(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-25
(54)【発明の名称】保持装置、保持装置を含む吸収性アイテム、及び保持装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
A44B 18/00 20060101AFI20230818BHJP
A61F 13/62 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
A44B18/00
A61F13/62 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504843
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(85)【翻訳文提出日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 FR2021051295
(87)【国際公開番号】W WO2022029378
(87)【国際公開日】2022-02-10
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596170996
【氏名又は名称】アプリックス
【氏名又は名称原語表記】APLIX
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピコ、リオネル
【テーマコード(参考)】
3B100
3B200
【Fターム(参考)】
3B100DA02
3B100DB02
3B200AA01
3B200CA02
3B200DE01
3B200DE14
(57)【要約】
長手方向に沿って延在するベース(51)と、該ベースの上面から延在する複数の保持要素(50、50A)とを備える保持装置であって、各保持要素は、第1の幾何学的寸法に従った値を有する。保持装置は、少なくとも2つの保持領域(RA、RB、RC)及び2つの保持領域の間に配置され、2つの保持領域を連結する中間領域(RJ、RJ’)を有し、第1及び第2の保持領域内に配置された保持要素(50)の第1の幾何学的寸法に応じた値は、中間領域内に配置された保持要素(50A)の第1の幾何学的寸法に応じた値よりも大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向(MD)に沿って延在し、上面(511)と下面(512)とを有するベース(51)と、
前記ベースの上面から延びる複数の保持要素(50、50A)であって、各保持要素は、第1の幾何学的寸法に従った値を有する保持要素(50、50A)と、を備える保持装置であって
前記保持装置は、少なくとも2つの保持領域(RA、RB、RC)及び前記2つの保持領域の間に配置され、前記2つの保持領域を連結する中間領域(RJ、RJ’)を有し、第1及び第2の保持領域に配置される前記保持要素(50)の第1の幾何学的寸法に従った値は、前記中間領域に配置される前記保持要素(50A)の第1の幾何学的寸法に従った値よりも大きい、保持装置。
【請求項2】
前記保持領域(RA、RB、RC)及び前記中間領域(RJ、RJ’)は、共通のテープ(R)の形の細長い領域を形成し、前記細長い領域及び前記共通のテープの形は、前記長手方向(MD)に沿って延びる、請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記中間領域(RJ、RJ’)は、前記保持領域(RA、RB、RC)における前記ベースの厚さ(eb)よりも小さい厚さの前記ベース(51)を有する少なくとも1つの部分を有する、請求項1または請求項2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記中間領域(RJ、RJ’)において、前記ベース(51)に空隙(50B)を有する、請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の保持装置。
【請求項5】
前記保持領域(RA、RB、RC)において、前記保持要素(50)は、実質的に一定である第1の幾何学的寸法(h)による値を有する、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項6】
第1の保持領域(RA)から第2の保持領域(RB)に向かう方向において、前記中間領域(RJ)は、第1の幾何学的寸法に従う値が減少し、その後、前記第1の幾何学的寸法に従う値が増加する保持要素(50A)を連続的に有する、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項7】
直線が少なくとも1つの保持要素(50、50A)を通過し、第1の保持領域(RA)から第2の保持領域(RB)に向かう方向に沿って前記第1及び第2の保持領域を通過しながら延びて、前記直線は、少なくとも3つの保持要素、特に第1及び第2の保持領域の各々の中の少なくとも5つの保持要素、及び、任意に、少なくとも1つの保持要素、特に前記中間領域の少なくとも2つの保持要素と交差する、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項8】
前記第1の幾何学的寸法は、前記保持要素(50、50A)の高さであり、各保持要素について、前記ベース(51)に接続された前記保持要素の下端と、前記下端に対向する前記保持要素の上端との間で測定される、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項9】
少なくとも前記保持領域(RA、RB、RC)において、前記保持要素(50)は各々、ロッド(52)と前記ロッドから突出して乗せられたヘッド(53)で形成され、前記中間領域の前記保持要素の少なくとも一部は、任意にヘッドを欠いている、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項10】
前記ベース(51)及び前記保持要素(50、50A)によって形成されるアセンブリが、10から120g/m
2の間、特に30から80g/m
2の間、場合によっては30から70g/m
2の間、より具体的には50から70g/m
2の間で構成される坪量を有する、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項11】
前記ベースを担持する基材(60)をさらに含み、前記基材は、不織材料の層を任意に含む、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項12】
