(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-22
(54)【発明の名称】バックポンピング半導体膜レーザ
(51)【国際特許分類】
H01S 5/183 20060101AFI20230815BHJP
H01S 5/14 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
H01S5/183
H01S5/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023523670
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 EP2021067461
(87)【国際公開番号】W WO2022002777
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】102020003969.3
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523000994
【氏名又は名称】トゥエンティ-ワン・セミコンダクターズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ローマン・アンドレアス・ベク
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト・ヴィッツ-ハスラー
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AB32
5F173AC04
5F173AC14
5F173AQ02
5F173AQ03
5F173AR94
5F173AR99
5F173MF02
5F173MF28
(57)【要約】
本開示は、1つの態様では、半導体膜レーザチップ(500)に関し、この半導体膜レーザチップは:- 上面(511a)を含み、上面(511a)の反対側の下面(511b)を含む平面形状のレーザ媒体(510)であって、レーザ波長λ
1の電磁放射(170)を放出するように構成されているレーザ媒体(510)と、- レーザ媒体(510)の上面(511a)および下面(511b)の一方に接合された第1のヒートスプレッダ(520a、520b)と、- レーザ媒体(510)の下面(511b)に配置された、または第1のヒートスプレッダ(520a、520b)がレーザ媒体(510)の下面(511b)に接合されている場合には第1のヒートスプレッダ(520a、520b)の下面(525b)に配置された、第1の誘電体層(535b)とを含み、ここで、第1の誘電体層(535b)は、レーザ波長λ1に対して反射性である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体膜レーザチップ(500)であって:
上面(511a)を含み、上面(511a)の反対側の下面(511b)を含む平面形状のレーザ媒体(510)であって、レーザ波長λ
1の電磁放射(170)を放出するように構成されているレーザ媒体(510)と、
該レーザ媒体(510)の上面(511a)および下面(511b)の一方に接合された第1のヒートスプレッダ(520a、520b)と、
レーザ媒体(510)の下面(511b)に配置された、または第1のヒートスプレッダ(520a、520b)がレーザ媒体(510)の下面(511b)に接合されている場合には第1のヒートスプレッダ(520a、520b)の下面(525b)に配置された、第1の誘電体層(535b)と
を含み、ここで、第1の誘電体層(535b)は、レーザ波長λ
1に対して反射性である、前記半導体膜レーザチップ。
【請求項2】
平面形状のレーザ媒体(510)は、ポンプ波長λ
1の電磁放射(150)によって光学的にポンピングされるとレーザ波長λ
1の電磁放射(170)を放出するように構成される、請求項1に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項3】
第1の誘電体層(535b)は、ポンプ波長λ
1の電磁放射(150)に対し透過性である、請求項1または2に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項4】
レーザ媒体(510)の上面(511a)に配置された、または少なくとも1つのヒートスプレッダ(520a、520b)がレーザ媒体(510)の上面(511a)に接合されている場合には少なくとも1つのヒートスプレッダ(520a、520b)の上面(525a)に配置された、第2の誘電体層(535a)をさらに含み、該第2の誘電体層(535a)は、レーザ波長λ
1に対する第1の誘電体層(535b)の透過率よりも大きい、レーザ波長λ
1に対する透過率を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項5】
レーザ媒体(510)の上面(511a)および下面(511b)の他方に接合された第2のヒートスプレッダ(520a、520b)をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項6】
レーザ媒体(510)の上面(511a)および下面(511b)の一方に隣接して配置された、または第1のヒートスプレッダ(520a、520b)および第2のヒートスプレッダ(520a、520b)の一方の、レーザ媒体(510)から遠方に向く面(521a、522b)に隣接して配置された、少なくとも第1のコンタクト層(530a、530b)をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項7】
レーザ媒体(510)の上面(511a)および下面(511b)の他方に隣接して配置された、または第1のヒートスプレッダ(520a、520b)および第2のヒートスプレッダ(520a、520b)の、レーザ媒体(510)から遠方に向く他方の面(521a、522b)に隣接して配置された、少なくとも第2のコンタクト層(530a、530b)をさらに含む、請求項6に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項8】
第1のコンタクト層および第2のコンタクト層(530a、530b)の少なくとも一方は、第1および第2の誘電体層(535a、535b)の一方が配置される開口部(532a、532b)またはアパーチャを含む、請求項6または7に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項9】
第1のコンタクト層および第2のコンタクト層(530a、530b)の少なくとも一方は、サブマウント(700)にはんだ付けするように構成された金属コンタクト層を含み、サブマウント(700)は金属体を含む、請求項6~8のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項10】
レーザ媒体(510)、第1のヒートスプレッダ(520a、520b)および第1および第2の誘電体層(535a、535b)を含む層のスタックを受けるように寸法設定された凹部(720)を有する、金属体を有するサブマウント(700)をさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項11】
第1のヒートスプレッダ(520a)または第2のヒートスプレッダ(520b)の少なくとも一方は、炭化ケイ素、ダイヤモンド、または酸化アルミニウムを含む熱伝導性材料の群から選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項12】
レーザ媒体(510)は、AlGaInAsP、AlInGaNまたはAlGaInAsSbまたはAlGaInNAsを含む半導体材料の群のうちの1つである、請求項1~11のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項13】
第1の誘電体層(535b)および第2の誘電体層(535a)の少なくとも一方は、SiO
2、Nb
2O
5、HfO
2、TiO
2、Al
2O
3およびTa
20
5を含む誘電体材料の群のうちの1つである、請求項1~12のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項14】
レーザ装置であって:
請求項1~13のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)、
ポンプ波長λ
1の電磁放射(150)を放出するように構成されたポンプレーザ(160)を含み、
ここで、該ポンプレーザ(160)は、第1の誘電体層(535b)を通して電磁放射(150)をレーザ媒体(510)の中に放出するように配置され構成される、前記レーザ装置。
【請求項15】
ポンプレーザ(160)は、少なくとも1つもしくはいくつかの端面発光レーザダイオード(162)を含む、またはポンプレーザ(160)は、少なくとも1つもしくはいくつかのレーザダイオードバーを含む、請求項14に記載のレーザ装置。
【請求項16】
ポンプレーザ(160)と半導体膜レーザチップ(500)の間の光路は、コリメート光学素子または集光光学素子を欠いている、請求項14または15に記載のレーザ装置。
【請求項17】
金属体を有するサブマウント(700)をさらに含み、ここで、半導体膜レーザチップ(500)は、サブマウント(700)にはんだ付けによって熱的に結合された少なくとも1つのコンタクト層(530a、530b)を含む、請求項14~16のいずれか1項に記載のレーザ装置。
【請求項18】
請求項1~13のいずれか1項に記載の複数のレーザチップ(500)を製作する方法であって:
基板(100)上にレーザ媒体(510)を設ける工程と、
基板から遠方に向いているレーザ媒体(510)の上面(511a)に第1のヒートスプレッダ(520a)を配置または形成する工程と、
