(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-22
(54)【発明の名称】容器スタックと容器棚との間で搬送容器を移載する装置
(51)【国際特許分類】
B65G 57/03 20060101AFI20230815BHJP
B65G 57/09 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
B65G57/03 D
B65G57/09
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507682
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 AT2021060430
(87)【国際公開番号】W WO2022126156
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521529488
【氏名又は名称】エンテンフェルナー・ペーター
(71)【出願人】
【識別番号】521529477
【氏名又は名称】ホルツライトナー・アンドレアス
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】エンテンフェルナー・ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ホルツライトナー・アンドレアス
【テーマコード(参考)】
3F029
【Fターム(参考)】
3F029BA01
3F029CA51
3F029CA52
3F029DA00
(57)【要約】
【課題】コンパクトな構造でありながら、容器棚の充填の程度にかかわらず、容器スタックと容器棚との間で搬送容器を確実に移載することができ、及び、好ましくは産業用ロボットのマニピュレータに装備するのに適した装置を提供する。
【解決手段】搬送容器(1)を容器スタック(4)と容器棚(22)との間で移載する装置であって、持上げ方向(H)に対して横方向において搬送容器(1)にセット可能な持上げ装置(2)を有する装置について説明する。この種の装置であって、コンパクトな構造でありながら容器棚の充填の程度にかかわらず容器スタックと容器棚との間で搬送容器を確実に移載することができ、及び、好ましくは産業用ロボットのマニピュレータに装備するのに適した装置を提供するために、持上げ装置(2)が、搬送容器(1)を持上げ方向(H)に対して横方向において移動させるためのガイドを有していること、及び、該ガイド(19)内で搬送容器(1)を持上げ位置と棚挿入位置との間で移動させるためのスライド装置(3)を有しており、該スライド装置(3)は、引張強度及びせん断強度をもって搬送容器(1)に着脱可能に接続できることが提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器スタック(4)と容器棚(22)との間で搬送容器(1)を移載する装置であって、持上げ方向(H)に対して横方向において搬送容器(1)にセット可能な持上げ装置(2)を有する装置において、
前記持上げ装置(2)が、前記搬送容器(1)を持上げ方向(H)に対して横方向において移動させるためのガイドを有すること、及び、
該ガイド(19)内において前記搬送容器(1)を持上げ位置と棚挿入位置との間で移動させるために、引張強度及びせん断強度をもって着脱可能に前記搬送容器(1)に接続できるスライド装置(3)が設けられていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
容器収容部が備わっており、該容器収容部内には、持上げ装置(2)が開いているときは持上げ方向(H)において、持上げ装置(2)がセットされているときは持上げ方向(H)に対して横方向において、前記搬送容器(1)を挿入できることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記搬送容器(1)にセットされた前記持上げ装置(2)が、前記搬送容器(1)に、持上げ方向(H)に対して横方向に延在するさねはぎ(21)で接続されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記持上げ装置(2)が、互いに相対的に移動可能な2つの持上げアーム(7、8)を