(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-21
(54)【発明の名称】電気自動車、電気ヒータ及びその電気加熱キャビティアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20230814BHJP
F24H 3/04 20220101ALI20230814BHJP
【FI】
B60H1/22 611C
B60H1/22 671
F24H3/04 302
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504796
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 CN2021094345
(87)【国際公開番号】W WO2022166033
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】202110145618.7
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523006491
【氏名又は名称】ジェンジャン ヘルムホルツ サーマル アンド トランスミッション システム カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】シュ,ジェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チェン
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ジーウェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ペン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,タオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,イ
【テーマコード(参考)】
3L028
3L211
【Fターム(参考)】
3L028BD03
3L211AA10
3L211AA11
3L211BA02
3L211BA34
3L211DA50
3L211GA49
(57)【要約】
本願は電気自動車及びその電気ヒータの加熱キャビティアセンブリを開示し、該加熱キャビティアセンブリは、加熱キャビティ内に位置し、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するための電気加熱ユニットと、熱交換キャビティ内に位置し、通過する熱伝達媒体が前記電気加熱ユニットからの熱エネルギーを受けることを許容するための流路構造と、を備え、前記流路構造は複数本の媒体流路を備え、該複数本の媒体流路のそれぞれが、各々の延在軌跡線に沿って互いに並行に延在し、各延在軌跡線同士が並進関係である。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ヒータの加熱キャビティアセンブリであって、該加熱キャビティアセンブリは、
加熱キャビティ(11)内に位置し、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するための電気加熱ユニット(20)と、
熱交換キャビティ(12)内に位置し、通過する熱伝達媒体が前記電気加熱ユニット(20)からの熱エネルギーを受けることを許容するための流路構造(30)と、を備える電気ヒータの加熱キャビティアセンブリにおいて、
前記流路構造(30)は、複数本の媒体流路(31)を備え、該複数本の媒体流路(31)のそれぞれが、各々の延在軌跡線に沿って互いに並行に延在し、各延在軌跡線同士が並進関係である、ことを特徴とする電気ヒータの加熱キャビティアセンブリ。
【請求項2】
前記延在軌跡線は、少なくとも1つの「几」字型形状を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電気ヒータの加熱キャビティアセンブリ。
【請求項3】
前記媒体流路(31)は、
前記媒体流路(31)の第1開口(321)から第1線形方向(Y)に沿って線形に延在する第1延在部(311)と、
前記第1延在部(311)の末端から前記第1線形方向(Y)に垂直な第2線形方向(X)に沿って線形に延在する第2延在部(312)と、
前記第2延在部(312)の末端から前記第1線形方向(Y)に沿って線形に延在する折曲延在部(310)と、
前記折曲延在部(310)の末端から前記第2線形方向(X)に沿って延在する第3延在部(315)と、
前記第3延在部(315)の末端から前記第1線形方向(Y)に沿って前記媒体流路(31)の第2開口(322)まで延在する第4延在部(316)と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の電気ヒータの加熱キャビティアセンブリ。
【請求項4】
前記第1線形方向(Y)及び前記第2線形方向(X)のうちの一方は前記電気ヒータの幅方向であり、他方は長さ方向である、ことを特徴とする請求項3に記載の電気ヒータの加熱キャビティアセンブリ。
【請求項5】
前記延在軌跡線は、軸対称形状又は中心対称形状である、ことを特徴とする請求項1に記載の電気ヒータの加熱キャビティアセンブリ。
【請求項6】
前記電気ヒータの流路構造(30)は、
加熱対象の熱伝達媒体を受けるための流入キャビティ(41)と、
加熱済みの熱伝達媒体を収集して排出するためのものであって、並列に設置される複数本の前記媒体流路(31)により前記流入キャビティ(41)に連通する流出キャビティ(42)と、を備え、
各前記媒体流路(31)の第1開口(321)が前記流入キャビティ(41)に連通され、各前記媒体流路(31)の第2開口(322)が前記流出キャビティ(42)に連通される、ことを特徴とする請求項1に記載の電気ヒータの加熱キャビティアセンブリ。
【請求項7】
前記流入キャビティ(41)の断面積は、前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に小さくなり、及び/又は
前記流出キャビティ(42)の断面積は、前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に大きくなる、ことを特徴とする請求項6に記載の電気ヒータの加熱キャビティアセンブリ。
