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特表2023-536189分析物濃度を判定するための、定常状態条件及び非定常状態条件の膜構造を備えたバイオセンサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-23
(54)【発明の名称】分析物濃度を判定するための、定常状態条件及び非定常状態条件の膜構造を備えたバイオセンサ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1486 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
A61B5/1486
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507400
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2021071744
(87)【国際公開番号】W WO2022029165
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/061,135
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/061,152
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/061,157
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/061,167
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516106184
【氏名又は名称】アセンシア・ダイアベティス・ケア・ホールディングス・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Ascensia Diabetes Care Holdings AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ホァン-ピン
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL09
4C038KX02
4C038KX04
4C038KY06
4C038KY08
(57)【要約】
バイオセンサシステムは、定常状態条件を確立し、定常状態条件と非定常状態条件との間で交番して、分析物濃度を判定するように構成される。バイオセンサシステムは、少なくとも1つの動作電極、及び1つのカウンタ電極を有する、電極システムを含む。動作電極は、分析物を測定可能種に変換するための分析物触媒層で覆われる。膜システムは、電極システムを取り囲み、かつ分析物透過膜を備える。膜は、膜の外側の分析物溶解度よりも低い分析物溶解度を有する分析物透過率を有する。膜は、膜内に測定可能種を捕捉して、分析物から生じる測定可能種の定常状態が電極表面の近傍に確立されるように構成される。バイアス回路は、電位変調シーケンスを動作電極に印加して、定常状態条件及び非定常状態条件の交番を分析物濃度判定のための電極システム内に引き起こすように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定常状態条件を確立し、前記定常状態条件と非定常状態条件との間で交番して、分析物濃度を判定するように構成されているバイオセンサシステムであって、
少なくとも1つの動作電極及び1つのカウンタ電極を有する電極システムであって、前記動作電極が、分析物を前記動作電極及びその近傍において測定可能種に変換するための分析物触媒層で覆われている、電極システムと、
前記電極システムを取り囲み、かつ分析物透過膜を備える、膜システムであって、
前記分析物透過膜が、前記膜の外側の分析物溶解度よりも低い分析物溶解度を有する分析物透過率を有し、
前記膜は、前記膜内に測定可能種を捕捉して、前記分析物から生じる前記測定可能種の定常状態が前記電極表面の近傍に確立されるように構成されている、膜システムと、
プロービング電位変調シーケンスを前記動作電極に印加して、定常状態条件及び非定常状態条件の交番を分析物濃度判定のための前記電極システム内に引き起こすように構成されているバイアス回路と、
プロセッサと、
前記プロセッサに結合されているメモリと、を備え、
前記メモリが、前記メモリに記憶されたコンピュータプログラムコードを含み、前記コンピュータプログラムコードが、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
前記動作電極及びメモリを使用して、一次電流信号を測定及び記憶することと、
前記一次電流信号に関連付けられた複数のプロービング電位変調電流信号を測定及び記憶することと、
変換関数及び測定された電流信号に基づいて、初期グルコース濃度を判定することと、
前記一次電流信号及び複数の前記プロービング電位変調電流信号に基づいて、接続関数値を判定することと、
前記初期グルコース濃度及び前記接続関数値に基づいて、最終グルコース濃度を判定することと、を行わせる、バイオセンサシステム。
【請求項2】
前記分析物透過膜が、5μm~15μmの範囲の乾燥厚さを有する、請求項1に記載のバイオセンサシステム。
【請求項3】
前記分析物透過膜が、前記バイオセンサシステムのセンサの、皮膚への皮下挿入に応答して、30μm~60μmの範囲の安定した厚さを有し、前記センサが、前記電極システムを備える、請求項1に記載のバイオセンサシステム。
【請求項4】
前記分析物触媒層が、1μm~3μmの範囲の乾燥厚さを有する、請求項1に記載のバイオセンサシステム。
【請求項5】
前記分析物透過膜に対する前記分析物触媒層の厚さ比率が、前記バイオセンサシステムのセンサの、皮膚への皮下挿入に応答して、1:10程度であり、前記センサが、前記電極システムを備える、請求項1に記載のバイオセンサシステム。
【請求項6】
前記プロービング電位変調シーケンスが、一次データポイントサイクルの10%~20%の持続時間を有し、一次データポイントが、前記分析物濃度値を計算するために使用される電流信号の測定値を含み、前記電流信号の前記測定が、前記定常状態条件中に行われる、請求項1に記載のバイオセンサシステム。
【請求項7】
前記一次データポイントサイクルが、3分~15分の範囲である、請求項6に記載のバイオセンサシステム。
【請求項8】
前記プロービング電位変調シーケンスが、前記定常状態条件中に印加される定電圧電位よりも大きい第1の電圧電位、前記定電圧電位よりも小さい第2の電圧電位、前記第2の電圧電位よりも小さい第3の電圧電位、及び前記第3の電圧電位よりも大きい第4の電圧電位を含む、請求項1に記載のバイオセンサシステム。
【請求項9】
前記プロービング電位変調シーケンスが、前記定常状態条件中に印加される定電圧電位よりも大きい第1の電圧電位、前記定電圧電位よりも小さい第2の電圧電位、前記第2の電圧電位よりも小さい第3の電圧電位、前記第3の電圧電位よりも大きい第4の電圧電位、及び前記第4の電圧電位よりも大きい第5の電圧電位を含む、請求項1に記載のバイオセンサシステム。
【請求項10】
連続グルコースモニタリング(CGM)測定中にグルコース値を判定する方法であって、
センサ、メモリ、及びプロセッサを含む、CGMデバイスを提供することであって、前記センサが、電極システム、及び前記電極システムを取り囲む膜システムを備え、前記膜システムが、前記膜の外側の分析物溶解度よりも低い分析物溶解度を有する分析物透過率を有する分析物透過膜を備える、提供することと、
前記センサに定電圧電位を印加することと、
前記定電圧電位から生じる一次電流信号を測定して、前記測定された一次電流信号を前記メモリに記憶することと、
前記センサにプロービング電位変調シーケンスを印加することと、
前記プロービング電位変調シーケンスから生じるプロービング電位変調電流信号を測定して、測定されたプロービング電位変調電流信号を前記メモリに記憶することと、
変換関数、及び測定されたプロービング電位変調電流信号の比率に基づいて、初期グルコース濃度を判定することと、
前記一次電流信号及び複数の前記プロービング電位変調電流信号に基づいて、接続関数値を判定することと、
前記初期グルコース濃度及び前記接続関数値に基づいて、最終グルコース濃度を判定することと、を含む、方法。
【請求項11】
前記動作電極にプロービング電位変調シーケンスを印加して、分析物濃度判定のための前記電極システム内に、定常状態条件及び非定常状態条件の交番を引き起こすように構成されたバイアス回路を前記CGMデバイスに提供することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電極システムが、少なくとも1つの動作電極及び1つのカウンタ電極を有し、前記動作電極及びその近傍において測定可能種に分析物を変換するための分析物触媒層で覆われている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記分析物透過膜が、前記膜内に測定可能種を捕捉して、前記分析物から生じる前記測定可能種の定常状態が前記電極表面の近傍に確立されるように構成されている、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記分析物透過膜が、5μm~15μmの範囲の乾燥厚さを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記分析物透過膜が、前記バイオセンサシステムのセンサの、皮膚への皮下挿入に応答して、30μm~60μmの範囲の安定した厚さを有し、前記センサが、前記電極システムを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記プロービング電位変調シーケンスを印加することが、前記定電圧電位よりも大きい第1の電圧電位、前記定電圧電位よりも小さい第2の電圧電位、前記第2の電圧電位よりも小さい第3の電圧電位、及び前記第3の電圧電位よりも大きい第4の電圧電位を提供することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記変換関数、及び測定されたプロービング電位変調電流信号の比率に基づいて初期グルコース濃度を判定することが、変換関数、及び前記第1の電圧電位中に測定された、測定されたプロービング電位変調電流信号の比率に基づいて、初期グルコース濃度を判定することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記変換関数、及び測定されたプロービング電位変調電流信号の比率に基づいて初期グルコース濃度を判定することが、変換関数、及び前記第4の電圧電位中に測定された、測定されたプロービング電位変調電流信号の比率に基づいて、初期グルコース濃度を判定することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記プロービング電位変調シーケンスを印加することが、前記定電圧電位よりも大きい第1の電圧電位、前記定電圧電位よりも小さい第2の電圧電位、前記第2の電圧電位よりも小さい第3の電圧電位、前記第3の電圧電位よりも大きい第4の電圧電位、及び前記第4の電圧電位よりも大きい第5の電圧電位を提供することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記変換関数、及び測定されたプロービング電位変調電流信号の比率に基づいて初期グルコース濃度を判定することが、変換関数、並びに前記第4及び第5の電圧電位中に測定された、測定されたプロービング電位変調電流信号の比率に基づいて、初期グルコース濃度を判定することを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年8月4日に出願された「CONTINUOUS