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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-23
(54)【発明の名称】新規の胃内滞留性持続放出剤形
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/22 20060101AFI20230816BHJP
   A61K 31/4035 20060101ALI20230816BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230816BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230816BHJP
   A61K 9/30 20060101ALI20230816BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230816BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230816BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20230816BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230816BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230816BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230816BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20230816BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230816BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20230816BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230816BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230816BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230816BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230816BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230816BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230816BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
A61K9/22
A61K31/4035
A61K31/519
A61K45/00
A61K9/30
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/44
A61K47/14
A61K47/34
A61K47/36
A61K47/20
A61P17/06
A61P19/00
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P17/00
A61P37/08
A61P1/04
A61P37/06
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505788
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(85)【翻訳文提出日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 US2021043405
(87)【国際公開番号】W WO2022026519
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】63/057,673
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523028482
【氏名又は名称】ノベルスター ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, ファン
(72)【発明者】
【氏名】フー, シャオ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA44
4C076BB01
4C076CC03
4C076DD25
4C076DD29
4C076DD41
4C076DD43
4C076DD46
4C076DD57
4C076DD57E
4C076DD57F
4C076DD67
4C076EE06
4C076EE07
4C076EE11
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE33
4C076EE37
4C076EE38
4C076EE45
4C076EE55
4C076FF31
4C084AA17
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA05
4C084MA34
4C084MA35
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA12
4C084ZA681
4C084ZA682
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZA961
4C084ZA962
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB131
4C084ZB132
4C084ZB151
4C084ZB152
4C084ZC75
4C086AA01
4C086BC11
4C086CB05
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA34
4C086MA35
4C086NA12
4C086ZA68
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZC75
(57)【要約】
治療剤を充填するための薬物/活性層と、API又は薬物剤形をそれを必要とする対象の胃内に保持するための持続層と、を含む新規な経口投与可能な剤形。剤形を用いて疾患を治療する方法も開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口投与可能な持続放出剤形であって、
(a)治療的有効量の第1の治療剤と、100rpmのパドル回転速度を有する標準的なUSP回転パドル装置内のシンカーを用いて37℃で2%Tween80を含む50mMのpH4.5酢酸バッファー900mlを含む媒体中で8時間を超える期間にわたって、第1の治療剤の持続放出を提供する1つ又は複数の持続放出剤と、を含む医薬品原薬(API)層と、
(b)1つ又は複数の添加剤を含む保持層であって、1つ又は複数の添加剤が、
i.剤形が媒体中で8時間を超えて浮遊状態のままであることと、
ii.剤形の保持層の長さ及び幅は両方とも、非撹拌脱イオン水又は媒体中で8時間を超えて10mm以上のままであることと、
のうちの少なくとも1つを達成するように選択される、1つ又は複数の添加剤を含む保持層と、
を含む、経口投与可能な持続放出剤形。
【請求項2】
治療的有効量の第2の治療剤を含む第3の層を更に含む、請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
剤形を浮遊状態に保つための第3の層を更に含み、API層が保持層と第3の層との間に挟まれている、請求項1に記載の剤形。
【請求項4】
第1の治療剤が、トファシチニブ又はアプレミラストである、請求項1から3のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項5】
第1の治療剤が非晶質アプレミラストである、請求項1から4のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項6】
API層中の1つ又は複数の持続放出剤及び保持層中の1つ又は複数の添加剤が、
(a)第1の治療剤の30%未満が約1時間以内に放出される、及び
(b)第1の治療剤の約35%~約80%が約8時間以内に放出されるように、
媒体中の第1の治療剤の放出を制御するように選択され、
第1の治療剤がアプレミラストである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項7】
第1の治療剤の70%超が16時間で放出され、
i.剤形は媒体中で16時間浮遊状態のままであるか、又は
ii.剤形の保持層の長さ及び幅は両方とも、媒体中で16時間にわたり10mm以上のままである、
請求項1から6のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項8】
API層中の1つ又は複数の持続放出剤及び保持層中の1つ又は複数の浮遊剤が、1日1回(QD)投与された剤形が、即時放出製剤としてBID投与された第1の治療剤の同じ1日投与量の曲線下面積(AUC)の約70%~約125%の範囲の第1の治療剤のAUCを提供するように、それを必要とする対象における第1の治療剤の放出を制御するために選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項9】
API層中の1つ又は複数の持続放出剤及び保持層中の1つ又は複数の添加剤が、第1の治療剤の放出を約40mg~約80mgの範囲で制御するように選択され、それにより、食品と共にQD投与された剤形が、即時放出製剤として1日2回(BID)投与された約60mgの1日投与量の第1の治療剤の曲線下面積(AUC)の約70%~約125%の範囲の第1の治療剤のAUCを提供し、第1の治療剤がアプレミラストである、請求項1から8のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項10】
API層中の1つ又は複数の持続放出剤及び保持層中の1つ又は複数の添加剤が、第1の治療剤の放出を約8mg~約15mgの範囲で制御するように選択され、それにより、食品と共にQD投与された剤形が、即時放出製剤としてBID投与された約10mgの1日投与量の第1の治療剤の曲線下面積(AUC)の約70%~約125%の範囲の第1の治療剤のAUCを提供し、第1の治療剤がトファシチニブである、請求項1から9のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項11】
API層中の1つ又は複数の持続放出剤及び保持層中の1つ又は複数の添加剤が、第1の治療剤の放出を約15mg~約25mgの範囲で制御するように選択され、それにより、食品と共にQD投与された剤形が、即時放出製剤としてBID投与された約20mgの1日投与量の第1の治療剤の曲線下面積(AUC)の約70%~約125%の範囲の第1の治療剤のAUCを提供し、第1の治療剤がトファシチニブである、請求項1から10のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項12】
API層中の1つ又は複数の持続放出剤が、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒプロメロースフタレート、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ワックス、及び脂肪酸のグリセリルエステルからなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項13】
API層中の1つ又は複数の持続放出剤が、50mPa・Sより高い粘度を有するヒプロメロースと、グリセリルベヘネートとを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項14】
グリセリルベヘネートが、グリセリルベヘネート中に50重量%を超える量のグリセリルジベヘネートを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項15】
ヒプロメロースとグリセリルベヘネートとが約1:10~約10:1の範囲の比である、請求項1から14のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項16】
ヒプロメロース及びグリセリルベヘネートが独立して、API層において約5%~約40%の範囲である、請求項1から15のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項17】
ヒプロメロースが3000mPa・Sより高い粘度を有し、ヒプロメロース及びグリセリルベヘネートが約1:2~約2:1の範囲の比であり、API層においてヒプロメロース及びグリセリルベヘネートが独立して約5%~約20%の範囲である、請求項1から16のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項18】
1つ又は複数の持続放出剤が少なくとも2つのヒプロメロースを含み、少なくとも2つのヒプロメロースの一方が約3,000mPa・Sより高い粘度を有し、少なくとも2つのヒプロメロースの他方が約200mPa・Sより低い粘度を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項19】
第1の治療剤と1つ又は複数の持続放出剤の全量との比が約1:1~約1:8の範囲である、請求項1から18のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項20】
1つ又は複数の持続放出剤の全重量が、保持層において約10%~約55%の範囲である、請求項1から19のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項21】
API層と保持層とが約1:4~約2:1の範囲の比である、請求項1から20のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項22】
保持層中の1つ又は複数の添加剤が、酢酸セルロース、水添植物油、グリセリルベヘネート、エチルセルロース、及びワックスからなる群から選択される低密度剤を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項23】
保持層中の1つ又は複数の添加剤が、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキシド、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、及びキトサンからなる群から選択される1つ又は複数の膨潤剤を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項24】
保持層中の1つ又は複数の添加剤が、約10:1~約1:1の範囲の比の、1000kDa以上のMWを有するポリエチレンオキシドと、酢酸セルロースと、を含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項25】
保持層中の1つ又は複数の添加剤が、保持層中で、独立して約5%~約60%の範囲の、1000kDa以上のMWを有するポリエチレンオキシドと、酢酸セルロースと、を含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項26】
ポリエチレンオキシド及び酢酸セルロースが、約5:1~約2:1の範囲の比である、請求項1から25のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項27】
保持層において約5%~約50%の範囲の量の低粘度ヒプロメロースを更に含み、低粘度ヒプロメロースが150mPa・S未満の粘度を有する、請求項1から26のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項28】
保持層が発泡剤及び酸源を更に含み、発泡剤及び酸源の全重量が保持層において約5%~約20%の範囲である、請求項1から27のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項29】
API層中の1つ又は複数の持続放出剤及び保持層中の1つ又は複数の添加剤が、剤形が媒体中で30分未満で浮遊し始めるように胃中での剤形の保持を制御するように選択される、請求項1から28のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項30】
保持層中の1つ又は複数の添加剤が、保持層の長さ及び幅が、独立して、約30分以内に媒体中で約10%から約20%に拡張するように選択される、請求項1から29のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項31】
保持層中の1つ又は複数の添加剤が、保持層の長さ及び幅が、独立して、約8時間以内に媒体中で約30%から約50%に拡張するように選択される、請求項1から30のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項32】
