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特表2023-536341カルバメート化合物を含む経口用固形製剤及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(54)【発明の名称】カルバメート化合物を含む経口用固形製剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/41 20060101AFI20230817BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20230817BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230817BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20230817BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230817BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230817BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230817BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230817BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230817BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20230817BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230817BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230817BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230817BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20230817BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
A61K31/41
A61K9/16
A61K47/36
A61K47/44
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/14
A61K47/12
A61K47/34
A61K47/20
A61K47/04
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/42
A61P25/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507606
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 KR2021010391
(87)【国際公開番号】W WO2022031099
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0098589
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511206696
【氏名又は名称】エスケー バイオファーマスティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジヘ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ソヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,サンジン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ユンヒ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD09
4C076DD27
4C076DD28B
4C076DD41C
4C076DD46C
4C076DD47
4C076DD55
4C076DD67
4C076DD67B
4C076EE08
4C076EE13
4C076EE16
4C076EE16B
4C076EE23C
4C076EE30
4C076EE31
4C076EE31B
4C076EE32
4C076EE32B
4C076EE36
4C076EE38
4C076EE38B
4C076EE38C
4C076EE42
4C076EE52C
4C076EE57
4C076FF33
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC62
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA41
4C086NA03
4C086NA05
4C086NA11
(57)【要約】
本出願は、有効成分として、式(1)のカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体溶媒和物又は水和物;希釈剤;及び結合剤;を含む顆粒を含む経口用固形製剤及びその製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として、下記式(1)
【化1】
(1)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~8のペルフルオロアルキル、炭素数1~8のアルキル、炭素数1~8のチオアルコキシ及び炭素数1~8のアルコキシからなる群から選ばれ;
1及びA2の一方はCH、他方はNである。)で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物又は水和物;
希釈剤;及び
結合剤;
を含む顆粒を含む、経口用固形製剤。
【請求項2】
前記有効成分が、15~90重量%の量で含まれる請求項1に記載の経口用固形製剤。
【請求項3】
前記有効成分が、25~65重量%の量で含まれる請求項1又は2に記載の経口用固形製剤。
【請求項4】
前記有効成分の粒径d(0.9)が、35μm~1,300μmである請求項1~3のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項5】
前記有効成分の粒径d(0.9)が、300μm以下である請求項1~4のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項6】
顆粒外に希釈剤をさらに含む請求項1~5のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項7】
前記希釈剤が、コーンスターチ(Cornstarch)、アルファデンプン(Pre-gelatinized starch)、ジャガイモデンプン(Potato starch)、コムギデンプン(Wheat starch)、サツマイモデンプン(Sweet potato starch)、タピオカデンプン(Tapioca starch)、米デンプン(Rice starch)、蜜蝋(Beeswax)、スクロース(Sucrose)、ラクトース無水物(Anhydrous lactose)、ラクトース一水和物(Lactose monohydrate)、マンニトール(Mannitol)、ソルビトール(Sorbitol)、キシリトール(Xylitol)、ラクチトール(Lactitol)、マルチトール(Maltitol)、エリトリトール(Erythritol)、ケイ酸アルミニウム(Aluminum silicate)、ヒドロキシプロピルデンプン(Hydroxypropyl starch)、微結晶セルロース(Microcrystalline cellulose)、結晶セルロース(Crystalline cellulose)及びケイ化微結晶セルロース(Silicified microcrystalline cellulose)からなる群から選ばれる一つ以上である請求項1~6のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項8】
顆粒に含まれる希釈剤が、6~40重量%の量で含まれる請求項1~7のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項9】
前記顆粒外にさらに含まれる希釈剤が、5~50重量%の量で含まれる請求項6に記載の経口用固形製剤。
【請求項10】
顆粒内、顆粒外、又は両方に潤滑剤をさらに含む請求項1~9のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項11】
前記潤滑剤が、ベヘン酸グリセリル(Glyceryl behenate)、ステアリン酸マグネシウム(Magnesium Sterate)、鉱油(Mineral oil)、ポリエチレングリコール(Polyethlyene glycol)、ポリオキシル35ヒマシ油(Polyoxyl 35 Castoroil)、ポリオキシル40硬化ヒマシ油(Polyoxyl 40 hydrogenated castor oil)、ポリオキシル10オレイルエーテル(Polyoxyl 10 oleyl ether)、ポリオキシル20セトステアリルエーテル(Polyoxyl 20 cetostearyl ether)、ポリオキシル40ステアレート(Polyoxyl 40 stearate)、ポリソルベート20(Polysorbate 20)、ポリソルベート40(Polysorbate 40)、ポリソルベート60(Polysorbate 60)、ポリソルベート80(Polysorbate 80)、ラウリル硫酸ナトリウム(Sodium lauryl sulfate)、フマル酸ステアリルナトリウム(Sodium stearyl fumarate)、ソルビタンモノラウレート(Sorbitan monolaurate)、ソルビタンモノオレエート(Sorbitan monooleate)、ソルビタンモノパルミテート(Sorbitan monopalmitate)、ソルビタンモノステアレート(Sorbitan monostearate)、ソルビタントリオレエート(Sorbitan trioleate)、デンプン(Starch)、ステアリン酸(Stearic acid)、タルク(Talc)及びステアリン酸亜鉛(Zinc stearate)からなる群から選ばれる一つ以上である請求項10に記載の経口用固形製剤。
