(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(54)【発明の名称】熱エネルギー貯蔵および回収システム並びに方法
(51)【国際特許分類】
F28D 20/02 20060101AFI20230817BHJP
F25C 1/00 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
F28D20/02 D
F25C1/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023506353
(86)(22)【出願日】2021-06-27
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 US2021039288
(87)【国際公開番号】W WO2022026095
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523013776
【氏名又は名称】フォトン・ボールト・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】PHOTON VAULT LLC
【住所又は居所原語表記】1448 Asterbell Dr,San Ramon,CA 94582 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ケントウェル・リー・マコーミック
(57)【要約】
本発明は、いくつかの態様において、作動流体を収容するキャビティと、重力場を横断するキャビティ内に配置され、作動流体から形成され作動流体に浮遊する氷と熱結合する伝熱面と、を有する熱エネルギー貯蔵および回収システムを提供する。伝熱面は、伝熱面に熱的に結合された伝熱媒体からの熱をその氷に伝達する。氷が作動流体よりも密度が低い本発明の態様によれば、伝熱面は、氷が形成されるキャビティの領域または入口の上方(重力場に対して)に配置される。氷が作動流体よりも密度が高い本発明の態様によれば、伝熱面はその領域の下方に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギー貯蔵および回収システムであって、
作動流体を収容するキャビティと、
伝熱面であって、当該伝熱面は重力場を横断する前記キャビティ内に配置され、氷と熱結合し、当該氷は前記作動流体から形成され、前記作動流体内に浮遊する、伝熱面と、
を備え、
前記伝熱面は、当該伝熱面に熱的に結合された伝熱媒体からの熱を氷に伝達し、
前記伝熱面は、前記氷が前記作動流体よりも密度が低い場合、前記重力場に関して、前記氷が形成される前記キャビティの領域または入口の上方に配置され、そうでなければその領域の下方に配置される、熱エネルギー貯蔵および回収システム。
【請求項2】
前記伝熱媒体が流体である、請求項1に記載の熱エネルギー貯蔵および回収システム。
【請求項3】
前記伝熱媒体がイソブタンである、請求項2に記載の熱エネルギー貯蔵および回収システム。
【請求項4】
前記伝熱媒体が前記伝熱面を通って流れ、前記氷と熱を交換する、請求項2に記載の熱エネルギー貯蔵および回収システム。
【請求項5】
前記伝熱面は、前記伝熱媒体の流体が前記氷と熱結合して流れる1つ以上のチャネルを備える、請求項4に記載の熱エネルギー貯蔵および回収システム。
【請求項6】
熱エネルギー貯蔵および回収システムは、外部に配置されているが前記キャビティと流体結合しているポンプ移送可能な製氷機を含み、前記ポンプ移送可能な製氷機は、前記キャビティの出口から受け取った作動流体から氷を生成し、その氷を前記領域内の入口を介して前記キャビティへ注入する、請求項1に記載の熱エネルギー貯蔵および回収システム。
【請求項7】
前記ポンプ移送可能な製氷機は、前記氷を、氷と作動流体のスラリーの一部として生成する、請求項6に記載の熱エネルギー貯蔵および回収システム。
【請求項8】
前記重力場を横断する前記領域内の前記キャビティ内に配置され、前記作動流体と熱結合してそこから氷を形成するコールドプレートを備える、請求項1に記載の熱エネルギー貯蔵および回収システム。
【請求項9】
前記コールドプレートが加熱されてその上に蓄積した氷を放出する、請求項8に記載の熱エネルギー貯蔵および回収システム。
【請求項10】
前記作動流体が水である、請求項1に記載の熱エネルギー貯蔵および回収システム。
【請求項11】
前記伝熱面は、前記氷が前記作動流体よりも密度が低い場合、前記キャビティ内の前記作動流体の表面より下方に配置され、そうでない場合、前記キャビティの底より上方に配置される、請求項1に記載の熱エネルギー貯蔵および回収システム。
【請求項12】
前記伝熱面は、少なくとも1つの凹部を含み、前記作動流体中に浮遊する前記作動流体の氷を捕捉する、請求項11に記載の熱エネルギー貯蔵および回収システム。
【請求項13】
前記氷が前記作動流体よりも密度が低い場合、前記凹部が、前記氷が前記作動流体の表面に到達するのを防止し、そうでない場合、前記氷が前記キャビティの前記底に到達するのを防止する、請求項11に記載の熱エネルギー貯蔵および回収システム。
【請求項14】
