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特表2023-536016ポリフェノールを含む毛髪発色用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-23
(54)【発明の名称】ポリフェノールを含む毛髪発色用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20230816BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20230816BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20230816BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20230816BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q5/06
A61Q5/12
A61Q5/02
A61Q5/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573364
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 KR2021009197
(87)【国際公開番号】W WO2023282376
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0089820
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り https://www.kickstarter.com/projects/826952734/hair-darkening-shampoo-without-harmful-dyeing-ingredients/descrption 公開日 令和3年6月22日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】514291196
【氏名又は名称】コリア アドバンスト インスティチュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】521539960
【氏名又は名称】モダモダ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MODAMODA CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】1-ho,1st Fl.,4,Baekjegobun-ro 36-gil,Songpa-gu,Seoul,05680 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヘシン
(72)【発明者】
【氏名】イ,テオン
(72)【発明者】
【氏名】ペ,ヒョンチン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA012
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC312
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC642
4C083AC792
4C083AD202
4C083CC31
4C083CC33
4C083CC36
4C083CC38
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD38
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】本発明は、ポリフェノールを含む毛髪発色用組成物、前記組成物を使用した毛髪発色方法、前記組成物を含む毛髪発色用シャンプー、及び前記毛髪発色用シャンプーを使用した毛髪発色方法に関するものである。
【解決手段】本発明に係るトリヒドロキシベンゼンを含む毛髪発色用組成物は、アミン化合物、刺激性アルカリ剤、及び酸化剤がなくても毛髪を褐色、濃い褐色又は黒色に発色する効果を示し、発色増進力、発色持続力、及び若白髪カバー能力も優れている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリヒドロキシベンゼン(trihydroxybenzene)を含む毛髪発色用組成物。
【請求項2】
前記毛髪発色は、毛髪褐色化又は黒化用又は白化防止用を含む、
請求項1に記載の毛髪発色用組成物。
【請求項3】
