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特表2023-536416表面処理顔料及び表面処理顔料を含有する化粧用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(54)【発明の名称】表面処理顔料及び表面処理顔料を含有する化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20230818BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20230818BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20230818BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20230818BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20230818BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230818BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20230818BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q1/10
A61Q1/12
A61Q1/04
A61Q1/00
A61K8/73
A61K8/89
A61K8/29
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504391
(86)(22)【出願日】2020-07-23
(85)【翻訳文提出日】2023-03-15
(86)【国際出願番号】 IB2020000644
(87)【国際公開番号】W WO2022018474
(87)【国際公開日】2022-01-27
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】521440585
【氏名又は名称】シャネル・パルファム・ボーテ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】八巻 秀之
(72)【発明者】
【氏名】黒宮 友美
(72)【発明者】
【氏名】永廣 千加子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 寿朗
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB362
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC392
4C083AC402
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD241
4C083AD242
4C083BB23
4C083BB24
4C083BB25
4C083CC11
4C083CC12
4C083CC13
4C083CC14
4C083DD21
4C083DD23
4C083DD31
4C083DD32
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE07
4C083EE11
4C083FF04
4C083FF05
(57)【要約】
本発明は、顔料表面を少なくとも1種のデキストリン脂肪酸エステル及び少なくとも1種のシリコーンアクリレートコポリマーで被覆することによって得られる表面処理顔料、並びに経時的な色及び明るさに関して改善された安定性特性を有する、表面処理顔料を含有する化粧用組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理顔料であって、その表面処理が少なくとも1種のデキストリン脂肪酸エステル、及び少なくとも1種のシリコーンアクリレートコポリマーを含むことを特徴とする、表面処理顔料。
【請求項2】
デキストリン脂肪酸エステルがイソステアリン酸デキストリンである、請求項1に記載の表面処理顔料。
【請求項3】
シリコーンアクリレートがアクリレート/ジメチコンコポリマーである、請求項1に記載の表面処理顔料。
【請求項4】
顔料が、有機顔料、複合顔料、ラッカー、無機顔料の中から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の表面処理顔料。
【請求項5】
顔料が無機顔料である、請求項4に記載の表面処理顔料。
【請求項6】
表面処理が、組成物の総質量に対して1~15質量%のデキストリン脂肪酸エステル、及び組成物の総質量に対して1~15質量%のシリコーンアクリレートコポリマーを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の表面処理顔料。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の表面処理顔料を調製する方法であって:
- デキストリン脂肪酸エステル及びシリコーンアクリレートコポリマーを溶媒に溶解させて、スラリーを形成する工程と;
- 撹拌下でスラリーを顔料に添加する工程と;
- 溶媒を除去する工程と;
- 表面処理顔料を得るために顔料を粉砕し加熱する工程と
を含む、方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の表面処理顔料、及び化粧用に許容される媒体を含む、化粧用組成物。
【請求項9】
液体ファンデーション、クリームファンデーション、固体ファンデーション、リップメーキャップ、アイメイク及びコンシーラーの中から選択される、請求項8に記載の化粧用組成物。
【請求項10】
メーキャップの色及び明るさの安定性を改善するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の表面処理顔料の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料表面を少なくとも1種のデキストリン脂肪酸エステル及び少なくとも1種のシリコーンアクリレートコポリマーで被覆することによって得られる表面処理顔料、並びに経時的な色及び明るさに関して改善された安定性特性を有する、表面処理顔料を含有する化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
長期間にわたって特に色及び明るさの点で、均一で安定な肌色を提供するために、メーキャップファンデーションは化粧品分野で使用されている。
【0003】
ほとんどのこれらの化粧用配合物は、不透明度及び色などの所望の視覚的特性並びに/又は真珠光沢及び虹色などの特殊効果を提供するために、顔料を含んでいる。
【0004】
しかしメーキャップファンデーション、特に流動性ファンデーションは、適用した際のより暗く又は赤みがかった色合いへの変化、及びほとんどが液相(水及び揮発性油)の蒸発に起因した皮膚上での乾燥等の経時的な色の変化、という欠点をしばしば有する。これらの色の変化及びメーキャップの移動は、長期間にわたって皮膚上に均一で安定な色合いを得ることを望む消費者にとって期待外れである。
【0005】
したがって、皮膚に適用されると、組成物の色が安定性を維持する、すなわち、色褪せたり、変色したり、移動したり、変化したりしないことは重要である。
【0006】
皮膚に適用されると組成物の色が進展する(evolution)1つの主要な原因は、顔料を湿潤配合物に分散させた時、その乾燥した形態と比較した顔料間の色の差である。
【0007】
過去には、顔料の色安定性を改善する努力は、顔料及び粉末の表面処理を含んだ。したがって、長年にわたって、化粧品粉末、特に顔料の安定性の問題を克服するために、多くの組成物及びそれらを表面処理する方法が開発されてきた。従来、油性相中でのより高い分散性及び顔料の湿潤を回避するために、OTS(オクタデシルトリクロロシラン)被覆、NAI(ジナトリウムステアロイルグルタメート)被覆、ASI(イソプロピルチタントリイソステアレート(ITT)及びナトリウムラウロイルアスパルテートの組合せ)被覆、ASL(ナトリウムラウロイルグルタメートリジン、塩化マグネシウム)被覆、PF(ペルフルオロアルキルホスフェート)被覆、FHS(ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン)被覆のような油による、様々な疎水化顔料被覆物が開発されてきた。
【0008】
より最近では、良好な分散性及び皮膚への接着性を有し、優れたメーキャップ持続能力を有する表面処理顔料を提供するために、文献日本国特許第5695331号などのデキストリン脂肪酸エステルによる表面処理が記述された。しかし、これらの表面処理顔料は、適用したメーキャップの経時的な色合い及び色安定性の点で、十分に良好な結果を提供しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】日本国特許第5695331号