(i)前記氷が前記キャビティ内で凝集するチャージモード、および(ii)前記伝熱媒体からの熱が前記凝集した氷に伝達されて、前記伝熱媒体を冷却し、前記氷を作動流体に変換する放出モードで動作可能である、請求項1に記載の熱エネルギー貯蔵および回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相変化材料を利用する熱エネルギー貯蔵および回収システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー貯蔵は、エネルギー供給を調整するための重要な能力である。再生可能エネルギー源はしばしば断続的であり、需要に対して供給電力が少なすぎたり多すぎたりする。エネルギーの供給を平準化するには、エネルギーを蓄えたり取り出したりするメカニズムが必要である。相変化材料の熱エネルギーは、比較的小さな体積に大量の熱を蓄えることができるため、魅力的なオプションである。ただし、材料を固相に保持し、チャージ/放出サイクル中に固体材料に出入りする十分な熱輸送を確保することは、重要な工学的課題である。熱性能は通常、蓄えられた熱エネルギーの量と熱サイクルの拡大した回数の両方で劣化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、熱エネルギーの貯蔵および回収のための改良されたシステムおよび方法を提供することである。
【0004】
さらなる目的は、低コストで実施および運用できるシステムおよび方法を提供することである。
【0005】
本発明のさらに別の目的は、耐久性があり、確実に操作できるようなシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述のことは、本発明によって達成される目的の一部であり、いくつかの態様では、作動流体を収容するキャビティと、伝熱面であって、当該伝熱面は重力場を横断するキャビティ内に配置され、氷と熱結合し、当該氷は作動流体から形成され、作動流体内に浮遊する、伝熱面と、を有する熱エネルギー貯蔵および回収システムを提供する。伝熱面は、熱を、当該伝熱面に熱的に結合された伝熱媒体から氷に伝達する。前記氷が前記作動流体よりも密度が低い本発明の態様によれば、伝熱面は、前記氷が形成されるキャビティの領域または入口の上方(重力場に関して)に配置される。前記氷が作動流体よりも密度が高い本発明の態様によれば、前記領域の下方に配置される。
【0007】
本発明の関連する態様は、伝熱媒体が例えばイソブタンなどの流体である、例えば上述したようなシステムおよび方法を提供する。
【0008】
本発明のさらに関連する態様は、伝熱媒体が伝熱面を通って流れ、前記氷と熱を交換する、例えば上述したようなシステムおよび方法を提供する。これは、本発明のいくつかの態様によれば、伝熱面のチャネルを介して行うことができる。
【0009】
本発明の他の態様は、外部に配置されているがキャビティと流体結合しているポンプ移送可能な製氷機を含み作動流体から氷を作製する、例えば上記のようなシステムおよび方法を提供する。ポンプ移送可能な製氷機は、その作動流体をキャビティの出口から取り出し、得られた氷を前述の領域のキャビティ入口を介してキャビティに注入することができる。本発明の関連する態様では、ポンプ移送可能な製氷機は、前記氷を、氷と作動流体のスラリーの一部として生成する。
【0010】
本発明のさらに他の態様は、重力場を横断するキャビティの前述の領域内に配置されたコールドプレートを利用し氷を形成する、例えば上述のようなシステムおよび方法を提供する。本発明の関連する態様では、そのコールドプレートを加熱して氷の蓄積を解放し、それによってその氷をキャビティの作動流体内に解放することができる。
【0011】
本発明の関連する態様は、作動流体が水である、例えば上述したようなシステムおよび方法を提供する。
【0012】
本発明のさらに他の態様は、氷が作動流体よりも密度が低い場合、伝熱面がキャビティ内の作動流体の表面よりも下方に配置され、そうでない場合、キャビティの底より上方に配置される、例えば上述のようなシステムおよび方法を提供する。本発明の関連する態様によれば、伝熱面は、少なくとも1つの凹部を含み、作動流体中に浮遊する作動流体の氷を捕捉する。これにより、氷が作動流体よりも密度が低い場合、前記氷が作動流体の表面に到達するのが防止され、そうでない場合(つまり、前記氷がより密度がある場合)、前記氷がキャビティの底に到達するのを防止する。
【0013】
本発明のさらに他の態様は、(i)前記氷がキャビティ内で凝集するチャージモード、および(ii)伝熱媒体からの熱が凝集した氷に伝達されて、伝熱媒体を冷却し、前記氷を作動流体に変換する放出(discharging)モードで動作可能である、例えば上述したようなシステムおよび方法を提供する。
【0014】
本発明の上記および他の態様は、図面およびこの要約に続く議論において明らかである。
【0015】
