(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(54)【発明の名称】電気化学プリンタおよび多次元構造を形成するための方法
(51)【国際特許分類】
C25D 5/02 20060101AFI20230817BHJP
G01N 27/26 20060101ALI20230817BHJP
C25D 5/04 20060101ALI20230817BHJP
C25D 9/02 20060101ALI20230817BHJP
C25D 21/12 20060101ALI20230817BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20230817BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230817BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230817BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20230817BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20230817BHJP
【FI】
C25D5/02 Z
G01N27/26 R
C25D5/04
C25D9/02
C25D21/12 C
B29C64/106
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y80/00
B33Y70/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506257
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(85)【翻訳文提出日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 AU2021050822
(87)【国際公開番号】W WO2022020894
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523031541
【氏名又は名称】スパーク3ディ・プロプライエタリー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SPARK3D PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コンナル,ルーク・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ビクトロバ,ジェカテリーナ
【テーマコード(参考)】
4F213
4K024
【Fターム(参考)】
4F213AA13
4F213AA34
4F213AC05
4F213AP11
4F213AP14
4F213AP15
4F213AR11
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4F213WA25
4F213WB01
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4F213WL42
4F213WL67
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4F213WL96
4K024AA09
4K024AB01
4K024AB08
4K024CA16
4K024FA23
4K024GA16
(57)【要約】
本発明は、多次元構造を形成するための方法に関し、流体中に電極および基板を設けるステップであって、流体は、電解質と、内部に分散された前駆体剤と、を含む、ステップと、基板と電極との間に電位差を印加して前駆体剤を還元または酸化させ、それによって固体材料を堆積させるステップと、基板と電極との間の電流を測定するステップと、電極を流体内で移動させて、固体材料の多次元構造を形成するステップと、を含む。多次元構造を形成するための装置も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多次元構造を形成するための方法であって、
流体中に電極および基板を提供するステップであって、
前記流体は、
電解質と、
内部に分散された前駆体剤と、を含む、ステップと、
前記基板と前記電極との間に電位差を印加して前記前駆体剤を還元または酸化させ、それによって固体材料を堆積させるステップと、
前記基板と前記電極との間の電流を測定するステップと、
前記電極を前記流体内で移動させて、前記固体材料の多次元構造を形成するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記基板と前記電極との間の前記電流は、複数の時点で測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記時点どうしは約100μs~約1秒離れている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板と前記電極との間の前記電流は、時間の関数として測定される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記電流が所定の値より上、下、または所定の値にあるときに、前記基板と前記電極との間の前記電位差、および前記電極の位置のうちの1つまたは複数を変化させるステップをさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記電流が前記所定の値より下にあるときに、前記基板と前記電極との間の前記電位差を増加させるステップ、および/または前記電極と前記基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記電位を第1の電圧から第2の電圧に調整するステップをさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の電圧と前記第2の電圧との間で前記電位をサイクリングするステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記サイクリングするステップは、前記電位差を前記第1の電圧から前記第2の電圧に変化させ、前記第1の電圧に戻すことを含み、
前記電位差を前記第1の電圧から前記第2の電圧に変化させるときの電位差の絶対平均変化率は、前記電位差を前記第2の電圧から前記第1の電圧に戻すように変化させるときの電位差の絶対平均変化率と実質的に同じである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記サイクリングするステップは電圧パルスを含まない、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の電圧から前記第2の電圧に到達してから前記第1の電圧に戻るまでの一周期の時間は100μs以上である、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記前駆体剤は、金属塩およびモノマー材料からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記流体中の前記前駆体剤の濃度は約10
-5M~約1.5Mである、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記流体は容器内にあり、前記電極および前記基板は前記容器内の前記流体内にある、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記流体は有機溶媒を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記有機溶媒はアセトニトリルである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記流体は水を含まない、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記固体材料は、ビニルポリマー、共役ポリマー、金属、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記固体材料は、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)、ポリピロール:ドーパミンコポリマー、ポリビニルイミダゾール、および銅からなる群から選択される、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記前駆体剤は、金属イオン塩、金属イオン錯体、イオン液体、ビニルモノマー、および共役ポリマーのモノマーからなる群から選択される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記前駆体剤は、アニリン、ピロール、チオフェン、3,4-エチレンジオキシチオフェン、ビニルイミダゾール、および銅塩からなる群から選択される、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記電解質は、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートを含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記流体は第1の流体であり、前記方法は、
前記第1の流体を第2の流体と交換するステップであって、前記第2の流体は、
電解質と、
その中に分散された前駆体剤であって、前記第2の流体の前記前駆体剤は前記第1の流体の前記前駆体剤とは異なる、前駆体剤と、を含む、ステップと、
前記電極と前記基板との間に電位差を印加して、前記第2の流体の前記前駆体剤を還元または酸化させ、それによって第2の固体材料を堆積させるステップと、をさらに含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記流体は第1の前駆体剤および第2の前駆体剤を含み、前記方法は、
前記電極と前記基板との間に第1の電位差を印加して、前記第1の前駆体剤を還元または酸化させ、それによって第1の固体材料を堆積させるステップと、
前記電極と前記基板との間に第2の電位差を印加して、前記第2の前駆体剤を還元または酸化させ、それによって第2の固体材料を堆積させるステップと、を含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の前駆体剤はEDOTであり、前記第1の固体材料はPEDOTであり、前記第2の前駆体剤はビニルイミダゾールであり、前記第2の固体材料はポリビニルイミダゾールである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記電極はマイクロ電極またはナノ電極である、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記電極の表面積は約10
-9m
2~約10
-4m
2である、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記電極は、白金、炭素または金を含む、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記基板は、酸化インジウムスズ(ITO)、ケイ素、アルミニウム、鋼、金、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記多次元構造は3次元構造である、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記多次元構造は導電性である、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記多次元構造は複合構造である、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
多次元構造を生成するための装置であって、
電極と、
流体を保持するための容器と、
前記容器内で前記電極を移動させるための1つまたは複数のモータと、
前記容器内の基板と、
前記基板と前記電極との間に電位差を印加し、前記基板と前記電極との間の電流を測定するためのポテンショスタットと、を備える、装置。
【請求項34】
前記ポテンショスタットに電気的に接続された基準電極をさらに備える、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記多次元構造の質量を測定するための水晶振動子マイクロバランス(QCM)をさらに備える、請求項33または34に記載の装置。
