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  • 特表-バイオ燃料原料の前処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-23
(54)【発明の名称】バイオ燃料原料の前処理方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 1/02 20060101AFI20230816BHJP
   C10G 3/00 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
C10L1/02
C10G3/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505828
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 US2021044042
(87)【国際公開番号】W WO2022026913
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】63/059,749
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515252260
【氏名又は名称】アールイージー シンセティック フューエルス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】アブハリ ラミン
(72)【発明者】
【氏名】ヘイヴァリー マーティン
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー トレバー
【テーマコード(参考)】
4H013
4H129
【Fターム(参考)】
4H013BA02
4H129AA01
4H129BA11
4H129BB05
4H129BC02
4H129BC15
4H129NA04
4H129NA22
4H129NA23
4H129NA43
(57)【要約】
一局面において、組成物を水溶液と接触させて混合物を得る工程を含む方法であって、前記組成物が、動物脂肪、動物油、植物脂肪、植物油、植物性脂肪、植物性油、グリース、および使用済み調理油のうちの1つまたは複数、約5重量%以上の遊離脂肪酸、約10wppm以上の総金属、約8wppm以上のリン、約20wppm以上の窒素を含み、前記水溶液が、((NH4)2H2EDTA、(NH4)4EDTA、ジエチレントリアミン五酢酸の一アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸の二アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸の三アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸の四アンモニウム塩、(NH4)5DTPA、クエン酸とNa4EDTAとの組合せ、クエン酸とNa2H2EDTAとの組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の一ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の二ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の三ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の四ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とNa5DTPAとの組合せ、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せを含み、前記方法が、前記混合物を遠心分離して、前記組成物よりも少ない総金属および少ないリンを有する第1の処理済み組成物を得る工程をさらに含む、方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物を水溶液と接触させて混合物を得る工程であって、
前記組成物が、
動物脂肪、動物油、植物脂肪、植物油、植物性脂肪、植物性油、グリース、および使用済み調理油のうちの1つまたは複数、
約5重量%以上の遊離脂肪酸、
約10wppm以上の総金属、
約8wppm以上のリン、
約20wppm以上の窒素
を含み、
前記水溶液が、
(NH4)2H2EDTA、(NH4)4EDTA、ジエチレントリアミン五酢酸の一アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸の二アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸の三アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸の四アンモニウム塩、(NH4)5DTPA、クエン酸とNa4EDTAとの組合せ、クエン酸とNa2H2EDTAとの組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の一ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の二ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の三ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の四ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とNa5DTPAとの組合せ、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せ
を含む、工程、ならびに
前記混合物を遠心分離して、前記組成物よりも少ない総金属および少ないリンを有する第1の処理済み組成物を得る工程
を含む、方法。
【請求項2】
遠心分離の前に、前記混合物に苛性溶液が加えられる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記苛性溶液が、水酸化アンモニウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
遠心分離の前に、前記混合物に水が加えられる、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、
前記第1の処理済み組成物を吸着媒体と混ぜ合わせてスラリーを生成させる工程であって、前記スラリーが、得られた吸着媒体と、第2の処理済み組成物とを含む、工程、および
前記第2の処理済み組成物を前記スラリーから分離する工程
をさらに含み、
前記第2の処理済み組成物が、前記組成物中の総金属量およびリン量と比較して約20%以下である総金属量およびリン量を有する、
請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記吸着媒体が、シリカおよび珪藻土の一方または両方を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記吸着媒体が、シリカおよび珪藻土の両方を含み、前記吸着媒体が、約0.1:1~約1.5:1の、珪藻土とシリカとの重量比を有する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記接触中に、前記組成物と、前記水溶液中の(NH4)2H2EDTAとの重量比が、約50:1~約500:1である、請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記接触中に、前記組成物と(NH4)4EDTAとの重量比が、約50:1~約500:1である、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
前記接触中に、前記組成物と、前記水溶液中のNa4EDTAとの重量比が、約50:1~約500:1である、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
クエン酸とNa4EDTAとの前記組合せが、約1:3~約3:1の、クエン酸とNa4EDTAとのモル比を含む、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
クエン酸とNa2H2EDTAとの前記組合せが、約1:3~約3:1の、クエン酸とNa2H2EDTAとのモル比を含む、請求項1~11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
前記水溶液が、クエン酸と(NH4)2H2EDTAとの組合せを含む、請求項1~12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
クエン酸と(NH4)2H2EDTAとの前記組合せが、約1:3~約3:1の、クエン酸と(NH4)2H2EDTAとのモル比を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記水溶液が、クエン酸と(NH4)4EDTAとの組合せを含む、請求項1~14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
クエン酸と(NH4)4EDTAとの前記組合せが、約1:3~約3:1の、クエン酸と(NH4)4EDTAとのモル比を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記接触中に、前記組成物と、前記水溶液中の(NH4)5DTPAとの重量比が、約50:1~約500:1である、請求項1~16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
前記水溶液が、クエン酸と(NH4)5DTPAとの組合せを含む、請求項1~17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
クエン酸と(NH4)5DTPAとの前記組合せが、約1:3~約3:1の、クエン酸と(NH4)5DTPAとのモル比を含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記接触中に、前記組成物と、前記水溶液中のNa5DTPAとの重量比が、約50:1~約500:1である、請求項1~19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
クエン酸とNa5DTPAとの前記組合せが、約1:3~約3:1の、クエン酸とNa5DTPAとのモル比を含む、請求項1~20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
組成物が、約5重量%~約15重量%の遊離脂肪酸を含む、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
前記接触が、前記組成物と前記水溶液との高剪断混合を含む、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
遠心分離が、ディスクスタック遠心分離を含む、請求項1~23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
前記組成物が、AOCS試験法Cc 17-95によって測定した場合に、約200mg/kgおよび約6,000mg/kgのアルカリ度値を有する、請求項1~24のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
前記水溶液が、約4~約6のpHを有する、請求項1~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
前記第1の処理済み組成物が、約1wppm以下のナトリウム石鹸を含む、請求項1~26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
前記第2の処理済み組成物が、約1wppm以下のナトリウム石鹸を含む、請求項1~27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
前記第1の処理済み組成物を水素化処理する工程をさらに含む、請求項1~28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
前記第2の処理済み組成物を水素化処理する工程をさらに含む、請求項5~29のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
前記組成物を漂白粘土と接触させる工程を含まない、請求項1~30のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み入れられる、2020年7月31日に出願された米国仮出願第63/059,749号の恩典および優先権を主張する。
【0002】
分野
本技術は、全体として、水素化処理のためのバイオ再生可能原料として使用され得る組成物の処理に関する。さらに具体的には、限定されることなく、本技術は、低価値で不用な脂肪、油、およびグリース組成物の品質を向上させて、総金属およびリンの量が減少した処理済み組成物を製造する方法を提供する。
【発明の概要】
【0003】
概要
一局面において、本技術は、組成物を水溶液と接触させて混合物を得る工程であって、組成物が、動物脂肪、動物油、植物脂肪、植物油、植物性脂肪、植物性油、グリース、および使用済み調理油のうちの1つまたは複数、約5重量%以上の遊離脂肪酸、約10wppm以上の総金属、約8wppm以上のリン、約20wppm以上の窒素を含み、水溶液が、エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム二水素(diammonium dihydrogen ethylenediaminetetraacetate)(「(NH4)2H2EDTA」;CAS番号20824-56-0)、エチレンジアミン四酢酸四アンモニウム(tetraammonium ethylenediaminetetraacetate)(「(NH4)4EDTA」;CAS番号22473-78-5)、ジエチレントリアミン五酢酸の一アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸の二アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸の三アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸の四アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸五アンモニウム(pentaammonium diethylenetriaminepentaacetate)(「(NH4)5DTPA」)、クエン酸とエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(「Na4EDTA」;CAS番号13235-36-4)との組合せ、クエン酸とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(「Na2H2EDTA」;CAS番号139-33-3)との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の一ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の二ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の三ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の四ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム(「Na5DTPA」;CAS番号140-01-2)との組合せ、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せを含む工程を含む方法を提供する。該方法はまた、混合物を遠心分離して、組成物よりも少ない総金属および少ないリンを有する第1の処理済み組成物を得る工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は、本開示において説明される、本技術の方法の例示的な態様の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
詳細な説明
様々な態様を以下に説明する。具体的な態様は、網羅的な説明として、または本明細書において説明されるさらに広い局面に対する限定として意図されていないことに留意されたい。特定の態様に関連して説明される1つの局面は、必ずしもその態様に限定されず、任意の他の態様により実施することができる。
