(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(54)【発明の名称】高輝度レーザー励起プラズマ光源および収差低減方法
(51)【国際特許分類】
H01J 65/04 20060101AFI20230817BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
H01J65/04 Z
H05H1/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023508052
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2021071788
(87)【国際公開番号】W WO2022029187
(87)【国際公開日】2022-02-10
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521466910
【氏名又は名称】アイエスティーイーキュー ビー.ヴィー.
(71)【出願人】
【識別番号】323002842
【氏名又は名称】アイエスティーイーキュー グループ ホールディング ビー. ヴィー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001830
【氏名又は名称】弁理士法人東京UIT国際特許
(72)【発明者】
【氏名】ガヤソフ・ロベルト・ラフィレヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】グルシュコフ・ヂェニース・アレクサンドロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】キリューヒン・ユーリィ・ボリソヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】クリフツン・ヴラジミル・ミハイロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ラシ・アレクサンドル・アンドレーエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】アブラメンコ・ドミトリー・ボリーソヴィチ
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA11
2G084BB02
2G084BB06
2G084BB23
2G084CC25
2G084CC27
2G084CC33
2G084FF33
2G084FF38
2G084FF39
2G084HH11
2G084HH20
2G084HH28
2G084HH43
2G084HH45
2G084HH52
(57)【要約】
【要約】
レーザー励起プラズマ光源が提供される。プラズマ光源は高圧ガスが充填されたチャンバ,プラズマ点火手段,連続波(CW)レーザーの集束ビームによってチャンバ(1)内に維持されるプラズマを放射する領域,およびチャンバから出るプラズマ放射のビームを含む。チャンバはチューブ,底部およびキャップを備えている。チューブの一端が底部に気密に接続され,チューブの他端がキャップに気密に接続されている。チューブおよび底部は光学的に透明な材料から作られている。底部はCWレーザーの集束ビームをチャンバに導入するように配置されている。チューブは,CWレーザーのビームに垂直かつ上記プラズマを放射する領域(2)を通る平面内において方位角の少なくとも70%にわたってプラズマ放射のビームがチャンバから出ることができるように構成されている。キャップにはガス入口が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ガスが充填されたチャンバ(1),プラズマ点火手段,連続波(CW)レーザー(4)の集束ビームによってチャンバ(1)内に維持されるプラズマを放射する領域(2),および上記チャンバから出るプラズマ放射のビーム(5)を備え,
上記チャンバ(1)がチューブ(11),底部(12)およびキャップ(13)を備え,上記チューブ(11)の一端が上記底部(12)に気密に接続されており,上記チューブ(11)の他端が上記キャップ(13)に気密に接続されており,
上記チューブ(11)および上記底部(12)が光学的に透明な材料から作られており,
上記底部(12)がCWレーザー(4)の集束ビームを上記チャンバ(1)に導入するように配置されており,
上記チューブ(11)が,上記CWレーザー(4)のビームに垂直で,かつ上記プラズマを放射する上記領域(2)を通過する平面内において方位角の少なくとも70%にわたって上記プラズマ放射線のビーム(5)が上記チャンバから出ることができるように構成されており,
上記キャップ(13)にガス入口(14)が設けられている,
ことを特徴とするレーザー励起プラズマ光源。
【請求項2】
プラズマ放射のビーム(5)の出口のために配置された上記チューブ(11)の一部が対称軸および対称中心を有しており,上記対称中心がプラズマを放射する領域に配置されており,上記チューブの一部が,好ましくはさらに円筒形状の内面,および/またはバレル状もしくはトロイダル形状の外面を有している,
請求項1に記載の光源。
【請求項3】
上記CWレーザーのビームが,チャンバ底部(12)および光学系の全収差を最小化するように構成された表面を有する集束光学要素(16)を含む光学系によってチャンバ内に集束される,
請求項1または2に記載の光源。
【請求項4】
上記集束光学素子(16)が非球面レンズである,請求項3に記載の光源。
【請求項5】
上記集束光学素子(16)がリム(47)に固定されており,上記リムが,上記底部(12)が設けられた上記チューブ(11)の端部に固定されている,
請求項3または4に記載の光源。
【請求項6】
上記チャンバの底部(12)がレンズの形態を有している,請求項1から5のいずれかに記載の光源。
【請求項7】
上記キャップ(13)の一部(18)または細部が,プラズマを放射する領域(2)に中心を有する凹球面ミラーとして設計されている,請求項1から6のいずれかに記載の光源。
【請求項8】
上記凹球面ミラーの半径が5mm以下である,請求項7に記載の光源。
【請求項9】
上記CWレーザー(4)の上記集束ビーム(3)が上記チャンバ(1)内に垂直上向きに向けられている,請求項1から8のいずれかに記載の光源。
【請求項10】
上記キャップ(13)の一部が,タングステン,モリブデンまたはそれらを基材とする合金といった耐火材料から作られている,請求項1から9のいずれかに記載の光源。
【請求項11】
上記チューブ(11)の内面の半径が,5mm以下,好ましくは3mm以下である,請求項1から10のいずれかに記載の光源。
【請求項12】
上記チャンバのチューブ(11)および/または底部(12)が,サファイア,ロイコサファイア,溶融石英,結晶石英のグループに属する材料から作られている,請求項1から11のいずれかに記載の光源。
【請求項13】
上記チャンバをシールするために上記チューブ(11)の両端部が用いられており,上記チャンバのチューブ(11)および底部(12)がガラスセメントを用いてシールされている,および/または上記チャンバのキャップ(13)および上記チューブ(11)がはんだ付けを用いてシールされている,請求項1から12のいずれかに記載の光源。
【請求項14】
上記キャップ(13)に,上記チャンバにガスを充填するために,または/および上記チャンバ内のガス圧力およびガス組成を制御するために配置されたガス入口(14)が設けられている,請求項1から13のいずれかに記載の光源。
【請求項15】
上記キャップ(13)が金属から作られている,請求項1から14のいずれかに記載の光源。
【請求項16】
上記キャップ(13)にヒーター(35)が設けられている,請求項1から15のいずれかに記載の光源。
【請求項17】
上記プラズマ点火手段が上記チャンバ内に集束される少なくとも一つのパルスレーザービーム(21,23)を生成するパルスレーザシステム(9)であり,上記底部(12)が上記少なくとも一つのパルスレーザービーム(21,23)を上記チャンバ(1)に導入するように配置されている,請求項1から16のいずれかに記載の光源。
【請求項18】
上記パルスレーザーシステムが,Qスイッチングモードにおいてパルスレーザービーム(21)を生成し,かつフリーランニングモードにおいてパルスレーザービーム(23)を生成するパルス固体レーザーシステムであり,上記2つのパルスレーザービームが上記チャンバ内に集束される,請求項17に記載の光源。
【請求項19】
