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特表2023-536080遺伝子治療によるアルツハイマー病などのタウオパチーの治療に使用するためのウイルス粒子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-23
(54)【発明の名称】遺伝子治療によるアルツハイマー病などのタウオパチーの治療に使用するためのウイルス粒子
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/56 20060101AFI20230816BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20230816BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20230816BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20230816BHJP
   C12N 15/35 20060101ALI20230816BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20230816BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20230816BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230816BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
C12N15/56
C12N7/01 ZNA
C12N15/113 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/35
C12N15/11 Z
A61K35/76
A61P25/28
G01N33/53 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504163
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(85)【翻訳文提出日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 EP2021072074
(87)【国際公開番号】W WO2022029322
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/072091
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516373926
【氏名又は名称】ファンダシオン パラ ラ インベスティガシオン メディカ アプリカダ
【氏名又は名称原語表記】FUNDACION PARA LA INVESTIGASION MEDICA APLICADA
【住所又は居所原語表記】Avda.Pio XII,55,E-31008 Pamplona(ES)
(71)【出願人】
【識別番号】522047974
【氏名又は名称】コンソーシオ セントロ デ インベスティガシオン バイオメディカ エン レド
(71)【出願人】
【識別番号】514232085
【氏名又は名称】ユーシービー バイオファルマ エスアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス - アセギノラザ、グロリア
(72)【発明者】
【氏名】スクンザ ギベルト、ディエゴ
(72)【発明者】
【氏名】ランシエゴ ぺレス、ホセ ルイス
(72)【発明者】
【氏名】リンデン、ラルフ マイケル
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA97X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA44
4B065CA45
4B065CA46
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA66
4C087NA05
4C087ZA15
4C087ZA16
(57)【要約】
本開示は、タウオパチー、特にアルツハイマー病を遺伝子治療によって治療する際に使用するためのウイルス粒子に関する。より具体的には、本発明は、タウオパチーの治療を必要とする対象において、遺伝子療法によるタウオパチーの治療に使用するためのウイルス粒子に関し、該ウイルス粒子は、グルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子を含む核酸構築物を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子を含む核酸構築物を含むウイルス粒子。
【請求項2】
前記導入遺伝子が、配列番号5、6、8、17および18からなる群から選択されるヒトグルコセレブロシダーゼのコード配列、典型的には配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択される配列を含む、請求項1に記載のウイルス粒子。
【請求項3】
前記核酸構築物が、前記導入遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含み、前記プロモーターが、好ましくは、少なくとも黒質緻密部(SNc)の神経細胞およびミクログリア細胞において、前記導入遺伝子の発現を可能にする、請求項1または2に記載のウイルス粒子。
【請求項4】
前記プロモーターが、遍在性プロモーター、とりわけ配列番号2または20のGusBプロモーター、配列番号9または21のCAGプロモーターおよび配列番号13のhSynプロモーターからなる群から選択されるプロモーターである、請求項3に記載のウイルス粒子。
【請求項5】
少なくともニューロンおよびグリア細胞を同時に標的とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項6】
前記ウイルス粒子が、少なくとも大脳皮質、ならびにマイネルト基底核、黒質緻密部、青斑核、海馬体および嗅内皮質などの細胞内構造に位置するニューロンおよびグリア細胞を同時に標的とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項7】
少なくともニューロンおよびミクログリア細胞を同時に標的とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項8】
少なくとも黒質緻密部のドーパミン作動性ニューロンおよびミクログリア細胞を同時に標的とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項9】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子であり、好ましくはAAV2、AAV5、AAV9、AAV-MNM004、AAV-MNM008およびAAV-TTからなる群から選択されるカプシドタンパク質を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項10】
好ましくは、配列番号14のアミノ酸配列、または配列番号14と少なくとも98.5%、好ましくは99%もしくは99.5%の同一性を有する配列を含むAAV TTカプシドタンパク質を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項11】
前記核酸構築物が、ポリアデニル化シグナル配列、好ましくは配列番号3の配列のポリアデニル化シグナル配列をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項12】
前記核酸構築物が、5’ITRおよび3’ITR配列、好ましくはアデノ随伴ウイルスの5’ITRおよび3’ITR配列、より好ましくは配列番号15および/もしくは16の配列、または配列番号15および/もしくは16と少なくとも80%もしくは少なくとも90%の同一性を有する配列を含むかまたはそれらからなる、AAV2血清型由来の5’ITRおよび3’ITR配列をさらに含むウイルスベクターに含まれる、請求項1~11のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項13】
前記ウイルスベクターが、配列番号4、または配列番号4と少なくとも80%もしくは少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項14】
前記核酸構築物が、プロモーターの制御下でヒトグルコセレブロシダーゼのコード配列を含み、ドーパミン作動性ニューロンおよびミクログリア細胞の少なくとも両方で前記ヒトグルコセレブロシダーゼの発現を可能にし、前記ウイルス粒子が、少なくとも黒質緻密部のドーパミン作動性ニューロンおよびミクログリア細胞を標的とするウイルス粒子、典型的にはAAV2、AAV5、AAV9からなる群から選択されるカプシドタンパク質を含むAAV粒子の中から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項15】
前記核酸構築物が、プロモーターの制御下でヒトグルコセレブロシダーゼのコード配列を含み、ドーパミン作動性ニューロンおよびミクログリア細胞の少なくとも両方、好ましくは黒質緻密部および大脳皮質の少なくともニューロンにおいて前記ヒトグルコセレブロシダーゼの発現を可能にし、前記ウイルス粒子が、逆行性輸送のウイルス粒子、典型的にはAAV-MNM004、AAV-MNM008およびAAV-TTからなる群から選択されるAAVretroカプシドタンパク質を含むウイルス粒子の中から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項16】
逆行性輸送が可能なカプシドタンパク質(AAVretro)を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項17】
インビボ播種アッセイで決定される非ヒト霊長類の尾状核または被殻核への実質注射後に、大脳皮質、好ましくは少なくとも黒質緻密部および前記大脳皮質に播種することができる、請求項16に記載のウイルス粒子。
【請求項18】
a.緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする導入遺伝子を含むrAAVを実質内注射によって非ヒト霊長類の後交連被殻に注射する工程、および
b.注射の約1ヶ月後に、大脳皮質、好ましくはGFPを発現する尾状核被殻核を神経支配する脳領域におけるニューロンの数を計数する工程
を含むインビボ播種アッセイ。
【請求項19】
大脳皮質、好ましくは尾状核被殻核を神経支配する脳領域においてGFPを発現するニューロンの数を、非ヒト霊長類の後交連被殻に緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする導入遺伝子を含むAAV-TTを実質内注射によって注射することによって行われる対照実験と比較する工程c)をさらに含む、請求項18に記載のインビボ播種アッセイ。
【請求項20】
大脳皮質、好ましくは少なくとも黒質緻密部および前記大脳皮質に、請求項18~19のいずれか一項に記載のインビボ播種アッセイで決定されるAAV-TTと少なくとも同じレベルまで播種することができるAAVretroの中から選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項21】
前記AAVretroが、AAV-MNM004、AAV-MNM008およびAAV-TTからなる群から選択される、請求項1~17および20のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項22】
好ましくは、配列番号14のアミノ酸配列、または配列番号14と少なくとも98.5%、好ましくは99%もしくは99.5%の同一性を有する配列を含むAAV TTカプシドタンパク質を含む、請求項1~17または20~21のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項23】
治療に使用するための、請求項1~17または20~22のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項24】
タウオパチーの治療を必要とする対象において、遺伝子療法によるタウオパチーの治療に使用するための、請求項1~17または20~22のいずれか一項に記載のウイルス粒子。
【請求項25】
前記タウオパチーが、ヒト散発性タウオパチーである、請求項24に記載の使用のためのウイルス粒子。
【請求項26】
前記治療される対象が、進行期のタウオパチーである患者の中から選択される、請求項24~25のいずれか一項に記載の使用のためのウイルス粒子。
【請求項27】
前記タウオパチーが、アルツハイマー病、典型的には散発性アルツハイマー病である、請求項24~26に記載の使用のためのウイルス粒子。
【請求項28】
前記タウオパチーが、アルツハイマー病以外の臨床単位であり、これが進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、前頭側頭型認知症およびピック病を含むがこれらに限定されない、請求項24~26に記載の使用のためのウイルス粒子。
【請求項29】
前記ウイルスベクターが、髄腔内投与または実質内投与によって前記対象に投与され、後者が、好ましくは大脳皮質などの脳領域およびマイネルト基底核、黒質緻密部、青斑核、海馬体および嗅内皮質などの細胞内構造に投与される、請求項23~28のいずれか一項に記載の使用のためのウイルス粒子。
【請求項30】
前記ウイルスベクターが、実質内投与によって、前記対象に、好ましくは黒質緻密部および/または尾状核被殻核の脳領域に投与される、請求項29に記載の使用のためのウイルス粒子。
【請求項31】
前記ウイルスベクターが、前記対象に、実質内投与によって、好ましくは海馬体の歯状回に投与される、請求項29に記載の使用のためのウイルス粒子。
【請求項32】
タウオパチー、好ましくは散発性タウオパチーの治療を必要とする対象において、タウオパチーを治療する方法であって、治療有効量の請求項1~17または20~22のいずれか一項に記載のウイルス粒子を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項33】
前記治療される対象が、進行期のタウオパチーである患者の中から選択される、請求項32に記載のタウオパチーを治療する方法。
【請求項34】
前記タウオパチーが、アルツハイマー病である、請求項32または33に記載のタウオパチーを治療する方法。
【請求項35】
前記タウオパチーが、アルツハイマー病以外の臨床単位であり、これが進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、前頭側頭型認知症およびピック病を含むがこれらに限定されない、請求項32または33に記載のタウオパチーを治療する方法。
【請求項36】
前記ウイルス粒子が、髄腔内投与または実質内投与によって対象に投与され、後者が、好ましくは大脳皮質などの脳領域およびマイネルト基底核、黒質緻密部、青斑核、海馬体および嗅内皮質などの細胞内構造に投与される、請求項32~35に記載のタウオパチーを治療する方法。
【請求項37】
前記ウイルス粒子が、実質内投与によって、対象に、好ましくは黒質緻密部の脳領域、尾状核被殻核または海馬体の歯状回に、投与される、請求項32~35に記載のタウオパチーを治療する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タウオパチー、特にアルツハイマー病を遺伝子治療によって治療する際に使用するためのウイルス粒子に関する。より具体的には、本発明は、タウオパチーの治療を必要とする対象において、遺伝子療法によるタウオパチーの治療に使用するためのウイルス粒子に関し、該ウイルス粒子は、グルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子を含む核酸構築物を含む。
【背景技術】
【0002】
神経変性疾患は、ミスフォールドタンパク質の病理学的凝集を特徴とする持続性脳障害の混成群であり、現在、全体的に神経変性タンパク質症と見なされている。神経変性疾患は、典型的にはこれらの障害に見出されるタンパク質性凝集体の種類の機能として、大きく2つの主要な群に、すなわち、シヌクレイン病およびタウオパチーに分類され得る(以下の表1参照)。
【表1】
【0003】
アルファ-シヌクレインおよびタウに加えて、神経変性疾患の主要な神経病理学的特徴を表すタンパク質凝集物もまた、ハンチントン病(ハンチンチンタンパク質凝集物)および筋萎縮性側索硬化症(ALS;ユビキチン凝集体)について記載されている。これらの障害のほとんどが2つの共通の特徴を共有していることも注目に値する:第1に、初期の変性傷害は脳の特定の領域、例えばパーキンソン病(PD)の黒質緻密部、およびアルツハイマー病(AD)を考慮する場合はマイネルト基底核、青斑核、および嗅内皮質に限定される。疾患が進行するにつれて、タンパク質凝集体(PDのアルファ-シヌクレイン、ADのタウ)は、皮質回路を利用することによって、より広範な脳位置に「プリオン様」様式で拡散し、最終的には脳全体のより広範なタンパク症をもたらし、典型的には神経変性疾患を特徴付ける症状および徴候の臨床的進行の根拠となる。現在、タウ凝集が神経細胞死を促進する最終的な機構は、まだ十分に特徴付けられていないが、神経細胞死は、主に、最初に神経原線維変化の形態のタウの細胞内凝集によって引き起こされ、後にミクログリア細胞の活性化が続く2段階現象と見なされている。活性化されたミクログリア細胞は炎症促進性サイトカインを放出し、ニューロン死をさらに増強し持続させる。換言すれば、実施されるアプローチは、任意の潜在的な疾患修飾治療を設計することに関して、2つの同時プロセスの同時標的化、すなわちミクログリア駆動炎症促進現象の減衰と共にミスフォールドタウの効率的なクリアランスを必要とする。
【0004】
家族性症例の割合が最小限であることに加えて、ADおよび関連するタウオパチーは主に散発性障害と見なされ、これは、それらがランダムに発生し、遺伝的原因に起因し得ないことを意味する。散発性ADについては、遺伝的感受性が記載されており、特に、有意な割合の散発性AD症例で記載されているAPOE4対立遺伝子の遺伝に関連する。AD症例の約0.1%が、アミロイド前駆体タンパク質(APP)ならびにプレセニリン1および2をコードする遺伝子の変異に起因し得る常染色体優性遺伝の家族性形態であると推定されている。ニューロンは、ミスフォールドタウタンパク質の進行性細胞内凝集時に死滅し、これらの凝集物は既知の神経原線維変化である。ADにおける神経原線維変化の分布は、ブラークステージ(Braak and Braak,Acta Neuropathol 1991;82:239-259)によって定義される。ステージIおよびIIの場合、神経原線維変化は、前脳基底部および嗅内皮質などの別個の脳領域に限定される。辺縁領域はステージIIIおよびIVで関与するようになったが、ステージVおよびVIでは、より広範囲の新皮質病変が存在する。ADの原因はほとんど不明のままであるが(例えば、ADは特発性障害と見なされる)、事象の疾患カスケードを引き起こす2つの主な仮説、すなわちアミロイドおよびタウ仮説が考慮されている。アミロイド仮説は、細胞外アミロイド斑(アミロイドベータタンパク質の凝集体で作られる)の存在がADの主な病理学的特徴であると仮定する。この仮説は、APOE4対立遺伝子が最もよく知られている遺伝的リスク因子であり、実際、APOE4対立遺伝子はアミロイドベータタンパク質の破壊に効率的ではないという事実によって支持される。対照的に、タウ仮説は、神経原線維変化の形態の過リン酸化タウタンパク質の病理学的凝集がこの疾患の主な原因であり、ニューロン輸送機構の障害をもたらし、最終的にニューロン死を引き起こすことを示唆している。タウ仮説の裏付けは、神経原線維変化が最初に明らかになった脳領域の1つが、コリン作動性ニューロンで作られた脳領域であるマイネルト基底核であるという事実によって提供される。ADにおけるコリン作動性伝達の減少があり、実際に、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の使用がADの初期段階でいくらかの有益な医学的効果を有することは周知である。
【0005】
現在、ADのために現在利用可能な薬理学的治療は、わずかな症候緩和を示し、大部分は、本質的に単なる緩和的であると見なされている。したがって、主な満たされていない医学的必要性は、ADおよび関連するタウオパチーのための疾患修飾戦略を開発することであり、これらの壊滅的な脳障害の容赦ない進行過程を減速させること、または理想的には停止させることさえ意図されている。理想的な候補は、神経保護効果を示し、最終的にはタウの経ニューロン通過を妨げるタウ凝集体の効率的なクリアランスを行うことができる方法であるべきである(プリオン様拡散;Maxan and Cicchetti,J Exp Neurosci 2018;12:1-4)。
【0006】
タウオパチー以外の神経変性(neurogenerative)障害、例えばパーキンソン病(PD)およびレビー小体型認知症(DLB)などのミスフォールドアルファ-シヌクレインの細胞内凝集を特徴とするものを考慮すると、グルコセレブロシダーゼ(GCase)として知られるリソソーム酵素をコードするGBA1遺伝子のホモおよびヘテロ接合変異の両方が数値的にPDおよびDLBの主な遺伝的リスク因子を表すことが最近特徴付けられている。GBA1変異は、リソソーム内のグルコセレブロシダーゼの活性喪失をもたらし、最終的にいくつかの未知の機構、すなわちアルファ-シヌクレインの病理学的凝集を引き起こす。散発性ADに関しては、ミスフォールドタウタンパク質の病理学的凝集をもたらす機構におけるGBA1変異の潜在的な関与は解明されていない。
【0007】
リソソーム酵素として、グルコセレブロシダーゼは脳全体に遍在的に発現されるが、最近、ニューロンがグルコセレブロシダーゼの濃縮された含有量を示すマカクのいくつかの脳領域が同定された(Dopeso-Reyes et al.,2018)。
【0008】
米国第2015/0284472号は、哺乳動物で神経機能の喪失を予防する方法を報告しており、該方法は、グルコセレブロシダーゼ活性を増加させる治療有効量の薬剤を投与することを含む。
【0009】
AAVを使用したADおよび関連するタウオパチーについて疾患修飾療法の実施を考慮すると、以下のように、必要なエンドポイントに適切に到達するためにいくつかの主要目標を満たす療法を提供する必要性が依然として存在する。
-AAVに基づく遺伝子治療がニューロンでタウクリアランスを誘導するという原理の証明、
-タウ負荷の減少が神経保護効果を発揮することの実証。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、アルツハイマー病および関連するタウオパチーの進行段階にある患者において、該疾患を治療するための遺伝子治療に使用する逆行性輸送ウイルス粒子を提供し、特に大脳皮質に関与する場合に、広範囲のタウオパチーが脳全体に存在する。本治療戦略は、特に散発性アルツハイマー病のマウスモデルで得られた結果を考慮して、上記の要件を満たし、ならびに所与のコードされた導入遺伝子の逆行性拡散をさらに増強するように改変されたAAVカプシドの使用を利用する。
【0011】
第1の態様では、本開示は、ウイルス粒子、およびタウオパチーの治療を必要とする対象における遺伝子療法によるタウオパチー治療での該ウイルス粒子の使用に関し、該ウイルス粒子は、グルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子を含む核酸構築物を含む。
【0012】
一実施形態では、該導入遺伝子は、配列番号5、6、8、17および18からなる群から選択されるヒトグルコセレブロシダーゼのコード配列、典型的には配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択される配列を含む。
【0013】
特定の実施形態では、該核酸構築物は、グルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含み、該プロモーターは、少なくとも黒質緻密部(SNc)の神経細胞およびミクログリア細胞において、好ましくは、少なくとも視床の黒質緻密部、大脳皮質、扁桃体および尾側髄板内核を含む他の脳領域のニューロン細胞においても、該導入遺伝子の発現を可能にする。典型的には、該核酸構築物は、遍在性プロモーター、例えばGusBプロモーター、とりわけ配列番号2もしくは20のプロモーター、配列番号9もしくは21のCAGプロモーターまたは配列番号13のヒトシナプシン1プロモーター(hSyn)の制御下でグルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子を含み得る。
【0014】
