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特表2023-535722不可逆エレクトロポレーションのための食道カテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-21
(54)【発明の名称】不可逆エレクトロポレーションのための食道カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230814BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504525
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 US2021042760
(87)【国際公開番号】W WO2022020580
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】63/056,296
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シュロス、アラン シー.
(72)【発明者】
【氏名】クープ、ブレンダン イー.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK16
4C160KK24
4C160KK37
4C160KK47
4C160KK63
4C160MM38
(57)【要約】
本開示の少なくともいくつかの実施形態は、第1のカテーテルと第2のカテーテルとを有するエレクトロポレーションアブレーションデバイスを対象とする。第1のカテーテルは、1つ以上の第1の電極を含み、且つ第1の表面積を有する。第2のカテーテルは、1つ以上の第2の電極を含み、且つ第2の表面積を有する。エレクトロポレーションアブレーションデバイスが標的組織をアブレーションするために動作中であるとき、第1のカテーテルは、心外位置に配置され、且つ標的組織に解剖学的に近接するように構成され、第2のカテーテルは、標的組織に近接する心内位置に配置されるように構成され、及びエレクトロポレーションアブレーションデバイスは、1つ以上の第1の電極と1つ以上の第2の電極との間において、不可逆エレクトロポレーションを介して標的組織をアブレーションするのに十分な電界強度を有する電界を発生させるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロポレーションアブレーションデバイスであって、
1つ以上の第1の電極を含み、且つ第1の表面積を有する第1のカテーテルと、
1つ以上の第2の電極を含み、且つ第2の表面積を有する第2のカテーテルとを含み、
前記第1の表面積は、前記第2の表面積よりも大きく、
前記エレクトロポレーションアブレーションデバイスが標的組織をアブレーションするために動作中であるとき、
前記第1のカテーテルは、食道内に配置され、且つ前記標的組織に解剖学的に近接するように構成され、
前記第2のカテーテルは、前記標的組織に近接する心内位置に配置されるように構成され、及び
前記エレクトロポレーションアブレーションデバイスは、前記1つ以上の第1の電極と前記1つ以上の第2の電極との間において、不可逆エレクトロポレーションを介して前記標的組織をアブレーションするのに十分な電界強度を有する電界を発生させるように構成される、エレクトロポレーションアブレーションデバイス。
【請求項2】
前記第1のカテーテルは、温度センサを含む、請求項1に記載のエレクトロポレーションアブレーションデバイス。
【請求項3】
前記温度センサは、前記エレクトロポレーションアブレーションデバイスが動作中であるときに前記食道内の温度を検知するように構成される、請求項2に記載のエレクトロポレーションアブレーションデバイス。
【請求項4】
前記電界強度は、前記検知された温度が所定の閾値を上回る場合に低下される、請求項3に記載のエレクトロポレーションアブレーションデバイス。
【請求項5】
前記第1のカテーテルは、可撓性である、請求項1~4のいずれか一項に記載のエレクトロポレーションアブレーションデバイス。
【請求項6】
前記1つ以上の第1の電極は、前記エレクトロポレーションアブレーションデバイスに送達されたアブレーションエネルギーのための戻り経路を提供するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のエレクトロポレーションアブレーションデバイス。
【請求項7】
前記1つ以上の第2の電極は、複数の先端側電極及び複数の基端側電極を含み、前記複数の先端側電極は、前記複数の基端側電極よりも前記第2のカテーテルの先端部の近くに配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載のエレクトロポレーションアブレーションデバイス。
【請求項8】
前記第1の表面積は、前記第2の表面積の10%だけ前記第2の表面積よりも大きい、請求項1~7のいずれか一項に記載のエレクトロポレーションアブレーションデバイス。
【請求項9】
前記第1のカテーテルは、膨張可能なバルーンを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のエレクトロポレーションアブレーションデバイス。
【請求項10】
前記電界強度は、1500ボルト/センチメートル未満である、請求項1~9のいずれか一項に記載のエレクトロポレーションアブレーションデバイス。
【請求項11】
前記第1のカテーテルは、複数のスプラインを含み、前記1つ以上の第1の電極は、前記複数のスプライン上に配置される、請求項1~10のいずれか一項に記載のエレクトロポレーションアブレーションデバイス。
【請求項12】
前記1つ以上の第2の電極は、個別にアドレス指定可能である、請求項1~11のいずれか一項に記載のエレクトロポレーションアブレーションデバイス。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のエレクトロポレーションアブレーションデバイスを含むシステム。
【請求項14】
アブレーションエネルギーを発生させ、且つ前記エレクトロポレーションアブレーションデバイスに送達するように構成されたパルス発生器を更に含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記パルス発生器と前記エレクトロポレーションアブレーションデバイスとに結合され、且つ前記パルス発生器によって送達される前記アブレーションエネルギーを制御するように構成されたコントローラを更に含む、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者の組織をアブレーションするための医療システム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、エレクトロポレーションによる組織のアブレーションのための医療システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アブレーション処置は、患者の多くの様々な状態を治療するために使用されている。アブレーションは、心臓不整脈、良性腫瘍、癌性腫瘍を治療し、且つ手術中の出血を制御するために使用することができる。通常、アブレーションは、高周波(RF:radio-frequency)アブレーション及びクライオアブレーションを含むサーマルアブレーション法により実施される。RFアブレーションでは、プローブが患者に挿入され、プローブを介して周囲組織に高周波が伝送される。高周波は、熱を発生させ、周囲組織を破壊し、血管を焼灼する。クライオアブレーションでは、中空針又はクライオプローブが患者に挿入され、プローブ内に低温の熱伝導性流体を循環させて、周囲組織を凍結し、死滅させる。RFアブレーション法及びクライオアブレーション法は、組織を細胞壊死により無差別に死滅させ、食道の組織、横隔神経細胞及び冠状動脈の組織などの健康な組織を損傷又は死滅させることがある。
