(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-22
(54)【発明の名称】テキスタイルの組立体のための熱可塑性樹脂コポリアミド
(51)【国際特許分類】
C08G 69/02 20060101AFI20230815BHJP
D06M 15/59 20060101ALI20230815BHJP
C09J 177/02 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
C08G69/02
D06M15/59
C09J177/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504302
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(85)【翻訳文提出日】2023-03-15
(86)【国際出願番号】 FR2021051378
(87)【国際公開番号】W WO2022018387
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(71)【出願人】
【識別番号】501305888
【氏名又は名称】ボスティク エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】プレンヴィール, トマ
(72)【発明者】
【氏名】ピノー, クエンタン
(72)【発明者】
【氏名】チョン, ソフィー
【テーマコード(参考)】
4J001
4J040
4L033
【Fターム(参考)】
4J001DA02
4J001DB02
4J001DB03
4J001DB05
4J001EA02
4J001EA06
4J001EA08
4J001EA12
4J001EA16
4J001EB02
4J001EB04
4J001EB09
4J001EB10
4J001EC02
4J001EC04
4J001EC08
4J001EC09
4J001EC10
4J001EC83
4J001FA05
4J001FA06
4J001FA07
4J001FA08
4J001FB01
4J001FB03
4J001FB05
4J001FC01
4J001FC03
4J001FC05
4J001GA01
4J001GA11
4J001GA12
4J001GB02
4J001GB03
4J001JA18
4J001JB02
4J001JB04
4J001JB06
4J001JB21
4J001JB31
4J001JB45
4J040EG011
4J040JA06
4J040JB01
4J040LA08
4J040MB02
4J040MB09
4J040NA11
4L033AB04
4L033AC11
4L033CA56
(57)【要約】
本発明は、主に、印刷によるシームレステキスタイル組立体のための、コポリアミドの使用であって、該コポリアミドが、
a)以下:
(i)α、ω-アミノカルボン酸、
(ii)ラクタム、および/または
(iii)6~22個の炭素原子を有する脂肪族二酸および2~14個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族ジアミン、
の少なくとも1つの重縮合によって得られる少なくとも1つのハードセグメントと、
場合により、
b)4~44個の炭素原子を有する少なくとも1つの二酸と、2~44個の炭素原子を有するジアミンおよびポリオキシアルキレンジアミンから選択される少なくとも1つのジアミンとの重縮合によって得られる少なくとも1つのソフトセグメント
とを含み、
前記コポリアミドが、80℃を超え、210℃未満の溶融温度Tm、およびSC 4-27スピンドルを備えたブルックフィールドレオメータを使用して、規格ASTM D3236-88(2009)に従って測定した場合に、170℃で、5Pa・sから100~200Pa・sの粘度を有する、
使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷によるシームレステキスタイル組立体のための、コポリアミドの使用であって、該コポリアミドが、
a)以下:
(i)α、ω-アミノカルボン酸、
(ii)ラクタム、および
(iii)6~22個の炭素原子を有する脂肪族二酸および2~14個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族ジアミン、
の少なくとも1つの重縮合によって得られる少なくとも1つのハードセグメントと、
場合により、
b)4~44個の炭素原子を有する少なくとも1つの二酸と、2~44個の炭素原子を有するジアミンおよびポリオキシアルキレンジアミンから選択される少なくとも1つのジアミンとの重縮合によって得られる少なくとも1つのソフトセグメント
とを含み、
前記コポリアミドが、80℃を超え、210℃未満の溶融温度Tm、およびSC 4-27スピンドルを備えたブルックフィールドレオメータを使用して、規格ASTM D3236-88(2009)に従って測定した場合に、170℃で、5Pa・s~100Pa・sの粘度を有する、
使用。
【請求項2】
コポリアミドが、カプロラクタム、ラクタム12、11-アミノウンデカン酸、1,6-ヘキサメチレンジアミンおよびセバシン酸、1,10-デカメチレンジアミンおよびセバシン酸、1,10-デカメチレンジアミンおよび1,12-ドデカン二酸、またはそれらの混合物の重縮合によって得られるハードセグメントを含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
コポリアミドが、カプロラクタム、1,6-ヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸、またはそれらの混合物の重縮合によって得られるハードセグメントを含む、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
コポリアミドが、60~2000g/molの分子量を有するポリオキシアルキレンジアミンおよび6~36個の炭素原子を含む脂肪族二酸の重縮合によって得られるソフトセグメントを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
コポリアミドが、PA 6/11/POP40036、PA 6/11/POP4006、PA 11/POP4006、PA 11/POP40010、PA 6/12/POP40036、PA 6/12/POP4006、PA 12/POP4006およびPA 12/POP40010、PA 6/66/11/12/POP4006、PA 6/612/12/POP40012、PA 6/66/11/12/POP4006、PA 6/11/3636およびPA 11/3636からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