特定の実施形態では、該ウイルス粒子は、好ましくは大脳皮質および細胞内構造、例えばマイネルト基底核、黒質緻密部、青斑核、海馬体および嗅内皮質に位置する、少なくともニューロンおよびグリア細胞を同時に標的とするウイルス血清型の中から選択される。より具体的な実施形態では、該ウイルス粒子は、少なくともニューロンおよびミクログリア細胞を同時に標的とする。より具体的には、該ウイルス粒子は、少なくとも黒質緻密部のドーパミン作動性ニューロンおよびミクログリア細胞を同時に標的とするウイルス粒子の中から選択され得る。
【0015】
特定の実施形態では、該ウイルス粒子は、rAAV粒子の中から選択され、好ましくはAAV2、AAV5、AAV9、AAV-MNM004、AAV-MNM008、およびAAV TT血清型からなる群から選択されるカプシドタンパク質を含む。
【0016】
より具体的な実施形態では、該ウイルス粒子は、好ましくは配列番号14の配列または配列番号14と少なくとも98.5%、好ましくは99%もしくは99.5%の同一性を有する配列を含むAAV TTカプシドタンパク質を含む。
【0017】
特定の実施形態では、該ウイルス粒子は、逆行性輸送を有するウイルス変異血清型(AAVretro)の中から選択されるウイルスカプシドタンパク質を含む。
【0018】
典型的には、該AAVretroは、インビボ播種アッセイで決定されるように、非ヒト霊長類の尾状核または被殻核への実質注射後に、大脳皮質、好ましくは少なくとも黒質緻密部および大脳皮質に逆行性に播種することができる。有利には、非ヒト霊長類の尾状核-被殻核に注射されたAAVretroは、少なくとも視床の黒質緻密部、大脳皮質、扁桃体、および尾側髄板内核を含む、尾状核-被殻核を神経支配する他の脳領域にも逆行性に播種することができる。
【0019】
別の態様では、本開示は、以下の工程を含むインビボ播種アッセイに関する。
a)GFP(緑色蛍光タンパク質)をコードする導入遺伝子(rAAV-GFP)を含む試験rAAVを、非ヒト霊長類の後交連被殻への該rAAV-GFPの実質内注射によって、注射する工程、および
b)注射の1ヶ月後、大脳皮質、好ましくは尾状核被殻核を神経支配する脳領域、より具体的には少なくとも視床の黒質緻密部、大脳皮質、扁桃体および尾側髄板内核におけるGFPを発現するニューロンの数を計数する工程。
【0020】
他の実施形態では、該インビボ播種アッセイは、大脳皮質、好ましくは尾状核被殻核を神経支配する脳領域の標識ニューロンの割合を、AAV-TT-GFPを用いて実施した対照実験と比較する工程c)をさらに含む。
【0021】
特定の実施形態では、本開示によるウイルス粒子は、有利には、大脳皮質、好ましくは少なくとも黒質緻密部および大脳皮質に、上記のインビボ播種アッセイで決定されるAAV-TTと少なくとも同じレベルまで播種することができるAAVretro粒子の中から選択される。
【0022】
特定の実施形態では、該AAVretroカプシドタンパク質は、以下の変異血清型:AAV-MNM004、AAV-MNM008およびAAV-TTの中から選択される。
【0023】
より具体的な実施形態では、該AAVretro粒子は、好ましくは配列番号14の配列または配列番号14と少なくとも98.5%、好ましくは99%もしくは99.5%の同一性を有する配列を含むAAV TT血清型カプシドタンパク質を含む。
【0024】
特定の実施形態では、ウイルス粒子の該核酸構築物は、ポリアデニル化シグナル配列、とりわけ配列番号3の配列のポリアデニル化シグナル配列をさらに含む。
【0025】
特定の実施形態では、該核酸構築物は、5’ITRおよび3’ITR配列、好ましくはアデノ随伴ウイルスの5’ITRおよび3’ITR配列、より好ましくは配列番号15および/もしくは16の配列、または配列番号15および/もしくは16と少なくとも80%もしくは少なくとも90%の同一性を有する配列を含むかまたはそれらからなる、AAV2血清型由来の5’ITRおよび3’ITR配列をさらに含むウイルスベクターに含まれる。
【0026】
特定の実施形態では、該核酸構築物は、配列番号4の核酸配列、または配列番号4と少なくとも80%もしくは少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む。
【0027】
特定の実施形態では、該核酸構築物は、プロモーターの制御下でヒトグルコセレブロシダーゼのコード配列を含み、ドーパミン作動性ニューロンおよびミクログリア細胞の少なくとも両方で前記ヒトグルコセレブロシダーゼの発現を可能にし、該ウイルス粒子は、少なくとも黒質緻密部のドーパミン作動性ニューロンおよびミクログリア細胞を標的とするウイルス粒子、典型的にはAAV2、AAV5、AAV9、AAV-MNM004、AAV-MNM008、およびAAV TT血清型からなる群から選択されるカプシドタンパク質を含むAAV粒子の中から選択される。
【0028】
別の態様では、本開示は、治療する際の上記ウイルス粒子の使用、好ましくはタウオパチーを治療する際、遺伝子治療により、それを必要とする対象における上記ウイルス粒子の使用に関する。具体的な実施形態では、該タウオパチーはヒト散発性タウオパチーである。より具体的な実施形態では、該タウオパチーはアルツハイマー病、典型的には散発性アルツハイマー病である。
【0029】
他の実施形態では、該タウオパチーは、アルツハイマー病以外の臨床単位であり、これは進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、前頭側頭型認知症およびピック病を含むがこれらに限定されない。
【0030】
特定の実施形態では、該ウイルスベクターは、髄腔内投与または実質内投与によって対象に投与され、後者は、好ましくは大脳皮質などの脳領域およびマイネルト基底核、黒質緻密部、青斑核、海馬体および嗅内皮質などの細胞内構造に投与される。
【0031】
該ウイルスベクターは、好ましくは、実質内投与によって、対象に、より好ましくは黒質緻密部の脳領域、尾状核被殻核または海馬体の歯状回に投与され得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】AAV-TTカプシドタンパク質配列とAAV-2とのアミノ酸配列アラインメントである。
図2】AAV-TTカプシドタンパク質配列とAAV-9とのアミノ酸配列アラインメントである。
図3】マウスで実施された実験計画の概略図である。
図4】マウス脳の冠状切片におけるタウタンパク質の免疫組織化学的検出であり、タウのクリアランスに対するGCase増強の有効性を示す。最初に、rAAV2/9-Tau301Lをマウスの両側に注射した。4週間後、右線条体にrAAV2/9-GBA1の実質内注射を行った一方、対照の欠損ウイルスベクター(rAAV2/9欠損)を左線条体に注射した。rAAV2/9-GBA1の送達の4週間後(例えば、rAAV2/9-Tau301Lの注射の8週間後)に動物を屠殺した。得られた予備データは、ウイルス媒介性のGCase活性の増強が、右大脳皮質および線条体の両方においてタウ凝集体の広範なクリアランスを誘導したことを実証しており(それぞれパネル3および4)、これにより、対照ベクターは、左大脳皮質および線条体の両方において観察されたように、タウ病態に対していかなる効果も示さなかった(それぞれパネル1および2)。
図5】心室造影術支援定位手術中のすべてのAAVについての注入部位を示す矢状Rxプレートである。
図6】すべてのAAVの注射部位を示す代表的な顕微鏡写真である。
図7】全動物(A:M295および296、B:297および298)の注射部位を示す図である。
図8】動物M295(A)およびM296(B)(AAV-TT-GFPを注射)におけるGFP+ニューロンの生体内分布および推定強度を示す。小サイズのドット(「低」と表示)は、1~200GFP+細胞を表し、中サイズのドット(「中程度」と表示)は201~400GFP+細胞を表し、大サイズのドット(「高」と表示)は401超のGFP+細胞を表す。
図9】動物M297(A)およびM298(B)(AAV-9-GFPを注射)におけるGFP+ニューロンの生体内分布および推定強度を示す。小サイズのドット(「低」と表示)は、1~200GFP+細胞を表し、中サイズのドット(「中程度」と表示)は201~400GFP+細胞を表し、大サイズのドット(「高」と表示)は401超のGFP+細胞を表す。
図10】定量。全動物のGFP+ニューロンの総数を示すヒストグラムである。
図11】定量。いくつかの対象領域にわたる全動物のGFP+ニューロンの数を示すヒストグラムである。略語:前帯状回(AcGg)、上前頭回(SFG)、中心前回(PrG)、中心後回(PoG)、島回(Ing)、正中中心-束傍複合体(CM-Pf)、黒質緻密部(SNc)。
図12】定量。左半球のいくつかの対象領域にわたる全動物のGFP+ニューロンの吻側尾側生体内分布を示すヒストグラムである。略語:前帯状回(AcGg)、上前頭回(SFG)、中心前回(PrG)、中心後回(PoG)、島回(Ing)、正中中心-束傍複合体(CM-Pf)、黒質緻密部(SNc)。
図13】定量。右半球のいくつかの対象領域にわたる全動物のGFP+ニューロンの吻側尾側生体内分布を示すヒストグラムである。略語:前帯状回(AcGg)、上前頭回(SFG)、中心前回(PrG)、中心後回(PoG)、黒質緻密部(SNc)。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明者らは、遺伝子療法、より具体的にはアルツハイマー病、特に散発性アルツハイマー病によってタウオパチーを治療するための新しい治療戦略を同定した。
【0034】
したがって、本開示は、ウイルス粒子、およびタウオパチーの治療を必要とする対象における遺伝子療法によるタウオパチー治療での該ウイルス粒子の使用に関し、該ウイルス粒子は、グルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子を含むウイルスベクター核酸構築物を含む。
【0035】
本明細書で使用される場合、「ウイルス粒子」という用語は、(ii)カプシド内にパッケージングされた(i)ウイルスベクター、および場合によっては、(iii)カプシドを取り囲む脂質エンベロープを含む、感染性かつ典型的には複製欠損性のウイルス粒子に関する。
【0036】
「ウイルスベクター」という用語は、典型的には、カプシドにパッケージングされた、本明細書に開示されるウイルス粒子の核酸部分を指す。
【0037】
したがって、該ウイルスベクターは、典型的には、少なくとも(i)導入遺伝子および遺伝子療法によって治療される宿主におけるその発現に適した核酸エレメントを含む核酸構築物、ならびに(ii)ウイルスゲノムの全部または一部、例えばウイルスゲノムの少なくとも逆位末端反復配列を含む。
【0038】
本明細書で使用される場合、「核酸構築物」という用語は、組換えDNA技術の使用から生じる天然に存在しない核酸を指す。特に、核酸構築物は、核酸配列のセグメントを含有するように改変された核酸分子であり、これらは、本来なら自然界に存在しない様式で組み合わされるかまたは並置される。
【0039】
本明細書で使用される場合、「導入遺伝子」という用語は、遺伝子治療における有効成分として使用するための遺伝子産物をコードする核酸分子、DNAまたはcDNAを指す。遺伝子産物は、RNA、ペプチドまたはタンパク質であり得る。
【0040】
「核酸」および「ポリヌクレオチド」または「ヌクレオチド配列」という用語は、単量体単量体ヌクレオチドで構成されるかまたはそれを含む任意の分子を指すために同義で使用され得る。核酸は、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであり得る。ヌクレオチド配列は、DNAまたはRNAであり得る。ヌクレオチド配列は、化学的に修飾されていても人工的であってもよい。ヌクレオチド配列には、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノおよびロックド核酸(LNA)、ならびにグリコール核酸(GNA)およびトレオース核酸(TNA)が含まれる。これらの配列の各々は、分子の骨格の変化によって天然に存在するDNAまたはRNAと区別される。また、ホスホロチオアートヌクレオチドを使用してもよい。他のデオキシヌクレオチド類似体としては、メチルホスホナート、ホスホルアミダート、ホスホロジチオチオアート、N3’P5’-ホスホルアミダートおよびオリゴリボヌクレオチドホスホロチオアート、ならびに本発明のヌクレオチドで使用され得るそれらの2’-0-アリル類似体および2’-0-メチルリボヌクレオチドメチルホスホナートが挙げられる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「逆位末端反復配列(ITR)」という用語は、回文配列を含み、DNA複製の開始中にプライマーとして機能するT字形ヘアピン構造を形成するように折り畳むことができる、ウイルスの5’末端(5’ITR)に位置するヌクレオチド配列および3’末端(3’ITR)に位置するヌクレオチド配列を指す。それらはまた、宿主ゲノムへのウイルスゲノムの組込み、宿主ゲノムからのレスキュー、および成熟ビリオンへのウイルス核酸のカプシド形成にも必要である。ITRは、ベクターゲノム複製およびウイルス粒子へのそのパッケージングのためにシスで必要とされる。
【0042】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、他の要素を除外しない。本開示の目的のために、「からなる(consisting of)」という用語は、「からなる(comprising of)」という用語の好ましい実施形態であると考えられる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「とりわけ」、「典型的に」または「特に」という用語は、いくつかの実施形態のうちの1つの代替形態を指すために同義で使用され、「好ましくは」という用語は好ましい実施形態を指す。
【0044】
本明細書で使用されるように、SNcとは、黒質緻密部(SNc)の頭字語である。
【0045】
本開示の核酸構築物
本開示による核酸構築物は、導入遺伝子と、少なくとも、本開示のウイルスベクターを用いた遺伝子治療によって治療される該宿主における発現に適切な核酸エレメントとを含む。
【0046】
例えば、該核酸構築物は、グルコセレブロシダーゼのコード配列および関連する細胞型または組織における該コード配列の発現に必要な1つ以上の制御配列からなる導入遺伝子を含む。一般に、核酸構築物は、選択された遺伝子産物の発現に必要なコード配列およびコード配列の前(5’非コード配列)および後(3’非コード配列)の調節配列を含む。したがって、特定の実施形態では、該核酸構築物は、少なくとも(ii)プロモーターおよび(iii)通常ポリアデニル化部位および/または転写ターミネーターを含む3’非翻訳領域の制御下で(i)グルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子を含む。核酸構築物はまた、例えば、エンハンサー配列、イントロン、マイクロRNA標的化配列、ベクター内へのDNA断片の挿入を促進するポリリンカー配列および/またはスプライシングシグナル配列などの追加の調節エレメントも含み得る。
【0047】
以下に開示される配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択される核酸配列または配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択される核酸配列の一部を含む特定の核酸構築物、ならびにそのような特定の核酸構築物を含むベクターまたは粒子も本開示の一部である。
【0048】
グルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子
特に、本開示による核酸構築物は、グルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子、好ましくは配列番号5、6、8、17および18からなる群から選択されるヒトグルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子、好ましくは配列番号5、6または8のヒトグルコセレブロシダーゼイソ型1をコードする導入遺伝子を含む。
【0049】
本明細書で使用される場合、「グルコセレブロシダーゼ」という用語は、細胞膜(特に皮膚細胞)に豊富に存在する糖脂質代謝の中間体である化学物質グルコセレブロシドのベータ-グルコシド結合を加水分解によって切断するために必要なグルコシルセラミダーゼ活性(EC 3.2.1.45)を有する酵素であるβ-グルコセレブロシダーゼ(酸性β-グルコシダーゼ、D-グルコシル-N-アシルスフィンゴシングルコヒドロラーゼ、またはGCaseとも呼ばれる)を指す。「グルコセレブロシダーゼ」という用語は、酵素および任意の追加の同時翻訳または翻訳後修飾を指す。
【0050】
ヒトグルコセレブロシダーゼは、グルコセレブロシダーゼの3つの異なるイソ型をコードする5つの選択的にスプライシングされたmRNAを生成したヒトのGBA1遺伝子によって天然にコードされる(イソ型1(配列番号5)、イソ型2(配列番号17)およびイソ型3(配列番号18))。本明細書で使用される場合、「グルコセレブロシダーゼ」という用語は、グルコセレブロシダーゼの3つのイソ型を指す。ヒトGBA1 mRNAイソ型1(GeneBank参照M19285.1:123-1733)のコード配列部分CDSに対応するヌクレオチド配列は、配列番号7で表される。
【0051】
特定の実施形態では、該核酸構築物は、天然に存在するまたは組換えグルコセレブロシダーゼのコード配列に対して少なくとも70%、80%、90%、95%、99%または100%の同一性を有するコード核酸配列の全部または一部(少なくとも1000、1100、1500、2000、2500または少なくとも1500個のヌクレオチド)を含む。天然に存在するグルコセレブロシダーゼとしては、ヒト、霊長類、マウスまたは他の哺乳動物の既知のグルコセレブロシダーゼ、典型的には配列番号5、17または18のヒトグルコセレブロシダーゼが挙げられる。
【0052】
組換えグルコセレブロシダーゼの例としては、イミグルセラーゼ(Cerezyme)、ベラグルセラーゼ(Vpriv)およびタリグルセラーゼ(Elelyso)が挙げられる。
【0053】
好ましい実施形態では、該核酸構築物は、配列番号5、6、8、17および18からなる群から選択されるグルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子、例えば、配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択される配列によって表されるコード配列、または配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択される配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の同一性を有するコード配列からなる変異導入遺伝子を含む。好ましくは、該導入遺伝子は、配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択される配列のコード核酸部分、例えば、最適化配列の配列番号1、配列番号7または19の領域58..1551、配列番号7または19の領域58..1611および配列番号7または19の領域118..1611を含む。一実施形態では、配列番号5、6、8、17もしくは18の一部をコードするか、またはヒトグルコセレブロシダーゼと実質的に同じグルコセレブロシダーゼ活性を有する配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択される配列に対して少なくとも75%、少なくとも80%もしくは少なくとも90%の同一性を有するコード配列からなる該変異導入遺伝子。特に、変異核酸構築物は、アミノ酸残基の1つ以上が欠失している切断型グルコセレブロシダーゼをコードする。
【0054】
本明細書で使用される場合、「配列同一性」または「同一性」という用語は、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列のアラインメントからの位置における一致(同一の核酸またはアミノ酸残基)数を指す。配列同一性は、配列ギャップを最小化しながら重複および同一性を最大化するように整列された場合の配列を比較することによって決定される。特に、配列同一性は、2つの配列の長さに応じて、いくつかの数学的なグローバルアライメントまたはローカルアライメントのアルゴリズムのいずれかを使用して決定され得る。類似の長さの配列は、好ましくは、全長にわたって配列を最適にアラインメントするグローバルアライメントアルゴリズム(例えば、ニードルマンとヴンシュのアルゴリズム;Needleman and Wunsch,1970,J Mol Biol.;48(3):443-53)を用いてアラインメントされ、一方、実質的に異なる長さの配列は、好ましくは、ローカルアライメントアルゴリズム(例えば、スミスとウォーターマンのアルゴリズム(Smith and Waterman,1981,J Theor Biol.;91(2):379-80))またはアルトシュルのアルゴリズム(Altschul SF et al.,1997,Nucleic Acids Res.;25(17):3389-402.;Altschul SF et al.,2005,Bioinformatics.;21(8):1451-6)を用いてアラインメントされる。核酸配列同一性率またはアミノ酸配列同一性率を決定するためのアラインメントは、例えば、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/またはhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/emboss/などのインターネットウェブサイトで入手可能な公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当技術分野の技能の範囲内である様々な方法で達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大アラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。本明細書の目的のために、核酸またはアミノ酸の%配列同一性値とは、ニードルマン-ヴンシュのアルゴリズムを使用して2つの配列の最適なグローバルアライメントを作成するペアワイズ配列アラインメントプログラムEMBOSS Needleを使用して生成された値を指し、すべての検索パラメータはデフォルト値、すなわちスコアリングマトリックス(Scoring matrix)=BLOSUM62、ギャップオープン(Gap open)=10、ギャップイクステンド(Gap extend)=0.5、エンドギャップペナルティー(End gap penalty)=偽(false)、エンドギャップオープン(End gap open)=10およびエンドギャップイクステンド(End gap extend)=0.5に設定される。
【0055】
本開示の核酸構築物と共に使用するためのプロモーター
一実施形態では、核酸構築物はプロモーターを含む。該プロモーターは、宿主細胞への導入時に導入遺伝子発現を開始する。
【0056】
本明細書で使用される場合、「プロモーター」という用語は、それが作動可能に連結されている核酸の転写を指示する調節要素を指す。プロモーターは、作動可能に連結された核酸の転写の速度および効率の両方を調節することができる。プロモーターはまた、核酸のプロモーター依存性転写を増強する(「エンハンサー」)または抑制する(「リプレッサー」)他の調節エレメントに作動可能に連結され得る。これらの調節エレメントとしては、限定されるものではないが、転写因子結合部位、リプレッサーおよびアクチベータタンパク質結合部位、ならびにプロモーターからの転写量を調節するために直接的または間接的に作用することが当業者に知られている任意の他のヌクレオチド配列、例えば、アテニュエーター、エンハンサーおよびサイレンサーなどが挙げられる。プロモーターは、同じ鎖上およびDNA配列の上流で(センス鎖の5’領域に向かって)、機能的に連結された遺伝子またはコード配列の転写開始部位の近くに位置する。プロモーターは、約100~1000塩基対長であり得る。プロモーター内の位置は、特定の遺伝子の転写開始部位に対して指定される(すなわち、上流の位置は、-1から逆算した負の数であり、例えば、-100は、上流の100塩基対の位置である)。
【0057】
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結された」という用語は、機能的関係にあるポリヌクレオチド(またはポリペプチド)要素の連結を指す。核酸は、別の核酸配列と機能的関係にある場合、「作動可能に連結されている」。例えば、プロモーターまたは転写調節配列は、コード配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結される。作動可能に連結されているとは、連結されているDNA配列が典型的には隣接していることを意味し、2つのタンパク質コード領域を連結する必要がある場合、それらは隣接しており、リーディングフレーム内にある。