基板(100)を除去する工程と、
第1のヒートスプレッダ(520a)から遠方に向いているレーザ媒体(510)の下面(511b)およびレーザ媒体(510)から遠方に向いている第1のヒートスプレッダ(520a)の上面(521a)の一方に、第1の誘電体層(535b)を配置または形成する工程と
を含む、前記方法。
【請求項19】
第1の誘電体層(535b)が第1のヒートスプレッダ(520a)の上面(521a)に設けられる場合に、レーザ媒体(510)の下面(511b)に第2のヒートスプレッダ(520b)を配置または形成する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
基板(100)は、所定のウェハサイズのウェハ(600)を含み、レーザ媒体(510)、第1のヒートスプレッダ(520a)および第1の誘電体層(535b)は、ウェハ(600)のサイズ全体に延びてウェハ層スタック(110)を形成し、複数のレーザチップ(500)を製作することは、ウェハ層スタック(110)を個々のレーザチップ(500)になるようにダイシングすることを含む、請求項18または19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォトニクスの分野に属し、詳細には半導体レーザの分野に属する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野で知られているように、たとえば垂直発光半導体レーザとして実現された光ポンピング半導体レーザは、高い出力パワーおよび優れたビーム特性を広い波長範囲にわたってもたらす。加えて、半導体レーザチップの外側に配置される外部共振器を設けると、たとえば、狭い線幅、調整可能な発光波長、効率的な周波数変換および/または超短パルスのレーザ光の放出を達成するように光学素子が半導体レーザの作動方法に影響を及ぼすことが可能になる。
【0003】
しかし、レーザ光の発光波長によっては、したがってまた、半導体レーザの増幅媒体の材料系によっては、このレーザ構想の実現は、現在のところ多大な技術的および資金的努力によってのみ可能である。現在のところ、大型のポンプ光源を使用する必要があり、高価な個別ヒートスプレッダが、半導体レーザ内で発生する熱エネルギーを放散するために設置される必要がある。半導体増幅媒体とヒートスプレッダの間の熱接触が、従来技術の半導体レーザではよくない。
【0004】
この技法的努力が大きいことの理由の1つは、安価な半導体レーザ用ポンプ光源が可用性に欠けることである。ポンプ光源は、広い波長範囲にわたって良好なビーム特性を必要とするので、高価なポンプ光学部品が、ポンプレーザからのポンプビームを半導体レーザのポンプスポットに集光するために使用される必要がある。しかし、ポンプ光学部品の集光レンズのサイズと集光レンズからポンプスポットまでの必要最小距離とを組み合わせることは、半導体レーザの増幅媒体と共振器内の生成レーザビームとの間の角度が90°であることによって幾何学的に制限される。
【0005】
このことは、ヒートスプレッダ20と、増幅媒体がある活性領域30と、ブラッグ反射器40とを備えた半導体ディスクレーザチップ10を有する半導体ディスクレーザを示す、
図1に例示されている。ポンプ光源レーザ60からのポンプレーザ光50は、側面15からポンプスポット35に入射する。ポンプレーザ光50は、活性領域30内でレージングを生じさせて、レーザ光70が半導体ディスクレーザチップ10の上面12から発生することになる。レーザ光75は、ミラー80によって半導体ディスクレーザの中から外へ結合される。活性領域30内でレージングを達成するには、高価な、十分に集光可能なポンプ光源レーザが使用されなければならず、さもなければ活性領域30が、あまりに大きい範囲にわたってポンピングされることになる。その結果、必要なパワー密度を活性領域30で達成してレージングを生じさせるために、より多くのポンプパワーがポンプレーザ光50に必要になり、これによりまた、さらなる熱が活性領域30に発生することになり、その結果として、ポンプパワー密度の増加が必要になり、活性領域30でのレーザ媒体の出力パワーをさらに減少させる。
【0006】
別の問題は、このような半導体レーザの、特に光ポンピング垂直発光半導体レーザの熱管理に関する。このような半導体レーザにおける熱(熱エネルギー)の分散に対処するために採用することができる3つの異なる手法がある。第1の解決策が
図1に示されており、活性領域30の増幅媒体からの熱は、半導体ミラー(ブラッグ反射器40)を介してヒートスプレッダ20(たとえばダイヤモンドから作られる)に伝達される。半導体ディスクレーザの波長範囲、したがって半導体ミラーの材料系によっては、ブラッグ反射器を介する熱伝達率が低いために、熱放散が非常に制限される。
【0007】
別の解決策が、空洞内ヒートスプレッダ220を備えた半導体ディスクレーザを示す
図2に示されている。ヒートスプレッダ220(非常に良好な光学特性のダイヤモンドでもある)が、活性領域30の増幅媒体に直接付着される。この付着させることは、純粋に機械的な圧力によって、または活性領域30とヒートスプレッダ220の間の恒久的な機械的接触を確保する中間層を存在させることによって行われる。ブラッグ反射器40は、基板200上に支持されている。両方の場合で、活性領域30とヒートスプレッダ220の間の界面225での熱放散もまた制限される。
【0008】
第3の解決策が、斜め(または傾斜)ポンピング半導体膜レーザを示す
図3に示されている。このより新たなレーザ構想では、増幅媒体を備えた活性領域30は、活性領域30の両側にある上部ヒートスプレッダ320aおよび下部ヒートスプレッダ320bと接触させてある。この構想では、
図2に示される手法と比較して、既に熱放散が大きく改善されている。ダイヤモンドに代わるものとして、炭化ケイ素をヒートスプレッダとして使用することもまた実証されている。炭化ケイ素は、プラズマ励起接合によって活性領域30の増幅媒体と直接接触させてある(非特許文献1参照)。しかし、上で論じたポンプ光学部品の幾何学的な制限は、この第3の解決策にも依然として存在する。
【0009】
光学ポンピング垂直発光半導体レーザチップは、以下で説明するように、いわゆるサブマウントの中または上に取り付けられて、半導体レーザのヒートスプレッダに連結されたヒートシンクとして機能する増幅器ユニットを形成する。論じられた解決策はすべて、増幅器ユニットの個々の1つを別々に製造する必要があるので、大量生産に適した低コストの製造プロセスにアップスケールするには限界がある。したがって、発光波長が多数の場合には、従来技術の解決策では、以下の制限のうちの少なくとも1つが伴う光ポンピング垂直発光半導体レーザの製作が可能になるだけである:増幅器ユニットの熱管理が不十分なことにより光出力パワーが低いこと、共振器形状への光ポンプ適応が不十分であること、および、大量の場合に費用対効果が大きくないか、コストが高い特殊なポンプ光源もしくはポンプ光学部品を必要とする複雑な熱管理により、個々のレーザシステムが高コストであること。その結果、従来技術の解決策は、既に商業化が可能な他の構想と比較して、これらの波長範囲では何の利点も提示しない(欠点を提示さえする)。
【0010】
したがって、従来技術の解決策は、大きい市場にとっては魅力的なものではなく、
図1および
図2に示された解決策だけが、個々の発光波長で、かつ高い単価で利用可能である。
【0011】
従来技術
光ポンピング垂直発光半導体レーザおよびその製作について記載している、いくつかの特許文献および文献記事が知られている。たとえば、特許文献1は、ダイヤモンドヒートスプレッダの使用を教示している。この特許文献に示された設計では、ウェハスケールで大量生産することができない。
【0012】
特許文献2は、効率的な熱放散のために、ヒートスプレッダの代わりに誘電体層を、増幅媒体と直接接触する反射器として使用することを教示している。増幅媒体はGaN基板上にあるIII族窒化物であるが、この出願には完全な基板除去が教示されていない。レーザ波長は、370nmから550nmまでである。
【0013】
特徴文献3は高コントラスト格子を、ダイヤモンドがヒートスプレッダとして使用された反射器として教示している。しかし、この構造は、ウェハスケールでの大量生産には適していない。ウェハスケールでの大量生産にやはり適していない別の構造は、特許文献4により知られており、この構造では機械デバイスが、増幅媒体を圧力によってヒートスプレッダに接触させるために使用されている。同様に、特許文献5もまた、増幅媒体を圧力によってヒートスプレッダと接触させるための機械デバイスの使用を教示している(「~と物理的に接触しているが接合されていない」)。
【0014】
特許文献6は、ブラッグミラー(DBR)および基板を備えた完全な増幅器チップを教示している。基板は、完全な形で存在するか、アパーチャを有する。プラズマ励起ウェハ接合はないが、純粋に機械的な接触または液体キャピラリ接合がある。
【0015】
特許文献7は、光利得材料およびヒートシンクを含む固体レーザ活性媒体を教示しており、ヒートシンクは透過性である。ブラッグミラー(DBR)が、増幅媒体とヒートスプレッダまたは外部ミラーのどちらかとの間に存在する。このことは、増幅媒体からの熱放散の減少をもたらすか、またはポンプ光学部品と増幅媒体の間の距離を制限することを必要とする。
【0016】
前述の非特許文献1は、誘電体コーティングの使用を教示していなく、また、2つの異なる波長で異なる機能を持つ誘電体コーティングには言及していない。この非特許文献の光ポンピング垂直発光レーザは、側面から斜めにポンピングされる。増幅器ユニットはホルダに留められている。
【0017】
