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特表2023-536343多層共押出ポリオレフィンフィルム及びトリプルバブルライン上でのその製造
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  • 特表-多層共押出ポリオレフィンフィルム及びトリプルバブルライン上でのその製造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(54)【発明の名称】多層共押出ポリオレフィンフィルム及びトリプルバブルライン上でのその製造
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/28 20060101AFI20230817BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20230817BHJP
   B32B 7/022 20190101ALI20230817BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
B32B27/28 102
B32B27/32 E
B32B7/022
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507612
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2021071870
(87)【国際公開番号】W WO2022029228
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】20189736.0
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518304362
【氏名又は名称】クライオバック・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォルローニ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ザナボーニ,ジュリアーノ
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA15
3E086BB77
3E086CA01
4F100AA20
4F100AK05C
4F100AK07C
4F100AK63A
4F100AK64A
4F100AK64C
4F100AK65A
4F100AK67A
4F100AK68A
4F100AK69B
4F100AK70A
4F100AK71A
4F100AL07
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100EH20A
4F100EH20B
4F100EH20C
4F100EJ38A
4F100EJ38B
4F100EJ38C
4F100GB23
4F100JA03
4F100JA04
4F100JA06
4F100JA13
4F100JD02B
4F100JK02C
4F100JK07C
4F100JK08C
4F100JL12A
(57)【要約】
本発明は、ポリアミド又はポリエステルを全く含まない多層ポリオレフィン系包装フィルム、及びトリプルバブル技術によりそのようなフィルムを製造する方法に関する。本発明はまた、製品、特に食品を包装するためのそのようなフィルムの使用、及びそのようなフィルムを用いて得られたパッケージに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二軸配向共押出多層包装フィルムであって、該フィルムの総重量に基づいて少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%の1種以上のポリオレフィンを含み、少なくとも以下の層、すなわち、
a)ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含み、好ましくは本質的に該ポリマーからなる外側ヒートシール可能層であって、該ヒートシール可能層中のエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリレル酸コポリマー及びエチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)の総量が、前記フィルムの総重量に基づいて30重量%以下である外側ヒートシール可能層、
b)エチレン-ビニルアルコール(EVOH)を含み、好ましくは本質的にエチレン-ビニルアルコール(EVOH)からなり、EVOH含有率が前記フィルムの総重量に基づいて3%~25%、好ましくは5%~20%、さらにより好ましくは7%~15%である内側ガスバリア層、及び
c)1種以上のポリオレフィンを含む外層、
を含み、
前記フィルムが、ポリアミド又はポリエステルを全く含まず、
以下の特徴、すなわち、
23℃でASTM D882に従って測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における4000kg/cmより高い弾性率、
23℃でASTM D882に従って測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における最大200%の破断点伸び、
23℃でASTM D882に従って測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における500kg/cmより高い破断点引張強さ
のうち少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つを有する、
フィルム。
【請求項2】
ポリオレフィン、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)及びEVOH以外のいずれのポリマーも含有しない、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記ヒートシール可能層a)中の前記ポリオレフィンが、エチレンポリマー、好ましくはポリエチレン(PE)、エチレンコポリマー、好ましくはエチレン-アルファ-オレフィンコポリマー、より好ましくはLLDPE、プロピレンポリマー、好ましくはポリプロピレン(PP)、ブチレンポリマー、好ましくはポリブチレン(PB)、エチレンとプロピレンとのコポリマー(EP)、エチレンとプロピレンとブチレンとのターポリマー(EPB)及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記ヒートシール可能層a)が、エチレン(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリル酸コポリマーを含み、
前記エチレン(メタ)アクリレートが、エチレンC-Cアルキル(メタ)アクリレートコポリマーから、好ましくはエチレンメチル(メタ)アクリレートコポリマー、エチレンエチル(メタ)アクリレートコポリマー及びエチレンブチル(メタ)アクリレートコポリマーから選択され、及び/又は
前記(メタ)アクリル酸コポリマーが、アイオノマーの形態である、
請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
外層c)のポリオレフィンが、以下からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルム。
エチレンポリマー、好ましくは長鎖分岐ポリエチレン(PE)、HDPE又はMDPE、LLDPE、
プロピレンポリマー、好ましくはポリプロピレン(PP)、
エチレンとプロピレンとのコポリマー(EP)、及びそれらの混合物。
【請求項6】
LD及びTDで測定された弾性率の比、及び/又は
LD及びTDで測定された破断点伸びの比、及び/又は
LD及びTDで測定された破断点引張強さの比が、単位に対して最大±25%、好ましくは最大±20%の範囲で変化する、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項7】
ASTM D2732に従って油中で120℃で測定された、LD及びTDの両方における15%未満の自由収縮率、好ましくは本明細書の方法に従って測定された、LD及びTDの両方における25kg/cm以下、好ましくは21kg/cm以下、より好ましくは17kg/cm以下の最大収縮張力を有する、又は
ASTM D2732に従って水中で85℃で測定された、LD及びTDの両方における20%より高い自由収縮率、又はASTM D2732に従って油中で120℃で測定された、LD及びTDの両方における15%より高い、好ましくは15%~60%、より好ましくは20%~40%の自由収縮率、好ましくは本明細書の方法に従って測定された、LD及びTDの両方における35kg/cm以下又はLD及びTDの両方における30kg/cm以下、好ましくは25kg/cm以下の最大収縮張力を有する、
請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項8】
外側ヒートシーラント層a)に直接接着した内層d)をさらに含み、該層d)が、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーから本質的になり、前記フィルム中のEVA、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー及びEBAの総量が、フィルムの総重量に基いて30重量%以下であり、任意に層d)の総重量に基いて少なくとも5重量%のポリブチレンを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項9】
4~120ミクロン、好ましくは15~50ミクロン、又は好ましくは80~120ミクロンの全厚を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項10】
架橋されていない、請求項1~9のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の多層包装フィルムを製造するためのトリプルバブルプロセスであって、以下のステップ、すなわち、
i)前記フィルムの溶融した熱可塑性ポリマーを丸ダイスに通して共押出して、少なくとも層a)、b)及びc)を含む共押出した多層チューブを形成するステップ、
ii)共押出した多層チューブを、好ましくは水で、前記熱可塑性ポリマーの最も低い融点より低い温度まで冷却し、それを収縮ロールに通し、フラットチューブ(6)を提供するステップ、
iii)前記前記チューブを数本のピンチロール(5)に通して移動させ、赤外線(IR)を放射する予熱オーブン(1、2)に通して80℃~130℃温度まで前記チューブを予熱するステップ、
iv)予熱したチューブを赤外線(IR)を放射する加熱配向オーブン(3)に通してさらに加熱して、その温度を80℃~130℃に維持し、一方で前記チューブを数本の収縮ロールに通して前記チューブを長手方向に引っ張り、前記多層チューブにガスを吹き込むことによって前記チューブを横方向に膨張させることにより、長手方向及び横方向の両方における2.5:1~6:1の配向比で前記チューブを二軸配向させて、二軸配向チューブ(8)を提供するステップ、
v)前記配向チューブ(8)を好ましくは12~18℃の温度で、好ましくは空気リングに通して冷却し、前記配向チューブを一連の搬送ロールに通して平らにするステップ、
vi)任意に、好ましくは水浴に通すことによって、平らにしたフィルムの温度を40℃~60℃にするステップ、
vii)数本のピンチロールに通して前記チューブを長手方向に持ち上げ、前記チューブにガスを吹き込むことにより前記チューブをヒートセットし、一方で60℃~150℃の温度で前記チューブを加熱するステップ、
viii)ヒートセットしたチューブを一連の搬送ロールに通して平らにし、前記チューブを巻き取るステップ
を順に含み、
ステップ(iii)及び(iv)において、前記予熱オーブン(1、2)及び前記加熱配向オーブン(3)によって放射されるIR線の波長が、前記ポリオレフィンの吸光度波長、好ましくは2500cm-1~3000cm-1の波長と一致し、
任意に、ステップiv)において、予熱したチューブ(7)が、前記予熱オ-ブン(1、2)と前記加熱配向オーブン(3)との間に配置された追加の数個のピンチロール(4)を通過する、
プロセス。
【請求項12】
請求項11に記載の方法により得られる請求項1~10のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項13】
請求項1~10又は12のいずれか一項に記載のフィルムをそれ自身にヒートシールすることによって、又は第1及び第2のフィルムをヒートシールすることによって得られる可撓性容器であって、少なくとも前記第1のフィルムが請求項1~10又は12のいずれか一項に記載のフィルムであり、前記第2のフィルムが、異なる場合は、好ましくはポリオレフィンフィルムであり、請求項1~10又は12のいずれか一項に記載のフィルムの外側ヒートシール層a)が容器の内側に面している、容器。
【請求項14】
請求項1~10又は12のいずれか一項に記載の多層包装フィルムを熱成形することによって得られる熱成形支持体。
【請求項15】
請求項1~10又は12のいずれか一項に記載のフィルム、又は請求項13に記載の可撓性容器及び/又は請求項14に記載の熱成形支持体と、その中に包装された製品とを含むパッケージ。
【請求項16】
剛性又は半剛性支持体、好ましくはトレイ、前記支持体上に置かれた製品、及び請求項1から10又は12のいずれか一項に記載の多層包装フィルムでできた蓋を含むパッケージであって、前記フィルムが、好ましくは、ASTM D2732に従って油中で120℃で測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における15%未満の自由収縮率を有し、前記フィルムの外側ヒートシール可能層a)が前記製品と接触するか又は前記製品に面し、前記フィルムが前記支持体上に密閉して密閉密閉して封止され、前記支持体が、好ましくはPET、好ましくはAPET、PP及びPE支持体から選択される、請求項15に記載のパッケージ。
【請求項17】
請求項13に記載の可撓性容器及び前記可撓性容器内に置かれた製品を備え、任意に前記製品が剛性又は半剛性支持体上に配置される、請求項15に記載のパッケージ。
【請求項18】
製品及び前記製品に巻き付けられた請求項1~10又は12のいずれか一項に記載の多層包装フィルムを含み、前記フィルムが、好ましくは、ASTM D2732に従って水中で85℃で測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における20%より高い自由収縮率、又はASTM D2732に従って油中で120℃で測定された、LD及びTDの両方における15%より高い、好ましくは15%~60%、より好ましくは20%~40%の自由収縮率を有し、前記フィルムの外側ヒートシール可能層a)が製品と接触しているか又は製品に面している、請求項15に記載のパッケージ。
【請求項19】
剛性又は半剛性支持体、好ましくは容器、より好ましくはトレイと、前記支持体上又は前記容器内に置かれた製品と、前記支持体及び前記製品の両方に巻き付けられた請求項1~10又は12のいずれか一項に記載の多層包装フィルムとを含み、前記巻き付けられた前記フィルムが、好ましくは、ASTM D2732に従って油中で120℃で測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における15%よりも低い自由収縮率を有し、前記前記フィルムの外側ヒートシール可能層a)が、前記前記製品と接触するか又は前記前記製品に面している、請求項15に記載のパッケージ。
【請求項20】
包装された製品が、食品、好ましくは新鮮な赤身肉、加工肉、魚、鶏肉、チーズ、果物及び野菜からなる群から選択される食品である、請求項15~19のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項21】
