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特表2023-535903宇宙用途のためのハイブリッド密閉モジュールのための容量性フィードスルー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-22
(54)【発明の名称】宇宙用途のためのハイブリッド密閉モジュールのための容量性フィードスルー
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230815BHJP
   H03H 7/075 20060101ALI20230815BHJP
   H01G 4/35 20060101ALI20230815BHJP
   H01G 4/224 20060101ALI20230815BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20230815BHJP
   H05K 9/00 20060101ALN20230815BHJP
【FI】
H01G4/30 550
H03H7/075 A
H01G4/35 331
H01G4/30 201F
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
H01G4/30 201D
H01G4/30 516
H01G4/224 100
H01G4/38 B
H05K9/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504068
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 IB2021056550
(87)【国際公開番号】W WO2022018634
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】102020000017554
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517411438
【氏名又は名称】タレス・アレーニア・スペース・イタリア・エッセ・ピ・ア・コン・ウニコ・ソシオ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パオロ・ラニエリ
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・サルヴァト
(72)【発明者】
【氏名】エリオ・ピッチョーネ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・カファッジ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
5E321
5J024
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC01
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082EE23
5E082FF05
5E082FG26
5E321AA14
5E321AA21
5E321GG05
5J024AA01
5J024BA11
5J024DA04
5J024EA01
(57)【要約】
本発明は、宇宙用途のためのハイブリッドモジュールに対して密閉して封止可能な容量性フィードスルー(1)であって、上面(10)および底面(20)を含む2つの対向する外面と、多層セラミック構造の周りにおいて前記対向する外面(10、20)間で鉛直に延びる金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)とを有する多層セラミック構造を備える、容量性フィードスルー(1)に関する。多層セラミック構造は、上面(10)に、濾過されるべき入力電気信号を受信するように設計される金属化上部中央領域(11)と、金属化上部中央領域(11)の周りで延びる誘電性上部領域(12)と、金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)と共に電気接地として作用するように、金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)と結合するまで誘電性上部領域(12)の周りで延びる金属化上部周辺領域(13)であって、誘電性上部領域(12)は、入力電気信号と電気接地との間に電気絶縁を確保するように設計される、金属化上部周辺領域(13)とを含み、底面(20)に、濾過された出力電気信号を提供するように設計される金属化底部中央領域(21)と、金属化底部中央領域(21)の周りで延びる誘電性底部領域(22)と、金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)と共に電気接地として作用するように、金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)と結合するまで誘電性底部領域(22)の周りで延びる金属化底部周辺領域(23)であって、誘電性底部領域(22)は、濾過された出力電気信号と電気接地との間に電気絶縁を確保するように設計される、金属化底部周辺領域(23)とを含む。多層セラミック構造は、互いに積み重ねられるセラミック層(41、42、43、44、45、46、47、48)と、第1の金属化層(51、53、55、57)と、1つまたは複数の第2の金属化層(52、54、56)とをさらに含み、それにより、各第1の金属化層(51、53、55、57)が、前記第1の金属化層(51、53、55、57)の直上および直下に配置される2つのそれぞれのセラミック層(41、42、43、44、45、46、47、48)の間に介在させられ、各/その第2の金属化層(52、54、56)が、前記第2の金属化層(52、54、56)の直上および直下に配置される2つのそれぞれのセラミック層(42、43、44、45、46、47)の間に介在させられ、第1および第2の金属化層(51、52、53、54、55、56、57)が鉛直に交互にされ、それにより、各/その第2の金属化層(52、54、56)が、前記第2の金属化層(52、54、56)の上方に配置されるそれぞれの上方の第1の金属化層(53、55、57)と、前記第2の金属化層(52、54、56)の下方に配置されるそれぞれの下方の第1の金属化層(51、53、55)とを有し、ならびに、2つのセラミック層(41、48)が、上面(10)の直下および底面(11)の直上にそれぞれ配置される。第1の金属化層(51、53、55、57)は、金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)に結合され、それによって、前記第1の金属化層(51、53、55、57)と、前記金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)と、前記金属化上部および底部周辺領域(13、23)とは、電気接地構造を形成する。