上記チャンバ(1)が外部バルブ(44)内に配置されている,請求項1から18のいずれかに記載の光源。
【請求項20】
光コレクタ(6)をさらに備えている,請求項1から19のいずれかに記載の光源。
【請求項21】
上記光コレクタ(6)が少なくとも3つのチャネル(6a,6b,6c)を含むマルチチャネル・コレクタである,請求項20に記載の光源。
【請求項22】
上記チューブ(11)が,その両端部を除いて,プラズマ放射のビーム(5)がチャンバ(1)からすべての方位角に出るように配置されている,請求項1から21のいずれかに記載の光源。
【請求項23】
高圧ガスが充填されたチャンバ(1),プラズマ点火手段,連続波(CW)レーザー(4)の集束ビームによって上記チャンバ(1)内に維持されるプラズマを放射する領域(2),および上記チャンバから出るプラズマ放射のビーム(5)を備え,
上記チャンバ(1)がチューブ(11),底部(12)およびキャップ(13)を備え,上記チューブ(11)の一端が上記底部(12)に気密に接続されており,上記チューブ(11)の他端が上記キャップ(13)に気密に接続されており,
上記チューブ(11)および上記底部(12)が光学的に透明な材料から作られており,
上記底部(12)がCWレーザー(4)の集束ビームを上記チャンバ(1)に導入するように配置されており,
上記チューブ(11)が,その両端部を除いて,上記CWレーザー(4)のビームに垂直で,かつ上記プラズマを放射する上記領域(2)を通過する平面内において,上記プラズマ放射のビーム(5)が全方位角において上記チャンバから出ることができるように構成されており,
上記プラズマ放射のビームの出口のために配置された上記チューブの一部が,対称軸,対称中心,円筒形状の内面,バレル状またはトロイダル形状の外面を有しており,上記対称中心がプラズマを放射する上記領域に配置されており,
上記キャップ(13)にガス入口(14)が設けられている,
レーザー励起プラズマ光源。
【請求項24】
レーザー励起プラズマ光源の収差を低減する方法であって,
チューブ(11),底部(12)およびキャップ(13)を備えるチャンバ(1)を用意し,ここで上記キャップ(13)にはガス入口(14)が設けられており,上記底部(12)は連続波(CW)レーザー(4)の集束ビームを上記チャンバに導入するように配置されており,上記チューブの一端が上記底部に気密に接続されており,上記チューブの他端が上記キャップに気密に接続されており,上記チャンバ(1)に高圧ガスが充填されており,上記チューブ(11)および上記底部(12)が光学的に透明な材料から作られており,
上記CWレーザー(4)の上記集束ビームによって上記ガス充填チャンバ(1)内の放射プラズマ領域(2)に放射プラズマを維持し,ここで上記チューブ(11)が,その両端部を除いて,上記CWレーザー(4)のビームに垂直で,かつ上記プラズマを放射する上記領域(2)を通過する平面内において,上記プラズマ放射のビームが全方位角において上記チャンバから出ることができるように構成されており,
対称軸,対称中心,円筒形状の内面,およびバレル状またはトロイダル形状の外面を有する形状を有し,上記対称中心が放射プラズマの領域に位置する,そのようなチューブ(11)を提供することによって,上記チューブ(11)の壁を通過するプラズマ放射線のビーム(5)の光線の経路を歪める収差を低減する,
方法。
【請求項25】
上記CWレーザ(4)のビームが,上記底部(12)および光学系の全収差を最小化する表面を有する非球面レンズ(16)を含む光学系によって集束される,請求項24に記載の方法。
【請求項26】
上記プラズマ放射のビーム(5)が9sr以上の立体角において上記チャンバを出る,請求項24または25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は2020年3月10日出願の米国特許出願第16/814371(米国特許第10770282号)および2020年8月6日出願の米国特許出願第16/986424(米国特許第10964523号)の継続出願であり,これらの全体の内容および開示は参照として本書に組み込まれる。
【0002】
この発明は,連続光放電(continuous optical discharge)を伴う高輝度広帯域光源に関する。
【背景技術】
【0003】
事前に作られた比較的高密度のプラズマ中のレーザー放射によって維持される定常ガス放電は連続光放電(continuous optical discharge:COD)として知られている。連続波(continuous wave:CW)レーザーの集束ビームによって維持されるCODは,さまざまなガス中において,特に最大200気圧の高ガス圧のXe中で実現される(Carlhoffその外,“Continuous Optical Discharges at Very High Pressure”,Physica 103C,1981年,439~447頁)。プラズマ温度が約20,000KのCODベースの光源(Raizer,“Optical Discharges,”Sov. Phys. Usp.23(11),1980年11月,789~806頁)は約0.1μmから1μmの広いスペクトル範囲における最も輝度の高い連続光源に属する。
【0004】
さらに輝度を上げるために,パルスレート(pulse rate)の高いパルスレーザーを用いてもよく,2015年12月20日発行のロシア特許第2571433号に記載されているように,CODを安定に維持するために必要な閾値以上の出力のCWレーザーと組み合わせてもよい。
【0005】
アークランプと比較してCODベースの光源は輝度が高いだけでなく寿命も長く,多くの用途に適するものである。
【0006】
2016年6月14日発行の米国特許第9368337号公報から知られる広帯域光源では,CODプラズマがレーザービーム軸に沿う細長い形状を有しており,プラズマ放射が長手方向(longitudinal direction)に集められ,これによって光源の高輝度化が提供される。
【0007】
しかしながら,プラズマ放射の有効ビーム内でのレーザー放射ロッキング(laser radiation locking)の問題が,プラズマ放射の長手方向収集の場合に発生する。
【0008】
この欠点は,2016年5月31日に公開された米国特許第9357627号から知られる広帯域光源において克服されており,そこではレーザービームの伝搬方向以外の方向において放射が収集される。この場合,チャンバ,レーザービーム(チャンバ軸に沿って上向きに向けられる)および放射プラズマ領域(チャンバの上部に近い)の相対位置を選択することによって,広帯域光源のより高い空間的および出力的な安定性が達成される。
【0009】
しかしながら,チャンバの形状および設計,ならびにCOD維持条件が,特に,チャンバの透明壁によってプラズマ線を放射する経路に導入される光学収差のために,光源の可能な限りの最高輝度を達成するために最適ではないことがある。
【0010】
この問題は,2013年3月9日発行の米国特許第8525138号から知られるレーザー励起光源において部分的に克服されており,そこでは,チャンバの透明壁によってプラズマ線を放射する経路中に導入された光学収差が,たとえば楕円ミラーといった集光器の形状を変更することによって除去される。
【0011】
しかしながら,ほとんどのレーザー励起光源においては,実際上,反射ミラーの形状の変更を実現するのは困難である。
【0012】
これらの問題は,2016年5月1日発行の米国特許第9232622号から知られる光源において部分的に克服されており,そこでは,高開口数(NA)のミラーのシステムを用いてCWレーザービームがチャンバ内において集束される。集束されたCWレーザービームが導入されるチャンバの透明壁は,高圧ガスに起因するシステム内の光学収差を排除する可変厚さを有しており,これによってCWレーザービームの集束がシャープになって光源の輝度が向上する。
【0013】
しかしながら,上記光源は,プラズマ放射線の有用ビームがチャンバの透明壁を通過するときに導入されて光源の輝度を低下させる光学収差を除去する手段を備えていない。さらには,プラズマ点火を開始するために用いられる電極によって引き起こされる欠点が光源に固有のものとなる。この設計の別の欠点は,プラズマ放射とプラズマを通過する吸収されないレーザー放射の両方が透明なチャンバ壁を通過して伝播することであり,これをブロック(遮断)するには特別な手段が必要である。
【0014】
概略的には,レーザー励起光源は,以下のようないくつかの特徴を持つ。
【0015】
-光源の輝度を低下させる,高圧ガスを伴うチャンバによって生成される光学収差
