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▶ エンブレイス メディカル エルティーディー.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(54)【発明の名称】血管アクセスカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20230817BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022572483
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 US2021034016
(87)【国際公開番号】W WO2021242734
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】63/030,410
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522135673
【氏名又は名称】エンブレイス メディカル エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タル,ミカエル ガブリエル
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA22
4C267BB02
4C267BB07
4C267BB11
4C267BB31
4C267BB38
4C267BB40
4C267CC08
4C267EE03
4C267HH08
(57)【要約】
【解決手段】管腔を包囲する細長い管状カテーテル本体を含む血管アクセスカテーテルである。カテーテル本体は、カテーテル遠位端で終端となるとともに、管腔へと通じる開口部を取り囲むカテーテル遠位端に遠位縁を含むカテーテル先端を含む。遠位縁は、開口部の上部にまたがる前縁部、ならびに開口部の底部にまたがり、カテーテル本体の長手方向軸に対して前縁部から離れて近位方向に傾斜する傾斜縁部を含む。血管アクセスカテーテルは、血管アクセスキットにおいて提供することができ、該キットは、中空針体、および鋭い針縁部が終端となる斜角先端を含むアクセス針をさらに含む。
【選択図】図7B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔を包囲する細長い管状カテーテル本体であって、カテーテル遠位端で終端となるとともに、管腔へと通じる開口部を取り囲む前記カテーテル遠位端にて遠位縁を含むカテーテル先端を含む、カテーテル本体を含む、血管アクセスカテーテルであって、
ここで、遠位縁は、前記開口部の上部にまたがる前縁部、ならびに前記開口部の底部にまたがり、前記カテーテル本体の長手方向軸に対して前記前縁部から離れて近位方向に傾斜する傾斜縁部を含む、血管アクセスカテーテル。
【請求項2】
前記管腔は、前記カテーテル先端に近接する前記カテーテル本体の一部に沿って円筒形状であり、前記カテーテル先端の一部に沿って先細り形状になる、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項3】
前記前縁部は、前記長手方向軸に垂直に横切る前記カテーテル本体の横平面と実質的に適合する、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項4】
前記前縁部は、前記横平面に平行な、前記遠位端において前記カテーテル本体の断面の少なくとも半分にまたがる、請求項3に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項5】
前記傾斜縁部は、前記横平面または前記前縁部に対して45°未満の平均角度で傾斜する、請求項3に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項6】
前記前縁部は、少なくとも部分的に平坦状である、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項7】
前記傾斜縁部は、少なくとも部分的に湾曲している、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項8】
前記傾斜縁部の曲率半径は、前記前縁部に隣接するときに最小であり、および/または前記傾斜縁部の頂点に隣接するときに最大である、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項9】
前記傾斜縁部の曲率半径は、前記前縁部と前記傾斜縁部の頂点との間で徐々に増加する、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項10】
前記傾斜縁部は、前記傾斜縁部および/または前記長手方向軸に対して、少なくとも部分的に平行であるか、または浅い角度で傾斜する摺動面を含むか、または該摺動面と統合する、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項11】
前記摺動面は、遠位放物線と近位放物線により、および該遠位放物線と該近位放物線の間に境界付けられた成形領域を形成し、前記遠位放物線は前記近位放物線よりも短い焦点距離を有する、請求項10に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項12】
前記摺動面は、少なくとも部分的に湾曲している、請求項10に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項13】
前記カテーテル先端は、前記摺動面に沿って厚みが変動する、請求項10に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項14】
前記摺動面の平均曲率半径は、相互の横断面において前記摺動面に対向する前記カテーテル先端の外側表面部の半径よりも実質的に大きい、請求項10に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項15】
前記傾斜縁部は、前記長手方向軸に対して前記開口部の反対側に設けられる2つの曲面を含み、前記摺動面のそれぞれは、異なる統合部において前記前縁部と確実に統合する、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項16】
前記カテーテルは、アクセス針の上に押し当てられると血管内側表面を前記傾斜縁部と係合させるように、かつ、前記カテーテル先端が血管壁に押し付けられて、前記アクセス針が前記カテーテル先端から引き抜かれると、前記傾斜縁部とともに血管内側表面上で遠位に摺動するように構成される、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項17】
前記前縁部は、統合部において前記傾斜縁部と統合し、前記統合部は、円形状であり、湾曲しておりおよび/または傾斜している、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項18】
前記統合部は、前記長手方向軸に隣接するか、または前記長手方向軸より下に位置する、請求項17に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項19】
前記カテーテル先端は、前記カテーテル先端の下端に沿って延在するとともに、前記傾斜縁部から近接して前記傾斜縁部へと通じる溝部を含む、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項20】
前記カテーテル先端は、前記カテーテル先端の下端に沿って延在するとともに、前記傾斜縁部から近接して前記傾斜縁部へと通じる幅の狭い切れ目またはスリットを含む、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項21】
前記傾斜縁部は、その頂点に隣接して、前記長手方向軸に対する約20°未満の第1接線角度を形成する、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項22】
前記傾斜縁部は、前記前縁部に隣接して、前記長手方向軸に対する約45°を上回る第2接線角度を形成する、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項23】
前記カテーテル先端の下端は、径方向内側への変形に対する弾性抵抗が、前記カテーテル先端の上端よりも小さい、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項24】
前記カテーテル先端は、アクセス針で内部が支持されていないとき、前記カテーテル先端の下端が血管壁に一定の角度で押し付けられて、前記カテーテル本体により、血管壁に機械的損傷を与えるには不十分な力が血管壁に伝わると、径方向内側に崩れるように構成される、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項25】
前記カテーテル先端はその下端に沿って、径方向内側に崩れると、前記アクセス針の最大サイズの断面よりも大きいサイズのフットプリントを前記血管壁の表面に有するように構成される、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項26】
血管アクセスキットであって、
請求項1に記載の血管アクセスカテーテルと、
中空針体、および遠位の鋭い針縁部で終端となる斜角先端を含むアクセス針と、を含む、血管アクセスキット。
【請求項27】
前記血管アクセスカテーテルが、少なくとも2つの構成で管腔と開口部を通ってアクセス針を収容するように構成されており、前記2つの構成は、前記斜角先端が全体で前記管腔から前記カテーテル遠位端まで延在する組織貫通構成、および前記斜角先端が全体で前記カテーテル遠位端に近接して前記管腔内に存在する安全構成を含む、請求項26に記載の血管アクセスキット。
【請求項28】
前記管腔は、前記カテーテル先端に沿って、前記斜角先端に近接する前記アクセス針の直径よりも小さいシール径にまで直径が小さくなることで、組織貫通構成であるときは、血液が前記開口部を介して前記管腔にアクセスするのを防ぐために前記アクセス針の周りに密閉部を形成し、かつ前記安全構成にあるときには前記開口部を介して前記管腔への血液のアクセスを容易にする、請求項27に記載の血管アクセスキット。
【請求項29】
