(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(54)【発明の名称】心臓収縮調節療法を用いたCRTノンレスポンダーの治療
(51)【国際特許分類】
A61N 1/365 20060101AFI20230817BHJP
G16H 50/00 20180101ALI20230817BHJP
【FI】
A61N1/365
G16H50/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022580010
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(85)【翻訳文提出日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 IB2021055614
(87)【国際公開番号】W WO2021260620
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520490624
【氏名又は名称】インパルス ダイナミクス エヌヴイ
【氏名又は名称原語表記】IMPULSE DYNAMICS NV
【住所又は居所原語表記】Schottegatweg Oost 10, Unit A1K, Willemstad, Curacao, Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プラッチ デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ケディコグル シメオン イオアニス
【テーマコード(参考)】
4C053
5L099
【Fターム(参考)】
4C053CC02
4C053KK02
4C053KK07
5L099AA03
(57)【要約】
心臓収縮調節療法のために患者を選択する方法であって、心臓再同期療法(CRT)に対する基準を満たしている患者を選択することと、患者へCRTの効果的な提供の際の潜在的な困難を検出することと、前記潜在的な困難にもかかわらず、患者が心臓収縮調節療法の恩恵を受けることができると判定することとを含む、方法。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓収縮調節療法のために患者を選択する方法であって、
心臓再同期療法(CRT)の基準を満たす患者を選択することと、
前記患者への前記CRTの効果的な提供の際の潜在的な困難を検出することと、
前記潜在的な困難にもかかわらず、前記患者が心臓収縮調節療法の恩恵を受けることができると判定することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記検出することが、CRT前の侵襲的治療が有効であると予想されるかどうかを検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出することが、前記患者は腎不全、真性糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、無呼吸などの睡眠障害、及び貧血を含むリストから選択される1つまたは複数の併存症を患っている、という指標を受信することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出することが、前記患者は心不整脈を患っているという指標を受信することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記心不整脈が非左脚ブロック(非LBBB)を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記判定することが、前記患者はNYHAクラスII~IVの心不全を患っているという指標を受信することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記判定することが、前記患者は25%~55%の範囲の左心室駆出率を患っているという指標を受信することを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記判定することが、前記患者は130msより大きい正常なQRS幅を呈するという指標を受信することを含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記判定することが、少なくとも1つの電極リードを介して心臓に提供される心臓収縮調節のための試験電界のパラメータを用いて心臓デバイスのパルス発生器を設定することと、前記患者への前記試験電界の効果が、前記患者は前記少なくとも1つの電極リードを介して心臓収縮調節療法の恩恵を受けることができることを示している、と判定することとを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記試験電界が、最大1時間続く試験セッションの一部である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記パルス発生器が、前記患者の体外に配置されるように構成される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの電極リードを介した心臓収縮調節及びCRT療法の提供に適した心臓組織位置を選択すること、を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの電極リードが、前記少なくとも1つの電極リードの少なくとも一部を心臓の中隔に固定するように構成されたアンカーを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記心臓組織位置が左心室または右心室を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
CRT及び心臓収縮調節療法の両方の提供に適した前記電極リードの電極が、少なくとも4mm
2の表面積を有し、高静電容量及び低分極コーティングでコーティングされる、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
CRTの効果が計画された効果ではないことを識別することを含む、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記識別することが、前記CRTの効果が心拍出量の増加に対して不十分な効果であることを識別することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記識別することが、前記CRTの効果が少なくとも1つの望ましくない副作用を含むことを識別することを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの望ましくない副作用が痛覚を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの望ましくない副作用が不整脈を含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記識別することが、前記CRTの効果が計画された効果ではないことを前記CRTの開始から少なくとも1ヶ月後に識別することを含む、請求項16~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
二重目的デバイスがCRT及び心臓収縮調節療法の両方のための電界を生成するように構成される治療計画を選択することを含む、請求項12~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記二重目的デバイスが、心臓の不応期中にCCM電界を一連の二相性双極パルスとして計時するように構成される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記CCM電界が少なくとも5Vの振幅を有し、各二相性パルスの持続時間は9ミリ秒~15ミリ秒の範囲である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記判定することの結果に従って、心臓収縮調節療法で前記患者を治療することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記治療することが、CRTと組み合わせた心臓収縮調節療法で前記患者を治療することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
心臓収縮調節療法で前記患者を前記治療することが、心臓中隔に固定された少なくとも1つの電極リードを介して心臓の右心室の不応期中に電界を提供することを含み、CRTで前記患者を前記治療することが、左心室、右心室、または心臓から最大1cmの距離にある血管内に配置された少なくとも1つの電極リードを介して電界を提供することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記治療することが、CRTのための前記電界及び心臓収縮調節療法を同じ電極を介して提供することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記治療することが、CRTのための電界を心臓収縮調節が提供される同じ心室内で提供することを含む、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記治療することが、右心室の非不応期中にCRT及び心臓収縮調節療法効果の両方のために拡張ペーシング信号を提供することを含む、請求項26~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記心臓収縮調節及び前記CRTで前記患者を治療することが心拍出量及び/または心臓収縮に所望の効果を有するかどうかを判定することと、
前記判定することの結果に基づいて前記CRT療法を修正することと、を含む、請求項26~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
心臓収縮調節療法ために患者を選択する方法であって、
提供されたCRTの効果が前記患者に対する有益な効果ではないことを識別することと、
前記識別することの結果に基づいて、心臓収縮調節電界を生成するように心臓デバイスコントローラの設定を修正することと、を含む、前記方法。
【請求項33】
前記識別することが、前記CRTが1つまたは複数の望ましくない副作用をもたらしたことを識別することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記副作用が、CRT提供中または提供後の痛みまたは不快感を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記識別することが、前記患者へのCRTの提供が心拍出量に対する有益な効果をもたらさないことを識別することを含む、請求項32~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記識別することが、前記患者への前記CRTの提供が、駆出率、心内圧、選択された期間にわたる心内圧勾配、NYHAクラススコア、ピークVO2及び6分間歩行スコアのうちの少なくとも1つに対する有益な効果をもたらさないことを識別することを含む、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記識別することが、前記提供されたCRTの効果が、心内圧の増加に対する不十分な効果、または選択された期間にわたる心臓内効果の増加に対する不十分な効果を含むことを識別することを含む、請求項32~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記識別することが、前記CRT提供後の前記患者における不整脈を識別することを含む、請求項32~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記心臓収縮調節電界の提供のために、2つ以上の以前に埋め込まれた電極リードから少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極リードを選択することを含む、請求項32~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記心臓収縮調節電界の提供のために、前記CRTの提供のために使用される少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極を選択することを含む、請求項32~38のいずれか1つに記載の方法。
【請求項41】
CRT及び心臓収縮調節療法の両方の提供に適した、前記選択された少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極が、少なくとも4mm
2の表面積を有し、高静電容量及び低分極コーティングでコーティングされる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記選択することが、右心室、左心室、及び心臓から1cm未満の距離の血管内の少なくとも1つに配置された少なくとも1つの電極リードを選択することを含む、請求項39または40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
心臓収縮調節のために前記選択された少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極リードが心臓の中隔に固定される、請求項39~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記選択された少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極リードが前記心臓収縮調節の提供に適しているかどうかを試験すること、を含む、請求項39~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
CRT電界またはCCM電界を生成するために、埋め込み型二重目的デバイスに信号を送ること、を含む、請求項32~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
埋め込み型CRTデバイスを心臓収縮調節デバイスと交換すること、を含む、請求項31~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
心臓収縮調節療法の提供のために少なくとも1つの電極リードを試験する方法であって、
CRTを患者に提供することを決定することと、
前記CRTの提供に適した位置で心臓内に2つ以上の電極リードを前記患者に埋め込むことと、
前記2つ以上の電極リードのうちの少なくとも1つの電極リードが心臓収縮調節療法の提供に適しているかどうかを試験することと、を含む、前記方法。
【請求項48】
前記試験することが、前記少なくとも1つの選択された電極リードを介して心臓収縮調節療法に適したパラメータ値を有する電界を提供することと、前記提供された電界が望ましくない副作用を誘発するかどうかを試験することとを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記提供することが、体外に配置されたパルス発生器による前記試験中に前記電界を提供することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記望ましくない副作用が、前記患者に対する痛覚及び/または不快感を含む、請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
前記試験することが前記埋め込み中に実行される、請求項47~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記埋め込むことが、前記少なくとも1つの電極リードを心臓の中隔に固定することを含み、前記試験することが、前記少なくとも1つの固定された電極リードを試験することを含む、請求項47~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
心臓再同期療法(CRT)及び心臓収縮調節療法の提供のためのシステムであって、
メモリと、
CRT及び心臓収縮調節に適したパラメータ値を有する電界を生成するように構成されたパルス発生器と、
前記パルス発生器に電気的に接続された、心臓内または心臓から最大1cmの距離に配置された少なくとも1つの電極リードと、
少なくとも1つのセンサに接続可能な測定回路であって、心拍出量に関連する少なくとも1つの生理学的パラメータを測定するように構成された前記測定回路と、
前記測定回路及び前記パルス発生器に電気的に接続された制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記メモリに記憶された電界パラメータ値を使用して、CRTまたは心臓収縮調節に適したパラメータ値を有する電界を生成するように前記パルス発生器に信号を送るように構成される、前記システム。
【請求項54】
前記制御回路が、前記測定回路から受信した信号に基づいて、前記信号またはその指標と、前記メモリに記憶された1つまたは複数の所望の効果指標との間の関係を判定することによって、CRTのために提供される電界の効果が所望の効果であるかどうかを判定するように構成される、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
無線信号を体外に位置する遠隔デバイスに送信するように構成された通信回路を備え、前記制御回路は、前記通信回路に信号を送り、心臓収縮調節療法を提供するための命令を含む、及び/または、前記CRTの効果が所望の効果でない場合は、前記CRTの効果に関連する情報を含む、前記信号を送信する、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記制御回路が、前記通信回路によって受信された信号を介して、心臓収縮調節療法を提供するための命令を遠隔デバイスから受信する、請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
前記制御回路が、前記CRTの効果が所望の効果でない場合に、前記心臓への心臓収縮調節療法の提供に適したパラメータ値を有する電界を生成するように前記パルス発生器に信号を送るように構成される、請求項54~56のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項58】
前記制御回路が、CRT及び/または心臓収縮調節に適したパラメータ値を有する前記電界を生成するように前記パルス発生器に信号を送り、前記少なくとも1つの電極リードを介して前記電界を提供するように構成される、請求項53~57のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項59】
前記少なくとも1つの電極リードの少なくとも1つの電極が、CRT及び心臓収縮調節療法の両方の提供に適しており、少なくとも4mm
2の表面積を有し、高静電容量及び低分極コーティングでコーティングされる、請求項53~58のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年6月25日に出願された米国仮特許出願第63/043,814号の米国特許法第119条(e)の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、心臓収縮調節療法に関し、より具体的には、限定的ではないが、心臓再同期療法(CRT)候補のための心臓収縮調節に関する。
【0003】
心不全ガイドラインでは、QRS幅が130ミリ秒以上で左脚ブロック(LBBB)パターンの患者に対してのみCRTのクラスI推奨が示され、QRS幅が130ミリ秒以上で非LBBBパターンの患者に対してはクラスII推奨が示される。
【0004】
