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特表2023-535990スリップ補助ユニットを含む薬物注入モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-22
(54)【発明の名称】スリップ補助ユニットを含む薬物注入モジュール
(51)【国際特許分類】
   A61M 3/02 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
A61M3/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507286
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 KR2021005352
(87)【国際公開番号】W WO2022035019
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0100883
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519273795
【氏名又は名称】ウェットトラスト・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WeTTrust Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】パン ジファン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA02
4C066AA04
4C066BB02
4C066CC02
4C066DD07
4C066FF02
(57)【要約】
本発明は、長く形成されて内部に薬物が収容可能な収容空間を持ち、前端に前記薬物が排出される排出口が形成されて後端が開口されて形成されたシリンダー、前記シリンダーの後端を通じて前記収容空間の内部に挿入され、長手方向にスライディングして前記薬物を排出させるピストン及び前記シリンダーの外面で少なくとも一部が突出または陷沒形成されて不均一な断面形状を形成し、使用者の身体と接触する際に表面に作用する圧力の偏差を発生させるスリップ補助ユニットを含み、前記スリップ補助ユニットは前記シリンダーが人体に挿入された状態で周りに沿って作用する人体の圧力が均一になることを防止してスリップを容易にするスリップ補助ユニットを含む薬物注入モジュールが開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長く形成されて内部に薬物が収容可能な収容空間を持ち、前端に前記薬物が排出される排出口が形成されて後端が開口されて形成されたシリンダー、
前記シリンダーの後端を通じて前記収容空間の内部に挿入されて長手方向にスライディングして前記薬物を排出させるピストン、及び
前記シリンダーの外面で少なくとも一部が突出または陷沒形成されて不均一な断面形状を形成し、使用者の身体と接触する際に表面に作用する圧力の偏差を発生させるスリップ補助ユニット、を含み、
前記スリップ補助ユニットは前記シリンダーが人体に挿入された状態で周りに沿って作用する人体の圧力が均一になることを防止してスリップを容易にする薬物注入モジュール。
【請求項2】
前記スリップ補助ユニットは、
前記シリンダーの長手方向に沿って一定の長さを持って長く形成されることを特徴とする請求項1に記載の薬物注入モジュール。
【請求項3】
前記スリップ補助ユニットは、
前記シリンダーの周りまたは長手方向に沿って複数個で構成され、少なくとも一つ以上が相違に形成されることを特徴とする請求項1に記載の薬物注入モジュール。
【請求項4】
前記スリップ補助ユニットは、
前記シリンダーの外面に沿って少なくとも一つ以上が突出形成され、前記シリンダーの周り形状を不均一にする請求項1に記載の薬物注入モジュール。
【請求項5】
前記スリップ補助ユニットは、
前記シリンダーの外面で突出された突起部、及び
前記突起部の突出された端部で一部が拡張されて前記突起部より相対的に大幅を持つように形成されて、前記シリンダーとの間で別途連通空間を形成する羽部、を含む請求項4に記載の薬物注入モジュール。
【請求項6】
前記羽部は、
周りに沿って端に行くほど前記シリンダーに向かって下部に湾曲されるように形成されて前記シリンダーの表面と接するように離隔配置されることを特徴とする請求項5に記載の薬物注入モジュール。
【請求項7】
前記スリップ補助ユニットは、
前記シリンダーの外面に沿って少なくとも一つ以上が陷沒形成され、前記シリンダーの周り形状を不均一にする請求項1に記載の薬物注入モジュール。
【請求項8】
前記スリップ補助ユニットは、
前記シリンダーの表面より内側方向の幅が相対的に大きく形成されることを特徴とする請求項7に記載の薬物注入モジュール。
【請求項9】
前記スリップ補助ユニットは、