ANALYTE MONITORING SENSOR CALIBRATION AND MEASUREMENTS BY A CONNECTION FUNCTION」と題する米国仮特許出願第63/061,135号、2020年8月4日に出願された「NON-STEADY-STATE DETERMINATION OF ANALYTE CONCENTRATION FOR CONTINUOUS GLUCOSE MONITORING BY POTENTIAL MODULATION」と題する米国仮特許出願第63/061,152号、2020年8月4日に出願された「EXTRACTING PARAMETERS FOR ANALYTE CONCENTRATION DETERMINATION」と題する米国仮特許出願第63/061,157号、及び2020年8月4日に出願された「BIOSENSOR WITH MEMBRANE STRUCTURE FOR STEADY-STATE AND NON-STEADY-STATE CONDITIONS FOR DETERMINING ANALYTE CONCENTRATIONS」と題する米国仮特許出願第63/061,167号、の利益を主張し、それらのそれぞれの開示は、全ての目的のために、その全体がこれによって参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、体液中の分析物の連続的なセンサモニタリング(連続分析物モニタリング、連続分析物検知とも記載)に関し、より具体的には、連続的なグルコースのモニタリング(連続グルコースモニタリング、CGMとも記載)に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、CGMなどの、インビボ又はインビトロのサンプルにおける連続分析物検知は、医療デバイスの分野、より具体的には糖尿病療養において、日常的な検知動作になっている。例えば、指に針を刺して、血液サンプルを取得するなどの個別検知を用いて、全血サンプル内の分析物を測定するバイオセンサの場合、サンプルの温度、及び血液サンプルのヘマトクリットが、誤差の主な原因であり得る。しかしながら、連続インビボ検知動作で使用されるセンサなどの、比較的一定の温度を有する非全血環境において配備されるセンサの場合、他のセンサ誤差の原因が存在する場合がある。
【0004】
したがって、CGMセンサを用いてグルコース値を判定するための改善された装置及び方法が所望される。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態では、バイオセンサシステムは、定常状態条件を確立し、定常状態条件と非定常状態条件との間で交番して、分析物濃度を判定するように構成される。本バイオセンサシステムは、少なくとも1つの動作電極及び1つのカウンタ電極を有する電極システムを含み、動作電極は、分析物を動作電極及びその近傍において測定可能種に変換するための分析物触媒層で覆われる。本バイオセンサシステムはまた、電極システムを取り囲み、かつ分析物透過膜を備える膜システムも含む。分析物透過膜は、膜の外側の分析物溶解度よりも低い分析物溶解度を有する分析物透過率を有する。膜は、膜内に測定可能種を捕捉して、分析物から生じる測定可能種の定常状態が電極表面の近傍に確立されるように構成される。本バイオセンサシステムは、電位(電圧、電圧電位とも記載)変調シーケンスを動作電極に印加して、定常状態条件及び非定常状態条件の交番を、分析物濃度判定のための電極システム内に引き起こすように構成されているバイアス回路を更に含む。本バイオセンサシステムは、プロセッサ、及びプロセッサに結合されたメモリを更に含む。メモリは、メモリに記憶されたコンピュータプログラムコードを含み、コンピュータプログラムコードは、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、(a)動作電極及びメモリを使用して、一次電流信号(電流、信号とも記載)を測定及び記憶することと、(b)一次電流信号に関連付けられた複数のプロービング電位変調電流信号を測定及び記憶することと、(c)変換関数及び測定された電流信号に基づいて、初期グルコース濃度を判定することと、(d)一次電流信号及び複数のプロービング電位変調電流信号に基づいて、接続関数値を判定することと、(e)初期グルコース濃度及び接続関数値に基づいて、最終グルコース濃度を判定することと、を行わせる。
【0006】
いくつかの実施形態では、連続グルコースモニタリング(CGM)測定中にグルコース値を判定する方法は、CGMデバイスを提供することを含む。CGMデバイスは、センサ、メモリ、及びプロセッサを含む。センサは、電極システム、及び電極システムを取り囲む膜システムを備え、膜システムは、膜の外側の分析物溶解度よりも低い分析物溶解度を有する分析物透過率を有する分析物透過膜を備える。本方法はまた、センサに定電圧電位を印加することと、定電圧電位から生じる一次電流信号を測定して、測定された一次電流信号をメモリに記憶することと、センサにプロービング電位変調シーケンスを印加することと、プロービング電位変調シーケンスから生じるプロービング電位変調電流信号を測定して、測定されたプロービング電位変調電流信号をメモリに記憶することと、変換関数、及び測定されたプロービング電位変調電流信号の比率に基づいて、初期グルコース濃度を判定することと、一次電流信号及び複数のプロービング電位変調電流信号に基づいて、接続関数値を判定することと、初期グルコース濃度及び接続関数値に基づいて、最終グルコース濃度を判定することと、を含む。
【0007】
本開示の更に他の態様、特徴、及び利点は、本発明を実施するために企図される最良のモードを含む、いくつかの例示的な実施形態及び実装態様の以下の詳細な説明及び例解から容易に明らかとなり得る。本開示は、本発明の範囲から逸脱することなく、他の異なる実施形態を可能にし得、そのいくつかの詳細は、様々な点で修正され得る。例えば、以下の説明は、連続グルコースモニタリングに関連するが、以下に説明されるデバイス、システム、及び方法は、他の連続分析物モニタリングシステムにおける、例えば、コレステロール、乳酸、尿酸、アルコール、これに類するものなどの他の分析物のモニタリングに容易に適合され得る。
【0008】
以下に説明される図面は、例解目的のためのものであり、必ずしも縮尺通りに描かれない。したがって、図面及び説明は、本質的に例解と見なされるべきであり、限定と見なされるべきではない。図面は、本発明の範囲をいかなる方法でも限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本開示の1つ以上の実施形態による、連続グルコースモニタリング(CGM)センサの印加電圧E対時間のグラフを例解する。
図1B】本開示の1つ以上の実施形態による、電極及びその近傍の境界環境に伴う定常状態条件のグラフを例解する。
図1C】本開示の1つ以上の実施形態による、プロービング電位変調(PPM)シーケンスの例のグラフを例解する。
図1D】本開示の1つ以上の実施形態による、E2及びE3電位ステップ中に電極及びその近傍の境界環境に伴う非定常状態条件のグラフを例解する。
図1E】本開示の1つ以上の実施形態により実施された、図1CのPPMシーケンスのI-V曲線、及び個々の電位ステップのグラフを例解する。
図1F】本開示の1つ以上の実施形態による、各電位ステップにおける電流のラベル付けを有する、図1Cに示されたPPMシーケンスからの典型的な出力電流のグラフを例解する。
図2A】本開示の1つ以上の実施形態による、インビトロ線形性試験におけるセンサからのそれぞれの電位ステップの初期及び終了電流のグラフを例解し、特に、図1Cの電位ステップ1の初期及び終了電流のグラフを例解する。
図2B】本開示の1つ以上の実施形態による、インビトロ線形性試験におけるセンサからのそれぞれの電位ステップの初期及び終了電流のグラフを例解し、特に、図1Cの電位ステップ2の初期及び終了電流のグラフを例解する。
図2C】本開示の1つ以上の実施形態による、インビトロ線形性試験におけるセンサからのそれぞれの電位ステップの初期及び終了電流のグラフを例解し、特に、図1Cの電位ステップ3の初期及び終了電流のグラフを例解する。
図2D】本開示の1つ以上の実施形態による、インビトロ線形性試験におけるセンサからのそれぞれの電位ステップの初期及び終了電流のグラフを例解し、特に、図1Cの電位ステップ4の初期及び終了電流のグラフを例解する。
図2E】本開示の1つ以上の実施形態による、インビトロ線形性試験におけるセンサからのそれぞれの電位ステップの初期及び終了電流のグラフを例解し、特に、図1Cの電位ステップ5の初期及び終了電流のグラフを例解する。
図2F】本開示の1つ以上の実施形態による、インビトロ線形性試験におけるセンサからのそれぞれの電位ステップの初期及び終了電流のグラフを例解し、特に、図1Cの電位ステップ6の初期及び終了電流のグラフを例解する。