慎重な選択基準にもかかわらず、埋め込みを受けた患者の約30~50%がCRTの恩恵を受けられず、この集団における代替デバイス療法の必要性が強調されている。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態の一態様によれば、心臓収縮調節療法のために患者を選択する方法が提供され、心臓再同期療法(CRT)に対する基準を満たしている患者を選択することと、患者へのCRTの効果的な提供の際の潜在的な困難を検出することと、潜在的な困難にもかかわらず、患者が心臓収縮調節療法の恩恵を受けることができると判定することとを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、検出することは、CRT前の侵襲的治療が有効であると予想されるかどうかを検出することを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、検出することは、腎不全、真性糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、無呼吸などの睡眠障害、及び貧血を含むリストから選択される1つまたは複数の併存症を患者が患っているという指標を受信することを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、検出することは、患者が心不整脈を患っているという指標を受信することを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、心不整脈は、非左脚ブロック(非LBBB)を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、判定することは、患者がNYHAクラスII~IVの心不全を患っているという指標を受信することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、判定することは、患者が25%~55%の範囲の左心室駆出率を患っているという指標を受信することを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、判定することは、患者が130ミリ秒より大きい正常なQRS幅を示すという指標を受信することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、判定することは、少なくとも1つの電極リードを介して心臓に提供される心臓収縮調節のための試験電界のパラメータを用いて心臓デバイスのパルス発生器を設定することと、患者への試験電界の効果が、患者は少なくとも1つの電極リードを介して心臓収縮調節療法の恩恵を受けることができることを示している、と判定することとを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、試験電界は、最大1時間続く試験セッションの一部である。
【0015】
いくつかの実施形態では、パルス発生器は、患者の体外に配置されるように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つの電極リードを介した心臓収縮調節及びCRT療法の提供に適した心臓組織位置を選択することを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電極リードは、少なくとも1つの電極リードの少なくとも一部を心臓の中隔に固定するように構成されたアンカーを備える。
【0018】
いくつかの実施形態では、心臓組織位置は、左心室または右心室を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、CRT及び心臓収縮調節療法の両方の提供に適した電極リードの電極は、少なくとも4mm2の表面積を有し、高静電容量及び低分極コーティングでコーティングされる。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法は、CRTの効果が計画された効果ではないことを識別することを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、識別することは、CRTの効果が心拍出量の増加に対して不十分な効果であることを識別することを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、識別することは、CRT効果が少なくとも1つの望ましくない副作用を含むことを識別することを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの望ましくない副作用は痛覚を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの望ましくない副作用は不整脈を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、識別することは、CRT効果が計画された効果ではないことをCRTの開始から少なくとも1ヶ月後に識別することを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、方法は、二重目的デバイスがCRT及び心臓収縮調節療法の両方のための電界を生成するように構成される治療計画を選択することを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、二重目的デバイスは、心臓の不応期中にCCM電界を一連の二相性双極パルスとして計時するように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、CCM電界は少なくとも5Vの振幅を有し、各二相性パルスの持続時間は9ミリ秒~15ミリ秒の範囲である。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法は、判定の結果に従って、心臓収縮調節療法で患者を治療することを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、治療することは、CRTと組み合わせた心臓収縮調節療法で患者を治療することを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、心臓収縮調節療法で患者を治療することは、心臓中隔に固定された少なくとも1つの電極リードを介して心臓の右心室の不応期中に電界を提供することを含み、CRTで患者を治療することは、左心室、右心室、または心臓から最大1cmの距離にある血管内に配置された少なくとも1つの電極リードを介して電界を提供することを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、治療することは、CRTのための電界及び心臓収縮調節療法を同じ電極を介して提供することを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、治療することは、CRTのための電界を心臓収縮調節が提供される同じ心室内で提供することを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、治療することは、右心室の非不応期中にCRT及び心臓収縮調節療法効果の両方のために拡張ペーシング信号を提供することを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、この方法は、心臓収縮調節及びCRTで患者を治療することが心拍出量及び/または心臓収縮に所望の効果を有するかどうかを判定することと、判定の結果に基づいてCRT療法を修正することとを含む。
【0036】
いくつかの実施形態の一態様によれば、心臓収縮調節療法のために患者を選択する方法が提供され、方法は、提供されたCRTの効果が患者に対する有益な効果ではないことを識別することと、識別することの結果に基づいて心臓収縮調節電界を生成するように心臓デバイスコントローラの設定を修正することとを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、識別することは、CRTが1つまたは複数の望ましくない副作用をもたらしたことを識別することを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、副作用は、CRT提供中または提供後の痛みまたは不快感を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、識別することは、患者へのCRTの提供が心拍出量に対する有益な効果をもたらさないことを識別することを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、識別することは、患者へのCRTの提供が、駆出率、心内圧、選択された期間にわたる心内圧勾配、NYHAクラススコア、ピークVO2及び6分間歩行スコアのうちの少なくとも1つに対する有益な効果をもたらさないことを識別することを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、識別することは、提供されたCRTの効果が、心内圧の増加に対する不十分な効果、または選択された期間にわたる心臓内効果の増加に対する不十分な効果を含むことを識別することを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、識別することは、CRT提供後の患者における不整脈を識別することを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、方法は、心臓収縮調節電界の提供のために、2つ以上の以前に埋め込まれた電極リードから少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極リードを選択することを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、方法は、心臓収縮調節電界の提供のために、CRTの提供のために使用される少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極を選択することを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、CRT及び心臓収縮調節療法の両方の提供に適した、選択された少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極は、少なくとも4mm2の表面積を有し、高静電容量及び低分極コーティングでコーティングされる。
【0046】
いくつかの実施形態では、選択することは、右心室、左心室、及び心臓から1cm未満の距離の血管内の少なくとも1つに配置された少なくとも1つの電極リードを選択することを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、心臓収縮調節のために選択された少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極リードは、心臓の中隔に固定される。
【0048】
いくつかの実施形態では、方法は、選択された少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極が心臓収縮調節の提供に適しているかどうかを試験することを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、方法は、CRT電界またはCCM電界を生成するために、埋め込み型二重目的デバイスに信号を送ることを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、方法は、埋め込み型CRTデバイスを心臓収縮調節デバイスと交換することを含む。
【0051】
いくつかの実施形態の一態様によれば、心臓収縮調節療法の提供のために少なくとも1つの電極リードを試験する方法が提供され、方法は、CRTを患者に提供することを決定することと、心臓内のCRTの提供に適した位置に2つ以上の電極リードを患者に埋め込むことと、2つ以上の電極リードのうちの少なくとも1つの電極リードが心臓収縮調節療法の提供に適しているかどうかを試験することとを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、試験することは、少なくとも1つの選択された電極リードを介した心臓収縮調節療法に適したパラメータ値を有する電界を提供することと、提供される電界が望ましくない副作用を誘発するかどうかを試験することとを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、提供することは、体外に配置されたパルス発生器による試験中に電界を提供することを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、望ましくない副作用は患者に対する痛覚及び/または不快感を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、試験が埋め込み中に実行される。
【0056】
いくつかの実施形態では、埋め込むことは、少なくとも1つの電極リードを心臓の中隔に固定することを含み、試験することは、少なくとも1つの固定された電極リードを試験することを含む。
【0057】
いくつかの実施形態の一態様によれば、心臓再同期療法(CRT)及び心臓収縮調節療法の提供のためのシステムが提供され、システムは、メモリと、CRT及び心臓収縮調節に適したパラメータ値を有する電界を生成するように構成されたパルス発生器と、パルス発生器に電気的に接続された、心臓内または心臓から最大1cmの距離に配置された少なくとも1つの電極リードと、
少なくとも1つのセンサに接続可能な測定回路であって、心拍出量に関連する少なくとも1つの生理学的パラメータを測定するように構成された測定回路と、測定回路及びパルス発生器に電気的に接続された制御回路とを備え、制御回路は、メモリに記憶された電界パラメータ値を使用して、CRTまたは心臓収縮調節に適したパラメータ値で電界を生成するようにパルス発生器に信号を送るように構成される。
【0058】
いくつかの実施形態では、制御回路は、測定回路から受信した信号に基づいて、信号またはその指標とメモリに記憶された1つまたは複数の所望の効果指標との間の関係を判定することによって、CRTのために提供される電界の効果が所望の効果であるかどうかを判定するように構成される。
【0059】
いくつかの実施形態では、システムは、無線信号を体外に位置する遠隔デバイスに送信するように構成された通信回路を備え、制御回路は、通信回路に信号を送り、心臓収縮調節療法を提供するための命令を含む、及び/または、CRT効果が所望の効果でない場合は、CRT効果に関連する情報を含む、信号を送信する。
【0060】
いくつかの実施形態では、制御回路は、通信回路によって受信された信号を介して、心臓収縮調節療法を提供するための命令を遠隔デバイスから受信する。
【0061】
いくつかの実施形態では、制御回路は、CRT効果が所望の効果でない場合に、心臓への心臓収縮調節療法の提供に適したパラメータ値を有する電界を生成するようにパルス発生器に信号を送るように構成される。
【0062】
いくつかの実施形態では、制御回路は、CRT及び/または心臓収縮調節に適したパラメータ値を有する電界を生成するようにパルス発生器に信号を送り、少なくとも1つの電極リードを介して電界を提供するように構成される。
【0063】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電極リードの少なくとも1つの電極は、CRT及び心臓収縮調節療法の両方の提供に適しており、少なくとも4mm2の表面積を有し、高静電容量及び低分極コーティングでコーティングされる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態のいくつかの追加の実施例を以下に列挙する。1つの実施例の特徴は、他の実施例の1つまたは複数の特徴と組み合わせることができる。
【0065】
実施例1.心臓収縮調節療法の提供のための方法であって、
心臓再同期療法(CRT)の基準を満たす患者を選択することと、
前記患者への前記CRTの効果的な提供の際の潜在的な困難を検出することと、
前記潜在的な困難にもかかわらず、前記患者が心臓収縮調節療法の恩恵を受けることができると判定することと、
前記判定することの結果に従って、心臓収縮調節療法で前記患者を治療することと、を含む、前記方法。
【0066】
実施例2.前記検出することが、CRTが効果的であると予想される前に侵襲的治療の潜在的な必要性を検出することを含む、実施例1に記載の方法。
【0067】
実施例3.前記検出することが、前記患者を腎不全、真性糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、無呼吸などの睡眠障害、及び貧血を含むリストから選択される1つまたは複数の併存症と診断することを含む、先行実施例のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
実施例4.前記検出することが、前記患者を心不整脈と診断することを含む、先行実施例のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
実施例5.前記心不整脈が非左脚ブロック(非LBBB)を含む、実施例4に記載の方法。
【0070】
実施例6.前記判定することが、前記患者をNYHAクラスII~IVの心不全と診断することを含む、先行実施例のいずれか1つに記載の方法。
【0071】
実施例7.前記判定することが、前記患者を25%~55%の範囲の左心室駆出率と診断することを含む、先行実施例のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
実施例8.前記判定することが、前記患者を130ミリ秒より大きい正常なQRS幅と診断することを含む、実施例6または7のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施例9.前記判定することが、少なくとも1つの電極リードを介して心臓に提供される心臓収縮調節パラメータを用いて試験電界を提供することと、前記患者への試験電界の効果が、前記患者は前記少なくとも1つの電極リードを介して心臓収縮調節療法の恩恵を受けることができることを示している、と判定することとを含む、先行実施例のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
実施例10.前記試験電界が、最大1時間続く試験セッションの一部として提供される、実施例9に記載の方法。
【0075】
実施例11.前記試験電界が、前記患者の体外に配置されたパルス発生器によって提供される、請求項9または10のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
実施例12.前記判定することに続いて、心臓収縮調節及びCRT療法の提供に適した位置に少なくとも1つの電極リードを埋め込むことを含む、先行実施例のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
実施例13.前記埋め込むことが、前記少なくとも1つの電極リードを心臓の中隔に固定することを含む、実施例12に記載の方法。
【0078】
実施例14.前記埋め込むことが、左心室または右心室内に前記少なくとも1つの電極リードを埋め込むことを含む、実施例12または13のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
実施例15.CRT及び心臓収縮調節療法の両方の提供に適した前記電極リードの電極が、少なくとも4mm2の表面積を有し、高静電容量及び低分極コーティングでコーティングされる、実施例12~14のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
実施例16.前記少なくとも1つの電極リードを介して前記検出に続いて、前記患者にCRTを提供することと、
前記提供されたCRTの効果が前記患者に対する計画された効果ではないことを識別することと、を含み、