【特許文献2】欧州特許第2537865号
【特許文献3】仏国特許出願公開第2679771号
【特許文献4】欧州特許第1184426号
【特許文献5】国際公開第2009/010356号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】ウルマン百科事典の無機顔料の章にある定義
【非特許文献2】the Personal Care Products Councilにより出版された、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、16h版、2016年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記課題を考慮して行われ、本発明の目的は、経時的な色及び明るさに関して改善された安定性特性を有する化粧用顔料、それらの製造法、並びにこうした表面処理顔料を含有する化粧用組成物を提供することであり、したがって前記組成物は、それらの経時的な色及び色合いの改善された安定性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前述の課題を解決するために徹底的な研究を行った。その結果、1つの解決策が、第1の被覆を通して顔料を特定の油で確実に湿潤させ、別の特定の第2の被覆を通して前記湿潤した顔料を確実に捕捉することを可能にすることを、本発明者らは見出した。したがって本発明は、顔料をデキストリン脂肪酸エステル及びシリコーンアクリレートコポリマーで表面処理することによって得られる処理顔料に関する。
【0013】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、本発明による顔料は、デキストリン脂肪酸エステルによって湿潤され;故に油は、顔料のまわりに吸着されると思われる。顔料の表面はシリコーンアクリレートコポリマーでも処理されるので、前記シリコーンアクリレートコポリマーは、デキストリン脂肪酸エステルの溶出を防ぐ。したがって油は、顔料のまわりに保持されて、顔料を長期間にわたって湿潤状態に維持する。
【0014】
故に、本発明により、経時的な色及び明るさに関して改善された安定性特性を有する表面処理顔料、及び表面処理顔料を含有する化粧用組成物を提供することができる。本発明による化粧用組成物は、色に関して安定性を維持し、色褪せたり、変色したり、移動したり、変化したりしない。
【0015】
したがって第1の態様では、本発明は、表面処理が少なくとも1種のデキストリン脂肪酸エステル及び少なくとも1種のシリコーンアクリレートコポリマーを含む、表面処理顔料に関する。
【0016】
第2の態様では、本発明は、本発明による表面処理顔料を提供する方法であって:
- デキストリン脂肪酸エステル及びシリコーンアクリレートコポリマーを溶媒に溶解させて、スラリーを形成する工程と;
- 撹拌下でスラリーを顔料に添加して混合する工程と;
- 溶媒を除去する工程と;
- 表面処理顔料を得るために顔料を粉砕し乾燥させる工程と
を含む、方法に関する。
【0017】
有利なことに、表面処理顔料は、改善された色及び明るさの特性を有し、したがって表面処理顔料並びにそれらを含む化粧用組成物は、色に関して安定性を維持し、色褪せたり、変色したり、移動したり、変化したりしない。
【0018】
故に第3の態様では、本発明は表面処理顔料であって、その表面処理は少なくとも1種のデキストリン脂肪酸エステル、及び少なくとも1種のシリコーンアクリレートコポリマー、並びに化粧用に許容される媒体を含むことを特徴とする、表面処理顔料を含む化粧用組成物に関する。
【0019】
第4の態様では、本発明は、メーキャップの色及び明るさの安定性を改善するための、本発明による表面処理顔料の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
表面処理顔料
第1の態様では、本発明は表面処理顔料であって、その表面処理は少なくとも1種のデキストリン脂肪酸エステル、及び少なくとも1種のシリコーンアクリレートコポリマーを含むことを特徴とする、表面処理顔料に関する。
【0021】
デキストリン脂肪酸エステル
デキストリン脂肪酸エステルは、例えば欧州特許第2537865号に記述されている。デキストリン脂肪酸エステルは、デキストリンと脂肪酸の間のエステル化によって調製される。脂肪酸によるデキストリンの置換度は、グルコース単位当たり1.0~3.0、好ましくは1.2~2.8である。
【0022】
デキストリン脂肪酸エステルで使用されるデキストリンは、好ましくは3~150、特に10~100の平均グルコース重合度を有するデキストリンである。デキストリンは、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれかの糖鎖を有してもよい。
【0023】
デキストリン脂肪酸エステルで使用される脂肪酸は、4~26個の炭素原子を有する1種又は複数の飽和分岐脂肪酸を必然的に含み、2~22個の炭素原子を有する飽和直鎖脂肪酸、6~30個の炭素原子を有する不飽和の直鎖又は分岐脂肪酸、及び6~30個の炭素原子を有する飽和又は不飽和環状脂肪酸(以下、4~26個の炭素原子を有する飽和分岐脂肪酸以外のこれらの脂肪酸は、集合的に「他の脂肪酸」とも呼ばれる)からなる群から選択される1種又は複数の脂肪酸を更に含んでもよい。
【0024】
脂肪酸の組成比は、4~26個の炭素原子を有する1種又は複数の飽和分岐脂肪酸の脂肪酸の総量に対して、50mol%超100mol%以下、好ましくは55mol%以上100mol%以下であり、他の脂肪酸の脂肪酸の総量に対して、0mol%以上50mol%未満、好ましくは0mol%以上45mol%以下である。
【0025】
使用する4~26個の炭素原子を有する飽和分岐脂肪酸の例としては、イソ酪酸、イソ吉草酸、2-エチル酪酸、エチルメチル酢酸、イソヘプタン酸、2-エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸、及びイソヘキサコサン酸が挙げられる。これらの脂肪酸の1種又は複数を、使用のために適切に選択又は組み合わせてもよい。
【0026】
好ましくは、脂肪酸はイソステアリン酸である。本明細書で使用する場合、イソステアリン酸は1種の分岐ステアリン酸又は2種以上の分岐ステアリン酸の混合物を意味する。
【0027】
本発明で使用される2~22個の炭素原子を有する飽和直鎖脂肪酸の例としては、酢酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、及びベヘン酸が挙げられる。これらの脂肪酸の1種又は複数を、使用のために適切に選択又は組み合わせてもよい。
【0028】
本発明で使用される6~30個の炭素原子を有する不飽和の直鎖又は分岐脂肪酸の例としては、cis-4-デセン(オブツシル)酸、9-デセン(カプロレイン)酸、cis-4-ドデセン(リンデル)酸、cis-4-テトラデセン(ツズ)酸、cis-5-テトラデセン(フィセテル)酸、cis-9-テトラデセン(ミリストレイン)酸、cis-6-ヘキサデセン酸、cis-9-ヘキサデセン(パルミトレイン)酸、cis-9-オクタデセン(オレイン)酸、trans-9-オクタデセン酸(エライジン酸)、cis-11-オクタデセン(アスクレピン)酸、cis-11-エイコセン(ゴンド)酸、cis-17-ヘキサコセン(キシメン)酸、及びcis-21-トリアコンテン(ルメク)酸などの不飽和モノエン脂肪酸;並びにソルビン酸、リノール酸、ヒラゴン酸、プニカ酸、リノレン酸、γ-リノレン酸、モロクト酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、EPA、クルパノドン酸、DHA、ニシン酸、ステアロール酸、クレペニン酸、及びキシメニン酸などの不飽和ポリエン脂肪酸が挙げられる。
【0029】
本発明で使用される6~30個の炭素原子を有する飽和又は不飽和環状脂肪酸は、基本骨格の少なくとも一部に環状構造を有し6~30個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪酸を意味する。これらの例としては、9,10-メチレン-9-オクタデセン酸、アレプリル酸、アレプリン酸、ゴルリン酸、α-シクロペンチル酸、α-シクロヘキシル酸、α-シクロペンチルエチル酸、α-シクロヘキシルメチル酸、ω-シクロヘキシル酸、5(6)-カルボキシ-4-ヘキシル-2-シクロヘキセン-1-オクタン酸、マルバル酸、ステルクリン酸、ヒドノカルピン酸、及びカウルムグラ酸が挙げられる。
【0030】
好ましい実施形態では、デキストリン脂肪酸エステルはイソステアリン酸デキストリン(例えば、UNIFILMA HVYなどの商品名の下で千葉製粉株式会社から市販されている製品)である。
【0031】
シリコーンアクリレートコポリマー