製品、好ましくは食品、より好ましくは新鮮な赤身肉、加工肉、魚、鶏肉、チーズ、果物及び野菜からなる群から選択される食品を包装するための、請求項1~10又は12のいずれか一項に記載の多層包装フィルムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリプルバブル(Triple Bubble)共押出ライン上で製造することができる多層ポリオレフィン系フィルム、及び包装、特に食品の包装におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
トリプルバブルは二軸配向プラスチックフィルムを製造する周知の技術である。トリプルバブル技術では、まず円形ダイスを通してプラスチックフィルムを共押出し、チューブ(第1のバブル)を得て冷却する。次に、赤外線を放射するオーブン(IRオーブン)によってチューブを加熱し、チューブを長手方向に伸ばすと同時にチューブ内に空気を吹き込むことによって第2のバブルが形成される。この第2のバブル(配向バブルとも呼ばれる)は、ポリマー鎖を配向させることによって、収縮特性を有するフィルムを提供し、機械的特性のようなフィルムのいくつかの特徴をさらに増強する目的のために役立つ。チューブ状フィルムは回収され、平らにされた後、再加熱され、吹きこまれて、第3のバブル(アニーリングバブル又はヒートセットバブルとも呼ばれる)を形成してフィルムをヒートセットし、フィルムの内部張力を取り除く。
【0003】
トリプルバブル技術は当該技術分野で周知の製造プロセスであり、例えば、以下の文献、すなわち、Kuhneの名称でWO2010/094308号、Kurehaの名称でEP1296830号に詳しく記載されている。
【0004】
現在のトリプルバブル技術の限界は、それにより製造できるフィルムの組成にある。実際、容易で安定な配向プロセス(第2のバブル)を有するために、フィルムは多量のポリアミド及び/又はポリエステル(例えば、PET)をその構造中に含まなければならない。これは、ポリアミド及び/又はポリエステル系材料が、予熱オーブン中及び配向オーブン中でフィルムを加熱するために現在使用されている赤外(IR)オーブンの波長を良好に吸収(adsorb)する一方、他のポリマー、特にプラスチックフィルムの製造に広く使用されているポリオレフィンは吸収しないためである。
【0005】
今日、包装材料の持続可能性及びリサイクル性の問題はますます喫緊ものとなっており、プラスチック材料はしばしば非難される。特に、異なる種類のポリマーを含む「マルチマテリアル」プラスチックフィルムは、どのようなリサイクル流にも乗せることができず、焼却しなければならないため、リサイクルが困難であり、したがって、コスト、材料の廃棄及び大気汚染の観点から重大な結果をもたらすので、問題であると考えられている。この点で、ポリオレフィンに加えてポリアミド及び/又はポリエステルを含むプラスチック材料は、特にリサイクルが難しく、それらを避けることに向けての強力な後押しがある。むしろ、いわゆる「モノマテリアル」プラスチックフィルム、すなわち、主にPET(ポリエチレンテレフタレート)、又はポリオレフィンのような単一種類の簡単にリサイクル可能な樹脂でできたフィルムに対して、現在強い動機がある。ポリエチレン又はポリプロピレン系フィルムは、これらの材料のための十分に確立されたリサイクル流があるので、リサイクル性の観点で特に有望である。
【0006】
ASTM Internationalは、しばしばRICと略される樹脂識別コードシステムを開発し、これは、プラスチック製品に数値コードを割り当て、それがどの種類のプラスチックポリマーでできているかを識別するものである。数値コードは、一般的にプラスチック製品上に三角形の内側に印されている。例えば、コード「1」はポリエチレンテレフタレート(PET)製の物品を表し、コード「4」は低密度ポリエチレン(LDPE)製の物品を表し、コード「5」はポリプロピレン(PP)製の物品を表すなどである。実質的にモノマテリアルである物品(水及び清凉飲料水のボトル、トレイ、容器などの最も一般的なPET物品、ショッピングバッグ及び様々な容器などのPE物品、使い捨て皿などのPP物品)は、専用のリサイクル流、すなわちRIC1流、RIC4流、RIC5流で容易にリサイクルすることができる。
【0007】
この状況では、ここ数年、様々な特性を持つポリオレフィン系フィルム(主にPE及びPPフィルム)の開発が優先され、多くの応用分野でそのようなフィルムに対するニーズを満たしてきた。しかし、利用可能な技術に基づくと、フラット共押出(場合によっては幅出し機配向が続く)、ラウンドキャスト(round cast)及びダブルバブルプロセスは、これらのフィルムを製造するために常に選択される製造技術であった。
【0008】
一方、トリプルバブル技術によるポリオレフィンフィルムの製造は、フィルムの改良された光学及びバリア、調節可能な収縮及び構造の点で有利であろう。
【0009】
したがって、有効かつ簡便な製造方法であるトリプルバブル技術によって調製できる多層のポリオレフィン系ヒートシール可能なフィルムを提供することが当技術分野において強く必要とされている。このようなフィルムはまた、持続可能であり、適切なポリオレフィンRIC流(すなわち、RIC4又はRIC5)においてリサイクル可能であるという利点をもたらし、したがって、プラスチック材料廃棄のための現在の必要条件を満たすであろう。
【0010】
Helmut Henzingerの名称で、Bruckner Maschinehau GMBH & Co.KGに譲渡されたUS2009/208717A1号は、EVOHバリア層を有する二軸配向ポリオレフィンフィルムを対象とする。全ての例示的なフィルムは、シーラント層としての二軸配向ポリプロピレン(BOPP)層を有し、それは、フィルムをそれ自身又はポリプロピレン基材上に封止することを可能にする。US2009/208717A1号は、様々な基材上での封止、特にポリエステル(例えば、PET、APET)基材上での封止をすることができる、ポリアミド及び/又はポリエステルを含まないフィルムを開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2010/094308号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1296830号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/208717号明細書
【発明の概要】
【0012】
本発明者らは驚くべきことに、トリプルバブル技術の限界を克服し、このプロセスを通してポリアミド及び/又はポリエステルを全く含まない多層フィルムを得ることが可能であることを見出した。特に、本発明者らは、装置における適切な処理条件及び特定の付属品の組み合わせのおかげで、トリプルバブル技術によりポリオレフィン系フィルムを製造することができた。
【0013】
したがって、本発明の目的は、二軸配向共押出多層包装フィルムであって、該フィルムの総重量に基づいて少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%の1種以上のポリオレフィンを含み、少なくとも以下の層、すなわち、
a)ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含み、好ましくは本質的に前記ポリマーからなる外側ヒートシール可能層であって、該ヒートシール可能層中のエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリレル酸コポリマー及びエチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)の総量が、前記フィルムの総重量に基づいて30重量%以下である外側ヒートシール可能層、
b)エチレン-ビニルアルコール(EVOH)を含み、好ましくは本質的にこれからなり、EVOH含有率が前記フィルムの総重量に基づいて3%~25%、好ましくは5%~20%、さらにより好ましくは7%~15%である内側ガスバリア層、及び
c)1種以上のポリオレフィンを含む外層、
を含み、
前記フィルムが、ポリアミド又はポリエステルを全く含まず、
以下の特徴、すなわち、
23℃でASTM D882に従って測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における4000kg/cmより高い弾性率、
23℃でASTM D882に従って測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における最大200%の破断点伸び、
23℃でASTM D882に従って測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における500kg/cmより高い破断点引張強さ
のうち少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つを有する、
フィルムである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、本発明による多層包装フィルムを製造するためのトリプルバブルプロセスであって、以下のステップ、すなわち、
i)フィルムの溶融した熱可塑性ポリマーを丸ダイスに通して共押出して、少なくとも層a)、b)及びc)を含む共押出した多層チューブを形成するステップ、
ii)共押出した多層チューブを、好ましくは水で、前記熱可塑性ポリマーの最も低い融点より低い温度まで冷却し、それを収縮ロールに通し、フラットチューブ(6)を提供するステップ、
iii)前記チューブを数本のピンチロール(5)に通して移動させ、赤外線(IR)を放射する予熱オーブン(1、2)に通して80℃~130℃の温度までチューブを予熱するステップ、
iv)予熱したチューブを赤外線(IR)を放射する加熱配向オーブン(3)に通してさらに加熱して、その温度を80℃~130℃に維持し、一方で前記チューブを数本の収縮ロールに通して該チューブを長手方向に引っ張り、前記多層チューブにガスを吹き込むことによって該チューブを横方向に膨張させることにより、長手方向及び横方向の両方における2.5:1~6:1の配向比で前記チューブを二軸配向させて、二軸配向チューブ(8)を提供するステップ、
v)前記配向チューブ(8)を好ましくは12~18℃の温度で、好ましくは空気リングに通して冷却し、該配向チューブを一連の搬送ロールに通して、平らにするステップ、
vi)任意に、好ましくは水浴に通すことによって、平らにしたフィルムの温度を40℃~60℃にするステップ、
vii)数本のピンチロールに通して前記チューブを長手方向に持ち上げ、該チューブにガスを吹き込むことにより該チューブをヒートセットし、一方で60℃~150℃の温度で前記チューブを加熱するステップ、
viii)ヒートセットしたチューブを一連の搬送ロールに通して、平らにし、該チューブを巻き取るステップ
を順に含み、
ステップ(iii)及び(iv)において、前記予熱オーブン(1、2)及び前記加熱配向オーブン(複数可)(3)によって放射されるIR線の波長が、前記ポリオレフィンの吸光度波長、好ましくは2500cm-1~3000cm-1の波長と一致し、
任意に、ステップiv)において、予熱したチューブ(7)が、前記予熱オ-ブン(1、2)と前記加熱配向オーブン(3)との間に配置された追加の数本のピンチロール(4)を通過する、
プロセスである。
【0015】
さらなる目的は本発明のプロセスにより得られる本発明のフィルムである。
【0016】
さらに別の目的において、本発明は、本発明によるフィルムをそれ自身にヒートシールすることによって、又は第1及び第2のフィルムをヒートシールすることによって得られる可撓性容器であって、少なくとも前記第1のフィルムは本発明によるフィルムであり、前記第2のフィルムは、異なる場合は、好ましくはポリオレフィンフィルムであり、本発明によるフィルムの外側ヒートシール可能層a)が容器の内側に面している可撓性容器に関する。
【0017】
本発明のさらなる目的は、本発明による多層包装フィルムを熱成形することによって得られる熱成形支持体である。
【0018】
本発明のさらなる目的は、本発明による多層包装フィルム、又は可撓性容器及び/又は熱成形支持体と、その中に包装された製品とを含むパッケージである。
【0019】
さらなる目的において、本発明は、製品、好ましくは食品を包装するための本発明のフィルムの使用を対象とする。典型的には、これらの食品は、新鮮な赤身肉、加工肉、魚、鶏肉、チーズ、果物及び野菜からなる群から選択される。
【0020】
<定義>
本明細書で使用される場合、(a)ある特定のポリマー(複数可)から「本質的になるフィルム(又は層)」という表現は、少なくとも80重量%、90重量%、95重量%、98重量%のそのようなポリマーを含むフィルム(又はフィルム層)を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「ポリオレフィン」という用語は、エチレン、プロピレン及びブテンなどの1種以上のオレフィンの重合に由来する任意の熱可塑性ポリマーを参照して使用される。このポリマーは、1つの単一オレフィンの反復単位からなるホモポリマー、又は1種のオレフィンの主要部分と、それと共重合可能な1種以上の他のオレフィンの小量部分とからなるコポリマーであってもよい。「ポリオレフィン」という用語は、特に、エチレンホモ-及びコポリマー、ブテンホモ-及びコポリマー、プロピレンホモ-及びコポリマー、シクロオレフィンコポリマーなどを含む。
【0022】
「ポリオレフィン」という用語はまた、エチレンの主要部分と、1種以上のα-オレフィンコモノマー、好ましくは(C4~C10)-アルファ-オレフィン、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン及び/又は1-オクテンの小量部分とを含むエチレンのコポリマーを包含する。これらのコポリマーは、一般に「エチレン-アルファ-オレフィンコポリマー」と呼ばれる。使用されるモノマーの組成及び重合プロセスに応じて、異なる分岐度及び異なる密度を有するポリマーを得ることができる。例えば、上記用語には、通常0.945g/ccよりも高い密度を有する高密度ポリエチレン(HDPE)、通常0.930g/cc~約0.945g/ccの範囲の密度を有する直鎖状中密度ポリエチレン(LMDPE)、通常は約0.900g/cc~約0.930g/ccの範囲の密度を有する直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、及び約0.915g/ccよりも低い、典型的には0.868~0.915g/ccの範囲の密度を有する超低密度ポリエチレン(VLDPE及びULDPE)のようなポリマーが含まれる。メタロセン触媒を用いて得られたPEも含まれる。
【0023】
本明細書で使用される場合、「長鎖分岐」という表現は、ポリエチレン中に、ポリエチレン分子が少なくとも1つの分岐点を有し、分岐点から離れる各分岐が少なくとも8個の炭素原子の長さを有する枝分かれ(「枝」)が存在することを指す。好ましい長鎖分岐ポリエチレンは低密度ポリエチレン(LDPE)である。
【0024】
「ポリオレフィン」という用語はまた、シクロオレフィンコポリマー(COC)、すなわち、好ましくはメタロセン触媒を用いてエチレンとノルボルネン又はシクロペンタジエンなどのシクロオレフィンとの共重合によって生成される熱可塑性材料を包含する。
【0025】
本明細書で使用される場合、「エチレン-酢酸ビニルコポリマー」又は「EVA」という表現は、エチレンモノマー及び酢酸ビニルモノマー、又はエチレンモノマー、酢酸ビニルモノマー及び一酸化炭素モノマーから形成されるコポリマーを指し、コポリマー中のエチレン由来単位は、主要な量、好ましくは約60~98重量%、より好ましくは約70~約96重量%、さらにより好ましくは約80~約95重量%、さらにより好ましくは約75~約94%で存在し、コポリマー中の酢酸ビニル及び一酸化物由来単位は、少量、好ましくは約2~約40重量%、より好ましくは約4~約30重量%、さらにより好ましくは約5~約25重量%、さらにより好ましくは約6~約20重量%、例えば、18重量%で存在する。
【0026】
