(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-23
(54)【発明の名称】蒸着システム及び工程システム
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20230816BHJP
C23C 16/448 20060101ALI20230816BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20230816BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/448
C23C16/44 E
H01L21/31 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524666
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(85)【翻訳文提出日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 KR2021009700
(87)【国際公開番号】W WO2022025588
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】10-2020-0095940
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503447036
【氏名又は名称】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム, ス ファン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヒョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ヨン イム
(72)【発明者】
【氏名】ベク, ドン グァン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン, ヒョン ソク
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030EA01
4K030EA03
4K030EA11
4K030EA12
5F045AA06
5F045AA15
5F045AB31
5F045AC00
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5F045AD01
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5F045BB08
5F045DP03
5F045DP19
5F045EE02
5F045EE05
5F045EE17
5F045EG08
(57)【要約】
本発明の実施形態による蒸着システムは、反応チャンバ、反応チャンバに気体状態の前駆体を供給するガス供給部、反応チャンバに前駆体と反応する反応物を供給する反応物供給部、及び反応チャンバからの排気物を排出する排気部を備え、ガス供給部は、順次に連結されるサブタンク、液体流量コントローラ、及び気化器を含み、前駆体は、自動充填システムによりガス供給部のサブタンクに液体状態で充填され、サブタンク、液体流量コントローラ、及び気化器を順次に経由して反応チャンバに供給され、排気部は、プラズマ前処理システムが適用される処理工程チャンバ、ポンプ、及びスクラバーを含み、キャニスターを交換することなく安定して前駆体を供給し、ポンプの寿命を向上させ、スクラバーの効率を増加させることができる。従って、本発明の実施形態による蒸着システムを用いることで、大量生産の観点から設備の維持管理の容易性を改善することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバと、
第1メインタンクに貯蔵された液体状態の第1前駆体を前記反応チャンバに気体状態で供給する第1ガス供給部と、
前記反応チャンバに前記第1前駆体と反応する反応物を供給する反応物供給部と、
前記反応チャンバで生成される排気物を排出する排気部と、を備え、
前記第1ガス供給部は、順次に連結される第1サブタンク、第1液体流量コントローラ、及び第1気化器を含み、
第1自動充填システムにより前記第1サブタンクに充填された前記第1前駆体は、前記第1サブタンク、前記第1液体流量コントローラ、及び前記第1気化器を順次に経由して前記反応チャンバに供給され、
前記第1自動充填システムは、前記第1メインタンクと前記第1ガス供給部との間の配管に陰圧を形成し、前記第1メインタンクに貯蔵された液体状態の前記第1前駆体を前記第1サブタンクに周期的に充填して前記第1前駆体が前記反応チャンバに供給可能な状態を維持するように動作し、
前記排気部は、前記排気物の分解性能を増加させるプラズマ前処理システムが適用される処理工程チャンバ、ポンプ、及びスクラバーを含むことを特徴とする蒸着システム。
【請求項2】
前記第1液体流量コントローラは、前記第1前駆体を単位時間当たり一定の量で前記第1気化器に供給することを特徴とする請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項3】
第2メインタンクに貯蔵された液体状態の第2前駆体を前記反応チャンバに気体状態で供給する第2ガス供給部を更に含み、
前記第2ガス供給部は、前記第2前駆体を貯蔵する第2サブタンクを含み、
前記第2前駆体は、前記第1前駆体と異なる元素で構成されることを特徴とする請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項4】
前記第2ガス供給部は、前記第1ガス供給部と異なる別途の経路を通じて前記第2前駆体を前記反応チャンバに供給することを特徴とする請求項3に記載の蒸着システム。
【請求項5】
前記第2ガス供給部には、前記第1自動充填システムと別個で動作する第2自動充填システムが適用され、
前記第2自動充填システムは、前記第2メインタンクに貯蔵された液体状態の前記第2前駆体を前記第2サブタンクに周期的に充填するように動作することを特徴とする請求項3に記載の蒸着システム。
【請求項6】
前記第2ガス供給部は、バブラー又は気化器のいずれか一つの気化装置を更に含み、
前記気化装置は、前記第2前駆体の蒸気圧及び前記第2前駆体の必要供給量によって決定され、
前記決定された気化装置によって気化された前記第2前駆体は、前記反応チャンバに供給されることを特徴とする請求項3に記載の蒸着システム。
