(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-22
(54)【発明の名称】分散型リザーブドパワー充電器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
H02J7/00 A
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504784
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 US2021042731
(87)【国際公開番号】W WO2022020566
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523025632
【氏名又は名称】マーズチャージ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122563
【氏名又は名称】越柴 絵里
(72)【発明者】
【氏名】マルツズィ マイケル デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA02
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
(57)【要約】
電気自動車(EV)コネクタと、第1の交流(AC)コネクタと、充電器コネクタと、交流及び直流(AC/DC)コンバータと、DC/DCコンバータと、複数の充電器端子を含む充電器スイッチシステムと、AC/DCコンバータとDC/DCコンバータの間に結合された充電池システムと、を含む充電器を備えた装置である。充電器は更に、AC/DCコンバータ、DC/DCコンバータ、及び充電器スイッチシステムに結合されて制御するよう構成された充電器コントローラを含む。複数の充電器端子は、AC/DCコンバータ、DC/DCコンバータ、EVコネクタ、第1のACコネクタ、及び充電器コネクタにそれぞれ結合することができる。装置はまた、充電器コネクタに接続するように構成されたハブスイッチシステムを含むハブを備えることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電器を備える装置であって、
前記充電器が、
第1の交流(AC)コネクタと、
充電器コネクタと、
交流及び直流(AC/DC)コンバータと、
DC/DCコンバータと、
充電式電池を含む充電式電池システムであって、前記AC/DCコンバータと前記DC/DCコンバータとの間に結合される、充電式電池システムと、
複数の充電器端子を含む充電器スイッチシステムであって、前記複数の充電器端子を選択的に接続するように構成される、充電器スイッチシステムと、
前記AC/DCコンバータ、前記DC/DCコンバータ、及び前記充電器スイッチシステムに結合されて制御するように構成された充電器コントローラと、
を備え、
前記複数の充電器端子は、前記AC/DCコンバータ、前記DC/DCコンバータ、前記第1のACコネクタ、及び前記充電器コネクタにそれぞれ結合される、装置。
【請求項2】
前記充電器がポータブルであり、
前記充電器が電気自動車(EV)コネクタを含み、
前記複数の充電器端末の端末が、前記EVコネクタに結合される、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
EVコネクタがEVプラグを含み、前記第1のACコネクタが第1のACソケットを含み、前記充電器コネクタが充電器ソケットを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記AC/DCコンバータは、双方向AC/DCコンバータを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
ハブを更に備え、
前記ハブが、
複数のハブ端子を含むハブスイッチシステムであって、前記複数のハブ端子のうちの何れかのペアを選択的に接続するように構成されている、ハブスイッチシステムと、
前記ハブスイッチシステムに結合され、前記ハブスイッチシステムを制御するように構成されたハブコントローラと、
前記複数のハブ端子にそれぞれ結合された複数のハブコネクタと、
を備え、
前記複数のハブコネクタのうちの第1のハブコネクタは、前記充電器コネクタに接続するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のハブコネクタがハブソケットを含み、他の前記ハブコネクタの少なくとも1つが第1のプラグを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記双方向AC/DCコンバータは、前記充電式電池を充電又は放電するように構成され、前記DC/DCコンバータは、前記充電式電池を放電のみをさせるように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記双方向AC/DCコンバータは、
前記充電器リレーシステムに結合された端子の第1のペアと、
前記充電式電池の端子に接続された端子の第2のペアと、
第2のコンバータに結合された第1のコンバータであって、これらの組合せが前記端子の第1のペアと前記端子の第2のペアとの間に接続される、第1のコンバータと、
を備え、
前記第1のコンバータは、前記充電器コントローラによって提供される第1の制御信号に基づいて、整流器又はインバータとして動作するように構成され、
前記第2のコンバータは、前記充電器コントローラによって供給される第2の制御信号に基づいて、バックコンバータ又はブーストコンバータとして動作するように構成される、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記DC/DCコンバータは、
前記充電式電池の端子に結合された入力端子と、
前記充電器リレーシステムに結合された出力端子と、
を備え、
前記DC/DCコンバータが、前記入力端子において前記充電式電池によって提供される入力DC電圧を、前記出力端子における出力DC電圧に変換するように構成され、
前記出力DC電圧の振幅は、前記入力電圧の振幅と、前記充電器コントローラによって提供されるDC/DC制御信号とに依存する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
第2の充電器を更に備え、
前記第2の充電器が、
第2の電気自動車(EV)コネクタと、
第2の交流(AC)コネクタと、
第2の充電器コネクタと、
第2の交流及び直流(AC/DC)コンバータと、
第2のDC/DCコンバータと、
第2の充電式電池を含む第2の充電式電池システムであって、前記第2のAC/DCコンバータと前記第2のDC/DCコンバータとの間に結合される、第2の充電式電池システムと、
複数の第2の充電器端子を含む第2の充電器スイッチシステムであって、前記複数の第2の充電器端子を選択的に接続するように構成される、第2の充電器スイッチシステムと、
前記第2のAC/DCコンバータ、前記第2のDC/DCコンバータ、及び前記第2の充電器スイッチシステムに結合されて制御するように構成された第2の充電器コントローラと、
を備え、
前記複数の第2の充電器端子は、前記第2のAC/DCコンバータ、前記第2のDC/DCコンバータ、前記第2のEVコネクタ、前記第2のACコネクタ、及び前記第2の充電器コネクタにそれぞれ結合され、
前記複数のハブコネクタのうちの第2のハブコネクタが、前記第2の充電器コネクタに接続するように構成される、
請求項5に記載の装置。
【請求項11】
前記充電器コントローラ及び前記第2の充電器コントローラは、前記ハブコントローラとデータ通信するように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
第3のハブコネクタが、AC送電網に接続するように構成されている、請求項11記載の装置。
【請求項13】
ハブを備える装置であって、
前記ハブが、
複数のハブ端子と複数のスイッチとを含むハブスイッチシステムであって、前記複数のハブ端子のうちの何れかのペアを選択的に接続するように構成されている、ハブスイッチシステムと、
前記ハブスイッチシステムに結合されて前記ハブスイッチシステムを制御するように構成されたハブコントローラと、
前記複数のハブ端子にそれぞれ結合された複数のハブコネクタであって、前記複数のハブコネクタのうちの第1のハブコネクタが、充電器コネクタに接続するように構成されている、装置。
【請求項14】
充電器を更に備え、
前記充電器が、
第1の交流(AC)コネクタと、
充電器コネクタと、
交流及び直流(AC/DC)コンバータと、
DC/DCコンバータと、
充電式電池を含む充電式電池システムであって、前記AC/DCコンバータと前記DC/DCコンバータとの間に結合される、充電式電池システムと、
複数の充電器端子を含む充電器スイッチシステムであって、前記複数の充電器端子を選択的に接続するように構成される、充電器スイッチシステムと、
前記AC/DCコンバータ、前記DC/DCコンバータ、及び前記充電器スイッチシステムに結合されて制御するように構成された充電器コントローラと、
を備え、
前記複数の充電器端子は、前記AC/DCコンバータ、前記DC/DCコンバータ、前記第1のACコネクタ、及び前記充電器コネクタにそれぞれ結合され
前記充電器コネクタは、前記複数のハブコネクタのうちの第1のハブコネクタに接続するように構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記充電器がポータブルであり、
前記充電器が電気自動車(EV)コネクタを含み、
前記複数の充電器端末の端末が、前記EVコネクタに結合される、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
