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特表2023-535762放射放出半導体チップを製造するための方法、および放射放出半導体チップ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-21
(54)【発明の名称】放射放出半導体チップを製造するための方法、および放射放出半導体チップ
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/185 20210101AFI20230814BHJP
【FI】
H01S5/185
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505385
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2021073139
(87)【国際公開番号】W WO2022043211
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】102020122210.6
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フーベアト ハルプリッター
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ イェンチュ
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AB50
5F173AB72
5F173AH22
5F173AP32
5F173AP33
(57)【要約】
放射放出半導体チップ(1)を製造するための方法であって、本方法は、・電磁放射を生成するために構成された活性領域(3)を含む半導体積層体(2)を用意するステップと、・半導体積層体(2)において、活性領域(3)を完全に貫通する第1の凹部(4)を生成するステップと、・第1の凹部(4)内に第1の構造体(5)を生成するステップとを有し、ここで、・第1の構造体のうちの、活性領域(3)の方を向いている少なくとも1つの側面(6)は、半導体積層体の少なくとも1つの第1の側面(7)に対して斜めに延在しており、・第1の構造体(5)は、横方向において活性領域(3)に対して離間されている、方法が提示される。さらに、放射放出半導体チップ(1)が提示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射放出半導体チップ(1)を製造するための方法であって、
前記方法は、
電磁放射を生成するために構成された活性領域(3)を含む半導体積層体(2)を用意するステップと、
前記半導体積層体(2)において、前記活性領域(3)を完全に貫通する第1の凹部(4)を生成するステップと、
前記第1の凹部(4)内に第1の構造体(5)を生成するステップと、
前記第1の構造体(5)の上方に第1の誘電性ミラー(13)を被着するステップと
を有し、ここで、
前記第1の構造体のうちの、前記活性領域(3)の方を向いている少なくとも1つの側面(6)は、前記半導体積層体の少なくとも1つの第1の側面(7)に対して斜めに延在しており、
前記第1の構造体(5)は、横方向において前記活性領域(3)に対して離間されており、
前記第1の誘電性ミラー(13)は、前記半導体チップの主延在面に沿って延在しており、
前記第1の誘電性ミラー(13)は、前記電磁放射に対して部分反射性に構成されている、
方法。
【請求項2】
前記第1の構造体(5)は、前記電磁放射のための伝播方向を規定する、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の構造体の前記側面(6)は、前記半導体積層体の前記第1の側面(7)と共に45°±1°の角度を成している、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記半導体積層体(2)は、第1の半導体領域(8)および第2の半導体領域(9)を含み、
前記第1の凹部(4)は、前記第2の半導体領域(9)を露出させ、
前記第1の構造体(5)は、露出させられた前記第2の半導体領域(9)上に生成される、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記半導体積層体(2)は、基板(10)上に配置されており、
前記第1の凹部(4)は、前記半導体積層体(2)を完全に貫通し、
前記第1の構造体(5)は、露出させられた前記基板(10)上に生成される、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記第1の構造体(5)は、誘電性材料(21)を含み、
前記第1の構造体の屈折率(nS1)は、前記半導体積層体の屈折率(nHL)よりも小さい、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記第1の構造体の前記側面(6)に誘電層(11)が被着され、
前記誘電層の屈折率(n)は、前記半導体積層体の屈折率(nHL)よりも小さい、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記第1の構造体(5)と前記半導体積層体(2)との間に充填材料(12)が被着され、
前記充填材料の屈折率(n)は、前記半導体積層体の屈折率(nHL)からn=0.2を超えて相違しない、
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記半導体積層体の前記第1の側面(7)にパッシベーション層(14)が被着される、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記第1の構造体(5)は、垂直方向の断面図において三角形または台形の形状を有する、
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、
前記半導体積層体(2)において、前記活性領域(3)を完全に貫通する第2の凹部(15)を生成するステップと、
前記第2の凹部(15)内に第2の構造体(16)を生成するステップと
を有し、ここで、
前記第2の構造体のうちの、前記活性領域(3)の方を向いている少なくとも1つの側面(17)は、前記半導体積層体の少なくとも1つの第2の側面(18)に対して斜めに延在しており、
前記第2の構造体(16)は、横方向において前記活性領域(3)に対して離間されており、
前記活性領域(3)は、前記第1の凹部(4)と前記第2の凹部(15)との間に配置されている、
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記第2の構造体(16)の上方に第2の誘電性ミラー(19)が被着され、