【0003】
別のアブレーション法は、エレクトロポレーションを使用する。エレクトロポレーション又は電気透過化では、細胞膜の透過性を増加させるために細胞に電界が印加される。エレクトロポレーションは、電界の強度に応じて可逆的又は不可逆的であり得る。エレクトロポレーションが可逆的である場合、細胞膜の増加した透過性を利用して、細胞が治癒及び回復する前に細胞に化学物質、薬物及び/又はデオキシリボ核酸(DNA:deoxyribonucleic acid)を導入することができる。エレクトロポレーションが不可逆的である場合、影響を受けた細胞は、アポトーシスにより死滅する。
【0004】
不可逆エレクトロポレーションは、非サーマルアブレーション法として使用することができる。不可逆エレクトロポレーションでは、一連の短い高電圧のパルスを使用して、細胞をアポトーシスにより死滅させるのに十分に強い電界を発生させる。心臓組織のアブレーションにおいて、不可逆エレクトロポレーションは、RFアブレーション及びクライオアブレーションなどのサーマルアブレーション法の無差別な死滅に対する安全で効果的な代替となり得る。不可逆エレクトロポレーションは、標的組織を死滅させるが、非標的心筋組織、赤血球、血管平滑筋組織、内皮組織及び神経細胞など、他の細胞又は組織を永久的に損傷しない電界強度及び持続時間を使用することにより、心筋組織などの標的組織を死滅させるために使用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
例に示されるように、例1は、エレクトロポレーションアブレーションデバイスである。エレクトロポレーションアブレーションデバイスは、第1のカテーテル及び第2のカテーテルを含む。第1のカテーテルは、1つ以上の第1の電極を含み、且つ第1の表面積を有する。第2のカテーテルは、1つ以上の第2の電極を含み、且つ第2の表面積を有する。第1の表面積は、第2の表面積よりも大きい。エレクトロポレーションアブレーションデバイスが標的組織をアブレーションするために動作中であるとき、第1のカテーテルは、食道内に配置され、且つ標的組織に解剖学的に近接するように構成され、第2のカテーテルは、標的組織に近接する心内位置に配置されるように構成され、及びエレクトロポレーションアブレーションデバイスは、1つ以上の第1の電極と1つ以上の第2の電極との間において、不可逆エレクトロポレーションを介して標的組織をアブレーションするのに十分な電界強度を有する電界を発生させるように構成される。
【0006】
例2は、第1のカテーテルが温度センサを含む、例1のエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
例3は、温度センサが、エレクトロポレーションアブレーションデバイスが動作中であるときに食道内の温度を検知するように構成される、例2のエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
【0007】
例4は、電界強度が、検知された温度が所定の閾値を上回る場合に低下される、例3のエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
例5は、第1のカテーテルが可撓性である、例1~4のいずれか1つのエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
【0008】
例6は、1つ以上の第1の電極が、エレクトロポレーションアブレーションデバイスに送達されたアブレーションエネルギーのための戻り経路を提供するように構成される、例1のエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
【0009】
例7は、1つ以上の第2の電極が複数の先端側電極及び複数の基端側電極を含み、複数の先端側電極が複数の基端側電極よりも第2のカテーテルの先端部の近くに配置される、例1~6のいずれか1つのエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
【0010】
例8は、第1の表面積が第2の表面積の10%だけ第2の表面積よりも大きい、例1~7のいずれか1つのエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
例9は、第1のカテーテルが膨張可能なバルーンを含む、例1~8のいずれか1つのエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
【0011】
例10は、電界強度が1500ボルト/センチメートル未満である、例1~9のいずれか1つのエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
例11は、第1のカテーテルが複数のスプラインを含み、1つ以上の第1の電極が複数のスプライン上に配置される、例1~10のいずれか1つのエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
【0012】
例12は、1つ以上の第2の電極が個別にアドレス指定可能である、例1~11のいずれか1つのエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
例13は、例1~12のいずれか1つのエレクトロポレーションアブレーションデバイスを含むシステムである。
【0013】
例14は、アブレーションエネルギーを発生させ、且つエレクトロポレーションアブレーションデバイスに送達するように構成されたパルス発生器を更に含む、例13のシステムである。
【0014】
例15は、パルス発生器とエレクトロポレーションアブレーションデバイスとに結合され、且つパルス発生器によって送達されるアブレーションエネルギーを制御するように構成されたコントローラを更に含む、例14のシステムである。
【0015】
例16は、エレクトロポレーションアブレーションデバイスである。エレクトロポレーションアブレーションデバイスは、1つ以上の第1の電極を含み、且つ第1の表面積を有する第1のカテーテルと、1つ以上の第2の電極を含み、且つ第2の表面積を有する第2のカテーテルとを含み、第1の表面積は、第2の表面積よりも大きい。エレクトロポレーションアブレーションデバイスが標的組織をアブレーションするために動作中であるとき、第1のカテーテルは、食道内に配置され、且つ標的組織に解剖学的に近接するように構成され、第2のカテーテルは、標的組織に近接する心内位置に配置されるように構成され、及びエレクトロポレーションアブレーションデバイスは、1つ以上の第1の電極と1つ以上の第2の電極との間において、不可逆エレクトロポレーションを介して標的組織をアブレーションするのに十分な電界強度を有する電界を発生させるように構成される。
【0016】
