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特表2023-536004制御された穿孔位置によるモアレの低減
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-22
(54)【発明の名称】制御された穿孔位置によるモアレの低減
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20230815BHJP
   G03B 21/56 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
H04N5/74 C
G03B21/56
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509556
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(85)【翻訳文提出日】2023-02-09
(86)【国際出願番号】 US2021045619
(87)【国際公開番号】W WO2022036012
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】20190641.9
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】63/064,517
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ,マーティン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】リピー,バーレット
【テーマコード(参考)】
2H021
5C058
【Fターム(参考)】
2H021BA01
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA05
5C058EA31
(57)【要約】
1つ以上の穿孔パターン方法が適用され、画像ディスプレイスクリーンのための準ランダムパターンを形成する穿孔の空間分布を生成する。画像ディスプレイスクリーンは、準ランダムパターンを形成する穿孔の空間分布により穿孔される。画像レンダリング光は、光プロジェクタにより、画像レンダリング環境内にインストールされた画像ディスプレイスクリーンに向けて放射される。光プロジェクタから放射される画像レンダリング光の少なくとも部分は、画像ディスプレイスクリーンにより視聴者に向けて反射される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像ディスプレイスクリーンであって、
画像レンダリング動作におけるモアレパターンを低減するために準ランダムパターンを形成する穿孔の空間分布を含み、
前記画像ディスプレイスクリーンは、光プロジェクタから放射される画像レンダリング光の少なくとも部分を視聴者に向けて反射するよう構成され、
前記画像ディスプレイスクリーンは、1つ以上の継ぎ目の端に沿って結合される複数のウェブを含み、
前記画像ディスプレイスクリーン上の穿孔の空間分布は、前記1つ以上の継ぎ目の端に向かって前記準ランダムパターンから規則的な穿孔パターンになる、画像ディスプレイスクリーン。
【請求項2】
前記準ランダムパターンは、前記画像ディスプレイスクリーンの1つ以上の領域に渡りハーフトーン技術を適用することにより生成される2次元パターンである、請求項1に記載の画像ディスプレイスクリーン。
【請求項3】
前記準ランダムパターンは、前記画像ディスプレイスクリーンの1つ以上の領域に渡りノイズ注入技術を適用することにより生成される2次元パターンである、請求項1に記載の画像ディスプレイスクリーン。
【請求項4】
前記準ランダムパターンは、前記画像ディスプレイスクリーンの1つ以上の領域に渡り2つ以上の準ランダムパターン生成技術の組み合わせを適用することにより生成される2次元パターンであり、
2つ以上の準ランダムパターン生成技術の前記組み合わせは、ハーフトーン技術、ノイズ注入技術、ディザリング技術、又は他のパターン生成技術、のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の画像ディスプレイスクリーン。
【請求項5】
前記視聴者は、前記画像ディスプレイスクリーンの前に居て、画像ディスプレイスシステムは、前記画像ディスプレイスクリーンの背後にあるオーディオスピーカセットと関連して動作するよう構成され、
前記画像ディスプレイスクリーンの前記穿孔は、前記オーディオスピーカセットにより生成される音声を前記画像ディスプレイスクリーンを通じて前記視聴者へと通過させるよう構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の画像ディスプレイスクリーン。
【請求項6】
映画館、劇場、遊園地、展示ホール、家庭環境、バー、クラブ、又は他の会場、のうちの1つで動作するよう構成される請求項1~5のいずれか一項に記載の画像ディスプレイスクリーン。
【請求項7】
前記視聴者は、前記画像ディスプレイスクリーンから指定された視距離より離れて位置する、請求項1~6のいずれか一項に記載の画像ディスプレイスクリーン。
【請求項8】
前記画像ディスプレイスクリーン上の穿孔の空間分布は、前記画像ディスプレイスクリーンから指定された視距離に位置する前記視聴者により視覚的に理解可能な寸法の領域について一様である、請求項1~7のいずれか一項に記載の画像ディスプレイスクリーン。
【請求項9】
前記準ランダムパターンは、画像レンダリング動作においてモアレパターンを生成するために規則的な穿孔パターンより少なくなる、請求項1~8のいずれか一項に記載の画像ディスプレイスクリーン。
【請求項10】
画像ディスプレイスクリーンを製造する方法であって、
1つ以上の穿孔パターン方法を適用するステップであって、画像レンダリング動作におけるモアレパターンを低減するために、前記画像ディスプレイスクリーンのための準ランダムパターンを形成する穿孔の空間分布を生成する、ステップと、
前記準ランダムパターンを形成する穿孔の前記空間分布により、前記画像ディスプレイスクリーンを穿孔するステップと、
前記画像ディスプレイスクリーンの1つ以上の継ぎ目の端に沿って結合される複数のウェブを設けるステップと、
を含み、
前記画像ディスプレイスクリーン上の穿孔の前記空間分布は、前記1つ以上の継ぎ目の端に向かって前記準ランダムパターンから規則的な穿孔パターンになる、方法。
【請求項11】
前記準ランダムパターンは、前記画像ディスプレイスクリーンの1つ以上の領域に渡りハーフトーン技術を適用することにより生成される2次元パターンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記準ランダムパターンは、前記画像ディスプレイスクリーンの1つ以上の領域に渡りノイズ注入技術を適用することにより生成される2次元パターンである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記準ランダムパターンは、前記画像ディスプレイスクリーンの1つ以上の領域に渡り2つ以上の準ランダムパターン生成技術の組み合わせを適用することにより生成される2次元パターンであり、
2つ以上の準ランダムパターン生成技術の前記組み合わせは、ハーフトーン技術、ノイズ注入技術、ディザリング技術、又は他のパターン生成技術、のうちの1つ以上を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記視聴者は、前記画像ディスプレイスクリーンの前に居て、前記画像ディスプレイスクリーンは、前記画像ディスプレイスクリーンの背後にあるオーディオスピーカセットと関連して動作するよう構成され、
前記画像ディスプレイスクリーンの前記穿孔は、前記オーディオスピーカセットにより生成される音声を前記視聴者へ向けて前記画像ディスプレイスクリーンを通過させるよう構成される、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記画像ディスプレイスクリーンは、映画館、劇場、遊園地、展示ホール、家庭環境、バー、クラブ、又は他の会場、のうちの1つで動作するよう構成される、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記視聴者は、前記画像ディスプレイスクリーンから指定された視距離より離れて位置する、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記画像ディスプレイスクリーン上の穿孔の空間分布は、前記画像ディスプレイスクリーンから指定された視距離に位置する前記視聴者により視覚的に理解可能な寸法の領域について一様である、請求項10~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記準ランダムパターンは、画像レンダリング動作においてモアレパターンを生成するために規則的な穿孔パターンより少なくなる、請求項10~17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、米国仮特許出願番号第63/064,517号、2020年8月12日出願、及び欧州特許出願番号第20190641.9号、2020年8月12日出願の優先権を主張する。両出願は、参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、概して、画像ディスプレイに関し、特に画像ディスプレイ又はスクリーンにおいて制御された穿孔位置によるモアレの低減に関する。