前記治療することは、前記識別することに続いて、前記少なくとも1つの電極リードを使用して前記心臓収縮調節療法で前記患者を治療することを含む、実施例12~15のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
実施例17.前記識別することが、前記提供されたCRTの効果が心拍出量の増加に対して不十分な効果であることを識別することを含む、実施例16に記載の方法。
【0082】
実施例18.前記識別することが、前記提供されたCRT効果が少なくとも1つの望ましくない副作用を含むことを識別することを含む、実施例16または17のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
実施例19.前記少なくとも1つの望ましくない副作用が痛覚を含む、実施例18に記載の方法。
【0084】
実施例20.前記少なくとも1つの望ましくない副作用が不整脈を含む、実施例18または19のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
実施例21.前記識別することが、前記CRT効果が計画された効果ではないことを前記CRT提供の開始から少なくとも1ヶ月後に識別することを含む、実施例16~20のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
実施例22.前記埋め込むことが、CRT及び心臓収縮調節療法の両方を提供するように構成された二重目的デバイスを埋め込むことを含む、実施例12~21のいずれか1つに記載の方法。
【0087】
実施例23.心臓収縮調節療法で前記治療をすることが、心臓の不応期中に二相性双極パルス列として心臓に電界を提供することを含む、先行実施例のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
実施例24.前記提供される電界が少なくとも5Vの振幅を有し、1つまたは複数の二相性パルスとして送信され、各二相性パルスの持続時間が9ミリ秒~15ミリ秒の範囲である、実施例23に記載の方法。
【0089】
実施例25.前記治療することが、CRTと組み合わせた心臓収縮調節療法で前記患者を治療することを含む、先行実施例のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
実施例26.心臓収縮調節療法で前記患者を前記治療することが、心臓中隔に固定された少なくとも1つの電極リードを介して心臓の右心室の不応期中に電界を提供することを含み、CRTで前記患者を前記治療することが、左心室、右心室、または心臓から最大1cmの距離にある血管内に配置された少なくとも1つの電極リードを介して電界を提供することを含む、実施例25に記載の方法。
【0091】
実施例27.前記治療することが、CRTのための前記電界及び心臓収縮調節療法を前記同じ電極を介して提供することを含む、実施例26に記載の方法。
【0092】
実施例28.前記治療することが、CRTのための電界を心臓収縮調節が提供される前記同じ心室内で提供することを含む、実施例25~27のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
実施例29.前記治療することが、右心室の非不応期中にCRT及び心臓収縮調節療法効果の両方のために拡張ペーシング信号を提供することを含む、実施例25~28のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
実施例30.前記心臓収縮調節及び前記CRTで前記患者を治療することが心拍出量及び/または心臓収縮に所望の効果を有するかどうかを判定することと、
前記判定することの結果に基づいて前記CRT療法を修正することと、を含む、実施例25~29のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
実施例31.心臓収縮調節療法の提供のための方法であって、
心臓再同期療法(CRT)を患者に提供することと、
前記提供されたCRTの効果が前記患者に対する有益な効果ではないことを識別することと、
前記識別することの結果に基づいて、心臓収縮調節療法で前記患者を治療することと、を含む、前記方法。
【0096】
実施例32.前記識別することが、前記患者に提供する前記CRTが1つまたは複数の望ましくない副作用をもたらすことを識別することを含む、実施例31に記載の方法。
【0097】
実施例33.前記副作用が、CRT提供中または提供後の痛みまたは不快感を含む、実施例32に記載の方法。
【0098】
実施例34.前記識別することが、前記患者へのCRTの提供が心拍出量に対する有益な効果をもたらさないことを識別することを含む、実施例31~33のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
実施例35.前記識別することが、前記患者への前記CRTの提供が、駆出率、心内圧、選択された期間にわたる心内圧勾配、NYHAクラススコア、ピークVO2及び6分間歩行スコアのうちの少なくとも1つに対する有益な効果をもたらさないことを識別することを含む、実施例31~34のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
実施例36.前記識別することが、前記提供されたCRTの効果が、心内圧の増加に対する不十分な効果、または選択された期間にわたる心臓内効果の増加に対する不十分な効果を含むことを識別することを含む、実施例31~35のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
実施例37.前記識別することが、前記CRT提供後の前記患者における不整脈を識別することを含む、実施例31~36のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
実施例38.前記治療中の前記心臓収縮調節療法の提供のために、2つ以上の以前に埋め込まれた電極リードから少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極リードを選択することを含む、実施例31~37のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
実施例39.前記心臓収縮調節療法のために、前記CRTの提供のために使用される少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極を選択することを含む、実施例31~37のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
実施例40.CRT及び心臓収縮調節療法の両方の提供に適した、前記選択された少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極が、少なくとも4mm2の表面積を有し、高静電容量及び低分極コーティングでコーティングされる、実施例39に記載の方法。
【0105】
実施例41.前記選択することが、右心室、左心室、及び心臓から1cm未満の距離の血管内の少なくとも1つに配置された少なくとも1つの電極リードを選択することを含む、実施例38または39のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
実施例42.心臓収縮調節療法のために前記選択された少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極リードが心臓の中隔に固定される、実施例38~41のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
実施例43.前記選択された少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極リードが前記心臓収縮調節療法の提供に適しているかどうかを、前記治療の前に試験することを含む、実施例38~42のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
実施例44.前記試験することが、前記選択された少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極リードを介して、心臓収縮調節療法に適したパラメータ値を有する電界を提供することと、前記提供された電界が心臓収縮調節療法を誘導したかどうか、及び/または前記患者に痛みまたは不快感を与えたかどうかを試験することとを含む、実施例43に記載の方法。
【0109】
実施例45.前記提供の前に、CRT及び心臓収縮調節の両方を提供するように構成された二重目的デバイスを埋め込むことを含み、前記治療することは、前記CRT療法を提供するように前記デバイスに信号を送ることを含む、実施例31~44のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
実施例46.前記提供の前にCRTデバイスを埋め込むことと、前記治療の前に前記埋め込み型CRTデバイスを心臓収縮調節デバイスと交換することとを含む、実施例31~44のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
実施例47.心臓収縮調節療法の提供のために少なくとも1つの電極リードを試験する方法であって、
CRTを患者に提供することを決定することと、
前記CRTの提供に適した位置で心臓内に2つ以上の電極リードを前記患者に埋め込むことと、
2つ以上の電極リードのうちの少なくとも1つの電極リードが心臓収縮調節療法の提供に適しているかどうかを試験することと、を含む、前記方法。
【0112】
実施例48.前記試験することが、前記少なくとも1つの選択された電極リードを介して心臓収縮調節療法に適したパラメータ値を有する電界を提供することと、前記提供された電界が望ましくない副作用を誘発するかどうかを試験することとを含む、実施例47に記載の方法。
【0113】
実施例49.前記提供することが、体外に配置されたパルス発生器による前記試験中に前記電界を提供することを含む、実施例48に記載の方法。
【0114】
実施例50.前記望ましくない副作用が、前記患者に対する痛覚及び/または不快感を含む、実施例48または49のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
実施例51.前記試験することが前記埋め込み中に実行される、実施例47~50のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
実施例52.前記埋め込むことが、前記少なくとも1つの電極リードを心臓の中隔に固定することを含み、前記試験することが、前記少なくとも1つの固定された電極リードを試験することを含む、実施例47~51のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
実施例53.心臓再同期療法(CRT)及び心臓収縮調節療法の提供のためのシステムであって、
メモリと、
CRT及び心臓収縮調節に適したパラメータ値を有する電界を生成するように構成されたパルス発生器と、
前記パルス発生器に電気的に接続された、心臓内または心臓から最大1cmの距離に配置された少なくとも1つの電極リードと、
少なくとも1つのセンサに接続可能な測定回路であって、心拍出量に関連する少なくとも1つの生理学的パラメータを測定するように構成された前記測定回路と、
前記測定回路及び前記パルス発生器に電気的に接続された制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記メモリに記憶された電界パラメータ値を使用して、CRTまたは心臓収縮調節に適したパラメータ値を有する電界を生成するように前記パルス発生器に信号を送るように構成される、前記システム。
【0118】
実施例54.前記制御回路が、前記測定回路から受信した信号に基づいて、前記信号またはその指標と、前記メモリに記憶された1つまたは複数の所望の効果指標との間の関係を判定することによって、CRTのために提供される電界の効果が所望の効果であるかどうかを判定するように構成される、実施例53に記載のシステム。
【0119】
実施例55.無線信号を体外に位置する遠隔デバイスに送信するように構成された通信回路を備え、前記制御回路は、前記通信回路に信号を送り、心臓収縮調節療法を提供するための命令を含む、及び/または、前記CRT効果が所望の効果でない場合は、前記CRT効果に関連する情報を含む、前記信号を送信する、実施例54に記載のシステム。
【0120】
実施例56.前記制御回路が、前記通信回路によって受信された信号を介して、心臓収縮調節療法を提供するための命令を遠隔デバイスから受信する、実施例55に記載のシステム。
【0121】
実施例57.前記制御回路が、前記CRT効果が所望の効果でない場合に、前記心臓への心臓収縮調節療法の提供に適したパラメータ値を有する電界を生成するように前記パルス発生器に信号を送るように構成される、実施例54~56のいずれか1つに記載のシステム。
【0122】
実施例58.前記制御回路が、CRT及び/または心臓収縮調節に適したパラメータ値を有する前記電界を生成するように前記パルス発生器に信号を送り、前記少なくとも1つの電極リードを介して前記電界を提供するように構成される、実施例53~57のいずれか1つに記載のシステム。
【0123】
実施例59.前記少なくとも1つの電極リードの少なくとも1つの電極が、CRT及び心臓収縮調節療法の両方の提供に適しており、少なくとも4mm2の表面積を有し、高静電容量及び低分極コーティングでコーティングされる、実施例53~58のいずれか1つに記載のシステム。
【0124】
別段に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術的及び/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法及び材料が、本発明の実施形態の実践または試験で使用できるが、例示的な方法及び/または材料は下記に説明される。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が優先する。加えて、材料、方法、及び実施例は例示のみであり、必ずしも限定することを意図していない。
【0125】
当業者であれば理解されるように、本発明のいくつかの実施形態は、システム、方法またはコンピュータプログラム製品として実施することができる。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、または全て一般的に「回路」、「モジュール」もしくは「システム」と本明細書では称し得るソフトウェア態様及びハードウェア態様を組み合わせた実施形態の形を取り得る。さらに、本発明のいくつかの実施形態は、その上で具現化されるコンピュータ可読プログラムコードを含む1つまたは複数のコンピュータ可読媒体に具現化されるコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。本発明のいくつかの実施形態の方法及び/またはシステムの実施は、選択されたタスクを手動で、自動的に、またはそれらの組み合わせで実行及び/または完了することを含み得る。さらに、本発明の方法及び/またはシステムのいくつかの実施形態の実際の器具及び設備によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェア、及び/またはそれらの組み合わせによって、例えばオペレーティングシステムを使用して実装することができる。
【0126】
例えば、本発明のいくつかの実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として実装され得る。ソフトウェアとして、本発明のいくつかの実施形態による選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実施することができる。本発明の例示的な実施形態では、本明細書に記載の方法及び/またはシステムのいくつかの例示的な実施形態による1つまたは複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって実行される。任意選択で、データプロセッサは、命令及び/またはデータを記憶するための揮発性メモリ、及び/または命令及び/またはデータを記憶するための不揮発性ストレージ、例えば、磁気ハードディスク及び/または取り外し可能媒体を含む。任意選択で、ネットワーク接続も設けられる。キーボードやマウスなどのディスプレイ及び/またはユーザ入力デバイスも任意選択で提供される。
【0127】
1つまたは複数のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせを本発明のいくつかの実施形態のために利用し得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定ではないが、電子、磁気、光、電磁気、赤外線、もしくは半導体のシステム、装置、もしくはデバイス、または任意の前述の好適な組み合わせであり得る。コンピュータ可読記憶媒体のより多くの具体例は、1つまたは複数の通信回線を有する電気的接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または前述の任意の好適な組み合わせを含むであろう。本文書の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによる使用のために、またはそれらと接続してプログラムを含むまたは記憶することができる任意の有形媒体であり得る。
【0128】
コンピュータ可読信号媒体は、例えば、ブロードバンドでまたは搬送波の一部として、本明細書で実施されるコンピュータ可読プログラムコードを有する伝搬データ信号を含んでよい。係る伝搬信号は、電磁、光学、またはその任意の組み合わせを含むが、これに限定されるものではない様々な形のいずれかを取り得る。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、もしくはデバイスによる使用のために、またはそれらと接続してプログラムを通信、伝搬、またはトランスポートできる任意のコンピュータ可読媒体であってよい。
【0129】
コンピュータ可読記憶媒体で実施されるプログラムコードは、無線、有線、光ファイバケーブル、RF等、または上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これに限定されるものではない任意の適切な媒体を使用し、送信されてよい。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態のための動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、例えばJava、Smalltalk、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語、及び例えば「C」プログラミング言語または類似するプログラミング言語等の従来の手続きプログラミング言語を含んだ1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで作成されてよい。プログラムコードは、ユーザのコンピュータ上で完全に、ユーザのコンピュータ上で部分的に、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、ユーザのコンピュータ上で部分的に、及び遠隔コンピュータ上で部分的にまたは遠隔コンピュータもしくはサーバ上で完全に実行してよい。後者のシナリオでは、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)もしくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む、任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続することができ、または外部のコンピュータに(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いるインターネット経由で)接続することができる。