例17は、第1のカテーテルが温度センサを含む、例16のエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
例18は、温度センサが、エレクトロポレーションアブレーションデバイスが動作中であるときに食道内の温度を検知するように構成される、例17のエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
【0017】
例19は、アブレーションエネルギーが、検知された温度が所定の閾値を上回る場合に低下される、例18のエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
例20は、第1のカテーテルが可撓性である、例16のエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
【0018】
例21は、1つ以上の第1の電極がアブレーションエネルギーのための戻り経路を提供するように構成される、例16のエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
【0019】
例22は、1つ以上の第2の電極が複数の先端側電極及び複数の基端側電極を含み、複数の先端側電極が複数の基端側電極よりも第2のカテーテルの先端部の近くに配置される、例16のエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
【0020】
例23は、第1の表面積が第2の表面積の10%だけ第2の表面積よりも大きい、例16のエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
例24は、第1のカテーテルが膨張可能なバルーンを含む、例16のエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
【0021】
例25は、アブレーションエネルギーが1500ボルト/センチメートル未満である、例16のエレクトロポレーションアブレーションデバイスである。
例26は、エレクトロポレーションアブレーションデバイスを使用する方法である。本方法は、心外腔内の標的アブレーション位置の解剖学的に近くにエレクトロポレーションアブレーションデバイスの第1のカテーテルを配置する工程であって、第1のカテーテルは、1つ以上の第1の電極を含む、工程と、心内腔内の標的アブレーション位置の近くにエレクトロポレーションアブレーションデバイスの第2のカテーテルを配置する工程であって、第2のカテーテルは、1つ以上の第2の電極を含む、工程と、1つ以上の第1の電極と1つ以上の第2の電極との間において、不可逆エレクトロポレーションを介して標的組織をアブレーションするのに十分な電界強度を有する電界を発生させる工程と、を含む。
【0022】
例27は、第1のカテーテルが温度センサを含む、例26の方法である。
例28は、第1のカテーテルが食道内に配置される、例26の方法である。
例29は、電界強度が、検知された温度が所定の閾値を上回る場合に低下される、例28の方法である。
【0023】
例30は、第1のカテーテルが可撓性である、例26の方法である。
例31は、エレクトロポレーションアブレーションシステムである。エレクトロポレーションアブレーションシステムは、エレクトロポレーションアブレーションデバイスと、アブレーションエネルギーを発生させ、且つエレクトロポレーションアブレーションデバイスに送達するように構成されたパルス発生器と、パルス発生器とエレクトロポレーションアブレーションデバイスとに結合されたコントローラとを含む。エレクトロポレーションアブレーションデバイスは、1つ以上の第1の電極を含み、且つ第1の表面積を有する第1のカテーテルと、1つ以上の第2の電極を含み、且つ第2の表面積を有する第2のカテーテルとを含み、第1の表面積は、第2の表面積よりも大きい。エレクトロポレーションアブレーションデバイスが標的組織をアブレーションするために動作中であるとき、第1のカテーテルは、食道内に配置され、且つ標的組織に解剖学的に近接するように構成され、及び第2のカテーテルは、標的組織に近接する心内位置に配置されるように構成される。
【0024】
例32は、エレクトロポレーションアブレーションデバイスが、1つ以上の第1の電極と1つ以上の第2の電極との間において、不可逆エレクトロポレーションを介して標的組織をアブレーションするのに十分な電界強度を有する電界を発生させるように構成される、例31のエレクトロポレーションアブレーションシステムである。
【0025】
例33は、第1のカテーテルが可撓性である、例31のエレクトロポレーションアブレーションシステムである。
例34は、第1の表面積が第2の表面積の10%だけ第2の表面積よりも大きい、例31のエレクトロポレーションアブレーションシステムである。
【0026】
例35は、1つ以上の第1の電極がアブレーションエネルギーのための戻り経路を提供するように構成される、例31のエレクトロポレーションアブレーションシステムである。
【0027】
複数の実施形態が開示されているが、本発明の更に別の実施形態は、本発明の例示的な実施形態を図示及び説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示であり、限定ではないとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の主題の実施形態によるエレクトロポレーションアブレーションシステム又はデバイスの例示的な系統図を示す。
図2A】本開示の主題の実施形態による、動作中のエレクトロポレーションアブレーションデバイスの一例の説明図を示す。
図2B】本開示の主題の実施形態による、動作中のエレクトロポレーションアブレーションデバイスの別の例の別の説明図を示す。
図3A】本開示の主題の実施形態による、不可逆エレクトロポレーションによるアブレーションを含むエレクトロポレーションに使用され得るカテーテルの例示的な実施形態を示す図である。
図3B】本開示の主題の実施形態による、不可逆エレクトロポレーションによるアブレーションを含むエレクトロポレーションに使用され得るカテーテルの例示的な実施形態を示す図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態による、エレクトロポレーションアブレーションデバイスを使用する例示的な方法を示す例示的な流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、様々な修正形態及び代替形態が可能であるが、特定の実施形態が図面に例として示され、以下で詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本発明を、記載される特定の実施形態に限定することではない。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にある全ての変更形態、均等物及び代替形態を包含することを意図する。
【0030】
