(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-23
(54)【発明の名称】衛星ネットワークにアクセスするためにユーザー機器によって実行される方法
(51)【国際特許分類】
H04W 48/16 20090101AFI20230816BHJP
H04W 74/08 20090101ALI20230816BHJP
H04W 84/06 20090101ALI20230816BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20230816BHJP
【FI】
H04W48/16
H04W74/08
H04W84/06
H04W16/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023529440
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(85)【翻訳文提出日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 JP2021037260
(87)【国際公開番号】W WO2022107484
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】チョチーナ、クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】グレッセ、ニコラ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE08
5K067EE10
5K067KK02
(57)【要約】
衛星ネットワークにアクセスするためにユーザー機器UE1によって実行される方法であって、上記衛星ネットワークの少なくとも1つの衛星SAT1は、地球に対して相対的に移動しており、上記衛星ネットワークは、無線周波数衛星ビームB1~B3を展開し、ユーザー機器UE1は、a.少なくとも第1衛星ビームB1を通じて、ネットワークにおける少なくとも現在及び将来の衛星ビームB1、B2に関する補助情報のデータを受信し、b.補助情報の上記データを解釈して、上記第1衛星ビームB1を通じた接続条件と、上記第1衛星ビームB1とは異なる、少なくとも1つの第2衛星ビームB2を通じた接続条件とを予測し、c.少なくとも上記第1及び第2衛星ビームB1、B2を通じた上記接続条件に基づいて選択された、第1衛星ビームB1及び第2衛星ビームB2のうちの衛星ビームB2を通じた衛星ネットワークへのアクセスを決定し、d.選択された衛星ビームB2を通じてRACH手順を実行する、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星ネットワークにアクセスするためにユーザー機器(UE1)によって実行される方法であって、前記衛星ネットワークの少なくとも1つの衛星(SAT1)は、地球に対して相対的に移動しており、前記衛星ネットワークは、無線周波数衛星ビーム(B1~B3)を展開し、
前記ユーザー機器(UE1)は、
a.少なくとも第1衛星ビーム(B1)を通じて、前記ネットワークにおける少なくとも現在及び将来の衛星ビーム(B1、B2)に関する補助情報のデータを受信し、
b.補助情報の前記データを解釈して、
前記第1衛星ビーム(B1)を通じた接続条件と、
前記第1衛星ビーム(B1)とは異なる、少なくとも1つの第2衛星ビーム(B2)を通じた接続条件とを予測し、
c.少なくとも前記第1衛星ビーム(B1)及び前記第2衛星ビーム(B2)を通じた前記接続条件に基づいて選択された、前記第1衛星ビーム(B1)及び前記第2衛星ビーム(B2)のうちの衛星ビーム(B2)を通じた前記衛星ネットワークへのアクセスを決定し、
d.前記選択された衛星ビーム(B2)を通じてRACH手順を実行する、方法。
【請求項2】
前記ユーザー機器(UE1)は、補助情報の前記データに基づいて、前記第2衛星ビーム(B2)との前記接続条件が、持続時間閾値前の時間において、前記第1衛星ビーム(B1)との前記接続条件よりも良好となるかどうかを判定し、次いで、前記第2衛星ビーム(B2)を選択し、前記衛星ネットワークにアクセスする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザー機器(UE1)は、前記選択された衛星ビーム(B2)への接続が、補助情報の前記データから決定されるテンポライゼーションの後に確立されるかどうかを判定し、前記選択された衛星ビーム(B2)を通じて前記衛星ネットワークにアクセスする前に、前記テンポライゼーションを適用する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザー機器(UE1)は、補助情報の前記データから、前記第1衛星ビーム(B1)及び前記第2衛星ビーム(B2)の地表ゾーンの現在及び将来の逐次的位置を決定し、前記ユーザー機器(UE1)の現在位置が前記選択された衛星ビーム(B2)の前記地表ゾーン外にある限りは、前記選択された衛星ビーム(B2)を通じて前記衛星ネットワークにアクセスする前に、テンポライゼーションを適用する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
現在位置を占有する前記ユーザー機器(UE1)は、前記現在位置のデータを取得することができ、補助情報の前記データは、それぞれの衛星ビーム(B1~B3)に関連付けられた基準点の現在位置及び将来位置に関するデータと、前記衛星ビーム(B1~B3)のそれぞれについて定義された距離閾値データとを少なくとも含み、前記距離閾値はユーザー機器(UE1)の位置と衛星ビーム(B1~B3)に関連付けられた基準点の現在位置との間の最大許容距離であり、
前記ユーザー機器(UE1)は、
前記ユーザー機器の現在位置と前記衛星ビーム(B1~B3)に関連付けられた前記基準点の位置との間の距離をそれぞれ決定し、
前記決定された距離を各衛星ビーム(B1~B3)の前記距離閾値とそれぞれ比較し、
前記ユーザー機器(UE1)の前記現在位置と前記選択された衛星ビーム(B2)に関連付けられた前記基準点の位置との間の前記距離が前記選択された衛星ビーム(B2)の前記距離閾値を超える限り、前記選択された衛星ビーム(B2)を通じて、前記衛星ネットワークにアクセスする前にテンポライゼーションを適用する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
補助情報の前記データは、前記ユーザー機器(UE1)により、前記選択された衛星ビーム(B2)の前記地表ゾーンが前記ユーザー機器(UE1)の前記現在位置を含むようになるまでの持続時間を決定する時間情報を更に含み、前記ユーザー機器(UE1)は、前記決定した持続時間に対応するテンポライゼーションを適用する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザー機器(UE1)は、
前記ユーザー機器の現在位置に関するデータを取得し、
前記ユーザー機器(UE1)により、前記ユーザー機器の現在位置が前記第1衛星ビーム(B1)及び前記第2衛星ビーム(B2)のそれぞれの前記地表ゾーンの両方でカバーされていると判定された場合、前記ユーザー機器(UE1)は、前記第1衛星ビーム(B1)及び前記第2衛星ビーム(B2)とのそれぞれの将来の接続条件に基づいて、前記第1衛星ビーム(B1)及び前記第2衛星ビーム(B2)の中から、前記衛星ネットワークにアクセスする前記ビームを選択する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザー機器(UE1)は、前記衛星ネットワークにアクセスするための優先度に関連するデータを記憶し、前記テンポライゼーションの適用は、優先度の前記データに依存する、請求項3~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザー機器(UE1)は、複数の種類のサービス用に使用可能であり、前記サービスの種類ごとに前記衛星ネットワークにアクセスするための優先度に関連するデータを記憶し、前記テンポライゼーションの適用は、前記ユーザー機器(UE1)が現在使用しようとしている種類のサービスの優先度に関連するデータに依存する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
補助情報の前記データは、前記衛星ビーム(B1~B3)の衛星ビーム負荷によるアクセス容量レベルに関する情報を含み、
前記ユーザー機器(UE)は、それぞれの前記衛星ビーム(B1~B3)のアクセス容量レベルを比較し、前記第1衛星ビーム(B1)の前記アクセス容量レベルが前記第2衛星ビーム(B2)の前記アクセス容量レベルを下回る場合、前記ユーザー機器(UE1)は、前記第2衛星ビーム(B2)を選択して、前記衛星ネットワークにアクセスする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ユーザー機器(UE1)は、前記衛星ネットワークにアクセスする前に、それぞれの衛星ビーム(B1~B3)でチャネル品質指標の測定値を測定可能であり、
前記ユーザー機器(UE1)によって受信された補助情報の前記データは、前記衛星ビーム(B1~B3)のそれぞれに関するチャネル品質閾値を少なくとも含み、前記ユーザー機器(UE1)は、前記チャネル品質指標が前記チャネル品質閾値を上回る少なくとも1つの衛星ビーム(B2)を特定するよう、前記測定値を前記チャネル品質閾値のそれぞれと比較し、これにより、前記特定された衛星ビーム(B2)が、前記ユーザー機器(UE1)により前記衛星ネットワークにアクセスする衛星ビームの選択の候補となる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
補助情報の前記データは、要素のセットのうちの少なくとも1つの要素を含み、前記要素のセットは、
前記衛星ビーム(B1~B3)のうちの少なくとも2つの衛星ビーム間の干渉のレベルと、
前記衛星ビーム(B1~B3)それぞれの雑音指数と、
前記衛星ビーム(B1~B3)それぞれの送信電力とを含み、
前記ユーザー機器(UE1)は、前記要素のうちの少なくとも1つ又は前記要素の組み合わせに基づいて、前記衛星ビーム(B1~B3)との前記接続条件を決定する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ユーザー機器(UE1)は、前記RACH手順の前に、前記第1衛星ビーム(B1)と前記ユーザー機器との間の初期ダウンリンク同期の間又は後で、少なくとも前記第1衛星ビーム(B1)を通じて、補助情報の前記データを受信する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のユーザー機器(UE1)による方法の実行のためにコンピューター可読媒体に記憶されたプログラム命令コードを含む、コンピュータープログラム製品。
【請求項15】
ユーザー機器(UE1)であって、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実行する処理回路を含む、ユーザー機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非地上系ネットワークを利用した電気通信の分野に関し、具体的には、衛星通信ネットワークへのアクセスに関する。
【背景技術】
【0002】
電気通信システムは、シグナリングの交換を特徴としており、大量の上記シグナリングが、電気通信ネットワークと、上記ネットワークにアクセスしようとするユーザー機器(UE)との間で交換される。電気通信システムにおける重要な課題は、ユーザー機器がネットワークにアクセスする際のバランスを確保することである。実際のところ、電気通信ネットワークでは、ネットワークへのアクセスを同時に要求するユーザー機器(UE)が多すぎると、アクセス過多が発生する場合があり、これにより、アクセスが遅延する、及び/又は、ユーザー機器ユニットによっては、アクセスが拒否されたりすることもある。
【0003】
地上通信ネットワークでは、無線アクセスネットワーク(RAN)の過負荷を管理するために、様々な解決策が実施されている。このような解決策には、セル禁止の概念、ランダムアクセスの動的リソース割り当て、及び地上波マシンタイプコミュニケーション(MTC)固有の方式があり、これらは、例えば、非特許文献1及び非特許文献2で詳述されている。
【0004】
しかし、このような解決策では、非静止衛星通信網のような非地上系ネットワーク(NTN)には対処できない。実際のところ、大量のユーザー機器(UE)が衛星ネットワークの基地局にアクセスしようとすることや、ユーザー機器と衛星との間の距離による長距離のアップリンクとダウンリンクは、リンクバジェットを悪化させ、さらに、衛星が地表に対して移動することにより、地表のカバレッジゾーンが変化し、これらが全てトラフィックの輻輳制御を困難にする。
【0005】
さらに、ネットワークアクセス制御に関する既存の解決策では、ユーザー機器(UE)がターゲット基地局を通じてランダムアクセス要求(RACH)を実行し、ひいては、上記ターゲット基地局が現在利用できないか、又は近いうちに利用できなくなる場合でも、無線リソースを消費することを防げない。これにより、ユーザー機器(UE)がアクセスを拒否されるか(かくして、RACH手順に失敗する)、又はユーザー機器(UE)がリソースを消費しているハンドオーバーを実行する必要性が生じるかのいずれかとなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP(登録商標) TR 37.868, RAN Improvements for Machine‐Type Communications, v11.0.0, Oct. 2011
【非特許文献2】Sung‐Hyung Lee, So‐Yi Jung and Jae‐Hyun Kim, Dynamic Resource Allocation of Random Access for MTC Devices, ETRI Journal, Volume 39, Number 4, August 2017