【0131】
本発明のいくつかの実施形態は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/またはブロック図を参照して以下で説明され得る。フローチャート図及び/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図及び/またはブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実装できることは理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータのプロセッサ、専用コンピュータ、または機械を製造するための他のプログラム可能データ処理装置に提供され得、これにより、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを介して実行する命令は、ブロックまたは複数のブロックのフローチャート及び/またはブロック図に指定される機能/行為を実施するための手段を作成する。
【0132】
また、これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他の装置に特定の方法で機能するように命令できるコンピュータ可読媒体に記憶されてもよく、これによりコンピュータ可読媒体に記憶される命令は、ブロックまたは複数のブロックのフローチャート及び/またはブロック図に指定される機能/行為を実施する命令を含んだ、製造品を製造する。
【0133】
コンピュータプログラム命令は、一連の操作ステップを、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイスで実行させて、コンピュータまたは他のプログラム可能装置で実行する命令が、ブロックまたは複数のブロックのフローチャート及び/またはブロック図で指定される機能/行為を実施するためのプロセスを提供するように、コンピュータ実装プロセスを作り出すためにコンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスの上にロードされてもよい。
【0134】
本明細書で説明する方法のいくつかは、一般に、コンピュータによる使用のみを目的として設計されており、人間の専門家が純粋に手動で実行するには実行可能または実用的ではない場合がある。CRT効果が所望の効果ではないことを識別するなど、同様のタスクを手動で実行することを望んだ人間の専門家は、完全に異なる方法を使用することが期待される場合があり、例えば、専門知識や人間の脳のパターン認識機能を利用するなどである。これは、本明細書で説明する方法のステップを手動で実行するよりもはるかに効率的である。
【0135】
本発明のいくつかの実施形態を、本明細書では、単なる例示として、添付の図面を参照しながら説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の実施形態の説明の考察をすることを目的としていることを強調するものである。この点に関して、図面を用いた説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【
図1A】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、心臓収縮調節パルスを示すグラフである。
【
図1B】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、CRTに対する望ましくない応答を識別し、心臓収縮調節療法を提供するためのプロセスの流れ図である。
【
図2】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、心臓収縮調節療法の提供に適した心臓内の電極リードの位置を示す概略図である。
【
図3A】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、心臓収縮調節療法とあわせたCRTのために選択された患者を治療するためのプロセスの流れ図である。
【
図3B】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、CRTノンレスポンダー患者を、これらの患者に対する心臓収縮調節療法の埋め込み及び提供の前に識別するプロセスの流れ図である。
【
図4A】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、例えばCRTデバイスなどのペーシングデバイスがすでに体内に埋め込まれている場合に心臓収縮調節療法を提供するためのプロセスの流れ図である。
【
図4B】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、例えばCRTデバイスなどのペーシングデバイスがすでに体内に埋め込まれている場合に心臓収縮調節療法を提供するためのプロセスの流れ図である。
【
図5】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、心臓収縮調節の提供のためのシステムのブロック図である。
【
図6】本発明のいくつかの例示的な実施形態による、CRT療法に対する望ましくない応答を識別し、デバイスのアクションによる心臓収縮調節療法を提供するためのプロセスの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0137】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、心臓収縮調節療法に関し、より具体的には、限定的ではないが、心臓再同期療法(CRT)候補のための心臓収縮調節に関する。
【0138】
いくつかの実施形態の一態様は、心臓収縮調節療法のために患者を選択することに関する。いくつかの実施形態では、患者はCRT治療の候補者である。いくつかの実施形態では、患者は、CRT治療に応答しない確率、またはCRT治療に対する応答が所望の治療効果をもたらさない確率に基づいて、心臓収縮調節療法のために選択される。いくつかの実施形態では、患者は、心臓パルス発生器を患者の体内に埋め込む前に、心臓収縮調節治療のために選択される。
【0139】
本発明のいくつかの実施形態において本明細書で使用されるように、CRTは、少なくとも3つのリード、例えば、右心房に配置される右心房リード、心室中隔に近接する右心室に配置される右心室リード、及び冠状静脈洞を介して左心室心静脈の1つに挿入される左心室リードの典型的な構成を有する同期治療を提供することを含む。いくつかの実施形態では、CRTリードのうちの1つまたは複数は、リードの少なくとも一部、例えばリードの遠位部分を心臓組織に固定するように構成された少なくとも1つのアンカーを備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアンカーは、心臓組織への少なくとも一部分のねじ込みを可能にするように構成されたねじを備える。いくつかの実施形態では、心筋の電気信号を感知し、心臓をペーシングするために、1つまたは複数のCRTリードが使用される。いくつかの実施形態では、ペーシングパルス、例えば、心臓のペーシングを生成するように構成された電界は、3V~7V、例えば、3V~6V、4V~5.5V、4.5V~6V、5V~7V、4V、5V、または任意の中間の、より小さい、またはより大きい、値または値の範囲の振幅を有する。いくつかの実施形態では、提供される電界は、0.1ミリ秒(ms)~0.8ms、例えば0.1ms~0.5ms、0.3ms~0.6ms、0.4ms~0.6ms、0.5ms~0.6ms、0.6ms~0.8ms、または中間の、より短い、またはより長い値の範囲の持続時間、例えばパルス幅を有する。いくつかの実施形態では、パルス幅は、少なくとも0.3msの持続時間、例えば、0.4ms、0.5ms、0.6ms、または任意の中間の、より短い、またはより長い持続時間を有する。
【0140】
本発明のいくつかの実施形態において本明細書で使用されるように、心臓収縮調節療法は、例えば
図1Aに示されるように、心室の不応期中、例えば、電気信号が新しい心筋収縮を引き起こすことができない期間中、電界パルスの提供を含む。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節療法中に、1つまたは複数の二相性双極パルスが、例えば二相性パルス列として、少なくとも4V、例えば5V、6V、7V、8V、9V、またはその中間の、より小さい値、またはより大きい値の振幅103で同じ位置から送信される。いくつかの実施形態では、各二相性パルス105の持続時間は、8~15ミリ秒(ms)の範囲であり、例えば、8~10ms、9~12ms、10~10.5ms、10~11ms、10~12ms、または値の中間の、より小さい、またはより大きい範囲である。いくつかの実施形態では、1、2、3、4、または任意の中間の、より少ない数、またはより多い数の二相性パルスの列が送信される。いくつかの実施形態では、例えば
図1Aに示すように、連続する3つの二相性パルス列が送出される。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節療法は、例えばPCT出願第IB2020/050534号に記載されているパラメータを有する。
【0141】
いくつかの実施形態によれば、CRT候補は、少なくとも1つの臨床パラメータに基づいて、例えば、心房細動(AF)の病歴、虚血性心筋症と診断されたこと、CRTペーシングのパーセンテージが低いこと、例えば、選択された期間のCRTペーシング拍動と心拍数の間の平均比率が90%未満、例えば80%未満、70%未満、または任意の中間の値、より小さい値、またはより大きい値であることに基づいて、心臓収縮調節のために選択される。いくつかの実施形態において、比率を測定するために選択された期間は、少なくとも1日、例えば、1日、1週間、1ヶ月、3ヶ月、または任意の中間の、より短い、またはより長い期間である。
【0142】
代替的または追加的に、CRT候補は、例えば腎不全、真性糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、無呼吸などの睡眠障害、及び貧血などの1つ、2つ、またはそれ以上の併存症と診断された場合、心臓収縮調節のために選択される。いくつかの実施形態では、CRT候補は、心臓の電気生理学的分析の結果、例えば、非左脚ブロックを示す患者に基づいて、心臓収縮調節のために選択される。
【0143】
いくつかの実施形態の一態様は、心臓収縮調節療法とあわせたCRTを受けている患者を治療することに関する。いくつかの実施形態では、CRTを提供するために使用されるデバイスの起動モードは、心臓収縮調節を提供するように変更される。代替的に、CRTを提供するために使用されるデバイスは、心臓収縮調節を提供するように構成されたデバイスと交換される。いくつかの実施形態では、CRTを受けている患者は、心収縮性及び/または心臓内の電気信号の伝搬に関連する少なくとも1つの臨床的または生理学的パラメータの測定に基づいて、心臓収縮調節療法を受けるように切り替えられる。
【0144】
いくつかの実施形態によれば、患者にCRTを提供するパルス発生器、例えば埋め込み型パルス発生器(IPG)を備えるデバイスは、電界パルスの心臓への提供中及び/または提供後に、CRTに対する心臓の応答を示す少なくとも1つの生理学的パラメータを測定する。代替的または追加的に、少なくとも1つのパラメータは、異なるデバイス、例えば体内に埋め込まれたデバイスまたは体外に配置されたデバイスによって測定される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの生理学的パラメータは、心拍出量及び/または心臓収縮を示す。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの生理学的パラメータは、駆出率、心拍出量、心内圧、選択された期間にわたる心内圧勾配、NYHAクラススコア、ピークVO2、6分間歩行スコアのうちの少なくとも1つを含む。
【0145】
いくつかの実施形態によれば、デバイスのコントローラは、任意選択で少なくとも1つの測定された生理学的パラメータに基づいて、提供されたCRT、例えば提供された電界に対する患者の応答が所望の応答ではないことを判定する。いくつかの実施形態では、判定された応答が所望の応答でない場合、デバイスは、例えば、心臓への心臓収縮調節療法の提供を可能にするために、パルス発生器の少なくとも1つの起動パラメータの値を修正する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの起動パラメータは、電界強度、心収縮性に関する電界の提供タイミング、及び/または電界持続時間のうちの少なくとも1つを含む。代替的または追加的に、少なくとも1つの起動パラメータは、心臓収縮調節療法を提供するための電極の数及び/または位置を含む。
【0146】
いくつかの実施形態によれば、判定された応答が所望の応答でない場合、CRTを提供するために使用されるデバイスは、心臓収縮調節療法を提供するように構成された心臓収縮調節デバイスと交換される。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節デバイスは、CRTを提供するために使用される電極リードの少なくともいくつかに接続される。代替的または追加的に、少なくとも1つの新しい電極リードが心臓収縮調節に接続され、埋め込まれて、例えば、心臓収縮調節を提供するように選択された、心臓内の特定の位置で電極リードの端に電極を配置する。任意選択で、電極を担持する2つ以上の新しい電極リードが体内に埋め込まれて、心臓収縮調節療法が提供される。いくつかの実施形態では、既存の埋め込み可能なCRT心室リードが、心臓収縮調節刺激または心臓収縮調節試験に使用される。
【0147】
いくつかの実施形態によれば、CRTは、例えば二重目的デバイスによって、心臓収縮調節療法と組み合わせて提供される。いくつかの実施形態では、応答、例えばCRT単独に対する患者の生理学的応答または臨床的応答が、所望の応答でない場合、CRTは心臓収縮調節療法と組み合わされる。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節療法は、CRTと同期して提供される。
【0148】
いくつかの実施形態によれば、二重目的デバイスに接続された電極リードのうちの少なくとも1つは、例えばCRTの一部としてペーシングを提供するために使用され、少なくとも1つの異なる電極リードが、心臓収縮調節を提供するために使用される。代替的に、二重目的デバイスに接続された電極リードの少なくとも1つが、異なる時点で心臓収縮調節療法及びペーシングの両方を提供するために使用される。
【0149】
いくつかの実施形態によれば、心臓の右心室(RV)に配置された少なくとも1つの電極によって心臓収縮調節が提供され、心臓の左心室(LV)に配置された少なくとも1つの異なる電極によってペーシングが提供される。代替的に、心臓収縮調節療法は、RVに配置された少なくとも1つの電極、及びLVに配置された少なくとも1つの電極によって提供され、ペーシングは、LV内の少なくとも1つの異なる電極によって、または心臓収縮調節療法を提供するためのLVに配置された同じ電極によって提供される。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節療法及びペーシングの両方が、異なる電極によって、または少なくとも1つの共有電極によって、RV及びLVに提供される。
【0150】
いくつかの実施形態によれば、心臓収縮調節は、ペーシングの提供と同期して、及び/または心臓収縮と同期して提供される。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節刺激のための電界は、パラメータ値、例えば、同じ刺激パルスにおけるペーシング及び心臓収縮調節の二重効果に適した強度、振幅、及び/または周波数で生成される。任意選択で、ペーシングと心臓収縮調節の二重効果は、心臓に二重効果を生成するのに適した心臓内の位置に配置された少なくとも1つの電極リード、例えばCRTリードを使用して生成される。
【0151】
いくつかの実施形態によれば、心臓収縮調節は、例えばプルキンエ線維の脱分極を表す心電図(ECG)に示されるS波タイミングの後に提供される。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節は、心室収縮を検出した後、0.06秒まで、例えば0.04秒まで、0.03秒まで、0.02秒まで提供される。いくつかの実施形態では、右心室に配置された少なくとも1つの電極リードを使用して、心室収縮を検出し、心臓収縮調節療法に適したパラメータ値を有する電界を提供する。いくつかの実施形態では、2つ以上の電極リード、例えば右心室の3つまたは4つの電極リードが、心臓収縮調節ペーシングの感知及び提供のために使用される。
【0152】
いくつかの実施形態によれば、心臓収縮調節療法は、例えばCRTと組み合わせたとき、LVでのペーシング中またはその後に提供される。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節は、右心室の収縮を検出した後、またはCRTの提供に続いて、0.06秒まで、例えば0.04秒まで、0.03秒まで、0.02秒まで提供される。いくつかの実施形態では、LVにおけるペーシング中またはペーシング後に心臓収縮調節療法を提供する潜在的な利点は、LV組織における心臓収縮を促進することであり得る。
【0153】
いくつかの実施形態によれば、CRTは、心臓に提供される心臓収縮調節療法に追加される。いくつかの実施形態では、CRTの追加が心収縮性を改善しない場合、心臓収縮調節療法を維持しながらCRTを停止する。いくつかの実施形態では、特定の条件で、例えば、測定された心拍数が患者の平均心拍数よりも0%、5%、10%、20%、40%、または中間の値、より小さい値、またはより大きい値を超えて高い場合、CRTペーシング後に心臓収縮調節が提供される。代替的に、または追加的に、心臓収縮調節は、睡眠中または特定の睡眠段階、例えば深い睡眠、急速眼球運動(REM)睡眠または非REM睡眠中のCRTペーシング後に提供される。代替的に、または追加的に、心房性不整脈が検出された場合、CRTペーシング後に心臓収縮調節が提供される。
【0154】
いくつかの実施形態の一態様は、心臓収縮調節療法のために、例えばCRTリードなどの既存の少なくとも1つの埋め込まれた電極リードを使用することに関する。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節療法の提供のために、2つ以上の以前に埋め込まれた電極リードから少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極リードが選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電極リードは、少なくとも1つの電極リードを介して心臓収縮調節療法のパラメータを有する試験電界を提供して、提供された電界の効果を判定することによって選択される。代替的に、試験電界は、2つ以上の以前に埋め込まれた電極リードを介して提供され、心臓収縮調節療法の提供により適した少なくとも1つの電極リードが、以前に埋め込まれた2つ以上の電極リードから選択される。任意選択で、以前にCRTに使用された少なくとも1つの電極リードが、心臓収縮調節療法のみの提供のため、またはCRTと組み合わせた心臓収縮調節療法の提供のために選択される。
【0155】
いくつかの実施形態によれば、望ましくない副作用、例えば電界提供後及び/または電界提供中の痛みまたは不快感の出現が判定される。いくつかの実施形態では、望ましくない副作用の出現に基づいて、心臓収縮調節療法のための少なくとも1つの電極リードが、任意選択で2つ以上の電極リードから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電極リードは、電極を介した試験電界の提供が、患者に望ましくない副作用を引き起こさなかった、または許容可能な望ましくない副作用を引き起こした場合に、心臓収縮調節のために選択される。いくつかの実施形態では、望ましくない副作用が検出された場合、少なくとも1つの異なる電極リードが試験電界の提供のために選択される。