有形物(例えば、製品、在庫など)及び/又は無形物(例えば、データ、通貨、勘定、情報、物の一部(例えば、割合、比率)の電子表現、計算、データモデル、動的システムモデル、アルゴリズム、パラメータなど)の測定値(例えば、寸法、特性、属性、成分など)及びその範囲に関する用語が本明細書で使用される場合、明示した測定値を含み、且つまた明示した測定値に適度に近い任意の測定値を含むが、測定誤差;測定値及び/又は製造機器の較正の差;測定値の読取り及び/又は設定における人的エラー;他の測定値(例えば、他の物と関連する測定値)の観点から性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われた調整;特定の実施状況;人、コンピューティングデバイス及び/又は機械による物、設定及び/又は測定値の不正確な調整及び/又は操作;システムの許容度;制御ループ;機械学習;予見可能な変動(例えば、統計的にわずかな変動、無秩序な変動、システム及び/又はモデルの不安定性など);及び/又は好みなどに起因するものであると当業者が理解し、容易に確認するような適度にわずかな量だけ異なり得る測定値を指すために、「約」及び「およそ」が区別なく使用されることがある。
【0031】
例示的な方法が1つ以上の図面(例えば、流れ図、通信フローなど)によって示されることがあるが、図面は、本明細書に開示される様々な工程を要件とすること又は本明細書に開示される様々な工程のうちの若しくはその間の特定の順序を示唆するものと解釈すべきではない。しかしながら、本明細書に明示的に記載され得るように、且つ/又は工程自体の性質(例えば、いくつかの工程の実施は、前の工程の結果に依存することがある)から理解され得るように、特定のいくつかの実施形態は、特定の工程及び/又は特定の工程間の特定の順序を必要とすることがある。更に、項目(例えば、入力、アルゴリズム、データ値など)の「セット」、「サブセット」又は「グループ」は、1つ以上の項目を含み得、同様に、項目のサブセット又はサブグループは、1つ以上の項目を含み得る。「複数」は、1つより多いことを意味する。
【0032】
本明細書で使用する場合、「基づく」という用語は、限定を意味するものではなく、むしろ少なくとも「基づく」に続く用語を入力として使用することにより決定、識別、予測及び/又は計算などが行われることを示す。例えば、特定の情報に基づいた結果の予測は、追加的に又は代替的に、同じ決定を別の情報に基づいて行うことがある。
【0033】
クライオエネルギー及び高周波(RF)エネルギーは、組織を細胞壊死により無差別に死滅させ、他の望ましくない効果に加えて、食道、横隔神経、冠状動脈を損傷することがある。不可逆エレクトロポレーション(IRE:irreversible electroporation)は、高電圧の短(ms)パルスを使用して細胞をアポトーシスにより死滅させる。IREは、食道血管平滑筋及び内皮を含む他の隣接組織を温存し、心筋を死滅させることを目的とし得る。左房後壁は、発生学的に静脈組織であり、肺静脈とともに心房頻拍の誘発に高度に寄与するため、アブレーションの標的となる。ユニポーラ(例えば、カテーテル先端から皮膚電極まで)構成を使用するIREは、一般に、深い外傷を形成するが、神経及び骨格筋の心外刺激をもたらす。バイポーラ構成は、この副作用を低減するが、組織貫通性が低下することがあり、貫壁性の外傷を達成することがより困難な場合がある。本開示の実施形態は、心外刺激を回避しつつ、貫壁性の外傷を形成することができるIREのシステム/デバイス及び方法を対象とする。いくつかの実施形態では、1つが患者の心内腔に配置され、1つが患者の心外腔に配置される2つのカテーテルを有するエクスプロレーションアブレーションデバイスがそのようなシステム及び方法において使用される。
【0034】
図1は、本開示の主題の実施形態によるエレクトロポレーションアブレーションシステム又はデバイス100の例示的な系統図を示す。エレクトロポレーションアブレーションシステム/デバイス100は、カテーテルの対105と、導入器シース130と、コントローラ140と、パルス発生器150と、メモリ160とを含む。実施形態では、エレクトロポレーションアブレーションシステム/デバイス100は、患者の心臓の標的組織に電界エネルギーを送達し、組織のアポトーシスを生じさせ、組織が電気信号を伝導できないようにするように構成される。場合により、エレクトロポレーションアブレーションシステム/デバイス100は、他のシステム170、例えばマッピングシステム及び/又は電気生理学システムなどと接続し得る。
【0035】
実施形態では、カテーテルの対105は、心内カテーテル110及び心外カテーテル120を含む。心内カテーテル110は、心内腔の標的アブレーション位置のそばに配置されるように設計される。本明細書で使用する場合、心内腔とは、心腔及びその周囲の血管(例えば、肺静脈)を指す。心外カテーテル120は、心外腔のアブレーション標的の解剖学的に近くに配置されるように設計される。本明細書で使用する場合、心外腔とは、心内腔の外の身体内腔を指す。場合により、心外カテーテル120及び/又は心内カテーテル110は、1つ以上のセンサ(例えば、温度センサ、位置センサなど)を含む。一実施形態では、システム/デバイスが使用中であるとき、心外カテーテル120は、患者の食道内に配置されるように構成される。
【0036】
パルス発生器150は、カテーテル対105の電極に送達されるアブレーションパルス/エネルギー(又はエレクトロポレーションパルス/エネルギーと呼ばれる)を発生させるように構成される。エレクトロポレーションパルスは、典型的には、高電圧の短パルスである。コントローラ140は、エレクトロポレーションアブレーションシステム/デバイス100の機能的態様を制御するように構成される。実施形態では、エレクトロポレーションコントローラ140は、アブレーションエネルギーの発生並びに心内カテーテル110及び心外カテーテル120の電極への送達に関してパルス発生器150を制御するように構成される。一実施形態では、心内カテーテル110及び心外カテーテル120は、それぞれ1つ以上の電極を有する。ある場合には、心内カテーテル110及び心外カテーテル120の1つ以上の電極のそれぞれは、個別にアドレス指定可能である。そのような場合、コントローラ140は、各電極へのアブレーションエネルギー送達を制御し得る。
【0037】
場合により、エレクトロポレーションコントローラ140は、カテーテルのセンサによって収集されたセンサデータを受け取り、センサデータに応じてアブレーションエネルギーを変化させる。場合により、エレクトロポレーションコントローラ140は、カテーテル対105によって発生し得る電界をモデル化するように構成され、これは、多くの場合、電極を含むエレクトロポレーションカテーテル対105の物理的特性及びエレクトロポレーションカテーテル対105の電極の空間的関係の考察を含む。実施形態では、エレクトロポレーションコントローラ140は、電極間において、1500ボルト/センチメートル以下の電界強度を有する電界を発生させるようにアブレーションパルスを制御するように構成される。
【0038】
