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特表2023-536316光変調器、光変調器方法、およびスマートグレージング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(54)【発明の名称】光変調器、光変調器方法、およびスマートグレージング
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/167 20190101AFI20230817BHJP
   G02F 1/1685 20190101ALI20230817BHJP
【FI】
G02F1/167
G02F1/1685
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507485
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(85)【翻訳文提出日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 EP2021071346
(87)【国際公開番号】W WO2022029018
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】16/983,729
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521345408
【氏名又は名称】エルスター・ダイナミクス・パテンツ・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マサール,ロマリック・マチュー
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ミュレコム,ステーフェン
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101BA05
2K101BA07
2K101BC02
2K101EB82
2K101EB84
2K101EC12
2K101EC26
2K101EC72
2K101ED22
2K101ED61
2K101ED75
2K101EE02
2K101EK05
(57)【要約】
いくつかの実施形態は、透過性の基板、または透過性の基板と反射性もしくは部分的反射性の基板とを備える光変調器に関し、複数の電極は、基板にわたるパターンで基板に適用される。コントローラは、電極に向かうまたは電極からの粒子の電気泳動の動きをもたらす、電極間の電磁界を得るために電極に電位を適用してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 第1の基板および第2の基板であって、内側が互いに対向して配置され、複数の電極が第1および第2の基板のそれぞれの内側に適用され、複数の電極のそれぞれは基板にわたるパターンで配置され、複数の電極はそれぞれ、
- 基板にわたって第1の方向に延在する複数の主線であって、複数の電極の複数の主線は、基板上で互いに対して交互に配置される、複数の主線を備えている、第1の基板および第2の基板、
- 少なくとも第1の基板と第2の基板との間の光学層であって、
- 粒子を含む流体を備えており、粒子は、帯電している、または帯電可能であり、粒子は光を吸収または反射するように構成される、光学層、
- 基板上の電極に接続された少なくとも1つの電流検知回路であって、接続された電極の電流を測定するように構成される、電流検知回路、
- コントローラであって、
- 接続された電極における電流を示す少なくとも1つの電流検知信号を、少なくとも1つの電流検知回路から受信し、
- 少なくとも1つの電流検知信号から、および目標透過率または反射率から、複数の電極のための駆動信号を決定し、
- 複数の電極間の電磁界を得るために、駆動信号に従って複数の電極に電位を適用するように構成され、電磁界は、複数の電極のうちの1つに向かうまたは複数の電極のうちの1つからの粒子の電気泳動の動きをもたらす、コントローラを
備える、光変調器。
【請求項2】
ほぼ均衡された電解電流が得られるように、駆動信号が、複数の電極における交流(AC)として提供される、請求項1に記載の光変調器。
【請求項3】
駆動信号が、複数の電極における直流(DC)として提供され、電圧が、ほぼ均衡された電解電流が得られる程度に周期的に反転される、請求項1または2に記載の光変調器。
【請求項4】
第1の基板および第2の基板が透過性である、請求項1から3のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項5】
第1の基板および第2の基板のうちの一方が透過性であり、第1の基板および第2の基板のうちの一方が反射性または部分的に反射性である、請求項1から4のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項6】
複数の電流検知回路を備えており、それぞれの電極が、複数の電流検知回路のうちの対応する1つに接続される、請求項1から5のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項7】
コントローラが、
- 少なくとも1つの電流検知信号から光変調器の透過性レベルまたは反射性レベルを決定する
ように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項8】
コントローラが、
- 測定持続期間中に測定電位に従って電極のうちの少なくとも1つに電位を適用し、
- 測定持続期間中に電極に接続された少なくとも1つの電流検知回路から少なくとも1つの電流検知信号を受信し、
- 測定持続期間後に駆動信号に従って電極に電位を適用する
ように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項9】
電位が一定AC信号であり、全電極に対する測定持続期間中に電流を評価するために、全電極が一定AC信号で同時または連続的に駆動される、請求項8に記載の光変調器。
【請求項10】
コントローラが、電極における電流を周期的に測定するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項11】
外部温度、内部温度、および光学層の流体温度のうちの少なくとも1つを測定するように構成される温度センサを備えており、コントローラが、温度センサから温度信号を受信するように構成され、コントローラが、温度信号から電流測定周期性を決定する、請求項10に記載の光変調器。
【請求項12】
コントローラが、電極毎に駆動信号を決定するように構成され、第1の基板および第2の基板上の複数の電極のうちの少なくとも3つのための駆動信号は異なっており、異なる電位が少なくとも3つの電極に同時に適用されるようにする、請求項1から11のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項13】
コントローラが、光変調器の較正を行うために構成され、較正が、
- 最大透過率、および/もしくは最小透過率へ、ならびに/または最大反射率、および/もしくは最小反射率へ光変調器を駆動するために、複数の電極に電位を適用することと、
- 最大透過率、および/もしくは最小透過率、ならびに/または最大反射率、および/もしくは最小反射率に対応する少なくとも1つの電流検知回路から少なくとも1つの電流検知信号を受信することと
を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項14】
較正後の使用段階において、駆動信号が、使用段階で得られた少なくとも1つの電流検知信号、較正で得られた少なくとも1つの電流検知信号、および目標透過率または反射率とから決定される、請求項13に記載の光変調器。
【請求項15】
コントローラが、初めて光変調器をON状態にすること、閾値時間よりも長くOFF状態にした後に光変調器をON状態にすること、範囲外の電流、閾値時間内に達成されない透過性レベルまたは反射性レベルを測定すること、のうちの少なくとも1つのために較正するように構成される、請求項13に記載の光変調器。
【請求項16】
駆動信号を決定することが、電極のそれぞれに対する電圧、AC周波数、バイアス、波形形状、およびデューティーサイクルのうちの1つ以上を決定することを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項17】
目標透過率または反射率が、ユーザ入力および/または光センサからのセンサ信号から導出される、請求項1から16のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項18】
光変調器の目標透過率もしくは反射率が達成されたとき、または目標透過率もしくは反射率の閾値内にあるとき、コントローラが、
- 電極に適用される電位の振幅またはデューティーサイクルを低減させ、および/または
- 電流測定周期性を変更する
ように構成される、請求項1から17のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項19】
- コントローラが、光変調器の寿命を維持するように構成され、駆動信号を決定することが、さらに、前記寿命に依存し、および/または
- 光変調器が、外部温度、内部温度、および光学層の流体温度のうちの少なくとも1つを測定するように構成される温度センサを備えており、コントローラが、温度センサから温度信号を受信するように構成され、駆動信号を決定することが、さらに、温度信号に依存する、
請求項1から18のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項20】
駆動信号が、動的フィードバック制御アルゴリズムに従って決定される、請求項1から19のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項21】
駆動信号および/または測定信号が、最大で100Hzの周波数を有する、請求項1から20のいずれか一項に記載の光変調器。
【請求項22】
光変調器を提供することであって、光変調器は、
- 第1の基板および第2の基板であって、内側が互いに対向して配置され、複数の電極が第1および第2の基板のそれぞれの内側に適用され、複数の電極のそれぞれは基板にわたるパターンで配置され、複数の電極はそれぞれ、
- 基板にわたって第1の方向に延在する複数の主線であって、複数の電極の複数の主線は、基板上で互いに対して交互に配置される、複数の主線を備えている、第1の基板および第2の基板、
- 少なくとも第1の基板と第2の基板との間の光学層であって、
- 粒子を含む流体を備えており、粒子は、帯電している、または帯電可能であり、粒子は光を吸収または反射するように構成される、光学層、
- 基板上の電極に接続された少なくとも1つの電流検知回路であって、接続された電極の電流を測定するように構成される、電流検知回路
を備えている、ことと、
対応する電極における電流を示す少なくとも1つの電流検知信号を、少なくとも1つの電流検知回路から受信することと、
少なくとも1つの電流検知信号から、および目標透過率または反射率から、電極のための駆動信号を決定することと、
複数の電極間の電磁界を得るために、駆動信号に従って複数の電極に電位を適用するための駆動信号を光変調器に送信することとを含み、電磁界は、複数の電極のうちの1つに向かうまたは複数の電極のうちの1つからの粒子の電気泳動の動きをもたらす、
光変調器方法。
【請求項23】
プロセッサシステムによって実行されると、プロセッサシステムに、請求項22に記載の方法を行わせる命令を表すデータを含む一時的または非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、光変調器、光変調器方法、およびコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願第11/041579号、「Optically active glazing」、公開番号第US20050185104A1号は、知られている光学的アクティブグレージングを開示しており、引用により本明細書に組み込まれる。
【0003】
この知られているシステムは、ガラスまたはプラスチック材料などの透過性、または反射性もしくは部分的反射性の材料からなる2枚の平行板を備える。板間に画定された内部体積は、誘電性液体が充満された独立した複数の小体積または個別のセルに細分される。この液体は、誘電材料の粒子の浮遊物を含む。2枚の板の対向面は、相互に対向する電極を担う。これらの電極は、制御手段と関連付けられた電源に接続される。
【0004】
各板の電極は、対をなして相互に交互配置される櫛によって形成される。2つの交互配置された櫛の電極が、同じ極性または逆の極性の電圧を取ることができる。電極上に適切な電圧がある場合、透過または不透過のいずれかの外観をシステムに与えるために、粒子は、電極間の様々な場所に集められることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0185104号明細書
【特許文献2】米国特許第4680103号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この知られているシステムの欠点は、システムの光学的状態が駆動機に認識されないことである。この状態は、何らかの駆動信号が適用された時間量を追跡することによってある程度近似可能であるが、このアプローチの精度は低い。さらに、特にしばらくの間、パネルがOFF状態にある場合、パネルの状態は認識されない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
