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特表2023-535789電気光学デバイス、半導体装置、半導体デバイス、電気光学アレンジメントおよび電気光学デバイスの使用
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  • 特表-電気光学デバイス、半導体装置、半導体デバイス、電気光学アレンジメントおよび電気光学デバイスの使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-21
(54)【発明の名称】電気光学デバイス、半導体装置、半導体デバイス、電気光学アレンジメントおよび電気光学デバイスの使用
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/035 20060101AFI20230814BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
G02F1/035
H01L31/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505740
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 EP2021071123
(87)【国際公開番号】W WO2022023407
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】202020104362.5
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522303733
【氏名又は名称】ゲゼルシャフト フュア アンゲヴァンテ ミクロ- ウント オプトエレクトロニク ミット ベシュレンクテル ハフツング - アーエムオー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】シャル ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ズッコー シュテファン
【テーマコード(参考)】
2K102
5F149
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA02
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102CA11
2K102DA04
2K102DB04
2K102DB08
2K102DD10
2K102EA02
2K102EA03
2K102EA08
2K102EA16
5F149AA04
5F149AB02
5F149LA01
5F149XB15
5F149XB37
(57)【要約】
本発明は、2つの相互作用領域2を有する電気光学デバイス1であって、各々が導波路長手方向セクション3と1つまたは2つのアクティブ要素5とを備えている。これらのアクティブ要素5は、少なくとも1つの電気光学活性材料、より詳細には、グラフェンを備えている。2つの相互作用領域2の導波路長手方向セクション3は、互いに離間して配置され、アクティブ要素5は、それぞれの相互作用領域2の導波路長手方向セクション3の上方および/または下方および/または内部に少なくとも部分的に延在している。2つ以上の接触要素6が、各々がアクティブ要素5の少なくとも1つと接触するように設けられている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学デバイス(1)、特に光検出器または変調器であって、
それぞれが導波路長手方向セクション(3)および1つまたは2つのアクティブ要素(5)を有する2つの相互作用領域(2)と、それぞれがアクティブ要素(5)の少なくとも1つと接触する2つ以上の接触要素(6)とを備えており、
1つまたは2つのアクティブ要素(5)それぞれは、少なくとも1つの電気光学活性材料、特にグラフェンを含むか、またはそれからなり、2つの相互作用領域(2)の導波路長手方向セクション(3)は、互いに離間して配置され、1つまたは2つのアクティブ要素(5)は、それぞれの相互作用領域(2)の導波路長手方向セクション(3)の上方および/または下方および/または内部に少なくとも部分的に延在しており、
2つ以上の接触要素(6)として、2つの離間した導波路長手方向セクション(3)の間に配置されて内側信号接点として機能する少なくとも1つの内側接触要素(6)と、
内側接触要素(6)に対して導波路長手方向セクション(3)の反対側にそれぞれ配置されてそれぞれが1つの外側接地接点として機能する2つの外側接触要素(6)、または、互いに離間して配置された2つのアーム(6a)および2つのアーム(6a)を接続する接続部(6b)を備えた実質的にU字形とされて2つの導波路長手方向セクション(3)の外側に係合し、2つのアーム(6a)が少なくとも部分的にそれぞれが1つの外側接地接点として機能する1つの外側接触要素(6)とが設けられている電気光学デバイス(1)。
【請求項2】
接触要素(6)として、内側接触要素(6)が設けられており、
内側接触要素(6)は、一方の相互作用領域(2)の1つのアクティブ要素および他方の相互作用領域(2)の1つのアクティブ要素に接触しており、
または、接触要素(6)として、2つの内側接触要素(6)が設けられており、一方の内側接触要素(6)が一方の相互作用領域(2)の1つのアクティブ要素(5)と接触しており、他方の内側接触要素(6)が他方の相互作用領域(2)の1つのアクティブ要素(5)と接触しており、
および/または、接触要素(6)として、1つの外側接触要素(6)が設けられており、外側接触要素(6)は、一方の相互作用領域(2)の1つのアクティブ要素(5)および他方の相互作用領域(2)の1つのアクティブ要素(5)と接触しており、
または、接触要素(6)として、2つの外側接触要素(2)が設けられており、一方の外側接触要素(6)が一方の相互作用領域(2)の1つのアクティブ要素と接触しており、他方の外側接触要素(6)が他方の相互作用領域(2)の1つのアクティブ要素に接触していることを特徴とする請求項1の電気光学デバイス(1)。
【請求項3】
2つの導波路長手方向セクション(3)は、1つの導波路(4)の一部であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学デバイス(1)。
【請求項4】
導波路(4)は、2つの分岐アーム(4c)(4d)を有する分岐を含み、好ましくは、2つの導波路長手方向セクション(3)のそれぞれは、分岐の1つのアーム(4c)(4d)の領域内に配置され、分岐の2つのアーム(4c)(4d)に、好ましくは等しい割合で入射光信号を分配するスプリッタ(16)が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電気光学デバイス(1)。
【請求項5】
導波路(4)は、互いに離間されて好ましくは互いに平行でかつ好ましくはそれぞれが直線状の2つのアーム(4a)およびこれら2つのアーム(4a)を接続する好ましくは直線状の接続部(4b)を有する少なくとも実質的にU字形のコースを少なくとも一部に備えており、2つの導波路長手方向セクション(3)のうちの1つは、それぞれ、2つのアーム(4a)のうちの1つの領域内にあることを特徴とする請求項3に記載の電気光学デバイス(1)。
【請求項6】
電気光学デバイス(1)、特に光検出器または変調器であって、
導波路長手方向セクション(3)および1つまたは2つのアクティブ要素(5)を有する相互作用領域(2)と、それぞれが1つのアクティブ要素(5)と接触する2つ以上の接触要素(6)とを備えており、
導波路長手方向セクション(3)は、互いに離間して配置された2つのアーム(4a)および2つのアーム(4a)を接続する接続部(4b)を有して、少なくとも実質的にU字形とされており、1つまたは2つのアクティブ要素(5)は、互いに離間して配置された2つのアーム(5a)および2つのアーム(5a)を接続する接続部(5b)を有して、少なくとも部分的に実質的にU字形とされており、
1つまたは2つのアクティブ要素(5)それぞれは、少なくとも1つの電気光学活性材料、特にグラフェンを含むか、またはそれからなり、導波路長手方向セクション(3)の上方および/または下方および/または内部に少なくとも部分的に延在しており、
2つ以上の接触要素(6)として、少なくとも実質的にU字形とされた導波路長手方向セクション(3)の間に配置されて内側信号接点として機能する少なくとも1つの内側接触要素(6)と、内側接触要素(6)に対して導波路長手方向セクション(3)の各アーム(4a)の反対側にそれぞれ配置されて1つの外側接地接点として機能する2つの外側接触要素(6)、または、互いに離間して配置された2つのアーム(6a)および2つのアーム(6a)を接続する接続部(6b)を備えた少なくとも部分的に実質的にU字形とされて2つの導波路長手方向セクション(3)の外側を囲み、2つのアーム(6a)が少なくとも部分的に1つの外側接地接点として機能する外側接触要素(6)とが設けられている電気光学デバイス(1)。
【請求項7】
導波路長手方向セクション(3)は、非環状閉導波路(6)の一部であることを特徴とする請求項6に記載のデバイス(1)。
【請求項8】
導波路(4)の一方のア-ム(4a)の領域における断面積が,導波路(4)の他方のア-ム(4a)の領域における断面積よりも大きいこと,好ましくは,光伝播方向から見て,第1のア-ム(4a)において断面積が大きいことを特徴とする請求項5から7までのいずれかに記載の電気光学デバイス(1)。
【請求項9】
接触要素(6)として、内側接触要素(6)が設けられており、内側接触要素(6)は、1つのアクティブ要素の一方のアーム(5a)および同他方のアーム(5a)の両方に接触しており、
または、接触要素(6)として、2つの内側接触要素(6)が設けられており、一方の内側接触要素(6)が1つのアクティブ要素の一方のアーム(5a)に、他方の内側接触要素(6)が同他方のアーム(5a)に接触しており、
および/または、接触要素(6)として、1つの外側接触要素(6)が設けられており、外側接触要素(6)は、1つのアクティブ要素の一方のアーム(5a)および同他方のアーム(5a)の両方に接触しており、
または、接触要素(6)として、2つの外側接触要素(2)が設けられており、一方の外側接触要素(6)が1つのアクティブ要素の一方のアーム(5a)に、他方の外側接触要素(6)が同他方のアーム(5a)に接触していることを特徴とする請求項6または請求項7または請求項8に記載の電気光学デバイス(1)。
【請求項10】
電気光学デバイス(1)は、光検出器として形成され、相互作用領域(2)は、正確に1つのアクティブ要素(5)を備え、好ましく、内側接触要素(6)および外側接触要素(6)は、1つのアクティブ要素(5)の特に好ましくはその互いに対向する側において接触することを特徴とする請求項1から9までのいずれかに記載の電気光学デバイス(1)。
【請求項11】
電気光学デバイス(1)は、変調器、特に電気光学変調器として形成され、
相互作用領域(2)は、2つのアクティブ要素(5)を含み、好ましくは、内側接触要素(6)は、相互作用領域(2)の一方のアクティブ要素(5)と接触し、外側接触要素(6)は、相互作用領域(2)の他方のアクティブ要素(5)と接触するか、
または、相互作用領域(2)は、1つのアクティブ要素(5)および電極を含み、好ましくは、内側接触要素(6)は、相互作用領域(2)の1つのアクティブ要素(5)と接触し、外側接触要素(6)は、相互作用領域(2)の電極(5)と接触するか、または、その逆になるように接触することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の電気光学デバイス(1)。
【請求項12】
相互作用領域(2)の2つのアクティブ要素(5)または1つのアクティブ要素(5)および電極は、一方が他方の上側に部分的に位置してオーバーラップ領域を形成するように、互いに離間されるとともに、互いにオフセットするように配置されていることを特徴とする請求項11に記載の電気光学デバイス(1)。
【請求項13】
1つの相互作用領域(2)または2つの相互作用領域(2)をつなぐ導波路バイパス部(19)が設けられて、これにより、特に同一源から発光する光が1つの相互作用領域(2)または2つの相互作用領域(2)を通過して導波路バイパス部(19)に導波され、
好ましくは、電気光学デバイス(1)(1)が干渉計または干渉計の構成要素として形成され、および/または、光を一方で導波路バイパス部(19)に、他方で相互作用領域(2)の導波路長手方向セクション(3)に分割するスプリッタ(16)が設けられていることを特徴とする請求項1から12までのいずれかに記載の電気光学デバイス(1)。
【請求項14】