【0016】
-プラズマ放射線のビーム内のレーザー放射をブロックする必要性
【0017】
-チャンバの不完全な形状,特に,プラズマ放射出力の立体角を制限する点火電極の使用,および高温プラズマ領域と低温の周囲ガスとの間の対流ガス流の増加に起因するもの
【0018】
-チャンバ内の対流ガス流の激しい乱流による,光源の空間的安定性と出力安定性の低下
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上述した観点において,上記欠点の1つまたは複数,好ましくはすべてが,少なくとも部分的にない,高輝度かつ高安定レーザー励起光源を作成する必要がある。
【0020】
この発明の技術的課題および技術的結果は,可能な限り高輝度および高安定性を有する広帯域光源の作成に言及するものであり,レーザー放射がチャンバに入射するとき,および広帯域プラズマ放射がチャンバから出射するときの両方において,収差を補償することも特徴とするものである。
【0021】
上記目的は,高圧ガスが充填されたチャンバ,連続波(CW)レーザーの集束ビームによってチャンバ内に維持されるプラズマを放射する領域,上記チャンバから出るプラズマ放射の少なくとも一つのビーム,およびプラズマ点火手段を含む,レーザー励起プラズマ光源によって達成可能である。
【0022】
上記レーザー励起プラズマ光源は,上記チャンバが,チューブ,底部およびキャップを含みまたは備え,上記チューブの一端が上記底部に気密に(hermetically)接続されており,上記チューブの他端が上記キャップに気密に接続されており,上記チューブおよび上記底部が光学的に透明な材料から作られており,上記底部がCWレーザーの集束ビームを導入するように配置されており,上記チューブが,全方位角範囲の少なくとも70%,80%,90%または100%にわたって,プラズマ放射のビームが上記チャンバから出ることを可能にするように構成され得ることを特徴とする。上記方位角(azimuthal angle)は,CWレーザーのビームの軸(たとえばチューブの縦軸または軸方向,たとえば対称軸に対応する)に垂直であって,放射プラズマの上記領域を通過する平面(方位平面)を参照することができる。たとえば,上記チューブは,その端部を除いて,(たとえば方位角平面に対して)すべての方位角において上記チャンバからのプラズマ放射ビームの出口のために配置することができる。必要に応じて,上記キャップは金属から作ることができ,および/またはガス入口を備えるものであってもよい。
【0023】
一実施態様では,上記プラズマ点火手段は,チャンバ内に集束される少なくとも一つのパルスレーザービームを生成するパルスレーザーシステムである。上記チャンバの底部は,一または複数の,好ましくはそれぞれのパルスレーザービームを,上記チャンバ内に導入するように配置してもよい。
【0024】
この発明の好ましい実施態様では,プラズマ放射のビームの出口に配置される上記チューブの部分が,対称軸,対称中心,円筒形状の内面,バレル状(樽状)またはトロイダル形状の外面を有しており,対称の中心が放射プラズマの領域にある。
【0025】
この発明の好ましい実施態様では,上記CWレーザーのビームが,上記チャンバの底部および光学系の全収差を最小化する(最小限に抑える)表面を備える集束光学素子を含む光学系によって(by means of an optical system comprising the chamber bottom and a focusing optical element with a surface minimizing total aberrations of the optical system)上記チャンバ内に集束される。
【0026】
この発明の好ましい実施態様では,上記集束光学素子が非球面レンズ(an aspherical lens)である。
【0027】
この発明の一実施態様では,上記集束光学素子,たとえばレンズがリムに固定されており,上記リムが,上記底部が設けられた端部において上記チューブの端部に固定されている。
【0028】
この発明の一実施態様では,上記チャンバの底部がレンズの形状である。
【0029】
この発明の一実施態様では,上記キャップの一部または細部が,放射プラズマの領域内に中心を持つ凹球面ミラーとして設計されている。
【0030】
この発明の一実施態様では,上記凹球面ミラーの半径が5mm以下である。
【0031】
この発明の好ましい実施態様では,上記CWレーザーの集束ビームが垂直上向きに上記チャンバ内に向けられている。
【0032】
この発明の一実施態様では,上記キャップの一部が,タングステン,モリブデンまたはそれらをベースにした合金などの耐火材料製である。
【0033】
この発明の好ましい実施態様では,上記チューブの内面の半径が5mm以下,好ましくは3mm以下である。上記半径は,特には,上記チューブの対称軸に対して垂直,たとえば上記チューブの長手軸に垂直な半径とすることができる。
【0034】
この発明の一実施態様では,上記チャンバのチューブおよび/または底部が,サファイア,ロイコサファイア(leuco sapphire),溶融石英(fused quartz),結晶石英のグループに属する材料から作られている。
【0035】
この発明の好ましい実施態様では,上記チャンバをシール(密閉)するために,上記チューブの両端部(the end parts)が用いられる。上記チャンバの上記チューブおよび上記底部はガラスセメントを用いてシールすることができる。上記チャンバの上記キャップおよび上記チューブは,はんだ付け(soldering)を用いてシールしてもよい。
【0036】
この発明の一実施態様では,上記キャップが,上記チャンバにガスを充填する,または上記チャンバ内のガス圧およびガス成分(組成)を制御するために配置されるガス入口(gas inlet)を備えている。
【0037】
この発明の一実施態様では,上記チャンバのキャップがヒーターを備えている。
【0038】
この発明の好ましい実施態様では,上記プラズマ点火手段がQスイッチングモードのパルスレーザービームおよびフリーランニングモードのパルスレーザービームを生成する固体レーザーシステムである。
【0039】
この発明の一実施態様では,上記チャンバが,上記チャンバの外側にある,特に上記チャンバを取り囲むまたは収納する外部バルブ内に配置されている。
【0040】
この発明の一実施態様では,上記レーザー励起プラズマ光源がさらに光コレクタ(集光器)を備えている。
【0041】
この発明の一実施態様では,上記光コレクタがマルチチャネルのもので,少なくとも3つのチャネルを備えている。
【0042】
別の観点において,この発明はレーザー励起プラズマ光源における収差(aberrations)を低減する方法に関するもので,連続波(CW)レーザーの集束ビームによってガス充填チャンバ内に放射プラズマを維持し,上記チャンバからプラズマ放射のビームを出すことを特徴とする。
【0043】
上記方法は,チューブ,底部およびキャップを含みまたは備え,上記キャップがガス入口を備え,上記底部が上記CWレーザーの集束ビームを上記チャンバ内に導入するように配置され,上記チューブがプラズマ放射のビームの出口のために配置されている,そのようなチャンバの使用を含むものである。上記チューブは,上記CWレーザーのビームの軸(たとえば上記チューブの長手軸または軸方向,たとえば対称軸に対応する)に対して垂直で,かつプラズマを放射する領域を通過する平面(方位面)内の方位角の少なくとも70%,80%,90%または100%にもわたってプラズマ放射のビームがチャンバから出ていくことを可能にするように配置することができる。上記チューブは,特にはすべての方位角においてプラズマ放射のビームが外に出るように配置することができる。
【0044】
この方法はさらに,チューブ壁を通過するプラズマ放射のビームの光線の経路を歪ませる収差を,対称軸およびプラズマを放射する領域に配置することができる対称中心を有するチューブを用いることによって低減することができる。好ましくは,上記チューブは円筒形状の内面および/またはバレルまたはトロイダル形状の外面を有してもよい。上記対称軸は円筒形状の円筒軸に対応してもよい。
【0045】
この発明の好ましい実施態様では,上記CWレーザーのビームが,底部および光学系の全収差を最小化する表面を備える非球面レンズを含む光学系によって集束される。
【0046】
この発明の好ましい実施態様では,上記プラズマ放射のビームが9sr以上の立体角において上記チャンバから出る。
【0047】