改善された光変調器を有することは有益である。基板上の電極に接続された少なくとも1つの電流検知回路を備える光変調器が提供される。この電流検知回路は、電流検知回路が接続される電極において電流を測定するように構成される。コントローラは、目標透過率または反射率を達成または維持するために、電流検知回路によって測定された少なくとも電流から電極用の駆動信号を決定する。興味深いことに、光変調器における帯電している粒子、または帯電可能な粒子の場所は、光変調器の光学特性ならびに電極における電流の両方を変化させる。電極における電流を測定することによって、光変調器の光学特性に関する情報が得られる。実施形態では、例えば、同一基板上の少なくとも2つの電極、特に、隣り合った電極のために、または対向する基板上の2つの対向電極のために、少なくとも1つの電流検知回路が設けられる。実施形態では、全ての電極は、対応する電流検知回路を有する。
【0008】
例えば、電流が電極において周期的に測定されてもよく、それによって、光変調器の透過率または反射率が変化するときに、駆動信号が適合され得る。
【0009】
光変調器は、光学変調器としても知られる。光変調器は、透過率または反射率が修正可能な透過性または反射性パネルを提供する。実施形態では、色または色の強さなどが変更されてもよい。光変調器は、カバー、例えばクローゼット、キャビネットなどの、例えば容器のカバーとして使用され得る。特に有益な用途は、スマートグレージングにおけるものである。スマートグレージングは、スマートウィンドウとも呼ばれる。
【0010】
実施形態では、各基板上に少なくとも2つの電極が存在するが、2つより多い電極が存在してもよい。例えば、少なくとも3つの電極が第1の基板および第2の基板のうちの少なくとも一方に適用されてもよい。例えば、実施形態では、2つの電極が第1の基板に適用され、3つの電極が第2の基板に適用されてもよい。実施形態では、少なくとも3つの電極が各基板に適用される。少なくとも2つの電流検知回路が少なくとも3つの電極に適用され得る。
【0011】
一方の基板が少なくとも2つの電極を有し、他方の基板が少なくとも3つの電極を有するシステムは、様々な利点を有する。例えば、そのような光変調器は、いわゆるカーテン効果が低減されるように駆動され得る。このカーテン効果は、窓を閉めている(すなわち暗状態、不透過状態、または非透過状態に移行する)間に生起し、カーテンが電極間で引かれるように見える。本質的に視覚的に気を逸らすものであるため、このカーテン効果は欠点であり、回折も増加させる。3電極を有する側では、電極を、2電極を有する側よりも近づけることができ、例えば50ミクロン未満、より好ましくは40ミクロン未満、例えば35ミクロン近づけることができる。これは、電界がより強いことを意味する。それに応じて、閉めるのがより速く、カーテン効果が低減される。2+2電極パネルが電極を共に近づけるように移動させると、最大透過率または反射率の低減につながるが、追加の電極が利用可能であるときは、これは回避される。開いているとき、追加電極のうちのいくつかは未使用な場合があり、したがって最大透過率または反射率の損失はわずかである。基板上の追加の電極、例えば2つより多い電極は、パネルを開いたときに粒子を引き付けないが、パネルを閉じたときには粒子を引き付けるように構成され得る。
【0012】
本発明のさらなる態様は、実施形態による光変調器を備えるビルである。本発明のさらなる態様は、実施形態による光変調器を備える自動車である。例えば、自動車および/またはビルは、光変調器と、光変調器の電極上の電圧を制御することによって光変調器の透過率または反射率を制御するように構成されるコントローラとを備えてもよい。コントローラは、光変調器に電気的に接続されるか、または接続可能である。
【0013】
光変調器およびスマートグレージングは電子デバイスであり、例えばコントローラによる制御の下で、電源によって駆動され得る。例えば、コントローラは、様々な透過もしくは反射効果、またはそれらの欠如を実現するために、特定の電極に特定の波形を適用するように、電源に命令し得る。
【0014】
この方法の実施形態は、コンピュータ実施方法としてコンピュータ上で、または専用ハードウェアにおいて、またはその両方の組合せにおいて実施されてもよい。この方法の実施形態の実行可能コードは、コンピュータプログラム製品に記憶され得る。コンピュータプログラム製品の例は、メモリデバイス、光学記憶デバイス、集積回路、サーバ、オンラインソフトウェアなどを含む。好ましくは、コンピュータプログラム製品は、このプログラム製品がコンピュータ上で実行されたときに本方法の実施形態を行うためにコンピュータ可読媒体上に記憶される非一時的プログラムコードを含む。
【0015】
実施形態では、コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムがコンピュータ上で走らされるときに本方法の実施形態のステップの全部または部分を行うように構成されるコンピュータプログラムコードを含む。好ましくは、コンピュータプログラムはコンピュータ可読媒体上で具現化される。
【0016】
さらなる詳細、態様、および実施形態が、図面を参照して例としてのみ説明される。図中の要素は簡略化および明確化するように図示されており、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。図において、既に説明された要素に対応する要素は、同一の参照符号を有する場合がある。図面は以下を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】光変調器の実施形態の例を概略的に示す図である。
図2a】基板の実施形態の例を概略的に示す図である。
図2b】基板の実施形態の例を概略的に示す図である。
図3a】コントローラの実施形態の例を概略的に示す図である。
図3b】コントローラの実施形態の例を概略的に示す図である。
図4a】電流検知回路の実施形態の例を概略的に示す図である。
図4b】電流検知回路の実施形態の例を概略的に示す図である。
図5a】光変調器を開けている実施形態の例を概略的に示す図である。
図5b】光変調器を開けている実施形態の例を概略的に示す図である。
図5c】光変調器を開けている実施形態の例を概略的に示す図である。
図6a】光変調器を閉じている実施形態の例を概略的に示す図である。
図6b】光変調器を閉じている実施形態の例を概略的に示す図である。
図7】光変調器を制御する実施形態の例を概略的に示す図である。
図8】光変調器を制御する実施形態の例を概略的に示す図である。
図9a】光変調器の実施形態の例を概略的に示す図である。
図9b】光変調器の実施形態の例を概略的に示す図である。
図9c】自動車の実施形態の例を概略的に示す図である。
図10a】光変調器の実施形態を概略的に示す図である。
図10b】光変調器の実施形態を概略的に示す図である。
図10c】光変調器の実施形態を概略的に示す図である。
図11】光変調器を制御する方法の実施形態の例を概略的に示す図である。
図12a】実施形態によるコンピュータプログラムを備える書き込み可能部分を有するコンピュータ可読媒体を概略的に示す図である。
図12b】実施形態によるプロセッサシステムの表現を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図2a-図6b、図9a-図10c、図12a-図12bにおける参照符号のリスト
以下の参照および略記のリストは、図面の解釈を容易にするために提供され、特許請求の範囲を限定するとして解釈されるべきではないものである。
10 光変調器
11 第1の基板
12 第2の基板
13、13a、13b 電極
14、14a、14b 電極
15 流体
16 コントローラ
30 粒子
20 自動車
21 光変調器
40 光変調器
41 第1の基板
42 第2の基板
43 第3の基板
46 コントローラ
100 光変調器
101-104 電極
111、112 基板
113 光学層
121-124 駆動線
131-134 電流検知回路
141-144 電流検知信号線
150 コントローラ
200 基板
201 第1の方向
202 第2の方向
210 第1の電極
211-213 主線
220 第2の電極
221-223 主線
310 コントローラ
330 プロセッサシステム
340 ストレージ
350 インターフェース
361 較正ユニット
370 制御ユニット
371 目標透過率ユニット
381 駆動機
382 電流検知インターフェース
383 センサインターフェース
390 光変調器パネル
391 センサ
401 抵抗器
411 電流検知回路
422 電流信号
431、432 バッファ
440 プログラマブルゲイン増幅器
441 電流信号
442 ゲイン信号
511-514 駆動信号
611-614 駆動信号
1000 コンピュータ可読媒体
1010 書き込み可能部分
1020 コンピュータプログラム
1110 集積回路
1120 処理ユニット
1122 メモリ
1124 専用集積回路
1126 通信要素
1130 インターコネクト
1140 プロセッサシステム
【0019】
本開示の主題は、多くの異なる形態の実施形態が可能であり、1つ以上の特定の実施形態が図面に示され本明細書で詳細に説明され、本開示は、本開示の主題の原理の例として考慮されるものであり、図示および説明される特定の実施形態に限定することが意図されない旨を理解されたい。
【0020】
以下において、理解のために、実施形態の要素が動作に関して説明される。ただし、それぞれの要素が、その要素によって実行されるとして説明される機能を実行するように構成されることが了解されよう。さらに、ここで開示されている主題は、実施形態だけに限定されるのではなく、本明細書で説明される、または互いに異なる従属請求項に記載の特徴のそれぞれの他の組合せも含む。
【0021】
図1は、光変調器100の実施形態の例を概略的に示す図である。
【0022】
光変調器100は、第1の基板111と、第2の基板112とを備える。第1および第2の基板は、内側が互いに対向して配置される。
【0023】
複数の電極が、第1および第2の基板のそれぞれの内側に適用される。断面図において、基板111の内側の電極101および102、ならびに基板112の内側の電極103および104が示される。複数の電極のそれぞれは、基板にわたるバターンで配置される。このようなパターンの例が以下で示される。図1において、2つの電極が2枚の基板上に示される。光変調器は、2枚より多い基板を有してもよく、基板は2つより多い電極を有してもよい。2つより多い電極を有することは遷移速度を増加し、光変調器の駆動を向上する。
【0024】
典型的に、多電極基板は他の多電極基板に垂直に整列されるが、これは必須ではない。例えば、視差効果を低減するためにオフセット配置が使用されてもよい。より多くの基板が基板111または112の上部または下部に積み重ねられてもよい。
【0025】
基板111と基板112との間には、光学層113が存在する。この光学層は、粒子が浮遊している流体を含む。この粒子は、帯電している、または帯電可能であり、光を吸収または反射するように構成される。反射は、拡散反射、鏡面反射、またはその中間でもよい。例えば3枚以上の基板を使用して複数の光学層が存在する場合、異なる層中の粒子は異なる光学特性を有してもよく、例えば、異なる波長で吸収または反射する。
【0026】
電位、例えば、電圧は、駆動線を通して電極に配置され得る。図1に示すように:電極101-104は、駆動線121-124にそれぞれ電気的に接続される。駆動線121-124は、特定の電圧を駆動線上に配置するように構成されるコントローラ150に接続され得る。この電位は、粒子の電気泳動の動きを発生させ、したがって、この電気泳動が光変調器100の光学特性、例えば、その透過率または反射率に影響する。
【0027】
光変調器の多くのパラメータは、用途の必要性に適合するように変更されてもよい。例えば、いくつかの用途は、とても暗くおよびより低い透過性のソリューションを必要とし、他の用途は、高透過性およびより暗いソリューションを必要とする。いくつかの用途のためにはエネルギー効率が重要であり、他の用途ではあまり重要ではない。いくつかの用途は高速遷移を必要とするが、他は高安定性を必要とする。これらの必要性は、例えば正しい流体、粒子、電極、および基板寸法などを選ぶことによって満たされ得ることが多い。このような多種多様なパネルを駆動することによって課題がもたらされるが、この課題はまた電流検知によって軽減される。実施形態では、単一コントローラ設計のハードウェアが多パネル型と共に使用され得る。電流測定によって、コントローラは、駆動信号をパネルに適合することが可能となる。
【0028】
光変調器100は、基板上の電極に接続された少なくとも1つの電流検知回路を備える。電流検知回路は、電流検知回路が接続される電極において電流を測定する。電極を通過する電流の量は、電極に対する流体中の粒子の位置に依存する。したがって、電極中の電流を測定すると、電極の近くの粒子数のインディケーションが得られる。粒子の位置によって、光変調器の光学的状態のインディケーションが得られる。それに応じて、1つの回路検知回路のみを有することは、全く有さないよりは好ましいが、パネルからより多くの情報を得るためには、より多くの回路検知回路が配置可能である。この場合、2つの電極間の電流が、測定された電流から算出され得るため、例えば、同一基板上の隣り合った電極、または対向する基板上の対向電極において少なくとも2つの回路検知信号を有することは有益である。さらにより好ましくは、図示されるように、回路検知回路は、各基板の各電極に接続される。図1に示すように:電流検知回路131-134は、それぞれ駆動線121-124に接続される。例えば、電流検知回路は、光モジュールを駆動するコントローラの一部でもよい。電流検知回路は、基板のうちの1つ以上の一部でもよい。例えば、光パネルは、基板間、例えば、光学層に電流検知回路を備えてもよく、電流検知回路は電極に電気的に接続されてもよい。
