(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(54)【発明の名称】自己免疫疾患の処置のためのピリジノン化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 213/74 20060101AFI20230817BHJP
C07D 498/10 20060101ALI20230817BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20230817BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20230817BHJP
C07D 487/04 20060101ALI20230817BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20230817BHJP
A61K 31/5386 20060101ALI20230817BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20230817BHJP
A61K 31/553 20060101ALI20230817BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20230817BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20230817BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20230817BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230817BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230817BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230817BHJP
C07D 401/14 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
C07D213/74
C07D498/10
C07D413/14
C07D471/04 112
C07D487/04 147
C07D519/00 301
A61K31/5386
A61K31/506
A61K31/553
A61K31/496
A61K31/497
A61K31/4985
A61P13/12
A61P29/00
A61P37/06
C07D401/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507596
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(85)【翻訳文提出日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2021071550
(87)【国際公開番号】W WO2022029068
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/106791
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ドンドン
(72)【発明者】
【氏名】デイ,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,シン
(72)【発明者】
【氏名】タン,スーフェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュ,ジアス
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ,ジェ
【テーマコード(参考)】
4C050
4C055
4C063
4C065
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB08
4C050CC08
4C050EE03
4C050FF01
4C050GG01
4C050HH04
4C055AA01
4C055AA04
4C055BA02
4C055BA03
4C055BA06
4C055BA13
4C055BA42
4C055BA52
4C055BB10
4C055CA02
4C055CA03
4C055CA06
4C055CA25
4C055CA27
4C055CB10
4C055DA01
4C055EA01
4C063AA03
4C063AA05
4C063BB02
4C063BB09
4C063CC12
4C063CC29
4C063CC34
4C063CC57
4C063DD02
4C063DD10
4C063DD12
4C063DD29
4C063EE01
4C065AA05
4C065BB09
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ01
4C065KK01
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4C065PP12
4C065PP15
4C065QQ05
4C072AA04
4C072BB02
4C072CC02
4C072CC11
4C072EE07
4C072FF01
4C072GG01
4C072HH07
4C072HH08
4C072JJ03
4C072MM10
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC42
4C086BC50
4C086BC75
4C086CB09
4C086CB22
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZC42
(57)【要約】
本発明は、式(I)
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びAは、本明細書に記載されるとおりである)
の化合物及びそれらの薬学的に許容され得る塩、並びに該化合物を含む組成物及び該化合物を使用する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、
R
1はC
1~6アルキルであり、
R
2はC
1~6アルキルであり、
R
3は、C
1~6アルキル又はハロC
1~6アルキルであり、
R
4は、ピペラジニル、ピペリジニル又は3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジニルであり、前記ピペラジニル、ピペリジニル又は3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジニルは、
5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イル、
フェニルC
1~6アルキル(フェニルはピペラジニルで置換されている)、
ピペラジニル、
ピラジニルC
1~6アルキル(ピラジニルはピペラジニルで置換されている)、
ピリジニル(ピリジニルはピペラジニルで置換されている)、
ピリジニルC
1~6アルキル(ピリジニルは、5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル又はピペラジニルで置換されている)、
ピリミジニル(ピリミジニルは5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イルで置換されている)、及び
ピリミジニルC
1~6アルキル(ピリミジニルは、アミノ(C
1~6アルキル)アゼチジニル、5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル、アミノ-1,4-オキサゼパン-4-イル又はピペラジニルで置換されている)
から選択される置換基で置換されており、
Aは、CH又はNである)
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
AがCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
4が、
【化2】
であり、R
5は、
5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イル、
フェニルC
1~6アルキル(フェニルはピペラジニルで置換されている)、
ピペラジニル、
ピラジニルC
1~6アルキル(ピラジニルはピペラジニルで置換されている)、
ピリジニル(ピリジニルはピペラジニルで置換されている)、
ピリジニルC
1~6アルキル(ピリジニルは、5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル又はピペラジニルで置換されている)、
ピリミジニル(ピリミジニルは5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イルで置換されている)、及び
ピリミジニルC
1~6アルキル(ピリミジニルは、アミノ(C
1~6アルキル)アゼチジニル、5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル、アミノ-1,4-オキサゼパン-4-イル又はピペラジニルで置換されている)
から選択される、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R
4が、
【化3】
(式中、R
5aは、5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イル、((ピペラジニル)フェニル)C
1~6アルキル、((ピペラジニル)ピラジニル)C
1~6アルキル、((ピペラジニル)ピリジニル)C
1~6アルキル、((5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリジニル)C
1~6アルキル、((アミノ(C
1~6アルキル)アゼチジニル)ピリミジニル)C
1~6アルキル、((5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジニル)C
1~6アルキル、((アミノ-1,4-オキサゼパン-4-イル)ピリミジニル)C
1~6アルキル、又は((ピペラジニル)ピリミジニル)C
1~6アルキルである)、
【化4】
(式中、R
5bはピペラジニルである)、又は
【化5】
(式中、R
5cは、ピペラジニルピリジニル又は(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジニルである)
である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R
4が、
【化6】
(式中、R
5aは、5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イル、(4-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル、(3-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル、(5-ピペラジン-1-イルピラジン-2-イル)メチル、(5-ピペラジン-1-イル-2-ピリジニル)メチル、(6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジニル)メチル、[6-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-3-ピリジニル]メチル、[2-(3-アミノ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]メチル、[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]メチル、[2-[6-アミノ-1,4-オキサゼパン-4-イル]ピリミジン-5-イル]メチル、(2-ピペラジン-1-イルピリミジン-5-イル)メチル、又は(5-ピペラジン-1-イルピリミジン-2-イル)メチルである)、
【化7】
(式中、R
5bはピペラジン-1-イルである)、又は
【化8】
(式中、R
5cは、6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジニル又は2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イルである)
である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R
3がC
1~6アルキルである、請求項4又は5に記載の化合物。
【請求項7】
R
3が、エチル又はイソプロピルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R
4が、
【化9】
(式中、R
5aは、((5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジニル)C
1~6アルキル又は((アミノ-1,4-オキサゼパン-4-イル)ピリミジニル)C
1~6アルキルである)、又は
【化10】
(式中、R
5cは(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジニルである)である、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
R
4が、
【化11】
(式中、R
5aは、[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]メチル若しくは[2-(3-アミノ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]メチルである)、又は
【化12】
(式中、R
5cは2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イルである)である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
R
1がC
1~6アルキルであり、
R
2がC
1~6アルキルであり、
R
3がC
1~6アルキルであり、
R
4が、
【化13】
(式中、R
5aは、((5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジニル)C
1~6アルキル若しくは((アミノ-1,4-オキサゼパン-4-イル)ピリミジニル)C
1~6アルキルである)、又は
【化14】
(式中、R
5cは(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジニルである)であり、
AがCHである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項11】
R
1がメチルであり、
R
2がメチルであり、
R
3が、エチル又はイソプロピルであり、
R
4が、
【化15】
(式中、R
5aは、[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]メチル若しくは[2-(3-アミノ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]メチルである)、又は
【化16】
(式中、R
5cは2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イルである)であり、
AがCHである、請求項10に記載の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項12】
5-[2-エチル-6-[4-[[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-エチル-6-[4-[[6-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-3 ピリジル]メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[6-[4-[[2-(3-アミノ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[6-[4-[[2-[(6S)-6-アミノ-1,4-オキサゼパン-4-イル]ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-エチル-6-[4-[(4-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-[[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(5-ピペラジン-1-イル-2-ピリジル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(5-ピペラジン-1-イルピラジン-2-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(2-ピペラジン-1-イルピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[6-[4-[[2-(3-アミノ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(5-ピペラジン-1-イルピリミジン-2-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(4-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(3-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-(5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[8-(6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-(ジフルオロメチル)-6-[4-[(4-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-(4-ピペラジン-1-イル-1-ピペリジル)-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;及び
5-[2-エチル-6-[2-[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-8-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
から選択される化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項13】
a)式(IX)
【化17】
の化合物を、酸を用いて脱保護して、式(I-1)
【化18】
の化合物を得る工程、
b)式(XV)
【化19】
の化合物を、酸を用いて脱保護して、式(I-2)
【化20】
の化合物を得る工程、
c)式(XVII)
【化21】
の化合物を、酸を用いて脱保護して、式(I-3)
【化22】
の化合物を得る工程
のいずれかを含み、
式中、PGはBocであり;Lは、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペラジニルピペリジニル、ピペリジニルピペラジニル又は3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-イルであり;G
1は、5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イル、フェニル、ピペラジニル、ピラジニル、ピリジニル又はピリミジニルであり;G
2は、ピペラジニル、5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル、アミノ(C
1~6アルキル)アゼチジニル又はアミノ-1,4-オキサゼパン-4-イルであり;G
3は、5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イルであり;R
1、R
2、R
3及びAは、請求項1~11のいずれか一項と同様に定義される、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物を調製するための方法。
【請求項14】
治療活性物質としての使用のための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、又は薬学的に許容され得る塩。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物と、治療不活性担体とを含む、医薬組成物。
【請求項16】
全身性エリテマトーデス又はループス腎炎の処置又は予防のための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項17】
全身性エリテマトーデス又はループス腎炎の処置又は予防のための医薬の調製のための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項18】
TLR7及びTLR8及びTLR9のアンタゴニストのための医薬の調製のための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
全身性エリテマトーデス又はループス腎炎の処置又は予防のための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容され得る塩。
【請求項20】
請求項13に記載の方法に従って製造された場合の、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容され得る塩。
【請求項21】
全身性エリテマトーデス又はループス腎炎の処置又は予防のための方法であって、治療有効量の請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項22】
上述されるとおりである発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物における処置及び/又は予防に有用な有機化合物、特に、全身性エリテマトーデス又はループス腎炎の処置に有用なTLR7及び/又はTLR8及び/又はTLR9のアンタゴニストに関する。
【背景技術】
【0002】