【0058】
特定の実施形態では、本開示の核酸構築物は、グルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含み、該プロモーターは、少なくともニューロンおよびグリア細胞、典型的には大脳皮質、ならびに細胞内構造、例えばマイネルト基底核、黒質緻密部、青斑核、海馬体および嗅内皮質に位置するニューロンおよびグリア細胞、より好ましくは黒質緻密部(SNc)のドーパミン作動性ニューロンおよびミクログリア細胞、ならびに好ましくは少なくとも視床の黒質緻密部、大脳皮質、扁桃体および尾側髄板内核を含む他の脳領域のニューロン細胞においても、該導入遺伝子の発現を指示する。
【0059】
典型的には、そのようなプロモーターは、組織もしくは細胞型に特異的なプロモーター、または器官特異的プロモーター、または複数の器官に特異的なプロモーター、または全身性もしくは遍在性のプロモーターであり得る。
【0060】
本明細書で使用される場合、「遍在性プロモーター」という用語は、より具体的には、脳の様々な異なる細胞または組織、例えばニューロン細胞とグリア細胞の両方、典型的には大脳皮質に位置するニューロン細胞とグリア細胞、ならびにマイネルト基底核、黒質緻密部、青斑核、海馬体および嗅内皮質などの細胞内構造、より具体的には少なくとも黒質緻密部のドーパミン作動性ニューロンおよびミクログリア細胞、好ましくは少なくとも視床の黒質緻密部、大脳皮質、扁桃体、および尾側髄板内核を含む他の脳領域のニューロン細胞においても活性であるプロモーターに関する。
【0061】
少なくとも神経細胞およびグリア細胞、好ましくは黒質緻密部のミクログリア細胞における導入遺伝子の発現に適したプロモーターの例としては、CMVプロモーター(Kaplitt 1994,Nat.Genet.8:148-154)、SV40プロモーター(Hamer 1979,Cell 17:725-735)、ニワトリベータアクチン(CBA)プロモーター(Miyazaki 1989,Gene 79:269-277)、CAGプロモーター(Niwa 1991,Gene 108:193-199)、b-グルクロニダーゼプロモーター(GusB)(Shipley 1991,Genetics 10:1009-1018)、伸長因子1アルファプロモーター(EF1α)(Nakai 1998,Blood 91:4600-4607)、ヒトシナプシン1遺伝子プロモーター(hSyn)(Kugler S.et al.Gene Ther.2003.10(4):337-47)またはホスホグリセラートキナーゼ1プロモーター(PGK1)(Hannan 1993,Gene 130:233-239)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
特定の実施形態では、該遍在性プロモーターは、好ましくは配列番号22または23または28のヒトユビキチンC(UbC)プロモーター、好ましくは配列番号24または29のヒトホスホグリセラートキナーゼ1(PGK)プロモーターおよび配列番号25または26または30のヒトCBA/CBhプロモーターからなる群から選択することができる。
【0063】
一実施形態では、プロモーターは、典型的には配列番号2または20のGusB遺伝子プロモーターである。別の実施形態では、プロモーターは、典型的には配列番号9または21のCAGプロモーターである。別の実施形態では、プロモーターは、hSyn1プロモーター、典型的には配列番号13である。
【0064】
これらのプロモーター配列はすべて、少なくともニューロン細胞およびグリア細胞、典型的には大脳皮質に位置するニューロン細胞およびグリア細胞、ならびにマイネルト基底核、黒質緻密部、青斑核、海馬体および嗅内皮質などの細胞内構造、より具体的には少なくとも黒質緻密部のドーパミン作動性ニューロンおよびミクログリア細胞、好ましくは少なくとも視床の黒質緻密部、大脳皮質、扁桃体、および尾側髄板内核を含む他の脳領域のニューロン細胞においても、該導入遺伝子の発現を可能にする特性を有する。
【0065】
好ましい実施形態では、該核酸構築物は、典型的には配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択されるグルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子に作動可能に連結された配列番号2または20のGusBプロモーターを含む。別の実施形態では、該核酸構築物は、典型的には配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択されるグルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子に作動可能に連結された配列番号9または21のCAGプロモーターを含む。別の実施形態では、該核酸構築物は、典型的には配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択されるグルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子に作動可能に連結された配列番号13のhSynプロモーターを含む。
【0066】
特定の実施形態では、本開示で使用するためのプロモーターは、化学誘導性プロモーターであり得る。本明細書で使用される場合、化学誘導性プロモーターは、それを必要とする該対象への化学誘導剤のインビボ投与によって調節されるプロモーターである。適切な化学誘導性プロモーターの例としては、限定されるものではないが、テトラサイクリン/ミノサイクリン誘導性プロモーター(Chtarto 2003,Neurosci Lett.352:155-158)またはラパマイシン誘導性系(Sanftner 2006,Mol Ther.13:167-174)が挙げられる。
【0067】
本開示の核酸構築物と共に使用するためのポリアデニル化配列
これらの核酸構築物の各実施形態はまた、他の任意のヌクレオチド要素の有無に関わらず、ポリアデニル化シグナル配列も含み得る。本明細書で使用される場合、「ポリアデニル化シグナル」または「ポリ(A)シグナル」という用語は、前駆体mRNA分子に転写され、遺伝子転写の終結をガイドする、遺伝子の3’非翻訳領域(3’UTR)内の特異的な認識配列を指す。ポリ(A)シグナルは、新たに形成された前駆体mRNAのその3’末端でのエンドヌクレアーゼ切断、およびアデニン塩基のみからなるRNAストレッチのこの3’末端への付加のためのシグナルとして作用する(ポリアデニル化プロセス;ポリ(A)尾部)。ポリ(A)尾部は、mRNAの核外輸送、翻訳および安定性にとって重要である。本発明の文脈において、ポリアデニル化シグナルは、哺乳動物細胞における哺乳動物遺伝子および/またはウイルス遺伝子のポリアデニル化を指示することができる認識配列である。
【0068】
ポリ(A)シグナルは、典型的には、a)プレメッセンジャーRNA(プレ-mRNA)の3’末端切断およびポリアデニル化の両方に必要であり、ならびに下流の転写終結を促進することが示されているコンセンサス配列AAUAAA、ならびにb)ポリ(A)シグナルとしてのAAUAAAの利用効率を制御するAAUAAAの上流および下流のさらなる要素からなる。哺乳動物遺伝子におけるこれらのモチーフにはかなりの多様性がある。
【0069】
一実施形態では、場合により上記または下記の様々な実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせて、本発明の核酸構築物のポリアデニル化シグナル配列は、哺乳動物遺伝子またはウイルス遺伝子のポリアデニル化シグナル配列である。適切なポリアデニル化シグナルとしては、とりわけ、SV40初期ポリアデニル化シグナル、SV40後期ポリアデニル化シグナル、HSVチミジンキナーゼポリアデニル化シグナル、プロタミン遺伝子ポリアデニル化シグナル、アデノウイルス5 EIbポリアデニル化シグナル、成長ホルモンポリアデニル化シグナル、PBGDポリアデニル化シグナル、インシリコ設計ポリアデニル化シグナル(合成)などが挙げられる。
【0070】
特定の実施形態では、核酸構築物のポリアデニル化シグナル配列は、ウシ成長ホルモン遺伝子に基づくポリアデニル化シグナル配列、より具体的には配列番号3のポリアデニル化シグナルである。
【0071】
特定の実施形態では、本開示に従って使用するための核酸構築物は、配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択されるGBA1遺伝子のコード配列および配列番号3のポリアデニル化シグナル配列に作動可能に連結された配列番号2または20のGusBプロモーターを含む。
【0072】
特定の実施形態では、本開示に従って使用するための核酸構築物は、配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択されるGBA1遺伝子のコード配列および配列番号3のポリアデニル化シグナル配列に作動可能に連結された配列番号9または21のCAGプロモーターを含む。
【0073】
特定の実施形態では、本開示に従って使用するための核酸構築物は、配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択されるGBA1遺伝子のコード配列および配列番号3のポリアデニル化シグナル配列に作動可能に連結された配列番号13のhSyn 1プロモーターを含む。
【0074】
ウイルスベクター
本開示のウイルスベクターは、典型的には、少なくとも(i)導入遺伝子および遺伝子療法によって治療される該宿主におけるその発現に適した核酸エレメントを含む核酸構築物、ならびに(ii)ウイルスゲノムの全部または一部、例えばウイルスゲノムの少なくとも逆位末端反復配列を含む。
【0075】
一実施形態では、本開示によるウイルスベクターは、ウイルスの5’ITRおよび3’ITR、ならびに場合によりψパッケージングシグナルを含む。
【0076】
「ψパッケージングシグナル」は、ウイルスゲノムのシス作用ヌクレオチド配列であり、いくつかのウイルス(例えば、アデノウイルス、レンチウイルス...)では、複製中にウイルスゲノムをウイルスカプシドにパッケージングするプロセスに不可欠である。
【0077】
一実施形態では、ウイルスベクターは、パルボウイルス(特にアデノ随伴ウイルス)、アデノウイルス、アルファウイルス、レトロウイルス(特にガンマレトロウイルス、およびレンチウイルス)、ヘルペスウイルス、およびSV40からなる群から選択されるウイルスの5’ITRおよび3’ITRを含み、好ましい実施形態では、ウイルスは、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス(Ad)、またはレンチウイルスである。
【0078】
一実施形態では、ウイルスベクターは、AAVの5’ITRおよび3’ITRを含む。
【0079】
AAVは、ヒト遺伝子治療のための潜在的なベクターとしてかなりの関心を集めている。ウイルスの好ましい特性の中には、任意のヒト疾患との関連性の欠如、分裂細胞および非分裂細胞の両方に感染する能力、ならびに感染し得る異なる組織に由来する広範囲の細胞株がある。AAVゲノムは、4681塩基(Berns and Bohenzky,1987,Advances in Virus Research(Academic Press,Inc.)32:243-307)を含む線状一本鎖DNA分子で構成されている。ゲノムは、各末端に逆位末端反復配列(ITR)を含み、これはシスでDNA複製の起点として、およびウイルスのパッケージングシグナルとして機能する。ITRは約145bp長である。
【0080】
本発明のウイルスベクターにおけるAAV ITRは、野生型ヌクレオチド配列を有し得るか、または公知のAAV ITRと比較して、1つ以上のヌクレオチドの挿入、欠失または置換、典型的には5、4、3、2または1ヌクレオチド以下の挿入、欠失または置換によって変化し得る。AAVベクターの逆位末端反復配列(ITR)の血清型は、任意の公知のヒトまたは非ヒトのAAV血清型から選択され得る。
【0081】
特定の実施形態では、ウイルスベクターは、任意のAAV血清型のITRを使用することによって実施され得る。公知のAAV ITRとしては、限定されるものではないが、AAV1、AAV2、AAV3(3Aおよび3B型を含む)、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、鳥類AAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAVが挙げられる。
【0082】
一実施形態では、上記の核酸構築物は、血清型AAV2のAAVの5’ITRおよび3’ITRをさらに含む該ウイルスベクターに含まれる。特定の実施形態では、ウイルスベクターは、血清型AAV2、好ましくは配列番号15および/もしくは16、または配列番号15および/もしくは16と少なくとも80%もしくは少なくとも90%の同一性を有する配列のAAVの5’ITRおよび3’ITRを含む。
【0083】
したがって、より具体的な実施形態では、本開示のウイルスベクターは、配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択されるグルコセレブロシダーゼのコード配列に作動可能に連結された配列番号2または20のGusBプロモーターを含む核酸構築物を含み、該ウイルスベクターは、該核酸構築物に隣接するAAV ITR、例えばAAV2、好ましくは配列番号15および/もしくは16、または配列番号15および/もしくは16と少なくとも80%もしくは少なくとも90%の同一性を有する配列の5’および3’ITRをさらに含む。
【0084】
別の具体的な実施形態では、本開示のウイルスベクターは、配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択されるグルコセレブロシダーゼのコード配列に作動可能に連結された配列番号9または21のCAG遺伝子プロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む核酸構築物を含み、該ウイルスベクターは、該核酸構築物に隣接するAAV ITR、例えばAAV2、好ましくは配列番号15および/もしくは16、または配列番号15および/もしくは16と少なくとも80%もしくは少なくとも90%の同一性を有する配列の5’および3’ITRをさらに含む。
【0085】
別の具体的な実施形態では、本開示のウイルスベクターは、配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択されるグルコセレブロシダーゼのコード配列に作動可能に連結された配列番号13のhSyn 1遺伝子プロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む核酸構築物を含み、該ウイルスベクターは、該核酸構築物に隣接するAAV ITR、例えばAAV2、好ましくは配列番号15および/もしくは16、または配列番号15および/もしくは16と少なくとも80%もしくは少なくとも90%の同一性を有する配列の5’および3’ITRをさらに含む。
【0086】
特定の実施形態では、本開示のウイルスベクターは、配列番号4、または配列番号4と少なくとも80%もしくは少なくとも90%の同一性を有する配列を含むか、またはそれらからなる。
【0087】
一方、本開示のウイルスベクターは、合成5’ITRおよび/または3’ITRを使用することによって、また、異なる血清型のウイルスに由来する5’ITRおよび3’ITRを使用することによっても実施することができる。ウイルスベクター複製に必要な他のすべてのウイルス遺伝子は、以下に記載されるように、ウイルス産生細胞(パッケージング細胞)内にトランスで提供することができる。したがって、ウイルスベクターへのそれらの包含は任意である。
【0088】
一実施形態では、ウイルスベクターは、ウイルスの5’ITR、ψパッケージングシグナル、および3’ITRを含む。
【0089】
ウイルス粒子
上記に開示されたウイルスベクターは、カプシドタンパク質によって形成されたカプシドにパッケージングされ、それにより、次の節に記載されるようにウイルス粒子を構成し得る。
【0090】
好ましい実施形態では、カプシドは、以下AAVベクター粒子と呼ばれるアデノ随伴ウイルスのカプシドタンパク質から形成される。
【0091】
本明細書で使用される場合、AAVベクター粒子は、AAVゲノムの少なくとも5’ITRおよび3’ITRならびにアデノ随伴ウイルスのカプシドタンパク質を含む。AAVベクター粒子という用語は、既知のrAAVの遺伝子操作によって得られた任意の組換えAAVベクター粒子(rAAV)または変異AAVベクター粒子を包含する。
【0092】
アデノ随伴ウイルスのウイルスカプシドのタンパク質には、カプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3が含まれる。様々なAAV血清型のカプシドタンパク質配列間の相違により、異なる細胞表面受容体が細胞侵入に使用される。代替的な細胞内プロセシング経路と組み合わせて、これは各AAV血清型に対して異なる組織向性を生じさせる。
【0093】
特定の実施形態では、本開示によるAAVウイルス粒子は、特定のAAV血清型に由来するAAVベクター/ゲノムのウイルスベクターを、同じ特定の血清型のAAVに対応する天然Capタンパク質によって形成されたウイルス粒子にカプセル化することによって調製され得る。それにもかかわらず、天然に存在するAAVウイルス粒子の構造特性および機能特性を改変および改善するためのいくつかの技術が開発されている(Bunning H et al.J Gene Med 2008;10:717-733)。したがって、別の実施形態では、本開示によるAAVウイルス粒子は、例えば、a)同じまたは異なるAAV血清型[例えば、AAV2 ITRおよびAAV9カプシドタンパク質、AAV2 ITRおよびAAV TTカプシドタンパク質またはAAV2-retro、AAV MNM004もしくはAAV MNM008などのAAVretro血清型由来の他のカプシドタンパク質など]に由来するカプシドタンパク質で構成されるウイルス粒子、b)異なるAAV血清型または変異体に由来するカプシドタンパク質の混合物で構成されたモザイクウイルス粒子[例えば、2つまたは複数のAAV血清型のタンパク質によって形成されたカプシドを有するAAV2 ITR]、c)異なるAAV血清型または変異体間のドメイン交換によって切断されたカプシドタンパク質で構成されるキメラウイルス粒子[例えば、AAV3ドメインを有するAAV5カプシドタンパク質を有するAAV2 ITR]、またはd)選択的結合ドメインを提示し、標的細胞に特異的な受容体とのストリンジェントな相互作用を可能にするように操作された標的ウイルス粒子にパッケージングされた所与のAAV血清型のITRに隣接するグルコセレブロシダーゼをコードする遺伝子を含む核酸構築物を含む。
【0094】
CNSを標的とするAAV系遺伝子治療は、Pignataro D,Sucunza D,Rico AJ et al.,J Neural Transm 2018;125:575-589で既に概説されている。より具体的には、AAV粒子は、少なくともニューロン細胞およびグリア細胞、特に少なくとも大脳皮質に位置するニューロン細胞およびグリア細胞、ならびに細胞内構造、例えばマイネルト基底核、黒質緻密部、青斑核、海馬体および嗅内皮質、より具体的には少なくとも黒質緻密部のドーパミン作動性ニューロンおよびミクログリア細胞を標的とするように選択および/または操作され得る。
【0095】
特定の実施形態では、本開示によるAAVウイルス粒子の使用のためのカプシドタンパク質のAAV血清型の例には、AAV2、AAV5、AAV9、AAV2-retro、AAV MNM004、AAV MNM008、およびAAV TTが含まれる。より好ましい実施形態では、カプシドタンパク質の該AAV血清型は、AAV9およびAAV TT血清型から選択される。
【0096】
特定の実施形態では、任意に上記または下記の様々な実施形態の1つ以上の特徴との組合せにおいて、ウイルス粒子は、上記のようなAAVウイルスベクター、好ましくは配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択されるコード配列を含み、AAV9血清型またはAAV TT血清型のカプシドタンパク質、好ましくは配列番号14のアミノ酸配列または配列番号14と少なくとも98.5%、好ましくは99%もしくは99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むAAV TT血清型のカプシドタンパク質を含む組換えAAVウイルス粒子である。
【0097】
別の特定の実施形態では、ウイルス粒子は、プロモーターの制御下にあるヒトグルコセレブロシダーゼのコード配列を含む核酸構築物を含み、該プロモーターは、少なくともニューロン細胞とグリア細胞の両方、好ましくはニューロン細胞とミクログリア細胞の両方で該ヒトグルコセレブロシダーゼの発現を可能にする。該ウイルス粒子は、少なくともニューロンおよびグリア細胞、好ましくは少なくとも黒質緻密部のニューロンおよびミクログリア細胞を標的とするウイルス粒子、典型的にはAAV2、AAV5、AAV9、AAV MNM004、AAV MNM008またはAAV TT血清型からなる群から選択されるカプシドタンパク質、好ましくは配列番号14のアミノ酸配列または配列番号14と少なくとも98.5%、好ましくは99%もしくは99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むAAV TT血清型のカプシドタンパク質を含むAAV粒子の中から選択される。
【0098】
より具体的な実施形態では、本開示による当該組換えAAVウイルス粒子は、AAV9、AAV MNM004、AAV MNM008またはAAV TT血清型のカプシドタンパク質と、(i)配列番号2または20のGusBプロモーター、配列番号9または21のCAGプロモーター、および配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択されるグルコセレブロシダーゼのコード配列に作動可能に連結された配列番号13のhSynプロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む核酸構築物、ならびに(ii)該核酸構築物に隣接するAAV2の5’および3’ITR、好ましくは、配列番号15および/もしくは16または配列番号15および/もしくは16と少なくとも80%もしくは少なくとも90%の同一性を有する配列の5’および3’ITRなどのAAV ITRを含むAAVウイルスベクターとを含む。
【0099】
より具体的な実施形態では、本開示による当該組換えAAVウイルス粒子は、配列番号14のアミノ酸配列、または配列番号14と少なくとも98.5%、好ましくは99%もしくは99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むAAV TT血清型のカプシドタンパク質と、(i)配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択されるグルコセレブロシダーゼのコード配列に作動可能に連結された配列番号2または20のGusBプロモーターを含む核酸構築物、ならびに(ii)該核酸構築物に隣接するAAV2の5’および3’ITR、好ましくは、配列番号15および/もしくは16、または配列番号15および/もしくは16と少なくとも80%もしくは少なくとも90%の同一性を有する配列の5’および3’ITRのAAV ITRを含むAAVウイルスベクターとを含む。
【0100】
より具体的な実施形態では、本開示による当該組換えAAVウイルス粒子は、配列番号14のアミノ酸配列、または配列番号14と少なくとも98.5%、好ましくは99%もしくは99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むAAV TT血清型のカプシドタンパク質と、(i)配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択されるグルコセレブロシダーゼのコード配列に作動可能に連結された配列番号9または21のCAGプロモーターを含む核酸構築物、ならびに(ii)該核酸構築物に隣接するAAV2の5’および3’ITR、好ましくは、配列番号15および/もしくは16、または配列番号15および/もしくは16と少なくとも80%もしくは少なくとも90%の同一性を有する配列の5’および3’ITRのAAV ITRを含むAAVウイルスベクターとを含む。
【0101】