【0029】
電流検知回路は電流検知信号を生成し、電流検知信号は、例えば、対応する電流検知信号線141-144上でコントローラ150に送信される。コントローラ150は、少なくとも1つの電流検知回路から少なくとも1つの電流検知信号を受信するように構成される。図1に示すように:コントローラ150は、電流検知回路131-134から電流検知信号を受信するように構成される。この電流検知回路はコントローラ150の一部でもよく、この場合、電流検知信号線はコントローラ150の内部に存在してもよい。コントローラは、少なくとも受信した電流検知信号から電極のための適切な駆動信号を決定するように構成される。駆動信号は、複数の電極に適用される電位を示し得る。例えば、複数の電極に適用された電位は、複数の電位または単一の電位を含み得る。
【0030】
例えば基板111-112などの基板、例えば層113などの光学層、例えば電極101-104などの電極、および、場合によっては、例えば、線121-124などの駆動線の一部は、共に、光変調器100のパネル部分を構成する。コントローラ150は、パネルと一体となっていてもよいが、ワイヤなどを通してパネルと接続されてもよい。
【0031】
図2aは、基板200の実施形態の例を概略的に示す図である。基板200の表面にわたるパターンで配置される少なくとも2つの電極が存在する。図2aには、同一表面上の2つの電極:第1の電極210および第2の電極220が示される。例えば細粒度の制御を容易にするために、基板の同じ側に2つより多い電極が存在し得る。例えば、複数の電極は、例えば画素光変調器用などの画素基板を容易にするために使用され得る。以下で、2つの電極を有する実施形態が示されるが、例えば互いに隣り合った類似構造を複製することによって、これらの2つの電極に追加の電極が追加され得る。
【0032】
第1の電極210および第2の電極220は、基板の同一の側に対して適用される。これらの2つの電極は、基板にわたるパターンで配置される。例えば、3枚以上の基板の積み重ねを容易にするために、1つ、2つ、またはそれ以上の電極が基板200の他方の表面上に存在してもよい。電極を基板に適用することは、例えば電極パターンを表すマスクを使用してリソグラフィによって行われ得る。電極はまた、基板にその電極を埋め込むことによって適用され得る。
【0033】
第1の電極210および第2の電極220はそれぞれ、複数の主線を含む。図2aに示すように、第1の電極210は主線211、212、および213を備えており、第2の電極220は主線221、222、および223を備える。典型的に、各電極は、3本より多い線を備える。主線は、基板にわたって延在する。第1および第2の電極の複数の主線は、基板上に互いに対して交互に配置される。主線は、第1の方向201において基板にわたって延在する。第2の方向202でみると、主線は、異なる複数のものから、例えば第1および第2の電極における第1および第2の複数のものからそれぞれ交互に遭遇される。第1および第2の方向は、互いと角度をなし、典型的に、その角度はほぼ垂直である。第1および第2の方向はそれぞれ、基板の側部に平行でもよいが、これは必須ではない。
【0034】
基板200などの基板のための意欲的な用途は、例えば光変調器など、スマートグレージングにおけるものであり、家庭、オフィス、温室、自動車などで適用され得る。スマートグレージングの透過性または反射性のレベルは、電気的に構成され得る。例えば、スマートグレージングでは、基板200などの2枚の基板が積層される場合があり、それによって、2つの電極が適用される側部が互いに対向する。粒子を有する流体は、2枚の基板間に囲まれる。実施形態では、電極、例えば、2つ以上の電極が各基板の1つの表面に対して適用される。例えば、3つ以上の基板の積み重ねを容易にするために、1つ、2つ、またはそれより多い電極が基板200の他方の表面上に存在してもよい。
【0035】
交互の主線の2つのセットを有することは、電気的に構成可能なグレージングを提供するのに十分であり;その交互の2つのセットのため、基板の任意の部分の電界は、2つの対向電極が2つの対向する側からの部分に境界をつける場合に制御可能である。
【0036】
図2bは、実施形態による、電極パターンを有する基板の実施形態の2つの例を概略的に示す図である。図2bに示される実施形態は一定の縮尺であり、全電極パターン、例えば以下の相互嵌合パターンまで拡大され得る。一例として、図2bは、複数の主線の基本パターンが様々な特徴を用いてどのように拡張され得るかを示す。例えば、図2bにおいて、支線のパターンは、主線に接続される。そのような支線は必須ではないが、回折を低減する。他の可能な拡張は、主線において波を含むことである。
【0037】
図2bは、2つまたは3つの電極のために構成された基板の実施形態の例を概略的に示す図である。図2bの左は、「a」および「b」という文字が付された主線が同一の電極に属することを示す。「a」が印付けされた全ての線は電気的に接続されているが、これは図2bに示される電極パターンの詳細には示されておらず;「b」が付された主線も同様である。図2bの右は、「a」、「b」、および「c」という文字が付された主線が同一の電極に属することを示す。同じ文字が印付けされた全ての線が電気的に接続されている。異なる文字が印付けされた線は、電気的に接続されない。図5bの左の基板のうちの2枚は、2+2電極光変調器となるように組み合わされ得る。図5bの右の基板のうちの2枚は、3+3電極光変調器となるように組み合わされ得る。
【0038】
図3aは、コントローラ310の実施形態の例を概略的に示す図である。例えば、図3aのコントローラ310は、例えば、図1に示すような光変調器などの光変調器を制御するために使用され得る。コントローラ310は、コントローラ150のために使用されてもよい。コントローラ310は、プロセッサシステム330と、ストレージ340と、通信インターフェース350とを備え得る。ストレージ340は、例えば、ローカルハードドライブまたは電子メモリなどのローカルストレージを備える。ストレージ340は、また、例えばクラウドストレージなどの非ローカルストレージを備え得る。非ローカルストレージを備える場合、ストレージ340は、非ローカルストレージへのストレージインターフェースを備え得る。
【0039】
コントローラ310、例えば通信インターフェース350は、光変調器を制御するために光変調器と通信するように構成される。光変調器との通信は、例えば、パネルを駆動し、電流検知信号を含むセンサ信号を受信する電気配線を含み得る。コントローラ310において、通信インターフェース350は、アナログデータおよび/またはデジタルデータを送信または受信するために使用され得る。例えば、通信インターフェース350は:UART、SPI、I2C、CANなどのプロトコルのうちの1つ以上のために構成され得る。
【0040】
例えば、駆動信号および検知信号は、アナログでもよい。例えば、検知信号は、デジタルでもよく、例えば、デジタルに変換されてもよい。駆動信号は、デジタルでもよく、光変調器において局所的に実際の電圧レベルに変換され得る。
【0041】
コントローラ310は、コンピュータネットワーク上で、他のシステム、外部ストレージ、入力デバイス、出力デバイス、および/または1つ以上のセンサと通信し得る。このコンピュータネットワークは、インターネット、イントラネット、LAN、WLANなどでもよい。コンピュータネットワークは、インターネットでもよい。コントローラは、必要に応じて、デバイスの外部と通信するように構成された接続インターフェースを備える。例えば、この接続インターフェースは、例えば、イーサネットコネクタ、光コネクタなどの例えば有線コネクタ、または、例えばWi-Fi、4Gもしくは5Gアンテナなどの例えばアンテナなどの無線コネクタなどのコネクタを備え得る。
【0042】
コントローラ310の実行は、例が本明細書で示されている、例えば1つ以上のプロセッサ回路、例えばマイクロプロセッサなどのプロセッサシステムにおいて実施されてもよい。コントローラ310は、複数のプロセッサを備えてもよく、この複数のプロセッサは異なる場所にわたり分散され得る。例えば、コントローラ310は、クラウドコンピューティングを使用してもよい。コントローラ310は、または代わりとして、状態機械を備えてもよい。
【0043】
図3bは、プロセッサシステムの機能ユニットであり得る機能ユニットを示す。例えば、図3bは、プロセッサシステムの可能な機能組織のブループリントとして使用されてもよい。プロセッサ回路は、これらの図においてユニットから分離しているとは示されない。例えば、図3bに示される機能ユニットは、コントローラ310で、例えば、コントローラ310の電子メモリに記憶されコントローラ310のマイクロプロセッサによって実行可能であるコンピュータ命令において全体的または部分的に実施され得る。ハイブリッドの実施形態では、機能ユニットは、例えばコプロセッサとして部分的にハードウェアで実施され、コントローラ310上に記憶されおよび実行されるソフトウェアで部分的に実施される。
【0044】
図3bは、コントローラ310の実施形態の例を概略的に示す図である。コントローラ310は、光変調器パネル390を制御するように構成される。光変調器パネル390は、複数枚の基板を備えており、それぞれの基板は、基板上に対応する複数の電極と、基板間に囲まれた少なくとも1つの光学層とを有する。
【0045】
光変調器パネル390は、実施形態によるものでもよく、例えば、図1または図9a-図9cなどと関連して説明される通りでもよい。1つ以上の電流検知回路がコントローラ310に備えられてもよく;代わりとして電流検知回路が光変調器パネル390に備えられてもよい。好ましくは、光変調器パネル390またはコントローラ310は、複数の電流検知回路、例えば、光変調器パネル390において電極毎に1つの電流検知回路を備える。図3bには、また、パネル390と協働する光学センサ391が示される。センサ391は、本明細書でさらに説明されるように、追加のセンサ、例えば、温度センサまたは光センサを備え得る。
【0046】
コントローラ310は、駆動機381を含む。駆動機381は、電極間の電磁界を得るために、駆動信号に従って、光変調器パネル390の基板上の電極に電位を適用するように構成される。この電磁界は、電極に向かうまたは電極からの光変調器パネル390における粒子の電気泳動の動きをもたらす。例えば、駆動信号は、電極に直接適用され得る。例えば、駆動信号は指標であってもよく;例えば、駆動機381は、電極に適用する前に駆動信号を増幅してもよい。駆動機381は、電源に接続されてもよい。駆動機381は、コントローラ310に備えられる代わりにローカルパネル390でもよい。
【0047】
コントローラ310は、接続された電極における電流を示す少なくとも1つの電流検知信号を、少なくとも1つの電流検知回路から受信するように構成される電流検知インターフェース382を備える。例えば、電流検知インターフェース382は、全基板上の全電極から電流検知信号を受信し得る。例えば、図1に示される光変調器に接続される場合、電流インターフェース382は、電極101-104から電流検知信号を受信し得る。実施形態では、電流検知回路は、駆動機381と一体化しており、インターフェース382は、駆動機381から電流検知信号を受信し得る。電流検知信号は、アナログまたはデジタルでもよく;例えばインターフェース382、電流検知回路などにおいて、アナログからデジタルへ変換されてもよい。
【0048】
任意選択で、コントローラ310は、センサ391からセンサ信号を受信するように構成されるセンサインターフェース383を備える。センサ391は、パネル390上、パネル390内、またはパネル390近くに配置され得る。センサ391は、複数のセンサでもよい。
【0049】
コントローラ310は、任意選択で、較正ユニット361を備え得る。例えば、較正は、製造中にパネル390に対して行われてもよく、または類似する他のパネルに対してもさらに行われてもよい。ただし、較正ユニット361がコントローラ310に存在する場合により良好な結果が得られる。較正ユニット361をコントローラ310に有することの利点は、再較正が局所的に行われることが可能なことである。これは、光変調器パネル390の応答が時間の経過と共に変化し得るため、有益である。
【0050】
較正ユニット361は、駆動信号の受信時に光変調器パネル390の応答を決定するように構成される。例えば、較正ユニット361は、パネル390を知られている状態に駆動して、その知られている状態の電極の電流を測定してもよい。知られている状態は、センサ391を使用することによって得られてもよく、例えば、透過率センサは、パネルの透過率を測定するようにパネル390上に配置され得る。ただし、透過率センサがなくても、電位を電極に適用して光変調器を最大透過率または最小透過率に駆動することによって、知られている状態は得られてもよい。ある時間間隔、例えば、パネル390が最大透過率を達成する、または最小透過率を達成する時間を与えるように選ばれる所定の時間間隔だけ電位を適用後、電流検知信号は、複数の電流検知回路から得られてもよい。その結果、パネル390が知られている状態にあるときに、電極中の電流が得られる。同様に、他の例では、パネルの反射率を測定するために、反射率センサがパネル390上に配置されてもよい。ある時間間隔、例えば、パネル390が最大反射率を達成する、または最小反射率を達成する時間を与えるように選択される所定の時間間隔だけ電位を適用後、電流検知信号は、複数の電流検知回路から得られてもよい。