【請求項8】
前記電気ヒータの高さ方向における前記流入キャビティ(41)の高さ(h1)は、前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に小さくなり、及び/又は
前記電気ヒータの幅方向における前記流入キャビティ(41)の幅(w1)は、前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に小さくなり、及び/又は
前記電気ヒータの高さ方向における前記流出キャビティ(42)の高さは、前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に大きくなり、及び/又は
前記電気ヒータの幅方向における前記流出キャビティ(42)の幅は、前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に大きくなる、ことを特徴とする請求項7に記載の電気ヒータの加熱キャビティアセンブリ。
【請求項9】
前記第2線形方向(X)において、各前記媒体流路(31)は、前記流入キャビティ(41)の第1開口(321)においで並行に配列され、及び/又は
前記第2線形方向(X)において、各前記媒体流路(31)は、前記流出キャビティ(42)の第2開口(322)においで並行に配列されることを特徴とする請求項4に記載の電気ヒータの加熱キャビティアセンブリ。
【請求項10】
該加熱キャビティアセンブリは、
各第1開口(321)は、前記第1線形方向(Y)において同一平面上に配置されること、
各第1開口(321)は、前記第1線形方向(Y)における加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合が熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に増加すること、
各第1開口(321)は、前記第1線形方向(Y)における加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合が熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に減少すること、
各第1開口(321)は、前記第1線形方向(Y)における加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合が熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に増加した後徐々に減少すること、
各第1開口(321)は、前記第1線形方向(Y)における加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合が熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に減少した後徐々に増加すること、
各第2開口(322)は、前記第1線形方向(Y)において同一平面上に配置されること、
各第2開口(322)は、前記第1線形方向(Y)における加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合が熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に増加すること、
各第2開口(322)は、前記第1線形方向(Y)における加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合いが熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に減少すること、
各第2開口(322)は前記第1線形方向(Y)における加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合は熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に増加した後徐々に減少すること、
各第2開口(322)は、前記第1線形方向(Y)における加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合は熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に減少した後徐々に増加すること、の特徴のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする請求項9に記載の電気ヒータの加熱キャビティアセンブリ。
【請求項11】
少なくとも1本の媒体流路(31)の延在軌跡線は、連続又は断続したものであることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の電気ヒータの加熱キャビティアセンブリ。
【請求項12】
各媒体流路(31)の延在軌跡線は、少なくとも1箇所の断続箇所を有し、各媒体流路(31)の断続箇所は、混合流領域(34)を形成し、該混合流領域(34)の上流及び下流の媒体流路の数が同じ又は異なる、ことを特徴とする請求項11に記載の電気ヒータの加熱キャビティアセンブリ。
【請求項13】
前記混合流領域(34)内に乱流構造(35)が設置されることを特徴とする請求項12に記載の電気ヒータの加熱キャビティアセンブリ。
【請求項14】
前記乱流構造(35)は、前記電気ヒータの高さ方向において延在し且つ互いに間隔を置いて分布する複数のピンフィンを備える、ことを特徴とする請求項13に記載の電気ヒータの加熱キャビティアセンブリ。
【請求項15】
電気自動車の電気ヒータであって、該電気ヒータは、
請求項1~14のいずれか1項に記載の加熱キャビティアセンブリである加熱キャビティアセンブリと、
前記加熱キャビティアセンブリの両側にそれぞれ設置される第1ハウジング及び第2ハウジングと、を備えることを特徴とする電気自動車の電気ヒータ。
【請求項16】