前記毛髪発色用組成物は、アミン化合物、酸化剤、及び刺激性アルカリ剤を含まない、
請求項1に記載の毛髪発色用組成物。
【請求項4】
前記毛髪発色用組成物は、トリヒドロキシベンゼンを総重量比0.1乃至10重量%で含む、
請求項1に記載の毛髪発色用組成物。
【請求項5】
前記毛髪発色用組成物は、黒ごま抽出物、黒桑の実抽出物、黒のセイヨウショウロ抽出物、ブラッククミン種子抽出物、ブラックチェリー果実抽出物、及び没食子酸の混合物をさらに含む、
請求項1に記載の毛髪発色用組成物。
【請求項6】
前記毛髪発色用組成物は、カラメル色素、桑の実抽出物、及び緑茶抽出物からなるグループから選択される一つ以上を含む、
請求項1に記載の毛髪発色用組成物。
【請求項7】
前記毛髪発色用組成物は、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアローション、ヘアジェル、ヘアパック、ヘアクリームまたはヘアエッセンスの剤型である、
請求項1に記載の毛髪発色用組成物。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項による毛髪発色用組成物を毛髪に塗布する段階を含む毛髪発色方法。
【請求項9】
前記方法は、前記毛髪発色用組成物を毛髪に塗布した後、1乃至30分の間放置する段階をさらに含む、
請求項8に記載の毛髪発色方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項の毛髪発色用組成物を含む毛髪発色用シャンプー。
【請求項11】
前記毛髪発色用シャンプーは、界面活性剤、pH調整剤、膨潤剤、緩衝剤、防腐剤、香料、保湿剤、粘度調整剤、脂肪族アルコール、及びビタミンから選択されるいずれか一つ以上をさらに含む、
請求項10に記載の毛髪発色用シャンプー。
【請求項12】
請求項10による毛髪発色用シャンプーで毛髪を洗浄する段階を含む毛髪発色方法。
【請求項13】
前記毛髪を洗浄する段階は、1乃至5分間行う、
請求項12に記載の毛髪発色方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェノールを含む毛髪発色用組成物、前記組成物を含む毛髪発色用シャンプー、及び前記組成物を使用した毛髪発色方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪の色は、毛髪中に存在する二種類のメラニンタンパク質によって決定されるが、そのうちの一つはユーメラニン(eumelanin)で、髪の毛の黒色から褐色までの色度に関与し、フェオメラニン(phaeomelanin)は赤色から黄色の色度に関与する。これらの顔料のタンパク質が不足すると褐色や白髪になり、メラニンの形と大きさが髪の色を決定付ける鍵となり、これらの顔料分子の分布密度は髪の色の明暗を決定付ける。
【0003】
一般的に、毛髪染色剤は、過酸化水素、色素前駆体、及びアンモニア溶液で構成される。アンモニア成分は毛髪を膨らませたり、毛髪表面のキューティクルを少し剥離させたりして色素前駆体が髪の中に浸透しやすくし、過酸化水素は毛髪内のメラニンを脱色させるとともに、色素前駆体と反応して毛髪を染色する。
【0004】
既存の毛髪染色剤の場合、アンモニア特有の刺激臭が強く、頭皮だけでなく目や呼吸器を刺激して免疫反応による過敏反応を誘発する原因となり、過酸化水素のような酸化剤は、強い酸化力によって毛髪のタンパク質とキューティクルを損傷させ、肌にも刺激になる。
【0005】
これらの欠点を克服するために、ドーパミンのようなカテコール基を含有する化合物及び金属塩を含む染色剤組成物が提案されている。この場合、ドーパミンがリガンドとして作用し、金属塩の金属イオンと錯体を形成する作用機作によって毛髪が染色されることであるが、優れた発色力を確保するためには、多少長い時間の染色施術時間が必要だという欠点があり、金属イオンが皮膚に接触する時に、金属アレルギー反応を引き起こす可能性があるという問題点があった。
【0006】
このような背景の下で、本発明者らは、アミン化合物、刺激性アルカリ剤、及び酸化剤を使用せずに、メラニン酸化及び毛髪キューティクル内の染料の着色という従来の染色原理とは異なって、毛髪を発色させる組成物を開発するために、鋭意研究に努めた。その結果、本発明者らは、トリヒドロキシベンゼンを含む組成物を使用する場合、前記化合物が毛髪表面に吸着され、時間の経過に応じて毛髪の色が濃くなる効果があることを確認して、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、トリヒドロキシベンゼン(trihydroxybenzene)を含む毛髪発色用組成物を提供するものである。