前記組織貫通構成において前記アクセス針を前記カテーテル内に固定するように構成される連結手段を含む、請求項27に記載の血管アクセスキット。
【請求項30】
前記組織貫通構成であるとき、針縁部は、前記傾斜縁部の頂点までの距離が、前記前縁部の頂点までの距離以上である、請求項27に記載の血管アクセスキット。
【請求項31】
前記カテーテル先端がその下端に沿って、径方向内側に崩れると、前記アクセス針によって前記血管壁に形成可能な最大サイズの病変よりも大きなサイズのフットプリントを前記血管壁の表面に有するように構成される、請求項26に記載の血管アクセスキット。
【請求項32】
請求項27に記載のキットを使用して、血管にカテーテルを挿入する方法であって、
カテーテルとアクセス針が組織貫通構成であるときに、カテーテル先端を血管内に挿入する工程と、
斜角先端が全体でカテーテル遠位端に近接した管腔内に存在するように、前記カテーテル先端に対して前記斜角先端を動かすことによって、前記カテーテルと前記アクセス針を安全構成へと移行する工程と、
前記血管の内側表面を前記傾斜縁部に係合させる工程と、
前記アクセス針を前記管腔から取り外す工程と、
前記カテーテルを前記血管中で遠位方向に進行させる工程と、を含む、方法。
【請求項33】
前記挿入する工程は、前記斜角先端により前記血管壁の内側表面に病変を形成することを含み、前記係合させる工程は、前記傾斜縁部により前記病変の反対側から前記内側表面の遠隔部分を摺動させることを含み、前記進行させる工程は、前記傾斜縁部および/または前記カテーテル先端をその下端に沿って前記病変の上と全体で摺動させることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記挿入する工程は、血液が血管から前記アクセス針に吸引されるかどうかを検証することを含む、および/またはその後に行われる、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記検証することが、前記アクセス針に吸引された血液が破棄されることになる場合、前記移行する工程の後に、検証用の血液が前記血管から前記管腔に吸引されるまで、前記カテーテルが引き抜かれる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
引抜きは、前記移行する工程、または前記取り外す工程の後に、かつ前記係合させる工程の前に行われる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記係合させる工程は、検証用の血液が、前記移行する工程の後に、前記血管から前記管腔へと吸引された後に行われる、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記挿入する工程は、
前記カテーテルが前記組織貫通構成において前記アクセス針に固定されていることを検証することと、
血液を前記血管から前記アクセス針内に吸引することを可能にするために、前記血管を前記斜角先端で貫通させることと、を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記挿入する工程は、前記底部が前記血管に方向付けられ、および/または前記上部が前記血管から離れるように方向付けられることを検証することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記挿入する工程は、前記血管が罹患状態にあること、および/または、直径が前記カテーテル本体以下であるかもしくは約1mm以下である静脈であることを検証することを含む、および/またはその後に行われる、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年5月27日に出願された「OVER-THE-NEEDLE CATHETER」と題する米国仮特許出願第63/030,410号の利益を主張し、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、血管にアクセスするための装置および方法に関し、より具体的だが、排他的ではない、アクセス針上で血管にカテーテルを挿入するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
末梢静脈内(PIV)カテーテル挿入術は、薬剤またはその他の流体を投与するための侵襲的な病院内の処置であり、一般的に末梢静脈に針を挿入すること、その後、針の上にカテーテルを導入することに関与する。流体投与時には、針が引き抜かれ、流体送達のために開存した少なくともカテーテル先端と開口部が残されている。PIVカテーテル処置は、従来、意図した滞留時間が終了する前にカテーテルが静脈から抜去されることに示される実質的な失敗率に関与する。一般的な失敗の原因としては、カテーテルおよび/または針が静脈への入口と反対側の静脈壁部分を貫通する「浸潤」、およびカテーテルまたは静脈自体の血栓症のため、任意選択で浸潤および静脈の炎症(静脈炎)による注入能力の喪失である「閉塞」などがあげられる。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、血管にアクセスするための装置および方法に関し、より具体的だが、排他的ではない、アクセス針上で血管にカテーテルを挿入するための装置および方法に関する。
【0005】
ある実施形態では、管腔を包囲する細長い管状カテーテル本体を含む血管アクセスカテーテルが提供される。カテーテル本体は、カテーテル遠位端で終端となるとともに、管腔へと通じる開口部を取り囲むカテーテル遠位端に遠位縁を含むカテーテル先端を含む。遠位縁は、開口部の上部にまたがる前縁部、ならびに開口部の底部にまたがり、カテーテル本体の長手方向軸に対して前縁部から離れて近位方向に傾斜する傾斜縁部を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、管腔は、カテーテル先端に近接するカテーテル本体の一部に沿って円筒形状であり、カテーテル先端の一部に沿って先細り形状になる。
【0007】
いくつかの実施形態では、前縁部は、長手方向軸に垂直に横切るカテーテル本体の横平面と実質的に適合する。いくつかの実施形態では、前縁部は、横平面に平行な、遠位端においてカテーテル本体の断面の少なくとも半分にまたがる。いくつかの実施形態では、傾斜縁部は、横平面または前縁部に対して45°未満の平均角度で傾斜する。
【0008】
いくつかの実施形態では、前縁部は、少なくとも部分的に平坦状である。いくつかの実施形態では、傾斜縁部は、少なくとも部分的に湾曲している。
【0009】
いくつかの実施形態では、傾斜縁部の曲率半径は、前縁部に隣接するときに最小であり、および/または傾斜縁部の頂点に隣接するときに最大である。いくつかの実施形態では、傾斜縁部の曲率半径は、前縁部と傾斜縁部の頂点との間で徐々に増加する。
【0010】
いくつかの実施形態では、傾斜縁部は、摺動面が傾斜縁部および/または長手方向軸に対して、少なくとも部分的に平行であるか、または浅い角度で傾斜する摺動面を含むか、または該摺動面と統合する。いくつかの実施形態では、摺動面は、遠位放物線と近位放物線により、および該遠位放物線と該近位放物線の間に境界付けられた成形領域を形成し、遠位放物線は近位放物線よりも短い焦点距離を有する。いくつかの実施形態では、摺動面は、少なくとも部分的に湾曲している。いくつかの実施形態では、カテーテル先端は、摺動面に沿って厚みが変動する。いくつかの実施形態では、摺動面の平均曲率半径は、相互の横断面において摺動面に対向するカテーテル先端の外側表面部の半径よりも実質的に大きい。
【0011】
いくつかの実施形態では、傾斜縁部は、長手方向軸に対して開口部の反対側に設けられる2つの曲面を含み、摺動面のそれぞれは、異なる統合部において前縁部と確実に統合する。
【0012】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、アクセス針の上に押し当てられると血管内側表面を傾斜縁部と係合させるように、かつ、カテーテル先端が血管壁に押し付けられて、アクセス針がカテーテル先端から引き抜かれると、傾斜縁部とともに血管内側表面上で遠位に摺動するように構成される。
【0013】
いくつかの実施形態では、前縁部は、統合部において傾斜縁部と統合し、統合部は、円形状であり、湾曲しており、および/または傾斜している。
【0014】
いくつかの実施形態では、統合部は、長手方向軸に隣接するか、または長手方向軸より下に位置する。
【0015】
いくつかの実施形態では、カテーテル先端は、カテーテル先端の下端に沿って延在するとともに、傾斜縁部から近接して傾斜縁部へと通じる溝部を含む。いくつかの実施形態では、カテーテル先端は、カテーテル先端の下端に沿って延在するとともに、傾斜縁部から近接して傾斜縁部へと通じる幅の狭い切れ目またはスリットを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、傾斜縁部は、その頂点に隣接して、長手方向軸に対する約20°未満の第1接線角度を形成する。いくつかの実施形態では、傾斜縁部は、前縁部に隣接して、長手方向軸に対する約45°を上回る第2接線角度を形成する。
【0017】
いくつかの実施形態では、カテーテル先端の下端は、径方向内側への変形に対する弾性抵抗が、カテーテル先端の上端よりも小さい。いくつかの実施形態では、カテーテル先端は、アクセス針で内部が支持されていないとき、カテーテル先端の下端が血管壁に一定の角度で押し付けられて、カテーテル本体により、血管壁に機械的損傷を与えるには不十分な力が血管壁に伝わると、径方向内側に崩れるように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、カテーテル先端はその下端に沿って、径方向内側に崩れると、アクセス針の最大サイズの断面よりも大きいサイズのフットプリントを血管壁の表面に有するように構成される。
【0019】
ある実施形態では、血管アクセスキットが提供され、該血管アクセスキットは、血管アクセスカテーテル、ならびに中空針体、および遠位の鋭い針縁部で終端となる斜角先端を含むアクセス針を含む。いくつかの実施形態では、遠位方向にカテーテルが、少なくとも2つの構成で管腔と開口部を通ってアクセス針を収容するように構成されており、その2つの構成は、斜角先端が全体で管腔からカテーテル遠位端まで延在する組織貫通構成、および斜角先端が全体でカテーテル遠位端に近接して管腔内に存在する安全構成を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、管腔は、カテーテル先端に沿って、斜角先端に近接するアクセス針の直径よりも小さいシール径にまで直径が小さくなることで、組織貫通構成であるときは、血液が開口部を介して管腔にアクセスするのを防ぐためにアクセス針の周りにシールを形成し、かつ安全構成にあるときには開口部を介して管腔への血液のアクセスを容易にする。