自己免疫性結合組織病(connective tissue disease:CTD)には、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)、原発性シェーグレン症候群(primary Sjoegren’s syndrome:pSjS)、混合性結合組織病(mixed connective tissue disease:MCTD)、皮膚筋炎/多発性筋炎(dermatomyositis/polymyositis:DM/PM)、関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)、及び全身性硬化症(systemic sclerosis:SSc)等のプロトタイプの自己免疫症候群が含まれる。RAを除いて、患者が利用可能である実際に効果的で安全な治療法はない。SLEは、100,000人あたり20~150人の有病率を有するプロトタイプのCTDであり、皮膚や関節で一般的に観察される症状から腎不全、肺不全、又は心不全に至るまで、様々な臓器において広範な炎症や組織損傷を引き起こす。従来、SLEは、非特異的な抗炎症薬又は免疫抑制薬で処置されてきた。しかしながら、免疫抑制薬、例えばコルチコステロイドの長期使用は、部分的にしか効果がなく、望ましくない毒性及び副作用を伴う。ベリムマブは、過去50年間にFDAが承認した唯一の狼瘡薬であるが、SLE患者のごく一部にしか効果がなく、それも控えめで遅れがある(Navarra,S.V.et al Lancet 2011,377,721.)。抗CD20 mAb、特定のサイトカインに対するmAb又は可溶性受容体等の他の生物学的製剤は、ほとんどの臨床研究で失敗している。したがって、より多くの患者群で持続的な改善を提供し、多くの自己免疫疾患及び自己炎症疾患で慢性的に使用しても安全性がより高い、新規治療法が必要とされている。
【0003】
Toll様受容体(TLR)は、幅広い種類の免疫細胞における広範な免疫応答を開始することができるパターン認識受容体(PRR)の重要なファミリーである。自然宿主防御センサとして、エンドソームTLR7、8、及び9は、ウイルス、細菌に由来する核酸を認識し、具体的には、TLR7/8及びTLR9は、それぞれ一本鎖RNA(single-stranded RNA:ssRNA)及び一本鎖CpG-DNAを認識する。しかしながら、TRL7、8、9の異常な核酸感知は、幅広い自己免疫疾患及び自己炎症性疾患の重要なノードと見なされている(Krieg,A.M.et al.Immunol.Rev.2007,220,251.Jimenez-Dalmaroni,M.J.et al Autoimmun Rev.2016,15,1.Chen,J.Q.,et al.Clinical Reviews in Allergy&Immunology 2016,50,1.)。抗RNA抗体及び抗DNA抗体は十分に確立されたSLEの診断マーカーであり、自己RNA及び自己DNAの両方をエンドソームへ送達することができる。自己RNA複合体がTLR7及びTLR8によって認識され得るのに対し、自己DNA複合体はTLR9の活性化を引き起こし得る。実際、血液及び/又は組織からの自己RNA及び自己DNAのクリアランスの欠陥は、SLE(全身性エリテマトーデス)患者において明白である。TLR7及びTLR9は、SLE組織において上方調節され、それぞれループス腎炎の慢性化及び活性と相関していると報告されてきた。SLE患者のB細胞において、TLR7発現は抗RNP抗体産生と相関しているのに対し、TLR9発現はIL-6レベル及び抗二本鎖DNA抗体レベルと相関している。一貫して、ループスマウスモデルでは、TLR7は抗RNA抗体に必要であり、TLR9は、抗ヌクレオソーム抗体に必要である。その一方で、マウスにおけるTLR7又はヒトTLR8の過剰発現は、自己免疫及び自己炎症を促進する。その上、TLR8の活性化は、mDC/マクロファージの炎症性サイトカイン分泌、好中球ネトーシス、Th17細胞の誘導、及びTreg細胞の抑制に特異的に寄与する。B細胞の自己抗体産生の促進におけるTLR9の役割について述べたことに加えて、pDCにおける自己DNAによるTLR9の活性化もまた、I型IFN及び他の炎症性サイトカインの誘導をもたらす。pDCとB細胞の両方においてTLR9が自己免疫疾患の病因にこのような重要な役割を果たしていることと、自己免疫疾患の多くの患者においてTLR9を容易に活性できる自己DNA複合体が広範囲に存在することとを考えると、TLR7及びTLR8の経路の阻害に加えて、自己DNAを介したTLR9経路を更に遮断することには特別な利点があり得る。まとめると、TLR7、8、9経路は、有効なステロイド非含有及び非細胞毒性の経口薬が存在しない自己免疫疾患及び自己炎症疾患の処置用の新たな治療標的であり、これらの経路全てをまさに上流から阻害することにより、満足な治療効果が得られる可能性がある。したがって、本発明者らは、自己免疫疾患及び自己炎症疾患の処置のために、TLR7、TLR8及びTLR9を標的とし、抑制する経口化合物を発明した。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、式(I)
【化1】
(式中、
R
1はC
1~6アルキルであり、
R
2はC
1~6アルキルであり、
R
3はC
1~6アルキル又はハロC
1~6アルキルであり、
R
4は、ピペラジニル、ピペリジニル又は3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジニルであり、当該ピペラジニル、ピペリジニル又は3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジニルは、
5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イル、
フェニルC
1~6アルキル(フェニルはピペラジニルで置換されている)、
ピペラジニル、
ピラジニルC
1~6アルキル(ピラジニルはピペラジニルで置換されている)、
ピリジニル(ピリジニルはピペラジニルで置換されている)、
ピリジニルC
1~6アルキル(ピリジニルは、5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル又はピペラジニルで置換されている)、
ピリミジニル(ピリミジニルは5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イルで置換されている)、及び
ピリミジニルC
1~6アルキル(ピリミジニルはアミノ(C
1~6アルキル)アゼチジニル、5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル、アミノ-1,4-オキサゼパン-4-イル又はピペラジニルで置換されている)から選択される置換基で置換されており、
Aは、CH又はNである)
の新規化合物、又はその薬学的に許容され得る塩に関する。
【0005】
本発明の他の目的は、式(I)の新規化合物に関する。その製造、本発明による化合物に基づく医薬及びその製造、並びにTLR7及びTLR8及びTLR9アンタゴニストとしての式(I)の化合物の使用、並びに全身性エリテマトーデス又はループス腎炎の処置又は予防のための使用。式(I)の化合物は、優れたTLR7及びTLR8及びTLR9の拮抗活性を示す。加えて、式(I)の化合物は、良好な細胞毒性、光毒性、可溶性、hPBMC、ヒトミクロソーム安定性、AO(ヒトサイトゾルアルデヒドオキシダーゼ)、及びSDPKプロファイル、並びに低いCYP阻害も示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義
「C1~6アルキル」という用語は、1~6個、特に1~4個の炭素原子を含有する飽和直鎖又は分枝鎖アルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル等を示す。特定の「C1~6アルキル」基は、メチル、エチル、及びn-プロピルである。
【0007】
「ハロゲン」及び「ハロ」という用語は、本明細書で互換的に使用され、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを示す。
【0008】
「ハロC1~6アルキル」という用語は、C1~6アルキル基の水素原子の少なくとも1つが、同じ又は異なるハロゲン原子、特に、フルオロ原子で置き換えられているC1~6アルキル基を示す。ハロC1~6アルキルの例としては、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、若しくはトリフルオロメチル、モノフルオロエチル、ジフルオロエチル、若しくはトリフルオロエチル、又はモノフルオロプロピル、ジフルオロプロピル、若しくはトリフルオロプロピル、例えば3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、トリフルオロエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、ジフルオロエチル、又はトリフルオロメチルが挙げられる。
【0009】
「薬学的に許容され得る塩」という用語は、生物学的に又は他の点で望ましくないものではない塩を意味する。薬学的に許容され得る塩には、酸付加塩及び塩基付加塩の両方が含まれる。
【0010】
「薬学的に許容され得る酸性付加塩」という用語は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等の無機酸と、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸(maloneic acid)、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、エンボン酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及びサリチル酸等の有機酸の脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)、複素環式、カルボン酸、及びスルホン酸類から選択される有機酸とで形成されるような薬学的に許容され得る塩を意味する。
【0011】
「薬学的に許容され得る塩基付加塩」という用語は、有機塩基又は無機塩基で形成される薬学的に許容され得る塩を意味する。許容され得る無機塩基の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、及びアルミニウム塩が挙げられる。薬学的に許容され得る有機非毒性塩基から誘導される塩としては、天然の置換アミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジエチルアミノエタノール、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペリジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、及びポリアミン樹脂を含む、第一級、第二級、及び第三級アミン、置換アミンの塩が挙げられる。
【0012】
「薬学的に活性な代謝物」という用語は、特定の化合物又はその塩の体内での代謝を通じて産生される薬理学的に活性な生成物を示す。体内に入った後、ほとんどの薬物は化学反応の基質となり、それらの物理的特性及び生物学的効果を変化させ得る。これらの代謝変換は、通常、本発明の化合物の極性に影響を与え、薬物が体内に分配されて体内から排泄される方法を変える。しかしながら、場合によっては、治療効果のために薬物の代謝が必要になる。
【0013】
「治療有効量」という用語は、対象に投与された場合に、(i)特定の疾患、状態若しくは障害を処置若しくは予防する、(ii)特定の疾患、状態若しくは障害の1若しくは複数の症状を軽減、改善若しくは排除する、又は(iii)本明細書に記載の特定の疾患、状態若しくは障害の1若しくは複数の症状の発症を予防若しくは遅延させる、本発明の化合物若しくは分子の量を意味する。治療有効量は、化合物、処置される病状、処置される疾患の重症度、対象の年齢及び相対的な健康状態、投与の経路及び形態、主治医又は獣医師の判断、並びにその他の要因に応じて異なる。
【0014】
「医薬組成物」という用語は、それを必要とする哺乳動物(例えばヒト)に投与される、治療有効量の有効活性成分を薬学的に許容され得る添加物とともに含む混合物又は溶液を示す。
【0015】
TLR7及び/又はTLR8及び/又はTLR9のアンタゴニスト
本発明は、(i)式(I):
【化2】
(式中、
R
1はC
1~6アルキルであり、
R
2はC
1~6アルキルであり、
R
3はC
1~6アルキル又はハロC
1~6アルキルであり、
R
4は、ピペラジニル、ピペリジニル又は3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジニルであり、当該ピペラジニル、ピペリジニル又は3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジニルは、
5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イル、
フェニルC
1~6アルキル(フェニルはピペラジニルで置換されている)、
ピペラジニル、
ピラジニルC
1~6アルキル(ピラジニルはピペラジニルで置換されている)、
ピリジニル(ピリジニルはピペラジニルで置換されている)、
ピリジニルC
1~6アルキル(ピリジニルは、5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル又はピペラジニルで置換されている)、
ピリミジニル(ピリミジニルは5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イルで置換されている)、及び
ピリミジニルC
1~6アルキル(ピリミジニルはアミノ(C
1~6アルキル)アゼチジニル、5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル、アミノ-1,4-オキサゼパン-4-イル又はピペラジニルで置換されている)から選択される置換基で置換されており、
Aは、CH又はNである)
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩に関する。
【0016】
本発明の更なる実施形態は、(ii)AがCHである、(i)による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩である。
【0017】
本発明の更なる実施形態は、(iii)(i)又は(i)による式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、
R
4は、
【化3】
であり、R
5は、
5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イル、
フェニルC
1~6アルキル(フェニルはピペラジニルで置換されている)、
ピペラジニル、
ピラジニルC
1~6アルキル(ピラジニルはピペラジニルで置換されている)、
ピリジニル(ピリジニルはピペラジニルで置換されている)、
ピリジニルC
1~6アルキル(ピリジニルは、5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル又はピペラジニルで置換されている)、
ピリミジニル(ピリミジニルは5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イルで置換されている)、及び
ピリミジニルC
1~6アルキル(ピリミジニルはアミノ(C
1~6アルキル)アゼチジニル、5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル、アミノ-1,4-オキサゼパン-4-イル又はピペラジニルで置換されている)
から選択される。
【0018】
本発明の更なる実施形態は、(iv)(i)~(iii)のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩であって、
R
4は、
【化4】
(式中、R
5aは、5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イル、((ピペラジニル)フェニル)C
1~6アルキル、((ピペラジニル)ピラジニル)C
1~6アルキル、((ピペラジニル)ピリジニル)C
1~6アルキル、((5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリジニル)C
1~6アルキル、((アミノ(C
1~6アルキル)アゼチジニル)ピリミジニル)C
1~6アルキル、((5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジニル)C
1~6アルキル、((アミノ-1,4-オキサゼパン-4-イル)ピリミジニル)C
1~6アルキル、又は((ピペラジニル)ピリミジニル)C
1~6アルキルである)、
【化5】
(式中、R
5bはピペラジニルである)、又は
【化6】
(式中、R
5cはピペラジニルピリジニル又は(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジニルである)
である。
【0019】
本発明の更なる実施形態は、(v)(i)~(iv)のいずれか1つに記載の式(I)の化合物であって、
R
4は、
【化7】
(式中、R
5aは、5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イル、(4-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル、(3-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル、(5-ピペラジン-1-イルピラジン-2-イル)メチル、(5-ピペラジン-1-イル-2-ピリジニル)メチル、(6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジニル)メチル、[6-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-3-ピリジニル]メチル、[2-(3-アミノ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]メチル、[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]メチル、[2-[6-アミノ-1,4-オキサゼパン-4-イル]ピリミジン-5-イル]メチル、(2-ピペラジン-1-イルピリミジン-5-イル)メチル、又は(5-ピペラジン-1-イルピリミジン-2-イル)メチルである)、
【化8】
(式中、R
5bはピペラジン-1-イルである)、又は
【化9】
(式中、R
5cは6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジニル又は2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イルである)
である。
【0020】
本発明の更なる実施形態は、(vi)(i)~(v)のいずれか1つに記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩であって、R3はC1~6アルキルである。
【0021】
本発明の更なる実施形態は、(vii)(i)~(vi)のいずれか1つに記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩であって、R3はエチル又はイソプロピルである。
【0022】
本発明の更なる実施形態は、(viii)(i)~(vii)のいずれか1つに記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩であって、R
4は
【化10】
(式中、R
5aは((5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジニル)C
1~6アルキル又は((アミノ-1,4-オキサゼパン-4-イル)ピリミジニル)C
1~6アルキルである)、
又は
【化11】
(式中、R
5cは(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジニルである)
である。
【0023】
本発明の更なる実施形態は、(ix)(i)~(viii)のいずれか1つに記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩であって、R
4は
【化12】
(式中、R
5aは[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]メチル若しくは[2-(3-アミノ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]メチル、又は
【化13】
(式中、R
5cは2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イルである)
である。
【0024】
本発明の更なる実施形態は、(x)(i)~(ix)のいずれか1つに記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩であって、
R
1はC
1~6アルキルであり、
R
2はC
1~6アルキルであり、
R
3はC
1~6アルキルであり、
R
4は、
【化14】
(式中、R
5aは、((5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジニル)C
1~6アルキル又は((アミノ-1,4-オキサゼパン-4-イル)ピリミジニル)C
1~6アルキルである)、又は
【化15】
(式中、R
5cは(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジニルである)であり、
AはCHである
式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩である。
【0025】
本発明の更なる実施形態は、(xi)(i)~(x)のいずれか1つに記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩であって、
R
1はメチルであり、
R
2はメチルであり、
R
3はエチル又はイソプロピルであり、
R
4は
【化16】
(式中、R
5aは[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]メチル若しくは[2-(3-アミノ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]メチルである)、又は
【化17】
(式中、R
5cは2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イルである)であり、
AはCHである
式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩である。
