(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(54)【発明の名称】測定システム
(51)【国際特許分類】
G01R 27/02 20060101AFI20230817BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20230817BHJP
G01B 11/02 20060101ALI20230817BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20230817BHJP
C25D 21/12 20060101ALN20230817BHJP
C25D 21/10 20060101ALN20230817BHJP
C25D 21/02 20060101ALN20230817BHJP
【FI】
G01R27/02 R
G01N21/27 A
G01B11/02
G01B11/24 K
C25D21/12 C
C25D21/10 301
C25D21/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023501866
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 TR2021050350
(87)【国際公開番号】W WO2022015266
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520307137
【氏名又は名称】トゥサシュ-テュルク・ハヴァジュルク・ヴェ・ウザイ・サナイー・アノニム・シルケティ
【氏名又は名称原語表記】TUSAS-TURK HAVACILIK VE UZAY SANAYII ANONIM SIRKETI
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【氏名又は名称】三宅 章子
(72)【発明者】
【氏名】アイカチ,ビュシュラ
(72)【発明者】
【氏名】オズ,ヤフヤ
(72)【発明者】
【氏名】エジェ,レムジ エジュメル
【テーマコード(参考)】
2F065
2G028
2G059
【Fターム(参考)】
2F065AA30
2F065AA50
2F065AA51
2F065CC31
2F065FF04
2F065JJ19
2F065JJ26
2G028AA04
2G028BB01
2G028BC02
2G028CG02
2G028DH03
2G028HM04
2G028HN08
2G028HN11
2G028HN13
2G028MS03
2G059AA05
2G059EE02
2G059FF02
2G059KK04
(57)【要約】
本発明は、電解容器(2)と、電解容器(2)に収容され、表面メタライゼーションによって被膜(K)が形成される少なくとも1つのマンドレル(3)と、電解容器に収容され、マンドレル(3)の導電率を高めることができる溶液を含む液体(S)と、マンドレル(3)の導電率を測定することができるマンドレル(3)上の複数のプローブ(4)と、マンドレル(3)上に電流を伝達することができ、その上に配置された電流計(A)によってマンドレル(3)上を流れる電流を測定することができる少なくとも1つの第1プローブセット(4a)と、電圧計(V)によって電圧差を測定することができる少なくとも1つの第2プローブセット(4b)と、に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解容器(2)と、
前記電解容器(2)内に収容され、表面メタライゼーションによって被膜(K)が形成される少なくとも1つのマンドレル(3)と、
前記電解容器内に収容され、前記マンドレル(3)の導電率を高めることができる溶液を含む液体(S)と、
前記マンドレル(3)の導電率の測定を可能にする、前記マンドレル(3)上の複数のプローブ(4)と、
コンピュータ(5)と、
少なくとも1つのアーム(6)と、を備え
前記複数のプローブ(4)は、
前記マンドレル(3)上に電流を伝達することを可能にする少なくとも1つの第1プローブセット(4a)であって、前記マンドレル(3)上を流れる電流は、前記第1プローブセット(4a)上に配置された電流計(A)によって測定することができる、少なくとも1つの第1プローブセット(4a)と、
電圧計(V)による電圧差の測定を可能にする少なくとも1つの第2プローブセット(4b)と、を含み、
前記コンピュータ(5)は、前記表面メタライゼーションのプロセス中に変化する前記被膜(K)の電流および電圧の測定値を記録し、以前のアプリケーションと比較し、測定データを使用してリアルタイムで前記被膜(K)の導電率の値を算出するように構成され、
