(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-21
(54)【発明の名称】コーティングされたAPIを含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 47/04 20060101AFI20230814BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20230814BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230814BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20230814BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230814BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230814BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20230814BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230814BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230814BHJP
A61P 29/00 20060101ALN20230814BHJP
A61K 31/192 20060101ALN20230814BHJP
【FI】
A61K47/04
A61K9/50
A61K47/44
A61K47/42
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/06
A61K47/10
A61K9/20
A61P29/00
A61K31/192
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506302
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2023-02-28
(86)【国際出願番号】 IB2021056976
(87)【国際公開番号】W WO2022024066
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519135460
【氏名又は名称】キャタレント・ユーケー・スウィンドン・ザイディス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロザリーン・マクラフリン
(72)【発明者】
【氏名】サイモン・アンドリュー・マーティン・ハウズ
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ・ウェドン
(72)【発明者】
【氏名】ジョナソン・ホワイトハウス
(72)【発明者】
【氏名】アダム・パーカー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジョン・ハッチンソン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA41
4C076AA64
4C076DD29
4C076DD29H
4C076DD34
4C076DD34T
4C076DD37
4C076DD37T
4C076DD38
4C076DD67
4C076DD67T
4C076EE30
4C076EE30G
4C076EE42
4C076EE53
4C076EE53H
4C076EE55
4C076EE55H
4C076FF01
4C076GG14
4C076GG31
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA24
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA55
4C206MA58
4C206MA72
4C206NA03
4C206NA09
4C206ZB11
(57)【要約】
コーティングされたAPIを含む医薬組成物及び医薬組成物を調製するための方法が提供される。コーティングされたAPIに結合しない過剰なコーティング材料は、篩い分けプロセスにより除去され得る。過剰な未結合のコーティング材料の量を最小にするために、コーティング及び投入比も最適化され得る。加えて、組成物は、懸濁液に混合するときに、コーティングされたAPIの機能性コーティングを保存し、APIの空気混和を最小にするように製剤化され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水不溶性材料及びシリカを含む少なくとも1つのコーティングを含む85~95%w/wのAPI、
3~7%w/wのマトリックス形成剤、並びに
2~6%w/wの構造形成剤
を含む医薬組成物。
【請求項2】
水不溶性材料が、少なくとも1つのコーティングを含むAPIの10~30%w/wを構成する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
シリカが、少なくとも1つのコーティングを含むAPIの0.5~2%w/wを構成する、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
水不溶性材料がワックスを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
ワックスがカルナウバワックスを含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
シリカが疎水性シリカを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
マトリックス形成剤がゼラチンを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
構造形成剤がマンニトールを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
粘度調整剤を更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
0.1~1%w/wの粘度調整剤を含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
粘度調整剤がキサンタンガムを含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
甘味料を更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
0.1~2%w/wの甘味料を含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
甘味料がスクラロースである、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
香味剤及び/又は抗空気混和剤を更に含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
0.5~3%w/wの香味剤及び/又は抗空気混和剤を含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
香味剤及び/又は抗空気混和剤がテルペン及び/又はテルピノールを含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
15分後に70%以下の中容量60分溶解試験結果を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
コーティングされたAPIを製造する方法であって、
未処理のAPIを篩い分ける工程;
篩い分けられた未処理のAPI及び水不溶性材料を容器内で混合する工程;
機械的エネルギーを容器に加え、容器を50℃以上の温度に加熱する工程;及び
機械的エネルギーを加え続け、かつ容器の温度を維持しながら、シリカを容器に添加して、水不溶性材料及びシリカを含む少なくとも1つのコーティングを含むコーティングされたAPIを形成する工程と
を含む、方法。
【請求項20】
未処理のAPIを篩い分ける工程が、未処理のAPIを75~250ミクロンの平均粒径に篩い分けることを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
コーティングされたAPIを篩い分ける工程を更に含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
コーティングされたAPIを篩い分ける工程が、コーティングされたAPIを75~250ミクロンの平均粒径に篩い分けることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
水不溶性材料がワックスを含む、請求項19から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ワックスがカルナウバワックスを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
シリカが疎水性シリカを含む、請求項19から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つのコーティングを含むAPIの少なくとも1つのコーティングとAPIとの比が15~40:60~85である、請求項19から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
コーティングされたAPIが15分後に70%以下の低容量60分溶解試験結果を有する、請求項19から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
医薬組成物を製造する方法であって、
水不溶性材料及びシリカを含む少なくとも1つのコーティングを含む30~50%w/wのAPI;
1~5%w/wのマトリックス形成剤;
1~3%w/wの構造形成剤;並びに
溶媒
を含む、医薬懸濁液を形成する工程と、
医薬懸濁液を型に入れる工程と、
入れられた医薬懸濁液を型内で凍結乾燥させて医薬組成物を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項29】
水不溶性材料が、少なくとも1つのコーティングを含むAPIの10~30%w/wを構成する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
シリカが、少なくとも1つのコーティングを含むAPIの0.5~2%w/wを構成する、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
水不溶性材料がワックスを含む、請求項28から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
ワックスがカルナウバワックスを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
シリカが疎水性シリカを含む、請求項28から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
マトリックス形成剤がゼラチンを含む、請求項28から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
構造形成剤がマンニトールを含む、請求項28から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
粘度調整剤を更に含む、請求項28から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
医薬懸濁液が0.01~0.1%w/wの粘度調整剤を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
粘度調整剤がキサンタンガムを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
甘味料を更に含む、請求項28から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
医薬懸濁液が0.1~1%w/wの甘味料を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
甘味料がスクラロースである、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
香味剤及び/又は抗空気混和剤を更に含む、請求項28から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
医薬懸濁液が0.1~1%w/wの香味剤及び/又は抗空気混和剤を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
香味剤及び/又は抗空気混和剤がテルペン及び/又はテルピノールを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
医薬組成物が、15分後に70%以下の中容量60分溶解試験結果を有する、請求項28から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
医薬組成物を製造する方法であって、
未処理のAPIを篩い分ける工程;
篩い分けられた未処理のAPI及び水不溶性材料を容器内で混合する工程;
機械的エネルギーを容器に加え、かつ容器を50℃以上の温度に加熱する工程;
機械的エネルギーを加え続け、かつ容器の温度を維持しながら、シリカを容器に添加して、水不溶性材料及びシリカを含む少なくとも1つのコーティングを含むコーティングされたAPIを形成する工程;
コーティングされたAPIを篩い分ける工程;
水不溶性材料及びシリカを含む少なくとも1つのコーティングを含む30~50%w/wのコーティングされたAPI、
1~5%w/wのマトリックス形成剤、
1~3%w/wの構造形成剤、及び
溶媒
を含む医薬懸濁液を形成する工程;
医薬懸濁液を型に入れる工程;並びに
入れられた医薬懸濁液を型内で凍結乾燥させて医薬組成物を形成する工程、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2020年7月31日に出願された米国仮出願第63/059,684号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、APIをコーティングし、コーティングされたAPIを凍結乾燥口腔内崩壊剤形に組み込むためのプロセスに関する。具体的には、本発明は、水不溶性材料及びシリカを含む、APIをコーティングするためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
医薬組成物は、典型的には活性医薬成分と共に1種又は複数の不活性成分の両方を含む。活性医薬成分(API)は、生物学的に活性であり得、患者の症状、疾患、障害、及び/又は病気に直接影響を及ぼすように設計され得る。活性医薬成分の1つの例はイブプロフェンである。一方、医薬組成物の不活性成分は、薬学的に不活性であり、長期安定化を向上させること、固体製剤に充填すること若しくはそれを希釈すること、薬物吸収を促進すること、液体製剤の粘度を調整すること、溶解性を増強すること、及び/又は医薬組成物の製造を補助することを含むが、これらに限定されない様々な目的のために使用され得る。
【0004】
加えて、一部の不活性成分は、イブプロフェン等のAPIの味をマスキングするために使用され得る。多くのAPIは、口腔内で溶解させると、苦味、灼熱感、及びしびれ等の不快な官能特性を示すことが知られている。例えば、一部の経口投与医薬組成物は、水なしでの投与を可能にするために口内で分散するように設計され、嚥下困難を有し得る小児患者、老齢患者、動物患者及び/又は他の種類の患者を対象とする。これらの種類の経口投与医薬組成物について、不活性成分は、APIの味をマスキングするための「機能性コーティング」を形成するために使用され得る。
【0005】
例えば、不活性成分は、API粒子を湿式コーティング又は乾式コーティングしてAPI粒子を囲む機能性コーティングを作り出し、それが口内でのAPI放出を防止することによりAPIの味をマスキングするために使用され得る。湿式粒子コーティングにおいて、不活性成分(ポリマー及び添加剤)は、溶媒又は水中に溶解又は分散して、懸濁液又は溶液を形成する。次いでこの懸濁液又は溶液は、API粒子の表面に噴霧されて、溶媒又は水の蒸発によりフィルムのコーティングを形成することができる。湿式粒子コーティング技術の例は、マイクロカプセル化、流動層コーティング、噴霧乾燥、パンコーティング等を含む。乾式粒子コーティング(無溶媒コーティングとも称される)において、API粒子は、不活性成分(ポリマー及び添加剤)の微粒子で物理的にコーティングされて粒子複合体を形成する。乾式粒子コーティングの例は、ホットメルトコーティング、超臨界コーティング、インパクションコーティング、静電コーティングを含む。味マスキング不活性成分でコーティングされたAPI粒子は、嚥下困難を有するか、又はそうしなければ負の患者経験及び不十分な服薬順守につながる味に対する感受性を有する患者に、より心地よい経験をもたらすことができる。
【0006】
加えて、医薬組成物の1つのタイプは口腔内崩壊錠剤(orally-disintegrating tablet,ODT)である。ODTは、典型的には、嚥下困難を有し得る小児患者、老齢患者、動物患者、及び/又は他の種類の患者を対象とする医薬組成物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,976,577号明細書
【特許文献2】米国特許第6,413,549号明細書
【特許文献3】米国特許第6,709,669号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2011/0229573号明細書
【特許文献5】米国特許第9,107,851号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
医薬組成物を小さな投与可能な形態に正確に分配するために、疎水性コーティングされたAPI粒子をマトリックス溶液/懸濁液に入れて医薬懸濁液を形成することができる。混合して医薬懸濁液を形成することは、投入精度の向上を可能にする。多くの場合、この疎水性コーティングされたAPI粒子を含む医薬懸濁液は、型に投入され、乾燥され、次いで成型品は例えば瓶に移され得る。しかし、医薬組成物のこの種のハンドリングは、損傷及び混入等のリスクを増加させ得る。
【0009】
したがって、現在、多くのAPI懸濁液は、代わりに、予め成形されたブリスターパックに投入される。予め成形されたブリスターパックは、上記のハンドリング工程の1つを排除する。型に投入し、次いで成型品をパッケージングのための瓶に移す代わりに、予め成形されたブリスターパックは、製造業者が、凍結、乾燥、次いで密封及びパッケージングされ得る予め成形されたブリスターパックに医薬懸濁液を投入することを可能にする。したがって、予め成形されたブリスターパックは、型、及び医薬組成物が保管され得るパッケージの両方として機能する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願人らは、水溶性及び/又は水膨潤性材料をコーティングから排除することができるAPIコーティングプロセスを発見した。代わりに、コーティングされるAPIは、ワックス等の水不溶性材料でコーティングされ得る。加えて、APIは、水不溶性材料と同じコーティング中にあってもよい、水不溶性材料コーティングの上の第2のコーティング中にあってもよい、又はこれらの組合せであってもよい第2のコーティング材料(例えばシリカ)でコーティングされ得る。更に、本出願人らは、APIのコーティングプロセスがコーティング又は粉砕の媒体を必要としないことを発見した。代わりに、APIは単に、第1のコーティング材料(例えば水不溶性材料)及び第2のコーティング材料(例えばシリカ)と、API、第1のコーティング材料、及び第2のコーティング材料の組合せに加えられる機械的及び/又は熱エネルギーとを使用してコーティングされ得る。
【0011】
加えて、様々な混合プロセスを使用して製造されたコーティングされたAPIのコーティング材料の凝集を最小限にするための方法を提供する。コーティング材料の凝集は、医薬製品の安定性を経時的に低下させ得る。例えば、医薬製品が凝集したコーティング材料を含む場合、医薬製品の崩壊時間は経時的に増加し得る。崩壊時間の増加及び/又は溶解速度の低下は、不安定な医薬製品を暗示する。不安定な医薬製品は、所望よりも短い貯蔵寿命につながり得る。したがって、提供される実施形態は、コーティングされたAPIのコーティング材料の凝集を最小限にして、保管中の医薬製品の安定性を向上させ、その貯蔵寿命を増加させることに役立ち得る。
【0012】
例えば、記載する方法は、過剰なコーティング材料を、コーティングされたAPIから除去して、コーティング材料粒子の凝集の可能性を最小にする工程を含む。特に、提供する方法は、最終医薬製品が乾燥マトリックスによって適切に囲まれ、保管時のコーティング材料粒子のいかなる凝集も最小限にするように、コーティングされたAPIを篩い分ける工程を含む。記載する医薬組成物は、経時的に比較的安定なままで、ある崩壊時間及び溶解速度をもたらす。
【0013】
懸濁液中の疎水性コーティングされたAPIの空気混和を最小限にすることができる組成物及び組成物を調製するための方法も提供される。例えば、疎水性コーティングされたAPIは、マトリックス溶液/懸濁液に混合されて医薬懸濁液を形成し、型に正確に入れられて、患者に投与するための固体医薬組成物(例えば、物品、錠剤等)を形成することができる。しかし、コーティングされたAPIの疎水性は、コーティングされたAPIが溶液/懸濁液中への分散に抵抗する原因になり得る。結果として、これは、空気混和(エアレーション)としても知られる、空気が医薬懸濁液に連行される原因になり得る。医薬懸濁液の連行された空気又は空気混和は、医薬懸濁液中のコーティングされたAPIの相分離を引き起こし、不均質な医薬懸濁液をもたらし得る。空気混和及び不均質な医薬懸濁液は、予め成形されたブリスターパックに投入された、疎水性APIを含む医薬懸濁液の不十分な投入質量精度及び完成製品(すなわち医薬組成物)における不十分な含有量均一性につながり得る。
【0014】
