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特表2023-536283トライポート音響キャビティを有するウェアラブルオーディオデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(54)【発明の名称】トライポート音響キャビティを有するウェアラブルオーディオデバイス
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/28 20060101AFI20230817BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20230817BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
H04R1/28 310
H04R1/02 101B
H04R1/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506301
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 US2021041056
(87)【国際公開番号】W WO2022026158
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】16/944,819
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ダニエル・ベランガー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド-マイケル・ロズポネ
(72)【発明者】
【氏名】クレイトン・ジェフリー・ピプキン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ジェイ・グリーンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンポール・フィリア・バリオー
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017AD11
5D017AD23
5D017AD36
(57)【要約】
様々な態様は、ポート付きウェアラブルオーディオデバイスを含む。ある実装形態では、ウェアラブルオーディオデバイスは、第1のキャビティと、第2のキャビティと、第3のキャビティと、第1のキャビティと第2のキャビティとの間に配置されたドライバであって、音響出力を提供するように構成されたドライバと、第2のキャビティと第3のキャビティとを接続する第1の質量ポート及び/又は抵抗ポートと、第3のキャビティに接続された第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のキャビティと、
第2のキャビティと、
第3のキャビティと、
前記第1のキャビティと前記第2のキャビティとの間に配置されたドライバであって、音響出力を提供するように構成された前記ドライバと、
前記第2のキャビティと前記第3のキャビティとを接続する第1の質量ポート及び/又は抵抗ポートと、
前記第3のキャビティに接続された第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートと、
を備えるウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項2】
前記第2のキャビティに接続された少なくとも1つの質量ポートと、
前記第2のキャビティに接続された少なくとも1つの抵抗ポートと、
前記第1のキャビティ、前記第2のキャビティ、前記第3のキャビティ又は周囲、に接続された追加のポートと、
を更に備える請求項1に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項3】
前記追加のポートが質量ポート及び/又は抵抗ポートを含む、請求項2に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項4】
前記第3のキャビティに接続された少なくとも1つの追加の質量ポート及び/又は抵抗ポートを更に備える、請求項1に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの追加の質量ポート及び/又は抵抗ポートは、3つ以上の追加の質量ポート及び/又は抵抗ポートを含む、請求項4に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項6】
前記第1の質量ポート及び/又は抵抗ポートは、前記第3のキャビティ及び/又は周囲に更に接続される、請求項1に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項7】
前記ウェアラブルオーディオデバイスが、オーバーイヤーオーディオデバイス、オンイヤーオーディオデバイス、又はインイヤーオーディオデバイスのうちの1つを備える、請求項1に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項8】
各質量ポート及び/又は抵抗ポートが、a)質量ポート、b)抵抗ポート、c)質量ポート及び抵抗ポート、又はd)質量性かつ抵抗性の単一ポートを備える、請求項1に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項9】
前記第3のキャビティを画定するカバーを更に備える、請求項1に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項10】
