼロ次回折(0)が、収集システムにより収集され得る。
図8Bでは、照明ローブ502は、サンプルを照射し得て、モアレ回折次数(+M)とゼロ次回折(0)が、収集システムにより収集され得る。2つのビームが撮像に使用されるため、1次と-1次の間の振幅の非対称性は不正確さを示唆するものではなく、オーバレイ測定は焦点位置に対する感度が低い場合がある(例えば、合焦システムに関する要件が低くなる)。この実施形態では、モアレ回折次数及びゼロ次回折は、リトロー型照明構成であってもよい。リトロー型照明は、米国特許出願公開第2020/0132446号に記載されている (
図1などを参照)。リトロー型照明構成では、モアレ回折次数の1つ(例えば、+M)は、照明ローブ(例えば、照明ローブ501)の方向に対して180°で回折され得て、別のモアレ回折次数(例えば、-M)は、他の照明ローブ(例えば、照明ローブ502)の方向に対して180°で回折され得る。加えて、モアレ回折次数のそれぞれは、モアレ回折次数の他方に対して鏡面対称であり得て、ゼロ回折次数のそれぞれは、ゼロ回折次数の他方に対して鏡面対称であり得る。リトロー型照明構成の利点には、焦点の独立性と精度の向上を含み得る。リトロー型照明構成が使用される場合、オーバレイ測定とコントラストの両方は焦点位置に対して鈍感であり得る。リトロー型照明構成が使用されていない場合、コントラストのみが焦点位置に対して鈍感である場合がある。
【0088】
加えて、
図7に関して説明した構成と比較して、
図8A~
図8Bの構成は、より小さなモアレピッチを使用するように構成され得る。例えば、対物レンズの開口数が0.7、照明の開口数が0.2、波長が500nmの場合、ピッチは(波長)/(NA距離)=500/1=500nmである。このピッチにより、より小さな計測ターゲットが可能になり得る(例えば、約5~6ピッチが、アルゴリズムを堅牢に機能するために必要になる場合があるため、有効なターゲットサイズは2つの方向性計測ターゲットの場合、約6ミクロン×6ミクロンとなり得る)。いくつかの実施形態では、有効なターゲットサイズは、5~50ミクロン×5~50ミクロン(例えば、20ミクロン×20ミクロン、25ミクロン×25ミクロンなど)であってもよい。
【0089】
図9A~
図9Bは、二重散乱モアレ効果を使用したサンプル照射及び収集のための代替の2ステップの中心から外れた構成を示す。この実施形態では、サンプル(例えば、サンプル層214及び216、及び/又はサンプル層218及び220など)は、(最初に照明ローブ501によって、その後で照明ローブ502によって)順次照射され得る。
図9Aでは、照明ローブ501は、サンプルを照射し得て、モアレ回折次数(-M)とゼロ次回折(0)が、収集システムにより収集され得る。
図9Bでは、照明ローブ502は、サンプルを照射し得て、モアレ回折次数(+M)とゼロ次回折(0)が、収集システムにより収集され得る。照明ローブ501及び502の位置を移動させることによって、上部及び底部格子の1次回折及び-1次回折は収集からブロックされ、一方でモアレ次数(+M及び-M)とゼロ次回折(0)が依然として収集され得て、したがって、モアレターゲットの設計と測定モードが拡張される。加えて、同じ構成は、X及びY方向に同時に使用されてもよい(例えば、X及びY方向が同じ設計を有する場合)。2つのビームが撮像に使用されるため、1次と-1次の間の振幅の非対称性は不正確さを示唆するものではなく、画像のコントラストは焦点位置に対する感度が低い場合がある(例えば、合焦システムに関する要件が低くなる)。
【0090】
いくつかの実施形態では、本開示は、米国特許第7,528,941号(その全体が参照により本明細書に援用される)の
図17Aに示されるサンプル照射及び収集のためのワンステップの中心構成を対象とすることができる。
図17Aに示すように、空間変調デバイス406(例えば、ブロッカ406)は、ゼロ次回折404bが収集されるのをブロックする一方で、回折次数404a及び404c(例えば、+M及び-Mモアレ回折次数)が収集されることを可能にし得る。これらの実施形態では、信号DCは最小化される(例えば、DCは、収集された非ゼロ高調波と同じ大きさである)。2つのビームが撮像に使用されるため、1次と-1次の間の振幅の非対称性は不正確さを示唆するものではなく、更にコントラストとオーバレイ測定は焦点への依存が低い場合がある (オーバレイフォーカスの独立性には、ターゲットサンプル層がPQQPタイプであることが必須である)。+M及び-Mモアレ回折次数の光路は類似するため、焦点位置に対する感度が高く、ツール起因性シフトは最小限に抑えられる。
【0091】
図10は、本開示の1つ以上の実施形態による、単一散乱光モアレ効果を使用してオーバレイを測定するための方法1000を示す流れ図である。例えば、方法1000を適用して、オーバレイターゲット、例えば限定するものではないが、
図2A~
図2C及び
図24A~
図29Bに示される計測ターゲットと、それらに関連するワーキングゾーン(例えば、計測ターゲット202とワーキングゾーン204及び208)に基づきオーバレイを測定し得る。出願人は、計測システム100の文脈において本明細書で前述した実施形態及び実現テクノロジが、方法1000にまで及ぶように解釈されるべきであることに留意している。しかし、方法1000は、計測システム100のアーキテクチャに限定されないことに更に留意されたい。更に、方法1000を適用して、1つ以上の測定方向に沿ってオーバレイを測定し得る。
【0092】