前記第2の誘電性ミラー(19)は、前記主延在面に沿って延在しており、
前記第2の誘電性ミラー(19)は、前記電磁放射に対して高反射性に構成されている、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記半導体積層体(2)は、垂直方向に切断すること(20)によって個別化されて、前記半導体チップ(1)になる、
請求項10または11記載の方法。
【請求項14】
放射放出半導体チップ(1)であって、
前記放射放出半導体チップ(1)は、
電磁放射を生成するために構成された活性領域(3)を含む半導体積層体(2)と、
前記半導体積層体(2)において、前記活性領域(3)を完全に貫通する第1の凹部(4)と、
前記第1の凹部(4)内に配置された第1の構造体(5)と、
前記第1の構造体(5)の上方に配置された第1の誘電性ミラー(13)と
を有し、ここで、
前記第1の構造体のうちの、前記活性領域(3)の方を向いている少なくとも1つの側面(6)は、前記半導体積層体の少なくとも1つの第1の側面(7)に対して斜めに延在しており、
前記第1の構造体(5)は、横方向において前記活性領域(3)に対して離間されており、
前記第1の誘電性ミラー(13)は、前記半導体チップの主延在面に沿って延在しており、
前記第1の誘電性ミラー(13)は、前記電磁放射に対して部分反射性に構成されている、
放射放出半導体チップ(1)。
【請求項15】
前記放射放出半導体チップ(1)は、
前記半導体積層体(2)において、前記活性領域(3)を完全に貫通する第2の凹部(15)と、
前記第2の凹部(15)内の第2の構造体(16)と
を有し、ここで、
前記第2の構造体のうちの、前記活性領域(3)の方を向いている側面(17)は、前記半導体積層体の第2の側面(18)に対して斜めに延在しており、
前記第2の構造体(16)は、横方向において前記活性領域(3)に対して離間されており、
前記活性領域(3)は、前記第1の凹部(4)と前記第2の凹部(15)との間に配置されている、
請求項14記載の放射放出半導体チップ(1)。
【請求項16】
前記半導体チップ(1)は、表面発光レーザダイオードである、
請求項14記載の放射放出半導体チップ(1)。
【請求項17】
前記半導体チップ(1)は、表面発光スーパールミネッセントダイオードである、
請求項14記載の放射放出半導体チップ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
放射放出半導体チップを製造するための方法が提示される。さらに、放射放出半導体チップが提示される。
【0002】
解決されるべき課題は、特に簡単に制御可能であって、かつ低コストである、放射放出半導体チップを製造するための方法を提示することである。解決されるべきさらなる課題は、このような放射放出半導体チップを提示することである。
【0003】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、電磁放射を生成するために構成された活性領域を含む半導体積層体が用意される。放射放出半導体チップは、例えば、動作時に紫外放射、可視放射、および/または近赤外放射を生成するように構成されている。可視放射は、例えば青色、緑色、黄色、または赤色の光である。
【0004】
半導体積層体は、例えば成長基板上にエピタキシャルに被着される。成長基板は、例えばGaN基板である。
【0005】
半導体積層体は、例えばIII-V族化合物半導体材料をベースとしている。III-V族化合物半導体材料は、例えば窒化物化合物半導体材料である。この場合、化合物半導体材料は、GaNを含む。
【0006】
活性領域は、電磁放射を生成するために、例えばpn接合部、ダブルへテロ構造、単一量子井戸構造、または多重量子井戸構造を有する。さらに、活性領域は、例えば少なくともn=2.2、最大n=2.5、とりわけn=2.4の屈折率を有する。
【0007】
さらに、放射放出半導体チップは、例えば主延在面を有する。横方向は、主延在面に対して平行に方向決めされており、垂直方向は、主延在面に対して垂直に方向決めされている。
【0008】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体積層体において、活性領域を完全に貫通する第1の凹部が生成される。第1の凹部のうちの、互いに向かい合って位置している少なくとも2つの側面は、例えばそれぞれ実質的に垂直方向に延在している。実質的に垂直方向に延在しているとは、第1の凹部の側面が、主延在面の、それぞれ垂直方向に延在している法線に対して最大でも±1%しか傾斜していないということを意味する。
【0009】
第1の凹部は、例えばエッチングプロセスによって生成される。例えば、エッチングプロセスは、湿式化学エッチングプロセスまたは乾式化学エッチングプロセスである。
【0010】
横方向における第1の凹部の幅は、例えば少なくとも1μm~最大50μmの間、とりわけ少なくとも3μm~最大10μmの間である。第1の凹部の幅は、第1の凹部のうちの、互いに向かい合って位置している2つの側面の間の、横方向における最小の間隔に相当する。
【0011】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の凹部内に第1の構造体が生成される。例えば、第1の凹部内に第1の構造体の材料が導入される。例えば、第1の構造体の材料は、導入後に第1の凹部を完全に充填する。次いで、第1の構造体の材料が、エッチングプロセスによって構造化されて、第1の構造体になる。例えば、エッチングプロセスは、湿式化学エッチングプロセスである。例えば、湿式化学エッチングプロセスの際には、KOHおよびNaOHがマスクと組み合わせて使用される。
【0012】
代替的に、第1の構造体の材料は、リソグラフィプロセス、例えばUVリソグラフィプロセスによって構造化されて、第1の構造体になる。
【0013】
代替的に、第1の構造体の材料は、導入時に第1の構造体が生成されるように第1の凹部内に導入される。この場合、第1の構造体は、例えばELO(英語:“epitaxial lateral overgrowth”、略して“ELO”)プロセスによって生成される。
【0014】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の構造体のうちの、活性領域の方を向いている少なくとも1つの側面は、半導体積層体の少なくとも1つの第1の側面に対して斜めに延在している。第1の凹部の側面のうちの1つは、例えば半導体積層体の第1の側面によって形成されている。さらに、第1の凹部の側面のうちの他の1つは、例えば半導体積層体のさらなる第1の側面によって形成されている。この場合、半導体積層体の第1の側面と、半導体積層体のさらなる第1の側面とは、互いに向かい合って位置している。
