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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-21
(54)【発明の名称】グローバルヘッドランプ
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/14 20060101AFI20230814BHJP
   B60Q 1/16 20060101ALI20230814BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
B60Q1/14 H
B60Q1/16
B60Q1/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504790
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(85)【翻訳文提出日】2023-03-22
(86)【国際出願番号】 US2021043527
(87)【国際公開番号】W WO2022026594
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】63/058,876
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリン,ロバート
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA02
3K339BA11
3K339BA21
3K339BA22
3K339BA26
3K339CA01
3K339CA02
3K339CA27
3K339DA01
3K339DA02
3K339GB01
3K339HA04
3K339JA22
3K339KA07
3K339KA09
3K339KA10
3K339KA18
3K339KA28
3K339KA37
3K339KA38
3K339LA06
3K339LA17
3K339MB05
3K339MC41
3K339MC70
(57)【要約】
グローバルヘッドランプのためのシステム及び方法。方法の一例は、車両と関連付けられる管轄区域を示す構成情報を取得するステップを含む。複数のヘッドランプ状態を含むヘッドランプ状態情報がアクセスされる。複数のヘッドランプ状態のうちの現在のヘッドランプ状態が構成情報に基づいて決定される。伝播が車両のヘッドランプ内の画素化光源を介して出力され、伝播が前記管轄区域に準拠する特定のビームパターンを表わす。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に含まれるヘッドランプコントローラによって実行されるコンピュータ実装方法にであって、前記ヘッドランプコントローラが前記車両のヘッドランプを制御するように構成され、前記コンピュータ実装方法は、
前記車両と関連付けられる管轄区域を示す構成情報を取得するステップと、
複数のヘッドランプ状態を含むヘッドランプ状態情報にアクセスするステップと、
前記構成情報に基づいて前記複数のヘッドランプ状態のうちの現在のヘッドランプ状態を決定するステップと、
前記ヘッドランプ内の画素化光源を介して、前記現在のヘッドランプ状態に基づく伝播を出力させるステップであって、前記伝播が前記管轄区域に準拠する特定のビームパターンを表わす、ステップと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記構成情報は、相同領域、車両運転側、前記車両の現在位置、車両モデル、又は、車両変形のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヘッドランプ状態情報は、それぞれのルックアップテーブルに記憶された前記複数のヘッドランプ状態を含み、前記ルックアップテーブルが前記画素化光源の画素に関する値を規定する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ヘッドランプ状態情報は、前記ヘッドランプが位置される前記車両の側に固有のものである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記現在のヘッドランプ状態が前記管轄区域に準拠するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記現在のヘッドランプ状態がハイビーム又はロービーム伝播と関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ヘッドランプコントローラが前記管轄区域の二次的要件を実行する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記画素化光源が複数の発光素子を備え、前記伝播は、前記発光素子のサブセットから光が出力されることによってもたらされる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記画素化光源は、複数の管轄区域に準拠する伝播を出力するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
複数の管轄区域の要件に準拠する光を伝播するための車両システムであって、
複数の管轄区域及び現在の管轄区域の選択に関するヘッドランプ状態情報を記憶するメモリと、
前記選択された現在の管轄区域と、前記選択された管轄区域と関連付けられる前記ヘッドランプ状態情報とを読み取るコントローラと、
前記ヘッドランプ状態情報に基づいて前記選択された管轄区域に準拠する伝播を出力するように構成される複数の発光素子と、を備える、車両システム。
【請求項11】
前記メモリは、それぞれの管轄区域ごとに、前記発光素子のそれぞれのサブセットにおける光度値を記憶する、請求項10に記載の車両システム。
【請求項12】
前記メモリは、前記光度値をルックアップテーブルに記憶する、請求項11に記載の車両システム。
【請求項13】
前記ヘッドランプ状態情報がロービーム状態又はハイビーム状態を示す、請求項10に記載の車両システム。
【請求項14】
前記現在の管轄区域の前記選択が前記車両システムの現在位置に基づく、請求項10に記載の車両システム。
【請求項15】
前記複数の発光素子が複数の列を成して形成され、前記出力伝播が前記発光素子のそれぞれのサブセットの起動を引き起こす、請求項10に記載の車両システム。
【請求項16】