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記スライド装置(3)が少なくとも1つのスライダ(16)を有しており、該スライダ(16)は、前記搬送容器(1)のロック開口(18)に係合するためにロック位置と開位置との間で移行可能なロック本体(17)を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記スライド装置(3)の前記スライダ(16)が、容器棚(22)内に配置された搬送容器(1)に接続する受渡し位置と、前記持上げ装置(2)内で搬送容器(1)を取上げる持上げ位置との間で移動可能であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記スライド装置(3)に、持上げ方向(H)に対して横方向においてスライドできるようそれぞれ持上げアーム(7、8)に支持された2つのスライダ(16)が設けられていることを特徴とする、請求項4から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記搬送容器(1)を固定するロック接続用の操作装置(11)が設けられていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記操作装置(11)が操作スライダ(12)を備えており、該操作スライダ(12)は、チェーン駆動装置(15)の、操作方向に案内される自由端(13、14)に配置されることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器スタックと容器棚との間で搬送容器を移載する装置であって、持上げ方向に対して横方向に搬送容器にセット可能な持上げ装置を有する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送ロジスティクスの分野では、特にいわゆるマニピュレータとして構成された装置が使われている。これにより個々の搬送容器を載置したり取上げたりすることが可能となる。このような装置は通常、搬送容器を取上げる際に持上げ方向において上側から搬送容器に近づく持上げ装置を備えており、その際、例えばグリッパーシステムとして構成された持上げ装置は、持上げ方向に対して横方向において搬送容器にセットされる。持上げ方向に対して横方向においてセットするということは、つまり、持上げ装置の作用面が、容器の底側ではなく、とりわけ搬送容器の側壁にセットされることを意味しており、それにより搬送容器は持上げ装置によって持上げ方向において摩擦により持上げることができる。しかしながらこのような装置の短所として、とりわけ容器棚が少なくとも部分的に充填されている場合、グリッパーシステムもしくはグリッパーシステムの旋回アームが搬送容器を対応する容器棚の区画に配置する際に十分な場所がないため、搬送容器を容器スタックから、通常は挿入側からのみアクセス可能である容器棚への移載が可能となる場合が限られてしまうことが挙げられる。逆に、満杯の容器棚から搬送容器を容器スタックへと移載することは、構造上の制約があるため基本的に不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのため、先述の装置であって、コンパクトな構造でありながら、容器棚の充填の程度にかかわらず、容器スタックと容器棚との間で搬送容器を確実に移載することができ、及び、好ましくは産業用ロボットのマニピュレータに装備するのに適した装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明ではこの課題を、持上げ装置が、搬送容器を持上げ方向に対して横方向において移動させるガイドを有していること、及び、このガイド内で搬送容器を持上げ位置と棚板挿入位置との間で移動させるための、引張強度及びせん断強度をもって搬送容器に脱着可能に接続されるスライド装置を備えていることにより解決する。
【0005】