より具体的な実施形態では、本開示による当該組換えAAVウイルス粒子は、配列番号14のアミノ酸配列、または配列番号14と少なくとも98.5%、好ましくは99%もしくは99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むAAV TT血清型のカプシドタンパク質と、(i)配列番号1、7、11、12および19からなる群から選択されるグルコセレブロシダーゼのコード配列に作動可能に連結された配列番号13のhSynプロモーターを含む核酸構築物、ならびに(ii)該核酸構築物に隣接するAAV2の5’および3’ITR、好ましくは、配列番号15および/もしくは16、または配列番号15および/もしくは16と少なくとも80%もしくは少なくとも90%の同一性を有する配列の5’および3’ITRのAAV ITRを含むAAVウイルスベクターとを含む。
【0102】
組換えAAVウイルス粒子の構築は当技術分野で一般的に公知であり、例えば米国第5,173,414号および米国第5,139,941号、国際公開第92/01070号、国際公開第93/03769号、Lebkowski et al.(1988)Molec.Cell.Biol.8:3988-3996、Vincent et al.(1990)Vaccines 90(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Carter,B.J.(1992)Current Opinion in Biotechnology 3:533-539、Muzyczka,N.(1992)Current Topics in Microbiol.and Immunol.158:97-129、およびKotin,R.M.(1994)Human Gene Therapy 5:793-801に記載されている。血清型AAV TTのカプシドタンパク質を有するウイルス粒子はまた、Tordo J,et al.,Brain 2018;141:2014-2031にも記載されている。
【0103】
逆行性輸送のウイルス粒子
いくつかの実施形態では、本開示による該ウイルス粒子は、逆行性輸送のウイルス変異血清型(AAVretro)の中から選択される。
【0104】
軸索輸送(軸索原形質輸送または軸索流とも呼ばれる)とは、所与のニューロンの細胞体から軸索末端に向かう細胞小器官およびタンパク質の移動(順行性輸送として知られる)を指す。本明細書で使用される場合、「逆行性輸送」という用語は、反対方向、すなわち軸索終末から親細胞体に戻る粒子の輸送を指す。これに関して、神経向性ウイルス(狂犬病ウイルスが最良の例である)は、典型的には軸索終末によって取り込まれ、逆行性輸送を利用することによってニューロンの細胞体に輸送される。
【0105】
AAVretro粒子の例には、カプシドタンパク質、好ましくはAAV2-retro、AAV-TT、AAV-MNM004およびAAV-MNM008のカプシドタンパク質、より好ましくはAAV2-retro、AAV-TT、AAV-MNM004およびAAV-MNM008のVP1カプシドタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
AAV2-retroカプシドタンパク質は、国際公開第2017/218842号A1に記載されている。
【0107】
AAV-TT、AAV-MNM004およびAAV-MNM008などの他の様々な異なる種類の改変ウイルスカプシドもまた、ウイルスベクターの逆行性拡散によってウイルスベクターが送達される領域を神経支配するニューロンに形質導入するように設計されている。
【0108】
AAV-MNM004およびAAV-MNM008は、例えば、Davidsson et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.Dec 9 2019 doi:10.1073/pnas.1910061116および国際公開第2019/158619号に記載されている。
【0109】
AAV2真型カプシドとも呼ばれるAAV-TTカプシドは、例えば国際公開第2015/121501号に記載されている。一実施形態では、AAV-TT VP1カプシドタンパク質は、AAV2タンパク質配列(NCBI参照配列:YP_680426.1)の以下の位置:125,151,162,312,457,492,499,533,546,548,585,588および/または593のうちの1つ以上に対応する位置に野生型AAV VP1カプシドタンパク質に対する少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、より具体的には、AAV-TTは、野生型AAV2 VP1カプシドタンパク質(NCBI参照配列:YP_680426.1)に対する以下のアミノ酸置換:V125I、V151A、A162S、T205S、N312S、Q457M、S492A、E499D、F533Y、G546D、E548G、R585S、R588Tおよび/またはA593Sのうちの1つ以上を含む。AAV-TTは、457、492、499および533の位置に野生型AAV2 VP1カプシドタンパク質に対して4つ以上の変異を含む。
【0110】
さらなる実施形態では、AAV-TTカプシドは、AAV2以外のAAV血清型に由来し、例えば、AAV1、AAV3B、AAV-LK03、AAV5、AAV6、AAV8、AAV9またはAAV10カプシドタンパク質に由来し得る。特に、AAV2に関して上述した位置に対応する位置は、例えば図1および図2に示すように、配列アラインメントによって容易に同定することができる。一実施形態では、本開示のAAV-TT VP1カプシドタンパク質は、配列番号14のアミノ酸配列、または配列番号14と少なくとも98.5%、好ましくは99%もしくは99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むかまたはこれからなる。
【0111】
特定の実施形態では、該AAVretroウイルス粒子は、インビボ播種アッセイで決定される非ヒト霊長類の尾状核または被殻核への実質内注射後に、大脳皮質、好ましくは少なくとも黒質緻密部および大脳皮質に逆行性播種することができるものの中から本開示に従って選択される。
【0112】
より具体的な実施形態では、本開示による該AAVretroウイルス粒子は、インビボ播種アッセイで決定されるAAV-TTと少なくとも同じレベルまで非ヒト霊長類の尾状核または被殻核への実質内注射後に、大脳皮質、好ましくは少なくとも黒質緻密部および大脳皮質に逆行性播種することができるものの中から選択される。
【0113】
本発明者らは実際に、アルツハイマー病などの本明細書に開示されるタウオパチーを治療するための遺伝子療法で使用する真の逆行性輸送のrAAVを決定し、例えばAAV-TT rAAV-GFPなどの陽性対照と比較することを可能にするインビボ播種アッセイを設計した。
【0114】
播種アッセイの1つの重要な特徴は、rAAVが通過線維(fibers of passage)の存在しない領域に注射される非ヒト霊長類におけるインビボアッセイであることである。したがって、通過線維(fibers of passage)、すなわち注入領域を通ってより遠くの目的地に向かって進む繊維によって偽陽性取り込みを得ることはできない。非ヒト霊長類では、尾状核および被殻核は100%の実質構造であり、したがって通過線維(fibers of passage)を含まない。したがって、有利には、提案された播種アッセイによって、逆行性輸送を伴う適切なrAAVを本開示に従って比較および選択することができる。
【0115】
好ましい実施形態では、該AAVretroウイルス粒子は、配列番号14のアミノ酸配列、または配列番号14と少なくとも98.5%、好ましくは99%もしくは99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、インビボ播種アッセイで決定される非ヒト霊長類の尾状核または被殻核への実質内注射後に、大脳皮質、好ましくは少なくとも黒質緻密部および大脳皮質に逆行性に播種することができるAAV TT血清型カプシドタンパク質を含む。
【0116】
好ましい実施形態では、該インビボ播種アッセイは、以下の工程を含む:
a.GFPをコードする導入遺伝子(rAAV-GFP)を含む試験rAAVを、非ヒト霊長類の後交連被殻への該rAAV-GFPの実質内注射によって、注射する工程、
b注射の1ヶ月後に尾状核被殻核を神経支配する大脳皮質、好ましくは脳領域でGFPを発現するニューロンの数を計数する工程。
【0117】
GFPをコードする導入遺伝子は、GFPをコードする配列番号10もしくは配列番号27の核酸または最適化配列を有するその機能的変異体もしくは切断型から調製され得る。
【0118】
GFPを発現するニューロンは、抗GFP抗体を使用して免疫ペルオキシダーゼ染色によって可視化され得る。GFPを発現するニューロンは、有利には、注射された非ヒト霊長類の大脳皮質全体にわたって自動的に計数され得る。GFP陽性ニューロンの優先的な位置は、大脳皮質の深層に生じると予想される。皮質領に加えて、GFPを発現するニューロンはまた、注入された後交連被殻または尾状核-被殻核、特に少なくとも黒質緻密部、扁桃体および尾側髄板内核を神経支配するすべての脳領域において定量化され得る。
【0119】
1つの具体的な実施形態では、本開示によるAAV-retroウイルス粒子は、該インビボ播種アッセイで決定されるように、注射部位を神経支配する大脳皮質の深層V-VIのニューロンの少なくとも50%、60%、70%、80%または少なくとも90%がGFPを発現しているものの中から選択される。好ましい実施形態では、該AAVretroウイルス粒子は、配列番号14のアミノ酸配列、または配列番号14と少なくとも98.5%、好ましくは99%もしくは99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むAAV TT血清型カプシドタンパク質を含み、該インビボ播種アッセイで決定されるように、注射部位を神経支配する大脳皮質の深層V-VIのニューロンの少なくとも50%、60%、70%、80%、または少なくとも90%がGFPを発現している。
【0120】
より具体的な実施形態では、播種アッセイは、例に記載されているように実施される。
【0121】
より具体的な実施形態では、該インビボ播種アッセイは以下の工程を含む:
a.GFP導入遺伝子を含む試験rAAVを、非ヒト霊長類の後交連被殻内への該rAAV-GFPの実質内注射によって注射する工程、
b.注射1ヶ月後の大脳皮質、好ましくは尾状核被殻核を神経支配する脳領域、より好ましくは少なくとも大脳皮質、黒質、扁桃体および尾側髄板内核でGFPを発現するニューロンの数を計数する工程、
c.大脳皮質における標識ニューロンの割合を、AAV-TT-GFPを用いて実施した対照実験と比較する工程。
【0122】
他の実施形態では、該AAVretroは、以下の変異血清型:AAV2-retro、AAV-MNM004、AAV-MNM008およびAAV-TTの中から選択されるカプシドタンパク質を含む。
【0123】
好ましい実施形態では、該AAVretroウイルス粒子は、配列番号14のアミノ酸配列、または配列番号14と少なくとも98.5%、好ましくは99%もしくは99.5%の同一性を有するアミノ酸配列を含むAAV TT血清型カプシドタンパク質を含む。
【0124】
ウイルス粒子の製造方法
上記に開示される発現ウイルスベクターを有するウイルス粒子の作製は、従来の方法およびプロトコルによって行うことができ、これらは、作製されるウイルス粒子の実際の実施形態について選択される構造特徴を考慮して選択される。
【0125】
簡潔には、ウイルス粒子は、宿主細胞、より具体的には、ヘルパーベクターまたはウイルスもしくは他のDNA構築物の存在下で、パッケージングされる核酸構築物またはウイルスベクターでトランスフェクトされた特定のウイルス産生細胞(パッケージング細胞)で産生され得る。
【0126】
本明細書で使用される「パッケージング細胞」という用語は、本開示の核酸構築物またはウイルスベクターでトランスフェクトされ得る細胞または細胞株を指し、ウイルスベクターの完全な複製およびパッケージングに必要なすべての欠損機能をトランスで提供する。典型的には、パッケージング細胞は、該欠損ウイルス機能の1つ以上を構成的または誘導的に発現する。該パッケージング細胞は、接着細胞または浮遊細胞であり得る。
【0127】
典型的には、ウイルス粒子を生成するプロセスは、以下の工程を含む:
a)上記の核酸構築物またはウイルスベクターを含むパッケージング細胞を培地で培養する工程;および
b)該細胞培養上清および/または該細胞内から該ウイルス粒子を採取する工程。
【0128】
従来の方法を使用して、グルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子を有する核酸構築物または発現ベクター(例えば、プラスミド)、rep遺伝子およびcap遺伝子をコードするがITR配列を保有しない核酸構築物(例えば、AAVヘルパープラスミド)、AAV複製に必要なアデノウイルス機能を提供する第3の核酸構築物(例えば、プラスミド)を用いた一過性細胞同時トランスフェクションからなるAAVウイルス粒子のウイルス粒子を産生することができる。AAV複製に必要なウイルス遺伝子は、本明細書ではウイルスヘルパー遺伝子と呼ばれる。典型的には、AAV複製に必要な該遺伝子は、アデノウイルスヘルパー遺伝子、例えばE1A、E1B、E2a、E4、またはVA RNAである。好ましくは、アデノウイルスヘルパー遺伝子はAd5またはAd2血清型のものである。
【0129】
本開示によるAAV粒子の大規模生産はまた、例えば、組換えバキュロウイルスの組み合わせによる昆虫細胞の感染によって行うこともできる(Urabe et al.Hum.Gene Ther.2002;13:1935-1943)。パッケージングされるAAV rep、AAV capおよびAAVベクターをそれぞれ発現する2つまたは3つのバキュロウイルスベクターをSF9細胞に同時感染させる。組換えバキュロウイルスベクターは、ウイルス複製および/またはパッケージングに必要なウイルスヘルパー遺伝子機能を提供する。Smithら、2009(Molecular Therapy,vol.17,no.11,pp 1888-1896)はさらに、昆虫細胞におけるAAV粒子の大規模産生用の二重バキュロウイルス発現系を記載している。
【0130】
適切な培養培地は当業者に公知である。そのような培地を構成する成分は、培養される細胞の種類に応じて変化し得る。栄養組成に加えて、浸透圧およびpHは、培養培地の重要なパラメータと考えられる。細胞増殖培地は、アミノ酸、ビタミン、有機塩および無機塩、炭水化物源、脂質、微量元素(CuS04、FeS04、Fe(N03)3、ZnS04...)を含む当業者に周知の多数の成分を含み、各成分は、インビトロでの細胞の培養(すなわち、細胞の生存および成長)を支持する量で存在する。成分はまた、緩衝物質(重炭酸ナトリウム、Hepes、Tris...と同様)、酸化安定剤、機械的ストレスを和らげる安定剤、プロテアーゼ阻害剤、動物成長因子、植物加水分解物、凝集防止剤、消泡剤などの異なる補助物質も含み得る。細胞増殖培地の特性および組成は、特定の細胞要件に応じて変化する。市販の細胞増殖培地の例は、MEM(最小必須培地)、BME(イーグル基本培地)DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)、Iscoves DMEM(イスコフ改変ダルベッコ培地)、GMEM、RPMI 1640、Leibovitz L-15、McCoy、培地199、Ham(ハム培地)F10および誘導体、Ham F12、DMEM/F12などである。
【0131】
本開示に従って使用するためのウイルスベクターの構築および産生のさらなる指針は、Viral Vectors for Gene Therapy,Methods and Protocols.Series:Methods in Molecular Biology,Vol.737.Merten and Al-Rubeai(Eds.);2011 Humana Press(Springer);Gene Therapy.M.Giacca.2010 Springer-Verlag;Heilbronn R.and Weger S.Viral Vectors for Gene Transfer:Current Status of Gene Therapeutics.In:Drug Delivery,Handbook of Experimental Pharmacology 197;M.Schafer-Korting(Ed.).2010 Springer-Verlag;pp.143-170;Adeno-Associated Virus:Methods and Protocols.R.O.Snyder and P.Moulllier(Eds).2011 Humana Press(Springer);Bunning H.et al.Recent developments in adeno-associated virus technology.J.Gene Med.2008;10:717-733;Adenovirus:Methods and Protocols.M.Chillon and A.Bosch(Eds.);Third Edition.2014 Humana Press(Springer)に見出され得る。
【0132】
本開示はまた、上記のグルコセレブロシダーゼをコードする核酸構築物またはウイルスベクターを含む宿主細胞に関する。より具体的には、本開示による宿主細胞は、ヘルパーベクターまたはウイルスまたは他のDNA構築物の存在下で、上記の核酸構築物またはウイルスベクターでトランスフェクトされ、ウイルス粒子の完全な複製およびパッケージングに必要なすべての欠損機能をトランスで提供するパッケージング細胞とも呼ばれる特定のウイルス産生細胞である。該パッケージング細胞は、接着細胞または浮遊細胞であり得る。
【0133】
例えば、該パッケージング細胞は、サル、ヒト、イヌおよびげっ歯類細胞を含む哺乳動物細胞などの真核細胞であり得る。ヒト細胞の例は、PER.C 6細胞(WO01/38362)、MRC-5(ATCC CCL-171)、WI-38(ATCC CCL-75)、HEK-293細胞(ATCC CRL-1573)、HeLa細胞(ATCC CCL2)および胎児アカゲザル肺細胞(ATCC CL-160)である。非ヒト霊長類細胞の例は、Vero細胞(ATCC CCL81)、COS-1細胞(ATCC CRL-1650)またはCOS-7細胞(ATCC CRL-1651)である。イヌ細胞の例は、MDCK細胞(ATCC CCL-34)である。齧歯類細胞の例は、BHK21-F、HKCC細胞、またはCHO細胞などのハムスター細胞である。
【0134】
哺乳動物供給源の代替として、ウイルス粒子を産生するためのパッケージング細胞は、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラまたはキジなどの鳥類供給源に由来し得る。鳥類細胞株の例としては、鳥類胚性幹細胞(国際公開第01/85938号および国際公開第03/076601号)、不死化アヒル網膜細胞(国際公開第2005/042728号)、およびニワトリ細胞(国際公開第2006/108846号)またはアヒル細胞、例えばEB66細胞株(国際公開第2008/129058号および国際公開第2008/142124号)を含む鳥類胚性幹細胞に由来する細胞が挙げられる。
【0135】
別の実施形態では、細胞は、バキュロウイルスの感染および複製を許容する任意のパッケージング細胞であり得る。特定の実施形態では、該細胞は、SF9細胞(ATCC CRL-1711)、Sf21細胞(IPLB-Sf 21)、MG1細胞(BTI-TN-MG1)またはHigh Five(商標)細胞(BTI-TN-5B1-4)などの昆虫細胞である。
【0136】
したがって、特定の実施形態では、任意に上記または下記の様々な実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせて、宿主細胞は、
-上記グルコセレブロシダーゼ(例えば、AAVベクター)をコードする導入遺伝子を含む核酸構築物またはウイルスベクター、
-ITR配列を有しないAAV repおよび/またはcap遺伝子をコードする核酸構築物、例えばプラスミド、ならびに任意で、
-ウイルスヘルパー遺伝子を含む核酸構築物、例えばプラスミドまたはウイルス
を含む。
【0137】
別の態様では、本開示は、本開示のウイルス粒子で形質導入された宿主細胞に関し、本明細書で使用される「宿主細胞」という用語は、目的のウイルスによる感染を受けやすく、インビトロでの培養に適した任意の細胞株を指す。
【0138】
医薬組成物
本開示の別の態様は、本開示の核酸構築物、ウイルスベクター、ウイルス粒子または宿主細胞を、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と組み合わせて含む医薬組成物に関する。
【0139】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、動物および/またはヒトでの使用について、規制機関によって承認されているか、または欧州薬局方などの認識されている薬局方を意味する。「賦形剤」という用語は、治療剤と共に投与される希釈剤、アジュバント、担体、またはビヒクルを指す。
【0140】
任意の適切な薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を医薬組成物の調製に使用することができる(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Alfonso R.Gennaro(Editor)Mack Publishing Company,April 1997を参照のこと)。医薬組成物は、典型的には、製造および貯蔵の条件下で滅菌かつ安定である。医薬組成物は、溶液(例えば、生理食塩水、デキストロース溶液、または緩衝溶液、または他の薬学的に許容される滅菌流体)、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高い生成物濃度(例えば、マイクロ粒子またはナノ粒子)に適応するのに適した他の秩序構造として製剤化され得る。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトールまたは塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましい。
【0141】
好ましくは、該医薬組成物は、溶液として、より好ましくは任意で緩衝生理食塩水として製剤化される。補足的な活性化合物を本発明の医薬組成物に組み込むこともできる。さらなる治療薬の同時投与に関する指針は、例えば、カナダ薬剤師会のCompendium of Pharmaceutical and Specialties(CPS)に見出すことができる。
【0142】
一実施形態では、医薬組成物は、実質内、脳内、静脈内または髄腔内の投与に適した組成物である。これらの医薬組成物は例示にすぎず、他の非経口および非経口投与経路に適した医薬組成物を限定するものではない。本明細書に記載される医薬組成物は、単一単位剤形または複数剤形で包装され得る。
【0143】
治療用途
本発明者らは、マウスの散発性タウオパチーの動物モデルを使用して、意外なことに、グルコセレブロシダーゼ活性のAAV媒介性増強が大脳皮質および線条体の両方でタウ凝集体の広範なクリアランスを誘導することを見出した。
【0144】
これらの結果は、ヒト対象におけるタウオパチー、特に散発性タウオパチー、より具体的にはアルツハイマー病を治療するための可能な治療戦略の強力な証拠を提供する。
【0145】
したがって、本開示は、タウオパチー、例えばアルツハイマー病、より具体的には散発性アルツハイマー病の治療を必要とする対象を治療する方法に関し、該方法は、治療有効量の上記のウイルス粒子またはウイルスベクターを該対象に投与することを含む。
【0146】
特定の実施形態では、該方法は、大脳皮質のニューロン、好ましくは大脳皮質の深層V-VIのニューロン、好ましくは投与部位を神経支配する大脳皮質の深層V-VIのニューロンの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または少なくとも90%に送達される治療有効量の上記のウイルス粒子またはウイルスベクターを対象に投与することを含む。
【0147】
別の特定の実施形態では、該方法は、注射部位を神経支配する脳領域のニューロンに送達される、好ましくは尾状核-被殻核、すなわち少なくとも視床の黒質緻密部、大脳皮質、扁桃体および尾側髄板内核を神経支配する少なくとも脳領域のニューロン、好ましくはこれらのニューロンの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または少なくとも90%に送達される治療有効量の上記のウイルス粒子またはウイルスベクターを対象に投与することを含む。
【0148】
別の特定の実施形態では、該方法は、注射部位を神経支配する脳領域のニューロンに送達される、好ましくは海馬体の歯状回を神経支配する少なくとも脳領域のニューロン、すなわち少なくとも嗅内皮質の層IIおよびIIIに位置するニューロン、好ましくはこれらのニューロンの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または少なくとも90%に送達される、治療有効量の上記のウイルス粒子またはウイルスベクターを対象に投与することを含む。