前記第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートは、前記第3のキャビティから周囲への唯一の出口である、請求項9に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項11】
前記カバーは、前記第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートが周囲に通気するように、前記ウェアラブルオーディオデバイスの最外層の一部である、請求項9に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項12】
前部キャビティに接続された均等化ポートを更に備える、請求項1に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項13】
前記第2のキャビティは、前記第1のキャビティ及び前記第3のキャビティよりも小さい音響容積を有する、請求項1に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項14】
前記第3のキャビティ並びに前記第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートは、約500ヘルツ(Hz)~約2,000Hzの範囲の周囲雑音の周波数においてユーザの外耳道の受動的減衰を維持する一方で、約500Hz未満の周波数においてコンプライアンスを維持する、請求項1に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項15】
前記第3のキャビティ並びに前記第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートは、約500Hz未満の周囲雑音の周波数においてローパスフィルタとして機能する、請求項14に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項16】
イヤピースのセットであって、イヤピースの各々が、
第1のキャビティと、
第2のキャビティと、
第3のキャビティと、
前記第1のキャビティと前記第2のキャビティとの間に配置されたドライバであって、音響出力を提供するように構成された前記ドライバと、
前記第2のキャビティと前記第3のキャビティを接続する第1の質量ポート及び/又は抵抗ポートと、
前記第3のキャビティに接続された第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートと、を含み、前記第2のキャビティは、前記第1のキャビティ及び前記第3のキャビティよりも小さい音響容積を有し、
前記第3のキャビティ及び前記第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートは、約500ヘルツ(Hz)から約2,000Hzの範囲の周囲雑音の周波数においてユーザの外耳道の受動的減衰を維持する一方で、約500Hz未満の周波数においてコンプライアンスを維持する、イヤピースのセットを備える、
ウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項17】
前記第2のキャビティに接続された少なくとも1つの質量ポートと、
前記第2のキャビティに接続された少なくとも1つの抵抗ポートと、
前記第1のキャビティ、前記第2のキャビティ、前記第3のキャビティ又は周囲、に接続された追加の質量ポート及び/又は抵抗ポートと、
を更に備える、請求項16に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項18】
前記第3のキャビティ並びに前記第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートは、約500Hz未満の周囲雑音の周波数においてローパスフィルタとして機能する、請求項16に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項19】
イヤピースのセットであって、イヤピースの各々が、
第1のキャビティと、
第2のキャビティと、
第3のキャビティと、
前記第1のキャビティと前記第2のキャビティとの間に配置されたドライバであって、音響出力を提供するように構成されたドライバと、
前記第2のキャビティと前記第3のキャビティを接続する第1の質量ポート及び/又は抵抗ポートと、
前記第3のキャビティに接続された第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートと、を少なくとも部分的に収容するカバーを含み、前記カバーが前記第3のキャビティの外側境界を画定し、
前記第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートが前記第3のキャビティから周囲への唯一の出口であり、前記第3のキャビティ並びに前記第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートが、約500ヘルツ(Hz)から約2,000Hzの範囲の周囲雑音の周波数においてユーザの外耳道の受動的減衰を維持する一方で、約500Hz未満の周波数においてコンプライアンスを維持する、イヤピースのセットを備える、
ウェアラブルオーディオデバイス。
【請求項20】