前記少なくとも1つのアーム(6)は、前記マンドレル(3)上で増減する前記被膜(K)の厚さとほぼ同じ量で、複数の前記プローブ(4)を、前記マンドレル(3)に近づける、または、前記マンドレル(3)から遠ざけることができる、測定システム(1)。
【請求項2】
前記プローブ(4)は、前記液体(S)との接触を防止する絶縁材料でほぼ完全に被覆されている、請求項1に記載の測定システム(1)。
【請求項3】
少なくとも1つのチャンバ(7)を備え、
前記チャンバは電源(E)に接続され、前記チャンバに前記アーム(6)が接続され、前記チャンバ内に電圧計(V)が配置されている、請求項1または2に記載の測定システム(1)。
【請求項4】
前記コンピュータ(5)は、前記マンドレル(3)の導電率がユーザの決定した導電率に達したとき、前記表面メタライゼーションのプロセスを停止しなければならないという警告メッセージを発する、請求項1から3のいずれか1つに記載の測定システム(1)。
【請求項5】
前記マンドレル(3)は、前記表面メタライゼーションのプロセスの前に、非導電性またはユーザの所望する値を下回る導電性を有する、請求項1から4のいずれか1つに記載の測定システム(1)。
【請求項6】
前記表面メタライゼーション中に長波長の光を前記被膜(K)上に伝達させることができる少なくとも1つの光源(8)と、
前記被膜(K)からの反射光を捉える少なくとも1つの検出器(9)と、を備え、
前記コンピュータ(5)は、前記検出器(9)から受け取ったデータを用いて、厚さの検出を行うことを可能にする、請求項1から5のいずれか1つに記載の測定システム(1)。
【請求項7】
前記検出器(9)は、湾曲した構造を有し、前記湾曲した構造により、前記被膜(K)からの全ての反射光を、前記検出器自身に集めることができる、請求項6に記載の測定システム(1)。
【請求項8】
前記被膜(K)から反射された光をスキャンする少なくとも1つのカメラ(10)を備え、
前記コンピュータ(5)は、前記カメラ(10)から受け取ったデータを用いて、前記被膜の表面トポグラフィーを測定することを可能にする、請求項1から7のいずれか1つに記載の測定システム(1)。
【請求項9】
前記コンピュータ(5)は、前記プローブ(4)から受け取ったデータを用いた導電率測定と、検出器(9)から受け取ったデータを用いた厚さ測定とを同時に解析し、これにより、ユーザの決定した導電率の値に達したとき、厚さの値を決定することができる、請求項6から8のいずれか1つに記載の測定システム(1)。
【請求項10】
前記コンピュータ(5)により、異なるイオンを含む前記液体(S)中で、室温とは異なる温度で、ヴァン・デル・パウ(Van der Pauw)および/または4点測定を行うことができる、請求項1から9のいずれか1つに記載の測定システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面メタライゼーションプロセスで使用される測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気化学コーティングは、電気メッキまたは無電解メッキの形態で適用され得る。無電解めっきは、電流を用いずに自己触媒による化学還元法で原子を得て形成されるのに対し、電気めっきは電気分解によって形成される。電気分解とは、液体中に溶解している化学化合物を電流によって解離させるプロセスである。電気分解は、電解容器または電解槽と呼ばれる容器の中で行われる。溶解した化合物(電解質)が収容された容器に、互いに接触していない2つの電極を浸し、正および負の電荷を持つイオンに解離させる。電極を電流源に接続すると発生する電位差(電界)により、イオンは反対側に帯電した電極(極)に向かって移動する。正(+)の電荷を持つイオンはカソード(陰極)に移動し、負(-)の電荷を持つイオンはアノード(陽極)に向かって流れる。アノード表面で酸化された原子は、溶液中でイオン化された状態で進み、カソード表面で還元される。この結果、表面メタライゼーション(または電解コーティング)プロセスが生じる。電解コーティングは、表面の耐摩耗性、耐腐食性、導電性の向上などの利点があり、広く利用されている。
【0003】
電気伝導性を付与するプロセスは、非導電性および/または所望の値以下の導電性を有する基板上において様々な化学溶液中で行われる。表面に付着した原子によって形成されるコーティング(被膜)の厚さは、コーティングのパラメータ(温度、時間、電流密度、電流源、pH、混合など)、浴剤および組成によって変化する。したがって、コーティングプロセス中の基板表面の電気伝導率の変化を測定できることは、研究のメカニズムをよりよく解釈するために、また各ステップで得られた導電率(伝導率)を測定するために重要である。さらに、プロセス進行中、各段階(stage)において、異なる温度で、表面に付着した原子によって形成される被膜の厚さやトポグラフィックプロファイルを測定することは、別のステップで適用されるパラメータを決定する上で重要な役割を果たす。