シリコーンアクリレートコポリマーは、アクリレート/ポリトリメチルシロキシメタクリレートコポリマー、アクリレート/エチルヘキシルアクリレート/ジメチコンメタクリレートコポリマー、スチレン/アクリレート/ジメチコンアクリレートクロスポリマー及びアクリレート/ジメチコンコポリマーの中から選択してもよい。
【0032】
好ましい実施形態では、シリコーンアクリレートはアクリレート/ジメチコンコポリマーである。例えば、使用されるアクリレート/ジメチコンコポリマーは、製品名「ASC処理」及び以下の商品記号:ASC-2 TiO2 CR-50;ASC-5 RED R-516L;ASC-7 YELLOW LL-100P;ASC-2 BLACK BL-100の下で、大東化成工業株式会社によって製造されたものである。
【0033】
表面処理顔料
本明細書で使用する場合、「顔料」という用語は、それらの形態(球状、棒状、針状、板状、無限状(infinite)、鱗片状、スピンドル形など)、粒径(ヘーズ粒子、微粒子、顔料クラスと同じくらい小さいなど)、又は粒子ストラクチャー(多孔質、無孔など)に関係なく使用することができる任意の顔料を意味する。
【0034】
本明細書で使用する場合、「顔料」という用語は、組成物を着色及び/又は不透明にすることを意図した、水性媒体に不溶の、白色又は有色の無機又は有機粒子を含む。
【0035】
顔料は、有機顔料であってもよい。有機顔料は特に、化合物ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属錯体型、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン、キノフタロンから選択してもよい。
【0036】
有機顔料は、仏国特許出願公開第2679771号に記述されている、例えば、カルミン、カーボンブラック、アニリンブラック、メラニン、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、モロコシレッド(sorghum red)、参照番号C1 42090、69800、69825、73000、74100、74160の下でカラーインデックスにコード化された青色顔料、参照番号Cl 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000、47005の下でカラーインデックスにコード化された黄色顔料、参照番号Cl 61565、61570、74260の下でカラーインデックスにコード化された緑色顔料、参照番号Cl 11725、15510、45370、71105の下でカラーインデックスにコード化されたオレンジ色顔料、参照番号CI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915、75470の下でカラーインデックスにコード化された赤色顔料、又はインドール又はフェノール誘導体の酸化重合によって得られる顔料から選択してもよい。
【0037】
これらの顔料は、更に欧州特許第1184426号に記述されている複合顔料の形態であってもよい。複合顔料は、有機顔料及び有機顔料をコアに固定する少なくとも1種のバインダーで少なくとも部分的に被覆された、無機コアを含む粒子から構成されてもよい。
【0038】
顔料は、更にラッカーであってもよい。ラッカーは不溶性粒子に吸着した不溶化染料を意味し、こうして得られた全体は、使用中に不溶性を維持する。ラッカーの例としては、D&C Red7(CI 15 850:1)として知られる製品が挙げられる。
【0039】
顔料は、無機顔料であってもよい。無機顔料は、ウルマン百科事典の無機顔料の章にある定義を満たす任意の顔料である。無機顔料は、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄(黒、黄若しくは赤)又は酸化クロム、マンガンバイオレット、群青、クロム水和物及びフェリックブルー、二酸化チタン、アルミニウム粉末及び銅粉末などの金属粉末の中から選択される。以下の無機顔料: TiCO2、ZrO2、Nb2O5、CeO2、ZnSと混合した、Ti2O5、Ti3O5、Ti2O3、TiO、ZrO2も使用することができる。
【0040】
好ましい実施形態では、顔料は無機顔料である。
【0041】
更に好ましい実施形態では、無機顔料は酸化鉄(黒、黄又は赤)である。
【0042】
例えば、使用する酸化鉄は、製品名UNIPURE YELLOW LC 182 HLC QUAL. STERILE、UNIPURE RED LC 381 HLC QUALITE STERILEの下でSensient Technologies Corporationによって製造されたものであってもよい。
【0043】
本発明の文脈において有用な顔料の大きさは、一般に100nm~10μmの間、好ましくは200nm~5μmの間、より好ましくは300nm~1μmの間である。
【0044】
一実施形態によれば、表面処理は、組成物の総質量に対して1~15質量%のデキストリン脂肪酸エステル、及び組成物の総質量に対して1~15質量%のシリコーンアクリレートコポリマーを含む。
【0045】
一実施形態では、表面処理は、組成物の総質量に対して1~12質量%、好ましくは組成物の総質量に対して2~10質量%のデキストリン脂肪酸エステルを含み、組成物の総質量に対して1~10質量%、好ましくは組成物の総質量の2~7質量%のシリコーンアクリレートコポリマーを含む。
【0046】
湿潤状態
皮膚に適用されると組成物の色が進展する1つの主要な原因は、顔料を湿潤配合物に分散させた時、その乾燥した形態と比較した顔料間の色の差である。本発明によれば、1つの解決策は、第1の被覆を通して顔料を特定の油で確実に湿潤させ、別の特定の第2の被覆を通して前記湿潤した顔料を確実に捕捉することである。したがって油は、顔料のまわりに保持されて、顔料を長期間にわたって湿潤状態に維持する。
【0047】
本明細書で使用する場合、「湿潤状態」は、油を顔料のまわりに保持することを意味する。
【0048】
この特定の被覆によって、経時的な色及び明るさに関して改善された安定性特性を有する、表面処理顔料を提供することができる。
【0049】
方法
第2の態様では、本発明は、本発明による表面処理顔料を調製する方法であって:
- デキストリン脂肪酸エステル及びシリコーンアクリレートコポリマーを溶媒に溶解させて、スラリーを形成する工程と;
- 撹拌下でスラリーを顔料に添加する工程と;
- 溶媒を除去する工程と;
- 表面処理顔料を得るために顔料を粉砕し加熱する工程と
を含む、方法にも関する。
【0050】
典型的には、使用する溶媒は、アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール、メタノール、エタノール及びヘキサンの中から選択される。好ましくは、溶媒はヘキサンである。
【0051】
典型的には、5~15質量部、好ましくは6~12、好ましくは8~10質量部のデキストリン脂肪酸エステル、及び5~15質量部、好ましくは6~12、好ましくは8~10質量部のシリコーンアクリレートコポリマーを、10~20質量部、好ましくは12~18、好ましくは14~16質量部の溶媒に溶解させ、次いで80~95質量部、好ましくは82~90質量部の顔料を添加する。
【0052】
デキストリン脂肪酸エステル及びシリコーンアクリレートコポリマーにより被覆層を形成した後、溶媒は除去され、本発明による表面処理顔料を得るために顔料は粉砕され加熱される。
【0053】
化粧用組成物
第3の態様では、本発明は表面処理顔料であって、その表面処理は少なくとも1種のデキストリン脂肪酸エステル、及び少なくとも1種のシリコーンアクリレートコポリマー、並びに化粧用に許容される媒体を含むことを特徴とする、表面処理顔料を含む化粧用組成物に関する。
【0054】
表面処理顔料は、前述の表面処理顔料である。前述のすべての実施形態は、この態様に包含される。
【0055】
本明細書で使用する場合、「化粧用に許容される媒体」という用語は、過度に有害な副作用(毒性、刺激、アレルギー反応等)がなく皮膚と接して使用するのに好適な媒体を指す。
【0056】
化粧用に許容される成分
本発明の目的及び効果が損なわれない限り、本発明の化粧用組成物は、本発明の表面処理顔料に加えて、化粧用に許容される成分を更に含有することができる。
【0057】
化粧用に許容される成分の例としては、本発明の表面処理顔料以外の粉末成分、液体油、固体脂肪、ワックス、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール(好ましくは6個以上の炭素原子を有するアルコール、より好ましくは10個以上の炭素原子を有するアルコール)、合成エステル油、シリコーン油、界面活性剤、共界面活性剤、保湿剤、膜形成剤、増粘剤、ゲル化剤、金属封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、単糖、オリゴ糖、アミノ酸、植物抽出物、有機アミン、ポリマーエマルジョン、酸化防止剤、酸化防止助剤、ビタミン、抗菌剤、抗炎症剤、水溶性ポリマー、白色化剤、有機及び/又は無機の日焼け止めなどの紫外線吸収剤、防腐剤、皮膚軟化剤、老化防止剤、汚染防止剤、角質溶解剤、pH調整剤、緩衝液、香料並びに水が挙げられる。
