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特表2023-535799分析反応及び生物学的動作を感知するための電気化学センサシステム及び方法
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  • 特表-分析反応及び生物学的動作を感知するための電気化学センサシステム及び方法 図1
  • 特表-分析反応及び生物学的動作を感知するための電気化学センサシステム及び方法 図2a
  • 特表-分析反応及び生物学的動作を感知するための電気化学センサシステム及び方法 図2b
  • 特表-分析反応及び生物学的動作を感知するための電気化学センサシステム及び方法 図2c
  • 特表-分析反応及び生物学的動作を感知するための電気化学センサシステム及び方法 図3
  • 特表-分析反応及び生物学的動作を感知するための電気化学センサシステム及び方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-21
(54)【発明の名称】分析反応及び生物学的動作を感知するための電気化学センサシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/26 20060101AFI20230814BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20230814BHJP
   G01N 27/30 20060101ALI20230814BHJP
【FI】
G01N27/26 371G
G01N27/416 346
G01N27/30 311Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505784
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2021071340
(87)【国際公開番号】W WO2022023499
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】20382702.7
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518309079
【氏名又は名称】フンダシオ インスティテュート デ バイオエンジニエリア デ カタルーニャ
【氏名又は名称原語表記】FUNDACIO INSTITUT DE BIOENGINYERIA DE CATALUNYA
【住所又は居所原語表記】C/Baldiri Reixac,10-12,08028 Barcelona(ES)
(71)【出願人】
【識別番号】523027946
【氏名又は名称】ウニヴェルジテート デ バルセロナ
(71)【出願人】
【識別番号】519023765
【氏名又は名称】コンソルシオ チェントロ デ インヴェスティガシオン バイオメディカ エン レッド,エム.ピー.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】サミティエール,マルティ,ジョゼップ
(72)【発明者】
【氏名】ミル ジョレンテ,モニカ
(72)【発明者】
【氏名】デュレイ バセナ,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】リバス トルケイツ,ルルド ジョセフィーナ
(72)【発明者】
【氏名】ミゼレーレ,サンドリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ペレス ロペズ,ブリザ
(72)【発明者】
【氏名】ロペス デ ミゲル,マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】パラシオ ボネット,フランシスコ
(57)【要約】
分析反応及び生物学的動作を感知するための電気化学センサシステムが提供される。電気化学センサシステムは、作用電極及び基準電極を含む2つの電極を備える電流測定センサであって、他の電極を含まない、電流測定センサと、作用電極及び基準電極を備える電位差測定センサであって、他の電極を含まず、電位差測定センサの基準電極が、接地に結合された、電位差測定センサと、を備え、電流測定センサの作用電極が、電位差測定センサの基準電極に電気的に結合されており、電流測定センサが、電流測定センサの作用電極と電流測定センサの基準電極との間の励起電圧を受信するように構成されており、受信された励起電圧が、電位差測定センサの基準電極を介して電位差測定センサの基準電圧として使用されるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析反応及び生物学的動作を感知するための電気化学センサシステムであって、
作用電極及び基準電極を含む2つの電極を備える電流測定センサであって、他の電極を含まない、電流測定センサと、
作用電極及び基準電極を含む2つの電極を備える電位差測定センサであって、他の電極を含まず、前記電位差測定センサの前記基準電極が、接地に電気的に結合された、電位差測定センサと、
を備え、
