(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-22
(54)【発明の名称】加工区域上に堆積された付加製造粉体層内の欠陥を検出する方法
(51)【国際特許分類】
B22F 10/80 20210101AFI20230815BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20230815BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230815BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20230815BHJP
B22F 10/38 20210101ALI20230815BHJP
B22F 12/82 20210101ALI20230815BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20230815BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230815BHJP
【FI】
B22F10/80
B33Y50/00
B33Y10/00
B22F10/28
B22F10/38
B22F12/82
G01N21/88 Z
G06T7/00 610B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504593
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-03-15
(86)【国際出願番号】 FR2021051368
(87)【国際公開番号】W WO2022018382
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517160927
【氏名又は名称】アッドアップ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルネ ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ブローブル パスカル
(72)【発明者】
【氏名】デヴロー セバスチャン
【テーマコード(参考)】
2G051
4K018
5L096
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB02
2G051AC02
2G051CA04
2G051EA14
2G051EB05
2G051EC04
2G051EC05
2G051ED01
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
5L096BA03
5L096CA02
5L096DA02
5L096EA05
5L096FA06
5L096FA23
5L096FA37
5L096HA08
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
本発明は、i.付加製造粉体層の画像を取得するステップ、ii.取得画像の離散スペクトル表現を決定するステップ、iii.取得画像の離散スペクトル表現を周波数フィルタリングするステップ、iv.取得画像のフィルタリング離散スペクトル表現からフィルタリング画像を決定するステップ、v.欠陥を検出するためにフィルタリング画像を分析するステップを備える加工区域上に堆積された付加製造粉体層内の欠陥を検出する方法に関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工ゾーン上に堆積された付加製造粉体の層内の欠陥を検出する方法であって、
前記粉体の層を選択的に固化する前に、以下のステップ:
i.堆積された前記付加製造粉体の層の画像を取得するステップ、
ii.前記取得された画像の離散スペクトル表現を決定するステップ、
iii.前記取得された画像の前記離散スペクトル表現を周波数に関してフィルタリングする少なくとも1つのカットオフ周波数を有するフィルタ、
iv.前記取得された画像の前記フィルタリング離散スペクトル表現からフィルタリング画像を決定するステップ、
v.前記堆積された粉体の層内の欠陥を検出するために前記フィルタリング画像を分析するステップ、
を実施する処理手段(21、31)、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記フィルタリング画像を分析するステップv.は、以下のステップ:
v.a)前記フィルタリング画像のコントラストを強化するステップ、