本発明の特徴により、容器棚の充填の程度にかかわらず、一方では、持上げ方向から出発して一番上の搬送容器を容器スタックから取上げること、それを落下させずに容器棚へと移送し、そこでスライド装置を用いて持上げ方向に対して横方向において差入れることが可能となり、他方では、スライド装置を用いて搬送容器を容器棚から持上げ方向に対して横方向において抜き出し、再び持上げ方向から出発して容器スタックもしくは搬送パレットの上に積むことが可能である。このとき、搬送容器が持上げ位置において確実に、及び好ましくは確動的であって摩擦によらずに持上げ装置により保持され、それにより搬送容器も持上げ方向に対して横方向においてガイドに沿ってスライド可能となるよう、持上げ装置を搬送容器にセットできるようになっている。一方ではマニピュレーション時間が短いために産業用ロボットの加速度を高くする必要があっても搬送容器を持上げ位置で安定させられるよう、他方では搬送容器を持上げ位置と棚挿入位置との間で移動させるためにスライド装置によりかけられる力を効率的に吸収できるよう、スライド装置と搬送容器とは引張強度及びせん断強度をもって着脱可能に接続することができる。そのため本装置では、本装置が多軸産業用ロボットを含む場合であっても、搬送容器を容器棚内へと移動させる際にまず本装置が容器棚の内側領域に入り込み、そこで搬送容器を持上げ位置から開放して容器棚内に配置する必要がなくなる。これに対して本発明では、本装置を持上げ位置にある搬送容器と共に、容器棚の差入れ側の対応する棚高さで受渡し位置に位置させることができ、それにより、搬送容器は持上げ位置からガイドに沿って棚差入れ位置に移動され、それにより対応する棚区画に受渡される。特に好ましい構造条件として挙げられるのは、例えば、本発明のガイドがスライドレールで構成されており、そこに載せた搬送容器が、スライド装置を介して持上げ位置と棚差入れ位置との間で持上げ方向に対して横方向において移動可能であることである。さらに、本発明の装置は、持上げ方向に延在する回転軸に関して回転可能とすることができ、それにより容器スタック及び容器棚の互いの空間的な位置にかかわらず、搬送容器を移載することができる。
【0006】
コンパクトな構造において搬送容器の寸法にかかわらず容器スタックと容器棚との間での移載を確実に行えるようにするために、本装置が容器収容部を備えることが提案され、搬送容器は、持上げ装置が開状態の時にはこの容器収容部に持上げ方向において挿入可能であり、持上げ装置がセットされている時には持上げ方向に対して横方向においてこの容器収容部に挿入可能である。容器スタックが互いに密に並べられている場合、通常、隣接する容器スタック間には狭い隙間が設けられており、必要な場合には搬送容器の各側の隙間に手を入れて搬送容器を手動でつかめるようになっている。この背景を考慮した上で、持上げ装置が搬送容器を問題なく取上げられるよう、持上げ装置の幅は搬送容器に対して、持上げ装置を持上げ方向から出発して隙間空間にセットできる程度だけ突出していることが推奨される。
【0007】
搬送容器を持上げ装置により確実にしかも持上げ方向に対して横方向においてスライド可能に取上げるための構造的に好ましい解決法として、搬送容器にセットされた持上げ装置と搬送容器とが、持上げ方向に対して横方向において延在するさねはぎで接続(独語:Feder-Nut-Verbindung)されていることが挙げられる。搬送容器の不適切な取り扱いによりさねが損傷される危険を低減するために、搬送容器は、好ましくは、2つの対向する側壁のそれぞれにおいて持上げ方向に対して横方向において延在するガイド溝が形成されており、そのガイド溝に、持上げ装置の対応するガイドウェブがさねとして係合し、それにより一方では持上げ方向において確動ばめが形成され、他方ではガイドウェブがガイド溝に対してスライドすることにより、持上げ方向に対して横方向において搬送容器が持上げ装置に関してスライドできるようにすることができる。しかしながら原理的には、ガイド溝を持上げ装置に形成し、さねを搬送容器に配置することも可能である。
【0008】
組立空間を狭くする必要がある場合、持上げ装置が、互いに相対的に移動可能な2つの持上げアームを有することで特に有利な持上げ条件が得られる。持上げアームは例えば、持上げ方向に対して横方向において移動可能な、空気圧又は油圧で作動可能な伸縮アームもしくはスピンドルドライブを介して、互いに相対的に移動させることができる。好ましくは、各持上げアームと、取上げられた搬送容器とは、それぞれ対応するさねはぎで接続される。このとき個々の持上げアームの幅は、互いに隣接する容器スタックの2つの搬送容器の間の最小の隙間寸法よりも小さくすることができる。
【0009】