【0058】
いずれの上記成分も、所望の配合物及び製品形態に応じて好適に選択し、混合してもよい。成分の混合量は、本発明の目的から逸脱することなく使用できる限り、特に制限されない。混合量は、配合物、製品形態などに応じて好適に選択される。
【0059】
粉末成分の例としては、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、白マイカ、金マイカ、合成マイカ、赤マイカ、黒マイカ、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、金属タングステン酸塩、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、か焼硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ハイドロキシアパタイト、セラミック粉末、金属セッケン(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム及び窒化ホウ素)などの無機粉末;ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレン/アクリル酸コポリマー樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末及びセルロース粉末などの有機粉末;アルミニウム粉末及び銅粉末などの金属粉末顔料;ジルコニウム-レーキ、バリウム-レーキ、又はアルミニウム-レーキなどの有機顔料;並びに葉緑素及びβ-カロチンなどの天然色素が挙げられる。粉末成分は、疎水化され得ることに注意されたい。
【0060】
液体油の例としては、アボカド油、ツバキ油、カメ油、マカダミアナッツ油、とうもろこし油、ミンク油、オリーブ油、なたね油、卵黄油、ごま油、杏仁油、小麦麦芽油、サザンカ油(camellia kissi oil)、ヒマシ油、あまに油、サフラワー油、綿実油、エゴマ油、大豆油、落花生油、ユチャ油、カヤ種子油(Torreya seed oil)、米ぬか油、支那桐油、日本桐油、ホホバ油、胚芽油、及びトリグリセリンが挙げられる。
【0061】
固体脂肪の例としては、カカオ脂、やし油、馬脂、硬化やし油、木ろう核油、硬化油、木ろう、及び硬化ヒマシ油が挙げられる。
【0062】
ワックスの例としては、ビーズワックス、カンデリラワックス、綿ワックス、カルナウバワックス、シロヤマモモワックス、支那ワックス、モンタンワックス、ぬかワックス、ラノリン、カポックワックス、酢酸ラノリン、液体ラノリン、サトウキビワックス、ラノリン脂肪酸イソプロピルエステル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ホホバワックス、硬化ラノリン、セラックワックス、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、及びPOE水素化ラノリンアルコールエーテルが挙げられる。
【0063】
炭化水素油の例としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクアレン、ワセリン、ミクロクリスタリンワックス、及び水素化ポリデセンが挙げられる。
【0064】
高級脂肪酸の例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール油酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、及びドコサヘキサエン酸(DHA)が挙げられる。
【0065】
高級アルコールの例としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、及びセトステアリルアルコールなどの直鎖アルコール;モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール、コレステロール、植物ステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、及びオクチルドデカノールなどの分岐アルコールが挙げられる。
【0066】
合成エステル油の例としては、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2-エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセリド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、ラウリン酸エチル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、ビス-ベヘニル/イソステアリル/フィトステリルダイマージリノレイルダイマージリノレエート、フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル/イソステアリルラウロイルグルタメート、及びトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルが挙げられる。
【0067】
シリコーン油の例としては、ジメチコン、メチルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン及びジフェニルポリシロキサンなどの鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどの環状ポリシロキサン;三次元網目構造を形成するシリコーン樹脂;シリコーンゴム;シリコーンエラストマー;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン及びフッ素変性ポリシロキサンなどの様々な変性ポリシロキサンが挙げられる。
【0068】
シリコーン樹脂の例としては、例えば、DC FA 4001及びDC FA 4002等の商品名の下でDOW CORNING Corporationから市販されている、アクリレート/ポリトリメチルシロキシメタクリレートコポリマーが挙げられる。シリコーン樹脂の他の例としては、例えば、DC 7-4411の商品名の下でDOW CORNING Corporationから市販されている、トリメチルシロキシシリケート/ジメチコノールクロスポリマーが挙げられる。
【0069】
シリコーンエラストマーの例としては、非乳化型オルガノポリシロキサンエラストマー又は乳化型オルガノシロキサンエラストマーが挙げられる。非乳化型オルガノポリシロキサンエラストマーの例としては、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、ラウリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー等が挙げられる。
【0070】
ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーとしては、例えば、DC 9040及びDC 9045の商品名の下でDOW CORNING Corporation、Midland、Michiganから市販されている製品;SFE 839及びVelvasilシリーズ製品の商品名の下でMOMENTIVE Performance Materials Inc.から市販されている製品;例えば、KSG-15、KSG-16及びKSG-18([ジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマー])の商品名の下で信越化学工業株式会社から市販されている製品;並びにGRANT INDUSTRIES, Inc.からのGransil(商標)シリーズ製品が挙げられる。
【0071】
ラウリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーとしては、例えば、KSG-31、KSG-32、KSG-41、KSG-42、KSG-43、及びKSG-44の商品名の下で、信越化学工業株式会社から市販されている製品が挙げられる。
【0072】
乳化型オルガノシロキサンエラストマーの例としては、ポリアルコキシル化シリコーンエラストマー、ポリグリセロール化シリコーンエラストマー、又はこれに類するものが挙げられる。
【0073】
ポリアルコキシル化シリコーンエラストマーとしては、例えば、DC9010及びDC9011の商品名の下でDOW CORNING Corporationから市販されている製品;例えば、KSG-20、KSG-21、KSG-30、KSG-31、KSG-32、KSG-33、KSG-210、KSG-310、KSG-320、KSG-330、KSG-340、及びX-226146の商品名の下で信越化学工業株式会社から市販されている製品が挙げられる。