前記選択された現在の管轄区域におけるロービーム状態と関連付けられる第1の出力伝播が、第1の閾値数の列に含まれる第1の発光素子の起動を引き起こし、前記選択された現在の管轄区域におけるハイビーム状態と関連付けられる第2の出力伝播が、第2の閾値数の列に含まれる第2の発光素子の起動を引き起こし、前記第2の閾値が前記第1の閾値よりも大きい、請求項15に記載の車両システム。
【請求項17】
車両に含まれるヘッドランプコントローラであって、前記ヘッドランプコントローラが前記車両のヘッドランプを制御し、前記ヘッドランプコントローラは、
前記車両と関連付けられる管轄区域を示す構成情報を取得し、
前記構成情報に基づいて現在のヘッドランプ状態を決定し、
前記ヘッドランプ内の画素化光源を介して、前記現在のヘッドランプ状態に基づいて前記管轄区域に準拠する特定のビームパターンを表わす伝播を出力させる、ように構成される1つ以上の処理要素を備える、ヘッドランプコントローラ。
【請求項18】
前記構成情報は、相同領域、車両運転側、前記車両の現在位置、車両モデル、又は、車両変形のうちの1つ以上を含む、請求項17に記載のヘッドランプコントローラ。
【請求項19】
前記処理要素は、それぞれのルックアップテーブルに記憶された複数のヘッドランプ状態を含むヘッドランプ状態情報にアクセスし、前記現在のヘッドランプ状態が前記複数のヘッドランプ状態から選択され、前記ルックアップテーブルは、前記画素化光源の画素に関する値を規定する、請求項17に記載のヘッドランプコントローラ。
【請求項20】
複数のヘッドランプ状態を記憶するように構成されるメモリを更に備える、請求項17に記載のヘッドランプコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2020年7月30日に出願された米国仮特許出願第63/058,876号の優先権を主張し、この米国仮特許出願の内容は、参照によりその全体が本願に明示的に組み入れられる。
【0002】
本開示は、車両ヘッドランプに関する。より具体的には、この開示は、領域調整可能な車両ヘッドランプに関する。
【背景技術】
【0003】
車両前方のヘッドライトなどのヘッドランプは、車内及び車外の人の安全性を高めるための基本的なツールである。例えば、車両のヘッドランプからの光は、車両内の人の視認性を高めるために世の中の照明を可能にする。他の例として、ライトは、車両が世の中を移動するときに車両の外側の人による車両の特定を可能にする。ヘッドランプのこの二重の目的(例えば、見ている及び見られている)は、各ヘッドライトによって出力される光の特定の伝播(例えば、ビームパターン又は投影)を知らせることができる。一例として、車両のヘッドランプは、対向する交通に対するグレアを実質的に最小限に抑えながら、先行車両及び歩行者を照らすために非対称光を投射することができる。
【0004】
国又は地理的地域などの異なる管轄区域は、これらの投射に関する規制を定める異なる規制機関又は標準設定機関を有する。一例として、欧州の車両は、欧州経済委員会(ECE)によって定められた規則に適合するヘッドライトを有する。他の例として、米国内の車両は、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)によって定められる連邦自動車安全基準に準拠したヘッドライトを有する。この例において、米国車両は、FMVSS108によって規定されるヘッドランプ伝播を使用することができる。
【0005】
これらの管轄区域の違いに起因して、グローバル車両事業体は、異なる管轄区域に関して異なるヘッドランプを製造する。例えば、異なる管轄区域に関して異なるヘッドランプが必要とされるように、異なる管轄区域の規制が互いに矛盾する場合がある。更に、単一の管轄区域内では、運転者の利き手に起因する変動があり得る。一例として、欧州連合(例えば、英国、アイルランド)内の特定の国の道路は左側走行であり、欧州連合(例えば、ドイツ、フランス)内の特定の他の国の道路は右側走行である。
【発明の概要】
【0006】
この開示のシステム、方法、及び装置はそれぞれ、幾つかの革新的な態様を有し、そのうちの1つだけが本明細書に開示された望ましい属性の全てに単独で関与するものではない。
【0007】
特定の実施形態及び例が本明細書に開示されるが、本発明の主題は、具体的に開示された実施形態の例を超えて、他の別の実施形態及び/又は使用、並びにその修正及び均等物にまで及ぶ。
【0008】
この明細書の主題の1つ以上の実施形態の、任意選択的な細部を含む詳細は、添付図面及び以下の説明に記載される。本主題の他の任意選択的な特徴、態様、及び利点は、明細書本文、図面、及び特許請求の範囲から明らかになる。
【0009】
一実施形態は、車両に含まれるヘッドランプコントローラによって実行されるコンピュータ実装方法である。方法によって車両のヘッドランプを制御するようにヘッドランプコントローラを構成でき、方法は、車両と関連付けられる管轄区域を示す構成情報を取得するステップと、複数のヘッドランプ状態を含むヘッドランプ状態情報にアクセスするステップと、構成情報に基づいて複数のヘッドランプ状態のうちの現在のヘッドランプ状態を決定するステップと、ヘッドランプ内の画素化光源を介して、現在のヘッドランプ状態に基づく伝播を出力させるステップであって、伝播が管轄区域に準拠する特定のビームパターンを表わす、ステップとを含む。
【0010】
他の実施形態は、複数の管轄区域の要件に準拠する光を伝播するための車両システムである。システムは、複数の管轄区域及び現在の管轄区域の選択に関するヘッドランプ状態情報を記憶するメモリと、選択された現在の管轄区域と、選択された管轄区域と関連付けられるヘッドランプ状態情報とを読み取るコントローラと、ヘッドランプ状態情報に基づいて選択された管轄区域に準拠する伝播を出力するように構成される複数の発光素子とを含むことができる。
【0011】
更なる他の実施形態は、車両に含まれるヘッドランプコントローラであり、ヘッドランプコントローラが車両のヘッドランプを制御し、ヘッドランプコントローラは、車両と関連付けられる管轄区域を示す構成情報を取得し、構成情報に基づいて現在のヘッドランプ状態を決定し、ヘッドランプ内の画素化光源を介して、現在のヘッドランプ状態に基づいて管轄区域に準拠する特定のビームパターンを表わす伝播を出力させるように構成される1つ以上の処理要素を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面の全体にわたって、参照番号は、参照される要素間の対応を示すために再使用される。図面は、本明細書に記載の主題の実施形態を示すために提供され、その範囲を限定するものではない。
【0013】
図1A】管轄区域を示す構成情報に基づいてヘッドランプ状態を設定する車両の一例のブロック図を示す。
【0014】
図1B】ヘッドランプ用の画素化光源の一例の詳細図を示す。
【0015】