【0006】
本明細書において使用される場合、「約」は、当業者によって理解され、それが使用される文脈に応じてある程度変化する。当業者には明確でない用語の使用がある場合、それが使用される文脈を考慮すると、「約」は、特定の用語のプラスまたはマイナス10%までを意味し、例えば、「約10重量%」は、「9重量%~11重量%」を意味すると理解される。「約」が用語に先行する場合、該用語は、「約」によって修飾されていない用語と同様に「約」該用語を開示すると解釈されるべきであり、例えば、「約10重量%」は、「9重量%~11重量%」を開示するとともに「10重量%」を開示することを理解されたい。
【0007】
本開示において使用される語句「および/または」は、列挙されたメンバーのいずれか1つを個別に、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せを意味すると理解され、例えば、「A、Bおよび/またはC」は、「A、B、C、AおよびB、AおよびC、またはBおよびC」を意味する。
【0008】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」などの単数冠詞、ならびに要素を説明する文脈における(特に添付の特許請求の範囲の文脈における)同様の指示対象は、本明細書において別段の指定がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指定がない限り、その範囲内に入る各別個の値を個別に参照する簡略方法として役立つことを意図しているにすぎず、各別個の値は、あたかもそれが本明細書において個別に列挙されているかのように本明細書に組み入れられる。本明細書において記載されるすべての方法は、本明細書において別段の指定がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で行うことができる。本明細書において提供されるあらゆる実施例または例示的な文言(例えば、「など」)の使用は、単に態様をさらによく説明することを意図するものであり、特に指示しない限り、特許請求の範囲に対して限定を課すものではない。本明細書におけるいかなる文言も、特許請求されていない要素を必須として示すと解釈されるべきではない。
【0009】
本明細書において使用される水素化処理とは、限定されることなく、水素の存在下で起こる様々な種類の触媒反応を表す。最も一般的な水素化処理反応の例には、限定されることなく、水素化、水素化脱硫(HDS)、水素化脱窒素(HDN)、水素処理(HT)、水素化分解(HC)、芳香族飽和または水素化脱芳香族(hydrodearomatization)(HDA)、水素化脱酸素(HDO)、脱炭酸(DCO)、水素化異性化(HI)、水素化脱ろう(HDW)、水素化脱金属(HDM)、脱カルボニル、メタン化および改質が挙げられる。触媒の種類、反応器の構成、反応器の条件、および原料の組成に応じて、純粋に熱的な反応(すなわち、触媒を必要としない)から触媒的な反応までの範囲の複数の反応が起こり得る。特定の水素化処理ユニット、例えば、HDO反応システムの主な機能を説明する場合、HDO反応は、起こっている主要な反応のうちの1つにすぎず、他の反応も起こり得ることが理解される。
【0010】
熱分解とは、熱化学反応中に二原子酸素または二原子水素がほとんどまたは全く存在しない炭素質材料の熱化学的分解を意味すると理解される。熱分解における触媒の任意の使用は、典型的には接触分解と呼ばれ、接触分解は、熱分解という用語に包含され、水素化分解と混同されない。
【0011】
水素処理(HT)は、有機化合物から周期表の第3族、第5族、第6族および/または第7族の元素を除去することを伴う。水素処理は、水素化脱金属(HDM)反応も含み得る。したがって、水素処理は、水素化処理による酸素、窒素、硫黄、およびそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せなどのヘテロ原子の除去を伴う。例えば、水素化脱酸素(HDO)とは、触媒水素化処理反応によって酸素を除去して、副生成物として水を生成することを意味すると理解される。同様に、水素化脱硫(HDS)および水素化脱窒素(HDN)とは、水素化処理による示された元素のそれぞれの除去を表す。
【0012】
水素化は、分子をサブユニットに破壊することなく有機分子に水素を付加することを伴う。単結合を生成するための炭素-炭素二重結合または炭素-酸素二重結合への水素の付加は、水素化の2つの非限定的な例である。部分水素化および選択的水素化とは、不飽和原料の部分飽和をもたらす水素化反応を指すために使用される用語である。例えば、多価不飽和脂肪酸(例えばリノール酸)の割合が高い植物性油は、部分水素化を受けて水素化処理生成物を提供し得、ここで、多価不飽和脂肪酸は、望ましくない飽和脂肪酸(例えばステアリン酸)の割合を増加させることなく、モノ不飽和脂肪酸(例えばオレイン酸)に変換される。水素化は、水素処理、水素化異性化および水素化分解とは異なるが、水素化は、これらの他の反応の最中に起こり得る。
【0013】
水素化分解(HC)とは、水素の存在下で分子の炭素-炭素結合を破壊して少なくとも2つの分子を形成することを意味すると理解される。そのような反応は、典型的には、得られた二重結合のその後の水素化を受ける。
【0014】
水素化異性化(HI)とは、異性体を形成するための水素の存在下での炭素-炭素結合の骨格転位として定義される。水素化分解は、ほとんどのHI触媒反応の競合反応であり、HC反応経路は、副次反応として、HIという用語の使用に含まれることが理解される。水素化脱ろう(HDW)は、炭化水素流体の低温特性を改善するように設計された水素化分解および水素化異性化の特定の形態である。
【0015】
組成物がC7~C12 n-パラフィンなどの「Cx~Cy炭化水素」を含むと記載されている場合、これは、組成物がx~yの範囲の炭素数を有する1つまたは複数のパラフィンを含むことを意味することが理解される。
【0016】
組成物に関する「の少なくとも一部」という語句は、組成物の約1%~約100%を意味する。
【0017】
「ディーゼル燃料」は、一般に、約150℃~約360℃の範囲(「ディーゼル沸点範囲」)に入る沸点を有する燃料を指す。
【0018】
「ガソリン」は、一般に、約30℃~約200℃の範囲に入る沸点を有する、スパーク点火エンジン用の燃料を指す。
【0019】
本明細書において使用される「バイオディーゼル」は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2016/0145536号に記載されているような、C1~C4アルキルアルコールと遊離脂肪酸および/または脂肪酸グリセリドとの間のエステル化反応および/またはエステル交換反応によって生成される脂肪酸C1~C4アルキルエステルを指す。
【0020】
本明細書において使用される「石油ディーゼル」は、例えば、原油精製設備内で原油から製造されるディーゼル燃料を指し、水素処理された直留ディーゼル、水素処理された流動接触分解装置軽質サイクル油、水素処理されたコーカー軽質軽油、水素化分解されたFCC重質サイクル油、およびそれらの組合せを含む。同様に、「石油由来」の化合物または組成物とは、原油から直接製造されたか、または原油から最終的に製造され、バイオ再生可能な原料から製造されなかった成分および/もしくは原料から製造された化合物または組成物を指す。
【0021】
組成物中の成分の「体積パーセント」もしくは「体積%」、または組成物中の異なる成分の体積比は、混ぜ合わされた成分の最終体積ではなく、各個々の成分の初期体積に基づいて60°Fで決定されることを理解されたい。
【0022】
本開示を通して、様々な刊行物、特許および公開された特許明細書は、特定の引用によって参照される。また、本開示内には、参照される引用を参照するアラビア数字があり、その文献全体の詳細は、特許請求の範囲の前に提供される。これらの刊行物、特許および公開された特許明細書の開示は、参照により本開示に組み入れられる。
【0023】
本技術
脂肪、油、およびグリース(FOG)の水素化脱酸素(HDO)は、再生可能ディーゼル製造プロセスでは重要な工程である。商業的な関心対象のFOG原料には、レンダリングおよび食品加工産業の副生成物、例えば、食用でない獣脂、および使用済み調理油が含まれる。FOG原料には、パーム油およびバイオエタノール産業の副生成物、例えば、パームスラッジ油および蒸留トウモロコシ油も含まれる。これらの原料は、典型的には5重量%を超える高い遊離脂肪酸(FFA)含有量と、比較的高レベルの金属およびリン(典型的には合計20wppm超)と、200mg/kg超のアルカリ度値とを特徴とする。
【0024】
そのような副生成物FOG原料はまた、持続可能性が高いと考えられる。カリフォルニア大気資源委員会によって採択された方法論に基づいて、使用済み調理油に由来する再生可能ディーゼルは、供給される燃焼エネルギーの1メガジュール当たり30g CO2当量未満(gCO2e/MJ)のライフサイクル温室効果ガス排出を有する。これは、石油ディーゼルの場合は100gCO2e/MJ、精製油(例えば、精製された植物性油、漂白された植物性油、および脱臭された植物性油)から製造された再生可能ディーゼルの場合は50gCO2e/MJに匹敵する。ライフサイクル温室効果ガス排出値は、炭素集約度、すなわちC.I.とも呼ばれる。
【0025】
再生可能ディーゼル製造のためのFOG前処理の現在の方法では、最適なHDO反応器性能のための不純物低減レベルを達成するのに難航している。原料不純物に関連する典型的な性能問題には、リンおよび金属が豊富な堆積物による反応器触媒床の汚染、ならびに金属、リン、および/またはケイ素による触媒の失活が含まれる。
【0026】
先行技術は、脂肪および油からリン化合物を除去するための様々な「脱ガム」プロセスを開示している。これらのリン化合物のほとんどは、リン脂質として存在する。リン脂質の一般的な構造は、以下の式(I)
によって例示されるホスファチジン酸によって示されるように、脂肪酸のうちの1つがホスフェート種によって置換されたトリグリセリドの構造である。
それらの界面活性剤特性のために、脂質を水と接触させると、リン脂質は油/水界面に移動する。このいわゆる「水和」工程は、脂肪および油中のほとんどのリン脂質を除去する有効な手段である。しかし、非水和性リン脂質(NHP)と呼ばれるリン脂質のクラスは、水和後も油に可溶性のままである。NHPは、一般に、ホスファチジン酸の二価金属塩の形態であり、以下の式II
(式中、M2+は、カルシウムまたはマグネシウムなどの二価金属である)によって例示される。
【0027】
先行技術は、リンおよび金属の効果的な除去には、脂肪および油中に存在する非水和性リン脂質(NHP)の変換が必要であることを教示している。先行技術は、リン酸またはクエン酸がNHPの二価金属とホスフェート基との間のイオン結合を分割し、それにより、リン脂質を油相から油/水界面に放出することができることをさらに開示している。先行技術はまた、クエン酸およびリン酸が、二価金属が酸と配位してホスフェート基と二価金属との間のさらなる相互作用を緩和し、また水相へのキレート化された二価金属の移動を促進することができるキレート剤としても作用することができることを教示している。先行技術はまた、重相(水および油/水界面)から酸脱ガム油を連続的に分離するためのディスクスタック遠心分離機(disc-stack centrifuge)の使用を教示している。
【0028】
先行技術は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)が、多価金属のための効率的なキレート剤であり、ほとんどの他の一般的なキレート剤よりも該金属イオンと水溶性錯体を形成する能力が高いことをさらに教示している。ただし、EDTAは、水への溶解度が低く、一般に、水相への金属の移動を必要とする用途では金属塩として(例えば、EDTAのナトリウム塩として)導入される必要がある。本開示の比較例に示すように、高FFA FOG原料の処理のためにこれらのEDTA塩を使用すると、石鹸形成(例えばオレイン酸ナトリウム)が生じ、その結果、油相中に金属カチオンが保持される。
【0029】
したがって、高FFA FOG原料に適したさらに効果的なキレート剤を利用する原料前処理プロセスの必要性は満たされていないままである。本技術は、その必要性のために方向付けられる。
【0030】
本技術は、例えば、バイオマス系ディーゼル燃料および燃料ブレンド原料の製造のためのFOG原料の処理方法に関する。本技術は、再生可能ディーゼル製造のための前処理方法として特に有利であり、該方法によってもたらされる極めて低レベルの金属およびリン不純物は、このような再生可能ディーゼル製造では最適な性能を提供する。
【0031】
したがって、一局面において、本技術は、組成物を水溶液と接触させて混合物を得る工程であって、組成物が、動物脂肪、動物油、植物脂肪、植物油、植物性脂肪、植物性油、グリース、および使用済み調理油のうちの1つまたは複数、約5重量%以上の遊離脂肪酸、約10wppm以上の総金属、約8wppm以上のリン、約20wppm以上の窒素を含み、水溶液が、エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム二水素(「(NH4)2H2EDTA」;CAS番号20824-56-0)、エチレンジアミン四酢酸四アンモニウム(「(NH4)4EDTA」;CAS番号22473-78-5)、ジエチレントリアミン五酢酸の一アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸の二アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸の三アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸の四アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸五アンモニウム(「(NH4)5DTPA」)、クエン酸とエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(「Na4EDTA」;CAS番号13235-36-4)との組合せ、クエン酸とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(「Na2H2EDTA」;CAS番号139-33-3)との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の一ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の二ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の三ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の四ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム(「Na5DTPA」;CAS番号140-01-2)との組合せ、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せを含む工程を含む方法を提供する。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、約4~約6のpHを有し得る。したがって、本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、約6.0、約5.5、約5.0、約4.5、約4.0のpH、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、もしくはこれらの値の任意の1つ未満の任意の範囲を有し得る。本明細書において開示される任意の態様において、接触は、組成物と水溶液との高剪断混合を含み得る。
【0032】
前記方法はまた、混合物を遠心分離して、組成物よりも少ない総金属および少ないリンを有する第1の処理済み組成物を得る工程を含む。本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物は、組成物中の総金属量と比較して約20%以下である総金属量を有し得る(例えば、組成物が20wppmの総金属を有する場合、第1の処理済み組成物は、4wppm以下の総金属を有する)。本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物は、組成物中のリン量と比較して約20%以下であるリン量を有し得る。本明細書において開示される任意の態様において、遠心分離は、ディスクスタック遠心分離機、デカンター遠心分離機および/または三相遠心分離機の使用を含み得る。混合物を分離する遠心分離するための他の方法、システムおよび装置が含まれてもよい。これらは、沈降タンクなどの方法、システムおよび装置を含み、当業者に公知である。