【0015】
本実施形態では、半導体積層体の第1の側面は、例えば活性領域の方を向いている。さらに、本実施形態では、半導体積層体のさらなる第1の側面は、活性領域とは反対側を向いている。
【0016】
さらに、第1の凹部は、半導体積層体を、それぞれ1つの活性領域を有する2つの領域に構造化することが可能である。この場合、第1の構造体は、第1の凹部内において、半導体積層体の第1の側面と、さらなる第1の側面とに対してそれぞれ斜めに延在する少なくとも2つの側面を有することが可能である。例えば、第1の構造体の側面のうちの1つは、半導体積層体の第1の側面に対して斜めに延在しており、第1の構造体の側面のうちの他の1つは、半導体積層体のさらなる第1の側面に対して斜めに延在している。
【0017】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の構造体は、横方向において活性領域に対して離間されている。例えば、第1の構造体のうちの、活性領域の方を向いている側面は、活性領域に対して離間されて配置されている。すなわち、第1の構造体のうちの、活性領域の方を向いている側面は、少なくとも部分的に半導体積層体とは直接的に接触していない。
【0018】
例えば、第1の構造体のうちの、活性領域とは反対側を向いている側面は、半導体積層体、とりわけ活性領域と直接的に接触している。この場合、第1の構造体は、半導体積層体のさらなる第1の側面を完全に覆っている。
【0019】
第1の凹部が半導体積層体を、それぞれ1つの活性領域を有する2つの領域に構造化する場合には、第1の構造体の2つの側面は、それぞれ向かい合って位置している活性領域に対して離間されている。
【0020】
少なくとも1つの実施形態では、放射放出半導体チップを製造するための方法は、電磁放射を生成するために構成された活性領域を含む半導体積層体を用意することを含む。さらに、半導体積層体において、活性領域を完全に貫通する第1の凹部が生成される。さらに、第1の凹部内に第1の構造体が生成され、第1の構造体のうちの、活性領域の方を向いている少なくとも1つの側面は、半導体積層体の少なくとも1つの第1の側面に対して斜めに延在しており、第1の構造体は、横方向において活性領域に対して離間されている。
【0021】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の構造体は、電磁放射のための伝播方向を規定する。活性領域において生成された電磁放射は、例えば半導体積層体の第1の側面を通って第1の凹部内に入射する。次いで、この入射した電磁放射を、第1の構造体において反射および偏向させることができる。その後、第1の構造体の側面の傾斜に依存して、電磁放射の伝播方向が規定される。
【0022】
放射放出半導体チップを製造するための本明細書で説明される方法の着想は、とりわけ第1の凹部内において第1の構造体を、横方向において活性領域に対して離間させて生成することにある。この第1の構造体は、電磁放射のための伝播方向を規定する。第1の構造体は、例えば電磁放射のための偏向構造体である。電磁放射を、とりわけ45°偏向させることができ、したがって、放射放出半導体チップは、電磁放射を垂直方向に送出するように構成されている。第1の構造体を使用することにより、半導体積層体の手間のかかる構造化を省略することができる。さらに、第1の構造体の形状と、ひいては電磁放射の偏向とを特に良好に規定することができ、ひいては制御することができる。さらに、このような方法は、特に低コストである。
【0023】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の構造体の側面は、半導体積層体の第1の側面と共に45°±1°の角度を成している。有利には、活性領域によって生成された電磁放射を、このような第1の構造体によって放射放出半導体チップから垂直方向に送出することができる。
【0024】
第1の凹部が半導体積層体を、それぞれ1つの活性領域を有する2つの領域に構造化する場合には、第1の構造体の2つの側面は、それぞれ半導体チップの主延在面と共に45°±1°の角度を成している。第1の構造体の2つの側面は、例えば、互いに90°±2°の角度を成している。
【0025】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体積層体は、第1の半導体領域および第2の半導体領域を含む。第1の半導体領域と第2の半導体領域とは、例えば垂直方向において互いに上下に積層されている。活性領域は、例えば第1の半導体領域と第2の半導体領域との間に配置されている。
【0026】
第1の半導体領域は、例えば第1の導電型を有し、第2の半導体領域は、例えば第2の他の導電型を有する。第1の半導体領域は、例えばp型ドープされており、したがってp型導電性に形成されている。さらに、第2の半導体領域は、例えばn型ドープされており、したがってn型導電性に形成されている。
【0027】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の凹部は、第2の半導体領域を露出させる。この場合、露出させられた第2の半導体領域は、第1の凹部の底面を形成する。第1の凹部は、例えば第1の半導体領域および活性領域を完全に貫通し、第2の領域を部分的にのみ貫通する。第1の凹部の側面は、例えば第1の半導体領域と、活性領域と、第2の半導体領域とによって形成されている。
【0028】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の構造体は、露出させられた第2の半導体領域上に生成される。例えば、第1の構造体は、第1の凹部の底面上に生成される。第1の構造体、とりわけ第1の構造体の底面は、例えば露出させられた第2の半導体領域と直接的に接触している。
【0029】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体積層体は、基板上に配置されている。例えば、基板は、半導体積層体の成長基板である。
【0030】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の凹部は、半導体積層体を完全に貫通する。この場合、第1の凹部は、第1の半導体領域と、活性領域と、第2の半導体領域とを完全に貫通する。露出させられた基板は、例えば第1の凹部の底面を形成する。
【0031】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の構造体は、露出させられた基板上に生成される。この場合、第1の構造体は、第1の凹部の底面上に生成される。第1の構造体、とりわけ第1の構造体の底面は、例えば露出させられた基板と直接的に接触している。