各/その第2の金属化層(52、54、56)は、前記第2の金属化層(52、54、56)と電気接地構造との間に電気絶縁を確保するように設計されるそれぞれの第1の誘電性ギャップによって、金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)から分離される。各/その第2の金属化層(52、54、56)は、上方の第2の金属化層(52、54、56)または金属化上部中央領域(11)に、上方のセラミック層(43、44、45、46、47、48)およびそれぞれの上方の第1の金属化層(53、55、57)を通じて、前記第2の金属化層(52、54、56)と上方の前記第2の金属化層(52、54、56)/金属化上部中央領域(11)との間で鉛直に延びるそれぞれの第1の導電性ビア(62、63、64)を用いて接続され、それぞれの前記第1の導電性ビア(62、63、64)は、それぞれの前記第1の導電性ビア(62、63、64)の周りで延びるそれぞれの第2の誘電性ギャップによってそれぞれの上方の前記第1の金属化層(53、55、57)から分離され、それによってそれぞれの第1のコンデンサを形成し、各/その第2の金属化層(52、54、56)は、下方の第2の金属化層(52、54、56)または金属化底部中央領域(21)に、下方セラミック層(41、42、43、44、45、46)およびそれぞれの下方の第1の金属化層(51、53、55)を通じて、前記第2の金属化層(52、54、56)と下方の前記第2の金属化層(52、54、56)/金属化底部中央領域(21)との間で鉛直に延びるそれぞれの第2の導電性ビア(61、62、63)を用いて接続され、それぞれの前記第2の導電性ビア(61、62、63)は、それぞれの前記第2の導電性ビア(61、62、63)の周りで延びるそれぞれの第3の誘電性ギャップによってそれぞれの下方の前記第1の金属化層(51、53、55)から分離され、それによってそれぞれの第2のコンデンサを形成する。金属化上部および底部中央領域(11、21)ならびに第2の金属化層(52、54、56)は、それぞれの導電性ビア(61、62、63、64)およびそれぞれのコンデンサと共に、金属化上部中央領域(11)において、入力電気信号を受信し、金属化底部中央領域(21)において、濾過された出力電気信号を提供するように構成される容量性フィードスルー構造を形成し、それによって、入力電気信号のフィルタリングがコンデンサによって実行される。金属化上部および底部中央領域(11、21)は、開口のない平面領域である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙用途のためのハイブリッドモジュールに対して密閉して封止可能な容量性フィードスルー(1)であって、多層セラミック構造を備え、前記多層セラミック構造は、
上面(10)および底面(20)を含む2つの対向する外面と、
前記多層セラミック構造の周りにおいて前記対向する外面(10、20)間で鉛直に延びる金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)と
を有し、
前記多層セラミック構造は、
前記上面(10)に、
濾過されるべき入力電気信号を受信するように設計される金属化上部中央領域(11)と、
前記金属化上部中央領域(11)の周りで延びる誘電性上部領域(12)と、
前記金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)と共に電気接地として作用するように、前記金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)と結合するまで前記誘電性上部領域(12)の周りで延びる金属化上部周辺領域(13)であって、前記誘電性上部領域(12)は、前記入力電気信号と前記電気接地との間に電気絶縁を確保するように設計される、金属化上部周辺領域(13)と
を含み、
前記底面(20)に、
濾過された出力電気信号を提供するように設計される金属化底部中央領域(21)と、
前記金属化底部中央領域(21)の周りで延びる誘電性底部領域(22)と、
前記金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)と共に電気接地として作用するように、前記金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)と結合するまで前記誘電性底部領域(22)の周りで延びる金属化底部周辺領域(23)であって、前記誘電性底部領域(22)は、前記濾過された出力電気信号と前記電気接地との間に電気絶縁を確保するように設計される、金属化底部周辺領域(23)と
を含み、
前記多層セラミック構造は、互いに積み重ねられる、セラミック層(41、42、43、44、45、46、47、48)と、第1の金属化層(51、53、55、57)と、1つまたは複数の第2の金属化層(52、54、56)とをさらに含み、それにより、
各第1の金属化層(51、53、55、57)が、前記第1の金属化層(51、53、55、57)の直上および直下に配置される2つのそれぞれのセラミック層(41、42、43、44、45、46、47、48)の間に介在させられ、
各/前記第2の金属化層(52、54、56)が、前記第2の金属化層(52、54、56)の直上および直下に配置される2つのそれぞれのセラミック層(42、43、44、45、46、47)の間に介在させられ、
前記第1および第2の金属化層(51、52、53、54、55、56、57)が鉛直に交互にされ、それにより、各/前記第2の金属化層(52、54、56)が、
前記第2の金属化層(52、54、56)の上方に配置されるそれぞれの上方の第1の金属化層(53、55、57)と、
前記第2の金属化層(52、54、56)の下方に配置されるそれぞれの下方の第1の金属化層(51、53、55)と
を有し、ならびに、
2つのセラミック層(41、48)が、前記上面(10)の直下および前記底面(11)の直上にそれぞれ配置され、
前記第1の金属化層(51、53、55、57)は、前記金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)に結合され、それによって、前記第1の金属化層(51、53、55、57)と、前記金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)と、前記金属化上部および底部周辺領域(13、23)とは、電気接地構造を形成し、
各/前記第2の金属化層(52、54、56)は、前記第2の金属化層(52、54、56)と前記電気接地構造との間に電気絶縁を確保するように設計されるそれぞれの第1の誘電性ギャップによって、前記金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)から分離され、
各/前記第2の金属化層(52、54、56)は、
