(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-21
(54)【発明の名称】ポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛を含む抗ウイルス表面
(51)【国際特許分類】
A01N 59/16 20060101AFI20230814BHJP
A01N 25/12 20060101ALI20230814BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20230814BHJP
A61K 33/30 20060101ALI20230814BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230814BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230814BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230814BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230814BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20230814BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20230814BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20230814BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230814BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20230814BHJP
A61K 33/24 20190101ALI20230814BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20230814BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
A01N59/16 Z
A01N25/12 101
A01P1/00
A61K33/30
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P31/12
A61P31/04
A61P31/16
A61P31/20
A61P31/18
A61P31/14
A61P31/22
A61K33/24
A61K9/14
A61K9/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504028
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(85)【翻訳文提出日】2023-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2021070144
(87)【国際公開番号】W WO2022018025
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522368020
【氏名又は名称】フリーダ グループ アンパーツセルスケープ
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】グッゲンビヒラー、ジェイ. ペーター
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4H011
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA71
4C076BB40
4C076CC32
4C076CC35
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4C086AA01
4C086AA02
4C086HA03
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4C086MA01
4C086MA04
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4C086MA70
4C086NA01
4C086NA14
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZC75
4H011AA01
4H011BB18
4H011BC19
4H011DA02
4H011DC05
4H011DE17
4H011DH08
(57)【要約】
本発明は、ウイルスおよび特にコロナウイルスを防除するためのポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛を含む抗ウイルス組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物を防除するための、ポリオキソメタレートおよび、好ましくは三斜晶系結晶構造および0.1μmと5.0μmとの間の平均粒径を有する粒子の形態の、モリブデン酸亜鉛(ZnMoO
4)を含む混合物のインビトロ使用。
【請求項2】