相互作用領域(2)の導波路長手方向セクション(3)は、導波路(4)の一部であり、その一端に、光の入力および/または出力を結合する結合装置(17)が設けられるか、またはその両端に、光の入力および/または出力を結合する結合装置(17)が設けられていることを特徴とする請求項1から13までのいずれかに記載の電気光学デバイス(1)。
【請求項15】
少なくとも1つの電気光学活性材料は、少なくとも1つの波長の電磁放射を吸収し、その吸収の結果として電気光信号を発生する材料、および/または、電圧の関数および/または電荷の存在および/または電界によって屈折率が変化する材料であり、特に、グラフェンおよび/または少なくとも1つのジカルコゲナイド、特に二次元遷移ジカルコゲナイドおよび/または二次元材料のヘテロ構造および/またはゲルマニウムおよび/またはニオブ酸リチウムおよび/または少なくとも1つの電気光学ポリマーおよび/またはシリコンおよび/または少なくとも1つの化合物半導体、特に少なくとも1つのIII-V半導体および/または少なくとも1つのII-VI半導体であることを特徴とする請求項1から14までのいずれかに記載の電気光学デバイス(1)。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれかに記載の少なくとも1つの電気光学デバイス(1)と、同軸導体および/またはコプレーナ導体に接続する接続デバイス(20)とを備え、接続デバイス(20)は、接地接点として機能する1つ以上の内部接続素子(21)と、信号接点として機能する1つ以上の外部接続素子(21)とを備え、電気光学デバイス(1)の内側接触要素(6)は、接続デバイス(20)の内部接続素子(21)に接続されているか接続可能とされており、電気光学デバイス(1)の外部接触要素(6)は、接続デバイス(20)の外部接触要素(21)に接続されているか接続可能とされている電気光学アレンジメント。
【請求項17】
チップと、少なくとも1つの電気光学デバイス(1)、好ましくは、請求項1から16までのいずれかに記載の複数の電気光学デバイス(1)とを備え、電気光学デバイス(1)は、好ましくは、チップ上に配置されるか、またはチップ上に設けられた被膜上に配置されることを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
電気光学デバイス(1)は、チップ上に製造されるかまたは接合されるフォトニックスプラットフォームの一部であることを特徴とする請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
ウエハ(8)と、少なくとも1つの電気光学デバイス(1)、好ましくは、請求項1から15までのいずれかに記載の複数の電気光学デバイス(1)とを備え、電気光学デバイス(1)は、好ましくは、ウエハ(8)上に配置されるか、またはウエハ(1)上に配置された被膜上に配置されることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項20】
電気光学デバイス(1)は、ウエハ(8)上に製造されるかまたは接合されるフォトニックスプラットフォームの一部であることを特徴とする請求項19に記載の半導体デバイス。
【請求項21】
請求項1から15までのいずれかに記載の電気光学デバイス(1)の使用であって、電気光学デバイス(1)の内側接触要素(6)が、同軸導体またはコプレーナ導体もしくは接続デバイス(20)の接地接点に接続され、電気光学デバイス(1)の外側接触要素(6)が、同軸導体またはコプレーナ導体もしくは接続デバイス(20)の接地接点に接続されている電気光学デバイス(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学デバイス、特に光検出器または変調器に関する。さらに、本発明は、チップおよび少なくとも1つの電気光学デバイスを有する半導体装置、ウエハおよび少なくとも1つの電気光学デバイスを有する半導体デバイス、電気光学アレンジメントおよび電気光学デバイスの使用に関する。
【0002】
光検出器や電気光学変調器などの電気光学デバイスは、従来技術から知られている。これらは、例えば、導波路または導波路長手方向セクションと、光検出器の場合には、1つの、電気光学変調器の場合には、2つの、アクティブ要素として2枚のグラフェンフィルムを含む。そのようなデバイスは、例えば、米国特許第9,893,219号に開示されている。ここでは、アクティブ要素は、導波路長手方向セクションとオーバーラップする。また、導波路集積型の光検出器または変調器も知られている。アクティブ要素は、導波路の側面に配置された接触要素と接触しており、その接触要素を介して、さらなる構成要素への接続が達成される。接触要素は、例えば、金属のフィルムまたは被膜によって提供することができ、これを介して、アクティブ要素とさらなる構成要素との電気的結合が可能である。動作中、導波路によって導波される電磁放射とグラフェンフィルムとの間の相互作用が起こり得る。グラフェンフィルムが導波路にオーバーラップする領域も理解でき、相互作用領域と呼ばれる。
【0003】
A. Pospischil et al., Nature Photonics による論文“CMOS-compatible graphene photodetektor covering all optical communication bands”, Nature Photonics, 15 (2013), pages 892 to 896によると、導波路長手方向セクションと、導波路の断面に重なり、導波路の横方向に配置された2つの接触要素に接触するグラフェンフィルムによって与えられるアクティブ要素とを有する別のグラフェン光検出器が知られている。この刊行物によれば、導波路の上方に位置するグラフェンフィルム上には、横方向に配置された2つの接触要素に加えて、第3の接触要素が設けられている。3つの接触要素は、接地接点および信号接点として機能し、特に、中心の信号接点および2つの横方向接地接点として機能する。言い換えれば、接地-信号-接地(ground-signal-ground)構成(G-S-Gまたはgnd-s-gnd構成と略される)を達成することができ、それは利点を有する。この構成の主な利点は、高周波信号の対称発生であり、これにより、コプレーナ導体および同軸導体を介して外部装置に良好な結合を行うことができる。G-S-G配置を有する既知の光検出器自体が開示されている。しかしながら、導波路の上方に配置された金属接触要素が光吸収を導き、それによってデバイスの性能を低下させることは、時として好ましくないと考えられる。
【0004】
これに基づいて、本発明の目的は、G-S-G構成の利点を提供し、同時に先行技術の欠点を回避または少なくとも低減する代替的に設計された電気光学デバイスを提供することである。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、この目的は、電気光学デバイス、特に光検出器または変調器によって解決され、この電気光学デバイスは、それぞれが導波路長手方向セクションおよび1つまたは2つのアクティブ要素を有する2つの相互作用領域と、それぞれがアクティブ要素の少なくとも1つと接触する2つ以上の接触要素とを備えており、1つまたは2つのアクティブ要素それぞれは、少なくとも1つの電気光学活性材料、特にグラフェンを含むか、またはそれからなり、2つの相互作用領域の導波路長手方向セクションは、互いに離間して配置され、1つまたは2つのアクティブ要素は、それぞれの相互作用領域の導波路長手方向セクションの上方および/または下方および/または内部に少なくとも部分的に延在しており、2つ以上の接触要素として、2つの離間した導波路長手方向セクションの間に配置されて内側信号接点として機能する少なくとも1つの内側接触要素と、内側接触要素に対して導波路長手方向セクションの反対側にそれぞれ配置されてそれぞれが1つの外側接地接点として機能する2つの外側接触要素、または、互いに離間して配置された2つのアームおよび2つのアームを接続する接続部を備えた実質的にU字形とされて2つの導波路長手方向セクションの外側に係合し、2つのアームが少なくとも部分的にそれぞれが1つの外側接地接点として機能する1つの外側接触要素とが設けられている。
【0006】
換言すれば、本発明は、電気光学デバイス、特に光検出器または変調器において、各々が導波路長手方向セクションを有する2つの相互作用領域を提供するという考えに基づいている。導波路長手方向セクションは、互いに離間して配置され、これにより、追加の接触要素を提供するためのスペースが形成される。このスペースへの接触要素の提供は、導波路上に配置された接触要素の欠点にならない。その結果、信号接点と導波路との間の望ましくない相互作用の欠点なしに、1つの中心信号接点と2つの横方向の接地接点とを有するG-S-G構成を達成することができる。特に、高周波成分をコプレーナまたは同軸界面に接続するためには、特に接地および信号に関して対称な構成要素としての中央信号接点および横方向の接地接点を備えた配置が有利である。なぜなら、高周波信号は、コプレーナまたは同軸配列に対してより干渉無しで送信することができるからである。これは、特に、光検出器または変調器のような電気光学デバイスが、平面チップ表面上に配置されるか、またはそのような表面の一部を形成する場合に、平面チップ表面からコプレーナまたは同軸配列への特に干渉の無い伝搬を達成することができる。
【0007】
内側接触要素、好ましくは正確に1つの内側接触要素が提供される場合、この内側接触要素は、一方の相互作用領域の1つのアクティブ要素および他方の相互作用領域の1つのアクティブ要素に接触する。言い換えると、相互作用領域の両方に割り当てられ、特に、両方の相互作用領域のアクティブ要素に対して共通の電気(信号)接続を形成する共通の内側接触要素が、導波路長手方向セクション間に存在する。
【0008】
2つの内側接触要素が提供される場合、一方の内側接触要素が一方の相互作用領域の1つのアクティブ要素と接触しており、他方の内側接触要素が他方の相互作用領域の1つのアクティブ要素に接触することが好ましい。2つの内側接触要素は、互いに電気的に接続され、および/または共通(信号)接続点に電気的に接続される。
【0009】
さらに、1つ、好ましくは正確に1つの外側接触要素が提供される場合、外側接触要素は、一方の相互作用領域の1つのアクティブ要素および他方の相互作用領域の1つのアクティブ要素と接触してもよい。
【0010】
2つの外側接触要素が提供される場合、外側接触要素のうちの1つは、一方の外側接触要素が一方の相互作用領域の1つのアクティブ要素と接触しており、他方の外側接触要素が他方の相互作用領域の1つのアクティブ要素に接触していることが好ましい。
【0011】
両方の相互作用領域の1つのアクティブ要素に接続された正確に一つの内側接触要素と、2つの相互作用領域の一方の1つのアクティブ要素にのみそれぞれが接触している2つの外側接触要素との組み合わせが、特に有利であることが証明されている。
【0012】
ここで、2つの外側接触要素は、好ましくは、内側接触要素に対して導波路長手方向セクションの反対側に配置される。外側接触要素および内側接触要素は、特に一直線上に配置されることが好ましい。
【0013】
2つの導波路長手方向セクションに関して、さらなる有利な実施形態において、それらは、1つの導波路の一部であり、言い換えれば、1つの導波路の互いに離間して配置された2つの導波路長手方向セクションが存在する。
【0014】
このような実施形態の特に好適な例は、2つの分岐アームを有する分岐を含む導波路と、2つの導波路長手方向セクションのそれぞれが分岐のそれぞれのアームの領域内に配置されることとで得ることができる。
【0015】
分岐の2つのアームに好ましくは等しい割合で入射光信号を分配するためのスプリッタが設けられていることが好ましい。分岐の2つのアーム間には、少なくとも1つの内側接触要素のためのスペースが提供され、これにより、G-S-G配置が特に好適な方法で得られる。
【0016】
本文脈では、光は、人間の眼に可視なスペクトル範囲の電磁放射として理解されるだけでなく、この範囲外の電磁放射、例えば赤外および/または紫外波長範囲の電磁放射としても理解されるべきであることに留意されたい。
【0017】
特に好ましくは、スプリッタは、50/50スプリッタとして設計され、これにより、1つの入力信号から2つの等しく大きな出力信号を得ることができる。スプリッタは、例えば、MMIスプリッタまたは方向性結合器として設計することができ、またはそのような結合器を含むことができる。MMIは、Multi Mode Interferenceの略。
【0018】
分岐を有する実施形態は、特に検出器の場合、対称吸収の利点を提供することができる。
【0019】
