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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(54)【発明の名称】骨固定監視システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20230817BHJP
   A61B 17/80 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
A61B5/00 102C
A61B17/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504328
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 IB2021056584
(87)【国際公開番号】W WO2022018652
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】63/054,557
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ミカイル・ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ピールソン・グレン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルザー・ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】マークス・ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー・ジャレド
(72)【発明者】
【氏名】シェーン・クリストファー
【テーマコード(参考)】
4C117
4C160
【Fターム(参考)】
4C117XB04
4C117XB11
4C117XC21
4C117XE20
4C117XE60
4C117XE62
4C117XG19
4C117XJ13
4C117XJ45
4C117XL01
4C117XP12
4C117XQ18
4C160LL27
4C160LL33
(57)【要約】
被験者の骨にある内的に固定された骨折部の骨化を監視するためのシステムは、埋め込み可能な固定デバイスと、骨折部にまたがる骨プレートが受ける相対負荷データをデータサーバに送信するように動作する外部無線リーダと、を含み、骨プレートによって提供される付加的な骨支持の変化の傾向が視覚化され得る。埋め込み可能な固定デバイスは、一次負荷センサ及び基準負荷センサを含み、基準負荷センサからの負荷値は、一次負荷センサからの負荷値を正規化するために使用され得る。外部無線リーダは、埋め込み可能な固定デバイスと無線通信し、各負荷センサから負荷を示す信号を受信するように、また誘導充電を介して各負荷センサに通電するように動作する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の骨にある内的に固定された骨折部の骨化を監視するための患者監視システムであって、
前記骨に固着されるように動作する埋め込み可能な固定デバイスであって、
前記骨折部の両側で前記骨に定着されるように構成された骨プレートと、
前記骨折部に直接隣接して位置決めされるように動作する、第1の位置において前記骨プレート上に設けられた一次負荷センサであって、前記第1の位置における前記骨プレート内の歪み(一次歪み)の量を監視するように動作する第1の歪みセンサと、前記一次歪みの量を指示する第1の無線信号を送信するように動作する通信回路と、を含む、一次負荷センサと、
前記第1の位置から離間している第2の位置において前記骨プレート上に設けられた基準負荷センサであって、前記第2の位置における前記骨プレート内の歪み(基準歪み)の量を監視するように動作する第2の歪みセンサと、前記基準歪みの量を指示する第2の無線信号を送信するように動作する通信回路と、を含む、基準負荷センサと、を含む、埋め込み可能な固定デバイスと、
アンテナ、プロセッサ、及び無線通信ラジオを含む外部無線リーダであって、前記プロセッサは、
前記アンテナを介して前記第1の無線信号及び前記第2の無線信号を受信することと、
前記無線通信ラジオを使用して、無線通信ネットワークを介してデータサーバに信号を送信することであって、前記信号は、前記一次歪みの量、前記基準歪みの量を指示し、前記被験者又は前記埋め込み可能な固定デバイスのうちの少なくとも一方に対応する一意の識別子を更に含む、送信することと、を行うように構成されている、外部無線リーダと、を備える、患者監視システム。
【請求項2】
前記外部無線リーダとデジタル通信する前記データサーバを更に備え、
前記プロセッサ又は前記データサーバのうちの少なくとも一方は、
受信された前記一次歪みの指示及び受信された前記基準歪みの指示を使用して、骨折の結果として前記骨プレートによって提供される相対的支持の量を決定することと、
前記プロセッサ又は前記データサーバのうちの少なくとも一方と通信する非一時的メモリに、決定された前記相対的支持の量を記憶することと、を行うように構成されている、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項3】
前記プロセッサ又は前記データサーバは、前記一次歪みと前記基準歪みとの比を計算することによって、前記骨プレートによって提供される前記相対的支持の量を決定するように構成されている、請求項2に記載の患者監視システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記骨を第1の無負荷姿勢に位置決めするように、またそれとは別に前記骨を第2の負荷支持姿勢に位置決めするように、前記被験者に促すことと、
前記第1の無負荷姿勢及び前記第2の負荷支持姿勢の各々における一次歪みの量を決定することと、
前記第1の無負荷姿勢及び前記第2の負荷支持姿勢の各々における基準歪みの量を決定することと、を行うように更に構成され、
前記プロセッサ又は前記データサーバのうちの前記少なくとも一方は、前記無負荷姿勢と前記負荷支持姿勢との間における一次歪みの差と、前記無負荷姿勢と前記負荷支持姿勢との間における基準歪みの差との比を計算することによって、前記骨プレートによって提供される前記相対的支持の量を決定するように構成されている、請求項3に記載の患者監視システム。
【請求項5】
前記外部無線リーダはディスプレイを更に含み、前記プロセッサは、前記ディスプレイを介して、前記骨を前記第1の無負荷姿勢に、またそれとは別に前記第2の負荷支持姿勢に位置決めするように、前記被験者に促すことを行うように構成されている、請求項4に記載の患者監視システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記負荷支持姿勢における前記一次歪みが所定の最小閾値量の歪み未満である場合に追加の負荷を前記骨に加えるように、前記ディスプレイを介して、前記被験者に促すことを行うように構成されている、請求項5に記載の患者監視システム。
【請求項7】
前記プロセッサ又は前記データサーバのうちの前記少なくとも一方は、前記負荷支持姿勢における前記一次歪みが所定の最小閾値量の歪みを超える場合にのみ、前記骨プレートによって提供される前記相対的支持の量を決定することを行うように構成されている、請求項4に記載の患者監視システム。
【請求項8】
前記外部無線リーダは、前記アンテナから伝送された磁界を介して前記一次負荷センサ及び前記基準負荷センサの各々に電力を供給するように動作する誘導充電回路を更に含む、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項9】
前記外部無線リーダは、テザーを介してディスプレイデバイスと有線通信するウェアラブルコンポーネントを備え、
前記ウェアラブルコンポーネントは、前記被験者の一部の周りに延在するように構成された少なくとも1つのストラップを有するキャリア内に設けられた前記アンテナを備える、請求項8に記載の患者監視システム。
【請求項10】
前記ウェアラブルコンポーネントは前記プロセッサを更に含む、請求項9に記載の患者監視システム。
【請求項11】
ファブリックキャリアが、前記被験者の関節の周りに延在するように動作するブレースに更に定着されている、請求項9に記載の患者監視システム。
【請求項12】
前記アンテナはある長さを有し、前記アンテナの前記長さは、前記第1の位置と前記第2の位置との間の間隔よりも大きい、請求項1に記載の患者監視システム。
【請求項13】
複数の被験者から骨折部の骨化を監視する方法であって、
無線通信ネットワークを介して、複数の被験者から複数のデータセットを受信することであって、各データセットは、骨折部にまたがって被験者の骨に定着されたスマート固定デバイスから取得された複数の歪み測定値を表現し、前記複数の歪み測定値は、前記骨折部にまたがる前記固定デバイスによって担持される負荷の量を指示する少なくとも第1の歪み測定値(一次歪み)と、一体の骨にある前記固定デバイスによって担持される負荷の量を指示する少なくとも第2の歪み測定値(基準歪み)と、を含む、受信することと、
前記複数のデータセットの各々について、一次歪みの量と基準歪みの量との比を計算することと、