図面を参照することにより、本発明をより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、外部ポンプを介してキャビティに固相材料が供給される、本発明の実施形態の断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態において伝熱面として使用することができる構造化材料であるアルミニウムマイクロチャネルの図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態において蓄熱器の外部固相ポンプおよび熱源への接続を示すシステムフロー図である。
【
図4】
図4は、凝縮面上に形成された固相材料がキャビティに供給される、本発明の一実施形態の断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態において凝縮面上に固相材料を形成するためのサイクルを示す。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態において
図4の蓄熱器と加熱源および冷却源との相互運用性を示すシステムフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
概要
本発明によるエネルギー貯蔵システムは、エネルギーを消費して作動流体をその固体または「氷」の形態に凍結し、その後、その氷を使用して伝熱媒体から熱を抽出する。このシステムは、重力と作動流体の液体および固体(氷)形態の相対密度を利用して、キャビティ内で氷を移動させ、熱がそこから抽出されるように、融解する氷を伝達媒体と熱的に接触させたままにする。
【0018】
本発明によるシステムは、非限定的な例として、産業用、商業用および住宅用の冷却に適用され、夜間および他のオフピーク時に利用可能な過剰な電気エネルギーを使用して、作動流体を氷に凍結することができる。その後、ピーク時に設備、材料、または建物や住宅の環境空気を冷却するために使用される。本発明によるシステムは、例えば電気エネルギーから氷を生成し、同時に、産業用、商業用および/または住宅用システムから熱を抽出するために氷を使用する用途にも使用することができる。
【0019】
実際には、本発明によるシステムは、作動流体を収容するためのキャビティ、キャビティを横切って配置されて氷を捕捉し、伝熱媒体からの熱の吸収を確実にする伝熱面、およびその氷をキャビティ内の作動流体から生成するメカニズムを有する。2つのそのようなメカニズムが以下の実施形態で説明されるが、本発明は他のメカニズムを企図する。第1に、固相材料または氷が、作動流体を凝縮する外部システムからキャビティに送り込まれる。(ここで、および以下の議論では、作動流体の氷または固相の形成は、代わりに「凍結」または「凝縮」と称す)。第2のメカニズムでは、作動流体はキャビティ内の表面上に凝縮される。適当な量の固相材料が生成されると、その表面をわずかに加熱することによってそれが放出される。このプロセスは、十分な量の固体材料を生成するために何度でも繰り返すことができる。
【0020】
両方のメカニズムにおいて、伝熱面は、キャビティ内に配置され、(i)固相が作動流体に浮いたり沈んだりする(作動流体とその氷の相対密度によって異なる)ときに伝熱面が固相を捕捉して収容し、(ii)固相が融解するときに伝熱面が固相と接触したままになる、ように成形される。固相がキャビティ内の周囲の液体の作動流体よりも高密度である実施形態では、伝熱面は、固相が形成される場所または入口の下方にある。固相の密度が低い場合(例えば、水が作動流体として機能する実施形態の場合)、伝熱面は、固相が形成される場所または入口の上方にある。伝熱面をそのように配置し、例えばその面をカッピングする(またはそうでなければ凹部を設ける)ことによって、融解する氷は伝熱面と連続的に接触したままになり、それによって当技術分野で連続接触融解として知られているプロセスを通じて伝熱率を増加させる。
【0021】
固相材料を貯蔵し、熱エネルギーを吸収して固相材料を液相に変換する、本発明によるそれらの動作のシステムおよび方法を以下に説明し、図面に示す。用途に応じて、これらのシステムを操作して、固相材料を融解するための熱エネルギー(例えば、産業、商業および/または住宅システムから)の吸収と同時に、または熱エネルギーの吸収とは無関係に、キャビティ内に固相材料を形成することができる。
【0022】
本発明による熱エネルギー貯蔵および回収システムの利点には、低コストで大量の熱を吸収すること、および熱源と貯蔵システムとの間の温度差が小さいことが含まれる。これらの特性は両方とも、非限定的な例として、熱機関からのエネルギー生成に望ましいものであり、生成されたパワーに比例して熱を排出する必要があり、そのような機関の効率は温度差が減少するにつれて増加する。
【0023】
このような機関と組み合わせて使用する場合、本発明によるシステムは、固体材料を凍結するために使用される電気エネルギーを貯蔵し、次にそのエネルギーを放出して熱機関のパワー出力を増加させるものとして最もよく理解される。このプロセスの往復効率は、熱力学的原理で要求されるように100%未満であるが、電気エネルギーの生成が安いときに電気エネルギーが貯蔵され、発生源が不足しているときに(外部熱機関を介して)電気エネルギーが取り出されることができるようにすることで、貯蔵システムは依然として貴重な目的を果たす。
【0024】
図面を参照すると、