【請求項12】
前記顆粒に含まれる潤滑剤が、0.1~1重量%の量で含まれる請求項10又は11に記載の経口用固形製剤。
【請求項13】
前記顆粒外にさらに含まれる潤滑剤が、0.1~2重量%の量で含まれる請求項10~12のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項14】
前記結合剤が、アルギン酸(Alginic acid)、アンモニオメタクリル酸共重合体(Ammonio methacrylate copolymer)、アンモニオメタクリル酸共重合体分散液(Ammonio methacrylate copolymer dispersion)、カルボマー共重合体(Carbomer copolymer)、カルボマーホモポリマー(Carbomer homopolymer)、カルボマーインターポリマー(Carbomer interpolymer)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Sodium carboxymethylcellulose)、微結晶セルロース(Microcrystalline cellulose)、コポビドン(Copovidone)、デキストリン(Dextrin)、エチルセルロース(Ethyl cellulose)、ゼラチン(Gelatin)、液状ブドウ糖(Liquid glucose)、グアーガム(Guar gum)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(Low-substituted hydroxypropyl cellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropyl cellulose)、ヒプロメロース(Hypromellose)、酢酸コハク酸ヒプロメロース(Hypromellose acetate succinate)、マルトデキストリン(Maltodextrin)、マルトース(Maltose)、メチルセルロース(Methyl cellulose)、ポリエチレンオキサイド(Polyethylene oxide)、ポビドン(Povidone)、コーンスターチ(Corn starch)、ジャガイモデンプン(Potato starch)、アルファデンプン(Pre-gelatinized starch)、変性アルファデンプン(Modified pre-gelatinized starch)及びタピオカデンプン(Tapioca starch)からなる群から選ばれる一つ以上である請求項1~13のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項15】
前記結合剤が、2~60重量%の量で含まれる請求項1~14のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項16】
顆粒内、顆粒外、又は両方に崩壊剤をさらに含む請求項1~15のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項17】
前記崩壊剤が、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(Low-substituted hydroxypropyl cellulose)、微結晶セルロース(Microcrystallinec ellulose)、デンプン(Starch)、ラクトース無水物(Anhydrous lactose)、ラクトース一水和物(Lactose monohydrate)、デンプングリコール酸ナトリウム(Sodiums tarch glycolate)、クロスポビドン(Crospovidone)、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethylcellulose)及びその薬学的に許容される塩、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropyl cellulose)、コーンスターチ(Corn starch)及びクロスカルメロース(Croscarmellose)からなる群から選ばれる一つ以上である請求項16に記載の経口用固形製剤。
【請求項18】
前記顆粒に含まれる崩壊剤が、1~10重量%の量で含まれる請求項16又は17に記載の経口用固形製剤。
【請求項19】
前記顆粒外にさらに含まれる崩壊剤が、1~10重量%の量で含まれる請求項16~18のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項20】
顆粒内、顆粒外、又は両方に滑沢剤をさらに含む請求項1~19のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項21】
前記顆粒に含まれる滑沢剤が、0.1~1重量%の量で含まれる請求項20に記載の経口用固形製剤。
【請求項22】
前記顆粒外にさらに含まれる滑沢剤が、0.1~1重量%の量で含まれる請求項20又は21に記載の経口用固形製剤。
【請求項23】
顆粒内に溶媒をさらに含む請求項1~22のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項24】
顆粒内に崩壊剤をさらに含み、
顆粒外に崩壊剤及び潤滑剤をさらに含む請求項1に記載の経口用固形製剤。
【請求項25】
前記顆粒内の崩壊剤及び前記顆粒外の崩壊剤が、それぞれ独立して、クロスポビドン(Crospovidone)、ベントナイト、モンモリロナイト、ビーガム(veegum)、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、又はそれらの混合物である請求項24に記載の経口用固形製剤。
【請求項26】
前記顆粒内に含まれる希釈剤が、微結晶セルロース(Microcrystalline cellulose)、結晶セルロース(Crystalline cellulose)、ケイ化微結晶セルロース(Silicified microcrystalline cellulose)、又はそれらの混合物である請求項24又は25に記載の経口用固形製剤。
【請求項27】
前記顆粒内に含まれる結合剤が、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropyl cellulose)、コポビドン(Copovidone)、又はそれらの混合物である請求項24~26のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項28】
前記顆粒内に含まれる崩壊剤は、経口用固形製剤の全重量に対して、0.5~5重量%の量で含まれており、
前記顆粒外崩壊剤は、経口用固形製剤の全重量に対して、0.5~5重量%の量で含まれる請求項24~27のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項29】
前記顆粒内に含まれる希釈剤が、経口用固形製剤の全重量に対して5~50重量%の量で含まれる請求項24~28のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項30】
前記顆粒内に含まれる結合剤が、経口用固形製剤の全重量に対して、2~60重量%の量で含まれる請求項24~29のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項31】
前記経口用固形製剤が、8~20kpの硬度を有する請求項24~30のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項32】
前記経口用固形製剤が、1.0%以下の摩損度を有する請求項24~31のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項33】
前記式(1)のカルバメート化合物が、下記式(2)
【化2】
(2)
で示されるカルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル-エチルエステルである請求項1~32のいずれか1項に記載の経口用固形製剤。
【請求項34】
(i)有効成分として、下記式(1)で
【化3】
(1)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~8のペルフルオロアルキル、炭素数1~8のアルキル、炭素数1~8のチオアルコキシ及び炭素数1~8のアルコキシからなる群から選ばれ;
1及びA2の一方はCH、他方はNである。)で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物又は水和物を希釈剤、潤滑剤及び結合剤を含む賦形剤と混合した後、圧縮する工程;
(ii)前記工程(i)で製造された圧縮物を粉砕及び整粒する工程;
(iii)前記工程(ii)で整粒された顆粒を希釈剤、潤滑剤及び崩壊剤を含む賦形剤と後混合する工程;及び
(iv)前記工程(iii)で後混合して得られた顆粒を製剤化する工程;
を含む経口用固形製剤の製造方法。
【請求項35】