【0051】
使用中に、較正後、駆動信号は、使用段階で得られる電流検知信号、および、知られている状態の早期の較正段階で得られる電流検知信号から、ならびに、例えば目標透過率または反射率から決定されてもよい。
【0052】
パネル390が知られている状態にあるときの電極における電流のための較正値は、例えばパネル390が設置された後に、局所的に有利に得られる。例えば、パネル390は、ビルまたは自動車におけるスマートグレージングでもよい。興味深いことに、較正ユニット361は再較正を可能にする。例えば、コントローラ310は、様々な状況において光パネル390を較正するように構成され得る。例えば、光変調器を初めてON状態にしたときなどである。例えば、光変調器を閾値時間よりも多くOFF状態にした後にON状態にしたときである。例えば、範囲外の電流を測定したときである。例えば、閾値時間内で目標透過性レベルまたは反射性レベルを達成しない場合である。
【0053】
コントローラ310は、制御ユニット370を備える。制御ユニット370は、少なくとも1つの電流検知信号から、および目標透過率または反射率から、電極のための駆動信号を決定するように構成される。
【0054】
実施形態では、この駆動信号は、電極における交流(AC)を示す。駆動信号の振幅、周波数、またはバイアスは、異なる動作毎に異なってもよく;例えば、パネル390を閉める、開ける、または測定するとき、振幅、周波数またはバイアスは異なり得る。
【0055】
典型的に、駆動信号は、AC電流を示すが、駆動信号はDCバイアスの要素を含む場合があり、依然として駆動信号は電極材料の腐食を避けるように均衡させられることが好ましい。例えば、パネル390が第1の時間間隔だけDCにおいて駆動された場合、その後の第2の時間間隔で逆の極性で駆動されることが好ましく;第1および第2の間隔の長さまたはそれらの時間間隔で適用される電圧は同じである必要はない。電極の腐食を避けるため、時間間隔の長さおよびその時間間隔で適用される電圧は、電極の電極材料の損失と獲得とが均衡されるように選択される。例えば、例示的な実施形態では、例えば1ボルトDCを使用してしばらくの間駆動してもよく;その後、その電圧は、異なる時間量だけ逆の極性で0.6ボルトDCであってもよい。電流を均衡させることは、AC駆動信号を使用すれば容易になる。
【0056】
制御ユニット370は、少なくとも1つの電流検知信号から光変調器の透過性レベルまたは反射性レベルを決定するように構成され得る。この電極毎の電流信号から、電流値は、特定の電極間で、例えば、測定された電流値間の差として算出され得る。電極間の算出された電流は、電極間の粒子数を示す。粒子の大部分が同一基板上の電極間にある場合、パネルは不透過性である。粒子の大部分が2枚の基板の対向電極の間にあり両方の基板が透過性の場合、パネルは透過性である。粒子の大部分が2枚の基板の対向電極の間にあり、それらの基板のうちの1枚が反射性の場合、パネルは反射性である。基板の一方が部分的に反射性の場合、中間状態が得られ得る。
【0057】
例えば、値I、I、I、Iの電極101-104に対する電流測定を考える。パネルの状態は、f(I,I,I,I,h)として算出されてもよく、ここでfは関数であり、hは利用可能な追加情報、例えば温度である。実施形態では、複数の関数fが算出される。関数のうちのいくつかが状態によって精度が低い場合、例えば、関数がゼロに近いときに複数の関数が使用されてもよく、または特定の関数は、特定の状態または状態範囲に駆動するために使用され得る。
【0058】
電極101と電極102との間の電流は:I12=abs(I-I)として算出され得る。電極101と電極103との間の電流は:I13=abs(I-I)として算出され得る。電流は、また、例えばI12とI34との和として、または任意の他の数学的組合せとして、電流のグループ間で算出されてもよい。
【0059】
同一基板上の電極間の電流が高いとき、例えばI12が高い場合、パネルは不透過性である。対向基板上の電極間の電流が高いとき、例えばI13が高い場合、両方の基板が透過性であればパネルは透過性であり;基板のうちの一方、例えば下部基板が反射性であればパネルは反射性である。基板の一方が部分的に反射性の場合、中間状態が得られ得る。例えば、I12またはI13のいずれかの値が使用されて、パネル390の光学的状態を決定してもよい。両方を決定することに利点がある。パネル390を開けるとき、例えば、パネル390の透過率または反射率を増加させるように、垂直駆動としても知られる駆動を行うとき、パネルが開くとともにI12がますます小さくなり、精度がより低くなるため、I13を主として使用してもよい。同様に、透過率または反射率を下げるために水平駆動としても知られる駆動をパネルに行うときは、I12を主として使用してもよい。
【0060】
なお、粒子を中央に局所化させる対角に駆動をしもよいことに留意されたい。この場合、電流は等しくなる。対角に駆動することは、粒子を急速に分散させ、パネルを閉じる早道である。対角駆動は、例えば、パネルをOFF状態にするために使用され得る。対角電流をI14=abs(I-I)として算出してもよい。実施形態では、対角駆動は、垂直駆動または水平駆動、および第1の基板と第2の基板のそれぞれが2つの電極を含む電極構成と組み合わせて使用される。実施形態では、対角駆動は、電極構成と組み合わせて使用され、少なくとも3つの電極が第1の基板および第2の基板のうちの少なくとも一方に適用される。
【0061】
絶対値関数(abs)は、電流の容易な算出を促進するが、正しい極性を有する電流を測定する場合は、実際には必須ではない。電流は、また、例えばI12とI34との和として、または任意の他の数学的組合せとして、電流のグループ間で算出されてもよい。
【0062】
したがって、パネル390の状態は、電極間の電流から決定されてもよく、この電流は、したがって電極上の電流から算出され得る。電極間の電流は、光学層、例えば誘電性流体における荷電粒子の場所に依存し、一方それらの粒子の場所は、光変調器の透過性レベルまたは反射性レベルに直接影響する。電極間の垂直電流、水平電流、対角電流および/またはそれらの組合せを算出することによって、パネル390の透過状態または反射状態のインディケーションが得られる。上記の例では、水平電流、垂直電流、および対角電流が算出される。ただし、それらの3方向間での任意の中間的な組合せが取られることが可能である。算出された電流として電極の他の組合せを使用すると、これが精度を高めるため、電極電流の類似組合せに対応する透過率または反射率に向かって駆動するときに利点がある。
【0063】
電極間の算出された電流は、駆動信号を算出するために直接使用され得る。例えば、制御ユニット370は、I13が特定の値を実現するようにパネル390を開けるように駆動してもよい。その後、パネルは、I13の同一値に向かって再度駆動され得る。例えば、これは、等しい透過性レベルまたは反射性レベルが異なる日に実現されることを確実にするために使用され得る。この場合、較正値は厳密には必要とされない。
【0064】
ただし、較正された値が利用可能であるとき、知られている状態の電極間の電流を算出でき、何らかの中間状態の電流を算出し、それに向かって駆動することができる。さらに、例えば、経年変化または温度変化などの結果としてパネルの応答が変更されても、較正値は、異なる状況で同一の透過率または反射率に向かう駆動を可能にする。
【0065】
例えば、全暗状態と全透過状態、または全暗状態と全反射状態などの2つの知られている状態に対する較正中に、例えば、I13を算出してもよい。特定の中間透過率または反射率を実現するために、例えば、x%透過率または反射率を実現するために、較正された値間のx%に存在する電極間の電流の値、例えばI13に向かって駆動してもよい。全透過状態にのみ較正が行われた場合、完全に閉まった状態のI13は0であり、他の値に対しても同様であると想定され得る。ただし、2つの知られている状態を用いての較正が好ましい。
【0066】
換言すれば、較正中に、最小値および最大値が、2つの電極間の電流に対して得られる。使用段階において、較正段階後に、電極間の電流は、パネルの透過率または反射率のインディケーションとして取られ得る。例えば、暗状態に向かうことはこの特定の低電流に対応し、透過状態または反射状態に向かうことはこの高電流に対応する、などである。中間電流に向かって駆動するときに、グレースケールが使用され得る。目標透過率または反射率、例えば、目標パーセンテージは、特定の電極間の目標電流に変換され得る。
【0067】
この特定の電圧、またはACの最大振幅を確立するために、例えば、制御理論から知られる閉ループアルゴリズムなどの知られている動的フィードバック制御アルゴリズムが使用され得る。例えば、コントローラは、以下のサイクルを繰り返し得る。
【0068】
1.較正された電流間を補間することによって、目標透過率または反射率を電極間の目標電流に変換する。
【0069】
2.ある時間間隔だけ、駆動信号をパネル390の電極に適用する。
【0070】
3.電流検知回路を使用して電極の電流を測定する。
【0071】
4.例えば、水平電流および/または垂直電流など、電極間電流を算出する。
【0072】
5.算出された電流を目標電流と比較し、動的フィードバックアルゴリズムに従って駆動信号を修正し、番号2に行く。
【0073】
上記のアルゴリズムが較正値から算出された電流に適用された場合、上記アルゴリズムによって、パネル390は、較正された状態、例えば、全透過状態、全反射状態、または完全な不透過状態に向かって駆動される。ただし、上記のアルゴリズムが較正された電流間の中間である電流に適用された場合、上記アルゴリズムによって、パネル390は、較正状態、例えば、全透過状態、全反射状態、または完全な不透過状態の中間の状態に向かって駆動される。
【0074】
この駆動信号は、複数の次元に沿って変化させることができる。典型的な選択は電圧、例えば、ピーク電圧であるが、追加として、または代わりとして、変化させることができる他の要素は、デューティーサイクル、バイアス、波形形状、またはAC周波数である。例えば、デューティーサイクルの使用は、デバイスの電力消費に対して有益であり得る。他の例は、周波数を使用することによって2つの中間装置状態間の遷移時間も影響を受け得ることである。この駆動は、また、後続の電界配向を創出するために、複数のセグメントの後続の駆動を含み得る。
【0075】
実施形態にあるようにパネル390を駆動することは、典型的に、異なる駆動信号を異なる電極に適用することである。したがって、電極の製造上のばらつきは考慮に入れられる。例えば、任意の3つの電極が与えられた場合、駆動信号はそれらのために異なり得る。
【0076】
上記アルゴリズムの変形例において、目標電流を算出し、それに向かって駆動するために使用される電極は、パネルが駆動される、または駆動される可能性がある方向から選択される。例えば、垂直駆動のためにI13を、水平駆動のためにI12を使用する、などである。特定の透過率または反射率のための特定の算出された電流、例えばI’を使用してもよい。例えば、パネル390は、最初に、知られている較正状態を使用して所望の状態に向かって駆動されてもよく、その後、I’が算出されてもよい。将来的に、I’値は駆動のために使用され得る。I’値は、測定された電流の一次結合でもよい。
【0077】
実施形態では、例えば、全暗状態、および全透過状態または全反射状態より多い状態など、2つより多い較正状態が使用される。これは、透過率センサまたは反射率センサを使用して行われ得る。例えば、パネル390は、全暗状態と全透過状態との間の様々な状態に駆動されてもよく、その透過率は、透過率センサを用いて測定されてもよく、電極の電流が測定されてもよい。同様に、他の例では、パネル390は、全暗状態と全反射状態との間の様々な状態に駆動されてもよく、その反射率は、反射率センサを用いて測定されてもよく、電極の電流が測定されてもよい。実施形態では、透過率センサと反射率センサとの組合せが適用される。それに応じて、さらに正確な駆動が得られ得る。例えば、較正状態の電極間の電流を算出してもよく、使用中に、中間電流によって表される中間位置に向かって駆動してもよい。
【0078】
コントローラ310は、目標透過率を設定するように構成される目標透過率ユニット371を備えてもよい。例えば、75%のグレーなどの目標透過率は、ユーザによって直接設定されてもよい。目標透過率は、ユーザ入力および/または光センサからのセンサ信号から導出される。例えば、目標透過率は、場合によっては外部光センサと共に、例えば周辺光センサなどの光センサから算出され得る。光センサは、センサ391に存在してもよく;光検知信号はインターフェース383で受信されてもよい。目標透過率は、例えば、極小透過率と極大透過率との間のパーセンテージとして表現され得る。目標透過率は、目標電流として表されてもよい。光センサは任意選択であり;例えば、目標透過率はユーザ入力、スケジュールなどから直接取られてもよい。
【0079】
較正が使用される場合、光変調器のための2つの段階:較正段階と、その後の使用段階とを有し得る。較正段階は、知られている状態に向かう駆動および電流測定の1サイクルまたは複数サイクル;2サイクルまたは4サイクルを含み得る。この較正段階は、また、センサ値を測定することを含み得る。使用段階は、パネルが目標透過率または反射率に向かって駆動される駆動部分、および電流および/または他のセンサ値が測定される測定部分の複数のサイクルを含み得る。目標透過率または反射率に向かって駆動する代わりに、パネルは、目標透過率または反射率で維持され得る。
【0080】