【0026】
本発明の別の実施形態は、以下:
5-[2-エチル-6-[4-[[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-エチル-6-[4-[[6-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-3 ピリジル]メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[6-[4-[[2-(3-アミノ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[6-[4-[[2-[(6S)-6-アミノ-1,4-オキサゼパン-4-イル]ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-エチル-6-[4-[(4-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-[[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(5-ピペラジン-1-イル-2-ピリジル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(5-ピペラジン-1-イルピラジン-2-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(2-ピペラジン-1-イルピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[6-[4-[[2-(3-アミノ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(5-ピペラジン-1-イルピリミジン-2-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(4-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(3-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[4-(5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-[8-(6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-(ジフルオロメチル)-6-[4-[(4-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
5-[2-イソプロピル-6-(4-ピペラジン-1-イル-1-ピペリジル)-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;及び
5-[2-エチル-6-[2-[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-8-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン;
から選択される式(I)の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩である。
【0027】
合成
本発明の化合物は、任意の従来の手段によって調製することができる。これらの化合物及びそれらの出発物質を合成するための好適なプロセスは、以下のスキーム及び実施例に提供されている。全ての置換基、特にR1、R2、R3、R4、及びAは、別段示されない限り、上に記載されるとおりである。さらに、別段の明白な記述がない限り、全ての反応、反応条件、略語及び記号は、有機化学の当業者に周知の意味を有する。
【0028】
式(I)の化合物を調製するための一般的な合成経路を以下に示す。
【0029】
【化18】
式中、X
1、X
2、X
3はハロゲンである;AはCH又はNである;PGはBoc等の保護基である;Lは、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペラジニルピペリジニル、ピペリジニルピペラジニル又は3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-イルである;G
1は、5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イル、フェニル、ピペラジニル、ピラジニル、ピリジニル又はピリミジニルである;G
2は、ピペラジニル、5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル、アミノ(C
1~6アルキル)アゼチジニル又はアミノ-1,4-オキサゼパン-4-イルである。
【0030】
式(IV)の化合物を、適切な塩基、例えばKOAc、及び適切なパラジウム触媒、例えばPdCl2(DPPF)-CH2Cl2付加物の存在下でビス(ピナコラト)ジボロンで処理して、式(V)の化合物を得る。PdCl2(DPPF)-CH2Cl2 付加物等の適切な触媒及びK2CO3等の適切な塩基を用いた式(V)の化合物と式(VI)の化合物との間のSuzuki-カップリング反応により、式(VII)の化合物が得られる。式(VII)の化合物を、RuPhos Pd G2等の触媒、及びCs2CO3又はt-BuONa等の適切な塩基の存在下で化合物(VIII)とBuchwald-Hartwigアミノ化して、式(IX)の化合物を得る。TFA等の酸性条件下での式(IX)の化合物の脱保護により、(I-1)の化合物が得られる。K2CO3等の適切な塩基の存在下での式(I-1)の化合物と式(X)の化合物との間の置換反応により、式(XIII)の化合物が得られる。式(XIII)の化合物は、NaBH(OAc)3等の還元剤を用いた式(X)の化合物と式(XII)の化合物との間の還元的アミノ化によっても得ることができる。RuPhos Pd G2等の触媒、及びCs2CO3又はt-BuONa等の適切な塩基を用いたバックワルド・ハートウィグ(Buchwald-Hartwig)アミノ化条件下での式(XIII)の化合物と式(XIV)の化合物とのカップリングにより、式(XV)の化合物が得られる。TFA等の酸性条件下での式(XV)の化合物の脱保護により、(I-2)の化合物を得る。
【0031】
【化19】
式中、G
3は、5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イルである。
【0032】
RuPhos Pd G2等の触媒、及びCs2CO3又はt-BuONa等の適切な塩基を用いたBuchwald-Hartwigアミノ化条件下での式(I-1)の化合物と式(XVI)の化合物とのカップリングにより、式(XVII)の化合物が得られる。TFA等の酸性条件下での式(XVII)の化合物の脱保護により、式(I-3)の化合物が得られる。
【0033】
【0034】
式(VII)の化合物を、スキーム3を介して得ることもできる。
【0035】
KOAc等の適切な塩基、及びPdCl2(DPPF)-CH2Cl2付加物等の適切なパラジウム触媒の存在下で、式(VI)の化合物をビス(ピナコラト)ジボロンで処理すると、式(XIX)の化合物が得られる。PdCl2(DPPF)-CH2Cl2付加物等の適切な触媒、及びK2CO3等の適切な塩基を用いるSuzukiカップリング条件下での式(XIX)の化合物と式(IV)の化合物とのカップリングにより、式(VII)の化合物を得る。
【0036】
本発明の化合物は、ジアステレオマー又はエナンチオマーの混合物として得ることができ、これらは、当該技術分野で周知の方法、例えば、(キラル)HPLC又はSFCによって分離することができる。
【0037】
また、本発明は、以下の工程:
a)式(IX)
【化21】
の化合物を、酸を用いて脱保護して、式(I-1)
【化22】
の化合物を得る工程、
b)式(XV)
【化23】
の化合物を、酸を用いて脱保護して、式(I-2)
【化24】
の化合物を得る工程、
c)式(XVII)
【化25】
の化合物を、酸を用いて脱保護して、式(I-3)
【化26】
の化合物を得る工程
(調製方法において、
工程a)、b)及びc)では、酸は、例えば、TFAであってもよい)
のいずれかを含む、式(I)の化合物の調製方法にも関する。
【0038】
上記の方法によって製造される場合の式(I)の化合物も、本発明の目的である。
【0039】
適応症及び処置の方法
本発明は、TLR7及び/又はTLR8及び/又はTLR9のアンタゴニストとして使用することができ、TLR7及び/又はTLR8及び/又はTLR9を介した経路活性化、並びにあらゆる種類のサイトカイン及びあらゆる形態の自己抗体の産生を通じて媒介される自然免疫応答及び適応免疫応答を含むがこれらに限定されない、それぞれの下流の生物学的イベントを阻害する化合物を提供する。したがって、本発明の化合物は、形質細胞様樹状細胞、B細胞、T細胞、マクロファージ、単球、好中球、ケラチノサイト、上皮細胞を含むがこれらに限定されない、そのような受容体(複数可)を発現するあらゆる種類の細胞において、TLR7及び/又はTLR8及び/又はTLR9をブロックするのに有用である。このように、化合物は、全身性エリテマトーデス及びループス腎炎の治療薬又は予防薬として使用することができる。
【0040】
本発明は、処置又は予防を必要とする患者における全身性エリテマトーデス及びループス腎炎の処置又は予防のための方法を提供する。
【0041】
別の実施形態は、処置又は予防を必要とする哺乳動物における全身性エリテマトーデス及びループス腎炎を処置又は予防する方法を含み、該方法は、治療有効量の式(I)の化合物、立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、又はその薬学的に許容され得る塩を該哺乳動物に投与することを含む。
【実施例】
【0042】
本発明は、以下の実施例を参照することによってより十分に理解される。しかしながら、これらは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0043】
略語
本発明は、以下の実施例を参照することによってより十分に理解される。しかしながら、これらは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0044】
本明細書で使用される略語は、以下のとおりである。
ACN:アセトニトリル
Boc2O:二炭酸ジ-tertブチル
CbzCl:クロロギ酸ベンジル
DAST:(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオリド
DEA:ジエチルアミン
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
EtOAc又はEA:酢酸エチル
FA:ギ酸
HLM ヒト肝ミクロソーム
IC50:50%阻害濃度
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
MS:質量分析法
PBS リン酸緩衝生理食塩水
[Pd(アリル)Cl]2:アリルパラジウム(II)クロリド二量体
Pd[P(o-tol)3]2:ビス(トリ-o-トリルホスフィン)パラジウム
PE:石油エーテル
prep-HPLC:分取高速液体クロマトグラフィー
rt:室温
RuPhos Pd G2:クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシ-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)第2世代
PdCl2(DPPF)-CH2Cl2付加物:[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)
二塩化ジクロロメタン付加物
DAST:(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオリド
SFC:超臨界流体クロマトグラフィー
TEA:トリメチルアミン
TFA:トリフルオロ酢酸
v/v:体積比
【0045】
一般的な実験条件
中間体及び最終化合物を、以下の機器のうちの1つを使用して、フラッシュクロマトグラフィーによって精製した:i)Biotage SP1システム及びQuad 12/25カートリッジモジュール;ii)ISCOコンビフラッシュクロマトグラフィー機器。シリカゲルのブランド及び細孔径:i)KP-SIL 60Å、粒径:40~60μm;ii)CAS登録番号:シリカゲル:63231-67-4、粒径:47~60ミクロン シリカゲル;iii)Qingdao Haiyang Chemical Co.,Ltd製のZCX、細孔:200~300又は300~400。
【0046】
中間体及び最終化合物を、XBridge(商標)Prep-C18(5μm、OBD(商標)30×100mm)カラム、SunFire(商標)Prep-C18(5μm、OBD(商標)30×100mm)カラム、Phenomenex Synergi-C18(10μm、25×150mm)又はPhenomenex Gemini-C18(10μm、25×150mm)を使用する逆相カラムでの分取HPLCによって精製した。Waters AutoP精製システム(サンプルマネージャー2767、ポンプ2525、検出器:Micromass ZQ及びUV 2487、溶媒系:アセトニトリル及び水中0.1%水酸化アンモニウム;アセトニトリル及び水中0.1%FA又はアセトニトリル及び水中0.1%TFA)。又はGilson-281精製システム(ポンプ322、検出器:UV 156、溶媒系:アセトニトリル及び水中0.05%水酸化アンモニウム;アセトニトリル及び水中0.225%FA;アセトニトリル及び水中0.05%HCl;アセトニトリル及び水中0.075%TFA;又はアセトニトリル及び水)。
【0047】
SFCキラル分離について、中間体を、キラルカラム(Daicel chiralpak IC、5μm、30×250mm)、AS(10μm、30×250mm)又はAD(10μm、30×250mm)によって、Mettler Toledo Multigram IIIシステムSFC、Waters 80Q分取SFC又はThar80分取SFC、溶媒系:CO2及びIPA(IPA中の0.5%TEA)又はCO2及びMeOH(MeOH中の0.1%NH3・H2O)、背圧100バール、254又は220nmの検出紫外線を用いて分離した。
【0048】
化合物のLC/MSスペクトルを、LC/MS(Waters(商標)Alliance 2795-Micromass ZQ、Shimadzu Alliance 2020-Micromass ZQ、又はAgilent Alliance 6110-Micromass ZQ)を用いて得た。LC/MS条件は以下のとおりであった(実行時間3分又は1.5分):
酸性条件I:A:H2O中0.1%TFA;B:アセトニトリル中0.1% TFA;
酸性条件II:A:H2O中0.0375%TFA;B:アセトニトリル中0.01875%TFA;
基本条件I:A:H2中0.1%NH3・H2O;B:アセトニトリル;
塩基性条件II:A:H2O中0.025%NH3・H2O;B:アセトニトリル;
中性条件:A:H2O;B:アセトニトリル。
【0049】
マススペクトル(mass spectra:MS):一般的には親核の質量(parent mass)を示すイオンのみが報告され、特に明記しない限り、引用された質量イオン(mass ion)は正の質量イオン(positive mass ion)(MH)+である。
【0050】
NMRスペクトルは、Bruker Avance 400MHzを使用して取得した。
【0051】
マイクロ波支援反応は、Biotage Initiator Sixtyマイクロ波合成装置で行った。空気に敏感な試薬を含む全ての反応を、アルゴン又は窒素雰囲気下で行った。試薬は、特に明記しない限り、市販のものをそのまま使用し、更に精製することなく使用した。
【0052】
調製実施例
以下の実施例は、本発明の意味を説明することを意図しているが、決して本発明の意味の範囲内での限定を表すものではない。
【0053】
中間体A1
3-ブロモ-6-クロロ-2-エチルピリジン
【化27】
【0054】
中間体A1
工程1:5-ブロモ-6-エチルピリジン-2-アミンの調製
【化28】
【0055】
中間体A1-a
MeOH(20mL)中の6-エチルピリジン-2-アミン(5g、40.9mmol、CAS番号21717-29-3、販売業者:Bide Pharmatech、カタログBD3776)、1-ブロモピロリジン-2,5-ジオン(8.01g、45mmol、CAS番号128-08-5、販売業者:ALDRICH、カタログB81255)の混合物を0℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、次いで、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣をMeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、5-ブロモ-6-エチルピリジン-2-アミン(4.1g、収率49.8%)を橙色固体として得た。MS:計算値202(M+H+)、実測値202(M+H+).
【0056】
工程2:3-ブロモ-6-クロロ-2-エチルピリジンの調製
【化29】
【0057】
中間体A1
DCM(40mL)中の5-ブロモ-6-エチルピリジン-2-アミン(4.1g、20.4mmol)、CuCl2(5.48g、40.8mmol)、亜硝酸tert-ブチル(5.26g、51mmol、CAS番号540-80-7、販売業者:TCI、カタログN0357)の混合物を50℃で2時間撹拌した。反応が完了した後、次いで、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣を、PE/EA(0%~80%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、3-ブロモ-6-クロロ-2-エチルピリジン(2.8g、収率62.3%)を黄色液体として得た。MS:計算値220(M+H+)、実測値220(M+H+).
【0058】
中間体A2
6-クロロ-2-エチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン
【化30】
【0059】
中間体A2
ジオキサン(20mL)中の3-ブロモ-6-クロロ-2-エチルピリジン(2.8g、12.7mmol)、KOAc(3.12g、31.7mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(3.55g、14mmol、CAS番号73183-34-3、販売業者:Accela ChemBio Inc.、カタログSY001323)の混合物に、PdCl2(DPPF)-CH2Cl2付加物(929mg、1.27mmol、CAS番号95464-05-4、販売業者:Accela ChemBio Inc、カタログSY002614)を加え、混合物をN2雰囲気下、90℃で2時間撹拌した。反応が完了した後、次いで、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣を、PE/EA(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、6-クロロ-2-エチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(1.95g、収率57.4%)を黄色固体として得た。MS:計算値268(M+H+)、実測値268(M+H+).
【0060】
中間体A3
3-ブロモ-6-クロロ-2-イソプロピルピリジン
【化31】
【0061】
中間体A3
工程1において、6-エチルピリジン-2-アミンの代わりに6-イソプロピルピリジン-2-アミンを使用することによって、中間体A1の調製と同様に、中間体A3を調製した。MS計算値234(M+H+)、実測値234(M+H+).
【0062】
中間体A4
6-クロロ-2-イソプロピル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン
【化32】
【0063】
中間体A4
3-ブロモ-6-クロロ-2-エチルピリジンの代わりに3-ブロモ-6-クロロ-2-イソプロピル-ピリジンを用いて、中間体A2の調製と同様にして、中間体A4を調製した。MS計算値282(M+H+)、実測値282(M+H+).
【0064】
中間体A5
3-ブロモ-6-クロロ-2-(ジフルオロメチル)ピリジン
【化33】
【0065】
中間体A5
-78℃に冷却したDCM(40mL)中の3-ブロモ-6-クロロピコリンアルデヒド(1.5g、6.8mmol、CAS番号1060815-64-6、販売業者:Bide Pharmatech、カタログBD259869)の溶液に、DAST(4.39g、3.6mL、27.2mmol、CAS番号38078-09-0、販売業者:PharmaBlock Sciences(Nanjing),Inc、カタログPBLY8231)を添加した。添加後、混合物を-78℃で更に30分間撹拌し、次いで、室温に加温し、10時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣を、PE/EA(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、3-ブロモ-6-クロロ-2-(ジフルオロメチル)ピリジン(1.5g、収率91%)を黄色固体として得た。MS:計算値242(M+H+)、実測値242(M+H+).
【0066】
中間体B1
1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-オン
【化34】
【0067】
中間体B1
ジオキサン(10mL)中の5-ブロモ-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(0.5g、2.47mmol、CAS番号51417-13-1、販売業者:ALDRICH、カタログJRD0890)、KOAc(291mg、2.97mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(754mg、2.97mmol)の混合物に、PdCl2(DPPF)-CH2Cl2付加物(90.5mg、124μmol)を添加し、混合物をN2雰囲気下、90℃で2時間撹拌した。反応が完了した後、次いで、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣をMeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-オン(616mg、収率100%)を褐色固体として得た。MS:計算値250(M+H+)、実測値250(M+H+).