v.b)前記コントラスト強化されたフィルタリング画像内のエッジ及び/又は形状を検出するステップ、
v.c)検出された前記エッジに及び/又は前記形状に関連付けられた欠陥のタイプを分類するために検出された該エッジ及び/又は該形状を処理するステップ、
を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の付加製造粉体の層内の欠陥を検出する方法。
【請求項3】
ステップiii.に適用される前記周波数フィルタが帯域通過フィルタであることを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれかに記載の付加製造粉体の層内の欠陥を検出する方法。
【請求項4】
堆積された付加製造粉体の層に関連付けられ、該層に存在する欠陥の数及び/又はサイズを特徴付けるスコアを計算するステップv.d)を更に備えることを特徴とする請求項2及び請求項3のいずれかに記載の付加製造粉体の層内の欠陥を検出する方法。
【請求項5】
付加製造層内の欠陥を検出するように構成された機械学習モデルを実施する処理手段(21、31)を備える該付加製造粉体の層内の欠陥を検出する方法であって、
前記モデルを訓練するステップが、請求項1から請求項4のうちの1項に記載の方法を実施するステップを備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
粉体の層(11)から3次元物体を選択的に付加製造するためのデバイスを備える粉体の層から3次元物体を選択的に付加製造する方法であって、
予め決められた反復回数にわたって繰り返される、
A.付加製造粉体の層をベースに又は以前に固化された層に付加するステップ、
B.堆積された前記付加製造粉体の層内の欠陥をそれが固化される前に検出するステップ、
C.前記付加製造粉体の層の第1の点の上にレーザビームを放射し、該第1の点を備える該粉体の層の第1のゾーンを固化するステップ、
を実施し、
加工ゾーン上に堆積された前記付加製造粉体の層内の欠陥を前記検出するステップは、
B.i.前記付加製造粉体の層の画像を取得するサブステップ、
B.ii.前記取得された画像の離散スペクトル表現を決定するサブステップ、
B.iii.前記取得された画像の前記離散スペクトル表現を周波数に関してフィルタリングするサブステップ、
B.iv.前記取得された画像の前記フィルタリング離散スペクトル表現からフィルタリング画像を決定するサブステップ、
B.v.堆積された前記粉体の層内の欠陥を検出するために前記フィルタリング画像を分析するサブステップ、
を実施する処理手段(21、31)を更に備える、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記フィルタリング画像を分析するサブステップB.v.は、
B.v.a)前記フィルタリング画像のコントラストを強化する作動、
B.v.b)前記コントラスト強化されたフィルタリング画像内のエッジ及び/又は形状を検出する作動、
B.v.c)検出された前記エッジに及び/又は前記形状に関連付けられた欠陥のタイプを分類するために検出された該エッジ及び/又は該形状を処理する作動、
を備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の粉体の層から3次元物体を選択的に付加製造する方法。
【請求項8】
堆積された付加製造粉体の層に関連付けられたスコアを計算する作動B.v.d)を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の粉体の層から3次元物体を選択的に付加製造する方法。
【請求項9】
作動B.v.d)中に計算された前記スコアが第1の閾値よりも上である時に、前記付加製造粉体の層をベース又は以前に固化された層に再付加し、次にステップBを実施する粉体の層(1)から3次元物体を選択的に付加製造するための前記デバイスの作動B.v.e)を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の粉体の層から3次元物体を選択的に付加製造する方法。
【請求項10】
作動B.v.d)中に計算された前記スコアが第2の閾値よりも上である時に、欠陥の数のカウンタが更新され、
方法が、
計数された欠陥の前記数が予め定められた欠陥の数を超える時に異常スコアを通知する作動B.v.f)、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項8に記載の粉体の層から3次元物体を選択的に付加製造する方法。