抗空気混和及び/又は空気混和の最少化の伝統的な機械的手段は、医薬懸濁液の高い粘度ゆえに、成功することは見出されていない。例えば、空気混和を最小限にすることは、真空を医薬懸濁液に適用することによって達成され得るが、組成物及び更なる処理要件に応じて、この手法は適切でないことがある。特に、粘性の懸濁液は連行した空気に「しがみつく」ので、真空を医薬懸濁液に適用することは、懸濁液を上昇させ得る。揮発性の製剤成分が、真空処理中に失われる可能性もある。更に、エタノール又はシメチコン乳剤等の伝統的な抗空気混和剤は、懸濁液の空気混和に抗するのにおいて同様に効果的でない。
【0015】
したがって、本明細書で提供される組成物及び方法は、疎水性コーティングされたAPIを含む医薬懸濁液の空気混和を最小限にして懸濁液の均質性を向上させ、投入質量(用量質量)精度を高める。具体的には、提供される実施形態は、テルペン及び/又はテルピノールを含む化合物を含むマトリックス溶液/懸濁液を含み得る。一部の実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液は、テルペンであるリモネンを含み得る。リモネン等のテルペンを含む化合物を導入することにより、疎水性コーティングされたAPIは、より容易にマトリックス溶液/懸濁液中へと組み込まれ、医薬懸濁液の全体の空気混和を最少化することができる。
【0016】
製造プロセス中に、機能性コーティングがされたAPIの機能性コーティングを保持するように製剤化される医薬組成物及び医薬組成物を調製するための方法も本明細書で提供される。機能性コーティングされたAPIは、多くの場合、混合されて医薬懸濁液を形成する。医薬懸濁液は、投与可能な医薬製品を形成するための正確な用量を可能にする。典型的には、機能性コーティングされたAPIを医薬懸濁液中に組み込むのに必要とされる剪断力は、機能性コーティングを浸食し得る。このコーティングの浸食は、機能性コーティングの特性を破壊又は損ない得る。したがって、浸食されたコーティングを有する機能性コーティングがされたAPIは、患者に経口投与される場合、溶解速度の増大及び味マスキング特性の低下を起こし得る。
【0017】
しかし、本明細書で提供される医薬組成物及び医薬組成物を調製するための方法は、医薬懸濁液中の機能性コーティングされたAPIのコーティングを疎水性ヒュームドシリカで保存することを含む。具体的には、疎水性のヒュームドシリカは、機能性コーティングされたAPI粒子を囲む及び/又はそれに埋め込まれた保護層をもたらすことができる。一部の実施形態では、機能性コーティングされたAPIを製造するための無溶媒プロセスは、第1のコーティングを含むAPIを製造することができる。一部の実施形態によると、疎水性のヒュームドシリカは、無溶媒混合プロセス中に添加されて、機能性コーティングされたAPIを囲む及び/又はそれに部分的若しくは完全に埋め込まれた第2の保護コーティングを作り出すことができる。
【0018】
加えて、第2の保護コーティングは、マトリックスの性能特性に対する機能性コーティングされたAPIの影響を最小化するように、機能性コーティングされたAPIとマトリックス溶液/懸濁液の間の相互作用を制限することができる。
【0019】
一部の実施形態では、医薬組成物は、水不溶性材料及びシリカを含む少なくとも1つのコーティングを含むAPI 85~95%w/w;3~7%w/wのマトリックス形成剤;並びに2~6%w/wの構造形成剤を含む。一部の実施形態では、水不溶性材料は、少なくとも1つのコーティングを含むAPIの10~30%w/wを構成する。一部の実施形態では、シリカは、少なくとも1つのコーティングを含むAPIの0.5~2%w/wを構成する。一部の実施形態では、水不溶性材料はワックスを含む。一部の実施形態では、ワックスはカルナウバワックスを含む。一部の実施形態では、シリカは疎水性シリカを含む。一部の実施形態では、マトリックス形成剤はゼラチンを含む。一部の実施形態では、構造形成剤はマンニトールを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は粘度調整剤を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は0.1~1%w/wの粘度調整剤を含む。一部の実施形態では、粘度調整剤はキサンタンガムを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は甘味料を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は0.1~2%w/wの甘味料を含む。一部の実施形態では、甘味料はスクラロースである。一部の実施形態では、医薬組成物は香味剤を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は0.5~3%w/wの香味剤を含む。一部の実施形態では、香味剤はテルペン及び/又はテルピノールを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、15分後で70%以下の中容量(mid volume)60分溶解試験結果を有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、30分後で85%以下の中容量60分溶解試験結果を有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、45分後で90%以下の中容量60分溶解試験結果を有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、60分後で95%以下の中容量60分溶解試験結果を有する。
【0020】
一部の実施形態では、コーティングされたAPIを調製する方法は、未処理(raw)のAPIを篩い分ける工程と、篩い分けられた未処理のAPI及び水不溶性材料を容器内で混合する工程と、機械的エネルギーをその容器に加え、かつ容器を50℃以上の温度に加熱する工程と、機械的エネルギーを加え続け、容器の温度を維持しながらシリカを容器に添加して、水不溶性材料及びシリカを含む少なくとも1つのコーティングを含むコーティングされたAPIを形成する工程とを含む。一部の実施形態では、未処理のAPIを篩い分ける工程は、未処理のAPIを75~250ミクロンの平均粒径に篩い分けることを含む。一部の実施形態では、その方法は、コーティングされたAPIを篩い分ける工程を含む。一部の実施形態では、コーティングされたAPIを篩い分ける工程は、コーティングされたAPIを75~250ミクロンの平均粒径に篩い分けることを含む。一部の実施形態では、水不溶性材料はワックスを含む。一部の実施形態では、ワックスはカルナウバワックスを含む。一部の実施形態では、シリカは疎水性シリカを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのコーティングを含むAPIの少なくとも1つのコーティングのAPIに対する比は15~40:60~85である。
【0021】
一部の実施形態では、医薬組成物を調製する方法は、30~50%w/wの、水不溶性材料及びシリカを含む少なくとも1つのコーティングを含むAPI;1~5%w/wのマトリックス形成剤;1~3%w/wの構造形成剤;並びに溶媒、を含む医薬懸濁液を形成する工程と、その医薬懸濁液を型に入れる工程と、入れた医薬懸濁液を型内で凍結乾燥させて医薬組成物を形成する工程とを含む。一部の実施形態では、水不溶性材料は、少なくとも1つのコーティングを含むAPIの10~30%w/wを構成する。一部の実施形態では、シリカは、少なくとも1つのコーティングを含むAPIの0.5~2%w/wを構成する。一部の実施形態では、水不溶性材料はワックスを含む。一部の実施形態では、ワックスはカルナウバワックスを含む。一部の実施形態では、シリカは疎水性シリカを含む。一部の実施形態では、マトリックス形成剤はゼラチンを含む。一部の実施形態では、構造形成剤はマンニトールを含む。一部の実施形態では、医薬懸濁液は粘度調整剤を含む。一部の実施形態では、医薬懸濁液は0.01~0.1%w/wの粘度調整剤を含む。一部の実施形態では、粘度調整剤はキサンタンガムを含む。一部の実施形態では、医薬懸濁液は甘味料を含む。一部の実施形態では、医薬懸濁液は0.1~1%w/wの甘味料を含む。一部の実施形態では、甘味料はスクラロースである。一部の実施形態では、医薬懸濁液は香味剤を含む。一部の実施形態では、医薬懸濁液は0.1~1%w/wの香味剤を含む。一部の実施形態では、香味剤はテルペン及び/又はテルピノールを含む。
【0022】
一部の実施形態では、医薬組成物を調製する方法は、未処理(raw)のAPIを篩い分ける工程と、篩い分けられた未処理のAPI及び水不溶性材料を容器内で混合する工程と、機械的エネルギーを容器に加え、かつ容器を50℃以上の温度に加熱する工程と、機械的エネルギーを加え続け、かつ容器の温度を維持しながら、シリカを容器に添加して、水不溶性材料及びシリカを含む少なくとも1つのコーティングを含むコーティングされたAPIを形成する工程と、コーティングされたAPIを篩い分ける工程と、水不溶性材料及びシリカを含む少なくとも1つのコーティングを含む30~50%w/wのコーティングされたAPI、1~5%w/wのマトリックス形成剤、1~3%w/wの構造形成剤、並びに溶媒を含む医薬懸濁液を形成する工程と、その医薬懸濁液を型に入れる工程と、入れられた医薬懸濁液を型内で凍結乾燥させて医薬組成物を形成する工程とを含む。
【0023】
追加の利点は、以下の詳細な記載から当業者に容易に明らかであろう。本明細書の実施例及び記載は、本質的に例示とみなされるべきであり、制限的ではない。
【0024】
この出願で参照される特許文献、科学論文及びデータベースを含む全ての刊行物は、各々の個々の刊行物が参照により個々に組み込まれるのと同程度まで、参照によりそれらの全体があらゆる目的のために組み込まれる。本明細書に記載の定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、公開出願及び他の刊行物に記載の定義に反するか、又はそうでなければ一致しない場合、本明細書に記載の定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義より優先する。
【0025】
本発明はこれから、添付の図面を参照して、単なる例として記載される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1Aは、一部の実施形態による、変形可能なコーティング材料の粒子(すなわち第1のコーティング層)でコーティングされたAPI粒子を示している。
図1Bは、一部の実施形態による、変形可能なコーティング材料の連続的なフィルム層(すなわち第1のコーティング層)でコーティングされたAPI粒子を示している。
図1Cは、一部の実施形態による、第1のコーティング層の表面上に部分的に埋め込まれた及び/又は埋め込まれたシリカの粒子(すなわち第2のコーティング層)を含む変形可能なコーティング材料(すなわち第1のコーティング層)の連続的なフィルム層でコーティングされたAPI粒子を示している。
【
図2】
図2は、一部の実施形態による、コーティングされていないAPI粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示している。
【
図3】
図3は、一部の実施形態による、コーティングされたAPI粒子のSEM画像を示している。
【
図4-1】
図4Aは、実施例1~4の篩い分けられたコーティングされたAPIを撮影した一連の顕微鏡写真である。
図4Bは、実施例1~4の篩い分けられたコーティングされたAPIを撮影した一連の顕微鏡写真である。
【
図4-2】
図4Cは、実施例1~4の篩い分けられたコーティングされたAPIを撮影した一連の顕微鏡写真である。
図4Dは、実施例1~4の篩い分けられたコーティングされたAPIを撮影した一連の顕微鏡写真である。
【
図4-3】
図4Eは、実施例1~4の篩い分けられたコーティングされたAPIを撮影した一連の顕微鏡写真である。
図4Fは、実施例1~4の篩い分けられたコーティングされたAPIを撮影した一連の顕微鏡写真である。
【
図4-4】
図4Gは、実施例1~4の篩い分けられたコーティングされたAPIを撮影した一連の顕微鏡写真である。
図4Hは、実施例1~4の篩い分けられたコーティングされたAPIを撮影した一連の顕微鏡写真である。
【
図4-5】
図4Iは、実施例1~4の篩い分けられたコーティングされたAPIを撮影した一連の顕微鏡写真である。
図4Jは、実施例1~4の篩い分けられたコーティングされたAPIを撮影した一連の顕微鏡写真である。
【
図5】
図5は、一部の実施形態による、異なる濃度のシリカの第2の保護コーティングを含む機能性コーティングされたAPIのd10粒径の評価を示すグラフである。
【
図6A】
図6は、一部の実施形態による、異なる濃度のシリカの第2の保護コーティングを含む機能性コーティングされたAPIのd50粒径の評価を示すグラフである。
【
図6B】
図6は、一部の実施形態による、異なる濃度のシリカの第2の保護コーティングを含む機能性コーティングされたAPIのd50粒径の評価を示すグラフ(後半)である。
【
図7】
図7は、一部の実施形態による、異なる濃度のシリカの第2の保護コーティングを含む機能的にコーティングされたAPIのd90粒径の評価を示すグラフである。
【
図8】
図8は、一部の実施形態による、様々なレベルの疎水性ヒュームドシリカを含むカルナウバワックスでコーティングされたAPIの低容量溶解のグラフを示している。
【
図9】
図9は、一部の実施形態による、様々なレベルの疎水性ヒュームドシリカを含むサゾール(合成)ワックスでコーティングされたAPIの低容量溶解のグラフを示している。
【
図10】
図10は、様々な濃度の液体香味料を用いた疎水性コーティングされたAPIのd10粒径の評価を示すグラフを示している。
【
図11】
図11は、様々な濃度の液体香味料を用いた疎水性コーティングされたAPIのd50粒径の評価を示すグラフを示している。
【
図12】
図12は、様々な濃度の液体香味料を用いた疎水性コーティングされたAPIのd90粒径の評価を示すグラフを示している。
【
図13】
図13は、様々な濃度の純粋なリモネンを用いた疎水性コーティングされたAPIのd10粒径の評価を示すグラフを示している。
【
図14】
図14は、様々な濃度の純粋なリモネンを用いた疎水性コーティングされたAPIのd50粒径の評価を示すグラフを示している。
【
図15】
図15は、様々な濃度の純粋なリモネンを用いた疎水性コーティングされたAPIのd90粒径の評価を示すグラフを示している。
【
図16】
図16は、ストロベリー及びオレンジの液体香味料を用いた疎水性コーティングされたAPIの様々な粒径分析を比較しているグラフを示している。
【
図17】
図17は、本明細書で開示される一部の実施形態に従って、コーティングされたAPIを製造する方法のフローチャートの例を図示している。
【
図18】
図18は、本明細書で開示される一部の実施形態に従って、剤形を作る方法のフローチャートの例を図示している。
【
図19】
図19Aは、試料Z3703/136/07のSEM画像を図示している。
図19Bは、試料Z3703/136/07のSEM画像を図示している。
【
図20】
図20Aは、試料Z3703/136/09のSEM画像を図示している。
図20Bは、試料Z3703/136/09のSEM画像を図示している。
【
図21】
図21Aは、試料Z3703/136/10のSEM画像を図示している。
図21Bは、試料Z3703/136/10のSEM画像を図示している。
【
図22】
図22Aは、試料Z3703/136/12のSEM画像を図示している。
図22Bは、試料Z3703/136/12のSEM画像を図示している。
【
図23】
図23は、実施例で説明しているコーティング媒体を用いて、及び用いずに(すなわち粉砕)製造されたコーティングされたAPIの溶解結果についての図表である。
【
図24】
図24は、低容量5分溶解試験を使用して、API原料及びコーティングされたAPI原料を比較する図表である。
【
図25】
図25は、本明細書で開示している60分の時間枠にわたるコーティングされたAPI溶解プロファイルを示す図表である。
【
図26】本明細書に記載されるようなコーティングされたAPI(LVD)及び200mgの完成製品(MVD)の溶解比較を示す図表である。
【
図27】
図27は、低容量溶解試験を使用してAPAP原料及びコーティングされたAPAPを示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
水溶性及び/又は水膨潤性材料をAPIのコーティングから排除することができる、APIをコーティングするための方法の例示的な実施形態が、本明細書に記載されている。これらの方法は、APIを水不溶性材料、例えばワックスでコーティングする工程を含み得る。加えて、APIは、水不溶性材料と同じコーティング中にあってもよい、水不溶性材料コーティングの上の第2のコーティング中にあってもよい、又はこれらの組合せであってもよい第2のコーティング材料(例えばシリカ)でコーティングされ得る。次いで、コーティングされたAPIは、マトリックスのプレミックスと混合されて医薬懸濁液を形成し、次に、凍結乾燥されて医薬組成物(例えば剤形)を形成することができる。
【0028】
図1A、
図1B、及び
図1Cは、コーティングされたAPI粒子(例えば、一部の実施形態によるイブプロフェン又はアセトアミノフェン(APAP))の異なる相を示す。
図17は、本明細書に記載している一部の実施形態に従ってAPI粒子をコーティングするためのフロー図の例を示している。一部の実施形態では、API粒子は1種又は複数のコーティング材料と混ぜ合わされて、コーティングされたAPIを作ることができる。本出願人は、水溶性及び/又は水膨潤性材料がコーティングに必要でないことを発見した。したがって、このコーティングは、水不溶性材料を含む材料を含み得る。
【0029】
例えば、
図1Aは、コーティング材料の粒子104によって囲まれたAPI粒子102を示している。
図1AのコーティングされたAPI粒子を達成するために、混ぜ合わされたAPI(すなわちAPI粒子102)及び1種又は複数のコーティング材料(すなわちコーティング材料粒子104)は、機械的及び/又は熱エネルギーに曝されて、API粒子102の表面を層状化するコーティング材料粒子104の離散的な層を含むAPI粒子102の規則的な混合物を作り出すことができる。
図1AのAPI粒子102は、コーティング材料の離散的な粒子の単一層と共に示される。しかし、API粒子102は、コーティング粒子の2つ以上の離散的な層を有し得る。加えて、
図2はコーティングされていないAPI粒子のSEM画像を示している。
【0030】
図1Bは、連続的な、変形したフィルム層104によって囲まれたAPI粒子102を示している。具体的には、
図1Bは、コーティング材料粒子104の全てが変形可能であることができ、機械的応力及び/又は上昇した温度を受けた場合に変形し得ることを示している。したがって、全てのコーティング材料が、変形可能である特性を含むので、
図1Bのコーティング材料104は、機械的及び/又は熱エネルギーへの曝露後の比較的滑らかで連続的なコーティング層である。一部の実施形態では、API粒子102は、2つ以上の比較的滑らかで連続的なコーティング層を有し得る。「連続的なフィルム」は、本明細書で使用される場合、個々のコーティング材料粒子がAPI粒子を囲む単一の連続的な層を構成するように、個々のコーティング材料粒子の1種又は複数の変形可能な成分を融解/軟化又はそうでなければ分解することによって形成された、API粒子を囲む層であり得る。また
図3は、一部の実施形態による、コーティングされたAPI粒子を示すSEM画像を提供している。
【0031】
一部の実施形態では、コーティング材料の1種又は複数は、変形可能でないことがあるが、変形可能なコーティング層に埋め込まれ得る。したがって、連続的なフィルムは、変形したコーティング材料内に埋め込まれた非変形可能材料の固体粒子を含み得る。
図1Cは、連続的なフィルム104が、連続的なフィルム104の変形したコーティング材料内に部分的に埋め込まれた及び/又は埋め込まれた1種又は複数の非変形可能材料の固体の非変形可能粒子108を含み得ることを示している。
図1B又は
図1Cのこの連続的なフィルム104は、コーティング(例えば、APIの味をマスキングするコーティング)及び遅延API放出を確実にすることができる。一部の実施形態では、API粒子102は、非変形可能コーティング材料粒子が部分的に埋め込まれた及び/又は埋め込まれた2つ以上の連続的なコーティング層を有し得る。また
図3は、一部の実施形態による機能性コーティングされたAPI粒子を示すSEM画像を提供している。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「変形可能」、「変形可能な成分」、「コーティング材料の変形可能な成分」及び他の関連する用語は、機械的応力及び/又は上昇した温度をうけた場合に分解され得る水不溶性材料(水に不溶性の材料)の1種又は複数の成分を指す。実施例で説明しているように、APIのコーティングは、水溶性又は水膨潤性材料の使用なしに実現され得る。
【0033】
一部の実施形態では、APIをコーティングする方法は、
図17に示されるように、未処理のAPIを篩い分ける工程と、APIをコーティング材料でコーティングする工程と、コーティングされたAPIを篩い分ける工程とを含み得る。一部の実施形態では、未処理のAPI(例えば、イブプロフェン、アセトアミノフェン等)は、50~500ミクロン、50~300ミクロン、又は75~250ミクロンの平均サイズに篩い分けられ得る。一部の実施形態では、微細な及び粗い材料の除去によって、コーティングプロセスに望ましい粒径画分を得るために、未処理のAPIは、25、50、75、又は100(底部篩メッシュ)及び150、200、250、300、400、又は500(上部篩メッシュ)ミクロンメッシュ並びに適当な篩い分け装置を使用して篩い分けられ得る。
【0034】
任意のAPIが、この発明で使用され得る。当業者は、安定性、他の成分との適合性、所望の薬物放出プロファイル等の様々な理由のために、ある特定の活性成分及び/又はAPIが剤形への製剤化のために望ましいことを理解するであろう。一部の実施形態では、APIはヒト又は獣医学的疾患の治療のための活性医薬成分であり得る。APIは固体の凍結乾燥剤形を使用して送達される成分であり得る。APIは粘膜を介して吸収され得る成分であり得る。APIは抗菌剤、抗真菌剤、抗原虫剤、抗ウイルス剤、陣痛促進剤、殺精子剤、プロスタグランジン、ステロイド、及び殺菌薬、タンパク質/ペプチド、並びにワクチン抗原の1種又は複数であり得る。
