(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-23
(54)【発明の名称】接続関数による連続分析物モニタリングセンサの較正及び測定
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1486 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
A61B5/1486
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507397
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2021071740
(87)【国際公開番号】W WO2022029161
(87)【国際公開日】2022-02-10
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516106184
【氏名又は名称】アセンシア・ダイアベティス・ケア・ホールディングス・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Ascensia Diabetes Care Holdings AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ホァン-ピン
(72)【発明者】
【氏名】セルッティ,マーク・ディー
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL09
4C038KX02
4C038KX04
4C038KY06
4C038KY08
(57)【要約】
連続グルコースモニタリング(CGM)測定中にグルコース値を判定する方法は、センサ、メモリ、及びプロセッサを含む、CGMデバイスを提供することと、センサに定電圧電位を印加することと、定電圧電位から生じる一次電流信号を測定して、測定された一次電流信号をメモリに記憶することと、センサにプロービング電位変調シーケンスを印加することと、プロービング電位変調シーケンスから生じるプロービング電位変調電流信号を測定して、測定されたプロービング電位変調電流信号をメモリに記憶することと、変換関数値及び一次電流信号に基づいて、初期グルコース濃度を判定することと、一次電流信号及び複数のプロービング電位変調電流信号に基づいて、接続関数を判定することと、初期グルコース濃度及び接続関数値に基づいて、最終グルコース濃度を判定することと、を含む。他の態様が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続グルコースモニタリング(CGM)測定中にグルコース値を判定する方法であって、
センサ、メモリ、及びプロセッサを含む、CGMデバイスを提供することと、
前記センサに定電圧電位を印加することと、
前記定電圧電位から生じる一次電流信号を測定して、前記測定された一次電流信号を前記メモリに記憶することと、
前記センサにプロービング電位変調シーケンスを印加することと、
前記プロービング電位変調シーケンスから生じるプロービング電位変調電流信号を測定して、測定されたプロービング電位変調電流信号を前記メモリに記憶することと、
変換関数及び前記一次電流信号に基づいて、初期グルコース濃度を判定することと、
前記一次電流信号及び複数の前記プロービング電位変調電流信号に基づいて、接続関数値を判定することと、
前記初期グルコース濃度及び前記接続関数値に基づいて、最終グルコース濃度を判定することと、を含む、方法。
【請求項2】
プロービング電位変調シーケンスを印加することが、前記定電圧電位よりも大きい第1の電圧電位、前記定電圧電位よりも小さい第2の電圧電位、前記第2の電圧電位よりも小さい第3の電圧電位、及び前記第3の電圧電位よりも大きい第4の電圧電位を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数のプロービング電位変調電流信号に基づいて、前記接続関数値を判定することが、プロービング電位変調電流信号の比に基づいて、前記接続関数値を判定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数のプロービング電位変調電流信号に基づいて、前記接続関数値を判定することが、前記プロービング電位変調シーケンス内の異なる電圧ステップのプロービング電位変調電流信号の比に基づいて、前記接続関数値を判定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記一次電流信号及びプロービング電位変調電流信号が、動作電極電流信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
一次電流信号が、3~15分毎に測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記プロービング電位変調シーケンスが、4つ以上の電圧ステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記変換関数が、複数のセンサのインビトロデータに基づいて判定された勾配を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記勾配が、インビトロ動作電極電流対基準グルコースデータに基づいて判定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記インビトロデータが、一次電流信号のためのものである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記接続関数値は、一次電流信号が基準CGMセンサについて測定される前又は後に、前記基準CGMセンサに印加されるプロービング電位変調シーケンスに応答して、前記基準CGMセンサについて測定される複数のプロービング電位変調電流信号に基づいて、接続関数を使用して計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
連続グルコースモニタリング(CGM)デバイスであって、
ウェアラブル部分であって、
間質液から電流信号を生成するように構成されたセンサと、
プロセッサと、
前記プロセッサに結合されたメモリと、
前記プロセッサに結合された送信機回路と、を有する、ウェアラブル部分を備え、
前記メモリが、基準センサに印加された定電圧電位の印加によって生成された一次電流信号、及び一次電流信号測定間に印加されたプロービング電位変調シーケンスの印加によって生成された複数のプロービング電位変調電流信号に基づく接続関数を含み、
前記メモリが、前記メモリに記憶されたコンピュータプログラムコードを含み、前記コンピュータプログラムコードが、前記プロセッサによって実行されたときに、前記CGMデバイスに、
前記ウェアラブル部分の前記センサ及びメモリを使用して、一次電流信号を測定及び記憶することと、
前記一次電流信号に関連付けられた複数のプロービング電位変調電流信号を測定及び記憶することと、
変換関数及び前記一次電流信号に基づいて、初期グルコース濃度を判定することと、
前記一次電流信号及び複数の前記プロービング電位変調電流信号に基づいて、接続関数値を判定することと、
前記初期グルコース濃度及び前記接続関数値に基づいて、最終グルコース濃度を判定することと、を行わせる、連続グルコースモニタリング(CGM)デバイス。
【請求項13】
前記ウェアラブル部分が、前記定電圧電位よりも大きい第1の電圧電位、前記定電圧電位よりも小さい第2の電圧電位、前記第2の電圧電位よりも小さい第3の電圧電位、及び前記第3の電圧電位よりも大きい第4の電圧電位を含む前記センサに、プロービング電位変調シーケンスを印加するように構成されている、請求項12に記載のCGMデバイス。
【請求項14】
前記メモリが、前記メモリに記憶されたコンピュータプログラムコードを含み、前記コンピュータプログラムコードが、前記プロセッサによって実行されたときに、前記CGMデバイスに、プロービング電位変調電流信号の比に基づいて、前記接続関数値を判定させる、請求項13に記載のCGMデバイス。
【請求項15】
前記接続関数値が、プロービング電位変調シーケンス内の異なる電位電圧ステップのプロービング電位変調電流信号の比に基づく、請求項14に記載のCGMデバイス。
【請求項16】
前記一次電流信号及びプロービング電位変調電流信号が、動作電極電流信号である、請求項12に記載のCGMデバイス。
【請求項17】
前記ウェアラブル部分が、
前記センサに結合されており、かつ前記センサによって生成された電流信号を測定するように構成されている、電流検知回路と、
前記電流検知回路に結合されており、かつ前記測定された電流信号からデジタル化電流信号を生成するように構成されている、サンプリング回路と、を含む、請求項12に記載のCGMデバイス。
【請求項18】
ポータブルユーザデバイスを更に備え、前記ポータブルユーザデバイスが、受信機回路及びディスプレイを含み、前記ウェアラブル部分の前記送信機回路が、前記CGMデバイスのユーザへの提示のために、前記ポータブルユーザデバイスの前記受信機回路にグルコース値を伝達するように構成されている、請求項12に記載のCGMデバイス。
【請求項19】
前記変換関数が、複数のセンサのインビトロデータに基づいて判定された勾配を含む、請求項12に記載のCGMデバイス。
【請求項20】
前記勾配が、インビトロ動作電極電流対基準グルコースデータに基づいて判定される、請求項19に記載のCGMデバイス。
【請求項21】
前記インビトロデータが、一次電流信号のためのものである、請求項20に記載のCGMデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年8月4日に出願された「CONTINUOUS ANALYTE MONITORING SENSOR CALIBRATION AND MEASUREMENTS BY A CONNECTION FUNCTION」と題する米国仮特許出願第63/061,135号、2020年8月4日に出願された「NON-STEADY-STATE DETERMINATION OF ANALYTE CONCENTRATION FOR CONTINUOUS GLUCOSE MONITORING BY POTENTIAL MODULATION」と題する米国仮特許出願第63/061,152号、2020年8月4日に出願された「EXTRACTING PARAMETERS FOR ANALYTE CONCENTRATION DETERMINATION」と題する米国仮特許出願第63/061,157号、及び2020年8月4日に出願された「BIOSENSOR WITH MEMBRANE STRUCTURE FOR STEADY-STATE AND NON-STEADY-STATE CONDITIONS FOR DETERMINING ANALYTE CONCENTRATIONS」と題する米国仮特許出願第63/061,167号、の利益を主張し、それらのそれぞれの開示は、全ての目的のために、その全体がこれによって参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、体液中の分析物の連続センサモニタリングに関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、連続グルコースモニタリング(CGM)などの、インビボ又はインビトロサンプルにおける連続分析物検知は、医療デバイスの分野、より具体的には、糖尿病療養において、日常的な検知動作になっている。例えば、指に針を刺して、血液サンプルを取得するなどの個別検知を用いて、全血サンプル内の分析物を測定するバイオセンサの場合、サンプルの温度、及び血液サンプルのヘマトクリットが、誤差の主な原因であり得る。しかしながら、連続インビボ検知動作で使用されるセンサなどの、比較的一定の温度を有する非全血環境において配備されるセンサの場合、他のセンサ誤差の原因が存在する場合がある。
