(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-23
(54)【発明の名称】新規の6XXXアルミニウム合金およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C22C 21/02 20060101AFI20230816BHJP
C22C 21/06 20060101ALI20230816BHJP
C22F 1/05 20060101ALI20230816BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20230816BHJP
【FI】
C22C21/02
C22C21/06
C22F1/05
C22F1/00 602
C22F1/00 623
C22F1/00 630A
C22F1/00 630K
C22F1/00 630M
C22F1/00 640A
C22F1/00 683
C22F1/00 685Z
C22F1/00 686A
C22F1/00 694B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505824
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 US2021043898
(87)【国際公開番号】W WO2022026825
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520119242
【氏名又は名称】アーコニック テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ARCONIC TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホッシュ,ティモシー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ロング,ラッセル エス.
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,エドワード エム.
(72)【発明者】
【氏名】カラビン,リネッテ エム.
(57)【要約】
新規の6xxxアルミニウム合金を開示する。一アプローチでは、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.25~0.60重量%のFe、0.8~1.2重量%のSi、0.35~1.1重量%のMg、0.05~0.8重量%のMn、最大0.30重量%のCu、最大0.35重量%のZn、最大0.15重量%のTi、各々最大0.15重量%のCr、Zr、およびVを含み得、残部は、アルミニウム、付随元素、および不純物である。新規の6xxxアルミニウム合金は、リサイクルアルミニウム合金から作製されてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
6xxxアルミニウム合金シート製品であって、
0.25~0.60重量%のFeと、
0.8~1.2重量%のSiと、
0.35~1.1重量%のMgと、
0.05~0.8重量%のMnと、
最大0.30重量%のCuと、
最大0.50重量%のZnと、
最大0.15重量%のTiと、
各々最大0.15重量%のCr、Zr、およびVと、を含み、
残部が、アルミニウム、随意の付随元素、および不純物であり、
0.5~4.0mmの厚さを有する、6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項2】
少なくとも0.27重量%のFe、または少なくとも0.30重量%のFe、または少なくとも0.33重量%のFe、または少なくとも0.36重量%のFe、または少なくとも0.39重量%、を含む、請求項2に記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項3】
0.57重量%以下のFe、または0.54重量%以下のFe、または0.51重量%以下のFe、を含む、請求項1または2に記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項4】
少なくとも0.85重量%のSi、または少なくとも0.90重量%のSi、または少なくとも0.95重量%のSi、を含む、請求項1~3のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項5】
1.15重量%以下のSi、または1.10重量%以下のSi、または1.05重量%以下のSi、を含む、請求項1~4のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項6】
少なくとも0.40重量%のMg、または少なくとも0.45重量%のMg、または少なくとも0.50重量%のMg、または少なくとも0.55重量%のMg、を含む、請求項1~5のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項7】
1.05重量%以下のMg、または1.0重量%以下のMg、または0.95重量%以下のMg、を含む、請求項1~6のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項8】
少なくとも0.08重量%のMn、または少なくとも0.10重量%のMn、または少なくとも0.12重量%のMn、または少なくとも0.15重量%のMn、または少なくとも0.18重量%のMn、または少なくとも0.20重量%のMn、または少なくとも0.25重量%のMn、または少なくとも0.30重量%のMn、または少なくとも0.33重量%のMn、または少なくとも0.35重量%のMn、または少なくとも0.38重量%のMn、または少なくとも0.40重量%のMn、を含む、請求項1~7のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項9】
0.75重量%以下のMn、または0.70重量%以下のMn、または0.65重量%以下のMn、または0.60重量%以下のMn、または0.55重量%以下のMn、または0.50重量%以下のMn、または0.45重量%以下のMn、を含む、請求項1~8のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項10】
0.25重量%以下のCu、または0.22重量%以下のCu、または0.20重量%以下のCu、または0.17重量%以下のCu、または0.15重量%以下のCu、を含む、請求項1~9のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項11】
少なくとも0.05重量%のCu、または少なくとも0.10重量%のCu、を含む、請求項1~10のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項12】
0.45重量%以下のZn、または0.40重量%以下のZn、または0.35重量%以下のZn、または0.30重量%以下のZn、または0.25重量%以下のZn、または0.20重量%以下のZn、または0.15重量%以下のZn、または0.10重量%以下のZn、または0.05重量%以下のZn、または0.03重量%以下のZn、を含む、請求項1~11のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項13】
少なくとも0.05重量%のZn、または少なくとも0.10重量%のZn、または少なくとも0.15重量%のZn、または少なくとも0.20重量%のZn、または少なくとも0.25重量%のZn、を含む、請求項1~11のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項14】
Cr、VおよびZのうちの少なくとも一つを少なくとも0.05重量%含む、請求項1~13のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項15】
0.05重量%以下のZr、または0.05重量%以下のV、またはVおよびZrの両方の0.05重量%以下、を含む、請求項1~14のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項16】
少なくとも0.02重量%のTi、または少なくとも0.04重量%のTi、を含む、請求項1~15のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項17】
0.12重量%以下のTi、または0.10重量%以下のTi、を含む、請求項1~16のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項18】
ケイ素対マグネシウムの重量比が、0.8:1~2.4:1(Si:Mg)である、請求項1~17のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項19】
前記ケイ素対マグネシウムの重量比が、少なくとも0.9:1(Si:Mg)、または少なくとも1:1(Si:Mg)、または少なくとも1.1:1(Si:Mg)、または少なくとも1.2:1(Si:Mg)、または少なくとも1.3:1(Si:Mg)、または少なくとも1.4:1(Si:Mg)、または少なくとも1.5:1(Si:Mg)、または少なくとも1.6:1(Si:Mg)である、請求項17に記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項20】
前記ケイ素対マグネシウムの重量比が、2.3:1(Si:Mg)以下、または2.2:1(Si:Mg)以下、または2.1:1(Si:Mg)以下、または2.0:1(Si:Mg)以下、または1.9:1(Si:Mg)以下、または1.8:1(Si:Mg)以下、または1.7:1(Si:Mg)以下である、請求項18または19に記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項21】
(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.35重量%であるか、または、(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.40重量%であるか、または、(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.45重量%であるか、または、(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.50重量%であるか、または、(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.55重量%であるか、または、(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.60重量%であるか、または、(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.65重量%であるか、または、(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.70重量%であるか、または、(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.75重量%であるか、または、(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.80重量%である、請求項1~20のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項22】
方法であって、
(a)請求項1~21のいずれかに記載のアルミニウム合金を、インゴットまたはストリップとして鋳造する工程と、
(b)随意に前記アルミニウム合金を均質化する工程と、
(c)前記アルミニウム合金を、中間ゲージ製品、または最終ゲージ製品に熱間圧延する工程と、
(d)随意に前記中間ゲージ製品を、前記最終ゲージ製品に冷間圧延する工程であって、