コポリアミドが、PA 6/11/12、PA 6/612/12、PA 6/1012/12およびPA 6/66/11/12から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
コポリアミドが、SC 4-27スピンドルを備えたブルックフィールドレオメータを使用して、規格ASTM D 3236-88(2009)に従って測定した場合に、170℃で、8Pa・s~60Pa・sの粘度を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
コポリアミドが85℃~200℃の溶融温度(Tm)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
コポリアミドが60℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
コポリアミドが、実施例に記載の試験に従って測定して、23℃で少なくとも8N/12.5mmの剥離強度を達成することを可能にする、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
印刷によるシームレス組立体によって物品を製造するための方法であって、テキスタイル基材が、請求項1~10に定義されるコポリアミドによって組み立てられる、方法。
【請求項12】
テキスタイル基材がポリアミドを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の方法によって得ることができる物品。
【請求項14】
物品が、衣類、特に下着、例えばブラもしくはパンツ、スポーツウェアもしくは安全服、または靴、特にスポーツシューズである、請求項13に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、印刷によるシームレステキスタイル組立体のためのコポリアミドの使用、関連するシームレステキスタイル組立体の方法、およびこのようにして得られた物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特に快適さの理由から、シームレステキスタイルを組み立てることが望ましい場合がある。したがって、テキスタイルのシームレス接合は、下着およびスポーツウェアなどのぴったりした衣類の製造のための一般的な技術である。
【0003】
そのようなテキスタイル組立体は、予め溶融され、冷却中に接合することによって様々な基材を組み立てることを可能にするホットメルト接着剤によって製造することができる。接着剤は、噴霧によって、接着テープの使用もしくは接着剤フィラメントの縫い付けによって、または印刷によって塗布することができる。
【0004】
印刷は、正確で制御された堆積、必要な接着剤の量の調整を可能にし、製造の自動化に適合する限り、特に有利な方法である。
【0005】
したがって、基材上に液滴を噴霧することによって印刷するための技術(「噴射」)が、国際公開第2011/153422A1号パンフレットから公知である。しかしながら、この技術は、ホットメルトポリウレタン反応性(HMPUR)接着剤を使用し、これは、特定の欠点を有する。具体的には、第1に、それらは活性化後の開放時間が限られた反応性接着剤である。第2に、毒性、生殖毒性、感作性、発癌性および皮膚アレルギー誘発性であると考えられる遊離イソシアネートモノマーの残留含有量が、HSEおよび規制上の表示に関する懸念を生じさせる。さらに、これらの接着剤は架橋可能であり、したがって使用後に不融性であり、リサイクルが困難になる。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、これらの欠点のいくつかを有さない、印刷によるシームレステキスタイル組立体に有用なホットメルト接着剤を提供することである。
【0007】
本発明の一態様によれば、開放時間を有さないという点で、印刷組立体方法で使用された場合により大きな柔軟性を可能にするようなホットメルト接着剤が求められている。
【0008】
本発明の別の態様によれば、健康および環境により優しいそのようなホットメルト接着剤が求められている。
【0009】
最後に、本発明の別の態様によれば、そのように組み立てられたテキスタイルのリサイクルを可能にするようなホットメルト接着剤が求められている。
【0010】
印刷によるシームレステキスタイル組立体に適するためには、ホットメルト接着剤は厳しい仕様を満たさなければならない。したがって、これらは、テキスタイル基材に対する良好な接着性を示し、40℃での洗浄を可能にするのに十分高いが、テキスタイル基材が耐える温度での接合を可能にするのに十分低い融点を有しなければならない。さらに、これらは、好ましくは、印刷およびその後の組み立て中の熱応力に耐えるのに十分な耐熱性を有し、蒸気洗浄および乾式洗浄を可能にするために蒸気および溶媒に対する良好な耐性を有利に有する。
【0011】
好ましくは、これらのホットメルト接着剤は、印刷による塗布に適合する特性を有する。そのような塗布モードは、例えば、溶融状態のホットメルト接着剤の液滴が、基材上への噴霧によって堆積され、したがってプリントヘッドと基材との間に直接の接触がない、「噴射」プロセスである。ホットメルト接着剤を付加製造機器によって、例えば溶融フィラメント堆積(FDM/FFF)によって、または押出液滴の堆積によって堆積させることも可能である。これらの技術では、プリントヘッドは、一般に、堆積中に基材と接触している。
【0012】
特に、ホットメルト接着剤は、選択された塗布モードに適した粘度を有するべきである。より具体的には、ホットメルト接着剤の粘度は、プリントヘッドを容易に通過することができるように十分に低く、テキスタイルに浸透して拡散するのを防ぐように十分に高くなければならない。
【0013】
本発明は、以下に定義されるハードセグメントおよび該当する場合にはソフトセグメントを含むコポリアミドが、印刷によるシームレステキスタイル組立体のための使用に特に適しているという観察に基づく。
【0014】
コポリアミドの使用はさらに、反応性熱可塑性樹脂ポリウレタンに関連するHSEリスク、特に残留イソシアネートモノマーの存在を回避し、したがってより好ましいHSEプロフィールを有する。
【0015】