図3A】本開示の1つ以上の実施形態による、減衰定数K1及びK4を比較するグラフを例解する。
図3B】本開示の1つ以上の実施形態による、比率定数R1及びR4を比較するグラフを例解する。
図3C】本開示の1つ以上の実施形態による、比率定数R1及びR4と、減衰定数K1及びK4との間の相関性のグラフを例解する。
図3D】本開示の1つ以上の実施形態による、比率定数R5及びy45を比較するグラフを例解する。
図3E】本開示の1つ以上の実施形態による、比率定数R2を比較するグラフを例解する。
図3F】本開示の1つ以上の実施形態による、比率定数1/R6のグラフを例解する。
図4A】本開示の1つ以上の実施形態による、例示的なCGMデバイスのハイレベルブロック図を例解する。
図4B】本開示の1つ以上の実施形態による、別の例示的なCGMデバイスのハイレベルブロック図を例解する。
図5】本開示の1つ以上の実施形態による、例示的なグルコースセンサの側面概略図である。
図6】本開示の1つ以上の実施形態による、インビトロデータセットとともに、i10、R4、y45、及びR1からのG及びG複合をまとめた表を例解する。
図7】本明細書に提供された実施形態による、連続グルコースモニタリング測定中にグルコース値を判定する例示的な方法を例解する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に説明される実施形態は、分析物センサに印加される、定電圧の上部にプロービング電位変調(PPM)を印加するためのシステム及び方法を含む。「電圧」、「電位」、及び「電圧電位」という用語は、本明細書において区別なく使用される。「電流」、「信号」、及び「電流信号」はまた、「連続分析物モニタリング」及び「連続分析物検知」と同様に、本明細書においても区別なく使用される。本明細書で使用される場合、PPMとは、センサへのプロービング電位ステップ、パルス、又は他の電位変調の印加など、連続分析物検知中にセンサに印加される、定電圧電位に周期的に行われる意図的な変化を指す。連続分析物検知中にPPMを使用することは、PP又はPPM法と称される場合があるが、PPMなしで連続的な分析物検知を行うことは、NP又はNPPM法と称される場合がある。
【0011】
一次データポイント又は一次電流とは、連続分析物検知中にセンサに印加される定電圧電位における分析物に応答して生成される電流信号の測定値を指す。例えば、図1Aは、本開示の1つ以上の実施形態による、連続グルコースモニタリング(CGM)センサの印加電圧E対時間のグラフを例解している。一次データポイントの測定が行われ得、かつ後続のPPMが印加され得る、例示的な時間が示されている。図1Aに示されているように、この例では、分析物センサの動作電極に印加された定電圧電位Eは、約0.55ボルトであり得る。他の電圧電位が使用され得る。
【0012】
図1Aは、一定の印加電圧で取得された一次データポイントの典型的なサイクルの例を示している。一次データポイントは、連続グルコースモニタリング中に、一定の印加電圧、及び3~15分などの規則的な間隔で測定又はサンプリングされたデータポイントであり、ユーザのグルコース値を計算するために使用される。一次データポイントは、例えば、連続分析物モニタリング中に、分析物センサについて測定される動作電極電流であり得る。図1Aは、一次データポイントを示すのではなく、各一次データポイントが測定される時間及び電圧を示している。例えば、図1Aの丸102は、第1の一次データポイント(例えば、第1の動作電極電流)が、Eの電圧でバイアスされたセンサについて測定される時間/電圧(3分/0.55ボルト)を表す。同様に、図1Aの丸104は、第2の一次データポイント(例えば、第2の動作電極電流)が、Eの電圧でバイアスされたセンサについて測定される時間/電圧(6分/0.55ボルト)を表す。
【0013】
PPM電流とは、連続分析物検知中にセンサに印加されるPPMに応答して生成される電流信号の測定値を指す。PPMは、図1Cに関連して、以下に、より詳細に説明される。
【0014】
基準センサとは、例えば、血中グルコースメーター(BGM)の読み取り値によって表される基準グルコース濃度に応答して、一次データポイント及びPPM電流(例えば、連続分析物モニタリング(CAM)デバイスにその後記憶され、連続分析物検知中に使用されて、分析物濃度を判定する予測計算式を判定するために測定される一次電流及びPPM電流)を生成するために使用されるセンサを指す。
【0015】
連続インビボ検知動作で配備されるセンサなど、比較的一定の温度を有する非全血環境で使用されるセンサの場合、センサ誤差は、センサの短期及び長期の感度、並びにその後の較正方法に関連し得る。このような連続検知動作に関連付けられたいくつかの問題/課題があり、それらは、(1)長い試運転(ウォームアップ)時間、(2)工場又は現場での較正、及び(3)連続検知動作中の感度の変化、である。これらの課題/問題は、見たところ、初期の減衰(試運転/ウォームアップ時間)で表されるようなセンサ感度、センサの生産中の環境に対するセンサの感受性に起因する感度の変化、並びにセンサがその後配備される環境/条件に関係するように思われる。
【0016】
普通、一定の印加電圧で動作する連続グルコースモニタリング(CGM)バイオセンサの場合、媒介物質からの電流は、標的分析物グルコースの酵素酸化の結果として連続的に測定される。実際には、電流は、典型的には、3~15分毎に、又は連続的と称されるにもかかわらず、別の規則的な時間間隔で測定又は検知される。CGMセンサが最初にユーザに挿入/移植されるときに、初期の試運転時間があり、この時間は、30分~数時間続くことがある。CGMセンサが試運転されると、その感度は、様々な理由から依然として変化することがある。したがって、その初期の間、及び試運転時間の後に、センサの動作状態を検知して、その感度の任意の変化を特定する必要がある。
【0017】
CGMセンサ動作は、CGMセンサがユーザの皮下に挿入/移植された後に、印加電圧Eで開始する。印加電圧Eは、通常、媒介物質の酸化還元平坦域上のポイントにある。グルコース酸化酵素の酵素を有する酸素の天然媒介物質の場合、過酸化水素H(酵素反応の酸化生成物)の酸化平坦域は、約100~150mMの塩化物濃度の媒体中のAg/AgCl基準電極に対して、約0.5~0.8ボルトの範囲である。グルコースセンサの動作電位は、0.55~0.7ボルトに設定され得、それは、平坦領域内にある。
【0018】
本明細書に説明される実施形態は、PPMを、(例えば、グルコースなどの生体サンプル分析物をモニタリングするための)連続検知動作において、皮下バイオセンサの動作電極に印加される定電圧電位に対する周期的な摂動として用いる。連続グルコースモニタリングなどの連続検知動作の間に、センサ動作電極電流は、通常、グルコース値判定のために、3~15分毎に(又は何らかの他の頻度で)サンプリングされる。これらの電流測定は、連続検知動作中の分析物判定のために使用される一次電流及び/又は一次データポイントを表す。いくつかの実施形態では、プロービング電位変調(PPM)の周期的なサイクルは、各一次電流測定の後に用いられ得、その結果、自給充足電流のグループは、センサ/電極ステータス及び/又は条件に関する情報を各一次データポイントに付随させる。
【0019】
PPMは、連続分析物モニタリング中に通常使用される定電圧電位とは異なる電位にある1つ以上のステップを含み得る。例えば、PPMは、定電圧電位超若しくは未満の第1の電位ステップ、定電圧電位超若しくは未満の第1の電位ステップであってその後に定電圧電位に復帰する、第1の電位ステップ、定電圧電位超及び/若しくは未満の一連の電位ステップ、電圧ステップ、電圧パルス、同じ若しくは異なる持続時間のパルス、方形波、正弦波、三角波、又は任意の他の電位変調を含み得る。PPMシーケンスの例を図1Cに示す。
【0020】
説明されるように、連続分析物検知で使用される従来のバイオセンサは、定電位を、センサの動作電極(WE)に印加することによって動作する。この条件下では、WEからの電流は、定期的に(例えば、3~15分毎に、又は何らかの他の時間間隔で)記録される。このようにして、バイオセンサは、印加電位の変化ではなく、分析物濃度の変化のみに帰すことができる電流を生成する。すなわち、異なる電位の印加に関連付けられた非定常状態電流は、存在しない。このアプローチは、連続検知動作を簡略化するが、センサへの定電位の印加から生じるデータストリーム内の電流信号は、センサステータス/条件に関する最小限の情報を提供する。すなわち、センサへの定電位の印加から生じるセンサ電流信号は、ロット間の感度の変動、初期信号の減衰に起因する長いウォームアップ時間、長期のモニタリングプロセスにわたるセンサ感度の変化、様々なバックグラウンド干渉信号からの影響、これに類するものなど、センサによる長期の連続モニタリングに関連付けられる課題に関連する情報をほとんど提供しない。
【0021】
皮下に移植された連続グルコースモニタリング(CGM)センサは、基準グルコース値に対して適時較正を要求する。従来、較正プロセスは、指穿刺グルコース測定値又は毛細血管グルコース値からの血中グルコースメーター(BGM)の読み取り値を取得すること、及びBGM値をCGMデバイスに入力して、次の動作期間の間にCGMセンサの較正ポイントを設定することを内包する。通常、この較正プロセスは、CGMセンサの感度が日々変化し得るため、毎日のように、又は日毎に少なくとも1回の指穿刺グルコース測定を行う。これは、不便ではあるが、CGMセンサシステムの精度を確保するための必要なステップである。
【0022】
本明細書に説明される実施形態は、分析物センサに印加される定電圧の上部にPPMを印加するためのシステム及び方法を含む。分析物センサから分析物濃度を連続して正確に判定するために用いられ得る予測計算式のためのパラメータを策定する方法が提供される。更に、プロービング電位変調(PPM)自己充足信号を使用して分析物濃度を判定するための方法及びシステムが提供される。そのような方法及びシステムは、(1)異なるバックグラウンド干渉信号の影響を克服すること、(2)異なるセンサ感度の影響を均一化又は除去すること、(3)(長期の)連続モニタリングプロセスの開始時のウォームアップ時間を短縮すること、及び/又は(4)連続モニタリングプロセスにわたってセンサ感度の変化を補正すること、を行いながら、分析物濃度の判定を可能にし得る。これら及び他の実施形態は、図1A図7を参照して、以下に説明される。