(a)有効成分として、下記式(1)
【化4】
(1)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~8のペルフルオロアルキル、炭素数1~8のアルキル、炭素数1~8のチオアルコキシ及び炭素数1~8のアルコキシからなる群から選ばれ;
1及びA2の一方はCH、他方はNである。)で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物又は水和物を希釈剤及び結合剤を含む賦形剤及び溶媒と混合する工程;
(b)前記工程(a)で得られた混合物をふるいにかけて押出後、乾燥する工程;
(c)前記工程(b)で得られた乾燥物を潤滑剤及び崩壊剤を含む賦形剤と後混合する工程;
(d)前記工程(c)で後混合して得られた顆粒を製剤化する工程;
を含む経口用固形製剤の製造方法。
【請求項36】
(I)有効成分として、前記式(1)
【化5】
(1)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~8のペルフルオロアルキル、炭素数1~8のアルキル、炭素数1~8のチオアルコキシ及び炭素数1~8のアルコキシからなる群から選ばれ;
1及びA2の一方はCH、他方はNである。)で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物又は水和物を希釈剤、潤滑剤、結合剤及び崩壊剤を含む賦形剤と混合した後、圧縮する工程;
(II)前記工程(I)で得られた混合物をふるいにかけて押出して粉砕及び整粒する工程;
(III)前記工程(II)で整粒された顆粒を崩壊剤及び潤滑剤を含む賦形剤と後混合する工程;
(IV)前記工程(III)で後混合して得られた顆粒を製剤化する工程;
を含む経口用固形製剤の製造方法。
【請求項37】
前記有効成分が微粉化されており、粒径d(0.9)が、300μm以下である請求項35に記載の経口用固形製剤の製造方法。
【請求項38】
前記有効成分が微粉化されておらず、粒径d(0.9)が、300μm~1,300μmである請求項34又は36に記載の経口用固形製剤の製造方法。
【請求項39】
前記工程(iii)において、滑沢剤をさらに混合する請求項34に記載の経口用固形製剤の製造方法。
【請求項40】
前記工程(c)において、滑沢剤をさらに混合する請求項35に記載の経口用固形製剤の製造方法。
【請求項41】
前記式(1)で示されるカルバメート化合物が、下記式(2)
【化6】
(2)
で示されるカルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル-エチルエステルである請求項34~40のいずれか1項に記載の経口用固形製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、有効成分として、下記式(1)
【化1】
(1)
(式中、R1、R2、A1及びA2は、本明細書で定義したものと同義である。)で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物又は水和物;希釈剤;及び結合剤;を含む顆粒を含む経口用固形製剤及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中枢神経系疾患は、中枢神経系を構成する脳又は脊髄の構造又は機能に影響を与える神経疾患のグループである。中枢神経系疾患の原因には、トラウマ(trauma)、感染、変性(degeneration)、構造欠陥、中枢神経系腫瘍、自己免疫疾患、脳卒中などが含まれる。
下記式(1)
【化2】
(1)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~8のペルフルオロアルキル、炭素数1~8のアルキル、炭素数1~8のチオアルコキシ及び炭素数1~8のアルコキシからなる群から選ばれ;A1及びA2の一方はCH、他方はNである。)で示されるカルバメート化合物(カルバミン酸アリール-2-テトラゾリルエチルエステル)及びその製造方法は、特許文献1、2及び3に詳細に記載されている。これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
前記式(1)のカルバメート化合物の具体的な一例には、下記式(2)
【化3】
(2)
で示されるカルバメート化合物(カルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル)エチルエステル)を挙げられる。
【0004】
前記式(2)のカルバメート化合物は、中枢神経系疾患に有効な抗てんかん剤として知られているが、これを人体に適用するための具体的な経口投与用製剤に関する研究は開示されていない。医薬品が人体に適用されるためには、製剤設計が不可欠である。薬として効果を発揮するめには、錠剤、カプセル剤、注射剤、軟膏剤などの特定の剤形が必要である。
【0005】
前記化合物を含む製剤を人体に投与することにより薬理活性を得る場合、その効果の発現が早く、長期間にわたって投与を繰り返すことにより、有効成分の血中濃度を一定に保つことができることが求められている。迅速な効果を得るためには注射剤が適している場合もあるが、投与経路の関係で用途が制限されるという短所がある。したがって、この目的を達成するための新規な経口用固形製剤(oral solid dosage form)を開発する需要が高ってきている。また、嚥下障害は、中枢神経系の疾患患者に多い症状であり、経口製剤は飲み込み難いことがあるため、剤形はできるだけ小さいことが好ましい。
【0006】
カルバメートに対する臨床研究では、高用量(200~400mg)の必要性が示されている。経口投与の便宜上、一般に800mgを超える錠剤重量は好ましくない。1回の投与に必要な錠剤の数が多いと、コンプライアンス問題が生じる可能性があるため、1回の投与に必要な錠剤の数を減らして患者のコンプライアンスの改善に貢献する製剤を開発することが商業的に好ましい。
【0007】
従って、1)患者が飲みやすい適切なサイズ、2)1回の投与に必要な錠剤の数を最小限に抑えるために1つの錠剤に含まれるカルバメートの含量が高く、3)錠剤からのカルバメートの放出に関して適切な特性を有する所望の効果をもたらすことができる薬学的挙動を有するカルバメートを含む錠剤剤形を開発する必要がある。
【0008】
一方、低用量製剤の全般的な物理的特性及び製造可能性は、製剤中の不活性成分及び賦形剤によって完全に決定される。これは、有効成分の物性よりも、製剤に使用される賦形剤の物性が錠剤の特性を支配するためである。しかし、高用量の薬物の場合、製剤の製造可能性に対する薬学的有効成分の物理化学的特性の影響が顕著になる。1錠中の薬物の含量が増加するにつれて、錠剤の製造工程では有効成分の物理化学的特性が著しく増加される。すべての有効成分が、高含量の錠剤を得るのに必要な圧縮能に関連する適切な特性を備えているわけではない。
【0009】
有効成分としての前記カルバメート化合物は、物理的可塑性の低い非常に脆い物質である。これにより、高含量のカルバメートを含む経口固体剤形を製剤化することが困難になる。錠剤の製造におけるカルバメートの脆性を中和するために、従来、延性/可塑性の特性を有する賦形剤を大量に使用することにより、カルバメートを希釈することも可能であるが、錠剤重量が過大であると嚥下障害が問題となる場合がある。また、脆性物質を高含量で含む所定の良好な硬度及び摩損度を有する錠剤を成形するためには、高圧力の打錠が必要であり、変形率が低く、錠剤の空隙率が高くなり、キャッピング及びラミネーションなど打錠不良が発生する。本出願では、高含量の有効成分を含み、錠剤重量を最小限に抑えることができ、優れた硬度、摩損度、及びキャッピングに対する耐性を有する経口用固形製剤が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO 2006/112685 A1
【特許文献2】WO 2010/150946 A1
【特許文献3】WO 2011/046380 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本出願の一つの目的は、有効成分として前記式(1)のカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物又は水和物を高負荷量で含み、含量均一性、服用利便性の増大及び迅速な溶出速度を有する経口用固形製剤及びその製造方法を提供することである。
【0012】
また、本出願の別の目的は、高含量含の前記有効成分を有する経口用固形製剤であり、溶出率に優れ、錠剤重量が最小限に抑えながらも、錠剤の製造に必要な改善された物理的特性も備えているため、良好な圧縮特性、所定の硬度、摩損度に対する耐性を有する固形製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示は、有効成分として、下記式(1)
【化4】
(1)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~8のペルフルオロアルキル、炭素数1~8のアルキル、炭素数1~8のチオアルコキシ及び炭素数1~8のアルコキシからなる群から選ばれ;A1及びA2の一方はCH、他方はNである。)で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物又は水和物;希釈剤;及び結合剤;を含む顆粒を含む、経口用固形製剤を提供する。
【0014】
また、本開示の一態様は、(i)有効成分として、前記式(1)のカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物又は水和物を希釈剤、潤滑剤及び結合剤を含む賦形剤と混合した後、圧縮する工程;(ii)前記工程(i)で製造された圧縮物を粉砕及び整粒する工程;(iii)前記工程(ii)で整粒された顆粒を希釈剤、潤滑剤及び崩壊剤を含む賦形剤と後混合する工程;及び(iv)前記工程(iii)で後混合して得られた顆粒を製剤化する工程;を含む経口用固形製剤の製造方法を提供する。
