(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-22
(54)【発明の名称】眼科用液状組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/17 20060101AFI20230815BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230815BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230815BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20230815BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230815BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230815BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
A61K38/17
A61K9/08
A61K47/02
A61K47/22
A61K47/26
A61K47/10
A61P27/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504760
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 KR2021009593
(87)【国際公開番号】W WO2022019721
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0092433
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518148331
【氏名又は名称】パンジェン バイオテック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン ジェスン
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョンソ
(72)【発明者】
【氏名】イ スンフィ
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョンジュ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB24
4C076CC10
4C076DD09F
4C076DD41Z
4C076DD60Z
4C076DD67D
4C076EE23F
4C076FF14
4C076FF16
4C076FF36
4C076FF43
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4C076FF65
4C084AA03
4C084BA41
4C084BA44
4C084CA53
4C084DB70
4C084MA05
4C084MA17
4C084MA58
4C084NA03
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZC411
4C084ZC412
(57)【要約】
本発明は、治療学的に有効な量のアフリベルセプト(aflibercept);酢酸ナトリウムまたはヒスチジンを含む緩衝液;スクロース、トレハロース、またはそれらの組み合わせを含む糖;およびポリソルベートまたはポロキサマー(poloxamer)である界面活性剤を含む眼科用液状組成物、およびアフリベルセプトの安定化用組成物などに関するものである。
本発明の眼科用液状組成物は、攪拌、反復冷解凍、紫外線(UV)露出、及び高温保管時のストレスに対して安定性付与効果に優れることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療学的に有効な量のアフリベルセプト(aflibercept);酢酸ナトリウムまたはヒスチジンを含む緩衝液;スクロース、トレハロース、またはそれらの組み合わせを含む糖;および界面活性剤を含む、眼科用液状組成物。
【請求項2】
前記酢酸ナトリウムまたはヒスチジンは、5乃至20mMの濃度である、請求項1に記載の眼科用液状組成物。
【請求項3】
前記組成物は、pH5.3乃至pH6.2の範囲を有する、請求項1に記載の眼科用液状組成物。
【請求項4】
前記組成物は、pH5.5乃至pH5.8の範囲を有する、請求項3に記載の眼科用液状組成物。
【請求項5】
前記糖は、5乃至20%(w/v)の濃度である、請求項1に記載の眼科用液状組成物。
【請求項6】
前記界面活性剤は、0.01乃至0.03%(w/v)のポリソルベートまたはポロキサマーである、請求項1に記載の眼科用液状組成物。
【請求項7】
前記組成物は、塩化ナトリウムを含まない、請求項1に記載の眼科用液状組成物。
【請求項8】
前記組成物は、硝子体内注射(intravitreal injection)に適したことを特徴とする、請求項1に記載の眼科用液状組成物。
【請求項9】
酢酸ナトリウムまたはヒスチジンを含む緩衝液;スクロース、トレハロース、またはそれらの組み合わせを含む糖;および界面活性剤を含む、アフリベルセプト(aflibercept)の安定化用組成物。