本発明の他の目的は、前記毛髪発色用組成物を毛髪に塗布する段階を含む毛髪発色方法を提供するものである。
【0008】
本発明の他の目的は、前記毛髪発色用組成物を含む毛髪発色用シャンプーを提供するものである。
本発明の他の目的は、前記毛髪発色用シャンプーで毛髪を洗浄する段階を含む毛髪発色方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これを具体的に説明すると、次の通りである。一方、本出願で開示されたそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの他の説明及び実施形態にも適用することができる。すなわち、本出願で開示された様々な要素の全ての組み合わせが本出願の範疇に属する。また、下記記述された具体的な叙述によって本出願の範疇が制限されることはない。
【0010】
前記目的を達成するための一態様として、本発明は、トリヒドロキシベンゼン(trihydroxybenzene)を含む毛髪発色用組成物を提供する。
【0011】
本発明の用語「毛髪発色」は、化合物を含む組成物が毛髪に吸着された結果、毛髪の表面で新しい色が発現されることを意味し、具体的には、毛髪を黒くしたり、毛髪を淡い色から濃い色へ色を濃くしたり、毛髪の白化を防止(若白髪カバーを含む)したりすることを含むことができる。このような「毛髪発色」は、従来の「毛髪染色」とは、その機作が異なる。既存の毛髪染色の原理は、毛髪染色剤のアンモニア成分が毛髪を膨らませたり、毛髪表面のキューティクルを浮かすようにし、色素前駆体が浮いた毛髪の中に浸透すると、過酸化水素のような酸化剤が毛髪内のメラニンを脱色させると同時に、色素前駆体と反応して毛髪を染色させる。一方、本発明に係るトリヒドロキシベンゼンを含む組成物は、前記トリヒドロキシベンゼンが毛髪表面に吸着され、時間の経過とともに空気中の酸素との反応で酸化反応が起こり、毛髪の色を褐色、濃い褐色または黒色に発色させる。様々なポリフェノール化合物の中で、トリヒドロキシベンゼンを含む組成物の毛髪発色力が優れていることを確認した。
【0012】
前記毛髪発色用組成物は、アミン化合物、酸化剤、及び刺激性アルカリ剤を含まないことを特徴とするが、毛髪の損傷なしに毛髪を濃い色に発色することができる。
【0013】
具体的には、前記アミン化合物は、ポリエチレンイミン(Polyethyleneimine)、グリコールキトサン(Glycol chitosan)、シスタミン(Cystamine)、ピリミジン(Pyrimidine)、シトシン(Cytosine)、チミン(Thymine)、ウラシル(Uracil)、テトラアミノピリミジン(2,4,5,6-Tetraaminopyrimidine)、プリン(Purine)、アデニン(Adenine)、グアニン(Guanine)、ヒポキサンチン(Hypoxanthine)、キサンチン(Xanthine)、テオブロミン(Theobromine)、カフェイン(Caffeine)、尿酸(Uric acid)、及びジアミノプリン(2,6-Diaminopurine)などから選択されることがあるが、これらに限定されない。
【0014】
具体的には、前記酸化剤は大気酸素以外の酸化剤を意味することができ、例えば、過酸化水素または尿素過酸化物であることができるが、これらに限定されない。
【0015】
具体的には、前記刺激性アルカリ剤はアンモニアまたはモノエタノールアミンであることができるが、これらに限定されない。
【0016】
これらの観点から、前記毛髪発色用組成物は、毛髪褐色化又は黒化用又は白化防止用を含むことができる。また、前記毛髪発色用組成物は、毛髪発色効果を増進させたり、発色を持続させたりすることができ、毛髪発色増進用又は発色持続用を含むことができる。
【0017】
本発明において、前記トリヒドロキシベンゼンは1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、1,2,3-トリヒドロキシベンゼン、及び1,3,5-トリヒドロキシベンゼンを含む。
【0018】
前記毛髪発色用組成物は、トリヒドロキシベンゼンを総重量比0.1乃至10重量%で含み、具体的には、0.1乃至5重量%、0.1乃至3重量%、0.1乃至1重量%、1乃至10重量%、1乃至5重量%、または1乃至3重量%であることができるが、これらに限定されない。
【0019】
前記毛髪発色用組成物は、黒ごま抽出物、黒桑の実抽出物、黒のセイヨウショウロ抽出物、ブラッククミン種子抽出物、ブラックチェリー果実抽出物、及び没食子酸の混合物をさらに含むことができる。前記混合物:前記トリヒドロキシベンゼンは1:0.1乃至3の重量比、具体的には、1:0.1乃至1の重量比を有する。
【0020】