【0015】
さらに、本開示の一態様は、(a)有効成分として、前記式(1)のカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物又は水和物を希釈剤及び結合剤を含む賦形剤及び溶媒と混合する工程;(b)前記工程(a)で得られた混合物をふるいにかけて押出後、乾燥する工程;(c)前記工程(b)で得られた乾燥物を潤滑剤及び崩壊剤を含む賦形剤と後混合する工程;(d)前記工程(c)で後混合して得られた顆粒を製剤化する工程;を含む経口用固形製剤の製造方法を提供する。
【0016】
本開示の一実施形態によれば、有効成分を微分化することなく、含量均一性及び溶出速度を満たし、それを服用するのに適切なサイズを有する経口用固形製剤が提供される。
【0017】
嚥下障害は、中枢神経系疾患患者に多い症状であり、経口剤は飲み込み難いことがあるため、経口固体製剤はできるだけ服用に適したサイズに調整することが好ましい。式(1)の化合物を有効成分として高含量の有効成分の錠剤を直接打錠して製造する場合、粉末の密度を高めて錠剤の流動性を改善するために、賦形剤の負荷量を大幅に増やす必要があり(例えば、≧75%(w/w))、この場合、錠剤のサイズが大きくなることがある。従って、式(1)の化合物を高含量で含む製剤の場合、これを服用する際により大きな困難に遭遇する。
【0018】
一般に、有効成分の粒子の微分化は、薬物の流動性及び安定性が低下させ、結果的に、製剤の含量均一性及び含量に影響を与える可能性があるため、採用されていない。粒子の微粉化が一般的に採択される方法ではない。すなわち、前記式(1)のカルバメート化合物を微分化してカプセル剤又は錠剤を製造する場合、静電気による収率低下で製造コストが上昇し、0.50g/mL以下の低い密度のために、流動性が低下される問題が予想される。しかし、式(1)の微分化されていないカルバメート化合物を高含量で含有するカプセル又は錠剤を製造するときに、有効成分の粒子サイズが大きいため、含量不均一性及び溶出速度の低下の問題が予想される。本開示の一実施形態は、主成分が微粉化されているかどうかに関係なく、含量均一性及び溶出速度の要件を満たすことができる製剤を提供する。
【0019】
本開示の一形態によれば、単一剤形中の前記式(1)のカルバメート化合物の高負荷量(例えば、組成物中≧25%(w/w)、≧50%(w/w)又は≧60%(w/w))は、前記式(1)のカルバメート化合物の湿式造粒により構成される。また、湿式造粒により顆粒を製造する場合、製剤の含量均一性及び溶出率を改善するために、微分化式(1)のカルバメート化合物粒子を使用することが好ましい。
【0020】
本開示の別の態様によれば、単一剤形中の前記式(1)のカルバメート化合物の高負荷量(例えば、組成物中≧25%(w/w)、≧50%(w/w)又は≧60%(w/w))は、前記式(1)のカルバメート化合物の乾式造粒により、単一の製剤を構成することができる。乾式造粒法の場合、結合剤溶液の使用により、湿潤(wetting)及び乾燥工程が不要なため、より簡単な工程で低コストに製造でき、湿気や熱に敏感な不安定な有効成分でも処理ができるという長所がある。しかし、乾式造粒法は、すべての有効成分に適しているわけではなく、適用できる有効成分に制限がある。本開示の一実施形態では、乾式造粒法によって経口用固形製剤を製造する場合、有効成分は微分化されていてもいなくてもよい。特に、粒度が大きな前記式(1)のカルバメート化合物を微粉化工程なしで乾式造粒して経口用固形製剤を製造することにより、患者のコンプライアンスを達成できるだけでなく、許容可能な含量均一性及び迅速な溶出速度も達成することができる。
【0021】
したがって、本開示による前記式(1)のカルバメート化合物の造粒は、単一剤形中に前記式(1)のカルバメート化合物を高負荷量(例えば、組成物中≧25%(w/w)、≧50%(w/w)又は≧60%(w/w))を含むことができ、剤形のサイズを調節することができる。
【0022】
一方、本開示は、前記有効成分を高含量で含有し、錠剤重量を最小限に抑えながら錠剤製造に必要な改善された物理的特性を有し、同時に溶出率に優れた経口用固形製剤を提供する。本開示による経口用固形製剤は、式(1)のカルバメート化合物を比較的高い含量で含む製剤を造粒することにより、カルバメートの粒度に影響されず、さらに、許容可能な硬度及びキャッピングに対する耐性に関して改善された圧縮性を提供することができる。特に、粒度が調整されていない式(1)のカルバメート化合物を用いて造粒工程を行っても、良好な打錠及び溶出特性を提供することができる。
【0023】
1つの具体的な一実施形態として、顆粒中に崩壊剤をさらに含み、顆粒外に崩壊剤、及び潤滑剤をさらに含む経口用固形製剤を提供する。
【0024】
1つの具体的な一実施形態として、(I)有効成分として、前記式(1)
【化5】
(1)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~8のペルフルオロアルキル、炭素数1~8のアルキル、炭素数1~8のチオアルコキシ及び炭素数1~8のアルコキシからなる群から選ばれ;
1及びA2の一方はCH、他方はNである。)で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物又は水和物を希釈剤、潤滑剤、結合剤及び崩壊剤を含む賦形剤と混合した後、圧縮する工程;
(II)前記工程(I)で得られた混合物をふるいにかけて押出して粉砕及び整粒する工程;
(III)前記工程(II)で整粒された顆粒を崩壊剤及び潤滑剤を含む賦形剤と後混合する工程;
(IV)前記工程(III)で後混合して得られた顆粒を製剤化する工程;
を含む経口用固形製剤の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、優れた崩壊性、迅速な溶出速度及び含量均一性を達成することにより、迅速且つ一貫した治療効果を示す経口用固形製剤を提供することができる。
【0026】
本開示の一例によれば、有効成分を微分化することなく、含量均一性及び溶出速度を満たし、それを服用するのに適切なサイズを有する経口用固形製剤を提供することができる。また、本開示の一例によれば、式(1)化合物を高含量で含み、賦形剤の含量を下げることによって服用に不便ではない適切なサイズを有する経口用固形製剤を提供することができる。さらに本開示の一例によれば、許容可能な硬度及びキャッピングに対する耐性に関して改善された圧縮特性を有する経口用固形製剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施例1~8の溶出試験の結果を示すグラフである。
図2】比較例1及び2の溶出試験の結果を示すグラフである。
図3】実施例9及び10の溶出試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本開示ついて詳細に説明する。
本開示で使用されるすべての技術用語は、別段の定義がない限り、本開示の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書には好ましい方法及び試料が記載されているが、類似又は同等のものも本開示の範囲内に含まれる。
【0029】
本開示の一側面によれば、有効成分として、下記式(1)
【化6】
(1)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~8のペルフルオロアルキル、炭素数1~8のアルキル、炭素数1~8のチオアルコキシ及び炭素数1~8のアルコキシからなる群から選ばれ;A1及びA2の一方はCH、他方はNである。)で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物又は水和物;希釈剤;及び結合剤;を含む顆粒を含む、経口用固形製剤が提供される。
【0030】
製剤の溶出速度が一定であることは、迅速且つ安定した治療効果及び品質管理のための必要条件であり、有効成分の溶解速度が変動すると、製剤の品質管理に問題が生じる可能性がある。薬物によっては、生体内のpH範囲(pH1.2~6.8)で水溶解度が高いにもかかわらず、溶解速度が変動する場合がある。本開示は、生体内のpH範囲(pH1.2~6.8)で一定の溶解速度を示す式(1)の化合物を含む経口用固形製剤を提供する。
【0031】
従来の経口用固形製剤は、すべての成分を混合し、直接圧縮して錠剤にする直接圧縮法;混合物を圧縮及び粉砕して乾式顆粒物を製造した後、それらを打錠して錠剤にする乾式造粒法;及び水又は有機溶媒を用いて調剤した結合剤溶液を混合物に加え、混錬、造粒、乾燥及び整粒工程を行って湿式顆粒物を製造した後、圧縮して錠剤にする湿式造粒法;を使用して製造することができる。
【0032】
本開示の一実施形態では、前記経口用固形製剤は、15~90重量%の有効成分(前記式(1)のカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物又は水和物)を含む。本開示の別の実施形態では、前記経口用固形製剤は、25~65重量%の有効成分を含む。本開示の別の実施形態では、前記経口用固形製剤は、15~70重量%又は20~65重量%の有効成分を含む。本開示の別の実施形態では、前記経口用固形製剤は、約50重量%以上、例えば、約50~70重量%の有効成分を含む。本開示の別の実施形態では、前記経口用固形製剤は、約55重量%以上、例えば、約55~70重量%の有効成分を含む。
【0033】