前記電流測定センサの前記作用電極が、前記電位差測定センサの前記基準電極に電気的に結合されており、
前記電流測定センサが、前記電流測定センサの前記作用電極と前記電流測定センサの前記基準電極との間の励起電圧を受信するように構成されており、前記受信された励起電圧が、前記電位差測定センサの前記基準電極を介して前記電位差測定センサの基準電圧として使用されるようになっている、
電気化学センサシステム。
【請求項2】
前記電位差測定センサが、イオン選択性センサである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電流測定センサ及び前記電位差測定センサが、1マイクロメートル~5センチメートルの距離で互いに隣接して配置されている、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電流測定センサが、前記電流測定センサの前記作用電極と前記電流測定センサの前記基準電極との間に前記励起電圧を提供するように構成されたパルス幅変調器に結合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記パルス幅変調器回路と前記電流測定センサとの間に配置されたローパスフィルタを更に備え、前記ローパスフィルタが、ノイズのない励起電圧が前記電流測定センサの前記作用電極と前記基準電極との間に提供されるように、前記パルス幅変調器によって受信された前記励起電圧からノイズ電圧信号を除去するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ローパスフィルタが、負のノイズのない励起電圧を達成するためのインバータ増幅器として、又は正のノイズのない励起電圧を達成するための電圧フォロワとして、のいずれかで動作するように構成された演算増幅器を備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記電流測定センサが、トランスインピーダンス増幅器を備える電流測定センサ回路を更に備え、前記トランスインピーダンス増幅器が、正入力端子と、負入力端子と、出力端子と、を備え、前記正入力端子が、接地に接続され、前記負入力端子が、前記電流測定センサの前記作用電極に接続され、前記トランスインピーダンス増幅器が、前記電流測定センサの前記作用電極を介して感知された入力電流を比例出力電圧に変換するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記トランスインピーダンス増幅器が、前記トランスインピーダンス増幅器の前記負入力端子と前記トランスインピーダンス増幅器の前記出力端子との間に配置された利得抵抗器を更に備え、前記電流測定センサ回路が、1kΩ~33MΩの範囲内で前記利得抵抗器を選択するように構成された抵抗器利得回路を更に備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記電流測定センサ回路が、演算増幅器を更に備え、前記演算増幅器の正入力端子及び負入力端子が、前記トランスインピーダンス増幅器の前記出力端子に結合され、前記演算増幅器が、出力電流測定センサ電圧が得られるように、前記トランスインピーダンス増幅器によって出力される前記比例電圧が負電圧である場合にインバータ増幅器として、又は前記トランスインピーダンス増幅器(TIA)によって出力される前記比例電圧が正電圧である場合にフォロワ増幅器として、のいずれかで動作するように構成されている、請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
前記電流測定センサが、基準電極回路を更に備え、前記基準電極回路が、演算増幅器を備え、前記電流測定センサの前記基準電極が、前記基準電極回路の前記演算増幅器の正入力端子に結合されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記電位差測定センサが、電圧フォロワ増幅器を備える電位差測定センサ回路を更に備え、前記電圧フォロワ増幅器が、正端子と、負端子と、出力端子と、を備え、前記電圧フォロワ増幅器の前記正端子が、前記電位差測定センサの前記作用電極に結合され、前記電圧フォロワ増幅器が、前記電流測定センサの前記作用電極によって感知された前記電圧を比例電位差測定電圧に変換するように構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記電位差測定センサ回路が、加算増幅器を更に備え、前記加算増幅器が、入力正端子と、入力負端子と、出力端子と、を備え、前記電位差測定センサの前記電圧フォロワ増幅器の前記出力端子が、前記加算増幅器の前記入力正端子及び前記入力負端子に結合され、前記加算増幅器が、オフセット電位差測定電圧が得られるように、前記電圧フォロワ増幅器によって受信された前記電圧にオフセットを適用するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記電位差測定センサ回路が、RC回路を更に備え、前記RC回路が、フィルタリングされたオフセット電位差測定電圧が得られるように、前記加算増幅器の出力に結合されている、請求項11に記載のセンサシステム。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの電気化学センサシステムと、