【0035】
APIは、医薬成分並びにビタミン及び栄養補助食品等の摂取され得る他の種類の活性成分を含み得る。適切なAPIは、限定することなしに、鎮痛薬及び抗炎症剤(例えばイブプロフェン)、制酸薬、駆虫薬、抗不整脈剤、抗菌剤、抗凝固薬、抗不安抗鬱薬、抗糖尿病薬、止瀉薬、抗てんかん薬、抗真菌剤、抗痛風剤、抗高血圧剤、抗マラリア薬、抗片頭痛剤、抗ムスカリン剤、抗新生物剤及び免疫抑制薬、抗原虫剤、抗リウマチ薬、抗甲状腺剤、抗ウイルス薬、抗不安薬、鎮静薬、睡眠薬及び神経弛緩薬、ベータ遮断薬、強心剤、コルチコステロイド、鎮咳薬、細胞傷害薬、充血除去薬、利尿薬、酵素、抗パーキンソン病剤、胃腸剤、ヒスタミン受容体アンタゴニスト、脂質調節剤、局所麻酔薬、神経筋作用剤、硝酸塩及び抗狭心症剤、栄養剤、オピオイド鎮痛薬、経口ワクチン、タンパク質、ペプチド及び組換え薬、性ホルモン及び避妊薬、殺精子薬、刺激薬、禁煙製品、並びにこれらの組合せを含む。活性成分の具体的な例のリストは、米国特許第5,976,577号明細書、同第6,413,549号明細書、及び同第6,709,669号明細書、並びに米国特許出願公開第2011/0229573号明細書に見ることができ、これらの全ては、それらの全体を参照により本明細書に援用する。
【0036】
APIは、単一の化学物質等の単一の活性医薬成分であってもよく、又はいくつかの活性医薬成分の混合物であってもよい。活性医薬成分は、活性医薬成分の多くの分類のいずれかであってもよい。活性医薬成分は、アシクロビル、フルコナゾール、プロゲステロン及びその誘導体、ノノキシノール-9、テルブタリン、リドカイン、テストステロン及び誘導体、ジノプロストン、ラクトバチルス、エストロゲン及び誘導体、ナフタレン2-スルホン酸、ラスミジタン、ドキシサイクリン、ドロキシドパ、サプロプテリン、ブトコナゾール、硝酸/リン酸クリンダマイシン、ネオマイシン硫酸塩、ポリミキシン硫酸塩、ナイスタチン、クロトリマゾール、デキストリン硫酸塩、グリミノックス(glyminox)、ミコナゾール硝酸塩、ベンザルコニウム塩化物、ラウリル硫酸ナトリウム、テノホビル、インスリン、カルシトニン、ダナゾール、イブプロフェン、アセトアミノフェン、セフポドキシムプロキセチル、デスロラタジン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ビタミン及び/又はミネラル、アジピン酸、アスコルビン酸、マクロライド抗生物質、NS-AIDS、セフロキシムアキセチル、アモバルビタール、シプロフロキサシン塩酸塩、シルデナフィルクエン酸塩、ピナベリウムブロミド、プロパンテリン臭化物、トリプロリジンHcl、ジメンヒドリナート、セフカネルダロキサートHCl、エノキサシン、スパルフロキサシン、アスピリン、ファモチジン、アモキシシリン三水和物、モルヒネHCl、アミプリロースHCl、テルフェナジン、ベクラミド、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、ニザチジン、セトラキサートHCl、シプロフロキサシン、ビフェメランHCl、セフロキシムアキセチル、ピレンゼピン及び/又はオキシブチニン、ジクロフェナク、ニコランジル、レボフロキサシン、アクリフラビン、リュープロレリン酢酸塩、メトロニダゾール、ベンジダミン塩酸塩、クロラムフェニコール、オキシブチニン、エチニルエストラジオール、プロスタグランジン、インスリン、カルシトニン並びにこれらの組合せからなる群から選択され得るが、これらに限定されない。活性医薬成分は、B型肝炎、HIV、HPV、クラミジア、淋菌感染の治療のためのもの等のワクチン抗原であってもよい。
【0037】
APIは、前述のいずれかの活性成分の塩、エステル、水和物、溶媒和物、及び誘導体も含み得る。適切な誘導体は、活性成分と同じ活性を持つことが当業者に公知であるものであるが、活性レベルはより低くても又はより高くてもよい。APIは、経口送達方法又は経口送達組成物と適合しない任意の活性成分も含み得る。
【0038】
存在する場合、APIは、典型的には、臨床研究により確定されるような少なくとも1つの生理的効果をもたらすのに必要とされる投与量を提供するのに必要な有効量で製剤中に用いられる。当業者は、本開示に従って作られる多層剤形に含めるための活性成分の適当な量を容易に決定することができる。
【0039】
一部の実施形態では、コーティングされたAPI粒子又は医薬組成物は、30.0~90.0%w/wのAPIを含み得る。一部の実施形態では、コーティングされたAPI粒子又は医薬組成物は、40.0~85.0%w/w、50.0~80.0%w/w、65.0~80.0%w/wのAPI、又は68~78%w/wのAPIを含み得る。一部の実施形態では、コーティングされたAPI粒子又は医薬組成物は、40.0%w/w超、50.0%w/w超、60.0%w/w超、65%w/w超、68%w/w超、70.0%w/w超、75.0%w/w超、77%w/w超、80.0%w/w超、又は85.0%w/w超のAPIを含み得る。一部の実施形態では、コーティングされたAPI粒子又は医薬組成物は、90.0%w/w未満、85.0%w/w未満、80.0%w/w未満、78%w/w未満、75.0%w/w未満、70.0%w/w未満、69%w/w未満、65%w/w未満、60.0%w/w未満、50.0%w/w未満、又は40.0%w/w未満のAPIを含み得る。一部の実施形態では、コーティングされたAPI粒子は、約63.5~77.5%w/wのAPIを含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物は、約68.75%w/wのAPIを含み得る。
【0040】
API粒子102を囲むコーティング104は、水不溶性材料を含む材料を含み得る。一部の実施形態では、このコーティングは、API粒子(例えばイブプロフェン)を直接コーティングすることができ、又は1つ若しくは複数のコーティングを既に含むAPI粒子をコーティングすることができる。一部の実施形態では、APIに対するコーティング材料の比は、過剰なコーティング材料を最小限にするために最適化され得る。例えば、コーティング材料は、API及びコーティング材料の混合物の5~85%w/w、10~50%w/w、15~30%w/w、20~25%w/w、又は22.5%w/wを構成し得る。一部の実施形態では、コーティング材料は、API及びコーティング材料の混合物又は医薬組成物の85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、又は10%未満を構成し得る。一部の実施形態では、コーティング材料は、API及びコーティング材料の混合物又は医薬組成物の5%超、10%超、15%超、20%超、25%超、30%超、35%超、40%超、45%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、又は75%超を含み得る。一部の実施形態では、コーティング材料のパーセンテージは、2つ以上の層のコーティング材料を含み得る。
【0041】
コーティング材料の水不溶性材料は、APIの平均粒径未満の平均粒径を含む粒子であり得る。例えば、水不溶性材料は、約1~20μm、約1~12μm、約2~10μm、約5~12μm、又は約5~6μmの平均粒径を含み得る。一部の実施形態では、規則的な混合及びコーティングを可能にするために、水不溶性材料はAPIの平均粒径のおよそ10分の1であり得る。コーティング材料の水不溶性材料は、機械的応力及び/又は上昇した温度下で変形可能であり得る。コーティングされたAPI又は医薬組成物は、5~70%w/w、10~60%w/w、10~50%w/w、10~40%w/w、10~35%w/w、15~30%w/w、15~25%w/w、又は18~21%w/wの水不溶性材料を含み得る。一部の実施形態では、コーティングされたAPI又は医薬組成物は、5%w/w超、10%w/w超、15%w/w超、18%w/w超、20%w/w超、21%w/w超、25%w/w超、30%w/w超、35%w/w超、又は40%w/w超の水不溶性材料を含み得る。一部の実施形態では、コーティングされたAPI又は医薬組成物は、70%w/w未満、60%w/w未満、50%w/w未満、45%w/w未満、40%w/w未満、35%w/w未満、30%w/w未満、25%w/w未満、22%w/w未満、又は20%w/w未満の水不溶性材料を含み得る。一部の実施形態では、コーティングされたAPIは21%w/wの水不溶性材料を含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物は18.63%w/wの水不溶性材料を含み得る。適切な水不溶性材料の例は、エチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ヒマシワックス、ポリアミドワックス、及び/又は合成ワックスを含むが、これらに限定されない。
【0042】
溶解速度を遅くするために、APIを第2のコーティング材料としてシリカで乾式コーティングすることは、コーティングのin vivoでの味のマスキング性能を向上させることができる。上で論じた通り、第2のコーティング材料は、水不溶性材料の上に第2のコーティングを形成することができ、水不溶性材料でのコーティングの一部であってもよく若しくはコーティングの中に埋め込まれてもよく、又はこれらの組合せであってもよい。コーティングされたAPI(例えばイブプロフェン)は、0.5~35%w/w、0.5~5%w/w、0.5~3%w/w、又は1~2%w/wのシリカを含み得る。一部の実施形態では、コーティングされたAPI又は医薬組成物は、0.5~20%w/w、0.5~10%w/w、0.5~5%w/w、0.5~3%w/w、又は1~2%w/wのシリカ(例えば疎水性ヒュームドシリカ)を含み得る。一部の実施形態では、コーティングされたAPIは約1.5%w/wの疎水性シリカを含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物は約1.33%w/wの疎水性シリカを含み得る。一部の実施形態では、コーティングされたAPI又は医薬組成物は、0.5%w/w超、1.0%w/w超、1.5%w/w超、2.0%w/w超、2.5%w/w超、3.0%w/w超、4.0%w/w超、5.0%w/w超、10%w/w超、15%w/w超、20%w/w超、25%w/w超、又は30%w/w超のシリカ(例えば疎水性ヒュームドシリカ)を含み得る。一部の実施形態では、コーティングされたAPI又は医薬組成物は、35%w/w未満、25%w/w未満、15%w/w未満、10%w/w未満、5.0%w/w未満、4.0%w/w未満、3.5%w/w未満、3.0%w/w未満、2.5%w/w未満、2.0%w/w未満、1.5%w/w未満、又は1.0%w/w未満のシリカ(例えば疎水性ヒュームドシリカ)を含み得る。使用され得るシリカの例は、アエロジルR972シリカ(Degussa社)、CAB-O-SIL EH-5シリカ(Cabot社)、OX-50シリカ(Degussa社)、COSM055(Catalyst&Chemical Ind.Co.Ltd社(日本))、P-500親水性シリカ(Catalyst&Chemical Ind.Co.Ltd社(日本))、及びTS5シリカ(Cabot社)を含むが、これらに限定されない。さらに、シリカで乾式コーティングするために使用され得る適切な装置は、Comil(Quadro社Pennsylvania、U.S.のU3 Quadro Comil)、LabRAM(Resodyne社Minnesota、U.S.)、Magnetically Assisted Impact Coater(MAIC、Aveka社Minnesota、U.S.)、及び流体エネルギーミル(FEM、Sturtevant社Massachusetts U.S.のQualification Micronizer)を含むが、これらに限定されない。
【0043】
一部の実施形態では、機械的及び/又は熱エネルギーを使用して、コーティング中にAPI上への1種若しくは複数の水不溶性材料及び/又はシリカを変形することができる。例えば、機械的応力は、PharmaRAM II音響ミキサー(すなわち音響エネルギー)、RAM 5 Pharmaミキサー、又はRAM 55 Pharmaミキサー(Resodyn Mixers社)を使用して、機能性コーティングされたAPIに加えられ得る。コーティングされたAPIは、この音響混合プロセス中に、重力の最大100倍(100G加速度)に曝露され得る。これらの高い力は、API上への水不溶性材料又はシリカを変形するのに使用され得る熱の形態のエネルギーを生成する粒子-粒子衝突を引き起こし得る。
【0044】
一部の実施形態では、API及び水不溶性材料の所望の量をミキサーに添加することができ、機械的及び/又は熱エネルギー(すなわち加熱)を使用して、コーティング中にAPI上への水不溶性材料を変形することができる。次に、シリカ(例えば疎水性シリカ)をミキサーに添加することができ、機械的及び/又は熱エネルギーを加え続け、水不溶性材料を含むAPIコーティングに又はその上にシリカを加えることができる。
【0045】
一部の実施形態では、ミキサーを使用して、予め篩い分けられたAPIの所望の粒径画分を水不溶性材料でコーティングすることができる。APIの所望の粒径画分及び水不溶性材料をミキサー容器に添加することができ、機械的応力及び/又は熱エネルギーを容器内の混合物に加えることができる。混合中の容器の温度は、少なくとも30℃(±2℃)、35℃(±2℃)、40℃(±2℃)、45℃(±2℃)、50℃(±2℃)、55℃(±2℃)、又は60℃(±2℃)及び最大でも100℃(±2℃)、90℃(±2℃)、80℃(±2℃)、75℃(±2℃)、70℃(±2℃)、65℃(±2℃)、60℃(±2℃)、55℃(±2℃)、又は50℃(±2℃)であり得、この設定点で維持され得る。次いで、機械的及び/又は熱応力を加え続けながらシリカを添加及び混合して、コーティングされたAPIの流動性を補助し、取り扱い性を向上させることができる。一部の実施形態では、コーティングされたAPIは、50~500ミクロン、50~300ミクロン、又は75~250ミクロンの平均サイズに篩い分けられ得る。一部の実施形態では、コーティングされたAPIは、25、50、75、又は100(底部篩メッシュ)及び150、200、250、300、400、又は500(上部篩メッシュ)ミクロンメッシュ並びに適当な篩い分け装置を使用して篩い分けられて、望ましい粒径画分を得ることができ、下流の剤形製造のために収集及び保管され得る。
【0046】
上記のコーティングプロセスは、「離れた」又は「遊離した」コーティング材料粒子を生じ得る。
図2は、コーティングされていないAPI粒子のSEM画像である。
図3は、コーティングされたAPI粒子312のSEM画像である。「離れた」又は「遊離した」コーティング材料粒子314は、コーティングされたAPI粒子312に結合されていない。
【0047】
篩い分けられたら、コーティングされたAPIはマトリックス溶液/懸濁液中に混合されて医薬懸濁液(例えば、コーティングされたAPIを含むマトリックス溶液/懸濁液)を形成し、予め成形されたブリスターパックのポケット内に目方で投入されて医薬懸濁液のアリコートを形成することができる。一部の実施形態では、医薬懸濁液中のコーティングされたAPIとマトリックス溶液/懸濁液との比は、約20~60:40~80、約30~50:50~70、約35~45:55~65、又は約40:60であり得る。一部の実施形態では、医薬懸濁液(すなわち凍結乾燥前)は、約20~60%w/w、約30~50%w/w、約35~45%w/w、約38~42%w/w、又は約40%w/wのコーティングされたAPIを含み得る。一部の実施形態では、医薬懸濁液は、少なくとも約20%w/w、約25%w/w、約30%w/w、約35%w/w、又は約40%w/wのコーティングされたAPIを含み得る。一部の実施形態では、医薬懸濁液は、最大でも約60%w/w、約55%w/w、約50%w/w、約45%w/w、又は約40%w/wを含み得る。一部の実施形態では、医薬懸濁液は、約10~50%w/w、約20~40%w/w、約25~35%w/w、約28~33%w/w、又は約31%w/wのAPI(例えばイブプロフェン)を含み得る。一部の実施形態では、医薬懸濁液は、約1~20%w/w、約5~15%w/w、約5~10%w/w、又は約8.4%w/wの水不溶性材料(コーティングされたAPIの一部として)を含み得る。一部の実施形態では、医薬懸濁液は、約0.1~5%w/w、約0.1~3%w/w、約0.1~1%w/w、又は約0.6%w/wのシリカ(例えば疎水性シリカ)(コーティングされたAPIの一部として)を含み得る。
【0048】
マトリックス溶液/懸濁液は、マトリックス形成剤、構造形成剤、及び溶媒を含み得る。例えば、マトリックス形成剤は、薬理学的に許容される又は機能性コーティングされたAPIに対して不活性である任意の水溶性又は水分散性材料を含み得る。一部の実施形態では、マトリックス形成剤はゼラチン等のポリペプチドであり得る。ゼラチンは少なくとも部分的に加水分解され得る(水中での加熱により)。他の適切なマトリックス形成剤材料は、多糖類、例えば、加水分解デキストラン、デキストリン、及びアルギン酸塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、並びに/又はアラビアゴムを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、医薬懸濁液は、約1~10%w/w、約1~5%w/w、約1~3%w/w、約2~3%w/w、又は約2.4%w/wのマトリックス形成剤を含む。一部の実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液又は医薬懸濁液中のマトリックス形成剤の量は、約0.1~10%w/wであり得る。一部の実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液又は医薬懸濁液中のマトリックス形成剤の量は、1.0~8.0%w/w又は2.0~5.0%w/wを含み得る。一部の実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液又は医薬懸濁液中のマトリックス形成剤の量は、0.1%w/w超、0.5%w/w超、1.0%w/w超、2.0%w/w超、3.0%w/w超、4.0%w/w超、4.5%w/w超、5.0%w/w超、又は8.0%w/w超を含み得る。一部の実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液又は医薬懸濁液中のマトリックス形成剤の量は、10%w/w未満、8.0%w/w未満、6.0%w/w未満、5.0%w/w未満、4.0%w/w未満、3.0%w/w未満、2.5%w/w未満、2.0%w/w未満、1.5%w/w未満、又は1.0%w/w未満を含み得る。
【0049】
マトリックス溶液/懸濁液の構造形成剤又は増量剤は糖を含み得る。例えば、適切な構造形成剤は、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトース、グリシン、シクロデキストリン、又はこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。構造形成剤は、結晶化して、フリーズドライ剤形に構造的頑強性をもたらすので、凍結乾燥において増量剤として使用され得る。一部の実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液中の構造形成剤の量は、約0.1~10%w/wであり得る。一部の実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液又は医薬懸濁液中の構造形成剤の量は、1.0~8.0%w/w、1.0~5%w/w、1~3%w/w、1.5~2.0%w/w、又は1.8%w/wを含み得る。一部の実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液又は医薬懸濁液中の構造形成剤の量は、0.1%w/w超、0.5%w/w超、1.0%w/w超、1.5%w/w超、2.0%w/w超、3.0%w/w超、4.0%w/w超、4.0%w/w超、5.0%w/w超、又は8.0%w/w超を含み得る。一部の実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液又は医薬懸濁液中の構造形成剤の量は、10%w/w未満、8.0%w/w未満、6.0%w/w未満、5.0%w/w未満、4.0%w/w未満、3.0%w/w未満、2.5%w/w未満、2.0%w/w未満、1.5%w/w未満、又は1.0%w/w未満を含み得る。
【0050】
一部の実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液及び医薬懸濁液は粘度調整剤を含み得る。例えば、本明細書において提供される実施形態による粘度調整剤は、キサンタンガム、アルギニン、グアーガム、若しくはローカストビーンガム等の植物性ガム、コラーゲン若しくはゼラチン等のタンパク質、寒天、カルボキシメチルセルロース、ペクチン、若しくはカラギーナン等の糖、アロールート、トウモロコシデンプン、カタクリデンプン、ジャガイモデンプン、サゴ、若しくはタピオカ等のデンプン、及び/又は他の適切な粘度調整剤を含み得る。一部の実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液又は医薬懸濁液中の粘度調整剤の量は、0~0.2%w/w、0.01~0.1%w/w、0.02~0.08%w/w、又は約0.05%w/wであり得る。一部の実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液又は医薬懸濁液中の粘度調整剤の量は、0.01%w/w超、0.03%w/w超、0.05%w/w超、0.07%w/w超、0.1%w/w超、0.12%w/w超、0.15%w/w超、又は0.17%w/w超であり得る。一部の実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液又は医薬懸濁液中の粘度調整剤の量は、0.2%w/w未満、0.18%w/w未満、0.15%w/w未満、0.12%w/w未満、0.1%w/w未満、0.08%w/w未満、0.06%w/w未満、又は0.03%w/w未満であり得る。
【0051】