工程(c)~(d)により、前記最終ゲージ製品の厚さが0.5~4.0mmである工程と、
(e)前記最終ゲージ製品を溶体化熱処理し、次いでクエンチする工程と、
(f)随意に前記溶体化熱処理およびクエンチされた最終ゲージ製品を事前時効する工程と、
(g)前記最終ゲージ製品を自然時効し、それによってT4またはT43テンパーを実現する工程と、を含む、方法。
【請求項23】
前記最終ゲージ製品を自動車部品に形成する工程を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記自動車部品が自動車の内側フードパネルである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記最終ゲージ製品を析出硬化する工程を含む、請求項22~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記析出硬化する工程が焼付け塗装する工程を含む、請求項25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記鋳造する工程(a)が、リサイクルアルミニウム合金材料を利用して前記インゴットまたは前記ストリップを製造する工程を含む、請求項21~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記リサイクルアルミニウム合金材料が、少なくとも0.25重量%のFe、または少なくとも0.27重量%のFe、または少なくとも0.30重量%のFe、または少なくとも0.33重量%のFe、または少なくとも0.36重量%のFe、または少なくとも0.39重量%、を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記リサイクルアルミニウム合金材料が、少なくとも0.05重量%のMn、または少なくとも0.08重量%のMn、または少なくとも0.10重量%のMn、または少なくとも0.12重量%のMn、または少なくとも0.15重量%のMn、または少なくとも0.20重量%のMn、または少なくとも0.25重量%のMn、または少なくとも0.30重量%のMn、または少なくとも0.33重量%のMn、または少なくとも0.35重量%のMn、または少なくとも0.38重量%のMn、または少なくとも0.40重量%のMn、を含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記鋳造する工程(a)が、前記リサイクルアルミニウム合金材料を非リサイクルアルミニウム材料と組み合わせて溶解する工程を含み、前記鋳造する工程後に、前記インゴットまたはストリップが6xxxアルミニウム合金組成物を含む、請求項27~29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記6xxxアルミニウム合金が、7日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで135MPa以下のTYS(LT)、または7日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで130MPa以下のTYS(LT)、または7日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで125MPa以下のTYS(LT)、または7日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで120MPa以下のTYS(LT)、を実現する、請求項1~30のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金。
【請求項32】
前記6xxxアルミニウム合金が、30日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで140MPa以下のTYS(LT)、30日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで135MPa以下のTYS(LT)、または30日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで130MPa以下のTYS(LT)、または30日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで125MPa以下のTYS(LT)、を実現する、請求項1~31のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金。
【請求項33】
前記6xxxアルミニウム合金が、90日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで150MPa以下のTYS(LT)、または90日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで145MPa以下のTYS(LT)、または90日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで140MPa以下のTYS(LT)、または90日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで135MPa以下のTYS(LT)、を実現する、請求項1~32のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金。
【請求項34】
前記6xxxアルミニウム合金が、180日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで155MPa以下のTYS(LT)、または180日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで150MPa以下のTYS(LT)、または180日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで145MPa以下のTYS(LT)、または180日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで140MPa以下のTYS(LT)、または180日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで135MPa以下のTYS(LT)、を実現する、請求項1~33のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金。
【請求項35】
前記6xxxアルミニウム合金が、T4もしくはT43テンパーで少なくとも18%の総伸長(LT)、またはT4もしくはT43テンパーで少なくとも19%の総伸長(LT)、またはT4もしくはT43テンパーで少なくとも20%の総伸長(LT)、またはT4もしくはT43テンパーで少なくとも21%の総伸長(LT)、またはT4もしくはT43テンパーで少なくとも22%の総伸長(LT)、を実現する、請求項1~34のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金。
【請求項36】
前記6xxxアルミニウム合金が、30日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで、0.20以下のデルタr(Δr)、または0.18以下のデルタr(Δr)、または0.16以下のデルタr(Δr)、または0.14以下のデルタr(Δr)、または0.12以下のデルタr(Δr)、または0.10以下のデルタr(Δr)、または0.09以下のデルタr(Δr)、または0.08以下のデルタr(Δr)、または0.07以下のデルタr(Δr)、または0.06以下のデルタr(Δr)、または0.05以下のデルタr(Δr)、または0.04以下のデルタr(Δr)、または0.03以下のデルタr(Δr)、を実現する、請求項1~35のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金。
【請求項37】
前記6xxxアルミニウム合金が、ASTM E646に従って試験された場合、180日間の自然時効でLT方向でT4もしくはT43テンパーで、少なくとも0.265のn(4~6%)値、または少なくとも0.267のn(4~6%)値、または少なくとも0.270のn(4~6%)値、または少なくとも0.271のn(4~6%)値、または少なくとも0.272のn(4~6%)値、または少なくとも0.273のn(4~6%)値、または少なくとも0.274のn(4~6%)値、または少なくとも0.275のn(4~6%)値、または少なくとも0.276のn(4~6%)値、または少なくとも0.277のn(4~6%)値、または少なくとも0.278のn(4~6%)値、または少なくとも0.279のn(4~6%)値、を実現する請求項1~36のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金。
【請求項38】
前記6xxxアルミニウム合金が、予歪なしでT4もしくはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも180MPaのTYS(LT)を実現し、前記焼付け塗装は365°Fで20分間の人工時効処理を含み、または少なくとも185MPaのTYS(LT)、または少なくとも190MPaのTYS(LT)、少なくとも195MPaのTYS(LT)、少なくとも200MPaのTYS(LT)、または少なくとも205MPaのTYS(LT)、少なくとも210MPaのTYS(LT)、少なくとも215のTYS(LT)、を実現する、請求項1~37のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金。
【請求項39】
前記6xxxアルミニウム合金が、2%の予歪でT4もしくはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも230MPaのTYS(LT)を実現し、前記焼付け塗装は365°Fで20分間の人工時効処理を含み、または少なくとも235MPaのTYS(LT)、または少なくとも240MPaのTYS(LT)、または少なくとも245MPaのTYS(LT)、少なくとも250MPaのTYS(LT)、または少なくとも255MPaのTYS(LT)、少なくとも260MPaのTYS(LT)、少なくとも265MPaのTYS(LT)、または少なくとも270MPaのTYS(LT)、を実現する、請求項1~38のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金。
【請求項40】
前記6xxxアルミニウム合金が、予歪なしでT4もしくはT43テンパー材料を焼付け塗装した後、少なくとも15%の総伸長(LT)を実現し、前記焼付け塗装は365°Fで20分間の人工時効処理を含み、または少なくとも16%の総伸長(LT)、または少なくとも17%の総伸長(LT)、少なくとも18%の総伸長(LT)、少なくとも19%の総伸長(LT)と、少なくとも20%の総伸長(LT)、少なくとも21%の総伸長(LT)、を実現する、請求項1~39のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金。
【請求項41】
前記6xxxアルミニウム合金が、2%の予歪でT43テンパー材料を焼付け塗装した後、少なくとも13%の総伸長を実現し、前記焼付け塗装は365°Fで20分間の人工時効処理を含み、または少なくとも14%の総伸長、または少なくとも15%の総伸長、少なくとも16%の総伸長、または少なくとも17%の総伸長、少なくとも18%の総伸長、を実現する、請求項1~40のいずれかに記載の6xxxアルミニウム合金。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
アルミニウム合金は、純粋なアルミニウムの特性を増強するために、主にその強度を高めるために、他の元素を純粋なアルミニウムに添加した化学組成物である。これら他の元素には、鉄、ケイ素、銅、マグネシウム、マンガン、および亜鉛が、組み合わされて合金の15重量パーセントを構成し得るレベルで、含まれる。鍛造アルミニウム合金には、四桁の番号が割り当てられており、一桁目は、その主な合金元素によって特徴付けられる、一般分類または系を識別する。https://www.aluminum.org/resources/industry-standards/aluminum-alloys-101を参照。