【0156】
いくつかの実施形態によれば、2つ以上の電極リードのうちの少なくとも1つの電極リードが選択されて、試験電界の提供に続く心拍出量及び/または心臓収縮を示す少なくとも1つの臨床的または生理学的パラメータの測定に基づいて心臓収縮調節を提供する。
【0157】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの電極リード、例えばCRTリードが、心臓収縮調節療法を提供するために使用できる位置に前もって埋め込まれる。任意選択で、2つ以上のCRTリード、例えば、2、3、4本のCRTリードが、心臓収縮調節療法を提供するために使用できる位置に前もって埋め込まれる。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節を提供するのに適した少なくとも1つの位置は、右心室(RV)、左心室(LV)、右心房(RA)、またはこれらの位置における2つ以上のCRTリードの任意の組み合わせを含む。
【0158】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRT及び心臓収縮調節療法の両方を提供するように構成された電極リードの少なくとも1つの電極が、RVに埋め込まれる。いくつかの実施形態では、電極は、例えば電気的アクティブヘリックスを使用して、アクティブ固定される。
【0159】
いくつかの実施形態によれば、CRT及び心臓収縮調節の両方を提供するように構成された電極リードの電極は、少なくとも2mm2、例えば少なくとも4mm2、少なくとも6mm2または任意の中間の、より小さい、またはより大きい表面積を有する。追加的または代替的に、電極は、例えば窒化チタンまたは酸化イリジウムなどの高容量、低分極コーティングでコーティングされる。
【0160】
いくつかの実施形態の一態様は、心臓のペーシングを誘導するための心臓収縮調節療法に適したパラメータ値を有する電界を提供することに関する。いくつかの実施形態では、電界は、CRTに応答しない患者、またはCRTに応答しないと予測される患者に提供される。いくつかの実施形態では、ペーシングを誘導し、心臓への心臓収縮調節療法を促進するために、心臓収縮調節パラメータ値を有する電界が提供される。
【0161】
いくつかの実施形態によれば、心臓収縮調節パラメータ値を有する電界が、右心室及び/または左心室に配置された少なくとも1つの電極リードによってペーシングを誘導するために提供される。いくつかの実施形態では、例えば米国特許第7460907B1号に記載されているように、前記CRT及び心臓収縮調節のために拡張ペーシング信号が提供される。
【0162】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明の出願は、以下の説明に記載される、かつ/または図面及び/または実施例に示される、構成要素及び/または方法の構造及び構成の詳細に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能である、または様々な方法で実践もしくは実行することが可能である。
【0163】
CRTに応答しない患者への心臓収縮調節の提供のための一般的なプロセスの例
いくつかの例示的な実施形態によれば、心臓収縮調節は、CRT治療に対して所望の応答を示さない患者、例えば、CRT後に所望の心収縮性を示さない患者に提供される。本発明のいくつかの例示的な実施形態による、CRTに対して望ましくない応答を示す患者への心臓収縮調節療法の提供のための一般的なプロセスを示す
図1Bをここで参照する。
【0164】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック102で、CRT療法に対する望ましくない応答が識別される。いくつかの実施形態では、望ましくない応答は、CRT療法の所望の効果よりも低い効果を示す患者の心臓及び/または身体の応答である。いくつかの実施形態では、望ましくない応答は、心臓活動に関連する少なくとも1つの生理学的パラメータの測定に基づいて識別される。
【0165】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRTの望ましくない効果は、心拍出量、例えば心臓の駆出率、及び/または一回拍出量に関連する少なくとも1つのパラメータを測定することによって識別される。いくつかの実施形態では、CRTの望ましくない効果は、CRT開始後少なくとも24時間、例えば、CRT開始後少なくとも1週間、少なくとも1ヶ月、または任意の中間の、より短い、またはより長い期間で検出される。
【0166】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRTに対する応答は、体内から、例えば少なくとも1つの埋め込まれた電極によって測定される。任意選択で、少なくとも1つの埋め込み型電極は、埋め込み型CRTデバイスに接続される。代替的に、少なくとも1つの電極は、体内に埋め込まれた、または体外に配置された別の測定デバイスに接続される。
【0167】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRTに対する応答は、体外から、例えば皮膚の外表面に配置された少なくとも1つの電極によって測定される。代替的に、または追加的に、CRTに対する応答は、少なくとも1つの撮像デバイス、例えば超音波デバイス、磁気共鳴画像化(MRI)デバイス、及び/またはコンピュータ断層撮影(CT)デバイスによって測定される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの撮像デバイス、例えば超音波デバイスが体内に埋め込まれる。
【0168】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRTに対する望ましくない応答が識別されると、ブロック104で、心臓収縮調節療法を提供するように構成された心臓収縮調節デバイスが埋め込まれる。いくつかの実施形態では、埋め込み型心臓収縮調節デバイスは、患者の体から取り除かれた既存のCRTデバイスに取って代わる。いくつかの実施形態では、新たに埋め込まれた心臓収縮調節デバイスは、体内、例えば心臓にすでに埋め込まれている1つまたは複数のCRTリードに電気的に接続される。代替的に、体内にすでに埋め込まれている既存のCRTデバイスに加えて、埋め込み型心臓収縮調節デバイスが埋め込まれる。いくつかの実施形態では、埋め込み型心臓収縮調節デバイスは、任意選択でCRTデバイスにも接続される少なくとも1つのCRTリードに電気的に接続される。
【0169】
いくつかの例示的な実施形態によれば、新たな埋め込み型心臓収縮調節デバイスは、ブロック106で心臓収縮調節療法を提供する。
【0170】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRTに対する望ましくない応答が識別されると、ブロック108で、CRTを提供するために使用されるCRTデバイスは、心臓収縮調節療法起動プロトコルに切り替えられる。いくつかの実施形態では、ブロック108で、心臓収縮調節療法プロトコルがCRTデバイス、例えば二重目的デバイスで起動される。代替的に、CRTデバイスに接続された異なる電極が心臓収縮調節療法を提供するために使用される。任意選択で、電界の1つまたは複数のパラメータの値、例えば、パルス持続時間、振幅、及び/または周波数が、心臓収縮調節療法を提供するために修正される。
【0171】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRTに対する望ましくない応答が識別されると、ブロック110で、少なくとも1つの心臓収縮調節療法プロトコルまたはそのパラメータが、すでに埋め込まれているCRTデバイスに追加される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの心臓収縮調節療法プロトコルまたはそのパラメータが、体外から埋め込み型CRTデバイスにアップロードされる。いくつかの実施形態では、埋め込み型デバイスは、CRT及び心臓収縮調節の両方を組み合わせて提供し、例えば、少なくとも1つの電極リードを介してペーシングを行い、少なくとも1つの異なる電極リードを介して心臓収縮調節を提供し、両方の電極が同じデバイスに接続されるように構成される。いくつかの実施形態では、CRT及び心臓収縮調節療法プロトコルは同期され、例えば、心臓収縮調節パルスは、ペーシングが提供された直後、及び左心室収縮に続いて提供されるように構成される。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節パルスは、ペーシングが提供された直後及び心臓の不応期中に提供されるように構成される。
【0172】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRT及び心臓収縮調節療法は、ブロック112で同じデバイスによって提供される。いくつかの実施形態では、CRT及び心臓収縮調節療法は、同期して提供される。代替的または追加的に、CRT及び心臓収縮調節療法は、同じデバイスによって、例えば同じ埋め込み型デバイスによって断続的に提供される。
【0173】
心臓収縮調節療法の位置の例
いくつかの例示的な実施形態によれば、1つまたは複数の電極リードが心臓に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、電極リード上の1つまたは複数の電極が、例えばCRTの一部として、ペーシングの提供に適した位置に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、ペーシングに使用される電極の位置の少なくともいくつかは、心臓収縮調節の提供にも適している。本発明のいくつかの例示的な実施形態による、CRT及び心臓収縮調節療法に適した心臓内の位置を示す
図2をここで参照する。
【0174】
いくつかの例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの電極リード、例えば、2つの電極リード、3つの電極リード、4つの電極リード、または任意のより多数の電極リードが心臓に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、各電極リードは、少なくとも1つの電極、例えば2、3、4、5または任意のそれ以上の数の電極を含む。いくつかの実施形態では、電極リードの少なくともいくつか、例えば電極リードの遠位端が心臓組織に固定される。
【0175】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRTの提供に使用される少なくとも1つの電極リード、例えば電極リード208が心臓200内に固定される。いくつかの実施形態では、CRTの提供に使用される少なくとも1つの電極リード、例えば電極リード208が心臓の右心室204内に固定される。代替的または追加的に、少なくとも1つの電極リード、例えばCRTに使用されるリード212が、右心房210内に固定される。代替的または追加的に、少なくとも1つのCRT電極リード216が冠状静脈洞を介して挿入され、左心室(LV)に電界を提供するように配置される。
【0176】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRTは、右心室204内に配置された少なくとも1つの電極リード、例えば電極リード208または220、及び任意選択で左心室214内またはその近くに配置された少なくとも1つの電極リード、例えば冠状静脈洞を介して挿入された電極リード216によって提供される。任意選択で、心室214内に配置された電極リードが、心臓収縮調節、CRT、またはCRTと心臓収縮調節療法の両方の組み合わせに使用される。
【0177】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRTリードは、例えばIPG202などの埋め込み型パルス発生器(IPG)に電気的に接続される。いくつかの実施形態では、IPG202は、電極リードを介して心臓収縮調節及びCRTの両方を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、IPG202は、同じリードを介してCRT及び心臓収縮調節を提供するように構成される。代替的に、IPG202に接続された少なくとも1つのリードがCRTを提供するために使用され、少なくとも1つの異なるリードが心臓収縮調節療法を提供するために使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電極リード、例えば電極リード220が、心臓収縮調節のみを提供するために使用される。
【0178】
いくつかの例示的な実施形態によれば、IPGがCRTのみを提供するように構成されている場合、心臓収縮調節IPGが埋め込まれ、心臓収縮調節療法を提供するのに適した位置で心臓にすでに埋め込まれている少なくとも1つの電極リードに電気的に接続される。代替的に、心臓収縮調節療法のための少なくとも1つの新しい電極リードが、例えば心臓収縮調節IPGを埋め込む場合に、心臓または周囲の血管内の好ましい位置に、心臓収縮調節療法を提供するために埋め込まれる。
【0179】
いくつかの例示的な実施形態によれば、少なくとも1つの電極リードが事前に埋め込まれて、心臓への心臓収縮調節療法の提供を可能にする。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節療法の提供に適した少なくとも1つの電極リードは、右心室204内または左心室214内に前もって埋め込まれる。代替的または追加的に、心臓収縮調節療法の提供に適した少なくとも1つの電極リードは、血管内に、例えば、心臓から0.5cmまで、0.1cmまで、または任意の中間の、より小さな、またはより大きな距離など、1cmまでの距離で前もって埋め込まれる。いくつかの実施形態では、血管は心臓の静脈、例えば冠状静脈洞を含む。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節療法の提供に適した少なくとも1つの電極リードは、心臓中隔に前もって固定される。いくつかの実施形態では、前もって、例えばCRTデバイス及び/またはCRTリードを埋め込むときに埋め込まれた、2つ以上の電極リードが、心臓収縮調節療法を提供するために提供される。
【0180】
以前に識別されたCRTノンレスポンダーに対する心臓収縮調節療法の例
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRTの候補である患者が評価され、例えば、各患者におけるCRTの潜在的効果が判定される。いくつかの実施形態では、潜在的効果が所望の効果よりも低い場合、心臓収縮調節療法は、CRTの代替として、またはCRTと組み合わせて考慮される。任意選択で、CRTの潜在的効果が所望の効果である場合、埋め込まれたコンポーネントの少なくとも一部、例えば、埋め込まれた電極リードの少なくとも一部を使用して、埋め込み後、例えばCRT提供中に、CRTのより低い効果が識別される場合には心臓収縮調節療法を提供することもできる。
【0181】
本発明のいくつかの例示的な実施形態による、CRTを提供する際の潜在的困難が検出されるときに心臓収縮調節療法とあわせたCRTのために選択された患者を治療するためのプロセスを示す
図3Aをここで参照する。
【0182】
いくつかの例示的な実施形態によれば、患者はブロック303で診断される。いくつかの実施形態では、患者は、心機能に関連する少なくとも1つの生理学的パラメータ、例えば、心拍出量及び/または心収縮を示す少なくとも1つのパラメータを測定することによって診断される。追加的または代替的に、電気生理学的分析及び/または画像分析が、心機能、例えば、ECG、エコー画像、CT及び/またはMRIのうちの少なくとも1つを監視するために実行される。さらに、診断中に、患者及び/または患者の家族の病歴が収集され、検査される。
【0183】
いくつかの例示的な実施形態によれば、患者はブロック305でCRTのために選択される。いくつかの実施形態では、患者は、ブロック303で実行された診断の結果に基づいてCRTのために選択される。いくつかの実施形態では、ブロック303で実行された診断の結果が不規則な心臓収縮及び/または不十分な心拍出量を示す場合、患者はCRTのために選択される。
【0184】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック307で、CRT治療を提供する際の潜在的な困難が検出される。いくつかの実施形態では、CRTを提供する際の潜在的な困難を検出することは、CRTの提供が望ましくない副作用、例えば不快な感覚をもたらすことを検出することを含む。代替的または追加的に、潜在的な困難を検出することは、患者へのCRTの提供が心不全状態パラメータに対する有益な効果をもたらさないこと、例えば、心拍及び/または心拍出量に対して有益な効果をもたらさないことを検出することを含む。いくつかの実施形態では、患者へのCRTの提供が有益な効果をもたらさないことを検出することは、CRTの提供が、所望の有益な効果から少なくとも2%、例えば少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、または任意の中間の、より小さい、またはより大きいパーセンテージの低い効果をもたらすことを検出することを含む。
【0185】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRTを提供する際の潜在的な困難を検出することは、CRTの恩恵を受けるために、侵襲的処置、例えば切除処置を患者に対して実行する必要があることを検出することを含む。いくつかの実施形態では、CRTを提供する際の潜在的な困難を検出することは、患者を、心房細動(AF)、虚血性心筋症、CRTペーシングのパーセンテージが低いこと、例えば、選択された期間のCRTペーシング拍動と心拍数の間の平均比率が90%未満、例えば80%未満、70%未満、または任意の中間の値、より小さい値、またはより大きい値であることのうち少なくとも1つと診断することを含む。いくつかの実施形態において、比率を測定するために選択された期間は、少なくとも1日、例えば、1日、1週間、1ヶ月、3ヶ月、または任意の中間の、より短い、またはより長い期間である。
【0186】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRTを提供する際の潜在的な困難を検出することは、患者を、腎不全、真性糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、無呼吸などの睡眠障害、及び貧血を含むリストから選択される1つまたは複数の併存症と診断することを含む。代替的にまたは追加的に、CRTを提供する際の潜在的な困難を検出することは、患者を心不整脈、例えば非左脚ブロック(非LBBB)と診断することを含む。
【0187】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRTを提供する際の潜在的な困難を検出することは、患者へのCRTの提供が心拍出量に対する有益な効果、例えば、心拍出量の少なくとも0.5mlの増加、例えば、少なくとも1ml、少なくとも3ml、少なくとも5ml、または任意の中間の、より小さい、またはより大きい心拍出量の所望の増加をもたらさないことを検出することを含む。
【0188】
代替的または追加的に、CRTを提供する際の潜在的な困難を検出することは、患者へのCRTの提供が、駆出率に対する有益な効果をもたらさないこと、例えば、駆出率の少なくとも0.5%の増加、例えば、少なくとも1%、少なくとも3%、少なくとも5%、または任意の中間の、より小さい、またはより大きい駆出率の所望のパーセンテージの増加をもたらさないことを検出することを含む。