【0068】
実施例1
5-[2-エチル-6-[4-[[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化35】
【0069】
表題化合物を、以下のスキームによって調製した。
【0070】
【0071】
工程1:5-(6-クロロ-2-エチル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化37】
【0072】
ジオキサン(5mL)及び水(1mL)の混合溶媒中の5-ブロモ-1,3-ジメチルピリジン-2(1H)-オン(238mg、1.19μmol、CAS番号51417-13-1、販売業者:ALDRICH、カタログJRD0890)、6-クロロ-2-エチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(中間体A2、318mg、1.19mmol)及びK2CO3(205mg、1.48mmol)の混合物に、PdCl2(DPPF)-CH2Cl2付加物(72.4mg、99μmol、CAS番号95464-05-4、販売業者:Accela ChemBio Inc、カタログSY002614)を添加し、混合物をN2雰囲気下にて80℃で2時間撹拌した。反応が完了した後、次いで、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣をMeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、5-(6-クロロ-2-エチル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(297mg、収率94.8%)を淡褐色油状物として得た。MS:計算値263(M+H+)、実測値263(M+H+).
【0073】
工程2:tert-ブチル4-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-エチル-2-ピリジル]ピペラジン-1-カルボキシレートの調製
【化38】
【0074】
ジオキサン(5mL)中の5-(6-クロロ-2-エチル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(297mg、1.13mmol)、tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレート(274mg、1.47mmol、CAS番号77279-24-4、販売業者:Bide Pharmatech、カタログB13517)及びCs2CO3(552mg、1.7mmol)の混合物に、RuPhos Pd G2(43.9mg、56.5μmol、CAS番号1375325-68-0、販売業者:ALDRICH、カタログ753246)を添加し、混合物をN2雰囲気下、110℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、次いで、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣を、MeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、tert-ブチル4-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-エチル-2-ピリジル]ピペラジン-1-カルボキシレート(287mg、収率61.5%)を橙色油状物として得た。MS:計算値413(M+H+)、実測値413(M+H+).
【0075】
工程3:5-(2-エチル-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化39】
【0076】
DCM(4mL)中のtert-ブチル4-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-エチル-2-ピリジル]ピペラジン-1-カルボキシレート(90mg、218μmol)の溶液にTFA(1mL)を添加し、次いで、混合物を室温で1時間撹拌した。反応が完了した後、次いで、混合物を真空で濃縮した。残渣を2M KOH溶液(5mL)で希釈し、得られた混合物をDCM(30mL)で2回抽出した。合わせた有機層を真空で濃縮すると、5-(2-エチル-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(68mg、収率99.8%)の粗物質が黄色油状物として得られ、これを更に精製することなく次の工程に直接使用した。MS:計算値313(M+H+)、実測値313(M+H+).
【0077】
工程4:5-[6-[4-[(2-クロロピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化40】
【0078】
MeCN(10mL)中の5-(2-エチル-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(805mg、2.58mmol)、2-クロロ-5(クロロメチル)-ピリミジン(2.1g、12.9mmol、CAS番号148406-13-7、販売業者:PharmaBlock(Nanjing)R&D Co.Ltd.、カタログPBN20120209)及びK2CO3(1.78g、12.9mmol)の混合物を40℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、混合物をフィルタにかけ、濾液を真空で濃縮した。次いで、残渣をMeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製、5-[6-[4-[(2-クロロピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(260 mg、収率23%)を黄色油状物として得た。MS:計算値439(M+H+)、実測値439(M+H+).
【0079】
工程5:tert-ブチル2-[5-[[4-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-エチル-2-ピリジル]ピペラジン-1-イル]メチル]ピリミジン-2-イル]-5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレートの調製
【化41】
【0080】
ジオキサン(3mL)中の5-[6-[4-[(2-クロロピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(65mg、148μmol)、tert-ブチル5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレート(67.6mg、296μmol、CAS番号1251011-05-8、販売業者:PharmaBlock(Nanjing)R&D Co.Ltd.、カタログPBN20111063)及びCs2CO3(96.5mg、296μmol)の混合物に、Ruphos Pd G2(5.75mg、7.4μmol)を添加し、混合物をN2雰囲気下、110℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、次いで、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣をMeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、tert-ブチル2-[5-[[4-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-エチル-2-ピリジル]ピペラジン-1-イル]メチル]ピリミジン-2-イル]-5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレート(37mg、収率39.6%)を黄色油状物として得た。MS:計算値631(M+H+)、実測値631(M+H+).
【0081】
工程6:5-[2-エチル-6-[4-[[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化42】
【0082】
DCM(4mL)中のtert-ブチル2-[5-[[4-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-エチル-2-ピリジル]ピペラジン-1-イル]メチル]ピリミジン-2-イル]-5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレート(37mg、58.7μmol)の溶液に、TFA(1mL)を加え、次いで、混合物を室温で1時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を真空で濃縮し、次いで、残渣を分取HPLCによって精製して、5-[2-エチル-6-[4-[[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(17mg、収率44.9%)を白色粉末として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=8.50(s,2H),7.54-7.48(m,1H),7.46(d,J=2.2Hz,1H),7.36(dd,J=1.1,2.3Hz,1H),6.85(d,J=8.7Hz,1H),4.35-4.29(m,2H),4.28-4.23(m,2H),4.16-4.11(m,2H),4.11-3.74(m,6H),3.62(s,3H),3.53(s,2H),3.41(br s,4H),3.29-3.23(m,2H),2.71(q,J=7.5Hz,2H),2.16(s,3H),1.19(t,J=7.5Hz,3H).MS:計算値531(M+H+)、実測値531(M+H+).
【0083】
実施例2
5-[2-エチル-6-[4-[[6-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-3 ピリジル]メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化43】
【0084】
工程4において、2-クロロ-5-(クロロメチル)ピリミジン(CAS番号148406-13-7、販売業者:PharmaBlock(Nanjing)R&D Co.Ltd、カタログPBN 20120209)の代わりに2-クロロ-5-(クロロメチル)ピリジン(CAS番号70258-18-3、ベンダー:TCI)を使用することにより、実施例1の調製と同様に表題化合物を調製した。
【0085】
実施例2(45mg、20.6%)を白色粉末として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=8.20(d,J=1.8Hz,1H),7.90(dd,J=2.2,8.9Hz,1H),7.50-7.44(m,2H),7.36(dd,J=1.1,2.3Hz,1H),6.87-6.80(m,1H),6.77(d,J=8.9Hz,1H),4.36-4.29(m,4H),4.19(d,J=9.9Hz,2H),4.05-3.75(m,6H),3.65-3.60(m,3H),3.59-3.54(m,2H),3.44-3.34(m,4H),3.30-3.25(m,2H),2.70(q,J=7.5Hz,2H),2.16(s,3H),1.19(t,J=7.5Hz,3H).MS:計算値530(M+H+)、実測値530(M+H+).
【0086】
実施例3
5-[6-[4-[[2-(3-アミノ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化44】
【0087】
工程5において、化合物 tert-ブチル5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレート(CAS番号1251011-05-8、販売業者:PharmaBlock(Nanjing)R&D Co.Ltd、カタログPBN 20111063)の代わりにtert-ブチルN-(3-メチルアゼチジン-3-イル)carbamate(CAS番号1018443-01-0、販売業者:PharmaBlock(Nanjing)R&D Co.Ltd、カタログPB03046)を使用することにより、実施例1の調製と同様に表題化合物を調製した。
【0088】
実施例3(15mg、45.8%)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=8.52(s,2H),7.48-7.43(m,2H),7.36(dd,J=1.1,2.4Hz,1H),6.82(d,J=8.7Hz,1H),4.31(s,2H),4.29-4.15(m,4H),4.15-3.53(m,7H),3.48-3.33(m,4H),2.69(q,J=7.5Hz,2H),2.16(s,3H),1.69(s,3H),1.19(t,J=7.5Hz,3H).MS:計算値489(M+H+)、実測値489(M+H+).
【0089】
実施例4
5-[6-[4-[[2-[(6S)-6-アミノ-1,4-オキサゼパン-4-イル]ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化45】
【0090】
工程5において、tert-ブチル5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレート(CAS番号1251011-05-8、販売業者:PharmaBlock(Nanjing)R&D Co.Ltd、カタログPBN20111063)の代わりにtert-ブチルN-[(6S)-1,4-オキサゼパン-6-イル]carbamate(CAS番号2306247-11-8、販売業者:PharmaBlock(Nanjing)R&D Co.Ltd、カタログPB97931)を使用することによって、実施例1の調製と同様に表題化合物を調製した。
【0091】
実施例4(7mg、29.3%)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=8.51(s,2H),7.45-7.48(m,1H),7.44(d,J=2.2Hz,1H),7.34-7.37(m,1H),6.79-6.84(m,1H),4.43(dd,J=15.0,4.6Hz,1H),4.31(s,2H),4.10-4.21(m,1H),4.04(s,3H),3.91(br t,J=2.9Hz,7H),3.61(s,3H),3.41(br s,4H),2.69(d,J=7.6Hz,2H),2.16(s,3H),1.19 ppm(t,J=7.5Hz,3H).MS:計算値519(M+H+)、実測値519(M+H+).
【0092】
実施例5
5-[2-エチル-6-[4-[(4-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化46】
【0093】
表題化合物を、以下のスキームによって調製した。
【化47】
【0094】
工程1:tert-ブチル4-[4-[[4-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-エチル-2-ピリジル]ピペラジン-1-イル]メチル]フェニル]ピペラジン-1-カルボキシレートの調製
【化48】
【0095】
DCM(10mL)のNaBH(OAc)3(369mg、1.74mmol)、5-(2-エチル-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(68mg、218μmol)、tert-ブチル4-(4-ホルミルフェニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(253mg、871μmol、CAS番号197638-83-8、販売業者:Accela ChemBio、カタログSY031491)の混合物を、室温で16時間撹拌した。反応が完了した後、次いで、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣を、MeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、tert-ブチル4-[4-[[4-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-エチル-2-ピリジル]ピペラジン-1-イル]メチル]フェニル]ピペラジン-1-カルボキシレート(19mg、収率14.9%)を黄色油状物として得た。MS:計算値587(M+H+)、実測値587(M+H+).
【0096】
工程2:5-[2-エチル-6-[4-[(4-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化49】
【0097】
DCM(4mL)中のtert-ブチル4-[4-[[4-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-エチル-2-ピリジル]ピペラジン-1-イル]メチル]フェニル]ピペラジン-1-カルボキシレートの溶液に、TFA(1mL)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣を分取HPLCによって精製し、5-[2-エチル-6-[4-[(4-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(11mg、収率55.4%)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=7.48-7.42(m,4H),7.35(d,J=1.2Hz,1H),7.13(d,J=8.8Hz,2H),6.81-6.76(m,1H),4.32(s,2H),3.72-3.32(m,15H),3.30-2.78(m,4H),2.67(q,J=7.5Hz,2H),2.16(s,3H),1.18(t,J=7.5Hz,3H).MS:計算値487(M+H+)、実測値487(M+H+).
【0098】
実施例6
5-[2-イソプロピル-6-[4-[[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化50】
【0099】
表題化合物を、以下のスキームによって調製した。
【化51】
【0100】
工程1:5-(6-クロロ-2-イソプロピル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化52】
【0101】
工程1において、6-クロロ-2-エチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン の代わりに6-クロロ-2-イソプロピル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(中間対4)を使用することによって、化合物1aの調製と同様に化合物6aを調製した。MS:計算値277(M+H+)、実測値277(M+H+).
【0102】
工程2:5-(2-イソプロピル-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化53】
【0103】
工程2において、5-(6-クロロ-2-エチル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの代わりに5-(6-クロロ-2-イソプロピル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンを使用することにより、化合物1cの調製と同様に化合物6bを調製した。MS:計算値327(M+H+)、実測値327(M+H+).
【0104】
工程3:5-[6-[4-[(2-クロロピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化54】
【0105】
DCM(10ml)中の2-クロロピリミジン-5-carbaldehyde(180mg、1.26mmol、CAS番号933702-55-7、販売業者:PharmaBlock Sciences(Nanjing),Inc.、カタログPB01503)、5-(2-イソプロピル-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(300mg、919μmol)、NaBH(OAc)3(300mg、1.42mmol)の混合物を、25℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を次いで、真空で濃縮し、次いで、残渣をMeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、5-[6-[4-[(2-クロロピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(460mg、110%)を黄色油状物として得た。MS:計算値453(M+H+)、実測値453(M+H+).
【0106】
工程4:5-[2-イソプロピル-6-[4-[[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化55】
【0107】
工程5において、5-[6-[4-[(2-クロロピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの代わりに5-[6-[4-[(2-クロロピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンを使用することにより、実施例1の調製と同様に表題化合物を調製した。
【0108】
実施例6(30mg)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=8.50(s,2H),7.43-7.38(m,2H),7.34-7.31(m,1H),6.76(d,J=8.6Hz,1H),4.35-4.21(m,5H),4.13(d,J=10.1Hz,2H),4.04-3.93(m,2H),3.32(br s,10H),3.30-3.03(m,5H),2.16(s,3H),1.18(d,J=6.7Hz,6H).MS:計算値545(M+H+)、実測値545(M+H+).
【0109】
実施例7
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(5-ピペラジン-1-イル-2-ピリジル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化56】
【0110】
工程1:5-[6-[4-[(5-ブロモ-2-ピリジル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化57】
【0111】
化合物7aを、2-クロロピリミジン-5-carbaldehydeの代わりに5-ブロモピリジン-2-carbaldehydeを使用することによって、化合物6cの調製と同様に調製した。MS:計算値496(M+H+)、実測値496(M+H+).
【0112】
工程2:5-[2-イソプロピル-6-[4-[(5-ピペラジン-1-イル-2-ピリジル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化58】
【0113】
工程5において、5-[6-[4-[(2-クロロピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及びtert-ブチル5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレートの代わりに5-[6-[4-[(5-ブロモ-2-ピリジル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及びtert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレートを用い、実施例1の調製と同様に、表題化合物を調製した。
【0114】
実施例7(6.0mg)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=8.48(d,J=2.7Hz,1H),7.55-7.50(m,1H),7.48-7.44(m,1H),7.43-7.38(m,2H),7.34-7.31(m,1H),6.76(d,J=8.7Hz,1H),4.44(s,2H),4.10-3.74(m,4H),3.61(s,3H),3.60-3.53(m,4H),3.49-3.39(m,8H),3.15-3.05(m,1H),2.16(s,3H),1.18(d,J=6.7Hz,6H).MS:計算値502(M+H+)、実測値502(M+H+).