媒体中で30分以内に長さが18mmを超え、幅が10mmを超える、請求項1から31のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項33】
API層がローラ圧縮乾式顆粒化プロセスによって調製され、APIがアプレミラストである、請求項1から32のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項34】
API層が湿式顆粒化プロセスによって調製される、請求項1から33のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項35】
ヒプロメロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフト共重合体、アミノメタクリレート共重合体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含むコーティングを更に含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項36】
API層中に界面活性剤を更に含み、界面活性剤が10より高いHLB値を有する、請求項1から35のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項37】
界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム及びポロキサマーからなる群から選択される、請求項1から36のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項38】
対象における疾患を治療する方法であって、対象に、請求項1から37のいずれか一項に記載の剤形を投与することを含み、疾患が、乾癬、強直性脊椎炎、ベーチェット病、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、クローン病、及び潰瘍性大腸炎からなる群から選択される、対象における疾患を治療する方法。
【請求項39】
剤形が1日1回投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
1日の全量で約50~80mgの第1の治療剤、又は相当量のその薬学的に許容される非晶質、多形、溶媒和物若しくは水和物を対象に投与する、請求項38又は39に記載の方法。
【請求項41】
抗炎症薬(例えばNSAID)、免疫抑制薬、局所コルチコステロイド、カルシニューリン阻害剤、Cox-2阻害剤、TNF-α阻害剤、抗リウマチ薬、抗乾癬薬、インターロイキン阻害剤、麻薬性鎮痛剤の組み合わせ、サリチレート、グルココルチコイド及び局所ルベファシエントからなる群から選択される追加の薬剤を対象に投与することを更に含む、請求項38から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
対象において、即時放出製剤としてBID投与される第1の治療剤の曲線下面積(AUC)の約70%~約125%の範囲の第1の治療剤のAUCを提供する方法であって、請求項1から37のいずれか一項に記載の剤形を1日1回対象に投与することを含み、剤形中の第1の治療剤の量が、即時放出製剤中の第1の治療剤の1日の全量の約60%~約150%の範囲である、方法。
【請求項43】
剤形中の第1の治療剤の量が、即時放出製剤中の第1の治療剤の1日の全量の約80%~約120%の範囲である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
剤形が、即時放出製剤としてBID投与される第1の治療剤のCmaxの約70%~約125%の範囲の第1の治療剤のCmaxを提供する、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
剤形が、即時放出製剤としてBID投与される第1の治療剤のCmaxの約80%~約120%の範囲の第1の治療剤のCmaxを提供する、請求項42から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
剤形中の第1の治療剤の量が、即時放出製剤中の第1の治療剤の1日の全量の約80%~約120%の範囲であり、第1の治療剤がアプレミラストである、請求項42から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
剤形中の第1の治療剤の量及び即時放出製剤中の第1の治療剤の1日量がそれぞれ60mgであり、第1の治療剤がアプレミラストである、請求項42から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
剤形中の第1の治療剤の量が約8mg~約15mgの範囲であり、即時放出製剤中の第1の治療剤の1日の全量が約10mgであり、第1の治療剤がトファシチニブである、請求項42から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
剤形中の第1の治療剤の量が約15mg~約25mgの範囲であり、即時放出製剤中の第1の治療剤の1日の全量が約20mgであり、第1の治療剤がトファシチニブである、請求項42から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
剤形が食品と共に投与される、請求項42から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
対象が、乾癬、強直性脊椎炎、ベーチェット病、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、クローン病、及び潰瘍性大腸炎からなる群から選択される疾患を有すると診断されている、請求項42から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
対象がヒトである、請求項42から51のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月28日に出願された米国仮特許出願第63/057,673号の利益を主張し、その内容が参照により組み込まれる。
【0002】
様々なPDE4又はTNF-α関連疾患を治療するための治療剤の安全かつ効果的な送達を提供する新規な経口投与可能な持続放出剤形が本明細書で開示される。
【背景技術】
【0003】
PDE4又はTNF-αを阻害することができる医薬化合物は、有益な治療薬であり得る。小分子阻害剤は、PDE4又はTNF-αによって関与する炎症性疾患を治療又は予防する能力を実証している。アプレミラストは、環状アデノシン一リン酸(cAMP)に特異的なホスホジエステラーゼ4(PDE4)の阻害剤である。PDE4阻害は、細胞内cAMPレベルの増加をもたらし、炎症性メディエーター放出の阻害に有効である。
【0004】
アプレミラストは、以下の構造を有する2-[1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-メタンスルホニルエチル]-4-アセチルアミノイソインドリン-1,3-ジオンの(+)エナンチオマーである。
【0005】
アプレミラストは、米国特許第6,962,940号、同第7,208,516号、同第7,427,638号、又は同第7,893,101号に記載されており、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
アプレミラストは、白色~淡黄色の非吸湿性粉末であり、pH範囲に関係なく水性バッファーに実質的に不溶性であり、アセトン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、塩化メチレン及びテトラヒドロフランに可溶型である。活性物質は、生物医薬品分類システム(すなわち、BCSクラス4)に従って、低い溶解度及び低い透過性を有すると分類される。
【0007】
アプレミラストは、単一のキラル中心の存在により立体異性体を示し、(S)-エナンチオマーは薬理的に活性である。活性物質安定性研究及び臨床研究は、貯蔵及びin vivoの両方で、アプレミラスト(S)-エナンチオマーのその(R)-エナンチオマーへの相互変換がないことを実証した。多型は、アプレミラストについて観察され、活性物質の7つの多形(A~Gと命名)が同定された。形態Bは、最も熱力学的に安定な無水形態のアプレミラストであることが見出された。
【0008】
様々な疾患を治療するための治療剤の安全かつ効果的な送達を提供するために、胃内でのアプレミラストの持続放出が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本明細書に記載されるように、開示される実施形態は、この必要性に対処する。様々な実施形態は、活性な薬学的成分の持続放出のための2つ以上の層を含むことを提供する。活性成分(例えば、アプレミラスト)の吸収が主に(約93%)近位小腸で起こる以前に報告された剤形とは対照的に、本明細書に開示される剤形は、剤形を対象の胃内に長期間保持し、治療剤を制御された様式で放出することによって、活性成分のバイオアベイラビリティを有意に改善する。
【0010】
特許文献の一態様は、経口投与可能な持続放出剤形を提供し、
(a)第1の治療剤と、媒体中の侵食を通して8時間を超える期間にわたって第1の治療剤の持続放出を提供する1つ又は複数の持続放出剤と、を含む医薬品原薬(API)層であって、試験媒体が、100rpmのパドル回転速度を有する標準的なUSP回転パドル装置内のシンカーを備えた37℃の50mMのpH4.5酢酸バッファー900mlを含む、医薬品原薬層と、
(b)1つ又は複数の添加剤を含む保持層であって、1つ又は複数の添加剤が、以下のもの:
i.剤形が媒体中で8時間を超えて浮遊状態のままであること、
及び
ii剤形の保持層の長さ及び幅は両方とも、非撹拌脱イオン水又は媒体中で8時間を超えて10mm以上のままであること、
の少なくとも1つを達成するように選択される、1つ又は複数の添加剤を含む保持層と、
を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、剤形は第3の層を更に含む。いくつかの実施形態では、第3の層は第2の治療剤を含有する。いくつかの実施形態では、第3の層は剤形を浮遊状態に保ち、API層は保持層と第3の層との間に挟まれる。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の治療剤は、トファシチニブ及びアプレミラストから独立して選択される。いくつかの実施形態では、治療剤は非晶質アプレミラストである。いくつかの実施形態では、第1の治療剤は、剤形中約60mgの量のアプレミラストである。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の層/API層中の1つ又は複数の持続放出剤及び第2の層/保持層中の1つ又は複数の添加剤は、媒体中の第1の治療剤の放出を制御するように選択され、それにより、
(a)第1の治療剤の30%未満が約1時間以内に放出され、
(b)第1の治療剤の約35%~約80%が約8時間以内に放出される。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1の治療剤の70%超が16時間で放出される。
【0015】
いくつかの実施形態では、API層中の1つ又は複数の持続放出剤及び保持層中の1つ又は複数の浮遊剤は、1日1回投与される剤形(QD)が、即時放出製剤としてBID投与される第1の治療剤のAUCの約80%~約125%の範囲の第1の治療剤の曲線下面積(AUC)を提供するように、第1の治療剤の放出を制御するように選択される。
【0016】
いくつかの実施形態では、API層中の1つ又は複数の持続放出剤は、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒプロメロースフタレート、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ワックス、及び脂肪酸のグリセリルエステルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、薬物層中の1つ又は複数の持続放出剤は、50mPa・Sより高い粘度(20℃の水中2%濃度で測定)を有するヒプロメロース及びグリセリルベヘネートを含む。いくつかの実施形態では、グリセリルベヘネートは、グリセリルベヘネート中に50重量%超、60重量%超、70重量%超、又は80重量%超の量のグリセリルジベヘネートを含む。いくつかの実施形態では、ヒプロメロース及びグリセリルベヘネートは、約1:10~約10:1の範囲の比である。いくつかの実施形態では、ヒプロメロース及びグリセリルベヘネートは、API層中で独立して約5%~約40%の範囲である。いくつかの実施形態では、ヒプロメロースは、3000mPa・Sより高い粘度を有し、ヒプロメロース及びグリセリルベヘネートが約1:2~約2:1の範囲の比であり、API/第1層においてヒプロメロース及びグリセリルベヘネートは独立して約5%~約20%の範囲である。
【0017】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の持続放出剤は、少なくとも2つのヒプロメロースを含み、少なくとも2つのヒプロメロースの一方は、約3,000mPa・Sより高い粘度を有し、少なくとも2つのヒプロメロースの他方は、約200mPa・Sより低い粘度を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の治療剤と1つ又は複数の持続放出剤の総量との比は、約1:1~約1:8の範囲である。いくつかの実施形態では、1つ又はそれを超える持続放出剤の全重量は、第1の層において約10%~約55%の範囲である。いくつかの実施形態では、API/第1の層及び保持/第2の層は、約1:4~約2:1の範囲の比である。
【0019】
いくつかの実施形態では、API層は、10.0を超える、例えば15.0を超える、より具体的には20.0を超えるHLB(親水性親油性バランス)値を有する界面活性剤、好ましくはアニオン性又は非イオン性の界面活性剤を含む。適切なアニオン性界面活性剤としては、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルカルボキシレート及びドクサートが挙げられる。好ましいアニオン性界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。好ましい非イオン性界面活性剤としては、エトキシレート、ポリヒドロキシ化合物の脂肪酸エステル、グリセロールの脂肪酸エステル、及びソルビトールの脂肪酸エステルが挙げられる。一例はポロキサマーであり、これは、一般式HO(C2H4O)(C3H6O)(C2H4O)Hに適合するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの一連の密接に関連したブロック共重合体である。いくつかの実施形態では、第1の治療剤と界面活性剤の全量との比は、約10:1~約1:4の範囲である。いくつかの実施形態では、比は、9:1、8:1、6:1、4:1、2:1、1:1、又は1:2である。
【0020】
いくつかの実施形態では、保持層中の1つ又は複数の添加剤は、酢酸セルロース、水添植物油、グリセリルベヘネート、エチルセルロース、及びワックスからなる群から選択される低密度剤を含む。いくつかの実施形態では、保持/第2の層中の1つ又は複数の添加剤は、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキシド、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、及びキトサンからなる群から選択される1つ又は複数の膨潤剤を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、保持/第2の層中の1つ又は複数の添加剤は、約10:1~約1:1の範囲の比の、1000kDa以上のMWを有するポリエチレンオキシドと、酢酸セルロースと、を含む。いくつかの実施形態では、保持/第2の層中の1つ又は複数の添加剤は、1000kDa以上のMWを有するポリエチレンオキシドと、酢酸セルロースと、を独立して保持層中に約5%~約60%の範囲で含む。いくつかの実施形態では、ポリエチレンオキシド及び酢酸セルロースは、約5:1~約2:1の範囲の比である。
【0022】
剤形は、保持/第2の層において約5%~約50%の範囲の量の低粘度ヒプロメロースを更に含み、低粘度ヒプロメロースは150mPa・S未満の粘度を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、保持層は発泡剤及び酸源を更に含み、発泡剤及び酸源の全重量は保持層において約5%~約20%の範囲である。いくつかの実施形態では、API層中の1つ又は複数の持続放出剤及び保持層中の1つ又は複数の添加剤は、剤形が媒体中で30分未満で浮遊し始めるように胃中での剤形の保持を制御するように選択される。
【0024】
いくつかの実施形態では、保持層中の1つ又は複数の添加剤は、保持層の長さ及び幅が、独立して、約30分以内に媒体中で約10%から約20%に拡張するように選択される。いくつかの実施形態では、保持層中の1つ又は複数の添加剤は、保持層の長さ及び幅が、独立して、約8時間以内に媒体中で約30%から約50%に拡張するように選択される。いくつかの実施形態では、媒体中で30分以内に長さが18mmを超え、幅が10mmを超える。保持層の長さ及び幅は、剤形が望ましい期間にわたって胃内に保持されることを確実にする。保持層の長さ及び幅は、API層に実質的に平行な平面を画定する。
【0025】