本開示の別の実施形態において、前記有効成分の粒径d(0.9)は、35μm~1,300μmであってもよい。本開示の別の実施形態において、前記有効成分は、微粉化されていてもいなくてもよく、有効成分を微分化されている場合、粒径d(0.9)は300μm以下であってもよい。より具体的には、粒径d(0.9)が250μm以下、200μm以下、150μm以下、130μm以下又は100μm以下である粒径分布を有していてもよい。前記粒径d(0.9)の下限は特に限定されず、例えば、0μm超、30μm以上、又は50μm以上であってもよいが、これに限定されない。有効成分が微粉化されていない場合、有効成分の粒径d(0.9)は300μm~1,300μmであってもよい。具体的には600μm~1,000μm、より具体的に700μm~1,000μm、より具体的には、800μm~900μmであってもよい。
【0034】
本明細書で使用される「粒径d(0.9)」は、粒子体積の90%が特定の直径d範囲の直径を有することを意味する。具体的には、粒径の小さい方の粒子から累積して、体積分布の累積頻度が90%に達する点の粒径d(0.9)が特定直径dの範囲内にあることを意味する。
【0035】
本開示の別の実施形態で、前記有効成分の粒径d(0.9)が86μm~460μmであってもよい。この場合、有効成分が微分化し、湿式造粒法又は乾式造粒法を適用して製剤化することができる。
【0036】
また、本開示の別の実施形態において、前記有効成分の粒径d(0.9)が300μm~1,300μmであってもよい。この場合、有効成分を微分化せず、乾式造粒法に適用して製剤化することができる。
【0037】
本願明細書全体で使用されるすべての数値表示(例えば、pH、温度、時間、濃度及びd(0.9)は、すべての場合において、用語「約」によって修飾され得ることが理解されるべきである。用語「約」は、本開示の説明で使用される場合、百分率に関して±10%、±5%、±2%、又は±1%を意味する。一実施形態において、±5%、±2%、又は±1%を意味する。例えば、「約5」は、4.5から5.5の間、4.75から5.25の間、又は4.9から5.1の間、又は4.95から5.05の間の任意の値を含むことを意味する。
【0038】
本明細書で使用される「粒子」という用語は、粒子が単独で存在するか凝集して存在るかにかかわらず、個々の原薬粒子を意味する。すなわち、式(1)のカルバメート化合物を含む本開示の経口用固形製剤は、前記の数値範囲外の粒径d(0.9)を有する凝集物を含有することができる。ただし、前記凝集物を構成する薬物粒子の粒径d(0.9)が前記数値範囲内にある場合、凝集物自体が、本明細書で定義される粒子サイズの制約を満たし、本開示の範囲内であると考えられる。
【0039】
本明細書において、前記式(1)のカルバメート化合物粒子に関して、粒径d(0.9)などの粒子サイズに対する言及は、試料中の式(1)のカルバメート化合物の粒子の平均が、粒子の形状が球形であるという仮定に基づいて、与えられた直径と等しい直径を有する球状粒子について計算された体積に等しい推定された体積を有することを意味する。粒子サイズ分布は、当業者に周知であり、以下に開示及び議論されるようなレーザー光散乱技法によって測定することができる。本開示の別の実施形態において、前記式(1)のカルバメート化合物の粒子サイズは、Malvernによって配布された粒子サイズ分析器で測定された。
【0040】
本開示の別の実施形態において、前記経口用固形製剤は錠剤剤形であってもよい。本開示の別の実施形態において、前記錠剤は、前記式(1)のカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物又は水和物;希釈剤及び結合剤;を含み、乾式造粒法又は湿式造粒法を用いて製造することができる。
【0041】
本開示の別の実施形態において、前記顆粒は、0.5g/mL~1.5g/mL、具体的には0.8g/mL~1.2g/mLの密度を有することができる。また、30~80メッシュ(メッシュ:標準規格KSA5101-1による)中に50%以上、具体的には60%以上残存する粒度を有していてもよい。さらに、前記顆粒は1~5kpの硬度を有してもよく、具体的には2~3kpの硬度を有することができる。
【0042】
本開示の別の実施形態では、顆粒外に希釈剤をさらに含むことができる。本開示の別の実施形態では、前記希釈剤は、例えば、コーンスターチ(Cornstarch)、アルファデンプン(Pre-gelatinized starch)、ジャガイモデンプン(Potato starch)、コムギデンプン(Wheatstarch)、サツマイモデンプン(Sweet-potato starch)、タピオカデンプン(Tapioca starch)、米デンプン(Rice starch)、蜜蝋(Beeswax)、スクロース(Sucrose)、ラクトース無水物(Anhydrous lactose)、ラクトース一水和物(Lactose monohydrate)、マンニトール(Mannitol)、ソルビトール(Sorbitol)、キシリトール(Xylitol)、ラクチトール(Lactitol)、マルチトール(Maltitol)、エリトリトール(Erythritol)、ケイ酸アルミニウム(Aluminum silicate)、ヒドロキシプロピルデンプン(Hydroxypropyl starch)、微結晶セルロース(Microcrystalline cellulose)、結晶セルロース(Crystalline cellulose)及びケイ化微結晶セルロース(Silicified microcrystalline cellulose)からなる群から選ばれる一つ以上であってもよいが、これらに限定されない。本開示の別の実施形態では、顆粒に含まれる希釈剤と顆粒外にさらに含まれる希釈剤は、同じであっても異なっていてもよい。
【0043】
本開示の別の実施形態では、前記希釈剤は、経口用固形製剤の全重量に対して、6~75重量%、8~73重量%、10~70重量%又は15~70重量%の量で含まれ得る。本開示の別の実施形態では、前記希釈剤は、経口用固形製剤の全重量に対して、24~60重量%、好ましくは24.07~59重量%の量で含まれ得る。本開示の別の実施形態では、前記希釈剤は、前記顆粒内に6~40重量%、又は10~35重量%の量で含まれ得る。本開示の別の実施形態では、前記希釈剤は、前記顆粒外に0~50重量%又は5~50重量%の量で含まれ得る。本開示の別の実施形態では、前記希釈剤は、前記顆粒内に6~40重量%、又は10~35重量%の量で含まれ、同時に前記顆粒外に0~50重量%又は5~50重量%の量で含まれ得る。本開示の別の実施形態では、前記希釈剤は、前記顆粒内に6~40重量%、又は10~35重量%の量で含まれてもよく、同時に前記顆粒外に0~50重量%又は5~50重量%の量で含まれてもよい。
【0044】
本開示の別の実施形態では、前記経口用固形製剤は、潤滑剤をさらに含むことができる。本開示の別の実施形態では、前記経口用固形製剤は、潤滑剤を顆粒内、顆粒外、又は両方にさらに含むことができる。本開示の別の実施形態において、前記潤滑剤は、例えば、ベヘン酸グリセリル(Glyceryl behenate)、ステアリン酸マグネシウム(Magnesium Sterate)、鉱油(Mineral oil)、ポリエチレングリコール(Polyethlyene glycol)、ポリオキシル35ヒマシ油(Polyoxyl 35 Castoroil)、ポリオキシル40硬化ヒマシ油(Polyoxyl 40 hydrogenated castor oil)、ポリオキシル10オレイルエーテル(Polyoxyl 10 oleyl ether)、ポリオキシル20セトステアリルエーテル(Polyoxyl 20 cetostearyl ether)、ポリオキシル40ステアレート(Polyoxyl 40 stearate)、ポリソルベート20(Polysorbate 20)、ポリソルベート40(Polysorbate 40)、ポリソルベート60(Polysorbate 60)、ポリソルベート80(Polysorbate 80)、ラウリル硫酸ナトリウム(Sodium lauryl sulfate)、フマル酸ステアリルナトリウム.(Sodium stearyl fumarate)、ソルビタンモノラウレート(Sorbitan monolaurate)、ソルビタンモノオレエート(Sorbitan monooleate)、ソルビタンモノパルミテート(Sorbitan monopalmitate)、ソルビタンモノステアレート(Sorbitan monostearate)、ソルビタントリオレエート(Sorbitan trioleate)、デンプン(Starch)、ステアリン酸(Stearic acid)、タルク(Talc)及びステアリン酸亜鉛(Zinc stearate)からなる群から選ばれる一つ以上であってもよいが、これらに限定されない。本開示の別の実施形態において、顆粒に含まれる潤滑剤と顆粒外に含まれる潤滑剤は、同じであっても異なっていてもよい。
【0045】
本開示の別の実施形態において、前記潤滑剤は、経口用固形製剤の全重量に対して、0.2~2重量%、0.2~1.8重量%、0.3~1.6重量%又は0.3~1.5重量%の量で含まれる。本開示の別の実施形態において、前記潤滑剤は、経口用固形製剤の全重量に対して、0.4~0.7重量%、好ましくは0.3~0.8重量%の量で含まれる。本開示の別の実施形態において、前記潤滑剤は前、記顆粒内に0.1~1重量%の量で含まれ。本開示の別の実施形態において、前記潤滑剤は、前記顆粒外に0.1~2重量%の量で含まれる。本開示の別の実施形態において、前記潤滑剤は、前記顆粒内に0.1~1重量%の量で含まれ、同時に前記顆粒外に0.1~2重量%の量で含まれ得る。
【0046】