非特許文献2は、基板の除去について教示していない。ポンプからの光は、基板を通してポンピングされる。ダイヤモンドヒートスプレッダがヒートスプレッダに、プラズマ励起を用いるのではなく液体キャピラリ接合を用いて接合される。半導体ディスクレーザをウェハスケールで大量生産することは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第8,170,073B2号(PCT出願第WO2011/031718A2号に相当)
【特許文献2】米国特許第9,124,062B2号
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0028279A1号
【特許文献4】国際公開第WO2005036702A2号
【特許文献5】米国特許第6,385,220B1号
【特許文献6】欧州特許第1720225B1号
【特許文献7】欧州特許第2996211A1号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Z.Yangら、「16W DBR-free membrane semiconductor disk laser with dual-SiC heatspreader」、Electronics Letters、Vol.54、No.7、430~432頁(2018年)
【非特許文献2】Choら、「Compact and Efficient Green VECSEL Based on Novel Optical End-Pumping Scheme」、IEEE Photonics Technology Letters、Vol.19、No.17、1325~1327頁(2007年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本明細書に記載の半導体膜レーザは、半導体膜レーザをポンピングするための幾何形状可能性の制限という従来技術の問題を克服し、同時に、増幅器ユニット全体の低コスト大量生産プロセスを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本開示では、特殊なポンプ幾何形状を可能にする新規のレーザ構想(バックポンピング半導体膜レーザ)について説明する。
【0022】
1つの態様では、本開示は半導体膜レーザチップに関する。半導体膜レーザチップは、上面および下面を含む平面形状のレーザ媒体を含む。下面は、上面の反対側にある。レーザ媒体は、レーザ波長λ1の電磁放射を放出するように構成される。半導体膜レーザチップは、レーザ媒体の上面および下面の一方に配置または接合された第1のヒートスプレッダをさらに含み、レーザ媒体の下面に配置された第1の誘電体層をさらに含む。別法として、第1の誘電体層は、第1のヒートスプレッダがレーザ媒体の下面に接合される場合には、ヒートスプレッダの下面に配置される。ここで、第1の誘電体層は、ヒートスプレッダの、レーザ媒体から遠方に向いている面に配置される。
【0023】
いずれの方法においても、また両方の代替手法でも、第1の誘電体層は、レーザ波長λ1に対して反射性である。通常、第1の誘電体層は、レーザ波長λ1に対して高度に反射性である。通常、第1の誘電体層は、レーザ波長に対して少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%の反射率を示す。
【0024】
典型的な実施態様では、第1の誘電体層は、半導体膜レーザチップの空洞のミラーまたはミラー面を提供する。第1の誘電体層は、それぞれの誘電体層を通してレーザ媒体の光ポンピングを可能にするように適切に設計される。こうして、ポンプレーザまたはポンプレーザビームと半導体膜レーザチップの間の距離、およびいくぶん接近した配置が最適化され、たとえば低減される。
【0025】
いくつかの例では、レーザ波長に対して反射性であり、ポンプレーザから放出される電磁放射に対して少なくとも部分的に透過性である、適切に設計された第1の誘電体層を利用することによって、いわゆるバックサイドポンピング半導体膜レーザチップが提供される。その結果、ポンプ光源またはポンプレーザからもたらされるレーザビームの方向は、半導体膜レーザチップのレーザ媒体から放出されるレーザビームの方向と実質的に平行になり得る。
【0026】
このような相互位置合わせは、それぞれのレーザ装置を小型化するために、ならびに、ポンプレーザを半導体膜レーザチップのレーザ媒体の上にもしくは中に集光またはコリメートするのにこれまで不可欠であった、最終の集光光学素子またはコリメート光学素子を取り除くために、特に有益である。
【0027】
通常、レーザ媒体は、様々な半導体材料または材料組み合わせからなる多数の層を含む。ヒートスプレッダは通常、明確に画定された熱伝導率を示す、かつ、レーザ媒体で生成または放出される熱エネルギーの放散をもたらす、平面形状の単結晶材料を含む。通常では、第1の誘電体層はまた、異なる材料からなる多数の個々の層を含み、それによって、特にレーザ波長に対して明確に画定された所定の光反射率を特徴とする誘電体層構造がもたらされる。
【0028】
別の例によれば、レーザまたはレーザ媒体は、ポンプ波長λ2の電磁放射によって光学的にポンピングされたときに、そのレーザ波長の電磁放射を放出するように構成される。通常、所望の波長の電磁放射を生成し、レーザ媒体の中にまたは上に放出するように構成された光源が設けられる。いくつかの例では、ポンプ光源は、ポンプレーザ、たとえば、端面発光レーザダイオードまたは多数のレーザダイオードバーを含む。
【0029】
通常、第1の誘電体層は、ポンプ波長λ2に対して少なくとも部分的に透過性である。こうして、レーザ媒体は、第1の誘電体層中を伝搬するポンプ波長λ2の電磁放射によって光学的にポンピングされる。
【0030】
別の例によれば、第1の誘電体層は、ポンプ波長λ2の電磁放射に対し透過性である。それゆえに、第1の誘電体層は、レーザ波長に対して比較的高い反射率を示し、同時に、ポンプ波長λ2の電磁放射に対して十分な透過率を示す。このように、第1の誘電体層は二重の機能をもたらす。一方では、第1の誘電体層は、半導体膜レーザチップの空洞のミラーまたはミラー層として働く。他方では、第1の誘電体層は、ポンプ波長λ2の電磁放射に対して少なくとも部分的に透過性である。それゆえに、半導体膜レーザチップのレーザ媒体は、第1の誘電体層を通してポンピングされる。
【0031】
通常、ポンプ波長はレーザ波長よりも短い。通常、ポンプ波長は、そのポンプ波長の電磁放射で適切にポンプされるときの、レーザ媒体によって生成または放出される電磁放射のレーザ波長と比較して少なくとも20nm短い。
【0032】
いくつかの例では、レーザ波長は、850nm~1200nmの間である。ここでは、ポンプ波長は約808nmでもよい。他の例では、レーザ波長は、630nm~790nmの範囲にある。ここでは、ポンプ波長は約520nmでもよい。
【0033】
別の例によれば、第1の誘電体層は、レーザ波長λ1に対して第1の透過率T1を含み、別の、それゆえに第3の波長λ3に対する第2の透過率T2をさらに含む。第2の透過率T2は第1の透過率T1よりも大きく、第3の波長λ3はレーザ波長λ1よりも短い。
【0034】
言い換えると、また、第1の誘電体層が含む反射率が比較的高いレーザ波長λ1を考慮すると、第1の誘電体層は、レーザ波長λ1よりも短い波長の電磁放射に対しては反射率が低減している。こうして、第1の誘電体層は、比較的高い反射率を特にこのレーザ波長に対して示し、ポンプ波長λ2に対しては所望の低減された反射率、それゆえに十分な透過率を有する。
【0035】
本開示に関しては、レーザ媒体の上面と下面、ヒートスプレッダの上面と下面、誘電体層および/もしくは基板の上面と下面、または他の任意の層の上面と下面は、それぞれの層または層構造の対向する面の単なる同意語であることに留意されたい。一般に、半導体膜レーザチップは、上下反対に配向されてもよい。その場合、下面が上面に変わり;逆も同様である。一般に、層または媒体の上面が第1の面とみなされ、それぞれの層または媒体の下面が第1の面の反対側の第2の面とみなされる。
【0036】
別の例によれば、半導体膜レーザチップは、レーザ媒体の上面に配置された、または少なくとも1つのヒートスプレッダの上面に配置された、第2の誘電体層をさらに含む。第2の誘電体層は、ヒートスプレッダがレーザ媒体の下面に配置または接合されている場合には、レーザ媒体の上面に配置される。第2の誘電体層は、少なくとも1つのヒートスプレッダがレーザ媒体の上面に接合されている場合には、その少なくとも1つのヒートスプレッダの上面に配置される。ここで、第2の誘電体層は、ヒートスプレッダの、その下に置かれているレーザ媒体の上面から遠方に向いている上面に配置または堆積される。
【0037】
第2の誘電体層は、レーザ波長λ1に対して明確に画定された透過率を含む。そのレーザ波長に関して第2の誘電体層は、第1の誘電体層と比較して増加した透過率を含む。それゆえに、そのレーザ波長に関して第2の誘電体層の透過率は、第1の誘電体層の透過率よりも大きい。そのレーザ波長に対して第1の誘電体層は高反射性であるが、第2の誘電体層は、そのレーザ波長に対して高透過性であり得る。通常、第2の誘電体層は、半導体膜レーザチップの層スタックの一種の反射防止コーティングとして機能または動作して、半導体膜レーザチップのいかなる空洞内反射も回避される。
【0038】
別の例によれば、半導体膜レーザチップは、レーザ媒体の上面および下面の他方の面に接合された第2のヒートスプレッダをさらに含む。いくつかの例では、第1のヒートスプレッダがレーザ媒体の上面に接合されている場合には、第2のヒートスプレッダは、レーザ媒体の下面に接合される。第1のヒートスプレッダがレーザ媒体の上面に接合され、第1の誘電体層がレーザ媒体の下面に配置されているいくつかの例では、第2のヒートスプレッダは、レーザ媒体から遠方に向いている第1の誘電体層の下面に配置される。
【0039】