図1~6に示され以下に論じられるエネルギー貯蔵システムの構成要素は、配管、導管、チューブまたは当技術分野で知られているタイプの他の構造によって結合される。当技術分野で知られているタイプの他の構造は、流体経路(または回路)を画定し、図面に示され以下に説明する経路に沿って作動流体および伝熱流体を運ぶのに適している。経路とそれらの構造は、
図1および
図4にチューブとして描かれ、
図3および
図6に慣習に従って実線および方向矢印で描かれている。
【0025】
図1は、容器100を含む本発明によるシステムの切断図であり、その内部は、それぞれパイプ110および220によって供給される入口および出口を有するキャビティ120を画定し、その中に伝熱面160が配置される。容器100はまた、1つ以上のヘッダー150、210、支持体170、パイプ110、130、220、および図面に示され、以下で説明されるタイプの他のインフラストラクチャを含むことができる。伝熱面160、支持体および支柱170~190、ならびにヘッダー150、210は、図示の実施形態ではキャビティ120および容器100内に完全にではなくても大部分が収容される別個の構造として図面に示されているが、他の実施形態は、これらの点のうちの一つ以上が変化し得る。例えば、これらの要素150~210の1つ以上は、容器100および/若しくはキャビティ120の少なくとも部分的に外部に配置され得、並びに/またはそれらと一体化され得る。同様に、パイプ110、130、および220は、図示の実施形態では大部分がキャビティ120および容器100の外側に配置された別個の構造として図面に示されているが、他の実施形態は、これらの点の1つ以上において変化し得る。例えば、これらの要素110、130、および220の1つ以上は、容器100に一体化され得、並びに/又は、容器および/若しくはキャビティ120内により完全に配置され得る。上記は、
図4の実施形態における同様の構成要素および構造についても同様に当てはまる。
【0026】
容器100は、内部に含まれる構成要素の構成を明らかにするために前面が切り取られてここに示され、例えば、図面に示されるように製造され、金属、プラスチック、セラミック、および/または他の適切な材料を含むことができる。他の適切な材料は、作動流体Fおよび要素110、130~220の1つ以上を収容するのに適したキャビティ120を画定するために、本明細書の教示に従って適合されるものとして当技術分野で知られている材料である。動作において、容器100のキャビティ120は、液体のレベルが面160より上方にあるように、作動流体(その液体形態単独の状態又はその固体形態との組み合わせの状態)で十分に満たされる。
【0027】
図示の実施形態の作動流体は水である。しかしながら、他の物質、特に、図示されたシステムの動作範囲内で相変化を経験する物質を、本明細書の教示から明らかなように、そのような目的のために使用し得ること、代わりにまたは追加で使用され得ることを、当業者は理解するであろう。以下の説明では、作動流体は便宜上「水」と呼ばれることが多いが、(前述のように)他の物質を同様に、または追加で含んでもよい。同様に、その流体の凝縮または固体形態は、それが水または別の作動流体組成物の固相であるかどうかに関係なく、「氷」と呼ばれることが多い。
【0028】
パイプ110、130は、本明細書の教示に従って、液体および/または固体形態の作動流体をキャビティ120へおよび/又はキャビティ120から搬送するように適合された、導管(conduit)、パイプ(piping)、配管(tubing)、または当技術分野で知られているタイプの他の構造(まとめて「パイプ」)を含む。これらのパイプは、金属、プラスチック、セラミック、および/またはそのような目的に適した当技術分野で知られている他の材料を含むことができ、すべて本明細書の教示に従って適合される。
【0029】
パイプ110は、容器110に物理的に結合され、例えば、図面に示されるように、キャビティ120に流体的に結合され、ポートを画定する。作動流体とその氷のスラリー(「ポンプ移送可能な氷」として知られる)が、そのポート通ってキャビティ120へ注入される。作動流体の密度がその氷(または固体形態)の密度よりも大きい実施形態では、パイプ100は容器100およびキャビティ120に結合され、スラリーが伝熱面160の下方の領域Rに注入されるようになっている。これにより、動作のチャージ段階中に領域120に含まれる作動流体内でそれが上昇する際に、注入スラリーの氷成分が横方向に配置された伝熱面160によって捕捉および収容され得ることが保証され、それによって、本明細書の別の場所で説明するように、放出段階中の連続接触融解を容易にする。逆に、作動流体の密度がその氷の密度よりも小さい実施形態では、パイプ100は容器100およびキャビティ120に結合され、スラリーが伝熱面160の上方の領域Rに注入されるようになっている。これは同様に、領域120に収容される作動流体内にそれが沈むとき、注入スラリーの氷成分が面160によって捕捉および収容され得ることが保証され、それによって連続接触融解を容易にする。本明細書および本明細書の他の箇所で使用される「上方」、「下方」、「上昇」、「沈む」などの用語は、システムが配置される重力場Gに対する方向性および/または相対位置を定義するために慣例に従って使用される。