上方の第2の金属化層(52、54、56)または前記金属化上部中央領域(11)に、上方セラミック層(43、44、45、46、47、48)およびそれぞれの上方の前記第1の金属化層(53、55、57)を通じて、前記第2の金属化層(52、54、56)と上方の前記第2の金属化層(52、54、56)/前記金属化上部中央領域(11)との間で鉛直に延びるそれぞれの第1の導電性ビア(62、63、64)を用いて接続され、それぞれの前記第1の導電性ビア(62、63、64)は、それぞれの前記第1の導電性ビア(62、63、64)の周りで延びるそれぞれの第2の誘電性ギャップによってそれぞれの上方の前記第1の金属化層(53、55、57)から分離され、それによってそれぞれの第1のコンデンサを形成し、
前記各/前記第2の金属化層(52、54、56)は、
下方の第2の金属化層(52、54、56)、または前記金属化底部中央領域(21)に、下方セラミック層(41、42、43、44、45、46)およびそれぞれの下方の前記第1の金属化層(51、53、55)を通じて、前記第2の金属化層(52、54、56)と下方の前記第2の金属化層(52、54、56)/前記金属化底部中央領域(21)との間で鉛直に延びるそれぞれの第2の導電性ビア(61、62、63)を用いて接続され、それぞれの前記第2の導電性ビア(61、62、63)は、それぞれの前記第2の導電性ビア(61、62、63)の周りで延びるそれぞれの第3の誘電性ギャップによってそれぞれの下方の前記第1の金属化層(51、53、55)から分離され、それによってそれぞれの第2のコンデンサを形成し、
前記金属化上部および底部中央領域(11、21)ならびに前記第2の金属化層(52、54、56)は、それぞれの前記導電性ビア(61、62、63、64)およびそれぞれの前記コンデンサと共に、前記金属化上部中央領域(11)において、前記入力電気信号を受信し、前記金属化底部中央領域(21)において、前記濾過された出力電気信号を提供するように構成される容量性フィードスルー構造を形成し、それによって、前記入力電気信号のフィルタリングが前記コンデンサによって実行される、容量性フィードスルー(1)において、
前記金属化上部および底部中央領域(11、21)は、開口のない平面領域であることを特徴とする、容量性フィードスルー(1)。
【請求項2】
前記金属化上部中央領域(11)は、前記金属化底部中央領域(21)より大きく、前記金属化底部周辺領域(23)は、前記金属化上部周辺領域(13)より大きい、請求項1に記載の容量性フィードスルー。
【請求項3】
前記多層セラミック構造は、4つ以上のセラミック層(41、42、43、44、45、46、47、48)と、2つ以上の第1の金属化層(51、53、55、57)とを含む、請求項1または2に記載の容量性フィードスルー。
【請求項4】
前記多層セラミック構造は、高温または低温同時焼成セラミック多層基板である、請求項1から3のいずれか一項に記載の容量性フィードスルー。
【請求項5】
前記多層セラミック構造は、多層高温/低温同時焼成セラミック平面基板である、請求項4に記載の容量性フィードスルー。
【請求項6】
前記金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)、前記金属化上部および底部中央領域(11、21)、前記金属化上部および底部周辺領域(13、23)、ならびに前記第1および第2の金属化層(51、52、53、54、55、56、57)は、金属コーティングされたセラミック材料で作られる、請求項1から5のいずれか一項に記載の容量性フィードスルー。
【請求項7】
前記金属化外部閉鎖側壁(31、32、33、34)、前記金属化上部および底部中央領域(11、21)、前記金属化上部および底部周辺領域(13、23)、ならびに前記第1および第2の金属化層(51、52、53、54、55、56、57)は、金で金属コーティングされたセラミック材料で作られる、請求項6に記載の容量性フィードスルー。
【請求項8】
前記誘電性上部および底部領域(12、22)は、金属コーティングされていないセラミック材料で作られ、各/前記第2の金属化層(52、54、56)について、それぞれの前記第1、第2、および第3の誘電性ギャップは、金属コーティングされていないセラミック材料で作られる、請求項1から7のいずれか一項に記載の容量性フィードスルー。
【請求項9】
各/前記第2の金属化層(52、54、56)について、それぞれの前記導電性ビア(61、62、63、64)は、金で作られる、請求項1から8のいずれか一項に記載の容量性フィードスルー。
【請求項10】
ハイブリッド密閉モジュールと、
請求項1から9のいずれか一項に記載の容量性フィードスルー(1)であって、共晶合金(80)を用いて前記ハイブリッド密閉モジュールに対して密閉封止される容量性フィードスルー(1)と
を含む、宇宙用途のための密閉組立体。
【請求項11】
前記容量性フィードスルー(1)は、前記容量性フィードスルー(1)の前記底面(20)が前記ハイブリッドモジュールの内側の方を向き、前記容量性フィードスルー(1)の前記上面(10)が前記ハイブリッドモジュールの外側の方を向くように、前記ハイブリッド密閉モジュールに対して密閉封止される、請求項10に記載の密閉組立体。
【請求項12】
前記共晶合金(80)は、金-錫合金または金-ゲルマニウム合金である、請求項10または11に記載の密閉組立体。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか一項に記載の密閉組立体を含む宇宙プラットフォーム。
【請求項14】
前記宇宙プラットフォームは、人工衛星、宇宙船、宇宙ステーション、または宇宙車両である、請求項13に記載の宇宙プラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2020年7月20日に出願されたイタリア特許出願第102020000017554号の優先権を主張し、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、一般に、宇宙用途(例えば、宇宙船、人工衛星、宇宙プラットフォームなどに搭載される)のために使用される密閉封止されたハイブリッドモジュールに関し、より詳細には、電磁干渉(EMI)フィルタリングと、密閉封止されたハイブリッドモジュールに適した、結果として生じる電磁環境両立性(EMC)放射エミッション性能とを確保し、密閉封止されたハイブリッドモジュールに対して密閉して封止可能である容量性フィードスルーに関する。
【背景技術】
【0003】
知られているように、今日のハイブリッドモジュールは、一般に、宇宙用途のために、特に、宇宙船に搭載された電子機器のために、広く使用されている。
【0004】
特に、宇宙部門において、「密閉封止されたハイブリッドモジュール」、「ハイブリッド(密閉)モジュール」、「ハイブリッド超小型回路/回路」、または、単純に「(密閉)ハイブリッド」という用語は、典型的には、密閉封止された包装/筐体/ケーシングの内側に配置され、1つまたは複数の所定の電子機能を実施するように設計された要素(例えば、1つまたは複数の配線基板、1つまたは複数の能動的または受動的な要素など)の組み合わせを指し、ここで、
・ 配線基板(例えば、厚膜基板、薄膜基板、同時焼成セラミック基板、ダイレクトボンド銅(DBC)基板など)には、集積受動構成部品(例えば、レジスタ、インダクタ、コンデンサ)が設けられても設けられなくてもよい。
・ 受動的要素は、モノリシックまたは個別のチップまたはパッケージ構成部品とすることができる。