提案される実施形態によって実施されると,上記チャンバ内の対流ガス流の乱れを抑制することに起因して,高輝度レーザー励起プラズマ光源の空間安定性および出力安定性の大幅な向上が達成され,これは以下の組み合わせによって生じさせることができる。
【0048】
高温プラズマ領域近くの比較的冷たい電極の存在を排除するレーザー点火の使用
【0049】
ガスの密度,温度,組成および上記チャンバの寸法を最適化するための選択肢の実行
【0050】
上記チャンバの温度安定性
【0051】
レーザービームを垂直に導入するチャンバ形状の使用
【0052】
いくつかの実施態様における外部シェルの使用
【0053】
点火電極を使用せずに連続光放電(COD)を点火することによって,出力ビームの立体角およびプラズマ放射の有用なビームのパワーを大幅に増加させることができる。
【0054】
光源の提案される設計において,上記キャップは,チャンバ内の対流ガス流の乱流を抑制するように機能し,かつプラズマを通過して伝播するレーザー放射をブロックし,光源の高い出力安定性,およびプラズマ広帯域放射のビームにおけるレーザー放射の非常に効果的な除去の両方を提供する。
【0055】
ガス入口を備える金属キャップを使用することによって,チャンバ内のガス圧および温度を最適化し,光源の最大明るさおよび安定性を得ることができる。既知の解決策と異なり,キャップにガス入口を配置することによって,すべての方位角においてチャンバからのプラズマ放射のビームが妨げられることなく出力されるので,光源設計の最適化が達成される。チャンバのキャップの一部を凹面球面ミラーの形に形成し,その中心をプラズマ放射領域に配置することによって光源の輝度をさらに高めることができる。
【0056】
上記提案される光源は,放射プラズマ領域におけるレーザービームの鋭い集束を提供する。上記チャンバの提案される形状は,プラズマ放射ビームがチャンバを出るときにビームに導入される収差を減少させる。これらすべてが,ガスの温度および圧力の最適化とともに,光源の明るさを増加させる。
【0057】
適用されるガス成分(組成)の多様性を拡大できるようにするチャンバ材料の使用の可能性,特にはサファイアとともに使用される金属ハロゲン化添加物の使用も実現される。
【0058】
したがって,この発明によって,レーザー励起光源の輝度,出力容量,および放射の品質を向上させることができ,その空間的安定性および出力安定性が大幅に改善され,プラズマ放射スペクトルを制御するオプションが拡張される。
【0059】
特に断りのない限り,上述した様々な実施態様を互いに組み合わせることができるのは明らかである。
【0060】
この発明の上記したおよび他の目的,利点および特徴は,添付図面を参照して一例として与えられる,実施形態の以下の非限定的な説明からより明らかになるであろう。
【0061】
提案する装置の技術的本質および動作原理は図面によって説明される。
【0062】
図面において,装置の同一部材には同一符号を付す。
【0063】
これらの図面は,この技術的解決策の実施形態の全範囲を網羅するものではなく,さらに限定するものではなく,その実施の特定ケースの例示的な例にとどまるものである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】一実施態様によるレーザー励起プラズマ光源の概略図である。
【
図6】3チャネルの光コレクタを備える光源の概略図である。
【
図7】外部バルブを備える光源チャンバの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
この説明は,この発明がどのように実施されるかを説明するために提供されるものであり,限定的な意味で解釈されるべきではない。むしろ,様々な要素の表現は,それらの機能および一般的な目的が当業者に明らかになるように選択される。本書において使用されるとき,単数形「a」,「an」および「the」は文脈が明確に別段の指示をしない限り,複数形も含むことを意図している。「備える」,「有する」,「含む」および「含有する」という用語は,特に断りのない限り,制限のない語(すなわち「含むが,これに限定されない」を意味する)として解釈される。
【0066】
この発明の一実施態様(
図1)では,レーザー励起光源は,通常10気圧(10 atm)を超える高圧のガスが充填されたチャンバ1を備えている。チャンバは,CWレーザー4の集束ビーム3によって維持される(sustained)放射プラズマ領域2を含む。プラズマ放射の少なくとも一つのビーム5が光コレクタ(集光器)6に向けられ,その後の使用のために,チャンバ1を出る。この発明の一実施態様では,上記光コレクタは,プラズマ放射のビーム7を形成する放物面ミラー(parabolic mirror)6を備え,ビーム7は,たとえば光ファイバまたはミラーのシステム(a system of mirrors)を介して光消費システム(optical consumer system)8に伝送され,そこで広帯域プラズマ放射が利用される。
【0067】
光源は,プラズマ点火手段がパルスレーザーシステム9であって,これがチャンバ1内にすなわち放射プラズマ2を維持することを目的とする領域内に集束される少なくとも1つのパルスレーザービーム10を生成することを特徴とする。
【0068】
この発明によると,チャンバ1は,チューブ(tube)11,底部12およびキャップ13を備えるまたは含む。チューブ11の一端は底部12にしっかりと接続されており,チューブ11の他端はキャップ13にしっかりと接続されている。キャップ13は,たとえばチューブを通じてチャンバにガスを充填するためのもので,充填後に密封される。チャンバのチューブ11および底部12は光学的に透明な材料から作られている。
【0069】
上記底部は,CWレーザー4の集束ビーム3,およびプラズマ点火に使用されるパルスレーザービーム10の一または複数,好ましくはそれぞれをチャンバ内に導入するためのものである。
【0070】
光学的に透明な材料で作られたチャンバのチューブ11は,プラズマ放射のビーム5をチャンバ1から出力するためのものである。
【0071】
提案される実施形態にしたがって実装されると,チャンバの設計およびレーザー励起光源の動作モードを最適化する可能性が実現され,輝度ならびに空間安定性およびパワー(出力)安定性が向上する。
【0072】
プラズマ放射のビーム5において,チューブの内面および/または外面に垂直でない光線経路が,チューブ11の壁を通過するときに歪められる。この収差(aberrations)の結果,光源の輝度が大幅に低下することがある。
【0073】
光源の輝度を高めるために,この発明の好ましい実施形態では,チューブ11の形状が,チューブ壁を通過するときにプラズマ放射の光線経路を歪める収差を低減する機能を組み込んでいる。プラズマ放射のビーム5がチャンバから出るときに通過するチャンバの外面および内面の部分が2つの同心球であれば収差の完全な除去が達成されるが,その実装は困難であることがある。
【0074】
特に,チャンバ製造プロセスを単純化するために,好ましくは,
図1に示すように,チューブ11の内面の一部は円筒形である。
【0075】
収差の大幅な低減を達成するために,この発明の好ましい実施形態では,プラズマ放射ビーム5の出口のために配置されたチューブ11の一部が,対称軸,対称中心,円筒形状の内面(an axis of symmetry, a center of symmetry, a cylindrical shape of an internal surface),バレル状またはトロイダル形状の外面(a barrel-like or a toroidal shape of an external surface)を有し,上記対称中心がプラズマを放射する領域2に位置されている(
図1)。この発明のこの実施形態において,比較的単純で製作が容易なチャンバ1を用いて収差が低減される。
【0076】
図2aは,円柱形チューブ11の壁を通過する準ゼロ次元放射プラズマ領域2からのホモセントリックビーム(a homocentric beam from quasi-zero- dimensional radiating plasma region 2)の概略図を示している。放射プラズマ領域2のすぐ近くのビーム開口角(beam opening angle)を光線15によって示す。境界面,すなわちチャンバのチューブ11の表面(surfaces)では,光線はスネルの屈折法則にしたがって屈折する。
【0077】
n1sinθ1=n2sinθ2 (1)
【0078】