【請求項36】
3つのモータを備える、請求項33~35のいずれか1項に記載の装置。
【請求項37】
3Dプリンタである、請求項33~36のいずれか1項に記載の装置。
【請求項38】
請求項1~32のいずれか1項に記載の方法を使用して形成される多次元構造。
【請求項39】
3次元構造である、請求項38に記載の多次元構造。
【請求項40】
導電性である、請求項38または39に記載の多次元構造。
【請求項41】
複合構造である、請求項38~40のいずれか1項に記載の多次元構造。
【請求項42】
請求項1~32のいずれか1項に記載の方法による多次元構造を印刷するために使用される場合のプリンタ。
【請求項43】
3Dプリンタである、請求項42に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年7月29日に出願されたオーストラリア仮出願番号第2020902658号に基づく優先権を有し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、多次元構造を形成するための方法に関する。本発明はまた、本方法を使用するプリンタに関する。
【背景技術】
【0003】
3D印刷として一般に知られている積層造形法(AM)は、持続可能性を改善する機会を生み出すことによって、安価で迅速なプロトタイピングを可能にすることによって、製品を個別にカスタマイズできるようにすることによって、および高度に定義された複雑な3D形状の形成を可能にすることによって、業界と学界の両方に革命をもたらしてきた。ナノメートルからメートル規模で構造を製造する技術の能力のために、3D印刷は、生体材料、航空宇宙、薬物送達、電極触媒用途およびプリンテッドエレクトロニクスなどの分野に適用されてきた。
【0004】
したがって、3D印刷可能な新規材料および技術の改善は、この分野の成長を推進している。様々なポリマー、金属、セラミックおよび複合材料を含む多くの種類の材料が開発され、3D印刷に採用されているにもかかわらず、単一の積層造形法を使用して複数の材料系の印刷を可能にする方法の欠如が、より高度な用途のためのこの技術のさらなる開発における障害として浮上してきた。特定のAM方法の背後にある堆積技術の違いに起因して、単一の装置内でポリマー、金属および無機材料を印刷することを可能にするマルチマテリアル3Dプリンタは現在のところ得られていない。
【0005】
金属構造の印刷に関して、選択的レーザ溶融(SLM)および電子ビーム溶融(EBM)などのいくつかのAMプロセスは、高精度で金属部品を製造することができるが、それらは両方とも、製造中の材料の完全な溶融に起因する非常に高い残留応力を被り、堆積のための高いエネルギーおよび設備またはインフラストラクチャへの高い事前投資を必要とする。セラミックおよび半導体などの他の無機材料は、インクジェット印刷に適しているが、所望の材料組成、機能性および微細構造を達成するために、印刷後に硬化工程を必要とすることが多い。したがって、広範な後処理工程なしで純金属、半導体およびポリマーを印刷することができる印刷方法およびプリンタが必要とされている。
【0006】
さらに、現在の押出ベースの印刷方法は、ノズルサイズのために200~1000μmの解像度に制限されており、高解像度印刷を必要とする生体材料または電子機器用途のための手頃な3D印刷方法のためには限界がある。インクジェット印刷、ステレオリソグラフィ(SLA)および2光子3D印刷(TPP)などのより高価なAM方法は、それぞれ10~50μm、約1μmおよび100nm未満の解像度を可能にするが、印刷可能な材料は印刷機構によって制限され、機械の製造業者に所有権を与えられることが多い。さらに、それらは、材料の垂直積層および機能性の欠如に起因して構造特性が低下し、印刷構造の用途および品質を制約する可能性がある。したがって、当該技術分野における以前のAM方法の制限を受けない高解像度で構造を生成することができる新しいAM方法を開発する必要がある。
【0007】
さらに、当技術分野で知られているAM方法を使用して印刷材料の高い導電性を維持しながら、3D形状の範囲内の純粋な導体を印刷することは困難である。現在、導電性ポリマー構造の製造には多くの寸法上の制約がある(例えば、ポリマー自体は、典型的には不溶性であるため、直接加工には不適切であり、複雑な形状の製造およびポリマー自体の特性評価を困難にする)。形成方法とは無関係に、小型デバイスのために導電性ポリマー(CP)を利用する際には現在、(1)3次元すべてにおいて堆積された微細構造に対する高度な制御を可能にする製造方法がない(2)製造されたデバイスの特性評価が複雑であることが多い(3)堆積速度が遅すぎるといういくつかの課題がある。
【0008】
CPを使用したマイクロ/ナノスケール製造のために試みられてきた方法のいくつかは、以下の通りである。(a)従来のクリーンルームリソグラフィ(b)原子間力顕微鏡(AFM)ディップペンナノリソグラフィー(c)AFMスクラッチリソグラフィ(d)カンチレバーに基づく電気化学堆積(e)集積マイクロ流体システム(f)走査型電気化学顕微鏡(SECM)(g)電気流体力学的ジェット印刷(h)インクジェット印刷(i)電解重合。上記の製造方法のすべては、それらの利点および制限を有するが、それらのほとんどは、高い事前投資を必要とするか、製造された構造の制御に欠けているか、または印刷された構造の解像度が欠如しているかのいずれかである。したがって、例えば、マイクロエレクトロニクス用途のための高導電性ポリマー構造を印刷するための正確な寸法制御を可能にする新しいAM方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記の必要性の少なくとも1つを少なくとも部分的に満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、溶解した電着可能な材料の容器内の電極と基板との間に適用された酸化または還元電位から生じる局所電着を使用することによって、制御された方法で3次元構造を生成できることを見出した。
【0011】
特に、堆積プロセス中に電極と基板との間の電流を測定することによって、彼らは、驚くべきことに、本方法が堆積プロセスをその場で監視および制御する能力を可能にし、それによって10-3~10-5Mという低い電気堆積可能な材料濃度での反応の正確な監視を可能にし、監視からのデータを使用してリアルタイムで印刷パラメータの制御を可能にすることができるということを見出した。さらに、方法は、導電性および絶縁性ポリマー、半導体および金属を含む様々な材料から作製された構造を形成するのに適し得る。方法はまた、2つ以上の種類の材料を含む構造を製造する、すなわち、複数材料印刷にも適し得る。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、多次元構造を形成するための方法であって、方法は、
流体中に電極および基板を提供するステップであって、
流体は、
電解質と、
内部に分散された前駆体剤と、を含む、ステップと、
基板と電極との間に電位差を印加して前駆体剤を還元または酸化させ、それによって固体材料を堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
電極を流体内で移動させて、固体材料の多次元構造を形成するステップと、を含む。
【0013】
以下のオプションは、個別に、または任意の適切な組み合わせで、第1の態様と組み合わせて使用することができる。
【0014】
基板と電極との間の電流は、複数の時点で測定されてもよい。特定の実施形態では、時点どうしは、約100μs~約1秒離れている。
【0015】
特定の実施形態では、基板と電極との間の電流は、時間の関数として測定される。
方法は、電流が所定の値より上、下、または所定の値にあるときに、基板と電極との間の電位差、および電極の位置のうちの1つまたは複数を変化させるステップをさらに含むことができる。特定の実施形態では、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させること、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップを含む。
【0016】
方法は、電位を第1の電圧から第2の電圧に調整するステップを含むことができる。特定の実施形態では、方法は、第1の電圧と第2の電圧との間で電位をサイクリングするステップを含む。サイクリングするステップは、電位差を第1の電圧から第2の電圧に変化させ、第1の電圧に戻すことを含むことができ、電位差を第1の電圧から第2の電圧に変化させるときの電位差の絶対平均変化率は、電位差を第2の電圧から第1の電圧に戻すように変化させるときと実質的に同じである。
【0017】
特定の実施形態では、サイクリングするステップは電圧パルスを含まない。
第1の電圧から第2の電圧に到達してから第1の電圧に戻るまでの一周期の時間は、100μs以上であってもよい。
【0018】
前駆体剤は、金属塩およびモノマー材料からなる群から選択されてもよい。
流体中の前駆体剤の濃度は、約10-5M~約1.5Mであってもよい。
【0019】
流体は容器内にあってもよく、電極および基板は容器内の流体内にあってもよい。
流体は、有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒は、アセトニトリルであってもよい。
【0020】
特定の実施形態では、流体は水を含まない。
固体材料は、ビニルポリマー、共役ポリマー、金属、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0021】
特定の実施形態では、固体材料は、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)、ポリピロール:ドーパミンコポリマー、ポリビニルイミダゾール、および銅からなる群から選択される。
【0022】
前駆体剤は、金属イオン塩、金属イオン錯体、イオン液体、ビニルモノマー、および共役ポリマーのモノマーからなる群から選択されてもよい。
【0023】
特定の実施形態では、前駆体剤は、アニリン、ピロール、チオフェン、3,4-エチレンジオキシチオフェン、ビニルイミダゾール、および銅塩からなる群から選択される。
【0024】
電解質は、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート(TBAHFP)を含んでもよい。
【0025】
特定の実施形態では、流体は第1の流体であり、方法は、
第1の流体を第2の流体と交換するステップであって、第2の流体は、
電解質と、
その中に分散された前駆体剤であって、第2の流体の前駆体剤は第1の流体の前駆体剤とは異なる、前駆体剤と、を含む、ステップと、
電極と基板との間に電位差を印加して、第2の流体の前駆体剤を還元または酸化させ、それによって第2の固体材料を堆積させるステップと、をさらに含む。
【0026】
特定の実施形態では、流体は、第1の前駆体剤および第2の前駆体剤を含み、方法は、
電極と基板との間に第1の電位差を印加して、第1の前駆体剤を還元または酸化させ、それによって第1の固体材料を堆積させるステップと、
電極と基板との間に第2の電位差を印加して、第2の前駆体剤を還元または酸化させ、それによって第2の固体材料を堆積させるステップと、を含む。
【0027】
特定の実施形態では、第1の前駆体剤はEDOTであり、第1の固体材料はPEDOTであり、第2の前駆体剤はビニルイミダゾールであり、第2の固体材料はポリビニルイミダゾールである。
【0028】
電極は、マイクロ電極またはナノ電極であってもよい。電極の表面積は、約10-9m2~約10-4m2であってもよい。
【0029】
電極は、白金、炭素、または金を含んでもよい。
基板は、酸化インジウムスズ(ITO)、ケイ素、アルミニウム、鋼、金、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0030】
多次元構造は、3次元構造であってもよい。これは導電性であってもよい。特定の実施形態では、これは複合構造であってもよい。
【0031】
特定の実施形態では、多次元構造を形成するための方法が提供され、方法は、
流体中に電極および基板を設けるステップであって、
流体は、
TBAHFPと、
アセトニトリル中のピロールと、を含む、ステップと、
基板と電極との間に電位差を印加してピロールを酸化させ、それによってポリピロールを堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