【請求項7】
前記第2ガス供給部は、前記第2サブタンクと前記反応チャンバとの間に順次に連結される第2液体流量コントローラ及び第2気化器を更に含み、
前記第2液体流量コントローラは、前記第2前駆体の流量を調節して前記第2気化器に供給し、
前記第2気化器は、前記第2前駆体を気化させて前記反応チャンバに供給することを特徴とする請求項3に記載の蒸着システム。
【請求項8】
前記第2ガス供給部は、運搬ガス供給部及びバブラーを更に含み、
前記運搬ガス供給部は、運搬ガスを前記第2サブタンクに注入し、
前記バブラーは、前記運搬ガスを用いてバブリング(bubbling)現象を発生させ、
前記バブリング現象によって気化された前記第2前駆体は、前記反応チャンバに供給されることを特徴とする請求項3に記載の蒸着システム。
【請求項9】
前記第2前駆体の蒸気圧は、100℃で1Torr以上であることを特徴とする請求項8に記載の蒸着システム。
【請求項10】
前記第2ガス供給部は、運搬ガス供給部を更に含み、
前記運搬ガス供給部は、運搬ガスを前記第2サブタンクに注入し、
ベーキング(baking)方式で気化された前記第2前駆体は、前記反応チャンバに供給されることを特徴とする請求項3に記載の蒸着システム。
【請求項11】
前記第1ガス供給部は、前記第1気化器と前記反応チャンバの間に配置されるフィルタを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項12】
前記反応チャンバは、バッチ(batch)、セミバッチ(semi-batch)、又はシングル(single)タイプであることを特徴とする請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項13】
前記プラズマ前処理システムは、前記排気物に反応性ガスを供給した後、プラズマ放電を誘導することで動作することを特徴とする請求項1に記載の蒸着システム。
【請求項14】
反応チャンバと、
前記反応チャンバに少なくとも一つの前駆体を気体状態でそれぞれ供給する少なくとも一つのガス供給部と、
前記反応チャンバに前記前駆体と反応する反応物を供給する反応物供給部と、
前記反応チャンバで生成される排気物を排出する排気部と、を備え、
前記少なくとも一つのガス供給部は、それぞれ、
メインタンクに連結された配管に陰圧を形成して前記前駆体を周期的に充填することで前記前駆体が前記反応チャンバに供給可能な状態を維持させる自動充填システムが適用されるサブタンクと、
前記前駆体を気体状態で前記反応チャンバに供給するための気化器と、
前記気化器に供給される前記前駆体の量を調節する液体流量コントローラと、を含み、
前記排気部は、処理工程チャンバ、ポンプ、及びスクラバーを含み、
前記処理工程チャンバは、前記排気物の化学的構造を変化させるプラズマ前処理システムを適用した後、前記ポンプを通じて前記排気物を排出することを特徴とする蒸着システム。
【請求項15】
前記自動充填システムは、前記前駆体を使用した第1工程と前記第1工程の後に進行する第2工程との間に前記前駆体を前記サブタンクに自動で充填することを特徴とする請求項14に記載の蒸着システム。
【請求項16】
前記プラズマ前処理システムは、前記反応チャンバにおける工程とは別個に、必要に応じて選択的に動作するように制御されることを特徴とする請求項14に記載の蒸着システム。
【請求項17】
液体状態の工程物質が貯蔵されたメインタンクに連結された配管に陰圧を形成して前記液体状態の工程物質を前記配管に連結されたサブタンクに自動で充填し、前記サブタンクに貯蔵された前記工程物質を一定量以上維持させる少なくとも一つの自動充填システムと、
前記サブタンクに貯蔵された前記工程物質を気体状態で反応チャンバに供給するガス供給システムと、
プラズマ放電を誘導して前記反応チャンバから排出された排気物の化学的構造を変化させるように動作するプラズマ前処理システムと、を備え、
前記ガス供給システムは、前記サブタンクと前記反応チャンバとの間に順次に連結された液体流量コントローラ及び気化器を動作させ、
前記液体流量コントローラは、前記気化器に供給する前記工程物質の量を調節することを特徴とする工程システム。
【請求項18】
前記工程物質は、蒸着(Deposition)工程、エッチング(Etching)工程、洗浄(Cleaning)工程、アッシング(Ashing)工程、及びアニーリング(Annealing)工程のいずれか一つで使用され、
前記ガス供給システムは、気体状態の前記工程物質を前記反応チャンバに周期的に供給することを特徴とする請求項17に記載の工程システム。
【請求項19】
前記ガス供給システムは、複数のガス供給部を含み、
前記複数のガス供給部は、複数の工程物質をそれぞれ前記反応チャンバに供給することを特徴とする請求項17に記載の工程システム。
【請求項20】
前記複数のガス供給部のうちの少なくとも一部は、異なるメカニズムで動作することを特徴とする請求項19に記載の工程システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着システム及び工程システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に薄膜を形成する代表的な方法として、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition:CVD)及び原子層蒸着(Atomic Layer Deposition:ALD)がある。CVD及びALD工程では、多様な反応物を使用して基板表面に薄膜を形成する。工程過程において、液体反応物は一般的に気体状態に相変化して反応チャンバに供給される。蒸着工程が完了した後は、工程排気物が排気端に排出される。但し、液体反応物の供給量を増やすために気化器を使用することによって、液体反応物を供給するキャニスター(canister)の交換周期が短くなり、工程排気物の増加のためにポンプ(pump)の交換時期が短くなる。また、キャニスター及びポンプを交換する時は蒸着設備を停止しなければならないという問題があるため、大量生産の観点から容易な蒸着設備の維持及び管理のために蒸着システムを改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、大量生産の観点から蒸着設備の維持及び管理が容易な蒸着システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様による蒸着システムは、反応チャンバと、前記反応チャンバに気体状態の第1前駆体を供給する第1ガス供給部と、前記反応チャンバに前記第1前駆体と反応する反応物を供給する反応物供給部と、前記反応チャンバからの排気物を排出する排気部と、を備え、前記第1ガス供給部は、順次に連結される第1サブタンク、第1液体流量コントローラ、及び第1気化器を含み、前記第1前駆体は、第1自動充填システムにより前記第1ガス供給部の前記第1サブタンクに液体状態で充填され、前記第1サブタンク、前記第1液体流量コントローラ、及び前記第1気化器を順次に経由して前記反応チャンバに供給され、前記排気部は、プラズマ前処理システムが適用される処理工程チャンバ、ポンプ、及びスクラバーを含む。