いくつかの実施形態では、治療剤、その薬学的に許容される塩、非晶質、多形、溶媒和物又は水和物は、剤形において約30~約100mgの範囲である。いくつかの実施形態では、治療剤と1つ又は複数の持続放出剤の全量との比は、約2:1~約1:4の範囲である。いくつかの実施形態では、1つ又はそれを超える持続放出剤の全重量は、API層において約10%~約55%の範囲である。いくつかの実施形態では、保持層は、1つ又は複数の膨潤剤を含み、1つ又は複数の1つ又は複数の膨潤剤の全重量は、約25%~約80%の範囲である。いくつかの実施形態では、保持層は発泡剤及び酸源を更に含み、発泡剤及び酸源の全重量は保持層において約5%~約20%の範囲である。
【0026】
別の態様は、対象における疾患を治療する方法を提供し、対象に、本明細書に記載の剤形を投与することを含み、疾患は、乾癬、強直性脊椎炎、ベーチェット病、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、クローン病、潰瘍性大腸炎からなる群から選択される。
【0027】
いくつかの実施形態では、剤形は1日1回投与される。いくつかの実施形態では、1日の全量で約60mgのアプレミラスト又は相当量のその薬学的に許容される塩、非晶質、多形、溶媒和物若しくは水和物を対象に投与する。
【0028】
いくつかの実施形態では、方法は、抗炎症薬(例えばNSAID)、免疫抑制薬、局所コルチコステロイド、カルシニューリン阻害剤、Cox-2阻害剤、TNF-α阻害剤、抗リウマチ薬、抗乾癬薬、インターロイキン阻害剤、麻薬性鎮痛剤の組み合わせ、サリチレート、グルココルチコイド及び局所ルベファシエントからなる群から選択される追加の薬剤を対象に投与することを更に含む。
【0029】
対象において、1日2回(BID)経口投与された第1の治療剤の曲線下面積の約70%~約125%の範囲の第1の治療剤のAUC(24時間又は0~無限大におけるAUC)を即時放出製剤として提供する方法。方法は、請求項1に記載の剤形を1日1回対象に経口投与することを含み、剤形中の第1の治療剤の量は、即時放出製剤中の第1の治療剤の1日の全量の約60%~約150%の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】パドル、75rpmによる2%Tween80を含むpH4.5、50mMの酢酸バッファー中の異なるアプレミラストER錠剤の薬物放出に対する異なる濃度のグリセリルベヘネートの効果を示す図である。
図2】パドル、75rpmによる37℃での2%Tween80を含む50rpmのpH4.5酢酸バッファー900ml中の異なるアプレミラストER錠剤の溶解に対するヒプロメロース等級/粘度の効果を示す図である。
図3】異なるアプレミラストER二層錠剤ロットNS002-137C/E/Fの薬物放出に対するグリセリルベヘネートの効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この特許文献の様々な実施形態は、治療剤又は医薬品原薬(API)の経口投与可能な剤形を開示している。剤形は、複数の層を含み、化合物が胃内に放出され、患者の上部消化管に吸収されるのに適した保持時間を提供する。更に、持続放出形態の化合物の薬物動態は、望ましい治療プロファイルを確保し、患者のコンプライアンスを促進する。
【0032】
上記の本文は、疾患又は状態を治療する剤形又は方法の特定の実施形態を参照又は例示することができるが、そのような特定の参照又は例に剤形又は方法の範囲を限定することを意図しない。剤形中の異なる添加剤の量及び比等の実際的及び経済的な考慮事項を考慮して、当業者によって様々な改変が行われ得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、冠詞「a」及び「an」は、別途指示がない限り、「1つ又は複数」又は「少なくとも1つ」を指す。すなわち、不定冠詞「a」又は「an」による実施形態の任意の要素又は成分への言及は、2つ以上の要素又は成分が存在する可能性を排除するものではない。
【0034】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、一般に、示された数の±10%を指す。例えば、「約10%」は9%~11%の範囲を示すことができ、「約20」は18~22を意味することができる。「約」の他の意味は、四捨五入等の文脈から明らかであり得るので、例えば「約1」はまた、0.5~1.4を意味し得る。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0035】
「AUC」という用語は、血漿濃度-時間曲線下面積を指す。試験された剤形を参照と比較する場合、試験された形態及び参照について同じ時間枠が使用される。いくつかの実施形態では、時間枠は、時間0~無限大を包含する。いくつかの実施形態では、時間枠は、剤形の投与後(時点0)の24時間の期間である。
【0036】
本明細書で使用される「対象」という用語は、ヒト及び非ヒト動物を含むことを意図している。非ヒト動物には、全ての脊椎動物、例えば哺乳動物及び非哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ニワトリ、両生類、及び爬虫類が含まれるが、哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ及びウマが好ましい。好ましい対象には、免疫応答の増強を必要とするヒト患者が含まれる。方法は、免疫応答を増強することによって治療することができる障害を有するヒト患者を治療するのに特に適している。
【0037】
本明細書で使用される「治療剤」という用語は、疾患を治療するための治療効果を有する化合物又は薬剤を指す。
【0038】
「治療」又は「病状の治療には、1)疾患状態を予防すること、すなわち、疾患状態に曝露されているか又はかかりやすい可能性があるが、疾患状態の症状をまだ経験していないか又は示していない対象において疾患状態の臨床症状を発症させないこと、2)疾患状態を阻害すること、すなわち、疾患状態又はその臨床症状の発症を停止させること、3)疾患状態を軽減すること、すなわち、疾患状態又はその臨床症状の一時的又は永続的な後退を引き起こすこと、が含まれる。
【0039】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、例えば研究者又は臨床医によって求められている組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的奏功を誘発する製剤又は医薬品の量を意味する。更に、「治療的有効量」という用語は、そのような量を受けていない対応する対象と比較して、疾患、障害若しくは副作用の改善された治療、治癒、予防若しくは改善、又は疾患若しくは障害の進行速度の低下をもたらす任意の量を意味する。この用語はまた、その範囲内に、正常な生理的機能を増強するのに有効な量を含む。特定の用量は、常套的手順を使用して、当業者によって容易に決定することができる。
【0040】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」という用語は、生理学的に適合するありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、添加剤等を含む。対象に投与された後又は対象に投与された際の「薬学的に許容される担体」は、望ましくない生理的効果を引き起こさない。薬学的組成物中の担体は、活性成分と適合性であり、それを安定化することができるという意味でも「許容」でなければならない。1つ又は複数の可溶化剤を、活性薬剤の送達のための医薬担体として利用することができる。薬学的に許容される担体の例としては、剤形として使用可能な組成物を得るための浸透エンハンサー、乳化剤、増粘剤、皮膚軟化剤、生体適合性ビヒクル、アジュバント、添加剤、及び希釈剤が挙げられるが、これらに限定されない。他の担体の例としては、コロイド状酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、及びラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。更なる適切な薬学的担体及び希釈剤、並びにそれらの使用のための薬学的必要性は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。
【0041】
「薬学的に許容される塩」は、活性成分の塩を指す。塩形態は、親化合物の所望の生物活性を保持し、いかなる望ましくない毒物学的効果も付与しない。薬学的に許容される塩は、無機酸塩、有機酸塩、又は金属塩であり得る。
【0042】
本明細書で使用される「持続放出」(ER)という用語は、約2時間超、好ましくは約4時間超、より好ましくは約8時間超、より好ましくは約12時間超、より好ましくは約16時間超、又は最大約24時間超である長期間にわたる医薬品原薬の放出として定義される。
【0043】
本明細書で使用される「即時放出」という用語は、約1時間以下での約80%以上の医薬品原薬の放出を指す。典型的には、即時放出製剤中の医薬品原薬の放出は、約30分以下で約80%以上である。
【0044】
「放出」又は「放出された」という用語は、薬学的組成物又は剤形に関連して使用される場合、水性環境との接触後に剤形を離れる原体の部分を指す。別途指示がない限り、剤形から放出される薬物の量は、本発明に記載の水性媒体中での溶解試験によって測定される。溶解試験の結果は、時間の関数として、又は放出時間として放出された%(w/w)として報告される。
【0045】
この特許文献の一態様は、多層の経口投与可能な剤形を提供する。剤形は、
(a)第1の治療剤と、媒体中の侵食を通して8時間超、10時間超、15時間超、又は20時間超にわたって第1の治療剤の持続放出を提供する一又は複数の持続放出剤と、を含むAPI層であって、試験媒体が、100rpmのパドル回転速度を有する標準的なUSP回転パドル装置中でシンカーを用いて37℃で900mlの50mMのpH4.5酢酸バッファーを含み、媒体が2%のTween80(ポリソルベート80、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)を含み得る、API層と、
(b)1つ又は複数の添加剤を含む保持層であって、1つ又は複数の添加剤が、以下のもの:
i.剤形は、媒体中で5時間超、8時間超、12時間超、16時間超、20時間超又は24時間超浮遊状態のままであること、
及び
ii.剤形の保持層の長さ及び幅は両方とも、非撹拌脱イオン残留水又は(a)の媒体中で5時間超、8時間超、12時間超、16時間超又は20時間超、10mm以上のままである。
【0046】
剤形は、2つ、3つ又はそれを超える層を含み得る。2つ以上の治療剤が剤形に含まれ得る。例えば、剤形は、即時放出型又は持続放出型であり、第1の治療剤と同じであっても異なっていてもよい第2の治療剤を含有する第3の層を含んでもよい。あるいは、剤形は、剤形の保持又は浮遊状態を維持するための第3の層を含んでもよく、API層は2つの保持層の間に挟まれる。いくつかの実施形態では、剤形は二層錠剤である。API層及び保持層は、1:4、1:3、1:2、1:1、又は2:1の比である。
【0047】
2つの層は互いに圧縮され、胃内での活性成分の吸収中に付着したままである。保持層は、保持層及び/又は浮遊層として機能し、有効成分の吸収が主に上部消化管で起こるように、胃内に保持又は懸濁された剤形を保持する。保持層は、剤形が浮遊状態で留まるように、又は剤形のサイズが胃の幽門直径よりも大きいままであり、保持時間を延長し、治療剤又は有効成分の吸収を延長するように、低密度及び/又は適切な材料(例えば、膨潤成分)を含むことができる。剤形の治療剤の95%超、90%超、80%超、70%超、60%超、又は50%超が上部消化管で放出及び吸収される。
【0048】
剤形は、錠剤であり得、楕円形、三角形、アーモンド形、ピーナッツ形、平行四辺形、五角形を含むがこれらに限定されない。最終剤形はまた、胃腸保持剤形からの治療剤の放出を妨げることなく、製剤開発の当業者に公知の機能的又は非機能的使用のいずれかのための適切なコーティング材料でコーティングされてもよい。
【0049】
活性成分を含有するAPI層と、保持及び/又は浮遊剤を含有する保持層との比率は、各層の具体的な組成物に応じて変化し得る。比は、一般に、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2、約3:1~約1:1、約2:1~約1:1、約1:1~約1:2、又は約1:1~約1:3の範囲である。
【0050】
剤形中の治療剤、その薬学的に許容される塩、非晶質、多形、溶媒和物又は水和物の量は変化し得る。いくつかの実施形態では、化合物は、約1mg~約120mg、約10mg~約100mg、約20mg~約80mg、約30mg~約80mg、約40mg~約80mg、約40mg~約70mg、約50mg~約70mg、約55mg~約65mgの範囲である。いくつかの更なる例では、APIの量又はその薬学的に許容される非晶質、多形、溶媒和物若しくは水和物の相当量は、約10、約20、約30、約40、約50、約55、約60、約65、又は約70mg、約80、約90、約100mg又は約120mgである。いくつかの実施形態では、第1の治療剤は、剤形中約50、約55、約60、約65、若しくは約70mg、又は約80mg、又は約120mgの量の非晶質アプレミラストである。いくつかの実施形態では、第1の治療剤は非晶質アプレミラストである。
【0051】
この特許文献の剤形は、即時放出剤形又は非胃内滞留性(non-gastroretentive)持続放出剤形と比較して改善された吸収及び有効性のために制御された様式で消化管の上部に吸収窓を有する活性剤を放出する。この特許文献による持続放出剤形は、長期間にわたって薬物の徐放を達成し、それによって薬物作用の持続時間を従来の送達によって達成されるものより延長するものである。
【0052】
治療剤(QD投与)の投与量は、約20~約150mgの範囲である。いくつかの実施形態では、QD投与量は、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、又は120mgである。いくつかの実施形態では、治療剤は、胃腸経路の他の位置と比較して、対象の胃において最も高い溶解度を有する。治療剤は、トファシチニブ、アプレミラスト、その薬学的に許容される塩、及びその立体異性体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、治療剤は非晶質アプレミラストである。
【0053】
治療剤の放出は、100rpmのパドル回転速度を有する標準的なUSP回転パドル装置中、シンカーを用いて37℃で、2%Tween80を含む50mMのpH6.8又は4.5リン酸バッファー900mlを含む媒体中で決定することができる。この条件下で、本明細書に開示される任意の剤形又は方法のいくつかの実施形態では、以下の放出のいずれか1つ、2つ又は3つが達成され得る。
(a)10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、又は35%未満の治療剤が約1時間以内に放出されるか、又は約3%~約20%、約5%~約15%、約5%~約10%、又は8%~約12%の治療剤が最初の1時間の時点までに放出される;
(b)約25%~約90%、約30%~約85%、約35%~約70%、約40%~約70%、約50%~約60%、約35%~約50%、約40%~約60%、約50%~約80%、約60%~約80%、約65%~約75%又は約35%~約80%の治療剤が、約8時間以内又は8時間目の時点までに放出される;並びに/あるいは
(c)60%超、70%超、80%超、90%超、又は95%超の治療剤が16時間以内又は16時間の時点までに放出される。
【0054】
本明細書に開示される任意の剤形又は方法のいくつかの実施形態では、100rpmのパドル回転速度を有する標準的なUSP回転パドル装置内のシンカーを用いて、37℃で2%Tween80を含む50mMのpH4.5酢酸バッファー900mlを含む媒体中で、上記放出のいずれかのうちの1つ、2つ又は3つが達成され得る。本明細書に開示される任意の剤形又は方法のいくつかの実施形態では、100rpmのパドル回転速度を有する標準的なUSP回転パドル装置内のシンカーを用いて、37℃で2%Tween80を含む0.1NのHCl900mlを含む媒体中で、上記放出のいずれかの1つ、2つ又は3つが達成され得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、API層は、全てのAPIが放出されるまでに実質的に浸食される。いくつかの実施形態では、APIの放出はマトリックス侵食機構によって制御される。
【0056】
本明細書に開示される任意の剤形又は方法のいくつかの実施形態では、剤形が対象に1日1回投与される場合、ヒトにおける以下の吸収が達成され得る。いくつかの実施形態では、剤形は食品と共に投与される。
(a)即時放出製剤(参照)中のBID投与された同じ1日用量を有する同じ治療剤のAUCの約60%~約140%、約70%~約130%、約80%~約125%、約80%~約120%、約85%~約115%、約90%~約100%又は約90%~約110%の範囲の曲線下面積(AUC);参照のAUCに対する剤形のAUCの百分率の非限定的な例としては、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約105%、約110%、約115%及び約120%が挙げられ、いくつかの実施形態では、AUCはAUC0-∞であり、いくつかの実施形態では、AUCはAUC0-24である;
並びに/あるいは