流体内で電極を移動させてポリピロールの多次元構造を形成するステップと、を含み、
基板と電極との間の電流は時間の関数として測定され、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップをさらに含む。
【0032】
特定の実施形態では、多次元構造を形成するための方法が提供され、方法は、
流体中に電極および基板を設けるステップであって、
流体は、
TBAHFPと、
アセトニトリル中のEDOTと、を含む、ステップと、
基板と電極との間に電位差を印加してEDOTを酸化させ、それによってPEDOTを堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
流体内で電極を移動させてPEDOTの多次元構造を形成するステップと、を含み、
基板と電極との間の電流は時間の関数として測定され、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップをさらに含む。
【0033】
特定の実施形態では、多次元構造を形成するための方法が提供され、方法は、
流体中に電極および基板を設けるステップであって、
流体は、
TBAHFPと、
アセトニトリル中のチオフェンと、を含む、ステップと、
基板と電極との間に電位差を印加してチオフェンを酸化させ、それによってポリチオフェンを堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
流体内で電極を移動させてポリチオフェンの多次元構造を形成するステップと、を含み、
基板と電極との間の電流は時間の関数として測定され、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップをさらに含む。
【0034】
特定の実施形態では、多次元構造を形成するための方法が提供され、方法は、
流体中に電極および基板を設けるステップであって、
流体は、
TBAHFPと、
アセトニトリル中のアニリンと、を含む、ステップと、
基板と電極との間に電位差を印加してアニリンを酸化させ、それによってポリアニリンを堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
流体内で電極を移動させてポリアニリンの多次元構造を形成するステップと、を含み、
基板と電極との間の電流は時間の関数として測定され、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップをさらに含む。
【0035】
特定の実施形態では、多次元構造を形成するための方法が提供され、方法は、
流体中に電極および基板を設けるステップであって、
流体は、
TBAHFPと、
アセトニトリル中のビニルイミダゾールと、を含む、ステップと、
基板と電極との間に電位差を印加してビニルイミダゾールを酸化させ、それによってポリビニルイミダゾールを堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
流体内で電極を移動させてポリビニルイミダゾールの多次元構造を形成するステップと、を含み、
基板と電極との間の電流は時間の関数として測定され、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップをさらに含む。
【0036】
特定の実施形態では、多次元構造を形成するための方法が提供され、方法は、
流体中に電極および基板を設けるステップであって、
流体は、
TBAHFPと、
EDOTと、
アセトニトリル中のビニルイミダゾールと、を含む、ステップと、
基板と電極との間に第1の電位差を印加してEDOTを酸化させ、それによってPEDOTを堆積させるステップと、
基板と電極との間に第2の電位差を印加してビニルイミダゾールを酸化させ、それによってポリビニルイミダゾールを堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
流体内で電極を移動させてPEDOTおよびポリビニルイミダゾールの多次元構造を形成するステップと、を含み、
基板と電極との間の電流は時間の関数として測定され、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップをさらに含む。
【0037】
特定の実施形態では、多次元構造を形成するための方法が提供され、方法は、
流体中に電極および基板を設けるステップであって、
流体は、
TBAHFPと、
アセトニトリル中のCu2+と、を含む、ステップと、
基板と電極との間に電位差を印加してCu2+を還元させ、それによって銅を堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
流体内で電極を移動させて銅の多次元構造を形成するステップと、を含み、
基板と電極との間の電流は時間の関数として測定され、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップをさらに含む。
【0038】
特定の実施形態では、多次元構造を形成するための方法が提供され、方法は、
流体中に電極および基板を設けるステップであって、
流体は、
TBAHFPと、
EDOTと、
Cu2+と、を含む、ステップと、
基板と電極との間に第1の電位差を印加してEDOTを酸化させ、それによってPEDOTを堆積させるステップと、
基板と電極との間に第2の電位差を印加してCu2+を還元させ、それによって銅を堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
流体内で電極を移動させてPEDOTおよび銅の多次元構造を形成するステップと、を含み、
基板と電極との間の電流は時間の関数として測定され、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップをさらに含む。
【0039】
第2の態様では、多次元構造を生成するための装置が提供され、前記装置は、
電極と、
流体を保持するための容器と、
容器内で電極を移動させるための1つまたは複数のモータと、
容器内の基板と、
基板と電極との間に電位差を印加し、基板と電極との間の電流を測定するためのポテンショスタットであって、印刷プロセスのその場での監視を可能にするポテンショスタットと、を備える。
【0040】
以下のオプションは、個別に、または任意の適切な組み合わせで、第2の態様と組み合わせて使用することができる。
【0041】
装置は、ポテンショスタットに電気的に接続された基準電極をさらに備えてもよい。
装置は、多次元構造の質量を測定するための水晶振動子マイクロバランス(QCM)をさらに備えてもよい。
【0042】
特定の実施形態では、装置は3つのモータを備える。
特定の実施形態では、装置は3Dプリンタである。
【0043】
第2の態様による装置は、第1の態様による方法で使用することができる。第1の態様による方法は、第1の態様による装置を使用することができる。
【0044】
第3の態様では、第1の態様の方法を使用して形成される多次元構造が提供される。
以下のオプションは、個別に、または任意の適切な組み合わせで、第3の態様と組み合わせて使用することができる。
【0045】
多次元構造は、3次元構造であってもよい。これは導電性であってもよい。特定の実施形態では、これは複合構造であってもよい。
【0046】
第2の態様による装置は、第3の態様による多次元構造を生成するために使用することができる。第3の態様による多次元構造は、第2の態様による装置を使用して製造することができる。
【0047】
第4の態様では、第1の態様の方法に従って多次元構造を印刷するために使用される場合のプリンタが提供される。
【0048】
以下のオプションは、個別に、または任意の適切な組み合わせで、第4の態様と組み合わせて使用することができる。
【0049】
プリンタは、3Dプリンタであってもよい。
第4の態様によるプリンタは、第2の態様による装置であってもよい。第2の態様による装置は、第4の態様によるプリンタであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】例示的な印刷方法に使用される電極の画像であり、(A)ナノ電極、(B)マイクロ電極を示す。
【
図4】多次元構造を印刷するための例示的な装置の概略図である。
図4(A)は、装置全体を上面図で示す。
図4(B)および
図4(C)はそれぞれ、装置の拡張領域を斜視図および正面図で示す。
【
図5】電池電位E
cell=3.5Vを使用し、0.1秒ごとに電流を測定し、0.1mm/秒の電極移動速度を使用して10秒間、アセトニトリル中の70mM EDOTおよび97mM TBAHFPから印刷された例示的なPEDOTピラーの画像を示す。
【
図6】アセトニトリル中の70mM EDOTおよび97mM TBAHFPを含む溶液から印刷されたPEDOT構造についての生データおよび正規化されたクロノアンペロメトリデータと、アセトニトリル中の97mM TBAHFPを含む溶液中のベースライン印刷を示す。生のクロノアンペロメトリデータを電池電位E
cell=3.5Vで取得し、0.1秒ごとに電流を測定した。(A):PEDOTの3つの上向きピラー印刷(印刷1、2、3)と、モノマーの非存在下での3つの印刷(陰性1、2、3)を示す。(B)ベースラインの減算後のPEDOTの3つの上向きピラー印刷の正規化されたクロノアンペロメトリデータを示す(3つの陰性対照印刷の平均:挿入グラフ)。
【
図7】EDOT溶液(アセトニトリル中の70mM EDOTおよび97mM TBAHFP)からの印刷についての正規化されたクロノアンペロメトリデータから計算された平均電荷曲線を示す。クロノアンペロメトリデータを電池電位E
cell=3.5Vで取得し、0.1秒ごとに電流を測定した。
【
図8】印刷された銅の交互嵌合構造(下層)のコンピュータ支援設計(CAD)レンダリングを示す。
【
図9】銅印刷のクロノアンペロメトリ結果を示す。(A):対電極における電位、(B):印刷中に測定した電流を示す。
【
図10】印刷された銅構造の顕微鏡法を示す。(A):スケールバー-1000μm、(B):スケールバー-1000μm。
【
図11】例示的なポリピロール印刷方法のサイクリックボルタンメトリプロットを示す。
【
図12】例示的なポリピロール印刷方法を使用して形成されたポリピロール構造の画像を示す。
【
図13】ITO上に堆積したポリピロールの(A)0秒、(b)95秒、(C)205秒、(D)369秒、および(E)410秒における経時画像を示す。
【
図14】堆積したポリピロール構造の(A)200倍、(B)2000倍、(C)20,000倍、(D)630倍、(E)5480倍、および(F)15,500倍の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【
図15】例示的なポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)印刷方法のサイクリックボルタンメトリプロットを示す。
【
図16】例示的なPEDOT印刷方法を使用して形成された構造の画像を示す。
【
図17】例示的なPEDOT印刷方法を使用して形成された印刷された「ANU」構造の画像を示す。
【
図18】例示的なポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)3D印刷方法を使用して形成された各文字構造のクロノアンペロメトリプロットを示す。
【
図19】印刷された「A」構造を形成するためにITO上に堆積したPEDOTの(A)0秒、(b)15秒、(C)44秒、(D)115秒、(E)169秒における経時画像を示す。
【
図20】堆積したPEDOT構造の(A)791倍、(B)13,930倍、および(C)46,530倍の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【
図21】例示的なポリチオフェン印刷方法を使用して形成された構造の画像を示す。
【
図22】例示的なポリアニリン印刷方法を使用して形成された構造の画像を示す。
【
図23】ITO上に堆積したポリビニルイミダゾールの(A)0秒、(b)40秒、(C)90秒、(D)180秒、および(E)207秒における経時画像を示す。
【
図24】例示的なPEDOTおよびポリビニルイミダゾール印刷方法を使用して形成された構造の画像を示す。
【
図25】例示的なPEDOTおよびポリビニルイミダゾール印刷方法のサイクリックボルタンメトリプロットを示す。
【