赤ん坊用オムツ又は成人用失禁オムツタイプの吸収性のアイテム(200)であって、前記アイテムは、2つの外部シート(210、220)と、前記外部シートの間に配置された吸収性コア(230)を備える構成体であり、前記構成体は、オムツの第1面(FA)である前面と、前記オムツの側面(CC)を備え、前記アイテムは、前記オムツの第1面及び前記オムツの側面のうちの1つに担持される受容ループ(240)を有するフックアンドループ保持システムと、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの保持装置(5)を備え、前記少なくとも1つの保持装置(5)は前記オムツの第1面及び前記オムツの側面のうちの他の1つに担持され、前記オムツの側面の少なくとも一方が前記オムツの第1面に対して配置されるときに、前記保持要素は前記受容ループと協働して前記オムツの側面の少なくとも一方が前記オムツの第1面に保持される、アイテム。
【請求項13】
保持装置の製造方法であって:
表面(12)から凹状に形成された複数のキャビティ(13)を備えた成形装置(1)であって、前記成形装置は、任意に成形ストリップ(1)を備え、
アプリケータ(3)を使用して前記表面に加熱された成形材料(M)を適用し、前記成形材料がキャビティ(13)内に浸透して保持要素を形成し、
前記成形材料(M)の2つの別々の隣接する流れ(FA、FB、FC)を作り前記表面の2つの適用領域に適用し、前記成形材料の2つの流れが合流領域で出会ってベース(51)を形成し、前記成形材料が前記適用領域の前記キャビティ(13)に、前記合流領域の前記キャビティよりも浸透する、製造方法。
【請求項14】
前記アプリケータ(3)が、隔壁(3’、3'')によって分離された2つの隣接するチャネル(3A、3B、3C)を含む押出装置であり、成形装置(1)および押出装置(3)を互いに長手方向に相対的に移動させることによって前記成形材料(M)が適用される、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記成形材料(M)の冷却前に、前記成形装置(1)の表面に適用されたプラスチック材料に対して基材(60)を適用し、前記成形材料が前記成形装置の表面と前記基材との間に挟まれるようにする、請求項13又は請求項14に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保持システム、特に閉鎖または滑り止めシステムの分野に関する。本開示は、より詳細には、保持要素を備えた保持システム、特に、保持要素をループ等で保持することができるフックアンドループ保持システムに関する。
【0002】
本開示は、製造方法および製造装置にも関連する。
【0003】
本開示はまた、オムツのためのフックアンドループ保持システムを備える、赤ん坊用オムツ又は成人用失禁オムツタイプの吸収性アイテムの分野に関する。
【背景技術】
【0004】
ベースによって担持された保持要素を含む保持システムは、周知であり、多くの応用分野で使用されており、実際には、相互に協働するように、またはループのような相補的な要素と協働するように意図された、保持要素、特にフックの多数の形態の製造に通じる。
【0005】
このような製品の反復する問題は、適用される保持力に関し、特に、関連する保持要素の寸法が大幅に縮小され、製造上の制約が与えられる。
【0006】
事実、高強度を有するフックの製造は、当然、過大サイズに至り、これは、システムの柔らかさ、従って、使用者の感覚に影響を与え、このことは、いくつかの分野、特に衛生分野において非常に不都合であり、また、コストの点で不都合である材料の消費の増加をもたらし、また、かさばった部品の製造が、材料の冷却時間の増加につながるので、製造の点でも不都合であり、実際に、製造ラインの占有時間を増加させる。
【0007】
文献WO2017187097は、ベースによって担持され、特定の寸法及び幾何学的特性を有する保持要素を備える保持装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、このような既知の装置をさらに改良することによって、これらの種々の問題に対処することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様によれば、本開示は保持装置に関し、保持装置は:
長手方向に沿って延びかつ上面及び下面を有するベースと、
前記ベースの上面から延びる複数の保持装置であって、各保持装置は、第1の幾何学的寸法に従った値を有し、
前記保持装置は、少なくとも2つの保持領域と、前記2つの保持領域の間に配置され、前記2つの保持領域を連結する中間領域とを有し、前記第1及び第2の保持領域に配置された前記保持装置が有する第1の幾何学的寸法に従った値は、前記中間領域に配置された保持装置の第1の幾何学的寸法に従った値よりも大きい。
【0010】
任意に、保持領域及び中間領域は、共通のテープの形の細長い領域を形成し、この細長い領域及び共通のテープの形は、任意に長手方向に沿って延びる。
【0011】
任意に、中間領域はベースが、保持領域におけるベースの厚さよりも小さい厚さのベースを有する少なくとも1つの部分を有する。
【0012】
任意に、中間領域ではベースは接合線を有する。
【0013】
任意に、中間領域ではベースは空隙を有する。
【0014】
任意に、中間領域においてベースは、保持領域内に有する材料の状態とは異なる材料の状態を有する。
【0015】
任意に、保持領域では保持要素は、実質的に一定である第1の幾何学的寸法に従った値を有する。
【0016】
任意に、第1の保持領域から第2の保持領域に向かう方向において、中間領域は、第1の幾何学的寸法に従った値が減少し、次いで、第1の幾何学的寸法に従った値が増加する保持要素を連続的に有する。
【0017】
任意に、第1の幾何学的寸法による値は、ベースに垂直な断面図、特に、ベースに垂直でかつ断面方向に平行な断面図に従って測定される。
【0018】
任意に、第1の幾何学的寸法に従う値は、ベースに平行で、かつ保持要素から距離を置いた方向に従って測定される。
【0019】
任意に、直線が少なくとも1つの保持要素を通過し、前記第1の保持領域から第2の保持領域に向かう方向に沿って第1及び第2の保持領域を通過しながら延びて、前記直線は、少なくとも3つの保持要素、特に第1及び第2の保持領域の各々の中の少なくとも5つの保持要素と交差する。
【0020】
任意に、少なくとも1つの保持要素を通過し、前記第1及び第2の保持領域を通過する間に、前記第1の保持領域から前記第2の保持領域に向かう方向に沿って延びる任意の直線は、少なくとも1つの保持要素、特に、中間領域内の少なくとも2つの保持要素と交差する。上記で定義されたタイプの直線は、最大70個の保持要素と交差し、第1及び第2の保持領域の各々における100個の保持要素とさえも交差し、また任意に最大10個の保持要素、又は中間領域における最大30個の保持要素とさえも交差する。
【0021】
任意に、第1の幾何学的寸法は保持要素の高さであり、各保持要素についてベースに接続された保持要素の下端と下端に対向する保持要素の上端との間で測定される。
【0022】
任意に、少なくとも保持領域においては、保持要素は各々、ロッドとロッドから突出して乗せられたヘッドで形成され、中間領域の保持要素の少なくとも一部は、任意にヘッドを含まない。