図2】構成情報に基づいてヘッドランプ状態を設定するためのプロセスの一例を示す。
【0016】
図3】特定の管轄区域に確認するヘッドランプからの光を出力させるためのヘッドランプコントローラのプロセスの一例を示す。
【0017】
図4A】第1の管轄区域に準拠する画素化光源によって生成されるロービーム状態の一例を示す。
図4B】第1の管轄区域に準拠する画素化光源によって生成されるロービーム状態の一例を示す。
図4C】第1の管轄区域に準拠する画素化光源によって生成されるロービーム状態の一例を示す。
【0018】
図5A】第2の管轄区域に準拠する画素化光源によって生成されるロービーム状態の一例を示す。
図5B】第2の管轄区域に準拠する画素化光源によって生成されるロービーム状態の一例を示す。
図5C】第2の管轄区域に準拠する画素化光源によって生成されるロービーム状態の一例を示す。
【0019】
図6A】第3の管轄区域に準拠する画素化光源によって生成されるロービーム状態の一例を示す。
図6B】第3の管轄区域に準拠する画素化光源によって生成されるロービーム状態の一例を示す。
図6C】第3の管轄区域に準拠する画素化光源によって生成されるロービーム状態の一例を示す。
【0020】
図7】異なるロービーム状態を出力する例示的な画素化光源を示す。
【0021】
様々な図面における同様の参照番号及び符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
概要
この明細書は、とりわけ、世界の国々のいずれか又は実質的にいずれかで使用可能なグローバルヘッドランプについて記載する。後述するように、グローバルヘッドランプは、その光源として画素化光源を使用することができる。幾つかの実施形態において、画素化光源は、発光素子の配列に相当し得る。例えば、画素化光源は、それぞれが特定数の発光素子を伴う閾値数の列(例えば、3列、4列、5列)を有することができる。この例において、列は、同じ又は異なる数の発光素子を有することができる。図1Bに関して本明細書に記載の画素化光源の実施形態の一例は4つの列を有し、この場合、第1及び第2の列は28個の発光素子を有し(例えば、列116A、116B)、第3の列は24個の発光素子を有し(例えば、列116C)、第4の列は22個の発光素子を有する(例えば、列116D)。幾つかの実施形態において、各発光素子は、別々にアドレス指定可能であってもよく、又はグループでアドレス指定可能であってもよい。
【0023】
前述のグローバルヘッドランプは、異なる管轄区域の規制機関によって定められた自動車ビームパターンの要件に準拠する光を出力することができる。特定のビームパターン、ビーム形状、投影などを形成する光は、本明細書では伝播と呼ばれる。一例として、グローバルヘッドランプは、米国内の車両によって使用されて米国の自動車又は他の車両規制要件に準拠する第1のロービーム伝播を出力するように構成されてもよい。他の例として、グローバルヘッドランプは、欧州連合の車両によって使用されて欧州連合の車両の規制要件に準拠する第2のロービーム伝播を出力するように構成されてもよい。したがって、理解されるように、管轄区域は、管轄区域と関連付けられる1つ以上の国又は地域の要件を設定することができる。
【0024】
異なる規制機関に準拠するこれらの異なる伝播の出力は、画素化光源内の発光素子の制御を介して充足され得る。第1の伝播に関しては、発光素子の第1のサブセットを使用して光を出力することができる。第1のサブセット内の各発光素子は、特定の強度又は互いに対する強度を伴う光を出力することができる。強度は、幾つかの実施形態では、光度を表わすことができる。理解され得るように、LEDの特定の強度は、LEDを通る電流にしたがって調整され得る(例えば、光度を調整することができる)。第2の伝播に関しては、発光素子の第2のサブセットを使用して光を出力することができる。この第2のサブセットは、第1のサブセットと比較して異なる発光素子を含むことができる。任意選択的に、第2のサブセットは、第1のサブセットと同じ発光素子を含み、第1のサブセット内の発光素子と比較して異なる強度又は相対強度を有する光を出力することができる。
【0025】
一実施形態では、車両のヘッドランプコントローラを使用して、ヘッドランプの伝播を実質的にリアルタイムで更新することができる。本明細書で言及されるように、ヘッドランプコントローラは、使用されるべき特定の伝播を示すヘッドランプ状態を更新することができる。例えば、ヘッドランプコントローラは、車両が第1の管轄区域(例えば、英国)にあると決定することができる。この例では、車両が第2の管轄区域(例えば、フランス)に移動することができる。任意選択で、ヘッドランプコントローラは、ヘッドランプ状態を示す構成情報を取得してもよい。構成情報の例としては、車両の位置を挙げることができる。構成情報に基づいて、車両は、第2の管轄区域と関連付けられるようにヘッドランプ状態を更新することができる。以上においては第1及び第2の管轄区域について記載されるが、幾つかの実施形態では、同じ管轄区域が該管轄区域と関連付けられる国又は地域に関して異なる要件を設定することができる。例えば、管轄区域は、道路の左側を走行する第1の国の要件を設定することができ、これは道路の右側を走行する第2の国の要件とは異なり得る。
【0026】
このようにして、本明細書に記載の技術は、世界中で使用することができるグローバルヘッドランプを可能にする。したがって、グローバルヘッドランプは、同じヘッドランプを任意の国で利用することができるため、車両の製造を簡素化することができる。例えば、部品表を、3つ以上の光源の変形から、1つの光源(例えば、画素化光源)に削減することができる。更に、ヘッドランプコントローラは、車両を利用するときにユーザ体験の向上を可能にし得る。例えば、ヘッドランプコントローラは、管轄区域間のシームレスな移行を可能にし得る。他の例として、ヘッドランプコントローラは、製造業者の従業員が購入者への配送前にヘッドランプ状態を容易に定めることができるようにする。このようにして、車両は、車両のヘッドランプを物理的に変更することなく世界中に出荷することができる。
ブロック図
【0027】
図1Aは、管轄区域を示す構成情報106に基づいてヘッドランプ110A~110Bのヘッドランプ状態112A~Bを設定する車両100の一例のブロック図を示す。ヘッドランプ110A~110Bは、図1Bに記載されるように画素化光源を使用することができる。車両100は、車両100の機能又は動作を制御するための車両プロセッサ104を含むことができる。例えば、プロセッサ104は、車両104に含まれる1つ以上の他のシステムに情報を(例えば、1つ以上のデータバスを介して)与えることができる。この例では、他のシステムは、暖房、換気、及び空調(HVAC)機能、自動運転機能、電気自動車バッテリ監視/制御などに関することができる。プロセッサ104は、1つ以上のセンサ(例えば、全地球航法衛星システムセンサ、カメラ)、1つ以上のアンテナ等から情報を更に取得することができる。