前記混合物は、以下のような方法で製造することができる:黒ごま250g、黒桑の実50g、黒のセイヨウショウロ50g、ブラッククミン種子50g、及びブラックチェリー果実250gを精製水で十分に洗浄し、それぞれ20Lの精製水を利用して6~8時間、65~90℃で減圧抽出して抽出物を得た後、それぞれの熱水抽出物と没食子酸を混合して製造することができる。このとき、100重量%基準で、各熱水抽出物は10重量%、没食子酸は0.001重量%、残量は精製水を用いて混合することができる。
【0021】
前記毛髪発色用組成物は、カラメル色素、桑の実抽出物、及び緑茶抽出物からなるグループから選択される一つ以上を含むことができる。
【0022】
前記毛髪発色用組成物は、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアローション、ヘアジェル、ヘアパック、ヘアクリームまたはヘアエッセンスの剤型であることができるが、これらに限定されない。
【0023】
本発明の毛髪発色用組成物に含まれたトリヒドロキシベンゼンは、タンパク質に対する接着/吸着性によって、毛髪を水で洗浄した後にも毛髪表面に微量残ることになる。このように、毛髪の表面に存在するトリヒドロキシベンゼンが酸素と接触しながら酸化反応が起こり、酸化反応の結果、毛髪が徐々に濃い色に発色される。
【0024】
前記目的を達成するためのもう一つの様態として、本発明は、前記毛髪発色用組成物を毛髪に塗布する段階を含む毛髪発色方法を提供する。
本発明の用語「毛髪発色」は前述した通りである。
【0025】
前記方法は、前記毛髪発色用組成物を毛髪に塗布した後、1乃至30分間放置する段階をさらに含むことができ、具体的には、1乃至5分、より具体的には、1乃至3分の非常に短い時間の放置だけでも毛髪を褐色、濃い褐色または黒色に発色することができる。このとき、塗布方法は特に制限されず、毛髪発色用組成物に毛髪を浸漬させたり、毛髪発色用組成物を毛髪にスプレー塗布したりするなどの方法を利用することができる。
【0026】
前記目的を達成するための他の態様として、本発明は、前記毛髪発色用組成物を含む毛髪発色用シャンプーを提供する。
本発明の用語「毛髪発色」は前述した通りである。
【0027】
前記発色用シャンプーは、通常のシャンプー組成物に前述した毛髪発色用組成物が添加されたものであることができ、毛髪発色用組成物の添加量は、特に制限されないが、毛髪発色用シャンプーの総重量基準で毛髪発色用組成物は、0.1乃至15重量%または1乃至15重量%で添加されることがある。
【0028】
前記毛髪発色用シャンプーは、界面活性剤、pH調整剤、膨潤剤、緩衝剤、防腐剤、香料、保湿剤、粘度調整剤、脂肪族アルコール、及びビタミンから選択されるいずれか一つ以上をさらに含むことができるが、これらに限定されない。
【0029】
前記界面活性剤は、当業界で一般的に使用されるものであれば特に限定せずに使用することができ、例えば、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、またはこれらの混合物など、当業界に公知されている界面活性剤の中で本発明の効果を達成できるよう、適切に選択して使用することができる。
【0030】
より具体的に、界面活性剤は、アルキル硫酸(AS、alkyl sulfate)、アルキルエーテル硫酸塩(AES、alkyl ether sulfate)、アルカンスルホン酸ナトリウム(SAS、sodium alkane sulfonate)、アルキルトリメチルアンモニウムハライド(alkyl trimethyl ammonium halide)、アルキルピリジニウムハライド(alkyl pyridinium halide)、アルキルイミダゾリウムハライド(alkyl imidazolium halide)、ポリエチレンオキシド系の系界面活性剤、ポリビニル系水溶性ポリマーなどであることができ、非限定的な一例として、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、sodium dodecyl sulfate)、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム(NaOBS、sodium octylbenzene sulfonate)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS、sodium dodecylbenzene sulfonate)、ラウリル硫酸アンモニウム(ALS、ammonium lauryl sulfate)、トリトンX-100(Triton X-100)、及びポリビニルピロリドン(PVP、polyvinyl pyrrolidone)等から選択されるいずれか一つ以上であることができるが、これに限定されるものではない。