・ 所定の電子機能は、デジタルまたはアナログの機能、低周波数または無線周波数(例えば、マイクロ波)の機能、低出力または高出力の機能を含むことができ、具体的な用途に依存して組み合わせることができる。
【0005】
この技術の主な利点は、
・ 構成部品の調達のコスト、および、
・ モジュールが高周波数で動作するときに重要であるパッケージ構成部品の電気的寄生効果
を低減することを可能にするありのままの型部品の使用である。
【0006】
無線周波数(RF)ハイブリッド密閉モジュール(例えば、マイクロ波ハイブリッド密閉モジュール)の電磁環境両立性(EMC)放射エミッション性能は、モジュールの電磁遮蔽の有効性によって主に決定される。この点において、ハイブリッドモジュールの電磁遮蔽の弱点は、直流(DC)フィードスルー(つまり、ハイブリッドモジュールの内部に直流バイアスをもたらすために設計および使用される要素)によって表され、直流(DC)フィードスルーは、典型的には、適切な電磁干渉(EMI)フィルタリングを提供しない。残念ながら、今日では、この問題への現実的に効果的な解決策はない。
【0007】
実際、ハイブリッドモジュールのために使用される現在のフィードスルーの解決策は、ハイブリッドモジュールの外壁にできるだけ近い表面/壁に(例えば、接着またはネジ留めによって)配置され、非容量性フィードスルーを介してハイブリッドモジュールの内側に接続される容量性フィードスルーの使用に典型的には基づかれている。しかしながら、この解決策は、ハイブリッドモジュールの外壁と容量性フィードスルーが配置される表面/壁との間の領域(典型的には、空所)にEMIが存在し得るため、部分的なだけであり、実質的に効果がなく、それによって、この干渉が非容量性フィードスルーを通じてハイブリッドモジュールに入る危険性がある。実際、非容量性フィードスルーは実際のEMI遮蔽を提供せず、それによって、EMIがハイブリッドモジュールに通って入ることができる「裂け目」の役を演じている。
【0008】
2つの主な理由、つまり、
・ ハイブリッドモジュールの密閉封止を保障するために必要な、ハイブリッドモジュールを組み立てる工程において伴う高い温度(例えば、おおよそ300℃のロウ付け温度)、
・ 知られている容量性フィードスルーの典型的な大きさ/構造
が、現在の容量性フィードスルーがハイブリッドモジュール筐体に直接的に配置されるのを妨げており、
【0009】
実際、上記の高い温度は、わずかな熱処理サイクルの後に品質的な観点から許容できない割れを呈する内部ガラス製部品を有する現在の容量性フィードスルーの信頼性に、影響を与える。
【0010】
今日、容量性フィードスルーが宇宙部門以外の技術部門でも使用されていることは、注目すべきである。
【0011】
例えば、米国特許出願公開第2005/190527(A1)号は、能動的な埋め込み可能医療デバイスのためのいくつかのフィードスルーコンデンサ構造を記載しており、前記フィードスルーコンデンサ構造は、表面金属コーティング(metallization)が設けられた1つまたは複数の中空通路が設けられた多層構造と、前記多層構造の対向する面に金属コーティングされた(metallized)開口を伴う終端とに基づかれている。
【0012】
具体的には、米国特許出願公開第2005/190527(A1)号は、能動的な埋め込み可能医療デバイスのためのフィードスルー端子組立体を開示しており、前記フィードスルー端子組立体は、それ自体を貫く開口を有するフィードスルーコンデンサと、誘電層と交互にされた電極板の第1および第2のセットであって、電極板の第2のセットは、能動的な埋め込み可能医療デバイスの筐体に導電的に結合される、電極板の第1および第2のセットと、開口を少なくとも部分的に通じて延びる端子ピンと、端子ピンを電極板の第1のセットに導電的に結合するために、および、端子ピンをフィードスルーコンデンサに機械的に結合するために、開口の中に配置される導電性挿入体と、電極板の第1のセットを導電的に結合するための開口の中の表面金属コーティングとを備え、導電性挿入体は、端子ピンと内部開口表面金属コーティングとの間に配置され、端子ピンと内部開口表面金属コーティングとに物理的に接触する。
【0013】
米国特許出願公開第2005/190527(A1)号による解決策は、明確には、心臓ペースメーカおよび除細動器における使用のために設計されており、密閉封止された筐体と、非密閉封止された筐体および隔壁との両方に適用可能である。
【0014】
さらに、米国特許出願公開第2005/190527(A1)号は、そこで開示されている解決策が宇宙電子機器モジュールにも理論的には適用可能であることを述べている。しかしながら、米国特許出願公開第2005/190527(A1)号に記載されているフィードスルーコンデンサの構造は、宇宙用途に適したEMIフィルタリング性能を実際には提供せず、端子ピン、導電性挿入体、および導電性フェルール(フィードスルーコンデンサを通じた信号伝搬のために必要である)などの多くの要素を必要とし、これは、このようなフィードスルーコンデンサの製造工程を複雑にする。
【0015】
埋め込み可能な医療デバイスのための密閉フィードスルーの他の例が米国特許第7164572(B1)号にも開示されており、米国特許第7164572(B1)号は、多経路で単極の同時焼成された密閉電気フィードスルーと、そのための製作の方法とに関する。しかしながら、米国特許第7164572(B1)号による電気フィードスルー組立体が容量性でなく、宇宙用途には間違いなく不適切であることは、注目すべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/190527号明細書
【特許文献2】米国特許第7164572号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前述の内容に鑑みて、本出願者は、宇宙用途のための革新的な容量性フィードスルーであって、特に、ハイブリッド密閉モジュールとの使用のための革新的な容量性フィードスルーを開発するために、綿密な研究を実施する必要性を感じ、そのため本発明を着想した。
【0018】
そのため、本発明の目的は、ハイブリッド密閉モジュールとの使用のための容量性フィードスルーであって、特に、EMIフィルタリングと、ハイブリッド密閉モジュールに適した、結果として生じるEMC放射エミッション性能とを確保し、宇宙用途のためのハイブリッドモジュールに対して密閉して封止可能である容量性フィードスルーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的および他の目的は、添付の特許請求の範囲において定義されているように、宇宙用途のためのハイブリッドモジュールに対して密閉して封止可能な容量性フィードスルーに関する点において、本発明によって達成される。
【0020】
具体的には、本発明による容量性フィードスルーは、多層セラミック構造を備え、多層セラミック構造は、
・ 上面および底面を含む2つの対向する外面と、
・ 多層セラミック構造の周りにおいて前記対向する外面間で鉛直に延びる金属化(metallized)外部閉鎖側壁と
を有する。