ここでn1は光が界面に当たる媒体の屈折率,n2は界面を通過した光が広がる媒質の屈折率,θ1は光の入射角,すなわち表面に入射する光線と表面の法線の間の角度,θ2は光の屈折角,すなわち上記表面を通過した光線と上記表面の法線との間の角度である。
【0079】
チャンバの透明チューブ11を通過した光線15を光線15’とすると,
図2aに示すように,光線15’は光線15から変位しかつ光線15に平行である。法線に対する角度が大きければ大きいほど,変位は大きくなる。チャンバの円筒形チューブを通過した結果としてビームは非点収差(astigmatic)になり,すなわちチャンバ壁を通過した光線は一点に収束しなくなる。チャンバを出た光線15’の視点から見ると,その延長線を破線15’’で示すように,準ゼロ次元の放射源(光線の仮想中心15’)は,収差のためにディスク形状2’(
図2a)をとり,その結果として,チャンバの外側から見える表面積(the surface area visible from the outside of the chamber)が大幅に増加する。したがって,単純な円形および円筒形のチャンバのチューブを用いると,収差が,チューブ表面に対して垂直以外の方向の光源の輝度を実質的に低下させる。
【0080】
チューブ11の外面がこの発明の一実施形態にしたがって実現される場合(
図2b),チューブ壁を通過した後の光線15'は,光線15から変位するだけでなく,放射プラズマ領域2の近くの光線15の伝搬方向に対して傾斜もする。その結果として,光線15'で示す開口角のビームはほぼ同心のままであり,チャンバのチューブを通過した光線15'の側から見える放射プラズマ領域2'は準ゼロ次元のままとなる(remains quasi-zero-dimensional)。
【0081】
このように,光源は,
図2bに示すようなチャンバの相応に成形されたチューブ11を通過するビームを用いる光学消費システムに対して準ゼロ次元のままである。これは,
図2aに例として示されているチューブ構成において光源の輝度を大幅に低下させる収差の効率的な除去の証拠を提供するものである。
【0082】
一般に言えば,チューブの外面は,色収差および球面収差(chromatic and spherical aberrations)を排除するように成形される。
【0083】
実行した計算によると,寸法が0.1×0.2mmの楕円形の放射プラズマ領域と,たとえば半径約3mmの円筒形の内面,および曲率半径が20mmに近い,最適化された構成のトロイド形状の外面の場合,球形チャンバと比較して,かなり広い立体角内において光源の輝度の減少を11%にとどめることができる。たとえば,トロイド形状の外面の曲率半径Rが,チューブ11の内面の曲率半径rおよびその厚さdに依存する量の2倍から4倍の範囲内にある場合,特に有益であり得る。適切な曲率半径Rを決定するための式は,R=F*r*(1+r/d)によって与えられ,ここで係数Fは2から4の範囲内である。チューブの壁を通過した後,光線は点状光源から発しているように見え,結果として収差が効率的に除去されかつ輝度が向上する。
【0084】
レーザー励起プラズマ光源は次のように動作する。CWレーザー4の集束ビーム3が,両端部がチャンバの底部12およびキャップ13にしっかりと接続されているチューブ11を含むチャンバ1に向けられる(
図1)。キャップ13は,チャンバを高圧ガス,たとえば10気圧以上のキセノンで満たすためのものである。他の不活性ガスおよびそれらの混合物を充填に用いてもよく,これにはたとえば水銀などの金属蒸気を含むもの,またはハロゲンを含むさまざまなガス混合物が含まれる。パルスレーザーシステム9が,放射プラズマを維持することを目的とするチャンバの領域2に集束される少なくとも一つのパルスレーザービーム10を生成する。CWレーザー4のビームおよびパルスレーザーシステム9のビームが,集束光学素子16およびチャンバの底部12を通ってチャンバ1内に導入される。パルスレーザーシステム9は光ブレイクダウン(光破壊)を提供するもので,10
18電子/cm
3程度の値を有する連続光放電(COD)の閾値プラズマ密度よりも高い密度を有する初期プラズマの生成を提供する。初期プラズマの濃度(concentration)および体積は,300Wを超えない比較的低出力のCWレーザー4の集束ビーム3を用いてCODを定常的に維持するのに十分である。定常モードにおいて,高輝度広帯域放射が,その後の使用を意図したプラズマ放射の少なくとも一つの出力ビーム5によって,CODの放射プラズマ領域2から出力される。プラズマ放射のビーム5は,チューブ11を通ってチャンバを出る。チューブ11の外面は,プラズマ放射がチューブ壁を通過するときプラズマ放射の光線の経路を歪める収差を低減するように成形されている。
【0085】
図1は,この発明によるチャンバのチューブ11が,チャンバを密閉するために使用されるその端部に近い部分を除いて,チャンバからのプラズマ放射のビーム5の出口がすべての方位角であることを意図すること(intended for exit of beam 5 of plasma radiation from the chamber in all azimuths)を示している。これは,CWレーザーのビーム3の軸に垂直なプラズマを放射する領域2を通過する方位面において,プラズマ放射のビームが0°から360°までのすべての方位角においてチャンバから出ることを意味する。好ましくは,ビーム5の(
図1の図面の平面における)開き角(opening angle)は90°以上である。これは,有用なプラズマ放射のビーム5が,チャンバ1から光コレクタ6に,9sr以上または全立体角の70%を超える立体角で出射することを意味する。
【0086】
高輝度のレーザー励起光源を提供するためには,CWレーザーのビーム3の鋭い集束が必要とされる。そのためには,収差,特に集光光学系の球面収差を最小化する(最小限に抑える)必要がある。この発明によると,CWレーザー4のビーム3はチャンバの底部12および集束光学素子16を含む光学系によってチャンバ1内に集束される。
図1に示すように,ミラー,たとえば軸外放物面ミラー(off-axis parabolic mirror),または
図1に示すような好ましくはサイズが小さいレンズ16を,集束光学要素として使用することができる。
【0087】
上記チャンバの設計を簡単にするために,その底部12は,たとえば球面および/または平坦面を有するプレートの形で,商業的に入手するのが非常に簡単な光学要素の形で作られることが好ましい。この実施態様では,チャンバの外側に位置し,かつチャンバの底部よりも複雑な形状を有する光学要素16が,光学要素16それ自体およびチャンバの底部12を含む光学系の全収差を最小化する機能を組み込んでいる。
【0088】
図3aは,例示目的にレーザービームを集束するための光学系の概略図を示すもので,上記光学系は,平凸球面レンズの形態のチャンバの底部12と,平凸非球面レンズの形態の集束光学要素16を備えている。好ましくは,上記チャンバの底部と上記非球面レンズは異なる材料から作られており,これによってこれら2つの要素の光学系の特性をより柔軟に最適化することができる。
【0089】
図3bの計算結果は,この実施形態にしたがって実現される光学系が,一般に,チャンバの底部から約4mmの距離において,半径2.5μm程度の小さな空間領域にレーザービーム出力の約90%を集束させることができることを示している。
【0090】
もっともこの発明は,CWレーザーのビーム3の鋭い集束が,チャンバの底部12である一つの集束レンズ,特に非球面の集束レンズのみによって提供される他の実施形態を許容する。
【0091】
図4に示すように,この発明の好ましい実施態様では,CWレーザー4の集束ビーム3の軸3が,重力17の力に逆らって,ほぼ垂直にまたは垂直上方に(close to vertical or vertically upward)向けられる(方向づけされる)。提案される実施形態にしたがって実施されると,レーザー励起光源の最高の放射出力安定性が達成される。これは,放射プラズマ領域2が,通常,CWレーザーの集束ビーム3の強度が放射プラズマ領域2を維持するためにまだ十分に高い集束レーザービームの断面まで,CWレーザーの集束ビーム3に向かって焦点から変位されるという事実(the fact that radiating plasma region 2 is typically displaced from the focus towards focused beam 3 of the CW laser up to that cross-section of the focused laser beam where the intensity of the focused beam 3 of the CW laser is still high enough to sustain radiating plasma region 2)に関連する。CWレーザーの集束レーザービーム3が下から上に向けられると,最高温度で低質量密度のプラズマを含む放射プラズマ領域2は浮力の作用で浮く傾向がある(tends to float)。放射プラズマ領域2は,上昇すると,CWレーザーの集束ビーム3の断面がより小さく,レーザー放射強度がより高い,焦点に最も近い場所で終わる(ends up)。一方においてはこれによりプラズマ放射の輝度が増加し,他方では放射プラズマ領域に作用する力が均等化され,高輝度レーザー励起プラズマ光源の放射出力の高い安定性が保証される。