【発明の概要】
【0002】
概ね、本特許出願は、新規の6xxxアルミニウム合金、およびその製造方法に関する。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.25~0.60重量%のFe、0.8~1.2重量%のSi、0.35~1.1重量%のMg、0.05~0.8重量%のMn、最大0.30重量%のCu、最大0.50重量%のZn、最大0.15重量%のTi、各々最大0.15重量%のCr、Zr、およびVを含み、残部は、アルミニウム、付随元素、および不純物である。新規の6xxxアルミニウム合金製品は、一つ以上のリサイクル材料(例えば、リサイクルアルミニウム合金)から製造されてもよく、コスト効率が良くなる。新規の6xxxアルミニウム合金製品は、例えば、使用される化学組成物に起因して、特性の効果的な組み合わせを達成し得る。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、シート製品の形態である。新規の6xxxアルミニウム合金シート製品は、例えば、自動車の内側フードまたはドアパネルとしての使用など、自動車用途に有用であり得る。
【0003】
I.組成物
上述の通り、新規の6xxxアルミニウム合金は概して0.25~0.60重量%のFeを含む。高い鉄含有量は、新規の6xxxアルミニウム合金シート製品の製造におけるリサイクル材料の使用を容易にする。驚くべきことに、高い鉄含有量は機械的特性を著しく損なわないことが予想され、見出されてきた。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.27重量%のFeを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.30重量%のFeを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.33重量%のFeを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.36重量%のFeを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.39重量%のFeを含む。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.57重量%以下のFeを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.54重量%以下のFeを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.51重量%以下のFeを含む。
【0004】
述べたように、新規の6xxxアルミニウム合金は概して0.8~1.2重量%のSiと、0.35~1.1重量%のMgを含む。マグネシウムとケイ素の組み合わせは、強化析出物Mg2Siの生成を促進する。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.85重量%のSiを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.90重量%のSiを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.95重量%のSiを含む。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、1.15重量%以下のSiを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、1.10重量%以下のSiを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、1.05重量%以下のSiを含む。
【0005】
一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.40重量%のMgを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.45重量%のMgを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.50重量%のMgを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.55重量%のMgを含む。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、1.05重量%以下のMgを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、1.0重量%以下のMgを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.95重量%以下のMgを含む。
【0006】
一アプローチでは、新規の6xxxアルミニウム合金は、(例えば、適切な量のMg2Si析出物を促進するために)0.8:1~2.4:1(Si:Mg)の範囲のケイ素対マグネシウムの重量比を含む。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.9:1(Si:Mg)のケイ素対マグネシウムの重量比を含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも1:1(Si:Mg)のケイ素対マグネシウムの重量比を含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも1.1:1(Si:Mg)のケイ素対マグネシウムの重量比を含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも1.2:1(Si:Mg)のケイ素対マグネシウムの重量比を含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも1.3:1(Si:Mg)のケイ素対マグネシウムの重量比を含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも1.4:1(Si:Mg)のケイ素対マグネシウムの重量比を含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも1.5:1(Si:Mg)のケイ素対マグネシウムの重量比を含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも1.6:1(Si:Mg)のケイ素対マグネシウムの重量比を含む。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、2.3:1(Si:Mg)以下のケイ素対マグネシウムの重量比を含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、2.2:1(Si:Mg)以下のケイ素対マグネシウムの重量比を含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、2.1:1(Si:Mg)以下のケイ素対マグネシウムの重量比を含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、2.0:1(Si:Mg)以下のケイ素対マグネシウムの重量比を含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、1.9:1(Si:Mg)以下のケイ素対マグネシウムの重量比を含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、1.8:1(Si:Mg)以下のケイ素対マグネシウムの重量比を含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、1.7:1(Si:Mg)以下のケイ素対マグネシウムの重量比を含む。
【0007】
上述の通り、新規の6xxxアルミニウム合金は概して0.05~0.8重量%のMnを含む。マンガンは、例えば適切な結晶粒組織制御を促進することができる。しかしながら、過剰なマンガンは、伸長特性および破壊特性に有害に影響を及ぼす可能性がある。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.08重量%のMnを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.10重量%のMnを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.12重量%のMnを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.15重量%のMnを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.18重量%のMnを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.20重量%のMnを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.25重量%のMnを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.30重量%のMnを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.33重量%のMnを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.35重量%のMnを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.38重量%のMnを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.40重量%のMnを含む。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.75重量%以下のMnを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.70重量%以下のMnを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.65重量%以下のMnを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.60重量%以下のMnを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.55重量%以下のMnを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.50重量%以下のMnを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.45重量%以下のMnを含む。
【0008】