他の例では、レーザ媒体が直接または間接的に第1のヒートスプレッダと第2のヒートスプレッダの間に挟まれることさえも考えられる。ここでは、第1の誘電体層は、第1または第2のヒートスプレッダの、レーザ媒体から遠方に向いている外面に堆積または配置される。いくつかの例では、レーザ媒体が第1と第2のヒートスプレッダの間に挟まれること、ならびに、第1および第2のヒートスプレッダが第1および第2の誘電体層によって少なくとも部分的に挟まれることが考えられる。
【0040】
実際上、またいくつかの例では、半導体膜レーザチップの層スタックは、第1の誘電体層を底部層として含み得る。第1の誘電体層の上に、第1および第2のヒートスプレッダの一方が設けられる。それぞれのヒートスプレッダの上には、レーザ媒体が設けられる。レーザ媒体の上には、第1および第2のヒートスプレッダの他方が設けられ、それぞれのヒートスプレッダの上部には第2の誘電体層が設けられる。
【0041】
別の例によれば、半導体膜レーザチップは、たとえば第1の金属コンタクト層として実施された、少なくとも第1のコンタクト層を含む。第1のコンタクト層は、レーザ媒体の上面および下面の一方に隣接して配置される。あるいは、第1のコンタクト層は、第1のヒートスプレッダおよび第2のヒートスプレッダの一方の、レーザ媒体から遠方に向いている面に隣接して配置される。第1のコンタクト層は通常、金属または金属層を含み、ポンプ波長λ1の電磁放射で光学的にポンピングされたときにレーザ媒体から放出または生成される熱エネルギーが放散しやすいように、ヒートスプレッダおよび/またはレーザ媒体との良好な熱接触をもたらす働きをする。
【0042】
いくつかの例では、ヒートスプレッダおよびレーザ媒体の一方にすぐ隣接して配置された、単一のコンタクト層だけが設けられる。
【0043】
半導体膜レーザチップの別の例では、第1のコンタクト層および第2のコンタクト層の少なくとも一方は、第1および第2の誘電体層の一方が配置される開口部、アパーチャまたは凹部を含む。いくつかの例では、レーザ媒体および/またはヒートスプレッダの外面のほとんど全部が、コンタクト層によって覆われる。レーザ媒体の活性横方向領域にだけ、すなわち、ポンプ波長の電磁放射によって光学的にポンピングされる、および/またはレーザ波長λ1の放射を放出するレーザ媒体の層の領域にだけ、レーザ媒体の遮られない光学ポンピングおよび/またはそのレーザ波長の放射の遮られない放出を可能にするように、それぞれのコンタクト層にアパーチャまたは開口部が設けられる。
【0044】
通常、第1および第2の誘電体層は、第1および/または第2のコンタクト層の開口部またはアパーチャの領域にだけ選択的に設けられる。
【0045】
別の例によれば、第1のコンタクト層および第2のコンタクト層の少なくとも一方は、マウントまたはサブマウントに締結、固定またははんだ付けするように構成された金属コンタクト層を含む。通常、半導体膜レーザチップ用のサブマウントまたはマウントは、金属体を含む。こうして、サブマウントに適切に固定されるか取り付けられると、第1のコンタクト層および第2のコンタクト層の少なくとも一方は、それぞれのマウントの金属体との直の機械的コンタクトを形成することができる。このようにして熱エネルギーは、金属コンタクト層からサブマウントの金属体に向けて、またその中へ容易に伝達または放散される。
【0046】
レーザ媒体から放出される熱エネルギーは、こうしてかなり効果的にレーザ媒体から、第1および第2のヒートスプレッダの少なくとも一方に、ならびに、第1および第2のコンタクト層の少なくとも一方に、また最後にマウントの金属体に移される。これにより、半導体膜レーザチップ熱管理の改善がもたらされる。
【0047】
別の例によれば、マウントまたはサブマウントは、レーザ媒体、第1のヒートスプレッダおよび第1の誘電体層を少なくとも含む層のスタックを受けるように寸法設定された凹部を有する金属体を備える。いくつかの例では、金属体の凹部の深さは、半導体膜レーザチップの層スタックの厚さと実質的に等しい。こうして、層スタックは金属体に同一平面で取り付けられ、それによって、層スタックと金属体の機械的なアセンブリおよび固定の改善が可能になる。層スタックの外面と実質的に同一平面の金属体の裏面は、サブマウントの金属体の少なくとも一部分を覆う、かつ層スタックの少なくとも一部分を覆う、はんだ箔または保持板を備える。
【0048】
別の例によれば、本開示はまた、レーザ装置に関する。レーザ装置は、上記の半導体膜レーザチップと、ポンプ波長λ2の電磁放射を放出するように構成されたポンプレーザまたはポンプ光源とを含む。ここでは、ポンプレーザまたはポンプ光源は、ポンプ波長λ2の電磁放射を第1の誘電体層を通して、上述の半導体膜レーザチップのレーザ媒体の中に放出するように配置および構成される。通常、半導体膜レーザチップは、そのレーザ波長のレーザ放射の送出元である上面を含む。半導体膜レーザチップは、ポンプレーザまたはポンプ光源の電磁放射が結合される下面をさらに含み、またはポンプ光源が半導体膜レーザチップの層スタックに連結される。
【0049】
こうして、バックサイドポンピング半導体膜レーザチップが提供される。たとえばポンプビームの形のポンプ放射は、半導体膜レーザチップによって生成または発生されるレーザ放射と同軸に伝播することができる。これにより、かなり効率的な、また、たとえばレーザ装置の小型化のための、実施態様が可能になる。ポンプレーザまたはポンプ光源は、半導体膜レーザチップの層スタックに近接して配置される。ポンプレーザまたはポンプ光源は、1mm未満、500μm未満、200μm未満、100μm未満、または50μm未満の距離のところに配置される。
【0050】
ポンプレーザまたはポンプ光源は、いかなる実質的な隙間もなしで、それゆえに半導体膜レーザチップの裏面に近接して、配置されることさえある。
【0051】
当然ながら、レーザ装置は、レーザビームを半導体膜レーザの中から外へ結合するための外部ミラーをさらに含む。外部空洞ミラーおよびポンプレーザは、半導体膜レーザチップの層スタックの両側に設けられる。
【0052】
別の例によれば、ポンプレーザは、少なくとも1つまたはいくつかの端面発光レーザダイオードを含む。あるいは、ポンプレーザは、少なくとも1つまたはいくつかのレーザダイオードバーを含む。このような、レーザダイオードの出口面でいくぶん楕円形のビームプロファイルを示すレーザダイオードまたはレーザダイオードバーでは、それぞれのレーザダイオードと半導体膜レーザチップのレーザ媒体との間の距離は、レーザダイオードから放射されるいくぶん円形または円対称のビームプロファイルが半導体膜レーザチップのレーザ媒体に存在するように選択される。レーザダイオードのビームが伝播するにつれて、長軸が第1の横方向にあるいくぶん楕円形のビームプロファイルは、いくぶん円対称のプロファイルに変わり、ビームがさらに伝播するにつれて、別の長軸が別の横方向、たとえば第1の横方向と垂直な方向にある、楕円形のビームプロファイルに変化する。
【0053】
ポンプ光源として機能するレーザダイオードと半導体膜レーザチップのレーザ媒体との間の距離を適切に選択することによって、ポンプ光源とレーザ媒体の間のいかなる集光光学構成要素および/またはコリメート光学構成要素も、旧式で不必要なものになり得る。
【0054】
レーザ装置の別の例によれば、ポンプレーザと半導体膜レーザチップの間の光路は、コリメート光学素子または集光光学素子を実質的に欠いている。このようにして、このような光学部品のかなり複雑な配置が回避されて、そのようなレーザ装置を製造するための製作コストを低減することが可能になる。
【0055】
別の例によれば、レーザ装置は、金属体を有するマウントまたはサブマウントを含む。半導体膜レーザチップは、上述の少なくとも1つのコンタクト層を含む。ここで、このレーザ装置では、半導体膜レーザチップは、半導体膜レーザがサブマウントの金属体に熱的に結合されるように、または熱的に結合されることになるようにして、サブマウントに配置される。ここで、最終アセンブリ構成では、金属コンタクト層として実施されるコンタクト層は、金属体の一部分と直に表面接触していることができる。互いに直に接触しているそれぞれの金属表面は、それぞれの熱的結合をもたらす。いくつかの例では、コンタクト層とサブマウントの金属体の間の熱的結合は、はんだ付けによってもたらされる。
【0056】
別の態様によれば、上記の複数のレーザチップを製作する方法が提供される。この方法は、レーザ媒体を基板上に提供する工程と、第1のヒートスプレッダをレーザ媒体の上面に配置または形成する工程とを含み、レーザ媒体の上面は、基板から遠方に向いている。その後、後続の工程で、基板が除去される。この場合、残留層スタックは、レーザ媒体およびヒートスプレッダを含むか、これらで構成されるだけである。
【0057】
後続の工程で、第1の誘電体層が次に、レーザ媒体の下面または第1のヒートスプレッダの上面に配置され、たとえば堆積または接合される。ヒートスプレッダの上面は、レーザ媒体から遠方に向いている。レーザ媒体の下面は、レーザ媒体の上面から遠方に向いている。最後に、いくつかの例では、レーザ媒体は、第1のヒートスプレッダと第1の誘電体層の間に挟まれる。他の例では、第1のヒートスプレッダが、レーザ媒体と第1の誘電体層の間に挟まれる。基板の除去は、第1の誘電体層を層スタックに堆積する前または後に行われてよい。基板の除去は、レーザ媒体上に第1のヒートスプレッダを設けた後に行われるべきである。
【0058】
いくつかの例では、レーザ媒体が基板上に設けられる場合には、レーザ媒体の上面に配置または形成されるのは第1のヒートスプレッダだけである。ヒートスプレッダは通常、基板の機械的安定性にいくらか匹敵する機械的安定性を含む。その後、第1のヒートスプレッダがレーザ媒体の上面に付着されると、基板は、たとえば適切なエッチングプロセスによって除去される。基板がレーザ媒体の下面から除去されると、レーザ媒体の下面に誘電体層が設けられる。別法として、レーザ媒体の下面にはまた、第2のヒートスプレッダも設けられる。次に、第1および/または第2の誘電体層がそれぞれ、第1のヒートスプレッダおよび/または第2のヒートスプレッダの外側に向く面に設けられ、これら外側に向いている面は、レーザ媒体から遠方に向いている。