【0005】
本発明の他の態様による蒸着システムは、反応チャンバと、自動充填システムを用いて前記反応チャンバに少なくとも一つの前駆体を気体状態で供給する少なくとも一つのガス供給部と、前記反応チャンバに前記前駆体と反応する反応物を供給する反応物供給部と、前記反応チャンバからの排気物を排出する排気部と、を備え、前記少なくとも一つのガス供給部は、前記前駆体が貯蔵されるサブタンクと、前記前駆体を気体状態で前記反応チャンバに供給するための気化器と、前記気化器で供給される前記前駆体の量を調節する液体流量コントローラと、を含み、前記排気部は、処理工程チャンバ、ポンプ、及びスクラバーを含み、前記処理工程チャンバは、プラズマ前処理システムを用いて前記排気物の化学的構造を変化させた後、前記ポンプを通じて前記排気物を排出する。
【0006】
本発明の一態様による工程システムは、液体状態の工程物質をサブタンクに自動で充填する少なくとも一つの自動充填システムと、前記サブタンクに貯蔵された前記工程物質を気体状態で反応チャンバに供給するガス供給システムと、プラズマ放電を誘導して前記反応チャンバから排出された排気物の化学的構造を変化させるように動作するプラズマ前処理システムとを含み、前記ガス供給システムは、前記サブタンクと前記反応チャンバとの間に順次に連結された液体流量コントローラ及び気化器を動作させ、前記液体流量コントローラは、前記気化器に供給する前記工程物質の量を調節する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の蒸着システムによれば、キャニスターを周期的に交換する方法の代わりに、サブタンクに適用される自動充填システム(Auto Refill System:ARS)を利用することで、液体反応液を常時供給可能な状態で維持することができる。また、排気部にプラズマ前処理システム(Pre Plasma treatment System:PPS)を適用することで、ポンプの寿命を延ばし、スクラバーの効率を改善することができる。
【0008】
本発明の多様で且つ有益な長所及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態による蒸着システムの概略的なブロック図である。
【
図2a】本発明の一実施形態による蒸着システムにおける反応チャンバの種類を説明するための図である。
【
図2b】本発明の一実施形態による蒸着システムにおける反応チャンバの種類を説明するための図である。
【
図2c】本発明の一実施形態による蒸着システムにおける反応チャンバの種類を説明するための図である。
【
図3】本発明の一実施形態による蒸着システムにおけるバブラーの動作を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施形態による蒸着システムにおける気化器の動作を説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態による蒸着システムにおける自動充填システムの動作を説明するための概略的なフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態による蒸着システムにおける排気物の排出過程を説明するための概略的な図である。
【
図7】本発明の一実施形態による蒸着システムにおけるプラズマ前処理システムの動作を説明するための概略的なフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態による蒸着システムの概略的なブロック図である。
【
図9】本発明の一実施形態による蒸着システムの概略的なブロック図である。
【
図10】本発明の一実施形態による蒸着システムの概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態による蒸着システムの概略的なブロック図である。
【0012】
図1を参照すると、蒸着システム1は、反応チャンバ10、ガス供給部20、排気部30、メインタンク40、及び反応物供給部50を含む。
【0013】
本実施形態による蒸着システム1は、化学気相蒸着(CVD)及び/又は原子層蒸着(ALD)工程を進行させるシステムである。CVD工程及びALD工程は、共通して前駆体及び反応物を反応チャンバ10の内部に供給して反応させることで、基板上に薄膜を蒸着する過程を進行させる。
【0014】
前駆体は、常温で液体又は固体状態で存在し、ガス供給部20に含まれる一構成によって気化されて気体状態で反応チャンバ10に供給される。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、前駆体は、常温下気体状態で存在し得る。本実施形態による蒸着システム1において、前駆体は液体反応物である。一例として、前駆体は、金属有機前駆体(metal organic precursor)であり、3、4、5族元素で構成される。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、実施形態により他の元素で構成され得る。
【0015】
一般的な蒸着工程において、前駆体を気体状態で相変化させるための気化装置として、バブラー(bubbler)及び/又は気化器(vaporizer)が利用される。一例として、ベーキング(baking)方式を用いて前駆体を気体状態に相変化させ、運搬ガスを用いて気体前駆体を反応チャンバ10に供給する。一方、運搬ガスでバブリング(bubbling)現象を起こして液体前駆体を気化させ、気体前駆体を反応チャンバ10に供給することもできる。但し、気化器を使用して液体前駆体を気体状態に相変化させてもよい。
【0016】