【発明の概要】
【0007】
本発明は、上記状況を改善することを目的とする。
【0008】
衛星ネットワークにアクセスするためにユーザー機器によって実行される方法であって、上記衛星ネットワークの少なくとも1つの衛星は、地球に対して相対的に移動しており、上記衛星ネットワークは、無線周波数衛星ビームを展開し、
ユーザー機器は、
a.少なくとも第1衛星ビームを通じて、ネットワークにおける少なくとも現在及び将来の衛星ビームに関する補助情報のデータを受信し、
b.補助情報の上記データを解釈して、
上記第1衛星ビームを通じた接続条件と、
上記第1衛星ビームとは異なる、少なくとも1つの第2衛星ビームを通じた接続条件とを予測し、
c.少なくとも上記第1衛星ビーム及び上記第2衛星ビームを通じた上記接続条件に基づいて選択された、第1衛星ビーム及び第2衛星ビームのうちの衛星ビームを通じた衛星ネットワークへのアクセスを決定し、
d.選択された衛星ビームを通じてRACH手順を実行する、方法が提案される。
【0009】
こうして、ユーザー機器は、ネットワークの全性能及びユーザー機器の接続条件の双方を長期にわたり最適化するように衛星ネットワークにアクセスするための、衛星ネットワークに関する関連情報が得られる。
【0010】
衛星ネットワークでは、無線セルは単一の衛星ビームに対応することもあれば、幾つかの衛星ビームに対応することもあり得る。後者の場合、幾つかの実施態様では、地表のユーザーはセルを形成する異なるビームを区別できない(例えば、ビーム固有の事前補償がない場合、及び/又は地表のUEに転送されるビームインデックスに関する特定の情報がない場合)。
【0011】
そのために、本発明は、衛星ネットワークにアクセスするためにユーザー機器によって実行される方法であって、上記衛星ネットワークの少なくとも1つの衛星は、地球に対して相対的に移動しており、上記衛星ネットワークは、無線周波数衛星セルを展開し、
ユーザー機器は、
a.少なくとも第1衛星セルを通じて、ネットワークにおける少なくとも現在及び将来の衛星セルに関する補助情報のデータを受信し、
b.補助情報の上記データを解釈して、
上記第1衛星セルを通じた接続条件と、
上記第1衛星セルとは異なる、少なくとも1つの第2衛星セルを通じた接続条件とを予測し、
c.少なくとも上記第1衛星セル及び上記第2衛星セルを通じた上記接続条件に基づいて選択された、第1衛星セル及び第2衛星セルのうちの衛星セルを通じた衛星ネットワークへのアクセスを決定し、
d.選択された衛星セルを通じてRACH手順を実行する、方法に関する。
【0012】
より全般的に、衛星ビームに関して以下で説明する説明は全て、衛星セルにも適用される。
【0013】
ユーザー機器は、ネットワークへのアクセス条件を予測するために、ネットワークの現状態に関する情報だけでなく、ネットワークについて予測可能な状況にも依存することができる。実際のところ、固定ビームを使用する地球低軌道(LEO)衛星ネットワークでは、衛星は地表に対する軌道内を移動しており、このような衛星で展開された無線周波数衛星ビームは固定されているので、地表に対しても移動している。LEO衛星システムの場合、このような動きは非常に高速であるので、衛星及びその衛星ビームの移動度に比べれば、地表のユーザー機器の移動度は無視できるほど小さい。かくして、地表のユーザー機器の位置は固定されていると見なされる。衛星ビームを通じたランダムアクセス要求(RACH)を実行してネットワークにアクセスしようとするこのようなユーザー機器は、こうした衛星ビームを選択し、上記ビームを通じたRACH要求を試みる必要がある。他の実施態様の選択肢として、非静止衛星システムの衛星は、ビームステアリング機能を備え、地球上の固定点にビームを向けることができる場合もある。ビームフットプリントは地表に対して移動しないが、或る衛星が軌道内を離れて移動し、別の衛星に置き換わると、接続条件が異なる別の衛星から展開されたビームから、同じフットプリントが逐次的に提供される。本発明は、この場合にも当てはまる。
【0014】
そこで、本発明は、衛星ネットワークにアクセスするためにランダムアクセス要求を行おうとするユーザー機器に提供される補助情報を提案する。このような補助情報は、ユーザー機器に関連する衛星ビームに関する情報、及びビームカバレッジの変化等のネットワーク内の関連する変化に関する情報を送信する。このような情報は、ネットワークのトポロジーだけでなく、衛星の移動につながる衛星コンステレーション動学がネットワークの構成によって固定されているので、衛星ネットワークの全てのエンティティー(ユーザー機器を除く)によって、予測可能で、既知である。したがって、所与の衛星ビームは、地表の所与の地点について、どの衛星ビームと入れ替わるか、及び、次にどの衛星ビームと入れ替わるか、そして、このような変化が起こるまでの持続時間も把握している。
【0015】
衛星ネットワークから分かるべきこととして、無線通信ネットワークは、衛星を利用して、ユーザー機器からの無線信号を受信して、及び/又はユーザー機器に無線信号を発信して、通信ネットワークのユーザー機器と通信を行う通信ネットワークであるということである。
【0016】
ネットワークの現在及び将来の衛星ビームにより、以下のそれぞれが分かる。
地表のフットプリント(又は、地表ゾーン)が、現在時刻のユーザー機器の位置をカバーする衛星ビーム(又は、幾つかの衛星ビーム)、及び
地表のフットプリントが次に予測可能な時間にユーザー機器の位置をカバーする衛星ビーム、つまり、現在の衛星ビームと部分的若しくは完全に重なるか、又は置き換わる衛星ビーム。
【0017】
衛星ビームを通じた接続条件から、所与の衛星ビームのチャネルを通じた衛星ネットワークへの接続品質に関する一組の指標が分かる。上記接続条件は、リンクバジェット、衛星ビームのアクセス性(アクセス容量、負荷、又は距離)、干渉レベル、信号対雑音比(SNR)、基準信号受信電力及び/又は品質(RSRP/RSRQ)、又は衛星ビームに関する任意の他の特性に依存し得る。このような特性は、所与の時間に測定、計算、及び/又はユーザー機器に送信することができ、衛星コンステレーション動学、及びネットワーク内のシグナリングの交換により変化し得る。その結果、衛星ネットワークの各衛星ビームを通じた所与のユーザー機器の接続条件は、経時にわたり異なる場合があり、ネットワークによって(少なくとも一部を)予測できる。
【0018】
本発明の一態様によれば、ユーザー機器は、補助情報の上記データに基づいて、上記第2衛星ビームとの接続条件が、持続時間閾値前の時間において、上記第1衛星ビームとの接続条件よりも良好となるかどうかを判定し、次いで、第2衛星ビームを選択し、衛星ネットワークにアクセスする。補助情報の受信時に、第2衛星ビームは、既にユーザー機器から視認/測定可能であり、第1衛星ビームよりも接続状態が悪い可能性がある。第2ビームは、補助情報の受信時にユーザー機器から視認できない場合がある。
【0019】
その結果、ユーザー機器は、無線リソースを消費するハンドオーバーを行う必要なく、できるだけ長時間にわたり同じ衛星ビームを通じてネットワークに接続し続けるために、接続条件を満たすだけでなく持続可能でもある衛星ビームを選択する必要がある。
【0020】
様々な衛星ビームの接続条件を長期にわたり比較して、衛星ネットワークにアクセスする衛星ビームの選択を、ユーザー機器が決定する。すなわち、本発明によって、ユーザー機器は、2つの衛星ビームを通じた接続状態を見通し、接続品質が向上し、より持続的及び/又は安定した接続を保証する衛星ビームを選択することができる。例えば、ユーザー機器は、チャネル品質が一時的に強いが、その後すぐに、品質が徐々に改善し、第1ビームを上回る第2衛星ビームに切り替わる第1衛星ビームを通じてネットワークにアクセスすることを回避できる。場合によっては、ユーザー機器に提供できる接続が2つ以上であり得る。したがって、ユーザー機器が位置するゾーンにおいて予測可能な時間に重なるか、又は今後重なる幾つかの衛星ビームに関する受信した補助情報データに応じて、ユーザー機器は、接続されるべき種々の衛星ビーム候補のリストを、場合によっては、優先順位のランクをつけて定義することもある。このランク付けは、以下で示す多数のパラメーター(将来の接続条件、セル負荷、全体的又は部分的な重複、優先度等)に依存し得る。そして、有効な接続は、選択した1つのビームをリストの一番上にして実行できる。
【0021】
持続時間閾値は、2つの衛星ビーム同士の接続状態を比較しても意味をなさなくなる最大持続時間と理解することができる。実際のところ、ユーザー機器は、直近の接続条件が最適化されていないが、限られた持続時間内(すなわち、上記持続時間閾値の前)で改善する衛星ビームを通じて、ネットワークにアクセスすることができる。
【0022】
本発明の一態様によれば、ユーザー機器は、選択された衛星ビームへの接続が、補助情報の上記データから決定されるテンポライゼーション(temporization)の後に確立されるかどうかを判定し、選択された衛星ビームを通じて衛星ネットワークにアクセスする前に、上記テンポライゼーションを適用する。
【0023】
その結果、接続条件及び/又はネットワークのバランスの観点から、衛星ネットワークへのアクセス要求を、このようなアクセスのタイミングを最適化できる場合には、遅延させる情報をユーザー機器に供給する。提案された衛星ビームがまだ利用できない場合(例えば、アクセス過多が原因による)、ユーザー機器からまだ到達可能でない場合(例えば、上記ビームのフットプリントがユーザー機器の位置を含まない)、又は、例えば、別の衛星ビームと間近に重なることによって、接続条件の変化を受ける場合、このようなテンポライゼーションの適用が補助情報から提案される。様々な理由により、補助情報は、上記選択された衛星ビームを通じたアクセス要求が(接続条件の観点で)異なる時間帯で改善することを、ユーザー機器に通知することができる。このため、ユーザー機器は、アクセス試行の失敗、又は寿命の短いアクセス(例えば、直後にハンドオーバー手順が必要になること)を避けるために、アクセスにテンポライゼーションを適用することを検討可能である。
【0024】
本発明の一態様によれば、ユーザー機器は、補助情報の上記データから、上記第1衛星ビーム及び上記第2衛星ビームの地表ゾーンの現在及び将来の逐次的位置を決定し、ユーザー機器の現在位置が選択された衛星ビームの地表ゾーン外にある限りは、選択された衛星ビームを通じて衛星ネットワークにアクセスする前に、テンポライゼーションを適用する。
【0025】
その結果、ユーザー機器は、選択された衛星ビームがまだ到達可能でない場合、すなわち、上記選択された衛星ビームのビームフットプリント(又は、地表ゾーン)がまだ地表上のユーザー機器の位置を含んでいない場合、テンポライゼーションを適用して、上記選択された衛星ビームを待つ。このような情報は、衛星ビームのフットプリントの現在及び将来の逐次的位置を(直接的であるかにかかわらず)提供する補助情報に基づいて、ユーザー機器によって解釈及び/又は計算可能である。このような位置はネットワークの構成済みデータに属し、特に、衛星ビームはそのような情報を把握しており、この情報をユーザー機器に送信する。ユーザー機器の位置に関する情報はないものの、各衛星ビームは、現在地表のどの地表ゾーンをカバーしているか、そして、次にどの衛星ビームが上記地表ゾーンをカバーするかを把握しており、その情報をユーザー機器に送信することができる。また、衛星ビームは、種々の衛星ビームの現在位置、速度、及び方向に関する情報も送信することで、ユーザー機器はそれらの逐次的位置を計算できる。このように、ユーザー機器は、まだ到達していないビームにアクセスしようとするのではなく、アクセスできるようになるまで待機することで、試行の失敗を回避し、無線リソースを節約する。
【0026】
本発明の一態様によれば、現在位置を占有するユーザー機器は、上記現在位置のデータを取得することができ、補助情報の上記データは、それぞれの衛星ビームに関連付けられた基準点の現在位置及び将来位置に関するデータと、衛星ビームのそれぞれについて定義された距離閾値データとを少なくとも含み、上記距離閾値はユーザー機器の位置と衛星ビームに関連付けられた基準点の現在位置との間の最大許容距離であり、
ユーザー機器は、
ユーザー機器の現在位置と衛星ビームに関連付けられた基準点の位置との間の距離をそれぞれ決定し、
上記決定された距離を各衛星ビームの上記距離閾値とそれぞれ比較し、
ユーザー機器の現在位置と選択された衛星ビームに関連付けられた基準点の位置との間の距離が選択された衛星ビームの距離閾値を超える限り、選択された衛星ビームを通じて、衛星ネットワークにアクセスする前にテンポライゼーションを適用する。
【0027】
これにより、ユーザー機器は、衛星ビームの地表ゾーンに対する自身の位置を特定することができ、自身の位置が上記衛星ビームとの良好な接続を確立する上で離れすぎていると考えられる場合には、テンポライゼーションを適用することができる。
【0028】
ユーザー機器は、従来ではGNSS(全地球的航法衛星システム)を搭載しているので、衛星とそのビームの位置の変化に対して固定とみなされる、地表上の位置に関するデータを得ることができる。
【0029】
衛星ビームに関連する基準点は、衛星ビームの中心だけでなく、例えば、ビームを画定する境界線上の幾つかの点から等距離にある点のような、衛星ビームの地表ゾーンに属する任意の他の点としても理解できる。衛星ビーム用に定義される距離閾値は、上記衛星ビームを管理する衛星の基地局により定義可能である。基準点と距離閾値の双方が、所与の衛星ビームのアクセス領域を定義する。これらは、ユーザー機器に補助情報として送信されて、ユーザー機器が所与の衛星ビームのアクセス領域内にいるかどうかを判断できるようになる。このような補助情報により、ネットワークが構成した所与のセルへのアクセスを単純に拒否するだけのセル禁止と比較して、より柔軟なアクセス管理が可能となる。本説明の状況において、ユーザー機器は、上記アクセス領域に対する自身の位置を計算し、上記領域がユーザー機器の位置を含むまで待ってからアクセスを要求するよう、テンポライゼーションを適用できる。これにより、この状況では、補助情報によって、ユーザー機器はアクセス試行の失敗を回避して、無線リソースを節約するのと同時に、最適な接続条件(ユーザー機器の位置とビームの基準点との間の距離が距離閾値未満である場合に満たされるとみなされる条件)でネットワークにアクセスすることができる。