【0004】
公知技術に含まれる米国特許文献である米国特許第7078919号明細書(US7078919B2)には、P-N構造における、またはSOI上のシリコン表面層における、抵抗プロファイルを決定するための方法が開示されている。この方法は、孤立層を酸化させるためにテストサイトにアノード電流を流すことと、4点プローブまたはヴァン・デル・パウ(Van der Pauw)法によって孤立層の抵抗を測定することを含む。テストエリアのシート抵抗はその場で(in-situ)測定される。
【0005】
公知技術に含まれるドイツ特許文献である独国特許出願公開第2902150号明細書(DE2902150A1)は、絶縁材料上の導電性シートの表面導電率を測定するための装置を開示している。この装置は、シートに圧力を加える2つの測定ホイールを有し、これらのホイールは、測定電流源の両極に接続されている。ホイールは、シートの軸に直交する軸の周りを回転するように取り付けられている。
【発明の概要】
【0006】
本発明によって開発された測定システムによると、溶液中で行われる表面メタライゼーションプロセスの各ステップでコーティング特性測定を行うことができる。コーティング中、基板表面の電気伝導率の変化を測定し、表面の厚さプロファイルを決定し、コーティングプロセスの各ステップで、基板に付着した原子によって表面に形成されるトポグラフィックプロファイルを監視することが可能である。このため、コーティング効率やプロセスパラメータの精度を観察することができる。したがって、プロセスの終了を待たずに、その場でプロセスパラメータを変更することにより、コーティングプロセスを最適化することができる。
【0007】
本発明の目的を達成するために実現された測定システムは、請求項1およびそれに従属する請求項に規定されるように、電解容器と、電解容器内に収容され、表面メタライゼーションによってコーティングが施された少なくとも1つのマンドレルと、電解容器内に収容され、マンドレルの導電率(伝導率)を高めることができる溶液を含む液体と、マンドレルの導電率の測定を可能にするマンドレル上の複数のプローブと、マンドレル上に電流を伝達することができる少なくとも1つの第1プローブセットであって、マンドレル上を流れる電流は、第1プローブセット上に設けられた電流計によって測定することができる、少なくとも1つの第1プローブセットと、電圧計による電圧差の測定を可能にする少なくとも1つの第2プローブセットと、を備える。
【0008】
本発明の測定システムは、表面メタライゼーションのプロセス中に変化する電流および電圧の測定値を使用して、リアルタイムで被膜の導電率の値を算出することを可能にするコンピュータと、少なくとも1つのアームと、を備える。少なくとも1つのアームによって、プローブは、マンドレル上で増減する被膜の厚さとほぼ同じ量で、マンドレルに近づく、またはマンドレルから遠ざかることができる。
【0009】
本発明の一実施形態では、測定システムはプローブを備え、プローブは、液体との接触を防止する絶縁材料でほぼ完全に被覆されている。
【0010】
本発明の一実施形態では、測定システムは、少なくとも1つのチャンバを備える。チャンバは、電源に接続されている。チャンバには、コンピュータによって自動的にマンドレルに近づく、または、マンドレルから遠ざかることが可能なアームが接続されている。チャンバ内には、電圧計が配置されている。
【0011】
本発明の一実施形態において、測定システムは、マンドレルがユーザの決定した導電率に達したとき、表面メタライゼーションプロセスを停止しなければならないという警告メッセージを発するコンピュータを備える。
【0012】
本発明の一実施形態では、測定システムは、表面メタライゼーションのプロセスの前に、非導電性またはユーザの所望する値を下回る導電性(導電率)を有するマンドレルを備える。
【0013】
本発明の一実施形態では、測定システムは、表面メタライゼーション中に長波長の光を被膜上に伝達させることができる少なくとも1つの光源と、被膜からの反射光を捉える少なくとも1つの検出器と、検出器から受け取ったデータを用いて、厚さの決定を行うことを可能にするコンピュータと、を備える。
【0014】
本発明の一実施形態では、測定システムは、検出器を備え、検出器は、その湾曲した構造により、被膜から反射された全ての光線を検出器自身に集めることができる。
【0015】
本発明の一実施形態では、被膜から反射された光を捉えて(capture)スキャンする少なくとも1つのカメラと、カメラから受け取ったデータを用いて、被膜の表面トポグラフィーを測定することを可能にするコンピュータと、を備える。
【0016】