【0004】
したがって、CGMセンサを用いてグルコース値を判定するための改善された装置及び方法が所望される。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態では、連続グルコースモニタリング(CGM)測定中にグルコース値を判定する方法は、センサ、メモリ、及びプロセッサを含む、CGMデバイスを提供することと、センサに定電圧電位を印加することと、定電圧電位から生じる一次電流信号を測定して、測定された一次電流信号をメモリに記憶することと、センサにプロービング電位変調シーケンスを印加することと、プロービング電位変調シーケンスから生じるプロービング電位変調電流信号を測定して、測定されたプロービング電位変調電流信号をメモリに記憶することと、変換関数及び一次電流信号に基づいて、初期グルコース濃度を判定することと、一次電流信号及び複数のプロービング電位変調電流信号に基づいて、接続関数値を判定することと、初期グルコース濃度及び接続関数値に基づいて、最終グルコース濃度を判定することと、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、連続グルコースモニタリング(CGM)デバイスは、間質液から電流信号を生成するように構成されたセンサと、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリと、プロセッサに結合された送信機回路と、を有する、ウェアラブル部分を含む。メモリは、基準センサに印加された定電圧電位の印加によって生成された一次電流信号、及び一次電流信号測定間に印加されたプロービング電位変調シーケンスの印加によって生成された複数のプロービング電位変調電流信号に基づく接続関数を含む。メモリは、メモリに記憶されたコンピュータプログラムコードを含み、コンピュータプログラムコードは、プロセッサによって実行されたときに、CGMデバイスに、ウェアラブル部分のセンサ及びメモリを使用して、一次電流信号を測定及び記憶することと、一次電流信号に関連付けられた複数のプロービング電位変調電流信号を測定及び記憶することと、変換関数及び一次電流信号に基づいて、初期グルコース濃度を判定することと、一次電流信号及び複数のプロービング電位変調電流信号に基づいて、接続関数値を判定することと、初期グルコース濃度及び接続関数値に基づいて、最終グルコース濃度を判定することと、を行わせる。
【0007】
本開示の更に他の態様、特徴、及び利点は、本発明を実施するために企図される最良のモードを含む、いくつかの例示的な実施形態及び実装態様の以下の詳細な説明及び例解から容易に明らかとなり得る。本開示は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の異なる実施形態を可能にし得、そのいくつかの詳細は、様々な点で修正され得る。例えば、以下の説明は、連続的グルコースモニタリングに関連するが、以下に説明されるデバイス、システム、及び方法は、他の連続的分析物モニタリングシステムにおける、例えば、コレステロール、乳酸、尿酸、アルコール、これに類するものなどの他の分析物のモニタリングに容易に適合され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下に説明される図面は、例解目的のためのものであり、必ずしも縮尺通りに描かれない。それらの図面は、本開示の範囲を、いかなる方法でも限定することを決して意図されていない。
【
図1】本明細書に提供された実施形態による、インビボセンサ感度対インビトロセンサ感度を例解する。
【
図2A】本明細書に提供された実施形態による、15日にわたる、動作電極(Iw)電流における線形性試験を例解する。
【
図2B】本明細書に提供された実施形態による、50、100、200、300、及び450mg/dLのグルコース溶液の、動作電極(Iw)電流における線形性試験の応答を例解する。
【
図3A】本明細書に提供された実施形態による、一例のプロービング電位変調(PPM)サイクルにおいてサンプリングする印加電圧、及び電流のタイミングを例解する。
【
図3B】本明細書に提供された実施形態による、個々の一次データポイントについての電流測定を行う例示的な定印加電圧、及び例示的なタイミングを例解する。
【
図3C】本明細書に提供された実施形態による、
図3Bの定印加電圧、及び
図3AのPPMサイクルから生じる、一次データポイントについての最初の4サイクルの出力電流(時間的な電流プロファイル)及びPPM電流を例解する。
【
図3D-3E】本明細書に提供された実施形態による、
図3Cに示された最初の4つのPPMサイクルからの、それぞれ、重畳されたPPM動作電極電流Iw及びPPMブランク電極電流Ibを例解する。
【
図3F】本明細書に提供された実施形態による、1つのサイクルにおける測定されたPPM電流の例示的なタイミング及びラベルを例解する。
【
図4A】本明細書に提供された実施形態による、10個のセンサについての動作電極電流(マイナスバックグラウンド電流)対基準グルコース濃度を例解する。
【
図4B】本明細書に提供された実施形態による、統一較正を伴う生のグルコース濃度の相対誤差(%バイアス)の分布プロットを例解する。
【
図4C】本明細書に提供された実施形態による、統一較正を伴う接続関数を使用する、
図4Bからの出力(最終)グルコース濃度を例解する。
【
図4D】本明細書に提供された実施形態による、
図4AのデータからのG
生及びG
接続の%バイアスの比較を例解する。
【
図5A】本明細書に提供された実施形態による、統一較正を伴う接続関数を用いた後の、
図2Bの出力グルコース濃度データを例解する。
【
図5B】本明細書に提供された実施形態による、接続関数を用いた後の、
図4AのデータからのG
生及びG
接続の%バイアスの比較を例解する。
【
図6】本明細書に提供された実施形態による、単一予測計算式によるグルコース%-ΔG/Gの相対誤差と、統一較正を伴う変換関数に続く、同じデータセットについての接続関数の使用との比較を例解する。
【
図7A-7B】本明細書に提供された実施形態による、例示的なセンサ応答母集団を例解する。
【
図7C-7D】本明細書に提供された実施形態による、広範囲のセンサ応答を、それぞれ、上部範囲及び下部範囲の2つのサブセット応答に更に分割することを例解する。
【
図8A-8D】本明細書に提供された実施形態による、それぞれ、1日目、3日目、7日目、及び14日目の、基準グルコース濃度に対する、統一較正を伴う接続関数からの出力グルコース濃度を例解する。
【
図9A-9B】本明細書に提供された実施形態による、それぞれ、50mg/dL及び100mg/dLから開始するCGMセンサの線形性試験の初期応答、並びに統一較正を用いた接続関数の使用を経た線形グルコース出力を例解する。
【
図10】本明細書に提供された実施形態による、連続グルコースモニタリング測定中にグルコース値を判定する例示的な方法を例解する。
【
図11A】本明細書に提供された実施形態による、例示的なCGMデバイスのハイレベルブロック図を例解する。
【
図11B】本明細書に提供された実施形態による、別の例示的なCGMデバイスのハイレベルブロック図を例解する。
【
図12】本明細書に提供された実施形態による、例示的なグルコースセンサの側面概略図である。
【
図13A-13B】本明細書に提供された実施形態による、複数のセンサのCGM臨床試験及び実験室試験から、それぞれ、ブランク電極から電流Ibを減算する場合及びしない場合の、インビボ及びインビトロデータの組み合わせられた応答を例解する。
【
図13C-13D】本明細書に提供された実施形態による、各試験からのそれぞれの下部境界及び上部境界とともに、インビボデータ及びインビトロデータの応答を別個に例解する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、添付の図面に例解されている、本開示の例示的な実施形態を詳細に参照する。可能な限り、同じ又は同様の部分を指すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用されるであろう。本明細書に説明される様々な実施形態の特徴は、特に明記されない限り、互いに組み合わされ得る。
【0010】
「電圧」、「電位」、及び「電圧電位」という用語は、本明細書において区別なく使用される。「電流」、「信号」、及び「電流信号」はまた、「連続分析物モニタリング」及び「連続分析物検知」と同様に、本明細書においても区別なく使用される。本明細書で使用される場合、プロービング電位変調(PPM)とは、センサへのプロービング電位ステップ、パルス、又は他の電位変調の印加など、連続分析物検知中にセンサに印加される、定電圧電位に周期的に行われる意図的な変化を指す。
【0011】
一次データポイント又は一次電流とは、連続分析物検知中にセンサに印可される定電圧電位における分析物に応答して生成される電流信号の測定値を指す。プロービング電位変調(PPM)電流とは、連続分析物検知中にセンサに印可されるプロービング電位変調に応答して生成される電流信号の測定値を指す。基準センサとは、例えば、血中グルコースメーター(BGM)の読み取り値によって表される基準グルコース濃度に応答して、一次データポイント及びPPM電流(例えば、連続分析物モニタリング(CAM)デバイスにその後記憶され、連続分析物検知中に使用されて分析物濃度を判定する変換関数及び接続関数などの予測計算式を判定する目的のために測定される一次電流及びPPM電流)を生成するために使用されるセンサを指す。
【0012】
同様に、基準センサデータポイントとは、連続動作中のセンサ信号の時間に厳密に対応する時間における基準センサの読み取り値を指す。例えば、基準データポイントは、YSIグルコースアナライザ(YSI Incorporated(Yellow Springs、Ohio))、Contour NEXT One(Ascensia Diabetes Care US,Inc.(Parsippany、New Jersey))、及び/又はこれに類するものなど、基準センサ/器具により重量計によって調製及び検証された基準分析物溶液の濃度として直接取得され得、その場合、線形性試験を含むインビトロ試験は、連続分析物センサを基準溶液に晒すことによって実行される。別の例では、基準センサデータポイントは、静脈採血又は指穿刺のサンプリングを通じて、標的分析物の定期的なインビボ測定における基準センサの読み取り値から取得され得る。