【0030】
基準点及び距離閾値は、衛星ビームでカバーされる地表ゾーン内でディスク形状としてアクセス領域を事前に画定する。変形形態では、国、島のような地理的領域に対応する場合、アクセス領域は、ディスク以外の形態も取り得る。その場合、所与の衛星ビームの基準点及び距離閾値を提供するのではなく、補助情報は、アクセス領域の識別情報、又は任意の他の形式の識別情報(座標等)をユーザー機器に直接提供できる。このようにアクセス領域をシグナリングすると、ユーザー機器は自身がシグナリングされた領域に属しているか否かを判断し、これに応じて動作することが可能になる。
【0031】
本発明の一態様によれば、補助情報のデータは、ユーザー機器により、選択された衛星ビームの地表ゾーンがユーザー機器の現在位置を含むようになるまでの持続時間を決定する時間情報を更に含み、ユーザー機器は、上記決定した持続時間に対応するテンポライゼーションを適用する。
【0032】
つまり、ユーザー機器は、選択した衛星ビームへと確実にアクセスするために適用する必要のあるテンポライゼーションを定量化するために、補助情報に頼ることができる。選択された衛星ビームの地表ゾーンが、現在時刻において、ユーザー機器の位置を十分なリンク品質でカバーしていないが、所与の持続時間(衛星コンステレーション動学に基づいて予測可能)でカバーする場合、上記持続時間は既知であり、衛星ビームの1つを通じて、基地局によりユーザー機器へと送信される。したがって、ユーザー機器は、上記所与の持続時間中にテンポライゼーションを適用し、利用可能となったら、選択された衛星ビームにアクセスすることができる。このような補助情報により、ユーザー機器は、選択された衛星ビームを通じたアクセスのタイミングが適切でないことが原因で試行が失敗することなく、ネットワークにアクセスする適切なタイミングまで待機できる。
【0033】
本発明の一態様によれば、ユーザー機器は、
ユーザー機器の現在位置に関するデータを取得し、
ユーザー機器により、ユーザー機器の現在位置が第1衛星ビーム及び第2衛星ビームのそれぞれの地表ゾーンの両方でカバーされていると判定された場合、ユーザー機器は、上記第1衛星ビーム及び上記第2衛星ビームとのそれぞれの将来の接続条件に基づいて、第1衛星ビーム及び第2衛星ビームの中から、衛星ネットワークにアクセスするビームを選択する。
【0034】
その結果、2つの衛星ビームに同時アクセスできる状況にユーザー機器がある場合(つまり、ユーザー機器の位置が十分なリンク品質でカバーされた2つの異なる衛星ビームの地表ゾーンに属する場合)、各衛星ビームの現接続条件が類似している可能性があるので、衛星ビームの現接続条件だけに頼ることはできない。したがって、ユーザー機器は、ネットワーク内の上記ビームの推移に基づいて、ネットワークにアクセスする衛星ビームを選択することになる。つまり、第1衛星ビームがユーザー機器の位置を含む地表ゾーンから離れる一方、第2衛星ビームが上記ゾーンと徐々に重なる段階にある場合、第1衛星ビームの接続状態は悪化するが、第2衛星ビームの接続状態は良好となる。ユーザー機器は、現在時刻で2つのビーム同士が重なり合う領域にいる場合、補助情報から提供されるこのような将来の接続条件を利用して、第2衛星ビームを選択し、リソースを消費するハンドオーバーを行う必要なく、より長時間にわたり接続を維持することができる。
【0035】
本発明の一態様によれば、ユーザー機器は、衛星ネットワークにアクセスするための優先度に関連するデータを記憶し、上記テンポライゼーションの適用は、優先度の上記データに依存する。
【0036】
その結果、ユーザー機器によるネットワークへのアクセスも、機器自身の制約に依存する。ユーザー機器は、優先度をメモリーユニットに記憶し、この優先度により、衛星ネットワークにアクセスして、上記ネットワークを通じてデータを交換するための緊急度を大まかに決定できる。これにより、補助情報は、ネットワークにアクセスできる衛星ビーム候補を提示する、このビーム候補には、長期的には接続条件が良好であるが、テンポライゼーションが必要となる可能性があるものもある。優先度の高いユーザー機器は、衛星ビームが最適な(現在及び/又は将来の)接続条件を有していない(例えば、ビームの負荷が既に高い)場合でも、衛星ネットワークへの即時アクセスが可能な上記ビームを選択し、このような選択は補助情報に基づいて可能である。このように、ユーザー機器が現緊急事態(地震検知器、地震振動レポート等)を抱えている場合、必ずしも最適化された将来の接続条件に基づいて、衛星ビームを選択するのではない。優先度は、ユーザー機器自体、サービス、又はデータパケットに対して相対的なもので良い。
【0037】
本発明の一態様によれば、ユーザー機器は、複数の種類のサービス用に使用可能であり、上記サービスの種類ごとに衛星ネットワークにアクセスするための優先度に関連するデータを記憶し、上記テンポライゼーションの適用は、ユーザー機器が現在使用しようとしている種類のサービスの優先度に関連するデータに依存する。
【0038】
これにより、優先度はサービスごとにユーザー機器によって設定可能であり、少なくとも1つの優先度がユーザー機器により設定された閾値を超える場合、ネットワークへの即時アクセスが必要となる場合がある。一例として、自然災害検出器、又は隕石観測器は、優先度が最も高いユーザー機器が担うサービスであり得る。
【0039】
本発明の一態様によれば、補助情報の上記データは、衛星ビームの衛星ビーム負荷によるアクセス容量レベルに関する情報を含み、ユーザー機器は、それぞれの衛星ビームのアクセス容量レベルを比較し、第1衛星ビームのアクセス容量レベルが第2衛星ビームのアクセス容量レベルを下回る場合、ユーザー機器は、第2衛星ビームを選択して、衛星ネットワークにアクセスする。
【0040】
これにより、ユーザー機器は、既にアクセス過負荷を受けている(つまり、上記衛星ビームへのアクセスを要求するユーザー機器の数が、上記ビームが満たせるアクセス要求の最大数を超えている場合)衛星ビームを通じてネットワークにアクセスする試行の失敗を回避できるように、補助情報を得る。
【0041】
本発明の一態様によれば、ユーザー機器は、衛星ネットワークにアクセスする前に、それぞれの衛星ビームでチャネル品質指標の測定値を測定可能であり、ユーザー機器によって受信された補助情報のデータは、衛星ビームのそれぞれに関するチャネル品質閾値を少なくとも含む。ユーザー機器は、チャネル品質指標がチャネル品質閾値を上回る少なくとも1つの衛星ビームを特定するよう、上記測定値を上記チャネル品質閾値のそれぞれと比較し、これにより、特定された衛星ビームが、ユーザー機器により衛星ネットワークにアクセスする衛星ビームの選択の候補となる。
【0042】
これにより、ユーザー機器は、上記ビームの測定値と、上記セルへの接続の品質を保証するチャネル品質閾値との比較に基づいて、衛星ネットワークにアクセスできる衛星ビームを選択可能である。実際、ユーザー機器は、従来では衛星ビームのチャネル品質に関する様々な指標を測定することができ、このような指標は、例えば、信号対雑音比(SNR)、又は基準信号受信電力(RSRP)である。このような指標は、対応する衛星ビームへの現接続状態を定量化するものである。ユーザー機器によって測定されたこのような測定値は、基地局が設定したチャネル品質閾値と比較され、衛星ビームを通じて補助情報としてユーザー機器に送信できる。したがって、このようなチャネル品質閾値により、ユーザー機器は、そのチャネル品質測定値が上記チャネル品質閾値よりも優れている衛星ビームを選択することにより、アクセス試行の失敗を回避することができる。
【0043】
本発明の一態様によれば、補助情報のデータは、要素のセットのうちの少なくとも1つの要素を含み、要素のセットは、
衛星ビームのうちの少なくとも2つの衛星ビーム間の干渉のレベルと、
衛星ビームそれぞれの雑音指数と、
衛星ビームそれぞれの送信電力とを含む。
【0044】
ユーザー機器は、その後、上記要素のうちの少なくとも1つ又は上記要素の組み合わせに基づいて、衛星ビームとの接続条件を決定する。
【0045】
これにより、ユーザー機器は、衛星ビームの接続状態を評価するための、様々な送信特性と衛星ビームに関する特性を得る。
【0046】
本発明の一態様によれば、ユーザー機器は、RACH手順の前に、所与の衛星ビームとユーザー機器との間の初期ダウンリンク同期の間又は後で、少なくとも上記所与の衛星ビームを通じて、補助情報の上記データを受信する。
【0047】
実際のところ、ネットワークへの接続準備のためにアイドルモードを終了する間、ユーザー機器はランダムアクセス手順要求(RACH)の前にネットワークの基地局との同期を取得する必要がある。上記同期により、上記基地局との間でダウンリンク同期が確立され、ユーザー機器が復号可能なデータをブロードキャストすることができる。本発明の状況において、衛星ネットワークの上記基地局は、上記ユーザー機器に補助情報のデータを送信する。上記データは、上記基地局が管理する衛星ビームを介して送信され、ユーザー機器によって復号可能であるが、ただし、上記ビームによってカバーされる地表ゾーンが、ユーザー機器の位置を含むことを前提とする。ネットワーク、ひいては、基地局とその衛星ビームは、ユーザー機器ユニットの位置を知らず、ユーザー機器ユニットがネットワークにアクセスする意図を事前に把握せず、ユーザー機器ユニットの識別情報を無視する可能性がある。それゆえ、補助情報は、想定されるUEが位置するゾーンに特別関連する情報を含み、そのゾーンのUEが最適な条件でネットワークに接続することを支援するデータを含むものとする。したがって、所与の衛星ビームは、その地表ゾーンに含まれる全てのユーザー機器に同じ補助情報を送信する。
【0048】
本発明の一態様によれば、所与の衛星ビームを通じてユーザー機器によって受信された補助情報のデータは、地表上の限られた地理的ゾーンに関連しており、上記限られた地理的ゾーンは、上記所与の衛星ビームの地表ゾーンを少なくとも一時的に含む。かくして、ユーザー機器は、上記限られた地理的ゾーンのみに関する補助情報のデータを受信する。
【0049】
本発明の一態様は、先行する請求項に係るユーザー機器による方法の実行のためにコンピューター可読媒体に記憶されたプログラム命令コードを含む、コンピュータープログラム製品も含む。
【0050】
本発明の一態様は、本発明の以前の態様で記載の方法を実行するための処理回路を含むユーザー機器も更に含む。
【0051】
他の特徴、詳細、及び利点を、限定を避けて、以下の詳細な説明において、及び図面上で示す。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明に係る方法の一実施形態を適用可能な一般的な衛星通信ネットワークの一部を示す図である。
【
図2】本発明に係る方法の一実施形態を適用可能な、
図1の一般的な衛星通信ネットワークの同じ部分を示す図である。
【
図3】本発明の想定される実施形態に係るユーザー機器によって実行される方法のステップを示す流れ図である。
【
図4】本発明の想定される実施形態に係るユーザー機器によって実行されるステップを示す流れ図である。
【
図5】本発明の想定される実施形態に係るRACH手順の補助を管理する衛星ネットワークによって実行されるステップを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
ここで、
図1を参照する。1つ又は幾つかの衛星(SAT1、SAT2)、及び、1つ又は幾つかのユーザー機器(UE1~UE4)からなる一般的な衛星通信ネットワークの一部が図示されている。本説明は、特定の規格に限定されないが、説明をしやすくするため、New Radio(NR)規格の状況として詳述する。NR規格では、エンドユーザーが通信に使用するデバイスを称するために、ユーザー機器という用語を使用しているが、本明細書では、少なくとも衛星ネットワークを介して通信するために使用される任意の無線デバイスを指すために使用する任意の他の用語(例えば、モバイル端末、移動局、パーソナルデジタルアシスタント、無線モデム、携帯端末等)も、ユーザー機器という語句に含まれる。
【0054】
低周回軌道(LEO)展開の場合、衛星(SAT1、SAT2)の地表に対する高度は、約300km~1500kmである。ユーザー機器(UE1~UE4)は地表にあるものとする。
【0055】
各衛星(SAT1、SAT2)は、1つ又は幾つかの衛星ビーム(B1~B6)を生成する。
図1を参照すると、第1衛星(SAT1)は3つの衛星ビーム(B1~B3)を生成し、第2衛星は他の3つのビーム(B4~B6)を生成する。各衛星ビームB1~B6は、特定周波数帯に構成されており、各ビーム(B1~B6)を通じて、対応する衛星(つまり、上記ビームを生成する衛星)は、ビーム用に構成された周波数帯域(異なるビーム間で同一、又は異なっていても良い)に割り当てられた無線リソースに従って、データを送信及び受信できる。こうした無線リソースは、周波数分割方式(例えば、周波数分割多重(FDM)、又は直交周波数分割多重(OFDM))に従って、若しくは時分割方式(例えば、時分割多重化(TDM))、又は符号分割方式(符号分割多重(CDM))により、若しくは偏波に従って、又はこれらの組み合わせにより共有可能である。
【0056】
各衛星ビーム(B1~B6)は、地表にビームフットプリント(地表ゾーンとも称する)を残し、上記ビームフットプリントは地表の特定の地理的領域に対応している。
【0057】