前記カバーは、前記第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートが周囲に通気するように、前記ウェアラブルオーディオデバイスの最外層の一部である、請求項19に記載のウェアラブルオーディオデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2020年7月31日に出願された米国特許出願第16/944,819号に対する優先権を主張し、この特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、ウェアラブルオーディオデバイスに関する。より具体的には、本開示は、ウェアラブルオーディオデバイスにおけるポーティングに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のポート付きウェアラブルオーディオデバイスは、特にある範囲の環境にわたって(例えば、より静かな環境とより騒がしい環境の両方において)、貧弱な又は不十分な受動雑音減衰に悩まされ得る。
【発明の概要】
【0004】
下記で言及される全ての実施例及び特徴は、任意の技術的に可能な方式で組み合わせることができる。
【0005】
本開示の様々な実装形態は、ある範囲の環境にわたって望ましい受動雑音減衰及び質量負荷を提供するように構成されたポート付きウェアラブルオーディオデバイスを含む。ある実装形態では、ウェアラブルオーディオデバイスは、第1のキャビティと、第2のキャビティと、第3のキャビティと、第1のキャビティと第2のキャビティとの間に配置されたドライバであって、音響出力を提供するように構成されたドライバと、第2のキャビティと第3のキャビティとを接続する第1の質量ポート及び/又は抵抗ポートと、第3のキャビティに接続された第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートと、を含む。
【0006】
いくつかの特定の態様では、ウェアラブルオーディオデバイスは、イヤピースのセットであって、イヤピースの各々は、第1のキャビティと、第2のキャビティと、第3のキャビティと、第1のキャビティと第2のキャビティとの間に配置されたドライバであって、音響出力を提供するように構成されたドライバと、第2のキャビティと前記第3のキャビティを接続する第1の質量ポート及び/又は抵抗ポートと、第3のキャビティに接続された第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートと、を含み、第2のキャビティは、第1のキャビティ及び第3のキャビティよりも小さい音響容積を有し、第3のキャビティ及び第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートは、約500ヘルツ(Hz)から約2,000Hzの範囲の周囲雑音の周波数においてユーザの外耳道の受動的減衰を維持する一方で、約500Hz未満の周波数においてコンプライアンスを維持する、イヤピースのセットを備える。
【0007】
他の特定の態様では、ウェアラブルオーディオデバイスは、イヤピースのセットであって、イヤピースの各々は、第1のキャビティと、第2のキャビティと、第3のキャビティと、第1のキャビティと第2のキャビティとの間に配置されたドライバであって、音響出力を提供するように構成されたドライバと、第2のキャビティと第3のキャビティを接続する第1の質量ポート及び/又は抵抗ポートと、第3のキャビティに接続された第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートと、を少なくとも部分的に収容するカバーを有し、当該カバーが第3のキャビティの外側境界を画定し、第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートが第3のキャビティから周囲への唯一の出口であり、第3のキャビティ及び第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートが、約500ヘルツ(Hz)から約2,000Hzの範囲の周囲雑音の周波数においてユーザの外耳道の受動的減衰を維持する一方で、約500Hz未満の周波数においてコンプライアンスを維持する、イヤピースのセットを備える。
【0008】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0009】
ある態様では、ウェアラブルオーディオデバイスは、第2のキャビティに接続された少なくとも1つの質量ポートと、第2のキャビティに接続された少なくとも1つの抵抗ポートと、第1のキャビティ、第2のキャビティ、第3のキャビティ又は周囲、に接続された追加のポートと、を更に含む。
【0010】
いくつかの場合では、追加のポートは、質量ポート及び/又は抵抗ポートを含む。
【0011】
特定の実装形態では、ウェアラブルオーディオデバイスは、第3のキャビティに接続された少なくとも1つの追加の質量ポート及び/又は抵抗ポートを更に含む。
【0012】
ある態様では、少なくとも1つの追加の質量ポート及び/又は抵抗ポートは、3つ以上の追加の質量ポート及び/又は抵抗ポートを含む。
【0013】
いくつかの場合では、第1の質量ポート及び/又は抵抗ポートは、第3のキャビティ及び/又は周囲に更に接続される。
【0014】
特定の態様では、ウェアラブルオーディオデバイスは、オーバーイヤーオーディオデバイス、オンイヤーオーディオデバイス、又はインイヤーオーディオデバイスのうちの1つを含む。
【0015】
ある実装形態では、各質量ポート及び/又は抵抗ポートは、a)質量ポート、b)抵抗ポート、c)質量ポート及び抵抗ポート、又はd)質量性かつ抵抗性の単一ポートを含む。
【0016】
いくつかの場合では、ウェアラブルオーディオデバイスは、第3のキャビティを画定するカバーを更に含む。
【0017】
ある態様では、第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートは、第3のキャビティから周囲への唯一の出口である。