【0033】
本明細書において開示される態様では、接触中の組成物と水溶液との体積比は、約10:1~約100:1であり得る。したがって、本明細書において開示される任意の態様において、組成物と水溶液との体積比は、約10:1、約11:1、約12:1、約13:1、約14:1、約15:1、約16:1、約17:1、約18:1、約19:1、約20:1、約22:1、約24:1、約26:1、約28:1、約30:1、約35:1、約40:1、約45:1、約50:1、約55:1、約60:1、約65:1、約70:1、約75:1、約80:1、約85:1、約90:1、約95:1、約100:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。
【0034】
本明細書において開示される任意の態様において、接触は、約140°F~約300°Fの温度で行われてもよい。したがって、本明細書において開示される任意の態様において、接触は、約140°F、約145°F、約150°F、約155°F、約160°F、約165°F、約170°F、約175°F、約180°F、約185°F、約190°F、約195°F、約200°F、約205°F、約210°F、約215°F、約220°F、約225°F、約230°F、約240°F、約245°F、約250°F、約255°F、約260°F、約265°F、約270°F、約275°F、約280°F、約285°F、約290°F、約295°F、約300°F、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲の温度で行われ得る。
【0035】
本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、約10重量%~約60重量%の(NH4)2H2EDTA、(NH4)4EDTA、(NH4)5DTPA、Na4EDTA、Na2H2EDTA、Na5DTPA、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せを含み得る。したがって、本明細書における任意の態様において、水溶液は、(NH4)2H2EDTA、(NH4)4EDTA、(NH4)5DTPA、Na4EDTA、Na2H2EDTA、Na5DTPA、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せを約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲の量で含み得る。
【0036】
本明細書において開示される任意の態様において、接触中に、組成物と(NH4)2H2EDTA(すなわち、接触前の水溶液中の(NH4)2H2EDTA)との重量比は、約50:1~約500:1であってよい。したがって、組成物と、水溶液中の(NH4)2H2EDTAとの重量比は、約50:1、約55:1、約60:1、約65:1、約70:1、約75:1、約80:1、約85:1、約90:1、約95:1、約100:1、約120:1、約140:1、約160:1、約180:1、約200:1、約220:1、約240:1、約260;1、約280:1、約300:1、約320:1、約340:1、約360:1、約380:1、約400:1、約420:1、約440:1、約460:1、約480:1、約500:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、クエン酸および(NH4)2H2EDTAを含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というクエン酸と(NH4)2H2EDTAとのモル比を含み得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、リン酸および(NH4)2H2EDTAを含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というリン酸と(NH4)2H2EDTAとのモル比を含み得る。
【0037】
本明細書において開示される任意の態様において、接触中に、組成物と(NH4)4EDTA(すなわち、接触前の水溶液中の(NH4)4EDTA)との重量比は、約50:1~約500:1であってよい。したがって、組成物と、水溶液中の(NH4)4EDTAとの重量比は、約50:1、約55:1、約60:1、約65:1、約70:1、約75:1、約80:1、約85:1、約90:1、約95:1、約100:1、約120:1、約140:1、約160:1、約180:1、約200:1、約220:1、約240:1、約260;1、約280:1、約300:1、約320:1、約340:1、約360:1、約380:1、約400:1、約420:1、約440:1、約460:1、約480:1、約500:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、クエン酸および(NH4)4EDTAを含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というクエン酸と(NH4)4EDTAとのモル比を含み得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、リン酸および(NH4)4EDTAを含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というリン酸と(NH4)4EDTAとのモル比を含み得る。
【0038】
本明細書において開示される任意の態様において、接触中に、組成物とジエチレントリアミン五酢酸の一アンモニウム塩(すなわち、接触前の水溶液中のジエチレントリアミン五酢酸の一アンモニウム塩)との重量比は、約50:1~約500:1であってよい。したがって、組成物と、水溶液中のジエチレントリアミン五酢酸の一アンモニウム塩との重量比は、約50:1、約55:1、約60:1、約65:1、約70:1、約75:1、約80:1、約85:1、約90:1、約95:1、約100:1、約120:1、約140:1、約160:1、約180:1、約200:1、約220:1、約240:1、約260;1、約280:1、約300:1、約320:1、約340:1、約360:1、約380:1、約400:1、約420:1、約440:1、約460:1、約480:1、約500:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、クエン酸、およびジエチレントリアミン五酢酸の一アンモニウム塩を含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というクエン酸と(NH4)5DTPAとのモル比を含み得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、リン酸、およびジエチレントリアミン五酢酸の一アンモニウム塩を含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というリン酸とジエチレントリアミン五酢酸の一アンモニウム塩とのモル比を含み得る。
【0039】
本明細書において開示される任意の態様において、接触中に、組成物とジエチレントリアミン五酢酸の二アンモニウム塩(すなわち、接触前の水溶液中のジエチレントリアミン五酢酸の二アンモニウム塩)との重量比は、約50:1~約500:1であってよい。したがって、組成物と、水溶液中のジエチレントリアミン五酢酸の二アンモニウム塩との重量比は、約50:1、約55:1、約60:1、約65:1、約70:1、約75:1、約80:1、約85:1、約90:1、約95:1、約100:1、約120:1、約140:1、約160:1、約180:1、約200:1、約220:1、約240:1、約260;1、約280:1、約300:1、約320:1、約340:1、約360:1、約380:1、約400:1、約420:1、約440:1、約460:1、約480:1、約500:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、クエン酸、およびジエチレントリアミン五酢酸の二アンモニウム塩を含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というクエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の二アンモニウム塩とのモル比を含み得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、リン酸、およびジエチレントリアミン五酢酸の二アンモニウム塩を含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というリン酸とジエチレントリアミン五酢酸の二アンモニウム塩とのモル比を含み得る。
【0040】
本明細書において開示される任意の態様において、接触中に、組成物とジエチレントリアミン五酢酸の三アンモニウム塩(すなわち、接触前の水溶液中のジエチレントリアミン五酢酸の三アンモニウム塩)との重量比は、約50:1~約500:1であってよい。したがって、組成物と、水溶液中のジエチレントリアミン五酢酸の三アンモニウム塩との重量比は、約50:1、約55:1、約60:1、約65:1、約70:1、約75:1、約80:1、約85:1、約90:1、約95:1、約100:1、約120:1、約140:1、約160:1、約180:1、約200:1、約220:1、約240:1、約260;1、約280:1、約300:1、約320:1、約340:1、約360:1、約380:1、約400:1、約420:1、約440:1、約460:1、約480:1、約500:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、クエン酸、およびジエチレントリアミン五酢酸の三アンモニウム塩を含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というクエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の三アンモニウム塩とのモル比を含み得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、リン酸、およびジエチレントリアミン五酢酸の三アンモニウム塩を含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というリン酸とジエチレントリアミン五酢酸の三アンモニウム塩とのモル比を含み得る。
【0041】
本明細書において開示される任意の態様において、接触中に、組成物とジエチレントリアミン五酢酸の四アンモニウム塩(すなわち、接触前の水溶液中のジエチレントリアミン五酢酸の四アンモニウム塩)との重量比は、約50:1~約500:1であってよい。したがって、組成物と、水溶液中のジエチレントリアミン五酢酸の四アンモニウム塩との重量比は、約50:1、約55:1、約60:1、約65:1、約70:1、約75:1、約80:1、約85:1、約90:1、約95:1、約100:1、約120:1、約140:1、約160:1、約180:1、約200:1、約220:1、約240:1、約260;1、約280:1、約300:1、約320:1、約340:1、約360:1、約380:1、約400:1、約420:1、約440:1、約460:1、約480:1、約500:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、クエン酸、およびジエチレントリアミン五酢酸の四アンモニウム塩を含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というクエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の四アンモニウム塩とのモル比を含み得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、リン酸、およびジエチレントリアミン五酢酸の四アンモニウム塩を含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というリン酸とジエチレントリアミン五酢酸の四アンモニウム塩とのモル比を含み得る。
【0042】
本明細書において開示される任意の態様において、接触中に、組成物と(NH4)5DTPA(すなわち、接触前の水溶液中の(NH4)5DTPA)との重量比は、約50:1~約500:1であってよい。したがって、組成物と、水溶液中の(NH4)5DTPAとの重量比は、約50:1、約55:1、約60:1、約65:1、約70:1、約75:1、約80:1、約85:1、約90:1、約95:1、約100:1、約120:1、約140:1、約160:1、約180:1、約200:1、約220:1、約240:1、約260;1、約280:1、約300:1、約320:1、約340:1、約360:1、約380:1、約400:1、約420:1、約440:1、約460:1、約480:1、約500:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、クエン酸および(NH4)5DTPAを含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というクエン酸と(NH4)5DTPAとのモル比を含み得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、リン酸および(NH4)5DTPAを含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というリン酸と(NH4)5DTPAとのモル比を含み得る。
【0043】
本明細書において開示される任意の態様において、接触中に、組成物とNa4EDTA(すなわち、接触前の水溶液中のNa4EDTA)との重量比は、約50:1~約500:1であってよい。したがって、組成物と、水溶液中のNa4EDTAとの重量比は、約50:1、約55:1、約60:1、約65:1、約70:1、約75:1、約80:1、約85:1、約90:1、約95:1、約100:1、約120:1、約140:1、約160:1、約180:1、約200:1、約220:1、約240:1、約260;1、約280:1、約300:1、約320:1、約340:1、約360:1、約380:1、約400:1、約420:1、約440:1、約460:1、約480:1、約500:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というクエン酸とNa4EDTAとのモル比を含み得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、リン酸およびNa4EDTAを含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というリン酸とNa4EDTAとのモル比を含み得る。
【0044】
本明細書において開示される任意の態様において、接触中に、組成物とNa2H2EDTA(すなわち、接触前の水溶液中のNa2H2EDTA)との重量比は、約50:1~約500:1であってよい。したがって、組成物と、水溶液中のNa2H2EDTAとの重量比は、約50:1、約55:1、約60:1、約65:1、約70:1、約75:1、約80:1、約85:1、約90:1、約95:1、約100:1、約120:1、約140:1、約160:1、約180:1、約200:1、約220:1、約240:1、約260;1、約280:1、約300:1、約320:1、約340:1、約360:1、約380:1、約400:1、約420:1、約440:1、約460:1、約480:1、約500:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というクエン酸とNa2H2EDTAとのモル比を含み得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、リン酸およびNa2H2EDTAを含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というリン酸とNa2H2EDTAとのモル比を含み得る。
【0045】