前記歪み測定値の日付及び時間と共に、また前記測定値の発生源を表現する患者識別子と共に、不揮発性メモリに各データセット及び各計算された比を記憶することと、
複数の異なる被験者の各々からの経時的な前記比の変化をグラフィカルに示すための医師インターフェースを提供することと、を含む、方法。
【請求項14】
各被験者について、予測される患者固有の治癒軌道を生成する機械学習予測モデルを維持することであって、前記患者固有の治癒軌道は、予測される軌道と、骨固定時に始まる治癒進行の起こり得る推移を表現する信頼区間と、を含む、維持することを更に含み、前記方法は、前記医師インターフェース内の前記予測される患者固有の治癒軌道のグラフィカル表現上に、被験者の前記複数のデータセットをオーバーレイすることを更に含み、
前記機械学習予測モデルは、受信された前記データセットの少なくともサブセットと、前記骨折部の性質及び位置、前記被験者の身長、体重、年齢、性別、代謝プロファイル、血圧、既存状態、複雑なリスク因子、又は共存症のうちの少なくとも2つを含む複数の二次因子と、を使用して精緻化されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
各被験者について、前記被験者について最も最近取得されたデータセットから、時間的に前方に延びる前向きの治癒軌道を計算することと、
前記予測される患者固有の治癒軌道の前記グラフィカル表現上に前記前向きの治癒軌道をオーバーレイすることと、を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記データセットのうちの1つ又は前記前向きの治癒軌道が前記信頼区間の外にある場合、前記医師インターフェースを介して警告を提供することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
被験者の体内に提供された埋め込み可能なスマート固定デバイスから骨の骨化データを取得する方法であって、
交番磁界を発生させ、骨折部にまたがって骨に定着された骨プレートと接触させて設けられた複数の負荷センサに誘導的に通電するために、体外アンテナに通電することと、
前記体外アンテナを介して、前記複数の負荷センサの各々から無線データ信号を受信することであって、前記無線データ信号は、前記骨プレートが受ける歪みの量を指示する、受信することと、
各無線データ信号から代表的な歪み値を識別することと、
前記骨折部において前記骨プレートが受ける歪みの量を指示する第1の歪み値を、前記骨折部から離れた前記骨プレートが受ける歪みの量を指示する第2の歪み値で除算することによって、前記骨折部にまたがる前記骨プレートによって担持される相対負荷の量を決定することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記骨又は前記被験者の身体を第1の無負荷姿勢に位置決めするように、電子ディスプレイを介して、前記被験者に促すことと、
前記骨又は前記被験者の身体を第2の負荷支持姿勢に位置決めするように、前記電子ディスプレイを介して、前記被験者に促すことと、を更に含み、前記骨プレートは、前記負荷支持姿勢において少なくとも所定の最小量の歪みを受け、
前記第1の歪み値及び前記第2の歪み値の各々は、前記負荷支持姿勢において測定された歪みの量と前記無負荷姿勢において測定された歪みの量との間の差を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記負荷支持姿勢における前記歪みの量が前記所定の最小量の歪み未満である場合に、前記被験者に警告を提供することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年7月21日に出願され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許仮出願第63/054,557号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、骨折した骨の治癒/骨化を監視するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の骨固定システムは、少なくとも骨間隙によって分離された一対の骨セグメントを含む下層の骨に取り付けるように構成されたねじなどの固定部材を受容するねじ穴を有する骨プレートを含む。骨間隙は、外傷事象、骨切り術によって生じた欠損であり得るか、あるいは関節固定術において接合されるべき2つの別個の骨の関節のデブリドマンの結果であり得る。したがって、骨プレートは、骨セグメントの結合(例えば、骨折部の治癒又は関節の骨化)を促進するために、骨ねじを介して骨間隙の両側で骨に固着され得る。骨固定システムは、恒久的なプレート固定の前に骨セグメントの適切な長さ、回転、及び整列を決定するために、骨固定プレートのアパーチャ及び下層の骨セグメントに一時的に挿入される一時的なキルシュナーワイヤ(Kワイヤ)を更に含み得る。骨固定プレートが適切に位置決めされると、恒久的な骨ねじが、骨間隙の両側の1つ以上の骨ねじ穴に挿入され、下層の骨に固着され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
被験者の骨にある内的に固定された骨折部の骨化を監視するためのシステムは、埋め込み可能な固定デバイスと、外部無線リーダと、を含む。外部無線リーダは、骨折部にまたがる骨プレートが受ける相対負荷データをデータサーバに送信するように動作し、そのデータサーバでは、骨プレートによって提供される付加的な骨支持の変化の傾向が視覚化され得る。
【0005】
埋め込み可能な固定デバイスは、一次負荷センサと基準負荷センサとを含み、両方とも骨プレートと直接物理的に接触している。一次負荷センサは、骨折部に直接隣接して位置決めされるように動作する第1の位置において骨プレート上に設けられる。一次負荷センサは、概して、第1の位置における骨プレート内の歪み(一次歪み)の量を監視するように動作する第1の歪みセンサと、一次歪みの量を指示する第1の無線信号を伝送するように動作する通信回路と、を含み得る。基準負荷センサは、第1の位置から離間している第2の位置において骨プレート上に設けられる。基準負荷センサは、第2の位置における骨プレート内の歪み(基準歪み)の量を監視するように動作する第2の歪みセンサと、基準歪みの量を指示する第2の無線信号を送信するように動作する通信回路と、を含み得る。
【0006】
外部無線リーダは、アンテナを介して第1の無線信号及び第2の無線信号を受信し、受信された一次歪みの指示及び受信された基準歪みの指示を使用して、骨折の結果として骨プレートによって提供される相対的支持の量を決定し、決定された相対的支持の量を、無線通信ラジオを使用して無線通信ネットワークを介してデータサーバに送信し得る。一構成では、骨折の結果として骨プレートによって提供される相対的支持の量は、一次歪み値を基準歪み値で除算することによって計算されてもよい。
【0007】
これらのデバイスを使用して、被験者の体内に提供される埋め込み可能なスマート固定デバイスから骨化データを取得する方法は、交番磁界を発生させ、一次負荷センサ及び基準負荷センサの各々に誘導的に通電するために、外部無線リーダを設けられた体外アンテナに通電することによって開始してもよい。次いで、外部無線リーダは、各負荷センサから無線データ信号を受信することができ、無線データ信号は、そのそれぞれの位置で骨プレートが受けた歪みの量を指示する。
【0008】
更に、データサーバを介して複数の被験者から骨折部の骨化を監視する方法は、無線通信ネットワークを介して、複数の被験者から複数の骨の骨化データ点を受信することによって開始してもよい。各データ点は、骨折部にまたがって被験者の骨に定着されたスマート固定デバイスから取得された測定値を表現する。測定値は、一体の骨において固定デバイスによって担持される負荷の量に対する、骨折部にまたがる固定デバイスによって担持される負荷の量を表す。本方法は、測定が行われた日付及び時間と共に、また測定値の発生源を表現する患者識別子と共に、不揮発性メモリに複数のデータ点の各々を記憶することを更に含む。次いで、データサーバは、複数の異なる被験者の各々からの経時的な測定値の変化をグラフィカルに示すための医師インターフェースを提供し得る。
【0009】
一構成では、データサーバは、各被験者について、予測される患者固有の治癒軌道を生成する機械学習予測モデルを維持し得る。患者固有の治癒軌道は、予測される軌道と、骨固定時に始まる治癒進行の起こり得る推移を表現する信頼区間と、を含む。本方法は、医師インターフェース内の予測される患者固有の治癒軌道のグラフィカル表現上に、被験者の複数のデータセット又は経験的トレンドラインをオーバーレイすることを更に含む。機械学習予測モデルは、受信された複数のデータ点の少なくともサブセットと、骨折部の性質及び位置、被験者の身長、体重、年齢、性別、代謝プロファイル、血圧、既存状態、複雑なリスク因子、又は共存症のうちの少なくとも2つを含む複数の二次因子と、を使用して精緻化されてもよい。
【0010】
データサーバは、各被験者について、被験者について最も最近取得されたデータ点から、時間的に前方に延びる前向きの治癒軌道を更に計算してもよい。この前向きの治癒軌道はまた、予測される患者固有の治癒軌道のグラフィカル表現上にオーバーレイされてもよい。データサーバは、データ点のうちの1つ又は前向きの治癒軌道が信頼区間の外側にある場合、医師インターフェースを介して警告を提供してもよい。