【請求項10】
前記酢酸ナトリウムまたはヒスチジンは、5乃至20mMの濃度である、請求項9に記載のアフリベルセプト(aflibercept)の安定化用組成物。
【請求項11】
前記組成物は、pH5.3乃至pH6.2の範囲を有する、請求項9に記載のアフリベルセプト(aflibercept)の安定化用組成物。
【請求項12】
前記糖が5乃至20%(w/v)の濃度である、請求項9に記載のアフリベルセプト(aflibercept)の安定化用組成物。
【請求項13】
前記界面活性剤は、0.01乃至0.03%(w/v)のポリソルベートまたはポロキサマーである、請求項9に記載のアフリベルセプト(aflibercept)の安定化用組成物。
【請求項14】
前記組成物が塩化ナトリウムを含まない、請求項9に記載のアフリベルセプト(aflibercept)の安定化用組成物。
【請求項15】
請求項1乃至8のいずれか1項の組成物を含む容器。
【請求項16】
前記容器は、バイアルまたはプレフィルドシリンジである、請求項15に記載の容器。
【請求項17】
請求項1乃至8のいずれか1項の眼科用液状組成物を個体に投与する段階を含む、眼科疾患の予防または治療方法。
【請求項18】
眼科疾患の予防または治療のための、請求項1乃至8のいずれか1項の眼科用液状組成物の用途。
【請求項19】
眼科疾患の予防または治療用薬剤の製造のための、請求項1~8のいずれか1項に記載の眼科用液状組成物の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療学的に有効な量のアフリベルセプト(aflibercept);酢酸ナトリウムまたはヒスチジンを含む緩衝液;スクロース、トレハロース、またはそれらの組み合わせを含む糖;および界面活性剤を含む眼科用液状組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アフリベルセプト(aflibercept)は、無色または淡黄色の透明な液状注射剤であり、血管新生および血管透過性の増加に関連する因子の1つである「血管内皮細胞増殖因子(VEGF)」による異常な血管新生による疾患、例えばウェット型加齢黄斑変性(wet age-related macular degeneration)、糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema)、および網膜静脈閉塞症の黄斑浮腫(macular edema in retinal vein occlusion)などに対する治療薬として知られている。
【0003】
他の治療用タンパク質薬物と同様に、アフリベルセプトも最適な条件ではない場合のストレス、例えば、貯蔵および輸送過程などで物理化学的に変性が起こり得る。
特に、タンパク質の濃度、安定化剤の種類及び濃度、pH、温度、塩の濃度、外部衝撃、及び空気/光との接触の有無等によって、タンパク質の酸化や脱アミド化、異性化又は重合反応が起こり得、それはタンパク質薬物の凝集体(aggregate)、断片(fragment)、および異性体(isomer)の生成などにつながり、薬物の活性を低下させることもできる。また、眼科用液状組成物の特性上、タンパク質薬物内の凝集による微粒子形成は副作用の原因となりうるが、これを安定化させることができる剤形の開発は何よりも重要であるといえる。
【0004】
そこで、本発明の発明者らは、アフリベルセプトを含む眼科用液状組成物の薬学的処理、貯蔵、および輸送等で起こり得る様々なストレスに対し、安定性が向上した剤形を開発しようと努力した結果、本発明の眼科用液状組成物が緩衝液中の酢酸ナトリウム、ヒスチジン、塩化ナトリウム、またはソルビトールである等張化剤を特定濃度で含むことにより、攪拌、反復冷解凍、紫外線(UV)露出、および高温保管時のストレスに対して安定性付与効果が優れていることを確認し、本発明を完成した。
【0005】
国際公開特許 WO2007/149334は、アフリベルセプト;ポリソルベートなどの有機共溶媒の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムから選択されるイオン性等張化剤;およびリン酸ナトリウム緩衝剤;スクロースなどの安定化剤を含み、pH5.8乃至pH7.0の眼薬、凍結乾燥剤形を開示している。しかしながら、このような製剤も高温(40℃)条件のような苛酷な条件下では、アフリベルセプトの安定性が著しく低下する。
したがって、このような高温条件を含む様々な苛酷な条件下でも向上した安定性を提供するアフリベルセプト眼科用液状組成物の開発が必要な状況である。
【0006】
そこで、本発明の発明者らは、アフリベルセプトを含む眼科用液状組成物の様々な苛酷条件に対して安定性が向上した剤形を開発しようと努力した結果、酢酸ナトリウムまたはヒスチジンを含む緩衝液;スクロース、トレハロース、またはそれらの組み合わせを含む糖;及び界面活性剤を含む、本発明の眼科用液状組成物が長期間苛酷の条件でも向上した安定性を有することを確認し、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題およびそれに関連する他の問題を解決することを目的とする。