また、驚くべきことに、高いレベルのマンガンおよび鉄の両方が、新規の6xxxアルミニウム合金において許容され得ることが見出されてきた。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.35重量%の鉄+マンガン、すなわち(重量%のFe)+(重量%のMn)≧0.35重量%、を含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.40重量%の鉄+マンガン、すなわち(重量%のFe)+(重量%のMn)≧0.40重量%、を含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.45重量%の鉄+マンガン、すなわち(重量%のFe)+(重量%のMn)≧0.45重量%、を含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.50重量%の鉄+マンガン、すなわち(重量%のFe)+(重量%のMn)≧0.50重量%、を含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.55重量%の鉄+マンガン、すなわち(重量%のFe)+(重量%のMn)≧0.55重量%、を含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.60重量%の鉄+マンガン、すなわち(重量%のFe)+(重量%のMn)≧0.60重量%、を含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.65重量%の鉄+マンガン、すなわち(重量%のFe)+(重量%のMn)≧0.65重量%、を含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.70重量%の鉄+マンガン、すなわち(重量%のFe)+(重量%のMn)≧0.70重量%、を含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.75重量%の鉄+マンガン、すなわち(重量%のFe)+(重量%のMn)≧0.75重量%、を含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.80重量%の鉄+マンガン、すなわち(重量%のFe)+(重量%のMn)≧0.80重量%、を含む。
【0009】
上述の通り、新規の6xxxアルミニウム合金は概して最大0.30重量%のCuを含む。過剰な銅は、例えば、耐食性に悪影響を、および/または新規の6xxxアルミニウム合金でリサイクル材料を使用する能力に影響を及ぼし得る。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.25重量%以下のCuを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.22重量%以下のCuを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.20重量%以下のCuを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.17重量%以下のCuを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.15重量%以下のCuを含む。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.05重量%のCuを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.10重量%のCuを含む。
【0010】
上述の通り、新規の6xxxアルミニウム合金は、最大0.50重量%のZnを含み得る。過剰な亜鉛は、例えば、耐食性に悪影響を、および/または新規の6xxxアルミニウム合金でリサイクル材料を使用する能力に影響を及ぼし得る。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.45重量%以下のZnを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.40重量%以下のZnを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.35重量%以下のZnを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.30重量%以下のZnを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.25重量%以下のZnを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.20重量%以下のZnを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.15重量%以下のZnを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.10重量%以下のZnを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.05重量%以下のZnを含む。さらに別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.03重量%以下のZnを含む。いくつかの実施形態では、亜鉛は意図的に使用され得る。これらの実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は概して、少なくとも0.05重量%のZn、例えば少なくとも0.10重量%のZn、または少なくとも0.15重量%のZn、または少なくとも0.20重量%のZnを含む。
【0011】
上述のように、新規の6xxxアルミニウム合金は、Cr、ZrおよびVのそれぞれを最大0.15重量%含み得る。これらの元素は、例えば結晶粒組織制御を促進することができる。一実施形態では、Cr、Zr、およびVのうちの少なくとも一つは、新規の6xxxアルミニウム合金に含まれ、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.05重量%のCr、VおよびZのうちの少なくとも一つを含む。いくつかの実施形態では、クロムを優先してジルコニウムおよび/またはバナジウムを制限することが好ましい。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.05重量%以下のZr、または0.03重量%以下のZrを含む。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.05重量%以下のV、または0.03重量%以下のVを含む。一実施形態では、アルミニウム合金は、実質的にクロムを含まず、0.04重量%未満のCrを含む。
【0012】
上述の通り、新規の6xxxアルミニウム合金は、最大0.15重量%のTiを含み得る。チタンは、例えば結晶粒微細化を促進し得る。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.02重量%のTiを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、少なくとも0.04重量%のTiを含む。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.12重量%以下のTiを含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、0.10重量%以下のTiを含む。
【0013】
上述のように、新規の6xxxアルミニウム合金は、概して、記載される合金成分を含み、残部は、アルミニウム、随意の付随元素、および不純物である。本明細書で使用される場合、「付随元素」とは、上に列挙された元素以外の、随意に合金に添加して合金の製造を補助することができる元素または材料を意味する。付随元素の例としては、結晶粒微細化剤および脱酸化剤などの鋳造助剤が挙げられる。任意選択の付随元素は、最大1.0重量%の累積量で合金中に含まれ得る。一つの非限定的な例として、例えば、酸化物層(oxide fold)、ピット、および酸化物パッチによる、インゴットのひび割れを低減または制限する(および一部の例において排除する)ために、鋳造中に一つ以上の付随元素を合金に添加することができる。これらのタイプの付随元素は、概して、本明細書では脱酸化剤と称する。一部の脱酸化剤の例としては、Ca、Sr、およびBeが挙げられる。カルシウム(Ca)が合金中に含まれる場合、カルシウム(Ca)は、概して、最大約0.05重量%、または最大約0.03重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、Caは、0.001~0.008重量%(または10~80ppm)など、約0.001~0.03重量%または約0.05重量%の量で合金中に含まれる。ストロンチウム(Sr)を、Caの代用として(全体的または部分的に)合金中に含めることができ、ひいては、Caと同じまたは同様の量で合金中に含めることができる。従来、ベリリウム(Be)の添加は、インゴットのひび割れの傾向を低減するのに役立ったが、環境、健康、および安全上の理由から、合金のいくつかの実施形態は、実質的にBeを含まない。Beが合金中に含まれる場合、概して、最大約20ppmの量で存在する。付随元素は、わずかな量で存在し得るか、または有意な量で存在し得、また合金が本明細書に記載の望ましい特性を保持する限り、本明細書に記載の合金から逸脱することなく、付随元素自体で望ましいまたは他の特性を加え得る。しかしながら、本明細書において所望されるおよび獲得される特性の組み合わせに別段に影響を及ぼさないであろう数量の元素が単に添加されることでは、本開示の範囲は回避されるべきではない/回避され得ないことが理解されるべきである。
【0014】
新規の6xxxアルミニウム合金は、少量の不純物を含有し得る。一実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、合計で0.15重量%以下の不純物を含み、該アルミニウム合金は、各々が0.05重量%以下の不純物を含む。別の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、合計で0.10重量%以下の不純物を含み、該アルミニウム合金は、各々が0.03重量%以下の不純物を含む。
【0015】
新規の6xxxアルミニウム合金は、概して実質的にリチウムを含まない、すなわち、リチウムは不純物としてのみ含まれ、概して0.04重量%未満のLi、または0.01重量%未満のLiで含まれる。新規の6xxxアルミニウム合金は、概して実質的に銀を含まない、すなわち、銀は不純物としてのみ含まれ、概して0.04重量%未満のAg、または0.01重量%未満のAgで含まれる。新規の6xxxアルミニウム合金は、概して実質的に鉛を含まない、すなわち、鉛は不純物としてのみ含まれ、概して0.04重量%未満のPb、または0.01重量%未満のPbで含まれる。新規の6xxxアルミニウム合金は、概して実質的にカドミウムを含まない、すなわち、カドミウムは不純物としてのみ含まれ、概して0.04重量%未満のCd、または0.01重量%未満のCdで含まれる。新規の6xxxアルミニウム合金は、概して実質的にタリウムを含まない、すなわち、タリウムは不純物としてのみ含まれ、概して0.04重量%未満のTl、または0.01重量%未満のTlで含まれる。新規の6xxxアルミニウム合金は、概して実質的にスカンジウムを含まない、すなわち、スカンジウムは不純物としてのみ含まれ、概して0.04重量%未満のSc、または0.01重量%未満のScで含まれる。新規の6xxxアルミニウム合金は、概して実質的にニッケルを含まない、すなわち、ニッケルは不純物としてのみ含まれ、概して0.04重量%未満のNi、または0.01重量%未満のNiで含まれる。
【0016】
II.製造方法
新規の6xxxアルミニウム合金シート製品は、インゴット/ビレットまたはストリップに鋳造(例えば、ダイレクトチル鋳造または連続的鋳造)することによって加工されてもよい。一実施形態では、方法は、上記セクションIに記載されるアルミニウム合金のいずれかのインゴットを鋳造し、その後、均質化、皮削加工、旋盤加工、または剥離加工(必要な場合)することを含む。鋳造後、インゴット/ストリップを、最終または中間ゲージ製品に加工(熱間および/または冷間加工)してもよい。加工後、新規のアルミニウム合金を、ANSI H35.1(2009)に従って、Tテンパー、Wテンパー、またはFテンパーのうちの一つに加工処理してもよい。一実施形態では、新規のアルミニウム合金は、「Tテンパー」に加工処理される(熱処理される)。これに関して、新規のアルミニウム合金を、ANSI H35.1(2009)に従って、T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8、T9、またはT10テンパーのいずれかに加工処理することができる。