図26】ITO上に堆積した銅の(A)0秒、(b)60秒、(C)90秒、(D)160秒、および(E)200秒における経時画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
定義
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当業者には理解されるように、記載される実際の値に対するものであり、関連する状況下での測定の近似、不正確さ、および限界を許容する。文脈に応じて、記載値からの±5%の変動が許容され得る。特定の実施形態では、それは、記載値からの±2%、±1%、±0.5%、±0.2%、±0.1%、±0.05%、±0.02%、または±0.01%の変動が許容され得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、指定された整数の存在を示すが、不特定の他の整数の可能性を許容する。この用語は、指定された整数の特定の割合を意味するものではない。「含む(comprising)」という単語の変形、例えば「含む(comprise)」および「含む(comprises)」は、対応して同様の意味を有する。
【0053】
本明細書で使用される場合、「前駆体剤」という用語は、本明細書に記載の方法で基板と電極との間に電位差が印加されたときに固体材料の形成をもたらす酸化または還元が可能な材料を意味する。特定の実施形態では、前駆体剤自体の酸化または還元形態は、固体材料を形成する(または固体材料の質量に寄与する)。他の実施形態では、前駆体剤の酸化または還元は、前駆体剤の酸化または還元形態を含まない(または実質的に含まない)固体材料の形成をもたらす。
【0054】
本明細書で使用される場合、「電圧パルス」という用語は、0から最大電圧Vmaxまでの電圧の規則的な一連のバーストを意味する。電圧パルスの波形は、典型的には、サイクリックボルタンメトリ電圧サイクリングとは異なる正弦波または矩形パルスパターンである。特定の実施形態では、電圧パルス間の周期は、100μs、1ms、10ms、または100ms未満である。
【0055】
本明細書で使用される場合、「基板と電極との間の電流を測定する」という語句は、基板と電極との間の電荷の流れの速度を確認することを意味する。
【0056】
本明細書で使用される場合、「クロノアンペロメトリ」という用語は、作用電極と対電極との間に電位が印加され、作用電極と対電極との間に生じる電流が時間の関数として測定される電気化学技術を意味する。特定の実施形態では、それは、作用電極と対電極との間に電位が印加され、経時的に変化し、作用電極と対電極との間に生じる電流が時間の関数として測定される電気化学技術を意味する。特定の実施形態では、電流は、基準電極または擬似基準電極(銀線、Ag/AgCl)に対して測定される。特定の実施形態では、同じ電極が対電極としても擬似基準電極としても使用される。
【0057】
略語
3D:3次元、AFM:原子間力顕微鏡、AM:積層造形法、BA:n-ブチルアクリレート、[Bmim][BF4]:1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、BPO:過酸化ベンゾイル、CAD:コンピュータ支援設計、CP:導電性ポリマー、[C4mim][Cl]:1-n-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、CTA:連鎖移動剤、CVD:化学蒸着、e3DP:電気3D印刷/電気3Dプリンタ、eATRP:電気化学的原子移動ラジカル重合、EBM:電子ビーム溶融、EDOT:3,4-エチレンジオキシチオフェン、[Emim][Ntf2]:1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、FDM:熱溶解積層法、eRAFT:電気化学的に媒介される可逆的付加-開裂連鎖移動重合、ICP:固有導電性ポリマー、ITO:酸化インジウムスズ、MMA:メタクリル酸メチル、PEDOT:ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、PEDOT:PSS:ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート、PVI:ポリビニルイミダゾール、SEM:走査型電子顕微鏡法、SLA:ステレオリソグラフィ、SLM:選択的レーザ溶融、tBA:アクリル酸tert-ブチル、TBAHFP:テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、TPP:2光子3D印刷。
【0058】
実施形態の説明
本明細書では、多次元構造を形成するための方法が開示される。この方法は、流体中に電極および基板を設けるステップであって、流体は、電解質と、内部に分散された前駆体剤と、を含む、ステップと、基板と電極との間に電位差を印加して前駆体剤を還元または酸化させ、それによって固体材料を堆積させるステップと、基板と電極との間の電流を測定するステップと、電極を流体内で移動させて、固体材料の多次元構造を形成するステップと、を含む。
【0059】
電極
電極は、マイクロ電極またはナノ電極であってもよい。当業者は、電極のサイズおよび幾何学的形状が、印刷プロセス中に形成される電着材料の幾何学的形状および解像度に影響を及ぼし得ることを理解するであろう。電極は、例えば、ディスク、メッシュ、またはコームなどの任意の適切な形状を有することができる。特定の実施形態では、電極は非円筒形状を有してもよい。他の実施形態では、電極は、流体と接触するために利用可能な露出領域または先端を有する円筒形状を有してもよい。露出領域は、円盤状の領域であってもよいし、円形または楕円形の領域であってもよい。露出領域は、実質的に平坦であってもよい。流体と接触している電極の表面積は、約10-9m2~約10-4m2、または約10-8m2~約10-4m2、約10-7m2~約10-4m2、約10-6m2~約10-4m2、約10-9m2~約10-5m2、約10-9m2~約10-6m2、約10-9m2~約10-7m2、または約10-7m2~約10-5m2であってもよい。これは、例えば、約10-9、10-8、10-7、10-6、10-5、または10-4m2であってもよい。
【0060】
流体に露出している表面を横切る電極の直径は、約1nm~約1000μmであってもよく、または約100nm~約1000μm、約1nm~約500μm、約10nm~約1000μm、約20nm~約1000μm、約50nm~約1000μm、約200nm~約1000μm、約500nm~約1000μm、約1μm~約1000μm、約10μm~約1000μm、約100nm~約500μm、約100nm~約200μm、約100nm~約100μm、約100nm~約10μm、約200nm~約10μm、約500nm~約10μm、または約200nm~約400μmであってもよい。これは、例えば、約1nm、2nm、5nm、10nm、20nm、50nm、100nm、200nm、500nm、1μm、2μm、5μm、10μm、20μm、50μm、100μm、200μm、500μm、または1000μmであってもよい。
【0061】
電極は、導電性材料を含んでもよい。例えば、これは、白金、炭素、金、グラファイト、チタン、銅、亜鉛、銀、パラジウム、および混合金属酸化物からなる群から選択される1つまたは複数の材料を含んでもよい。これは、例えば、白金、炭素または金を含んでもよい。電極は、ガラスなどの非導電性材料でコーティングされてもよく、電極の表面はコーティングされておらず、流体に露出することを可能にする。特定の実施形態では、電極は半透膜でコーティングされてもよい。
【0062】
基板
基板は、導電性材料を含んでもよい。これ自体が電極、場合により対電極または作用電極として作用してもよい。これは、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、ケイ素、アルミニウム、鋼、金、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。当業者は、基板のサイズおよび形状が、その上に製造されるように意図された構造に適し得ることを理解するであろう。特定の実施形態では、基板は、構造を印刷するための実質的に平坦な表面を提供することができる。
【0063】
基板は、流体を保持する容器の内側に配置されてもよい。これは、容器の底部にあってもよく、または容器の底部から離れた点にあってもよい。特定の実施形態では、基板自体は、流体を保持することができる容器であってもよい。
【0064】
流体
流体は、電解質と、その中に分散された前駆体剤とを含む。特定の実施形態では、これはイオン液体を含んでもよい。流体は容器内にあってもよく、電極および基板は容器内の流体内にあってもよい。流体は、1つまたは複数の追加の物質を含んでもよい。
【0065】
流体は、水性溶媒を含んでもよい。これは、極性非プロトン性溶媒を含んでもよい。特定の実施形態では、これは有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒はアセトニトリルを含んでもよい。特定の実施形態では、流体は水を含まない。
【0066】
容器
容器は、流体を収容することができるバットまたは浴であってもよい。容器は、3Dプリンタのベース上に置かれてもよい。容器は、方法に従ってその中で形成される多次元構造に適合するのに適した形状およびサイズであってもよい。容器は、電極がその中で3次元で移動することができるのに適した形状およびサイズであってもよい。特定の実施形態では、容器自体が基板である。
【0067】
前駆体剤
前駆体剤は、電極と基板との間に電位差が印加されたときに固体材料の形成をもたらす酸化または還元が可能な材料である。前駆体剤は、還元または酸化された後にそれ自体が固体材料を形成してもよい。代替的または追加的に、前駆体剤の還元または酸化は、固体を形成する別の材料に寄与してもよい。
【0068】
特定の実施形態では、前駆体剤の酸化または還元は、流体中の重合反応を調節または触媒してもよい。例えば、前駆体剤の酸化または還元は、電気化学的原子移動ラジカル重合(eATRP)を調節し得る。eATRPは、原子移動ラジカル重合の電気化学的に制御されたバージョンであり、その間、不活性化剤触媒に対する活性化剤の比は、電極表面での電気化学的レドックスプロセスによって正確に制御される。銅系eATRPでは、所望量の触媒錯体(XCuIIL)、すなわち前駆体剤を活性CuILに電気化学的に還元して、モノマーの制御ラジカル重合(例えば、スチレン、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、およびアクリロニトリルなど)を引き起こすことができ(以下のスキーム1を参照)、それにより、外部刺激を通してeATRPプロセスを作動可能にする。
【0069】
【0070】
スキーム1:eATRPに関与する電気化学的触媒プロセス(ka=活性化速度定数、kda=不活性化速度定数、kred=還元速度定数、L=配位子、X=ハロゲン、およびPnX=ハロゲン化アルキル)
eATRPのプロセスは、印加される電流、電位、および通過する総電荷を制御することによって影響を受ける可能性があり、所望の濃度のレドックス活性触媒種の選択を可能にしてもよい。これは、印刷方法中に固体材料を形成するための重合中の制御のレベルを高めることができる。基板と電極との間に印加される電位差を調節することによって、要求に応じてeATRPを停止し、(再)開始することができる。
【0071】
特定の実施形態では、前駆体剤の酸化または還元は、電気化学的に媒介される可逆的付加-開裂連鎖移動重合(eRAFT)を調節または触媒してもよい。eRAFTは、縮退移動に基づく電気化学的リビング重合の別のタイプであり、ジチオエステル、ジチオカルバメート、トリチオカーボネートまたはキサンテートなどの連鎖移動剤(CTA)によって媒介される。
【0072】
両化合物を利用して周囲温度でラジカルを生成するeRAFTの機構を以下のスキーム2に示すが、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレンおよび誘導体、ブタジエン、酢酸ビニルおよびN-ビニルピロリドン(例えば、メチルメタクリレート(MMA)、n-ブチルアクリレート(BA)およびtert-ブチルアクリレート(tBA))をモノマーとして使用することができる。(S=C(Z)S-R)CTA剤、すなわち前駆体剤のRおよびZ基を制御することにより、還元電位、したがってeRAFT中の主な還元機構を制御することができる。
【0073】
【0074】
スキーム2:eRAFT重合の概略図であり、式中、Yは連鎖移動部分であり、Mはモノマーであり、kpは増殖速度定数である。