前記電位差測定センサに含まれる前記電位差測定センサ回路からの少なくとも1つの応答電圧と、前記電流測定センサに含まれる前記電流測定センサ回路からの少なくとも1つの応答電圧と、を受信するように構成されたリーダモジュールと、
を備える、制御モジュールであって、
前記電気化学電位差測定センサ回路から前記フィルタリングされたオフセット電位差測定電圧を受信し、
前記電流測定センサ回路から前記出力電流測定電圧を実質的に同時に受信し、
前記電流測定センサ回路から前記受信された出力電流測定電圧に関連する電流測定値と、前記電位差測定センサ回路から前記受信されたフィルタリングされたオフセット電位差測定電圧に関連する電圧測定値とを実質的に同時に決定する、
ように構成されている、
制御モジュール。
【請求項15】
請求項14に記載のモジュールによって実行可能な分析反応及び生物学的動作を感知する方法であって、
前記電位差測定センサ回路からの前記フィルタリングされたオフセット電位差測定電圧を受信することと、
前記電流測定センサ回路からの前記出力電流測定センサ電圧を実質的に同時に受信することと、
前記電流測定センサ回路から前記受信された出力電流測定センサ電圧に関連する電流測定値と、前記電位差測定センサ回路から前記受信されたフィルタリングされたオフセット電位差測定電圧に関連する電圧測定値とを実質的に同時に決定することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年7月30日に出願された欧州特許出願第20382702.7号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、分析反応及び生物学的動作を感知するための電気化学センサシステムに関する。本発明は更に、分析反応及び生物学的動作を感知する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電流測定センサ及び電位差測定センサを使用する電気化学センサシステムが一般的に知られている。
【0004】
基本的に、2つの電極を使用するものと3つの電極を使用するものの、2つのタイプの電流測定センサ及び電位差測定センサがある。2電極センサは、作用電極及び基準電極を用いる。3電極センサは、作用電極、基準電極、及び対電極を用いる。
【0005】
2つの電極を有する電位差測定センサでは、電位は、作用電極と基準電極との間で測定される。この電位は、測定媒体中で検出される種の濃度又は活性に比例し得る。
【0006】
2つの電極を有する電流測定センサでは、電流が測定される。この電流は、電気活性物質が作用電極の表面上で1つ以上の電子を失う(酸化)又は獲得する(還元)結果であり、作用電極は、基準電極に対して一定の作用電位下にある。電流は、測定媒体中で検出される種の濃度又は活性に比例する。
【0007】
しかしながら、特に電流測定センサ及び電位差測定センサの測定が実質的に同時にかつ互いに比較的近接して行われる場合、電流測定センサ及び電位差測定センサを備える電気化学センサシステムにおいて、電流測定技術と電位差測定技術との間に干渉又はクロストークが存在する。
【0008】
本開示の実施例は、上述の問題の1つ以上を少なくとも部分的に低減しようとするものである。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様では、分析反応及び生物学的動作を感知するための電気化学センサシステムが提供される。電気化学センサシステムは、作用電極及び基準電極を含む2つの電極を備える電流測定センサであって、他の電極を含まない、電流測定センサと、作用電極及び基準電極を含む2つの電極を備える電位差測定センサであって、他の電極を含まず、電位差測定センサの基準電極が、接地に電気的に結合された、電位差測定センサと、を備え、電流測定センサの作用電極が、電位差測定センサの基準電極に電気的に結合されており、電流測定センサが、電流測定センサの作用電極と電流測定センサの基準電極との間の励起電圧を受信するように構成されており、受信された励起電圧が、電位差測定センサの基準電極を介して電位差測定センサの基準電圧として使用されるようになっている。
【0010】
この第1の態様によれば、それぞれが2つの電極を有する電流測定センサ及び電位差測定センサが提供される。このようにして、サイズ及びコストが比較的小さいセンサが使用される。特に、2つの電極を有するそのようなセンサでは、対電極の使用が回避される。対電極は、通常、白金で作製され、例えば125μmの比較的大きな直径を有することがある。そのような使用は、電気化学センサシステムにおける余分なコスト及び余分な重量を意味し得る。
【0011】
要約すると、2つの電極のみを有する電流測定センサ及び電位差測定センサを備える電気機械センサシステムの使用は、3つの電極を有する電流測定センサ及び電位差測定センサの使用を伴う電気化学センサシステムの解決策とは対照的に、より小型かつ費用効果の高い電気機械センサシステムの解決策を容易にする。
【0012】