【0059】
別の例によれば、第1の誘電体層がレーザ媒体の上面に配置または形成されている場合には、基板を除去すると、第1の誘電体層がレーザ媒体またはレーザ媒体の層に十分な機械的安定性をもたらさない可能性があるので、レーザ媒体の機械的完全性が損なわれるおそれがある。ここでは、十分な機械的安定性のある層スタックを確立するように、第1の誘電体層の上部に少なくとも1つの別の層が設けられる。その後、基板はレーザ媒体の下面から除去され、次に、レーザ媒体の下面に第1のヒートスプレッダが設けられる。
【0060】
別の例では、基板が提供される。基板上には、レーザ媒体が設けられるか配置される。レーザ媒体の上部には、第1のヒートスプレッダが設けられるか形成される。次に、第1のヒートスプレッダの上部に第1の誘電体層が形成される。第1の誘電体層の堆積または配置を第1のヒートスプレッダ上にした後に、またはする前に、基板が除去される。基板を除去することにより、最終的に、第1の誘電体層を通り抜け、第1のヒートスプレッダを通り抜けてレーザ媒体に入る、ポンプ波長の電磁放射の遮られない伝達が可能になる。
【0061】
基板の除去は、一般には少なくとも1つのヒートスプレッダをレーザ媒体上に設けること、または形成することによって、レーザ媒体の層が機械的に安定化されるとすぐに行われる。通常、いくつかの例では、少なくとも第1の誘電体層が半導体膜レーザチップ上に堆積またはコーティングされる前に、第1および第2のヒートスプレッダがレーザ媒体の反対側に設けられる。
【0062】
他の例では、ヒートスプレッダプリフォーム、すなわち第1の誘電体層で被覆されているかそれを備えたヒートスプレッダの層、を提供することさえも考えられる。同時に、レーザ媒体プリフォーム、すなわち、レーザ媒体を備えた基板も提供される。後続の工程で、ヒートスプレッダプリフォームとレーザ媒体プリフォームは、レーザ媒体がヒートスプレッダと直接または間接的に熱接触するように、一緒に接合される。その後、レーザ媒体がヒートスプレッダによって機械的に安定化されると、基板が除去される。
【0063】
通常では、また本明細書に記載の実質的にすべての例に関して、ヒートスプレッダは、レーザ波長および/またはポンプ波長に対して実質的に透過性である。ヒートスプレッダは、それぞれの波長に対して無視できる程度の吸収しか示さない。
【0064】
方法の別の例によれば、基板は、所定のウェハサイズのウェハを含む。ウェハは、少なくとも2インチ、少なくとも3インチ、もしくは少なくとも4インチの直径を含むことができ、または、その平面直径で5インチまたは10インチよりさらに大きいことがある。
【0065】
レーザ媒体、第1のヒートスプレッダおよび第1の誘電体層は、ウェハの表面全体にわたって延び、ウェハ層スタックを、それゆえにウェハサイズの層スタックを形成する。複数のレーザチップを製作することは、ウェハ層スタックを個々のレーザチップになるようにダイシングすることを含む。通常、レーザチップは、正方形または長方形のサイズである。ウェハ層スタックを生成し、ウェハ層スタックから個々のレーザチップをダイシングすることによって、大量の半導体膜レーザチップを製造するかなり効率的な方法がもたらされる。
【0066】
別の態様では、新規のレーザ構想は、レーザ媒体の上面に接合された第1のヒートスプレッダを備えたレーザ媒体と、第1のヒートスプレッダの上面に配置され、第1の誘電体層が配置されている第1の開口部を有する第1のコンタクト層とを有する、半導体膜レーザチップを含む。第2のコンタクト層は、レーザ媒体の下面に配置され、第2の誘電体層が配置されている第2の開口部を有する。第1の透過性の誘電体層および第2の誘電体層は、複数の層から作られる。
【0067】
この配置により、ポンプビームが半導体膜レーザの活性領域の増幅媒体に垂直に入射することが可能になる。ポンプ光学部品(またはいくつかのレンズからなる系)の集光レンズは、増幅媒体に近接して配置され、180°の角度が得られるので、その横方向のサイズが制限されない。したがって、ビームプロファイルがよくない(または、対応して大きいファイバ径と連結されたファイバを備えた)安価なポンプ光源をポンプレーザとして使用することができる。ポンプパワーは、対応するポンプ光学部品を介して増幅媒体の平面に集光される。
【0068】
別の態様では、半導体膜レーザチップは、より多くの熱放散をもたらすために、レーザ媒体の下面と第2のコンタクト層の間に接合された追加の第2のヒートスプレッダを含む。
【0069】
いくつかの例では、第1のヒートスプレッダおよび/または第2のヒートスプレッダは、炭化ケイ素、ダイヤモンド、または酸化アルミニウムを含む熱伝導性材料の群から選択される。
【0070】
いくつかの例では、活性媒体またはレーザ媒体は、AlGaInAsP(AlGaAs、InGaAsおよびAlGaInPを含む)、AlInGaN、またはAlGaInAsSbもしくはAlGaInNAsを含む、またはこれらからなる半導体材料の群から選択されるが、このことは本発明を限定するものではない。
【0071】
半導体膜レーザチップは、レーザ光のポンプビームを第1の開口部または第2の開口部の一方に通してポンピングするようにポンプレーザが配置されている、レーザ装置に組み込まれる。レーザチップは、ヒートシンクとしての半導体膜と接触して熱管理を改善するように、サブマウントに配置される。サブマウントは、上部ヒートスプレッダまたは下部ヒートスプレッダの少なくとも一方にはんだ付けされる。ポンプレーザは、たとえば端面発光レーザダイオードである。
【0072】
別の態様では、本開示はまた、
- レーザ媒体を基板上に提供すること;
- 第1のヒートスプレッダをレーザ媒体の上面に接合すること;
- 基板を除去すること;
- 誘電体層を第1のヒートスプレッダの上面に選択的に付着させること;および
- メタライゼーション層を第1のヒートスプレッダの上面に選択的に付着させること
を含む、複数のレーザチップ製作する方法も記述する。
【0073】
別の態様では、第2のヒートスプレッダがレーザ媒体の底面に接合され、誘電体層および/またはメタライゼーション層が第2のヒートスプレッダの底面に付着される。
【0074】
次に、方法は、レーザチップを1つまたはそれ以上の個別要素になるようにダイシングすることを含む。これらのレーザチップは、その後、サブマウントにはんだ付けされる。
【0075】
本発明の目的は、出力パワーおよび/またはビームプロファイルおよび/または到達可能な発光波長に関して、既存の代替品と比べて利点がある小型レーザ光源の費用対効果の大きい製造である。
【0076】
別の態様によれば、以下の条項による、半導体膜レーザチップ、レーザ装置、ならびに、複数の半導体膜レーザチップを製作する方法もまた提供される:
条項1:以下を含む半導体膜レーザチップ(500):
レーザ媒体(510)の上面(515a)に接合された第1のヒートスプレッダ(520a)を有するレーザ媒体(510);
第1のヒートスプレッダ(520a)の上面に配置され、第1の透過性誘電体層(535a)が配置されている第1の開口部(730a)を有する第1のコンタクト層(530a);
レーザ媒体(510)の下面(515b)に配置され、第2の開口部(730b)を有する第2のコンタクト層(535b)。
条項2:半導体層または第2の透過性誘電体層(535b)の一方が第2の開口部(730b)に配置されている、条項1に記載のレーザチップ(500)。
条項3:レーザ媒体(510)の下面と第2のコンタクト層(535b)の間に接合された第2のヒートスプレッダ(520b)をさらに含む、条項1または2に記載のレーザチップ(500)。
条項4:第1のヒートスプレッダ(520a)または第2のヒートスプレッダ(520b)の少なくとも一方は、炭化ケイ素、ダイヤモンド、または酸化アルミニウムを含む熱伝導性材料の群から選択される、上記条項のいずれかに記載のレーザチップ。
条項5:レーザ媒体(510)は、AlGaInAsP、AlInGaNまたはAlGaInAsSbまたはAlGaInNAsからなる半導体材料の群から選択される、上記条項のいずれかに記載のレーザチップ。
条項6:第1の透過性誘電体層(535a)または第2の透過性誘電体層(535b)の少なくとも一方は、SiO2、TiO2、Al2O3およびTa2O5からなる誘電体材料の群から作られる、上記の項のいずれかに記載のレーザチップ。
条項7:以下を含むレーザ装置:
条項1~6のうちの1項に記載のレーザチップ;
レーザ光のポンプビーム(820)を第1の開口部(730a)または第2の開口部(730b)の一方に通してポンピングするように配置されたポンプレーザ(810)。
条項8:レーザチップがサブマウント(700)に配置されている、条項7に記載のレーザ装置。
条項9:サブマウント(700)は、上部ヒートスプレッダ(520a)または下部ヒートスプレッダ(530a)の少なくとも一方にはんだ付けされる、条項8に記載のレーザ装置。
条項10:レーザビーム(11)をレーザチップから出力するためのカプラ(740)をさらに含む、条項7~9のうちの1項に記載のレーザ装置。
条項11:ポンプレーザ(810)は端面発光レーザダイオードである、条項7~10のうちの1項に記載のレーザ装置。
条項12:以下を含む、複数のレーザチップの製作方法:
- 基板上にレーザ媒体(510)を提供すること(1000);
- 第1のヒートスプレッダ(320a)をレーザ媒体(510)の上面に接合すること(1010);
- 基板を除去すること(1020);
- 第1の誘電体層を第1のヒートスプレッダ(320a)の上面に選択的に付着させること(1040);および
- メタライゼーション層を第1のヒートスプレッダ(320a)の上面に選択的に付着させること(1040)。