【背景技術】
【0003】
デジタル映画設備のスクリーンは、スクリーンの背後にあるオーディオスピーカから視聴者に向けて音波を通過させる規則的にパターン化された穿孔を有する。そのような映画設備では、画像をレンダリングする光波、デジタル映画プロジェクタ(又は任意のデジタルプロジェクタ)から放射されて、そのようなスクリーン上に投影され、スクリーンから視聴者に向けて反射される。プロジェクタからスクリーン上へと放射された光は、スクリーンの反射率の振幅変動の空間分布パターンにより変調される。これらの振幅変動は、少なくとも部分的に、スクリーン上の穿孔の存在により強く影響される又は影響を受ける。スクリーン上の穿孔、及び投影画像からのピクセルの視覚的表現が有理数の関係を形成する空間周波数を有するとき、より低い空間周波数の視覚的知覚可能なビートが生じ、かなり目立つようになる。(2つの空間周波数:ピクセルパターンの空間周波数と穿孔パターンの空間周波数の比が2つの整数値の比として表すことができる場合、2つの空間周波数の間で有理数の関係が形成される。)この種の視覚的アーチファクトは、モアレパターンとして知られ、コンテンツ制作者によっては画像内に示されない又はそのように意図されないが、空間周波数の間の特定の関係及び相互作用、又は穿孔パターン及び空間周波数の変動、又は画像内の画像特徴若しくはテクスチャの変動により引き起こされる。
【0004】
本章に記載されるアプローチは、追求される可能性のあるアプローチであるが、必ずしも以前に考案された又は追求されアプローチであるとは限らない。従って、特に断りの無い限り、本章に記載されるアプローチのいずれも、それらが本章に含まれるというだけで従来技術と認められるものと考えられるべきではない。同様に、1つ以上のアプローチに関して特定される課題は、特に示されない限り、本章に基づき任意の従来技術の中で認識されたものと想定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明は、限定ではなく、添付の図面の図中の例を用いて説明され、図中の同様の参照符号は同様の要素を表す。
【0006】
図1A】例示的な変更された固定穿孔パターンを示す。
図1B】変更された固定穿孔パターンに重ね合わされた例示的な正方形ピクセルパターンを示す。
図1C図1Bに示したようなピクセルパターンにより生成できる例示的なモアレパターンを示す。
【0007】
図2A】例示的な準ランダム穿孔パターンを示す。
図2B】準ランダム穿孔パターンに重ね合わされた例示的な正方形ピクセルパターンを示す。
図2C図2Bに示したようなピクセルパターンにより生成できる例示的なモアレパターンを示す。
【0008】
図3A】例示的な映画を示す。
図3B】例示的なスクリーンを示す。
【0009】
図4】例示的な処理フローを示す。
図5】本願明細書に記載されるコンピュータ又はコンピューティング装置が実装され得る例示的なハードウェアプラットフォームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
制御された穿孔位置によるモアレ(Moire)の低減に関連する例示的な実施形態が以下に説明される。以下の詳細な説明を通じて、説明を目的として、本発明の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が説明される。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細のうちの一部を有しないで実行されてよいことが明らかである。他の例では、よく知られた構造及び装置は、本発明を抑止し(occluding)、曖昧にし、又は不明瞭にすることを避けるために、徹底的に詳細に記載されない。
【0011】
例示的な実施形態は、以下の概要に従い説明される。
1.概略
2.規則的な穿孔パターン
3.準ランダム穿孔パターン
4.システム構成
5.例示的な処理フロー
6.実装メカニズム-ハードウェア概要
7.均等物、拡張、代替、等
【0012】
<1.概略>
この概略は、本発明の例示的な実施形態の幾つかの態様の基本的説明を提示する。この概略は例示的な実施形態の広範囲の又は網羅的な要約ではないことに留意する。更に、この概略は、例示的な実施形態の任意の特定の重要な態様又は要素を識別するもの、又は特に例示的な実施形態若しくは概して本発明の任意の範囲を表すものとして理解されることを意図していないことに留意する。この概略は、例示的な実施形態に関連する幾つかの概念を要約及び簡略化された形式で提示しているだけであり、以下に続く例示的な実施形態のより詳細な説明の単なる概念的な序章として理解されるべきである。別個の実施形態が本願明細書に記載されたが、本願明細書で議論した実施形態及び/又は部分的実施形態の任意の組み合わせは、更なる実施形態を形成するために結合されてよい。
【0013】
ここで説明する技術の下では、スクリーン又は画像ディスプレイ上の穿孔位置は、モアレ(Moire)パターンが減少又は除去されるような準ランダムパターンで生成されることがある。これらの場所でスクリーンに穴を開けたり、穴を作ったりすることで、スクリーンの後ろにある(オーディオ)スピーカから発生する音(波)を視聴者/観客に相対的に自由に伝播させることができる。スクリーンは映画館、映画館、娯楽施設、遊園地など、モアレが大きな問題となる場所に設置されることがある。
【0014】
一部の運用シナリオでは、ハーフトーン技術を使用して、空間的にランダムであるが、スクリーン上で不均一として視覚的に観察できる低周波数パターンがないかほとんどない準ランダムパターンの穿孔位置を生じる又は生成することがある。これらの技術は、スクリーンの背後から音が通過するために必要な穿孔密度と領域を維持しながら、穿孔分布の均一性を提供し、画像レンダリング操作で生成されるモアレパターンを低減又は回避することができる。
【0015】
一部の運用シナリオでは、ノイズ生成/注入技術を使用して、市販のデジタル穿孔や標準的な穿孔パターンなどの通常の穿孔パターンを変更し、結果として得られる穿孔位置がモアレパターンを誘発しやすい規則的なグリッドを形成しないようにすることができる。さらに、任意又は代替として、フィルタリングを適用して、規則的な穿孔グリッドのグリッド点又は頂点のx及びy位置に追加できるハイパスフィルタ処理された空間ランダム又は準ランダムノイズ(例えば、一様な振幅分布などである)を生成することができる。
【0016】
選択された量のハイパスフィルタ処理されたノイズは、スクリーン上にレンダリングされた画像の視覚的特徴が、指定された距離以上で人間の視覚系によって更に低域通過フィルタリングされることを考慮して、指定された距離以上の視聴者に対して、結果としてスクリーン上に表示される準ランダムパターンの不均一性を軽減又は防止するために実装されることがある。さらに、任意又は代替として、選択されたノイズの量は、例えばスクリーンを形成するために使用されるウェブの端に穿孔位置を配置することを避けるために、規則的な穿孔グリッドの穿孔ピッチよりも大幅に小さく設定することができる。
【0017】
ここに記載されている穿孔位置は、1つ以上のスクリーン材料ウェブ(例えば、スクリーン素材のロールからカットされて)で作られたスクリーン上の(既存の論理的だが物理的には見えない)基準穿孔グリッドに基づいて導出される。スクリーンを形成するためのスクリーン材料ウェブの切断と結合は、スクリーンに論理的に課された基準穿孔グリッドの均一性に影響を与えるDCシフトを導入することなく、基準穿孔グリッド内の元のグリッド点位置を参照して実行することができる。したがって、スクリーン材料のウェブは、結果として生じるスクリーンのDCシフトによって引き起こされる目に見えるアーチファクトを生成することなく、基準穿孔グリッドを基準とし継ぎ合わせ、縫い合わせ、及び/又は溶接することができる。
【0018】
さらに、ノイズ生成/注入技術、ハーフトーン技術などの準ランダム穿孔位置生成技術は、ウェブの端に近づくにつれて、通常のグリッドポイント又は頂点からのノイズ又は空間的変位の振幅を減らすために修正及び/又は結合されることがある。したがって、穿孔の位置は、半分の穿孔、目に見えるミスアライメントなどのウェブの端の周りに目に見えるアーチファクトを作成しないように、ウェブの端に向かって元の通常の穿孔パターンになっていく又は単純にカットオーバすることができる。
【0019】
本願明細書に記載される例示的な実施形態は、画像ディスプレイシステムに関連する。画像ディスプレイシステムであって、
準ランダムパターンを形成する穿孔の空間分布を含む画像ディスプレイスクリーンと、
前記画像ディスプレイスクリーンに向けて画像レンダリング光を放射する光プロジェクタと、
を含む画像ディスプレイシステム。画像ディスプレイスクリーンは、光プロジェクタから放射される画像レンダリング光の少なくとも一部を視聴者に向けて反射する。
【0020】