更に、電流測定センサの作用電極は、電位差測定センサの基準電極に電気的に結合されており、使用時に、電流測定センサの作用電極と電流測定センサの基準電極との間に提供される励起電圧が、(電位差測定センサの基準電極を介して)電位差測定センサの基準電圧として使用されるようになっている。このような構成では、また電位差測定センサの基準電極を接地に接続することによって、電流測定センサの作用電極に接地又は仮想0が導入される。
【0013】
使用時に、電流測定センサの作用電極と基準電極との間に励起電圧が提供されるとき、電流測定センサの作用電極において電流が確立される。この電流は、電流測定センサの励起電圧(及び接地に結合されている電位差測定センサの基準電極によって導入される接地又は仮想0)によって引き起こされる電圧降下に対応する。電流測定センサの作用電極と基準電極との間の励起電圧に対応するそのような電圧降下は、電位差測定センサによって、電位差測定センサの基準電極を介して基準電圧として使用される。結果として、電流測定センサの測定値と電位差測定センサの測定値との間の干渉が回避される。加えて、電流測定及び電位差測定を実質的に同時に行うことが可能である。
【0014】
本発明の第2の態様では、制御モジュールによって実行可能な分析反応及び生物学的動作を感知する方法が提供される。方法は、電位差測定センサ回路からのフィルタリングされたオフセット電位差測定電圧が受信されることを含む。実質的に同時に、電流測定センサ回路からの出力電流測定電圧信号も受信される。次に、電流測定センサ回路から受信された出力電流測定センサ電圧に関連する電流測定値と、電位差測定センサ回路から受信されたフィルタリングされたオフセット電位差測定電圧に関連する電圧測定値とが、実質的に同時に決定される。
【0015】
この第2の態様によれば、(電流測定センサからの)第1の電圧及び(電位差測定センサ回路からの)第2の電圧は、制御モジュールによって実質的に同時に受信される。そのような制御モジュールはまた、電流測定センサ回路から受信された出力電流測定センサ電圧に関連する電流測定値と、電位差測定センサ回路から受信されたフィルタリングされたオフセット電位差測定電圧に関連する電圧測定値とを実質的に同時に決定することができる。したがって、電流測定センサ及び電位差測定センサからの測定を(事実上)同時に行うことができ、この全てを、そのような測定間の干渉又はクロストークなしに行うことができることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の非限定的な実施例を、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1】励起回路の一実施例を示す。
図2a】電流測定センサの電流測定センサ回路であって、図1に示すものと同一又は同様であってもよい励起回路に結合することができる、電流測定センサ回路の一実施例を示す。
図2b図2aの電流測定センサ回路の一部を形成するトランスインピーダンス増幅器(transimpedance amplifier、TIA)のための利得抵抗器回路の一実施例を示す。
図2c】電流測定センサの基準電極回路の一実施例を概略的に示す。
図3】一実施例による、電位差測定センサの電位差測定センサ回路の一実施例を示す。
図4】いくつかの実施例による、電気化学センサシステムを備える制御モジュールのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示全体を通して、用語「分析反応及び生物学的動作を感知するための電気化学センサシステム」は、例えば、虚血及び低酸素症の検出のための動作、並びに一般に、酸素値及びpH値に関連する測定を包含する。
【0018】
本開示全体を通して、用語「電流測定センサは、他の電極を含まない」は、2つの電極のみを備える電流測定センサを指す。同様に、用語「電位差測定センサは、他の電極を含まない」は、2つの電極のみを備える電位差測定センサを指す。
【0019】
図1は、励起回路100の一実施例を概略的に示す。励起回路は、電流測定センサの作用電極と基準電極との間に時間の関数として電圧の変動を提供するように構成されている。結果として、そのような電極間、特に作用電極に電流が現れることがある。この電流は、後述するように、電流測定センサを使用して測定することができる。
【0020】
回路100は、ローパスフィルタ101を備えてもよい。ローパスフィルタ101は、2つの端子102a及び102bを有することができる抵抗器102と、2つの端子103a、103bを有することができる抵抗器103と、2つの端子104a、104bを有することができるコンデンサ104と、2つの端子105a、105bを有することができるコンデンサ105と、2つの端子106a、106bを有することができるコンデンサ106と、演算増幅器107と、を備えることができる。演算増幅器107は、負入力端子107aと、正入力端子107bと、出力107cと、を備える。
【0021】
抵抗器102の端子102bは、コンデンサ105の端子105aに結合することができる。抵抗器102の端子102bは、抵抗器103の端子103aに更に結合することができる。抵抗器103の端子103bは、増幅器107の正入力端子107bに結合することができる。抵抗器の端子103bは、コンデンサの端子104aに更に結合することができる。コンデンサの端子104bは、接地180に結合することができる。