【0030】
例えば、パイプ110を通って容器100に入るスラリーによって押しのけられたときに、作動流体がキャビティ120および容器100から排出されるポートを画定するために、パイプ130は、容器110に物理的に結合され、キャビティ120に流体的に結合される。パイプ110が備えるポートと同様に、パイプ130が備えるポートは、作動流体がその氷よりも密度が高い実施形態では、例えば伝熱面160の下方の領域Rに配置される。そうでなければ、パイプ130が備えるポートは、面160の上方に配置される。パイプ130は、キャビティ120を、ポンプ移送可能な製氷機に、および/または
図3に示し以下に説明するように外部流体回路の一部を形成する他の装置に、流体的に接続する。
【0031】
伝熱面160は、重力場Gを横断するキャビティ120内に配置される。伝熱面160は、作動流体内に浮遊し、面160によって捕捉された氷に、面160に熱的に結合された伝熱媒体からの熱を伝達する。他で述べたように、氷が作動流体よりも密度が低い場合、伝熱面160は、氷がキャビティ120に注入される領域Rの上方に配置される。そうでない場合は、それはその領域Rの下方に配置される。本明細書で使用する用語「横断(transverse)」は、横切ることを意味し、例えば「水平(aligned)」という用語と対比して使用される。図示の実施形態では、伝熱面は、重力場に対して水平である、より一般的には、重力場に対して斜めの角度で配置されているという意味で横断であり、したがって、氷がシステムの動作のチャージ段階で作動流体中で上向き(または下向き)に浮くときに伝熱面は氷を捕捉し、融解または動作の放出段階中に伝熱面は氷との接触を維持する。
【0032】
前述の領域における氷注入の捕捉を容易にし、それが作動流体の表面(または、氷が作動流体よりも密度が高い場合はキャビティの床)に到達するのを防止するために、面160は、領域Rに向かって開いている1つ以上の凹面(または他の凹部)を含むことができる。図示の実施形態では、これは、領域Rの方向に伝熱面160をカッピングすることによって達成される。氷の捕捉をさらに容易にし、氷が伝熱面160との熱的な接触を確実に維持するために、その面160は、氷が作動流体より密度が低い場合、好ましくはキャビティ160内の作動流体の表面の下方に配置され、そうでない場合、キャビティ120の底の上方に配置される。
【0033】
図示の実施形態では、面160は押出しアルミニウムを含むが、代わりに、またはそれに加えて、他の金属、または、プラスチック、セラミック、複合材、および/または本明細書の教示に従って適合される当技術分野で知られている他の適切な材料などの他の材料を使用することができる。しかしながら、固体作動流体(氷)と伝熱物質との間の伝熱を確実にするために、伝熱性材料が好ましい。例示の実施形態では、伝熱性材料はイソブタンなどの液体であるが、液体、気体および/または固体は、本明細書の教示を考慮して当業者の理解の範囲内である。
【0034】
氷と伝熱物質(または、より具体的には伝熱流体)との間の伝熱を促進するために、図示の実施形態の伝熱面160は、平面構成で配列された複数の平行チャネルを備える。図示の実施形態では、平行チャネルは、アルミニウムの押し出しによって形成されるが、代わりに、またはそれに加えて、他のチャネル形成技術が使用される。押し出しアルミニウム管の一例を典型的な寸法とともに
図2に示す。また、
図2において、アイテム230は、材料の長さ全体に延びる押し出しアルミニウム内に形成されたチャネルである。アイテム240は、空のチャネルを区切る連続したアルミニウム構造である。
【0035】
図示の実施形態のサポートおよび他のインフラストラクチャは、図面に示され、以下で説明される。これは非限定的な例によるものであり、支持体/インフラストラクチャの他の構成は、本明細書の教示を考慮して当業者の範囲内にあるように、代わりに、または追加で使用され得ることを理解されたい。図示のパイプ140は、貯蔵システム100を、伝熱流体用の外部流体回路に接続する。伝熱流体は伝熱面を通って循環する。パイプ140はヘッダー150で終わる。ヘッダー150は、パイプ140からの伝熱流体を伝熱面160の幅にわたって分配して、伝熱流体の均一な流れを可能にする。
図1に戻ると、伝熱面160は、水平支持体170に機械的に接続されている。この面は、支持体170の下を包み込み、反対側に現れる。当該反対側では伝熱面がキャビティ120に対する上部境界面として機能する。水平支持体170は、支柱180および190に機械的に接続される。これらの支柱により、水平支持体170は、面160の下に捕捉された固相材料からの垂直浮力に抵抗することができる。水平支持体および垂直支柱の同様の構成を使用して、伝熱面160の反対側を支持する。伝熱面160は、160からの伝熱流体の流れを単一の管に統合するヘッダー210に接続する。ヘッダー210は、作動流体を循環させるための外部ポートを提供するパイプ220に接続する。
【0036】
図1の蓄熱システムの動作は、
図3に関連して以下に論じられる。
図3は、蓄熱器がその一部を形成することができる例示的な流体回路の外部接続、構成要素、およびそれらの構成要素を通る流れを示す。