本願明細書に記載される例示的な実施形態は、画像ディスプレイシステムに関連する。1つ以上の穿孔パターン方法が適用され、画像ディスプレイスクリーンのための準ランダムパターンを形成する穿孔の空間分布を生成する。画像ディスプレイスクリーンは、準ランダムパターンを形成する穿孔の空間分布により穿孔される。画像レンダリング光は、光プロジェクタにより、画像レンダリング環境内にインストールされた画像ディスプレイスクリーンに向けて放射される。光プロジェクタから放射される画像レンダリング光の少なくとも部分は、画像ディスプレイスクリーンにより視聴者に向けて反射される。
【0021】
ここで説明する実施形態は、画像ディスプレイスクリーンであって、
光プロジェクタから放射された画像レンダリング光の少なくとも一部を視聴者に向けて反射させるよう構成され、前記画像ディスプレイスクリーンは、画像レンダリング操作におけるモアレパターンを低減するために、準ランダムパターンを形成する穿孔の空間分布を含む、画像ディスプレイスクリーンに関するものである。
【0022】
実施形態では、画像ディスプレイスクリーンは、1つ以上の継ぎ目の端に沿って結合される複数のウェブを含む。実施形態では、画像ディスプレイスクリーン上の穿孔の空間分布は、1つ以上の継ぎ目の端に向かって、準ランダム穿孔パターンから規則的な穿孔パターンになっていく又はカットオーバされる。
【0023】
ここで説明する実施形態は、画像ディスプレイスクリーンを製造する方法であって、
1つ以上の穿孔パターン方法を適用するステップであって、画像レンダリング動作におけるモアレパターンを低減するために、前記画像ディスプレイスクリーンのための準ランダムパターンを形成する穿孔の空間分布を生成する、ステップと、
前記準ランダムパターンを形成する穿孔の前記空間分布により、前記画像ディスプレイスクリーンを穿孔するステップと、
前記画像ディスプレイスクリーンの1つ以上の継ぎ目の端に沿って結合される複数のウェブを設けるステップと、
を含む方法に関する。前記画像ディスプレイスクリーン上の穿孔の前記空間分布は、前記1つ以上の継ぎ目の端に向かって前記準ランダムパターンから規則的な穿孔パターンになっていく又はカットオーバされる。
【0024】
ここで説明される好適な実施形態及び一般的原理及び特徴に対する種々の変更が当業者に直ちに明らかになる。したがって、請求の範囲は、本願明細書で示された実装を限定することを意図せず、ここで説明された原理及び特徴と整合する最も広い範囲と考えられる。
【0025】
<2.規則的な穿孔パターン>
スクリーン上の穿孔と、プロジェクタからスクリーンに投影され、スクリーンから反射される画像内のピクセルの視覚表現との相互作用から生成されるモアレパターンの強度と可視性は、プロジェクタからのピクセルのピクセルパターンと、穿孔の穿孔パターンの相対的な間隔、穿孔のサイズ、プロジェクタからのピクセルパターンの(例えば、輝度、クロミナンスなど)振幅に依存する。最悪のモアレパターンは、ピクセルパターンの空間ピッチと有理数の関係を形成する空間ピッチを持つ穿孔パターンの結果として発生する可能性がある。例えば、視覚的に目立つビートやモアレパターンは、穿孔パターンがピクセルパターンの空間ピッチと同じかその倍数の空間ピッチの場合に発生しやすくなる。
【0026】
モアレパターンを減少又は防止する方法は、デモアレ(de-Moire)法と呼ばれることがある。デモアレ法の例としては、プロジェクタで投影レンズの焦点を外す方法がある。この方法では、モアレパターンを減らすことができるが、画像全体の解像度を不必要に低下させるリスクがある。レンズの焦点がぼけると、レンズの変調伝達関数(modulation transfer function (MTF))が装置又は設計に依存した/センシティブな方法で大幅に変更される可能性がある。焦点ぼけは比較的高い空間周波数(例えば、人間の視覚などで知覚できる全空間周波数の上部に向かって、又はその中)にのみ影響すると予想されるが、投影レンズの設計によっては、比較的低い空間周波数(例えば、人間の視覚などによって知覚できる全空間周波数の低い部分に向かって、又はその中)にも影響する可能性がある。例えば、投影された画像内のピクセルの視覚表現における比較的低い空間周波数は、このようなデモアレ法の影響を受けることがある。
【0027】
実際には、デモアレと焦点ぼけのバランスを取ろうとしながら、投影レンズで適切な量の焦点ぼけを実現することは困難な場合がある。映画館や劇場は、複数の保守技術者によって運営される場合がある。投影レンズの焦点の再調整や焦点の調整は、映画館や劇場の業務を行うために入ってきた保守技術者が最初に行うことの1つである場合がある。技術者は、モアレパターンの問題、問題を軽減するために使用された以前の調整、又は以前の調整がモアレパターンの問題と投影された画像の解像度に与える影響に精通していない場合がある。したがって、技術者が適切な量のリフォーカス又はデフォーカスがすでに実行されているか、又は実行される予定であるかを判断することはほとんどない。また、技術者が、実行又は実行されるリフォーカス又はデフォーカスがモアレパターンの問題を軽減又は悪化させるのに役立つかどうかを判断することもほとんどない。
【0028】
もう1つのデモアレ方法の例は、デジタル穿孔パターン(例えばハークネス(Harkness)など)のような変更された固定穿孔パターンを使用してモアレパターンを減らすことである。
【0029】
図1Aは、垂直及び水平の空間次元を持つ2次元空間で表される変更された固定穿孔パターンの例を示している。変更された穿孔パターンは、穿孔の2次元配列を含み、各々が図1Aでは黒い実線の円で表されている。標準的な正方形又は長方形の穿孔パターンとは異なり、変更された穿孔パターンには、隣接する(穿孔)行と比較して1/2穿孔空間オフセットを持つ交互(穿孔)行がある。同様に、変更された穿孔パターンには、隣接する(穿孔)行と比較して1/2穿孔空間オフセットを持つ交互(穿孔)行がある。交互の(穿孔)行に使用される1/2の穿孔空間オフセットは、交互の(穿孔)列に使用される1/2の穿孔空間オフセットと異なる場合があるが、必須ではない。
【0030】
図1Bは、変更された固定穿孔パターン(例えば、図1A等)に重ね合わされた例示的な正方形ピクセルパターンを示す。正方形ピクセルパターンは、ピクセルの2次元配列で構成され、各ピクセルは、図1Bの正方形ピクセルパターン内の白い正方形で表される。変更された穿孔パターン内の(穿孔)列に沿った穿孔(図1Bの黒い実線の円、これは図1Aの円と同じであってよい)は、ピクセルパターン内の対応するピクセル列に沿って、ピクセルとの関係で様々な空間オフセット、例えば穿孔が埋め込まれているか、少なくとも一部が重なっている、白い正方形を持つ。同様に、変更された穿孔パターン内の(穿孔)行に沿った穿孔(黒い実線の円)は、ピクセルパターン内の対応するピクセル行に沿って、ピクセルとの関係で様々な空間オフセット、例えば穿孔が埋め込まれているか、少なくとも一部が重なっている、白い正方形を持つ。
【0031】
図1A及び図1Bに示されているような変更された固定穿孔パターンは、(それでも)モアレパターンを生成しやすい可能性がある。図1Cは、図1Bに示されているようなピクセルパターン内のピクセルの視覚表現が、変更された固定穿孔パターンの空間周波数と有理数の関係にある空間周波数を含む場合に生成される可能性があるモアレパターンの例を示している。図1Cに示されているようなモアレパターンは、ピクセルパターンの空間周波数又はピクセルの視覚表現と、図1A又は図1Bの穿孔パターンの空間周波数が、互いに類似又は倍数である場合に、特に顕著であるか、最悪である可能性がある。
【0032】
ここで使用されるように、ピクセルの視覚表現は、スクリーン上に表示されるピクセルの色、輝度、及び/又はクロミナンスを指す場合がある。ピクセルの視覚表現は、映画/画像/ビデオの表示操作で画像データに受信されたピクセルのピクセル値に基づいて設定される場合がある。
【0033】
標準的な正方形又は長方形の穿孔パターンよりも改善されているが、変更された固定穿孔パターンは、例えば映画館や映画館などで、モアレパターンの問題を十分に軽減又は解消する可能性は低い。
【0034】
<3.準ランダム穿孔パターン>
ここに記載されている技術の下では、画面又は画像ディスプレイ(例えば、画像ディスプレイ、60フィートのシネマスクリーンなど)上の穿孔位置は、画像レンダリング操作においてスクリーン上でモアレパターンが生成されない又は最小化されるように、準ランダムな方法で生成又は実装することができる。
【0035】
図2Aは、垂直及び水平の空間次元を持つ2次元空間で表されるスクリーン又は画像ディスプレイ上に作成された穿孔の準ランダム穿孔パターンの例を示している。準ランダム穿孔パターンは、穿孔の2次元(準ランダム)空間分布を含み、各々が図2Aでは黒い実線の円で論理的に表されている。スクリーン上に実際に孔を開けられた又は実装されたとしてここに記載されている穿孔は、円形、楕円形、多角形、不規則な形状などを含むがそれに限定されない様々な閉じた形状のいずれのものであってもよい。幾つかの運用シナリオでは、穿孔は、円形の形状であり、特定の寸法、サイズ又は直径のものであって、会場内の特定の視聴距離を超えて(人間の)視聴者の空間解像度(又は角度解像度)未満になるように選択される。会場内の画像ディスプレイ操作は、2D又は3Dの画像をスクリーン又は画像ディスプレイに投影するために1つ以上のプロジェクタで実行され、これは、視聴者に見える画像をレンダリングする目的で、入射光の少なくとも一部を視聴者に向けて反射する。