【0031】
前記pH調整剤は、水性染色剤組成物のpHを調節するためのもので、当業界で一般的に使用されるものであれば特に限定せずに使用することができ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、クエン酸、及びクエン酸ナトリウムなどから選択されるいずれか一つ以上を使用することができる。
【0032】
前記膨潤剤は、当業界で一般的に使用されるものであれば特に限定せずに使用することができ、尿素(Urea)、チオ尿素(Thiourea)、過酸化尿素(Urea Peroxide)、ポリオキシメチレンウレア(Polyoxymethylene Urea)、ヒドロキシエチルウレア(Hydroxyethyl Urea)、アンモニア(Ammonia)、及びその塩などから選択されるいずれか一つ以上を使用することができる。
【0033】
前記緩衝剤は、当業界で一般的に使用されるものであれば特に限定せずに使用することができ、サリチル酸(Salicylic Acid)、サリチル酸ナトリウム(Sodium Salicylate)、乳酸(Lactic Acid)、及び乳酸ナトリウム(Sodium Lactate)などから選択されるいずれか一つ又は二つ以上を使用することができる。
【0034】
前記防腐剤は、当業界で一般的に使用されるものであれば特に限定せずに使用することができ、メチルパラベン(Methylparaben)、プロピルパラベン(Propylparaben)、フェノキシエタノール(Phenoxyethanol)、パラオキシ安息香酸メチル(Methyl p-Hydroxybenzoate)、及びパラオキシ安息香酸エチル(Ethyl p-Hydroxybenzoate)などから選択されるいずれか一つ以上を挙げることができ、前記香料は、当業界で一般的に使用されるものであれば特に限定せずに使用することができ、天然の香り又は人工合成香料から選択することができる。
【0035】
前記保湿剤は、当業界で一般的に使用されるものであれば特に限定せずに使用することができ、ポリエチレングリコールのようなグリコール類とオイル類を含む一般的に使用される成分を使用することができる。
【0036】
前記粘度調整剤は、当業界で一般的に使用されるものであれば特に限定せずに使用することができ、ポリステレート(Poly Stearate)及びカルボキシルメチルセルロースナトリウム(Sodium carboxymethyl cellulose)などから選択されるいずれか一つ又は二つ以上であり、前記脂肪族アルコールは、当業界で一般的に使用されるものであれば特に限定せずに使用することができ、セチルアルコール(Cetyl Alcohol)、ステアリルアルコール(Stearyl Alcohol)またはべヘニルアルコール(Behenyl Alcohol)などの炭素数16乃至22の脂肪族アルコールを一つ以上選択して使用することができ、前記ビタミンは、毛髪に栄養を与えるために使用することができる。
【0037】
一方、本発明に係る毛髪発色用シャンプーは、上述した成分以外にも、水を含有することができ、水はイオン交換水または蒸留水のような精製水であることができる。また、その含有量は、特に限定しないが、前記の構成成分を十分に溶解または分散することができる量であればよい。
【0038】
このように、一般的に使用されるシャンプー組成物に毛髪発色用組成物を添加し、毛髪発色用シャンプーを製作することで、毎日シャンプーをしながら、同時に毛髪を濃い色に発色することができるシャンプーを提供する。本発明に係る毛髪発色用シャンプーを利用する場合、毎日シャンプーをする過程で、トリヒドロキシベンゼンが毛髪に吸着され、毛髪発色が行われるので、毛髪の色落ち現象の代わりに追加の発色が起こるため、一般的に最も多く発生するシャンプーの過程での毛髪の色落ち現象を防止することができる。だけではなく、毛髪発色用シャンプーを活用すると、既存の数十分以上かかる染色の施術時間が必要なくなるだけでなく、伸びる毛髪などによる周期的な追加施術が必要ないので便利さが大きく増加し、短い時間で毛髪の損傷を最小限にする条件で、毛髪を濃い色に発色させることができる。
【0039】
前記目的を達成するためのもう一つの様態として、本発明は、前記毛髪発色用シャンプーで毛髪を洗浄する段階を含む毛髪発色方法を提供する。
本発明の用語「毛髪発色」は前述した通りである。
【0040】
前記毛髪を洗浄する段階は、1乃至5分、または1乃至3分、または1分間行うことができるが、これらに限定されない。