【0092】
これらのプラスの効果を実現するために,好ましくは,チャンバ1は軸対称であり,CWレーザーの集束ビーム3の軸がチャンバの対称軸と位置合わせされる。
【0093】
チャンバ内の対流の乱れは、特にその寸法を縮小することによって抑制される。これは,レーザー励起光源の提案される設計において容易に実現可能であり,その実施形態は,チューブの円筒形内表面の半径が5mm未満,好ましくは3mmを超えないことを特徴とする。
【0094】
レーザー励起光源の出力パラメータの安定性は,放射プラズマ領域2において加熱されたガスによる浮力の作用の下で得られる運動量の値にも影響される。プラズマ放射の領域5がチャンバの上壁に近ければ近いほど,ガスが獲得する運動量および対流の乱流は小さくなる。これに関し,
図4に示す実施形態における光源の出力特性の安定性を高めるために,チャンバのキャップ13の一部または部分18が,3mm未満の距離で放射プラズマ領域2に近接して配置され,光源の寿命に対する明白な悪影響を回避するために可能な限り最小限に配置される。
【0095】
これに関し,上記キャップの部分18を,タングステン,モリブデンまたはそれらをベースとする合金といった耐火材料から作成してもよい。
【0096】
キャップの部分18はまた,放射プラズマ領域を通過したレーザー放射,および広帯域プラズマ放射を反射して放射プラズマ領域2に集束する機能を備えるように作成することもできる。これによってプラズマ温度が上昇し,光源の輝度および効率が向上する。
図4に示すこの発明の実施形態では,キャップの部分18が,放射プラズマ領域2内に(球面ミラー表面の)中心を有する凹面球面ミラー19の形態で作られている。
【0097】
この発明の実施形態では,上記チャンバのチューブ11および底部12を,単一片の材料から一体型ユニットとして製造することができる(
図4)。
【0098】
他の実施態様において,上記チャンバのチューブ11および底部12は,耐火ガラス繊維強化セメントを用いてきつくシールされ,900K以上の高温における光源の長寿命が保証される。
【0099】
チューブ11の近端部(near-end parts),すなわち円筒状チューブの軸方向端部に近い部分はチャンバをシールするために用いられる。この場合,チャンバのキャップ13およびチューブ11は,好ましくは900K以上の融点を有する高温ろう付け(high-temperature braze)を用いたろう付けによってきつくシールされる。ろう付けの前に,チャンバのチューブ11の近端部分はメタライズされる(metalized)。
【0100】
上記チャンバのキャップは金属またはセラミックスのいずれかから作られた複数のピースまたはパーツを包含または含んでもよい。
【0101】
好ましくは,上記チャンバのチューブ11および底部12はサファイア,ロイコサファイア(leuco-sapphire),溶融石英および結晶石英を含むグループからの材料から作られ,これらは最も際立った光学的,物理的,化学的および機械的特性を有している。
【0102】
図5は,この発明による光源の詳細例を概略的に示している。この発明のこの実施例では,プラズマ点火を開始するために固体レーザーシステムが用いられ,これはQスイッチングモードにおいて第1のレーザービーム21を生成する第1のレーザー20と,フリーランニングモード(free-running mode)において第2のレーザービーム23を生成する第2のレーザー22とを含む。能動素子24,25を有するパルスレーザーは,たとえばフラッシュランプ26の形態の光ポンピング源を備え,好ましくは,キャビティの共通ミラー27,28を有している。第1のレーザー20はQスイッチ29を備えている。
【0103】
2つのパルスレーザービーム21,23が,チャンバ内において,放射プラズマ2を維持することを意図する領域で集束される(
図4)。第1のレーザービーム21はプラズマ点火または光ブレイクダウン(光学破壊)を開始することを目的としている。第2のレーザービーム23はプラズマを生成することを目的としており,その体積と密度はCWレーザーの集束ビーム3を用いて放射プラズマ領域2を定常状態に維持するのに十分である。
【0104】
好ましくは,CWレーザー4として高効率近赤外ダイオードレーザ(high-efficiency near-infrared diode laser)が用いられ,その出力が光ファイバ29に向けられる。光ファイバ29の出口において,拡大レーザービームがたとえば集光レンズの形態のコリメータ30に向けられる。コリメータ30の後,CWレーザーの拡大された平行ビーム31がたとえば非球面集光レンズの形態の集束光学要素16に向けられる。光学素子16およびチャンバの底部12を含む集束光学系は,光源の高輝度を達成するために必要なCWレーザー4のビーム3の鋭い集束を保証する。
【0105】
好ましくは,CWレーザーの波長λ
CWは,第1および第2のパルスレーザービーム21,23の波長λ
1,λ
2と異なる。たとえば,CWレーザーの波長はλ
CW=0.808μmまたは0.976μmとすることができ,パルスレーザーは波長λ
1=λ
2=1.064μmを持つことができる。これによってダイクロイックミラー32を使用して,CWレーザーのレーザービーム31とパルスレーザーのビーム21,23を導入することができる。パルスレーザービームのビーム21,23を転送するために回転ミラー33(
図5)も用いることができる。
【0106】
プラズマ放射のビーム5が向けられる光コレクタ6はプラズマ放射のビーム7を形成し,これがたとえば回転ミラー34および光ファイバを含む別の光学システムを使用して,広帯域プラズマ放射を用いる光消費システムに送られる。
【0107】
この発明の実施態様では,上記チャンバのキャップはヒーターを備え,上記ヒーターは,たとえば加熱コイル36と,加熱コイル36と通電母線39との間に温度差を与えるための温度ブリッジ38を介して加熱コイル36に接続される電流源37を含む。さらに通電母線39は,たとえば空冷式ラジエータの形態の熱交換器(図示略)を備えることができる。上記チャンバのキャップ13はチャンバ温度を測定するための熱電対40も備えてもよい。さらに加熱コイル36を備えるチャンバのキャップ13を断熱エンクロージャ(図示略)内に配置してもよい。
【0108】
ヒーター36はチャンバを動作温度まで開始前に加熱するためのもので,これによりプラズマ点火の開始が容易になり、チャンバの事前設定された最適な高温の下で,好ましくは600K~900Kの範囲で,光源の定常動作モードの迅速な開始が保証される。
【0109】
この発明の好ましい実施態様では,上記高輝度光源は制御ユニット41を含み,これが消費システムに向かうプラズマ放射のビーム7におけるプリセット出力(preset power)を自動維持する機能を組み込んでいる(
図5)。この目的のために,光源はパワーメータ42を備え,カプラ(図示略)を使用して消費システムに向けられたプラズマ放射のビーム7からの光束の小部分がパワーメータに供給される。好ましくは,制御ユニットは,ヒーター35,熱電対40,パワーメータ42,パルスレーザーシステム9,およびCWレーザー4の電源ユニットと接続される。プラズマ放射のビーム7におけるプリセットパワーは,制御ユニット41によって,パワーメータ42とCWレーザー4の電源ユニットとの間のフィードバック回路を通じて維持される。さらに制御ユニット41は,上記チャンバをその最適な高温で熱的に安定させるように機能させることができる。この発明のこの実施形態ではレーザー励起光源の出力および輝度の高い安定性が達成される。
【0110】
図1では,プラズマ放射のビーム5の出力が光コレクタ6に向かい,すべての方位角において放射が収集されるが,この発明による光源はこの実施形態に限定されないものである。他の実施形態では,プラズマ放射は,