【0023】
連続分析物モニタリング動作において分析物濃度を判定するための、PPMサイクル中の非定常状態(NSS)条件に関連するセンサ境界条件が、本明細書に開示される。センサ膜構造及び境界条件は、定常状態(SS)条件、NSS条件、並びに分析物濃度を判定するためのSS条件及びNSS条件の交番を確立する際に、独自の役割を果たす。以下に、SS及びNSSの確立のため、かつ分析物濃度判定のための境界条件が説明される。
【0024】
定常状態条件:連続分析物検知に使用される従来のバイオセンサは、定常状態条件下で動作し、その定常状態条件は、連続モニタリングセンサが動作電極(WE)に印加された一定の電位を有した状態で、整定時間後に安定化する。この条件下では、電流は、外膜によって作成された、定常状態の拡散条件にある入射分析物分子の一定の流れから引き出される。この条件は、図1Bに示されている。
【0025】
外膜の典型的な乾燥厚さは、5~15μm程度であり、8~12μm程度の可能性がより高い。センサが液体サンプル中に浸漬されるか、又は皮膚中の皮下に挿入されると、膜構造は、再水和されて、30~60μm、及び可能性が高い40~50μm程度の安定した厚さに拡張されることになる。再水和の間、センサの応答は、時間の経過とともに変化するであろう。酵素層の典型的な乾燥厚さは、1~3μm程度であり、2μmを下回る可能性がより高い。再水和の下では、酵素層は、結合剤による架橋に起因して、それほど拡張せず、構造を所定の位置にしっかりと固定する。センサ動作の有効性のために、外膜層に対する酵素層の比率は、安定化した膜の再水和の下では、1:10程度であり得る。他の膜及び/又は酵素層の厚さが、用いられ得る。
【0026】
酵素層及び外膜によって画定されるような境界構造は、理論的には、境界環境を作り出して、直線C媒介物質によって概ね画定される、測定可能種又は減少した媒介物質の一定の流束を引き出す。分析物濃度に変化がない場合、電流は、電極表面における測定可能種の濃度勾配に比例し、これは、境界条件によって画定されるような分析物濃度勾配に更に依存する。
【0027】
境界環境:図1Bの境界条件は、理論的には、以下のように解釈され得る。分析物濃度C外部は、膜の外側の界面における膜濃度Cと平衡にある何らかの値にある。膜内の濃度Cがより低いことは、膜が、バイオセンサが定常状態条件で動作するよう、分析物分子の流入を低減するように設計されていることを示している。C外部及びCとの間の関係は、平衡定数K外部=C/C外部<1によって概ね表される。更に、D外部よりも低い拡散係数Dによって支配されている。合わせて、分析物についての膜の透過率P=D*Cは、分析物のスループットを画定する。分析物分子が酵素で覆われた電極に向かって移動すると、それらの分子は、酵素によって速やかにゼロに減衰する。一方、酵素は、分析物分子を、グルコース酸化酵素に関する酸素を媒介物質とするHなどの、電極で酸化可能な測定可能種に変換する。測定可能種は、生成されると、電極に向かって、並びに膜に向かって拡散することになる。
【0028】
測定可能種を完全に酸化する一定の印加電圧の下では、測定可能種の一定の流束が、電極に向かって引き出されることになる。間もなく、電流が電極表面における測定可能種の濃度勾配(dC媒介物質/dx)に比例する定常状態が確立される。拡散制限条件(測定可能種の酸化/消費速度が最大であり、測定可能種の拡散のみによって制限されることを意味する)の下では、濃度勾配C媒介物質は、ゼロであるものとして電極表面で画定される直線、並びに、複数のプロセス(酵素に入る分析物流速、酵素による分析物の消費及び変換、並びに測定可能種の拡散)によって到達される平衡条件によって画定される膜界面でのポイント、であると予測される。膜への濃度C媒介物質は、拡散によって緩やかに規定される。測定可能種が膜の外側よりもむしろ膜内でゆっくりとした拡散速度を有するため、測定可能種は、酵素層から始まる膜内に捕捉されることが好ましい。この定常状態条件は、外側の分析物濃度が変化するにつれ、動的に変化している。PPMサイクルによって支配される動作条件では、一次データポイントは、境界環境が非定常状態電位変調サイクル後に定常状態条件を再開するため、実質上、定常状態条件下でサンプリング及び記録される。
【0029】
電位変調及び非定常状態条件:印加電位が、0.55V~0.6Vの電位ステップ(図1Cのステップ1、及び図1EのE~E)などの定電圧から離れて変調されるが、依然として媒介物質の酸化平坦域(V軸内の拡散制限領域)内にある場合、わずかな減衰で生成される何らかの有限な電流が存在することになる。これは、exp(Eapp-E0’)によって支配される非対称平坦域に起因する誘導電流プロセスであり、ここで、Eappは、印加電圧であり、E0’は、その電気化学的特性を表す酸化還元種の形式上の電位である。わずかな減衰を伴うこの有限電流は、平坦域退化電流と称される場合があり、平坦域上でわずかに異なる酸化状態を意味する。媒介物質の電流対電圧の関係は、図1Fに概略的に説明されている。そのような出力電流の例が、図1Fでは、i11、i12、及びi13として表示及びラベル付けされているが、i10は、定常状態条件下での一次電流である。例えば、i11は、第1の電位ステップ中にサンプリングされた第1の電流である。
【0030】
印加電位がより低い電圧に逆転される場合、又は具体的には、図1EのEからEに、更にEに逆転される場合(図1Cのステップ2及び3)、以下の2つのことが起こり得、それらは、(1)測定可能種は、より低い電位のために、電極表面でもはや完全に酸化されないこと、(2)負の電流の生成を伴う、測定可能種、又は媒介物質の酸化形態の部分的な還元が存在すること、である。これら2つの事象の組み合わせ効果は、電極表面及びその近傍において過剰な測定可能種を蓄積する。したがって、濃度プロファイルは、それ以外の場合では、電極表面においてゼロに達する直線状態から乱される。この状態は、非定常状態と称され、図1Dに示されており、この場合、C媒介物質は、電極表面においては、ゼロではない。そのような効果の出力電流は、負として示され、図1Cのステップ2及び3について、図1Fにおいては、i21、i22、i23、及びi31、i32、i33としてラベル付けされている。負の電流は、高から低への、電位ステップによる部分的な還元を示唆している。定常状態条件の乱れは、膜の内側及び外側の境界環境(C及びC外部)が変化しないままの状態でプロセスが短い場合、電極表面の近傍のみで起こる。
【0031】
NSS及びSS条件の交番:電位が、ステップ4において、図1C及び図1Eに示されているように、EからEへ再び逆転されると、蓄積された測定可能種の一部が消費され、その場合、酸化は、より高い電位Eによって設定されるよりも高い速度にある。Eが酸化還元種の平坦領域にない場合であっても、このステップは、測定可能種の突然の消費をもたらし、非定常状態濃度からの電流出力のジャンプを生じさせ、したがって、濃度の強い指示を提供する。図1Cのステップ5は、EからEに(図1E)、過剰種の非定常状態酸化を更に完了させて、センサを平坦領域上の動作電位に再び位置付ける。図1Cのステップ6は、負の平坦域退化ステップを受けて、次の電位変調サイクルの前に定常状態条件を再開することにつながる元の電位に復帰する。そのような条件は、図1Bに示されている。したがって、PPMサイクルが繰り返されるときに、定常状態及び非定常状態の条件は、交番しており、分析物濃度判定のための信号をもたらしている。
【0032】
上記のPPM法は、分析物濃度の指標として一次データ(例えば、SS中に得られた一次電流)を提供し、一方、関連するPPM電流及びPPMパラメータは、センサ及び電極条件補償に関する情報を提供するパラメータである。例示的なPPMシーケンス及び出力電流プロファイルは、全て、高に逆転して復帰する前に、高から低への電位ステップを有し、したがって、定常状態条件及び非定常状態条件の交番を有する。
【0033】
非定常状態を達成するための境界環境、並びに定常状態条件及び非定常状態条件の交番の重要な態様は、膜がK外部=C/C外部<1の関係を維持し、更にD外部よりも低い拡散係数Dによって維持することである。合わせて、分析物に対する膜の透過率P=D*Cは、分析物のスループットを規定する。この関係は、分析物溶解度が膜の外側の溶解度よりも低いことを表している。いくつかの実施形態では、K外部は、約0.1~0.9であり得、いくつかの実施形態では、約0.2~0.7であり得、いくつかの実施形態では、約0.2~0.4であり得る。
【0034】
酵素及び膜の多層構造は、外膜界面がK外部<1によって固定されている場合、2つの異なる媒体を横断する拡散を有する複合質量輸送プロセスを提供する。入射分析物については、外膜を通る拡散は、主なプロセスであり、その濃度は、酵素層によって速やかにゼロに減衰する。酵素反応生成物、又は測定可能種については、酵素層中の質量輸送は、非常に薄い酵素層のために一過性であろう。一般的に知られている定義(Dt)1/2による拡散層厚さを取ると、拡散種が測定可能種について5×10-7cm/秒の拡散係数で3μmの酵素層を横断するのに、わずか0.18秒しかかからないであろう。これに対して、拡散種が同じ拡散係数で30μmの膜厚を横断するには18秒かかるであろう。これは、酵素層内の拡散プロセスが、電位変調のサイクル中に、膜層内のプロセスと比較して、実質的に無視することができることを意味する。膜は、測定可能種の捕捉としての役割を果たし、膜の外側への拡散を防止する(酵素層から始まるゆっくりとした拡散の条件下で)。特に電位ステップ4(図1C)における定常状態及び非定常状態の交番サイクルは、逆電位ステップ2及び3(図1C)の間に蓄積された過剰な測定可能種のほぼ全てを捕捉する。十分な量の媒介物質が存在する限り、酵素反応は、平衡定数K外部<1によって支配される入射分析物の一定供給で一定の速度で維持され、これにより、図1Bに示される定常状態条件の確立が確実になる。
【0035】