条項13:第2のヒートスプレッダ(320b)をレーザ媒体(510)の底面に接合すること(1030)、ならびに誘電体層およびメタライゼーション層を第2のヒートスプレッダ(320b)の底面に設けること(1040)をさらに含む、条項12に記載の方法。
条項14:レーザチップを1つまたはそれ以上の個別要素になるようにダイシング(1050)することをさらに含む、条項12または13に記載の方法。
条項15:レーザチップをサブマウント(700)にはんだ付けすることをさらに含む、条項12~14のうちの1項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】フリップチッププロセスを用いる半導体ディスクレーザを示す図である。
【
図2】空洞内ヒートスプレッダを備えた半導体ディスクレーザを示す図である。
【
図3】傾斜ポンピング半導体膜レーザを示す図である。
【
図4】本開示によるバックポンピング半導体膜レーザの一例を示す図である。
【
図5】増幅器ユニットを示す断面図である(断面)。
【
図6】ウェハスケールで多数の増倍管ユニットの生産を示す図である(部分的断面が見える)。
【
図7】サブマウント上に完全な増幅器ユニットを備えたレーザ共振器の例示的なセットアップを示す図である(断面)。
【
図8A】ポンプ光源として統合端面発光ダイオードを備えた小型構成要素に対する増幅器ユニットを示す断面図である。
【
図8B】ポンプ光源として統合端面発光ダイオードを備えた小型構成要素に対する増幅器ユニットを示す断面図である。
【
図9】
図9は、サブマウントが半導体膜レーザチップの片側に取り付けられている増幅器ユニットの別の例を示す図である。
【
図11】半導体膜レーザチップを製造するための層スタックを製作するプロセスの一例を示す図である。
【
図12】半導体膜レーザチップを製造するための層スタックを製作するプロセスの別の例を示す図である。
【
図13】半導体膜レーザチップを製造するための層スタックを製作するプロセスのさらに別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
次に、本発明を図に基づいて説明する。本明細書で説明する本発明の実施形態および態様は例示的なものにすぎず、特許請求の範囲の保護範囲を何ら限定するものではないことを理解されたい。本発明は、特許請求の範囲およびその等価物によって画定される。本発明の一態様または一実施形態の機能は、本発明の別の態様および/または実施形態の機能と組み合わせることができることを理解されたい。
【0079】
図4は、バックポンピング半導体膜レーザとして実施された本開示による半導体膜レーザの一例を示す。ここで、レーザ媒体510は、半導体膜レーザの背面からポンプレーザ160の放射150によってポンピングされる。第2のヒートスプレッダ520bは、ポンプレーザからの光に対しては透過性であるが活性領域で発生する、すなわちレーザ媒体または増幅媒体510で発生する光波長の光は反射する、コーティング410で被覆されている。レーザ媒体510、それゆえにレーザ媒体または増幅媒体510の層スタックは、第1のヒートスプレッダ520aおよび第2のヒートスプレッダ520bによって挟まれている。第2のヒートスプレッダの下面、すなわちレーザ媒体510から遠方に向いている面がコーティング410を備える。通常、コーティング410は、誘電体層535bによって設けられるか形成される。
【0080】
図5は、本開示の一態様による半導体膜レーザ500の一例を示す。半導体膜レーザ500の製作プロセスの工程は、
図10に示されている。
図10に示され、以下で説明される工程は、単なる例示にすぎないことを理解されたい。特に、工程のうちのいくつかの順序は変更される。
【0081】
半導体膜レーザ500は、上部すなわち第1のヒートスプレッダ520aと下部すなわち第2のヒートスプレッダ520bとの間にある半導体増幅器すなわちレーザ媒体510(半導体膜とも呼ばれる)と、選択的に付着される誘電体層535a、535bおよび金属コンタクト層530a、530bとを含む。半導体増幅媒体510は、工程1000で、エピタキシャルプロセスを用いて、半導体材料からなる層スタックを基板上に堆積させることによって作成される。本明細書で使用される「上」および「下」という用語は、図に示されている異なる要素を単に区別するために使用されているにすぎないことを理解されたい。
【0082】
ここで図示されている例では、平面形状のレーザ媒体510は、第1と第2のヒートスプレッダ520a、520bの間に挟まれている。ここで、レーザ媒体510の上面511aは、第1のヒートスプレッダ520aの下面522aと接触している。レーザ媒体510の下面511bは、第2のヒートスプレッダ520bの上面521bと接触している。レーザ媒体510から遠方に向いている第1のヒートスプレッダ520aの上面521aは、第2の誘電体層535aおよび第1のコンタクト層530aを備える。第2のヒートスプレッダ520bの下面522bは、第1の誘電体層535bおよび第2のコンタクト層530bを備えるか、これらと接触している。
【0083】
第1および第2のコンタクト層530a、530bはそれぞれ、第1および第2のコンタクト層530a、530bそれぞれの厚さをすべて貫通して延びる開口部または凹部532a、532bを層構造中に含み得る。開口部または凹部532a、532bには、それぞれの誘電体層535a、535bが設けられる。コンタクト層530a、530bは通常、金属を含むか金属材料で作られているので、コンタクト層530a、530bを貫通して延びる凹部または貫通口は、妨げられない光ビーム伝搬をもたらす。
【0084】
半導体増幅媒体510の例としては以下の材料系が、これらだけには限らないが挙げられる:
・AlGaInAsP(GaAs基板上) - たとえば、近赤外スペクトル範囲(約850~1200nm)のレーザ発光用のGaAs(P)障壁に埋め込まれたGaInAs量子井戸。
・AlGaInP(GaAs基板上) - たとえば、赤色スペクトル領域(約630~700nm)のレーザ発光用のAlGaInP障壁に埋め込まれたGaInP量子井戸。
・AlInGaN(GaN/Al2O3/SiC基板上) - たとえば、青/緑スペクトル領域(約400~550nm)のレーザ発光用のInGaN量子井戸。
・AlGaInNAs(GaAs基板上) - たとえば、近赤外スペクトル範囲(>1200nm)のレーザ発光用のGaAs障壁に埋め込まれたGaInNAs量子井戸。
・GaAsSb(GaSb基板上) - たとえば、短波長赤外スペクトル範囲(約2μm)のレーザ発光用のGaAs障壁に埋め込まれたGaInAsSb量子井戸。
・AlGaInAsP(InP基板上) - たとえば、短波長赤外スペクトル範囲(約1.6μm))のレーザ発光用のAlGaInAs障壁に埋め込まれたGaInAs量子井戸。
【0085】
工程1010で、半導体増幅媒体510の上面が洗浄され、次に、上部ヒートスプレッダ520aが半導体増幅媒体510の洗浄された上面にプラズマ励起接合プロセスによって付着されて、直接コンタクトが形成される。工程1020で、基板は、半導体増幅媒体510の下面から、たとえば湿式化学エッチングによって除去され、必要であれば、工程1030で、下部ヒートスプレッダ520bが半導体増幅媒体510の下面に、同じ接合プロセスを用いて取り付けられる。
【0086】
2つのヒートスプレッダ、すなわち上部ヒートスプレッダ520aおよび下部ヒートスプレッダ520bは、工程1010および1030で、プラズマ励起接合プロセスによって、同じくウェハサイズである半導体増幅媒体510と、完全なウェハとして直接モノリシック接触状態にされる。この直接接触の結果、増幅媒体510と上部スプレッダ520aまたは下部スプレッダ520bの間の界面515aおよび515bにおける、増幅媒体510からの動作中の熱放散(すなわち、熱エネルギーの放散)が実質的に阻害されなくなる。
【0087】
2つのヒートスプレッダ520aおよび520bは、レーザ放射の透過を可能にするために、たとえば、光学特性が良好なダイヤモンドまたは炭化ケイ素で作られる。炭化ケイ素(SiC)は単結晶であり、良好な表面仕上げが得られるウェハサイズスケールで非常に高い光学特性を有する。その熱伝導率は最大で400W/mKである。ダイヤモンドもまた単結晶であり、現在のところ、ウェハスケールで得られる良好な表面仕上げによる高い光学特性をまだ持っていないが、最大で2000W/mKという非常に良好な熱伝導性を持っている。酸化アルミニウム(単結晶)もまた使用することができ、ウェハスケールで得られる良好な表面仕上げによる非常に高い光学特性を持つが、熱伝導率が低く、約25W/mKしかない。
【0088】
半導体増幅媒体510とヒートスプレッダ520aおよび520bの組み合わせは、「ウェハ層スタック」110と呼ばれる。
【0089】
続いて工程1040で、ウェハ層スタックの上部525aおよび下部525bには、堆積によって誘電体層535aおよび535bが、またはリソグラフィもしくはシャドウマスクを用いるメタライゼーションによって金属コンタクト層530aおよび530bが、選択的に設けられる。
図6に示されるウェハ600で分かるように、ここでは円で示されている個々の面(光開口部窓またはアパーチャ)は誘電体層535を備え、ここでは四角で示されている、隣接する周囲領域は金属コンタクト層530を備える。各金属コンタクト層530間には、いわゆるソーイングライン610が、半導体膜レーザチップの分離すなわちダイシングの工程1050でのソーイングまたは分割プロセスが後で行われるラインに沿って、コーティングされないままになっている。非限定的な例では、ウェハ600は4インチウェハであり、1.5mmの増幅器ユニットの端部長および0.1mmのソーライン幅により、約3000個の半導体膜レーザチップが増幅器ユニットとして得られる。