1つの実施形態では、方法1000は、サンプル上のオーバレイターゲット(例えば、計測ターゲット202)を2つの斜照射角で2つの照明ローブを用いて照射するステップ1010を含む。オーバレイターゲットは、測定方向に沿ったオーバレイ測定のための少なくとも第1のワーキングゾーン及び第2のワーキングゾーン(例えば、ワーキングゾーン204及び208)を含み得る。第1のワーキングゾーンは、2つのサンプル層上の測定方向に沿って重なり合う周期構造(例えば、格子構造214及び216)から形成されるモアレパターン(例えば、モアレパターン206)を含み得て、ここで2つのサンプル層上の周期構造の周期は異なる。
【0093】
別の実施形態では、方法1000は、照射に基づいて画像を受け取るステップ1020を含む。画像は、第1のワーキングゾーン(例えば、ワーキングゾーン204)に関連する2つのサンプル層のそれぞれからの1次回折に基づき得て、また第2のワーキングゾーン(例えば、ワーキングゾーン208)に関連する2つのサンプル層のそれぞれからの1次回折に基づき得る。画像内の第1のワーキングゾーンの見かけの周期は、モアレ干渉に基づく場合がある。
【0094】
別の実施形態では、方法1000は、第1のワーキングゾーンと第2のワーキングゾーンとの間の測定方向に沿う見かけのオーバレイを画像に基づき決定するステップ1030を含む。この決定は、例えば、
図23A及び
図23Bに関して説明された方法2300及び2312によって実行され得る(例えば、対称中心間の差を見つける)が、ステップ1030はこれに限定されず、2つのワーキングゾーン間の位置ずれを計算する任意の方法が使用され得る。見かけのオーバレイは、2つのサンプル層の間の物理的なオーバレイ誤差と等しくないことに留意されたい。むしろ、見かけのオーバレイは、第1のワーキングゾーンと第2のワーキングゾーンとの間のモアレ縞の相対的シフトに対応する。したがって、測定方向に沿った2つのサンプル層の間の物理的なオーバレイ誤差は、測定方向に直交する対称軸間の差をモアレ利得で除算することによって決定され得る。
【0095】
別の実施形態では、方法1000は、見かけのオーバレイをモアレ利得で除算することによって2つのサンプル層の間のオーバレイを計算し、モアレ干渉を補償するステップ1040を含む。この計算は、例えば、
図23Aに関して説明された方法2300のステップ2322によってなされ得るが、ステップ1040はこれに限定されない。
【0096】
図11は、ワーキングゾーン204(
図2A~
図2Cに示す)における2つのサンプル層214と216との間の単一散乱光モアレ効果を示す概念図である。光ビーム(例えば、サンプル光120)は、1次回折(例えば、+1及び+1’)がサンプル層214及び216のそれぞれから収集システム(例えば、検出器104)によって収集され得るように、サンプル層214及び216を照射し得る。光ビームは、インコヒーレント光を含んでもよい。この効果は、サンプル層214及び216に限定されず、例えば、
図2Bのサンプル層218と220との間、
図28Bのサンプル層806と808との間、
図29Bのサンプル層914と916との間などで生じ得ることに留意されたい。単一散乱光モアレ効果を使用することにより、必要な光が少なくなり、計測ターゲットの設計と測定モードの選択がより簡単になる可能性がある。
【0097】
図12~
図22は、単一散乱光モアレ効果を使用したサンプル照射(例えば、照明又は入射瞳における)及び収集(例えば、集光又は射出瞳における)のための様々な構成を示す。照射されるサンプルは、例えば、ワーキングゾーン204内のサンプル層214及び216であり得る。追加のサンプル層(例えば、ワーキングゾーン208内のサンプル層218及び220)は、同時に、又は個別に照射され得る。1つの測定方向(例えば、X方向)が1度に測定されてもよく、又は2つの測定方向(例えば、X及びY方向)が測定されてもよい。計測ターゲットのピッチ、照明及び集光経路の開口数、照明の配置、及びサンプル光の波長を構成することによって、適切な回折次数が集光経路によって収集され、オーバレイ測定のための画像が生成され得る。
【0098】
図12は、ブロッカ523を含む単一散乱光モアレ効果を使用するサンプル照射及び収集のためのワンステップの中心構成を示す。ブロッカ523は、ゼロ次回折、及び可能であればモアレ回折次数をブロックし得る。照明ローブ501は、サンプル(例えば、サンプル層214及び216、及び/又はサンプル層218及び220など)を照射し得て、1次回折(+1、+1’、-1、-1’)が、収集システムによって収集され得る。照明ローブ501は、サンプルに対して約90°の角度でサンプルを照射し得て、第1のワーキングゾーン又は第2のワーキングゾーン(例えば、ワーキングゾーン204又は208)の中心部分又はその近くでサンプルに衝突し得る。この実施形態では、信号DCは最小化される(例えば、DCは、収集された非ゼロ高調波と同じ大きさである)。この構成によって生成される画像には、モアレピッチ高調波と、はるかに小さいピッチの少なくとも3つの追加の高調波が含まれる場合がある。したがって、画像が生成されると、非モアレ高調波は、アルゴリズム的に除去されてもよい(例えば、フーリエローパスフィルタの類似物を使用する)。
【0099】
図13A~
図13Bは、ブロッカ523を含む単一散乱光モアレ効果を使用するサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。ブロッカ523は、ゼロ次回折、及び可能であればモアレ回折次数をブロックし得る。この実施形態では、サンプル(例えば、サンプル層214及び216、及び/又はサンプル層218及び220など)は、(最初に照明ローブ501によって、その後で照明ローブ502によって)順次照射され得る。
図13Aでは、照明ローブ501はサンプルを照射し得て、1次回折(-1及び-1’)が収集システムによって収集され得る。