【0115】
実施例8
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(5-ピペラジン-1-イルピラジン-2-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化59】
【0116】
工程1:5-[6-[4-[(5-クロロピラジン-2-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化60】
【0117】
5-(2-エチル-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及び2-クロロ-5-(クロロメチル)ピリミジンの代わりに5-(2-イソプロピル-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及び2-クロロ-5-(クロロメチル)ピラジン(CAS番号105985-21-5、販売業者:Bide Pharmatech、カタログBD228124)を使用することによって、化合物1dの調製と同様に化合物8aを調製した。MS:計算値453(M+H+)、実測値453(M+H+).
【0118】
工程2:5-[2-イソプロピル-6-[4-[(5-ピペラジン-1-イルピラジン-2-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化61】
【0119】
工程5において、5-[6-[4-[(2-クロロピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及びtert-ブチル5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレートの代わりに5-[6-[4-[(5-クロロピラジン-2-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及びtert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレートを使用することによって、実施例1の調製と同様に表題化合物を調製した。
【0120】
実施例8(26.0mg)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=8.54-8.40(m,1H),8.28(d,J=1.3Hz,1H),7.47-7.37(m,2H),7.33(dd,J=1.0,2.3Hz,1H),6.76(d,J=8.7Hz,1H),4.74-4.15(m,4H),4.03-3.93(m,4H),3.85-3.31(m,12H),3.29-3.16(m,1H),3.09(qd,J=6.7,13.4Hz,1H),2.16(s,3H),1.18(d,J=6.6Hz,6H).MS:計算値503(M+H+)、実測値503(M+H+).
【0121】
実施例9
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(2-ピペラジン-1-イルピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化62】
【0122】
工程5において、5-[6-[4-[(2-クロロピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及びtert-ブチル5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレートの代わりに5-[6-[4-[(2-クロロピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及びtert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレートを使用することによって、実施例1の調製と同様に表題化合物を調製した。
【0123】
実施例9(28mg、51.6%)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=8.57-8.52(m,2H),7.43-7.39(m,2H),7.34-7.31(m,1H),6.76(d,J=8.6Hz,1H),4.74-4.38(m,2H),4.37-4.26(m,2H),4.21-4.11(m,4H),4.13-3.99(m,1H),3.85-3.34(m,8H),3.29-2.97(m,4H),2.16(s,3H),1.22-1.17(m,1H),1.18(d,J=6.6Hz,6H).MS:計算値503(M+H+)、実測値503(M+H+).
【0124】
実施例10
5-[6-[4-[[2-(3-アミノ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)ピリミジン-5-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化63】
【0125】
工程5において、5-[6-[4-[(2-クロロピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及びtert-ブチル5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレート代わりに5-[6-[4-[(2-クロロピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及びtert-ブチルN-(3-メチルアゼチジン-3-イル)carbamate(CAS番号1018443-01-0、販売業者:PharmaBlock(Nanjing)R&D Co.Ltd、カタログPB03046)を用いて、実施例1の調製と同様に表題化合物を調製した。
【0126】
実施例10(28mg、42%)を灰白色粉末として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=8.52(s,2H),7.43-7.38(m,2H),7.32(dd,J=1.0,2.3Hz,1H),6.75(d,J=8.6Hz,1H),4.44-4.01(m,7H),3.89-3.32(m,8H),3.29-3.02(m,2H),2.16(s,3H),1.70(s,3H),1.18(d,J=6.7Hz,6H).MS:計算値503(M+H+)、実測値503(M+H+).
【0127】
実施例11
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化64】
【0128】
工程1:5-[6-[4-[(6-クロロ-3-ピリジル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化65】
【0129】
5-(2-エチル-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及び2-クロロ-5-(クロロメチル)ピリミジン.の代わりに5-(2-イソプロピル-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及び2-クロロ-5-(クロロメチル)ピリジン(CAS番号70258-18-3、販売業者:TCI)を使用することによって、化合物1dの調製と同様に化合物11aを調製した。MS:計算値452(M+H+)、実測値452(M+H+).
【0130】
工程2:5-[2-イソプロピル-6-[4-[(6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化66】
【0131】
工程5において、5-[6-[4-[(2-クロロピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及びtert-ブチル5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレート代わりに5-[6-[4-[(6-クロロ-3-ピリジル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及びtert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレートを使用することによって、実施例1の調製と同様に表題化合物を調製した。
【0132】
実施例11(28mg、53.7%)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=8.30(d,J=2.3Hz,1H),7.79(dd,J=2.4,8.9Hz,1H),7.43-7.38(m,2H),7.34-7.31(m,1H),7.04(d,J=8.9Hz,1H),6.75(d,J=8.6Hz,1H),4.83-4.07(m,4H),4.01-3.80(m,5H),3.68-3.32(m,10H),3.28-2.92(m,3H),2.16(s,3H),1.18(d,J=6.6Hz,6H).MS:計算値502(M+H+)、実測値502(M+H+).
【0133】
実施例12
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(5-ピペラジン-1-イルピリミジン-2-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化67】
【0134】
工程1:5-[6-[4-[(5-クロロピリミジン-2-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化68】
【0135】
2-クロロピリミジン-5-carbaldehydeの代わりに2-クロロピリミジン-5-carbaldehyde(CAS番号933702-55-7、販売業者:PharmaBlock Sciences(Nanjing),Inc.、カタログPB01503)を使用することによって、化合物6cの調製と同様にCompound 12aを調製した。MS:計算値453(M+H+)、実測値453(M+H+).
【0136】
工程2:5-[2-イソプロピル-6-[4-[(5-ピペラジン-1-イルピリミジン-2-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化69】
【0137】
工程5において、5-[6-[4-[(2-クロロピリミジン-5-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及びtert-ブチル5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレートの代わりに5-[6-[4-[(5-クロロピリミジン-2-イル)メチル]ピペラジン-1-イル]-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及びtert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレートを使用することによって、実施例1の調製と同様に表題化合物を調製した。
【0138】
実施例12(30mg、42.5%)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=8.63(s,2H),7.44-7.39(m,2H),7.35-7.32(m,1H),6.78(d,J=8.7Hz,1H),4.78-4.01(m,4H),3.91-3.32(m,17H),3.17-3.02(m,1H),2.16(s,3H),1.18(d,J=6.7Hz,6H).MS:計算値503(M+H+)、実測値503(M+H+).
【0139】
実施例13
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(4-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化70】
【0140】
工程1において、5-(2-エチル-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの代わりに5-(2-イソプロピル-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンを用いることにより、実施例5の調製と同様に表題化合物を調製した。
【0141】
実施例13(28mg、43.3%)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=7.45(d,J=8.8Hz,2H),7.42-7.37(m,2H),7.34-7.30(m,1H),7.13(d,J=8.8Hz,2H),6.74(d,J=8.6Hz,1H),4.70-4.41(m,2H),4.32(s,2H),3.61(s,3H),3.56-3.44(m,6H),3.41-3.36(m,4H),3.28-2.98(m,5H),2.16(s,3H),1.17(d,J=6.7Hz,6H).MS:計算値501(M+H+)、実測値501(M+H+).
【0142】
実施例14
5-[2-イソプロピル-6-[4-[(3-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化71】
【0143】
工程1において、5-(2-エチル-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及びtert-ブチル4-(4-ホルミルフェニル)ピペラジン-1-カルボキシレートの代わりに5-(2-イソプロピル-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン及びtert-ブチル4-(3-ホルミルフェニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(CAS番号1257849-25-4、販売業者:Bide Pharmatech、カタログBD168751)を使用することにより、実施例5の調製と同様に表題化合物を調製した。
【0144】
実施例14(39mg、66.7%)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=7.65-7.59(m,1H),7.58-7.51(m,1H),7.45-7.31(m,5H),6.73(d,J=8.6Hz,1H),4.60-4.09(m,4H),3.61(s,3H),3.53-3.32(m,8H),3.28-2.99(m,7H),2.16(s,3H),1.17(d,J=6.7Hz,6H).MS:計算値501(M+H+)、実測値501(M+H+).
【0145】
実施例15
5-[2-イソプロピル-6-[4-(5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化72】
【0146】
表題化合物を、以下のスキームによって調製した。
【化73】
【0147】
工程1:tert-ブチル2-[4-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-イソプロピル-2-ピリジル]ピペラジン-1-イル]-7,8-ジヒドロ-5H-1,6-ナフチリジン-6-カルボキシレートの調製
【化74】
【0148】
ジオキサン(5mL)中の5-(2-イソプロピル-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(100mg、306μmol)、tert-ブチル2-クロロ-7,8-ジヒドロ-5H-1,6-ナフチリジン-6-カルボキシレート(206mg、766μmol、CAS番号1151665-15-4、販売業者:Bide Pharmatech、カタログBD216990)、Cs2CO3(299mg、919μmol)の混合物に、RuPhos Pd G2(47.6mg、61.3μmol、CAS番号1375325-68-0、販売業者:ALDRICH、カタログ753246)を添加し、混合物をN2雰囲気下、110℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、次いで混合物を真空で濃縮し、次いで残渣をMeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、tert-ブチル2-[4-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-イソプロピル-2-ピリジル]ピペラジン-1-イル]-7,8-ジヒドロ-5H-1,6-ナフチリジン-6-カルボキシレート(100mg、収率58.4%)を黄色油状物として得た。MS:計算値559(M+H+)、実測値559(M+H+).
【0149】
工程2:5-[2-イソプロピル-6-[4-(5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化75】
【0150】
DCM(4mL)中のtert-ブチル2-[4-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-イソプロピル-2-ピリジル]ピペラジン-1-イル]-7,8-ジヒドロ-5H-1,6-ナフチリジン-6-カルボキシレートの溶液に、TFA(1mL)を加え、次いで、混合物を室温で1時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣を分取HPLCによって精製し、5-[2-イソプロピル-6-[4-(5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-イル)ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(34mg)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=7.66(d,J=9.2Hz,1H),7.48-7.42(m,2H),7.35(dd,J=1.0,2.3Hz,1H),7.11(d,J=9.2Hz,1H),6.79(d,J=8.8Hz,1H),4.29(s,2H),3.89-3.79(m,8H),3.63-3.61(m,3H),3.21-3.15(m,2H),3.15-3.07(m,1H),2.16(s,3H),2.03(s,2H),1.23(d,J=6.7Hz,6H).MS:計算値459(M+H+)、実測値459(M+H+).
【0151】
実施例16
5-[2-イソプロピル-6-[8-(6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化76】
【0152】
表題化合物を、以下のスキームによって調製した。
【化77】
【0153】
工程1:tert-ブチル8-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-イソプロピル-2-ピリジル]-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレートの調製
【化78】
【0154】
ジオキサン(3mL)中の5-(6-クロロ-2-イソプロピル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(100mg、361μmol)、tert-ブチル1,3,4,6,7,8,9,9a-オクタヒドロピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレート(87.2mg、361μmol、CAS番号1159825-34-9、販売業者:PharmaBlock Sciences(Nanjing),Inc.、カタログPB07063)及びCs2CO3(235mg、723μmol)の混合物に、RuPhos Pd G2(14mg、18.1μmol)を添加し、混合物をN2雰囲気下、110℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、次いで、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣をMeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、tert-ブチル8-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-イソプロピル-2-ピリジル]-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレート(143mg、収率82.2%)が黄色油状物として得た。MS:計算値482(M+H+)、実測値482(M+H+).
【0155】
工程2:5-[6-(1,3,4,6,7,8,9,9a-オクタヒドロピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-イル)-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化79】
【0156】
DCM(4mL)中のtert-ブチル8-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-イソプロピル-2-ピリジル]-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレート(143mg、297μmol)の溶液にTFA(1mL)を添加し、次いで、混合物を室温で1時間撹拌した。反応が完了した後、次いで、混合物を真空で濃縮した。残渣を2M KOH溶液(5mL)で希釈し、得られた混合物をDCM(30mL)で2回抽出した。合わせた有機層を真空で濃縮すると、5-[6-(1,3,4,6,7,8,9,9a-オクタヒドロピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-イル)-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(87mg、収率76.8%)の粗物質が淡褐色油状物として得られ、これを更に精製することなく次の工程に直接使用した。MS:計算値382(M+H+)、実測値382(M+H+).
【0157】
工程3:tert-ブチル4-[5-[2-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-イソプロピル-2-ピリジル]-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-8-イル]-2-ピリジル]ピペラジン-1-カルボキシレートの調製
【化80】
【0158】
ジオキサン(3mL)中の5-[6-(1,3,4,6,7,8,9,9a-オクタヒドロピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-イル)-2-イソプロピル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(87mg、228μmol)、tert-ブチル4-(5-ブロモ-2-ピリジル)ピペラジン-1-カルボキシレート(156mg、456μmol、CAS番号153747-97-8、販売業者:Accela ChemBio Inc、カタログSY101561)及びCs2CO3(149mg、456μmol)の混合物に、RuPhos Pd G2(8.86mg、11.4μmol)を添加し、混合物をN2雰囲気下、110℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣を、MeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、tert-ブチル4-[5-[2-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-イソプロピル-2-ピリジル]-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-8-イル]-2-ピリジル]ピペラジン-1-カルボキシレート(16mg、収率10.9%)を淡褐色油状物として得た。MS:計算値643(M+H+)、実測値643(M+H+).
【0159】
工程4:5-[2-イソプロピル-6-[8-(6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化81】
【0160】
DCM(4mL)中のtert-ブチル4-[5-[2-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-イソプロピル-2-ピリジル]-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-8-イル]-2-ピリジル]ピペラジン-1-カルボキシレート(16mg、0.024mmol)の溶液にTFA(1mL)を添加し、次いで、混合物を室温で1時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を真空で濃縮し、次いで、残渣を分取HPLCによって精製して、5-[2-イソプロピル-6-[8-(6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル)-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(9mg、収率46.8%)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=7.89(d,J=2.8Hz,1H),7.79(dd,J=9.4,2.9Hz,1H),7.39-7.46(m,2H),7.31-7.35(m,1H),7.19(d,J=9.5Hz,1H),6.81(d,J=8.7Hz,1H),4.72(br s,2H),3.91(br d,J=12.6Hz,1H),3.58-3.71(m,6H),3.19-3.46(m,12H),2.99-3.19(m,3H),2.16(s,3H),1.16-1.23(m,7H).MS:計算値543(M+H+)、実測値543(M+H+).