図2A図2Fは、本明細書に提供された実施形態による、それぞれ、図1Cの電位ステップ1~6から生じる線プロットにおける5つの異なるセンサからの初期電流及び終了電流の例示的な出力電流信号を提示する。以下の観察が行われている。第一に、電流の初期過渡減衰は、電位逆転を有する電位ステップについて最小である(図2B図2D、及び図2Fを参照)。これは、図1Cの電位ステップ2、4、及び6を含む。第二に、応答電流は、電位ステップ2、4、及び6についても、分析物濃度に対して段階的に明確に画定されている。第三に、対照的に、安定した状態から延びる、又はより高い電位に正に延びる電位ステップは、インビトロ試験で少なくとも1時間持続する個々のセンサの強力な初期減衰を与える。これは、図1Cの電位ステップ1及び5を含む(線プロット内の各センサの先頭である、図2A及び図2Eの丸みを帯びた領域を参照)。第四に、図2Cに示されているように、負電位を延ばす電位ステップ(図1Cのステップ3)における電流は、分析物濃度に対応する明確に画定されたステップを有しない。第五に、電位ステップの初期電流と終了電流との間の電流の差は、図1Cの電位ステップ1及び6などの平坦域退化条件については小さい(図2A及び図2Fを参照)。第六に、電位ステップの初期電流と終了電流との間の電流の差は、電位方向が切り替わる電位ステップについて比較的大きい(図2B及び図2Dを参照)。これは、図1Cの電位ステップ2及び4を含む。
【0036】
上記のデータ提示及び観察から、図1Cの電位ステップ4(図2Dも参照)は、最小の初期減衰、分析物濃度に対する明確に画定された応答、1つの電位ステップ内の初期電流と終了電流との間の大きな分離などの、いくつかの望ましい特徴につながることが分かる。これは、非定常状態条件からの、データの説明及び分析を考えると、偶然ではない。
【0037】
電位ステップにおける電流変化、又は電流減衰を捕捉するために、減衰定数が、減衰プロセスを記述するために定義される。この点では、2つの減衰定数が、以下に考え出される。1つは、ln(自然対数)関数で表され、1つは、単純な電流比率で表される。ln関数式において、減衰定数は、K=(ln(i)-ln(i))/(ln(t)-ln(t))と定義される。この式では、減衰がない場合、K=0である。更に、減衰定数値が0に近い場合、減衰が小さい/浅いのに対して、減衰定数が0からはるかに離れている場合、減衰が比較的大きい/高い。電流比率式では、定数は、R=i_t2//i_t1と定義される。K及びRの両方の定義において、t>tは、tが、tよりも遅い時間であることを示す。電位ステップ当たり3つのPPM電流を有する電流記録フォーマットについては、1つのステップに関連付けられた2つの定数がある。これらは、例えば、電位ステップ1のために、i13/i12及びi13/i11によって定義される定数である。次節で説明される実施形態について、減衰定数は、R1=i13/i11、R2=i23/i21、R3=i33/i31、R4=i43/i41、R5=i53/i51、及びR6=i63/i61、すなわち、比率=最後の電流/最初の電流として定義される。R式では、減衰がない場合、R=1となる。小さな減衰のプロセスでは、R値が1に近づき、これに対して、大きな減衰のプロセスでは、R値が1から離れる。
【0038】
図3A図3Fは、本明細書に提供された実施形態による、減衰定数の概念、並びに定常状態及び非定常状態とのそれらの関係を説明するために、それぞれ、図2A図2Fの電流から変換された線プロットを提示する。図3Aは、図1Cの電位ステップ1及び4のPPM電流から、K=(ln(it=6秒)-ln(it=2秒))/(ln(6秒)-ln(2秒))によって計算された減衰定数K1及びK4の比較であり、ここで、同じデータセットは、異なるセンサの異なる線形性試験から得られたものである。異なるステップからのK定数を比較することによって、減衰定数の相対的な大きさは、それらが浅いか急であるかにかかわらず、減衰の性質を反映しており、したがって、電気化学的プロセスの性質を反映する。例えば、K1=(ln(i13)-ln(i11))/(ln(6)-ln(2))の場合である。電位ステップ4のプロセスでは、K4値は、逆電位ステップ2及び3の間に蓄積された過剰な測定可能種を酸化した結果として、非定常状態条件から導出される。減衰定数値は、実質的に、減衰状態から離れているか、又はその他の場合には、0値である。
【0039】
図3Bは、図1Cの電位ステップ1及び4からのPPM電流から、比率=it=6秒/it=2秒によって計算された、K1及びK4の対応物である比率定数R1及びR4の比較である。例えば、R1=i13/i11の場合である。異なるステップからのR定数を比較することによって、減衰定数の相対的な大きさは、それらが浅いか、又は急であるかにかかわらず、減衰の性質を反映しており、したがって、電気化学プロセスの性質を反映する。電位ステップ1からのR1値は、無減衰条件である1に近く、これに対して、電位ステップ4からのR4値は、実質的に1から離れている(減衰条件)。各一次データ点に隣接するセンサ情報を反映するこれらの一見暗黙的な定数は、最も代表的なパラメータが補償計算式のために選択される多変量回帰(以下に説明される)に送られる。
【0040】
図3Cは、図3A及び図3BからのR1、R4比率と、K1、K4値との間の相関性である。全体として、相関曲線は、減衰プロセスの異なる数式を反映する。R1及びK1定数は、R4及びK4定数がこれらの限界から離れている間、減衰のないそれらの限界に近い。曲線の上部についてのR1=0.3731*K1+1.0112*K1+0.9894の曲線フィッティング計算式は、K1値がゼロに近づくにつれて、R1比率が1に近づくことを示している(0.9894の切片)。これは、減衰しない状態であり、偶然ではない。R定数及びK定数の両方は、ステップ1、又は平坦域退化プロセスからの減衰が有限の電気化学反応のみで浅いことを表している。
【0041】
図3A図3B、及び図3Cの比較から、電位ステップ4が電位ステップ1よりも実質的に電気化学反応に関与していることが分かる。応答に関して、電位ステップ4からの電流信号及び比率定数の両方は、電位ステップ1からのものよりも、分析物濃度に対して応答性が高い。更に、ステップ4からの信号/比率は、ステップ1からのものよりもはるかに短い初期ウォームアップ時間を提供する。減衰定数が分析物濃度に対して段階的な応答を提供するという事実は、それらの基礎となる電流信号が分析物濃度に応答することから生じる。しかしながら、抽出されたパラメータは、電気化学プロセスの減衰などの、異なる次元のセンサ応答情報を提供する。
【0042】
図3Dは、本明細書に提供された実施形態による、R5(=i53/i51)の比率値、及びステップ間y45(=i43/i51)の比率値を示している。比較すると、R5の範囲は、R1値とR4値との間にある。これは、減衰プロセスが電位ステップ1のプロセスよりも急であるが、電位ステップ4のプロセスよりも小さいことを示している。比率y45は、上で定義された意味の減衰定数ではないが、依然としてR4と同様の挙動を表し、分析物濃度に対して非常に強い応答を提供する。最後に、パラメータy45は、酸化還元平坦域に復帰する2つの電位ステップにわたるプロセスの相対的な尺度を提供する。グルコースに対する段階的な応答を提供することに加えて、このパラメータは、全ての正の応答パラメータの中で最も低い切片項、又はバックグラウンド値を有する。
【0043】
図3Eは、R2(=i23/i21)及びR3(=i33/i31)定数を示している。図1Cの電位ステップ2は、負の電位切り替えに起因して、負の電流逆転を誘発する。結果として生じる負の電流切り替えは、部分的には、電位Eにおける測定可能種の完全未満の酸化/部分的還元に、酸化還元状態を設定することに起因する。しかしながら、電流減衰は、依然として正であり、これは、電位ステップにおける後の電流が正又は負の領域のいずれかにおける前の電流(絶対値)よりも低いことを意味する。R2比率は、分析物濃度に対して強力ではあるが、線形ではない応答を提供する。図1Cの電位ステップ3は、電圧を酸化還元の異なる比率に更に低下させ、その場合、全体的なR3比率は、それらが依然として正の応答を提供している場合であっても、分析物濃度に応答する際に明確には画定されていない。
【0044】
文献によれば、過酸化水素Hは、約1.5×10-5~2×10-5cm-1の有効係数で水中に拡散し、膜内の水分量が減少するにつれて、拡散率への影響は、比較的顕著である。したがって、拡散のための制限因子は、水分となるが、一方、膜内の低レベルの水では、制限因子は、ポリマー鎖となる。Hのこの性質は、測定可能種の過剰量として近傍に留まるのではなく、Hが膜の外側に拡散する前に、膜を捕捉する。
【0045】
過酸化水素の透過率のための様々な市販のポリマーが試験されている。有効な拡散係数が、ポリマー膜によって分離された2つの区画におけるHの濃度進化から得られた。測定値は、ポリウレタンについては、5.12×10-9±8.50×10-10~2.25×10-6±1.00×10-7、Nafion(登録商標)117(The Chemours Company(Wilmington,Delaware)から入手可能)などのペルフルオロ化イオン交換膜については、1.50×10-6±7.00×10-8、及びポリメチルメタクリレート(PMMA)については、5.76×10-7±4.60×10-8の範囲であった。
【0046】
いくつかの実施形態では、PPMサイクル又はシーケンスは、一次データサイクルのせいぜい半分の時間(例えば、3~5分)をかけて、次の一次データポイントが記録される前に、定常状態条件のための、動作電極への定電圧印加が再開されるのに十分な時間を可能にするように設計される。いくつかの実施形態では、PPMサイクルは、約1~90秒程度、又は規則的な180秒の一次データサイクルの50%以下であり得る。
【0047】
1つ以上の実施形態では、PPMサイクルは、約10~40秒であり得、かつ/又は媒介物質の酸化還元平坦域の周りに、2つ以上の変調電位ステップを含み得る。いくつかの実施形態では、PPMシーケンスは、規則的な一次データポイントサイクルの10~20%程度であり得る。例えば、規則的な一次データポイントサイクルが180秒(3分)である場合、36秒のPPMサイクルは、一次データポイントサイクルの20%である。一次データサイクルの残り時間は、定常状態条件が定印加電圧で再開することを可能にする。PPMサイクルの電位ステップについて、連続時間は、一時的なものであり、その結果、これらの電位ステップによって作られる測定可能種の境界条件は、非定常状態である。したがって、各電位ステップは、いくつかの実施形態では、1~15秒程度であり、他の実施形態では、約3~10秒であり、更に他の実施形態では、約4~6秒であり得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、プロービング電位変調は、非拡散律速酸化還元条件の電位領域、又は媒介物質の動力学領域にステップ化し得る(出力電流が印加電圧に依存し、より高い印加電圧が電極からより高い出力電流を生成することを意味する)。例えば、図1EのE2及びE3(図1Cのステップ2及び3)は、電極から非定常状態の出力電流を生成する、媒介物質の動力学領域における2つの電位ステップである。電位ステップが逆転すると、同じ大きさの印加電圧E2及びE1は、再開されて、電極から非定常状態の出力電流をプロービングする。