【0011】
本明細書で使用されるとき、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」、及び「1つ以上」という用語は、項目のうちの少なくとも1つが存在することを示すために互換的に使用される。そのような項目は、別途明瞭に記載のない限り、複数存在してもよい。添付の特許請求の範囲を含む、本明細書におけるパラメータの全数値(例えば、数量又は条件)は、実際に数値の前に「約」があるか否かに関わらず、すべての例において、「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。「約」とは、述べられた数値が、幾分かのわずかな不正確性を許容すること(正確な値にある程度近い状態である、値に概ね又は適度に近似している、近接している)を示す。「約」によって提供される不正確さが本技術分野において異なる意味で理解されない場合、本明細書で使用されるときの「約」は、そのようなパラメータを測定及び使用する通常の方法から生じ得る変動を少なくとも示す。更に、範囲の開示は、すべての値及び全範囲内で更に分割された範囲の開示を含む。これにより、範囲内の各値及び範囲の端点はすべて、別個の実施形態として開示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】骨折の治癒を監視するためのシステムの概略図である。
図2】骨折した骨を外科的に修復するための埋め込み可能なスマート固定デバイスの概略図である。
図3】埋め込み可能なスマート固定デバイスと無線でインターフェース接続するための外部無線リーダの概略側面斜視図である。
図4】体外アンテナを介して埋め込み可能なスマート固定デバイスと無線通信するポータブルコンピューティングデバイスの概略図である。
図5】測定中に、図3図4に示されるようなポータブルコンピューティングデバイスを介して患者に表示され得るユーザインターフェース表示画面の進行の概略図である。
図6】埋め込み可能なスマート固定デバイスから患者治癒データを取得及び集約する方法の概略図である。
図7】経時的に取られた複数の負荷比データ点を通して描かれた患者固有のトレンドラインの概略図である。
図8】1人以上の患者のために構築された患者固有の治癒トレンドラインを表示し得る医師インターフェースの概略図である。
図9】患者の上腿に定着されている外部無線リーダの概略側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本技術は、概して、医師が、内的に固定された骨折部の回復及び治癒プロセスを、より伝統的な治療形態で可能となるよりも更に理解することを可能にするシステム及びデバイスに関する。より具体的には、本設計は、骨折部の治癒進行の定期的な(更には毎日の)試験を提供する一方で、診療所又は検査室の境界外で試験を実施する利便性を提供する。接続されたハードウェア及び集中データ管理システムの使用を通して、整形外科医は、内的固定システムから直接引き出される取得された診断データへの遠隔アクセスを獲得し得る。この定量的データを使用して、医師は、例えば、仮想的な遠隔医療ベースの様式で、患者に相談するためのより良好な設備を有し得る。このようにして、本技術により、内的に固定された骨折部の治癒の進行を監視するために要求されるケアの水準が遠隔監視され得る。
【0014】
図面を参照すると、様々な図において同様の又は同一の構成要素を識別するために同様の参照番号が使用されており、図1は、骨プレート12及び骨ねじ14などの複数の恒久固定部材(図2により良く示されている)を用いて内的に固定された骨折部又は他の骨関節の治癒/骨化を遠隔で監視するためのシステム10を概略的に示している。一般に、本システム10は、無線通信ネットワーク28を介して1つ以上の患者監視システム26から患者データ24を受信するように動作するデータサーバ20及び/又はクラウドコンピューティングシステム22を含む。データサーバ20/クラウドコンピューティングシステム22は、受信した患者データ24を関連付けられた不揮発性メモリ/データベース30に記憶することができ、また、このデータを、ホストされる医師インターフェース34を介して医療専門家32に視覚的に提示することができる。患者監視システム26は、治癒プロセスの継続時間全体を通して、骨折部にまたがる骨プレート12によって担持される負荷の量を周期的に監視するように構成されてもよい。この負荷測定値は、骨折部から離れた骨プレート12によって担持される負荷に対して正規化されてもよく、また患者監視システム26からデータサーバ20に周期的に送信されてもよく、このデータサーバ20において、骨折部の治癒の傾向を強調するために他の患者データ24と共に集約されてもよい。
【0015】
引き続き図1を参照すると、データサーバ20は、バルクデータ処理及びデータ視覚化タスクを扱うことができる1つ以上の高速サーバコンピュータ又はメインフレームコンピューティングデバイスとして実装され得る。一方、クラウドコンピューティングシステム22は、IoT(Internet of Things)、WoT(Web of Things)、及び/又はM2M(machine-to-machine)サービスのためのミドルウェアとして動作して、異種の電子デバイスの組み合わせをデータネットワークを介してサービス指向アーキテクチャ(service-oriented architecture、SOA)と接続してもよい。一例として、クラウドコンピューティングシステム22は、ミドルウェアノードとして実装されて、異種デバイスを動的にオンボーディングし、これらのデバイスの各々からのデータを多重化し、処理及び1つ以上の宛先アプリケーションへの送信のために再構成可能な処理ロジックを介してデータをルーティングするための異なる機能が提供され得る。無線通信ネットワーク28は、パブリック分散コンピューティングネットワーク(例えば、インターネット)とセキュアプライベートネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、仮想プライベートネットワーク)との組み合わせを含む、任意の利用可能なタイプのネットワークであり得る。それはまた、無線送信システム及び有線送信システム(例えば、衛星、セルラーネットワーク、地上波ネットワークなど)を含み得る。すべてではないがほとんどのデータトランザクション機能は、例えば、4G、5G、LTE、LPWAN、LTE-M、CAT-M1、又はNB-IoTプロトコルに従って動作する無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)又はセルラーデータネットワークなど、例えば無線ネットワークを介して行われ得る。
【0016】
図1に更に示されるように、患者監視システム26は、概して、埋め込み可能なスマート固定デバイス40と、スマート固定デバイス40とインターフェース接続するための外部(体外)無線リーダ42と、を含む。外部無線リーダ42は、例えば、RFID又はNFCなどの無線周波数(radio frequency、RF)データ通信手段を介して、患者の皮膚を通してスマート固定デバイス40からデータを無線で受信するように構成される。少なくともいくつかの実施形態では、外部無線リーダ42は、電源をスマート固定デバイス40に無線で提供するように更に構成されてもよく、これにより、固定デバイス40は動作するために内部バッテリを必要としなくなり得る。
【0017】
図2を参照すると、埋め込み可能なスマート固定デバイス40は、骨ねじ14などの複数の恒久固定部材を使用して骨折部50の対向する側部にまたがって、それらに定着されるように構成された剛性骨プレート12を含み得る。骨プレート12は、限定するものではないが、金属(例えばチタン合金)又はポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone、PEEK)などのポリマーなどの任意の好適な埋め込み可能な材料から形成され得る。本開示は、概して、骨プレート形式の固定デバイスに関連して遠隔監視技術の使用を議論するものであるが、本技術はまた、埋め込み可能なロッド、椎弓根ねじ、椎間インプラントなどの他の剛性固定部材と共に利用されてもよい。
【0018】
スマート固定デバイス40は、概して、骨折部50においてプレートによって担持される負荷を感知するように動作する、少なくとも1つの一次負荷センサ52を含んでもよい。骨折部が治癒/骨化するにつれて、骨折部50においてプレート12によって担持される負荷の量は減少するはずである(すなわち、治癒中の骨の負荷担持能力はそれに応じて増大する)。多くの実施形態において、スマート固定デバイスは、骨折部から離間されている位置においてプレート12によって担持される負荷を感知するように動作する、少なくとも1つの基準負荷センサ54を更に含んでもよい。基準負荷センサ54は、概して、健康な骨又は骨折していない骨に隣接するプレート12によって担持される負荷の量に対するベースラインとして機能し得る。
【0019】
一構成では、各負荷センサ52、54は、その位置でゲージ/プレートが受ける歪みの量に応じて確立された様式で変化する電気特性を有する1つ以上の歪みゲージ60を含んでもよい。適切な歪みゲージの例としては、抵抗歪みゲージ、容量歪みゲージ、圧電材料、電気活性ポリマー材料などが挙げられる。各歪みゲージ60は、ゲージがプレートのいかなる曲げ又は撓みをも受けるように、プレート12と確実に強固に接触して保持されてもよい。十分に確立されているように、歪みと負荷は正比例し、したがって、歪みを測定することは、プレートによって担持される負荷を監視する1つの方法である。