スライド装置が搬送容器に問題なく脱着できると同時に特に頑丈な構造を可能にするために、スライド装置が少なくとも一つのスライダを備えることが提案され、このスライダは、搬送容器のロック開口に係合するためのロック本体を有しており、このロック本体はロック位置と開位置との間で移行可能である。スライド装置を搬送容器に接続するには、好ましくは2つの作用要素を有するロック本体が、挿入方向において搬送容器のロック開口に挿入され、そこで2つの作用要素が挿入方向に対して横方向において互いに相対するように移動してロック開口に確動的に係合し、及び/又は、ロック開口内で広がってロック本体を摩擦により固定する。逆に、スライド装置を搬送容器から解放するには、ロック本体の作用要素は再び戻るように互いに移動する。特に好適な構造上の条件として、ロック本体が、互いに戻るように移動できるもしくは互いに相対するよう移動できる2つのロック半体を作用要素として有することが挙げられる。また、ロック本体を搬送容器に配置しないことにより、さらなる利点として、突出したロック本体が、搬送容器の不適切な取り扱いにより損傷する危険が低減されることも挙げられる。
【0010】
本発明による装置の有利な実施形態では、スライド装置のスライダは、容器棚に配置された搬送容器に接続する受渡し位置と、持上げ装置内で搬送容器を取上げる持上げ位置との間で移動することが可能である。特に良好な省スペース化を行うために、スライダは、本装置の縁領域から、持上げ方向に対して横方向において対向する縁領域へと移動可能であることが好ましい。これらの特徴により、受渡し位置と持上げ位置との間での移動の際に、搬送容器の重さが持上げ装置及び容器棚により受け止められるため、容器棚と持上げ装置との間で搬送容器を移動させる際に本装置もしくは任意の旋回アーム上の本装置の軸受にかかる転倒モーメントがわずかになる。
【0011】
本発明による装置をさまざまな幅の搬送容器に使用できるようにするため、及び、持上げ装置及びスライド装置に関して好適な構造上の条件を得られるようにするために、スライド装置が、各持上げアームについて2つの、持上げ方向に対して横方向においてスライド可能に持上げアームに支持されたスライダを有していることが推奨される。好ましくは各持上げアームは、スライダ及びそのスライダに割り当てられた調整メカニズムとともに一つの構造ユニットを形成する。調整メカニズムとして例えば、ダブルピニオン対により形成されたダブルチェーンドライブを設けることができ、その際、駆動接続のためにそれぞれのチェーン及び対応するスライダ自身にレバーアームが連結される。それぞれのピニオンに割り当てられているチェーンの走行速度が異なるため、ダブルチェーンドライブの設計及び寸法づけを相応に行うことにより、持上げ方向に対して横方向に延在するスライダの操作行程を調整することができる。代替的に、調整メカニズムはリンクガイドを形成することができ、このときリンクガイドに沿って移動可能なレバーアームがスライダに駆動接続される。特にコンパクトな構造とするため、搬送容器と持上げ装置との間がさねはぎで接続されている場合、それぞれさねとしてはたらく持上げアームのガイドウェブは、同時に、スライダを持上げ方向に対して横方向において移動させるための、スライダ用ガイドを形成することが原理的に可能である。
【0012】
積み重ねられた搬送容器同士を着脱可能に固定するために、搬送容器はロック装置を有することができ、このロック装置は、容器スタックにおいて上下方向に隣接する搬送容器のロック凹部に係合するための、係合方向に沿って移動可能なロックフックを有している。これに関係するロック凹部は、例えば、搬送容器の対向する2つの側壁に形成することができ、又は、容器天井に配置されたガイド本体により提供することも可能である。ロック装置が操作されるとロックフックはロック凹部に確動的に係合し、搬送容器は互いに対して、またそれにより係合方向とは反対方向においても、また、確動的係合により横方向に対しても固定されるため、上下方向に隣接する2つの搬送容器はすべての空間方向において互いに対してそろえられ、及び、互いに固定される。
【0013】
このような背景において、このような搬送容器を容器スタックと容器棚との間で問題なく移載できるようにするために、ロック接続のための操作装置を設けることが提案される。この操作装置により、搬送容器を固定するための先述のロック装置により形成されたロック接続を解除することができ、それにより、持上げるべき搬送容器を開放して移動させることができる。持上げアームが2本ある場合、これら持上げアームのそれぞれに、対応する操作装置を割り当てることができる。