請求項15に記載の電気ヒータを備え、バッテリー式電気自動車又はハイブリッド車であることを特徴とする電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電気加熱の分野に関し、より具体的には、電気自動車用の電気ヒータ及びその電気加熱キャビティアセンブリ、並びに該電気ヒータを備える電気自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(例えば、ハイブリッド車又はバッテリー式電気自動車)において、一般的に電気ヒータを設置することにより車内環境の温度制御を実現する。具体的には、該電気ヒータが電気自動車の駆動用バッテリーに電気的に接続され、電気ヒータの発熱素子により電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、更に熱伝達媒体を介して車内放熱システムにより熱を車内環境に伝達し、これにより車内環境の温度調節を実現する。
【0003】
電気ヒータにより発生した熱エネルギーを車両放熱システム又は空調システムに伝送することを実現するために、一般的に熱伝達媒体を利用して実現する必要がある。該電気ヒータの発熱素子が発熱した後、熱をより低温な熱伝達媒体に伝達して、より高温な熱伝達媒体に変換させ、更に車両放熱システム又は空調システムに輸送して、車両の内部環境の温度上昇動作を実現する。
図1A及び
図1Bに示すように、従来の電気ヒータの加熱キャビティアセンブリ10は主に、熱の良導体材料で製造されるベース部材と、ベース部材の片側に位置し、電気加熱ユニット20が収容され、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するための加熱キャビティ11と、ベース部材の他側に位置し、前記加熱キャビティからの熱エネルギーを、該熱交換領域を繰り返し流れる熱伝達媒体に伝達するための熱交換キャビティ12と、を備える。
【0004】
熱交換効率を向上させるために、熱交換キャビティに流路構造を設計して熱伝達媒体の流動経路を制御する必要があり、これにより、加熱キャビティ11からの熱を十分に受けるように、熱伝達媒体を所定の流動経路に沿って流れさせる。従って、電気ヒータにとって、熱交換キャビティ12内の流路構造の構造設計は熱伝達媒体の熱交換効率に直接に影響を与えることとなる。
【0005】
これに鑑みて、熱交換において合理的な流路構造をどのように設計するかは、本分野で解決する必要がある技術的問題となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願によれば、電気ヒータの加熱キャビティアセンブリを提供し、該加熱キャビティアセンブリは、加熱キャビティ内に位置し、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するための電気加熱ユニットと、熱交換キャビティ内に位置し、流路構造を通過する熱伝達媒体が前記電気加熱ユニットからの熱エネルギーを受けることを許容するための流路構造と、を備え、前記流路構造は、複数本の媒体流路を備え、該複数本の媒体流路のそれぞれは、各々の延在軌跡線に沿って互いに平行に延び、各延在軌跡線同士が並進関係である。
【0007】
好ましくは、前記延在軌跡線は少なくとも1つの「几」字型形状を含む。
【0008】
好ましくは、前記媒体流路は、前記媒体流路の第1開口から第1線形方向に沿って線形に延在する第1延在部と、前記第1延在部の末端から前記第1線形方向に垂直な第2線形方向に沿って線形に延在する第2延在部と、前記第2延在部の末端から前記第1線形方向に沿って線形に延在する折曲延在部と、前記折曲延在部の末端から前記第2線形方向に沿って延在する第3延在部と、前記第3延在部の末端から前記第1線形方向に沿って前記媒体流路の第2開口まで延在する第4延在部と、を備える。
【0009】
好ましくは、前記第1線形方向及び前記第2線形方向のうちの一方は前記電気ヒータの幅方向であり、他方は長さ方向である。
【0010】
好ましくは、前記延在軌跡線は、軸対称形状又は中心対称形状である。
【0011】
好ましくは、前記電気ヒータの流路構造は、加熱対象の熱伝達媒体を受けるための流入キャビティと、加熱済みの熱伝達媒体を収集して排出するためのものであって、並列に設置される複数本の前記媒体流路により前記流入キャビティに連通する流出キャビティと、を備え、各前記媒体流路の第1開口が前記流入キャビティに連通し、各の前記媒体流路の第2開口が前記流出キャビティに連通する。
【0012】
好ましくは、前記流入キャビティの断面積が前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に小さくなり、及び/又は前記流出キャビティの断面積が前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に大きくなる。
【0013】
好ましくは、前記電気ヒータの高さ方向における前記流入キャビティの高さが前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に小さくなり、及び/又は前記電気ヒータの幅方向における前記流入キャビティの幅が前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に小さくなり、及び/又は、前記電気ヒータの高さ方向における前記流出キャビティの高さが前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に大きくなり、及び/又は前記電気ヒータの幅方向における前記流出キャビティの幅が前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に大きくなる。
【0014】
好ましくは、前記第2線形方向において、各前記媒体流路が前記流入キャビティの第1開口で並行に配列され、及び/又は前記第2線形方向において、各前記媒体流路が前記流出キャビティの第2開口で並行に配列される。
【0015】