【0021】
いくつかの実施形態では、キットは、組織貫通構成においてアクセス針をカテーテル内に固定するように構成される連結手段を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、組織貫通構成であるとき、針縁部は、傾斜縁部の頂点までの距離が、前縁部の頂点までの距離以上である。
【0023】
いくつかの実施形態では、キットは、カテーテル先端はその下端に沿って、径方向内側に崩れると、アクセス針によって血管壁に形成可能な最大サイズの病変よりも大きなサイズのフットプリントを血管壁の表面に有するように構成される。
【0024】
ある実施形態では、キットを使用して、血管にカテーテルを挿入する方法が提供され、
該方法は、カテーテルとアクセス針が組織貫通構成であるときに、カテーテル先端を血管内に挿入する工程と、斜角先端が全体でカテーテル遠位端に近接した管腔内に存在するように、カテーテル先端に対して斜角先端を動かすことによって、カテーテルとアクセス針を安全構成へと移行する工程と、血管の内側表面を傾斜縁部に係合させる工程と、アクセス針を管腔から取り外す工程と、カテーテルを血管中で遠位方向に進行させる工程と、を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、挿入する工程は、斜角先端により血管壁の内側表面に病変を形成することを含み、係合させる工程は、傾斜縁部により病変の反対側から内側表面の遠隔部分を摺動させることを含み、進行させる工程は、傾斜縁部および/またはカテーテル先端をその下端に沿って病変の上と全体で摺動させることを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、挿入する工程は、血液が血管からアクセス針に吸引されるかどうかを検証することを含むか、および/または検証することに後続する。いくつかの実施形態では、検証することが、アクセス針に吸引された血液が破棄されることになる場合、移行する工程の後に、検証用の血液が血管から管腔に吸引されるまで、カテーテルが引き抜かれる。いくつかのそのような実施形態では、引き抜きは、移行する工程、または取り外す工程の後に、かつ係合させる工程の前に行われる。
【0027】
いくつかの実施形態では、係合させる工程は、検証用の血液が、移行する工程の後に、血管から管腔へと吸引された後に行われる。
【0028】
いくつかの実施形態では、挿入する工程は、カテーテルが組織貫通構成においてアクセス針に固定されていることを検証すること、および血液を血管からアクセス針内に吸引することを可能にするために、血管を斜角先端で貫通させることを含む。いくつかの実施形態では、挿入する工程は、底部が血管に方向付けられ、および/または上部が血管から離れるように方向付けられることを検証することを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、挿入する工程は、血管が罹患状態にあること、および/または、直径がカテーテル本体以下であるかもしくは約1mm以下である静脈であることを検証することを含むか、および/または検証することに後続する。
【0030】
本明細書で使用されるすべての技術的または/および科学的な単語、用語、または/および語句は、本明細書で特に定義または記載されていない限り、本発明に係る技術分野における当業者が一般的に理解するのと同じまたは類似の意味を有する。本明細書に例示的に記載される方法(工程、手順)、機器(装置、システム、その構成要素)、器具、および材料の例示的な実施形態は、例示的かつ例証的なものであり、必ずしも限定的であることが意図されない。本明細書に記載されるものと同等または類似の方法、機器、器具および材料は、本発明の実施形態の実施または/および試験において使用され得るが、例示的な方法、機器、器具、および材料が、以下に例示的に記載される。矛盾する場合には、定義を含む本特許明細書が優先される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
いくつかの実施形態は、本明細書に添付の図面を参照しながら、例としてのみ本明細書に記載されている。特定の図面をここで詳細に参照して、詳細が一例として、一部の実施形態の例示的記載の目的のために示される、ということが強調される。この点では、添付の図面に伴う記載により、一部の実施形態を実施する方法は当業者に明らかとなる。
【0032】
図面では
図1A】いくつかの実施形態に係る、例示的なオーバー・ザ・ニードルカテーテルを示す。
図1B】いくつかの実施形態に係る、例示的なオーバー・ザ・ニードルカテーテルを示す。
図2A】いくつかの実施形態に係る、血管に針の上に例示的なカテーテルを挿入するための方法における工程を表す例示的なシナリオを概略的に示す。
図2B】いくつかの実施形態に係る、血管に針の上に例示的なカテーテルを挿入するための方法における工程を表す例示的なシナリオを概略的に示す。
図2C】いくつかの実施形態に係る、血管に針の上に例示的なカテーテルを挿入するための方法における工程を表す例示的なシナリオを概略的に示す。
図3A】いくつかの実施形態に係る、オーバー・ザ・ニードルカテーテルの第1の例示的な先端の図を概略的に示す。
図3B】いくつかの実施形態に係る、オーバー・ザ・ニードルカテーテルの第1の例示的な先端の図を概略的に示す。
図3C】いくつかの実施形態に係る、オーバー・ザ・ニードルカテーテルの第1の例示的な先端の図を概略的に示す。
図3D】いくつかの実施形態に係る、オーバー・ザ・ニードルカテーテルの第1の例示的な先端の図を概略的に示す。
図4A】いくつかの実施形態に係る、オーバー・ザ・ニードルカテーテルの第2の例示的な先端の図を概略的に示す。
図4B】いくつかの実施形態に係る、オーバー・ザ・ニードルカテーテルの第2の例示的な先端の図を概略的に示す。
図5A】いくつかの実施形態に係る、オーバー・ザ・ニードルカテーテルの第3の例示的な先端の図を概略的に示す。
図5B】いくつかの実施形態に係る、オーバー・ザ・ニードルカテーテルの第3の例示的な先端の図を概略的に示す。
図5C】いくつかの実施形態に係る、オーバー・ザ・ニードルカテーテルの第3の例示的な先端の図を概略的に示す。
図5D】いくつかの実施形態に係る、オーバー・ザ・ニードルカテーテルの第3の例示的な先端の図を概略的に示す。
図5E】いくつかの実施形態に係る、オーバー・ザ・ニードルカテーテルの第3の例示的な先端の図を概略的に示す。
図6A】いくつかの実施形態に係る、例示的な血管アクセスキットの図面を例示する。
図6B】いくつかの実施形態に係る、例示的な血管アクセスキットの図面を例示する。
図6C】いくつかの実施形態に係る、例示的な血管アクセスキットの図面を例示する。
図7A】いくつかの実施形態に係る、図6Aに示されるキットの例示的な血管アクセスカテーテルの図面を例示する。
図7B】いくつかの実施形態に係る、図6Aに示されるキットの例示的な血管アクセスカテーテルの図面を例示する。
図7C】いくつかの実施形態に係る、図6Aに示されるキットの例示的な血管アクセスカテーテルの図面を例示する。
図8A】いくつかの実施形態に係る、図6Aに示されるキットを使用して血管をアクセスする方法における工程を表す例示的なシナリオの第1セットを概略的に例示する。
図8B】いくつかの実施形態に係る、図6Aに示されるキットを使用して血管をアクセスする方法における工程を表す例示的なシナリオの第1セットを概略的に例示する。
図8C】いくつかの実施形態に係る、図6Aに示されるキットを使用して血管をアクセスする方法における工程を表す例示的なシナリオの第1セットを概略的に例示する。
図8D】いくつかの実施形態に係る、図6Aに示されるキットを使用して血管をアクセスする方法における工程を表す例示的なシナリオの第1セットを概略的に例示する。
図8E】いくつかの実施形態に係る、図6Aに示されるキットを使用して血管をアクセスする方法における工程を表す例示的なシナリオの第1セットを概略的に例示する。
図9A】いくつかの実施形態に係る、図6Aに示されるキットを使用して血管をアクセスする方法における工程を表す例示的なシナリオの第2セットを概略的に例示する。
図9B】いくつかの実施形態に係る、図6Aに示されるキットを使用して血管をアクセスする方法における工程を表す例示的なシナリオの第2セットを概略的に例示する。
図9C】いくつかの実施形態に係る、図6Aに示されるキットを使用して血管をアクセスする方法における工程を表す例示的なシナリオの第2セットを概略的に例示する。
図9D】いくつかの実施形態に係る、図6Aに示されるキットを使用して血管をアクセスする方法における工程を表す例示的なシナリオの第2セットを概略的に例示する。
図9E】いくつかの実施形態に係る、図6Aに示されるキットを使用して血管をアクセスする方法における工程を表す例示的なシナリオの第2セットを概略的に例示する。
図9F】いくつかの実施形態に係る、図6Aに示されるキットを使用して血管をアクセスする方法における工程を表す例示的なシナリオの第2セットを概略的に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
ある実施形態は、血管にアクセスするための装置および方法に関し、より具体的には、しかし排他的ではなく、アクセス針上で血管にカテーテルを挿入するための装置および方法に関する。
【0034】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、カテーテル先端の下部に対してカテーテル先端の上部で異なる構造的および/または機能的特徴を有する遠位縁で終わるカテーテル先端を有し、これによって、カテーテル先端は、カテーテル先端が針によって内部支持されていないときに、同じ力および条件下で、カテーテル先端の上部よりも下部を用いて血管壁と係合するとき血管の内部壁と異なる相互作用を行うように構成される。いくつかの実施形態では、カテーテル先端下部は、遠位縁に近接するカテーテル先端上部とは異なる構造および/または形状である。いくつかのそのような、または他の実施形態では、遠位縁は、カテーテル先端の上部よりも下部に近接する異なる形状である。