各ビーム(B1~B6)の無線リソースの割り当ては、基地局(BS1~BS4)によって実現される。各基地局(BS1~BS4)は、1つ又は幾つかの衛星ビーム(B1~B6)の無線リソースを管理する。例えば、
図1を参照すると、
第1基地局(BS1)は衛星ビームB1及びB2の無線リソースを管理し、
第2基地局(BS2)は衛星ビームB3の無線リソースを管理し、
第3基地局(BS3)は衛星ビームB4の無線リソースを管理し、
第4基地局(BS4)は衛星ビームB5及びB6の無線リソースを管理する。
【0058】
基地局BS1~BS4は、衛星内で物理的に配置されることもあれば、地表にある1つ又は幾つかの地上ゲートウェイに配置されることもあり、又は、衛星と一部の地上ゲートウェイとの間で異なる機能を分割することもあり得る。
【0059】
各基地局(BS1~BS4)は、処理モジュール(PROC-BS)、メモリーユニット(MEM-BS)、及び通信インターフェース(cBS)を備える。このような通信インターフェース(cBS)では、ユーザー機器(UE1~UE4)と任意の他のネットワークエンティティーの双方との間で情報及びデータの発信及び受信を行うことができる。ネットワークエンティティーとは、衛星ネットワークの任意の基地局、又はユーザー機器(UE1~UE4)以外の衛星ネットワークの任意の他のエンティティー1つを称する。
【0060】
各基地局(BS1~BS4)は、上記基地局(BS1~BS4)が管理する衛星ビーム(B1~B6)に従って、ユーザー機器(UE1~UE4)に無線リソースを割り当てるセルを定義する。つまり、地表のユーザー機器(UE1~UE4)の位置が所与の衛星ビーム(B1~B6)のビームフットプリントに属する場合、この衛星ビーム(B1~B6)を管理する基地局(BS1~BS4)によって、上記衛星ビーム(B1~B6)の無線リソースを上記ユーザー機器(UE1~UE4)に割り当ててもよい。したがって、ユーザー機器(UE1~UE4)は、上記基地局(BS1~BS4)に対応するセルのカバレッジ下にある。それゆえ、
図1を参照すると、
第1基地局(BS1)は、ユーザー機器が衛星ビームB1及びB2から十分な無線電力を受信するようにカバーしつつ、セルC1を形成し、
第2基地局(BS2)は、ユーザー機器が衛星ビームB3から十分な無線電力を受信するようにカバーしつつ、セルC2を形成し、
第3基地局(BS3)は、ユーザー機器が衛星ビームB4から十分な無線電力を受信するようにカバーしつつ、セルC3を形成し、
第4基地局(BS4)は、ユーザー機器が衛星ビームB5及びB6から十分な無線電力を受信するようにカバーしつつ、セルC4を形成する。
【0061】
これにより、或るセルが1つのビーム(例えば、C2及びC3)に対応することもあれば、幾つかのビーム(例えば、C1及びC4)に対応することもある。したがって、セル(C1~C4)は、地表の無線リソースの影響を受ける地理的な領域に相当する。セル(C1~C4)とビームフットプリントは地表の地理的領域をカバーし、セル(C1~C4)が1つの衛星ビーム(B1~B6)に対応する場合はビーム中心を、又は、セル(C1~C4)が多数の衛星ビーム(B1~B6)に対応する場合はセル中心のいずれかを定義することが可能である。
【0062】
ユーザー機器(UE1~UE4)が所与のセル(C1~C4)のカバレッジゾーン内に局在している場合、上記ユーザー機器(UE1~UE4)は、技術的に言うと、例えば、上記ターゲット衛星ビーム(B1~B6)を通じて上記セルに向けてランダムアクセス手順要求(又は、RACH)を実行することによって、上記セルにより(つまり、対応する基地局により)管理されるターゲット衛星ビーム(B1~B6)を通じて上記セルとシグナリングを交換することができるが、ただし、上記衛星ビームのビームフットプリント(B1~B6)には、ユーザー機器(UE1~UE4)の位置が含まれることを前提とする。このランダムアクセス手順(RACH)により、ユーザー機器(UE1~UE4)は、上記ターゲット衛星ビーム(B1~B6)を通じて上記セル(C1~C4)へと接続し、アップリンク(上記ターゲット衛星ビーム及び基地局を通じてユーザー機器から衛星ネットワークまでの)送信、及びダウンリンク(上記ターゲット衛星ビーム及び基地局を通じて衛星ネットワークからの)送信が可能になる。とりわけ、ユーザー機器(UE1~UE4)は、上記ターゲット衛星ビーム(B1~B6)を通じて、データを無線周波数信号に相当するデータパケットの形態として、衛星ネットワークに送信することが可能である。
【0063】
本説明は、ユーザー機器(UE1~UE4)が衛星ネットワークに向けて初期接続要求を行う場合に関する。すなわち、ユーザー機器(UE1~UE4)は、考慮対象の時間において衛星通信ネットワークのいずれの衛星セル(C1~C4)にも接続されておらず、ネットワークへの初期ランダムアクセス要求(RACH)を実行するために、そのアイドルモードを終了する。このアクセス要求を行う前に、ユーザー機器(UE1~UE4)は、その地表上の位置からアクセス可能なブロードキャスティング情報とページング情報をリッスンする。実際のところ、ユーザー機器(UE1~UE4)は、1つ又は幾つかのセル(C1~C4)の1つ又は幾つかのカバレッジゾーンに属することに応じて、1つ又は幾つかの対応する基地局(つまり、セルを管理する基地局)とシグナリングを交換することができる。とりわけ、ユーザー機器(UE1~UE4)は、上記セル(C1~C4)とダウンリンク同期を行い、上記基地局(BS1~BS4)が管理する衛星ビーム(B1~B6)を通じて、対応する基地局(BS1~BS4)からダウンリンク情報を受信することができる。上記情報は、所与のセルによって管理されるビームにおいて、ユーザー機器(UE1~UE4)がアクセス手順要求を行い、衛星ネットワークへと接続可能とする衛星ビーム(B1~B6)をターゲット化するよう、ユーザー機器(UE1~UE4)を支援するものとされている。
【0064】
この状況において、本説明では、ネットワークエンティティーが提供するユーザー機器(UE1~UE4)への補助情報を提案する。この補助情報は、ユーザー機器(UE1~UE4)が少なくとも1つのセル(C1~C4)の異なる衛星ビームを通じた接続条件を予測し、アクセス手順要求を実行するターゲット衛星ビームを選択するよう支援するためのものである。上記補助情報は、例えば、衛星通信ネットワークのトポロジー、その衛星の移動方向の予測可能性及び関与するセルの各衛星ビームの様々な特性に依存し得る。衛星の移動方向から分かるべきこととして、これは、例えば、衛星の軌道上の移動の方向、若しくは、この移動の地表への投影、又は、上記の方向に相当する任意の等価形態であるということである。
【0065】
実際のところ、低周回軌道(LEO)衛星の展開シナリオの状況において、本説明は、非静止軌道衛星を使用する衛星ネットワークに焦点を当てている。
図1は、ネットワーク内の衛星の移動を矢印(SAT MOV)で表したもので、この矢印は、衛星(ひいては、衛星ビームとビームフットプリント)が図の右側から左側に向かって移動していることを示している。したがって、このシナリオにより、衛星ビームのフットプリントが、予測可能な衛星コンステレーション動学に従って、地表に対して相対的に移動することになる。衛星、ビームフットプリント、及びセルの地表に対する移動度に比べれば、ユーザー機器の移動度は無視できるほど小さい。さらに、衛星ネットワーク及び/又は基地局が構成された際に画定された決定論的軌道を衛星がたどるので、衛星コンステレーション動学(ひいては、ビームフットプリントの逐次的な移動と位置)は予測可能である。したがって、衛星通信ネットワーク、基地局、より全般的には、ネットワークエンティティーは、この衛星コンステレーション動学に関する知識、並びに、ネットワークトポロジーと衛星ビームの特性が得られる。このような情報は、構成(例えば、運用と保守構成(O&M))及び/又は基地局間交換(例えば、Xnリンクを通じた基地局間構成交換)によってでも取得可能である。
【0066】
この結果、補助情報は、長期にわたり衛星ネットワークを通じて通信するためにユーザー機器が選択すべき基地局を考慮に入れた関連情報を提供する。このような補助情報は、現在及び将来のビームフットプリントの位置、ひいては、衛星とそのビームの経時にわたる移動に伴い、地表の所与の位置にあるユーザー機器が受けるカバレッジの逐次的な変化を考慮に入れる。とりわけ、関連する補助情報の送信では、ネットワーク(ひいては、データを送信する基地局)が地表のユーザー機器の位置を特定する必要がない。実際のところ、所与の衛星ビームを通じて基地局から提供される補助情報は、ユーザー機器の位置を含む上記ビームの地表ゾーンに共通している(理由として、ユーザー機器が上記ビームを通じてダウンリンク同期を確立したからである)。これにより、所与の基地局が管理する所与の衛星ビームのフットプリントに属する全てのユーザー機器は、上記ビームを介して上記基地局から同じ内容の補助情報を受信する(ただし、ユーザー機器が上記基地局との同期を設定することを前提とする)。
【0067】
したがって、上記補助情報は、ネットワークエンティティー(ユーザー機器を除く)から提供され、地表のユーザー機器の位置をカバーするセルを管理する第1基地局によって、より正確に得られる。補助情報の内容は、上記第1基地局に関するもの(ひいては、上記基地局が管理する衛星ビームに関する)及び/又は上記第2基地局に関するもの(ひいては、上記第2基地局が管理する衛星ビームに関する)とすることができ、上記第2基地局は上記第1基地局とは異なる。上記第2基地局(ひいては、対応セル)には、上記ユーザー機器の位置が必ずしも含まれない。つまり、上記第1基地局により補助情報が上記ユーザー機器に供給される時点では、上記第2基地局は上記ユーザー機器にアクセスできない場合がある。したがって、地表上のユーザー機器の位置に基づいて、予測可能な衛星コンステレーション動学によって、上記第2基地局が管理する衛星ビームが、ユーザー機器によりネットワークにアクセスするための見込みターゲット衛星ビームとなる場合、第1基地局はこのような第2基地局に関する補助情報を提供可能である。これにより、所与のセル(ひいては、対応する基地局)とのダウンリンク同期を確立した後、対応する基地局は、上記ビームによってカバーされる地表ゾーン、及び衛星ネットワークの予測可能状態に基づき、衛星ビームを通じて、衛星ネットワークによって関連すると考えられる任意の基地局(この基地局自身及び/又は異なる基地局)に関する情報をユーザー機器に提供する。
【0068】
ユーザー機器が異なるセルとの幾つかのダウンリンク同期を取得する場合、このユーザー機器は、種々のセルそれぞれを管理する種々の基地局それぞれから、補助情報を受信することができる。
【0069】
このような補助情報の内容は、考慮対象の基地局によって管理される1つ又は幾つかの衛星ビームで測定を行うユーザー機器の既存性能(すなわち、ユーザー機器は上記基地局に対応するセルのカバレッジ下にある)で補完可能である。信号対雑音比(SNR)、又は基準信号受信電力(RSRP)のような既存の測定値は、ユーザー機器と測定された衛星ビームとの間のチャネル品質を示す従来の指標である。現状では、このようなチャネル品質指標を測定すると、ユーザー機器は、衛星ネットワークにアクセスするために使用するターゲット衛星ビームを決定しやすくなる。しかし、本説明で提案する補助情報とは異なり、現状、このようなチャネル品質測定は、衛星通信ネットワークの状態について予測される見解を提供しないので、カバレッジの変化を予測するか、又は、ネットワークのオーバーロードを考慮に入れて、ユーザー機器はターゲット衛星ビームを選択することができない。
【0070】
また、このような補助情報の内容は、ユーザー機器が担うサービスの性質によって補完され得る。実際のところ、ユーザー機器は少なくとも1つのサービスを担い、上記サービスは、例えば、所与の地球ゾーンに関する定期的レポート、又は自然災害の検出器である。サービスごとに優先度が異なっており、例えば、遅延耐性があるサービスもあれば、致命的な悪影響が出るほど重要なサービス(津波や地震検知器等)もあり得る。これにより、ユーザー機器が特定されたターゲット衛星ビームにアクセスする決定は、補助情報だけでなく、そのサービスの優先度にも依存する可能性がある。例えば、緊急サービスを担うユーザー機器は、必ずしもネットワークバランスの最適化、又は最も持続可能な接続を求めることなく、可能な限り早急に衛星通信ネットワークへと接続しようとする。
【0071】
しかし、ユーザー機器が、優先度の低いサービスを担う場合(優先度は、衛星ネットワーク、又はユーザー機器自身が定義する閾値未満であれば、「低い」とみなされ得る)、衛星の移動、及び種々の衛星ビームのチャンネルの長期にわたる品質の予測に基づいて、衛星ネットワークへのアクセスを決定できる。つまり、ユーザー機器は、選択されたターゲット衛星ビームを通じて衛星ネットワークにアクセスしようとすることができるので、無線リソース(例えば、近い将来のハンドオーバー用)を節約することが可能であり、このような接続のチャネル品質を最大化すること、又は、例えば、衛星ネットワークのバランスを確保することが可能である。このような検討事項は、本説明の文脈で定義される補助情報の内容により予測され得る。その場合、アクセス可能な衛星ビームとのより良好な接続条件を待つために、つまり、選択された衛星ビームがアクセス可能になるか、又は、アクセス容量若しくはチャネル品質の観点で利用可能になるのを待つために、選択されたターゲット衛星ビームへのアクセス手順要求の前に、ユーザー機器はテンポライゼーションを行うことを検討することができる。
【0072】
したがって、ユーザー機器には、そのランダムアクセス手順要求を衛星ネットワークトポロジーの動的更新に対してより適したものにするためのガイドが必要となる。本説明で定義される補助情報は、ネットワークにアクセスするための関連するターゲット衛星ビームを選択するため、並びに、ユーザー機器用にテンポライゼーションが必要及び/又は可能である場合、このようなアクセスを要求するための関連するタイミングを決定するための双方について、有用である。