実施形態では、エレクトロポレーションカテーテル対105は、ユニポーラ(アブレーションカテーテル先端から皮膚電極まで)に付随する骨格筋活動を回避しつつ、電界がアブレーション標的壁内により深く貫通することを可能にする(近距離バイポーラ)。場合により、心内カテーテル110は、第1の表面積を含み、心外カテーテル120は、第2の表面積を含み、第2の表面積は、第1の表面積と異なる。場合により、第2の表面積は、第1の表面積よりも大きい。本明細書で使用する場合、カテーテルの表面積とは、カテーテルの電極の外部表面積の合計を指し、外部表面とは、使用時に体質量及び/又は体液と接触する電極の表面を指す。場合により、第2の表面積は、第1の表面積の少なくとも10%だけ第1の表面積よりも大きい。場合により、第2の表面積は、第1の表面積の少なくとも20%だけ第1の表面積よりも大きい。場合により、第2の表面積は、第1の表面積の少なくとも30%だけ第1の表面積よりも大きい。場合により、第2の表面積は、第1の表面積の少なくとも50%だけ第1の表面積よりも大きい。実施形態では、心外カテーテル120は、温度センサを含む。温度センサは、使用時に心外腔の温度を検知するように構成される。場合により、エレクトロポレーションアブレーションシステム/デバイス100が動作中であるとき、温度センサは、食道内の温度を検知するように構成される。場合により、コントローラは、検知された温度が所定の閾値を上回る場合、パルス発生器150によって発生させるアブレーションエネルギーを低減するように構成される。
【0039】
実施形態では、エレクトロポレーションコントローラ140は、エレクトロポレーションアブレーションシステム/デバイス100の機能的態様を制御及び/又は実施するためにメモリ160、例えば非一時的な機械可読媒体からコードを実行する1つ以上のコントローラ、マイクロプロセッサ及び/又はコンピュータを含む。実施形態では、メモリ160は、1つ以上のコントローラ、マイクロプロセッサ及び/若しくはコンピュータの一部並びに/又はワールドワイドウェブなどのネットワークを介してアクセス可能なメモリ容量の一部であり得る。実施形態では、メモリ160は、アブレーションデータ(例えば、位置、エネルギーなど)、検知データ、モデル化された電界データ及び/又は治療計画データなどを格納するように構成されたデータリポジトリ165を含む。
【0040】
実施形態では、導入器シース130は、送達導管を提供するように機能し、送達導管を通して心内カテーテル110が心内腔の特定の標的部位に留置され得る。実施形態では、他のシステム170は、電気解剖マッピング(EAM:electro-anatomical mapping)システムを含む。場合により、EAMシステムは、エレクトロポレーションアブレーションシステム/デバイス100の様々な機能コンポーネントの位置を追跡し、目的の心腔の高忠実度の3次元解剖及び電気解剖マップを生成するように機能する。実施形態では、EAMシステムは、ボストンサイエンティフィックコーポレーション(Boston Scientific Corporation)によって市販されているRHYTHMIA(登録商標)HDxマッピングシステムであり得る。また、実施形態では、EAMシステムのマッピング及びナビゲーションコントローラは、EAMシステムの機能的態様を制御及び/又は実施するためにメモリからコードを実行する1つ以上のコントローラ、マイクロプロセッサ及び/又はコンピュータを含む。
【0041】
EAMシステムは、心臓周囲のローカライゼーション体積を画定するためにフィールド発生器によってローカライゼーションフィールドを発生させ、被追跡デバイス、例えばエレクトロポレーションカテーテル対105上の1つ以上の位置センサ又はセンシング要素は、ローカライゼーション体積内のセンサ、したがって対応するデバイスの位置を追跡するためにマッピング及びナビゲーションコントローラによって処理され得る出力を生成する。一実施形態では、デバイストラッキングは、磁気トラッキング技術を用いて実施され、フィールド発生器は、ローカライゼーション体積を画定する磁場を発生させる磁場発生器であり、被追跡デバイス上の位置センサは、磁場センサである。
【0042】
いくつかの実施形態では、様々なデバイスの位置を追跡するためにインピーダンストラッキング法を用い得る。そのような実施形態では、ローカライゼーションフィールドは、例えば、外部フィールド発生器構成、例えば表面電極、体内若しくは心内デバイス、例えば心内カテーテル又はこれらの両方によって発生する電界である。これらの実施形態では、位置センシング要素は、ローカライゼーション体積内の様々な位置センシング電極の位置を追跡するためにマッピング及びナビゲーションコントローラによって受け取られ、処理される出力を生成する被追跡デバイス上の電極を構成し得る。
【0043】
実施形態では、EAMシステムは、磁気トラッキング性能及びインピーダンストラッキング性能の両方を備える。そのような実施形態では、インピーダンストラッキングの精度は、前述のRHYTHMIA(登録商標)HDxマッピングシステムを使用することで可能なように、場合により磁気位置センサを備えるプローブを使用し、目的の心腔内の電界発生器によって誘起される電界のマップを最初に作成することによって向上させることができる。1つの例示的なプローブは、ボストンサイエンティフィックコーポレーション(Boston Scientific Corporation)によって市販されているINTELLAMAP ORION(登録商標)マッピングカテーテルである。
【0044】
利用されるトラッキング法に関わらず、EAMシステムは、例えば、エレクトロポレーションカテーテル対105又はセンシング電極を備える別のカテーテル若しくはプローブによって取得された心臓の電気活動とともに、様々な被追跡デバイスの位置情報を利用して、詳細な3次元の幾何学的な解剖マップ又は心腔の表現並びに目的の心臓の電気活動が幾何学的な解剖マップ上に重ね合わされた電気解剖マップを生成し、ディスプレイを介して表示する。更に、EAMシステムは、幾何学的な解剖マップ及び/又は電気解剖マップ内に様々な被追跡デバイスのグラフィック表現を生成することができる。
【0045】
本開示の実施形態は、エレクトロポレーションアブレーションシステム/デバイス100がフォーカルアブレーション及び/又は周囲アブレーションのために使用されることを可能にする。心外カテーテル120の近接により、少ない又は最小限の筋活動を伴うアブレーションを容易にすることができる。場合により、EAMシステムと統合することで、システム/デバイス100は、エレクトロポレーションカテーテル対105によって生成され得る電界のグラフィック表現が患者の解剖マップ上、いくつかの実施形態では患者の心臓の電気解剖マップ上で可視化されることを可能にする。
【0046】
実施形態によれば、エレクトロポレーションアブレーションシステム100の様々なコンポーネント(例えば、コントローラ140)は、1つ以上のコンピューティングデバイスに実装され得る。コンピューティングデバイスは、本開示の実施形態の実装に適した任意の種類のコンピューティングデバイスを含み得る。コンピューティングデバイスの例としては、専用コンピューティングデバイス又は汎用コンピューティングデバイス、例えば「ワークステーション」、「サーバ」、「ラップトップ機」、「デスクトップ機」、「タブレットコンピュータ」、「ハンドヘルドデバイス」及び「汎用グラフィックス処理ユニット(GPGPU:general-purpose graphics processing unit)」などが挙げられ、これらは、全てシステム100の様々なコンポーネントを参照する図1の範囲内で企図される。