【0008】
本発明の一例示的な目的は、治療学的に有効な量のアフリベルセプト(aflibercept);酢酸ナトリウムまたはヒスチジンを含む緩衝液;スクロース、トレハロース、またはそれらの組み合わせを含む糖;および界面活性剤を含む、眼科用液状組成物を提供することである。
【0009】
本発明の他の一例示的な目的は、酢酸ナトリウムまたはヒスチジンを含む緩衝液;スクロース、トレハロース、またはそれらの組み合わせを含む糖;および界面活性剤を含む、アフリベルセプトの安定化用組成物を提供することである。
【0010】
本発明の他の一例示的な目的は、上記眼科用液状組成物を含む容器を提供することである。
【0011】
本発明の他の例示的な目的は、前記眼科用液状組成物を個体に投与する段階を含む、眼科疾患の予防または治療方法を提供することである。
【0012】
本発明の他の例示的な目的は、眼科疾患の予防または治療のための前記眼科用液状組成物の用途を提供することである。
【0013】
本発明の他の例示的な目的は、眼科疾患の予防または治療用薬剤の製造のための前記眼科用液状組成物の用途に関することである。
【0014】
本明細書に開示された発明の技術的思想によって成し遂げようとする技術的課題は、以上で言及した問題点を解決するための課題に限定されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から通常の技術者に明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これを具体的に説明すると以下の通りである。本出願で開示されたそれぞれの説明および実施形態は、それぞれの異なる説明および実施形態にも適用することができる。すなわち、本出願で開示された様々な要素のすべての組み合わせが、本出願の範疇に属する。また、下記に記載された具体的な記述によって本出願の範疇が制限されると見られない。
【0016】
上記の目的を達成するための本発明の一態様は、治療学的に有効な量のアフリベルセプト(aflibercept);酢酸ナトリウムまたはヒスチジンを含む緩衝液;スクロース、トレハロース、またはそれらの組み合わせを含む糖;および界面活性剤を含む、眼科用液状組成物を提供する。
【0017】
上述したように、本発明の眼科用液状組成物は、攪拌、反復冷解凍、紫外線(UV)露出、および高温保管時のストレスに対して安定性付与効果に優れ、アフリベルセプトを含む公知の製剤と比較して最適の条件ではない場合のストレス、例えば貯蔵および輸送過程などで物理化学的に発生し得る変性を最小化し、薬物の活性を安定的に維持することができる。
【0018】
本発明において、「アフリベルセプト(aflibercept)」という用語は、リジェネロン・ファーマシューティカルズ(Regeneron Pharmaceuticals)社により開発され、EYLEA(R)という商標名で黄斑変性治療剤として販売されている眼科用注射剤に含まれる有効成分の名称で、ヒトIgG1のFc領域に融合されたVEGFR1またはVEGFR2の細胞外ドメインを含む融合タンパク質を指す。
【0019】
本発明において、前記アフリベルセプトは10乃至100mg/ml、具体的には10乃至40mg/mlの濃度、より具体的には40mg/mlの濃度で含むことができる。また、本発明において、前記「アフリベルセプト」は、アフリベルセプトだけでなくそのバイオシミラーも含む。
本発明において、「バイオシミラー(biosimilar)」という用語は、特許が満了し、原特許権者ではない第三者によって生産可能な生物医薬品に対するコピー薬を意味し、他の言葉で、バイオコピー薬、バイオジェネリック(biogeneric)とも呼ばれる。すなわち、特許を受けた生物医薬品とアミノ酸配列情報は同一であるが同じ工程で製造することはないが、臨床実験をして血液検査の結果が生物学的にほぼ同じ効果を出す場合、同等性認証を受けてバイオシミラーとして認められる。
【0020】
本発明において、「緩衝液(buffer)」という用語は、弱酸とその共役塩基(conjugate base)または弱塩基とその共役酸(conjugate acid)からなり、外部要因によるpH変化に耐えられる溶液を意味する。本発明において緩衝液は、酢酸ナトリウム(sodium acetate)またはヒスチジン(histidine)を含み、pH5.3乃至6.2の範囲、より具体的にはpH5.5乃至5.8を有する緩衝液であり得る。
【0021】
上記酢酸ナトリウムまたはヒスチジンは5乃至20mMの濃度であり得、好ましくは5乃至10mMの濃度であり得る。
【0022】
本発明において、上記糖はスクロース、トレハロース、またはそれらの組み合わせを含み、上記糖は5乃至20%(w/v)、具体的には8乃至10%(w/v)の濃度であり得る。
【0023】
本発明において、上記界面活性剤はポリソルベートまたはポロキサマー(poloxamer)であり、具体的には0.01乃至0.03%(w/v)のポリソルベート20、ポリソルベート80、またはポロキサマー188であり得る。
【0024】
また、本発明の眼科用液状組成物は、塩化ナトリウムまたはソルビトールである等張化剤をさらに含むことができ、前記塩化ナトリウムは10乃至50mMの濃度、より具体的には20乃至30mMの濃度であり、前記ソルビトールは1乃至10%(w/v)の濃度であり得る。