【0161】
実施例17
5-[2-(ジフルオロメチル)-6-[4-[(4-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化82】
【0162】
表題化合物を、以下のスキームによって調製した。
【化83】
【0163】
工程1:tert-ブチル4-[5-ブロモ-6-(ジフルオロメチル)-2-ピリジル]ピペラジン-1-カルボキシレートの調製
【化84】
【0164】
DMF(3mL)中のCs2CO3(302mg、928μmol)、3-ブロモ-6-クロロ-2(ジフルオロメチル)ピリジン(150mg、619μmol)、tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレート(173mg、928μmol)の混合物を120℃で12時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を水(10mL)で希釈し、得られた混合物をDCM(30mL)で2回抽出した。合わせた有機層を真空で濃縮し、次いで、残渣をMeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、tert-ブチル4-[5-ブロモ-6-(ジフルオロメチル)-2-ピリジル]ピペラジン-1-カルボキシレート(123mg、収率50.7%)を黄色油状物として得た。MS:計算値393(M+H+)、実測値393(M+H+).
【0165】
工程2:tert-ブチル4-[6-(ジフルオロメチル)-5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-2-ピリジル]ピペラジン-1-カルボキシレートの調製
【化85】
【0166】
ジオキサン(2mL)と水(0.5mL)との混合溶媒中のtert-ブチル4-(5-ブロモ-6-(ジフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート(123mg、314μmol)、1,3-ジメチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2(1H)-オン(78.1mg、314μmol)及びK2CO3(65mg、470μmol)の混合物に、PdCl2(DPPF)-CH2Cl2付加物(11.5mg、15.7μmol)を添加し、混合物をジオキサン/H2O(5:1、2.5mL)中、N2雰囲気下にて80℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣を、MeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、tert-ブチル4-[6-(ジフルオロメチル)-5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-2-ピリジル]ピペラジン-1-カルボキシレート(120mg、収率88.2%)を橙色固体として得た。MS:計算値435(M+H+)、実測値435(M+H+).
【0167】
工程3:5-[2-(ジフルオロメチル)-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化86】
【0168】
DCM(4mL)中のtert-ブチル4-[6-(ジフルオロメチル)-5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-2-ピリジル]ピペラジン-1-カルボキシレート(120mg、275μmol)の溶液に、(1mL)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。反応が完了した後、次いで混合物を真空で濃縮し、残渣を2M KOH溶液(5mL)で希釈し、得られた混合物をDCM(30mL)で2回抽出した。合わせた有機層を真空で濃縮して、5-[2-(ジフルオロメチル)-6-ピペラジン-1-イル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(92.4mg、100%)の粗物質を黄色油状物として得て、これを更に精製することなく次の工程で直接使用した。MS:計算値335(M+H+)、実測値335(M+H+).
【0169】
工程4:tert-ブチル4-[4-[[4-[6-(ジフルオロメチル)-5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-2-ピリジル]ピペラジン-1-イル]メチル]フェニル]ピペラジン-1-カルボキシレートの調製
【化87】
【0170】
DCM(5mL)中の2’-(ジフルオロメチル)-1,5-ジメチル-6’-(ピペラジン-1-イル)-[3,3’-ビピリジン]-6(1H)-オン(92.4mg、275μmol)、tert-ブチル4-(4-ホルミルフェニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(472mg、1.62mmol)及びNaBH(OAc)3(574mg、2.71mmol)の混合物を、25℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を次いで、真空で濃縮し、次いで、残渣をMeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、tert-ブチル4-[4-[[4-[6-(ジフルオロメチル)-5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-2-ピリジル]ピペラジン-1-イル]メチル]フェニル]ピペラジン-1-カルボキシレート(124mg、収率75.1%)を黄色油状物として得た。MS:計算値609(M+H+)、実測値609(M+H+).
【0171】
工程5:5-[2-(ジフルオロメチル)-6-[4-[(4-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化88】
【0172】
DCM(4mL)中のtert-ブチル4-[4-[[4-[6-(ジフルオロメチル)-5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-2-ピリジル]ピペラジン-1-イル]メチル]フェニル]ピペラジン-1-カルボキシレート(125mg、205μmol)の溶液に、TFA(0.5mL)を添加し、次いで、混合物を室温で1時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣を分取HPLCによって精製し、5-[2-(ジフルオロメチル)-6-[4-[(4-ピペラジン-1-イルフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(15mg、収率11.5%)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=7.62(d,J=8.7Hz,1H),7.50-7.43(m,3H),7.38(s,1H),7.16-7.07(m,3H),6.75-6.41(m,1H),4.77-4.39(m,2H),4.33(s,2H),3.68-3.33(m,14H),3.31-2.99(m,3H),2.15(s,3H).19F NMR(376MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=-113.52(d,J=54.5Hz,2F).MS:計算値509(M+H+)、実測値509(M+H+).
【0173】
実施例18
5-[2-イソプロピル-6-(4-ピペラジン-1-イル-1-ピペリジル)-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化89】
【0174】
表題化合物を、以下のスキームによって調製した。
【化90】
【0175】
工程1:tert-ブチル4-[1-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-イソプロピル-2-ピリジル]-4-ピペリジル]ピペラジン-1-カルボキシレートの調製
【化91】
【0176】
ジオキサン(5mL)中の5-(6-クロロ-2-イソプロピル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(80mg、289μmol)、tert-ブチル4-(4-ピペリジル)ピペラジン-1-カルボキシレート(100mg、371μmol、CAS番号205059-24-1、販売業者:Bide Pharmatech、カタログBD57121)、Cs2CO3(150mg、425μmol)の混合物に、RuPhos Pd G2(15mg、19.3μmol)を添加し、混合物をN2雰囲気下、110℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、次いで、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣を、MeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、tert-ブチル4-[1-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-イソプロピル-2-ピリジル]-4-ピペリジル]ピペラジン-1-カルボキシレート(50mg、33.9%)を黄色油状物として得た。MS:計算値510(M+H+)、実測値510(M+H+).
【0177】
工程2:5-[2-イソプロピル-6-(4-ピペラジン-1-イル-1-ピペリジル)-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化92】
【0178】
DCM(4mL)中のtert-ブチル4-[1-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-イソプロピル-2-ピリジル]-4-ピペリジル]ピペラジン-1-カルボキシレート(50mg、0.098mmol)の溶液にTFA(1mL)を添加し、次いで、混合物を室温で1時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を真空で濃縮した。次いで、残渣を分取HPLCによって精製し、5-[2-イソプロピル-6-(4-ピペラジン-1-イル-1-ピペリジル)-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(24mg、46.7%)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=7.44-7.39(m,2H),7.32(dd,J=1.0,2.3Hz,1H),6.79(d,J=8.7Hz,1H),4.59(br d,J=13.6Hz,2H),3.61(s,3H),3.59-3.50(m,8H),3.49-3.41(m,1H),3.15-3.06(m,1H),2.99(br t,J=11.9Hz,2H),2.24-2.12(m,5H),1.76(br dd,J=4.0,12.2Hz,2H),1.20(d,J=6.7Hz,6H).MS:計算値410(M+H+)、実測値410(M+H+).
【0179】
実施例19
5-[2-エチル-6-[2-[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-8-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン
【化93】
【0180】
表題化合物を、以下のスキームによって調製した。
【化94】
【0181】
工程1:tert-ブチル2-(5-ブロモピリミジン-2-イル)-5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレートの調製
【化95】
【0182】
DMSO(3mL)中の5-ブロモ-2-クロロ-ピリミジン(300mg、1.55mmol、CAS番号32779-36-5、販売業者:Accela ChemBio Inc、カタログ32779-36-5)、tert-ブチル5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレート(425mg、1.88mmol)及びK2CO3(322mg、2.33mmol)の混合物を90℃で3時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を水(5mL)で希釈し、得られた混合物をDCM(30mL)で2回抽出した。合わせた有機層を真空で濃縮し、残渣をMeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、tert-ブチル2-(5-ブロモピリミジン-2-イル)-5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレート(539mg、収率90.2%)を白色固体として得た。MS:計算値385(M+H+)、実測値385(M+H+).
【0183】
工程2:tert-ブチル8-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-エチル-2-ピリジル]-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレートの調製
【化96】
【0184】
5-(6-クロロ-2-エチル-3-ピリジル)-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(555mg、2.1mmol、化合物1a)、tert-ブチル1,3,4,6,7,8,9,9a-オクタヒドロピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレート(608mg、2.5mmol、CAS番号1159825-34-9、販売業者:PharmaBlock Sciences(Nanjing)、カタログPB07063)及びCs2CO3(1.0g、3.1mmol)の混合物に、RuPhos Pd G2(81mg、110μmol)を添加し、混合物をジオキサン(5mL)中、N2雰囲気下、110℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を次いで、真空で濃縮し、次いで、残渣をMeOH/DCM(0%~10%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、tert-ブチル8-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-エチル-2-ピリジル]-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレート(517mg、収率52.6%)が黄色油状物として得られた。MS:計算値468(M+H+)、実測値468(M+H+).
【0185】
工程3:5-[6-(1,3,4,6,7,8,9,9a-オクタヒドロピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-イル)-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化97】
【0186】
DCM(4mL)中のtert-ブチル8-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-エチル-2-ピリジル]-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-カルボキシレート(517mg、1.1mmol)の溶液にTFA(1mL)を添加し、次いで、混合物を室温で1時間撹拌した。反応が完了した後、次いで、混合物を真空で濃縮し、次いで、残渣を2M KOH溶液の添加によってpH約12に調整した。得られた混合物をDCM(30mL)で2回抽出した。合わせた有機層を真空で濃縮して、5-[6-(1,3,4,6,7,8,9,9a-オクタヒドロピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-イル)-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(376mg、収率93%)の粗物質を橙色油状物として得た。MS:計算値368(M+H+)、実測値368(M+H+).
【0187】
工程4:tert-ブチル2-[5-[8-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-エチル-2-ピリジル]-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-イル]ピリミジン-2-イル]-5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレートの調製
【化98】
【0188】
トルエン(5mL)中の5-[6-(1,3,4,6,7,8,9,9a-オクタヒドロピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-イル)-2-エチル-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オン(200mg、0.544mmol)、tert-ブチル2-(5-ブロモピリミジン-2-イル)-5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレート(209.67mg、0.544mmol)、Pd2(dba)3(99.67mg、0.109mmol、CAS番号51364-51-3、販売業者:BePharm)、2-(ジ-t-ブチルホスフィノ)ビフェニル(64.96mg、0.218mmol、CAS番号224311-51-7、販売業者:J&K Scientific、カタログ912127)の混合物に、ナトリウムtert-ブトキシド(209.2mg、2.18mmol)を添加した。混合物をN2雰囲気下、110℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を次いで、真空で濃縮し、次いで、残渣をMeOH/DCM(0%~15%)の勾配で溶出するフラッシュカラムによって精製して、2-[5-[8-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-エチル-2-ピリジル]-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-イル]ピリミジン-2-イル]-5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレート(90mg、収率24.6%)を黄色油状物として得た。MS:計算値672(M+H+)、実測値672(M+H+).
【0189】
工程5:5-[2-エチル-6-[2-[2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル]-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-8-イル]-3-ピリジル]-1,3-ジメチル-ピリジン-2-オンの調製
【化99】
【0190】
DCM(4mL)中のtert-ブチル2-[5-[8-[5-(1,5-ジメチル-6-オキソ-3-ピリジル)-6-エチル-2-ピリジル]-3,4,6,7,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピラジン-2-イル]ピリミジン-2-イル]-5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-8-カルボキシレート(90mg)の溶液に、TFA(1mL)を加え、次いで、混合物を室温で1時間撹拌した。反応が完了した後、混合物を真空で濃縮し、次いで、残渣を分取HPLCによって精製して、6’-(4-((2-(5-オキサ-2,8-ジアザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)ピリミジン-5-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2’-エチル-1,5-ジメチル-[3,3’-ビピリジン]-6(1H)-オン2,2,2-トリフルオロアセテート(42mg)を黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD,298 K)δ(ppm)=8.32(s,2H),7.56(d,J=8.7Hz,1H),7.48(d,J=2.2Hz,1H),7.37(dd,J=1.0,2.4Hz,1H),6.93(d,J=8.7Hz,1H),4.63(br s,2H),4.20(d,J=10.0Hz,2H),4.08(d,J=9.8Hz,2H),3.97(dd,J=4.1,5.8Hz,2H),3.82-3.74(m,1H),3.73-3.63(m,4H),3.63-3.60(m,3H),3.52(s,2H),3.47-3.33(m,3H),3.30-3.17(m,4H),3.14-3.03(m,1H),2.74(q,J=7.5Hz,2H),2.16(s,3H),1.21(t,J=7.5Hz,3H).MS:計算値572(M+H+)、実測値572(M+H+).