【0022】
この実施例によれば、コンデンサ105の端子105bは、演算増幅器107の負入力端子107aに結合することができ、演算増幅器107の出力107cに結合することができる。演算増幅器の出力107cは、コンデンサの端子106aに結合することができる。コンデンサ106の端子106bは、接地180に結合することができる。
【0023】
抵抗器102の端子102aは、パルス幅変調器(pulse width modulator、PWM)、例えばマイクロコントローラ(図示せず)に結合することができる。マイクロコントローラ、例えば、PIC32MXマイクロコントローラは、パルス幅変調(pulse-width-modulated、PWM)出力を提供する。マイクロコントローラは、所望の電圧を抵抗器102の端子102aに提供することができるように、PWMデューティサイクルをPWM出力に提供するように構成されている。上記のローパスフィルタ101は、マイクロコントローラによって提供される電圧の交流信号(パルス)及び/又はノイズを除去するように構成されており、それにより、ノイズのない電圧(すなわち、低減されたノイズを有する電圧)が、後で説明するように、そのような電流測定回路の作用電極と基準電極との間の電流測定センサ回路に提供される。
【0024】
演算増幅器107は、負電圧を電流測定回路に提供するためのインバータ増幅器として、又は正電圧が電流測定回路(具体的には、作用電極と基準電極との間)に提供されるような電圧フォロワとして、のいずれかで動作するように構成することができることに留意されたい。電流測定回路に供給される電圧は、-3ボルト~+3ボルトであってもよい。
【0025】
図2aは、図1に示すものと同一又は同様であってもよい励起回路に結合することができる、電流測定センサ回路の一実施例を示す。電流測定センサ回路は、電流測定センサの一部を形成する。電流測定センサ回路200は、負入力端子201a、正入力端子201b、及び出力201cを含むトランスインピーダンス増幅器(TIA)201と、2つの端子202a、202bを含む抵抗器202と、2つの端子203a、203bを含む抵抗器203と、2つの端子204a、204bを含む抵抗器204と、2つの端子205a、205bを含む利得抵抗器205と、演算増幅器206と、を備えることができる。演算増幅器206は、負入力端子206aと、正入力端子206bと、出力206cと、を備える。
【0026】
TIA201の負入力端子201aは、電流測定センサの作用電極280に電気的に結合することができる。TIA201の正入力端子は、接地180に結合することができる。励起電圧は、上述した励起電圧回路によって作用電極280と基準電極(この図には示されていない)との間に印加されてもよい。結果として、電流が作用電極に現れる。そのような電流は、作用電極280によって感知される。上述したように、電流測定センサの一部を形成する基準電極の回路は、この図には示されていないことに留意されたい。この回路については、図2cを参照して後述する。
【0027】
いずれの場合も、作用電極に現れる電流は、後述するように、励起電圧回路によって提供される励起電圧と、電位差測定センサの(接地に結合された)基準電極によって導入される接地180又は仮想0とによって引き起こされる電圧降下に対応する。この点において、電位差測定センサの基準電極は、電流測定センサの作用電極に結合されている。この電圧降下、すなわち電流測定センサの作用電極と基準電極との間に提供される励起電圧は、また後述するように、電位差測定センサの(基準電極によって感知される)基準電圧として使用されることに留意されたい。
【0028】
TIA201は、電流測定センサの作用電極280によって感知された電流を比例出力電圧に変換するように構成することができる。
【0029】
この実施例によれば、利得抵抗器(図示せず)は、TIA201の負端子とTIA201の出力201cとの間に結合することができる。図2bに示すように、TIAの利得抵抗器を選択するように構成された回路が提供される。回路は、8つの抵抗器250~257を備えることができ、各抵抗器は、2つの端子250a~257a、250b~257bを備える。回路は、8つのコンデンサ260~267を更に備え、各コンデンサは、2つの端子260a~267a、260b~267bを備える。
【0030】
回路は、CMOSアナログマトリックススイッチ269を更に備える。スイッチは、8つの入力270~277を備える。抵抗器250の端子250b及びコンデンサ260の端子260bは、スイッチの入力270に結合されている。抵抗器251の端子251b及びコンデンサ261の端子261bは、スイッチの入力271に結合されている。抵抗器252の端子252b及びコンデンサ262の端子262bは、スイッチの入力272に結合されている。抵抗器253の端子253b及びコンデンサ263の端子263bは、スイッチの入力273に結合されている。抵抗器254の端子254b及びコンデンサ264の端子264bは、スイッチの入力274に結合されている。抵抗器255の端子255b及びコンデンサ265の端子265bは、スイッチの入力275に結合されている。抵抗器256の端子256b及びコンデンサ266の端子266bは、スイッチの入力276に結合されている。抵抗器257の端子257b及びコンデンサ267の端子267bは、スイッチの入力277に結合されている。