【0021】
具体的には、前記多層セラミック構造は、
・ 上面に、
- 濾過されるべき入力電気信号を受信するように設計される金属化上部中央領域と、
- 金属化上部中央領域の周りで延びる誘電性上部領域と、
- 金属化外部閉鎖側壁と共に電気接地として作用するように、金属化外部閉鎖側壁と結合するまで誘電性上部領域の周りで延びる金属化上部周辺領域であって、誘電性上部領域は、入力電気信号と電気接地との間に電気絶縁を確保するように設計される、金属化上部周辺領域と
を含み、
・ 底面に、
- 濾過された出力電気信号を提供するように設計される金属化底部中央領域であって、前記金属化上部および底部中央領域は、開口のない平面領域である、金属化底部中央領域と、
- 金属化底部中央領域の周りで延びる誘電性底部領域と、
- 金属化外部閉鎖側壁と共に電気接地として作用するように、金属化外部閉鎖側壁と結合するまで誘電性底部領域の周りで延びる金属化底部周辺領域であって、誘電性底部領域は、濾過された出力電気信号と電気接地との間に電気絶縁を確保するように設計される、金属化底部周辺領域と
を含む。
【0022】
また、多層セラミック構造は、互いに積み重ねられるセラミック層と、第1の金属化層と、1つまたは複数の第2の金属化層とをさらに含み、それにより、
・ 各第1の金属化層が、前記第1の金属化層の直上および直下に配置される2つのそれぞれのセラミック層の間に介在させられ、
・ 各/その第2の金属化層が、前記第2の金属化層の直上および直下に配置される2つのそれぞれのセラミック層の間に介在させられ、
・ 第1および第2の金属化層が鉛直に交互にされ、それにより、各/その第2の金属化層が、
- 前記第2の金属化層の上方に配置されるそれぞれの上方の第1の金属化層と、
- 前記第2の金属化層の下方に配置されるそれぞれの下方の第1の金属化層と
を有し、ならびに、
・ 2つのセラミック層が上面の直下および底面の直上にそれぞれ配置される。
【0023】
第1の金属化層は金属化外部閉鎖側壁に結合され、それによって、前記第1の金属化層と、前記金属化外部閉鎖側壁と、前記金属化上部および底部周辺領域とは、電気接地構造を形成する。
【0024】
各/その第2の金属化層は、前記第2の金属化層と前記電気接地構造との間に電気絶縁を確保するように設計されるそれぞれの第1の誘電性ギャップによって、金属化外部閉鎖側壁から分離される。
【0025】
各/その第2の金属化層は、
・ 上方の第2の金属化層または金属化上部中央領域に、上方セラミック層およびそれぞれの上方の第1の金属化層を通じて、前記第2の金属化層と上方の前記第2の金属化層/前記金属化上部中央領域との間で鉛直に延びるそれぞれの第1の導電性ビアを用いて接続され、それぞれの前記第1の導電性ビアは、それぞれの前記第1の導電性ビアの周りで延びるそれぞれの第2の誘電性ギャップによってそれぞれの上方の前記第1の金属化層から分離され、それによってそれぞれの第1のコンデンサを形成し、
各/その第2の金属化層は、
・ 下方の第2の金属化層または金属化底部中央領域に、下方セラミック層およびそれぞれの下方の第1の金属化層を通じて、前記第2の金属化層と下方の前記第2の金属化層/前記金属化底部中央領域との間で鉛直に延びるそれぞれの第2の導電性ビアを用いて接続され、それぞれの前記第2の導電性ビアは、それぞれの前記第2の導電性ビアの周りで延びるそれぞれの第3の誘電性ギャップによってそれぞれの前記下方の第1の金属化層から分離され、それによってそれぞれの第2のコンデンサを形成する。
【0026】
金属化上部および底部中央領域および第2の金属化層は、それぞれの導電性ビアおよびそれぞれのコンデンサと共に、金属化上部中央領域において、入力電気信号を受信し、金属化底部中央領域において、濾過された出力電気信号を提供するように構成される容量性フィードスルー構造を形成し、それによって、入力電気信号のフィルタリングがコンデンサによって実行される。
【0027】
本発明のより良い理解のために、ここで、純粋に非限定的な例として意図されている好ましい実施形態が、添付の図面(すべてが縮尺通りとは限らない)を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の好ましい非限定的な実施形態による容量性フィードスルーの例を概略的に示す図である。
図2】本発明の好ましい非限定的な実施形態による容量性フィードスルーの例を概略的に示す図である。
図3】本発明の好ましい非限定的な実施形態による容量性フィードスルーの例を概略的に示す図である。
図4】本発明の好ましい非限定的な実施形態による容量性フィードスルーの例を概略的に示す図である。
図5図1図4の容量性フィードスルーの概略的な回路図である。
図6】ハイブリッドモジュールへの図1図4の容量性フィードスルーの密閉封止の例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の記載は、当業者に本発明を製作および使用させることができるようにするために提示されている。実施形態への様々な変形が、請求されているような本発明の範囲から逸脱することなく、当業者には容易に明らかとなる。それにより、本発明は、図示および記載されている実施形態に限定されるように意図されておらず、添付の特許請求の範囲に定義されている特徴と一致する最も広い保護の範囲が認められるように意図されている。
【0030】
本発明は、EMIフィルタリングを提供し、ハイブリッドモジュールの外壁(具体的には、ハイブリッドモジュールの筐体/ケーシングの外壁)に対して(都合良くは共晶合金を用いて)密閉封止させることができる容量性フィードスルーを作り、それによって、濾過された直流バイアスアクセスが提供される密閉組立体全体をもたらすために、多層セラミック基板(好ましくは、多層の高温同時焼成セラミック(HTCC)または低温同時焼成セラミック(LTCC)の基材であり、都合良くは多層HTCC/LTCC平面基板)を使用するという本出願者の考えから生じている。
【0031】
そのため、より簡潔には、本発明は、ハイブリッド密閉モジュールに対して密閉して封止可能である密閉でEMIフィルタリングの容量性フィードスルーデバイスを製作するための多層セラミック基板の使用に関する。
【0032】
図1図4は、本発明の好ましい非限定的な実施形態による容量性フィードスルー(全体として符号1によって指示されている)の例を概略的に示している。具体的には、図1は容量性フィードスルー1の概略的な斜視図であり、図2は容量性フィードスルー1の概略的な上面図であり、図3は容量性フィードスルー1の概略的な底面図であり、図4は容量性フィードスルー1の概略的な鉛直での断面図である。
【0033】
図1図4に示されているように、前記容量性フィードスルー1は、立方体または直方体(より大まかには、平行六面体、六面体、角柱、または多面体の形を有し得る)として都合良くは成形されており、
・ 上面10および底面20を含む2つの対向する外面と、
・ 4つの金属化外部閉鎖側壁31、32、33、34(都合良くは、金属コーティングされたセラミック材料で作られ、好ましくは、金で金属コーティングされたセラミック材料で作られる)であって、
- 上面10と底面20との間で鉛直に延び、