【0013】
統一較正とは、唯一の較正感度、又はいくつかの較正感度のサブセットのうちの1つのサブセットが全てのセンサに常に適用される較正モードを指す。統一較正の下では、現場での指穿刺較正、又はセンサコードを用いた較正は、最小限に抑えられ得るか、又はもはや不要であり得る。
【0014】
接続関数とは、センサ感度の変動範囲を取り込むための、複数のセンサ/感度のインビトロ試験から確立された関数、又はセンサ感度の変動範囲を取り込むための、インビトロ及びインビボの組み合わされたデータから確立された関数をも指す。
【0015】
連続インビボ検知動作で配備されるセンサなど、比較的一定の温度を有する非全血環境で使用されるセンサの場合、センサ誤差は、センサの短期及び長期の感度、並びにその後の較正方法に関連し得る。このような連続検知動作に関連付けられたいくつかの問題/課題があり、それらは、(1)長い試運転(ウォームアップ)時間、(2)工場又は現場での較正、及び(3)連続検知動作中の感度の変化、である。これらの課題/問題は、見たところ、初期の減衰(試運転/ウォームアップ時間)で表されるようなセンサ感度、センサの生産中の環境に対するセンサの感受性に起因する感度の変化、並びにセンサがその後配備される環境/条件に関係するように思われる。
【0016】
本開示の1つ以上の実施形態によれば、装置及び方法は、サンプル分析物についての連続センサ動作の初期開始状態を探って、その後、センサの連続検知動作中の任意の時点でセンサ状態を探るのに動作可能である。
【0017】
本明細書に説明される実施形態は、分析物センサに印加される、それ以外の場合では定電圧の上部にプロービング電位変調を印可するためのシステム及び方法を含む。電圧、電位、及び電圧電位という用語は、本明細書では、区別なく使用される。
【0018】
分析物センサから分析物濃度を連続して正確に判定するために用いられ得る予測計算式のためのパラメータを策定する方法が提供される。いくつかの実施形態では、以下に説明されるように、予測計算式は、変換関数及び接続関数を含み得る。更に、分析物濃度を判定する方法、及びそのための装置が、プロービング電位変調(PPM)自己充足信号(例えば、プロービング電位変調の印加から生じる動作電極電流)とともに提供される。そのような方法及び装置は、(1)異なるバックグラウンド干渉信号の影響を克服すること、(2)異なるセンサ感度の影響を均一化又は除去すること、(3)(長期の)連続モニタリングプロセスの開始時のウォームアップ時間を短縮すること、及び/又は(4)連続モニタリングプロセスにわたってセンサ感度の変化を修正すること、を行いながら、分析物濃度の判定を可能にし得る。これら及び他の実施形態は、
図1~
図13Dを参照して、以下に説明される。
【0019】
普通、一定の印加電圧で動作する連続グルコースモニタリング(CGM)バイオセンサの場合、媒介物質からの電流は、標的分析物グルコースの酵素酸化の結果として連続的に測定される。実際には、電流は、典型的には、3~15分毎に、又は連続的と称されるにもかかわらず、別の規則的な時間間隔で測定又は検知される。CGMセンサが最初にユーザに挿入/移植されるときに、初期の試運転時間があり、この時間は、30分~数時間続くことがある。CGMセンサが試運転されると、その感度は、様々な理由から依然として変化することがある。したがって、その初期の間、及び試運転時間の後に、センサの動作状態を検知して、その感度の任意の変化を特定する必要がある。
【0020】
CGMセンサ動作は、CGMセンサがユーザの皮下に挿入/移植された後に、印加電圧E0で開始する。この印加電圧E0は、通常、媒介物質の酸化還元平坦域上のポイントにある。グルコース酸化酵素の酵素を有する酸素の天然媒介物質の場合、過酸化水素H2O2(酵素反応の酸化生成物)の酸化平坦域は、約100~150mMの塩化物濃度の媒体中のAg/AgCl基準電極に対して、約0.5~0.8ボルトの範囲である。グルコースセンサの動作電位は、0.55~0.7ボルトに設定され得、それは、平坦領域内にある。
【0021】
本明細書に説明される実施形態は、(例えば、グルコースなどの生体サンプル分析物をモニタリングするための)連続検知動作において、皮下バイオセンサの動作電極に印可される、それ以外の場合では定電圧電位に対する周期的な摂動としてプロービング電位変調を用いる。連続グルコースモニタリングなどの連続検知動作の間に、センサ動作電極電流は、通常、グルコース値判定のために、3~15分毎に(又は何らかの他の頻度で)サンプリングされる。これらの電流測定は、連続検知動作中の分析物判定のために使用される一次電流及び/又は一次データポイントを表す。いくつかの実施形態では、プロービング電位変調の周期サイクルは、各一次電流測定の後に用いられ得、その結果、自給充足電流のグループは、センサ/電極ステータス及び/又は条件に関する情報を各一次データポイントに付随させる。
【0022】
プロービング電位変調は、連続分析物モニタリング中に通常使用される定電圧電位とは異なる電位にある1つ以上のステップを含み得る。例えば、プロービング電位変調は、定電圧電位超若しくは未満の第1の電位ステップ、定電圧電位超若しくは未満の第1の電位ステップであってその後に定電圧電位に戻る電位ステップ、定電圧電位超及び/若しくは未満の一連の電位ステップ、電圧ステップ、電圧パルス、同じ若しくは異なる連続時間のパルス、方形波、正弦波、三角波、又は任意の他の電位変調を含み得る。
【0023】
説明されるように、連続分析物検知で使用される従来のバイオセンサは、定電位を、そのセンサの動作電極(WE)に印可することによって動作する。この条件下では、WEからの電流は、定期的に(例えば、3~15分毎に、又は何らかの他の時間間隔で)記録される。このようにして、バイオセンサは、印加電位の変化ではなく、分析物濃度の変化のみに帰すことができる電流を生成する。すなわち、異なる電位の印加に関連付けられた非定常状態電流が、回避されるか、又は最小限に抑えられる。このアプローチは、連続検知動作を簡略化するが、センサへの定電位の印加から生じるデータストリーム内の電流信号は、センサステータス/条件に関する最小限の情報を提供する。すなわち、センサへの定電位の印加から生じるセンサ電流信号は、ロット間の感度の変動、初期信号の減衰に起因する長いウォームアップ時間、長期のモニタリングプロセスにわたるセンサ感度の変化、様々なバックグラウンド干渉信号からの影響、これに類するものなど、センサによる長期の連続モニタリングに関連付けられる課題に関連する情報をほとんど提供しない。
【0024】
本明細書に説明される実施形態は、分析物センサに印加される、それ以外の場合では定電圧の上部にプロービング電位変調を印可するためのシステム及び方法を含む。変換関数及び接続関数を含み得る予測計算式についてのパラメータを策定するための方法が提供され、それらの関数は、分析物センサから連続的に分析物濃度を正確に判定するために用いられ得る。例えば、いくつかの実施形態では、変換関数が、生のグルコース信号(例えば、動作電極電流、又は動作電極電流からバックグラウンド電流を引いたもの)に適用されて、初期グルコース値を判定し得、次いで、接続関数が、初期グルコース値に適用されて、最終グルコース値を判定し得る。
【0025】
皮下に移植された連続グルコースモニタリング(CGM)センサは、基準グルコース値に対して適時較正を要求する。従来、この較正プロセスは、指穿刺グルコース測定値又は毛細血管グルコース値から読み取る血中グルコースモニタリング(BGM)を行い、そのBGM値をCGMデバイスに入力して、次の動作期間の間にCGMセンサの較正ポイントを設定することを含む。普通、この較正プロセスは、CGMセンサの感度が日々変化することがあるため、毎日のように、又は日毎に少なくとも1つの指穿刺グルコース測定において行われる。これは、不便ではあるが、CGMセンサシステムの精度を確保するための必要なステップである。
【0026】
この使い勝手を改善し、かつ指穿刺BGM試験の回数を最小限に抑えるために、個々のセンサの、インビボ感度とインビトロ感度を、一対一のある関係に結び付けるための論理的なステップがある。しかしながら、実際上、個々のセンサについての、インビトロ感度とインビボ感度との間の相関性を観察することは困難であり、複雑である。これは、センサ感度の変化がCGM中に、時間とともに、かつ様々な条件下で変化するため、驚きではない。更に、インビトロ試験及びインビボ試験におけるサンプルタイプは、異なる。インビトロ試験の場合、サンプルタイプは、緩衝液中のグルコース溶液か、又はせいぜい疑似間質液(ISF)であり、これに対して、インビボ試験の場合、サンプルタイプは、毛細血管グルコースを基準にした間質液である。インビトログルコース測定とインビボグルコース測定との間には、より堅牢な接続が所望されており、その接続は、較正のための指穿刺BGM測定を最小限に保つ。
【0027】
本開示の実施形態は、統一較正の方法、及び追加の較正を行わずに、皮下に(対象者の皮膚の下に)移植された連続モニタリングセンサのための、インビトロ分析物とインビボ分析物との間の接続を行う方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、本開示は、皮下に移植された連続モニタリングセンサのための、インビトログルコース及びインビボグルコースの接続を提供する。
【0028】
1つ以上の実施形態では、連続グルコース値を判定する方法は、線形及び非線形応答を有するセンサ、常に水化した膜状態を有するセンサ、膜及び/若しくは環境状態に速やかに変化するセンサ、並びに/又は非平衡酵素媒介物質を有するセンサ、からの統一較正によって提供される。いくつかの実施形態では、単純な変換関数、接続関数、及びいくつかの実施形態では、最終調整関数を通じて、基準毛細血管グルコースに対するグルコース濃度を判定する方法が提供される。更なる他の実施形態では、インビボセンサの挙動に関する接続関数の調整は、インビトロデータ及びインビボデータを組み合わせることによって、接続関数を導出するプロセス内に組み込まれる。更に、連続グルコースモニタリングのためのバイオセンサシステムには、膜で覆われたバイオセンサ、及び、本明細書に説明されているように、プロービング電位変調下で動作するデバイスが提供される。
【0029】
上で説明されるように、統一較正は、非常に望ましく、個々のセンサのインビトロ感度からインビボ感度を予測することによって行われ得、CGM動作中における指穿刺較正の必要性を低減/除去する。インビトロ感度とインビボ感度との間の、そのような一対一の対応関係の追求では、インビトロリリース試験からのセンサの個々の感度を臨床試験で追跡して、初期インビボ感度に対する相関性を確立した。
図1に示されるように、インビトロ感度とインビボ感度との間のそのような一対一の相関性は、実質上存在しないことが見出され(0.04のR
2値)、この図は、本明細書に提供された実施形態による、インビボセンサ感度対インビトロセンサ感度を例解する。