前記シリンダーの外面と使用者の人体との間で少なくとも一部に内外部に連通される連通空間が形成されることを特徴とする請求項1に記載の薬物注入モジュール。
【請求項10】
前記スリップ補助ユニットは、
前記シリンダーの外面でパターンを持ち、複数個の突起が相互接するように突出形成される請求項1に記載の薬物注入モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスリップ補助ユニットを含む薬物注入モジュールに係り、シリンダーの外部に複数個の突起が形成されて人体の内部に挿入する際に不均一な圧力でシリンダーを加圧させることで、人体とシリンダーとの間のスリップを容易に発生させるスリップ補助ユニットを含む薬物注入モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、最近は様々な目的で人体内に多様な液体を注入する場合が多い。
例えば、女性の性器を洗浄するための洗浄液を性器内に投与したり、避妊のための避姙薬液を投与する場合、または痔疾、性病などの治療のための薬液投与及び性交の際の潤滑剤投与など、その活用形態はとても様々である。
この時、人体の性器及び肛門などの内側は粘膜が露出される部分として、外部の刺激に非常に敏感であるため粘膜が損傷されたり汚染されやすい。よって、前記並べた幾つかの液体を投与するためには細心な注意を払う必要がある。
【0003】
従来は前記液体を手作業で直接投与する不便さを改善するために、体内に液体を投与できる器具が考案された。このような液体投与器具は衛生上の問題及び洗浄の難しさによって使い捨てに製作される場合が多く、これによって内部に液体が予め収容された状態で市販されている。
ただ、使用者が人体内に液体を投与する場合、人体内部に挿入して投入しなければならず、この時、人体内部に挿入する際に摩擦による苦痛が発生する問題点がある。
【0004】
特に、人体内部に挿入したり排出する際、人体がシリンダーの形状に対応して変形され、これを加圧していて摩擦力が増加するようになり、人体内部と外部の連通を遮断して圧力差によって薬物の注入や排出を難しくする問題が発生する。
そのうえ、人体内部に挿入する際、人体信号及び緊張などによって身体筋肉の弛緩及び収縮が発生し、これを通じて挿入及び薬物の注入や排出などの難しさが発生する問題がある。
したがって、このような問題点を解決することができる新しい方案が必要になった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的課題は、背景技術で言及した問題点を解決するためのもので、薬物が収容された注入モジュールでシリンダーの外面に別途スリップ補助ユニットを形成して、身体によってシリンダーに加えられる圧力を不均一にして、別途連通空間を形成することで人体の内外部の圧力差を最小化してシリンダーのスリップを容易にするスリップ補助ユニットを含む薬物注入モジュールを提供することである。
【0006】
本発明がなそうとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないまた他の技術的課題は下記から本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に明確に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
技術的課題を解決するために案出された本発明による薬物注入モジュールは長く形成されて内部に薬物が収容可能な収容空間を持ち、前端に前記薬物が排出される排出口が形成されて後端が開口されて形成されたシリンダー、前記シリンダーの後端を通じて前記収容空間の内部に挿入されて長手方向にスライディングして前記薬物を排出させるピストン及び前記シリンダーの外面で少なくとも一部が突出または陷沒形成されて不均一な断面形状を形成し、使用者の身体と接触する際に表面に作用する圧力の偏差を発生させるスリップ補助ユニットを含み、前記スリップ補助ユニットは前記シリンダーが人体に挿入された状態で周りに沿って作用する人体の圧力が均一になることを防いでスリップを容易にする。
また、前記スリップ補助ユニットは、前記シリンダーの長手方向に沿って一定の長さを持って長く形成されることができる。
【0008】
また、前記スリップ補助ユニットは、前記シリンダーの周りまたは長手方向に沿って複数個で構成され、少なくとも一つ以上が相違に形成されることができる。
また、前記スリップ補助ユニットは、前記シリンダーの外面に沿って少なくとも一つ以上が突出形成され、前記シリンダーの周り形状を不均一にすることができる。
【0009】
また、前記スリップ補助ユニットは、前記シリンダーの外面で突出された突起部及び前記突起部の突出された端部で一部が拡張されて前記突起部より相対的に大幅を持つように形成され、前記シリンダーとの間で別途連通空間を形成する羽部を含むことができる。