図13Bでは、照明ローブ502はサンプルを照射し得て、1次回折(+1及び+1’)が収集システムによって収集され得る。この実施形態では、信号DCは最小化される(例えば、DCは、収集された非ゼロ高調波と同じ大きさである)。2つのビームが撮像に使用されるため、1次と-1次の間の振幅の非対称性は不正確さを示唆するものではなく、更にコントラストとオーバレイ測定は焦点位置に対する感度が低い場合がある (オーバレイフォーカスの独立性には、ターゲットサンプル層がPQQPタイプであることが必須である)。
【0100】
図14A~
図14Bは、非中心ワーキング領域を有する対物レンズ537を含んだ、単一散乱光モアレ効果を使用するサンプル照射及び収集のための代替の2ステップの中心から外れた構成を示す。非中心ワーキング領域を有する対物レンズ537は、ゼロ次回折、及び可能であればモアレ回折次数をブロックし得る。この構成は、集光瞳へのアクセスを必要としないため、簡単である。この実施形態では、サンプル(例えば、サンプル層214及び216、及び/又はサンプル層218及び220など)は、(最初に照明ローブ501によって、その後で照明ローブ502によって)順次照射され得る。
図14Aでは、照明ローブ501はサンプルを照射し得て、1次回折(-1及び-1’)が収集システムによって収集され得る。
図14Bでは、照明ローブ502はサンプルを照射し得て、1次回折(+1及び+1’)が収集システムによって収集され得る。この実施形態では、信号DCは最小化される(例えば、DCは、収集された非ゼロ高調波と同じ大きさである)。2つのビームが撮像に使用されるため、1次と-1次の間の振幅の非対称性は不正確さを示唆するものではなく、更にコントラストとオーバレイ測定は焦点位置に対する感度が低い場合がある (オーバレイフォーカスの独立性には、ターゲットサンプル層がPQQPタイプであることが必須である)。
【0101】
図15A~
図15Bは、ブロッカ523を含む単一散乱光モアレ効果を使用するサンプル照射及び収集のための2ステップの中心から外れた構成を示す。ブロッカ523は、ゼロ次回折、及び可能であればモアレ回折次数をブロックし得る。この実施形態では、サンプル(例えば、サンプル層214及び216、及び/又はサンプル層218及び220など)は、(最初に照明ローブ501によって、その後で照明ローブ502によって)順次照射され得る。
図15Aでは、照明ローブ501はサンプルを照射し得て、1次回折(-1及び-1’)が収集システムによって収集され得る。
図15Bでは、照明ローブ502はサンプルを照射し得て、1次回折(+1及び+1’)が収集システムによって収集され得る。この実施形態では、信号DCは最小化される(例えば、DCは、収集された非ゼロ高調波と同じ大きさである)。この構成を使用すると、モアレターゲットの設計と測定モードが拡張され、同じ構成がX方向とY方向に同時に使用され得る(例えば、X方向とY方向が同じ設計を有する場合)。2つのビームが撮像に使用されるため、1次と-1次の間の振幅の非対称性は不正確さを示唆するものではなく、更にコントラストとオーバレイ測定は焦点位置に対する感度が低い場合がある (オーバレイフォーカスの独立性には、ターゲットサンプル層がPQQPタイプであることが必須である)。
【0102】
図16A~
図16Bは、対物レンズ543を含んだ、単一散乱光モアレ効果を使用するサンプル照射及び収集のための代替の2ステップの中心から外れた構成を示す。対物レンズ543の外側を照射することにより、ゼロ次回折、及び可能であればモアレ回折次数はブロックされ得る。この実施形態では、サンプル(例えば、サンプル層214及び216、及び/又はサンプル層218及び220など)は、(最初に照明ローブ501によって、その後で照明ローブ502によって)順次照射され得る。
図16Aでは、照明ローブ501はサンプルを照射し得て、1次回折(-1及び-1’)が収集システムによって収集され得る。
図16Bでは、照明ローブ502はサンプルを照射し得て、1次回折(+1及び+1’)が収集システムによって収集され得る。この実施形態では、信号DCは最小化される(例えば、DCは、収集された非ゼロ高調波と同じ大きさである)。2つのビームが撮像に使用されるため、1次と-1次の間の振幅の非対称性は不正確さを示唆するものではなく、更にコントラストとオーバレイ測定は焦点位置に対する感度が低い場合がある (オーバレイフォーカスの独立性には、ターゲットサンプル層がPQQPタイプであることが必須である)。
【0103】
図17A~
図17Bは、対物レンズ543を含んだ、単一散乱光モアレ効果を使用するサンプル照射及び収集のための代替の2ステップの中心から外れた構成を示す。対物レンズ543の外側を照射することにより、ゼロ次回折、及び可能であればモアレ回折次数はブロックされ得る。この実施形態では、サンプル(例えば、サンプル層214及び216、及び/又はサンプル層218及び220など)は、(最初に照明ローブ501によって、その後で照明ローブ502によって)順次照射され得る。
図17Aでは、照明ローブ501はサンプルを照射し得て、1次回折(-1及び-1’)が収集システムによって収集され得る。
図17Bでは、照明ローブ502はサンプルを照射し得て、1次回折(+1及び+1’)が収集システムによって収集され得る。この実施形態では、信号DCは最小化される(例えば、DCは、収集された非ゼロ高調波と同じ大きさである)。この構成を使用すると、モアレターゲットの設計と測定モードが拡張され、同じ構成がX方向とY方向に同時に使用され得る(例えば、X方向とY方向が同じ設計を有する場合)。2つのビームが撮像に使用されるため、1次と-1次の間の振幅の非対称性は不正確さを示唆するものではなく、更にコントラストとオーバレイ測定は焦点位置に対する感度が低い場合がある (オーバレイフォーカスの独立性には、ターゲットサンプル層がPQQPタイプであることが必須である)。
【0104】
図18A~