さらに特に有利な実施形態では、導波路は、互いに離間されて好ましくは互いに平行でかつ好ましくはそれぞれが直線状の2つのアームおよびこれら2つのアームを接続する好ましくは直線状の接続部を有する少なくとも実質的にU字形のコースを少なくとも一部に備えており、2つの導波路長手方向セクションのうちの1つは、それぞれ、2つのアームのうちの1つの領域内にある。これにより、少なくとも1つの内側接触要素に対してU字形断面内のスペースが利用可能であり、G-S-G配置が特に好適な方法で得られる。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、上述の目的は、相互作用領域を有する電気光学デバイス、特に光検出器または変調器によってさらに解決され、この電気光学デバイスは、導波路長手方向セクションおよび1つまたは2つのアクティブ要素を有する相互作用領域と、それぞれが1つのアクティブ要素と接触する2つ以上の接触要素とを備えており、導波路長手方向セクションは、互いに離間して配置された2つのアームおよび2つのアームを接続する接続部を有して、少なくとも実質的にU字形とされており、1つまたは2つのアクティブ要素は、互いに離間して配置された2つのアームおよび2つのアームを接続する接続部を有して、少なくとも部分的に実質的にU字形とされており、1つまたは2つのアクティブ要素それぞれは、少なくとも1つの電気光学活性材料、特にグラフェンを含むか、またはそれからなり、導波路長手方向セクションの上方および/または内部に少なくとも部分的に延在しており、2つ以上の接触要素として、少なくとも部分的に実質的にU字形とされた導波路長手方向セクションの間に配置されて内側信号接点として機能する少なくとも1つの内側接触要素と、内側接触要素に対して導波路長手方向セクションの各アームの反対側にそれぞれ配置されて1つの外側接地接点として機能する2つの外側接触要素、または、互いに離間して配置された2つのアームおよび2つのアームを接続する接続部を備えた少なくとも部分的に実質的にU字形とされて2つの導波路長手方向セクションの外側を囲み、2つのアームが少なくとも部分的に1つの外側接地接点として機能する外側接触要素とが設けられている。
【0021】
言い換えると、離間された導波路長手方向セクションおよび別個のアクティブ要素を有する2つの離間相互作用領域の代わりに、少なくとも1つの内側接触要素のために利用可能な空間を有する少なくとも実質的にU字形の構成の連続相互作用領域としてもよい。第2の態様では、それぞれのアクティブ要素は、実質的にU字形であり、導波路長手方向セクションの上方および/または内方の導波路長手方向セクションのアームの領域内だけでなく、アームを接続する接続部の領域内にも便宜的に延在する。
【0022】
少なくとも実質的にU字形の導波路長手方向セクションは、非環状閉鎖導波路のさらなる発展形態であり、特に、それは開放導波路の一部である。この文脈では、環状導波路は、始端も終端も持たない環状配列のために、結合された入力光が共振器内で伝搬して、入力光自体と干渉するものとして理解されるべきである。開放導波路は、これと違って、光は導波路の経路に沿って伝搬し、それ自体には戻らないので、それ自体に干渉しない。
【0023】
別の特に好ましい実施形態では、導波路の一方のアームの領域における断面積は、導波路の他方のアームの領域における断面積よりも大きい。これにより、断面積は、光伝搬方向から見た第1のアームにおいて、光伝搬方向から見た第2のアームにおいてよりも便宜的に大きい。
【0024】
U字形導波路セクションは、少なくとも1つの内部信号コンタクトのための空間を提供するのに非常に適しているが、電気信号の対称性の観点から、それに関連する欠点があり得る。Lambert Beerの法則によれば、伝搬方向に沿った電磁放射の吸収は、第1のアームの領域において、第2のアームにおいてよりも、より多くの吸収をもたらす。これにより、高周波モードを不利な方法で対称的に励起され得る。この問題を回避するために、両方のアーム内の吸収パワーが同一となるように、導波路のU字形領域内の導波路断面は、第1アーム内のアクティブ要素と伝搬方向に沿った長さ当たりの光の相互作用が、第2アーム内におけるものと比較して非常に少なくなるように、具体的に適合され得る。この目的のために、例えば、第1のアーム内の導波路断面を拡大して、光モードを導波路内でさらに導波し、第1のアーム内の相互作用を低減することができる。調整の目的は、第1のアーム内において、最初に得られるパワーと比較してその半分を吸収することである。
【0025】
また、第2の態様において、少なくとも1つ、好ましくは正確に1つの内側接触要素が提供される場合、これは、1つのアクティブ要素の一方のアームおよび1つのクティブ要素の他方のアーム両方と接触してもよい。
【0026】
別法として、もちろん、2つの内側接触要素が設けられている場合、2つの内側接触要素のうちの1つは、1つのアクティブ要素の一方のアームと接触し、他の内側接触要素は、1つのアクティブ要素の他方のアームと接触することも可能である。
【0027】
さらに、特に1つ、好ましくは正確に1つの外側接触要素が提供される場合、これは、1つのアクティブ要素の一方のアームおよび1つのクティブ要素の他方のアーム両方と接触してもよい。
【0028】
2つの外側接触要素が設けられている場合、好ましくは、外側接触要素の1つは、1つのアクティブ要素の一方のアームと接触し、他の外側接触要素は、1つのアクティブ要素の他方のアームと接触する。
【0029】
第1の態様による本発明の電気光学デバイスおよび第2の態様による本発明の電気光学デバイスの両方について、好ましくは電気光学変調器として設計される場合、それぞれの1または複数の相互作用領域は、2つのアクティブ要素を含むことができる。そして、好ましくは、1つまたは複数のうちの1つの内側接触要素は、1つまたはそれぞれの相互作用領域のアクティブ要素と接触し、1つまたは複数のうちの1つの外部接触要素は、1つまたはそれぞれの相互作用領域の他のアクティブ要素と接触する。特に、それぞれの接触要素は、その横方向側にあるそれぞれの要素と接触することができる。
【0030】
1つまたはそれぞれの相互作用領域が、2つのアクティブ要素の代わりに1つのアクティブ要素および1つの電極を含み、好ましくは、1つまたは複数のうちの1つの内部接触要素が1つまたはそれぞれの相互作用領域のアクティブ要素と接触し、1つまたは複数のうちの1つの外部接触要素が1つまたはそれぞれの相互作用領域の電極と接触するか、またはその逆とされてもよい。
【0031】
それぞれの接触要素は、特に、それぞれのアクティブ要素またはその横方向側にあるそれぞれの電極と接触することができる。
【0032】
「逆とされてもよい。」は、それぞれの電極が内側接触要素と接触し、それぞれのアクティブ要素が外側接触要素と接触することを意味する。
【0033】
2つのアクティブ要素の代わりに、1つのアクティブ要素および1つの電極がある場合、さらなる展開において、電極は、少なくとも部分的に、2つのアームおよびアームを接続する接続部を有する少なくとも実質的にU字形とされていることができる。アームは、直線的であり、互いに平行に延びることができる。接続部も直線的であってもよい。
【0034】
好ましくは、1つまたはそれぞれの相互作用領域の2つのアクティブ要素または1つのアクティブ要素および1つの電極は、互いに離間され、オーバーラップ領域の部分において互いに上下に位置するように互いに対してオフセットされるように配置される。
【0035】
言い換えれば、一方のアクティブ要素の部分は、接触せずに、他方のアクティブ要素または電極の部分と整列またはオーバーラップする。好ましくは、少なくともオーバーラップ領域において、2つのアクティブ要素またはそれぞれの2つのアクティブ要素、または、1つのアクティブ要素またはそれぞれの1つのアクティブ要素および1つの電極またはそれぞれの電極、または、それらの少なくとも部分は、互いに少なくとも実質的に平行に延びる。
【0036】
さらに特に有利な実施形態では、横方向のオーバーラップ領域の範囲は、10nm~1000nmである。好ましくは、それは導波路の幅に対応する。
【0037】
導波路長手方向セクションまたは導波路長手方向セクションの1つが少なくとも1つのギャップを有している場合、好ましくは、オーバーラップ領域は、1つのギャップまたは少なくとも1つのギャップの上または下に配置される。
【0038】
要素または部分が、2つのアームおよび接続部を有する少なくとも実質的にU字形である場合、アームは、互いに少なくとも実質的に平行に延びるか、および/または、直線的であってもよい。接続部はまた、直線的であってもよい。
【0039】
第1の態様および第2の態様の両方のさらなる実施形態では、導波路バイパス部が設けられてもよく、導波路バイパス部によると、1つまたは2つの相互作用領域をブリッジして、特に同じソースから発する光が、導波路バイパス部を介して1つまたは2つの相互作用領域を通過して導波される。そして、電気光学デバイスは、干渉計として、または干渉計の構成要素として形成されることがさらに好ましい。代替的にまたは追加的に、一方では導波路バイパス部に、他方では1つまたは2つの相互作用領域の導波路長手方向セクションに光を分割するスプリッタを提供することができる。
【0040】
さらなる展開において、分岐を有する変形例について、上述したものと同じものがスプリッタに適用され得る。
【0041】
1つまたは2つの相互作用領域の導波路長手方向セクションは、さらに、一端に光の出入りを結合する結合デバイスが設けられるか、または、両端に光の出入りを結合する結合デバイスがそれぞれ設けられている導波路の一部であってもよい。
【0042】
導波路長手方向セクションの各々に2つのアクティブ要素が割り当てられる変調器の場合、1つのアクティブ要素の各々は互いに離間され、オーバーラップ領域内で互いに上下に部分的に位置するように互いにオフセットして配置されることがさらに好ましい。導波路長手方向セクションの各々にアクティブ要素および(従来からある)電極が割り当てられる変調器の場合、好ましい実施形態では、上記に類似して、アクティブ要素またはそれぞれのアクティブ要素および電極またはそれぞれの電極が互いに離間して配置され、互いにオーバーラップする領域の上下に部分的に位置するように互いにオフセットして配置される形態を適用することができる。言い換えれば、一方のアクティブ要素の部分は、接触せずに、他方のアクティブ要素または電極の部分と整列またはオーバーラップする。好ましくは、少なくともオーバーラップ領域において、アクティブ要素または各アクティブ要素および電極または各電極またはそれらの少なくとも部分は、互いに少なくとも実質的に平行に延びる。
【0043】
導波路長手方向セクションまたは導波路長手方向セクションの1つが、少なくとも1つのギャップを有する場合、好ましくは、オーバーラップ領域は、好ましくは、ギャップ幅に対応し、ギャップまたは少なくとも1つのギャップの上または下に配置される。
【0044】
導波路長手方向セクションは、特に、好ましくは光伝播方向と一致する長手方向における導波路の全領域の一部のみにわたって延在し、かつ導波路の全断面にわたって延在する導波路の一部として理解されるべきである。
【0045】
本発明に係る電気光学デバイスは、例えば、光検出器または特に電気光学変調器として設計することができる。それはまた、干渉計、例えばマッハ-ツェンダー干渉計の形態であってもよく、または干渉計、例えばマッハ-ツェンダー干渉計の構成要素または一部を形成してもよい。例えば、変調器として構成された本発明に係る電気光学デバイスは、マッハ-ツェンダーベースの位相変調器配列の構成要素であってもよい。
【0046】
光検出器は、特に、光から電子世界への信号変換のために役立つことに留意されたい。電気光学変調器は、特に、光信号符号化のために使用することができる。電気光学変調器もまた、リング変調器として具現化することができる。
【0047】
本発明に係る電気光学デバイスのアクティブ要素は、少なくとも1つの電気光学活性材料を含むか、または1つ以上のそのような材料から構成される。
【0048】
電気光学活性材料は、特に、材料が少なくとも1つの波長の電磁放射を吸収し、吸収の結果として電気光信号を生成するか、および/または、その屈折率が電圧の関数および/または電荷および/または電場の存在の関数として変化する材料である。
【0049】
材料がその屈折率を変化させることは、特に、その分散(特に屈折率)および/またはその吸収を変化させることと理解されるべきである。分散または屈折率は、通常、実部および複素屈折率の虚部による吸収によって与えられる。 電圧の関数および/または電場の存在として屈折率が変化する材料は、本明細書では、特に、Pockels効果および/またはFanz-Keldysh効果および/またはKerr効果によって特徴付けられる材料であると理解される。さらに、プラズマ分散効果を特徴とする材料も、このような材料であると考えられる。
【0050】
少なくとも1つのアクティブ要素の少なくとも1つの電気光学活性材料が、グラフェン、化学的に修飾された可能性のあるグラフェン、および/または少なくとも1つのジカルコゲニド、特に2次元遷移金属ジカルコゲニド、および/または2次元材料のヘテロ構造および/またはゲルマニウムである場合、特に好適であることが証明されている。
【0051】