【0014】
この点において構造上特に好適な条件が得られるのは、操作装置が、チェーンドライブの自由端に配置された、操作方向に案内される操作スライダを有する場合である。特にコンパクトな構造を可能にするため好ましくは、対応するチェーンドライブは持上げアーム内に収容される。解除すべきロック接続の実施形態に応じて、操作スライダは例えば、その自由端にスラスト面を形成することができ、それにより、操作スライダにより、例えばばね仕掛けのロック要素を有するロック装置に、問題なく力をかけることができる。
図面には、本発明の対象が例示的に図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】開いた持上げ装置において持上げ方向に設置する本発明の装置を備える互いに隣接する3つの容器スタックの概略正面図。
【
図4】作動される持上げ装置における
図3に一致する図。
【
図5】第1の実施形態において持上げ位置にあるスライド装置を備える本発明の装置の部分的に書かれた側面図。
【
図6】受渡し位置にあるスライド装置を備える
図5に一致する詳細図。
【
図7】ロック位置におけるロック本体を備える本発明のスライダの概略斜視図。
【
図8】開位置におけるロック本体を備える
図7に一致する図。
【
図9】別の実施形態における本発明のスライド装置の概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明による装置は、持上げ方向Hに対して横方向において搬送容器1にセット可能な持上げ装置2、ならびに、搬送容器1に引張強度及びせん断強度をもって着脱可能に接続可能なスライド装置3を備える。
図1に示すように、搬送容器1は、互いに隣接する容器スタック4上に配置されており、これら容器スタックは、例えばパレット5上に載置されている。図示された実施形態において持上げ装置2は、例えば油圧で作動する伸縮アーム6によって互いに相対的に移動可能な2つの持上げアーム7、8を有している。持上げ装置2を支持する旋回アームが示されていることからもわかるように、本装置はさらに産業用ロボットを備えることもできる。
【0017】
搬送容器1を取上げるために、持上げ装置2は、持上げ方向Hから来て、容器スタック4の一番上の搬送容器1に近づき、持上げアーム7、8を介して持上げ方向Hに対して横方向において搬送容器1にセットされる。互いに隣接する容器スタック4同士の間の隙間が狭いにもかかわらず持上げ装置2が搬送容器1を問題なく取上げられるようにするために、個々の持上げアーム7、8の幅は、互いに隣接する容器スタック4の2つの搬送容器1の間の隙間の最小寸法より小さくすることができる。
【0018】
図2、
図3、
図4を見ると、本例において上下に積み重ねられた搬送容器1には、互い同士を脱着可能に固定するためのロック装置9が設けられていることが分かる。ロック装置9は、例えば、係合方向に沿って移動可能なロックフックを有しており、これは、同じ容器スタック4においてその下に位置する搬送容器1のロック凹部に係合するためのものである。ロック凹部は例えば、本例のように搬送容器1の容器天井にそれぞれ配置されているガイド本体10により提供することができる。そのため、容器スタック4から搬送容器1を問題なく取上げられるようにするために、本発明による装置は、ロック装置9により形成されたロック接続を解除するための操作装置11を有することができる。操作装置11は、ロック装置9に力をかけるために例えば操作スライダ12を有することができ、この操作スライダ12は、操作方向に案内される、チェーンドライブ15の自由端13、14に配置される。コンパクトな構造とするために、チェーンドライブ15は持上げアーム7、8内に収容することができる。
図2からも分かるように、スライド装置3は少なくとも1つのスライダ16を有することができ、このスライダは、引張強度及びせん断強度をもって脱着可能な接続を形成するために、搬送容器1のロック開口18に係合するためのロック本体17を有している。
【0019】
図3及び
図4によると持上げ装置2は、搬送容器1を持上げ方向Hに対して横方向において移動させるための、ガイドウェブ19及びガイド溝20という形でのガイドを備えている。これに対して搬送容器1には例えばガイド溝20が形成されており、それにより、