好ましくは、該加熱キャビティアセンブリは、各第1開口が前記第1線形方向において同一平面上に配置されること、各第1開口が前記第1線形方向における加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合は熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に増加すること、各第1開口が前記第1線形方向における加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合は熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に減少すること、各第1開口が前記第1線形方向における加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合は熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に増加した後徐々に減少すること、各第1開口が前記第1線形方向において加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合は熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に減少した後徐々に増加すること、各第2開口が前記第1線形方向において同一平面上に配置されること、各第2開口が前記第1線形方向における加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合は熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に増加すること、各第2開口が前記第1線形方向における加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合は熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に減少すること、各第2開口が前記第1線形方向における加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合は熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に増加した後徐々に減少すること、各第2開口が前記第1線形方向における加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合は熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に減少した後徐々に増加すること、の特徴のうちの少なくとも1つを有する。
【0016】
好ましくは、少なくとも1本の媒体流路の延在軌跡線は連続又は断続したものである。
【0017】
好ましくは、各媒体流路の延在軌跡線は少なくとも1箇所の断続箇所を有し、各媒体流路の断続箇所が混合流領域を形成し、該混合流領域の上流及び下流の媒体流路の数が同じ又は異なる。
【0018】
好ましくは、前記混合流領域内に乱流構造が設置される。
【0019】
好ましくは、前記乱流構造は、前記電気ヒータの高さ方向において延在し且つ互いに間隔を置いて分布する複数の乱流カラムを備える。
【0020】
本願の他の態様によれば、電気自動車の電気ヒータを更に提供し、該電気ヒータは、上記記載された加熱キャビティアセンブリである加熱キャビティアセンブリと、前記加熱キャビティアセンブリの両側にそれぞれ設置される第1ハウジング及び第2ハウジングと、を備える。
【0021】
本願の別の態様によれば、電気自動車を更に提供し、該電気自動車は上記記載された電気ヒータを備え、前記電気自動車はバッテリー式電気自動車又はハイブリッド車である。
【発明の効果】
【0022】
本願の技術案によれば、電気ヒータにおいて、並行に延在し且つ互いの延在軌跡線が並進関係である複数本の媒体流路を備える流路構造を設置することにより、熱伝達媒体を該複数本の媒体流路内に均一に分流させ、そして、熱伝達媒体が熱を均一に受けられることができ、電気ヒータ内の熱交換効率を向上させる。
【0023】
本願の他の特徴及び利点は、以下の具体的な実施形態において詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本願の一部を構成する図面は、本願のさらなる理解を提供するためのものであり、本願の模式的な実施形態及びその説明は本願を解釈するためのものである。図面には、
【
図1A】
図1Aは電気ヒータの加熱キャビティアセンブリの立体模式図である。
【
図2A】
図2Aは本願の一実施形態に係る第1種類の媒体流路の原理模式図である。
【
図2B】
図2Bは本願の一実施形態に係る第2種類の媒体流路の原理模式図である。
【
図2C】
図2Cは
図2A及び
図2Bに示される第1種類の媒体流路及び第2種類の媒体流路が互いに隣接し、相補的であり、対で配置される形態を示す図である。
【
図2D】
図2Dは
図2A及び
図2Bに示される第1種類の媒体流路及び第2種類の媒体流路が互いに隣接し、相補的であり、対で配置される形態を示す図である。
【
図3】
図3は本願の一実施形態に係る流路構造の原理模式図である。
【
図4】
図4は本願の一実施形態に係る流路構造の上面模式図である。
【
図6】
図6は
図1に示される加熱キャビティアセンブリの他側の立体模式図である。
【
図9】
図9は本願の他の実施形態に係る流路構造の原理模式図である。
【
図10】
図10は本願の他の実施形態に係る流路構造の原理模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら実施形態によって本願の技術案を詳しく説明する。
【0026】
電気自動車において、一般的に車両の空調システムと熱交換する電気ヒータが設置され、それにより車両内の環境の温度制御を実現する。該電気ヒータは、PTC電気ヒータであってもよいが、シート抵抗を電気加熱ユニットとする電気ヒータであることが好ましい。
【0027】
電気ヒータは一般的に、内部には流体媒体を収容して加熱するための熱交換キャビティ12が設置される加熱キャビティアセンブリ10と、加熱キャビティアセンブリ10の第1側に取り付けられ、且つ加熱キャビティアセンブリ10との間に制御回路基板が取り付けられる電気キャビティ21が形成される第1ハウジングと、加熱キャビティアセンブリ10の第2側に取り付けられ、且つ第2側との間に電気加熱ユニット20を収容する加熱キャビティ11が形成される第2ハウジングと、を備える。一般的には、加熱キャビティアセンブリ10において、熱交換キャビティ12を密封するためのカバープレート15が更に設置され、それにより熱交換キャビティと電気キャビティ13とを隔絶する。
【0028】