【0031】
抵抗器250~257は、1kΩ~33MΩの範囲内で選択することができる。コンデンサ260~267は更に、望ましくない発振が回避されるように選択される。
【0032】
スイッチ269は、例えば2.7ボルトから5.5ボルト、具体的には3.3ボルトの電源から動作することができる電源入力290を備えることができる。そのような電源は、アドレス入力290、291にも接続することができる。スイッチは、接地に結合された接地基準180を更に備えることができる。スイッチはまた、8ビット入力シフトレジスタにデータをクロックするために「シリアルデータライン」入力とともに使用することができる「シリアルクロックライン」入力を備えることができる。
【0033】
再び図2aでは、TIA201の出力201cは、抵抗器202の端子202a及び抵抗器203の端子203aに更に結合することができる。抵抗器202の端子202bは、演算増幅器206の入力負端子206aに結合することができる。抵抗器203の出力端子203bは、演算増幅器206の入力正端子206bに結合することができる。加えて、抵抗器204は、端子204aを介して接地180に接続され、端子204bを介してTIAの入力正端子206bに接続されてもよい。
【0034】
利得抵抗器205の端子205aは、演算増幅器の負入力端子206aに接続されてもよく、端子205bは、演算増幅器206の出力206cに接続されてもよい。
【0035】
演算増幅器206は、トランスインピーダンス増幅器201によって出力される比例電圧が負電圧である場合、負電圧が正電圧に変換されるように、インバータ増幅器として動作するように構成することができる。いくつかの他の実施例では、トランスインピーダンス増幅器201によって出力された比例電圧が正電圧である場合、演算増幅器206は、フォロワ増幅器として動作するように構成することができる。このような構成の理由は、後で説明するように、例えばAC-DCコンバータ(この図には示されていない)を含む制御モジュールを演算増幅器206の出力端子に結合することができるということである。AC-DCコンバータは、0ボルト~3.3ボルトの電圧範囲で動作するように構成することができ、したがって、負電圧が演算増幅器によって出力される場合、そのような負電圧は、AC-DCコンバータによって検出されなくてもよい。いずれの場合も、演算増幅器206の利得は、1であってよい。
【0036】
図2cは、電流測定センサの基準電極回路の一実施例を示す。電流測定センサの基準電極回路は、負入力端子800aと、正入力端子800bと、出力端子800cとを備える演算増幅器800を備えることができる。回路は、2つの端子801a、801bを有する抵抗器801を更に備える。
【0037】
電流測定センサの基準電極809は、演算増幅器800の正入力端子800bに接続することができる。抵抗器800の端子801aは、演算増幅器800の負入力端子800aに接続されてもよい。抵抗器の端子801bは、演算増幅器800の出力800cに接続することができる。実施例では、抵抗器801は、0オームを有することができる。演算増幅器は、ポテンショスタットとして機能するように構成することができる。
【0038】
図3は、一実施例による、電位差測定センサの電位差測定センサ回路の一実施例を示す。電位差測定センサは、そのような電位差測定センサの一部を形成する作用電極と基準電極との間の電位差を測定するように構成されている。電位差測定センサ回路300は、負入力端子301a、正入力端子301b、及び出力301cを含む電圧フォロワ演算増幅器301と、2つの端子302a、302bを含む抵抗器302と、2つの端子303a、303bを含む抵抗器303と、2つの端子304a、304bを含む抵抗器304と、2つの端子305a、305bを含む抵抗器305と、2つの端子306a、306bを含む抵抗器306と、2つの端子307a、307bを含む抵抗器307と、加算増幅器308と、を備えることができる。加算増幅器308は、負入力端子308aと、正入力端子308bと、出力308cと、を備える。電位差測定センサ回路は、RC回路309を更に備える。
【0039】
電位差測定センサの作用電極400は、電圧フォロワ演算増幅器301の正入力端子301bに結合されていてもよい。電位差測定回路の基準電極401は、接地180に結合され、それは更に、前述のように、電流測定センサの作用電極(この図には示されていないが、図2aに示されている)に電気的に接続されている。
【0040】
このような構成では、使用時に、電流測定センサの作用電極と電流測定センサの基準電極との間に供給される励起電圧は、上述したように、電位差測定センサの基準電極401を介して電位差測定センサの基準電圧として使用される。したがって、電位差測定センサは、作用電極と基準電極との間の電位差を測定することができ、基準電極には、電流測定センサの作用電極と基準電極との間の電位差が提供される。結果として、クロストーク又は干渉なしに、電流測定センサ及び電位差測定センサを用いて実質的に同時に測定を行うことが可能である。