【0023】
任意に、少なくとも保持領域においては、保持要素は規則的かつ反復的なパターンで分布されている。
【0024】
任意に、保持要素は、例えば、行または列または千鳥状に均等に分布される。
【0025】
任意に、保持装置は、ベースを担持する基材をさらに含み、基材は任意に不織材料の層を含む。
【0026】
任意に、ベースおよび保持要素によって形成されるアセンブリは、10~120g/m2、特に30~80g/m2、場合によっては30~70g/m2、より具体的には50~70g/m2で構成される坪量を有する。アセンブリが基材を含む場合、これらの坪量値は、特に、基材を含まないベースおよび保持要素を含むアセンブリについて検証される。
【0027】
特に、ベースおよび保持要素は、保持領域内および中間領域内に存在する。
【0028】
特に、中間領域は、2つの保持領域を連続的に接続し、中間領域と2つの保持領域のそれぞれとの間には空間がない。
【0029】
特に、第1の幾何学的寸法は、所与の方向に沿った寸法である。言及したように、これは、例えば、保持要素の高さである。しかし、高さ以外の寸法、例えば、ベースの平面に対して平行に測定される保持要素の幅寸法とすることができる。保持要素が、少なくとも一部分において、回転対称性を有する場合、第1の幾何学的寸法は、これらの部分の直径寸法とすることができる。もちろん、これらの寸法は組み合わせることができる。従って、第1の幾何学的寸法に加えて、保持要素は第2の幾何学的寸法を備え、第1及び第2の保持領域に配置された保持要素が第2の幾何学的寸法に従った値を有し、該値は、中間領域に配置された保持要素の第2の幾何学的寸法に従った値より大きい。
【0030】
中間領域では、保持要素は、保持領域の保持要素の特性に対して劣化する幾何学的特性を有するので、少なくとも第1の幾何学的寸法に対して、中間領域の保持要素は低い値を有する。
【0031】
しかしながら、ある程度までは、中間領域の保持要素は、保持力に寄与し得る。それらは、保持領域が構成する大きな領域の上に完全に有効な保持要素を有することを可能にし、これら完全に有効な領域の間が中断することがない。一方、第1の幾何学的寸法についてのそれらの減少した値のために、中間領域の保持要素は、保持領域の保持要素のそれよりも少ない質量を表し、これは、低い坪量の有効な保持装置を生成することを可能にする。
【0032】
保持装置は、保持領域に対して中間領域において柔軟性を増加させている。したがって、同数の保持要素の場合、保持装置は、すべての保持要素が劣化しない(すなわち、すべて2つの保持領域になる)装置よりも軽量であるだけでなく、より柔軟である。このように増大した柔軟性は、例えば、このような保持装置を備えたアイテムを装着している人の動作に、この装置がより良く追従することを可能にし、保持の質を促進する。
【0033】
特に、各保持領域において、保持要素の第1の幾何学的寸法の値は、最大値に対して決定された範囲内で変化し、例えば最大値の80%から100%の間で構成され、最大値の85%から100%の間で構成され、またこの最大値の90%から100%の間で構成される。
【0034】
特に、第1の幾何学的寸法の最大値は、2つの保持領域に対して実質的に同じとすることができ、この最大値が2つの保持領域に対して同じで10%又は5%のオーダーの許容差を有することを意味する。
【0035】
以下、第1の幾何学的寸法に対する「最大基準値」とは、2つの保持領域それぞれについて観察される第1の幾何学的寸法の2つの最大値のうち大きい方の値である。示されるように、これらの2つの最大値は、通常、近接しており、したがって、最大基準値は、それ自体、これらの2つの最大値のそれぞれに近接している。
【0036】
一方、中間領域では、第1の幾何学的寸法の値をかなり低くすることができる。したがって、中間領域の保持要素の少なくとも一部について、第1の幾何学的寸法の値は、最大基準値の30%以下、または最大基準値の50%以下、または最大基準値の60%以下とすることができる。ここで、「中間領域の保持要素の少なくとも一部」とは、少なくとも1つの保持要素を意味するか、又は中間領域の保持要素の少なくとも10%又は少なくとも20%又は少なくとも40%を意味する。
【0037】
しかしながら、中間領域の保持要素の少なくとも一部は、第1の幾何学的寸法に対して実質的な値を有することができる。従って、中間領域の保持要素の少なくとも一部は、最大基準値の少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも20%のオーダーの第1の幾何学的寸法に対する値を有することができる。ここで、「中間領域の保持要素の少なくとも一部」とは、少なくとも1つの保持要素を意味するか、又は中間領域の保持要素の少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも40%を意味する。
【0038】
第2の態様によれば、本開示は赤ん坊用オムツ又は成人用失禁オムツの吸収性のアイテムに係り、該アイテムは2つの外部シートと、外部シートとの間に配置された吸収性コアとを含む組立体であって、該組立体はオムツの第1の面である前面及び側面を備え、前記アイテムは、前記オムツの第1面及びオムツの側面のうちの1つによって担持された受容ループを含むフックアンドループ保持システムと、オムツの第1面及びオムツの側面のうちの他の1つによって担持された本開示の少なくとも1つの保持装置とを備え、前記オムツの側面のうちの少なくとも1つが前記第1面に対して配置されたときに、前記保持要素が前記受け入れループと協働して前記オムツの側面のうちの少なくとも1つが前記オムツの第1面に保持される。
【0039】
オムツの第1面は、特にオムツの前面であり、すなわち、それを装着する人の下腹部の側に位置する外面である。オムツの側面はオムツの横方向パネル又はラグ、特に弾性ラグとすることができる。
【0040】
「前記第1面に対して前記オムツの側面のうちの少なくとも1つを保持する」ことによって、前記オムツの側面を第1面に対して閉じ、これらが分離することを防止し、及び/又は、前記オムツの側面を前記第1面に対して保持することによって、これらの相対的なずれを防止、規制する。
【0041】
任意に、保持装置はループを含む表面上、例えばコンフォートストリップの領域(一般にランディング領域とされる)、例えばコンフォートストリップの側方境界付近上に配置されることが可能である。
【0042】
第3の態様によれば、本開示は、保持装置の製造方法に関し:
成形装置は、表面から凹状に形成された複数のキャビティを備え、該成形装置は任意に成形ストリップであり、アプリケータを使用して前記表面上に加熱された成形材料を適用し、該成形材料がキャビティ内に浸透して保持要素を形成し、該製造方法によって成形材料の2つの別々の隣接する流れを生成して2つの適用領域に置き、前記成形材料2つの流れが合流領域内で合流してベースを形成し、前記成形材料が、前記合流領域内に存在するキャビティよりも前記適用領域のキャビティ内にさらに浸透するようにする。