【0035】
図1A図1Bは、例えば、末梢静脈カテーテルとして構成された例示的なオーバー・ザ・ニードルカテーテル(100)を例示する。カテーテル(100)は、カテーテル先端(102)で終端となり、かつその近位端がカテーテル手持ち部(103)に接続されたカテーテルの細長い本体(101)を含む。手持ち部(103)は、手動で取り扱うため、および/または接着剤を使用するなどして患者の身体にカテーテルを固定するために構成された翼(104)を含む。手持ち部(103)はまた、任意選択で、流体(例えば、薬物)の注入を促進するために注射器に接続するように構成された注射器コネクタ(105)を含む。
【0036】
カテーテル(100)は、アクセス針(107)もまた含む末梢静脈アクセス用キットにおいて提供されてもよい。示されるように、針(107)は、カテーテル本体(101)の管腔を通って延在するように構成され、その針先端(108)は、アクセス針(107)が完全に通って延在し、手持ち部(103)に適切に固定され、針固定部材および/または配向部材(109)を使用してそれに対して(回転的に)配向されたときにカテーテル先端(102)から遠位に完全に突き出るように構成される。アクセス針(107)の近位端に接続されたラインコネクタ(106)は、注射器および/または任意選択で静脈内注入ラインに接続されるように構成される。針(107)は、手持ち部(103)から切り離し、針翼(110)でアクセス針(107)を引っ張った後、カテーテル先端(102)に対して部分的または完全に(近位方向に)引き抜かれることができる。
【0037】
図1Bに示されるように、カテーテル先端(102)は、カテーテル先端(102)の上部(112)と底部(113)との間に遠位縁(111)を有し、遠位縁(111)は、底部(113)に隣接して上部(112)に隣接しているものとは異なる形状および/または構成である。
【0038】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、以下の工程のうちの1つ以上(必ずしも同じ順序ではない)を使用して血管に挿入され得る。
【0039】
> カテーテルが、カテーテル先端の低部に沿った外部表面が血管に向けて方向付けられるように、および/または、カテーテル先端の上部に沿った外部表面が血管から離れて方向付けられるように、適切に配置されていることを検証する工程、
【0040】
> 血液がアクセス針に入り、キットとともに提供され得るか、またはカテーテルもしくはその部品に内蔵される任意選択のフラッシュバックチャンバーの中に血液が見られるようになるまで、アクセス針を血管に挿入する工程、
【0041】
> カテーテル先端がアクセス針によって内部支持されている間に、アクセス針をカテーテルとともに押すか、またはカテーテルをアクセス針上で血管の壁の内側(例えば、より深い)表面に向かって押す工程、
【0042】
> カテーテル本体を、アクセス針に対して相対的に移動させ、カテーテル先端がアクセス針によって内部で支持されないようにする工程(一般的に、カテーテルチューブと針の間のカテーテル内部で血液が見えるようになる)、
【0043】
> 内側表面をカテーテル先端の底部および/または底部に近い遠位縁の一部と係合させる工程、
【0044】
> カテーテルを血管内に遠位まで進行させることによって、内側表面上で摺動させる工程。
【0045】
図2A図2Cは、血管(BV)内にアクセス針(107)の上にカテーテル(100)を挿入するための方法における工程を表す例示的なシナリオを概略的に示す。図2Aは、カテーテル(100)の血管(BV)への貫通後の第1のシナリオを示す。鋭い針先端(108)は、皮膚および血管(BV)の外側の(例えば、より浅い)壁部(SW)を貫通するように適用され、カテーテル先端(102)は、針(107)を取り囲み、針先端(108)の近位に位置する。図2Bは、カテーテル先端(102)が、一般的に外壁部(SW)に対向する血管(BV)の内側(例えば、より深い)壁部(IW)に係合させるまでアクセス針(107)と共に、またはその上に進行される、任意選択の第2のシナリオを示す。図2Cは、針(107)が、カテーテル先端(102)に対して部分的にまたは完全に引き出され、該カテーテル先端が、任意選択で内壁部(IW)上で屈曲および/または摺動しながら、血管(BV)内で遠位にさらに進行される第3のシナリオを示す。
【0046】
針およびカテーテルが血管、特に細い血管への最初の貫通に関与する一般的な失敗は、針先端で血管(BV)の内壁部(IW)に(図2Cに示される)病変(LS)のような故意でない傷または病変が形成されることである。このような場合、通常のカテーテル先端がアクセス針(107)と同様の針上を前方(遠位)に押し出されると、病変(LS)を拡大または崩壊させるなどして血管(BV)にさらに傷つけ、および/または病変(LS)を介して血管(BV)の管腔から外に貫通する実質的な可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、カテーテル先端部(102)は、血管(BV)への貫通直後に針の長手方向軸(114)と整合するアクセス針(107)の最初の軌道から十分に離れた(例えば、遠位に)内壁部(IW)と係合させるように構成され、結果として針先端(108)によって形成可能な内壁(IW)上の病変(LS)などのあり得る病変と接触する可能性を低減するように構成される。いくつかのそのような、または他の実施形態では、カテーテル先端(102)は、内壁(IW)上のフットプリントが病変(LS)の寸法よりも十分に大きく、それによって病変を貫通する可能性を減少させるために、遠位縁(111)の湾曲した底部および/または内側に崩れるように構成された底部を有するように構成される。いくつかのそのような、または他の実施形態では、カテーテル先端(102)は、例えば、図2Cに示されるように、カテーテル先端(102)が針(107)によって少なくとも部分的に支持されていないとき、例えば、針先端(108)がそれに対して(近位に)部分的にまたは完全に引き出されているとき、針軸(114)に対して前方(例えば、遠位に)に屈曲するよう構成される。
【0047】
図3A図3Cは、いくつかの実施形態に係る、弾性的に緩和された(応力なし)状態のカテーテル先端(102)の第1の例示的な構成の図を概略的に例示する。図3Aは、カテーテル先端(102)の等角投影図、図3Bはその正面図を示し、図3Cはその底面図を示す。前述されたように、カテーテル先端(102)は、遠位縁(111)の周辺で上部(112)に対向する底部(113)を含む。遠位縁(111)は、遠位縁(111)のより遠位に突出した部分と、より遠位に突出した部分よりも底部(113)に近い、遠位縁のより遠位に突出していない部分との間で傾斜している湾曲したおよび/または斜角の傾斜縁部(115)として任意選択で構成された少なくとも一つの傾斜縁部を任意選択で含む。遠位縁(111)は、アクセス針(107)で押し進められたときに皮膚および血管外壁(SW)を貫通しやすくするために、その少なくとも一部がテーパ状であってもよい。
【0048】
底部(113)は、カテーテル本体(101)が血管壁に対して傾斜しているときに、上部(112)よりも先に血管の壁に係合するように構成される。いくつかの実施形態では、底部(113)は、内側径方向変形に対する弾性抵抗が、上部(112)、および/または底部(113)に隣接するカテーテル先端(102)の他の部分の同等の抵抗より小さい。
【0049】
この設計の結果、カテーテル先端(102)は、アクセス針(107)で内部に支持されていないとき、底部(113)が血管壁に対してある角度で押されるとき、カテーテル本体(101)が血管壁に、そこに機械的損傷を引き起こすには不十分な力を伝達したときに、半径方向内側に崩れる(例えば、曲がる、圧縮する、または屈曲する)ように構成されている。崩れたとき、底部(113)は、血管壁の表面上に、アクセス針によって血管壁に形成可能な最大サイズの病変よりも大きなサイズのフットプリント(すなわち、崩れる間または崩れた直後の接触面積)を有する。血管壁上で針で形成される病変の最大サイズは、一般的に針先端(108)の断面のサイズ程度、またはそれ以下であるため、カテーテル先端(102)は、アクセス針(107)の最大サイズの断面よりも大きなサイズである最小フットプリント(同じ妥当な力および条件下で)を設計および構成され得る。
【0050】
底部(113)で押されると崩れるように構成されている一方、カテーテル先端(102)は、上部(112)が病変に対してある角度で押されるとき、同じ力を血管壁に伝達するときに、実質的に円形状(または別の一般的に丸みのある)の断面を維持するように構成されている。いずれの場合でも、カテーテル先端は、半径方向内側に崩れた底部(113)が、それに適用された外力から解放されて弾性的に緩和された(応力なし)状態に戻ると、その名目上の円形状(または別の一般的に丸みのある)の断面を弾性的に取り戻すように構成される。半径方向圧縮に対する弾性抵抗の記載された差と異なり、底部(113)は、任意選択で、上部(112)の弾性抵抗と同様の軸方向圧縮に対する弾性抵抗を有する。
【0051】
カテーテル先端(102)の上部(112)と底部位置(113)との間の半径方向圧縮に対する弾性抵抗のこの差を引き起こす構造的および/または機能的構成を獲得するための可能な方法は、これらの部分の各々一つに対する様々な機械的、熱的および/または化学的処理、例えば、様々なタイプまたは厚みのコーティングを適用すること、様々な材料を使用すること、またはその他の関連実務において知られているようなことを含んでもよい。例えば、底部(113)は、上部(112)(またはカテーテル本体(101)の残りの部分全体)とは別に、任意選択で上部(112)とは異なる材料で、または異なる工程もしくは処理下で形成され、後に、例えば、接着剤または熱接着を使用して、残りのカテーテル本体(101)に接続されてもよい。
【0052】