EVコネクタがEVプラグを含み、前記第1のACコネクタが第1のACソケットを含み、前記充電器コネクタが充電器ソケットを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記AC/DCコンバータは、双方向AC/DCコンバータを含み、
前記双方向AC/DCコンバータは、前記充電式電池を充電又は放電するように構成され、前記DC/DCコンバータは、前記充電式電池を放電のみをさせるように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
方法であって、
第1の端子と第2の端子との間に第1の電流経路を確立するよう第1のスイッチを閉じるステップであって、前記第2の端子は双方向交流及び直流(AC/DC)コンバータに接続され、前記第1の端子、前記第2の端子、及び前記双方向AC/DCコンバータが充電器に含まれる、ステップと、
前記双方向AC/DCコンバータが、前記第1の電流経路によって供給されるAC電流を前記充電器の電池システムを充電するためDC電流に変換するステップであって、前記電池システムが電池セルを含む、ステップと、
前記DC電流で前記電池システムを充電した後、前記第1のスイッチを開くステップと、
第3の端子と双方向AC/DCコンバータの第2の端子との間に第2の電流経路を確立するよう第2のスイッチを閉じるステップであって、前記第3の端子前記充電器に含まれる、ステップと、
前記双方向AC/DCコンバータが、前記電池システムによって供給されるDC電流を前記第2の電流経路を介して前記第3の端末に伝送するためAC電流に変換するステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記第2のスイッチを開くステップと、
第4の端子と第5の端子との間に第3の電流経路を確立するよう第3のスイッチを閉じるステップであって、前記第4の端子は双方向DC/DCコンバータに接続され、前記第5の端子は前記双方向DC/DCコンバータに接続され、前記第4の端子、前記第5の端子及び前記双方向DC/DCコンバータが前記充電器に含まれる、ステップと、
前記双方向DC/DCコンバータが、前記電池システムによって供給されるDC電流を、前記第3の電流経路を介して前記第5の端子に伝送するためにより高い電圧振幅を有するDC電流に変換するステップと、
を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第3のスイッチを開くステップと、
前記第4の端子と前記第3の端子との間に第4の電流経路を確立するように第6のスイッチを閉じるステップと、
前記双方向DC/DCコンバータが、前記第4の電流経路を介して前記第3の端子に伝送するために、前記電池システムによって提供されるDC電流を異なる電圧振幅を有するDC電流に変換するステップと、
を更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119(e)の下で、Michael David Marcziを発明者とする、2020年7月23日に出願された、「Electric Power and Storage Systems For Chargers and Charging Networks」と題する米国仮特許出願シリアル第63/055,590号、Michael David Marcziを発明者とする、2021年6月15日に出願された、「Power Management System and Charge Management Systems」と題する米国仮特許出願シリアル第63/210,695号、及びMichael David Marcziを発明者とする、2021年7月02日に出願された、「Portable Battery Charger”, filed July 2, 2021, and naming as the inventor」と題する米国仮特許出願シリアル第63/218,145号の利益を主張し、これらは全て、完全且つ全体的に記載されているかのように引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
充電式エネルギー貯蔵システムは、充電式エネルギー貯蔵構成要素(例えば、リチウムイオン電池セル、スーパーキャパシタ、燃料電池など)を含む。本開示は、充電式電池セルに関連して説明されるが、充電式エネルギー貯蔵構成要素はこれに限定されるべきではないことは理解される。
【0003】
充電式電池パックは、1又は2以上の充電式電池セル(例えば、リチウムイオン電池セル、固体電池セル)を含む。本開示は、リチウムイオン電池セルを有する充電式電池パック(以下、電池パック)に関連して説明されるが、充電式電池パックはこれに限定されるべきではないことは理解される。
【0004】
電気自動車(EV)は、電池パックによって動力供給される。本開示は、EVに関連して説明されるが、本開示がこれに限定されるべきではないことは理解される。充電器は、EV電池パックを充電する。大型の定置式充電器(充電ポイント又は充電ステーションとしても知られる)は、EVの所有者が使用するために、市街地、郊外、及び農村地域に散在している。定置型充電器は、公共送電網からの電力を利用してEV電池を充電する。
【0005】
定置式充電器は、ACレベル1充電、ACレベル2充電、DCレベル1充電、DCレベル2充電といった、複数の充電法の何れかを採用している。DCレベル-1充電及びDCレベル-2充電は、DCレベル-3充電と総称されることが多い。ACレベル1充電は、典型的には、公共送電網から直接又は間接的に供給される120ボルトACを使用して、EVの電池を充電する。この充電方法は、1.92キロワット(「kW」)の最大充電率を有することができる。EVは典型的には、AC120VをEVの電池を充電するのに必要なDC電圧に変換するオンボードのAC/DCコンバータを含む。ACレベル2充電は、典型的には、公共送電網から直接又は間接的に供給される208ボルト~240ボルトACを使用してEVの電池を充電する。この充電方式は、19.2kWの最大充電率を有することができる。EVのオンボードAC-DCコンバータは、EVの電池を充電するため208ボルトから240ボルトACをDC電圧に変換することができる。レベル3DC充電ステーションは、典型的に、送電網から直接又は間接的に供給される480ボルトAC電力をEVの電池パックを充電するのに必要な直流電力に変換する。変換は、EVの外部にある機器にて行われ、電池が充電されている間、定置型充電器からのDC電流は、EVのオンボードAC/DCコンバータをバイパスして流れる。DC充電は、典型的には、200~920ボルトDCの範囲にわたることができる。DCレベル1は、48kWの最大充電率を有することができ、DCレベル2は、400kWの最大充電率を有することができる。使用される充電方法のタイプによっては、EVの電池をフル充電するのに30分~45時間の範囲でかかる場合もある。また、DCレベル3充電は、通常、ACレベル1及びACレベル2充電よりも高速であるが、DCレベル3充電を用いると電池がより早く劣化する可能性が高い。ACレベル-1とACレベル-2の充電器は、総称してAC充電器と呼び、DCレベル-1及びDCレベル-2は、総称してDC充電器と呼ぶことにする。
【0006】
添付図面を参照することにより、本発明の技術はよりよく理解でき、その多くの目的、特徴、及び利点は、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態による分散型リザーブ電力充電器を示す図である。
【
図2】
図1の分散型リザーブ電力充電器にて利用される充電器リレーシステムの一実施形態を示す図である。
【
図3】
図1の分散型リザーブ電力充電器にて利用される例示的な双方向AC/DCコンバータ及び例示的な電池パックを示す図である。
【
図4】
図1の分散型リザーブ電力充電器にて利用される、双方向のバックブーストDC/DCコンバータ及び
図3の例示的な電池パックを示す図である。
【
図5】本開示の一実施形態による例示的なハブを示す図である。
【
図6】
図5のハブにおいて利用されるハブリレースイッチシステムの一実施形態を示す図である。
【
図7】例示的なEVにプラグ接続された
図1の充電器を示す図である。
【
図8】例示的なEVにプラグ接続された
図1の充電器を示す図である。
【
図9】例示的なEVにプラグ接続された
図1の充電器及び例示的な家庭用配電システムを示す図である。
【
図10】例示的なEVにプラグ接続された
図1の充電器及び例示的な家庭用配電システムを示す図である。
【
図11】例示的なEVと例示的な充電ステーションとの間に接続された
図1の充電器を示す図である。
【
図12】例示的なEVと例示的な充電ステーションとの間に接続された
図1の充電器を示す図である。
【
図13】例示的なEVと例示的な充電ステーションとの間に接続された
図1の充電器を示す図である。
【
図14】
図1の充電器及び家庭用配電システムに接続された
図5のハブを示す図である。
【
図15】
図1の充電器及び家庭用配電システムに接続された
図5のハブを示す図である。
【
図16】
図1の充電器、EV、及び家庭用配電システムに接続された
図5のハブを示す図である。
【
図17】
図1の充電器、EV、及び家庭用配電システムに接続された
図5のハブを示す図である。
【
図18】
図1の充電器、EV、及び家庭用配電システムに接続された
図5のハブを示す図である。
【
図19】
図1の充電器、EV、及び家庭用配電システムに接続された
図5のハブを示す図である。
【
図20】
図1の充電器に接続された
図5のハブ及び例示的な送電網を示す図である。
【
図21】
図1の充電器に接続された
図5のハブ及び例示的な送電網を示す図である。
【
図22】
図1の充電器に接続された
図5のハブ及び例示的な送電網を示す図である。
【
図23】
図1の充電器に接続された
図5のハブ及び例示的な送電網を示す図である。
【
図24】
図1の充電器に接続された
図5のハブ及び例示的な送電網を示す図である。
【
図25】サブネットワークハブに接続されてサブネットワークハブを制御するように構成された