微生物がウイルス、好ましくはインフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、フラビウイルス、HIV、エプスタインバーウイルス(EBV)、ノロウイルス、C型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルスおよび/またはコロナウイルスなどのエンベロープウイルスである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
コロナウイルスがオルトコロナウイルス、特にSARS-CoV-2(2019-nCoV)、SARS-CoV、および/またはMERS-CoVなどのベータコロナウイルス(Beta-CoV)、および特にそれらのアルファ、ベータ、ガンマ、カッパ、ラムダおよび/またはデルタ変異体などのそれらの突然変異体を含む、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
ZnMoO
4が三斜晶系であり、および/またはZnMoO
4の平均粒径が0.15μm~1.0μm未満の範囲であり、好ましくはおおよそ0.2μm~おおよそ0.8μmの範囲である、前記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
コロナウイルスを防除することがウイルス不活化を含む、前記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
ポリオキソメタレートがバナジウム(V)、ニオブ(V)、タンタル(V)、モリブデン(VI)および/またはタングステン(VI)を含む、前記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
ポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛が10:1~1:10、より好ましくは5:1~1:5およびさらにより好ましくはおおよそ2:1の重量比で使用される、前記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
ポリオキソメタレートおよびZnMoO
4を含む混合物が親水化剤および/または吸湿剤で少なくとも部分的に被覆されており、および/または、親水化剤および/または吸湿剤と凝集している、前記請求項のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
ウイルス、特にコロナウイルスを防除するためのインビトロ方法であって、それによってポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛(ZnMoO
4)、後者は好ましくは三斜晶系結晶構造および0.1μmと5.0μmとの間の平均粒径を有する、をウイルス、特にコロナウイルスを含む疑いがある組成物と接触させる、方法。
【請求項10】
ポリオキソメタレートがバナジウム(V)、ニオブ(V)、タンタル(V)、モリブデン(VI)および/またはタングステン(VI)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ポリオキソメタレートおよびZnMoO
4を含む混合物がポリオキソメタレートおよび/またはZnMoO
4を少なくともその表面上に有する複合材料の形態で使用される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
複合材料が、複合材料の少なくとも表面領域に配置された少なくとも1つの親水化剤および/または吸湿剤をさらに含む、請求項9~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
複合材料または液体組成物の合計質量に対するZnMoO
4の質量含有量が0.1%~80%、特に1.5%~30%、および好ましくは1.8%~5.0%である、請求項9~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記請求項のいずれかで定義したポリオキソメタレートおよびZnMoO
4を含む組成物。
【請求項15】
前記請求項のいずれかで定義したポリオキソメタレートおよびZnMoO
4を含む複合材料。
【請求項16】
前記請求項のいずれかで定義したポリオキソメタレートおよびZnMoO
4を含むコーティングを含むフェイスマスク。
【請求項17】
微生物、特にコロナウイルスを防除するためのポリオキソメタレートの使用。
【請求項18】
ポリオキソメタレートが[H
2Mo
6W
6O
42]
10-である、請求項17に記載のポリオキソメタレートの使用。
【請求項19】
Mo:W 1:1 [H
2Mo
6W
6O
42]
10-(パラモリブドタングステン酸)および/またはMo:W 2:1 [H
2Mo
6W
6O
42]
10-が使用される、請求項17または18に記載のポリオキソメタレートの使用。
【請求項20】
微生物がウイルス、好ましくはインフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、フラビウイルス、HIV、エプスタインバーウイルス(EBV)、ノロウイルス、C型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルスおよび/またはコロナウイルスなどのエンベロープウイルスである、請求項17~19のいずれかに記載のポリオキソメタレートの使用。