【0018】
特定の実装形態では、カバーは、第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートが周囲に通気するように、ウェアラブルオーディオデバイスの最外層の一部である。
【0019】
いくつかの態様では、ウェアラブルオーディオデバイスは、前部キャビティに接続された均等化ポートを更に含む。
【0020】
ある場合には、第2のキャビティは、第1のキャビティ及び第3のキャビティよりも小さい音響容積を有する。
【0021】
特定の態様では、第3のキャビティ並びに第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートは、約500ヘルツ(Hz)~約2,000Hzの範囲の周囲雑音の周波数においてユーザの外耳道の受動的減衰を維持する一方で、約500Hz未満の周波数においてコンプライアンスを維持する。
【0022】
ある実装形態では、第3のキャビティ並びに第2の質量ポート及び/又は抵抗ポートは、約500Hz未満の周囲雑音の周波数においてローパスフィルタとして機能する。
【0023】
いくつかの態様では、各質量ポートは、隣接するキャビティ間の空気流を可能にする。
【0024】
本概要の項に記載される特徴を含む、本開示に記載される特徴の2つ以上は、本明細書に具体的に記載されていない実装形態を形成するために組み合わされ得る。
【0025】
1つ以上の実装形態の詳細が、添付図面及び以下の説明において述べられる。他の特徴、目的、及び利点は、本説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】様々な実装形態によるオーディオデバイスの概略図である。
図2】様々な実装形態による他のオーディオデバイスの概略図である。
図3】様々な実装形態による追加のオーディオデバイスの概略図である。
図4】様々な実装形態による他のオーディオデバイスの概略図である。
図5】様々な実装形態によるイヤピースの分解斜視図である。
図6】様々な実装形態によるイヤピースの部分透視斜視図である。
【0027】
様々な実装形態の図面は必ずしも縮尺どおりではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを示すことを意図するものであり、したがって、発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。図面において、同様の番号付けは、図面間の同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書に記載されるように、本開示の様々な態様は、概して、ポート付きウェアラブルオーディオデバイスに関する。より具体的には、本開示の態様は、受動雑音減衰及び質量負荷を制御するポート付き外側キャビティを有するウェアラブルオーディオデバイスに関する。従来のポート付きウェアラブルオーディオデバイスと比較すると、様々な実装形態によるポート付きウェアラブルオーディオデバイスは、多くの利点を提供する。例えば、ある範囲の周囲環境(例えば、より静かな環境からより騒々しい環境)にわたって効果的な受動雑音減衰及び質量負荷を提供することによって、ウェアラブルオーディオデバイスは、従来のデバイスと比較したとき、ユーザ体験を向上させることができる。加えて、様々な実装形態によるウェアラブルオーディオデバイスは、高い周囲圧力条件又は変化の著しい周囲圧力条件のいずれかが一般的である航空、軍事、及び他の環境において有益であり得る。
【0029】
図中の共通にラベル付けされた構成要素は、例示目的のために実質的に同等の構成要素であるとみなされ、それらの構成要素の重複する説明は、明確化のために省略する。
【0030】
本明細書で開示される態様及び実装形態は、多種多様なウェアラブルオーディオデバイスに適用可能であり得る。いくつかの場合では、「ヘッドホン」とも総称されるイヤピース(オンイヤーかオフイヤーを問わず)、ヘッドセット、腕時計、眼鏡、オーディオアクセサリ又は衣類(例えば、オーディオ帽子、オーディオバイザー、オーディオジュエリー)、首装着型スピーカ、肩装着型スピーカ、身体装着型スピーカなど、様々な形態因子をとることができる。開示されるいくつかの態様は、オーバーイヤーヘッドホン、オンイヤーヘッドホン、インイヤーヘッドホン(これらの場合、イヤバッドとも呼ばれる)、オーディオ眼鏡又は他の頭部装着型オーディオデバイスなどのパーソナル(ウェアラブル)オーディオデバイスに特に適用可能である。いくつかの例示的な実装形態は、例えば、航空機、航空交通管制(ATC)、及び/又はパイロット間通信システムと接続するための航空ヘッドセットを含むオーディオデバイスに関する。しかしながら、航空ヘッドセットは、本明細書で開示される様々な実装形態を利用するように構成されたオーディオデバイスの1つの例示的な形態にすぎない。
【0031】
様々な実装形態に従って説明されるウェアラブルオーディオデバイスは、スマートグラス、スマートウォッチなど、1つ以上の他のウェアラブル電子デバイスにおいて見られる特徴を含むことができる。これらのウェアラブルオーディオデバイスは、1つ以上のカメラ、位置追跡デバイス、マイクロホンなど、追加のハードウェア構成要素を含むことができ、音声認識、視覚認識、及び他のスマートデバイス機能が可能であり得る。本明細書に含まれるウェアラブルオーディオデバイスの説明は、そのようなデバイスにおけるこれらの追加的な能力を除外することを意図するものではない。
【0032】