マトリックス溶液/懸濁液及び医薬懸濁液の溶媒は水であり得るが、懸濁溶液は共溶媒も含み得る。一部の実施形態では、溶媒はエタノール、アルコール、イソプロパノール、他の低級アルカノール、水(例えば精製水)、又はこれらの組合せであり得る。例えば、適切な溶媒及び/又は共溶媒は、tert-ブチルアルコール等のアルコールであり得る。一部の実施形態では、医薬懸濁液中の溶媒の量は、約35~75%w/w、約45~65%w/w、約50~60%w/w、約52~58%w/w、又は約54.9%w/wであり得る。一部の実施形態では、医薬懸濁液の残りの残部は溶媒である(すなわち全体が100%となる適量)。
【0052】
マトリックス溶液/懸濁液及び医薬懸濁液は、追加の薬学的に許容される薬剤又は賦形剤も含有し得る。そのような追加の薬学的に許容される薬剤又は賦形剤は、限定することなく、糖、無機塩、例えば、塩化ナトリウム及びケイ酸アルミニウム、加工デンプン、保存剤、抗酸化剤、増粘剤、着色剤、香味剤、pH調整剤、甘味料、味マスキング剤、並びにこれらの組合せを含む。適切な着色剤は、赤色、黒色及び黄色酸化鉄並びにFD&C青2号及びFD&C赤40号等のFD&C色素、並びにこれらの組合せを含み得る。適切な香味剤は、ミント、ラズベリー、リコリス、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、キャラメル、バニラ、チェリー及びブドウ香味料並びにこれらの組合せを含み得る。一部の実施形態では、医薬懸濁液は、約0.1~5%w/w、約0.1~3%w/w、約0.1~1%w/w、約0.5~0.9%w/w、又は約0.6%w/wの香味剤を含む。適切なpH調整剤は、クエン酸、酒石酸、リン酸、塩酸、マレイン酸、水酸化ナトリウム(例えば3%w/w水酸化ナトリウム溶液)、及びこれらの組合せを含み得る。適切な甘味料は、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムK及びタウマチン、並びにこれらの組合せを含み得る。一部の実施形態では、医薬懸濁液は、約0.1~5%w/w、約0.1~3%w/w、約0.1~1%w/w、約0.1~0.5%w/w、又は約0.24%w/wの甘味料を含む。適切な味マスキング剤は、重炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂、シクロデキストリン包接化合物、吸着剤、又はマイクロカプセル化活性物質、及びこれらの組合せを含み得る。当業者は、必要に応じてこれらの様々な追加の賦形剤の適切な量を容易に決定することができる。
【0053】
図18は、本明細書で開示されている一部の実施形態に従って剤形を製造する方法のフローチャートの例を示している。一部の実施形態では、マトリックス形成剤、構造形成剤、粘度調整剤、及び溶媒は一緒に混合されてマトリックスのプレミックスを形成することができる。プレミックスは約30~90℃、40~80℃、50~70℃、55~65℃、又は60℃に加熱されて、微生物量を減少させることができる。次いで、プレミックスは冷却され、適切な容器のなかへ濾過され得る。濾過の完了時に、プレミックスは、最大でも15℃、20℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、又は30℃に冷却され得る。次に、甘味料及び香味剤がプレミックスに添加されて、マトリックス溶液/懸濁液を形成することができる。マトリックス溶液/懸濁液は混合され(例えば、連続的に撹拌され)、最大でも15℃、20℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、又は30℃で維持され得る。
【0054】
一部の実施形態では、プレミックス及びコーティングされたAPIは、混合されて医薬懸濁液を形成することができる。ブリスターポケットは、ある特定の量のAPI(例えば、200mg、100mg、又は50mg)のAPI剤形に対する特定のmg量の医薬懸濁液の目標湿潤用量で充填(すなわち、医薬懸濁液が入れられる)され得る。ひとたびそれが入れられると、アリコートの医薬懸濁液を含むブリスターパックは、零度以下の条件下で凍結される。入れられた医薬懸濁液の凍結されたアリコートは、凍結乾燥の準備ができるまで凍結されたままにされ、凍結乾燥中に医薬懸濁液の溶媒が除去されて、医薬組成物を形成する。一部の実施形態では、医薬懸濁液がブリスターポケットに入れられた後、懸濁液は凍結トンネル内で凍結され得る。トンネルの温度及び懸濁液がトンネル内に留まる時間は、製造された全ての単位が十分に凍結されることを確実にするように制御され得る。凍結後、凍結保管期間を通してそれらの単位が凍結されたままであることを確実にするように温度制御され、モニターされる凍結機内に凍結された製品が保管され得る。
【0055】
医薬懸濁液が凍結された後、凍結された懸濁液は凍結乾燥され得る。凍結乾燥プロセスは、低圧の真空下での昇華によって、凍結された水を迅速に除去し、固体剤形(すなわち医薬組成物)を形成することができる。乾燥すると、剤形は、乾燥保管キャビネットに移され、製品の欠陥及び錠剤質量についての検査のためにプロセス内試験が行われる間、温度及び湿度が制御された環境中に保持され得る。プロセス内試験の完了時に、乾燥された剤形は、ブリスターパックの上に蓋をするホイルをつけるための密封ラインに移され得る。
【0056】
一部の実施形態では、医薬組成物(剤形としても知られる)は、医薬懸濁液を予め成形されたブリスターパックに入れることにより調製され得る。一部の実施形態では、凍結乾燥された口腔内崩壊錠剤は、懸濁液をブリスターパックに入れることにより調製され得る。一部の実施形態では、投入ポンプは体積単位でポンプ注入するが、このプロセスは質量で制御される。したがって、1つの剤形から次の剤形への含有量の均一性を確実にするために、投入プロセスは、入れられた懸濁液の体積対質量のパーセンテージが一貫しているように制御され得る。例えば、体積対質量のパーセンテージは、10パーセント以内、8パーセント以内、6パーセント以内、5パーセント以内、4パーセント以内、3パーセント以内、2パーセント以内、1.5パーセント以内、1パーセント以内、0.5パーセント以内、又は0.25パーセント以内で一貫していてもよい。一部の実施形態では、入れられる医薬懸濁液の質量は、目標質量の10パーセント以内、8パーセント以内、6パーセント以内、5パーセント以内、4パーセント以内、2.5パーセント以内、2パーセント以内、1.5パーセント以内、1パーセント以内、0.5パーセント以内、又は0.25パーセント以内である。加えて、医薬懸濁液の粘度は、入れやすいように十分低く維持されるべきである。上述した通り、医薬懸濁液の高い粘度は、投入中にポンプの焼き付きを引き起こすことがある。
【0057】
一部の実施形態では、医薬組成物(例えば、口腔内崩壊錠剤又は剤形)中のコーティングされたAPIの量は、約50~99%w/w、約70~99%w/w、約80~95%w/w、約85~95%w/w、約85~90%w/w、又は約88.71%w/wであり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中のコーティングされたAPIの量は、99%w/w未満、95%w/w未満、93%w/w未満、90%w/w未満、89%w/w未満、85%w/w未満、又は80%w/w未満であり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中のコーティングされたAPIの量は、50%w/w超、60%w/w超、70%w/w超、80%w/w超、85%w/w超、86%w/w超、87%w/w超、88%w/w超、又は90%w/w超であり得る。
【0058】
一部の実施形態では、医薬組成物中のAPIの量は、約50~90%w/w、約60~80%w/w、約65~75%w/w、約65~70%w/w、又は約68.75%w/wであり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中のAPIの量は、90%w/w未満、85%w/w未満、80%w/w未満、75%w/w未満、70%w/w未満、69%w/w未満、又は65%w/w未満であり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中のAPIの量は、50%w/w超、55%w/w超、60%w/w超、62%w/w超、63%w/w超、65%w/w超、66%w/w超、68%w/w超、又は70%w/w超であり得る。
【0059】
一部の実施形態では、医薬組成物中の水不溶性材料の量は、約1~40%w/w、約10~30%w/w、約15~25%w/w、約15~20%w/w、又は約18.63%w/wであり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中の水不溶性材料の量は、40%w/w未満、35%w/w未満、30%w/w未満、25%w/w未満、22%w/w未満、20%w/w未満、又は19%w/w未満であり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中の水不溶性材料の量は、1%w/w超、5%w/w超、8%w/w超、10%w/w超、12%w/w超、15%w/w超、16%w/w超、17%w/w超、又は18%w/w超であり得る。
【0060】
一部の実施形態では、医薬組成物中のシリカの量は、約0.1~5%w/w、約0.5~3%w/w、約1~3%w/w、約1~2%w/w、約1~1.5%w/w、又は約1.33%w/wであり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中のシリカの量は、5%w/w未満、4%w/w未満、3%w/w未満、2%w/w未満、1.8%w/w未満、1.6%w/w未満、又は1.5%w/w未満であり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中のシリカの量は、0.01%w/w超、0.05%w/w超、0.1%w/w超、0.5%w/w超、0.75%w/w超、0.8%w/w超、1%w/w超、1.2%w/w超、又は1.3%w/w超であり得る。
【0061】
一部の実施形態では、医薬組成物中のマトリックス形成剤の量は、約1~15%w/w、約1~10%w/w、約2~8%w/w、約3~7%w/w、約4~6%w/w、約5~6%w/w、又は約5.32%w/wであり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中のマトリックス形成剤の量は、20%w/w未満、15%w/w未満、12%w/w未満、10%w/w未満、8%w/w未満、7%w/w未満、又は6%w/w未満であり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中のマトリックス形成剤の量は、1%w/w超、2%w/w超、3%w/w超、4%w/w超、5%w/w超、又は5.1%w/w超であり得る。
【0062】
一部の実施形態では、医薬組成物中の構造形成剤の量は、約1~15%w/w、約1~10%w/w、約2~8%w/w、約2~6%w/w、約3~7%w/w、約3~6%w/w、約3~5%w/w、又は約4%w/wであり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中の構造形成剤の量は、20%w/w未満、15%w/w未満、12%w/w未満、10%w/w未満、8%w/w未満、7%w/w未満、又は5%w/w未満であり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中の構造形成剤の量は、1%w/w超、2%w/w超、2.5%w/w超、3%w/w超、3.5%w/w超、又は4%w/w超であり得る。
【0063】
一部の実施形態では、医薬組成物中の粘度調整剤の量は、約0.01~1%w/w、約0.01~0.5%w/w、約0.05~0.5%w/w、約0.08~0.3%w/w、又は約0.11%w/wであり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中の粘度調整剤の量は、1%w/w未満、0.8%w/w未満、0.5%w/w未満、0.3%w/w未満、0.2%w/w未満、0.15%w/w未満、又は0.12%w/w未満であり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中の粘度調整剤の量は、0.01%w/w超、0.03%w/w超、0.05%w/w超、0.08%w/w超、0.09%w/w超、又は0.1%w/w超であり得る。
【0064】
一部の実施形態では、医薬組成物中の香味剤の量は、約0.01~2%w/w、約0.01~1%w/w、約0.1~1%w/w、約0.3~0.8%w/w、又は約0.53%w/wであり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中の香味剤の量は、2%w/w未満、1%w/w未満、0.9%w/w未満、0.8%w/w未満、0.7%w/w未満、0.6%w/w未満、又は0.5%w/w未満であり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中の香味剤の量は、0.01%w/w超、0.5%w/w超、0.1%w/w超、0.2%w/w超、0.3%w/w超、又は0.4%w/w超であり得る。
【0065】
一部の実施形態では、医薬組成物中の甘味料の量は、約0.1~5%w/w、約0.5~3%w/w、約1~3%w/w、約1~2%w/w、約1~1.5%w/w、又は約1.33%w/wであり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中の甘味料の量は、5%w/w未満、4%w/w未満、3%w/w未満、2%w/w未満、1.8%w/w未満、1.6%w/w未満、又は1.5%w/w未満であり得る。一部の実施形態では、医薬組成物中の甘味料の量は、0.01%w/w超、0.05%w/w超、0.1%w/w超、0.5%w/w超、0.75%w/w超、0.8%w/w超、1%w/w超、1.2%w/w超、又は1.3%w/w超であり得る。
【0066】
<コーティングされたAPIのコーティング材料の凝集の最少化及び/又は防止>
過剰なコーティング材料の量及び/又は保管時の過剰なコーティング材料の凝集の量を最少にする、APIを含む医薬組成物を調製するための方法を以下に記載する。
【0067】
一部の実施形態による方法は、過剰なコーティング材料粒子を除去して、医薬製品中でのコーティング材料の凝集を最少にする及び/又は防止する工程を含む。一部の実施形態では、方法は、未処理のAPI及び/又はコーティングされたAPIを篩い分ける工程を含み得る。具体的には、提供される方法は、API及び/又はコーティングされたAPIを篩い分けて、過剰なコーティング材料粒子等の望まない粒子を除去する工程を含み得る。開示される実施形態による篩い分けプロセスは、最終製品の崩壊時間及び/又は溶解速度に悪影響を及ぼし得るコーティング材料凝集の可能性を防止する及び/又は最小にするのに役立ち得る。方法は、このプロセスのコーティング及び/又は用量比を最適化することも含み得る。
【0068】
本明細書に記載した実施形態による、コーティング材料粒子の凝集を最小限にする及び/又は防止するための方法は、APIをコーティングするための乾式無溶媒混合プロセスに適用され得る。したがって、提供される方法は、APIをコーティングするための1つ又は複数の乾式無溶媒混合プロセスとの関連で以下に記載されている。しかし、コーティング/カプセル化プロセスの他の変形法も使用され得る。例えば、糖コーティング、フィルムコーティング、マイクロカプセル化の他の変形法、圧縮コーティング、乾式コーティングの他の変形法、溶融コーティング、浸漬コーティング、ロータリーダイコーティング、静電コーティング、及び/又は他の適切な種類のコーティングが使用され得る。
【0069】
一般的に、APIをコーティングするための無溶媒混合プロセスは、コーティング材料をAPIと混合して、コーティングされたAPIを製造する工程を含む。次に、コーティングされたAPIに、機械的及び/又は熱的に応力を加えて、変形可能なコーティング材料を変形して、APIを囲む連続的なフィルムを作りだす。次に、コーティングされたAPIをマトリックス溶液/懸濁液と混合して医薬懸濁液を形成させる。コーティングされたAPIを含む医薬懸濁液は、ブリスターパック等の予め成形された型に入れられ、更に処理されて分配可能な医薬組成物(例えば、凍結乾燥物、ウェーファー、錠剤等)を製造することができる。
【0070】
しかし、最終製品(すなわち医薬組成物)を保管するとき、コーティングされたAPIに結合していない過剰なコーティング材料粒子が凝集し得る。凝集の量及び/又は激しさは、経時的に増大し得る。過剰なコーティング材料の凝集は、医薬製品の崩壊時間を増大させ及び/又は溶解速度を低下させて、コーティング材料の機能特性に悪影響を及ぼし得る。崩壊時間の増加は、in vivoで、許容されない分散及び食感特性も引き起こし得る。
【0071】
したがって、コーティングされたAPIを篩い分けることによって、過剰なコーティング材料を除去することができ、それにより保管時の過剰なコーティング材料の凝集の量を最少にすることができることが発見された。更に、一部の実施形態は、コーティング比(コーティングされていないAPIの量に対するコーティング材料の量)を最適化すること、及び用量比(全ての他の不活性成分を含む水溶液マトリックスに対するコーティングされたAPIの量)を最適化することを含み、過剰なコーティング材料粒子の凝集を最小限にすることもできる。
【0072】
本明細書において提供される実施形態は、乾式無溶媒プロセスを使用して製造されるコーティングされたAPIに適用され得る。本明細書に記載の実施形態による一部の混合プロセスは、APIを、味をマスキングするコーティングでコーティングすることを含む。そのようなコーティングは、口に入れられたとき、最初の数分の間に経口投与時のAPIの放出が遅延する又は著しく減少するが、嚥下後、経口投与から30分以内に十分な量のAPIが放出されるように、口内分散性医薬組成物の崩壊時間及び/又は溶解速度を制御することができる。(例えば、十分な量のAPIは、コーティングなしで放出されるAPI量の90%であり得る)。その全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,107,851号(’851特許)明細書は、医薬成分をコーティングするための例示的な乾式無溶媒プロセスを対象としている。
【0073】
しかし、コーティング/カプセル化プロセスの他の変形法も使用され得る。例えば、糖コーティング、フィルムコーティング、マイクロカプセル化の他の変形法、圧縮コーティング、乾式コーティングの他の変形法、溶融コーティング、浸漬コーティング、ロータリーダイコーティング、静電コーティング、及び/又は他の適切な種類のコーティングが使用され得る。
【0074】
加えて、本明細書で提供される具体的なデータは崩壊時間に関連している。崩壊時間は、米国薬局方(崩壊701)により記載されている方法に従って測定され得る。一部の実施形態では、崩壊時間は2~30秒又は5~20秒であり得る。一部の実施形態では、崩壊時間は30秒未満、25秒未満、20秒未満、15秒未満、10秒未満、又は5秒未満であり得る。一部の実施形態では、崩壊時間は2秒超、5秒超、10秒超、15秒超、20秒超、又は25秒超であり得る。同様に、溶解速度も米国薬局方(溶解711)により記載されている方法に従って試験され得る。
【0075】
一部の実施形態では、未処理のAPIは、より狭い粒径範囲を達成するために、コーティングプロセスの前に篩い分けられ得る。例えば、未処理のAPIは、大型の粒子を除去するため及び/又は小型の粒子を除去するために篩い分けられ得る。一部の実施形態では、ある特定の粒子を除去するために、1つより多くのメッシュが使用され得る。例えば、篩い分けデバイスは、メッシュのサイズに従ってある特定のサイズの粒子を除去するために、一連の2つ以上のメッシュを含み得る。篩は、デバイスの一連のメッシュを通して粒子を輸送するための真空移送システムを組み込むことができる。加えて、材料の流れを向上させ、処理中のメッシュの目詰りを最小限にするために、超音波プローブが篩い分けデバイスに組み込まれ得る。
【0076】
一部の実施形態では、未処理のAPIは、30μm~500μm、50μm~450μm、100μm~400μm、150μm~350μm、又は200μm~300μmのメッシュサイズを使用して篩い分けられ得る。一部の実施形態では、未処理のAPIは、500μm未満、450μm未満、400μm未満、350μm未満、300μm未満、250μm未満、200μm未満、150未満、又は100μm未満のメッシュサイズを使用して篩い分けられ得る。一部の実施形態では、未処理のAPIは、30μm超、50μm超、100μm超、150μm超、200μm超、250μm超、300μm超、350μm超、又は400μm超のメッシュサイズを使用して篩い分けられ得る。
【0077】
APIがコーティング材料によりコーティングされて、コーティングされたAPIが製造されたら、コーティングされたAPIは篩い分けられて、過剰なコーティング材料、及びコーティングされていないか、部分的にコーティングされたか又はコーティングされた残りの微細なAPIを除去することができる。過剰なコーティング材料は、コーティングされたAPIに結合していないコーティング材料粒子を含み得る。最終医薬製品の保管時に、過剰なコーティング材料が凝集し得る。例えば、過剰なコーティング粒子と、APIに既に結合しているコーティング粒子との間に融合が生じ、そうでなければ単位若しくは錠剤の崩壊又はコーティングされたAPIの溶解を補助する媒体の侵入を妨ぐ可能性がある。したがって、過剰なコーティング材料の凝集は、投与時の崩壊時間の増大及び/又は溶解速度の低下を引き起こし得る。
【0078】
しかし、過剰なコーティング材料をコーティングされたAPIから篩い分ける方法は、コーティング材料の凝集を最小限にし、最終製品の初期崩壊時間及び/又は溶解速度を維持することができることが確認された。篩い分けプロセスは、バッチ又は連続のどちらであってもよい。加えて、この篩い分けプロセスは、上記した未処理のAPIに行われる篩い分けプロセスに加えて、又はそれに代えて行われてもよい。一部の実施形態では、篩い分けプロセスパラメーターは、コーティングされていない未処理のAPIと、コーティングされたAPIとで異なり得る。
【0079】