【0036】
他のアプローチにおける穿孔パターン(例えば、標準的な正方形/長方形の穿孔パターン、修正穿孔パターンなど)とは異なり、図2Aの準ランダム穿孔パターンは、視覚的に識別可能な規則的パターン(例えば、クロスハッチパターンなど)を持たない穿孔からなり、それにもかかわらず、十分に遠くの(人間)視聴者には均一に見える。
【0037】
ここで使用されるように、「均一」とは、スクリーン上の穿孔の密度が均一(例えば、0.1%、1%、2%又は別の百分位数の公差内など)であることを指す場合がある。さらに、任意又は代替として、「均一」とは、均一であるスクリーンの単位面積あたりの穿孔の総数を指す場合がある。ここで、均一性を測定するために使用される単位面積は、人間の目によって識別可能な面積(例えば、Human Visual System又はHVSなどで表される)匹敵する、人間の目によって識別可能な面積より小さい、等であってよい。
【0038】
ここでいう規則的パターンとは、一定の空間オフセットの繰り返しによって形成されるパターンを指すことがある。規則的パターンの例としては、クロスハッチパターン、正方形又は長方形パターン、マトリクスパターン、斜めパターン、同心円パターン、オフセットの有無による規則的パターンの組み合わせなどのいずれかが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0039】
視覚的に認識可能な規則的パターンとは、人間の視覚システムの空間分解能能力(例えば、網膜視、中心窩視などで)内で目に見えて認識可能な(パターン)サイズ、次元及び/又は繰り返しの規則性を持つ規則的パターン(又は規則的パターン部分)を指すことがある。
【0040】
図2Bは、準ランダム穿孔パターン(例えば、図2A等)に重ね合わされた例示的な正方形ピクセルパターンを示す。上述のように、正方形ピクセルパターンは、ピクセルの2次元配列で構成され、各ピクセルは、正方形ピクセルパターン内の白い正方形で表される。準ランダム穿孔パターン内の穿孔(黒い実線の円)は、ピクセルパターンの中で、ピクセルとの関係で様々な個々の空間的変位、例えば穿孔が埋め込まれている又は少なくとも一部が重なっている白い正方形を持つ。
【0041】
図2A及び図2Bに示されているような準ランダム穿孔パターンを使用して、モアレパターンに関連する視覚的アーチファクトを除去又は大幅に削減することができる。図2Cは、図2Bに示したようなピクセルパターン内のピクセルの視覚表現のときに生成され得る例示的な(最悪の)モアレパターンを示す。準ランダム穿孔パターン内の穿孔が不規則又は視覚的にランダムに分布していることを考えると、ピクセルパターンの視覚的表現における空間周波数と、モアレパターンに関連する視覚的アーチファクトを生成する準ランダム穿孔パターンの空間周波数との間に、モアレパターンを誘発する有理数の関係を十分に有意な程度に形成することは困難である。その結果、図2Cに示されているようなモアレパターンは、図1Cに示されているようなモアレパターンが存在しないか、又ははるかに深刻ではない可能性があり、したがって、実際の画像レンダリング操作において視聴者には見えないか、はるかに視覚的に気づかれない可能性がある。
【0042】
スクリーン又は画像ディスプレイ上に準ランダムパターンの穿孔位置を生成するために、ここに記載されているように、1つ以上の穿孔位置生成方法を個別に又はシステムによって組み合わせて使用することができる。幾つかの運用シナリオでは、穿孔位置生成方法は、ディザリング技術、ボイド及びクラスタ技術、テッセレーション技術、確率的スクリーニング、直接二分探索(direct binary search (DBS))技術、エラー拡散技術、周波数変調(frequency modulated (FM))技術などを含むがこれらに限定されない、1つ以上のハーフトーン技術の任意の組み合わせを実装するハーフトーン方法である場合がある。
【0043】
<4.システム構成>
図3Aは、例示的な映画館300を示す。2次元及び/又は3次元の画像/ビデオコンテンツは、映画館(300)に配置された1つ以上のプロジェクタ(例えば、316、デジタルレーザプロジェクタ又はDLPなど)でレンダリングすることができる。ここに記載されているプロジェクタ(例えば、316など)は、光を生成しスクリーン(例えば画像ディスプレイなど)314に投影するために、光エンジン、プリズム、光学系、デジタルマイクロミラー装置又はDMDなどを含むことができる。プロジェクタ(316)からの投影光は、スクリーン(314)から視聴者領域(例えば、観客エリア、着席エリア、指定エリアなど)312内の1人以上の視聴者に向けて反射される。1つ以上のスピーカ318をスクリーン(314)の背後に置く又は配置することができる。これらのスピーカ(318)は、プロジェクタ(316)からスクリーン(314)に投影された光によってレンダリングされた画像内に描写された視覚的シーン内、中、及び/又は外に位置するオーディオソース(例えば、文字、楽器、オブジェクトなど)からの音を描写する音を発する。スクリーン(314)は、様々な実施形態において、単一のウェブ又は複数のウェブで構成されている場合がある。
【0044】
図3Bは、複数のウェブ(例えば、302-1~302-4など)と継ぎ合わされ、縫い合わされ、及び/又は溶接されたスクリーン(例えば、図3Aの314、画像ディスプレイなど)の例を示している。複数のウェブ内の隣接するウェブ(例えば、302-1と302-2、302-2と302-3など)は、縫い目(例えば、306など)に沿って物理的に結合されてもよい。各ウェブは、例えば、特定のスクリーン素材のロールから派生又は切断されたもの、特定のスクリーン素材のロールから1ヤードの幅など、複数のウェブの一部又は全部を論理的に分割して、全体的な基準パターン304の複数のセクション(例えば、310など)を形成することができる。例示のみを目的として、基準パターン(304)は長方形のグリッドパターンであってもよい。基準パターン(304)は物理的ではなく、むしろ論理的であってもよく、したがって視聴者に見える視覚的特徴を持たないことがある。基準パターン(304)又はその中のセクション(例えば、310など)は、準ランダムパターンで穿孔位置を生成するための出発点又は初期条件として使用されることがある。
【0045】
図3Bに示されているように、複数のセクション(例えば、310など)の一部又は全部の各セクションは、さらに論理的に(例えば、目に見えないなど)候補位置(例えば、308など)に分割されることがあり、そのうちの幾つかは、穿孔を配置又は実装する位置として選択又は識別されることがある。準ランダムパターンの穿孔位置は、ここで説明する穿孔生成方法を使用して、基準パターン(304)の複数のセクション(例えば、310など)の候補位置(例えば、308など)のセットから選択されることがある。
【0046】
基準パターン(304)のセクション(例えば、310など)の位置は、例えば、基準パターン(304)の左上のグリッド点又は頂点のように、基準パターン(304)に関して(例えば、配列インデックス、座標値、インデックス値、行と列の値などにより)指定又は定義されることがある。同様に、穿孔の位置は、穿孔の位置が存在するセクションの左上のグリッド点又は頂点のように、規則的なグリッドパターン(304)のグリッド点又は頂点に関して(例えば、配列インデックス、座標値、インデックス値、行と列の値などにより)指定又は定義されることがある。
【0047】
例えば、複数の候補位置(例えば、308など)が基準パターン(304)のセクションに存在することがある。セクションは、図3Bに示されているように、2次元(2D)セクション配列を形成する複数のセクション(例えば、310など)の1つであることがある。幾つかの運用シナリオでは、セクションの位置は、参照パターン(304)の左上のグリッド点又は頂点に関して、セクション配列インデックス(又は2Dインデックスなど)で指定又は定義されることがあり、そのうちの1つは2次元セクション配列の水平方向に沿っており、もう1つは2次元セクション配列の垂直方向に沿っている。
【0048】
候補位置(例えば、308など)は、図3Bに示すようにセクション内に存在し、セクション内で2次元(2D)の候補位置配列を形成する複数の候補位置のうちの1つであってよい。セクション内に存在する候補位置(例えば、308など)は、セクションのセクション配列インデックスによって指定されたセクションの位置と、セクションの左上のグリッド点又は頂点に対する候補位置(例えば、308など)の(相対)位置によって識別され、候補位置配列インデックス(又は2Dインデックスなど)の1つはセクション内の2D候補位置配列の水平方向に沿っており、もう1つはセクション内の2D候補位置配列の垂直方向に沿っている。
【0049】
穿孔位置は、ここで説明する穿孔生成方法を使用して生成することができる。穿孔位置は、参照パターン(304)の一部又はすべてのセクション内の一部又はすべての候補位置から、参照パターン(304)の候補位置の(例えば、真)部分集合として選択することができ、その結果、穿孔位置が存在する(参照パターン(304)内の)セクションとの関連で、様々な個別の空間変位を伴って配置され、参照パターン(304)とは異なる準ランダムパターンを形成する。