【発明の効果】
【0041】
本発明に係るトリヒドロキシベンゼンを含む毛髪発色用組成物は、アミン化合物、刺激性アルカリ剤、及び酸化剤がなくても毛髪を褐色、濃い褐色または黒色に発色する効果を示し、発色増進力、発色持続力、及び若白髪カバー能力も優れている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、様々なポリフェノール化合物の毛髪発色効果を確認した結果である。
図2図2は、シャンプー剤型に製造した本発明の毛髪発色用組成物の毛髪発色効果を色収差に数値化して確認したグラフである。
図3図3は、シャンプー剤型に製造した本発明の毛髪発色用組成物の毛髪発色効果を確認した結果である。
【実施例
【0043】
以下、実施例を通じて本発明の構成及び効果をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、専ら本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれによって限定されるものではない。
【0044】
実施例1:毛髪発色用組成物の製造
様々なポリフェノール化合物の毛髪発色効果を確認するために、下記の表1のような組成で、比較例及び製造例1乃至6の組成物を準備した。表1に記載された各構成成分の含有量の単位は質量%である。
【0045】
【表1】
【0046】
実験例1:毛髪発色用組成物の毛髪発色効果の確認
前記実施例1で製造した組成物の毛髪発色性能を確認するために、比較例及び製造例1乃至6の組成物をそれぞれブリーチ毛試料の一部分に均等に塗布した後、常温で3分間放置した。3分後、流水で3分間揉んで洗い、残りの水分を除去し、毛髪の色を評価した。
【0047】
その結果、図1に示すように、比較例及び製造例1乃至3、5、6は明確な毛髪発色効果を示さず、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン水溶液である製造例4が最も優れた発色効果を示し、製造例4の塗布及び洗浄を3回繰り返したとき、さらに濃く毛髪が発色されることを確認した。
【0048】
実施例2:シャンプー剤型の毛髪発色用組成物の製造
シャンプー剤型で製造した本発明に係る1,2,4-トリヒドロキシベンゼンを含む毛髪発色用組成物の毛髪発色効果を確認するために、以下の表2のような組成で製造例7乃至11の組成物を準備した。表2に記載された各構成成分の含有量の単位は質量%である。
【0049】
【表2】
【0050】
前記シャンプーは陰イオン性界面活性剤を使用し、具体的には、スルホコハク酸ラウレス2Na、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、グリセリン、コカミドMIPA、ラウリルグルコシド、ヘキサンジオール、及び精製水を混合して使用した。前記シャンプーの総重量を基準として、スルホコハク酸ラウレス2Na約30重量%、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン約30重量%、グリセリン約5重量%、コカミドMIPA約1重量%、ラウリルグルコシド約1重量%、及びヘキサンジオール約1重量%で使用し、残量は精製水を使用した。
【0051】
前記表2の天然コンプレックス組成物は、以下の方法で製造される。
黒ごま250g、黒桑の実50g、黒のセイヨウショウロ50g、ブラッククミン種子50g、及びブラックチェリー果実250gを精製水で十分に洗浄した後、それぞれ20Lの精製水を利用して6~8時間、65~90℃で減圧抽出して抽出物を得た。それぞれの熱水抽出物と没食子酸を下記の表3の組成比のように混合して製造した。
【0052】
【表3】
【0053】
実験例2:毛髪発色用シャンプーの毛髪発色効果の確認
前記実施例2で製造した毛髪発色用シャンプーの毛髪発色性能を確認するために、製造例7乃至11のシャンプーをそれぞれブリーチ毛試料の一部分に均等に塗布し、室温で泡を出して3分間揉んだ後、流水で3分間揉んで洗った。このように泡を出して洗浄する過程を15回繰り返した後、温風で乾燥して、毛髪の色を評価した。各回(シャンプー-洗浄)が終わるたびに色差計を用いて、Lab色数値を測定した。発色前後の色収差を下記の数学式1を使用して計算して評価及び記録した。
【0054】
【数1】
その結果、色収差の変化を図2に示すように、15回繰り返し洗浄する間に継続的に発色がみられ、発色前の毛髪に比べて色収差が著しく高くなることを確認した。
【0055】
また、図3に示すように、15回繰り返し洗浄した結果、本発明に係る毛髪発色用シャンプーを塗布した部分の毛髪が褐色に発色したことを確認した。
図1
図2
図3
【国際調査報告】