本明細書において開示される任意の態様において、接触中に、組成物とジエチレントリアミン五酢酸の一ナトリウム塩(すなわち、接触前の水溶液中のジエチレントリアミン五酢酸の一ナトリウム塩)との重量比は、約50:1~約500:1であってよい。したがって、組成物と、水溶液中のジエチレントリアミン五酢酸の一ナトリウム塩との重量比は、約50:1、約55:1、約60:1、約65:1、約70:1、約75:1、約80:1、約85:1、約90:1、約95:1、約100:1、約120:1、約140:1、約160:1、約180:1、約200:1、約220:1、約240:1、約260;1、約280:1、約300:1、約320:1、約340:1、約360:1、約380:1、約400:1、約420:1、約440:1、約460:1、約480:1、約500:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というクエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の一ナトリウム塩とのモル比を含み得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、リン酸、およびジエチレントリアミン五酢酸の一ナトリウム塩を含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というリン酸とジエチレントリアミン五酢酸の一ナトリウム塩とのモル比を含み得る。
【0046】
本明細書において開示される任意の態様において、接触中に、組成物とジエチレントリアミン五酢酸の二ナトリウム塩(すなわち、接触前の水溶液中のジエチレントリアミン五酢酸の二ナトリウム塩)との重量比は、約50:1~約500:1であってよい。したがって、組成物と、水溶液中のジエチレントリアミン五酢酸の二ナトリウム塩との重量比は、約50:1、約55:1、約60:1、約65:1、約70:1、約75:1、約80:1、約85:1、約90:1、約95:1、約100:1、約120:1、約140:1、約160:1、約180:1、約200:1、約220:1、約240:1、約260;1、約280:1、約300:1、約320:1、約340:1、約360:1、約380:1、約400:1、約420:1、約440:1、約460:1、約480:1、約500:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というクエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の二ナトリウム塩とのモル比を含み得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、リン酸、およびジエチレントリアミン五酢酸の二ナトリウム塩を含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というリン酸とジエチレントリアミン五酢酸の二ナトリウム塩とのモル比を含み得る。
【0047】
本明細書において開示される任意の態様において、接触中に、組成物とジエチレントリアミン五酢酸の三ナトリウム塩(すなわち、接触前の水溶液中のジエチレントリアミン五酢酸の三ナトリウム塩)との重量比は、約50:1~約500:1であってよい。したがって、組成物と、水溶液中のジエチレントリアミン五酢酸の三ナトリウム塩との重量比は、約50:1、約55:1、約60:1、約65:1、約70:1、約75:1、約80:1、約85:1、約90:1、約95:1、約100:1、約120:1、約140:1、約160:1、約180:1、約200:1、約220:1、約240:1、約260;1、約280:1、約300:1、約320:1、約340:1、約360:1、約380:1、約400:1、約420:1、約440:1、約460:1、約480:1、約500:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というクエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の三ナトリウム塩とのモル比を含み得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、リン酸、およびジエチレントリアミン五酢酸の三ナトリウム塩を含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というリン酸とジエチレントリアミン五酢酸の三ナトリウム塩とのモル比を含み得る。
【0048】
本明細書において開示される任意の態様において、接触中に、組成物とジエチレントリアミン五酢酸の四ナトリウム塩(すなわち、接触前の水溶液中のジエチレントリアミン五酢酸の四ナトリウム塩)との重量比は、約50:1~約500:1であってよい。したがって、組成物と、水溶液中のジエチレントリアミン五酢酸の四ナトリウム塩との重量比は、約50:1、約55:1、約60:1、約65:1、約70:1、約75:1、約80:1、約85:1、約90:1、約95:1、約100:1、約120:1、約140:1、約160:1、約180:1、約200:1、約220:1、約240:1、約260;1、約280:1、約300:1、約320:1、約340:1、約360:1、約380:1、約400:1、約420:1、約440:1、約460:1、約480:1、約500:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というクエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の四ナトリウム塩とのモル比を含み得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、リン酸、およびジエチレントリアミン五酢酸の四ナトリウム塩を含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というリン酸とジエチレントリアミン五酢酸の四ナトリウム塩とのモル比を含み得る。
【0049】
本明細書において開示される任意の態様において、接触中に、組成物とNa5DTPA(すなわち、接触前の水溶液中のNa5DTPA)との重量比は、約50:1~約500:1であってよい。したがって、組成物と、水溶液中のNa5DTPAとの重量比は、約50:1、約55:1、約60:1、約65:1、約70:1、約75:1、約80:1、約85:1、約90:1、約95:1、約100:1、約120:1、約140:1、約160:1、約180:1、約200:1、約220:1、約240:1、約260;1、約280:1、約300:1、約320:1、約340:1、約360:1、約380:1、約400:1、約420:1、約440:1、約460:1、約480:1、約500:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というクエン酸とNa5DTPAとのモル比を含み得る。本明細書において開示される任意の態様において、水溶液は、リン酸およびNa5DTPAを含み得、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲というリン酸とNa5DTPAとのモル比を含み得る。
【0050】
本明細書において開示される任意の態様において、遠心分離の前、および接触の後に、苛性溶液が混合物に加えられ得る。例えば、本明細書における任意の態様において、苛性溶液は、水酸化物水溶液、バイカーボネート水溶液、二硫化物水溶液、アルコキシド水溶液(例えばメトキシド水溶液)、水溶液に溶解および/もしくは懸濁した塩基性樹脂、メトキシド溶液、またはそれらの2つ以上の組合せを含み得る。本明細書における任意の態様において、苛性溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、アンモニア二硫化物、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せを含み得る。例えば、本明細書における任意の態様において、苛性溶液は、約10重量%~約60重量%の苛性溶液(例えば、約10重量%~約60重量%の水酸化物水溶液)であってよい。本明細書における任意の態様において、遠心分離の前に、水が混合物に加えられ得る(例えば、苛性溶液が混合物に加えられる場合、水は、苛性溶液を加える前、または苛性溶液を加えた後に加えられ得る)。
【0051】
本明細書において開示される任意の態様において、混合物を遠心分離することは、第1の処理済み組成物を得ることに加えて、水性廃棄物を生成することを含み得る。水性廃棄物は、約7.0未満のpHを有し得る。水性廃棄物は、約6.5、約6.0、約5.5、約5.0、約4.5、約4.0、約3.5、約3.0、約2.5、約2.0、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、もしくはこれらの値の任意の1つ未満の任意の範囲のpHを有し得る。例えば、本明細書における任意の態様において、水性廃棄物は、約3.5~約6.0、または約4.0~約5.0のpHを有し得る。水性廃棄物は、任意で処理されてもよい。水性廃棄物は、限定されることなく、金属含有量、生物学的酸素要求量(BOD)および/または化学的酸素要求量(COD)を含む、処分のための特定の許可要件に達するように処理されてもよい。水性廃棄物のそのような処理には、限定されることなく、微生物分解(例えば、米国特許第9,120,686号を参照)、炭素吸着(例えば、米国特許第6,315,906号を参照)、ならびに/またはオゾン(例えば、米国特許第6,126,842号を参照)および/もしくは二酸化塩素(例えば、米国特許第8,663,473号を参照)などの強力な酸化剤による処理が含まれ得る。
【0052】
本明細書において開示される任意の態様において、前記方法は、第1の処理済み組成物を吸着媒体と混ぜ合わせてスラリーを生成させる工程であって、スラリーが、得られた吸着媒体および第2の処理済み組成物を含む工程、ならびにスラリーから第2の処理済み組成物を分離する工程を含み得る。吸着媒体(本明細書において「吸着剤媒体」とも呼ばれる)には、限定されることなく、シリカ(例えば、シリカヒドロゲル、シリカヒドロゲル粒子)、珪藻土、活性炭、漂白粘土(漂白土とも呼ばれる)、パーライト、セルロース系媒体、ボーキサイト、アルミン酸シリカ、天然繊維、天然フレーク、合成繊維、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せが含まれ得る。ただし、本明細書において開示される任意の態様において、本技術の方法は、漂白粘土の使用を含んでも含まなくてもよい。本明細書において開示される任意の態様の第2の処理済み組成物は、組成物中の総金属量と比較して約20%以下である総金属量を有し得る(例えば、組成物が20wppmの総金属を有する場合、第2の処理済み組成物は、4wppm以下の総金属を有する)。本明細書において開示される任意の態様の第2の処理済み組成物は、組成物中のリン量と比較して約20%以下であるリン量を有し得る。
【0053】
本明細書において開示される任意の態様において、吸着媒体は、シリカおよび珪藻土の両方を含み得る。本明細書において開示される任意の態様において、シリカはシリカ粒子であってよく、シリカ粒子は、レーザー回折分析による平均粒径が約10ミクロン(μm)~約50ミクロンであってよい。したがって、吸着媒体としてシリカ粒子を含む、本明細書において開示される任意の態様において、シリカ粒子のレーザー回折分析による平均粒径は、限定されることなく、約10ミクロン、約11ミクロン、約12ミクロン、約13ミクロン、約14ミクロン、約15ミクロン、約16ミクロン、約17ミクロン、約18ミクロン、約19ミクロン、約20ミクロン、約21ミクロン、約22ミクロン、約23ミクロン、約24ミクロン、約25ミクロン、約26ミクロン、約27ミクロン、約28ミクロン、約29ミクロン、約30ミクロン、約35ミクロン、約40ミクロン、約45ミクロン、約50ミクロン、ならびにこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/またはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、およびこれらの値の任意の1つ未満の任意の範囲であってよい。吸着媒体としてシリカ粒子を含む、本明細書において開示される任意の態様において、シリカ粒子は、非晶質シリカ粒子を含み得、非晶質シリカ粒子は、合成非晶質シリカ、天然非晶質シリカ、またはそれらの組合せであってよい。吸着媒体がシリカおよび珪藻土(「DE」)の両方を含む、本明細書において開示される任意の態様において、スラリー中のDEとシリカと(DE:シリカ)の重量比は、約0.1:1~約1.5:1である。したがって、本明細書における任意の態様の重量比DE:シリカは、約0.1:1、約0.2:1、約0.3:1、約0.4:1、約0.5:1、約0.6:1、約0.7:1、約0.8:1、約0.9:1、約1:1、約1.1:1、約1.2:1、約1.3:1、約1.4:1、約1.5:1、またはこれらの範囲の任意の2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの範囲の任意の2つの間の任意の範囲であり得る。したがって、吸着媒体がシリカ粒子および珪藻土の両方を含む、本明細書において開示される任意の態様において、スラリー中の珪藻土とシリカ粒子と(DE:シリカ粒子)の重量比は、約0.1:1、約0.2:1、約0.3:1、約0.4:1、約0.5:1、約0.6:1、約0.7:1、約0.8:1、約0.9:1、約1:1、約1.1:1、約1.2:1、約1.3:1、約1.4:1、約1.5:1、またはこれらの範囲の任意の2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの範囲の任意の2つの間の任意の範囲であり得る。
【0054】
吸着媒体としてシリカ粒子を含む、本明細書において開示される任意の態様において、シリカ粒子は、約200m2/g~約1000m2/gのBET表面積を有し得る。BET表面積は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み入れられるASTM-D3663-03(2008)に記載されている方法を含むいくつかの方法によって決定され得る。シリカ粒子のBET表面積には、限定されることなく、約200m2/g、約210m2/g、約220m2/g、約230m2/g、約240m2/g、約250m2/g、約260m2/g、約270m2/g、約280m2/g、約290m2/g、約300m2/g、約320m2/g、約340m2/g、約360m2/g、約380m2/g、約400m2/g、約450m2/g、約500m2/g、約550m2/g、約600m2/g、約650m2/g、約700m2/g、約750m2/g、約800m2/g、約850m2/g、約900m2/g、約950m2/g、約1000m2/g、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲が含まれ得る。
【0055】
吸着媒体としてシリカ粒子を含む、本明細書において開示される任意の態様において、シリカ粒子は、15重量%で水性分散液中に存在する場合、約2.0~約6.0の水溶液pHを有し得る。シリカ粒子に適した水溶液pH値には、限定されることなく、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲が含まれ得る。例えば、本明細書における任意の態様において、シリカ粒子は、約2.0~約3.5、約2.0~約3.0、約2.5~約3.0の水性pH、ならびにこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/またはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、およびこれらの値の任意の1つ未満の任意の範囲を有し得る。シリカ粒子はまた、ASTM D6393-08 Test Eなどの標準的なかさ密度測定技術に従って、約100g/L~約1000g/Lの圧縮かさ密度を有し得る。シリカ粒子の圧縮密度には、限定されることなく、約100g/L、約200g/L、約300g/L、約400g/L、約500g/L、約600g/L、約700g/L、約800g/L、約900g/L、約1000g/L、ならびにこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/またはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、およびこれらの値の任意の1つ未満の任意の範囲が含まれ得る。例えば、本明細書における任意の態様において、シリカ粒子は、約500g/Lの圧縮かさ密度を有し得る。
【0056】