【0074】
ポリグリセロール化シリコーンエラストマーとしては、例えば、KSG-710、KSG-810、KSG-820、KSG-830、KSG-840、KSG-31、KSG-32、KSG-41、KSG-42、KSG-43、及びKSG-44の商品名の下で信越化学工業株式会社から市販されている製品が挙げられる。加えて2つのタイプの分岐、すなわちシリコーン鎖及びアルキル鎖が導入されたシリコーンエラストマーの例としては、例えば、KSG-042Z、KSG-045Z、KSG-320Z、KSG-350Z、KSG-820Z及びKSG-850Zの商品名の下で信越化学工業株式会社から市販されている製品が挙げられる。
【0075】
更に、ペンダントとして又は架橋したポリアルキルエーテル基を含む、シリコーンエラストマーも、本発明の化粧用組成物の成分として含んでもよい。ポリアルキルエーテル基を含む特に好適なシリコーンエラストマーとしては、化粧品原料国際命名法(INCI)名:ビス-ビニルジメチコン/ビス-イソブチルPPG-20クロスポリマー、ビス-ビニルジメチコン/PPG-20クロスポリマー、ジメチコン/ビス-イソブチルPPG-20クロスポリマー、ジメチコン/PPG-20クロスポリマー、及びジメチコン/ビス-secブチルPPG-20クロスポリマーを有する化合物が挙げられる。こうした架橋エラストマーは、SOEB-1、SOEB-2、SOEB-3及びSOEB-4などの試験的名称の下、及びDC EL-8052 IH Si有機エラストマーブレンドなどの提案商品名の下で、Dow Corning Corporationから入手可能である。エラストマー粒子は、それぞれの溶媒、イソドデカン(SOEB-1及びSOEB-2用)、イソヘキサデカン(SOEB-3用)、及びイソデシルネオペンタノエート(SOEB-4用)中で予め膨潤されて供給される。
【0076】
界面活性剤の例としては、親油性非イオン性界面活性剤及び親水性非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0077】
親油性非イオン性界面活性剤の例としては、モノオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン及びテトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;グリセリンモノ-綿実油脂肪酸、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、グリセリンα,α'-オレエートピログルタメート、及びグリセリンモノステアレートマレートなどのグリセリンポリグリセリン脂肪酸;モノステアレートプロピレングリコールなどのプロピレングリコール脂肪酸エステル;硬化ヒマシ油誘導体;並びにグリセリンアルキルエーテルが挙げられる。
【0078】
親水性非イオン性界面活性剤の例としては、モノオレイン酸POE-ソルビタン、モノステアリン酸POE-ソルビタン、モノオレイン酸POE-ソルビタン及びテトラオレイン酸POE-ソルビタンなどのPOE-ソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POE-ソルビトール、モノオレイン酸POE-ソルビトール、ペンタオレイン酸POE-ソルビトール及びモノステアリン酸POE-ソルビトールなどのPOE-ソルビトール脂肪酸エステル;モノステアリン酸POE-グリセリン、モノイソステアリン酸POE-グリセリン及びトリイソステアリン酸POE-グリセリンなどのPOE-グリセリン脂肪酸エステル;POE-モノオレエート、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート及びジステアリン酸エチレングリコールなどのPOE-脂肪酸エステル;POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル及びPOE-コレスタノールエーテルなどのPOE-アルキルエーテル;プルロニック型界面活性剤(例えば、プルロニック);POE-POP-セチルエーテル、POE-POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE-POP-モノブチルエーテル、POE-POP-水素化ラノリン及びPOE-POP-グリセリンエーテルなどのPOE-POP-アルキルエーテルが挙げられる。
【0079】
共界面活性剤の例としては、高級アルコールが挙げられる。なかでも、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等などの直鎖アルコールが好ましい。セチルアルコールが特に好ましい。
【0080】
金属封鎖剤の例としては、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸;1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸四ナトリウム塩;エデト酸二ナトリウム;エデト酸三ナトリウム;エデト酸四ナトリウム;クエン酸ナトリウム;ポリリン酸ナトリウム;メタリン酸ナトリウム;グルコン酸;リン酸;クエン酸;アスコルビン酸;コハク酸;エデト酸;及びエチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウムが挙げられる。
【0081】
低級アルコールの例としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、及びt-ブチルアルコールが挙げられる。
【0082】
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール及びオクチレングリコールなどの二価アルコール;グリセリン及びトリメチロールプロパンなどの三価アルコール;ペンタエリスリトール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール)などの四価アルコール;キシリトールなどの五価アルコール;ソルビトール及びマンニトールなどの六価アルコール;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びテトラエチレングリコールなどの多価アルコールポリマー;エチレングリコールモノメチルエーテル及びエチレングリコールモノエチルエーテルなどの二価アルコールアルキルエーテル;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの二価アルコールアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの二価アルコールエーテルエステル;キミルアルコール、セラキルアルコール及びバチルアルコールなどのグリセリンモノアルキルエーテル;並びにソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、スクロース、エリスリトール、グルコース、フルクトース、澱粉糖、マルトース、キシリトース、及び澱粉糖の還元アルコールなどの糖アルコールが挙げられる。
【0083】
単糖の例としては、D-グリセリルアルデヒド及びジヒドロキシアセトンなどのトリオース;D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース及びエリスリトールなどのテトロース;L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース及びL-キシルロースなどのペントース;D-グルコースD-タロース、D-プシコース、D-ガラクトース、Dフルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース及びD-タガトースなどのヘキソース;アルドヘプトース及びヘプロースなどのヘプトース;オクツロース(octurose)などのオクトース;2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース及び6-デオキシ-L-マンノースなどのデオキシ糖;D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸及びムラミン酸などのアミノ糖;D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸及びL-イズロン酸などのウロン酸が挙げられる。
【0084】
オリゴ糖の例としては、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、ゲンチオビオース、ウンビリシン、ラフィノース、ゲンチアノース、マルトトリオース、メレチトース、プランテオース、ウンベリフェロース、スタキオース、及びベルバスコースが挙げられる。
【0085】