【0025】
さらに、組成物の安定性のために、塩化ナトリウムのような塩を含まないこともある。
【0026】
また、本発明の組成物は、一実施例で確認したように、加速(accelerated、25℃)、苛酷(stressed、40℃)条件のSE-HPLC、cIEF、RP-HPLC、脱アミノ(Deamidation)、結合アッセイ(Binding assay)等の結果 、pHが高いか、または塩が含まれる剤形は凝集体が増加し、pIが低い異性体が増加する一方、pHが低すぎる剤形では断片体、酸化体などが増加することを確認し、組成物のpH5.5乃至5.8範囲でありながら、NaClのような塩が含まれていない場合、最も安定した組成物であることを確認した。
【0027】
本発明の眼科用液状組成物は、一例として、注射剤組成物であり、硝子体内注射(intravitreal injection)に適した剤形を有することを特徴とし、特に硝子体内注射に適したプレフィルドシリンジ(pre-filled syringe)に適用することができる。
【0028】
上記眼科用液状組成物は、アフリベルセプトの処理によって改善/治療できる様々な疾患に対して特別な制限なしに医薬用途で使用することができ、好ましくは網膜静脈閉塞、糖尿病黄斑浮腫、脈絡膜血管新生、ウェット型加齢黄斑変性などの様々な眼科疾患を予防または治療するために使用することができる。また、上記眼科用液状組成物は当業界で通常使用する薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤をさらに含むことができ、特に制限されない。
【0029】
本発明の眼科用液状組成物の適切な投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度、および反応感受性のような要因によって多様であり、医師は治療または予防に有効な投与量を容易に決定および処方することができる。
【0030】
上記目的を達成するための本発明の他の態様は、酢酸ナトリウムまたはヒスチジンを含む緩衝液;スクロース、トレハロース、またはそれらの組み合わせを含む糖;および界面活性剤を含む、アフリベルセプトの安定化用組成物を提供する。上記用語のアフリベルセプト、緩衝液、糖、および界面活性剤の定義、種類、および濃度などに関する内容は前述の通りである。
【0031】
本発明の組成物は、攪拌、反復冷解凍、紫外線(UV)露出、高温のような苛酷条件、保管温度による安定性効果に優れていることを特徴とする。本発明における用語「安定性」は、薬物内に含まれたタンパク質が薬学的処理、貯蔵、および輸送などの最適条件でない場合に起こり得る様々なストレスに対して物理的および/または化学的安定性を維持し、眼科用液状組成物として活性を維持するための生物学的安定性をそのまま保持することを意味する。タンパク質または薬物の安定性を測定するための様々な分析技術は、当業界の通常の技術者が適切に選択することができ、特定温度、苛酷条件、期間、および時間間隔で測定することができる。
【0032】
具体的には、本発明組成物に対して苛酷条件である攪拌条件、反復冷解凍、UV条件での安定性有無を肉眼評価、サイズ排除クロマトグラフィー(SE-HPLC)、及びFlowCAM分析法等を行い、凝集体形成の有無等を確認しており、様々な温度(-70℃、5℃、25℃、40℃)での保管時の安定性を評価した結果、本発明の組成物は攪拌、反復冷解凍、紫外線(UV)露出、及び高温など苛酷条件に対して優れた安定性を有することを確認した。また、逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC)による酸化体生成の有無、脱アミド化分析によるタンパク質分解の有無、結合アッセイによるアフリベルセプトの結合活性を確認した結果、優れた安定性を有することを確認した。
【0033】
上記目的を達成するための本発明の他の態様は、上記眼科用液状組成物、または上記安定化用組成物を含む容器、例えばバイアル、アンプル、プレフィルドシリンジ(Pre-Filled Syringe)などを提供する。そのような容器はパッケージングされ、密封された形態で提供することができる。
【0034】
本発明で使用される「プレフィルドシリンジ」という用語は、薬物が直接充填された充填済みシリンジを意味し、本発明の組成物が予め充填されて保管されているレディトゥユーズ(ready-to-use)の形態の注射器を言う。本発明のプレフィルドシリンジは、プラスチックシリンジまたはガラスシリンジであり得、本発明の組成物が充填されており、プレフィルドシリンジの入口に滅菌ニードル(注射針)を装着して硝子体内注射として適用することができる。
【0035】
上記目的を達成するための本発明の他の態様は、上記眼科用液状組成物、または上記安定化用組成物を含む容器および使用者に提供される取扱説明書を含むキットを提供する。そのようなキットは、当業界で公知の提供形態を含む。
【0036】
上記目的を達成するための本発明の他の態様は、上記眼科用液状組成物を個体に投与する段階を含む、眼科疾患の予防または治療方法を提供する。
【0037】