航空ヘッドセット100を含むウェアラブルオーディオデバイス10の一例を図1に示す。特定の場合には、ヘッドセット100は、各側に少なくとも1つのイヤピース(例えば、イヤカップ)105を有するフレームを含み、イヤピースは、ユーザの耳の上に、耳の周りに、又は耳を覆ってフィットする。いくつかの場合では、イヤピース105は、ウェアラブルオーディオデバイス100内の他の構成要素に繋がれるか、又は無線で接続されるように、フレームはオプションである。イヤカップ105の各々は、音響トランスデューサ又はスピーカを収容する。ヘッドセット100はまた、2つのイヤピース(例えば、イヤカップ)105を接続するためのヘッドバンド(例えば、オーバーザヘッドブリッジ)110も含む。様々な実装形態では、ヘッドセット100は、少なくとも1つ、いくつかの場合では両方のイヤピース105をユーザの耳に近接して位置決めするように構成される。例えば、ヘッドセット100(及び本明細書で説明されるオーディオデバイス10の他のヘッドセット形態)は、ユーザによって装着されたときに、イヤピース105をユーザの耳に近接して位置決めするように構成され得る。ある場合には、この近接は、イヤピース105を耳の上に又は耳を覆って(例えば、イヤカップを用いて)位置決めすること、耳の中に(例えば、イヤバッドを用いて)位置決めすること、耳の上に(例えば、イヤフックを用いて)置くことなどを含む。いくつかの場合では、近接位置決めにより、ユーザの耳が完全に、又は部分的に塞がれるか、まったく塞がれないことがある。
【0033】
いくつかの実装形態では、電子構成要素(例えば、ブームマイクロホンなどのマイクロホン)115は、イヤカップ105のうちの1つに物理的に接続することができる。ヘッドセット100は、接続ケーブル120を使用して航空機内部通話装置システムに接続することができ、ヘッドセット100用の1つ以上の制御部を含む制御モジュール125も含むことができる。ある場合には、航空機内部通話装置システムへの、及び航空機内部通話装置システムからのアナログ信号は、接続ケーブル120によって提供される有線接続を通じて送信される。他の場合、又は追加の場合には、ヘッドセット100は、制御チップ及び/又は回路、電気音響トランスデューサ、マイクロホン及び関連モジュール、バッテリ及び/又はコネクタなどの電源構成要素、容量性タッチインターフェース構成要素のようなインターフェース構成要素などの電子機器70を含むことができる。特定の場合には、電子機器70は、電気音響トランスデューサと連結されたコントローラを含み、コントローラは、オーディオデバイス10とロックされた位置にあるときに電子構成要素と接続するようにも構成される。
【0034】
電子機器70は、1つ以上の無線ネットワーク(例えば、ローカルWiFiネットワーク、Bluetooth接続、又は無線周波数(RF)接続)を介して接続された1つ以上の他の電子デバイスと通信するように構成された通信構成要素(例えば、無線送受信機(WT))、並びに増幅構成要素及び信号処理構成要素など、添付図面に具体的に示されていない他の構成要素を含み得ることが更に理解される。電子機器70はまた、多軸加速度計、ジャイロスコープ、及び/又は磁力計を組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)デバイスなどの慣性測定ユニット(IMU)、光学的追跡システムなどの運動及び/又は位置追跡構成要素を含むことができる。
【0035】
図1の例は、アラウンドイヤーイヤピース、すなわちイヤカップを含む航空用ヘッドセットを示す一方で、インイヤーイヤピース又はオンイヤーイヤピースを有するヘッドセットを含む他のフォームファクタを有する航空機用ヘッドセットもまた、本明細書に記載の技術と適合性がある。インイヤーイヤピースを含む例では、オーバーザヘッドブリッジは省略されてもよく、ブームマイクロホンは、ヘッドセットを介して、又は別個の構造を介してユーザに取り付けられてもよい。また、本文書に使用されているヘッドセットという用語は、例えば、イヤホン及びイヤバッドを含む、航空目的で使用され得る様々なタイプの音響デバイスを含む。追加のヘッドセット特徴は、例えば、米国特許出願第15/238,259号(「Communications Using Aviation Headsets」、2016年8月16日出願)に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
オーディオデバイス10又は実装形態に従って開示される他のシステム内の別の構成要素に接続又は連結されたものとして記載される任意の構成要素は、任意の従来の有線接続及び/又は追加の通信プロトコルを使用して通信し得ることが更に理解される。いくつかの場合では、通信プロトコル(複数可)は、無線ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)を使用するWi-Fiプロトコル、IEEE 802.11 b/gなどの通信プロトコル、セルラーネットワークプロトコル(例えば、第3世代、第4世代、又は第5世代(3G、4G、5Gのセルラーネットワーク))、又はBluetooth、BLE Bluetooth、ZigBee(メッシュLAN)、Z-wave(サブGHzメッシュネットワーク)、6LoWPAN(軽量IPプロトコル)、LTEプロトコル、RFID、超音波オーディオプロトコルなどの、複数のモノのインターネット(internet-of-things、IoT)プロトコルのうちの1つを含むことができる。様々な特定の実装形態では、オーディオデバイス10内に別個に収容された構成要素は、1つ以上の従来の無線送受信機を使用して通信するように構成される。
【0037】