本明細書で使用される場合、「エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー」という用語は、エチレンと、(メタ)アクリレートエステル又は(メタ)アクリル酸とのコポリマーを指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「エチレンと(メタ)アクリレートエステルとのコポリマー」という用語は、エチレンと、メタクリレートエステル又はアクリレートエステルとのコポリマーを指す。例えば、この用語は、エチレン-エチル(メタ)アクリレートコポリマー、エチレン-ブチル(メタ)アクリレートコポリマー、エチレン-メチル(メタ)アクリレートコポリマーなどを含む。コポリマーは、典型的には15~40重量%、好ましくは20~30重量%のアクリレート単位又はメタクリレート単位を含有する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「エチレンと(メタ)アクリル酸とのコポリマー」という用語は、エチレンとアクリル酸又はメタクリル酸とのコポリマーを指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、エチレン(メタ)アクリル酸コポリマーに対し言及される「アイオノマー」又は「中和された」という表現は、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムのような一価又は二価の金属イオンで部分的に中和されたエチレン(メタ)アクリル酸コポリマーを指す。この種の市販の樹脂はDowによるSurlyn(登録商標)である。
【0030】
本明細書で使用される場合、「変性された」という用語は、ポリマー上にグラフトされたか、又はそれと共重合された、無水物官能基で変性されたポリマーを指す。無水物官能基は、マレイン酸、クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、フマル酸などの無水物であってよく、酸、エステル、及びそれに由来する金属塩などのそのような官能基の誘導体を含む。
【0031】
本明細書で使用される場合、「無水物変性ポリオレフィン」という用語は、ポリオレフィンに会合した、ポリマー上にグラフトされたか、又はそれと共重合された、無水物官能基を有するポリオレフィンを指す。無水物官能基は、マレイン酸、クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、フマル酸などの無水物であってよく、酸、エステル、及びそれに由来する金属塩などのそのような官能基の誘導体を含む。
【0032】
本明細書で使用される場合、「マスターバッチ」という表現は、1種以上の添加剤が担体樹脂に分散された予備混合組成物を指す。マスターバッチは、典型的には、顆粒又はペレットとして提供され、添加剤の特性を最終生成物に付与するために、押出中に1つ又は複数の標的樹脂と一般にブレンドされる。マスターバッチの担体樹脂及びマスターバッチが添加される標的樹脂は、同一でも異なってもよく、化学的に相溶性であっても、相溶性でなくてもよい。本発明の関連において、マスターバッチは、好ましくはくもり止め剤を含む。
【0033】
本明細書で使用される場合、「内層」(inner layer及びinternal layer)という表現は、その主表面の両方がフィルムの別の層に直接接着したフィルムの層を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「外層」(outer layer及びexternal layer)という表現は、その主表面のうちの1つのみがフィルムの別の層に直接接着したフィルムの層を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、層に適用される「(直接)接着する」という語句は、結合層、接着剤、又はそれらの間の他の層を伴わないで互いに直接接触することによる対象層への主部層の接着を指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「シーラント層」又は「ヒートシール可能層」という表現は、フィルム自体、別のフィルムへの、又は基材、例えば、容器へのヒートシールに関与するフィルムの外層を指す。ヒートシールは、例えば、溶融ビードシール、熱シール、インパルスシール、超音波シール、熱風、熱線、赤外線など、多種多様な方式のうちの任意の1つ又は複数によって行うことができる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「開けやすい」層又はパッケージという用語は、適当な対抗する力の適用によって、典型的には手によって、容易に壊れ、開く多層フィルムの層又はパッケージを指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「共押出」という用語は、2種以上の溶融された熱可塑性ポリマーを、冷却、すなわち急冷前に押出物が融合し、一緒にまとまり層状構造になるように配置された2つ以上の開口部を有する1つのダイスを通して押出すプロセスを指す。共押出は、フィルムブロー及び押出被覆プロセスで採用することができる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「共押出フィルム」という用語は、共押出によって完全に又は部分的に得られるフィルムを指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「配向」という用語は、構造の層を構成する全ての樹脂のTg(ガラス転移温度)よりも高く、構造の層を構成する全ての樹脂が溶融状態にある温度よりも低い温度で実施される、インフレーションフィルムを同時に引き伸ばすプロセスを指す。配向は、トリプルバブル技術のいわゆる「第2のバブル」において、チューブ内にガスを吹き付けることによってチューブを横方向に引き伸ばしながら、ピンチロールによって、吹き込まれたチューブ状フィルムを長手方向に同時に引き伸ばすことによって行われる。このような配向は二軸性である。
【0041】
「長手方向(又は縦方向)における配向比」及び「横方向における配向比」という語句は、フィルムがその元のサイズに関連してその方向に配向された倍数を指す。例えば、あるフィルムがその長手方向において元のサイズの3倍に配向されている場合、長手方向における配向比は3:1である。
【0042】
本明細書で使用される場合、「長手方向(LD)」又は「縦方向」という語句は、フィルムの「長さに沿った」方向、すなわち、共押出中にフィルムが形成される際のフィルムの方向を指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、「横方向(TD)」という語句は、フィルムを横切る方向であって、縦方向又は長手方向に垂直な方向を指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「熱収縮可能」、「熱収縮」などの語句は、フィルムが非拘束状態にある間にフィルムのサイズが減少するように、熱の適用時に二軸配向フィルムが収縮する傾向を意味する。
【0045】
本明細書で使用される場合、「支持体」という用語は、製品を支持又は収容するのに適した任意の物体を指す。支持体は平坦又は中空であり、剛性、半剛性又は可撓性である。支持体の適切な例は、例えば、トレイ、ボウル、皿、箱、平らな支持体である。中空支持体は一般に容器と呼ばれる。
【0046】
支持体、典型的には中空支持体は、フィルムのシーラント層に封止されるのに適したシーリングフランジなどのシーリング領域を任意に備える。
【0047】
本明細書で使用される場合、「可撓性容器」という用語は、エンベロープ、バッグ又はパウチの形態の単一のフィルム片をヒートシールすることによって、又は2枚の同一又は異なるフィルムをヒートシールすることによって得ることができる容器を指す。バッグ又はパウチには、例えば、シームレスチューブから作られ、開放された上端、第1及び第2の折りたたまれた側縁、及びバッグの底部を横切る端部シールを有する、レイフラット(lay-flat)端部シールバッグ、シームレスチューブから作られ、開放された上端、折りたたまれた底部縁並びに第1及び第2の側部シールを有する、レイフラット側部シールバッグ、シームレスチューブから作られ、開放された上端、折りたたまれた底部縁並びに第1及び第2の側部シールを有し、第1及び第2の側部シールは開放された上端に対し完全に角度をつけられて、三角バッグ又は部分的直線(すなわち、開放された上端に対し垂直に)を提供し、次いで部分的に角度を付けられ、台形様の形状を提供するレイフラットV字型側部シールバッグ、2つのフラットフィルムを互いにヒートシールすることによって作られたレイフラットパウチであって、開放された上端、第1の側部シール、第2の側部シール及び底部シールを有するパウチなどがある。
【0048】
本明細書で使用される場合、「蓋」又は「蓋用フィルム」という用語は、(半)剛性容器の開口部を閉じるため及び/又は容器に含まれる製品を包むためのフィルムを指す。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、トリプルバブルラインの一部の模式図であり、ここでは、フラット共押出多層管(6)、配向バブル(又は第2のバブル)(7、8)、第1のピンチロール(5)、予熱オーブン(1、2)、加熱配向オーブン(複数可)(3)、及びその間に、任意の追加のピンチロール(4)が表される。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の目的は、二軸配向共押出多層包装フィルムであって、該フィルムの総重量に基づいて少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%の1種以上のポリオレフィンを含み、少なくとも以下の層、すなわち、
a)ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含み、好ましくは本質的に該ポリマーからなる外側ヒートシール可能層であって、該ヒートシール可能層中のエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリレル酸コポリマー及びエチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)の総量が、前記フィルムの総重量に基づいて30重量%以下である外側ヒートシール可能層、
b)エチレン-ビニルアルコール(EVOH)を含み、EVOH含有率が前記フィルムの総重量に基づいて3%~25%、好ましくは5%~20%、さらにより好ましくは7%~15%である内側ガスバリア層、及び
c)1種以上のポリオレフィンを含む外層
を含み、
前記フィルムが、ポリアミド又はポリエステルを全く含まず、
以下の特徴、すなわち、
23℃でASTM D882に従って測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における4000kg/cmより高い弾性率、
23℃でASTM D882に従って測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における最大200%の破断点伸び、
23℃でASTM D882に従って測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における500kg/cmより高い破断点引張強さ
のうち少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つを有する、
フィルムである。
【0051】
本発明のフィルムは、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー、EBA及びEVOH以外のポリマーを含まないことが好ましい。
【0052】
一実施形態において、本発明のフィルムは、ASTM D2732に従って油中で120℃で測定された場合、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方において15%より低い自由収縮率を有する。
【0053】
別の実施形態では、本発明のフィルムは、ASTM D2732に従って水中で85℃で測定された場合、LD及びTDの両方において20%より高い自由収縮率、又はASTM D2732に従って油中で120℃で測定された場合、LD及びTDの両方において15%より高い、好ましくは15%~60%、より好ましくは20%~40%に含まれる自由収縮率を有する。
【0054】
本発明において、フィルムの組成及びその使用、すなわち、当業者に周知のように、それらのフィルムで実現されるパッケージの種類に基づいて、異なる温度及び条件(水中、油中)で、フィルムの自由収縮率をASTM D2732に従って評価する。
【0055】
本発明によるフィルムにおいて、外側ヒートシール可能層a)は、好ましくは、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)及びそれらの混合物から本質的になり、EVA、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー及びEBAの総量は、フィルムの総重量に基づいて30重量%以下である。
【0056】
一実施形態において、外側ヒートシール可能層a)は、少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも85重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも98%の1種以上のポリオレフィンを含む。外側ヒートシール可能層a)は、1種以上のポリオレフィンから本質的になってもよい。
【0057】
好ましくは、外側ヒートシール可能層a)のポリオレフィンは、エチレンポリマー、好ましくはポリエチレン(PE)、プロピレンポリマー、好ましくはポリプロピレン(PP)、ブチレンポリマー、好ましくはポリブチレン(PB)、エチレンとプロピレンとのコポリマー(EP)、エチレンとプロピレンとブチレンとのターポリマー(EPB)及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0058】
より好ましくは、外側ヒートシール可能層a)のポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンとのコポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0059】
例えば、外側ヒートシール可能層a)は、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレンとプロピレンとのコポリマーからなる群から好ましくは選択される1種のポリオレフィンのみを含むか、又は本質的にそれ(ら)からなる。
【0060】
特に好ましい実施形態において、外側ヒートシール可能層a)は、少なくとも2種のポリオレフィンを含むか、又はそれらから本質的になり、第1のポリオレフィンは、エチレンポリマー、エチレンコポリマー、プロピレンポリマー、エチレンとプロピレンとのコポリマー、エチレンとプロピレンとブチレンとのターポリマー(EPB)及びそれらの混合物からなる群から選択され、第2のポリオレフィンは、ブチレンポリマー、好ましくはポリブチレン(PB)である。本発明のフィルムのヒートシール可能層a)におけるPBの存在、層a)の総重量に基づいて好ましくは5重量%より高い量、好ましくは少なくとも10重量%のPBの存在により、剥離可能なフィルムがもたらされ、これは、それがヒートシールされた支持体、好ましくはポリエステル支持体又はポリオレフィン支持体から容易かつ速やかな方法で剥離することができる。
【0061】
ポリエチレンコポリマーの中では、エチレン-アルファ-オレフィンコポリマーが好ましく、LLDPEが特に好ましい。
【0062】
特に好ましい実施形態において、ヒートシール可能層a)は、EVA、中和されたエチレン(メタ)アクリル酸コポリマー(すなわち、アイオノマー、例えば、Surlyn)及びポリブチレンのブレンドから本質的になり、EVA及びアイオノマーの総量は、フィルムの総重量に基づいて30重量%以下であり、ポリブチレンの量は、層a)の総重量に基づいて少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%である。典型的には、層a)は、10~40重量%のEVA、40~80重量%のアイオノマー及び5~30重量%のPBのブレンドから本質的になり得、前記割合は、層a)の総重量に基づく重量による。