上記基本構造から分かるように、電気ヒータの内部は電気加熱ユニットが発熱動作を行う加熱キャビティ11と、該加熱キャビティ11に隣接し且つ内部で熱伝達媒体が循環する熱交換キャビティ12と、熱交換キャビティ12に対して隔絶される電気キャビティ13とに分けられてもよい。これは、上記第1ハウジング及び第2ハウジングをそれぞれ前記加熱キャビティアセンブリの両側に設置して形成した基本構造である。
【0029】
電気ヒータの加熱キャビティアセンブリにおいて、電気加熱ユニット20は、加熱キャビティ内に位置し、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するためのであり、流路構造30は、熱交換キャビティ12内に位置し、該流路構造30を通過する熱伝達媒体が前記電気加熱ユニット20からの熱エネルギーを受けることを許容するためのものである。以上のように、良好な熱交換効果を実現するために、流路構造30に対して最適化された設計案を提案する必要がある。以下、加熱キャビティアセンブリを参照して流路構造の異なる設計案を詳しく解釈・説明する。
【0030】
一、加熱キャビティアセンブリの実施形態1
図2A、
図2B、
図2C、
図2D、
図3及び
図4に示すように、前記流路構造30は少なくとも1本の媒体流路31を備え、該媒体流路31は、前記媒体流路31の第1開口321から線形に延在する第1延在部311と、前記媒体流路31の第2開口322から線形に延在し且つ前記第1延在部311に平行して配置される第2延在部312と、前記第1延在部311と第2延在部312との間に線形に平行して延在し且つ前記第1延在部311と第2延在部312を連通する少なくとも1つの折り返し延在部313と、を備え、前記折り返し延在部313の延在長さが前記第1延在部311又は第2延在部312のうちの一方の延在長さと基本的に等しいが、前記第1延在部311又は第2延在部312のうちの他方の延在長さよりも小さい。
【0031】
第1延在部311は、第1開口321から線形に延在して折り返し延在部313により逆方向に延在した後、第2延在部312まで逆方向に延在し、更に第2開口322までに到達する。折り返し延在部313は複数であってもよく、それにより複数回の逆方向折り返しを形成するが、
図2A及び
図2Bに示すように1つの折り返し延在部313があることが好ましい。
【0032】
本願の技術案において、前記折り返し延在部313の延在長さは前記第1延在部311又は第2延在部312のうちの一方の延在長さと基本的に等しいが、前記第1延在部311又は第2延在部312のうちの他方の延在長さよりも小さい。従って、異なる状況に応じて、媒体流路31は、第1種類の媒体流路及び第2種類の媒体流路に分けられてもよい。前記第1種類の媒体流路において、
図2Aに示すように、前記第1延在部311の延在長さは前記第2延在部312の延在長さよりも大きく、前記折り返し延在部313の延在長さは前記第1延在部311の延在長さよりも小さいが、前記第2延在部312の延在長さと基本的に等しい。前記第2種類の媒体流路において、
図2Bに示すように、前記第2延在部312の延在長さは前記第1延在部311の延在長さよりも大きく、前記折り返し延在部313の延在長さは前記第2延在部312の延在長さよりも小さいが、前記第1延在部311の延在長さと基本的に等しい。
【0033】
従って、本願の該実施形態において顕著な設計特徴は、折り返し延在部の長さが第1延在部及び第2延在部のうちの延在長さの比較的長い方と基本的に等しくないが、延在長さの比較的長い方よりも明らかに小さいことである。例えば、
図2Aに示される例示的な解決手段において、折り返し延在部313の長さは第1延在部311の延在長さの約半分程度であり、1/5~4/5又は2/5~3/5であってもよく、該比率範囲は
図2Bに示される第2種類の媒体流路にも同様に適用される。
【0034】
このように設計する理由は、各媒体流路を流れる熱伝達媒体が流動方向につれて徐々に加熱され、折り返し延在部の設置が下流領域に位置する温度の比較的高い熱伝達媒体を逆流させることにより流体キャビティ内の上流領域に位置する温度の比較的低い熱伝達媒体の温度の不均衡のバランスを取るとともに、折り返し延在部の長さが第1延在部及び第2延在部のうちの延在長さの比較的長い方よりも明らかに小さいため、折り返し延在部領域における下流領域に位置する温度の比較的高い熱伝達媒体と上流領域に位置する温度の比較的低い熱伝達媒体との温度差が大きすぎることもない、ことに基づいて考慮した結果である。且つ、折り返し延在部の長さを第1延在部及び第2延在部のうちの延在長さの比較的長い方よりも明らかに小さくすることにより、熱交換キャビティ12の中央部には長さ方向及び幅方向に沿って延在する流路仕切部(
図4に示される)を形成させることができ、それにより加熱キャビティ12とカバープレート15との接続を設定することを容易となる(この点については、以下に説明する)。
【0035】
媒体流路31は1本であってもよいが、複数本が設計されることが好ましく、
図3及び
図4に示される。
【0036】
より好適な実施形態として、
図2C及び
図2D、
図3及び
図4に示すように、上記第1種類の媒体流路と第2種類の媒体流路は対で配置され、互いに隣接し且つ互いに相補的に設置され(特に
図2C及び
図2Dに示される)、第1種類の媒体流路及び第2種類の媒体流路の各対において、2つの前記第1開口321は互いに隣接して並行に配置され、2つの第2開口322は互いに隣接して並行に配置される。第1種類の媒体流路と第2種類の媒体流路を互いに相補的に並行に設置することにより、両方は互いに折り返し延在部313の延在長さの不足(第1延在部及び第2延在部のうちの延在長さの比較的長い方に対して)による空白領域を補足又は補償することができ、且つ1本の第1種類の媒体流路と、互いに相補的なもう1本の媒体流路との相対位置関係(例えば、距離)も空白領域の補償程度に影響する(
図2C及び
図2Dに示される)。好ましくは、
図2Dに示すように、両方は直接的に隣接し、それにより配置空間を十分に利用して流路構造の全体通過能力を向上させる。
【0037】
図4に示すように、該実施形態において、前記各延在部の線形延在方向は電気ヒータ(の加熱キャビティアセンブリ)の幅方向であるが、本願はこれに限らず、前記線形方向は前記電気ヒータの長さ方向又は幅方向であってもよい。