【0030】
有限のR
2値(例えば、0.5)を有する何らかの相関性がある場合であっても、経時的な感度変化は、依然として、インビトロからインビボへの一対一に対応する感度を予測不可能にするであろう。そのような感度変化は、
図2A及び
図2Bにおいて、15日の異なる日にわたって、6つのインビトロ線形性試験について、見ることができる。
図2Aは、本明細書に提供された実施形態による、15日にわたる動作電極(Iw)電流における線形性試験を例解し、
図2Bは、50、100、200、300、及び450mg/dLのグルコース溶液についてのIw電流における線形性試験の応答を例解する。
【0031】
後続の線形性試験における感度は、1日目の試験の感度よりも35~45%だけ高い。したがって、初期のインビボ感度がインビトロ感度から予測され得る場合であっても、後続の感度変化は、依然として、連続モニタリング動作における、現場での指穿刺較正を行うことの根拠となる。
【0032】
上記の2つの例は、インビトログルコースからインビボグルコースへの、信頼性が高くかつ予測可能な接続による、好ましくは、連続グルコースモニタリングセッション中の指穿刺較正を有しない、連続分析物検知の成果を提供する統一較正の方法を確立することが望ましいことを例解する。本明細書に説明される実施形態は、分析物センサに印加される、他の場合には定電圧の上部にプロービング電位変調を印加することによって、インビトログルコースをインビボグルコースに接続するシステム及び方法を含む。分析物センサから連続的に分析物濃度を正確に判定するために用いられ得る予測計算式(例えば、変換関数及び/又は接続関数)のパラメータを策定するための方法が提供される。
【0033】
いくつかの実施形態では、CGMセンサは、動作電極、ブランク(又はバックグラウンド)電極、基準電極、及び膜構造インビボに密閉されたカウンター電極を含む、4つの電極を含み得る。動作電極は、グルコース酸化酵素などの架橋酵素の層を用いて接着及びカバーされ、その層は、外側の膜構造の一部ではなく、標的分析物グルコースの酸化に触媒作用を及ぼす機能を果たす。ブランク電極は、動作電極と同じ動作電位で、全ての酸化可能な化学種からのバックグラウンド信号(バックグラウンド電流Ib)を与える。したがって、2つの電極電流Iw及びIbとの間の差電流(Iw-Ib)は、分析物応答信号として機能し、Ibの減算を通じてバックグラウンド/干渉信号成分を効果的に除去する。基準電極は、動作電極及びブランク電極のための電位基準を提供し、一方、カウンター電極は、動作電極及びブランク電極の全ての逆酸化還元反応を実行する機能を果たして、電気化学反応を完了させる。いくつかの実施形態では、動作電極からの電流信号Iwは、膜構造が干渉種を拒絶する機能を提供する場合、単独で使用され得る。更に他の実施形態では、干渉信号を拒絶する機能は、バックグラウンド電流信号Ibを減算することなく、動作電極電流IwからのPPM信号及び一次信号を通じて、アルゴリズム内に組み込まれる。
【0034】
1つ以上の実施形態では、CGM送信機から生成されたプロービング電位変調(PPM)シーケンスは、CGMセンサの動作電極及びブランク電極に同時に印加され得、Iw及びIb電流は、サンプリングされ得る。例えば、Iw及び/又はIb電流は、繰り返しサイクルの3分毎、及びPPMサイクル中の2秒毎に、各一次データポイントについてサンプリングされ得、その結果、Iw及びIb一次電流、並びにIw及びIb PPM電流をもたらす。一次及び/又はPPM電流についての他のサンプリングレートが使用され得る。1つ以上の実施形態では、1サイクル時間全体(この場合は、3分)に対するPPM時間(PPMシーケンスの時間全体)の比は、約0.05~0.5、及びいくつかの実施形態では、約0.1~0.2であり得る。サイクル時間全体に対するPPM時間の他の比が用いられ得る。
【0035】
図3Aは、本明細書に提供された実施形態による、一例のPPMサイクル又はシーケンスにおける電流サンプリングの印加電圧及びタイミングを例解する。
図3Aでは、例示的なPPMシーケンスは、6つの電圧電位ステップ1~6を有する。電圧電位変化の他の数、値、又はタイプが使用され得る。
図3Bは、本明細書に提供された実施形態による、個々の一次データポイントについて電流測定を行う、例示的な定印加電圧及び例示的なタイミングを例解する(例えば、一例を挙げれば、3~5分毎に)。
図3B上の正方形は、Iw及びIbなどの一次電流信号が、一定の印加電圧下でサンプリングされるタイミングを例解する。サンプリングの最初の4つのサイクルは、それぞれ、302、304、306及び308とラベル付けされている。
図3Cは、本明細書に提供された実施形態による、
図3Bの定印加電圧、及び
図3AのPPMサイクルから生じる、一次データポイントについての最初の4つのサイクルの出力電流(時間的な電流プロファイル)、及びPPM電流(それぞれ、302’、304’、306’、及び308’とラベル付けされている)を例解する。
図3D及び
図3Eは、本明細書に提供された実施形態による、
図3Cに示された最初の4つのPPMサイクルからの、重ね合わされたPPM動作電極電流Iw及びPPMブランク電極電流Ibを例解する。
図3D及び
図3Eの中の丸数字は、
図3Bの例示的なPPMシーケンスにおける6つの電圧電位ステップに対応する。最後に、
図3Fは、本明細書に提供された実施形態による、1つのサイクルにおける測定されたPPM電流の例示的なタイミング及びラベルを例解する。
図3Fの中の丸数字は、
図3Bの例示的なPPMシーケンスにおける6つの電圧電位ステップに対応する。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1のサイクル302’内のPPMシーケンスは、センサがCGMシステムによって開始された2秒後に、電流の記録を起動する。すなわち、PPMシーケンスは、第1の一次データポイントが3分の時点で記録される前に、印加される。
図3D及び
図3Eに示されているように、第1のサイクルにおけるPPMのIw及びIb電流の両方は、その後のサイクルにおけるPPM電流よりも実質的に高い。更に、第1のサイクルのステップ1及びステップ5における電流は、非開始状態における他のPPM電流と比較して、他のPPMステップにおける電流よりも甚だ高い。この挙動は、CGMセンサの開始状態の指標として十分に機能する。
【0037】
インビトログルコースとインビボグルコースとの間の接続の探索では、異なるCGMセンサからの一組の線形性試験が、15日の行程全体わたって様々な時点で行われた。標的グルコース濃度は、インビトロ試験の場合、標準的な干渉レベルの代用干渉種とするアセトアミノフェンの0.2mg/dL添加濃度を有するグルコース溶液において、50、100、200、300、及び450mg/dLであった。干渉信号を表す、ブランク電極からの電流を利用すると、電流差(Iw-Ib)は、グルコース応答信号として使用され、これは、線形性試験からの全てのセンサ電流について、
図4Aにプロットされている。具体的には、
図4Aは、本明細書に提供された実施形態による、様々なセンサ(例えば、10個のセンサ)の様々なセンサ感度についての、インビトロ線形性試験からの複合CGMセンサ応答を例解する。
【0038】
図4Aに示されているように、15日インビトロ連続モニタリングの異なる時点で試験された全てのセンサからのグルコース応答信号(一次データポイント)は、広範囲に分散した。その電流応答範囲は、ゼロを通る回帰線(Iw-Ib)=0.0965*G
基準に集中しており、その応答母集団は、0.0667~0.1778nA/mg/dLの2つの直線によってほぼ画定される。上部の線は、組み合わされた応答において、下部の線の勾配よりも約3倍の勾配を有することが分かる。このような応答のうちの1つは、初期の低い応答、その後の試験で増加した応答で試験されたセンサのうちの1つから、
図2Bに見ることができる。
【0039】
インビトロ感度とインビボ感度との間に一対一の相関性があるという不確定性を仮定すると、統一された「変換関数」をセンサ応答の広範囲のデータに適用して、その後、「接続関数」によりグルコース誤差を狭い変動幅に低減することによる、インビトログルコースからインビボグルコースへの接続を行う方法が、本明細書に開示されている。この統一された変換関数は、生又は「初期」のグルコース値G生=f(信号)を計算し、ここで、信号は、測定された電流信号であり、fは、線形又は非線形の関数であり得る。変換関数fが非線形である場合、感度又は応答勾配は、(以下に説明されるように)適用されない。
【0040】
その最も単純な形態では、統一された変換関数は、測定された電流信号と、インビトロ試験データから取得された基準グルコースレベルとの間の線形関係であり得る。例えば、統一された変換関数は、グルコース信号(例えば、Iw-Ib)と、勾配と、基準グルコースG基準との間に、下記のような線形関係があり得、
(1)信号=勾配*G基準
その結果、下記であり、
(2)G基準=信号/勾配
ここで、勾配は、複合勾配(勾配複合)を表し、また統一された複合勾配とも称され、以下に説明されるように、インビトロセンサデータに基づいて、選択される。次いで、上記の関係は、CGM中の初期又は生のグルコース濃度G生を、下記のように計算するために使用され得る。
(3)G生=信号/勾配複合
【0041】
いくつかの実施形態では、線形変換関数を使用するのではなく、(例えば、センサの様々な応答をより良好にフィッティングさせるために)多項式などの非線形変換関数が用いられ得る。
【0042】
ここで、追加の詳細が、
図4B~
図4Dを参照して説明されており、
図4Bは、本明細書に提供された実施形態による、生のグルコース濃度、G
生=(Iw-Ib)/S
複合の相対誤差(%バイアス)の分布プロットを例解する。
図4Cは、本明細書に提供された実施形態による、接続関数を使用した、
図4Bからの出力グルコースを例解する。
図4Dは、本明細書に提供された実施形態による、
図4AのデータからのG
生及びG
接続についての%バイアスの比較を例解する。
【0043】
図4Bは、0.1333の勾配
複合を使用して計算されたG
生についての%バイアス分布を示している。この複合勾配は、
図4Aに示されているように、データ母集団の中心から0.0965よりも高くなるように事前選択され(例えば、線形回帰に基づいて)、センサの製造仕様毎に、応答母集団全体の2つのサブセット間に重なり合う有効範囲の提供を考慮することに基づいている。G
生を計算するための統一された複合勾配は、センサ毎にグルコースを計算するための、一対一の対応する勾配が存在せず、かつ15日モニタリング中にその後の応答についての、個々の勾配も存在しないため、%バイアス値をより多く分散させる。しかしながら、接続関数が個々の誤差(%バイアス=100%*ΔG/G=100%*(G
生-G
基準)/G
基準)に適用されてグルコースの狭い変動幅を取得する場合、単一変換が、インビボへのインビトロ接続を、較正のない単純な問題にする。この接続関数は、ΔG
生/G
基準値に基づいて、PPMパラメータから導出される。G