【0028】
図示の実施形態において、車両100は、車両100上のそれぞれのヘッドランプ110A~110Bを制御するヘッドランプコントローラ102A~102Bを更に含む。ヘッドランプコントローラ102A~102Bは、処理要素(例えば、プロセッサ、FPGA、ASICなど)に相当し得る。また、ヘッドランプコントローラ102A~102Bは、その全体が参照により本願に組み入れられる米国仮出願第63/043467号及び国際出願第PCT/US2021/038658号に記載される電子制御ユニット(ECU)にも相当し得る。幾つかの実施形態では、1つのヘッドランプコントローラを使用してヘッドランプ110A~110Bを制御することができる。
【0029】
ヘッドランプコントローラ102A~102Bは、ヘッドランプ110A~110Bの現在のヘッドランプ状態112A~112Bを設定することができる。前述したように、ヘッドランプ状態は、ヘッドランプに特定の伝播を出力させることができる。例えば、ヘッドランプ状態は、特定のビームパターンを投影する光をヘッドランプに出力させることができる。ヘッドランプコントローラ102A~102Bは、複数の状態からヘッドランプ状態112A~112Bを定めることができる。ヘッドランプ状態は、特定の管轄区域の規制規則に準拠する伝播をヘッドランプに出力させる順列を表わすことができる。したがって、多数の状態は、任意の管轄区域の規制規則に準拠する全てのヘッドランプ状態を表わすことができる。例えば、ヘッドランプコントローラ102Aは、米国の規制規則に準拠するロービーム伝播をヘッドランプ110Aに出力させることができる。他の例として、ヘッドランプコントローラ102Aは、それらの同じ規則に準拠するハイビーム伝播をヘッドランプ110Aに出力させてもよい。
【0030】
ヘッドランプ状態112A~112Bを定めるために、幾つかの実施形態において、ヘッドランプコントローラ102A~102Bは、構成情報106を使用することができる。構成情報106は、ヘッドランプ状態112A~112Bが管轄区域に準拠できるように、管轄区域を示すことができる。構成情報106の例としては、車両100の現在位置(例えば、車両プロセッサ104及び/又はGNSSセンサから受信したGNSS情報に基づく)を挙げることができる。構成情報106のこの例に関して、ヘッドランプコントローラ102A~102Bは、位置を規制する管轄区域に準拠するヘッドランプ状態112A~112Bを選択することができる。また、ヘッドランプ状態112A~112Bは、ロービーム又はハイビーム状態に固有であってもよい。
【0031】
また、構成情報106は、車両100と関連付けられる相同領域を含むこともできる。例えば、相同領域は、特定の規則(例えば、同じ管轄区域内の国)を施行している国の概要を表わすことができる。同相領域は、適用可能な状態を論理的に選択するための国変数(国コードとも呼ばれる)に基づいてもよい。幾つかの実施形態では、相同領域を車両100の製造中に設定することができる。例えば、国変数は、車両又は管轄区域を示す他の識別子に関して設定されてもよい。したがって、ヘッドランプコントローラ102A~102Bは、相同領域に準拠するヘッドランプ状態112A~112Bを選択することができる。このようにして、車両100の製造を簡略化することができる。例えば、同じヘッドランプコントローラ102A~102B及びヘッドランプ110A~110Bを使用して、地域に関係なく車両を製造することができる。
【0032】
製造中、前述の相同領域は、領域のうちの1つにおける規制に車両を準拠させるために定められ得る。幾つかの実施形態において、相同領域は、メモリの保護部分に記憶されてもよく又は車両プロセッサ104のリードオンリーメモリに記憶されてもよい。任意選択で、相同領域を(例えば、図3に記載されるように)調整するために、特定のパスワード、認証鍵、秘密鍵などが必要とされ得る。
【0033】
幾つかの実施形態において、車両100は、その現在位置が定められた相同領域外であると決定し得る。例えば、車両100の運転者は、異なる相同領域内の国に車両100を運転した或いはさもなければ輸送した可能性がある。この例において、車両100は、全地球航法衛星システム(GNSS)位置を介して位置情報を取得することができる。GNSS位置に基づいて、車両100は、車両100が異なる相同体領域にあることを特定することができる。幾つかの実施形態において、車両100は、ネットワークを介して(例えば、セルラーネットワーク又はWi-Fiを介して)外部システムにその位置を提供することができる。それに応じて、外部システムは、車両100の位置に関して相同領域を示すことができる。
【0034】
したがって、車両100は、車両が異なる相同領域(例えば、異なる管轄区域)の規則に準拠するように、異なるヘッドランプ状態112A~112Bが選択されるべきであることを特定することができる。車両100は、ヘッドランプ状態112A~112Bを自動的に更新することができ、更新を示す情報をユーザに任意選択的に提示することができる。任意選択的に、車両100は、ヘッドランプ状態112A~112Bが更新されるべきであることを運転者が確認することを要求することができる。例えば、車両100は、ユーザ入力に応答するディスプレイを含むことができる。この例において、車両プロセッサ104は、ディスプレイを介してユーザインタフェースの提示を引き起こすことができる。ユーザインタフェースは、ヘッドランプ110A~110Bが異なる伝播を出力するようになっていることを運転者が確認することを要求することができる。幾つかの実施形態において、ユーザインタフェースは、異なる伝播(例えば、電流伝播と比較して)のグラフィカル描写を提示することができる。一例として、ユーザインタフェースは、図5A図5Cとは対照的に、図4A図4Cの例示的な図を提示することができる。このようにして、運転者は、例えば米国と欧州との間のロービーム伝播の差を見ることができる。
【0035】
したがって、ヘッドランプ状態112A~112Bは、特定の管轄区域に関する規則を満たす伝播をヘッドランプ110A~110Bに出力させることができる。加えて、ヘッドランプ状態112A~112Bは、伝播をロービーム伝播又はハイビーム伝播のいずれかにさせることができる。例えば、車両100の運転者は、ハイビーム又はロービームのいずれかが利用されるべきであることを示すために車両100に入力を与えることができる。他の例として、車両プロセッサ104は、ハイビーム又はロービームをいつ使用すべきかを特定することができる(例えば、プロセッサ104は、自動ハイビームを実施できる)。例えば、対向交通がない場合、車両プロセッサ104はハイビームを選択することができる。この例では、対向交通が車両プロセッサ104によって検出される場合(例えば、レーダ又はカメラを介して)、ロービームが選択され得る。