【0032】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の構造体は、誘電性材料を含む。この場合、第1の凹部は、例えば誘電性材料によって完全に充填される。次いで、誘電性材料が、例えばエッチングプロセスによって構造化されて、第1の構造体になる。
【0033】
第1の構造体の誘電性材料は、例えばn=1.5の屈折率を有するSiO、n=1.7の屈折率を有するSiON、および/またはn=1.77の屈折率を有するAlOを含むか、またはこれらから成る。
【0034】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の構造体の屈折率は、半導体積層体の屈折率よりも小さい。とりわけ、第1の構造体の屈折率は、活性領域の屈折率よりも小さい。例えば、第1の構造体の屈折率は、半導体積層体の屈折率よりも少なくともn=0.7だけ小さく、とりわけ少なくともn=0.8だけ小さい。
【0035】
第1の構造体と半導体積層体との間のこのような屈折率差により、活性領域から第1の構造体の斜めの側面の方向に送出された電磁放射が、好ましくは全反射させられることとなる。例えば、この角度を超えると電磁放射が全反射させられるという臨界角度θは、θ=arcsin(n/n)によって得られる。この場合、nは、半導体積層体の屈折率、とりわけ活性領域の屈折率であり、nは、第1の構造体の屈折率である。有利には、活性領域において生成された電磁放射は、このような屈折率差によって少なくとも99%まで反射および偏向させられる。
【0036】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の構造体の側面に誘電層が被着される。誘電層は、例えば第1の構造体の側面と直接的に接触している。
【0037】
第1の構造体が、それぞれ向かい合って位置している活性領域に対して離間されて配置された2つの側面を有する場合には、これら2つの側面上に誘電層が配置されている。
【0038】
さらに、誘電層は、例えば横方向において活性領域に対して離間されている。誘電層は、例えば少なくとも50nm、とりわけ少なくとも100nmの厚さを有する。
【0039】
本実施形態によれば、電磁放射は、誘電層と半導体積層体との間の屈折率差によって全反射させられる。この場合、臨界角度θに関する上記の関係において、nは、誘電層の屈折率である。
【0040】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、誘電層の屈折率は、半導体積層体の屈折率よりも小さい。とりわけ、誘電層の屈折率は、活性領域の屈折率よりも小さい。
【0041】
誘電層は、例えばSiO、SiON、および/またはAlOのような誘電性材料を含むか、またはこれらから成る。
【0042】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の構造体と半導体積層体との間に充填材料が被着される。例えば、充填材料は、第1の構造体と活性領域との間に配置されている。とりわけ、第1の凹部は、充填材料によって完全に充填されている。
【0043】
充填材料は、例えば、以下の材料:TaO、TiO、NiO、NbO、AlN、GaN、InGaNのうちの1つまたは複数である。充填材料は、例えば少なくともn=2.2、最大n=2.5の屈折率を有する。
【0044】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、充填材料の屈折率は、半導体積層体の屈折率からn=0.2を超えて相違しない。とりわけ、充填材料の屈折率は、活性領域の屈折率からn=0.2を超えて相違しない。
【0045】
例えば、充填材料の堆積パラメータを適切に規定することによって、充填材料の屈折率を半導体積層体の屈折率に、とりわけ活性領域の屈折率に特に良好に適合させることができる。堆積パラメータは、例えば成長温度、成長速度、および/または反応器圧力である。例えば、充填材料の屈折率は、半導体積層体の屈折率からn=0.1を超えて相違することはできない。
【0046】
本実施形態によれば、臨界角度θに関する上記の関係において、nは、充填材料の屈折率である。
【0047】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の構造体の上方に第1の誘電性ミラーが被着される。例えば、第1の誘電性ミラーは、平面図において第1の構造体を完全に覆っている。さらに、第1の誘電性ミラーは、例えば充填材料上に配置されている。充填材料と第1の誘電性ミラーとは、例えば互いに直接的に接触している。第1の誘電性ミラーは、例えばブラッグミラーである。
【0048】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の誘電性ミラーは、主延在面に沿って延在している。活性領域によって生成された電磁放射は、例えば第1の誘電性ミラーを介して放射放出半導体チップから出射する。この場合、電磁放射の伝播方向は、垂直方向である。
【0049】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の誘電性ミラーは、電磁放射に対して部分反射性に構成されている。第1の誘電性ミラーは、活性領域において生成された電磁放射に対して、例えば最大90%、とりわけ最大10%の反射率を有する。
【0050】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体積層体の第1の側面にパッシベーション層が被着される。例えば、パッシベーション層は、活性領域を完全に覆っている。パッシベーション層は、例えば充填材料が被着される前に、半導体積層体の第1の側面に被着される。
【0051】
例えば、パッシベーション層の屈折率は、半導体積層体の屈折率、とりわけ活性領域の屈折率からn=0.2を超えて相違しない。パッシベーション層は、例えば、以下の材料:TaO、TiO、NiO、NbO、AlNのうちの1つまたは複数である。
【0052】
有利には、このようなパッシベーション層によって半導体積層体は、本方法の実施中に半導体積層体に作用する外部影響から特に良好に保護される。
【0053】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第1の構造体は、垂直方向の断面図において三角形または台形の形状を有する。第1の構造体が三角形の形状を有する場合には、この三角形は、例えば二等辺三角形である。この場合、第1の構造体の2つの側面は、直角を成している。
【0054】
第1の構造体が台形の形状を有する場合には、この台形は、少なくとも2つの側面を有し、これらの側面は、それぞれ台形の底面と共に45°±1°の角度を成している。