図5のドメインハブを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
異なる図面において同じ参照符号を使用することは、類似又は同一の項目を示す。
【0009】
「走行距離不安症」とは、EV電池が、運転者が目的地又は最寄りの充電ステーションに到着するのに十分に充電されていないのではという恐怖心のことである。走行距離恐怖心症は、典型的には、EVの電池パックによって提供される走行距離と、充電器の可用性及び速度という2つの問題に起因する。
【0010】
平均的な内燃エンジン車両が、ガソリンスタンドでガソリン(ガス)を補給するのに5~10分を必要とするのに対し、典型的な150kWDC充電器は、典型的には、中型セダンEVの電池パックを0%充電から始めて充電するのに約68分を要する。より強力な充電器が必ずしも速いとは限らない。電池パックが受け入れることのできる充電量によって充電速度が決まることが多いので、250kWDC充電器が必ずしも高速充電を提供する訳ではない。充電中、イオンは電池の電解質を通過して、インターカレートしたリチウムを脱酸させる。個々の電池セルは、カソードからアノードにイオンが通過することができる速度を制限する特定の抵抗を有し、これにより充電速度が決定される。平均的なアメリカ人は、ガソリンスタンドから平均4分のところに住み、一方、DC充電ステーションから平均30分の距離に住んでいる。EVが内燃エンジン車両を上回るには、DC充電ステーションをガソリンスタンドよりも広く利用可能にする必要がある。
【0011】
DC充電器の数は増え続けているが、その総数は、「走行距離恐怖心症」を解消するのに必要な数をはるかに下回ったままである。これは一般に、480ボルト以上のAC電力を配電して公共送電網からDC電力に変換するのに必要なインフラストラクチャストラクチャを含めて、DC充電器の設置に関連するコストに起因している。典型的には、DC充電ステーションの建設及び設置にかかる費用の30%~50%は、480ボルトAC公共送電網インフラストラクチャストラクチャを供給源として使用することに関連する。
【0012】
開示されるのは、480ボルトAC送電網のインフラストラクチャを必要とせずにDC充電を提供することができ、これに関連するコストの全てではないにしてもそのほとんどを排除することができる、分散型リザーブ電力充電器である。480ボルトAC送電網ベースの充電器インフラストラクチャは、典型的には大型で、設置のためにかなりのスペースを必要とする。本開示の分散型リザーブ電力充電器は、スペースが限られている場所でDC充電ステーションを提供することができる。分散型リザーブ電力充電器は、以下でより完全に説明されるように、他の新規の機能を提供する。
【0013】
公共送電網からの480ボルトAC電源を利用する典型的なDC充電ステーションは、送電網上の他の充電器による過剰な電力要求又は外部状況による送電網自体によって提供される出力の全体的な不足に起因して、出力低下を生じることがある。これは、ラッシュアワーなどのピーク時に交通量の多い場所にある充電ステーションで特に当てはまる可能性がある。分散型リザーブ電力充電器は、典型的な480ボルトAC電源方式のDC充電設備と統合され、送電網かリザーブエネルギーかを問わず、電力源をより大きな出力を有する供給源にインテリジェントに切り替えることによって、必要なときに電力負荷を増強するためにリザーブ電力を利用することができる。
【0014】
典型的なDC充電ステーションは、480ボルトACグリッドインフラストラクチャ、配電ユニット、DC充電器、及びEVに接続するための充電ポートを含むことができる。グリッドから電力を得て、EVの電池パックを充電するプロセスは、一般的に、次のように説明することができ、すなわち、ACグリッドからのAC電力が必要なAC電圧に変換され、変換されたAC電力は様々なDC充電器に分配され、DC充電器が通常は整流回路を介してAC電力をDC電力に整流し、DC電力は、DC/DC変換回路を介してEVにより必要とされる適切なDC電圧及びDCアンペアに再び変換され、DC電力は、その後、充電ストール及びプラグを介してEVに渡される。まとめると、電力変換ステップは、まず、AC電力をDC電力(AC-to-DC)に整流し、次に、整流したDC電力を補正したDC電圧(DC-to-DC)に変換するものと説明することができる。
【0015】
充電ステーションは、充電ステーションの一部として、エネルギー貯蔵システム及び太陽電池アレイを利用することができる。典型的には、エネルギー貯蔵及び太陽電池アレイはDCシステムである。これらのDCシステムは、インバータを利用してDC電力をAC電力に変換し(DC-to-AC)、必要なときに充電ステーションのACグリッドに投入する。エネルギー貯蔵システムは、通常、単一のモノリシックシステムであり、典型的には、充電ステーションのACグリッドに1又は2以上の接点を有する。充電器がこのような貯蔵エネルギーシステムからの電力を利用する場合、電力変換フェーズは典型的には、以下のようになることができ、すなわち、貯蔵されたDC電力をAC電力に逆変換してステーションのACグリッドで利用可能にし、AC電力を上記のようにDC電力に整流し、整流したDC電力は、次に、EV電池の充電に必要なDC電圧レベルに再変換される。要約すると、電力変換プロセスは、典型的には、DC-to-AC、次にAC-to-DC、最後にDC-to-DCとすることができる。
【0016】
上記の様々なシステムは、通常は、ACグリッドを介して互いに接続されている。分散型リザーブ電力充電器は、DCエネルギー貯蔵をDC充電システム自体に配置し、これ自体を双方向AC-DC変換/逆変換機器及び双方向DC-DC変換機器を介して充電システムの残りの部分に接続する。これにより、エネルギー貯蔵部を様々な分散型リザーブ電力充電器の間に分散させることができるので、エネルギー貯蔵部が複数のユニットに配置され、これらは、DC電力貯蔵部が充電器から分離され通常はモノリシックユニットである典型的なDC充電ステーションとは対照的である。分散型リザーブ電力充電器内のDC電力貯蔵部は、EVのAC充電と特にDC充電の両方の電源として機能することができる。電力変換は、DC貯蔵システムから電力を取り出してDC-DCコンバータに通過させることを単に意味し、これによりEVにエネルギーを伝えるために必要な電力を供給することになる。分散型リザーブ電力充電器は、ACグリッドからAC電力を受け取り、AC電力をDC電力に整流し、整流した電力をEV電池に好適な電圧に再び変換して、変換したDC電力をEVに直接供給することで、エネルギー貯蔵部を全体でバイパスして典型的なDC充電器として機能することができる。また、どちらが最大電力出力を生成するかに応じて、2つの電源の間をインテリジェントに切り替えることができる。様々な充電器のエネルギー貯蔵システム(例えば、電池パック)は、DC電力線を通じてネットワーク化され、DCマイクログリッドを形成し、様々な充電器の間でこれらの貯蔵エネルギーを共有することができる。分散型リザーブ電力充電器又は分散型リザーブ電力充電器のネットワークは、ACグリッドとDCグリッドを同時に且つ互いに並行して動作させることができる。個々の充電器又は充電器のグループは、状況に応じて、ACグリッドとDCグリッドの間を切り替えることができ、その逆もまた同様とすることができる。
【0017】
また、EVの所有者が、ポータブルの分散型リザーブ充電器をEVのトランク又はEVの他の車室に運び込む場合、走行距離不安症の懸念を軽減することができる。これらのポータブル充電器は、消耗したEV電池を部分的に充電することができる。分散型リザーブ電源充電器は、個別にポータブル充電器として構成すること、及び他の分散型リザーブ電源充電器のポータブル充電ネットワークの一部として構成することもでき、これらは全て、集合的にポータブル充電器のネットワークとして機能する。
【0018】
充電器の小型化及び軽量化を図り、EVと共に容易に輸送することができるポータブル充電器を実現する必要がある。現在のポータブル充電器は、EV電池を充電するのに必要な電流を供給するために、ガソリン駆動の発電機を含む。ガソリン駆動式ポータブル充電器は、大型で、重量があり、ガソリンを必要とする。
【0019】
図1は、分散型リザーブ電力充電器100の一例を示しているが、本開示はこれに限定されるべきではないと理解される。
図1内に示された構成要素は、標準的なスーツケースのサイズ(例えば、69cm×47cm)である図示しないポータブルケース又はハウジング内に含めることができ、又は工業用冷凍庫のサイズ(例えば、208cm×137cm)とすることができる図示しないより大型の定置式充電器設備の一部とすることができる。ケース又はハウジングは、分散型リザーブ電力充電器100を転動することができるホイールを含むことができ、或いはケース又はハウジングは、コンクリートに埋め込むことによって又は他の方法によって定置することができる。以下に説明する多くの特徴のうち、分散型リザーブ電力充電器100は、ACレベル1充電、ACレベル2充電、又はDCレベル3充電を用いてEVの電池パック又は複数のEVの電池パックを充電すること、並びに同一又は異なる充電サイクルにおいて異なる充電レベル間を切り替え又は順次実行することができる。
【0020】
分散型リザーブ電力充電器100は、電力導体又はワイヤを介して双方向AC/DCインバータ・コンバータシステム104と双方向DC/DCコンバータシステム106の間に結合された充電式電池パック102を含む。電力導体は、図中ではデータ通信導体と区別するために太字で図示されている。
【0021】
充電器100は、充電器リレースイッチシステム114を含み、これは、電流がスイッチシステム114に又はスイッチシステム114から外に伝送できる複数の端子を含む。充電器リレースイッチシステム114は、その端子の何れかのペアを接続することができる。AC電流又はDC電流は、接続された端子間に流れることができる。充電器リレーシステム114は、それぞれの端子に電気的に接続されるソケット120c~134cを含む。AC/DCコンバータ104及びDC/DCコンバータ106は、電力導体を介して充電器リレースイッチシステム114の各端子に接続される。EVプラグ116は、ケーブルを介して充電器リレースイッチシステム114の他の端子に電気的に接続される。