吸着媒体としてシリカ粒子を含む、本明細書において開示される任意の態様において、シリカ粒子は、約0.1%(第1の処理済み組成物の重量に対する重量シリカ粒子)~約0.8%で第1の処理済み組成物と混ぜ合わされてもよい。第1の処理済み組成物の重量に対する重量シリカ粒子は、約0.1%(w/w)、約0.15%(w/w)、約0.2%(w/w)、約0.25%(w/w)、約0.3%(w/w)、約0.35%(w/w)、約0.4%(w/w)、約0.45%(w/w)、約0.5%(w/w)、約0.55%(w/w)、約0.6%(w/w)、約0.65%(w/w)、約0.7%(w/w)、約0.75%(w/w)、約0.8%(w/w)、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。例えば、本明細書における任意の態様において、第1の処理済み組成物の重量に対する重量シリカ粒子は、約0.1%(w/w)~約0.8%(w/w)、約0.2%(w/w)~約0.6%(w/w)、および約0.3%(w/w)~約0.4%(w/w)であり得る。
【0057】
本明細書において開示される任意の態様において、吸着媒体は、約150°F~約200°Fの温度で第1の処理済み組成物と混ぜ合わされてもよい。吸着媒体と混ぜ合わせることは、限定されることなく、約150°F、約155°F、約160°F、約165°F、約170°F、約175°F、約180°F、約185°F、約190°F、約195°F、約200°F、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲を含む温度で行われてもよい。例えば、本明細書における任意の態様において、温度は、約160°F~約190°Fの範囲であってよい。本明細書における任意の態様において、温度は、約175°F~約185°Fの範囲であってよい。
【0058】
スラリーは、本明細書において記載される任意の態様において、水分を追い出すために約100トール~約500トールの絶対圧力に供されてもよい。絶対圧力には、限定されることなく、約100トール、約150トール、約200トール、約250トール、約300トール、約350トール、約400トール、約450トール、約500トール、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲が含まれ得る。
【0059】
本明細書において開示される任意の態様において、スラリーを生成させるために第1の処理済み組成物を吸着媒体と混ぜ合わせることは、約10分~約90分の滞留時間を含み得る。好適な滞留時間には、限定されることなく、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、約19分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、約60分、約65分、約70分、約75分、約80分、約85分、約90分、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲が含まれ得る。例えば、本明細書における任意の態様において、滞留時間は、約20分~約50分であり得る。本明細書における任意の態様に記載されるように、第1の処理済み組成物を吸着媒体と混ぜ合わせることは、定常流操作タンク内で行われ得る。
【0060】
スラリーが得られると、本明細書において開示される任意の態様において、スラリーから第2の処理組成物を分離することは、得られた吸着媒体をスラリーから除去して、第2の処理組成物を提供することを含み得る。本明細書において開示される任意の態様において、スラリーから吸着媒体を除去することは、1つまたは複数のフィルターを用いてスラリーを濾過することを含み得る。例えば、本明細書における任意の態様において、1つまたは複数のフィルターは、加圧濾過(垂直および/または水平リーフフィルターなど)、フィルタープレス、カートリッジフィルター、圧縮フィルター、メンブレンプレートプレス、ディスクフィルター、ドラムフィルター、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せを含み得る。1つまたは複数のフィルターは、DE、セルロース、パーライト、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せによって予めコーティングされたフィルターを含み得る。例えば、本明細書における任意の態様において、1つまたは複数のフィルターは、DEによって予めコーティングされた圧力リーフフィルターを含み得る。
【0061】
本技術の方法に関して上述したように、組成物は、動物脂肪、動物油、植物脂肪、植物油、植物性脂肪、植物性油、グリース、使用済み調理油、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せを含む。植物油および/または植物性油には、限定されることなく、ババス油、カリナタ油(carinata oil)、大豆油、食用でないトウモロコシ油、キャノーラ油、ヤシ油、ナタネ油、トール油、トール油脂肪酸、パーム油、パーム油脂肪酸蒸留物、パームスラッジ油、ヤトロファ油、パーム核油、ヒマワリ油、ヒマシ油、カメリナ油、古細菌油、およびそれらのうちのいずれか2つ以上の混合物が含まれ得る。これらは、前処理のレベル、ならびに残留リンおよび金属含有量に応じて、粗、脱ガムおよびRBD(精製、漂白および脱臭)グレードとして分類され得る。ただし、本技術では、これらのグレードのいずれを使用してもよい。上記で使用される動物脂肪および/または油には、限定されることなく、食用でない獣脂、食用獣脂、工業用獣脂、浮上分離獣脂、ラード、家禽脂肪(例えば鶏脂)、家禽油、魚脂肪、魚油、およびそれらの混合物が含まれ得る。グリースには、限定されることなく、イエローグリース、ブラウングリース、使用済み調理油、廃棄植物性油、レストラングリース、水処理施設などの市政機関からのトラップグリース、および工業用包装食品操作からの使用済み油、ならびにそれらのうちのいずれか2つ以上の混合物が含まれ得る。例えば、本明細書における任意の態様において、組成物は、イエローグリース、ブラウングリース、浮上分離グリース、家禽脂肪、食用でないトウモロコシ油、使用済み調理油、食用でない獣脂、浮上分離獣脂、パームスラッジ油、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の混合物を含み得る。
【0062】
組成物は、ICP-AES(原子発光分光法)およびICP-OES(光学発光分光法)、例えばAOCS Recommended Practice Ca 17-01などの誘導結合プラズマ(ICP)分光法によって測定された場合、約8wppm以上の総金属を含む。そのような金属には、限定されることなく、As、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Li、Mg、Mn、Na、Pb、Sr、Zn、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せが含まれ得る。例えば、本明細書における任意の態様において、総金属は、Ca、Fe、K、MgおよびNaを含み得る。本明細書において開示される任意の態様の組成物中に存在する総金属量には、約10wppm~約1000wppmの総金属が含まれ得る。したがって、本明細書において開示される任意の態様の組成物中の総金属量は、約10wppm、約15wppm、約20wppm、約25wppm、約30wppm、約35wppm、約40wppm、約45wppm、約50wppm、約55wppm、約60wppm、約65wppm、約70wppm、約75wppm、約80wppm、約85wppm、約90wppm、約95wppm、約100wppm、約105wppm、約110wppm、約115wppm、約120wppm、約125wppm、約130wppm、約135wppm、約140wppm、約145wppm、約150wppm、約155wppm、約160wppm、約165wppm、約170wppm、約175wppm、約180wppm、約185wppm、約190wppm、約195wppm、約200wppm、約225wppm、約250wppm、約275wppm、約300wppm、約325wppm、約350wppm、約375wppm、約400wppm、約425wppm、約450wppm、約475wppm、約500wppm、約550wppm、約600wppm、約650wppm、約700wppm、約750wppm、約800wppm、約850wppm、約900wppm、約1000wppm、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。例えば、組成物中の総金属の好適な量は、約10wppm~約1000wppm、10wppm~1000wppm、約10wppm~約800wppm、10wppm~800wppm、約10wppm~約600ppm、10wppm~600ppm、約10ppm~約400wppm、10ppm~400wppm、約10wppm~約200wppm、10wppm~200wppm、約10wppm~約100wppm、10wppm~100wppm、約10wppm~約50wppm、または10wppm~50wppmであり得る。
【0063】
組成物は、元素状リンとして測定して、約8wppm以上のリンを含む。本明細書において開示される任意の態様の組成物中のリン量は、約8wppm、約10wppm、約15wppm、約20wppm、約25wppm、約30wppm、約35wppm、約40wppm、約45wppm、約50wppm、約55wppm、約60wppm、約65wppm、約70wppm、約75wppm、約80wppm、約85wppm、約90wppm、約95wppm、約100wppm、約110wppm、約120wppm、約130wppm、約150wppm、約170wppm、約190wppm、約200wppm、約300wppm、約400wppm、約500wppm、約600wppm、約700wppm、約800wppm、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、もしくはこれらの値の任意の1つを超える任意の範囲であり得る。
【0064】
本明細書において開示される任意の態様において、組成物は、元素状塩素(Cl原子)として測定して、約10wppm以上の塩素を含み得る。塩素量は、約10wppm、約11wppm、約12wppm、約13wppm、約14wppm、約15wppm、約16wppm、約17wppm、約18wppm、約19wppm、約20wppm、約25wppm、約30wppm、約35wppm、約40wppm、約45wppm、約50wppm、約55wppm、約60wppm、約65wppm、約70wppm、約75wppm、約80wppm、約85wppm、約90wppm、約95wppm、約100wppm、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、もしくはこれらの値の任意の1つを超える任意の範囲であり得る。
【0065】
本明細書において開示される任意の態様において、組成物は、例えば、AOAC Method 923.01によって元素状硫黄として測定して、約10wppm以上の硫黄を含み得る。硫黄量には、限定されることなく、少なくとも約10wppm、約15wppm、約20wppm、約25wppm、約30wppm、約35wppm、約40wppm、約45wppm、約50wppm、約55wppm、約60wppm、約65wppm、約70wppm、約75wppm、約80wppm、約85wppm、約90wppm、約95wppm、約100wppm、約110wppm、約120wppm、約130wppm、約150wppm、約170wppm、約190wppm、約200wppm、またはこれらの値の2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値の2つの間の任意の範囲、もしくはこれらの値の任意の1つを超える任意の範囲が含まれ得る。
【0066】
組成物は、例えば、ASTM D4629-17によって元素状窒素として測定して、約10wppm以上の窒素を含む。本明細書における任意の態様の組成物中の窒素量は、限定されることなく、約10wppm、約15wppm、約20wppm、約25wppm、約30wppm、約35wppm、約40wppm、約45wppm、約50wppm、約55wppm、約60wppm、約65wppm、約70wppm、約75wppm、約80wppm、約85wppm、約90wppm、約95wppm、約100wppm、約110wppm、約120wppm、約130wppm、約150wppm、約170wppm、約190wppm、約200wppm、約250wppm、約300wppm、約350wppm、約400wppm、約450wppm、約500wppm、約550wppm、約600wppm、約650wppm、約700wppm、約750wppm、約800wppm、約850wppm、約900wppm、約950wppm、約1000wppm、約1100wppm、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、もしくはこれらの値の任意の1つを超える任意の範囲であり得る。
【0067】
組成物は、AOCS Ca 5a-40などの標準的な分析技術によって測定した場合に、組成物の総重量に基づいて、約5重量%以上の遊離脂肪酸(「FFA」)を含む。したがって、本明細書において開示される任意の態様において、組成物中のFFA量は、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約70重量%、約75重量%、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。例えば、本明細書において開示される任意の態様において、組成物中のFFA量は、約5重量%~約15重量%であり得る。本明細書において開示される任意の態様において、組成物中のFFA量は、約5重量%~約10重量%であり得る。
【0068】
本明細書において開示される任意の態様において、組成物は、約10mg KOH/g~約150mg KOH/gの酸価を有し得る。好適な酸価量には、限定されることなく、約10mg KOH/g~約150mg KOH/g、約10mg KOH/g~約100mg KOH/g、約10mg KOH/g~約50mg KOH/g、約10mg KOH/g~約25mg KOH/g、約10mg KOH/g~約20mg KOH/g、約10mg KOH/g~約15mg KOH/g、ならびにこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/またはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、およびこれらの値の任意の1つを超える任意の範囲が含まれ得る。例えば、本明細書における任意の態様において、組成物の酸価は、約10mg KOH/g~約30mg KOH/gであり得る。別の態様では、組成物の酸価は、約10mg KOH/g~約20mg KOH/gであり得る。
【0069】
組成物は、ポリマーをさらに含み得る。そのようなポリマーは、溶解ポリマー、可溶化ポリマー、粒子状ポリマー、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の混合物であり得る。粒子状ポリマーは、約0.01μm~約1ミリメートル(mm)の重量平均直径を有し得る。したがって、粒子状ポリマーは、約0.01μm、約0.1μm、約1μm、約5μm、約10μm、約25μm、約50μm、約75μm、約80μm、約100μm、約200μm、約300μm、約500μm、約750μm、約1mm、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲の重量平均直径を有し得る。特定のポリマーは、約0.01μm未満の重量平均直径を有し得る。ポリマーは、合成または天然であり得る。合成ポリマーの部分的な一覧を表1に示す。
【0070】
(表1)ポリマーの例
【0071】
本明細書において開示される任意の態様において、合成ポリマーには、アクリロニトリルブタジエンスチレン熱可塑性プラスチック、ポリアクリレートゴム、エチレン-アクリレートゴム、ポリエステルウレタン、ブロモイソブチレンイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロイソブチレンイソプレンゴム、ポリクロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロロヒドリン、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、ポリエーテルウレタン、テトラフルオロエチレン/プロピレンゴム、パーフルオロカーボンエラストマー、フルオロエラストマー、フルオロシリコーン、フルオロカーボンゴム、高密度ポリエチレン、水素化ニトリルブタジエン、ポリイソプレン、イソブチレンイソプレンゴム、低密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレンビニルアセテート、アクリロニトリルブタジエン、ポリエチレン、ポリイソブテン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、スチレンブタジエン、スチレンエチレンブチレンスチレンコポリマー、ポリシロキサン、ビニルメチルシリコーン、アクリロニトリルブタジエンカルボキシモノマー、スチレンブタジエンカルボキシモノマー、熱可塑性プラスチックポリエーテル-エステル、スチレンブタジエンブロックコポリマー、スチレンブタジエンカルボキシブロックコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリ乳酸、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の混合物が含まれ得る。例えば、本明細書における任意の態様において、ポリマーには、限定されることなく、ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せが含まれ得る。天然ポリマーには、タンパク質、オリゴペプチド、多糖およびリグニンが含まれ得る。