最後に、コポリアミドの熱可塑性樹脂の性質のために、このようにして製造された物品は、より容易にリサイクルすることができる。特に、テキスタイルがポリアミドを含むかまたはそれ自体からなる場合、完全な物品を粉砕および溶融して、再び使用することができる塊を形成することができる。
【0016】
したがって、第1の態様によれば、本発明は、印刷によるシームレステキスタイル組立体のための、コポリアミドの使用であって、該コポリアミドが、
a)以下:
(i)α、ω-アミノカルボン酸、
(ii)ラクタム、および
(iii)6~22個の炭素原子を有する脂肪族二酸および2~14個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン、
の少なくとも1つの重縮合によって得られる少なくとも1つのハードセグメントと、
場合により、
b)4~44個の炭素原子を有する少なくとも1つの二酸と、2~44個の炭素原子を有するジアミンおよびポリオキシアルキレンジアミンから選択される少なくとも1つのジアミンとの重縮合によって得られる少なくとも1つのソフトセグメント
とを含み、
上記コポリアミドが、80℃を超える溶融温度(Tm)、およびSC 4-27スピンドルを備えたブルックフィールドレオメータを使用して、規格ASTM D3236-88(2009)に従って測定した場合に、170℃で、2Pa・s~200Pa・s、好ましくは5Pa・s~100Pa・sの粘度を有する、
使用に関する。
【0017】
特定の実施形態によれば、コポリアミドは、カプロラクタム、11-アミノウンデカン酸、1,6-ヘキサメチレンジアミンおよびセバシン酸、1,10-デカメチレンジアミンおよびセバシン酸、または1,10-デカメチレンジアミンおよび1,12-ドデカン二酸、またはそれらの混合物の重縮合によって得られるハードセグメントを含む。
【0018】
別の特定の実施形態によれば、コポリアミドは、カプロラクタム、1,6-ヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸、またはそれらの混合物の重縮合によって得られるハードセグメントを含む。
【0019】
別の特定の実施形態によれば、コポリアミドは、60~2000g/molの分子量を有するポリオキシアルキレンジアミンおよび6~36個の炭素原子を含む脂肪族二酸の重縮合によって得られるソフトセグメントを含む。
【0020】
さらに別の特定の実施形態によれば、コポリアミドは、PA 6/11/POP40036、PA 6/11/POP4006、PA 11/POP4006、PA 11/POP40010、PA 6/12/POP40036、PA 6/12/POP4006、PA 12/POP4006およびPA 12/POP40010、PA 6/66/11/12/POP4006、PA 6/612/12/POP40012、PA 6/66/11/12/POP4006、PA 6/11/3636およびPA 11/3636からなる群から選択される。
【0021】
別の特定の実施形態によれば、コポリアミドは、PA 6/11/12、PA 6/612/12、PA 6/1012/12およびPA 6/66/11/12から選択される。
【0022】
別の特定の実施形態によれば、コポリアミドは、210℃未満の溶融温度(Tm)および/または60℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0023】
別の特定の実施形態によれば、コポリアミドは、実施例に記載の試験に従って測定して、23℃で少なくとも8N/12.5mmの剥離強度を達成することを可能にする。
【0024】
第2の態様によれば、本発明は、テキスタイル基材が上で定義したコポリアミドによって組み立てられる、印刷によるシームレス組立体によって物品を製造するための方法に関する。
【0025】
特定の実施形態によれば、テキスタイル基材はポリアミドを含む。
【0026】
第3の態様によれば、本発明は、上記方法によって得ることができる物品に関する。特定の実施形態によれば、物品は、衣類、特に下着、例えばブラもしくはパンツ、スポーツウェアもしくは安全服、または靴、特にスポーツシューズである。
【0027】
本発明の他の特徴、態様、主題および利点は、以下の説明および実施例を読むことにより、より明確に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
用語の定義
「テキスタイル」という用語は、天然または合成繊維の網からなる、本質的に平坦で柔軟な材料を示すと理解される。テキスタイルは、多くの技術によって、例えば製織、製編、かぎ針編み、ノッティング、フェルト製織またはブレイディングによって製造することができる。これらは、衣服または家具の分野で使用される布地などの伝統的なテキスタイル、不織布、またはジオテキスタイル、医療用テキスタイル、アグロテキスタイルなどの工業用テキスタイル、または繊維強化材を有する複合材料であり得る。
【0029】
「共重合体」という用語は、コモノマーと呼ばれる少なくとも2つの化学的に異なる種類のモノマーの共重合から誘導されるポリマーを意味すると理解され、その少なくとも1つ、好ましくは2つまたは3つ、特にすべてのモノマーは以下に定義されるポリアミドモノマーである。ポリアミドモノマー以外のコモノマーは、特に、以下に定義されるポリエーテルモノマーであり得る。したがって、共重合体は、少なくとも2つの異なる反復単位または部分から形成される。3つ以上の反復単位から形成されてもよい。本発明の意味におけるコポリアミドは、好ましくは、各反復単位が特定の長さのセグメントを形成し、ガラス転移温度(Tg)および該当する場合は特定の溶融温度(Tm)を有するブロック共重合体である。本発明に従って使用されるコポリアミドは、ハードセグメント、および該当する場合はソフトセグメントを有する。
【0030】
ポリアミドの説明の文脈で使用される「モノマー」という用語は、反復単位を形成するのに必要なモノマーの意味で解釈されるべきである。実際、特別な場合とは、ポリアミドの反復単位が二酸とジアミンとの組み合わせによって形成される場合である。次いで、二酸およびジアミンは個々に重合することができないので、モノマーに対応するのはジアミン/二酸対(等モル量)であると考えられる。
【0031】
「粘度」という用語は、別途指示がない限り、2009年のASTM D 3236-88規格に従って、SC 4-27スピンドルを使用するブルックフィールドレオメータを用いて170℃で測定した場合に、見かけの粘度を示すと理解される。
【0032】