【0017】
一実施形態では、方法は、セクションIに記載されるアルミニウム合金のいずれかのインゴットまたはストリップを鋳造し、その後、アルミニウム合金を中間ゲージ製品または最終ゲージ製品へ熱間圧延することを含み得る。熱間圧延が中間ゲージ製品をもたらした場合、製品を最終ゲージまで冷間圧延してもよい。一実施形態では、最終ゲージシート製品の厚さは0.5~4.0mmである。次いで、最終ゲージ製品は、溶体化熱処理されてもよく、その後、クエンチされてもよい(例えば、水クエンチ、空気クエンチ)。次に、最終ゲージ製品は自然時効されてもよく、それによってT4テンパーが実現されてもよい。あるいは、溶体化熱処理およびクエンチした後、最終ゲージ製品は、事前時効されてもよく(例えば、180°Fで8時間)、その後、室温で自然時効によって安定化され、それによってT43テンパーが実現されてもよい。一実施形態では、最終ゲージ製品は、自動車部品に形成される。一実施形態では、形成された自動車部品は、自動車の内側ドアパネルである。一実施形態では、方法は、最終ゲージ製品の析出硬化を含み得る。一実施形態では、析出硬化は、形成工程の後である。一実施形態では、析出硬化は、最終ゲージ製品の焼付け塗装を含む。
【0018】
他の実施形態では、新規の6xxxアルミニウム合金は、プレート、押出物、または鍛造物のうちの一つなど、別の展伸製品の形態に加工される。こうした展伸製品はまた、とりわけ、T4、T43およびT6テンパーを含む、上述のTテンパーのいずれかなどのTテンパーに加工されてもよく、任意の適切な形状および厚さであってもよい。
【0019】
上述のように、リサイクル材料を使用して、6xxxアルミニウム合金を製造してもよい。リサイクル材料は、例えば、スクラップおよび/または回収された以前に使用したアルミニウム合金などの、スクラップアルミニウム合金であってもよい。いくつかの非限定的な例として、リサイクル材料は、飲料缶、ろう材、自動車、または産業用途からのアルミニウム合金であってもよい。一実施形態では、リサイクル材料は、6xxxアルミニウム合金ではない。すなわち、リサイクル材料は、6xxxアルミニウム合金の組成物とは異なる組成物である。例えば、リサイクル材料が飲料缶由来であるとき、リサイクル材料は、例えば、3xxxまたは4xxxのアルミニウム合金であってもよい。リサイクル材料がろう材由来であるとき、リサイクル材料は、例えば、3xxx、4xxx、または5xxxのアルミニウム合金であってもよい。リサイクル材料が自動車用途由来であるとき、リサイクル材料は、例えば、5xxx、または7xxxのアルミニウム合金であってもよい。他の実施形態では、リサイクル材料は、6xxxアルミニウム合金組成物を有する(例えば、自動車、ろう付けおよび/または航空宇宙用途からの)。
【0020】
一実施形態では、方法は、リサイクルアルミニウム合金材料を利用して、インゴット/ビレットまたはストリップを製造することを含む。例えば、リサイクル材料を、非リサイクルアルミニウム材料(例えば、アルミニウムプライムや、ケイ素、マグネシウム、銅および/または亜鉛などの高純度金属)と共に、溶解炉に添加してもよい。リサイクルおよび非リサイクル材料を使用して鋳造した後、インゴット/ビレットまたはストリップは、上記のセクションIに記載される6xxxアルミニウム合金のいずれかなどの6xxxアルミニウム合金組成物を実現する。
【0021】
上述のように、リサイクル材料は、高い鉄および/またはマンガン含有量を有し得る。一実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.25重量%のFeを有するアルミニウム合金である。別の実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.27重量%のFeを有するアルミニウム合金である。さらに別の実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.30重量%のFeを有するアルミニウム合金である。別の実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.33重量%のFeを有するアルミニウム合金である。さらに別の実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.36重量%のFeを有するアルミニウム合金である。別の実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.39重量%のFeを有するアルミニウム合金である。
【0022】
一実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.05重量%のMnを有するアルミニウム合金である。別の実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.08重量%のMnを有するアルミニウム合金である。さらに別の実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.10重量%のMnを有するアルミニウム合金である。別の実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.12重量%のMnを有するアルミニウム合金である。さらに別の実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.15重量%のMnを有するアルミニウム合金である。別の実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.20重量%のMnを有するアルミニウム合金である。さらに別の実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.25重量%のMnを有するアルミニウム合金である。別の実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.30重量%のMnを有するアルミニウム合金である。さらに別の実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.33重量%のMnを有するアルミニウム合金である。別の実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.35重量%のMnを有するアルミニウム合金である。さらに別の実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.38重量%のMnを有するアルミニウム合金である。別の実施形態では、リサイクル材料は、少なくとも0.40重量%のMnを有するアルミニウム合金である。
【0023】
III.特性
上述の通り、新規のアルミニウム合金は、とりわけ、成形性、強度、延性、耐食性、溶接性、および破壊靭性のうちの二つ以上の組み合わせの改善などの、特性の組み合わせの改善を実現し得る。
【0024】
<i.T4またはT43の特性>
一実施形態では、新規のアルミニウム合金は、T4またはT43テンパーで215MPa以下の極限引張強度(標準)(「UTS」)を実現する。T4またはT43テンパーの高強度は、新規の6xxxアルミニウム合金シート製品を適切に形成する能力に悪影響を与え得る。一実施形態では、新規のアルミニウム合金は、T4またはT43テンパーで100~155MPaの引張降伏強度(標準)(「TYS」)を実現する。一実施形態では、新規のアルミニウム合金は、T4またはT43テンパーで15~27%の総伸長(標準)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、T4またはT43テンパーで15~23%の伸長(標準)を実現する。上記強度および伸長値は、長手方向(L)、長手横断方向(LT)および/または45°方向で達成され得る。
【0025】
一実施形態では、新規のアルミニウム合金は、7日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで135MPa以下のTYS(LT)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、7日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで130MPa以下のTYS(LT)を実現する。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、7日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで125MPa以下のTYS(LT)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、7日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで120MPa以下のTYS(LT)を実現する。
【0026】
一実施形態では、新規のアルミニウム合金は、30日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで140MPa以下のTYS(LT)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、30日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで135MPa以下のTYS(LT)を実現する。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、30日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで130MPa以下のTYS(LT)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、30日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで125MPa以下のTYS(LT)を実現する。
【0027】
一実施形態では、新規のアルミニウム合金は、90日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで150MPa以下のTYS(LT)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、90日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで145MPa以下のTYS(LT)を実現する。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、90日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで140MPa以下のTYS(LT)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、90日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで135MPa以下のTYS(LT)を実現する。
【0028】
一実施形態では、新規のアルミニウム合金は、180日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで155MPa以下のTYS(LT)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、180日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで150MPa以下のTYS(LT)を実現する。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、180日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで145MPa以下のTYS(LT)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、180日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで140MPa以下のTYS(LT)を実現する。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、180日間の自然時効で、T4またはT43テンパーで135MPa以下のTYS(LT)を実現する。