【0191】
実施例20
【0192】
以下の試験は、HEK293-Blue-hTLR-7/8/9細胞アッセイにおいて式(I)及び式(Ia)の化合物の活性を決定するために行った。
【0193】
HEK293-Blue-hTLR-7細胞アッセイ:
安定したHEK293-Blue-hTLR-7細胞株を、InvivoGen(カタログ番号:hkb-htlr7、米国カリフォルニア州サンディエゴ)から購入した。これらの細胞は本来、NF-κBの活性化をモニタリングすることによってヒトTLR7の刺激を研究するために設計された。SEAP(分泌型胚性アルカリホスファターゼ)レポーター遺伝子を、5つのNF-κB及びAP-1結合部位に融合したIFN-β最小プロモータの制御下に置いた。SEAPは、TLR7リガンドでHEK-Blue hTLR7細胞を刺激することによってNF-κB及びAP-1を活性化することによって誘導した。したがって、レポーターの発現は、20時間のインキュベーションの間、R848(Resiquimod)等のリガンドの刺激下でTLR7アンタゴニストによって低下した。細胞培養上清のSEAPレポーター活性を、アルカリホスファターゼの存在下で紫色又は青色に変色する検出媒体であるQUANTI-blue(商標)キット(カタログ番号:rep-qb1、Invivogen、米国カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して波長640nmで測定した。
【0194】
HEK293-Blue-hTLR7細胞を、4.5g/Lグルコース、50U/mLペニシリン、50mg/mLストレプトマイシン、100mg/mLノルモシン、2mM L-グルタミン、10%(v/v)熱不活化ウシ胎児血清を含み、1%の最終DMSO及び10μLの上記DMEM中の20μM R848の存在下で連続希釈した20μLの試験化合物を加えたダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s medium:DMEM)の96ウェルプレートに、170μLの体積で250,000~450,000細胞/mLの密度にてインキュベートして、CO2インキュベーター内で37°Cの下で20時間インキュベーションを行った。その後、各ウェルからの20μLの上清を、180μLのQuanti-blue基質溶液で37℃の下で2時間インキュベートし、分光光度計を使用して、620~655nmにおける吸光度を読み取った。TLR7の活性化が下流のNF-κBの活性化につながるシグナル伝達経路は広く受け入れられているため、TLR7アンタゴニストを評価するために同様のレポーターアッセイを改良した。
【0195】
HEK293-Blue-hTLR-8細胞アッセイ:
安定したHEK293-Blue-hTLR-8細胞株を、InvivoGen(カタログ番号:hkb-htlr8、米国カリフォルニア州サンディエゴ)から購入した。これらの細胞はもともと、NF-κBの活性化をモニタリングすることによってヒトTLR8の刺激を研究するために設計された。SEAP(分泌型胚性アルカリホスファターゼ)レポーター遺伝子を、5つのNF-κB及びAP-1結合部位に融合したIFN-β最小プロモータの制御下に置いた。SEAPは、TLR8リガンドでHEK-Blue hTLR8細胞を刺激することによりNF-κB及びAP-1を活性化することによって誘導した。したがって、レポーターの発現は、20時間のインキュベーションのために、R848等のリガンドの刺激下でTLR8アンタゴニストによって低減された。細胞培養上清のSEAPレポーターの活性は、QUANTI-Blue(商標)キット(カタログ番号:rep-qb1、Invivogen(San Diego,California,USA))を用いて、波長640nmで測定され、検出媒体は、アルカリホスファターゼの存在下で紫色又は青色に変化した。
【0196】
HEK293-Blue-hTLR8細胞を、4.5g/Lグルコース、50U/mLペニシリン、50mg/mLストレプトマイシン、100mg/mLノルモシン、2mM L-グルタミン、10%(v/v)熱不活化ウシ胎児血清を含み、1%の最終DMSO及び10μLの上記DMEM中の60μM R848の存在下で連続希釈した20μLの試験化合物を加えたダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)の96ウェルプレートに、170μLの体積で250,000~450,000細胞/mLの密度にてインキュベートして、CO2インキュベーター内で37℃の下で20時間インキュベーションを行った。その後、各ウェルからの20μLの上清を180μLのQuanti-blue基質溶液で37℃の下で2時間インキュベートし、分光光度計を使用して、620~655nmにおける吸光度を読み取った。TLR8の活性化が下流のNF-κBの活性化につながるシグナル伝達経路は広く受け入れられているため、TLR8アンタゴニストを評価するために同様のレポーターアッセイを改良した。
【0197】
HEK293-Blue-hTLR-9細胞アッセイ:
安定したHEK293-Blue-hTLR-9細胞株を、InvivoGen(カタログ番号:hkb-htlr9、米国カリフォルニア州サンディエゴ)から購入した。これらの細胞はもともと、NF-κBの活性化をモニタリングすることによってヒトTLR9の刺激を研究するために設計された。SEAP(分泌型胚性アルカリホスファターゼ)レポーター遺伝子を、5つのNF-κB及びAP-1結合部位に融合したIFN-β最小プロモータの制御下に置いた。SEAPは、TLR9リガンドでHEK-Blue hTLR9細胞を刺激することによりNF-κB及びAP-1を活性化することによって誘導された。したがって、レポーターの発現は、ODN2006(カタログ番号:tlrl-2006-1、Invivogen、米国カリフォルニア州サンディエゴ)等のリガンドの刺激下での20時間のインキュベーションのために、TLR9のアンタゴニストによって低下した。細胞培養上清のSEAPレポーターの活性は、QUANTI-Blue(商標)キット(カタログ番号:rep-qb1、Invivogen、米国カリフォルニア州サンディエゴ)を用いて、波長640nmで測定され、検出培地は、アルカリホスファターゼの存在下で紫色又は青色に変化した。
【0198】
HEK293-Blue-hTLR9細胞を、4.5g/Lグルコース、50U/mLペニシリン、50mg/mLストレプトマイシン、100mg/mLノルモシン、2mM L-グルタミン、10%(v/v)熱不活化ウシ胎児血清を含み、1%の最終DMSO及び10μLの上記DMEM中の20μM ODN2006の存在下で連続希釈した20μLの試験化合物を加えたダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)の96ウェルプレートに、170μLの体積で250,000~450,000細胞/mLの密度にてインキュベートして、CO2インキュベーター内で37℃の下で20時間インキュベーションを行った。その後、各ウェルからの20μLの上清を180μLのQuanti-blue基質溶液で37℃の下で2時間インキュベートし、分光光度計を使用して、620~655nmにおける吸光度を読み取った。TLR9の活性化が下流のNF-κBの活性化につながるというシグナル伝達経路は広く受け入れられているため、同様のレポーターアッセイをTLR9アンタゴニストの評価用に改良した。
【0199】
式(I)の化合物は、0.1μM未満のヒトTLR7及び/又はTLR8阻害活性(IC
50値)、1μM未満のTLR9阻害活性を有する。本発明の化合物の活性データを表1に示した。
【表1】
【0200】
実施例21
hERGチャネル阻害アッセイ:
hERGチャネル阻害アッセイは、in vivoでの心臓毒性に関連するhERG阻害を呈する化合物を同定する非常に高感度な測定である。hERG K+チャネルは、ヒトにおいてクローン化されており、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞株において安定して発現した。CHOhERG細胞をパッチクランプ(電圧クランプ、細胞全体)実験に使用した。細胞を電圧パターンで刺激して、hERGチャネルを活性化し、IKhERG電流(hERGチャネルの急速遅延外向き整流器カリウム電流(rapid delayed outward rectifier potassium current))を伝導した。細胞を数分間安定させた後、IKhERGの振幅及び動態を刺激周波数0.1Hz(6bpm)で記録した。その後、試験化合物を、漸増濃度で調製物に添加した。各濃度について、定常状態の効果に到達するための試みを行い、これは、通常3~10分以内に達成され、その時点で、次に高い濃度が適用された。IKhERGの振幅及び動態は、薬剤の各濃度において記録して、これを対照値(100%とする)と比較した。(参考文献:Redfern WS,Carlsson L,Davis AS,Lynch WG,MacKenzie I,Palethorpe S,Siegl PK,Strang I,Sullivan AT,Wallis R,Camm AJ,Hammond TG.2003;Relationships between preclinical cardiac electrophysiology,clinical QT interval prolongation and torsade de pointes for a broad range of drugs:evidence for a provisional safety margin in drug development.Cardiovasc.Res.58:32-45,Sanguinetti MC,Tristani-Firouzi M.2006;hERG potassium channels and cardiac arrhythmia.Nature 440:463-469,Webster R,Leishman D,Walker D.2002;Towards a drug concentration effect relationship for QT prolongation and torsades de pointes.Curr.Opin.Drug Discov.Devel.5:116-26)。
【0201】
hERGの結果を表2に示す。30よりも大きな安全比(hERG IC
20/EC
50)は、潜在的なhERG関連心臓毒性からTLR7/8/9経路を阻害することによって、薬理学を識別するのに十分なウィンドウを示唆している。hERG易罹病性を評価するために早期選択性指数として機能する、以下のhERG IC
20/TLR7/8/9 IC
50の計算によると
、明確に参照化合物ER-887258、ER-888285、ER-888286、R1、及びR2は、本発明の化合物と比較して安全性ウィンドウが非常に狭い。
【表2】
【0202】
実施例22
ヒトPBMC細胞ベースのアッセイ
HEKレポーター細胞株とは異なり、ヒト末梢血単核細胞(human peripheral blood mononuclear cell:PBMC)は、主にリンパ球、単球、樹状細胞からなる血液中の初代ヒト免疫細胞を表す。これらの細胞は、TLR7、TLR8、又はTLR9を発現するため、それぞれのリガンド刺激に対する天然のレスポンダである。これらのTLRが活性化すると、PBMCはin vitro及びin vivoで同様のサイトカイン及びケモカインを分泌するため、ヒトPBMCにおけるTLR7/8/9アンタゴニストのin vitroの効力は、in vivoでの薬力学的応答に容易に変換可能である。
【0203】
新たに採取したリチウムヘパリン化(リチウムヘパリンプラス採血管、BD Vacutainer(登録商標))健康ドナー全血から、密度勾配(Ficoll-PaqueTM PLUS、GE Healthcare life Sciences)によってヒト末梢血単核細胞(PBMC)が単離された。簡単に説明すると、50mLの血液を、多孔質バリア付きの50mL円すい管(Leucosep tube,Greiner bio-one)において、25mL PBS(Ca2+、Mg2+非含有)で希釈し、回転後に15.5mLのFicoll-Paqueを水平に寝かせた。ブレーキをオフ位置にした状態で、管を800×g(1946rpm)で20分間遠心分離し、PBMCをバフィーコートから収集した。次に、細胞をPBSで2回洗浄し、赤血球を2mLの懸濁液(Red Blood Cell Lysis Buffer、Alfa Aesar)によって室温で5~10分間溶解させた。PBSでの最終洗浄後、10%ウシ胎児血清(Sigma)を補充したGlutaMAXTM(Gibco)を含むRPMI-1640培地において、最終濃度2×106細胞/mLでPBMCを再懸濁させ、組織培養処理した丸底96ウェルプレート(Corning Incorporated)において、150μL/ウェル(3×105細胞/ウェル)でプレーティングした。
【0204】
可溶化され、100%DMSOにおいて連続希釈されたアンタゴニスト化合物(本発明の化合物)を細胞に2回添加して、1%DMSO(v/v)の最終濃度を得た。PBMCを、アンタゴニスト化合物とともに37°C、5%CO
2で30分間インキュベートした後、(最終濃度を示す)以下のように、ウェルあたり48μLの完全培地に多様なTLRアゴニスト試薬を添加した。TLR9の場合、1μMのCpG ODN 2216(InvivoGen)、TLR8の場合、1μg/mLのORN 06/LyoVec(InvivoGen)、TLR7及びTLR8の場合、1μg/mLのR848(InvivoGen)。PBMCを、5%CO
2で37°Cで一晩インキュベートした。細胞培養上清を収集し、Luminexアッセイ(ProcartaPlexTM Multiplex Immunoassay,Invitrogen)又は製造元の推奨プロトコル(eBioscience,ThermoFisher Scientific)に従ったELISA手順によって様々なヒトサイトカインのレベルを評価した。細胞の生存率もまたCell Viability Assay(CellTiter Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay,Promega)によって確認された。
【表3】
【0205】
実施例23
ヒトミクロソーム安定性アッセイ
ヒトミクロソーム安定性アッセイを用いて、ヒト肝ミクロソームにおける試験化合物の代謝安定性の早期評価を行う。
【0206】
ヒト肝ミクロソーム(カタログ番号:452117、Corning(USA);カタログ番号:H2610、Xenotech(USA))を100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中で37°Cにて10分間、試験化合物とともにプレインキュベートした。NADPH再生システムを加えて反応を開始した。最終的なインキュベーション混合物は、100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中に1μMの試験化合物、0.5mg/mLの肝臓ミクロソームタンパク質、1mM MgCl
2、1mM NADP、1ユニット/mLのイソクエン酸脱水素酵素及び6mMイソクエン酸を含有していた。37℃で、0、3、6、9、15、及び30分のインキュベーション時間後に、300μLの冷アセトニトリル(内部標準物質を含む)を100μLのインキュベーション混合物に加えて、この反応を終止させた。沈殿及び遠心分離の後、試料中に残存している化合物の量を、LC-MS/MSによって測定した。また、0分及び30分でNADPH再生システムなしの対照も調製し、分析した。本発明の化合物は、上述のアッセイにおいて測定された良好なヒト肝ミクロソーム安定性を示した。結果を以下の表4に示す。
【表4】
【0207】
実施例24
3T3in vitro光毒性アッセイ
光毒性は、特定の化学物質を皮膚に最初に曝露し、その後に光に曝露した後に誘発される毒性反応、又は化学物質を全身に投与した後に皮膚照射することで同様に誘発される毒性反応として定義されている。本研究で使用したアッセイは、Balb/c 3T3マウス線維芽細胞を用いた簡便なin vitro細胞毒性アッセイを使用して、化学物質の光毒性の可能性を検出するように設計されている。この試験の原理は、非毒性用量のUVA光に曝露した場合とそうでない場合に試験した、化学物質の細胞毒性を比較することである。細胞毒性は、処置の1日後に生体色素であるニュートラルレッドの取り込みによって決定される、細胞の増殖率の用量依存性の低下として表される。