「溶融温度」という用語は、20℃/分の加熱速度を使用して、規格NF EN ISO 11 357-3に従って示差走査熱量測定(DSC)によって測定した場合に、少なくとも部分的に結晶性のポリマーが粘稠な液体状態に変化する温度を示すと理解される。
【0033】
「ガラス転移温度」という用語は、20℃/分の加熱速度を使用して、規格NF EN ISO 11 357-2に従って示差走査熱量測定(DSC)によって測定した場合に、少なくとも部分的に非晶質のポリマーがゴム状態からガラス状態に変化する、またはその逆に変化する温度を示すと理解される。
【0034】
「ハードセグメント」および「ソフトセグメント」という用語は、それらのTmまたはTgに応じてコポリアミドの様々な反復単位によって形成されるセグメントを示すと理解され、ソフトセグメントはハードセグメントよりも低いTmまたはTgを有する。一般に、ソフトセグメントのTgは10℃未満であり、ハードセグメントのTgは10℃を超える。
【0035】
ポリアミドを定義するために使用される命名法は、規格ISO 1874-1:1992「Plastics-Polyamide(PA)moulding and extrusion materials-Part 1:Designation」、特に3ページ(表1および2)に記載されており、当業者に周知である。PAL表記法では、PAはポリアミドを示し、Lはアミノ酸またはラクタムの炭素原子数を示す。したがって、ポリアミドは、L個の炭素原子を含むアミノ酸またはラクタムの重縮合によって得られる。PAMN表記法において、Mはジアミンの炭素原子数を示し、Nは二酸の炭素原子数を示す。
【0036】
上述のように、本発明は、第1の態様によれば、印刷によるシームレステキスタイル組立体のための、コポリアミドの使用であって、該コポリアミドが、
a)以下:
(i)α、ω-アミノカルボン酸、
(ii)ラクタム、および
(iii)6~22個の炭素原子を含む脂肪族二酸および2~14個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族ジアミン、
の少なくとも1つの重縮合によって得られる少なくとも1つのハードセグメントと、
場合により、
b)4~44個の炭素原子を有する少なくとも1つの二酸と、2~44個の炭素原子を有するジアミンおよびポリオキシアルキレンジアミンから選択される少なくとも1つのジアミンとの重縮合によって得られる少なくとも1つのソフトセグメント
とを含み、
上記コポリアミドが、80℃を超える溶融温度Tm、およびSC 4-27スピンドルを備えたブルックフィールドレオメータを使用して測定した場合に、170℃で、2Pa・s~200Pa・sの粘度を有する、
使用に関する。
【0037】
具体的には、これらのコポリアミドは、印刷による、特に液滴の噴霧によるシームレステキスタイルの組立体に必要な特性を有することが分かった。単一成分のホットメルト接着剤であるという事実は、HMPUR接着剤のように開放時間を考慮する必要がないため、方法をより柔軟にする。
【0038】
さらに、これらのコポリアミドは、残留溶媒またはイソシアネートを含まないため、健康および環境により優しいことが可能になる。
【0039】
最後に、本発明に従って使用されるコポリアミドは、熱可塑性樹脂であるのでリサイクル可能である。これらのポリアミドの熱可塑性樹脂特性のために、これらによって組み立てられたテキスタイルは完全にリサイクル可能であり得る。特に、テキスタイルがポリアミドを含むか、または同様にポリアミドから作製される場合も、部材全体を粉砕および溶融して、再び使用することができる材料を提供することができる。
【0040】
上記のように、これらのコポリアミドは、少なくとも1つのハードセグメントと、場合により少なくとも1つのソフトセグメントとを含む。これらの2つのセグメントは、1つ以上のポリアミドブロックを含む。それにもかかわらず、該当する場合には、低含有量の他のモノマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)およびそれらの共重合体から選択されるポリエーテルポリオール、ならびに例えばセグメントに対して20mol%未満、好ましくは10mol%未満、特に5mol%未満のモル比のポリテトラメチレングリコール(PTMG)を含んでもよい。有利には、ハードおよび/またはソフトセグメントはポリアミドブロックからなる。
【0041】
コポリアミドのハードセグメントは、1つ以上のポリアミドブロックを含むかまたはそれからなる。ポリアミドブロックは、末端にカルボン酸基、アミン基または両方の混合物を有する。
【0042】
コポリアミドのハードセグメントを形成するポリアミドブロックは、
(i)少なくとも1つのアミノ酸、および/または
(ii)少なくとも1つのラクタム、および/または
(iii)少なくとも1つのジアミンを有する少なくとも1つの二酸
の重縮合から誘導され得る。
【0043】
アミノ酸は、特に、4~12個の炭素原子を含むα、ω-アミノカルボン酸であり得る。したがって、特にアミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、10-アミノデカン酸、11-アミノウンデカン酸および12-アミノドデカン酸を挙げることができる。これらの中でも、11-アミノウンデカン酸が特に好ましい。
【0044】
ラクタムは、特に4~12個の炭素原子を含むラクタム、特にカプロラクタム、オエナントラクタムおよびラウリルラクタムから選択されるラクタムであり得る。
【0045】
二酸(またはジカルボン酸)は、脂肪族または脂環式であり得る。好ましくは、これは、4~44個、好ましくは6~36個、さらにより好ましくは6~18個の炭素原子を含む直鎖または分岐脂肪族ジカルボン酸または6~10個の炭素原子を含む脂環式ジカルボン酸である。
【0046】
そのようなジカルボン酸の例としては、(a)特に直鎖、特に飽和鎖を有する脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,11-ウンデカン二酸、1,12-ドデカン二酸、ブラシル酸、1,14-テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、タプス酸および1,18-オクタデカン二酸だけでなく、(b)脂環式酸、例えば1,4-シクロヘキシルジカルボン酸および1,2-シクロヘキシルジカルボン酸も挙げられる。
【0047】