【0073】
図1では、幾つかのユーザー機器(UE1~UE4)が示されており、
ユーザー機器UE1は、基地局BS1が管理するセルC1のカバレッジ下にあり、衛星SAT1が生成する衛星ビームB1及びB2の無線リソースを割り当てることが可能であり、
ユーザー機器UE2は、基地局BS2が管理するセルC2のカバレッジ下にあり、衛星SAT1が生成する衛星ビームB3の無線リソースを割り当てることが可能であり、
ユーザー機器UE3は、基地局BS3及びBS4がそれぞれ管理するセルC3及びC4双方のカバレッジ下にあり、衛星SAT2が生成する衛星ビームB4(基地局BS3が管理する)及びB5(基地局BS4が管理する)の無線リソースを割り当てることが可能であり、
ユーザー機器UE4は、基地局BS4が管理するセルC4のカバレッジ下にあり、衛星SAT2が生成する衛星ビームB6の無線リソースを割り当てることが可能である。
【0074】
各ユーザー機器(UE1~UE4)は、処理モジュール(PROC-UE)及びメモリー(MEM-UE)、並びに通信インターフェース(cUE)を備えるコンピューター機器を含む。処理モジュール(PROC-UE)は、基地局(BS1~BS4)からデータを受信して、解釈するように構成される。ユーザー機器(UE1~UE4)は、上記通信インターフェース(cUE)を通じて、1つ又は幾つかの基地局(BS1~BS4)との間で情報を送信及び受信することが可能であるが、ただし、ユーザー機器(UE1~UE4)が、上記基地局(BS1~BS4)によって画定されたセル(C1~C4)のカバレッジゾーンに属していることを前提とする。
【0075】
ユーザー機器(UE1~UE4)の全4機は、衛星通信ネットワークに接続するために、初期アクセス手順要求を実行しようとしている。ユーザー機器UE1は、セルC1にアクセスするために、B1及びB2のうちのどの衛星ビームをターゲットにするかを選択する必要がある。ユーザー機器UE1が衛星ビームB1のビームフットプリントから間もなく離れるので、衛星ネットワークにアクセスするためにターゲット衛星ビームB2を選択すべきであることを、このユーザー機器に通知することにより、補助情報はUE1にとって有用となり得る。ユーザー機器UE2は、例えば、その位置及び/又は自身の測定値に基づいて、セルC2を通じて衛星ネットワークにアクセスするために、衛星ビームB3を事前に選択する。しかし、本説明の状況では、補助情報は、予測可能な衛星コンステレーション動学により、セルC3のカバレッジの下を間もなく通過することを、UE2に通知できる。したがって、補助情報は、テンポライゼーションを行い、セルC3のカバレッジゾーンに入るまで待機し、その衛星ビームB4を通じてランダムアクセス手順要求を行うよう、ユーザー機器UE2に提案し得る。ユーザー機器UE3は、セルC3、又はC4のいずれかにアクセスするために、B4及びB5のうちのどの衛星ビームをターゲットにするかを選択する必要がある。補助情報は、衛星の移動により、ユーザー機器UE3が完全にセルC4のカバレッジ下に入ることを、ユーザー機器UE3に通知し、これにより、セルC3ではなくセルC4を通じて、衛星ネットワークに事前アクセスすることを、ユーザー機器UE3に提案することができる。ユーザー機器UE4は、セルC4を通じて、衛星ネットワークへと事前アクセスする。
【0076】
ここで、
図2を参照する。
図2は、
図1で示したものと同じ衛星通信ネットワークを示す。
図2は、
図1で示すユーザー機器(UE1~UE4)のうちの2機(UE1は第1ユーザー機器とも称され、UE2は第2ユーザー機器とも称される)のみを表す。
図2では、新たなユーザー機器(UE0、他ユーザー機器とも称する)も追加されている。現在時刻において、第1ユーザー機器(UE1)は、第1基地局(BS1)によって画定されるセルC1のカバレッジ下にあり、上記第1基地局(BS1)は、衛星ビームB1及びB2を管理する。第1ユーザー機器(UE1)は、地表に位置し、衛星及びその衛星ビームの移動度に比べれば、地表のユーザー機器の移動度は無視できるほど小さいので、上記位置は固定されていると見なされる。現在時刻において、第1ユーザー機器(UE1)の固定位置は、衛星ビームB1及びB2双方のビームフットプリントに含まれる。他のユーザー機器(UE0)もセルC1のカバレッジ下にあり、さらに、現在時刻において、衛星ビームB1のビームフットプリントに含まれる地表上の固定位置を有する。現在時刻において、第2ユーザー機器(UE2)は、第2基地局(BS2)によって画定されるセルC2のカバレッジ下にあり、上記第2基地局(BS2)は、衛星ビームB3を管理する。現在時刻において、第2ユーザー機器(UE2)の固定位置は、衛星ビームB3双方のビームフットプリントに含まれる。
【0077】
初期接続を通じて衛星ネットワークにアクセスしようとするユーザー機器のうちの第1ユーザー機器(UE1)及び他のユーザー機器(UE0)は、両ユーザー機器ユニット(UE0、UE1)がセルC1のカバレッジ下にあるので、上記第1基地局(BS1)からのダウンリンク情報を受信するために、最初に、第1基地局(BS1)とのダウンリンク同期の確立を行う。本説明の状況において、第1基地局(BS1)は、ダウンリンクメッセージを通じて、補助情報を第1ユーザー機器(UE1)及び他のユーザー機器(UE0)に送信する。上記補助情報は、他のユーザー機器(UE0)については、衛星ビームB1を通じて送信可能であり、第1ユーザー機器(UE1)については、衛星ビームB1及び/又はB2を通じて送信できる。同様に、第2ユーザー機器(UE2)も、初期接続を通じて衛星ネットワークにアクセスしようとしており、この第2ユーザー機器(UE2)がセルC2のカバレッジ下にあるので、衛星ビームB3を通じて、上記第2基地局(BS2)からのダウンリンク情報を受信するために、第2ユーザー機器は、最初に、第2基地局(BS2)とのダウンリンク同期の確立を行う。本説明の状況において、第2基地局(BS2)は、ダウンリンクメッセージを通じて、補助情報を第2ユーザー機器(UE2)に送信し、上記情報は、衛星ビームB3に関する情報である。
【0078】
他のユーザー機器(UE0)の場合、補助情報は、少なくとも(情報が送信される)衛星ビームB1に関する情報、場合によっては、衛星ビームB2及び/又はB3に関する情報を提供することができる。予測可能な衛星コンステレーション動学は、衛星ビームB1及びB2の予測可能な逐次的位置と移動をもたらし、補助情報は、衛星ビームB2のビームフットプリントが、最終的に現衛星ビームB1のビームフットプリントと少なくとも部分的に重なるということを、他のユーザー機器(UE0)に通知し得る。また、衛星ビームB3のビームフットプリントが、後の時点ではあるが予測可能な時間内において、最終的には、現衛星ビームB1のビームフットプリントと完全に重なるということを、他のユーザー機器(UE0)に通知し得る。さらに、衛星ビームB1及びB2(及び/又はB3)の現在のそれぞれの中心等の現基準点(RP1、RP2及び/又はRP3)も、補助情報として、他のユーザー機器(UE0)に通信される。他のユーザー機器(UE0)のコンピューター機器内に従来方式で実装された全地球的航法衛星システム(GNSS)によって、上記他のユーザー機器(UE0)は、地表上のその固定位置に関するデータ、並びに、衛星ビームB1及びB2(及び/又は、B3)の基準点(RP1、RP2、及び/又はRP3)のそれぞれまでの距離を取得できる。このような距離を他のユーザー機器(UE0)によって算出することで、衛星ビームB1及びB2又はB3間のビームリープを受ける前の長時間にわたり、衛星ビームB1のビームフットプリント内に留まることを(本明細書において、長時間とは、ユーザー機器がランダムアクセス手順を行うのに相当する持続時間として定義される)他のユーザー機器が知ることが可能となり、その位置と衛星ビームB1の基準点との間の距離は、例えば、その位置と衛星ビームB2の基準点との間の距離よりもはるかに短い。また、補助情報は、衛星ビームB1、B2のアクセス容量、雑音指数等のこれらビームに関する特性も他のユーザー機器(UE0)に提供する。他のユーザー機器(UE0)は、衛星ビーム(B1、B2、及び/又はB3)ごとに、チャネル品質の独自の測定値でこのような情報を補完することで、衛星ビームB1とのより良好な接続条件を見出すことができる。補助情報、及び他のユーザー機器(UE0)による測定値の双方が、見込みターゲット衛星ビームとして衛星ビームB1を提案する。これにより、他のユーザー機器(UE0)は、衛星ビームB1をターゲット衛星ビームとして選択し、衛星ネットワークにアクセスするために、テンポライゼーションを一切行わずに、上記衛星ビームB1に向かってアクセス要求手順を即時に実行する。
【0079】
第1ユーザー機器(UE1)の場合、補助情報は、衛星ビームB1とB2、及び/又はB3に関する情報を提供することができる(そして、上記補助情報は、ビームB1及び/又はB2を通じて送信可能である)。予測可能な衛星コンステレーション動学により、衛星ビームB1の地表ゾーンの一部が、予測可能な所与の時間内に衛星ビームB2のビームフットプリントのカバレッジ下を、及び/又はより長時間であるが、それでも予測可能な時間内に衛星ビームB3のカバレッジをもうすぐ通過することを、補助情報が第1ユーザー機器(UE1)に通知できるようになる。さらに、補助情報は、例えば、他のユーザー機器(UE0)が衛星ビームB1を通じてアクセス手順を既に実行していることにより、衛星ビームB1にかなり負荷がかかっていることも、第1ユーザー機器(UE1)に通知する。また、補助情報は、それぞれのビーム中心(RP1、RP2、及び/又はRP3)等の衛星ビームB1とB2、及び/又はB3の基準点を通信することもできる。さらに、ネットワークは、衛星ビームB1の地表ゾーンに予測可能な時間で重なる異なる衛星ビーム(B2及び/又はB3)間のランキング、又は優先順位を提供することができる。例えば、衛星ビームB3は、衛星ビームB1の地表ゾーンと完全に重なり、衛星ビームB2よりも高い優先順位を割り当てられる。全地球的航法衛星システム(GNSS)を搭載した第1ユーザー機器(UE1)は、地表の自身の位置に関するデータを取得し、各衛星ビームの基準点までの距離を計算可能である。補助情報は、所与の衛星ビームの距離閾値(r1、r2及び/又はr3)、すなわち、リンク品質、ひいては、接続条件が悪化する上記衛星ビームの基準点(例えば、そのビーム中心)からの最大距離も、通信可能である。第1ユーザー機器(UE1)の場合、補助情報は、衛星ビームB1とB2、及び/又はB3に関する距離閾値(r1、r2、及び/又はr3)を送信することができる。自身の位置について得られたデータに基づいて、第1ユーザー機器(UE1)は、現在、衛星ビームB2及び/又はB3の基準点(RP2、及び/又はRP3)から離れすぎていること(すなわち、衛星ビームB2及び/又はB3の中心RP2及び/又はRP3に対する距離が、衛星ビームB2及び/又はB3の距離閾値r2及び/又はr3よりも長いこと)を、判断することが可能である。第1ユーザー機器(UE1)は、衛星ビーム(B1、B2)ごとに、チャネル品質を独自に測定して、現在時刻における衛星ビームB1とのより良好な接続条件を見出すことができる。B3はUE1からでもまだ見えていない。実際のところ、
図2を参照すると、第1ユーザー機器(UE1)は、衛星ビームB2及びB3のビームフットプリントのうちの任意の他のビームフットプリントよりも、衛星ビームB1のビームフットプリントによって「より広くカバーされる」。それでも、第1ユーザー機器(UE1)は、衛星ビームB1とB2及び/又はB1とB3との間の切迫したビームリープにより、予測可能な所与の時間内でこうした測定値が変化することを、補助情報に基づいて認識する。補助情報の内容を考慮に入れて、第1ユーザー機器(UE1)は、衛星ビームB1の方が瞬間的なチャネル品質の測定値が良好であるにもかかわらず、衛星ビームB2を選択することを決定することができる。最適化された接続条件でこの衛星ビームB2にアクセスするために、第1ユーザー機器(UE1)は、テンポライゼーションを適用し(上記テンポライゼーションは、例えば、補助情報から提供される、ビームリープ前の予測可能な持続時間に相当する)、衛星ビームB1及びB2間のビームリープ後に衛星ビームB2を通じて衛星ネットワークにアクセスする。第1ユーザー機器(UE1)は、上記第1ユーザー機器(UE1)が緊急サービスを担っておらず、テンポライゼーションが実際に可能であることを前提として、そのアクセスを遅延させることを選択する。例えば、高い優先順位がビームB3に付けられているが、より長時間のテンポライゼーションが必要である場合における補助情報の内容を考慮して、衛星ビームB1及びB2によるより良好な瞬間的、つまり短時間のチャネル品質測定値、並びに、ビームB3がまだ見えていないという事実にもかかわらず、第1ユーザー機器(UE1)は衛星ビームB3の選択を決定することができる。最適化された接続条件でこの衛星ビームB3にアクセスするために、第1ユーザー機器(UE1)は、テンポライゼーションを適用し(上記テンポライゼーションは、例えば、補助情報から提供される、衛星ビームB1及びB3の間のビームリープ前の予測可能な持続時間に相当する)、衛星ビームB1及びB3間のビームリープ後に衛星ビームB3を通じて衛星ネットワークにアクセスする。第1ユーザー機器(UE1)は、上記第1ユーザー機器(UE1)が緊急サービスを担っておらず、テンポライゼーションが実際に可能であることを前提として、そのアクセスを遅延させることを選択する。
【0080】
特定の実施態様において、ユーザー機器は同じセルにおける異なるビームを区別できない場合がある。この場合、同じセルの全てのビームは、例えば、次のセルに関する同じ補助情報を提供することができる。基準点をビームではなく、セルに付けることができる。また、セル内に幾つかの基準点を画定することもできる。
【0081】