【0075】
異なる還元電位で重合を活性化することができるCTAの利用可能性は、eRAFTがe3DPの魅力的な方法であってもよく、本明細書に記載の印刷方法による絶縁膜または微細構造の堆積をもたらしてもよいことを示している。
【0076】
特定の実施形態では、前駆体剤の酸化または還元は、電気化学的に媒介されるイオン重合を調節または触媒してもよい。イオン重合は、例えばグリシジルエーテル、オキセタンおよびビニルエーテル系モノマーの重合のための電極界面での適切な開始剤の形成によって開始されてもよい。
【0077】
特定の実施形態では、前駆体剤の酸化または還元は、電気化学的に媒介されるフリーラジカル重合を調節または触媒してもよい。フリーラジカル重合は、例えば、ブタジエン、酢酸ビニル、N-ビニルピロリドン、メチルメタクリレート(MMA)、n-ブチルアクリレート(BA)およびtert-ブチルアクリレート(tBA)を重合のためのモノマーとして使用して、例えば、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレンおよびそれらの誘導体の重合のための電極界面での適切なラジカル開始剤の形成によって開始されてもよい。
【0078】
前駆体剤は、塩(例えば、金属塩)、金属イオン錯体、イオン液体、およびモノマー材料からなる群から選択されてもよい。これは、金属イオン塩、金属イオン錯体、イオン液体、ビニルモノマー、および共役ポリマーのモノマーからなる群から選択されてもよい。特定の実施形態では、前駆体剤は、イオン液体の成分であってもよい。特定の実施形態では、前駆体剤は電解質であってもよい。特定の実施形態では、前駆体剤は、例えば、GeI4、ZnCl2、InCl3、SbCl3、GaCl3、AsCl3、LiCl、LaCl3、NbCl5、FeCl3、モリブデン酸ナトリウム、アニリン、ピロール、チオフェン、3,4-エチレンジオキシチオフェン、ビニルイミダゾール、銅塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。特定の実施形態では、前駆体剤は、金属塩およびモノマー材料からなる群から選択されてもよい。特定の実施形態では、これは、例えば、アニリン、ピロール、チオフェン、3,4-エチレンジオキシチオフェン、ビニルイミダゾール、および銅塩からなる群から選択されてもよい。特定の実施形態では、これは、例えば、アセチレン、3-アルキルチオフェン、イソチアナフテン、アルコキシ置換p-フェニレンビニレン、2,5-ビス(コレスタノキシ)フェニレンビニレン、1,4-フェニレン-1,2-ジフェニルビニレン、3’、7’-ジメチルオクチルオキシフェニレンビニレン、パラフェニレン、ヘプタジイン、3-ヘキシルチオフェン、3-オクチルチオフェン、3-シクロヘキシルチオフェン、3-メチル-4-シクロヘキシルチオフェン、2,5-ジアルコキシ-1,4-フェニレンエチニレン、2-デシルオキシ-1,4-フェニレン、キノロン、9,9-ジオクチルフルオレン、ピリジン、p-フェニレンテレアミド、およびポリフルオレンからなる群から選択されてもよい。特定の実施形態では、前駆体剤の酸化または還元電位は、第1の電圧と第2の電圧との間の電圧に対応し得る。
【0079】
流体中の前駆体剤の濃度は、約10-5M~約1.5M、または約10-5M~約1M、約10-5M~約0.1M、約10-5M~約10-2M、約10-5M~約10-3M、約10-4M~約1.5M、約10-3M~約1.5M、または約10-3M~約0.1Mであってもよい。これは、例えば、約10-5、10-4、10-3、10-2、0.1、0.2、0.5、1、または1.5Mであり得る。
【0080】
電解質
電解質は、流体の導電性を高めるイオン種であってもよい。電解質は、無機塩または有機塩であってもよい。これは、例えば、アルカリ金属塩、有機電解質、またはイオン液体であってもよい。これは、例えば、過塩素酸ナトリウム、塩化カリウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジエチル-N-メチルエタンアミニウムテトラフルオロボレート、Bu4NBF4、[Bmim][BF4]、[Emim][Ntf2]、および[C4mim][Cl]からなる群から選択されてもよい。これは、例えば、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートを含んでもよい。特定の実施形態では、電解質は、溶媒および電解質の両方とし作用してもよい。すなわち、特定の実施形態では、電解質および溶媒は、全く同じ材料であってもよい。
【0081】
流体中の電解質の濃度は、約10-5M~約1.5M、または約10-5M~約1M、約10-5M~約0.1M、約10-5M~約10-2M、約10-5M~約10-3M、約10-4M~約1.5M、約10-3M~約1.5M、または約10-3M~約0.1Mであってもよい。これは、例えば、約10-5、10-4、10-3、10-2、0.1、0.2、0.5、1、または1.5Mであり得る。
【0082】
印刷方法
本明細書に開示される方法は、多次元構造を形成または印刷する方法である。これは、流体中に電極および基板を設けるステップであって、流体は、電解質と、内部に分散された前駆体剤と、を含む、ステップと、基板と電極との間に電位差を印加して前駆体剤を還元または酸化させ、それによって固体材料を堆積させるステップと、基板と電極との間の電流を測定するステップと、電極を流体内で移動させて、固体材料の多次元構造を形成するステップと、を含む。
【0083】
電極は、x、y、およびz方向の電極ホルダの移動を可能にする3Dプリンタ内のモータを使用して移動させることができる。電極位置決め精度は、ステッパモータ駆動システムの場合は10μmまで、圧電モータ駆動装置の場合は潜在的に10nmまでの精度で、システムに使用されるモータの精度によって決定されてもよい。プロセスを通して生成される電場は、使用される電極のサイズおよび材料、基板材料、流体伝導率、印加される電位、ならびに電極と基板との間の距離によって決定されてもよい。
【0084】
基板と電極との間の電流は、複数の時点で測定されてもよい。時点は、約1μs~約10秒、または約100μs~約1秒、約1ms~約1秒、または約0.1秒~約1秒離れていてもよい。それらは、例えば、約1μs、2、μs、5、μs、10、μs、20μs、50μs、100μs、200μs、500μs、1ms、2ms、5ms、10ms、20ms、50ms、0.1秒、0.2秒、0.5秒、1秒、2秒、5秒、または10秒離れていてもよい。
【0085】
特定の実施形態では、基板と電極との間の電流は、時間の関数として測定される。
方法は、電流が所定の値より上、下、または所定の値にあるときに、基板と電極との間の電位差、および電極の位置のうちの1つまたは複数を変化させるステップをさらに含むことができる。特定の実施形態では、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップを含む。
【0086】
方法は、電位を第1の電圧から第2の電圧に調整するステップをさらに含むことができる。電位を第1の電圧から第2の電圧に調整する時間は、100μs以上であってもよく、または、200μs以上、500μs以上、1ms以上、2ms以上、2ms以上、5ms以上、10ms以上、20ms以上、50ms以上、100ms以上、200ms以上、500ms以上、1秒以上、10秒以上、または1分以上であってもよい。これは、約100μs~約5時間、または約200μs~約10秒、約500μs~約10秒、約1ms~約10秒、約2ms~約5秒、約5ms~約5秒、約10ms~約5秒、約20ms~約5秒、約10ms~約5秒、約50ms~約5秒、約100ms~約5秒、約200ms~約5秒、または約500ms~約5秒であってもよい。これは、例えば、約100μs、200μs、500μs、1ms、2ms、5ms、10ms、20ms、50ms、100ms、200ms、500ms、1秒、2秒、5秒、10秒、20秒、1分、2分、5分、10分、20分、30分、1時間、2時間、または5時間であってもよい。
【0087】
特定の実施形態では、方法は、第1の電圧と第2の電圧との間で電位をサイクリングするステップを含む。方法におけるサイクリングするステップは、電位差を第1の電圧から第2の電圧に変化させ、第1の電圧に戻すことを含むことができ、電位差を第1の電圧から第2の電圧に変化させるときの電位差の絶対平均変化率は、電位差を第2の電圧から第1の電圧に戻すように変化させるときと実質的に同じである。
【0088】
本方法におけるサイクリングするステップは、第1の電圧で開始し、ある期間にわたって電圧を第2の電圧まで上昇させ、次いで電圧を第1の電圧まで下降させ戻すことによって電位差を変化させ、サイクルを繰り返すことを含むことができる。特定の実施形態では、サイクリングするステップは電圧パルスを含まない。特定の実施形態では、サイクリングするステップは電圧パルスを含む。
【0089】
本特許請求の範囲に記載の発明の発明者らは、驚くべきことに、基板と電極との間に電圧を印加して前駆体剤を還元または酸化させ、それによって固体材料を堆積させることを発見し、基板と電極との間の電流を測定すること、すなわちクロノアンペロメトリを使用することで、印刷時に固体材料の堆積をその場で監視することが可能である。すなわち、電流対時間プロットは、反応が定常状態にあるときの線形電流領域において、電流が増加するにつれて、より多くの材料が堆積し、それによって印刷構造の品質の指標を提供し、さらなる堆積のために電極を新しい位置に移動させることを可能にすることを示す。
【0090】
第1の電圧から第2の電圧に至り、第1の電圧に戻るまでの一周期の時間は、100μs以上であってもよく、または、200μs以上、500μs以上、1ms以上、2ms以上、2ms以上、5ms以上、10ms以上、20ms以上、50ms以上、100ms以上、200ms以上、500ms以上、または1秒以上であってもよい。これは、約100μs~約20秒、または約200μs~約10秒、約500μs~約10秒、約1ms~約10秒、約2ms~約5秒、約5ms~約5秒、約10ms~約5秒、約20ms~約5秒、約10ms~約5秒、約50ms~約5秒、約100ms~約5秒、約200ms~約5秒、または約500ms~約5秒であってもよい。これは、例えば、約100μs、200μs、500μs、1ms、2ms、5ms、10ms、20ms、50ms、100ms、200ms、500ms、1秒、2秒、5秒、または10秒であってもよい。
【0091】
電極チップと基板との間の開始距離は、約10nm~約1000μmであってもよく、または約10nm~約500μm、約10nm~約100μm、約20nm~約1000μm、約50nm~約1000μm、約100nm~約1000μm、約200nm~約500μm、約1μm~約500μm、約5μm~約500μm、約5μm~約100μm、約10μm~約1000μm、約20μm~約1000μm、約50μm~約1000μm、または約10μm~約500μmであってもよい。これは、例えば、約10nm、20nm、50nm、100nm、200nm、500nm、1μm、2μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、150μm、200μm、300μm、400μm、500、600、700、800、900、または1000μmであってもよい。
【0092】
印刷中の電極チップと構造との間の距離は、約10nm~約1000μmであってもよく、または約10nm~約500μm、約10nm~約100μm、約20nm~約1000μm、約50nm~約1000μm、約100nm~約1000μm、約200nm~約500μm、約1μm~約500μm、約5μm~約500μm、約5μm~約100μm、約10μm~約1000μm、約20μm~約1000μm、約50μm~約1000μm、または約10μm~約500μmであってもよい。これは、例えば、約10nm、20nm、50nm、100nm、200nm、500nm、1μm、2μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、150μm、200μm、300μm、400μm、500、600、700、800、900、または1000μmであってもよい。
【0093】