【請求項21】
コロナウイルスがオルトコロナウイルス、特にSARS-CoV-2(2019-nCoV)、SARS-CoV、および/またはMERS-CoVなどのベータコロナウイルス(Beta-CoV)、特にSARS-CoV-2のアルファ(B.1.1.7)、ベータ(B.1.351)、ガンマ(P.1)、ラムダ(C.37)、B.1.525またはデルタ(B1.617、B.1.617.1、B.1.617.2)突然変異体を含む、請求項17~20のいずれかに記載のポリオキソメタレートの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、ウイルスおよび特にコロナウイルスを防除するためのポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛を含む抗ウイルス組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスの蓄積を防止するため、物体の表面は抗ウイルス剤で処理されるか、または抗ウイルス特性が与えられる。とりわけ殺菌剤は、ウイルスを防除するために使用される。しかし、殺菌剤を使用する主要な不利益は、殺菌される表面上にも存在する微生物のなかで耐性および交差耐性が発生することである。従って、微生物を効率的に防除し、そして微生物が表面にコロニーを形成するのを防止するための代替案がますます探されている。1つの可能性は、金属および金属化合物を使用することである。銀および銅は、特にそれらの良好な抗ウイルス特性のために、しばしば使用される。第一の変形において、高い活性を達成するために元素金属が可能な最大の表面積を有する形態で提供される。ナノ粒子、発泡金属または担体上に固定されたナノ粒子は、この点に関して特に興味深い。第二の変形は、例えば、ゼオライトに組み込まれたまたは複合材料に直接組み込まれた可溶性金属塩を使用する。しかし、不利な点は、該貴金属または貴金属イオンは比較的高価であり、そしてさらに硫黄含有化合物によってまたは高い電解質濃度によってほとんど完全に不活性化されることである。
【0003】
最近、抗ウイルス剤としてのポリオキソメタレートの使用が議論されている。他の可能性のなかで、チタンをドープした表面においてウイルスに対するポリオキソメタレートの有効性が記載されている。チタンは、静電ポテンシャルおよび酸素ラジカルなどのフリーラジカルを形成してポリオキソメタレートの有効性を増進するために使用される。
【0004】
ポリオキソタングステートは、それらの抗インフルエンザウイルス活性が知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題は、ポリオキソメタレートを含む改善された抗ウイルス組成物および/または表面を提供することである。本発明による課題は、モリブデン酸亜鉛(ZnMoO4)をポリオキソメタレートに添加することによって、またはモリブデン酸亜鉛およびポリオキソメタレートを含む混合物を提供することによって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の文脈におけるポリオキソメタレートは、多原子アニオンを含む物質の一群である。これらは、3つ以上の遷移金属オキシアニオンからなり、そして酸素原子によって置き換えられる。ポリオキソメタレートは、大きくて閉じた3次元ネットワークを形成し得る。
【0007】
金属原子は、通常、周期律表のVまたはVI族の高酸化数、すなわち、電子配置d0またはd1の遷移金属原子である。例は、バナジウム(V)、ニオブ(V)、タンタル(V)、モリブデン(VI)およびタングステン(VI)である。
【0008】
ポリオキソメタレートを生成するためのプロセスは、当業者に公知である。2つの方法がこの目的のために通常使用される。第1に、酸性溶液中の金属カチオンのオキソ配位子のプロトン化は、H2O配位子を形成し、これは中心金属原子から開裂し得、単核オキソメタレートの縮合を引き起こし、そして第2に、塩基性媒体中でのポリ酸の縮合反応による。異なるサイズのポリオキソメタレート骨格は、溶液のpH値に依存して形成され得る。
【0009】
その場で発生した殺生物剤として、ポリオキソメタレートは、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルスおよびコロナウイルスなどのエンベロープウイルスなどの多数の病原性微生物、ならびにそれらの抗生物質への耐性に関わらず広範な細菌性微生物、ならびにかびおよび藻類を含む菌類に対して抗菌作用を有する。
【0010】
ポリオキソメタレートの広範の抗微生物効果は、3つの機序の相乗的有効性に基づき、表面上でその場でウイルス性および細菌性微生物ならびに菌類の迅速な除去をもたらす。
【0011】
それらは、
・大気湿度中の水からの酸素ラジカルなどのフリーラジカル、およびヒドロキシルイオンの形成;
・皮膚のpH値と類似の、表面上の4.5のpH値をもたらす表面上の酸性水分子の形成;
・マイクロメートルの範囲の表面の静電的性質をもたらす正のゼータ電位の形成である。静電表面帯電はまた、抗菌および抗ウイルス特性を示す。負に帯電した微生物は、正に静電的に帯電した表面に引き付けられ、そして表面と接触して数分以内に壊れる。これは、レーザー走査顕微鏡法による細菌性微生物について記録されている。