【0055】
さらに、第1の構造体は、横方向において、垂直方向の断面図に対して垂直に延在している。この場合、第1の構造体は、プリズムである。
【0056】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体積層体において、活性領域を完全に貫通する第2の凹部が生成される。第2の凹部は、例えば第1の凹部と同様に生成される。さらに、第2の凹部は、例えば第1の凹部と同じ寸法および/または同じ形状を有する。とりわけ、第1の凹部に関連して開示された全ての特徴は、第2の凹部に対しても同様に適用可能である。
【0057】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第2の凹部内に第2の構造体が生成される。第2の構造体は、例えば第1の構造体と同じに生成される。さらに、第2の構造体は、第1の構造体と同じ材料を有する。さらに、第2の構造体は、例えば第1の構造体と同じ寸法を有する。とりわけ、第1の構造体に関連して開示された全ての特徴は、第2の構造体に対しても同様に適用可能である。
【0058】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第2の構造体のうちの、活性領域の方を向いている少なくとも1つの側面は、半導体積層体の少なくとも1つの第2の側面に対して斜めに延在している。
【0059】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第2の構造体は、横方向において活性領域に対して離間されている。
【0060】
少なくとも1つの実施形態によれば、活性領域は、第1の凹部と第2の凹部との間に配置されている。横方向における活性領域の広がりは、例えば第1の凹部および第2の凹部によって画定される。例えば、活性領域は、半導体積層体の第1の側面から半導体積層体の第2の側面まで延在している。
【0061】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第2の構造体の上方に第2の誘電性ミラーが被着される。例えば、第2の誘電性ミラーは、平面図において第2の構造体を完全に覆っている。第2の誘電性ミラーは、例えばブラッグミラーである。
【0062】
例えば、充填材料は、完全に第2の凹部内に配置されている。第2の誘電性ミラーは、例えば第2の凹部内の充填材料上に配置されている。充填材料と第2の誘電性ミラーとは、例えば互いに直接的に接触している。
【0063】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第2の誘電性ミラーは、主延在面に沿って延在している。
【0064】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第2の誘電性ミラーは、電磁放射に対して高反射性に構成されている。第2の誘電性ミラーは、例えば活性領域において生成された電磁放射に対して、少なくとも95%、とりわけ少なくとも99%の反射率を有する。
【0065】
放射放出半導体チップは、例えば第1の誘電性ミラーと第2の誘電性ミラーとの間に形成された共振器を含む。共振器は、例えば第1の誘電性ミラーと第2の誘電性ミラーとの間の領域によって画定される。さらに、共振器は、活性領域を含む。
【0066】
第1の誘電性ミラーの反射率に依存して、放射放出半導体チップは、例えば表面発光レーザダイオードであるか、または表面発光スーパールミネッセントダイオード、略してSLEDである。放射放出半導体チップがSLEDである場合には、生成された放射が共振器において増幅されて、スーパールミネッセント放射になる。半導体チップがレーザダイオードである場合には、生成された放射が共振器において増幅されて、レーザ放射になる。
【0067】
本方法の少なくとも1つの実施形態によれば、半導体積層体は、垂直方向に切断することによって個別化されて、半導体チップになる。例えば、半導体積層体は、第1の構造体および第2の構造体を通るように切断することによって個別化される。とりわけ、半導体積層体は、第1の構造体と、第2の構造体と、半導体積層体とを通るように切断することによって個別化される。代替的に、半導体積層体は、半導体積層体を通るように切断することによって個別化される。
【0068】
例えば、半導体積層体において、それぞれ1つの第1の構造体を有する複数の第1の凹部と、それぞれ1つの第2の構造体を有する複数の第2の凹部とを生成することが可能である。この場合、第1の凹部と第2の凹部とは、交互に配置されている。個別化によって、とりわけ第1の構造体および第2の構造体を通るように切断することによって、複数の放射放出半導体チップを製造することが可能である。
【0069】
さらに、放射放出半導体チップが提示される。放射放出半導体チップは、とりわけ本明細書で説明される放射放出半導体チップを製造するための方法によって製造可能である。すなわち、本明細書で説明される放射放出半導体チップは、説明される方法によって製造可能であるか、または説明される方法によって製造される。したがって、方法に関連して開示された全ての特徴は、放射放出半導体チップにも関連して開示されており、またその逆も成り立つ。
【0070】
少なくとも1つの実施形態によれば、放射放出半導体チップは、電磁放射を生成するために構成された活性領域を含む半導体積層体を含む。
【0071】
少なくとも1つの実施形態によれば、放射放出半導体チップは、半導体積層体において、活性領域を完全に貫通する第1の凹部を含む。
【0072】
少なくとも1つの実施形態によれば、放射放出半導体チップは、第1の凹部内に配置された第1の構造体を含む。
【0073】
放射放出半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、第1の構造体のうちの、活性領域の方を向いている少なくとも1つの側面は、半導体積層体の少なくとも1つの第1の側面に対して斜めに延在している。
【0074】
放射放出半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、第1の構造体は、横方向において活性領域に対して離間されている。
【0075】
少なくとも1つの実施形態によれば、放射放出半導体チップは、半導体積層体において、活性領域を完全に貫通する第2の凹部を含む。
【0076】
少なくとも1つの実施形態によれば、放射放出半導体チップは、第2の凹部内の第2の構造体を含む。
【0077】
放射放出半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、第2の構造体のうちの、活性領域の方を向いている側面は、半導体積層体の第2の側面に対して斜めに延在している。
【0078】