【0050】
幾つかの運用シナリオでは、ここに記載されている穿孔生成方は、Ulichneyのvoid-and-cluster initial pattern(VACip)技術のような(例えば、反復的、再帰的など)ハーフトーン技術を実装又は利用して、準ランダムパターンを生成することができる。ハーフトーン技術は、スクリーン全体又はその一部(例えば、ウェブ、単一素材のウェブ又は複数のウェブ上の連続したセクションのグループなど)に個別に適用することができる。これらの技術を使用して、スクリーン又は画像ディスプレイの候補位置から、空間的にランダムなパターン(例えば、基準パターン(304)と比較した場合、規則的パターンと比較した場合など)を生成することができる。さらに、オプション又は代替として、これらの技術を実装して、スクリーン上で不均一としてスクリーン上で観察される可能性のある低周波数パターンを回避又は大幅に減らすことができる。
【0051】
ハーフトーン技術で生成された準ランダム穿孔パターンは、(スクリーン又は画像ディスプレイ上の)穿孔密度、(スクリーン又は画像ディスプレイ上の)単位面積にわたる穿孔の総数が、HVSが空間的に解決できる値と同等かそれ以下であるなどの点で、均一性を提供又は維持する。そのように生成された準ランダム穿孔パターンを使用して、スクリーン又は画像ディスプレイ上で画像レンダリング操作を行うと、モアレパターンがまったく生成されないか、ほとんど生成されない。さらに、均一な穿孔密度と、それに対応する比較的細かいスケール、例えば、視聴者の視覚が空間的に解決できるレベル以下の単位面積など、の集約された穿孔領域により、スクリーンの背後にあるスピーカからの音をインピーダンス無く又は僅かなインピーダンスで通過させることができる。
【0052】
スクリーン又はそのウェブに穿孔、パンチ、又はその他の方法で穿孔を開けるために使用される穿孔ツールは、ここに記載されているようにハーフトーン技術によって生成された穿孔位置を指定する穿孔位置データで駆動することができる。
【0053】
幾つかの運用シナリオでは、ここに記載されている穿孔生成方法は、準ランダムパターンを生成するためにノイズ生成技術を実装することができる。ノイズ生成技術を使用してノイズを生成し、指定された(例えば、均一な)密度の穿孔を含む、図3Bなどの参照パターンと同じであっても又は同じでなくてもよい参照穿孔パターン-を、準ランダムパターンに変更するために使用することができる。参照穿孔パターンは、市販のデジタル穿孔パターン(Digital Perforation Pattern)、又は規則的穿孔グリッド(若しくは規則的パターンの穿孔グリッド)などの別の標準的穿孔パターンと同じ場合があり、画像レンダリング操作でモアレパターンを生成しやすい可能性がある。
【0054】
より具体的には、ノイズを使用して、規則的穿孔グリッド内のグリッド点(又は頂点)の異なる場所(例えば、空間次元x及びyなどで表される)に対する様々な空間変位を生成できる。ノイズは、モアレパターンを減少又は回避するのに十分な量の高周波ノイズにすることができるが、スクリーン上の穿孔分布の不均一性を増加させるほどの大きさではない。
【0055】
幾つかの実施形態では、ノイズは、遠くで見たときにスクリーン上の準ランダムパターンの不均一性を減らすために、均一な振幅分布(例えば、通過周波数において、参照規則的グリッド点又は頂点からの格子線からの最大許容距離、参照規則的グリッド線からの最大許容距離、など)を持つ高域通過フィルタリング(例えば、2次元フィルタ、カーネル分離可能フィルタなど)で生成されることがある(人間の目で低域通過フィルタリングされる)。異なる空間方向に沿ったノイズの振幅は、異なってもよく、又は同じであってもよい。例えば、空間軸xに沿ったノイズの振幅は、ノイズの振幅とは異なる場合も同じ場合もある。さらに、任意又は代替として、ここに記載されている空間変位の角度は、ノイズから生成又は導出される場合がある。
【0056】
高域通過フィルタリングのためのフィルタリング操作パラメータ(例えば、カットオフ周波数、振幅、フィルタ係数、フィルタタップ数など)は、コンピュータ支援モデリング(例えばMATLAB(登録商標)シミュレーションなど)又は実証研究を通じて設定、選択、及び/又は決定される場合がある。
【0057】
例えば、フィルタリング操作パラメータを範囲、値などで変化させて、これらの変化したフィルタリング操作パラメータから生成された準ランダムパターンが、スクリーン上にレンダリングされた視覚コンテンツと相互作用して、視覚的に重要なモアレパターンを生成するかどうかを決定することができる。その間、フィルタリング操作パラメータの値が変化して試行されている間に、スクリーンの種類及び/又はサイズ、試聴距離、ウェブの数、ウェブの種類、画像解像度(例えば、4K、8Kなど)、プロジェクタのメーカ、種類及び/又はモデル、穿孔の密度、サイズ及び/又は形状、スピーカの数及び種類、投影レンズのフォーカス及び/又はデフォーカスなどの他の非フィルタリング操作パラメータは固定又は変化している場合があり、変化して試行された値の中からフィルタリング操作パラメータの最適値を決定又は選択する。フィルタリング操作パラメータの最適値は、最適化操作で使用されるテスト画像又は実画像のモアレパターンを回避又は減少させ、穿孔の空間的位置へのノイズの注入によって生じる可能性のある不均一性を回避又は減少させるために十分なノイズを生成する場合がある。したがって、穿孔の空間的位置における空間的変動及び/又はノイズは、真のランダムな方法とは対照的に、準ランダムな方法で(例えば、最適化された操作パラメータ値を持つハーフトーン又はノイズ注入アルゴリズムなどにより)スクリーン又は画像ディスプレイ上に生成及び分布される場合がある。
【0058】
ノイズ生成/注入技術で生成された準ランダム穿孔パターンは、(スクリーン又は画像ディスプレイ上の)穿孔密度、(スクリーン又は画像ディスプレイ上の)単位面積にわたる穿孔の総数が、HVSが空間的に解決できる値と同等かそれ以下であるなどの点で、均一性を提供又は維持する。そのように生成された準ランダム穿孔パターンを使用して、スクリーン又は画像ディスプレイ上で画像レンダリング操作を行うと、モアレパターンがまったく生成されないか、ほとんど生成されない。さらに、均一な穿孔密度と、それに対応する比較的細かいスケール、例えば、視聴者の視覚が空間的に解決できるレベル以下の単位面積など、の集約された穿孔領域により、スクリーンの背後にあるスピーカからの音をインピーダンス無く又は僅かなインピーダンスで通過させることができる。
【0059】
スクリーン又はそのウェブに穿孔、パンチ、又はその他の方法で穿孔を開けるために使用される穿孔ツールは、ここに記載されているようにノイズ生成/注入技術によって生成された穿孔位置を指定する穿孔位置データで駆動することができる。
【0060】
幾つかの運用シナリオでは、規則的な穿孔パターンの規則的なグリッド点(又は頂点)に対する空間変位を表すノイズの量を、規則的な穿孔パターンの穿孔ピッチよりも大幅に小さく(例えば、1/8、1/4、1/2など)制御できる。これは、ウェブの端にある穿孔(穴)位置の存在を減らしたり、回避したりするために使用される場合がある。
【0061】
穿孔位置が参照穿孔グリッドなどの参照グリッド又はパターンに基づいて導き出される運用シナリオでは、スクリーン全体(又は画像ディスプレイ)に結合、継ぎ目、縫い目、及び/又は溶接するために使用されるウェブの切断と結合は、スクリーンの全体的な規則的パターンの均一性又はノイズや様々な空間変位を通じてスクリーンの規則的パターンから生成されるスクリーンの準ランダムパターンの均一性に影響を与えるDCシフト(例えば、隣接する2つのウェブの継ぎ目の端に沿ったピッチは、一定のオフセットによってシフトされるなど)を導入することなく、参照グリッド又はパターンで表されるグリッド位置に基づいて行うことができる。その結果、ウェブなどのスクリーン材料は、目に見えるアーチファクトを生成することなく、継ぎ目、縫い目、及び/又は溶接することができる。
【0062】
一部の運用シナリオでは、準ランダム穿孔パターンを生成するために使用されるノイズ生成技術を変更して、穿孔の場所が規則的な穿孔パターンになるようにウェブの端に近づくにつれて、ノイズの振幅を減らすことができ、そこから、ノイズに対応する空間変位を変化させることによって準ランダム穿孔が生成される。極端な例としては、単にウェブの端に向かって(元の)規則的な穿孔グリッドへとカットオーバされることが考えられる。つまり、画像ディスプレイスクリーン上の穿孔の空間分布は、ウェブの端へ向かって、例えば継ぎ目の端で、準ランダム穿孔パターンから規則的な穿孔パターンへと(例えば、連続的に)遷移する。これらの修正のいずれかを使用して、ウェブのエッジとその隣接するウェブの両側が同じ(元の事前に変更された)規則的な穿孔グリッドに収束する、なっていく、及び/又はカットオーバするため、隣接するウェブと結合するときに、ウェブの端に目に見えるアーチファクトが生成されるのを防ぐことができる。
【0063】