上述した気化装置のうちの如何なる装置を利用するかは、液体前駆体の蒸気圧によって変わる。一例として、蒸気圧の低い前駆体の場合、バブラーを使用して液体前駆体を気化させるのに困難があり、気化器を使用する必要がある。一方、蒸気圧の高い前駆体の場合、ベーキング方式だけで前駆体を気化させることもできる。
【0017】
一方、気化器を使用して液体前駆体を気体状態に相変化させる場合、バブラーを使用する場合よりも多量の前駆体を反応チャンバ10に供給することになる。反応チャンバ10に供給される前駆体の量は、液体流量コントローラ(Liquid Mass Flow Controller)により調節される。
【0018】
一般的に、反応チャンバ10に供給される前駆体はキャニスターに貯蔵される。この時、工程が進行するにつれてキャニスターの内部に前駆体が所定の量よりも少なくなると、再び工程を進行するためにはキャニスター交換の必要がある。一方、キャニスターを交換するためには、工程設備を停止することになる。一例として、工程設備の停止期間中は、キャニスターの交換と共に配管内部の不純物を除去するクリーニング過程を進行する。
【0019】
一方、蒸着工程が進行する間及び/又は蒸着工程が完了した後、反応チャンバ10の排気端に排気物が排出される。一例として、排気物は、蒸着工程過程で反応しなかった気体反応物や反応した後の副産物を含む。排気物は、容易に固体形態に相変化し、反応チャンバ10の排気端に連結されるポンプ32に蓄積されるため、負担をかける可能性がある。これにより、消耗したポンプを交換するためには、工程設備を停止することになる。
【0020】
本発明の一実施形態による蒸着システム1において、反応チャンバ10は、蒸着工程を進行させる蒸着チャンバを含む。一例として、蒸着工程は、化学気相蒸着(CVD)及び/又は原子層蒸着(ALD)工程である。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、本発明の一実施形態による蒸着システム1の反応チャンバ10は、ガス噴射が用いられる他の工程を進行させるチャンバを含む。一例として、反応チャンバ10は、CMP工程後に洗浄ガスを噴射して洗浄を進行する研磨工程チャンバ、ソースガスのラジカル及びイオンを含むプラズマなどを用いてウェーハ及び/又はウェーハ上に形成された素子層のうちの少なくとも一部領域を除去するエッチング工程チャンバなどを含む。一方、蒸着工程以外のその他の工程を進行させる場合、反応チャンバ10に供給される気体は前駆体に限定されない。
【0021】
本実施形態による蒸着システム1において、反応チャンバ10に供給される液体前駆体はメインタンク40に貯蔵される。メインタンク40に貯蔵されていた液体前駆体は、自動充填システム(Auto Refill System)ARSによりガス供給部20に充填される。一例として、自動充填システムARSは、工程と工程との間で動作する。一例として、自動充填システムARSが動作すると、メインタンク40とガス供給部20との間の配管には、配管に連結された真空ポンプにより陰圧が形成される。形成された陰圧により、ガス供給部20には適正量の液体前駆体が充填される。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、自動充填システムARSの動作時期及び方法は実施形態によって異なってもよい。
【0022】
本実施形態による蒸着システム1において、ガス供給部20は、サブタンク22、液体流量コントローラ23、及び気化器24を含む。一例として、ガス供給部20は、気化器24で完全に気化されなかった液体前駆体などを濾しだすためのフィルタ25を更に含む。その他に、ガス供給部20の各構成間及び/又は構成の内部には、前駆体の供給を調節するための複数のバルブが配置される。但し、これは実施形態に過ぎないため限定されず、必要に応じてバルブの個数及び位置は多様に決定される。
【0023】
サブタンク22は、メインタンク40から充填されて当該工程で使用される液体前駆体を貯蔵する。一例として、サブタンク22はキャニスターである。液体流量コントローラ23は、サブタンク22に貯蔵された液体前駆体を単位時間当り一定の量で気化器24に供給する。一例として、単位時間当り一定の量は、1分当たり約1g~10gの範囲に該当する。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、液体前駆体の種類、工程を進行するために必要な供給量、一回の工程で蒸着が起こる基板の個数などによって異なってもよい。
【0024】
一方、気化器24は、液体前駆体を反応チャンバ10に供給するために気体状態に相変化させる。気化器24の動作方法は、一つに限定されず、実施形態によって多様な方法で動作して液体前駆体を気化させることができる。気体状態の前駆体は、フィルタ25を経て反応チャンバ10に供給される。
【0025】
一例として、
図1に示したガス供給部20の構成は、気化器24及び液体流量コントローラ23を使用して液体前駆体を気化する場合に該当する。本発明の一実施形態による蒸着システム1において、ガス供給部20には、気化器24及び液体流量コントローラ23の代わりにバブラーが含まれる。バブラーは別途の構成として含まれるが、これに限定されず、サブタンク22に含まれ得る。本発明の一実施形態によるガス供給部20の動作については後述する。
【0026】
本実施形態による蒸着システム1に含まれる反応物供給部50は、反応チャンバ10に前駆体と反応して薄膜を形成するための反応物(reactant)を供給する。一例として、供給される反応物は、H2O、H2O2、O3、NH3などのうちの少なくとも一部を含む。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、実施形態によって供給される反応物は異なってもよい。
【0027】
本実施形態による蒸着システム1において、蒸着工程が進行する間及び/又は蒸着工程が完了した後、反応チャンバ10の排気端に排気物が排出される。排出された排気物は、排気部30を通じて蒸着システム1から排出される。一方、排気部30は、処理工程チャンバ31、ポンプ32、及びスクラバー33を含む。
【0028】
蒸着工程の排気物は、処理工程チャンバ31でプラズマ前処理システム(Pre-Plasmatreatment System)PPSを経た後、ポンプ32及びスクラバー33を通じて排出される。但し、処理工程チャンバ31の配置は、
図1に示した形態に限定されず、処理工程チャンバ31は、ポンプ32とスクラバー33との間に配置されてもよい。一方、処理工程チャンバ31は、複数個が設置されて、プラズマ前処理システムPPSが数回繰り返して適用され得る。