【0063】
適切なエチレン酢酸ビニルコポリマーの例は、DowによりElvax 3170の商標名の下で商品化された製品である。
【0064】
一実施形態において、本発明のフィルムのヒートシール可能層a)のポリオレフィンは、0.95g/cmよりも低い密度を有することが好ましい。したがって、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び中密度ポリエチレン(MDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンとプロピレンとのコポリマー(EP)、及びエチレンとプロピレンとブチレンとのターポリマー(EPB)は、外側ヒートシーラント層aに特に適切なポリマーである。
【0065】
適切な直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)ポリマーの例は、Sabicにより商標Supeer 7318BE及びSupeer 7118NE、INEOS Olefins & polymers EuropeによりEltex PF6220AAの商標名の下で商品化された製品である。
【0066】
INEOS Olefins & polymers EuropeによりELTEX P KS350の商標名の下で商品化されている製品は、適切なエチレンとプロピレンとブチレンとのターポリマー(EPB)の例である。
【0067】
一実施形態において、ヒートシーラント層a)のポリオレフィンは、変性ポリオレフィンであり得、特に、無水物変性ポリオレフィン、例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィンであり得る。
【0068】
一実施形態において、外側ヒートシール可能層a)において、エチレン(メタ)アクリレートコポリマーは、エチレンC~Cアルキル(メタ)アクリレートコポリマーから、好ましくはエチレンメチル(メタ)アクリレートコポリマー、エチレンエチル(メタ)アクリレートコポリマー及びエチレン-ブチル(メタ)アクリレートコポリマーから選択することができる。例えば、エチレン(メタ)アクリレートコポリマーは、エチレンメチルアクリレートコポリマーであってもよい。
【0069】
適切なエチレンメタクリレートコポリマーの例は、Dowにより商標Elvaloy 1820ACの商品名の下で商品化された製品である。
【0070】
一実施形態において、外側ヒートシール可能層a)において、エチレン(メタ)アクリル酸コポリマーを中和することができ、すなわち、アイオノマーの形態とすることができる。好ましくは、中和イオンは亜鉛であり、より好ましくは、中和イオンはナトリウムである。例えば、適切なイオノマーは、Surlynの商標の下でDowが市販するものであってもよい。
【0071】
一実施形態において、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマーは、エチレン/メタクリル酸コポリマー及びエチレン/メタクリレートコポリマーの混合物である。別の実施形態では、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマーは、他のポリマーと混合又は共重合される。混合又は共重合により生じるこのようなコポリマーを、以下では、「変性エチレンアクリレート」と称する。
【0072】
このような変性エチレンアクリレートの例は、DOWによって市販されているアAppeel(登録商標)タイプの樹脂、例えば、Appeel(登録商標) 20D855又はAppeel(登録商標) 20D745であり、この後者が特に好ましい。
【0073】
本発明のフィルムは、フィルムのガスに対する透過性を低下させるために、エチレン-ビニルアルコール(EVOH)で作られた内部ガスバリア層b)を含む。このようなEVOHでできたガスバリア層は知られており、ガスバリアフィルムの製造に一般に使用される。本発明によるフィルムでは、ガスバリア層のEVOH含有率は、フィルムの総重量に基づき3重量%~25重量%に含まれ、ガスバリア層のEVOH含有率は5%~20%に含まれることが好ましく、より好ましくはガスバリア層のEVOH含有率は7%~15%に含まれる。
【0074】
適切なEVOHコポリマーの例は、Evalca/クラレにより商標EVAL SP292B及びMCPP三菱ケミカル株式会社によりG-Soarnol GH3804Bの商標の下で商品化された製品である。
【0075】
本発明のフィルムにおいて、層c)はヒートシーラント層と反対側の外層である。このような外層は、一般に、スキン層又はアビューズ(abuse)層とも呼ばれ、その役割は、改良された機械的強度及び耐熱性をフィルムに提供することである。本発明のフィルムにおいて、外層c)は、1種以上のポリオレフィンを含む。一実施形態において、外層c)は、少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも85重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも98重量%の1種以上のポリオレフィンを含む。外層c)はまた、1種以上のポリオレフィンからなることもできる。
【0076】
好ましくは、外層c)のポリオレフィンは、120℃より高い、好ましくは140℃より高い、150℃より高い、160℃より高い、170℃より高い融点を有する。外層c)に融点の高いポリオレフィンが存在すると、高い耐熱性を付与したフィルムを得ることができるため、フィルムをそれ自身上又は支持体上に封止してパッケージを形成する際に封止温度に容易に耐えることができ、封止棒に固着しない。
【0077】
好ましい実施形態において、外層c)は、ポリエチレンポリマー、好ましくはMDPE、HDPE(より好ましくは)、LDPE(さらにより好ましくは)などの長鎖分岐ポリエチレン、LLDPEなどのポリエチレンコポリマー、プロピレンポリマー、好ましくはポリプロピレン(PP)、エチレンとプロピレンとのコポリマー(EP)、及びそれらの混合物からなる群から選択される1種以上のポリオレフィンを含むか、又はそれ(ら)から本質的になる。
【0078】
ポリエチレンコポリマーの中では、エチレン-アルファ-オレフィンコポリマーが好ましく、LLDPEが特に好ましい。
【0079】
上述したように、本発明のフィルムは実質的にモノマテリアルフィルムとして有利に製造することができ、その結果、リサイクル性の観点から、RIC4又はRIC5のようなリサイクル流にリサイクルすることができる。
【0080】
したがって、一実施形態において、本発明のフィルムは、好ましくは、エチレンポリマー、好ましくはポリエチレン(PE)を含むか、好ましくはそれから本質的になる外側ヒートシーラント層a)と、ポリエチレンポリマー、好ましくはMDPE、より好ましくはHDPE、さらにより好ましくはLDPEなどの長鎖分岐ポリエチレン、又はLLDPEなどのポリエチレンコポリマーを含むか、好ましくはそれから本質的になる外層c)とを含むことができる。層a)、b)及びc)からなるフィルムであって、外側ヒートシーラント層a)が、エチレンポリマー、好ましくはポリエチレン(PE)、又はエチレンコポリマー(好ましくはLLDPE)から本質的になり、外層c)が、ポリエチレンポリマー、好ましくはMDPE、より好ましくはHDPE、さらにより好ましくはLDPEなどの長鎖分岐ポリエチレン、又はエチレンコポリマー(好ましくはLLDPE)から本質的になるフィルムは、RIC4リサイクル流中に廃棄することができる。
【0081】
別の実施形態において、本発明のフィルムは、好ましくは、プロピレンポリマー、好ましくはポリプロピレン(PP)、又はエチレンとプロピレン(EP)とのコポリマーを含むか、好ましくは本質的にそれからなる外側ヒートシーラント層a)と、プロピレンポリマー、好ましくはポリプロピレン(PP)を含むか、好ましくはそれから本質的になる外層c)とを含むことができる。層a)、b)及びc)からなるフィルムであって、外側ヒートシーラント層a)が、プロピレンポリマー、好ましくはポリプロピレン(PP)、又はエチレンとプロピレン(EP)とのコポリマーから本質的になり、外層c)が、プロピレンポリマー、好ましくはポリプロピレン(PP)から本質的になるフィルムは、RIC5リサイクル流中に廃棄することができるフィルム。
【0082】
一実施形態において、本発明のフィルムは、フィルムの総重量に基づいて少なくとも90重量%の1種以上のポリオレフィンを含む。
【0083】
本発明のフィルムは、1つ以上の内層d)を含むこともできる。
【0084】
本発明のフィルムの実施形態では、内層d)がヒートシーラント層a)に直接接着する。1つ以上の内層d)は、典型的には、本発明のフィルムの層構造において、外側ヒートシーラント層a)とバリア層b)との間、又は外側ヒートシーラント層a)と、存在する場合には結合層e)との間に存在する。
【0085】
内層d)は、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーから本質的になる。
【0086】
好ましくは、このような内層d)は、ポリオレフィンのみから本質的になり、より好ましくはポリオレフィンのみからなる。しかし、1種以上のEVA、エチレン(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸コポリマー及びEBAが存在する場合、フィルム(すなわち、ヒートシール可能層a)及び内層(複数可)d)中のエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー及びエチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)の総量は、フィルムの総重量に基づいて、30重量%以下である。
【0087】
一実施形態において、内層d)のポリオレフィンは、エチレンポリマー、好ましくはポリエチレン(PE)、プロピレンポリマー、好ましくはポリプロピレン(PP)、ブチレンポリマー、好ましくはポリブチレン(PB)、エチレンとプロピレンとのコポリマー(EP)、エチレンとプロピレンとブチレンとのターポリマー(EPB)及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0088】
別の実施形態において、内層d)は、1つのポリオレフィンのみを含み、好ましくは本質的にそれからなる。特に好ましいポリオレフィンは、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選択される。別の実施形態において、内層d)は、エチレンとプロピレンとのコポリマー(EP)を含み、好ましくは本質的にそれからなる。別の実施形態において、内側層d)は、ポリエチレンコポリマー、好ましくはエチレン-アルファ-オレフィンコポリマー、より好ましくはLLDPEを含み、好ましくは本質的にそれからなる。
【0089】
好ましい実施形態において、内層d)は、少なくとも2種のポリオレフィンを含むか、又は本質的にそれらからなる開けやすい層であって、第1のポリオレフィンは、エチレンポリマー、プロピレンポリマー、エチレンとプロピレンとのコポリマー(EP)、エチレンとプロピレンとブチレンとのターポリマー(EPB)及びそれらの混合物からなる群から選択され、第2のポリオレフィンは、ブチレンポリマー、好ましくはポリブチレン(PB)である層であることができる。好ましくは、この実施形態において、PBの量は、開けやすい内層d)の総重量に基づいて5重量%より多く、好ましくは10重量%より多い。
【0090】
別の特に好ましい実施形態において、内層d)は、ヒートシール可能層a)に直接接着した開けやすい層であって、該層d)は、EVA、中和エチレン(メタ)アクリル酸コポリマー(すなわち、アイオノマー、例えば、Surlyn)及びポリブチレンのブレンドから本質的になり、EVA及びアイオノマーの総量は、フィルムの総重量に基づいて30重量%以下であり、ポリブチレンの量は、開けやすい内層d)の総重量に基づいて、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%である。
【0091】
好ましい実施形態において、ヒートシール可能層a)に直接接着した開けやすい内層d)は、10~40重量%のEVA、40~80重量%のアイオノマー及び5~30重量%のPBのブレンドから本質的になり、このパーセンテージは開けやすい層d)の総重量に基づく重量による。
【0092】
後者の2つの実施形態は、ヒートシール可能層a)に直接接着した内層にとって特に好ましい。実際、これらの実施形態において、ヒートシーラント層a)に直接接着した内層d)に存在するブチレンポリマー、好ましくは、ポリブチレンは、フィルムに力を加えてフィルムを基材から剥離する時に、層内の凝集破壊をもたらす。凝集破壊機構で破壊することができる本発明のフィルムは、支持体又は容器の蓋として有利に使用することができ、好ましくは、支持体又は容器はPET(より好ましくはAPET)又はポリプロピレン支持体又は容器である。しかし、凝集破壊フィルムは、以下に記載されるように、本発明によるそのようなフィルムを、それ自身又はポリオレフィンフィルムに封止することによって、可撓性容器を製造するためにも使用することができる。
【0093】
本明細書中で使用される「凝集破壊」とは、パッケージを開封する力を加えると(容器から蓋フィルムを分離することにより、又は可撓性容器の封止された縁を分離することにより)、フィルムがその第2層、すなわち、ヒートシール可能層a)に直接接着した開けやすい内層において内部で破損することを意味する。
【0094】
内層(複数可)の組成は、ヒートシール可能層a)の組成と同じであっても、異なるものであってもよい。
【0095】
特に、内層(複数可)は、RIC4又はRIC5のリサイクル流に乗せるのに特に適した、改善されたリサイクル特性を有するフィルムを得るために、層a)及び層c)と同じポリマー組成を有することができる。
【0096】
したがって、一実施形態において、本発明のフィルムは好ましくは、以下を含むことができる。
エチレンポリマー、好ましくはポリエチレンを含み、好ましくはそれから本質的になる外側ヒートシーラント層a)、
ポリエチレンポリマー、好ましくはMDPE、より好ましくはHDPE、さらにより好ましくはLDPEのような長鎖分岐ポリエチレンを含み、好ましくはそれから本質的になる外層c)、及び
エチレンポリマー、好ましくはポリエチレン(PE)を含み、好ましくはそれから本質的になる1つ以上の内層d)。
【0097】
層a)、b)、c)及びd)からなるフィルムであって、外側のヒートシーラント層a)は、エチレンポリマー、好ましくはポリエチレン(PE)、又はエチレンコポリマー、好ましくはLLDPEから本質的になり、外層c)は、ポリエチレンポリマー、好ましくはMDPE、より好ましくはHDPE、さらにより好ましくはLDPEのような長鎖分岐ポリエチレン、又はエチレンコポリマー、好ましくはLLDPEから本質的になり、内層d)は、エチレンポリマー、好ましくはポリエチレン(PE)、又はエチレンコポリマー、好ましくはLLDPEから本質的になるフィルムは、RIC4リサイクル流中に廃棄することができる。
【0098】
別の実施形態において、本発明のフィルムは好ましくは、以下を含むことができる。
プロピレンポリマー、好ましくはポリプロピレン(PP)、又はエチレンとプロピレンとのコポリマー(EP)を含み、好ましくはそれから本質的になる外側ヒートシーラント層a)、
プロピレンポリマー、好ましくはポリプロピレン(PP)を含み、好ましくはそれから本質的になる外層c)、及び
プロピレンポリマー、好ましくはポリプロピレン(PP)を含み、好ましくはそれから本質的になる1つ以上の内層d)。
【0099】
層a)、b)、c)及びd)からなるフィルムであって、外側ヒートシーラント層a)は、プロピレンポリマー、好ましくはポリプロピレン(PP)、又はエチレンとプロピレン(EP)とのコポリマーから本質的になり、外層c)は、プロピレンポリマー、好ましくはポリプロピレン(PP)から本質的になり、内層d)(複数可)は、プロピレンポリマー、好ましくはポリプロピレン(PP)から本質的になるフィルムは、RIC5リサイクル流中に廃棄することができる。
【0100】