同様に、一部の運用シナリオでは、ハーフトーン(又はディザリング)操作の強度を下げるために、ハーフトーン又はディザリングによって準ランダム穿孔が生成される規則的な穿孔パターンに穿孔の場所が近づくように、ハーフトーン又はディザリングを変更することができる。つまり、画像ディスプレイスクリーン上の穿孔の空間分布は、ウェブの端へ向かって、例えば継ぎ目の端で、準ランダム穿孔パターンから規則的な穿孔パターンへと(例えば、連続的に)遷移する。これらの変更は、ウェブの端に目に見えるアーチファクトが生成されないようにするために使用できる。
【0064】
一部の運用シナリオでは、ハーフトーン技術によって、スクリーンに継ぎ合わされたり、縫い合わされたり、及び/又は溶接されたりした複数のウェブの間で、ウェブの端に沿って不完全な穿孔(例えば、半穿孔など)が発生する可能性がある。ハーフトーニングアルゴリズムでは、穿孔で空隙を埋める場合や、既存の穿孔のクラスタで多数の穿孔の輻輳を回避する場合に、円/球などの構成要素を使用して隣接領域をカバーすることがある。例えば、ハーフトーニングアルゴリズムは、穿孔を空隙に配置することを優先し、スクリーンの複数の隣接領域又は領域に広がるクラスタに穿孔を配置しないように動作することがある。その結果、幾つかの穿孔は、ハーフトーニングアルゴリズムによって、隣接する2つのウェブの端に沿って配置されることがある。実際には、隣接する2つのウェブ上の半分の穿孔又は不完全な穿孔が正確に一致しない場合があり、その結果、半分又は不完全な穿孔(例えば、目に見える可能性がある、等)がウェブの端に沿って現れる。幾つかの運用シナリオでは、ここで説明するように、スクリーンの準ランダムパターンの穿孔がスクリーン上のウェブの端に沿って半分又は不完全な穿孔を残さずに1つのウェブ内に配置されるように、穿孔の場所への高周波ノイズなどのノイズの注入又は生成が制限される場合がある。
【0065】
説明のみの目的で、スクリーンは長方形であってよいと説明されている。ただし、様々な実施形態において、準ランダムな穿孔パターンは、長方形又は非長方形、規則的又は非規則的な形状、曲線又は平面形状などのスクリーンに実装される場合があることに注意する必要がある。
【0066】
例えば、他のアプローチでは、曲線又はドーム型の画像ディスプレイのために、又はその中で規則的な穿孔パターンが実装されるが、モアレパターンの問題は、曲線又はドーム型の画像ディスプレイの特定の領域で顕著になり、簡単に目立つようになる可能性がある。これは、規則的な穿孔パターンの空間周波数応答とピクセルの視覚表現における空間周波数との間に、有理数の関係(例えば、類似性、多重度など)が存在する可能性が比較的高いためである。
【0067】
これとは対照的に、ここに記載されている技術の下では、準ランダム穿孔パターンは、図2Bに示されているような正方形のスクリーンドア(又は白い正方形内のピクセルを囲む黒い帯)によってピクセルが形成されるのではなく、曲線又はドーム型の画像ディスプレイ上のピクセルの位置に応じて一定又は異なるサイズの他の形状によって形成される可能性がある曲線又はドーム型の画像ディスプレイで実装されることがある。このような準ランダムパターンは、曲線又はドーム型の画像ディスプレイと共に使用して、モアレパターンの問題を軽減又は防止し、音の伝播のための穿孔の均一性を提供し、ディスプレイ上の端/継ぎ目又はその他の場所に沿った視覚的なアーチファクトを軽減又は防止することができる。
【0068】
ここに記載されているように、スクリーン又は画像ディスプレイによって多種多様な材料(例えば、ウェブなど)を使用することができる。材料の例としては、合成材料、プラスチック又はビニール材料、洗浄可能な材料、縫い目のある材料、ステッチ材料、溶接材料、平面又は不可視の縫い目で接合された材料、コーティングされたグレインスクリーン材料、偏光銀スクリーン材料、レーザプロジェクションスクリーン材料、織布材料、不織布材料、ランダムな織布材料又はランダムな織模様を持つ材料、天然又は非天然材料などのいずれかが含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0069】
スクリーン(例えば、60フィートスクリーン、50フィートスクリーン、10フィートスクリーンなど)のピクセルサイズ(又は図2Bの白い正方形のようなピクセルのサイズ)は、スクリーン上でレンダリングされる画像の画像解像度とスクリーンのサイズに完全に又は部分的に依存する場合がある。穿孔のサイズと密度は、スクリーン(例えば、図3Aなど)と共に展開されるオーディオ構成(例えば、スピーカ構成など)に完全に又は部分的に依存する場合がある。スクリーン上の穿孔の密度とサイズは、音声がスクリーンの後ろのスピーカから視聴者/リスナーに伝播するのに十分な大きさであり、穿孔が視聴者/リスナーにとって視覚的に重要でない、又は知覚できないように十分に小さいように、特別に選択される場合がある。一部の運用シナリオでは、ここで説明するようなスクリーン上のピクセルは、スクリーン上の穿孔よりも細かい空間解像度を持つ場合がある。例えば、ピクセルサイズが穿孔間又は穿孔間の平均間隔又は距離よりも大きい場合がある。一部の運用シナリオでは、ここで説明するようなスクリーン上のピクセルは、スクリーン上の穿孔よりも粗い空間解像度を持つ場合がある。例えば、ピクセルサイズが穿孔間又は穿孔間の平均間隔又は距離よりも小さい場合がある。幾つかの運用シナリオでは、ここで説明するようなスクリーン上のピクセルは、スクリーン上の穿孔と同等の空間解像度を持つ場合がある。
【0070】
説明のためだけに、ハーフトーン法又はノイズ発生/注入法のいずれかによって、準ランダム穿孔パターンが生成される場合があると説明した。なお、様々な実施形態において、ハーフトーン法とノイズ発生法の組み合わせなどの他の方法を使用して、準ランダム穿孔パターンが生成される場合がある。例えば、ノイズ発生/注入法は、通常のグリッドパターンではなく、ハーフトーン法から生成されたパターンから適用される場合がある。また、任意又は代替として、ノイズ発生/注入法から生成されたパターンからハーフトーン法を適用する場合がある。
【0071】
<5.例示的な処理フロー>
図4は、本発明の例示的な実施形態による例示的な処理フローを示す。幾つかの実施例では、コンピュータ装置又はコンポーネント、穿孔工具、穴あけ工具、シーミング工具、溶接工具、ステッチ工具、スクリーン材料組立工具、画像処理システム、画像プロジェクタ、オーディオシステムなどの1つ以上で構成されるシステムが、この処理フローを実行することができる。ブロック402で、システムは、1つ以上の穿孔パターン方法を適用して、モアレパターンを低減するために、画像ディスプレイスクリーンのための準ランダムパターンを形成する穿孔の空間分布を生成する。準ランダムパターンは、画像のレンダリング操作でモアレのパターンを生成しやすい比較的低周波のパターンがない、空間的にランダムな穿孔パターンを表す。ここで使用される「低い周波数」、「比較的低い周波数」、「低い空間周波数」、「比較的低い空間周波数」などは、HVSが視覚的に知覚できる全空間周波数スペクトルの下部又はその方向にある空間周波数を指す。代替として又は等価的に、「低い周波数」、「比較的低い周波数」、「低い空間周波数」、「比較的低い空間周波数」などは、レンダリングされた画像の画像特徴における空間周波数と同等又は複数の空間周波数などの有理数の関係を形成し、それによって画像のレンダリング操作でモアレパターンを生成する空間周波数(例えば、準ランダム穿孔パターンの空間周波数など)を指す場合がある。反対に、「高い周波数」、「比較的高い周波数」、「高い空間周波数」、「比較的高い空間周波数」などは、HVSが視覚的に知覚できる全空間周波数スペクトルの上部又はその方向にある空間周波数を指す。代替として又は等価的に、「高い周波数」、「比較的高い周波数」、「高い空間周波数」、「比較的高い空間周波数」などは、レンダリングされた画像の画像特徴における空間周波数と同等又は複数の空間周波数などの有理数の関係を形成しない、それによって画像のレンダリング操作でモアレパターンを回避する又は低減する空間周波数(例えば、準ランダム穿孔パターンの空間周波数など)を指す場合がある。
【0072】
ブロック404で、システムは、準ランダムパターンを形成する穿孔の空間分布により、画像ディスプレイスクリーンを穿孔する。ブロック406で、システムは、光プロジェクタにより、画像レンダリング光を画像レンダリング環境内にインストールされた画像ディスプレイスクリーンに向けて放射する。
【0073】
ブロック408で、システムは、画像ディスプレイスクリーンにより、光プロジェクタから放射される画像レンダリング光の少なくとも一部を視聴者に向けて反射する。
【0074】
ブロック406及び408を含まないブロック402及び404は、画像ディスプレイスクリーンを製造する方法のステップを表す。このような画像ディスプレイスクリーンの製造方法は、画像ディスプレイスクリーンの1つ以上の継ぎ目の端に沿って結合された複数のウェブを提供する追加ステップをさらに含むことができる(図4には示されていない)。画像ディスプレイスクリーン上の穿孔の空間分布は、1つ以上の継ぎ目の端に向かって、準ランダム穿孔パターンから規則的な穿孔パターンになっていく又はカットオーバされる。
【0075】