放射放出半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、第2の構造体は、横方向において活性領域に対して離間されている。
【0079】
放射放出半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、活性領域は、第1の凹部と第2の凹部との間に配置されている。
【0080】
放射放出半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、半導体チップは、表面発光レーザダイオードである。この場合、出射する電磁放射は、単色コヒーレント放射である。したがって、放射は、有利には比較的わずかな帯域幅を有すると同時に、比較的大きい光束を有する。
【0081】
放射放出半導体チップの少なくとも1つの実施形態によれば、半導体チップは、表面発光スーパールミネッセントダイオードである。本実施形態では、有利には、活性領域によって生成された電磁放射が増幅され、出射した電磁放射は、比較的わずかな時間的コヒーレンスと、比較的大きな空間的コヒーレンスとを有する。
【0082】
以下では、放射放出半導体チップを、図面を参照しながら各実施例に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1】1つの実施例による半導体チップを製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図2】1つの実施例による半導体チップを製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図3】1つの実施例による半導体チップを製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図4】1つの実施例による半導体チップを製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図5】1つの実施例による半導体チップを製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図6】1つの実施例による半導体チップを製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図7】1つの実施例による半導体チップを製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図8】1つの実施例による半導体チップを製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図9】1つの実施例による半導体チップを製造する際の1つの方法段階の概略断面図である。
図10】1つの実施例による半導体本体を製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図11】1つの実施例による半導体本体を製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図12】1つの実施例による半導体本体を製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図13】1つの実施例による半導体本体を製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図14】1つの実施例による半導体本体を製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図15】1つの実施例による半導体本体を製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図16】1つの実施例による半導体本体を製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図17】1つの実施例による半導体本体を製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図18】1つの実施例による半導体本体を製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図19】1つの実施例による半導体本体を製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図20】1つの実施例による半導体本体を製造する際の各方法段階の概略断面図である。
図21】1つの実施例による半導体チップを製造する際の1つの方法段階の概略断面図である
図21】それぞれ1つの実施例による放射放出半導体チップの概略断面図である。
図22】それぞれ1つの実施例による放射放出半導体チップの概略断面図である。
図23】それぞれ1つの実施例による放射放出半導体チップの概略断面図である。
図24】第1の構造体の概略断面図である。
図25】第1の構造体の概略断面図である。
【0084】
同じ、同じ種類の、または同じ作用の要素には、複数の図面において同じ参照符号が付されている。図面と、これらの図面に示されている要素の相互間の寸法比とは、必ずしも縮尺通りであるとみなされるべきではない。むしろ、より良好に描写するため、かつ/またはより良好に理解するために、個々の要素が誇張されて大きく図示されている場合がある。
【0085】
図1図8の実施例による方法では、図1によれば、基板10が用意される。基板10は、例えばGaN基板である。
【0086】
図2によるさらなる方法ステップでは、半導体積層体2が基板10上にエピタキシャルに堆積される。半導体積層体2は、第1の半導体領域8と、活性領域3と、第2の半導体領域9とを含む。活性領域3は、電磁放射を生成するために構成されている。
【0087】
図3によれば、次の方法ステップでは、半導体積層体2において、第2の半導体領域9と活性領域3とをそれぞれ完全に貫通する第1の凹部4および第2の凹部15が生成される。第1の凹部4および第2の凹部15は、それぞれ第2の半導体領域9を露出させ、これにより、第1の凹部4内および第2の凹部15内の第2の半導体領域9にそれぞれ自由にアクセス可能となる。
【0088】
第1の凹部4の互いに向かい合って位置している2つの側面と、第2の凹部15の互いに向かい合って位置している2つの側面とは、それぞれ実質的に垂直方向に延在している。
【0089】
活性領域3は、第1の凹部4と第2の凹部15との間に配置されている。半導体積層体の第1の側面7は、第1の凹部4の側面のうちの、活性領域3の方を向いている1つの側面によって形成されている。半導体積層体の第2の側面18は、第2の凹部15の側面のうちの、活性領域3の方を向いている1つの側面によって形成されている。活性領域3は、半導体積層体の第1の側面7から半導体積層体の第2の側面18まで延在している。