様々な実装形態によるウェアラブルオーディオデバイス10は、追加のフォームファクタをとることができることが理解される。例えば、図2は、パーソナル通信ヘッドセット(例えば、航空ヘッドセット)の形態のウェアラブルオーディオデバイス10を示す。「A」又は「B」が後に続く参照番号は、それぞれ、オーディオデバイス10の右側又は左側に対応する特徴を示す。オーディオデバイス10は、弓形部分130と、右端部と、左端部とを有するヘッドバンドを含む。右ハウジング132A及び左ハウジング132Bは、ヘッドバンドの右端及び左端にそれぞれ配置される。弓形部分130は、左右のハウジング132間のオーバーザヘッドブリッジとして機能する。ばねバンド134(例えば、ばね鋼)は、右ハウジング132Aから、弓形部分130を通って左ハウジング132Bまで延びる。ばねバンド134は、ヘッドバンドがユーザによって装着されている間、ハウジング132を互いに向かって(装着者の頭部を通る水平面にほぼ沿って)移動させるためのクランプ力を提供する。左右のハウジング132は、より小さい又はより大きい頭部にそれぞれ対応するために、弓形部分130に向かって上に、又は弓形部分130から離れて下に、ある距離を移動させることができる。
【0038】
パッド(右パッド136A又は左パッド136B、一般に136)は、各ハウジング132に取り付けられ、ヘッドセット10を頭部に快適に固定するために使用される。本明細書で使用される場合、「パッド」は、加えられた圧力下で縮むこと及び/又は変形することができ、ヘッドバンドを支持する方法でユーザの頭部と接触するように構成される、コンプライアント部材を意味する。いくつかの場合では、オーディオデバイス(ヘッドセット)10が頭部に装着されるとき、各パッド136は、耳の上のその前方端部から、頭部のより下で耳の後ろにあるその後方端部まで延びる。ある場合には、パッド136はそれぞれ、ユーザの頭部に接触するための輪郭表面138を有する。ブーム140は、ハウジングのうちの1つ(例えば、図示されるように、右ハウジング132A)の底部付近の回転可能基部142から延び、他端に取り付けられたマイクロホン144を位置決め及び支持するために使用される。ブーム140は、マイクロホン144をユーザの口に対して適切な位置に配置するために、その基部142を中心に回転させることによって部分的に調整することができる。ブーム140は、ハウジング132Aに恒久的に固定されてもよく、又はオーディオデバイス10が航空用途及び非航空用途(例えば、音楽再生)の両方に使用できるように取り外し可能であってもよい。通信ケーブル用のコネクタ146は、右ハウジング132Aの底部から延びる。イヤピース(例えば、イヤバッド)コネクタケーブル148は、各ハウジング132から一端で延びる。フレキシブルケーブル148の反対側の端部は、イヤバッド又は他のタイプのインイヤーヘッドホンなどのイヤピースに接続するのに適している。図2のオーディオデバイス10の追加の特徴は、米国特許第10,187,718号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
図3は、オーディオ眼鏡210を含む追加の例示的なオーディオデバイス10を示す。図示のように、オーディオ眼鏡210は、レンズ領域230を有するヘッドバンド(例えば、フレーム)220と、レンズ領域230から延びる一対のアーム240を含み得る。従来の眼鏡と同様に、レンズ領域230及びアーム240は、ユーザの頭部に置かれるように設計されている。レンズ領域230は、度付き、度なし、及び/又は光フィルタリングレンズ、並びにユーザの鼻に置かれるためのブリッジ260(パッドを含んでもよい)を含み得る、レンズ250のセットを含み得る。アーム240は、ユーザのそれぞれの耳に置かれるための輪郭265を含み得る。フレーム220内には、特定の実装形態による、電子機器70及びオーディオ眼鏡210を制御するための他の構成要素が収容される(又は、構成要素がフレームの境界を越えて延び得るように、実質的に収容される)。電子機器70は、本明細書のオーディオデバイス10に関して記載したような1つ以上の電子構成要素の部分、又はそのためのコネクタを含むことができる。いくつかの場合では、電子機器70の別個のセット又は重複セットがフレームの複数の部分、例えば、フレーム220内の対応するアーム240のそれぞれに収容される。しかしながら、本明細書に記載されるある構成要素は、単一の形態で存在し得る。
【0040】
図4は、アラウンドイヤーヘッドホン310を含む別のオーディオデバイス10を示す。ヘッドホン310は、ユーザの耳を覆って又は耳の上にフィットするように構成された一対のイヤピース(例えば、イヤカップ)320を含むことができる。ヘッドバンド330は、一対のイヤピース320の間に架け渡されており、ユーザの頭部に置かれるように構成されている(例えば、頭頂部を覆って又は頭部の周りに架け渡される)。ヘッドバンド330は、いくつかの実装形態ではヘッドクッション340を含むことができる。イヤピース320の一方又は両方内には、特定の実装形態による、電子機器70及びヘッドホン310を制御するための他の構成要素が収容される。電子機器70は、本明細書のオーディオデバイス10に関して記載したような1つ以上の電子構成要素の部分、又はそのためのコネクタを含むことができる。本明細書で説明される多くのウェアラブルオーディオデバイスは、様々な実装形態の特徴を利用することができ、図1図4を参照して示され説明されるウェアラブルオーディオデバイス10は単なる例示であることを理解されたい。
【0041】