【0189】
代替的または追加的に、CRTを提供する際の潜在的な困難を検出することは、患者へのCRTの提供が、以下のパラメータ、心内圧、選択された期間にわたる心内圧勾配、NYHAクラススコア、ピークVO2及び/または6分間歩行スコアのうちの少なくとも1つに対する有益な効果をもたらさないことを検出することを含む。いくつかの実施形態では、有益な効果は、CRT埋め込み前及び/またはCRT埋め込み後に測定されたベースライン値と比較したパラメータの改善を含む。
【0190】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック309で、患者が心臓収縮調節療法の恩恵を受けることができるかどうかが判定される。いくつかの実施形態では、患者が心臓収縮調節療法の恩恵を受けることができるかどうかを判定することは、患者を心不全と診断することを含む。いくつかの実施形態では、患者が心臓収縮調節の恩恵を受けることができると判定することは、患者をNYHAクラスII~IVの心不全と診断することを含む。代替的または追加的に、患者は、左心室駆出率が25%~55%の範囲、例えば25%~40%、30%~45%、40%~55%、または任意の中間の、より小さい、またはより大きい値の範囲を有すると診断される。いくつかの実施形態では、患者が心臓収縮調節の恩恵を受けることができると判定することは、患者を、正常なQRS幅、例えば120msより大きい、例えば130msより大きい、140msより大きい、または任意の中間の、より小さい、またはより大きい値のQRS幅と診断することを含む。
【0191】
いくつかの例示的な実施形態によれば、患者は、ブロック311において心臓収縮調節療法で治療される。いくつかの実施形態では、患者は、ブロック311で実行された判定の結果に基づいて心臓収縮調節療法で治療される。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節療法は、心室の不応期中、例えば、電気信号が新しい心筋収縮を引き起こすことができない期間中、電界パルスの提供を含む。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節療法中に、二相性双極パルス列が、少なくとも5V、例えば5V、6V、7V、8V、9V、またはその中間の、より小さい値、またはより大きい値の振幅で同じ位置から送信される。いくつかの実施形態では、二相性双極パルス列は、8ms~13msの範囲、例えば、8ms~10ms、9ms~10.5ms、9.5ms~12ms、9ms~13ms、または任意の中間の、より小さい、またはより大きい値の範囲の期間送信される。
【0192】
本発明のいくつかの例示的な実施形態による、CRTデバイス埋め込みの前にCRTノンレスポンダーとして識別された患者への心臓収縮調節療法の提供のためのプロセスを示す
図3Bをここで参照する。
【0193】
いくつかの例示的な実施形態によれば、患者はブロック302で診断される。いくつかの実施形態では、患者の診断中に、臨床データ及び/または病歴が、患者及び任意選択で患者の家族について収集される。いくつかの実施形態では、診断中に、少なくとも1つの心臓パラメータ、例えば心臓の電気的活動、心臓の少なくとも一部の収縮度、例えば左心室の収縮、及び/または心拍数が測定される。代替的に、または追加的に、患者の診断中に、例えば心臓組織を通る、及び/または心房と心室の間の電気伝導が測定される。いくつかの実施形態では、診断中に、心臓収縮の病状、例えば心房細動に関する診断情報が収集される。代替的にまたは追加的に、診断中に、心不全に関連する情報、例えばQRS幅が収集される。いくつかの実施形態では、情報の少なくとも一部は、例えば超音波及び/または心エコー検査などの少なくとも1つの画像技術を使用して収集される。代替的または追加的に、情報の少なくとも一部は、心電図分析を使用して収集される。
【0194】
いくつかの例示的な実施形態によれば、患者はブロック302で心不全と診断される。さらに、患者は、QRS幅が120ms以上、例えば125ms、130ms、または任意の中間の、より小さい、またはより大きい値の左脚ブロック(LBBB)と診断される。代替的に、患者、例えば心不全と診断された患者はまた、QRS幅が150ms以上、例えば155ms、160ms、170ms、または任意の中間の、より小さい、またはより大きい値の非LBBBとして診断される。追加的または代替的に、ブロック302での診断中に、患者は心不全のニューヨーク心臓協会(NYHA)ステージに従って分類される。
【0195】
いくつかの例示的な実施形態によれば、患者がCRTを受ける必要性はブロック304で判定される。いくつかの実施形態では、患者は、ブロック302で実行された患者診断の結果に基づいてCRTのために選択される。いくつかの実施形態では、100msより大きい、例えば、110msより大きい、120msより大きい、130msより大きいQRS幅、またはQRS幅の任意の中間の値、より小さい値、またはより大きい値を有する左脚ブロック(LBBB)の患者がCRTのために選択される。いくつかの実施形態では、ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類II、III、またはIVの患者で、任意選択でLBBBを患っておらず、QRS幅が130msより大きい、例えば、140msより大きい、150msより大きい、160msまたは中間の値、より小さい値、またはより大きい値より大きい患者が、CRTのために選択される。
【0196】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック306で、CRTのために選択された患者がCRTノンレスポンダーであるリスクが推定される。いくつかの実施形態では、CRTのために選択された患者がCRTノンレスポンダーであることを示すリスクは、患者診断中に収集されたデータに基づいて、例えばアルゴリズム及び/またはルックアップテーブルのうちの少なくとも1つを使用して、ブロック306で計算される。
【0197】
いくつかの例示的な実施形態によれば、計算されたリスク指標に基づいて、患者の治療計画が選択される。いくつかの実施形態では、計算されたリスク指標が低い、例えば所定の値よりも低い場合、例えばCRT療法を提供するために、CRTリードを有するCRTデバイスが埋め込まれる。いくつかの実施形態では、リスクが非常に高い場合、例えば所定の値よりも高い場合、CRTは潜在的な治療とはみなされず、308で、心臓収縮調節リードを有する心臓収縮調節デバイスが埋め込まれて、例えば心臓収縮調節療法のみを提供する。いくつかの実施形態では、リスク指標が中程度である場合、例えば、CRTのみを提供するには高すぎ、心臓収縮調節療法のみを提供するための指標よりも低い場合、二重目的デバイスを埋め込み、ブロック312でCRT及び心臓収縮調節療法の両方を提供することが可能である。代替的に、少なくとも1つの心臓収縮調節リードを有するCRTデバイスは、ブロック320でCRTを提供するために、ブロック318で埋め込まれ、一方、デバイスを心臓収縮調節デバイスまたは二重目的デバイスと交換するオプションを維持しながら、CRT提供が効果的でない場合には、以前に埋め込まれた電極リードを使用した心臓収縮調節療法を提供するようにする。
【0198】
いくつかの例示的な実施形態によれば、患者が所望の応答でCRTに応答しないリスクが所定の値よりも高い場合、ブロック308で心臓収縮調節デバイスが患者に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、埋め込み型心臓収縮調節デバイスは、患者に心臓収縮調節のみを提供するように構成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの電極リード、例えば、心臓収縮調節療法を提供するように構成された2、3、4、5本の電極リードが、心臓収縮調節療法の提供に好都合な位置に埋め込まれ、例えば電極が右心室中隔壁に固定される。
【0199】
いくつかの実施形態では、埋め込み型電極リードのうち少なくとも1つが、CRTの提供に適した位置に埋め込まれる。
【0200】
いくつかの例示的な実施形態によれば、心臓収縮調節デバイス及び電極リードが埋め込まれると、ブロック310で心臓収縮調節療法が提供される。
【0201】
いくつかの例示的な実施形態によれば、患者が所望の応答でCRTに応答しないリスクが所定の値よりも高い場合、ブロック311で、CRT及び心臓収縮調節の両方を提供するように構成された二重目的デバイスが患者に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、二重目的デバイスは、CRTの提供に適した位置にCRTを提供するように構成された少なくとも1つの電極リード、及び心臓収縮調節療法の提供に適した位置に心臓収縮調節を提供するように構成された少なくとも1つの追加の電極リードとともに埋め込まれる。代替的に、二重目的デバイスは、ブロック311で、CRT及び心臓収縮調節療法の両方を提供するのに適した心臓内の位置、例えば右心室中隔壁に、CRT及び心臓収縮調節療法の両方を提供するように構成された少なくとも1つの電極とともに埋め込まれる。
【0202】
いくつかの例示的な実施形態によれば、二重目的デバイス及び少なくとも1つの電極が埋め込まれると、ブロック312でCRT及び心臓収縮調節が提供される。任意選択で、CRT及び心臓収縮調節療法は同期して提供される。いくつかの実施形態では、CRT及び心臓収縮調節療法は、断続的に提供される。任意選択で、CRT及び心臓収縮調節療法は、心臓の収縮シーケンスに従って、例えば心房及び心室の収縮タイミングに従って提供される。
【0203】
いくつかの例示的な実施形態によれば、患者が所望の応答でCRTに応答しないリスクが高く、例えば所定の値よりも高い場合、ブロック318で、CRTを提供するように構成された少なくとも1つの電極リードと心臓収縮調節を提供するように構成された少なくとも1つの電極リードとを備えるCRTデバイスが埋め込まれる。いくつかの実施形態では、CRTを提供するように構成された少なくとも1つの電極は、患者の心臓へのCRTの提供に好都合な位置に埋め込まれる。加えて、心臓収縮調節療法を提供するように構成された少なくとも1つの電極リードは、患者の心臓へのCCM療法の提供に好都合な位置に埋め込まれる。代替的に、CRT及び心臓収縮調節療法の両方を提供するように構成された少なくとも1つの電極リードが、例えば
図2に説明されるように、CRT及び心臓収縮調節療法の両方に好都合な位置に埋め込まれる。
【0204】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRTがブロック320で提供される。いくつかの実施形態では、CRTが心臓収縮に対する提供されたCRTの効果を監視しながら提供される。いくつかの実施形態では、患者の心臓に対するCRTの効果は、CRT提供の開始から、少なくとも24時間、少なくとも2日、少なくとも1週間、または任意の中間の、より短い、またはより長い期間の後に明らかになる。いくつかの実施形態では、提供されたCRT効果の評価は、CRTの最初の提供後、少なくとも1ヶ月、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8ヶ月、または任意の中間の、より短い、またはより長い期間で実行される。いくつかの実施形態では、提供されたCRTの効果は、CRT提供後の心不全パラメータの変化を、例えばベースライン値または任意の他の基準と比較して評価することによって監視される。
【0205】
いくつかの例示的な実施形態によれば、監視されたCRT効果が所望の効果よりも低い場合、CRTデバイスは、ブロック322で、CRT及び心臓収縮調節療法の両方を提供するように構成された二重目的デバイスと交換される。いくつかの実施形態では、二重目的デバイスは、以前に埋め込まれた電極リードのうちの1つまたは複数に電気的に接続される。
【0206】
いくつかの例示的な実施形態によれば、監視されたCRT効果が所望の効果よりも低い場合、CRTデバイスは、心臓収縮調節のみを提供するように構成されたデバイス、例えば心臓収縮調節デバイスと交換される。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節デバイスは、例えば、心臓収縮調節療法の提供に適した位置に配置された、心臓収縮調節療法を提供するように構成された、以前に埋め込まれたリードのうちの1つまたは複数に電気的に接続される。
【0207】
いくつかの例示的な実施形態によれば、心臓収縮調節のみのデバイスまたは二重目的のCRT及び心臓収縮調節デバイスを埋め込むかどうかの決定は、患者に対するCRTの効果に依存する。いくつかの実施形態では、CRT効果が所望の効果ではないが、CRTと心臓収縮調節の組み合わせが所望の効果をもたらすと予想される場合、二重目的デバイスが埋め込まれる。いくつかの実施形態では、CRT効果が所望の効果よりも低く、CRTを心臓収縮調節療法と組み合わせることが所望の効果をもたらさないと予想される場合、心臓収縮調節のみのデバイスが埋め込まれる。
【0208】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRT効果が所望の効果ではなく、患者の臨床状態が不安定であると予想される場合、二重目的のCRT及び心臓収縮調節デバイスが埋め込まれ、例えば、将来のより良い治療の柔軟性を可能にする。
【0209】
CRT提供後の心臓収縮調節療法の例
いくつかの例示的な実施形態によれば、心臓収縮調節療法を患者に提供するかどうかの決定は、患者へのCRTの提供後に、提供されたCRTの結果に基づいて行われる。本発明のいくつかの例示的な実施形態による、すでにCRTを受けている患者に心臓収縮調節を提供するためのプロセスを示す
図4A及び4Bをここで参照する。
【0210】
いくつかの例示的な実施形態によれば、患者が診断されて、CRTを受ける必要性がブロック304で判定される。
【0211】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック402でCRTデバイスが埋め込まれる。いくつかの実施形態では、CRTデバイスは、無線信号を受信し、体外にあるデバイスに送信するように構成される。
【0212】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック404で、1つまたは複数の電極を備える少なくとも1つの電極リードが、患者の心臓へのCRTの提供に適した位置に埋め込まれる。
【0213】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック406で、1つまたは複数の電極を備える少なくとも1つの電極リードが、患者の心臓への心臓収縮調節療法の提供に適した位置に埋め込まれる。
【0214】
代替的または追加的に、1つまたは複数の電極を備える少なくとも1つの電極リードが、心臓へのCRT及び心臓収縮調節の提供に適した位置に埋め込まれる。
【0215】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック408でCRTが心臓に提供される。いくつかの実施形態では、CRTは、ブロック404で埋め込まれた電極のうちの1つまたは複数を介して提供される。
【0216】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック410で、CRTの低い効果に関する指標が受信される。いくつかの実施形態では、指標は、心臓の収縮に関連する少なくとも1つのパラメータの測定、例えば体外及び/または体内から実行される測定に基づいて受信される。いくつかの実施形態では、指標は、埋め込み型CRTデバイスからデバイス、例えば、体外に配置されたコンピュータ、及び/または携帯電話または移動電話に送信される。いくつかの実施形態では、指標は、遠隔サーバ及び/または遠隔クラウドストレージに提供される。いくつかの実施形態では、指標は、医師、看護師、または患者の臨床状態を監視する人に提供される。
【0217】
いくつかの例示的な実施形態によれば、受信した指標に基づいて、埋め込み型デバイスがCRT及び心臓収縮調節療法を提供するように構成された二重目的デバイスである場合、心臓収縮調節療法のみに切り替えるために信号がデバイスに送信される。いくつかの実施形態では、埋め込み型デバイスに提供される信号は、少なくとも1つの心臓収縮調節療法プロトコル、少なくとも1つの心臓収縮調節療法パラメータの値、例えば電界強度、電界周波数、各パルスの持続時間、及び/または、心臓収縮及び/または心拍リズムとの心臓収縮調節療法パルスの同期に関する情報を含む。いくつかの実施形態では、ブロック412で埋め込み型デバイスに提供される信号は、心臓収縮調節療法を提供するときにどの埋め込み型電極を使用するかに関する情報を含む。いくつかの実施形態では、ブロック412で埋め込み型デバイスに提供される信号は、心臓収縮調節療法に適した位置に埋め込まれた少なくとも1つの電極を使用する指示を含む。
【0218】
いくつかの例示的な実施形態によれば、受信した指標に基づいて、埋め込み型デバイスがCRT及び心臓収縮調節療法を提供するように構成された二重目的デバイスである場合、ブロック414で、心臓収縮調節療法をCRTに組み合わせるために信号がデバイスに送信される。いくつかの実施形態では、埋め込み型デバイスに提供される信号は、心臓収縮調節療法プロトコル、少なくとも1つの心臓収縮調節療法パラメータの値、例えば電界強度、電界周波数、各パルスの持続時間、及び/または、心臓収縮、心拍リズム及び/またはCRTとの心臓収縮調節療法パルスの同期に関する情報のうち少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、ブロック414で埋め込み型デバイスに提供される信号は、電極または電極リードのどれを心臓収縮調節療法に使用するか、及び電極または電極リードのどれをCRTに使用するかに関する指示を含む。
【0219】
いくつかの例示的な実施形態によれば、受信した指標に基づいて、ブロック402で埋め込まれたCRTデバイスは、ブロック416で、心臓収縮調節のみを提供するように構成されたデバイスと交換される。いくつかの実施形態では、CRTデバイスは身体から取り除かれる。代替的に、CRTデバイスを体内に保ちながら心臓収縮調節デバイスが埋め込まれる。
【0220】
いくつかの例示的な実施形態によれば、心臓収縮調節デバイスは、少なくとも1つの電極リード、例えばすでにブロック406で埋め込まれている電極リードに接続され、心臓収縮調節の提供に適した位置に配置される。
【0221】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック420で、心臓収縮調節療法を開始するために信号が埋め込み型心臓収縮調節デバイスに提供される。
【0222】
いくつかの例示的な実施形態によれば、受信した指標に基づいて、ブロック402で埋め込まれたCRTデバイスは、ブロック422で、CRT及び心臓収縮調節療法を提供するように構成された二重目的デバイスと交換される。いくつかの実施形態では、二重目的デバイスは、ブロック424で、CRTの提供に適した位置に配置された少なくとも1つの電極リード、及び心臓収縮調節の提供に適した位置に配置された少なくとも1つの電極リードに電気的に接続される。任意選択で、二重目的デバイスは、CRT及び心臓収縮調節療法の両方の提供に適した位置に配置された少なくとも1つの電極リードに電気的に接続される。
【0223】
デバイスの例
本発明のいくつかの例示的な実施形態による、心臓収縮調節療法の提供のためのデバイスを示す
図5をここで参照する。
【0224】