前述したように、本発明で提供する眼科用液状組成物は、アフリベルセプトの処理によって改善/治療できる様々な疾患に対して特別な制限なしに医薬用途で使用することができ、好ましくは網膜静脈閉塞、糖尿病黄斑浮腫、脈絡膜血管新生、ウェット型加齢黄斑変性などの様々な眼科疾患を予防または治療するのに使用することができるので、上記組成物は眼科疾患の予防または治療に使用することができる。
【0038】
本発明の「個体」という用語は、眼科疾患が発症する可能性があるか、または発症したラット、家畜、人などを含む哺乳動物を制限なく含む。
【0039】
本発明の眼科用液状組成物の適切な投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度、および反応感受性のような要因によって多様であり、医師は治療または予防に有効な投与量を容易に決定および処方することができる。
【0040】
上記目的を達成するための本発明の他の態様は、眼科疾患の予防または治療のための前記眼科用液状組成物の使用を提供する。
【0041】
上記目的を達成するための本発明の他の態様は、眼科疾患の予防または治療用薬剤の製造のための上記眼科用液状組成物の用途を提供する。
【発明の効果】
【0042】
本発明の眼科用液状組成物は、緩衝液組成、pH範囲などを多様に調節することにより、物理化学的、生物学的安定性を向上させ、攪拌、反復冷解凍、紫外線(UV)露出、及び高温のような苛酷な条件下でも凝集体形成を減少させるだけでなく、冷蔵貯蔵条件、加速条件、高温の苛酷条件などでも安定性および活性を維持することができ、各種眼科疾患の治療に有用に適用できる組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、本発明の眼科用液状組成物の攪拌による柔軟物質の増加を確認した結果である。
【
図2】
図2は、本発明の眼科用液状組成物の反復冷解凍による柔軟物質の増加を確認した結果である。
【
図3】
図3は、本発明の眼科用液状組成物の紫外線(UV)露出による柔軟物質の増加を確認した結果である。
【
図4】
図4は、本発明の眼科用液状組成物の-70℃における性状変化を確認した結果である。
【
図5】
図5は、本発明の眼科用液状組成物の5℃における性状変化を確認した結果である。
【
図6】
図6は、本発明の眼科用液状組成物の-70℃における凝集体の変化を確認した結果である。
【
図7】
図7は、本発明の眼科用液状組成物の5℃における凝集体の変化を確認した結果である。
【
図8】
図8は、本発明の眼科用液状組成物の25℃における凝集体または断片体の変化を確認した結果である。
【
図9】
図9は、本発明の眼科用液状組成物の40℃における凝集体または断片体の変化を確認した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明を下記実施例を通じてより詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0045】
実施例1:本発明による眼科用液状組成物の製造
本発明による眼科用液状組成物は、下記のような成分および含有量で製造した。
【表1】
【0046】
実施例2:本発明による眼科用液状組成物の加速/苛酷条件における安定性評価
実施例1で製造した各組成物製剤をガラスバイアルまたはプレフィルドシリンジ(PFS)に入れ、次のような多様な条件で安定性評価を行った。
【0047】
加速安定性評価は、冷凍(-70℃)、冷蔵(5℃)、加速(accelerated、25℃)、および苛酷(stressed、40℃)条件の保管温度で各組成物製剤をインキュベートすることを含む。また、各組成物製剤は、医薬品の加工および出荷に関連する他の急性苛酷条件(acute stress)についても安定性を評価した。そのような苛酷な条件には、攪拌(shear stress)、反復冷解凍、および紫外線(UV)露出が含まれる。
以下の表2は、加速/苛酷安定性評価に使用される各条件をまとめたものである。
【表2】
【0048】
実施例3.急性苛酷条件(Acute stress)における安定性評価
3-1. 攪拌(agitation)条件における安定性評価
実施例1で製造した全ての製剤に対して、bench-top vortexerを用いて常温で1,000rpmで4時間一定の撹拌に露出させた。対照群サンプルは同じセットの剤形を攪拌せずに常温で4時間インキュベートし、以降、それぞれの攪拌された製剤および対照群製剤に対して性状および可視的粒子形成の有無を観察した。性状の確認のために、白黒背景の白色光源(13W蛍光チューブ)を用いて肉眼評価を行い、全ての時点でデジタル写真を結果として獲得した。その結果、実施例1の1番乃至12番の全ての製剤で攪拌による性状の変化がないことを確認した。
【0049】
また、Hewlett Packard Agilent 1100 Seriesを用いて行ったSE-HPLC分析(条件:カラム; TSK-GEL G3000SWXL、7.8 X 30 (ID mm X L cm)(Tosoh、Cat. # 08541)、移動相: 200mM KPi, 250mM KCl、pH6.2、流速:0.5ml/min、波長:280nm)で凝集体及び断片体の変化を確認した結果、
図1及び表3に示すように、実施例1の全ての製剤が攪拌条件で柔軟物質の増加が観察されないことを確認した。