【0012】
これらのポリオキソメタレートは、ポリマー表面、または例えば液体ポリウレタン、液体シリコーンなどの透明コーティングおよびラッカーなどの好ましくは1時間以内に乾燥する他のコーティング材料のいずれかに組み込まれ得る。種々のコーティング材料は、ポリオキソメタレートを受け取るために既に開発されている。それらの有効性は、少なくとも10年持続し、そして対応する研究で確認されている。それらの効力は、界面活性剤、アルコールまたは水によって悪影響を受けない。
【0013】
本発明に従って、そして驚くべきことに、静電ポテンシャル、およびそれゆえ抗菌、特に抗ウイルス効果の維持は、モリブデン酸亜鉛(ZnMoO4)のさらなる添加によって増進される。
【0014】
モリブデン酸亜鉛は、通常、正方晶系結晶構造を有する。それは水に不溶であり、そしてそれゆえ実際的に非毒性である。公知の正方晶系結晶構造に加えて、三斜晶系結晶構造を有するモリブデン酸亜鉛は、顕著により高い抗ウイルス効力を示す。効果は、同じ粒径を有する正方晶系モリブデン酸亜鉛の効果と比較して顕著に改善される。
【0015】
三斜晶系モリブデン酸亜鉛は、1つ以上の水溶性モリブデン酸塩の溶液と1つ以上の水溶性亜鉛(II)塩の溶液との超音波補助反応によって得ることができる。超音波の存在下、遊離体塩の反応の間に形成した水不溶性モリブデン酸亜鉛は、三斜晶系結晶の形態で沈殿する。三斜晶系結晶の粒径は、反応および超音波処理の継続時間に依存して変化し得る。
【0016】
特に良好な抗ウイルス有効性は、本発明に従って、三斜晶系結晶構造および0.10μm~5.0μmの範囲、好ましくは0.25μmと5.0μmとの間の平均粒径を有する粒子の形態のモリブデン酸亜鉛について見い出された。
【0017】
本発明による混合物におけるモリブデン酸亜鉛の使用は、従って、三斜晶系結晶構造および0.1μmと5.0μmとの間、好ましくは0.25μmと5.0μmとの間の平均粒径を有する粒子の形態で存在するZnMoO4について好ましい。さらなる実施態様に従って、サブミクロン範囲、すなわち0.1μmから1.0μm未満までの平均粒径を有する三斜晶系ZnMo04の使用が好ましい。さらなる好適な実施態様において、三斜晶系モリブデン酸亜鉛は、0.15μm~<1μmの範囲およびより好ましくは0.20μm~0.8μmの範囲の粒径を有する。
【0018】
三斜晶系モリブデン酸亜鉛は、ヒトおよび動物に対して非毒性であり、そしてそれゆえ優れた生体適合性を有する。それは比較的安価で製造することができ、そして少量であっても強力な抗ウイルス効果を示す。さらに、モリブデン酸亜鉛は、硫黄含有化合物によってまたは高い電解質濃度によって不活性化されず、むしろその有効性を保持する。
【0019】
三斜晶系結晶構造および上記の粒径を有するモリブデン酸亜鉛は、藻類、菌類およびエンベロープウイルス、ならびにグラム陽性およびグラム陰性微生物を含む微生物の広域スペクトルに対して、それらの抗生物質耐性に関わらず、高い抗ウイルス活性を示す。本発明による三斜晶系モリブデン酸亜鉛が効果的である微生物の例は、とりわけ、好酸性乳酸桿菌、緑膿菌、例えばP. aeruginosa、サルモネラ菌、例えばS. aureus、E. coli、Candida Spp、C. albicans、C. glabrataおよびC. tropicalis、レジオネラ菌、リステリア菌;インフルエンザ、エプスタインバーウイルス、ロタウイルスおよびノロウイルスなどのウイルス;ならびにAspergillus niger、fumigatusおよびflavusを含む。
【0020】
従って、本発明の好適な局面は、微生物を防除するための、ポリオキソメタレートおよび好ましくは三斜晶系結晶構造および0.1μmと5,0μmとの間の平均粒径を有する粒子の形態のモリブデン酸亜鉛(ZnMoO4)を含む混合物の使用に関し、該微生物は、好ましくはウイルス、好ましくはインフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、フラビウイルス、HIV、エプスタインバーウイルス(EBV)、ノロウイルス、C型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルスおよび/またはコロナウイルスなどのエンベロープウイルスである。本発明に従って制御に適した他の微生物は、ポリオキソメタレートおよび/またはモリブデン酸亜鉛それ自体の使用に関して先に記載している。
【0021】
本発明の文脈におけるウイルスを防除することは、ウイルスの殺菌および/または任意のウイルス不活化を意味する。少なくとも90%のウイルス不活化が好ましい。
【0022】
本発明に従って、コロナウイルスは、好ましくは、特にSARS-CoV-2(2019-nCoV)、SARS-CoV、および/またはMERS-CoVなどのベータコロナウイルス(Beta-CoV)などのオルトコロナウイルスを含む。それらはまた、これらのウイルスの突然変異体および特にSARS-CoV-2のアルファ(B.1.1.7)、ベータ(B.1.351)、ガンマ(P.1)、ラムダ(C.37)、B.1.525またはデルタ(B.1.617、B.1.617.1、B.1.617.2)突然変異を含む。
【0023】
特に好適な局面は、SARS-CoV-2(2019-nCoV)を防除するための、ポリオキソメタレートおよび好ましくは三斜晶系結晶構造および0.1μmと5.0μmとの間の平均粒径を有する粒子の形態のモリブデン酸亜鉛(ZnMoO4)を含む混合物の使用に関する。