生データから誤差変動幅をそのように狭くすることによって、その接続関数は、較正なしでインビトロからインビボ検知への接続を行う接続関数と称され、センサの全ての応答を、誤差の狭い変動幅に収容することを意味する。
【0044】
接続関数は、その接続関数が予測インビボグルコース値を、較正なしで誤差の狭い変動幅に提供する場合、インビトログルコースからインビボグルコースへの広範囲接続であると言われている。この文脈では、(特定のセンサに対する)インビトロ感度及びインビボ感度について、一対一に対応する関係を確立することを追求してはいない。逆に、接続関数は、センサがグルコースに応答する限り、大きな感度範囲内のセンサからのグルコース値を提供する。その応答は、線形又は非線形であり得る。
【0045】
PPM電流からCGMセンサに関する豊富な情報を利用すると、この接続関数は、PPM電流及び関連するパラメータ(場合によっては、定印加電圧に応答する一次電流を含む)から導出される。周期的なサイクルにおける各応答データポイントが複合変換関数によってグルコース値G
生に変換されると、誤差、又はその誤差に関連付けられた%バイアスΔG/G
生=(G
生-G
基準)/G
基準が存在する。G
接続=G
基準を設定することによって、次式を得る。
(4)G
接続=G
生/(1+ΔG/G
生)=G
生/(1+接続関数)
ここで、接続関数=ΔG/G
生=f(PPMパラメータ)である。接続関数を導出するための1つの方法は、PPMパラメータからの入力パラメータを用いて、相対誤差ΔG/G
生を多変量回帰の目標として設定することによるものである。CGMセンサシステムへのPPM法の適用、及びその結果得られたPPM電流が、
図4C及び
図4Dに示されている。
図4Cにおいて、出力グルコースが、接続関数の適用後の最終グルコース濃度、G
接続を指す。
【0046】
要約すると、いくつかの実施形態では、一次電流i10(例えば、Iw-Ib)は、生電流信号を、生又は初期グルコース値G生に変換するために、変換関数の一部として使用され得る。例えば、G生は、以下のように計算され得る。
(5)G生=(Iw-Ib)/0.1333
G生と一次電流との間の他の関係が使用され得る。
【0047】
G生が分かると、次いで接続関数は、補償された又は最終のグルコース信号又は濃度、G複合(G接続とも称される)を計算するために用いられ得る。例えば、接続関数は、定常状態信号(一次電流i10)及び非定常状態信号(PPM信号)を入力パラメータとして、並びに相対誤差ΔG/G生を多変量回帰の目標として使用して、インビトロデータから導出され得る。
【0048】
一実施形態では、接続関数は、G接続=G生/(1+接続関数)によって提供され、ここで、接続関数=f(PPMパラメータ)は、多変量回帰によって導出され、その結果、傾斜複合などの複合変換関数から導出された誤差は、減少/最小化されて、グルコース値を誤差の狭い変動幅内に生成する。別の実施形態では、接続関数は、G基準を、PPM入力パラメータからの多変量回帰を有する回帰目標として設定することによる、単なる予測計算式である。例示的な接続関数CFは、以下に提供される。他の数及び/又は用語の種類が使用され得ることが理解されるであろう。
(6)ΔG/G生=-5.838261-3.511979*z53+6.5e-6*GR6-0.005973*GR53+0.012064*Gz61-0.005874*Gy52-0.038797*Gy43-14.75114*R63R51+0.385802*R64R43-6.134046*R65R52+0.059922*R51R43-0.009478*GR54R42-31.22696*z61z32+7.036651*z63z42-5.153158*z64z42-10.93096*z65z54-1.981203*z51z31+1.578947*z51z21…
ここで、以下に更に説明されるように、GR6=G生*R6、Gz61=G生*z61、Gy52=G生*y52、及びR63R51=R63/R51、R64R43=R64/R43、z64z42=z64/z42などである。多くの他のPPM電流及び/又はパラメータが使用され得る。
【0049】
例示的なPPM電流及びPPMパラメータ
図3Fに示されているようにラベル付けした例示的なPPM電流では、ixy形式の第1の桁は、電位ステップ数(1~6)を示すのに対し、第2の桁は、電位ステップ内のサンプリングされたどの電流が用いられているか(1~3)を示す。例えば、i10は、一次電流を示し、i11は、ステップ1における3つの記録された電流のうちの第1の電流であり、一方、i13は、ステップ1における3つの記録された電流のうちの第3の電流である。同様に、i63は、ステップ6における3つの記録された電流のうちの第3の電流である。追加のパラメータが、以下に提供される。
【0050】
Rxパラメータ:これらのパラメータの一般的な形式は、1つのステップ内の第1の電流によって除算されている最終電流によって与えられる。例えば、R1=i13/i11、R2=i23/i21、R3=i33/i31、R4=i43/i41、R5=i53/i51、及びR6=i63/i61である。
【0051】
Xijパラメータ:このタイプのパラメータの一般的な形式は、後の電位ステップの終了電流が以前のステップの終了電流で除算されることによって与えられる。例えば、パラメータx61は、i63/i13によって判定され、i63は、ステップ毎の3つの記録された電流における電位ステップ6の終了電流であり、一方、i13は、ステップ1の終了電流である。例えば、x61=i63/i13、x62=i63/i23、x63=i63/i33、x64=i63/i43、x65=i63/i53、x51=i53/i13、x52=i53/i23、x53=i53/i33、x54=i53/i43、x41=i43/i13、x42=i43/i23、x43=i43/i33、X31=i33/i13、x32=i33/i23、及びX21=i23/i13である。
【0052】
Yijパラメータ:このタイプのパラメータの一般的な形式は、後の電位ステップの終了電流が以前のステップの最初の電流で除算されることによって与えられる。例えば、パラメータy61は、i63/i11によって判定され、i63は、ステップ毎の3つの記録された電流のうちの、ステップ6の終了電流であり、i11は、ステップ1の最初の電流である。例えば、y61=i63/i11、y62=i63/i21、y63=i63/i31、y64=i63/i41、y65=i63/i51、y51=i53/i11、y52=i53/i21、y53=i53/i31、y54=i53/i41、y41=i43/i11、y42=i43/i21、y43=i43/i31、y31=i33/i11、y32=i33/i21、及びy21=i23/i11である。
【0053】
Zijパラメータ:このタイプのパラメータの一般的な形式は、後のステップの最初の電流が以前のステップの終了電流で除算されることによって与えられる。例えば、パラメータz61は、i61/i13によって判定され、i61は、ステップ毎の3つの記録された電流のうちの、ステップ6の最初の電流であり、i13は、ステップ1の終了電流である。例えば、z61=i61/i13、z62=i61/i23、z63=i61/i33、z64=i61/i43、z65=i61/i53、z51=i51/i13、z52=i51/i23、z53=i51/i33、z54=i51/i43、z41=i41/i13、z42=i41/i23、z43=i41/i33、z31=i31/i13、z32=i31/i23、及びz21=i21/i13である。
【0054】
Wijパラメータ:このタイプのパラメータの一般的な形式は、後のステップの中間電流が以前のステップの中間電流で除算されることによって与えられる。例えば、パラメータw61は、i62/i12によって判定され、i61は、ステップ毎の3つの記録された電流における、ステップ6の中間電流であり、i12は、ステップ1の終了電流である。例えば、w61=i62/i12、z62=i62/i22、z63=i62/i32、z64=i62/i42、z65=i62/i52、w51=i52/i12、z52=i52/i22、z53=i52/i32、z54=i52/i42、w41=i42/i12、z42=i42/i22、z43=i42/i32、w31=i32/i12、z32=i32/i22、及びw21=i22/i12である。
【0055】
追加のPPMパラメータは、正規化されたPPM電流ni11=i11/i10、ni12=i12/i10、…、ni63=i63/i10、相対差d11=(i11-i12)/i10、d12=(i12-i13)/i10、d21=(i21-i22)/i10、d22=(i22-i23)/i10、…、d61=(i61-i62)/i10、及びd62=(i62-i63)/i10、各PPM電位ステップの平均電流av1=(i11+i12+i13)/3、av2=(i21+i22+i23)/3、…、及びそれらの比av12=av1/av2などを含み得る。
【0056】
同等又は同様の情報を運ぶPPM電流差又は相対差などの、他のタイプのパラメータもまた、使用され得る。異なるセンサ感度、初期ウォームアップ時間、長期にわたる感度変化、及び異なる量の干渉物質の採用に起因する異なるバックグラウンド信号という課題を克服する実現可能性を実証するために、上記のパラメータは、それらの温度交差項とともに、その単純な形態の多変量回帰における入力であり得る。追加の用語/パラメータは、回帰において提供され得る。
【0057】
接続関数アプローチを使用して、
図5Aは、
図2Bに示された高低差のある応答が、個々の応答感度を考慮することを必要とせずに、本質的に1つの出力グルコース応答線に収まることを示している。これが意味することは、センサが応答の範囲内でグルコースに応答する信号を生成する限り、将来の感度、及び将来のそれらの変動は、重要ではないことである。これは、事実上、センサを較正することを必要とせずに、グルコース判定を提供する機能を果たす。この方法は、
図4Aに示された10個のCGMセンサからのインビトロ線形性試験の大規模なデータセットに更に適用される。
図5Bに示されているように、統一された変換勾配
複合で作成された
図4Bの%バイアスに関する広く分散した誤差は、接続関数による追加の較正なしに、誤差の狭い変動幅を生成し得る。予め設定された勾配
複合が初期グルコース濃度G
生を計算するために使用されるため、接続関数は、センサ応答が応答範囲の目標内にある限り、センサ応答に関係なく、全てのデータポイントについて、更なる較正のない、実質的な誤差低減を行う。
図4Aに示されているように、応答の上部境界は、応答範囲の下部境界のほぼ3倍である。
【0058】
本明細書に提供された例示的な実施形態は、初期グルコース濃度を判定するための変換関数(例えば、複合勾配に基づいて)、及びその初期グルコース濃度から最終グルコース濃度を判定するための、多変量回帰を使用して展開される接続関数の使用について説明する。代替的に、単一予測計算式は、別個の変換関数及び接続関数を使用することなく、多変量回帰を使用して展開され得る。例示的な予測計算式は、例えば、2020年2月5日に出願された「APPARATUS AND METHODS OF PROBING SENSOR OPERATION AND/OR DETERMINING ANALYTE VALUES DURING CONTINUOUS ANALYTE SENSING」と題する米国特許出願第16/782,974号に説明されており、その内容は、これによってその全体が、全ての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