【0043】
ここで、「2つの隣接する流れ」とは、「少なくとも2つの隣接する流れ」を意味する。2つがそれぞれ隣接する3つの流れと、2つの隣接する流れの間にある2つの合流領域を有することが特に可能である。
【0044】
任意に、アプリケータは、隔壁によって分離された2つの隣接するチャネルを含む押出装置であり、成形材料は、成形装置および押出装置を互いに長手方向に相対的に移動させることによって成形材料が適用される。
【0045】
任意に、チャネルは、同一のセクションであってもよく、チャネルのセクションは、チャネル内の材料の進行方向に対して横断的に検討される、すなわち、通常、方向CDに沿って検討される。
【0046】
2つより多いチャネルがあり、それぞれの隔壁によって2つずつ分離され、それらは任意に同一であることが可能である。
【0047】
任意に、チャネルは異なるセクションとすることができる。
【0048】
任意に、隔壁は、異なる幾何学的特性を有することができる。特にチャネル数が3以上の場合、方向CDの外側に位置するチャネルは、内側に位置するチャネルとは異なる、特に低いセクションを有することが考えられる。
【0049】
任意に、チャネルおよびそれらを分離する隔壁は、特に方向MDによって画定される面および方向MDおよびCDによって画定される面に垂直な面に対して対称的に配置することができ、この対称面は、特にアプリケータの幅の中央を通る。
【0050】
任意に、成形材料の冷却前に、成形装置の表面に塗布されたプラスチック材料に対して基材が塗布され、その結果、前記材料は成形装置の表面と基材との間に挟まれる。
【0051】
もちろん、同じ成形材料、または逆に異なる材料を異なるチャネルに持ってくることもできる。
【0052】
特に、保持要素を形成する役割を果たす成形装置のキャビティは、全て類似のものとすることができる。
【0053】
特に、保持要素を形成する役割を果たす成形装置のキャビティを成形装置内(より具体的には、成形材料を受け入れることを意図した成形装置の表面)に均質に分布させることができる。この場合、これらのキャビティは、同じ分布又は密度に従って、適用領域内及び合流領域内に存在する。合流領域内で成形材料拡がることにより、成形材料は、合流領域内に存在するキャビティ内に侵入するより、適用領域内に存在するキャビティ内により侵入するので、合流領域内に存在するキャビティでできる保持要素は、適用領域内に存在するキャビティでできる保持要素に比べて劣化する。したがって、適用領域は、保持装置の保持領域を形成するのに役立ち、一方、合流領域は、中間領域を形成するのに使用される。
【0054】
合流領域内の成形材料の拡がりに起因して、成形材料は、適用領域内よりも薄い厚さでこの領域内に存在することができ、その結果、合流領域でできる保持装置のベースは、適用領域でできるその部分より薄い厚さを有する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本開示の目的の他の特性および利点は、添付図面を参照して、非限定的な実施例として示される一実施形態の以下の説明から明らかになる。
【
図1】保持要素を有する保持装置を製造するための設備を模式的に表している。
【
図3】
図1のIII-III線に沿った概略断面図である。
【
図4】
図1の矢印IV及びIV-IV線による部分概略図である。
【
図5】本開示による保持装置を備えるアイテムを断面で示している。
【
図9】本開示による保持装置の保持要素の詳細である。
【
図10】本開示による保持装置を含む吸収性アイテムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、保持要素を有する保持装置を製造するための設備の一例を模式的に示している。
【0057】
表示される設備は、ここでは2つのロール21及び22を備える回転駆動手段2上に位置決めされた成形ストリップ1と、例えばプラスチック及び/又は弾性成形材料のような成形材料を成形装置の表面に塗布するように構成された材料分配手段又はアプリケータ3とを備える。
【0058】
成形ストリップ1は、成形装置の一例である。
【0059】
この装置は、ロール6を使用して成形装置から脱型される保持装置5を製造するのに役立つ。
【0060】
実施例は、文献WO2017187097に記載されているタイプ又は文献FR 1914162に示されているものを、修正又は補足することができる。2つのロール21、22を含む図示の例は、限定するものではなく、ロールの数及び配置は、特に、成形ストリップ1の長さ及び装置の異なる位置に適合させるために、変えることができる。例えば、スリーブ又はスクリーンを形成するために、成形ストリップが単一ロールの周縁に配置されるように、3つのロール又はただ1つのロールを使用することが可能であろう。特に、2つのロールのうちの1つ、例えばロール21のみが電動手段によって回転駆動され、他のロール22は、例えば、電動手段なしに成形ストリップを介して回転駆動され、成形ストリップ自体はロール21によって駆動される。
【0061】
成形ストリップ1の進行方向に対して長手方向が規定されている。この長手方向は、一般に「機械方向」又はMDと呼ばれる。長手方向は、図中の軸MDによって示される。
【0062】
「交差方向」またはCDもまた規定され、長手方向に垂直な方向に対応し、成形ストリップの内面および外面に平行に延在する。図中、交差方向は、軸CDによって示されている。
【0063】
提示された成形ストリップ1は、内面11及び外面12を備え、内面11は、回転駆動手段2と接触し、一方、外面は、アプリケータ3によって成形材料が塗布される表面を有する。
【0064】
具体的には、アプリケータ3は、成形ストリップ1に対向して配置され、
図1に示す空隙eを画定するように成形ストリップ1から離間される。印Aは、成形ストリップ1の外面12に注入される材料の限界をマークし、成形ストリップ1の変位方向に対して成形ストリップ1に注入される材料の裏端に対応する。
【0065】
図1及び
図4からも分かるように、成形ストリップ1には複数のキャビティ13が設けられており、保持装置5の保持要素の製造を可能にしている。
【0066】
この場合、
図1に表わすキャビティ13は、各々、フックタイプの保持要素の製造に役立つように形成される。従って、
図2でより良く分かるように、各キャビティは、外面12から成形ストリップ1の内面11に向かって延在するロッド14と、ロッド14と成形ストリップ1の内面11との間に延在するヘッド15とを画定する。
【0067】
図示の例では、キャビティ13のヘッド15が成形ストリップ1の内面11に位置している。従って、キャビティ13は貫通している。このような実施形態は、限定的ではないが、キャビティ13をブラインドにすることもでき、従って、成形ストリップ1の内面11から出現しない。さらに、キャビティは、特に頭部を欠いていることによって、異なる形状とすることができる。