- 多層セラミック構造の周りで延び、
- 電気接地として作用するように設計される
4つの金属化外部閉鎖側壁31、32、33、34と
を有する
多層セラミック構造(好ましくは多層のHTCCまたはLTCCの構造で、都合良くは多層HTCC/LTCC平面基板)を備える。
【0034】
具体的には、多層セラミック構造は、
・ 上面10に、
- 濾過されるべき入力電気信号(都合良くは、図1図4に示されていない密閉ハイブリッドの外側から内側へともたらされる電圧などの直流バイアス信号)を受信するように設計され、開口のない平面領域であり、都合良くは正方形または長方形である金属化上部中央領域11(都合良くは、金属コーティングされたセラミック材料で作られ、好ましくは、金で金属コーティングされたセラミック材料で作られる)と、
- 金属化上部中央領域11の周りで延び、正方形または長方形のフレームとして都合良くは成形される誘電性上部領域12(都合良くは、金属コーティングされていないセラミック材料で作られる)と、
- 金属化外部閉鎖側壁31、32、33、34と共に電気接地として作用するように、金属化外部閉鎖側壁31、32、33、34と結合するまで誘電性上部領域12の周りで延び、都合良くは、正方形または長方形のフレームとして成形される金属化上部周辺領域13(都合良くは、金属コーティングされたセラミック材料で作られ、好ましくは、金で金属コーティングされたセラミック材料で作られる)と(誘電性上部領域12は、入力電気信号と電気接地との間に電気絶縁を確保するように設計される)
を含み、
・ 底面20に、
- 濾過された出力電気信号を提供するように設計され、開口のない平面領域であり、都合良くは正方形または長方形である金属化底部中央領域21(都合良くは、金属コーティングされたセラミック材料で作られ、好ましくは、金で金属コーティングされたセラミック材料で作られる)と、
- 金属化底部中央領域21の周りで延び、正方形または長方形のフレームとして都合良くは成形される誘電性底部領域22(都合良くは、金属コーティングされていないセラミック材料で作られる)と、
- 金属化外部閉鎖側壁31、32、33、34と共に電気接地として作用するように、金属化外部閉鎖側壁31、32、33、34と結合するまで誘電性底部領域22の周りで延び、都合良くは、正方形または長方形のフレームとして成形される金属化底部周辺領域23(都合良くは、金属コーティングされたセラミック材料で作られ、好ましくは、金で金属コーティングされたセラミック材料で作られる)と(誘電性底部領域22は、濾過された出力電気信号と電気接地との間に電気絶縁を確保するように設計される)
を含む。
【0035】
図2図4に示されているように、金属化上部中央領域11は、金属化底部中央領域21より大きく、一方、金属化底部周辺領域23は、金属化上部周辺領域13より大きい。
【0036】
さらに、図4に示されているように、多層セラミック構造は、
・ 第1のセラミック層41が金属化底部中央領域21、誘電性底部領域22、および金属化底部周辺領域23に配置され(つまり、広がり)、
・ 第1の金属化層51が第1のセラミック層41に配置され(つまり、広がり)、
・ 第2のセラミック層42が第1の金属化層51に配置され(つまり、広がり)、
・ 第2の金属化層52が第2のセラミック層42に配置され(つまり、広がり)、
・ 第3のセラミック層43が第2の金属化層52に配置され(つまり、広がり)、
・ 第3の金属化層53が第3のセラミック層43に配置され(つまり、広がり)、
・ 第4のセラミック層44が第3の金属化層53に配置され(つまり、広がり)、
・ 第4の金属化層54が第4のセラミック層44に配置され(つまり、広がり)、
・ 第5のセラミック層45が第4の金属化層54に配置され(つまり、広がり)、
・ 第5の金属化層55が第5のセラミック層45に配置され(つまり、広がり)、
・ 第6のセラミック層46が第5の金属化層55に配置され(つまり、広がり)、
・ 第6の金属化層56が第6のセラミック層46に配置され(つまり、広がり)、
・ 第7のセラミック層47が第6の金属化層56に配置され(つまり、広がり)、
・ 第7の金属化層57が第7のセラミック層47に配置され(つまり、広がり)、
・ 第8のセラミック層48が、前記第7の金属化層57と、金属化上部中央領域11、誘電性上部領域12、および金属化上部周辺領域13との間で、第7の金属化層57に配置される(つまり、広がる)
ように互いに積み重ねられた8つの(内部)セラミック層と7つの(内部)金属化層(都合良くは、金属コーティングされたセラミック材料で作られ、好ましくは、金で金属コーティングされたセラミック材料で作られる)とを含む。
【0037】
第1、第3、第5、および第7の金属化層51、53、55、57は金属化外部閉鎖側壁31、32、33、34に結合/接続され、それによって、前記第1、第3、第5、および第7の金属化層51、53、55、57と、前記金属化外部閉鎖側壁31、32、33、34と、前記金属化上部周辺領域13と、前記金属化底部周辺領域23は、電気接地構造を形成している。
【0038】
代わりに、第2、第4、および第6の金属化層52、54、56は、前記第2/第4/第6の金属化層52/54/56と金属化外部閉鎖側壁31、32、33、34との間において前記第2/第4/第6の金属化層52/54/56の周りで延びるそれぞれの第1の誘電性ギャップ(都合良くは、金属コーティングされていないセラミック材料で作られる)によって、金属化外部閉鎖側壁31、32、33、34から分離される。
【0039】
さらに、第2の金属化層52は、第1の導電性ビア61(例えば、金で作られる)を用いて金属化底部中央領域21に電気的に接続され、その第1の導電性ビア61は、
・ 第2のセラミック層42、第1の金属化層51、および第1のセラミック層41を通じて、前記第2の金属化層52と前記金属化底部中央領域21との間で鉛直に延び、
・ 前記第1の導電性ビア61と第1の金属化層51との間において前記第1の導電性ビア61の周りで延びる第2の誘電性ギャップ(都合良くは、金属コーティングされていないセラミック材料で作られる)によって、第1の金属化層51から分離され、それによって第1のコンデンサを形成する。
【0040】
第4の金属化層54は、第2の導電性ビア62(例えば、金で作られる)を用いて第2の金属化層52に電気的に接続され、その第2の導電性ビア62は、
・ 第4のセラミック層44、第3の金属化層53、および第3のセラミック層43を通じて、前記第4の金属化層54と前記第2の金属化層52との間で鉛直に延び、
・ 前記第2の導電性ビア62と第3の金属化層53との間において前記第2の導電性ビア62の周りで延びる第3の誘電性ギャップ(都合良くは、金属コーティングされていないセラミック材料で作られる)によって、第3の金属化層53から分離され、それによって第2のコンデンサを形成する。
【0041】
第6の金属化層56は、第3の導電性ビア63(例えば、金で作られる)を用いて第4の金属化層54に電気的に接続され、その第3の導電性ビア63は、
・ 第6のセラミック層46、第5の金属化層55、および第5のセラミック層45を通じて、前記第6の金属化層56と前記第4の金属化層54との間で鉛直に延び、