トリプルバブルプロセスを用いることにより、LD及びTDにおいて、適合した収縮、望ましい均衡した又は不均衡な機械的特性を有するフィルムを製造することが可能である。
【0101】
また、トリプルバブル技術により機械的特性(弾性率、引張、伸び)の高いフィルムが可能になるため、より厚い材料と同等の性能を有するより薄いフィルムを製造することにより、材料を節約することが可能になる。
【0102】
さらに、トリプルバブル技術は、顕著な汎用性を可能にする。実際、同じ配合物から出発して、フィルム特性は、意図された包装用途によりよく適応され得、その改善された結果は、例えば、トレイの歪みのないにトレイの蓋、製品に完全に適合する非常に収縮性の高いバッグ、又は薄いが耐性のあるパウチを提供する。特に関連するのは、同じ構造から出発しても、非常に異なる自由収縮及び収縮張力値をフィルムに付与し得ることである。
【0103】
本発明のフィルムは、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方で測定された場合、4000kg/cmより高い弾性率を有する。プラスチックフィルムの弾性率は、弾性的に(すなわち、非永久的に)変形されることに対するその抵抗を測定し、フィルムの剛性の指標である(より剛性の材料は、より高い弾性率を有する)。それは23℃でASTM D882に従って測定される。
【0104】
本発明のフィルムは、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方において、最大で200%の破断点伸びを有する。破断点伸びは、破断時に測定されたフィルムの長さの増加を表し、元の長さのパーセンテージとして表される。それは23℃でASTM D882に従って測定される。
【0105】
本発明のフィルムは、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方において、500kg/cmより高い破断点引張強さを有する。破断点引張強さは、フィルムを破壊するのに必要なフィルムの単位面積当たりの最大引張荷重を表す。それは23℃でASTM D882に従って測定される。
【0106】
好ましくは、本フィルムは、上で定義された特性のうち少なくとも2つを有し、より好ましくは上記の3つの特性を全て有している。
【0107】
一実施形態によると、本発明のフィルムの機械的特性(弾性率、破断点伸び、引張強さ)は長手方向及び横方向で均衡している。機械的特性の均衡は、包装ステップにおいて、フィルムの破断又は引き裂き、及び輪郭のはっきりしない切断のような欠陥を発生させないフィルムを提供する。
【0108】
したがって、一実施形態において、LD及びTDにおいて測定された弾性率間の比は、単位に対して最大で±25%の範囲である。好ましくは、この比は、最大で±20%の範囲である。これは、一方向で測定された弾性率の値が、もう一方の方向で測定された弾性率の値よりも、最大で25%(好ましくは最大で20%)だけ高い、又は低いことがあり得ることを意味する。
【0109】
一実施形態において、LD及びTDにおいて測定された切断点伸び間の比は、単位に対して最大で±25%の範囲である。好ましくは、この比は、最大で±20%である。これは、一方向で測定された破断点伸びの値が、もう一方の方向で測定された破断点伸びの値より最大で25%(好ましくは最大で20%)高い、又は低いことがあり得ることを意味する。
【0110】
一実施形態において、LD及びTDにおいて測定された破断点引張強さ間の比は、単位に対して最大±25%の範囲である。好ましくは、この比は、最大で±20%の範囲である。これは、一方向で測定された破断点引張の値が、もう一方の方向で測定された破断点引張強さの値より最大で25%(好ましくは最大20%)高い、又は低いことがあり得ることを意味する。
【0111】
一実施形態では、上述した全ての比、すなわち、LD及びTDにおいて測定された、弾性率間の比、破断点伸び間の比、及び破断点引張強さ間の比は、それぞれ単位に対して最大±25%、好ましくは最大±20%の範囲である。
【0112】
一般に、15%よりも低い自由収縮率を有する本発明のフィルムについては、LD及びTDにおいて測定された弾性率、及び/又は破断点伸び、及び/又は破点点引張強さの値が、1より高いLD/TD比をもたらすようなものであることが好ましい。構造のこの比は、トレイの蓋付け用途、特に長方形のトレイに蓋として使用される場合に、フィルムのトレイ歪み効果を最小にするのに役立つ。
【0113】
フィルムの最大収縮張力は、以下の試験方法に従って加熱-冷却サイクルに供した場合の固定したフィルム試料によって発現する張力の最大値を表す。
【0114】
フィルムの試験片(2.54cm×14.0cm、そのうち10cmは試験の影響を受けない)をフィルムの長手方向(LD)及び横方向(TD)に切断し、2つのジョー(jaw)の間で固定し、そのうちの1つをロードセルに接続する。2つのジョーは、羽車が熱風又は冷風を吹き込むチャンネルの中心に試験片を保持し、2つの熱電対がその温度を測定する。熱電対は、試験片にできるだけ近い(3mm未満)位置に及び試験片の中央に位置する。熱電対(これは試験温度である)及びロードセル(これは力である)によって生成された信号はコンピュータに送られ、ソフトウェアがこれらの信号を記録する。羽車は熱風を吹き始め、試料が発揮する力をグラムで記録する。熱風を吹きつけることにより23℃から90℃又は180℃まで約3.2℃/秒の速度で温度を上げ、次に冷気を吹きつけてそれぞれ90℃又は180℃から5℃まで0.9℃/秒の速度で下げる。最大収縮張力は、kgで表された最大の力の値(ピーク時の力)を試験片幅(cmで表される)及び試験片平均厚さ(cmで表される)で除して算出される。最大収縮張力はこのようにkg/cmで表される。試験中に到達した最高温度(90℃又は180℃)の選択は、フィルムの収縮特性に依存し、フィルムが収縮し始める温度に基づいて、単一の場合毎に決定しなければならない。
【0115】
典型的には、ASTM D2732に従って油中で120℃で測定された、LD及びTDの両方における15%よりも低い自由収縮率を有する本発明のフィルムについては、本明細書の方法に従って測定された最大収縮張力は、LD及びTDの両方において25kg/cm以下、好ましくは21kg/cm以下、より好ましくは17kg/cm以下である。
【0116】
ASTM D2732に従って水中で85℃で測定された、LD及びTDの両方における20%より高い、又はASTM D2732に従って油中で120℃で測定された、LD及びTDの両方における15%より高い、好ましくは15%~60%に含まれる、より好ましくは20%~40%に含まれる自由収縮率を有する本発明のフィルムについては、本明細書の方法に従って測定された、LD及びTDの両方における最大収縮張力は、35kg/cm以下、又は30kg/cm以下、好ましくは25kg/cm以下である。
【0117】
本発明のフィルムは、くもり止め剤を有利に含むことができ、その結果、くもり止め特性を付与されたフィルムが得られる。くもり止めフィルムは、水分を生じる又は呼吸する食品の包装に特に有用である。くもり止め剤の存在下では、包装された製品から生じた水分は、製品に面したフィルムの表面で凝縮し、均一な層を形成するか、非常に大きな均一な領域をわずかに形成する。いずれにせよ、フィルムの表面に霧が現れず、良好な透視特性をもたらし、包装された製品を目視で検査することができる。
【0118】
一実施形態において、くもり止め剤は、少なくともヒートシーラント層a)の表面に皮膜の形態で施すことができる。くもり止め皮膜は当技術分野では周知であり、コロナ処理による表面の前処理の有無にかかわらず、様々な方法(噴霧、輪転グラビア印刷など)で施すことができる。
【0119】
別の好ましい実施形態では、くもり止め剤は、少なくともフィルムのヒートシーラント層a)に共押し出される。層a)中のくもり止め剤(複数可)の総量は、典型的には、層a)の総重量に対して0.1重量%~5重量%、好ましくは0.2重量%~3重量%、より好ましくは0.3重量%~2重量%に含まれる。
【0120】
くもり止め剤は当技術分野において知られており、主に次のようなクラス、すなわち脂肪族アルコールのエステル、ポリエーテル、多価アルコール、多価脂肪族アルコールのエステル、ポリエトキシル化芳香族アルコール、多価アルコール脂肪酸エステル、親水性脂肪酸エステル、ポリエトキシル化芳香族アルコール、非イオン性エトキシレート、高級脂肪酸アミン、高級脂肪酸アミド、高級脂肪アルコールのポリオキシエチレンエーテル及び高級脂肪酸アミン又はアミドのエチレンオキシド付加物に分類される。くもり止め剤の例は、ポリオキシエチレン、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリ(オキシプロピレン)、ポリエトキシル化脂肪アルコール、ポリオキシエチル化4-ノニルフェノール、多価アルコール、プロピレンジオール、プロピレントリオール、エチレンジオール、植物油又は動物脂肪のモノグリセリドエステル、グリセロールモノ-及びジオレエートのようなモノ-及び/又はジグリセリド、グリセリルステアレート、モノフェニルポリエトキシル化ソルビタンモノラウレートなどである。
【0121】
くもり止め剤の他の例は、Tweens又はポリソルベートの商標で市販されているもののような高級脂肪酸を有する、好ましくはC14~C24までの脂肪酸を有するエトキシル化ソルビタン誘導体、例えば、Crodaにより商品化されているAtmer 116である。
【0122】
一実施形態において、層a)のくもり止め剤(複数可)、1種以上のポリオレフィン、及び存在するならば、EVA、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー及び/又はエチレンブチルアクリレート(EBA)を混合して、押出機に供給されるマスターバッチを形成し、ポリオレフィン、及び存在するならば、EVA、エチレン(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸コポリマー及びEBAはくもり止め剤の担体樹脂として働く。
【0123】
例えば、担体樹脂がLLDPEである、TosafからのAF5841LL 1.5Percent Sylobloc 47 As ABは、適切なくもり止めマスターバッチとして使用され得る。
【0124】
好ましくは、高速包装装置における本発明のフィルムの機械加工性及び加工を改善するために、スリップ添加剤及び/又はブロッキング防止添加剤を、好ましくは外側ヒートシール可能層a)及び/又は外層c)の一方又は両方に添加することができる。これらの添加剤は、有利には、ポリオレフィン担体樹脂中の濃縮物の形態で添加され得、したがって、マスターバッチを形成する。マスターバッチの量は、典型的には、層の総重量の0.1~5%程度である。例えば、DuPontのConpol 10AFを適切なマスターバッチとして使用することができる。
【0125】
さらに、核形成剤を、好ましくは、外側ヒートシール可能層a)及び/又は外層c)の一方又は両方に添加することができる。核形成剤は、溶融状態からポリマーを冷却する間の結晶成長のための核形成部位を提供する。このように、半結晶性熱可塑性ポリマーに核形成剤を添加すると、耐熱性などの機械的特性が高まり、結晶化温度が上昇し、得られたフィルムの透明性が向上する。したがって、核形成剤は、少なくとも外層c)において、封止中の本発明のフィルムの耐熱性を高めるために有利に添加することができる。本発明のフィルムに適した核形成剤は、Amfine Chemical CorporationのNA11、ClariantのCesaシリーズ、PolyoneのColormatrix NuAgeである。また、核形成剤は、有利には、ポリオレフィン担体樹脂中の濃縮物の形態で添加され得、したがってマスターバッチを形成する。マスターバッチの量は、典型的には、層の総重量の0.1~5重量%程度であり、通常、担体樹脂は、マスターバッチの50~90重量%を構成する。
【0126】
本発明のフィルムは二軸配向されており、配向比は、長手方向及び横方向の両方において、2.5:1~6:1、好ましくは3:1~5.5:1に含まれる。
【0127】
バリア層b)と外側スキン層c)との間、及びバリア層b)とヒートシーラント層a)又は存在するならば内層d)との間の接着性に有利に働くために、結合(接着)層e)が存在してもよい。このような結合層e)は、典型的には、無水物変性ポリオレフィン、好ましくは無水マレイン酸変性ポリオレフィンから作製される。
【0128】
適切な無水物変性ポリオレフィンの例は、三井化学によりADMER QF551E及びADMER NF927Eの商標の下で商品化された製品である。
【0129】
したがって、無水物変性ポリオレフィン、好ましくは無水マレイン酸変性ポリオレフィンで作製された少なくとも1つの結合層e)が、本発明のフィルム中に存在してもよい。好ましくは、無水物変性ポリオレフィンで作製された少なくとも2つの結合層e)が存在することができ、1つはバリア層b)と外側スキン層c)又は存在するならば内層d)との間、1つはバリア層b)とヒートシーラント層a)又は存在するならば内層d)との間に存在する。
【0130】
有利なことに、結合樹脂として機能する無水物変性ポリオレフィンは、フィルムの他の層に存在するポリオレフィンに合わせて選択することができ、適切な流れにおけるフィルムのリサイクル性を最大にする。したがって、フィルムが、ポリエチレンポリマーから本質的になる外側ヒートシーラント層a)及び外層c)の両方を含む場合、無水物変性ポリエチレンを、結合層のポリマーとして有利に選択することができる。したがって、得られたフィルムは、RIC4リサイクル流中に廃棄され得る。
【0131】
同様に、フィルムが、ポリプロピレンポリマーから本質的になる外側ヒートシーラント層a)及び外層c)の両方を含む場合、無水物変性ポリプロピレンを、結合層のポリマーとして有利に選択することができる。したがって、得られたフィルムは、RIC5リサイクル流中に廃棄され得る。
【0132】
本発明のフィルムは、少なくとも3つの層、及び好ましくは最大で9つの層を含む。
【0133】
本発明のフィルムは、好ましくは4つ~7つの層を含む。
【0134】
一実施形態において、フィルムの層配列はa/b/cであり得る。
【0135】
別の実施形態では、層配列はa/e/b/e/cであり得る。
【0136】
別の実施形態では、層配列はa/d/b/cであり得る。
【0137】
別の実施形態では、層配列は、a/d/e/b/e/cであり得る。
【0138】
別の実施形態では、層配列はa/d/b/e/cであり得る。
【0139】
別の実施形態では、層配列はa/d/e/b/cであり得る。
【0140】
別の実施形態では、層配列は、a/d/b/d/cであり得る。
【0141】
別の実施形態では、層配列は、a/d/d/e/b/e/cであり得る。
【0142】
別の実施形態では、層配列は、a/d/b/e/d/cであり得る。
【0143】
別の実施形態では、層配列は、a/d/e/b/e/d/cであり得る。
【0144】
特に好ましい実施形態において、本発明のフィルムは以下の層組成を有する。
1.ヒートシーラント層a):100重量%のエチレン-プロピレン(EP)コポリマー(又は好ましくは70重量%のエチレン-プロピレン(EP)コポリマー及びPPを担体ポリマーとして有する30重量%のくもり止めマスターバッチ)、
2.任意の内層d):100重量%のポリプロピレン
3.結合層:100重量%無水マレイン酸変性ポリプロピレン
4.バリア層b):100重量%EVOH
5.結合層e):100重量%無水マレイン酸変性ポリプロピレン
6.任意の内層d):100重量%のポリプロピレン
7.外側スキン層c):100重量%のポリプロピレン(又は好ましくは98%のポリプロピレン及びPPを担体ポリマーとして有する2%のスリップ及びくもり止めマスターバッチ)。
【0145】
別の特に好ましい実施形態では、本発明のフィルムは以下の層組成を有する。
1.ヒートシーラント層a):100重量%のメタロセンポリエチレン(又は好ましくは70重量%の無水物変性ポリエチレン、及びPEを担体ポリマーとして有する30重量%のくもり止めマスターバッチ)、
2.任意の内層d):100重量%のポリエチレン
3.結合層e):100重量%の無水マレイン酸変性ポリエチレン
4.バリア層b):100重量%のEVOH
5.結合層e):100重量%の無水マレイン酸変性ポリエチレン