【0022】
分散型リザーブ電力充電器100はまた、固有の低電圧DC電源を有する充電器コントローラ110を含む。コントローラ110は、AC/DCコンバータシステム104、電池パック102、DC/DCコンバータシステム106、ユーザインタフェース112、外部デバイス115、及び充電器リレースイッチシステム114とデータ通信している。充電器コントローラ110は、EVプラグ116がこれに接続されているときに、EVとデータ通信している。充電器コントローラ110は、ソケット120cがこれに接続されているとき、電力分配及びデータ通信ハブ(「ハブ」、
図5及び
図6を参照してより完全に説明される)とデータ通信することができる。充電器コントローラ110は、限定ではないが、USBなどの有線接続又はLTE(Long-Term Evolution)もしくはWi-Fi通信プロトコルなどの無線接続を介して、ラップトップ、タブレット、及びスマートフォンなどの他の外部デバイス115とデータ通信を行うことができる。充電器コントローラ110は、マイクロコントローラ又は他のデータ処理ユニットを含むことができ、これは、メモリ内に格納された命令を実行する中央処理ユニットを含む。充電器コントローラ110は、インタフェース112を介して受信するデータ又はコマンドを処理し、メモリ内に格納された命令を実行することに応答して、AC/DCコンバータ104、電池パック102、DC/DCコンバータシステム106、及びリレースイッチシステム202の動作態様を構成するコマンドを生成するように構成される。充電器コントローラ110はまた、これに接続されているとき、EV又は前述のハブから受信したコマンドに応答することができる。
【0023】
充電器リレースイッチシステム114の複数の端子は、それぞれのソケット120c~134cに接続されている。ソケット120cは、ハブ(
図1には示されていない)に接続するように構成される。AC、DC、又はAC及びDC電流は、ソケット120cに同時に流入又はソケット120cから流出することができる。ソケット122cは、第1のAC送電網(例えば、120V AC送電網)に接続するように構成される。AC電力は、ソケット122cに流入又はソケット122cから流出することができる。ソケット124cは、第2のAC送電網(例えば、240VAC送電網)に接続するように構成される。AC電力は、ソケット124cに流入又は流出することができる。ソケット126cは、ACレベル-1及びACレベル-2充電器プラグに接続するように構成される。AC電力は、ソケット126cに流入することができる。ソケット130cは、AC120Vで動作する電気器具のプラグに接続するように構成されている。AC電力は、ソケット130cから流出することができる。ソケット132cは、AC240Vで動作する電気器具のプラグに接続するように構成されている。AC電力はソケット132cから流出することができる。ソケット134cは、低電圧DCで動作するデバイスに接続するように構成されている。ソケット134cは、端部に銅製のワニ口クリップを有する色分けされた正及び負ケーブルからなることができ、低電圧の自動車用バッテリーを充電することができる。EVの低電圧デバイスは、多くの場合、従来の鉛酸自動車用バッテリーによって給電される。ソケット134cの別の構成は、スマートフォン又はスマートタブレットの充電のUSBポートとすることができる。
【0024】
図2は、
図1のチャージャリレーシステム114の一実施形態を示す。図示のように、充電器リレースイッチシステム114は、リレースイッチR1~R16と、充電器コントローラ110とデータ通信するリレースイッチコントローラ202と、大電流(例えば、1A、10A、100A、又はそれよりも大きい)AC又はDC電力を伝送するための電力導体とを含む。充電器リレーシステムによってルーティング及び制御される3つのタイプの電力線がある。これらは、ACライン204、高電圧DCライン206、及び低電圧DCライン210である。ACライン及びDCラインは、それぞれACグリッド及びDCグリッドに接続することができる。充電器のACラインは、ソケット120c~126cを介してACグリッドに接続することができ、充電器の高電圧DCラインは、ソケット120cを介して分散型リザーブ電力充電器DCマイクログリッドに接続することができる。特定の状況下では、ACライン及び高電圧DCラインは、各々充電器100へ又は充電器100から電力を通過させて同時に動作することができる。
【0025】
充電器のリレースイッチは電気的に動作する。様々なタイプのリレースイッチが存在する。従来の形態は、電流が流れることができる接点間を開閉するのに電磁石を使用する。この実施形態では、電力をルーティングするためのスイッチング方法としてリレーを使用しているが、リレーの代わりに他のスイッチング方法を一部又は全部で使用してもよく、例えば、パワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFETS)でもよい。リレースイッチR1~R16は、リレースイッチシステムコントローラ202によって提供される信号s1~s16によって、それぞれ選択的に制御される。図示しないが、各リレースイッチR1~R16は、対応する戻りリレースイッチを有し、各電力導体は、対応する戻り導体経路を有する。リレースイッチコントローラ202によって提供されるそれぞれの信号によってリレースイッチ及びこれに対応するリターンリレースイッチが閉じられると、充電リレースイッチシステム114の端子間に回路ループを形成することができる。
【0026】
前述のように、充電器リレースイッチシステム114は、その端子の何れかのペアを接続することが可能である。リレースイッチ系114の端子は、AC/DCコンバータ104、DC/DCコンバータ106、ソケット120c~134c及びEVプラグ116にそれぞれ接続される。従って、リレースイッチシステム114は、AC/DCコンバータ104、DC/DCコンバータ106、ソケット120c~134c、及び、EVプラグ116のうちの何れか2つを接続することが可能である。例えば、リレースイッチシステムコントローラ202は、残りのリレーが開いている間、リレーR3及びR13を閉じることができる。リレーR3及びR13が閉じた状態では、DC電流は、電池パック102からDC/DCコンバータシステム106を介してプラグ116に流れることができ、又はその逆も同様とすることができる。リレーR13及びR14が開いている間、スイッチR3及びR15は閉じることができる。これらのスイッチが閉じた状態では、DC電流は、DC/DCコンバータ106及びソケット120cを介して電池パック102からハブ(図示せず)に流れることができ、又はその逆も同様とすることができる。スイッチR1及びR2は、残りのリレースイッチが開いている間、閉じることができる。リレースイッチR1及びR2が閉じた状態では、AC電流は、電池パック102からAC/DCコンバータ104及びソケット120cを介してハブ(図示せず)に流れることができ、又はその逆も同様とすることができる。スイッチR2、R5、及びR7は、残りのリレースイッチが開いている間、閉じることができる。リレースイッチR2、R5、及びR7が閉じた状態では、AC電流は、電池パック102からAC/DCコンバータシステム104及びソケット122cを介してAC送電網に流れることができ、又はその逆も同様とすることができる。スイッチR1、R4、R5、及びR6は、残りのリレースイッチが開いている間、閉じることができる。リレースイッチR1、R4、R5及びR6が閉じた状態では、AC電流は、ハブ(図示せず)からEVプラグ116に流れることができ、又はその逆も同様とすることができる。他の例としては、リレースイッチR1、R2、R3、R13、及びR16を閉じられ、他の全てのリレースイッチが開かれた状態では、DC電流は、接続されたEVの電池からDC/DCコンバータシステムに流れ、電池パックをバイパスして、AC/DCコンバータシステムに接続することができ、ここでDC電力をAC電力に逆変換し、ソケット120cを介してハブ(図示せず)に渡し、その後、AC電力をグリッド上に加え、及びその逆もまた可能である。他の電流経路も想起される。以下でより完全に説明されるように、同時通電も可能である。
【0027】