実施形態では、画像ディスプレイシステムは、準ランダムパターンを形成する穿孔の空間分布を含む画像ディスプレイスクリーンと、画像ディスプレイスクリーンに向けて画像レンダリング光を放射する光プロジェクタと、を含む。画像ディスプレイスクリーンは、光プロジェクタから放射される画像レンダリング光の少なくとも一部を視聴者に向けて反射する。
【0076】
実施形態では、準ランダムパターンは、画像ディスプレイスクリーンの1つ以上の領域に渡りハーフトーン技術を適用することにより生成される2次元パターンである。
【0077】
実施形態では、準ランダムパターンは、画像ディスプレイスクリーンの1つ以上の領域に渡りノイズ注入技術を適用することにより生成される2次元パターンである。
【0078】
実施形態では、準ランダムパターンは、画像ディスプレイスクリーンの1つ以上の領域に渡り2つ以上の準ランダムパターン生成技術の組み合わせを適用することにより生成される2次元パターンであり、2つ以上の準ランダムパターン生成技術の組み合わせは、ハーフトーン技術、ノイズ注入技術、ディザリング技術、又は他のパターン生成技術、のうちの1つ以上を含む。
【0079】
実施形態では、視聴者は、画像ディスプレイスクリーンの前に居て、画像ディスプレイスクリーンは、画像ディスプレイスクリーンの後ろのオーディオスピーカセットと関連して動作し、オーディオスピーカセットは、画像ディスプレイスクリーンの穿孔を通じて視聴者に向けて伝播する音声を同時に生成するよう構成される。
【0080】
実施形態では、画像ディスプレイシステムは、映画館、劇場、遊園地、展示ホール、家庭環境、バー、クラブ、又は他の会場、のうちの1つで動作する。
【0081】
実施形態では、視聴者は指定された視聴距離より離れて位置する。
【0082】
実施形態では、画像ディスプレイスクリーン上の穿孔の空間分布は、画像ディスプレイスクリーンから指定された視距離に位置する視聴者により視覚的に理解可能な寸法の領域について一様である。
【0083】
実施形態では、準ランダムパターンは、画像レンダリング動作においてモアレパターンを生成するために規則的な穿孔パターンより少なくなる。
【0084】
実施形態では、画像ディスプレイスクリーンは、1つ以上の継ぎ目の端に沿って結合される複数の継ぎ目を含む。
【0085】
実施形態では、画像ディスプレイスクリーン上の穿孔の空間分布は、1つ以上の継ぎ目の端において規則的な穿孔パターンになる。
【0086】
実施形態では、画像ディスプレイスクリーン上の穿孔の空間分布は、1つ以上の継ぎ目の端において規則的な穿孔パターンに切り換わる。
【0087】
様々な例の実施形態では、装置、システム、装置、又は1つ又は複数の他のコンピューティング装置が、前述の方法のいずれか又は一部を実行する。実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、1つ以上のプロセッサにより実行されると、ここで説明された方法の実行を生じるソフトウェア命令を格納している。
【0088】
別個の実施形態が本願明細書に記載されたが、本願明細書で議論した実施形態及び/又は部分的実施形態の任意の組み合わせは、更なる実施形態を形成するために結合されてよい。
【0089】
<6.実装メカニズム-ハードウェア概要>
一実施形態によると、本願明細書に記載の木j通は、1つ以上の専用コンピューティング装置により実装される。専用コンピューティング装置は、技術を実行するためにハード結線されてよく、又は技術を実行するために永久的にプログラムされた1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のようなデジタル電子装置を含んでよく、又はファームウェア、メモリ、他の記憶装置又はそれらの組み合わせの中のプログラム命令に従い技術を実行するためにプログラムされた1つ以上の汎用ハードウェアプロセッサを含んでよい。このような専用コンピューティング装置は、技術を達成するために、カスタムハードワイヤドロジック、ASIC、又はFPGAをカスタムプログラミングと結合してもよい。専用コンピューティング装置は、デスクトップコンピュータシステム、ポータブルコンピュータシステム、ハンドヘルド装置、ネットワーク装置、又は技術を実装するためにハードワイヤ-ド及び/又はプログラムロジックを組み込む任意の他の装置であってよい。
【0090】
例えば、図5は、本発明の例示的な実施形態が実装され得るコンピュータシステム500を示すブロック図である。コンピュータシステム500は、情報を通信するためのバス502又は他の通信メカニズム、及び情報を処理するためにバス502に結合されたハードウェアプロセッサ504を含む。ハードウェアプロセッサ504は、例えば、汎用マイクロプロセッサであってよい。
【0091】
コンピュータシステム500は、バス502に結合され、プロセッサ504により実行されるべき情報及び命令を格納するRAM(random access memory)又は他の動的記憶装置のようなメインメモリ506も含む。メインメモリ506は、プロセッサ504により実行されるべき命令の実行中に、時間変数又は他の中間情報を格納するためにも使用されてよい。このような命令は、プロセッサ504によりアクセス可能な非一時的記憶媒体に格納されるとき、コンピュータシステム500を、命令で指定された動作を実行するようカスタマイズされた専用マシンにする。
【0092】
コンピュータシステム500は、バス502に結合され、プロセッサ504のための静的情報及び命令を格納する、読み出し専用メモリ(ROM)508又は他の静的記憶装置を更に含む。
【0093】
情報及び命令を格納するために、磁気ディスク又は光ディスク、固体RAMのような記憶装置510が設けられ、バス502に結合される。
【0094】
コンピュータシステム500は、バス502を介して、コンピュータユーザに情報を表示する液晶ディスプレイのようなディスプレイ512に結合されてよい。英数字及び他のキーを含む入力装置514は、プロセッサ504に情報及びコマンド選択を通信するために、バス502に結合される。別の種類のユーザ入力装置は、プロセッサ504に方向情報及びコマンド選択を通信するための、及びディスプレイ512上のカーソルの動きを制御するための、マウス、トラックボール、又はカーソル方向キーのようなカーソル制御516である。この入力装置は、標準的に、第1軸(例えばx)及び第2軸(例えばy)の2軸の2つの自由度を有し、装置が平面内で位置を指定することを可能にする。
【0095】
コンピュータシステム500は、コンピュータシステムと結合してコンピュータシステム500を専用マシンにする又はプログラムする、カスタマイズされたハードワイヤドロジック、1つ以上のASIC又はFPGA、ファームウェア及び/又はプログラムロジックを用いて、本願明細書に記載の技術を実装してよい。実施形態によると、本願の技術は、プロセッサ504がメインメモリ506に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行することに応答して、コンピュータシステム500により実行される。このような命令は、記憶装置510のような別の記憶媒体からメインメモリ506に読み込まれてよい。メインメモリ506に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ504に本願明細書に記載の処理ステップを実行させる。代替の実施形態では、ハード結線回路が、ソフトウェア命令の代わりに又はそれと組合せて使用されてよい。
【0096】
用語「記憶媒体」は、本願明細書で使用されるとき、機械を特定の方式で動作させるデータ及び/又は命令を格納する任意の非一時的媒体を表す。そのような記憶媒体は、不揮発性媒体及び/又は揮発性媒体を含んでよい。不揮発性媒体は、例えば、記憶装置510のような光学又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ506のような動的メモリを含む。記憶媒体の一般的形式は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、固体ドライブ、磁気テープ、又は任意の他の磁気データ記憶媒体、CD-ROM、任意の他の光学データ記憶媒体、ホールのパターンを有する任意の物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、NVRAM、任意の他のメモリチップ又はカートリッジを含む。
【0097】
記憶媒体は、伝送媒体と異なるが、それと関連して使用されてよい。伝送媒体は、記憶媒体の間で情報を転送する際に関連する。例えば、伝送媒体は、バス502を含むワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、光ファイバを含む。伝送媒体は、無線波及び赤外線データ通信の間に生成されるような、音響又は光波の形式も取りうる。
【0098】
種々の形式の媒体は、実行のためにプロセッサ504に1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを運ぶ際に関連してよい。例えば、命令は、最初に、リモートコンピュータの磁気ディスク又は固体ドライブにより運ばれてよい。リモートコンピュータは、その動的メモリに命令をロードし、該命令をモデムを用いて電話線を介して送信できる。コンピュータシステム500のローカルにあるモデムは、電話線でデータを受信し、赤外線送信機を用いてデータを赤外線信号に変換できる。赤外線検出器は、赤外線信号の中で運ばれたデータを受信し、適切な回路が該データをバス502に配置できる。バス502は、データをメインメモリ506に運び、そこからプロセッサ504が命令を読み出し実行する。メインメモリ506により受信された命令は、任意で、プロセッサ504による実行の前又は後に記憶装置510に格納されてよい。