【0049】
非定常状態条件に付随する異なる実施形態が用いられ得る。例えば、非定常状態条件はまた、目標電位E2に直接進み、開始電位E1に復帰する、1つのステップによってプロービングされ得、これは、異なる非定常状態条件を有する動力学領域での異なる電位E3に直接進み、次いで、開始電位E1に直接復帰する、第2のプロービング電位ステップに続く。その意図は、印加電位を変調して、電極表面における測定可能種のための定常状態及び非定常状態条件の交番を作り出し、それによって、非定常状態からの信号が、分析物濃度を判定するために使用され得ることである。
【0050】
変換関数及び接続関数の使用
インビトロ感度とインビボ感度との間に一対一の相関性があるという不確定性を仮定すると、統一された「変換関数」をセンサ応答の広範囲のデータに適用して、その後、「接続関数」によりグルコース誤差を狭い変動幅に低減することによる、インビトログルコースからインビボグルコースへの接続を行う方法が、本明細書に開示されている。統一された変換関数は、生又は「初期」のグルコース値G=f(信号)を計算し、ここで、「信号」は、測定された電流信号(又は1つ以上の測定された信号から導出されたパラメータ)であり、「f」は、線形又は非線形の関数であり得る。変換関数fが非線形である場合、感度又は応答勾配は、(以下に説明されるように)適用されない。
【0051】
その最も単純な形態では、統一された変換関数は、測定された電流信号と、インビトロ試験データから取得された基準グルコースレベルとの間の線形関係であり得る。例えば、統一された変換関数は、グルコース信号(例えば、Iw-Ib、R1、R4、y45、又は別のPPM電流信号若しくはパラメータ)、勾配と、基準グルコースG基準との間に、下記のような線形関係があり得、
信号=勾配*G基準
その結果、下記であり、
基準=信号/勾配
ここで、勾配は、複合勾配(勾配複合)を表し、統一された複合勾配とも称される。次いで、上記の関係は、CGM中に、初期又は生のグルコースGを、下記のように、計算するために使用され得る。
=信号/勾配複合
【0052】
R1、R4、及びy45などのPPM電流信号パラメータは、干渉効果に対する感度が低く、より低いウォームアップ感度を提示し得る。この理由により、本明細書に提供されたいくつかの実施形態では、統一された複合勾配は、R1、R4、及びy45、又は別の好適なPPM電流信号パラメータなどのPPM電流信号パラメータから判定され得る。いくつかの実施形態では、線形変換関数を使用するのではなく、(例えば、センサの様々な応答をより良好にフィッティングさせるために)多項式などの非線形変換関数が用いられ得る。例えば、グルコースG基準を参照するためのR1、R4、及びy45の多項式フィッティングは、R1、R4、又はy45からの初期又は生のグルコース値を判定するための接続関数として機能し得る。以下は、R1、R4、及びy45についての例示的な計算式である。
R1の場合:G=4351.9*(R1)-4134.4*(R1)+1031.9
R4の場合:G=5068*(R4)-2213.3*(R4)+290.05
y45の場合:G=6266.8*(y45)-1325.2*(y45)+117.49
【0053】
他の関係が使用され得る。一次データ(i10)のIw-Ibの同等の形態が使用され得ることに留意されたい。しかしながら、R1、R4、及びy45は、他の干渉種からの干渉効果に対して比較的影響がないため、バックグラウンド減算は使用されない。いくつかの実施形態では、複数の変換関数が使用され得る。
【0054】
接続関数が個々の誤差(%バイアス=100%*ΔG/G=100%*(G-G基準)/G基準)に適用されてグルコースの狭い変動幅を取得する場合、単一変換が、インビトロからインビボへの接続を、較正なしの単純な問題にする。この接続関数は、ΔG/G値に基づいて、PPMパラメータから導出される。初期又は生のグルコースGから誤差変動幅をそのように狭くすることによって、接続関数は、較正なしの、インビトロからインビボへの接続を行う接続関数と称され、センサの全ての応答を、誤差の狭い変動幅に収容することを意味する。
【0055】
接続関数は、接続関数が予測インビボグルコース値を、較正なしの誤差の狭い変動幅に提供する場合、インビトログルコースからインビボグルコースへの広範囲な接続であると言われる。この文脈では、インビトロ感度及びインビボ感度について、一対一に対応する関係を確立することを追求してはいない。逆に、接続関数は、センサがグルコースに応答する限り、感度範囲内のセンサからのグルコース値を提供することになる。それらの応答は、線形又は非線形であり得る。
【0056】
PPM電流からのCGMセンサに関する豊富な情報を利用すると、この関数は、PPM電流及び関連するパラメータから導出される。周期的なサイクルにおける各応答データポイントが複合変換関数によってグルコース値Gに変換されると、誤差、又はその誤差に関連付けられた%バイアスΔG/G=(G-G基準)/G基準が存在する。G接続=G基準を設定することによって、G接続=G/(1+ΔG/G)=G/(1+接続関数)となり、ここで、接続関数=ΔG/G=f(PPMパラメータ)である。接続関数を導出するための1つの方法は、相対誤差ΔG/Gを、多変量回帰、及びPPMパラメータからの入力パラメータの目標として設定することによるものである。
【0057】
要約すると、いくつかの実施形態では、R1、R4、又はy45PPMパラメータは、生の電流信号情報を、生又は初期のグルコース値Gに変換するための変換関数の一部として使用され得る。Gが分かると、次いで接続関数は、補償された又は最終のグルコース信号又は濃度であるG複合を計算するために用いられ得る。例えば、接続関数は、SS信号(i10)及びNSS信号(PPM信号)を入力パラメータとして、並びに相対誤差ΔG/Gを多変量回帰の目標として使用して、インビトロデータから導出され得る。例示的な接続関数CFは、パラメータR4について、以下に提供される。他の数及び/又は用語の種類が使用され得ることが理解されるであろう。
CF=30.02672+3.593884*ni23-11.74152*R3-0.915224*z54+0.026557*GR41-0.061011*GR43+0.17876*Gy43+0.355556*R62R54-1.910667*R54R42-0.367626*R54R43-0.010501*GR43R31-4.92585*z61z63-48.9909*z63z32-22.97277*z64z42-2.566353*z64z43+69.93413*z65z52-75.5636*z65z32-16.28583*z52z32…+0.017588*Gy51y42+0.020281*Gy51y32-1.92665*R62z51-0.348193*R62z53-0.901927*R62z31+75.69296*R64z52-222.675*R65z52-29.05662*R65z53-142.145*R65z32+15.47396*R51z53+74.8836*R51z32+23.1061*R42z32+0.0018396*GR52z41+0.100615*GR31z32-8.89841*R61y52+1.873765*R61y42+2.459974*R61y43…+4.911592*z4ly31-1.04261*z31y32-0.014889*Gz61y42+0.007133*Gz63y65+0.019989*Gz64y51+0.004536*Gz64y43-0.01605*Gz65y54+0.00011*Gz52y32+0.004775*Gz53y54-0.531827*d32-0.026387*Gdll-0.010296*Gd21+0.003426*Gd32-6.350168*d21d31+8.39652*d22d31-0.0329025*Gdlld31-0.039527*avl-2.342127*avlil0+0.550159*av3i10-4.87669*avl4-0.139865*avl6+14.59835*av25-9.31e-5*Gav3-0.000143*Gav4+0.001157*Gavl6-0.022394*Gav25-0.000888*Gav26-0.928135*R30+2.307865*R50-4.501269*z60-7.491846*w65w51-3.56458*w65w53+7.147535*w43w32…。
【0058】
接続関数CFの入力パラメータは、例えば、以下のような型であり得る。
【0059】
プロービング電流:プロービング電位変調電流は、i11、i12、i13、…、i61、i62、i63であり、ここで、ixy形式の第1の桁(x)は、電位ステップを示すのに対し、第2の桁(y)は、どの電流測定が電位ステップ(例えば、第1、第2、又は第3の測定)の印加後に行われたかを示す。
【0060】
Rパラメータ:これらの比率は、終了PPM電流が1つの電位ステップ内の最初のPPM電流で除算されることによって計算される。例えば、R1=i13/i11、R2=i23/i21、R3=i33/i31、R4=i43/i41、R5=i53/i51、及びR6=i63/i61である。
【0061】
X型パラメータ:この型のパラメータの一般的なフォーマットは、後の電位ステップの終了PPM電流が、前の電位ステップの終了PPM電流で除算されることによって与えられる。例えば、パラメータx61は、i3/i3によって判定され、ここで、i63は、ステップ毎の3つの記録された電流のうちのステップ6の終了PPM電流であり、i13は、ステップ1の終了PPM電流である。更に、x61=i63/i13、x62=i63/i23、x63=i63/i33、x64=i63/i43、x65=i63/i53、x51=i53/i13、x52=i53/i23、x53=i53/i33、x54=i53/i43、x41=i43/i13、x42=i43/i23、x43=i43/i33、x31=i33/i13、x32=i33/i23、及びx21=i23/i13である。