第2ユーザー機器(UE2)の場合、補助情報は、少なくとも衛星ビームB3に関する情報と、場合によっては、異なる衛星(SAT2)、異なるセル(C3)、ひいては、異なる基地局(BS3)によって管理される衛星ビームB4に関する情報とを提供し得る。上記補助情報は、衛星ビームB3を通じて送信される。第2ユーザー機器(UE2)が従来実行できるチャネル品質測定では、衛星ビームB3のビームフットプリントのみが現在時刻における第2ユーザー機器(UE2)の位置をカバーするので、衛星ビームB3との接続条件がより良好となる。しかし、衛星ビームB3を通じて第2基地局(BS2)から提供される補助情報は、第2ユーザー機器(UE2)に対して、衛星と衛星ビームの予測可能な移動が、予測可能な所与の時間内でセルC2及びC3間のカバレッジの変更をもたらすこと、衛星ビームB3を通じた短時間のRACH手順、その後の衛星ビームB3から衛星ビームB4へのハンドオーバー手順で無線リソースを消費するのを避けるために、上記第2ユーザー機器(UE2)が待機して、上記カバレッジの変更後に衛星ビームB4にアクセスすべきであることを通知する。つまり、本説明の状況における補助情報のデータにより、第2ユーザー機器(UE2)は、衛星ビームB3による接続条件の悪化と、まだアクセスできない衛星ビーム、つまりB4を通じたより良好な将来の接続条件の可能性とを予測することができる。したがって、第2ユーザー機器(UE2)は、衛星ネットワークにアクセスするためのターゲット衛星ビームとして、衛星ビームB4を選択する。第1ユーザー機器(UE1)の場合とは異なり、第2ユーザー機器(UE2)は、対応するセル(C3)のカバレッジゾーンにまだ入っていないので、選択した衛星ビーム(B4)を通じて、衛星ネットワークへと即時にアクセスするという選択肢はない。したがって、本説明の状況において、第2ユーザー機器(UE2)は、セルC2にアクセスする代わりに、テンポライゼーションを適用して、セルC2とC3との間のカバレッジの変化まで待機するが、ただし、このようなテンポライゼーションが、第2ユーザー機器(UE2)にとって、緊急性の観点から妥当であることを前提とする。
【0082】
ここで、
図3を参照する。
図3は、衛星通信ネットワークの衛星ビームに対して初期ランダムアクセス手順(RACH)要求を実行して、上記衛星ネットワークにアクセスするために、地表に配置されたユーザー機器によって実行される一般的な方法の流れ図を示す。
【0083】
第1ステップS11において、ユーザー機器は、衛星通信ネットワークへの接続に備えて、アイドルモードを終了し、ウェイクアップする。実際のところ、初期接続の前に、ユーザー機器は、どのネットワークエンティーとの間の情報の送信、又は受信のいずれも行われない、長いアイドリング期間に入る。衛星ネットワークに接続しようとする場合、ユーザー機器はウェイクアップモードに入り、衛星ネットワーク内のブロードキャスティング情報及びページング情報並びにメッセージをリッスンしながら、接続に備える。衛星ネットワーク内を循環するこのような情報は、ネットワークの種々の衛星、より正確に言うと、各衛星の基地局から発信される無線周波数信号からなる。ユーザー機器は、基地局がブロードキャスティング情報とページング情報を発信する際、基地局によって画定された様々なビームとセルの位置に対する地表上のユーザー機器の位置に応じ、適度なチャネル品質でこのような情報を受信する。ユーザー機器が地表上の所与のセル(ひいては、その衛星ビームの1つ)のカバレッジゾーンに属している場合、ステップS12における対応する基地局(つまり、セルを画定している基地局)とのダウンリンク(DL)同期の確立を通じて、上記基地局により発信された無線周波数信号を受信できる、上記信号は、上記衛星ビームを通じて送信される。このダウンリンク同期は、一意の基地局、又は幾つかの基地局とユーザー機器によって確立できる(例えば、ユーザー機器が、幾つかの異なる基地局に対応する幾つかの異なるセルのカバレッジゾーンに属している場合)。
図3を参照すると、説明を容易にするために、ステップS12で、ユーザー機器は、現在時刻における上記ユーザー機器の位置をカバーする、地表上のセル及び衛星ビームを画定する1つの基地局とのダウンリンク同期を確立すると考えられる。
【0084】
ステップS13及びS14において、ユーザー機器は、衛星ネットワークにアクセスするために、ターゲット衛星ビームを選択する際の基となる情報を収集する。ステップS13において、同期後の基地局は、その通信インターフェースを経由し、上記衛星ビームを介したダウンリンク同期を通じて発信される無線周波数信号として、補助情報のデータをユーザー機器に送信する。補助情報の上記データは、ユーザー機器が衛星ネットワーク内の接続状態を予測しやすくするためのものである。想定される実施形態において、上記補助情報は、以下の特徴のうちの1つ又は幾つかを提供する。
【0085】
一実施形態において、ステップS13で提供される補助情報は、ユーザー機器が衛星ネットワークにアクセスできる見込み衛星ビームを識別することを可能にする要素を含み得る。このような要素は、上記見込み衛星ビームの識別情報に直接対応し得るが、ビームフットプリントの方向及び速度、衛星の位置、ユーザー機器の位置を含む上記現衛星ビームの地表ゾーンにおける地表上の衛星ビーム(ひいては、そのビームフットプリント)の将来位置、又は逐次的な移動にも対応し得る。実際のところ、衛星ビームが固定している低周回軌道(LEO)衛星システムでは、衛星、ビーム、ひいては、ビームフットプリントが予測可能な形で規則的に移動する。したがって、補助情報として送信される要素は、この衛星コンステレーション動学に関する情報に対応し得るので、ユーザー機器は、フットプリントが地表上の現在位置をカバーしているか、又は、今後限られた時間内でカバーする衛星ビームの識別情報を推測又は計算できる。上記限られた時間は、例えば、ユーザー機器がランダムアクセス手順の要求に進む最大持続時間であり得る。
【0086】
一実施形態において、ステップS13で提供される補助情報は、2つのセル間のカバレッジの将来の見込み変化、又は、地表のユーザー機器の固定位置を現在カバーしている衛星ビームを伴う衛星ビームフットプリントの変化(少なくとも上記衛星ビームを介して送信される補助情報)のタイムスタンプを含み得る。実際のところ、地表のユーザー機器の所与の位置では、2つの広範な状況を考えることができる。
【0087】
衛星とビームが移動することにより、所与の第1セルのカバレッジ下にあるユーザー機器は、上記第1セルが離れ、第1セルとは異なる第2セルが、以前に第1セルでカバーされていたゾーンと重なった際、カバレッジの変更を受け得る。これは、例えば、セルC2とC3との間でカバレッジを変更した
図2のユーザー機器UE2の場合である。衛星の移動に比べて、ユーザー機器の移動は無視できるほど小さいので、このようなカバレッジの変更は理にかなっている。このカバレッジの変更が発生すると、ユーザー機器は、第1セル(カバレッジ変更前)、第1セルと第2セルの双方(重なり段階中)、最終的には、第2セル(第1セルが離れ、第2セルがユーザー機器の位置を含む地表ゾーンを完全に覆う場合)のカバレッジ下で、逐次的に存在することになる。このようなカバレッジの変更が限られた時間内で実行される場合、ユーザー機器はテンポライゼーションを適用して、カバレッジの変更を待ち、第2セルの衛星ビームの1つを通じて衛星ネットワークにアクセスする方が、事前に有利である。
【0088】
別の状況では、衛星とビームが移動することにより、ユーザー機器は同じセル(例えば、第1セル)のカバレッジ下に留まり、同じセルに属するこのようなビームの「ビームリープ」とも呼ばれる、ビームフットプリントの移動度により通信条件の変化を受け得る。実際のところ、ユーザー機器の位置を含む第1ビームフットプリントが離れ、第2ビームフットプリントによって置き換えられる場合(つまり、両ビームフットプリントは、同じ第1セルの異なる衛星ビームから到来する)、第1セルによるカバレッジが不変であるにもかかわらず、ユーザー機器は、上記ビームとの通信条件が激変する、つまり、ドップラー、タイミングアドバンス、チャネル品質測定値等の事前補償値、又は衛星ビームによって送信されるか、若しくはユーザー機器によって測定される任意の他のビーム固有値が変化することになる。これは、例えば、同一セルC1内の衛星ビームB1とB2との間のビームリープを伴う
図2のユーザー機器UE1の場合である。したがって、補助情報は、このような大きな変化があとどれくらいの時間で発生するかをユーザー機器に知らせる上で役立ち得る。この知識に基づいて、ユーザー機器は、ビームリープ後の通信状態が良好になるかどうか、及び良好になるタイミングを推定することができる。それゆえ、ユーザー機器は、ビームリープの前、又はその後にネットワークへのアクセスを行うかどうかを決定可能である。例えば、
図2を参照すると、ユーザー機器UE0は、ビームリープ前の衛星ビームB1を通じてネットワークにアクセスする方が良く、ユーザー機器UE1は、ビームリープ後の衛星ビームB2を通じてネットワークにアクセスするために、テンポライゼーションを適用して、待機する方が良い。
【0089】
一実施形態において、ステップS13で提供される補助情報は、ターゲット衛星ビーム、並びに、対応する基地局、セル、及び衛星に関する幾つかの特性も含み得る。このような特性は、所与の衛星ビームのアクセス容量(又は、所与のセルのセル負荷)、所与の衛星ビームの干渉レベル(他のネットワークエンティティー、又はユーザー機器と交換されるシグナリングが原因で生じる)等の時間に厳密な特性であり得る。さらに、このような特性は、送信電力、又は雑音指数等の送信特性でもあり得る。実際のところ、2つのセルは同じ衛星によって展開される、又は、様々なハードウェア特性を有する様々な衛星によって展開されることもある。同じ衛星によって2つのセルを展開する場合でも、異なる送信電力、又は事前補償が適用される異なるアンテナパネル、若しくは異なる無線周波数チェーンから展開されるので、送信特性が異なる場合がある。衛星ビームに対応する衛星及びこれらの基準点(それぞれの中心等)との間の異なる距離を有する異なる衛星ビームは、地表の対応するセル内で同等の電力分布を確保するために、異なる送信電力を使用する場合がある。ハードウェア機器が異なると雑音指数も異なるので、同じ発信電力であっても衛星ビームが異なれば、信号対雑音比等のチャンネル品質指標の分布が異なる場合もある。このような特性を含む補助情報は、ユーザー機器が所与の衛星ビーム又はセルとのリンクバジェットを推定し、使用されるべき無線リソースの観点から、異なる衛星ビームとの異なる接続条件を予測するのに役立ち得る。
【0090】
一実施形態において、ステップS13で提供される補助情報は、1つ又は幾つかの衛星ビーム又はセルに関連する様々な基準点の位置も含み得る。このような基準点は、例えば、見込みターゲット衛星ビームの中心位置、又は、ユーザー機器の位置を現在カバーしている/カバーする直前にあるセルの中心位置でよい。また、このような基準点は、衛星コンステレーション動学に基づいて計算された補助情報でもある。衛星ビームの中心に関するこのような補助情報は、各ビームの距離閾値を含む補助情報と組み合わせて、とりわけ関連している。つまり、衛星ネットワークのトポロジーに属する変更不能なゾーンである(ビームのフットプリントのサイズにも関連する)、衛星ビームのフットプリントにより地表で区切られたゾーンとは別に、衛星ビームは、その中心の周りに区切られたゾーンを持つことができ、この画定ゾーンの境界と衛星ビームの上記中心との間の距離(例えば、半径)は、上記衛星ビームの距離の閾値を定義する。かくして、各基地局は、その衛星ビームごとに距離閾値を定義することができ、上記距離閾値は、時間を通して変化する可能性があり、基地局間の相互作用を通じて検討される。上記距離閾値は、対応する衛星ビームへの想定アクセス領域を画定するためのものであり、場合によっては、上記衛星ビームにアクセスする際、最低限のチャネル品質を保証する。定義上、ユーザー機器による所与の衛星ビームへのアクセスでは、上記衛星ビームのカバレッジゾーンにこのユーザー機器が存在することを必要とするので(衛星ビームのカバレッジゾーンにユーザー機器を厳密に含めても、上記衛星ビームにアクセスする際の良好なチャネル品質が必ずしも保証されないが)、距離閾値によって画定される上記ゾーンは、所与の衛星ビームのビームフットプリントに含まれる。これにより、ユーザー機器は、見込みターゲット衛星ビーム又はセルの基準点、並びに、各衛星ビームの距離閾値を得ることによって、自身の位置と所与のターゲット衛星ビームの基準点の位置との間の距離を計算し、さらに、この計算された距離が上記ターゲット衛星ビームの距離閾値以下であるか否かを決定することによって、所与のターゲット衛星ビームを通じて満たす条件でアクセス可能なゾーン内に位置するかどうかを判断することができる。ユーザー機器は、地表の現在位置に関するデータを得ることができるので、ユーザー機器によるこのような距離の計算は理にかなっている。実際のところ、ユーザー機器にはGNSSが搭載されているので、地表の自身の位置を知ることができる。衛星ビームごとに定義された距離閾値の値は、各衛星ビームに対応する基地局により管理及び交渉される。このような交渉では、基地局が定義した距離閾値がリソース制御として機能できるよう、衛星ビームに関する様々な特性を考慮できる。例えば、所与の第1衛星ビームが、ユーザー機器がアクセスする非常に限定されたゾーンを画定する場合(つまり、所与の第1衛星ビームの距離閾値が極めて短い)、衛星コンステレーション動学に従って、上記第1衛星ビームと重なる第2衛星ビームは、ユーザー機器のアクセス制御の両立を図るために、より長い距離閾値を通じてユーザー機器用のより広いアクセスゾーンを画定でき得る。同じビーム内に異なる閾値を設定することが可能であり、UEはその位置に応じて使用する閾値を選択できる、例えば、UEはビーム中心又は基準点に向かって/離れて移動する際、異なる閾値を使用可能である。例えば、UEが、GNSS等に基づいて、基準点に向かって移動したことを検出した場合、セルカバレッジ内に移動し、接続条件の改善を期待できるので、より大きな閾値を使用できる。UEがGNSS等に基づいて基準点から離れていることを検出した場合、現ビームカバレッジから徐々に外れ、次のセルにアクセスすることで、次のセルでの滞留時間が長くなるので、より短い距離を使用できる。