ジアミンは、2~14個、特に4~12個、非常に特に6~12個の炭素原子を含む。これは、脂肪族、脂環式または芳香族ジアミンであり得る。好ましくは、これは、2~14個、特に4~12個、非常に特に6~12個の炭素原子を含む直鎖または分岐脂肪族ジアミン、または6~14個、特に6~12個の炭素原子を含む脂環式ジアミンである。
【0048】
ジアミンの例としては、1,2-エチレンジアミン、1,4-テトラメチレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,9-ノナメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACMまたはB)の異性体、p-アミノジシクロヘキシルメタン(PACMまたはP)、2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)、m-キシリレンジアミン(MXD)、p-キシリレンジアミン(PXD)およびピペラジン(Pip)の異性体が挙げられる。
【0049】
有利には、ジアミン二酸対から誘導されるハードセグメントのポリアミドブロックは、26、29、210、212、214、218、412、414、418、510、512、514、610、612、614、618、912、1010、1012、1014、1018、Pip10、Pip12、Pip14、Pip16、Pip18、MXD6、PXD6、MXD10およびPXD10から選択される。
【0050】
ポリアミドブロックは、単一のモノマーまたは2つ以上の異なるモノマーの混合物の重合から生じ得る。
【0051】
ポリアミドブロックは、カルボン酸末端またはアミン末端を有するポリアミドブロックが望ましいかどうかに応じて、鎖調整剤としてのジカルボン酸またはジアミンの存在下で得ることができる。前駆体が既にジカルボン酸またはジアミンを含む場合、それを過剰に使用すれば十分であるが、以下に定義するジカルボン酸およびジアミンの群から選択される別のジカルボン酸または別のジアミンを使用することも可能である。
【0052】
好ましくは、コポリアミドは、カプロラクタムおよび11-アミノウンデカン酸、ラウリルラクタム、1,6-ヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸、1,6-ヘキサメチレンジアミンおよびセバシン酸、1,10-デカメチレンジアミンおよびセバシン酸、または1,10-デカメチレンジアミンおよび1,12-ドデカン二酸の、単独または組み合わせの重縮合によって得られる少なくとも1つのハードセグメントを含む。カプロラクタムおよび11-アミノウンデカン酸、カプロラクタムおよびラウリルラクタム、またはカプロラクタム、1,6-ヘキサメチレンジアミンおよびアジピン酸の重縮合によって得られる少なくとも1つのハードセグメントを含むコポリアミドが非常に特に好ましい。
【0053】
コポリアミド中のハードセグメントの含有量は、大きく変動し得る。したがって、コポリアミドは、1~100mol%、有利には10~90mol%、特に20~80mol%、さらにより優先的には30~70mol%のハードセグメントを含み得る。コポリアミド中のハードセグメントの40~60mol%の含有量が特に好ましい。ハードセグメントのモル含有量は、コポリアミドに導入されるモノマーのモル比によって決定される。
【0054】
コポリアミドの少なくとも1つの任意選択のソフトセグメントは、4~44個の炭素原子を有する少なくとも1つの二酸と、2~44個の炭素原子を有するジアミンおよびポリオキシアルキレンジアミンから選択される少なくとも1つのジアミンとの重縮合によって得られる1つ以上のブロックを含むか、またはそれからなる。
【0055】
少なくとも1つのジカルボン酸は、特に、脂肪族、脂環式もしくは芳香族二酸または脂肪酸ダイマーであり得る。
【0056】
好ましくは、これは、4~44個、好ましくは6~36個、さらにより好ましくは6~18個の炭素原子を含む直鎖または分岐脂肪族ジカルボン酸または6~10個の炭素原子を含む脂環式ジカルボン酸である。
【0057】
ジカルボン酸は、特に、(a)特に直鎖、特に飽和鎖を有する脂肪族ジカルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,11-ウンデカン二酸、1,12-ドデカン二酸、ブラシル酸、1,14-テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、タプス酸および1,18-オクタデカン二酸、(b)脂環式ジカルボン酸、例えば1,4-シクロヘキシルジカルボン酸および1,2-シクロヘキシルジカルボン酸、(c)芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸またはナフタレンジカルボン酸、ならびに(d)脂肪酸ダイマーから選択され得る。
【0058】
脂肪酸ダイマーは、特に9~28個、有利には12~24個、より特に14~22個の炭素原子を含む、2つの同一または異なる脂肪酸の二量体化によって得ることができる。それらは、特にオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、エライジン酸およびエルカ酸から選択することができる。不飽和脂肪酸の混合物の二量体化生成物は、植物油または脂肪、例えばヒマワリ油、大豆油、オリーブ油、菜種油または綿実油、または動物油または脂肪、例えば獣脂の加水分解によって得ることができる。例えばニッケル触媒を使用することによって水素化された脂肪酸ダイマーも使用され得る。脂肪酸ダイマーは、有利には平均18~56個、好ましくは36または44個の炭素原子を含む。脂肪酸ダイマーは、好ましくは少なくとも98%のダイマー含有量を有する。有利には、それらは水素化されている。
【0059】
様々な酸ダイマーは、例えば、Croda社によってPRIPOL(登録商標)の商標で、Cognis社によってEMPOL(登録商標)の商標で、Kraton社によって販売されているUnydime(登録商標)の商標名で、またはOleon社によって販売されているRadiacid(登録商標)の商標名で市販されている。これらの製品は、一般に、モノマーおよび他のオリゴマーとの混合物として、75%~98%超の脂肪酸ダイマーを含有する。脂肪酸オリゴマーのこれらの混合物はさらに、部分的または完全に水素化されていてもよい。
【0060】
二酸または脂肪酸ダイマーとポリオキシアルキレンジアミンとの重縮合中に得られるブロックは、ポリエーテルアミドブロックである。二酸または脂肪酸ダイマーとジアミンとの重縮合中に得られるブロックは、ポリアミドブロックである。
【0061】