また前記羽部は周りに沿って端に行くほど前記シリンダーに向かって下部に湾曲するように形成されて前記シリンダーの表面と接するように離隔配置されることを特徴とすることができる。
また、前記スリップ補助ユニットは、前記シリンダーの外面に沿って少なくとも一つ以上が陷沒形成され、前記シリンダーの周り形状を不均一にすることができる。
【0010】
また、前記スリップ補助ユニットは、前記シリンダーの表面より内側方向の幅が相対的に大きく形成されることを特徴とすることができる。
また、前記スリップ補助ユニットは、前記シリンダーの外面と使用者の人体との間で少なくとも一部に内外部に連通される孔を形成させることを特徴とすることができる。
また、前記スリップ補助ユニットは、前記シリンダーの外面でパターンを持って複数個の突起が相互接するように突出形成されることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるスリップ補助ユニットを含む薬物注入モジュールは、シリンダーの外面に突出または陷沒形成されたスリップ補助ユニットを含むことでシリンダーが人体と接触する際に圧力の分布を不均一にしてシリンダーの挿入及び排出を容易にするだけでなく、人体の内外部に連通空間を形成して圧力差が発生することを低減させる。
このような本発明による効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は請求範囲の記載から当業者に明確に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明によるスリップ補助ユニットを含む薬物注入モジュールで突起形態で形成された実施例による構成を概略的に示す図面。
図2】本発明によるスリップ補助ユニットを含む薬物注入モジュールが人体に挿入された状態を示す図面。
図3図2のシリンダーに圧力が作用する状態で人体の変形を示す図面。
図4図3のシリンダーでスリップ補助ユニットが突起形態で形成されて位置別に圧力の作用度合いを示す図面。
図5図1のスリップ補助ユニットを含む薬物注入モジュールの変形された形態を示す図面。
図6】本発明によるスリップ補助ユニットを含む薬物注入モジュールでスリップ補助ユニットが溝形態で形成された状態を示す図面。
図7図6の薬物注入モジュールでシリンダーが人体に挿入された状態で人体が変形して圧力が作用することを示す図面。
図8図6の薬物注入モジュールでシリンダーに形成されたスリップ補助ユニットの変形された形態を示す図面。
図9】本発明によるスリップ補助ユニットを含む薬物注入モジュールでシリンダーのまた他の変形された形態を示す図面。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明すれば次のとおりである。ただし、本発明を説明するにあたって、既に公知された機能あるいは構成に対する説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略する。
同時に、本発明を説明するにあたって、前方・後方または上側/下側のように方向を示す用語は当業者が本発明を明確に理解できるように記載されたものであって、相対的な方向を示すものなので、これによって権利範囲が制限されることはないと言える。
【0014】
先ず、図1ないし図5を参照して本発明によるスリップ補助ユニットを含む薬物注入モジュールの一実施例の構成について詳しく説明する。
図1は本発明によるスリップ補助ユニットを含む薬物注入モジュールで突起形態で形成された実施例による構成を概略的に示す図面で、図2は本発明によるスリップ補助ユニットを含む薬物注入モジュールが人体に挿入された状態を示す図面で、図3図2のシリンダーに圧力が作用する状態で人体の変形を示す図面である。
【0015】
そして、図4図3のシリンダーでスリップ補助ユニットが突起形態で形成されて位置別に圧力の作用度合いを示す図面で、図5図1のスリップ補助ユニットを含む薬物注入モジュールの変形された形態を示す図面である。
図面に示されたように、本発明によるスリップ補助ユニット300を含む薬物注入モジュールを見ると、大きくシリンダー100、ピストン200及びスリップ補助ユニット300を含む。
【0016】
長く形成されて内部に薬物が収容可能な収容空間110を持ち、前端に前記薬物が排出される排出口120が形成され、後端が開口されて後述するピストン200が挿入される。
具体的に、前記シリンダー100は一般的な注射器形態のシリンダー100として、前記収容に薬物が充填されて使用者の操作によって薬物を選択的に噴出することができる。
この時、前記シリンダー100は体内に挿入されることができるように前後方向に長く、全体的に曲線形に形成され、横断面は円形を持つように形成される。したがって、体内に挿入する際に使用者の痛みをもたらさない。また、シリンダー100の後端は横方向の断面積が段々大きくなるように形成されてピストン200が容易に挿入されるようにすることができる。