【0047】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、以下のデバイス、すなわちプロセッサ、メモリ、入力/出力(I/O:input/output)ポート、I/Oコンポーネント並びに電源に直接的及び/又は間接的に結合するバスを含む。任意の数の追加のコンポーネント、異なるコンポーネント及び/又はコンポーネントの組み合わせもコンピューティングデバイス内に含まれ得る。バスは、1つ以上のバス(例えば、アドレスバス、データバス又はこれらの組み合わせなど)となり得るものである。同様に、いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、いくつかのプロセッサ、いくつかのメモリコンポーネント、いくつかのI/Oポート、いくつかのI/Oコンポーネント及び/又はいくつかの電源を含み得る。更に、任意の数のこれらのコンポーネント又はこれらの組み合わせは、いくつかのコンピューティングデバイスに分散及び/又は複製され得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、メモリ160は、揮発性及び/又は不揮発性メモリ、一時的及び/又は非一時的記憶媒体の形態のコンピュータ可読媒体を含み、リムーバブル、ノンリムーバブル又はこれらの組み合わせであり得る。媒体の例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、読み出し専用メモリ(ROM:Read Only Memory)、電子消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM:Electronically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、光又はホログラフィック媒体、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶デバイス又は他の磁気記憶デバイス、データ転送及び/又は情報を記憶するために使用することができ、コンピューティングデバイスによってアクセスされ得る、例えば量子状態メモリなどの任意の他の媒体が挙げられる。いくつかの実施形態では、メモリ160は、プロセッサ(例えば、コントローラ140)に、本明細書に記載されるシステムコンポーネントの実施形態の態様を実施させ、且つ/又は本明細書に記載される方法及び手順の実施形態の態様を実施させるためのコンピュータ実行可能命令を記憶する。
【0049】
コンピュータ実行可能命令は、例えば、コンピュータコード及び機械利用可能命令など、例えばコンピューティングデバイスと関連する1つ以上のプロセッサによって実行され得るプログラムコンポーネントを含み得る。プログラムコンポーネントは、様々な言語、開発キット及び/又はフレームワークなどを含む任意の数の異なるプログラミング環境を使用してプログラムされ得る。本明細書で企図される機能のいくつか又は全ては、同様に又は代替的に、ハードウェア及び/又はファームウェアに実装され得る。
【0050】
データリポジトリ165は、以下に記載する構成のいずれか1つを使用して実装され得る。データリポジトリは、ランダムアクセスメモリ、フラットファイル、XMLファイル及び/又は1つ以上のデータベースサーバ若しくはデータセンタ上で実行する1つ以上のデータベース管理システム(DBMS:database management system)を含み得る。データベース管理システムは、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS:relational database management system)、階層型データベース管理システム(HDBMS:hierarchical database management system)、多次元データベース管理システム(MDBMS:multidimensional database management system)、オブジェクト指向データベース管理システム(ODBMS又はOODBMS:object oriented database management system)又はオブジェクト関係データベース管理システム(ORDBMS:object relational database management system)などであり得る。データリポジトリは、例えば、単一の関係データベースであり得る。場合により、データリポジトリは、データ統合プロセス又はソフトウェアアプリケーションによってデータを交換及び集計することができる複数のデータベースを含み得る。例示的な実施形態では、データリポジトリ165の少なくとも一部は、クラウドデータセンタにホストされ得る。場合により、データリポジトリは、単一のコンピュータ、サーバ、記憶デバイス又はクラウドサーバなどにホストされ得る。いくつかの他の場合、データリポジトリは、一連のネットワーク化されたコンピュータ、サーバ又はデバイスにホストされ得る。場合により、データリポジトリは、ローカル、リージョナル及びセントラルを含むデータ記憶デバイスの層にホストされ得る。
【0051】
システム/デバイス100の各種のコンポーネントは、通信インターフェイス、例えば有線又は無線インターフェイスを介して通信することができるか、又はそれらを介して結合され得る。通信インターフェイスは、任意の有線又は無線短距離及び長距離通信インターフェイスを含むが、これに限定されない。有線インターフェイスは、ケーブル及びアンビリカルなどを使用することができる。短距離通信インターフェイスは、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN:local area network)、既知の通信規格に準拠するインターフェイス、例えばBluetooth(登録商標)規格、IEEE 802規格(例えば、IEEE 802.11)、ZigBee(登録商標)又は類似の規格、例えばIEEE 802.15.4規格又は他のパブリック若しくはプロプライエタリ無線プロトコルに基づくものであり得る。長距離通信インターフェイスは、例えば、ワイドエリアネットワーク(WAN:wide area network)、セルラーネットワークインターフェイス、衛星通信インターフェイスなどであり得る。通信インターフェイスは、イントラネットなどのプライベートコンピュータネットワーク内又はインターネットなどのパブリックコンピュータネットワーク上のいずれかであり得る。
【0052】
図2Aは、本開示の主題の実施形態による動作時のエレクトロポレーションアブレーションデバイス180Aの一例の説明図を示す。エレクトロポレーションアブレーションデバイス180Aは、患者の食道内に配置された第1のカテーテル185Aと、患者の心内腔内に配置された第2のカテーテル195Aとを含む。第1のカテーテル185A及び/又は第2のカテーテル195Aは、本明細書に記載されるエレクトロポレーションカテーテルの構成のいずれか1つを使用することができる。当技術分野で一般的に周知のように、一実施形態では、第1のカテーテル185Aは、可撓性である。図示の例では、第1のカテーテル185Aは、カテーテルシャフト187Aと、カテーテルシャフト187A上に配置された電極189Aとを含む。カテーテルシャフト187Aは、現在既知であるか又は後に開発されるかを問わず、柔軟なカテーテルに適した任意の手法で構築され得る。
【0053】
実施形態では、電極189Aは、食道への挿入に適した任意の形態をとることができる。例えば、実施形態では、電極189Aは、心臓内除細動器のリードのショックコイルの既知の作成手法と同様に導電性コイルから形成され得る。他の実施形態では、電極189Aは、カテーテルシャフト187Aに取り付けられるか、又はカテーテルシャフト187A上に配置されたフレキシブル回路構造上に形成され得る。使用される作成手法を問わず、第1のカテーテル185Aの電極189Aは、アブレーションエネルギーのための戻り経路を提供するように構成される。