【0020】
引き続き図2を参照すると、スマート固定デバイス40は、各歪みゲージ60と電気的に結合された通信回路62と、通信回路62と通信するアンテナ64と、を更に含む。通信回路62は、歪みゲージ60から測定値を受信し、無線送信に好適な形態でアンテナ64にその測定値を提供するように構成されている。通信回路62は、歪みゲージ60から測定値を受信し、その測定値を無線送信するための準備をする、無線送信機又はトランスポンダーを含み得る。例えば、通信回路62は、(限定するものではないが)(i)測定値を記憶するように構成されたメモリ、(ii)測定値をアナログフォーマットに変換するように構成されたデジタル-アナログ変換器、(iii)測定値を変調するように構成された高周波(RF)変調器、(iv)測定値を符号化するように構成されたエラー訂正エンコーダ、のうちの1つ以上のような処理構成要素、及びシステムによって採用される無線技術と整合性のあるその他の処理を含み得る。
【0021】
一例において、通信回路62は、受動的無線周波数識別(radio-frequency identification、RFID)トランスポンダーとして構成され得る。あるいは、通信回路62は、(限定するものではないが)バッテリ支援受動RFID、能動RFID、Bluetooth、及びWi-Fiなどの、皮膚を通じて通信するのに好適な任意のその他の無線通信技術を使用して構成され得る。通信回路62は、各負荷センサを他のセンサと区別するために使用され得る一意の識別子(ID)を更に含み得る。一実施例において、一意のIDは、RFIDタグのIDであり得る。アンテナ64は、通信回路62からの測定値に対応する電気信号を電波に変換して、患者の皮膚を通じて測定値を患者の身体の外側に位置する外部無線リーダ42に無線で送信するように構成されている。
【0022】
図2に更に示されるように、スマート固定デバイス40は、歪みゲージ60及び通信回路62に電力を供給するように構成された電源デバイス66を備え得る。少なくともいくつかの実施例では、電源デバイス66は、スマート固定デバイス40とは別個の好適なエネルギー源からエネルギーを捕捉するように構成されたエネルギーハーベスティングデバイスを含み得る。例えば、エネルギー源は、外部無線リーダ42から伝達される電波であってよい。あるいは、電源デバイス66は、患者の身体自体から、又は患者の身体の外部の供給源などの別の外部源からエネルギーを捕捉することができる。より大まかに言えば、エネルギー源は、(限定するものではないが)感知される運動エネルギー、電界、磁界などを含み得る。しかしながら、好ましい実施形態では、電源デバイス40は、典型的な電気化学バッテリを含まない。
【0023】
一構成では、各負荷センサ52、54は、それぞれの負荷センサに対してローカルである、それ自体の専用の通信回路62、アンテナ64、及び/又は電源デバイス66を(すなわち、統合パッケージとして)有し得る。この構成では、一次負荷センサ52は、一次負荷センサ52によって監視される歪みの量(すなわち、一次歪み値)を指示する第1の無線信号を送信し得るが、基準負荷センサ54はそれと同時に、基準負荷センサ54によって監視される歪みの量(すなわち、基準歪み値)を指示する第2の無線信号を送信し得る。他の実施形態では、スマート固定デバイス40は、デバイス40全体にわたって共有され得る共通の通信回路62、アンテナ64、及び/又は電源デバイス66を有し得る(すなわち、各負荷センサ52、54は、共有される通信回路62、アンテナ64、及び/又は電源デバイス66と電気通信する)。スマート固定デバイス40の更なる実施形態及び開示が、米国特許出願公開第2019/0038214号に提供されており、その全体があらゆる目的のために参照により組み込まれる。
【0024】
上述のように、外部無線リーダ42は、患者の皮膚を通してスマート固定デバイス40からデータを無線で受信するように構成される。これらの通信を容易にするために、図3に概略的に示されるように、外部無線リーダ42は、一般に、ポータブルコンピューティングデバイス72と通信する無線周波数識別(RFID)アンテナなどの1つ以上のアンテナ70を含む。アンテナ70は、患者の身体又は衣服の外部表面に直接取り付けられるように構成されてもよい。この取り付けは、1つ以上のストラップ73、ハーネス、ブレース、接着パッチ、弾性スリーブ、カフなどの使用によって容易にされ得る。特定の一実施形態では、アンテナ70は、ユーザの身体に輪郭を合わせるのに特に適し得る、柔軟なファブリックキャリア74内に提供され得る。アンテナ70は、概して、骨プレート12に平行に延在するように適合された長さと、骨プレート12を横断して、かつ/又は骨プレート12の周囲に円周方向に延在するように適合された幅と、を有するループ状コイルを備え得る。その長さは、アンテナが通信し得るプレートの量を制御し得るが、その幅は、信頼できる信号をアンテナが受信する組織の深さに影響を及ぼし得る。一構成では、アンテナ70の長さは、一次負荷センサ52と基準負荷センサ54との間の距離よりも長い。別の構成では、アンテナ70の長さは、一次負荷センサ52と基準負荷センサ54との間の距離よりも、少なくとも10%長い。一実施形態では、アンテナ70は、約20cm~約50cm、又は約25cm~約40cmの長さを有し得る。同様に、アンテナ70は、約12cm~約20cm、又は約14cm~約17cmの幅を有し得る。
【0025】
図4に示されるように、ポータブルコンピューティングデバイス72は、アンテナ70と通信する短距離通信回路76及び/又は電力伝送回路78を含み得る。短距離通信回路76は、アンテナ70を介してスマート固定デバイス40からデジタル情報を受信するように動作し得る。いくつかの実施形態では、短距離通信回路76は、RFID送受信機又は近距離無線通信(Near Field Communications、NFC)トランシーバなどのデジタルレシーバ又はトランシーバを備えてもよい。一構成では、アンテナ70は、例えば、異なるデータ送信周波数を使用することによって、あるいは歪みデータと共に提供される異なるデジタル識別子を使用することによって、各負荷センサ52、54と同時に動作可能に通信してもよい。電力伝送回路78は、スマート固定デバイス40に誘導的に給電するためにアンテナ70を介して電磁力(すなわち、交番磁界)を供給するように動作する誘導充電回路を含み得る。
【0026】
引き続き図4を参照すると、ポータブルコンピューティングデバイス72は、プロセッサ80と、無線通信ラジオ82と、ユーザインターフェース84と、を更に含み得る。無線通信ラジオ82は、無線通信ネットワーク28と通信し、また無線通信ネットワーク28を介して通信するように動作し得るものであり、BLUETOOTH若しくはBLUETOOTH LOW ENERGYチップセット、IEEE 802.11による通信プロトコルを使用してデジタル通信するように動作するWi-Fiラジオ、又は4G、5G、LTE、LPWAN、LTE-M、CAT-M1、NB-IoTプロトコルなどに従って通信するように動作するセルラーラジオを備え得る。いくつかの実施形態では、ポータブルコンピューティングデバイス72は、セルラーネットワークを介した通信を容易にするために、加入者識別モジュール(subscriber identity module、SIM)カードを更に含み得る。
【0027】
プロセッサ80は、1つ又は複数のデジタルコンピュータ、データ処理装置、及び/又は1つ以上のマイクロコントローラ若しくは中央処理装置(central processing unit、CPU)を有し得るデジタル信号処理装置(digital signal processor、DSP)、読出し専用メモリ(read only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、電気的消去可能プログラム可能読出し専用メモリ(electrically-erasable programmable read only memory、EEPROM)、高速クロック、アナログ-デジタル(analog-to-digital、A/D)回路、デジタル-アナログ(digital-to-analog、D/A)回路、入出力(input/output、I/O)回路、及び/又は信号調整及びバッファリング電子機器のうちの1つとして具体化され得る。プロセッサ80は、プロセッサ80によってアクセス可能な不揮発性メモリに記憶されたソフトウェア又はファームウェアコードの実行を通じて1つ以上の電子機能を実行又は実施するように構成される。例えば、プロセッサ80は、スマート固定デバイス40から1つ以上の歪み値を読み取るコード、平均の又はフィルタリングされた代表的な歪み値を選択するコード、ユーザインターフェース84を介してユーザと通信するコード、並びに/又は無線通信ラジオ82を介して無線通信ネットワーク28上で通信するコードを実行することが可能であり得る。
【0028】