【0029】
処理工程チャンバ31で排気物に適用されるプラズマ前処理システムPPSは、排気物に反応性ガスを供給する。一例として、反応性ガスはO2である。但し、これは実施形態に過ぎないため限定されず、実施形態によって他の反応性ガスが供給され得る。排気物に含まれる金属性副産物と反応性ガスとが反応してジルコニア(ZrO2)などの反応物を生成することがある。一例として、ジルコニアは、パウダー形態である。但し、ジルコニアなどの反応物は、配管内壁に積層されて、排気物の排出を妨害するという問題を引き起こすおそれがある。
【0030】
本実施形態による蒸着システム1において、プラズマ前処理システムPPSは、処理工程チャンバ31の内部にプラズマ放電を誘導する。一方、プラズマ放電により、蒸着工程の排気物は分解性能が向上するか、及び/又は流れ性が良く安全な物質に置換される。これにより、プラズマ前処理システムPPSは、ポンプ32の寿命を延長させ、スクラバー33の効率を改善することができる。
【0031】
一例として、プラズマ前処理システムPPSを適用する場合、そうでない場合よりもポンプの寿命は2倍~3倍ほど増加する。一例として、プラズマ前処理システムPPSを適用しない場合、ポンプの交換周期は1ヵ月であり、プラズマ前処理システムPPSを適用する場合、ポンプの交換周期は2ヵ月~3ヵ月である。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、ポンプの交換周期は、工程環境、プラズマ前処理システムPPSの性能、ポンプの性能などによって異なり得る。また、プラズマ前処理システムPPSの適用により増加するポンプの寿命は、プラズマ前処理システムPPSを適用しない場合のポンプの寿命よりも2倍以下であるか、或いは3倍以上である。
【0032】
本実施形態による蒸着システム1において、反応チャンバ10の排気端に排出される排気物は、様々な状態の物質を含む。ポンプ32は、陰圧を用いて排気物を排出させる役割をする。スクラバー33は、排気物のうちの気体状態の排気ガスを溶解させて吸収させる役割をする。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、排気部30は、排気物を安全に処理して排出するための多様な方法が複合的に適用され、そのために必要な追加の構成を更に含んでもよい。
【0033】
図2a~
図2cは、本発明の一実施形態による蒸着システムにおける反応チャンバの種類を説明するための図である。
【0034】
図2a~
図2cを参照すると、本実施形態による蒸着システムにおいて、反応チャンバは、基板上面に薄膜を蒸着させる蒸着工程が進行する蒸着チャンバである。一方、蒸着チャンバは、同時に工程を進行させる基板の個数によって、バッチ(batch)タイプ、セミバッチ(semi-batch)タイプ、シングル(single)タイプに分類される。一例として、蒸着工程を進行させる基板は、ウェーハ(Wa、Wb、Wc)である。但し、実施形態によって工程対象はウェーハ(Wa、Wb、Wc)に限定されない。一例として、ウェーハ(Wa、Wb、Wc)ではなく、他の多様な基板、例えばディスプレイ用母基板(mother substrate)が工程対象になる。
【0035】
本実施形態による蒸着システムは、反応チャンバの種類に関係なく適用される。例えば、従来は工程速度を向上するためにバッチタイプの反応チャンバを主に使用したが、精密工程の正確性のために、最近ではシングルタイプの反応チャンバの使用が増加している傾向にあるため、大量生産の観点から設備の維持及び管理は更に重要である。本実施形態による蒸着システムは、設備の維持及び管理を更に容易にし、工程の効率を改善することができる。
【0036】
図2aを参照すると、工程を進行させる反応チャンバ10aはバッチタイプである。一例として、バッチタイプの反応チャンバ10aは、複数個のウェーハWaに対して同時に工程を進行する。一例として、反応チャンバ10aに供給された気体状態の前駆体は、特定配列で配置されたウェーハWaの上面に薄膜を蒸着させる。但し、
図2aに示した実施形態に限定されるものではなく、バッチタイプの反応チャンバ10aの内部形態は実施形態によって異なってもよい。
【0037】
図2bを参照すると、工程を進行させる反応チャンバ10bは、セミバッチタイプである。一例として、セミバッチタイプの反応チャンバ10bは、複数個のウェーハWbに対して同時に工程を進行する。一例として、反応チャンバ10bに供給された気体状態の前駆体は、特定配列で配置されたウェーハWbの上面に薄膜を蒸着させる。但し、
図2bに示した実施形態に限定されるものではなく、セミバッチタイプの反応チャンバ10bの内部形態は実施形態によって異なってもよい。
【0038】
一例として、セミバッチタイプの反応チャンバ10bで同時に工程を進行させるウェーハWbの個数は、
図2aに示したバッチタイプの反応チャンバ10aで同時に工程を進行させるウェーハWaの個数よりも小さい。但し、バッチタイプの反応チャンバ10aと比較した場合、セミバッチタイプの反応チャンバ10bでは精密工程の正確性が向上する。
【0039】
図2cを参照すると、工程を進行させる反応チャンバ10cは、シングルタイプである。一例として、シングルタイプの反応チャンバ10cは、一回にウェーハWcに対して一つずつ工程を進行する。工程速度の側面からはバッチタイプの反応チャンバ10aに比べて不利であるが、高い精密度を利用してウェーハWcの上面に薄膜を均一に蒸着させることができる。但し、
図2cに示した実施形態に限定されるものではなく、シングルタイプの反応チャンバ10bの内部形態は実施形態によって異なってもよい。
【0040】
図3は、本発明の一実施形態による蒸着システムにおけるバブラーの動作を説明するための図である。
【0041】
図3を参照すると、本実施形態による蒸着システムにおいて、ガス供給部120に含まれるサブタンク122は、液体前駆体LPを気化させて気体前駆体GPの状態で反応チャンバに供給するためのバブラーBを含む。一方、バブラーBは、サブタンク122とは別途の装置としてガス供給部120に含まれる。
【0042】
一例として、サブタンク122には、液体前駆体LPが所定の高さHまで満たされる。バブラーBは、第1高さh1で運搬ガスGを噴射する。一例として、第1高さh1は、液体前駆体LPが満たされた所定の高さHよりも低い。換言すると、運搬ガスGは、液体前駆体LPの内部に直接噴射される。一例として、運搬ガスGは、反応性の低いN2などの気体である。但し、これは実施形態に過ぎないため限定されず、実施形態によって多様な運搬ガスGが使用され得る。