【0068】
ロッド14を形成するキャビティ13の部分は、典型的には、成形ストリップ1の外面12に垂直な方向に沿って延在する。ロッド14を形成するキャビティ13の部分は、典型的には、成形ストリップ1の外面12に垂直な軸周りの回転形状又は成形ストリップ1の移動方向に平行な方向及び/又は成形ストリップ1の移動方向に垂直な方向に沿って面対称で延びる形状を有する。
【0069】
ロッド14を形成するキャビティ13の部分は、例えば、成形ストリップ1の外面12に垂直な軸の周りを回転し、成形ストリップ1の外面12との接合部で丸みを有する略切頭円錐形状又は円筒形状を有する。
【0070】
ヘッド15を形成するキャビティ13の部分は、典型的には、成形ストリップ1の外面12に垂直な軸に対して半径方向又は横方向に延び、成形ストリップ1の外面12に垂直なこの軸の周りで回転対称を有することができる。頭部15を形成するキャビティ13の部分は、典型的には、切頭円錐形または六面体、あるいは実質的に切頭円錐形または六面体の形状を有する。
【0071】
ヘッド15を形成するキャビティ13の部分は、直線状又は曲線状とすることができ、例えば、ロッド14を形成するキャビティ13の部分から延在する成形ストリップ1の内面11に向かって又は外面12に向かって湾曲した部分を形成することができる。
【0072】
ヘッド15を形成するキャビティ13の部分は、一定の又は可変の厚さを有することができる。
【0073】
図に表された例では、ヘッド15を形成するキャビティ13の部分は、ロッド14を形成するキャビティ13の部分の周囲に放射状に延在し、後に提示する
図2で特に分かるように、ディスクの一般的な形状を有する。
【0074】
成形ストリップ1は、その内面11上またはその外面12上に、通気孔またはスタッドを形成するスロット、溝の集合または通路の集合のような特定のテクスチャリングを有するか、または平滑もしくは実質的に平滑であることができる。
【0075】
成形ストリップ1は、いくつかのストリップの重ね合わせによって形成することができ、したがって必ずしも単一片または単一素材であるとは限らない。
【0076】
成形ストリップは、クロス方向CDにおいて、5~3000mmの幅を有することができる。
【0077】
上記で説明した成形ストリップを備える成形装置は、成形装置の一例である。他のタイプの装置、例えば、成形キャビティを備えたプレートを含むタイプの装置を設けることができ、これらのプレートは、例えば、段階的に移動することができる。
【0078】
他のタイプの成形装置、例えば、成形キャビティが直接形成されるロールを含むタイプの成形装置を提供することも可能である。それらは、中実ロール、成形キャビティを提供するように機械加工されるか、またはロールを形成するように積み重ねられたディスクであってもよく、成形キャビティは、例えば、レーザーもしくはウォータージェットにより、または放電加工、特にワイヤ放電加工によるディスクの縁部の機械加工および/またはディスクの縁部の切断により形成される。もちろん、ディスクは、縁部が切り欠きを有するディスクを備えた、完全に円形または円筒形の縁部を有する交互の中実ディスクによって積み重ねることができる。
【0079】
図2は、成形ストリップ1に注入された成形材料を表す。
図2は、成形ストリップ1のキャビティ13における材料の(断面)側面図を表している。
【0080】
図2に見られるように、成形材料は、キャビティ13を充填するように成形ストリップ内に浸透し、かくして保持要素、この場合にはフック付き保持要素のためのロッド及びヘッドブランクを形成する。
【0081】
また、保持装置のためのベースを形成するように成形材料の層が成形ストリップ1の外面12上に堆積され、この成形材料の層の厚さは、アプリケータ3の出口と成形ストリップ1との間の空隙eによって決定される。
【0082】
空隙eは、典型的には、700マイクロメートル未満、または典型的には、5~500マイクロメートル、または8~100マイクロメートルの厚さを有する。
【0083】
提示される例では、成形ストリップ1のキャビティ13は、貫通している。次に、装置は、必要に応じて、成形ストリップ1の内面11を削り、余分な成形材料を除去するように位置決めされたスクレーパ4のような要素を備えることができる。
【0084】
したがって、アプリケータ3による成形材料の成形ストリップ1への射出によって、キャビティ13内に保持要素を形成することができ、このようにして、装置はテープ100を形成する。これらは、WO2017187097に記載されているように、仕上げられた保持要素または予備成形物とすることができ、その後、これらの最終成形のための成形またはカレンダー加工ステップに付される。「射出」とは、ここでは、溶融経路を介して成形材料を成形する作用、例えば、分配、供給、成形、射出、押出を意味する。
【0085】
ここで、
図3及び
図4を参照してアプリケータ3について説明する。このアプリケータは、この場合、隔壁によって分離された、少なくとも2つの隣接するチャネルを含む押出装置である。図示した例では、アプリケータ3は、3つの整列したチャネル3A、3Bおよび3Cを備えており、チャネル3Bは、チャネル3Aおよび3Cの間に位置しており、仕切り3’および3''によって分離されている。
【0086】
例えば、アプリケータの適用幅L0は、ストリップ1の有効幅LBの70%から100%の間で構成される。ここで、「適用幅」の概念は、適用チャネルの最も離れたエッジ間で、方向CDに沿って測定される交差距離を意味する。チャネル3Aの外側横縁部と、チャネル3Cの反対側の外側横縁部との間で測定される。この場合の3つのチャネル3A、3Bおよび3Cは、例えば、1~60mm、場合によっては2~50mm、特に3~30mmで構成される同じ幅L1を有する。この幅L1は、チャネルの出口で測定される。この場合の隔壁3’及び3''は同じ幅L2を有し、これは、例えば0.5mmから15mmの間、特に0.5mmから10mmの間で構成され、アプリケータの出口面上で測定される。幅L2は、幅L1よりも小さいか、または等しいことが好ましい。
【0087】
この場合のチャネル3A、3B、3Cの出口は、幅L1および高さe1の矩形開口の形態を有する。比e1/L1は、一般に、2以下、または1以下、さらには、表現される例のように、0.5以下である。
【0088】
チャネルの出口は、例えば、正方形、円形、長円形、楕円形、または犬の骨の形状、すなわち、略長方形であるが、1つまたは2つのローブを形成することによって先端が膨らんでいる、異なる形状を有することができる。
【0089】