【請求項11】
付加製造粉体(90)がそれに付加されるプレート(50)と、
前記付加製造粉体(90)を付加製造粉体の層の形態で堆積させるようになったキャリッジ(60)と、
を備え、
照明手段(34)及び堆積された前記付加製造粉体の層の画像を取得するようになった撮像手段(33)と、
同じく、データ処理手段(31、21)及び請求項6から請求項10のうちの1項に記載の粉体の層から3次元物体を選択的に付加製造する方法を実行するために該データ処理手段(31、21)のためのコード命令がその上に格納されたデータストレージ手段(32、22)と、
を更に備える、
ことを特徴とする付加製造デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加製造の分野、より具体的には、粉体の層から3次元物体を選択的に付加製造する分野に関する。特に、本発明は、粉体の層が選択的に固化される前に粉体の層内の欠陥を検出することを可能にする方法を提案する。
【背景技術】
【0002】
選択的付加製造は、粉体材料(金属粉体、セラミック粉体)の連続層内の選択ゾーンを固化することによって3次元物体を作ることにある。固化されたゾーンは、3次元物体の連続断面に対応する。固化は、光源(例えば、高電力レーザ)又は他に粒子ビーム源(例えば、電子のビーム、すなわち、この分野で一般的に使用される用語に従ってEBM又は「電子ビーム溶融」として公知の技術)のような合焦放射線源を用いて行われる全体的又は部分的選択的溶融によって層毎に行われる。
【0003】
粉体の層から3次元物体を選択的に付加製造する方法は、約10マイクロメートル程度の詳細のレベルと共に精度と面品質とを組み合わせる部品を製造することを可能にする。しかし、この精度とこの面品質は、粉体の層が堆積欠陥(時期尚早な堆積、粉体の欠如(例えば、「猫の舌」、又は他に粉体を広げることを担うローラー又はスクレーパーによる粉体の広がり不足に起因する波紋)を有する場合に大きく劣化する場合がある。
【0004】
生成される部品の品質に影響を与えるこれらの問題を回避するために、これらの欠陥の存在をそれらが選択的に固化される前に識別するように、堆積された粉体の層の品質を検査することができることが必要である。
【0005】
多くの方法がこの目的に対して開発されてきた。例えば、欧州特許出願公開第3378039号及び独国特許出願公開第102018207405号明細書を参照することができる。
【0006】
これらの方法は、通常は産業カメラ、赤外線撮像デバイス、及び同じく特定の照明のような専用機器を使用する。
【0007】
それらは、従って高価である。
【0008】
それらは、更に、一般的に、事後分析に及び様々な高さ及び照明欠陥の統計的モデル化などのための例えば粉体の同じ層内の粉体の様々な高さを比較するための3D画像再構成方法のような複雑なアルゴリズムに基づいている。
【0009】
それらは、すなわち、本質的に実験室方法論に関連し、産業用途を意図した製造工程及び選択的付加製造機械に統合することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3378039号
【特許文献2】独国特許出願公開第102018207405号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の1つの目標は、簡単な機器を用いてかつ粉体床溶融印刷機械への主要な修正なしに実施することができる付加製造粉体の層内の欠陥を検出する方法を提案することである。
【0012】
本発明の別の目標はまた、各被覆及び溶融ステップ間の印刷工程中にそれをコンピュータリソース(実行時間、必要なメモリなど)に関して経済的にすることによってそのような方法を使用することを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様により、本発明は、
i.付加製造粉体の層の画像を取得するステップ、
ii.取得された画像の離散スペクトル表現を決定するステップ、
iii.取得された画像の離散スペクトル表現を周波数に関してフィルタリングする少なくとも1つのカットオフ周波数を有するフィルタ、
iv.取得された画像のフィルタリング離散スペクトル表現からフィルタリング画像を決定するステップ、v.堆積された粉体の層内の欠陥を検出するためにフィルタリング画像を分析するステップ、
を備える加工ゾーン上に堆積された付加製造粉体の層内の欠陥を検出する方法に関する。
【0014】
フィルタリング画像を分析するステップv.は、
フィルタリング画像のコントラストを強調するステップv.a)、