図5は、様々な実装形態によるイヤピース400の分解斜視図を示す。イヤピース400は、例えば、図1の航空ヘッドセットのイヤピース105、図2の航空ヘッドセットのコネクタ148に連結されたイヤバッド、図3のオーディオ眼鏡の、又は他の方法でオーディオ眼鏡に接続された、オンイヤーイヤピース、オーバーイヤーイヤピース、及び/又は図4に示すヘッドセットのイヤカップ320のような、本明細書で図示又は説明される任意のオーディオデバイス10の一部を形成することができる。図6は、イヤピース400の一部分の背面(又は、ユーザによって装着されたときの外部)からの部分透過斜視図を示す。図5及び図6を同時に参照する。
【0042】
様々な実装形態の原理を不明瞭にすることを避けるために、イヤピースの多くの従来の構成要素については詳細に記載しない。特に図5に示されるように、様々な実装形態では、イヤピース400は、第1のシェル420によって部分的に囲まれた第1の(又は前部)キャビティ410と、第2のシェル440によって部分的に囲まれた第2のキャビティ430と、第3のシェル460によって部分的に囲まれた第3のキャビティ450とを含む。音響出力を提供するように構成されたドライバ(又は電気音響トランスデューサ)470は、第1のキャビティ410と第2のキャビティ430との間に配置される。第1のキャビティ410は、ドライバ470によって出力された音をユーザの耳に結合する。ある実装形態では、第2のキャビティ430は、第1のキャビティ410及び第3のキャビティ450よりも小さい音響容積を有する。特定の実装形態によれば、各キャビティ410、430、及び/又は450の音響容積は、1つ以上のキャビティの機械的容積が音響容積よりも大きくなるように、1つ以上の充填材を使用して調整可能である。これらの場合、所与のキャビティの音響容積は、充填材料、例えば、1つ以上の天然無機化合物を含み得る多孔性発泡体の添加又は除去によって、調節又は他の方法で制御されることができる。
【0043】
本明細書で説明するように、様々な実装形態では、第3のシェル460は、イヤピース400のためのカバーである。すなわち、様々な実装形態では、第3のシェル460は、イヤピース400の最外層の一部であり、(ユーザの耳に対して)第3のキャビティ450の後部を画定する。様々な実装形態では、第3のシェル460は、ユーザの耳又はユーザの耳に近接する領域に係合するための耳クッション、パッド、又はノズルなどのコンプライアント部材480(図6)と連結される。いくつかの場合では、第3のシェル460は、コンプライアント部材480で封止される(又は、それと封止係合される)。ある実装形態では、本明細書で説明するポート以外の場合に、第3のシェル460は、第3のキャビティ450からの空気がそれらのポートを通じてのみ周囲環境(又は周囲)482に逃げることができるように、第3のキャビティ450を封止する。すなわち、これらのポートを除いて、この第3のシェル460は、イヤピース400の外側を封止する。
【0044】
様々な実装形態では、第1の質量ポート及び/又は抵抗ポート490は、第2のキャビティ430と第3のキャビティ450とを接続し、第2の質量ポート及び/又は抵抗ポート500は、第3のキャビティ450に接続される。ある実装形態では、第3のキャビティ450は、第2の質量ポート及び/又は抵抗ポート500によって周囲482に結合される。特定の場合には、第2の質量ポート及び/又は抵抗ポート500は、第3のキャビティ450から周囲への唯一の出口である。すなわち、第3のシェル(カバー)460がイヤピース400の最外層の一部であるある実装形態では、第2の質量ポート及び/又は抵抗ポート500は、周囲に直接通気する。
【0045】
ある実装形態によれば、各質量ポート及び/又は抵抗ポート(例えば、質量ポート及び/又は抵抗ポート490、500)は、a)質量ポート、b)抵抗ポート、c)質量ポート及び抵抗ポート、又はd)質量性かつ抵抗性の単一ポートを含む。質量ポートの例は、質量ポート管及び摺動質量ポートを含むことができ、抵抗ポートの例は、抵抗ポートスクリーンを含むことができる。両方のタイプのポート、並びに質量ポート及び抵抗ポートの両方を含むか、又は質量特性及び抵抗特性の両方を有するポートは、空気流を妨げる。
【0046】
例示的な一実装形態では、図5に示すように、第1の質量ポート及び/又は抵抗ポート490は、第1の質量ポート490A(例えば、質量ポート管)、第2の質量ポート490B(例えば、摺動質量ポート)、又は抵抗ポート490C(例えば、抵抗ポートスクリーン又はメッシュ510を含む)のうちの1つ以上を含むものとして示されている。質量ポート490A、490Bは、第2のキャビティ430内の空気の質量に対して所定の比率で較正される。490Aによって示される質量ポート管の実施例では、管内の容積は、第2のキャビティ430内の容積に関連する。490Bによって示される摺動質量ポートの実施例では、摺動質量の重量は、第2のキャビティ430の容積に関連する。ある実装形態では、「第1の質量ポート及び/又は抵抗ポート490」という用語は、これらのポートのうちの1つ又は複数を指す。更に、各タイプの質量ポート及び/又は抵抗ポート490のうちの1つが図5に示されているが、複数の各タイプ、又は1つ若しくは2つのタイプの質量ポート及び/又は抵抗ポート490のみが、例えば、第2のシェル440内に配置され得ることが理解される。いくつかの特定の実装形態では、第1の質量ポート及び/又は抵抗ポート490は、第3のキャビティ450及び/又は周囲482に更に接続される。例えば、第1の質量ポート及び/又は抵抗ポートが摺動質量ポート490Bである場合、その摺動質量ポート490Bは、第3のシェル460内の質量ポート又は開口部(例えば、第3のシェル460内に示される質量ポート500Aのうちの1つ)と流体接続されることができ、第1のキャビティ410から第2のキャビティ430の中へ、又は第2のキャビティ450を通って周囲482へ、のいずれかの、第2のキャビティ430からの空気流を可能にする。
【0047】