【0043】
一方、運搬ガスGの噴射により、液体前駆体LPにはバブリング(bubbling)現象が表れ、液体前駆体LPは気体前駆体GPに気化する。気体前駆体GPは、配管を通じて反応チャンバに供給される。一例として、気体前駆体GPが抜け出す配管の入口は、液体前駆体LPの表面の上部に配置される。但し、これは実施形態に過ぎないため限定されず、実施形態によって配管の入口は液体前駆体LPの表面に近接して配置されるか、又は気体前駆体GPが抜け出せる多様な方法で配置され得る。
【0044】
バブリング現象が起こる液体前駆体LPは、所定の蒸気圧を有する物質である。一例として、100℃で約1Torr以上の蒸気圧を有する液体前駆体LPを使用する蒸着工程の場合、バブラーBを用いて液体前駆体LPを気化させることができる。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、高い蒸気圧を有する液体前駆体LPを利用する蒸着システムであるとしても、供給量を向上させるための目的でバブラーBではなく後述する気化器を利用することもできる。
【0045】
図4は、本発明の一実施形態による蒸着システムにおける気化器の動作を説明するための図である。
【0046】
図4を参照すると、本実施形態による蒸着システムにおいて、ガス供給部220は、サブタンク222と共に、液体流量コントローラ223及び気化器224を含む。液体流量コントローラ223は、気化器224に供給される液体前駆体LPの量を調節する。気化器は、液体流量コントローラ223から供給された液体前駆体LPを気化させて気体前駆体GPの状態で反応チャンバに供給する。
【0047】
一例として、サブタンク222には、液体前駆体LPが所定の高さHまで満たされる。液体前駆体LPを液体流量コントローラ223に供給するため、サブタンク222の第2高さ(h2)で運搬ガスGが噴射される。一例として、第2高さ(h2)は、液体前駆体LPが満たされた所定の高さHよりも高い。換言すると、運搬ガスGは、液体前駆体LPの表面に噴射される。
【0048】
一方、運搬ガスGの噴射により、液体前駆体LPの一部は第1配管L1に沿って液体流量コントローラ223に供給される。一例として、第1配管L1の入口は、液体前駆体LPが満たされた所定の高さHよりも低い第3高さh3に配置される。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されない。
【0049】
液体前駆体LPは、液体流量コントローラ223によって調節された量ほど第2配管L2に沿って気化器224に供給される。一方、気化器224を用いて気体状態に相変化した気体前駆体GPは、第3配管L3に沿って反応チャンバに供給される。換言すると、第1配管L1及び第2配管L2を通る前駆体は液体前駆体LPであり、第3配管L3を通る前駆体は気体前駆体GPである。
【0050】
本実施形態による蒸着システムにおいて、気化器224を利用する液体前駆体LPは、低い蒸気圧を有する物質である。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、蒸気圧の大きさに関係なく気体前駆体GPの供給量を増加させるための目的として気化器224を利用することもできる。
【0051】
図3及び
図4を参照すると、本発明の実施形態による蒸着システムにおいて、前駆体を気化させるためのバブラー又は気化器は、他の構成に関連する全体的な一つのシステムとして動作する。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、他の構成の動作に関係なく別個のシステムにより動作することもできる。一例として、バブラー又は気化器は、別途のガス供給システムにより動作する。
【0052】
図5は、本発明の一実施形態による蒸着システムにおける自動充填システムの動作を説明するための概略的なフローチャートである。
【0053】
図5を参照すると、本実施形態による蒸着システムは、自動充填システムを適用することで、メインタンクからサブタンクに液体前駆体が充填される。一例として、自動充填システムは、サブタンクに満たされた液体前駆体が所定の量以上であるか否かを確認する(S100)。所定の量は、次回の工程を進行するために必要な液体前駆体の量である。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、必要に応じてサブタンクには、工程上余裕分以上の液体前駆体が更に満たされ得る。
【0054】
サブタンクに満たされた液体前駆体が所定の量よりも少ない場合、自動充填システムが動作してメインタンクに貯蔵された液体前駆体をサブタンクに充填する(S110)。一例として、メインタンクとサブタンクとの間には真空ポンプが配置され、液体前駆体は、真空ポンプで形成された陰圧を用いて自動的に充填がなされる。一方、サブタンクに満たされた液体前駆体が所定の量以上である場合、上述した蒸着工程を進行する(S120)。
【0055】
蒸着工程が完了した後(S130)、蒸着工程を進行し続けるか否かを確認し(S140)、蒸着工程を進行し続ける場合は、S100の段階から再び繰り返される。
【0056】
本発明の一実施形態による蒸着システムに適用される自動充填システムは、キャニスターを持続的に交換する代わりに、サブタンクに液体前駆体を充填して蒸着工程を進行する。これにより、キャニスターを交換するための設備停止期間を工程期間として活用することで、工程効率を改善することができる。
【0057】
図6は、本発明の一実施形態による蒸着システムにおける排気物の排出過程を説明するための概略的な図である。
【0058】
図6を参照すると、本実施形態による蒸着システムにおいて、蒸着工程で生成される排気物WPは反応チャンバの排気端を通じて排気部30に排出される。一例として、排気部30は、排気物WPの化学的構造を変化させるプラズマ前処理システムPPSが適用される処理工程チャンバ31、ポンプ32、及びスクラバー33を含む。
【0059】
本実施形態による蒸着システムにおいて、プラズマ前処理システムは、反応チャンバから排出された排気物WPを分解及び/又は置換して排出を容易にする。一例として、排気物WPは、処理工程チャンバ31でプラズマ前処理システムが適用される。但し、プラズマ前処理システムは、本実施形態による蒸着システムに適用されるものに限定されず、蒸着工程だけでなく排気物WPを排出する他の工程にも適用される。一例として、プラズマ前処理システムは、アッシング(ashing)、エッチング(etching)、洗浄(cleaning)、アニーリング(annealing)などの工程にも適用される。