【表3】
【0050】
また、FlowCAMTM粒子イメージングシステム(Benchtop B3 Series, Fluid Imaging Technologies)を用いてFlowCAM分析を行い、微粒子(subvisible particle)を測定しており、分析結果、実施例1の全ての製剤で微粒子は概して低い数値で表れ、攪拌による微粒子の増加は観察されなかった。このような結果を通じて実施例1の眼科用液状組成物は、攪拌苛酷条件で安定性があることを確認した。
【0051】
3-2. 反復冷解凍条件における安定性評価
反復冷解凍に対する安定性を評価するために、実施例1の全ての製剤について、-70℃で30分以上凍結させ、常温で30分以上解凍する過程を連続5回繰り返し行った。
【0052】
完全な凍結と解凍を肉眼で確認した結果、全ての剤形で反復冷解凍による性状の変化がないことを確認した。
【0053】
また、SE-HPLC分析(Hewlett Packard Agilent 1100 Series、カラム;TSK-GEL G3000SWXL、7.8X30(ID mm X L cm)(Tosoh、Cat. #08541)、移動相:200mM KPi、250mM KCl、pH6.2、流速:0.5ml/min、波長:280nm)を使用して冷解凍前後の各剤形の物理的分解(physical degradation)の有無を観察した。分析の正確度をモニタリングし、製剤間の比較を提供するために、対照群の注入とともに各剤形のクロマトグラフィープロファイルを確認した。経時的なピーク百分率で凝集体および断片の生成を確認することで、各剤形の安定性を比較分析した。
【0054】
凝集体および断片体の変化を確認した結果、
図2に示すように、実施例1の全ての製剤において反復冷解凍による柔軟物質の増加がないことを確認した。
【0055】
また、FlowCAM分析(Benchtop B3 Series、Fluid Imaging Technologies)を行い、反復冷解凍前後の各製剤の微粒子(subvisible particle)の程度をモニタリングし、反復冷解凍による微粒子変化を確認することで各製剤の安定性を評価した結果、実施例1の全ての製剤において微粒子の有意な増加は観察されなかった。この分析結果を通じて実施例1の眼科用液状組成物は、反復冷解凍条件で安定性があることを確認した。
【0056】
3-3. 紫外線条件下における安定性評価
全ての製剤の紫外線露出による化学的/物理的安定性を評価するために、各製剤を25℃の光安定性チャンバ内で合計8Wh/m2のUVA光に露出した。紫外線の露出有無を除いて、同じセットの剤形を非-UV露光対照(UV-control)で製造し、UV光露出なしに同じ時間、25℃でインキュベートした。その後、全ての剤形の性状および可視粒子の有無を評価した。その結果、実施例1の全ての製剤において紫外線露出による性状の変化はないことを確認した。
【0057】
また、SE-HPLC分析(Hewlett Packard Agilent 1100 Series, カラム;TSK-GEL G3000SWXL、7.8X30(ID mm X L cm)(Tosoh、Cat. #08541)、移動相:200mM KPi、250mM KCl、pH6.2、流速:0.5ml/min、波長:280nm)を用いて、紫外線露光の前後に各製剤の物理的分解(physical degradation)有無を観察した。分析の正確度をモニタリングし、製剤間の比較を行うために、対照群の注入と共に各剤形のクロマトグラフィープロファイルを確認した。UV露出によるピーク百分率で凝集体および断片の生成を確認することにより、各製剤の安定性を比較分析した。その結果、
図3に示すように、実施例1の全ての製剤において紫外線露光後の柔軟物質の増加が不十分で安定であることを確認した。
【0058】
また、各製剤に対してcIEF分析を実施(Maurice cIEF; Maurice-OBM、2AHGG-Maurice、Protein Sample、1500Vで1.0分、3000Vで6分;露出:A280nmで0.005秒;サンプルロード:55秒;カートリッジ温度:常温;サンプル温度:10℃)して、紫外線露出中の電荷ベース(charge-based)の化学的変化をモニタリングした。
分析の正確度をモニタリングし、製剤間の比較を提供するために、対照群の注入と共に製剤を分析し、各製剤のプロファイルを確認した。UV露出によるピーク百分率で異性体の変化を確認することにより、各製剤の安定性を比較分析した。その結果、表4に示すように、実施例1の全ての製剤において異性体の特別な変化が見られず、実施例1の眼科用液状組成物は紫外線露出に対して安定性があることを確認した。
【表4】
【0059】
実施例4:保管温度条件による安定性評価
全ての製剤をそれぞれ-70℃、5℃、25℃、および40℃の温度でインキュベートした後、特定時点(time point)で各製剤に対して安定性評価分析を行った。
【0060】
4-1. 肉眼評価
特定時点で各温度別保管場所から全ての製剤の試料を取り出し、肉眼で性状及び可視的な粒子の有無を確認することにより安定性評価を行った。各製剤に対して白黒背景および白色光源(13W蛍光チューブ)下で肉眼検査を行い、各時点で全ての製剤のデジタル写真を撮影した。