少なくとも1つのジアミンは、2~44個、特に4~36個、より好ましくは4~24個または6~18個の炭素原子、非常に特に6~12個の炭素原子を含む。これは、特に、脂肪族、脂環式または芳香族ジアミンであり得る。好ましくは、これは、2~44個、特に4~36個、非常に特に6~12個の炭素原子を含む直鎖または分岐脂肪族ジアミン、または6~18個、特に6~12個の炭素原子を含む脂環式ジアミンである。
【0062】
ジアミンの例としては、1,2-エチレンジアミン、1,4-テトラメチレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,9-ノナメチレンジアミン、1,10-デカメチレンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACMまたはB)の異性体、p-アミノジシクロヘキシルメタン(PACMまたはP)、2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)、m-キシリレンジアミン(MXD)、p-キシリレンジアミン(PXD)およびピペラジン(Pip)の異性体が挙げられる。
【0063】
最大44個、好ましくは10~36個の炭素原子を含む脂肪ジアミンを使用することも可能である。これらは、特に、植物または動物起源の油または脂肪に由来する脂肪酸とアンモニアとの反応および得られたニトリルの水素化によって得ることができる。脂肪ジアミンは、特に、上で定義したように、重合脂肪酸のアミノ化に由来し得る。これらのジアミンは、Cognis Corporation(BASF)によって販売されている「Versamine」の商標名で、Crodaから「Priamine(登録商標)」の商標名で市販されている。
【0064】
有利には、これらは直鎖、特に飽和鎖を有する脂肪族ジアミンである。一般に、これらは第一級アミンであり、末端位置にアミン基を有する。
【0065】
ジアミンは、ポリエーテルアミン、すなわちポリオキシアルキレンジアミンであってもよい。好ましくは、2つの鎖末端アミン基を有するポリオキシアルキレン鎖である。ポリオキシアルキレン鎖は、好ましくは、オキシエチレン(POE)、オキシプロピレン(POP)およびオキシテトラメチレン(POTM)基を単独でまたは混合物として含む。基を混合する場合、POEとPOPとの混合物またはPOTMとPOPとの混合物が好ましい。ポリアミドの分野では、ポリエーテルアミンは、通常、オキシアルキレン鎖の性質を特定する略語と、それに続くその数平均分子量(Mn)を示す数字によって示される。したがって、POP400は、2つのアミン基で終端された400g/molのMnを有するポリオキシプロピレン鎖を含むポリエーテルアミンを示す。ポリオキシアルキレンジアミンは、ポリエーテルジオールのシアノアセチル化によって得ることができる。ポリオキシアルキレンジアミンは、好ましくは、市販の製品、特に、HuntsmanによってJeffamine(登録商標)およびElastamine(登録商標)の商標(例えば、Jeffamine(登録商標)D400、D2000、ED 2003およびXTJ 542ならびにElastamine(登録商標)RT1000、RP405およびRP2009)またはBASF社によるBaxxodur(登録商標)の商標(例えば、Baxxodur(登録商標)EC 302、EC 301、EC 303およびEC 311)で販売されている製品から選択される。
【0066】
ポリオキシアルキレンジアミンの数平均分子量(Mn)は、好ましくは60~2000g/mol、特に80~1500g/mol、特に100~500g/molである。
【0067】
好ましくは、ソフトセグメントは、ポリオキシプロピレン(POP)に基づくポリオキシアルキレンジアミン、特に60~2000g/molの数平均分子量(Mn)を有するポリオキシアルキレンジアミンと、6~36個の炭素原子を含む脂肪族二酸、特にアジピン酸、または36~44個の炭素原子を含む二量体化脂肪酸との重縮合によって得られる。
【0068】
有利には、ソフトセグメントのポリアミドブロックは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸または脂肪酸ダイマーと、ポリオキシアルキレンジアミン、特にポリオキシプロピレンジアミン(POP)との重縮合によって得られ、そのポリオキシプロピレン鎖は、100~2000g/mol、特に200~100g/mol、特に400g/molの数平均分子量Mnを有する(POP400)。
【0069】
コポリアミド中のソフトセグメントの含有量は、大きく変動し得る。したがって、本発明に従って使用されるコポリアミドは、0~99mol%、有利には5~90mol%、特に20~80mol%、より好ましくは30~70mol%のソフトセグメントを含む。コポリアミド中のソフトセグメントの40~60mol%の含有量が特に好ましい。コポリアミド中のソフトセグメントのモル含有量は、ハードセグメントについて上記で説明したように決定される。
【0070】
使用されるコポリアミドのモノマーの少なくとも20mol%、特に少なくとも30mol%、非常に特に少なくとも40mol%が少なくとも8個、好ましくは少なくとも9個の炭素原子を含む場合、特に有利な特性が得られることが分かった。上記のモノマーという用語の一般的な定義の例外として、ジアミンおよび二酸も、この文脈ではモノマーであると考えられる。
【0071】
本発明による使用に特に好ましいのは、PA 6/11/POP40036、PA 6/11/POP4006、PA 11/POP4006、PA 11/POP40010、PA 6/12/POP40036、PA 6/12/POP4006、PA 12/POP4006およびPA 12/POP40010、PA 6/66/11/12/POP4006、PA 6/612/12/POP40012およびPA 6/66/11/12/POP4006から選択されるコポリアミドである。
【0072】
あるいは、6/610、106/1012、6/66/11/12、6/612/12および6/66/11/12から選択されるコポリアミドも好ましい。
【0073】
本発明に従って使用されるコポリアミドは、先行技術に記載されている通常の方法に従って製造することができる。特に、欧州特許出願公開第1533330A1号明細書に記載されている方法を参照することができる。この方法では、すべての試薬を適切な反応器に一度に導入し、場合により亜リン酸などの酸を添加する。次いで、反応器を減圧下に置き、典型的な時間30分間反応を継続するために、合わせた混合物を窒素下、典型的な温度235℃で典型的な時間60分間加熱する。当然ながら、選択した試薬の反応性を考慮して、温度および時間は変動してもよい。