図2を引き続き参照すると、このシステムが、他のDC充電器によって典型的に利用される電圧である480ボルトAC電力又はそれ以上を利用することによって機能する場合、リレースイッチシステムは、EVを充電するためのソース電力をACグリッド、電池パック102、又はDCグリッドから順不同で切り替えることができる。ソケット122c~124cの何れかは、典型的な充電ステーションインフラストラクチャ(例えば、変圧器及び配電ユニット)から、又は前記インフラストラクチャのために構成され、前記インフラストラクチャに接続されたハブデバイス(図示せず)から、ソケット120cを介して充電器100に480ボルトのAC電力又はより高い電圧のAC電力を受け入れるように構成することができる。例えば、充電器コントローラ110は、ACグリッドからのDC充電が最大の電力出力を生成すると決定するので、コントローラ110は、スイッチR1、R2、R3、R13、及びR16を閉じるようにリレースイッチコントローラ202に指示する。AC電力は、480ボルトの充電ステーションインフラストラクチャ(図示せず)からハブ(図示せず)へ、ソケット120cを介して充電器100へ流れ、AC/DCコンバータ104は、ACグリッド電力をDC電力に整流してDC/DCコンバータシステム106に渡し、このシステムはEV電池パック(図示せず)の必要性に応じて電圧大きさを変換して、変換したDC電力をプラグ116に渡す。このACグリッド→AC-DC整流→DC-DC変換→EV電池パックという電力変換プロセスは、典型的なDC充電器システムと実質的に同じである。しかしながら、先に述べたACグリッドへの過度の要求は、電力出力の低下を招く可能性があり、充電器コントローラ110は、電力が電池パック102から供給される場合、電力出力がより大きくなり得ると決定することができる。このため、充電器コントローラ110は、リレースイッチコントローラ202に、全てのスイッチを開いてそれまでの電力変換プロセスを停止し、その後、スイッチR3及びR13を閉じるように指示する。電池パック102からのDC電力は、DC/DCコンバータシステム106で変換され、次いで、プラグ116を介してEVの電池パック(図示せず)に渡されることになる。いずれ電池パック102は消耗するが、他の充電器100からの他の電池パックは、使用されていない完全に充電された電池パック102を有し、DCマイクログリッド(図示せず)に接続されており、このDCマイクログリッドは、DCマイクログリッドの一部でもあるソケット120cを介して充電器100に接続されたハブ(図示せず)に接続されている。DCグリッドからの電力がACグリッドからの電力よりも大きな出力を提供するという決定を、充電器コントローラ110が下すと、ソケット120cのデータ通信を介してハブ(図示せず)にDC電力を要求する。ハブ(図示せず)は、要求を検証し、そのDC電力をハブに提供するように別の充電器に指示をし始め、ハブは、ソケット120cを介して充電器100に電力をルーティングする。ハブからの検証により、充電器コントローラ110は、リレースイッチコントローラ202に、電池パック102からの電力転送を停止するために全てのスイッチを開き(前述)、スイッチR13及びR15を閉じるように指示する。DC電力は、他の充電器の電池パック(図示せず)からハブ(図示せず)を介してDCグリッド(図示せず)を介してソケット120cを介して充電器100に、コネクタ116を介してEVの電池パック(図示せず)上に転送される。DCグリッドからのDC電力が転送されている間、充電器コントローラ110は、ハブ装置(図示せず)からソケット120cを介してデータ通信により、その電池パック102を充電するためのAC電力を要求する。その要求が認められ、充電器コントローラ110は、リレースイッチコントローラにスイッチR1及びR2を閉じるように指示する。ACグリッドからのAC電力は、ハブ(図示せず)を介してソケット120cを介して充電器100に流れ、AC/DCコンバータシステム104が、電池パック102を充電するのに必要なDC電力を供給する。AC電力及びDC電力は、それぞれのACグリッド及びDCグリッドから同時に充電器100を流れている。他の電流経路も企図される。
【0028】
図1及び
図2を引き続き参照すると、
図3は、例示的な双方向AC/DCコンバータ・インバータ(AC/DCコンバータ)104、及び例示的な電池パック102を示す。双方向AC/DCコンバータ104は、双方向整流器302と、双方向バックブーストDC/DCコンバータ304とを含む。双方向整流器302は、パワースイッチS1~S4と、図示のように配置されたインダクタL1及びコンデンサC1からなるフィルタと、を含む。双方向DC/DCコンバータ304は、パワースイッチS5~S8、コンデンサC2、及び図示のように配置されたインダクタL2、L3のペアを含む。スイッチS1~S8のゲートは、AC/DCコントローラ306によって制御され、このコントローラは、順に、
図1及び
図2に示す充電器コントローラ110とデータ通信を行い、これによって制御される。充電器コントローラ110は、双方向AC/DCコンバータ104を多くの異なる構成のうちの何れか1つに配置することができる。例えば充電器コントローラ110は、レベル1充電又はレベル2充電で使用するためのAC電圧を生成するように双方向AC/DCコンバータ104を構成することができる。他の例示的な構成については後述する。また、他の双方向AC/DCコンバータ構成及び電池パック構成も企図される。
【0029】
図2及び
図3を引き続き参照すると、整流器302は、電力導体310及び戻り導体312に結合されており、これらは、リレースイッチR2及び対応する戻りリレースイッチ(図示せず)にそれぞれ結合される。整流器302は、AC/DCコントローラ306によって制御される。この構成に応じて、整流器302は、AC電圧VacをDC電圧Vdcに整流することができ、又はその逆も可能である。AC電圧Vacは、上述のようなリレースイッチの構成に応じて、ソケット120c~134cの何れかから受け取ることができ、又はソケット120c~134cの何れかに供給することができる。
【0030】
双方向DC/DCコンバータ304は、整流器302と電池パック102との間に結合される。双方向DC/DCコンバータ304は、AC/DCコントローラ306によって制御される。充電器コントローラ110は、AC/DCコントローラ306を介して整流器302及びDC/DCコンバータ304を、多くの異なる構成のうちの何れか1つに配置することができる。その構成に応じて、双方向DC/DCコンバータ304は、DC電圧VdcをVbatにバック又はブーストすることができ、又はその逆も可能である。
【0031】
電池パック102は、図示のように直列に配置された複数のリチウムイオンセル320を含むが、他のタイプのセル及び他のセル配置を利用してもよいことは理解される。電池パック102はまた、電池管理回路322、抵抗器R、及び電源スイッチS9及びS10を含む。電池管理回路322は、メモリに格納された命令を実行する中央処理装置を有するマイクロコントローラ又は他のデータ処理デバイスを含む。電池管理回路322は、追加の構成要素(例えば、アナログ/デジタルコンバータ、サーミスタなど)を含むことができる。電池管理回路322は、充電器コントローラ110とデータ通信を行い、充電器コントローラ110によって制御される。この構成に応じて、電池管理回路322は、充電電流Icを介してセル320の充電を制御することができ、又は電池管理回路322は、放電電流Idを介してセル320の放電を制御できる。充電電流Icは、電池管理回路322がスイッチS10を作動させ、スイッチS9を非作動にしたときにリチウムイオンセル320に流入し、放電電流Idは、イオンセル320電池管理回路がスイッチS9を作動させ、スイッチS10を非作動にしたときにイオンセル320から流れることができる。電池管理回路322は、他の多くの機能を実行することができる。例えば、電池管理回路322は、安全な動作のために、アスペクトリチウムイオンセル320を集団的且つ個別に監視する。電池管理回路322は、全てが等しいか又はほぼ等しい電圧を有することを保証するリチウムイオンセル320間の電力バランスをとることができる(電池パックバランシングとしても知られている)。マイクロコントローラは、抵抗器Rを介してリチウムイオンセル320を流れる充電電流Ic及び放電電流Idを監視し、電流の最大値を超えないようにする。マイコンは、リチウムイオンセル320の温度を、予め定められた最大温度値に対して監視する。マイクロコントローラは、監視されたパラメータ(例えば、温度、Ic、Idなど)及び充電器コントローラ110から受信したコマンドに基づいて、スイッチS9及びS10を制御する。マイクロコントローラは、リチウムイオンセル内の電荷が所定の閾値を下回るとマイクロコントローラが決定した場合、DC/DCコンバータシステム106又はAC/DCコンバータシステム104の何れかからリチウムイオンセル320を切り離すことができる。或いは、マイクロコントローラは、リチウムイオンセルの温度が所定の値を超えた場合、リチウムイオンセルをAC/DCコンバータシステム104又はDC/DCコンバータシステム106から切り離してもよい。更に、マイクロコントローラは、リチウムイオンセル320の充電のプロセスを制御してもよい。例えば、マイクロコントローラは、充電器コントローラ110からコマンドを受信することに応答して、所定のアルゴリズムに基づいてリチウムイオンセル320の再充電のプロセスを制御することができる。一実施形態では、リチウムイオンセル320は、最初は定電流を使用して再充電することができる。最終的に、電池管理回路322は、定電圧を使用してリチウムイオンセル320を再充電することに切り替えることができる。他の再充電アルゴリズムも企図される。
【0032】
図2及び
図3を引き続き参照すると、
図4は、電力導体402及びリターン導体404に結合されてこれらが順にリレースイッチR3及び対応するリターンリレースイッチ(図示せず)にそれぞれ結合される、例示の双方向バックブーストDC/DCコンバータ106を示す。双方向DC/DCコンバータ106は、電力スイッチS11~S14と、インダクタ310と、図示のように配置されたコンデンサC3及びC4のペアとを含む。双方向DC/DCコンバータ106は、DC/DCコントローラ406によって制御される。充電器コントローラ110は、DC/DCコントローラ406を介して、DC/DCコンバータ106を多くの異なる構成のうちの何れか1つに配置することができる。例えば、充電器コントローラ110は、レベル3充電で使用するためのDC電圧を生成するように双方向DC/DCコンバータ106を構成することができる。この構成に応じて、双方向DC/DCコンバータ106は、DC電圧VbatをDC電圧Voutにバック又はブーストすることができ、又はその逆も可能である。DC電圧Voutは、上述のようなリレースイッチの構成に応じて、EVプラグ116又はソケット120cから受け取ることができ、又はEVプラグ116又はソケット120cに供給することができる。他の双方向バックブーストDC/DCコンバータの構成も企図される。
【0033】
充電器100は、上述したように、ハブに接続することができる。