本開示の別の実施形態において、前記結合剤は、例えば、アルギン酸(Alginic acid)、アンモニオメタクリル酸共重合体(Ammonio methacrylate copolymer)、アンモニオメタクリル酸共重合体分散液(Ammonio methacrylate copolymer dispersion)、カルボマー共重合体(Carbomer copolymer)、カルボマーホモポリマー(Carbomer homopolymer)、カルボマーインターポリマー(Carbomer interpolymer)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Sodium carboxymethylcellulose)、微結晶セルロース(Microcrystalline cellulose)、コポビドン(Copovidone)、デキストリン(Dextrin)、エチルセルロース(Ethyl cellulose)、ゼラチン(Gelatin)、液状ブドウ糖(Liquid glucose)、グアーガム(Guargum)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(Low-substituted hydroxypropyl cellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropyl cellulose)、ヒプロメロース(Hypromellose)、酢酸コハク酸ヒプロメロース(Hypromellose acetate succinate)、マルトデキストリン(Maltodextrin)、マルトース(Maltose)、メチルセルロース(Methyl cellulose)、ポリエチレンオキサイド(Polyethylene oxide)、ポビドン(Povidone)、コーンスターチ(Cornstarch)、ジャガイモデンプン(Potato starch)、アルファデンプン(Pre-gelatinized starch)、変性アルファデンプン(Modified pre-gelatinized starch)及びタピオカデンプン(Tapioca starch)からなる群から選ばれる一つ以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0047】
本開示の別の実施形態では、前記結合剤は、経口用固形製剤の全重量に対して、2~60重量%、2~50重量%、3~40重量%、3~35重量%又は3~30重量%の量で含まれる。本開示の別の実施形態では、前記結合剤は、経口用固形製剤の全重量に対して、4~13重量%、具体的に4.47~12.5重量%の量で含まれ得る。
【0048】
本開示の別の実施形態において、前記経口用固形製剤は、崩壊剤をさらに含むことができる。本開示の別の実施形態において、前記経口用固形製剤は、崩壊剤を顆粒内、顆粒外、又は両方にさらに含むことができる。本開示の別の実施形態において、前記崩壊剤は、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ラクトース無水物、ラクトース一水和物、デンプングリコール酸ナトリウム(Sodium starch glycolate)、クロスポビドン、カルボキシメチルセルロース及びその薬学的に許容される塩、ヒドロキシプロピルセルロース、コーンスターチ及びクロスカルメロースからなる群から選ばれる一つ以上であってもよいが、これらに限定されない。本開示の別の実施形態において、顆粒に含まれる崩壊剤と顆粒外に含まれる崩壊剤は、同じであっても異なっていてもよい。
【0049】
本開示の別の実施形態において、前記崩壊剤は、経口用固形製剤の全重量に対して、1~15重量%、1.5~13重量%、2~12重量%又は2~10重量%の量で含まれる。本開示の別の実施形態において、前記崩壊剤は、経口用固形製剤の全重量に対して、2~3.5重量%、好ましくは2.35~3.01重量%の量で含まれる。本開示の別の実施形態において、前記崩壊剤は、前記顆粒内に1~10重量%、又は0.5~5重量%の量で含まれる。本開示の別の実施形態において、前記崩壊剤は、前記顆粒外に1~10重量%又は0.5~5重量%の量で含まれる。本開示の別の実施形態において、前記崩壊剤は、前記顆粒内に1~10重量%、又は0.5~5重量%の量で含まれ、同時に前記顆粒外に1~10重量%又は0.5~5重量%の量で含まれ得る。
【0050】
本開示の別の実施形態において、前記経口用固形製剤は、有効成分15~90重量%、希釈剤6~75重量%、潤滑剤0.2~2重量%、結合剤2~50重量%及び崩壊剤1~15重量%を含む。本開示の別の実施形態において、前記経口用固形製剤は、有効成分15~70重量%、希釈剤8~73重量%、潤滑剤0.2~1.8重量%、結合剤3~40重量%及び崩壊剤1.5~13重量%を含む。本開示の別の実施形態において、前記経口用固形製剤は有効成分20~65重量%、希釈剤10~70重量%、潤滑剤0.3~1.6重量%、結合剤4~35重量%及び崩壊剤2~12重量%を含む。本開示の別の実施形態において、前記経口用固形製剤は、有効成分25~65重量%、希釈剤15~70重量%、潤滑剤0.3~1.5重量%、結合剤4~30重量%及び崩壊剤2~10重量%を含む。
【0051】
本開示の別の実施形態において、前記経口用固形製剤は、滑沢剤をさらに含むことができる。本開示の別の実施形態において、前記経口用固形製剤は、滑沢剤を顆粒内、顆粒外、又は両方に含むことができる。本開示の別の実施形態において、前記滑沢剤は、例えば、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、二酸化ケイ素、硬質無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、リン酸水素カルシウム及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる一つ以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0052】
本開示の別の実施形態において、前記滑沢剤は、経口用固形製剤の全重量に対して、0.2~2重量%、0.2~1.8重量%、0.3~1.6重量%又は0.3~1.5重量%の量で含まれる。本開示の別の実施形態において、前記滑沢剤は、経口用固形製剤の全重量に対して、0.2~0.4重量%、好ましくは0.28~0.36重量%の量で含まれる。本開示の別の実施形態において、前記滑沢剤は、前記顆粒内に0.1~1重量%の量で含まれ、同時に前記顆粒外に0.1~1重量%の量で含まれ得る。
【0053】
本開示の別の実施形態では、前記経口用固形製剤は、界面活性剤をさらに含むことができる。前記経口用固形製剤は、界面活性剤を顆粒内、顆粒外、又は両方に含むことができる。本開示の別の実施形態では、前記界面活性剤は、例えば、ポリソルベート80、オレオイルマクロゴールグリセリド、カプリロカプロイルマクロゴールグリセリド、リノレオイルポリオキシグリセリド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム及びスルホコハク酸ジオクチルナトリウム(Sodium dioctylsulfosuccinate)からなる群から選ばれる一つ以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0054】
本開示の別の実施形態では、前記経口用固形製剤は、溶媒を顆粒内にさらに含むことができる。前記溶媒は、当糖技術分野で慣用的に使用されているものであり、特に限定されない。本開示の別の実施形態では、前記溶媒は有機溶媒であってもよい。本開示の別の実施形態では、前記溶媒は、水、エタノール、イソプロパノール、メタノール、アセトン及びそれらの組み合わせから選ばれてもよい。本開示の別の実施形態では、前記溶媒はエタノールである。
【0055】
本開示の経口用固形製剤は、前記成分に加えて、フィルムコーティング剤、着色剤、香料、甘味剤、香味剤、色素保存剤などの他の成分を、本開示の経口用固形製剤の目的を損なわない範囲内で含むことができる。具体的には、前記成分は、顆粒内、顆粒外、又は両方に含まれてもよい。
【0056】
本開示の別の実施形態において、前記式(1)のカルバメート化合物は、下記式(2)
【化7】
(2)
で示されるカルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル-エチルエステルであってもよい。
【0057】
本開示の経口用固形製剤は、当該技術分野に公知されている任意の固形製剤であってもよい。具体的には、前記固形製剤は、錠剤又はカプセル剤の形態であってもよく、より具体的には、圧縮錠剤、多重圧縮錠剤、糖衣錠、フィルムコーティング錠、硬質カプセル又は軟質カプセルの形態であってもよい。好ましくは、錠剤の形態、特に圧縮錠剤又はフィルムコーティング錠の形態の経口用固形製剤であってもよいが、これに限定されない。
【0058】
本開示による経口用固形製剤は、米国薬局方(USP)Apparatus II(パドル法)による溶出試験を行うことができ、好ましくは、インビトロ溶出試験を行う場合、以下の溶出基準を示す。すなわち、経口用固形製剤は、薬物の80%超が30分内に溶解するような溶出特性を示し、好ましくは、85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは91%以上又は92.5%以上の薬物が30分内に溶解するような溶出特性を示す。
【0059】
通常、溶出試験の結果は、所定の数、一般に、6つの投与形態(例えば、錠剤、カプセル剤、懸濁液又はその他の投与形態)の平均で確立される。溶出試験は、通常、胃腸管で観察されるpH範囲(pH1~7.4)に緩衝され、生理的に適切な条件を維持するために、37℃(±1℃)に調整された水性媒質で行われる。試験される投与形態が錠剤の場合、錠剤の溶出速度を試験した。通常、50~75rpmで回転するパドルが使用して、錠剤の溶解速度の試験を行った。溶解した式(1)のカルバメート化合物の量は、HPLCによって日常的に決定することができる。溶出試験は、品質管理ツールとして機能する。
【0060】
本開示の別の実施形態において、前記経口用固形製剤は、有効成分(すなわち、前記式(1)のカルバメート化合物、その異性体、又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物若しくは水和物)を5mg~600mg、より具体的には、前記有効成分を12.5mg、25mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、500mg、550mg又は600mgの用量で含有することができる。