【0024】
本発明に従って使用されるポリオキソメタレートは、好ましくはバナジウム(V)、ニオブ(V)、タンタル(V)、モリブデン(VI)および/またはタングステン(VI)を含む。モリブデン(VI)、タングステン(VI)およびそれらの混合物が特に好ましい。モリブデン(VI)およびタングステン(VI)の混合物中、3:1~1:3および特に1:1または2:1の原子比が好ましい。
【0025】
好適なポリオキソメタレートの例は[H2Mo6W6O42]10-である。
【0026】
本発明による混合物において、ポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛は、好ましくは10:1~1:10、より好ましくは5:1~1:5およびよりさらに好ましくはおおよそ2:1の重量比で使用される。
【0027】
ZnMoO4の粒径は、好ましくは0.10~2.5μmの範囲、より好ましくは0.15~2.5μmの範囲、およびより好ましくは0.15μm~1.0μm未満の範囲、より好ましくは0.2μm~0.8μmの範囲である。本発明は、0.10μmよりも小さい粒子および特にナノ粒子を想定しない。マイクロメートル範囲の平均粒径を有する三斜晶系結晶構造のモリブデン酸亜鉛を用いて、優れた抗ウイルス有効性が達成され、その結果ナノ粒子に関連する危険を回避することができることが見い出された。三斜晶系結晶構造を有するモリブデン酸亜鉛は、サブミクロン範囲で特に効果的である。
【0028】
三斜晶系モリブデン酸亜鉛それ自体は、水に不溶である。水または大気湿度に接触すると、モリブデン酸亜鉛はpH値の低下を引き起こす。モリブデン酸亜鉛それ自体は、溶液にはならず、そして分解せず、材料から洗い流されもしない。
【0029】
抗ウイルス使用のため、本発明による混合物は、単独でまたは他の活性成分および/またはアジュバントと組み合わせて使用され得る。特に好適な実施態様において、本発明による混合物は、酸化モリブデンMo03と組み合わされ、これにより抗ウイルス有効性がさらにもっと改善されるからである。Mo03は、原理上、任意の所望の結晶構造、例えば斜方晶系または単斜晶系を有し得る。斜方晶系結晶構造を有するMo03は、本発明に従って特に有利であると証明されている。三斜晶系ZnMo04およびMo03は、結晶の混合物の形態でまたは混晶として存在し得る。
【0030】
ポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛を本発明に従って少なくとも1つの親水化剤または吸湿剤と組み合わせて使用する場合、さらなる利点が生じる。特に好適な親水化剤および吸湿剤は以下に記載される。
【0031】
本発明に従って、ポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛を含む混合物は、抗ウイルス特性が提供されるべき材料に組み込まれ得るか、または少なくともその表面上に堆積され得る。これは、抗ウイルス的に有効な複合材料をもたらす。このような複合材料は、本発明の別の局面を構成する。
【0032】
本発明の文脈において、複合材料は、一緒に組み合わされた3つ以上の材料からなり、それら材料の少なくとも2つが上記で定義したポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛である材料を意味すると理解される。少なくとも1つのさらなる材料は、原理上、任意の材料から形成され得、そして例えば複合材料それ自体でもあり得る。
【0033】
ポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛の存在は、殺生物効果、特に抗ウイルス効果を本発明による複合材料に与える。特にウイルスのコーティングを損傷するおよび/または破壊するpH値の低下は、複合材料またはそれから作製される部品または製品の表面境界層の領域においてのみ要求されるので、それに応じて表面の領域における少量のポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛は、所望の抗ウイルス効力を達成するのに十分である。
【0034】
ポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛は、水に実質的に不溶であり、その結果、それらは複合材料から洗い流されず、そこに留まり、複合材料の寿命の間ずっとそれらの抗ウイルス効力を維持する。この文脈において、三斜晶系モリブデン酸亜鉛は異なる結晶構造を有するモリブデン酸亜鉛よりもずっと良く材料に留まることが知られている。
【0035】
複合材料の少なくとも1つのさらなる材料は、原理上、任意の材料の種類から選択され得る。例えば、それは、無機、金属、セラミックまたは有機材料あるいはそれらの任意の組み合わせであり得る。他の可能な材料は、例えばプラスチック(例、TPU、PE、PP、HDPE、ポリスチレン、ポリイミンなど)、塗料、ラッカー、シリコーン、ゴム、生ゴム、メラミン、アクリレート、メタクリレート、ワックス、エポキシ樹脂、ガラス、金属、セラミックおよび他のものである。好適な実施態様において、本発明による複合材料は、さらなる材料として、少なくとも1つの有機ポリマーまたは化合物および/またはシリコーンを含む。抗ウイルス仕上げのためにポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛がその中にまたはその上に導入される材料は、固体および/または液体マトリクスを形成し得る。ポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛はそれらが合計重量または合計体積の0.1%と10%(重量%または体積%)との間を構成するように添加されることが想定され得る。