(b)約5:1~約100:1、約10:1~約100:1、約10:1~約90:1、約10:1~約80:1、約10:1~約60:1、約10:1~約50:1、約10:1~約40:1、約10:1~約30:1、約10:1~約20:1、約5:1~約50:1、又は約5:1~約20:1の範囲の幾何平均血漿Cmax対Cminの比;
並びに/あるいは
(c)Cmaxが、即時放出製剤(参照)においてBID投与された同じ1日用量を有する同じ治療剤のCmaxの約70%~約150%、約80%~約130%、約80%~約125%、約80%~約120%、約85%~約115%、約90%~約100%又は約90%~約110%の範囲であること;参照のCmaxに対する剤形のCmaxの百分率の非限定的な例としては、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約105%、約110%、約115%、約120%、及び約130%が挙げられる。
【0057】
ヒトへのAPI吸収のための本明細書に開示される任意の剤形又は方法のいくつかの実施形態では、API層中の1つ又は複数の持続放出剤及び保持層中の1つ又は複数の浮遊剤は、QD投与される剤形が、即時放出製剤としてBID投与される約60mgの1日量で、第1の治療剤のAUCの約80%~約125%の範囲の第1の治療剤の曲線下面積(AUC)を提供するように、約40mg~約80mgの範囲の第1の治療剤の放出を制御するように選択される。いくつかの実施形態では、第1の治療剤はアプレミラストである。
【0058】
本明細書に開示される任意の剤形又は方法のいくつかの実施形態では、本明細書に開示される剤形は、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約100mg又は約120mgのアプレミラストを含む。
【0059】
ヒトにおける吸収のいくつかの実施形態では、API層中の1つ又は複数の持続放出剤及び保持層中の1つ又は複数の添加剤は、1日1回(QD)投与される剤形が、即時放出製剤としてBID投与される約10、約20又は約25mgの1日投与量の第1の治療剤のAUCの約80%~約125%の範囲の第1の治療剤の曲線下面積(AUC0-∞)を提供するように、約8mg~約15mg、約15mg~約25mg、約20mg~約30mgの範囲の第1の治療剤の放出を制御するように選択され、第1の治療剤はトファシチニブである。
【0060】
剤形に適した持続放出剤には、それらの放出遅延特性について製薬技術分野で周知の添加剤が含まれる。そのような薬剤の例には、ポリマー放出遅延剤、非ポリマー放出遅延剤、又はそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
この特許文献の目的のために使用されるポリマー持続放出剤には、セルロース誘導体、多価アルコール、糖類、ガム及びそれらの誘導体、ビニル誘導体、ポリマー、共重合体又はそれらの混合物、マレイン酸共重合体、ポリアルキレンオキシド又はその共重合体、アクリル酸ポリマー及びアクリル酸誘導体、あるいはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。セルロース誘導体には、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。多価アルコールには、ポリエチレングリコール(PEG)又はポリプロピルグリコール、又はそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。糖類、ガム及びそれらの誘導体には、デキストリン、ポリデキストリン、デキストラン、ペクチン及びペクチン誘導体、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カラヤガム、トラガカント、カラギーナン、アカシアガム、アラビアガム、フェヌグリーク繊維、ゲランガム等、又はそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。ビニル誘導体、ポリマー、共重合体又はそれらの混合物には、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル(8部w/w)とポリビニルピロリドン(2部w/w)との混合物(Kollidon SR)、ビニルピロリドンの共重合体、酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン(PVP)、又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。ポリアルキレンオキシド又はその共重合体には、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)ブロック共重合体(ポロキサマー)又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。マレイン酸共重合体には、酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体、ブチルアクリレートスチレン無水マレイン酸共重合体等、又はそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。アクリル酸ポリマー及びアクリル酸誘導体には、カルボマー、メタクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等、又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されず、ポリメタクリレートには、a)メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸及びアクリル酸エステルから選択されるモノマーから形成される共重合体、c)エチルアクリレート、メチルメタクリレート及びトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド等から選択されるモノマーから形成される共重合体、又はそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
非ポリマー性持続放出剤には、脂肪、油、ワックス、脂肪酸、脂肪酸エステル、長鎖一価アルコール及びそれらのエステル又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、本発明で使用される非ポリマー放出遅延剤としては、Cutina(水添ヒマシ油)、Hydrobase(水添ダイズ油)、Castorwax(水添ヒマシ油)、Croduret(水添ヒマシ油)、Carbowax、Compritol(グリセリルベヘネート)、Sterotex(水添綿実油)、Lubritab(水添綿実油)、Apifil(ワックスイエロー)、Akofine(水添綿実油)、Softtisan(水添パーム油)、Hydrocote(水添ダイズ油)、Corona(ラノリン)、Gelucire(マクロゴールグリセリドラウリック(macrogolglycerides lauriques))、Precirol(パルミトステアリン酸グリセリル)、Emulcire(セチルアルコール)、Plurol diisostearique(ジイソステアリン酸ポリグリセリル)、及びGeleol(ステアリン酸グリセリル)、並びにそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
活性剤に対する持続放出剤の量は、所望の放出速度、遅延剤の性質及びそれらの物理化学的特性に応じて変化し得る。剤形のAPI層中の放出遅延剤の量は、一般に、組成物の約5重量%~約60重量%で変動する。好ましくは、放出遅延剤の量は、剤形のAPI層の約5重量%~約50重量%で変動する。
【0064】
剤形は、1、2、3又はそれを超える異なる持続放出剤を含有し得る。活性成分と各個々の持続放出剤との間の重量%の比は、約4:1~約1:5、約3:1~約1:4、約2:1~約1:3、約3:2~約4:3、約2:1~約3:4、約2:1~約1:3、約1:1~約1:8、約1:1~約1:5、約1:1~約1:3、約1:1~約1:2、又は約1:2~約1:3の範囲である。例示的な実施形態では、活性成分と各個々の持続放出剤との間の重量%の比は、約3:1、約2:1、約3:2、約1:1、約1:2、約2:3、又は約1:3である。いくつかの実施形態では、1、2、3又はそれを超える持続放出剤の全量は、API層中の、約5重量%~約95重量%、約5重量%~約80重量%、約5重量%~約70重量%、約5重量%~約60重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約80重量%、約15重量%~約70重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約5重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約25重量%、又は約5重量%~約20重量%の範囲である。いくつかの実施形態では、各個々の持続放出剤は、API層中の、約5重量%~約95重量%、約5重量%~約80重量%、約5重量%~約70重量%、約5重量%~約60重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約80重量%、約15重量%~約70重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約5重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約25重量%、又は約5重量%~約20重量%の範囲である。いくつかの実施形態では、持続放出剤は、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒプロメロースフタレート、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、グリセリルベヘネート、水添植物油、ワックス、及び脂肪酸のグリセリルエステル(グリセリド)のうちの1つ、2つ又は3つから選択される。ワックスとしては、合成ワックス、微晶質ワックス、パラフィンワックス、カルナウバロウ、蜜蝋又はそれらの混合物が挙げられる。グリセリドの非限定的な例としては、グリセリルモノオレエート、モノステアリン酸グリセリン、グリセリルパルミトステアレート、ポリエトキシル化ヒマシ油誘導体、水添植物油、グリセリルベヘネート、グリセリルトリステアレート、グリセリルトリパルミテート又はそれらの混合物が挙げられる。
【0065】
いくつかの実施形態では、API層中の持続放出剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、及びグリセリルベヘネートを含む。いくつかの実施形態では、持続放出剤は、少なくとも2つのヒプロメロースを含み、少なくとも2つのヒプロメロースの一方は、3,000mPa・Sより高い粘度(例えば、3200、3500、3800、4000、4500、又は5000mPa・S)を有し、少なくとも2つのヒプロメロースの他方は、約200mPa・Sより低い粘度(例えば180、150、100、80、50又は3mPa・S)を有する。いくつかの実施形態では、高粘度ヒプロメロースと低粘度ヒプロメロースとの比は、約20:1、15:1、10:1、8:1、6:1、4:1、2:1、1:1、1:2、1:4、1:6、1:8、1:10、1:15、又は1:20である。
【0066】
いくつかの実施形態では、持続放出剤は、ヒプロメロース及び脂肪酸のグリセリルエステルを含む。いくつかの実施形態では、ヒプロメロースは、50mPa・Sより高いか、100mPa・Sより高いか、200mPa・Sより高いか、500mPa・Sより高いか、1,000mPa・Sより高いか、2,000mPa・Sより高いか、又は3,000mPa・Sより高い粘度を有する。いくつかの実施形態では、ヒプロメロースは、3,000mPa・S(例えば、4000、5000、15,000、又は100,000mPa・S)より高い粘度を有する。グリセリルエステルは、脂肪酸のモノ-グリセリルエステル、ジ-グリセリルエステル、及びトリ-グリセリルエステルのうちの1つ、2つ又は3つを含むことができる。脂肪酸は飽和又は不飽和であり得る。飽和脂肪酸の例としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸が挙げられる。不飽和脂肪酸の例としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、ワクセン酸、及びリノール酸が挙げられる。
【0067】
ヒプロメロース及び脂肪酸のグリセリルエステルは、独立して、API層において約5%~約50%、約5%~約30%、約10%~約20%、又は約15%~約20%の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、脂肪酸のグリセリルエステルは、約1、約1.5、約2、約2.5又は約3の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する。HLB値は、周知のグリフィンの式により容易に算出することができる。いくつかの実施形態では、脂肪酸はベヘン酸であり、グリセリルエステル(グリセリルベヘネート)はベヘン酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドの混合物である。いくつかの実施形態では、グリセリルベヘネートは2のHLB値を有する。いくつかの実施形態では、グリセリルベヘネートは、50%超、60%超又は70%超のベヘン酸のジグリセリド、及び30%未満、20%未満又は15%未満のベヘン酸のモノグリセリドを含有する。
【0068】
いくつかの実施形態では、ヒプロメロース及びグリセリルベヘネートは、約1:10~約10:1の範囲の比である。ヒプロメロースとグリセリルベヘネートとの例示的比としては、10:1、8:1、6:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:6、1:8及び1:10が挙げられる。いくつかの実施形態では、ヒプロメロース及びグリセリルベヘネートは、独立して、API層中の約5%、約10%、約15%、約20%、又は約25%、又は約30%、約35%、又は約40%の量である。
【0069】
この特許文献の剤形は、ガス発生剤を含んでもよい。例えば、発泡性対としての酸源は、剤形の浮力を高める多孔質、好ましくはハニカム構造の形成を助けることができる。本明細書で使用され得るガス発生剤には、重炭酸ナトリウム、炭酸グリシンナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等が含まれるが、これらに限定されない。ガス発生剤は、水又は単に胃酸との接触によって引き起こされる酸源と相互作用して二酸化炭素又は二酸化硫黄を生成し、これが捕捉されて高度に多孔性マトリックスを形成し、浮遊特性を改善する。クエン酸及びマレイン酸添加剤が含まれるが、これらに限定されない酸を添加してもよい。一実施形態では、ガス発生剤は重炭酸ナトリウムであり、酸源はクエン酸である。いくつかの実施形態では、保持層又はAPI層以外の追加の層中のガス発生剤は、保持層中の約1%~約30%、約1%~約20%、約1%~約10%、約1%~約8%、約3%~約10%又は約3%~約15%の範囲であり、ガス発生剤と酸源との比は、約1:5~約5:1、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2、約3:1~約1:1、約2:1~約1:1、約1:1~約1:2、又は約1:1~約1:3の範囲である。
【0070】
剤形の密度を低下させることができる材料も組み込むことができる。いくつかの実施形態では、錠剤の保持/浮遊のための保持層は、酢酸セルロース、水添植物油、グリセリルベヘネート、エチルセルロース及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の低密度添加剤を含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の低密度添加剤の重量比は、胃内滞留性(gastroretentive)剤形の密度が対象の胃液の密度よりも低くなるように調整される。
【0071】