図6に示すように,少なくとも3つのチャネル6a,6b,6cを備えるマルチチャネルの光コレクタによって収集することができ,ここで光源の断面は放射プラズマ領域2を通過する水平面に配置される。点火を生成し,連続的な光放電を維持する
図6のレーザービームは図面の平面下に配置されている(located below the drawing plane)。一つの光源にマルチチャンネルの光コレクタを使用することは,多くの産業用アプリケーションにおいて必要とされている。この発明の実施形態では,レーザー励起プラズマ光源のチャンバ1をケーシング43内に配置することができ,ケーシング43が3つのチャネル6a,6b,6cを備える光コレクタを備え,各チャネルがプラズマ放射の対応する部分5a,5b,5cを受ける。光コレクタのチャネル6a,6b,6cは,たとえば光ファイバを介して広帯域プラズマ放射を使用する光消費システム8a,8b,8cに転送されるプラズマ放射7a,7b,7cのビームを形成する。これにより一つの光源を3つ以上の光消費システムに使用できるようになり,システムのサイズが小さくなること,およびすべての光チャネルにおいて広帯域プラズマ放射のパラメータが同等になることが保証される。
【0111】
この発明の他の実施態様では,
図7に示すように,ソケット45を備える外部シェル44内に配置される。ソケットは,チャンバ1を取り付けるために用いることができ,シーリング材料46で部分的に充填することができる。
図7ではきついシール接続が実線によって示されている。
【0112】
収差を最小限に抑えるために,上記外部シェルは,好ましくは放射プラズマ領域2中に中心を持つ球状部分を有している。
【0113】
特定の場合にレンズとされる集束光学要素16も,好ましくは外部シェル内に配置される。この場合,集束レンズ16はリム47に固定され,リム47は,たとえばガラス繊維強化セメントまたはろう付けによってチャンバ1のチューブ11の近端部に固定される(
図7)。
【0114】
チャンバ1の外側の対流をなくし,光源の輝度安定性を高めるために,外部シェルは好ましくは真空にされる。
【0115】
この発明の実施態様では,外部バルブはオゾンを生成する240~260mm未満の波長の放射をカットするフィルタの機能を組み込んだ光学材料から作成することができ,すなわちレーザー励起光源のオゾンフリーの変形例で使用することができる。
【0116】
提案される実施形態にしたがって実装されると,レーザー励起光源の耐久性,輝度および動作安定性の向上が達成される。
【0117】
一般に言えば,提案される発明は,最高の空間安定性と出力安定性を備え,9srを超える立体角においてプラズマ放射を収集する能力を備えた,無電極の高輝度広帯域光源の作成を可能にする。
【0118】
この明細書に開示される主題の特定の態様は,以下の番号付きの条項に記載されている。本願の開示のまたは任意の分割出願の特許請求の範囲は,これらの態様の一または複数を対象とすることがある。
【0119】
1.高圧ガスが充填されたチャンバ,プラズマ点火手段,連続波(CW)レーザーの集束ビームによって上記チャンバ内に維持されるプラズマを放射する領域,上記チャンバから出るプラズマ放射の少なくとも一つのビーム,上記プラズマを点火する手段を備え,上記プラズマ点火手段が上記チャンバ内に集束される少なくとも一つのパルスレーザービームを生成するパルスレーザーシステムであり,上記チャンバがチューブ,底部およびキャップを含み,上記チューブの一端が上記底部に気密に接続されており,上記チューブの他端が上記キャップに気密に接続されており,上記キャップがガス入口(gas inlet)を備えており,上記チューブおよび上記底部が光学的に透明な材料から作られており,上記底部がCWレーザーの集束ビームおよび各パルスレーザービームを上記チャンバに導入するように配置されており,上記チューブが,その両端部(its end parts)を除いて,チャンバからのプラズマ放射線のビームの出口のために配置され,かつプラズマ放射のビームの出口のために配置されたチューブの一部が,対称軸,対称中心,内面の円筒形状,外面のバレル状またはトロイダル形状を有し,かつ上記対称中心が放射プラズマの領域に位置するという事実によって,チューブ壁を通過するプラズマ放射線のビームの光線の経路を歪める収差を低減するように構成されていることを特徴とする,レーザー励起プラズマ光源。
【0120】
2.上記チャンバのチューブおよび底部が,ガラスセメントによってシール(密閉)されているか,または単一の材料から一体的に作られている,項番1に記載のレーザー励起光源。
【0121】
3.高圧ガスが充填されたチャンバ,プラズマ点火手段,連続波(CW)レーザーの集束ビームによってチャンバ内に維持されるプラズマを放射する領域,上記チャンバから出るプラズマ放射の少なくとも一つのビーム,プラズマを点火する手段を備え,プラズマ点火手段がQスイッチモードにおいて第1のレーザービームを生成する第1のレーザーを含み,かつフリーランニングモードにおいて第2のレーザービームを生成する第2のレーザーを含む固体レーザーシステムであり,上記チャンバがチューブ,底部およびキャップを含み,上記チューブの一端が上記底部に気密に(hermetically)接続されており,上記チューブの他端が上記キャップに気密に接続されており,上記キャップがガス入口を備え,上記チューブおよび上記底部が光学的に透明な材料から作られており,上記底部がCWレーザーの集束ビームおよび各パルスレーザービームを上記チャンバに導入するように配置されており,上記チューブが,その両端部を除いて,チャンバからのプラズマ放射線のビームの出口のために配置されていることを特徴とする,レーザー励起プラズマ光源。
【0122】
4.高圧ガスが充填されたチャンバ,連続波(CW)レーザーの集束ビームによって上記チャンバ内に維持されるプラズマを放射する領域,上記チャンバから出るプラズマ放射の少なくとも一つのビーム,上記プラズマを点火する手段を備え,上記プラズマ点火手段が上記チャンバ内に集束される少なくとも一つのパルスレーザービームを生成するパルスレーザーシステムであり,上記チャンバがチューブ,底部およびキャップを含み,上記チューブの一端が上記底部に気密に接続されており,上記チューブの他端が上記キャップに気密に接続されており,上記キャップがガス入口を備えており,上記チューブおよび上記底部が光学的に透明な材料から作られており,上記チャンバの上記チューブおよび上記底部が光学的に透明な材料から作られており,上記底部がCWレーザーの集束ビームおよび各パルスレーザービームを上記チャンバに導入するように配置されており,上記チューブが上記チャンバからのプラズマ放射のビームの出口のために配置されており,上記チャンバが外部バルブ内に配置されていることを特徴とする,レーザー励起プラズマ光源。
【0123】
5.上記外部バルブが,チャンバが固定された基部を備えている,項番4に記載の光源。
【0124】
6.上記CWレーザーのビームが,チャンバ底部および上記チャンバに固定された集束光学素子を備える光学系によって上記チャンバ内に集束される,項番4または5に記載の光源。
【0125】
7.上記外部バルブが気密にシールされている,項番4から6のいずれかに記載の光源。
【0126】
8.上記外部バルブが真空にされている(evacuated),項番4~7のいずれかに記載の光源。
【0127】
9.上記外部バルブが放射プラズマの領域を中心とする球状部分を有している,項番4~8のいずれかに記載の光源。
【0128】
10.上記外部バルブがオゾン生成を防ぐために配置されている,項番4~9のいずれかに記載の光源。
【0129】
この明細書は特定の実施形態を開示するが,この発明の範囲から逸脱することなく,さまざまな変更および修正を行うことができる。実施形態は,あらゆる点において例示的かつ非限定的であるとみなされるべきであり,添付の特許請求の範囲の意味および均等の範囲内にあるすべての変更がそこに含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0130】
この発明にしたがって設計される高輝度高安定性レーザー励起プラズマ光源は,分光化学分析,生物学および医学におけるバイオオブジェクトのスペクトルマイクロ分析,マイクロキャピラリー液体クロマトグラフィー,光リソグラフィプロセスの検査,分光測光およびその他の目的のために,さまざまな投影システムにおいて用いることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ガスが充填されたチャンバ(1),プラズマ点火手段,連続波(CW)レーザー(4)の集束ビームによってチャンバ(1)内に維持されるプラズマを放射する領域(2),および上記チャンバから出るプラズマ放射のビーム(5)を備え,