図4に示すように搬送容器1にセットされた持上げ装置2と搬送容器1との間には、持上げ方向Hに対して横方向に延在するさねはぎ21が形成される。これにより、ガイドウェブ19をガイド溝20に対してスライドさせることにより、搬送容器1を、持上げ方向Hに対して横方向において、持上げ装置2に関してスライドさせることが可能となる。
【0020】
図5には、持上げ装置2により取上げられ、容器棚22の差入れ側において位置決めされ、持上げ位置にある搬送容器1が示されており、この搬送容器1は、引張強度及びせん断強度をもってスライド装置3に着脱可能に接続されている。スライド装置3は、それぞれ持上げアーム7、8に持上げ方向Hに対して横方向において移動可能に支持された2つのスライダ16を有している。これらスライダ16はそれぞれ、搬送容器1のロック開口18に係合するためのロック本体17を有している。さらに、スライド装置3は、持上げアーム7、8内に収容された調整メカニズム23を備えている。
図5及び
図6に示すように調整メカニズムは、ダブルピニオン対24により形成されるダブルチェーンドライブとすることができる。ダブルピニオンは、それぞれ直径の異なる2つのピニオン25、26を有しており、それにより、直径の小さいピニオン25にはチェーン27が、直径の大きいピニオン26にはチェーン28が割り当てられているため、チェーン27の走行速度はチェーン28よりも明らかに遅い。レバーアーム29は、チェーン27、28及びスライダ16に連結されている。それにより、調整メカニズム23を介してスライダ16を
図5に示す持上げ位置から
図6に示す受渡し位置に移動させることができ、それにより
図6からわかるように搬送容器1は棚挿入位置にある。また、
図6からは特に、搬送容器1のためのガイドは同時に、スライダ16を持上げ方向Hに対して横方向に移動させるためのガイドとすることができることが見て取れる。
【0021】
図7及び
図8はそれぞれスライダ16の詳細図である。スライダのロック本体17が搬送容器1のロック開口18に挿入されると、ロック本体17は
図7に示すようなロック位置に移行し、引張強度及びせん断強度をもって脱着可能な接続を形成することができる。このときロック本体17は例えば2つのロック本体半体30を備えており、これらは挿入方向に対して横方向において互いに相対するように移動してロック開口18に確動的に係合し、及び/又は、ロック開口18内でロック本体17が広がって摩擦により係合する。このときこの調整のための動きは、例えば、油圧シリンダ31によって引起こされる。
図8ではロック本体半体30が元の位置に戻っており、それによりロック本体17は開位置にあり、ロック開口18から引出せるようになる。
【0022】
図9には、調整メカニズム23のさらなる実施形態が図示されている。ここでは調整メカニズム23は、垂直方向に延在するリンクガイド33、及び、水平方向に延在し、湾曲したリンクガイド34を有するリンク32を有することができる。スライド16は、スライド16に連結されたレバーアーム35を介して、リンク32内において垂直ガイドに支持された、レバーアーム35用の駆動装置36に駆動連結されている。さらに、レバーアーム35には、湾曲したリンクガイド34に係合する、詳しく図示されていないガイドピンが設けられている。駆動ユニット36を介してレバーアーム35に回転運動がかけられると、駆動ユニットが垂直リンクガイド33に沿って移動する一方で、レバーアーム35においてガイドピンを有する部分は、湾曲したリンクガイド34に沿って移動する。その結果、スライダ16も持上げ方向Hに対して横方向において移動する。
【符号の説明】
【0023】
H 持上げ方向
1 輸送容器
2 持上げ装置
3 スライド装置
4 容器スタック
5 パレット
6 伸縮アーム
7 持上げアーム
8 持上げアーム
9 ロック装置
10 ガイド本体
11 操作装置
12 操作スライダ
13 自由端
14 自由端
15 チェーンドライブ
16 スライダ
17 ロック本体
18 ロック開口
19 ガイドウェブ
20 ガイド溝
21 さねはぎ
22 容器棚
23 調整メカニズム
24 ダブルピニオン対
25 ピニオン
26 ピニオン
27 チェーン
28 チェーン
29 レバーアーム
30 ロック本体半体
31 油圧シリンダ
32 リンク
33 リンクガイド
34 リンクガイド
35 レバーアーム
36 駆動ユニット
【国際調査報告】