【0060】
一方、プラズマ前処理システムが適用される前の排気物WPは、反応できなかった前駆体及び/又は反応し残った副産物である。一例として、排気物WPは、ジルコニアなどのように相対的に複雑な構造を有する物質である。これにより、プラズマ前処理システムを適用せずにそのまま排出される場合、ポンプ32に負担をかけるか、或いは排気物WPが配管に蓄積されるなどの問題によりポンプ32の寿命が減るおそれがある。
【0061】
処理工程チャンバ31にはプラズマ前処理システムが適用される。プラズマ前処理システムは、反応性ガスRGを供給して、プラズマ放電を誘導する過程を含む。一例として、反応性ガスRGは、O2である。プラズマ放電により分解性能が高くなった排気物は、電荷を有するイオンに分解される。一例として、プラズマ前処理システムが適用された排気物は、N3-、O2-、H+、Mx+、C、e-(電子)などを含む。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、プラズマ前処理システムによる動作及び分解された排気物は、実施形態によって異なり得る。
【0062】
一方、ポンプ32に移動したイオン状態の排気物は再結合して新しい物質を形成する。一例として、ポンプ32には、MOX、NO2、H2O、CO2などが含まれる。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、その他に多様な物質を含み得る。一例として、ポンプ32には再結合されないH+(陽イオン)が含まれる。
【0063】
スクラバー33は、残っている排気物のうちの少なくとも一部を溶解させて排出する。一方、プラズマ前処理システムが適用された排気物は、初期排気物WPと比べて相対的に簡単な構造を有する物質に分解及び/又は置換されるため、スクラバー33の効率は増加する。一例として、スクラバー33を通じて外部に排出される排気物は、MOX、NO2、H2O、CO2、H2などの形態である。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、その他に多様な物質を含み得る。
【0064】
図7は、本発明の一実施形態による蒸着システムにおけるプラズマ前処理システムの動作を説明するための概略的なフローチャートである。
【0065】
図7を参照すると、プラズマ前処理システムの動作は、全ての工程過程で常に進行するものではない。従って、本実施形態による蒸着システムは、プラズマ前処理システムを動作するか否かを決定する段階(S200)を経る。プラズマ前処理システムは、工程途中及び/又は工程と工程との間で動作する。プラズマ前処理システムが動作しない場合、反応チャンバから排出された排気物は、ポンプ及びスクラバーを経て外部に排出される。
【0066】
プラズマ前処理システムが動作する場合、処理工程チャンバには反応性ガスが投入される(S210)。一例として、上述したように、反応性ガスはO2である。反応性ガスは、反応チャンバから排出された排気物と反応して分解される。
【0067】
但し、完全に分解されていないパウダー形態の排気物は、ポンプに蓄積されてポンプの寿命を短縮させるおそれがあるため、プラズマ放電を起こして分解性能を向上させる(S220)。一例として、プラズマ放電は、RFプラズマ放電形態で発生させる。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、実施形態によってDCグロー放電などの形態で発生させてもよい。
【0068】
本実施形態による蒸着システムにおいて、プラズマ前処理システムは、実施形態によって複数回繰り返して動作する。よって、プラズマ前処理システムを繰り返して動作させるか否かを決める段階(S230)を経る。これにより、S210及びS220の段階は、複数回繰り返される。上記段階により分解性能が向上した排気物は、ポンプ及びスクラバーを通じて排出される(S240)。但し、上述したように、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、排気部の構成及び各構成の配置は、実施形態によって変わり得る。
【0069】
本実施形態による蒸着システムに適用されるプラズマ前処理システムは、分解性能が向上した排気物を排出可能に動作する。これにより、ポンプに蓄積される排気物を減少させてポンプの寿命を延長させることができる。また、スクラバーの効率を増加させることで、排気効率を改善することができる。
【0070】
図8~
図10は、本発明の一実施形態による蒸着システムの概略的なブロック図である。
【0071】
図8を参照すると、本実施形態による蒸着システム300は、蒸着しようとする薄膜が2元系物質又は3元系物質からなる場合の蒸着システムである。一例として、蒸着システム300は、
図1の蒸着システム1に示した各構成に対応する構成を含む。一方、ガス供給部20に対応する第1ガス供給部320aと共に、第2ガス供給部320bを更に含む。
【0072】
蒸着しようとする薄膜の一成分である第1前駆体は、第1メインタンク340aから第1自動充填システムARS_aにより第1ガス供給部320aに充填される。第1ガス供給部320aは反応チャンバ310に気体状態の第1前駆体を供給し、第2ガス供給部320bは反応チャンバ310に第1前駆体とは異なる第2前駆体を気体状態で供給する。
【0073】
本実施形態による蒸着システム300において、第2ガス供給部320bは、第1ガス供給部320aに対応する構成を含む。一例として、第2ガス供給部320bは、第2サブタンク322b、第2液体流量コントローラ323b、第2気化器324b、及び第2フィルタ325bを含む。第2サブタンク322bは、第2メインタンク340bから第2自動充填システムARS_bにより充填された第2前駆体を貯蔵する。
【0074】
一方、第1前駆体及び第2前駆体は、反応チャンバ310で反応物供給部350から供給された反応物(reactant)と反応して基板上に薄膜を形成する。蒸着工程により排出される排気物は、
図6に示したプラズマ前処理システムが適用された後、外部に排出される。その他の構成の特徴及び動作は、