方法は、電極と基板との間の電流を測定するステップと、電流が所定の値より上、下、または所定の値にあるときに、基板と電極との間の電位差、基板と電極との間の電流、および電極の位置のうちの1つまたは複数を変化させるステップと、をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、電流は、時間の関数として(すなわち、クロノアンペロメトリを使用して)測定され得る。特定の実施形態では、電流は、電圧の関数として測定されてもよい(すなわち、サイクリックボルタンメトリ)。一般に、印刷プロセス中に発生する化学反応中に電極間で測定される電流および電荷は、堆積材料の量に比例する(第1のファラデーの法則による)。したがって、例えば、印刷中のクロノアンペロメトリック測定中の測定された電荷の突然の減少は、印刷中の欠陥を意味してもよく、その結果、電極は、特定の実施形態では、構造の欠陥部分を再印刷するために電流「最小」のスポットに再び移動されることがある。
【0094】
特定の実施形態では、方法は、3電極構成(作用電極、対電極および基準電極)を使用するステップを含み、それにより、例えば、印刷中に不活性のままであるAg/AgCl基準を有することによって、作用電極と対電極との間の電位の比較を可能にする。これにより、システムの電位だけでなく、対電極の電位も測定することができる。そのような構成では、基板は対電極として作用してもよく、本明細書に記載の電極は作用電極として作用してもよい。あるいは、基板は作用電極として作用してもよく、本明細書に記載の電極は対電極として作用してもよい。
【0095】
特定の実施形態では、方法は、電気化学分析における電極の動きおよび/または電解質/溶媒の寄与の影響を減算するために使用することができる陰性対照測定(例えば、前駆体剤を含まない流体中の電解質の測定)をさらに含む。言い換えると、印刷プロセス中に行われる電気化学的測定から減算される「陰性対照ベースライン」を形成するように、実際の印刷前に前駆体剤なしで電流応答を測定する。
【0096】
特定の実施形態では、方法は、印刷プロセスを制御するためにコンピュータおよびソフトウェアを使用するステップをさらに含み、それにより、ソフトウェアは、電流-時間または電流-電圧測定値の変化に応答して電圧、電流または電極位置を調整するように3Dプリンタに命令を提供する。
【0097】
特定の実施形態では、多次元構造を形成するための方法が提供され、方法は、
流体中に電極および基板を設けるステップであって、
流体は、
TBAHFPと、
アセトニトリル中のピロールと、を含む、ステップと、
基板と電極との間に電位差を印加してピロールを酸化させ、それによってポリピロールを堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
流体内で電極を移動させてポリピロールの多次元構造を形成するステップと、を含み、
基板と電極との間の電流は時間の関数として測定され、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップをさらに含む。
【0098】
特定の実施形態では、多次元構造を形成するための方法が提供され、方法は、
流体中に電極および基板を設けるステップであって、
流体は、
TBAHFPと、
アセトニトリル中のEDOTと、を含む、ステップと、
基板と電極との間に電位差を印加してEDOTを酸化させ、それによってPEDOTを堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
流体内で電極を移動させてPEDOTの多次元構造を形成するステップと、を含み、
基板と電極との間の電流は時間の関数として測定され、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップをさらに含む。
【0099】
特定の実施形態では、多次元構造を形成するための方法が提供され、方法は、
流体中に電極および基板を設けるステップであって、
流体は、
TBAHFPと、
アセトニトリル中のチオフェンと、を含む、ステップと、
基板と電極との間に電位差を印加してチオフェンを酸化させ、それによってポリチオフェンを堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
流体内で電極を移動させてポリチオフェンの多次元構造を形成するステップと、を含み、
基板と電極との間の電流は時間の関数として測定され、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップをさらに含む。
【0100】
特定の実施形態では、多次元構造を形成するための方法が提供され、方法は、
流体中に電極および基板を設けるステップであって、
流体は、
TBAHFPと、
アセトニトリル中のアニリンと、を含む、ステップと、
基板と電極との間に電位差を印加してアニリンを酸化させ、それによってポリアニリンを堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
流体内で電極を移動させてポリアニリンの多次元構造を形成するステップと、を含み、
基板と電極との間の電流は時間の関数として測定され、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップをさらに含む。
【0101】
特定の実施形態では、多次元構造を形成するための方法が提供され、方法は、
流体中に電極および基板を設けるステップであって、
流体は、
TBAHFPと、
アセトニトリル中のビニルイミダゾールと、を含む、ステップと、
基板と電極との間に電位差を印加してビニルイミダゾールを酸化させ、それによってポリビニルイミダゾールを堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
流体内で電極を移動させてポリビニルイミダゾールの多次元構造を形成するステップと、を含み、
基板と電極との間の電流は時間の関数として測定され、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップをさらに含む。
【0102】
特定の実施形態では、多次元構造を形成するための方法が提供され、方法は、
流体中に電極および基板を設けるステップであって、
流体は、
TBAHFPと、
アセトニトリル中のCu2+と、を含む、ステップと、
基板と電極との間に電位差を印加してCu2+を還元させ、それによって銅を堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
流体内で電極を移動させて銅の多次元構造を形成するステップと、を含み、
基板と電極との間の電流は時間の関数として測定され、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップをさらに含む。
【0103】
固体材料
固体材料は、半導体、ポリマーまたは金属(これらの混合物および/または合金を含む)であってもよい。これは、有機金属材料であってもよい。これは、例えば、金属有機構造体(MOF)、生体材料、ビニルポリマー、化学パターン、セラミック、およびコロイド粒子からなる群から選択される1つまたは複数を含んでもよい。特定の実施形態では、固体材料は、元素半導体、二元半導体、または半導体ナノ粒子であってもよい。特定の実施形態では、固体材料は、ビニルポリマー、共役ポリマー、金属、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態では、これは金属合金であってもよい。特定の実施形態では、これは、アルミニウム、インジウム、アンチモン、銅、銀、テルル、カドミウム、パラジウム、金、亜鉛、スズ、ガリウム、鉄、ニッケル、コバルト、ナトリウムリチウム、およびそれらの合金からなる群から選択されてもよい。特定の実施形態では、それは、MoS2、テルル化亜鉛、ゲルマニウムおよびアンチモン化インジウムから選択されてもよい。特定の実施形態では、これは、例えば、Si、Ge、CdTe、CdSe、CdS、ZnSe、ZnTe、GaAs、GaP、In(P、AsまたはSb)、In2S3、PbS、CdTe、CdSe、ZnTe、(Cd、Zn)S、(Cd、Zn)Te、CdS、CuInSe2、酸化モリブデン((IV)および/または(VI))、および(Cd、Hg)Teからなる群から選択されてもよい。特定の実施形態では、これは、ポリピロール、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)、ポリピロール:ドーパミンコポリマー、ポリビニルイミダゾール、および銅からなる群から選択されてもよい。特定の実施形態では、これは、パリレン、PEDOT、エポキシまたはポリイミドであってもよい。特定の実施形態では、これは生体分子、例えばバイオポリマー(例えば、タンパク質)であってもよい。当業者は、本明細書に開示される方法が、様々な異なる固体材料から作製される多次元構造を生成するように適合され得ることを理解するであろう。
【0104】
特定の実施形態では、固体材料は、軟質凝縮物を含んでもよい。
マルチマテリアル印刷
本明細書に開示される方法は、2種類以上の固体材料を含む構造を形成するために使用されてもよい。方法は、例えば、第1の流体中の第1の前駆体剤および第2の流体中の第2の前駆体剤を使用するステップと、第1の流体を第2の流体と交換する前に、第1の流体から第1の固体材料を印刷するステップと、続いて、第2の流体から第2の固体材料を印刷するステップとを含んでもよい。
【0105】
特定の実施形態では、流体は第1の流体であり、本明細書に開示される方法は、
第1の流体を第2の流体と交換するステップであって、第2の流体は、
電解質と、
その中に分散された前駆体剤であって、第2の流体の前駆体剤は第1の流体の前駆体剤とは異なる、前駆体剤と、を含む、ステップと、
電極と基板との間に電位差を印加して、第2の流体の前駆体剤を還元または酸化させ、それによって第2の固体材料を堆積させるステップと、をさらに含む。
【0106】
代替的または追加的に、方法は、第1および第2の前駆体剤のそれぞれの酸化/還元電位を使用して、単一の流体から第1および第2の固体材料を印刷して、第1および第2の固体材料を選択的に堆積させるステップを含んでもよい。
【0107】
特定の実施形態では、流体は、第1の前駆体剤および第2の前駆体剤を含み、本明細書に開示される方法は、
電極と基板との間に第1の電位差を印加して、第1の前駆体剤を還元または酸化させ、それによって第1の固体材料を堆積させるステップと、
電極と基板との間に第2の電位差を印加して、第2の前駆体剤を還元または酸化させ、それによって第2の固体材料を堆積させるステップと、をさらに含む。
【0108】
特定の実施形態では、第1の前駆体剤はEDOTであり、第1の固体材料はPEDOTであり、第2の前駆体剤はビニルイミダゾールであり、第2の固体材料はポリビニルイミダゾールである。
【0109】
特定の実施形態では、多次元構造を形成するための方法が提供され、方法は、
流体中に電極および基板を設けるステップであって、
流体は、
TBAHFPと、
EDOTと、
Cu2+と、を含む、ステップと、
基板と電極との間に第1の電位差を印加してEDOTを酸化させ、それによってPEDOTを堆積させるステップと、
基板と電極との間に第2の電位差を印加してCu2+を還元させ、それによって銅を堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
流体内で電極を移動させてPEDOTおよび銅の多次元構造を形成するステップと、を含み、
基板と電極との間の電流は時間の関数として測定され、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップをさらに含む。
【0110】
特定の実施形態では、多次元構造を形成するための方法が提供され、方法は、
流体中に電極および基板を設けるステップであって、
流体は、
TBAHFPと、
EDOTと、
アセトニトリル中のビニルイミダゾールと、を含む、ステップと、
基板と電極との間に第1の電位差を印加してEDOTを酸化させ、それによってPEDOTを堆積させるステップと、
基板と電極との間に第2の電位差を印加してビニルイミダゾールを酸化させ、それによってポリビニルイミダゾールを堆積させるステップと、
基板と電極との間の電流を測定するステップと、
流体内で電極を移動させてPEDOTおよびポリビニルイミダゾールの多次元構造を形成するステップと、を含み、
基板と電極との間の電流は時間の関数として測定され、方法は、電流が所定の値より下にあるときに、基板と電極との間の電位差を増加させるステップ、および/または電極と基板もしくは多次元構造との間の距離を減少させるステップをさらに含む。
【0111】
表面改質