ポータブルコンピューティングデバイス72は、有線通信リンクか又は無線通信リンクのいずれかを使用してアンテナ70と通信し得る。図3に全体的に示されるような1つの構成では、ポータブルコンピューティングデバイス72は、有線テザー86の使用を通してアンテナ70に電気的に結合され得る。そのような設計は、単一の電源のみに依存する自蔵式診断装置を提供するという利点を有し得る。より具体的には、有線テザー86が存在しない場合、アンテナ70は、センサとコンピューティングデバイス72の両方との通信を有効化/電力供給するために第1の電源を必要とし、ポータブルコンピューティングデバイス72は第2の電源を必要とする。2つの要素を結合することは、消費者が2つの別個のデバイス上で十分なバッテリレベルを維持する必要性を低減すると共に、デバイスの複雑さも低減することになる。有線テザー86はまた、ポータブルコンピューティングデバイス72が、さもなければ患者の視界の外にあり得る画面を見るために緊張した姿勢を必要とせずに、データ取得中に便利でアクセス可能な位置に保持されることを可能にする。一構成では、デバイスのアンテナ部分は、使用されていないときにポータブルコンピューティングデバイス72を取り付けて定着させるためのホルスタ又は他の定着機構を更に含んでもよい。
【0029】
別の実施形態では、ポータブルコンピューティングデバイス72は、適切な無線プロトコルを使用してアンテナ70と無線通信し得る。例えば、一構成では、ポータブルコンピューティングデバイス72は、例えばBluetoothプロトコルを使用してアンテナ(及び/又はその上に設けられた通信回路)と無線通信するスマートフォン又はタブレットデバイスであってもよい。
【0030】
図4に更に示されるように、ユーザインターフェース84は、LCD又はOLEDディスプレイなどの視覚ディスプレイ88と、ボタン又はタッチスクリーンデジタイザなどの1つ以上の入力デバイス90と、を含んでもよい。図5に一般的に示されるように、ディスプレイ88は、読み取りの開始を示すこと(92)、センサ位置合わせを検証すること(94)、基準測定の姿勢及び発生を指図すること(96)、負荷支持測定の姿勢及び発生を指図すること(98)、並びに/又は無線通信ネットワーク28を介して測定データをデータサーバ/クラウドにアップロードすること(100)など、1つ以上の視覚的合図を患者に提供するように動作し得る。
【0031】
図6は、本システム10を使用して患者治癒データを取得及び集約する方法110を概略的に示す。方法110は、112で始まり、アンテナ70は、身体の皮膚表面に接触して、あるいはその皮膚表面に隣接して外向きに位置決めされる。RFID通信プロトコルを使用する場合などのいくつかの構成では、アンテナ70は、少なくとも1つの埋め込み可能な一次負荷センサ52及び少なくとも1つの埋め込み可能な基準負荷センサ54の上方/半径方向外側でほぼ中心に位置するように配置されてもよく、各負荷センサ52、54は、骨プレート12又は他の骨固定デバイスと直接物理的に通信する。着用者の身体の一部に巻き付けることなどによって、試験中にアンテナ70を適所に保持するために、1つ以上のストラップ73又はスリーブが使用され得る。112においてアンテナ70が適所に配置され、着用者の身体に定着されると、ポータブルコンピューティングデバイス72は、114において、患者/ユーザが試験を開始すること及び歪みデータの取得を開始することを望んでいるという指示を受信することができる。この指示114は、入力デバイス90を介して受信されてもよく、例えば、物理的又は仮想的なボタンの押下を含んでもよい。
【0032】
114において開始の指示が受信されると、プロセッサ80は、(116において)電力伝送回路78を介してアンテナ70に通電することができ、それにより、センサ52、54に通電し、かつ/又はセンサ52、54を作動させることができる。これに続いて、プロセッサ80は、各センサ52、54から返されるデータ信号の存在及び/又は強度を調べて、デバイスが動作可能であり、適切に位置決めされているかどうかを判定することができる(118)。信号対雑音比が低すぎる場合(図5の94に全体的に示されるように)、又はセンサが予期しない読み取り値を返している場合、プロセッサ80は、アンテナを再位置決めするか、若しくは更なるサポートを求めるようにユーザに指示することができる。センサが良好に動作し、適切な信号を返している場合、プロセッサ80は、ディスプレイ88を介して、ユーザの身体をどのように位置決めするかについてユーザに指図することができる(120)。例えば、図5の96に示されるように、ディスプレイ88は、患者が座位にあるべきであることを指示するために、座っている人の写真を描画してもよい。この位置は、例えば、カウントダウンタイマの満了、姿勢を確認するユーザによるボタンの作動を通して、あるいはアンテナ70上に設けられた加速度計又は慣性測定ユニットから取得される方位データを通して自動的に確認され得る。
【0033】
ユーザの位置が(直接的あるいは間接的に)検証されると、プロセッサ80は、(122において)アンテナ70及び通信回路76によって負荷センサ52、54から測定データを受信することができる。受信に続いて、このデータは、通信又は測定ノイズ、誤った高調波などを除去するために、(124で)ポータブルコンピューティングデバイス72によって任意選択でフィルタリング又は平滑化され得る。例示的なフィルタリング技術では、信号内のノイズを除去するために、ローパス若しくはバンドパスフィルタリング技術及び/又はデータ平均化技術の使用が採用され得る。更なる技法には、平均又は合計の分散(例えば、二乗平均された(root mean squared、RMS)分散)が最小である総受信信号のサブセットを分離するように動作する様々なクリッピング又はサンプリング計画が含まれ得る。
【0034】
任意のオンボードデータ処理が完了すると(任意のそのような処理が所望される場合)、プロセッサ80は、(126において)負荷センサ52、54からの歪みデータを(未加工及び/又はフィルタリング/クリッピングされた形態で)、被験者の識別情報又は埋め込み可能なスマート固定デバイス40若しくはその上に装着された歪みセンサの識別情報のうちの少なくとも1つに対応する一意の識別子と共にパッケージ化することができる。そのようなデータをパッケージ化することは、読み取りの日付/時間、デバイスデータ、環境データ、及び/又は被験者/デバイス識別データを含むヘッダ又はメタデータ情報と共に、区切られた形式でセンサデータを含むデジタルファイルをメモリ内に生成することを含み得る。次に、パッケージ化されたデータ/データファイルは、無線通信ネットワーク28を介してデータサーバ20に送信され(128)、そこで、一意の患者識別子に関連して集約及び/又は記録され得る(132)。
【0035】
本システムは、(130において)一次負荷センサ52と基準負荷センサ54との間の異なる読み取り値を使用して、取得された歪みデータを解釈し、骨折が原因で骨プレートによって提供される相対的支持の量を決定するように、動作可能に構成されてもよい。実際には、そのような分析は、プロセッサ80を使用して、あるいはデータサーバ20によって実行され得る。分析がデバイスプロセッサ80によって実行される場合、分析の結果は、情報の送信の前に、フィルタリングされたデータ又は生データ及び一意の識別子と共にパッケージ化される。
【0036】
一構成では、骨プレートによって提供される支持の相対量は、一次負荷センサ52によって感知される歪みと基準負荷センサによって感知される歪みとの比として表現され得る。骨が治癒するにつれて、この値は、1.0に向かって減少することが予想される(歪みが骨の長さにわたって不均一であり得る変動的な生体力学的動態を表す)。1.0より大きい比は、骨プレートが、骨折部から離れた点と比べて、骨折部にわたってより大きい量の負荷を担持していることを示唆する。
【0037】
いくつかの実施形態では、プロセッサ80は更に、負荷支持姿勢中に取得された測定値又は比率(例えば、負荷支持比率)を、無負荷時に取得された測定値又は比率(例えば、無負荷比率)で正規化してもよい。例えば、大腿骨内の骨折部を監視するとき、負荷支持姿勢は、患者が直立していることを伴い得る一方、無負荷姿勢は、患者が座位にあることを伴い得る。これを達成するために、方法110は、(図6の120bにおいて、及び図5の98において図式的に示される)異なる身体位置に自身を位置決めするようにディスプレイ88を介して患者に指図しながら、指図/測定ステップ(概して、120~124において)を繰り返してもよい。一構成では、第1の提案された身体位置決めは、骨折部に実質的に負荷がない基準位置である。次いで、第2の位置は、負荷が骨折部に印加される位置であってもよい。
【0038】
一構成では、上記で参照した正規化は、単に、一次歪みと基準歪みとの比を、歪みの変化の比として計算することを伴い得る。別の言い方をすれば、システムは、骨折部における無負荷姿勢から負荷支持姿勢への歪みのデルタ増加を計算し、次いで、その値を、基準位置における(すなわち、無負荷姿勢から負荷支持姿勢への)歪みの同様に計算されたデルタ増加で除算し得る。この正規化により、センサ間でベースライン読み取り値が異なることによって引き起こされ得る比の異常が除去され得る。図5の98に全体的に示されるような一構成では、負荷支持姿勢を指図するとき、プロセッサ80は、負荷支持姿勢における基準センサ54からの歪みを、無負荷姿勢におけるそのセンサからの歪みと比較し得る。
【0039】