【0017】
そして、本実施例でシリンダー100の前端に形成された排出口120には体内液体挿入装置を使用者が使う前に収容された液体が排出口120を通じて漏れることを防止するカバーが備えられることができる。
一方、前記ピストン200はシリンダー100の開口された後端を通じて前記収容空間110に前後移動可能であるように挿入される。すなわち、ピストン200をシリンダー100内の収容空間110に挿入させた状態で前方に移動させる場合、前記収容空間110に収容された液体を押して噴射させる。
本実施例の場合図面に示されていないが、前記ピストン200の前端に別途シーリング部材(未図示)が具備され、前記ピストン200の前方移動によってシーリング部材を前方に押して移動させることができる。
【0018】
したがって、前記ピストン200は前端部が前記シリンダー100の後端で挿入され、長手方向に沿ってスライディングして前記薬物を加圧して噴出させることができる。
このように本発明による前記シリンダー100と前記ピストン200が結合された注射器形態で形成され、前端に形成された前記排出口120を通じて収容空間110に収容された前記薬物を選択的に排出することができる。
【0019】
一方、前記スリップ補助ユニット300は前記シリンダー100の外面で突出または陷沒形成されて前記シリンダー100が人体Sに挿入の際に圧力分布を不均一にして使用者の挿入及び排出を容易にするだけでなく、人体Sの内外部に連通空間を形成して圧力差が発生することを低減させる。
具体的に前記スリップ補助ユニット300は前記シリンダー100の外面で少なくとも一部が突出または陷沒形成されて不均一な断面形状を形成し、使用者の身体と接触する時表面に作用する圧力の偏差を発生させる。
【0020】
本実施例で示されたように前記スリップ補助ユニット300は複数個が前記シリンダー100の外面で突出形成されて前記シリンダー100の外部表面を円形ではなく不均一な形態の断面形状をなすように構成される。
ここで、前記スリップ補助ユニット300は、前記シリンダー100の長手方向に沿って長く形成されたスリット形態で構成されることができ、実施例のように複数個が放射形に不均一に配置されることができる。
すなわち、前記スリップ補助ユニット300は前記シリンダー100の長手方向に沿って一定の長さを持って長く形成され、前記シリンダー100の周りまたは長手方向に沿って複数個で構成され、少なくとも一つ以上が相違する形状や大きさを持つように構成される。
【0021】
これによって、前記スリップ補助ユニット300は前記シリンダー100の表面で突出形成されて不均一な形態の断面を形成し、前記シリンダー100が使用者の人体Sに挿入された状態で接触される部分の圧力偏差が発生するようになる。これを通じて前記シリンダー100の周りに沿って作用する人体Sの圧力が均一になることを防止し、前記シリンダー100の挿入や排出時の摩擦を抑制することができる。
【0022】
特に、図3及び図4を見ると、図示されたように前記シリンダー100の外面に前記スリップ補助ユニット300が形成された状態で使用者の身体に挿入された断面形態を示すものであり、均一な断面形態のシリンダー100と違って前記スリップ補助ユニット300によって実質的に前記シリンダー100の外面に接触した人体Sの形状が不均一な形態で形成される。
この時、人体Sは前記シリンダー100を加圧する形態になって、シリンダー100が円形の断面を持つ場合、人体Sも円形でシリンダー100と接触して均一な圧力で表面に接触する形態になることができる。しかし、本発明のように前記シリンダー100の外面に前記スリップ補助ユニット300を備えることで不均一な形態で前記シリンダー100と接触するようになり、これによって突出された部分と突出されていない部分がそれぞれ互いに異なる圧力で人体Sと接触するようになる。
【0023】
すなわち、前記シリンダー100の外面で前記スリップ補助ユニット300が形成された部分とない部分がそれぞれ人体Sと接触する場合、互いに異なる圧力で接触するようになって、これによって前記シリンダー100の挿入及び排出の際にそれぞれの部分で互いに摩擦力でスリップが発生するようになって挿入と排出を容易にすることができる。
特に、本実施例では図4に示されたように前記スリップ補助ユニット300が湾曲した形態で突出された断面形状を持つように構成され、人体Sと接触する時にA、B、Cの3つの領域で区分けることができる。
【0024】
A領域は前記スリップ補助ユニット300の突起が突出された部分として人体Sと接触する際に最も高い圧力を受ける領域であり、該当部分では圧力が大きい分、スリップ発生の際に摩擦力も最も大きく作用する。
そして、C領域は前記シリンダー100で前記スリップ補助ユニット300が存在しない領域であり、この場合も使用者の人体Sと接触する時、周辺と類似な形態の圧力を受けて摩擦力が作用する。
【0025】