一部の実施形態では、コーティングされたAPIは篩い分けられて、所望の平均のコーティングされたAPI粒径未満の平均粒径を有するコーティング材料粒子を除去することができる。一部の実施形態では、1つより多くのメッシュを使用して、ある特定の粒子を除去することができる。例えば、篩い分けデバイスは、メッシュサイズに従ってある特定のサイズの粒子を除去するための一連の2つ以上のメッシュを含み得る。篩は、粒子をデバイスの一連のメッシュに送達するための真空移送システムを組み込み得る。加えて、材料の流れを向上させ、処理中のメッシュの目詰りを最小限にするために、超音波プローブが篩い分けデバイスに組み込まれ得る。篩を通る移動を促進するために流動助剤(例えばシリカ)が含まれ得る。例えば、APIをコーティングするために使用されるコーティング材料は流動助剤を含み得る。逆に、未処理のAPIは凝集性ではなく、篩い分け中に流動助剤の補助を必要としないことがある。篩い分けプロセスは、バッチプロセス又は連続プロセスであってもよい。
【0080】
一部の実施形態では、未処理のAPIは、30μm~500μm、50μm~450μm、100μm~400μm、150μm~350μm、又は200μm~300μmのメッシュサイズを使用して篩い分けられ得る。一部の実施形態では、未処理のAPIは、500μm未満、450μm未満、400μm未満、350μm未満、300μm未満、250μm未満、200μm未満、150未満、又は100μm未満のメッシュサイズを使用して篩い分けられ得る。一部の実施形態では、未処理のAPIは、30μm超、50μm超、100μm超、150μm超、200μm超、250μm超、300μm超、350μm超、又は400μm超のメッシュサイズを使用して篩い分けられ得る。
【0081】
コーティング比(すなわち、コーティングされていないAPIの量に対するコーティング材料の量)は、過剰なコーティング材料の凝集を最小限にする及び/又は防止するために最適化され得る。例えば、一部の実施形態では、コーティング比は、15~95%w/w、50~90%w/w、60~90%w/w、60~85%w/w、60~80%w/w、63.5~77.5%w/w、70~85%w/w、75~85%w/w、75~80%w/w、又は77.5%w/wのコーティングされていないAPIに対して、5~85%w/w、10~50%w/w、10~40%w/w、15~40%w/w、20~40%w/w、22.5~36.5%w/w、15~25%w/w、20~25%w/w、又は22.5%w/wのコーティング材料の範囲であり得る。一部の実施形態では、コーティングされたAPI中のコーティング材料の量は、80%w/w未満、70%w/w未満、60%w/w未満、50%w/w未満、40%w/w未満、35%w/w未満、30%w/w未満、25%w/w未満、20%w/w未満、又は10%w/w未満であり得る。一部の実施形態では、コーティングされたAPI中のコーティング材料の量は、5%w/w超、10%w/w超、15%w/w超、20%w/w超、30%w/w超、35%w/w超、40%w/w超、50%w/w超、60%w/w超、又は70%w/w超であり得る。一部の実施形態では、コーティングされたAPI中のコーティングされていないAPIの量は、95%w/w未満、85%w/w未満、80%w/w未満、75%w/w未満、70%w/w未満、65%w/w未満、55%w/w未満、45%w/w未満、35%w/w未満、又は25%w/w未満であり得る。一部の実施形態では、コーティングされたAPI中のコーティングされていないAPIの量は、20%w/w超、30%w/w超、40%w/w超、50%w/w超、60%w/w超、65%w/w超、70%w/w超、75%w/w超、80%w/w超、又は90%w/w超であり得る。
【0082】
用量比(dosing ratio)(すなわち、全ての不活性成分を含めたマトリックス溶液/懸濁液の量に対するコーティングされたAPIの量)は、過剰なコーティング材料の凝集を最小限にする及び/又は防止するために最適化され得る。例えば、一部の実施形態では、用量比は、40~95%w/w、40~80%w/w、50~70%w/w、55~65%w/w、又は60%w/wのマトリックス溶液/懸濁液に対して、5~60%w/w、20~60%w/w、30~50%w/w、35~45%w/w、又は40%のコーティングされたAPIの範囲であり得る。一部の実施形態では、用量比は、60%w/w未満、50%w/w未満、45%w/w未満、40%w/w未満、30%w/w未満、20%w/w未満、又は10%w/w未満のコーティングされたAPIを含み得る。一部の実施形態では、用量比は、5%w/w超、10%w/w超、20%w/w超、30%w/w超、35%w/w超、40%w/w超、又は50%w/w超のコーティングされたAPIを含み得る。一部の実施形態では、用量比は、95%w/w未満、90%w/w未満、80%w/w未満、70%w/w未満、65%w/w未満、60%w/w未満、又は50%w/w未満のマトリックス溶液/懸濁液を含み得る。一部の実施形態では、用量比は、40%w/w超、50%w/w超、55%w/w超、60%w/w超、70%w/w超、80%w/w超、又は90%w/w超のマトリックス溶液/懸濁液を含み得る。
【0083】
<乾式無溶媒混合プロセスにより製造され、かつ懸濁液中に混合された機能性コーティングされたAPIの保存>
本明細書において提供される医薬組成物及び医薬組成物を調製するための方法は、コーティングプロセス中に疎水性ヒュームドシリカを添加して、機能性コーティングされたAPIの機能層(又は「第1のコーティング」)をとり囲む及び/又はその中に部分的に若しくは完全に埋め込まれた保護層を設けることを含み得る。この疎水性ヒュームドシリカ層(又は「第2の層」)の付加は、機能性コーティングされたAPIの第1のコーティング層に対して保護層を設けることができ、機能性コーティングされたAPIを医薬懸濁液に混合するのに必要な剪断力による第1のコーティング層の浸食を最小限にすることができる。
【0084】
一般的に、APIをコーティングするための無溶媒混合プロセスは、コーティング材料をAPIと混合して、機能性コーティングされたAPIを製造することを含む。次に、機能性コーティングされたAPIに、機械的及び/又は熱的に応力を加えて、変形可能なコーティング材料を変形して、APIを囲む連続的なフィルムを作りだす。次いで、機能性コーティングされたAPIはマトリックス溶液又は懸濁液と混合されて、医薬懸濁液を形成する。機能性コーティングされたAPIを含む医薬懸濁液は、ブリスターパック等の予め成形された型に入れられ、更に処理されて、分配可能な医薬組成物(例えば、凍結乾燥物、ウェーファー、錠剤等)を製造することができる。一部の実施形態では、分配可能な医薬組成物は口内分散性製品であり得る。理想的には、あるとしても、最終の分配可能な医薬組成物のAPIの最小量が、経口投与の最初の数分以内に溶解する。このAPI放出の遅延又は実質的な減少は、口内分散性製品が患者の口に入れられたとき、APIの味がマスキングされることを可能にする。それに代えて、APIは、医薬組成物が胃腸管へと送られると放出し得る。
【0085】
しかし、機能性コーティングされたAPIがマトリックス溶液/懸濁液中に混合されるとき、その粒子をマトリックス溶液/懸濁液中に混合するのに必要とされる剪断力が、APIの機能性コーティングを浸食し得る。コーティングの浸食は、機能性コーティングの特性を破壊又は損ない得る。例えば、機能性コーティングの浸食は、機能性コーティングの味をマスキングする特性を破壊し又は損ない、かつAPIが口腔内で溶解を受けさせ得る。
【0086】
したがって、下流での処理を補助するための機能性コーティングされたAPIの流動助剤としても使用される疎水性ヒュームドシリカは、機能性コーティングされたAPIの最初のコーティングをとり囲む及び/又はその中に部分的に若しくは完全に埋め込まれた疎水性バリア層を設けるためにも使用され得ることが発見された。具体的には、疎水性ヒュームドシリカによって形成される疎水性バリア層は、医薬懸濁液の調製及び機能性コーティングされたAPIの他の下流での処理中に、機能性コーティングされたAPIの1つ又は複数の下にあるコーティングを保護することができる。したがって、本明細書に記載の一部の実施形態によるAPIは、第1の機能性コーティング及び第2の保護コーティングを有し得る。一部の実施形態では、第1のコーティング材料及び第2のコーティング材料はAPI(例えばイブプロフェン)と同時に又は次々に混合することができ、次に機械的応力及び/又は熱エネルギーが加えられてコーティング層を形成することができる。一部の実施形態では、第1のコーティング材料がAPIと混合され、機械的応力及び/又は熱エネルギーが加えられ、次に、機械的応力及び/又は熱エネルギーを加え続けながら、第2のコーティング材料が添加される。一部の実施形態では、コーティング層は、重ねてもよく、又は両方のコーティング材料を含む1つの層であってもよく、又はこれらの組合せであってもよい。
【0087】
本明細書で提供される一部の医薬組成物及び医薬組成物を調製する方法は、第1のコーティング及び第2のコーティングより多くを含み得る。例えば、一部の医薬組成物及びそれを調製する方法は、3つ、4つ、5つ、6つ、又はより多くのコーティングを含み得る。したがって、用語「第1のコーティング」及び「第2のコーティング」は、本明細書で使用される場合、狭義に解釈されるべきでない。一部の実施形態では、用語「第1のコーティング」は、APIの機能性コーティングを指すことができ、「第2のコーティング」はシリカを含む保護コーティングを指すことができる。一部の実施形態では、機能性コーティングされたAPIは、「第1のコーティング」と「第2のコーティング」の間に1つ又は複数のコーティング層を有し得る。一部の実施形態では、機能性コーティングされたAPIは、APIと「第1のコーティング」の間に1つ又は複数のコーティング層を有し得る。一部の実施形態では、機能性コーティングされたAPIは、「第2のコーティング」の上に1つ又は複数のコーティング層を有し得る。
【0088】
機能性コーティングがされたAPIが調製されたら、それらはマトリックス/懸濁溶液中に混合されて、小分け使用のための医薬懸濁液を形成することができる。機能性コーティングされたAPIをマトリックス溶液/懸濁液中に混合することは、機能性コーティングされたAPIの機能性コーティングを浸食し得る。一部の実施形態では、この浸食を最小限にするために、疎水性ヒュームドシリカを使用して、コーティングされたAPIの機能性コーティングされた層をとり囲む並びに/又はそれに部分的に埋め込まれた及び/若しくは埋め込まれた第2のコーティング層を形成することができる。
【0089】
しかし、後にマトリックス溶液/懸濁液に混合される機能性コーティングされたAPI(すなわち、上記のような少なくとも第1のコーティングを含むAPI)を疎水性ヒュームドシリカでコーティングすることは当然、直観により認識されることではない。上述した通り、本明細書に記載の実施形態による口内分散性医薬組成物を作るために、機能性コーティングされたAPIは、マトリックス形成剤、構造形成剤、及び溶媒(多くの場合水)を含むマトリックス溶液/懸濁液中に混合されて、医薬懸濁液を形成する。しかし、疎水性材料は当然、マトリックス溶液/懸濁液中への混合に抵抗性である。したがって、疎水性ヒュームドシリカは機能性コーティングされたAPIとマトリックス溶液/懸濁液との界面張力を増大させ、機能性コーティングされたAPIをマトリックス溶液/懸濁液に組み込む難しさを高め、医薬懸濁液の相分離を潜在的に引き起こすことが推測されるかもしれない。
【0090】
興味深いことに、マトリックス溶液/懸濁液への機能性コーティングされたAPIの組込みを実質的に妨げることなく、第1の機能性コーティングを保存することを含めて、機能性コーティングされたAPIをコーティングすることに疎水性ヒュームドシリカを使用できることが確認されている。上述した通り、マトリックス溶液/懸濁液中の疎水性材料、例えば、上記のマトリックス溶液/懸濁液中の疎水性ヒュームドシリカで覆われた機能性コーティングされたAPIは、疎水性材料とマトリックス溶液/懸濁液との間の比較的高い表面張力を特徴的に示す。したがって、疎水性の機能性コーティングされたAPIとマトリックス溶液/懸濁液との間の表面張力も比較的高い可能性が高い。
【0091】
しかし、後述する通り、マトリックス溶液/懸濁液は、ゼラチン等のマトリックス形成剤を含み得る。ゼラチンを含めた一部のマトリックス形成剤は、穏やかな界面活性剤であり、それが2種の材料の間の表面張力を下げることができることを意味する。したがって、界面活性剤様作用を示すマトリックス形成剤は、機能性コーティングされたAPIとマトリックス溶液/懸濁液との間の表面張力を低下させることができ、次にこれが、機能性コーティングされたAPIの第1の機能性コーティングに対する疎水性ヒュームドシリカコーティング層の保護特性を同時に維持しながら、マトリックス溶液/懸濁液への機能性コーティングされたAPIの組込みを可能にすると考えられる。疎水性ヒュームドシリカを含むこの第2のコーティング層は、その下にある機能性コーティングされたAPIの第1のコーティングに疎水性バリアを設けて、機能性コーティングされたAPIを医薬懸濁液中に混合するのに必要とされる剪断力から、その下にある第1のコーティングを保護することができる。疎水性ヒュームドシリカを含む疎水性バリアで、機能性コーティングされたAPIをコーティングすることによって、その下にある(第1の)コーティングは浸食から保護され得る。更に、記載した方法に従って疎水性ヒュームドシリカを使用することは、マトリックス溶液/懸濁液がコーティングを通ってAPIに達することを防止することができる。
【0092】
通常の処理条件下で、疎水性ヒュームドシリカコーティング層がなければ、機能性コーティングされたAPIのコーティングは、機能性コーティングされたAPIをマトリックス溶液/懸濁液中に混合するのに必要とされる剪断力下で経時的に浸食され得る。しかし、コーティングが無傷なままであることができ、その機能性が損なわれないままであることができる、機能性コーティングされたAPIがマトリックス溶液/懸濁液中に最初に混合された時間から2時間以上の「処理ウィンドウ」が存在し得る。この「処理ウィンドウ」の正確な時間はさまざまに異なり、機能性コーティングされたAPIの様々な成分の組成、マトリックス溶液/懸濁液の組成、機能性コーティングされたAPIのコーティングを調製するために使用される材料の量、及び/又はAPIの物理化学特性に応じて変わりうる。しかし、ヒュームドシリカを含む第2のコーティングを有する機能性コーティングされたAPIであれば、この「処理ウィンドウ」は広がり得る。
【0093】
一部の実施形態では、医薬組成物又はコーティングされたAPIは、0.5~35%w/wの疎水性ヒュームドシリカを含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物又はコーティングされたAPIは、0.5~20%w/w、0.5~10%w/w、又は0.5~5%w/wの疎水性ヒュームドシリカを含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物又はコーティングされたAPIは、0.5%w/w超、1.0%w/w超、1.5%w/w超、2.0%w/w超、2.5%w/w超、3.0%w/w超、4.0%w/w超、5.0%w/w超、10%w/w超、15%w/w超、20%w/w超、25%w/w超、又は30%w/w超の疎水性ヒュームドシリカを含み得る。一部の実施形態では、医薬組成物又はコーティングされたAPIは、35%w/w未満、25%w/w未満、15%w/w未満、10%w/w未満、5.0%w/w未満、4.0%w/w未満、3.5%w/w未満、3.0%w/w未満、2.5%w/w未満、2.0%w/w未満、1.5%w/w未満、又は1.0%w/w未満の疎水性ヒュームドシリカを含み得る。疎水性ヒュームドシリカは、アエロジルR972シリカ(Degussa社)、CAB-O-SIL EH-5シリカ(Cabot社)、OX-50シリカ(Degussa社)、COSM055(Catalyst&Chemical Ind.Co.Ltd社(日本))、TS5シリカ(Cabot社)、及び/又は他の適切な種類のシリカのいずれかであってもよい。
【0094】
疎水性ヒュームドシリカを含む保護層の有効性は、医薬懸濁液中の機能性コーティングされたAPIの粒径を経時的に測定することにより決定され得る。コーティングされたAPIの粒径は、粒径及び形状分析器を使用して測定され得る。疎水性ヒュームドシリカがコーティングの保存に有効である場合、機能性コーティングされたAPIの粒径は、経時的に一定のままであるか又はほとんど低下しないことが可能である。効果がない場合、機能性コーティングされたAPIの粒径は、経時的に、より実質的に低下しうる。機能性コーティングされた粒子の粒径は、レーザー回折、Malvern Mastersizer等の粒子分析器、又は微粒子を分析するための任意の他の適切な手段を使用して測定され得る。
【0095】
疎水性ヒュームドシリカを含む保護層の有効性は、機能性コーティングされたAPIについて溶解試験を行うことによっても決定され得る。疎水性ヒュームドシリカがコーティングの保存に有効である場合、経時的な機能性コーティングされたAPIの放出量(例えば、放出のパーセント割合)は、溶解試験においてより遅くなる。有効でない場合は、経時的な機能性コーティングされたAPIの放出量はより多くなる。機能性コーティングされた粒子の放出量は、溶解試験、Pion MicroDISS Profiler等の分光光度分析器、又は溶解試験を行うための任意の他の適切な手段を使用して測定され得る。そのような場合、機能性コーティングされたAPIの溶解は、15分後に70%以下であり得る。
【0096】
<APIを含む懸濁液の空気混和の最小化>
本明細書で提供される実施形態は、テルペン及び/又はテルピノールを含む化合物をマトリックス溶液/懸濁液に添加することを含み得る。具体的には、本明細書で提供される医薬懸濁液の実施形態は、テルペン及び/又はテルピノールを含む液体香味料を含み得る。一部の実施形態では、液体香味料はテルペンであるリモネンを含み得る。特定の化合物、具体的には、リモネンを含む液体香味料の添加は、懸濁液の空気混和を最小にすることができ、懸濁液の均質性を高めることができ、懸濁液が型に注入されるときの用量質量精度を向上させることができる。本明細書で使用される場合、「用量質量精度」及び関連する用語は、医薬懸濁液を、予め成形された型に正確に分配する能力を指す。ここに分配される医薬懸濁液の用量質量精度は多くの変数によって左右されるが、それらには、均質性、粘度、化学成分、分配注入機器が含まれるが、これらに限定されない。
【0097】
上述した通り、抗空気混和及び/又は空気混和の最小化の伝統的な機械的手段は、医薬懸濁液の高い粘度ゆえに、成功すると思われなかった。例えば、真空を医薬懸濁液に適用することは、懸濁液の高さの上昇を引き起こす可能性があり、なぜなら、粘稠な懸濁液は連行された空気上で「もちこたえる」からである。揮発性の製剤成分が、真空処理中に失われることもありえる。更に、エタノール又はシメチコンエマルション等の伝統的な抗空気混和剤は、懸濁液の抗空気混和について同様に有効でない。
【0098】
したがって、いくつかの化合物、特に、リモネン等のテルペン及び/又はテルピノールを含む液体香料は、疎水性コーティングされたAPIがマトリックス溶液/懸濁液中に混合されるとき、医薬懸濁液の空気混和を最小化することができることが発見された。空気混和を最小にすることにより、疎水性コーティングされたAPIは医薬懸濁液全体に、より効率的及び効果的に分散する。この分散の増進は、医薬懸濁液の均質性、用量質量精度、並びに完成製品の内容物の均一性を高めることができる。
【0099】
上述した通り、疎水性コーティングされたAPIをマトリックス溶液/懸濁液中に混合することは、連行された空気又は気泡を液体中に生じさせ得る。コーティングされたAPIは疎水性なので、それらは一般的にマトリックス溶液/懸濁液に対して低い親和性を有する。したがって、マトリックス溶液/懸濁液と容易に合わさり、その中に分散する代わりに、疎水性コーティングされたAPIは連行された空気と好ましく合わさる。多くの流体において、気泡は典型的には、流体の表面に移動し、その上の空気中に消える。しかし、疎水性コーティングされたAPIは連行された空気に対して親和性を有するので、疎水性コーティングされたAPIは気泡の上で「もちこたえ」、気泡が、表面に移動し流体の上の空気中に放出されることを妨げる。このことが、医薬懸濁液が空気混和されることを引き起こす。医薬懸濁液の空気混和は、相分離、したがって、不均質な懸濁液をもたらし得る。相分離はまた、用量投入ポンプにより誘導される剪断力への曝露によっても悪化し得る。不均質な医薬懸濁液は、用量投入ポンプを通過するときにポンプの焼き付きを引き起こすことがあり、不正確な用量質量及び完成製品全体の均一性の欠如並びに停止による不十分な生産効率につながりうる。
【0100】
加えて、疎水性コーティングされたAPIを含む医薬懸濁液は、疎水性コーティングされたAPIの高い含有量(すなわち50wt%もの疎水性コーティングされたAPI)ゆえに、高い粘度を有し得る。上述した通り、懸濁液中への疎水性コーティングされたAPIのインライン混合中に空気を医薬懸濁液に連行することは、医薬懸濁液の粘度をより更に増大させ得る。したがって、懸濁液の相分離及び不均質性は、用量質量精度及び最終製品の均一性に悪影響を及ぼすだけでなく、粘度の増加にも悪影響を及ぼす。
【0101】
興味深いことに、ある特定の化合物は、マトリックス溶液/懸濁液に添加されると、疎水性コーティングされたAPIを含む医薬懸濁液の空気混和を最小にすることができることが発見された。特に、本明細書で提供される一部の実施形態によれば、テルペン及び/又はテルピノールを含む化合物は、マトリックス溶液/懸濁液中への疎水性コーティングされたAPIのインライン混合によってもたらされる医薬懸濁液中の連行された空気の量を最小にすることができる。例えば、テルペン及び/又はテルピノールを含む液体香味料を含む懸濁液は、たとえそれが比較的低い濃度であっても、医薬懸濁液の空気混和を最小にすることができる。具体的には、リモネンを含む1種又は複数の液体香味料を含むマトリックス溶液/懸濁液は、疎水性コーティングされたAPIのインライン混合中に、医薬懸濁液中の空気混和を最小にすることができることが発見された。テルペン及びテルピノールを含む他の化合物も、同様に、医薬懸濁液の空気混和を最小にするのに成功することが示された。例えば、リモネン、カルボン、フムレン、タキサジエン、及びスクアレン等のテルペンを含む化合物は、医薬懸濁液の空気混和を最小にするのに適切であり得る。テルピノールも適切な抗空気混和剤であり得る。一部の実施形態では、純粋なテルペン及び/又は純粋なテルピノールが、抗空気混和剤として使用され得る。一部の実施形態では、テルペン及び/又はテルピノールを含む液体香味料が抗空気混和剤として使用され得る。一部の実施形態では、テルペン及び/又はテルピノールを含む他の適切な化合物が抗空気混和剤として使用され得る。