いくつかの例示的な実施形態によれば、心臓収縮調節療法を提供するためのデバイスは、体内に配置された少なくとも1つの電極リードに電気的に接続された、例えばユニット502などの埋め込み可能パルス発生器(IPG)ユニットを備える。いくつかの実施形態では、IPGユニット502は、少なくとも1つの制御回路512と、制御回路512に電気的に接続された少なくとも1つのパルス発生器504とを備える。いくつかの実施形態では、パルス発生器504は、体内に埋め込まれた少なくとも1つ、例えば、2、3、4、5、6またはそれ以上の数の電極リードに電気的に接続される。いくつかの実施形態では、各電極リードは、例えばCRT及び/または心臓収縮調節の一部としての電界の提供に適した少なくとも1つ、例えば2、3、4、5、6、またはそれ以上の数の電極を含む。
【0225】
いくつかの例示的な実施形態によれば、IPGユニット502のケーシング、例えばケーシング503は、体内に埋め込み可能、例えば皮下に埋め込み可能な形状及びサイズである。いくつかの実施形態では、ケーシング503の外面は滑らかであり、任意選択で平面である。いくつかの実施形態では、IPGユニットは体外に配置され、体内に埋め込まれた少なくとも1つのリードに接続される。
【0226】
いくつかの例示的な実施形態によれば、IPGユニット502は、少なくとも1つの心臓収縮調節プロトコルまたはそのパラメータを記憶するためのメモリ514を備える。さらに、メモリは、少なくとも1つのCRTプロトコルまたはそのパラメータを記憶する。
【0227】
いくつかの例示的な実施形態によれば、パルス発生器504は、少なくとも1つの電極、例えば、心臓収縮調節療法を提供するように構成され、例えば
図2で説明されるように、心臓収縮調節療法の提供に適した位置に配置される心臓収縮調節電極506に電気的に接続される。加えて、パルス発生器504は、少なくとも1つの電極、例えばCRTを提供するように構成され、例えば
図2に記載されるように、CRTの提供に適した位置に配置されるCRT電極508に電気的に接続される。
【0228】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御回路512は、パルス発生器504に信号を送り、CRT電極508を介してCRTに適したパラメータ値、例えば、電界振幅、電界周波数、電界パルス持続時間電界を発生させ、提供する。
【0229】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御回路512は、パルス発生器504に信号を送り、心臓収縮調節電極506を介して心臓収縮調節療法に適したパラメータ値、例えば、電界振幅、電界周波数、電界パルス持続時間電界を発生させ、提供する。
【0230】
いくつかの例示的な実施形態によれば、IPGユニット502は、制御回路512に電気的に接続される少なくとも1つの測定回路516を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの測定回路516は、例えば心臓活動に関連する電気生理学的信号などの電気信号を記録するように構成された少なくとも1つの心臓センサ、例えば心臓センサ520に接続される。いくつかの実施形態では、心臓センサ520は、心臓収縮、例えば、少なくとも1つの心房の収縮、左心室の収縮及び/または右心室の収縮に関連する信号を記録するように構成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの心臓センサ520は、心臓組織の電気コンダクタンス、例えば、心臓組織の導電率及び/または心臓組織のインピーダンスに関連する信号を記録するように構成される。
【0231】
いくつかの例示的な実施形態によれば、測定回路516は、少なくとも1つの追加のセンサ、例えば心臓活動に関連しない電気生理学的パラメータに関連する信号を記録するように構成された身体センサ518、例えば心臓内の埋め込み可能バイオインピーダンスセンサ、駆出率、心拍出量、心内圧、時間に伴う心内圧勾配などの心臓性能パラメータを測定できる心内圧センサに接続される。
【0232】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御回路は、測定回路516を介してセンサ518及び520から受信した信号に基づいて、IPGユニット502によって心臓に提供されるCRTの効果を評価または判定するように構成される。いくつかの実施形態では、制御回路512は、電極から記録された信号またはその指標をメモリ514に記憶する。
【0233】
いくつかの例示的な実施形態によれば、IPGユニット502は、身体の外側に位置する少なくとも1つの外部デバイス、例えばコンピュータまたは携帯デバイスとの間で信号、例えば無線信号を送受信するように構成された通信回路、例えば通信回路524を備える。いくつかの実施形態では、通信回路524は、体外に配置された少なくとも1つのセンサ、例えば少なくとも1つの皮膚電極から信号を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、通信回路524は、心臓収縮調節プロトコル、CRTプロトコル、CRTに使用される電界のパラメータ値、心臓収縮調節療法に使用される電界のパラメータ値のうちの少なくとも1つを含む、外部デバイスからの信号を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、通信回路524を介して受信された情報は、メモリ514に記憶される。
【0234】
いくつかの例示的な実施形態によれば、IPGユニット502は、電源、例えば電源522を備える。いくつかの実施形態では、電源は、例えば無線誘導充電を介して、体外から再充電することができる再充電可能な電源である。いくつかの実施形態では、電源522は、電力をIPGユニット502のコンポーネント、例えばパルス発生器504に提供するように構成される。
【0235】
本発明のいくつかの例示的な実施形態による、デバイスのアクティビティ、例えばIPGユニットによって実行されるアクティビティを説明する
図6をここで参照する。
【0236】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRTがブロック602で提供される。いくつかの実施形態では、IPGユニット502の制御回路512は、パルス発生器504に信号を送り、CRT用に選択されたパラメータ値で電界を発生させる。いくつかの実施形態では、生成されたCRT電界は、少なくとも1つの電極、例えばCRT電極508を介して心臓に提供される。
【0237】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRTの効果、例えばCRT電界の効果がブロック604で測定される。いくつかの実施形態では、制御回路512は、少なくとも1つの心臓センサ520及び/または少なくとも身体センサ518から受信した信号に基づいてCRT効果を測定する。任意選択で、制御回路512は、メモリ514に記憶された少なくとも1つのアルゴリズムを使用してCRT効果を測定する。いくつかの実施形態では、CRT効果は、体外に配置された少なくとも1つの外部デバイス、例えば撮像デバイスによって測定される。いくつかの実施形態では、外部デバイス分析の結果は、通信回路524を介してIPGユニット502に送信される。
【0238】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御回路512は、ブロック606で、測定されたCRT効果が所望の効果ではないと判定する。いくつかの実施形態では、制御回路512は、測定されたCRT効果と少なくとも1つの基準、例えばメモリ514に記憶された基準との間の関係を判定することによって、測定されたCRT効果が所望の効果ではないと判定する。いくつかの実施形態では、制御回路512は、メモリ514に記憶された少なくとも1つのアルゴリズムまたは少なくとも1つのルックアップテーブルを使用して、測定されたCRT効果が所望の効果ではないことを判定する。
【0239】
いくつかの例示的な実施形態によれば、制御回路512は、測定されたCRT効果に基づいて、提供されたCRTのスコアを生成する。いくつかの実施形態では、制御回路512は、生成されたスコアに基づいて、例えば、生成されたスコアとメモリ514に記憶された少なくとも1つの基準値、または基準指標との間の関係を判定することによって、CRT効果が所望の効果ではないと判定する。
【0240】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRT効果が所望の効果でない場合、ブロック608で心臓収縮調節プロトコルが選択される。いくつかの実施形態では、制御回路512は、ブロック608で心臓収縮調節プロトコル、例えば、メモリ514に記憶された心臓収縮調節プロトコルを選択する。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節プロトコルは、ブロック604で実行される測定に従って、CRT治療効果に従って、及び/または心臓の臨床状態または生理学的状態に従って選択される。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節プロトコルは、心臓収縮調節療法のために構成された電界のパラメータ値、パルス発生器504の少なくとも1つの起動パラメータ、及び/または心臓収縮調節電界を提供するために使用できる電極に関する情報、例えば電極位置、のうちの少なくとも1つを含む。
【0241】
いくつかの例示的な実施形態によれば、心臓収縮調節療法の少なくとも1つのパラメータの値がブロック610で調整される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのパラメータは、心臓収縮調節電界パラメータ、及び/または心臓収縮調節プロトコルのパラメータを含む。
【0242】
いくつかの例示的な実施形態によれば、電極構成は、ブロック612で、例えば制御回路512によって選択される。いくつかの実施形態では、IPGユニットに接続された複数の電極から心臓収縮調節療法を提供するために配置された2つ以上の電極のセットを備える電極構成が、ブロック612で選択される。いくつかの実施形態では、IPGユニットに接続された2つ以上の電極のうちの少なくとも1つの電極が、例えば電極位置、電極特性に基づいて、及び/またはCRT効果の測定もしくは心臓の臨床的及び生理学的状態の他の測定に基づいて、心臓収縮調節の提供のために選択される。
【0243】
いくつかの例示的な実施形態によれば、心臓収縮調節療法がブロック614で提供される。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節療法のために選択されたパラメータ値で電界を生成するように、及び/または生成された電界をブロック612で選択された電極のうちの1つまたは複数を介して提供するように、パルス発生器504に信号を送ることによって、心臓収縮調節療法が提供される。いくつかの実施形態では、制御回路512は、心臓の活動と同期して、例えば心臓の収縮と同期して、及び/または心臓の少なくとも1つの解剖学的領域の脱分極状態と同期して、心臓収縮調節電界を生成及び提供するようにパルス発生器504に信号を送るように構成される。いくつかの実施形態では、制御回路512は、心臓の活動を測定する1つまたは複数のセンサ、例えば
図5に示す心臓センサ520から受信した信号に基づいて、電界の生成及び/または提供のタイミングを制御する。
【0244】
いくつかの例示的な実施形態によれば、心臓に対する心臓収縮調節療法の効果がブロック616で評価される。いくつかの実施形態では、心臓収縮調節療法の効果は、少なくとも1つのセンサ、例えば心臓センサ520から受信した信号に基づいて評価される。代替的に、心臓収縮調節療法の効果は、心臓の外側または体外に配置された少なくとも1つの測定デバイスによって実行される測定に基づいて評価される。いくつかの実施形態では、評価結果またはその指標は、例えば通信回路524を介してIPGユニット502に送信される。
【0245】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック616で実行された心臓収縮調節療法の評価の結果に基づいて、ブロック618で、異なる心臓収縮調節療法プロトコルが任意に選択される。代替的または追加的に、心臓収縮調節療法の評価結果に基づいて、ブロック610で、少なくとも1つの心臓収縮調節療法パラメータの値が任意選択で調整される。代替的または追加的に、ブロック612で、心臓収縮調節療法の評価結果に基づいて、心臓収縮調節電界の提供のための少なくとも1つの異なる電極が任意に選択されるか、または異なるセットの電極が任意に選択される。
【0246】
いくつかの例示的な実施形態によれば、心臓収縮調節の提供の代わりに、ブロック620で、CRTと心臓収縮調節療法との間の同期が実行される。いくつかの実施形態では、同期は、CRTのために選択されたパラメータ値を有する電界の提供と、心臓収縮調節療法のために選択されたパラメータ値を有する電界の提供との間のタイミング同期を含む。代替的または追加的に、同期は、CRT及び心臓収縮調節療法の一方または両方を、心臓活動と、例えば、左心房、左心室、右心房及び右心室を含む心臓区画の1つまたは複数の収縮と同期させること、及び/または心臓の組織を介した電気信号の伝播と同期させることを含む。いくつかの実施形態では、同期は、メモリ514に記憶された、少なくとも1つの同期アルゴリズム、1つまたは複数の同期指標を含む少なくとも1つのルックアップテーブルを任意選択で使用して、制御回路512によって実行される。
【0247】
いくつかの例示的な実施形態によれば、CRT及び心臓収縮調節療法は、ブロック622で提供される。いくつかの実施形態では、制御回路512は、ブロック620で実行される同期に従って、CRT電界及び心臓収縮調節電界を生成する、及び/またはそれらを少なくとも1つの電極を介して心臓組織に提供するようにパルス発生器504に信号を送る。
【0248】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック624で、CRT及び心臓収縮調節療法を含む二重治療の効果が評価される。いくつかの実施形態では、心臓、例えば、心拍出量及び/または心収縮性に対する、提供されたCRT及び心臓収縮調節療法の効果が、ブロック624で評価される。いくつかの実施形態では、提供されたCRT及び心臓収縮調節療法の効果は、例えば、ブロック604及び616で説明されているように、IPGユニット502に接続された少なくとも1つのセンサから受信した信号に基づいて、及び/または体外に配置された少なくとも1つのセンサまたは少なくとも1つのデバイスからの信号に基づいて評価される。いくつかの実施形態では、制御回路512は、IPGユニット502に接続された少なくとも1つのセンサからの情報に基づいて、例えば自動的に評価を実行する。代替的に、制御回路512は、通信回路524を介して評価結果を受信する。
【0249】
いくつかの例示的な実施形態によれば、提供されたCRT及び心臓収縮調節療法の効果は、ブロック624で、治療開始後少なくとも1週間、例えば、少なくとも1ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、または任意のより短いまたはより長い期間評価される。いくつかの実施形態では、提供されたCRT及び心臓収縮調節の効果は、駆出率、心収縮性、心内圧、選択された期間にわたる心内圧勾配、NYHAクラススコア、ピークVO2及び6分間歩行スコアのうちの少なくとも1つに対する効果を含む。
【0250】
いくつかの例示的な実施形態によれば、評価結果が、CRTの提供が所望の効果をもたらさないこと、及び/または心臓収縮調節療法の提供が所望の効果に達するのに十分であることを示す場合、CRTはブロック625で停止される。いくつかの実施形態では、制御回路512は、評価結果に基づいて、CRT電界の生成を停止するようにパルス発生器に信号を送るか、またはCRT電界を生成するためにパルス発生器504への信号を停止する。任意選択で、CRTが停止された場合、指示信号が通信回路524を介して外部デバイスに送信される。
【0251】
いくつかの例示的な実施形態によれば、少なくとも1つのCRTパラメータの値は、ブロック626で、例えば制御回路512によって任意選択で修正される。いくつかの実施形態では、CRTパラメータの値は、ブロック624で実行された評価の結果に基づいて修正される。いくつかの実施形態では、提供されたCRTと心臓収縮調節療法との間の同期は、ブロック626で修正される。代替的に、別のCRTプロトコルが任意選択で選択される。
【0252】
いくつかの例示的な実施形態によれば、ブロック628において、例えば制御回路512によって、異なる心臓収縮調節プロトコルが任意選択される。いくつかの実施形態では、異なる心臓収縮調節プロトコルが、ブロック624で実行された評価の結果に基づいて選択される。代替的に、少なくとも1つの心臓収縮調節パラメータが、ブロック628で実行された評価の結果に基づいて、ブロック610で任意選択で調整される。
【0253】
「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、有する(having)」という用語及びそれらの同根語は、「限定ではないが、~を含む(including but not limited to)」を意味する。
【0254】
「~から成る(consisting of)」という用語は、「含み、~に限定される(including and limited to)」ことを意味する。
【0255】
「実質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語は、構成、方法または構造が、追加の構成要素、ステップ及び/またはステップを含むことができるが、追加の構成要素、ステップ及び/または部分が、特許請求された構成、方法または構造の基本的かつ新規な特性を著しく変えない場合に限るということを意味する。
【0256】
本明細書で使用する場合、文脈上明らかに別段に示されている場合を除き、「a」、「an」及び「the」という単数形には、複数の言及物が含まれる。
【0257】
本願を通して、本発明の実施形態は、範囲形式に関連して提示され得る。範囲形式での説明は、便宜上及び簡潔にするためだけのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の個々の数値だけでなく、全ての可能な下位範囲を具体的に開示したと見なされるべきである。例えば、「1から6まで」などの範囲の説明は、「1から3まで」、「1から4まで」、「1から5まで」、「2から4まで」、「2から6まで」、「3から6まで」など、ならびに、その範囲内の個々の数値、例えば1、2、3、4、5、6などの、具体的に開示された下位範囲を含むと見なされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0258】
本明細書で数値範囲が示されているときはいつでも(例えば、「10~15」、「10~15」、またはこれらの別のそのような範囲表示によってリンクされた数値のペア)、それは、文脈上明確に別段の指示がない限り、範囲限界を含む示された範囲制限内の任意の数値(分数または整数)を含むことを意味する。第1の表示数値と第2の表示数値との「間の範囲(range/ranging/ranges between)」という句、及び第1の表示数値「から」第2の表示数値「まで(to)」、「最大~まで(up to)」、「まで(until)」または「までずっと(through)」(または別の、そのような範囲指示語)の「範囲(range/ranging/ranges from)」という句は、本明細書では互換的に使用され、第1の表示数値及び第2の表示数値と、それらの間の分数及び整数の数値の全てを含むことを意味する。
【0259】
別段の指示がない限り、本明細書で使用される数値及びそれに基づく任意の数値範囲は、当業者が理解する妥当な測定精度及び丸め誤差の範囲内の概算である。
【0260】
明確にするために別個の実施形態の文脈において説明される本発明のある特徴を、単一の実施形態において組み合わせで設けることもできることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されている本発明の様々な特徴は、別々に、もしくは任意の好適な部分的組み合わせで、または、本発明の任意の他の説明された実施形態で好適なように提供されることも可能である。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは機能しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴と見なすべきではない。