上記チャンバ(1)がチューブ(11),底部(12)およびキャップ(13)を備え,上記チューブ(11)の一端が上記底部(12)に気密に接続されており,上記チューブ(11)の他端が上記キャップ(13)に気密に接続されており,
上記チューブ(11)および上記底部(12)が光学的に透明な材料から作られており,
上記底部(12)がCWレーザー(4)の集束ビームを上記チャンバ(1)に導入するように配置されており,
上記チューブ(11)が,上記CWレーザー(4)のビームに垂直で,かつ上記プラズマを放射する上記領域(2)を通過する平面内において方位角の少なくとも70%にわたって上記プラズマ放射線のビーム(5)が上記チャンバから出ることができるように構成されており,
上記キャップ(13)にガス入口(14)が設けられている,
レーザー励起プラズマ光源であって,
上記CWレーザーのビームは,チャンバ底部(12)および光学系の全収差を最小化するように構成された表面を有する集束光学要素(16)を含む光学系によってチャンバ内に集束され,上記集束光学素子(16)が非球面レンズであることを特徴とする,
レーザー励起プラズマ光源。
【請求項2】
プラズマ放射のビーム(5)の出口のために配置された上記チューブ(11)の一部が対称軸および対称中心を有しており,上記対称中心がプラズマを放射する領域に配置されており,上記チューブの一部が,好ましくはさらに円筒形状の内面,および/またはバレル状もしくはトロイダル形状の外面を有している,
請求項1に記載の光源。
【請求項3】
上記集束光学素子(16)がリム(47)に固定されており,上記リムが,上記底部(12)が設けられた上記チューブ(11)の端部に固定されている,
請求項1または2に記載の光源。
【請求項4】
上記チャンバの底部(12)がレンズの形態を有している,請求項1から3のいずれかに記載の光源。
【請求項5】
上記キャップ(13)の一部(18)または細部が,プラズマを放射する領域(2)に中心を有する凹球面ミラーとして設計されている,請求項1から4のいずれかに記載の光源。
【請求項6】
上記凹球面ミラーの半径が5mm以下である,請求項5に記載の光源。
【請求項7】
上記CWレーザー(4)の上記集束ビーム(3)が上記チャンバ(1)内に垂直上向きに向けられている,請求項1から6のいずれかに記載の光源。
【請求項8】
上記キャップ(13)の一部が,タングステン,モリブデンまたはそれらを基材とする合金といった耐火材料から作られている,請求項1から7のいずれかに記載の光源。
【請求項9】
上記チューブ(11)の内面の半径が,5mm以下,好ましくは3mm以下である,請求項1から8のいずれかに記載の光源。
【請求項10】
上記チャンバのチューブ(11)および/または底部(12)が,サファイア,ロイコサファイア,溶融石英,結晶石英のグループに属する材料から作られている,請求項1から9のいずれかに記載の光源。
【請求項11】
上記チャンバをシールするために上記チューブ(11)の両端部が用いられており,上記チャンバのチューブ(11)および底部(12)がガラスセメントを用いてシールされている,および/または上記チャンバのキャップ(13)および上記チューブ(11)がはんだ付けを用いてシールされている,請求項1から10のいずれかに記載の光源。
【請求項12】
上記キャップ(13)に,上記チャンバにガスを充填するために,または/および上記チャンバ内のガス圧力およびガス組成を制御するために配置されたガス入口(14)が設けられている,請求項1から11のいずれかに記載の光源。
【請求項13】
上記キャップ(13)が金属から作られている,請求項1から12のいずれかに記載の光源。
【請求項14】
上記キャップ(13)にヒーター(35)が設けられている,請求項1から13のいずれかに記載の光源。
【請求項15】
上記プラズマ点火手段が上記チャンバ内に集束される少なくとも一つのパルスレーザービーム(21,23)を生成するパルスレーザシステム(9)であり,上記底部(12)が上記少なくとも一つのパルスレーザービーム(21,23)を上記チャンバ(1)に導入するように配置されている,請求項1から14のいずれかに記載の光源。
【請求項16】
上記パルスレーザーシステムが,Qスイッチングモードにおいてパルスレーザービーム(21)を生成し,かつフリーランニングモードにおいてパルスレーザービーム(23)を生成するパルス固体レーザーシステムであり,上記2つのパルスレーザービームが上記チャンバ内に集束される,請求項15に記載の光源。
【請求項17】
上記チャンバ(1)が外部バルブ(44)内に配置されている,請求項1から16のいずれかに記載の光源。
【請求項18】
光コレクタ(6)をさらに備えている,請求項1から17のいずれかに記載の光源。
【請求項19】
上記光コレクタ(6)が少なくとも3つのチャネル(6a,6b,6c)を含むマルチチャネル・コレクタである,請求項18に記載の光源。
【請求項20】
上記チューブ(11)が,その両端部を除いて,プラズマ放射のビーム(5)がチャンバ(1)からすべての方位角に出るように配置されている,請求項1から19のいずれかに記載の光源。
【請求項21】
高圧ガスが充填されたチャンバ(1),プラズマ点火手段,連続波(CW)レーザー(4)の集束ビームによって上記チャンバ(1)内に維持されるプラズマを放射する領域(2),および上記チャンバから出るプラズマ放射のビーム(5)を備え,
上記チャンバ(1)がチューブ(11),底部(12)およびキャップ(13)を備え,上記チューブ(11)の一端が上記底部(12)に気密に接続されており,上記チューブ(11)の他端が上記キャップ(13)に気密に接続されており,
上記チューブ(11)および上記底部(12)が光学的に透明な材料から作られており,
上記底部(12)がCWレーザー(4)の集束ビームを上記チャンバ(1)に導入するように配置されており,
上記チューブ(11)が,その両端部を除いて,上記CWレーザー(4)のビームに垂直で,かつ上記プラズマを放射する上記領域(2)を通過する平面内において,上記プラズマ放射のビーム(5)が全方位角において上記チャンバから出ることができるように構成されており,
上記プラズマ放射のビームの出口のために配置された上記チューブの一部が,対称軸,対称中心,円筒形状の内面,バレル状またはトロイダル形状の外面を有しており,上記対称中心がプラズマを放射する上記領域に配置されており,
上記キャップ(13)にガス入口(14)が設けられて
おり,
上記CWレーザーのビームは,チャンバ底部(12)および光学系の全収差を最小化するように構成された表面を有する集束光学要素(16)を含む光学系によってチャンバ内に集束され,上記集束光学素子(16)が非球面レンズである,
レーザー励起プラズマ光源。
【請求項22】
レーザー励起プラズマ光源の収差を低減する方法であって,
チューブ(11),底部(12)およびキャップ(13)を備えるチャンバ(1)を用意し,ここで上記キャップ(13)にはガス入口(14)が設けられており,上記底部(12)は連続波(CW)レーザー(4)の集束ビームを上記チャンバに導入するように配置されており,上記チューブの一端が上記底部に気密に接続されており,上記チューブの他端が上記キャップに気密に接続されており,上記チャンバ(1)に高圧ガスが充填されており,上記チューブ(11)および上記底部(12)が光学的に透明な材料から作られており,
上記CWレーザー(4)の上記集束ビームによって上記ガス充填チャンバ(1)内の放射プラズマ領域(2)に放射プラズマを維持し,ここで上記チューブ(11)が,その両端部を除いて,上記CWレーザー(4)のビームに垂直で,かつ上記プラズマを放射する上記領域(2)を通過する平面内において,上記プラズマ放射のビームが全方位角において上記チャンバから出ることができるように構成されており,
対称軸,対称中心,円筒形状の内面,およびバレル状またはトロイダル形状の外面を有する形状を有し,上記対称中心が上記放射プラズマの領域に位置する,そのようなチューブ(11)を提供することによって,上記チューブ(11)の壁を通過するプラズマ放射線のビーム(5)の光線の経路を歪める収差を低減
し,
上記CWレーザーのビームは,上記底部(12)および光学系の全収差を最小化する表面を有する非球面レンズ(16)を含む光学系によって集束される,
方法。
【請求項23】
上記プラズマ放射のビーム(5)が9sr以上の立体角において上記チャンバを出る,請求項22に記載の方法。
【国際調査報告】