【0036】
特定の伝播の出力を引き起こすことに加えて、ヘッドランプコントローラ102A~102Bは、二次要件を実行することができる。二次要件の例としては、管轄区域と関連付けられる規制当局によって規定された故障状態を挙げることができる。したがって、ヘッドランプコントローラ102A~102Bは、ヘッドランプがそのような規定された故障状態に準拠するようにすることができる。
【0037】
例えば、特定の管轄区域(例えば、欧州)に関して、ヘッドランプの光源が故障に直面する場合、ヘッドランプは依然として潜在的に伝播を出力することができる。一例として、ヘッドランプは、画素化光源内の発光素子の一部が故障に直面する場合に、依然として動作することができる(例えば、光の出力を停止する又は光を減少させる)。この例の場合、ヘッドランプコントローラ102A~102Bは、残りの機能的な発光素子が依然として管轄区域と関連付けられる要件を満たすかどうかを決定することができる。要件を満たす場合、ヘッドランプコントローラ102A~102Bは、ヘッドランプ110A~110Bに光を出力させるヘッドランプ状態112A~112Bを出力することができる。任意選択的に、車両プロセッサ104は、ヘッドランプ110A~110Bが故障又はエラーに直面していることを示すためにディスプレイを更新することができる。しかしながら、残りの発光素子が要件を満たすことができないことをヘッドランプコントローラ102A~102Bが特定する場合、コントローラ102A~102Bは、ヘッドランプをオフにすることができる。同様に、車両プロセッサ104は、ヘッドランプ110A~110Bが機能できず且つ運転者が支援を求めるべきであることを示すためにディスプレイを更新することができる。
【0038】
二次要件の他の例として、ヘッドランプコントローラ102A~102Bは、照明の組み合わせを実行することができる。例えば、第1の管轄区域(例えば、米国)では、ハイビームとフォグビームとを同時に起動させることができない。したがって、この例では、ヘッドランプコントローラ102A~102Bは、ハイビームが起動されるときにフォグビームを禁止することができる。対照的に、第2の管轄区域(例えば、欧州)では、この組み合わせが許容され得る。したがって、ヘッドランプコントローラ102A~102Bは、世界中の管轄区域にかかわらず、そのような二次要件が満たされるようにすることができる。これに対し、従来の技術は、単一の管轄区域の二次要件を実施するハードコーディングされたルールに依存していた。
【0039】
図1Bは、ヘッドランプ110A用の画素化光源120Aの一例の詳細図を示す。図示の画素化光源120Aは、発光素子(例えば、行1161A~116D)のアレイを含む。これらの発光素子はプリント回路基板(PCB)上に含まれてもよく、また、発光素子からの光は、現実世界の環境へと経路付けるために1つ以上の光学素子に供給されてもよい。図示のヘッドランプは、図1Aの左側(LHS)ヘッドランプ110Aに相当してもよい。画素化光源120Aは、変更することなく、車両の左側又は右側ヘッドランプのいずれかに関して利用することができる。このようにして、画素化光源が車両の両方のヘッドランプで使用されて全体的に動作することができるため、製造が簡素化され得る。ヘッドランプコントローラは、画素化光源が車両のどちら側に位置されるかに応じて、画素化光源に特定の伝播を出力させることができる。幾つかの実施形態では、特定の画素化光源が車両の側面に固有のものであってもよい。
【0040】
前述したように、ヘッドランプ状態112Aは、特定の管轄区域に準拠する伝播をヘッドランプ110Aに出力させることができる。また、状態112Aは、ロービーム又はハイビーム伝播のいずれかをヘッドランプ110Aに出力させることができる。状態112Aに基づいて、画素化光源120Aは、伝播を生成するために特定の発光素子の起動を引き起こすことができる。異なる伝播に関する発光素子の起動の例が図4A図4Cに示される。発光素子としては、発光ダイオード(LED)、マイクロLED、有機LEDなどを挙げることができる。幾つかの実施形態において、画素(例えば、以下に記載されるように)は、それぞれの発光素子と関連付けられてもよい。幾つかの実施形態において、画素は、多数の発光素子と関連付けられてもよい(例えば、多数のマイクロLEDが1つの画素を形成してもよい)。
【0041】
幾つかの実施形態では、ヘッドランプ状態112Aが画素情報114Aを示すことができる。ヘッドランプ状態112Aは、任意選択的にバス上の1つ以上のメッセージを介して、コントローラエリアネットワーク(CAN)バスなどのバスを介して供給されてもよい。例えば、ヘッドランプコントローラ102Aは、任意の管轄区域の伝播のために使用されるようになっている画素を示す情報を記憶していてもよい。したがって、この例において、コントローラ102Aは、特定の管轄区域に準拠するハイビーム又はロービーム伝播のための画素を規定することができる。記憶された情報は、任意選択的にルックアップテーブル(例えば、ヘッドランプコントローラ又はプロセッサなどの揮発性又は不揮発性メモリ内)に記憶されてもよい。ルックアップテーブルは、伝播に利用される各画素に関する値を記憶することができる。値は、画素(例えば、光度)に関する強度又は相対強度を示すことができる。例えば、ルックアップテーブルは、任意のヘッドランプ状態に関する発光素子の値(例えば、光度値)を示すことができる。したがって、画素情報114Aは、画素化光源120Aの発光素子に関する値を反映することができる。
【0042】
画素情報114Aは、更に、画素化光源の特定の側に固有のものであってもよい。図示の実施形態において、画素情報114Aは、左側の画素化光源に関する画素値を反映することができる。一例として、左側のヘッドランプが左側に固有の伝播を出力し、右側のヘッドランプが右側に固有の伝播を出力してもよい。左側ヘッドランプ及び右側ヘッドランプの伝播の例が図4A図4Bに示される。
【0043】