図5は、例示的なハブ500を例示するブロック図である。ハブ500は、充電器100よりもサイズが小さく、重量も軽くすることができる。充電器ハブ500は、ハブリレースイッチシステム504とデータ通信するハブコントローラ502と、ユーザインタフェース506を含む。図示されていないが、ハブコントローラ502は、1又は2以上の充電器100、別のハブ500(ここではドメインハブと呼ぶ、図示せず)、又は他のデバイスとデータ通信を行うことができる。
【0034】
ハブリレースイッチシステム504は、電流をシステム504の内外に伝送することができる複数の端子を含む。ハブリレースイッチシステム504は、その端子の何れかのペアを接続することが可能である。AC電流、DC電流、又はAC及びDC電流は、接続された端子間で同時に流れることができる。充電器リレーシステム114は、ハブリレースイッチシステム504の端子と電気的に接続されるソケット120cを含む。充電器プラグ510は、ケーブルを介してハブリレースイッチシステム504の他の端子とそれぞれ電気的に接続される。各充電器プラグ510は、それぞれの充電器100のソケット120cと電気的に接続されるように構成される。ハブコントローラ502は、これに接続されると、プラグ510を介して充電器コントローラ110と通信することができる。ハブコントローラ500は、それぞれのプラグ510を介して複数の充電器コントローラ110とデータ通信が可能である。ハブコントローラ110は、マイクロコントローラ又は他のデータ処理デバイスを含むことができ、このデバイスは、メモリ内に格納された命令を実行する中央処理ユニットを含む。ハブコントローラ110は、それが受け取るデータ又はコマンドを処理し、メモリ内に格納された命令を実行することに応答してコマンドを生成するように構成される。例えば、ハブコントローラ110は、ハブリレースイッチシステム504を構成するためのコマンドを送出することができる。
【0035】
上述のように、ハブリレースイッチシステム504の各端子は、ソケット120h~124h、及び充電器プラグ510のうちのそれぞれの1つに接続される。ソケット120hは、別のハブ(すなわち、
図5には示されていない「ドメインハブ」)に接続するように構成されている。AC電流、DC、又はAC及びDC電流は、ソケット120hに、又はソケット120hから同時に流入することができる。ソケット122hは、第1のAC送電網(例えば、AC120V)への接続のために構成される。AC電力は、ソケット122hに流入し又はソケット122hから流出することができる。ソケット124hは、第2のAC送電網(例えば、AC240V)に接続するように構成されている。AC電力は、ソケット124hに流入又は流出することができる。ソケット122h又は124hは、480V AC又はそれより多くを受け入れるように再設定することができる。
【0036】
図6は、
図5のハブリレースイッチシステム504の一実施形態を示している。この実施形態では、ハブリレースイッチシステム504は、クロスバーコントローラ604によって提供されるそれぞれの信号cs1~cs17によって制御されるリレースイッチCR1~CR17からなるクロスバー切替マトリックス602を含む。閉じた状態のリレースイッチCR1~CR12は、AC電流(例えば、1A、10A、100A、又はそれ以上)を伝送することができ、リレースイッチCR13~CR17は、DC電流(例えば、1A、10A、100A、又はそれ以上)を伝送することができる。なお、図示しないが、リレースイッチCR1~CR17の各々は、対応する帰還リレースイッチを有する。クロスバーコントローラ604から供給されるそれぞれの信号によってリレースイッチとこれに対応するリターンリレースイッチが閉じられると、クロスバー切り替えマトリックス602の端子間に回路ループが形成することができる。本実施形態では、電力をルーティングするためのスイッチング方法としてリレーを使用しているが、リレーに代わる他のスイッチング方法を一部又は全部使用してもよく、例えば、MOSFETSを使用することができる。
【0037】
前述のように、ハブリレースイッチシステム504は、その端子の何れかのペアを接続することが可能である。ハブリレースイッチシステム504の端子は、ソケット120h~124h及び充電器プラグ510にそれぞれ接続される。従って、ハブリレースイッチシステム504は、ソケット120h~124h及び充電器プラグ510のうちの何れか2つを接続することが可能である。例えば、クロスバーコントローラ604は、残りのリレーが開いている間にリレースイッチCR7及びCR8を閉じることができ、AC電力は、ソケット122hを介してACグリッドからプラグ510c及び510dを介してそれぞれの充電器100へ通過することができる。リレーCR13及びCR14が閉じた状態では、DC電流は、プラグ510a及び510bにそれぞれ接続された充電器100のペア間に流れる可能性がある。スイッチCR7、CR13、及びCR14は、残りのリレーが開いている間、閉じることができる。これらのスイッチが閉じた状態では、DC電流は、プラグ510a及び510bにそれぞれ接続された充電器100のペア間で流れることができ、AC電流は、プラグ510cに接続された第3の充電器100とソケット122hを介してAC送電網との間で流れることができる。ACグリッド電力とDCグリッド電力の両方が、ハブ500を同時に流れている。他の構成も企図される。
【0038】
充電器100の電池パック102、より具体的にはセル302は、EV充電ステーション、公共送電網、他の充電器100、EVの電池パック、ソーラーパネルなどを含む多くの異なるソースの何れかからの電力で再充電することができる。或いは、充電器100は、EVの電池パック、他の充電器100、AC電力を使用する家庭用電化製品、公共送電網など、多くの異なる先の何れかに電力を供給するために使用することができる。
図1~4を引き続き参照しながら、
図7~25は、充電器100が電力の供給源又は供給先として使用できる幾つかの例を示している。
【0039】
多くのEVオーナーにとって、定置式充電ステーションは数が少なく、ごく希である可能性がある。上述したように、走行距離恐怖心症は、EVの普及のための制限要因である。充電器100は、走行距離恐怖心症に対処することができる。充電器100は、ポータブル充電器として構成され、EVのトランクに格納され、定置充電ステーションが近くにない場合にEVの電池を再充電するために必要に応じて使用することができる。
図7は、例示的なEV700にプラグ接続された充電器100を示す。
図7は、充電器100の電池パック102と、EV700の電池パック702も示している。電池パック102は、
図7において完全に充電された状態で示されており、一方、電池パック702は、充電がほぼ空である。EVプラグ116がEV700の適切なソケットに受け入れられた後、ユーザは、DCレベル3充電などの幾つかの異なる充電方法のうちの何れか1つを使用してパック702を充電するように充電器100を構成することができる。一実施形態では、ユーザインタフェース112は、充電器100を制御するためのアプリケーションを実装しているユーザのスマートフォンと無線データ通信を行う。スマートフォン上で起動したときのこのアプリケーションは、充電器100を使用して電池パック702を充電するための幾つかの異なる方法のうちの1つを提案することができる。例えば、アプリケーションは、DCレベル3充電を使用して電池パック702を再充電することを提案することができる。スマートフォン及びユーザインタフェース112を介してコマンドを受信することに応答して、充電器コントローラ110は、電池パック702に適した大きさでVbatをVoutに変換するためにDC/DCコンバータシステム106を構成する。更に、充電器コントローラ110は、リレースイッチコントローラ202にコマンドを送信する。これに応答して、リレースイッチコントローラ202は、制御信号s3及びs13をアサートし、これによりリレースイッチR3及びR13がそれぞれ閉じられる。これらのリレースイッチが閉じると、充電器コントローラ110は電池管理回路322にコマンドを送り、これに応答して電池管理回路はスイッチS9を作動させ、これとスイッチS10のダイオードを通してDC/DCコンバータ106とプラグ116を介して電池パック102から電池パック702にDC電流Idcが流れるようにする。
図8は、DC電流Idcが電池パック702を充電している様子を示している。充電は、電池パック102の充電が最小閾値に達するまで続けられ、その時点で電池管理回路322はスイッチS9を非活性化し、充電プロセスは停止する。
図8は、電池パック102が実質的に枯渇し、電池パック702が部分的に再充電された状態を示す。DCレベル-3充電を提案する代わりに、アプリケーションは、ACレベル-1充電を使用して電池パック702を再充電することを提案することができる。ACレベル-1充電を実施するために、充電器コントローラ110は、DC電圧VbatをACレベル-1充電に適した大きさのAC電圧Vacに変換するためのAC/DCコンバータシステム104を構成する。更に、充電器コントローラ110は、リレースイッチコントローラ202にコマンドを送信する。これに応答して、リレースイッチコントローラ202は、制御信号s2、s5、s6、及びs4をアサートし、これによりリレースイッチR2、R4、R5、及びR6がそれぞれ閉じられる。これらのリレースイッチが閉じられると、次に充電器コントローラ110は電池管理回路322にコマンドを送り、これに応答して電池管理回路はスイッチS9を作動させ、これによりDC電流Idcが電池パック102からAC/DCコンバータ104に流れ、ここで電池パック702を充電するためのAC電流に変換される。
【0040】
図9は、EV700に差し込まれた充電器100を示す。
図9はまた、120VのACプラグ804を介して家庭用配電システム802に差し込まれた充電器100を示す。家庭用配電システム802は、ユーティリティドロップ800を介して送電網に接続されている。当初、電池パック102及び702は実質的に空である。充電器100は、例えば、ACレベル1充電を使用して、電池パック702を再充電することができる。充電器コントローラ110からのコマンドの受信に応答して、リレースイッチコントローラ202は、スイッチリレーR4、R6及びR7を閉じ、一方、