十分な負荷が骨に加えられて意味のあるデータ点を達成することを確実にするために、プロセッサ80は、骨折部における絶対歪み及び/又はデルタ歪みを監視して、指図された負荷支持姿勢にある間にそれが所定の閾値を上回ることを確実にすることができる。歪みが閾値未満である場合、プロセッサ80は、装着者に、骨折した骨(図5の98に全体的に示されるような)により大きい負荷を印加するように指図してもよい。比又は差が閾値を上回る場合、負荷支持姿勢にある骨が、結果を意味のあるものにするのに十分な量の負荷を支持しているという確信をもって、読み取り値が記録され得る。
【0040】
他の実施形態では、静的負荷状態中に測定を行う代わりに、ポータブルコンピューティングデバイス72は、それに代わって、何らかの動的動きを行うように患者に指図してもよい(120)。例えば、ポータブルコンピューティングデバイス72は、歩くこと、特定のストレッチを行うこと、又は座位から立つこと、階段を上ることなどの他の機能的活動を行うように患者に指図してもよい。この構成では、単一の静的歪み値に到達するように、受信された歪み読取値を単にフィルタリング及び/又は平均化する代わりに、プロセッサ80は、経時的に歪み読取値を検査して、機能的活動全体にわたるピーク負荷を識別してもよい。次いで、これらのピーク負荷値/比は、別個の負荷支持姿勢及び無負荷姿勢を必要とする代わりに、識別された最小負荷値/比に対して正規化され得る。
【0041】
一旦支持比が得られると、この値は、被験者の識別子に関連して同様に記録され得る。一構成では、各患者は、その一意の患者識別子に関連付けられた複数のデータ点を有し得る。各データ点は、異なる時点で取得された試験結果を表現し得る。図7は、複数の患者データ点140を概略的に示しており、各々は、時間144にわたって取得された負荷比142を表現している。図7に示されるように、これらの複数のデータ点140から、経時的な患者の治癒進行を表現するトレンドライン146が構築され得る。
【0042】
図6の134において)ユーザ又は医療専門家32から要求を受信すると、データサーバ20は、図8に示されるように、ホストされるユーザインターフェース/医師インターフェース34を通して、集約された患者データを視覚的に表現してもよい。一構成では、医師インターフェース34は、例えば、時間142にわたって取得されたデータ点140及び/又はトレンドライン146の表示を通して1人以上の患者148の治癒の進行をグラフィカルに示すウェブベースのディスプレイであってもよい。一構成では、医師インターフェース34は、図8に示されるような概要画面を含んでもよく、その概要画面によって医師は、各々が本システムを使用し、それぞれの患者データ24をデータサーバ20に周期的に送信している多数の患者の進行及びコンプライアンスを迅速に精査することが可能となる。任意の1人の患者を選択すると、医師インターフェース34は、概要画面から、図7に示されるような、選択された患者の傾向のより詳細なグラフィカル表示に遷移し得る。
【0043】
一構成では、図7にも示されるように、データサーバ20は、患者の実際のトレンドライン146が経時的にその範囲内に入ると予想される患者固有の軌道範囲150を計算し、表示することができる。一構成では、患者固有の軌跡範囲150は、患者の医療記録から抽出された、又は他の方法でデータサーバ20に入力された1つ以上の定性的及び/又は定量的属性/メトリクスに基づく統計的推定であってもよい。これらの特性は、骨折部の性質及び位置、患者の身長、体重、年齢、性別、代謝プロファイル、血圧、既存状態、複雑なリスク因子/共存症152(図8に示される)、又は治癒に影響を及ぼし得る他のそのような因子などの因子を含み得る。いくつかの実施形態では、軌道範囲150は、以前の患者から取得された経験的データによって更に影響され得る。例えば、データサーバ20は、以前の患者から引き出された経験的証拠が将来の患者のためのモデルの予測精度を改善するように機能する機械学習モデル(例えば、教師あり又は教師なし学習モデル)を維持し得る。患者固有の軌道範囲150は、時間の経過とともに発散する1つ以上の信頼区間156と共に予測軌道154を含んでもよい。一構成では、患者固有の軌道範囲150は、骨が設定された日(すなわち、0日目)の時点で計算され、更新されない静的軌道範囲150であり得る。モデルを継続的に洗練しないことによって、医療専門家は、患者が期待通りに治癒しているか否か、又は対処する必要がある予期せぬ合併症があるか否かを理解することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、データサーバ20は、各ステップ(すなわち、最新のデータ点が常に0日目であり、前のトレンドラインがモデルへの追加入力である場合)において軌跡を外挿することを更に試みてもよい。この前向きの軌道158は、曲線の進行方向が後日の懸念の原因となり得る場合に、医療専門家に事前通知を提供することができる。例えば、図7の前向きの軌道158は、予想されるものの範囲外であり得る、今後の1~2週間における治癒の進行の遅れを予測している。この予測は、何かが治癒プロセスを複雑にしている可能性があることを医師に警告することができ、更なる調査を保証することができる。更に、一構成では、データサーバ20は、データ点のうちの1つ又は前向きの治癒軌道が信頼区間の外側にある場合、医師インターフェース34を介して警告を提供してもよい。このようにして、本システムによって提供されるより頻繁な監視は、強化されたデータ視覚化及び予測分析と共に、合理的な予想に対してどのように患者が治癒しているかのより完全な理解をもたらし得る。この向上した理解は、合併症が起こり始めた場合に、医師が、より早い段階で介入することを可能にし得る。同様に、このデータはまた、推奨される理学療法処置及び推奨される全体的な患者活動レベルに関するガイダンスを提供する役割を果たし得る。
【0045】
一構成では、ホストされるインターフェース34を介して医師に表示されることに加えて、記録された患者データ点140、患者固有の軌道範囲150、前向きの軌道158、及び/又は1つ以上の定性的概要も、ディスプレイ88を介して患者に表示され得る。そうする際に、治癒プロセスは、例えば、特定のマイルストーンが達成されたときに祝福すること又は仮想報酬を提供することによってゲーム化されてもよい。同様に、ポータブルコンピューティングデバイスは、自動的に、あるいは医師からの遠隔ガイダンス/入力の下で、助言又は行動上の推奨事項を伝達して、患者が処方された治療コースの遵守を維持するのを支援してもよい。
【0046】
図9は、外部無線リーダ42及び/又はアンテナ70をユーザの身体に、より具体的には、大腿骨骨折で必要とされる大腿上部に固着させる1つの方法を概略的に示す。このような使用において、上腿の筋肉は患者の姿勢に基づいて厚さを変化させるので、身体への固着は難題を提示してきた。例えば、患者が座っている状態から立っている状態に移行すると、患者の大腿部の周径は著しく減少する。考慮されない場合、脚部周径のこの減少により、外部無線リーダ42は、その意図された位置から下向きに滑り落ちることになり得る。この滑りを阻止するために、一実施形態において、外部無線リーダ42は、患者の身体の周囲に定着されるように構成された1つ以上の弾性ストラップ160を含み得る。これらの弾性ストラップ160は、好ましくは、患者の皮膚に対して圧縮力を印加しながら、患者の肢の周りで弾性的に伸張されるように、張力フィットを得る。いくつかの実施形態では、外部無線リーダ42は、骨折した骨の関節の周りに定着されるように構成された1つ以上のブレース162を更に含み得る。例えば、大腿骨の骨折において、外部無線リーダ42は、患者の膝の周りに延在するように構成された膝ブレース164を含み得る。次に、アンテナ70がこのブレース162に対して堅固に位置決めされ得る。そのような設計は、関節の周囲が姿勢に応じて有意に変化せず、同様に、関節に対する骨折部の位置もまた一定のままであるため、有利であり得る。この設計は、位置決めを維持するために収縮弾性ストラップのみに依存するものではなく、弾性ストラップのみに依存することは、一部の患者にとって不快であることが判明し得る。代替の実施形態では、膝ブレース162の代わりに腰ブレース又はベルトが使用され得る。
【0047】
本技術は、内的に固定された骨折部の治癒の進行を医師がより能動的に監視する能力の進歩を表す。遠隔監視/遠隔医療に特に適したこの拡張された定量的監視を使用して、医師は、既存の慣習で利用可能であったものと比べて、骨がどのように骨化しているかをより完全に把握し得る。この情報を用いて、医師は、理学療法レジメンをより積極的に調整し、許容可能な活動レベル又は食事について患者に助言することができ、あるいは必要な場合に事前介入ステップをとることさえできる。骨が治癒する速度は一般に遅いので、本デバイスは絶え間なく着用される必要はない場合がある。代わりに、外部無線リーダ42は、血圧カフにより類似していてもよく、この場合、検査の間にのみ着用されることが必要となる(これは、毎週2、3回/数回のみ必要とされ得る)。
【0048】
本技術の更なる態様及び利点が、以下の条項において提供される。