【0102】
テルペン及び/又はテルピノールを含むいくつかの化合物、例えばいくつかの液体香味料によってもたらされる1つの課題は、それらが比較的油性である傾向があることである。従来の油及び水のように、これらの油性化合物は、マトリックス溶液/懸濁液中に容易に分散しない可能性がある。しかし、後述する通り、本明細書の実施形態によるマトリックス溶液/懸濁液は、マトリックス形成剤としてゼラチンを含み得る。ゼラチンは本質的に穏やかな界面活性剤である。界面活性剤は、2種の材料間の表面張力を下げることができる。したがって、一部の実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液のゼラチンは、油性化合物とマトリックス溶液/懸濁液との間の表面張力を低下させることができる。これは、マトリックス溶液/懸濁液中への液体香味料等の油性化合物の十分な組込みを可能にすることができる。
【0103】
通常の処理条件下で、テルペン及び/又はテルピノールを含む化合物の使用なしでは、疎水性コーティングされたAPIのコーティングは、疎水性コーティングされたAPIをマトリックス溶液/懸濁液中に混合して医薬懸濁液を形成するために必要とされる剪断力によって時間とともに浸食される。しかし、コーティングが顕著な機能性を保持する2時間以上の「処理ウィンドウ」が存在する。この「処理ウィンドウ」の正確な時間は、各生成物に対して異なり、疎水性コーティングされたAPIの成分の組成、マトリックス溶液/懸濁液の組成、疎水性コーティングされたAPIを調製するために使用される材料の量、APIの物理化学特性、及び/又は混合の条件に左右されうる。残念なことに、テルペン及び/又はテルピノールを含む化合物の存在下では、これらの化合物と疎水性コーティングされたAPIのコーティングとの相互作用によって、この「処理ウィンドウ」は著しく減じ得る。これらの相互作用は、コーティングの機能特性を損ない得る。例えば、液体香味料と疎水性コーティングされたAPIのコーティングとの間の相互作用は、コーティングの味マスキング機能を損ない得る。とは言え、閾値の化合物(すなわち液体香味料)濃度が存在し、それ未満では、その化合物がコーティングを顕著には損なわず、そのうえ、疎水性コーティングされたAPIのコーティングが顕著に浸食されるほど「処理ウィンドウ」が減じないことが発見された。したがって、テルペン及び/又はテルピノールを含む化合物のこの最適な量は、医薬懸濁液の空気混和を十分に最小化し、型に正確に入れられて均一な最終製品を得ることができる均質な医薬懸濁液をもたらす。
【0104】
加えて、テルペン及び/又はテルピノールを含む化合物、特に、リモネンを含む液体香味剤は、医薬懸濁液の凝固点を下げる可能性を有し、これは凍結乾燥によって更に処理される生成物の融解欠陥につながり得る。特に、リモネンは-74℃の凝固点を有する。しかし、開示されている生成物の調製時には、融解欠陥は観察されず、したがって、テルペン及び/又はテルピノールを含む少なくともいくつかの化合物は、下流での凍結及び凍結乾燥プロセス工程に悪影響を及ぼすようには医薬懸濁液に影響を与えない。本状況下で融解欠陥がないことは、凝固点低下剤(すなわちリモネン)の存在下でさえ、生成物の構造を維持するのに役立つ、懸濁液の高い固体含有量によるものと考えられる。
【0105】
本明細書に記載されている実施形態によるマトリックス溶液/懸濁液組成物は、マトリックス形成剤、構造形成剤、抗空気混和剤、粘度調整剤、及び/又は溶媒を含み得る。
【0106】
一部の実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液、医薬懸濁液、又は医薬組成物中のテルペン及び/又はテルピノールを含む化合物(すなわち抗空気混和剤)の量は、0.001~5.0%w/wであり得る。一部の実施形態では、マトリックス溶液/懸濁液、医薬懸濁液、又は医薬組成物中のテルペン及び/又はテルピノールを含む化合物(すなわち抗空気混和剤)の量は、1~5%w/w、1~4%w/w、1~3%w/w、1~2%w/w、0.05~3.0%w/w、0.1~2.0%w/w、又は0.5~1.0%w/wであり得る。一部の実施形態では、0.001%w/w超、0.01%w/w超、0.05%w/w超、0.1%w/w超、0.3%w/w超、0.5%w/w超、0.8%w/w超、1.0%w/w超、1.5%w/w超、2.0%w/w超、2.5%w/w超、3.0%w/w超、3.5%w/w超、4.0%w/w超、又は4.5%w/w超のテルペン及び/又はテルピノールを含む化合物(すなわち抗空気混和剤)がマトリックス溶液/懸濁液、医薬懸濁液、又は医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、5.0%w/w未満、4.5%w/w未満、4.0%w/w未満、3.5%w/w未満、3.0%w/w未満、2.5%w/w未満、2.0%w/w未満、1.5%w/w未満、1.0%w/w未満、0.8%w/w未満、0.6%w/w未満、0.3%w/w未満、又は0.1%w/w未満のテルペン及び/又はテルピノールを含む化合物(すなわち抗空気混和剤)がマトリックス溶液/懸濁液、医薬懸濁液、又は医薬組成物中に存在する。一部の実施形態では、適切な抗空気混和剤は、オレンジ香味料、イチゴ香味料、ミント香味料、ラズベリー香味料、リコリス香味料、オレンジ香味料、レモン香味料、ライム香味料、グレープフルーツ香味料、キャラメル香味料、バニラ香味料、チェリー香味料、グレープ香味料、ミックスフルーツ香味料、トゥッティフルッティ(tutti-frutti)香味料、又はこれらの任意の組合せを含み得る。
【0107】
<凝集を最小限にする例>
篩い分けによって過剰なコーティング材料をコーティングされたAPIから除去すること、並びにコーティング比及び用量比を最適化することの有効性を評価するためにいくつかの試験を行った。様々なコーティングされたAPIを含有する医薬組成物の崩壊時間を様々な条件下で測定して、過剰なコーティング材料を篩い分ける効果を研究した。過剰なコーティング材料を除去することがコーティング材料の凝集を最小にできることは合理的に推測できる。コーティング及び用量比を最適化することも、コーティング材料凝集を最小にすることを補助することができる。次に、凝集の量を最小にすることは、医薬組成物及びコーティングされたAPIの所望の崩壊時間及び/又は溶解速度を維持するのにも役立ち得る。したがって、崩壊時間は、以下の実施例において凝集の量を評価するための測定基準として使用される。一部の実施形態では、50℃での加速崩壊データは、篩い分けられていない過剰なコーティング材料の存在を示し得る。
【0108】
加えて、コーティング比及び用量比(dosing ratio)の情報が、下記の実施例に対して提供される。コーティング比は、コーティングされていないAPIの量に対するコーティング材料の量を指す。用量比は、全ての不活性成分を含めたマトリックス溶液/懸濁液に対するコーティングされたAPIの量を指す。
【実施例1】
【0109】
イブプロフェンをカルナウバワックスで、26:74のコーティング比でコーティングした。40:60の用量比を使用して凍結乾燥錠剤を製造した。4つの個別のバッチの錠剤を試験し、バッチ1~3は2カ月の期間にわたり、バッチ4は6カ月の期間にわたった。これらのバッチの錠剤は、25℃/60%RH、30℃/65%RH、及び40℃/75%RHのICH(International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)安定性条件で各々試験し、バッチ1、2、及び3については1カ月及び2カ月で試料採取した。加えて、各バッチを50℃のストレス条件に曝露して、各試験について2週間及び4週間の両方での加速データを得た。下の表1は、コーティングされたイブプロフェンの2カ月の試験のバッチ1~3についての崩壊時間データを提供する。
【0110】
【0111】
バッチ2のコーティングされたイブプロフェンは、イブプロフェンコーティング後に不十分に篩い分けられた。篩い分けられたコーティングされたイブプロフェンの顕微鏡検査(
図4B)は、過剰量の未結合のコーティング材料の存在を示した。篩い分けられたコーティングされたイブプロフェンの顕微鏡検査は、イブプロフェンが不十分にコーティングされていたことも示した。表1の最後の列に示されている通り、このバッチは、2カ月後に、40℃/75%RH安定性試験条件で著しくより長い崩壊時間を示した。(初期崩壊時間は2秒未満であり、2カ月での崩壊時間はほぼ15秒であった)。したがって、この結果は、医薬製品中の過剰量の未結合のコーティング材料の存在が、保管中の未結合のコーティング材料の凝集による、経時的な(医薬製品が老化するにつれての)崩壊時間の延長の原因であるという仮説を裏付けている。
【0112】
逆に、バッチ3のコーティングされたイブプロフェンは、イブプロフェンコーティング後に十分に篩い分けられた。篩い分けられたコーティングされたイブプロフェンの顕微鏡検査(
図4C)は、未結合のコーティング材料が存在しないので、イブプロフェンが十分にコーティングされたことを示した。このバッチの試料の崩壊時間は、ICH安定性条件のいずれに対しても2カ月の期間にわたってほとんど変化しなかった。(2カ月の試験を通しての崩壊時間は、およそ1秒~およそ3秒の間で変動した)。これは、特により高い温度で長時間保管する場合、例えば篩い分けによって過剰な未結合のコーティング材料の存在を最小限にすることが医薬製品中のコーティング材料の凝集を防止するのに役立つという仮説を裏付ける。
【0113】
バッチ1のコーティングされたイブプロフェンをイブプロフェンコーティング後に篩い分けた。バッチ1は、初期時間のデータ点についてバッチ2及び3と比較して、2秒未満の同様の崩壊時間を示した。しかし、40℃/75%RH安定性試験条件において2カ月後に、崩壊時間はおよそ7秒以下に伸びた。50℃において4週間保管した場合、崩壊時間はおよそ10秒以下に伸びた。このことは、このバッチの篩い分けプロセスが過剰なコーティング材料を十分に除去しなかったこと、したがって、残留する未結合コーティング材料の存在を示唆する。バッチ2は、バッチ1よりも大きい程度まで、更に多くの未結合のコーティング材料及び保管時の凝集を起こした。篩い分けられたコーティングされたイブプロフェンの顕微鏡検査(
図4A)は、イブプロフェン粒子が中程度に十分コーティングされており、残留量の未結合のコーティング材料が存在することを示していた。
【0114】
下の表2は、コーティングされたイブプロフェンの6カ月の試験(すなわちバッチ4)についての崩壊時間データを示している。
【0115】
【0116】
バッチ4のためのコーティングされたイブプロフェンをイブプロフェンコーティング後に篩い分けた。表2のバッチ4は、6カ月の試験の期間を通して崩壊時間の変化をあまり示さなかった。バッチ4の初期崩壊時間はおよそ5秒であり、25℃/60%RH試料の最終崩壊時間はおよそ2秒であり、30℃/65%RH試料はおよそ2秒であり、40℃/75%RH試料はおよそ2秒であった。しかし、50℃で保管した場合、増加が見られた。40℃以下の温度において保管した錠剤において増加は見られなかったので、これは、篩い分けが、未結合の過剰なコーティング材料のほとんどを除去したが、錠剤を50℃に置いた場合に凝集する十分な残留量があったことを示唆している。顕微鏡検査(
図4D)は、篩い分けられたコーティングされたイブプロフェンは、イブプロフェンが中程度に良くコーティングされ、残留量の未結合のコーティング材料が存在することを示していた。
【実施例2】
【0117】
イブプロフェンをサゾール(Saspol)(合成)ワックスで、26:74の理論コーティング比でコーティングした。コーティングされたイブプロフェンをコーティング後に篩い分けた。40:60の用量比を使用して、凍結乾燥錠剤を製造し、2カ月にわたって試験した。イブプロフェン強度は200mgであった。各バッチを25℃/60%RH、30℃/65%RH、及び40℃/75%RHのICH安定性条件において試験をした。加えて、試料を50℃のストレス条件に曝露して、試験中の2週間及び4週間において加速データを得た。下の表3は、40:60の用量比のコーティングがされたイブプロフェンの2カ月の試験についての崩壊時間データを提供している。篩い分けられたコーティングされたイブプロフェンの顕微鏡検査(
図4E)は、イブプロフェンが中程度に良くコーティングされ、少量の未結合のコーティング材料が存在することを示していた。
【0118】
【0119】
表3のバッチ5は、2カ月の試験中でも、50℃の加速条件でも、崩壊時間の実質的な変化を示していない。具体的には、バッチ5の初期崩壊時間はおよそ3秒であり、全ての3つのICH安定性条件(25℃/60%RH、30℃/65%RH、及び40℃/75%RH)に対する2カ月における崩壊時間はおよそ4秒であった。50℃の加速条件に対する崩壊時間は、2週間でおよそ3秒であり、4週間でおよそ4秒であった。50℃のデータに基づいて、未結合の過剰なコーティング材料の少しの残留量が存在し得る。その場合、崩壊時間は、増加するとしてもそれほど増加しないので、この少量の未結合の過剰なコーティング材料は、保管時に著しい量の凝集を引き起こさない。これは、異なるワックスを使用した実施例1のバッチ3に十分に匹敵する。これらの2つの例は、未結合の過剰なコーティング材料が篩い分けにより効率的に除去された場合、特により高い温度において、及び長期保管期間に、保管時の医薬製品中のコーティング材料の凝集が最小化され得る又は防止され得ることを実証している。
【実施例3】
【0120】
イブプロフェンをサゾール(合成)ワックスで、26:74の理論コーティング比でコーティングした。次に、コーティングされたイブプロフェンをコーティング後に篩い分けた。50:50の用量比を使用して、凍結乾燥錠剤を製造し、3カ月にわたって試験した。イブプロフェン強度は200mgであった。上の実施例1及び実施例2のように、25℃/60%RH、30℃/65%RH、及び40℃/75%RHのICH安定性条件において各バッチを試験した。試料を50℃のストレス条件にも曝露して、各試験中に2週間及び4週間において加速データを得た。下の表4は、50:50のサゾールワックスでコーティングされたイブプロフェンの3カ月の試験についてのデータを提供している。バッチ6の篩い分けられたコーティングされたAPIの顕微鏡検査(
図4F)は、イブプロフェンが十分にコーティングされたこと、及びいくらかの未結合のコーティング材料が存在することを示している。
【0121】
【0122】
バッチ6もバッチ7も、3カ月の試験の経過にわたって、崩壊時間の著しい変化を示さなかった。具体的には、バッチ6の試料の初期崩壊時間はおよそ1秒であり、3つのICH安定性条件(25℃/60%RH、30℃/65%RH、及び40℃/75%RH)の各々についての最終の3カ月での崩壊時間はおよそ2秒であった。バッチ6の2週間及び4週間の加速50℃条件の両方に対して、崩壊時間はおよそ2秒であった。
【0123】
バッチ7の試料についての初期崩壊時間はおよそ2秒であり、25℃/60%RH及び30℃/65%RH ICH安定性条件に対する最終の3カ月での崩壊時間はおよそ2秒であった。40℃/75%RH ICH安定性条件に対する最終の3カ月での崩壊時間はおよそ3秒であった。2週間及び4週間の加速50℃条件の両方についての崩壊時間は、およそ5秒であった。50:50の高いコーティング比は、篩い分けないままにした場合、過剰な未結合のコーティング材料の量を増加させ得る。両方のバッチは、コーティングされたイブプロフェンの高い使用料及び未結合の過剰なコーティング材料を意味する50:50のより高い用量比を使用したが、これらのデータは、コーティングされたイブプロフェンの篩い分けプロセスが、未結合の過剰なコーティング材料を除去して凝集を最小化にするのに有効であったことを暗示していた。
【実施例4】
【0124】
イブプロフェンをカルナウバワックスで、22.5:77.5及び30:70の理論コーティング比でコーティングした。30:70の用量比を使用して凍結乾燥錠剤を製造し、2カ月の期間にわたて試験をした。イブプロフェン強度は200mgであった。バッチを40℃においてオーブン中に保管した。錠剤を、崩壊時間について、初期、25日目、及び2カ月の時点において試験した。下の表5は、この研究に対する崩壊時間を提供している。篩い分けられていないコーティングされたイブプロフェン(
図4G及び
図4H)及び篩い分けられたコーティングされたイブプロフェンの顕微鏡検査(
図4I及び
図4J)。イブプロフェンは十分にコーティングされていた。篩い分けられた試料には、未結合のコーティング材料は存在していない。
【0125】
【0126】
バッチ8~11は、篩い分けられていない(バッチ8及び10)又は篩い分けられた(バッチ9及び11)コーティングされたイブプロフェンについて30:70の用量比を用いて、40℃において保管した錠剤の崩壊時間が経時的に伸びなかったことを示している。これは、用量比を30:70等に低下させることによって、より高い温度において長時間保管した場合に、過剰な未結合の材料の凝集を最小化することができるレベルまで過剰な未結合のワックスの量が十分に低下するという仮説を裏付けている。
【0127】
上記の実施例の結果の全体のまとめを表6に表す。
【0128】
【0129】
<機能性コーティングされたイブプロフェンを保存する例>
【実施例5】
【0130】
疎水性ヒュームドシリカを使用して、本明細書に記載の実施形態による、機能性コーティングされたイブプロフェンをコーティングした。具体的には、使用した疎水性ヒュームドシリカはアエロジルR972(「アエロジル」)であった。2つの異なる濃度1.5%w/w及び1.0%w/wのアエロジルR972を試験した。機能性コーティングされたイブプロフェンのサイズを6時間の保持期間にわたって評価し、その間、機能性コーティングされたイブプロフェンは低剪断混合を受けていた。
【0131】
図5、
図6、及び
図7はそれぞれ、6時間の期間にわたるd10粒径、d50粒径、及びd90粒径の評価を示している。一般的に言えば、そのd10で表される粒径は、所定の量の試料中の粒子の10パーセントが所定の粒径未満であることを意味する。したがって、そのd50で表される粒径は、所定の量の試料中の粒子の50パーセントが所定の粒径未満であることを意味し、そのd90で表される粒径は、所定の量の試料中の粒子の90パーセントが所定の粒径未満であることを意味する。
【0132】
図5に示されている通り、より高濃度のシリカ(1.5%w/w)は、より低濃度のシリカ(1.0%w/w)より、元の粒径を維持し、したがって、コーティングを維持するのにさらに有効であった。具体的には、6時間の期間中、1.5%w/wのアエロジルを含む機能性コーティングされたイブプロフェンは、それらの元のサイズのおよそ30%を失ったが、1.0%w/wのアエロジルを含む機能性コーティングされたイブプロフェンは、それらの元の粒径のおよそ80%を失った。
【0133】
図6は、ここでもまた、より高濃度のシリカ(1.5%w/wのアエロジル)が、より低濃度のシリカ(1.0%w/wのアエロジル)よりも、元の機能性コーティングされたイブプロフェンの粒径を維持し、したがって、機能性コーティングを保存するのに有効であったことを示している。具体的には、6時間の期間中、1.5%w/wのアエロジルを含む機能性コーティングされたイブプロフェンは、それらの元のサイズのほぼ20%を失ったが、1.0%w/wのアエロジルを含む機能性コーティングされたイブプロフェンは、それらの元の機能性コーティングされたAPI粒径のおよそ45%を失った。
【0134】
図7もまた、より高濃度のシリカ(1.5%w/wのアエロジル)が、より低濃度のシリカ(1.0%w/wのアエロジル)よりも、元の機能性コーティングされたイブプロフェン粒径を維持し、したがって、機能性コーティングされたイブプロフェンの機能性コーティングを保存するのに有効であったことを示している。具体的には、6時間の期間中、1.5%w/wのアエロジルを含む機能性コーティングされたイブプロフェンは、それらの元のサイズのほぼ15%を失ったが、1.0%w/wのアエロジルを含む機能性コーティングされたイブプロフェンは、それらの元の粒径のおよそ35%を失った。
【0135】
加えて、機能性コーティングされたイブプロフェンの粒径が低下するのにしたがって、5μm~20μmの粒径を含む粒子の別の集団が現れ、かつ時間とともに増加した。これらの粒子は、剪断力に起因するコーティングの浸食前に、変形した連続的なコーティング材料のなかに埋め込まれた非変形性コーティング材料粒子であると考えられる。したがって、コーティングが浸食され、かつ機能性コーティングされたイブプロフェンの粒径が低下するにつれて、これらのより小さな粒子の集団サイズは、これらをとり囲む変形したコーティング材料が浸食されるにつれて増加し、これらの非変形性粒子が機能性コーティングされたイブプロフェンから放出される。
【0136】
全体として、これらの試験は、機能性コーティングされたイブプロフェンをコーティングする1.5%w/wのアエロジルが、シリカなしにおいて存在する2時間の「処理ウィンドウ」の代わりに、「処理ウィンドウ」をおよそ4時間に延ばし得ることを示唆している。懸濁液中での最初の4時間の処理のなかで、1.5%w/wのアエロジルを含む第2の外側のコーティングを含む機能性コーティングされたイブプロフェンは、コーティングの浸食を、それがあったとしてもほとんど示さない。
【実施例6】
【0137】
疎水性ヒュームドシリカを使用して、本明細書に記載の実施形態による機能性コーティングされたイブプロフェンのコーティングをした。具体的には、使用した疎水性ヒュームドシリカはアエロジルR972(「アエロジル」)であった。5つの異なる濃度0.0%w/w、1.5%w/w、2.5%w/w、5.0%w/w、及び10.0%w/wのアエロジルR972を試験した。溶解試験(すなわちpH7.2リン酸緩衝液中0.01%SDSの溶解媒体、37℃の媒体温度、及び10mlの媒体体積(イブプロフェン))を使用して、機能性コーティングされたイブプロフェンの放出量を評価した。
【0138】
図8及び
図9は、5又は30分のどちらかの期間にわたり、機能性コーティングされたイブプロフェンで行った放出量の評価を示している。一般的に言えば、その%放出で表される低容量溶解結果は、添加した材料の質量の「x」パーセントが溶液中に溶解したことを意味する。
【0139】