【0074】
コポリアミドは、カルボン酸末端またはアミン末端が望ましいかどうかに応じて、鎖調整剤としてのジカルボン酸またはジアミンの存在下で得ることができる。前駆体が既にジカルボン酸またはジアミンを含む場合、それを過剰に使用すれば十分であるが、以下に定義するジカルボン酸およびジアミンの群から選択される別のジカルボン酸または別のジアミンを使用することも可能である。
【0075】
コポリアミドの粘度は、印刷プロセス、特に液滴の噴霧または3D印刷による塗布において特に重要であると想定されるパラメータである。具体的には、粘度が高すぎる場合、コポリアミドがスプレーノズルまたは押出ヘッドを通過しないか、または通過しにくくなり、印刷が困難またはさらには不可能になる。逆に、粘度が低すぎる場合、コポリアミドがテキスタイルに浸透しすぎる。そのため、接合される基材間に接着剤がほとんど残らず、接着性が悪くなる。
【0076】
2009年の規格ASTM D3236-88に従って、SC 4-27スピンドルを備えたブルックフィールドレオメータを使用して170℃で測定した場合に、170℃で、2~200Pa・s、好ましくは5~100、特に8~60Pa・s、非常に特に10~40Pa・sの粘度を有するコポリアミドは、非常に満足のいく印刷結果を与えることが観察された。
【0077】
本発明によれば、コポリアミドは80℃を超える溶融温度(Tm)を有する。好ましくは、コポリアミドは210℃未満の溶融温度(Tm)を有する。このような溶融温度は、多くの基材上で使用されることを可能にする。有利には、コポリアミドの溶融温度(Tm)は、85℃~200℃、好ましくは87℃~180℃、特に90℃~170℃、より好ましくは92℃~160℃、特に95℃~150℃、非常に特に100℃~140℃である。
【0078】
上述したように、十分に低いガラス転移温度は、テキスタイルの良好な柔軟性を確保することを可能にし、上記で説明したように、印刷を容易にする低粘度に有利に作用する。好ましくは、コポリアミドは60℃未満のガラス転移温度(Tg)を有し、有利には、コポリアミドのTgは、-80℃~60℃、好ましくは-75℃~50℃、特に-70℃~40℃、より好ましくは-65℃~35℃である。
【0079】
上述の利点および基材への良好な接着性のために、記載されたコポリアミドの使用は、長期間の使用に耐えるのに十分以上である高い接着強度での印刷によってシームレステキスタイル組立体を得ることを可能にする。
【0080】
第2の態様によれば、本発明は、テキスタイル基材が上記のコポリアミドによって組み立てられる、印刷によるシームレステキスタイル組立体によって物品を製造するための方法に関する。有利には、本方法は自動化されており、労力を必要としない。
【0081】
物品の製造のために組み立てられるテキスタイルは、様々な種類のものとすることができ、特に、綿、ウール、リネン、麻、ジュート、ラフィア、ラミー、トウ、サイザル、木材、アバカ、ココヤシ、竹、ケナフ、絹、アルパカ、アンゴラ、ラクダ毛、カシミヤ、ラマ、モヘア、ビクーニャ、ヤクまたはそれらの混合物などの天然材料、およびビスコース、リヨセル(登録商標)またはモダールなどの天然材料に由来する材料を含むか、またはそれらからなる。これらはまた、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリアミド、熱可塑性樹脂ポリウレタンエラストマー(Lycra(登録商標)またはエラスタン)、PTFE、PVDF、ポリブチレン、ポリイソプレン、アラミド(Kevlar(登録商標))、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、特に超高重量のポリエチレン、液晶ポリマー、またはマイクロファイバなどの熱可塑性樹脂ポリマーを含むまたはそれらからなるテキスタイルであってもよい。テキスタイルはまた、炭素、ガラス、銅、アルミニウム、または鋼などの無機材料の繊維を含むか、またはそれらからなってもよい。靴材料は、必要な場合はポリウレタンなどのポリマー、またはPEBAもしくはTPUなどの皮革、ポリエーテル、ポリアミドもしくはエラストマーでコーティングされた、上記のテキスタイルをさらに含むかまたはそれらからなってもよい。
【0082】
好ましくは、使用されるテキスタイル基材はポリアミドを含む。具体的には、記載されたコポリアミドは、この基材に対するコポリアミドの特に高い接着性を示す。有利には、テキスタイル基材は、少なくとも60重量%、特に少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、特に少なくとも90重量%のポリアミドを含むか、またはポリアミドから構成される。しかしながら、所望の特性に応じて、基材は、他の材料、特に他のポリマーも含んでもよい。有利には、これらは熱可塑性樹脂ポリマーである。したがって、基材は、特にエラストマー、特にエラスタンなどの熱可塑性樹脂ポリウレタンエラストマーを含んでもよい。
【0083】
熱可塑性樹脂材料に基づく熱可塑性樹脂テキスタイル基材の使用は、完全なリサイクルを想定することを可能にする。より具体的には、テキスタイルを粉砕、次いで溶融して、特にテキスタイルの製造に再び使用することができる材料を与えることができる。そのごく一部は熱可塑性樹脂ではないテキスタイルをリサイクルすることも興味深いものであり得る。
【0084】
本方法は、衣服、特に下着、スポーツウェアおよび防護服の物品の製造に特に有利である。さらに、靴、特にスポーツシューズ、入れ物、例えばバッグまたはバスケット、家具、ブラインド、レジャー用品、例えばバックパックおよびテントなど、またはスポーツ用品、例えば気球、凧、帆およびパラシュートなどの製造に有利であり得る。
【0085】
一般に、本発明によるコポリアミドは、組み立てられる基材上に直接印刷される。これは、固体状態または溶融状態で有利に印刷される。有利には、ドットの形態で印刷される。ドットは、多かれ少なかれ複雑なパターンを形成するように印刷することができる。
【0086】
コポリアミドは、様々な手段によって基材上に印刷することができる。
【0087】
例えば、溶融コポリアミドの液滴をディスペンサから短い高圧パルスによって基材上に高速で噴霧する「噴射」印刷技術を使用することが可能である。特にNordson社によって販売されている装置で使用されるこの技術は、基材とノズルとの間の接触を回避することを可能にし、例えば国際公開第2011/087961A1号パンフレットおよび国際公開第2011/153422A1号パンフレットに記載されている。