電極の電流を正確に測定するために、コントローラ310、例えば制御ユニット370または駆動ユニット381は、測定信号で全電極を一時的に駆動してもよい。例えば、測定信号は、異なる測定動作に対して同一でもよい。例えば、測定信号は一定信号でもよく、全電極に対して、または少なくとも同一の光学層に接続された全電極に対して同一でもよい。
【0081】
測定信号は、測定持続期間中に適用される。この測定持続期間中に、電流検知信号が受信される。測定持続期間が終了すると、パネルの正常駆動が再開されてもよく:例えば、駆動信号に従って、電位が電極に適用され得る。
【0082】
例えば、測定信号は、何らかの特定の最大振幅を有するAC信号でもよい。測定信号が適用されている間に、例えば、測定信号が、例えば、ピーク最大および/またはピーク最小などのピーク振幅であるとき、複数の測定サンプルが得られてもよい。このように、複数のサンプルが得られ、精度を高めるために、平均化もしくは加算され、または任意の他の数学的組合せであってもよい。説明上の一例として、そのAC信号は15ボルトでもよく、10サンプルが+15ボルトで取られ、10サンプルが-15ボルトで取られてもよい。これらの数は特定の用途とパネルのサイズなどに依存する。サンプルの数は、より多くても、より少なくてもよく、例えば100以上または100以下でもよく、電圧は異なってもよい、等である。一例では、電位は一定AC信号であり、全電極に対する測定持続期間中に電流を評価するために、全電極は一定AC信号で同時または連続的に駆動されている。他の例では、電位は可変AC信号であり、全電極に対する測定持続期間中に電流を評価するために、全電極は可変AC信号で同時または連続的に駆動されている。測定信号の周波数は、駆動のために使用される周波数と同一でもよいが、これは必要ではない。例えば、100Hzまたは50Hzなどを取ってもよい。この場合も、これらは例である。また測定信号に対して、腐食を避けるために、DCニュートラルであることが好ましい。
【0083】
その測定中に、電圧が電極に適用された結果として、粒子の場所が変化し得る。測定持続期間を短く維持すること、および/または測定振幅を低く維持することによって、これは回避され得る。相対的に高周波数で測定する利点は、複数のサンプルが短い時間量で得られることである。例えば、測定毎に50未満のサンプルであり、例えば、少なくとも50Hzの測定周波数である。
【0084】
測定中のピーク振幅は、駆動中よりも低くてもよい。一例として、測定電圧は10ボルトでもよく、一方駆動は20ボルトであってもよい。これらは例示的な値に過ぎないが、多くの選択に依存し、特にパネルのサイズに依存する。測定電圧がより小さくなると、粒子の場所において外乱が少なくなるという利点がある。測定中のピーク振幅が駆動中よりも高くてもよいため、これは必須ではない。目標透過率または反射率の維持中に、または目標透過率または反射率に近いとき、測定振幅が相対的に高くなり得るように、駆動電圧は低減され得る。
【0085】
好ましくは、粒子の場所の変化を避けるため、測定持続期間は非常に短い。また、電流は、測定中に変化する場合があり、この変化も、測定持続期間を短く維持することによって回避される。測定持続期間をどの程度短くすべきかは、例えば、粒子が流体中でどの程度速く移動するかに依存する。実施形態では、測定持続期間は、例えば100ms未満であり、例えば16msなど、例えば20ms未満であることが好ましい。より高度な電流検知回路を使用すると、電流検知持続期間は大幅に低減でき、例えば、1ms未満となり得る。
【0086】
この測定は、ある時間量の経過後に反復され得る。測定がどの程度の頻度で反復されるかは、多くの要因に依存する。例えば、所望の透過率または反射率を実現した高安定性を有する光学層については、測定は、数時間後に反復され得る。より高速な光学層については、特に目標透過率または反射率に向けての駆動中に、測定がより頻繁に反復されてもよく、例えば、100ms毎に1度反復され得る。実施形態では、駆動または維持は、測定よりも少なくとも5倍長い時間がかかる。
【0087】
興味深いことに、測定信号後、カウンタ駆動信号は、測定によって発生した歪を補正するために適用され得る。これは、正常な駆動も粒子の場所を補正するために、必要ではないが、この特徴は測定からの潜在的歪を減少できる。例えば、測定信号が等価周波数で透過状態を実現するために現在使用されているものと比較してより低電位を有する場合、測定後に、駆動信号電位は、以前に適用された、より低い測定信号を補償するために増幅可能である。
【0088】
使用段階において、コントローラは、電極の電流を周期的に測定するように構成される。パネルが所望の目標透過率または反射率を達成して、この状態に維持されているか、または目標透過率または反射率に向かってアクティブに駆動されているかに関わらず、測定の周波数は用途に依存する。例えば、測定は100ms毎に1度、毎秒1度でもよい。ただし、低速の光学層と維持されているパネルとについては、測定の頻度が非常に低くてもよく、例えば、1時間に1度程度少なくてもよい。
【0089】
光変調器の目標透過率もしくは反射率が達成されたとき、または目標透過率もしくは反射率の閾値内にあるとき、制御ユニットは、電極に適用される電位の振幅またはデューティーサイクルを低減してもよく、および/または電流測定周期性を変更してもよい。例えば、測定周期性は、一時的に増加されてもよい一方、例えば目標に近いときに、駆動におけるエネルギーが低減される。これは、オーバーシュートを低減するという利点がある。
【0090】
様々な追加センサ391が、パネル390上、パネル390内、またはパネル390近くに設置され得る。例えば、1つ以上の温度センサは、外部温度、内部温度、および光学層中の流体温度のうちの少なくとも1つを測定するように構成され得る。
【0091】
光学層が温かいほど、粒子は速く動く。制御ユニット370は、様々なやり方で適合し得る。例えば、パネル390が駆動信号の変化に、より高速に反応する可能性があるため、電流の測定はより頻回に行われてもよい。同様に、温度が上昇した場合、駆動周波数が増加し得る。実施形態では、パネルを閉じることは、パネルを開けることよりも低いAC周波数を使用する。温度が上昇した場合、より遅い周波数が増加され得る。電極における腐食破損のリスクが温度と共に増加するため、より均衡された駆動が重要であり、これはより高い周波数で実現される。温度と測定周波数または駆動周波数との間の関係は、関数またはルックアップテーブルなどでもよい。例えば、実施形態では、光変調器は、例えば、外部温度、内部温度、および光学層中の流体温度のうちの少なくとも1つの温度を測定するように構成される温度センサを備える。例えば、外部温度は、外壁に光変調器を有するビルまたは自動車の外側でもよい。コントローラは、温度センサから温度信号を受信するように、およびその温度信号に応じて駆動信号を決定するように構成され得る。例えば、温度がより高いと、駆動アルゴリズムが使用されてもよく、その目標をよりゆっくりと実現するが、より良好な均衡で実現し、したがってより高い温度で発生し得る腐食破損を回避する。
【0092】
例えば、そのフィードバックパラメータが温度に依存する動的フィードバックアルゴリズムが使用され得る。例えば、フィードバックパラメータは、ルックアップテーブルなどによって温度から取得され得る。フィードバック制御システムは、例えば透過率目標または電流目標などの目標を、例えば複数の電極のための電位などの駆動信号にマッピングする制御関数を有し得る。フィードバック制御システムの例は、ネガティブフィードバックシステムである。制御関数の例は、比例積分微分(PID)制御関数である。この制御関数は、測定された検知信号が駆動信号をどのように変化させるか、例えば、どの程度高速に変化させるかを決定する、例えば、いわゆるゲインパラメータなどの1つ以上のフィードバックパラメータを有し得る。
【0093】
駆動を変更する他のパラメータは、また、例えばストレージから得られた、例えば異なる一連の駆動信号を使用することによって、または例えば適応制御ループなどの動的フィードバックアルゴリズムにおける、例えばフィードバックパラメータなどの異なるパラメータを使用することによって、駆動信号を決定する際に使用され得る。例えば、光変調器が経年変化すると、その応答は異なる場合がある。これを、コントローラは駆動において補償できる。
【0094】
コントローラは、例えば動的フィードバック制御アルゴリズムまたは適応制御アルゴリズムなどの制御アルゴリズムを使用して、例えば透過率または反射率目標を駆動信号に変換するために、複数の電極のための電位を決定し得る。制御アルゴリズムはプロセッサシステム上で走らされてもよく、例えば、制御アルゴリズムを実施するソフトウェアは電子ストレージに記憶されて、1つ以上のマイクロプロセッサによって実行され得る。一般的に制御アルゴリズム、特に動的フィードバック制御アルゴリズムは、多種多様に異なり得る。例えば、制御アルゴリズムは、電流検知信号を使用して駆動信号を適合してもよい。例えば、この電流検知信号は、駆動信号を制御するために、例えば同一基板上の電極間の水平信号、例えば対向基板上の電極間の垂直信号、またはその両方を含み得る。この電流検知信号を使用することによって、光変調器の精度が改善され、例えば、目標透過率または反射率がどの程度良好に実現されるかが改善される。この駆動信号は、典型的に、複数の電極に適用される電位を含むが、目標を実現するために、さらなるパラメータが調整されてもよく、例えば動的に調整されてもよい。これらは、例えば、電位に加えて、電極に適用された信号の周波数、および電界方向を含む。より多くのパラメータを使用することによって、光変調器はより正確なグレースケール値を実現でき、または2つのグレースケール値間の遷移時間を変更でき、例えば、必要に応じて遷移時間を短くする、または長くすることができる。
【0095】
制御アルゴリズムは、低電力消費モードに選択的に切り換えられてもよく;例えば、低電力消費モードにあるときは、電力消費を低減するために、制御アルゴリズムが複数の電極のための駆動信号をより低頻度で修正してもよく、例えば、より長い時間間隔で修正してもよい。
【0096】
制御アルゴリズム、例えば動的フィードバックアルゴリズムは、状況に応じて異なる駆動スケジュールを実行してもよい。例えば、実施形態では、駆動信号の決定は、光変調器の寿命に依存してもよい。コントローラは、光変調器の寿命を維持するように構成され得る。例えば、寿命は、光変調器がON状態にされた時間量を含み得る。より正確な寿命は、例えば、目標の維持に対する、光変調器が目標に向かって駆動されている時間量を含み得る。例えば、電流目標に対応するグレースケールを再計算するために、例えば時間の経過と共に変化するなど、最小および最大較正済み電流における変化に対処するために、制御アルゴリズムは変化してもよい。
【0097】
例えば、制御アルゴリズムは、ユーザ入力および/またはセンサ信号を解釈することによって目標透過率を変更できる。実施形態では、目標透過率および/または反射率は、スケジュールに従って設定され得る。例えば、ユーザは、コントローラを実行するように設定され得る。例えば、スケジュールは、太陽が高い正午頃により低い透過率であるが太陽が低い午後に、より高い透過率となるように、コントローラに命令してもよい。例えば、スケジュールは、自動車が走行しているとき、特に閾値を上回る速度で走行している場合に、より高い透過率となるが、自動車が駐車されている、または閾値を下回る速度で走行しているときはより低い透過率となるように、コントローラに命令してもよい。
【0098】
制御アルゴリズムは、電流測定の周波数、電流測定の持続期間、および/または測定信号の周波数を設定してもよく、例えば選択してもよい。これは、例えば、以下のねらい:腐食を低減する、電力消費を低減する、透過率のシフトを低減する、および/または温度変化に適合すると、のうちの1つ以上のために行われ得る。
【0099】
実施形態では、コントローラは、測定信号を用いて、例えば、1つもしくは複数または全部、もしくは同一の光学層に接続された全部など、電極を一時的に駆動するように構成される。AC信号であり得る測定信号は、少なくとも50Hz、および/または最大で100Hzの周波数を有し得る。実施形態では、同様にAC信号であり得る駆動信号は、少なくとも50Hz、および/または最大で100Hzの周波数を有し得る。
【0100】
図4aは、電流検知回路411の実施形態の例を概略的に示す図である。電極101の駆動線121が示されている。抵抗器401は、駆動線121内に含まれる。電流検知回路411は、抵抗器401によって、電流のインディケータとして抵抗器401での電圧降下を測定する。電流信号422は、例えばコントローラ150またはコントローラ310などのコントローラに送信される。
【0101】
図4bは、電流検知回路の実施形態の例を概略的に示す図である。一方の端部で抵抗器401のいずれかの側に接続され、他方の端部でプログラマブルゲイン増幅器440の入力に接続されたバッファ431および432が示される。これらのバッファは、高精度なレールツーレール入出力演算増幅器でもよく、好ましくは低電流バイアスを有する。
【0102】
プログラマブルゲイン増幅器440は、ゲイン信号442を受信するように構成され、この場合、4ビットの形態で、16個の異なるゲイン設定を与える。プログラマブルゲイン増幅器440は、出力として電流信号を作り出し、例えば、出力441として抵抗器401における電圧降下を作り出す。この場合、出力441は差動出力、すなわち抵抗器401を通る電流を示す出力信号間の差であり、これは便利であるが必須ではない。電流信号441は、コントローラに送信され得る。
【0103】