【0037】
これらの構成要素、より一般的には、本明細書の図面に示されるポンプ、バルブ、および他のアクティブな構成要素の本明細書で説明する方法での動作、例えば、システム100をチャージまたは放出する目的での動作は、オペレータ(図示せず)によって「手で」、機械によって、例えば、デジタルデータ処理装置、PLCもしくは他の制御装置またはそれらの組み合わせ(図示せず)によって、或いは、人と機械の組み合わせによって、すべて、本明細書の教示に従って適合される当技術分野における慣習に従って行われることができる。
【0038】
システム100をチャージするプロセスは、パイプ130を介してキャビティから受け取った作動流体を凝縮させて氷、より具体的には氷/流体スラリーにするポンプ移送可能な氷システム250から始まる。この目的のために、ポンプ移送可能な氷システム250は、電力によって駆動されてもよいが、他の実施形態では、代替形態のパワーが使用されてもよい。実際、余剰の氷が利用可能な環境では(例えば、他のプロセスの副産物として、自然またはその他に)、氷を作成するためにポンプ移送可能な氷システムなどを使用する代わりに、その氷を使用する場合がある。
【0039】
とにかく、ポンプ移送可能な氷システムは、標準的なポンプ技術で運ぶことができる氷と水の混合物を生成する市販の製品である。当業者は、キャビティ120に再導入するために作動流体から氷を発生するために、図示のポンプ移送可能な氷システム250の代わりに、またはそれに加えて、他の構成要素または複数の構成要素の組み合わせを使用できることを理解するであろう。図示された実施形態では、ポンプ移送可能な氷システムは、ポンプ260に接続する。ポンプは、氷と水の混合物を、蓄熱器への入口であるパイプ110に運ぶ。パイプ110は、氷/水の混合物を、
図1に示した蓄熱器100に運ぶ。
図3のパイプ110は、
図1のパイプ110に対応することに留意されたい。氷/水の混合物が蓄熱器100、より詳細にはそのキャビティ120に送り込まれると、流体は、
図3のパイプ130を通して蓄熱器から出る。
図3のパイプ130は、
図1のパイプ130に対応することに留意されたい。パイプ130は、
図3のポンプ移送可能な氷システム250に戻るように接続し、流体回路を完成させる。
【0040】
蓄熱器に熱を蓄積するため、または別の言い方をすればシステムを放出するために、集熱システム270は外部ソースから熱を吸収し、それを流体回路の構成要素270、280、および100を通って循環する伝熱流体に伝達する。外部ソースは、前述のように、産業用、商業用、またはその他の場合があり得る。前述のようにイソブタンまたはその他を含む伝熱流体は、集熱システム270を出て、ポンプ280に入る。ポンプは、パイプ140を通して伝熱流体を蓄熱器100に運ぶ。
図3のパイプ140は、
図1のパイプ140に対応する。それは伝熱流体を蓄熱器に導き、そこで熱エネルギーを蓄積して固相材料を融解する。伝熱流体は、
図1のパイプ290に対応するパイプ290を通って蓄熱器100を出る。そこから、伝熱流体は熱収集システム270に戻り、流体回路を完成させる。
【0041】
図3に関連して示した2つのサイクルの組み合わせは、蓄熱器内に固相材料をチャージし、熱エネルギーを蓄熱器内に放出する方法を提供する。
【0042】
別の実施形態が
図4に示される。この実施形態は、以下で議論される差異を条件として、上述の
図1のものと同様に構築され動作する。
【0043】
図4の実施形態では、固相材料は、
図1のようにキャビティに送り込まれるのではなく、作動流体を凝縮面上に凝縮することによって発生する。
図4は、キャビティ、伝熱面、および凝縮面を取り囲む容器の断面図である。上記のように、中身が見えるように前面が取り除かれている。この実施形態では、容器100は、伝熱面420より上方のレベルまで作動流体Fで満たされている。
【0044】
この実施形態では、凝縮面は貯蔵システムのための固相材料を生成する。次に、凝縮面に使用される構成要素について説明する。パイプ310は、蓄熱器を伝熱流体用の外部回路に接続し、流体を容器100の壁を通してヘッダー320に運ぶ。ヘッダー320は、凝縮面330の幅にわたって伝熱流体の流れを分配する。この実施形態では、凝縮面330は、
図2に示され上記で説明した種類のアルミニウムマイクロチャネルのストリップから構成される。凝縮面は、水平支持体340の下を包み込み、キャビティ370の下面を形成する。凝縮面330は、ヘッダー380に接続する。水平支持体340は、支柱360および350によって支持される。ヘッダー380は、凝縮面からの伝熱流体を統合し、パイプ390にそれを運ぶ。パイプ390は、伝熱流体を容器100の壁を通して外部流体回路に導く。
【0045】
ここで伝熱面の構成要素に移ると、パイプ140は、伝熱面のための伝熱流体を蓄熱器に導く。それはヘッダー410に接続する。ヘッダー410は伝熱面の幅に沿って伝熱流体を分配する。ヘッダーは、伝熱面420に接続する。この実施形態では、伝熱面420も、
図2に示されるような押出マイクロチャネル材料から構成される。伝熱面は、水平部材430によって上方から支持される。伝熱面はまた、キャビティ370上に延在し、固相材料を含む表面を形成する。