図8は、カルナウバワックス及び様々な量の疎水性シリカでコーティングされたイブプロフェンの放出データを示している。図に示されている通り、より高濃度のシリカ(10.0%w/wまで)は、より低濃度のシリカよりも、溶解試験においてより遅い放出速度をもたらし、したがって、コーティングを維持するのに有効であった。具体的には、5分の試験期間中、10.0%w/wのアエロジルを含む機能性コーティングされたイブプロフェン(すなわち、カルナウバワックスでコーティングされたイブプロフェン)は、5分後に1.5%の放出を示したが、一方、0.0%w/wのアエロジルを含む機能性コーティングされたイブプロフェンは24.9%の放出を示した。中間レベルのアエロジル(すなわち1.5%w/w、2.5%w/w、及び5.0%w/w)を含む機能性コーティングされたイブプロフェンは、5分後にそれぞれ12.1%の放出、7.4%の放出、及び2.3%の放出の溶解結果を示した。
【0140】
図9は、サゾール(合成)ワックス及び様々なレベルの疎水性シリカでコーティングされたイブプロフェンの放出データを示している。
図10もまた、より高濃度のシリカ(10.0%w/wまで)が、より低濃度のシリカよりも、溶解試験においてより遅い放出速度をもたらし、したがって、コーティングを維持するのに有効であったことを示している。具体的には、5分の試験期間中、10.0%w/wのアエロジルを含む機能性コーティングされたイブプロフェン(すなわち、合成ワックスでコーティングされたイブプロフェン)は、5分後に2.8%の放出を示したが、0.0%w/wのアエロジルを含む機能性コーティングされたイブプロフェンは8.5%の放出を示す。中間レベルのアエロジル(すなわち1.5%w/w、2.5%w/w、及び5.0%w/w)を含む機能性コーティングされたイブプロフェンは、5分後にそれぞれ4.3%の放出、3.6%の放出、及び2.4%の放出の溶解結果を示した。
【0141】
<空気混和を最小限にする例>
空気混和を最小限にすることにおけるテルペン及び/又はテルピノールを含む化合物の有効性は、一部は、医薬懸濁液中の疎水性コーティングされたイブプロフェンの粒径を経時的に測定することによって決定することができる。その化合物が有効である場合、懸濁液の空気混和は十分に低くなり、疎水性コーティングされたイブプロフェンの粒径は、経時的に一定のままであるか、又はほとんど低下しない。有効でない場合は、懸濁液の空気混和は所望するよりも高く、疎水性コーティングされたイブプロフェンの粒径は、経時的により実質的に低下する可能性がある。懸濁液の空気混和の程度は、混合容器内の泡の高さの測定により判定される。機能性コーティングされた粒子の粒径は、レーザー回折、Malvern Mastersizer等の粒子分析器、又は微粒子を分析するための任意の他の適切な手段を使用して測定され得る。
【実施例7】
【0142】
様々なレベルのリモネン、オレンジ香味料、及びストロベリー香味料を含有するマトリックス溶液/懸濁液中にコーティングされたイブプロフェンを混合することにより、一連の懸濁混合物を製造した。これらの懸濁液からの泡の高さは、それぞれ表7、表8、及び表9にまとめられている。
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
表7及び表8中の結果は、0.15%w/w以上のレベルでのリモネン及びオレンジ香味料の添加が空気混和を最小にすることを示している。ストロベリー(表9)については、これも空気混和を減少させたが、同じ程度ではなかった。
【実施例8】
【0147】
図10、
図11、及び
図12は、様々な濃度の液体オレンジ香味料を含む医薬懸濁液中の疎水性コーティングされたイブプロフェンの粒径(それぞれd10、d50、及びd90)の低下を示す。そのd10で表される粒径は、所定の体積の試料中の粒子の10パーセントが所定の粒径未満であることを意味する。したがって、d50粒径は、所定の体積の試料中の粒子の50パーセントが所定の粒径未満であることを表し、d90粒径は、所定の体積の試料中の粒子の90パーセントが所定の粒径未満であることを表す。具体的には、
図10~
図12は、低剪断混合で6時間までの期間にわたって保持された、疎水性コーティングされたイブプロフェン並びに0.0%、0.15%、0.45%、及び0.60%w/wを含む濃度の液体オレンジ香味料を含有する懸濁製剤の試験結果を示している。
【0148】
0.45%w/wまでのオレンジ香味料の濃度において(0.15%w/wを含む)、最初の2時間の「処理ウィンドウ」内のd10、d50、及びd90粒径の低下は、いずれの液体香味料も含まない(0%液体香味料)、疎水性コーティングされたイブプロフェンを含む医薬懸濁液のものと非常に類似している。しかし、0.6%w/wの液体オレンジ香味料の濃度において、疎水性コーティングされたイブプロフェンのコーティングは容易に除去され、粒径の急速な低下が観察される。更に、0.3%w/wの液体オレンジ香味料濃度において、懸濁液の空気混和は十分に低く、コーティングされたイブプロフェンのコーティングに対する損傷は、あったとしてもほとんどなく、疎水性コーティングされたイブプロフェンの粒径の低下は最小限のみであった。
【実施例9】
【0149】
図13、
図14、及び
図15は、一部の液体香味料に存在する特定の成分であるリモネンについて、疎水性コーティングされたイブプロフェンのd10、d50、及びd90粒径のそれぞれの低下に関するデータを提供している。これらの試験は、懸濁液中の疎水性コーティングされたイブプロフェンに対する、液体香味料の特定の成分であるリモネンの作用を調べるために行った。図に示されるリモネンの濃度は、液体香味料が使用される場合に存在するであろうリモネンの濃度よりも著しく高いことに留意されたい。
図13~
図15において、純粋なリモネンを0.25%w/w、0.45%w/w、及び0.75%w/wの濃度で使用し、24時間の期間にわたり試験した。全ての3つの図にわたって示されている通り、0.25%w/wのリモネン濃度は、0.45%w/w及び0.75%w/wのリモネン濃度よりも、疎水性コーティングされたイブプロフェン粒径のコーティングに対してはるかに少ない有害な効果を有していた。更に、0.25%w/wのリモネンで試験した医薬懸濁液は、十分に低い量の空気混和を含んでいた。したがって、これらの試験は、
図10~
図12において試験した液体オレンジ香味料のリモネンが、医薬懸濁液の空気混和を最小にすること、及びその後、比較的多い量及び/又は比較的長い曝露時間で、疎水性コーティングされたイブプロフェンのコーティングを浸食することを少なくとも部分的に担っていることを確認するものである。
【実施例10】
【0150】
図16は、2つの異なる液体香味料であるストロベリー及びオレンジの試験データを示している。疎水性コーティングされたイブプロフェンのd10、d50、及びd90粒径をストロベリー液体香味料及びオレンジ液体香味料の両方について試験した。ストロベリー及びオレンジ液体香味料の両方がリモネンを含む。図に示されている通り、両方の香味料は、疎水性コーティングされたイブプロフェン粒径に関して同様に作用する。d10粒子試料は、試験の最初の2時間以内にd50及びd90粒径試料よりも多くの量の粒径低下を示した。d50及びd90粒径試料は、同じ2時間の期間内で、より少ない粒径低下を示した。しかし、この観察は、以前に検討した実施例のd10、d50、及びd90粒径のデータと一致している。
【0151】
加えて、疎水性コーティングされたAPI(イブプロフェン)粒子の粒径が低下するにつれて、5μm~20μmの粒径を含む粒子の別の集団が現れ、時間とともに増加することが、全ての試験において観察された。これらの粒子は、剪断力に起因するコーティングの浸食の前に、変形した連続的なコーティング材料内に埋め込まれた非変形性コーティング材料粒子であると考えられる。したがって、コーティングが浸食され、疎水性コーティングされたイブプロフェンの粒径が低下するにつれて、これらのより小さい粒子の集団サイズは、これらをとり囲む変形したコーティング材料が浸食されるにつれて増加し、これらの非変形性粒子が、疎水性コーティングされたイブプロフェンから放出される。
【0152】
全体として、これらの試験は、疎水性コーティングされたイブプロフェンを含む医薬懸濁液に添加するテルペンであるリモネンの量を最適化することによって、懸濁液中の空気混和の量を最小にして、下流の処理を可能にすることができると同時に、疎水性コーティングされたイブプロフェンのコーティングに対して悪影響を有しないことを示している(疎水性コーティングされたイブプロフェンの粒径により決定される通り。)
【0153】
水溶性賦形剤を用いた及び用いないコーティング
本出願人らは、コーティングされたAPIが、カルナウバワックス及びヒドロキシプロピルセルロース(すなわち可溶性賦形剤)でのコーティングに対して、カルナウバワックス単独の第1のコーティングを用いたほうが良好であるかどうかも試験した。これらの試験は、可溶性コーティング賦形剤を用いずに、良好なイブプロフェン粒子が製造されることを示した。これらの試験のときに、コーティングプロセスを補助するためのコーティング媒体としてCellets 350を使用した。
【0154】
コーティングされたイブプロフェンのバッチを、以下の通りLabRAM音響ミキサーで、3段階で製造した。(1)第1の段階の混合について、14gの予め篩い分けられた75~250μmのイブプロフェンAPI、1.82gのカルナウバワックス(コーティングポリマーとして使用される)、及び10.36gのCellets 350微結晶セルロース(コーティング媒体として使用される)を125mlのプラスチック容器に入れた。バッチZ3703/136/07及び09については、0.5gの水溶性賦形剤である微粒子化されたヒドロキシプロピルセルロース(HPC)SSLも添加した。次いで、コーティングを88Gの加速度で15分間行った。(2)第1のコーティング段階の完了後、追加の1.82のカルナウバワックスを混合容器に添加し、適用可能な場合は(バッチZ3703/136/07及び09)、微粒子化されたHPC SSLの別の0.5gのアリコートを添加した。次にコーティングを88Gで更に15分間再開した(第2のコーティング段階)。(3)第2のコーティング段階の完了後、1gの疎水性シリカ(アエロジルR972)をその混合物に流動助剤として添加した。次にコーティングを88Gで更に1分間再開した。(4)コーティング後、中間生成物を<250μmに後篩い分けし、篩い分けされた後のコーティングされたAPIを顕微鏡下で分析して、達成されたコーティングのレベルを決定した。下の表10は、顕微鏡試験からのコーティングの判定を示している。
【0155】
【0156】
加えて、
図19A~
図19B、
図20A~
図20B、
図21A~
図21B、及び
図22A~
図22Bは、それぞれバッチZ3703/136/07、Z3703/136/09、Z3703/136/10、及びZ3703/136/12のSEM画像を示している。水溶性賦形剤HPCを用いて及び用いずに製造された同等のバッチの顕微鏡分析は、水溶性材料の存在がコーティング性能の向上をもたらさないことを実証した。逆に、HPCを用いずに製造されたバッチは、コーティングのレベルの向上を有することが観察され、APIの表面に対するポリマー変形の増大が観察され、結合していないコーティング材料のレベルが低下した。したがって、水溶性材料を用いないコーティングプロセスは、水溶性賦形剤を用いて製造されたバッチと比較してプロセスの改善になると結論付けられた。
【0157】
コーティング媒体を用いたコーティング及び用いないコーティング
本出願人らは、コーティング媒体を用いて及び用いずにイブプロフェンをコーティングすることも試験した。コーティングの質は、コーティングされた粒子からの5分にわたるイブプロフェンのパーセント放出についての溶解試験により判定した。試験は、コーティング媒体の使用がコーティングに関して利益をもたらさないことを示していた。加えて、それは、より低い収率をもたらした。
【0158】
コーティングされたイブプロフェンのバッチを以下の通りRAM2音響ミキサーで、2段階で製造した。
【0159】
バッチZ4592/73/04及び09:第1の段階のコーティング(201.81gのバッチサイズで行った)について、48%w/wの予め篩い分けられた>75μmのイブプロフェンAPI、35%w/wのCellets 350微結晶セルロース(コーティング媒体として使用した)、及び16%w/wのコーティングポリマー(バッチZ4592/73/04にはカルナウバワックス及びZ4592/73/09にはサゾールワックス)を530mlのステンレスのジャケット付き内側容器に添加した。次に、温度制御を施すために使用される水冷却を用いて、コーティングを85Gの加速度で10分間、指定の混合温度設定点(Z4592/73/04には53℃及びZ4592/73/09には47℃)で行った。第1のコーティング段階の完了後、1%w/w疎水性シリカ(アエロジルR972)をその混合物に流動助剤として添加した。次にコーティングを80Gの加速度で30秒間再開した。コーティングの後、中間生成物を75~250μmに後篩い分けし、後篩い分けされたコーティングされたAPIを溶解試験によって分析して、達成されたコーティングのレベルを決定した。
【0160】
バッチZ4592/73/16及び19: 第1のコーティング段階について(バッチZ4592/73/16及びZ4592/73/19について、それぞれ193.19g及び140.67gのバッチサイズで行った)、77.87%w/wの予め篩い分けられた>75μmのイブプロフェンAPI及び21.13%w/wのコーティングポリマー(バッチZ4592/73/16にはサゾールワックス及びZ4592/73/19にはカルナウバワックス)を530mlのステンレスのジャケット付き内側容器に添加した。次いで、温度制御を施すために使用される水冷却を用いて、コーティングを97G(Z4592/73/16)及び98G(Z4592/73/19)の加速度で20分間、指定の混合温度設定点(Z4592/73/16には47℃及びZ4592/73/19には56℃)で行った。第1のコーティング段階の完了後、1%w/wの疎水性シリカ(アエロジルR972)をその混合物に流動助剤として添加した。次に混合を80Gの加速度で30秒間再開した。コーティング後、中間生成物を75~250μmに後篩い分けし、後篩い分けされたコーティングされたAPIを溶解試験により分析して、達成されたコーティングのレベルを決定した。下の表11は、これらの試験の結果を示している。加えて、コーティング(すなわち粉砕)媒体を用いて及び用いずに製造されたコーティングされたイブプロフェンの溶解結果を
図23に示す。
【0161】
【0162】
コーティング媒体を用いて及び用いずに、かつ2つの異なるコーティングポリマーを使用して製造されたコーティングされたイブプロフェンの溶解結果は、全てのバッチについて同様の放出速度を示し、全ての時点の結果は測定技術変動の限度内であった。したがって、全てのバッチについて同様のレベルのコーティングが達成され、コーティング媒体はコーティングプロセスに対して改善をもたらさないと結論付けることができる。コーティングされたAPIを後篩い分けした後に得られた75~250μmのコーティングされたAPIの収率は、コーティング媒体を用いずに製造されたバッチでの著しい増加を示す。したがって、コーティング媒体を用いないコーティングプロセスは、コーティング媒体を用いて製造されたバッチと比較してプロセスの改善になると結論付けられた。
【0163】
溶解の測定
低容量溶解(LVD)5分プロファイル
活性医薬成分(API)原料及びコーティングされたAPI材料の低容量溶解を決定するために使用される分析方法を下記に記載する。その方法は、pH7.2リン酸緩衝液中0.01%w/vのSDSを溶解媒体として用い、5mmの光路長を使用して、75rpmで、Pion社のRainbow Dynamic Dissolution Monitor(RDDM)及びMini-Bath(MB8)を用いる。光路長及び溶解媒体はAPIの特性に応じて変わる。分析は、第二次導関数によるUV検出を用いた、Pion社のμDISS Profilerを使用する光ファイバーUV検出によるものであり、ソフトウェア内で、APIの発色団及びそのスペクトル応答に応じて変わる。277~287nmのUV検出範囲をイブプロフェンについて設定した。5点較正曲線をPion社のソフトウェア上で構成する。秤量したAPI参照標準の量はAPIに左右される。以下はイブプロフェンの例である。
【0164】
較正点1:15.0mg(14.3~15.7mg)のイブプロフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ20mLの溶解媒体中に溶解し、少なくとも5分間超音波処理して完全に溶解する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点1作業標準溶液(濃度:およそ0.15mg/mL)である。
【0165】
較正点2:20.0mg(19.0~21.0mg)のイブプロフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ20mLの溶解媒体中に溶解し、少なくとも5分間超音波処理して完全に溶解する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点2作業標準溶液(濃度:およそ0.20mg/mL)である。
【0166】
較正点3:30.0mg(28.5~31.5mg)のイブプロフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ20mLの溶解媒体中に溶解し、少なくとも5分間超音波処理して完全に溶解する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点3作業標準溶液(濃度:およそ0.30mg/mL)である。
【0167】
較正点4:40.0mg(38.0~42.0mg)のイブプロフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ20mLの溶解媒体中に溶解し、少なくとも5分間超音波処理して完全に溶解する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点4作業標準溶液(濃度:およそ0.40mg/mL)である。
【0168】
較正点5:60.0mg(57.0~63.0mg)のイブプロフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ20mLの溶解媒体中に溶解し、少なくとも5分間超音波処理して完全に溶解する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点5作業標準溶液(濃度:およそ0.60mg/mL)である。
【0169】
<試料分析>
イブプロフェン原料:6つの試料を分析する。各試料について、40mg±1.0%のイブプロフェン原料をPion社の低容量溶解容器に正確に秤量する。6つの容器の平均試料質量を機器の効力の計算に使用する。
【0170】
コーティングされたイブプロフェン材料:6つの試料を分析する。各試料について、50mg*±1.0%のイブプロフェンのコーティングされた材料をPion社の低容量溶解容器に正確に秤量する。6つの容器の平均試料質量を機器の効力の計算に使用する。(*必要に応じて、コーティングされたAPIの効力について調整された50mgのコーティングされた材料。)
【0171】
各試験の実施について、交互の10mlの溶解媒体添加及び磁気撹拌機開始は、各溶解容器条件を一定に保ち続けて実施しなければならない。必要に応じて選択することができる指定の時点及び間隔で、試料を光ファイバーUV検出によって自動的に分析する。6つのプローブは、容器内のAPIの吸光度を測定し、較正曲線に基づいて、%薬物溶解を決定する。100%薬物溶解は、約4mg/mLの最終溶液濃度に等しい。
【0172】
<低容量溶解(LVD)60分プロファイル>
以下の分析方法を使用して、API原料及びコーティングされたAPI材料の低容量溶解を決定する。この方法は、pH7.2リン酸緩衝液中0.01%w/vのSDSを溶解媒体として用いて、75rpmで、Pion社のRainbow Dynamic Dissolution Monitor(RDDM)及びMini-Bath(MB8)を用いる。分析は、2mmの光路長を使用し、第二次導関数の下でのUV検出を用いた、Pion社のμDISS Profilerを使用する光ファイバーUV検出による。光路長、溶解媒体及び波長範囲は、API特性に応じて変わる。277~287nmのUV検出範囲をイブプロフェンに対して設定した。5点較正曲線をPion社のソフトウェアに対して設定する。秤量したAPI参照標準の量はそのAPIに応じて変わる。以下はイブプロフェンの例である。
【0173】
較正点1:40.0mg(38.0~42.0mg)のイブプロフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ80mLの溶解媒体中に溶解し、完全に溶解するまで超音波処理する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点1作業標準溶液(濃度:およそ0.4mg/mL)である。
【0174】
較正点2:100.0mg(95.0~105.0mg)のイブプロフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ80mLの溶解媒体中に溶解し、完全に溶解するまで超音波処理する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点2作業標準溶液(濃度:およそ1.0mg/mL)である。
【0175】
較正点3:300.0mg(285.0~315.0mg)のイブプロフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ80mLの溶解媒体中に溶解し、完全に溶解するまで超音波処理する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点3作業標準溶液(濃度:およそ3.0mg/mL)である。
【0176】
較正点4:400.0mg(380.0~420.0mg)のイブプロフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ80mLの溶解媒体中に溶解し、完全に溶解するまで超音波処理する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点4作業標準溶液(濃度:およそ4.0mg/mL)である。