以下の表1において、初期変換関数G
生の結果、及び接続関数G
接続の結果は、単一予測計算式であるG
予測(例えば、以前に組み込まれた米国特許出願第16/782,974号に説明されている予測計算式)の結果と比較されている。PPM法による接続関数についての以下の重要な利点を、表1に見ることができる。G
生について、CGM信号(一次データポイント)は、経時的に変化し続ける広範囲の応答を有するセンサについて、単一勾配
複合=0.1333によってグルコース値に変換される。それらの結果は、複合勾配
複合によって説明される中央の挙動から実質的に逸脱した個々のグルコース誤差とともに広く散らばる(MARD=23.4%であり、そのデータの43.1%のみが、±20%の誤差境界内にある)。単一予測計算式を用いると、誤差の散らばりは、50%減少し、MARD値は、60%超から7.79%まで減少し、データ母集団は、±20%の誤差境界以内で91.3%に近づく。勾配
複合=0.1333を有する変換関数後に、同じデータセットが接続関数によって代わりに処理される場合、誤差は、G
生から更に減少し、G
予測を超えて更に改善され、MARDは、23.4%から5.55%に減少し、データ母集団は、±15%以内の誤差境界では94.1%に、また±20%の誤差境界では98.1%にそれぞれ近づく。
【表1】
【0060】
単一予測計算式及び接続関数法の両方は、PPMパラメータからの多変量回帰によって導出されるが、接続関数を導出する際に、回帰のためのΔG/G
生という相対誤差を目標にすることにより、単一予測計算式によるアプローチよりも小さいグルコース範囲で、誤差のより大部分が減少する。これは、白丸(○)がG
予測からの%バイアスを示すのに対して、塗りつぶし三角形(▲)がG
接続からの%ベースを示す、単一予測計算式及び接続関数からの%バイアスの比較について、
図6で見ることができる。CGMセンサが一次データポイント及びPPM電流の両方におけるグルコース濃度に応答することに基づいて、(Iw-Ib)/勾配
複合などの複合変換関数と結合された接続関数は、狭い変動幅の誤差を伴うグルコース判定を提供する。したがって、インビトログルコース試験とインビボグルコース試験との間に、広範囲の接続が提供される。
【0061】
センサの製造プロセスでは、リリース仕様に対する広範囲のセンサ応答に遭遇することがある。
図7A及び
図7Bは、本明細書に提供された実施形態による、例示的なセンサ応答母集団を例解する。その上部境界及び下部境界は、おおよそ2つの線のy=0.066*x及びy=0.475*xによって記述される。応答範囲全体について、勾配
複合=0.1471を有する単純な線形線は、CGMセンサのインビトロ応答の中心を特徴付けている。相関係数R
2=0.5677は、広範囲のセンサ応答のために、信号(Iw-Ib)と基準グルコース値G
基準との間の中間的な相関性のみを示している。
図7A及び
図7Bに示されているように、母集団の上部範囲に応答の一部分、及び下部範囲に応答の一部分が存在する(黒っぽい三角形▲は、
図7Bの上部範囲の応答を示す)。勾配
複合によって表されているような単一変換関数を使用して、信号を(Iw-Ib)/勾配
複合によって、G
生に変換し得る。これは、続いて、単一接続関数を使用して、生の%バイアス値を狭い変動幅に低減する。
【0062】
CGMセンサの広い応答範囲を前提とすると、予想される生産応答範囲はまた、2つ以上のサブセット応答にも更に分割され得る。
図7C及び
図7Dは、本明細書に提供された実施形態による、広範囲のセンサ応答を、それぞれ、上部範囲及び下部範囲の2つのサブセット応答に更に分割することを例解する。
図7A~
図7Dでは、白丸(○)は、(
図7A及び
図7Bに示されているように)応答範囲全体を示すのに対し、塗りつぶし三角(▲)は、(
図7C及び
図7Dに示されているように)下部応答範囲か又は上部応答範囲かのいずれかのサブセットを示している。
【0063】
図7Cの内容は、拡張されたy軸を有する
図4Aに見ることができ、そこでは、下部境界及び上部境界は、0.0667~0.1778nA/mg/dLの2つの線によっておおよそ画定されている。下部のサブセット応答について、応答の線形回帰の相関係数は、0.5677から0.8355に増加する(応答母集団全体)。上部のサブセット応答について、応答の線形回帰の相関係数は、0.5677から0.725に増加する(
図7D)。多項式を使用して上部範囲の中心応答を表現する場合、相関係数は、更に0.8213に増加する。このシナリオの下では、変換関数は、もはや、勾配
複合との単純な線形関係ではない。しかしながら、ΔG/G
生=f(PPMパラメータ)の初期変換関数によって初期誤差に結び付けている接続関数は、依然として、G
接続=G
生/(1+接続関数)となるように適用される。応答サブセットの各ケースでは、相関係数が増加した応答関数、信号=f(グルコース)は、初期誤差ΔG/G
生を低減するのに役立つ。接続関数は、初期誤差を更に低減して、1つの広範囲にわたる応答セットの場合よりも、CGMセンサの場合のグルコース濃度の実質的に更に良好な判定を提供する。2つの接続関数は、応答の2つのサブセット間のわずかな応答のために重なり合う有効範囲を有するように設計される。応答の2つのサブセットのそれぞれについて、広範囲の接続が、インビトロからインビボグルコースに提供され、その場合、誤差の狭い変動幅内にグルコース値を生成するための更なる較正は、不要になる。したがって、複数の変換関数及び/又は複数の接続関数が使用され得る。
【0064】
非線形信号応答からのグルコース出力を線形化することは、接続関数の別の利点である。
図7Bの上部応答領域では、グルコース応答信号は、本質的に非線形であり、これは、バイオセンサの不平衡な酵素媒介物質間条件によって引き起こされ得る。グルコース酸化酵素(GO)が酵素として使用されるバイオセンサでは、特に非常に高い応答感度のセンサの場合、組織によって取り囲まれたセンサの中及び近くの媒介物質酸素が制限されるようになり得る。これは、酵素の酸化状態が、媒介物質である酸素によって、中~高グルコース濃度で完全かつ適時に再生することができない、不平衡な酵素媒介物質状態と見なされ得る。続いて、非線形応答曲線が得られる。接続関数は、センサ感度変動の観点から、広範囲のセンサ応答に対応することに加えて、非線形応答から線形化されたグルコース出力値を生成することができる。
図8A~
図8Dは、CGMセンサについて、線形出力グルコース値を生成するための非線形応答のそのような変換を示しており、そこでは、白丸(○)は、生の一次データポイントを示すのに対し、塗りつぶしの菱形(◆)は、接続関数によって一次データポイントから変換された出力グルコース値を示す。そうすることで、接続関数は、異なるセンサ感度に対応するだけでなく、連続インビトログルコース検知の異なる時間における非線形応答にも対応する。これらの対応は、
図8A~
図8Dのそれぞれの1日目、3日目、7日目、及び14日目に示されているように、更なる較正なしにそのように達成される。
【0065】
急速に変化する膜状態/環境において動作すること、及び正確なグルコース値を報告することは、更なる較正を必要とせずに接続関数を使用することによって提供される更なる他の利点である。急速に変化する膜状態及び/又は環境は、経時的に変化する出力信号において、大方、反映される。そのような状態の一例としては、
図9A(50mg/dLグルコース溶液を用いる)及び
図9B(100mg/dLグルコース溶液を用いる)に示されているように、センサがインビトロ試験溶液内に浸漬された直後のセンサ応答か、又はセンサが皮膚の皮下に挿入された直後のセンサ応答が挙げられる。インビトロ及びインビボの両方の状況では、センサの膜は、周囲の溶媒分子及び/又は組織に対するその初期乾燥状態に関して、酵素及び外膜を含む、その構造の急激な変化の影響を受けるであろう。
図9A及び
図9Bの例の場合、この変化は、一般に、再水和と称され、一定のグルコース濃度においてさえも、信号の減衰が30~40分間継続するときには、初期応答の変化において最も顕著である。再水和プロセス中のそのような微妙な変化はまた、接続関数の回帰内に組み込まれるPPM電流にも反映される。PPMパラメータに由来する接続関数は、連続グルコース検知の初期状態中に、そのような減衰の影響を除去/最小化することができる。それらの結果は、
図9A及び
図9Bのグルコース濃度プロットに見ることができ、そこでは、初期減衰部分は、接続関数を電流応答に適用することによって、実質上除去される。これは、連続グルコース検知中に、追加の較正なしに行われる。
【0066】
毛細血管グルコースを基準とした、グルコース判定の更なる別の方法が、広範囲接続を行った後の(例えば、説明されたように、変換関数及び接続関数の使用を介した)最終調整関数によって提供され得る。この調整は、インビトロデータ及びインビボデータを組み合わせることによって、暗黙的に実施され得る。個別のレベルの分析物濃度のみが使用されるインビトロ試験における離散的な性質を考慮すると、インビトロ及びインビボの試験からのデータを組み合わせることは、異なる試験設定値からのデータに埋め込まれた異なる情報源に対応する。その目標は、インビボ分析物濃度の正確な予測を提供することである。したがって、インビトロ試験は、高い及び低い酸素条件を交番させることなどの、異なる条件下でのセンサの異なる組み合わせ及び変形を提供するように設計され得る。
図13A及び
図13Bは、本明細書に提供された実施形態による、動作電極電流についてバックグラウンド減算を実行する場合及びしない場合の、インビトロ及びインビボデータの組み合わせの例を提供している。
図13C及び
図13Dは、本明細書に提供された実施形態による、インビボ試験及びインビトロ試験からデータセットを更に分離し、異なるセンサからの、かつ異なる条件下での感度の変動範囲を示している。この例では、インビトロデータは、室温環境で収集された。このより低い温度条件下では、それらの応答は、インビボデータの応答と比較して、比較的低い(約32℃で収集された)。この温度効果は、異なる温度からのデータとともに、回帰プロセスから導出される接続関数を介して、暗黙的実装態様を用いて補償される。この調整機能は、インビトロからインビボへの接続が較正なしで行われる場合であっても、間質液遅延を考慮し得、例えば、臨床試験からの関連データを用いる。
【0067】
以下の表2は、複数のセンサからのインビトロデータ、及び複数のセンサの7日間のCGM動作のインビボデータの組み合わされたデータセットを調整した接続関数を適用する前(G-生)及び後(G-最終)のデータの結果を示している。統一較正勾配