特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、堆積した固体材料の表面および/または基板の表面を酸化または還元させ、それによって反応性表面を形成するステップと、表面反応剤を反応性表面と反応させ、それにより、前記堆積した固体材料および/または前記基板の改質表面を形成するステップと、をさらに含む。
【0112】
表面反応剤は、反応して反応性表面に結合することができる化合物であってもよい。表面反応剤は、生体分子、または生体分子に結合することができるリンカーであってもよい。
【0113】
特定の実施形態では、堆積した固体材料および/または基板の表面は、酸化可能または還元可能な薬剤を前記表面に付着させることによって予め官能化されてもよく、これは酸化または還元されて反応性表面を形成してもよい。
【0114】
生体分子はタンパク質であってもよい。これはバイオマーカーであってもよい。これは、例えば、酵素または抗体であってもよい。
【0115】
エッチング
特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、基板をエッチングするステップをさらに含む。エッチングは、電気化学的エッチングであってもよい。
【0116】
特定の実施形態では、堆積した固体材料は、エッチングプロセス中に基板の一部を保護するマスクを形成してもよく、それによって前記基板の非保護部分の選択的エッチングを可能にする。特定の実施形態では、基板は、ステンレス鋼、銅またはアルミニウムであってもよく、堆積した固体材料は、パリレン、PEDOT、エポキシまたはポリイミドであってもよい。
【0117】
特定の実施形態では、堆積した固体材料は、エッチング後に除去することができる。これは、前記堆積した固体材料を溶解することによって除去することができる。特定の実施形態では、これは、得られた酸化または還元された材料を溶解する前に、堆積した固体材料を酸化または還元することによって除去することができる。
【0118】
装置
本明細書では、多次元構造を生成するための装置が開示される。装置は、電極と、容器と、1つまたは複数のモータと、基板と、ポテンショスタットとを備える。容器は、流体を保持するためのものである。1つまたは複数のモータは、容器内で電極を移動させるためのものである。基板は容器内にある。ポテンショスタットは、基板と電極との間に電位差を印加し、基板と電極との間の電流を測定するためのものである。
【0119】
上述のように、容器は流体を保持するためのものである。容器および/または流体は、方法に関して上述した通りであってもよい。
【0120】
装置の電極および/または基板は、方法に関して上述した通りであってもよい。
装置は、ポテンショスタットに電気的に接続された基準電極をさらに備えてもよい。
【0121】
装置は、多次元構造の質量を測定するための水晶振動子マイクロバランス(QCM)をさらに備えてもよい。
【0122】
上述したように、1つまたは複数のモータは、容器内で電極を移動させるためのものである。特定の実施形態では、装置は3つのモータを備える。
【0123】
特定の実施形態では、装置は3Dプリンタである。
特定の実施形態では、装置はシステムの一部であり、システムはまた、基板と電極との間で測定された電流に基づいて装置の印刷パラメータ(例えば、電極と基板および/または多次元構造との間の距離、および/または基板と電極との間の電位差)を制御することができるコントローラを備える。精密な電気化学測定および印刷パラメータのフィードバック制御は、印刷中のその場での品質管理を可能にし、再現可能な印刷を保証することができる。
【0124】
多次元構造
本明細書では、前述の方法を使用して形成される多次元構造が開示される。多次元構造は、2次元または3次元構造であってもよい。特定の実施形態では、これは3次元構造であってもよい。これは導電性であってもよい。これは電気絶縁性であってもよい。これは、導電性の領域および非導電性の領域を含んでもよい。
【0125】
特定の実施形態では、多次元構造は複合構造であってもよい。すなわち、2つ以上の異なる材料を含んでもよい。例えば、これはPEDOTおよび銅を含んでもよい。
【0126】
プリンタ
本明細書では、先に開示された方法に従って多次元構造を印刷するために使用される場合のプリンタが開示される。プリンタは、3Dプリンタであってもよい。プリンタは、前述の流体を収容するための容器を備えてもよい。プリンタは、前述のように電極を備えてもよい。電極は、プリンタのx、yおよびz軸に沿って移動可能であるように構成されてもよい。電極は、容器内で位置決め可能であってもよい。
【0127】
実施例
ここで、本発明を以下の具体例を参照してさらに詳細に説明するが、これは決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0128】
材料
3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)、ピロール、アニリン、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート(TBAHFP)および硫酸を、Sigma-Aldrich社(キャッスルヒル、オーストラリア)から購入し、さらなる精製なしに使用した。硫酸銅(II)をAcros Scientific社から購入した。EDOTおよびTBAHFPをそれぞれ70mMおよび97mMの濃度でアセトニトリルに溶解した。1.28M飽和硫酸銅(II)溶液を、硫酸銅(II)および濃硫酸(0.94M)をアセトニトリルに溶解し、溶液を一晩撹拌することによって調製した。EDOT:CuSO
4のシングルバス多材料印刷のために、先に調製したEDOTおよび硫酸銅(II)溶液を1:1の体積比で混合した。アセトン、イソプロパノールおよび脱イオン水でそれぞれ5分間超音波処理し、続いて窒素気流下で乾燥させることによって、ITO被覆ガラス基板を調製した。ITO被覆可撓性PET基板に共押出保護層を設け、これを印刷の直前に除去した。直径300μmの白金ワイヤをガラスキャピラリ内に封止し、先端を二成分エポキシ接着剤で封止することによって白金マイクロ電極を調製した。各印刷実験の前に、マイクロ電極チップを切断し、王水および脱イオン水で洗浄した。使用される電極は、典型的には、10
-4~10
-9m
2の範囲の表面積を有していた。例示的な電極を
図1に示す。
図1(A)は、217nmの直径を有するナノ電極の画像である。
図1(B)は、370μmの直径を有するマイクロ電極の画像である。塩素化銀ワイヤ(Ag/AgCl)を擬似基準電極として使用して電池電位を制御した。
【0129】
実施例1:電気化学3Dプリンタ
市販のFDM 3Dプリンタを電気化学的3Dプリンタに変換した。
図2は、電気化学的3Dプリンタ200の概略図を示す。白金マイクロ電極210およびAg/AgCl基準電極(図示せず)をプリンタのZ軸と一直線になるようにホルダ215に取り付け、基板230をEDOT、ピロール、CuSO
4溶液、または溶液中の混合EDOT:CuSO
4などの電解質および前駆体剤で満たされた容器240内の液体浴に浸漬する、3電極構成を使用した。特に明記しない限り、マイクロ電極210、導電性基板230、および基準電極を、それぞれ作用電極、対電極、および基準電極として、ワイヤ260を介してポテンショスタット250に取り付けた。印刷実験中、堆積速度、堆積材料の量を制御し、前駆体の枯渇を検出するために、(基準電極に対する)印加電位および電流を測定した。ユニットは、2つの機構(X軸およびY軸)を有し、マイクロ電極ホルダは、レール220に沿ってZ軸に沿って移動することができる。使用中、堆積構造の形成は、プリンタのXYZ移動を決定する手動で書かれたGcodeを介して制御され、ステッピングモータ(図示せず)によって制御された。プリンタは、オープンソースのpronterfaceソフトウェアで制御した。
【0130】
3Dポリマーまたは金属構造体を製造するための電気化学的堆積、およびその場での測定
堆積のために、容器240に電解質および前駆体剤溶液を充填した。まず、基板230と電極210との間の抵抗をマルチメータで測定することにより、プリンタを水平にした。印刷は、モノマー前駆体剤の場合は正の酸化電位(例えば、Eox=5.7VでのEDOTおよびEox=2.9Vでのピロール)で、金属イオン前駆体剤の場合は負の還元電位(例えば、銅塩前駆体剤の場合、Ered=-4.2V)で定電位的に行った。マルチマテリアル印刷のために、最初に金属塩を負電位で堆積させ、次いで単に電流の方向を反転させ、EDOTのためにそれを増加させる、またはピロールの場合はそれぞれのEoxまで減少させることによって、ポリマーを印刷した。
【0131】
例示的な製造プロセスを
図3に概略的に示す。コンピュータ310を使用して、3次元または2次元構造を製造するために3Dプリンタ320を制御し、その形成を顕微鏡カメラを使用して監視して堆積物330の画像を生成した。ユーザは、製造する3次元物体を設計するためにコンピュータ310を利用することができる。次いで、関連する材料が3Dプリンタ320の容器に装填され、命令コードがコンピュータ310から3Dプリンタ320に送信される。そして、3Dプリンタ320は、容器内の関連材料を使用して3次元物体を製造することに進む。製造は、堆積物330の画像を生成するために顕微鏡カメラを使用して監視することができる。
【0132】
実施例2:多次元構造を生成するための装置
多次元構造を生成するための例示的な装置を
図4に示す。装置400は、可動電極ホルダ401と、水晶振動子マイクロバランス402と、前駆体容器403と、ステッパモータ404と、レール405と、基板406と、ポテンショスタット407と、作用電極408と、基準電極409と、ワイヤ410とを備える。ポテンショスタット407は、ワイヤ410を介して作用電極408、基準電極409および基板406に接続されている。3つのステッパモータ404は、3次元での電極ホルダ401の移動を可能にする。
【0133】
使用時には、電解質およびその中に分散された前駆体剤を含む流体が、装置400の容器403に加えられる。作用電極は、それが流体内にあり、基板406に近接するように配置される。ポテンショスタットを使用して基板406と作用電極408との間に電位差を印加して、前駆体剤を還元または酸化させ、それによって固体材料を堆積させる。基板406と作用電極408との間の電流は、ポテンショスタット407を使用して測定され、印刷プロセス中にその場で印刷パラメータを最適化するために使用することができる。作用電極は、流体内で移動して、固体材料の多次元構造を形成する。水晶振動子マイクロバランス402は、印刷中に成長する多次元構造の質量を測定するために使用される。
【0134】
印刷プロセスの例
すべての実験は、ラップトップとインターフェース接続されたマルチチャネルPalmSensポテンショスタット(オランダのPalm Instruments BV社)を使用して、接地されたファラデーケージで行った。印刷手順は、Palm Sens PCソフトウェアによって制御した。印刷物の大部分について、単純なクロノアンペロメトリまたは多段階クロノアンペロメトリを3電極セル構成で使用した。印刷前に、作用電極が基板に接触し、測定された電位が0Vになるまで作用電極を下げることによってプリンタを較正した。
【0135】
実施例3:PEDOTピラー印刷
EDOTの電解重合は、3.5V~6.5Vの電位範囲で、単純クロノアンペロメトリまたは多段階クロノアンペロメトリによって行った。実験中、電池電流(I)および電池電位(Ecell)を0.1~0.5秒ごとに測定した。印刷中に堆積した質量を決定するために、溶媒および電解質塩のみを用いたベースライン測定を、印刷と同じパラメータで行った。このベースライン(陰性対照)を、電流(I)対時間または電荷(Q)対時間プロットから減算した。
【0136】
ポリマー堆積物の質量(m)は、以下の式を使用して100%ファラデー効率を仮定して、ファラデーの法則を適用することによって計算した。
【0137】
【0138】
ここで、tは秒単位の印刷時間であり、Mwは分子量EDOT(142.18g/mol)であり、Fはファラデー定数(96 485C/mol)であり、nは重合中に移動した電子の数である。
【0139】
印刷手順を実証するために、3つの単純な例示的なPEDOTピラー印刷を行った。28.26mm
2の表面積を有するガラスリングを金基板の上に置き、EDOT溶液(またはブランク測定のための電解質溶液)で満たした。同じ溶液を3つの印刷実験のすべておよびブランク実験にそれぞれ使用した。印刷プロセス中、白金電極を、d