アミノ酸の例としては、トレオニン及びシステインなどの中性アミノ酸;並びにヒドロキシリジンなどの塩基性アミノ酸が挙げられる。更に、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシン酸ナトリウム(ラウロイルサルコシン酸ナトリウム)、アシルグルタメート、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、及びピロリドンカルボン酸を例示することができる。
【0086】
有機アミンの例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、及び2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールが挙げられる。
【0087】
ポリマーエマルジョンの例としては、アクリル樹脂エマルジョン、ポリ(アクリル酸エチル)エマルジョン、アクリル樹脂溶液、ポリ(アクリル酸アルキル)エマルジョン、ポリ(酢酸ビニル)樹脂エマルジョン、及び天然ゴムラテックスが挙げられる。
【0088】
ビタミンの例としては、ビタミンA、B1、B2、B6、C及びE及びこれらの誘導体、パントテン酸及びこれらの誘導体、並びにビオチンが挙げられる。
【0089】
酸化防止剤の例としては、パルミチン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、アスコルビルグルコシド、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム及びソルビン酸アスコルビルなどのアスコルビン酸及びその誘導体;酢酸トコフェロール、ソルビン酸トコフェロール、及びトコフェロールの他のエステルなどのトコフェロール及びその誘導体;ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びブチルヒドロキシアニソール(BHA);没食子酸エステル;リン酸;クエン酸;マレイン酸;マロン酸;コハク酸;フマル酸;ケファリン;ヘキサメタホスフェート;フィチン酸;エチレンジアミン四酢酸;並びに、例えばコンドルス・クリスパス(Chondrus crispus)、ロディオラ、サーマスサーモフィラス、マテ茶葉(mate leaf)、オーク材、カユラペ樹皮(kayu rapet bark)、桜葉及びイランイラン葉(ylang ylang leaf)からの植物抽出物が挙げられる。
【0090】
保湿剤の例としては、ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;ジプロピレングリコール;グリセリン;1,3-ブチレングリコール;キシリトール;ソルビトール;マルチトール;硫酸コンドロイチンなどのムコ多糖;ヒアルロン酸;ムコイチン硫酸;カロン酸;アテロ-コラーゲン;コレステリル-12-ヒドロキシステアレート;胆汁酸塩;ピロリドンカルボン酸塩及び乳酸塩などのNMF(天然保湿因子)の主成分;尿素、システイン及びセリンなどのアミノ酸;短鎖可溶性コラーゲン;ジグリセリン(EO)PO付加生成物;例えばLipidure HM及びLipidure PBMの商品名の下で日油株式会社から市販されている、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのホモポリマー又はコポリマー;パンテノール;アラントイン;Wilbride S 753の商品名の下で日油株式会社から市販されている、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン;AMINOCOATの商品名の下で旭化成ケミカルズ株式会社から市販されているトリメチルグリシン;並びにカスタネア・サチバ抽出物、加水分解ヘーゼルナッツタンパク質、ゲッカコウ(Polianthes tuberosa)多糖、アルガニア・スピノサ核油(Argania spinosa kernel oil)などの様々な植物抽出物、並びにPearl Extract(登録商標)の商品名の下で丸善製薬株式会社から市販されているコンキオリン含有真珠抽出物(extract of pearl containing conchiolin)が挙げられる。
【0091】
皮膚軟化剤の例としては、グリセリルポリメタクリレート、メチルグルセス-20等が挙げられる。
【0092】
老化防止剤の例としては、アシルアミノ酸(特に、Maxilip、Matrixyl3000若しくはBiopeptide CLの商品名の下でSEDERMA社から市販されている製品、又はSepiliftの商品名の下でSEPPIC社から市販されている製品);エンドウマメ抽出物;加水分解大豆タンパク質;マンヌロン酸メチルシラノール;加水分解ペポカボチャ種子油粕(hydrolyzed cucurbita pepo seedcake);セネデスムス抽出物;等が挙げられる。
【0093】
汚染防止剤の例としては、ワサビノキ種子(Moringa pterygosperma seed)抽出物(特にPurisoftの商品名の下でLSN社から市販されている製品);シアバター抽出物(特に、Detoxylの商品名の下でSILAB社から市販されている製品、セイヨウキヅタ抽出物のブレンド、フィチン酸及びヒマワリ種子抽出物(例えば、OSMOPURの商品名の下でSEDERMA社から市販されている製品))等が挙げられる。
【0094】
角質溶解剤の例としては、α-ヒドロキシ酸(特に、グリコール酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、マンデル酸又は酒石酸)、β-ヒドロキシ酸(特に、サリチル酸)、これらのエステル(特に、C12~13アルキル乳酸エステル)、及びこれらのヒドロキシ酸を含有する植物抽出物(特に、ローゼル(Hibiscus sabdriffa)抽出物)等が挙げられる。
【0095】
水溶性ポリマーの例としては、デキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロイルエステル、PVA、PVM、PVP、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガム、タマリンドガム、グルコマンナン、キシラン、マンナン及び寒天が挙げられる。
【0096】
抗炎症剤の例としては、ビサボロール、アラントイン、トラネキサム酸、酸化亜鉛、硫黄酸化物及びその誘導体、硫酸コンドロイチン、並びにグリシルリジン酸及びその誘導体(例えば、グリシルリジネート)が挙げられる。
【0097】
本発明の化粧用組成物は、メラニン形成(ステージI)のメカニズムに関係するメラノサイト特異的タンパク質Pmel17などの構造タンパク質の合成を阻止するための、少なくとも1種の白色化剤を含有してもよい。こうした白色化剤の例としては、Cytovector(登録商標)の商品名の下でBASF社から市販されているフェルラ酸含有サイトベクター(水、グリコール、レシチン、フェルラ酸、ヒドロキシエチルセルロース)を挙げることができる。
【0098】
更に、必要であれば、本発明の化粧用組成物は、国際公開第2009/010356号パンフレットに記述されている少なくとも1種のペプチドを含有してもよい。
【0099】
更に、必要であれば、本発明の化粧用組成物は、メラニン合成の抑制効果及び/又は小眼球症関連転写因子(MITF)発現の抑制効果及び/又は抗チロシナーゼ活性及び/又はエンドセリン-1合成の抑制効果を有する白色化剤を含んでもよい。こうした白色化剤の例としては、Licorice抽出物(登録商標)の商品名の下で丸善製薬株式会社から市販されている、甘草(Glycyrrhiza glabra)抽出物が挙げられる。
【0100】
更に、必要であれば、本発明の化粧用組成物は、アスコビル酸塩、脂肪酸又はソルビン酸のアスコルビルエステル、及び他のアスコルビン酸誘導体を含むビタミンC化合物などの、酸化防止効果も同様に有する白色化剤を含んでもよい。具体例としては、リン酸アスコルビル(リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム等)、及びアスコルビン酸の糖エステル(アスコルビル-2-グルコシド、2-O-α-D-グルコピラノシルL-アスコルベート、6-O-β-D-ガラクトピラノシルL-アスコルベート等)が挙げられる。このタイプの活性剤は、Ascorbyl glucoside(登録商標)の商品名の下でDKSH社から市販されている。
【0101】
更に、必要であれば、本発明の化粧用組成物は、他の白色化剤を含んでもよい。他の白色化剤の例としては、植物抽出物(例えば、ニホンズイセン(Narcissus tazetta)抽出物)、トランキサム酸セチル(日光ケミカルズ株式会社;商品名: NIKKOL TXC)、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、システイン、4-チオレゾルシン、レゾルシノール又はルシノール又はそれらの誘導体、グリシルリジン酸、ヒドロキノン-β-グルコシド等などの色素沈着抑制剤を挙げることができる。