ヘッドランプ状態112Aは、マイクロ秒又はミリ秒の閾値数ごとなど、周期的に提供されてもよい。ヘッドランプ状態112Aは、任意選択的に、発光素子と関連付けられるレジスタの値を設定することができる。これらの値に基づいて、LEDドライバによって利用される特定のシャントを選択することができる。このようにして、発光素子のサブセットを選択することができる。サブセット内の発光素子によって出力される光度などの光の強度は、一例として、LEDドライバと関連付けられるそれぞれのデューティサイクルによって規定することができる。また、光度は、一例として、それぞれの発光素子に供給される連続電流の測定値に基づいて規定されてもよい。シャント及び出力強度に関する情報は、その全体が参照により本願に組み入れられる米国仮出願第63/043467号明細書及び国際出願第PCT/US2021/038658号明細書に含まれている。
【0044】
また、ヘッドランプ状態112Aは、画素化光源120Aが実施するための情報として提供されてもよい。例えば、画素情報114Aは、画素化光源120Aに含まれる処理要素によって解析されてもよい。次いで、光源120Aは、発光素子のサブセットを起動させることができる。その後、ヘッドランプ状態112Aが更新され、光源120Aが更新を実行してもよい。例えば、運転者又は車両は、以前のハイビーム状態からロービームを選択することができる。他の例として、車両が新しい管轄区域に輸送されていてもよい。
【0045】
画素化光源120Aの列116A~116Dの例が示される。幾つかの実施形態では、最初の2つの列116A~116Bをロービーム伝播に使用することができる。任意選択的に、第3及び第4の列116C~116Dは、ハイビーム伝播のために起動されてもよい。
【0046】
幾つかの実施形態では、発光素子の更なる列が存在してもよい。任意選択的に、異なるスペクトルの光を出力する発光素子を伴う列があってもよい。例えば、ある列又はその一部は、赤外光又は紫外光を出力する発光素子を含んでもよい。この例において、車両プロセッサ(例えば、プロセッサ104)は、起動されている自動運転モード又は自律モードに基づいて赤外光を起動することができる。幾つかの実施形態において、これらの不可視又は実質的に不可視の発光素子は、可視発光素子の上に位置されてもよい。例えば、列116Aは可視発光素子に相当することができ、それより上は、不可視発光素子を有する同じサイズの列を含むことができる。
【0047】
前述したように、画素情報114Aは、画素化光源120Aの画素の光度値に対応することができる。幾つかの実施形態において、これらの画素値は、スケーリングファクタによって変更されてもよい。例えば、車両100は、外部の周囲光が閾値測度を上回っていることを検出することができる。この例において、画素情報114Aは、スケーリングファクタによって強度が均一に増大され得る。スケーリングファクタは、任意選択的に管轄区域に依存してもよい。例えば、第1の管轄区域は、スケーリングを許可し得る(例えば、ECE R123に規定されているような欧州)。強度値は、車両100の旋回に基づいて更に更新されてもよい。例えば、特定の発光素子の強度を上げる一方で、他の発光素子の強度を維持する又は下げることができる。
フローチャートの例
【0048】
図2は、構成情報に基づいてヘッドランプ状態を設定するためのプロセス200の一例を示す。ヘッドランプコントローラは、構成情報106を取得し、ヘッドランプ状態を規定するために情報106を使用することができる。例えば、構成情報106は、図1Aに記載されるような相同領域(例えば、管轄区域)を含み得る。また、構成情報106が車両運転側を含んでもよい。理解され得るように、特定の管轄区域は、特定の管轄区域内の場所に応じて道路の両側での運転を可能にし得る。構成情報106は、アンテナ又はGNSSセンサによる車両の現在位置を更に含むことができる。構成情報106は、車両モデル及び変形を更に含むことができる。例えば、ヘッドランプコントローラは、多数の車両モデルで使用するように構成されてもよい。
【0049】
構成情報106に基づいて、ヘッドランプコントローラは、全てのグローバルヘッドランプ状態について記憶された情報に基づいて領域構成を選択することができる。一例として、ヘッドランプコントローラは、車両が左側通行車両のための欧州の規制を使用すべきであると特定することができる。ヘッドランプコントローラは、ヘッドランプ状態要求を受信し、図1A図1Bに記載されているようにヘッドランプ状態を選択することができる。
【0050】
前述したように、ヘッドランプ状態は、ヘッドランプによって特定の伝播を出力させることができる。例えば、ヘッドランプ状態は、管轄区域に準拠するロービーム伝播をヘッドランプに出力させてもよい。この例では、車両の運転者がロービームの使用を選択していてもよく、又は、車両が自動的に選択されたロービームを有していてもよい。更に、ヘッドランプコントローラは、前述のように故障状態などの二次要件を実行することができる。
【0051】
伝播に関して、ヘッドランプ状態は、画素化光源の特定の発光素子を利用させることができる。発光素子に関する光度などの特定の強度を更に設定することができる。このようにして、画素化光源は、グローバルな使用を可能にするために多数の伝播を出力するように構成されてもよい。
【0052】
図3は、特定の管轄区域に確認するヘッドランプからの光を出力させるためのヘッドランプコントローラのプロセス300の一例を示す。便宜上、このプロセス300は、ヘッドランプコントローラ(例えば、コントローラ110A)によって実行されるものとして説明する。幾つかの実施形態において、車両プロセッサ104は、コントローラ110Aが利用又は必要とされないように画素化光源に情報を提供することができる。したがって、幾つかの実施形態において、車両プロセッサ104は、プロセス300に含まれるブロックの一部又は全部を実行することができる。
【0053】
ブロック302において、ヘッドランプコントローラは構成情報を取得する。前述したように、構成情報は、1つ以上の車両プロセッサによって提供されてもよい。幾つかの実施形態では、車両の製造中に特定の構成情報を規定することができる。例えば、車両に関して相同領域を設定することができる。他の例として、車両モデル、車両変形、及び任意選択的に車両運転側は、製造中に設定されてもよい。リアルタイム位置などの他の構成情報を車両の使用中に決定することができる(例えば、車両プロセッサ104又はヘッドランプコントローラによって)。
【0054】
したがって、相同領域及び/又は運転側は、リアルタイム位置に基づいて更新され得る。例えば、車両が異なる管轄区域に運転又は輸送される場合、リアルタイム位置は異なる管轄区域を反映する(例えば、プロセッサ104又はヘッドランプコントローラによって決定されるように)。次いで、車両は、ヘッドランプがそれに応じて更新されるようなっていることを確認するように運転者に促すことができる。例えば、促進は、車両に含まれるディスプレイ上に提示されるユーザインタフェースを介して行なわれてもよく、又は、促進は、音声(例えば、運転者は、音声に対して肯定的に応答することができる)を介して行なわれてもよい。更新されると、車両は、相同領域及び/又は運転側を更新することができる。