実施形態では、電流検知回路は、広い範囲、例えば、10nAと100mAとの間の範囲の電流を測定できる。これは、例えばコントローラが異なる種類のパネルに対して使用される場合に有効である。異なるパネルの種類およびサイズは、異なる電流を有する。さらに、指摘したように、電流のうちのいくつかは、駆動中に非常に小さくなり得る。これは、他の電極間の他の電流に切り換えることによって克服できるが、プログラマブルゲインによっても軽減される。ゲインは、異なるパネル用にコントローラを構成するために使用され得る。有益なことに、同一のハードウェアは、異なる種類のパネル用に再構成され得る。
【0104】
出力441は、電圧差でもよい。例えば、電流は、電圧差、抵抗値R、ゲイン、および基準電圧源Vrefから算出可能である。例えば、実施形態では、I=(出力電圧差)/(RGAINVref)である。基準電圧は、コントローラのアナログ-デジタル変換器(ADC)の基準電圧に関連し得る。
【0105】
図5aおよび図5bは、光変調器を開ける実施形態の例を概略的に示す図である。図5bにおいて、駆動信号が示されており;駆動信号511-514は、電極101-104に対応する。図5aにおいて、力線が示されており、それに従って粒子が移動する。AC駆動があると、光学層の液体中の粒子は、2枚の基板間で跳ね返る。
【0106】
図6aおよび図6bは、光変調器を閉じる実施形態の例を概略的に示す図である。図6bにおいて、駆動信号が示されており;駆動信号611-614は、電極101-104に対応する。図6aにおいて、力線が示されており、それに従って粒子が移動する。AC駆動があると、光学層の液体中の粒子は、同一の基板の2つの電極間で跳ね返る。
【0107】
図5bおよび図6bに示される状況では、全電極の全最大振幅は等しい。実施形態では、いくつかの信号がややより高い振幅を有し、一方いくつかはややより低い振幅を有し、その例を図5cに示す。さらに、例えば、光、温度、または目標透過率もしくは反射率などの例えばパラメータが変化すると、駆動信号は時間の経過と共に変化する。さらに、駆動信号は、パネルが特定の目標透過率または反射率を達成し、それを維持さえすればよいときにも変化し得る。
【0108】
図7は、光変調器を制御するための方法700の実施形態の例を概略的に示す図である。
【0109】
部分710で、システムが較正される。例えば、較正は、システムが初めてON状態にされたとき、長い間使用されていなかったとき、またはシステムが範囲外の値を検出したときに行われ得る。例えば、範囲外の測定された電流が較正中に見られる。部分720で、電流が、光変調器パネルにある電極毎に測定される。
【0110】
部分730で、光変調器パネルの目標透過率を定義するために、例えば逆対数スケールを使用して、内側の光レベルおよび外側の光レベルが測定され;例えば、光センサがパネルの両側に適用され得る。例えば、スマートグレージングを有する窓については、光レベルが室内で測定されてもよく、光レベルが室外、すなわち窓の外で測定されてもよい。
【0111】
光レベルに加えて、温度センサが、外部温度、内部温度、および/またはパネル内部の液体温度を測定し得る。
【0112】
液体の温度は、パネルの性能に影響する場合がある。例えば、駆動周波数および電流の測定間隔は変化し得る。電流測定間隔はその後に部分720の電流測定が繰り返される時間量である。
【0113】
部分740で、光変調器パネルに向かう出力が、測定された電流、光レベル、および温度から算出される。例えば、コントローラがパネルを定義するために使用可能なグレースケールテーブルが定義され得る。これらは、フィードバックアルゴリズムのための設定点として使用可能である。テーブルは、また、例えばシステムに接続されたデバイスを用いてユーザが選択できる選択テーブルとして使用可能である。このユーザデバイスは、有線または無線の、例えばボタン、携帯電話などでもよい。部分750で、電極は、算出された出力に従って駆動される。
【0114】
典型的に、駆動信号は、パネルの電極毎に算出される。さらに、異なる目標透過率もしくは反射率、または異なる透過率もしくは反射率間の遷移が異なる駆動信号を有し得る。目標透過率または反射率に向かって駆動するために、駆動信号は、電極のそれぞれに対する電圧、周波数、デューティーサイクルが異なってもよい。
【0115】
部分760で、新規入力、例えば、新規目標透過率、またはユーザからの所望の周囲光レベル、または、例えば、光センサもしくは温度センサからの新規センサ値が受信されたことが検出され得る。部分770で、新たな較正が必要であるか、または好ましいか、例えば、範囲外の値が検出されたかが決定される。範囲外の値は、大きな温度変化、例えば、閾値を上回る温度変化でもよく、目標透過性レベルまたは反射性レベルを時間通りに達成しなかった、などでもよい。
【0116】
パネルが駆動されない場合、システムはスリーブモードに入ることができる。図7の実施形態は一例であり、本明細書でも指摘したように、多くのやり方で変化させることができる。例えば、光センサの使用または温度センサの使用は任意選択である。例えば、AC信号の代わりに、均衡したDC駆動が使用されてもよい、等である。
【0117】
図8は、光変調器パネルの制御方法800の実施形態の例を概略的に示す図である。
【0118】
制御すること800は、パネルの1つ以上の知られている状態の電極において電流を測定することを含む較正すること810を含む。較正810は、追加パラメータを決定することを含んでもよく、例えば、パネル性能の最大値および最小値、正の電圧、負の電圧および基準電圧、温度オフセット、光オフセット、グレースケール選択オフセット、ユーザ入力オフセットなどを決定することを含んでもよい。較正することは、使用前に工場で行われることが可能であるが、または代わりに、顧客の現場で行われることも可能である。システムがON状態にされたとき、再起動されたとき、リセットされたとき、タイムアウトされたとき、周期的になどで、全体的または部分的に較正が繰り返されることが可能である。
【0119】
制御すること800は、センサ値を取得すること820を含む。例えば、センサ値を取得することは、外部温度、室温、および光学層内部温度を取得することを含み得る。光学層の温度は、パネルの状態に影響する。光学層の温度を測定することによって、制御アルゴリズムは温度に反応できるようになる。センサ値は、外側の周辺光および室内の周辺光も含み得る。例えば、これは、室内の周辺光を安定した状態に維持するために使用され得る。
【0120】
制御すること800は、目標透過率を設定すること830を含む。目標透過率は、室内の周辺光レベルから算出され得る。また、ユーザインターフェースを通してユーザによって直接設定されてもよい。
【0121】
制御すること800は、パネルを駆動すること840を含む。パネルは、しばらくの間駆動され得る。第1の反復において、これは初期駆動信号でもよい。初期駆動信号は、デフォルトの駆動信号でもよい。初期駆動信号は、算出された実際の透過性レベルに依存してもよい。
【0122】
制御すること800は、電流を測定すること850を含む。しばらくの間駆動した後、電極の電流が測定され得る。これは、電極に関して測定信号を設定することを含み得る。電流を測定すること850は、駆動すること840と入れ替えられてもよい。
【0123】
制御すること800は、駆動信号を適合すること860を含む。駆動アルゴリズム、例えば、閉ループフィードバックアルゴリズムなどの制御アルゴリズムは、駆動信号を修正してもよく、それによって部分850の測定された電流は、目標透過率に対応するように算出された電流に向かって収束する。算出された電流は、較正中に測定された電流を補間することによって取得可能である。
【0124】
光変調器の例示的な実施形態を以下に示す。
【0125】
図9aは、スマートグレージングに適用され得る光変調器10の実施形態を概略的に示す図である。
【0126】
引用により本明細書に組み込まれる特許出願PCT/EP2020/052379を参照すると;この出願は、光変調器のための有益な設計を含み、この設計は、例えば本明細書で説明するように電極および/または支線を含むことによってさらに改善され得る。
【0127】
光変調器10は、透過状態と非透過状態との間、およびその逆、または反射状態と非反射状態との間、およびその逆において電子的に切り換えられ得る。光変調器10は、互いに対向するように配置される、第1の基板11と、第2の基板12とを備える。第1の基板11の内側において、少なくとも2つの電極が適用され:電極13a、13bが示される。これらの少なくとも2つの電極は、まとめて電極13と呼ばれる。第2の基板12の内側において、少なくとも2つの電極が適用され:電極14a、14bが示される。これらの少なくとも2つの電極は、まとめて電極14と呼ばれる。電流検知回路は、電極13aおよび13bならびに電極14aおよび14bに設置されてもよい。
【0128】
流体15が基板間に設けられる。この流体は、例えばナノ粒子および/またはマイクロ粒子などの粒子30を含み、粒子は帯電している、または帯電可能である。電極は、粒子30を駆動するように構成され、適用された電界に応じて電極に向かって移動させる、または電極から遠ざかるように移動させる。光学特性、特に、光変調器の透過率は、流体における粒子30の場所に依存する。例えば、電磁界を電極に適用するために接続が設けられ得る。電流検知信号を受信し、電極13および14のための駆動信号を生成するように構成されるコントローラ16が示される。
【0129】
一例では、基板11および基板12は、電極の外側は光学的に透過性でもよく、典型的に適切な波長では>95%の透過性、例えば>99%の透過性でもよい。「光学的」という用語は、該当する場合は、人間の目によって可視の波長(約380nm-約750nm)に関係する場合があり、赤外線(約750nm-1μm)および紫外線(約10nm-380nm)を含むより広い範囲の波長、ならびに、該当する場合は、そのサブ選択に関係し得る。光変調器の例示的な実施形態では、基板材料が、ガラスおよびポリマーから選択される。
【0130】
他の例では、下部基板12などの1つの基板は、反射性でもよく、または部分的に反射性でもよく、上部基板11は透過性でもよい。光学特性、特に、光変調器の反射率は、流体における粒子30の場所に依存する。パネルが開状態(垂直駆動)の場合、入射光が透過性の上部基板および光学層を比較的妨げなく通過できて下部基板上で反射または部分的に反射されるように、粒子は大部分が2枚の基板の対向電極間に配置される。
【0131】
第1の基板と第2の基板との間の距離は、典型的に、15μmなど、30μm未満である。光変調器の例示的な実施形態では、第1の基板と第2の基板との間の距離は、500μm未満であり、好ましくは200μm未満であり、好ましくは100μm未満であり、さらにより好ましくは、30μm未満など、50μm未満である。
【0132】
一例では、変調器は可撓性ポリマーで提供されてもよく、このデバイスの残りはガラスで提供されてもよい。ガラスは、硬質ガラスまたは可撓性ガラスでもよい。必要に応じて、保護層が基板上に設けられてもよい。1色より多い色が設けられる場合、可撓性ポリマーの1層より多い層が設けられ得る。ポリマーは、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)(任意選択で、SiN層を有する)、ポリエチレン(PE)などでもよい。さらなる例では、デバイスは少なくとも1つの可撓性ポリマーで設けられてもよい。したがって、変調器は、接着剤を使用してなど、任意の表面に取り付けられ得る。
【0133】
粒子30は、光を吸収し、それによって特定の波長が通過するのを防ぐように構成され得る。粒子30は、光を反射する場合があり;例えば、この反射は、鏡面反射性、拡散性、またはその中間でもよい。粒子は、いくつかの波長を吸収し、それ以外を反射してもよい。
【0134】
光変調器の例示的な実施形態では、ナノ粒子のサイズは20-1000nmであり、好ましくは20-300nmであり、より好ましくは200nmより小さい。光変調器の例示的な実施形態では、ナノ粒子/マイクロ粒子は、色素上に被膜を含む場合があり、好ましくは芯を含む。光変調器の例示的な実施形態では、粒子の被膜は、導体材料および半導体材料から選択された材料から形成される。
【0135】
光変調器の例示的な実施形態では、粒子は、400-800nm、700nm-1μm、および10-400nmなど、10nm-1mmの波長を有する光を吸収するように構成され、および/または10nm-1mm(フィルタ)内にある波長範囲を有する光の一部分を吸収するように構成され、ならびにそれらの組合せで構成される。
【0136】
光変調器の例示的な実施形態では、粒子は、帯電している、または帯電可能である。例えば、粒子上の電荷は、粒子毎に0.1eから10e(510-7-0.1C/m2)の場合がある。そのような粒子の適切な例は、例えば、引用により本明細書に組み込まれる米国特許第4680103A号に提供されている。
【0137】
光変調器の例示的な実施形態では、流体が、1-1000g/m2、好ましくは2-75g/m2、より好ましくは、30-40g/m2など、20-50g/m2の量で存在する。本レイアウトを用いると、非常に少ない流体、および非常に少ない粒子が使用可能であるという大きな利点がある。
【0138】
光変調器の例示的な実施形態では、この粒子が、0.01-70g/m2、好ましくは、0.1-3g/m2など、0.02-10g/m2の量で存在する。
【0139】
光変調器の例示的な実施形態では、粒子は、シアン、マゼンタ、およびイエロー、黒および白、ならびにそれらの組合せから選択された色を有する。
【0140】
光変調器の例示的な実施形態では、流体は、界面活性剤、乳化剤、極性化合物、および水素結合を形成可能な化合物のうちの1つ以上を含む。