多くの材料は、それらの屈折率が電圧の関数および/または電荷および/または電場の存在として変化するという事実と、それらが少なくとも1つの波長の電磁放射を吸収し、吸収の結果として電気的光信号を生成するという事実との両方によって特徴付けられる。たとえば、グラフェンの場合、これが当てはまる。したがって、グラフェンは、光検出器および変調器のアクティブ要素の両方に適している。これは、二次元遷移金属ジカルコゲニドのようなジカルコゲニド、二次元材料のヘテロ構造、ゲルマニウム、シリコン、ならびに化合物半導体、特にIII-V半導体および/またはII-VI半導体などにも適用される。例えば、ニオブ酸リチウムは、一般にモジュレーターにのみ適しており、透明であるため、吸収特性を満たさず、光検出器には適さない。
【0052】
少なくとも1つのアクティブ要素の少なくとも1つの電気光学活性材料は、850nmおよび/または1310nmおよび/または1550nmの波長の電磁放射を吸収し、吸収の結果として光信号を生成することができるものとされる。特に、800nm~900nmおよび/または1260nm~1360nm(いわゆるオリジナルバンドまたは略してO-バンド)および/または1360nm~1460nm(いわゆるエクステンドバンドまたは略してE-バンド)および/または1460nm~1530nm(いわゆるショートバンドまたは略してS-バンド)および/または1530nm~1565nm(いわゆるコンベンショナルバンドまたは略してC-バンド)および/または1565nm~1625nm(いわゆるロングバンドまたは略してL-バンド)の波長範囲の電磁放射を吸収して光信号を生成することができることが好ましい。
【0053】
代替的にまたは追加的に、導波路長手方向セクションおよび/またはさらなる導波路長手方向セクションに割り当てられた1つのまたは少なくとも1つのアクティブ要素は、フィルムの形態で提供されてもよい。フィルムは、好ましくは、それ自体公知の方法で、厚さよりも著しく大きな横方向の範囲によって特徴付けられる。アクティブ要素または少なくとも1つのアクティブ要素は、正方形または長方形の断面によってさらに特徴付けることができる。
【0054】
アクティブ要素または少なくとも1つのアクティブ要素はまた、屈折率が変化する、および/または少なくとも1つのかかる材料の1つ以上の層または被膜を吸収する、または形成する少なくとも1つの材料の1つ以上の層または被膜を含むことができる。また、アクティブ要素または少なくとも1つのアクティブ要素が、1つまたは異なる材料のいくつかの層または被膜を含むフィルムとして形成されることも可能である。
【0055】
グラフェンのフィルム、化学的に修飾された可能性のあるグラフェン、またはグラフェンの少なくとも1つの層とジハロゲン化物の少なくとも1つの層とからなるジハロゲン化物-グラフェンヘテロ構造、または窒化ホウ素の少なくとも1つの層とグラフェンの少なくとも1つの層との配置が、特に好適であることが証明されている。
【0056】
また、アクティブ要素のうちの少なくとも1つが、1つ以上のシリコン被膜を含むか、またはそれらから構成されることも可能である。
【0057】
アクティブ要素またはアクティブ要素は、更にドープされていてもよく、またはドープされた部分または領域を含んでいてもよく、例えば、pドープおよび/またはnドープされていてもよく、または対応する部分または領域を含んでいてもよい。また、pドープ領域およびnドープ領域、および好ましくは中間の非ドープ領域が存在し、または提供されてもよい。これはまた、pinジャンクションとも呼ばれ、ここでiは、真性、すなわち、ドープされていないことを表す。
【0058】
要素または被膜は、導波路長手方向セクションまたは(他の)要素または(他の)被膜の上または下に配置されるか延在するということは、それぞれが導波路長手方向セクションまたは(他の)要素または(他の)被膜の直接上または直接下に配置されるか延在し、例えばそれらの上面また下面に接触している場合と、それぞれと導波路長手方向セクションまたは(他の)要素または(他の)被膜との間(上または下)にさらに別の要素または被膜が存在している場合とを含んでいる。
【0059】
さらに、不動態化被膜および/またはクラッドを、少なくとも1つのアクティブ要素の上に設けることができる。クラッドは、屈折率コントラストをいくぶん低くするのに特に適しているか、または具体化されているので、側壁上の粗さは、そのような効果を全く持たない;通常、損失は導波路内に戻る。不動態化被覆は、好ましくは、環境の影響、特に水から配列または回路を保護する目的を果たす。不動態化被膜は、例えば、誘電体材料からなることができる。酸化アルミニウム(Al)および二酸化ケイ素(SiO)が特に適していることが証明されている。
【0060】
上側の最終不動態化被膜は、電気的接続を可能にするために、下側の接点に通じる開口または割込みを有利に有する。不動態化被膜における開口または割込みは、例えば、リソグラフィおよび/またはエッチング、特に反応性イオンエッチングによって得ることができる。
【0061】
本発明にしたがって提供される接触要素は、導電性要素であり、電極またはこれに類似の要素として理解される。それらは便宜的に金属であり、特に少なくとも1つの金属、好ましくはチタン、ニッケル、パラジウムまたはアルミニウムを含み、またはそのような金属からなる。好ましい実施形態では、接触要素は、ニッケルおよび/またはチタンおよび/またはアルミニウムおよび/または銅および/またはクロムおよび/またはパラジウムおよび/または白金および/または金および/または銀を含んでもよく、またはこれらの金属の1つまたは複数から構成されてもよい。接触要素はまた、複数の層、例えば2層または3層を含んでもよい。そして、各層は、例えば、1つ以上の金属を含むか、または1つ以上の金属からなる。多層接触要素の場合、さらに、複数の層が異なるように構成されていてもよい。例えば、その接触要素または接触要素の少なくとも1つまたは各接触要素は、例えば、1つの金属を含んでいるかまたはそれから構成されているかまたは複数の金属の組合せを含んでいるかまたはそれから構成されているか層(例えば上層)と、1つの他の金属を含んでいるかまたはそれから構成されているかまたは複数の他の金属の組合せを含んでいるかまたはそれから構成されているか層(例えば下層)とを備えていてもよい。例えば、ニッケル層およびアルミニウム層、またはチタン層およびアルミニウム層を設けることができる。複数の層の場合、1つの層のみ、例えば下層が1または複数のアクティブ要素と接触していてもよい。
【0062】
接触要素は、同軸導体またはコプレーナ導体の接続または同軸導体またはコプレーナ導体への接続のために使用されることが好ましく、この場合、このような導体は、通常、接触要素と直接接触せずに、特にそのような導体への接続のためのインターフェースまたは接続デバイスが使用され、このインターフェースまたは接続デバイスが、接触要素と接触させられる。この接続は、本発明に係る電気光学デバイスのサイズ(大きさのオーダー)が、例えば、同軸導体またはコプレーナ導体のような従来の導体のサイズ(大きさのオーダー)と大きく異なることがあるので、サイジング目的としても役立つ。
【0063】
ケーブルのような同軸導体は、それ自体、細長い内側導体要素と、それを取り囲む中空の円筒形の外側導体要素(シースと呼ばれることもある)とを有する導体として理解されている。コプレーナ導体は、細長い内側導体要素と、内側導体要素のいずれかの側に配置された2つの細長い外側導体要素とを備え、外側導体要素が内側導体要素に対して平行に延びる導体として理解されるべきである。
【0064】
接触要素の少なくとも1つは、コーティング材料の蒸着、特に化学蒸着(CVD)、好ましくは低圧化学蒸着(LPCVD)、および/またはプラズマ増強化学蒸着(PECVD)、および/または物理蒸着(PVD)により製造することができる。これは、全ての接触要素に適用可能である。
【0065】
先行技術において公知の種々の化学蒸着プロセスがあり、それらは全て本発明の文脈において使用され得るか、または使用されてきた。これらすべてに共通するのは、通常、導入されたガスの化学反応であり、所望の材料の堆積をもたらす。
【0066】
また、物理的蒸着に関しては、先行技術において公知の全ての変形が使用されているか、または使用され得る。純粋に例として、電子ビームを用いて材料を溶融・蒸発させる電子ビーム蒸発、および、材料をヒータで加熱してターゲット基板上に蒸発させる熱蒸発、さらに、原子がプラズマによって材料担体からノックアウトされてターゲット基板上に蒸着されるスパッタ蒸着がある。
【0067】
上記の堆積プロセスに代えて、または加えて、ゲート電極を得るためには原子層堆積(ALD)も可能である。このプロセスでは、絶縁材料または導電材料(誘電体、半導体または金属)が原子層として連続的に堆積される。
【0068】
また、転送プロセスを使用することができ、使用されたこともある。これは、特に、それぞれの要素が、例えばチップまたはウエハ上でモノリシックに製造されるのではなく、別々に製造されてから、次いで転写されることを意味する。グラフェンの転写プロセスは、例えば、Liらの論文“Large-Area Synthesis of High-Quality and Uniform Graphene Films on Copper Foils”Science 324, 1312, (2009)、および、Baeらの論文“Roll-to-roll production of 30-inch graphene films for transparent electrodes”Nature Nanotech 5, 574-578 (2010)、または、ニオブ酸リチウムに関する論文“Integrated lithium niobate electro-optic modulators operating at CMOS-compatible voltages”, Nature volume 562, pages 101104 (2018)、または、GaAsに関する論文“Transfer print techniques for heterogeneous integration of photonic components”, Progress in Quantum Electronics, Volume 52, March 2017, Pages 1-17.などに記載されている。これらのプロセスの1つは、1つ以上のグラフェンまたはLiNbOまたはGaAsの被膜またはフィルムを得るために、本発明の文脈で使用することもできる。転写プロセスに続いて、構造化(structuring)を行うことができる。
【0069】
上述のプロセスは、また、本発明に係る電気光学デバイスのそれぞれの相互作用領域のアクティブ要素および/または導波路長手方向セクションを得るために使用されてもよく、使用されたこともある。
【0070】
さらなる展開において、接触要素のうちの少なくとも1つ、好ましくは各接触要素が、それと接触する少なくとも1つの相互接続要素と関連付けられることが提供されてもよい。相互接続要素を介して、例えば、チップまたはウエハのフロントエンド・オブ・ラインからのトランジスタのような1つ以上の集積電子部品への接続を達成または実現することができる。この文脈において、「接続された」という用語は、電気的に導電的な方法で接続されていると理解されるべきである。
【0071】
特に、少なくとも部分的に少なくとも実質的にU字形の接触要素は、接触要素が適切に接触する複数の相互接続要素に関連する好ましい実施形態である。例えば、少なくとも1つの相互接続要素は、そのような接続要素の各アームに関連付けることができ、その相互接続要素には、各アームが適切に接触する。さらに、特に、1つ以上の相互接続要素を、そのような接触要素のアームの接続部に関連付けることもできる。好ましくは均一な接地電位を確立する目的で、いくつかの接触要素を設けることができる。接触要素が、接触要素と適切に接触する複数の相互接続要素に割り当てられる場合、複数の相互接続要素は、互いに少なくとも実質的に均一に離間して配置されることがより好ましい。
【0072】
相互接続要素は、好ましくは垂直電気接続(vertical electrical connection)であり、略して、ViaまたはVIAとして知られている。VIAは、通常、リソグラフィおよびドライケミカルエッチング、特に反応性イオンエッチング(RIE)によって定義される。その後、メタライゼーション(金属化)が好ましく、金属化表面は、CMP(Damasceneプロセス)によって、または、リソグラフィおよびRIEによって構造化される。反応性イオンエッチングは、基板表面の選択的および方向性エッチングが、通常、プラズマを形成するために励起される特別なガス状化学物質によって可能になるドライエッチングプロセスである。レジストマスクは、エッチングされない部品を保護するために使用することができる。エッチング化学およびプロセスのパラメータは、通常、プロセスの選択性、すなわち、異なる材料のエッチング速度を決定する。この特性は、エッチングプロセスの深さを制限し、したがって、被膜を互いに別々に規定するために重要である。
【0073】