【0149】
さらなる態様では、本開示は、医薬品として、それを必要とする対象において使用するための、より具体的には、タウオパチー、好ましくはアルツハイマー病、より具体的には散発性アルツハイマー病の治療を必要とする対象の治療において使用するための、上記の核酸構築物、ウイルスベクター、ウイルス粒子、宿主細胞または医薬組成物に関する。
【0150】
別のさらなる態様では、本開示は、好ましくはタウオパチー、好ましくはアルツハイマー病、より具体的には散発性アルツハイマー病を治療するための医薬品の製造における上記の核酸構築物、ウイルスベクター、ウイルス粒子、宿主細胞または医薬組成物の使用に関する。
【0151】
本明細書で使用される「対象」または「患者」という用語は、哺乳動物を指す。開示される治療方法から利益を得ることができる哺乳動物種としては、ヒト、非ヒト霊長類、例えば類人猿、チンパンジー、サルおよびオランウータン、イヌおよびネコを含む飼育動物、ならびに家畜、例えばウマ、ウシ、ブタ、ヒツジおよびヤギ、または限定されないが、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ハムスターなどを含む他の哺乳動物種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
本明細書で使用される場合、「治療」、「治療する(treat)」または「治療する(treating)」という用語は、疾患の治療、防止、予防および遅延などの患者の健康状態を改善することを意図した任意の行為を指す。特定の実施形態では、そのような用語は、疾患、典型的にはタウオパチーにおけるタウ凝集体に関連する疾患または症状の改善または根絶を指す。
【0153】
他の実施形態では、この用語は、そのような疾患を有する対象への1つ以上の治療薬の投与から生じる疾患の拡散または悪化を最小限に抑えることを指す。
【0154】
本明細書で使用される場合、タウオパチーとは、神経病理学的特徴が脳組織におけるタウタンパク質の細胞質内凝集、特に神経原線維変化の形態の過リン酸化タウタンパク質の凝集によって表される疾患を指す。特に、タウオパチーには、アルツハイマー病などの神経変性障害が含まれるが、前頭側頭葉変性症(FTD)、進行性核上性麻痺(PSP)、皮質基底核変性症(CBD)、神経原線維変化優位型認知症(Tangle predominant dementia)(TPD)、グアム・パーキンソン認知症症候群、嗜銀顆粒性病(AGD)、およびピック病(ADは無関係)も含まれる。
【0155】
本明細書で使用される場合、アルツハイマー病(AD)は、原因不明の中枢神経系の進行性神経変性障害を指す。ADとの関連において、明確な特徴は認知障害である。診断された症例のほとんどについて、認知障害は、うつ病、不安、易怒性、不適切な行動、激越および精神病などの気分症状および行動症状を伴う。AD診断は、臨床評価および情報提供者のインタビューによって行われることが多い。精神障害の診断と統計のハンドブック(DSM-IV)によれば、可能性のあるアルツハイマー病の診断に到達するには以下の基準が必要である:(1)複数の認知障害、(2)社会的および労働力の低下、(3)緩除な発症および悪化、および(4)他の原因では説明できない。国立神経・伝達障害・脳卒中研究所(NINCDS)およびアルツハイマー病・関連障害協会(ARRDA)が1984年に発行した基準は、以下の通りである:(1)関与する2つ以上の領域、(2)進行性認知症の存在、(3)意識の無変化、(4)40年~90歳で発症、および(5)他の原因では説明できない。さらに、軽度認知障害(MCI)として知られるアルツハイマー前の前駆病状は、対象の年齢および教育レベルについての客観的な異常な記憶喪失として定義される。MCIの基準には、(1)家族によって確証された記憶愁訴、(2)他の認知機能が正常であること、(3)正常な日常活動、(4)年齢についての異常な記憶、および(5)認知症がないことが含まれる。
【0156】
上記の方法は、散発性タウオパチー、特にアルツハイマー病、より具体的には散発性アルツハイマー病の治療に特に適している。本明細書で使用される場合、散発性タウオパチー(特発性障害とも呼ばれる)は、既知の特定の遺伝子変異に関連しないタウオパチーを指す(家族性症例)。家族性タウオパチーに関連するこのような既知の遺伝子変異には、21番染色体上のアミロイド前駆体タンパク質(APP)遺伝子、14番染色体上のプレセニリン1(PSEN1)および1番染色体上のプレセニリン2(PSEN2)をコードする遺伝子からなる群から選択される遺伝子における変異が含まれる。
【0157】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」とは、所望の治療結果、例えば以下の治療結果の1つ以上を達成するのに必要な投与量および期間で有効な量を指す:
-該対象のニューロンにおけるタウ凝集体の有意な減少、
-ニューロンの有意な神経保護効果、
-タウ除去によって引き起こされるミクログリア駆動性炎症促進現象の有意な減衰、
-タウのプリオン様経ニューロン通過の有意な遮断。
【0158】
使用される場合、「タウのプリオン様経ニューロン通過」とは、タウを発現する軸索終末によって神経支配されているニューロン軸索終末から次のニューロンにジャンプするタンパク質の能力を指す。
【0159】
脳領域(例えば大脳皮質のニューロン)のタウ負荷の有意な減少は、最低4週間の治療後に、対応する脳領域(例えば大脳皮質)のタウ凝集物の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または少なくとも90%の減少に対応し得る。
【0160】
いくつかの実施形態では、治療患者におけるニューロンの有意な神経保護効果は、最低52週間(1年間)の治療後に、未治療患者と比較してニューロン生存が少なくとも10%、少なくとも20%または少なくとも30%改善されたと推定され得る。
【0161】
他の具体的な実施形態では、本開示の生成物による治療は、タウオパチーの1つ以上の症状の進行を阻害するかもしくは発症を遅延させるか、または重症度を低下させ得る。例えば、治療は、以下の症状の1つ以上の進行を阻害するか、または発症を遅延させるか、または重症度を低下させることができる。
-ニューロンの変性(例えば、マイネルト基底核、黒質緻密部、青斑核、海馬体、嗅内皮質および大脳皮質領域全体)、
-軽度から重度の認知障害、
-気分変動、
-うつ、
-感情鈍麻
-時間と場所の混乱、
-幻覚、
-行動障害、
-姿勢不安定性、
-共感の欠如、
-意思決定における障害、
-健忘症、易怒性、
-錯覚、激越、および
-とりわけ、日常活動への無関心および社会的交流からの引きこもり。
【0162】
一実施形態では、有効量の上記ウイルス粒子(またはウイルスベクター)は、実質内、脳内、脳室内(icv)、髄腔内、または静脈内経路によって対象または患者に投与される。
【0163】
典型的には、治療有効量の該ウイルスベクターは、好ましくは髄腔内または実質内経路によって投与され、後者は、好ましくは大脳皮質などの脳領域、ならびにマイネルト基底核、黒質緻密部、青斑核、海馬体および嗅内皮質などの細胞内構造に投与される。
【0164】
特定の実施形態では、治療量の該ウイルスベクターは、実質内経路によって、好ましくは海馬体の歯状回に投与されて、少なくとも貫通路(performant path)を介して嗅内皮質の層IIおよびIIIに位置するニューロンに播種される。本明細書で使用される場合、該貫通路(performant path)とは、嗅内皮質と歯状回とを連結する解剖学的経路を指す。
【0165】
本明細書で使用される場合、「好ましい局所投与」とは、すべてのウイルス粒子が脳の該領域に投与されることを意味するのではなく、ウイルス粒子の大部分、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%(vg)が該領域に投与されることを意味する。
【0166】
脳脊髄腔への投与では、ニューロン形質導入は脳脊髄液循環動態に依存するため、(1)脳室周囲領域、すなわち脳室に近接する領域で、(2)非特異的に、すなわちニューロンは脳室またはくも膜下腔のいずれかからの拡散によって形質導入され、皮質上層I~IV(例えば、くも膜下腔からの拡散によって)で強い標識が観察されると予想され、(3)被殻に接続していない小脳および海馬などの脳領域で観察されると予想される。黒質などの脳深部領域のニューロンの脳室系からの形質導入は、黒質が脳室から遠く離れて位置し、したがって受動拡散によって形質導入されることが非常に困難であることを踏まえれば、非常に可能性が低い。
【0167】
脳脊髄腔での投与とは対照的に、尾状核被殻核へのウイルスベクターの投与は、注射部位を神経支配する大脳皮質、視床、扁桃体、黒質緻密部、および背側縫線核に位置するニューロンの特異的形質導入、ならびに被殻を神経支配することが知られている脳領域、例えば、予想外の領域への逆行性拡散なしに被殻に突出する皮質領域の層Vにおける回路特異的逆行性拡散などのいくつかの利点を示す(例えば、被殻を神経支配しないことが知られている領域への逆行性輸送の欠如)。
【0168】
したがって、実質内経路は、尾状核-被殻核へのウイルス粒子の局所投与を促進し、したがって注射部位を神経支配する任意の脳領域への導入遺伝子の逆行性播種を促進し得る。
【0169】
好ましい実施形態では、ウイルス粒子は、尾状核-被殻核への実質内経路を介して、好ましくは1013~1014vg/mL(vg:ウイルスゲノム)の範囲内に含まれる濃度で、被殻当たり50~1000μL、好ましくは200~700μLの範囲内に含まれる体積で、ヒト対象または患者に投与され得る。特定の実施形態では、該ウイルス粒子は、0.5~5μL/分の範囲内の注入デビットで、好ましくは2~6時間投与される。ウイルス粒子のこのような高い注入速度は、ウイルス安定性を高め、患者のより良い管理を可能にする。
【0170】
特定の実施形態では、該ウイルス粒子は、rAAV粒子の中から選択され、好ましくはAAV2、AAV5、AAV9、AAV-MNM004、AAV-MNM008、およびAAV TT血清型からなる群から選択されるカプシドタンパク質を含む。
【0171】
特定の実施形態では、該ウイルス粒子は、以下の変異血清型:AAV2-retro、AAV-MNM004、AAV-MNM008およびAAV-TTの中から選択されるカプシドタンパク質を含むAAVretroである。
【0172】
一実施形態では、AAV-TT粒子は、尾状核-被殻核への実質内経路を介して、好ましくは1013~1014vg/mL(vg:ウイルスゲノム)の範囲内に含まれる濃度で、被殻当たり50~1000μL、好ましくは200~700μLの範囲内に含まれる体積で、ヒト対象または患者に投与され得る。特定の実施形態では、該ウイルス粒子は、0.5~5μL/分の範囲内の注入デビットで、好ましくは2~6時間投与される。
【0173】
別の実施形態では、AAV-9粒子は、尾状核-被殻核への実質内経路を介して、好ましくは1013~1014vg/mL(vg:ウイルスゲノム)の範囲内に含まれる濃度で、被殻当たり50~1000μL、好ましくは200~700μLの範囲内に含まれる体積で、ヒト対象または患者に投与され得る。特定の実施形態では、該ウイルス粒子は、0.5~5μL/分の範囲内の注入デビットで、好ましくは2~6時間投与される。
【0174】
一実施形態では、実質内経路は、尾状核-被殻核へのAAVの好ましい局所投与を促進し、したがって注射部位を神経支配する任意の脳領域へのGBA1導入遺伝子の逆行性播種を促進し得る。
【0175】
本開示は、タウオパチーなどの神経変性疾患の治療に使用するための本開示によるGBA1導入遺伝子を含むウイルス粒子、好ましくはAAV粒子に関し、該ウイルス粒子は、実質内経路を介して尾状核-被殻核に投与される。
【0176】
好ましい実施形態では、本開示によるAAVウイルス粒子は、尾状核-被殻核への実質内経路を介して、アルツハイマー病などのタウオパチーの治療のために、好ましくは1013~1014vg/mL(vg:ウイルスゲノム)の範囲内に含まれる濃度で、被殻当たり50~1000μL、好ましくは200~700μLの範囲内に含まれる体積で、ヒト対象または患者に投与され得る。特定の実施形態では、該ウイルス粒子は、0.5~5μL/分の範囲内の注入デビットで、好ましくは2~6時間投与される。
【0177】
特定の実施形態では、本開示によるAAV-TTは、尾状核-被殻核への実質内経路を介して、アルツハイマー病などのタウオパチーの治療のためにヒト対象または患者に投与することができる。
【0178】
本開示による該AAV-TT粒子は、尾状核-被殻核への実質内経路を介して、アルツハイマー病などのタウオパチーの治療のために、好ましくは1013~1014vg/mL(vg:ウイルスゲノム)の範囲内に含まれる濃度で、被殻当たり50~1000μL、好ましくは200~700μLの範囲内に含まれる体積で、ヒト対象または患者に投与され得る。特定の実施形態では、該ウイルス粒子は、0.5~5μL/分の範囲内の注入デビットで、好ましくは2~6時間投与される。
【0179】
好ましい実施形態では、配列番号5、6、8、17および18からなる群から選択される配列、典型的には配列番号1、7 11、12および19からなる群から選択される配列を含むヒトグルコセレブロシダーゼをコードする導入遺伝子を含む核酸構築物を含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子が提供され、該核酸構築物は、該導入遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含み、該rAAV粒子は、シヌクレイノパチー(synucleopathies)、好ましくはゴーシェ病(神経障害性ゴーシェ病など)またはPD(散発性PDなど)などの神経変性疾患の治療に使用するために、配列番号14のアミノ酸配列または配列番号14と少なくとも98.5%、好ましくは99%もしくは99.5%の同一性を有する配列を含むAAV-TTカプシドタンパク質を含み、該rAAV粒子は、実質内経路を介して、好ましくは被殻当たり50~1000μL、好ましくは200~700μLの範囲内に含まれる体積で、好ましくは1013~1014vg/mL(vg:ウイルスゲノム)の範囲内に含まれる濃度で、該尾状核-被殻核に投与される。特定の実施形態では、該ウイルス粒子は、0.5~5μL/分の範囲内に含まれる注入デビットで、好ましくは2~6時間投与される。
【0180】
別の実施形態では、本開示によるAAV-9は、尾状核-被殻核への実質内経路を介して、アルツハイマー病などのタウオパチーの治療のためにヒト対象または患者に投与することができる。
【0181】
本開示による該AAV-9粒子は、尾状核-被殻核への実質内経路を介して、アルツハイマー病などのタウオパチーの治療のために、好ましくは1013~1014vg/mL(vg:ウイルスゲノム)の範囲内に含まれる濃度で、被殻当たり50~1000μL、好ましくは200~700μLの範囲内に含まれる体積で、ヒト対象または患者に投与され得る。特定の実施形態では、該ウイルス粒子は、0.5~5μL/分の範囲内の注入デビットで、好ましくは2~6時間投与される。
【0182】
別の実施形態では、実質内経路は、海馬体の歯状回へのAAVretroの好ましい局所投与を促進し、したがって、注入部位を神経支配する任意の脳領域、好ましくは嗅内皮質の層IIおよびIIIに位置するニューロンへのGBA1導入遺伝子の逆行性播種を促進し得る。
【0183】
治療有効量の本開示の生成物またはそれを含む医薬組成物は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重、ならびに個体において所望の応答を誘発する生成物または医薬組成物の能力などの因子に従って変動し得る。投与レジメンは、最適な治療応答を提供するように調整され得る。
【0184】
治療有効量はまた、典型的には、治療上有益な効果が生成物または医薬組成物の任意の毒性作用または有害作用を上回る量である。
【0185】
任意の特定の対象について、具体的な投与レジメンは、個々の必要性、および組成物を投与する人または投与を監督する人の専門的判断に従って、経時的に調整され得る。本明細書に記載の投与量範囲は例示にすぎず、医師によって選択され得る投与量範囲を限定するものではない。
【0186】
一実施形態では、本開示によるAAVウイルス粒子は、アルツハイマー病などのタウオパチーの治療のために、10~1014vg/kg(vg:ウイルスゲノム;kg:被験者または患者の体重)の範囲内に含まれる量または用量で、ヒト対象または患者に投与することができる。
【0187】
キット
別の態様では、本開示はさらに、1つ以上の容器に、上記の核酸構築物、ウイルスベクター、宿主細胞、ウイルス粒子または医薬組成物を含むキットに関する。キットは、キット内に含まれる核酸構築物、ウイルスベクター、ウイルス粒子、宿主細胞または医薬組成物を患者に投与する方法を記載する説明書または包装材料を含み得る。キットの容器は、任意の適切な材料、例えばガラス、プラスチック、金属など、および任意の適切なサイズ、形状、または構成のものとすることができる。特定の実施形態では、キットは、適切な液体または溶液形態の本発明の製品を含有する1つ以上のアンプルまたはシリンジを含み得る。
【0188】
以下の例は例示として提供され、それらは本開示を限定することを意図するものではない。
【0189】

AAVを試験し、逆行性輸送と比較するためのインビボ播種アッセイ
rAAVを産生するための標準的な方法を使用して、試験rAAV-GFPを調製した。試験rAAV-GFPは、CAGプロモーターの制御下で、導入遺伝子としてGFPコード配列を有し、AAV2のITRを有する核酸構築物を使用し、該核酸構築物は、その逆行性輸送特性について試験されるAAV血清型のカプシドタンパク質と共にパッケージングされている。
【0190】
インビボ播種アッセイには、非ヒト霊長類の後交連被殻内への該rAAV-GFPの実質内注射によって該試験rAAV-GFPを注射する第1の工程が含まれた。
【0191】
次いで、このアッセイには、注射の1ヶ月後に大脳皮質、黒質、扁桃体および尾側髄板内核におけるGFP発現ニューロンの数を計数する工程が含まれた。細胞の計数は、脳組織標本における免疫ペルオキシダーゼ染色細胞の自動不偏計数のために設計された全スライドデジタルイメージングおよび深層畳み込みニューロンネットワーク(deep convolutional neuronal networks)(CNN)アルゴリズムであるAiforia(商標)を利用することによって行った(Penttinen et al.,European Journal of Neuroscience 2018;48:2354-2361)。
【0192】
抗GFP抗体を使用して、免疫ペルオキシダーゼ染色によって、GFPを発現するニューロンを可視化した。注射された非ヒト霊長類の脳全体にわたって、GFPを発現するニューロンを自動的に計数した。GFP陽性ニューロンの優先的な位置は、図7Aおよび図7Bに示すように大脳皮質の深層に生じた。皮質領域に加えて、GFPを発現するニューロンを、注入された後交連被殻、特に黒質緻密部、扁桃体および尾側髄板内核を神経支配するすべての脳領域で定量化した(図7図13)。
【0193】
1.マウスにおける研究:
本発明者らは、以下の遺伝子治療産物候補を設計した。
例えば以下に記載される配列番号4の構築物pAAV.nGUSB.GBA1を使用した、構成的プロモーターGusB(rAAV2/9-GBA1)の制御下におけるGBA1遺伝子をコードする組換えアデノ随伴ウイルスベクター血清型2/9。
【0194】
ニューロンおよびグリア細胞の両方においてグルコセレブロシダーゼ活性を増強する必要性を踏まえれば、導入遺伝子の発現を駆動する構成的プロモーター(GusB)の選択は、本明細書では好ましい。
【0195】
ウイルスベクターは、有利には実質内に送達され、すなわち、ウイルスベクターの投与は、定位手術による所望の脳領域への直接注射によって達成され得る。
【0196】
より具体的には、本発明者らは、グルコセレブロシダーゼの発現がタウ凝集をもたらす過程に関与し得ると仮定した。
【0197】
このような作業仮説の概念実証として、本発明者らは、野生型マウス(n=2)で、ニューロン特異的シナプシンプロモーター(rAAV2/9-Tau301L)の制御下で、ヒトタウタンパク質(Tau301L)の変異型をコードする組換えアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)血清型9を線条体に両側注入する実験を行った。各線条体に、1.0マイクロリットルの1.22×10E13のウイルス懸濁液を投与した。
【0198】
次に、タウ駆動性神経変性過程が既に進行中であったが、非復帰点(例えば、rAAV2/9-Tau301L送達の4週間後)に達する前に、左線条体に注入された導入遺伝子をコードしない空の対照rAAV2/9(r-AAV2/9-null)と共に、構成的プロモーターGusBの制御下にあるGBA1遺伝子をコードする組換えAAV2/9(rAAV2/9-GBA1)を、右線条体(ウイルス懸濁液の1.25×10E13の1.0マイクロリットル)に送達した。3週間後(例えば、最初のrAAV2/9-Tau301L送達の8週間後)、動物を屠殺し、神経病理学的分析のために処理した。実験計画を図3に要約する。
【0199】
実施された予備の神経病理学的分析により、グルコセレブロシダーゼのrAAV2/9-GBA1媒介性増強が、意外なことに、タウ関連神経病理を示す脳領域、すなわち線条体および大脳皮質全体にわたってタウ凝集体のほぼ完全なクリアランスをもたらしたことが明らかになった(図4)。
【0200】
2.非ヒト霊長類脳におけるAAV-TT-GFPおよびAAV9-GFPの生体内分布および比較性能
2.1 実施した実験
最大4匹の成体若齢雄カニクイザル霊長類(体重3.0~3.4Kg)に、5μLのAAV-TT-GFP(1×1013vg/mL;2匹の動物)または5μLのAAV9-GFP(1×1013vg/mL;2匹の動物)のいずれかを注射した。両AAVは、CAGプロモーターの制御下でGFPをコードしていた。
【0201】
Hamiltonシリンジを利用することによって、心室造影術支援定位手術によってAAVを投与した。圧力注入は0.5μL/分のパルスで達成した。非ヒト霊長類では、デビットはより低い範囲に調整される。しかしながら、ヒトの試験では、高い注射速度はウイルス安定性を可能にし、より良好な患者管理およびデビットは0.5μL~5μL/分の範囲であり得る。AAV送達が完了したら、注射針をさらに10分間留置し、注射管を通るAAV逆流を最小限に抑えた(図5)。手術の直前に、体液試料(血液およびCSF)を採取し、-80℃で保存した。
【0202】
心臓内灌流によるAAV送達の1ヶ月後に動物を屠殺した。屠殺前に、体液試料(血液およびCSF)を採取し、-80℃で保存した。灌流液は、生理食塩水リンゲル液と、それに続くパラホルムアルデヒドの緩衝溶液(3,000ml/動物)、ならびに10%グリセリンおよび1% DMSOを含むホスファート緩衝液0.1M、pH 7.3からなる1,000mLの凍結保護溶液からなっていた。
【0203】
リンゲル液による灌流中、新鮮な組織試料(例えば固定されていない)を、心臓、肺、肝臓、脾臓、膵臓、腎臓、精巣および線条体筋を含むいくつかの末梢器官から採取した。試料をドライアイス上で凍結し、-80℃で保存した。
【0204】
灌流が完了したら、脳を頭蓋骨から取り出し、幅約1cmの脳ブロックを作製し、20%グリセリンおよび2% DMSOを含むホスファート緩衝液0.1M、pH 7.3からなる凍結保護溶液に保存した(すべての脳ブロックから軟膜(pia matter)を除去した)。固定末梢器官からの試料を得て(心臓、肺、肝臓、脾臓、膵臓、腎臓、精巣、後腹膜神経節、松果体および線条体筋)、さらにパラフィンに包埋した。
【0205】
凍結保護溶液中で最低48時間後、10シリーズの凍結冠状脳切片(40μm厚)をスライド式ミクロトームで作製し、凍結保護溶液に回収した。ウサギで産生された一次ポリクローナル抗体を利用することによって、GFPの免疫ペルオキシダーゼ検出のために一連の切片全体(例えば、サルの脳の10番目ごとの切片を含む)を処理した。ビオチン化ヤギ抗ウサギIgGとインキュベートした後、切片をABCキットとインキュベートし、最後にH-DAB溶液を用いて染色した。染色が完了したら、浮遊切片を顕微鏡スライドに載せ、一晩風乾し、entellanでカバーガラスを覆った。染色された切片を、Aperio CS2スライドスキャナー(Leica)を使用してスキャンし、専用のソフトウェアを使用して処理した。
【0206】
2.2 結果
AAV-TT-GFPまたはAAV9-GFPのいずれかによる標識は、後交連被殻を神経支配することが知られている脳領域全体でのみ見られた一方、注射部位を神経支配していない脳領域では、単一の標識ニューロンさえも観察されなかった(例えば、海馬、小脳など)。さらに、得られた逆行性標識は「ゴルジ様」形態であり、すなわち、ニューロン標識は細胞体に限定されず、実際に遠位樹状突起上、特に大脳皮質全体の位置に及ぶ。樹状突起スパインなどの小さな樹状突起プロセスが時には目に見えることも注目に値する。