6.任意の内層d):100重量%のポリエチレン
7.外側スキン層c):100重量%のポリエチレン(又は好ましくは98%のポリエチレン及びPEを担体ポリマーとして有する2%のスリップ及びブロッキング防止マスターバッチ)。
【0146】
別の特に好ましい実施形態では、本発明のフィルムは以下の層組成を有する。
1.ヒートシーラント層a):100重量%のエチレン-プロピレン(EP)コポリマー(又は好ましくは70重量%のエチレン-プロピレン(EP)コポリマー及びPPを担体ポリマーとして有する30重量%のくもり止めマスターバッチ)、
2.開けやすい内層d):10~40重量%のEVA、40~80重量%のアイオノマー、5~30重量%のポリブチレン
3.任意の内層d):100重量%のポリプロピレン
4.結合層e):100重量%の無水マレイン酸変性ポリプロピレン
5.バリア層b):100重量%のEVOH
6.結合層e):100重量%の無水マレイン酸変性ポリプロピレン
7.任意の内層d):100重量%のポリプロピレン
8.外側スキン層c):100重量%のポリプロピレン(又は好ましくは98%のポリプロピレン及びPPを担体ポリマーとして有する2%のスリップ及びブロッキング防止マスターバッチ)。
【0147】
別の特に好ましい実施形態では、本発明のフィルムは以下の層組成を有する。
1.ヒートシーラント層a):100重量%のメタロセンポリエチレン(又は好ましくは70重量%の変性ポリエチレン、及びPEを担体ポリマーとして有する30重量%のくもり止めマスターバッチ)、
2.開けやすい内層d):10~40重量%のEVA、40~80重量%のアイオノマー、5~30重量%のポリブチレン
3.任意の内層d):100重量%のポリエチレン
4.結合層e):100重量%の無水マレイン酸変性ポリエチレン
5.バリア層b):100重量%のEVOH
6.結合層e):100重量%の無水マレイン酸変性ポリエチレン
7.任意の内層d):100重量%のポリエチレン
8.外側スキン層c):100重量%のポリエチレン(又は好ましくは98%のポリエチレン及びPEを担体ポリマーとして有する2%のスリップ及びブロッキング防止マスターバッチ)。
【0148】
別の特に好ましい実施形態では、本発明のフィルムは以下の層組成を有する。
1.ヒートシーラント層:100%のEVA又はEMA又はEBA又はEP又は変性エチレンアクリレート
2.内層d):100重量%のポリプロピレン
3.結合層e):100重量%の無水マレイン酸変性ポリプロピレン
4.バリア層b):100重量%のEVOH
5.結合層e):100重量%の無水マレイン酸変性ポリプロピレン
6.外側スキン層c):100重量%のポリプロピレン(又は好ましくは98%のポリプロピレン及びPPを担体ポリマーとして有する2%のスリップ及びブロッキング防止マスターバッチ)。
【0149】
この実施形態では、変性エチレンアクリレートは、好ましくは、Dowによって市販されているシリーズAppeelの樹脂である。
【0150】
別の特に好ましい実施形態では、本発明のフィルムは以下の層組成を有する。
1.ヒートシーラント層:100%のEVA又はEMA又はEBA又はEP又は変性エチレンアクリレート
2.内層d):100重量%のポリエチレン
3.結合層e):100重量%の無水マレイン酸変性ポリエチレン
4.バリア層b):100重量%のEVOH
5.結合層e):100重量%の無水マレイン酸変性ポリエチレン
6.外側スキン層c):100重量%のポリエチレン(又は好ましくは98%のポリエチレン及びPEを担体ポリマーとして有する2%のスリップ及びブロッキング防止マスターバッチ)。
【0151】
この実施形態では、変性エチレンアクリレートは、好ましくは、Dowによって市販されているシリーズAppeelの樹脂である。
【0152】
別の特に好ましい実施形態では、本発明のフィルムは以下の層組成を有する。
1.ヒートシーラント層a):100重量%のプロピレンとエチレンとブテンとのコポリマー(好ましくは90重量%のプロピレンとエチレンとブテンとのコポリマー、及びプロピレン/エチレンコポリマーを担体として有する10重量%のブロッキング防止及びスリップマスターバッチ)、
2.内層d):100重量%のプロピレンとエチレンとのコポリマー
3.結合層e):100重量%の無水マレイン酸変性ポリプロピレン
4.バリア層b):100重量%のEVOH
5.結合層e):100重量%の無水マレイン酸変性ポリプロピレン
6.内層d):100重量%のプロピレンとエチレンとのコポリマー
7.外側スキン層c):100重量%のポリプロピレン(又は好ましくは90%のポリプロピレン及びPPを担体として有する10%のスリップ及びブロッキング防止マスターバッチ)。
【0153】
別の特に好ましい実施形態では、本発明のフィルムは以下の層組成を有する。
1.ヒートシーラント層a):100重量%のEVA又はEMA又はEBA又はEP又は変性エチレンアクリレート(又は好ましくは80重量%のEVA又はEMA又はEBA又はEP又は変性エチレンアクリレート、及びエチレンコポリマーを担体として有する20重量%のブロッキング防止及びスリップマスターバッチ)
2.内層d):100重量%のプロピレンとエチレンとのコポリマー
3.結合層e):100重量%の無水マレイン酸変性ポリプロピレン
4.バリア層b):100重量%のEVOH
5.結合層e):100重量%の無水マレイン酸変性ポリプロピレン
6.内層d):100重量%のプロピレンとエチレンとのコポリマー
7.外側スキン層c):100重量%のポリプロピレン(又は好ましくは90%のポリプロピレン及びPPを担体として有する10%のスリップ及びブロッキング防止マスターバッチ)。
【0154】
この実施形態では、変性エチレンアクリレートは、好ましくは、Dowによって市販されているシリーズAppeelの樹脂である。
【0155】
別の特に好ましい実施形態では、本発明のフィルムは以下の層組成を有する。
1.ヒートシーラント層a):100%のLLDPE(又は好ましくは75重量%のLLDPE及びLLDPEを担体として有する25重量%のくもり止め及びブロッキング防止マスターバッチ)
2.内層d):100%のLLDPE
3.結合層e):100重量%の無水マレイン酸変性LLDPE
4.バリア層b):100重量%のEVOH
5.結合層e):100重量%の無水マレイン酸変性LLDPE
6.内層d):100%のLLDPE
7.外側スキン層c):100%のLLDPE(又は好ましくは75重量%のLLDPE及びLLDPEを担体として有する25重量%のくもり止め及びブロッキング防止マスターバッチ)。
【0156】
この実施形態では、好ましくは、
ヒートシーラント層a)及び外側スキン層c)のLLDPEは、SUPEER 7318 BE、SUPEER 7118 NE(いずれもSabic製)、INEOS Olefins & polymers Europe製Eltex PF6220AA、及びLLDPEを担体として有するくもり止め及びブロッキング防止マスターバッチが存在する場合は、Tosaf製AF 5841LLのブレンドとすることができ、
内層d)のLLDPEは、SUPEER 7318 BE、SUPEER 7118 NE(いずれもSabic製)、INEOS Olefins & polymers Europe製Eltex PF6220AAのブレンドとすることができ、
結合層e)の無水マレイン酸変性LLDPE)は三井化学製ADMER NF927Eとすることができ、
バリア層b)のEVOHはMCPP三菱ケミカル製G-Soarnol GH3804Bとすることができる。
【0157】
この実施形態のフィルムは、好ましくは架橋され、好ましくは電子線照射によって架橋され、好ましくは、放射線量は20~40kGy、より好ましくは37kGyである。
【0158】
この実施形態のフィルムは、好ましくは約15~約50ミクロン、より好ましくは約20~約40ミクロン、さらにより好ましくは約22~約35ミクロンに含まれる厚さ、さらにより好ましくは約21.10ミクロン又は約25ミクロンの厚さを有することができる。
【0159】
この実施形態では、各層の厚さは、好ましくは以下のものとすることができる。
ヒートシーラント層a):約4ミクロン~約8ミクロン、好ましくは約5ミクロン~約7ミクロンに含まれ、より好ましくは約5ミクロン又は約7ミクロン、
内層d):約1ミクロン~約3ミクロンに含まれ、好ましくは約2ミクロン又は約2.2ミクロン、
結合層e):約1ミクロン~約4ミクロンに含まれ、好ましくは約2.5ミクロン、
バリア層b):約1ミクロン~約3ミクロンに含まれ、より好ましくは約1.7ミクロン又は約2ミクロン、
外側スキン層c):約4ミクロン~約8ミクロン、好ましくは約5ミクロン~約7ミクロンに含まれ、より好ましくはそれは約5ミクロン又は約7ミクロンであり得る。
【0160】
この実施形態では、全フィルム厚に対する各層の厚さの比は、以下であることが好ましい。
ヒートシーラント層a):16%~38%、好ましくは20%~33%に含まれ、より好ましくは、約24%又は約28%、
内層d):4%~14%、好ましくは6%~12%に含まれ、より好ましくは、それは約8%又は約10.5%であり得、
結合層e):6%~16%、好ましくは8%~14%に含まれ、より好ましくは、それは約10%又は約12%であり得、
バリア層b):4%~14%、好ましくは7%~10%に含まれ、より好ましくは、それは約8%であり得、
外側スキン層c):16%~38%、好ましくは20%~33%に含まれ、より好ましくは、約24%又は約28%。
【0161】
この実施形態のフィルムは約25ミクロンの厚さを有し、ヒートシーラント層a)の厚さは約7ミクロン、各内層d)の厚さは約2ミクロン、各結合層e)の厚さは約2.5ミクロン、バリア層b)の厚さは約2ミクロン、及び外側スキン層c)の厚さは約7ミクロンであることが特に好ましい。
【0162】
また、この実施形態のフィルムは約21.10ミクロンの厚さを有し、ヒートシーラント層a)の厚さは約5ミクロン、各内層d)の厚さは約2.2ミクロン、各結合層e)の厚さは約2.5ミクロン、バリア層b)の厚さは約1.7ミクロン、及び外側スキン層c)の厚さは約5ミクロンであることが特に好ましい。
【0163】
好ましくは、本発明のフィルムの全組成は、フィルムの総重量に基づいて、少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%の1種以上のポリオレフィンを含む。種々の層を製造するために同じポリオレフィンを適切に選択することにより、ポリオレフィン流(すなわち、RIC4又はRIC5)におけるリサイクルの要件を満たすことができる「モノマテリアル」にできるだけ近いフィルムを容易に得ることができる。
【0164】
本発明のフィルムは、ヘイズ(ASTM D1003に従って測定)及び光沢(ASTM D2457)に関して良好な光学特性を有する。良好な光学特性は、包装された製品の目視検査を可能にするので、包装フィルムにとって望ましい特性である。典型的には、本発明のフィルムは、15%以下、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満のヘイズを有する。本発明のフィルムは、60°で、90g.u.以上、好ましくは100g.u.より高い、より好ましくは110g.uより高い光沢値を有することができる。
【0165】
さらに、本発明のフィルムは、良好なシーラント特性及び封止強度を有する。支持体、典型的にはトレイの蓋として使用する場合、本発明のフィルムをPET支持体、好ましくはAPET支持体、PE支持体、PP支持体上に容易に封止することができる。同様に、本発明のフィルムは、支持体の封止面にPET、好ましくはAPET、PE、又はPPライナーを有する支持体上に封止することができる。封止温度は、典型的には、100℃~170℃に含まれる。
【0166】
あるいは、本発明のフィルムは、以下に記載するように、ヒートシール可能層a)の2つの部分を接触させること、及びヒートシール可能層a)の一部及び外層c)の一部を接触させることの両方で、それ自身の上に封止することも可能であり、可撓性容器を形成することができる。
【0167】
本発明のフィルムの全厚は、意図される包装用途に応じて、広い制限内で様々であり得る。典型的には、それは4~120ミクロンに含まれる。一実施形態において、好ましくは、本発明のフィルムが支持体又は容器に適用される蓋として使用される場合、又はラップフィルムとして使用される場合、フィルムの全厚は80、70、60又は50ミクロンよりも薄く、好ましくは15~50ミクロン、より好ましくは20~40ミクロン、さらにより好ましくは25~35ミクロンに含まれ得る。別の実施形態では、好ましくは、本発明のフィルムが支持体又は容器の形状に熱形成される場合、フィルムの全厚は、80~120ミクロンに含まれ得る。
【0168】
単独又は組み合わせて以下の部分的な厚さの1つ以上が本フィルムを特徴づける。
【0169】
一実施形態において、本フィルムのヒートシール可能層a)は、1~20ミクロン、好ましくは1~10ミクロン、より好ましくは3~8ミクロンに含まれる厚さを有することができる。
【0170】
一実施形態では、本フィルムの内側バリア層b)は、1~15ミクロン、好ましくは1~10ミクロン、より好ましくは1~8ミクロンに含まれる厚さを有することができる。
【0171】
一実施形態では、本フィルムの外層c)は、2~40ミクロン、好ましくは2~20ミクロン、より好ましくは3~15ミクロン、さらにより好ましくは4~10ミクロンに含まれる厚さを有することができる。
【0172】
本発明によるフィルムは、任意に架橋することができる。
【0173】
好ましい実施形態では、本発明のフィルムは架橋されない。当技術分野で知られているように、架橋は材料のリサイクル性に負の影響を与えるので、RIC4又はRIC5のリサイクル要件を完全に満たすことができるフィルムを有するためには、フィルムを架橋してはならない。
【0174】
有利なことに、トリプルバブル技術は、必ずしも架橋に頼ることなく、フィルムに所望の特性を付与することを可能にする。
【0175】
別の好ましい実施形態では、本発明のフィルムは架橋される。架橋フィルムを製造する必要がある場合、架橋は、化学架橋、電子架橋(低放射線又は高放射線方法のいずれか)又はそれらの組み合わせによって行うことができる。架橋の好ましい方法は電子線照射による電子架橋であり、当該技術分野では周知である。当業者は、フィルムの用途に適した放射線露光レベルを容易に決定することができる。しかし、好ましくは、約45kGyまで、より好ましくは20~40kGy、さらにより好ましくは25~35kGyの放射線量が適用される。
【0176】
フィルムのリサイクル性を高めるためには、低い架橋度(低放射線量を用いることによって得られる)が好ましい。
【0177】
本発明の架橋フィルムの中では、フィルムの総重量に基づいて少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%のポリエチレンを含むフィルムが好ましい。
【0178】
本発明による二軸配向フィルムは共押出される。
【0179】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、本発明によるフィルムは、いくつかの特定の付属品を備えたトリプルバブル共押出ラインを通して製造することができることを見出した。
【0180】
従来のトリプルバブル技術及び共押出プロセスは当技術分野ではよく知られており、特許文献及び非特許文献の両方で広く記載されている。例えば、WO2010/094308号(Kuhneの名称)及びEP1296830号(Kurehaの名称)は、トリプルバブル技術及びラインを詳細に記載している。
【0181】
要するに、従来のトリプルバブルプロセスでは、以下のステップが実施される。
【0182】
<i)共押出>
第一に、フィルムの種々の層を形成する溶融熱可塑性ポリマーを、円形の押出ダイスを通して共押出し、これにより、溶融したポリマーをフィルムチューブに成形することができ、ここで、フィルムの層のポリマーの各々が、押出ダイスを通して同時に押出される。このようにして、共押出多層チューブが形成され、これは「第1のバブル」に相当する。次いで、共押出多層チューブを、熱可塑性ポリマーの最低融点未満の温度まで、膨張させずに水で急冷し、そして収縮ロールを通過させる。ポリマーをその非晶質の状態で「凍結」するためには、チューブを短時間で急冷することが重要である。実際、非晶質ポリマーだけが次々に配向を受けることができるが、その結晶状態のポリマーを配向させることは不可能である。