【0029】
一実施形態では、新規のアルミニウム合金は、T4またはT43テンパーで少なくとも18%の総伸長(LT)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、T4またはT43テンパーで少なくとも19%の総伸長(LT)を実現する。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、T4またはT43テンパーで少なくとも20%の総伸長(LT)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、T4またはT43テンパーで少なくとも21%の総伸長(LT)を実現する。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、T4またはT43テンパーで少なくとも22%の総伸長(LT)を実現する。上記されたT4またはT43の総伸長(LT)レベルは、7日、30日、90日、または180日の自然時効のいずれかで実現され得る。
【0030】
一アプローチでは、T4またはT43テンパーでの新規のアルミニウム合金は、30日間の自然時効で0.20以下のデルタr(Δr)を実現し、デルタrは、以下のように、L、LTおよび45°の「10%でのr」値から計算される。絶対値[(r_L+r_LT-2*r_45)/2]、式中、r_LはL方向の「10%でのr」値であり、r_LTはLT方向の「10%でのr」値であり、r_45は45°方向の「10%でのr」値である。低いデルタr値が好ましく、等方的形成特性を示す。「10%でのr」値は、厚さ方向の真歪に対する幅方向の真歪の比率として決定される。計算方法は、ASTM E517に提供されている。一実施形態では、新規のアルミニウム合金は、0.18以下のデルタr(Δr)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、0.16以下のデルタr(Δr)を実現する。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、0.14以下のデルタr(Δr)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、0.12以下のデルタr(Δr)を実現する。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、0.10以下のデルタr(Δr)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、0.09以下のデルタr(Δr)を実現する。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、0.08以下のデルタr(Δr)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、0.07以下のデルタr(Δr)を実現する。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、0.06以下のデルタr(Δr)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、0.05以下のデルタr(Δr)を実現する。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、0.04以下のデルタr(Δr)を実現する。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、0.03以下のデルタr(Δr)を実現する。
【0031】
一アプローチでは、T4またはT43テンパーでの新規のアルミニウム合金は、ASTM E646に従って試験された場合、少なくとも0.265のn(4~6%)値を実現する。「n値(4~6%)」は、4~6%伸長の応力歪み曲線のプラスチック部分の勾配として決定される。計算方法は、ASTM E646に提供されている。高いn値は、材料が形成操作中により均一にひずみを分散させることができ、それゆえに、ネッキング前にさらに伸び得ることを示し、これは成形性を改善する。一実施形態では、T4またはT43テンパーでの新規のアルミニウム合金は、ASTM E646に従って試験された場合、少なくとも0.267のn(4~6%)値を実現する。別の実施形態では、T4またはT43テンパーでの新規のアルミニウム合金は、ASTM E646に従って試験された場合、少なくとも0.270のn(4~6%)値を実現する。さらに別の実施形態では、T4またはT43テンパーでの新規のアルミニウム合金は、ASTM E646に従って試験された場合、少なくとも0.271のn(4~6%)値を実現する。別の実施形態では、T4またはT43テンパーでの新規のアルミニウム合金は、ASTM E646に従って試験された場合、少なくとも0.272のn(4~6%)値を実現する。さらに別の実施形態では、T4またはT43テンパーでの新規のアルミニウム合金は、ASTM E646に従って試験された場合、少なくとも0.273のn(4~6%)値を実現する。さらに別の実施形態では、T4またはT43テンパーでの新規のアルミニウム合金は、ASTM E646に従って試験された場合、少なくとも0.274のn(4~6%)値を実現する。別の実施形態では、T4またはT43テンパーでの新規のアルミニウム合金は、ASTM E646に従って試験された場合、少なくとも0.275のn(4~6%)値を実現する。さらに別の実施形態では、T4またはT43テンパーでの新規のアルミニウム合金は、ASTM E646に従って試験された場合、少なくとも0.276のn(4~6%)値を実現する。別の実施形態では、T4またはT43テンパーでの新規のアルミニウム合金は、ASTM E646に従って試験された場合、少なくとも0.277のn(4~6%)値を実現する。さらに別の実施形態では、T4またはT43テンパーでの新規のアルミニウム合金は、ASTM E646に従って試験された場合、少なくとも0.278のn(4~6%)値を実現する。別の実施形態では、T4またはT43テンパーでの新規のアルミニウム合金は、ASTM E646に従って試験された場合、少なくとも0.279のn(4~6%)値を実現する。
【0032】
<ii.焼付け塗装後の特性>
製品は概して、焼付け塗装前に既に形成されているので、焼付け塗装後に高強度が望ましく、また高強度のアルミニウム合金材料が、その最終形成物で望ましい。高伸長もまた望ましい。
【0033】
一アプローチでは、新規のアルミニウム合金は、予歪なしで(すなわち、0%のプレストレッチ)、T4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも180MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。製品は概して、焼付け塗装前に既に形成されているので、焼付け塗装後に高強度が望ましく、また高強度のアルミニウム合金材料が、その最終形成物で望ましい。一実施形態では、新規のアルミニウム合金は、予歪なしで(すなわち、0%のプレストレッチ)、T4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも185MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、予歪なしで(すなわち、0%のプレストレッチ)、T4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも190MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、予歪なしで(すなわち、0%のプレストレッチ)、T4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも195MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、予歪なしで(すなわち、0%のプレストレッチ)、T4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも200MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、予歪なしで(すなわち、0%のプレストレッチ)、T4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも205MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、予歪なしで(すなわち、0%のプレストレッチ)、T4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも210MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、予歪なしで(すなわち、0%のプレストレッチ)、T4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも215MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。上記された焼付け塗装TYS(LT)レベルは、7日、30日、90日、または180日の自然時効のいずれかで実現され得る。
【0034】
一実施形態では、新規のアルミニウム合金は、2%の予歪(すなわち、2%のプレストレッチ)でT4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも230MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、2%の予歪(すなわち、2%のプレストレッチ)でT4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも235MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、2%の予歪(すなわち、2%のプレストレッチ)でT4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも240MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、2%の予歪(すなわち、2%のプレストレッチ)でT4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも245MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、2%の予歪(すなわち、2%のプレストレッチ)でT4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも250MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、2%の予歪(すなわち、2%のプレストレッチ)でT4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも255MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、2%の予歪(すなわち、2%のプレストレッチ)でT4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも260MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、2%の予歪(すなわち、2%のプレストレッチ)でT4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも265MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、2%の予歪(すなわち、2%のプレストレッチ)でT4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも270MPaのTYS(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。上記された焼付け塗装TYS(LT)レベルは、7日、30日、90日、または180日の自然時効のいずれかで実現され得る。