【0090】
誘電体層535aおよび535b、ならびに金属コンタクト層530aおよび530bの堆積は、ウェハ層スタックの上部525aおよび下部525bの両方で対称的に行われることが分かる。しかし、誘電体層535aおよび535bは、次に説明するように、2つの面で異なる機能を有する。ウェハ層スタックの底部は、ポンプ光150が受光される方向にあるものとする(
図4および
図5に示されるように)。上部ヒートスプレッダ520aに堆積された上部すなわち第2の誘電体層535aの機能は、増幅媒体510の生成レーザモードの波長λ
1において高い透過性を可能にすることであってもよい。一方、下部ヒートスプレッダ520bに付着される下部すなわち第1の誘電体層535bの機能は、増幅媒体510の生成レーザモードの波長λ
1における高い反射性と、増幅媒体510をポンピングするために使用されるポンプレーザ160の波長λ
2での高い透過性とを可能にすることである。あるいは、下部誘電体層520bは、ポンプ波長の共振器を作成するために、したがって吸収効率の向上を生み出すために、使用されたポンプレーザの波長λ
2の光を反射するように配置される。誘電体層に使用される材料は、SiO
2、Nb
2O
5、HfO
2、TiO
2、Al
2O
3、およびTa
2O
5とすることができるが、これは本発明を限定するものではない。
【0091】
図10に示された製作工程の順序が本発明を限定するものではないことは、上で言及した。たとえば、誘電体層535aおよび535bならびに金属コンタクト層530aおよび530bの堆積は変更することができ、この堆積は半導体膜チップの設計に依存する。同様に、基板の接合、および後に続く基板の除去は、異なる順序で行われてもよい。誘電体層535a、535bを半導体膜チップのダイシング後に付着させることもまた可能である。
【0092】
最後に、工程1060で、個々の半導体膜レーザチップは、
図7に示されるように、はんだ付けプロセスにおいて、たとえば、事前成形はんだ付け箔710または他の任意の、たとえば金属板の形の金属ファスナを使用して、サブマウント700に固定またははんだ付けされる。あるいは、はんだは、サブマウント700または半導体膜レーザチップに事前に堆積される。このサブマウント700は、たとえば銅または真鍮などの金属体をこれらだけには限らないが含み、この金属体は、金でコーティングされることもされないこともある。金属体は熱伝導率が高く、凹部720を有する。凹部720は、半導体膜レーザチップがサブマウント700の反対側の表面と同一平面になるように、半導体膜レーザチップの厚さおよびはんだ箔710の厚さに適合され、したがって、金属コンタクト層530bは、別のはんだ箔710または金属ファスナを介してサブマウント700に連結することができる。
【0093】
サブマウント700は、上部ウィンドウ730aおよび下部ウィンドウ730bを有し、これらはそれぞれ、誘電体層535aおよび535bと共に、凹部720を通して光学的に自由にアクセス可能なままであるように、かつ光がサブマウント700を通過できるように、上部誘電体層535aおよび下部誘電体層535bと整列している。半導体膜レーザチップの上下面の残りの領域は、上部ヒートスプレッダ520aおよび下部ヒートスプレッダ520bとサブマウント700の間の熱伝達に利用できるので、上部ヒートスプレッダ520aおよび下部ヒートスプレッダ520bの両側からの熱または熱エネルギーがサブマウント700に放散される。
【0094】
図7に示されている例は、単一の外部ミラー180がレーザビーム175を半導体膜レーザの中から外へ結合する直線共振器幾何形状になっている。サブマウント700上に増幅器ユニットを設計することにより、増幅媒体510への半導体膜レーザの両側からの良好なアクセスが可能になる。半導体膜レーザは、下部誘電体層535bを通るビームを増幅器層510に180°の角度で集光できるポンプレーザ160によってポンピングされる。このことは、ポンプ光学部品の一部としての集光レンズの横方向のサイズが、サブマウント700の幾何形状によって制限されないことを意味する。好ましくは、ポンプレーザ160とレーザ媒体510の間の光路は、コリメート光学配置の集光などのいかなる光学部品も欠いているものとすることができる。光路は、いかなる屈折または回折光学素子も欠いていてよい。一代替配置では、半導体レーザチップおよびサブマウント700の個々のものはまた、特に小型の共振器幾何形状の良好なアクセス性を利用するために、サブマウント700のよりアクセスしやすい側が上部誘電体層535aを備える側にあり、それによって、出力カプラミラー180およびアウトカップリングレーザビーム170の方向に向いているように配置することも可能である。
【0095】
図8Aに、
図5および
図7に示された設計と比較して単一の上部ヒートスプレッダ520aだけがあり、下部ヒートスプレッダ520bがない同様の構想が示されている。下部、それゆえに第1の誘電体層535bおよび下部金属コンタクト層530bは、増幅媒体510に直接付着される。この設計により、ポンプ光源としての端面発光レーザダイオード162を増幅媒体510からの距離が非常に小さいところに配置することが可能になる。この距離は、ポンプビーム150が増幅媒体510の平面内で円の形状になるように、端面発光レーザダイオード510の発光プロファイル、および下部誘電体層535bの厚さに応じて選択される。この画定された距離(10~100μmの範囲の典型的な光路長)において、増幅媒体510の面は、ポンプビーム150の近視野と遠視野の間にあり、ポンプビーム「速軸」および「遅軸」の2つのビーム寸法でのビーム直径は同じである。この配置では、ポンプビーム150を集光するための光学部品が不要であり、これにより、一体化ポンプ光源を備えた増幅器ユニットからなる、特に小型で費用対効果が大きい構成要素を製造することが可能になる。
【0096】
図8Bに示される半導体膜レーザにもまた、下部ヒートスプレッダ520bがなく、さらには下部金属コンタクト層530bもない。したがって、ポンプレーザ160からの光が通過する必要のある下部窓も不要である。
【0097】
図9は、サブマウント700が半導体膜レーザ500の周囲ではなく、半導体膜レーザ500の一方の端部910に配置されている半導体膜レーザの別の例を示す。はんだ930は、端部910に配置され、サブマウント700と半導体膜レーザ500の間の熱結合が確立される。
【0098】
別の態様では、GRIN(屈折率分布型)レンズが、ポンプビーム820が通るGRINレンズが上部誘電体層535aまたは下部誘電体層535bと直接接触するようにして製作される。このレンズは、ポンプレーザ160からのポンプレーザ光が、増幅媒体510を備えた活性領域の面内に集光されることを可能にすることによって、エネルギー損失を低減させる。
【0099】
本書に記載の半導体膜レーザは、V字型またはZ字型の空洞用などの、別のミラーを含み得ることを理解されたい。さらに、共振器は、非線形結晶などの別の空洞内要素(たとえばSHG(第2高調波発生)結晶、複屈折フィルタ(BRF)、エタロン、および吸収体)を含み得る。
【0100】
レーザチップを製造する1つの方法が、たとえば
図11に示されている。ここでは、工程aで、レーザ媒体の層510を備えた基板100が提供される。後続の工程b)で、第1のヒートスプレッダ520aの層が、レーザ媒体510の上面511aに配置または形成される。その後、工程c)で示されるように、基板100は除去され、さらなる工程d)で、第1の誘電体層535bがレーザ媒体510の下面511bに堆積または配置され、それによって多層スタック110が形成される。続いて、多層スタックは、適切な横方向サイズの個々のレーザチップ500に切断される。一般に、多層スタック110を製作するために実施予定の工程の順序は変わり得る。基板100の除去は、たとえばヒートスプレッダ520aを付着させることによってレーザ媒体510が機械的に安定化された後で初めて行われてもよい。
【0101】
図12には、前述のようなレーザチップ500を製作する別の方法が示されている。ここでは、工程aで、レーザ媒体の層510を備えた基板100が提供される。後続の工程b)で、第1のヒートスプレッダ520aが、レーザ媒体510の上面511aに配置または形成される。その後、工程c)で示されるように、基板100は除去され、さらなる工程d)で、第1の誘電体層535bがレーザ媒体510から遠方に向いている第1のヒートスプレッダ520a上面に堆積または配置され、それによって多層スタック110が形成される。続いて多層スタックは、適切な横方向サイズの個々のレーザチップ500に切断される。基板100の除去はまた、ヒートスプレッダ520aに第1の誘電体層535bを堆積させた後に行われてもよい。いくつかの例では、
図12に示された工程の順序とは逆に、誘電体層535bは、ヒートスプレッダ520aがレーザ媒体510に接合または連結される前にヒートスプレッダ520aに堆積またはコーティングされる。別の代替形態で、分離されたヒートスプレッダ520aは、第1の誘電体層535bを備える。
図12の工程a)に示されたレーザ媒体510の層を備えた基板100は、別途用意され、その後、誘電体層535bと共に既製である、ヒートスプレッダ520aと接合される。
【0102】
図13には、多層スタック110を含む半導体膜レーザチップ500を製作する別の例が概略的に示されている。ここでは、工程a)で、基板100は、レーザ媒体510の1つの層または複数の内部層を備える。その後、工程b)で示されるように、レーザ媒体510の上に、第1のヒートスプレッダ520aが設けられる。その後、第1のヒートスプレッダ520aがレーザ媒体510に機械的安定性をもたらすので、基板100は工程c)で除去される。基板100の除去後、工程d)に示されるように、第2のヒートスプレッダ520bが、第1のヒートスプレッダ520aから遠方に向いているレーザ媒体510の面に設けられる。ここで、第2のヒートスプレッダ520bは、レーザ媒体510に接合される。その後、工程e)に示されるように、第1のヒートスプレッダ520aおよび第2のヒートスプレッダ520bの一方の上に、少なくとも第1の誘電体層535bが設けられる。