図18Bは、特別に設計されたワーキング領域を有する入射瞳で対物レンズ557を含んだ、単一散乱光モアレ効果を使用するサンプル照射及び収集のための代替の2ステップの中心から外れた構成を示す。特別に設計されたワーキング領域を有する対物レンズ557は、ゼロ次回折、及び可能であればモアレ回折次数をブロックし得る。この構成は、集光瞳へのアクセスを必要としないため、簡単である。この実施形態では、サンプル(例えば、サンプル層214及び216、及び/又はサンプル層218及び220など)は、(最初に照明ローブ501によって、その後で照明ローブ502によって)順次照射され得る。
図18Aでは、照明ローブ501はサンプルを照射し得て、1次回折(-1及び-1’)が収集システムによって収集され得る。
図18Bでは、照明ローブ502はサンプルを照射し得て、1次回折(+1及び+1’)が収集システムによって収集され得る。この実施形態では、信号DCは最小化される(例えば、DCは、収集された非ゼロ高調波と同じ大きさである)。この構成を使用すると、モアレターゲットの設計と測定モードが拡張され、同じ構成がX方向とY方向に同時に使用され得る(例えば、X方向とY方向が同じ設計を有する場合)。2つのビームが撮像に使用されるため、1次と-1次の間の振幅の非対称性は不正確さを示唆するものではなく、更にコントラストとオーバレイ測定は焦点位置に対する感度が低い場合がある (オーバレイフォーカスの独立性には、ターゲットサンプル層がPQQPタイプであることが必須である)。
【0105】
図19は、対物レンズ543を含む単一散乱光モアレ効果を使用するサンプル照射及び収集のためのワンステップの中心から外れた構成を示す。対物レンズ543の外側を照射することにより、ゼロ次回折、及び可能であればモアレ回折次数がブロックされ得る。この構成は、集光瞳へのアクセスを必要としないため、簡単である。この実施形態では、照明ローブ501及び502は、サンプル(例えば、サンプル層214及び216、及び/又はサンプル層218及び220など)を照射し得て、1次回折(+1、+1’、-1、-1’)が、収集システムによって収集され得る。この実施形態では、信号DCは最小化される(例えば、DCは、収集された非ゼロ高調波と同じ大きさである)。この構成によって生成される画像には、モアレピッチ高調波と、異なるピッチの追加の高調波が含まれ得る。したがって、画像が生成されると、非モアレ高調波は、アルゴリズム的に除去されてもよい(例えば、フーリエローパスフィルタの類似物を使用する)。
【0106】
図20は、ブロッカ561を含む単一散乱光モアレ効果を使用するサンプル照射及び収集のためのワンステップの中心から外れた構成を示す。ブロッカ561は、ゼロ次回折、及び可能であればモアレ回折次数をブロックし得る。この実施形態では、照明ローブ501及び502は、サンプル(例えば、サンプル層214及び216、及び/又はサンプル層218及び220など)を照射し得て、1次回折(+1、+1’、-1、-1’)が、収集システムによって収集され得る。この実施形態では、信号DCは最小化される(例えば、DCは、収集された非ゼロ高調波と同じ大きさである)。この構成によって生成される画像には、モアレピッチ高調波と、異なるピッチの追加の高調波が含まれ得る。したがって、画像が生成されると、非モアレ高調波は、アルゴリズム的に除去されてもよい(例えば、フーリエローパスフィルタの類似物を使用する)。
【0107】
図21は、単一散乱光モアレ効果を使用するサンプル照射及び収集のためのワンステップの中心から外れた構成を示す。この実施形態では、照明ローブ501及び502は、サンプル(例えば、サンプル層214及び216、及び/又はサンプル層218及び220など)を照射し得て、1次回折(+1、+1’、-1、-1’)が、収集システムによって収集され得る。この構成では、集合は、プリズムを使用していくつかの領域(例えば、集光領域563及び567)に分割され得る。2つのビームが撮像に使用されるため、1次と-1次の間の振幅の非対称性は不正確さを示唆するものではなく、更にコントラストとオーバレイ測定は焦点位置に対する感度が低い場合がある (オーバレイフォーカスの独立性には、ターゲットサンプル層がPQQPタイプであることが必須である)。この実施形態では、信号DCは最小化される(例えば、DCは、収集された非ゼロ高調波と同じ大きさである)。この構成によって生成される画像には、モアレピッチ高調波と、異なるピッチの追加の高調波が含まれ得る。したがって、画像が生成されると、非モアレ高調波は、アルゴリズム的に除去されてもよい(例えば、フーリエローパスフィルタの類似物を使用する)。
【0108】
図22は、ブロッカ523を含む単一散乱光モアレ効果を使用するサンプル照射及び収集のためのワンステップの中心構成を示す。ブロッカ523は、ゼロ次回折、及び可能であればモアレ回折次数をブロックし得る。照明ローブ501は、サンプル(例えば、サンプル層214及び216、及び/又はサンプル層218及び220など)を照射し得て、1次回折(+1、+1’、-1、-1’)が、収集システムによって収集され得る。照明ローブ501は、サンプルに対して約90°の角度でサンプルを照射することができ、第1のワーキングゾーン又は第2のワーキングゾーン(例えば、ワーキングゾーン204又は208)の中心部分又はその近くでサンプルに衝突し得る。この構成では、収集は、プリズムを使用していくつかの領域(例えば、集光領域563及び567)に分割され得る。2つのビームが撮像に使用されるため、1次と-1次の間の振幅の非対称性は不正確さを示唆するものではなく、更にコントラストとオーバレイ測定は焦点位置に対する感度が低い場合がある (オーバレイフォーカスの独立性には、ターゲットサンプル層がPQQPタイプであることが必須である)。この実施形態では、信号DCは最小化される(例えば、DCは、収集された非ゼロ高調波と同じ大きさである)。この構成によって生成される画像には、モアレピッチ高調波と、異なるピッチの追加の高調波が含まれ得る。したがって、画像が生成されると、非モアレ高調波は、アルゴリズム的に除去されてもよい(例えば、フーリエローパスフィルタの類似物を使用する)。