【0102】
更に、必要であれば、本発明の化粧用組成物は、有機及び/又は無機の日焼け止めも更に含んでもよい。
【0103】
有機日焼け止めの例としては、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(Parsol1789の商品名の下でHOFFMANN LA ROCHE Ltd.から市販されている製品)などのジベンゾイルメタン誘導体;メトキシケイ皮酸オクチル(Parsol MCXの商品名の下で、HOFFMANN LA ROCHE Ltd.から市販されている製品)などのケイ皮酸誘導体、サリチレート、パラアミノ安息香酸;β,β'-ジフェニルアクリレート誘導体;ベンゾフェノン誘導体;テレフタリリデンジカンフルスルホン酸などのベンジリデンカンファ誘導体;フェニルベンズイミダゾール誘導体;トリアジン誘導体;フェニルベンゾトリアゾール誘導体;アントラニル酸誘導体等が挙げられ、これらすべては被覆又はカプセル化されていてもよい。
【0104】
無機日焼け止めの例としては、被覆又は非被覆金属酸化物から形成された顔料又はナノ顔料を挙げることができる。ナノ顔料の例としては、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又は酸化セリウムが挙げられ、これらはすべてUV光防護剤として周知である。
【0105】
防腐剤の例としては、p-ヒドロキシ安息香酸エステル(例えば、メチルパラベン及びプロピルパラベン)並びにフェノキシエタノールが挙げられる。
【0106】
加えて、本発明の化粧用組成物で使用される添加剤として、the Personal Care Products Councilにより出版された、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、16h版、2016年に言及されたものを使用することができる。
【0107】
本発明の化粧用組成物の配合は、任意に選択でき、製品形態によって好ましい配合を採用してもよい。例えば、溶液型、エマルジョン型、粉末分散型、水-油二層型、水-油-粉末三層型、ゲル型、及び、油型などの配合を採用することができる。
【0108】
本発明の化粧用組成物は、例えば、(ファンデーション、アイシャドーなどのアイメイク、アイシャドーベース、頬紅(blush)、マスカラ、リップメーキャップ製品、ボディメーキャップ製品、及び爪製品などの)メーキャップ化粧品、並びに(エマルジョン、クリーム、及び日焼け止めなどの)スキンケア化粧品の形態で使用される。
【0109】
なかでも、本発明の化粧用組成物は好ましくは、スキンメーキャップ化粧用組成物、特に(液体ファンデーション、クリームファンデーション、固体ファンデーション、メーキャップベース、粉末ファンデーションなどの)ファンデーション、アイシャドー、頬紅、ルースパウダー、コンシーラー等として使用される。
【0110】
更に好ましい実施形態では、本発明は好ましくは、液体ファンデーション、クリームファンデーション、固体ファンデーション、リップメーキャップ、コンシーラー、アイメイクである。
【0111】
これらの化粧用組成物の調製では、本発明の表面処理顔料を従来の配合物へ更に混合してもよい。当業者は、これらの化粧用組成物を調製する方法を知っている。
【0112】
表面処理顔料の含有量は目的と使用法に応じて変動するが、普通は、化粧用組成物の総質量に対して好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5%以上、より好ましくは2質量%以上である。更に表面処理顔料の含有量は、化粧用組成物の総質量に対して好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更により好ましくは15質量%以下である。
【0113】
表面処理顔料を化粧用組成物で使用する場合、他の成分を使用する従来の方法によって調製される。例えば、液体、エマルジョン、クリーム、固体、ゲル、ペーストを、様々な形態で実施することができる。
【0114】
例えば、本発明の化粧用組成物を液体ファンデーション(O/W型など)として使用する場合、表面処理顔料の含有量は、化粧用組成物の総質量に対して好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更により好ましくは2質量%以上である。更に、表面処理顔料の含有量は好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更により好ましくは15質量%以下である。
【0115】
更に、例えば、本発明の化粧用組成物をリップメーキャップ製品として使用する場合、表面処理顔料の含有量は、化粧用組成物の総質量に対して好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更により好ましくは2質量%以上である。更に、表面処理顔料の含有量は好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更により好ましくは10質量%以下である。
【0116】
更に、例えば、本発明の化粧用組成物をコンシーラーとして使用する場合、表面処理顔料の含有量は、化粧用組成物の総質量に対して好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更により好ましくは5質量%以上である。更に、表面処理顔料の含有量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更により好ましくは15質量%以下である。
【0117】
使用
有利なことに、表面処理顔料は、それらの経時的な色及び色合いの改善された安定性を有し、したがってそれらを含む化粧用組成物は、色に関して安定性を維持し、色褪せたり、変色したり、移動したり、変化したりしない。
【0118】
故に、本発明は、第4の態様では、メーキャップの色及び明るさの安定性を改善するための、本発明による表面処理顔料の使用にも関する。
【0119】
表面処理顔料は、前述の表面処理顔料である。前述のすべての実施形態は、この態様に包含される。
【0120】
比色測定(L*a*bシステム)
色及び明るさの特性を、比色測定(L*a*b*システム)を用いて評価した。
【0121】
乾燥状態と湿潤状態の間の色の差を評価した。全体的な色変化(ΔE)をこの式によって得た。
【0122】
【数1】
【0123】
ΔEの値が高いほど、色変化は大きい。
【0124】
本発明による表面処理顔料により得られるΔEの値は、最先端技術による表面処理で得られるものより低い。
【0125】
有利なことに、本発明による処理によって、経時的な色及び明るさに関して改善された安定性特性を有する、表面処理顔料を得ることができる。したがって本発明による化粧用組成物は、色に関して安定性を維持し、色褪せたり、変色したり、移動したり、変化したりしない。
【0126】
故に、表面処理顔料は、メーキャップの色及び明るさの安定性を改善する。
【0127】
本明細書で使用する場合、改善された色安定性及び明るさ特性を有するメーキャップは、より小さなΔEを有するメーキャップを指し;ΔEの範囲は顔料自体の色に依存すると理解される。
【0128】
本発明を、以下の実施例によって更に説明する。ただし、これらの実施例が、本発明の範囲を限定するものとは決して解釈されるべきではない。
【実施例
【0129】
材料及び方法
イソステアリン酸デキストリン
使用するイソステアリン酸デキストリンは、商品名UNIFILMA HVYの下で千葉製粉株式会社によって製造されたものである。
【0130】
顔料
使用する酸化鉄は、TAROXR-516HP又はTAROXLL-100HPなど、TITANIUM INDUSTRY CO.,LTDによって製造されたものである。
【0131】
比色測定(L*a*b*システム)
比色測定は、分光光度計(コニカミノルタ株式会社によって製造されたCM-2600d)を用いて行った。
【0132】
色変化(ΔE)は、以下の式によって得た。
【0133】
【数2】
【0134】
L*は明度を示し、a*は赤/緑座標、b*は黄/青座標である。
【0135】
L*(ΔL*)、a*(Δa*)、及びb*(Δb*)のデルタは、正(+)又は負(-)であってもよい。しかし全体の差、デルタE(ΔE*)は常に正である。
【0136】
ΔL*(L2*試料引くL1*標準)=明度と暗さの差(+=より明るい、-=より暗い)
【0137】
Δa*(a2*試料引くa1*標準)=赤と緑の差(+=より赤、-=より緑)
【0138】
Δb*(b2*試料引くb1*標準)=黄と青の差(+=より黄、-=より青)
【0139】
(実施例1)
本発明による表面処理顔料の製造
本実施例では、アクリレート/ジメチコンコポリマー及びイソステアリン酸デキストリンで顔料を処理した。
【0140】
A.アクリレート/ジメチコンコポリマー及びイソステアリン酸デキストリンによる、赤色酸化鉄の処理