図4では、チャネル3A、3B及び3Cが、成形材料の進行状態のIV-IV面に於いて概略的に示されているが、成形ストリップは、矢印IVに沿った外観図に示されている。チャネルの出口には、3つの別々の成形材料フロー3A、3Bおよび3Cが形成されている。したがって、これらの3つの流れは、成形材料をストリップ1の表面12に適用領域ZA、ZBおよびZCにおいて提供し、適用領域ZA、ZBおよびZCはチャネルの出口に沿って位置し方向MDに対応する進行方向の表面の領域である。
【0090】
チャネルを出た成形材料の適用は、成形材料のテープを形成する。
【0091】
チャネルの出口および/または表面12上に一度適用されると、成形材料は横方向(方向CD)に流れることが分かる。実際、ストリップ1上に一旦適用されると、材料は、自然に横方向に拡がり、2つの隣接する適用領域間の空間を埋める傾向がある。隔壁の幅L2が小さいため、隣接する流れは当然合流する。従って、隔壁3’及び3''と並んで位置するストリップ1の領域は、合流領域ZJ、ZJ’を形成し、この合流領域は、成形材料の横方向の流れのために、チャネル3A、3B及び3Cの出口で適用される成形材料テープが出会う傾向がある。
図4にfによって示されるように、横方向の合流現象は、チャネルの出口、空隙eにおいて、恐らく、成形材料が表面12に接触する前に発生する。
【0092】
摘要領域ZA、ZBおよびZCにおいて直接適用される成形材料は、方向MDにおけるその拡がりを通して、その速度成分およびチャネルの出口圧力の効果の下で、これらの領域に存在する空洞13を自然に満たし、その後、主に表面12の平面に対して垂直に適用される。一方、合流領域ZJとZJ''では、この圧力は横方向の合流に部分的に適用され、その速度成分は自然に、主に方向CDに沿って発揮される。その横方向の拡がりのために、成形材料は、合流領域に存在するキャビティを充填しにくくなる。従って、これらの合流領域でできる保持装置の部品は、適用領域でできる部品のものと比較して劣化する保持要素を有し、一方、合流領域のキャビティ13と適用領域のキャビティ13は同一又は類似している。
【0093】
これは
図5に見られるものであり、この図は、ベース51と、ベース51の上面511から延びる保持要素50とからなる保持装置を示す。この場合、保持装置は、ベース51の下面512の側に基材60を備える。
【0094】
ベースの上面511および下面512は、通常、平行またはほぼ平行であり、上面511は、保持要素50を備えた面である。
【0095】
本装置には、保持要素が標準である保持領域RA、RB、RCがあることがわかる。これは、これらの保持領域内に存在する保持要素が、キャビティ内に正しく成形されていることを意味する。これらの領域の保持要素は全て、ベース51の上面511とそれらの反対側の上端部との間で測定される実質的に同じ高さhを有する。これは、特に、これらの保持要素の高さがすべて、これらの保持要素について観察される最大高さの80%から100%の間、または85%から100%の間、さらには、90%から100%であることを意味する。
【0096】
ここで、考慮される幾何学的寸法は、保持要素の高さである。他の幾何学的寸法、例えば、ベースの上面に平行な平面内で測定された保持要素のロッドの厚さ、または(これらがヘッドを備えている場合)やはりベースの上面に平行な平面内で測定された保持要素のヘッドの幅を考慮することができる。
【0097】
保持領域RA、RB、RC の間に、保持装置には中間領域RJ とRJ’がある。保持要素50のうち、中間領域RJ及びRJ’に存在する保持要素50Aは、他のものと比較して劣化していることが分かる。特に、それらの高さh’は、保持領域内に存在する保持要素の高さよりも低く、更に、おそらく、これらの高さは、保持要素50Aごとにかなり変化することが分かる。特に、
図7において、中間領域RJ及びRJ’の保持要素50Aは、保持領域RA、RB及びRCのそれとは異なり、ヘッドを欠いていることが分かる。
【0098】
ここでも、高さは、保持要素50Aの幾何学的寸法の1つに過ぎず、これは、保持領域内に存在する保持要素と比較してそれらの劣化を評価するために考慮される。したがって、ここでは、保持領域の保持要素50と中間領域の保持要素50の形状の違いは、ストリップ1のキャビティ13の異なる幾何学的形状によるものではなく、適用領域と合流領域における成形材料によるこれらのキャビティの不均一な充填によるものであると理解される。
【0099】
図6は、保持領域RA、RB及びRCによって提示される方向MDに沿った細長いテープの形状を示し、中間領域RJ及びRJ’もまた、全体的に幅の小さいテープの形状を有する(幅は方向CDにおいて測定される)。これらの中間領域は、一方でチャネル3Aおよび3B、他方で3Bおよび3Cから来る流れの合流に対応する接合線LおよびL’を有する。中間領域では、ベースは、保持領域で提示されたものとは異なる材料の状態を有する。特に、ベースは、保持領域内で分子配向は均一であり、方向MDに沿っている。一方、中間領域内では方向CDに沿って非ゼロ成分を有する方向への成形材料の流れによって、分子配向は変化する。
【0100】
しかし、これらの異なる領域が同じ共通テープRを形成し、中間領域が保持領域間の接合部を形成していることが分かる。
【0101】
図6に最もよく示されているように、保持要素50は、規則的な繰り返しパターンで分布されている。これらは、方向CDに平行な列およびMDに平行な行に配置され、隣接する行及び列の保持要素は千鳥状に配置されている。
【0102】
また、成形装置のキャビティが、この規則的かつ繰り返しのパターンで分布していることが
図4から分かる。
【0103】
図5及び
図7において、保持領域RAから隣接する保持領域RBに向かう方向の中間領域RJ、特に方向CDに沿った方向を考慮すると、保持要素の高さは、中間領域の中央領域に向かって減少し、その後増加することが分かる。
【0104】
ベース51は、典型的には、3から500マイクロメートル、より具体的には4から150マイクロメートル、又は4から120マイクロメートル、又は4.5から108マイクロメートルで構成される厚さebを有する。
【0105】
保持領域RA、RBおよびRCにおいて、ベースの厚さは一定であるか、または実質的に一定である。それは、保持領域の2つの隣接する保持要素50の間で測定される。「実質的に一定」とは、厚さが平均値に対してせいぜい20%、さらには10%変化することを意味する。
【0106】
一方、
図5及び
図7に見られるように、ベース51の厚さは、中間領域RJ及びRJ’において薄くなりえる。例えば、保持領域内のベースの平均厚さの80%、または60%、さらには50%、またはそれ以下となる。
【0107】
図8から分かるように、中間領域RJ、RJ’が空隙50Bを有することさえ起こり得る。これは、成形材料の2つの適用領域の間の合流による接合が局所的には起こっていないか、または材料が成形ストリップのキャビティ内に不十分に浸透して保持要素のダクト形状部分を形成したか、または材料がキャビティ内に浸透して劣化した保持要素50Aを形成し、その横方向拡がりを損なってこの劣化した保持要素の足元に空隙を残したことによる。空隙50Bは、小さな寸法を有する。特に、空隙の最大寸法は、空隙の一方の縁から他方の縁に行くベースの上面に平行なセグメントの長さで、2つの保持要素間の最小距離よりも小さい。