【0177】
較正点5:440.0mg(418.0~462.0mg)のイブプロフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ80mLの溶解媒体中に溶解し、完全に溶解するまで超音波処理する(この標準溶液は、全てのイブプロフェンを溶解するのにわずかな加熱を必要とし得る)。必要に応じて溶液を室温に平衡化し、溶解媒体で容積まで希釈し、十分に混合する。これは較正点5作業標準溶液(濃度:およそ4.4mg/mL)である。
【0178】
<試料分析>
イブプロフェン原料:6つの試料を分析する。各試料について、40mg±1.0%のイブプロフェン原料をPion社の低容量溶解容器に正確に秤量する。6つの容器の平均試料質量を、機器の効力の計算に使用する。
【0179】
イブプロフェンのコーティングされた材料:6つの試料を分析する。各試料について、50mg*±1.0%のイブプロフェンのコーティングされた材料をPion社の低容量溶解容器に正確に秤量する。6つの容器の平均試料質量を、機器の効力の計算に使用する。(*必要に応じて、コーティングされたAPIの効力について調整された50mgのコーティングされた材料。)
【0180】
この方法は、100%溶解までの材料の完全放出までの完全プロファイルを可能にする。各試験の実施について、交互の10mlの溶解媒体添加及び磁気撹拌機開始は、各溶解容器条件を一定にするために行われなければならない。必要に応じて指定の時点及び選択され得る間隔で、試料を光ファイバーUV検出により自動的に分析する。6つのプローブは、容器内のAPIの吸光度を測定し、較正曲線に基づいて%薬物溶解を決定する。100%薬物溶解は、約4mg/mLの最終溶液濃度に等しい。
【0181】
<中容量溶解(MVD)60分プロファイル>
この分析方法を使用して、凍結乾燥させた完成製品の中容量溶解(mid-volume dissolution)を決定する。方法はDistek社のsmall volume conversion kitを用いる。この方法は、pH7.2リン酸緩衝液を溶解媒体として用いて、75rpmで、Pion社のRainbow Dynamic Dissolution Monitor(RDDM)を使用する。分析は、2mmの光路長を使用して、第二次導関数によるUV検出を用いた、Pion社のμDISS Profilerを使用する光ファイバーUV検出による。光路長、溶解媒体、及び波長範囲は、API特性に依存して変わる。275~285nmのUV検出範囲をイブプロフェンについて設定した。5点較正曲線をPion社のソフトウェアで構成する。秤量されるAPI参照標準の量はそのAPIに左右される。以下はイブプロフェンの例である。
【0182】
較正点1:40.0mg(38.0~42.0mg)のイブプロフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ80mLの溶解媒体中に溶解し、完全に溶解するまで超音波処理する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点1作業標準溶液(濃度:およそ0.4mg/mL)である。
【0183】
較正点2:100.0mg(95.0~105.0mg)のイブプロフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ80mLの溶解媒体中に溶解し、完全に溶解するまで超音波処理する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点2作業標準溶液(濃度:およそ1.0mg/mL)である。
【0184】
較正点3:300.0mg(285.0~315.0mg)のイブプロフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ80mLの溶解媒体中に溶解し、完全に溶解するまで超音波処理する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点3作業標準溶液(濃度:およそ3.0mg/mL)である。
【0185】
較正点4:400.0mg(380.0~420.0mg)のイブプロフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ80mLの溶解媒体中に溶解し、完全に溶解するまで超音波処理する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点4作業標準溶液(濃度:およそ4.0mg/mL)である。
【0186】
較正点5:440.0mg(418.0~462.0mg)のイブプロフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ80mLの溶解媒体中に溶解し、完全に溶解するまで超音波処理する(この標準溶液は、全てのイブプロフェンを溶解するのにわずかな加熱を必要とし得る)。必要に応じて、溶液を室温に平衡化し、溶解媒体で容積まで希釈し、十分に混合する。これは較正点5作業標準溶液(濃度:およそ4.4mg/mL)である。
【0187】
<試料分析>
USP<711>の通り、非反応性材料の小さなゆるく結合した小片、例えば、螺旋状ワイヤー上での数回転以下を、それがなければ浮く凍結乾燥錠剤に付着させることができる。6つの溶解容器の各々に1つの凍結乾燥錠剤を入れる。その6つのプローブは容器内のAPIの吸光度を測定し、較正曲線に基づいて%薬物溶解を決定する。
【0188】
<溶解例1:低容量5分溶解試験による、イブプロフェン原料及びコーティングされたイブプロフェン原料の比較>
コーティングされたイブプロフェンとコーティングされていないイブプロフェン原料について、5分にわたる低容量溶解試験においてイブプロフェンの%放出を比較することによって、凍結乾燥した錠剤中のイブプロフェンを味覚マスキングするためのコーティングプロセスの有効性の判定を行う。
【0189】
コーティングする前に、コーティングされていないイブプロフェンを篩い分けた。そのAPIを、共振音響混合(RAM IIスケール)製造プロセスを使用してコーティングし、コーティング後に篩い分けた。60分で85%以上の放出であるUSP<711>及びPh.Eur.2.9.3基準に準拠する溶解要件に準拠し続けながら味覚マスキング特性を有する、投与量強度200mg、100mg、及び50mgの凍結乾燥錠剤の製造に、篩い分けられたコーティングされたイブプロフェンを使用した。試験したフリーズドライ錠剤の組成を下の表12に示す。
【0190】
【0191】
示した全てのイブプロフェン溶解データは、200mgの投与量強度組成物によるものである。
【0192】
試料分析:イブプロフェン原料:40mgのイブプロフェン原料を各試料バイアルに正確に秤量し、10mlのpH7.2リン酸緩衝液中0.01%w/vのSDSを30秒の間隔で添加した。Pion社のμDISS Profilerを用いた試験の実施。較正曲線に基づく%溶解の自動計算。イブプロフェンのコーティングされた材料:50mgのイブプロフェンのコーティングされた材料を各試料バイアルに正確に秤量し、10mlのpH7.2リン酸緩衝液中0.01%w/vのSDSを30秒の間隔で添加した。Pion社のμDISS Profilerを用いた試験実施。較正曲線に基づく%溶解の自動計算。
【0193】
両方の実験についての%イブプロフェン溶解結果を表13に詳しく示す。この方法は、使用するプローブ先端のサイズゆえに、25%薬物溶解の検出上限を有する。25%を超える結果は>25%と報告する。イブプロフェン原料は自由に溶解することができ、30秒の時点で、この方法の最大定量可能値(25%)に到達した。次に、これは、残りの時点のあいだ一定のままである。コーティングがAPIの即時溶解を防止しているので、コーティングされたイブプロフェン材料は、より遅いプロファイルを有する。30秒において、イブプロフェン原料の>25%と比較して、わずか2.8%のイブプロフェンが放出される。これは著しい差である。2分の時点で、コーティングされたイブプロフェンは、11%の溶解で、依然として著しく少なく溶解する。5分までに、コーティングされたイブプロフェンも25%のこの方法の最大定量可能閾値に到達した。このデータは
図24に表した。
【0194】
【0195】
遅延放出は、コーティング製造の有効性を示している。その差は著しく、イブプロフェンAPIの味のマスキングを示す。提案されている仕様は、コーティングされた材料が<25%の薬物放出になることである。低容量溶解試験の結果は、コーティングされたイブプロフェンからの最初の5分以内での原薬の<25%の遅延放出を明らかに示した。対照的に、コーティングされていないイブプロフェンは、30秒以内に原薬の迅速な放出を示した。原薬の%放出の著しい差は、イブプロフェンの味をマスキングするためのコーティングプロセスの有効性を示している。
【0196】
一部の実施形態では、本明細書で開示されているコーティングされたAPIは、5分後に約35%、約30%、約25%、約20%、又は約15%以下の薬物放出の低容量5分溶解試験結果を有する。
【0197】
<溶解例2:低容量60分溶解試験によるイブプロフェン原料及びコーティングされたイブプロフェン原料の比較>
コーティング効率のより詳細な判定を行うために、溶解例1のコーティングされたイブプロフェンバッチは、60分にわたる低容量溶解(LVD)を使用する追加の評価を受けた。
【0198】
試料分析:コーティングされた材料:50mgのコーティングされたイブプロフェン材料を各試料バイアルに正確に秤量し、10mlのpH7.2リン酸緩衝液中0.01%w/vのSDSを30秒の間隔で添加した。Pion社のμDISS Profilerを用いた試験を実施。較正曲線に基づく%溶解の自動計算。コーティングされたイブプロフェンAPIについての実験の%薬物溶解結果を表14に詳細に示す。この方法はもはや、5分の試験について記載されたような25%の検出上限による制限はない。代わりに、約100%の溶解が達成されるまで、プロファイルを60分にわたって正確にモニタリングすることができる。ソフトウェアは、この実験のために指定されたのと同数の時点での%薬物溶解を記録することができるが、以下の時点、2、5、15、30、45及び60分が、報告するのに最も適当であると考えられた。注:原料イブプロフェンは、約2分までに100%溶解に到達する。コーティングされたイブプロフェン材料は、コーティングがAPIの即時溶解を防止しているので、より遅いプロファイルを有する。2分の時点で、コーティングされたAPIは、6%溶解で、依然として著しく少なく溶解する。次いでプロファイルは低速放出軌道をたどり続け、60分で95%放出を達成した。コーティングされた材料のLVDは、味のマスキングを示す、15分までの低速放出プロファイルを示した。このデータは、±5%のエラーバーとともに
図25及び表14に示されている。
【0199】
【0200】
データは、味のマスキングの証拠である、コーティングされた材料の低速放出プロファイルを示している。遅延放出は、コーティング製造の有効性の結果である。提案される仕様は、コーティングされた材料が15分において70%以下の薬物放出になることである。
【0201】
一部の実施形態では、本明細書で開示されるコーティングされたAPIは、15分後に約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、又は約60%、又は約55%、又は約50%又は約45%以下の低容量60分溶解試験結果を有する。一部の実施形態では、本明細書で開示されるコーティングされたAPIは、30分後に約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、又は約70%以下の低容量60分溶解試験結果を有する。一部の実施形態では、本明細書で開示されるコーティングされたAPIは、45分後に約95%、約90%、約85%、又は約80%以下の低容量60分溶解試験結果を有する。一部の実施形態では、本明細書で開示されるコーティングされたAPIは、60分後に約99%、約98%、約95%、又は約90%以下の低容量60分溶解試験結果を有する。
【0202】
<溶解例3:中容量60分溶解試験によるイブプロフェンのコーティングされたイブプロフェン材料及び完成製品の比較>
次いで、コーティングされたイブプロフェンを、完成製品単位をもたらす剤形製造プロセスから取り出す。コーティングされたAPIの60分プロファイルに基づく追加の方法である中容量溶解(MVD)は、コーティングされたAPIの溶解プロファイルを得られた完成製品単位と直接比較することができるように開発された。これは、APIのコーティングされた特性と、完成製品ODT内のコーティングされた特性との直接比較を可能にする。
【0203】
次に、溶解例1(表12)からのイブプロフェン200mg完成製品のMVDデータ及びそれぞれのコーティングされたイブプロフェンからのLVDデータを
図26のように重ねることができる。(注:コーティングされていない材料は、約5分以内に約80%の完全放出を達成する)。これらのデータによってわかる通り、イブプロフェン完成製品は、先行するコーティングされたイブプロフェンと十分に一致している低速放出プロファイルを有する。完成製品は、報告された時点、すなわち2、5、15、30、45、及び60分の各々において、コーティングされたイブプロフェンの±5%以内の%薬物放出の値を有する。完成製品の低速放出は、コーティングされたイブプロフェンが製造プロセス中にその完全性を維持し、かつ味がマスキングされた完成製品単位を作り出す証拠である。提案される仕様:LVD及びMVDの両方について15分における70%未満の薬物放出は、味のマスキングの達成を示している。
【0204】
【0205】
一部の実施形態では、本明細書に開示されている医薬組成物は、15分後に約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、又は約55%、又は約50%又は約50%、又は約45%以下の中容量60分溶解試験結果を有する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている医薬組成物は、30分後に約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、又は約70%以下の中容量60分溶解試験(mid volume 60-minute dissolution test)の結果を有する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている医薬組成物は、45分後に約95%、約90%、約85%、又は約80%以下の中容量60分溶解試験結果を有する。一部の実施形態では、本明細書で開示されている医薬組成物は、60分後に約99%、約98%、約95%、又は約90%以下の中容量60分溶解試験結果を有する。
【0206】
<溶解例4(APIとしてのアセトアミノフェン(APAP))>
この分析方法は、アセトアミノフェン原料及びコーティングされたアセトアミノフェン材料の低容量溶解を決定するために使用される。その方法は、pH7.2リン酸緩衝液中0.01%w/vのSDSを溶解媒体として用い、50rpmで、Pion社のRainbow Dynamic Dissolution Monitor(RDDM)及びMini-Bath(MB8)を用いる。分析は、2mmの光路長を使用し、第二次導関数による、320~330nmのUV検出範囲を用いた、Pion社のμDISS Profilerを使用する光ファイバーUV検出による。
【0207】
以下は、この例のための作業標準5点較正曲線の作成である。較正点1:50.0mgのアセトアミノフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ80mLの溶解媒体中に溶解し、完全に溶解するまで超音波処理する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点1作業標準溶液(濃度:およそ0.5mg/mL)である。較正点2:100.0mgのアセトアミノフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ80mLの溶解媒体中に溶解し、完全に溶解するまで超音波処理する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点2作業標準溶液(濃度:およそ1.0mg/mL)である。較正点3:200.0mgのアセトアミノフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ80mLの溶解媒体中に溶解し、完全に溶解するまで超音波処理する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点3作業標準溶液(濃度:およそ2.0mg/mL)である。較正点4:500.0mgのアセトアミノフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ80mLの溶解媒体中に溶解し、完全に溶解するまで超音波処理する。十分に混合しながら溶解媒体で容積まで希釈する。これは較正点4作業標準溶液(濃度:およそ5.0mg/mL)である。較正点5:550.0mgのアセトアミノフェン参照標準を100mLのメスフラスコに正確に秤量する。およそ80mLの溶解媒体中に溶解し、完全に溶解するまで超音波処理する(この標準溶液は、全てのアセトアミノフェンを溶解するのにわずかな加熱を必要とし得る)。必要に応じて、溶液を室温に平衡化し、溶解媒体で容積まで希釈し、十分に混合する。これは較正点5作業標準溶液(濃度:およそ5.5mg/mL)である。
【0208】
<試料分析>
アセトアミノフェン原料:6つの試料を分析する。各試料について、100mgのアセトアミノフェン原料をPion社の低容量溶解容器に正確に秤量する。各容器に対する個々のソフトウェア効力を実験の開始時に、DissoPROソフトウェアに入力する。
【0209】
アセトアミノフェンのコーティングされた材料:アセトアミノフェン(APAP)を75μm及び250μmメッシュに通して予め篩い分けて、微粒子及び大型の粒子も除去した。それをカルナウバワックス及び疎水性シリカでコーティングした。コーティングされたAPAP材料の組成は以下の通りである。
【0210】
【0211】
6つの試料を分析する。各試料について、125mgのコーティングされたアセトアミノフェン材料をPion社の低容量溶解容器に正確に秤量する。各容器の個々のソフトウェア効力を試験の開始時にDissoPROソフトウェアに入力する。
【0212】
APAP原料及びコーティングされたAPAPを30分の期間にわたり判定した。APAP原料は、容易に溶解し、最初の2分以内に100%を超える平衡点に到達する。コーティングされたAPAPは、共振音響混合製造プロセスを使用するベンチ規模の操作でコーティングを受けた。コーティングされたAPAP材料の溶解結果は、それぞれのコーティングされていない原料よりも著しく遅い%薬物放出プロファイルを示した。このプロファイルは、30分間で15%未満の薬物溶解で遅いままであり、この期間にわたって低速放出プロファイルを示す。この低速放出プロファイルは、コーティングの成功の達成及びAPIが容易に溶解することの防止、したがって、味がマスキングされたAPIを示している。下の表16及び
図27は、APAPのコーティングについて達成された著しく低下した溶解プロファイルを示す。
【0213】
【0214】
追加の定義
他に定義がされない限り、本明細書で使用される全ての専門用語、注釈並びに他の技術及び科学用語又は学術用語は、特許請求される主題が属する分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有することを意図する。一部の場合、一般的に理解される意味を有する用語は、明確性及び/又は素早い参照のために本明細書で定義され、本明細書にそのような定義を含めることは、必ずしも当技術分野で一般的に理解されるものとの実質的な差異を表すと解釈されるべきでない。
【0215】
本明細書における「約」値又はパラメーターへの言及は、その値又はパラメーター自体に向けられた変動を含む(記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。加えて、一連の値又はパラメーターが後に続くフレーズ「未満」、「超」、「最大でも」、「少なくとも」、「以下」、「以上」、又は他の同様のフレーズへの言及は、フレーズを一連の値又はパラメーター内の各値又はパラメーターに当てはめることを意図する。例えば、層が少なくとも約5cm、約10cm、又は約15cmの厚みを有するという記述は、層が少なくとも約5cm、少なくとも約10cm、又は少なくとも約15cmの厚みを有することを意味することを意図する。
【0216】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈がそうでないことを明らかに示さない限り、複数形も含むことを意図する。用語「及び/又は」は、本明細書で使用される場合、1つ又は複数の関連する列挙された項目のありとあらゆる可能な組合せを指し、包含することも理解されるべきである。用語「含む(includes)」、「含む(including)」、「含む(comprises)」、及び/又は「含む(comprising)」は、本明細書で使用される場合、記述された特徴、整数、工程、操作、要素、成分、及び/又は単位の存在を明示するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、工程、操作、要素、成分、単位、及び/又はこれらの群の存在又は追加を排除しないことが更に理解されるべきである。
【0217】
この出願は、いくつかの数値範囲を本文及び図において開示する。この開示は開示される数値範囲全体で実施することができるので、正確な範囲限界が本明細書に逐語的に記述されていないが、開示される数値範囲は、終点を含む開示される数値範囲内の任意の範囲又は値を本質的に支持する。
【0218】
上記の記載は、当業者が本開示を作製し、使用することができるように提示され、特定の適用及びその要件の文脈で提供される。好ましい実施形態に対する様々な改変が当業者に容易に明らかであり、本明細書で定義される一般原理は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく他の実施形態及び適用に当てはめることができる。したがって、この開示は、示された実施形態に限定されることを意図しないが、本明細書で開示された原理及び特徴と一致する最も広い範囲を受ける。
【国際調査報告】