【0036】
複合材料は、原理上、層複合体、繊維複合体、粒子複合体または貫通複合体として設計され得る。
【0037】
原理上、本発明による複合材料は、標準条件下で固体または液体であり得る。例えば、複合材料は、例えばラッカーまたは液体コーティング剤として、溶液、懸濁液および/または分散液の形態であり得る。本発明によるポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛の混合物は、好ましくはラッカーまたは液体コーティング剤として使用される。このような場合、複合材料の硬化は、好ましくは適用後に行われる。
【0038】
本発明によるラッカーまたは液体コーティング剤は、プラスチック、織物、金属、木材、石および他の建築材料などの任意の適切な表面に適用され得る。本発明による複合材料は、好ましくはドアの取っ手、階段およびエスカレーターの手すり、公共輸送機関の手すりおよび他の保持装置、ATM、自動券売機、飲料自動販売機、たばこ自動販売機などの任意の入力装置、任意の他の入力および/または出力機などだけでなく、特に待合所、バスまたは電車などの輸送手段、任意の他の公共輸送手段、航空機、タクシーにおける織物またはプラスチックシート、カーペットフロア、または医者の手術室または病室における任意の表面などの、可能性があるウイルス保有者と接触し得る表面に適用される。
【0039】
本発明の1つの局面は、本発明によるポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛の混合物が適用されたフェイスマスクに関する。フェイスマスクは、好ましくは少なくとも口および鼻の領域を覆う。マスクは、織物などの、この目的のために通常使用される任意の材料から作製され得る。本発明によるポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛の混合物は、マスク着用者に面する側および/または着用者から見て外方の側に適用され得る。従来のマスクと比較して、本発明によるマスクは、ウイルスがマスクのフィルター機能によって阻止されるだけでなく、本発明によるポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛のコーティングがウイルスを殺菌するまたは不活化するという利点を有する。
【0040】
本発明による混合物は、複合材料の表面上に配置され得、および/または複合材料中に分配され得る。本発明に従って、混合物は、好ましくは複合材料の表面の領域に配置され、なぜならここで抗ウイルス効果が所望されるからである。例えば、混合物は、基材またはキャリア材料上の層または層の部品として適用され得る。原理上、複合材料の表面のただ1つの領域または複数の領域あるいは全表面が、混合物で抗ウイルス仕上げされ得る。あるいはまたはさらに、混合物はまた、複合材料内に配置され得、または複合材料中に分配され得る。これにより、複合材料の表面が擦り減ったとしても、抗ウイルス効果が永久的に維持されることが確保される。
【0041】
意図する使用に応じて、本発明の文脈における複合材料は、原理上、半完成製品として、すなわち、さらなる加工工程後にのみその最終使用形態に達する半完成材料として存在し得る。あるいは、複合材料は、既に完成部品として設計され得、これはさらなる加工工程なしでその所望の目的のために使用され得る。
【0042】
本発明による複合材料は、混合物を単独で、または他の活性成分および/またはアジュバントと組み合わせて含み得る。特に好適な実施態様において、混合物は酸化モリブデンMo03と組み合わされ、これにより抗ウイルス有効性がさらにもっと改善されるからである。Mo03は、原理上、任意の所望の結晶構造、例えば斜方晶系または単斜晶系を有し得る。斜方晶系結晶構造を有するMo03は、本発明に従って特に有利であると証明されている。混合物およびMo03は、結晶の混合物の形態でまたは混晶として存在し得る。ポリオキソメタレート、モリブデン酸亜鉛および斜方晶系Mo03の混合物または混晶の使用は特に好ましい。
【0043】
好適な実施態様において、本発明による複合材料は、本発明による混合物および場合によりMo03に加えて、銀または銀化合物など、特にナノ銀または硝酸銀などの可溶性銀化合物などの追加の抗ウイルス化合物を有しない。銅、有機殺生物剤、ゼオライトなどもまた、好ましくは本発明による複合材料に含まれない。このことは、より良好な環境適合性およびコストの大幅な削減をもたらす。もちろん、このことは、しかしながら、他の実施態様において複合材料が、本発明による混合物に加えて銀、銅、殺生物剤、ポリオキソメタレートなどの他の抗菌および/または抗ウイルス活性物質を組み込み得る可能性を排除しない。
【0044】
複合材料の合計質量に基づく混合物の質量含有量は、有利には0.1重量%と80重量%との間、特に1.5重量%と30重量%との間および好ましくは1.8重量%と5.0重量%との間である。この質量比は、特に高い抗ウイルス効力を混合物の可能な限り低い物質投入で確保する。