【0062】
Y型パラメータ:この型のパラメータの一般的なフォーマットは、後の電位ステップの終了PPM電流が、前の電位ステップの最初のPPM電流で除算されることによって与えられる。例えば、パラメータy61は、i3/i1によって判定され、ここで、i63は、ステップ毎の3つの記録された電流のうちの、ステップ6の終了PPM電流であるのに対し、i11は、ステップ1の最初のPPM電流である。更に、y61=i63/i11、y62=i63/i21、y63=i63/i31、y64=i63/i41、y65=i63/i51、y51=i53/i11、y52=i53/i21、y53=i53/i31、y54=i53/i41、y41=i43/i11、y42=i43/i21、y43=i43/i31、y31=i33/i11、y32=i33/i21、及びy21=i23/i11である。
【0063】
Z型パラメータ:この型のパラメータの一般的なフォーマットは、後の電位ステップの最初のPPM電流が、前の電位ステップの終了PPM電流で除算されることによって与えられる。例えば、パラメータz61は、i1/i3によって判定され、ここで、i61は、ステップ毎の3つの記録された電流のうちの、ステップ6の最初のPPM電流であり、i13は、ステップ1の終了PPM電流である。更に、z61=i61/i13、z62=i61/i23、z63=i61/i33、z64=i61/i43、z65=i61/i53、z51=i51/i13、z52=i51/i23、z53=i51/i33、z54=i51/i43、z41=i41/i13、z42=i41/i23、z43=i41/i33、z31=i31/i13、z32=i31/i23、及びz21=i21/i13である。
【0064】
追加の項は、正規化された電流:ni11=i11/i10、ni12=i12/i10、…、相対差:d11=(i11-i12)/i10、d12=(i12-i13)/i10…、各PPM電位ステップの平均電流av1=(i11+i12+i13)/3、av2=(i21+i22+i23)/3、…、及び平均電流比av12=av1/av2、av23=av2/av3、…を含む。他の諸々の項は、GR1=G*R1、Gz61=G*z61、Gy52=G*y52、…、R63R51=R63/R51、R64R43=R64/R43、…、z64z42=z64/z42、z65z43=z65/z43、…、d11d31=d11/d31、d12d32=d12/d32、…、Gz61y52=G*z61/y52…を含む。
【0065】
同等若しくは同様の情報を運ぶPPM電流差若しくは相対差、又は中間PPM電流の比率などの他の型のパラメータも使用され得る。
【0066】
したがって、抽出されたパラメータR1、R4、及びy45を使用して、生のグルコース分析物濃度を示すことができ、接続関数を、生のグルコース分析物濃度とともに使用して、インビトロからインビボグルコースに接続し得る。Gに対する変換関数、及びG複合に対する接続関数による補償の結果が、図6の表600にまとめられている。結果は、R1、R4、及びy45が信号の示す分析物として使用され得、かつ接続関数によってグルコース値の狭い変動幅に対して広い拡散応答を収束させることが可能であることを示している。
【0067】
図4Aは、本明細書に提供された実施形態による、例示的なCGMデバイス400のハイレベルブロック図を例解している。図4Aには示されていないが、様々な電子部品及び/又は回路が、バッテリーなどに限定されない電源に結合するように構成されていることを理解されたい。CGMデバイス400は、CGMセンサ404に結合するよう構成され得る、バイアス回路402を含む。バイアス回路402は、連続DCバイアスなどのバイアス電圧を、CGMセンサ404を通して分析物含有流体に印加するように構成され得る。この例示的な実施形態では、分析物含有流体は、ヒト間質液であり得、バイアス電圧は、CGMセンサ404の1つ以上の電極405(例えば、動作電極、バックグラウンド電極など)に印加され得る。
【0068】
バイアス回路402はまた、図1Cに示されているように、PPMシーケンス、又は別のPPMシーケンスをCGMセンサ404に印加するように構成され得る。例えば、PPMシーケンスは、初期及び/又は中間期に印加され得るか、又は各一次データポイントについて印加され得る。PPMシーケンスは、例えば、一次データポイントの測定の前、後、又は前後に印加され得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、CGMセンサ404は、2つの電極を含み得、バイアス電圧及びプロービング電位変調(PPM)は、一対の電極間に印加され得る。このような場合、電流は、CGMセンサ404を通して測定され得る。他の実施形態では、CGMセンサ404は、動作電極、カウンタ電極、及び基準電極などの3つの電極を含み得る。このような場合、バイアス電圧及びPPMは、動作電極と基準電極との間に印加され得、電流は、例えば、動作電極を通じて測定され得る。CGMセンサ404は、還元酸化反応においてグルコース含有溶液と反応する化学物質を含み、電荷担体の濃度及びCGMセンサ404の時間依存性インピーダンスに影響を与える。例示的な化学物質としては、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、又はこれに類するものが含まれる。一部の実施形態では、フェリシアニド又はフェロセンなどの媒介物質が用いられ得る。
【0070】
バイアス回路402によって生成及び/又は印加される連続バイアス電圧は、例えば、基準電極に対して約0.1~1ボルトの範囲であり得る。他のバイアス電圧が使用され得る。例示的なPPM値は、以前に説明されている。
【0071】
PPM電流、並びにPPM及び一定のバイアス電圧に応答する、分析物含有流体中のCGMセンサ404を通る非PPM(NPPM)電流は、CGMセンサ404から電流測定(I測定)回路406(電流検知回路とも称される)に運ばれ得る。電流測定回路406は、(例えば、好適な電流電圧変換器(CVC)を使用して)CGMセンサ404から伝達される電流の大きさを示す大きさを有する電流測定信号を検知及び/又は記録するように構成され得る。一部の実施形態では、電流測定回路406は、既知の名目値及び既知の名目精度(例えば、一部の実施形態では、0.1%~5%、又は更に0.1%未満)を有する抵抗器を含み得、これを通して、CGMセンサ404から伝達される電流が通過する。電流測定回路406の抵抗器の両端に発生する電圧は、電流の大きさを表し、電流測定信号と称され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、サンプル回路408は、電流測定回路406に結合され得、電流測定信号をサンプリングするように構成され得る。サンプル回路408は、電流測定信号(例えば、デジタル化されたグルコース信号)を表すデジタル化された時間領域サンプルデータを生成し得る。例えば、サンプル回路408は、アナログ信号である電流測定信号を受信し、所望のビット数を出力として有するデジタル信号に変換するように構成されている、任意の好適なA/D変換器回路であり得る。サンプル回路408によって出力されるビット数は、一部の実施形態では、16ビットであり得るが、他の実施形態では、より多い又はより少ないビットが使用され得る。一部の実施形態では、サンプル回路408は、毎秒約10サンプル~毎秒1000サンプルの範囲内のサンプリング速度で、電流測定信号をサンプリングし得る。より速い又はより遅いサンプリング速度を使用し得る。例えば、約10kHz~100kHzなどのサンプリング速度を使用して、ダウンサンプリングし、信号対雑音比を更に低減し得る。任意の好適なサンプリング回路が用いられ得る。
【0073】
更に図4Aを参照すると、プロセッサ410は、サンプル回路408に結合され得、メモリ412に結合され得る。一部の実施形態では、プロセッサ410及びサンプル回路408は、有線経路を介して(例えば、シリアル接続又は並列接続を介して)互いに直接的に通信するように構成されている。他の実施形態では、プロセッサ410とサンプル回路408との結合は、メモリ412によるものであり得る。この配置では、サンプル回路408は、メモリ412にデジタルデータを書き込み、プロセッサ410は、メモリ412からデジタルデータを読み取る。
【0074】
メモリ412は、一次データポイント(NPPM電流)、並びにPPM電流(電流測定回路406及び/又はサンプル回路408からの)に基づいて、グルコース値を判定する際に使用するための1つ以上の予測計算式414をそのメモリに記憶している場合がある。いくつかのケースでは、予測計算式は、変換関数及び/又は接続関数を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、2つ以上の予測計算式が、それぞれ、CGM収集データの異なるセグメント(時間期間)とともに使用するために、メモリ412に記憶され得る。いくつかの実施形態では、メモリ412は、基準センサに印加された定電圧電位の印加によって生成された一次電流信号に基づく予測計算式、及び一次電流信号測定の間に印加されたPPMシーケンスの印加によって生成された複数のPPM電流信号を含み得る。
【0075】
メモリ412はまた、複数の命令をその中に記憶し得る。様々な実施形態では、プロセッサ410は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、組み込みマイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラとして動作するよう構成されているフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はこれに類するものなどの計算リソースであり得るが、それに限定されない。
【0076】
いくつかの実施形態では、メモリ412に記憶された複数の命令は、プロセッサ410によって実行されたときに、プロセッサ410に、(a)CGMデバイス400に、(バイアス回路402、CGMセンサ404、電流測定回路406、及び/又はサンプル回路408を介して)間質液からの電流信号(例えば、一次電流信号及びPPM電流信号)を測定させること、(b)メモリ412に電流信号を記憶すること、(c)PPMシーケンス内の異なる電圧ステップ、又は他の電圧変化からの電流の比(及び/若しくは他の関係性)などの予測計算式パラメータを計算すること、(d)計算された予測計算式パラメータを採用して、予測計算式を使用して、グルコース値(例えば、濃度)を計算すること、並びに/又は(e)グルコース値をユーザに伝達すること、を行わせる命令を含み得る。