【0109】
図21及び
図22の構成はそれぞれ、集光瞳の位置に基づいて画像をいくつかの画像に分割するように構成されたプリズムを含む。集光瞳を分割することによって、ブロッカ(例えば、ブロッカ523)は、分割により、望ましくない信号(例えば、望ましくない回折次数)が別の光路に移動する可能性があるため(そして結果として、望ましくない信号と他の信号との間に干渉がないため)必要ない。したがって、
図21及び
図22では、望ましくないゼロ次回折は、集光瞳を分割することによって除去される。一般に、
図5~
図9B及び
図12~
図22に関して説明された構成のいずれかは、ブロッカの代わりに瞳分割を含み得る。
【0110】
ここで、
図23A~
図29Bを参照すると、オーバレイを測定する様々な計測ターゲット及び方法が詳細に説明される。
図23A~
図23Bは、ワーキングゾーンの対称性を利用することによってオーバレイを計算する方法を示す流れ図である。
図24A~
図26Bは、2つのワーキングゾーンにモアレパターンを有する計測ターゲットを使用したオーバレイを示す。
図27~
図28Cは、1つのワーキングゾーンにモアレパターンを有し、第2のワーキングゾーンに単層構造(例えば、格子オーバ格子構造ではない)を有する計測ターゲットを使用するオーバレイを示す。
図29A及び
図29Bは、2つのワーキングゾーンにモアレパターンを有する3つ以上の層を伴う計測ターゲットを使用するオーバレイを示し、1つの層が参照層として機能する。本明細書では、
図3~
図22の構成に関して説明されたサンプル及び計測ターゲットは、
図23A~
図29Bに関して説明されたサンプル及び計測ターゲットのいずれかと同様、又は実質的に同一であり得ることに留意されたい。例えば、
図3~
図22に関して説明されたサンプルのいずれも、
図28Bのサンプル層806及び808を有する計測ターゲット、又は、
図29Bのサンプル層914及び916を有する計測ターゲット、などを含み得る。
【0111】
図23Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、オーバレイを測定するための方法2300において実行されるステップを示す流れ図である。例えば、方法2300を適用して、計測ターゲット、例えば限定するものではないが、
図2A~
図2Cに示される計測ターゲット202に基づきオーバレイを測定し得る。出願人は、計測システム100の文脈において本明細書で前述した実施形態及び実現テクノロジが、方法2300にまで及ぶように解釈されるべきであることに留意している。しかし、方法2300は、計測システム100のアーキテクチャに限定されないことに更に留意されたい。更に、方法2300を適用して、1つ以上の測定方向に沿ってオーバレイを測定し得る。
【0112】
1つの実施形態では、方法2300は、計測ターゲットの第1のワーキングゾーンの画像を受け取るステップ2302を含み、第1のワーキングゾーンは、2つのサンプル層に格子を含む第1のモアレパターンの1つ以上のインスタンスを含む。別の実施形態では、方法2300は、計測ターゲットの第2のワーキングゾーンの画像を受け取るステップ2304を含み、第2のワーキングゾーンは、2つのサンプル層に格子を含む第2のモアレパターンの1つ以上のインスタンスを含む。
【0113】
第1のモアレパターン206及び第2のモアレパターン210の画像は、別個の画像又は単一の共通の画像に関連付けることができる。1つの実施形態では、計測ターゲット202全体の画像は、第1のワーキングゾーン204及び第2のワーキングゾーン208が同じ画像に基づき分析され得るように、(例えば、計測システム100を用いて)取得される。別の実施形態では、計測ターゲット202(又はその一部)の別個の画像は、第1のワーキングゾーン204及び第2のワーキングゾーン208の分析のために生成される。この場合、画像は、異なる撮像条件(例えば、異なる照明波長、照明入射角、偏光、焦点など)を使用して生成され得る。
【0114】
別の実施形態では、方法2300は、第1のワーキングゾーンに関連する測定方向に直交する第1の対称軸を決定するステップ2306を含む。別の実施形態では、方法2300は、第2のワーキングゾーンに関連する測定方向に直交する第2の対称軸を決定するステップ2308を含む。別の実施形態では、方法2300は、第1の対称軸と第2の対称軸との間の差を測定するステップ2310を含む。更に、1つ以上のワーキングゾーンの対称中心212は、異なる方向(例えば、直交方向)に直交する対称軸を決定して、交点を見つけ出すことによって、見つけることができる。
【0115】
第1のワーキングゾーン204及び第2のワーキングゾーン208の対称軸は、ステップ2302又はステップ2304において、当技術分野で周知の任意の技術を使用して決定され得る。例えば、モアレパターンのない典型的なAIMターゲットの対称中心の測定に適した技術が、使用され得る。
【0116】
図23Bは、測定方向に直交するワーキンググループの対称軸を決定するための方法2312を示す流れ図である。これに関して、方法2312は、ステップ2306及び/又はステップ2308に関連付けられ得る。
図24Aは、
図2Cの計測ターゲット202の上面図であり、本開示の1つ以上の実施形態による、方法2312の適用を示す追加のマーキングを伴う。
【0117】
1つの実施形態では、ステップ2314は、ワーキンググループ内の要素の少なくとも一部分を含む関心領域(ROI)を選択することを含む。例えば、
図24Aの実線枠内は、第1のワーキングゾーン204内の第1のモアレパターン206の部分を選択するROI402を表し、破線枠内は、第2のワーキングゾーン208内の第2のモアレパターン210の部分を選択するROI404を表す。