【0099】
コンピュータシステム500は、バス502に結合された通信インタフェース518も含む。通信インタフェース518は、ローカルネットワーク522に接続されるネットワークリンク520との2方向データ通信結合を提供する。例えば、通信インタフェース518は、ISDN(integrated services digital network)カード、ケーブルモデム、衛星モデム、又は対応する種類の電話線にデータ通信接続を提供するモデムであってよい。別の例として、通信インタフェース518は、互換LANにデータ通信接続を提供するLAN(local area network)カードであってよい。無線リンクも実装されてよい。任意のこのような実装では、通信インタフェース518は、種々の種類の情報を表すデジタルデータストリームを運ぶ電気、電磁気、又は光信号を送受信する。
【0100】
ネットワークリンク520は、標準的に、1つ以上のネットワークを通じて他のデータ装置にデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク520は、ローカルネットワーク522を通じてホストコンピュータ524に又はISP(Internet Service Provider)526により運用されるデータ機器に接続を提供してよい。ISP526は、また、現在一般に「インターネット」528と呼ばれるワールドワイドパケットデータ通信ネットワークを通じて、データ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク522及びインターネット528は、デジタルデータストリームを運ぶ電気、電磁気、又は光信号の両方を使用する。コンピュータシステム500へ及びそれからのデジタルデータを運ぶ種々のネットワークを通じる信号及びネットワークリンク520上の信号及び通信インタフェース518を通じる信号は、伝送媒体の例示的な形式である。
【0101】
コンピュータシステム500は、ネットワーク、ネットワークリンク520、及び通信インタフェース518を通じて、プログラムコードを含むメッセージを送信しデータを受信できる。インターネットでは、例えば、サーバ530は、インターネット528、ISP526、ローカルネットワーク522、及び通信インタフェース518を通じて、適切なプログラムのための要求されたコードを送信してよい。
【0102】
受信したコードは、プロセッサ504により受信されるとプロセッサ504により実行され、及び/又は後の実行のために記憶装置510若しくは他の不揮発性記憶装置に格納される。
【0103】
<7.均等物、拡張、代替、等>
以上の明細書において、本発明の例示的な実施形態は、実装毎に変化し得る多数の特定の詳細を参照して説明された。従って、本発明が何であるかの単独及び排他的な指示、及び出願人が本発明であることを意図するものは、本願により、いかなる後の補正を含む、特定の形式で発行される請求の範囲に記載される。このような請求の範囲に含まれる用語について本願明細書に明示的に記載された任意の定義は、請求の範囲において使用されるこのような用語の意味を支配するべきである。従って、請求の範囲に明示的に記載されないいかなる限定、要素、特徴、利点、又は属性は、いかなる方法でも、請求の範囲の範囲を限定すべきではない。明細書及び図面は、従って、限定的意味では無く、説明であると考えられるべきである。
【0104】
幾つかの実施形態の態様には、以下の列挙された実施例(enumerated example embodiment(EEE))が含まれる。
(EEE1)
画像ディスプレイシステムであって、
画像ディスプレイスクリーンであって、画像レンダリング動作においてモアレパターンを低減するために準ランダムパターンを形成する穿孔の空間分布を含み、前記準ランダムパターンは、画像レンダリング動作においてモアレパターンを生成しやすい比較的低周波数パターンのない空間的ランダム穿孔パターンを表す、画像ディスプレイスクリーンと、
前記画像ディスプレイスクリーンに向けて画像レンダリング光を放射するよう構成される光プロジェクタであって、前記画像ディスプレイスクリーンは、前記光プロジェクタから視聴者に向けて放射された前記画像レダリング光の少なくとも部分を反射するよう構成される、光プロジェクタと、
を含む画像ディスプレイシステム。
(EEE2)
前記準ランダムパターンは、前記画像ディスプレイスクリーンの1つ以上の領域に渡りハーフトーン技術を適用することにより生成される2次元パターンである、EEE1に記載の画像ディスプレイシステム。
(EEE3)
前記準ランダムパターンは、前記画像ディスプレイスクリーンの1つ以上の領域に渡りノイズ注入技術を適用することにより生成される2次元パターンである、EEE1に記載の画像ディスプレイシステム。
(EEE4)
前記準ランダムパターンは、前記画像ディスプレイスクリーンの1つ以上の領域に渡り2つ以上の準ランダムパターン生成技術の組み合わせを適用することにより生成される2次元パターンであり、
2つ以上の準ランダムパターン生成技術の前記組み合わせは、ハーフトーン技術、ノイズ注入技術、ディザリング技術、又は他のパターン生成技術、のうちの1つ以上を含む、EEE1に記載の画像ディスプレイシステム。
(EEE5)
前記視聴者は、前記画像ディスプレイスクリーンの前に居て、前記画像ディスプレイスクリーンは、前記画像ディスプレイスクリーンの後ろのオーディオスピーカセットと関連して動作するよう構成され、
前記オーディオスピーカセットは、前記画像ディスプレイスクリーンの前記穿孔を通じて前記視聴者に向けて伝播する音声を同時に生成するよう構成される、EEE1~4のいずれか一項に記載の画像ディスプレイシステム。
(EEE6)
前記画像ディスプレイシステムは、映画館、劇場、遊園地、展示ホール、家庭環境、バー、クラブ、又は他の会場、のうちの1つで動作するよう構成されるEEE1~5のいずれか一項に記載の画像ディスプレイシステム。
(EEE7)
前記視聴者は、指定された視距離より離れて位置する、請求項1~6のいずれか一項に記載の画像ディスプレイシステム。
(EEE8)
前記画像ディスプレイスクリーン上の穿孔の空間分布は、前記画像ディスプレイスクリーンから指定された視距離に位置する前記視聴者により視覚的に理解可能な寸法の領域について一様である、EEE1~7のいずれか一項に記載の画像ディスプレイシステム。
(EEE9)
前記準ランダムパターンは、画像レンダリング動作においてモアレパターンを生成するために規則的な穿孔パターンより少なくなる、EEE1~8のいずれか一項に記載の画像ディスプレイシステム。
(EEE10)
前記画像ディスプレイスクリーンは、1つ以上の継ぎ目の端に沿って結合された複数のウェブを含む、EEE1~9のいずれか一項の画像ディスプレイシステム。
(EEE11)
前記画像ディスプレイスクリーン上の穿孔の前記空間分布は、前記1つ以上の継ぎ目の端において規則的な穿孔パターンになる、EEE10に記載の画像ディスプレイシステム。
(EEE12)
前記画像ディスプレイスクリーン上の穿孔の前記空間分布は、前記1つ以上の継ぎ目の端において規則的な穿孔パターンに切り換わる、EEE10に記載の画像ディスプレイシステム。
(EEE13)
方法であって、前記方法は、
1つ以上の穿孔パターン方法を適用するステップであって、画像レンダリング動作においてモアレパターンを低減するために、画像ディスプレイスクリーンのために準ランダムパターンを形成する穿孔の空間分布を生成し、前記準ランダムパターンは、画像レンダリング動作においてモアレパターンを生成しやすい比較的低周波数パターンのない空間的にランダムな穿孔パターンを表す、ステップと、
前記準ランダムパターンを形成する穿孔の前記空間分布により、前記画像ディスプレイスクリーンを穿孔するステップと、
光プロジェクタにより、画像レンダリング環境にインストールされた前記画像ディスプレイスクリーンに向けて画像レンダリング光を放射するステップと、
前記画像ディスプレイスクリーンにより、前記光プロジェクタから視聴者に向けて放射された前記画像レンダリング光の少なくとも部分を反射するステップと、
を含む方法。
(EEE14)
非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、1つ以上のプロセッサにより実行されると、EEE13に記載の方法を実行させるソフトウェア命令を格納している非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
(EEE15)
機器であって、1つ以上のプロセッサと1つ以上の記憶媒体とを含み、該記憶媒体は、1つ以上のプロセッサにより実行されると、EEE13に記載の方法を実行させる命令のセットを格納している、機器。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5
【国際調査報告】