【0141】
流体15は、15未満の比誘電率を有する無極の流体でもよい。光変調器の例示的な実施形態では、流体は、100未満、好ましくは、5未満など、10未満の相対誘電率εrを有する。光変調器の例示的な実施形態では、流体15は、10mPa.sを上回る動粘度を有する。
【0142】
電極13a、13bおよび電極14a、14bは、流体と流体接触している。この流体は、電極と直接または間接的に接触していてもよく、例えば流体は、多孔質層を通してなどして電極を有する第2の媒体に接触し得る。実施形態では、電極は、基板表面の約1-30%を覆う。実施形態では、電極は、10000オーム/スクエア(Ω/sq)未満、好ましくは100Ω/sq未満、より好ましくは10Ω/sq未満のシート抵抗を有する導電材料を含む。光変調器の実施形態では、電極のうちの1つ以上は、銅、銀、金、アルミニウム、グラフェン、チタン、インジウムから選択された1つ以上の金属、好ましくは銅を含む。電極は、ポリマーベースの基板に埋め込まれた微細ワイヤの形態であってもよく;例えば、銅微細ワイヤの形態であってもよい。
【0143】
電磁界を電極に適用するための接続において、この電極への適用された電磁界は、ナノ粒子およびマイクロ粒子の第1の電極から第2の電極への移動をもたらし、逆の場合も同じである。電磁界を電極に適用するための接続が設けられてもよい。例えば、光変調器の例示的な実施形態では、電流が-100-+100μAの間、好ましくは-30-+30μAの間、より好ましくは-25-+25μAの間である。例えば、電力提供器は、少なくとも2つの電極と電気接続していてもよい。この電力提供器は、波形電力を提供するように構成され得る。振幅、周波数、および位相のうちの少なくとも1つは、光変調器において異なる状態をもたらすように構成可能でもよい。例えば、電力の態様は、コントローラによって構成され得る。
【0144】
光変調器10は、1つ以上の画素を含んでもよく、典型的に複数の画素を含んでもよく、画素は、サイズが変わる場合がある光学的に切換可能な単一のエンティティである。基板は、画素であり得る体積を少なくとも部分的に囲む。本設計は、より多くの色を可能にするように積層を可能にし;例えば、フルカラーの用途のために、2つまたは3つの変調器のスタックがそれぞれ大部分または全部の色をもたらし得る。本デバイスは、電磁界を適用することによって(個別の)画素の外観を変更するための駆動回路を備え得る。したがって、光変調器の外観、またはその1つ以上の部分の外観も変更され得る。
【0145】
光変調器の例示的な実施形態では、光変調器は、1mm2につき1画素未満を含む。1つ以上の画素を有することで、光変調器は局所的に制御可能となり;これは用途によっては有益であるが、必須ではない。スマートグレージングのために、光変調器は、画素を用いて、または画素を用いずに使用され得る。例えば、スマートグレージングで適用される場合、例えば窓全体における透過率または反射率を低減させずにサンパッチ(sun-patch)をブロックするために、透過率または反射率は局所的に制御され得る。
【0146】
光変調器の例示的な実施形態では、基板(11、12)が整列され、および/または電極(13、14)が整列される。例えば、電極13a、13bおよび電極14a、14bは、互いに対向するように整列され得る。整列された基板において、異なる基板上の電極は、基板に直交する方向でみると互いの背後に存在する。光変調器が取り外され、電極が上向きになるように基板の両方が配置されると、電極パターンが互いの鏡像となる。
【0147】
基板を整列することによって、光変調器の最大透過率または反射率が増加し得る一方、透過率または反射率などの範囲よりも多い基準のために光変調器を選択するとき、2枚の基板を整列しない、または完全には整列しない方がよい場合がある。光変調器は、積み重ねられることが可能である。例えば、2つの積み重ねられた光変調器は、3枚の基板から形成可能であり、中間の基板はその両面に電極を有する。光変調器の実施形態では、任意選択で、第1の光変調器の少なくとも1枚の基板11、12が、少なくとも1つの第2の光変調器の基板11、12と同一である。また、積み重ねられた変調器の場合、整列は最大透過率または反射率を増加させ得るが、例えば回折などの他の考慮すべき事柄にとっては有害な場合がある。
【0148】
図9bは、光変調器40の実施形態の例を概略的に示す図である。複数の光学層を備えることを除いて、光変調器40は、光変調器10と同様である;示された例では2層の光学層がある。2層より多い光学層が存在してもよい。各光学層は、2枚の基板間に配置される。光変調器40は、図9aのように2枚の基板の光変調器のスタックとみなされ得る。図示するように、光変調器40は、3枚の基板:第1の基板41、第2の基板42、および第3の基板43を備える。基板41と42との間には光学層が存在し、基板42と43との間には光学層が存在する。これらの光学層は、光変調器10における光学層と同様であり得る。コントローラ46は、基板の電極上で電流を制御するように構成される。例えば、図9bにおいて、コントローラ46は、少なくとも4×2=8個の電極に電気的に接続され得る。
【0149】
興味深いことに、複数の光学層における粒子は異なる場合があり、したがって複数の層が光変調器のより多くの光学特性を制御するために使用され得る。例えば、異なる光学層における粒子は、異なる波長で吸収または反射することができ、例えば異なる色を有し得る。これは、コントローラ46によってパネル上に異なる色および/または異なる色の強さを創出するために使用可能である。例えば、4基板パネルは、異なる色粒子、例えば、それぞれシアン、イエロー、およびマゼンタの粒子を有する3層の光学層を有し得る。それらの異なる色の透過率または反射率を制御することによって、幅広い色のスペクトルが創出され得る。
【0150】
他の基板と対向する基板の表面は、例えば実施形態にあるように2つ以上のパターンを供給し得る。例えば、外部の基板41および43は、内側でのみ電極を受けることが可能であるが、一方内部の基板、例えば基板42は両側に電極を有し得る。
【0151】
基板41および42は、共に、光変調器の実施形態としてみなされ得る。同様に、基板42および43は、共に、光変調器の実施形態としてみなされ得る。
【0152】
図9cは、窓21用にスマートグレージングを有する自動車20の実施形態の例を概略的に示す図である。運転中は、入射光のレベルが頻繁かつ急激に変化する場合があるため、これは特に有益な実施形態である。自動車にスマートグレージングを使用することは、車窓の透過率を調節することによって、光レベルが一定のレベルとして維持され得るという利点がある。さらに、改善された駆動は、車窓がより正確な透過率を得るため、安全性を改善する。例えば、窓が暗くなるとき、暗くなりすぎる可能性がなく、または逆も同じである。自動車20は、窓21の透過率を制御するために構成されたコントローラを備え得る。
【0153】
スマートグレージングは、また、特に入射光の量が可変の場合、例えば、ビル、オフィス、住宅、温室、天窓など、グレージングの他の用途でも使用され得る。天窓は、日光が部屋に入ることができるように天井に配置された窓である。
【0154】
図10a-図10bは、光変調器使用時の実施形態の側面図を概略的に示す。基板上で電極へ電界を適用すると、粒子に対して電気力が発生する。この効果を使用して、粒子は動き回ることができ、したがって光変調器において異なる透過または反射状態が引き起こされ得る。コントローラは、電界、例えば、その振幅、周波数、および位相などを制御し得る。実施形態では、コントローラは少なくとも4つの電極:基板毎に2つの電極に接続される。ただし、より多くの電極が使用され、コントローラに接続されてもよく;グレーレベルのさらなる制御を可能とするために、または特定の光学パターンを得るために、例えば2つより多い電極が基板のために使用され得る。
【0155】
図10aは、電界が適用されない光変調器を示す図である。図10aでは、流体15に浮遊する粒子30に対して電気力はまだ適用されていない。
【0156】
図10aに示される構成において、必要とされる電極構成が得られるように、上部基板上に配置された導電電極パターンは、下部基板上の導電電極パターンと完全に整列、またはほぼ整列している。導電電極パターンは、透過性、反射性、もしくは部分的に反射性の基板上に堆積されてもよく、またはプラスチック基板などに埋め込まれてもよい。
【0157】
上部電極パターンと下部電極パターンとの間の整列は、透過性または反射性の実現可能なレベルのより広い範囲に寄与する。ただし、同様の効果が整列なしで得られ得るため、整列は必須ではない。整列がない場合でも、透過率または反射率の範囲が同様に得られる。
【0158】
留意すべきは、これらの例において、頁上で上方、または下方の基板を指すために上部基板および下部基板と呼ばれていることである。グレージング用途において、基板が水平ではなく垂直に整列される場合があるため、同じ基板が、例えば前方基板および後方基板と呼ばれる場合もある。
【0159】
図10bは、光変調器を示す図であり、例えばインスタンスP1において、電位+V1が上部基板上の各電極に適用され、一方で負電圧、例えば-V1が下部基板の各電極に適用される。それによって、この場合、同じ正の電位が全電極13に適用され、同じ負の電位が電極14に適用される。この電位差によって、負に帯電した粒子が上部基板の電極付近に流され、そこでそれらの粒子が上部電極とほぼ整列する。溶液が正に帯電した粒子を含む場合、正に帯電した粒子が下部基板の電極付近に流れ、それらの粒子が下部電極とほぼ整列する。結果として、上部基板と下部基板との両方が透過性である場合、光変調器10の透過率が増加する。同様に、例えば上部基板が透過性であり、下部基板が反射性の場合、光変調器10の反射率が増加する。ON状態の第2のインスタンスP2において、インスタンスP1とは対照的に、上部電極および下部電極の電圧が反転すると、同様の透過率または反射率が実現され得る。インスタンスP2において、上部基板上の各電極の電圧が、そこで負電位-V1を供給され、下部基板の整列した電極の電圧が正の電位を供給される。この状態は、図10bに示す状態と類似しているが、上部基板と下部基板とが逆になっている。またこの構成では、光変調器10の透過率または反射率が高い。
【0160】
同様に、アドレス指定電極13および14は、P1からP2への高い時間的変化など(AC信号)の場合、粒子は、電極間の電界線内で整列する(電極の場所に到達する必要はない)。結果として、上部基板と下部基板との両方が透過性である場合、光変調器10の透過率が増加する。同様に、例えば上部基板が透過性であり、下部基板が反射性の場合、光変調器10の反射率が増加する。
【0161】
興味深いことに、例えば図10bの電極13として示されるような上部基板の電極の正の電位と(および電極14における負の電位)と、例えば図10bの電極14として示すような下部基板の電極における正の電位(および電極13上の負の電位)とを連続的に切り換えることによって、透過率または反射率は維持可能でありながら、電極に対する腐食損傷を減らすことができる。この交流電界は、交流電位を上部電極および下部電極に適用することによって実現可能である。
【0162】
波形を適用することは任意選択であるが、腐食を低減することによって光変調器の寿命を増加させる有用な手段である。銅イオンが1つの基板のイオン流体に溶けて対向する基板上の銅電極に流れ、そこで堆積するため、腐食は、例えば銅電極を使用したときに生じ得る。波形を適用することによって、銅イオン輸送方向が頻繁に反転し、したがって腐食損傷を低減する。2つのインスタンスP1とP2との間で、2枚の基板間の腐食電流が均衡され、またはほぼ、例えば>95%、均衡され、例えば、上部板の電極の腐食率が発生すると、各時間インスタンスP1間で下部電極において銅の均衡した堆積が存在し、インスタンスP2で逆の場合も同じである。したがって、上部電極と下部電極との間で粒子が連続的に遷移または移行し、光変調器またはスマートウィンドウが常にON状態となる一方、上部電極と下部電極との間の動的電解電流が一定となり、したがって上部基板および下部基板上の銅電極材料の正味の損失が全くない、または無視できる。
【0163】
図10cは、どのように透過率または反射率減少状態を得られるかを示す図である。同一の基板上で、交流電圧が適用される。例えば、実施形態では、図10cに示される、電位+V2が第1の電極に適用され、次のすぐ隣の電極が逆の電位-V2を有するなどである。これは、電位+V2を電極13aに適用し、逆電位-V2を電極13bに適用することによって得ることができる。対向する基板では、電位+V2が電極14aに適用され、逆電位-V2が電極14bに適用されてもよい。例えば、これらの電極は、基板上の電極が整列されるように配置されてもよく;上部基板上の電極が、下部基板上に対向する電極を有し、逆の場合も同じである。例えば透過率または反射率を減少させるために、対向電極は同電位を受けてもよく、一方隣り合う電極が逆電位を受ける。4つの電極が参照符号13a、13b、14a、および14bで示され、電極の残りが連続して交互になっている実施形態を図10cに示す。
【0164】
上部基板と下部基板との間のこのAC駆動サイクルを使用することによって、斜め方向の電界および横方向の電界が2枚の基板間で生成され、それにより、粒子の偶発的拡散が発生し、それにより光変調器の閉状態を創出する。この構成の結果として、粒子が上部基板と下部基板との間で斜め方向および横方向に移行し、光変調器の可視のアパーチャへの粒子の拡散が光変調器の閉じられた不透過状態に寄与する。
【0165】