【0118】
別の実施形態では、ステップ2316は、ROIに基づいて測定信号を生成することを含む。例えば、測定方向に沿った測定信号の各値は、直交方向に沿ったROIにおける平均(又は累積)強度値を含み得る。
【0119】
本明細書では、モアレパターン(例えば、第1のモアレパターン206又は第2のモアレパターン210)に関連するモアレ縞は、計測ターゲット202の画像内に見られ得るモアレパターンを形成する格子構造に対して比較的低いコントラストを有する場合があると考えられる。別の実施形態では、ステップ2318は、測定信号内のモアレ縞を分離することを含む。例えば、ステップ2318は、1つ以上の次数のモアレ縞(例えば、1次、2次など)を含み得る。モアレ縞を分離することで、ノイズが減少し、ステップ2306及び/又は2308における対称軸の決定の精度及び/又は感度が向上し得て、それによって対称軸の決定の精度及び/又は堅牢性が向上する可能性がある。
【0120】
モアレ縞は、当技術分野で周知の任意の技術を使用して、ステップ2318で分離され得る。1つの実施形態では、測定信号がフィルタリングされて、モアレ縞を分離する。例えば、測定信号の空間周波数成分は、1D又は2Dフーリエフィルタリングあるいは他の周波数ベースの分解技術(例えば、測定信号のサイン信号及び/又はコサイン信号への分解)を使用して分析され得る。更に、周波数選択フィルタを使用して、モアレ縞(例えば、1次モアレ縞、2次モアレ縞など)の空間周波数を分離し得る。
【0121】
別の実施形態では、方法2312は、測定信号に基づいて、測定方向に直交するワーキングゾーンの対称軸406を決定するステップ2320を含み得る。測定方向に直交するワーキングゾーンの対称軸406は、当技術分野で周知の任意の技術を使用して決定され得る(例えば、方法2300のステップ2306又はステップ2308、あるいは方法2312のステップ2320において)。1つの実施形態では、第1のモアレパターン206の画像の一部分(例えば、ステップ314のROI)は、対称軸を決定するためにそれ自体の対称バージョンと相関される。例えば、第1のワーキングゾーン204の対称軸406は、第1のワーキングゾーン204を含む画像の部分のコピーを生成し、計測ターゲット202の関連する回転対称性によって画像コピーを回転させ(例えば、90°、180°など)、元の画像と画像コピーとの間の相関を、様々な位置で測定方向に沿った位置の関数として実行することによって決定され得る。この場合、元の画像と回転されたバージョンとの間の最高の相関を提供する測定方向に沿った位置は、第1のワーキングゾーン204の対称軸406に対応し得る。別の例として、反射対称性(又は鏡面対称性)を有するワーキングゾーンの場合、ワーキングゾーンの対称軸406は、ワーキングゾーンの反射コピーをそれ自体と相関させることによって決定され得る。
【0122】
本明細書で前述したように、方法2312に関連するステップを適用して、任意の数のワーキングゾーンの対称軸406を決定し得る。例えば、ステップ2306とステップ2308の両方は、方法2312の適用を含み得る。
【0123】
しかし、測定方向に沿ってワーキングゾーンの対称軸406を決定するための方法2312は、単に説明目的のために提供され、限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、対称軸406は、当技術分野で周知の任意の技術を使用して決定され得る。1つの実施形態では、測定方向に沿ったワーキンググループの対称軸406は、最初に関心領域(例えば、ステップ314のROI402)を決定し、1つ以上の次数のモアレ縞を、ROI全体に対して空間周波数フィルタリング動作を実行することで(例えば、直交方向に沿い無限大寸法を有するものとしてフィーチャを扱い、ステップ318に類似する1Dフィルタリング動作を適用することで)その計測方向に沿って分離させ、そしてROIをそれ自体の回転されたバージョンと相関し、対称軸406を決定することにより、適用され得る。
【0124】
別の実施形態では、方法2300は、測定方向に沿った2つのサンプル層の間のオーバレイ誤差を、測定方向に直交する第1及び第2のワーキングゾーン204、208の対称軸間の差をモアレ利得係数で除算することによって計算するステップ2322を含む。例えば、
図24Aでは、第1のワーキングゾーン204と第2のワーキングゾーン208の両方は、
図24Aがオーバレイ誤差のない場合を示すため、測定方向(例えば、X方向)に直交する重なり合う対称軸406を有する。しかし、物理的なオーバレイ誤差の場合、対称軸406は重ならない。
【0125】
例えば、
図24Bでは、第1のワーキングゾーン204と第2のワーキングゾーン208は重なり合う対称軸を有していない。
図24Bでは、第1のワーキングゾーン204は、回転対称中心212を伴う対称軸406を有し、一方、第2のワーキングゾーン208は、回転対称中心213を伴う対称軸407を有する。対称軸406は対称軸407と重ならず、回転対称中心212は回転対称中心213と重ならない。したがって、
図24Bは、オーバレイ誤差がある場合を示す。
【0126】
モアレ縞の存在のため、ステップ2310で決定された対称軸間の差は、第1及び第2のサンプル層の間の物理的なオーバレイ誤差とは異なる。むしろ、対称軸間の差は、モアレ縞の相対的なシフトに対応する。したがって、測定方向に沿った物理的なオーバレイ誤差は、測定方向に直交する対称軸間の差を、計測ターゲット202の特定のレイアウトに関連するモアレ利得で除算することによって決定され得る。
【0127】
本明細書では、モアレ利得は計測ターゲット202の特定のレイアウトに依存することが認識される。例えば、