【0046】
支持構造物およびインフラストラクチャに目を向けると、水平部材430は支柱350および360によって所定の位置に固定される。これらの支柱は、水平部材430を構造的に支持して、固相材料によって伝熱面420に加えられる浮力に抵抗する。伝熱面は、水平支持体と一対の支柱との同様の組み合わせによって反対側で支持される。面はヘッダー450に接続する。ヘッダー450は、伝熱面からの伝熱流体の流れを統合する。これは、パイプ220に接続する。パイプ220は、伝熱流体を蓄熱システムから運び出す。これは、伝熱流体を供給する外部流体回路の接続点を与える。
【0047】
この実施形態における固相材料を製造するためのチャージ段階の動作ステップを
図5に示す。
【0048】
チャージ段階では、システムの幾何学的限界によってのみ含まれる伝熱面の下に、任意の量の固相材料を蓄積できるようにするステップのサイクルを通じて生成が進められる。
【0049】
サイクルは、凝縮面330上に材料がなく、伝熱面420が蓄積された固相材料430を有する可能性があるステップ(a)から始まる。
図5の凝縮面330は、領域Rにある
図4の凝縮面330の部分に対応することに留意されたい。同様に、
図5の伝熱面420は、浮氷を捉える領域Rの上方の
図4の伝熱面420の部分に対応する。
【0050】
図5に戻ると、サイクルはステップ(b)に進む。ステップ(b)では、材料の凝固点未満の温度で伝熱流体を凝縮面を通して循環させることにより、凝縮面に氷床440が形成される。固相材料が面で発達すると、熱は蓄積された固相材料を通して伝導しなければならないので、作動流体から伝熱流体への伝熱は減少し始める。好ましい実施形態では、この蓄積は、凝縮面上の約1cmの固体氷材料に制限される。その厚さに達すると、サイクルはステップ(c)に進む。このステップでは、循環する伝熱流体の温度が、固相の融点を超えるレベルまで上昇する。凝縮面と蓄積された固相層450との間の界面で融解が起こる。層が十分に融解すると、固相材料はその浮力のために凝縮面から離れ、作動流体を通って上昇し、伝熱面の下で静止するようになる。
【0051】
蓄積された固相材料は、サイクルのステップ(d)においてアイテム460として示されている。サイクルのこの段階では、作動流体の凝固点よりも低い温度で供給される伝熱流体の作用によって、凝縮面の温度が低下する。
【0052】
凝縮面がその初期温度に戻ると、サイクルはステップ(a)に戻り、十分な固相物質が蓄積するまで繰り返す。
【0053】
図5のサイクルを実施するために必要なシステム構成要素および相互接続は、
図6の概略図に示されている。この図に示される蓄熱器100は、
図4に示される蓄熱器の実施形態のものに対応する。上記のように、図示された構成要素の動作は、オペレータ(図示せず)によって「手で」、機械によって、例えば、デジタルデータ処理機、PLC若しくは他の制御装置、またはそれらの組み合わせ(図示せず)によって、或いは、人間と機械の組み合わせによって、すべて、本明細書の教示に従って適合される当技術分野における慣習に従って行われることができる。
【0054】
蓄熱器の伝熱面への熱の伝達から始まり、冷却された伝熱流体はパイプ220を通って蓄熱器から出る。これは、
図4においてアイテム220として図示された同じパイプである。
図6に示す実施形態では、パイプ220はポンプ570に接続する。ポンプは流体の圧力を高め、それを熱源580に送る。図示の実施形態では、流体はポンプに入るときに液体であるとされる。
【0055】
熱源580は、伝熱流体の温度を上昇させる。この実施形態では、熱源は高温蓄熱ユニットである。ボイラー、または、蒸気などのプロセス流体から廃熱を除去するための熱交換器を含む他の実施形態も可能である。流体は、タービン590に向かう途中で熱源を出る。好ましい実施形態では、流体は超臨界状態にある。他の実施形態では、流体は、過熱された気体状態または混合相であり得る。
【0056】
タービン590は、加熱された伝熱流体を取り込み、圧力を下げることによって流体から機械的仕事を抽出する。これにより、同時に流体の温度が低下する。当技術分野における実務者は、流体から機械的仕事を抽出するために、直列の組み合わせ、並列の組み合わせ、または両方の状態の複数のタービンを使用できることを理解するであろう。好ましい実施形態では、流体は、タービンを出て蓄熱器100に入るときに低圧ガス状態にある。
【0057】
蓄熱器では、ガスの気化潜熱は、蓄熱器の伝熱面に接触する固相材料を融解することによって抽出される。熱の抽出により、伝熱流体が液相に凝縮する。伝熱流体は、パイプ220を通って蓄熱器から出て、流体回路を完成させる。
【0058】
前述のサイクルと併せて、固相材料を生成するためのサイクルを同期または非同期で動作させることができる。このサイクルのステップは、
図5に示されていた。対応する流体回路は、
図6に示されるパイプ390から始まる。このパイプは、同様に
図4のパイプ390に対応する。パイプ390を通って運ばれる伝熱流体は、バルブ500および560に接続する。
【0059】