赤色酸化鉄(TAROXR-516HP:Titanium Industry Co., Ltd.により製造)を、5%のアクリレート/ジメチコンコポリマー及び10%のイソステアリン酸デキストリンにより処理した。
【0141】
処理方法は以下の通りであった。
【0142】
8.3pts.wt.(質量部)のアクリレート/ジメチコンコポリマー(有効成分60%の製品)及び10pts.wt.のイソステアリン酸デキストリンを、16.5pts.wt.のヘキサン(溶媒)に溶解させ、ヘンシェルミキサーで撹拌及び混合しながら、それらを85pts.wt.の顔料に添加した。撹拌及び混合後、ヘキサンを除去及び乾燥し、顔料を粉砕機で粉砕し、次いで最後に、それらを熱処理して表面処理顔料を得た。
【0143】
B.アクリレート/ジメチコンコポリマー及びイソステアリン酸デキストリンによる、黄色酸化鉄の処理
黄色酸化鉄(TAROXLL-100HP:Titanium Industry Co., Ltd.により製造)を7%のアクリレート/ジメチコンコポリマー及び10%のイソステアリン酸デキストリンで処理した。
【0144】
処理方法は、7%のアクリレート/ジメチコンコポリマー及び10%のイソステアリン酸デキストリン以外は、上記の実施例1.Aと同じであった。
【0145】
C.アクリレート/ジメチコンコポリマー及びイソステアリン酸デキストリンによる、白色顔料、二酸化チタンの処理
白色顔料、二酸化チタン(CR-50:石原産業株式会社により製造)を、2%のアクリレート/ジメチコンコポリマー及び2%のイソステアリン酸デキストリンで処理した。
【0146】
処理方法は、2%のアクリレート/ジメチコンコポリマー及び2%のイソステアリン酸デキストリン以外は、上記の実施例1.Aと同じであった。
【0147】
(実施例2)
最先端技術によるイソステアリン酸デキストリン表面処理顔料の製造
最先端技術の方法の1つによって、イソステアリン酸デキストリンで顔料を処理した。
【0148】
A.イソステアリン酸デキストリンによる赤色酸化鉄の被覆
赤色酸化鉄(TAROXR-516HP:Titanium Industry Co., Ltd.により製造)を、10%のイソステアリン酸デキストリンで処理した。
【0149】
処理方法は、10%のイソステアリン酸デキストリンだけ以外は、上記の実施例1.Aと同じであった。
【0150】
B.イソステアリン酸デキストリンによる黄色酸化鉄の被覆
黄色酸化鉄(TAROXLL-100HP:Titanium Industry Co., Ltd.により製造)を、10%のイソステアリン酸デキストリンで処理した。
【0151】
処理方法は、10%のイソステアリン酸デキストリンだけ以外は、上記の実施例1.Aと同じであった。
【0152】
C.イソステアリン酸デキストリンによる、白色顔料、二酸化チタンの被覆
白色顔料、二酸化チタン(CR-50:石原産業株式会社により製造)を、2%のイソステアリン酸デキストリンで処理した。
【0153】
処理方法は、2%のイソステアリン酸デキストリンだけ以外は、上記のASC-5 HVY-10 RED R-516Pと同じであった。
【0154】
(実施例3)
最先端技術による表面処理顔料
以下の実施例で、使用するアクリレート/ジメチコンコポリマーは、製品名「ASC処理」及び以下の商品記号の下で、大東化成工業株式会社によって製造されたものである。
【0155】
A.アクリレート/ジメチコンコポリマーで被覆された、赤色顔料酸化鉄
アクリレート/ジメチコンコポリマーによって処理された、赤色顔料、酸化鉄は、商品記号ASC-7 YELLOW LL-100Pを有する。
【0156】
B.アクリレート/ジメチコンコポリマーで被覆された、黄色酸化鉄の被覆
アクリレート/ジメチコンコポリマーによって処理された、黄色顔料、酸化鉄は、商品記号ASC-5 RED R-516Lを有する。
【0157】
C.アクリレート/ジメチコンコポリマーで被覆された、白色顔料二酸化チタンの被覆
アクリレート/ジメチコンコポリマーによって処理された、白色顔料、チタンは、商品記号ASC-2 TiO2 CR-50を有する。
【0158】
(実施例4)
処理顔料の乾燥状態と湿潤状態の間の色の差
組成物の色が進展する1つの主要な原因は、顔料を湿潤配合物に分散させた時、その乾燥した形態と比較した顔料間の色の差である。
【0159】
故に、処理顔料の乾燥状態と湿潤状態の間で色の差を評価するために、測定を行った。
【0160】
L*a*b*システムを使用して色の差を測定する試験方法は、以下の通りであった。
【0161】
a.乾燥状態の測定:
下表にリストした各2gの顔料を濾紙(No.5C、150mm直径)上に置き、濾紙を半分に折った。
【0162】
次いで、濾紙の間に挟んだ顔料を圧縮した。
【0163】
次いで、圧縮した顔料の色を分光光度計(CM-2600d、コニカミノルタ株式会社により製造)によって測定した。
【0164】
b.湿潤状態の測定:
下表にリストした各2gの顔料を濾紙(No.5C、150mm直径)上に置き、顔料をスクワランによって湿潤させた。
【0165】
湿潤した顔料の表面を、へらで平らにした。
【0166】
次いで、湿潤した顔料の色を分光光度計(CM-2600d、コニカミノルタ株式会社により製造)によって測定した。
【0167】
c.乾燥状態と湿潤状態の間の色の差
各顔料の湿潤状態と乾燥状態の間の色の差をTable 1(表1)に比較した。
【0168】
【表1】
【0169】
本発明による処理赤色顔料(実施例1.A)は、最先端技術による表面処理顔料、すなわち、イソステアリン酸デキストリンで被覆された赤色顔料(実施例2A)及びアクリレート/ジメチコンコポリマーで被覆された赤色顔料(実施例3A)と比較して、ΔEのより低い値を有している。
【0170】
【表2】
【0171】
本発明による処理黄色顔料(実施例1.B)は、最先端技術による表面処理顔料、すなわち、イソステアリン酸デキストリンで被覆された黄色顔料(実施例2B)及びアクリレート/ジメチコンコポリマーで被覆された黄色顔料(実施例3B)と比較して、ΔEのより低い値を有している。
【0172】
赤色及び黄色顔料では、本発明によるASC HVY処理顔料(実施例1.A及び1.B)は、他の顔料よりΔEの低い値を有している。それは、油(スクワラン)を添加する前に、顔料がイソステアリン酸デキストリンによってすでに湿潤していることを示している。故に、それらは色安定性及び明るさ特性を改善した。
【0173】
(実施例5)
乳化配合物の場合の色変化の差
L*a*bシステムを使用して色の差を測定する試験方法は、以下の通りであった。
【0174】
a.油中水型エマルジョン配合物:
油中水型エマルジョンのこの発明は、以下のTable 2(表3)に示す配合によって調製した。
【0175】
成分1~4を均一になるまで撹拌し、油相混合物を得た。
【0176】
別に、成分5~8を均一になるまで撹拌し、水性相混合物を得た。
【0177】
次いで、油相混合物に水性相混合物を撹拌しながら添加し、油中水型エマルジョンを得た。
【0178】
最後に油中水型エマルジョンに、各顔料を添加し、よく混合した。
【0179】
【表3】
【0180】
b.湿潤状態測定:
試験済みのエマルジョンを、紙(ビコチャート、未被覆チャート#2831)上に200のμm厚さコーターを用いて延ばした。チャートは白色部分と黒色部分を有し、色は黒色部分上で分光光度計(CM-2600d、コニカミノルタ株式会社により製造)によって測定した。
【0181】
c.乾燥状態測定:
ΔEは、完全に乾燥した後に、分光光度計によって測定した。
【0182】
d.乾燥状態と湿潤状態の間の色の差:
各顔料の湿潤状態と乾燥状態の間の色の差を、Table 3(表4)に比較した。
【0183】
【表4】
【0184】
赤色酸化鉄、黄色顔料及び白色顔料のASC HVY処理顔料(実施例1.A;1.B;1.C)は、最先端技術による表面処理顔料、すなわち、イソステアリン酸デキストリンで被覆された顔料(実施例2A、2B及び2C)、並びにアクリレート/ジメチコンコポリマーで被覆された顔料(実施例3A、3B及び3C)と比較して、ΔEのより低い値を有した。
【0185】
故に本発明によれば、処理顔料は、経時的な色及び明るさに関して改善された安定性特性を有する。実際に、顔料はイソステアリン酸デキストリンによって湿潤され、故に油は顔料のまわりで吸着される。顔料の表面はアクリレート/ジメチコンコポリマーによっても処理されるので、前記アクリレート/ジメチコンコポリマーは、イソステアリン酸デキストリンの溶出を防ぐ。したがって油は、顔料のまわりに保持されて、顔料を長期間にわたって湿潤状態に維持する。
【0186】
故に、有利なことに、こうした顔料を含有する化粧用組成物は、色に関して安定性を維持し、色褪せたり、変色したり、移動したり、変化したりしない。
【0187】
故に、第1の被覆を通した特定の油での顔料の湿潤、及び別の特定の第2の被覆を通した前記湿潤した顔料の捕捉により、メーキャップの色安定性及び明るさが改善された。
【国際調査報告】