【0061】
その結果、
図4及び
図5にそれぞれ示すように、実施例1の全ての製剤は-70℃及び5℃それぞれの冷凍、冷蔵温度条件下で12ヶ月まで性状変化がなく、25℃(加速条件)で6ヶ月間、40℃(苛酷条件)で8週間、性状変化は見られなかった。
【0062】
4-2. 濃度測定
それぞれの温度で保管した製剤の濃度を分析し、8週間の濃度変化の傾向および製剤の安定性を確認した。アフリベルセプトの濃度測定は、Implen Nanophotometer N50 Touchを用いて280nmで吸光度を測定し(A280)、吸光係数(extinction coefficient: 1.15 M-1 cm-1)で分けて分析した。
【0063】
その結果、実施例1の全ての製剤は、表5に示すように、-70℃及び5℃のそれぞれの温度条件下で12ヶ月まで濃度は安定し、25℃(加速条件)で6ヶ月間、40℃(苛酷条件)でも8週間タンパク質濃度は安定した。
【表5】
【0064】
4-3. 浸透圧モル濃度(Osmolality)
全ての製剤製造後に浸透圧モル濃度を測定した。浸透圧モル濃度は、Model 2020 Freezing Point Osmometer(Advanced Instruments)を用いてT=0時点でのみ測定した。その結果、全ての製剤は概して345乃至382mOsm/kgの浸透圧モル濃度を有すると測定され、眼科用組成物として使用されるのに問題がないことが確認された。
【0065】
4-4. pH
それぞれの温度で保管した剤形のpHを測定し、対照群製剤と比較分析して安定性を評価した。pHは、SympHony(R) pH Meter(VWR Scientific、catalog #SB70P)を用いて測定した。各製剤の温度を調整せずに常温に合わせてpHを測定し、pHメーターは較正勾配(calibration slope)が95%以上であることを確認して使用した。
【0066】
その結果、実施例1の全ての製剤は、表6に示すように、-70℃及び5℃それぞれの温度条件下で12ヶ月までpHが安定し、25℃(加速条件)で6ヶ月間安定したpHを示し、40℃(苛酷条件)でもpHは8週間安定した。
【表6】
【0067】
4-5. SE-HPLC分析
SE-HPLC分析(Hewlett Packard Agilent 1100 Series、カラム;TSK-GEL G3000SWXL、7.8X30(ID mm X L cm)(Tosoh、Cat. #08541)、移動相:200mM KPi、250mM KCl、pH6.2、流速:0.5ml/min、波長:280nm)を通じて、特定温度で保管する間に各剤形の物理的分解(physical degradation)の有無を観察した。分析の正確度をモニタリングし、製剤間の比較を提供するために、対照群の注入と共に各剤形のクロマトグラフィープロファイルを確認した。各温度別時間によるピーク百分率で凝集体および断片の生成を確認することで、各製剤の安定性を比較分析した。
【0068】
その結果、
図6に示すように、-70℃(冷凍条件)では実施例1の全ての製剤で12ヶ月間凝集体または断片体の増減が見られず状態が維持された。5℃(冷蔵条件)では、
図7に示すように、12ヶ月間NaClが添加された実施例1の5番及び6番製剤の場合、他の製剤に比べて凝集体増加率が最も高いことが分かり、塩(NaCl)が含まれない剤形がもっと安定していることを確認した。
【0069】
25℃(加速条件)では、
図8および表7に示すように、6ヶ月間、冷蔵条件と同様にNaClが添加された5番および6番製剤で凝集体増加率が最も高いことと表れた。また、pHが低い製剤(1番及び2番)ほど3ヶ月経過後に断片体の増加率が高いことが確認され、pHが高い製剤(11番及び12番)ほど凝集体の増加率が高いことが確認された。
【表7】
【0070】
40℃(苛酷条件)では、
図9及び表8に示すように、25℃に比べて分解速度は速いが、概ね類似した傾向が示された。
【表8】
【0071】
上記分析結果を通じて、pH6.2以上の場合、凝集体の生成率が高く、逆にpH5.3以下の場合、断片体の生成率が増加するので、適切なpH条件(pH5.5乃至pH6.0)の下で、塩(NaCl)が含まれない剤形が顕著に安定していることを確認した。
【0072】
4-6. cIEF分析
各製剤について、Protein Simple Mauriceを用いてcIEF分析(Maurice cIEF;Maurice-OBM、2AHGG-Maurice、Protein Sample、1500Vで1.0分、3000Vで6分;露出:A280nmで0.005秒;サンプルロード:55秒;カートリッジ温度:常温;サンプル温度:10℃)を実施することにより、特定の温度で保管する間に電荷ベース(charge-based)の化学的変形をモニタリングした。分析の正確度をモニタリングし、製剤間の比較を提供するために、対照群の注入と共に剤形を分析し、各製剤のプロファイルを確認した。各温度別時間によるピーク百分率で異性体の変化を確認することにより、各製剤の安定性を比較分析した。
【0073】