【0207】
注射部位での事象
AAV-TT-GFPの両注射は正確であり、後交連被殻の境界内に適切に配置された。注射部位について得られたサイズは、AAV9-GFPよりもAAV-TT-GFPの方が一貫して小さく、動物M295およびM296(AAV-TT-GFPを注射)では28.01%および21.83%を占めた一方、AAV9-GFPを注射した動物(M297およびM298)では、後交連被殻の32.46%および55.86%がそれぞれ注射部位内に含まれた(図6)。AAV-TT-GFPを用いた両注射は、注射管を通じたAAV取り込みの完全な欠如を示した(例えば、これらは両方とも非常に清潔な注射である)。対照的に、AAV9-GFPを用いて行われた注射は、注射管を介した中程度から高い取り込みを示し、後交連被殻の上に位置する白質路によるAAV9-GFP取り込みのために、得られた結果が偽陽性標識(おそらく皮質領域内で特に悪名高い)によって混入される可能性が非常に高いことを意味する。偽陽性結果に関連する問題を図7Bに示す。さらに、動物M297におけるAAV9-GFPの送達は、後交連被殻の境界を超えて拡散し、淡蒼球外節(GPe)のかなりの部分も含む。
【0208】
逆行性拡散の効力
逆行性標識されたニューロンの総数および観察された強度の両方が、注射部位の程度に直接関係している。換言すれば、交連後被殻のより大きな領域を占める注射部位から、より多数のGFP+ニューロンが予想される。これに関して、また、各対象領域において観察されるニューロンの数の正確な定量化を提供することに加えて、この最終的な数は、後交連被殻領域が注射部位によって覆われる程度によって補正される必要がある。ニューロンの数は、Aiforia(登録商標)で行われた定量に基づいて提供される。AAV-TT対AAV9の性能を適切に比較するためには、得られた生データを注射部位の程度を考慮して標準化する必要がある。したがって、各AAVの予想される逆行性拡散を適切に推定するために、注射部位のサイズに基づく補正係数を計算した。補正係数は、M295についてはx3.57、M296についてはx4.58、M297についてはx3.08、M298についてはx1.79であった。図8図13に示すデータを生成するために補正係数を使用した。
【0209】
最も強い標識を示す脳領域
全動物(AAV-TT-GFPおよびAAV9-GFP)において、上前頭回および中心前回で最も強い標識が観察された(図8)。(より低い程度ではあるが)GFP+ニューロンを一貫して示す他の皮質領域は、前帯状皮質、中心後回および島状回である。まばらなニューロン標識が、中前頭回、下前頭回、眼窩前頭皮質(眼窩前頭、外側眼窩および内側眼窩領域)、上、中および下側頭回、ならびに上頭頂小葉および縁上回において観察された。さらに、GFP+ニューロンは、同側皮質の鏡様表現として対側皮質において一貫して見出された(明らかにはるかに少ない数のGFP+ニューロンを含む)。後交連被殻(運動に関連する被殻領域)におけるAAV送達の際に、最も強い標識が中心前回および上前頭回(一次運動皮質および補足運動領域をそれぞれ含む皮質回)の両方で観察されたことを踏まえれば、結果は、予想されたものと完全に一致し、実際に非常に関連性がある。皮質下標識に関しては、2つの構造、すなわち黒質緻密部(SNc)および正中中心-束傍複合体(CM-Pf)が特に関連する。さらに、CM-Pf視床複合体が視床線条体投射の主な供給源であることを踏まえれば、CM-Pfで観察されるGFP+ニューロンの量は、予想されるが、非常に印象的である。CM-Pfの他に、腹側前側、腹側外側および腹側後内側の視床核、中心外側および中心傍の髄板内核ならびに背側縫線核(被殻へのセロトニン作動性投射の主な供給源であることが知られている小型脳幹核)にもまばらな標識が見出された。さらに、扁桃体複合体のレベルで観察された標識は、両AAV型について最初に予想されたよりも低い。扁桃体複合体は被殻に対する別の求心性神経源と見なされることが多いが(皮質、視床および黒質と共に)、AAV-TTおよびAAV9で得られたデータは、この解剖学的経路の重要性が以前の解剖学的研究では過大評価されている可能性が高いことを明らかに示唆した。
【0210】
線条体求心系
本研究は、この目的のために設計されなかったが、実施された定量化により、それぞれ異なる線条体求心系、すなわち皮質線条体経路(同側および対側)、視床線条体および黒質線条体の投射の「重量」を数値的に推定することが可能になる。得られたデータは、同側の皮質線条体投射が群を抜いて最も豊富な投射(平均で全線条体求心性神経の69.37%)であり、次いで対側の皮質線条体投射ニューロン(全線条体求心性神経の15.99%)、次いで黒質線条体投射(平均で7.99%)、最後に正中中心-束傍視床複合体から生じる視床線条体投射(6.67%)が続くことを示した。この点に関して、対側皮質線条体経路は、基底核の機能および機能不全を扱うほとんどの研究では無視されることが多いが、この投射は、総線条体求心性神経のおおよそ最大16%に相当し、視床線条体および黒質線条体の投射に関連するものを明らかに上回る割合であることも注目に値する。
【0211】
得られた結果は、AAV9-GFPと比較した場合、AAV-TT-GFPの優れた性能を支持した。結果の詳細な比較は、AAV-TTがAAV9よりも良好な候補であることを示した。AAV-TTは、特に、注射管を通じた取り込みの欠如と共に、逆行性拡散に関してより高い「効力」を扱う場合に、いくつかの重要な利点を有する。AAV-TTの使用は、偽陽性の完全な欠如を示す。
【0212】
本発明を実施する際に使用するための配列
本発明を実施する際に使用するための配列を以下に記載する(非限定的なリスト):
配列番号1:ヒトGBA1をコードするヌクレオチド配列(例で使用される最適化配列):
ATGGCTGGCAGTCTTACAGGTCTCCTGCTCCTGCAAGCTGTCTCTTGGGCTTCTGGGGCCAGGCCCTGTATCCCCAAATCCTTTGGATACTCATCTGTGGTGTGTGTTTGTAATGCCACTTATTGTGATAGCTTTGACCCCCCCACCTTTCCTGCACTGGGCACCTTTTCAAGGTATGAATCTACCAGGTCTGGGAGGAGGATGGAGCTGAGTATGGGGCCCATCCAAGCAAACCATACTGGCACTGGCTTGCTGCTGACACTGCAACCTGAACAGAAGTTCCAGAAAGTGAAGGGCTTTGGAGGAGCCATGACTGATGCTGCTGCCCTCAATATTTTGGCCCTGAGCCCCCCTGCTCAGAATCTCCTTTTGAAATCATACTTCTCTGAGGAGGGAATTGGATACAATATCATCAGGGTGCCAATGGCCTCATGTGACTTTAGTATTAGGACTTACACCTATGCTGATACCCCTGATGATTTCCAGCTGCATAACTTCTCATTGCCTGAGGAGGATACCAAATTGAAGATCCCACTCATTCACAGGGCCCTGCAACTGGCTCAGAGACCAGTGTCATTGCTGGCCTCCCCCTGGACCTCCCCAACTTGGCTCAAAACCAATGGGGCTGTCAATGGTAAGGGCTCTCTTAAGGGGCAGCCTGGAGACATTTACCATCAGACCTGGGCCAGGTATTTTGTGAAGTTCCTGGATGCTTATGCTGAGCACAAATTGCAATTTTGGGCTGTTACAGCTGAGAATGAACCCTCTGCAGGACTGCTGTCTGGCTATCCTTTCCAGTGCCTGGGCTTTACCCCTGAGCATCAGAGGGATTTCATTGCCAGGGACCTGGGACCTACTCTTGCCAATAGCACACACCATAATGTGAGGCTTCTGATGCTTGATGACCAGAGACTTCTGCTGCCACACTGGGCCAAGGTTGTCCTGACAGATCCTGAGGCTGCCAAGTATGTTCATGGGATTGCTGTGCACTGGTATCTGGACTTCCTTGCTCCAGCTAAGGCCACCCTGGGAGAAACACACAGGTTGTTTCCCAATACAATGCTTTTTGCATCAGAGGCCTGTGTGGGCAGTAAATTTTGGGAGCAGTCTGTTAGGCTGGGGAGCTGGGATAGAGGAATGCAATACTCCCATTCTATCATCACCAATCTGCTCTACCATGTGGTGGGGTGGACTGACTGGAACCTTGCCCTTAACCCTGAGGGTGGCCCCAATTGGGTCAGGAATTTTGTGGATAGTCCCATCATTGTGGATATCACCAAGGACACATTCTATAAGCAACCAATGTTCTATCACCTGGGTCACTTTAGTAAGTTTATCCCTGAGGGGTCCCAGAGGGTGGGACTGGTGGCTTCCCAGAAGAATGATCTGGATGCTGTGGCCCTGATGCACCCTGATGGCAGTGCTGTGGTTGTTGTTCTCAATAGAAGCTCTAAAGATGTGCCCTTGACCATCAAAGATCCAGCTGTGGGATTTCTGGAAACAATTTCCCCTGGTTATAGCATCCACACTTACCTTTGGAGAAGGCAGTGA
【0213】
配列番号2:nGUSBプロモーターヌクレオチド配列
ATTCCTGCTGGGAAAAGCAAGTGGAGGTGCTCCTTGAAGAAACAGGGGGATCCCACCGATCTCAGGGGTTCTGTTCTGGCCTGCGGCCCTGGATCGTCCAGCCTGGGTCGGGGTGGGGAGCAGACCTCGCCCTTATCGGCTGGGGCTGAGGGTGAGGGTCCCGTTTCCCCAAAGGCCTAGCCTGGGGTTCCAGCCACAAGCCCTACCGGGCAGCGCCCGGCCCCGCCCCTCCAGGCCTGGCACTCGTCCTCAACCAAGATGGCGCGGATGGCTTCAGGCGCATCACGACACCGGCGCGTCACGCGACCCGCCCTACGGGCACCTCCCGCGCTTTTCTTAGCGCCGCAGACGGTGGCCGAGCGGGGGACCGGGAAGCATGGCCCGGGCT
【0214】
配列番号3:ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル
GCCCTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCATTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAATAGCAGGCATGCACT
【0215】
配列番号4:pAAV.nGUSB.GBA1ヌクレオチド配列
TCGCGCGTTTCGGTGATGACGGTGAAAACCTCTGACACATGCAGCTCCCGGAGACGGTCACAGCTTGTCTGTAAGCGGATGCCGGGAGCAGACAAGCCCGTCAGGGCGCGTCAGCGGGTGTTGGCGGGTGTCGGGGCTGGCTTAACTATGCGGCATCAGAGCAGATTGTACTGAGAGTGCACCATATGCGGTGTGAAATACCGCACAGATGCGTAAGGAGAAAATACCGCATCAGGCGCCATTCGCCATTCAGGCTGCGCAACTGTTGGGAAGGGCGATCGGTGCGGGCCTCTTCGCTATTACGCCAGCTGGCGAAAGGGGGATGTGCTGCAAGGCGATTAAGTTGGGTAACGCCAGGGTTTTCCCAGTCACGACGTTGTAAAACGACGGCCAGTGAATTCGAGCTCGGTACCTCGCGAATGCATCTAGAGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCTGGAGGGGTGGAGTCGTGACAGATCTGAATTCCTGCTGGGAAAAGCAAGTGGAGGTGCTCCTTGAAGAAACAGGGGGATCCCACCGATCTCAGGGGTTCTGTTCTGGCCTGCGGCCCTGGATCGTCCAGCCTGGGTCGGGGTGGGGAGCAGACCTCGCCCTTATCGGCTGGGGCTGAGGGTGAGGGTCCCGTTTCCCCAAAGGCCTAGCCTGGGGTTCCAGCCACAAGCCCTACCGGGCAGCGCCCGGCCCCGCCCCTCCAGGCCTGGCACTCGTCCTCAACCAAGATGGCGCGGATGGCTTCAGGCGCATCACGACACCGGCGCGTCACGCGACCCGCCCTACGGGCACCTCCCGCGCTTTTCTTAGCGCCGCAGACGGTGGCCGAGCGGGGGACCGGGAAGCATGGCCCGGGCTGCAGCTCTAAGGTAAATATAAAATTTTTAAGTGTATAATGTGTTAAACTACTGATTCTAATTGTTTCTCTCTTTTAGATTCCAACCTTTGGAACTCAATTCAGCCACCATGGCTGGCAGTCTTACAGGTCTCCTGCTCCTGCAAGCTGTCTCTTGGGCTTCTGGGGCCAGGCCCTGTATCCCCAAATCCTTTGGATACTCATCTGTGGTGTGTGTTTGTAATGCCACTTATTGTGATAGCTTTGACCCCCCCACCTTTCCTGCACTGGGCACCTTTTCAAGGTATGAATCTACCAGGTCTGGGAGGAGGATGGAGCTGAGTATGGGGCCCATCCAAGCAAACCATACTGGCACTGGCTTGCTGCTGACACTGCAACCTGAACAGAAGTTCCAGAAAGTGAAGGGCTTTGGAGGAGCCATGACTGATGCTGCTGCCCTCAATATTTTGGCCCTGAGCCCCCCTGCTCAGAATCTCCTTTTGAAATCATACTTCTCTGAGGAGGGAATTGGATACAATATCATCAGGGTGCCAATGGCCTCATGTGACTTTAGTATTAGGACTTACACCTATGCTGATACCCCTGATGATTTCCAGCTGCATAACTTCTCATTGCCTGAGGAGGATACCAAATTGAAGATCCCACTCATTCACAGGGCCCTGCAACTGGCTCAGAGACCAGTGTCATTGCTGGCCTCCCCCTGGACCTCCCCAACTTGGCTCAAAACCAATGGGGCTGTCAATGGTAAGGGCTCTCTTAAGGGGCAGCCTGGAGACATTTACCATCAGACCTGGGCCAGGTATTTTGTGAAGTTCCTGGATGCTTATGCTGAGCACAAATTGCAATTTTGGGCTGTTACAGCTGAGAATGAACCCTCTGCAGGACTGCTGTCTGGCTATCCTTTCCAGTGCCTGGGCTTTACCCCTGAGCATCAGAGGGATTTCATTGCCAGGGACCTGGGACCTACTCTTGCCAATAGCACACACCATAATGTGAGGCTTCTGATGCTTGATGACCAGAGACTTCTGCTGCCACACTGGGCCAAGGTTGTCCTGACAGATCCTGAGGCTGCCAAGTATGTTCATGGGATTGCTGTGCACTGGTATCTGGACTTCCTTGCTCCAGCTAAGGCCACCCTGGGAGAAACACACAGGTTGTTTCCCAATACAATGCTTTTTGCATCAGAGGCCTGTGTGGGCAGTAAATTTTGGGAGCAGTCTGTTAGGCTGGGGAGCTGGGATAGAGGAATGCAATACTCCCATTCTATCATCACCAATCTGCTCTACCATGTGGTGGGGTGGACTGACTGGAACCTTGCCCTTAACCCTGAGGGTGGCCCCAATTGGGTCAGGAATTTTGTGGATAGTCCCATCATTGTGGATATCACCAAGGACACATTCTATAAGCAACCAATGTTCTATCACCTGGGTCACTTTAGTAAGTTTATCCCTGAGGGGTCCCAGAGGGTGGGACTGGTGGCTTCCCAGAAGAATGATCTGGATGCTGTGGCCCTGATGCACCCTGATGGCAGTGCTGTGGTTGTTGTTCTCAATAGAAGCTCTAAAGATGTGCCCTTGACCATCAAAGATCCAGCTGTGGGATTTCTGGAAACAATTTCCCCTGGTTATAGCATCCACACTTACCTTTGGAGAAGGCAGTGAAAATGAAGGCCTGATAATTGCACCACCAGGCCTGATAGGCCCTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCATTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAATAGCAGGCATGCACTAGTCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGATCTAGATATCGGATCCCGGGCCCGTCGACTGCAGAGGCCTGCATGCAAGCTTGGCGTAATCATGGTCATAGCTGTTTCCTGTGTGAAATTGTTATCCGCTCACAATTCCACACAACATACGAGCCGGAAGCATAAAGTGTAAAGCCTGGGGTGCCTAATGAGTGAGCTAACTCACATTAATTGCGTTGCGCTCACTGCCCGCTTTCCAGTCGGGAAACCTGTCGTGCCAGCTGCATTAATGAATCGGCCAACGCGCGGGGAGAGGCGGTTTGCGTATTGGGCGCTCTTCCGCTTCCTCGCTCACTGACTCGCTGCGCTCGGTCGTTCGGCTGCGGCGAGCGGTATCAGCTCACTCAAAGGCGGTAATACGGTTATCCACAGAATCAGGGGATAACGCAGGAAAGAACATGTGAGCAAAAGGCCAGCAAAAGGCCAGGAACCGTAAAAAGGCCGCGTTGCTGGCGTTTTTCCATAGGCTCCGCCCCCCTGACGAGCATCACAAAAATCGACGCTCAAGTCAGAGGTGGCGAAACCCGACAGGACTATAAAGATACCAGGCGTTTCCCCCTGGAAGCTCCCTCGTGCGCTCTCCTGTTCCGACCCTGCCGCTTACCGGATACCTGTCCGCCTTTCTCCCTTCGGGAAGCGTGGCGCTTTCTCATAGCTCACGCTGTAGGTATCTCAGTTCGGTGTAGGTCGTTCGCTCCAAGCTGGGCTGTGTGCACGAACCCCCCGTTCAGCCCGACCGCTGCGCCTTATCCGGTAACTATCGTCTTGAGTCCAACCCGGTAAGACACGACTTATCGCCACTGGCAGCAGCCACTGGTAACAGGATTAGCAGAGCGAGGTATGTAGGCGGTGCTACAGAGTTCTTGAAGTGGTGGCCTAACTACGGCTACACTAGAAGAACAGTATTTGGTATCTGCGCTCTGCTGAAGCCAGTTACCTTCGGAAAAAGAGTTGGTAGCTCTTGATCCGGCAAACAAACCACCGCTGGTAGCGGTGGTTTTTTTGTTTGCAAGCAGCAGATTACGCGCAGAAAAAAAGGATCTCAAGAAGATCCTTTGATCTTTTCTACGGGGTCTGACGCTCAGTGGAACGAAAACTCACGTTAAGGGATTTTGGTCATGAGATTATCAAAAAGGATCTTCACCTAGATCCTTTTAAATTAAAAATGAAGTTTTAAATCAATCTAAAGTATATATGAGTAAACTTGGTCTGACAGTTACCAATGCTTAATCAGTGAGGCACCTATCTCAGCGATCTGTCTATTTCGTTCATCCATAGTTGCCTGACTCCCCGTCGTGTAGATAACTACGATACGGGAGGGCTTACCATCTGGCCCCAGTGCTGCAATGATACCGCGAGACCCACGCTCACCGGCTCCAGATTTATCAGCAATAAACCAGCCAGCCGGAAGGGCCGAGCGCAGAAGTGGTCCTGCAACTTTATCCGCCTCCATCCAGTCTATTAATTGTTGCCGGGAAGCTAGAGTAAGTAGTTCGCCAGTTAATAGTTTGCGCAACGTTGTTGCCATTGCTACAGGCATCGTGGTGTCACGCTCGTCGTTTGGTATGGCTTCATTCAGCTCCGGTTCCCAACGATCAAGGCGAGTTACATGATCCCCCATGTTGTGCAAAAAAGCGGTTAGCTCCTTCGGTCCTCCGATCGTTGTCAGAAGTAAGTTGGCCGCAGTGTTATCACTCATGGTTATGGCAGCACTGCATAATTCTCTTACTGTCATGCCATCCGTAAGATGCTTTTCTGTGACTGGTGAGTACTCAACCAAGTCATTCTGAGAATAGTGTATGCGGCGACCGAGTTGCTCTTGCCCGGCGTCAATACGGGATAATACCGCGCCACATAGCAGAACTTTAAAAGTGCTCATCATTGGAAAACGTTCTTCGGGGCGAAAACTCTCAAGGATCTTACCGCTGTTGAGATCCAGTTCGATGTAACCCACTCGTGCACCCAACTGATCTTCAGCATCT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AGCATTTATCAGGGTTATTGTCTCATGAGCGGATACATATTTGAATGTATTTAGAAAAATAAACAAATAGGGGTTCCGCGCACATTTCCCCGAAAAGTGCCACCTGACGTCTAAGAAACCATTATTATCATGACATTAACCTATAAAAATAGGCGTATCACGAGGCCCTTTCGTC
【0216】
配列番号5:(配列番号1によってコードされるような)シグナルペプチド配列を有しないヒトグルコセレブロシダーゼのアミノ酸配列
ARPCIPKSFGYSSVVCVCNATYCDSFDPPTFPALGTFSRYESTRSGRRMELSMGPIQANHTGTGLLLTLQPEQKFQKVKGFGGAMTDAAALNILALSPPAQNLLLKSYFSEEGIGYNIIRVPMASCDFSIRTYTYADTPDDFQLHNFSLPEEDTKLKIPLIHRALQLAQRPVSLLASPWTSPTWLKTNGAVNGKGSLKGQPGDIYHQTWARYFVKFLDAYAEHKLQFWAVTAENEPSAGLLSGYPFQCLGFTPEHQRDFIARDLGPTLANSTHHNVRLLMLDDQRLLLPHWAKVVLTDPEAAKYVHGIAVHWYLDFLAPAKATLGETHRLFPNTMLFASEACVGSKFWEQSVRLGSWDRGMQYSHSIITNLLYHVVGWTDWNLALNPEGGPNWVRNFVDSPIIVDITKDTFYKQPMFYHLGHFSKFIPEGSQRVGLVASQKNDLDAVALMHPDGSAVVVVLNRSSKDVPLTIKDPAVGFLETISPGYSIHTYLWRRQ
【0217】
配列番号6:(配列番号1によってコードされるような)短シグナルペプチドを含むヒトグルコセレブロシダーゼの全アミノ酸配列
MAGSLTGLLLLQAVSWASGARPCIPKSFGYSSVVCVCNATYCDSFDPPTFPALGTFSRYESTRSGRRMELSMGPIQANHTGTGLLLTLQPEQKFQKVKGFGGAMTDAAALNILALSPPAQNLLLKSYFSEEGIGYNIIRVPMASCDFSIRTYTYADTPDDFQLHNFSLPEEDTKLKIPLIHRALQLAQRPVSLLASPWTSPTWLKTNGAVNGKGSLKGQPGDIYHQTWARYFVKFLDAYAEHKLQFWAVTAENEPSAGLLSGYPFQCLGFTPEHQRDFIARDLGPTLANSTHHNVRLLMLDDQRLLLPHWAKVVLTDPEAAKYVHGIAVHWYLDFLAPAKATLGETHRLFPNTMLFASEACVGSKFWEQSVRLGSWDRGMQYSHSIITNLLYHVVGWTDWNLALNPEGGPNWVRNFVDSPIIVDITKDTFYKQPMFYHLGHFSKFIPEGSQRVGLVASQKNDLDAVALMHPDGSAVVVVLNRSSKDVPLTIKDPAVGFLETISPGYSIHTYLWRRQ
【0218】
配列番号7:ヒトGBA1遺伝子(野生型)のコード配列の全ヌクレオチド配列
ヒトグルコセレブロシダーゼmRNA、完全cds
GenBank:M19285.1
>M19285.1:123-1733ヒトグルコセレブロシダーゼmRNA、完全cds