本発明の一実施形態では、測定システムは、プローブから受け取った測定データを用いた導電率測定と、検出器から受け取った測定データを用いた厚さ測定とを同時に解析するコンピュータを備え、これにより、ユーザの決定した導電率の値に達したとき、厚さの値も決定することができる。
【0017】
本発明の一実施形態では、測定システムは、異なるイオンを含む液体中で、室温とは異なる温度で、ヴァン・デル・パウ(Van der Pauw)および/または4点測定を行うことを可能にするコンピュータを備える。
【0018】
本発明の目的を達成するために実現された測定システムを添付の図に示す。これらの図について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、導電率測定を行う測定システムの模式図である。
【
図2】
図2は、導電率測定を行う測定システムの模式図である。
【
図3】
図3は、被膜の厚さ測定を行う測定システムの模式図である。
【
図4】
図4は、被膜のトポグラフィー測定を行う測定システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
測定システム(1)は、電解容器(2)と、電解容器(2)内に収容され、表面メタライゼーションによってコーティング(被膜)(K)が形成される少なくとも1つのマンドレル(3)と、電解容器内に収容され、マンドレル(3)の導電率を高めることができる溶液を含む液体(S)と、マンドレル(3)の導電率の測定を可能にする、マンドレル(3)上の複数のプローブ(4)と、少なくとも1つの第1プローブセット(4a)と、電圧計(V)による電圧差の測定を可能にする少なくとも1つの第2プローブセット(4b)と、を備える(
図1)。少なくとも1つの第1プローブセット(4a)は、マンドレル(3)上に電流を伝達することを可能にし、第1プローブセット(4a)上に配置された電流計(A)によって、マンドレル(3)上を流れる電流を測定することができる。
【0021】
本発明の測定システム(1)は、表面メタライゼーションプロセス中に変化する電流および電圧の測定値を用いて、被膜(K)の導電率の値をリアルタイムで算出することを可能にするコンピュータ(5)と、少なくとも1つのアーム(6)と、を備える(
図2)。少なくとも1つのアーム(6)は、マンドレル(3)上で増減する被膜(K)の厚さとほぼ同じ量で、プローブ(4)をマンドレル(3)に近づけたり、マンドレル(3)から遠ざけたりすることを可能にする。
【0022】
電気伝導性を付与するプロセスは、絶縁性および/または導電性の低いマンドレル(3)に表面メタライゼーションを施すことによって行われる。マンドレル(3)の導電率測定は、4つのプローブ(4)を用いて測定される。第1プローブセット(4a)は、マンドレルに電流を流すことを可能にする。電流は電流計(A)により測定される。第2プローブセット(4b)は、電圧の測定に使用される。第2プローブセット(4b)の間に発生する電圧差は、電圧計(V)により測定される。
【0023】
表面メタライゼーションの各ステップで付与される(gained)導電率を測定するためには、マンドレル(3)上に配置されたプローブ(4)を、被膜の厚さが増加するにつれて移動させる必要がある。1つのアーム(6)により、マンドレル(3)上で増減する被膜(K)の厚さとほぼ同じ量で、プローブ(4)をマンドレル(3)に近づけたり、マンドレルから遠ざけたりすることが可能である。このように、コーティング中に変化する電流値や電圧値は、コンピュータ(5)によりリアルタイムで、抵抗値については式ρ=V×A/(I×d)、導電率値については式σ=1/ρを用いて算出される。この式において、ρ(ロー)は抵抗率、Aはサンプルの表面積、Iは電流、dはプローブ間の距離、σ(シグマ)は導電率を表す。被膜(K)の測定データは、コンピュータに記録され、以前のアプリケーションと比較され得る。記録された被膜(K)の導電率および/または厚さの値により、測定システム(1)の動作の性能および品質を監視することができる。
【0024】
本発明の一実施形態では、測定システム(1)は、液体(S)と接触しないように絶縁材料でほぼ完全に被覆されたプローブ(4)を備える。プローブ(4)の外層は、液体(S)の導電率が測定されないように絶縁材料で被覆されている。プローブ(4)におけるマンドレル(3)と接触する部分には絶縁材料がなく、マンドレル(3)のコーティング特性のみを測定することが可能である。
【0025】
本発明の一実施形態では、測定システム(1)は、少なくとも1つのチャンバ(7)を備える。チャンバ(7)は電源(E)に接続され、チャンバ(7)にはアーム(6)が接続され、チャンバ(7)内には電圧計(V)が配置されている。アーム(6)は、コンピュータ(5)により、自動的にマンドレル(3)に近づいたり、マンドレル(3)から遠ざかったりすることができる。コンピュータ(5)のアルゴリズムに従って動くアーム(6)がチャンバ(7)に接続されているために、マンドレル(3)上の被膜(K)の厚さが増加するにつれてプローブ(4)が動くことが保証される。