【0061】
本開示の一態様によれば、優れた溶出率及び最小化された錠剤重量が有するだけでなく、錠剤製造に必要な改善された物理的特性を有する、高含量有効成分を含有する経口用固形製剤を提供する。具体的には、本開示の実験例によれば、圧縮特性が良好で、所定の硬度を有し、摩損度に対する耐性を有し、高含量の有効成分を含む錠剤として製造する際のキャッピングなどの打錠不良がなく、良好な崩壊及び溶出特性を有する薬学的組成物及びその製造方法を提供する。
【0062】
本開示の実施形態で、顆粒内に崩壊剤をさらに含み、顆粒外に崩壊剤及び潤滑剤をさらに含む、経口用固形製剤が提供される。
【0063】
本開示の実施形態では、前記顆粒内に含まれる崩壊剤及び前記顆粒外に含まれる崩壊剤は、それぞれ独立して、クロスポビドン;ベントナイト、モンモリロナイト、又はビーガムなどのクレイ;微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース又はカルボキシメチルセルロースなどのセルロース及びセルロース誘導体類;アルギン酸ナトリウム又はアルギン酸などのアルギン類;又はそれらの混合物であってもよい。前記崩壊剤を含むことにより、ゲル化することなく崩壊速度が改善される効果がある。本開示の実施形態では、前記前記顆粒内に含まれる崩壊剤は、経口用固形製剤の全重量に対して、0.5~5重量%の量で含まれてもよく、前記顆粒外に含まれる崩壊剤は、経口用固形製剤の全重量に対して、0.5~5重量%の量で含まれてもよい。
【0064】
本開示の実施形態において、前記顆粒内に含まれる希釈剤は、微結晶セルロース、結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロースなどのセルロース誘導体又はそれらの混合物であってもよい。前記希釈剤を含むことにより、崩壊時間を短縮し、製剤硬度の改善効果がある場合がある。本開示の実施形態において、前記顆粒内に含まれる希釈剤は、経口用固形製剤の全重量に対して、6~40重量%、具体的に5~35重量%の量で含まれ得る。
【0065】
本開示の実施形態において、前記顆粒外にさらに希釈剤を含むことができる。前記顆粒外に含まれる希釈剤は、ラクトース無水物であってもよい。前記顆粒外に含まれる希釈剤は含まなくてもよいが、希釈剤を含むことで製剤硬度を改善する効果がある。本開示の実施形態において、前記顆粒外に含まれる希釈剤は、経口用固形製剤の全重量に対して、5~50重量%の量で含まれ得る。
【0066】
本開示の実施形態において、前記顆粒内に含まれる結合剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、コポビドン又はそれらの混合物であってもよい。前記結合剤を含むことにより製剤の硬度を高め、摩損率を低減する効果がある。本開示の実施形態において、前記顆粒内に含まれる結合剤は。経口用固形製剤の全重量に対して、2~60重量%、具体的に3~40重量%の量で含まれ得る。
【0067】
本開示の実施形態において、前記顆粒外に滑沢剤をさらに含むことができる。
【0068】
本開示の物理的特性が改善された一実施形態において、特に具体的に説明されていない賦形剤の性質、サイズ、性状、種類、含量、顆粒内外含有の有無などは、前述した説明に従う。
【0069】
本開示の実施形態において、前記経口用固形製剤は、有効成分15~90重量%、顆粒内に含まれる希釈剤6~40重量%、顆粒内に含まれる潤滑剤0.1~1重量%、顆粒内に含まれる結合剤2~60重量%、顆粒内に含まれる崩壊剤0.5~5重量%、顆粒外に含まれる崩壊剤0.5~5重量%、顆粒外に含まれる潤滑剤0.1~2重量%を含む。本開示の実施形態において、前記経口用固形製剤は、有効成分25~60重量%、顆粒内に含まれる希釈剤5~35重量%、顆粒内に含まれる潤滑剤0.1~1重量%、顆粒内に含まれる結合剤3~40重量%、顆粒内に含まれる崩壊剤0.5~5重量%、顆粒外に含まれる崩壊剤0.5~5重量%、顆粒外に含まれる潤滑剤0.1~2重量%を含む。前記実施形態において、顆粒内に含まれる希釈剤は、微結晶セルロースであり、顆粒内に含まれる結合剤は、ヒドロキシプロピルセルロースであり、顆粒内に含まれる崩壊剤及び顆粒外に含まれる崩壊剤は、クロスポビドンであってもよい。
【0070】
本開示の一実施形態では、経口用固形製剤は錠剤の剤形であってもよい。前記錠剤の剤形特に限定されない。例えば、錠剤の形状は、円形に加えて、楕円形、ドーナツ形などの形状であってもよい。錠剤の厚さも特に限定されないが、1.0~10.0mm、具体的には2.0~8.0mm、より具体的には3.0~5.5mmであってもよい。錠剤の大きさは特に限定されないが、例えば、短径(円形の錠剤の場合は直径)6~20mm範囲であってもよく、8.0~12.0mmであってもよく、より具体的に9.0~10.5mmである。
【0071】
本開示の一実験例によれば、前記経口用固形製剤は、優れた硬度、摩損度、及びキャッピングに対する抵抗性を有する。経口用固形製剤の硬度は、米国薬局方(USP)Monograph<1217>による硬度試験によって測定することができる。錠剤は後、その後の加工又は運送中の損傷を防ぐために、十分な機械的強度を備えていなければならない。錠剤の機械的強度は、硬度試験を通じて測定することができ、これは錠剤のサイズと関連がある。錠剤の硬度をキロポンド(kp)で測定した場合、通常0.8×錠剤の直径(mm)以上、より好ましくは1.1×錠剤の直径以上、特に1.2×錠剤の直径以上、特に1.3×錠剤の直径以上である。硬度が高いほど、錠剤は強くなり、その後の錠剤の加工及び運送中の前述の損傷を防止することができるが、硬度が非常に高い場合、錠剤の崩壊時間が長くなりすぎるという問題が生じる場合がある。したがって、前記の損傷を回避し、同時に錠剤の適切な崩壊時間を示す硬度を選択して錠剤を製造することが好ましい。本開示の一実施例によれば、前記経口用固形製剤は、8~20kpの硬度を有することができ、具体的には8.5~16kpの硬度を有することができる。
【0072】
キャッピング(capping)とは、錠剤を形成するための物質の圧縮中、又は後続加工及び/又は処理中に、錠剤の上面又は下面から皿状のディスクが完全又は部分的に分離することを意味する。摩損は、錠剤の圧縮中に又は後続加工及び/又は処理中に、錠剤表面が傷つくか、ヒビや割れが生じる現象を指し、摩損度は、この現象の程度を数値化した錠剤の物理的強度を意味する。錠剤の硬度が弱すぎると、前記キャッピングや摩損現象が発生することがあるので、この現象を防止するための手段として、錠剤の適切な硬度を選択して錠剤を製造することにより、キャッピング現象が発生せず、同時に錠剤が質量の1%以下の摩損度を有することが好ましい。本開示の一実験例によれば、前述した経口用固形製剤は、1.0%以下の摩損度、具体的には、0.5%以下の摩損度、より具体的には0.3%以下の摩損度、さらに具体的には0.1~0.3%の摩損度を有することができる。
【0073】
本開示の別の実施形態において、前記経口用固形製剤がフィルムコーティング錠の形態である場合、経口用固形製剤は、フィルムコーティング剤を含む。通常的に、フィルムコーティング剤は、前記経口用固形製剤の全重量に対して、2~4重量%の重量で含まれてもよく、これはフィルム形成剤、可塑剤、潤滑剤及び任意に一つ以上の顔料を含む。本開示の別の実施形態において、フィルムコーティング錠は、打錠後にさらにコーティング工程を行うことによって製造され得る。前記フィルムコーティング剤としては、オパドライ(Opadry)の従来のフィルムコーティング剤を使用することができる。
【0074】
本開示の別の態様によれば、(i)有効成分として、前記式(1)のカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物又は水和物を希釈剤、潤滑剤及び結合剤を含む賦形剤と混合した後、圧縮する工程;(ii)前記工程(i)で製造された圧縮物を粉砕及び整粒する工程;(iii)前記工程(ii)で整粒された顆粒を希釈剤、潤滑剤及び崩壊剤を含む賦形剤と後混合する工程;及び(iv)前記工程(iii)で後混合して得られた顆粒を製剤化する工程;を含む経口用固形製剤の製造方法が提供される。
【0075】
本開示の別の実施形態において、前記工程(i)は、有効成分、希釈剤、潤滑剤及び結合剤を含む混合物をローラー圧縮法又は強打法(slugging)で圧縮することによって行われ得る。本開示の別の実施形態において、前記工程(i)は、ローラー圧縮法を使用して行うことができる。ローラー圧縮は、粉末を2本のローラーの間を通過させながら一定の圧力で圧縮する方法で造粒する方法である。本開示の別の実施形態において、前記ローラー圧縮法は、ローラーコンパクターを使用することによって行うことができる。本開示の別の実施形態において、ローラー圧縮された混合物は、その後、必要に応じて、フイッツミル、オシレーター(oscillator)等を使用して粉砕し、ふるいにかけ、適切なサイズを有する顆粒を得る工程を経ることができる。
【0076】
本開示の別の実施形態において、前記工程(i)の有効成分は、微粉化されていてもいなくてもよい。本開示の別の実施形態において、前記工程(i)における微粉化された有効成分の粒径d(0.9)は、300μm以下であってもよく、微粉化されていない有効成分の粒径d(0.9)は、300μm~1,300μmであってもよい。
【0077】
本開示の別の実施形態において、前記有効成分の微粉化は、ミリング(milling)及び粉砕(grinding)等によって行うことができる。具体的に、ボールミルなどのタンブラーミル(Tumbler Mills)による方法、ジェットミルなどの流体エネルギーミル(Fluid Energy Mills)による方法、ハンマーミル、ピンミルなどのインパクトミル(Impact Mills)による方法などによって行うことができるが、これらに限定されない。