図1に示した蒸着システム1と同一である。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、第1前駆体と第2前駆体との物性差により、第1ガス供給部320a及び第2ガス供給部320bの構成は互いに異なる特徴を有することもできる。
【0075】
図9を参照すると、本実施形態による蒸着システム400は、蒸着しようとする薄膜が2元系物質又は3元系物質からなる場合の蒸着システムである。一例として、
図1の蒸着システム1に示したガス供給部20に対応する第1ガス供給部420aと共に、第2ガス供給部420bを更に含む。
【0076】
蒸着しようとする薄膜の一成分である第1前駆体は、第1メインタンク440aから第1自動充填システムARS_aにより第1ガス供給部420aに充填される。第1ガス供給部420aは、反応チャンバ410に気体状態の第1前駆体を供給する。第1前駆体とは異なる第2前駆体は、第2メインタンク440bから第2自動充填システムARS_bにより第2サブタンク422bに充填される。第2ガス供給部420bは、反応チャンバ410に第2前駆体を気体状態で供給する。
【0077】
一方、本実施形態による蒸着システム400に含まれる第2ガス供給部420bは、
図8に示した蒸着システム300に含まれる第2ガス供給部320bとは異なり、バブラーを用いて第2前駆体を気化させる。一例として、運搬ガス供給部421bは第2サブタンク422bに運搬ガス(carrier gas)を供給する。一例として、運搬ガスは、反応性の低いN
2などの気体である。第2サブタンク422bに貯蔵されていた液体状態の第2前駆体は、ベーキング(baking)及び/又はバブリング(bubbling)方式により気化されて、反応チャンバ410に供給される。
【0078】
一方、第1前駆体及び第2前駆体は、反応チャンバ410で反応物供給部450から供給された反応物と反応して基板上に薄膜を形成する。蒸着工程により排出される排気物は、
図6に示したプラズマ前処理システムが適用された後、外部に排出される。その他の構成の特徴及び動作は、
図1に示した蒸着システム1と同一である。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、第1前駆体と第2前駆体との物性差により、第1ガス供給部420a及び第2ガス供給部420bの構成は互いに異なる特徴を有することもできる。
【0079】
図10を参照すると、本実施形態による蒸着システム500は、
図1の蒸着システム1に示したガス供給部20に対応する第1ガス供給部520aと共に、複数のガス供給部(520b、520c、…、520n)を更に含む。一例として、
図10に示した蒸着システム500の少なくとも一部は、
図8に示した蒸着システム300及び/又は
図9に示した蒸着システム400と同一である。
【0080】
第1ガス供給部520aは、反応チャンバ510に気体状態の第1前駆体を供給する。一例として、第nガス供給部は、反応チャンバ510に気体状態の第n前駆体を供給する。
【0081】
ガス供給部(520a、520b、…、520n)及び反応物供給部550の個数は、基板上に蒸着される薄膜の成分によって決定される。一例として、2元系物質で構成される薄膜の場合、1個のガス供給部520a及び反応物供給部550を含む蒸着システムにより蒸着工程を進行させる。また、3元系物質で構成される薄膜の場合、2個のガス供給部(520a、520b)及び反応物供給部550を含む蒸着システムにより蒸着工程を進行させる。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、蒸着工程方法によって薄膜の構成元素の個数とガス供給部(520a、520b、…、520n)及び反応物供給部550の個数とは異なることもある。
【0082】
一方、複数のガス供給部(520a、520b、…、520n)は、それぞれ独立した構成を含む。一例として、複数のガス供給部(520a、520b、…、520n)は、いずれも
図1に示した蒸着システムと同様に気化器を含むガス供給部である。但し、これに限定されず、複数のガス供給部(520a、520b、…、520n)の少なくとも一部は、バブラーを含むガス供給部であってもよい。
【0083】
本実施形態による蒸着システムにおいて、n個のガス供給部(520a、520b、…、520n)からそれぞれ供給される第1前駆体~第n前駆体は、反応物供給部550から供給された反応物と反応して基板上に薄膜を形成する。
【0084】
蒸着工程により排出される排気物は、
図6に示したプラズマ前処理システムが適用された後、外部に排出される。その他の構成の特徴及び動作は、
図1に示した蒸着システム1と同一である。但し、これは一実施形態に過ぎないため限定されず、第1前駆体~第n前駆体の物性差により、第1ガス供給部520a~第nガス供給部520nの構成はそれぞれ異なる特徴を有することもできる。
【0085】
本発明は、上述した実施形態及び図面によって限定されるものではなく、特許請求の範囲によって限定される。従って、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0086】
1、300、400、500 蒸着システム
10、10a、10b、10c、310、410、510 反応チャンバ
20、120、220 ガス供給部
22、122、222 サブタンク
23、223 液体流量コントローラ
24、224 気化器
25 フィルタ
30、330、430、530 排気部
31、331、431、531 処理工程チャンバ
32、332、432、532 ポンプ
33、333、433、533 スクラバー
40 メインタンク
50、350、450、550 反応物供給部
320a、420a、520a 第1ガス供給部
320b、420b 第2ガス供給部
322a、422a、522a 第1サブタンク
322b、422b 第2サブタンク
323a、423a、523a 第1液体流量コントローラ
323b 第2液体流量コントローラ
324a、424a、524a 第1気化器
324b 第2気化器
325a、425a、525a 第1フィルタ
325b 第2フィルタ
340a、440a、540a 第1メインタンク
340b、440b、540b 第2メインタンク
421b 運搬ガス供給部
ARS 自動充填システム
ARS_a、ARS_b 第1、第2自動充填システム
B バブラー
G 運搬ガス
GP 気体前駆体
L1~L3 第1~第3配管
LP 液体前駆体
PPS プラズマ前処理システム
RG 反応性ガス
Wa、Wb、Wc ウェーハ
WP 排気物
【国際調査報告】