【0054】
図示の例では、第2のカテーテル195Aは、複数の電極を含む。図示の例では、第2のカテーテル195Aの1つ以上の電極は、複数の基端側電極196A及び複数の先端側電極197Aを含み、複数の先端側電極197Aは、複数の基端側電極196Aよりも第2のカテーテル195Aの先端部198Aの近くに配置される。場合により、第1のカテーテル185A及び/又は第2のカテーテル195Aの電極は、単相パルス又は多相パルスを発生させるために使用される。
【0055】
図2Bは、本開示の主題の実施形態による動作時のエレクトロポレーションアブレーションデバイス180Bの別の例の別の説明図を示す。この例では、エレクトロポレーションアブレーションデバイス180Bは、患者の食道内に配置された第1のカテーテル185Bと、患者の心内腔内に配置された第2のカテーテル195Bとを含む。第1のカテーテル185B及び/又は第2のカテーテル195Bは、本明細書に記載されるエレクトロポレーションカテーテルの構成のいずれか1つを使用することができる。一実施形態では、第1のカテーテル185Bは、可撓性である。図示の例では、第1のカテーテル185Bは、複数のスプライン190B上に配置された複数の電極187Bを含む。一実施形態では、電極187Bは、複数の先端側電極188B及び複数の近接電極189Bを含み、先端側電極188Bは、第1のカテーテル185Bの先端部186Bの近くに配置される。場合により、電極187Bのそれぞれは、フレックス回路を含む。場合により、電極187Bは、例えば、金属、金属複合材料、カーボンナノチューブ複合材料又は多層グラフェンなどの導電材料を用いることができる。
【0056】
実施形態では、第1のカテーテル185B、より具体的にはシャフト191Bは、長手方向軸線192Bを有する。図示のように、第1のカテーテル185Bの電極187Bは、複数のスプライン190B上に配置される。また、図示のように、エレクトロポレーションアブレーションデバイス180Bが動作中であるとき、複数のスプライン190Bは、長手方向軸線192Bから外向きに拡張するように構成される。一実施形態では、第1のカテーテル185Bは、膨張可能なバルーン(図示せず)を含む。
【0057】
実施形態では、第1のカテーテル185Bの電極187Bは、アブレーションエネルギーのための戻り経路を提供するように構成される。図示の例では、第2のカテーテル195Bは、複数の電極を含む。図示の例では、第2のカテーテル195Bの1つ以上の電極は、複数の基端側電極196B及び複数の先端側電極197Bを含み、複数の先端側電極197Bは、複数の基端側電極196Bよりも第2のカテーテル195Bの先端部198Bの近くに配置される。
【0058】
図3A及び図3Bは、本開示の主題の実施形態による、不可逆エレクトロポレーションによるアブレーションを含むエレクトロポレーションに使用され得るカテーテル200及びカテーテル250の例示的な実施形態を示す図である。カテーテル200及びカテーテル250は、以下に記載されるように、互いに間隔をあけて配置され、電気を導くように構成された電極を含む。カテーテルによって生成され得る電界をモデル化するためにカテーテルの特性が使用される。実施形態では、電界をモデル化するために使用される特性は、カテーテルの種類、例えば開かれた後に一定のプロファイルを有するバスケットカテーテル及び徐々に開閉することができる可変プロファイルを有するスプラインカテーテル;カテーテルのフォームファクタ、例えばバルーンカテーテル、バスケットカテーテル及びスプラインカテーテル;電極の数;カテーテル上の電極間の間隔;特に同じカテーテル上の他の電極に対する電極の空間的関係及び向き;電極が作られる材料の種類;並びに電極の形状を含み得る。実施形態では、カテーテルの種類及び/又はカテーテルのフォームファクタは、線状アブレーションカテーテル及びフォーカルアブレーションカテーテルなどのカテーテルを含む。この場合、カテーテルの種類及び/又はカテーテルのフォームファクタは、本明細書で言及されるものに限定されない。
【0059】
図3Aは、本開示の主題の実施形態によるカテーテル200を示す図である。カテーテル200は、カテーテルシャフト202と、カテーテルシャフト202の先端部206でカテーテルシャフト202に接続されたカテーテルバスケット204とを含む。カテーテルバスケット204は、カテーテルバスケット204の周囲に配置された第1の電極群208と、カテーテルバスケット204の先端部212に隣接して配置された第2の電極群210とを含む。第1の電極群208の各電極及び第2の電極群210の各電極は、電気を導くように構成され、コントローラ(例えば、図1のコントローラ140)と、アブレーションエネルギー発生器(例えば、図1のパルス発生器150)とに動作可能に接続されるように構成される。実施形態では、第1の電極群208及び第2の電極群210内の電極の1つ以上は、金属を含む。
【0060】
第1の電極群208の電極は、第2の電極群210の電極から間隔をあけて配置される。第1の電極群208は、電極208a~208fを含み、第2の電極群210は、電極210a~210fを含む。また、電極208a~208fなどの第1の電極群208の電極は、互いに間隔をあけて配置され、電極210a~210fなどの電極の第2のもの210の電極は、互いに間隔をあけて配置される。
【0061】
同じカテーテル200上の他の電極に対する第1の電極群208の電極の空間的関係及び向き並びに第2の電極群210の電極の空間的関係及び向きは、既知であるか又は決定され得る。実施形態では、カテーテルが展開されると、同じカテーテル200上の他の電極に対する第1の電極群208の電極の空間的関係及び向き並びに第2の電極群210の電極の空間的関係及び向きは、一定である。
【0062】
電界について、実施形態では、第1の電極群208及び第2の電極群210の電極のいずれか2つ以上の間で電界を設定することができるように、第1の電極群208の各電極及び第2の電極群210の各電極は、アノード又はカソードとなるように選択され得る。また、実施形態では、電極がアノードとカソードとの間で入れ替わるか又は交互になるように、第1の電極群208の各電極及び第2の電極群210の各電極は、二相性の極となるように選択され得る。また、実施形態では、第1の電極群208及び第2の電極群210のいずれか2つ以上の電極群間で電界を設定することができるように、第1の電極群208の電極群及び第2の電極群210の電極群は、アノード若しくはカソード又は二相性の極となるように選択され得る。
【0063】
実施形態では、第1の電極群208及び第2の電極群210の電極は、二相性パルス列を含むパルス列中において、選択した電極がアノードとカソードとの間で入れ替わるか又は交互になるように、二相性の極の電極となるように選択され得、電極は、一方が常にアノードであり、他方が常にカソードである単相供給にならない。場合により、第1の電極群208及び第2の電極群210の電極は、別のカテーテルの電極と電界を形成することができる。このような場合、第1の電極群208及び第2の電極群210の電極は、電界のアノード又は電界のカソードであり得る。
【0064】