コントラスト強調フィルタリング画像内のエッジ及び/又は形状を検出するステップv.b)
検出されたエッジに及び/又は形状に関連付けられた欠陥のタイプを分類するために検出されたエッジ及び/又は形状を処理するステップv.c)、及び
堆積された付加製造粉体の層に関連付けられ、層に存在する欠陥の数及び/又はサイズを特徴付けるスコアを計算するステップv.d)、
を更に備えることができる。
【0015】
ステップiii.に適用される周波数フィルタは、ガウシアン帯域通過フィルタである場合がある。
【0016】
第2の態様により、本発明は、付加製造層内の欠陥を検出するように構成された機械学習モデルを実施する付加製造粉体の層内の欠陥を検出する方法に関連し、モデルの学習は、第1の態様による方法を実施するステップを備える。
【0017】
第3の態様により、本発明は、粉体の層から3次元物体を選択的に付加製造する方法に関連し、本方法は、決定された反復回数にわたって繰り返される以下のステップを実施する粉体の層から3次元物体を選択的に付加製造するためのデバイスを備え:
A.付加製造粉体の層をベースに又は以前に固化された層に付加するステップ、
B.第1の態様に従って堆積された付加製造粉体の層内の欠陥をそれが固化される前に検出するステップ、
C.付加製造粉体の層の第1の点の上にレーザビームを放射して第1の点を備える粉体の層の第1のゾーンを固化するステップ、
加工ゾーン上に堆積される付加製造粉体の層内の欠陥を検出するステップは、以下のサブステップを実施する処理手段(21、31)を更に備える:
B.i.付加製造粉体の層の画像を取得するステップ、
B.ii.取得された画像の離散スペクトル表現を決定するステップ、
B.iii.取得された画像の離散スペクトル表現を周波数に関してフィルタリングするステップ、
B.iv.取得された画像のフィルタリング離散スペクトル表現からフィルタリング画像を決定するステップ、
B.v.堆積された粉体の層内の欠陥を検出するためにフィルタリング画像を分析するステップ。
【0018】
本発明の他の特徴及び利点は、好ましい実施形態の以下の説明を読むことによって明らかになるであろう。この説明は、添付の図面を参照して以下に与える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による方法を実施するためのアーキテクチャの図である。
【
図2】本発明による方法を実施するための代替アーキテクチャの図である。
【
図3】本発明により粉体の層から3次元物体を選択的に付加製造する方法のステップを示す図である。
【
図4】本発明により付加製造粉体の層内の欠陥を検出する方法のステップを示す図である。
【
図5】本発明によるフィルタリング画像分析方法のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
アーキテクチャ
図1の選択的付加製造デバイス1は、以下を備える:
-付加製造ユニット3、
-本発明による欠陥検出方法を実施するように構成されたプロセッサタイプのデータ処理手段31、及び
-本発明による欠陥検出方法を実行するためのコード命令が格納されたコンピュータメモリ、例えばハードディスクのようなデータストレージ手段32。
【0021】
付加製造ユニット3は、AddUp(登録商標)社によって現在販売されているタイプの粉体の層を用いた選択的付加製造のための機械である。そのような機械は、従来、エンクロージャ30と加工面40とを備える製造チャンバ80を有する。エンクロージャ30は、側壁と上部カバーを備え、かつ加工面40を覆っている。エンクロージャは、例えば、金属で又はセラミックで作られる場合がある。
【0022】
製造チャンバ80はまた、連続層の形態で付加製造粉体90を受け入れ、かつ部品をそれが製造されている間に支持することを意図した製造プレート50を有する。この目的のために、プレート50は、好ましくは、数十キログラム又は更に百キログラムの重さの部品を支持することを可能にする機械強度特性を有する。すなわち、プラットフォーム50は、例えば、金属で作ることができる。
【0023】
本明細書に提示する実施形態により、プレート50は、加工面40の開口部を通って加工面40の下に位置付けられたスリーブ41の中に摺動する。加工面40は、製造スリーブの上縁を取り囲み、製造スリーブは、製造された部品とそれを取り囲む非固化粉体とを実質的に閉じた容積内でプレート50上に保つことを可能にする。しかし、別の実施形態により、プレート50は、例えば、加工面40と並置することができると考えられる。
【0024】