【0091】
一実施形態において、ステップS13で提供される補助情報は、距離閾値以外の各衛星ビームについて定義される他の種類の閾値も含み得る。このような他の閾値は、チャネル品質測定値ごと、サービスごと、又は上記サービスの優先度ごとに設定可能である。前例と同様、同じビーム内に異なる閾値を設定することが可能であり、UEはその位置に応じて使用する閾値を選択できる、例えば、UEはビーム中心又は基準点に向かって/離れて移動する際、異なる閾値を使用可能である。例えば、第1衛星ビームは、ユーザー機器が担う各サービスの優先度の閾値を定義し、上記優先度が上記閾値を超えている場合、ユーザー機器からのアクセス手順要求を許可することができる。基地局間の相互作用を通じて、このような閾値について検討可能であるので、各ユーザー機器は、それが担うサービスの優先度に基づいて、少なくとも1つの衛星ビームにアクセスすることができる。このような閾値は、瞬間的に設定することも、又は動的に更新することも可能である。
【0092】
補助情報を通じて、ターゲット衛星ビームのこのような閾値(例えば、距離閾値、又はサービス閾値等)をユーザー機器に提供することにより、ユーザー機器は対応する衛星ビームのそれぞれとの接続状態を予測することができる。
【0093】
上記のような補助情報の内容は、ステップS13でユーザーが同期している基地局により、その衛星ビームのうちの少なくとも1つ(つまり、現在ユーザー機器の位置を地表ゾーンがカバーしているビーム)を通じて、ユーザー機器に送信される。このような補助情報は、ユーザーが同期している上記基地局(ひいては、その対応するセル及び上記情報を送信する衛星ビーム)、及び/又は異なる基地局(ひいては、上記基地局で管理される対応するセル及び衛星ビーム)に関するものであり得る。上記補助情報が定量値に関する場合、完全値、又は例えば同期した基地局に対する差分のような差分値として得られる。
【0094】
ステップS14において、ユーザー機器は、ステップS13において本説明の状況で提供された補助情報を完結させるために、ユーザー機器側の情報収集へと進む。これを実行するために、ユーザー機器は、ステップS14において、1つ又は幾つかの衛星ビームによる従来型測定を行う。このような従来型測定は、例えば、信号対雑音比(SNR)、基準信号受信電力(RSRP)、又は任意の他の既知のチャネル品質測定からなり、これにより、ユーザー機器は測定された衛星ビームとの瞬時の接続状態を評価できる。このような値は、種々の瞬間に異なる値となるので、このような測定値の範囲は狭くなる。
【0095】
ステップS14で受信したチャネル品質測定値からの情報と、ステップS13で受信した補助情報との解釈に基づいて、ユーザー機器は、幾つかの衛星ビームを通じた現接続状態を比較することができるとともに、ステップS13で受信した補助情報に基づき、近い将来のこのような接続状態を予測することができる。
【0096】
このような情報の解釈により、ユーザー機器は、ステップS15において、ターゲット衛星ビームを選択し、これを通じて、衛星通信ネットワークにアクセスする。上記ターゲット衛星ビームの選択は、各見込みターゲット衛星ビームに関する種々の接続条件の比較と予測に依存し、ユーザー機器は、長期にわたり最適な接続条件を持つターゲット衛星ビームを事前に選択する。上記選択された衛星ビームは、前ステップS12でユーザー機器がダウンリンク同期を確立した基地局が管理する衛星ビーム(つまり、上記基地局から補助情報が送信された衛星ビーム、又は上記基地局の別の衛星ビーム)、又は、異なる基地局が管理し、ステップS13でユーザー機器が補助情報を通じて情報を受信した衛星ビームであり得る。また、ユーザー機器は、補助情報が提案するものとは異なるターゲット衛星ビームを最適なターゲット衛星ビーム(つまり、長期にわたり接続条件が最も良いターゲット衛星ビーム)として選択可能であり、補助情報は、ユーザー機器が自身を選択するためのガイドとして機能するだけである。このような選択は、ユーザー機器から提供されるガイドを用いるが、さらに、アクセスの質だけでなく、アクセスまでの時間等の観点から、上記ユーザー機器の優先度も考慮するものとする。
【0097】
ステップS16において、ユーザー機器は、ステップS15で選択されたターゲット衛星ビームを通じた衛星ネットワークへの即時アクセスを実行するか、又は上記ターゲット衛星ビームへのアクセスを要求する前に、テンポライゼーションを確立するかを決定する。ターゲット衛星ビームが利用可能である場合(つまり、そのビームフットプリントが、現在地表上のユーザー機器の位置をカバーしているか、又はビームへの負荷が少ない)、ユーザー機器は、ステップS161において、上記ターゲット衛星ビームを通じて、ランダムアクセス手順要求を行い、テンポライゼーションを一切せず、即時に衛星通信ネットワークにアクセス可能である。一方、場合によっては、テンポライゼーションが必要になる。このようなビームの位置に関する例示的事例を以下に紹介する。
【0098】
このようなテンポライゼーションが必要となる第1事例は、近い将来のカバレッジの変更、又はビームリープがまだ起こっていないことにより、選択されたターゲットセルが、現在時刻にユーザー機器へとアクセスできない場合である。つまり、ユーザー機器は、上記ターゲット衛星ビームをサポートするセルのカバレッジゾーンから外れているか、又は、地表における上記ターゲット衛星ビームの現ビームフットプリントが、現在時刻におけるユーザー機器の位置を含んでいない可能性がある。このような場合、即座にアクセスすることは物理的に不可能である。テンポライゼーションが必要とされ得る第2事例は、ユーザー機器が上記ターゲット衛星ビームをサポートするセルのカバレッジ下にあり、上記ターゲット衛星ビームの地表上の現ビームフットプリントが、現在時刻におけるユーザー機器の位置を厳密に含むが、ユーザー機器が現在時刻において上記ターゲット衛星ビームによって定義される(例えば、閾値の点で)アクセス条件を満たさない場合である。例えば、ユーザー機器の位置と上記ターゲット衛星ビームの基準点との間の距離は、現在時刻において上記ターゲット衛星ビームの距離閾値以上であり得る。したがって、ユーザー機器は、テンポライゼーションを確立し、上記ターゲット衛星ビームのビームフットプリントが地表上の自身の位置まで近づくのまで待機し、上記ターゲット衛星ビームの距離閾値を満たすようにする必要がある。この場合、上記ターゲット衛星ビームを通じた衛星ネットワークへの即時アクセスは物理的に可能であるが(ユーザー機器が対応するセルのカバレッジ下にあり、対応するビームフットプリントがユーザー機器の位置を含むことによる)、衛星ネットワークのリソース管理のバランスに寄与するため、又は/及び、ユーザー機器の接続状態を改善するために、テンポライゼーションが優先される。このような場合、ユーザー機器は、ステップS162でテンポライゼーションを確立した後、ターゲット衛星ビームにランダムアクセス手順要求を行うことで、衛星ネットワークにアクセスすることになる。他の事例でも、テンポライゼーションを確立する場合があり、前述の事例は限定されない方法で記載されている。
【0099】
しかし、ユーザー機器にとって必要である又は好ましいにもかかわらず、必ずしもテンポライゼーションの確立が可能とは限らない。実際のところ、例えば、ユーザー機器が短時間の緊急サービスを担う場合、ユーザー機器にとって、持続的に良好なチャネル品質も衛星ネットワークの性能のバランスも優先事項ではなく、緊急データパケットをできるだけ迅速に衛星ネットワークまで送信することを目指す。その場合、ユーザー機器は、その優先度に基づいてテンポライゼーションを確立せず、ステップS161で、選択されたターゲット衛星ビームへのランダムアクセス手順要求を即時に実行する。
【0100】
ここで、
図4を参照する。
図4は、衛星通信ネットワークの衛星ビームに対して初期ランダムアクセス手順(RACH)要求を実行して、上記衛星ネットワークにアクセスするために、地表に配置されたユーザー機器によって実行される方法の流れ図を示す。
図4では、
図3で説明した一般的な実施態様に関する特定の使用例を詳細に示している。
【0101】
ステップS11でアイドルモードを終了した後、ステップS12で、ユーザー機器は、ダウンリンク同期を設定するためにアクセス可能な基地局を特定する初期プロセスを確立する。ここでは、ユーザー機器が1つの基地局のみとダウンリンク同期を設定する場合を考える。
図2を参照すると、ユーザー機器(UE1)は、セルC1を画定し、ビームB1及びB2を管理する基地局BS1と同期した。別の実施形態において、ユーザー機器は、同時に対応セルのカバレッジゾーンの下にある場合、幾つかの基地局とのダウンリンク同期を実行することができる。ステップS13及びS14において、ユーザー機器(本明細書では、UE1と見なす)は、ステップS13で受信された補助情報を通じてネットワーク、及び、ステップS14で見込み衛星ビーム(B1、B2)のそれぞれを用いた測定の双方から情報を収集し、上記情報と収集は、
図2と
図3の説明で詳述されている。この点において、ユーザー機器(UE1)は、衛星ビームB1及びB2間の現在及び将来の接続状態を比較する。各衛星ビーム(B1、B2)によりユーザー機器(UE1)によって測定されたチャネル品質指標の測定値、及び、各衛星ビーム(B1、B2)に関する基地局BS1から送信された補助情報により、ユーザー機器(UE1)は、衛星ビームB1を通じて、現接続条件がより良好であることを発見する。しかし、補助情報が予測可能な時間内に衛星ビームB1とB2との間の次のビームリープを送信すると、ユーザー機器(UE1)は、地表上の予測可能な衛星ビームフットプリントの移動によって、衛星ビームB2の接続条件が良くなるにつれて、衛星ビームB1の接続条件が悪化することを把握する。
【0102】
ステップS1511において、ユーザー機器(UE1)は、使用されるサービスの種類及びこれらの種類のサービスの優先度を検討する。上記優先度は、ユーザー機器(UE1)のメモリーユニット内に記憶され、衛星ネットワークへと即時にアクセスする必要があるかどうかを定義する。ネットワークへと即時にアクセスする優先度に応じて、異なる2つのケースが発生する可能性がある。
【0103】
ユーザー機器(UE1)が緊急サービスを担っていないか、又は、優先度が低い場合(本明細書では、ユーザー機器によって定義及び記憶された優先度閾値を下回ると、低いと定義される)、ユーザー機器(UE1)は直接選択へと進み、ステップS151において、補助情報に基づいて接続条件が長期にわたり最良となる衛星ビーム、つまり、ここでは衛星ビームB2を選択する。次に、ユーザー機器(UE1)は、
図3で示したものと同じステップS16に進み、つまり、選択した衛星ビーム(B2)への即時アクセスが可能かどうか、又は、接続条件及びネットワークのバランスの双方の最適化において好ましいかどうかを評価する。とりわけ、衛星ビームB2が過負荷となる場合(つまり、上記衛星ビームB2を通じてネットワークへのアクセスを要求しているユーザー機器の数が、衛星ビームB2によってサポートされているアクセス要求の最大数より多い場合)、ユーザー機器(UE2)は、選択された衛星ビーム(B2)が利用可能になるまで待機するために、ステップS162でテンポライゼーションへと進む。別の実施形態では、選択した衛星ビーム(B2)が、アクセス過多以外の理由でアクセスできない場合(例えば、ビームの現在位置がまだユーザー機器の位置に到達していない場合)、ステップS162で、ユーザー機器(UE1)はテンポライゼーションを実行することができる。任意のテンポライゼーションステップS162の後、ユーザー機器(UE1)は最終的に、選択された衛星ビーム(B2)を通じて、ランダムアクセス手順要求(RACH)を実行する。とりわけ注意され得る点として、ネットワークにアクセスするためのステップS151におけるターゲット衛星ビームの選択は、上記ビームにアクセスするためのテンポライゼーションの制約に依存しない。
【0104】
ユーザー機器(UE1)が緊急メッセージを担い、衛星ネットワークへの即時アクセスを必要とする場合、衛星ビームの選択に関するテンポライゼーション条件について想定される制約は解除され得る。実際のところ、ユーザー機器は、補助情報によって提案される衛星ビームの現状態と、アクセス用に選択する前に上記ビームへと即座にアクセスする可能性について最初に考慮する。実際のところ、テンポライゼーションをせずにランダムアクセス手順要求(RACH)が可能な衛星ビームがユーザー機器にとって長期にわたり最良の接続条件を提示しないとしても、ユーザー機器(UE1)は、上記ビームを選択する。これにより、ユーザー機器(UE1)がステップS1512において、補助情報から提案された衛星ビーム、つまり、衛星ビームB2が過負荷である(又は、別の理由により、即時にアクセスできない/利用できない)と評価すると、上記衛星ビームは選択されず、ユーザー機器(UE1)はステップS153で衛星ビームB1を選択し、ステップS1612で上記ビームを通じてネットワークにアクセスすることになる。補助情報により提案された衛星ビーム(B2)を即時に利用できる場合、ステップS152で、上記衛星ビーム(B2)を選択し、ステップS1611で、ユーザー機器は上記ビームB2を通じてネットワークにアクセスする。
【0105】
ここで、
図5を参照する。
図5は、本説明に係るユーザー機器によるランダムアクセス手順の補助を管理するために衛星ネットワークによって実施されるステップの流れ図を示す。
【0106】
ステップS21において、衛星通信ネットワークの全ての基地局(又は、ユーザー機器を除く任意の他のネットワークエンティティー)は、衛星ネットワークに関する情報を記憶するように構成される。衛星ネットワークに関する上記情報には、例えば、以下のものが含まれる:
衛星コンステレーション動学をもたらす衛星コンステレーションの天体暦、及び/又は