【0208】
1.方法
試験項目のストック溶液の調製及び投与量
細胞の曝露を開始する直前に、少量の物質を秤量し、DMSOに新たに配合した。このストック溶液又はDMSOによる適切な希釈液を細胞懸濁液に加えて、必要な最終濃度を得た。全ての溶液は、一般的にエッペンドルフキャップ中で調製し、使用後に廃棄した。
【0209】
参照物質
クロルプロマジン(HCL)(Sigma、バッチ/ロット番号:120M1328V)、試験濃度:300μg/mL、溶媒:PBS/3%DMSO
【0210】
UV吸収スペクトルの測定
それ自体での、又はUV-A若しくはUV-Bの事前照射による吸収スペクトルを、Lambda-2スペクトル光度計(Perkin Elmer)を用いて240nm~400nmの間で記録した。
【表5】
【0211】
光毒性の決定
この試験では、INVITTOXプロトコルNo 78(ERGATT/FRAME data bank of in vitro techniques in toxicology.INVITTOX PROTOCOL No 78.3T3 NRU Phototoxicity Assay.March 1994)に従って修正したBorenfreund and Puerner(Borenfreund,E,Puerner JA.Toxicity determined in vitro by morphological alterations and Neutral Red absorption.Toxicology Lett.1985;24:119-124.)のニュートラルレッド取り込み(NRU)アッセイを、試験項目の可能性のある光毒性の可能性を調べるために適合させた。このアッセイは、培養マウス線維芽細胞のリソソームへのニュートラルレッド色素の能動的取り込みに基づいている。リソソーム膜は多くの光毒性化合物の作用部位であることが知られているため、このアッセイは光毒性損傷の可能性の測定値を提供することができる。
【0212】
細胞培養の調製
マウス線維芽細胞クローンA31(ATCC番号CCL163-継代番号108)を、sDMEM(10%ウシ胎児血清、2mM L-グルタミン、100単位/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトアビジンを補充した、ダルベッコの最小必須培地)を含む175cm2の組織培養グレードフラスコ中で6%CO2の加湿雰囲気において37℃で培養した。細胞がコンフルエンスに近づく前に、トリプシン処理によってフラスコから取り出した。アッセイで使用する前に、細胞を100μlの容量のsDMEM中で1×104細胞/ウェルの濃度で96ウェルマイクロタイタープレートに移し、24時間付着させた。
【0213】
試験項目への曝露
マウス線維芽細胞とのインキュベーションのために、試験項目をPBS/3%DMSOで希釈した(詳細な濃度は結果を参照)。
【0214】
培養培地(ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、GlutaMAX(Gibco Ref 21885-025)、10%ウシ胎児血清(FBS)(Gibco Ref 10270-106)、100IU/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシン(Gibco Ref 15140-122))をウェルから除き、マウス線維芽細胞をPBSで洗浄した。その後、試験項目を含む100μLのPBS/3%DMSOを添加し、標的細胞を6%CO2で37℃にて1時間インキュベーションした。
【0215】
UV曝露
各試験項目について、マイクロタイタープレートを表6に従って調製した。「UVAプレート」は、約5J/cm2のUVA光に曝露し、「ダークプレート」は暗所に保管し、細胞毒性対照として機能した。塩酸クロルプロマジンを含むプレートは、陽性対照として機能した。UVフラックスを、UVメーター(Dr.Groebel RM21)で測定した。
【0216】
UV照射後、試験項目をウェルから除き(PBSによる1回の洗浄工程)、sDMEMと交換した。次いで、標的細胞を6%CO
2中で37℃にて一晩インキュベーションした。
【表6】
【0217】
96ウェルマイクロタイタープレートを以下のように調製した:
各プレートは、標準細胞生存率曲線の算出のため、ニュートラルレッド溶液(0%標準-S1)でインキュベートされていないか、又はニュートラルレッド(100%標準-S2)で染色された細胞と溶媒を含むウェルを含んでいたが、試験項目は含んでいなかった。U01~U08でラベル付けされたウェルには、異なる試験項目の濃度が含まれていた。
【0218】
ニュートラルレッドの取り込み
すぐに使用できるニュートラルレッド(NR)染色溶液を以下のように新たに調製した:
● 0.4%のストック水溶液を遮光し、使用前にフィルタにかけてNR結晶を除去した。
● 次いで、1:40希釈のストック溶液をsDMEM中で調製し、細胞に添加した。
【0219】
インキュベーション後、アッセイするウェルにニュートラルレッドを含むsDMEMを100μL充填した。標的細胞をNRとともに6%CO2中で37℃にて3時間インキュベーションした。
【0220】
ニュートラルレッドの取り込みの測定
混入しなかったニュートラルレッドを標的細胞から除去し、少なくとも100μLのPBSでウェルを洗浄した。次いで、150μLのニュートラルレッド脱着溶液(1%氷酢酸、aqua bidest中50%エタノール)を添加し、混入した色素を定量的に抽出した。ニュートラルレッドが細胞から抽出されて均一な溶液を形成するまで、マイクロタイタープレートシェーカー上でプレートを少なくとも10分間激しく振とうした後、得られる着色溶液の吸光度を、540nmでSPECTRAmax PLUSマイクロタイタープレートリーダー(Molecular Devices)を用いて測定した。
【0221】
細胞生存率の算出
細胞生存率は、SOFTmax Proソフトウェアパッケージ(Molecular Devices)を用いて算出した。最初に、次の式に基づいて、プログラムの線形曲線フィットオプションを用いて2点標準曲線(0%及び100%の生存率)を算出した:
Y=A+(B×X)
(A=直線のy切片;B=直線の傾き;
0%の細胞生存率=溶媒を含むが、試験項目とニュートラルレッドを含まない細胞。
100%の細胞生存率=溶媒とニュートラルレッドを含むが、試験項目を含まない細胞)
【0222】
これにより、試験化学物質の濃度を上昇させながらインキュベーションした細胞の生存率を算出した。クロルプロマジン(HCl)は、実験の陽性対照として機能した。
【0223】
IC50値の算出
全ての計算を、SOFTmax Pro分析ソフトウェアパッケージを使用して行った
(Molecular Devices-詳細については、http://www.mbl.edu/jbpc/files/2014/05/SoftMax_Pro_User_Guide.pdfを参照)。
【0224】
光毒性の判別係数の算出
光毒性の可能性を評価するために、UV曝露を行った場合とそうでない場合に決定したIC50値を比較した。
係数=IC50(-UV)/IC50(+UV)
【0225】
光毒性試験化学物質と非光毒性試験化学物質とを区別するため、>5のカットオフ係数を適用した(Liebsch M,Spielmann H,Balls M,Brand M,Doering B,Dupuis J,Holzhueter HG,Klecak G,L.Eplattenier H,Lovell W,Maurer T,Moldenhauer F,Moore L,Pape W,Pfannenbecker U,Potthast JM,De Silva O,Steiling W,Willshaw A.First results of the EC/COLIPA Validation Project.In Vitro Phototoxicity Testing.In:In Vitro Skin Toxicology:Irritation,Phototoxicity,Sensitization;Vol.10.Alternative Methods in Toxicology,-Eds.Rougier A,Maibach HI,Goldberg AM;Mary Ann Liebert Publ.:New York,USA 1994,pp.243-251)。
【0226】
試験した最高濃度であってもマウス線維芽細胞に対して細胞毒性はないが、UV曝露後に細胞生存率の用量依存性の強い低下を示す試験項目も光毒性と見なされる(Spielmann H,Balls M,Dupuis J,Pape WJW,Pechovitch G,Silva DeO,Holzhuetter,HG,Clothier R,Desolle P,Gerberick F,Liebsch M,Lowell WW,Maurer T,Pfannenbecker U,Potthast JM,Csato M,Sladowski D,Steiling W,Brantom P.The international EU/COLIPA in vitro phototoxicity validation study:Results of phase II(blind trial).Part 1:The 3T3 NRU phototoxicity test.Toxicology in Vitro 1998,12:305-327)。
【0227】
試験結果を以下に示すが、本発明の化合物は非常に良好な光毒性プロファイルを示した。
【表7】
【0228】
実施例25
並列人工膜透過性アッセイ(PAMPA)
PAMPA(並行人工膜透過性アッセイ)は、薬物候補の第一選択透過性スクリーニングである。このアッセイは、人工リン脂質膜を使用して経細胞吸収条件を模倣し、化合物ランキング及び最適化、並びに腸吸収を予測するためのin silicoモデルの入力パラメータに使用することができる透過性値を生成する。
【0229】
浸透実験を、疎水性PVDF 96ウェルマイクロタイターフィルタプレート(MultiScreenフィルタプレート、Millipore、#MAIPN 4550)内で行う。各ウェルをPVDF膜でコーティングし、これを1%レシチン(Sigma、P3556-1G)を含有する5μLドデカン(Sigma、D221104)で調製する。
【0230】
典型的なPAMPA実験プロトコルは以下のとおりである:ドナープレートを、150μLの100mM PBS緩衝液(2.6gのKH
2PO
4及び18.5gのK
2HPO
4.3H
2O)を約1000mLの超純水に溶解し、完全に混合する。5%DMSOを含有する1M水酸化ナトリウム又は1M塩酸のいずれかを使用して、pHを7.40±0.05に調整する。各アクセプターウェルの底部のフィルタを300μLの100mM PBS緩衝液(2.6gのKH
2PO
4及び18.5gのK
2HPO
4.3H
2Oを約1000mLの超純水に溶解し、完全に混合する。1M水酸化ナトリウム又は1M塩酸のいずれかを使用して、pHを7.40±0.05に調整した)で満たす。得られたサンドイッチを、一定の振盪(300rpm)下、室温で4時間インキュベートする。次いで、サンドイッチを解体する。インキュベーションの前に、20μLの投与溶液をスパイクし、T0試料として250μLのPBS及び130μLのクエンチ溶液(アセトニトリル)と混合する。インキュベーション後、アクセプターチャンバーから270μLの溶液を回収し、続いて130μLのアセトニトリルを加える。ドナーチャンバーから溶液20μLを回収し、PBS 250μL及びアセトニトリル130μLを加える。全試料中の化合物の濃度をLC-MS/MSにより求め、透過性(Pe、10
-6cm/sを求める式は以下のとおりである。
【数1】
【0231】
VDはドナーウェルの体積であり、VRはアクセプターウェルの体積であり、面積は膜の活性表面積であり、時間はインキュベーション時間(このアッセイでは14,400秒)であり、CR及びCDは、アッセイの完了時のそれぞれアクセプター溶液及びドナー溶液中の化合物の濃度であり、C0は、インキュベーション前のドナー溶液中の化合物の濃度である。
【0232】
PAMPAアッセイの主な読み出しは、10
-6cm/sで表される透過性値Peである。決定される二次読み出しは、ドナー及びアクセプター区画中の化合物の量並びに膜内の化合物保持である。透過速度及び膜保持率に応じて、化合物は「低」(Pe<0.2及び膜保持率<20%)、又は「中及び高」(Pe≧0.2;又はPe<0.2及び膜保持率≧20%)に分類される。各試料を3連で測定し、標準偏差を、透過定数Peについて求める。アクセプター溶液及びドナー溶液中の試料が平衡に達した場合(速度論的情報なし)、参照が沈殿した場合(濁度測定)、又は分析上の制限がある場合、結果は表示されない。
【表8】
【0233】
実施例26
雄性Wister-Hanラットにおける単回用量薬物動態(PK)研究
選択した化合物の薬物動態特性を、雄性Wister-Hanラット(販売業者:Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd)における単回用量PK試験によって評価した。簡潔には、2群の動物に、単回用量のそれぞれの化合物を2mg/kgで静脈内投与(IV、ボーラス)又は10mg/kgで経口投与(PO、強制投与)した。血液試料(約150μL)を、投与の5分後(IVの場合のみ)、15分後、30分後、1時間後、2時間後、4時間後、7時間後及び24時間後に頸静脈を介して収集した。血液試料をEDTA-K2抗凝固剤を含むチューブに入れ、4℃で15分間3000rpmで遠心分離して、試料から血漿を分離した。遠心分離後、得られた血漿をLC/MS/MSによる生物分析のために清浄なチューブに移した。薬物動態パラメータは、非コンパートメント分析を用いて計算した。分布容積(Vss)、半減期(T1/2)及びクリアランス(CL)を、IV投与後の血漿濃度-時間曲線に基づいて得た。ピーク濃度(Cmax)は、PO投与後の実験観察から直接記録した。血漿濃度-時間曲線下面積(AUC0-last)は、最後の検出可能な濃度まで線形台形則を使用して計算した。バイオアベイラビリティ(F)は、IV及びPO投薬後の用量正規化AUC0-lastに基づいて計算した。
【0234】
薬物のVssは、薬物が血漿ではなく体組織に分布する程度を表す。Vssは、組織に分布する薬物の量に正比例する。Vssが高いほど、組織分布の量が多いことを示す。
【0235】
IV及びPO投与後のPKパラメータの結果を表9に示す。
【表9】
【0236】
実施例27
ヒトサイトゾルアルデヒドオキシダーゼ(AO)基質アッセイ
ヒトサイトゾルAO基質アッセイは、選択したアルデヒドオキシダーゼ(AO)阻害剤の有無にかかわらず、ヒト肝サイトゾルにおける試験化合物の代謝安定性を評価するためのものである。
【0237】
細胞質インキュベーションをディープウェル96ウェルプレートで行った。試験化合物の変換及び酸化代謝産物の形成を60分間にわたって監視した。インキュベーションの体積は0.4mL/ウェルであり、時点は0.5、3.5、6.5、10、20、30、45及び60分であった。ヒト肝サイトゾル(1mgタンパク質/mL、BD UltraPool(商標)ヒトサイトゾル)、及び試験化合物(2連で1μM)又は対照化合物(すなわち、既知のAO基質;2連で1μM)を水浴中37℃でインキュベートした。各対応する時点で、120μLのクエンチ溶液(アセトニトリル中のヒドララジン、50μM、総有機濃度は最終インキュベーションで≦1%になる)を加えて反応を停止させ、40μLの試料を取り出した。全ての試料プレートをよく混合し、3220×gで10~20分間遠心分離し、上清をLC/MS/MS分析に適切な水又は緩衝液で希釈した。
【0238】
試験化合物及び対照化合物のin vitro排出速度を決定するために、以下の式を用いて、分析物/内部標準ピーク面積比を残存率に変換した:
【数2】
【0239】
また、%残存対時間の対数線形プロットから半減期(T
1/2)を計算した。in vitroでの肝臓固有クリアランス(CLint)値の推定を、以下のように肝臓サイトゾルインキュベーションにおける基質消失速度から計算した:CLint(サイトゾル)=0.693/半減期/mgサイトゾルタンパク質/mL。
【表10】
【国際調査報告】