その結果、表9に示すように、40℃(苛酷条件)では、ほとんどの製剤で相対的酸性ピーク(peak1~4)は増加し、相対的中性ピーク(peak5~6)及び相対的塩基性ピーク(peak7~10)は減少する傾向を示した。また、pHが高い製剤(9番乃至12番製剤、pH6.0乃至pH6.2)は、それよりpHが低い製剤に比べて高温40℃で酸性ピーク(acidic peak)が増加する様相を示し、NaClが含まれる製剤 (5番および6番剤形)が含まれない製剤よりも相対的な酸性ピークの割合が高く表れることが確認された。
【0074】
これらの結果から、pH6.0未満、そして塩を含まない製剤が他の条件に対してもっと安定していることが確認され、上記実施例4-5のSE-HPLC分析結果と総合してみると、pH5.5乃至pH5.8であり、塩を含まない製剤が著しく優れた安定性を有することを確認した。
【表9】
【0075】
4-7. FlowCAM分析
FlowCAMTM粒子イメージングシステム(Benchtop B3 Series、Fluid Imaging Technologies)を使用してFlowCAM分析を実施することによって、特定温度で保管する間に各製剤の微粒子(subvisible particle)の程度をモニタリングした。各温度別時間による微粒子変化を確認することにより、各製剤の安定性を評価した。その結果、実施例1の全ての製剤で低い数の微粒子が検出され、温度別時間による微粒子数の増減は見られなかった。
【0076】
4-8. RP-HPLC分析
実施例1における製剤のうち、2番、4番、8番、13番製剤を対象に、5℃(冷蔵、長期保管条件)、25℃(加速条件)、40℃(苛酷条件)で6ヶ月間保管しながら、各時点でRP-HPLC分析(Waters、Acquity UPLC H-class system、カラム;ACQUITY UPLC Protein BEH C4 Column, 2.1 X 100 (ID mm X L cm) (Waters, Cat. # 186004496)、移動相A:0.1%TFA、移動相B:0.08%TFA in ACN、流速:0.5ml/min、波長:214nm)を用いて、活性(力価)に影響を及ぼし得る酸化体(oxidated form)生成の有無及び変化を確認した。表10に示すように、5℃では6ヶ月間全ての製剤で酸化体生成がほとんどないことが明らかになり、25℃では酸化体が多少生成されるが、pHが低いほど微細なレベルで酸化体生成程度に差を見せており、40℃の条件ではpHが低い場合、酸化体生成が確実に増加することが確認された。
【表10】
【0077】
4-9. 脱アミド化(Deamination)分析
実施例1における製剤のうち、2番、4番、8番、13番製剤を対象に、5℃(冷蔵、長期保管条件)、25℃(加速条件)、40℃(苛酷条件)で6ヶ月間保管しながら脱アミド化分析を行い、タンパク質分解の有無を評価した。分析時の前処理には、ISOQUANT(R) Isoaspartate Detection Kit(Promega、MA1010)を使用し、試料準備後のHPLC分析(Waters、HPLC e2695、カラム;Synergi
TM Hydro-RP、4.6 X 150 (ID mm X L cm)(Phenomenex、Cat. # 00F-4375-E0), 移動相: 50 mM Kpi、pH 6.20、流速: 1.0 ml/min、波長: 260 nm) その結果は表11に示すように、5℃では全ての製剤が類似し、25℃では全ての製剤で類似した増加率を示し、40℃では全ての製剤で類似した増加率を見せ、13番に比べては増加率が低いことを確認した。
【表11】
【0078】
4-10. 結合アッセイ(Binding assay)
実施例1における製剤のうち、2番、4番、8番、13番製剤を対象に、5℃(冷蔵、長期保管条件)、25℃(加速条件)、40℃(苛酷条件)で6ヶ月間保管しながら、結合アッセイ(ELISA method、コーティングタンパク質:VEGF165 protein、アフリベルセプト濃度範囲:0.04~500ng/mL、標準品:対照薬(Eylea(R)))を通じて、アフリベルセプトがターゲットタンパク質であるVEGFに結合する程度を活性として確認した。活性が減少すると、標準品対比EC
50の割合(%)が高くなる。その結果は、表12に示すように、5℃では全ての製剤の活性が80~125%の範囲で測定され、25℃と40℃では全ての製剤でEC
50の割合が増加し、pHが低いほど活性が最も減少する傾向を確認した。
【表12】
【0079】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者は、本発明がその技術的思想や必須的特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解することができるだろう。これに関連して、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的なものではないことを理解すべきである。本発明の範囲は、上記の詳細な説明よりは、後述する特許請求範囲の意味および範囲、そしてその等価概念から導出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれることと解釈されるべきである。
【国際調査報告】