【0088】
他の適切な装置は、基材上にコポリアミドを印刷するために押出を使用する。ホットメルト接着剤は、特に、例えば、射出成形のように顆粒を溶融し、それらを液滴の形態で塗布することを可能にするFreeformerという名称でArburg社によって販売されている装置を使用して、押出によって基材に塗布することができる。
【0089】
例えば、溶融フィラメント堆積技術(溶融フィラメント製造(FFF)とも呼ばれる溶融堆積モデリング(FDM))によって、フィラメントの形態で基材上にコポリアミドを印刷することも可能である。この技術を実行するのに適した装置は、例えばStratasysによって販売されており、組み立てるための3D Systemおよび装置は、Reprap 3Dプリンタという名称で販売されている。この技術は、コポリアミドの長期間の加熱を回避し、その分解を制限するという利点を有する。これらの押出技術では、プリントヘッドは一般に基材と接触している。
【0090】
第3の最後の態様によれば、本発明は、上記の方法によって得ることができる物品に関する。これらの物品は、特にテキスタイル基材が少なくとも部分的に熱可塑性樹脂である場合、自動化されたプロセスによって組み立てることができ、リサイクル可能であるという利点を有する。
【0091】
これらの物品は、衣服、特に下着、スポーツウェアおよび防護服であってもよい。さらに、これらは、靴、特にスポーツシューズ、入れ物、例えばバッグまたはバスケット、家具、ブラインド、レジャー用品、例えばバックパックおよびテントなど、またはスポーツ用品、例えば気球、凧、帆およびパラシュートなどであってもよい。
【0092】
本発明は、以下の実施例においてより詳細に説明される。
【実施例】
【0093】
実施例1~7-コポリアミドの合成
目的の用途における様々なコポリアミドを評価するために、ハードセグメントおよび場合によりソフトセグメントから構成される一連のコポリアミドを合成した。これらのコポリアミドでは、ハードセグメントは、カプロラクタムおよび11-アミノウンデカン酸(6/11)、または11-アミノウンデカン酸単独(11)、またはカプロラクタム、アジピン酸/ヘキサメチレンジアミン、11-アミノウンデカン酸およびラウリルラクタム(6/66/11/12)の重縮合から得られる脂肪族ポリアミド単位から形成され、ソフトセグメントは、ポリオキシアルキレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸、例えばJeff4006またはJeff40036などとの重縮合によって得られるポリアミド単位から形成される。
【0094】
各コポリアミドの合成に使用される具体的な成分および割合を以下の表1に示す。各成分の量は、使用されるすべての試薬に対する重量パーセントとして表される。
【0095】
ジアミン:
ポリエーテルジアミン:ポリオキシプロピレンジアミン、そのアルコキシ鎖の平均分子量Mnは400g/molである(BASFによって販売されているBaxxodur EC 302)
【0096】
二酸:
単官能脂肪酸:C16/C18飽和脂肪酸(Radiacid 0944)
脂肪酸ダイマー1:平均36個の炭素原子を有する蒸留水素化二酸(Crodaによって販売されているPripol 1009)
脂肪酸ダイマー2:平均36個の炭素原子を含む蒸留二酸(Crodaによって販売されているPripol 1013)
【0097】
コポリアミドの評価
合成されたコポリアミドを、ブラの製造のための基準テキスタイルに対するそれらの接着特性に関して評価した。このテキスタイルは、78%のポリアミドおよび22%のエラスタンから構成され、160gsm(g/m2)の重量を有する。
【0098】
例示されたコポリアミドの溶融温度および170℃での粘度を以下の表2にまとめる。
【0099】
合成したコポリアミドのテキスタイルに対する接着特性を以下のように評価した。上記のようなテキスタイルのストリップ上に、30mlカートリッジを備えたNordson Unity 5 Jettingディスペンサを使用して、24mm間隔で10列、12.5mm間隔で5行に配置された、約1mmの直径を有するドットから構成されるパターンで(ドット当たり約0.25mg、ヒートシール後の直径約1.5mm)、適切な印刷温度および以下のパラメータで、各コポリアミドを印刷した:
-印刷速度:110mm/s
-空気圧:40PSI
-発射オン/発射オフ:10ms/10ms
-ノズル径:0.007インチ
-印刷高さ:20 mm。
【0100】
印刷されたポリアミドドットでコーティングされたテキスタイルストリップを重ね合わせ、次いで、プラテンプレスを使用して0.6MPaの圧力で20秒間、様々な温度で同じテキスタイルの第2のストリップ上にヒートシールした。
【0101】
次いで、このようにして製造された接合の接着強度を、以下の剥離試験によって評価した。
【0102】
剥離試験は、テキスタイルストリップを分離するのに必要な力を測定することによって、23℃で実施し、引っ張り力は、MTS Systems SANS CMT 5504万能試験機を使用して、200mm/分の速度で180°の剥離角度でテキスタイルストリップの1つに加えた。
【0103】
45mlのTideブランド洗剤を用いて、試料を40℃で10回の洗浄サイクル(「綿」プログラム)、続いてBOSCH XQG80-WDG244601W機での乾燥サイクルに供した後、剥離試験を繰り返した。洗浄した試料について測定した剥離強度から、洗浄後の剥離強度の損失率を算出する。
【0104】
【0105】
すべての結果は、印刷されたコポリアミドによって得られた接着性が、塗布のために選択された温度でのポリアミドの粘度が適切である場合、より良好な品質であることを示している。具体的には、粘度が高すぎると、正確なパターンを印刷することが困難であるため、部材当たりの糊の量を最小限に抑えることが困難である。逆に、粘度が低すぎると、ポリアミドがテキスタイルに浸透して拡散し、それにより接着性が弱められる。
【0106】
実施例1~8のポリアミドを使用した接着剤の剥離強度の評価の結果は、ソフトセグメントのみを含む基準製品について測定されたものよりも著しく良好である。
【0107】
結果はさらに、接着の品質が洗濯機での洗浄によって影響されず、温水および洗剤の両方に耐えることを示している。したがって、試験したポリアミドは、洗浄/乾燥サイクル後に良好な接着性を保持する。
【0108】
[引用文献の一覧]
WO 2011/153422 A1
WO 2011/087961 A1
【国際調査報告】