【0055】
ブロック304において、ヘッドランプコントローラはヘッドランプ状態情報にアクセスする。ヘッドランプコントローラは、記憶されたメモリ内のヘッドランプ状態情報にアクセスすることができる。例えば、ルックアップテーブルを使用して、異なる管轄区域に準拠する多数の伝播に関する画素値を規定することができる。
【0056】
ブロック306において、ヘッドランプコントローラは現在のヘッドランプ状態を決定する。ヘッドランプコントローラは、ヘッドランプが準拠すべき特定の管轄区域を決定することができる。例えば、ヘッドランプコントローラは、構成情報に基づいて車両の現在位置を決定することができる(例えば、プロセッサ104は、位置を決定し、管轄区域を選択するために使用可能なヘッドランプコントローラに情報を提供することができる)。更に、ヘッドランプコントローラは、ロービーム又はハイビームが起動されるかどうかを決定することができる。この情報に基づいて、ヘッドランプコントローラは、管轄区域に準拠し且つ準拠するロービーム又はハイビーム伝播の出力を引き起こすヘッドランプ状態を選択することができる。
【0057】
ブロック308において、ヘッドランプコントローラは、ヘッドランプ状態に基づいてヘッドランプ伝播の出力を引き起こす。ヘッドランプコントローラは、画素化光源内の特定の発光素子の起動を引き起こして、特定の伝播を生成することができる。このようにして、ヘッドランプコントローラは、第1の管轄区域における左手側交通ロービーム伝播を第2の管轄区域における右手側交通ハイビーム伝播と同じヘッドランプを介して出力できるようにすることができる。
【0058】
他の例として、ヘッドランプコントローラ又は車両プロセッサは、相同領域及び/又は運転側に関するヘッドランプ状態に対応するビーム形状を決定することができる。ビーム形状は、プロセッサ又はヘッドランプコントローラによって特定の画素(例えば、画素の光度値)に変換されてもよい。幾つかの実施形態では、状態情報を無線(OTA)更新を介して更新することができる。
【0059】
ヘッドランプコントローラは、任意選択的に、ヘッドランプ状態が車両の側(例えば、左側、右側)に固有のものであるように、車両の側に固有のものであってもよい。任意選択的に、ヘッドランプ状態は、左側及び右側に関する伝播を示してもよく、また、ヘッドランプコントローラは、その対応する側に関する伝播を使用してもよい。
伝播の例
【0060】
図4A図4Cは、第1の管轄区域に準拠する画素化光源によって生成されるロービーム状態の一例を示す。図示の実施形態では、管轄区域の例が米国(例えば、FMVSS)である。図4A図4Cは、車両が右側を走行している道路の例を示す。
【0061】
図4Aは、発光素子のサブセットから光402Aを出力する画素化光源を使用する第1のヘッドランプを示す。図4Aにおいて、光源は、左側のヘッドランプにおけるロービーム伝播を出力している。図示のカットオフ404は、非照射領域への照射領域における移行を表わすことができる。例えば、カットオフ404は、照射領域と非照射領域とを分離する伝播の上側の長さに沿って延在してもよい。
【0062】
図4Bは、発光素子のサブセットから光402Bを出力する画素化光源を使用する第2のヘッドランプを示す。図4Bでは、光源は、右側ヘッドランプにおけるロービーム伝播を出力している。
【0063】
図4Cは、図4A図4Bの第1のヘッドランプと第2のヘッドランプとの組み合わせを示す。図示の例では、第1の管轄区域におけるロービーム状態と関連付けられた伝播402Cが含まれる。
【0064】
図5A図5Cは、第2の管轄区域に準拠する画素化光源によって生成されるロービーム状態の一例を示す。図示の実施形態では、管轄区域の例が右側通行運転のための欧州である。したがって、図5A図5Cは、車両が右側を走行している道路の一例を示す。
【0065】
図5Aは、発光素子のサブセットから光502Aを出力する画素化光源を使用する第1のヘッドランプを示す。図5Aにおいて、光源は、左側のヘッドランプにおけるロービーム伝播を出力している。図示のカットオフ504は、非照射領域への照射領域における移行を表わすことができる。例えば、カットオフ504は、照射領域と非照射領域とを分離する伝播の上側の長さに沿って延在してもよい。
【0066】
図5Bは、発光素子のサブセットから光502Bを出力する画素化光源を使用する第2のヘッドランプを示す。図5Bでは、光源は、右側ヘッドランプにおけるロービーム伝播を出力している。
【0067】
図5Cは、図5A図5Bの第1のヘッドランプと第2のヘッドランプとの組み合わせを示す。図示の例では、第2の管轄区域のロービーム状態と関連付けられた伝播502Cが含まれる。
【0068】
図6A図6Cは、第3の管轄区域に準拠する画素化光源によって生成されるロービーム状態の一例を示す。図示の実施形態では、管轄区域の例が欧州である(例えば、前述の第2の管轄区域と同じである)が、左側通行運転用である。したがって、図6A図6Cは、車両が左側を走行している道路の一例を示す。
【0069】
図6Aは、発光素子のサブセットから光602Aを出力する画素化光源を使用する第1のヘッドランプを示す。図6Aにおいて、光源は、左側のヘッドランプにおけるロービーム伝播を出力している。図示のカットオフ604は、非照射領域への照射領域における移行を表わすことができる。例えば、カットオフ604は、照射領域と非照射領域とを分離する伝播の上側の長さに沿って延在してもよい。
【0070】
図6Bは、発光素子のサブセットから光602Bを出力する画素化光源を使用する第2のヘッドランプを示す。図6Bにおいて、光源は、右側ヘッドランプにおけるロービーム伝播を出力している。
【0071】
図6Cは、図6A図6Bの第1のヘッドランプと第2のヘッドランプとの組み合わせを示す。図示の例では、第3の管轄区域のロービーム状態と関連付けられた伝播602Cが含まれる。
【0072】
図7は、異なるロービーム状態702A~7042Cを出力する画素化光源の一例を示す。図示のように、米国のロービーム状態702Aは、第1の列上の発光素子の起動を含むことができる。欧州に関するロービーム状態702B~702Cは、第1及び第2の列上の発光素子の起動を含むことができる。
【0073】
図4A図4C図5A図5C、及び図6A図6Cはロービーム状態の例を示しているが、ハイビーム状態が異なる管轄区域における画素化光源によって生成され得るのが分かる。ハイビーム状態は、一例として、画素化光源の上側の第3及び/又は第4の列の発光素子の起動を含むことができる。
