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  • 特表-自動運転車の運転方法 図1
  • 特表-自動運転車の運転方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(54)【発明の名称】自動運転車の運転方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230817BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505800
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2021067657
(87)【国際公開番号】W WO2022037829
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】102020005013.1
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン,クラウス,アルフレッド
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL14
5H181LL15
(57)【要約】
本発明は、交差点(K)領域における自動運転車両(1)の運転方法に関する。本発明では、交差点(K)で優先権を持つ更なる車両(2)が検出されて、更なる車両(2)の意図される走行ルートが判断され、意図されるルートに基づいて、更なる車両(2)が交差点(K)を通過した後に車両(1)の横を通り過ぎなければならないと判断された場合に、更なる車両(2)の走行ルートが障害物によって塞がれているかどうか判断され、更なる車両(2)の走行ルートが障害物によって塞がれていると判断された場合に、更なる車両(2)への通信接続が確立され、それを介して、車両(1)が更なる車両(2)に、塞がれている走行ルートについて知らせる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点(K)領域における自動運転車両(1)の運転方法であって、
前記交差点(K)で優先権を持つ更なる車両(2)が検出されて、前記更なる車両(2)の意図される走行ルートが判断され、
前記意図される走行ルートに基づいて、前記更なる車両(2)が前記交差点(K)を通過した後に前記車両(1)の横を通り過ぎなければならないと判断された場合に、前記更なる車両(2)の前記走行ルートが障害物によって塞がれているかどうか判断され、
前記更なる車両(2)の前記走行ルートが障害物によって塞がれていると判断された場合に、前記更なる車両(2)への通信接続が確立され、該通信接続を介して、前記車両(1)が前記更なる車両(2)に前記塞がれている走行ルートについて知らせる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記2台の車両(1、2)が前記交差点(K)を通過する順序が合意されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記更なる車両(2)の前記走行ルートを塞いでいる前記障害物への前記更なる車両(2)の視界が遮られているかどうかが前記車両(1)によって判断されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
閉塞状況が発生したか否かを判断するために、前記車両(1)と前記更なる車両(2)の前記走行ルートを塞いでいる前記障害物との間の残りの車道幅と、前記更なる車両(2)の幅とが測定されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
閉塞状態が発生したか否かを判断するために、前記残りの車道幅が前記更なる車両(2)の幅と比較されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
起動された方向指示器(8)に基づいて、及び/又は車両間通信を介して送信された情報に基づいて、前記更なる車両(2)の前記意図される走行ルートが判断されること特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記更なる車両(2)の幅の妥当性を検証するために、前記更なる車両(2)の幅と、前記方向指示器(9)の信号とのセットが、前記更なる車両(2)によって車両間通信を介して前記車両(1)に送られることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記更なる車両(2)が自動運転で、無人で運転されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点領域における自動運転車の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により、運転者支援のための方法及び運転者支援システムが知られている。