【0038】
図4に示すように、前記加熱キャビティアセンブリにおいて、前記流路構造30は、加熱対象の熱伝達媒体を受けるための流入キャビティ41と、加熱済みの熱伝達媒体を収集して排出するためのものであって、並列に設置される複数本の前記媒体流路31により前記流入キャビティ41に連通する流出キャビティ42と、を備え、各前記媒体流路31の第1開口321が前記流入キャビティ41に連通し、各前記媒体流路31の第2開口322が前記流出キャビティ42に連通する。従って、動作状態において、電気自動車空調システムからの低温熱伝達媒体はまず流入キャビティ41に流れ込み、更に該流入キャビティ41においてそれぞれの媒体流路31の第1開口321に流れ込み、更に順に第1延在部311、折り返し延在部313及び第2延在部312を流れた後に流出キャビティ42に合流し、更に流出キャビティ42を介して高温熱伝達媒体を電気自動車の空調システムへ流れさせる。
【0039】
熱伝達媒体が流入キャビティ41及び/又は流出キャビティ42内で流れるように案内するために、好ましくは、前記流入キャビティ41の断面積が前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に小さくなり、及び/又は前記流出キャビティ42の断面積が前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に大きくなる。従って、各媒体流路に入った熱伝達媒体をより均一に分配することにより、流体キャビティが部分的に過熱される問題を回避することができ、及び/又は、各媒体流路から流れ出した熱伝達媒体を十分に混合させることにより、熱伝達媒体の温度のバランス性を向上させることができる。
【0040】
流入キャビティ41の断面積は、前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に小さくなることは様々な方式で実現されてもよく、例えば、
図4及び
図8に示すように、前記電気ヒータの高さ方向における前記流入キャビティ41の高さh1は、前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に小さくなり、及び/又は前記電気ヒータの幅方向における前記流入キャビティ41の幅w1は、前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に小さくなる。
【0041】
同様に、前記電気ヒータの高さ方向における前記流出キャビティ42の高さは、前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に大きくなり、及び/又は前記電気ヒータの幅方向における前記流出キャビティ42の幅は、前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に大きくなる。
【0042】
図4、
図5及び
図6、
図7並びに
図8に示すように、前記流路構造30は流路間隔43を備え、該流路間隔43の間及び該流路間隔43と前記加熱キャビティ的内側壁14との間には前記流入キャビティ41、流出キャビティ42及び媒体流路31が限定形成され、前記流路構造30は前記流路間隔43及び/又は前記加熱キャビティの内側壁14に設置され、熱伝達媒体が流れるように案内するための案内構造を備える。該案内構造を設置することにより、熱伝達媒体が流入キャビティ41から各媒体流路31の第1開口321に流れ込むことに寄与し、熱伝達媒体が各媒体流路31の第2開口322から流出キャビティ42に流れ込むことに寄与する。
【0043】
該案内構造は様々な構造形式、例えば弧形外表面、導流羽根、導流溝等の構造を有する。好ましくは、
図4及び
図5に示すように、前記案内構造は、
前記流路間隔43が対で配置されるいかなる前記第1種類の媒体流路と第2種類の媒体流路の第1開口321の間の第1端部431に第1案内構造を設置すること、
前記流路間隔43が対で配置されるいかなる前記第1種類の媒体流路と第2種類の媒体流路の第2開口322の間の第2端部432に第2案内構造を設置すること、
前記流路間隔43が対で配置される隣接する前記第1種類の媒体流路と第2種類の媒体流路の第1開口321の間の第3端部433に第3案内構造を設置すること、
前記流路間隔43が対で配置される隣接する前記第1種類の媒体流路と第2種類の媒体流路の第2開口322の間の第4端部434に第4案内構造を設置すること、の特徴のうちの少なくとも1つを含む。
【0044】
また、
図4に示すように、加熱キャビティの内側壁14には傾斜して延在する部分が設置されてもよく、それにより熱伝達媒体が媒体流路31を出入りするように案内する。
【0045】
また、以上のように、加熱キャビティアセンブリには流路構造を密閉するためのカバープレート15が含まれ、それにより流路間隔43は熱交換キャビティの底面とカバープレート15との間に電気ヒータの厚さ方向に沿って延在し、これにより、熱交換キャビティの内側壁とともに各媒体流路及び流入キャビティ、流出キャビティを限定形成する。
【0046】
カバープレート15を容易に取り付けるために、
図4に示すように、前記流路間隔43における前記媒体流路31と干渉しない位置には少なくとも1つの取付位置44、即ち
図4に示される44と記される円形領域(他の円形領域が記されていない)が設置される。これらの取付位置44は具体的な動作状況に応じて選択・設計されてもよい。従って、カバープレート15を加熱キャビティアセンブリに取り付ける場合、縁部に固定密封接続を形成する以外に、カバープレート15の中央部に固定接続を形成することもでき、これにより、より堅固で確実な固定関係を実現することができ、それにより熱交換キャビティ内の高圧熱伝達媒体に耐える。
【0047】
以上は本願に係る加熱キャビティアセンブリの一実施形態を詳しく説明したが、以下に、他の実施形態を説明する。
【0048】
二、加熱キャビティアセンブリの実施形態2
図9、
図10、
図11及び
図12に示すように、該実施形態に係る流路構造30は複数本の媒体流路31を備え、該複数本の媒体流路31のそれぞれが、各々の延在軌跡線(記されず)に沿って互いに並行に延在し、各延在軌跡線同士が並進関係である。所謂「延在軌跡線」とは、各流路を1本の軌跡線に抽象化することができ、例えば、