図2に示す他のスイッチリレーは開いたままである。スイッチリレーR4、R6及びR7が閉じた状態では、120V、AC電流Iacは、ユーティリティドロップ802から家庭用配電システム802及び充電器100を介してEV電池パック702に伝送することができる。Iacは、EV電池702が再充電されるまで流れ続ける。
図10に示すようにEV電池702が再充電されると、充電器100はその電池パック102を再充電することができる。このため、リレースイッチコントローラ202は、充電器制御装置110からコマンドを受信することに応答して、スイッチリレーR6及びR4を開き、スイッチリレーR2、R5、及びR7を閉じる。AC/DCコンバータシステム104は、充電器コントローラ110によって、プラグ804を介してソケット122cに供給される120VのAC電力を、充電アルゴリズムに従って電池パック102を充電するのに適した大きさを有するDC電圧Vbatに変換するように構成される。電池管理回路322が、セル320を横切る電圧が適切な充電状態に達したことを検出すると、電池管理回路322はスイッチS10を非活性化し、電池パック102を再充電するためのプロセスは停止する。
図10は、完全に充電された後の電池パック702と、充電中の電池パック102を示す。
【0041】
図11は、プラグ116を介してEV700に、プラグ1102及びソケット126cを介して定置型充電ステーション1100にプラグ接続された携帯型に構成された充電器100を示している。図示の例では、定置型充電ステーション1100は、ACレベル1充電のみを提供する。当初、EV700の電池パック702は、電池パック102が満杯であるのに対して、一部が空である。
図2を引き続き参照すると、充電器コントローラ1100からコマンドを受信したことに応答して、リレースイッチコントローラ202は、DCレベル-3充電を使用して電池パック702を再充電するために、スイッチリレーR3及びR13を閉じる。DC/DCコンバータシステム106は、充電器コントローラ110によって、Vbatを、DCレベル-3充電とEV電池パック702の充電プロファイルとに適合する大きさのDC電圧Voutに変換するように構成される。最後に、電池管理回路322は、充電器コントローラ110からのコマンドを受信することに応答して、DC電流Idcが電池パック102から電池パック702に流れることができるように、スイッチS9を閉じる。充電器電池パック102は、EV電池パック702を完全に再充電するのに十分なエネルギーを有してはいない。電池管理回路322が、セル320が最小閾値電圧まで枯渇したことを検出すると、電池管理回路はスイッチS9を非アクティブ化する。リレースイッチコントローラ202は、充電器制御装置110からコマンドを受信することに応答して、スイッチリレーR3を開き、スイッチリレーR4、R6、及びR9を閉じる。リレースイッチR4、R6、R9が閉じた状態では、AC充電Iacは、
図12に示すように、固定充電器1100から充電器100を経てEV700に流れる。EV700は、充電器1100によって提供されるAC電流を、電池パック102を充電するためのDC電力に変換する内部AC/DCコンバータを有することに留意されたい。リレースイッチコントローラ202は、充電器制御装置1100が電池パック702が完全に充電されたことを知った後、スイッチリレーR6及びR4を開く。リレースイッチコントローラ202は、EV電池パック702が完全に充電されたことを知った後、充電器制御装置1100からコマンドを受信することに応答して、スイッチリレーR9、R5、及びR2を除く全てのリレースイッチを開放させる。充電器コントローラ110からコマンドを受信することに応答して、電池管理回路322は、スイッチS10を作動させる。次に、充電器コントローラ110は、AC/DCコンバータ104を構成して、定置式充電器1100によって提供されるAC電圧を、電池パック102のセル302の充電に適合する大きさを有するDC電圧Vbatに変換する。電池管理回路322が、セル320を横切る電圧が適切な状態に達したことを検出すると、電池管理回路322はスイッチS10を非活性化し、電池パック102を再充電するためのプロセスは停止する。
図13は、完全に充電された時点の電池パック102を示す。
【0042】
ハブは、電力転送を可能にする。複数の充電器100は、
図6に示すようなハブを介して相互に接続することができる。ハブは、充電器間の電力分配を可能にする。
図14は、ハブ500によって相互接続された充電器100のペアを示し、このハブは、プラグ804を介して家庭用電気配電システム802に接続されている。
図2及び
図6を引き続き参照すると、
図14は、充電器100aのソケット120c-aによって受け取られるプラグ510a、及び充電器100bのソケット120c-bによって受け取られるプラグ510bを示す。
図14はまた、充電器100の電池パック102が満杯であることを示す。電池パック102は、例えば、停電時に家庭用配電システム802に電力を供給することができる。電力は、充電器100から直接、又はハブ500を介して間接的に供給することができる。
図14及び
図15は、ハブ500を介して家庭用配電システム802に電力を供給する充電器100を参照しながら説明する。
【0043】
ユーザのスマートフォン又は他のデバイスから受信したコマンドに応答して、ハブコントローラ502は、スイッチリレーCR1を閉じるようにクロスバーコントローラ604を構成し、その結果、プラグ510aに接続される。ハブコントローラ502から適切なコマンドを受信したことに応答して、充電器コントローラ110aは、充電器110aのAC/DCコンバータ104、電池管理システム322a、及びリレースイッチシステム114aを構成する。AC/DCコンバータ104aは、電池パック102bによって提供されるVbatを、システム802に適切な電圧の大きさを有するVacに変換するように構成される。電池管理システム322aは、スイッチS9を作動させる。リレースイッチコントローラ202aは、スイッチリレーR1及びR2を閉じる。この構成において、AC電流Iacは、
図14に示すように、電池パック102aからプラグ510a及び804を介してハブ500を介してシステム802に伝送される。
図15に示すように電池パック102aが枯渇した後、ハブコントローラ502は、クロスバーコントローラ604にスイッチリレーCR1を開き、スイッチリレーCR2を閉じるよう指示する。次に、ハブコントローラ502は、充電器100bが家庭用配電システム802にAC電力を供給できるように、実質的に同じ方法で充電器100bを構成するように充電器コントローラ110bに指示する。充電器100bが構成されると、AC電流Iacは、電池パック100bからハブ500及びプラグ804を介してシステム802に流れる。
図15は、電池パック102bから流れるAC電流Iacを示す。電池管理回路322bは、セル320間の電圧レベルが所定値を下回ったことを検出すると、スイッチS9を開閉し、充電器コントローラに通知する。
【0044】
図14及び
図15は、充電器100から供給されるAC電流を伝送するハブ500を示す。ハブ500は、DC電流を伝送するように構成することができる。
図16は、
図14及び
図15の充電器100のペアと、充電器100bに接続されているEV700とを示す。充電器100の電池パック102は、最初は満タンである。電池パック102a及び102bは、DCレベル3充電のためにEV700にDC電力を供給することができる。ユーザのスマートフォン又は他のデバイスから受信したコマンドに応答して、ハブコントローラ502は、クロスバーコントローラ604を構成して、順番にプラグ510a及び510bに接続されているスイッチリレーCR13及びCR14を閉じる。ハブコントローラ502から適切なコマンドを受信することに応答して、充電器コントローラ110aは、充電器110aのDC/DCコンバータ106a、電池管理システム322a、及びリレースイッチ系114aを構成する。DC/DCコンバータ106aは、電池パック102aによって提供されるVbatを、電池パック702のDCレベル3充電に適切な大きさを有するDC電圧Voutに変換するように構成される。電池管理システム322aは、スイッチS9を作動させる。リレースイッチコントローラ202aは、スイッチリレーR15及びR3を閉じる。リレースイッチコントローラ202bは、その後ハブ制御装置502からコマンドを受信していた充電器制御装置110aからコマンドを受信すると、充電器100bのスイッチリレーR13及びR15を閉じる。この構成において、DC電流Idcは、
図16に示すように、電池パック102aからハブ500、及びプラグ510a、510bを介して電池パック702に伝送される。電池パック102aが消耗した後、充電器コントローラ110aは、電池パック102aが完全に放電されたことをハブコントローラ502に通知する。ハブコントローラ502は、DC/DCコンバータ106b、電池管理システム322b、及びリレースイッチシステム114bを構成して、充電器100bからのDC電流で電池パック702を充電するよう充電器コントローラ110bに指示する。
図17は、充電器100bから供給されるDC電流Idcで充電される電池パック702を示す。
【0045】