膨潤及び膨張は、嚥下時に剤形が、剤形の密度を低下させるだけでなく、幽門を通って胃から出ることも防止する程度に膨潤する、潜在的に信頼できる保持機構である。その結果、剤形は、胃内に長期間保持される。これらの剤形は、それらの膨潤又は拡張状態で約10~12mmの直径を超えるので、幽門括約筋の通過から除外される。ポリ(エチレンオキシド)及びヒドロキシアルキルアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)の他に、追加の材料としては、参照により組み込まれる米国特許第10463623号に開示されているように、フェヌグリーク繊維及びローカストビーンガムのような天然起源のガムが挙げられる。いくつかの実施形態では、保持/第2の層又はAPI/第1の層以外の追加の層は、1、2、3、又はそれを超える膨潤剤を含み、その全重量は、保持層又は追加の層中の約5重量%~約95重量%、約10重量%~約80重量%、約15重量%~約70重量%、約25重量%~約75重量%、約35重量%~約75重量%、約45重量%~約75重量%、約55重量%~約75重量%、約65重量%~約75重量%、約10重量%~約50重量%、約5重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約25重量%、又は約5重量%~約20重量%の範囲である。いくつかの実施形態では、保持層又はAPI層以外の追加の層は、1、2、3、又はそれを超える膨潤剤を含み、個々の膨潤剤は、浮遊/保持層又は追加の層中の約5重量%~約95重量%、約10重量%~約80重量%、約15重量%~約70重量%、約25重量%~約75重量%、約35重量%~約75重量%、約35重量%~約55重量%、約35重量%~約50重量%、約65重量%~約75重量%、約10重量%~約50重量%、約5重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約25重量%、又は約5重量%~約20重量%の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、保持層又は追加の層は、ポリエチレンオキシド(Polyox WSR 303 LEO)、ヒプロメロース(Pharmacoat 603)、及びヒプロメロース(Methocel K100M Premium CR)から選択される1、2、3の膨潤剤を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、保持層は、ポリエチレンオキシド(PEO)、酢酸セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つ又は複数の薬剤を含む。いくつかの実施形態では、保持層は、1000kDa以上(例えば、1000kDa、2000kDa、4000kDa、5000kDa、6000kDa、7000kDa、8000kDa)のMWを有するPEO及び酢酸セルロースを含む。PEOと酢酸セルロースとの例示的な比は、約10:1、約8:1、約6:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、及び約1:2を含む。保持層中のPEO及び酢酸セルロースの量は、独立して、約5%~約40%、約10%~約30%、約15%~約30%、約20%~約30%、又は約15%~約20%の範囲である。
【0073】
いくつかの実施形態では、保持層は、約20%~約50%、又は約30%~約40%の範囲の量の低粘度ヒプロメロースを更に含み、低粘度ヒプロメロースは、150mPa・S未満、100mPa・S未満、又は50mPa・S未満の粘度を有する。
【0074】
この特許文献の剤形は、胃中滞留を更に促進するための膨潤及び/又は粘膜付着性を有する親水性ポリマーを含むがこれらに限定されないポリマーを含み得る。
【0075】
本発明の組成物に組み込むのに適した膨潤特性及び/又は粘膜付着性特性を有する親水性ポリマーとしては、ポリアルキレンオキシド、セルロースポリマー;アクリル酸及びメタクリル酸ポリマー、並びにそれらのエステル、無水マレイン酸ポリマー;ポリマレイン酸;ポリ(アクリルアミド);ポリ(オレフィン性アルコール);ポリ(N-ビニルラクタム);ポリオール;ポリオキシエチル化糖類;ポリオキサゾリン;ポリビニルアミン;ポリビニルアセテート;ポリイミン;デンプン及びデンプン系ポリマー;ポリウレタンヒドロゲル;キトサン;多糖類ガム;ゼイン;シェラック系ポリマー;ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ポリアクリル酸、マルトデキストリン、アルファ化デンプン及びポリビニルアルコール、キトサン、これらの共重合体及び混合物が挙げられるが、これらに限定されない。この特許文献の剤形中の親水性ポリマーの重量パーセントは、約5~約90重量パーセント、好ましくは約10~約70重量パーセント、最も好ましくは約15~約50重量パーセントである。
【0076】
いくつかの実施形態では、保持層は、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキシド、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、及びキトサンから選択される1つ又は複数の膨潤剤を含む。
【0077】
本明細書に記載の剤形は、様々な形態をとることができる。例えば、いくつかの実施形態では、胃内滞留性剤形は二層又は三層錠剤であり、ここで、保持層及び活性層は圧縮されるか又は他の方法で接合されて錠剤構造を形成する。
【0078】
本明細書中に記載される剤形はまた、他の薬学的に許容される添加剤を含み得る。当業者に周知のように、医薬添加剤は、固体剤形に常套的に組み込まれる。これは、製造プロセスを容易にし、並びに剤形の性能を改善するために行われる。剤形は、約0%~約90重量%の範囲内の量の1つ又は複数の希釈剤、例えば、限定されないが、ラクトース、糖、コーンスターチ、変性コーンスターチ、マンニトール、ソルビトール、無機塩、例えば炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム及び/又はセルロース誘導体、例えば木材セルロース及び微結晶性セルロースを含み得る。流動促進剤を使用して、打錠前及び打錠中の粉末流動特性を改善し、固化を低減することができる。適切な流動促進剤には、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、タルク、三塩基性リン酸カルシウム等が含まれるが、これらに限定されない。剤形は、潤滑剤、例えば、限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク、ポリエチレングリコール、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム、カルナウバロウ等、又はそれらの任意の組み合わせを、組成物の約0.2重量%~約8重量%の量で含み得る。剤形は、デンプン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、天然及び合成ゴム、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、又は他のデンプン、ゼラチン、天然及び合成ゴム、例えばアカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギネート、粉末トラガカント、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、微結晶性セルロース、及びそれらの混合物から選択されるがこれらに限定されない適切な結合剤を更に含み得る。剤形には、安息香酸、安息香酸ナトリウム、クエン酸等の安定剤も含まれ得るが、これらに限定されない。界面活性剤の例としては、ナトリウムドクサート、グリセリルモノオレエート、ポリエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビタン脂肪酸エステル、ポロキサマー(ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の2つの親水性鎖に隣接したポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の中央疎水性鎖から構成されるトリブロック共重合体)、及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に開示される剤形での使用に適した充填剤の非限定的な例としては、炭酸カルシウム(例えば、顆粒又は粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0079】
崩壊剤は、水性環境にさらされたときに崩壊する錠剤を提供するための剤形で使用され得る。崩壊剤が多すぎる錠剤は、貯蔵中に崩壊する可能性があるが、少なすぎる錠剤は、所望の速度又は所望の条件下で崩壊しない可能性がある。したがって、本発明の固体経口剤形を形成するために、有効成分の放出を有害に変化させない多すぎず少なすぎない十分な量の崩壊剤を使用すべきである。使用される崩壊剤の量は、製剤の種類に基づいて変化し、当業者には容易に認識可能である。
【0080】
本明細書で使用され得る崩壊剤としては、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン酸、他のセルロース、ガム、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
剤形は、対象に投与された後、膨潤した剤形の平均寸法が1、2、3、4、5、6、8、10、15又は20時間以内に10mmを超えるように膨潤し、膨潤した剤形は、当該溶液中での完全性を少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、又は少なくとも15時間維持する。いくつかの実施形態では、剤形は、膨潤した剤形の平均寸法が10mmを超えても超えなくてもよい場合、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、又は少なくとも15時間、胃中で浮遊状態のままである。剤形が徐々に崩壊するためにもはや胃液中に浮遊しなくなった後、剤形は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間又は少なくとも8時間、幽門直径より大きい平均寸法を維持する。
【0082】
いくつかの実施形態では、剤形は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも6、又は少なくとも8時間、胃液中に浮遊し、もはや胃中に浮遊しなくなった後、少なくとも1、2、3、4、5、又は6時間、幽門直径より大きい平均寸法を維持する。
【0083】
1つ又は複数の更なる層が場合により剤形に含まれる。例えば、活性成分を含有するAPI層は、2つの保持層の間に挟まれ得る。2つの保持層は、非摂食モード又は摂食モードで胃内の剤形の全体的な保持に寄与する同じ又は異なる役割を有し得る。いくつかの実施形態では、1つの層は、剤形を一定期間胃内で浮遊状態にさせるのに役立ち、一方、別の層は、非摂食モード又は摂食モードで胃の幽門直径よりも大きい剤形のサイズを維持する。いくつかの実施形態では、保持層はAPI又は治療剤を含まない。いくつかの実施形態では、保持層はAPI又は治療剤を含む。
【0084】
あるいは、各々が活性成分を含有する2つの層を中央保持層に付着させることができる。例えば、2つの層の一方は、持続放出形態の活性成分を含み、他方は即時放出活性成分を含む。即時放出層中の活性成分の量は、約1~約50mg、約1~約30mg、約1~約20mg、約1~約10mg、約10~約50mg、約10~約20mg、約5~約10mg、又は約1~約5mgの範囲である。
【0085】
剤形の複数の層が治療剤を含有するか又は保持層として機能する場合、各層中の添加剤の量又は比は、二層系(APIのための第1の層及び保持のための第2の層)と同じであり得る。しかし層数に応じて量又は比を調整することもできる。例えば、剤形が2つのAPI層を含む場合、各API層中の治療剤の量は、単一のAPI層のみを有する剤形中の治療剤の量の半分であり得る。
【0086】
本明細書に開示される剤形は、医薬品製造の適切な方法によって調製することができる。一般に、剤形は、高剪断顆粒化プロセス若しくは流動床顆粒化プロセスによる湿式顆粒化、又はローラ圧縮による乾式顆粒化、引き続いて回転式錠剤プレスでの錠剤圧縮、及びパンコータでのフィルムコーティングによって調製される。
【0087】
いくつかの実施形態では、保持層中の1つ又は複数の添加剤は、保持層の長さ及び幅が約30分以内に約5%、約10%、約15%、又は約20%独立して拡大するように選択される。いくつかの実施形態では、保持層の長さ及び幅は、約2時間以内、約6時間以内、約8時間以内、約16時間以内、又は約24時間以内に、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、又は約60%独立して拡大する。いくつかの実施形態では、30分以内、1時間以内、2時間以内、3時間以内、4時間以内、5時間以内、6時間以内、8時間以内、16時間以内、20時間以内、又は24時間以内に、媒体中で長さが18mmを超え、及び/又は剤形の幅が10mmを超える。
【0088】
いくつかの実施形態では、剤形は、ポリマーを含むコーティングを更に含む。ポリマーの非限定的な例としては、ヒプロメロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフト共重合体、アミノメタクリレート共重合体、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。例示的な実施形態では、ポリマーは、流動促進剤及び可塑剤と共に水に溶解される。ポリマー分散体は、例えば有孔パンコータ中で錠剤に噴霧及びコーティングすることができる。
【0089】
いくつかの態様では、API層は、好ましくは8超、9超、10超、12超、15超、18超、又は20超のHLB値を有する界面活性剤を更に含む。界面活性剤の非限定的な例としては、ラウリル硫酸ナトリウム及びポロキサマーが挙げられる。
【0090】
本文書の別の態様は、対象における疾患を治療する方法を提供し、本明細書に記載の剤形を対象に投与することを含む。哺乳動物におけるTNF-α産生の阻害によって改善される疾患又は障害には、HIV;肝炎;成人呼吸促進症候群;骨吸収疾患;慢性閉塞性肺疾患;慢性肺炎症性疾患;喘息;皮膚炎;嚢胞性線維症;敗血症性ショック;敗血症;内毒素ショック;血行動態ショック;敗血症症候群;虚血後再灌流障害;髄膜炎;乾癬;乾癬性関節炎;強直性脊椎炎;ベーチェット病;線維性疾患;悪液質;移植片拒絶;自己免疫疾患;リウマチ様脊椎炎;関節炎状態、例えば乾癬性関節炎、関節リウマチ及び変形性関節症;骨粗鬆症;クローン病;潰瘍性大腸炎;炎症性腸疾患;多発性硬化症;全身性紅斑性狼瘡;皮膚エリテマトーデス;肺サルコイドーシス;ハンセン病におけるらい性結節性紅斑(ENL);照射損傷;喘息;及び過酸素性肺胞傷害が含まれるがこれらに限定されない。そのような障害には、限定されないが、頭部、甲状腺、頸部、眼、皮膚、口、喉、食道、胸部、骨、血液、骨髄、肺、結腸、S状結腸、直腸、胃、前立腺、乳房、卵巣、腎臓、肝臓、膵臓、脳、腸、心臓、副腎、皮下組織、リンパ節、心臓、及びそれらの組み合わせのがんを含むがんが更に含まれるがこれらに限定されない。この方法によって治療することができる特定のがんは、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、悪性神経膠腫、白血病及び固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、疾患としては、例えば、乾癬、強直性脊椎炎、ベーチェット病、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、クローン病、潰瘍性大腸炎が挙げられる。
【0091】
いくつかの実施形態では、対象における固形腫瘍、血液由来腫瘍、白血病、特に多発性骨髄腫を含むがこれらに限定されないがんを治療又は予防する方法が本明細書で提供され、本明細書に開示される剤形をそのような治療又は予防を必要とする対象に投与することを含み、特に、対象は哺乳動物である。
【0092】
いくつかの実施形態では、細胞(例えば哺乳動物細胞)中のPDE4を本明細書に開示される剤形と接触させることを含む、PDE4を阻害する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、接触は、ヒト対象において行われる。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される剤形を必要とする対象に投与することを含む、対象のPDE4の阻害によって改善される疾患又は障害を治療又は予防する方法が本明細書で提供される。PDE4の阻害によって回復する障害には、喘息、炎症(例えば、再灌流による炎症)、慢性若しくは急性閉塞性肺疾患、慢性若しくは急性肺炎症性疾患、皮膚エリテマトーデス、炎症性腸疾患、クローン病、ベーチェット病、又は大腸炎が含まれるが、これらに限定されない。
【0094】
いくつかの実施形態では、細胞を本明細書で提供される剤形、又はその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、多形、溶媒和物、水和物若しくは包接体と接触させることを含む、細胞中のcAMPレベルを制御する方法が本明細書で提供される。本明細書で使用される場合、「cAMPレベルを制御する」という用語は、細胞中のアデノシン3’,5’-環状一リン酸(cAMP)の分解速度を予防若しくは低下させること、又は細胞、好ましくは哺乳動物細胞、より好ましくはヒト細胞中に存在するアデノシン3’,5’-環状一リン酸の量を増加させることを含む。いくつかの実施形態では、接触は、ヒト対象において行われる。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される剤形を必要とする対象に投与することを含む、患者のうつ病、喘息、炎症、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、皮膚エリテマトーデス、強直性脊椎炎、炎症性皮膚疾患、再灌流による炎症、慢性又は急性閉塞性肺疾患、慢性又は肺の炎症性疾患、自己免疫疾患、炎症性腸疾患、クローン病、ベーチェット病又は大腸炎を治療又は予防する方法が本明細書で提供される。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される剤形を必要とする対象に投与することを含む、骨髄異形成症候群(MDS)を治療又は予防する方法が本明細書で提供される。MDSは、造血幹細胞障害の多様な群を指す。MDSは、形態及び成熟の障害(骨髄形成不全)、末梢血の血球減少、並びに無効な血球産生に起因する急性白血病への進行の可変リスクを有する細胞性骨髄を特徴とする。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される剤形を必要とする対象に投与することを含む、骨髄増殖性疾患(MPD)を治療又は予防する方法が本明細書で提供される。骨髄増殖性疾患(MPD)は、造血幹細胞のクローン異常を特徴とする障害の群を指す。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される剤形を必要とする対象に投与することを含む、複合性局所疼痛症候群を含むがこれに限定されない疼痛を治療、予防又は管理する方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、投与は、対象における複合局所疼痛症候群の症状を軽減又は回避することを対象とした手術又は理学療法の前、最中又は後である。