図9及び
図10に示される原理図において、流路の中心延在線をその延在軌跡線と見なすことができることを意味する。
図9及び
図10に示すように、
異なる延在軌跡線は異なる形状を形成することができ、例えば、図示のように、前記延在軌跡線は少なくとも1つの几字型形状を含む。しかしながら、本願はこれに限らず、軸対称形状又は中心対称形状、例えば環状等を形成してもよい。
【0049】
該実施形態2において、各媒体流路31は互いに並行に延在し、且つ並進関係であり、従って、各媒体流路31の入口であるか、それとも出口であるかにかかわらず、いずれも互いにすぐ隣接して並行に配列され、それにより電気ヒータによる熱伝達媒体の通過能力をより大きな程度で向上させる。また、上記すぐ隣接して並行に配列されるモードは更に、熱交換キャビティ内の熱伝達媒体を案内するための案内構造の配置に寄与することができ、一方では、熱交換キャビティ内の案内構造の構造設計をより簡単にすることができ、それにより加工製造の難易度を軽減し、他方では、熱交換キャビティ内の案内構造分布領域又は延在長さをより狭く又はより短い範囲内に限定することができ、それにより電気ヒータの軽量化の設計要件を満足することに寄与する。
【0050】
図9、
図10、
図11及び
図12に示すように、几字型に延在する軌跡線の実施形態において、前記媒体流路31は、前記媒体流路31の第1開口321から第1線形方向Yに沿って線形に延在する第1延在部311と、前記第1延在部311の末端から前記第1線形方向Yに垂直な第2線形方向Xに沿って線形に延在する第2延在部312と、前記第2延在部312の末端から前記第1線形方向Yに沿って線形に延在する折曲延在部310と、前記折曲延在部310の末端から前記第2線形方向Xに沿って延在する第3延在部315と、前記第3延在部315の末端から前記第1線形方向Yに沿って前記媒体流路31の第2開口322まで延在する第4延在部316と、を備える。
図11に示すように、第1線形方向Yが電気ヒータの幅方向であるが、本願はこれに限らず、第1線形方向Yが長さ方向であってもよく、第2線形方向Xが幅方向であってもよい。
【0051】
図12に示すように、
図4と同様に、前記加熱キャビティアセンブリにおいて、前記流路構造30は、加熱対象の熱伝達媒体を受けるための流入キャビティ41と、加熱済みの熱伝達媒体を収集して排出するためのものであって、並列に設置される複数本の前記媒体流路31により前記流入キャビティ41に連通する流出キャビティ42と、を備え、各前記媒体流路31の第1開口321が前記流入キャビティ41に連通し、各前記媒体流路31の第2開口322が前記流出キャビティ42に連通する。従って、動作状態において、電気自動車空調システムからの低温熱伝達媒体はまず流入キャビティ41に流れ込み、更に該流入キャビティ41においてそれぞれの媒体流路31の第1開口321に流れ込み、更に順に第1延在部311、折り返し延在部313及び第2延在部312を流れた後に流出キャビティ42に合流し、更に流出キャビティ42を介して高温熱伝達媒体を電気自動車の空調システムへ流れさせる。
【0052】
熱伝達媒体が流入キャビティ41及び/又は流出キャビティ42内で流れるように案内するために、好ましくは、前記流入キャビティ41の断面積が前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に小さくなり、及び/又は前記流出キャビティ42の断面積が前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に大きくなる。従って、各媒体流路に入った熱伝達媒体をより均一に分配することにより、流体キャビティが部分的に過熱される問題を回避することができ、及び/又は、各媒体流路から流れ出した熱伝達媒体を同時に十分に混合させることにより、熱伝達媒体の温度のバランス性を向上させることができる。
【0053】
流入キャビティ41の断面積が前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に小さくなることは様々な方式で実現されてもよく、例えば、
図13、
図14、
図15及び
図16に示すように、前記電気ヒータの高さ方向における前記流入キャビティ41の高さh1は、前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に小さくなり、及び/又は前記電気ヒータの幅方向における前記流入キャビティ41の幅w1は、前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に小さくなる。
【0054】
同様に、前記電気ヒータの高さ方向における前記流出キャビティ42の高さは、前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に大きくなり、及び/又は前記電気ヒータの幅方向における前記流出キャビティ42の幅は、前記熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に大きくなる。
【0055】
図11、
図12及び
図13に示すように、前記第2線形方向Xにおいて、各前記媒体流路31が前記流入キャビティ41の第1開口321で並行に配列され、及び/又は前記第2線形方向Xにおいて、各前記媒体流路31が前記流出キャビティ42の第2開口322で並行に配列される。該第1開口321及び/又は第2開口322の並行に隣接して配列される配置形態は該実施形態2の設計特徴である。
【0056】
好ましくは、異なる動作状況に応じて、前記第1開口321及び/又は第2開口322が並行に隣接して配列される上で、各開口の延在する度合を異なる方式に設計することができる。例えば、各第1開口321は前記第1線形方向Yにおいて同一平面上に配置され、又は各第1開口321が前記第1線形方向Yにおいて加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合は熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に増加し(即ち、距離が近くなり、