【0045】
前述の平均粒径を有する粒子の使用は、一方で特に高い抗ウイルス効力が達成され得、そして他方で本発明による複合材料がナノ粒子を含まないという特別な利点を提供する。
【0046】
混合物が、複合材料の少なくとも表面の領域に配置される少なくとも1つの親水化剤または吸湿剤と組み合わせて使用される場合、さらなる利点が生じる。これは、特に酸性表面境界層の形成にとって重要である乾燥環境、すなわち、例えば非常に低い大気湿度およびそれに応じて少量の利用可能な水を有する環境において抗ウイルス効力を顕著に増大させる。適切な親水化剤および/または吸湿剤の例は、特に、特にシリカゲルの形態または発熱性に酸化ケイ素としてのSiO2である。これらは、ある種の水分緩衝剤を形成し、そしてそれゆえ製品中の最低限の水分を確保する。
【0047】
本発明に従って使用され得る他の親水化剤および/または吸湿剤のさらなる例は、アビエチン酸、アラキドン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、カプリン酸、カプロン酸、セロチン酸、エルカ酸、フザリン酸、フマル酸、胆汁酸、イコセン酸、イソフタル酸、ラクトン酸、ラウリン酸、リグノセリン酸、リノレン酸、レボピマール酸、リノール酸、マルガリン酸、メリシン酸、モンタン酸、ミリスチン酸、ネオアビエチン酸、ネルボン酸、ノナデカン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ペラルゴン酸(ノナン酸)、ピマル酸、パルストリン酸、パルミチン酸、リシノール酸、ステアリン酸、ソルビン酸、タンニン酸、トリデカン酸、ウンデカン酸およびブルピン酸などの有機酸である。さらに、マロン酸、マレイン酸および無水マレイン酸、乳酸、酢酸、クエン酸、サリチル酸およびアスコルビン酸ならびにそれらの塩は、有利であることが証明されている。酸無水物、両性物質、緩衝系、ポリマー酸、イオン交換樹脂、ならびに酸スルホン酸塩および酸ハライドもまた使用され得る。
【0048】
複合材料の合計重量に基づく親水化剤および/または吸湿剤の質量含有量は、有利には0.1%~15%の範囲である。例えば、質量含有量は、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%または14%であり得る。1と5%との間の範囲、好ましくは2~4%の範囲の質量含有量が特に有利である。さらに、親水化剤および/または吸湿剤の質量含有量または質量比は、ポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛の混合物の選択された質量含有量に対応するように設定され得る。
【0049】
特に好適な実施態様において、ポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛の混合物は、親水化剤および/または吸湿剤、特にSiO2で少なくとも部分的に被覆されており、および/またはこれらと凝集している。これは、2種類の化合物が空間的に近接しており、その結果、ポリオキソメタレートおよびモリブデン酸亜鉛の混合物に、特に乾燥した条件下でさえ、pH値を低下させるのに必要とされる水分が直ちに供給されることを確保する簡単な方法である。
【0050】
本発明のさらなる局面は、抗ウイルス活性製品の製造のための、上記で定義した抗ウイルス活性複合材料の使用を提供する。
【0051】
本発明の別の局面は、ウイルス、特にコロナウイルスを防除するためのインビトロ方法に関し、それによってポリオキソメタレートおよび好ましくは三斜晶系結晶構造および0.1μmと5.0μmとの間の平均粒径を有するモリブデン酸亜鉛(ZnMoO4)をウイルス、特にコロナウイルスを含む疑いがある組成物と接触させる。ポリオキソメタレートおよびZnMoO4は、好ましくはポリオキソメタレートおよび/またはZnMoO4を少なくともその表面上に有する複合材料の形態で使用され、後者は好ましくは三斜晶系結晶構造および0.1μmと5.0μmとの間の平均粒径を有する粒子の形態である。複合材料は、好ましくは、複合材料の少なくとも表面の領域に配置された少なくとも1つの親水化剤および/または吸湿剤をさらに含む。
【0052】
三斜晶系モリブデン酸亜鉛は、1つ以上の水溶性モリブデン酸塩と1つ以上の水溶性亜鉛(II)塩との超音波補助反応によって製造することができる。この目的のため、モリブデン酸塩の水溶液および亜鉛塩の水溶液が、互いに別個に調製され、そして超音波の影響下で接触させられる。超音波の存在は、モリブデン酸亜鉛を三斜晶系結晶構造に晶出させる。モリブデン酸亜鉛の粒径は、超音波の継続時間および強度によって調整され得る。本発明の好適な実施態様において、三斜晶系モリブデン酸亜鉛は、1つ以上のモリブデン酸アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水溶液を1つ以上の亜鉛(II)塩の水溶液と接触させることによって製造される。例えばモリブデン酸ナトリウム二水和物は、水溶性モリブデン酸亜鉛として使用され得る。例えば、塩化亜鉛などの亜鉛ハライドは、亜鉛(II)塩として使用され得る。2つの塩溶液は、好ましくは15 kHzを超える、特に20~30 kHzの周波数の超音波の存在下、室温で反応させる。最大効力のために、モリブデン酸亜鉛は、できるだけ欠陥がない結晶格子中に存在しなければならない。超音波処理は、このことを確保する。エネルギー投入なしでの水溶性モリブデン酸塩などの反応物と1つ以上の水溶性亜鉛塩との混合物は、最適な結晶構造の形成に至らず、それによって本発明による最適な結晶構造と比較して効力の欠如または低下した効力をもたらす。