この方法では、自車が自動的に運転操作を行い、運転操作の実行中に自車の周囲環境のオブジェクトが検出される。オブジェクトは分類され、ボトルネックとなる静止オブジェクト及び接近車両が分類される。そして、自車の動きと接近車両の動きが予め計算される。ボトルネックとなる静止オブジェクトのまわりの空きスペースが判断され、自車が接近車両のためにボトルネックで走行を続けることができなくなる第1の閉塞状況、及び/又は、自車によってボトルネックの端が認識できない第2の閉塞状況が判定され、閉塞状況が判定されると、自車が閉塞状況の解消まで停止する停止位置が判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許第102016203086 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、自動運転車の運転方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、この課題を請求項1に示されている特徴を有する方法によって解決する。
【0006】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明による、交差点領域おける自動運転車、特に無人運転車の運転方法では、交差点で優先権を持つ更なる車両が検出され、その意図される走行ルートが判定される。その意図される走行ルートに基づいて、更なる車両が交差点を通過した後に当該車両の横を通り過ぎなければならないと判断された場合には、更なる車両の走行ルートが障害物によって塞がれているかどうかが判断される。更なる車両の走行ルートが障害物により塞がれていると判断された場合には、更なる車両への通信接続が確立され、それを介して、車両は更なる車両に、塞がれている走行ルートについて知らせる。
【0008】
本方法を用いることにより、2台の車両の閉塞状況を大々的に回避することができる。これは特に、2台の自動運転車が右方優先交差点にあり、優先権を持つ更なる車両が車両の車道に曲がろうとし、更なる車両が車両の前で止まらなければならない場合においてである。このようになるのは、例えば、駐車している車両のために、更なる車両が車両の横を通り過ぎることができないからである。その結果、2台の車両は、例えば、閉塞状況が遠隔操作者に助けられるなどして解消できるまで、それ以上何もせず延々とそこにとどまることになる。
【0009】
少なくとも車両が差し迫る閉塞状況を認識し、更なる車両がそれに応じて通信し、解決策が見つけられるようにすることによって、そのような閉塞状況の発生に対処することができ、交通の流れを最適化することもできる。
【0010】
本方法を実行することにより、2台の車両が交差点を通過する順序の合意が保証される。特に、更なる車両が優先権を持っていても、交差点を通過するために先に車両が運転を開始するように、閉塞状況を回避するための合意がなされる。
【0011】
さらなる実施形態では、更なる車両の走行ルートを塞いでいる障害物への更なる車両の視界が遮られているかどうかも、車両によって判断される。特に、障害物への更なる車両の視界が遮られていると判断された場合には、更なる車両が運転を開始して2台の車両に閉塞状況が発生するのを避けるために、直ちに2台の車両の間に通信接続が確立される。
【0012】
本方法のさらなる実施形態では、閉塞状況の発生を判断するために、車両と更なる車両の走行ルートを塞いでいる障害物との間の残りの車道幅と、更なる車両の幅とが判定される。そこでは、残りの車道幅と更なる車両の幅は、車両の検出信号に基づいて判定され、比較が行われる。
【0013】
可能な一実施形態では、閉塞状況の発生を判断するため、更なる車両が先に交差点を通過する場合に、残りの車道幅が、更なる車両が車両の横、特に車両と障害物の間を通り過ぎるのに十分かどうか判断できるように、残りの車道幅が更なる車両の幅と比較される。
【0014】
ここで、本方法の一実施形態では、起動された方向指示器に基づいて、及び/又は車両間通信を介して送信された情報に基づいて、更なる車両の意図される走行ルートが判断される。このように、車両は更なる車両がどの走行ルートを走行しようとしているかについての情報を持ち、車両の車道上の障害物が更なる車両の旋回プロセスに関わるかどうか判断することができる。
【0015】
更なる車両の幅の妥当性確認のために、更なる車両の幅と設定された方向指示器とのセットの信号が、更なる車両によって車両間通信を介して車両に送られる。このようにして、更なる車両の走行ルート及び車両と障害物との間の残りの車道幅の妥当性を検証することができる。
【0016】
更なる車両も自動運転で、無人で運転され、2台の車両の車両使用者が誤解することなく、閉塞状況を可能な限り回避又は解消することができる。
【0017】
以下では、図面を参照しながら、本発明の実施例をより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】優先規則の交通標識、信号機、警察官なしの交差点領域、1台の車両、左折する更なる車両を示した概略図である。