【0108】
ベース51は、典型的には、1から3000ミリメートル、より具体的には、2から400ミリメートル、または3から100ミリメートルで構成される幅を有し、ベース51の幅は、例えば、成形ストリップ1の外面12に平行な方向に沿って、長手方向に対して交差方向に沿って測定される。この幅は、成形装置のストリップ1の有効幅LBと呼ばれる幅に相当する。
【0109】
劣化していない保持要素50(すなわち、保持領域内に存在する)の幾何学的特性のいくつかについて、
図9を参照して説明する。
【0110】
この場合の保持要素はフックの形状を有し、ロッド52及びロッドから横方向に突出するヘッド53備える。保持要素50の全高hは、80から1000マイクロメートルのオーダー、特に90から500マイクロメートル、特に90から450マイクロメートルとすることができる。ベース51の上面からヘッド53の下面までで測定されるロッド52の高さh1は、80から800マイクロメートルのオーダー、特に90から450マイクロメートルまたは90から300マイクロメートルであり得る。ヘッド53の高さh2は、その下面と上面との間、ベースの上面に平行であって、下面と上面に接する2つの平面間で測定され、5から200マイクロメートルのオーダー、特に10から100マイクロメートルであり得る。
【0111】
示されるように、ベースおよび保持要素によって形成されるアセンブリは、10~120g/m2、特に30~80g/m2、より詳細には50~70g/m2で構成される坪量を有することができる。
【0112】
ベース自体は、5~80g/m2、特に10~60g/m2からなる坪量を有することができる。
【0113】
保持領域には以下の比率が観察できる:
ロッド高さ対ベース高さ:0.8~80、特に1.5~65;
ヘッド高さ対ベース高さ:0.1~30、特に0.3~22;
ロッドの高さ/ベースと保持要素で形成されるアセンブリの坪量:1~10 (単位:マイクロメートル/g/m2)。
【0114】
保持要素の高さは、保持要素の中心から始まり、べースの上面の高さ(当該領域における2つの隣接する保持要素で確認されるこの面の平均高さ)から、フックの外部エンベロープとの交点に達する線分の長さによって測定される。
【0115】
ベースは、保持要素と同一の単一の材料で形成することができる。
【0116】
保持装置の脱型は、通常、ベースが成形材料の溶融温度よりも低い温度にあるとき、又は成形材料の荷重下におけるたわみが生じる温度よりも低いときに行われる。例えば、成形ストリップ1の内面11が45℃のオーダーの温度にあり、ベース51の上面511が75℃のオーダーの温度にあるときである。負荷時のたわみ温度は、一般に熱たわみ温度またはHDTと呼ばれる。
【0117】
成形ストリップ1は、成形材料がポリプロピレンまたは、一般に、エチレン共重合体である場合は、従来、成形領域において、HDT-30℃とHDT+10℃との間、特に50℃と120℃との間、特に80℃のオーダーの温度で維持される。
【0118】
ベース51は極めて薄いので、空気と接触しているベース(ストリップと反対側)の外面は成形ストリップのそれよりも低い温度にあるので、成形領域における成形ストリップの温度はHDTよりも僅かに高くすることができ、ベースの薄い厚さのため、ベースの内面と保持要素とは、ベースが成形ストリップから分離するとすぐに冷却される。
【0119】
脱型工程は、成形工程に続くことができ、この工程では、第2の予備成形物が、特に、それらの頭部53の高さで修正される。
【0120】
図示のように、保持装置は基材60を備えることができる。この基材は、典型的には、不織材料の層、プラスチックフィルム、弾性フィルムもしくは複合フィルム、または熱圧密された繊維および/もしくはフィラメントのセットである。基材60は、例えば、繊維及び/又はフィラメントのウエブである。
【0121】
「不織布」とは、固められた繊維および/またはフィラメントのウェブの形成の最後に得られる製品を意味する。この圧密は、機械的、化学的または熱的であり得、繊維および/またはフィラメント間の結合の存在の結果となる。この圧密は、直接的に、すなわち、溶着によって繊維及び/又はフィラメント間で直接的になされることができ、又は、間接的に、すなわち、繊維及び/又はフィラメント間の中間層、例えば、接着剤層又は結合剤層を介してなされることができる。用語「不織布」は、不均一、不規則またはランダムな方法で交互配置された繊維および/またはフィラメントのテープ状構造体またはウェブに関する。不織布材料は、単層構造または多層構造を有することができる。不織布材料を別の材料に接合して積層体を形成することもできる。不織布材料は、種々の合成材料および/または天然材料から作製することができる。代表的な天然材料は、綿、ジュート、リネンなどのセルロース繊維であり、また、レーヨンまたはビスコースなどの再処理セルロース繊維を含むことができる。不織布材料用の天然繊維は、カーディングなどの種々の方法を用いて調製することができる。例示的な合成材料としては、限定されないが、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなど;ポリアミド、例えば、ポリアミド6、ポリアミド6.6、ポリアミド10、ポリアミド12など;ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸など、ポリカーボネート、ポリスチレン、熱可塑性エラストマー、ビニルポリマー、ポリウレタンおよびそれらの混合物およびコポリマーを含む繊維を形成することが知られている合成熱可塑性ポリマーが挙げられる。例として、不織材料は、Spunbond、Spunmelt、ヒートボンドカード、SMS、SMMS、SS、SSS、SSMMS、SSMMMS、Air throughタイプ等の不織材料であり得る。
【0122】
基材は、不織布材料に限定されず、より一般的には、不織布材料、織布材料、編物材料、またはこれらの材料のいくつかの組み合わせであってもよい。
【0123】
基材60が不織布材料である場合には、基材へのその固定に先立って活性化することができる。基材は、いくつかの別個の層、特に支持層を含むことができ、それ自体不織材料であってもよく、場合によっては活性化されてもよい。
【0124】
「プラスチック材料」とは、熱可塑性材料、より詳細にはホモポリマー又は共重合体ベースのポリオレフィン材料を意味する。
【0125】
文献WO2017187097に記載されている材料を使用して、ベースよび保持要素、および、存在する場合、基材を形成することができる。この基材は、文献WO2017187097に記載されているようにベース上に追加することができる。
【0126】