図2Aの計測ターゲット202に関連するモアレ利得係数(M
g)は、オーバレイが層Bに対する層Aのシフトに関連する場合、
M
g=M
1-M
2=P/(P-Q)-S/(S-T)=-(Q/(Q-P)-T/(T-S)) (7)
として特徴付けることができる。同様に、層Bに対する層Aのシフトに関連するモアレ利得係数は、-M
g=M
2-M
1として特徴付けることができる。
【0128】
式(7)によって明らかなように、モアレ利得は、第1のモアレパターン206及び第2のモアレパターン210に関連する条件付きモアレファクタによって影響され、これらは、格子ピッチP、Q、S、及びTの特定の値の関数となる。したがって、格子ピッチP、Q、S、及びTの値を選択することで、合成モアレ利得と、それにより物理的なオーバレイ誤差に対する感度を増加又は最適化し得る。例えば、合成モアレ利得は、一般に、格子ピッチP、Q、S、及びTの値を選択することによって増加され得て、その結果、第1のワーキングゾーン204と第2のワーキングゾーン208のモアレ利得は異なる符号を有する。
【0129】
ここで、
図25及び
図26A~
図26Bを参照すると、本明細書において、方法2300は、
図2Aに示される計測ターゲット202の特定の形状に限定されないことが企図される。一般的な意味では、ワーキングゾーン (例えば、第1のワーキングゾーン204又は第2のワーキングゾーン208)は、ワーキングゾーンが回転及び/又は反射対称である限り、モアレパターン(例えば、第1のモアレパターン206又は第2のモアレパターン210)の任意の数のインスタンスを含み得る。
【0130】
図25は、本開示の1つ以上の実施形態による計測ターゲット202の上面図であり、第1のモアレパターン206の2つのインスタンスを含んでいる第1のワーキングゾーン204と、第2のモアレパターン210の2つのインスタンスを含んでいる第2のワーキングゾーン208とを含む。
【0131】
図26Aは、本開示の1つ以上の実施形態による計測ターゲット202の上面図であり、第1のモアレパターン206の2つのインスタンスを含んでいる第1のワーキングゾーン204と、第2のモアレパターン210の単一のインスタンスを含んでいる第2のワーキングゾーン208とを含む。
【0132】
図26Bは、
図26Aの計測ターゲットの上面図であり、
図23Bの方法2312の適用を示す追加のマーキングを伴う。
図26Aの実線枠は、第1のワーキングゾーン204における第1のモアレパターン206の部分を選択するROI402を表し、破線枠は、第2のワーキングゾーン208における第2のモアレパターン210の部分を選択するROI404を表す(例えば、方法2312のステップ2314)。ROI402及びROI404を使用して、ベースとなる測定信号を生成する(例えば、方法2312のステップ2316)。
【0133】
図27は、本開示の1つ以上の実施形態による、モアレインボックス計測ターゲット202の上面図であり、第1のワーキングゾーン204がモアレパターン702の単一インスタンスを含み、第2のワーキングゾーン208がモアレパターン702を囲む非周期単層構造を含む。
図27では、モアレパターン702が、X方向のみに周期性を有する格子オーバ格子構造を含むことで、
図7の計測ターゲット202を用いて、(例えば、方法300に従い)X方向におけるオーバレイ測定を行い得る。しかし、
図7の計測ターゲット202の例は単に例示目的で提示されたものであり、限定として解釈すべきではないことを理解されたい。1つの実施形態では、図示しないが、モアレインボックスターゲットは、X方向及びY方向の両方に沿って周期性を有する格子オーバ格子構造を伴う2Dモアレパターンを含み、X方向及びY方向の両方に沿ってオーバレイ測定が行われる。
【0134】
ここで、
図28A~
図29Bを参照すると、いくつかの実施形態では、計測ターゲット202は参照層を含む。この場合、参照層の構造は、追加層の構造と光学的に相互作用して、デバイス様計測ターゲット(例えば、デバイスフィーチャと同様のサイズ、密度、及び/又はピッチを有するフィーチャを備えるターゲット)を提供し得る。参照層を含むデバイス様計測ターゲットは、一般に、2018年7月5日に公開された米国特許出願公開第2018/0188663号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0135】
図28Aは、本開示の1つ以上の実施形態による3層計測ターゲット202の上面ブロック図であり、複数の層にわたる格子オーバ格子構造に基づくモアレパターンを有する。
図28Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、
図28Aのモアレパターンにおける多層格子構造の概念図である。1つの実施形態では、計測ターゲット202は、第1のモアレパターン802の2つのインスタンスを含んでいる第1のワーキングゾーン204と、第2のモアレパターン804の2つのインスタンスを含んでいる第2のワーキングゾーン208とを含む。
【0136】
図28Bに示すように、第1のモアレパターン802は、第1の層(層A)にピッチPを有する格子構造806と、参照層(層B)にピッチQを有する格子構造808から形成され、第3の層(層C)には格子構造がなく、ここでP≠Qとされる。更に、第2のモアレパターン804は、参照層(層B)にピッチx・Qを有する格子構造810と、第3層(層A)にピッチx・Pを有する格子構造812とから形成され、ここで、xは正の数 (例えば、有理数) である。この場合、第1のモアレパターン802と第2のモアレパターン804の両方が、参照層の構造を組み込んでいる。更に、参照層構造は、第1のモアレパターン802及び第2のモアレパターン804に同じピッチを有する必要はない。
【0137】
本明細書では、