【0099】
本明細書に開示される任意の方法のいくつかの実施形態では、剤形は、例えば高脂肪食品又は高脂肪並びに/あるいは高カロリー食である食品と共に投与される。「高脂肪食」という用語は、一般に、少なくとも約700kcal及び少なくとも約45%の脂肪(脂肪であるkcalの相対的割合)、又は代替的に少なくとも約900kcal及び少なくとも約50%の脂肪の食事を指す。「高脂肪食品」という用語は、一般に、少なくとも20gの脂肪、又は少なくとも25、30、35、40、45、若しくは50gの脂肪、及び/又は少なくとも約45%若しくは50%の脂肪を含む食品を指す。1つのFDA Guidanceは、「高脂肪食」を食事の全カロリー含有量の約50%と定義しているが、「高カロリー食」は約800~1000カロリーである。FDAは、食品効果バイオアベイラビリティ及び摂食生物学的同等性試験のための試験食として高脂肪及び高カロリー食を推奨している。この試験食は、タンパク質、炭水化物及び脂肪からそれぞれ約150、250及び500~600カロリーを得るべきである。試験食の例は、バターで揚げた2個の卵、2片のベーコン、4オンスのハッシュブラウンポテト、及び8オンスの全乳からなる。タンパク質、炭水化物、及び脂肪からの同様の量のカロリーが同等の食事量及び粘度を有する場合、置換えが可能である(Guidance for Industry,Food-Effect Bioavailability and Fed Bioequivalence Studies,U.S.Department of Health and Human Services,Food and Drug Administration,Center for Drug Evaluation and Research(CDER),December 2002)。
【0100】
剤形及び食品は、ほぼ同時に摂取されてもよく、又は剤形は食品の前又は後に摂取されてもよい。いくつかの実施形態では、食品、例えば高脂肪食品又は高脂肪並びに/あるいは高カロリー食を摂取してから、剤形を嚥下して摂取するまでの期間は、2分以下、5分以下、10分以下、15分以下、15分以下、20分以下、25分以下、30分以下、40分以下、又は60分以下であり得る。いくつかの実施形態では、剤形は、食事の摂取の60分後、30分後、25分後、20分後、15分後、10分後、又は5分後に投与され得る。
【0101】
本明細書に開示される任意の方法のいくつかの実施形態では、食品を含む崩壊形態の投与が薬物動態に影響を及ぼすことを対象に知らせる工程がある。いくつかの実施形態では、本方法は、食品なしで摂取した場合と比較して、食品と共に摂取した場合に剤形の吸収が増加することを患者に知らせる工程を含む。いくつかの実施形態では、患者は、食事、例えば高脂肪、高カロリー食事の直後の摂取が、以下のパラメータ:平均血漿濃度、Cmax、AUCのいずれか1つ、2つ、又は全ての増加をもたらすことを知らされる。いくつかの実施形態では、高脂肪食の剤形の投与は、食品なし(絶食状態)の剤形の投与と比較して、Cmax及びAUCを増加させる。いくつかの実施形態では、相対的増加は、少なくとも20%又は少なくとも30%以上である。
【0102】
本明細書に開示される任意の方法のいくつかの実施形態では、剤形は1日1回投与される。APIの量又はその薬学的に許容される非晶質、多形、溶媒和物若しくは水和物の相当量は、上記の通りである。
【0103】
本明細書に開示される任意の方法のいくつかの実施形態では、方法は、抗炎症薬(例えばNSAID)、免疫抑制薬、局所コルチコステロイド、カルシニューリン阻害剤、Cox-2阻害剤、TNF-α阻害剤、抗リウマチ薬、抗乾癬薬、インターロイキン阻害剤、麻薬性鎮痛剤の組み合わせ、サリチレート、グルココルチコイド及び局所ルベファシエントからなる群から選択される追加の薬剤を対象に投与することを更に含む。追加の薬剤は、剤形に組み込まれてもよい。あるいは、追加の薬剤は、それ自体の別個の剤形であってもよい。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、本明細書に開示される剤形と共に投与される。いくつかの実施形態では、追加の薬剤は、本明細書に開示される剤形の投与の前又は後に投与される。
【0104】
いくつかの実施形態では、第2の活性剤は、抗炎症薬、免疫抑制剤、ミコフェノール酸モフェチル、生物学的薬剤、又はCox-2阻害剤からなる群より選択される。
【0105】
いくつかの実施形態では、第2の活性剤はスルファサラジンである。いくつかの実施形態では、第2の活性剤は、レフルノミドである。いくつかの実施形態では、第2の活性剤は経口コルチコステロイドである。いくつかの実施形態では、第2の活性剤はエタネルセプトである。
【0106】
いくつかの実施形態では、第2の活性剤は、それだけに限らないが、ジクロフェナク(例えば、ARTHROTEC(登録商標))、ジフルニサル(例えばDOLOBID(登録商標))、エトドラク(例えば、LODINE(登録商標))、フェノプロフェン(例えば、NALFON(登録商標))、イブプロフェン(例えば、ADVIL、CHILDREN’S ADVIL/MOTRIN、MEDIPREN、MOTRIN、NUPRIN又はPEDIACARE FEVER(登録商標))、インドメタシン(例えば、ARTHREXIN(登録商標))、ケトプロフェン(例えば、ORUVAIL(登録商標))、ケトロラク(例えば、TORADOL(登録商標))、ホスホマイシントロメタミン(例えば、MONURAL(登録商標))、メクロフェナメート(例えば、Meclomen(登録商標))、ナブメトン(例えば、RELAFEN(登録商標))、ナプロキセン(例えば、ANAPROX(登録商標)、ANAPROX(登録商標)DS、EC-NAPROSYN(登録商標)、NAPRELAN(登録商標)又はNAPROSYN(登録商標))、オキサプロジン(例えば、DAYPRO(登録商標))、ピロキシカム(例えば、FELDENE(登録商標))、スリンダク(例えば、CLINORIL(登録商標))、及びトルメチン(例えば、TOLECTIN(登録商標)DS又はTOLECTIN(登録商標))を含むNSAID等の抗炎症薬を含み得るがこれらに限定されない。
【0107】
他の実施形態では、第2の活性剤は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)又は免疫抑制薬、例えば限定するものではないが、メトトレキセート(Rheumatrex(登録商標))、スルファサラジン(Azulfidine(登録商標))、レフルノミド(Arava(登録商標))、及びシクロスポリン(Sandimmune(登録商標)又はNeoral(登録商標))を含み得るが、これらに限定されない。
【0108】
他の実施形態では、第2の活性剤は、経口コルチコステロイド、例えば限定されないが、ブデソニド(Entocort(登録商標))、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン(Florinef(登録商標)、Florinef(登録商標)アセテート)、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾン、プレドニゾロン及びプレドニゾンである。
【0109】
他の実施形態では、第2の活性剤は、ミコフェノール酸モフェチル(CellCept(登録商標))、臓器移植で広く使用され、自己免疫性及び炎症性皮膚障害の治療に有利である免疫抑制剤を含み得るが、これらに限定されない。
【0110】
更なる実施形態では、第2の活性薬剤としては、エタネルセプト(Enbrel(登録商標))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))及びアダリムマブ(ヒュミラ(登録商標))等の生物学的薬剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0111】
更なる実施形態では、第2の活性剤としては、Cox-2阻害剤、例えば、セレコキシブ(Celebrex(登録商標))、バルデコキシブ(Bextra(登録商標))及びメロキシカム(Mobic(登録商標))が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0112】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の選択的活性剤は、アシトレチン、アダリムマブ、アルクロメタゾン、アレファセプト、アロエベラ、アムシノニド、乳酸アンモニウム/尿素、乳酸アンモニウム/ハロベタゾール、アンスラリン、ベンゾカイン/ピリラミン/酸化亜鉛、ベタメサゾン、ベタメサゾン/カルシポトリエン、カルシポトリエン、クロベタゾール、クロコルトロン、コールタール、コールタール/サリチル酸、コルチコトロピン、シクロスポリン、デソニド、デスオキシメタゾン、ジフロラゾン、フルオシノニド、フルランドレノリド、ハロシノニド、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン/プラモキシン、ヒドロキシ尿素、インフリキシマブ、メトトレキセート、メトキサレン、モメタゾン、プラモキシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プレジカルバート、レゾルシノール、タザロテン、トリアムシノロン及びウステキヌマブからなる群から選択される。
【0113】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の選択的活性剤は、アバタセプト、アセトアミノフェン、アセトアミノフェン/ヒドロコドン、アセトアミノフェン/トラマドール、アダリムマブ、アレムツズマブ、水酸化アルミニウム/アスピリン/炭酸カルシウム/水酸化マグネシウム、アナキンラ、アスピリン、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アトルバスタチン、アザチオプリン、セレコキシブ、セルトリズマブ、コンドロイチン、コルチゾン、コルチコトロピン、シクロホスファミド、シクロスポリン、ダクリズマブ、デキサメタゾン、ジクロフェナク、ジクロフェナク/ミソプロストール、ジフルニサル、ドキシサイクリン、エソメプラゾール、エソメプラゾール/ナプロキセン、エタネルセプト、エトオドラク、ファモチジン、ファモチジン/イブプロフェン、フェノプロフェン、フルビプロフェン、グルコサミン、チオリンゴ酸金ナトリウム、ゴリムマブ、ヒドロキシクロロキン、イブプロフェン、インドメタシン、インフリキシマブ、インターフェロン、インターフェロンγ-1b、ケトプロフェン、ランソプラゾール、ランソプラゾール/ナプロキセン、レフルノミド、レバミソール、メクロフェナメート、メロキシカム、メトトレキセート、メチルプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、サリチル酸メチル、ミノサイクリン、ミコフェノール酸モフェチル、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ペニシラミン、フェニトイン、ピロキシカム、プレドニゾン、プリムローズオイル、リツキシマブ、ロフェコキシブ、サルサレート、スリンダク、スルファサラジン、テトラサイクリン、トシリズマブ、トファシチニブ、トルメチン、トラマドール、トリアムシノロン、サリチル酸トロラミン、バルデコキシブ並びにその薬学的に許容されるプロドラッグ及び塩からなる群から選択される。
【0114】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の選択的活性剤は、アバタセプト、アセトアミノフェン、アセトアミノフェン/ヒドロコドン、アセトアミノフェン/トラマドール、アシトレチン、アダリムマブ、アルクロメタゾン、アレファセプト、アレムツズマブ、アロエベラ、水酸化アルミニウム/アスピリン/炭酸カルシウム/水酸化マグネシウム、アムシノニド、乳酸アンモニウム/尿素、乳酸アンモニウム/ハロベタゾール、アナキンラ、アンスラリン、アスピリン、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アトルバスタチン、アザチオプリン、ベンゾカイン/ピリラミン/酸化亜鉛、ベタメサゾン、ベタメサゾン/カルシポトリエン、カルシポトリエン、セレコキシブ、セルトリズマブ、コンドロイチン、クロベタゾール、クロコルトラロン、コールタール、コールタール/サリチル酸、コルチコトロピン、コルチゾン、シクロホスファミド、シクロスポリン、ダクリズマブ、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジクロフェナク、ジクロフェナク/ミソプロストール、ジフロラゾン、ジフルニサル、ドキシサイクリン、エソメプラゾール、エソメプラゾール/ナプロキセン、エタネルセプト、エトドラク、ファモチジン、ファモチジン/イブプロフェン、フェノプロフェン、フルオシノニド、フルランドレノリド、フルルビプロフェン、フォスタマチニブ、グルコサミン、チオマル酸金ナトリウム、ゴリムマブ、ハルシノニド、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン/プラモキシン、ヒドロキシ尿素、ヒドロキシクロロキン、イブプロフェン、インドメタシン、インフリキシマブ、インターフェロン、インターフェロンγ-1b、イブルチニブ、ケトプロフェン、ランソプラゾール、ランソプラゾール/ナプロキセン、レフルノミド、レナリドミド、レバミゾール、メクロフェナメート、メロキシカム、メトトレキセート、メトキサレン、メチルプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、サリチル酸メチル、ミノサイクリン、モメタゾン、ミコフェノール酸モフェチル、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ペニシラミン、フェニトイン、ピロキシカム、ポマリドミド、プラモキシン、プレドニゾン、プレドニゾロン、プレドニカルベート、プリムローズ油、レゾルシノール、リツキシマブ、ロフェコキシブ、サルサレート、スリンダク、スルファサラジン、タザロテン、テトラサイクリン、トシリズマブ、トファシチニブ、トルメチン、トラマドール、トリアムシノロン、サリチル酸トロラミン、ウステキヌマブ、バルデコキシブ、3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、(S)-3-(4-((4-(モルホリノメチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン並びにその薬学的に許容されるプロドラッグ及び塩からなる群から選択される。
【0115】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の選択的活性剤は、PDE7阻害剤、Btk阻害剤、セレブロン標的剤、Tyk2阻害剤、Syk阻害剤、JAK阻害剤、JNK阻害剤、MK2阻害剤、ERP5阻害剤、PD-1阻害剤、TIMP-3阻害剤、IL23p19阻害剤、IL-17遮断剤、IKK-2阻害剤、LH2B阻害剤、PKC-θ阻害剤、IRAK4阻害剤、ROCK阻害剤、及びROR-γ-T阻害剤からなる群から選択される。
【0116】
投与される第2の活性剤の量は、使用される特定の薬剤、治療される対象、疾患の重症度及び病期、並びに患者に同時に投与されるアプレミラスト及び任意の追加の第2の活性薬剤の量に基づいて決定することができる。当業者は、当技術分野で公知の従来の手順に従って具体的な量を決定することができる。最初に、治療に従来使用されている第2の活性薬剤の量から開始し、上記の因子に従って量を調整することができる。例えば、Physician’s Desk Reference(59th Ed.,2005)を参照されたい。
【0117】
特定の実施形態では、第2の活性剤は、経口、局所、経皮、静脈内又は皮下投与される。特定の実施形態では、第2の活性剤は、1日に1回~4回投与される。特定の実施形態では、第2の活性剤は、月に1回~4回投与される。特定の実施形態では、第2の活性剤は、毎週1回投与される。特定の実施形態では、第2の活性剤は、2週間毎に1回投与される。特定の実施形態では、第2の活性剤は、月に1回投与される。特定の実施形態では、第2の活性剤は、2ヶ月に1回投与される。特定の実施形態では、第2の活性剤は、3ヶ月に1回投与される。特定の実施形態では、第2の活性剤は、約1~約1,000mg、約5~約500mg、約10~約350mg又は約50~約200mgの量で投与される。第2の活性薬剤の具体的な量は、使用される具体的な薬剤、治療される対象の年齢、疾患の重症度及び病期、並びに患者に同時に投与されるアプレミラスト及び任意の追加の第2の活性薬剤の量に依存する。
【0118】