【0074】
更に、幾つかの実施形態において、本明細書に記載のグローバルヘッドランプは、車両の前部に位置された単一のヘッドランプに相当し得る。単一のヘッドランプは、車両の前部を実質的に横切って延びる発光素子を含むことができる。したがって、単一のヘッドランプは、車両の左側及び右側の両方における伝播を形成する光を出力することができる。
更なる実施形態
【0075】
本明細書に記載のプロセスの全ては、1つ以上のコンピュータ又はプロセッサを含むコンピューティングシステムによって実行されるソフトウェアコードモジュールを介して具現化され、完全に自動化され得る。コードモジュールは、任意のタイプの非一時的コンピュータ可読媒体又は他のコンピュータ記憶装置に記憶されてもよい。方法の一部又は全ては、専用のコンピュータハードウェアで具現化されてもよい。
【0076】
本明細書に記載されたもの以外の多くの他の変形が本開示から明らかになる。例えば、実施形態に応じて、本明細書に記載のアルゴリズムのいずれかの特定の動作、事象、又は機能は、異なる順序で実行することができ、又は、付加、統合、もしくは完全に除外することができる(例えば、記載された全ての動作又は事象がアルゴリズムの実施に必要であるとは限らない)。更に、特定の実施形態において、動作又は事象は、順次ではなく、例えば、マルチスレッド処理、割り込み処理、又は複数のプロセッサもしくはプロセッサコアを介して、或いは他の並列アーキテクチャで同時に実行することができる。更に、異なるタスク又はプロセスは、一緒に機能することができる異なる機械及び/又はコンピューティングシステムによって実行することができる。
【0077】
本明細書に開示された実施形態に関連して記載された様々な例示的な論理ブロック及びモジュールは、本明細書に記載された機能を果たすように設計された、処理ユニットもしくはプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲートもしくはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせなどの機械によって実装又は実行され得る。プロセッサは、マイクロプロセッサとすることができるが、代替例では、プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械、それらの組み合わせなどとすることができる。プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を処理するように構成される電気回路を含むことができる。他の実施形態において、プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を処理することなく論理演算を実行するFPGA又は他のプログラマブルデバイスを含む。また、プロセッサは、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成として実装することもできる。本明細書では主にデジタル技術に関して説明されるが、プロセッサは主にアナログ構成要素を含むこともできる。例えば、本明細書に記載の信号処理アルゴリズムの幾つか又は全ては、アナログ回路又は混合アナログ及びデジタル回路で実装されてもよい。コンピューティング環境は、幾つか例を挙げると、マイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、ポータブルコンピューティングデバイス、デバイスコントローラ、又は機器内の計算エンジンに基づくコンピュータシステムを含むが、これらに限定されない任意の種類のコンピュータシステムを含むことができる。
【0078】
とりわけ、「できる(can)」、「し得る(could)」、「場合がある(might)」、又は「よい(may)」などの条件付き言語は、特に別段明記しない限り、特定の実施形態が特定の特徴、要素、及び/又は、ステップを含むが、他の実施形態が含まないことを伝えるために一般に使用される文脈内で理解される。したがって、そのような条件付き言語は、一般に、特徴、要素、及び/又は、ステップが1つ以上の実施形態に何らかの形で必要とされること或いは1つ以上の実施形態がユーザ入力又はプロンプトの有無にかかわらずこれらの特徴、要素、及び/又はステップが任意の特定の実施形態に含まれるか又は実行されるべきかを決定するための論理を必然的に含むことを意味するものではない。
【0079】
表現「X、Y、又はZのうちの少なくとも1つ」などの選言的な言語は、特に別段明記しない限り、一般に使用される文脈で、項目、用語などがX、Y、又はZのいずれか、又はそれらの任意の組み合わせ(例えば、X、Y、及び/又はZ)であり得ることを示すと理解される。したがって、そのような選言的な言語は、一般に、特定の実施形態がそれぞれ存在するためにXの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、又はZの少なくとも1つを必要とすることを意味するものではなく、意味するべきではない。
【0080】
本明細書に記載され及び/又は添付の図に示されるフロー図における任意のプロセス記述、要素又はブロックは、プロセスにおける特定の論理機能又は要素を実装するための1つ以上の実行可能命令を含むコードのモジュール、セグメント、又は部分を潜在的に表わすものとして理解されるべきである。当業者によって理解されるように、含まれる機能に応じて、要素又は機能が、実質的に同時に又は逆の順序を含めて、図示又は説明された順序とは異なる順序で削除、実行、又は説明され得る代替の実装形態が、本明細書に記載された実施形態の範囲内に含まれる。
【0081】
別段明記しない限り、「1つの(a)」又は「1つの(an)」などの冠詞は、一般に、1つ以上の記載された項目を含むと解釈されるべきである。したがって、「~ように構成される装置」などの表現は、列挙された1つ以上の装置を含むことが意図されている。また、そのような1つ以上の列挙された装置は、述べられた列挙を実行するように集合的に構成することもできる。例えば、「列挙A、B、及びCを実行するように構成されるプロセッサ」は、列挙B及びCを実行するように構成される第2のプロセッサと連携して動作する、列挙Aを実行するように構成される第1のプロセッサを含むことができる。
【0082】
前述の実施形態に対して多くの変形及び修正を行なうことができ、その要素が他の許容可能な例の中にあると理解されるべきであることを強調すべきである。そのような修正及び変形は全て、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
【国際調査報告】