一方、B領域は前記シリンダー100で前記スリップ補助ユニット300が形成される境界部分の領域として、突出されたスリップ補助ユニット300とシリンダー100の表面にそれぞれ人体Sが接触する間に位置する。この時、突出された部分と突出されていない部分の間に位置した境界領域なので、高さの段差によって人体Sから最も小さい圧力を受ける領域であり、これによって摩擦力も最小的に作用する。そのうえ、B領域では状況によって人体Sと接触しない部分も発生するようになって、このような場合人体Sの内外部を連通させる連通空間を形成して圧力差が発生することを抑制することができる。
【0026】
このように本発明による薬物注入モジュールは、前記シリンダー100、前記ピストン200及び前記スリップ補助ユニット300を含み、単純な注射器の形態ではなく前記スリップ補助ユニット300を通じて人体Sに挿入する時に周りに沿って作用する圧力を不均一にすることでスリップを容易にし、さらに人体Sの内外部を連通する空間を形成して圧力差が発生することを防止することができる。
【0027】
一方、図5を見ると、上述した薬物注入モジュールで前記スリップ補助ユニット300の変形された形態を示すもので、基本的な形態は突起形態からなっている。
ただ、前記スリップ補助ユニット300は単純な突起形態ではなく端部が拡張された形態で形成されて、下部で別途連通空間を形成するように構成される。
【0028】
具体的に、図示されたように前記スリップ補助ユニット300は前記シリンダー100の外面で突出される突起部310及び前記突起部310で拡張されて連通空間を形成する羽部320を含む。
前記突起部310は上述した実施例と類似な形態で一定の幅を持って前記シリンダー100の外面で突出形成されて使用者の人体Sと接触させる。そして、前記羽部320は前記突起部310の突出された端部で一部が拡張されて前記突起部310より相対的に大幅を持つように形成される。この時、前記羽部320は前記突起部310の端部で横方向に沿って拡張形成され、これによって前記シリンダー100の外面と少なくとも一部は離隔されて前記シリンダー100との間に前記連通空間を形成する。
【0029】
本実施例において、前記羽部320は周りに沿って端に行くほど前記シリンダー100に向かって湾曲されるように形成されて前記シリンダー100の表面と接するように配置される。すなわち、図示されたように、キノコの形態で形成され、前記シリンダー100と羽部320との間に前記連通空間が形成されることで使用者の人体Sの内部に前記シリンダー100を挿入する時、前記連通空間を通じて外部の空気が流動して圧力差が発生することを防止する。
ここで、前記スリップ補助ユニット300は前記シリンダー100の長手方向に沿って長く形成され、それぞれが同一形態の断面形状を持つように形成されることができ、これと違って単にスリット形態ではなく円形や多角形形態の突起形態で形成されることができ、前記羽部320もそれぞれの形状に対応して前記突起部310の端部で幅方向に沿う両側に形成されたり、または放射形に形成されることができる。
【0030】
このように本発明による薬物注入モジュールの第1実施例を見て、前記スリップ防止ユニットが突起形態で形成されて人体Sと接触する際にシリンダー100の表面に作用する圧力を不均一にしてスリップの発生を容易にすると同時に、連通空間を形成して人体Sの内外部の圧力差を抑制することで薬物の注入を容易にする。
【0031】
次いで、図6ないし図8を参照して本発明の第2実施例による薬物注入モジュールについて見ると、次のとおりである。
図6は本発明によるスリップ補助ユニット300を含む薬物注入モジュールでスリップ補助ユニット300が溝形態で形成された状態を示す図面で、図7図6の薬物注入モジュールでシリンダー100が人体Sに挿入された状態で人体Sが変形して圧力が作用することを示す図面で、図8図6の薬物注入モジュールでシリンダー100に形成されたスリップ補助ユニット300の変形された形態を示す図面である。
【0032】
本発明の第2実施例による薬物注入モジュールは、基本的な薬物注入形態は類似であるが上述したことと違って前記スリップ補助ユニット300が突起形態ではなく溝形態で形成される。
具体的に前記スリップ補助ユニット300は、図示されたように前記シリンダー100の表面で一定の深さで陷沒形成され、少なくとも一つ以上で構成されて使用者の人体Sと接触する際に不均一な圧力で前記シリンダー100の外面を加圧させる。
ここで、前記スリップ補助ユニット300は図示されたように前記シリンダー100の長手方向に沿って一定の長さを持って長く形成され、複数個で構成されて前記シリンダー100の表面に離隔配置されることができる。この時、前記スリップ補助ユニット300は前記第1実施例と同様、複数個がいずれも同一な形状を持つように構成されることもでき、少なくとも一部が相違する形状や大きさを持つように形成されることもできる。
【0033】