図28Aの計測ターゲット202は、層Aと層Cとの間のオーバレイ測定を行うのに適している。この計測ターゲット202では、層Bに対する層Aのシフトに関連するモアレ利得(M
g)は次のとおりである。
M
g=Q/(P-Q) (9)
【0138】
図28Cは、本開示の1つ以上の実施形態により、2つの直交方向に沿う測定のための
図28A及び
図28Bに基づく計測ターゲット202の上面図である。特に、
図28Cに示される計測ターゲット202は、x=1の例を表す。
【0139】
図28A~
図28C及び関連する説明は、単に例示を目的として提供されており、限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、計測ターゲット202は、3つの層に3つの重なり合う格子を有するモアレパターンを伴う少なくとも1つのワーキングゾーンを含み、1つの層は参照層である。この場合、他の2対の層の間のオーバレイは、アルゴリズム的に(例えば、1つ以上の測定信号をフィルタリングして、所望の空間周波数及び/又はモアレ縞を分離又は抑制することによって)又は物理的に(例えば、追加のワーキングゾーンを使用して)いずれかで復元され得る。
【0140】
図29Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、トリプルモアレ計測ターゲット202の上面ブロック図である。
図29Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、
図29Aのモアレパターンにおける多層格子構造の概念図である。1つの実施形態では、計測ターゲット202は、第1のモアレパターン904の2つのインスタンスを含んでいる第1のワーキングゾーン902、第2のモアレパターン908の2つのインスタンスを含んでいる第2のワーキングゾーン906、及び第3のモアレパターン912の2つのインスタンスを含んでいる第3のワーキングゾーン910を含む。
図29Bに示すように、第1のモアレパターン904は、第1の層(層A)にピッチQを有する格子構造914と、第2の層(層B)にピッチPを有する格子構造916から形成され、第3の層(層C)には格子構造がなく、ここでP≠Qである。第2のモアレパターン908は、第1の層(層A)にピッチTを有する格子構造918と、第2の層(層B)にピッチSを有する格子構造920とから形成され、ここでT≠Sである。第3のモアレパターン912は、第3の層(C層)にピッチTを有する格子構造922と、第2の層(B層)にピッチSを有する格子構造924から形成される。
【0141】
本明細書では、
図29Aの計測ターゲット202は、層Aと層Cとの間、又は層Aと層Bとの間のオーバレイ測定を行うのに適している。この計測ターゲット202では、層Bに対する層Aのシフトに関連するモアレ利得(M
g)は次のとおりである。
M
g=P/(P-Q)-S/(S-T) (10)
【0142】
この計測ターゲット202では、層Cに対する層Aのシフトに関連するモアレ利得(Mg)は次のとおりである。
Mg=T/(S-T) (11)
【0143】
図29A及び
図29B及び関連する記述は、例示の目的のみに提示されたものであり、限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。例えば、トリプルモアレ計測ターゲット202は、一般に、3層にわたる格子構造の配列の更なるバージョンを含む。1つの実施形態では、トリプルモアレ計測ターゲット202は、層A及びB上の格子構造に基づくモアレパターンを有する第1のワーキングゾーン902と、層B及びC上に格子構造を有する第2のワーキングゾーン906と、層A及びC上に格子構造を有する第3のワーキングゾーン910とを含む。このようなターゲットは、層AとB間、ならびに層BとC間のオーバレイ測定にも適し得る。更に、計測ターゲット202は、一般に任意の数の層を有していてもよい。例えば、N重計測ターゲット202は、選択された層上に格子構造があるN個の層を有し、選択された層間のオーバレイ測定を行い得る。
【0144】
本明細書で説明される主題は、時として、別の構成要素内に含有される、又は別の構成要素と接続される、異なる構成要素を示す。そのような図示のアーキテクチャは単なる例示であり、実際には、同じ機能性を達成する他の多くのアーキテクチャを実装し得ることを理解されたい。概念的には、同じ機能性を達成するための構成要素の任意の配置は、所望の機能性が達成されるよう効果的に「関連付け」られる。すなわち、特定の機能性を達成するために組み合わされる任意の2つの構成要素は、アーキテクチャ又は仲介の構成要素に関係なく、所望の機能性が達成されるよう互いに「関連付け」られると、見ることができる。同様に、そのように関連付けられる任意の2つの構成要素は、その所望の機能性が達成されるよう互いに「接続され」又は「結合され」る、と見ることができ、また、そのように関連付け得る任意の2つの構成要素はまた、その所望の機能性が達成されるよう互いに「結合可能」であるものと見ることができる。結合可能の特定の例には、限定するものではないが、物理的に相互作用可能な及び/又は物理的に相互作用する構成要素、及び/又は無線で相互作用可能な及び/又は無線で相互作用する構成要素、及び/又は論理的に相互作用可能な及び/又は論理的に相互作用する構成要素を含む。
【0145】
本開示及びそれに付随する利点の多くは、前述の説明により理解されると考えられ、また開示された主題から逸脱することなく、又はその重要な利点のすべてを犠牲にすることなく、様々な変更が構成要素の形状、構造、及び配置に加え得ることが明らかであろう。記述された形態は単に説明のためのものであり、以下の特許請求の範囲の意図は、そのような変更を包括し含有することにある。更に、本発明は添付の特許請求の範囲によって定義されることを理解されたい。
【国際調査報告】