いくつかの実装形態では、図5及び図6に示すように、第2の質量ポート及び/又は抵抗ポート500は、質量ポート500A(例えば、摺動質量ポート)又は抵抗ポート500B(例えば、図示されていない抵抗ポートスクリーン又はメッシュを含む)のうちの1つ以上を含むように示されている。この例では、複数の質量ポート500A、例えば2つ以上の質量ポート500Aが示されており、図6の特定の描写では4つが示されている。他の実装形態では、第3のキャビティ450から周囲482への空気流を可能にするために、最大8つの質量ポート500Aが第3のキャビティ450に連結される(例えば、第3のシェル460に一体化されるか、又は他の方法で連結される)。質量ポート及び/又は抵抗ポート500の別個の構成(例えば、数、サイズ及び/又は位置)は、様々な実装形態による同様の性能利益を達成するために使用され得ることが理解される。ある実装形態では、所与のカットオフ周波数、ダイナミックレンジ、及び直線性パラメータについて、質量ポート及び/又は抵抗ポート500の数を調整することは、これらのパラメータを維持するために、質量ポート及び/又は抵抗ポート500の各々のサイズを調整することを含む。単一の抵抗ポート500Bが示されているが、様々な実装形態では、イヤピース400は、第3のキャビティ450に接続された(例えば、第3のシェル460内に位置する)2つ以上の抵抗ポート500Bを含む。特定の実装形態では、最大3つ、いくつかの場合では4つの抵抗ポート500Bが、第3のキャビティ450と周囲482との間に配置される。
【0048】
様々な実装形態が、例えば、米国特許第9,762,990号(「Headset Porting」)に記載されているような、前部キャビティ及び後部キャビティを含む従来のイヤピースに対して利点を提供することができることが理解され、この米国特許は参照によりその全体が組み込まれる。前部キャビティ及び後部キャビティを有するいくつかの従来のポート付きイヤピースと同様に、様々な実装形態によるイヤピース400は、第1のキャビティ510に接続された少なくとも1つの均等化ポート(図示せず)を含むことができる。これらの従来のポート付きイヤピースはまた、第2のキャビティ430に接続された少なくとも1つの質量ポート及び少なくとも1つの抵抗ポートを含むことができる。いくつかの場合では、質量ポートは、質量ポート490Aなどの質量ポート管、又は質量ポート490Bなどの摺動質量ポートを含む。ある場合には、抵抗ポートは、抵抗ポート490Cと同様の遮蔽ポートを含む。本明細書で説明するように、様々な実施態様において、イヤピース400は、第1のキャビティ410、第2のキャビティ430、第3のキャビティ450、又は周囲482に接続された、追加のポート(例えば、本明細書に記載のような質量ポート及び/又は抵抗ポート)を含むこともできる。封止された第3のキャビティ450並びに第1及び第2の質量ポート及び/又は抵抗ポート490、500の構成は、従来のイヤピース及び関連するヘッドセットと比較したとき、イヤピース400の機能性を向上させることができる。
【0049】
様々な実装形態では、イヤピース400は、従来のオーディオデバイスに対して著しい性能利益及び/又はユーザ経験利益を提供することができる。例えば、いくつかの場合では、第3のキャビティ450並びに第2の質量ポート及び/又は抵抗ポート500は、約500ヘルツ(Hz)~約2,000Hzの範囲の周囲雑音の周波数においてユーザの外耳道の受動的減衰を維持する一方で、約500Hz未満の周波数においてコンプライアンスを維持する。すなわち、イヤピース400は、受動的減衰及び/又はコンプライアンスの望ましいレベルを維持するために、変化する音響環境に適応するように構成される。特定の例では、第3のキャビティ450並びに第2の質量ポート及び/又は抵抗ポート500は、約500Hz未満の周囲雑音の周波数においてローパスフィルタとして機能する。いずれにしても、イヤピース400は、従来のオーディオデバイスに対してユーザ体験を向上させる。
【0050】
様々な実装形態では、互いに「連結」されているとして説明される構成要素は、1つ以上のインターフェースに沿って接合することができる。いくつかの実装形態では、これらのインターフェースは、別個の構成要素間の接合部を含むことができ、他の場合には、これらのインターフェースは、強固に及び/又は一体的に形成された相互接続部を含み得る。すなわち、いくつかの場合では、互いに「連結された」構成要素は同時に形成されて、単一の連続部材を画定することができる。しかしながら、他の実装形態では、これらの連結された構成要素は、別個の部材として形成され得、その後、既知のプロセス(例えば、はんだ付け、締結、超音波溶接、接合)によって接合され得る。様々な実装形態では、「連結された」と記載される電子構成要素は、これらの電子構成要素が互いにデータを通信することができるように、従来の有線及び/又は無線手段を介してリンクさせることができる。更に、所与の構成要素内の下位構成要素は、従来の経路を介してリンクされていると考えることができるが、必ずしも図示されない。
【0051】
本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態もまた、以下の特許請求の範囲内にある。本明細書に記載される異なる実装形態の要素は、上記に具体的に記載されていない他の実施形態を形成するために組み合わされ得る。要素は、本明細書に記載される構造の動作に悪影響を及ぼすことなく、本明細書に記載される構造から除かれ得る。更にまた、様々な別個の要素は、本明細書に記載される機能を実施するために、1つ以上の個々の要素へと組み合わされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】