そして、前記スリップ補助ユニット300が前記シリンダー100の表面で陷沒される深さも相違に構成されることもできる。
本実施例において、前記スリップ補助ユニット300は前記シリンダー100の長手方向に沿ってスリット形態で長く形成され、図示されたように陷沒形成されて使用者の人体Sと接触する際に一部が陷沒された部分の内部に侵透する。
【0034】
ここで、図示されたように前記スリップ補助ユニット300の陷沒された内部に人体Sが侵透する場合、実質的に前記シリンダー100の外面に接触した部分より相対的に小さい圧力で前記スリップ補助ユニット300と接触するようになって、これによって前記シリンダー100と使用者の人体Sの接触の際に不均一な形態で接触してスリップの発生を容易にする。
また、前記スリップ補助ユニット300に侵透した人体Sの一部は実質的に接触することができず、離隔された状態で配置されることができ、これによって人体Sの内外部が連通される前記連通空間を形成することもできる。
【0035】
このように前記スリップ補助ユニット300が溝形態で形成される場合、前記シリンダー100の表面に接触する人体Sと不均一な圧力で接触するようにして摩擦力を不均一にし、前記シリンダー100の挿入と排出の際にスリップを容易にする。
さらに、図8を見ると、前記スリップ補助ユニット300が溝形態で形成されているが、前記シリンダー100の表面より内側方向の幅が相対的に大きく形成されることができる。
【0036】
具体的に、前記スリップ補助ユニット300は前記シリンダー100の表面で一定の長さを持って長く形成され、一定した幅を持つように形成される。ここで、前記シリンダー100の表面に形成された幅であるL1よりシリンダー100の内側方向に形成された溝内部の幅であるL2が相対的に大きく形成されていて、これによって使用者の人体Sがスリップ補助ユニット300の内部に侵透しても連通空間を確保することができる。
一般に、人体Sのように一定水準の弾性を持つ場合、溝内部に浸透する際に圧力をかけても進入する部分の幅より浸透された内部の幅がもっと大きく形成されることは難しく、これによって実質的に使用者の人体Sが前記スリップ補助ユニット300の内部に侵透してもL1の幅より小さい幅を持つようになる。
【0037】
本実施例において、前記スリップ補助ユニット300は台形の形態で形成されて前記シリンダーの表面に位置した部分の幅が相対的に小さいL1を持つように構成されることで、使用者の人体Sとシリンダー100が接触して加圧されても前記スリップ補助ユニット300の内部を全て満たすことはできず、前記連通空間の一部を維持することができる。
【0038】
次に、図9を参照して本発明による薬物注入モジュールのまた他の変形された形態について見ると、次のとおりである。
示された図面を見ると、前記スリップ補助ユニット300が単純な突起形態ではなく前記シリンダー100の外面の一部領域または全体で一定パターンを持って複数個の突起が相互接するように突出形成される。
【0039】
具体的に、前記スリップ補助ユニット300は示されたように複数個の湾曲された形態で突起が形成され、相互接するように配置されて特定パターンをなして前記シリンダー100の外面に形成される。
ここで、前記スリップ補助ユニット300は前記シリンダー100の外面でそれぞれの突起を区切るグルーブを持ち、これによって前記シリンダー100の挿入の際に使用者の人体Sと接触する部分が不均一な形態で接触するだけでなく、グルーブによって人体Sの内外部を連通する連通空間を形成することができる。
【0040】
勿論、前記スリップ補助ユニット300が図示されたのと違って前記シリンダーの表面全体ではなく一部にのみ形成されることもでき、突出された突起の形状が不均一な模様、形状、大きさ、高さなどを持つように形成されることもできる。
このように本発明による薬物注入モジュールの多様な実施例について見たし、前記シリンダー100、前記ピストン200及び前記スリップ補助ユニット300を含んで前記スリップ補助ユニット300によって人体Sにシリンダー100の挿入の際に不均一な圧力で接触してスリップを容易に発生させる利点がある。
【0041】
以上で説明したように、本発明の特定の実施例が説明されて図示されたが、本発明は記載された実施例に限定されず、本発明の思想及び範囲を脱することなく多様に修正及び変形できることは、この技術の分野における通常の知識を有する者に自明なことである。よって、そのような修正例または変形例は本発明の技術的思想や観点から個別的に理解しなければならず、変形された実施例は本発明の特許請求範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0042】
100:シリンダー
200:ピストン
300、400:スリップ補助ユニット
310:突起部
320:羽部
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9
【国際調査報告】