【0090】
活性領域3は、例えばnHL=2.4の屈折率を有するInGaNを含む。
【0091】
さらなる方法ステップでは、図4に示されているように、第1の凹部4内および第2の凹部15内にそれぞれ誘電性材料21が導入される。本実施例では、第1の凹部4および第2の凹部15は、誘電性材料21によってそれぞれ完全に充填される。
【0092】
誘電性材料21は、例えばnS1=nS2=1.5の屈折率を有するSiO、またはnS1=nS2=1.7の屈折率を有するSiONを含む。
【0093】
次いで、次の方法ステップでは、誘電性材料21が、図5に概略的に示されているようにエッチングプロセスによって構造化されて、第1の構造体5および第2の構造体16になる。
【0094】
第1の構造体のうちの、活性領域3の方を向いている側面6は、半導体積層体の第1の側面7に対して斜めに延在している。さらに、第2の構造体のうちの、活性領域3の方を向いている側面17は、半導体積層体の第2の側面18に対して斜めに延在している。
【0095】
さらに、第1の構造体5は、半導体積層体のうちの、活性領域3とは反対側を向いているさらなる第1の側面23を完全に覆っている。さらに、第2の構造体16は、半導体積層体のうちの、活性領域3とは反対側を向いているさらなる第2の側面24を完全に覆っている。
【0096】
第1の構造体5は、垂直方向の断面図において三角形の形状を有する。この三角形は、二等辺三角形である。二等辺三角形の直角は、第1の凹部4の底面と、半導体積層体のうちの、活性領域3とは反対側を向いているさらなる第1の側面23との間の角部の領域に位置している。
【0097】
さらに、第2の構造体16は、垂直方向の断面図において二等辺三角形の形状を有する。二等辺三角形の直角は、第2の凹部15の底面と、半導体積層体のうちの、活性領域3とは反対側を向いているさらなる第2の側面24との間の角部の領域に位置している。
【0098】
第1の構造体のうちの、活性領域3の方を向いている側面6は、半導体積層体の第1の側面7と共に45°±1°の角度を成している。さらに、第2の構造体のうちの、活性領域3の方を向いている側面17は、半導体積層体の第2の側面18と共に45°±1°の角度を成している。
【0099】
さらなる方法ステップでは、図6に示されているように、第1の構造体5と半導体積層体2との間に充填材料12が被着される。充填材料12は、第1の凹部4を完全に充填する。さらに、第2の構造体16と半導体積層体2との間に充填材料12が被着される。充填材料12は、第2の凹部15を完全に充填する。
【0100】
充填材料12は、例えばn=2.3の屈折率を有するNiO、またはn=2.2の屈折率を有するAlNを含む。
【0101】
さらに、図7に示されているさらなる方法ステップでは、第1の構造体5および充填材料12の上方に第1の誘電性ミラー13が被着される。さらに、この方法ステップでは、第2の構造体16および充填材料12の上方に第2の誘電性ミラー19が被着される。
【0102】
第1の誘電性ミラー13は、電磁放射に対して部分反射性に構成されている。第2の誘電性ミラー19は、第1の誘電性ミラー13とは異なり、電磁放射に対して高反射性に構成されている。
【0103】
さらなる方法ステップでは、半導体積層体2は、図8に概略的に示されているように垂直方向に切断すること20によって個別化されて、放射放出半導体チップ1になる。
【0104】
図1図8の実施例とは異なり、図9の実施例による半導体積層体2では、それぞれ1つの第1の構造体5を有する複数の第1の凹部4と、それぞれ1つの第2の構造体16を有する複数の第2の凹部15とが生成される。第1の凹部4と第2の凹部15とは、交互に配置されている。
【0105】
本実施例では、複数の第1の凹部4のうちの1つは、半導体積層体2を、それぞれ1つの活性領域3を有する2つの領域に構造化する。
【0106】
さらに、第1の構造体5および第2の構造体16は、それぞれ垂直方向の断面図において二等辺三角形の形状を有する。この場合、第1の構造体5の三角形の直角は、半導体積層体2の互いに向かい合って位置している2つの側面の間、すなわち半導体積層体の第1の側面7と、半導体積層体のさらなる第1の側面23との間の中央領域にそれぞれ位置している。さらに、第2の構造体16の三角形の直角は、半導体積層体2の互いに向かい合って位置している2つの側面の間、すなわち半導体積層体の第2の側面18と、半導体積層体のさらなる第1の側面24との間の中央領域にそれぞれ位置している。
【0107】
このような形状により、第1の構造体5は、半導体積層体の第1の側面7と、半導体積層体のさらなる第1の側面23とに対して斜めに延在している2つの側面をそれぞれ有する。さらに、第2の構造体16は、半導体積層体の第2の側面18と、半導体積層体のさらなる第1の側面24とに対して斜めに延在している2つの側面をそれぞれ有する。
【0108】
本実施例では、半導体積層体2は、第1の構造体5および第2の構造体16を通るように垂直方向に切断すること20によって個別化されて、複数の放射放出半導体チップ1になる。
【0109】
図10図13の実施例による方法では、図10に示されているように、第1の構造体5の材料および第2の構造体16の材料は、導入時に第1の構造体5および第2の構造体16が生成されるように第1の凹部4内に導入される。第1の構造体5と第2の構造体16とは、同時に生成される。
【0110】
第1の構造体5の材料は、第2の構造体16の材料に等しく、例えばInGaNを含む。第1の構造体5および第2の構造体16は、ELO(英語:“epitaxial lateral overgrowth”、略して“ELO”)プロセスによって生成される。
【0111】
第1の構造体5は、本実施例では2つの側面を有する。第1の構造体の側面のうちの1つの側面6は、半導体積層体の第1の側面7と共に45°±1°の角度を成している。さらに、第1の構造体の側面のうちの他の1つの側面6は、半導体積層体のさらなる第1の側面23と共に45°±1°の角度を成している。さらに、第2の構造体16は、少なくとも2つの側面を有する。第2の構造体の側面のうちの1つの側面17は、半導体積層体の第2の側面18と共に45°±1°の角度を成している。さらに、第2の構造体の側面のうちの他の1つの側面17は、半導体積層体のさらなる第2の側面24と共に45°±1°の角度を成している。
【0112】
図11によれば、第1の構造体5の側面と、第2の構造体16の側面とに誘電層11が被着される。誘電層11は、第1の構造体5の側面の傾斜の延在と、第2の構造体16の側面の傾斜の延在とに従っている。
【0113】
誘電層11は、例えばn=1.7の屈折率を有するSiON、またはn=1.77の屈折率を有するAlOを含む。
【0114】