特許文献の別の態様は、対象において、即時放出製剤としてBID投与された第1の治療剤のAUCの約70%~約125%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、又は125%)の範囲の第1の治療剤の曲線下面積(0~24時間又は0~∞無限大におけるAUC)を提供する方法を開示している。即時放出製剤としてBID投与された第1の治療剤を参照として使用する。方法は、本明細書に開示される剤形を1日1回対象に投与することを含み、剤形中の第1の治療剤の量は、即時放出製剤中の第1の治療剤の1日の全量の約60%~約150%(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%又は150%)の範囲である。
【0119】
方法のいくつかの実施形態では、剤形中の第1の治療剤の量は、即時放出製剤中の第1の治療剤の1日の全量の約80%~約120%(例えば、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、又は120%)の範囲である。いくつかの実施形態では、剤形は、即時放出製剤としてBID投与される第1の治療剤のCmaxの約70%~約150%(例えば、70%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、140%、又は150%)の範囲の第1の治療剤のCmaxを提供する。いくつかの実施形態では、剤形は、即時放出製剤としてBID投与される第1の治療剤のCmaxの約80%~約120%の範囲の第1の治療剤のCmaxを提供する。
【0120】
いくつかの実施形態では、剤形中の第1の治療剤の量は、即時放出製剤中の第1の治療剤の1日の全量の約80%~約120%(例えば、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、又は120%)の範囲であり、第1の治療剤はアプレミラストである。いくつかの実施形態では、剤形中の第1の治療剤の量及び即時放出製剤中の第1の治療剤の1日量はそれぞれ60mgであり、第1の治療剤はアプレミラストである。
【0121】
いくつかの態実施形態では、剤形における第1の治療剤の量は約8mg~約15mg(例えば、8、10、12、14又は15mg)の範囲であり、即時放出製剤における第1の治療剤の1日の全量は約10mgであり、ここで第1の治療剤はトファシチニブである。いくつかの実施形態では、剤形における第1の治療剤の量は約15mg~約25mg(例えば、15、18、20、22又は25mg)の範囲であり、即時放出製剤における第1の治療剤の1日の全量は約20mgであり、ここで第1の治療剤はトファシチニブである。
【0122】
いくつかの実施形態では、剤形は食品と共に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、上記疾患を有すると診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、乾癬、強直性脊椎炎、ベーチェット病、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、クローン病、及び潰瘍性大腸炎から選択される疾患を有すると診断されている。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0123】
本明細書に開示される任意の実施形態では、即時放出形態としての参照は、食品と共に、食品なしで、又は患者の絶食条件下で投与され得る。いくつかの実施形態では、参照は、アプレミラスト又はトファシチニブからの即時放出である。
【0124】
本明細書に開示される方法のいずれにおいても、患者への剤形及び第2の活性薬剤の投与は、同じ又は異なる投与経路によって同時に又は連続的に行うことができる。特定の第2の活性薬剤に使用される特定の投与経路の適合性は、第2の活性薬剤自体(例えば、分解することなく経口的又は局所的に投与することができるかどうか)及び処置される対象に依存する。第2の活性剤又は成分のための特定の投与経路は、当業者に公知である。例えば、The Merck Manual,448(17th ed.,1999)を参照されたい。
【0125】
特許文献の別の態様は、本明細書に開示される剤形を調製する方法を提供する。方法は、一般に、1つ又は複数のAPI層及び1つ又は複数の保持層の調製、それに続く2種類の層の圧縮及び次いで任意選択的にコーティング工程を含む。API、成分、添加剤、並びに製造のためのそれらのそれぞれの量及び比は、上記の通りである。
【0126】
いくつかの実施形態では、保持層の調製は、添加剤をミルに通し、添加剤を混合することを含む。いくつかの実施形態では、API層の調製は、API及び顆粒内添加剤をミルに通し、顆粒内部分を形成し、次いでこれを顆粒外添加剤と混合してAPI層を形成することを含む。剤形の調製は、以下の実施例のセクションに例示される製造の任意の工程を組み込むことができる。
【実施例
【0127】
以下の非限定的な例は、本発明を説明する。
【0128】
実施例1.アプレミラスト三層胃内滞留性ER錠剤
この実施例では、アプレミラスト(結晶形態B)三層錠剤を試験する。保持層は、アプレミラスト結晶形態Bを含有する2つの層の間に挟まれる。あるいは、API層は、2つの保持層に隣接し得る。
【0129】
三層錠剤は、シングルパンチ錠剤プレス(Globepharma Manual Tablet Compaction Machine,MTCM-I)で手動で作製した。5つの製剤は、異なる薬物放出遅延剤、例えばヒプロメロース粘度100mPa・S(20℃の水中で2%濃度で測定)及びヒプロメロース粘度3mPa・Sによって複合化される、同じ保持層製剤であるが異なるAPI層製剤で開発された。ヒプロメロース粘度100mPa・S量を低下させ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを使用してラクトース一水和物を置換することによって、薬物放出を増加させることができる。ロット004と005とを比較すると、アミノメタクリレート共重合体及びポビドン(ポリビニルピロリドン)を使用してケイ化微結晶性セルロースを置き換えることによって、薬物放出をわずかに減少させることができた。調査した湿潤剤は、ラウリル硫酸ナトリウム及びポロキサマー(ポリオキシエチレンの2つの親水性鎖に隣接したポリオキシプロピレンの中央疎水性鎖から構成される非イオン性トリブロック共重合体)であった。ロット003とロット004とを比較すると、ポロキサマーを使用すると、SLSよりも薬物放出がわずかに速かった。
表1.三層錠剤のためのアプレミラスト層製剤
表2.保持層配合
表3.アプレミラスト三層錠剤組成物
表4.2%Tween80を含む50mMのpH4.5酢酸バッファー900mLへのディスク上のパドルによる溶解、75rpm
【0130】
実施例2.アプレミラスト(形態B)二層胃内滞留性ER錠剤
革新的な二層錠剤は、API層及び保持層と組み合わされる。調査のためのAPIとして、アプレミラスト(形態B又は非晶質形態)を使用した。溶解中、薬物放出速度及び程度はAPI層系によって制御される。保持層は迅速に水和され、膨潤し、胃液よりも低いバルク密度を有するように膨張し、それによって浮力を発生させ、錠剤が溶解媒体の表面に浮遊することを可能にする。現行の胃内滞留性錠剤のin vitroでの浮遊遅延時間は30分以内であり、浮遊時間は少なくとも16時間である。in vivo条件では、胃中滞留性又は浮遊性薬物送達システムは、胃液よりも小さいバルク密度を有し、そのため、胃排出速度に長期間影響されることなく胃中で浮揚性のままであり、一方、システムは胃内容物上で浮遊又は保持される。
【0131】
2.1シングルパンチ錠剤プレス
保持層及びAPI層からなる二層錠剤を、シングルパンチ錠剤プレス(Globepharma Manual Tablet Compaction Machine,MTCM-I)で手動で圧縮した。12時間~24時間の異なる薬物放出速度プロファイルを提供するように4つの製剤を設計した。ヒプロメロース粘度100mPa・Sとヒプロメロース粘度3mPa・Sとの比を変化させることにより、薬物放出速度を調整する。2つの水溶性ポリマーはヒプロメロースであるが、それらは異なる粘度、それぞれ3mPa・S及び100mPa・Sを有する。薬物放出速度は、製剤中のヒプロメロース粘度100mPa・S比の増加と共に減少する(表5、表6参照)。
表5.二層錠剤の製剤
表6.溶解方法:パドルオーバーディスク(900mL pH4.5+2% tween80、37℃)、75rpm
【0132】
2.2ローラ圧縮による乾式顆粒化
ローラ圧縮は、乾式顆粒化プロセスにおける単位操作である。乾式顆粒化プロセス中、有効成分及び添加剤の乾燥粉末(乾燥結合剤、ポリマー、崩壊剤、充填剤、潤滑剤及び他の添加剤)をブレンダーで混合する。粉末混合物は、ローラ圧縮されてリボンになり、これはミルによって顆粒に寸法決めされる。顆粒粒径、密度、流動性及び圧縮性は、ローラ圧縮機の製剤組成物及びプロセスパラメータ(例:フィーダー速度、ローラ圧縮力、ローラ間隙、ローラ速度、ミル速度及びスクリーニングサイズ等)を変更することによって調整することができる。ローラ圧縮による乾式顆粒化は、製造手順の簡単さ、コスト上の利点、スケールアップが容易であること、及び生産量が多いこと等の様々な利点を有する。ローラ圧縮プロセスでは、液体又は乾燥プロセスが関与しないので、このプロセスは、水分及び感熱性薬物製剤により適している。直接圧縮と比較して、ローラ圧縮プロセスは、高い薬物負荷でより効率的に実行することができ、流れを改善し、材料の分離を伴わずに含有量均一性を改善することができる。
表7.製剤:アプレミラスト形態Bの二層錠剤ロット008
表8.900mLのpH4.5、2%Tween80を含む50mM酢酸バッファー中に37℃でバスケットによって150rpmで溶解
【0133】
この場合、ローラ圧縮技術を使用して、API層顆粒の流動性及び圧縮性を改善した。製剤を表7に列挙する。ローラ圧縮の顆粒で圧縮された錠剤は、直接圧縮プロセスによる錠剤よりも有意に遅い薬物放出プロファイルを提供した(ロット009)。これは、ローラ圧縮の顆粒で圧縮された錠剤が錠剤中でより高い密度を有するためである。薬物放出は、API層の組成物を変えることによって調整可能である。
【0134】
2.3.薬物放出及び浮遊能力に対する不活性脂肪材料の影響
不活性脂肪材料は、制御放出薬物送達系のための医薬添加剤に使用され、例えば水添植物油、グリセリド、ポリオキシルグリセリド、エトキシル化グリセリド、食用脂肪酸のエステル、及び様々なアルコールが、通常脂肪酸を含有する主要な植物油誘導体である。この実施例では、グリセリルベヘネート(グリセリルベヘネート、脂肪酸、主にベヘン酸のグリセリドと12.0~18.0%の1-モノグリセリドとの混合物)及び水添植物油(I型、Lubritab(登録商標))を、異なる機能領域、例えば、薬物放出制御剤、胃中滞留性浮遊剤、増粘剤及び潤滑剤のための脂質及び低密度添加剤を有する二層錠剤で調査した。
【0135】
製造プロセスは、以下に列挙される5つの主要な工程によって実施される。
1)保持層ブレンドの調製
・添加剤を秤量し、コーンミルに通す。
・添加剤は、(ビン)ブレンダーで混合される。
2)アプレミラスト層ブレンドの調製
・アプレミラスト及び顆粒内添加剤を秤量し、コーンミルに通す。
・アプレミラスト及び顆粒内添加剤をブレンダーで混合する。
・ブレンドをローラ圧縮し、粉砕して顆粒を形成する。
・顆粒外添加剤を秤量する(そしてコーンミルに通す)。
・顆粒外添加剤及びローラ圧縮顆粒をブレンダーで混合する。
3)二層錠剤圧縮
・二層錠剤プレスは、カプセル形状のDツールを用いてセットアップする。
・保持層ブレンド及びアプレミラスト層ブレンドをホッパーに入れる。
・二層錠剤を目標重量及び硬度に圧縮する。
4)フィルムコーティング
・二層錠剤をパンコータ中でフィルムコートでコーティングする。
5)包装
・アプレミラストER錠剤を、乾燥剤及び33mm CRCで密封した75cc HDPEボトルに充填する。
【0136】
驚くべきことに、グリセリルベヘネートの組込みは、API層と保持層との間の強い結合をもたらした。二層錠剤は、水中での良好な浮遊性を示した。
【0137】
異なるレベルのグリセリルベヘネートを有するAPI層の3つの製剤を調査し、結果は、API層中のグリセリルベヘネート量を10%w/w、15%w/w~20%w/wに変化させることによって薬物放出速度を有意に調整できることを示した。薬物放出速度のd50%時点は、製剤ロット010、ロット011及び012についてそれぞれ約3時間、8時間及び20時間である。グリセリルベヘネートは、ベヘン酸の種々のエステルと、疎水性ポリマーの混合物であるグリセロールとのブレンドであり、薬物放出を遅らせるマトリックスを形成することができる。
表9 製剤表
表10 ロット010、011、及び012の溶解データ:グリセリルベヘネートの効果
【0138】
グリセリルベヘネートは部分水素添加植物油であるが、水素添加植物油は、同様の化学的及び物理的特性を有する完全水素添加植物油生成物であり、制御放出及び胃中保持薬物送達系におけるグリセリルベヘネートの代替物として使用され得る。この場合、製剤ロット014は、グリセリルベヘネートを水添植物油の市販の製品である同じ量のLubritabに置き換えたことを除いて、ロット013と同じ製造プロセス及び同じ製剤組成物を有する。ロット014の製剤は、ロット013の製剤と同様の溶解プロファイルを提供することができた。結果は、水添植物油及びグリセリルベヘネートが、制御放出及び胃中保持薬物送達系において互いに代替物として使用され得ることを示した。
表12.ロット013及び014の製剤組成物
表13.ロット013(グリセリルベヘネート)対ロット014(Lubritab)の溶解
【0139】
2.4.ヒプロメロースポリマー濃度がアプレミラスト放出に及ぼす影響
ヒプロメロースポリマーの粘度グレードがアプレミラスト薬物放出速度に及ぼす影響を調べた。3つの製剤は、ローラ圧縮部及び保持層において同じ組成物を組成した。顆粒外添加剤は、一定量のグリセリルベヘネート及びヒプロメロースの全量から構成されるが、ヒプロメロース粘度4,000mPa・Sとヒプロメロース粘度100mPa・Sとの比は異なる。ヒプロメロースの4,000mPa・S:100mPa・S比は、3つの製剤において、ロット013については100:0、ロット015については0:100、ロット016については50:50であった。溶解の結果は、製剤中のヒプロメロース粘度4,000mPa・Sの量が増加するにつれて薬物放出を遅らせることができることを示した。ロット013及びロット016は同様の溶解プロファイルを有するので、ロット015は12時間の持続薬物放出プロファイルを提供することができ、これはマトリックス拡散及び浸食プロセスによって16時間の持続薬物放出プロファイルを提供する。API層は、100%APIが放出された後に完全に消失し、これは、薬物放出がマトリックス侵食機構によって制御されることを示した。
【0140】
二層錠剤は、実施例2.3に記載したのと同じ製造プロセスによって製造した。
表14.ロット013、ロット015及びロット016の製剤
表15.2%Tween80を含む50rpmのpH4.5酢酸バッファー900mL中、37℃、パドル、75rpmでの溶解データ
【0141】
2.5薬物放出に対する顆粒化プロセスの影響
2.5.1薬物放出に対するローラ圧縮プロセスの影響
ローラ圧縮プロセスでは、いくつかの成分は、粒子密度を増加させるために顆粒内として添加され、したがって流動性及び圧縮性を増加させ、例えば、API及び乾燥バインダー剤等であり、いくつかの成分は、最終ブレンドプロセスで顆粒外として添加され、例えば潤滑剤及び流動促進剤等である。薬物放出制御剤については、ローラ圧縮プロセスに添加するか、又は乾式ブレンドプロセスによって顆粒外として添加することができる。しかし、ローラ圧縮プロセスは、薬物放出制御剤の特性に影響を及ぼす可能性があり、したがって、薬物放出プロセスに影響を及ぼす可能性がある。この研究では、017及び018は同じ製剤及びプロセス(ローラ圧縮顆粒化、続いて錠剤圧縮)を共有する。唯一の違いは、ヒプロメロース粘度4,000mPa・Sをロット017では顆粒外に添加し、ロット018では顆粒内に添加したことである。溶解データは、顆粒内ヒプロメロースを含む錠剤が、顆粒外ヒプロメロースを含む錠剤よりも小さい錠剤間%RSDでより遅い薬物放出をもたらしたことを実証している。これは、ローラ圧縮プロセスがドライレンディングプロセスよりも高密度の顆粒を製造し、したがってより遅い薬物放出プロファイルを提供することに起因する。
【0142】
2.5.2薬物放出に対する流動床プロセスの影響
ローラ圧縮乾式顆粒化プロセスと比較すると、流動床顆粒化は湿式顆粒化プロセスであり、低密度の顆粒を生成する。異なる顆粒特性は、錠剤圧縮及び薬物放出速度に影響を及ぼし得る。粒状化プロセスの影響を、顆粒内に組み込まれた、ヒプロメロース粘度4,000mPa・Sを有する同様の製剤を有するロット018及びロット019を用いて調査したが、ロット019は流動床顆粒化プロセスによって顆粒化された。ロット019及びロット127の錠剤を同じ硬度に圧縮した。溶解データは、ロット018及びロット019が同様の溶解プロファイルを有することを示した。これは、顆粒化プロセスが現在の場合の薬物放出に有意な影響を及ぼさないことを示した。結果は、流動床顆粒化技術が、液体で安定なAPIアプレミラスト形態Bに使用できることを示唆した。
表32.ローラ圧縮ロット017及び018によるアプレミラスト二層錠剤の製剤組成物
表33.アプレミラスト二層錠剤の製剤組成物:流動床顆粒化ロット019対ローラ圧縮ロット018
表34.ロット017、019及び018の溶解。