示されるように、底部(113)は、遠位縁(111)から延在し、遠位縁(111)に開かれた少なくとも1つのスリット(116)を備える。スリットを入れると、半径方向の圧縮に対する弾性抵抗が局所的に減少し、スリットに近いほどその減少が大きくなる。スリット(116)は、例えば、図3Dに示されるように、底部(113)が半径方向内側に押されたときに長手方向軸(114)に向かって内側にひねりかえるように構成された対向する垂直縁(117)を形成する。スリット(116)は、上部(112)と同様にスリット(116)に隣接する軸方向圧縮に対する同様の(例えば、同じ)抵抗を維持するように、実質的に真っ直ぐ、かつ長手方向軸(114)に平行である。任意選択で、スリットの代わりに、またはスリットの組み合わせで、底部(113)は、上部(112)に関する半径方向圧縮に対する局所的な構造的抵抗を低減するために、それに沿って延在する少なくとも1つの弱化するラインを有する。弱化するラインは、底部(113)の隣接する部分に対して、減少した厚みおよび/または減少した構造強度を有するように、任意選択で、構成される。
【0053】
図4A図4Bは、いくつかの実施形態に係るカテーテル先端(102)の別の例示的な構成の図を概略的に例示する。図4Aは、カテーテル先端(102)の側断面図、図4Bはその底面図を示す。示されるように、カテーテル本体(101)は管腔(118)を囲み、遠位縁(111)で終わるカテーテル先端(102)は、上部(112)と下部(113)との間に管腔(118)への開口部(119)を形成している。この例示的な構成では、遠位縁(111)は、上部(112)から底部(113)に向かって長手方向軸線(114)に実質的に垂直に延在する前縁部(120)、および底部(113)から前縁部(120)に向かって長手方向軸線(114)に対して傾斜して延在し、任意選択で(カテーテル本体(101)の中心線と一致する)長手方向軸線(114)に対して下方に位置する統合部(122)で前縁部(120)と統合するか、またはそれに隣接する傾斜縁部(121)として任意選択で構成されている少なくとも一つの傾斜縁部を含む。
【0054】
このように、カテーテル(100)は、アクセス針(107)上に押し込まれると、血管の内側表面を傾斜縁部(121)と(図2に示されるように)係合させるように構成される。また、傾斜縁部(121)は、カテーテル先端(102)が、それに関して引き抜かれたアクセス針(107)で血管壁に押し付けられるときに、血管内側表面を遠位方向に摺動するように構成されている。任意選択で、カテーテル(100)は、血管内側表面を傾斜縁部(121)と、アクセス針(107)の近位で係合させるようにさらに構成される。
【0055】
傾斜縁部(120)は湾曲しており、底部(113)に隣接する長手方向軸(114)と角度を形成し、(任意選択で約20°以下である)該角度は、前縁部(120)に隣接する(任意選択で約45°以上である)角度よりも実質的に小さい。
【0056】
底部(113)は、傾斜縁部(121)から近位に延在し、傾斜縁部(121)に開く溝(123)を含み、該溝は任意選択で狭い切れ目の形態であるが、追加的にまたは代替的に、少なくとも1つのスリットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル先端(102)は、皮膚へ、および血管へのカテーテルの貫通を容易にするために、先細りになり、遠位端(111)に向かって外径および/または厚さが減少している。
【0057】
参照される図5A図5Eは、いくつかの実施形態に係る、先端(102)の第3の例示的な構成の図を概略的に例示する。図5Aおよび図5Bのそれぞれは、カテーテル先端(102)の側面断面図、および底面図を示す。図5Cは、カテーテル先端(102)の前方(遠位)部分の軸方向投影図を示す。図5Dは、血管(例えば、静脈)へと貫通するためにアクセス針(107)の上に適切に配置されたカテーテル先端(102)の側面図を示す。図5Eは、図5Dのセグメント「S5E」の拡大図である。上記の実施例と同様に、カテーテル(100)は、長手方向軸(114)に沿ってその長さ全体に延在する管腔(118)を囲む細長い管状カテーテル本体(101)を含み、カテーテルは、血管へのアクセス針(例えば、針(107))の上を通過するように構成される。カテーテル本体(101)は、上部(112)と下部(113)との間に管腔(118)への開口部(119)を形成する遠位縁(111)で終わるカテーテル先端(102)を含む。
【0058】
この例示的な構成では、遠位縁(111)は、上部(112)から底部(113)に向かって延在する前縁部(120)を含み、該前縁部は、長手方向軸(114)に対して実質的に垂直な方向にある。遠位縁(111)は、その少なくとも一部(例えば、示されるように、その大部分、または実質的に全長に沿って)が長手方向軸(114)に対して輪郭または境界が実質的に平行である少なくとも1つの傾斜縁部(130)をさらに含む。前縁部(120)は、長手方向軸線(114)に対して下方に位置する湾曲した統合部において、任意選択で底部(113)の相対的な高さレベルに近接して傾斜縁部(130)と統合する。いくつかの実施形態では、カテーテル先端(102)は、皮膚へ、および血管へのカテーテルの貫通を容易にするために、遠位端(111)に向かって外径および/または厚さが減少し、先細りになる。
【0059】
カテーテル(100)は、アクセス針(107)の上に押されたときに、血管の内側表面を傾斜縁部(130)と(例えば、図2に示すように)係合させ、アクセス針がそれに対して引き抜かれた状態でカテーテル先端(102)が血管壁に押し付けられるとき、傾斜縁部(130)によって血管内側表面上で遠位に摺動するよう構成される。任意選択で、カテーテル(100)は、第1に、アクセス針(107)の近位で血管の内側表面を傾斜縁部(130)と係合させるように構成される。
【0060】
傾斜縁部(130)は、長手方向軸(114)の異なる側に提供される2つの摺動面(131)および(132)を含む。摺動面(131)および(132)は、その少なくとも大部分の表面積に沿って実質的に平坦であり、両方は、長手方向軸(114)に平行で、カテーテル(100)の平面図(例えば、図5Bに示すような上面図または底面図)に対して平行で、かつ正面図(例えば、図5Aに示されるような側面図)に垂直に共有面に沿って延在する。一般的な末梢静脈アクセスの実施では、カテーテルは、血管内に貫通した後、通常、血管内側表面とほぼ平行に浅い角度で遠位まで進行される。したがって、傾斜縁部(130)のこの設計上の特徴の潜在的な利点は、2つである。(a)本質的に血管内側表面に向かってより大きな角度でカテーテルの前進を促す、傾斜したおよび/または円錐形状の先端を備えたカテーテルとは異なり、傾斜縁部(130)は、カテーテル長手軸(114)に実質的に平行であり、したがって、血管内側表面上を軸方向に摺動運動することを本質的に促し、および/または(b)一般的に丸みを帯びた縁および/または小さなフットプリントで構成される既知のカテーテルとは異なり、傾斜縁部(130)は、平坦かつ滑らかでもある摺動面(131)および(132)を有する実質的により大きなフットプリントを有し、それゆえ、血管内側表面における牽引を減らし滑走性を高めることが可能になる。
【0061】
摺動面(131)および(132)のそれぞれは、前縁部(120)と明確に統合する、第1摺動面(131)は、第1統合部(133)で統合し、第2摺動面(132)は、第2統合部(134)で統合する。統合部(133)および(134)は、長手方向軸(114)の異なる側に設けられ、そこから横方向に離れているので、針先(108)で血管壁をその内側表面で意図せず穿刺した後に血管壁組織を解離する可能性を低減し、針先端(108)に隣接し長手方向軸(114)上に設けられた単一の縁部によって形成された穿刺と係合し、穿刺をさらに拡大し最終的に組織を切り離し得る他のカテーテルとは異なる。統合部(133)および(134)の各々の1つは、統合部(134)および/または(135)が血管内側表面と直接係合するとき、血管軸に対してより大きな角度からより浅い角度へのカテーテル(100)の円滑な移行を可能にするために、湾曲および/または傾斜している。傾斜縁部(130)は、摺動面(131)および(132)の両方と底面部(113)との統合部において、単一の傾斜縁部(121)をさらに含む。傾斜縁部(121)は、長手方向軸(114)に対して傾斜した底部(113)から前縁部(120)に向かって延在する。
【0062】
図6A図6Cは、少なくとも血管アクセスカテーテル(201)およびアクセス針(202)を含む例示的な血管アクセスキット(200)の図を例示する。図6Aは、カテーテル(201)およびアクセス針(202)が分離された状態を示し、図6Bは、アクセス針(202)がカテーテル(201)を通って延在し、所定の相対的長さ方向位置でそれに固定的に接続された状態を示す。図6Cは、図6Bのキット(200)の遠位置の拡大図(ズームイン)であり、アクセス針(202)の斜角先端(203)およびカテーテル(201)のカテーテル先端(204)を示す。図7A図7Cは、カテーテル先端(204)を備えたカテーテル本体の一部を示すカテーテル(201)の遠位長の部分等角図(図7A)、カテーテル先端(204)の前部を示す拡大図(図7B)、およびカテーテル先端(204)を含むカテーテル(201)の遠位長の側断面図(図7C)を含むカテーテル(201)の図を示す。
【0063】
カテーテル(201)は、管腔(206)を囲む細長い管状カテーテル本体(205)を含む。管腔(206)は、カテーテル先端(204)に近接するカテーテル本体(205)の一部(例えば、大部分)に沿って円筒形状であり、カテーテル先端(204)の一部に沿って先細りになる。カテーテル本体(205)の前部(遠位)であるカテーテル先端(204)は、カテーテル遠位端(207)で終わり、カテーテル遠位端(207)において、管腔(206)に開かれる開口部(209)を取り囲む遠位端(208)を含む。アクセス針(202)は、中空の針体(210)、および遠位の鋭い針縁(211)で終わる斜角の針先端(203)を含む。カテーテル(201)は、少なくとも二つの構成において管腔(206)および開口部(209)を介してアクセス針(202)を収容するように構成され、該構成は、斜角先端(203)が管腔(206)から遠位にカテーテル遠位端(207)まで完全に延在する「組織貫通構成」(例えば、図6B図8Aおよび図9Aに示される)、および斜角先端(203)が管腔(206)内でカテーテル遠位端(207)に近接して完全に存在する「安全構成」(例えば、図8Bおよび図9Bに示される)を含む。管腔(206)は、カテーテル先端(204)に沿って斜角先端(203)に近接してアクセス針の直径よりも小さいシール径まで直径が減少し、結果的に、組織貫通構成であるときに開口部(209)を介して血液が管腔(206)にアクセスすることを防止するためのアクセス針(202)の周りの密閉部を形成し、安全構成にあるときに開口部(209)を介して管腔(206)への血液のアクセスを容易にするようにする。カテーテル(201)およびアクセス針(202)は、組織貫通構成においてカテーテル(201)にアクセス針(202)を固定するように構成された、任意選択で示されるようなルアーフィッティングの形態の、結合手段(212)の嵌合部分を含む。