・ 前記第3の導電性ビア63と第5の金属化層55との間において前記第3の導電性ビア63の周りで延びる第4の誘電性ギャップ(都合良くは、金属コーティングされていないセラミック材料で作られる)によって、第5の金属化層55から分離され、それによって第3のコンデンサを形成する。
【0042】
さらに、第6の金属化層56は、第4の導電性ビア64(例えば、金で作られる)を用いて金属化上部中央領域11にも電気的に接続され、その第4の導電性ビア64は、
・ 第7のセラミック層47、第7の金属化層57、および第8のセラミック層48を通じて、前記第6の金属化層56と前記金属化上部中央領域11との間で鉛直に延び、
・ 前記第4の導電性ビア64と第7の金属化層57との間において前記第4の導電性ビア64の周りで延びる第5の誘電性ギャップ(都合良くは、金属コーティングされていないセラミック材料で作られる)によって、第7の金属化層57から分離され、それによって第4のコンデンサを形成する。
【0043】
そのため、金属化上部および底部中央領域11、21、第2、第4、および第6の金属化層52、54、56、第1、第2、第3、および第4の導電性ビア61、62、63、64、ならびに、対応する第1、第2、第3、および第4のコンデンサは、金属化上部中央領域11において入力電気信号(都合良くは、密閉ハイブリッドの外側から内側へともたらされる電圧などの直流バイアス信号)を受信し、金属化底部中央領域21において対応する濾過された電気信号を出力するように構成される容量性フィードスルー構造を形成し、入力電気信号は、前記第1、第2、第3、および第4のコンデンサによって濾過される。
【0044】
図5は、
・ 金属化上部中央領域11を概略的に表している入力端子/ポートPinと、
・ 金属化底部中央領域21を概略的に表している出力端子/ポートPoutと、
・ 先に記載されている容量性フィードスルー構造を概略的に表している4つの分路コンデンサC、C、C、Cと相互接続されている一連の3つのレジスタR、R、R
を含む容量性フィードスルー1の概略的な回路図を示している。
【0045】
そのため、先に説明されているように、入力端子/ポートPinにおいて受信された入力電気信号は分路コンデンサC、C、C、Cによって濾過され、それによって、対応する濾過された電気信号が出力端子/ポートPoutにおいて提供される。
【0046】
この方法では、ハイブリッドモジュールに提供される直流バイアスに影響を与えるEMIが容量性フィードスルー1によって濾過され、それにより、容量性フィードスルー1には、EMIなしの直流バイアス信号をハイブリッドモジュールに供給する能力が提供される。
【0047】
都合良くは、容量性フィードスルー1は、所定の融解温度(例えば、300/320℃)を有する共晶合金を用いることで、ハイブリッドモジュールの筐体/ケーシングの壁に密閉封止され得る。
【0048】
この関連で、図6は、ハイブリッドモジュールへの容量性フィードスルー1の密閉封止の例を概略的に示している。具体的には、図6は、ハイブリッドモジュール(図6では示されていない)の(金属の)筐体/ケーシングの外側(金属)壁(符号70によって指示されている)に形成された空所に埋め込まれている容量性フィードスルー1の鉛直での断面図である。
【0049】
容量性フィードスルー1は、共晶合金80(例えば、金-錫(AuSn)合金)を用いて、ハイブリッドモジュールの外側壁70に対して密閉封止されており、その共晶合金80は、
・ 以下の間に、すなわち、
- ハイブリッドモジュールの外側壁70(具体的には、容量性フィードスルー1が配置/挿入されている空所を形成する部分)と、
- 容量性フィードスルー1の金属化外部閉鎖側壁31、32、33、34、および部分的に容量性フィードスルー1の底面20(具体的には、金属化底部周辺領域23の一部分だけ)と
の間に介在させられており、
・ 前記共晶合金80を融解させることで、容量性フィードスルー1とハイブリッドモジュールの外側壁70との間に密閉封止を形成するように、ハイブリッドモジュールおよび容量性フィードスルー1と共に、所定の温度(例えば、320℃)へ加熱させられる。
【0050】
より明確には、前記容量性フィードスルー1は、底面20がハイブリッドモジュールの内側の方を向く一方で、上面10がハイブリッドモジュールの外側の方を向くように、ハイブリッドモジュールの外側壁70によって形成された空所に配置/挿入されている。
【0051】
都合良くは、濾過されてからハイブリッドモジュールに供給される入力電気信号を容量性フィードスルー1に提供するために、ワイヤ(図6では示されていない)が金属化上部中央領域11に(例えば、インジウム-鉛(InPb)半田合金を用いて)半田付けされ得る。そのために、米国ワイヤゲージ規格(AWG)のワイヤが都合良くは使用されその直径は、入力電気信号の電流に基づいて決定され得る。
【0052】
また、微細ワイヤ(図6では示されていない)が、容量性フィードスルー1によって提供される濾過された電気信号を受信するために、金属化底部中央領域21に都合良くは(例えば、熱圧縮によって)ロウ付けされ得る(微細ワイヤの直径は、上面10にロウ付けされるワイヤの直径より小さい)。
【0053】
容量性フィードスルー1の封止は、都合良くは、金-ゲルマニウム(AuGe)合金など、AuSn合金と異なる(および、異なる融解温度を有する)他の合金に基づかれてもよい。
【0054】
先に説明されているように、容量性フィードスルー1は、本発明の好ましい(ここでも非限定的な)実施形態による非限定的な例だけを表している。
【0055】
この点において、本発明のより一般的な実施形態による容量性フィードスルーが、多層セラミック構造を備え、多層セラミック構造が、
・ 開口なしの上面および開口なしの底面を含む2つの対向する外面と、
・ 多層セラミック構造の周りにおいて前記対向する外面間で鉛直に延びる金属化外部閉鎖側壁と
を有することは、注目すべきである。
【0056】
具体的には、前記多層セラミック構造は、
・ 上面に、
- 濾過されるべき入力電気信号を受信するように設計され、開口のない平面領域である金属化上部中央領域と、
- 金属化上部中央領域の周りで延びる誘電性上部領域と、
- 金属化外部閉鎖側壁と共に電気接地として作用するように、金属化外部閉鎖側壁と結合するまで誘電性上部領域の周りで延びる金属化上部周辺領域であって、誘電性上部領域は、入力電気信号と電気接地との間に電気絶縁を確保するように設計される、金属化上部周辺領域と
を含み、
・ 底面に、
- 濾過された出力電気信号を提供するように設計され、開口のない平面領域である金属化底部中央領域と、
- 金属化底部中央領域の周りで延びる誘電性底部領域と、
- 金属化外部閉鎖側壁と共に電気接地として作用するように、金属化外部閉鎖側壁と結合するまで誘電性底部領域の周りで延びる金属化底部周辺領域であって、誘電性底部領域は、濾過された出力電気信号と電気接地との間に電気絶縁を確保するように設計される、金属化底部周辺領域と
を含む。
【0057】
また、多層セラミック構造は、互いに積み重ねられる(4つ以上の)セラミック層と、(2つ以上の)第1の金属化層と、1つまたは複数の第2の金属化層とを、