項目1.被験者の骨にある内的に固定された骨折部の骨化を監視するための患者監視システムであって、骨に固着されるように動作する埋め込み可能な固定デバイスであって、骨折部の両側で骨に定着されるように構成された骨プレートと、骨折部に直接隣接して位置決めされるように動作する、第1の位置において骨プレート上に設けられた一次負荷センサであって、第1の位置における骨プレート内の歪み(一次歪み)の量を監視するように動作する第1の歪みセンサと、一次歪みの量を指示する第1の無線信号を送信するように動作する通信回路と、を含む、一次負荷センサと、第1の位置から離間している第2の位置において骨プレート上に設けられた基準負荷センサであって、第2の位置における骨プレート内の歪み(基準歪み)の量を監視するように動作する第2の歪みセンサと、基準歪みの量を指示する第2の無線信号を送信するように動作する通信回路と、を含む、基準負荷センサと、を含む、埋め込み可能な固定デバイスと、アンテナ、プロセッサ、及び無線通信ラジオを含む外部無線リーダであって、プロセッサは、アンテナを介して第1の無線信号及び第2の無線信号を受信することと、無線通信ラジオを使用して、無線通信ネットワークを介してデータサーバに信号を送信することであって、信号は、一次歪みの量、基準歪みの量を指示し、被験者又は埋め込み可能な固定デバイスのうちの少なくとも一方に対応する一意の識別子を更に含む、送信することと、を行うように構成されている、外部無線リーダと、を備える、患者監視システム。
項目2.外部無線リーダとデジタル通信するデータサーバを更に備え、プロセッサ又はデータサーバのうちの少なくとも一方は、受信された一次歪みの指示及び受信された基準歪みの指示を使用して、骨折の結果として骨プレートによって提供される相対的支持の量を決定することと、プロセッサ又はデータサーバのうちの少なくとも一方と通信する非一時的メモリに、決定された相対的支持の量を記憶することと、を行うように構成されている、条項1に記載の患者監視システム。
項目3.プロセッサ又はデータサーバは、一次歪みと基準歪みとの比を計算することによって、骨プレートによって提供される相対的支持の量を決定するように構成されている、条項2に記載の患者監視システム。
項目4.プロセッサは、骨を第1の無負荷姿勢に位置決めするように、またそれとは別に骨を第2の負荷支持姿勢に位置決めするように、被験者に促すことと、第1の無負荷姿勢及び第2の負荷支持姿勢の各々における一次歪みの量を決定することと、第1の無負荷姿勢及び第2の負荷支持姿勢の各々における基準歪みの量を決定することと、を行うように更に構成され、プロセッサ又はデータサーバのうちの少なくとも一方は、無負荷姿勢と負荷支持姿勢との間における一次歪みの差と、無負荷姿勢と負荷支持姿勢との間における基準歪みの差との比を計算することによって、骨プレートによって提供される相対的支持の量を決定するように構成されている、条項3に記載の患者監視システム。
項目5.外部無線リーダはディスプレイを更に含み、プロセッサは、ディスプレイを介して、骨を第1の無負荷姿勢に、またそれとは別に第2の負荷支持姿勢に位置決めするように、被験者に促すことを行うように構成されている、条項4に記載の患者監視システム。
項目6.プロセッサは、負荷支持姿勢における一次歪みが所定の最小閾値量の歪み未満である場合に追加の負荷を骨に加えるように、ディスプレイを介して、被験者に促すことを行うように構成されている、条項5に記載の患者監視システム。
項目7.プロセッサ又はデータサーバのうちの少なくとも一方は、負荷支持姿勢における一次歪みが所定の最小閾値量の歪みを超える場合にのみ、骨プレートによって提供される相対的支持の量を決定することを行うように構成されている、条項4~6のいずれか一項に記載の患者監視システム。
項目8.外部無線リーダは、アンテナから伝送された磁界を介して一次負荷センサ及び基準負荷センサの各々に電力を供給するように動作する誘導充電回路を更に含む、条項1~7のいずれか一項に記載の患者監視システム。
項目9.外部無線リーダは、テザーを介してディスプレイデバイスと有線通信するウェアラブルコンポーネントを備え、ウェアラブルコンポーネントは、被験者の一部の周りに延在するように構成された少なくとも1つのストラップを有するキャリア内に設けられたアンテナを備える、条項8に記載の患者監視システム。
項目10.ウェアラブルコンポーネントはプロセッサを更に含む、条項9に記載の患者監視システム。
項目11.ファブリックキャリアが、被験者の関節の周りに延在するように動作するブレースに更に定着されている、条項9又は10に記載の患者監視システム。
項目12.アンテナはある長さを有し、アンテナの長さは、第1の位置と第2の位置との間の間隔よりも大きい、条項1~11のいずれか一項に記載の患者監視システム。
項目13.複数の被験者から骨折部の骨化を監視する方法であって、無線通信ネットワークを介して、複数の被験者から複数のデータセットを受信することであって、各データセットは、骨折部にまたがって被験者の骨に定着されたスマート固定デバイスから取得された複数の歪み測定値を表現し、該複数の歪み測定値は、骨折部にまたがる固定デバイスによって担持される負荷の量を指示する少なくとも第1の歪み測定値(一次歪み)と、一体の骨にある固定デバイスによって担持される負荷の量を指示する少なくとも第2の歪み測定値(基準歪み)と、を含む、受信することと、複数のデータセットの各々について、一次歪みの量と基準歪みの量との比を計算することと、歪み測定値の日付及び時間と共に、また測定値の発生源を表現する患者識別子と共に、不揮発性メモリに各データセット及び各計算された比を記憶することと、複数の異なる被験者の各々からの経時的な比の変化をグラフィカルに示すための医師インターフェースを提供することと、を含む、方法。
項目14.各被験者について、予測される患者固有の治癒軌道を生成する機械学習予測モデルを維持することであって、患者固有の治癒軌道は、予測される軌道と、骨固定時に始まる治癒進行の起こり得る推移を表現する信頼区間と、を含む、維持することを更に含み、方法は、医師インターフェース内の予測される患者固有の治癒軌道のグラフィカル表現上に、被験者の複数のデータセットをオーバーレイすることを更に含み、機械学習予測モデルは、受信されたデータセットの少なくともサブセットと、骨折部の性質及び位置、被験者の身長、体重、年齢、性別、代謝プロファイル、血圧、既存状態、複雑なリスク因子、又は共存症のうちの少なくとも2つを含む複数の二次因子と、を使用して精緻化されている、条項13に記載の方法。
項目15.各被験者について、被験者について最も最近取得されたデータセットから、時間的に前方に延びる前向きの治癒軌道を計算することと、予測される患者固有の治癒軌道のグラフィカル表現上に前向きの治癒軌道をオーバーレイすることと、を更に含む、条項14に記載の方法。
項目16.データセットのうちの1つ又は前向きの治癒軌道が信頼区間の外にある場合、医師インターフェースを介して警告を提供することを更に含む、条項15に記載の方法。
項目17.被験者の体内に提供された埋め込み可能なスマート固定デバイスから骨の骨化データを取得する方法であって、交番磁界を発生させ、骨折部にまたがって骨に定着された骨プレートと接触させて設けられた複数の負荷センサに誘導的に通電するために、体外アンテナに通電することと、体外アンテナを介して、複数の負荷センサの各々から無線データ信号を受信することであって、無線データ信号は、骨プレートが受ける歪みの量を指示する、受信することと、各無線データ信号から代表的な歪み値を識別することと、骨折部において骨プレートが受ける歪みの量を指示する第1の歪み値を、骨折部から離れた骨プレートが受ける歪みの量を指示する第2の歪み値で除算することによって、骨折部にまたがる骨プレートによって担持される相対負荷の量を決定することと、を含む、方法。
項目18.骨又は被験者の身体を第1の無負荷姿勢に位置決めするように、電子ディスプレイを介して、被験者に促すことと、骨又は被験者の身体を第2の負荷支持姿勢に位置決めするように、電子ディスプレイを介して、被験者に促すことと、を更に含み、骨プレートは、負荷支持姿勢において少なくとも所定の最小量の歪みを受け、第1の歪み値及び第2の歪み値の各々は、負荷支持姿勢において測定された歪みの量と無負荷姿勢において測定された歪みの量との間の差を含む、条項17に記載の方法。
条項19.負荷支持姿勢における歪みの量が所定の最小量の歪み未満である場合に、被験者に警告を提供することを更に含む、条項18に記載の方法。
【0049】
利益、他の利点、及び問題に対する解決策について、特定の実施形態に関して説明してきた。利益、利点、問題に対する解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策を生じさせ得るか、あるはより際立たせ得るいかなる要素(複数可)も、そのような利益、利点、解決策、又は要素がそのような請求項において明示的に述べられていない限り、一部又はすべての請求項の重要な、必要な、あるいは必須の特徴又は要素として解釈されるべきではない。
【0050】
更に、本明細書に開示される実施形態及び限定は、それらの実施形態及び/又は限定が、(1)特許請求の範囲において明示的に請求されていない場合、及び(2)均等論の下で特許請求の範囲における明示的な要素及び/又は限定の均等物であるか、あるいは潜在的に均等物である場合、公有の原則の下で公衆に供されない。
【0051】
外部無線リーダの追加の実施形態は、本明細書と共に提出される付録に提供される。
【0052】
〔実施の態様〕
(1) 被験者の骨にある内的に固定された骨折部の骨化を監視するための患者監視システムであって、
前記骨に固着されるように動作する埋め込み可能な固定デバイスであって、