0=100μmの開始マイクロ電極-基板間距離から、基板から1.00mmの距離に達するまで0.1mm/秒の速度で上方に移動させた。この実験では、金コーティングされた石英基板を作用電極として使用し、白金マイクロ電極を対電極および擬似基準電極として使用した。3.5Vの定電位を印加し、0.1秒ごとに電流を測定した。得られた印刷構造は、
図5のマイクロ電極の下に形成された黒色ピラーとして見ることができる。
【0140】
EDOTモノマーの存在下での3つの印刷(印刷1、2、3)と、モノマーの非存在下での3つの印刷(陰性1、2、3)との電流プロットを
図6(A)に示す。印刷中、
図6Aの上部曲線を測定したところ、電流が印刷プロセス全体を通して減少していることが示唆された。しかしながら、ベースライン減算を行った後、正規化電流曲線を取得した(
図6Bに示す)。正規化されたプロットは、3つのすべての印刷について、おそらく初期反応を制限する狭い開始距離に起因して、電流が最初の2秒で実際に増加していたことを示している。最初の増加の後に、2つのピーク(印刷1および3)または1つ(印刷2)のいずれかが続き、その後、モノマーの利用可能性の低下または電極間の1.00mmの距離に起因する電界強度の低下のいずれかまたは両方の結果として減少した。印刷間で経時的に減少する全体的な電流は、同じ溶液からの連続印刷による印刷溶液からのモノマーの枯渇に起因している可能性がある。
【0141】
図6Bの正規化された電流曲線の積分から計算された、3つのすべての印刷の平均電荷曲線は、
図7に見ることができる。電荷曲線の標準偏差は、基板からの距離および印刷時間の両方で増加し、これはおそらく印刷溶液からのモノマーの枯渇によるものであった。電荷曲線を線形フィッティングし、堆積した質量と電荷との間の線形関係を仮定すると(すなわち、100%ファラデー効率)、上記の式を使用して理論上のポリマー質量を計算することが可能である。フィッティングの傾きから質量堆積速度を取得することも可能である。この情報は、例えば、堆積速度が低下しているときに、E
cellを増加させるか、または電極を降下して電極-基板または電極-構造の距離を減少させることによって、「オンザフライ」で印刷パラメータを調整するために使用することができる。
【0142】
実施例4:銅回路印刷
白金マイクロ電極を作用電極とし、ITO被覆PETプラスチック基板を対電極とし、塩素化銀ワイヤをAg/AgCl擬似基準電極とする3電極セットアップを使用して、銅交互嵌合構造を印刷した。印刷全体を通して、白金電極は、d
0=400μmの開始マイクロ電極-基板間距離から移動した。印刷された構造のCADレンダリングを
図8(下層)に見ることができる。GCodeをプリンタに装填し、電極を6mm/秒の速度および50μmの層厚で層ごとに移動させることによって、構造を印刷した。定電位クロノアンペロメトリ測定を行って銅をCu
2+からCu
0に還元させ、その間、作用電極と対電極との間の6.0Vの電位を擬似基準電極で制御した。電池電位を維持するために必要な印加された対電極電位を測定し、調整した。堆積の電流を0.2秒ごとに測定した。得られた印刷構造をアセトニトリルで洗浄し、40°Cのオーブンで乾燥させた。クロノアンペロメトリの結果は、乾燥構造の顕微鏡画像と共に、それぞれ
図9および
図10に見ることができる。
【0143】
実施例5:ポリピロール構造の作製
ピロール(47~400mM)およびTBAHFP(0.1M)を含むアセトニトリル溶液を、上記のように3Dプリンタの容器に添加した。電極は直径370μmのガラス状白金電極であり、基板はアルミニウム、鋼またはITOであった。電極は、基板から約10~500μm離れた開始距離に配置した。基板と電極との間の電位差は、典型的には、約2.5~5.0Vの電圧範囲でサイクルされた。印刷速度は0.24mm/分であった。
【0144】
図11の例示的なサイクリックボルタンメトリプロットは、-1.0V~1.3Vへの電位差サイクリングを示し、以下の反応スキームに従ってポリピロールを形成するための0.22Vでのピロールの酸化を示す。
【0145】
【0146】
この方法を用いて形成されたポリピロール構造を
図12に示す。
図13は、(A)0秒、(B)95秒、(C)205秒、(D)369秒、および(E)410秒で撮影したITO上のポリピロールの堆積の経時画像を示し、ITO上に1.675mmの高さのピラー構造を形成する400mMのピロール溶液からの印刷されたポリピロールを示す。
【0147】
方法に従って印刷されたポリピロール構造の(A)200倍、(B)2000倍、(C)20,000倍、(D)630倍、(E)5480倍、および(F)15,500倍の走査型電子顕微鏡写真を
図14に示す。これらの画像は、ポリピロール構造の層状堆積を示す。
【0148】
実施例6:PEDOT構造の作製
上述のように、EDOT(70~400mM)およびTBAHFP(0.1M)を含むアセトニトリル溶液を3Dプリンタの容器に添加した。電極は直径370μmのガラス状白金電極であり、基板はアルミニウム、鋼、金、またはITOであった。電極は、基板から約10~500μm離れた開始距離に配置した。基板と電極との間の電位差は、典型的には、約2.7~6.5Vの電圧範囲でサイクルされた。印刷速度は約0.2~5mm/分であった。
【0149】
図15の例示的なサイクリックボルタンメトリプロットは、-1.0V~2.7Vへの電位差サイクリングを示し、以下の反応スキームに従ってPEDOTを形成するための0.9VでのEDOTの酸化を示す。
【0150】
【0151】
印刷方法を使用して形成されたPEDOT構造を
図16に示す。この方法を使用して、
図17に示すようにテキスト「ANU」を印刷した。PEDOT印刷方法を使用して形成された各文字のクロノアンペロメトリプロットを
図18に示す。各構造のクロノアンペロメトリは、構造欠陥を検出するためのリアルタイムのその場での監視方法として使用することができる。
【0152】
図19は、(A)0秒、(B)15秒、(C)44秒、(D)115秒、および(E)169秒で撮影したITO上のPEDOTの堆積の経時画像を示し、文字「A」を層ごとに形成するEDOTの70mM溶液からの印刷されたPEDOTを示す。
【0153】
方法に従って印刷された(A)791倍、(B)13,930倍、および(C)46,530倍のPEDOTピラーの走査型電子顕微鏡写真を
図20に示す。
【0154】
実施例7:ポリチオフェン構造の作製
チオフェン(400mM)およびTBAHFP(0.1M)を含むアセトニトリル溶液を、上記のように3Dプリンタの容器に添加した。電極は直径370μmのガラス状白金電極であり、基板はITOであった。電極は、基板から約10~500μm離れた開始距離に配置した。基板と電極との間の電位差は、典型的には、約1.0~7.0Vの電圧範囲でサイクルされた。印刷速度は約0.24mm/分であった。
【0155】
印刷方法を使用して400mMチオフェン溶液から形成されたITO上のポリチオフェンピラー構造を
図21に示す。
【0156】
実施例8:ポリアニリン構造の作製
アニリン(400mM)およびTBAHFP(0.1M)を含むアセトニトリル溶液を、上記のように3Dプリンタの容器に添加した。電極は直径370μmのガラス状白金電極であり、基板はITOであった。電極は、基板から約10~500μm離れた開始距離に配置した。基板と電極との間の電位差は、典型的には、約1.0~11.0Vの電圧範囲でサイクルされた。印刷速度は約0.24mm/分であった。
【0157】
印刷方法を使用して400mMアニリン溶液から形成されたITO上のポリアニリンピラー構造を
図22に示す。
【0158】
実施例9:ポリビニルイミダゾール構造の作製
ビニルイミダゾール(200mM)およびTBAHFP(0.1M)を含むアセトニトリル溶液を、上記のように3Dプリンタの容器に添加した。電極は直径370μmのガラス状白金電極であり、基板はITOであった。電極は、基板から約10~500μm離れた開始距離に配置した。基板と電極との間の電位差は、典型的には、約1.0~5.0Vの電圧範囲でサイクルされた。印刷速度は、約0.24mm/分であった。
【0159】
図23は、(A)0秒、(B)40秒、(C)90秒、(D)180秒、および(E)207秒で撮影したITO上のポリビニルイミダゾールの堆積の経時画像を示し、ビニルイミダゾールの200mM溶液からの印刷されたポリビニルイミダゾールを示す。
【0160】
実施例10:PEDOTおよびポリビニルイミダゾール複合構造の作製
EDOTおよびビニルイミダゾールを含む単一浴を使用して、複数の材料からなる複合構造を印刷した。より低い電位での印刷はPVIの堆積を可能にし、一方、より高い電位はPEDOTの堆積をもたらした。印刷方法を使用して形成されたPEDOT/PVI複合構造を
図24に示す。
図25の例示的なサイクリックボルタンメトリプロットは、-1.0V~2.7Vへの電位差サイクリングを示し、0.81VでのEDOTの酸化がPEDOTを形成し、0.31Vでのビニルイミダゾールの酸化がPVIを形成することを示す。したがって、プリンタの使用中の電圧サイクルを調整して、3Dプリンタの容器内の溶液から1つまたは複数の異なる材料を選択的に堆積させることが可能である。
【0161】
実施例11:銅構造の作製
上述のように、Cu2+(1.28M)およびTBAHFP(0.097M)を含むアセトニトリル溶液を3Dプリンタの容器に添加した。電極は直径370μmのガラス状白金電極であり、基板はITOであった。電極は、基板から約10~500μm離れた開始距離に配置した。基板と電極との間の電位差は、典型的には、約-0.7~約-4.5Vの電圧範囲でサイクルされた。印刷速度は約0.56mm/分であった。
【0162】
図26は、ITO上に堆積した銅の(A)0秒、(b)60秒、(C)90秒、(D)160秒、および(E)200秒における経時画像を示す。
【0163】
実施例12:PEDOTおよび銅構造の作製
EDOTおよびCu2+を含む単一浴を使用して、複数の材料からなる複合構造を印刷した。1.28M飽和硫酸銅(II)溶液を、硫酸銅(II)および濃硫酸(0.94M)をアニリンに溶解し、溶液を一晩撹拌することによって調製した。EDOTおよびTBAHFPをそれぞれ70mMおよび97mMの濃度でアニリンに溶解した。この溶液を室温で30分間撹拌した。EDOTおよび硫酸銅(II)溶液を1:1の体積比で混合し、3Dプリンタ容器に移した。負の電位での印刷は銅の堆積を可能にし、一方、正の電位での印刷はPEDOTの堆積をもたらした。
【0164】
本発明の特定の実施形態が例示の目的で本明細書に記載されているが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができることが理解されよう。例えば、当業者は、単一浴溶液中の関連前駆体剤のそれぞれの酸化および/または還元電位に関して電極と基板との間に印加される電位を調整することによって、この方法を使用して異なる材料を印刷することができることを理解するであろう。あるいは、3Dプリンタは、各々が異なる前駆体を有する複数の浴と共に使用されてもよく、第2または第3の材料が異なる浴溶液から続いて堆積する前に、1つの材料が堆積してもよい。
【0165】
本明細書に開示される方法は、以下の利点のうちの1つまたは複数を提供することができる。
【0166】
・精密な3次元制御印刷方法における液体前駆体浴(電着可能材料の浴)からの材料の電着。
【0167】
・10-3~10-5Mという低い前駆体剤濃度での反応の正確な監視を可能にし得る、堆積プロセスをその場で(サイクリックボルタンメトリおよびアンペロメトリを含む方法を使用して)監視および制御する能力。
【0168】
・ポリマーの高い導電性を保持しながら、その場での重合によって3D形状の範囲内で高導電性ポリマー構造を生成する能力。このようにして製造されたポリマーは、一般に、化学プロセスによって作製された同等のポリマーよりも導電性であってもよい。
【0169】
・この方法は、電流によって開始される様々な他の化学反応(重合反応および純粋に導電性のポリマーに限定されない)に一般化することもできる。この技術を使用して、複数の材料(金属、ポリマーおよび半導体セラミックを含む)を正確な形状で堆積させることができる。
【0170】
・堆積パラメータの正確なフィードバック制御は、単一の堆積浴から、または複数の堆積浴の使用を介して、複数の異なる材料を順次堆積させることを可能にすることができる。これにより、複雑な多成分構造の製造の複雑さおよびコストが大幅に低減される。
【0171】
・表面特性を改質し、印刷された物体(例えば、電気化学的固定化)により多くの生体適合性または他の機能性を導入するために、基板または任意の以前に印刷された導電性材料を有機分子で電気化学的に改質することができるという追加の利点があり得る。
【国際調査報告】