図2】2台の車両を含む交差点領域と、車両の環境センサーの検出ユニットのそれぞれの検出領域とを示した概略図である。
【0019】
いずれの図でも、対応する部分には同じ参照記号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、優先規則の交通標識、信号機、警察官なしの交差点Kの領域が示されている。1台の車両1が交差点Kの車道F1に優先規則を守って止まっており、左折する更なる車両2が交差点の別の車道F2を走っている。車両1に対して、更なる車両2は優先権を持つ。
【0021】
図2には、交差点K、2台の車両1、2、車両1の環境センサーの検出ユニット3~6のそれぞれの検出領域Eが示されている。
【0022】
2台の車両1、2は自動運転で運転され、運転作業は完全にそれぞれの車両1、2によって行われ、それぞれの車両1、2に車両使用者はいない。
【0023】
車両1の車道F1の対向車線には、2台の車両7、8が長手方向に駐車されており、第1の駐車車両7は車両1と部分的に隣り合う。
【0024】
車両1の右から来た更なる車両2が車両1の前方で車両1の車道F1に曲がると、更なる車両2は車両1の横を通り過ぎることができず、車両1の前方にとどまる。このようにして、2台の車両1、2に閉塞状況が存在し、例えば、遠隔操作者が2台の車両1、2のうちの少なくとも一方の遠隔操作を引き受けて閉塞状況を解消したり、第1の駐車車両7が駐車位置から離れたりするまで、2台の車両1、2はそれ以上何もせず延々とこの閉塞状況にとどまることになる。
【0025】
このような閉塞状況を可能な限り回避するため、以下に記述する方法を提供する。
【0026】
車両1は、車両1の運転時に信号を連続的に検出する検出ユニット3~6を少なくとも持つ環境センサーを含む。検出された信号に基づいて、車両1の周囲環境、そこに存在するオブジェクト、ひいては更なる車両2も検出される。
【0027】
特にサイドカメラとして構成された検出ユニット3の検出信号、及びレーダー式リアサイドセンサーとして構成された検出ユニット4の検出信号に基づいて、少なくとも車両1の横の第1の駐車車両7が検出される。特に、第1の駐車車両7は、車両1の車道F1の対向車線を車両1のほうへ進んでくる可能性のある更なる車両2の通行を妨げるオブジェクト及び障害物として認識される。これはつまり、更なる車両2が通行するための車道幅、すなわち車両1と第1の駐車車両7との間の距離が小さすぎるということである。
【0028】
さらに、特にサイドカメラとして設計された検出ユニット4の検出信号に基づいて、車両1と障害物としての第1の駐車車両7との間の残りの車道幅が測定される。閉塞状況を引き起こす障害物は、車両1の対向車線で更なる車両2の走行ルートを塞ぐ建設現場のフェンスやその他のオブジェクトであり得る。
【0029】
レーダー式フロントコーナーセンサーとして構成された検出ユニット5の検出信号、及びフロントカメラとして構成された検出ユニット6の検出信号に基づいて、更なる車両2及びその起動された方向指示器9が検出される。さらに、特に検出ユニット5、6の信号に基づいて、更なる車両2の幅が測定される。
【0030】
更なる車両2の方向指示器9が起動されていることによって、左折しようとする更なる車両2の走行ルートを判断することができる。
【0031】
第1の駐車車両7が存在するにもかかわらず更なる車両2が車両1の横を通り過ぎることができるかどうか判断するために、測定された車両1と第1の駐車車両7との間の残りの車道幅が、測定された更なる車両2の幅と比較される。
【0032】
更なる車両2の幅の妥当性を検証するために、更なる車両2は、更なる車両2の幅と、設定された方向指示器9の信号とを、通信接続を介して車両1に送る。
【0033】
本方法の一実施形態では、車両1の環境センサーの検出信号に基づいて、第1の駐車車両1という形で更なる車両2の走行ルートを塞いでいる障害物への更なる車両2の視界が遮られているかどうか判断される。
【0034】
交差点Kは優先道路のない交差点Kであるがゆえに、更なる車両2は、車両1に対して、交差点Kを通過する優先権を持つ。
【0035】
更なる車両1が優先権を行使すると、車両1と更なる車両2の間に閉塞状況が発生し、それに加えて、第1の駐車車両7への更なる車両2の視界が遮られていると、車両1が判断した場合には、2台の車両1、2の間に新たに通信接続が確立される。
【0036】
通信接続、特に車両間通信を介して、更なる車両2は更なる車両2の塞がれた走行ルートについて知らされ、更なる車両2はこの情報の受信を確認する。次に、更なる車両2が既存の優先権を持っていても、2台の車両1、2のうちのどちらが先に交差点Kを通過すべきかは、2台の車両1、2の間で合意される。
【0037】
更なる車両1が先に交差点Kを通過すると、閉塞状況が発生するため、両車両1、2は、更なる車両2が、既存の通信接続を介して、車両1が更なる車両2より先に交差点Kを通過することを車両1に知らせることに合意する。
【0038】
特に、更なる車両2は優先権保証情報を車両1に送り、車両1はその情報の受信を確認し、車両1の自動運転を開始する。
図1
図2
【国際調査報告】