相互接続要素は、少なくとも1つの導電性材料、特に銅および/またはアルミニウムおよび/またはタングステンのような金属を含むか、またはそれらから構成される。相互接続要素は、例えば、チップ、ウエハ、または基板、特に半導体基板を貫通して垂直に延びることができ、その上に、本発明に係る1つ以上の電気光学デバイスが配置される。これらの導波路長手方向セクションは、例えば、基板表面上に配置されてもよい。
【0074】
1つまたはそれぞれの相互作用領域のアクティブ要素の少なくとも1つは、1つまたはそれぞれの相互作用領域の導波路長手方向セクションに対して、少なくとも部分的に、それと共に導波される電磁放射のエバネッセント場に曝されるように、適切に配置される。好ましくは、アクティブ要素または少なくとも1つのアクティブ要素は、導波路長手方向セクションから、例えば10nmの距離で、50nm以下、より好ましくは30nm以下の距離で配置される。
【0075】
アクティブ要素または少なくとも1つのアクティブ要素は、さらに好ましくは、5~500μmの範囲の長手方向の延長によって特徴付けられる。
【0076】
アクティブ要素またはアクティブ要素の少なくとも1つは、対応する(それぞれの)導波路長手方向セクションの上方および/または内部(長手方向セクションを構成する2つの部分の間)に少なくとも部分的に延在する。
【0077】
導波路の場合、電磁放射、特に光の一部は、導波路の外側でエバネッセンス導波される。導波路の界面は誘電体であり、したがって、強度分布は、指数関数的減衰を有するマクスウェルに従った境界条件によって記述される。電気光学的に活性な材料、例えばグラフェンが、エバネッセント場の導波路上またはその近傍に配置される場合、光子は、材料、特にグラフェンと相互作用することができる。
【0078】
グラフェンには、光信号を導く4つの効果がある。1つはボロメトリック効果であり、それにしたがって、吸収されたエネルギーはグラフェンの抵抗を増加させ、印加された直流電流を減少させる。この直流電流の変化は、光信号となる。別の効果は、光伝導度である。ここでは、吸収された光子は電荷キャリア濃度を増加させ、追加の電荷キャリアは、電荷キャリア濃度に対する抵抗の比例性のために、グラフェンの抵抗を減少させる。印加された直流電流は増加し、この直流電流の変化は光信号となる。また、p領域とn領域のゼーベック係数が異なるため、pn結合およびこの結合の温度勾配に起因する熱電電圧に基づく熱電効果があり、温度勾配は、吸収された光信号のエネルギーから生じる。この熱電電圧が光信号となる。第四の効果は、励起された電子-正孔対がpn接合で分離されるという事実によって与えられる。得られる光電流は信号となる。
【0079】
変調器の場合、上で説明したように、電極、特に電気制御電極、およびそこから適切に絶縁され、少なくとも1つの電気光学活性材料、特にグラフェンを含むかまたはそれらからなるアクティブ要素を設けることができる。または2つのアクティブ要素が提供されてもよく、これらは、動作中、エバネッセント場内に一緒に存在し、電気光学機能を実行する。例えば、グラフェンは、制御電圧によってその光学特性を変化させることができる。グラフェン-誘電体-グラフェン配列の特に有利な場合には、キャパシタンスが生成され、2つのグラフェンフィルムが互いに影響し合う。電圧は、2つのアクティブ要素を形成するグラフェン電極からなるキャパシタンスを充電し、電子はグラフェン中の状態を占有する。この結果、フェルミエネルギー(結晶中の最後に占有された状態のエネルギー)は、より高いエネルギー(または対称性によるより低いエネルギー)にシフトする。フェルミエネルギーが光子のエネルギーの半分に達すると、吸収過程に必要な自由状態がすでに正しいエネルギーで占有されているので、もはや吸収されない。したがって、この状態では、吸収が禁止されているため、グラフェンは透明である。電圧を変えることにより、グラフェンは吸収と透明の間で切り替えられる。連続的に輝くレーザビームはその強度で変調されるので、情報伝送に使用することができる。同様に、屈折率の実部は、制御電圧とともに変化する。電圧を変化させることによって、レーザーの位相位置は、変化する屈折率を介して変調することができ、したがって、位相変調を達成することができる。好ましくは、位相変調は、全ての状態が光子エネルギーの半分以上を占める範囲で動作し、グラフェンが透明であり、屈折率の実部が著しくシフトし、吸収の変化が小さな役割を果たすようにする。
【0080】
導波路または導波路長手方向セクションは、光のような電磁波を導波する構成要素であり、この目的のために設計される。電磁波を導波するために、光透過性材料の断面は、波長に依存し、また、屈折率コントラストによって、この導波路に対して透明である隣接材料から区別される。周囲の材料の屈折率が低い場合、光はより高い屈折率の領域に導かれる。スリットモードの特定の場合、高屈折率の2つの領域を、波長に対して狭い低屈折率の領域から分離し、光を低屈折率の領域に導く。散乱による低損失を達成するためには、低い側壁粗さが有利である。
【0081】
通常、1つ以上の導波路が、例えばチップまたはウエハ上に提供される。原則として、導波路の長手方向の一部(長手方向セクション)のみが、本発明に係る電気光学デバイスの一部であり、例えば、そのアクティブ要素の下方に延在する長手方向セクションである。しかし、もちろん、長手方向の全範囲にわたる導波路が本発明に係る電気光学デバイスのその一部であると考えられることも、除外されない。言い換えれば、特にアクティブ要素の下に延在する導波路の長手方向部分に加えて、このようなデバイスは、そのような導波路の残りを含んでもよい。
【0082】
導波路は、例えば、矩形または正方形断面によって特徴付けられるストリップ導波路として設計することができる。導波路は、代替的に、または追加的に、T字形断面を有するリッジ導波路として形成されてもよい。さらに、代替的にまたは追加的に、導波路が、少なくとも1つのギャップを有するスロット導波路によって与えられることも可能である。
【0083】
このような導波路または導波路長手方向セクションは、断面で見たときに、いくつかのセクションまたはセグメントをさらに含み、第1のセグメント、例えば、下または左セグメント、および第2のセグメント、例えば、上または右セグメントを含む、またはそれらから構成されるというように、いくつかのパーツから形成されてもよい。例えば、スロット導波路またはその長手方向セクションは、スロットまたはギャップが形成される左右のセグメントを有することができる。1つ以上の導波路セグメントは、矩形または正方形の断面によって特徴付けられることができる。また、導波路(縦断面)またはその1つ以上のセグメントが、少なくとも断面において、先細り断面によって、および/または少なくとも断面において、拡大断面によって特徴付けられることも可能である。複数のセグメントがある場合、これらは、互いに離れて配置されてもよく、互いに直接隣接してもよく、例えばあるセグメントが別のセグメントの上に直接製造されていることで、互いに接触して配置されてもよい。
【0084】
導波路長手方向セクションおよび/またはさらなる導波路長手方向セクションの寸法に関しては、例えば、以下が適用され得る。厚さは、例えば、150nmから10μmの範囲であってもよい。特に、幅および長さは、100nmから10μmまでの範囲であってもよい。
【0085】
便宜な実施形態では、導波路長手方向セクションは、850nmおよび/または1310nmおよび/または1550nmの波長の電磁放射に対して透明である少なくとも1つの材料を含むか、またはそれから構成される。特に好ましくは、800nm~900nmおよび/または1260nm~1360nm(いわゆるオリジナルバンドまたは略してOバンド)および/または1360nm~1460nm(いわゆるエクステンドバンドまたは略してEバンド)および/または1460nm~1530nm(いわゆるショートバンドまたは略してSバンド)および/または1530nm~1565nm(いわゆるコンベンショナルバンドまたは略してCバンド)および/または1565nm~1625nm(いわゆるロングバンドまたは略してLバンド)の波長範囲の電磁放射に対して透明である。これらのバンドは、通信エンジニアリングの分野から知られている。
【0086】
導波路の材料として、例えば、二酸化チタンおよび/または窒化アルミニウムおよび/または五酸化タンタルおよび/または窒化ケイ素および/または酸化アルミニウムおよび/またはオキシ窒化ケイ素および/またはリチウムニオベイトおよび/またはシリコン、特にポリシリコン、および/またはリン酸インジウムおよび/またはガリウム砒素および/またはインジウムガリウム砒素および/またはアルミニウムガリウム砒素および/または少なくとも1つのジカルコゲン化物、特に二次元遷移金属ジカルコゲン化物および/またはカルゴゲナイドガラスおよび/または二次元材料のヘテロ構造、および/または樹脂、特にSU8を含有する樹脂および/またはポリマー含有材料、特にOrmoCladおよび/またはOrmoCoreが特に好適であることが証明されている。この文脈において、導波路長手方向セクションおよび/またはさらなる導波路長手方向セクションは、これらの材料のうちの1つまたは複数を含んでもよく、またはこれらの材料のうちの1つまたはこれらの材料のうちの2つまたは複数の組み合わせから構成されてもよい。
【0087】
それぞれの導波路長手方向セクションが、断面で見たときにいくつかのセグメントを有する/有する場合、これらはすべて、同一材料を含むか、または同一材料から構成されてもよい。しかし、もちろん、2つ以上のセグメントがそれらの材料に関して異なることもあり得る。例えば、少なくとも1つのセグメントは、少なくとも1つの他のセグメントの屈折率よりも大きい屈折率を特徴とすることができる。例えば、いくつかのセグメントがサンドイッチ状または積層される場合、外側セグメントは、より低い屈折率を有することができる。次に、光は、導波路配列の中心に束ねられる。純粋に関連材料の例として、酸化チタンからなる中間セグメントを有する酸化アルミニウムからなる上部および下部セグメントを挙げることができる。
【0088】
セグメントの異なる材料もまた、異なるエッチング速度によって特徴付けられる理由から有利であり得る。これは、必要な構造化のような、製造の文脈において利点を提供することができる。
【0089】
相互作用領域またはそれぞれの相互作用領域の導波路長手方向セクションは、好ましくは、それを取り囲む材料の屈折率と屈折率が異なる少なくとも1つの材料をさらに備えるか、またはそのような材料を少なくとも1つ備える。
【0090】
相互作用領域またはそれぞれの相互作用領域の導波路長手方向セクションが、2つ以上のセグメントを備え、そのうちの少なくとも2つが間隔を空けてギャップを形成する場合、ギャップが、ギャップを画定する導波路セグメントの材料の屈折率よりも屈折率が小さい少なくとも1つの誘電体材料で充填されることが有利である。
【0091】
このような場合の純粋に例示的な屈折率の対としては、導波路長手方向セクションおよび/またはそれ以上の導波路長手方向セクションについては3.4(Si)、周囲材料については1.5(SiO)、誘電体については導波路長手方向セクションおよび/またはさらなる導波路長手方向セクションについては2.4(TiO)、周囲材料については1.5(SiO)、導波路長手方向セクションおよび/またはさらなる導波路長手方向セクションについては2(SiN)、周囲材料については1.47が挙げられる。
【0092】
相互作用領域またはそれぞれの相互作用領域の導波路長手方向セクションの屈折率は、周囲材料の屈折率よりも少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%大きいことが特に好ましい。
【0093】
相互作用領域またはそれぞれの相互作用領域の導波路長手方向セクションおよび/またはアクティブ要素またはアクティブ要素の少なくとも1つは、好ましくは、少なくとも1つの誘電体材料、例えば、二酸化ケイ素を含むか、またはそれから構成される被膜の上にさらに配置されてもよい。アクティブ要素またはアクティブ要素のうちの1つは、例えば、特に導波路長手方向セクション上に設けられ、任意選択的に導波路長手方向セクション上に製造され、任意選択的には、被覆上にも製造される被覆上に配置される。具体的には、導波路長手方向セクションとアクティブ要素との間に設けられた誘電体材料を含むかまたはそれからなる被膜は、例えば、50nmまで、好ましくは30nmまで、特に好ましくは10~20nmの範囲の厚さを有することができる。
【0094】
被膜は、好ましくは、1.0nmのRMS~0.1nmのRMS、特に0.6nmのRMS~0.1nmのRMS、好ましくは0.4nmのRMS~0.1nmのRMSの範囲の粗さによって、それぞれの導波路長手方向セクションまたはそれぞれのアクティブ要素の上側に接触または非接触で配置されている平坦化被膜であり得る。nmは、それ自体公知の方法でナノメートル(10-9m)を表す。
【0095】
記載された範囲の粗さは、例えば、化学機械研磨および/またはレジスト平坦化によって得ることができる。