図5に示されるサイクルの最初のステップ(d)、(a)および(b)を考える。これらのステップの間、バルブ500および460は開いており、バルブ560および530は閉じたままである。この構成では、構成要素480、490、500、510、および520は、伝熱流体の温度を下げるために、ヒートポンプの原理に従って動作する。伝熱流体は、バルブ500を通ってこれらの構成要素に入り、バルブ460を通って出る。この実施態様では、バルブ500を出る伝熱流体は気体状態にある。
【0060】
バルブ500を出た流体は圧縮機490に入る。圧縮機では、ガスの圧力と温度が上昇する。圧縮機490から、流体は熱交換器480に入る。
【0061】
熱交換器480は、流体を圧縮機490から減圧器470に送る。さらに、熱交換器は流体から熱を除去する。好ましい実施形態では、流体は、熱交換器を通過するときに気体状態から液体状態に凝縮する。流体からの熱は、熱交換器を介して、熱交換器内の独立した第2流体経路を通って循環する第2流体に伝達される。この経路は、熱交換器480、ポンプ520、およびヒートシンク510で構成される。これらの構成要素が一緒になって、圧縮機490を出て減圧470に入る流体から熱を除去する流体回路を形成する。
【0062】
ヒートシンク510は、冷却塔、受動ラジエータ、または水域(body of water)を含む、当業者に知られている任意の装置の1つとすることができる。
【0063】
熱交換器を出て減圧器470に入る液相流体に戻る。図示の実施形態の減圧器はエネルギー回収タービンである。キャピラリーチューブや調整可能なバルブなど、他の選択も可能である。減圧器を出る流体は、バルブ460に入る。
【0064】
上述のように、バルブ460は、
図5に記載されたサイクルの部分(d)、(a)、および(b)の間、開いたままであり、この間、バルブ530は閉じたままである。したがって、流体はバルブ460からパイプ310に導かれ、そこで蓄熱器に入る。
図6のパイプ310は、
図4のパイプ310に対応する。
【0065】
蓄熱器の内部では、伝熱流体が蓄熱器内の作動流体から熱を吸収する。この実施形態では、熱は伝熱流体を完全に蒸発させる。得られた気相材料は、パイプ390を通って蓄熱器を出て、それによって、
図4の段階(d)、(a)、および(b)の流体回路を完成させる。
【0066】
図4のサイクルのステップ(c)については、バルブ460、500、530、および560は反対の状態に構成されている。すなわち、バルブ460および500は閉じたままであり、バルブ530および560は開いたままである。ポート390を出る流体は、ここでバルブ560を通って流れる。
【0067】
バルブ560は、流体をヒーター550に導く。ヒーター550は、流体の温度を蓄熱器内の作動流体の融点より上のレベルまで上昇させる。この実施形態では、ヒーターは電気加熱装置である。別の高温源から熱を供給する熱交換器を含む他の装置も可能である。
【0068】
流体はヒーター550を出てポンプ540に入る。ポンプは流体をバルブ530に運ぶ。上記により、
図4のサイクルにわたってステップ(c)の間でバルブ530は開いたままであり、バルブ460は閉じたままである。したがって、流体は、バルブ530から蓄熱器に接続するパイプ310に循環する。
【0069】
図6に示されるパイプ310は、
図4のパイプ310に対応する。このパイプは、作動流体を蓄熱器に運ぶ。そこでは、
図6のヒーター550によって伝熱流体に供給される追加の熱が、伝熱流体に加えられる。
図5のステップ(c)に示すように、凝縮面上に形成された固相材料の一部を融解する。
【0070】
したがって、パイプ390を通って蓄熱器100を出る冷却された流体は、
図5のステップ(c)の流体回路を完成させる。
【0071】
図6の概略図に従ってシステムが構成され、
図5のサイクルに従って作動する場合、システムは、固相材料を生成する際に電気エネルギーを吸収する。次に、熱機関が作動すると、蓄熱器は、熱機関から排出された熱を吸収する固定された低温ヒートシンクを提供する。これにより、固相を生成するために使用された電気エネルギーのかなりの部分が、熱機関からのパワー出力の増加として回収される。この出力パワーは、機械エネルギーとして使用するか、発電機を介して電気エネルギーに戻すことができる。
【0072】
上で説明し、図面に示したのは、前述の目的を満たす動作のシステムおよび方法である。図示された実施形態は本発明の単なる例であり、本明細書に示され説明されたものとは異なる他の実施形態も本発明に含まれることが理解されるであろう。したがって、例えば、前述の例は、本発明による蓄熱および熱回収のためのシステムのいくつかの選択された構成要素を説明しているが、例えば、圧力および温度センサー、安全弁、配管およびフィッティング、フィルター、油分離装置、およびシステム内の構成要素の特定の選択の動作をサポートするために必要なその他の機器を含む他の構成要素が、図面に示され、上記で議論されたものの代わりに又は追加で、これらのシステムの流体経路に含まれてもよいことも当業者には理解されよう。さらに、「ポンプ」、「ポンプ移送可能な製氷機」などの構成要素はすべて、同様の機能を提供する代替デバイスによって実装できることを当業者は理解するであろう。
【国際調査報告】