電池管理回路322bは、セル320bの電圧レベルが所定値を下回ったことを検出すると、スイッチS9を開放又は非活性化し、充電器コントローラ110bに通知する。これに応答して、充電器コントローラ110は、電池パック102bが完全に放電されたことをハブコントローラ502に通知する。ハブコントローラ502は、電池パック702が完全に再充電されていないことを検出する。応答して、ハブコントローラ502は、レベル1充電のためにシステム802からEV電池パック702にAC電力を転送するようにハブ500を構成する。これに応答して、クロスバーコントローラ604は、ソケット124hとプラグ510bとを接続するスイッチリレーCR2を除く全てのスイッチリレーを開く。ハブ500のこの構成では、グリッド配電システム802からEV700にAC電力を送信する。更に、ハブコントローラ502は、ハブ502 EV700からプラグ116bを介してAC電力を転送するように充電器100bを構成する。充電器コントローラ110bからの命令を受信することに応答して、リレースイッチコントローラ202bは、スイッチリレーR1、R4、R5、及びR6を閉じ、これによってソケット120c-bとEVプラグ116bとの間に導電経路を形成する。その後、AC電流Iacは、
図18に示すように、システム802からEV700に流れる。最終的に、EV700は、その電池702が完全に充電されると、充電器100bに通知する。空の電池パック102a及び102bは、その後、
図10及び13を参照して上述したのと実質的に同じ方法で、ハブ500及び充電器100a及び100bを介してそれぞれ再充電できる。
【0046】
ハブ500は、これに接続された充電器100の複数のユーザからの入力に基づいて、電力転送を動的に調整することができる。
図20は、駐車場2104のような建物の送電網2102からAC電力を受信するように接続及び構成されたハブ500を示す。ハブ500は、充電器100a~100dのそれぞれのソケット120c-a~120c-dにそれぞれ挿入されるプラグ510a~510dを含む。これにより、ハブ500は、充電器100a~100dの間で電力を転送することができる。初期状態では、電池パック102a~102dは完全に充電されている。充電器100a~100dは、それぞれプラグ116a~116dを介して、EV700a~700dに差し込まれる。電池パック702a~702dは、実質的に充電量が空である。
【0047】
ハブ500のハブコントローラ502は、EV700a~700dの所有者からスマートフォンを介して充電依頼を受ける。人のユーザが、電池パック702b、702c、702dのACレベル2充電を要求している。最後のユーザは、電池パック702aのDCレベル3の急速充電を要求する。これらの要求の受信に応答して、ハブコントローラ502は、送電網2102に接続されているソケット122hをプラグ510b~510dに接続するようにハブリレースイッチシステム504を構成する。また、ハブ500は、充電器100a~100dを構成する。このため、ハブコントローラ502は、充電器100a~100dの各充電器コントローラ110にそれぞれのコマンドを送信する。充電器コントローラ110b~110dは、それぞれのコマンドを受信したことに応答して、充電器100b~100dを構成して、送電網2102によって提供される電力によるACレベル2充電を用いて、それぞれ、電池パック702b~702dを充電する。充電器コントローラ110aは、そのコマンドを受信したことに応答して、充電器100aを、電池パック102aによって提供される電力でDCレベル-3充電を使用して電池パック702aを充電するように構成する。
図20は、充電器100a~100dがハブコントローラ502によって構成された後の電力転送を示す。図示のように、電池パック702b~702dは、ACレベル-2電力を使用してハブ500を介して充電されており、一方、電池パック702aは、DCレベル-3電力を使用して充電されている。
【0048】
最終的に、充電器電池パック102aは枯渇する。しかしながら、EV電池パック702aは、完全に充電されていない状態を維持する。充電器100aは、電池パック102aが枯渇していることをハブコントローラ502に通知する。ハブコントローラ502は、これに応答して、そのリレースイッチシステム114及び充電器100bを再設定する。ハブコントローラ502は、充電器100bにコマンドを送り、電池パック102bによって提供されるDC電力でDCレベル3充電を用いて電池パック702aを充電し、電池パック702bはACレベル2電力で充電を継続する。
図21は、ハブコントローラ502によって充電器100bが再設定された後の電力転送を示す。電池パック702b、702c及び702dは、ACレベル-2電力を使用してハブ500を介して充電され続け、一方、電池パック702aは、充電器100bによって提供されるDCレベル-3電力を使用して充電される。一方、ハブコントローラ502は、電池バック102aを再充電するためにAC電力を提供しても、パック702b、702c、及び702dのレベル2充電の電力出力に影響しないと決定し、パック102aの再充電に使用するためにAC電力を充電器100aに指示する。最終的に、充電器電池パック102bは枯渇する。しかしながら、EV電池パック702aは、部分的にしか再充電されないままである。充電器100bは、電池パック102bが枯渇したことをハブコントローラ502に通知する。ハブコントローラ502は、これに応答して、そのリレースイッチシステム602と充電器100b及び100cを再構成する。ハブコントローラ502は、充電器100cにコマンドを送り、電池パック102cから供給される電力でDCレベル3充電を用いて電池パック702aを充電し、電池パック702cはACレベル2電力で再充電を継続する。
図22は、ハブコントローラ502によって充電器100b及び100cが再構成された後の電力転送を示す。電池パック702b、702c、及び702dは、ACレベル2電力を使用してハブ500を介して充電され続け、一方、電池パック702aは、充電器100cによって提供されるDCレベル3電力を使用して充電されている。最終的に、充電器電池パック102cは枯渇する。しかしながら、EV電池パック702aは、部分的にしか充電されないままである。充電器100cは、電池パック102cが枯渇したことをハブコントローラ502に通知する。ハブコントローラ502は、これに応答して、そのリレースイッチシステム602、及び充電器100c及び100dを再設定する。ハブコントローラ502は、充電器100dにコマンドを送り、電池パック102dから供給される電力でDCレベル3充電を用いて電池パック702aを充電し、電池パック702dはACレベル2電力で再充電を継続する。
図23は、ハブコントローラ502によって充電器100c及び100dが再設定された後の電力転送を示す。電池パック702b、702c、及び702dは、ACレベル2電力を使用してハブ500を介して充電され続け、一方、電池パック702aは、充電器100dによって提供されるDCレベル3電力を使用して充電される。最終的に、充電器電池パック102dは枯渇する。しかしながら、EV電池パック702aは完全に再充電されるようになった。充電器100dは、電池パック102dが枯渇したことをハブコントローラ502に通知する。ハブコントローラ502は、これに応答して、そのリレースイッチシステム602、及び充電器100a及び100dを再設定する。
図24は、ハブコントローラ502によって充電器100a及び100dが再設定された後の電力転送を示す。電池パック702b~702dは、ACレベル2電力を用いてハブ500を介して充電され続ける。
【0049】
図20~
図24のハブ500は、ユーザから受信した入力に基づいて、充電器100の間で動的に電力を分配する。ハブはまた、サブハブ間で動的に電力を分配することができる。図解するために、
図25は、ハブ500a及び500bに接続され、ハブ500a及び500bを制御するように構成された「ドメインハブ」500cを示す。ドメインハブ500cは、ハブ500a及び500bによってそれぞれ定義される電力サブネットワーク間で動的に電力を分配することができる電力ネットワークを作成する。ハブ500aは、充電器100a及び100bを相互接続し、これらの充電器は、順にEV700a及び700bに接続される。更に、ハブ500aは、送電網2102及びドメインハブ500cに接続されている。ハブ500bは、100c及び100dを相互接続し、これらは順番にEV700c及び700dに接続される。また、ハブ500bは、送電網2102及びドメインハブ500cに接続されている。
【0050】
ドメインハブ500cは、電力サブネットワーク間の電力転送を可能にする。例示すると、EV700aの所有者は、電池パック702aのDCレベル-3充電を要求する。充電器100a及び100bのそれぞれの電池パック102a及び102bは、枯渇しており、電池パック702aを充電するDCレベル-3の電力を提供することができない。しかしながら、電池パック102cは、完全に充電されており、DCレベル-3充電のための電力を提供することができる。所有者の要求を受信したことに応答して、ドメインハブコントローラ502cは、ハブ500a及び500bを接続するためにハブリレースイッチシステム602cを構成する。ドメインハブコントローラ502cはまた、ハブ500a及び500b、並びに充電器100a及び100cを構成して、
図25に示すように、DC電流が電池パック102cからドメインハブ500cを介して702aに伝送できる伝導経路を形成する。構成されると、DC電流が電池パック702aに伝送され、直流レベル3充電が行われる。
【0051】
本発明を幾つかの実施形態に関連して説明してきたが、本発明は、本明細書に記載された特定の形態に限定されるものではない。むしろ、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に適度に含めることができる、代替物、修正物、及び均等物を保護することが意図されている。
【符号の説明】
【0052】
100 充電器
102 電池パック
104 AD/DCコンバータシステム
106 DC/DCコンバータシステム
110 充電器コントローラ
112 ユーザインタフェース
114 充電器リレースイッチシステム
115 外部デバイス
116 EVプラグ
【国際調査報告】