【0261】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明しているが、多くの代替案、修正、及び変形が当業者には明らかであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広い範囲に含まれるそのような全ての代替案、修正、及び変形を包含することが意図される。
【0262】
本明細書に記述される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個別の刊行物、特許、または特許出願のそれぞれが、参照により本明細書に組み込まれることが明確及び個別に示されるのと同程度に、明細書への参照により全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本願におけるいずれかの参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本発明の先行技術として利用可能であるということの承認として解釈するべきではない。セクションの見出しが使用されている場合、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。さらに、本願のいずれかの優先権書類(複数可)は、本明細書により、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓収縮調節療法のために患者を選択する方法であって、
心臓再同期療法(CRT)の基準を満たす患者を選択することと、
前記患者への前記CRTの効果的な提供の際の潜在的な困難を検出することと、
前記潜在的な困難にもかかわらず、前記患者が心臓収縮調節療法の恩恵を受けることができると判定することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記検出することが、CRT前の侵襲的治療が有効であると予想されるかどうかを検出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出することが、前記患者は腎不全、真性糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、無呼吸などの睡眠障害、及び貧血を含むリストから選択される1つまたは複数の併存症を患っている、という指標を受信することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出することが、前記患者は心不整脈を患っているという指標を受信することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記心不整脈が非左脚ブロック(非LBBB)を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記判定することが、前記患者はNYHAクラスII~IVの心不全を患っているという指標を受信することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記判定することが、前記患者は25%~55%の範囲の左心室駆出率を患っているという指標を受信することを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記判定することが、前記患者は130msより大きい正常なQRS幅を呈するという指標を受信することを含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記判定することが、少なくとも1つの電極リードを介して心臓に提供される心臓収縮調節のための試験電界のパラメータを用いて心臓デバイスのパルス発生器を設定することと、前記患者への前記試験電界の効果が、前記患者は前記少なくとも1つの電極リードを介して心臓収縮調節療法の恩恵を受けることができることを示している、と判定することとを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記試験電界が、最大1時間続く試験セッションの一部である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記パルス発生器が、前記患者の体外に配置されるように構成される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの電極リードを介した心臓収縮調節及びCRT療法の提供に適した心臓組織位置を選択すること、を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの電極リードが、前記少なくとも1つの電極リードの少なくとも一部を心臓の中隔に固定するように構成されたアンカーを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記心臓組織位置が左心室または右心室を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
CRT及び心臓収縮調節療法の両方の提供に適した前記電極リードの電極が、少なくとも4mm
2の表面積を有し、高静電容量及び低分極コーティングでコーティングされる、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
CRTの効果が計画された効果ではないことを識別することを含む、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記識別することが、前記CRTの効果が心拍出量の増加に対して不十分な効果であることを識別することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記識別することが、前記CRTの効果が少なくとも1つの望ましくない副作用を含むことを識別することを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの望ましくない副作用が痛覚を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの望ましくない副作用が不整脈を含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記識別することが、前記CRTの効果が計画された効果ではないことを前記CRTの開始から少なくとも1ヶ月後に識別することを含む、請求項16~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
二重目的デバイスがCRT及び心臓収縮調節療法の両方のための電界を生成するように構成される治療計画を選択することを含む、請求項12~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記二重目的デバイスが、心臓の不応期中にCCM電界を一連の二相性双極パルスとして計時するように構成される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記CCM電界が少なくとも5Vの振幅を有し、各二相性パルスの持続時間は9ミリ秒~15ミリ秒の範囲である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記判定することの結果に従って、心臓収縮調節療法で前記患者を治療することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記治療することが、CRTと組み合わせた心臓収縮調節療法で前記患者を治療することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
心臓収縮調節療法で前記患者を前記治療することが、心臓中隔に固定された少なくとも1つの電極リードを介して心臓の右心室の不応期中に電界を提供することを含み、CRTで前記患者を前記治療することが、左心室、右心室、または心臓から最大1cmの距離にある血管内に配置された少なくとも1つの電極リードを介して電界を提供することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記治療することが、CRTのための前記電界及び心臓収縮調節療法を同じ電極を介して提供することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記治療することが、CRTのための電界を心臓収縮調節が提供される同じ心室内で提供することを含む、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記治療することが、右心室の非不応期中にCRT及び心臓収縮調節療法効果の両方のために拡張ペーシング信号を提供することを含む、請求項26~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記心臓収縮調節及び前記CRTで前記患者を治療することが心拍出量及び/または心臓収縮に所望の効果を有するかどうかを判定することと、
前記判定することの結果に基づいて前記CRT療法を修正することと、を含む、請求項26~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
心臓収縮調節療法ために患者を選択する方法であって、
提供されたCRTの効果が前記患者に対する有益な効果ではないことを識別することと、
前記識別することの結果に基づいて、心臓収縮調節電界を生成するように心臓デバイスコントローラの設定を修正することと、を含む、前記方法。
【請求項33】
前記識別することが、前記CRTが1つまたは複数の望ましくない副作用をもたらしたことを識別することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記副作用が、CRT提供中または提供後の痛みまたは不快感を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記識別することが、前記患者へのCRTの提供が心拍出量に対する有益な効果をもたらさないことを識別することを含む、請求項32~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記識別することが、前記患者への前記CRTの提供が、駆出率、心内圧、選択された期間にわたる心内圧勾配、NYHAクラススコア、ピークVO2及び6分間歩行スコアのうちの少なくとも1つに対する有益な効果をもたらさないことを識別することを含む、請求項32~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記識別することが、前記提供されたCRTの効果が、心内圧の増加に対する不十分な効果、または選択された期間にわたる心臓内効果の増加に対する不十分な効果を含むことを識別することを含む、請求項32~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記識別することが、前記CRT提供後の前記患者における不整脈を識別することを含む、請求項32~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記心臓収縮調節電界の提供のために、2つ以上の以前に埋め込まれた電極リードから少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極リードを選択することを含む、請求項32~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記心臓収縮調節電界の提供のために、前記CRTの提供のために使用される少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極を選択することを含む、請求項32~38のいずれか1つに記載の方法。
【請求項41】
CRT及び心臓収縮調節療法の両方の提供に適した、前記選択された少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極が、少なくとも4mm
2の表面積を有し、高静電容量及び低分極コーティングでコーティングされる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記選択することが、右心室、左心室、及び心臓から1cm未満の距離の血管内の少なくとも1つに配置された少なくとも1つの電極リードを選択することを含む、請求項39または40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
心臓収縮調節のために前記選択された少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極リードが心臓の中隔に固定される、請求項39~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記選択された少なくとも1つの以前に埋め込まれた電極リードが前記心臓収縮調節の提供に適しているかどうかを試験すること、を含む、請求項39~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
CRT電界またはCCM電界を生成するために、埋め込み型二重目的デバイスに信号を送ること、を含む、請求項32~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
埋め込み型CRTデバイスを心臓収縮調節デバイスと交換すること、を含む、請求項31~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
心臓収縮調節療法の提供のために少なくとも1つの電極リードを試験する方法であって、
CRTを患者に提供することを決定することと、
前記CRTの提供に適した位置で心臓内に2つ以上の電極リードを前記患者に埋め込むことと、
前記2つ以上の電極リードのうちの少なくとも1つの電極リードが心臓収縮調節療法の提供に適しているかどうかを試験することと、を含む、前記方法。
【請求項48】
前記試験することが、前記少なくとも1つの選択された電極リードを介して心臓収縮調節療法に適したパラメータ値を有する電界を提供することと、前記提供された電界が望ましくない副作用を誘発するかどうかを試験することとを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記提供することが、体外に配置されたパルス発生器による前記試験中に前記電界を提供することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記望ましくない副作用が、前記患者に対する痛覚及び/または不快感を含む、請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
前記試験することが前記埋め込み中に実行される、請求項47~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記埋め込むことが、前記少なくとも1つの電極リードを心臓の中隔に固定することを含み、前記試験することが、前記少なくとも1つの固定された電極リードを試験することを含む、請求項47~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
心不全を患っているヒト患者への心臓再同期療法(CRT)及び心臓収縮調節療法の提供のためのシステムであって、
メモリと、
CRT
に適したパラメータ値を有する電界及び心臓収縮調節に適したパラメータ値を有する電界
の両方を生成するように構成されたパルス発生器
であって、前記パラメータ値は、電界強度、電界周波数、提供タイミング、及び電界持続時間のうちの少なくとも1つを含む、前記パルス発生器と、
前記パルス発生器に電気的に接続された、心臓内または心臓から最大1cmの距離に
埋め込まれるように成形及び構成された少なくとも1つの電極リードと、
少なくとも1つのセンサに接続可能な測定回路であって、心拍出量に関連する少なくとも1つの生理学的パラメータを測定するように構成された前記測定回路と、
前記測定回路及び前記パルス発生器に電気的に接続された制御回路と、を備え、
前記測定回路により測定された前記少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて、前記制御回路は、前記メモリに記憶された電界パラメータ値を使用して、CRT
を用いて心不全を治療するのに適したパラメータ値、または心臓収縮調節
を用いて心不全を治療するのに適したパラメータ値を有する電界を生成するように前記パルス発生器に信号を送るように構成される、前記システム。
【請求項54】
前記制御回路が、前記測定回路から受信した信号に基づいて、前記信号またはその指標と、前記メモリに記憶された1つまたは複数の所望の効果指標との間の関係を判定することによって、CRTのために提供される電界の効果が所望の効果であるかどうかを判定するように構成される、請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
無線信号を体外に位置する遠隔デバイスに送信するように構成された通信回路を備え、前記制御回路は、前記通信回路に信号を送り、心臓収縮調節療法を提供するための命令を含む、及び/または、前記CRTの効果が所望の効果でない場合は、
前記測定回路から受信した信号に基づいて判定された前記CRTの効果に関連する情報を含む、前記信号を送信する、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記制御回路が、前記通信回路によって受信された信号を介して、心臓収縮調節療法を提供するための命令を遠隔デバイスから受信する、請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
前記制御回路が、
前記測定回路から受信した信号に基づいて判定された前記CRTの効果が所望の効果でない場合に、前記心臓への心臓収縮調節療法の提供に適したパラメータ値を有する電界を生成するように前記パルス発生器に信号を送るように構成される、請求項54~56のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項58】
前記制御回路が、CRT及び/または心臓収縮調節に適したパラメータ値を有する前記電界を生成するように前記パルス発生器に信号を送り、前記少なくとも1つの電極リードを介して前記電界を提供するように構成される、請求項53~57のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項59】
前記少なくとも1つの電極リードの少なくとも1つの電極が、CRT及び心臓収縮調節療法の両方の提供に適しており、少なくとも4mm
2の表面積を有し、高静電容量及び低分極コーティングでコーティングされる、請求項53~58のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項60】
前記測定回路から受信した信号に基づいて判定された前記CRTの効果が、心拍出量の増加に対して不十分な効果であることを示す、請求項57に記載のシステム。
【請求項61】
前記測定回路から受信した信号に基づいて判定された前記CRTの効果が、識別された不整脈を含む、請求項57に記載のシステム。
【請求項62】
前記少なくとも1つのセンサが、心拍出量を測定するために構成された心内圧センサを含む、請求項53に記載のシステム。
【請求項63】
前記制御回路は、CRTを用いて心不全を治療するのに適したパラメータ値を有する電界、及び心臓収縮調節を用いて心不全を治療するのに適したパラメータ値を有する電界の生成の間に同期するように構成される、請求項53に記載のシステム。
【国際調査報告】