図12に示される)、又は各第1開口321が前記第1線形方向Yにおいて加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合は熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に減少し(即ち、距離が遠くなる)、又は各第1開口321が前記第1線形方向Yにおいて加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合は熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に増加した後徐々に減少し(
図11、
図13に示される)、又は各第1開口321が前記第1線形方向Yにおいて加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合は熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に減少した後徐々に増加する。
【0057】
同様に、第2開口については、各第2開口322は前記第1線形方向Yにおいて同一平面上に配置され、又は各第2開口322は、前記第1線形方向Yにおける加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合が熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に増加し、又は各第2開口322は、前記第1線形方向Yにおける加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合が熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に減少し、又は各第2開口322は、前記第1線形方向Yにおける加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合が熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に増加した後徐々に減少し、又は各第2開口322は、前記第1線形方向Yにおける加熱キャビティアセンブリの内側壁への延在する度合が熱伝達媒体の流動方向に沿って徐々に減少した後徐々に増加する。
【0058】
該好適な実施形態において、第1開口321と第2開口322がいずれもすぐ隣接して並行に配置される特徴以外に、流路隔壁の延在長さを異なるように設計することにより、各第1開口321及び第2開口322が同一平面上に配置されるように選択することができ又は上記様々な変形方式があるようにしてもよい。従って、各媒体流路の延在長さを同じ又は異なるように設計することができる一方、各媒体流路内の熱伝達媒体の流動時間を調節し、更に各媒体流路内を流れる熱伝達媒体の流動過程における熱伝達動作状況を最適化することができる。また、流入キャビティ41及び/又は流出キャビティ42において、開口を形成する流路隔壁を異なる延在する度合に設計することにより、乱流の作用を果たす。具体的には、熱伝達媒体は流入キャビティ41から各第1開口321に入る前に、該乱流作用によって、流入キャビティ41から各第1開口321に入った熱伝達媒体がより均一な温度を有するようにすることができ、同様に、熱伝達媒体が各第2開口322から流出キャビティ42に入った後、該乱流作用によって、流出キャビティ42内の熱伝達媒体の温度に一層高い均一性を有させることができる。
【0059】
図10及び
図12に示すように、好ましくは、少なくとも1本の媒体流路31の在軌跡線は断続したものであり、連続したもの又は部分的に連続し部分的に断続したものであってもよい。これらの変形形式はいずれも本願の保護範囲内に含まれる。複数本の媒体流路31の場合、各媒体流路31の延在軌跡線は少なくとも1箇所の断続箇所を有し、各媒体流路31の断続箇所が混合流領域34を形成し、
図12に示すように、2つの混合流領域があり、該混合流領域34の上流及び下流の媒体流路の数が同じ又は異なり、例えば、
図12に示される実施形態において異なる。
【0060】
該混合流領域34の設置によって、各媒体流路31内を流れる媒体はまず該混合流領域34に合流して混合流するとともに、互いに熱交換し、更に混合流領域34内の媒体の温度を基本的に一致するように維持させる。次に、混合流領域34から下流の各媒体流路31へ流れる。このような方式によって、媒体の温度に流動過程において一層高い均一性を有させる。好ましくは、混合流領域34には乱流構造35、例えば異なる媒体を混合するための様々な適切な混合流流路が設置され、
図12に示すように、乱流構造35は前記電気ヒータの高さ方向において延在し且つ互いに間隔を置いて分布する複数のピンフィンを備えてもよい。
【0061】
以上は本願の加熱キャビティアセンブリの実施形態2を詳しく説明したが、なお、説明時に2つの実施形態に分けたが、当業者であれば理解されるように、この2つの実施形態及びその変形はいくつかの技術的特徴を共有してもよく、例えば実施形態1に記載の案内構造は実施形態2に用いられてもよく、実施形態2に記載の乱流、混合流の特徴は実施形態1に用いられてもよい。従って、流路全体の配置に影響しない前提で、上記文字及び明細書の図面における技術的特徴はいずれも交差して使用されてもよく、ここで一々例を挙げて説明せず、これらの変形はいずれも本願に開示される技術的内容に属し、且つ本願の保護範囲内に含まれる。
【0062】
三、電気自動車
本願の上記技術案は様々な動作状況の応用、例えば様々な輸送用具、特に電気自動車に適用されてもよい。本願に係る電気自動車は上記電気ヒータを備え、前記電気自動車はバッテリー式電気自動車又はハイブリッド車である。
【0063】
以上は本願の好適な実施形態を詳しく説明したが、本願は上記実施形態の具体的な細部に限らず、本願の技術的構想範囲内で、本願の技術案に対して種々の簡単な変形を行うことができ、これらの簡単な変形はいずれも本願の保護範囲に属する。
【0064】
また、説明されるように、上記具体的な実施形態において説明される各具体的な技術的特徴は、矛盾しない限り、いかなる適切な方式で組み合わせられることができ、不必要な重複を避けるために、本願は様々な可能な組み合わせ方式を改めて説明しない。
【0065】
また、本願の様々な異なる実施形態同士は任意に組み合わせられることができ、本願の要旨に違反しない限り、それらは同様に本発明に開示される内容と見なされるべきである。
【国際調査報告】