複合は、0.15385であり、すなわち、インビボデータ母集団を目標とするG-生=(Iw-Ib)/0.15385である。インビボデータについてのG-生の平均%バイアスは、わずかに負であるが、インビトロデータについては、実質的に負である。この大きな負の平均%バイアスは、約22~25℃で収集されたインビトロデータについての温度効果を部分的に反映されているのに対して、統一較正勾配は、皮下条件下の32℃で目標とされている。暗黙の調整を伴う接続関数による補償後に、インビボデータ、インビトロデータ、及びその組み合わされたデータについての平均%バイアス値は、実質上ゼロである。更に、%MARD値は、G-生の結果から実質的に減少している。これは、異なるセンサからの様々な感度、及びそれらの経時的な変化を克服するための、接続関数と連動した統一較正の有効性を示している。
【表2】
【0068】
要約すると、本明細書に説明されているように、プロービング電位変調(PPM)を用いることは、十分な自己充足情報を提供して、異なるセンサロット間の感度差、連続モニタリング期間全体にわたる感度変化、干渉種の異なるレベルに起因するバックグラウンド変動、並びに挿入及び起動直後のグルコース信号の非線形効果(短縮されたウォームアップ時間を提供する)に対応する。これは、PPM電流を用いて、かつ工場及び/又は現場での較正なしに、達成され得る。
【0069】
図10は、本明細書に提供された実施形態による、連続グルコースモニタリング測定中にグルコース値を判定する例示的な方法1000を例解する。
図10を参照すると、方法1000は、ブロック1002において、センサ、メモリ、及びプロセッサを含む、CGMデバイス(例えば、
図11A~
図11BのCGMデバイス1100又は1150)を提供することを含む。ブロック1004において、方法1000は、定電圧電位をセンサに印可することを含む(例えば、
図3BのE
0)。ブロック1006において、方法1000は、定電圧電位から生じる一次電流信号を測定して、その測定された一次電流信号をメモリに記憶することを含む。ブロック1008において、方法1000は、プロービング電位変調シーケンスをセンサに印可することを含む(例えば、
図3AのPPMシーケンス)。ブロック1010において、方法1000は、プロービング電位変調シーケンスから生じるプロービング電位変調電流信号を測定して、その測定されたプロービング電位変調電流信号をメモリに記憶することを含む。方法1000は、ブロック1012において、変換関数及び一次電流信号に基づいて、初期グルコース濃度を判定すること、ブロック1014において、一次電流信号及び複数のプロービング電位変調電流信号に基づいて、接続関数値を判定すること、及びブロック1016において、初期グルコース濃度及び接続関数値に基づいて、最終グルコース濃度を判定すること、を更に含む。最終グルコース濃度は、(例えば、
図11A又は
図11Bのディスプレイ1117又は1122を介して)ユーザに伝達され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、PPMサイクル又はシーケンスは、一次データサイクルのせいぜい半分の時間(例えば、3~5分)をかけて、次の一次データポイントが記録される前に、定常状態条件のための、動作電極への定電圧印加が再開されるのに十分な時間を可能にするように設計される。いくつかの実施形態では、PPMサイクルは、約1~90秒程度、又は規則的な180秒の一次データサイクルの50%以下であり得る。
【0071】
1つ以上の実施形態では、PPMサイクルは、約10~40秒であり得、かつ/又は媒介物質の酸化還元平坦域の周りに、2つ以上の変調電位ステップを含み得る。いくつかの実施形態では、PPMシーケンスは、規則的な一次データポイントサイクルの10~20%程度であり得る。例えば、規則的な一次データポイントサイクルが180秒(3分)である場合、36秒のPPMサイクルは、一次データポイントサイクルの20%である。一次データサイクルの残り時間は、定常状態条件が定印加電圧で再開することを可能にする。PPMサイクルの電位ステップについて、連続時間は、一時的なものであり、その結果、これらの電位ステップによって作られる測定可能種の境界条件は、非定常状態である。したがって、各電位ステップは、いくつかの実施形態では、1~15秒程度であり、他の実施形態では、約3~10秒であり、更に他の実施形態では、約4~6秒であり得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、プロービング電位変調は、非拡散律速酸化還元条件の電位領域、又は媒介物質の動力学領域にステップ化し得る(出力電流が印加電圧に依存し、より高い印加電圧が電極からより高い出力電流を生成することを意味する)。例えば、
図3Aのステップ2及び3は、電極から非定常状態の出力電流を生成する、媒介物質の動力学領域における2つの電位ステップである。電位ステップが反転すると、同じ大きさの印加電圧(
図3Aのステップ4及びステップ5)を再開して、電極からの非定常状態の出力電流をプロービングする。
【0073】
非定常状態条件に付随する異なる実施形態が用いられ得る。例えば、非定常状態条件はまた、目標電位(
図3Aのステップ2)に直接進み、開始電位(
図3Aのステップ1)に戻る1つのステップによって、プロービングされ得、これは、異なる非定常状態条件を有する動力学領域での異なる電位(
図3Aのステップ3)に直接進み、次いで、開始電位(
図3Aのステップ1又は6)に直接戻る第2のプロービング電位ステップに続く。その意図は、印加電位を変調して、電極表面における測定可能種のための定常状態及び非定常状態条件の交番を作り出し、それによって、非定常状態からの信号が、分析物濃度を判定するために使用され得ることである。
【0074】
図11Aは、本明細書に提供された実施形態による、例示的なCGMデバイス1100のハイレベルブロック図を例解する。
図11Aには示されていないが、様々な電子構成要素及び/又は回路は、限定されるものではないが、バッテリーなどの電源に結合するように構成されていることが理解されよう。CGMデバイス1100は、CGMセンサ1104に結合するよう構成され得る、バイアス回路1102を含む。バイアス回路1102は、連続DCバイアスなどのバイアス電圧を、CGMセンサ1104を通して分析物含有流体に印加するように構成され得る。この例示の実施形態では、分析物含有流体は、ヒト間質液であり得、バイアス電圧は、CGMセンサ1104の1つ以上の電極1105(例えば、動作電極、バックグラウンド電極など)に印加され得る。
【0075】
バイアス回路1102はまた、
図3A又は別のプロービング電位変調シーケンスに示されているように、プロービング電位変調シーケンスをCGMセンサ1104に印加するように構成され得る。例えば、プロービング電位変調シーケンスは、
図3A~
図3Fを参照して上で説明されるように、各一次データポイントに対して印加され得る。プロービング電位変調シーケンスは、例えば、一次データポイントの測定の前、後、又は前後に印加され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、CGMセンサ1104は、2つの電極を含み得、バイアス電圧及びプロービング電位変調(PPM)は、一対の電極間に印加され得る。このような場合、電流は、CGMセンサ1104を通して測定され得る。他の実施形態では、CGMセンサ1104は、動作電極、カウンター電極、及び基準電極などの3つの電極を含み得る。このような場合、バイアス電圧及びプロービング電位変調は、動作電極と基準電極との間に印加され得、電流は、例えば、動作電極を通して測定され得る。CGMセンサ1104は、還元酸化反応においてグルコース含有溶液と反応する化学物質を含み、電荷担体の濃度及びCGMセンサ1104の時間依存性インピーダンスに影響を与える。例示の化学物質としては、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、又はこれに類するものが含まれる。一部の実施形態では、フェリシアニド又はフェロセンなどのメディエーターが用いられ得る。
【0077】
バイアス回路1102によって生成及び/又は印加される連続バイアス電圧は、例えば、基準電極に対して約0.1~1ボルトの範囲であり得る。他のバイアス電圧が使用され得る。例示的なプロービング電位変調値は、以前に説明されている。
【0078】
プロービング電位変調及び定バイアス電圧に応答する分析物含有流体中のCGMセンサ1104を通るプロービング電位変調(PPM)電流及び非プロービング電位変調(NPPM)電流は、CGMセンサ1104から電流測定(I測定)回路1106(電流検知回路とも称される)に伝達され得る。電流測定回路1106は、(例えば、好適な電流電圧変換器(CVC)を使用して)CGMセンサ1104から伝達される電流の大きさを示す大きさを有する電流測定信号を検知及び/又は記録するように構成され得る。一部の実施形態では、電流測定回路1106は、既知の名目値及び既知の名目精度(例えば、一部の実施形態では、0.1%~5%、又は更に0.1%未満)を有する抵抗器を含み得、これを通して、CGMセンサ1104から伝達される電流が通過する。電流測定回路1106の抵抗器にわたって発生する電圧は、電流の大きさを表し、電流測定信号(又は未加工のグルコース信号、信号生)と称され得る。
【0079】
一部の実施形態では、サンプル回路1108は、電流測定回路1106に結合され得、電流測定信号をサンプリングするように構成され得、電流測定信号(例えば、デジタル化されたグルコース信号)を表すデジタル化された時間領域サンプルデータを作り出し得る。例えば、サンプル回路1108は、アナログ信号である電流測定信号を受信し、所望のビット数を出力として有するデジタル信号に変換するように構成されている、任意の好適なA/D変換器回路であり得る。サンプル回路1108によって出力されるビット数は、一部の実施形態では、16であり得るが、他の実施形態では、より多い又はより少ないビットが使用され得る。一部の実施形態では、サンプル回路1108は、毎秒約10サンプル~毎秒1000サンプルの範囲内のサンプリング速度で、電流測定信号をサンプリングし得る。より速い又はより遅いサンプリング速度を使用し得る。例えば、約10kHz~100kHzなどのサンプリング速度を使用して、ダウンサンプリングし、信号対雑音比を更に低減し得る。任意の好適なサンプリング回路が用いられ得る。
【0080】
更に
図11Aを参照すると、プロセッサ1110は、サンプル回路1108に結合され得、メモリ1112に更に結合され得る。一部の実施形態では、プロセッサ1110及びサンプル回路1108は、有線経路を介して(例えば、シリアル接続又は並列接続を介して)互いに直接的に通信するように構成されている。他の実施形態では、プロセッサ1110とサンプル回路1108との結合は、メモリ1112によるものであり得る。この配置では、サンプル回路1108は、メモリ1112にデジタルデータを書き込み、プロセッサ1110は、メモリ1112からデジタルデータを読み取る。
【0081】