【0077】
メモリ412は、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリのうちの1つ以上などの任意の好適なタイプのメモリであり得るが、これらに限定されない。揮発性メモリには、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)又はダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)が含まれ得るが、これらに限定されない。不揮発性メモリは、限定されるものではないが、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ(例えば、NOR構成若しくはNAND構成のいずれかで、及び/又は積み重ね若しくは平面配置のいずれかで、及び/又はシングルレベルセル(SLC)、マルチレベルセル(MLC)、若しくはSLC/MLCの組み合わせの配置のいずれかでのタイプのEEPROM)、抵抗メモリ、フィラメント状メモリ、金属酸化物メモリ、相変化メモリ(例えば、カルコゲニドメモリ)、又は磁気メモリを含み得る。メモリ412は、例えば、単一のチップとして、又は複数のチップとしてパッケージ化され得る。一部の実施形態では、メモリ412は、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)などの集積回路に、1つ以上の他の回路とともに埋め込まれ得る。
【0078】
上述のように、メモリ412は、プロセッサ410によって実行されたときに、プロセッサ410に、記憶された複数の命令のうちの1つ以上によって指定される様々な操作を実施させる、そのメモリに記憶された複数の命令を有し得る。メモリ412は、複数の命令のうちの1つ以上の命令の実行に応答して、プロセッサ410による読み取り又は書き込み処理に使用され得る、1つ以上の「スクラッチパッド」記憶領域のために予約された部分を更に有し得る。
【0079】
図4Aの実施形態では、バイアス回路402、CGMセンサ404、電流測定回路406、サンプル回路408、プロセッサ410、及び、予測計算式414を含むメモリ412は、CGMデバイス400のウェアラブルセンサ部分416内に配設され得る。一部の実施形態では、ウェアラブルセンサ部分416は、グルコース濃度情報などの情報を表示するための(例えば、外部機器を使用せずに)ディスプレイ417を含み得る。ディスプレイ417は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどであるが、これに限定されない、任意の好適なタイプの人感性ディスプレイであり得る。
【0080】
更に図4Aを参照すると、CGMデバイス400は、ポータブルユーザデバイス部分418を更に含み得る。プロセッサ420及びディスプレイ422は、ポータブルユーザデバイス部分418内に配設され得る。ディスプレイ422は、プロセッサ420に結合され得る。プロセッサ420は、ディスプレイ422によって示されるテキスト又は画像を制御し得る。ウェアラブルセンサ部分416及びポータブルユーザデバイス部分418は、通信可能に結合され得る。いくつかの実施形態では、ウェアラブルセンサ部分416及びポータブルユーザデバイス部分418の通信可能な結合は、例えば、ウェアラブルセンサ部分416の送信/受信(Tx/Rx)回路424a、及びポータブルユーザデバイス部分418の送信/受信(Tx/Rx)回路424bなど、送信機回路及び/又は受信機回路を介した無線通信によるものであり得る。このような無線通信は、Bluetooth(登録商標)通信プロトコルなどの標準ベースの通信プロトコルを含むが、これに限定されない、任意の好適な手段によるものであり得る。様々な実施形態では、ウェアラブルセンサ部分416とポータブルユーザデバイス部分418との間の無線通信は、代替的に、近距離通信(NFC)、無線周波数(RF)通信、赤外線(IR)通信、又は光通信によるものであり得る。一部の実施形態では、ウェアラブルセンサ部分416、及びポータブルユーザデバイス部分418は、1つ以上のワイヤによって接続され得る。
【0081】
ディスプレイ422は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどであるが、これに限定されない、任意の好適なタイプの人感性ディスプレイであり得る。
【0082】
ここで、図4Bを参照すると、図4Aに例解された実施形態と同様であるが、構成要素の異なる分割を有する、例示的なCGMデバイス450が示されている。CGMデバイス450では、ウェアラブルセンサ部分416は、CGMセンサ404に結合されたバイアス回路402、及びCGMセンサ404に結合された電流測定回路406を含む。CGMデバイス450のポータブルユーザデバイス部分418は、プロセッサ420に結合されたサンプル回路408、及びプロセッサ420に結合されたディスプレイ422を含む。プロセッサ420は、メモリ412に更に結合され、そのメモリは、そのメモリに記憶される予測計算式414を有し得る。いくつかの実施形態では、CGMデバイス450内のプロセッサ420はまた、例えば、図4AのCGMデバイス400のプロセッサ410によって実行される、先に説明された関数も実行し得る。CGMデバイス450のウェアラブルセンサ部分416は、サンプル回路408、プロセッサ410、メモリ412などがその中に含まれていないため、図4AのCGMデバイス400よりも小さく、かつより軽く、したがって、より低侵襲であり得る。他の構成要素の構成が用いられ得る。例えば、図4BのCGMデバイス450に対する変形例として、サンプル回路408は、(ポータブルユーザデバイス部分418が、ウェアラブルセンサ部分416からデジタル化グルコース信号を受信するように)ウェアラブルセンサ部分416上に依然として残り得る。
【0083】
図5は、本明細書に提供された実施形態による、例示的なグルコースセンサ404の側面概略図である。一部の実施形態では、グルコースセンサ404は、動作電極502、基準電極504、カウンタ電極506、及びバックグラウンド電極508を含み得る。動作電極は、還元酸化反応(電荷担体の濃度、及びCGMセンサ404の時間依存性インピーダンスに影響を与える)において、グルコース含有溶液と反応する化学物質でコーティングされた導電層を含み得る。いくつかの実施形態では、動作電極は、白金又は表面粗化白金から形成され得る。他の動作電極材料が使用され得る。動作電極502の例示的な化学触媒(例えば、酵素)としては、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、又はこれに類するものが含まれる。酵素成分は、例えば、グルタルアルデヒドなどの架橋剤によって電極表面上に固定され得る。外膜層を酵素層上に適用して、電極及び酵素層を含む全体的な内部成分を保護し得る。一部の実施形態では、フェリシアニド又はフェロセンなどの媒介物質が用いられ得る。他の化学触媒及び/又は媒介物質が用いられ得る。
【0084】
一部の実施形態では、基準電極504は、Ag/AgClから形成され得る。カウンタ電極506及び/又はバックグラウンド電極508は、白金、金、パラジウム、又はこれに類するものなどの好適な導電体で形成し得る。他の材料は、基準電極、カウンタ電極、及び/又はバックグラウンド電極に使用され得る。いくつかの実施形態では、バックグラウンド電極508は、動作電極502と同一であり得るが、化学触媒及び/又は媒介物質を含まない。カウンタ電極506は、分離層510(例えば、ポリイミド又は別の好適な材料)によって他の電極から分離され得る。
【0085】
図7は、本明細書に提供された実施形態による、連続グルコースモニタリング測定中にグルコース値を判定する例示的な方法700を例解する。方法700は、ブロック702において、センサ、メモリ、及びプロセッサを含む、CGMデバイス(例えば、図4A及び図4BのCGMデバイス400又は450)を提供することを含み、センサは、電極システム、及び電極システムを取り囲む膜システムを備え、膜システムは、膜の外側の分析物溶解度よりも低い分析物溶解度を有する、分析物透過膜を備える。
【0086】
方法700はまた、ブロック704において、定電圧電位をセンサに印加することも含む(例えば、図1AのE)。ブロック706において、方法700は、定電圧電位から生じる一次電流信号を測定して、その測定された一次電流信号をメモリに記憶することを含む。ブロック708において、方法700は、プロービング電位変調シーケンスをセンサに印加することを含む(例えば、図1CのPPMシーケンス)。ブロック710において、方法700は、プロービング電位変調シーケンスから生じるプロービング電位変調電流信号を測定して、その測定されたプロービング電位変調電流信号をメモリに記憶することを含む。方法700は、ブロック712において、変換関数及び複数の測定されたプロービング電位変調電流信号に基づいて、初期グルコース濃度を判定すること、ブロック714において、一次電流信号及び複数のプロービング電位変調電流信号に基づいて、接続関数値を判定すること、及びブロック716において、初期グルコース濃度及び接続関数値に基づいて、最終グルコース濃度を判定すること、を更に含む。最終グルコース濃度は、(例えば、図4A又は図4Bのディスプレイ417又は422を介して)ユーザに伝達され得る。
【0087】
いくつかの実施形態又はその部分は、非一時的命令を内部に記憶された機械可読媒体を含み得るコンピュータプログラム製品又はソフトウェアとして提供され得、それらは、1つ以上の実施形態によるコンピュータシステム、コントローラ、又は他の電子デバイスをプログラムするために使用され得る。
【0088】
本開示は、様々な修正及び代替的な形態の影響を受けやすいが、特定の方法及び装置の実施形態は、例として図面に示されており、本明細書で詳細に説明されている。しかしながら、本明細書に開示される特定の方法及び装置は、開示又は特許請求の範囲を限定することを意図しないことを理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5
図6
図7
【国際調査報告】