【0026】
本発明の一実施形態において、測定システム(1)では、コンピュータ(5)は、電気分解プロセスの前に、ユーザによって決定されるマンドレルの導電率に達したときに、表面メタライゼーションプロセスを停止しなければならないという警告メッセージを発する。
【0027】
本発明の一実施形態において、測定システム(1)は、表面メタライゼーションプロセスの前に、非導電性またはユーザの所望する値を下回る導電性のマンドレル(3)を備える。絶縁性および/または導電性の低いマンドレル(3)の表面に、異なる原子が複数のステップで付着できるようにすることによって、電気伝導性が付与される。
【0028】
本発明の一実施形態において、測定システム(1)は、表面メタライゼーション中に長波長の光を被膜(K)上に伝達させることを可能にする少なくとも1つの光源(8)と、被膜(K)からの反射光を捉える少なくとも1つの検出器(9)と、検出器(9)から受け取ったデータを用いて厚さを決定することができるコンピュータ(5)と、を備える。表面メタライゼーションプロセスの間、各段階において、異なる温度下で、マンドレル(3)を液体(S)中に入れた状態で、被膜(K)の厚さがその場で測定される。マンドレル(3)の最初の厚さが較正された後、長波長の光が送られ、マンドレル(3)からの全ての反射光を捉えることができる検出器(9)が使用される。検出器(9)から得られたデータを用いて、コンピュータ(5)のアルゴリズムによって厚さの増加を観察することができる。このように、表面メタライゼーションプロセス中に変化する被膜(K)の厚さを観察することができるため、プロセスの終了を待たずに、コーティング効率およびプロセスパラメータの精度を観察し、最適化することができる(
図3)。
【0029】
本発明の一実施形態において、測定システム(1)は、湾曲した構造を有する検出器(9)を備える。長波長の光を捉える検出器(9)が湾曲した構造を有するため、表面積が増加し、測定精度が向上する。
【0030】
本発明の一実施形態において、測定システム(1)は、被膜(K)からの反射光を捉えてスキャンする少なくとも1つのカメラ(10)と、カメラ(10)から受け取ったデータを用いた被膜(K)の表面トポグラフィー(表面形状)の測定を可能にするコンピュータ(5)と、を備える。被膜(K)の粗さをチェックし、表面マップ(surface map)を得ることができることで、表面メタライゼーションプロセス中に、異なる温度で、ユーザが所望する粗さの値をチェックすることができる。また、この測定を、液体媒体中のマンドレル(3)表面に接触せずにスキャンし、コーティングプロセス中に実現することで、コーティング効率やプロセスパラメータを効率的に観察することが可能になる(
図4)。
【0031】
本発明の一実施形態において、測定システム(1)は、プローブ(4)から受け取ったデータを用いた導電率測定と、検出器(9)から受け取ったデータを用いた厚さ測定とを同時に解析するコンピュータ(5)を備える。これにより、ユーザの決定した導電率値に達したときに、厚さの値を決定することができる。所望の導電率値に達すると、同時に厚さ測定が停止され、その時の厚さの値が被膜厚さとして使用される。
【0032】
本発明の一実施形態において、測定システム(1)は、異なるイオンを含む液体(S)中で、室温とは異なる温度で、ヴァン・デル・パウ(Van der Pauw)および/または4点測定を行うことを可能にするコンピュータ(5)を備える。表面メタライゼーションには、アルカリ洗浄、酸性エッチング、増感、および活性化プロセスがある。これらの操作中、浴室(bathroom)の組成や温度が変化する。表面メタライゼーションプロセスの間、溶液の温度は、磁気スターラーを備えたホットプレートで調整され得る。温度計または熱電対を使用して温度を制御し、一定に保つことができる。これらのプロセスが行われる測定システム(1)では、複数の液体(S)を含む異なる温度値の溶液中のマンドレル(3)の抵抗がコンピュータ(5)によって測定され、測定システム(1)に柔軟な動作条件が提供される。これによって、プロセス中にリアルタイムでコーティング特性を観察することができる。
【0033】
図中のすべての部品には個別に参照番号が付されており、これらの番号の対応する用語を以下に示す。
【符号の説明】
【0034】
1 測定システム
2 電解容器
3 マンドレル
4 プローブ
4a 第1プローブセット
4b 第2プローブセット
5 コンピュータ
6 アーム
7 チャンバ
8 光源
9 検出器
10 カメラ
(S) 液体
(A) 電流計
(V) 電圧計
(K) 被膜
(E) 電源
【国際調査報告】