【0183】
<ii)方向>
多層チューブは、まず、使用された全てのポリマーのTg(ガラス転移温度)を超え、かつ使用されるポリマーの大部分(好ましくは全て)のTm(融点)を下回る温度まで、予熱手段により予熱される。次いで、予熱されたチューブは、加熱配向オーブン(複数可)に入り、そこで、この温度においても、それは、同時に、内気圧によって拡張され、横方向の配向を提供し、チューブを保持するピンチロールの異なる速度によって引っ張られ、縦方向の配向を提供する。このステップの間に、空気圧及びピンチロールの速度に適切に影響を及ぼすことによって、長手方向及び横方向における所望の延伸比を得ることができる。
【0184】
この拡張されたチューブは「第2のバブル」に相当する。この技術に適した装置は、例えば、US4841605号に開示されている。
【0185】
予熱オーブン及び加熱配向オーブン(複数可)の両方は、赤外線(IR)を放射するセラミック要素を含む管状オーブンである。
【0186】
これらの先行の予熱要素及び加熱要素のセラミック要素は、典型的には1000cm-1~2200cm-1に含まれる波長の赤外(IR)線を放射する。これらの波長は、ポリエステル及びポリアミド材料によって直接吸収され、これらは、一般に、トリプルバブルによって製造された先行のフィルムの外層に存在し、それにより直接照射によって加熱される。典型的には、フィルムの他の層は、伝導により間接的な方法で加熱される。すなわち、それらは、外側のIRを吸収するポリアミド又はポリエステル層の加熱によって、又は対流によって、すなわち、オーブン内部の熱気との熱交換によって加熱される。したがって、フィルムのポリマーの少なくとも40重量%はポリエステル及び/又はポリアミドであることが一般に必要である。なぜなら、これらのポリマーは、IRオーブンによる照射によって直接加熱されるからである。他のポリマー、特にポリエチレンは、1000cm-1~2200cm-1の範囲のIR線を吸収しないので、伝導又は対流によってのみ加熱することができる。
【0187】
次に、配向されたチューブは、一連の空気リング(典型的には15℃の温度の冷気を吹く)を通ってできるだけ速く急冷され、一連の収縮ロールを通過し、平らになる。
【0188】
<iii)アニーリング(又はヒートセッティング)>
アニーリング(又はヒートセッティング)ステップは、得られたフィルムの収縮及び収縮張力特性を調節し、フィルムの低温寸法安定性をより良好に制御することを目的とする制御された加熱-冷却処理である。
【0189】
まず、配向させたフラットチューブを一般に40~60℃の温度の水浴に通す。この高温浴は配向ステップ中に発生する内部張力を除去することによりフィルム構造を安定化させる働きをし、長手方向及び横方向の両方に高い配向比を持つフィルムの場合にはカール効果を減少させる。
【0190】
次に、ピンチロールによってチューブを引っ張ると同時にチューブ内に空気を吹き込むことによって、チューブに再度吹き込み、第3のバブル(又はアニーリングバブル)を形成する。このバブルが吹き付けられるが、さらには拡張されず、したがってチューブの寸法はLD及びTDの両方において同じままである。第3のバブルが吹き付けられている間、チューブは配向IRオーブンと同様に、空気オーブン又はIRオーブンによって、一般に60~150℃に含まれる温度まで加熱される。
【0191】
次いで、一連の収縮ロールに吹き込まれたチューブを通すことによって、第3のバブルは脱気され、これによりチューブが平らになる。平らになったチューブは、最終的にロールに巻き上げられ、変換に送られる。
【0192】
これまで、従来のトリプルバブル技術は、特に少なくとも40%のポリエステル及び/又はポリアミドを含む、大量の「剛性」樹脂を含むフィルムの製造に常に用いられてきた。この理由は、上で説明したように、これらの樹脂は、IRオーブンのセラミック要素によって発せられるIR線の波長を効果的に吸収するため、主にフィルムの加熱に寄与するという事実である。さらに、剛性樹脂は高い引張強さ(配向中の第2のバブル及びアニーリング中の第3のバブルの安定性に寄与する)を有するフィルムをもたらす。
【0193】
本発明者らは、驚くべきことに、トリプルバブルプロセスにより、製造ラインに幾分かの変更を加えることにより、総ポリオレフィン含有率が60重量%を超える本発明のフィルムを製造することができた。
【0194】
以上のように、リプルバブルプロセスの課題の一つは、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムの加熱には有効であるが、ポリオレフィンフィルムを加熱しないIRオーブンを用いることによりフィルムを加熱する可能性である。
【0195】
本発明者らは、IR予熱オーブン及び配向ステップ(第2のバブル)の前及び間にチューブ状フィルムを加熱する加熱配向オーブン(複数可)にポリオレフィンの吸光度波長に一致する波長のIR線を放射するセラミック要素を導入することによって、この問題を解決した。結果として、本発明のフィルムの重量による主要成分に相当するポリオレフィンは、IR線を吸収し、フィルムは直接照射によって効果的に加熱される。典型的には、本発明のプロセスのIR予備加熱オーブン及び加熱オーブンによって放出されるIR線の波長は、2500cm-1~3000cm-1に含まれる。
【0196】
トリプルバブルプロセスのもう一つの問題は、バブルの安定性、特に第2のバブル(配向バブル)の安定性である。また、この場合も、ポリエステル及びポリアミドのような剛性樹脂が多量に存在すると、得られるフィルムがより硬く、したがって製造されている間に安定であるため、バブルの安定性を助ける。反対にポリオレフィンは柔らかい樹脂であり、そのような樹脂でできたフィルムのバブルは安定でないためほとんど形成できない。
【0197】
この点に関し、本発明者らは、予熱IRオーブンと第2のバブルの加熱配向IRオーブンとの間に配置された、追加の数個のピンチロールが、安定なバブルを得るのに役立ち、フィルムの正しく均衡の取れた配向を得るのに役立つことを見出した。
【0198】
図1に示すように、トリプルバブルラインに存在する任意の追加の複数のピンチロール(4)を、管状予熱IRオーブン(2)と加熱配向IRオーブン(3)との間に配置する。予熱IRオーブン(2)から出る予熱されたチューブは、任意の追加の数個のピンチロール(4)を通過し、ピンチロールはチューブが加熱配向オーブン(3)に入るのを助け、そこで吹きつけられ、延伸される。任意の追加の数個のピンチロール(4)は、予熱されたチューブを安定させ、配向バブルが形成される加熱配向オーブン(3)内のチューブの円滑な進入を可能にすることにより、バブル(8)の安定性に有利に働くことができる。
【0199】
したがって、本発明のさらなる目的は、本発明による多層包装フィルムを製造するための改良されたトリプルバブルプロセスであり、このようなプロセスは、順に、以下のステップ、すなわち、
i)前記フィルムの溶融した熱可塑性ポリマーを丸ダイスに通して共押出して、少なくとも層a)、b)及びc)を含む共押出多層チューブを形成するステップ、
ii)共押出した多層チューブを、好ましくは水で熱、前記可塑性ポリマーの最も低い融点より低い温度まで冷却し、これを収縮ロールに通して、フラットチューブ(6)を提供するステップ、
iii)前記チューブを数個のピンチロール(5)に通して移動させ、赤外線(IR)を放射する予熱オーブン(1、2)に通して80℃~130℃の温度まで前記チューブを予熱するステップ、
iv)予熱したチューブを赤外線(IR)を放射する加熱配向オーブン(3)に通してさらに加熱して、その温度を80~130℃に維持し、一方で前記チューブを数個の収縮ロールに通して該チューブを長手方向に引っ張り、前記多層チューブ内のガスを吹き込むことによって該チューブ横方向に膨張させることにより、長手方向及び横方向の両方における2.5:1~6:1の配向比で前記チューブを二軸配向させて、二軸配向チューブ(8)を提供するステップ、
v)前記配向チューブ(8)を好ましくは12~18℃の温度で、好ましくは空気リングに通して冷却し、該チューブを一連の搬送ロールに通して、平らにするステップ、
vi)任意に、好ましくは水浴を通過させることにより、平らにしたフィルムの温度を40℃~60℃にするステップ、
vii)数個のピンチロールに通して前記チューブを長手方向に持ち上げ、該チューブにガスを吹き込むことにより該チューブをヒートセットし、一方で60℃~150℃の温度で前記チューブを加熱するステップ、
viii)ヒートセットしたチューブを一連の搬送ロールに通して、平らにし、該チューブを巻き取るステップ
を順に含み、
ステップ(ii)及び(iv)において、前記予熱オーブン(1、2)及び前記加熱配向オーブン(複数可)(3)によって放射されるIR線の波長が、前記ポリオレフィンの吸光度波長、好ましくは2500cm-1~3000cm-1の波長と一致し、
任意に、ステップiv)では、予熱したチューブ(7)が、前記予熱オーブン(1、2)と前記加熱配向オーブン(複数可)(3)との間に配置された追加の数個のピンチロール(4)を通過する、
プロセス。
【0200】
ヒートセットステップ(vii)の間、チューブを弛緩させ、すなわち、幾分かの自由収縮及び収縮張力を除去する。典型的には、チューブは、LD及びTDの両方において0%~15%に含まれる熱緩和比まで緩和される。
【0201】
LDにおける熱緩和比は、以下の式に従って計算される。
[1-(搬送ロールの速度/ピンチロールの速度)]%
【0202】
TDにおける熱緩和比は以下の式に従って計算される。
[1-(搬送ロールに入るチューブのフラット幅/ピンチロールに入るチューブのフラット幅)]%
【0203】
本発明のさらなる目的は、上記のように本発明のプロセスに従って得られるフィルムである。
【0204】
本発明のさらなる目的は、本発明によるフィルムをそれ自体にヒートシールすることによって、又は第1及び第2のフィルムをヒートシールすることによって得ることができる可撓性容器であり、第1及び第2のフィルムのうち少なくとも第1のフィルムは本発明によるフィルムである。一実施形態において、第2のフィルムは、好ましくは、ポリオレフィンフィルム、より好ましくは、ポリエチレン又はポリプロピレンフィルムである。そのような可撓性容器では、本発明のフィルム(複数可)のシーラント層は、容器の内側に面し、包装された製品と接触する。
【0205】
別の実施形態では、第2のフィルムも本発明によるフィルムである。
【0206】
一実施形態において、可撓性容器を形成するためにヒートシールされる本発明のフィルムは、ASTM D2732に従って水中で85℃で測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における20%より高い、又はASTM D2732に従って油中で120℃で測定された、LD及びTDの両方における15%より高い、好ましくは15%~60%、より好ましくは20%~40%に含まれる自由収縮率を有するフィルムであることが好ましい。その結果、収縮性の高い可撓性容器が得られる。
【0207】
別の実施形態では、可撓性容器を形成するようにヒートシールされる本発明のフィルムは、ASTM D2732に従って油中で120℃で測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における15%よりも低い自由収縮率を有するフィルムであることが好ましい。その結果、収縮性の低い可撓性容器が得られる。
【0208】
好ましくは、可撓性容器は、バッグ又はパウチの形態である。
【0209】
当技術分野で知られたバッグ及びパウチを作製するためのあらゆる従来の方法は、本発明による多層フィルムから可撓性容器を作るために容易に適合され得る。
【0210】
本発明のさらなる目的は、本発明の多層包装フィルムを熱成形することによって得られる熱成形支持体である。このような熱形成支持体において、本発明のフィルムのシーラント層a)は、支持された製品と接触するか、又は面する支持体の表面を形成する。熱成形支持体は、剛性又は半剛性又は可撓性であることができる。好ましくは、熱成形支持体は容器とすることができ、より好ましくはトレイとすることができる。熱成形の結果、空洞が形成された本発明の熱成形支持体では、封止層a)が空洞に面している。
【0211】
一実施形態では、ASTM D2732に従って水中で85℃で測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における20%より高い、又はASTM D2732に従って油中で120℃で測定された、LD及びTDの両方における15%より高い、好ましくは15%~60%に含まれる、より好ましくは20%~40%に含まれる自由収縮率を有する本発明によるフィルムを熱成形することによって熱成形支持体が得られる。
【0212】
一実施形態において、熱成形支持体は、ASTM D2732に従って油中で120℃で測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における15%より低い自由収縮率を有する本発明によるフィルムを熱成形することによって得ることができる。
【0213】
熱成形は当前記技術分野においてよく知られており、例えば、Modern Plastic Encyclopedia、1984~1985、329~336頁に記載されている。
【0214】
熱成形では、一般に、フラットシートの形態のフィルムを、熱可塑性材料が十分に軟化されるまで加熱し、次いで、典型的にはアルミニウムでできている型の上に置く。次に、加熱されたフィルムは、真空、空気圧及び/又は直接の機械的力によって、型の表面に向かって押され、その結果、型の形状を取る。次いで、フィルムは、型に対して保持されている間に冷却され、これにより熱成形された製品を生じ、この製品は型から取り出される。
【0215】
本発明のさらなる目的は、本発明による多層包装フィルム又は可撓性容器及び/又は熱成形支持体、及びその中に包装された製品を含むパッケージである。本発明のパッケージは、本発明による多層包装フィルム又は可撓性容器、及び熱成形支持体を含むことができる。
【0216】
第1の実施形態では、本発明のパッケージは、支持体、支持体上に置かれた製品、及び本発明の多層包装フィルム(蓋用フィルム)で作られた蓋を含む蓋付きパッケージである。このような蓋付きパッケージでは、フィルムのシーラント層a)は製品に接触しているか、又は製品に面している。このフィルムは、この支持体上に全周囲に密閉(hermetic)に封止されており、したがって製品を包囲する。
【0217】
このような蓋付きパッケージでは、蓋用フィルムは、ASTM D2732に従って油中で120℃で測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における15%より低い自由収縮率を有する本発明のフィルムであることが好ましい。このフィルムには、トレイに封をした後、蓋用フィルムが縮む場合にトレイに歪みが生じないように、十分に低い自由収縮率が付与される。
【0218】
好ましい実施形態では、支持体は容器、より好ましくはトレイである。この場合(すなわち、いわゆる「トレイ蓋」用途)、フィルムは、容器の周り全体に延びる連続した周辺縁上に封止される。支持体、好ましくは容器、より好ましくはトレイは、典型的には剛性又は半剛性である。
【0219】
典型的には、支持体、又は製品と接触し、本発明の蓋用フィルムによる封止の形成に関与する支持体の少なくとも表面は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、又はPETのようなポリエステル樹脂、通常は非晶質ポリエステル樹脂(APET)、又は結晶性ポリエステル樹脂(CPET)、又はAPET/CPETからなり、又は本質的になり、発泡又は非発泡、すなわち固体のいずれかである。支持体はまた、ダンボールで作ることもでき、又は上で列挙したものとは異なる樹脂から作ることもでき、蓋用フィルムによる封止の形成に関与する支持体の表面上のPP、PE、PET、APET、CPET、又はAPET/CPETなどの樹脂からなる又は本質的になるライナーを有する。
【0220】
本発明による蓋付きパッケージは、当業者に周知の技術によって製造される。