ATGGAGTTTTCAAGTCCTTCCAGAGAGGAATGTCCCAAGCCTTTGAGTAGGGTAAGCATCATGGCTGGCAGCCTCACAGGTTTGCTTCTACTTCAGGCAGTGTCGTGGGCATCAGGTGCCCGCCCCTGCATCCCTAAAAGCTTCGGCTACAGCTCGGTGGTGTGTGTCTGCAATGCCACATACTGTGACTCCTTTGACCCCCCGACCTTTCCTGCCCTTGGTACCTTCAGCCGCTATGAGAGTACACGCAGTGGGCGACGGATGGAGCTGAGTATGGGGCCCATCCAGGCTAATCACACGGGCACAGGCCTGCTACTGACCCTGCAGCCAGAACAGAAGTTCCAGAAAGTGAAGGGATTTGGAGGGGCCATGACAGATGCTGCTGCTCTCAACATCCTTGCCCTGTCACCCCCTGCCCAAAATTTGCTACTTAAATCGTACTTCTCTGAAGAAGGAATCGGATATAACATCATCCGGGTACCCATGGCCAGCTGTGACTTCTCCATCCGCACCTACACCTATGCAGACACCCCTGATGATTTCCAGTTGCACAACTTCAGCCTCCCAGAGGAAGATACCAAGCTCAAGATACCCCTGATTCACCGAGCCCTGCAGTTGGCCCAGCGTCCCGTTTCACTCCTTGCCAGCCCCTGGACATCACCCACTTGGCTCAAGACCAATGGAGCGGTGAATGGGAAGGGGTCACTCAAGGGACAGCCCGGAGACATCTACCACCAGACCTGGGCCAGATACTTTGTGAAGTTCCTGGATGCCTATGCTGAGCACAAGTTACAGTTCTGGGCAGTGACAGCTGAAAATGAGCCTTCTGCTGGGCTGTTGAGTGGATACCCCTTCCAGTGCCTGGGCTTCACCCCTGAACATCAGCGAGACTTCATTGCCCGTGACCTAGGTCCTACCCTCGCCAACAGTACTCACCACAATGTCCGCCTACTCATGCTGGATGACCAACGCTTGCTGCTGCCCCACTGGGCAAAGGTGGTACTGACAGACCCAGAAGCAGCTAAATATGTTCATGGCATTGCTGTACATTGGTACCTGGACTTTCTGGCTCCAGCCAAAGCCACCCTAGGGGAGACACACCGCCTGTTCCCCAACACCATGCTCTTTGCCTCAGAGGCCTGTGTGGGCTCCAAGTTCTGGGAGCAGAGTGTGCGGCTAGGCTCCTGGGATCGAGGGATGCAGTACAGCCACAGCATCATCACGAACCTCCTGTACCATGTGGTCGGCTGGACCGACTGGAACCTTGCCCTGAACCCCGAAGGAGGACCCAATTGGGTGCGTAACTTTGTCGACAGTCCCATCATTGTAGACATCACCAAGGACACGTTTTACAAACAGCCCATGTTCTACCACCTTGGCCACTTCAGCAAGTTCATTCCTGAGGGCTCCCAGAGAGTGGGGCTGGTTGCCAGTCAGAAGAACGACCTGGACGCAGTGGCACTGATGCATCCCGATGGCTCTGCTGTTGTGGTCGTGCTAAACCGCTCCTCTAAGGATGTGCCTCTTACCATCAAGGATCCTGCTGTGGGCTTCCTGGAGACAATCTCACCTGGCTACTCCATTCACACCTACCTGTGGCATCGCCAGTGA
【0219】
配列番号8:長シグナルペプチドを含むヒトグルコセレブロシダーゼの全アミノ酸配列
MEFSSPSREECPKPLSRVSIMAGSLTGLLLLQAVSWASGARPCIPKSFGYSSVVCVCNATYCDSFDPPTFPALGTFSRYESTRSGRRMELSMGPIQANHTGTGLLLTLQPEQKFQKVKGFGGAMTDAAALNILALSPPAQNLLLKSYFSEEGIGYNIIRVPMASCDFSIRTYTYADTPDDFQLHNFSLPEEDTKLKIPLIHRALQLAQRPVSLLASPWTSPTWLKTNGAVNGKGSLKGQPGDIYHQTWARYFVKFLDAYAEHKLQFWAVTAENEPSAGLLSGYPFQCLGFTPEHQRDFIARDLGPTLANSTHHNVRLLMLDDQRLLLPHWAKVVLTDPEAAKYVHGIAVHWYLDFLAPAKATLGETHRLFPNTMLFASEACVGSKFWEQSVRLGSWDRGMQYSHSIITNLLYHVVGWTDWNLALNPEGGPNWVRNFVDSPIIVDITKDTFYKQPMFYHLGHFSKFIPEGSQRVGLVASQKNDLDAVALMHPDGSAVVVVLNRSSKDVPLTIKDPAVGFLETISPGYSIHTYLWRRQ
【0220】
配列番号9:CAGプロモーターのヌクレオチド配列
ctagttattaatagtaatcaattacggggtcattagttcatagcccatatatggagttccgcgttacataacttacggtaaatggcccgcctggctgaccgcccaacgacccccgcccattgacgtcaataatgacgtatgttcccatagtaacgccaatagggactttccattgacgtcaatgggtggagtatttacggtaaactgcccacttggcagtacatcaagtgtatcatatgccaagtacgccccctattgacgtcaatgacggtaaatggcccgcctggcattatgcccagtacatgaccttatgggactttcctacttggcagtacatctacgtattagtcatcgctattaccatggtcgaggtgagccccacgttctgcttcactctccccatctcccccccctccccacccccaattttgtatttatttattttttaattattttgtgcagcgatgggggcggggggggggggggggcgcgcgccaggcggggcggggcggggcgaggggcggggcggggcgaggcggagaggtgcggcggcagccaatcagagcggcgcgctccgaaagtttccttttatggcgaggcggcggcggcggcggccctataaaaagcgaagcgcgcggcgggcg
【0221】
配列番号10:GFPをコードするヌクレオチド配列
Atggtgagcaagggcgaggagctgttcaccggggtggtgcccatcctggtcgagctggacggcgacgtaaacggccacaagttcagcgtgtccggcgagggcgagggcgatgccacctacggcaagctgaccctgaagttcatctgcaccaccggcaagctgcccgtgccctggcccaccctcgtgaccaccctgacctacggcgtgcagtgcttcagccgctaccccgaccacatgaagcagcacgacttcttcaagtccgccatgcccgaaggctacgtccaggagcgcaccatcttcttcaaggacgacggcaactacaagacccgcgccgaggtgaagttcgagggcgacaccctggtgaaccgcatcgagctgaagggcatcgacttcaaggaggacggcaacatcctggggcacaagctggagtacaactacaacagccacaacgtctatatcatggccgacaagcagaagaacggcatcaaggtgaacttcaagatccgccacaacatcgaggacggcagcgtgcagctcgccgaccactaccagcagaacacccccatcggcgacggccccgtgctgctgcccgacaaccactacctgagcacccagtccgccctgagcaaagaccccaacgagaagcgcgatcacatggtcctgctggagttcgtgaccgccgccgggatcactctcggcatggacgagctgtacaagtga
【0222】
配列番号11:ヒトGBA1をコードするヌクレオチド配列(IDT最適化配列)
atggagttctcatctccctcacgagaagaatgtccgaaacctctttcaagagtaagcatcatggccggcagcttgaccggtcttttgttgttgcaggccgtgtcctgggcctcaggtgctaggccatgcattcctaaatccttcggctatagtagcgtggtttgcgtctgcaacgccacatactgtgacagtttcgatccacctaccttcccagcgctgggtaccttctcacggtatgaatcaacgcgatcagggcgcagaatggaactttcaatggggccaatccaagctaaccacacgggaacgggtcttctgctgacgctccaaccggaacaaaagttccaaaaggtaaaaggctttggaggtgcgatgactgatgccgcagcactcaacatcctggcgctctcaccgccggcacaaaatttgctgttgaagagttatttctcagaagaagggatcggttacaacatcatacgggtcccgatggcgagctgtgacttttctataagaacatatacctatgcggatacgcccgacgatttccaacttcataattttagtctgcctgaggaagacacaaagttgaagataccgctgatacacagagcattgcagcttgctcaacgaccggtcagcttgcttgccagcccatggacaagtccaacatggcttaagaccaatggcgcggttaatggcaagggatccctgaagggccagccgggagacatctatcatcaaacttgggcgcggtattttgtcaagttcttggacgcctacgctgagcacaaactgcagttctgggccgttaccgccgaaaatgaaccatccgccggactgctttctggctaccctttccaatgtcttggctttacgcctgaacaccaaagagacttcattgctcgggaccttggtccaacgctcgcgaacagtactcatcataatgtacgactcttgatgctcgatgaccagcgactgttgcttccacattgggccaaggtagttctgaccgaccccgaagccgctaaatacgtccacggcattgctgtccattggtaccttgactttttggctcccgcaaaagccactctgggtgaaacacacagactctttccaaacacgatgcttttcgcatcagaagcctgcgtcggaagtaaattttgggaacagtcagtaaggttgggtagttgggatcgcgggatgcaatatagtcatagcattattaccaacttgctttatcacgtcgttgggtggacagattggaacctcgcgttgaatcctgaaggcggccctaattgggtaagaaactttgttgattcacctattatcgtcgacataaccaaggacacattctacaagcaaccgatgttctatcaccttgggcatttcagtaaattcataccagagggcagccagcgcgtcgggttggtagcctctcaaaaaaacgatttggatgcggtcgctctgatgcatcccgacgggagcgcagtagtcgttgtccttaaccgaagctccaaggatgtacccctcacgattaaggaccctgctgtcgggttccttgaaactataagtcccggctatagtattcatacttatctctggagaagacagtga
【0223】
配列番号12:ヒトGBA1をコードするヌクレオチド配列(GenScript最適化配列)
ATGGAGTTTTCAAGCCCCTCACGGGAAGAGTGCCCTAAGCCCCTGTCACGGGTCTCAATTATGGCCGGGAGCCTGACTGGCCTGCTGCTGCTGCAGGCCGTGAGCTGGGCATCAGGAGCCAGGCCTTGCATCCCAAAGTCTTTCGGCTACAGCTCCGTGGTGTGCGTGTGCAACGCCACCTATTGTGACTCCTTCGATCCCCCTACCTTTCCCGCCCTGGGCACATTTTCTAGATACGAGTCTACACGCAGCGGCCGGAGAATGGAGCTGAGCATGGGCCCTATCCAGGCCAATCACACCGGAACAGGCCTGCTGCTGACCCTGCAGCCAGAGCAGAAGTTCCAGAAGGTGAAGGGCTTTGGAGGAGCAATGACAGACGCAGCCGCCCTGAACATCCTGGCCCTGTCCCCACCCGCCCAGAATCTGCTGCTGAAGTCCTACTTCTCTGAGGAGGGCATCGGCTATAACATCATCCGGGTGCCCATGGCCAGCTGCGACTTTTCCATCAGAACCTACACATATGCCGATACCCCTGACGATTTCCAGCTGCACAATTTTTCCCTGCCAGAGGAGGATACAAAGCTGAAGATCCCCCTGATCCACCGGGCCCTGCAGCTGGCACAGCGGCCCGTGAGCCTGCTGGCCAGCCCCTGGACCTCCCCTACATGGCTGAAGACCAACGGCGCCGTGAATGGCAAGGGCTCTCTGAAGGGACAGCCAGGCGACATCTACCACCAGACATGGGCCAGATATTTCGTGAAGTTTCTGGATGCCTACGCCGAGCACAAGCTGCAGTTCTGGGCCGTGACCGCAGAGAACGAGCCTTCTGCCGGCCTGCTGAGCGGCTATCCCTTCCAGTGCCTGGGCTTTACACCTGAGCACCAGCGGGACTTTATCGCCAGAGATCTGGGCCCAACCCTGGCCAACTCCACACACCACAATGTGAGGCTGCTGATGCTGGACGATCAGCGCCTGCTGCTGCCTCACTGGGCCAAGGTGGTGCTGACCGACCCAGAGGCCGCCAAGTACGTGCACGGCATCGCCGTGCACTGGTATCTGGATTTCCTGGCACCAGCAAAGGCCACCCTGGGAGAGACACACCGGCTGTTCCCTAACACCATGCTGTTTGCCAGCGAGGCCTGCGTGGGCTCCAAGTTTTGGGAGCAGTCCGTGAGGCTGGGATCTTGGGACAGGGGCATGCAGTACTCCCACTCTATCATCACCAATCTGCTGTATCACGTGGTGGGCTGGACAGACTGGAACCTGGCCCTGAATCCAGAGGGCGGCCCCAACTGGGTGAGAAATTTCGTGGATAGCCCCATCATCGTGGACATCACCAAGGATACATTCTACAAGCAGCCAATGTTTTATCACCTGGGCCACTTCTCTAAGTTTATCCCAGAGGGCAGCCAGAGGGTGGGCCTGGTGGCCAGCCAGAAGAACGACCTGGATGCCGTGGCCCTGATGCACCCTGATGGCTCCGCCGTGGTGGTGGTGCTGAATCGCTCTAGCAAGGACGTGCCTCTGACCATCAAGGATCCAGCCGTGGGCTTCCTGGAGACTATTTCCCCCGGCTATTCAATTCATACCTATCTGTGGAGAAGGCAGTGA
【0224】
配列番号13:hSynプロモーターのヌクレオチド配列(NCBI参照NG_008437.1)
AGTGCAAGTGGGTTTTAGGACCAGGATGAGGCGGGGTGGGGGTGCCTACCTGACGACCGACCCCGACCCACTGGACAAGCACCCAACCCCCATTCCCCAAATTGCGCATCCCCTATCAGAGAGGGGGAGGGGAAACAGGATGCGGCGAGGCGCGTGCGCACTGCCAGCTTCAGCACCGCGGACAGTGCCTTCGCCCCCGCCTGGCGGCGCGCGCCACCGCCGCCTCAGCACTGAAGGCGCGCTGACGTCACTCGCCGGTCCCCCGCAAACTCCCCTTCCCGGCCACCTTGGTCGCGTCCGCGCCGCCGCCGGCCCAGCCGGACCGCACCACGCGAGGCGCGAGATAGGGGGGCACGGGCGCGACCATCTGCGCTGCGGCGCCGGCGACTCAGCGCTGCCTCAGTCTGCGGTGGGCAGCGGAGGAGTCGTGTCGTGCCTGAGAGCGCAG
【0225】
配列番号14:AAV TTカプシドタンパク質のアミノ酸配列
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRILEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPAEPDSSSGTGKSGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMASGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLSFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTMSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTAADNNNSDYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKYFPQSGVLIFGKQDSGKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQSGNTQAATSDVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL
【0226】
配列番号15:AAV2のFlip ITRのヌクレオチド配列
TTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCT
【0227】
配列番号16:AAV2のFlop ITRのヌクレオチド配列
AGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAA
【0228】
配列番号17:ヒトGBA1イソ型2アミノ酸配列(NCBI参照NP_001165282.1)
MELSMGPIQANHTGTGLLLTLQPEQKFQKVKGFGGAMTDAAALNILALSPPAQNLLLKSYFSEEGIGYNIIRVPMASCDFSIRTYTYADTPDDFQLHNFSLPEEDTKLKIPLIHRALQLAQRPVSLLASPWTSPTWLKTNGAVNGKGSLKGQPGDIYHQTWARYFVKFLDAYAEHKLQFWAVTAENEPSAGLLSGYPFQCLGFTPEHQRDFIARDLGPTLANSTHHNVRLLMLDDQRLLLPHWAKVVLTDPEAAKYVHGIAVHWYLDFLAPAKATLGETHRLFPNTMLFASEACVGSKFWEQSVRLGSWDRGMQYSHSIITNLLYHVVGWTDWNLALNPEGGPNWVRNFVDSPIIVDITKDTFYKQPMFYHLGHFSKFIPEGSQRVGLVASQKNDLDAVALMHPDGSAVVVVLNRSSKDVPLTIKDPAVGFLETISPGYSIHTYLWRRQ
【0229】
配列番号18:ヒトGBA1イソ型3アミノ酸配列(NCBI参照NP_001165283.1)
MEFSSPSREECPKPLSRVSIMAGSLTGLLLLQAVSWASGARPCIPKSFGYSSVVCVCNATYCDSFDPPTFPALGTFSRYESTRSGRRMELSMGPIQANHTGTGIGYNIIRVPMASCDFSIRTYTYADTPDDFQLHNFSLPEEDTKLKIPLIHRALQLAQRPVSLLASPWTSPTWLKTNGAVNGKGSLKGQPGDIYHQTWARYFVKFLDAYAEHKLQFWAVTAENEPSAGLLSGYPFQCLGFTPEHQRDFIARDLGPTLANSTHHNVRLLMLDDQRLLLPHWAKVVLTDPEAAKYVHGIAVHWYLDFLAPAKATLGETHRLFPNTMLFASEACVGSKFWEQSVRLGSWDRGMQYSHSIITNLLYHVVGWTDWNLALNPEGGPNWVRNFVDSPIIVDITKDTFYKQPMFYHLGHFSKFIPEGSQRVGLVASQKNDLDAVALMHPDGSAVVVVLNRSSKDVPLTIKDPAVGFLETISPGYSIHTYLWRRQ
【0230】
配列番号19:ヒトGBA1遺伝子のコード配列の全ヌクレオチド配列
atggagttttcaagtccttccagagaggaatgtcccaagcctttgagtagggtaagcatcatggctggcagcctcacaggattgcttctacttcaggcagtgtcgtgggcatcaggtgcccgcccctgcatccctaaaagcttcggctacagctcggtggtgtgtgtctgcaatgccacatactgtgactcctttgaccccccgacctttcctgcccttggtaccttcagccgctatgagagtacacgcagtgggcgacggatggagctgagtatggggcccatccaggctaatcacacgggcacaggcctgctactgaccctgcagccagaacagaagttccagaaagtgaagggatttggaggggccatgacagatgctgctgctctcaacatccttgccctgtcaccccctgcccaaaatttgctacttaaatcgtacttctctgaagaaggaatcggatataacatcatccgggtacccatggccagctgtgacttctccatccgcacctacacctatgcagacacccctgatgatttccagttgcacaacttcagcctcccagaggaagataccaagctcaagatacccctgattcaccgagccctgcagttggcccagcgtcccgtttcactccttgccagcccctggacatcacccacttggctcaagaccaatggagcggtgaatgggaaggggtcactcaagggacagcccggagacatctaccaccagacctgggccagatactttgtgaagttcctggatgcctatgctgagcacaagttacagttctgggcagtgacagctgaaaatgagccttctgctgggctgttgagtggataccccttccagtgcctgggcttcacccctgaacatcagcgagacttcattgcccgtgacctaggtcctaccctcgccaacagtactcaccacaatgtccgcctactcatgctggatgaccaacgcttgctgctgccccactgggcaaaggtggtactgacagacccagaagcagctaaatatgttcatggcattgctgtacattggtacctggactttctggctccagccaaagccaccctaggggagacacaccgcctgttccccaacaccatgctctttgcctcagaggcctgtgtgggctccaagttctgggagcagagtgtgcggctaggctcctgggatcgagggatgcagtacagccacagcatcatcacgaacctcctgtaccatgtggtcggctggaccgactggaaccttgccctgaaccccgaaggaggacccaattgggtgcgtaactttgtcgacagtcccatcattgtagacatcaccaaggacacgttttacaaacagcccatgttctaccaccttggccacttcagcaagttcattcctgagggctcccagagagtggggctggttgccagtcagaagaacgacctggacgcagtggcactgatgcatcccgatggctctgctgttgtggtcgtgctaaaccgctcctctaaggatgtgcctcttaccatcaaggatcctgctgtgggcttcctggagacaatctcacctggctactccattcacacctacctgtggcgtcgccagtga
【0231】
配列番号20:nGUSBプロモーターヌクレオチド配列#2
ATTCCTGCTGGGAAAAGCAAGTGGAGGTGCTCCTTGAAGAAACAGGGGGATCCCACCGATCTCAGGGGTTCTGTTCTGGCCTGCGGCCCTGGATCGTCCAGCCTGGGTCGGGGTGGGGAGCAGACCTCGCCCTTATCGGCTGGGGCTGAGGGTGAGGGTCCCGTTTCCCCAAAGGCCTAGCCTGGGGTTCCAGCCACAAGCCCTACCGGGCAGCGCCCGGCCCCGCCCCTCCAGGCCTGGCACTCGTCCTCAACCAAGATGGCGCGGATGGCTTCAGGCGCATCACGACACCGGCGCGTCACGCGACCCGCCCTACGGGCACCTCCCGCGCTTTTCTTAGCGCCGCAGACGGTGGCCGAGCGGGGGACCGGGAAGC