【0041】
この実施例によれば、電圧フォロワ増幅器301は、電位差測定センサの作用電極400と基準電極との間で感知された電圧を電位差比例電圧に変換するように構成されている。
【0042】
フォロワ増幅器の負入力端子301aは、そのような電圧フォロワ演算増幅器の出力301cに結合することができる。出力301cは、抵抗器302の端子302aに更に結合することができる。抵抗器302の端子302bは更に、抵抗器303の端子303bと、抵抗器304の端子304bと、加算増幅器308の正入力端子308bとに結合することができる。
【0043】
更に、抵抗器304の端子304aは、接地180及び抵抗器305の端子305aに結合することができる。抵抗器305の端子305bは、抵抗器306の端子306aに結合することができる。抵抗器306の端子306bはまた、加算増幅器308の負入力端子308aと、抵抗器307の端子307aとに結合することができる。抵抗器307の端子307bは、増幅器308の出力308cに結合することができる。
【0044】
電流測定回路と同様に、加算増幅器308は、加算増幅器に提供される比例電圧が負電圧である場合、負電圧が正電圧に変換されるように、インバータ増幅器として動作するように構成することができる。いくつかの他の実施例では、加算増幅器に提供される比例電圧出力が正電圧である場合、加算増幅器308は、フォロワ増幅器として動作するように構成することができる。このような構成の理由は、AC-DCコンバータ(この図には示されていない)を含む制御ユニットを電位差測定回路の出力に結合することができるということである。AC-DCコンバータは、0ボルト~3.3ボルトの電圧範囲で動作するように構成することができ、したがって、負電圧が演算増幅器によって出力される場合、そのような負電圧は、AC-DCコンバータによって検出されなくてもよい。
【0045】
加算増幅器308の出力308cはまた、RC回路309に結合することができる。RC回路は、2つの端子311a、311bを含む抵抗器311と、2つの端子312a、312bを含むコンデンサ312と、を備える。
【0046】
抵抗器311の端子311aは、増幅器308の出力308cに結合することができる。抵抗器311の端子311bは、後で説明するように、コンデンサ312の端子312aと、AC-DCコンバータ(この図には示されていない)を含む上述の制御モジュールとに結合することができる。コンデンサの端子312bは、接地180に結合することができる。
【0047】
上述したように、電位差測定回路の基準電極401は、接地180に結合され、それは更に、前述のように、電流測定センサの作用電極に電気的に接続されている。
【0048】
本明細書で前述した電流測定センサ及び電位差測定センサは、1マイクロメートル~5センチメートルの距離で互いに隣接して配置されてもよく、任意選択的に、電流測定センサ及び電位差測定センサは、支持基板に取り付けられていることに留意されたい。
【0049】
図4は、いくつかの実施例による、電気化学センサシステムを備える制御モジュールのブロック図を示す。
【0050】
システムは、前述したような電気機械センサ(アレイ)システム600と、リーダモジュール601、例えば送受信機Huzzah ESP8266と、制御モジュール602と、を備えることができる。
【0051】
リーダモジュール601は、電流測定センサの電流測定センサ回路から電圧を受信し、電位差測定センサの電位差測定センサ回路から電圧を受信するように構成することができる。電圧は、実質的に同時に受信することができる。リーダモジュール601は、例えば無線機能を備えていてもよい。そのような構成では、電圧は、標準的な動作を使用して、リーダモジュール601によって、電流測定センサ及び電位差測定センサから無線で取り出すことができる。
【0052】
要約すると、リーダモジュール601は、電流測定センサ回路からの電圧(信号)及び電位差測定センサ回路からの電圧(信号)を実質的に同時に取り出して、そのような電圧を同時に処理されるように制御モジュール602に提供するように構成されている。
【0053】
制御モジュール602は、例えば、PIC32MX795マイクロコントローラであってもよい。
【0054】
制御モジュール602は、電子手段、計算手段、又はそれらの組合せを含む、又はそれらによって実装することができ、すなわち、電子手段又は計算手段は、記載された手段の一部が電子手段であってもよく、かつ他の部分が計算手段であってもよく、又は全ての記載された手段が電子手段であってもよく、若しくは全ての記載された手段が計算手段であってもよいように、交換可能に使用されてもよい。
【0055】