【0035】
一実施形態では、新規のアルミニウム合金は、予歪なしで(すなわち、0%のプレストレッチ)、T4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも15%の総伸長(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、予歪なしで(すなわち、0%のプレストレッチ)、T4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも16%の総伸長(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、予歪なしで(すなわち、0%のプレストレッチ)、T4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも17%の総伸長(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、予歪なしで(すなわち、0%のプレストレッチ)、T4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも18%の総伸長(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、予歪なしで(すなわち、0%のプレストレッチ)、T4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも19%の総伸長(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、予歪なしで(すなわち、0%のプレストレッチ)、T4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも20%の総伸長(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、予歪なしで(すなわち、0%のプレストレッチ)、T4またはT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも21%の総伸長(LT)を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。述べられた焼付け塗装総伸長(LT)レベルは、7日、30日、90日、または180日の自然時効のいずれかで実現され得る。
【0036】
一実施形態では、新規のアルミニウム合金は、2%の予歪(すなわち、2%のプレストレッチ)でT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも13%の総伸長を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、2%の予歪(すなわち、2%のプレストレッチ)でT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも14%の総伸長を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。さらに別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、2%の予歪(すなわち、2%のプレストレッチ)でT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも15%の総伸長を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、2%の予歪(すなわち、2%のプレストレッチ)でT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも16%の総伸長を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、2%の予歪(すなわち、2%のプレストレッチ)でT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも17%の総伸長を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。別の実施形態では、新規のアルミニウム合金は、2%の予歪(すなわち、2%のプレストレッチ)でT43テンパー材料を焼付け塗装した後に、少なくとも18%の総伸長を実現し、焼付け塗装は、365°Fで20分間の人工時効処理を含む。述べられた焼付け塗装総伸長(LT)レベルは、7日、30日、90日、または180日の自然時効のいずれかで実現され得る。
【0037】
IV.製品用途
本明細書に記載の新規のアルミニウム合金は、例えば、自動車および/または産業用途などの様々な製品用途に使用され得る。例えば、新規の合金は、自動車の内側フードまたはドアパネルとして使用され得る。シート製品とは別に、本明細書に記載の新規のアルミニウム合金はまた、プレート、押出および/または鍛造製品形態など、他の展伸製品形態での使用も見い出すことができる。
【0038】
V.定義
「展伸アルミニウム合金製品」とは、鋳造後に熱間加工されるアルミニウム合金製品を意味し、圧延製品(シートまたはプレート)、鍛造製品、および押出製品を含む。
【0039】
「熱間加工」とは、アルミニウム合金製品を高温、概して少なくとも250°Fで加工することを意味する。歪硬化は、熱間加工中に制限/回避され、概して熱間加工と冷間加工とを区別する。
【0040】
「冷間加工」とは、熱間加工温度とはみなされない温度、概して約250°F未満で(例えば、周囲温度で)、アルミニウム合金製品を加工することを意味する。
【0041】
強度および伸長は、ASTM E8およびB557に従って測定される。
【0042】
テンパーの定義は、アルミニウム協会が発表した“American National Standard Alloy and Temper Designation Systems for Aluminum”と題するANSI H35.1 (2009)による。
【0043】
「T43テンパー」は、特別なT4テンパーであり、溶体化熱処理およびクエンチ後、材料は、室温での自然時効によって安定化される前に、事前時効される(例えば、180°Fで8時間)。
【0044】
VI.種々の事項
この新規技術の、これらおよび他の態様、利点、ならびに新規の特徴は、以下の説明によって部分的に記載され、以下の説明および図面の考察により当業者に明らかであり、または本開示によって提供される技術の一つ以上の実施形態を実施することによって学習され得る。
【0045】
図は、本明細書の一部を構成し、本開示の例示的な実施形態を含み、様々な対象物およびその特徴を例示する。加えて、図に示される任意の測定値、仕様等は、例示的であり、限定的ではないことを意図する。従って、本明細書に開示される特定の構造的および機能的詳細は、限定として解釈されるべきではなく、本発明を様々に用いることを当業者に教示するための単に代表的な根拠として解釈されるべきである。
【0046】
開示された利点および改良点の中で、本発明の他の目的および利点は、添付図面と共に以下の説明から明らかになるであろう。本発明の詳細な実施形態は、本明細書に開示されているが、しかしながら、開示された実施形態は、様々な形態で具現化され得る本発明を単に例示するものであることを理解されたい。さらに、本発明の様々な実施形態に関連して掲げる各実施例は、例示として、また限定的ではないことを意図する。
【0047】
明細書および特許請求の範囲全体を通して、以下の語は、文脈において別段の明らかな指示がない限り、本明細書に明確に関連する意味を取る。本明細書で使用される「一実施形態では」および「いくつかの実施形態では」という句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らないが、そうである場合もある。さらに、本明細書で使用する「別の実施形態では」および「いくつかの他の実施形態では」という句は、必ずしも異なる実施形態を指すとは限らないが、そうである場合もある。したがって、本発明の様々な実施形態は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、容易に組み合わせてもよい。
【0048】
加えて、本明細書で使用される場合、「または」の語は包括的な「or(または)」の機能語であり、文脈において別段の明らかな指示がない限り、「および/または」の語と同等である。「に基づく」という語は、排他的ではなく、文脈において別段の明らかな指示がない限り、記述されていない追加的な要素に基づくことができる。さらに、本明細書全体を通して、「a(一つの)」、「an(一つの)」、および「the(その)」は、文脈において別段の明らかな指示がない限り、複数形の意味を含む。「in」という意味は、文脈において別段の明らかな指示がない限り、「in」および「on」を含む。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】
図1は、様々な条件下での実施例1の合金の引張降伏強度および総伸長特性を示すグラフである。
【
図2】
図2は、様々な条件下での実施例1の合金の引張降伏強度および総伸長特性を示すグラフである。
【0050】
【
図3】
図3は、T43テンパーでの実施例1の合金の引張降伏強度およびVDA曲げ結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
<実施例1>
【0052】
表1に示すアルミニウム合金の九つのパイロットスケールのインゴットは、従来通りに皮削加工/剥離加工され、次いで均質化された。
【表1】
次に、インゴットを3.53mm(0.135インチ)に熱間圧延し、その後、約70%まで冷間圧延し(中間アニールなし)、最終ゲージの1.02mm(0.040インチ)にした。次いで、最終ゲージ材料を溶体化熱処理し、空気クエンチして、次いでT43テンパーに加工した。合金の機械的特性を、7、30、90および180日での自然時効後に評価し、その結果を以下の表2~3および5~6に示す。30日間の自然時効でのデルタr特性(Δr)も計算され、その結果を以下の表4に示し、デルタrは、上で説明したように、L、LTおよび45°の「10でのr」値から計算される。低いデルタr値が好ましく、それは材料がより等方性であることを意味する。
【0053】
強度および伸長は、ASTM E8およびB557に従って測定される。「n値(4~6%)」は、4~6%伸長の応力歪み曲線のプラスチック部分の勾配として決定される。計算方法は、ASTM E646に提供されている。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0054】
材料の焼付け塗装応答も評価された。具体的には、(以下の表に示すように)様々な自然時効の日数で、合金の試験片を、(i)365°F(185°C)で20分間浸漬した(プレストレッチなし)(すなわち、「0% PS+365°F/20分」)、または(ii)2%のプレストレッチを付与し、次いで、365°Fで20分間浸漬した(すなわち、「2% PS+365°F/20分」)。次に、同じ機械的特性を測定し、その結果を以下の表7~11に示す。
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【0055】
示されるように、発明合金XA25~XA28、XA30、およびXA32は、著しく高い鉄および/またはマンガンレベルを含有するという事実にもかかわらず、対照合金XA66に非常に近い引張特性を実現する。例えば、