【0064】
遠位縁(208)は、開口部(209)の上部にまたがる前縁部(213)および、開口部(209)の下部にまたがり、カテーテル本体(201)の長手方向軸(X)に対して前縁部(213)から近位方向に離れて(カテーテル先端(204)の下端に向かって)傾斜する、傾斜縁部(214)を含む。(図7Cに示されるように)開口部(209)の上部は、長手方向軸(X)の上の開口部(209)の断面積に関連し、開口部(209)の底部は、長手方向軸(X)の下の開口部(209)の断面積に関連する。前縁部(213)は、長手方向軸(X)に垂直に交差するカテーテル本体(205)の横断面(TP)と実質的に一致する。任意選択で、前縁部(213)は、遠位端(207)においてカテーテル本体(205)の横断面の少なくとも半分にまたがる。任意選択で、前縁部(213)は、少なくともその大部分において、横断面(TP)に実質的に平行する。傾斜縁部(214)は、20°を上回り、任意選択で特に40°を上回り、任意選択で特に60°を上回る平均角度で長手方向軸(X)に対して傾斜しており、および/または45°未満、任意選択で特に30°未満、任意選択で特に20°未満の平均角度で前縁部(213)または横断面(TP)に対して傾斜している。
【0065】
いくつかの実施形態では、前縁部(213)は少なくとも部分的に平坦であり、傾斜縁部(214)は少なくとも部分的に湾曲している。任意選択で、傾斜縁部(214)の曲率半径は、前縁部(213)に隣接するところで最も小さく、および/または傾斜縁部(214)の頂点(215)に隣接するところで最も大きく、任意選択で前縁部(213)と頂点(215)の間で徐々に増加し、任意選択で特に前縁部(213)から頂点(215)の間で増加する。いくつかの実施形態では、傾斜縁部(214)は、その頂点(215)に隣接して約20°よりも小さい長手方向軸(X)との接線角を形成し、および/または前縁部(213)との統合部に隣接して約45°よりも大きい長手方向軸(X)との別の接線角を形成する。
【0066】
いくつかの実施形態では、カテーテル(201)は、アクセス針(202)の上に押されたときに血管の内側表面を傾斜縁部(214)と係合させ、アクセス針(202)がカテーテル先端(204)から引き抜かれたときにカテーテル先端(204)が血管壁に押されると傾斜縁部(214)で血管内側表面上で遠位に摺動するように構成される。大きな傾斜部分および/または湾曲部分のない平坦な前端を含む先行技術のカテーテルは、カテーテルが血管壁に係合し、血管長軸に対して傾斜した状態で血管壁に押し付けられる際に、鋭利な縁として作用するその下端によって血管壁を傷つける傾向がある。湾曲した傾斜縁部(214)を使用すると、第1に、鋭利さを低減または排除することによって、および/または血管壁を係合させるより大きなフットプリント領域を有することによって、血管壁を傷つけるまたは貫通する可能性を低減することによって、この欠点を克服することができる。さらに、血管壁との一部またはすべての接触点における湾曲した傾斜縁部(214)のその接線が血管長手方向と平行または平行に近いので、先行技術のカテーテルと比較して、カテーテルを押すために加えられる力から、血管管腔の長手方向に大きな接線力要素および血管壁に向かって垂直な方向に小さな通常力要素を分配することができる。遠位縁(208)は、完全に傾斜および/または湾曲していないため、組織貫通構成においてアクセス針(202)上の皮膚組織を貫通している間および/または血管に貫通している間にカテーテル先端(204)の十分な構造的完全性を維持するための大きなサイズの前縁部(213)を含むことに留意されたい。
【0067】
傾斜縁部(214)は、摺動面(217)を含むか、または摺動面(217)と統合する。摺動面(217)は、任意選択で、少なくとも部分的に湾曲および/または平坦であり、傾斜縁部(214)および/または長手方向軸(X)に対して、少なくとも部分的に平行、または浅い角度(例えば、45°未満、任意選択で特に20°未満)で傾斜している。摺動面(217)は、遠位放物線(218)が近位放物線(219)よりも小さい焦点距離を有するように、遠位放物線(218)と近位放物線(219)とによって囲まれた成形領域を形成する。いくつかの実施形態では、キット(200)が組織貫通構成において組み立てられるとき、針縁(211)は、図6Cに示される前縁部(213)の頂点(216)よりも傾斜縁部(214)の頂点(215)(これは遠位放物線(218)の頂点である)に対して等距離またはより大きい距離を有する。いくつかの実施形態では、カテーテル先端(204)は、摺動面(217)に沿って厚さが変化し、摺動面(217)は、相互横断面において摺動面(217)に対向するカテーテル先端の外表面部分の半径より実質的に大きい平均曲率半径を有する。いくつかの実施形態では、摺動面(217)は、カテーテル先端(204)の(上端に沿った)対向する部分よりも小さい半径方向内側の変形に対する弾性抵抗を有する。いくつかの実施形態では、キット(200)は、半径方向内側に崩れたときに、その底部または端部に沿ったカテーテル先端(204)が、アクセス針(202)によって血管壁に形成可能な最大サイズの病変よりも大きなサイズの血管壁の表面上のフットプリントを有するように構成される。
【0068】
血管内側表面を湾曲した傾斜縁部(214)と係合させることによって血管壁への損害を防止する以外に、カテーテル先端(204)は、キット(200)が組織貫通構成で固定されるときに、鋭い針縁(211)で故意でない血管壁を貫通するなどして既に生じた病変のサイズおよび/または重症度を増加させる可能性を低減するように任意選択で構成されており、例えば、穿刺サイズを拡大しおよび/またはこの穿刺を通してカテーテル(201)を血管管腔から外へ前進させる。傾斜縁部(214)は、長手方向軸(X)を挟んで対向する開口部(209)の側面に提供される2つの曲面(220)を含み、摺動面(220)の各々の1つは、異なる統合部(221)で異なるように前縁部(213)と統合する。このように、カテーテル先端(204)が予め形成された病変に係合するとき、病変を横切る最初の接触および摺動は、病変幅よりも(アクセス針(202)の直径と同等、またはそれより小さく)離れた摺動面(220)で直接生じる。各々の統合部(221)は、任意選択で丸みを帯び、湾曲し、および/または傾斜しており、任意選択で長手方向軸(X)に隣接してまたは長手方向軸(X)より下に位置される。
【0069】
図8A図8Eは、キット(200)を使用して血管(BV)にアクセスする(カテーテル(201)を挿入する)方法における工程を表す例示的なシナリオの第1セットを模式的に例示する。図8Aに示されるように、キット(200)のカテーテル(201)とアクセス針(202)は、第一に組織貫通構成において一体的に組み立てられて固定され、その後、血液を血管(BV)からアクセス針(202)内に吸引することを可能にするために、斜角先端(203)で血管(BV)を貫通するまで生きている対象の皮膚層を通って押し込まれる。キット(200)のサイズは、組織貫通構成において血管(BV)の管腔において斜角先端(203)を正しく位置付けることによって、カテーテル先端(204)も(例えば、大部分または完全に)血管(BV)に挿入されるように、血管寸法に応じて決定される。カテーテルを挿入する工程は、正しい位置と配向を示すために、開口部(209)またはカテーテル先端(204)の底部が血管(BV)に方向付けられること、および/または開口部(209)またはカテーテル先端(204)の上部が血管(BV)から離れて方向付けられることを検証することを含み得る。例えば、図示されるように、皮膚を通って血管(BV)内に適切に貫通する場合、前縁部(213)の上部はカテーテルの前縁として機能する一方、傾斜縁部(214)は、前縁部分(213)の貢献に関するカテーテル挿入中の周辺組織との物理的相互作用を減少させるか、または有意に増大させないように近位に十分離れている。
【0070】
斜角先端(203)が血管(BV)の管腔に入ると、医療従事者は、血液が血管(BV)からアクセス針(202)に吸引されることを検証し得、これによって、斜角の針(203)の適切な位置決めが示され得る。その後、カテーテル(201)とアクセス針(202)は、斜角先端(203)がカテーテル遠位端(207)に近接して管腔(206)内に完全に収容されるようにカテーテル先端(204)に対して斜角先端(203)を移動させることなどによって(図8Bに示されるように)安全構成に移行させることができる。この移行させる工程は、アクセス針(202)を有するカテーテル(201)の血管(BV)に対する傾斜の変更、および/または血管(BV)におけるカテーテル(201)および/またはアクセス針(202)の再位置決めの後に行うか、またはそれを含むことができる。
【0071】
安全構成にあるとき、医療従事者は、その配備を完了することに進む前に血液が血管(BV)からカテーテル(201)の管腔(206)に吸引されることを確認することができる。その後、アクセス針(202)はさらに引き出され得、および/またはカテーテル(201)は針(202)を超えて前方(遠位)に押され得、このことは、図8Cに示されるように、血管(BV)の内側(例えば、より深い)表面を傾斜縁部(214)と係合させることを含み得る。アクセス針(202)は、管腔(206)から完全に除去され得、任意選択で、結合手段(212)でカテーテル(201)に接続可能な注射器などの流体源と交換され得、これは、カテーテルを洗浄するためおよび/またはカテーテル(201)を介して血管(BV)に薬物を投与するために使用することができる。アクセス針(202)の取り外しおよび/または注射器との結合は、図8Dに示されるように、カテーテル先端(204)に対して遠位に血管(BV)を圧縮しながら行なわれ得る。その後、カテーテル(201)は、血管内で遠位に進行させられ(図8E)、最終的な位置決めおよび配備を行うことができる。
【0072】