【0096】
化学機械研磨では、研磨対象物は、通常、研磨パッド間の回転運動によって研磨される。研磨は一方では化学的に、他方では研磨ペーストによって物理的に行われる。化学的および物理的作用を組み合わせることにより、滑らかな表面をサブnmスケールで得ることができる。
【0097】
特に、レジスト平坦化は、単一または反復のスピンオンガラス堆積およびその後のエッチング、好ましくは反応性イオンエッチング(RIE)を含む。高さ差のあるSiO表面のような表面を平坦化する場合、これはスピンオンガラス堆積およびエッチングによって行うことができる。スピンオンガラス被膜は、高さの差を部分的に補償する。すなわち、トポロジーの谷は、隣接する高さよりも、スピンオンガラスコーティング後に高い被膜厚さを有する。スピンオンガラスのエッチング速度および例えばSiOは、適応されたRIEプロセスにおいて類似または同一である。ここで適応されるとは、特に、圧力、ガス流量、ガス混合物の組成および電力が、それに応じて選択されることを意味する。スピンオンガラスコーティング後にスピンオンガラス被膜全体をRIEによりエッチングすると、スピンオンガラス被膜の平坦化効果により高さ差が減少する。高さ差は、繰り返しによってさらに減少させることができる。SiO被覆を堆積する際には、消費されたSiO被覆の厚さを考慮しなければならず、最終的なエッチング工程を完了した後に、所望のSiO被膜厚さが達成される。レジスト平坦化は、SiOに限定されるものではなく、他の材料についても考慮することができることを強調すべきである。材料のエッチング速度が、スピンオンガラスのエッチング速度と同様であるか、または少なくとも実質的に同じであることが達成され得る場合には、都合がよい。SiOおよびスピンオンガラスの場合、この条件は満たされる。例えば、スピンオンガラスのエッチング速度と2倍のエッチング速度が異なる材料も可能であり、この場合、いくつかのパスが通常必要であることに留意されたい。水素シルセスキオキサンおよび/またはポリマーは、例えば、液体材料として、特にスピンオンで塗布することができる。それは、その後のアニーリングの間にガラス化することから、スピンオンガラス(spin-on glass)と呼ばれている。水素シルセスキオキサン(略してHSQ)は、式[HSiO/2]nを有する無機化合物の一種である。レジスト平坦化は、先のドイツ特許出願にも記載されており、その出願番号は10 2020 102 533.5であり、これも出願人にさかのぼる。
【0098】
上述の範囲の粗さは、特に適切であることが証明されている。それらは、上に覆われた被膜の応力および張力を回避するために特に有利である。この文脈において、L. Banszerusらの論文“Identifying suitable substrates for high-quality graphene-based heterostructures”, 2D Materials, vol. 4, no. 2, 025030, 2017も参照されるべきである。
【0099】
原子間力顕微鏡(AFM)は、特にEN ISO 25178規格に記載されているように、粗さを決定するための測定方法として使用することができる。 原子間力顕微鏡法については、主にこの規格の第6部(EN ISO 25178-6:2010-01)で論じられており、粗さの測定方法を扱っている。
【0100】
特に、変調器として形成された本発明に係る電気光学デバイスについては、ダイオードまたはキャパシタを備えることができる。変調器は、例えば、Hiakiの論文“Heterogeneously integrated III-V/Si MOS capacitor Mach- Zehnder modulator”, Nature Photonics volume 11, pages 482-485 (2017)に記載されているような集積III-V半導体変調器であってもよい。
【0101】
ダイオードが提供される場合、特に、pn結合および2つの接触領域を生成するため、ダイオードは、例えば、異なる組成の例えばInGaAsPの複数の被膜を含んでもよい。
【0102】
本発明はまた、本発明に係る少なくとも1つの電気光学デバイスと、同軸導体および/またはコプレーナ導体に接続するための接続デバイスとを備え、接続デバイスは、接地接点として機能する1つ以上の内側接触要素と、信号接点として機能する1つ以上の外側接触要素とを備え、電気光学デバイスの内側接触要素は、接続デバイスの内側接触要素に接続されているかまたは接続可能とされていてもよく、電気光学デバイスの外側接触要素は、接続デバイスの外側接触要素に接続されているかまたは接続可能とされていてもよい電子光学デバイスに関する。
【0103】
さらに、本発明の目的は、チップと、本発明に係る少なくとも1つ、好ましくは複数の電気光学デバイスと、特に光検出器および/または変調器とを備える半導体装置を提供することであり、電気光学デバイスは、好ましくは、チップ上に配置されるか、または、チップ上に配置される被膜上に配置される。
【0104】
特に好ましい実施形態では、本発明に係る電気光学デバイスまたはそれぞれの電気光学デバイスは、チップ上に製造されるか、またはチップに接合されるフォトニックプラットフォームの一部である。
【0105】
本発明のさらなる目的は、ウエハと、本発明に係る少なくとも1つ、好ましくは複数の電気光学デバイス、特に光検出器および/または変調器とを備える半導体デバイスであり、電気光学デバイスは、好ましくは、ウエハ上またはウエハ上に配置された被膜上に配置される。
【0106】
電気光学デバイスは、特に、ウエハ上に製造された、またはウエハに接合されたフォトニックプラットフォームの一部であってもよい。
【0107】
光検出器および/または変調器は、製造時には、接着によってチップまたはウエハの上に接触または非接触で一体化されないが、チップまたはウエハとは別個に製造されて、製造後に、例えば適切な中間被膜を使用するより大きなユニットの一部として、チップまたはウエハに接着されることがあると好ましくは理解されるべきである。
【0108】
チップまたはウエハを断面で見る場合、その垂直構造は、異なるサブ領域に分割することができる。最下部は、フロントエンド・オブ・ライン、即ち、FEOLであり、これは、通常、1つ以上の集積電子部品を含む。集積電子部品は、例えば、トランジスタおよび/またはキャパシタおよび/または抵抗であってもよい。フロント・エンド・オブ・ラインの上には、バック・エンド・オブ・ライン、すなわちBEOLがあり、これらは通常、FEOLの集積電子部品を相互接続する手段としての種々の金属面を含む。
【0109】
ウエハは、ダイシング/フラグメンテーション/ユニフィケーションに続いて、各々がチップまたはダイを形成する複数の領域を含む。これらの領域は、本明細書では、チップまたはダイ領域とも呼ばれる。ウエハの各チップ領域は、好ましくは、特に、ウエハの単一ピース半導体基板の一部を含む。好ましくは、各チップ領域は、半導体基板の対応する領域、特に断面で見るとFEOL内および/またはその上に延在する1つ以上の集積電子部品をさらに含む。チップ領域は、分離されたチップを表していない、すなわち、ウエハは、分離されたチップを含んでいないことを強調すべきである。
【0110】
本発明に係る半導体装置および本発明に係る半導体デバイスは、共に、本発明に係る複数の電気光学デバイス、特に、設計が同一である光検出器および/または変調器、または本発明に係る複数の電気光学デバイス、特に、設計が異なる光検出器および/または変調器を備えることができる。また、いくつかの同一の電気光学デバイスおよびそれとは異なる本発明に係る1つ以上の電気光学デバイスが存在し得る。
【0111】
さらに、本発明に係る1つまたは複数の電気光学デバイスがチップまたはウエハ上に配置される場合、同軸導体および/またはコプレーナ導体に接続するための1つまたは複数の接続デバイスもまた、もちろん提供され得る。これらは、ウエハ/チップ上に、またはウエハ/チップ上に配置された被膜上に配置されてもよい。換言すれば、本発明に係る半導体装置または半導体デバイスが、本発明に係る1つまたは複数の電気光学デバイスを備える場合もある。あるいは、接続デバイスは、チップまたはウエハに別々に配置されてもよい。
【0112】
最後に、本発明は、電気光学デバイスの1つまたは複数の内側接触要素が、同軸導体またはコプレーナ導体の接地接点、または同軸導体もしくはコプレーナ導体に接続する接続デバイスに接続されるとともに、電気光学デバイスの外部接触要素が、同軸導体もしくはコプレーナ導体の信号接点、または同軸導体もしくはコプレーナ導体に接続する接続デバイスに接続される、電気光学デバイスの使用に関する。
【0113】
それぞれの電気光学デバイスとそれぞれの接続デバイスとの間の導電性接続は、例えば、ワイヤまたはボンディングによって実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
図1】従来技術に係る光検出器の平面図である。
図2図1の光検出器を備えた半導体デバイスの部分断面図である。
図3】本発明に係る電気光学デバイスの1実施形態としての第1の態様である2つの相互作用領域を含む光検出器の平面図である。
図4】本発明に係る電気光学デバイスの1実施形態としての第1の態様である分岐を有する導波路と2つの相互作用領域とを含む変調器の平面図である。
図5】本発明に係る電気光学デバイスの1実施形態としての第2の態様であるU字形の相互作用領域を含む光検出器の平面図である。
図6】従来技術に係る電気光学変調器の平面図である。
図7図6の電気光学変調器を備えた半導体デバイスの部分断面図である。
図8】本発明に係る電気光学デバイスの1実施形態としての2つの相互作用領域を含む電気光学変調器の平面図である。
図9】本発明に係る電気光学デバイスの1実施形態としてのU字形の相互作用領域を含む電気光学変調器の平面図である。
図10】従来技術に係る電気光学変調器を備えたマッハ-ツェンダー干渉計の平面図である。
図11】本発明に係る電気光学デバイスの1実施形態としての2つの相互作用領域を含む電気光学変調器を備えたマッハ-ツェンダー干渉計の平面図である。
図12】本発明に係る電気光学デバイスの1実施形態としての2つの相互作用領域を含む本発明に係る電気光学変調器を備えたマッハ-ツェンダー干渉計の平面図で、純粋に概略的な表現とした図である。
図13】光検出器または電気光学変調器として形成することができる本発明に係る電気光学デバイスのさらなる実施形態の平面図である。
図14】本発明に係る電気光学デバイスの1実施形態としてのワイヤによって同軸ケーブル用の接続デバイスに接続された3つの接触要素の平面図である。
図15】本発明に係る電気光学デバイスの1実施形態としての接合層によって同軸ケーブル用の接続デバイスに接続された接触要素を含む構成の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0115】
本発明の実施形態に関して、添付の図面を参照して、いくつかの実施形態のサブクレーム、ならびに以下の説明も参照される。
【0116】
すべての図は、純粋な概略図を示している。図において、同一の構成要素または要素には、同一の参照符号が付されている。
【0117】
図1は、グラフェンベースの光検出器として設計された、従来技術による電気光学デバイス(1)の平面図を示す。図2は、光検出器の一部を示す。光検出器は、導波路(4)における導波路長手方向セクション(3)との相互作用領域(2)と、グラフェンフィルムの形のアクティブ要素(5)とを備える。図から分かるように、アクティブ要素(5)は、導波路長手方向セクション(3)の上方において延在し、特に導波路(4)の右端でそれと重なっている。アクティブ要素(5)は、平面図において、下にある導波路長手方向セクション(3)を不明瞭にするので、長手方向セクション(3)の方を破線で示している。本事例では、導波路(4)、したがって、相互作用領域(2)に属する長手方向セクション(3)は、二酸化チタンで構成されており、このことは純粋に例示的なものとして理解されるべきである。
【0118】
アクティブ要素(5)は、導波路長手方向セクション(3)よりも大きな幅を有することを特徴とし、そのため、後者を越えて両側に突出する。導波路長手方向セクション(3)の横方向に位置する側面では、アクティブ要素(5)は、導波路長手方向セクション(3)の両側に配置された2つの金属接触要素(6)のうちの1つと接触している。接触要素(6)は、例えば、ニッケルおよび/またはチタンおよび/またはアルミニウムおよび/または銅および/またはクロムおよび/またはパラジウムおよび/または白金および/または金および/または銀を含んでもよく、またはこれらの金属の1つまたは複数から構成されてもよい。接触要素(6)は、異なる金属を含んでもよいし、または異なる金属から構成されてもよいし、複数の層を含んでもよい。
【0119】