【0072】
本明細書において開示される任意の態様において、組成物中のポリマー量は、約0.05wppm、約0.1wppm、約0.5wppm、約0.1wppm、約5wppm、約10wppm、約15wppm、約20wppm、約25wppm、約30wppm、約35wppm、約40wppm、約45wppm、約50wppm、約55wppm、約60wppm、約65wppm、約70wppm、約75wppm、約80wppm、約85wppm、約90wppm、約95wppm、約100wppm、約105wppm、約110wppm、約115wppm、約120wppm、約125wppm、約130wppm、約135wppm、約140wppm、約145wppm、約150wppm、約155wppm、約160wppm、約165wppm、約170wppm、約175wppm、約180wppm、約185wppm、約190wppm、約195wppm、約200wppm、約225wppm、約250wppm、約275wppm、約300wppm、約325wppm、約350wppm、約375wppm、約400wppm、約425wppm、約450wppm、約475wppm、約500wppm、約550wppm、約600wppm、約650wppm、約700wppm、約750wppm、約800wppm、約850wppm、約900wppm、約1000wppm、約1500wppm、約2000wppm、約2500wppm、約3000wppm、約3500wppm、約4000wppm、約4500wppm、約5000wppm、約5000wppm、約5500wppm、約6000wppm、約6500wppm、約7000wppm、約7500wppm、約8000wppm、約8500wppm、約9000wppm、約9500wppm、約10,000wppm、約10,500wppm、約11,000wppm、ならびにこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/またはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、およびこれらの値の任意の1つを超える任意の範囲であり得る。本明細書における任意の態様において、組成物は、検出可能なポリマーを含まなくてもよい。本明細書全体を通して使用される「検出可能」とは、当技術分野において公知の市販の検出機器を用いた検出を意味する。
【0073】
本明細書において開示される任意の態様において、組成物は、組成物100mL当たり約15mg以上の沈降物を含み得る。沈降物のこの決定は、AOCS Ca 3d-02に記載されている方法に従って測定されるが、該方法は、20℃ではなく65℃で行われるべきである。
【0074】
本明細書において開示される任意の態様において、組成物は、AOCS試験法Cc 17-95によって測定した場合に、約200mg/kgおよび約6,000mg/kgのアルカリ度値を有し得る。したがって、本明細書において開示される任意の態様において、組成物は、AOCS試験法Cc 17-95によって測定した場合に、約200mg/kg、約300mg/kg、約400mg/kg、約500mg/kg、約600mg/kg、約700mg/kg、約800mg/kg、約900mg/kg、約1,000mg/kg、約1,200mg/kg、約1,400mg/kg、約1,600mg/kg、約1,800mg/kg、約2,000mg/kg、約2,500mg/kg、約3,000mg/kg、約3,500mg/kg、約4,000mg/kg、約4,500mg/kg、約5,000mg/kg、約5,500mg/kg、約6,000mg/kg、またはこれらの値のうちのいずれか2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれか2つの間の任意の範囲のアルカリ度値を有し得る。
【0075】
組成物は、組成物を水溶液と接触させる前に前処理を受けても、受けなくてもよい。そのような前処理には、限定されることなく、FFAストリッピング、漂白、脱臭、水洗、グリセロリシス、脱ガム、アルカリ度低下、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せが含まれ得る。グリセロリシスは、典型的には、組成物とグリセロールとの反応によってFFA量を減少させることを伴い、例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,087,771号に記載されている。この反応の生成物には、モノ-グリセリド、ジ-グリセリド、トリ-グリセリド、またはそれらの2つ以上の混合物が含まれ得る。例えば、FFAをモノ-グリセリドに変換するための代表的な反応は、以下のように示され得る:
R-COOH+CH2(OH)CH(OH)CH2OH⇔R-COOCH2CH(OH)CH2OH+H2O
したがって、グリセロリシスは、FFA含有量を約15重量%以下、例えば、約5重量%~約15重量%の範囲(約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲)に減少させ得る。例えば、本技術の任意の態様において、組成物のFFA含有量は、組成物を前処理することによって(例えば、グリセロリシスを介して)組成物を水溶液と接触させる前に、約10重量%以下まで減少され得る。別の例として、本技術の任意の態様において、FFA含有量は、組成物のグリセロリシス前処理によって組成物を水溶液と接触させる前に、約5重量%~約10重量%の範囲内の値に減少され得る。
【0076】
脱ガムの一種には、組成物を水溶液と接触させる前に組成物を濃酸水溶液と接触させることを含む酸脱ガムがある。例示的な酸脱ガムプロセスは、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第9,404,064号に記載されている。例示的な酸には、リン酸、クエン酸およびマレイン酸が含まれ得る。酸脱ガムは、カルシウムおよびマグネシウムなどの金属を減少させ得るとともに、リンを減少させ得る。同様に、アルカリ度低下は、典型的には、アルカリ度の高い組成物に酸(クエン酸などの任意の酸を指す)を加えることによって行われる。酸は、石鹸を中和し、および/または金属イオンをキレート化する効果を有する。酸脱ガムおよび/またはアルカリ度低下のために使用されるプロセス装置には、高剪断ミキサー、再循環ミキサー、デカンター遠心分離機および/またはディスクスタック遠心分離機が含まれ得る。
【0077】
したがって、アルカリ度低下は、組成物を水溶液と接触させる前に、組成物中の金属、特にFe、Ca、KおよびNaの濃度を低下させ得る。本明細書における任意の態様において、アルカリ度低下は、組成物を蒸気と接触させて組成物を加熱して蒸気加熱組成物を提供すること、蒸気加熱組成物を酸(例えばクエン酸)と混ぜ合わせて酸接触組成物を提供すること、酸接触組成物を水と混ぜ合わせ、続いて、撹拌して均一に分散した液滴を含む混合物を提供すること、次いで、三相遠心分離機内でスラッジ相、水相および油相を分離することを含み得、油相は、(組成物と比較して)総金属含有量が減少し、かつアルカリ度が低下した「前処理済み組成物」であり、「前処理済み組成物」は、前記方法(例えば、本明細書における任意の態様において、該方法は、「前処理済み組成物」を水溶液と接触させて混合物を得る工程を含み得る)で使用される。蒸気加熱組成物は、約150°F~約200°Fの温度であってよい。蒸気加熱組成物と混ぜ合わされる酸(例えばクエン酸)の量は、約0.2重量%~約10.0重量%(組成物質量に基づいて)であり得る。酸接触組成物と混ぜ合わされる水の量は、約0.2重量%~約10.0重量%(組成物質量に基づいて)であり得る。撹拌は、撹拌機、再循環ループ、任意の他の混合手段、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せの使用を含み得る。撹拌の合計時間(例えば総混合時間)は、約2~約90分であってよい。前処理済み組成物は、アルカリ度低下前の組成物中の総金属量に基づいて減少した量の金属を含み得る。アルカリ度低下は、そのようなアルカリ度低下前の組成物よりも約40%~約99%低い総金属含有量を提供し得る。
【0078】
本明細書において開示される任意の態様において、本技術の方法は、漂白粘土による漂白を含んでも含まなくてもよい。漂白は、典型的には、脱ガムされた組成物を吸着性粘土と接触させ、使用済み粘土を圧力リーフフィルターを通して濾過することを伴う。漂白粘土(例えば、Fuller's Earth、TONSIL(登録商標))は、窒素化合物(例えばクロロフィル)および他の極性種を含有する着色体を除去するのに有効であることが知られている。しかし、本技術の未処理FOG組成物に典型的な比較的高いFFA濃度では、Fe、Mg、およびCaなどの金属が粘土から浸出し、組成物をさらに汚染する。
【0079】
先に説明したように、本明細書において開示される任意の態様において、第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物は、組成物中の総金属量と比較して約20%以下である総金属量を有し得る(例えば、組成物が20wppmの総金属を有する場合、第2の処理済み組成物は、4wppm以下の総金属を有する)。したがって、本明細書において開示される任意の態様において、第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物は、組成物の約20%、組成物の約15%、組成物の約10%、組成物の約5%、組成物の約1%、組成物の約0.1%、組成物の約0.01%、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、もしくはこれらの値の任意の1つ未満の任意の範囲である総金属量を有し得る。本明細書において開示される任意の態様において、第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物は、組成物の約20%、組成物の約15%、組成物の約10%、組成物の約5%、組成物の約1%、組成物の約0.1%、組成物の約0.01%、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、もしくはこれらの値の任意の1つ未満の任意の範囲であるリン量を有し得る。
【0080】
本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物は、組成物中の遊離脂肪酸の量とほぼ同じ量の遊離脂肪酸を含みながら、減少した量のリン、総金属、硫黄、窒素および/または塩素を含み得る。本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物は、約5重量%~約10重量%の遊離脂肪酸を含み得る。本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物中の遊離脂肪酸の量は、限定されることなく、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。
【0081】
本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物は、約10mg KOH/g~約150mg KOH/gの酸価を有し得る。好適な酸価量には、限定されることなく、約10mg KOH/g~約150mg KOH/g、約10mg KOH/g~約100mg KOH/g、約10mg KOH/g~約50mg KOH/g、約10mg KOH/g~約25mg KOH/g、約10mg KOH/g~約20mg KOH/g、約10mg KOH/g~約15mg KOH/g、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲が含まれ得る。例えば、本明細書における任意の態様において、第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物の酸価は、約10mg KOH/g~約30mg KOH/gであり得、約10mg KOH/g、約11mg KOH/g、約12mg KOH/g、約13mg KOH/g、約14mg KOH/g、約15mg KOH/g、約16mg KOH/g、約17mg KOH/g、約18mg KOH/g、約19mg KOH/g、約20mg KOH/g、約21mg KOH/g、約22mg KOH/g、約23mg KOH/g、約24mg KOH/g、約25mg KOH/g、約26mg KOH/g、約27mg KOH/g、約28mg KOH/g、約29mg KOH/g、約30mg KOH/g、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲であり得る。
【0082】
本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物は、約10wppm未満の総金属を含み得る。本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物中の総金属量は、約9wppm、約8wppm、約7wppm、約6wppm、約5wppm、約4wppm、約3wppm、約2wppm、約1wppm、約0.9wppm、約0.8wppm、約0.7wppm、約0.6wppm、約0.5wppm、約0.4wppm、約0.3wppm、約0.2wppm、約0.1wppm、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、もしくはこれらの値の任意の1つ未満の任意の範囲であり得る。例えば、本明細書における任意の態様において、第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物中の総金属量は、約5wppm未満であり得る。
【0083】
本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物は、約8wppm未満のリンを含み得る。したがって、本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物中のリン量は、約7wppm、約6wppm、約5wppm、約4wppm、約3wppm、約2wppm、約1wppm、約0.9wppm、約0.8wppm、約0.7wppm、約0.6wppm、約0.5wppm、約0.4wppm、約0.3wppm、約0.2wppm、約0.1wppm、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、もしくはこれらの値の任意の1つ未満の任意の範囲であり得る。
【0084】
本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物は、約10wppm未満の塩素を含み得る。本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物中の塩素量は、約9wppm、約8wppm、約7wppm、約6wppm、約5wppm、約4wppm、約3wppm、約2wppm、約1wppm、約0.9wppm、約0.8wppm、約0.7wppm、約0.6wppm、約0.5wppm、約0.4wppm、約0.3wppm、約0.2wppm、約0.1wppm、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、もしくはこれらの値の任意の1つ未満の任意の範囲であり得る。
【0085】
本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物は、約5wppm未満の硫黄を含み得る。本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物中の硫黄量は、約4wppm、約3wppm、約2wppm、約1wppm、約0.9wppm、約0.8wppm、約0.7wppm、約0.6wppm、約0.5wppm、約0.4wppm、約0.3wppm、約0.2wppm、約0.1wppm、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、もしくはこれらの値の任意の1つ未満の任意の範囲であり得る。