ビームトポロジー、つまり、地表での衛星ビームのビームフットプリントの分布、及び/又は、
地表のセルの逐次的な動きと位置、及び/又は、
衛星ネットワークトポロジーに関する任意の他の情報。
【0107】
このような情報は、衛星ネットワークの構成を通して予測可能であり(その性質とタイミングの双方において)、衛星ネットワークの各基地局のメモリーユニットに記憶することができる。さらに、基地局は、各衛星ビームの送信特性及び物理特性を把握及び予測するために、各衛星ビームに関する情報を受信又は計算することもできる。その結果、衛星ネットワークの所与の基地局は、自身の衛星ビーム(つまり、上記基地局が管理する衛星ビーム)だけでなく、衛星ネットワークの他の基地局により管理される衛星ビームに関する情報も計算することができる(ひいては、ユーザー機器に送信可能である)。
【0108】
ステップS22において、基地局間相互作用を通じて、様々な基地局による交渉を確立する。基地局間のこのような交渉は、各基地局が管理する各衛星ビームについて(又は、セルについて)、特定のゾーン及び閾値を定義することを目的としており、このようなゾーン及び閾値は、基地局がユーザー機器による種々のビームへのアクセス制御を管理するのに有効である。
【0109】
実際のところ、衛星ネットワークの場合、展開されたユーザー機器の数が多く、そのトラフィックがバーストの影響を受けやすいので、ネットワークアクセス制御は特に複雑となる。所与のユーザー機器側におけるアンテナパターン及び衛星の位置のような様々なパラメーターによって、ユーザー機器は近傍の衛星セルに時差干渉をもたらし得る。さらに、ユーザー機器は、ビームフォーミング及びトラッキング性能が低い。したがって、閾値を交渉したアクセス管理により、基地局はアクセス要求を様々な衛星ビームに分散させ、過負荷を回避することができる。
【0110】
交渉は、とりわけ、セル又は衛星ビームが直接重なり合う基地局間で関連し、このような交渉は、地表上の所与の位置にあるユーザー機器のアクセスを受信するために適合した基地局を決定可能である。交渉された閾値では、各衛星ビームについて、ユーザー機器が十分且つ持続的な接続条件で上記衛星ビームを通じて衛星ネットワークにアクセスできる、上記ビームフットプリントに含まれる地理的領域を画定できる。つまり、交渉することで、基地局の衛星ビームは、その中心(又は、1つの衛星ビームに関連する他の任意の基準点)のそれぞれに関して、上記衛星ビームのビームフットプリントにおける接続の制限領域を画定する距離閾値を得る。交渉された閾値は、信号対雑音(SNR)、又は基準信号受信電力(RSRP)の閾値等のチャネル品質の閾値にも対応し得る。つまり、チャネル品質指標の値が所与の衛星ビームのチャネル品質閾値未満のユーザー機器は、上記衛星ビームを通じて衛星ネットワークにアクセスすることができない。ユーザー機器が担うサービスの性質、優先度等について、他の種類の閾値を適用可能である。
【0111】
種々の基地局間の交渉は、動的に行うことが可能である。つまり、閾値の値は、それぞれのアクセス容量、干渉レベル、雑音指数のような各衛星ビームの特性に応じて変化し、さらに、基地局は、このような測定値を考慮して値を交渉できる。
【0112】
ステップS23において、所与の基地局(この
図5の説明では、主基地局と称する)は、地表のユーザー機器から、ダウンリンク同期を設定するためのシグナリングを受信する。上記主基地局は、地表上でセル、つまり、カバレッジゾーンを画定し、そのセルを形成するビームフットプリントを持つ1つ又は幾つかの衛星ビームを管理する。ダウンリンク同期を確立するために、上記ユーザー機器は、必然的に主基地局のカバレッジゾーンに属するので、その衛星ビームのビームフットプリントのうちの少なくとも1つに属する。ダウンリンク同期により、主基地局の通信インターフェース、つまり、(少なくとも1つの)衛星ビームを通じて送信され、ユーザー機器の通信インターフェースによって受信された無線周波数信号によりデータをユーザー機器に送信することができる。ユーザー機器は、他の基地局と別のダウンリンク同期を確立することができるが、この図の説明を簡単にするため、ユーザー機器と主基地局との間のダウンリンク同期のみについて検討する。
【0113】
ステップS24において、主基地局は、ユーザー機器が復号可能な補助データを送信することができる。補助情報の上記データは、ステップS21で衛星ネットワークから受信又は計算され、主基地局のメモリーユニットに記憶された情報に依存する。また、補助情報の上記データは、他の基地局と行われる動的交渉からも得られる。したがって、補助情報は、主基地局、又は他の基地局に関するものとなり得る。
【0114】
補助情報の内容は、基地局が上記内容を送信する衛星ビームに依存する。ユーザー機器の位置が基地局から不明であるので(上記ユーザー機器が衛星ネットワークに接続する前に、衛星ネットワークには、ユーザー機器及び地表上のこのようなユーザー機器の位置に関する情報がない)、補助情報は、ユーザー機器の位置をフットプリントがカバーする衛星ビームに個別化される、つまり、所与の衛星ビームのビームフットプリントに含まれる全てのユーザー機器が上記ビームから同じ補助情報を受信する。また、同じセルの幾つかのビームが、同じ補助情報を配信することも可能である。これにより、基地局は、ユーザー機器の位置を含むビームフットプリントの識別情報、ひいては、補助情報が送信される衛星ビームに基づいて、そのメモリーユニットに記憶されている補助情報のデータを送信する。このような補助情報は、限られた時間内で上記ビームの現地表ゾーンで発生するカバレッジの変化と、このような現地表ゾーン内に作用する衛星ビームの特性(つまり、現在/近い将来に上記地表ゾーンをカバーする衛星ビーム)とに関連する。上記補助情報の内容は、
図3の説明で詳述されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星ネットワークにアクセスするためにユーザー機器(UE1)によって実行される方法であって、前記衛星ネットワークの少なくとも1つの衛星(SAT1)は、地球に対して相対的に移動しており、前記衛星ネットワークは、無線周波数衛星ビーム(B1~B3)を展開し、
前記
方法は、
a.少なくとも第1衛星ビーム(B1)を通じて、前記
衛星ネットワークにおける少なくとも現在及び将来の衛星ビーム(B1、B2)に関する補助情報のデータを受信し、
b.補助情報の前記データを解釈して、
前記第1衛星ビーム(B1)を通じた接続条件と、
前記第1衛星ビーム(B1)とは異なる、少なくとも1つの第2衛星ビーム(B2)を通じた接続条件とを予測し、
c.少なくとも前記第1衛星ビーム(B1)及び前記第2衛星ビーム(B2)を通じた前記接続条件に基づいて選択された、前記第1衛星ビーム(B1)及び前記第2衛星ビーム(B2)のうちの衛星ビーム(B2)を通じた前記衛星ネットワークへのアクセスを決定し、
d.前記選択された衛星ビーム(B2)を通じてRACH
(ランダムアクセス)手順を実行する、方法。
【請求項2】
さらに、補助情報の前記データに基づいて、前記第2衛星ビーム(B2)との前記接続条件が、持続時間閾値前の時間において、前記第1衛星ビーム(B1)との前記接続条件よりも良好となるかどうかを判定し、次いで、前記第2衛星ビーム(B2)を選択し、前記衛星ネットワークにアクセスする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記選択された衛星ビーム(B2)への接続が、補助情報の前記データから決定されるテンポライゼーションの後に確立されるかどうかを判定し、前記選択された衛星ビーム(B2)を通じて前記衛星ネットワークにアクセスする前に、前記テンポライゼーションを適用する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
さらに、補助情報の前記データから、前記第1衛星ビーム(B1)及び前記第2衛星ビーム(B2)の地表ゾーンの現在及び将来の逐次的位置を決定し、前記ユーザー機器(UE1)の現在位置が前記選択された衛星ビーム(B2)の前記地表ゾーン外にある限りは、前記選択された衛星ビーム(B2)を通じて前記衛星ネットワークにアクセスする前に、テンポライゼーションを適用する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザー機器(UE1)は、
現在位置を占有し、前記現在位置のデータを取得することができ、補助情報の前記データは、それぞれの衛星ビーム(B1~B3)に関連付けられた基準点の現在位置及び将来位置に関するデータと、前記衛星ビーム(B1~B3)のそれぞれについて定義された距離閾値
のデータとを少なくとも含み、前記距離閾値はユーザー機器(UE1)の位置と衛星ビーム(B1~B3)に関連付けられた基準点の現在位置との間の最大許容距離であり、
前記
方法は、
さらに、
前記ユーザー機器
(UE1)の現在位置と前記衛星ビーム(B1~B3)に関連付けられた前記基準点の位置との間の距離をそれぞれ決定し、
前記決定された距離を各衛星ビーム(B1~B3)の前記距離閾値とそれぞれ比較し、
前記ユーザー機器(UE1)の前記現在位置と前記選択された衛星ビーム(B2)に関連付けられた前記基準点の位置との間の前記距離が前記選択された衛星ビーム(B2)の前記距離閾値を超える限り、前記選択された衛星ビーム(B2)を通じて、前記衛星ネットワークにアクセスする前にテンポライゼーションを適用する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
さらに、補助情報の前記データ
に含まれる時間情報に基づいて前記選択された衛星ビーム(B2)の前記地表ゾーンが前記ユーザー機器(UE1)の前記現在位置を含むようになるまでの持続時間を決定し
、前記決定した持続時間に対応するテンポライゼーションを適用する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記ユーザー機器
(UE1)の現在位置に関するデータを取得し
、
前記ユーザー機器
(UE1)の現在位置が前記第1衛星ビーム(B1)及び前記第2衛星ビーム(B2)のそれぞれ
の地表ゾーンの両方でカバーされていると判定された場合
、前記第1衛星ビーム(B1)及び前記第2衛星ビーム(B2)とのそれぞれの将来の接続条件に基づいて、前記第1衛星ビーム(B1)及び前記第2衛星ビーム(B2)の中から、前記衛星ネットワークにアクセスする
衛星ビームを選択する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
さらに、前記衛星ネットワークにアクセスするための優先度に関連するデータを記憶し、
ここで、前記テンポライゼーションの適用は、優先度の前記データに依存する、請求項3~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザー機器(UE1)は、複数の種類のサービス用に使用可能であり、
前記方法は、さらに、前記サービスの種類ごとに前記衛星ネットワークにアクセスするための優先度に関連するデータを記憶し、前記テンポライゼーションの適用は、前記ユーザー機器(UE1)が現在使用しようとしている種類のサービスの優先度に関連するデータに依存する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
補助情報の前記データは、前記衛星ビーム(B1~B3)の衛星ビーム負荷によるアクセス容量レベルに関する情報を含み、
前記
方法は、
さらに、
それぞれの前記衛星ビーム(B1~B3)のアクセス容量レベルを比較し、前記第1衛星ビーム(B1)の前記アクセス容量レベルが前記第2衛星ビーム(B2)の前記アクセス容量レベルを下回る場合
、前記第2衛星ビーム(B2)を選択して、前記衛星ネットワークにアクセスする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ユーザー機器(UE1)によって受信された補助情報の前記データは、前記衛星ビーム(B1~B3)のそれぞれに関するチャネル品質閾値を少なくとも含み、
前記方法は、さらに、前記衛星ネットワークにアクセスする前に、それぞれの衛星ビーム(B1~B3)でチャネル品質指標の測定値を測定可能であり
、前記チャネル品質指標が前記チャネル品質閾値を上回る少なくとも1つの衛星ビーム(B2)を特定するよう、前記測定値を前記チャネル品質閾値のそれぞれと比較し、これにより、前記特定された衛星ビーム(B2)が、前記ユーザー機器(UE1)により前記衛星ネットワークにアクセスする衛星ビームの選択の候補となる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
補助情報の前記データは、要素のセットのうちの少なくとも1つの要素を含み、前記要素のセットは、
前記衛星ビーム(B1~B3)のうちの少なくとも2つの衛星ビーム間の干渉のレベルと、
前記衛星ビーム(B1~B3)それぞれの雑音指数と、
前記衛星ビーム(B1~B3)それぞれの送信電力とを含み、
前記
方法は、さらに、前記要素のうちの少なくとも1つ又は前記要素の組み合わせに基づいて、前記衛星ビーム(B1~B3)との前記接続条件を決定する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記RACH
(ランダムアクセス)手順の前に、前記第1衛星ビーム(B1)と前記ユーザー機器との間の初期ダウンリンク同期の間又は後で、少なくとも前記第1衛星ビーム(B1)を通じて、補助情報の前記データ
が受信される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のユーザー機器(UE1)による方法の実行のためにコンピューター可読媒体に記憶されたプログラム命令コードを含む、コンピュータープログラム製品。
【請求項15】
ユーザー機器(UE1)であって、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実行する処理回路を含む、ユーザー機器。
【国際調査報告】