【0221】
例えば、包装されるべき食品が支持体上又は容器内に置かれると、本発明によるフィルムは、そのシーラント層が支持体の表面又は容器の縁若しくは周辺へり/フランジと接触するように、支持体又は容器に置かれる。次に、従来の技術及び装置を用いて、温度及び/又は圧力によってフィルムを支持体に封止する。
【0222】
封止は、一般に、100~180℃、好ましくは110~160℃、より好ましくは120~150℃の温度、2~10bar、好ましくは4~8barの圧力の加熱フレームによって行われる。封止時間は、典型的には0.3~2.0秒、0.5~1.0秒程度である。
【0223】
例えば、その中に積載された製品を有する支持体は、下部チャンバー及び上部チャンバーを備える蓋封止ステーションに持ち込まれ、本発明のフィルムのウェブが、支持体の上部に提供される。次いで、下部チャンバー及び上部チャンバーを一緒に閉じ、支持体と蓋用フィルムとの間の空気を、事前の空気排除の有無にかかわらず、適切なガス又はガス混合物で任意に置換し、次いで、本発明の蓋用フィルムを支持体の表面、又は容器の縁若しくは周辺へり/フランジに、一緒に押圧された加熱フレーム又は蓋用フィルムの上のプレートと、支持体を支持する同様に枠組みされたアンビルとを組み合わせることによって封止する。蓋が封止されるのとほぼ同時に蓋用フィルムが切断され、収縮性蓋の場合には、蓋装着ステーションにおける封止要素の加熱と同時に典型的に起こるパッケージ中の蓋の収縮は所望の収縮率を得るのに十分である。しかし、必要な場合にはさらに熱収縮ステップを加えてもよい。
【0224】
トレイの蓋装着プロセスに適した蓋装着機械には、例えば、Multivac Sep. GmbHによるProseal GTO Tooling 1218 OC、Multivac 400及びMultivac T550、Mondini S.p.A.によるMondini Trave、E380、E390又はE590、Ross-ReiserによるRoss A20又はRoss S45、MecaplasticによるMecaplastic 1000、Meca-2002又はMeca-2003、Sealpacのトレイ蓋装着機及び類似機械が含まれる。
【0225】
適切なガス又はガス混合物(ガス置換包装、MAP)による空気の任意の置換は、包装される製品の特定のニーズに応じて実施され、典型的には、果物及び野菜、生鮮肉、加工肉などの製品に使用される。
【0226】
一実施形態において、本発明のパッケージは、製品を包む本発明による可撓性容器を含む可撓性パッケージである。任意に、製品を剛性又は半剛性の支持体上に、好ましくは剛性又は半剛性の容器内に置くことができる。
【0227】
例えば、可撓性容器は、本発明のフィルムで作られた収縮性バッグであってもよく、包装において、製品は、そのようなバッグに積載され、バッグは一般的に排気され、その開放端は、ヒートシールによって、又は金属などのクリップを適用することによって閉鎖される。このプロセスは、排気及びクリップ又はヒートシールの適用が自動的に行われる真空チャンバー内で有利に行われる。バッグをチャンバーから取り出した後、熱を加えてバッグを熱収縮させることができる。これは、例えば、充填されたバッグを湯浴に浸すことによって、又は熱湯シャワー又は熱気トンネルに通して搬送することによって、又は赤外線照射によって行うことができる。熱処理は、その中に包装された製品の輪郭にぴったり適合するようなきつい包みを生成する。
【0228】
なお、本発明に関連して述べられているように、可撓性パッケージが剛性又は半剛性の容器をさらに含む場合、可撓性容器は、ASTM D2732に従って油中で120℃で測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における15%よりも低い自由収縮率を有する本発明のフィルムで作られることが好ましい。
【0229】
代わりに、可撓性パッケージが、剛性又は半剛性の容器又は支持体も含まない場合、可撓性容器の収縮率はより高いことが望ましく、その結果、それは包装される製品にぴったりと接着する。この後者の場合、可撓性容器は、ASTM D2732に従って水中で85℃で測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における20%より高い、又はASTM D2732に従って油中で120℃で測定された、LD及びTDの両方における15%より高い、好ましくは15%~60%、より好ましくは20%~40%に含まれる自由収縮率を有する本発明のフィルムで作製されることが好ましい。
【0230】
一実施形態では、本発明のパッケージは、重ね合されたパッケージである。
【0231】
重ね合されたパッケージの第1の実施形態では、パッケージは、製品及び製品に巻き付けられた本発明によるフィルムを含む。
【0232】
このタイプの重ね合されたパッケージでは、重ね合せフィルムは、好ましくは、ASTM D2732に従って水中で85℃で測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における20%より高い、又はASTM D2732に従って油中で120℃で測定された、LD及びTDの両方における15%より高い、好ましくは15%~60%、より好ましくは20%~40%に含まれる自由収縮率を有する本発明のフィルムである。このようなフィルムの高い収縮率は、フィルムの収縮後の包装された製品へのフィルムの良好な接着を可能にする。このような重ね合されたパッケージは、典型的には、チーズ、加工肉、サラミなどの部分の包装に使用される。このような重ね合されたパッケージでは、本発明のフィルムのシーラント層a)は製品と接触する。
【0233】
重ね合されたパッケージの第2の実施形態では、パッケージは、剛性又は半剛性の支持体、好ましくは容器、前記支持体上又は前記容器内に配置された製品、及び支持体と製品の両方の周りに巻き付けられた本発明によるフィルムを含む。
【0234】
このタイプの重ね合されたパッケージでは、重ね合せフィルムは、好ましくは、ASTM D2732に従って油中で120℃で測定された、長手方向(LD)及び横方向(TD)の両方における15%より低い自由収縮を有する本発明のフィルムである。このフィルムには、支持体及び製品に巻きつけた後、重ね合せフィルムが縮んだときに支持体の歪みが生じないように、十分に低い自由収縮率が付与される。
【0235】
このような重ね合されたパッケージでは、本発明のフィルムのシーラント層a)が、製品及び支持体と接触するか、又はこれらに面する。
【0236】
好ましくは、本発明による重ね合されたパッケージは密閉である。このような重ね合された密閉パッケージでは、本発明のフィルムをそれ自身に封止する。好ましくは、前記重ね合された密閉パッケージ内のフィルムを、1つの長手方向のシール及び2つの横方向のシールに沿ってそれ自身に封止して、パウチを得る。
【0237】
本発明による重ね合された密閉パッケージは、例えば、水平フォームフィルシール(HFFS)又は垂直フォームフィルシール(VFFS)機械に通して、当業者に周知の技術によって製造することができる。
【0238】
例えば、重ね合された密閉パッケージは、水平フォームフィルシール(HFFS)機械によるフローパック包装方法によって得ることができる。このような方法は、慣例的に、以下を含む。
a)本発明によるフィルムを提供すること、
b)フォーマー(former)を通ってフィルムを走行させてチューブを形成すること、
c)任意に容器内又は支持体上に置かれた製品をチューブ内に挿入すること、
d)チューブを長手方向に封止すること、
e)チューブを、パッケージの最初及び最後で横方向に封止し、切断し、任意にチューブを閉じる前にチューブにガスフラッシング又は減圧を施すこと、
f) 任意にパッケージを熱収縮させること。
【0239】
詳細には、フローパック(flowpack)包装法において、必要に応じて支持体上に又はトレイのような容器内に置かれた製品は、本発明のフィルムからできた包装材料中に、好ましくは適切な所定の雰囲気下で包まれる。包装材料を作成するために、フラットフィルムは、最初にフォーマーの周りに折り畳まれ、チューブを形成するために長手方向に封止される。製品の入った容器はそのようなチューブ内置かれ、先導端が閉鎖され、適切に選択されたガス又はガス混合物でフラッシュされたこのようなチューブに入れられる。過剰なガスは一般に、パッケージの上に軽度の圧力をかけて除去し、包装材料の開口端を封止し、パッケージをチューブから分離する。収縮性フィルムの場合には、ゆったりした包装を収縮トンネル、典型的には100~150℃の温度のような収縮に適した温度に設定した熱気に通し、フィルムを収縮させ、それによりぴったりした包装にする。
【0240】
あるいは、多種多様な流動性製品の包装に非常に有用であることが証明されたVFS(垂直フォームフィルシール)包装システムを用いてパウチを作成することができる。VFFSプロセスは、当業者に知られており、例えば、US4589247号に記載されている。流動性製品を中央の垂直充填管に通して本発明の形成されたチューブ状フィルム(その下端で横方向に、及び縦方向に封止されている)に導入する。その後、チューブ状セグメントの上端を封止し、その上のチューブ状フィルムからパウチを切断することによって、パウチが完成する。
【0241】
水平又は垂直のいずれかのFFS装置は、典型的には、フィルムのフラットウェブをチューブ状の構成に形成するためのフォーマー、チューブ状の構成でフィルムの重ね合された長手方向の縁を封止するための長手方向シーラー、適切に離間した構成で製品をチューブ状フィルムに次々に供給するためのコンベア、又はVFFS装置の場合には柔らかい、流体又は粉末製品(流動性製品)のための供給管、及びチューブ状フィルムを交差方向に封止して製品を別々の包装に分離するための横方向シーラーを含む。
【0242】
フローパックプロセスに適した機械には、Ilapak Delta 2000及び3000又はUlma Baltic、Artic又はPacificが挙げられる。
【0243】
一実施形態において、本発明のパッケージは、本発明による熱成形支持体、支持体上に置かれた製品、及び支持体全周上に密閉に封止され、これにより製品を包む蓋を含む。蓋は、ポリオレフィンフィルムであることが好ましく、又は少なくともポリオレフィンシーラント層を有することができ、より好ましくは本発明によるフィルムであり、これは本発明によるフィルムで作製された熱成形支持体上に封止される。
【0244】
あるいは、本発明による熱成形支持体、支持体上に置かれた製品、及び支持体及び製品の両方の周りに巻き付けられ、これにより製品及び支持体を包むフィルムを含むパッケージを製造することができる。ラッピングフィルムは、好ましくはポリオレフィンフィルムであり得、より好ましくは本発明によるフィルムである。
【0245】
上記の本発明によるパッケージにおいて、製品は、好ましくは、食品、好ましくは、上記のパッケージに一般に包装される生鮮食品である。これらの製品の例は、生鮮肉、加工肉、魚、チーズ、果物、野菜である。
【0246】
本発明のフィルムは、電子レンジ内での調理又は加熱にも使用するのに適している。したがって、本発明によるフィルムに包装された製品は、いわゆる「調理済み食品」、すなわち調理された食品でもあり得、これは、最終消費者が電子レンジ中で調理するか又は加熱することだけが必要である。
【0247】
本発明のさらなる目的は、製品、好ましくは食品を包装するための本発明によるフィルムの使用である。典型的には、本発明のフィルムにより有利に包装できる製品は、生鮮肉、加工肉、魚、チーズ、果物、野菜などの生鮮食品、並びに調理済み食品である。
【実施例
【0248】
本発明は、単に例示的であり、特許請求の範囲の限定として解釈されるべきではない以下の実施例を参照することによって、さらに理解することができる。
【0249】
実施例に従うフィルムでは、以下の表1に示すポリマー及び組成物を使用した。
【0250】
【表1】
【0251】
EPC1: プロピレンとエチレンとブテンとのコポリマー-密度0.895g/cc、メルトフローレート(230℃/02.16kg)5.0g/10分、融点131℃、Vicat軟化点105℃、
EPC2: プロピレン/エチレンコポリマー中のブロッキング防止(シリカ)及びスリップ(アミドワックス)、灰分含有率0.5%、メルトフローレート(230℃/02.16kg)8.0g/10分、
EPC3: ブロッキング防止及びスリップを含んだプロピレンとエチレンとのコポリマー-コモノマー(エチレン)含有率3.40重量%、密度0.895g/cc、メルトフローレート(230℃/02.16kg)5.0g/10分、融点134℃、Vicat軟化点120℃、
PP-md: 無水マレイン酸変性ポリプロピレンランダムコポリマー、密度0.89g/cc、メルトフローレート(230℃/02.16kg)4.4g/10分、
EVOH: 加水分解エチレン/酢酸ビニルコポリマー-コモノマー(エチレン)含有率44mol%、密度1.14g/cc、メルトフローレート(190℃/02.16kg)2.1g/10分、メルトフローレート(230℃/02.16kg)8.2g/10分、融点161℃、
PP: ポリプロピレンホモポリマー、密度0.903g/cc、メルトフローレート(230℃/02.16kg)3.20g/10分、融点161℃、
EVA1: エチレン/酢酸ビニルコポリマー-コモノマー(酢酸ビニル)含有率18重量%、密度0.94g/cc、メルトフローレート(190℃/02.16kg)2.5g/10分、融点90℃、
EVA2: エチレン/酢酸ビニルコポリマー中のブロッキング防止(シリカ)及びスリップ(アミドワックス);
【0252】
【表2】
【0253】
以下のステップに従い、トリプルバブル共押出プロセスを経て、フィルム1及び2を製造した。各フィルムのプロセスで使用した主な操作条件を以下の表3に報告する。
【0254】
フィルム層を形成する各樹脂又は樹脂のブレンドを、押出機で処理した。全ての層を丸ダイスにより共押出し、多層溶融チューブを形成した。
【0255】
丸ダイスから出た溶融チューブは、その安定性及び寸法を改善するために、軽度の真空を加えて校正器ユニットの内側に接触させて吸引しながら、冷水カスケードリングを通して急冷(冷却)した後、一連の収縮ロールを通過させて、平らにした。
【0256】
急冷したフラットチューブ(いわゆるテープ)を配向塔に搬送し、数個のピンチロールに通して、次いで2500cm-1~3000cm-1の波長のIR線を放射する一連のIR予熱オーブンに通した。その後、予熱したテープを、2500cm-1~3000cm-1の波長のIR線を放射する一連のIR配向オーブンに通し、そこで温度勾配を設定してテープを次第にその配向温度まで加熱した。配向は、加熱したテープを上から下に引っ張り、圧縮空気で膨張させて配向バブルを形成することによって生じた。その結果、チューブ状の形態の配向フィルムが得られ、LD及びTDにおけるその配向比を表3に示した。
【0257】
チューブ状の形態の配向フィルムを冷却し、搬送ロールにより二重レイフラット形式で平らにし、ヒートセット塔に搬送した。数個のピンチロールに通した後、チューブ状フィルムを、それを配向させることなく、再びバブル形式(第三のバブル)で吹き込み、その一方で、一連のIRヒートセットオーブンに通してそのヒートセット温度まで加熱し、ヒートセットチューブ状フィルムを得た。ヒートセットステップの間に、フィルムはMD及びTD方向の両方で幾分かの緩和を受け、その収縮特徴の一部(自由収縮及び収縮張力)を取り除く。LD及びTDにおける熱緩和比%を表3に示す。
【0258】
アニールしたチューブ状フィルムを引っ張り、搬送ロールで平らにし、二重レイフラットのアニールしたチューブ状フィルムを形成し、これを巻取機に持ち込み、チューブ状の形式に巻取った。その後、チューブをオフライン分離し、最終的な幅に細長く切った。
【0259】
【表3】
【0260】
フィルム1及び2について、それらの機械的特性及び収縮特性を評価し、得られた値を以下の表4に報告する。
【0261】
23℃でASTM D 882に従ってInstron 5564動力計で弾性率、破断点伸び、破断点引張強さの評価を行った。表4に報告した値は、試験した6つの試験片の平均値である。
【0262】
表4に報告した自由収縮及び最大収縮張力の値は、試験した3つの試験片の平均である。
【0263】
【表4】
図1
【国際調査報告】