【0086】
本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物は、約250wppm未満の窒素を含み得る。本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物中の窒素量は、約240wppm、約230wppm、約220wppm、約210wppm、約200wppm、約190wppm、約180wppm、約170wppm、約160wppm、約150wppm、約140wppm、約130wppm、約120wppm、約110wppm、約100wppm、約95wppm、約90wppm、約85wppm、約80wppm、約75wppm、約70wppm、約65wppm、約60wppm、約50wppm、約45wppm、約40wppm、約35wppm、約30wppm、約25wppm、約20wppm、約15wppm、約10wppm、約5wppm、約1wppm、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、もしくはこれらの値の任意の1つ未満の任意の範囲であり得る。
【0087】
本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物は、処理済み組成物100mL当たり約15mg未満の沈降物を含み得る。したがって、本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物100mL当たりの沈降物の量は、約15mg、約14mg、約13mg、約12mg、約11mg、約10mg、約9mg、約8mg、約7mg、約6mg、約5mg、約4mg、約3mg、約2mg、約1mg、約0.1mg、約0.01mg、またはこれらの値のうちのいずれかの2つを含む任意の範囲および/もしくはこれらの値のうちのいずれかの2つの間の任意の範囲、もしくはこれらの値の任意の1つ未満の任意の範囲であり得る。
【0088】
本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物は、約1wppm以下のナトリウム石鹸を含み得る。
【0089】
本技術の方法は、本明細書において開示される任意の態様の第1の処理済み組成物および/または第2の処理済み組成物を水素化処理に供する工程をさらに含み得る。本明細書において使用される水素化処理とは、限定されることなく、水素の存在下で起こる様々な種類の触媒反応を表す。最も一般的な水素化処理反応の例には、限定されることなく、水素化、水素化脱硫(HDS)、水素化脱窒素(HDN)、水素処理(HT)、水素化分解(HC)、芳香族飽和または水素化脱芳香族(HDA)、水素化脱酸素(HDO)、脱炭酸(DCO)、水素化異性化(HI)、水素化脱ろう(HDW)、水素化脱金属(HDM)、脱カルボニル、メタン化および改質が挙げられ得る。触媒の種類、反応器の構成、反応器の条件、および原料の組成に応じて、純粋に熱的な反応(すなわち、触媒を必要としない)から触媒的な反応までの範囲の複数の反応が起こり得る。
【0090】
本技術の理解をさらに助けるために、図1を参照して、本技術の方法の非限定的な例を以下に説明する。図1に示す方法では、ミキサー10内で、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドならびに少なくとも5重量%のFFAを含むFOG原料101と、(NH4)2H2EDTA、(NH4)4EDTA、クエン酸とNa4EDTAとの組合せ、クエン酸とNa2H2EDTAとの組合せ、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せを含む水溶液102とを接触させる。
【0091】
FOG原料101は、200~20,000mg/kgの範囲のアルカリ度と、約10wppmの総金属と、約10wppm以上のリン含有量とを有する。本明細書において開示される任意の態様において、FOG原料101は、0.1:1~2:1、0.3:1~1.7:1、0.5:1~1.2:1、0.6:1~1.0:1、または0.7:1~0.9:1の、リンと多価金属イオン(例えば、Fe、Ca、MgおよびCu)とのモル比を有し得る。
【0092】
1000mg/kgを超えるアルカリ度値を有するFOG原料の場合、7未満のpH値を有する水溶液が好ましい。本明細書において開示される任意の態様の水溶液は、4~6のpH値を有し得る。水溶液は、200~6000mg/kgのFOGアルカリ度範囲では約4~9のpH範囲に留まりながら、FOGのアルカリ度に応じて(アルカリ度が低くなればpHが低くなるように、アルカリ度が高くなればpHが高くなるように)改変されてもよい。
【0093】
図1に戻って参照すると、FOG原料101と水溶液102との体積比は、キレート剤の希釈レベルならびにFOG原料101中のリンおよび金属の濃度に応じて、10:1~100:1であり得る。好ましい態様では、FOG原料101と水溶液102との体積比は、20:1~80:1である。
【0094】
水溶液102との接触点でのFOG原料101の温度は、140°F~300°F、好ましくは180°F~260°Fであってよい。図1のミキサー10は、連続高剪断ミキサーである。そのようなミキサーは当業者に公知であり、ローター(回転部品)およびステーター(固定部品)を特徴とし、ローターはシャフトによってモーターに接続され、ステーターは穴またはスロットによって構成される。したがって、水溶液102は、FOG内で微細液滴に剪断され、分散相および連続相を含む二相混合物103を生成する。二相混合物103中の液滴サイズは、1~1000ミクロンの範囲であってよく、少なくとも80%が10~100ミクロンのサイズ範囲であってよい。ミキサー10の前述の目的は、静的ミキサー、オリフィスプレート/バルブ、エダクターまたは撹拌タンクを含む他の装置によって満たされ得ることが当業者には理解されるであろう。
【0095】
二相混合物103は、滞留タンク20に導かれて、混合物104を提供する。滞留タンク20の目的は、金属のキレート化、水和性リン脂質への非水和性リン脂質(NHP)の変換、液滴油/水界面への水和性リン脂質の移動、およびさらに大きな液滴への微細液滴の合体(それによって、その後の油/水分離を促進する)に必要な滞留時間を提供することである。滞留タンク20内の滞留時間は、5分~100分、好ましくは10分~60分である。滞留タンク20は、厳密な撹拌を回避しながらタンク循環を提供する混合装置を備えてもよい。追加の水を滞留タンク20に加えてもよい。
【0096】
混合物104は、第1の遠心分離機30に導かれ、第1の遠心分離機30では、水およびキレート化金属を含む第1の重相105が第1の軽相(すなわち、処理済みFOGを含む)から分離される。重相105は、当業者に公知の水処理方法(例えば、本明細書において前述したように)に従って任意でさらに処理されて、水中の金属または他の化学不純物を除去してもよい。
【0097】
第1の遠心分離機30は、ディスクスタック遠心分離機である。ディスクスタック遠心分離機は、開示された方法で使用されるキレート化生成物組成物を構成する液体-液体組成物および液体-固体組成物の種類で遭遇する低い固体濃度ならびに小さな粒子および液滴サイズを伴う分離作業に有用である。ディスクスタック遠心分離機は、一般に、非常に高い遠心力を使用して、単一の連続プロセスで固体と1つまたは2つの液相とを互いに分離する。密度が高い方の相(例えば、水と、その中に溶解したキレート化金属と、油/水界面に濃縮されたリン脂質とを含む重相)は、回転するボウル壁に対して外側に押し出されるような大きな力を受けるのに対して、密度が低い方の液体(処理済みFOGを含む軽相)は、同心の内側層を形成する。遠心分離機は、油/水界面の正確な分割を可能にして分離を最適化するように調整され得る。遠心分離機の「ディスクスタック」部分は、密度に基づいて遠心分離供給材料の成分が沈降し得る追加の表面積を提供するプレートを含む。これらのプレートの特定の構成、形状および設計により、遠心分離機が液体の混合物から広範囲の固体を連続的に分離することが可能になる。濃縮固体(例えばスラッジ)は、オペレーターの所望に応じて、連続的に、断続的に、または手動で除去され得る。本技術の方法に従って使用するのに適したディスクスタック遠心分離機は、例えば、Alfa Laval(スウェーデン)およびGEA Westfalia Separator Group(ドイツ)から市販されている。遠心分離機30の前述の目的は、水平遠心分離機、三相遠心分離機または固体ボウル遠心分離機を含む他の装置によって満たされ得ることが当業者には理解されるであろう。
【0098】
FOG原料101の金属およびリン不純物含有量に応じて、第1の軽相106は、3wppm未満(例えば、2.5wppm未満、2wppm未満、1.5wppm未満、1.0wppm未満または0.5wppm未満)の、多価金属鉄、カルシウム、マグネシウムおよび銅の総濃度を有し得、0.1wppm~2.0wppm、または0.2wppm~1.5wppmの、多価金属Fe、Ca、MgおよびCuの総濃度を有し得る。第1の軽相106は、3wppm未満(例えば、2.5wppm未満、2wppm未満または1.5wppm未満)の一価金属NaおよびKを含有し得る。第1の軽相106は、4wppm未満(例えば、3.5wppm未満、3.0wppm未満、2.5wppm未満、2.0wppm未満または1.5wppm未満)のリン含有量を有し得る。
【0099】
第1の軽相106は、FOG原料101と比較して、金属およびリンの少なくとも80%の減少を示し得る(すなわち、総金属およびリンの量は、FOG原料101の20%である)。Ca、Cu、Fe、Mg、Na、K、LiおよびPの減少は、少なくとも85%であり得、少なくとも90%であり得る。リンの減少は、少なくとも90%(例えば、少なくとも94%)であり得、鉄の減少は、少なくとも95%(例えば、少なくとも96%)であり得る。したがって、第1の軽相106は、例えば、HDO反応器内での再生可能ディーゼル、再生可能ガソリンまたは他のバイオ燃料への変換に好適であり得る。
【0100】
第1の軽相106は、接触器40内でpH調整溶液107と任意で接触して、pH調整された第1の軽相108を提供してもよい。この選択肢は、水性キレート剤のpHが7を超える場合は酸を用いてpHを低下させ、水性キレート剤のpHが7を下回る場合は塩基を用いてpHを上昇させるように行われてもよい。水溶液102は、4~6のpHを有し得、pH調整溶液107は、10重量%~30重量%苛性溶液(例えば、10重量%~30重量%水酸化ナトリウム水溶液)であり得る。水溶液102が8~9のpHを有する場合、pH調整溶液107は、20%~50%クエン酸溶液(すなわち、20重量%~50重量%クエン酸水溶液)であり得る。pH調整溶液107は、20%~80%リン酸溶液であってもよい。
【0101】
接触器40は、第1の軽相(油)とpH調整溶液(水溶液)とを密着させるための装置である。接触器40は、静的ミキサーであり得るか、または本明細書において前述した高剪断ミキサーと同様の高剪断ミキサーであり得る。
【0102】
図1に示すように、pH調整された軽相108は、第2の重相109を第2の軽相110から分離するために、第2の遠心分離機50を介して処理される。遠心分離機50は、本明細書において前述した遠心分離機30と機能的に同じであってよい。第2の重相109のpHは、pH調整溶液107の相対量を制御するために使用され得る。さらに、追加の水を第1および/または第2の遠心分離機に導入してもよい。好ましくは、使用される水は、脱イオン水、脱塩水または復水である。
【0103】
第2の軽相110は、第1の軽相106と同じまたはそれ以下の総金属およびリンを有する。第2の軽相110は、上述のように追加の水と接触されてもよく、第3の軽相を生成するために遠心分離機またはデカントタンクの形態の追加の分離工程(図示せず)に供されてもよい。第2の軽相110は、約3wppm未満のリン含有量と、約3wppm未満の総Ca、Cu、Fe、Mg、NaおよびK金属含有量とを有し得、少なくとも1つのHDO反応器に導かれ得る。任意で、第1、第2および/または第3の軽相は、HDO変換のための吸着剤処理済み原料を提供するために、吸着剤媒体(図示せず)によって処理されてもよい。吸着剤処理済み原料は、第2の軽相110よりも低いリンならびに総Ca、Cu、Fe、Mg、NaおよびK金属含有量を有する。
【0104】
本開示において前述したように、様々な吸着剤媒体が当業者に公知である。そのような媒体は、粉末形態であることが多く、圧力リーフフィルター内で分離する前にスラリータンク内で軽相106または110と接触する。少なくとも1つのHDO反応器は、HDO触媒と接触する前に、本明細書において記載される処理済みFOG(例えば、第1の軽相、第2の軽相、第3の軽相および/または吸着剤処理済み原料)のための濾過の最終層として高多孔性不活性媒体を含み得る。
【0105】
このように一般的に記載される本技術は、例示として提供され、本技術を限定することを意図しない以下の実施例を参照することによって、さらに容易に理解されるであろう。
【実施例
【0106】
比較例1:クエン酸単独およびNa 4 EDTA単独
先行技術、例えば、米国特許第6,407,271号、米国特許出願公開第2010/0056833号に従って、2つの異なるグレードのEDTA四ナトリウム、Trilon(登録商標)BおよびTrilon(登録商標)BX(BASFから入手)を用いた処理に、商業的に供給された使用済み調理油を含み、5重量%を超える脂肪酸含有量(電位差滴定により示されたFFAは約9.5重量%であった)を有する、脂肪、油、およびグリースの混合物(未処理FOG)を供した。これらをそれぞれ「Na4EDTA-1」および「Na4EDTA-2」と標識した。この手順は、高剪断ミキサーを備えたビーカー内、約65℃の温度で、約100グラムの未処理FOGを約0.68グラムの50重量%Na4EDTA水溶液と混合することを伴った。高剪断ミキサーは、2000rpmの設定で運転したSilversonモデルLM5-Aであった。60秒後、剪断ミキサーを停止し、約2.1グラムの脱イオン水をビーカーに加え、2000rpmで約2秒間再び剪断して水を取り込んだ。次いで、ビーカーを撹拌プレート上に置き、PTFE撹拌棒を使用して82℃で約20分間混合した。20分経過後、約0.1グラムの50%水酸化ナトリウム溶液と、2.1グラムの脱イオン水とをビーカーに加えた。内容物を撹拌プレート上で82℃でさらに約5分間混合し続けた。最後に、ビーカーの内容物を100mLガラス遠心管に等しいアリコートで分注し、実験室用遠心分離機を使用して約82℃で約10分間にわたり1800rpmで遠心分離した。その後、軽相をビーカーにピペットで入れ、高剪断ミキサーを使用して約3.9グラムの水と82℃で10秒間混合した。内容物を最初の遠心分離と同じ条件で再び遠心分離して、処理済みFOG試料を得た。EDTA実験と同じモル添加速度でクエン酸を用いて処理を繰り返した。Spectro Arcos誘導結合プラズマ発光分光光度計を使用して、元素不純物について未処理FOG試料および処理済みFOG試料を分析した。これらの実験の結果を表Iに要約する。
【0107】
表Iは、効果の高いキレート剤を使用することによって比較的高い遊離脂肪酸含有量を含有するFOGの処理を改善する点で先行技術の欠点を強調している。Na4EDTAはリンおよびいくつかの多価金属の除去を顕著に増加させたが、表IIに示すアルカリ度の上昇によって証明されるように、この改善はFOG中のFFAとの反応によるナトリウムのはるかに大きな増加によって相殺されて、ナトリウム石鹸が生成された。したがって、正味の効果は、処理済みFOGの不純物含有量の増加であった。
【0108】
(表I)様々なキレート剤を用いた実施例1の未処理FOG処理の元素不純物プロファイル(wppm)
【0109】
(表II)様々なキレート剤を用いた実施例1の未処理FOG処理のアルカリ度プロファイル(wppmオレイン酸ナトリウム)
【0110】
比較例2. 比較例1から得られた処理済みFOGの吸着処理
石鹸除去に関する先行技術の教示がEDTA先行技術の欠点を解決するかどうかを確認するために、比較例1の実験から得られた処理済みFOGの試料を吸着処理に供した。例えば、米国特許第5,298,639号、米国特許第5,231,201号を参照されたい。この一連の実験のために、約100グラムの各比較例1処理済みFOG生成物を、約0.4グラムのTrysil(登録商標)300シリカヒドロゲル(Grace Materials Technologiesの製品)、およびEP Mineralsから入手した0.4グラムのCelatom FW40珪藻土(DE)と接触させた。これをガラス製のErlenmeyerフラスコ内で500rpm、87℃で撹拌しながら行った。35分後、スラリーをWhatman 5濾紙を通して真空濾過し、先に記載したようにICP-AESによって分析した。結果を表IIIに要約する。