本開示の目的は、おそらく実質的な幅にわたって、優れた保持特性を有しながら、保持装置が特に軽量であることを確実にすることを可能にする。さらに、特に中間領域において、非常に可撓性を備える。それは全体を構成し、保持領域は中間領域と連続している。
【0127】
図10は、赤ちゃんオムツ又は大人用失禁オムツタイプの吸収性アイテム200を示している。典型的には、アイテム200は、2枚の外部シート210、220と、該外部シート間に配置された吸収性コア230とを備えるアセンブリを備える。アイテムには、オムツ(前面)の第1面FAとオムツの側面CCがある。アイテムは、オムツの第1面FAとオムツの側面CCのうちの1つの要素によって担持される受容ループを備えるフックアンドループ保持システムを備える。この場合、
図10では、オムツの第1の面FA上に具現化された長方形240は、そのような需要ループを備え、コンフォートストリップ(一般に、ランディングゾーンによって指定される)に対応する。
【0128】
アイテムはまた、本開示による保持装置5を含む。この場合、このような保持装置5は、使用者が着用するアイテムを閉じたままにするために、正面FAに設けられた需要ループ240と協働することができるように側面CCの各々に配置される。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向(MD)に沿って延在し、上面(511)と下面(512)とを有するベース(51)と、
前記ベースの上面から延びる複数の保持要素(50、50A)であって、各保持要素は、第1の幾何学的寸法に従った値を有する保持要素(50、50A)と、を備える保持装置であって
前記保持装置は、少なくとも2つの保持領域(RA、RB、RC)及び前記2つの保持領域の間に配置され、前記2つの保持領域を連結する中間領域(RJ、RJ’)を有し、第1及び第2の保持領域に配置される前記保持要素(50)の第1の幾何学的寸法に従った値は、前記中間領域に配置される前記保持要素(50A)の第1の幾何学的寸法に従った値よりも大きい、保持装置。
【請求項2】
前記保持領域(RA、RB、RC)及び前記中間領域(RJ、RJ’)は、共通のテープ(R)の形の細長い領域を形成し、前記細長い領域及び前記共通のテープの形は、前記長手方向(MD)に沿って延びる、請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記中間領域(RJ、RJ’)は、前記保持領域(RA、RB、RC)における前記ベースの厚さ(eb)よりも小さい厚さの前記ベース(51)を有する少なくとも1つの部分を有する、
請求項1に記載の保持装置。
【請求項4】
前記中間領域(RJ、RJ’)において、前記ベース(51)に空隙(50B)を有する、
請求項1に記載の保持装置。
【請求項5】
前記保持領域(RA、RB、RC)において、前記保持要素(50)は、実質的に一定である第1の幾何学的寸法(h)による値を有する、
請求項1に記載の保持装置。
【請求項6】
第1の保持領域(RA)から第2の保持領域(RB)に向かう方向において、前記中間領域(RJ)は、第1の幾何学的寸法に従う値が減少し、その後、前記第1の幾何学的寸法に従う値が増加する保持要素(50A)を連続的に有する、
請求項1に記載の保持装置。
【請求項7】
直線が少なくとも1つの保持要素(50、50A)を通過し、第1の保持領域(RA)から第2の保持領域(RB)に向かう方向に沿って前記第1及び第2の保持領域を通過しながら延びて、前記直線は、少なくとも3つの保持要素、特に第1及び第2の保持領域の各々の中の少なくとも5つの保持要素、及び、任意に、少なくとも1つの保持要素、特に前記中間領域の少なくとも2つの保持要素と交差する、
請求項1に記載の保持装置。
【請求項8】
前記第1の幾何学的寸法は、前記保持要素(50、50A)の高さであり、各保持要素について、前記ベース(51)に接続された前記保持要素の下端と、前記下端に対向する前記保持要素の上端との間で測定される、
請求項1に記載の保持装置。
【請求項9】
少なくとも前記保持領域(RA、RB、RC)において、前記保持要素(50)は各々、ロッド(52)と前記ロッドから突出して乗せられたヘッド(53)で形成され、前記中間領域の前記保持要素の少なくとも一部は、任意にヘッドを欠いている、
請求項1に記載の保持装置。
【請求項10】
前記ベース(51)及び前記保持要素(50、50A)によって形成されるアセンブリが、10から120g/m
2の間、特に30から80g/m
2の間、場合によっては30から70g/m
2の間、より具体的には50から70g/m
2の間で構成される坪量を有する、
請求項1に記載の保持装置。
【請求項11】
前記ベースを担持する基材(60)をさらに含み、前記基材は、不織材料の層を任意に含む、
請求項1に記載の保持装置。
【請求項12】
赤ん坊用オムツ又は成人用失禁オムツタイプの吸収性のアイテム(200)であって、前記アイテムは、2つの外部シート(210、220)と、前記外部シートの間に配置された吸収性コア(230)を備える構成体であり、前記構成体は、オムツの第1面(FA)である前面と、前記オムツの側面(CC)を備え、前記アイテムは、前記オムツの第1面及び前記オムツの側面のうちの1つに担持される受容ループ(240)を有するフックアンドループ保持システムと、
請求項1に記載の少なくとも1つの保持装置(5)を備え、前記少なくとも1つの保持装置(5)は前記オムツの第1面及び前記オムツの側面のうちの他の1つに担持され、前記オムツの側面の少なくとも一方が前記オムツの第1面に対して配置されるときに、前記保持要素は前記受容ループと協働して前記オムツの側面の少なくとも一方が前記オムツの第1面に保持される、アイテム。
【請求項13】
保持装置の製造方法であって:
表面(12)から凹状に形成された複数のキャビティ(13)を備えた成形装置(1)であって、前記成形装置は、任意に成形ストリップ(1)を備え、
アプリケータ(3)を使用して前記表面に加熱された成形材料(M)を適用し、前記成形材料がキャビティ(13)内に浸透して保持要素を形成し、
前記成形材料(M)の2つの別々の隣接する流れ(FA、FB、FC)を作り前記表面の2つの適用領域に適用し、前記成形材料の2つの流れが合流領域で出会ってベース(51)を形成し、前記成形材料が前記適用領域の前記キャビティ(13)に、前記合流領域の前記キャビティよりも浸透する、製造方法。
【請求項14】
前記アプリケータ(3)が、隔壁(3’、3'')によって分離された2つの隣接するチャネル(3A、3B、3C)を含む押出装置であり、成形装置(1)および押出装置(3)を互いに長手方向に相対的に移動させることによって前記成形材料(M)が適用される、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記成形材料(M)の冷却前に、前記成形装置(1)の表面に適用されたプラスチック材料に対して基材(60)を適用し、前記成形材料が前記成形装置の表面と前記基材との間に挟まれるようにする、
請求項13に記載の製造方法。
【国際調査報告】