電子手段のみ(すなわち、純粋に電子的な構成)を含む制御モジュール602の例は、CPLD(Complex Programmable Logic Device)(複合プログラマブル論理デバイス)、FPGA(Field Programmable Gate Array)(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、又はASIC(Application-Specific Integrated Circuit)(特定用途向け集積回路)などのプログラマブル電子デバイスであってもよい。
【0056】
計算手段のみを含む制御モジュール602の例は、メモリ及びプロセッサを備えることができるコンピュータシステム(例えば、ラップトップ、サーバ、デスクトップコンピュータ、組み込み型又は産業用コンピュータ等)であってもよく、メモリは、コンピュータプログラム命令のセットを記憶するように適合され、プロセッサは、制御モジュール602がプログラムされた様々なイベント及びアクションを生成するために、メモリに記憶されたこれらの命令を実行するように適合されている。
【0057】
コンピュータプログラムは、後述する分析反応及び生物学的動作を感知する方法を制御モジュール602に実行させるためのプログラム命令を含んでもよい。コンピュータプログラムは、ROM(例えば、CD-ROM又は半導体ROM)、磁気記録媒体(例えば、ハードディスク)、ソリッドステートディスク(solid-state disk、SSD)、USBフラッシュドライブ(例えば、ペンドライブ)、又はSD、miniSD、若しくはmicroSDカードなどの不揮発性メモリカードなどの記憶媒体上に具現化することができる。加えて、コンピュータプログラムは、電気ケーブル若しくは光ケーブルを介して、又は無線若しくは他の手段によって伝達することができる、電気信号又は光信号などの伝送可能なキャリア上で搬送することができる。
【0058】
コンピュータプログラムがケーブル又は他のデバイス若しくは手段によって直接搬送することができる信号に具現化される場合、キャリアは、そのようなケーブル又は他のデバイス若しくは手段によって構成することができる。
【0059】
代替的に、キャリアは、コンピュータプログラムが埋め込まれる集積回路であってもよく、集積回路は、関連する方法を実行するように、又は関連する方法の実行に使用するように適合されている。
【0060】
コンピュータプログラムは、ソースコード、オブジェクトコード、部分的にコンパイルされた形式などのコード中間ソース及びオブジェクトコードの形式、又は方法の実装に使用するために適した任意の他の形式であってもよい。キャリアは、コンピュータプログラムを搬送することができる任意のエンティティ又はデバイスであってもよい。
【0061】
更に、制御モジュール602はまた、計算手段と電子手段との間のハイブリッド構成を有してもよい。この場合、制御モジュールは、メモリと、その機能の一部を計算的に実装するプロセッサと、残りの機能を実装する特定の電子回路と、を備えてもよい。
【0062】
上述したように、実施例では、制御モジュール602は、PIC32MX795マイクロコントローラであってもよい。マイクロコントローラは、少なくとも1つのUSBポート及び少なくとも1つのI2Cポートを備える32ビットアーキテクチャを備えることができる。マイクロコントローラ602は、少なくとも1つの応答電圧、例えば、電流測定センサ回路(図2aを参照)及び電位差測定センサ回路(図3を参照)からの電圧信号を受信するように構成することができる。電圧(信号)は、実質的に同時に、すなわち(事実上)同時に、又は例えば1秒未満の差で受信されてもよい。この点において、マイクロコントローラは、(USBポートを介して)電流測定及び電位差測定感知に関連するパラメータを生成し、電流測定の測定値に関連する電力信号を生成し、電位差測定センサ及び電流測定センサに関連するアナログ-デジタル変換を実質的に同時に実行し、(上述したようにADG728に接続されたI2Cポートを介して)電流測定回路における利得抵抗器の選択を実行し、送受信機601、例えばHuzzah WiFi ESP8266を介してデータを送受信するように構成することができる。
【0063】
いずれの場合も、制御モジュール602は、分析反応及び生物学的動作を感知する方法を実行するように構成することができ、この方法は、
電位差測定センサ回路からのフィルタリングされたオフセット電位差測定電圧を受信することと、
電流測定センサ回路からの出力電流測定センサ電圧を実質的に同時に受信することと、
電流測定センサ回路から受信された電圧に関連する電流測定値と、電位差測定センサ回路から受信された電圧に関連する電圧測定値とを実質的に同時に決定することと、
を含む。
【0064】
いくつかの実施例のみが本明細書に開示されているが、他の代替、修正、使用、及び/又はそれらの均等物が可能である。更に、説明した実施例の全ての可能な組合せも包含される。したがって、本開示の範囲は、特定の実施例によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ決定されるべきである。特許請求の範囲において、図面に関連する参照符号が括弧内に記載されている場合、それらは特許請求の範囲の理解度を高めるためのものにすぎず、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4
【国際調査報告】