図12および図13によるさらなる方法ステップでは、第1の凹部4および第2の凹部15が、充填材料12によってそれぞれ完全に充填される。第1の構造体5の上方で、充填材料12に第1の誘電性ミラー13が被着される。さらに、第2の構造体16の上方で、充填材料12に第2の誘電性ミラー19が被着される。
【0115】
半導体積層体2は、次いで、第1の構造体5と、第1の誘電性ミラー13と、充填材料12と、誘電層と、第1の半導体領域8と、基板10とを通るように、かつ第2の構造体16と、第2の誘電性ミラー19と、充填材料12と、誘電層と、第1の半導体領域8と、基板10とを通るように垂直方向に切断すること20によって個別化されて、放射放出半導体チップ1になる。
【0116】
図14図18の実施例による方法では、図14に示されているように、第1の構造体5の材料および第2の構造体16の材料が、第1の凹部4内および第2の凹部15内に完全に導入される。この材料は、図4の方法ステップとは異なり、例えばSiを含む。
【0117】
次いで、図15による材料は、湿式化学エッチングプロセスによって構造化されて、第1の構造体5および第2の構造体16になる。図16に示されているように、第1の構造体5のうちの、活性領域3の方を向いている側面と、第2の構造体16のうちの、活性領域3の方を向いている側面とに誘電層11が被着される。
【0118】
次いで、第1の凹部4および第2の凹部15が、充填材料12によってそれぞれ完全に充填される。第1の構造体5の上方で、充填材料12に第1の誘電性ミラー13が被着される。さらに、図17および図18に関連して示されているように、第2の構造体16の上方で、充填材料12に第2の誘電性ミラー19が被着される。
【0119】
図19および図20の実施例による方法では、充填材料12は、図6とは異なり、例えばGaNおよび/またはInGaNを含む。充填材料12は、第1の凹部4内および第2の凹部15内に、例えばエピタキシャルに導入される。代替的に、充填材料12は、第1の凹部4内および第2の凹部15内に、スパッタリングによって導入される。
【0120】
図21の実施例による方法段階では、充填材料12が被着される前に、半導体積層体の第1の側面7と、半導体積層体の第2の側面18とにパッシベーション層14が被着される。パッシベーション層14は、半導体積層体の第1の側面7と、半導体積層体の第2の側面18とを完全に覆っている。
【0121】
パッシベーション層14は、例えばn=2.2の屈折率を有するAlNを含む。
【0122】
図22の実施例による放射放出半導体チップ1は、半導体積層体2を含む。半導体積層体2は、第1の半導体領域8と、第2の半導体領域9と、これらの間に配置された活性領域3とを含む。活性領域3は、電磁放射を生成するために構成されている。
【0123】
さらに、半導体チップ1は、半導体積層体2において、活性領域3をそれぞれ完全に貫通する第1の凹部4および第2の凹部15を含む。第1の凹部4内には第1の構造体5が配置されており、第2の凹部15内には第2の構造体16が配置されている。
【0124】
第1の構造体のうちの、活性領域3の方を向いている側面6は、半導体積層体の第1の側面7に対して斜めに延在している。さらに、第2の構造体のうちの、活性領域3の方を向いている側面17は、半導体積層体の第2の側面18に対して斜めに延在している。第1の構造体5および第2の構造体16は、それぞれ横方向において活性領域3に対して離間されている。
【0125】
さらに、活性領域3は、半導体積層体の第1の側面7と半導体積層体の第2の側面18との間に配置されている。さらに、半導体積層体の第1の側面7上および半導体積層体の第2の側面18上には、パッシベーション層14がそれぞれ配置されている。
【0126】
第1の構造体5上および第2の構造体16上には、第1の凹部4および第2の凹部15を完全に充填する充填材料12がそれぞれ配置されている。第1の構造体5の上方の充填材料12上には第1の誘電性ミラー13が配置されており、第2の構造体16の上方の充填材料12上には第2の誘電性ミラー19が配置されている。
【0127】
図23の実施例によれば、活性領域3によって生成された電磁放射は、第1の誘電性ミラー13を介して放射放出半導体チップ1から出射することができる。図23において矢印として示されている電磁放射の伝播方向は、垂直方向に延在している。
【0128】
図24による第1の構造体5は、例えば図10に関連して説明されているように、二等辺三角形の形状を有する。
【0129】
図24による第1の構造体5は、台形の形状を有する。この場合、この台形は、少なくとも2つの側面を有し、これらの側面は、それぞれ台形の底面と共に45°±1°の角度を成している。第2の構造体16も、このような形状を有することができる。
【0130】
放射放出半導体チップ1は、例えば第1の誘電性ミラー11と第2の誘電性ミラー12との間に形成された共振器22を含む。さらに、共振器22は、活性領域3を含む。
【0131】
独国特許出願公開第102020122210.6号明細書の優先権が主張され、その開示内容を、参照によって本明細書に明示的に援用するものとする。
【0132】
図面に関連して説明された特徴および実施例を、さらなる実施例によれば、全ての組み合わせが明示的に記載されていない場合であっても互いに組み合わせることができる。さらに、図面に関連して説明された実施例は、代替的または付加的に、明細書の総論部分に記載されたさらなる特徴を有することができる。
【0133】
本発明は、実施例に基づいた説明によってこれらの実施例に限定されるわけではない。むしろ、本発明は、あらゆる新しい特徴と、とりわけ特許請求の範囲に記載された特徴のあらゆる組み合わせが含まれる、特徴のあらゆる組み合わせとを、これらの特徴またはこれらの組み合わせそのものが特許請求の範囲または実施例において明示的に提示されていない場合であっても含むものである。
【符号の説明】
【0134】
1 放射放出半導体チップ
2 半導体積層体
3 活性領域
4 第1の凹部
5 第1の構造体
6 第1の構造体の側面
7 半導体積層体の第1の側面
8 第1の半導体領域
9 第2の半導体領域
10 基板
11 誘電層
12 充填材料
13 第1の誘電性ミラー
14 パッシベーション層
15 第2の凹部
16 第2の構造体
17 第2の構造体の側面
18 半導体積層体の第2の側面
19 第2の誘電性ミラー
20 切断
21 誘電性材料
22 共振器
23 半導体積層体のさらなる第1の側面
24 半導体積層体のさらなる第2の側面
S1 第1の構造体の屈折率
S2 第2の構造体の屈折率
HL 半導体積層体の屈折率
誘電層の屈折率
充填材料の屈折率
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【国際調査報告】