【0232】
配列番号21:CAGプロモーター#2のヌクレオチド配列
ctagttattaatagtaatcaattacggggtcattagttcatagcccatatatggagttccgcgttacataacttacggtaaatggcccgcctggctgaccgcccaacgacccccgcccattgacgtcaataatgacgtatgttcccatagtaacgccaatagggactttccattgacgtcaatgggtggagtatttacggtaaactgcccacttggcagtacatcaagtgtatcatatgccaagtacgccccctattgacgtcaatgacggtaaatggcccgcctggcattatgcccagtacatgaccttatgggactttcctacttggcagtacatctacgtattagtcatcgctattaccatggtcgaggtgagccccacgttctgcttcactctccccatctcccccccctccccacccccaattttgtatttatttattttttaattattttgtgcagcgatgggggcggggggggggggggggcgcgcgccaggcggggcggggcggggcgaggggcggggcggggcgaggcggagaggtgcggcggcagccaatcagagcggcgcgctccgaaagtttccttttatggcgaggcggcggcggcggcggccctataaaaagcgaagcgcgcggcgggcgggagtcgctgcgacgctgccttcgccccgtgccccgctccgccgccgcctcgcgccgcccgccccggctctgactgaccgcgttactcccacaggtgagcgggcgggacggcccttctcctccgggctgtaattagcgcttggtttaatgacggcttgtttcttttctgtggctgcgtgaaagccttgaggggctccgggagggccctttgtgcgggggggagcggctcggggggtgcgtgcgtgtgtgtgtgcgtggggagcgccgcgtgcggcccgcgctgcccggcggctgtgagcgctgcgggcgcggcgcggggctttgtgcgctccgcagtgtgcgcgaggggagcgcggccgggggcggtgccccgcggtgcggggggggctgcgaggggaacaaaggctgcgtgcggggtgtgtgcgtgggggggtgagcagggggtgtgggcgcggcggtcgggctgtaacccccccctgcacccccctccccgagttgctgagcacggcccggcttcgggtgcggggctccgtacggggcgtggcgcggggctcgccgtgccgggcggggggtggcggcaggtgggggtgccgggcggggcggggccgcctcgggccggggagggctcgggggaggggcgcggcggcccccggagcgccggcggctgtcgaggcgcggcgagccgcagccattgccttttatggtaatcgtgcgagagggcgcagggacttcctttgtcccaaatctgtgcggagccgaaatctgggaggcgccgccgcaccccctctagcgggcgcggggcgaagcggtgcggcgccggcaggaaggaaatgggcggggagggccttcgtgcgtcgccgcgccgccgtccccttctccctctccagcctcggggctgtccgcggggggacggctgccttcgggggggacggggcagggcggggttcggcttctggcgtgtgaccggcggctctagagcctctgctaaccatgttcatgccttcttctttttcctacag
【0233】
配列番号22:ヒトユビキチンC(UbC)プロモーターショートバージョンのヌクレオチド配列
Ggcctccgcgccgggttttggcgcctcccgcgggcgcccccctcctcacggcgagcgctgccacgtcagacgaagggcgcagcgagcgtcctgatccttccgcccggacgctcaggacagcggcccgctgctcataagactcggccttagaaccccagtatcagcagaaggacattttaggacgggacttgggtgactctagggcactggttttctttccagagagcggaacaggcgaggaaaagtagtcccttctcggcgattctgcggagggatctccgtggggcggtgaacgccgatgattatataaggacgcgccgggtgtggcacagctagttccgtcgcagccgggatttgggtcgcggttcttgtttgtggatcgctgtgatcgtcacttggt
【0234】
配列番号23:ヒトユビキチンC(UbC)プロモーターロングバージョンのヌクレオチド配列
ccggaggcgcggcccaaaaccgcggagggcgcccgcggggggaggagtgccgctcgcgacggtgcagtctgcttcccgcgtcgctcgcaggactaggaaggcgggcctgcgagtcctgtcgccgggcgacgagtattctgagccggaatcttggggtcatagtcgtcttcctgtaaaatcctgccctgaacccactgagatcccgtgaccaaaagaaaggtctctcgccttgtccgctccttttcatcagggaagagccgctaagacgcctccctagaggcaccccgccacttgcggctactaatatattcctgcgcggcccacaccgtgtcgatcaaggcagcgtcggccctaaacccagcgccaagaacaaacacctagcgacactagcagtgaaccactcatcgcccgacgacccgaccggccccgaaagcaccggcggcccggcgagccaccctgccttcgcacacctctctggcggttcccgacatcagacccaggcgctcgttccaacgggacttgacccccaacccccctcgcgtcgttttaccgccgacaagggctcagaacttaccttctgcgaacactccgcccgacactccagcaactttgttccaccccccgtaccacccgccgttcttgggttccagaactccggaagcgattacgccctttcgagaataagcccactctacccgaccccgtggtagacccctgggactgcacttcaaacagtgactgacctcttgagccaaacagcagacaacgcccccgccgtcaataccgccacggcaacccgtcacgtgggcatggaaaccctcgcgcgcgggagcagcacagcactgcagtgggcaagacaaccgaatattacgtcccaccccggtggacggccatccacacgccatccgaaaagaggcagcgtcctgcgtcccaagcccggatcccatccgagaggacttagctgtccgcggcctggagaccactcccctccctattcactccgcagtcaaagaaaccagccaaaatacatggatagaagaattcatcgacttcgaggccaaaacttgatacgcgagccccaaccgctcacacaaaacacttcaaaaaatccgtggaaaactttacattagtaaacccagttatacattaaaagtcacaatctgatcatttaacaggcgatttaagaccggcaaaaaccgaaaaaacaatctg
【0235】
配列番号24:ホスホグリセラートキナーゼ1(PGK)プロモーターのヌクレオチド配列
gacccctctctccagccactaagccagttgctccctcggctgacggctgcacgcgaggcctccgaacgtcttacgccttgtggcgcgcccgtccttgtcccgggtgtgatggcggggtgtggggcggagggcgtggcggggaagggccggcgacgagagccgcgcgggacgactcgtcggcgataaccggtgtcgggtagcgccagccgcgcgacggtaacgagggaccgcgacaggcagacgctcccatgatcactctgcacgccgaaggcaaacagtgcaggccgtgcggcgcttggcgttccttggaagggctgaatccccgcctcgtccttcgcagcggccccccgggtgttcccatcgccgcttctaggcccactgcgacgcttgcctgcacttcttacacgctctgggtcccagccgcggcgacgcaaagggccttggtgcgggtctcgtcggcgcagggacgcgtttgggtcccgacggaaccttttccgcgttggggttgggg
【0236】
配列番号25:CBA/CBhプロモーター#1のヌクレオチド配列
AGATGTACTGCCAAGTAGGAAAGTCCCGTAAGGTCATGTACTGGGCATAATGCCAGGCGGGCCATTTACCGTCATTGACGTCAATAGGGGGCGTACTTGGCATATGATACACTTGATGTACTGCCAAGTGGGCAGTTTACCGTAAATACTCCACCCATTGACGTCAATGGAAAGTCCCTATTGGCGTTACTATGGGAACATACGTCATTATTGACGTCAATGGGCGGGGGTCGTTGGGCGGTCAGCCAGGCGGGCCATTTACCGTAAGTTATGTAACGCGGAACTCCATATATGGGCTATGAACTAATGACCCCGTAATTGATTACTATTAACCACGTTCTGCTTCACTCTCCCCATCTCCCCCCCCTCCCCACCCCCAATTTTGTATTTATTTATTTTTTAATTATTTTGTGCAGCGATGGGGGCGGGGGGGGGGGGGGCGCGCGCCAGGCGGGGCGGGGCGGGGCGAGGGGCGGGGCGGGGCGAGGCGGAGAGGTGCGGCGGCAGCCAATCAGAGCGGCGCGCTCCGAAAGTTTCCTTTTATGGCGAGGCGGCGGCGGCGGCGGCCCTATAAAAAGCGAAGCGCGCGGCGGAACTGAAAAACCAGAAAGTTAACTGGTAAGTTTAGTCTTTTTGTCTTTTATTTCAGGTCCTGGTGGTGCAAATCAAAGAACTGCTCCTCAGTGGATGTTGCCTTTACTTCTAGGCCTGTACGGAAGTGTTACTTCTGCTCTAAAAGCT
【0237】
配列番号26:CBA/CBhプロモーター#2のヌクレオチド配列
AGATGTACTGCCAAGTAGGAAAGTCCCGTAAGGTCATGTACTGGGCATAATGCCAGGCGGGCCATTTACCGTCATTGACGTCAATAGGGGGCGTACTTGGCATATGATACACTTGATGTACTGCCAAGTGGGCAGTTTACCGTAAATACTCCACCCATTGACGTCAATGGAAAGTCCCTATTGGCGTTACTATGGGAACATACGTCATTATTGACGTCAATGGGCGGGGGTCGTTGGGCGGTCAGCCAGGCGGGCCATTTACCGTAAGTTATGTAACGCGGAACTCCATATATGGGCTATGAACTAATGACCCCGTAATTGATTACTATTAACCACGTTCTGCTTCACTCTCCCCATCTCCCCCCCCTCCCCACCCCCAATTTTGTATTTATTTATTTTTTAATTATTTTGTGCAGCGATGGGGGCGGGGGGGGGGGGGGCGCGCGCCAGGCGGGGCGGGGCGGGGCGAGGGGCGGGGCGGGGCGAGGCGGAGAGGTGCGGCGGCAGCCAATCAGAGCGGCGCGCTCCGAAAGTTTCCTTTTATGGCGAGGCGGCGGCGGCGGCGGCCCTATAAAAAGCGAAGCGCGCGGCGGGGAGTCGCTGCGTTGCCTTCGCCCCGTGCCCCGCTCCGCGCCGCCTCGCGCCGCCCGCCCCGGCTCTGACTGACCGCGTTACTCCCACAGGTGAGCGGGCGGGACGGCCCTTCTCCTCCGGGCTGTAATTAGCAAGAGGTAAGGGTTTAAGGGATGGTTGGTTGGTGGGGTATTAATGTTTAATTACCTGTTTTACAGGCCTGAAATCACTTGGTTTTAGGTTGG
【0238】
配列番号27:GFPをコードするヌクレオチド配列#2
atggtgagcaagggcgaggagctgttcaccggggtggtgcccatcctggtcgagctggacggcgacgtaaacggccacaagttcagcgtgtccggcgagggcgagggcgatgccacctacggcaagctgaccctgaagttcatctgcaccaccggcaagctgcccgtgccctggcccaccctcgtgaccaccctgacctacggcgtgcagtgcttcagccgctaccccgaccacatgaagcagcacgacttcttcaagtccgccatgcccgaaggctacgtccaggagcgcaccatcttcttcaaggacgacggcaactacaagacccgcgccgaggtgaagttcgaggacgacaccctggtgaaccgcatcgagctgaagggcatcgacttcaaggaggacggcaacatcctggggcacaagctggagtacaactacaacagccacaacgtctatatcatggccgacaagcagaagaacggcatcaaggtgaacttcaagatccgccacaacatcgaggacggcagcgtgcagctcgccgaccactaccagcagaacacccccatcggcgacggccccgtgctgctgcccgacaaccactacctgagcacccagtccgccctgagcaaagaccccaacgagaagcgcgatcacatggtcctgctggagttcgtgaccgccgccgggatcactctcggcatggacgagctgtacaagtaa
【0239】
配列番号28:ヒトユビキチンC(UbC)プロモーターロングバージョン#2のヌクレオチド配列
ggcctccgcgccgggttttggcgcctcccgcgggcgcccccctcctcacggcgagcgctgccacgtcagacgaagggcgcagcgagcgtcctgatccttccgcccggacgctcaggacagcggcccgctgctcataagactcggccttagaaccccagtatcagcagaaggacattttaggacgggacttgggtgactctagggcactggttttctttccagagagcggaacaggcgaggaaaagtagtcccttctcggcgattctgcggagggatctccgtggggcggtgaacgccgatgattatataaggacgcgccgggtgtggcacagctagttccgtcgcagccgggatttgggtcgcggttcttgtttgtggatcgctgtgatcgtcacttggtgagtagcgggctgctgggctggccggggctttcgtggccgccgggccgctcggtgggacggaagcgtgtggagagaccgccaagggctgtagtctgggtccgcgagcaaggttgccctgaactgggggttggggggagcgcagcaaaatggcggctgttcccgagtcttgaatggaagacgcttgtgaggcgggctgtgaggtcgttgaaacaaggtggggggcatggtgggcggcaagaacccaaggtcttgaggccttcgctaatgcgggaaagctcttattcgggtgagatgggctggggcaccatctggggaccctgacgtgaagtttgtcactgactggagaactcggtttgtcgtctgttgcgggggcggcagttatggcggtgccgttgggcagtgcacccgtacctttgggagcgcgcgccctcgtcgtgtcgtgacgtcacccgttctgttggcttataatgcagggtggggccacctgccggtaggtgtgcggtaggcttttctccgtcgcaggacgcagggttcgggcctagggtaggctctcctgaatcgacaggcgccggacctctggtgaggggagggataagtgaggcgtcagtttctttggtcggttttatgtacctatcttcttaagtagctgaagctccggttttgaactatgcgctcggggttggcgagtgtgttttgtgaagttttttaggcaccttttgaaatgtaatcatttgggtcaatatgtaattttcagtgttagactagtaaattgtccgctaaattctggccgtttttggcttttttgttagac
【0240】
配列番号29:ホスホグリセラートキナーゼ1(PGK)プロモーター#2のヌクレオチド配列
ggggttggggttgcgccttttccaaggcagccctgggtttgcgcagggacgcggctgctctgggcgtggttccgggaaacgcagcggcgccgaccctgggtctcgcacattcttcacgtccgttcgcagcgtcacccggatcttcgccgctacccttgtgggccccccggcgacgcttcctgctccgcccctaagtcgggaaggttccttgcggttcgcggcgtgccggacgtgacaaacggaagccgcacgtctcactagtaccctcgcagacggacagcgccagggagcaatggcagcgcgccgaccgcgatgggctgtggccaatagcggctgctcagcagggcgcgccgagagcagcggccgggaaggggcggtgcgggaggcggggtgtggggcggtagtgtgggccctgttcctgcccgcgcggtgttccgcattctgcaagcctccggagcgcacgtcggcagtcggctccctcgttgaccgaatcaccgacctctctccccag
【0241】
配列番号30:CBA/CBhプロモーター#3のヌクレオチド配列
cgttacataacttacggtaaatggcccgcctggctgaccgcccaacgacccccgcccattgacgtcaatagtaacgccaatagggactttccattgacgtcaatgggtggagtatttacggtaaactgcccacttggcagtacatcaagtgtatcatatgccaagtacgccccctattgacgtcaatgacggtaaatggcccgcctggcattgtgcccagtacatgaccttatgggactttcctacttggcagtacatctacgtattagtcatcgctattaccatggtcgaggtgagccccacgttctgcttcactctccccatctcccccccctccccacccccaattttgtatttatttattttttaattattttgtgcagcgatgggggcggggggggggggggggcgcgcgccaggcggggcggggcggggcgaggggcggggcggggcgaggcggagaggtgcggcggcagccaatcagagcggcgcgctccgaaagtttccttttatggcgaggcggcggcggcggcggccctataaaaagcgaagcgcgcggcgggcgggagtcgctgcgacgctgccttcgccccgtgccccgctccgccgccgcctcgcgccgcccgccccggctctgactgaccgcgttactcccacaggtgagcgggcgggacggcccttctcctccgggctgtaattagctgagcaagaggtaagggtttaagggatggttggttggtggggtattaatgtttaattacctggagcacctgcctgaaatcactttttttcag
【0242】
配列番号31:AAV2カプシドタンパク質のアミノ酸配列
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGNRQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL
【0243】
配列番号32:AAV9カプシドタンパク質のアミノ酸配列
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWALKPGAPQPKANQQHQDNARGLVLPGYKYLGPGNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRLLEPLGLVEEAAKTAPGKKRPVEQSPQEPDSSAGIGKSGAQPAKKRLNFGQTGDTESVPDPQPIGEPPAAPSGVGSLTMASGGGAPVADNNEGADGVGSSSGNWHCDSQWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISNSTSGGSSNDNAYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTDNNGVKTIANNLTSTVQVFTDSDYQLPYVLGSAHEGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNDGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFQFSYEFENVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSKTINGSGQNQQTLKFSVAGPSNMAVQGRNYIPGPSYRQQRVSTTVTQNNNSEFAWPGASSWALNGRNSLMNPGPAMASHKEGEDRFFPLSGSLIFGKQGTGRDNVDADKVMITNEEEIKTTNPVATESYGQVATNHQSAQAQAQTGWVQNQGILPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGMKHPPPQILIKNTPVPADPPTAFNKDKLNSFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYYKSNNVEFAVNTEGVYSEPRPIGTRYLTRNL
【配列表フリーテキスト】
【0244】
配列表4 <223>合成ポリヌクレオチド(組換え構築物)
配列表9 <223>合成ポリヌクレオチド(組換え構築物)
配列表11 <223>合成ポリヌクレオチド(ヒトGBA1をコードするヌクレオチド配列(IDT最適化配列))
配列表12 <223>合成ポリヌクレオチド(ヒトGBA1をコードするヌクレオチド配列(GenScript最適化配列))
配列表14 <223>合成ポリペプチド(AAV TTカプシドタンパク質)
配列表15 <223>合成ポリヌクレオチド(AAV2のFlip ITR)
配列表16 <223>合成ポリヌクレオチド(AAV2のFlop ITR)
配列表19 <223>合成ポリヌクレオチド(ヒトGBA1遺伝子変異体)
配列表20 <223>合成ポリヌクレオチド(nGUSBプロモーター#2)
配列表21 <223>合成ポリヌクレオチド(CAGプロモーター#2)
配列表22 <223>合成ポリヌクレオチド(ヒトユビキチンC(UbC)プロモーターショートバージョン)
配列表23 <223>合成ポリヌクレオチド(ヒトユビキチンC(UbC)プロモーターロングバージョン)
配列表24 <223>合成ポリヌクレオチド(ホスホグリセラートキナーゼ1(PGK)プロモーター)
配列表25 <223>合成ポリヌクレオチド(CBA/CBhプロモーター)
配列表26 <223>合成ポリヌクレオチド(CBA/CBhプロモーター)
配列表27 <223>合成ポリヌクレオチド(GFPをコードするヌクレオチド配列#2)
配列表28 <223>合成ポリヌクレオチド(ヒトユビキチンC(UbC)プロモーターロングバージョン#2)
配列表29 <223>合成ポリヌクレオチド(ホスホグリセラートキナーゼ1(PGK)プロモーター#2)
配列表30 <223>合成ポリヌクレオチド(CBA/CBhプロモーター#3)
配列表31 <223>合成ポリペプチド(AAV2カプシドタンパク質)
配列表32 <223>合成ポリペプチド(AAV9カプシドタンパク質)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図13-1】
図13-2】
【配列表】
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【国際調査報告】