図1~2に示すように、T43テンパーで、および2%のプレストレッチで焼付け塗装をシミュレーションされた後、発明合金は、XA66ベースライン合金と同程度の強度および総伸長を実現し、合金XA25およびXA28は特に良好である。非発明合金XA29およびXA31は、著しく低い引張降伏強度を実現する。また示されるように、本発明合金は高等方性であり、低いデルタr値(例えば、0.20デルタr未満)を実現する。本発明合金はまた、180日間の自然時効で高いn(4~6%)値も実現し、材料が、ネッキング前にさらに伸び得ることを示し、これは成形性を改善する。
【0056】
ASTM B557の機械的特性に加えて、材料のVDA曲げ特性も試験され、その結果を以下の表12に示す。VDA曲げ試験は、VDA238~100に従って実施される。VDA曲げ試験を使用して、特に、材料の、(a)ひび割れることなくリベット締結される能力、および(b)衝突状況での挙動を評価する。試験は、横方向の向き(LT)に対して行われ、報告された値は、試験された各合金に使用される4つの試験片の平均に基づく。すべての特性は、30日間の自然時効でLT(長手横断方向)方向に対するものである。
【表12】
【0057】
示されるように(また
図3に図示されるように)、本発明合金は、著しく高い鉄および/またはマンガンレベルを含有するという事実にもかかわらず、対照合金XA66に非常に近い引張特性および曲げ特性を実現する。非発明合金XA29およびXA31は、著しく低い強度を実現する。本発明合金の性能は、高レベルの鉄およびマンガンが有害粒子をもたらすことが知られているため、驚くべきものである。ベース組成に適切な量のケイ素、マグネシウム、および銅を利用することによって、本明細書に記載の新規の6xxxアルミニウム合金は、高い鉄および/またはマンガンレベルに対して耐性であり得、組成物が高レベルのリサイクル材料を製造に使用することを可能にすると推測される。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明してきたが、これらの実施形態は例示的なものにすぎず、限定的なものではなく、また多くの変形が当業者に明らかになり得ることを理解されたい。さらに、文脈において明らかに別のやり方を必要とする場合を除き、様々な工程が任意の望ましい順序で実行され得、また任意の適用可能な工程が追加および/または除去されてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
6xxxアルミニウム合金シート製品であって、
0.25~0.60重量%のFeと、
0.05~0.8重量%のMnであって、
前記(重量%のFe)+前記(重量%のMn)が少なくとも≧0.4重量%である、FeおよびMnと、
0.8~1.2重量%のSiと、
0.35~1.1重量%のMgと、
最大0.30重量%のCuと、
最大0.50重量%のZnと、
最大0.15重量%のTiと、
各々最大0.15重量%のCr、Zr、およびVと、を含み、
残部が、アルミニウム、随意の付随元素、および不純物であり、
0.5~4.0mmの厚さを有する、6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項2】
少なくとも0.27重量%のFe、または少なくとも0.30重量%のFe、または少なくとも0.33重量%のFe、または少なくとも0.36重量%のFe、または少なくとも0.39重量%、を含む、請求項1に記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項3】
少なくとも0.08重量%のMn、または少なくとも0.10重量%のMn、または少なくとも0.12重量%のMn、または少なくとも0.15重量%のMn、または少なくとも0.18重量%のMn、または少なくとも0.20重量%のMn、または少なくとも0.25重量%のMn、または少なくとも0.30重量%のMn、または少なくとも0.33重量%のMn、または少なくとも0.35重量%のMn、または少なくとも0.38重量%のMn、または少なくとも0.40重量%のMn、を含む、請求項2に記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項4】
少なくとも0.05重量%のCu、または少なくとも0.10重量%のCu、を含む、請求項3に記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項5】
Cr、VおよびZのうちの少なくとも一つを少なくとも0.05重量%含む、請求項4に記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項6】
少なくとも0.02重量%のTi、または少なくとも0.04重量%のTi、を含む、請求項5に記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項7】
(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.45重量%であるか、または、(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.50重量%であるか、または、(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.55重量%であるか、または、(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.60重量%であるか、または、(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.65重量%であるか、または、(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.70重量%であるか、または、(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.75重量%であるか、または、(重量%のFe)+(重量%のMn)が、少なくとも≧0.80重量%である、請求項1に記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項8】
前記6xxxアルミニウム合金シート製品が、7日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで135MPa以下のTYS(LT)、または7日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで130MPa以下のTYS(LT)、または7日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで125MPa以下のTYS(LT)、または7日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで120MPa以下のTYS(LT)、を実現する、請求項1に記載の6xxxアルミニウム合金。
【請求項9】
前記6xxxアルミニウム合金シート製品が、180日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで155MPa以下のTYS(LT)、または180日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで150MPa以下のTYS(LT)、または180日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで145MPa以下のTYS(LT)、または180日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで140MPa以下のTYS(LT)、または180日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで135MPa以下のTYS(LT)、を実現する、請求項1に記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項10】
前記6xxxアルミニウム合金シート製品が、T4もしくはT43テンパーで少なくとも18%の総伸長(LT)、またはT4もしくはT43テンパーで少なくとも19%の総伸長(LT)、またはT4もしくはT43テンパーで少なくとも20%の総伸長(LT)、またはT4もしくはT43テンパーで少なくとも21%の総伸長(LT)、またはT4もしくはT43テンパーで少なくとも22%の総伸長(LT)、を実現する、請求項1に記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項11】
前記6xxxアルミニウム合金シート製品が、30日間の自然時効でT4もしくはT43テンパーで、0.20以下のデルタr(Δr)、または0.18以下のデルタr(Δr)、または0.16以下のデルタr(Δr)、または0.14以下のデルタr(Δr)、または0.12以下のデルタr(Δr)、または0.10以下のデルタr(Δr)、または0.09以下のデルタr(Δr)、または0.08以下のデルタr(Δr)、または0.07以下のデルタr(Δr)、または0.06以下のデルタr(Δr)、または0.05以下のデルタr(Δr)、または0.04以下のデルタr(Δr)、または0.03以下のデルタr(Δr)、を実現する、請求項1に記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項12】
前記6xxxアルミニウム合金シート製品が、ASTM E646に従って試験された場合、180日間の自然時効でLT方向でT4もしくはT43テンパーで、少なくとも0.265のn(4~6%)値、または少なくとも0.267のn(4~6%)値、または少なくとも0.270のn(4~6%)値、または少なくとも0.271のn(4~6%)値、または少なくとも0.272のn(4~6%)値、または少なくとも0.273のn(4~6%)値、または少なくとも0.274のn(4~6%)値、または少なくとも0.275のn(4~6%)値、または少なくとも0.276のn(4~6%)値、または少なくとも0.277のn(4~6%)値、または少なくとも0.278のn(4~6%)値、または少なくとも0.279のn(4~6%)値、を実現する請求項1に記載の6xxxアルミニウム合金シート製品。
【請求項13】
方法であって、
(a)インゴットまたはストリップとしてアルミニウム合金を鋳造する工程であって、前記アルミニウム合金が、
0.25~0.60重量%のFeと、
0.05~0.8重量%のMnであって、
前記(重量%のFe)+前記(重量%のMn)が少なくとも≧0.40重量%であるFeおよびMnと、
0.8~1.2重量%のSiと、
0.35~1.1重量%のMgと、
最大0.30重量%のCuと、
最大0.50重量%のZnと、
最大0.15重量%のTiと、
各々最大0.15重量%のCr、Zr、およびVと、を含み、
残部が、アルミニウム、随意の付随元素、および不純物である、鋳造する工程と、
(b)随意に前記アルミニウム合金を均質化する工程と、
(c)前記アルミニウム合金を、中間ゲージ製品、または最終ゲージ製品に熱間圧延する工程と、
(d)随意に前記中間ゲージ製品を、前記最終ゲージ製品に冷間圧延する工程であって、
工程(c)~(d)により、前記最終ゲージ製品の厚さが0.5~4.0mmである工程と、
(e)前記最終ゲージ製品を溶体化熱処理し、次いでクエンチする工程と、
(f)随意に前記溶体化熱処理およびクエンチされた最終ゲージ製品を事前時効する工程と、
(g)前記最終ゲージ製品を自然時効し、それによってT4またはT43テンパーを実現する工程と、を含む、方法。
【請求項14】
前記鋳造する工程(a)が、前記インゴットまたは前記ストリップを製造するために、リサイクルアルミニウム合金材料を利用することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記鋳造する工程(a)が、前記リサイクルアルミニウム合金材料を非リサイクルアルミニウム材料と組み合わせて溶解する工程を含み、前記鋳造する工程後に、前記インゴットまたはストリップが請求項13に記載のアルミニウム合金組成を実現する、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】