更に、本明細書に記載されるように、電極は、アノード及びカソードの1つとなるように選択されるが、本開示の全体を通して明示することなく、電極は、アノードとカソードとの間で入れ替わるか又は交互になるように、二相性の極となるように選択され得ると理解されたい。場合により、第1の電極群208の電極の1つ以上は、カソードとなるように選択され、第2の電極群210の電極の1つ以上は、アノードとなるように選択される。また、実施形態では、第1の電極群208の電極の1つ以上は、カソードとして選択され得、第1の電極群208の電極の別の1つ以上は、アノードとして選択され得る。実施形態では、第2の電極群210の電極の1つ以上は、カソードとして選択され得、第2の電極群210の電極の別の1つ以上は、アノードとして選択され得る。
【0065】
図3Bは、本開示の主題の実施形態によるカテーテル250を示す図である。カテーテル250は、カテーテルシャフト252と、カテーテルシャフト252の先端部256でカテーテルシャフト252に接続されたカテーテルスプライン254とを含む。カテーテルスプライン254は、カテーテルスプライン254の最大周囲の基端側に配置された第1の電極群258と、カテーテルスプライン254の最大周囲の先端側に配置された第2の電極群260とを含む。第1の電極群258の各電極及び第2の電極群260の各電極は、電気を導くように構成され、エレクトロポレーションコンソール(図示せず)に動作可能に接続されるように構成される。実施形態では、第1の電極群258及び第2の電極群260の電極の1つ以上は、金属を含む。
【0066】
第1の電極群258の電極は、第2の電極群260の電極から間隔をあけて配置される。第1の電極群258は、電極258a~258fを含み、第2の電極群260は、電極260a~260fを含む。また、電極258a~258fなどの第1の電極群258の電極は、互いに間隔をあけて配置され、電極260a~260fなどの電極の第2のもの260の電極は、互いに間隔をあけて配置される。
【0067】
同じカテーテル250上の他の電極に対する第1の電極群258の電極の空間的関係及び向き並びに第2の電極群260の電極の空間的関係及び向きは、既知であるか又は決定され得る。実施形態では、同じカテーテル250上の他の電極に対する第1の電極群258の電極の空間的関係及び向き並びに第2の電極群260の電極の空間的関係及び向きは、可変であり、カテーテル250の先端部262は、伸張及び後退することができ、電極258及び電極260の空間的関係及び向きを変化させる。いくつかの実施形態では、カテーテル250が展開されると、同じカテーテル250上の第1の電極群258の電極の空間的関係及び向き並びに第2の電極群260の電極の空間的関係及び向きは、一定である。
【0068】
電界について、実施形態では、第1の電極群258及び第2の電極群260の電極のいずれか2つ以上の間で電界を設定することができるように、第1の電極群258の各電極及び第2の電極群260の各電極は、アノード又はカソードとなるように選択され得る。また、実施形態では、第1の電極群258及び第2の電極群260のいずれか2つ以上の電極群間で電界を設定することができるように、第1の電極群258の電極群及び第2の電極群260の電極群は、アノード又はカソードとなるように選択され得る。場合により、第1の電極群258及び第2の電極群260の電極は、別のカテーテルの電極と電界を形成することができる。このような場合、第1の電極群258及び第2の電極群260の電極は、電界のアノード又は電界のカソードであり得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、第1の電極群258の電極の1つ以上は、カソードとなるように選択され、第2の電極群260の電極の1つ以上は、アノードとなるように選択される。また、実施形態では、第1の電極群258の電極の1つ以上は、カソードとして選択され得、第1の電極群258の電極の別の1つ以上は、アノードとして選択され得る。更に、実施形態では、第2の電極群260の電極の1つ以上は、カソードとして選択され得、第2の電極群260の電極の別の1つ以上は、アノードとして選択され得る。エレクトロポレーションコントローラ(例えば、図1のコントローラ140)は、カテーテル250及び周囲組織の特性を用いて、カテーテル250によって生成され得る様々な電界のモデルを決定することができる。
【0070】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、エレクトロポレーションアブレーションデバイスを使用する例示的な方法400を示す例示的な流れ図である。方法400の実施形態の態様は、例えば、エレクトロポレーションアブレーションシステム/デバイス(例えば、図1に示されるシステム/デバイス100)によって実施され得る。方法400の1つ以上の工程は、任意であり、且つ/又は本明細書に記載される他の実施形態の1つ以上の工程によって修正され得る。更に、本明細書に記載される他の実施形態の1つ以上の工程が方法400に追加され得る。最初に、エレクトロポレーションアブレーションシステム/デバイスは、患者の心外腔内に第1のカテーテルを配置するように構成される(410)。場合により、第1のカテーテルは、患者の食道内に配置される。実施形態では、第1のカテーテルは、標的アブレーション位置の解剖学的に近く(例えば、10センチメートル未満の距離)に配置される。アブレーションシステム/デバイスは、エレクトロポレーションアブレーションデバイスの第2のカテーテルを患者の心内腔内に配置するようにも構成される(415)。実施形態では、第2のカテーテルは、標的アブレーション位置の近くに配置される。第1のカテーテル及び/又は第2のカテーテルは、本明細書に記載されるエレクトロポレーションカテーテルの構成のいずれか1つを使用することができる。
【0071】
実施形態では、エレクトロポレーションアブレーションシステム/デバイスは、第1のカテーテルの電極と第2のカテーテルの電極との間に電界を発生させるように構成される(420)。一実施形態では、電界は、1500ボルト/センチメートル以下の電界強度を有する。実施形態では、エレクトロポレーションアブレーションシステム/デバイスは、心外腔の温度を検知するように構成される(425)。場合により、第1のカテーテルは、温度センサ、加速度計及び/又はインピーダンスセンサなどのセンサを含む。エレクトロポレーションアブレーションシステム/デバイスは、検知された温度に応じて電界(例えば、電界強度)を調整するように更に構成される(430)。一実施形態では、エレクトロポレーションアブレーションシステム/デバイスは、検知された温度が所定の閾値を上回る場合に電界強度を低下させるように構成される。場合により、第1のカテーテルは、可撓性である。
【0072】
本発明の範囲から逸脱することなく、記載した例示的な実施形態に対する種々の修正形態及び追加形態がなされ得る。例えば、上述の実施形態は、特定の特徴を参照しているが、本発明の範囲は、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態及び記載した特徴の全部を含まない実施形態も含む。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲内にあるそのような代替形態、修正形態及び変形形態の全てを、それらの全ての均等物とともに包含することを意図する。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
【国際調査報告】