メモリ1112は、(電流測定回路1106及び/又はサンプル回路1108からの)一次データポイント(NPPM電流)及びプロービング電位変調(PPM)電流に基づいてグルコース値を判定する際に使用するための、1つ以上の接続関数などの、1つ以上の計算式1114(例えば、変換関数及び接続関数、単一予測計算式、複数の変換及び/又は接続関数などの予測計算式)を、その中に記憶し得る。例えば、いくつかの実施形態では、2つ以上の予測計算式が、それぞれ、CGM収集データの異なるセグメント(時間期間)とともに使用するために、メモリ1112に記憶され得る。いくつかの実施形態では、メモリ1112は、基準センサに印加された定電圧電位の印加によって生成された一次電流信号に基づく予測計算式(例えば、接続関数)、及び一次電流信号測定値間に印加されたプロービング電位変調シーケンスの印加によって生成された複数のプロービング電位変調電流信号を含み得る。
【0082】
メモリ1112はまた、複数の命令をその中に記憶し得る。様々な実施形態では、プロセッサ1110は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、組み込みマイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラとして動作するよう構成されているフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はこれに類するものなどの計算リソースであり得るが、それに限定されない。
【0083】
いくつかの実施形態では、メモリ1112に記憶された複数の命令は、プロセッサ1110によって実行されたときに、プロセッサ1110に、(a)CGMデバイス1100に、(バイアス回路1102、CGMセンサ1104、電流測定回路1106、及び/若しくはサンプル回路1108を介して)間質液からの電流信号(例えば、一次電流信号及びプロービング電位変調電流信号)を測定させること、(b)メモリ1112に電流信号を記憶すること、(c)プロービング電位変調シーケンス内の異なるパルス、電圧ステップ、若しくは他の電圧変化からの電流の比(及び/若しくは他の関係性)などの予測計算式(例えば、接続関数)パラメータを計算すること、(d)計算された予測計算式(例えば、接続関数)パラメータを用いて、予測計算式(例えば、接続関数と組み合わせた変換関数)を使用して、グルコース値(例えば、濃度)を計算すること、並びに/又は(e)グルコース値をユーザに伝達すること、を行わせる命令を含み得る。
【0084】
メモリ1112は、限定されるものではないが、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリのうちの1つ以上などの、任意の好適なタイプのメモリであり得る。揮発性メモリは、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、又は動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)を含み得るが、それに限定されない。不揮発性メモリは、限定されるものではないが、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ(例えば、NOR構成若しくはNAND構成のいずれかで、及び/又は積み重ね若しくは平面配置のいずれかで、及び/又はシングルレベルセル(SLC)、マルチレベルセル(MLC)、若しくはSLC/MLCの組み合わせの配置のいずれかでのタイプのEEPROM)、抵抗メモリ、フィラメント状メモリ、金属酸化物メモリ、相変化メモリ(例えば、カルコゲニドメモリ)、又は磁気メモリを含み得る。メモリ1112は、例えば、単一のチップとして、又は複数のチップとしてパッケージ化され得る。一部の実施形態では、メモリ1112は、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)などの集積回路に、1つ以上の他の回路とともに埋め込まれ得る。
【0085】
上述のように、メモリ1112は、プロセッサ1110によって実行されたときに、プロセッサ1110に、記憶された複数の命令のうちの1つ以上によって指定される様々な操作を実施させる、そのメモリに記憶された複数の命令を有し得る。メモリ1112は、複数の命令のうちの1つ以上の命令の実行に応答して、プロセッサ1110による読み取り又は書き込み処理に使用され得る、1つ以上の「スクラッチパッド」記憶領域のために予約された部分を更に有し得る。
【0086】
図11Aの実施形態では、バイアス回路1102、CGMセンサ1104、電流測定回路1106、サンプル回路1108、プロセッサ1110、及び予測計算式1114、を含むメモリ1112は、CGMデバイス1100のウェアラブルセンサ部分1116内に配設され得る。一部の実施形態では、ウェアラブルセンサ部分1116は、グルコース濃度情報などの情報を表示するための(例えば、外部機器を使用せずに)ディスプレイ1117を含み得る。ディスプレイ1117は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどであるがこれに限定されない、任意の好適なタイプの人感性ディスプレイであり得る。
【0087】
更に
図11Aを参照すると、CGMデバイス1100は、ポータブルユーザデバイス部分1118を更に含み得る。プロセッサ1120及びディスプレイ1122は、ポータブルユーザデバイス部分1118内に配設され得る。ディスプレイ1122は、プロセッサ1120に結合され得る。プロセッサ1120は、ディスプレイ1122によって示されるテキスト又は画像を制御し得る。ウェアラブルセンサ部分1116及びポータブルユーザデバイス部分1118は、通信可能に結合され得る。いくつかの実施形態では、ウェアラブルセンサ部分1116及びポータブルユーザデバイス部分1118の通信結合は、例えば、ウェアラブルセンサ部分1116の送信/受信回路TxRx1124a、及びポータブルユーザデバイス1118の送信/受信回路TxRx1124bなどの送信機回路及び/又は受信機回路を介した無線通信によるものであり得る。このような無線通信は、Bluetooth(登録商標)通信プロトコルなどの標準ベースの通信プロトコルを含むが、これに限定されない、任意の好適な手段によるものであり得る。様々な実施形態では、ウェアラブルセンサ部分1116とポータブルユーザデバイス部分1118との間の無線通信は、代替的に、近距離通信(NFC)、無線周波数(RF)通信、赤外線(IR)通信、又は光通信によるものであり得る。一部の実施形態では、ウェアラブルセンサ部分1116、及びポータブルユーザデバイス部分1118は、1つ以上のワイヤによって接続され得る。
【0088】
ディスプレイ1122は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどであるが、これに限定されない、任意の好適なタイプの人感性ディスプレイであり得る。
【0089】
ここで、
図11Bを参照すると、
図11Aに例解されている実施形態と同様であるが、構成要素の異なる分割を有する、例示的なCGMデバイス1150が示されている。CGMデバイス1150では、ウェアラブルセンサ部分1116は、CGMセンサ1104に結合されたバイアス回路1102、及びCGMセンサ1104に結合された電流測定回路1106を含む。CGMデバイス1150のポータブルユーザデバイス部分1118は、プロセッサ1120に結合されたサンプル回路1108、及びプロセッサ1120に結合されたディスプレイ1122を含む。プロセッサ1120は、メモリ1112に更に結合され、そのメモリは、そのメモリに記憶される予測計算式1114を有し得る。一部の実施形態では、CGMデバイス1150内のプロセッサ1120はまた、例えば、
図11AのCGMデバイス1100のプロセッサ1110によって実行される先で説明される関数を実行し得る。CGMデバイス1150のウェアラブルセンサ部分1116は、サンプル回路1108、プロセッサ1110、メモリ1112などがその中に含まれていないため、
図11AのCGMデバイス1100よりも小さく、より軽く、したがって、より低侵襲である可能性がある。他の構成要素の構成が用いられ得る。例えば、
図11BのCGMデバイス1150に対する変形例として、サンプル回路1108は、(ポータブルユーザデバイス1118が、ウェアラブルセンサ部分1116からデジタル化グルコース信号を受信するように)ウェアラブルセンサ部分1116上に依然として留まり得る。
【0090】
図12は、本明細書に提供された実施形態による、例示的なグルコースセンサ1104の側面概略図である。一部の実施形態では、グルコースセンサ1104は、動作電極1202、基準電極1204、カウンター電極1206、及びバックグラウンド電極1208を含み得る。動作電極は、還元酸化反応(電荷担体の濃度、及びCGMセンサ1104の時間依存性インピーダンスに影響を与える)において、グルコース含有溶液と反応する化学物質でコーティングされた導電層を含み得る。一部の実施形態では、動作電極1202は、白金又は表面粗化白金から形成され得る。他の動作電極材料が使用され得る。動作電極1202の例示の化学触媒(例えば、酵素)としては、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、又はこれに類するものが含まれる。酵素成分は、例えば、グルタルアルデヒドなどの架橋剤によって電極表面上に固定され得る。外膜層を酵素層上に適用して、電極及び酵素層を含む全体的な内部成分を保護し得る。一部の実施形態では、フェリシアニド又はフェロセンなどのメディエーターが用いられ得る。他の化学触媒及び/又はメディエーターが用いられ得る。
【0091】
一部の実施形態では、基準電極1204は、Ag/AgClから形成され得る。カウンター電極1206及び/又はバックグラウンド電極1208は、白金、金、パラジウム、又はこれに類するものなどの好適な導電体で形成し得る。他の材料は、基準電極、カウンター電極、及び/又はバックグラウンド電極に使用され得る。いくつかの実施形態では、バックグラウンド電極1208は、動作電極1202と同一であり得るが、化学触媒を含まない。カウンター電極1206は、分離層1210(例えば、ポリイミド又は別の好適な材料)によって他の電極から分離され得る。
【0092】
連続的なグルコースモニタリング中のグルコース濃度測定に関して主に説明されているが、本明細書に説明される実施形態は、他の連続的な分析物モニタリングシステム(例えば、コレステロール、乳酸、尿酸、アルコール、又は他の分析物モニタリングシステム)とともに使用され得ることが理解されよう。例えば、1つ以上の変換及び/又は接続関数などの1つ以上の予測計算式は、プロービング電位変調出力電流及びそれらの関連する交差項の使用を通じてモニタリングされる任意の分析物に対して展開され得る。
【0093】
前述の説明は、本開示の例示的な実施形態を開示する。本開示の範囲内にある上記開示の装置及び方法の修正は、当業者にとって容易に明らかであろう。したがって、本開示が例示的な実施形態と関連して開示されているが、以下の特許請求の範囲によって画定されるように、他の実施形態が本開示の範囲内に含まれ得ることを理解されたい。
【国際調査報告】