プレート50は、製造サイクルの開始時に加工面40の平面に、次に、プレートがスリーブの中に下降する時に加工面40の平面と実質的に平行である平面に位置付けられる。
【0025】
製造プレート50は、形状が円形、矩形、正方形、三角形などである場合がある。更に、製造チャンバ80は、加工面40及びプレート50の上方を摺動するキャリッジ60を備える。
【0026】
キャリッジ60は、部品を製造する観点からプレート50上に又は粉体の先行層上に粉体を分配することを可能にし、粉体は、加工ゾーンの前に粉体のラインを得るために計量デバイスの下で平行移動するスライド66に粉体を送出する計量デバイス62によって加工ゾーンのいずれの側にも分配することができる。キャリッジ60は、例えば、スクレーパー及び/又はローラーを備える場合がある。
【0027】
これに加えて、製造チャンバ80は、金属粉体を溶融することを可能にする電源部材70を備える。電源部材70は、例えば、レーザビーム源、電子ビーム源などである場合がある。
【0028】
更に、製造チャンバ80は、ランプ又は写真フラッシュのような照明手段34と、同じく写真センサのような撮像手段33とを備える。照明手段34及び撮像手段33を窓ガラスによって閉じられた開口部の背後の製造チャンバの外側で統合することも可能である。
【0029】
変形として、これらの処理及びストレージ手段は、リモートサーバ2に転送される場合があることに注意されたい。これは、ユニット3がデータ交換ネットワーク10によってサーバ2に接続されて示されている
図2に例示されているものであり、サーバ2は、以下を備える:
-本発明による欠陥検出方法を実施するように構成されたプロセッサタイプのデータ処理手段21、及び
-本発明による欠陥検出方法を実行するためのコード命令がその上に格納されたコンピュータメモリ、例えばハードディスクのようなデータストレージ手段22。
【0030】
データ処理手段21又は31は、以下に説明する製造方法を実施するように構成される。
【0031】
付加製造法
図3に関連して説明する製造方法は、「コーティング」と呼ばれる第1のステップAを備え、そのステップ中に、付加製造粉体の層は、キャリッジ60によってプレート50上に堆積される。
【0032】
この第1のステップに続いて、堆積された付加製造粉体の層内の欠陥を検出するステップBで付加製造粉体の層の品質が評価される。粉体の時期を逸した堆積又は粉体の欠如のような欠陥を検出することができるのはこのステップ中である。
【0033】
欠陥検出ステップ(ステップB)中に評価された付加製造粉体の層の品質に応じて、出現したと考えられる欠陥を排除するためにコーティングステップ(ステップA)を繰り返すように判断することが可能である。更に、欠陥が繰返し検出される事象では又は実際にこれらの欠陥が層内に過度に多い場合に、粉体の層から3次元物体を選択的に付加製造するためのデバイスのオペレータに彼らが欠陥の深刻さを評価すること、欠陥の原因を診断すること、及び同じく製造工程を継続することに関して判断することを可能にするように警告することも可能である(後述するステップF)。
【0034】
最後に、付加製造粉体の層の品質が十分であると評価された状態で、第3の溶融ステップ(ステップC)は、部品を形成するために固化されることになる粉体の層のゾーンの上にレーザビームを放射するステップにある。
【0035】
欠陥検出(ステップB)
図4に説明するコーティング欠陥検出ステップは、コーティングステップAと溶融ステップCの間に行われ、かつ欠陥を有する粉体の層に対して溶融ステップCが行われることにならないことを保証することを可能にする。粉体の層での欠陥の存在は、欠陥部品が製造されることに至る可能性がある。この欠陥検出は、製造時間が特に長い場合があり、従って、潜在的な欠陥を是正するために又はこれらの欠陥を補正することができない場合に製造工程をできるだけ早く終了させて製造時間の浪費を避けるためにそれらを可能な限り迅速に検出することが重要であるので、粉体の層から付加製造する分野で特に重要である。
【0036】
検出ステップBを実施するために、付加製造デバイス1は、単に、従来型撮像手段と指向性照明手段とを備えることが必要である。従って、超高周波産業用カメラ又は可視スペクトル以外の電磁放射に適応されたカメラを使用することは必要ない。更に、提案する検出ステップBは、単方向照明デバイスによって発生する光ハロー効果を抑制し、すなわち、統合することが遥かに複雑である全方向照明デバイスを付加製造デバイス1に装備する必要性を回避することを可能にするサブステップを有利に備える。
【0037】
これのために、欠陥検出ステップBは、堆積された付加製造粉体の層の画像を取得する撮像手段のサブステップi)を備える。