図10bに示す透過状態については、例えば正の電位を有する図10bに示された電極が負となり、逆の場合も同じであるように、波形が電極に適用され得る。図10bにあるように、例えば電極13aと13bとの間、および電極14aと14bとの間に波形を適用すると、電極への腐食損傷が低減する。
【0166】
AC駆動サイクルは、例えば、図2aまたは図2bの平面図に示される上部電極および下部電極の構成を組み合わせた相互嵌合線構成を使用することによって実施され得る。
【0167】
図10bおよび図10cにおける透過率または反射率が増加または減少する程度は、電気信号の振幅(電圧)、周波数、およびバイアスの差に依存する。振幅差を変化させることによって、透過率または反射率が増加し、それぞれ減少する量が制御される。例えば、光透過率対電圧を表す曲線が決定されてもよく、例えば測定されてもよい。特定レベルの光透過率を得るために、例えば特定の透過率、例えば特定のグレースケールレベルを得るために、対応電圧、例えばAC電圧が適用され得る。透過状態または非透過状態の信号を補間することによって、透過性と非透過性との間のレベルを得ることができる。同様に、光反射率対電圧を表す曲線が決定されてもよく、例えば測定されてもよい。特定レベルの反射率を得るために、対応電圧、例えばAC電圧が適用され得る。反射状態または非反射状態の信号を補間することによって、反射性と非反射性との間のレベルを得ることができる。
【0168】
図11は、実施形態による光変調器を制御する方法900の実施形態の例を概略的に示す図である。この方法は、コンピュータによって実施され得る。この方法は、
- 対応する電極における電流を示す少なくとも1つの電流検知信号を、少なくとも1つの電流検知回路から受信すること(910)と、
- 少なくとも1つの電流検知信号から、および目標透過率から、電極のための駆動信号を決定すること(920)と、
- 複数の電極間の電磁界を得るために、駆動信号に従って複数の電極に電位を適用するための駆動信号を光変調器に送信すること(930)とを含み、電磁界は、複数の電極のうちの1つに向かうまたは複数の電極のうちの1つからの粒子の電気泳動の動きをもたらす。
【0169】
当業者には明らかなように、本方法を実行する多くの異なる方法が可能である。例えば、ステップの順序は示された順序で行われ得るが、ステップの順序は変更可能であり、いくつかのステップが並列で実行されてもよい。さらに、ステップ間に、他の方法ステップが挿入されてもよい。挿入されたステップは、本明細書で説明したような方法の改良点を表し得るか、または本方法と無関係でもよい。例えば、いくつかのステップは、少なくとも部分的に並列で実行され得る。さらに、所与のステップは、次のステップが開始される前に完全に終了していなくてもよい。
【0170】
本方法の実施形態は、プロセッサシステムに方法900を行わせるための命令を含む、ソフトウェアを使用して実行され得る。ソフトウェアは、システムの特定のサブエンティティによって行われるこれらのステップのみを含み得る。このソフトウェアは、ハードディスク、フロッピー、メモリ、光ディスクなどの適した記憶媒体に記憶されてもよい。このソフトウェアは、配線に沿って、またはワイヤレスで、またはデータネットワーク、例えばインターネットを使用して、信号として送られ得る。ソフトウェアは、ダウンロードのため、および/またはサーバ上でのリモート使用のために利用可能となり得る。本方法の実施形態は、プログラマブルロジック、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を本方法を行うように構成するように構成されるビットストリームを使用して実行され得る。
【0171】
本開示の主題は、また、コンピュータプログラム、特に本開示の主題を実践に移すために構成された、キャリア上、またはそのキャリア中のコンピュータプログラムに拡大することが了解されよう。プログラムは、ソースコード、オブジェクトコード、コード中間ソース、および部分的にコンパイルされた形態などのオブジェクトコードの形態、または本方法の実施形態の実施で使用される適切な任意の他の形態であり得る。コンピュータプログラム製品に関係する実施形態は、記載される方法のうちの少なくとも1つの処理ステップのそれぞれに対応するコンピュータ実行可能命令を含む。これらの命令は、サブルーチンに細分されてもよく、および/または静的もしくは動的にリンクされ得る1つもしくは複数のファイルに記憶され得る。コンピュータプログラム製品に関係する他の実施形態は、記載されるシステムならびに/または製品のうちの少なくとも1つのデバイス、ユニット、および/もしくは部分のそれぞれに対応するコンピュータ実行可能命令を含む。
【0172】
図12aは、コンピュータプログラム1020を含む書き込み可能部分1010を有するコンピュータ可読媒体1000を示す図であり、コンピュータプログラム1020は、実施形態により、プロセッサシステムに、光変調器方法を行わせる命令を含む。コンピュータプログラム1020は、物理的なマークとして、またはコンピュータ可読媒体1000の磁化によって、コンピュータ可読媒体1000上で具現化され得る。ただし、任意の他の適切な実施形態も同様に考えられる。さらに、ここではコンピュータ可読媒体1000が光ディスクとして示されるが、コンピュータ可読媒体1000はハードディスク、ソリッドステートメモリ、フラッシュメモリなどの任意の適切なコンピュータ可読媒体でもよく、記録不可または記録可能でもよいことが了解されよう。コンピュータプログラム1020は、プロセッサシステムに、光変調器方法を行わせる命令を含む。
【0173】
図12bは、光変調器のためのコントローラの実施形態によるプロセッサシステム1140の概略表現を示す。このプロセッサシステムは、1つ以上の集積回路1110を備える。1つ以上の集積回路1110のアーキテクチャが図12bに概略的に示される。回路1110は、実施形態による方法を実行する、および/またはそのモジュールもしくはユニットを実施するコンピュータプログラムコンポーネントを走らせるために例えばCPUなどの処理ユニット1120を備える。回路1110は、プログラミングコード、データなどを記憶するためのメモリ1122を備える。メモリ1122の一部分は、読み出し専用でもよい。回路1110は、通信素子1126、例えば、アンテナ、コネクタ、またはその両方などを含み得る。回路1110は、本方法で定義された処理の一部または全部を行うために専用集積回路1124を備え得る。プロセッサ1120、メモリ1122、専用IC1124、および通信素子1126は、インターコネクト1130、例えばバスを介して互いに接続され得る。プロセッサシステム1110は、アンテナおよび/またはコネクタをそれぞれ使用して、接触型および/または非接触型通信のために構成され得る。
【0174】
例えば、実施形態では、プロセッサシステム1140、例えばデバイスは、プロセッサ回路とメモリ回路とを備えてもよく、プロセッサがメモリ回路に記憶されたソフトウェアを実行するように構成される。例えば、プロセッサ回路は、Intel Core i7プロセッサ、ARM Cortex-R8などでもよい。実施形態では、プロセッサ回路は、ARM Cortex M0でもよい。メモリ回路は、ROM回路、または例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリでもよい。メモリ回路は、例えばSRAMメモリなどの揮発性メモリでもよい。後者の場合、デバイスは、例えば、ソフトウェアを提供するように構成されるハードドライブ、ネットワークインターフェースなどの不揮発性ソフトウェアインターフェースを備え得る。
【0175】
例えば電極に適用される電圧を制御する光変調器用のコントローラは、プロセッサ回路を備え得るが、またはその代わりとして、状態機械をも備え得る。
【0176】
以下の番号が付された項は、企図される非限定の例を含む。
【0177】
項1.電気泳動光変調器であって:光変調器は、電気的に構成可能なグレージングを含み:光変調器は、
第1の基板および第2の基板であって、内側が互いに対向して配置され、複数の電極が第1および第2の基板のそれぞれの内側に適用され、複数の電極のそれぞれは基板にわたるパターンで配置され、電位を複数の電極に適用した結果として、複数の電極間の電磁界が得られ、複数の電極はそれぞれ、
基板にわたって第1の方向に延在する複数の主線であって、複数の電極の複数の主線は、基板上で互いに対して交互に配置される、複数の主線を備えている、第1の基板および第2の基板;
第1の基板と第2の基板との間に囲まれた光学層であって、
第1の基板と第2の基板との間に密閉された粒子を含む流体を備えており、粒子は帯電しており、粒子は光を吸収または反射するように構成され、複数の電極間の電磁界は、複数の電極のうちの1つに向かうまたは複数の電極のうちの1つからの粒子の電気泳動の動きをもたらす、光学層;
複数の電極のうちの1つと接続された少なくとも1つの電流検知回路であって、接続された電極の電流を測定するように構成される、電流検知回路と;プロセッサシステムを備えるコントローラであって、プロセッサシステムは、
接続された電極における電流を示す少なくとも1つの電流検知信号を、少なくとも1つの電流検知回路から受信し、
少なくとも1つの電流検知信号から、および目標透過率または反射率から、複数の電極のための駆動信号を決定し、
駆動信号に従って、複数の電極に電位を適用する
ように構成される、コントローラを
備える、電気泳動光変調器。
【0178】
項2.流体が、誘電性流体を含む、項1に記載の電気泳動光変調器。
【0179】
項3.流体が、15未満の比誘電率を有する無極の流体を含む、項1または2に記載の電気泳動光変調器。
【0180】
項4.粒子が、無機色素を含む色素粒子を含む、項1から3のいずれか一項に記載の電気泳動光変調器。
【0181】
項5.無機色素が、二酸化チタン、アルミナ、シリカ、またはそれらの混合物を含む、項4に記載の電気泳動光変調器。
【0182】
項6.色素粒子が、正または負のいずれかに帯電される、項4および/または5に記載の電気泳動光変調器。
【0183】
項7.電気泳動光変調器方法であって:光変調器は、電気的に構成可能なグレージングを含み:電気泳動光変調器方法は、光変調器を提供することであって、光変調器は:
第1の基板および第2の基板であって、内側が互いに対向して配置され、複数の電極が第1および第2の基板のそれぞれの内側に適用され、複数の電極のそれぞれは基板にわたるパターンで配置され、電位を複数の電極に適用した結果として、複数の電極間の電磁界が得られ、複数の電極はそれぞれ、
基板にわたって第1の方向に延在する複数の主線であって、複数の電極の複数の主線は、基板上で互いに対して交互に配置される、複数の主線を備えている、第1の基板および第2の基板;
第1の基板と第2の基板との間に密閉された光学層であって、
第1の基板と第2の基板との間に密閉された粒子を含む流体を備えており、粒子は帯電しており、粒子は光を吸収または反射するように構成され、複数の電極間の電磁界は、複数の電極のうちの1つに向かうまたは複数の電極のうちの1つからの粒子の電気泳動の動きをもたらす、光学層;
複数の電極のうちの1つに接続された少なくとも1つの電流検知回路であって、接続された電極の電流を測定するように構成される、電流検知回路;
を備えている、ことと、
対応する電極における電流を示す少なくとも1つの電流検知信号を、少なくとも1つの電流検知回路から受信することと、
少なくとも1つの電流検知信号から、および目標透過率または反射率から、電極のための駆動信号を決定することと、
駆動信号に従って複数の電極に電位を適用するために駆動信号を光変調器に送信することと
を含む、電気泳動光変調器方法。
【0184】
なお、上述した実施形態は、本開示の主題を限定するのではなく例示しており、当業者が多くの代替実施形態を設計できることに留意されたい。
【0185】
特許請求の範囲において、括弧で囲まれた参照符号は、特許請求の範囲を限定するとして解釈されるべきではない。「備える」、「含む」という動詞とその語形変化の使用は、特許請求の範囲で述べられる要素またはステップ以外の要素またはステップの存在を排除しない。要素の前の「1つの(a)」または「1つの(an)」という冠詞は、複数のそのような要素の存在を排除しない。「の少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストの後にあるとき、そのリストからの要素の全部または任意のサブセットの選択を表す。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」という表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、またはA、B、およびCの全部を含むとして理解されるべきである。本開示の主題は、いくつかの別個の要素を含むハードウェアによって、および適切にプログラムされたコンピュータによって実施され得る。いくつかの部分を列挙するデバイスの特許請求の範囲において、それらの部分のいくつかは、ハードウェアの1つの同じ項目によって具現化され得る。特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという事実のみで、それらの手段の組合せが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0186】
特許請求の範囲において、括弧内の参照は、例示する実施形態の図面における参照符号または実施形態の式を指し、したがって特許請求の範囲をより理解しやすいようにする。これらの参照は特許請求の範囲を限定するとして解釈されるべきではない。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図10c
図11
図12a
図12b
【国際調査報告】