【0053】
超音波による三斜晶系ZnMn04の製造はまた、特に、本発明によるサブミクロン範囲、すなわち、0.1μmを超え1μm未満の粒子の規定された提供を可能にする。
【0054】
使用の別の局面は、微生物および特にコロナウイルスを防除するためのポリオキソメタレートの使用に関する。この局面において、全てのポリオキソメタレートは上記の通り使用され得る。
【0055】
使用されるポリオキソメタレートは、好ましくはバナジウム(V)、ニオブ(V)、タンタル(V)、モリブデン(VI)および/またはタングステン(VI)を含む。モリブデン(VI)、タングステン(VI)およびそれらの混合物が特に好ましい。モリブデン(VI)およびタングステン(VI)の混合物において、3:1~1:3および特に1:1または2:1の原子比が好ましい。
【0056】
これらは、特に好ましくは上記の通り微生物および特にコロナウイルスを防除するために使用される。使用されるポリオキソメタレートは、好ましくは[H2Mo6W6O42]10-である。
【0057】
特に好ましくは、Mo:W 1:1 [H2Mo6W6O42]10-(パラモリブドタングステン酸)またはMo:W 2:1 [H2Mo6W6O42]10-の形態のポリオキソメタレートが使用される。
【0058】
微生物は、好ましくはインフルエンザウイルスおよびB型肝炎ウイルス、フラビウイルス、HIV、エプスタインバーウイルス、ノロウイルス、C型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルスおよび/またはコロナウイルスなどのエンベロープウイルスである。
【0059】
コロナウイルスは、オルトコロナウイルス、特にSARS-CoV-2(219-nCoV)などのベータコロナウイルス(Beta-CoV)、および特にアルファ、ベータ、ガンマまたはラムダ突然変異体などのそれらの突然変異体、SARS-CoVまたはMERS-CoVを含み得る。
【実施例】
【0060】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。
【0061】
実施例
A)
2%ポリオキソメタレートMo:W 2:1を1%モリブデン酸亜鉛と組み合わせて調製し、表面の静電電荷を維持した。
【0062】
2%ポリオキソメタレートMo:W 2:1を亜鉛と組み合わせて使用し、ポリイミンなどの種々の複合材料を形成した。
【0063】
ポリオキソメタレートMo:W 2:1の製造およびモリブデン酸亜鉛の提供を、確立された手法に従って行う。
【0064】
コーティング材料は二酸化ケイ素-水ガラスであり、これを表面上で20分以内で乾燥し、そして透明な層をもたらす。しかし、液体ポリウレタン、シリコーンおよびラッカーでのコーティングもまた利用可能である。
【0065】
ポリオキソメタレートは、B型肝炎、C型肝炎、ヘルペス、鳥インフル、豚インフル、インフルエンザ、Covid-19などを含む広範なウイルスに対して広く効果的である。
【0066】
ポリオキソメタレートMo:W 2:1のサブミクロン粒子で仕上げた表面は、以下の表に示す多数の必須要件を満足する。
・コロナウイルスおよび他のエンベロープ病原性ウイルスならびに菌類を含む多耐性細菌性微生物に対する広い抗ウイルス活性。
・病原性ウイルスの迅速な除去。コロニー化表面上のコロナウイルス、30分以内。
・耐性誘導なし。
・数年間にわたる永久的な有効性。10年にわたると記録される。表面からのポリオキソメタレートの溶出なし。ポリオキソメタレートは水、アルコールおよび界面活性剤に不溶である。
・界面活性剤での1000回の洗浄後に効力の損失なし。
・毒性なし。
・400℃まで熱安定。
【0067】
モリブデン酸亜鉛は、三酸化モリブデンと比較して、研究したインフルエンザウイルスについて不活化を示す。インフルエンザウイルスA/H1N1のウイルス力価は1.33 LG減少した。
【0068】
B)
パラモリブドタングステン酸Mo:W 1:1 [H2Mo6W6O42]10-は、EN 14476(液体殺菌剤試験)において2時間でコロナウイルスの4 Logの減少を示す。88%を超えるコロナウイルスが、また2時間で、コントロール表面上よりも処理した表面上で殺菌された。
【0069】
C)
標準試験方法を用いて、抗ウイルス処理した製品のプラスチックおよび他の無孔性表面上のウイルス活性を測定した。
【0070】
ウイルスの試験懸濁液を、試験プラスチック表面上に接種し、そしてカバーフィルムで覆う。表面を規定の温度に規定の期間維持する。接触時間の終わりに、媒体をプラスチックの表面に加え、そして表面を洗い、いかなる残存する有機体も回収する。表面から回収され得る生存有機体の数を、試験表面の大きさを考慮して定量的に決定する。
【0071】
【0072】
結果:
「猫コロナウイルス」に対して2.1111 Logの減少(99.22%)が、上記の条件下で達成される。
【0073】
試験結果
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【国際調査報告】