【0038】
次に、取得された画像の離散スペクトル表現が、離散フーリエ変換(DFT)方法によってサブステップii)中に計算される。周波数フィルタが、次に、サブステップiii)で取得画像のこの離散スペクトル表現に適用される。適用される周波数フィルタは、より具体的には、ガウス分布帯域通過フィルタである場合があり、このタイプのフィルタは、ハローだけを排除すると考えられる単純な高域フィルタとは対照的に、ハロー効果の抑制及び取得画像に存在するノイズの抑制の両方を可能にする。この後に、フィルタリング画像は、サブステップiv)で逆離散フーリエ変換(逆DFT)方法によってフィルタリングスペクトルから再構成される。
【0039】
最後に、フィルタリング画像は、潜在的なコーティング欠陥を検出して評価するためにサブステップv)で分析される。分析サブステップは、ローカルコントラスト強化方法を用いて、例えば、コントラスト制限式適応ヒストグラム等化(CLAHE)技術によってコントラスト画像を発生させるためにコントラスト最適化の作動a)を備える。これに続いて、エッジ検出又は領域検出(ブロブ検出)方法が、作動b)で実行され、そのような方法は、コーティング欠陥に対応する付加製造粉体の層のテクスチャの変動を抽出するためにガウス分布の差である場合がある。欠陥分類作動c)が、次に、例えば部類として「時期を逸した堆積」、「粉体の欠如」、及び「ローラー欠陥」を有する欠陥を分類するために実行される。次に、スコアが、作動d)中に検出された欠陥に応じて全体画像に対して計算される場合がある。このスコアは、画像内で検出された全てのエッジの幾何学的特性、並びにそれらの分布に従って計算される。より具体的には、スコアは、例えば、検出されたエッジの全面積、検出されたエッジのうちの最大エッジの面積、閾値よりも上の面積を有する検出されたエッジの数、検出されたエッジの数、欠陥によって占有された画像の割合(画像の全面積に対する検出されたエッジの全面積の比)、部品が製造されたゾーンからのそれらの距離、及びそれらの接続性(トポロジー的な意味での)に従って計算することができる。1つの好ましい実施形態では、これらのパラメータの全ては、いくつかのパラメータに応じてスコアを得るために線形結合に従って組み合わされる。粉体の層に関連付けられたスコアを直接に計算する人工学習方法を使用することも可能である。
【0040】
最後に、層に関連付けられたスコアは、様々な閾値と比較される。第1の作動e)では、スコアは、付加製造デバイスが製造方法の次のステップ(ステップB)に進む前に付加製造粉体の層をベースに又は以前に固化した層に再付加することが必要であるか否かを評価するために第1の閾値と比較される。製造デバイス1のオペレータに付加製造粉体の層内の欠陥の数が多すぎることを通知する必要があるか否か、言い換えれば、計数された欠陥の数が予め定められた欠陥の数を超える時にオペレータに通知する必要があるか否かを判断するために、例えば、彼/彼女が製造工程を終了すること及び/又は可能な欠陥の原因を診断することを可能にするために、スコアが第2の閾値(第1の閾値とは異なる又は同一である場合がある)を超える度に更新されるカウンタを作動f)で使用することも可能である。
【0041】
機械学習モデル
粉体の層内の欠陥を検出するためにサポートベクトル機械(SVM)、ランダムフォレスト分類器、又はニューラルネットワークのような機械学習モデルを使用することも可能である。次に、機械学習モデルを訓練するための訓練データセットを発生させるために故障検出ステップを使用することが可能である。すなわち、スコア、及び/又は製造方法の次のステップに進む前に付加製造粉体の層を再付加する判断が、このスコアがそこから計算された画像と同様に及び/又は判断が行われた根拠に基づいて訓練データベースに格納される。このデータベースは、すなわち、機械学習モデルを訓練する関連で、とりわけ、二値分類タスク(層が実際に付加されたか否かを決定する)、又は他に多部類又は多ラベル分類タスク(例えば、コーティングの品質の評価を与える)、又は他にコーティング画像のセットを最良から最悪(欠陥の観点から)に分類することを可能にするスコアと類似である数値評価を用いる順序付けタスクに対して使用される場合がある。
【符号の説明】
【0042】
i 加えられた付加製造粉体の層の画像を取り込む撮像手段
ii 取得画像のフィルタリング離散スペクトル表現を計算するステップ
iv 取得画像のフィルタリング離散スペクトル表現からフィルタリング画像を計算するステップ
v フィルタリング画像を分析するステップ
B 検出ステップ
【国際調査報告】