【0078】
本開示の他の側面別の態様によれば、(a)有効成分として、下記式(1)でのカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物又は水和物を希釈剤及び結合剤を含む賦形剤及び溶媒と混合する工程;
(b)前記工程(a)で得られた混合物をふるいにかけて押出後、乾燥する工程;
(c)前記工程(b)で得られた乾燥物を潤滑剤及び崩壊剤を含む賦形剤と後混合する工程;
(d)前記工程(c)で後混合して得られた顆粒を製剤化する工程;
を含む経口用固形製剤の製造方法が提供される。
【0079】
本開示の別の実施形態において、前記工程(a)の有効成分は微分化されてもよく、具体的には、微粉化された有効成分の粒径d(0.9)は、300μm以下であってもよい。
【0080】
本開示の別の実施形態において、前記工程(a)における混合順序は限定されない。例えば、溶媒と結合剤が混合された結合剤溶液に残りの成分を添加することができる。また、溶媒下に結合剤を含む他の成分を添加することができる。本開示の別の実施形態において、前記溶媒は有機溶媒であってもよい。本開示の別の実施形態において、前記溶媒は、水、エタノール、イソプロパノール、メタノール、アセトン及びそれらの組み合わせから選ばれることができる。本開示の別の実施形態において、前記溶媒はエタノールである。前記溶媒は、製剤の製造後にはICHガイドラインによって定義される許容範囲内で含まれ得る。
【0081】
本開示の別の実施形態において、前記工程(b)の溶媒乾燥工程は、有効成分の安定性を考慮して、約70℃を超えない温度、好ましくは約60℃を超えない温度、より好ましくは20℃~50℃の温度で空気乾燥、流動層乾燥、オーブン乾燥又はマイクロ波乾燥を通じて行うことができる。
【0082】
前述した物理的特性が改善された固形製剤と関連する本開示の一態様によれば、以下を含む経口用固形製剤の製造方法が提供される:
(I)有効成分として、前記式(1)のカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物又は水和物を希釈剤、潤滑剤、結合剤及び崩壊剤を含む賦形剤と混合した後、圧縮する工程;
(II)前記工程(I)で得られた混合物をふるいにかけて押出して粉砕及び整粒する工程;
(III)前記工程(II)で整粒された顆粒を崩壊剤及び潤滑剤を含む賦形剤と後混合する工程;
(IV)前記工程(III)で後混合して得られた顆粒を製剤化する工程。
【0083】
本開示の別の実施形態において、前記工程(I)は、有効成分、希釈剤、潤滑剤、結合剤及び崩壊剤を含む混合物をローラー圧縮法又は強打法(slugging method)により圧縮することによって行うことができる。本開示の別の実施形態において、前記工程(I)は、強打法を使用して行うことができる。具体的には、強打法とは、混合物粉末を、単発式打錠機などを使用して強打又は圧縮して、幅広で偏平な錠剤又はペレット状の顆粒を製造する方法をいう。本開示の別の実施形態において、前記強打法は、単発式打錠機を使用して行うことができる。本開示の別の実施形態において、製造された圧縮物は、次いで、適当なサイズの顆粒を得るために、必要に応じて、ふるいにかけて押出するか、粉砕装置(fitz mill)、オシレーター(oscillator)などを使用して粉砕を行うことができる。
【0084】
本開示の別の実施形態では、前記工程(I)で製造された押出物は、0.5~1.5g/mLの密度、具体的には0.8~1.2g/mLの密度を有することができる。また、前記工程(I)で製造された押出物は1~5kpの硬度、具体的には2~3kpの硬度を有することができる。
【0085】
本開示の実施形態による経口用固形製剤の製造方法によって前記経口用固形製剤を製造することができる。したがって、経口用固形製剤の製造方法に使用される希釈剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、滑沢剤、及びその他の成分の性質、サイズ、性状、種類、含量、顆粒内又は顆粒外に含まれているかどうかに関するすべての説明は、前述した内容を共有する。
【0086】
前記方法によって製造される経口用固形製剤は、例えば、円形、楕円形、長方形、矩形、円筒状又はその他の適切な形状適合した形状である。また、有効成分の含量により、サイズが変わる場合がある。
【0087】
本開示の別の実施形態において、前記経口用固形製剤がコーティング錠の形態である場合、打錠後にコーティングする工程をさらに含むことができる。具体的には、前記フィルム錠は、フィルムコーティング錠であってもよい。通常的に、フィルムコーティング剤は、当該経口用固形製剤の全重量に基づいて2~4重量%の重量で含まれる場合がある。フィルムコーティング剤は、フィルム-形成剤、可塑剤、潤滑剤及び任意に一つ以上の顔料を含むことができる。前記フィルムコーティング剤は、通常のフィルムコーティング剤、例えば、Opadryを使用することができる。
【0088】
本開示により提供される経口用固形製剤は、中枢神経系の疾患を予防又は治療するために使用することができる。
【0089】
本開示の別の実施形態において、前記中枢神経系の疾患は、不安、うつ病、痙攣(convulsion)、てんかん、片頭痛、双極性障害、薬物乱用、喫煙、ADHD、肥満、睡眠障害、脳卒中、神経因性疼痛(neuropathic pain)、認知障害、神経変性(neurodegeneration)及び筋痙攣から選択してもよいが、これらに限定されない。
【0090】
本明細書で使用される用語「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)こと」及び「予防(prevention)」は、疾患の可能性を低減又は非排除することを指す。
【0091】
本明細書で使用される用語「治療する(treat)」、「治療する(treating)こと」及び「治療(treatment)」は、疾患及び/又はそれに付随する症状を全部又は部分的に排除することを指す。
【実施例
【0092】
以下、下記実施例を通じて本開示内容を詳細に説明する。しかしながら、下記実施例は、1つ又は複数の実施例を説明することのみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0093】
実施例1~7
固形顆粒は、下記表1に示す成分及び含量を用いて製造され、製造方法は以下の通りである。前記式(2)のカルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル-エチルエステルをヒドロキシプロピルメチルセルロース及び微結晶セルロースと混合した後、ステアリン酸マグネシウムを加えて、混合した。その次、前記混合物をローラーコンパクター(Fruend社製、TFC-Lab)で3,000~3,500LBFの力で圧縮して板状の圧縮物を製造し、その後、オシレーター(oscillator)(Freund社製、ペクトルスクリーン-20メッシュ)で粉砕及び整粒して顆粒を製造した。前記顆粒を下記表1に示す希釈剤、滑沢剤及び崩壊剤を混合した後、潤滑剤としてステアリン酸マグネシウムをさらに加えて打錠した。
【0094】
【表1】
【0095】
比較例1及び2
下記表2に示す組成と含量に従って、該当成分を混合し、打錠した(直接混合打錠)。
【0096】
【表2】
【0097】
実施例8
下記表3に示す内容に従い高速混合器で混合した後、結合剤溶液としてヒドロキシプロピルセルロース及びエタノールを加えて混錬、造粒した。前記造粒物を60℃の温度調節された乾燥機で乾燥減量が0.5~2%になるまで乾燥した。得られた乾燥物を、粉砕用篩を用いて粉砕し、整粒した。得られた顆粒物に崩壊剤、潤滑剤及び滑沢剤として下記表3に示す成分を添加してV型ミキサーで最終混合した。得られた最終混合物を圧縮装置を使用して錠剤に打錠した。
【0098】
【表3】
【0099】
実施例9~12
さらに、可塑性の低いカルバメートを高含量の錠剤に製造するために必要な圧縮能などの物理的特性を改善する必要があった。下記表4に示す成分及び含量を用いて固形顆粒を製造し、製造方法は以下の通りである。前記式(2)のカルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル-エチルエステルをヒドロキシプロピルセルロース及び微結晶セルロースと混合した後、ステアリルフマル酸ナトリウムを加えて混合した。その次、前記混合物を単発式打錠機(ERWEKA社製、AR402セントラルモータユニット)と結合されたKorsch社製、EK0単発式打錠機)を使用して1.0~1.1g/mLの密度及び2~3kpの硬度を有する圧縮物(slug)を製造し、これを18メッシュの篩で押出し、粉砕及び整粒して顆粒物を製造した。前記顆粒物に下記表4に示す滑沢剤及び崩壊剤を混合した後、潤滑剤としてステアリルフマル酸ナトリウムをさらに加えて、打錠した。
【0100】
【表4】
【0101】
実験例1:溶出試験
前記実施例1~10と比較例1及び2で製造された固形製剤について、米国薬局方に準じ、以下の条件で溶出試験を行った。
<溶出条件>
溶出液:0.01N 塩酸水溶液、900mL
装置:Apparatus II(パドル法)、75rpm
温度:37℃
【0102】
前記溶出率の結果を表5及び6、図1~3に示した。下記表5において、溶出率は、錠剤に含まれた有効成分の含量に基づいて溶出された有効成分の含量の%として表記した。
【0103】
【表5】
【0104】
【表6】
【0105】
実験例2:軽度試験
実施例9~12に従って製造された錠剤の硬度を米国薬局方モノグラフ<1217>に従って測定された。摩損度を米国薬局方モノグラフ<1216>に従って測定し、キャッピングの発生を確認し、その結果を下記表7に示した。
【0106】
【表7】
図1
図2
図3
【国際調査報告】