【0111】
表IIIに観察されるように、吸着剤媒体は、比較例1では、Na4EDTAによって導入された高レベルのナトリウムを除去することができなかった。換言すれば、キレート化先行技術と吸着先行技術とを組み合わせても、比較的高い遊離脂肪酸含有量を有するFOG原料に前者を適用することによって導入された欠陥は補正されなかった。
【0112】
(表III)比較例2処理済みFOGの元素不純物プロファイル(wppm)(比較例1のキレート剤に対応)
【0113】
実施例3. 本技術の方法の例
Na4EDTAを、本技術のキレート剤、すなわち、クエン酸との組合せでのNa4EDTA、(NH4)2H2EDTA、および(NH4)4EDTAに置き換えた以外は、それぞれ実施例1および2による(1)キレート剤および(2)吸着剤媒体によって、実施例1の未処理FOGを2段階処理に供した。対照(先行技術)キレート剤として、唯一のキレート剤としてのクエン酸を再実験した。結果を表IVに要約する。
【0114】
表IVに観察されるように、比較的高い遊離脂肪酸含有量を有するFOG原料へのEDTAのナトリウム塩の適用に関連するナトリウム上昇の問題は、クエン酸対照と比較して、EDTAのリン減少の利点も保持しながら、本技術の方法によって解決される。クエン酸との組合せでのNa4EDTAによってもたらされるナトリウムの減少は、クエン酸単独およびNa4EDTA単独から得られた比較例1および比較例2の結果を比較することによって示唆されるよりもはるかに大きく、クエン酸とNa4EDTAとの組合せの相乗的利点を示唆している。
【0115】
驚くべきことに、Na4EDTAを単独で使用することによるナトリウムレベルの顕著な上昇とは対照的に、(NH4)2H2EDTAおよび(NH4)4EDTAはそれぞれ、未処理FOGから窒素含有量を上昇させなかった。実施例3の全処理済みFOG試料中の窒素は、46~54ppmの範囲内であり、63.1ppmという未処理FOG窒素含有量をはるかに下回っており、(理論に束縛されるものではないが)形成された可能性のあるアンモニウム石鹸を含み得る窒素化合物の正味の除去を示唆している。
【0116】
(表IV)様々なキレート剤を用いた実施例3の未処理FOG処理の元素不純物プロファイル(wppm)
【0117】
特定の態様を図示および説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義されるそのさらに広い局面の技術から逸脱することなく、当業者に従って変更および修正を行うことができることを理解されたい。上記の各局面および態様はまた、他の局面および態様のいずれかもしくはすべてに関して開示されているような変形例もしくは局面に含まれ得るかまたはそれに組み込まれ得る。
【0118】
本技術はまた、本技術の個々の局面および/または態様の単一の例示として意図される、本明細書において記載される特定の局面および/または態様に関して限定されるべきではない。当業者には明らかであるように、その趣旨および範囲から逸脱することなく、多くの修正および変形を行うことができる。本明細書において列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法および組成物は、前述の説明から当業者には明らかであろう。そのような修正および変形は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。本開示は、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲と併せて、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物組成物または生物学的系に限定されず、当然ながら変化し得ることを理解されたい。本明細書において使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0119】
本明細書において例示的に記載された態様は、本明細書において具体的に開示されていない任意の単数または複数の要素、単数または複数の限定がない状態で好適に実施することができる。したがって、例えば、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などは、広範囲に、限定されることなく読まれるものとする。さらに、本明細書において使用される用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、そのような用語および表現の使用において、示され説明された特徴またはその一部の均等物を除外する意図はないが、特許請求される技術の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。さらに、語句「から本質的になる(consisting essentially of)」は、具体的に列挙された要素、および特許請求される技術の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の要素を含むと理解される。語句「からなる(consisting of)」は、規定されていない要素を除外する。
【0120】
さらに、本開示の特徴または局面がマーカッシュ群に関して記載されている場合、当業者であれば、本開示がそれによってマーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーの部分群に関しても記載されていることを認識するであろう。
【0121】
当業者によって理解されるように、あらゆる目的のために、特に書面による説明を提供することに関して、本明細書において開示されるすべての範囲は、あらゆる可能な部分範囲、およびその部分範囲の組合せも包含する。列挙された範囲はいずれも、同じ範囲を少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割することを十分に説明し、可能にするものとして容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書において説明される各範囲は、下3分の1、中3分の1、および上3分の1などに容易に分割され得る。また、当業者によって理解されるように、例えば、「最大(up to)」、「少なくとも(at least)」、「を超える(greater than)」、「未満(less than)」などのすべての文言は、列挙された数を含み、上で説明したように部分範囲に後で分割され得る範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は各個々のメンバーを含む。
【0122】
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許出願、発行された特許、および他の文書は、あたかも各個々の刊行物、特許出願、発行された特許、または他の文書が参照によりその全体が組み入れられることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み入れられる。参照により組み入れられる本文に含まれる定義は、本開示における定義と矛盾する限り除外される。
【0123】
本技術は、限定されることなく、以下の文字が付されたパラグラフに列挙された特徴および特徴の組合せを含むことができ、以下のパラグラフは、添付の特許請求の範囲を限定するものとして、またはそのような特徴のすべてがそのような特許請求の範囲に必ず含まれなければならないと強制するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
A. 組成物を水溶液と接触させて混合物を得る工程であって、
前記組成物が、
動物脂肪、動物油、植物脂肪、植物油、植物性脂肪、植物性油、グリース、および使用済み調理油のうちの1つまたは複数、
約5重量%以上の遊離脂肪酸、
約10wppm以上の総金属、
約8wppm以上のリン、
約20wppm以上の窒素を含み、
前記水溶液が、
(NH4)2H2EDTA、(NH4)4EDTA、ジエチレントリアミン五酢酸の一アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸の二アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸の三アンモニウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸の四アンモニウム塩、(NH4)5DTPA、クエン酸とNa4EDTAとの組合せ、クエン酸とNa2H2EDTAとの組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の一ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の二ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の三ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とジエチレントリアミン五酢酸の四ナトリウム塩との組合せ、クエン酸とNa5DTPAとの組合せ、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せ
を含む工程、ならびに
前記混合物を遠心分離して、前記組成物よりも少ない総金属および少ないリンを有する第1の処理済み組成物を得る工程、
を含む、方法。
B. 遠心分離の前に、前記混合物に苛性溶液が加えられる、パラグラフAの方法。
C. 前記苛性溶液が、水酸化アンモニウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、またはそれらのうちのいずれか2つ以上の組合せを含む、パラグラフBの方法。
D. 遠心分離の前に、前記混合物に水が加えられる、パラグラフA~Cのいずれか1つの方法。
E. 前記方法が、
前記第1の処理済み組成物を吸着媒体と混ぜ合わせてスラリーを生成させる工程であって、前記スラリーが、得られた吸着媒体と、第2の処理済み組成物とを含む、工程、および
前記第2の処理済み組成物を前記スラリーから分離する工程
をさらに含み、
前記第2の処理済み組成物が、前記組成物中の総金属量およびリン量と比較して約20%以下である総金属量およびリン量を有する、
パラグラフA~Dのいずれか1つの方法。
F. 前記吸着媒体が、シリカおよび珪藻土の一方または両方を含む、パラグラフEの方法。
G. 前記吸着媒体が、シリカおよび珪藻土の両方を含み、前記吸着媒体が、約0.1:1~約1.5:1の、珪藻土とシリカとの重量比を有する、パラグラフFの方法。
H. 前記接触中に、前記組成物と、前記水溶液中の(NH4)2H2EDTAとの重量比が、約50:1~約500:1である、パラグラフA~Gのいずれか1つの方法。
I. 前記接触中に、前記組成物と(NH4)4EDTAとの重量比が、約50:1~約500:1である、パラグラフA~Hのいずれか1つの方法。
J. 前記接触中に、前記組成物と、前記水溶液中のNa4EDTAとの重量比が、約50:1~約500:1である、パラグラフA~Iのいずれか1つの方法。
K. クエン酸とNa4EDTAとの前記組合せが、約1:3~約3:1の、クエン酸とNa4EDTAとのモル比を含む、パラグラフA~Jのいずれか1つの方法。
L. クエン酸とNa2H2EDTAとの前記組合せが、約1:3~約3:1の、クエン酸とNa2H2EDTAとのモル比を含む、パラグラフA~Kのいずれか1つの方法。
M. 前記水溶液が、クエン酸と(NH4)2H2EDTAとの組合せを含む、パラグラフA~Lのいずれか1つの方法。
N. クエン酸と(NH4)2H2EDTAとの前記組合せが、約1:3~約3:1の、クエン酸と(NH4)2H2EDTAとのモル比を含む、パラグラフMの方法。
O. 前記水溶液が、クエン酸と(NH4)4EDTAとの組合せを含む、パラグラフA~Nのいずれか1つの方法。
P. クエン酸と(NH4)4EDTAとの前記組合せが、約1:3~約3:1の、クエン酸と(NH4)4EDTAとのモル比を含む、パラグラフOの方法。
Q. 前記接触中に、前記組成物と、前記水溶液中の(NH4)5DTPAとの重量比が、約50:1~約500:1である、パラグラフA~Pのいずれか1つの方法。
R. 前記水溶液が、クエン酸と(NH4)5DTPAとの組合せを含む、パラグラフA~Qのいずれか1つの方法。
S. クエン酸と(NH4)5DTPAとの前記組合せが、約1:3~約3:1の、クエン酸と(NH4)5DTPAとのモル比を含む、パラグラフRの方法。
T. 前記接触中に、前記組成物と、前記水溶液中のNa5DTPAとの重量比が、約50:1~約500:1である、パラグラフA~Sのいずれか1つの方法。
U. クエン酸とNa5DTPAとの前記組合せが、約1:3~約3:1の、クエン酸とNa5DTPAとのモル比を含む、パラグラフA~Tのいずれか1つの方法。
V. 組成物が、約5重量%~約15重量%の遊離脂肪酸を含む、パラグラフA~Uのいずれか1つの方法。
W. 接触が、前記組成物と前記水溶液との高剪断混合を含む、パラグラフA~Vのいずれか1つの方法。
X. 遠心分離が、ディスクスタック遠心分離を含む、パラグラフA~Wのいずれか1つの方法。
Y. 前記組成物が、AOCS試験法Cc 17-95によって測定した場合に、約200mg/kgおよび約6,000mg/kgのアルカリ度値を有する、パラグラフA~Xのいずれか1つの方法。
Z. 前記水溶液が、約4~約6のpHを有する、パラグラフA~Yのいずれか1つの方法。
AA. 前記第1の処理済み組成物が、約1wppm以下のナトリウム石鹸を含む、パラグラフA~Zのいずれか1つの方法。
AB. 前記第2の処理済み組成物が、約1wppm以下のナトリウム石鹸を含む、パラグラフA~AAのいずれか1つの方法。
AC. 前記第1の処理済み組成物を水素化処理する工程をさらに含む、パラグラフA~ABのいずれか1つの方法。
AD. 前記第2の処理済み組成物を水素化処理する工程をさらに含む、パラグラフE~ACのいずれか1つの方法。
AE. 前記組成物を漂白粘土と接触させる工程を含まない、パラグラフA~ADのいずれか1つの方法。
AF. 前記混合物を遠心分離して、前記第1の処理済み組成物および水性廃棄物を得る工程を含む、パラグラフA~AEのいずれか1つの方法。
AG. 前記水性廃棄物が、前記水性廃棄物の金属含有量を減少させ、前記水性廃棄物の生物学的酸素要求量を減少させ、かつ/または前記水性廃棄物の化学的酸素要求量を減少させるために処理される、パラグラフAFの方法。
AH. バイオ燃料製造のための原料を前処理する方法であって、
(a)5重量%を超える遊離脂肪酸含有量を有する、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドを含む脂肪、油、およびグリース(FOG)原料を提供する工程、
(b)エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む水性キレート剤を提供する工程、
(b)前記水性キレート剤を前記FOG原料と接触させて、二相混合物を提供する工程、ならびに
(c)遠心分離機内で前記二相混合物を軽相と重相とに分離する工程
を含み、
前記FOG原料が、10~50wppmの、多価金属の総濃度と、同じ範囲の一価金属ナトリウム、カリウムおよびリチウムの合計と、10wppmを超えるリン含有量とを有し、前記軽相が、前記FOG原料と比較して金属およびリンの少なくとも80%の減少を示す、方法。
AI. 前記水性キレート剤が、EDTAのアンモニウム塩を含む、パラグラフAHの方法。
AJ. 前記水性キレート剤と前記FOG原料とが、高剪断ミキサー内で接触させられる、パラグラフAHまたはパラグラフAIの方法。
AK. 前記遠心分離機がディスクスタック遠心分離である、パラグラフAH~AJのいずれか1つの方法。
AL. 前記軽相が、第2の遠心分離機内でさらに処理される、パラグラフAH~AKのいずれか1つの方法。
AM. 前記軽相が、吸着剤によって処理される、パラグラフAH~ALのいずれか1つの方法。
AN. 前記軽相が、水素化脱酸素反応器に導かれる、パラグラフAH~AMのいずれか1つの方法。
AO. 前記FOG原料が、200~6,000mg/kgのアルカリ度値を有する、パラグラフAH~ANのいずれか1つの方法。
AP. 前記水性キレート剤が、4~6のpH値を有する、パラグラフAH~AOのいずれか1つの方法。
AQ. 前記軽相中のナトリウム石鹸の形成が、ナトリウムとして1wppm未満である、パラグラフAH~APのいずれか1つの方法。
【0124】
他の態様は、添付の特許請求の範囲に記載される。
図1
【国際調査報告】