相互作用領域(2)に関連しかつアクティブ要素(5)に接触する2つの接触要素(6)は、それぞれの接触要素(6)が特にその下側に接触する各相互接続要素(7)に関連付けられる。換言すれば、それぞれの接触要素(6)は、それぞれのアクティブ要素(5)を相互接続要素(7)に接続する。相互接続要素(7)は、平面図においては、接触要素によって隠されているので、破線で示されている。相互接続要素(7)は、垂直電気接続であり、これは、垂直相互接続アクセス(Vertical Interconnect Access)または略してVIAと呼ばれる。相互接続要素(7)は、接触要素(6)と同様に、例えば、金属から成り、チップ、ウエハ、基板、特に半導体基板を貫通して垂直方向に延び、上部には特に光検出器(1)が設けられている。このような光検出器(1)は、図2に示すように、半導体デバイスのウエハ(8)の上方に位置しており、この場合、ウエハ(8)は、単一ピースの半導体基板(9)と、図示の実施形態では、半導体基板(9)内に延在する複数の集積電子部品(10)とを備える。集積電子部品(10)は、特にトランジスタおよび/または抵抗および/またはキャパシタであってもよく、概略的に示す図2において、参照符号(10)を備えたハッチ線によって単純化された形でのみ示されている。基板(9)内の対応する位置において、多数の集積電子部品(10)が十分に公知の方法で見出される。これらはまた、CPUおよび/またはGPUのようなプロセッサの構成要素であってもよく、または同様に公知の方法でそのような構成要素を形成してもよい。
【0120】
ウエハ(8)は、フロントエンド・オブ・ライン(front-end-of-line)、略してFEOL(11)を有し、このFEOL(11)には、複数の集積電子部品(10)が配置され、バックエンド・オブ・ライン(back-end-of-line)、略してBEOL(12)は、その上方に位置し、FEOL(11)の集積電子部品(10)は、異なる金属面によって相互接続される。FEOL(11)内の集積電子部品(10)およびBEOL(12)内の関連する相互接続は、十分に公知の方法でウエハ(8)の集積回路を形成する。FEOL(11)は、トランジスタフロントエンドと呼ばれることもあり、BEOL(12)は、金属バックエンドと呼ばれることもある。金属面は、VIAによって与えられる複数のさらなる相互接続要素(7)を含む。
【0121】
ウエハ(8)上には、導波路(4)が配置されている誘電体材料、現在は二酸化ケイ素(SiO)の被覆(13)がある。導波路(4)および被覆(13)上には、さらに誘電体被覆(14)があり、その上にアクティブ要素(5)が配置されている。
【0122】
アクティブ要素(5)上にさらに設けられている上部不動態化被覆(15)は、好ましくはAlおよび/またはSiOからなる。
【0123】
導波路(4)、アクティブ要素(5)、接触要素(6)、相互接続要素(7)および被膜(13)(14)(15)は、例えば、(多層)材料蒸着または転写プロセスおよび場合によっては構造化によって、チップまたはウエハ製造の分野から公知の方法で得られてもよい。
【0124】
図示の実施形態において符号(13)および(14)で示されている誘電体被膜のいずれかまたは両方について、その粗さの二乗平均平方根(RMS)が、1.0nmのRMS~0.1nmのRMS、特に0.6nmのRMS~0.1nmのRMS、好ましくは0.4nmのRMS~0.1nmのRMSの範囲の粗さを特徴とする平坦化被膜として設計される。nmという略号は、ナノメートル(10-9m)を意味する。これらの範囲の粗さは、例えば化学機械研磨および/またはレジスト平坦化によって得られてもよい。この粗さは、出願人による出願番号10 2020 102 533.5の先のドイツ特許出願にも記載されている。図から分かるように、光検出器(1)の接触要素(6)およびウエハ(8)からの相互接続要素(7)に接続された相互接続要素(7)を介して、1つまたは複数の集積電子部品(10)への接続が実現される。
【0125】
図示の光検出器(1)は、それ自体、光から電子世界への信号変換のために公知の方法で役立つ。言い換えると、導波路(4)を介して伝導される光信号を電気信号に変換することができる。
【0126】
アクティブ要素は、相互作用が起こり得るように、少なくとも断面において、導波路(4)内に導波された電磁放射のエバネッセント場、したがって作動中の長手方向セクションに露出されるように、相互作用領域(2)の導波路長手方向セクション(3)に対して配置される。本事例では、導波路長手方向セクション(3)の上面とアクティブ要素(5)のオーバーラップ部分の下面との距離は、約10nmである。
【0127】
図3は、光検出器(1)としても設計された本発明に係る電気光学デバイスの実施形態の平面図を示す。それは、図1に従う既知の光検出器とは対照的に、G-S-G-配置によって特徴付けられる。
【0128】
具体的には、2つの相互作用領域(2)を有し、各々は導波路長手方向セクション(3)と、少なくとも1つの電気光学活性材料、特にグラフェンを含むか、またはそれから構成されるアクティブ要素(5)とを備える。図示の実施形態では、本発明に係るデバイスのアクティブ要素(5)もグラフェンフィルム13によって与えられる。しかしながら、本発明によれば、アクティブ要素(5)は、少なくとも1つの他のまたは更なる電気光学的に活性な材料、例えば、グラフェンの少なくとも1つの層およびジカルコゲン化物の少なくとも1つの層からなるジカルコゲン化物-グラフェンヘテロ構造を含むまたはそれからなるフィルム、または亜硝酸ホウ素の少なくとも1つの層およびグラフェンの少なくとも1つの層からなるフィルムを含むまたはそれからなるフィルムによって与えられることも可能であることを強調すべきである。
【0129】
図3の光検出器の2つの相互作用領域(2)の2つの導波路長手方向セクション(3)は、互いに離間されている。それらは導波路(4)の一部である。導波路(4)は、互いに離間し、互いに少なくとも実質的に平行に延びる2つの直線状アーム(4a)と、2つのアーム(4a)を接続する直線状接続部(4b)とを有する少なくとも実質的にU字形のコースによって区画され、各々の場合、2つの導波路長手方向セクション(3)のうちの1つは、いずれか一方のアーム(4a)の領域内に位置する。
【0130】
図1に示す既知の検出器に類似して、2つのアクティブ要素(5)は、それぞれの相互作用領域(2)の導波路長手方向セクションの少なくとも上方のセクションに延在している。
【0131】
さらに、2つに限られずに、合計3つの接触要素(6)が、アクティブ要素(5)のうちの少なくとも1つと接触して設けられている。具体的には、2つの間隔のある導波路長手方向セクション(3)の間に配置され内部信号接点として機能する1つの内側接触要素(6)と、各長手導波路セクション(3)の内側接触要素(6)に対して他方に配置され、それぞれが外接接接点として機能する2つの外接触要素(6)とを備えている。内側接触要素(6)は、2つの相互作用領域(2)の一方のアクティブ要素と、2つの相互作用領域(2)の他方のアクティブ要素(5)との両方に接触している。2つの外部接触要素(6)については、一方が一方の相互作用領域(2)のアクティブ要素(5)と接触し、他方が他方の相互作用領域(2)のアクティブ要素(5)と接触するようになされている。
【0132】
図に示すように、内側接触要素(6)と2つの外側接触要素(7)とは、一直線上に位置し、互いに整列されている。それらは、内部信号接点と、内部信号接点を囲む2つの外部接地接点とを備えた対称的なG-S-G接点配置を形成する。その結果、グラウンドおよび信号に関して対称的な配列が与えられ、したがって、非常に有利な配列が与えられ、そこから、高周波信号が、より多くの干渉なしに、同軸配列に送信され得、これは、以下でさらに議論される。
【0133】
U字形の導波路セクションは、内部信号接点のためのスペースを提供するのに非常に適しているが、電気信号の対称性の観点から、それに関連する欠点があり得る。伝搬方向に沿った電磁放射の吸収に関するLambert Beerの法則によれば、伝搬方向における第1のアーム(図3の左のアーム)(4a)のアクティブ要素(5)において、第2のアーム(4a)(図3の右のアーム)のアクティブ要素(5)においてよりもより多く吸収される。このため、高周波モードが非対称という好ましくない状態で励起され得る。この問題は、導波路(4)のU字形の領域の導波路断面について、伝搬方向に沿った長さ当たりの光と第1アーム(4a)におけるアクティブ要素(5)との相互作用が、第2アーム(4a)における相互作用と比較して適切に小さくなされて、両アーム(4a)の吸収パワーがちょうど同一にされているという事実によって防止される。この目的のために、第1のアーム(左のアーム)(4a)における導波路断面は、第2のアーム(右のアーム)(4a)よりも大きいものとされる。したがって、第1アーム(4a)における光モードは、第1アーム(4a)における相互作用を減少させて、導波路(4)の内側でより遠くまで導波される。言い換えると、U字形の導波路セクションの第1のアーム(左のアーム)(4a)の領域における断面積は、第2のアーム(右のアーム)(4a)の領域における断面積よりも大きいものとされる。この比は、入射光のパワーの半分が第1の左アーム(4a)に吸収されるように選択される。
【0134】
図3の発明に係る光検出器(1)は、第3接触要素を有するだけでなく、U字形の断面を有する導波路と、第2の長手方向導波路セクションおよび第2アクティブ要素(5)を有する第2相互作用領域(2)とを有しているということ以外の構成については、図1の従来技術のものに対応している。特に、図1に関連して上述した材料および製造の可能性に関しては、図1の配置に適合することができる。図3の発明に係る光検出器(1)は、また、ウエハ(8)および誘電体被膜(13)上方に配置され、被膜(14)および(15)が存在しているという点において、図2の従来技術のものに対応している。換言すれば、実施形態において、本発明に係る光検出器(1)は、ウエハ(8)を含む半導体デバイス内に集積されている。この半導体デバイスは、本発明に係る半導体デバイスの一実施形態である。このようなデバイスは、複数の同一または異なる設計の、例えば、数十、数百、または数千の電気光学デバイスを含んでもよい。本発明の複数の半導体装置は、本発明に係るウエハ(8)を有する本発明の半導体デバイスから、先行技術から十分に知られているダイシングによって得ることができ、このような半導体装置のそれぞれは、チップおよび本発明の1つ以上の電気光学デバイスを含むことができる。本発明に係る電気光学デバイスは、集積化されたフォトニックプラットフォームの構成要素であってもよい。
【0135】
また、U字形の導波路セクションの2本のアーム(4a)の領域に、2つの相互作用領域(2)の2つの間隔を置いた導波路長手方向セクション(3)を配置することができる設計に代えて、分岐を設けてもよい。対応する光検出器(1)の一実施形態が、平面図で図4に示されている。図から分かるように、導波路(4)は、2つの分岐アーム(4c)(4d)を有する分岐を含み、2つの相互作用領域(2)のそれぞれの導波路長手方向セクション(3)のうちの1つは、分岐の1つのアーム(4c)(4d)の領域に位置する。信号接点として機能する少なくとも1つの内側接触要素(7)のためにU字形の導波路セクション内に設けられるスペースに代えて、2つの分岐アーム(4c)(4d)の間にスペースが設けられている。また、分岐の2つのアーム(4c)(4d)に入射光信号を等しい割合で分配することができるスプリッタ(16)が設けられている。したがって、それは50/50スプリッタである。このようなスプリッタは、例えば、MMIスプリッタまたは方向性結合器として設計することができ、またはそのような結合器を含むことができる。
【0136】
分岐を有する設計は、対称吸収の利点を提供する。したがって、2つのアーム(4c)(4d)内の異なる導波路断面は、不要である。
【0137】
本発明の第2の態様による光検出器(1)の一実施形態を図5に示す。図3および図4に示される2つの実施形態とは対照的に、この実施形態は、互いに離間された2つの別々の相互作用領域ではなく、連続的で、少なくとも実質的にU字形の相互作用領域(2)を含む。この相互作用領域(2)は、図3に類似して、2つの離間したアーム(4a)と、2つのアーム(4a)を接続する接続部(4b)とを有する少なくとも実質的にU字形の導波路長手方向セクション(3)と、この相互作用領域(2)は、図3に類似して、2つの離間したアーム(5a)と、2つのアーム(5a)を接続する接続部(5b)とを有する少なくとも実質的にU字形のアクティブ要素(5)とを有している。導波路長手方向セクション(3)は、図示のように、導波路(4)の一部であり、導波路(4)は、環状に閉じられているのではなく、開放されている。
【0138】