図9A図9Fは、キット(200)を使用して血管(BV)にアクセスするための方法における工程を表す例示的なシナリオの第2セットを模式的に例示する。このセットのシナリオでは、医療従事者は、例えば、図9Aに示されるように、斜角先端(203)が血管(BV)の上部(浅い)部分とそれに対向する下部(深い)部分の両方を貫通するように、組織貫通構成におけるカテーテル(201)でアクセス針(202)を、故意に(例えば、意図的に)または無意識に血管(BV)の全幅にわたって押すことがあり得る。この例では、組織貫通構成のときにカテーテル先端(204)を血管(BV)に挿入する工程は、斜角先端(203)で血管(BV)壁の内側表面を通る病変(LS)を形成することを含むが、結果的に形成する(例えば、図9Cに示される)。その後、カテーテル(201)は、血管(BV)においてカテーテル(201)の最終配備段階に進む前に、正しい位置決めに到達および/または検証するまで、血管(BV)の管腔に引き戻されることができる。カテーテル(201)を引き出す前に、アクセス針(202)は、カテーテル(201)から(例えば、安全構成まで)部分的に引き出すか、または完全に引き出す(例えば、除去する)ことができる。
【0073】
図9Aに示されるような血管(BV)の「両側貫通」の後、医療従事者は、先ず、血液が血管(BV)からアクセス針(202)に吸引されたか否かを検証することができるが、このシナリオでは、検証は、血液がアクセス針に吸引されたことを無効にする(すなわち、血管(BV)からアクセス針(202)に実際に血液が吸引されなかったことを示すまたは証明する)結果になり得る。そのような結果、カテーテル(201)およびアクセス針(202)は、まず安全構成(図9B)に移行させることができ、または代替的にアクセス針(202)をカテーテル(201)から取り外し、その後、血管(BV)から管腔(206)に血液が吸引されたことを確認するまで(カテーテル先端(204)が血管(BV)に挿入されたことを示すまたは証明する)、任意選択でアクセス針(202)が安全構成(図9C)に維持されて、カテーテル(201)を徐々に引き出すことができる。その後、カテーテル(201)は、その病変を再び貫通することなく、または周辺組織を傷つけることなく病変(LS)を通りすぎるために、任意選択で病変(LS)の反対側から血管(BV)の内側表面の遠隔部分上を傾斜縁部(214)の摺動面(220)によって摺動することにより、押し込まれ、血管(BV)の内側表面を傾斜縁部(214)と係合させることができる(図9D)。前の段階でまだ行われていない場合、アクセス針(202)は、カテーテル(201)の管腔(206)から完全に除去され得(図9E)、カテーテル(201)は、選択された配備位置まで遠位に前進させることができる(図9F)。カテーテル(201)の前進は、傾斜縁部(214)および/またはカテーテル先端(204)で摺動面(217)を含む下端に沿って、病変(LS)上におよび病変(LS)を摺動して通りすぎることを任意選択で含み得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、カテーテル(201)および/またはキット(200)を使用する利点は、病状がある静脈または非常に小さな静脈にアクセスするために特に適し得る。小静脈において、アクセスポイントでの直径はカテーテル本体とほぼ同じか、またはそれよりも小さい場合があり、したがって、アクセスおよび配備プロセスのいずれかの時点で、先行技術のカテーテル先端の遠位端または一部による血管壁への少なくともいくらかの係合の可能性がある。このように、傾斜縁部(214)を有するカテーテル(201)を適用することによって、血管への傾斜貫通中に、標準カテーテルよりも相対的な高さを小さくすることができる。いくつかのそのような実施形態では、カテーテル(201)を配備するためにキット(200)を使用する方法の予備段階は、血管が病気であること、および/またはカテーテル本体と同じかそれより小さい直径の静脈または約1mmより小さい静脈であることを確認することを含む場合がある。
【0075】
本明細書で使用される単数形の文法形式で書かれた以下の各用語「a」、「an」、「the」は、「少なくとも1つ」、または「1つ以上」を意味する。本明細書では、「1つ以上」という表現の使用は、「a」、「an」または「the」のこの意図された意味を変更しない。したがって、本明細書で使用される用語「a」、「an」、および「the」は、本明細書で特に定義または記載されていない限り、または、文脈から明らかに指示されない限り、記載された実体またはオブジェクトの複数を指し、包含してもよい。例えば、本明細書で使用される「ユニット」、「デバイス」、「アセンブリ」、「機構」、「コンポーネント」、「要素」、および「工程または手順」という表現は、それぞれ複数のユニット、複数のデバイス、複数のアセンブリ、複数の機構、複数のコンポーネント、複数の要素、および、複数の工程または手順を指し、包含してもよい。
【0076】
本明細書で使用される以下の各用語「含む」(includes)、「含んでいる」(including)、「有する」(has)、「有している」(having)、「含む」(comprises)ならびに「含んでいる」(comprising)、およびそれらの言語的/文法的変種、誘導体、または/および共役は、「含むが、これに限定されない」ことを意味し、記載された構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数、または工程を具体化するものと見なされるべきであり、1つまたは複数の追加の成分、特徴、特性、パラメータ、整数、工程、またはそれらのグループの追加を排除するものではない。これらの用語の各々は、「本質的に~からなる」という表現と同等の意味を有すると考えられる。
【0077】
本明細書で使用される用語「方法」は、所定のタスクを達成するための工程、手順、作法、手段、または/および技術を指し、開示する発明の関連分野の実務者が既知の工程、手順、作法、手段、または/および技術から容易に開発したものを含むが、これらに限定されない。
【0078】
本開示を通じて、パラメータ、特徴、特性、オブジェクト、または寸法の数値は、数値範囲形式の観点から主張または記載されてもよい。本明細書で使用されるこのような数値範囲形式は、本発明のいくつかの例示的な実施形態の実装を示すものであり、本発明の例示的な実施形態の範囲を硬直的に制限するものではない。したがって、主張または記載される数値範囲は、その主張または記載された数値範囲内のすべての可能な下位範囲および個々の数値(数値は非負整数、整数または小数で表される場合がある)を指し、包含する。例えば、主張または記載される「1~6」の数値範囲は、「1から6まで」の主張または記載される数値範囲内の「1~3」「1~4」「1~5」「2~4」「2~6」「3~6」など、すべての可能な下位範囲、および、「1」、「1.3」、「2」、「2.8」、「3」、「3.5」、「4」、「4.6」、「5」、「5.2」および「6」などの個々の数値を指し、包含する。このことは、記載された数値範囲の広さ、範囲、大きさにかかわらず、適用される。
【0079】
さらに、数値範囲を主張または記載する場合、「約第1数値と約第2数値との間の範囲内」という表現は、「約第1数値から約第2数値までの範囲内」という表現と同等の意味を有するとみなされ、したがって、この2つの同等の意味の表現は交換可能に使用され得る。例えば、室温の数値範囲を主張または記載する場合、『室温は約20℃から約25℃の間の範囲の温度を指す』という表現があり、『室温は約20℃から約25℃の範囲の温度を指す』という表現と同等で、同じ意味を有すると考えられる。
【0080】
本明細書で使用される用語「約」は、記載された数値の±10%を意味する。
【0081】
明確さのために、複数の別々の実施形態の文脈または形式で例示的に記載および提示されている本発明の特定の態様、特性、および特徴は、単一の実施形態の文脈または形式においていずれかの適切な組み合わせまたは下位組み合わせで例示的に記載および提示され得ることが十分に理解されるであろう。逆に、単一の実施形態の文脈または形式で組み合わせまたは下位組み合わせで例示的に記載および提示される本発明の様々な態様、特性、および特徴は、複数の別々の実施形態の文脈または形式で例示的に記載および提示されてもよい。
【0082】
本発明は、特定の例示的な実施形態、およびその例によって例示的に記載および提示されたが、その多くの代替案、修正案、または/および変形案が、当業者には明らかであろう。したがって、そのような代替案、修正案、および/または変形案はすべて、添付の特許請求の範囲の精神に含まれ、その広い範囲に包含されることが意図される。
【0083】
本開示で引用または参照されるすべての刊行物、特許、および/または特許出願は、個々の刊行物、特許、および/または特許出願が参照により本明細書に組み込まれるように具体的かつ個別に示されるのと同程度に、参照によりその全体として本明細書に組み込まれる。加えて、本明細書における参考文献の引用または特定は、当該文献が本発明の先行技術を表すまたは対応することを認めるものとして解釈または理解されてはならない。なお、各項目の見出しは、必ずしも限定的なものとして解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
【手続補正書】
【提出日】2022-02-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔を包囲する細長い管状カテーテル本体であって、カテーテル遠位端で終端となるとともに、管腔へと通じる開口部を取り囲む前記カテーテル遠位端にて遠位縁を含むカテーテル先端を含む、カテーテル本体を含む、血管アクセスカテーテルであって、
前記血管アクセスカテーテルは、前記管腔および前記開口部を通ってアクセス針を収容するように構成され、
ここで、遠位縁は、前記開口部の上部にまたがる前縁部、ならびに前記開口部の底部にまたがり、前記カテーテル本体の長手方向軸に対して前記前縁部から離れて近位方向に傾斜する傾斜縁部を含み、
ここで、前記アクセス針の開口部の前記傾斜縁部は、長手方向断面において少なくとも部分的に湾曲している、血管アクセスカテーテル。
【請求項2】
前記管腔は、前記カテーテル先端に近接する前記カテーテル本体の一部に沿って円筒形状であり、その中を延在するときに前記アクセス針の周りを密封するために前記カテーテル先端の一部に沿って先細り形状になる、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項3】
前記前縁部は、前記長手方向軸に垂直に横切る前記カテーテル本体の横平面と実質的に適合する、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項4】