・ 各第1の金属化層が、前記第1の金属化層の直上および直下に配置される2つのそれぞれのセラミック層の間に介在させられるように、
・ 各/その第2の金属化層が、前記第2の金属化層の直上および直下に配置される2つのそれぞれのセラミック層の間に介在させられるように、
・ 各/その第2の金属化層が、
- 前記第2の金属化層の上方に配置されるそれぞれの上方の第1の金属化層と、
- 前記第2の金属化層の下方に配置されるそれぞれの下方の第1の金属化層と
を有するように、第1および第2の金属化層が鉛直において交互にされるように、ならびに、
・ 2つのセラミック層が上面の直下および底面の直上にそれぞれ配置されるように、
さらに含む。
【0058】
第1の金属化層は金属化外部閉鎖側壁に結合され、それによって、前記第1の金属化層と、前記金属化外部閉鎖側壁と、前記金属化上部および底部周辺領域とは、電気接地構造を形成する。
【0059】
各/その第2の金属化層は、前記第2の金属化層と前記電気接地構造との間に電気絶縁を確保するように設計されるそれぞれの第1の誘電性ギャップによって、金属化外部閉鎖側壁から分離される。
【0060】
各/その第2の金属化層は、
・ 上方の第2の金属化層または金属化上部中央領域に、上方セラミック層およびそれぞれの上方の第1の金属化層を通じて、前記第2の金属化層と上方の前記第2の金属化層/前記金属化上部中央領域との間で鉛直に延びるそれぞれの第1の導電性ビアを用いて接続され、それぞれの前記第1の導電性ビアは、それぞれの前記第1の導電性ビアの周りで延びるそれぞれの第2の誘電性ギャップによってそれぞれの上方の前記第1の金属化層から分離され、それによってそれぞれの第1のコンデンサを形成し、ならびに、
・ 下方の第2の金属化層または金属化底部中央領域に、下方セラミック層およびそれぞれの下方の第1の金属化層を通じて、前記第2の金属化層と下方の前記第2の金属化層/前記金属化底部中央領域との間で鉛直に延びるそれぞれの第2の導電性ビアを用いて接続され、それぞれの前記第2の導電性ビアは、それぞれの前記第2の導電性ビアの周りで延びるそれぞれの第3の誘電性ギャップによってそれぞれの前記下方の第1の金属化層から分離され、それによってそれぞれの第2のコンデンサを形成する。
【0061】
金属化上部中央領域および金属化底部中央領域および第2の金属化層は、それぞれの導電性ビアおよびそれぞれのコンデンサと共に、金属化上部中央領域において、入力電気信号を受信し、金属化底部中央領域において、濾過された出力電気信号を提供するように構成される容量性フィードスルー構造を形成し、それによって、入力電気信号のフィルタリングがコンデンサによって実行される。
【0062】
本発明による容量性フィードスルーが、直流信号のためだけでなく、変調信号などの低周波数信号のためにも有利に使用できることは、注目すべきである。例えば、容量性フィードスルーは、所定のローパスフィルタリング(例えば、最大100MHz)を実施し、それによって直流信号と低周波数信号(例えば、変調信号)との両方のためのその使用を可能にするように都合良く設計できる。
【0063】
前述のことに鑑みて、本発明の技術的利点および革新的な特徴は当業者にはすぐに明らかとなる。
【0064】
具体的には、本発明が、
・ ハイブリッド密閉モジュールと、ハイブリッド密閉モジュールに対して(都合良くは、共晶合金を用いて)密閉封止される多層セラミック基板に基づいたEMIフィルタリングの容量性フィードスルーデバイスとを含み、
・ それにより、濾過された直流バイアスアクセスが提供される
密閉組立体全体を製作することを可能にするという点を強調することは重要である。
【0065】
そのために、本発明は、信頼性の問題なくハイブリッドモジュールの外部の(金属)壁に都合よくロウ付けされ得る多層セラミック基板(好ましくは多層HTCC/LTCC基板で、都合良くは多層HTCC/LTCC平面基板)を使用し、それによって、宇宙用途に必要とされる密閉封止レベルを確保することを教示している。
【0066】
多層セラミック基板の内部層は、有利には、(互いと平行な金属平面を伴う)容量性フィードスルー構造を作るために有利に利用される。具体的には、各々の内部の金属平面の形および大きさは、容量性フィードスルーによって実施されるフィルタリングを調整/最適化するために(例えば、先に説明されているように、直流信号のためだけでなく、変調信号などの低周波数信号のためにもその使用を可能にするために)、三次元(3D)電磁シミュレータで都合良く設計できる。
【0067】
ハイブリッドモジュールのEMC/EMI遮蔽の問題を解決するためにハイブリッドモジュールの筐体に密閉封止されたEMIフィルタとしての、多層セラミック基板に基づく容量性フィードスルー構造の使用が革新的であることは注目すべきであり、本発明は、従来の非密閉の容量性フィードスルーと比較して小さくなった寸法のおかげで、デバイスの大きさの小型化を可能にする。例えば、本発明は、2.75x2.75x2.5mmの大きさの平行六面体の形の多層HTCC基板を使用することを都合良く可能にするが、従来のガラス容量性フィードスルーの限度寸法は、4x4x20mmの程度である。
【0068】
また、米国特許出願公開第2005/190527(A1)号に記載されているフィードスルーコンデンサ構造に反して、本発明による容量性フィードスルー構造は、優れたEMIフィルタリング性能を提供し、具体的には、宇宙用途に適したEMIフィルタリング性能を提供し、米国特許出願公開第2005/190527(A1)号に開示されている前記フィードスルーコンデンサ構造の追加の要素(表面金属コーティングを伴う中空の通路、ならびに、金属化された開口、端子ピン、導電性挿入体、および導電性フェルールなど)を必要とせず、それによって、本発明による容量性フィードスルー構造の製造工程ははるかに単純である。
【0069】
最後に、数多くの変形およびバリエーションが本発明に対して行うことができ、それらすべてが、添付の特許請求の範囲に定義されているような本発明の範囲内にあることは、明らかである。
【符号の説明】
【0070】
1 容量性フィードスルー
10 上面
11 金属化上部中央領域
12 誘電性上部領域
13 金属化上部周辺領域
20 底面
21 金属化底部中央領域
22 誘電性底部領域
23 金属化底部周辺領域
41 第1のセラミック層
42 第2のセラミック層
43 第3のセラミック層
44 第4のセラミック層
45 第5のセラミック層
46 第6のセラミック層
47 第7のセラミック層
48 第8のセラミック層
51 第1の金属化層
52 第2の金属化層
53 第3の金属化層
54 第4の金属化層
55 第5の金属化層
56 第6の金属化層
57 第7の金属化層
61 第1の導電性ビア
62 第2の導電性ビア
63 第3の導電性ビア
64 第4の導電性ビア
70 筐体/ケーシングの外側壁
80 共晶合金
、C、C、C 分路コンデンサ
in 入力端子/ポート
out 出力端子/ポート
、R、R レジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】