前記骨折部の両側で前記骨に定着されるように構成された骨プレートと、
前記骨折部に直接隣接して位置決めされるように動作する、第1の位置において前記骨プレート上に設けられた一次負荷センサであって、前記第1の位置における前記骨プレート内の歪み(一次歪み)の量を監視するように動作する第1の歪みセンサと、前記一次歪みの量を指示する第1の無線信号を送信するように動作する通信回路と、を含む、一次負荷センサと、
前記第1の位置から離間している第2の位置において前記骨プレート上に設けられた基準負荷センサであって、前記第2の位置における前記骨プレート内の歪み(基準歪み)の量を監視するように動作する第2の歪みセンサと、前記基準歪みの量を指示する第2の無線信号を送信するように動作する通信回路と、を含む、基準負荷センサと、を含む、埋め込み可能な固定デバイスと、
アンテナ、プロセッサ、及び無線通信ラジオを含む外部無線リーダであって、前記プロセッサは、
前記アンテナを介して前記第1の無線信号及び前記第2の無線信号を受信することと、
前記無線通信ラジオを使用して、無線通信ネットワークを介してデータサーバに信号を送信することであって、前記信号は、前記一次歪みの量、前記基準歪みの量を指示し、前記被験者又は前記埋め込み可能な固定デバイスのうちの少なくとも一方に対応する一意の識別子を更に含む、送信することと、を行うように構成されている、外部無線リーダと、を備える、患者監視システム。
(2) 前記外部無線リーダとデジタル通信する前記データサーバを更に備え、
前記プロセッサ又は前記データサーバのうちの少なくとも一方は、
受信された前記一次歪みの指示及び受信された前記基準歪みの指示を使用して、骨折の結果として前記骨プレートによって提供される相対的支持の量を決定することと、
前記プロセッサ又は前記データサーバのうちの少なくとも一方と通信する非一時的メモリに、決定された前記相対的支持の量を記憶することと、を行うように構成されている、実施態様1に記載の患者監視システム。
(3) 前記プロセッサ又は前記データサーバは、前記一次歪みと前記基準歪みとの比を計算することによって、前記骨プレートによって提供される前記相対的支持の量を決定するように構成されている、実施態様2に記載の患者監視システム。
(4) 前記プロセッサは、
前記骨を第1の無負荷姿勢に位置決めするように、またそれとは別に前記骨を第2の負荷支持姿勢に位置決めするように、前記被験者に促すことと、
前記第1の無負荷姿勢及び前記第2の負荷支持姿勢の各々における一次歪みの量を決定することと、
前記第1の無負荷姿勢及び前記第2の負荷支持姿勢の各々における基準歪みの量を決定することと、を行うように更に構成され、
前記プロセッサ又は前記データサーバのうちの前記少なくとも一方は、前記無負荷姿勢と前記負荷支持姿勢との間における一次歪みの差と、前記無負荷姿勢と前記負荷支持姿勢との間における基準歪みの差との比を計算することによって、前記骨プレートによって提供される前記相対的支持の量を決定するように構成されている、実施態様3に記載の患者監視システム。
(5) 前記外部無線リーダはディスプレイを更に含み、前記プロセッサは、前記ディスプレイを介して、前記骨を前記第1の無負荷姿勢に、またそれとは別に前記第2の負荷支持姿勢に位置決めするように、前記被験者に促すことを行うように構成されている、実施態様4に記載の患者監視システム。
【0053】
(6) 前記プロセッサは、前記負荷支持姿勢における前記一次歪みが所定の最小閾値量の歪み未満である場合に追加の負荷を前記骨に加えるように、前記ディスプレイを介して、前記被験者に促すことを行うように構成されている、実施態様5に記載の患者監視システム。
(7) 前記プロセッサ又は前記データサーバのうちの前記少なくとも一方は、前記負荷支持姿勢における前記一次歪みが所定の最小閾値量の歪みを超える場合にのみ、前記骨プレートによって提供される前記相対的支持の量を決定することを行うように構成されている、実施態様4に記載の患者監視システム。
(8) 前記外部無線リーダは、前記アンテナから伝送された磁界を介して前記一次負荷センサ及び前記基準負荷センサの各々に電力を供給するように動作する誘導充電回路を更に含む、実施態様1に記載の患者監視システム。
(9) 前記外部無線リーダは、テザーを介してディスプレイデバイスと有線通信するウェアラブルコンポーネントを備え、
前記ウェアラブルコンポーネントは、前記被験者の一部の周りに延在するように構成された少なくとも1つのストラップを有するキャリア内に設けられた前記アンテナを備える、実施態様8に記載の患者監視システム。
(10) 前記ウェアラブルコンポーネントは前記プロセッサを更に含む、実施態様9に記載の患者監視システム。
【0054】
(11) ファブリックキャリアが、前記被験者の関節の周りに延在するように動作するブレースに更に定着されている、実施態様9に記載の患者監視システム。
(12) 前記アンテナはある長さを有し、前記アンテナの前記長さは、前記第1の位置と前記第2の位置との間の間隔よりも大きい、実施態様1に記載の患者監視システム。
(13) 複数の被験者から骨折部の骨化を監視する方法であって、
無線通信ネットワークを介して、複数の被験者から複数のデータセットを受信することであって、各データセットは、骨折部にまたがって被験者の骨に定着されたスマート固定デバイスから取得された複数の歪み測定値を表現し、前記複数の歪み測定値は、前記骨折部にまたがる前記固定デバイスによって担持される負荷の量を指示する少なくとも第1の歪み測定値(一次歪み)と、一体の骨にある前記固定デバイスによって担持される負荷の量を指示する少なくとも第2の歪み測定値(基準歪み)と、を含む、受信することと、
前記複数のデータセットの各々について、一次歪みの量と基準歪みの量との比を計算することと、
前記歪み測定値の日付及び時間と共に、また前記測定値の発生源を表現する患者識別子と共に、不揮発性メモリに各データセット及び各計算された比を記憶することと、
複数の異なる被験者の各々からの経時的な前記比の変化をグラフィカルに示すための医師インターフェースを提供することと、を含む、方法。
(14) 各被験者について、予測される患者固有の治癒軌道を生成する機械学習予測モデルを維持することであって、前記患者固有の治癒軌道は、予測される軌道と、骨固定時に始まる治癒進行の起こり得る推移を表現する信頼区間と、を含む、維持することを更に含み、前記方法は、前記医師インターフェース内の前記予測される患者固有の治癒軌道のグラフィカル表現上に、被験者の前記複数のデータセットをオーバーレイすることを更に含み、
前記機械学習予測モデルは、受信された前記データセットの少なくともサブセットと、前記骨折部の性質及び位置、前記被験者の身長、体重、年齢、性別、代謝プロファイル、血圧、既存状態、複雑なリスク因子、又は共存症のうちの少なくとも2つを含む複数の二次因子と、を使用して精緻化されている、実施態様13に記載の方法。
(15) 各被験者について、前記被験者について最も最近取得されたデータセットから、時間的に前方に延びる前向きの治癒軌道を計算することと、
前記予測される患者固有の治癒軌道の前記グラフィカル表現上に前記前向きの治癒軌道をオーバーレイすることと、を更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0055】
(16) 前記データセットのうちの1つ又は前記前向きの治癒軌道が前記信頼区間の外にある場合、前記医師インターフェースを介して警告を提供することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 被験者の体内に提供された埋め込み可能なスマート固定デバイスから骨の骨化データを取得する方法であって、
交番磁界を発生させ、骨折部にまたがって骨に定着された骨プレートと接触させて設けられた複数の負荷センサに誘導的に通電するために、体外アンテナに通電することと、
前記体外アンテナを介して、前記複数の負荷センサの各々から無線データ信号を受信することであって、前記無線データ信号は、前記骨プレートが受ける歪みの量を指示する、受信することと、
各無線データ信号から代表的な歪み値を識別することと、
前記骨折部において前記骨プレートが受ける歪みの量を指示する第1の歪み値を、前記骨折部から離れた前記骨プレートが受ける歪みの量を指示する第2の歪み値で除算することによって、前記骨折部にまたがる前記骨プレートによって担持される相対負荷の量を決定することと、を含む、方法。
(18) 前記骨又は前記被験者の身体を第1の無負荷姿勢に位置決めするように、電子ディスプレイを介して、前記被験者に促すことと、
前記骨又は前記被験者の身体を第2の負荷支持姿勢に位置決めするように、前記電子ディスプレイを介して、前記被験者に促すことと、を更に含み、前記骨プレートは、前記負荷支持姿勢において少なくとも所定の最小量の歪みを受け、
前記第1の歪み値及び前記第2の歪み値の各々は、前記負荷支持姿勢において測定された歪みの量と前記無負荷姿勢において測定された歪みの量との間の差を含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記負荷支持姿勢における前記歪みの量が前記所定の最小量の歪み未満である場合に、前記被験者に警告を提供することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】