溶解方法:37℃において、2%Tween80を含む50mMのpH4.5酢酸バッファー900mL、大きなヘリックスシンカーを伴うパドル速度(100rpm)
【0143】
顆粒化は、顆粒化の物理的特性に対する顆粒化プロセスの影響を評価するための粒径分布、バルク密度及びタップ密度の試験によって特性決定される。データは、ローラ圧縮プロセスによって作製された顆粒(ロット017及びロット018)が、流動床顆粒化プロセスによって作製された顆粒よりも高い密度、したがって良好な流動性を有することを示した(表35)。ロット017及びロット018は、広い粒径分布を有する同様の粒径を有し、主に500μmメッシュまでのパン上に保持される。ロット019は、ロット017及びロット018よりも小さいが狭い粒度分布を有する。これは、流動床顆粒化プロセスがローラ圧縮プロセスよりも狭い粒度分布を生成できることを示唆した。
表35.バルク/タップ密度及びHausner比のデータ
【0144】
2.6.浮遊能力に対する浮遊系の影響
保持層は、(a)ゲル形成剤ヒプロメロース粘度100mPa・S及び分子量7,000,000のポリ(エチレンオキシド);(b)COを形成するための、ガス発生剤、重炭酸ナトリウム及びクエン酸;(c)低密度、水不溶性浮遊剤及びマトリックス形成剤酢酸セルロース;及び(d)親水性充填剤ラクトース一水和物11SDから構成される。現在の革新的な胃中保持システム(GRS)は、2つのシステムを組み合わせて錠剤を胃中に長時間保持する。1.)膨潤マトリックス系:この系は、ポリエチレンオキシド等のいくつかの親水性ポリマー及び/又は酢酸セルロース等の疎水性低密度ポリマーによって形成され、これを親水性ポリマーと一緒に組み合わせて、現在の場合にはマトリックス系を形成した。水と接触した後、親水性ポリマーは膨潤及び膨張して低密度マトリックス層を形成し、したがって浮力を発生させる。2)ガス発生システム:このシステムは、COを形成するためのガス発生剤によって形成され、例えば重炭酸ナトリウムはクエン酸と反応してCOを生成し、これはマトリックス中に多孔性を形成してマトリックス層を低密度にし、したがって胃液上に浮遊する。
【0145】
製剤ロット017の保持層は、膨潤/膨張マトリックス浮遊システムとガス発生システムとの組み合わせであった。この実施例では、ロット017製剤と同じAPI層を有するが、ガス発生系が除去された保持層用の異なる製剤を用いて二層錠剤を調製した。製剤は、異なる比率のポリマー酢酸セルロース及びポリエチレンオキシド(7,000,000分子量)から構成された。
【0146】
ロット020Aをロット017と比較することにより、ガス発生システムを含まない保持層は、浮遊遅延時間、浮遊時間、及び溶解プロファイルに影響を及ぼさないことが分かった。ロット020A(酢酸セルロース23.33%)をロット020C(酢酸セルロースをラクトース一水和物で置き換える)及びロット020D(酢酸セルロースをポリエチレンオキシドに置き換える)と比較すると、溶解プロファイルは類似していたが、遅延時間は酢酸セルロースを含まない2つの製剤については増加した。驚くべきことに、保持層に酢酸セルロースを含めると、二層錠剤の浮遊遅延時間が短縮される。
【0147】
しかし、製剤中のポリエチレンオキシドを酢酸セルロース(CA)で置き換えた保持層(ロット020B)は、全浮遊時間が短く(保持層が15時間以内に崩壊)、溶解が速くなった。これは、酢酸セルロースと比較して、ポリエチレンオキシドがより強力なマトリックス層を形成するのにより効率的であることを示した。これは、高分子量及び粘度を有する親水性ポリマーとしてのポリエチレンオキシドに起因する(MW7000,000、7500~10,000mPa・S)。したがって、ポリエチレンオキシドは、より長い浮遊時間にわたってより強い保持層を形成するために重要な役割を果たし、したがってAPI層は胃液中に浮遊して維持されて、薬物放出を長期化した。驚くべきことに、約23%の酢酸セルロースを含むロット017の製剤は最短の浮遊遅延時間を生じたが、錠剤は直ちに浮遊し、24時間を超えて浮遊した。これは、酢酸セルロースが低密度の疎水性ポリマーであり、浮力を発生させるために水和/膨潤プロセスを必要としないが、低密度特性は錠剤が液体媒体の表面上に迅速に浮遊するのを助け、液体によって浸食されないことに起因する。したがって、保持層中の2種類のポリマー(CA及びポリエチレンオキシド)の配合比を変えることにより、保持層の浮遊能力を調整することができる。
【0148】
保持層の浮上能力は、保持層中の2種類のポリマーの配合比を変えることで調整することができる。
表41.アプレミラストロットNS002-020A/B/C/D及びロット017の製剤組成物。
表42.アプレミラストER二層錠剤60mg、ロット020及びロット017の溶解データ
溶解方法:2%Tween80を有する50mMのpH4.5酢酸ナトリウムバッファー900mL、37℃、パドル100rpm
【0149】
実施例3.アプレミラスト(非晶質)二層胃内滞留性ER錠剤
3.1アプレミラスト多型の影響(結晶形態B対非晶質)
多形によって示される異なる物理的特性は、貯蔵、安定性、圧縮率、密度及び溶解速度等の重要な医薬パラメータに影響を及ぼす。安定性の差は、化学反応性の変化、機械的変化(例えば、速度論的に有利な結晶形態が熱力学的により安定な結晶形態に変換するため、貯蔵時に崩壊する錠剤)又はその両方(例えば、1つの多形の錠剤は、高湿度での分解をより受けやすい)に起因し得る。
【0150】
非晶質形態は、一般に、結晶形態よりも良好な溶解度及びバイオアベイラビリティを提供し、製剤及び製品製造に重要なより良好な溶解度及び圧縮性等を有することができる製剤に有用であり得る。API物理化学データは、以下のことを示した。1)結晶形態B及び非晶質形態は、異なるストレス試験条件に曝露した後に安定であった。2)様々なストレス試験条件への曝露下、並びに25℃/60%RH及び加速条件40℃/75%RHの両方の長期条件下で、アプレミラスト非晶質形態は6ヶ月後に安定であった。3)溶解度はpH依存性ではないが、形態Bよりも高い溶解度結果が、アプレミラスト非晶質形態について得られた。
【0151】
アプレミラスト形態B及びアプレミラスト非晶質形態を有する製剤を、それぞれ同じ組成物及び同じ製造プロセスで二層錠剤技術(Bilayer Tablet Compression:Elizabeth bilayer tablet press EP200L)により開発した。薬物放出速度を、大きなヘリックスシンカーを用いて、37℃、パドル速度(75rpm対100rpm)で、2%Tween80を含む50mMのpH4.5酢酸バッファー900mL中で試験した。
【0152】
溶解の結果は、アプレミラスト非晶質形態及びアプレミラスト形態Bを有する胃滞留性持続放出製剤が首尾よく開発され、アプレミラストの物理的特性が薬物放出速度に有意な影響を及ぼすことを示した。ロット017(形態B)の製剤は、パドル速度100rpmで、ロット021(非晶質形態)(t50は約12時間)よりも有意に速い薬物速度(t50は約6時間)を提供した。これは、アプレミラスト非晶形に起因し、アプレミラスト形態B(d90=8μm)よりも有意に大きな粒子(d90=22μm)を有し、アプレミラスト非晶形であっても、pH4.5バッファー中で、アプレミラスト非晶形(0.020mg/ml)よりも比較的高い溶解度(0.224mg/ml)を有する。溶解データはまた、パドル速度の増加が、それぞれ、アプレミラスト形態B及びアプレミラスト非晶質形態によって構成される製剤の両方について、より速い薬物放出速度をもたらしたことを示した。
表43.アプレミラストロット017及び021の製剤組成物
二層錠剤圧縮:Elizabeth二層錠剤プレスEP200L
表44.ロット017及び021の溶解
2%Tween80を含む50mMのpH4.5酢酸バッファー900mL、37℃、パドル速度(75rpm対100rpm)、大きなヘリックスシンカーを有する
【0153】
アプレミラスト二層錠剤の膨潤能力及び浮遊能力を37℃の精製水中で評価した。錠剤が媒体中に浮遊している時間0、0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間及び24時間から錠剤の長さ、幅及び厚さを測定した。結果は、30分~1時間の水和後、二層錠剤が急速に膨潤し、時間0でそれらの元のサイズよりも有意に大きいサイズに膨潤及び膨張したことを示した。錠剤長は、30分で約12%~約20mm増加し、8時間で約50%及び24時間で約84%増加した。錠剤幅は、30分で約16%~約11mm、8時間で約40%、24時間で約55%増加した。錠剤の厚さは、30分で約60%~約12mmまで急速に増加し、次いで4時間で約70%及び24時間で約95%増加した。錠剤は、少なくとも24時間、媒体中で浮遊していた。結果は、二層錠剤が30~60分で急速な膨潤を示したことを示唆している。三次元全てが24時間の期間にわたって増加し続け、錠剤は24時間で依然として浮遊していた。
【0154】
3.2グリセリルベヘネートの溶解に対する影響
この場合、製剤中のグリセリルベヘネートの比率をロット022Cで5%、ロット022Eで10%及びロット022Fで約15%からそれぞれ調整することに基づいて薬物放出速度を増加させるように3つの製剤を設計した(表27)。溶解データは、3つの製剤全てが16時間で90%を超える薬物を放出できることを示した。グリセリルベヘネートが増加すると、薬物放出が減少した。結果は、薬物送達システムが、マトリックス浸食技術(表45、錠剤46及び図2)によって、3つ全ての製剤について4時間~6時間でのt50及び16時間でのt90の柔軟な薬物放出プロファイルを提供できることを示した。
表45.アプレミラストロット022C/E/Fの製剤組成物
表46.アプレミラスト非晶質ER二層錠剤60mgロット022の溶解。
溶解方法:2%Tween80を含む50mMのpH4.5酢酸バッファー900mL、37℃、大きなヘリックスシンカーによる100rpmのパドル速度
【0155】
実施例4.異なる強度を有するアプレミラスト二層胃内滞留性ER錠剤
現在の革新的な二層錠は、60mgのアプレミラストに基づいて開発されたが、異なる強度の錠剤にも柔軟であった。この場合、ロット023の60mgのアプレミラスト製剤に基づいて、30mg及び100mgのアプレミラストを開発した。同じAPI顆粒を使用して、60mg錠剤に対するそれらの比に基づいて顆粒内顆粒重量を調整することによって、30mg及び100mgの強度の錠剤を製剤化した。顆粒外組成物及び保持層は、3つの強度全てについて同じままであった。溶解データは、3つの異なる強度の錠剤が同様の溶解プロファイルを有することを示した。(ロット023の60mg錠剤と比較してf2>55)。
表47.アプレミラストER二層錠剤30mg、60mg及び100mgの製剤組成物。
表48.アプレミラストER二層錠剤30mg、60mg及び100mgの溶解データ
【0156】
実施例5.トファシチニブ胃内滞留性ER二層錠剤
トファシチニブシトレートの化学名は、分子式C16H20N6Oに対応する3-((3R,4R)-4-メチル-3-(メチル(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)-3-オキソプロパンニトリル、2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボン酸であり、相対分子量は312.49g/molであり、以下の構造を有する。
【0157】
トファシチニブの化学構造は、UV分光法、赤外(IR)分光法、1H及び13C NMR分光法、元素分析、質量分析及びX線結晶学によって十分に実証されている。活性物質は、白色からオフホワイト色の固体であり、水にわずかに可溶型であり(2.9mg/mL)、非吸湿性である。トファシチニブは、C3及びC4に2つのキラル中心を含有する。活性物質は、C-3位及びC-4位の両方について絶対配置(R)を有するエナンチオマーである。したがって、トファシチニブの全体的な立体化学は重要であると考えられ、出発物質の品質及び合成経路の設計によって保証される。
【0158】
活性物質については多型が検討されている。結晶性シトレート形態Aは、全ての毒物学及び臨床研究で使用される活性物質の唯一の開発形態であった。溶解性トファシチニブシトレートはpH依存性であり、溶解度はpHの上昇と共に減少する。FDAが公開したデータから、トファシチニブシトレートの水性溶解度はpH依存性であり、低pHではより高い溶解性を有し、3.9を超えるpHでは溶解度が劇的に低下することが分かる。溶解度データは、トファシチニブシトレートの最高溶解度がpH1.2又は0.1N HCl媒体中であることを示す。pH依存性溶解度は、持続放出マトリックスからのpH依存性in vivo薬物放出をもたらし得る。薬物放出は、異なるpHを有する消化管のセグメントを通る移動の関数として変化する。これは、胃腸管内のpHが対象間で有意に変動するため、非効率的な薬物送達及び大きな対象間変動をもたらし得る。最も高いバイオアベイラビリティを提供するであろうトファシチニブシトレート胃中保持薬物送達系は、薬物活性物質が胃中で最も高い溶解度を有するので、非常に望ましい。
表49.異なるpH媒体及び水におけるトファシチニブシトレートの溶解度
【0159】
この場合、保持層及び持続放出API層を有するトファシチニブ胃中保持二層錠剤が開発される。保持層は膨潤し、胃液中に浮遊するが、API層は制御放出薬物プロファイルを提供する。この溶解結果は、胃中保持二層錠剤が延長された薬物放出プロファイルを提供することを示した。薬物放出は、API層中のヒプロメロース粘度4,000mPa・Sの濃度を変えることによって調整することができる。ヒプロメロース粘度4,000mPa・Sの量が増加すると、薬物放出が減少した。
表50.トファシチニブER錠剤11mgロット026の製剤組成物
表51.トファシチニブER二層錠剤11mgロット026の溶解データ:溶解に対するヒプロメロースの効果
【0160】
実施例6.アプレミラスト胃内滞留性ER二層錠剤の相対バイオアベイラビリティ試験。 参照OTEZLAアプレミラスト即時放出(IR)錠剤30mgに対する単回用量のアプレミラスト胃内滞留性ER二層錠剤60mgの相対バイオアベイラビリティを実施した。OTEZLA(アプレミラストIR錠剤30mg)を参照として使用した。
表52.試験生成物であるアプレミラスト胃内滞留性ER二層錠剤60mg
【0161】
剤形の調製
工程1:保持層ブレンドの調製
添加剤を秤量し、コーンミルに通す。
添加剤は、ビンブレンダー内で混合する。
これは、二層錠剤圧縮のための保持層ブレンドである。
工程2:アプレミラスト層ブレンドの調製
アプレミラスト及び顆粒内添加剤を秤量し、コーンミルに通す。
アプレミラスト及び顆粒内添加剤を混合する
アプレミラストブレンドは、ローラ圧縮又は流動床によって顆粒化する。
顆粒外添加剤を秤量し、コーンミルに通す。
顆粒外添加剤及び顆粒をビンブレンダーで混合する。
これは、二層錠剤圧縮用のアプレミラスト層ブレンドである。
工程3:二層錠剤圧縮
二層錠剤プレスは、カプセル形状のDツールを用いてセットアップする。
保持層ブレンド及びアプレミラスト層ブレンドは、それぞれ第1及び第2のホッパーに装填される。
保持層(二層錠剤の1層目)を目標重量に調整する。
二層錠剤を目標の重量及び硬度に圧縮する。
工程4コーティング
アプレミラストER錠剤をフィルムコートでコーティングする。
【0162】
この試験は、絶食及び摂食条件下でのアプレミラスト60mg徐放性錠剤(試験)の単回用量、並びに絶食条件下で12時間間隔で健康な成人対象に1日2回投与されAmgenの参照OTEZLA(登録商標)(アプレミラスト)30mg錠(参照)の単回用量の非盲検、無作為化、3回処置、3期間、6シーケンス、クロスオーバー、単回用量、相対バイオアベイラビリティ試験であった。全ての研究期間中、薬物動態分析のための血漿を提供するための血液試料を定期的な時点で採取した。試験結果を表53及び表54に示す。PKデータは、摂食条件下で、60mgの1日1回のアプレミラストER錠剤が、驚くべきことに、1日2回のOTEZLA(30mgのアプレミラスト即時放出錠剤)と同様のCmax及びAUC0-∞を有する有望なPKデータを提供したことを示した。
【0163】
米国特許第9,532,977号には、1日1回のアプレミラスト75mgERが記載されており、これは、1日2回の30mg IR錠剤と同様のCmax及びAUCのPKデータを有していた(実施例13)。1日1回の75mgERと比較して、この特許文献の剤形は、1日2回のIR錠剤(合計で60mg)の場合のように、生物学的に同等なAUCを達成するために必要なAPIが少ない(60mg以下のアプレミラスト)。したがって、この特許文献の剤形は、IR錠剤のAPIの放出のバーストに関連する有効性を達成し、潜在的な副作用を低減しながら、患者のコンプライアンスに大きな利益を提供する。
表53.PKデータ
表54.PKデータ
【0164】
本明細書に記載された発明は、特に示され説明されたものに限定されないことが当業者には理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。上記の説明は、実施形態の例示的な例を表すにすぎないことを更に理解されるべきである。説明は、全ての可能な変形を網羅的に列挙しようとするものではない。代替の実施形態は、薬物組み合わせの特定の成分又は方法の工程について提示されていなくてもよく、記載された成分の異なる組み合わせから生じてもよく、又は他の記載されていない代替の実施形態が、組み合わせ又は方法に利用可能であり得ることは、それらの代替の実施形態の権利放棄と見なされるべきではない。これらの説明されていない実施形態の多くは、以下の特許請求の範囲の文字通りの範囲内にあり、他は同等であることが理解されるであろう。
図1
図2
図3
【国際調査報告】