前記前縁部は、前記横平面に平行な、前記遠位端において前記カテーテル本体の断面の少なくとも半分にまたがる、請求項3に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項5】
前記傾斜縁部は、前記横平面または前記前縁部に対して45°未満の平均角度で傾斜する、請求項3に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項6】
前記前縁部は、少なくとも部分的に平坦状である、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項7】
前記傾斜縁部の曲率半径は、前記前縁部に隣接するときに最小であり、および/または前記傾斜縁部の頂点に隣接するときに最大である、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項8】
前記傾斜縁部の曲率半径は、前記前縁部と前記傾斜縁部の頂点との間で徐々に増加する、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項9】
前記傾斜縁部は、前記傾斜縁部および/または前記長手方向軸に対して、少なくとも部分的に平行であるか、または浅い角度で傾斜する摺動面を含むか、または該摺動面と統合する、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項10】
前記摺動面は、遠位放物線と近位放物線により、および該遠位放物線と該近位放物線の間に境界付けられた成形領域を形成し、前記遠位放物線は前記近位放物線よりも短い焦点距離を有する、請求項9に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項11】
前記摺動面は、少なくとも部分的に湾曲している、請求項9に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項12】
前記カテーテル先端は、前記摺動面に沿って厚みが変動する、請求項9に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項13】
前記摺動面の平均曲率半径は、相互の横断面において前記摺動面に対向する前記カテーテル先端の外側表面部の半径よりも実質的に大きい、請求項9に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項14】
前記傾斜縁部は、前記長手方向軸に対して前記開口部の反対側に設けられる2つの曲面を含む、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項15】
前記カテーテルは、アクセス針の上に押し当てられると血管内側表面を前記傾斜縁部と係合させるように、かつ、前記カテーテル先端が血管壁に押し付けられて、前記アクセス針が前記カテーテル先端から引き抜かれると、前記傾斜縁部とともに血管内側表面上で遠位に摺動するように構成される、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項16】
前記前縁部は、統合部において前記傾斜縁部と統合し、前記統合部は、円形状であり、湾曲しており、または傾斜している、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項17】
前記統合部は、前記長手方向軸に隣接するか、または前記長手方向軸より下に位置する、請求項16に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項18】
前記カテーテル先端は、前記カテーテル先端の下端に沿って延在するとともに、前記傾斜縁部から近接して前記傾斜縁部へと通じる溝部を含む、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項19】
前記カテーテル先端は、前記カテーテル先端の下端に沿って延在するとともに、前記傾斜縁部から近接して前記傾斜縁部へと通じる幅の狭い切れ目またはスリットを含む、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項20】
前記傾斜縁部は、その頂点に隣接して、前記長手方向軸に対する約20°未満の第1接線角度を形成する、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項21】
前記傾斜縁部は、前記前縁部に隣接して、前記長手方向軸に対する約45°を上回る第2接線角度を形成する、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項22】
前記カテーテル先端の下端は、径方向内側への変形に対する弾性抵抗が、前記カテーテル先端の上端よりも小さい、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項23】
前記カテーテル先端は、前記アクセス針で内部が支持されていないとき、前記カテーテル先端の下端が血管壁に一定の角度で押し付けられて、前記カテーテル本体により、血管壁に機械的損傷を与えるには不十分な力が血管壁に伝わると、径方向内側に崩れるように構成される、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項24】
前記カテーテル先端はその下端に沿って、径方向内側に崩れると、前記アクセス針の最大サイズの断面よりも大きいサイズのフットプリントを前記血管壁の表面に有するように構成される、請求項1に記載の血管アクセスカテーテル。
【請求項25】
血管アクセスキットであって、
請求項1に記載の血管アクセスカテーテルと、
中空針体、および遠位の鋭い針縁部で終端となる斜角先端を含むアクセス針と、を含む、血管アクセスキット。
【請求項26】
前記血管アクセスカテーテルが、少なくとも2つの構成で管腔と開口部を通ってアクセス針を収容するように構成されており、前記2つの構成は、前記斜角先端が全体で前記管腔から前記カテーテル遠位端まで延在する組織貫通構成、および前記斜角先端が全体で前記カテーテル遠位端に近接して前記管腔内に存在する安全構成を含む、請求項25に記載の血管アクセスキット。
【請求項27】
前記管腔は、前記カテーテル先端に沿って、前記斜角先端に近接する前記アクセス針の直径よりも小さいシール径にまで直径が小さくなることで、組織貫通構成にあるときは、血液が前記開口部を介して前記管腔にアクセスするのを防ぐために前記アクセス針の周りに密閉部を形成し、かつ前記安全構成にあるときには前記開口部を介して前記管腔への血液のアクセスを容易にする、請求項26に記載の血管アクセスキット。
【請求項28】
前記組織貫通構成において前記アクセス針を前記カテーテル内に固定するように構成される連結手段を含む、請求項26に記載の血管アクセスキット。
【請求項29】
前記組織貫通構成にあるとき、針縁部は、前記傾斜縁部の頂点までの距離が、前記前縁部の頂点までの距離以上である、請求項26に記載の血管アクセスキット。
【請求項30】
前記カテーテル先端がその下端に沿って、径方向内側に崩れると、前記アクセス針によって前記血管壁に形成可能な最大サイズの病変よりも大きなサイズのフットプリントを前記血管壁の表面に有するように構成される、請求項25に記載の血管アクセスキット。
【請求項31】
請求項26に記載のキットを使用して、血管にカテーテルを挿入する方法であって、
カテーテルとアクセス針が組織貫通構成であるときに、カテーテル先端を血管内に挿入する工程と、
斜角先端が全体でカテーテル遠位端に近接した管腔内に存在するように、前記カテーテル先端に対して前記斜角先端を動かすことによって、前記カテーテルと前記アクセス針を安全構成へと移行する工程と、
前記血管の内側表面を前記傾斜縁部に係合させる工程と、
前記アクセス針を前記管腔から取り外す工程と、
前記カテーテルを前記血管中で遠位方向に進行させる工程と、を含む、方法。
【請求項32】
前記挿入する工程は、前記斜角先端により前記血管壁の内側表面に病変を形成することを含み、前記係合させる工程は、前記傾斜縁部により前記病変の反対側から前記内側表面の遠隔部分を摺動させることを含み、前記進行させる工程は、前記傾斜縁部および/または前記カテーテル先端をその下端に沿って前記病変の上と全体で摺動させることを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記挿入する工程は、血液が血管から前記アクセス針に吸引されるかどうかを検証することを含む、および/またはその後に行われる、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記検証することが、前記アクセス針に吸引された血液が破棄されることになる場合、前記移行する工程の後に、検証用の血液が前記血管から前記管腔に吸引されるまで、前記カテーテルが引き抜かれる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
引抜きは、前記移行する工程、または前記取り外す工程の後に、かつ係合させる工程の前に行われる、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記係合させる工程は、検証用の血液が、前記移行する工程の後に、前記血管から前記管腔へと吸引された後に行われる、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記挿入する工程は、
前記血管アクセスカテーテルが前記組織貫通構成において前記アクセス針に固定されていることを検証することと、
血液を前記血管から前記アクセス針内に吸引することを可能にするために、前記血管を前記斜角先端で貫通させることと、を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記挿入する工程は、前記底部が前記血管に方向付けられ、および/または前記上部が前記血管から離れるように方向付けられることを検証することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記挿入する工程は、前記血管が罹患状態にあること、および/または、直径が前記カテーテル本体以下であるかもしくは約1mm以下である静脈であることを検証することを含む、および/またはその後に行われる、請求項31に記載の方法。
【国際調査報告】