【符号の説明】
【0103】
10 半導体ディスクレーザチップ
12 上面
15 側面
20 ヒートスプレッダ
30 活性領域
35 ポンプスポット
40 ブラッグ反射器
50 ポンプレーザ光
60 ポンプ光源レーザ
70 共振器内レーザ光
75 外部レーザ光
80 ミラー
100 基板
110 層スタック
150 電磁放射
160 ポンプレーザ
162 端面発光レーザダイオード
170 レーザビーム
175 レーザビーム
180 ミラー
200 基板
220 空洞内ヒートスプレッダ
225 界面
320a、b ヒートスプレッダ
410 コーティング
500 半導体膜レーザチップ
510 レーザ媒体
511a 面
511b 表面
515a、b 界面
520a、b ヒートスプレッダ
521a 面
521b 面
522a 面
522b 面
525a 面
525b 面
530a、b コンタクト層
532a 開口部
532b 開口部
535a、b 誘電体層
600 ウェハ
610 ソーイングライン
700 サブマウント
710 はんだ箔
720 凹部
730a、b 窓
810 側面発光ダイオード
820 ポンプビーム
910 端部
930 はんだ
【手続補正書】
【提出日】2023-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体膜レーザチップ(500)であって:
上面(511a)を含み、上面(511a)の反対側の下面(511b)を含む平面形状のレーザ媒体(510)であって、レーザ波長λ
1の電磁放射(170)を放出するように構成されているレーザ媒体(510)と、
該レーザ媒体(510)の上面(511a)および下面(511b)の一方に接合された第1のヒートスプレッダ(520a、520b)と、
レーザ媒体(510)の下面(511b)に配置された、または第1のヒートスプレッダ(520a、520b)がレーザ媒体(510)の下面(511b)に接合されている場合には第1のヒートスプレッダ(520a、520b)の下面(525b)に配置された、第1の誘電体層(535b)と
を含み、ここで、第1の誘電体層(535b)は、レーザ波長λ
1に対して反射性である、前記半導体膜レーザチップ。
【請求項2】
平面形状のレーザ媒体(510)は、ポンプ波長λ
1の電磁放射(150)によって光学的にポンピングされるとレーザ波長λ
1の電磁放射(170)を放出するように構成される、請求項1に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項3】
第1の誘電体層(535b)は、ポンプ波長λ
1の電磁放射(150)に対し透過性である、請求項1または2に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項4】
レーザ媒体(510)の上面(511a)に配置された、または少なくとも1つのヒートスプレッダ(520a、520b)がレーザ媒体(510)の上面(511a)に接合されている場合には少なくとも1つのヒートスプレッダ(520a、520b)の上面(525a)に配置された、第2の誘電体層(535a)をさらに含み、該第2の誘電体層(535a)は、レーザ波長λ
1に対する第1の誘電体層(535b)の透過率よりも大きい、レーザ波長λ
1に対する透過率を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項5】
レーザ媒体(510)の上面(511a)および下面(511b)の他方に接合された第2のヒートスプレッダ(520a、520b)をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項6】
レーザ媒体(510)の上面(511a)および下面(511b)の一方に隣接して配置された、または第1のヒートスプレッダ(520a、520b)および第2のヒートスプレッダ(520a、520b)の一方の、レーザ媒体(510)から遠方に向く面(521a、522b)に隣接して配置された、少なくとも第1のコンタクト層(530a、530b)をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項7】
レーザ媒体(510)の上面(511a)および下面(511b)の他方に隣接して配置された、または第1のヒートスプレッダ(520a、520b)および第2のヒートスプレッダ(520a、520b)の、レーザ媒体(510)から遠方に向く他方の面(521a、522b)に隣接して配置された、少なくとも第2のコンタクト層(530a、530b)をさらに含む、請求項6に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項8】
第1のコンタクト層および第2のコンタクト層(530a、530b)の少なくとも一方は、第1および第2の誘電体層(535a、535b)の一方が配置される開口部(532a、532b)またはアパーチャを含む、請求項6または7に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項9】
第1のコンタクト層および第2のコンタクト層(530a、530b)の少なくとも一方は、サブマウント(700)にはんだ付けするように構成された金属コンタクト層を含み、サブマウント(700)は金属体を含む、請求項6~8のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項10】
レーザ媒体(510)、第1のヒートスプレッダ(520a、520b)および第1の誘電体層(535b)を含む層のスタックを受けるように寸法設定された凹部(720)を有する、金属体を有するサブマウント(700)をさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項11】
第1のヒートスプレッダ(520a)または第2のヒートスプレッダ(520b)の少なくとも一方は、炭化ケイ素、ダイヤモンド、または酸化アルミニウムを含む熱伝導性材料の群から選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項12】
レーザ媒体(510)は、AlGaInAsP、AlInGaNまたはAlGaInAsSbまたはAlGaInNAsを含む半導体材料の群のうちの1つである、請求項1~11のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項13】
第1の誘電体層(535b)および第2の誘電体層(535a)の少なくとも一方は、SiO
2、Nb
2O
5、HfO
2、TiO
2、Al
2O
3およびTa
20
5を含む誘電体材料の群のうちの1つである、請求項1~12のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)。
【請求項14】
レーザ装置であって:
請求項1~13のいずれか1項に記載の半導体膜レーザチップ(500)、
ポンプ波長λ
1の電磁放射(150)を放出するように構成されたポンプレーザ(160)を含み、
ここで、該ポンプレーザ(160)は、第1の誘電体層(535b)を通して電磁放射(150)をレーザ媒体(510)の中に放出するように配置され構成される、前記レーザ装置。
【請求項15】
ポンプレーザ(160)は、少なくとも1つもしくはいくつかの端面発光レーザダイオード(162)を含む、またはポンプレーザ(160)は、少なくとも1つもしくはいくつかのレーザダイオードバーを含む、請求項14に記載のレーザ装置。
【請求項16】
ポンプレーザ(160)と半導体膜レーザチップ(500)の間の光路は、コリメート光学素子または集光光学素子を欠いている、請求項14または15に記載のレーザ装置。
【請求項17】
金属体を有するサブマウント(700)をさらに含み、ここで、半導体膜レーザチップ(500)は、サブマウント(700)にはんだ付けによって熱的に結合された少なくとも1つのコンタクト層(530a、530b)を含む、請求項14~16のいずれか1項に記載のレーザ装置。
【請求項18】
請求項1~13のいずれか1項に記載の複数のレーザチップ(500)を製作する方法であって:
基板(100)上にレーザ媒体(510)を設ける工程と、
基板から遠方に向いているレーザ媒体(510)の上面(511a)に第1のヒートスプレッダ(520a)を配置または形成する工程と、
基板(100)を除去する工程と、
第1のヒートスプレッダ(520a)から遠方に向いているレーザ媒体(510)の下面(511b)およびレーザ媒体(510)から遠方に向いている第1のヒートスプレッダ(520a)の上面(521a)の一方に、第1の誘電体層(535b)を配置または形成する工程と
を含む、前記方法。
【請求項19】
第1の誘電体層(535b)が第1のヒートスプレッダ(520a)の上面(521a)に設けられる場合に、レーザ媒体(510)の下面(511b)に第2のヒートスプレッダ(520b)を配置または形成する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
基板(100)は、所定のウェハサイズのウェハ(600)を含み、レーザ媒体(510)、第1のヒートスプレッダ(520a)および第1の誘電体層(535b)は、ウェハ(600)のサイズ全体に延びてウェハ層スタック(110)を形成し、複数のレーザチップ(500)を製作することは、ウェハ層スタック(110)を個々のレーザチップ(500)になるようにダイシングすることを含む、請求項18または19に記載の方法。
【国際調査報告】