U字形のアクティブ要素(5)は、少なくとも1つの電気光学的に活性な材料を含んでいるか、またはそれから構成されている。図5による実施形態においても、アクティブ要素(5)は、グラフェンフィルムによって提供されるが、このことは、単なる一例として理解されるべきである。アクティブ要素は、導波路長手方向セクション(3)の上の部分に延在する。2つの接触要素(6)も設けられ、各接触要素はアクティブ要素(5)と接触している。内側接触要素(6)は、1つだけとされて、少なくとも実質的にU字形とされた導波路長手方向セクション(3)の内側に少なくとも部分的に配置され、内側接点として機能する。外側接触要素(6)は、1つだけとされて、互いに離間した2本のアーム(6a)と、2本のアーム(6a)を接続する接続部(6b)とを有する少なくとも実質的にU字形であり、U字形の導波路長手方向セクション(3)を外側において取り囲んでいる。外側接触要素(6)の2つのアーム(6a)は、それぞれ、少なくとも部分的に、外側接地接点として機能する。U字形の外接触要素(6)は、U字形のアクティブ要素(5)をU字形の全体に渡って完全に取り囲んでおり、こうして、U字形の導波路長手方向セクション(3)は、ほぼ完全に取り囲まれている。
【0139】
図5から分かるように、外側U字形接触要素は、1つの相互接続要素(7)だけに関連付けられているのではなく、下側において、合計6つの相互接続要素と接触している。いくつかの相互接続要素(7)を介して、特に均一な接地電位を確立することができる。相互接続要素(7)は、互いに離れた位置に、特に外側接触要素(6)の範囲にわたって均等に配置されるのが好ましい。
【0140】
完全性のために、もちろん、図3の実施形態では、2つの別個の外側接触要素(6)の代わりに、外側のU字形の導波路セクションを取り囲む連続的な外側接触要素(6)を設けることが可能であることに留意されたい。例えば、図5のU字形外接触要素(6)は、図3の光検出器(1)と共に使用することができる。同様に、図5に示す実施形態では、U字形外側接触要素1個の代わりに、図3に示すような2個の別個の外側接触要素(6)を設けることができる。
【0141】
また、図5に示す実施形態では、導波路6の断面積が、図3に関連して上述したのと同様の理由により、第1アーム(左アーム)4aの領域において、特に、第1アームにおいて入射光パワーの半分が吸収されるように、第2アーム(右アーム)(4a)の領域よりも、大きくなることが好ましい。導波路(4)への光の結合のために、図1図3図4図5の導波路(4)の左端に位置する結合装置17が設けられている。変調器1は、各図で右側にある導波路(4)の他端に位置している。導波路の端部は、それぞれ、変調器の後方にある。
【0142】
また、本発明に係る電気光学デバイス(1)は、光検出器として設計されているが、そのような装置は、例えば、電気光学変調器であってもよい。その場合、光検出器とは実質的に異なり、相互作用領域またはそれぞれの相互作用領域は、2つのアクティブ要素(5)、または、1つのアクティブ要素(5)と例えば亜硝酸チタンまたは酸化インジウムスズを含むかまたはそれからなる(従来の)電極とを含む。
【0143】
本発明に係る電気光学変調器の例は、図8および図9に示されている。図6は、図1に類似して、従来技術から知られている従来の電気光学変調器の平面図を示し、図7は、図6の変調器の断面図を示す。図2に類似して、これもまた、ウエハ(8)を有する半導体デバイスの構成要素である。
【0144】
特に図7の断面図に見られるように、2つのアクティブ要素(5a)(5b)は、垂直方向に互いに離間されており、一方のアクティブ要素(5a)は、他方のアクティブ要素(5b)の上方に部分的に延在している。離間の距離は、例えば、1nmであり得る。誘電体材料を含むかまたはそれからなるさらなる被覆(18)が、2つのアクティブ要素(5a)(5b)の間に設けられ、その厚さは、2つのアクティブ要素(5a)(5b)の間の距離に対応している。
【0145】
さらに、2つのアクティブ要素(5)は、断面図でよく分かるように、互いに水平方向にオフセットされており、それらは、断面内のオーバーラップ領域(垂直方向の間隔を有する)に互いに上下に位置するように配置されている。オーバーラップ領域は、導波路長手方向セクションの上方に位置する。図8に示す本発明の実施形態では、双方の相互作用領域3において、アクティブ要素は、互いに対応して、導波路長手方向セクション(3)に対して配置される。図9に従う実施形態では、これは、1つのU字形相互作用領域(2)、すなわち、その全範囲にわたって適用される。図6、7、8(および図10~12)の平面図では、アクティブ要素(5)のオフセットおよび部分的オーバーラップが、対応する破線によって示されている。
【0146】
2つのアクティブ要素または1つのアクティブ要素および1つの電極をそれぞれの相互作用領域に有する変調器の場合、内側接触要素(1つの場合はその内側接触要素、2つの場合は一方の内側接触要素)6は、対応する相互作用領域のアクティブ要素(5a)と接触しており、外部接触要素(1つの場合はその外側接触要素、2つの場合は一方の外側接触要素)(6)は、対応する相互作用領域の他のアクティブ要素(5b)または電極と接触していることが望ましい。
【0147】
図8の実施形態では、その残りの構成が図3の構成に対応するが、2つの相互作用領域(2)の2つの導波路長手方向セクション(3)の間に配置された内側接触要素(6)は、特に反対側にある両方の相互作用領域(2)のアクティブ要素(5a)(5b)と接触している。2つの外側接触要素(6)に関して、これらは、相互作用領域(2)の1つのアクティブ要素(5a)(5b)のみと接触していることが好ましい。
【0148】
1つの連続的なU字形相互作用領域(2)のみを有し、他の構造は図5のものに対応する図9の実施形態では、内側接触要素(6)は、2つのアクティブ要素(5a)(5b)のうちの1つ(5a)と接触し、1つの外部接触要素(6)は、2つのアクティブ要素(5a)(5b)のうちの他の(5b)と接触する。各場合において、接触は、それぞれのアクティブ要素(5a)(5b)の内周全体または外周全体に適用される。
【0149】
本発明に係る電気光学変調器は、特に光信号符号化に使用することができる。
【0150】
光信号は吸収されず、変調されるので、結合デバイス(17)は、導波路(4)の両端にそれぞれ設けられる。動作中、結合デバイスの一方は、入力された光信号を結合するために使用され、他方は、出力される光信号を結合するために使用される。
【0151】
本発明に係る電気光学デバイス(1)はまた、干渉計、例えば、位相変調器として機能するMach-Zehnder干渉計の構成要素として設計することもできる。これは、特に、電気光学デバイス(1)が変調器である場合に当てはまる。関連する実施形態は、図11および12から理解することができる。図10は、先行技術から公知の検出器および変調器を有する図1および図6に示す形態、すなわち、従来技術から公知の電気光学変調器を備えた位相変調器として機能するマッハ-ツェンダー干渉計(図6参照)を示す。
【0152】
図11の干渉計は、図8に示される構成の本発明に係る変調器1を含み、図12の干渉計は、図9に示される構成の本発明に係る変調器を含むことが分かる。
【0153】
図10の干渉計と図11および図12の干渉計とは、それぞれ、図6図8および図9の変調器1に加えて、それぞれの変調器と1つの相互作用領域(2)(図10および図12)または2つの相互作用領域(2)(図11)とを「ブリッジ」する導波路バイパス部(19)を備えており、同じ光源から発せられる光が1つまたは2つの相互作用領域(2)を通過して導波路バイパス部(19)を通って導波されるようになっている。図から分かるように、導波路(4)は、環状の閉じた導波路ではなく、特に結合デバイス(17)によって結合された光信号を出力および入力させることができる2つの開放端を有する。
【0154】
既知の方法では、それぞれの導波路バイパス部(19)は、2つの干渉計アームのうちの1つを形成し、それぞれの変調器が配置される上側アームは、2つの干渉計アームのうちの2つ目を形成する。2つの干渉計アームは、従来技術から十分に知られているように、便宜的に異なる経路長を有する。
【0155】
干渉計アームが分岐および再結合する分岐点では、各ケースにおいて、例えばMMI(マルチモード干渉計)または方向性結合器として設計することができ、または少なくとも1つのそのような結合器を備えることができるスプリッタ(16)が存在する。特に、それは、相反MMIまたは相反方向性結合器であり得る。これは、一方のアームを有する側からの光が、MMIまたは方向性結合器の反対側に位置する2つの導波路接続部の間で半分に分割され(逆もまた同様)、すなわち、2つのアームを有する側からの光が1つの結合部を有する側で結合されることを意味する。
【0156】
干渉計の入力では、光信号は、例えば、2つのアームで分割されて、ガイドされる。1つまたはいくつかの活性成分を介して、例えば、1つの活性成分について、図11および12に示すように、両方のアーム内で伝搬する光の位相シフトが生成される。活性成分は、干渉計のすべてのアームに配置することができる。干渉計の出力では、光路が合体され、光が重畳される。建設的または破壊的な干渉は、位相位置から生じる。
【0157】
なお、図8図9図11および図12に示した互いに反対の側からの光信号に対する入力時および出力時の結合に代えて、図13に原理的に示す構成とすることもできる。これにより、入力時の結合および出力時の結合は、同じ側から行うことができ、これは、光ファイバブロック内のグループに予め組み立てることができる光ファイバの結合に関して有利であり得る。例えば、導波路(4)は、全体にわたって少なくとも実質的にU字形であり得る。単純化された純粋に概略的な図13は、本発明に係る電気光学デバイス(1)の実施形態を示しており、ここでは、そのうちの1つの内側および2つの外側接触要素(6)のみが示されている。図に示すように、導波路(4)の両端に配置された結合装置17は、ここで互いに隣接している。図8および図11に対応する2つの別個の外側接触要素(6)を例としてここに示したが、図9および図12に示すようにU字形外側接触要素(6)とすることで、例えば図13に示す導波路と同じ側からの入力時結合および出力時結合を選択することができることが理解される。
【0158】
本発明に係る上述した全ての実施形態の本発明のG-S-G接点構成は、高周波信号が、より干渉のない共平面または同軸配列に送信できる大きな利点を提供する。
【0159】
例えば、平面図が図14に、断面図が図15に概略的に示されているように、少なくとも1つの接続デバイス(20)を同軸導体および/またはコプレーナ導体に接続するために設けることができる。接続デバイス(20)自体は、3つの接続接触要素(21)、具体的には、接地接点として機能する内部接続接触要素(21)と、内側接触要素の両側に配置されて内側接触要素を実質的に包囲し、信号接点として機能する2つの外部接続接触要素(21)とを備えている。したがって、これはG-S-G接点配置である。この配置は、同軸ケーブルおよび/またはコプレーナ導体を接続するための図示されていない接続手段を有する。
【0160】
同軸導体および/またはコプレーナ導体に接続するための接続デバイス(20)への本発明に係る電気光学デバイス(1)の導電接続は、例えば、図14に示すように、ワイヤ(22)によって実現することができる。この目的のために、各ワイヤ(22)の一方の自由端は、本発明の電気光学デバイス(1)の接触要素(6)の一方と接触し、他方の自由端は、接続デバイス(20)の接続接触要素(21)の1つと接触する。ワイヤは、特に、金属、例えば、アルミニウムまたは金で作ることができる。
【0161】
図14から分かるように、接続デバイス(20)の接続接触要素(21)は、図中上方を向いた端部を有して設けられており、従来の同軸ケーブルまたはコプレーナ導体の概して大きな寸法に役立つことができるようになされている。
【0162】
ワイヤ(22)による接続に代えるかまたは加えて、図15に概略的に示されるように、ボンディングも可能である。この場合、接続デバイス(20)の接続接触要素(21)は、本発明に係る装置1の接触要素(6)の上方に、図5図9および図12のように連続U字形外側接触要素(6)を有する実施形態の範囲では、外側接触要素(6)のアームの一方の上方に、配置される。導電性接続は、ここでは、接着被膜(23)を介して実現され、接触要素(6)(21)は、それを介して互いに接着される。接着被膜は、導電性接着剤、例えば、銀または金で構成することができる。
【0163】
なお、本発明に係る電気光学デバイス(1)と、コプレーナ導体または同軸導体に接続する接続デバイス(20)との図14および図15に示す構成は、本発明に係る電気光学アレンジメントの一実施形態である。
図1
図2
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図5
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図8
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図11
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【国際調査報告】